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Look-Through Earnings で見る「本当の収益力」
— バフェット流ポートフォリオ評価

バフェットが1990年の株主への手紙で示した独自概念「ルックスルー利益」。会計上の利益では見えない、投資先の本当の収益力とは。

会計のルールが見落とすもの

あなたが A 社株を 5% 保有しています。A 社の今期純利益は 1,000 億円。あなたの「取り分」は理論上 50 億円です。

しかし会計上、あなたの収益として認識されるのは — 配当として受け取った分だけ。A 社が配当性向 20% なら、配当は 200 億円。あなたへの配当は 10 億円。

残りの 40 億円(5% × 800億円の留保利益)は、A 社内部に再投資される。この 40 億円は誰のもの? — 株主のものです。なぜなら、留保された利益は、将来の配当・自社株買い・事業拡大を通じて、株主価値に還元されるから。

ルックスルー利益の定義

バークシャーの株主は、会計上の利益ではなく、ルックスルー利益にこそ注目すべきだ。 — バフェット 1990年 株主への手紙

計算式は明快:

Look-Through Earnings = Σ(保有比率 × 投資先純利益)

計算例 — バフェットの過去のポートフォリオ

1988年時点のバークシャーの主要保有銘柄で計算してみます(実際の数字に近い値):

銘柄保有比率当期純利益取り分
キャピタル・シティーズ/ABC17%$300M$51M
ガイコ44%$110M$48M
ワシントン・ポスト13%$95M$12M
コカ・コーラ1.3%$1,045M$14M
合計(ルックスルー利益)$125M

会計上は配当のみが認識されるため、表の合計より少ない金額しか「利益」として計上されません。本当の収益力は、ルックスルー利益で見るべきとバフェットは主張します。

個人投資家への応用

あなたのポートフォリオで計算してみましょう:

  1. 保有銘柄ごとに、保有株数を確認
  2. 各企業の発行済株式数を有報で確認 → 保有比率を計算
  3. 各企業の当期純利益を有報から取得
  4. 保有比率 × 純利益 を全銘柄で合計

例:あなたのポートフォリオ

これがあなたが保有する企業群の「真の年間収益力」です。配当として受け取る分だけでなく、内部留保で再投資される分も含めた数字。

留保利益の検証 — バフェットの $1 ルール

バフェットは「留保利益検証(One-Dollar Premise)」も提唱しています:

過去の累積留保利益が、市場価値の増加分(株価上昇分)と少なくとも同等の価値を生み出しているか。

計算方法:

  1. 過去 N 年の累積留保利益(純利益 − 配当の累積)
  2. 同期間の時価総額の増加分
  3. 後者 ÷ 前者 が 1 以上なら、経営陣は1ドルの留保利益で1ドル以上の価値を生んでいる

バフェットはバークシャーで「1.4倍」の数字を達成していると報告しています。留保利益を効果的に再投資できる経営陣かどうかが、長期投資の判断軸です。

AI でルックスルー利益を計算

モート先生 AI のツールパネルから、保有銘柄を入れるだけで Look-Through Earnings を自動計算します。

計算ツールを使う →

まとめ — 配当の罠を超える

「高配当株が良い」と単純に考える投資家は多いですが、配当性向が低い ≠ 収益力が低い。優れた経営陣であれば、留保利益を再投資して株主価値を増大させます。配当の有無に関わらず、ルックスルー利益で真の収益力を見ましょう。

これがバフェットが「私の好む保有期間は永遠だ」と言う根拠の一つ。優良企業を長期保有すれば、留保利益の複利が効いて、本質的価値が成長していくのです。

※ 本記事は投資教育・情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。