事業の概要
- 純粋持株会社体制川田テクノロジーズは、2009年に設立された純粋持株会社です。グループ全体の経営計画の管理、子会社や関連会社の調整・指導、そして各事業に関する研究開発などを主な業務としています。これにより、グループ全体の戦略的な意思決定と効率的な運営を推進しています。
- 鋼構造物の設計・製造主要子会社の川田工業株式会社を中心に、鋼製橋梁(鋼橋)や建築鉄骨の設計、製作、架設、据付を行っています。これらの製品は、社会インフラの構築や大規模建築物の建設に不可欠であり、グループの基幹事業を形成しています。
- 土木・建築・ソリューション川田建設株式会社がPC橋梁の設計・製作・架設や橋梁保全工事を、川田工業株式会社が一般建築やシステム建築を担います。また、川田テクノシステム株式会社はソフトウェア開発やシステム機器販売、構造解析を提供し、カワダロボティクス株式会社は次世代型産業用ロボットの製造・販売を手掛けるなど、多角的な事業を展開しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 鉄構事業鋼製橋梁や建築鉄骨の設計・製作・架設・据付、鋼材製品の販売を主な内容とし、川田工業株式会社などが担っています。最新年度の売上高は620.53億円、営業利益は62.74億円と、グループ内で最も大きな売上と利益を上げており、主要な収益源となっています。
- 土木事業PC橋梁やプレビーム橋梁の設計・製作・架設・据付、橋梁保全工事請負を主な内容とし、川田建設株式会社が手掛けています。最新年度の売上高は383.16億円、営業利益は21.06億円であり、鉄構事業に次ぐ規模で、社会インフラの維持・更新に貢献しています。
- 建築事業とソリューション事業建築事業は一般建築やシステム建築の設計・工事請負(川田工業株式会社)で、売上高154.63億円、営業利益14.44億円です。ソリューション事業はソフトウェア開発・販売、システム機器販売、構造解析(川田テクノシステム株式会社)やロボット製造・販売(カワダロボティクス株式会社)で、売上高75.79億円、営業利益29.82億円と、売上規模は小さいながらも高い利益率を示しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| SteelStructure | 事業 | 621 | 63 | 10.1% |
| Engineering | 事業 | 383 | 21 | 5.5% |
| Architecture | 事業 | 155 | 14 | 9.3% |
| Solution | 事業 | 76 | 30 | 39.3% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社14社、関連会社12社で構成され、鉄構セグメント、土木セグメント、建築セグメント、ソリューションセグメント及びその他事業を主な事業の内容とし、更に各事業に関連する研究やサービス等の事業活動を展開しています。 当社は川田工業株式会社の純粋持株会社として2009年2月27日付で設立され、当社グループ全体の経営計画管理、グループ企業の調整・指導及び各事業に関する研究開発等の業務を行います。また、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 なお、当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであり、セグメントと同一の区分であります。セグメントの名称主な事業内容主要な会社名鉄構鋼製橋梁(鋼橋)及び建築鉄骨の設計・製作・架設据付、鋼材製品の販売川田工業㈱、富士前鋼業㈱土木PC橋梁、プレビーム橋梁の設計・製作・架設据付及び橋梁保全工事請負川田建設㈱建築一般建築及び国内におけるシステム建築の設計・工事請負川田工業㈱ソリューションソフトウエアの開発・販売及びシステム機器の販売、橋梁等の構造解析及び設計・製図川田テクノシステム㈱次世代型産業用ロボット等の製造及び販売カワダロボティクス㈱各種機械装置、コンピューターシステム、ソフトウエアの開発・設計・販売及びコンサルティングカワダロボティクス㈱その他橋梁付属物の販売㈱橋梁メンテナンス航空機使用事業東邦航空㈱、新中央航空㈱建設工事の請負並びに企画、設計、監理及びコンサルティング佐藤工業㈱ 事業の系統図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 請負契約後の原材料や輸送費、労務費の上昇を請負金額に反映することが困難な場合があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 鋼構造・複合構造に関する研究開発、橋梁保全技術、溶接施工技術など専門性の高い技術。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:市場リスク(発注量減少、市場シフト) / 収益変動リスク(コスト上昇、部品調達制約) / 事故によるリスク(損害、受注活動への影響)
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
川田テクノロジーズは、特定のブランド力や特許、規制ライセンス、独占的IPに依存する事業モデルではない。主力事業は橋梁や建築鉄骨などの建設関連であり、技術力や実績は存在するものの、無形資産としての競争優位性は限定的と判断される。
スイッチングコスト★★☆☆☆
建設プロジェクトは長期にわたり、一度契約したゼネコンや施主との関係は継続する傾向がある。しかし、新規参入の障壁は比較的低く、発注者側がサプライヤーを変更する際のコストは、プロジェクトの性質や規模によっては限定的であるため、スイッチング・コストは強くない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
川田テクノロジーズの事業は、製品やサービスの利用者が増えることで価値が増加するネットワーク効果を生み出すビジネスモデルではない。個別の建設プロジェクトが中心であり、ユーザー間の相互作用による価値向上は見られない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の経験と効率的な生産体制により、一定のコスト競争力は有していると考えられる。しかし、原材料価格の変動や人件費の上昇、競合他社との価格競争など、構造的なコスト優位性を確立しているとは言い難い。規模の経済によるコスト削減効果は限定的。
規模の経済★★★☆☆
橋梁や建築鉄骨分野において、国内有数の生産能力と実績を持つ。大手ゼネコンとの長年の取引実績や、大規模プロジェクトへの対応力は、業界内での一定の地位を確立している。しかし、グローバルな競争環境や、より多様な建設ニーズに対応する上では、さらなる効率化や規模の拡大が求められる可能性がある。
- 高度な技術力と実績長年にわたり培ってきた鋼製橋梁やPC橋梁の設計・製作・架設に関する高い技術力は、同社の大きな強みです。特に、大規模な社会インフラを支える橋梁建設においては、その専門性と実績が競争優位の源泉となっています。
- 多角的な事業ポートフォリオ鉄構、土木、建築といった伝統的な建設関連事業に加え、ソフトウェア開発や産業用ロボット製造といったソリューション事業も展開しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定した収益基盤を構築している可能性があります。
- 品質管理と安全体制ISO9001認証に基づく厳格な品質マネジメント体制と、専門部門による安全管理体制を構築しています。これにより、高品質な製品と安全な施工を提供し、顧客からの信頼を獲得していることが、長期的な事業継続の強みとなっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、「安心で快適な生活環境の創造」の経営理念に基づき、安全で高い品質の社会インフラ、サービスの提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、誠実・公正で透明性のある企業活動と社員一人ひとりの高い倫理観に基づいた行動を通じて、あらゆるステークホルダーから信頼され続ける企業となるべく努力してまいります。さらに、安定的な受注と利益を確保し、市場競争力の維持・強化に努め、新しい成長領域の構築に向けた投資を推進しながら、企業価値の向上を目指してまいります。 (2)経営環境及び対処すべき課題セグメント経 営 環 境対処すべき課題鉄 構(橋梁事業)・主流であった新設は減少傾向、補修や修繕への市場シフトが継続。新設は特に近年市場を牽引してきた高速道路会社の減速が足下で著しい・余剰生産力を抱えたプレーヤーによる受注競争の激化と採算性悪化を懸念・大型プロジェクト「大阪湾岸道路西伸部」の設計作業中。数年内に製作・施工部分が発注される見通し。以降も継続的に大型物件が計画中(橋梁事業)・減少する新設発注におけるシェア拡大を狙うとともに、補修、修繕はもちろん大規模構造物を扱う民間物件の獲得も狙う・技術提案力の強化、確実な設計変更獲得の積み上げで採算性の堅守向上を図りつつ、人的リソースの最適配置を推進・大型案件を見据えた計画的な人材の獲得と育成、設備の確保に取り組む(鉄骨事業)・諸物価高騰や担い手不足に起因する発注控え、先送りなどで発注量の落ち込みが目立つ。短期的に厳しい価格競争を想定・中期的には、首都圏など大都市圏中心に難度の高い大型物件の出件を多く想定(鉄骨事業)・高難度物件を「作って建てる」ことができる唯一のファブリケーターとして、高付加価値製品の選別受注を徹底し、着実に受注、売上、利益を積み上げる・工場における製作時期の最適化や、図面の3D化を推進し、生産性向上を図る土 木・新設の発注量は減少傾向が継続。老朽化を受けた床版取替、保全への市場シフトが著しいが、足下では発注時期の先送りなどあって足踏み、受注競争激化を招来・建設コスト高騰、担い手不足などで受注残の消化が想定通り進まず・ゼネコンなど異業種を巻き込んだ業界再編進む・受注能力、施工能力強化のため、特に施工管理者の育成と支援に注力。ボトルネックになる有資格者を積極育成・技術や製作でも収益を積み増す体制を構築。提案力を磨くシステムを強化し、高付加価値化、高収益化を目指す。また、建築資材としてプレキャスト製品の活用、拡販を目指す・アライアンス等で最適ポジショニングを推進建 築・旺盛な建設ニーズと業界の担い手不足により需給が引き締まりを見せるなか、総じて好調な受注環境が継続すると見込まれるも、建設コスト高騰による採算性低下や人的リソースのボトルネック化による受注機会の逸失が懸念材料・物流インフラの老朽化対策や機能性向上が課題化、ターゲットの倉庫需要は堅調な推移を見込む・確実な受注のため、建物の価値を高める技術提案力や課題解決力を磨き、他社との差別化、顧客満足度の向上を目指す・VE・CDで建物価値の最大化を図りつつも、積極的な情報交換でコスト増の価格転嫁に努め採算性確保・情報の蓄積、管理、運用の各プロセスでDXを活用し、生産性向上を図る セグメント経 営 環 境対処すべき課題ソリューション(ソフトウエア関連事業)・AIなど情報技術の進歩が急速に進むなか、国土交通省の「BIM/CIM原則適用」など、深刻化する社会インフラの老朽化、建設業界の担い手不足問題を建設DXで解決する取り組みがさらに加速・3次元CADに加えクラウド事業も収益の柱へと大きく成長を遂げた。新たな成長の種を模索(ソフトウエア関連事業)・既存製品の洗練、新技術サービスの導入ほか、政府系クラウドの構築実績を背景に中央官公庁物件への取り組みも強化。建設以外の新市場へ挑む・着実な成長を継続するための研究開発、事業投資、人材育成、ブランディングに邁進・「公共インフラの問題を、DXでなんとかする」べく、ソフトウエア企業から「情報サービスコンサルタント」への進化を遂げる(ロボット関連事業)・人件費高騰や担い手不足を背景に、ロボット利活用に熱視線・世界で開発競争が激化。実運用段階へ・ヒューマノイドロボット市場は急速に拡大の兆し。将来的には現在の自動車産業へ匹敵する規模となる可能性も(ロボット関連事業)・人型×双腕型の特色を生かし、現場課題をロボットで解決するソリューションを提供・プロセス標準化による導入容易化を継続。導入ハードル下げ潜在需要の掘り起こしに努める・製造現場の多様な環境により適合する次世代ロボットの開発推進セグメント共通・中東情勢の緊迫化を受けた、特に石油由来製品の高騰、逼迫化傾向・グループ内の緊密な情報交換により必要量や時期の早期把握を図りつつ、必要十分量の適時発注による全体最適な資材調達を徹底 当社グループは、「事業ポートフォリオの方向性を明確にし、KAWADA VISIONの実現を目指す」をテーマに、2026年5月に「第4次中期経営計画(2026年度~2028年度)」を次のとおり策定・公表しています。 (第4次中期経営計画の概要)① 経営課題事業の成長と拡大・既存事業と成長事業でのバランスの取れた収益基盤・全体最適を追求した事業ポートフォリオ改革将来に向けた投資の強化・設備投資やDXを通じた生産性向上・「建設」×「ロボティクス」を軸とした研究開発加速・社会・環境課題解決に向けた技術開発・事業領域の拡大サステナビリティ経営・カーボンニュートラルに向けた取り組みの加速・自然資本・生物多様性への対応の第一歩・人的資本経営の拡充・人権尊重経営の推進資本効率経営・企業価値向上に資する取り組み強化・経営モニタリング体制の強化 ② 基本方針両利きの経営の強化基幹事業と成長事業でのバランスの取れた収益基盤の確立を目指すとともに、事業ポートフォリオ改革を加速させる「川田ならでは」の技術開発担い手不足が顕在化するなか、川田の強みである「建設」×「ロボティクス」で省人化、省力化技術の開発を加速させるサステナビリティ経営の進化サステナビリティの取り組みをこれまでの個別活動である「点」から組織的な連携による「線」、そして社会的価値創出の基盤となる「面」へと進化させる資本効率経営の深化と株主還元の充実収益性を重視しつつ、自己資本に対するリターンを指標としたROE経営を深化させるとともに、さらなる株主還元の充実を図る ③ 数値目標 目標値売上高(3か年累計)3,830億円以上営業利益(3か年累計)235億円以上当期純利益①(3か年累計)232億円以上当期純利益②(3か年累計、持分法投資損益を除く)159億円以上ROE①(最終年度)8.0%以上ROE②(最終年度、関係会社株式を除く)10.0%以上配当性向(3か年平均)30.0%目途総還元性向(3か年平均)50.0%目途 当社グループは、今後ともさまざまな環境変化に適切に対応し、安定的な利益を確保することで企業価値を向上させ、全てのステークホルダーに満足していただけるよう「八方よし」の精神のもと努力してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、「安心で快適な生活環境の創造」の経営理念に基づき、安全で高い品質の社会インフラ、サービスの提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、誠実・公正で透明性のある企業活動と社員一人ひとりの高い倫理観に基づいた行動を通じて、あらゆるステークホルダーから信頼され続ける企業となるべく努力してまいります。さらに、安定的な受注と利益を確保し、市場競争力の維持・強化に努め、新しい成長領域の構築に向けた投資を推進しながら、企業価値の向上を目指してまいります。 (2)経営環境及び対処すべき課題セグメント経 営 環 境対処すべき課題鉄 構(橋梁事業)・主流であった新設は減少傾向、補修や修繕への市場シフトが継続。新設は特に近年市場を牽引してきた高速道路会社の減速が足下で著しい・余剰生産力を抱えたプレーヤーによる受注競争の激化と採算性悪化を懸念・大型プロジェクト「大阪湾岸道路西伸部」の設計作業中。数年内に製作・施工部分が発注される見通し。以降も継続的に大型物件が計画中(橋梁事業)・減少する新設発注におけるシェア拡大を狙うとともに、補修、修繕はもちろん大規模構造物を扱う民間物件の獲得も狙う・技術提案力の強化、確実な設計変更獲得の積み上げで採算性の堅守向上を図りつつ、人的リソースの最適配置を推進・大型案件を見据えた計画的な人材の獲得と育成、設備の確保に取り組む(鉄骨事業)・諸物価高騰や担い手不足に起因する発注控え、先送りなどで発注量の落ち込みが目立つ。短期的に厳しい価格競争を想定・中期的には、首都圏など大都市圏中心に難度の高い大型物件の出件を多く想定(鉄骨事業)・高難度物件を「作って建てる」ことができる唯一のファブリケーターとして、高付加価値製品の選別受注を徹底し、着実に受注、売上、利益を積み上げる・工場における製作時期の最適化や、図面の3D化を推進し、生産性向上を図る土 木・新設の発注量は減少傾向が継続。老朽化を受けた床版取替、保全への市場シフトが著しいが、足下では発注時期の先送りなどあって足踏み、受注競争激化を招来・建設コスト高騰、担い手不足などで受注残の消化が想定通り進まず・ゼネコンなど異業種を巻き込んだ業界再編進む・受注能力、施工能力強化のため、特に施工管理者の育成と支援に注力。ボトルネックになる有資格者を積極育成・技術や製作でも収益を積み増す体制を構築。提案力を磨くシステムを強化し、高付加価値化、高収益化を目指す。また、建築資材としてプレキャスト製品の活用、拡販を目指す・アライアンス等で最適ポジショニングを推進建 築・旺盛な建設ニーズと業界の担い手不足により需給が引き締まりを見せるなか、総じて好調な受注環境が継続すると見込まれるも、建設コスト高騰による採算性低下や人的リソースのボトルネック化による受注機会の逸失が懸念材料・物流インフラの老朽化対策や機能性向上が課題化、ターゲットの倉庫需要は堅調な推移を見込む・確実な受注のため、建物の価値を高める技術提案力や課題解決力を磨き、他社との差別化、顧客満足度の向上を目指す・VE・CDで建物価値の最大化を図りつつも、積極的な情報交換でコスト増の価格転嫁に努め採算性確保・情報の蓄積、管理、運用の各プロセスでDXを活用し、生産性向上を図る セグメント経 営 環 境対処すべき課題ソリューション(ソフトウエア関連事業)・AIなど情報技術の進歩が急速に進むなか、国土交通省の「BIM/CIM原則適用」など、深刻化する社会インフラの老朽化、建設業界の担い手不足問題を建設DXで解決する取り組みがさらに加速・3次元CADに加えクラウド事業も収益の柱へと大きく成長を遂げた。新たな成長の種を模索(ソフトウエア関連事業)・既存製品の洗練、新技術サービスの導入ほか、政府系クラウドの構築実績を背景に中央官公庁物件への取り組みも強化。建設以外の新市場へ挑む・着実な成長を継続するための研究開発、事業投資、人材育成、ブランディングに邁進・「公共インフラの問題を、DXでなんとかする」べく、ソフトウエア企業から「情報サービスコンサルタント」への進化を遂げる(ロボット関連事業)・人件費高騰や担い手不足を背景に、ロボット利活用に熱視線・世界で開発競争が激化。実運用段階へ・ヒューマノイドロボット市場は急速に拡大の兆し。将来的には現在の自動車産業へ匹敵する規模となる可能性も(ロボット関連事業)・人型×双腕型の特色を生かし、現場課題をロボットで解決するソリューションを提供・プロセス標準化による導入容易化を継続。導入ハードル下げ潜在需要の掘り起こしに努める・製造現場の多様な環境により適合する次世代ロボットの開発推進セグメント共通・中東情勢の緊迫化を受けた、特に石油由来製品の高騰、逼迫化傾向・グループ内の緊密な情報交換により必要量や時期の早期把握を図りつつ、必要十分量の適時発注による全体最適な資材調達を徹底 当社グループは、「事業ポートフォリオの方向性を明確にし、KAWADA VISIONの実現を目指す」をテーマに、2026年5月に「第4次中期経営計画(2026年度~2028年度)」を次のとおり策定・公表しています。 (第4次中期経営計画の概要)① 経営課題事業の成長と拡大・既存事業と成長事業でのバランスの取れた収益基盤・全体最適を追求した事業ポートフォリオ改革将来に向けた投資の強化・設備投資やDXを通じた生産性向上・「建設」×「ロボティクス」を軸とした研究開発加速・社会・環境課題解決に向けた技術開発・事業領域の拡大サステナビリティ経営・カーボンニュートラルに向けた取り組みの加速・自然資本・生物多様性への対応の第一歩・人的資本経営の拡充・人権尊重経営の推進資本効率経営・企業価値向上に資する取り組み強化・経営モニタリング体制の強化 ② 基本方針両利きの経営の強化基幹事業と成長事業でのバランスの取れた収益基盤の確立を目指すとともに、事業ポートフォリオ改革を加速させる「川田ならでは」の技術開発担い手不足が顕在化するなか、川田の強みである「建設」×「ロボティクス」で省人化、省力化技術の開発を加速させるサステナビリティ経営の進化サステナビリティの取り組みをこれまでの個別活動である「点」から組織的な連携による「線」、そして社会的価値創出の基盤となる「面」へと進化させる資本効率経営の深化と株主還元の充実収益性を重視しつつ、自己資本に対するリターンを指標としたROE経営を深化させるとともに、さらなる株主還元の充実を図る ③ 数値目標 目標値売上高(3か年累計)3,830億円以上営業利益(3か年累計)235億円以上当期純利益①(3か年累計)232億円以上当期純利益②(3か年累計、持分法投資損益を除く)159億円以上ROE①(最終年度)8.0%以上ROE②(最終年度、関係会社株式を除く)10.0%以上配当性向(3か年平均)30.0%目途総還元性向(3か年平均)50.0%目途 当社グループは、今後ともさまざまな環境変化に適切に対応し、安定的な利益を確保することで企業価値を向上させ、全てのステークホルダーに満足していただけるよう「八方よし」の精神のもと努力してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態の状況 当連結会計年度末における「資産の部」は162,986百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,525百万円(△1.5%)減少しました。これは主に、現金預金が3,199百万円増加し、受取手形・完成工事未収入金等が6,472百万円減少したことによるものであります。 また、「負債の部」は63,475百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,466百万円(△14.2%)減少しました。これは主に、短期借入金が4,845百万円、支払手形・工事未払金等が4,734百万円、それぞれ減少したことによるものであります。 一方、「純資産の部」は99,510百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,941百万円(+8.7%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.0%から60.7%となりました。 ② 経営成績の状況 当社グループは、2023年5月に「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」を策定し、基本方針のもと、その実現に向け各種施策に取り組んでまいりました。 本計画期間中の当社グループを取り巻く環境は、全体としては政府による防災・減災、国土強靭化対策等に基づく公共投資や比較的安定した国内の経済環境を背景とした旺盛な民間投資が建設市場を牽引しましたが、一方で、特に期間後半にかけて、円安傾向を受けた建設資材をはじめとする諸物価の高騰や、時間外労働の抑制施策もあって急速に顕在化した業界における担い手不足のため、極めて厳しい状況が続きました。 このようななか、当社グループにおいては、効率的な人員配置や各プロセスの不断の見直しによる生産性向上、上昇する資材コストの価格転嫁に努めるなどしたことが功を奏し、数値目標については、売上高は計画当初の目標値に届かなかったものの、営業利益、当期純利益といった損益に関する目標は大きく達成することができました。また、資本コストを意識した経営を推進したことで、ROE目標も達成し、株主還元に関する目標についても当社配当方針に基づく配当性向30%を達成しています。 当社グループを取り巻く現在の経営環境としては、長期化が見込まれる円安などに起因する諸物価の高騰や担い手不足の業界全体への影響はいまだ予断を許さず、今後も不透明で厳しい状況が継続するものと想定されます。 また、市場環境といたしまして、公共投資である鉄構セグメントの鋼製橋梁事業や土木セグメントのPC橋梁事業については、更新、保全事業が主流になりつつあるなか足下で新設の発注量が減少傾向にありますが、老朽化するインフラの対策は必須であるほか、鋼製橋梁事業の大型プロジェクトの発注が予定されるなど、底堅い展開を見込んでいます。鉄構セグメントの鉄骨事業や建築セグメントについては、大都市圏における大型再開発案件や、Eコマースの浸透を背景とした高機能・大規模な物流倉庫などの堅調な需要を見込んでいます。ソリューションセグメントについては、ソフトウエアやロボットを活用した生産性向上の取り組みが加速するなか、一層の飛躍を期待しています。 こうした認識に基づき、2026年5月に「第4次中期経営計画(2026年度~2028年度)」を策定しています。本計画に基づき、既存事業と成長事業をバランスよく組み合わせた盤石な収益基盤の構築に努めつつ、引き続き資本コストを意識したROE経営を推進してまいります。 当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高115,025百万円(前連結会計年度比13.5%減)、営業利益8,598百万円(同11.2%減)、経常利益11,055百万円(同12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,782百万円(同20.9%減)となりました。受注高につきましては127,638百万円(同13.9%減)となりました。 なお、セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。) (鉄構セグメント) 当セグメントにおける鋼製橋梁事業につきましては、受注高は、新設橋梁の発注が引き続き低調に推移するなか、高速道路会社発注の大型更新工事や既受注の新設工事に係る設計変更を複数獲得したものの、前連結会計年度を下回る結果となりました。売上高は、工事の竣工に伴い大きな設計変更を複数獲得したものの、工期が長く工程が本格化しない物件を多く抱えていることなどにより、前連結会計年度を下回りました。営業利益は、売上高減少の影響を前述の設計変更獲得の貢献が上回ったことなどで、前連結会計年度を上回りました。 鉄骨事業につきましては、受注高は関東、関西をはじめとする大都市圏における再開発事業などの受注を積み上げたことで前連結会計年度を上回りましたが、当期出来高に貢献する物件が少なかったことなどから、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益は好調だった前連結会計年度には届かないものの、高難度の物件が多いことなどから高い水準を堅持しました。 セグメント全体で、受注高は59,301百万円(前連結会計年度比16.5%減)、売上高49,879百万円(同21.0%減)、営業利益6,320百万円(同0.7%増)となりました。(土木セグメント) 土木セグメントにつきましては、受注高は、期を通じて発注量が低調に推移し受注競争が激しさを増すなか、大型の新設橋梁を獲得するなどしたものの、34,283百万円(前連結会計年度比22.3%減)と前連結会計年度を下回りました。売上高は、高い受注残がありながらも、鉄構セグメント同様当期の出来高に貢献する物件が少なかったことなどから、32,918百万円(同14.8%減)と前連結会計年度を下回りました。営業利益は、第4四半期連結会計期間において想定していた複数の設計変更の獲得に至りましたが、1,654百万円(同21.4%減)と前連結会計年度を下回る結果となりました。(建築セグメント) 建築セグメントにつきましては、受注高は、設計作業中で施工部分の契約に至らなかった物件が複数あったことなどから期首目標には届かなかったものの、16,042百万円(前連結会計年度比4.2%増)と前連結会計年度を上回りました。売上高は、大型物件を中心に比較的工事が順調に進捗したことなどから、16,703百万円(同8.0%増)となりました。営業利益は、建設コスト高騰が続くなか、発注者への価格転嫁や一層の原価低減に努めたものの、1,308百万円(同9.4%減)となりました。(ソリューションセグメント) ソリューションセグメントにつきましては、新設橋梁の発注量減少を背景に設計受託事業は振るわなかったものの、建設業のDX化の取り組みが進むなか、3次元CADやクラウドサービスをはじめとする自社製品ソフトウエアが引き続き好調であったことから、受注高は8,520百万円(前連結会計年度比5.8%増)、売上高は8,197百万円(同3.1%増)となりました。営業利益は、特に自社製品ソフトウエアの売上高の増加に伴い、3,098百万円(同3.9%増)となりました。(その他) その他につきましては、橋梁付属物の販売事業において他社製品との競合が激しさを増していることや、航空機使用事業における円安などを背景とした装備品等のコスト高騰などを受け、受注高は9,490百万円(前連結会計年度比1.4%減)、売上高は9,549百万円(同2.5%減)、営業損失は388百万円(前連結会計年度は営業損失172百万円)となりました。なお、定期路線事業に係る営業損失につきましては、営業外収益に計上する「補助金収入」により、相当部分が解消しています。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,197百万円増加し17,477百万円(前連結会計年度比+22.4%)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、15,160百万円の資金増加(前連結会計年度は9,839百万円の資金増加)となりました。これは主に、売上債権の減少による資金の増加があったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,828百万円の資金減少(前連結会計年度は2,981百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による資金の減少があったことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、10,134百万円の資金減少(前連結会計年度は8,659百万円の資金減少)となりました。これは主に、借入金の返済による資金の減少があったことによるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)鉄構59,301△16.5104,7949.9土木34,283△22.352,0642.7建築16,0424.217,127△3.7ソリューション8,5205.83,9269.0その他9,490△1.4393△13.1合計127,638△13.9178,3066.2(注) セグメント間の取引については、相殺消去していません。 b.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)鉄構49,879△21.0土木32,918△14.8建築16,7038.0ソリューション8,1973.1その他9,549△2.5合計117,248△13.2(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。2 最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。 なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。 a.生産実績セグメントの名称前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額(百万円)金額(百万円)鉄構62,55249,324(21.1%減)建築15,39816,678( 8.3%増)その他290124(57.3%減)合計78,24166,127(15.5%減)(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。2 生産高には、外注生産高が含まれています。 b.受注実績期別セグメントの名称前期繰越工事高(百万円)当期受注工事高(百万円)計(百万円)当期完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)鉄構87,56170,671158,23362,85495,378建築17,86215,39833,26115,47317,788その他8723532330617合計105,51186,306191,81878,633113,184当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)鉄構95,37858,883154,26249,467104,794建築17,78816,04233,83016,70317,127その他17201218218-合計113,18475,127188,31166,389121,922(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額90億円以上の主なものは、次のとおりであります。名古屋高速道路公社市道高速1号他新洲崎工区改築事業2028年1月完成予定西日本高速道路㈱新名神高速道路 高槻高架橋西(鋼上部工)工事2027年6月 〃清水建設㈱大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業Torch Tower(B棟)新築工事2027年10月 〃首都高速道路㈱高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事2028年8月 〃国土交通省関東地方整備局川崎臨港道路東扇島水江町線主橋梁部上部工事(その2)2027年7月 〃 c.販売実績セグメントの名称前事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当事業年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額(百万円)金額(百万円)鉄構62,85449,467(21.3%減)建築15,47316,703( 8.0%増)その他306218(28.6%減)合計78,63366,389(15.6%減)(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。西日本高速道路㈱中国自動車道(特定更新等)吹田JCT~中国池田IC間橋梁更新工事㈱大林組品川開発プロジェクト(第1期)4街区 本体鉄骨 北棟A工区清水建設㈱(仮称)芝浦一丁目計画 第Ⅰ期(S棟)新築工事東日本高速道路㈱東関東自動車道 塔ヶ崎高架橋(鋼上部工)工事大成建設㈱(仮称)赤坂二丁目プロジェクト当事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。西日本高速道路㈱新名神高速道路 吉祥寺川橋他2橋(鋼上部工)工事西日本高速道路㈱新名神高速道路 城陽第三高架橋(上り線)他1橋(鋼上部工)工事東日本高速道路㈱首都圏中央連絡自動車道 谷田川高架橋(鋼上部工)工事久山特定目的会社プロロジスパーク北上金ケ崎プロジェクト大成建設㈱(仮称)TKL新棟計画2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。前事業年度 清水建設㈱ 8,941百万円 11.4%当事業年度 清水建設㈱ 9,923百万円 14.9% (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(イ)財政状態 財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、資産の部の流動資産では現金預金が増加し、売掛債権(受取手形・完成工事未収入金等及び電子記録債権)が減少しました。これは主に土木セグメントにおいて売上代金の回収が進んだことと、鉄構、土木セグメントにおいて売上高の減少による売掛債権が減少したことによるものです。負債の部の流動負債では買掛債務(支払手形・工事未払金等)や短期借入金が減少し、未成工事受入金が増加しました。これは売上高の減少によるものと、鉄構セグメントにおいて大型工事の前渡金を受け取り、短期借入金の返済に充てたことにより運転資金が減少したことによるものと分析しています。 次に、総資産は2,525百万円減少し162,986百万円となり、純資産比率は前連結会計年度末比5.7%上昇の61.1%となりました。これは上記運転資金の減少及び純資産において利益剰余金が5,914百万円増加したことによるものであります。関係会社株式が1,939百万円増加していますが、これは持分法適用会社に係る持分法による投資利益を計上したことによるものであります。(ロ)経営成績 当連結会計年度は第3次中期経営計画の最終年度でしたが、最終年度における数値目標の達成状況につきまして、受注高は鉄構、土木セグメントにおいて順調に大型案件を積み上げることができたものの、建築セグメントで設計に着手している案件で施工部分の契約に至らなかった工事が複数案件あったことで、全体としては若干目標に届きませんでした。売上高は鉄構セグメントが伸び悩んだものの、土木、建築セグメントでカバーすることができ目標を達成し、営業利益につきましては鉄構セグメントで大型工事における設計変更の獲得が図れたことで目標を大幅にクリアすることができました。その結果、当期純利益も当初見込んでいた水準を上回り、ROEにつきましても9.2%と目標としていた8.0%を上回ることができました。 当連結会計年度の経営成績の具体的な内容としましては、売上高は、鉄構セグメントの中の鋼製橋梁事業と土木セグメントにおいて、豊富な繰越高を抱えるも、案件の大型化に伴う工程の長期化や止まっている工事が散見されたことに加え、鉄構セグメントの中の鉄骨事業において、関西圏を中心に大型工事の発注が端境期であったことで前連結会計年度に比べ13.5%減の115,025百万円となりました。営業利益はソリューションセグメントが堅調に収益を伸ばすことができた一方、土木、建築セグメントの進捗が低迷したことにより、前連結会計年度に比べ11.2%減の8,598百万円となりました。経常利益は持分法による投資利益が減少したことで前連結会計年度に比べ12.4%減の11,055百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に繰延税金資産の回収可能性における企業分類を変更したことによる反動もあり20.9%減の8,782百万円となりました。 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境や経営成績、セグメントごとの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。(ハ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループの事業は基本的に個別受注方式でありますので、それぞれの事業の市場環境や発注状況が事業ボリュームや採算性に大きな影響を与えますが、その具体的な内容は次のとおりであります。 鉄構セグメントにおける鋼製橋梁事業及び土木セグメントにおけるPC橋梁事業の市場は、その相当部分が公共事業となる国や地方自治体からの発注と、同様の色彩が強い高速道路会社からの発注であるため、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化します。次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業及び建築セグメントの建築事業が対象とする市場は、民間設備投資に係るものであるため、景気動向に左右される傾向にあります。 また基幹事業である鉄構、土木、建築セグメントは、建設産業の就労人口の減少を受け、協力会社を含めた慢性的な人手不足や時間外労働の上限規制により労働力需給の逼迫に拍車が掛かっています。 さらにまた、当社グループの損益においては持分法適用関連会社である佐藤工業株式会社を筆頭とする佐藤工業グループの持分法投資損益が大きく影響する傾向にあります。すなわち当社グループは佐藤工業株式会社の49.9%の株式を保有しており、佐藤工業グループの資本及び対応する期間損益が持分割合に応じて当社グループの損益に反映されることになりますが、佐藤工業グループの事業規模が当社グループより大きいこともあり、その資本及び対応する期間損益の状況によって当社グループの経常損益以下に大きく影響を与える可能性があります。また、同社グループはシンガポールを中心に東南アジアで事業展開をしていることに伴い外貨建ての資産・負債を有することから、為替相場の変動による差損益が持分法投資損益に影響を与えることがあります。 その他の影響を与える要因やリスクにつきましては「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。(ニ)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について 当社グループの基本戦略は、基幹事業と成長事業でのバランスのとれた収益基盤の確立を目指すとともに、各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め、「土木×建築」、「メタル×PC」、「つくる×建てる」の二刀流で事業領域の拡大を目指し、売上と利益の拡大を図ることであります。セグメント別の認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 鉄構セグメントの鋼製橋梁事業では、発注金額は発注者の予算制約等の影響もあり伸び悩んでいます。また資材や人件費等の上昇の影響による発注単価の増加により重量ベースでは一層厳しい環境が予想されており、工場の操業度(生産量)的には低下する可能性があると認識しています。当社グループでは受注確保に向け、入札における技術提案力や積算精度を向上させ、適正な事業量と収益の維持・拡大を目指します。また新設は中期的にはビッグプロジェクトの発注が控えているものの、長期的には緩やかな減少が予想されていることから、今後は更新工事を含む保全工事への対応を強化していくとともに合成床版の拡販や土木・海洋構造物市場等への展開にも取り組んでまいります。 次に同セグメントの鉄骨事業では、首都圏における大型再開発案件、関西地区におけるIR関連案件、九州地区における半導体関連案件の発注が中期的に見込まれているものの、建設コスト上昇等により大型プロジェクトの計画や工程の見直し等が散見され、発注時期について不透明な状況が続いています。当社グループといたしましては、工場操業の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームの確保と収益の拡大を目指してまいります。 土木セグメントでは、PC橋梁市場において「新設」・「更新」・「保全」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、安定的な事業ボリュームの確保と採算性の向上を目指しています。そのようななか、高速道路会社の床版取替えを中心とした更新工事市場は近年急速に拡大していたものの、今後は発注者の予算制約等の影響もあり低調な発注量になることが見込まれています。当社グループでは引き続き受注力の強化に向けて情報収集力を高め、技術提案力や積算精度の向上を図ってまいります。また人手不足を背景に工期短縮や生産性向上を目的としたプレキャスト部材のニーズが高まっていることから、建築分野における民間PC、PCa製品を設計から架設までできる体制を構築し、受注力強化を図ってまいります。 建築セグメントでは、物流施設における老朽化や機能性向上が社会的な課題となっており、当社グループがターゲットとして位置付けている平屋、2階建て倉庫や冷凍冷蔵・危険物を用途とする倉庫の市場環境は底堅く推移していくと予想されています。当社グループといたしましては、建物の価値を高められる技術提案力を強化し、受注量確保を図っていくとともに、協力会社からの情報を含め、様々な営業案件の情報を収集するための体制を強化することで、施工要員の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームと収益の拡大を目指してまいります。 ソリューションセグメントにつきましては、国土交通省が推進するDX化の流れに乗って、設計から工事までのBIM/CIMが本格化するなか、3次元CADや情報共有ソフトを基軸とした当社グループの製品群が好調に推移しました。老朽化した社会インフラに対する更新ニーズの高まりもあり、BIM/CIMを切り口とした社会インフラ市場への開拓を進めるとともに自社製品にさらなるサービスを投入し、市場浸透を行ってまいります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報・キャッシュ・フロー 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 その中で、当連結会計年度のキャッシュ・フローの特徴的な点として税金等調整前当期純利益11,296百万円、減価償却費3,117百万円、売上債権の減少8,168百万円により、仕入債務の減少2,887百万円、未払消費税等の減少2,421百万円、法人税等の支払3,119百万円等をカバーし営業活動によるキャッシュ・フローは15,160百万円のプラスとなっています。これは税金等調整前当期純利益、減価償却費等に加え、鉄構セグメントを中心に完了した工事が多かったことにより運転資金が減少したことが主な要因です。これに伴い短期借入金を4,845百万円減少、長期借入金及び社債を1,033百万円減少させ、配当金の支払2,859百万円を行いましたので、財務活動によるキャッシュ・フローは10,134百万円のマイナスとなっています。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産及び無形固定資産の取得3,153百万円に伴い1,828百万円のマイナスとなっています。・資金需要 当社グループの事業活動における資金需要には大きく分けて運転資金と設備資金があります。 運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、一般管理費等があります。当連結会計年度におきましては上述のとおり運転資金は減少しました。 設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空機使用事業を営むに必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。当連結会計年度におきましては全体で3,589百万円の設備投資を行っていますが、その内訳は「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。・財務政策 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部留保の活用とともに金融機関からの借入(金融機関引き受けによる私募債含む)を中心とした資金調達を行っています。 運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。その点を踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期借入と長期借入を組み合わせ、資金調達の弾力性を確保しています。短期資金については、それぞれの事業会社が金融機関と個別に当座貸越契約を締結していますが、グループ全体で金融機関14行との間で総額413億円の当座貸越契約を締結し、十分な借入枠を確保するとともに、長期資金については年間の調達計画を作成の上、その計画に沿って随時調達を行っています。 金融機関に対しては平素より業績や資金の状況について説明を行うことで信頼関係を維持し、財務の安定性と弾力性を確保しています。 また、金利面につきましては過度の金利変動リスクを回避すべく、長期借入のうち一部の借入については固定金利による調達を行い、変動金利部分と固定金利部分のバランスを取っています。・経営資源の配分 当社グループでは事業活動から得られる営業キャッシュ・フロー(注)については、基幹事業の更なる強化を図るための「設備投資」及び成長事業への投資と「株主還元」に適切なバランスをもって配分する方針としています。2023年度を初年度とする第3次中期経営計画の本年度実績は以下のとおりとなりました。(注)当社グループでは複数年に亘る事業を行っているため、事業に係る資金の動きは除外しています。(カッコ内は計画値(3か年累計))営業キャッシュ・フロー(3年間計) (200億円)初年度 133億円2年度 157億円本年度 144億円3か年計 435億円 設備投資 (100億円)初年度 38億円2年度 26億円本年度 35億円3か年計 101億円株主還元(※)(配当46億円)初年度 22億円2年度 25億円本年度 26億円3か年計 74億円(※)株主還元について・株主還元に関しましては、損益状況やキャッシュ・フロー、また昨今の上場企業を取り巻く状況等を鑑み、2023年2月より、配当方針を「連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。・2024年5月には「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」の残り期間(2024年度~2025年度)に係る1株当たり配当金の下限を90円としています。・2024年度より中間配当制度を導入しています。・2024年11月には、配当方針を「親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。・本年度のうち期末配当分の14億円は2026年6月25日開催予定の定時株主総会の決議事項となっています。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる結果となる可能性があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 市場変動と発注量減少橋梁事業は国や地方自治体からの発注に大きく依存しており、政策や財政状況の悪化により発注量が減少するリスクがあります。また、資材や人件費の高騰により、予算が同額でも重量ベースでの発注量が減少し、工場の稼働率が低下する可能性があります。
- 原材料費・労務費の高騰請負事業が主であるため、契約後の工事期間中に鋼材などの原材料費、輸送費、労務費が上昇した場合、請負金額に転嫁できず採算性が悪化するリスクがあります。また、半導体不足などによる部品調達の制約も、ロボット製造事業に影響を与える可能性があります。
- 事故・品質不具合の発生工場製作や現場施工において事故が発生した場合、直接的な損害や補償費用に加え、指名停止や工事成績評点への影響により、その後の受注活動に悪影響を及ぼす可能性があります。また、重大な品質不具合は、是正費用や損害賠償だけでなく、顧客からの信頼失墜や風評被害につながるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 主なリスク主な対応策・取り組み①市場リスク 鉄構セグメントにおける鋼橋事業並びに土木セグメントにおけるPC橋事業(以下「橋梁事業」)は、その相当部分が国、地方自治体、高速道路会社からの発注であり、政策や財政状況の悪化などにより発注量が想定を大きく下回る可能性があります。 また、鋼橋事業では発注者側の予算が金額ベースで設定されるため、同額の予算でも資材や人件費等の上昇の影響による発注単価の増加により、重量ベースでは減少する可能性があります。すなわち、同額の受注であっても工場の生産量(稼働率・操業度)が低下する可能性があります。 さらにまた、橋梁事業においては、市場が新設から補修・保全にシフトしてきており、工場製作を中心とした事業から現場施工を中心とした事業へと変わりつつあり、この変化に適切に対応できない場合、業績に影響が出る可能性があります。 鉄構セグメントにおける鉄骨事業と建築セグメントにおける建築事業は、その相当部分が民間からの発注であるため、景気後退等により設備投資が減少する可能性があります。建設市場の著しい縮小により、受注が低迷した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、「第4次中期経営計画」に掲げる各種施策を推進し、橋梁事業においては、新設事業の受注活動強化を図るとともに、新たな市場として拡大が見込まれる更新、保全事業への対応力強化を推し進めてまいります。 鉄骨事業と建築事業においては、競争力強化に向けた新たな技術開発や設備投資による効率化を図り、生産性向上に取り組んでまいります。また海洋構造物に代表される橋梁以外の鋼構造物への取り組みを加速させるとともに、各事業が持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め、「土木×建築」、「メタル×PC」、「つくる×建てる」の二刀流で、事業領域の拡大を通じた収益源の多様化にも取り組んでまいります。②収益変動リスク 当社グループの基幹事業である橋梁事業や鉄骨事業、建築事業は請負事業のため、請負契約後の工事期間中に鋼材等の原材料や輸送費、労務費の上昇リスクが内在しており、請負金額に反映することが困難となった場合には、採算性が悪化するリスクがあります。 また、サプライチェーンの混乱による原材料調達の長期化及び価格高騰等調達面に制約が発生し、生産・施工計画を見直す状況になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、早期の調達や多様な調達先の確保を図ることで採算性の悪化リスクを回避・軽減してまいります。また発注者との契約に物価スライド条項を含めるなど、コスト増加分を請負金額に転嫁できる契約内容にするとともに、発注者と情報共有を図り、交渉を早期に進めるなどの対策を実施しています。③事故によるリスク 当社グループの基幹事業である橋梁事業や鉄骨事業、建築事業においては、工場製作及び現場施工が大半を占めています。万が一事故が発生した場合には、事故による直接的な損害と補償費用が発生するだけでなく、指名停止等の処分や工事成績評点への影響などで、その後の受注活動に影響が生じ、業績にも影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、安全管理の専門部門を設置し、労働災害の撲滅に向けた全社的な安全管理体制を構築するとともに、労働災害事例の水平展開や役職員のパトロールにより重大労働災害に繋がるリスクについて、複数の視点で管理することにより未然防止に努めています。 主なリスク主な対応策・取り組み④品質不具合による瑕疵等のリスク 当社グループで製作している製品及び現場施工の品質につきまして、万が一重大な瑕疵が発生した場合には、その是正・回復費用や損害賠償費用だけでなく、顧客からの信頼失墜や風評リスクで、結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、国際マネジメントシステムの国際認証であるISO9001を取得し、厳格な品質マネジメント体制を構築するとともに、品質管理の専門部門を設置し、品質不具合事例の水平展開や役職員のパトロールにより品質不具合に繋がるリスクについて、複数の視点で管理することにより未然防止に努めています。⑤工事遅延リスク 橋梁事業に関して、鋼材等の原材料や資機材、購入品が当初予定した時期に納品されない場合に工程が遅れる可能性があります。また実際の架設現場の状況が想定と異なった場合や下部工工事に遅れなどが生じた場合、発注者と協議のうえ架設工法を見直すケースがあります。その場合、原価の発生時期と架設工法変更に係る設計変更契約の締結時期にずれが生じ、原価が先行することで一時的に収益が悪化するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、工事の遂行にあたってはフロントローディングを確実に実施し、工事リスクの早期把握によりリスクの低減を図るとともに、架設工法変更等に伴うコスト増加分は、その設計変更内容を発注者と情報の共有を図り、早めに協議を行うことで原価先行の影響を低減してまいります。⑥法令等に関わるリスク 当社グループの事業は、建設業法や労働安全衛生法等の各種法的規制を受けます。万が一法令違反が発生した場合には、指名停止、営業停止等の処分により業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、事業推進に密接な関わりを持つ法令や規則等を遵守するため、法務部門による講習会を実施し啓蒙活動を行うとともに、監査部門による内部監査や役員による現場パトロールの実施により法令遵守の徹底に努めています。⑦取引先の信用リスク 当社グループでは、発注者・協力業者などの取引先に信用不安が発生した場合には、貸し倒れの発生や引当金の計上、工程の遅延などにより業績が悪化する可能性があります。 当該リスクの対応策として、新規の発注者の際は、発注者の与信並びに支払条件などを検証し、工事代金回収不能リスクの回避を図り、協力業者と新たな取引を開始する際には、原則として財務状況等を審査したうえで発注することでリスクの軽減に努めています。⑧為替の変動リスク 当社グループの持分法適用会社は海外での事業を行っているため、外貨建の債権債務が発生します。このため大幅な為替変動が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、請負工事代金の受領通貨と工事原価の支払い通貨を現地通貨で一致させ、入出金の時期も概ね一致させるなどの対応によりリスクの軽減に努めています。また事業を行うことで累積する収益部分の預金については、為替の変動リスクの影響を軽減するために、現地の資金状況に応じて適宜円転し、リスクの軽減に努めています。⑨自然災害等大規模災害によるリスク 当社グループは、鉄構セグメント及び土木セグメントにおいて全国5か所に工場を保有しています。それらが所在する地域におきまして大規模災害等で操業に支障が出た場合は、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、橋梁事業や建築事業の現場は屋外での作業が中心となりますので、季節や天候などの自然条件の影響を受ける可能性があります。 当該リスクの対応策として、影響を最小限に抑えるべく、災害時の事業継続計画(BCP)を策定し、大地震を想定した実践的なBCP訓練を実施しています。その中で従業員等の安否や施工中の現場の被害状況を確認するなど、企業としての防災力、事業継続力の向上に取り組んでいます。⑩固定資産の減損に関わるリスク 当社グループは、鉄構セグメント及び土木セグメントの事業に係る固定資産として全国5か所に工場を保有しています。今後、工場における採算性が悪化した場合には減損損失を計上する必要性が生じ、業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクの対応策として、各工場において製造できる製品の多様化や製造工程の効率化・コスト削減等で採算性の維持・向上を目指すとともに、設備投資については将来的な市場環境並びに投資対効果の検証を綿密に行い、減損リスクの回避に努めています。 主なリスク主な対応策・取り組み⑪保有資産の時価変動リスク 当社グループが保有する不動産・有価証券の資産は時価が下落した場合、業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクの対応策として、保有する資産は時価評価等を通じてモニタリングしており、遊休不動産で将来的に活用の見込みがない場合は売却に向けた検討を進めています。また政策保有株式は、年に一度、保有目的及び経済的合理性等を検証し、保有効果が薄れたと判断した場合は適宜、売却に向けた手続きを進めています。⑫有利子負債への依存と金利変動によるリスク 当社グループには相当額の有利子負債(借入金、私募債)が存在します。橋梁事業や鉄骨事業につきましては、その事業形態から運転資金の立て替えが恒常的に発生し、特に近年の橋梁事業では案件の大型化や長期化が進んでいることからその傾向が強まっています。将来において資金調達に支障が出た場合や調達金利が上昇した場合には、事業及び業績に影響を与える可能性があります。 当該リスクの対応策として、運転資金は金融機関からの借入金(銀行引き受けの私募債含む)により調達しており、2026年3月末時点での借入金は合計174億円となっています。当社グループでは取引銀行14行との当座貸越契約の弾力的な運用と年度計画に沿った長期借入金の調達で対応しており、平素より当社グループの事業計画や業績見込等を適時適切に説明し、円滑な調達に努めています。⑬情報セキュリティに関わるリスク 当社グループにおきましては、業務の効率化のためICT化、ネットワーク化を進めていますが、その社内システムに対し外部からのサイバー攻撃や従業員の不正等により保管しているデータが消失・損壊した場合や個人情報、機密情報が漏洩した場合、その復旧費用や損害賠償だけではなく、事業遂行に大きな影響や社会的な信用が失墜し、結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、「情報セキュリティポリシー」を制定し、情報管理体制を確立するとともに、リスクの変化に応じた技術的な対策及び教育・啓発等の人的マネジメント対策を継続的に実施することで、個人情報、機密情報の漏洩防止に努めています。⑭不適切な財務報告リスク 従業員の不正や誤謬等により財務報告が適正に行われなかった場合には、ステークホルダーからの信用が失墜し、結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、当社グループは、財務報告の適正性を確保するために内部統制体制を整備し、会計処理がマニュアルに則って適正に行われているかのモニタリングを行うとともに、正確な財務報告に関する啓発教育を継続的に行い、内部統制の実効性確保に努めています。⑮気候変動に関するリスク 気候変動に関するリスクは、脱炭素化への移行に伴うリスクと、気候変動そのものによる物理的なリスクの2つに大別されます。 移行リスクとしては、環境規制の強化など低炭素化への社会的要請が高まるなか、環境に配慮した製品やサービスを提供できない場合、競争力の低下を通じて受注機会の喪失につながる可能性があります。 物理的リスクとしては、気温上昇により、労働環境の悪化による作業効率の低下が発生し、運営コストの増加や人材確保が困難になる可能性があります。 当該リスクの対応策として、緩和策と適応策の2つの観点から推進しています。 緩和策としては、SBTi(Science Based Targets initiative)の認定を取得した温室効果ガスの排出削減目標を設定し、その達成に向けた気候移行計画を策定するとともに、その実行・モニタリング・改善に努めてまいります。 適応策としては、「KAWADA VISION 2030」の重点方針に「DX」を掲げ、ロボットやAIなどのデジタル技術の活用を加速させています。 これらの取り組みを通じた作業環境の改善や省人化・省力化により、生産性の向上と安定的な事業運営の確保に努めてまいります。 主なリスク主な対応策・取り組み⑯人権に関するリスク 当社グループの事業活動はサプライチェーンを含む広範な領域に及んでおり、ハラスメント、労働安全衛生、長時間労働、気候変動に起因する人権への影響、腐敗防止等、多岐にわたる人権課題への対応が求められています。 これらへの対応が不十分な場合、社会的信用の失墜、従業員の生産性低下、離職率の上昇、取引先や投資家からの信頼喪失を招き、当社グループの業績及び企業価値に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、当社グループは国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「人権方針」を制定し、担当役員を配置いたしました。また、人権デュー・デリジェンスの一環として人権リスクのアセスメントを実施し、当社グループ及びサプライチェーンにおける人権課題の特定・評価を行いました。 現在は、「サステナブル調達方針」及び「サステナブル調達ガイドライン」を策定しています。 今後は、これらの方針・ガイドラインの取引先への周知を図るとともに、アセスメント結果の社内への統合と適切な措置の実施、進捗の追跡調査及び情報開示を進め、サプライチェーン全体における人権尊重の実効性を高めてまいります。⑰人材の確保・育成に関するリスク 当社グループの持続的成長において、人材の確保・育成は極めて重要です。少子高齢化や労働市場の変化、技術革新の進展などにより、必要なスキルや知見を持つ人材の採用・定着が困難となるリスクがあります。また、従業員のエンゲージメント低下や人材流出が生じた場合、競争力の低下や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクの対応策として、人材育成方針及び社内環境整備方針に基づき、グループ各社の事業特性を踏まえつつ、以下の取り組みを推進しています。 採用面では、優秀な人材の確保を目的としたリファラル採用制度(社員紹介採用手当)を導入しています。育成面では、社員一人あたりの平均研修時間の把握・管理に向けた体制整備を進めています。また、従業員エンゲージメントの向上及び人材の定着を図るため、上長による個別面談を実施するとともに、従業員の健康維持及びワークライフバランスの向上を図るため、休暇制度の拡充をはじめとする職場環境の改善に取り組んでいます。 当社グループは、人材こそが持続的成長の根幹であるとの認識のもと、引き続き人材の確保・育成及び職場環境の整備を図ってまいります。⑱自然資本・生物多様性に関するリスク 当社グループの鉄構・土木セグメントにおける事業活動は、自然資本及び生物多様性に大きく依存するとともに、これらに対して影響を与える立場にあると認識しています。自然資本の損失や生物多様性の劣化が進行した場合、資材調達・施工環境・事業継続性に支障をきたし、将来的に事業の継続が困難となる可能性があります。 当該リスクの対応策として、環境方針及び生物多様性方針を策定し、当社グループとして目指すべき方向性と基本的な考え方を定めています。また、TNFDが推奨するLEAPアプローチに基づく自然資本・生物多様性への依存・影響・リスク・機会の分析・評価を進めています。今後は、この分析・評価の結果を踏まえ、必要となる対応策の策定とその実行をしてまいります。