3708

特種東海製紙(3708)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

パルプ・紙 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な紙関連事業
    特種東海製紙グループは、紙パルプの製造・販売を主軸に、紙加工、土木・造園工事、廃棄物処理など多岐にわたる事業を展開しています。子会社15社と関連会社5社で構成され、それぞれの会社が特定の役割を担うことで、グループ全体として幅広いニーズに対応しています。
  • 製紙事業のバリューチェーン
    産業素材事業では、新東海製紙が紙パルプを製造し、特種東海マテリアルズが紙原料を供給、新東海ロジスティクスが製品の輸送・保管を担うなど、紙の製造から販売、物流まで一貫したバリューチェーンを構築しています。これにより、効率的な事業運営と安定供給を目指しています。
  • 環境・生活関連事業への展開
    紙関連事業だけでなく、環境関連事業としてサーマルリサイクル燃料の製造販売や廃棄物処理、土木・造園工事を手掛けています。また、生活商品事業ではペーパータオルやトイレットペーパーなどの製造・販売も行い、社会の多様なニーズに応えることで収益源の多角化を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 産業素材事業
    段ボール原紙やクラフト紙などを製造・販売しており、売上高420.8億円、営業利益10.89億円とグループ内で最も規模の大きい事業です。経済環境や物流活動、農産物の収穫量・流通量に需要が左右される特性があり、低コスト・高効率な生産体制の確立を目指しています。
  • 特殊素材事業
    特殊印刷用紙や特殊機能紙などを手掛けており、売上高207.96億円、営業利益16.38億円と、利益率が高い事業です。デジタル化の進展による紙需要の縮小や用途の消滅リスクがあるため、生産体制の効率化と潜在的ニーズを追求した製品構成の見直しを進めています。
  • 生活商品事業
    ペーパータオルやトイレットペーパーなどの生活必需品を製造・販売しており、売上高184.67億円、営業利益5.32億円です。供給過多や価格競争が激しい市場環境にあり、製品の品質向上と販売ネットワークの強化を通じて競争力維持を図っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
IndustrialMaterialBusiness 地域 421 11 2.6%
SpecialMaterialBusiness 地域 208 16 7.9%
HouseholdsProductsBusiness 地域 185 5 2.9%
EnvironmentRelatedBusinessGroup 地域 135 5 3.9%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|656 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社及び子会社、関連会社)は、当社(特種東海製紙㈱)、子会社16社及び関連会社5社で構成され、紙パルプの製造・販売に関する事業を主に行っており、さらに紙加工や土木・造園工事、廃棄物処理などの事業を行っております。当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は次の通りであります。 無印…連結子会社 △…非連結子会社 ◎…関連会社で持分法適用会社 ○…関連会社で持分法非適用会社[産業素材事業] 当社が紙の販売及び売電をするほか、新東海製紙㈱が紙パルプの製造・販売を、特種東海マテリアルズ㈱が紙原料の供給を、新東海ロジスティクス㈱が紙製品の輸送・保管等を、関連会社4社が紙の加工・販売を行っております。[特殊素材事業] 当社が紙の製造・販売をするほか、㈱TTトレーディングが紙の販売を、静岡ロジスティクス㈱が紙製品を保管する倉庫業及び紙製品の輸送を、㈱モルディアがモウルドの製造・販売を行っております。 なお、当社は2026年4月1日付にて、㈱TTトレーディングを吸収合併しております。[生活商品事業] ㈱トライフ・関連会社1社が紙の製造・加工・販売を、特種東海エコロジー㈱が紙の製造・販売を行っております。[環境関連事業] ㈱レックスがサーマルリサイクル燃料の製造・販売を、㈱特種東海フォレスト・子会社1社が土木・造園工事を、㈱駿河サービス工業・トーエイ㈱・㈱貴藤・子会社1社が廃棄物の収集運搬・処分・リサイクルを、十山㈱が社有林管理・ウイスキー製造を行っております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
生活商品事業では供給過多や価格競争、産業素材事業では需要減少のリスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
製紙業は多量の原燃料を使用し、大規模な生産設備を必要とするため、新規参入障壁が高い。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:需要及び市況の変動 / 原燃料価格の変動 / 災害や感染症及び事故による影響
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

特種東海製紙は、特殊紙分野において長年の経験と技術蓄積を持つ。特に、フィルター用原紙や電子材料用原紙など、ニッチ市場で独自の地位を築いているが、特許やブランドによる明確な独占性は限定的。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

同社の特殊紙は、顧客の製造プロセスに組み込まれるため、仕様変更やサプライヤー変更には一定のコストとリスクが伴う。しかし、代替材料の存在や、顧客側の技術開発により、スイッチング・コストは絶対的なものではない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

製紙業界は規模の経済が働きやすいが、同社は特殊紙に特化しており、汎用品メーカーほどのコスト優位性はない。原材料調達や生産効率の改善努力は継続している。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

特殊紙市場においては一定のシェアを持つが、業界全体で見ると大手総合製紙メーカーに比べて規模は小さい。ニッチ市場での寡占度は限定的。

  • 多様な事業ポートフォリオ
    同社グループは、産業素材、特殊素材、生活商品、環境関連と多岐にわたる事業を展開しており、特定の市場変動リスクを分散できる可能性があります。特に環境関連事業は脱化石燃料の社会潮流に乗り、今後の需要拡大が見込まれます。
  • サプライチェーンの統合と効率化
    産業素材事業では、紙パルプの製造から原料供給、輸送、保管までをグループ内で完結させることで、サプライチェーン全体の効率化とコスト削減を図っています。これにより、市場競争力を高め、安定的な製品供給を実現しています。
  • 長年の取引関係と安定調達
    古紙などの主要原料調達において、長年の取引関係に基づく安定調達先の確保に努めています。また、日本製紙株式会社との共同調達を実施するなど、調達価格変動リスクへの対応策を講じており、安定した事業運営を支える基盤となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針 当社グループは、従来から一貫して経営理念を「ユニークで存在感のある企業集団として、社会と環境に貢献する」と定め、「技術と信頼で顧客と共に未来をひらく オンリーワンビジネス企業」を目指すべき企業像としております。株主を中心とし、従業員、取引先、地域社会、環境面での様々なステークホルダーからの信頼を得ると共に、持続可能な社会実現への貢献を通じて当社グループの企業価値の向上を追求することをもって経営方針としております。 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標としては、収益稼得水準の観点から持分法による投資損益等を反映した経常利益を最も重視しており、株主に対する還元の基準となる親会社株主に帰属する当期純利益についても重要視しております。加えて、中長期目標達成、及びPBRの改善に向けては、今まで以上に資本コスト・資本収益性を意識した経営を実践するため、グループ全体ではROEを重要管理指標とし、セグメント単位では投下資本に対する収益性の向上を目指すため、セグメント別でのROIC管理の導入を進めます。セグメント配下の事業会社単位(又は事業単位)では、事業資産に対する収益性の向上を目指すためROAで管理を行い、低稼働資産等の圧縮に取組むとともに、事業会社(又は事業)についてポートフォリオの入替を検討してまいります。 (3)中長期的な経営戦略 当社グループは、長期目標として「ビジョン2035」を策定し、2034年度での経常利益130億円、ROE9.0%以上の達成を掲げております。この目標達成に向けて、外部環境の変化に対応した紙製品構成へ移行し成熟市場での存在感を高めながら、再資源化ビジネスを中心に成長投資を積極的に行い、新領域への参入により事業規模を拡大させてまいります。 2026年4月~2029年3月を対象期間とする第7次中期経営計画においては、製紙事業と環境関連事業の両輪での成長を実現するべく、製紙事業においては現在キャッシュを獲得している既存領域に対して、出版系の縮小や原料調達難など想定される外部環境の変化へ対応するため、製品構成のアップデート・生産効率化・販売方法の多角化などを実施し、収益の安定化を図りながら、7次中計期間までに探索・開拓をしてきた電材等の成長市場へアプローチを継続し、収益をけん引する製品群の創出を目指します。また環境関連事業においては廃棄物燃料や家電・小型家電リサイクル、再生プラスチックなど既存の再資源化ビジネスの基盤強化を行いつつ、M&A・アライアンスを含む新規事業への参入を複数件実施し、リターンの一部摘み取りと中長期的な収益規模の拡大を目指します。これらを推進することで、第7次中期経営計画の全社KGIとした経常利益80億円、ROE7.0%以上の達成を目指しております。 経常利益ROE2026年3月期実績57億円5.4%第7次中期経営計画目標値80億円7.0%以上 (4)経営環境 ①企業構造 当社は、2010年、特種製紙株式会社と東海パルプ株式会社を吸収合併することで設立され、製紙業においては「産業素材事業」「特殊素材事業」「生活商品事業」、製紙業以外においては成長が見込まれる「環境関連事業」によって構成されております。また、横の連携も円滑に行うことを目的とした“事業本部制”を採用することにより、各セグメントが持つ技術や生産力をより相乗的に発揮できるように運営を行っております。 「産業素材事業」は、段ボール原紙やクラフト紙等の産業用紙事業において日本製紙株式会社と合弁事業を行っており、当事業の売上については、その大半が持分法適用会社である日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社向けのものです。したがって、当事業の業績は主に持分法利益の取り込みにより経常利益に反映されることになります。 「特殊素材事業」は、ファンシーペーパー等の特殊印刷用紙及び特殊機能紙など高付加価値製品の製造・販売を行っており、事業の主体は特種東海製紙本体となります。 「生活商品事業」は、子会社2社により構成されており、業務用ペーパータオルや食材紙、トイレットペーパーといった衛生用紙、ラミネート紙及びコート紙の製造・販売を行っております。 「環境関連事業」は、当社保有の南アルプス社有林の有効活用を目的とした自然環境活用事業、当社サプライチェーンを起点としたリサイクルビジネスの拡大を目的とした資源再活用事業によって構成され、当社グループ成長の要として更なる拡大を進めてまいりたい事業分野であります。 以上のように、規模の経済が働く事業分野においては他企業との合弁事業にて、独自の強みを活かすことのできる「多品種・小ロット・高付加価値」事業である特殊素材事業については、特種東海製紙本体により事業を推進、他のセグメントについては基本的に子会社による事業展開を行う体制を採っており、この事業本部制は適切に機能していると判断しております。 ②市場環境・顧客動向 a.産業素材事業 当事業においては、段ボール等包装材に用いられる段ボール原紙、クラフト紙の製造を行っております。産業用包装素材の需要については国内の物価高による買い控え等の影響はあるものの堅調な通販需要等により今後も底堅いものと認識しております。 b.特殊素材事業 当事業においては、出版向けやハイエンドパッケージ向け特殊印刷用紙、製品ごとに異なるユーザー・用途が存在する特殊機能紙等、小ロット多品種・高付加価値を特徴とする製品の製造・販売を行っております。従来からのデジタル化の影響により、出版や商業印刷物向け等情報伝達媒体として使用される紙については市場が縮小傾向にありますが、脱・減プラスチックの流れによりパッケージ用途の需要は底堅い他、特殊機能紙における海外向け一部製品についても引き続き堅調な需要を見込んでおります。 c.生活商品事業 当事業においては、ペーパータオルやトイレットペーパー等の衛生用紙、及びラミネート紙等加工品の製造・販売を行っております。衛生用紙につきましては生活必需品であることから堅調な需要を見込んでおりますが、紙加工品は一般消費の減退により減少傾向にあります。 d.環境関連事業 当事業においては、南アルプス社有林の自然価値を活かす取り組みの一環としてウイスキー製造を行うと共に、廃プラスチックを主たる材料とする固形燃料(RPF)の製造販売や産業廃棄物の中間処理、廃家電の再資源化(都市鉱山事業)、廃プラスチックの再生原料化等、幅広いリサイクルビジネスを展開しております。リサイクルビジネスにつきましては、中長期的には国内外の社会課題解決に向けた動きとともに、環境負荷低減を目指した資源リサイクルの活動は重要性を増し、関連する事業のニーズは今まで以上に伸びるものと認識しております。 ③競合他社の状況 当社グループは事業セグメントごとに異なった競合他社が多数存在します。 製紙3事業においては、総需要に対して生産能力が超過気味であり、業界全体での競争は厳しさを増しているということが共通認識となっております。そのような状況の中では、比較優位にある分野で如何に差別化された製品とサービスの提供が行えるかが極めて重要な要素になると認識しております。 環境関連事業のうち資源再活用事業においては化石燃料価格の高騰及び脱炭素化の社会的背景に伴い廃棄物燃料のニーズが高まりつつあることから、固形燃料の主材料である廃プラスチック等の集荷面で競合が強まりつつあります。こうした中、物流を考慮した同業との連携を図ると共に、M&A等による集荷エリア拡大に取り組んでいくことが重要であると認識しております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応a.現状分析・評価 当社グループは、利益貢献度と市場成長性から投下資本に傾斜をかけるポートフォリオ・マネジメントを基本方針とする第6次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)において、リサイクルの高度化をはじめとする各種戦略を実行してまいりました。その結果、2ヵ年連続での経常利益の最高値更新など堅調に業績を推移させた一方、成長・拡販施策の遅れなどにより営業利益、経常利益における最終年度目標は未達となりました。また、ROEは依然として推定株主資本コスト9.0%を劣後する状況であり、これによりPBR1.0倍割れが継続していると認識しております。PBR1.0倍の早期実現に向けて、資本収益性の改善と市場からの期待値の向上、両方の課題へ取り組んでまいります。 b.資本収益性改善への取組み 第6次中期経営計画までの進捗と課題を踏まえ、長期ビジョンの見直しおよび第7次中期経営計画の策定を行いました。9年間の長期計画である「ビジョン2035」における最初の3ヵ年である第7次中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)については、株主資本コストを上回る収益水準に向けた基礎固めの期間と位置づけ、既存事業の安定化を図りつつ、再資源化ビジネスを中心に新規領域・新事業へ参入することで中長期的な収益源の獲得を図ってまいります。 成長エンジンである再資源化ビジネスでは、廃棄物燃料や家電・小型家電リサイクル・再生プラスチックなど既存ビジネスの基盤強化を行いつつ、M&A・アライアンスを含む新規事業への参入を複数件実施し、リターンの一部摘み取り、および中長期的な収益規模拡大を目指してまいります。 製紙3事業では、出版系の縮小や原料調達難など想定される外部環境の変化へ対応するため、製品構成のアップデート・生産効率化・販売方法の多角化などを実施し、既存ビジネスの収益安定化を図りながら、中計期間までに探索・開拓をしてきた電材等成長市場へアプローチを継続し、新規に収益をけん引する事業創出を目指してまいります。 こうした取組みにおいて成長投資を積極化させるとともに、資本効率を意識した施策として7次中期経営計画の3ヵ年においては「配当性向50%またはDOE(株主資本配当率)4.0%のうち還元額が高い方」を基準として還元を行うことを基本方針とし、機動的な自己株式の取得と併せて株主還元についても強化していく所存です。 c.市場評価向上への取組み 市場の期待値(PER)を向上させていくため、売買代金の改善や株主資本コスト低減を意識したIR活動・情報開示の充実を継続し、認知度の拡大と投資魅力度の向上を図ってまいります。 ②原燃料価格の高騰 急速に変化する地政学的リスクと昨今の為替相場の動向から、日本企業の原燃料調達に係る不確実性が高まっております。その結果、パルプをはじめとする各種原燃料価格の高騰が進んでおり、当社グループの製紙業全般にとって利益圧迫要因及びリスクとなっていることから、当社グループはこれを対処すべき課題として認識しております。 当社グループはこの課題に対応するため、燃料調達構造の見直しや分散化等業務プロセスを全社的に見直すとともに、徹底した経費削減及び原価低減努力、製品価格の適正化等体質強化を実施し、不確実性が高い事業環境において収益の改善・安定化を図ってまいります。 ③持続可能な社会に向けた対応 当社グループは、カーボンニュートラルをはじめとした持続可能な社会に向けた取り組み、およびそれに関わる情報開示の充実を対処すべき課題として認識しております。使用エネルギーの効率化や化石燃料からの転換(島田工場での新バイオマスボイラー設置計画:2027年10月完工予定)といった生産活動におけるGHG削減の取組みや、井川社有林における「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域(自然共生サイト)」の認定取得(2023年10月)など、地球環境との共生に向けた企業活動を実施しています。また、環境・社会への貢献と当社グループの持続的成長のつながりを明確にするため、長期ビジョンの見直しに併せてマテリアリティの改定を行いました。今後も、当社グループの活動への理解を深めていただけるよう、統合報告書をはじめとする財務・非財務情報の開示充実に努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針 当社グループは、従来から一貫して経営理念を「ユニークで存在感のある企業集団として、社会と環境に貢献する」と定め、「技術と信頼で顧客と共に未来をひらく オンリーワンビジネス企業」を目指すべき企業像としております。株主を中心とし、従業員、取引先、地域社会、環境面での様々なステークホルダーからの信頼を得ると共に、持続可能な社会実現への貢献を通じて当社グループの企業価値の向上を追求することをもって経営方針としております。 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標としては、収益稼得水準の観点から持分法による投資損益等を反映した経常利益を最も重視しており、株主に対する還元の基準となる親会社株主に帰属する当期純利益についても重要視しております。加えて、中長期目標達成、及びPBRの改善に向けては、今まで以上に資本コスト・資本収益性を意識した経営を実践するため、グループ全体ではROEを重要管理指標とし、セグメント単位では投下資本に対する収益性の向上を目指すため、セグメント別でのROIC管理の導入を進めます。セグメント配下の事業会社単位(又は事業単位)では、事業資産に対する収益性の向上を目指すためROAで管理を行い、低稼働資産等の圧縮に取組むとともに、事業会社(又は事業)についてポートフォリオの入替を検討してまいります。 (3)中長期的な経営戦略 当社グループは、長期目標として「ビジョン2035」を策定し、2034年度での経常利益130億円、ROE9.0%以上の達成を掲げております。この目標達成に向けて、外部環境の変化に対応した紙製品構成へ移行し成熟市場での存在感を高めながら、再資源化ビジネスを中心に成長投資を積極的に行い、新領域への参入により事業規模を拡大させてまいります。 2026年4月~2029年3月を対象期間とする第7次中期経営計画においては、製紙事業と環境関連事業の両輪での成長を実現するべく、製紙事業においては現在キャッシュを獲得している既存領域に対して、出版系の縮小や原料調達難など想定される外部環境の変化へ対応するため、製品構成のアップデート・生産効率化・販売方法の多角化などを実施し、収益の安定化を図りながら、7次中計期間までに探索・開拓をしてきた電材等の成長市場へアプローチを継続し、収益をけん引する製品群の創出を目指します。また環境関連事業においては廃棄物燃料や家電・小型家電リサイクル、再生プラスチックなど既存の再資源化ビジネスの基盤強化を行いつつ、M&A・アライアンスを含む新規事業への参入を複数件実施し、リターンの一部摘み取りと中長期的な収益規模の拡大を目指します。これらを推進することで、第7次中期経営計画の全社KGIとした経常利益80億円、ROE7.0%以上の達成を目指しております。 経常利益ROE2026年3月期実績57億円5.4%第7次中期経営計画目標値80億円7.0%以上 (4)経営環境 ①企業構造 当社は、2010年、特種製紙株式会社と東海パルプ株式会社を吸収合併することで設立され、製紙業においては「産業素材事業」「特殊素材事業」「生活商品事業」、製紙業以外においては成長が見込まれる「環境関連事業」によって構成されております。また、横の連携も円滑に行うことを目的とした“事業本部制”を採用することにより、各セグメントが持つ技術や生産力をより相乗的に発揮できるように運営を行っております。 「産業素材事業」は、段ボール原紙やクラフト紙等の産業用紙事業において日本製紙株式会社と合弁事業を行っており、当事業の売上については、その大半が持分法適用会社である日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社向けのものです。したがって、当事業の業績は主に持分法利益の取り込みにより経常利益に反映されることになります。 「特殊素材事業」は、ファンシーペーパー等の特殊印刷用紙及び特殊機能紙など高付加価値製品の製造・販売を行っており、事業の主体は特種東海製紙本体となります。 「生活商品事業」は、子会社2社により構成されており、業務用ペーパータオルや食材紙、トイレットペーパーといった衛生用紙、ラミネート紙及びコート紙の製造・販売を行っております。 「環境関連事業」は、当社保有の南アルプス社有林の有効活用を目的とした自然環境活用事業、当社サプライチェーンを起点としたリサイクルビジネスの拡大を目的とした資源再活用事業によって構成され、当社グループ成長の要として更なる拡大を進めてまいりたい事業分野であります。 以上のように、規模の経済が働く事業分野においては他企業との合弁事業にて、独自の強みを活かすことのできる「多品種・小ロット・高付加価値」事業である特殊素材事業については、特種東海製紙本体により事業を推進、他のセグメントについては基本的に子会社による事業展開を行う体制を採っており、この事業本部制は適切に機能していると判断しております。 ②市場環境・顧客動向 a.産業素材事業 当事業においては、段ボール等包装材に用いられる段ボール原紙、クラフト紙の製造を行っております。産業用包装素材の需要については国内の物価高による買い控え等の影響はあるものの堅調な通販需要等により今後も底堅いものと認識しております。 b.特殊素材事業 当事業においては、出版向けやハイエンドパッケージ向け特殊印刷用紙、製品ごとに異なるユーザー・用途が存在する特殊機能紙等、小ロット多品種・高付加価値を特徴とする製品の製造・販売を行っております。従来からのデジタル化の影響により、出版や商業印刷物向け等情報伝達媒体として使用される紙については市場が縮小傾向にありますが、脱・減プラスチックの流れによりパッケージ用途の需要は底堅い他、特殊機能紙における海外向け一部製品についても引き続き堅調な需要を見込んでおります。 c.生活商品事業 当事業においては、ペーパータオルやトイレットペーパー等の衛生用紙、及びラミネート紙等加工品の製造・販売を行っております。衛生用紙につきましては生活必需品であることから堅調な需要を見込んでおりますが、紙加工品は一般消費の減退により減少傾向にあります。 d.環境関連事業 当事業においては、南アルプス社有林の自然価値を活かす取り組みの一環としてウイスキー製造を行うと共に、廃プラスチックを主たる材料とする固形燃料(RPF)の製造販売や産業廃棄物の中間処理、廃家電の再資源化(都市鉱山事業)、廃プラスチックの再生原料化等、幅広いリサイクルビジネスを展開しております。リサイクルビジネスにつきましては、中長期的には国内外の社会課題解決に向けた動きとともに、環境負荷低減を目指した資源リサイクルの活動は重要性を増し、関連する事業のニーズは今まで以上に伸びるものと認識しております。 ③競合他社の状況 当社グループは事業セグメントごとに異なった競合他社が多数存在します。 製紙3事業においては、総需要に対して生産能力が超過気味であり、業界全体での競争は厳しさを増しているということが共通認識となっております。そのような状況の中では、比較優位にある分野で如何に差別化された製品とサービスの提供が行えるかが極めて重要な要素になると認識しております。 環境関連事業のうち資源再活用事業においては化石燃料価格の高騰及び脱炭素化の社会的背景に伴い廃棄物燃料のニーズが高まりつつあることから、固形燃料の主材料である廃プラスチック等の集荷面で競合が強まりつつあります。こうした中、物流を考慮した同業との連携を図ると共に、M&A等による集荷エリア拡大に取り組んでいくことが重要であると認識しております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応a.現状分析・評価 当社グループは、利益貢献度と市場成長性から投下資本に傾斜をかけるポートフォリオ・マネジメントを基本方針とする第6次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)において、リサイクルの高度化をはじめとする各種戦略を実行してまいりました。その結果、2ヵ年連続での経常利益の最高値更新など堅調に業績を推移させた一方、成長・拡販施策の遅れなどにより営業利益、経常利益における最終年度目標は未達となりました。また、ROEは依然として推定株主資本コスト9.0%を劣後する状況であり、これによりPBR1.0倍割れが継続していると認識しております。PBR1.0倍の早期実現に向けて、資本収益性の改善と市場からの期待値の向上、両方の課題へ取り組んでまいります。 b.資本収益性改善への取組み 第6次中期経営計画までの進捗と課題を踏まえ、長期ビジョンの見直しおよび第7次中期経営計画の策定を行いました。9年間の長期計画である「ビジョン2035」における最初の3ヵ年である第7次中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)については、株主資本コストを上回る収益水準に向けた基礎固めの期間と位置づけ、既存事業の安定化を図りつつ、再資源化ビジネスを中心に新規領域・新事業へ参入することで中長期的な収益源の獲得を図ってまいります。 成長エンジンである再資源化ビジネスでは、廃棄物燃料や家電・小型家電リサイクル・再生プラスチックなど既存ビジネスの基盤強化を行いつつ、M&A・アライアンスを含む新規事業への参入を複数件実施し、リターンの一部摘み取り、および中長期的な収益規模拡大を目指してまいります。 製紙3事業では、出版系の縮小や原料調達難など想定される外部環境の変化へ対応するため、製品構成のアップデート・生産効率化・販売方法の多角化などを実施し、既存ビジネスの収益安定化を図りながら、中計期間までに探索・開拓をしてきた電材等成長市場へアプローチを継続し、新規に収益をけん引する事業創出を目指してまいります。 こうした取組みにおいて成長投資を積極化させるとともに、資本効率を意識した施策として7次中期経営計画の3ヵ年においては「配当性向50%またはDOE(株主資本配当率)4.0%のうち還元額が高い方」を基準として還元を行うことを基本方針とし、機動的な自己株式の取得と併せて株主還元についても強化していく所存です。 c.市場評価向上への取組み 市場の期待値(PER)を向上させていくため、売買代金の改善や株主資本コスト低減を意識したIR活動・情報開示の充実を継続し、認知度の拡大と投資魅力度の向上を図ってまいります。 ②原燃料価格の高騰 急速に変化する地政学的リスクと昨今の為替相場の動向から、日本企業の原燃料調達に係る不確実性が高まっております。その結果、パルプをはじめとする各種原燃料価格の高騰が進んでおり、当社グループの製紙業全般にとって利益圧迫要因及びリスクとなっていることから、当社グループはこれを対処すべき課題として認識しております。 当社グループはこの課題に対応するため、燃料調達構造の見直しや分散化等業務プロセスを全社的に見直すとともに、徹底した経費削減及び原価低減努力、製品価格の適正化等体質強化を実施し、不確実性が高い事業環境において収益の改善・安定化を図ってまいります。 ③持続可能な社会に向けた対応 当社グループは、カーボンニュートラルをはじめとした持続可能な社会に向けた取り組み、およびそれに関わる情報開示の充実を対処すべき課題として認識しております。使用エネルギーの効率化や化石燃料からの転換(島田工場での新バイオマスボイラー設置計画:2027年10月完工予定)といった生産活動におけるGHG削減の取組みや、井川社有林における「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域(自然共生サイト)」の認定取得(2023年10月)など、地球環境との共生に向けた企業活動を実施しています。また、環境・社会への貢献と当社グループの持続的成長のつながりを明確にするため、長期ビジョンの見直しに併せてマテリアリティの改定を行いました。今後も、当社グループの活動への理解を深めていただけるよう、統合報告書をはじめとする財務・非財務情報の開示充実に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度における当社グループの事業環境は、企業業績の改善や株高による市場への期待が高まり、設備 投資の増加、雇用・所得環境の改善が続く等、景気は緩やかな回復傾向が続きました。一方、ウクライナ侵攻の長 期化、中東情勢の緊迫化等により、地政学リスクがさらに高まり、加えて資源価格の高騰による物価上昇の影響等 もあり、先行きの不透明な状況が続いております。 このような状況の中、当社グループは第6次中期経営計画(2023年度から2025年度の3ヶ年計画)の最終年度を 迎え、増加する原材料コスト負担に対し価格改定に取り組むとともに、事業ポートフォリオの変革を目指して、今 後成長が見込まれる環境関連事業のリサイクルビジネスの更なる拡大に注力してまいりました。2025年5月には連 結子会社のトーエイ株式会社の株式を追加取得し、同社を完全子会社としております。 a.財政状態 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,873百万円増加し、141,310百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,394百万円減少し、51,208百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,267百万円増加し、90,102百万円となりました。 b.経営成績 当連結会計年度の経営成績は、売上高95,413百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益4,296百万円(前年同期比9.4%増)、経常利益5,728百万円(前年同期比8.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,368百万円(前年同期比21.1%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。1) 産業素材事業 主力製品である段ボール原紙及びクラフト紙につきましては、日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社向けの売上が低調に推移したことで販売数量は前年同期を下回りましたが、電力販売を行っております赤松水力発電所につきましては、前年同期の設備トラブルによる停止の影響の反動により売上は前年同期を上回りました。 この結果、当セグメントの売上高は44,467百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は1,169百万円(前年同期比7.4%増)となりました。2) 特殊素材事業 特殊印刷用紙につきましては、前年第3四半期に価格改定を実施し、販売単価が上昇すると共に、海外向けファンシーペーパーの拡販に努めましたが、国内向けの需要減少による影響が大きく、売上高は前年同期を下回りました。また、特殊機能紙につきましては、需要の増加が見込まれる製品の拡販に努めましたが、情報用紙の需要減少に加えて、海外向け一部製品の需要が第2四半期から第3四半期にかけて調整局面に入り、売上高は前年同期を下回りました。 利益面につきましては、売上高の減少に加えて原材料コストが上昇し、前年同期比で減益となりました。 この結果、当セグメントの売上高は20,288百万円(前年同期比5.5%減)、営業利益は1,494百万円(前年同期比8.8%減)となりました。3) 生活商品事業 トイレットペーパーにつきましては、原材料他コスト上昇局面が続いておりますが、製品価格の改定と業務用製品の安定した需要により増収増益となりました。ペーパータオル、ラミネート等の加工品につきましては、販売数量は前年を下回ったものの価格改定が浸透したこともあり増収増益となりました。 この結果、当セグメントの売上高は18,993百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益は798百万円(前年同期比49.8%増)となりました。 4) 環境関連事業 自然環境活用分野につきましては、十山株式会社のウイスキー販売が堅調に推移したこと、株式会社特種東海フォレストの建設事業の完成高が前年同期を上回ったこと等により増収増益となりました。また、資源再活用分野につきましては、前期に子会社化し前第2四半期より損益を連結した株式会社貴藤が売上高に寄与したこと等により増収増益となりました。なお、株式会社貴藤は決算期変更に伴い当連結会計年度は14ヶ月の変則決算となっております。 この結果、当セグメントの売上高は18,089百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益は755百万円(前年同期比42.7%増)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は7,085百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,513百万円の減少となりました。 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は9,894百万円となり、前連結会計年度に比べ1,121百万円の増加となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,226百万円、減価償却費6,607百万円、法人税等の支払額2,096百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は7,921百万円となり、前連結会計年度に比べ1,444百万円の減少となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出8,237百万円であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は5,486百万円となり、前連結会計年度に比べ3,990百万円の増加となりました。主な内訳は、長期借入れによる収入3,900百万円、長期借入金の返済による支出5,943百万円、配当金の支払額1,452百万円であります。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称 生産高(百万円) 前年同期比(%)産業素材事業48,1560.2特殊素材事業18,8894.2生活商品事業17,0044.5環境関連事業1,6976.7合計85,7492.0 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 金額は、販売価格によっており、自社利用分も含まれております。 b.受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)環境関連事業4,98939.03,14132.9合計4,98939.03,14132.9 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。 2 受注実績は、建築土木工事について記載しております。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称 販売高(百万円) 前年同期比(%)産業素材事業41,867△0.5特殊素材事業19,762△5.0生活商品事業18,7811.7環境関連事業15,00211.5合計95,4130.6 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)日本東海インダストリアルペーパーサプライ株式会社36,05838.035,80837.5 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等 1) 財政状態 (資産) 当連結会計年度末の総資産は、141,310百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,873百万円の増加となりました。主な要因は、投資有価証券の増加によるものであります。 (負債) 当連結会計年度末の負債は、51,208百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,394百万円の減少となりました。主な要因は、有利子負債の減少によるものであります。 (純資産) 当連結会計年度末の純資産は、90,102百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,267百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。自己資本比率は58.9%となり、前連結会計年度末に比べて2.6ポイント上昇しました。 2) 経営成績 (売上高) 当連結会計年度の売上高は95,413百万円となり、前連結会計年度に比べて612百万円(0.6%増)の増加となりました。セグメントごとの売上高につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。 (売上総利益) 当連結会計年度の売上総利益は13,669百万円となり、前連結会計年度に比べて966百万円(7.6%増)の増加となりました。これは主に、売上高が増加したことによるものであります。 (営業利益) 当連結会計年度の営業利益は4,296百万円となり、前連結会計年度に比べて368百万円(9.4%増)の増加となりました。これは主に、売上総利益が増加したことによるものであります。 (経常利益) 当連結会計年度の経常利益は5,728百万円となり、前連結会計年度に比べて498百万円(8.0%減)の減少となりました。これは主に、持分法による投資利益が減少したことによるものであります。 (親会社株主に帰属する当期純利益) 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4,368百万円となり、前連結会計年度に比べて760百万円(21.1%増)の増加となりました。これは主に、特別損失が減少したことによるものであります。 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標としては、収益稼得水準の観点から持分法による投資損益等を反映した経常利益を最も重視しており、株主に対する還元の基準となる親会社株主に帰属する当期純利益についても重要視しております。加えて、中長期目標達成、及びPBRの改善に向けては、今まで以上に資本コスト・資本収益性を意識した経営を実践するため、グループ全体ではROEを重要管理指標とし、セグメント単位では投下資本に対する収益性の向上を目指すため、セグメント別でのROIC管理の導入を進めます。セグメント配下の事業会社単位(又は事業単位)では、事業資産に対する収益性の向上を目指すためROAで管理を行い、低稼働資産等の圧縮に取組むとともに、事業会社(又は事業)についてポートフォリオの入替を検討してまいります。 当連結会計年度における経常利益は57億円、ROEは5.4%となりました。第7次中期経営計画を推進することで、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。 d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 また、資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。 (資金需要) 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と投資資金需要の二つがあります。運転資金需要の主なものは原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資資金需要の主なものは維持更新投資、エネルギー関連投資、研究開発関連投資、環境関連投資等、固定資産購入、事業戦略に必要な投資によるものであります。 (財務政策) 当社グループは、短期運転資金等の短期性資金については、主に金融機関からの短期借入金にて調達し、長期運転資金及び設備投資等の長期性資金については、内部資金及び金融機関からの長期借入金並びに金融機関を引受先とする社債(私募債)発行等により調達しております。なお、資金の性格、今後の資金需要、金利動向等の調達環境、予想される貸借対照表の流動比率及び借入金長短比率等を総合的に考慮し、調達額及び調達方法を適宜判断して実施しております。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

事業リスク

  • 需要と市況の変動リスク
    産業素材事業では経済環境の悪化や悪天候による農産物流通の停滞が、特殊素材事業ではデジタル化の進展が、生活商品事業では供給過多や価格競争が、それぞれ需要減少や市況悪化を通じて業績に悪影響を及ぼす可能性があります。各事業で異なる市場環境に直面しています。
  • 原燃料価格と為替変動リスク
    製紙事業は多量の原燃料を使用するため、古紙やパルプの価格変動が業績に大きな影響を与えます。特に、海外情勢やペーパーレス化の進展による古紙需給の変化、パルプの輸入取引における米ドルに対する円安は、調達コストの高騰を招き、利益を圧迫する可能性があります。
  • 災害・感染症・法的規制のリスク
    静岡県に多くの工場を持つため、大規模地震などの災害発生時には操業停止による業績悪化のリスクがあります。また、感染症の流行による工場停止や、環境規制・労働安全衛生法などの法規制改定への対応、関連訴訟による費用負担も、事業活動に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,549 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 また、リスク管理の体制については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 (1)需要及び市況の変動 当社グループは、事業セグメントごとに異なったリスクがあるものと認識しております。 ①産業素材事業 段ボール原紙及びクラフト紙等を扱う産業素材事業においては、経済環境の悪化に伴って物流活動が急激に停滞した場合、また、悪天候により農産物の収穫量・流通量が著しく低下した場合、産業用包装材の需要が減少し、当事業の業績に負の影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応としては、さらなる低コスト・高能率の生産体制確立に努めてまいります。 ②特殊素材事業 特殊印刷用紙及び特殊機能紙等を扱う特殊素材事業においては、デジタル化の進展やそれに伴う出版部数の減少等の影響により情報伝達媒体としての紙需要は縮小傾向にあります。また、製品ごとに異なるユーザー・用途が存在する製品群においては、社会潮流の変化により用途そのものが消滅することで製品への需要も急減し、当事業の業績に負の影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応としては、生産体制の集約・効率化を図っていくとともに、引き続き潜在的ニーズを追求し、製品構成の入れ替えに努めてまいります。 ③生活商品事業 ペーパータオルやトイレットペーパー等を扱う生活商品事業においては、供給過多や価格競争等市況が変動しやすく、当事業の業績に負の影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応としては、製品のさらなる品質向上を推進すると共に、ネットワークの強化に努めてまいります。 ④環境関連事業 環境関連事業に含まれる資源再活用事業につきましては、脱化石燃料への社会的背景から今後も旺盛な需要を見込んでおりますが、一方で廃棄物燃料へのニーズが急速に高まることで廃棄物集荷における競争が激化した場合、当事業の業績に負の影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応としては、物流を考慮した同業との連携を図ると共に、M&A等による集荷エリア拡大に取り組んでまいります。 (2)原燃料価格の変動 製紙3事業においては多量の原燃料を使用するため、その事業の主たる原料価格に変動があった場合、当該事業の業績に負の影響を与える可能性があります。また、原燃料の輸入取引について為替変動リスクを負っており、主として米ドルに対して円安が生じた場合、業績に負の影響を与える可能性があります。 産業素材事業において主たる原料である段古紙の価格は、中国およびASEAN諸国をはじめとした海外情勢の影響を受けやすくなっております。したがって、海外情勢に著しい変化があった場合、調達価格が高騰し、当該事業の業績に負の影響を与える可能性があります。 生活商品事業において使用する上質の古紙の価格は、ペーパーレス化の進展に伴い、年々その発生量が減少し、古紙需給の影響を受けやすい状況となっております。したがって、更なるペーパーレス化の進展により、上質の古紙の発生量が減少した場合、調達価格が高騰し、当該事業の業績に負の影響を与える可能性があります。 古紙の調達価格上昇リスクについては、運送費のより安価な近場からの安定調達に注力するとともに、長年の取引関係を勘案した安定調達先の確保に努め、さらに段古紙については、日本製紙株式会社との共同調達の実施などにより対応しております。 特殊素材事業において多量に使用するパルプについては、その多くを諸外国から調達していることから、主として米ドルに対する為替変動リスクを負っております。また、パルプ生産国における経済活動の変容や世界的な需要の高まり等、海外市況の影響により調達価格が高騰することで、当該事業の業績に負の影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応としては、調達先を国内外で多様化するとともに、各取引先との良好な関係づくりに注力しております。(3)取引先の信用リスク 当社グループの取引先の経営状況が、市場の変動や業界再編成等により財務上の問題に直面した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性については、現時点では確認しておりませんが、各事業本部が密に連携し、一層の管理体制強化を図ってまいります。 (4)資金調達 資金調達については、現状の経済情勢下においては重大なリスクはないものと認識しておりますが、金融市場の混乱や当社に対する信用が著しく損なわれる事象が発生した場合、資金調達が困難になる可能性があると考えております。当該リスクが顕在化する可能性は現時点では認識しておりませんが、金融機関との良好な取引関係の構築及び資金管理体制の強化に努めてまいります。 (5)法的規制 製造販売業務を主体とする当社グループにつきましては、環境規制に加えて、労働安全衛生法、製造物責任法、知的財産権に関する規制等の様々な法規制の適用を受けております。このため、これらの規制の改定等に対応することや、これらの規制に関連した訴訟等を受けることにより、事業活動の制限、高額な費用負担や環境対策設備の設置等コストの増加につながることがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応について、当社グループでは常設の機関としてコンプライアンス委員会を設置し、常に法令遵守を念頭に置いた経営管理に努めるとともに環境関連の法改正及び環境保全に係る社会的要請の動向を引き続き注視してまいります。 (6)災害や感染症及び事故による影響 当社グループは、製造ラインの突発的な中断による潜在的なマイナス影響を最小限にするため、定期的な予防保全を行っております。また、災害事故等不測の事態発生に備え、影響を最小限にするための教育・訓練等を実施しており、特に地震対策については、当社内に緊急時の対応組織を設け、臨機応変に対応することにしております。しかし、これらの影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。また、当社グループの工場及び施設の多くは静岡県にあり、大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 また、従業員が重大な感染症に罹患した場合、従業員及びその家族への感染拡大を防ぐため、工場の操業を停止する可能性があり、停止の期間やその範囲は想定しておりません。先般の新型コロナウイルスの世界的な拡大を受け、当社グループでは、リモートワークの導入をはじめとした社内施策を講じ感染防止に努めております。 (7)環境の激変に伴う所有資産価値の変動 ①投資有価証券の減損に係るリスク 当社グループは、市場価格のない株式等以外の有価証券を保有しておりますが、時価が著しく下落した場合には、取得原価と時価との差額を当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ②固定資産の減損に係るリスク 当社グループは、製紙業に関係する生産設備等の多くの有形固定資産を有しております。「固定資産の減損に係る会計基準」の適用に伴い、時価の下落や当該資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの状況によっては減損処理が必要な場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③のれんの減損に係るリスク 当社グループは、第13期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)に株式会社駿河サービス工業、第17期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)にトーエイホールディングス株式会社、第18期連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)に株式会社貴藤ホールディングスを連結子会社化したことに伴い、のれんを計上しております。当該のれんにつきましては、事業価値及びシナジー効果が発現された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、景気変動等の影響により収益性が低下した場合には、減損損失計上により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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