研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
| 2025-03 |
- |
825 |
| 2024-03 |
- |
784 |
| 2023-03 |
- |
758 |
| 2022-03 |
- |
692 |
| 2021-03 |
- |
772 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,431 文字
6 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発費は742億円(売上収益比率7.2%)となりました。 心臓血管カンパニーインターベンショナルシステムズ事業では、薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster Nagomi」及び「Ultimaster Tansei」について、適応範囲拡大に関するMDR承認を取得しました。この承認は、心臓カテーテル治療(PCI)患者の約45%を占める出血性合併症リスクの高い患者さんへの適応を拡大するもので、1カ月という短期間の二剤抗血小板療法(DAPT)適応対象者を含みます。今回の適応拡大は、主要な臨床課題に対応する重要なマイルストーンとなり、出血性合併症リスクの高い患者さんの1カ月DAPTにおいてUltimasterが長期間の薬剤療法よりも安全なものであることを示唆しています。アオルティック事業では、グループ会社のバスクテック社が「英国王賞(企業部門)」(The King's Awards for Enterprise)を受賞しました。同賞は、「イノベーション」、「国際貿易」、「持続可能な開発」などのカテゴリーにおいて卓越した成果をあげた英国企業に贈られる賞であり、バスクテック社はイノベーションカテゴリーで受賞しました。既製の製品では対応が困難な複雑な病変の場合、欧州など法令で許可されている一部の国や地域では、医療従事者の指示のもとで製品のサイズや形状などを調整したカスタムメイド製品も提供しています。今回、カスタムメイド製品の提供に関するサービスが高く評価され、受賞となりました。このサービスでは、クラウド上に登録された患者さんの症例情報やCT画像などのデータをもとにカスタムメイド製品を製造するほか、患者さんの大動脈の立体モデルを3Dプリンターで作成することも可能です。これにより、医療従事者が立体モデルを使ってカスタムメイド製品が患部に適合するかを確認したり、手術前にトレーニングを行ったりすることで、複雑な病変への対処を入念に準備することができるようになりました。当事業に係る研究開発費は509億円となりました。 メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション事業では、医療用ポータブル体成分分析装置「ラチェッタ」を販売開始しました。このデバイスは、術前・術中・術後(周術期)の患者さんの管理における重要なパラメーターを測定できる体成分分析装置(体組成計)です。周術期の患者さんの筋肉量や水分量を知ることは、栄養状態を把握し、経腸からの栄養剤の投与や静脈からの点滴など、個々の患者さんに適した栄養介入を行うことに役立ちます。また、筋肉量や筋肉機能が低下した状態であるサルコペニアは、術後の合併症発生率の増大や化学療法の継続率低下といったリスクにつながります。医療現場では体組成を簡単かつ正確に測定して患者さんの栄養状態を適切に評価し、治療に役立てるニーズが高まっています。「ラチェッタ」は小型・軽量のため医療従事者が容易に持ち運ぶことができ、様々な患者さんや場面への対応が可能です。また、付属のデータ管理用PCソフトをダウンロードして使用することによって、PC上でのデータの保存等を容易に行うことができ、患者さんへの外来栄養指導などで活かすことが期待されます。ファーマシューティカルソリューション事業では、丸石製薬株式会社と共同開発したプレフィルドシリンジ製剤「スガマデクス静注液200mgシリンジ『マルイシ』」が同社から発売されました。本製品は、麻酔による筋弛緩状態からの回復のために投与する医薬品(筋弛緩回復剤)であり、全身麻酔を伴う手術などの際に使用します。プレフィルドシリンジ製剤は、薬液があらかじめシリンジに充填された状態で出荷され、医療現場において迅速な投与ができることに加え、薬剤の取り違えリスクの低減にもつながります。テルモでは、プレフィルドシリンジの開発で培った独自の技術を生かし、薬剤に適した素材技術を組み合わせたデバイスの開発や、医薬品と医療機器のコンビネーションプロダクトの設計・製造を製薬企業と共同で行う事業を展開しています。当事業に係る研究開発費は103億円となりました。 血液・細胞テクノロジーカンパニー鎌状赤血球症(SCD)患者における急性胸部症候群(ACS)治療について、ARCAD試験という新たな臨床試験への支援を発表しました。この試験は、自動赤血球交換を用いたACSの早期治療が、手動交換と比較して、ACSの早期回復及び極めて脆弱な患者さんの入院中における有害事象の減少につながることの確認を目的としています。ACS治療の迅速化は、成人SCD患者の罹患率と死亡率の減少、入院費用の削減などに貢献し、自動赤血球交換が重症ACSの標準治療の一部になる可能性をもたらします。SCDは、形の悪い赤血球が血管に詰まり、血管閉塞による激しい痛みやその他の重篤な合併症を引き起こす遺伝子疾患です。急速に進行する可能性があり、迅速な治療が必要です。赤血球交換は、損傷した細胞を健康な細胞と交換するもので、手動交換と自動交換がありますが、手動の赤血球交換には時間がかかります。自動赤血球交換は、より迅速かつ定量的に治療を行うことを可能にします。また、FUJIFILM Irvine Scientific社と共同で、テルモBCTの細胞増殖システム「Quantum Flex」と同社のシステムを連携させることにより、T細胞培養の加速を目的とした提携を発表しました。この提携は、連携するシステムを使用することで、T細胞培養における障壁を軽減することを目指しています。細胞治療開発では、製造プロセスの拡張に大きな課題を抱えることが多く、T細胞増殖のための独自の方法を開発するのに大規模な投資が必要となります。テルモBCTのプロトコールは、同社が市販している化学的に定義されたGMP準拠の培地を用いて試験されており、T細胞増殖に関連する時間、コスト、自社プロセス構築の複雑さなどの課題を軽減するのに役立ちます。今回の提携により、プロセスの標準化が進み、実証済みの統合ソリューションを通じて治療開発におけるリスクが軽減され、T細胞増殖の規模拡大に向けて実現性のある可能性を提供するものとなります。当事業に係る研究開発費は122億円となりました。 その他経営戦略と連携した研究開発を行うために、グル―プR&D全体像を可視化し、最適なポートフォリオと成長パイプラインを構築しています。中長期的な研究開発を担うコーポレートR&Dでは、新領域の創出を加速する体制への変更や、規模の大きな研究テーマへのアロケーションシフトを実施しました。また、米国カリフォルニア州に新たなR&D拠点「Discovery and TEchnology Center of Terumo (D-TECT)」を開設しました。この拠点では、米国という大市場の中で活動し、現地の医療機関との連携を深め、アカデミアやスタートアップの動向を把握しながら探索活動を行うことができます。これにより、コーポレートR&D活動のグローバル展開を一層加速させることを目指しています。さらに、医療機器スタートアップとの連携強化を通じてイノベーション創出を加速させることを目的として、米国にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)部門であるテルモベンチャーズを設立しました。今後5年間で75百万米ドルの投資枠を設け、循環器疾患治療や慢性疾患治療、デジタル技術などの領域の企業に投資を始めました。デジタルトランスフォーメーション(DX)は、イノベーションの一翼としての位置づけを明確化し、R&Dと同様に規模の大きなテーマへのアロケーションシフトや活動のグローバル展開を図っています。米国拠点を設けて、活動の重点を最先端市場である米国に移し、デジタルヘルスのスタートアップを探索するとともに、現地事業部のデジタルソリューション開発を支援するほか、戦略的商品向けの内製AI開発を行っています。本社内でも分散していたデジタル人財を統合し、生成AIを含むAI、クラウド、セキュリティ、及びコネクティビティの能力強化にも取り組んでいます。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用9億円が含まれております。
FY2024|2,826 文字
6 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発費は691億円(売上収益比率7.5%)となりました。 心臓血管カンパニーTIS事業では、薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster Nagomi」について、欧州連合(EU)の安全要求基準に適合していることを示す認証(CEマーク)を取得し、欧州市場での販売を開始しました。また、欧州においてUltimaster Nagomiの市販後臨床フォローアップ(Post-Market Clinical Follow-Up)調査を開始しました。本調査は、EU域内の医療機関60施設と協力し、3,000名の患者さんの参加を見込んでいます。多枝病変や慢性完全閉塞等の冠動脈の複雑な病変の治療にUltimaster Nagomiを用い、その治療成果を評価します。ニューロバスキュラー事業では、脳動脈瘤用袋状塞栓デバイス「Woven EndoBridge」の5年間の臨床試験、WEB-ITのフォローアップデータを発表しました。Woven EndoBridgeには7つのGCP(Good Clinical Practice)試験と200以上の査読付き論文があり、現在市場で最も研究された脳動脈瘤塞栓デバイスです。新たに2サイズが展開され、様々なサイズや形状の脳動脈瘤に対する治療を可能にしています。ニューロバスキュラー事業の本部であるMicroVention社は、サンディエゴで開催されたSNIS2023において、この革新的なデバイスを披露しました。血管事業では、胸部大動脈用ステントグラフト「RelayPro」について、米国食品医薬品局(FDA)から大動脈解離への適用に関する承認を取得しました。これにより、従来から米国で認められていた大動脈瘤の治療に加え、大動脈解離の治療でもRelayProを使用することが可能になりました。当事業に係る研究開発費は406億円となりました。 メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション事業では、株式会社メドコム(2024年4月1日付で株式会社フロンティア・フィールドから株式会社メドコムに社名変更)と資本業務提携を行いました。メドコム社は、医療機関に対してスマートフォンサービスを提供するとともに、医療現場の働き方改革を推進するアプリケーションの開発・提供を行っています。今回の資本業務提携を通じて、医療従事者の働き方改革とチーム医療の促進を支援するソリューションの開発および医療機関への提案に共同で取り組みます。アプリケーションやテルモの輸液ポンプ・シリンジポンプ、通信機能付きバイタルサイン測定機器シリーズ「HRジョイント™」、腹膜透析関連機器等のデータを連携することで、プラットフォームを通して患者さんのリアルタイムな情報にいつでもアクセス可能になり、医療従事者が場所や時間の制約を超えて患者さんを常に見守ることができる環境を実現し、患者さん中心の医療を追求する医療機関の取り組みを支援します。 ライフケアソリューション事業では、血糖値管理アプリ「メディセーフデータシェア for Home」をバージョンアップし、健康やフィットネス情報を管理するGoogleのAndroidアプリ「ヘルスコネクト」との連携を開始しました。今回のバージョンアップにより、ヘルスコネクトに対応した他のアプリで登録した体重・歩数等のデータをメディセーフデータシェアに自動で反映・一元的に閲覧できるようになりました。生活習慣データを記録しやすくすることで、医療従事者がより豊富な情報を確認することができ、その情報をもとに適切な治療方針を提案することができます。スマートフォンやウェアラブルデバイスで記録される日々の歩数が自動でメディセーフデータシェアに記録されることで、医師が患者さんの運動量を参考に、適切なアドバイスをすることが可能になります。当事業に係る研究開発費は77億円となりました。 血液・細胞テクノロジーカンパニー血液自動製剤システム「Reveos」が、米国食品医薬品局(FDA)の認証を取得しました。Reveosは、全血採血で集めたドナーの血液(全血)から、血小板製剤をはじめとする血液製剤を製造するためのシステムで、世界52カ国で使用されています。全血を遠心分離して血小板、血漿、赤血球等の成分に分け、専用の血液バッグに充填するまでの一連の工程を完全自動化することで、製剤化プロセスの効率を改善し、血液センターの生産性向上に貢献します。今回のFDA認証を受け、テルモは米国初の全血用の血液自動製剤システムとして、Reveosを米国内の血液センターに拡販していく予定です。また、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団と共同で、iPS細胞培養および分化の自動化を確立するための研究を開始することを発表しました。テルモBCTの細胞増殖システム「Quantum Flex」を用いることで、将来のiPS細胞を用いた治療のための適切な自動培養工程の確立を目指します。iPS細胞の培養は複雑な手順に基づき専門家が手作業で実施しており、臨床用iPS細胞の製造にかかる莫大な時間と費用が課題となっています。今回の共同研究では、Quantum Flexを細胞培養に活用し、iPS細胞の一貫した大規模生産と、汚染リスクが低減された閉鎖環境で細胞培養の自動化とその工程の確立を目指します。当事業に係る研究開発費は128億円となりました。 その他研究開発部門はグループの成長に貢献する中長期的テーマの探索に取り組むとともに、比較的短期的な商品・サービス開発にも寄与するコア技術の深化を進めてきました。その中で、経営戦略との一貫性および成長性の観点から複数の新しい有力テーマが創出されました。テーマの新陳代謝を図るとともに、これら有力テーマは事業出口を見据えてグローバルに最適な場所と体制で育てていきます。同じくコア技術もグローバルに展開する事業体に幅広く提供するための仕組みを整備しました。引き続き医療課題を解決するデバイス技術、それを具現する製造技術とマテリアル技術が絡まり合って差異化を生み出すような深い技術体系の構築を目指していきます。デジタルトランスフォーメーション(DX)については、米国拠点を設けて、DX推進室の活動の重点を最先端市場である米国に移し、デジタルヘルスのスタートアップを探索し、投資・買収の機会をうかがっています。加えて、グループ内のデジタルソリューション事業に関わるテーマを全て把握し、その数をKPIとしてモニターできるようになりました。それらを支えるための能力強化にも取り組んでおり、特に本社内でも分散していたデジタル人財を統合する準備が完了しました。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用79億円が含まれております。
FY2023|2,574 文字
6 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発費は616億円(売上収益比率7.5%)となりました。 心臓血管カンパニーTIS事業では、米国において2つの臨床試験の結果を発表しました。手首の動脈からのアクセス(ラジアル手技)によって行う、下肢カテーテル治療(R2P、Radial to Peripheral)と腹部カテーテル治療(R.A.V.I.、Radial Access for Visceral Intervention)の臨床試験です。R2Pの臨床試験では、R2Pは入院日数の短縮や合併症の低減をもたらすことが示唆され、結果の詳細は、2022年9月に米国で行われたカテーテル治療学会Transcatheter Cardiovascular Therapeutic(TCT)で発表されました。R.A.V.I.の臨床試験では、多くの腹部カテーテル治療において、従来から行われてきた太ももの動脈からアクセスする手技に代わり、ラジアル手技が第一選択になりうることが示されました。研究内容は、2023年3月に開催された、米国最大級のインターベンショナル・ラジオロジー(画像下治療)の学会であるSociety of Interventional Radiology(SIR)にて発表されました。血管事業では、胸部大動脈用ステントグラフト「RelayPro」の適応が拡大され、従来の胸部大動脈瘤への適応に加えて、日本と米国において胸部大動脈解離、米国において外傷性胸部大動脈解離への適応を取得しました。Relay Proは、ステントグラフトを収納して血管内を運ぶデリバリーシステム(シース)を細径化したことで、血管アクセスがしやすくなり、簡便な操作が期待できる製品です。当事業に係る研究開発費は348億円となりました。 メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション事業では、留置針の新モデル「サーフローZERO」を日本で発売しました。独自開発した「3D針」を採用し、穿刺時に血管を捉えやすい針のデザインと、血管確保を視認できる仕組み「OKフラッシュ」を搭載することで、留置成功率の向上を目指しています。ライフケアソリューション事業では、日本で販売中の持続血糖測定器「Dexcom G6 CGMシステム」の保険適用区分に、「C150 血糖自己測定器加算」が追加されました。これにより、糖尿病の病型に関わらず、インスリン自己注射を1日に1回以上行っている全ての方に、保険診療下でDexcom G6をご利用いただくことができるようになりました。本製品は、Dexcom社(米国)が開発・製造しており、テルモは2018年に同社と提携、持続血糖測定器の日本での独占販売権を取得しています。ファーマシューティカルソリューション事業では、協和キリン株式会社と共同開発したコンビネーション製品「ジーラスタ®皮下注3.6mgボディーポッド」が日本で発売されました。ジーラスタ®皮下注3.6mgは、薬剤の投与が自動で行われるため、がん化学療法と同日に使用することで、翌日に投与するための通院が不要となり、患者さんの通院負担と医療従事者の業務負担の軽減に繋がることが期待されています。当事業に係る研究開発費は75億円となりました。 血液・細胞テクノロジーカンパニー細胞・遺伝子治療分野のプロセス開発から商業生産までをサポートするバイオリアクター「Quantum Flex Cell Expansion System」を米国で発売しました。Quantum Flexを使用することで、開発者は、製造に使用するのと同じプラットフォーム上で初期のプロセス開発を完了させ、細胞が増殖するための培養環境を作り出すことができます。早期のプロセス開発により、臨床試験の後期段階におけるコストや予期せぬプロセス逸脱のリスクを低減できる可能性があります。米国コロラド州オーロラにあるCSL Plasma社(米国)の血漿採取センターで、原料血漿採取システム「Rika」を使用した、初のドナーからの血漿採取が完了しました。Rikaは、2022年3月にFDA認証を取得した原料血漿採取システムで、拡大する血漿分画製剤の需要に応えることを目的に開発されました。現在、Rikaは限定上市の段階で、今後、米国にある他のCSL Plasmaの血漿採取センターへシステムを順次導入する予定です。また、血漿採取センターの運営業務を支援するソフトウェアなどを通して一連のプロセスの効率を向上し、原料血漿採取に革新をもたらすエコシステムを提供していくことを目指します。当事業に係る研究開発費は112億円となりました。 その他カンパニーや事業の枠を超えた全社的な連携を推進するR&D部門では、自社開発による戦略的ポートフォリオの構築や競争優位の源泉となるコア技術の深化・応用展開に加え、必要技術獲得のための外部投資やオープンイノベーション(社外との連携)にも取り組んでいます。2022年度は、5カ年成長戦略「GS26」で掲げている、技術軸のCenter of Excellence(CoE、組織を横断する取り組みを継続的に行う際に中核となる部門)を導入しました。技術CoEのメンバーがあらゆる開発テーマに横断的に参画することで、全社の技術やノウハウを蓄積、発展させながら開発の成功確率やスピードの向上を図ります。加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)については、2021年4月に発足したDX推進室が、各カンパニーやオペレーション部門が進めるDX関連プロジェクトに関する情報を集約し、その連携を促すなど、「事業創出のDX」と「オペレーションのDX」の2つを推進しています。2022年度には、グローバルの経営役員が集まるGlobal Leadership Meetingを「One Terumo DX」をテーマに開催しました。また四半期に一度、全社的なDXの方向性を定めるためのDXディレクション会議の開催を開始。全社的な協働を促し、各プロジェクトをより強力に推進する体制を構築しました。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用81億円が含まれております。
FY2022|2,455 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発費は518億円(売上収益比率7.4%)となりました。 心臓血管カンパニーTIS事業では、日本で薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスターナゴミ」を発売しました。従来品の基本デザインを継承しつつ、より使い勝手の良い製品ラインアップへ拡充しました。具体的には、血管の分岐部など、径の大きい病変にも使用できるよう、拡張限界が国内最大のサイズや、長い病変も1つのステントで治療できるよう、50mm長を品揃えしました。2022年度以降には、販売地域も拡大する予定です。ニューロバスキュラー事業では、米国で、脳動脈瘤治療に用いる血流改変ステント「FRED X」を発売しました。独自に開発したナノポリマーがステントの表面に塗布されており、合併症リスクを低減することが期待されています。欧州でも販売を開始しており、さらに販売地域も拡大する予定です。血管事業では、胸部大動脈用ステントグラフト「RelayPro」が、米国と日本で胸部下行大動脈瘤への適応を取得しました。ステントグラフトを収納して、血管内を運ぶデリバリーシステム(シース)を細径化したことで、血管アクセスがしやすくなり、簡便な操作が期待できます。今後は、胸部下行大動脈瘤以外の適応も追加取得する予定です。当事業に係る研究開発費は297億円となりました。 メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション事業では、輸液ポンプの新モデル「テルフュージョン輸液ポンプ18型」を日本で発売しました。従来からの使いやすさを維持し、視認性・持ち運びやすさを向上させ、近距離無線通信機能を付加した製品です。あらゆる医療現場で使用できるエントリーモデルとして、2022年度以降は海外展開も予定しており、将来的には、グローバルで約1万台の販売を目指します。ライフケアソリューション事業では、持続血糖測定器「Dexcom G6 CGMシステム」を日本で発売しました。従来品では、測定値の受信に専用のモニターが必要でしたが、スマートフォンのアプリで測定値の閲覧や管理ができるようになりました。また、アプリを介して測定値を10人まで共有できるため、医療機関による遠隔診療などにも活用可能です。本製品は、Dexcom社(米国)が開発・製造しており、テルモは、2018年に同社と提携、持続血糖測定器の国内での独占販売権を取得しています。ファーマシューティカルソリューション事業では、協和キリン株式会社が、当社と共同開発中の薬剤自動投与デバイスを用いた製品について、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした製造販売承認申請を行ったことを発表しました。本デバイスは、薬剤の投与が自動で行われるため、がん化学療法と同日に使用することで、翌日に投与するための通院が不要となり、患者さんの通院負担と医療従事者の業務負担の軽減につながることが期待されています。当事業に係る研究開発費は60億円となりました。 血液・細胞テクノロジーカンパニーアフェレシス治療・細胞採取関連製品では、がん免疫療法に関して、Immunicom社(米国)と、欧州における共同販売提携を締結しました。テルモの遠心型血液成分分離装置「スペクトラ オプティア」と、同社の吸着カラム「LW-02 Column」を組み合わせて使用することで、患者さんのがん細胞から発せられる免疫を抑制するサイトカイン(タンパク質の一種)を減らし、免疫力を向上させることができると期待されています。今後、トリプルネガティブ乳がんの患者さんに対するスペクトラ オプティアとLW-02 Columnを用いたがん免疫療法の臨床効果を検証していきます。新たに、CSL Plasma社(米国)と原料血漿採取における協業を開始しました。また、この協業に向けて、テルモが開発した原料血漿採取システム「Rika」が、米国食品医薬品局(FDA)より、510(k)認証を取得しました。Rikaは、採血時間が平均35分以下に抑えられ、かつ、体外に循環する血液量が200mL以下になる構造になっており、採血を受けるドナーと、採血業務を担う医療従事者双方の負担の軽減が期待されています。今後はCSL Plasma社に対し、Rikaの導入に加えて、ITプラットフォームや現場支援などを含めた総合的なソリューションを提供し、原料血漿採取のエコシステム全体に貢献していきます。当事業に係る研究開発費は90億円となりました。 その他カンパニーや事業の枠を超えた全社的な連携を推進するR&D部門では、自社開発による戦略的ポートフォリオの構築や競争優位の源泉となるコア技術の深化・応用展開に加え、必要技術獲得のための外部投資やオープンイノベーション(社外との連携)にも取り組んでいます。2021年度は、GS26で掲げている、技術軸のCenter of Excellence(CoE、組織を横断する取り組みを継続的に行う際に中核となる部門)の導入準備を進めました。テルモのCoEは、具体的には、機構設計と加工技術、マテリアル・医薬・再生、生体センシング、デジタル、評価という5つの技術領域を対象としています。加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)については、2021年4月に発足したDX推進室が、各カンパニーやオペレーション部門が進めるDX関連プロジェクトに関する情報を集約し、その連携を促すなど、「事業創出のDX」と「オペレーションのDX」の2つを推進しています。2021年度には、「One Terumo DXコンソーシアム」を立ち上げて、社内ネットワークづくりを開始し、人財開発室とはデジタル人財の育成で連携し、「Terumo DX College」という研修プログラムをスタートさせました。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用71億円が含まれております。
FY2021|2,739 文字
5【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発費は491億円(売上収益比率8.0%)となりました。 心臓血管カンパニー TIS事業においては、欧州で脚の動脈疾患用ステント「Renzan」の安全性と有効性を評価する臨床研究を開始しました。二層の編み込み構造により、曲がりくねった血管にも沿う高い柔軟性に加え、拡張時には血管を強く押し広げながら、留置後は血管に与えるストレスを抑えるバランスの取れたステントを目指して開発しました。 ニューロバスキュラー事業においては、日本で2020年4月に血流改変ステント「FRED」、9月に頸動脈用ステント「CASPER Rx」、12月に脳動脈瘤治療用「Woven EndoBridgeデバイス」を発売しました。米国に続いて日本でも、幅広い製品ラインアップを生かした販売拡大を目指します。 血管事業においては、オープンステントグラフト「Thoraflex Hybrid」が米国でブレイクスルーデバイスに指定されました。この指定は、対象疾患の重篤性など一定の要件を満たす画期的な製品に与えられます。人工血管置換術とステントグラフト内挿術の2回の手技をする必要がある手術を、一つの製品で実施できるため、緊急性が求められる大動脈治療における致死率の低減が期待されています。これを機に、米国における販売承認の早期獲得を目指します。 当事業に係る研究開発費は267億円となりました。 ホスピタルカンパニー ホスピタルシステム事業においては、筒先に薬液が残るデッドボリュームを少なくした薬剤投与用注射器「FNシリンジ」の植え込み針を、従来品の13mmから16mmに長くした注射器を開発、2021年3月に製造販売承認を取得しました。2021年度には2,000万本の生産を予定しています。糖尿病領域においては、パッチ式インスリンポンプ「メディセーフウィズ」が2020年11月にCEマーク認証を取得しました。日本に続き欧州でも展開し、患者さんの生活に合わせた治療の実現を目指します。感染対策関連製品としては、消毒のしやすさにこだわって開発したワキ下で測定する電子体温計を2020年5月に、また、直接肌に触れることなく額の体表面温度を測定できる皮膚赤外線体温計を2021年3月に発売しました。いずれも、感染症のスクリーニングや拡大防止のニーズに応えることを目的に、日本の医療機関向けに販売します。 アライアンス事業では、テルモ山口D&D㈱が製造を受託するバイオシミラーに関して、2020年6月に日本、7月に米国におけるGMP (Good Manufacturing Practice) 適合を取得しました。GMP適合の対象は、協和キリン富士フイルムバイオロジクス㈱が両国において製造販売承認を取得したアダリムマブBS皮下注「FKB」です。関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療に用いられ、テルモが開発したプラスチック製の注射器「PLAJEX」に薬剤が充填されています。引き続き、製薬企業のニーズに応える開発製造受託(CDMO)ビジネスを拡大し、より良い医療の普及に努めてまいります。 当事業に係る研究開発費は57億円となりました。 血液・細胞テクノロジーカンパニー 遠心型血液成分分離装置「スペクトラ オプティア」が米国において、新型コロナウイルス感染症の患者さんを対象とする緊急使用の許諾を受けました。インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症では、ウイルスを排除するために分泌されたサイトカインが、サイトカインストームと呼ばれる過剰な免疫反応を起こし、重篤な呼吸障害につながることが知られています。Marker Therapeutics AG社の「D2000吸着カートリッジ」と組み合わせて使用し、血漿中に存在するサイトカインを減らすことで、サイトカインストームの抑制と呼吸障害の改善が期待されます。 また、細胞治療に用いる自家細胞分離・調製システム「スマートプレップ」を日本で2020年11月に発売しました。患者さんから採取した血液成分などを分離・濃縮するシステムで、治療目的に基づき2種類のキットを使い分けることで、1台の遠心分離機で血液成分の分離や骨髄液の濃縮を行うことが可能です。 当事業に係る研究開発費は97億円となりました。 その他 コーポレートR&Dセンターでは、中長期的な視点からカンパニーや事業の枠を超えた全社的な連携を推進し、社会的インパクトの大きい医療課題の解決に向けてイノベーションの創出を目指しています。活動のアプローチとしては、自社開発による戦略的ポートフォリオの構築や競争優位の源泉となるコア技術の深化・応用展開に加え、必要技術獲得のための外部投資やオープンイノベーション(社外との連携)を推進しています。その一環として、中国国内の新規技術に早い段階から関与することを目的として、2020年9月に中国ベンチャーキャピタルのCDキャピタルの新規ファンドに参画しました。中国の医療ニーズに合致した医療機器やデジタルヘルスの技術を取り込み、中国国産製品の拡充や新たなビジネスモデルの構築につなげます。医療機器業界におけるこのような投資は、企業の研究開発や事業開発を補完し、新技術の獲得や事業買収につながる戦略の一つになっています。テルモも2013年から、米国のファンドに参画し、6年間で2,000件を超えるスタートアップを評価してきました。そこで培われた経験を生かして、ファンドへの投資に加え、テルモとしても直接スタートアップへの出資をしています。 2021年4月に設立したDX推進室は、グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を描き、顧客への提供価値を向上させる「事業創出のDX」と、業務の効率性を向上させ、生産・物流などのバリューチェーンを進化させる「オペレーションのDX」を推進する組織です。テルモはこれまで、院内ITと連携した薬剤投与システムや、心疾患に対する治療支援システムなど個別製品におけるIT活用とともに、基幹システムのグローバル統合などオペレーションのIT化も進めてきました。グループ全体の視点から、事業創出とオペレーションの両面で変革を遂行することで、急性期の治療を支える製品群だけでなく、予防から治療後のケアまで、患者がたどる「ペイシェントジャーニー」を支えるソリューションの提供や、デジタル技術を活用した営業手法やサプライチェーンの最適化など、さらなる成長につながる価値創出を目指します。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用70億円が含まれております。
FY2020|1,887 文字
5【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発費は506億円(売上収益比率8.0%)となりました。 心臓血管カンパニー 末梢動脈疾患の治療用ステント「Misago」(ミサゴ)に、手首の血管から脚の病変部まで届く長い仕様を新たに追加し2019年10月に米国で販売開始しました。このような手首からのアプローチ方法は、脚の付け根から挿入する手技と比べて、術後のカテーテル挿入口からの出血リスク低減や在院日数の短縮などが期待できます。急性期脳梗塞の治療分野においては、血栓吸引カテーテル「SOFIAFLOW Plus」(ソフィアフロー プラス)を、2019年9月に日本で発売しました。また、脳動脈瘤治療のうち、瘤が血管分岐部にあり、かつ入り口が広いワイドネック型の症例への新たな選択肢として、袋状の塞栓デバイス「WEB」(ウェブ)を、2019年4月に米国で本格販売開始、2020年度には日本でも発売する予定です。さらに、血流改変ステント「FRED」(フレッド)を、2020年1月に米国で、2020年4月に日本で販売開始しました。今後も医療の低侵襲化を牽引する製品開発を継続していきます。 当事業に係る研究開発費は290億円となりました。 ホスピタルカンパニー ICUや病棟で使用される輸液ポンプやシリンジポンプについて、病院のITシステムと連携可能な製品ラインアップを拡充させるとともに、医療機関やIT関連企業とデジタル化による医療現場の安全安心の向上と効率的な医療の実現に向けたプロジェクトを推進しています。当社の薬剤充填用注射器「PLAJEX」(プラジェックス)に薬剤があらかじめ充填された骨粗鬆症治療剤「テリボン®皮下注28.2㎍オートインジェクター」が2019年12月に旭化成ファーマ㈱から発売されました。在宅自己注射の場合は、取り扱いの安全性が重視されるため、「PLAJEX」の割れにくいプラスチック素材や充填した薬剤の安定性を保つ設計が評価され、採用されました。引き続き、製薬企業のニーズに応える開発製造受託を拡大し、より良い医療の普及に努めてまいります。 当事業に係る研究開発費は52億円となりました。 血液・細胞テクノロジーカンパニー 細胞製剤における製剤化の最終工程である、充填・仕上げ作業を補助する装置「FINIA」(フィニア)を米国、欧州、日本など各国で展開しました。採取した細胞を加工・培養し、細胞の働きを利用して難治性疾患を治療する「細胞治療」は近年、新しい治療法として広がりをみせている分野です。「FINIA」は細胞と薬剤の混合工程から、完成した製剤を必要分量に小分けしてバッグに充填するまでの全工程を自動で行う装置です。細胞治療の研究開発や実用化が加速し、細胞製剤の量産化や品質管理が課題となっているなか、独自の全自動技術を生かし、作業者の効率を向上させます。また、専用アプリケーションによる作業記録の確実かつ簡便なデータ管理が可能なため、品質管理の向上に貢献できます。 当事業に係る研究開発費は96億円となりました。 その他 コーポレートR&Dセンターでは、中長期的な視点からカンパニーや事業の枠を超えた全社的な連携を推進し、社会的インパクトの大きい医療課題の解決に向けてイノベーションの創出を目指しています。活動のアプローチとしては、自社開発による戦略的ポートフォリオの構築や競争優位の源泉となるコア技術の深化・応用展開に加え、必要技術獲得のための外部投資やオープンイノベーション(社外との連携)を推進しています。その一環として、2つの米国ベンチャーキャピタルファンドにそれぞれ最大2,500万米ドルを投資することを決定しました。医療機器事業戦略や法規制に詳しい両ファンドの運用チームと連携を図ることで、テルモとしても直接スタートアップへの出資を通じて、事業戦略に合う新技術を獲得するとともに、革新的なアイデアを見極める能力の向上につなげています。また、米国の西海岸の自社開発拠点(テルモベイエリアイノベーションラボ)を強化し、事業と開発の連携を促進することで、イノベーションを加速していきます。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用68億円が含まれております。 ※ 当連結会計年度より、従来の「血液システムカンパニー」のセグメント名称を「血液・細胞テクノロジーカンパニー」に変更しております。詳細は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(5.セグメント情報)」に記載のとおりです。
FY2019|1,619 文字
5【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発費は477億円(売上収益比率8.0%)となりました。 心臓血管カンパニー 脳動脈瘤治療に用いる袋状の塞栓デバイス「WEB」の開発を進め、2018年12月に米国で販売承認を取得しました。一方で、急性期脳梗塞の治療分野においても、日本で脳血栓吸引カテーテル「SOFIAFLOW Plus」の製造販売承認を取得し、2019年上期の販売開始を予定しています。狭心症や心筋梗塞におけるより複雑な治療に対応するため、既存の薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster」の次世代品「Ultimaster Tansei」を、2018年5月に欧州、9月に日本で販売を開始しました。同様に、複雑な病変に対応するPTCAバルーンカテーテル「Ryurei」を2018年12月に日本で発売しました。世界でトップレベルのシェアを有する人工肺では、世界最少充填量の人工肺「Capiox NX19」を米国と欧州で発売しました。今後、日本を含むアジア各地域での販売を予定しています。胸部大動脈用ステントグラフト「RelayPro」は、高い追従性と的確な留置を目指して開発を進めたもので、2019年4月に欧州で発売しました。 当事業に係る研究開発費は250億円となりました。 ホスピタルカンパニー 世界的に幅広く使用されている持続血糖測定器(CGM)を提供している米国デクスコム社と2018年5月に日本での独占販売権の契約を締結し、2019年2月には、同社の持続血糖測定器「Dexcom G4 PLATINUMシステム」の販売を開始しました。自社製品であるパッチ式インスリンポンプ「メディセーフウィズ」との連動や、同社の次世代持続血糖測定器について協議を進めています。欧州では、バイオ医薬品にも対応できるように開発されたプラスチック製の薬剤充填用注射器「PLAJEX」を市場導入しました。当社が受託製造しているバイオシミラー「Hulio®※1」皮下注射製剤に採用されており、「PLAJEX」に充填された医薬品が海外で市場導入されたのは初めてとなります。製薬企業とのアライアンス事業を拡大するため、現在各社と開発を進めています。 当事業に係る研究開発費は47億円となりました。 血液システムカンパニー 細胞増殖システム「Quantum」が、中国のユニカーセラピー・バイオメディシン・テクノロジー社のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)の製造(培養)手順自動化にあたり導入されました。また、2018年6月にはテルモBCT英国ラーン工場製のクエン酸ナトリウム水和物4% (w/v) 抗凝固剤※2の米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しました。同抗凝固剤は、近年米国FDAの正式な医薬品不足リストに掲載されていたことから、この承認によって米国における同抗凝固剤不足の緩和に役立つことが期待されます。 当事業に係る研究開発費は97億円となりました。 その他 コーポレートR&Dセンターでは、中長期的な視点からカンパニーや事業の枠を超えた全社的な連携を推進し、社会への影響が大きい医療課題の解決に向けてイノベーションの創出を目指します。グループ内の横断的連携を活発化させる機会として、2018年度は、グローバルから過去最多のR&Dに関連するアソシエイトが集まり、グローバルテクノロジーフェアを開催しました。海外の開発拠点や各生産拠点との連携により、自社開発力の強化を図ります。これらに加え、社外との連携による新規技術やアイデアの探索などにも取り組んでいきます。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用83億円が含まれております。 ※1 アッヴィ社「ヒュミラ®」のバイオシミラー※2 一般的に、クエン酸ナトリウム水和物抗凝固剤はアフェレシスによる血漿採取の際に血液の凝固を阻止するために用いられます。
FY2018|1,213 文字
5【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発費は413億円(売上収益比率7.0%)となりました。 心臓血管カンパニー 心臓血管カンパニーでは、狭心症や心筋梗塞におけるより複雑な治療に対応するため、既存の薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスター」(Ultimaster)の次世代品の開発を進めました。2018年度の5月に欧州で、下期に日本での販売開始をそれぞれ予定しています。世界でトップレベルのシェアを有する人工肺では、動脈フィルター内蔵型人工肺の新製品開発に注力しました。血液の体外循環による患者さんへの負担を軽減するべく、血液充填量を世界最小に抑えることを目指した製品で、2018年度に日本、米国、欧州などでの販売を予定しています。また新興国のニーズに合わせた人工肺の開発も進めていきます。末梢血管領域の製品では、下肢末梢動脈疾患の治療に使用する薬剤塗布バルーンカテーテルの開発を進めました。既存の製品で課題とされている点の改善を目指し、塗布した薬剤が病変部に到達するまでの間に脱落しづらく、かつバルーンの拡張時には速やかに血管組織に移行することを目指した独自のコーティングを用いています。2018年度に欧州で販売を開始する予定です。 当事業に係る研究開発費は240億円となりました。 ホスピタルカンパニー ホスピタルカンパニーでは、日本初のスプレー式癒着防止材「アドスプレー」の販売を開始しました。本製品は、外科手術後の損傷部位周辺での癒着を軽減する目的で使用されます。開腹手術や腹腔鏡手術などの手術方法を問わず、手術の対象となる臓器の裏面や深部にも柔軟性をもって塗布できるデザインを採用しています。また、2017年11月に日本初となるパッチ式インスリンポンプ「メディセーフウィズ」の製造販売承認を取得しました。「メディセーフウィズ」は、患者さんの日常的な活動を普段どおりに行っていただけるよう、チューブフリー設計になっています。現在、2018年度に販売を開始すべく、準備を進めています。 当事業に係る研究開発費は36億円となりました。 血液システムカンパニー 血液システムカンパニーでは、日本の血液センター向けでは初となる、血液自動製剤システム「タクシー」(TACSI)の正式採用が決定しました。効率的に、均一で高品質な全血の遠心分離を実現するためのシステムで、2018年度より全国の血液センターに順次導入を進める予定です。米国では、病原体低減化システム「ミラソル」(Mirasol)の臨床治験が開始されました。本治験は米国保健福祉省から生物医学先端研究開発局を通じて、「ミラソル」を用いた血小板製剤の病原体低減化治験に関する助成金を受給し、実施されるものです。 当事業に係る研究開発費は82億円となりました。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用55億円が含まれております。
FY2017|732 文字
6【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発費は337億円(売上高比率6.6%)となりました。 心臓血管カンパニー 心臓血管カンパニーでは、日本でUltimasterのラインアップ拡充を進め、平成28年8月にステント径4mm、平成29年2月に同2.25mmの製品を販売開始しました。また、同じく平成29年2月には、日本で超音波画像診断装置「VISICUBE」と血管内超音波カテーテル「AltaView」の本格販売を開始しました。画像の高精細化、画像取得・処理の高速化に加え、装置の軽量化、操作性の向上を図ることで、検査の準備・診断・読影などにかかる時間を短縮しました。 当事業に係る研究開発費は176億円となりました。 ホスピタルカンパニー ホスピタルカンパニーでは、平成28年6月に、日本で初めてのスプレー式癒着防止材「アドスプレー」の製造販売承認を取得しました。また、平成29年2月には、日本で唯一のアセトアミノフェン点滴バッグ製剤である解熱鎮痛剤「アセリオ静注液1000mgバッグ」の販売を開始しました。 当事業に係る研究開発費は37億円となりました。 血液システムカンパニー 血液システムカンパニーでは、日本の血液センター向けとしては初となる、血液自動製剤システム「TACSI」の開発と初期導入を行いました。米国では、米国保健福祉省から生物医学先端研究開発局(BARDA)を通じて、病原体低減化システム「Mirasol」を用いた血小板製剤の病原体低減化治験に関する助成金を受給することが決定しました。 当事業に係る研究開発費は71億円となりました。 なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用53億円が含まれております。
FY2016|636 文字
6【研究開発活動】 当連結会計年度の研究開発費は331億円(売上高比率6.3%)となりました。 心臓血管カンパニー 心臓血管カンパニーでは、薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster」の製造販売承認を日本でも取得し、2015年10月に発売しました。また、米国では、末梢動脈疾患治療用ステント「Misago」が、2015年6月に体内埋め込み型の医療機器として日本企業で初めてFDA(米国食品医薬品局)の承認を取得し、販売を開始しました。カテーテルを使ったがん治療の分野では、抗がん剤を吸着させて肝臓がんなどの治療に使用する、薬剤溶出ビーズを欧州で発売しました。 当事業に係る研究開発費は164億円となりました。 ホスピタルカンパニー ホスピタルカンパニーでは、ワクチンの効果を高めることが期待される皮内投与を、簡便かつ確実に実施できることをコンセプトとした皮内投与型デバイス「イムサイス」を開発しました。 当事業に係る研究開発費は38億円となりました。 血液システムカンパニー 輸血関連製品の開発を行っており、当事業に係る研究開発費は79億円となりました。 再生医療の分野では、虚血性心疾患による重症心不全を対象としたヒト(自己)骨格筋由来細胞シート「ハートシート」が、2015年9月に医薬品医療機器法の施行後初となる条件及び期限付承認を取得しました。 再生医療を含め、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用48億円が含まれております。