2433

博報堂DYホールディングス(2433)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

サービス業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 統合マーケティングソリューション: 博報堂DYホールディングスは、広告事業会社と総合メディア会社を中心に、顧客企業のマーケティング戦略立案から、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、インターネット、屋外広告といった多様な媒体での広告取扱いや広告制作までを一貫して提供しています。コンサルティング、リサーチ、セールスプロモーション、イベント実施など、幅広い専門サービスを通じて顧客の課題解決を支援し、収益を得ています。
  • 持株会社体制: 当社は持株会社として、国内外に多数の子会社と関連会社を擁する企業集団を統括しています。これにより、各専門分野の子会社が連携し、顧客に対して多角的なマーケティングサービスを提供できる体制を構築しています。グループ全体の連携を強化し、効率的な事業運営とシナジー効果の創出を目指しています。
  • 多様な専門サービス: 広告媒体の取扱いや制作だけでなく、コンサルティング、市場調査、販売促進、広報活動(PR)、イベント企画・実施など、マーケティングに関するあらゆる専門サービスを提供しています。これにより、顧客のニーズに合わせた最適なソリューションを提案し、多角的な収益源を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 統合マーケティング事業(国内): 博報堂、大広、読売広告社、Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウトなどが中心となり、国内の顧客企業に対して幅広いマーケティングサービスを提供しています。新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、インターネット、屋外広告などの媒体取扱いや広告制作、コンサルティング、リサーチ、セールスプロモーション、イベント実施など多岐にわたります。
  • 統合マーケティング事業(海外): DAC ASIA PTE.LTD.、省广博報堂整合営銷有限公司、Hakuhodo(Bangkok) Co., Ltd.など、アジアを中心に海外の地域を拠点として広告事業を展開しています。現地の顧客企業に対し、各地域の市場特性に合わせたマーケティングソリューションを提供し、グローバルな事業拡大を目指しています。
  • 戦略事業組織kyu: kyuは、コンサルティング会社やデザイン会社など、多様な専門性を持つ企業群で構成される戦略事業組織です。広告事業の枠を超え、顧客企業の経営課題解決に貢献する高付加価値なサービスを提供しています。これにより、新たな事業領域の開拓と収益源の多様化を図っています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,413 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社(持株会社)の他、子会社385社及び関連会社66社により構成されており、マーケティングサービス企業集団として顧客に対する統合マーケティングソリューションの提供を主たる業務としております。具体的には、広告事業会社である㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウト㈱及び㈱オプト並びに戦略事業組織であるkyuを中心に、顧客企業のマーケティング戦略・マーケティングに関する各種計画の立案に始まり、国内外の新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット・屋外広告等の広告媒体取扱や広告制作、コンサルティング、リサーチ、セールスプロモーション、パブリックリレーションズ、イベント実施等の専門マーケティングサービスの提供を国内外において実施しております。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。重要な子会社である、㈱博報堂、㈱大広、㈱読売広告社、㈱博報堂プロダクツ、㈱セレブリックス、㈱東北博報堂、㈱新潟博報堂、㈱静岡博報堂、㈱中国四国博報堂、㈱北海道博報堂、㈱北陸博報堂、㈱TBWA\HAKUHODO、㈱博報堂DYスポーツマーケティング、㈱Hakuhodo DY ONE、㈱中央アド新社、㈱博報堂コンサルティング、㈱博報堂キャスティング&エンタテインメント、㈱博報堂Gravity、㈱オズマピーアール、㈱バックスグループ、㈱カラック、㈱ディー・ブレーン、㈱ジェーピーディーエイチ、㈱OMD HAKUHODO、㈱九州博報堂、㈱博報堂アイ・スタジオ、㈱読広クロスコム、㈱大広WEDO、㈱ディー・クリエイト、㈱大広九州、㈱博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、㈱デジタルホールディングス、㈱オプト、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂DYコーポレートイニシアティブ、ソウルドアウト㈱、SO Technologies㈱、ENND PARTNERS㈱は国内の各地域を拠点として、DAC ASIA PTE.LTD.、省广博報堂整合営銷有限公司、北京代博広告有限公司、広東省広代博広告営銷有限公司、Hakuhodo Taipei Investment Inc.、Hakuhodo(Bangkok) Co., Ltd.、Hakuhodo First Co., Ltd.、AdGlobal360 India Pvt. Ltd.、Square Communications Joint Stock Company、Hakuhodo Integrated Communications Group、Hakuhodo & Saigon Advertising Co., Ltd.、KYU Investment Incorporated、SYPartners LLC、Sid Lee Inc、IDEO LLC、Kepler Group LLC、Godfrey Dadich Partners LLC、Lexington Communications Limited、Public Digital Holdings Limitedは海外の地域を拠点として広告事業を行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
広告主がコスト削減、取引関係の合理化等の要請を強める昨今の状況の中で、報酬等の水準が今後も保証されるものではないため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ブランド
サービスの多様化、企画力、創造的提案力、経験、広告主との長年の継続的な取引関係。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:経済状況・市場環境の変動 / 当社グループの事業活動に関するリスク / 広告業界における取引慣行
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

博報堂DYグループは、長年にわたり培ってきた強力なブランド力とクリエイティブ能力、そして多様な顧客基盤を持つ。特に、大手広告主との長期的な関係性や、独自の調査・分析能力は、新規参入障壁となっている。統合マーケティング・コミュニケーション(IMC)の推進によるブランド価値向上への貢献は大きい。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

大手広告主との長期契約や、顧客の事業戦略に深く関与するコンサルティング的なサービス提供により、顧客企業は博報堂DYグループのサービスを容易に切り替えられない。特に、ブランド構築や大規模キャンペーンにおいては、信頼関係と実績が重視されるため、スイッチング・コストは高い。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

広告業界全体として、メディアプラットフォームやクリエイターとのネットワークは存在するが、博報堂DYグループ固有の強力なネットワーク効果(ユーザー増→価値増)は限定的。プラットフォーム型ビジネスとは異なり、直接的なネットワーク効果は薄い。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

広告制作やメディアバイイングにおいて、規模の経済によるコスト削減の余地はあるが、業界全体として価格競争が激しく、構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。個々の案件における交渉力や効率化努力は存在する。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

日本の広告業界において、電通グループと並ぶ大手であり、国内市場におけるプレゼンスは大きい。大規模なキャンペーンやグローバル案件に対応できる体制、多様なメディアへのアクセス力、人材リソースは、中小広告代理店に対する優位性となっている。

  • 幅広い顧客基盤と多様なサービス: 広範囲の業種にわたる顧客基盤を構築しており、特定の業界の景気変動に左右されにくい安定性を持っています。また、マーケティング・コミュニケーションサービスの多様化を進めることで、顧客の様々なニーズに対応し、競争優位性を確立しています。
  • グループの総合力と専門性: 博報堂、大広、読売広告社といった主要な広告事業会社に加え、博報堂DYメディアパートナーズのような総合メディア会社、さらには戦略事業組織kyuなど、多様な専門性を持つグループ会社が連携しています。これにより、顧客に対して統合的かつ質の高いマーケティングソリューションを提供できる点が強みです。
  • 国内外の事業展開: 国内の主要都市に拠点を置く子会社に加え、アジアを中心に海外にも多数の拠点を展開しています。これにより、グローバルな視点でのマーケティングサービス提供が可能となり、海外市場の成長を取り込むことで事業規模の拡大とリスク分散を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻くビジネス環境は大きな変革期を迎えております。生活者があらゆるものの中心となる、「生活者主導社会TM」が本格的に到来したことに加え、生活者や企業の行動においてサステナビリティが重要なファクターとなりつつあります。また、AIなど先端テクノロジーやデジタルインフラの充実により産業構造が変化すると同時に、テクノロジーによる人の能力や可能性の拡張が進行しています。こうした中、顧客企業のニーズは従来の広告・マーケティング領域にとどまらず、ビジネスモデルの変革や顧客接点の質的向上へと大きく広がっています。この劇的な環境変化を背景に、当社グループは「広告会社」というオリジン(原点)を超え、より広範な価値を提供する企業体へと事業構造を転換する方針です。不確実性の高い時代においてグループ全体の変革を推し進めるには、すべての判断や動機づけの根幹となる「存在意義」の明確化が不可欠です。そこで、グローバルな視座に基づく当社グループ共通の価値観として、グローバルパーパス「生活者、企業、社会。それぞれの内なる想いを解き放ち、時代をひらく力にする Aspirations Unleashed」を策定しました。このグローバルパーパスを全ての企業活動の起点に据え、当社グループのクリエイティビティをエッジに、生活者・企業・社会をつなぎ、新たな関係価値を生み出すことで、広告会社グループから「クリエイティビティ・プラットフォーム」となることを目指します。 (1) 中期基本戦略当社グループが新たな関係価値を生み出す事業領域として、「マーケティング」「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」「グローバル」の6つの事業領域を設定しました。各領域が独自のビジネスモデルで収益を拡大させるだけでなく、領域間の有機的な連携を深めることで、さらなる成長と事業基盤の安定化を図る方針です。現中期経営計画期間(2025年3月期~2027年3月期)を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置づけ、マーケティングビジネスの構造改革と新たな成長機会の開発を強力に推し進めます。その上で、2032年3月期をターゲットに、これら6領域の確立と相互連携を完成させ、グループ全体の利益構造を抜本的に変革してまいります。この基本戦略に基づき、以下に掲げる3つの取り組みを進めます。 (2) 収益性の改善と成長オプションの創造・マーケティングビジネスの構造変革統合マーケティングへのニーズが高度化・複雑化する中、事業会社間の連携強化と収益モデルの多様化を進め、グループとして最適なサービス提供体制を構築しています。特に成長著しいデジタルおよびコマース領域を強化し、事業規模のさらなる拡大を実現します。このグループ連携を一段と加速させるため、持株会社直轄の「グループアカウント戦略室」を中核に、グループ各社の専門性をシームレスに融合させ、リソース配置の最適化による効率化と生産性の向上を推進します。成長を続けるデジタルマーケティング領域において、㈱Hakuhodo DY ONEにおける事業統合効果によって持続的な収益改善の体制が整いました。あわせて、連結子会社となった㈱デジタルホールディングスとの連携により、クロスセル提案を加速させ、成長領域における市場シェアを拡大してまいります。また、数万人規模の生活者データを学習させた独自AI「バーチャル生活者」をはじめとする自社開発のテクノロジーやソリューションの実装を進めてまいります。高度な分析に基づく戦略立案を武器に、大型競合案件における勝率を高めると同時に、業務の高度化による付加価値向上を実現しています。これら一連の取り組みを通じ、ブランド構築から顧客獲得までを一気通貫で支援する「フルファネル対応力」をグループ全体で提供する体制へ進化させてまいります。事業会社間の連携をさらに深め、収益モデルを多様化させることで、売上総利益の持続的成長と高収益体制の両立を確固たるものにしてまいります。 ・新たな成長オプションの創造当中期経営計画の3カ年の間、「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」の各事業領域に対し積極的な投資を行い、事業基盤を構築することで、グループの収益の柱として育成しています。コンサルティングビジネスにおいて、戦略コンサルティングを起点に、経営課題のレイヤーから顧客に深く入り込むことで、大規模な統合マーケティング案件へと繋げる収益拡大モデルなど、グループ連携をてこにした収益力強化を進めています。コンテンツビジネスでは、自社IPを活用したストック型ビジネスの拡張を推進しています。音楽領域では、アーティストのグッズ・チケット販売などを担う新会社「㈱Chapter-I(チャプター・アイ)」を設立したほか、スポーツ領域では日米トップアスリートを対象としたマネジメント会社を取得し、「HAKUHODO Athlete Solution Inc.」として本格稼働させており、新たな収益基盤の構築を着実に進めています。これらの新たな成長オプションの創造をさらに加速させるため、コンテンツビジネスおよびインキュベーションビジネスの推進機能を持株会社に集約しました。これにより、経営陣による投資判断の迅速化と、グループ全体での事業運営機能の強化を図り、新規領域における投資対効果の最大化を目指します。 ・グローバルビジネスのリモデル海外に拠点を置くグループ各社が、それぞれ個別戦略の推進とサービス提供エリアの拡張を遂行すると同時に、グループ内連携を強化します。戦略事業組織kyuの持つ専門性・先進性と、博報堂の生活者発想をかけあわせることで、デジタルマーケティング領域を中心に収益力を強化します。加えて、M&Aによる非連続な成長機会の探索を継続します。戦略事業組織であるkyuにおいて経営体制を刷新し、収益性の改善を最優先課題として取り組んでいます。各社に分散していた管理機能のシェアードサービス化やグループ内でのリソース共有を強力に推進し、経営効率の向上を図ります。成長市場であるASEAN地域においては、㈱博報堂と㈱Hakuhodo DY ONEの一体運営を開始しました。両社のノウハウを融合させることで、顧客提供価値の最大化を追求するとともに、オペレーションコストの最適化を徹底しています。これらの抜本的な体制刷新とコスト構造の改革を通じて、確固たる利益体質へと転換するとともに、売上総利益の持続的な拡大を実現してまいります。 (3) グループ経営基盤の強化前中期経営計画期間に設立した、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂DYコーポレートイニシアティブの2社をはじめとしたグループ共通基盤の強化を継続することで、グループとしての競争力の強化と効率化を図ります。 (4) サステナビリティ経営の推進当社グループは、人を中心としたサステナブルな経営により社会への価値創出を目指します。社員、株主、取引先、メディア、コンテンツホルダー、各種団体をはじめとするマルチステークホルダーとの適切な協働に取り組み、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指しています。サステナビリティ経営の進捗に関しては、環境及びジェンダー平等に対する目標値を設定し各種取り組みを進めております。環境課題については、2050年度のカーボンニュートラルを目標としており、中間指標として2030年度のスコープ1+2の排出量を2023年度(2024年3月期)比で50%削減する目標を設定しております。また、ジェンダー平等については、2030年度までに管理職の女性比率30%の達成を目指しています。2026年3月期は、安定的な調達(QCDの確保)、社会的責任(人権・環境)の遂行、法令順守とリスク管理体制の確立を目的に、調達基本方針・調達ガイドラインを策定するなど、各種取り組みを行いました。ESG各領域でサステナビリティ経営を推進すると同時に、社会課題に対応する人材の育成を行い、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現を目指します。 (5) 中期経営計画における目標当社グループは、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置付けており、「成長性の維持・向上」「収益力の強化」を踏まえた計画値としました。新たな中期経営目標は、以下のとおりです。 調整後のれん償却前営業利益年平均成長率(注1):+10%以上調整後売上総利益年平均成長率(注2):+5%以上調整後のれん償却前オペレーティング・マージン(注3):13%以上のれん償却前ROE(注4):10%以上 (注1)調整後のれん償却前営業利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。(注2)調整後売上総利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における連結売上総利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。(注3)調整後のれん償却前オペレーティング・マージン=調整後のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益(注4)企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均) 上記に掲げた中期経営目標の達成に向け、掲げた中期基本戦略に則り、グループの変革を着実に進め、中長期での大きな成長と、企業価値の向上を目指してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻くビジネス環境は大きな変革期を迎えております。生活者があらゆるものの中心となる、「生活者主導社会TM」が本格的に到来したことに加え、生活者や企業の行動においてサステナビリティが重要なファクターとなりつつあります。また、AIなど先端テクノロジーやデジタルインフラの充実により産業構造が変化すると同時に、テクノロジーによる人の能力や可能性の拡張が進行しています。こうした中、顧客企業のニーズは従来の広告・マーケティング領域にとどまらず、ビジネスモデルの変革や顧客接点の質的向上へと大きく広がっています。この劇的な環境変化を背景に、当社グループは「広告会社」というオリジン(原点)を超え、より広範な価値を提供する企業体へと事業構造を転換する方針です。不確実性の高い時代においてグループ全体の変革を推し進めるには、すべての判断や動機づけの根幹となる「存在意義」の明確化が不可欠です。そこで、グローバルな視座に基づく当社グループ共通の価値観として、グローバルパーパス「生活者、企業、社会。それぞれの内なる想いを解き放ち、時代をひらく力にする Aspirations Unleashed」を策定しました。このグローバルパーパスを全ての企業活動の起点に据え、当社グループのクリエイティビティをエッジに、生活者・企業・社会をつなぎ、新たな関係価値を生み出すことで、広告会社グループから「クリエイティビティ・プラットフォーム」となることを目指します。 (1) 中期基本戦略当社グループが新たな関係価値を生み出す事業領域として、「マーケティング」「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」「グローバル」の6つの事業領域を設定しました。各領域が独自のビジネスモデルで収益を拡大させるだけでなく、領域間の有機的な連携を深めることで、さらなる成長と事業基盤の安定化を図る方針です。現中期経営計画期間(2025年3月期~2027年3月期)を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置づけ、マーケティングビジネスの構造改革と新たな成長機会の開発を強力に推し進めます。その上で、2032年3月期をターゲットに、これら6領域の確立と相互連携を完成させ、グループ全体の利益構造を抜本的に変革してまいります。この基本戦略に基づき、以下に掲げる3つの取り組みを進めます。 (2) 収益性の改善と成長オプションの創造・マーケティングビジネスの構造変革統合マーケティングへのニーズが高度化・複雑化する中、事業会社間の連携強化と収益モデルの多様化を進め、グループとして最適なサービス提供体制を構築しています。特に成長著しいデジタルおよびコマース領域を強化し、事業規模のさらなる拡大を実現します。このグループ連携を一段と加速させるため、持株会社直轄の「グループアカウント戦略室」を中核に、グループ各社の専門性をシームレスに融合させ、リソース配置の最適化による効率化と生産性の向上を推進します。成長を続けるデジタルマーケティング領域において、㈱Hakuhodo DY ONEにおける事業統合効果によって持続的な収益改善の体制が整いました。あわせて、連結子会社となった㈱デジタルホールディングスとの連携により、クロスセル提案を加速させ、成長領域における市場シェアを拡大してまいります。また、数万人規模の生活者データを学習させた独自AI「バーチャル生活者」をはじめとする自社開発のテクノロジーやソリューションの実装を進めてまいります。高度な分析に基づく戦略立案を武器に、大型競合案件における勝率を高めると同時に、業務の高度化による付加価値向上を実現しています。これら一連の取り組みを通じ、ブランド構築から顧客獲得までを一気通貫で支援する「フルファネル対応力」をグループ全体で提供する体制へ進化させてまいります。事業会社間の連携をさらに深め、収益モデルを多様化させることで、売上総利益の持続的成長と高収益体制の両立を確固たるものにしてまいります。 ・新たな成長オプションの創造当中期経営計画の3カ年の間、「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」の各事業領域に対し積極的な投資を行い、事業基盤を構築することで、グループの収益の柱として育成しています。コンサルティングビジネスにおいて、戦略コンサルティングを起点に、経営課題のレイヤーから顧客に深く入り込むことで、大規模な統合マーケティング案件へと繋げる収益拡大モデルなど、グループ連携をてこにした収益力強化を進めています。コンテンツビジネスでは、自社IPを活用したストック型ビジネスの拡張を推進しています。音楽領域では、アーティストのグッズ・チケット販売などを担う新会社「㈱Chapter-I(チャプター・アイ)」を設立したほか、スポーツ領域では日米トップアスリートを対象としたマネジメント会社を取得し、「HAKUHODO Athlete Solution Inc.」として本格稼働させており、新たな収益基盤の構築を着実に進めています。これらの新たな成長オプションの創造をさらに加速させるため、コンテンツビジネスおよびインキュベーションビジネスの推進機能を持株会社に集約しました。これにより、経営陣による投資判断の迅速化と、グループ全体での事業運営機能の強化を図り、新規領域における投資対効果の最大化を目指します。 ・グローバルビジネスのリモデル海外に拠点を置くグループ各社が、それぞれ個別戦略の推進とサービス提供エリアの拡張を遂行すると同時に、グループ内連携を強化します。戦略事業組織kyuの持つ専門性・先進性と、博報堂の生活者発想をかけあわせることで、デジタルマーケティング領域を中心に収益力を強化します。加えて、M&Aによる非連続な成長機会の探索を継続します。戦略事業組織であるkyuにおいて経営体制を刷新し、収益性の改善を最優先課題として取り組んでいます。各社に分散していた管理機能のシェアードサービス化やグループ内でのリソース共有を強力に推進し、経営効率の向上を図ります。成長市場であるASEAN地域においては、㈱博報堂と㈱Hakuhodo DY ONEの一体運営を開始しました。両社のノウハウを融合させることで、顧客提供価値の最大化を追求するとともに、オペレーションコストの最適化を徹底しています。これらの抜本的な体制刷新とコスト構造の改革を通じて、確固たる利益体質へと転換するとともに、売上総利益の持続的な拡大を実現してまいります。 (3) グループ経営基盤の強化前中期経営計画期間に設立した、㈱博報堂テクノロジーズ、㈱博報堂DYコーポレートイニシアティブの2社をはじめとしたグループ共通基盤の強化を継続することで、グループとしての競争力の強化と効率化を図ります。 (4) サステナビリティ経営の推進当社グループは、人を中心としたサステナブルな経営により社会への価値創出を目指します。社員、株主、取引先、メディア、コンテンツホルダー、各種団体をはじめとするマルチステークホルダーとの適切な協働に取り組み、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指しています。サステナビリティ経営の進捗に関しては、環境及びジェンダー平等に対する目標値を設定し各種取り組みを進めております。環境課題については、2050年度のカーボンニュートラルを目標としており、中間指標として2030年度のスコープ1+2の排出量を2023年度(2024年3月期)比で50%削減する目標を設定しております。また、ジェンダー平等については、2030年度までに管理職の女性比率30%の達成を目指しています。2026年3月期は、安定的な調達(QCDの確保)、社会的責任(人権・環境)の遂行、法令順守とリスク管理体制の確立を目的に、調達基本方針・調達ガイドラインを策定するなど、各種取り組みを行いました。ESG各領域でサステナビリティ経営を推進すると同時に、社会課題に対応する人材の育成を行い、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現を目指します。 (5) 中期経営計画における目標当社グループは、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置付けており、「成長性の維持・向上」「収益力の強化」を踏まえた計画値としました。新たな中期経営目標は、以下のとおりです。 調整後のれん償却前営業利益年平均成長率(注1):+10%以上調整後売上総利益年平均成長率(注2):+5%以上調整後のれん償却前オペレーティング・マージン(注3):13%以上のれん償却前ROE(注4):10%以上 (注1)調整後のれん償却前営業利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。(注2)調整後売上総利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における連結売上総利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。(注3)調整後のれん償却前オペレーティング・マージン=調整後のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益(注4)企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均) 上記に掲げた中期経営目標の達成に向け、掲げた中期基本戦略に則り、グループの変革を着実に進め、中長期での大きな成長と、企業価値の向上を目指してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度における日本経済は、物価高騰による生活防衛意識の高まりが継続するものの、雇用・所得環境の改善に支えられた個人消費の持ち直しや、省力化を目的とした堅調な設備投資に牽引され、内需主導の緩やかな回復が続いています。一方、期末に発生した中東情勢の緊迫化に伴う資源価格の高騰やサプライチェーンの混乱など、先行きの不透明感が急速に高まっております。こうした経済情勢の中、国内広告市場(注1)は総じて前年を上回る水準にあり、堅調に推移しています。このような環境下、当連結会計年度の業績につきましては、ユナイテッド株式会社の連結除外(注2)や官公庁業務の反動減の影響などにより、売上高(注3)は1兆5,804億60百万円(前期比2.0%減収)と減収の結果となりました。一方で、下期(2025年10月~2026年3月)においては、前期比0.9%増加と増収を確保しており、回復の兆しが現れております。収益面におきましては、国内外で進めた収益性向上策が奏功して、調整後(注4)売上総利益は、通期で前年同期比2.4%増加となり、調整後売上総利益率についても1.1ポイント上昇しております。利益面につきましては、国内においては、下期の売上総利益の強い伸長により、調整後のれん償却前営業利益が前年から70億98百万円増加し881億47百万円(同8.8%増加)、海外においては、費用コントロール施策の効果により、のれん償却前営業利益が前年から27億69百万円増加し85億47百万円(同47.9%増加)となり、その結果、営業利益は前年同期から大幅に増加し、前年同期比18.9%の増益となり、特に下期における売上総利益の伸長が増益に大きく寄与いたしました。以上の結果、国内外で実施した構造改革関連費用を含む特別損失105億59百万円を計上いたしましたが、営業利益の増益がこれを補い、親会社株主に帰属する当期純利益は167億75百万円(同60億6百万円増加)となりました。 (注1)「サービス産業動態統計調査」(総務省)によります。(注2) 2025年3月期までは当社の子会社でありましたが、2026年3月期から持分法適用会社へ移行しております。(注3)「売上高」は従前の会計基準に基づくものですが、財務諸表利用者にとって有用であると考えていることから、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等に準拠した開示ではないものの、自主的に開示しております。(注4)「調整後」とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における数値であります。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ309億40百万円増加し、1兆811億32百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の増加274億55百万円、受取手形及び売掛金の増加114億60百万円、棚卸資産の減少58億59百万円、のれんの減少74億7百万円、投資有価証券の増加129億61百万円であります。負債は、前連結会計年度末に比べ421億5百万円増加し、6,786億15百万円となりました。主な増減は、支払手形及び買掛金の増加107億99百万円、1年内返済予定長期借入金の増加224億円、預り金の増加224億25百万円、長期借入金の減少187億67百万円であります。純資産は、前連結会計年度末に比べ111億65百万円減少し、4,025億16百万円となりました。主な増減は、利益剰余金の減少251億85百万円、自己株式の減少159億9百万円、非支配株主持分の減少99億14百万円であります。なお、第3四半期連結会計期間末から、デジタルホールディングスグループの貸借対照表を連結しております。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて255億57百万円増加し、2,330億77百万円となりました。 ≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(377億41百万円)の計上等に対して、減価償却費(142億64百万円)、のれん償却額(102億58百万円)、預り金の増減額(227億40百万円)、法人税等の支払額(△233億58百万円)等により、683億61百万円の増加(前連結会計年度末は824億46百万円の増加)となりました。 ≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(87億95百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式及び出資金の売却による支出(△115億24百万円)等により、140億86百万円の減少(前連結会計年度末は135億29百万円の減少)となりました。 ≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出(△100億円)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式及び出資金の取得による支出(△61億97百万円)、配当金の支払額(△117億26百万円)等により、306億62百万円の減少(前連結会計年度末は458億48百万円の減少)となりました。 (4) 生産、受注及び販売の状況当社グループは、広範囲かつ多種多様にわたる広告業務サービスの提供を主たる事業としており、その内容、構造、形式が必ずしも一様ではないため、生産実績及び受注実績について、その金額あるいは数量を記載しておりません。また、販売実績については、(1) 経営成績に含めて記載しております。 (5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2024年6月に2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、各種取り組みを進めてきました。同計画では、中期経営目標を掲げております。当連結会計年度の実績は、調整後のれん償却前営業利益年平均成長率(注1)が、広告需要の取り込みに加えて、グループフォーメーションの再編による収益性改善が大きく寄与し、目標値を上回りました。調整後売上総利益年平均成長率(注2)は目標値には届かなかったものの、成長を維持しました。調整後のれん償却前オペレーティング・マージン(注3)は、2027年3月期の目標水準を上回りました。一層の効率化と成長施策の実行を通じて、持続的な収益性の強化を図ります。のれん償却前ROE(注4)は、国内外の費用構造改革に伴う一時的な費用などの影響を受け、目標値を下回る結果となりましたが、中期経営計画最終年度である2027年3月期は目標値の達成を目指します。また、中期経営計画では本計画期間を「収益性改善と成長オプションの創造」と位置付け、事業構造改革を推進しております。「マーケティングビジネスの構造改革」では、事業会社の枠を超えたリソース最適化と、自社開発のテクノロジーやソリューションの実装により、提案力の高度化と生産性向上を両立させています。成長領域であるデジタルマーケティングにおいては、Hakuhodo DY ONEの統合効果とデジタルホールディングスとのシナジー最大化により、シェア拡大と収益基盤の強化を加速させています。「新たな成長オプションの創造」では、経営課題を起点とした大型案件の獲得など、連携による収益拡大が順調に推移しています。あわせて、コンテンツおよびインキュベーション領域の推進機能を持株会社に集約し、機動的な投資判断と事業基盤の強化を図ります。「グローバルビジネスのリモデル」では、kyuの経営体制刷新とASEAN地域での博報堂とHakuhodo DY ONEの一体運営を通じてコスト最適化を徹底し、確固たる利益体質へと転換するとともに、収益の持続的な拡大を追求してまいります。依然として、国内外の経済の先行きは不確実性が高い状況にありますが、引き続き、掲げた中期経営計画の達成に向け、各種取組を確実に実行してまいります。 (注1)調整後のれん償却前営業利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。(注2)調整後売上総利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における連結売上総利益をもとに、2024年3月期の実績を基準とした、2025年3月期から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。(注3)調整後のれん償却前オペレーティング・マージン = 調整後のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益(注4)のれん償却前ROEとは、企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均) (6) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、経営環境のいかなる変化のもとでも事業活動を安定的に継続させる為に必要な手元流動性を確保した上で、事業活動から生み出されるネットキャッシュを、中期経営計画に基づき成長分野に重点的に投下することを基本方針としております。また、安定かつ継続的に株主に配当を実施することを株主還元の基本方針とし、資金需要の状況、業績の動向及び内部留保の充実等を総合的に勘案の上、配当額を決定しております。将来の成長の為に必要な投資資金や株主還元の為の資金は、前述の通り自己資金から賄うことを基本方針としておりますが、M&Aや設備投資は個別案件毎の規模やタイミングにも依存するため、状況次第では手元資金のみで賄えない場合も想定されます。このような場合には、当社グループの財務状況や金融・資本市場の動向を鑑み、コストや機動性等を精査した上で、金融機関からの借入等の適切な手段で資金調達を実行する所存であります。なお、現在の当社グループの財政状態等から勘案すると、十分な資金調達能力を有していると判断しております。 (7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 経済状況・市場環境の変動: 国内企業の広告費支出は景気動向に大きく影響される傾向があり、国内売上高の割合が高い当社グループは、国内景気の悪化が財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。景気回復の遅れや不十分な対応は、収益に直接的な打撃を与えるリスクがあります。
  • 事業活動に関する環境変化への対応: マスメディア広告の売上構成比は依然として高いものの、インターネット広告の成長や急速なテクノロジーの進展により、ビジネス環境は大きく変化しています。これらの変化に迅速かつ十分に対応できない場合、事業構造の変革が遅れ、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 広告業界における取引慣行のリスク: 広告主の倒産等による債権回収不能リスクや、契約書締結が一般的ではないことによる取引内容の疑義・紛争発生リスクがあります。また、欧米の取引慣行が日本に影響を与え、報酬構造や決定方法が変化した場合、当社グループの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|6,922 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの事業及びその他に関するリスク要因となる可能性がある主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項について、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めておりますが、当社の株式に関する投資判断は、本項目及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。また、本項目に記載した予想、見通し、方針等、将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、将来実現する実際の結果とは異なる可能性がありますのでご留意ください。 (1) 経済状況・市場環境の変動国内企業の広告費の支出は、企業が景況に応じて広告費を調整する傾向にあるため、国内の景気動向に大きく影響を受ける傾向にあります。当社グループの国内売上高は、連結売上高全体に占める割合が高く、国内景況が悪化すると当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、景況の悪化による影響を軽減するため、広範囲の業種にわたる顧客基盤の構築、マーケティング・コミュニケーションサービスの多様化、海外展開等をはかる所存でありますが、日本経済の回復が遅いもしくは不十分な場合、又は当社グループの対応が十分ではない場合もしくは十分にはかかる影響を軽減できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (2) 当社グループの事業活動に関するリスク当社グループの新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったマスメディア広告の国内売上高は、ここ数年、売上高全体に占める構成比が減少してきているものの、2026年3月期においても、30%程度と大きなシェアを占めております。また、今後も引き続き、広告主のマーケティング活動に活用され、当社グループの中心的な事業のひとつであり続けると認識しております。また、インターネット広告の国内売上高は引き続き成長しております。インターネット広告は従来のマスメディア広告と組み合わせることでより高い広告効果が得られるため、複数のメディアを最適化するプラニングが求められます。さらに、近年急速なテクノロジーの進展により、当社グループを取り巻くビジネス環境は大きく変革期を迎えております。従来の広告領域をオリジンとしつつも、その枠を超えた価値を提供することで、ビジネスの拡大を目指しております。当社グループは、環境変化に対応するため事業構造の変革を進めています。しかし、このような取り組みを迅速かつ十分に行うことができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (3) 広告業界における取引慣行マスメディアの広告取引は、主として、広告主からの受注に基づき行いますが、各広告会社は自社の責任で媒体社等と取引を行うのが一般的です。そのため、広告主の倒産等により、債権を回収できなかった場合には、広告会社が媒体料金や制作費を負担することとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、広告業界では、慣行上、広告計画や内容の変更に柔軟かつ機動的に対応できるよう契約書を締結することは一般的には行われておりません。当社グループにおいても、継続的な取引関係が成立している広告主との間であっても、個別取引に関する書面は存在するものの、基本契約書等を締結していないことが一般的であります。そのため、広告主との間で明確な契約書を締結していないことにより、取引関係の内容、条件等について疑義が生じたり、これをもとに紛争が生じたりする可能性があります。なお、欧米では「一業種一社制」(同一業種では一社のみの広告主を広告代理店が担当する取引形態)が一般的であり、広告会社の報酬構造や報酬決定方法も異なっております。日本においてはこのような取引形態は一般的ではありませんが、欧米の広告主、広告会社が日本に進出してきている昨今の状況に鑑みると、今後これらの取引形態及び報酬構造や報酬決定方法が日本の広告の取引慣行に影響を与える可能性があります。当社グループにおきましては、こうした動向に対応し、サービス形態の多様化等に努めてきておりますが、今後、取引慣行の動向・変化に適切に対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (4) 法規制等の導入や変更広告主の広告活動、メディアにおける広告の掲載・放送方法や内容等、広告会社の事業活動等に関する法令・規制・制度の導入や強化、法令等の解釈の変更等がなされる場合があります。法規制等の導入や強化等に対して当社グループが適切に対応できない場合又は広告主の広告活動が減少する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (5) 広告主との関係当社グループと広告主の間は、継続的な取引関係が成立しておりますが、広告主がコスト削減、取引関係の合理化等の要請を強める昨今の状況の中で、今後取引関係が解消、縮減等されない保証はなく、また、報酬等の水準は当事者間の合意によるものであり、その水準が今後も保証されるものではありません。従前と同様の取引関係が継続されない場合又は従前の取引条件が変更される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。なお、2026年3月期における当社グループの上位広告主10社に対する売上高は、当社グループの国内売上高の18%程度となっております。 (6) 媒体社との関係当社グループの広告事業においては、新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったマスメディアの広告及びインターネット広告に関する事業が主体であるため、主要媒体社等からの仕入れの依存度は高くなっております。当社グループと媒体社等は、長年の継続的な取引関係が成立しておりますが、媒体社等との取引が継続されない場合又は取引条件等が変更された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (7) 競合に関するリスク日本の広告業界では、サービスの多様性、対応力、企画力、販売力等の観点から、売上高で上位の広告会社への集中傾向が高く、またインターネット広告専業を含む上位広告会社を中心に熾烈な競争が行われております。さらに、大手の海外広告会社や各種プラットフォーマーも参入し、競争がますます激しくなる傾向にあります。また、事業領域を拡大していく中で、コンサルティング会社など異業種企業と新たな競合が生じる機会も増加しております。当社グループは、サービスの多様化、企画力、創造的提案力、経験、広告主との長年の継続的な取引関係等により競争上の優位性を確保していく所存でありますが、継続してかかる優位性を確保できる保証はなく、優位性を逸した場合あるいは競争の激化に伴い報酬が減額した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (8) インターネット広告等の進展近年、インターネット広告の進展は著しく、この分野においては技術の進化や多様な広告手法が生み出されております。当社グループは、デジタルマーケティング領域において、これまで培ってきたグループのリソースとノウハウを集約した新会社「株式会社Hakuhodo DY ONE」を2024年4月に設立し、さらに、2025年12月には株式会社オプトを連結子会社化し、体制を一層拡充しております。当社グループが培ってきたリソースやノウハウを集約し、更なる競争力の強化、生産性の向上、収益性の向上を目指しています。しかしながら、今後、インターネットメディアの拡大をはじめとしたマーケティングのデジタル化の進展に対して当社グループが適切に対応できない場合や新しいメディアやマーケティング手法に対する当社グループの事業戦略や取り組みが功を奏しないもしくは十分ではない場合には、当社グループのサービスの品質の低下が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (9) 当社グループの事業展開に関するリスク当社グループは、主要な事業会社グループである株式会社博報堂、株式会社大広、株式会社読売広告社、株式会社Hakuhodo DY ONE、ソウルドアウト株式会社、株式会社オプト、及びENND PARTNERS株式会社の7社並びに専門性と先進性の継続的な当社グループへの取り込みを狙った当社傘下の事業組織「kyu」に加えて、各組織がそれぞれ所有する広告関連サービスを提供する子会社群等から形成されており、広告主に対しワンストップでのマーケティング・コミュニケーションサービスを提供すべく国内外において事業展開をしております。また、中期経営計画においては「マーケティングビジネスの構造改革」「新たな成長オプションの創造」「グローバルビジネスのリモデル」の3つの取り組みを進め、事業構造を変革することとしており、「収益性改善と成長オプションの創造期」と位置づけております。グループ会社を通じた事業展開、新たな価値を生み出す事業領域として注力する会社の設立、買収、資本業務提携等により出資を含むグループ会社関係を構築することについては、出資額あるいは場合によっては出資額を超える損失が発生するリスク、グループの信用を低下させるリスク等を伴う可能性があり、出資会社の事業活動や経営成績によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (10) 知的財産権広告業において一般的なリスクではありますが、当社グループにおいても同様に、事業活動を行う過程で、当社グループが所有する又は使用許諾を受けている以外の知的財産権の侵害及び逆に当社グループが所有する知的財産権が侵害されてしまうおそれがあり、当社グループがかかる事態を防止し、あるいは適切な回復をすることができない可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。 (11) 人材の確保及び育成当社グループの成長性及び競争上の優位性は、優秀な人材の確保に大きく依存します。人材に関しては、新卒者の安定的採用や即戦力となる中途採用の推進により確保をはかり、各職責、能力、市場環境の変化に対応した教育研修等による育成に努めておりますが、何らかの理由により優秀な人材の流出や人材の確保に支障をきたす可能性もあります。かかる事態が生じた場合、当社グループの競争力に悪影響を与える可能性があります。 (12) メディア・コンテンツビジネスに関わるリスク当社グループは、今後もスポーツ等イベントの権利取得や興業、映画製作への投資、アニメ・キャラクター関連番組制作等のコンテンツ関連ビジネスを行っております。しかしながら、メディア・コンテンツビジネスの事業展開には、投資リスクを伴う場合があり、計画通りに進行しない場合又は収益を確保できない場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (13) 海外市場展開当社グループは、広告主のニーズに応えるため、また中期経営計画における基本戦略の一つとして、更なる拠点拡充や専門マーケティングサービス企業のM&Aによるグループ内への取り込みを含め、積極的な事業展開を行っておりますが、これらの事業展開には、海外の事業投資に伴うリスク(為替リスク、カントリーリスク等)、出資額あるいは出資額を超える損失が発生するリスク及びグループの信用を低下させるリスク等を伴う可能性があり、計画通りに事業展開ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (14) グループ経営基盤に関わるリスク 当社グループは、持株会社体制という枠組みの持つ優位性等、経営統合の相乗効果を最大限活用し、グループ経営基盤の強化に努めておりますが、持株会社統治等の効果が十分発揮されなかった場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 また、資金運用面においても、グループ内での資金運用、配分の効率化を進めておりますが、その効果が十分に発揮されない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (15) 訴訟等に関わるリスク当社グループは、様々な要因により今後直接又は間接的に、何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できません。当社グループが訴訟・紛争に関与した場合、その経過・結果如何によっては、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。 (16) 投資有価証券に関わるリスク当社グループは、投資有価証券の評価基準及び評価方法として、市場価格のない株式等以外のものは期末の時価にて評価するため、株式市況等の変動により評価損を計上する可能性があります。一方、市場価格のない株式等は実質価額で評価するため、発行会社の財務状況や今後の見通しなどに鑑み、時価が著しく下落し、その回復が見込めない場合には、減損処理により評価損を計上する可能性があります。このような状況になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (17) 退職給付債務に関わるリスク当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率、年金資産の期待運用収益率等の一定の前提条件に基づいて数理計算を行っております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、その差額は将来にわたって規則的に損益認識されます。金利の低下、運用利回りの低下、年金資産の時価の下落等があった場合や退職金制度、年金制度を変更した場合には、追加的な退職給付に係る負債の計上、未認識の過去勤務費用の発生又は将来の退職給付費用の増加により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、これらの影響を軽減すべく退職給付制度の一部を2018年4月以降、確定給付年金から確定拠出年金に変更しておりますが、引き続き確定給付年金も残されているため、これらの可能性を完全になくすことはできません。また、退職給付に関する会計基準の変更等により、従来の会計方針を変更した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。 (18) 役職員等の不正行為のリスク役職員等の不正行為の防止を目的として、当社グループでは、「グループコンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体のコンプライアンス活動を推進する体制を構築しております。また、株式会社博報堂において、株式会社博報堂の代表取締役社長を委員長とする「ビジネス意識・行動改革委員会」を設置し、行動規範及び遵守事項の徹底、取引ルールの明確化と周知、倫理のみに頼らない仕組みづくりなど、各種テーマで再発防止策の策定と実施を行っております。しかし、法令及び社内規程の遵守のための様々な取組みをもってしても、役職員の不正行為を完全に防止することはできません。また、当社グループの取引先等の不正行為への関与が問題となる可能性もあります。これらの役職員等の不正行為により、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。 (19) 災害、事故、紛争(あるいは戦争)、感染症の流行等に関わるリスク当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合又その回復状況等が、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼすことが想定されます。 (20) 情報システムに関わるリスク当社グループは、広告主のマーケティング又は広告に関する情報の管理を含む当社グループの事業のために、情報システムを使用し、情報インフラに依存しております。当社グループ又は当社グループが利用する第三者の情報システムに、システムの障害や停止、システムへの不正なアクセス、コンピュータウィルスの侵入、サイバーアタック、従業員の不適正な事務・事故・不正等による人為的過誤などが発生した場合、また同様の要因により情報の外部漏洩・不正使用等が発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動あるいは当社グループの社会的信用に悪影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

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