研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 1,138 |
| 2024-03 | - | 894 |
| 2023-03 | - | 715 |
| 2022-03 | - | 562 |
| 2021-03 | - | 401 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,200 文字
6【研究開発活動】当社グループは、5つのDXd ADCの製品価値最大化を目指してリソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOC(注1)を変革する製品群(Next Wave)の創薬を目指す「5DXd ADCs and Next Wave」戦略のもと、グローバル臨床開発の加速化にも注力して研究開発に取り組んでおります。中長期的には、がんに加え、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かして様々な疾患に対する治療薬創製を目指し、新規モダリティ(注2)の技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組んでおります。(注)1.Standard of Careの略。現在の医学では最善とされ、広く用いられている治療法。2.モダリティとは低分子薬、抗体医薬、ADC、核酸医薬、遺伝子治療等の治療手段のこと。 当連結会計年度の研究開発費(IFRSベース)は、4,360億円(前連結会計年度比19.4%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、23.1%となりました。 (1) 5DXd ADCs 当連結会計年度における5DXd ADCsの臨床開発の状況は次のとおりであります。 トラスツズマブ デルクステカン及びダトポタマブ デルクステカンは、アストラゼネカと共同開発しております。また、パトリツマブ デルクステカン、イフィナタマブ デルクステカン(DS-7300)、DS-6000については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下「米国メルク」)と共同開発しております。 ① トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201:抗HER2 ADC、製品名:エンハーツ) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2024年4月、HER2陽性(IHC3+)固形がん2次治療以降を対象とした米国における承認を取得いたしました・2024年4月、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現の化学療法未治療の乳がんを対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast06)の結果概要を発表いたしました・2024年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)においてDESTINY-Breast06試験の主要解析データを発表いたしました・2024年6月、ASCOにおいてHER2陽性乳がんを対象とした単剤療法及び併用療法を評価するフェーズ1b/2試験(試験名:DESTINY-Breast07)のうち、1次治療における単剤療法及びペルツズマブとの併用コホートの最新データを発表いたしました・2024年8月、HER2陽性の胃又は胃食道接合部腺がんの3次治療以降を対象とした中国における承認を取得いたしました・2024年8月、化学療法未治療のホルモン受容体陽性かつHER2低発現又はHER2超低発現の乳がんを対象とした欧州における承認申請の受理及び米国食品医薬品局(FDA)からの画期的治療薬指定(注3)を獲得いたしました・2024年9月、世界肺がん学会(WCLC)においてHER2陽性の非扁平上皮非小細胞肺がんを対象としたフェーズ1b試験(試験名:DESTINY-Lung03)のうち、2次治療以降を対象とした単剤療法コホートの初のデータを発表いたしました・2024年9月、ESMOにおいて脳転移を伴う又は伴わないHER2陽性乳がんを対象としたフェーズ3b/4試験(試験名:DESTINY-Breast12)のデータを発表いたしました・2024年10月、化学療法未治療のHER2低発現又はHER2超低発現の乳がんを対象とした米国における承認申請の受理及び優先審査(注4)の指定獲得並びに日本における承認申請が受理されました・2024年10月、全身治療歴のあるHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんを対象とした中国における承認を取得いたしました・2025年1月、化学療法未治療のホルモン受容体陽性かつ、HER2低発現又はHER2超低発現の乳がんを対象とした米国における承認を取得いたしました・2025年2月、化学療法未治療のホルモン受容体陽性かつ、HER2低発現又はHER2超低発現の乳がんを対象とした欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)による承認の勧告を受領いたしました・2025年3月、HER2陽性胃がんの2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Gastric04)の中間解析において主要評価項目を達成いたしました・2025年3月、HER2陽性胃がんの1次治療を対象としたフルオロピリミジン及びペムブロリズマブとの3剤併用療法のフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Gastric05)を開始いたしました・2025年3月、化学療法未治療のホルモン受容体陽性かつ、HER2低発現又はHER2超低発現の乳がんを対象とした欧州における承認を取得いたしました(注)3.重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者により早く新薬を届けるために定められた制度。4.米国において、治療上重要な進歩をもたらす薬剤や、現在適切な治療法がない疾患への治療法を提供する薬剤に対して指定され、通常審査期間(10ヶ月目標)に比べ審査期間の短縮(6ヶ月目標)が見込まれます。 ② ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062:抗TROP2 ADC、製品名:ダトロウェイ) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2024年4月、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象とした米国における承認申請が受理されました・2024年5月、非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung01)における全生存期間(OS)に関する主要解析結果概要を発表いたしました・2024年5月、非扁平上皮非小細胞肺がんの1次治療を対象としたRilvegostomig(AZD2936)との併用療法のフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung10)を開始いたしました・2024年5月、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの1次治療を対象としたオシメルチニブとの併用療法のフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung14)を開始いたしました・2024年6月、ASCOにおいて非小細胞肺がんを対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ1b試験(試験名:TROPION-Lung02)のうち、1次治療を対象としたサブグループ解析の最新データを発表いたしました・2024年9月、WCLCにおいて非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung01)のOSの最終解析結果、及び同試験におけるTROP2-QCS(注5)バイオマーカーに基づく無増悪生存期間(PFS)解析データを発表いたしました・2024年9月、WCLCにおいて非小細胞肺がんの術前・術後薬物療法を対象としたフェーズ2試験(試験名:NeoCOAST-2)のデータを発表いたしました・2024年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)において複数の固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:TROPION-PanTumor03)のうち、子宮内膜がん及び卵巣がんに関する初のデータを発表いたしました・2024年9月、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast01)におけるOSの最終解析結果概要を発表いたしました・2024年10月、オシメルチニブによる前治療歴のあるEGFR変異を有する非扁平上皮非小細胞肺がんを対象として単剤療法及びオシメルチニブとの併用療法を評価するフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung15)を開始いたしました・2024年11月、米国においてEGFR変異を有する、前治療歴(EGFR標的療法を含む)のある非小細胞肺がんを対象として承認申請し、非扁平上皮非小細胞肺がんに係る2次/3次治療を対象とした承認申請を自主的に取り下げいたしました・2024年12月、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia)においてEGFR変異を有する非小細胞肺がんを対象とした臨床試験プール解析結果を発表いたしました・2024年12月、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤とプラチナ製剤ベースの化学療法との併用療法による治療中又は治療後に病勢進行したEGFR変異を有する非小細胞肺がんを対象としたFDAからの画期的治療薬指定を獲得いたしました・2024年12月、EMAにおける非扁平上皮非小細胞肺がんに係る2次/3次治療を対象とした承認申請を自主的に取り下げいたしました・2024年12月、化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の乳がんを対象とした日本における承認を取得いたしました・2025年1月、EGFR変異を有する前治療歴(EGFR標的療法を含む)のある非小細胞肺がんを対象とした米国における承認申請が受理されました・2025年1月、内分泌療法及び化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性(IHC 0, IHC 1+ 又は IHC 2+/ISH-)の乳がんを対象とした米国における承認を取得いたしました・2025年1月、早期非小細胞肺がんを対象とした術後補助療法におけるrilvegostomigとの併用療法のフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung12)を開始いたしました・2025年1月、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性(IHC 0, IHC 1+ 又は IHC2+/ISH-)の乳がんの2次/3次治療を対象としたEMAのCHMPによる承認の勧告を受領いたしました(注)5.患者の組織サンプルのデジタル画像を解析し、画像内の全てのがん細胞の表面及び内部に発現するTROP2のような標的タンパク質を正確に定量化するアストラゼネカが開発した新しい計算病理学的プラットフォーム③ パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402:抗HER3 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2024年6月、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:HERTHENA-Lung01)に基づく米国における承認申請について、米国食品医薬品局(FDA)からの審査完了報告通知を受領いたしました・2024年9月、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:HERTHENA-Lung02)において主要評価項目を達成いたしました ④ イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300:抗B7-H3 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2024年5月、固形がんの2次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:IDeate-PanTumor02)を開始いたしました・2024年8月、進展型小細胞肺がんの2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:IDeate-Lung02)を開始いたしました・2024年9月、WCLCにおいて進展型小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:IDeate-Lung01)の中間解析データを発表いたしました・2024年12月、小細胞肺がんを対象とした厚生労働省からの希少疾病用医薬品(注6)の指定獲得(注)6.日本国内における患者数が5万人未満であり、医療上特にその必要性が高いもの等の条件に合致するものとして、開発の支援・促進を目的として指定される制度 ⑤ DS-6000(抗CDH63 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2024年4月、プラチナ抵抗性卵巣がんを対象としたフェーズ2/3試験(試験名:REJOICE-Ovarian01)を開始いたしました・2025年2月、卵巣がんを対象としたEMAからの希少疾病用医薬品(注7)の指定を獲得いたしました・2025年3月、白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の卵巣がんを対象とした厚生労働省からの希少疾病用医薬品の指定を獲得いたしました(注)7.生命を脅かす又は慢性衰弱的な疾病の治療、予防又は診断を目的とし、EU内での対象患者数1万人当たり5人以下の条件等に合致するものとして助成金交付等の優遇措置を受けることができる制度 (2) Next Wave 当連結会計年度におけるNext Waveの臨床開発の主な進捗は次のとおりであります。・2024年4月、DS-5670(COVID-19 mRNAワクチン、日本製品名:ダイチロナ)の5歳から11歳を対象とした日本における承認申請が受理されました・2024年6月、DS-5670の12歳以上を対象とした2024年度の厚生労働省選定株対応ワクチンとして日本における一部変更承認申請が受理されました・2024年6月、開発中の2つのmRNAワクチン(パンデミック時のインフルエンザmRNAワクチン、季節性インフルエンザと新型コロナの混合mRNAワクチン)について、厚生労働省の「ワクチン大規模臨床試験等事業」に採択されました・2024年6月、バレメトスタット(DS-3201:EZH1/2阻害剤、日本製品名:エザルミア)の再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を対象とした日本における承認を取得いたしました・2024年6月、ミロガバリン(DS-5565:α2δリガンド、製品名:タリージェ)の糖尿病性末梢神経障害性疼痛を対象とした中国における承認を取得いたしました・2024年8月、米国メルクが開発中のMK-6070(DS3280:DLL3を標的とした三重特異性のT細胞エンゲージャー)を同社とのDXd ADC3製品の戦略的提携契約に追加し、共同開発を開始いたしました・2024年9月、ESMOにおいてDS-9606(二つ目の当社独自のADC技術プラットフォームから創製されたピロロベンゾジアゼピン(PBD)をペイロードとする抗CLDN6 ADC)の進行性固形がんを対象としたフェーズ1試験の用量漸増パートにおける初のデータを発表いたしました・2024年12月、キザルチニブ(AC220:FLT3阻害剤、製品名:ヴァンフリタ)のFLT3-ITD変異陰性の急性骨髄性白血病における1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:QuANTUM-Wild)を開始いたしました・2025年1月、キザルチニブのFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病の1次治療を対象とした中国における承認申請が受理されました・2025年2月、エドキサバン(FXa阻害剤、日本製品名:リクシアナ)の慢性血栓塞栓性肺高血圧症における血栓・塞栓形成の抑制を対象とした日本における承認を取得いたしました・2025年3月、DS-5670の5歳から11歳を対象とした日本における承認を取得いたしました
FY2024|6,244 文字
6【研究開発活動】当社グループは、5つのDXd ADC(トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402、イフィナタマブ デルクステカン:I-DXd/DS-7300、DS-6000)の製品価値最大化を目指してリソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOC(注1)を変革する製品群(Next Wave)の創薬を目指す「5DXd ADCs and Next Wave」戦略のもと、グローバル臨床開発の加速化にも注力して研究開発に取り組んでおります。中長期的には、がんに加え、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かして様々な疾患に対する治療薬創製を目指し、新規モダリティ(注2)の技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組んでおります。(注)1.Standard of Careの略。現在の医学では最善とされ、広く用いられている治療法。2.モダリティとは低分子薬、抗体医薬、ADC、核酸医薬、遺伝子治療等の治療手段のこと。 当連結会計年度の研究開発費(IFRSベース)は、3,652億円(前連結会計年度比6.9%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、22.8%となりました。 (1) 5DXd ADCs 当連結会計年度における5DXd ADCsの臨床開発の状況は次のとおりであります。 トラスツズマブ デルクステカン及びダトポタマブ デルクステカンは、アストラゼネカと共同開発しております。また、パトリツマブ デルクステカン、イフィナタマブ デルクステカン(DS-7300)、DS-6000については、2023年10月に戦略的提携契約を締結したMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下「米国メルク」)と共同開発しております。 ① トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201:抗HER2 ADC、製品名:エンハーツ) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2023年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)においてHER2発現の複数の固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-PanTumor02)の初のデータを発表いたしました。・2023年6月、ASCOにおいてHER2陽性大腸がんの3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-CRC02)の初のデータを発表いたしました。・2023年7月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象とした中国における承認を取得いたしました。・2023年8月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象とした日本における承認を取得いたしました。・2023年9月、HER2陽性(IHC3+)固形がんの2次治療以降及びHER2陽性(IHC3+)大腸がんの3次治療以降を対象とした米国食品医薬品局(FDA)からの画期的治療薬(注3)の指定を獲得いたしました。・2023年9月、世界肺がん学会(WCLC)においてHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Lung02)のデータを発表いたしました。・2023年9月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん2次治療を対象とした欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)による承認の勧告を受領いたしました。・2023年10月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)においてHER2発現の複数の固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-PanTumor02)のプライマリー解析データを発表いたしました。・2023年10月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん2次治療を対象とした欧州における承認を取得いたしました。・2023年12月、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)においてHER2低発現乳がん(化学療法未治療/既治療)を対象としたフェーズ1b試験(試験名:DESTINYBreast08)のうち、ホルモン療法との併用コホートの初のデータを発表いたしました。・2023年12月、HER2陽性胃がん3次治療以降を対象とした中国における承認申請を受理いたしました。・2024年1月、RTOR(Real-Time Oncology Review、注4)プログラム適応の下、HER2陽性の複数の固形がんを対象とした米国における承認申請の受理及び優先審査(注5)の指定を獲得いたしました。・2024年3月、HER2遺伝子変異非小細胞肺がんの2次治療以降を対象とした中国における承認申請が受理されました。 (注)3.重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者により早く新薬を届けるために定められた制度。4.患者が安全かつ効果的な治療をできるだけ早期に受けられるよう、より効率的な審査プロセスの探求を目指した制度。申請者が正式に完全な申請書を提出する前に、FDAが多くのデータを早期に審査することが可能となります。5.米国において、治療上重要な進歩をもたらす薬剤や、現在適切な治療法がない疾患への治療法を提供する薬剤に対して指定され、通常審査期間(10ヶ月目標)に比べ審査期間の短縮(6ヶ月目標)が見込まれます。 ② ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062:抗TROP2 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2023年6月、ASCOにおいて非小細胞肺がんを対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ1b試験(試験名:TROPION-Lung02)の最新データを発表いたしました。・2023年7月、非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung01)の結果概要を発表いたしました。・2023年9月、WCLCにおいてアクショナブル遺伝子変異のない非小細胞肺がんの1次・2次治療を対象としたフェーズ1b試験(試験名:TROPION-Lung04)のうち、デュルバルマブとの併用コホートの初のデータを発表いたしました。・2023年9月、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast01)の結果概要を発表いたしました。・2023年10月、ESMOにおいて非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung01)の初のデータを発表いたしました。・2023年10月、ESMOにおいてアクショナブル遺伝子変異を有する非小細胞肺がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:TROPION-Lung05)のプライマリー解析データを発表いたしました。・2023年10月、ESMOにおいてホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast01)の初のデータを発表いたしました。・2023年10月、ESMOにおいてトリプルネガティブ乳がんの1次治療を対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ1b/2試験(試験名:BEGONIA)の最新データを発表いたしました。・2023年11月、トリプルネガティブ乳がん及びホルモン受容体低発現かつ、HER2低発現または陰性乳がんの術前・術後薬物療法を対象としたデュルバルマブとの併用療法を評価するフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast04)を開始いたしました。・2023年11月、トリプルネガティブ乳がんの1次治療を対象とした単剤又はデュルバルマブとの併用療法を評価するフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast05)を開始いたしました。・2024年2月、非扁平上皮非小細胞肺がんの2次治療以降を対象とした米国における承認申請が受理されました。・2024年3月、非扁平上皮非小細胞肺がんの2次治療以降及びホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象とした欧州における承認申請が受理されました。・2024年3月、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象とした日本及び中国における承認申請が受理されました。 ③ パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402:抗HER3 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2023年4月、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの3次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:HERTHENA-Lung01)の結果概要を発表いたしました。・2023年9月、WCLCにおいてEGFR変異を有する非小細胞肺がんの3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:HERTHENA-Lung01)の初のデータを発表いたしました。・2023年12月、RTORプログラム適応の下、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの3次治療を対象とした米国における承認申請の受理及びFDAからの優先審査の指定を獲得いたしました。 ・2024年3月、局所進行又は転移性固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:HERTHENA-PanTumor01)を開始いたしました。 ④ イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300:抗B7-H3 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2023年4月、小細胞肺がんを対象としたFDAからの希少疾病用医薬品(Orphan Drug、注6)の指定を獲得いたしました。・2023年9月、WCLCにおいて固形がんを対象としたフェーズ1/2試験の小細胞肺がんサブグループ解析の最新データを発表いたしました。・2023年10月、ESMOにおいて固形がんを対象としたフェーズ1/2試験の食道扁平上皮がん、去勢抵抗性前立腺がん及び扁平上皮非小細胞肺がんのサブグループ解析の最新データを発表いたしました。(注)6.米国における患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、診断、予防を目的とした医薬品を対象として、開発の支援・促進を目的として指定される制度。 ⑤ DS-6000(抗CDH63 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2023年10月、ESMOにおける卵巣がんを対象としたフェーズ1試験の最新データを発表いたしました。 (2) Next Wave 当連結会計年度におけるNext Waveの臨床開発の主な進捗は次のとおりであります。・2023年4月、DS-5670(COVID-19 mRNAワクチン)(1価:起源株)の、健康成人を対象とした日本における初回免疫フェーズ3試験の結果概要を発表いたしました。・2023年5月、DS-5670(2価:起源株/オミクロン株 BA.4-5)の12歳以上を対象とした日本における追加免疫フェーズ3試験を開始いたしました。・2023年5月、DS-5670(2価:起源株/オミクロン株 BA.4-5)の5歳から11歳を対象とした日本における追加免疫フェーズ2/3試験を開始いたしました。・2023年5月、キザルチニブ(AC220:FLT3阻害剤、日本製品名:ヴァンフリタ)のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)の1次治療を対象とした日本における承認を取得いたしました。・2023年5月、DS-2325(KLK5阻害剤)のネザートン症候群を対象としたFDAからの希少小児疾患(Rare Pediatric Disease、注7)の指定を獲得いたしました。・2023年6月、DS-1103(抗SIRPα抗体)の固形がんを対象としたエンハーツとの併用フェーズ1試験を開始いたしました。・2023年6月、バレメトスタット(DS-3201:EZH1/2阻害剤、日本製品名:エザルミア)の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を対象としたフェーズ2試験(試験名:VALENTINEPTCL01)の結果概要を入手いたしました。・2023年7月、キザルチニブのFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)の1次治療を対象とした米国における承認を取得いたしました。・2023年8月、DS-5670(1価:起源株)(日本製品名:ダイチロナ筋注)の、SARSCoV-2による感染症の予防を適応とした追加免疫の日本における承認を取得いたしました。・2023年9月、DS-5670(2価:起源株/オミクロン株 BA.4-5)の12歳以上を対象とした日本における追加免疫フェーズ3試験の主要評価項目達成を発表いたしました。・2023年9月、DS-5670(1価:オミクロン株 XBB.1.5)の日本における承認を申請いたしました。・2023年9月、DS-1471(抗CD147抗体)の固形がんを対象としたフェーズ1試験を開始いたしました。・2023年9月、DS-3939(抗TA-MUC1 ADC)の固形がんを対象としたフェーズ1/2試験を開始いたしました。・2023年9月、キザルチニブに関するAMLの1次治療を対象としたEMAのCHMPによる承認の勧告を受領いたしました。・2023年10月、開発中の季節性インフルエンザ及び新型コロナに対する混合mRNAワクチンについて、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する令和5年度「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」の「重点感染症に対する感染症ワクチンの開発」へと採択されました。・2023年11月、キザルチニブのFLT3-ITD変異陽性のAMLの1次治療を対象とした欧州における承認を取得いたしました。・2023年11月、DS-5670(1価:オミクロン株 XBB.1.5)の日本における承認を取得いたしました。・2023年12月、米国血液学会(ASH)においてバレメトスタットのPTCLを対象としたフェーズ2試験(試験名:VALENTINE-PTCL01)の初のデータを発表いたしました。・2023年12月、DS-2325のネザートン症候群の患者を対象としたフェーズ1b/2試験を開始いたしました。・2024年1月、バレメトスタットのPTCLを対象とした日本における承認申請が受理されました。・2024年2月、バレメトスタットのHER2陽性胃がんを対象としたエンハーツとの併用及び非扁平上皮非小細胞肺がんを対象としたDato-DXdとの併用フェーズ1b試験を開始いたしました。・2024年3月、VN-0102/JVC-001(麻しん・おたふくかぜ・風しん3種混合乾燥弱毒生ワクチン)の日本における承認申請が受理されました。(注)7.米国で18歳までに発症し、患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、予防を目的とした医薬品を対象として指定され、本剤が承認を取得した際の優先審査バウチャーの付与等の優遇措置を受けることができる制度。
FY2023|6,033 文字
6【研究開発活動】当社グループは、3ADC(トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402)の製品価値最大化を目指してリソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOC(注1)を変革する製品群(Alpha)の創薬を目指す「3 and Alpha」戦略のもと、外部との積極的な協業も含め、研究開発に取り組んでおります。また、グローバル臨床開発の加速化にも注力しております。中長期的には、がんに加え、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かして様々な疾患に対する治療薬創製を目指し、新規モダリティ(注2)の技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組んでおります。(注)1.Standard of Careの略。現在の医学では最善とされ、広く用いられている治療法。2.ADC、核酸医薬、治療用ウイルス、細胞治療等の新規治療手段。 当連結会計年度の研究開発費(IFRSベース)は、3,416億円(前連結会計年度比31.2%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、26.7%となりました。 (1) 3ADC 当連結会計年度における3ADCの臨床開発の状況は次のとおりであります。① トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201:抗HER2 ADC、製品名:エンハーツ) 製品名エンハーツとして販売しております。がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2022年4月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象とした米国における承認申請を受理いたしました。・2022年4月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象とした米国食品医薬品局(FDA)からの画期的治療薬(注3)の指定を獲得いたしました。・2022年5月、HER2陽性乳がんの2次治療を対象とした米国における承認を取得いたしました。・2022年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)におけるHER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast04)の最新データを発表いたしました。・2022年6月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象とした国内と欧州における承認申請を受理いたしました。・2022年6月、HER2陽性乳がんの2次治療を対象とした欧州医薬品局(EMA)の医薬品委員会(CHMP)による承認の勧告を受領いたしました。・2022年7月、HER2陽性乳がんの2次治療を対象とした欧州における承認を取得いたしました。・2022年7月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象とした米国における承認申請を受理いたしました。8月、同適応を対象とした米国における承認を取得いたしました。・2022年8月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象とした米国における承認を取得いたしました。・2022年8月、HER2陽性乳がんの3次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast02)における主要評価項目を達成いたしました。・2022年8月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療以降を対象とした中国におけるフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Lung05)を開始いたしました。・2022年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)における非小細胞肺がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Lung01、DESTINY-Lung02)のデータを発表いたしました。・2022年9月、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを対象とした厚生労働省からの希少疾病用医薬品(注4)の指定を獲得いたしました。・2022年11月、HER2陽性胃がんの2次治療を対象としたEMAのCHMPによる承認の勧告を受領いたしました。・2022年11月、HER2陽性乳がんの2次治療を対象とした国内における承認を取得いたしました。・2022年12月、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)におけるHER2陽性乳がんの2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast03)の最新データ及び3次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast02)の初のデータを発表いたしました。・2022年12月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象とした国内における承認を申請いたしました。 ・2022年12月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象としたEMAのCHMPによる承認の勧告を受領いたしました。・2022年12月、HER2陽性胃がんの2次治療を対象とした欧州における承認を取得いたしました。・2023年1月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象とした欧州における承認申請を受理いたしました。・2023年1月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象とした欧州における承認を取得いたしました。・2023年2月、HER2陽性乳がんの2次治療を対象とした中国における承認を取得いたしました。・2023年3月、HER2発現の複数の固形がん患者を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-PanTumor02)の中間解析における所期の目標を達成いたしました。・2023年3月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象とした国内における承認を取得いたしました。(注)3.重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者により早く新薬を届けるために定められた制度。4.国内における患者数が5万人未満であり、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、開発の支援・促進を目的として指定される制度。 ② ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062:抗TROP2 ADC) がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2022年6月、トリプルネガティブ乳がんの1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast02)を開始いたしました。・2022年7月、非小細胞肺がん及びトリプルネガティブ乳がんを対象とした中国におけるフェーズ1/2試験(試験名:TROPION-PanTumor02)を開始いたしました。・2022年8月、世界肺がん学会(WCLC)における非小細胞肺がんを対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ1b試験(試験名:TROPION-Lung02)の初のデータを発表いたしました。・2022年9月、複数の固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:TROPION-PanTumor03)を開始いたしました。・2022年12月、SABCSにおけるホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の転移性乳がんを対象としたフェーズ1試験(試験名:TROPION-PanTumor01)の初のデータを発表いたしました。・2022年12月、SABCSにおけるトリプルネガティブ乳がんを対象とした単剤療法のフェーズ1試験(試験名:TROPION-PanTumor01)及び免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ1/2試験(試験名:BEGONIA)の最新データを発表いたしました。・2022年12月、トリプルネガティブ乳がんの術前薬物療法後の治療を対象とした単剤療法及びデュルバルマブ併用療法のフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast03)を開始いたしました。・2023年1月、アクショナブル遺伝子変異がなくPD-L1の発現率が50%未満の非小細胞肺がんの1次治療を対象とした、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung07)を開始いたしました。 ③ パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402:抗HER3 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2022年6月、ASCOにおける乳がんを対象としたフェーズ1/2試験及び非小細胞肺がんを対象としたフェーズ1試験の最新データを発表いたしました。・2022年8月、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:HERTHENA-Lung02)を開始いたしました。・2023年3月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)における転移性非小細胞肺がん患者を対象としたグローバルフェーズ1試験及びHER3発現を有する転移性乳がん患者を対象とした日米フェーズ1/2試験の最新データを発表いたしました。 (2) Alpha 当連結会計年度におけるAlphaの臨床開発の主な進捗は次のとおりであります。・2022年6月、ASCOにおけるDS-6000(抗CDH6 ADC)の卵巣がん及び腎細胞がんを対象としたフェーズ1試験の最新データを発表いたしました。・2022年6月、欧州血液学会議(EHA)におけるキザルチニブ(AC220:FLT3阻害剤、国内製品名:ヴァンフリタ)の急性骨髄性白血病(AML)の1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:QuANTUM-First)の最新データを発表いたしました。・2022年6月、DS-2325(KLK5阻害剤)の健康成人を対象としたフェーズ1試験を開始いたしました。・2022年6月、DS-7300(抗B7-H3 ADC)の小細胞肺がんの2次治療を対象としたフェーズ2試験を開始いたしました。・2022年6月、DS-9606(ターゲット非開示 ADC)の固形がんを対象としたフェーズ1試験を開始いたしました。・2022年8月、キザルチニブのAMLの1次治療を対象とした国内及び欧州における承認申請を受理いたしました。・2022年9月、ESMOにおけるDS-7300の固形がんを対象としたフェーズ1/2試験の最新データを発表いたしました。・2022年9月、バレメトスタット(DS-3201:EZH1/2阻害剤、製品名:エザルミア)の再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)を対象とした国内における承認を取得いたしました。・2022年10月、キザルチニブのAMLの1次治療を対象とした米国における承認申請を受理いたしました。・2022年11月、DS-1211(TNAP阻害剤)の弾性線維性仮性黄色腫(PXE)患者を対象としたフェーズ2試験を開始いたしました。・2022年12月、アキシカブタゲン シロルユーセル(Axi-Cel:抗CD19 CAR-T細胞、国内製品名:イエスカルタ)の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療を対象とした国内における承認を取得いたしました(注5)。・2022年12月、DS-2325(KLK5阻害剤)のネザートン症候群を対象としたFDAからの希少疾病用医薬品(注6)の指定及び2023年2月、FDAからのファストトラック(注7)の指定を獲得いたしました。・2023年3月、経鼻弱毒性インフルエンザワクチン(VN-0107、製品名:フルミスト)の国内における承認を取得いたしました。(注)5.2022年12月、当社、Kite Pharma, Inc.及びギリアド・サイエンシズ株式会社は、当社の保有するイエスカルタの国内製造販売承認を2023年中にギリアド・サイエンシズ株式会社へ承継することに合意いたしました。6.米国における患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、診断、予防を目的とした医薬品を対象として指定され、税制優遇、助成金等の優遇措置を受けることができる制度。7.重篤で未充足の医療ニーズが高い疾患に対し、高い治療効果が期待できる薬剤の開発・審査の迅速化を目的とした米国における制度。 (3) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組み 当社グループは、社会的に課題となっている国内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「COVID-19」という。)に対するワクチン生産体制の確立に向けて積極的に取り組んでおります。当社の持つ研究財産、技術及び知識を最大限に活用し、外部機関とも連携して、以下の研究開発を推進しております。 DS-5670(COVID-19 mRNAワクチン) DS-5670は、当社が独自に見出したカチオン性脂質を用いたCOVID-19に対するmRNAワクチンであります。ワクチン未接種健康成人を対象とした初回免疫並びに国内既承認mRNAワクチンを2回接種済みで、接種から6ヶ月以上経過した健康成人及び高齢者を対象とした追加免疫を確認する臨床試験を実施しております。なお、DS-5670の研究開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「ワクチン開発推進事業」及び厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業(注8)」の支援を受けて実施しております(注)8.COVID-19をはじめとした予期せぬ感染症の流行阻止・重症化予防に必要なワクチンを可能な限り迅速に製造し、日本国民のために確保するため、ワクチンを含むバイオ医薬品の実生産(大規模生産)体制を早期構築することを目的とした事業。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2022年5月、ワクチン未接種健康成人を対象とした起源株ワクチンのフェーズ2試験の試験結果を入手いたしました。・2022年5月、追加免疫投与によるブースター効果を確認する起源株ワクチンのフェーズ1/2/3試験において、健康成人及び高齢者を対象とした国内既承認mRNAワクチンを用いた実薬対照非劣性試験を開始いたしました。・2022年9月、ワクチン未接種健康成人を対象とした起源株ワクチンのフェーズ3試験を開始いたしました。・2022年11月、追加免疫投与によるブースター効果を確認する起源株ワクチンのフェーズ1/2/3試験における主要評価項目を達成いたしました。・2022年11月、ワクチン未接種の12~17歳の健康小児を対象とした起源株ワクチンのフェーズ3試験を開始いたしました。・2023年1月、起源株ワクチンの健康成人及び高齢者を対象とした追加免疫投与に係る承認を申請いたしました。
FY2022|6,695 文字
5【研究開発活動】当社グループは、3ADC(トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402)の製品価値最大化を目指してリソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOC(注1)を変革する製品群(Alpha)の創薬を目指す「3 and Alpha」戦略のもと、外部との積極的な協業も含め、研究開発に取り組んでおります。また、グローバル臨床開発の加速化にも注力しております。中長期的には、がんに加え、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かして様々な疾患に対する治療薬創製を目指し、新規モダリティ(注2)の技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組んでおります。(注)1.SOC:Standard of Careの略。現在の医学では最善とされ、広く用いられている治療法。2.新規モダリティ:ADC、核酸医薬、治療用ウイルス、細胞治療等の新規治療手段。 当連結会計年度の研究開発費(IFRSベース)は、2,602億円(前連結会計年度比14.5%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、24.9%となりました。 (1) 3ADC 当連結会計年度における3ADCの臨床開発の状況は次のとおりであります。① トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201:抗HER2 ADC、製品名:エンハーツ) 製品名エンハーツとして販売しております。がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2021年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)におけるトリプルネガティブ乳がんを対象としたフェーズ1b/2試験(試験名:BEGONIA)及び、HER2発現大腸がん患者への3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-CRC01)の最新データを発表いたしました。・2021年6月、HER2陽性乳がん患者への1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast09)を開始いたしました。・2021年6月、HER2陽性胃がん患者への2次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Gastric02)の試験結果概要を入手いたしました。・2021年6月、HER2過剰発現又はHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者への2次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Lung01)の試験結果概要を入手いたしました。・2021年7月、HER2陽性胃がん患者への2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Gastric04)を開始いたしました。・2021年8月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast03)の中間解析における主要評価項目の達成及び、米国食品医薬品局(FDA)からのRTOR(Real-Time Oncology Review)(注3)の指定を獲得いたしました。・2021年9月、中国におけるHER2陽性胃がん患者への3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Gastric06)を開始いたしました。・2021年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)におけるHER2陽性乳がん患者への3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Breast01)、DESTINY-Breast03試験、DESTINY-Gastric02試験及び、DESTINY-Lung01試験の最新データを発表いたしました。・2021年10月、HER2陽性乳がん患者への2次治療以降を対象としたFDAからの画期的治療薬(Breakthrough Therapy)(注4)の指定を獲得いたしました。・2021年11月、HER2陽性胃がん患者への2次治療を対象とした欧州医薬品庁(EMA)による一部変更承認申請を受理いたしました。・2021年11月、HER2陽性早期乳がん患者における術前療法を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast11)を開始いたしました。・2021年12月、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)におけるDESTINY-Breast03試験の脳転移サブグループ解析結果を発表いたしました。・2021年12月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象とした国内における一部変更承認申請及び、EMAによる一部変更承認申請を受理いたしました。・2021年12月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者における1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Lung04)を開始いたしました。 ・2022年1月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象とした米国における一部変更承認申請を受理いたしました。・2022年2月、HER2低発現乳がん患者を対象としたフェーズ3試験(試験名:DESTINY-Breast04)における主要評価項目を達成いたしました。・2022年3月、HER2陽性乳がん患者への2次治療を対象とした中国における承認申請を受理いたしました。(注)3.RTOR(Real-Time Oncology Review):患者が安全かつ効果的な治療を出来るだけ早期に受けられるよう、より効率的な審査プロセスの探求を目指した制度。申請者が正式に完全な申請書を提出する前に、FDAが多くのデータを早期に審査することが可能になる。4.画期的治療薬(Breakthrough Therapy):重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者により早く新薬を届けるために定められた制度。 ② ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062:抗TROP2 ADC) がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2021年5月、欧州臨床腫瘍学会乳がん学会議(ESMO Breast Cancer 2021)における固形がんを対象としたフェーズ1試験(試験名:TROPION-PanTumor01)のうち、トリプルネガティブ乳がん患者に関する最新データを発表いたしました。・2021年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)におけるTROPION-PanTumor01試験のうち、非小細胞肺がん患者に関する最新データを発表いたしました。・2021年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)におけるTROPION-PanTumor01試験のうち、非小細胞肺がん患者に関する最新データを発表いたしました。・2021年10月、非小細胞肺がん患者への1次治療を対象とした免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブとの併用療法を評価するフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung08)実施に関するMerck & Co., Inc.との契約を締結いたしました。・2021年11月、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の転移性乳がん患者への2次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast01)を開始いたしました。・2021年12月、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)におけるTROPION-PanTumor01試験のうち、トリプルネガティブ乳がん患者に関する最新データを発表いたしました。・2022年3月、TROPION-Lung08試験を開始いたしました。 ③ パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402:抗HER3 ADC) 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2021年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)におけるEGFR変異を有する非小細胞肺がんを対象としたフェーズ1試験の最新データを発表いたしました。・2021年6月、EGFR変異を有する非小細胞肺がん患者を対象としたチロシンキナーゼ阻害剤オシメルチニブとの併用を評価するフェーズ1試験を開始いたしました。・2021年12月、EGFR遺伝子変異を有する転移性非小細胞肺がん患者を対象としたFDAからの画期的治療薬の指定を獲得いたしました。 (2) Alpha 当連結会計年度におけるAlphaの臨床開発の主な進捗は次のとおりであります。・2021年4月、DS-1594(Menin-MLL結合阻害剤)の急性骨髄性白血病及び急性リンパ性白血病患者を対象としたフェーズ1/2試験を開始いたしました。・2021年4月、ペキシダルチニブ(PLX3397:CSF-1R阻害剤、米国製品名:TURALIO)の腱滑膜巨細胞腫を対象とした国内におけるフェーズ2試験を開始いたしました。・2021年4月、DS-6016(抗ALK2抗体)の進行性骨化性線維異形成症を対象としたフェーズ1試験を開始いたしました。・2021年5月、疼痛治療剤ミロガバリン(DS-5565:α2δリガンド、製品名:タリージェ)の中枢性神経障害性疼痛に係る国内における効能追加に係る一部変更承認申請を行いました。・2021年6月、がん治療用ウイルス テセルパツレブ(DS-1647:G47Δ、製品名:デリタクト注)の国内における製造販売承認を取得いたしました。・2021年6月、欧州血液学会(EHA)における、バレメトスタット(DS-3201:EZH1/2阻害剤)の非ホジキンリンパ腫患者を対象としたフェーズ1試験の最新データを発表いたしました。・2021年6月、バレメトスタットの再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)及び成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)患者を対象としたフェーズ2試験(試験名:VALENTINE-PTCL01)を開始いたしました。・2021年6月、VN-0200(RSウイルスワクチン)の日本人健康成人及び健康高齢者を対象としたフェーズ1試験を開始いたしました。・2021年8月、抗凝固剤エドキサバン(製品名:リクシアナ)の経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を施行した心房細動患者を対象としたENVISAGE-TAVI AF試験における主要評価項目の達成及び、欧州心臓病学会議(ESC Congress 2021)における試験結果を発表いたしました。・2021年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)におけるDS-7300(抗B7-H3 ADC)の固形がんを対象としたフェーズ1/2試験の最新データを発表いたしました。・2021年11月、キザルチニブ(AC220:FLT3阻害剤、国内製品名:ヴァンフリタ)の急性骨髄性白血病(AML)患者への1次治療を対象としたフェーズ3試験(試験名:QuANTUM-First)における主要評価項目を達成いたしました。・2021年12月、米国血液学会(ASH)におけるバレメトスタットの再発又は難治性のATL患者を対象とした国内フェーズ2試験の最新データ発表、厚生労働省からの希少疾病用医薬品(注5)の指定獲得及び、国内における製造販売承認申請を行いました。・2021年12月、バレメトスタットのPTCL治療を対象としたFDAからの希少疾病用医薬品(Orphan Drug)(注6)の指定を獲得いたしました。・2022年2月、DS-7011(抗TLR7抗体)の全身性エリテマトーデス患者を対象としたフェーズ1試験を開始いたしました。(注)5.希少疾病用医薬品:国内における患者数5万人未満であり、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、開発の支援・促進を目的として指定される制度。6.希少疾病用医薬品(Orphan Drug):米国における患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、診断、予防を目的とした医薬品を対象として、開発の支援・促進を目的として指定される制度。 (3) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組み 当社は、社会的に急務となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「COVID-19」という。)に対する予防・治療法の確立に向けて積極的に取り組んでおります。当社の持つ研究財産、技術及び知識を最大限に活用し、外部機関とも連携して、以下の研究開発を推進しております。① DS-5670(COVID-19 mRNAワクチン) COVID-19の予防を目指し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」という。)が支援する「新型コロナウイルス(2019-nCoV(注7))の制圧に向けての基盤研究」(注8)に参画し、当社が見出した新規核酸送達技術(注9)を用いた「新型コロナウイルス(2019-nCoV)に対するmRNAワクチン開発」を分担しております。 厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業(注10)(第1次公募)」の事業者に、また、AMEDが実施する創薬支援推進事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(企業主導型)(注11)(第2次公募)」にも採択されております。 健康成人及び健康高齢者を対象とした日本での臨床試験を実施しております。(注)7.2019-nCoV:SARS-CoV-2の暫定名称で同義語。8.新型コロナウイルス(2019-nCoV)の制圧に向けての基盤研究:流行が世界各国へ拡大しているCOVID-19に関して、政府全体の緊急的な取組みの一部として、AMEDが支援することを決定したワクチン開発課題の一つ。9.新規核酸送達技術:脂質ナノ粒子構造を形成し、医薬品有効成分の安定化並びに免疫細胞内への核酸デリバリーを実現することで、従来のワクチン技術と比較して、より至適な免疫応答を誘導することを確認。10.ワクチン生産体制等緊急整備事業:COVID-19をはじめとした予期せぬ感染症の流行阻止・重症化予防に必要なワクチンを可能な限り迅速に製造し、日本国民のために確保するため、ワクチンを含むバイオ医薬品の実生産(大規模生産)体制を早期構築することを目的とした事業。11.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(企業主導型):企業においてすでに研究開発が進められているCOVID-19に対するワクチンの開発を重点的に支援し、安全かつ有効なワクチンを早期に実用化することを目的とした事業。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2021年11月、製造プロセスを最適化した治験薬を用い、安全性を評価し推奨用量を決定するフェーズ2試験を開始いたしました。・2022年1月、日本において承認されたCOVID-19に対するワクチンの初回接種(1回目・2回目接種)完了済みで、接種から6か月以上経過した健康成人及び高齢者を対象としたフェーズ1/2/3試験を開始いたしました。 ② DS-2319(ナファモスタット吸入製剤) COVID-19の治療を目指し、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人理化学研究所及び日医工株式会社と共同でナファモスタット吸入製剤の研究開発を進めておりました。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2021年6月、実施中の非臨床試験及びフェーズ1試験のデータを検討した結果、本剤の開発中止を決定いたしました。 ③ アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン バキスゼブリア筋注の供給 アストラゼネカと締結した本ワクチンの製造委受託契約に基づき、2021年3月より当社子会社である第一三共バイオテック株式会社において本ワクチンの製剤化(バイアル充填、包装等を含む)を行っております。 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。・2021年6月、日本政府を通じて、本ワクチンを東南アジア等へ提供いたしました。 (4) その他 2022年3月、持続的な成長に向けた研究開発力を一層強化するため、Plexxikon Inc.の研究開発機能を終了し、リソース・アロケーションの最適化を図りました。
FY2021|8,935 文字
5【研究開発活動】当社グループは、3ADC(トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402)の製品価値最大化を目指してリソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOC(注1)を変革する製品群(Alpha)の創薬を目指す「3 and Alpha」戦略のもと、研究開発に取り組んでおります。パートナリングの積極的な活用や、新規モダリティ(注2)の技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組むとともに、グローバル臨床開発の加速化にも注力しております。中長期的には、がんに加え、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かして様々な疾患に対する治療薬創製を目指しております。(注)1.SOC:Standard of Careの略。現在の医学では最善とされ、広く用いられている治療法。2.新規モダリティ:ADC、核酸医薬、治療用ウイルス、細胞治療等の新規治療手段。 当連結会計年度の研究開発費は、2,274億円(前連結会計年度比15.1%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、23.6%となりました。 (1) 3ADC 当連結会計年度末における、3ADCの臨床開発の状況は次のとおりであります。① トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201:抗HER2 ADC、日米製品名:エンハーツ) 日米において、製品名エンハーツとして販売しております。製品価値の最大化を図るため、がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。(ⅰ) 乳がん(a) DESTINY-Breast01試験(フェーズ2、単独投与、3次治療)・抗HER2 ADC T-DM1の治療を受けたHER2陽性乳がんの患者を対象としたグローバル試験の結果に基づき、米国においては「転移性の乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能または転移性乳がん」を適応として、また国内においては「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応として承認を取得し、販売開始しております。・2020年12月、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)において、本試験の最新データを発表いたしました。・2021年1月、欧州連合(EU)において、2021年2月には英国において「2つ以上の抗HER2療法を受けた手術不能または転移性のHER2陽性乳がん」を適応として承認を取得いたしました。なお、欧州医薬品庁(EMA)より迅速審査(注3)の指定を受けておりました。(注)3.迅速審査:EMAにおいて、公衆衛生及び治療上の革新性の観点から多大な貢献が期待される薬剤に対して指定されるもので、審査期間の短縮が見込まれる。(b) DESTINY-Breast02試験(フェーズ3、単独投与、3次治療)・抗HER2 ADC T-DM1等の前治療を受けたHER2陽性乳がん患者を対象とした、本剤の有効性と安全性を医師選択治療と比較検討するグローバル試験を実施しております。(c) DESTINY-Breast03試験(フェーズ3、単独投与、2次治療)・抗HER2抗体トラスツズマブ等の前治療を受けたHER2陽性乳がん患者を対象とした、本剤の有効性と安全性をT-DM1と比較検討するグローバル試験を実施しております。(d) DESTINY-Breast04試験(フェーズ3、単独投与、3次治療以降)・HER2低発現乳がん患者を対象とした、本剤の有効性と安全性を医師選択治療と比較検討するグローバル試験を実施しております。(e) DESTINY-Breast05試験(フェーズ3、単独投与、術前療法後)・2020年11月、術前療法後に浸潤性残存病変を有する再発リスクの高いHER2陽性乳がん患者を対象とした、本剤の有効性と安全性をT-DM1と比較検討するグローバル試験を開始いたしました。(f) DESTINY-Breast06試験(フェーズ3、単独投与、化学療法未治療)・2020年7月、内分泌療法を受けた化学療法未治療のHER2低発現乳がん患者を対象とした、本剤の有効性と安全性を医師選択治療と比較検討するグローバル試験を開始いたしました。(g) DESTINY-Breast07試験(フェーズ1b/2、併用、2次治療/1次治療)・2021年1月、HER2陽性乳がん患者を対象とした、各種抗がん剤との併用による有効性と安全性を評価するグローバル試験を開始いたしました。 (h) DESTINY-Breast08試験(フェーズ1b、併用、化学療法未治療)・2021年1月、HER2低発現乳がん患者を対象とした、各種抗がん剤との併用を評価するグローバル試験を開始いたしました。(i) BEGONIA試験(フェーズ1b/2、併用、1次治療)・トリプルネガティブ乳がん患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害剤デュルバルマブ(以下「イミフィンジ」という。)との併用を評価する試験を米国、欧州及びアジアで実施しております。(ⅱ) 胃がん(a) DESTINY-Gastric01試験(フェーズ2、単独投与、3次治療)・トラスツズマブを含む2つ以上の前治療を受けたHER2陽性胃腺がん患者又は胃食道接合部腺がん患者を対象とした日本及び韓国での試験の結果に基づき、2020年4月に国内において承認申請を行い、2020年9月に「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を適応として承認を取得いたしました。なお、厚生労働省より先駆け審査指定(注4)を受けておりました。・2020年5月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)において主解析結果を発表いたしました。・2021年1月、米国において「トラスツズマブを含む前治療を受けたHER2陽性の局所進行または転移性の胃腺がんまたは胃食道接合部腺がん」を適応として承認を取得いたしました。なお、米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)より画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定(注5)、希少疾病用医薬品(Orphan Drug)指定(注6)、優先審査指定(注7)を受けておりました。(注)4.先駆け審査指定:世界に先駆けて日本での革新的医薬品等の早期実用化を促すため、臨床試験や承認手続を優先して受けられる制度。5.画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定:重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者により早く新薬を届けるために定められた米国における制度。6.希少疾病用医薬品(Orphan Drug)指定:米国における患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、診断、予防を目的とした医薬品を対象として指定され、税制優遇、助成金等の優遇措置を受けることが出来る制度。7.優先審査指定:米国において、治療上重要な進歩をもたらす薬剤や、現在適切な治療法がない疾患への治療法を提供する薬剤に対して指定され、通常審査期間(10ヵ月目標)に比べ審査期間の短縮(6ヵ月目標)が見込まれる。(b) DESTINY-Gastric02試験(フェーズ2、単独投与、2次治療)・HER2陽性胃がん患者を対象とした試験を欧米で実施しております。(c) DESTINY-Gastric03試験(フェーズ1b/2、併用、2次治療/1次治療)・2020年6月、HER2陽性胃がん又は胃食道接合部腺がん患者を対象とした、複数他剤との併用を評価する試験を米国、欧州及びアジアで開始いたしました。(ⅲ) 非小細胞肺がん(a) DESTINY-Lung01試験(フェーズ2、単独投与、2次治療)・HER2陽性及びHER2変異の非小細胞肺がん患者を対象とした試験を日本、米国及び欧州で実施しております。・2020年5月、FDAよりHER2変異を有する転移性非小細胞肺がん治療を対象として画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定を受けました。・2020年5月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、本試験のデータを発表いたしました。・2021年1月、世界肺癌学会(WCLC)において、本試験の最新データを発表いたしました。(b) DESTINY-Lung02試験(フェーズ2、単独投与、2次治療)・2021年3月、HER2変異の非小細胞肺がん患者を対象とした、本剤6.4mg/kg及び5.4mg/kgの有効性と安全性を評価する試験を開始いたしました。(c) HUDSON試験(フェーズ2、併用、2次治療)・抗PD-1/PD-L1を含む治療で病勢進行した非小細胞肺がん患者を対象とした、イミフィンジとの併用を評価する試験を米国、欧州及びアジアで実施しております。 (ⅳ) 大腸がん(a) DESTINY-CRC01試験(フェーズ2、単独投与、3次治療)・HER2陽性大腸がん患者を対象とした試験を日本、米国及び欧州で実施しております。・2020年5月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)において主解析結果を発表いたしました。(b) DESTINY-CRC02試験(フェーズ2、単独投与、3次治療)・2021年3月、HER2陽性大腸がん患者を対象とした、本剤6.4mg/kg及び5.4mg/kgの有効性と安全性を評価するグローバル試験を開始いたしました。(ⅴ) その他(a) ニボルマブとの併用試験(フェーズ1、併用、3次治療以降)・HER2陽性乳がん、膀胱がん患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブとの併用を評価する試験を欧米でBristol-Myers Squibb Co.と実施しております。・2020年12月、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)において、本試験の最新データを発表いたしました。(b) ペムブロリズマブとの併用試験(フェーズ1、併用、3次治療以降)・HER2陽性乳がん、非小細胞肺がん患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブ(以下「キイトルーダ」という。)との併用を評価する試験を欧米でMerck & Co., Inc.と実施しております。(c) DESTINY-PanTumor01試験(フェーズ2、単独投与、2次治療以降)・2021年1月、HER2変異の大腸がん、尿路上皮がん、胃がん、肝胆道がん、子宮内膜がん、メラノーマ、卵巣がん、子宮頸がん、唾液腺がん、すい臓がん、乳がん等のがん患者を対象としたグローバル試験を開始いたしました。(d) DESTINY-PanTumor02試験(フェーズ2、単独投与、標準治療不応)・2020年8月、HER2発現の膀胱がん、胆道がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、すい臓がん、その他稀ながん患者を対象とした試験を米国及びアジアで開始いたしました。 ② ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062:抗TROP2 ADC) 2020年7月、アストラゼネカと本剤に関する戦略的提携契約を締結いたしました。製品価値の最大化を図るため、がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカと本剤を共同で開発しております。(ⅰ) 非小細胞肺がん(a) TROPION-PanTumor01試験(フェーズ1、単独投与)・標準治療不応の非小細胞肺がん患者を対象とした本剤単独投与のグローバルフェーズ1試験を実施しております。・2020年5月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、本試験のデータを発表いたしました。・2020年6月、本試験に標準治療不応のトリプルネガティブ乳がんの患者群を追加いたしました。・2021年1月、世界肺癌学会(WCLC)において、本試験の最新データを発表いたしました。(b) TROPION-Lung01試験(フェーズ3、単独投与、2次治療以降)・2020年12月、Actionable遺伝子変異(注8)の無い切除不能な非小細胞肺がん患者を対象とした、本剤の有効性と安全性をドセタキセルと比較検討するグローバル試験を開始いたしました。(注)8.Actionable遺伝子変異:EGFR変異等の治療ターゲットとなりうる遺伝子変異。(c) TROPION-Lung02試験(フェーズ1、併用)・2020年10月、Actionable遺伝子変異の無い非小細胞肺がん患者を対象とした、キイトルーダとの併用を評価するフェーズ1試験を開始いたしました。(d) TROPION-Lung04試験(フェーズ1、併用)・2021年3月、Actionable遺伝子変異の無い非小細胞肺がん患者を対象とした、イミフィンジとの併用を評価するフェーズ1試験を開始いたしました。(e) TROPION-Lung05試験(フェーズ2、単独投与)・2020年12月、Actionable遺伝子変異を有する切除不能な非小細胞肺がん患者を対象としたグローバル試験を開始いたしました。 ③ パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402:抗HER3 ADC)(ⅰ) 乳がん 標準治療不応のHER3陽性がん患者を対象とした本剤単独投与のフェーズ1/2試験を日本及び米国で実施しております。 (ⅱ) 非小細胞肺がん EGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与中に病勢進行したEGFR変異を有する非小細胞肺がん患者を対象とした本剤単独投与のフェーズ1試験をグローバルで実施しております。 2020年9月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)において本試験の中間データを発表いたしました。(a) HERTHENA-Lung01試験(フェーズ2、単独投与、3次治療以降)・2021年2月、EGFR変異を有する非小細胞肺がん患者を対象としたグローバル試験を開始いたしました。(ⅲ) 大腸がん 2020年9月、HER3発現大腸がん患者(3次治療)を対象とした本剤単独投与のフェーズ2試験を日本、米国及び欧州で開始いたしました。 ④ 研究提携ほか Gustave Roussy(注9)との研究提携契約の締結 2020年7月、Dato-DXd、HER3-DXdに関してGustave Roussyが実施する臨床研究、トランスレーショナルリサーチ、他剤との併用療法検討等の包括的な研究プログラムのための支援に関する契約を締結いたしました。(注)9.Gustave Roussy Cancer Campus(GRCC):仏パリ南部ヴィルジェイフにあるがん研究所。 (2) Alpha 当連結会計年度における、3ADC以外のプロジェクトの研究開発の進捗は次のとおりであります。① がん領域(ⅰ) DS-6157(抗GPR20 ADC) 2020年5月、再発又は進行性の消化管間質腫瘍(GIST)患者を対象とした本剤単独投与のフェーズ1試験を日本及び米国で開始いたしました。(ⅱ) DS-1055(抗GARP抗体) 2020年10月、切除不能な固形がん患者を対象とした本剤単独投与のフェーズ1試験を日本及び米国で開始いたしました。(ⅲ) テセルパツレブ(DS-1647:G47Δ) 2020年12月、悪性神経膠腫に係る再生医療等製品製造販売承認申請を国内で行いました。本剤は、厚生労働省より先駆け審査指定、希少疾病用再生医療等製品指定(注10)を受けております。(注)10.希少疾病用再生医療等製品指定:対象患者数が国内において5万人未満、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、厚生労働大臣が指定する制度。税制措置、再審査期間の延長等の支援措置が与えられる。(ⅳ) アキシカブタゲン シロルユーセル(Axi-Cel™:抗CD19 CAR-T細胞、製品名:イエスカルタ) 2021年1月、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の治療を目的とした再生医療等製品として国内製造販売承認を取得いたしました。(ⅴ) DS-6000(抗CDH6 ADC) 2021年2月、切除不能な腎細胞がんと卵巣がん患者を対象とした本剤単独投与のフェーズ1試験を米国で開始いたしました。 ② がん以外の領域(ⅰ) ウルトラジェニクス社からの遺伝子治療薬製造技術の導入 2020年4月、ウルトラジェニクス社と同社が保有するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療薬製造技術を非独占的に利用する契約を締結いたしました。(ⅱ) 三菱UFJキャピタル、名古屋工業大学とのオープンイノベーション研究の開始 2020年4月、三菱UFJキャピタル株式会社、国立大学法人名古屋工業大学と視覚再生のための遺伝子治療薬に関するオープンイノベーション研究を開始いたしました。(ⅲ) プラスグレル(ADP受容体阻害剤) 2020年7月、血栓性脳梗塞患者を対象とした国内フェーズ3試験(PRASTRO-III)において、主要評価項目を達成いたしました。 2020年12月、本試験結果などに基づき国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。(ⅳ) エドキサバン(FXa阻害剤) 2020年8月、非弁膜症性心房細動を有する出血リスクの高い高齢者を対象とした国内フェーズ3試験(ELDERCARE-AF試験)において、主要評価項目を達成いたしました。 2020年9月、本試験結果に基づき国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。(ⅴ) ミロガバリン(α2δリガンド) 2020年12月、脊髄損傷後神経痛患者を対象としたアジア(日本、韓国、台湾)でのフェーズ3試験において、主要評価項目を達成いたしました。(ⅵ) レナジルセン ナトリウム(DS-5141:ENAⓇオリゴヌクレオチド) 2021年1月、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者を対象とした国内でのフェーズ1/2試験の結果を取得し、更なる解析を進めております。 (3) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組み 当社は、社会的に急務となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「COVID-19」という。)に対する予防・治療法の確立に向けて積極的に取り組んでおります。当社の持つ研究財産、技術及び知識を最大限に活用し、外部機関とも連携して、以下の研究開発を推進しております。① DS-5670:遺伝子(mRNA)ワクチン COVID-19の予防を目指し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」という。)が支援する「新型コロナウイルス(2019-nCoV(注11))の制圧に向けての基盤研究」(注12)に参画し、当社が見出した新規核酸送達技術(注13)を用いた「新型コロナウイルス(2019-nCoV)に対するmRNAワクチン開発」を分担しております。 2020年8月、厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業(注14)(第1次公募)」の事業者に採択されました。 2020年8月、AMEDが実施する創薬支援推進事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(企業主導型)(注15)(第2次公募)」にも採択されました。 2021年3月、健康成人及び健康高齢者を対象とした日本でのフェーズ1/2試験を開始いたしました。(注)11.2019-nCoV:SARS-CoV-2の暫定名称で同義語。12.新型コロナウイルス(2019-nCoV)の制圧に向けての基盤研究:流行が世界各国へ拡大しているCOVID-19に関して、政府全体の緊急的な取組みの一部として、AMEDが支援することを決定したワクチン開発課題の一つ。13.新規核酸送達技術:脂質ナノ粒子構造を形成し、医薬品有効成分の安定化並びに免疫細胞内への核酸デリバリーを実現することで、従来のワクチン技術と比較して、より至適な免疫応答を誘導することを確認いたしました。14.ワクチン生産体制等緊急整備事業:COVID-19をはじめとした予期せぬ感染症の流行阻止・重症化予防に必要なワクチンを可能な限り迅速に製造し、日本国民のために確保するため、ワクチンを含むバイオ医薬品の実生産(大規模生産)体制を早期構築することを目的とした事業。15.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(企業主導型):企業においてすでに研究開発が進められているCOVID-19に対するワクチンの開発を重点的に支援し、安全かつ有効なワクチンを早期に実用化することを目的とした事業。 ② DS-2319:ナファモスタット吸入製剤 2020年6月、COVID-19の治療を目指し、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人理化学研究所及び日医工株式会社と共同でナファモスタット吸入製剤の研究開発を実施するための基本合意書を締結いたしました。 抗インフルエンザウイルス薬 イナビルの開発で得た技術を活用して、ナファモスタットの吸入製剤化の研究開発を推進しております。 2021年3月、健康成人を対象とした日本でのフェーズ1試験を開始いたしました。 ③アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンの国内供給 2020年6月、アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発中の新型コロナウイルスワクチンの国内における安定供給に向け、アストラゼネカと協議を進めることに合意いたしました。 2021年2月、アストラゼネカと本ワクチンの国内における製剤化(バイアル充填、包装等を含む)を受託するための製造委受託契約を締結し、2021年3月、国内での製剤化を開始いたしました。
FY2020|4,804 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を2025年ビジョンとして掲げております。2025年ビジョンの実現に向けて、3つのADC(DS-8201、DS-1062、U3-1402)の製品価値最大化を目指して研究開発リソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOCを変革する製品群(Alpha)の創薬を目指す「3 and Alpha」戦略のもと、研究開発に取り組んでおります。パートナリングの積極的な活用や、新規モダリティの技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組むとともに、グローバル臨床開発の加速化にも注力しております。中長期的には、疾患領域にこだわらず、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かせる疾患の治療薬創製を目指しております。 当連結会計年度の研究開発費は、1,975億円(前連結会計年度比3.1%減)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、20.1%となりました。主な研究開発プロジェクトの進捗状況は、次のとおりであります。 (1) 3つのADC① トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201、日米製品名:エンハーツ):抗HER2 ADC 当社独自のADC技術を使って創製されたDS-8201の価値最大化を図るため、がん領域のグローバル事業において豊富な経験を持つアストラゼネカ社と本剤を共同で開発しております。(ⅰ) 乳がん(a) DESTINY-Breast01試験 2019年12月に「転移性の乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能または転移性乳がん」を適応として、米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)より販売承認を取得いたしました。本適応は、2019年12月のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表したグローバル・フェーズ2試験の結果等に基づき、迅速審査のもとで承認され、2020年1月より米国で販売しております。 2020年3月に「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応として、国内においても迅速審査のもと、製造販売承認を取得いたしました。(b) DESTINY-Breast02試験 抗HER2 ADC T-DM1の治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん(3次治療以降)の患者を対象とした、本剤投与群と治験医師選択薬投与群の有効性と安全性を比較評価するグローバル・フェーズ3試験を実施しております。(c) DESTINY-Breast03試験 抗HER2抗体トラスツズマブ等の前治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象(2次治療)とした、本剤投与群とT-DM1投与群の有効性と安全性を直接比較評価するグローバル・フェーズ3試験を実施しております。(d) DESTINY-Breast04試験 HER2低発現乳がん患者を対象とした、本剤投与群と治験医師選択薬投与(化学療法)群の有効性と安全性を比較評価するグローバル・フェーズ3試験を実施しております。(ⅱ) 胃がん(a) DESTINY-Gastric01試験 2020年1月に、HER2陽性の再発・進行性胃がん患者を対象とした日本及び韓国でのフェーズ2試験において主要評価項目を達成したことを公表いたしました。 本剤は、上記の患者に対する治療を対象として、厚生労働省より、先駆け審査指定(注1)を受けております。(注)1.先駆け審査指定:世界に先駆けて日本での革新的医薬品等の早期実用化を促すため、臨床試験や承認手続を優先して受けられる制度。(b) DESTINY-Gastric02試験 HER2陽性の手術不能または転移性胃がん患者を対象とした欧米でのフェーズ2試験も実施しております。(ⅲ) 非小細胞肺がん HER2陽性及びHER2変異の再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象としたグローバル・フェーズ2試験を実施しております。 (ⅳ) 大腸がん HER2陽性の再発・進行性大腸がん患者を対象としたグローバル・フェーズ2試験を実施しております。(ⅴ) 併用等 HER2陽性の乳がん患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(製品名:オプジーボ)との併用療法を評価する臨床試験をBristol-Myers Squibb Co.と実施しております。 ② DS-1062:抗TROP2 ADC 再発・進行性の非小細胞肺がん患者を対象としたフェーズ1試験を日本及び米国で実施しております。本試験の用量漸増パートにおける安全性と有効性に関する中間データについて、2019年5月から6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)及び9月に開催された世界肺がん学会議(WCLC)で発表しました。 ③ U3-1402:抗HER3 ADC(ⅰ) 乳がん HER3陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたフェーズ1/2試験を日本及び米国で実施しております。(ⅱ) 非小細胞肺がん EGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与中に病勢進行したEGFR変異のある非小細胞肺がん患者を対象としたフェーズ1試験を日本及び米国で実施しております。本試験の用量漸増パートにおける安全性と有効性に関する中間データについて、2019年5月から6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)及び9月に開催された世界肺がん学会議(WCLC)で発表いたしました。 (2) Alpha① がん領域(ⅰ) キザルチニブ:FLT3阻害剤 2019年6月に再発または難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病(以下「AML」という。)を適応として、国内製造販売承認を取得し、10月より製品名ヴァンフリタとして販売しております。 FLT3-ITD変異を有する再発または難治性のAMLに係る販売承認申請について、2019年6月に米国FDAより現在の申請内容では承認に至らない場合に発行される審査完了報告通知(Complete Response Letter)を受領いたしました。また、2019年10月には欧州医薬品庁の医薬品委員会より承認を推奨しないという否定的見解が示されました。 現在、AMLの一次治療の適応取得を目的としたグローバル・フェーズ3試験(QuANTUM-First試験)を実施しております。 本剤は厚生労働省、米国FDA及び欧州医薬品庁より、AML治療を対象として、希少疾病用医薬品指定を受けております。(a) 併用等 FLT3-ITD変異を有する再発または難治性のAML患者及びFLT3-ITD変異を有し強力な化学療法が受けられない新規AML患者を対象とした、MDM2阻害剤ミラデメタン(DS-3032)(注2)との併用療法を評価するグローバル・フェーズ1試験を実施しております。(注)2.ミラデメタン(DS-3032):固形がん及び血液がん患者を対象としたフェーズ1試験を実施中。キザルチニブとの併用は、AML疾患動物モデル等を用いた非臨床試験において、単剤に比べて相乗効果があることが示唆されております。(ⅱ) ペキシダルチニブ:CSF-1R/KIT/FLT3阻害剤 2019年8月に腱滑膜巨細胞腫(以下「TGCT」という。)を適応として、米国FDAより販売承認を取得し、同月より製品名TURALIOとして販売しております。 2019年4月に欧米でのTGCT患者を対象としたフェーズ3試験(ENLIVEN試験)結果に基づく販売承認申請が欧州医薬品庁に受理されました。 本剤は欧州医薬品庁より、TGCTの治療を対象として、希少疾病用医薬品指定を受けております。 (ⅲ) バレメトスタット(DS-3201):EZH1/2阻害剤 2019年12月に成人T細胞白血病・リンパ腫の患者を対象とした国内フェーズ2試験において、最初の患者への投与を開始いたしました。 末梢性T細胞リンパ腫(以下「PTCL」という。)を含む非ホジキンリンパ腫の患者を対象としたフェーズ1試験を日本及び米国で実施しております。 2019年4月に厚生労働省より、PTCLの治療を対象として、先駆け審査指定を受けております。 AML、急性リンパ性白血病及び小細胞肺がんの患者を対象としたフェーズ1試験を米国で実施しております。(ⅳ) DS-7300:抗B7-H3 ADC 2019年10月に再発・進行性の固形がん患者(頭頸部がん、食道がん、非小細胞肺がん等)を対象とした日本及び米国でのフェーズ1/2試験において、最初の患者への投与を開始いたしました。(ⅴ) Zymeworks Inc.とのバイスペシフィック抗体に関する共同研究の拡大 2019年4月にバイスペシフィック抗体(二重特異性抗体)に関するZymeworks Inc.との共同研究及びクロスライセンス契約に基づくオプション権を行使し、特定のがん免疫バイスペシフィック抗体を商業化する権利を取得いたしました。引き続き、同社が開発したバイスペシフィック抗体の作製技術基盤を有効活用し、がん患者に新たな治療の選択肢を提供することを目指して参ります。(ⅵ) アキシカブタジン シロルーセル/Axi-Cel®:抗CD19 CAR-T細胞 2017年1月にギリアド・サイエンシズの子会社であるKite Pharma, Inc.から、本剤の国内における開発、製造及び販売の独占的権利を取得いたしました。 本剤は、厚生労働省より希少疾病用再生医療等製品指定(注3)を受けております。 2020年3月に再発又は難治性のB細胞リンパ腫に係る再生医療等製品製造販売承認申請を国内で行いました。(注)3.希少疾病用再生医療等製品指定:医薬品医療機器等法第77条の2に基づき、対象患者数が国内において5万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を参考にして、厚生労働大臣が指定する制度。指定されると、できるだけ早く医療の現場に提供できるよう、他の医薬品・医療機器・再生医療等製品に優先して承認審査がなされる。また承認された場合は、再審査期間が最長10年間に延長される。 ② がん以外の領域(ⅰ) エドキサバン:FXa阻害剤 日本では、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺塞栓症)の治療及び再発抑制等の適応症で製品名リクシアナとして販売しております。 日本を含めた全世界では、30以上の国または地域で販売されております。 経皮的冠動脈血管形成術を施行した心房細動患者を対象としたENTRUST-AF PCI試験で確認された安全性及び有効性について、2019年9月に欧州心臓病学会議(ESC Congress)で発表いたしました。 現在、80歳以上の非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制を目標適応とする国内フェーズ3試験を実施しております。(ⅱ) ミロガバリン:α2δリガンド 日本で、2019年4月より末梢性神経障害性疼痛の適応症で製品名タリージェとして販売しております。 現在、脊髄損傷後神経痛等の患者を対象としたフェーズ3試験を日本及びアジアで実施しております。(ⅲ) エサキセレノン:ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー 日本で、2019年5月より高血圧症の適応症で製品名ミネブロとして販売しております。 糖尿病性腎症の患者を対象とした国内フェーズ3試験において、主要評価項目及び重要な副次評価項目を達成し、本試験の結果を2019年11月に米国腎臓学会議(ASN)で発表いたしました。
FY2019|7,985 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を2025年ビジョンとして掲げております。2025年ビジョンの達成に向けて、重点領域であるがん領域については、抗体薬物複合体(以下「ADC」という。)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(以下「AML」という。)フランチャイズ及びブレークスルー・サイエンス(注1)を3つの柱として設定し、戦略的な研究開発活動に取り組んでおります。また、がん以外の領域については、希少疾患、免疫疾患を中心として、研究の加速化を進めております。さらに、新規モダリティ(注2)の技術研究を通じて、革新的な創薬技術に基づく研究開発活動にも取り組んでおります。研究から初期開発段階では、パートナリング、オープンイノベーション、トランスレーショナルリサーチを利用して、標準治療を変革する先進的新薬の継続的創出を目指した活動を進めております。後期開発段階では、がん領域と循環代謝領域等の製品の開発を進めております。ライフサイクルマネジメント(注3)では、循環代謝領域を中心に継続した取り組みを実施しております。(注)1.ブレークスルー・サイエンス:革新的な科学技術を応用した、がん治療法に抜本的な変革をもたらす新規治療手段。2.新規モダリティ:ADC、核酸医薬、治療用ウィルス、細胞治療等の新規創薬基盤技術。3.ライフサイクルマネジメント:適応症の拡大や用法・用量の改善等により、医薬品の製品価値を一層高め、長期間にわたりその価値を医療現場に提供するための取り組み。当連結会計年度の研究開発費は、2,037億円(前連結会計年度比13.7%減)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、21.9%となりました。主な研究開発プロジェクトの進捗状況は、次のとおりであります。 (1) がん領域① DS-8201(抗HER2 ADC):トラスツズマブ デルクステカン HER2が発現した複数のがん種を対象としたフェーズ1試験パート2(症例拡大試験)を日本及び米国で実施しております。 2018年6月、本試験における安全性と有効性に関する最新データを米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表いたしました。これらの最新データにより、HER2の発現程度によらず、また幅広いがん種において、本剤の有用性が示唆されました。 2018年9月、HER2発現またはHER2変異のある非小細胞肺がん患者の安全性と有効性に関する最新データを世界肺がん学会議(WCLC)で発表いたしました。これらの最新データにより、非小細胞肺がんにおいても本剤の有用性が示唆されました。 2018年10月、本試験における安全性と大腸がん患者の有効性に関する最新データを欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表いたしました。 2018年12月、本試験におけるHER2低発現乳がん患者の最新データを米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表いたしました。これらの最新データより、HER2低発現の乳がん患者においても本剤の有用性が示唆されました。また、本剤の全ての臨床試験で発現した間質性肺疾患(以下「ILD」という。)について、ILD外部判定委員会の判定結果を含めた中間報告を実施いたしました。 上記の試験に加え、がん種ごとに以下の試験を実施しております。(ⅰ) 乳がん・T-DM1を含む前治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象(3次治療以降)とした、全奏功率を主要評価項目とするグローバル・フェーズ2試験(DESTINY-Breast01)の患者登録(約230名)を2018年9月に完了いたしました。米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)への承認申請目標時期を2020年としていましたが、2019年度前半に前倒しすることを2019年3月に発表いたしました。試験結果については、結果が得られた後、学会において発表する予定であります。具体的な承認申請時期については、今後の米国FDAとの協議に基づいて決定いたします。・さらに、当該患者を対象とした、本剤投与群と治験医師選択薬投与群の安全性と有効性を比較評価するグローバル・フェーズ3試験(DESTINY-Breast02)を2018年9月に開始いたしました。・本剤は、上記の患者に対する治療を対象として、米国FDAより、画期的治療薬の指定制度の対象品目と認定されております。・トラスツズマブ等の前治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象(2次治療)とした、本剤投与群とT-DM1投与群の安全性と有効性を比較評価するグローバル・フェーズ3試験(DESTINY-Breast03)を2018年9月に開始いたしました。・HER2低発現乳がん患者を対象とした、本剤投与群と治験医師選択薬投与(化学療法)群の安全性と有効性を比較評価するグローバル・フェーズ3試験(DESTINY-Breast04)を2019年1月に開始いたしました。(ⅱ) 胃がん・HER2陽性の再発・進行性胃がん患者を対象とした日本及び韓国でのフェーズ2試験(DESTINY-Gastric01)を実施しております。・本剤は、上記の患者に対する治療を対象として、厚生労働省より、先駆け審査指定制度の対象品目と認定されております。(ⅲ) 非小細胞肺がん・HER2陽性の再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象としたグローバル・フェーズ2試験を2018年5月に開始いたしました。(ⅳ) 大腸がん・HER2陽性の再発・進行性大腸がん患者を対象としたグローバル・フェーズ2試験を実施しております。(ⅴ) 併用・研究開発提携等・米国Bristol-Myers Squibb Co.とHER2陽性の乳がん患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(製品名:オプジーボ)との併用療法を評価する臨床試験を実施しております。・米国Merck & Co., Inc.の子会社とHER2発現の乳がん及び非小細胞肺がん患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)との併用療法を評価する臨床試験の実施に関する契約を2018年9月に締結いたしました。・ドイツMerck KGaA及び米国Pfizer Inc.と、HER2発現またはHER2変異のある固形がんの患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害薬アベルマブ(製品名:バベンチオ)及びMerck KGaAが開発中のDNA損傷応答阻害剤(DDR阻害剤)との併用療法を評価する臨床試験に関する契約を2018年10月に締結いたしました。・当社独自のADC技術を使って創製されたDS-8201の価値最大化を図るため、がん領域のグローバル事業において豊富な経験とリソースを持つアストラゼネカ社と本剤に関するグローバルな開発及び商業化契約を2019年3月に締結いたしました。② U3-1402(抗HER3 ADC) HER3陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたフェーズ1/2試験を日本及び米国で実施しております。 2018年6月、本試験における安全性と有効性に関するデータを米国臨床腫瘍学会(ASCO)で初めて発表いたしました。さらに、2018年12月、本試験の最新データを、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表いたしました。これらの最新データにより、本剤の有用性が示唆されました。また、当社ADC技術の応用可能性が示唆されたと考えております。 現在、上記の試験に加え、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与中に病勢進行したEGFR変異のある非小細胞肺がん患者を対象とした米国でのフェーズ1試験を実施しております。③ キザルチニブ(FLT3阻害剤) 本剤は米国FDAよりFLT3-ITD変異を有する再発・難治性のAML治療を対象として、優先承認審査指定(注4)を受けております。また、米国FDA及び欧州医薬品庁よりAML治療を対象として、希少疾病用医薬品指定を受けております。さらに、2018年8月に米国FDAよりFLT3-ITD変異を有する再発または難治性のAML治療を対象として画期的治療薬の指定を、2018年9月に厚生労働省よりFLT3変異を有するAML治療を対象として希少疾病用医薬品の指定を受けました。 2018年5月にFLT3-ITD変異を有する再発・難治性のAML患者を対象とした、欧米及びアジアでのフェーズ3試験(QuANTUM-R試験)において、主要評価項目を達成し、2018年6月開催の欧州血液学会(EHA)のLate Breaking Sessionで発表いたしました。本試験結果に基づき、2018年10月に日本における製造販売承認申請を行いました。また、2018年11月に欧州医薬品庁、米国FDAに販売承認申請が受理され、それぞれ迅速審査(注5)、優先審査(注6)の指定を受けました。 現在、上記の試験に加え、AMLの一次治療の適応取得を目的としたグローバル・フェーズ3試験(QuANTUM-First試験)を実施しております。(注)4.優先承認審査指定:米国FDAより、重篤で未充足の医療ニーズが高い疾患に対し、高い治療効果が期待できる薬剤に対して指定されるもので、審査の迅速化が見込まれる。5.迅速審査:欧州医薬品庁より、公衆衛生及び治療上の革新性の観点から多大な貢献が期待される薬剤に対して指定されるもので、審査期間の短縮が見込まれる。6.優先審査:米国FDAより、治療上重要な進歩をもたらす薬剤や、現在適切な治療法がない疾患への治療法を提供する薬剤に対して指定されるもので、通常審査期間(10ヵ月目標)に比べ審査期間の短縮(6ヵ月目標)が見込まれる。(ⅰ) 併用等・FLT3-ITD変異を有する再発または難治性のAML患者及びFLT3-ITD変異を有し強力な化学療法が受けられない新規AML患者を対象とした、MDM2阻害剤ミラデメタン(注7)(DS-3032)との併用療法を評価するグローバル・フェーズ1試験を2018年12月に開始いたしました。(注)7.ミラデメタン(DS-3032):固形がん及び血液がん患者を対象としたフェーズ1試験を実施中であります。また、キザルチニブとの併用は、AML疾患動物モデル等を用いた非臨床試験において、単剤に比べて相乗効果があることが示唆されております。④ ペキシダルチニブ(CSF-1R/KIT/FLT3阻害剤) 本剤は米国FDAより腱滑膜巨細胞腫(以下「TGCT」という。)の治療における画期的治療薬の指定制度の対象品目と認定されております。さらに、希少疾病用医薬品指定を受けております。 2017年10月に欧米でのTGCT患者を対象としたフェーズ3試験において、主要評価項目を達成し、2018年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表いたしました。本試験結果に基づく販売承認申請が2019年2月に米国FDAに受理され、優先審査の指定を受けました。⑤ アキシカブタジン シロルーセル(抗CD19 CAR-T細胞) 2018年10月に厚生労働省より、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、及び高悪性度B細胞リンパ腫を対象として、希少疾病用再生医療等製品に指定されました。⑥ DS-1205(AXL阻害剤) EGFRチロシンキナーゼ阻害剤投与中に病勢進行したEGFR変異のある非小細胞肺がん患者を対象とした、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブ(製品名:イレッサ)との併用療法を評価する日本でのフェーズ1試験を2018年10月に開始いたしました。 がん領域における主な研究開発提携等は、次のとおりであります。① DarwinHealth, Inc.との新規がん標的獲得に向けた共同研究契約の締結 当社は、米国DarwinHealth, Inc.と新規がん標的獲得を目的とする共同研究契約を2018年4月に締結いたしました。 本契約の下、両社は特定のがん種について、同社が保有するバイオインフォマティクス技術(注8)を用いて標的候補の探索、評価及び検証を実施いたします。(注)8.バイオインフォマティクス技術:遺伝子の配列情報や蛋白質の発現情報など、生命体から得られる膨大な情報をコンピュータの計算能力を駆使して効率的に解析し、生物学的に意味のある有益な情報を抽出する技術。② Zymeworks Inc.とのバイスペシフィック抗体に関する共同研究の拡大 当社は、2016年9月にカナダZymeworks Inc.とバイスペシフィック抗体(注9)(二重特異性抗体)に関する共同研究及びクロスライセンス契約を締結いたしました。本契約の下、当社は1つのバイスペシフィック抗体の作製において、同社が独自に保有する技術基盤を使用する権利を取得し、一方、当社が保有するがん免疫関連の抗体を活用したバイスペシフィック抗体の研究開発及び商業化の権利を同社に許諾いたしました。 2018年5月に同社との共同研究を拡大する契約を締結し、当社は新たに2つのバイスペシフィック抗体の作製において、同社の技術基盤を使用する権利を取得いたしました。(注)9.バイスペシフィック抗体:抗体1分子中の2つの抗原結合部位に、異なる種類の抗原が結合できる抗体。 ③ Glycotope GmbHとのADCに関するライセンス契約の締結 当社は、ドイツGlycotope GmbHががん治療薬として開発中のgatipotuzumab(抗TA-MUC1抗体)を、当社のADC技術を活用してADC化した薬剤の事業化を目的として、オプション契約を2017年10月に締結いたしました。 2018年7月に、予備的試験の結果を踏まえ、オプション権を行使し、本剤に関する全世界での独占的開発及び商業化権利を取得するライセンス契約を締結いたしました。④ ロシュグループとのHER2低発現コンパニオン診断薬開発に関する提携契約の締結 当社は、2018年11月にスイスのロシュグループとHER2低発現を特定するためのコンパニオン診断薬(注10)の開発提携契約を締結いたしました。(注)10.コンパニオン診断薬:薬剤投与前に治療の有効性や安全性を予測し、適切な治療を選択するために利用され、またその治療効果のモニタリングにも利用される臨床検査薬のこと。⑤ Sarah Cannon Research Instituteとのがん領域のグローバル開発に関する提携契約の締結 当社は、2018年12月に米国Sarah Cannon Research Instituteと、当社が保有するADCフランチャイズを含むがん領域パイプラインの開発加速を目的として、日本を含むグローバル臨床試験実施に向けた提携契約を締結いたしました。⑥ AnHeart Therapeutics Inc.とのDS-6051に関するライセンス(製品導出)契約の締結 当社は、2018年12月に米国AnHeart Therapeutics Inc.と、当社が保有するROS1/NTRK阻害剤DS-6051に関するライセンス(製品導出)契約を締結いたしました。 当社が日本と米国で実施中のROS1またはNTRK融合遺伝子を持つ固形がん患者及び神経内分泌腫瘍患者を対象としたフェーズ1試験については、本契約締結後も同社と連携して推進いたします。 (2) がん以外の領域① エドキサバン(抗凝固剤) 日本では、2011年より下肢整形外科手術患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制の適応症で製品名リクシアナとして販売しており、2014年に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺塞栓症)の治療及び再発抑制の両効能を追加取得しております。 日本を含めた全世界では、30以上の国または地域で販売されております。 現在、心房細動や静脈血栓塞栓症の患者における本剤の使用について、臨床試験や使用実態下のデータを創出する活動に取り組んでおります。カテーテルアブレーション(注11)を施術される心房細動患者を対象としたELIMINATE-AF試験により確認された有効性及び安全性について、2019年3月開催の欧州不整脈学会(EHRA)2019のLate Breaking Sessionで発表いたしました。(注)11.カテーテルアブレーション:心房細動患者の脈を正常なリズムに戻すため、カテーテルという細い管を血管から心臓に入れて、不整脈の原因となる電気回路を遮断する施術。② エサキセレノン(高血圧症治療剤) 本態性高血圧症患者を対象とした国内フェーズ3試験の結果に基づき、2018年2月に国内製造販売承認申請を行いました。 「高血圧症」を適応として、2019年1月に国内製造販売承認を取得いたしました。 現在、糖尿病性腎症患者を対象とした国内フェーズ3試験も実施中であります。③ ミロガバリン(疼痛治療剤) 日本及びアジアでの糖尿病性末梢神経障害性疼痛の患者を対象としたフェーズ3試験及び帯状疱疹後神経痛の患者を対象としたフェーズ3試験の結果に基づき、2018年2月に国内製造販売承認申請を行いました。 「末梢性神経障害性疼痛(注12)」を適応として、2019年1月に国内製造販売承認を取得いたしました。 日本及びアジアでの脊髄損傷後神経痛の患者を対象としたフェーズ3試験を2019年3月に開始いたしました。(注)12.末梢性神経障害性疼痛:末梢性神経障害性疼痛は、さまざまな原因によって末梢神経に損傷や機能異常が起こり生じる痛み。代表的なものに糖尿病性末梢神経障害性疼痛や帯状疱疹後神経痛などがある。④ DS-5141(デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤) ㈱Orphan Disease Treatment Instituteと共同で臨床試験を実施しているDS-5141は、厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目と認定されております。 2018年4月に国内フェーズ1/2試験の結果概要を発表いたしました。本試験において、ジストロフィンタンパク質の明らかな発現を試験期間中は確認することができなかったものの、安全性上の懸念は認められず、遺伝子のエクソン45をスキップすることで得られるメッセンジャーRNAの発現が確認されたことから、開発を加速して参ります。⑤ VN-100(皮内投与型季節性インフルエンザワクチン) 当社は、当社グループにおけるインフルエンザワクチン事業を見直した結果、戦略上の理由により、VN-100の開発中止を2018年10月に決定いたしました。 がん以外の領域における主な研究開発提携等は、次のとおりであります。① iPS細胞由来インスリン産生細胞におけるオープンイノベーション研究の開始 当社は、三菱UFJキャピタル㈱(以下「三菱UFJキャピタル」という。)、国立大学法人東京工業大学と、iPS細胞からインスリン産生細胞を作製し、再生医療・細胞治療への活用を目指すオープンイノベーション研究を2019年1月に開始いたしました。 本研究を行うために、2013年に当社と三菱UFJキャピタルが共同設立したOiDEファンド投資事業有限責任組合から共同研究等に必要な資金を全額出資し、OiDE RYO-UN㈱を設立しております。
FY2018|6,007 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を2025年ビジョンとして掲げております。2025年ビジョンの達成に向けて、重点領域であるがん領域については、ADCフランチャイズ、AMLフランチャイズ及びブレークスルー・サイエンス(注1)を3つの柱として設定し、戦略的な研究開発活動に取り組んでおります。また、疼痛、中枢神経系疾患、心不全・腎障害、希少疾患を次世代領域と位置付け、研究の加速化を進めております。研究から初期開発段階では、パートナリング、オープンイノベーション、トランスレーショナルリサーチを利用して、標準治療を変革する先進的新薬創出を目指した活動を進めております。後期開発段階では、がん領域と循環代謝領域等の製品の開発を進めております。ライフサイクルマネジメント(注2)では、循環代謝領域を中心に継続した取り組みを実施しております。2017年4月にバイオ医薬品のモダリティ研究(注3)と生産技術研究開発の機能を集約化したバイオロジクス本部を新設いたしました。研究機能強化の取り組みの一環として、2018年4月1日に当社の国内子会社であるアスビオファーマ㈱を吸収合併いたしました。(注)1.ブレークスルー・サイエンス:革新的な科学技術を応用した、がん治療法に抜本的な変革をもたらす新規治療モダリティ。2.ライフサイクルマネジメント:適応症の拡大や用法・用量の改善等により、医薬品の製品価値を一層高め、長期間にわたりその価値を医療現場に提供するための取り組み。3.モダリティ研究:抗体、抗体薬物複合体、ペプチド及び核酸等、低分子を除く全ての化合物の創薬技術研究。当連結会計年度の研究開発費は、2,360億円(前連結会計年度比10.1%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、24.6%となりました。主な研究開発プロジェクトの進捗状況は、次のとおりであります。 (1) がん領域① DS-8201(抗HER2 ADC) 2016年12月にFDAよりHER2陽性の転移性乳がん治療を対象として、優先承認審査(Fast Track)指定されております。さらに、2017年8月にFDAよりHER2陽性の再発・転移性乳がん治療を対象として、画期的治療薬(Breakthrough Therapy)の指定制度の対象品目と認定されました。また、2018年3月に厚生労働省より、がん化学療法後に増悪したHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な再発・進行性胃がん患者に対する治療として、先駆け審査指定制度の対象品目と認定されました。 HER2陽性がん患者を対象としたフェーズ1試験パート2(症例拡大試験)を日本及び米国で実施しております。その途中経過を2017年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO)及び2017年9月開催の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表いたしました。さらに、HER2陽性及びHER2低発現の乳がん患者を対象とした安全性と有効性に関する最新データを2017年12月に米国サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表するとともに、HER2陽性の胃がん患者を対象とした安全性と有効性に関する最新データを2018年1月に米国臨床腫瘍学会の消化器癌シンポジウム(ASCO-GI)で発表いたしました。 HER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたグローバル・フェーズ2試験を2017年8月に開始いたしました。 HER2陽性の再発・進行性胃がん患者を対象とした日本及び韓国でのフェーズ2試験を2017年11月に開始いたしました。 HER2陽性の再発・進行性大腸がん患者を対象としたグローバル・フェーズ2試験を2018年2月に開始いたしました。(ⅰ) DS-8201の研究開発提携・当社は、米国Bristol-Myers Squibb Co.とHER2陽性の乳がん及び膀胱がん患者を対象とした、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(製品名:オプジーボ)との併用療法を評価する臨床試験の共同実施に関する契約を2017年8月に締結いたしました。・当社は、米国Puma Biotechnology, Inc.及び米国Memorial Sloan Kettering Cancer CenterとHER2変異固形がん患者を対象としたチロシンキナーゼ阻害剤ネラチニブ(米国製品名:NERLYNX)との併用療法を評価する前臨床試験の共同実施に関する契約を2017年12月に締結いたしました。② U3-1402(抗HER3 ADC) HER3陽性の難治性の転移性乳がん患者を対象としたフェーズ1/2試験を日本及び米国で実施しております。 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与中に病勢進行したEGFR変異のある非小細胞肺がん患者を対象とした米国でのフェーズ1試験を2018年2月に開始いたしました。③ DS-1062(抗TROP2 ADC) 再発・進行性の非小細胞肺がん患者を対象とした日本及び米国でのフェーズ1試験を2018年2月に開始いたしました。④ キザルチニブ 欧米及びアジアで、FLT3-ITD変異を有するAMLの二次治療及び一次治療の適応取得を目的としたフェーズ3試験を実施しております。⑤ DS-3201 再発・難治性の非ホジキンリンパ腫患者を対象としたフェーズ1試験を日本で実施しております。その途中経過を2017年12月に米国血液学会(ASH)で発表いたしました。 再発・難治性のAML及び急性リンパ性白血病患者を対象としたフェーズ1試験を米国で実施しております。⑥ ペキシダルチニブ 2015年10月にFDAより腱滑膜巨細胞腫(以下「TGCT」という。)の治療における画期的治療薬(Breakthrough Therapy) の指定制度の対象品目と認定されております。 欧米でのTGCT患者を対象としたフェーズ3試験において、主要評価項目を達成したことを2017年10月に発表いたしました。⑦ DS-1647 東京大学医科学研究所 藤堂具紀教授と共同で国内フェーズ2試験を実施しているがん治療用ウイルスG47Δ(DS-1647)が2016年2月に悪性神経膠腫を対象として、先駆け審査指定制度の対象品目と認定されております。さらに、2017年7月に同疾病を対象として、希少疾病用再生医療等製品に指定されました。⑧ デノスマブ 日本で、2012年より多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変、また2014年より骨巨細胞腫の適応症で、製品名ランマークとして販売しております。さらに、2013年より骨粗鬆症に対する国内製造販売承認を取得し、プラリアの製品名で販売しております。 プラリアについて、関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制の効能・効果追加の承認を2017年7月に取得いたしました。 米国Amgen Inc.と共同で実施するランマークの乳がん術後補助療法に関するグローバル・フェーズ3試験の結果概要を2018年2月に発表いたしました。主要評価項目である無骨転移生存期間の延長は達成できませんでした。なお、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。(ⅰ) 主な研究開発提携等(a) Glycotope GmbHとのADCに関するオプション契約の締結・当社は、ドイツGlycotope GmbHががん治療薬として開発中のPankoMab-GEX(抗TA-MUC1抗体)を、当社のADC技術を活用してADC化した薬剤の事業化に係るオプション契約を2017年10月に同社と締結いたしました。・本契約の下、当社はADC化したPankoMab-GEXの薬効を確認する予備的試験を実施後、同薬剤に関する全世界での独占的開発及び商業化権利を取得することができます。(b) MD Anderson Cancer CenterとのAML治療の研究開発提携に関する契約の締結・当社の米国子会社である第一三共Inc.及びプレキシコンInc.は、米国テキサス大学 MD Anderson Cancer CenterとAML治療の研究開発提携に関する契約を2017年9月に締結いたしました。・本契約の下、当社AMLフランチャイズの複数の開発品の併用効果(当社薬剤間及び他社薬剤との併用効果)を評価するとともに、非臨床試験や新規バイオマーカー(注4)の探索等のトランスレーショナルリサーチを実施いたします。(注)4.バイオマーカー:患者さんの層別化、医薬品の作用機序解明及び有効性・安全性の指標。(c) Max Planck Innovation GmbHとのがん領域における研究開発提携契約の締結・当社は、ドイツMax Planck Innovation GmbH及びその探索研究機関であるLead Discovery Center GmbH(以下「LDC」という。)とがん領域における共同研究を実施し、LDCが探索する新規リード化合物(注5)の開発及び販売の独占的実施権を取得できるオプション契約を2017年7月に締結いたしました。・本契約の下、がん細胞の転写と増殖を阻害する新規化合物の最適化を行うための共同研究を実施いたします。(注)5.リード化合物:創薬過程の出発点となる化合物で、その化学構造を修飾することで、活性、毒性、薬物動態等の改善が期待できる化合物。(d) Boston Pharmaceuticals Inc.とのDS-5010に関するライセンス契約の締結・当社は、米国Boston Pharmaceuticals Inc.と当社が保有する選択的RETキナーゼ阻害剤DS-5010の全世界での研究開発、製造及び商業化の権利を同社に導出する契約を2017年8月に締結いたしました。(e) 新規がん温熱療法に関するオープンイノベーション研究の開始・当社は、公立大学法人名古屋市立大学、学校法人中部大学 中部大学、三菱UFJキャピタル㈱(以下「三菱UFJキャピタル」という。)と、新規がん温熱療法に関するオープンイノベーション研究を2018年3月に開始いたしました。・本研究を行うために、2013年に当社と三菱UFJキャピタルが共同設立したOiDEファンド投資事業有限責任組合から共同研究等に必要な資金を全額出資し、OiDE RYO-UN㈱を設立しております。・新規の創薬基盤技術研究の産学連携を推進し、新たな治療法の開発を目指して参ります。 (2) スペシャルティメディスン領域(注6)(注)6.スペシャルティメディスン領域:がん以外の領域。循環代謝、疼痛、中枢神経系疾患、心不全・腎障害、希少疾患等の領域を含む。① エドキサバン 日本では、2011年より下肢整形外科手術患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制の適応症で製品名リクシアナとして販売しており、2014年に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺塞栓症)の治療及び再発抑制の両効能を追加取得しております。 海外では、米国、欧州及びアジア等、20カ国以上で販売承認を取得しております。 経カテーテル大動脈弁置換術を施行した心房細動患者を対象とした欧米での無作為化比較試験(ENVISAGE-TAVI AF試験)を2017年4月に開始いたしました。 がんを合併した静脈血栓塞栓症患者を対象とした欧米でのHokusai-VTE CANCER試験の結果を2017年12月に米国血液学会(ASH)のlate breaking sessionで発表いたしました。② エサキセレノン 糖尿病性腎症の患者を対象とした国内フェーズ3試験を2017年9月に開始いたしました。 本態性高血圧症の患者を対象とした国内フェーズ3試験において、主要評価項目を達成した試験結果概要を2017年9月に発表いたしました。 本試験結果に基づき、2018年2月に高血圧症に係る国内製造販売承認申請を行いました。③ ミロガバリン 疼痛患者を対象とした2つのフェーズ3試験の結果概要を2017年6月に発表いたしました。日本及びアジアでの帯状疱疹後神経痛の患者を対象とした試験は、主要評価項目を達成しました。一方、欧米での線維筋痛症の患者を対象とした試験は、主要評価項目を達成しませんでした。 日本及びアジアでの糖尿病性末梢神経障害性疼痛の患者を対象としたフェーズ3試験において、主要評価項目を達成した試験結果概要を2017年8月に発表いたしました。 日本及びアジアでのフェーズ3試験結果に基づき、2018年2月に末梢性神経障害性疼痛に係る国内製造販売承認申請を行いました。④ DS-5141 ㈱Orphan Disease Treatment Instituteと共同で国内フェーズ1/2試験を実施しているデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤DS-5141が2017年4月に先駆け審査指定制度の対象品目と認定されました。⑤ CHS-0214 日本で、米国Coherus BioSciences, Inc.と共同開発中の関節リウマチ等の自己免疫疾患治療薬エタネルセプトバイオ後続品CHS-0214について、安定供給を可能とする製法を確立できなかったことから、2017年7月に開発中止を決定いたしました。(ⅰ) 主な研究開発提携等(a) Translational Sciences, Inc.とのTS23に関するライセンス契約の解約・当社は、研究開発パイプラインの優先順位付けにより、米国Translational Sciences, Inc.との血栓溶解剤TS23に関する開発及び商業化に関する権利を解約することを2017年10月に決定いたしました。(b) Charleston Laboratories Inc.とのCL-108に関する開発及び販売契約の解約・当社及び当社の米国子会社である第一三共Inc.は、米国の疼痛市場並びに当社ポートフォリオを再評価した結果、米国Charleston Laboratories Inc.との制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108に関する開発及び販売契約を解約することを2017年8月に決定いたしました。(c) クオリプス㈱とのiPS細胞由来心筋シートの商業化に関する契約の締結・当社は、大阪大学発ベンチャー企業であるクオリプス㈱への出資及び同社が開発するiPS細胞由来心筋シートの全世界での販売オプション権を取得する契約を2017年8月に締結いたしました。・本契約の下、iPS細胞由来心筋シートを用いた重症心不全治療薬の実用化を目指します。
FY2017|6,954 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を2025年ビジョンとして掲げております。2025年ビジョンの達成に向け、重点領域である、がん領域の研究開発を加速するため、研究と臨床開発の組織をグローバルに一体化したオンコロジーRDサブユニットを2016年4月に新設いたしました。さらに、新組織の責任者として豊富な経験と実績を兼ね備えた人材を採用しております。新たな体制のもと、抗体薬物複合体と急性骨髄性白血病をがん領域の2つのフランチャイズとして設定し、戦略的な研究開発活動に取り組んでおります。重点領域と定めたがんに加えて、疼痛、中枢神経系疾患、心不全・腎障害、希少疾患を次世代領域と位置付け、研究スピードの加速と生産性の向上に取り組んでおります。研究から初期開発段階では、パートナリング、オープンイノベーション、トランスレーショナルリサーチを利用して、標準治療を変革する先進的新薬創出を目指した活動を進めております。後期開発段階では、がん領域と循環代謝領域に加え、疼痛領域の製品等の開発を進めております。さらに、ライフサイクルマネジメントにおいては、当社の強みの領域である循環代謝領域を中心に継続した取り組みを実施しております。なお、研究開発の生産性向上への取り組みとして、研究開発組織の運営コストを低減し、開発プロジェクトへ再配分することを目的としたグローバル研究開発体制の見直しを実施しております。その取り組みの一環として、当社の欧州子会社であるU3ファーマGmbHを2016年10月に閉鎖いたしました。さらに、当社のインド子会社である第一三共インドLTD.及び国内子会社であるアスビオファーマ㈱の閉鎖を決定しております。当連結会計年度の研究開発費は、2,143億円(前連結会計年度比2.7%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、22.4%となりました。主な研究開発プロジェクトの進捗状況は、次のとおりであります。 (1) 主な研究開発プロジェクト① プラスグレル 日本では、2014年より経皮的冠動脈形成術を伴う虚血性心疾患の適応症で製品名エフィエントとして販売しております。 なお、虚血性脳血管障害患者を対象とした国内フェーズ3試験(PRASTRO-I試験及び PRASTRO-II試験)を2016年10月に完了いたしました。年齢75歳未満及び体重50kg超の虚血性脳血管障害患者を対象としたPRASTRO-I試験では、主要評価項目を達成しませんでした。一方、年齢75歳以上又は体重50kg以下の虚血性脳血管障害患者を対象としたPRASTRO-II試験では、所期の目的を達成いたしました。 また、米国で実施していた小児鎌状赤血球症患者を対象としたフェーズ3試験結果を米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に提出しておりましたが、2016年6月に180日間の独占販売期間延長が認められました。② エドキサバン 日本では、2011年より下肢整形外科手術患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制の適応症で製品名リクシアナとして販売しており、2014年に非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺塞栓症)の治療及び再発抑制の両効能を追加取得しております。 海外では、当期末時点で、米国、スイス、英国、ドイツ、アイルランド、オランダ、韓国、台湾、イタリア、スペイン、ベルギー、香港、オーストリア、ポルトガル、タイ等においても順次販売を開始するとともにトルコで承認を取得しております。また、現在ブラジル、中国等において承認申請中であります。 また、ライフサイクルマネジメントの取り組みとして実施した、電気的除細動を受ける予定の非弁膜症性心房細動患者を対象とした欧米におけるENSURE-AF試験の結果が2016年8月に欧州心臓病学会で発表されました。さらに、以下の無作為化比較試験及び実臨床エビデンスを創出するための臨床研究を開始しております。(ⅰ)無作為化比較試験・非弁膜症性心房細動を有し既存の経口抗凝固剤の投与が困難と判断された80歳以上の患者を対象とした日本におけるELDERCARE-AF試験(2016年8月開始)・経皮的冠動脈血管形成術を施行した非弁膜症性心房細動患者を対象とした欧州、韓国、台湾等におけるENTRUST-AF PCI試験(2017年2月開始)・非弁膜症性心房細動を有するカテーテルアブレーション施術後の患者を対象とした欧州、カナダ、アジアにおけるELIMINATE-AF試験(2017年3月開始)(ⅱ)実臨床エビデンスを創出するための臨床研究・非弁膜症性心房細動を有する後期高齢者を対象とした日本における企業主導大規模臨床研究「ANAFIE Registry」(2016年10月開始)・がん患者を対象とした静脈血栓塞栓症に関する日本における企業主導大規模臨床研究「Cancer-VTE Registry」(2017年3月開始)③ デノスマブ 日本で2012年より多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変、また2014年より骨巨細胞腫の適応症で、製品名ランマークとして販売しております。さらに、2013年より骨粗鬆症に対する国内製造販売承認を取得し、プラリアの製品名で販売しております。 なお、関節リウマチの患者を対象とした国内フェーズ3試験を完了し、2016年9月に効能追加の承認申請を行いました。また、乳がん術後補助療法に関しては、グローバル・フェーズ3試験を実施しております。④ キザルチニブ 欧米及びアジアでFLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病の二次治療の適応取得を目的としたフェーズ3試験を推進しております。 また、欧米及びアジアで同疾患の一次治療の適応取得を目的としたフェーズ3試験を2016年10月に開始いたしました。⑤ ペキシダルチニブ 2015年10月にFDAより腱滑膜巨細胞腫(以下「TGCT」という。)の治療における画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定されており、欧米でTGCT患者を対象としたフェーズ3試験に取り組んでおります。なお、非致死性の重篤な肝障害症例が2例報告されたことを受け、2016年10月に独立データモニタリング委員会より受領した勧告に従い、新規患者登録を中断し、安全措置を講じた上で、既登録患者(126名の患者登録計画に対して121名)にて試験を継続しております。 また、抗PD-1抗体を含む他剤との併用での進行性固形がん患者を対象としたフェーズ1/2a試験を実施しております。⑥ パトリツマブ 欧米で局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん患者におけるエルロチニブとパトリツマブの併用効果を評価することを目的としたHER3-Lung試験を実施しておりましたが、事前に設定した有効性の基準を達成しなかったため、2016年5月に本試験の中止を決定いたしました。 なお、欧州で実施中のパトリツマブ、セツキシマブ及び白金系製剤の併用による再発又は転移性の頭頸部がん患者を対象としたフェーズ2試験は、継続して取り組んで参ります。⑦ チバンチニブ 欧米でMET高発現の肝細胞がんの二次治療の適応取得を目的としたフェーズ3試験を実施しておりましたが、主要評価項目を達成しなかったため、2017年3月に当社が権利を有していた本剤の欧米での開発の中止を決定いたしました。⑧ DS-8201 前治療としてT-DM1を含む抗がん剤治療を受けたHER2陽性の転移性乳がん患者等を対象としたフェーズ1試験パート1(用量漸増試験)の結果が2016年10月に欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のLate Breaking Sessionで発表されました。 本結果を踏まえて、2016年12月にFDAよりHER2陽性の転移性乳がん治療を対象として、優先承認審査(Fast Track)指定を受けました。 なお、現在、日本と米国で4つの異なるHER2陽性がん患者群を対象に安全性と有効性をさらに評価するフェーズ1試験パート2(症例拡大試験)を実施しております。⑨ DS-3032 再発性又は難治性の急性骨髄性白血病、及び高リスクの骨髄異形成症候群を有する患者を対象とした米国における単剤でのフェーズ1試験(用量漸増試験)の結果が2016年12月に米国血液学会(ASH)で発表されました。⑩ U3-1402 日本でHER3陽性の難治性の転移性乳がん患者を対象としたフェーズ1/2試験を2016年12月に開始いたしました。⑪ DS-1001 日本でIDH1変異のある悪性脳腫瘍(神経膠腫/グリオーマ)患者を対象としたフェーズ1試験を2017年1月に開始いたしました。⑫ エサキセレノン(CS-3150) 日本で本態性高血圧症患者を対象としたミネラロコルチコイド受容体拮抗薬エサキセレノンのフェーズ3試験を2016年9月に開始いたしました。⑬ ミロガバリン 欧米で線維筋痛症患者を対象としたフェーズ3試験を推進しており、日本・アジアでは、糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者及び帯状疱疹後神経痛患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。⑭ CL-108 当社の米国子会社である第一三共Inc.が米国Charleston Laboratories, Inc.から導入し、FDAに承認申請した制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108について、FDAから2017年1月末付けの審査完了報告通知を受領いたしました。現状の申請内容では承認されず、課題解決のためのガイダンスが示されました。現在、指摘事項の解決に向けた対応を進めております。⑮ 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン 2015年9月に米国MedImmune LLCから導入した経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(米国製品名FluMist Quadrivalent)について、2016年6月に国内製造販売承認申請を行いました。 (2) 主な研究開発提携及びオープンイノベーション等① Celixir Ltd.からの虚血性心不全の細胞治療薬ハートセルの導入 当社は、英国Celixir Ltd.(旧社名 Cell Therapy Ltd.)が開発中の虚血性心不全の細胞治療薬ハートセルについて、同社から日本における開発及び販売の独占的実施権の許諾を得るライセンス契約を2016年5月に締結いたしました。② Amgen Inc.からのバイオ後続品の導入 当社は、米国Amgen Inc.が開発中のバイオ後続品9品目(後期開発ステージにあるアダリムマブ、ベバシズマブ、トラスツズマブを含む)について、日本における商業化に関する独占契約を2016年7月に締結いたしました。開発及び製造は同社が実施し、日本での販売承認申請、並びに流通と販売は当社が実施する予定であります。また、同社は共同プロモーションの権利を持ちます。③ がん領域細胞治療薬の研究開発パイプラインに関するKite Pharma, Inc.との包括提携契約の締結 当社は、米国Kite Pharma, Inc.が保有するがん領域における細胞治療薬の研究開発パイプラインに関して、日本におけるKTE-C19(遺伝子改変自家Tリンパ球を用いた細胞治療薬)の開発、製造及び販売の独占的実施権、並びにその他の開発品目と今後3年以内に臨床開発に入る開発候補品目の導入オプション権を同社から取得する契約を 2017年1月に締結いたしました。④ 健康成人を対象としたバイオマーカーのデータ基盤構築に関する共同研究契約の締結 当社、アステラス製薬㈱及び武田薬品工業㈱は、健康成人におけるバイオマーカーの基礎データを網羅的に取得・解析する共同研究契約を2016年5月に締結いたしました。本共同研究により、これまで個別の製薬企業では難しかった網羅的なバイオマーカーのデータ基盤構築が可能になるとともに、トランスレーショナルリサーチのアプローチを用いた、より効果的な創薬活動にもつながります。⑤ バイスペシフィック抗体に関するZymeworks Inc.との共同探索研究及びクロスライセンス契約の締結 当社は、がん免疫治療薬の研究開発の加速を目的として、カナダZymeworks Inc.とのバイスペシフィック抗体(二重特異性抗体)に関する共同探索研究及びクロスライセンス契約を2016年9月に締結いたしました。⑥ がん免疫に関するAgonOx, Inc.との共同研究及びオプション契約の締結 当社は、米国AgonOx, Inc.と特定のがん免疫薬に関する共同研究及びオプション契約を2016年10月に締結いたしました。当社と同社は、特定のがん免疫薬に関する非臨床試験を共同で実施いたします。また、当社は、非臨床試験結果の評価後、全世界における同がん免疫薬の研究、開発、製造及び商業化に関する権利を取得できる独占的オプション権を獲得いたしました。⑦ 肺がんに関するDana-Farber Cancer Institute, Inc.との研究提携契約の締結 当社は、米国Dana-Farber Cancer Institute, Inc.と肺がんの非臨床試験に関する研究提携契約を2016年10月に締結いたしました。当社は、同社と連携し、同社が開発した独自の動物実験モデルを活用し、当社が保有する肺がん治療候補薬のトランスレーショナル非臨床薬理試験を実施いたします。⑧ がん領域におけるDarwinHealth, Inc.との研究開発提携契約の締結 当社は、米国DarwinHealth, Inc.とがん領域における研究開発提携契約を2016年12月に締結いたしました。同社の各種薬剤に対するバイオマーカー及び適応がん種を予測する新規技術を当社が保有するがん領域の研究開発パイプラインの開発戦略決定と優先度付けに活用いたします。⑨ 血中循環がん細胞解析法構築に関する基本合意書の締結 当社、シスメックス㈱及びアステラス製薬㈱は、血中循環がん細胞の解析法構築に関する基本合意書を2016年12月に締結いたしました。本合意書に基づき、3社は、リキッドバイオプシーを活用した診断薬や医薬品の研究開発に加え、臨床検査における標準化を視野に入れた新たな血中循環がん細胞解析法の確立に取り組みます。⑩ 疼痛治療に向けた新規低分子治療薬に関するHeptares Therapeutics Limitedとの研究開発提携契約の締結 当社は、英国Heptares Therapeutics Limitedと疼痛緩和に重要な役割をもつGタンパク質共役受容体(以下「GPCR」という。)を標的とした新薬研究及び研究技術ライセンスに関する契約を2017年3月に締結いたしました。 同社はGPCR結晶化技術を活用して、ヒット化合物の獲得及びリード化合物の最適化を実施し、当社は同社と共同で化合物の探索及び動物実験での安全性と有効性の評価を実施いたします。⑪ 毛細血管幹細胞CapSCsに関するオープンイノベーション研究の開始 当社と国立大学法人旭川医科大学(以下「旭川医科大学」という。)は、旭川医科大学心血管再生・先端医療開発講座川辺淳一特任教授が発見した新規幹細胞である毛細血管幹細胞(以下「CapSCs」という。)に関するオープンイノベーション研究を2016年4月に開始いたしました。本研究では、CapSCsの各種疾患に対する治療効果の検証とともに、細胞治療ソースとしての実用化に向けた検討を進めて参ります。 なお、本研究を行うために、2013年9月に当社と三菱UFJキャピタル㈱が共同で設立したOiDEファンド投資事業有限責任組合(以下「OiDE ファンド」という。)から共同研究等に必要な資金を全額出資し、OiDE CapiSEA㈱を設立しております。⑫ 新規がん免疫治療に関するオープンイノベーション研究の開始 当社と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所は、新規がん免疫治療に関するオープンイノベーション研究を2017年3月に開始いたしました。本研究により、がん領域における新しい創薬シーズを育成して参ります。 なお、本研究を行うために、OiDE ファンドから共同研究等に必要な資金を全額出資し、OiDE Adjubilee㈱を設立しております。 (3) バイオ医薬品の開発体制の強化 2017年4月にバイオ医薬品の研究開発と生産技術開発の機能を集約化したバイオロジクス本部を新設いたしました。 バイオ医薬品の創薬、治験薬供給及び商業生産準備に亘るシームレスな連携体制を構築し、種類、量ともに増加するモダリティ(低分子を除く全ての化合物)の製造技術開発基盤の確立、及び抗体薬物複合体DS-8201をはじめとするバイオ医薬品の開発スピードの加速化を図って参ります。
FY2016|3,606 文字
6【研究開発活動】当社グループは、革新的医薬品の迅速かつ継続的な創出に向けた取り組みを推進しており、循環代謝領域・がん領域・先端領域を重点領域と定め、ファーストインクラス・ベストインクラス品目の創出に注力した取り組みを実施して参りました。加えて、他社との提携やオープンイノベーションの拡充、バイオ医薬品事業への本格参入に向けた研究開発の強化やワクチンの研究開発も推進して参りました。また、研究開発力の強化策の一つとして、研究開発ユニットを低コスト体質へ転換し、開発プロジェクトへの投資効率を高める取り組みも進めております。この一環としてグローバル研究開発体制を見直し、欧州子会社U3ファーマGmbH及び英国子会社第一三共ディベロップメントLtd.の閉鎖を決定いたしました。主な研究開発プロジェクトや進捗状況、及び今後の研究開発体制は、次のとおりであります。 (1) 主な研究開発プロジェクト① プラスグレル 日本では、2014年より経皮的冠動脈形成術を伴う虚血性心疾患の適応症で製品名エフィエントとして販売しておりますが、虚血性脳血管障害患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。 また、米国で実施していた小児鎌状赤血球症患者を対象としたフェーズ3試験結果を米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に提出しております。これにより180日間の独占販売期間延長が認められることを期待しております。② エドキサバン 当期末時点で、日本、米国に続き、スイス、イギリス、ドイツ、アイルランド、オランダ、韓国において販売を開始しております。さらに、台湾で承認を取得し、中国、香港、タイ、オーストラリア、カナダ、ブラジル、トルコにおいて承認申請中であります。 また、2015年6月より、がんに合併し静脈血栓塞栓症を発症した患者を対象としたHokusai-VTE Cancer試験を実施しております。③ ミロガバリン 米欧で線維筋痛症患者を対象としたフェーズ3試験を推進しており、日本・アジアでは、糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者及び帯状疱疹後神経痛患者を対象としたフェーズ3試験を推進しております。④ ペキシダルチニブ 米欧で腱滑膜巨細胞腫(以下「TGCT」という。)患者を対象としたフェーズ3試験を推進中ですが、2015年10月、同剤はFDAよりTGCTの治療における「画期的治療薬 (Breakthrough Therapy)」に指定されました。 また、抗PD1抗体を含む他剤との併用での進行性固形がん患者を対象としたフェーズ1/2a試験を推進しております。⑤ ワクチン 2015年4月に、テルモ㈱との共同開発による皮内投与型季節性インフルエンザワクチンについて国内製造販売承認申請を行いました。 また、2015年9月に、アストラゼネカ社の子会社である米国メディミューン社と鼻腔噴霧インフルエンザ弱毒生ワクチンの国内開発・販売に関するライセンス契約を締結し、申請準備をしております。 (2) 主な研究開発提携等及び関連プロジェクトの進捗等① てんかん治療薬ラコサミドの国内製造販売承認申請 2014年11月、ユーシービージャパン㈱と、同社が開発したてんかん治療薬ラコサミドに関する共同商業化契約を締結いたしました。2015年6月、同社は、成人てんかん患者の部分発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法を適応として同剤の国内製造販売承認申請を行いました。同社は、同剤の臨床試験結果について2015年米国てんかん学会で発表しており、主要評価項目での有用性を示すことができました。同剤の製造は同社が行い、販売・流通は当社が担当し、プロモーション活動は両社共同で実施する予定であります。② 血栓溶解剤DS-9231/TS23の導入 2015年9月、米国トランスレーショナル・サイエンシズInc.との間で、現在フェーズ1試験中の同社血栓溶解剤TS23について、独占的ライセンス契約を締結いたしました。本契約により、当社は、全世界でのTS23の独占的開発及び商業化に関する権利を有し、開発業務を同社より引継ぎ、自社開発品DS-9231として開発して参ります。 血栓症領域において当社は、慢性期の薬剤として抗血小板剤プラスグレル及び抗凝固剤エドキサバンを有しております。急性期の薬剤については血栓溶解剤として自社開発中のDS-1040にこのたび導入したDS-9231を加えることにより、開発パイプラインを充実させるとともに、血栓領域のポートフォリオ拡充を目指して参ります。③ 制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108のフェーズ3試験における所期目的達成 2014年8月、米国チャールストン・ラボラトリーズInc.から制吐剤配合の麻薬性鎮痛剤CL-108を導入いたしました。中等度から重度の急性疼痛及びオピオイド誘発性悪心・嘔吐の低減を目指したフェーズ3試験が2015年10月に終了し、2つの主要評価項目で所期の目的を達成し、2016年3月に同社が承認申請いたしました。④ エタネルセプト バイオ後続品の国際共同フェーズ3試験における所期目的達成 米国コヒーラス・バイオサイエンシス社とCHS-0214(エタネルセプト(遺伝子組換え)バイオ後続品)の共同開発を推進しておりますが、今般、メトトレキサートによる治療では効果が不十分な関節リウマチ患者を対象とした国際共同フェーズ3試験において、先行バイオ医薬品であるエンブレル®との同等性基準を満たし、所期の目的を達成いたしました。引き続き、日本における承認申請に向けた活動を進めて参ります。⑤ がん治療ウイルス(G47Δ)の「先駆け審査指定制度」対象品目への指定 当社と東京大学医科学研究所 藤堂具紀教授(以下「藤堂教授」という。)が共同で申請したがん治療用ウイルス(G47Δ)が、2015年度に始まった医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目に指定されました。藤堂教授は、今回指定を受けたG47Δを用いたウイルス療法により、悪性神経膠腫を対象としたフェーズ2試験を2015年に開始しております。⑥ 核酸医薬(DS-5141b)のデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療を目指した国内臨床試験開始 当社は、㈱Orphan Disease Treatment Instituteと共同開発中のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下「DMD」という。)治療剤(DS-5141b、以下「本剤」という。)の最初の臨床試験(国内でのフェーズ1・2試験)を今般開始いたしました。本剤は、極めて重篤な伴性劣性の遺伝性希少疾患であるDMDの治療が期待される核酸医薬品であります。2020年までに国内製造販売承認を取得することを目標に、開発を進めております。⑦ エピジェネティクスを標的とするEZH1/2二重阻害剤(DS-3201b)のフェーズ1試験開始 当社は、国立研究開発法人国立がん研究センター及び国立大学法人東京大学と、血液がんに対する新規分子標的薬としてヒストンメチル化酵素EZH1/2二重阻害剤(DS-3201b)を共同開発し、この度、成人T細胞白血病リンパ腫を含む悪性リンパ腫患者に対するフェーズ1試験を開始いたしました。⑧ 創薬共同研究公募(TaNeDS) 当社は、オープンイノベーションの一環として、2011年度から創薬共同研究の公募(TaNeDS)を日本国内アカデミアの研究者を対象に実施し、2013年度からは海外(ドイツ、スイス、オーストリア)においても、大学及び研究機関の研究者を対象に、創薬共同研究の公募(TaNeDS Global Program)を実施しており、2015年度も選考の結果、複数の共同研究を開始しております。 (3) 2025年ビジョンに向けた研究開発体制の見直し 「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を2025年ビジョンとして掲げ、その達成に向け、2016年4月に研究開発体制の見直しを実施いたしました。 重点領域である、がん領域の研究開発を加速するため、研究と臨床開発の組織をグローバルに一体化したオンコロジーRDサブユニットを新設し、責任者を新たに外部から採用いたしました。 また、疼痛、中枢神経系疾患、心不全・腎障害、希少疾患を次世代領域と位置付け、次世代領域の研究組織もバイオベンチャーモデルに転換いたしました。薬理と合成、あるいは薬理とバイオの両機能を有した領域毎の小組織をつくり、迅速な意思決定を可能とすることで、研究スピードの加速・生産性の向上を目指して参ります。 なお、当連結会計年度の研究開発費は、2,087億円(前連結会計年度比9.4%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、21.2%となりました。