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グレアム7基準で日本株を選ぶ完全マニュアル【2026年版】

『賢明なる投資家』第14章で示された防衛的投資家7基準を、現代の日本株市場に合わせて実用的に再解釈します。

なぜ7基準なのか — グレアムが残した「失敗しない選別法」

ベンジャミン・グレアムは『賢明なる投資家』(1949年初版)で、投資家を2タイプに分類しました:

そして防衛的投資家のための「銘柄選定7基準」を、第14章で具体的に提示しました。これがグレアム7基準です。

徹底的な分析に基づき、元本の安全性と適切なリターンを約束するもの — それが投資である。これらの条件を満たさないものはすべて投機である。 — ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』序文

グレアム7基準(日本株向け)

#基準米国基準日本株適用
1適切な企業規模売上1億ドル以上時価総額500億円以上
2健全な財務流動比率200%以上流動比率200% + 自己資本比率40%
3利益の安定性過去10年すべて黒字同左
4配当の継続性過去20年連続配当10年以上連続配当
5利益の成長過去10年で1/3以上のEPS成長3年平均で年率3%以上のEPS成長
6適度なPER過去3年平均利益の15倍以下同左
7適度なPBR1.5倍以下、PER×PBR ≤ 22.5同左

各基準の「なぜ」を理解する

1. 適切な企業規模 — 時価総額 500億円以上

グレアムは小型株を排除しました。理由は:

500億円という基準は厳しめですが、「安定して保有できる規模」を確保するためです。

2. 健全な財務 — 流動比率 200% + 自己資本比率 40%

流動比率(流動資産 ÷ 流動負債)が200%以上 = 1年以内の支払いに対して、資産が2倍ある状態。

日本株では加えて自己資本比率40%以上を併用します。これは「ミスター・マーケットの暴落で耐えられる体力」の指標です。

3. 利益の安定性 — 過去10年すべて黒字

赤字年度がある企業は、景気変動への耐性が低い。グレアムの哲学は「平凡でも安定」を「波瀾万丈」より重視する。リーマンショックのような10年に1度のテールリスクで生き残ったかが試金石。

4. 配当の継続性 — 10年以上連続配当

配当は経営の規律を示します。配当できない=株主還元の意思か体力がない、ということ。

日本株では総合商社、トヨタなどの優良企業は20-30年連続配当を続けています。

5. 利益の成長 — 年率3%以上のEPS成長

「成長」というより「インフレを上回る程度」の最低ラインです。低成長でも他の6基準を満たせば防衛的投資家には十分。

EPS(一株当たり純利益)で見るのは、自社株買いや増資の影響を排除するため。

6. 適度なPER — 過去3年平均利益の15倍以下

PERが15倍を超えると、将来成長への過大な期待が乗っている可能性が高い。グレアムの考え方では、15倍以下=市場が割安に評価しているサイン

注:単年度ではなく過去3年平均で計算するのは、特殊要因の利益変動を平準化するため。

7. 適度なPBR — 1.5倍以下、PER × PBR ≤ 22.5

PBR(株価純資産倍率)1.5倍以下=純資産の1.5倍までしか払わない

「PER × PBR ≤ 22.5」はグレアム独自の黄金式。これは「成長性とバリューエーションのバランス」を表す。例えば PER 15 × PBR 1.5 = 22.5(ぎりぎり)。低PERなら高PBRも許容、ハイPBRなら低PERが必要。

実務での使い方 — 5/7 ルール

すべて満たす銘柄は稀です。5/7以上を目安に、不合格項目の理由を深掘りするのが現実的。

例:トヨタ自動車(7203)が PBR 1.5倍をオーバーしているなら、「なぜ市場は1.5倍以上を払っているか?」を考える。トヨタの場合は世界的なブランド・モートがプレミアムの根拠。

逆に、3/7以下なら投機的。バフェットの言葉を借りれば「投資ではなく投機」。

AI でグレアム7基準を判定する

モート先生 AI に銘柄を伝えると、7基準の判定材料を一覧で提示します。
計算ツールで実数値を入れて自動判定も可能。

AI に聞く →

注意点 — グレアム時代と現代の違い

グレアムが本書を書いたのは1949年。現代では:

そのためバフェットは、グレアム7基準を「品質チェックの最低ライン」と位置づけ、モート(経済的堀)を加えて進化させました。

→ モートの5類型を学ぶ

まとめ — 防衛的投資家の最強の盾

グレアム7基準は、「失敗しないための最低ライン」です。攻めの投資ではなく、守りを固めて長期で複利を効かせる、防衛的投資家の哲学。

ご自身の保有銘柄を、この7基準で1度評価してみてください。3つも当てはまらない銘柄は、保有理由を再考する余地があります。

※ 本記事は投資教育・情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。