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大日本印刷(7912)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

その他製品 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    大日本印刷グループは、印刷技術を基盤としながらも、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスという3つの主要部門で幅広い事業を展開しています。書籍や雑誌の出版から、デジタルマーケティング支援、ICカード、決済サービス、さらにはリチウムイオン電池部材、食品包装材、ディスプレイ用光学フィルム、半導体フォトマスクといった多岐にわたる製品・サービスを提供し、社会の様々なニーズに応えることで収益を上げています。
  • 情報と生活の基盤を支える
    スマートコミュニケーション部門では、書籍や雑誌といった伝統的なメディアに加え、電子書籍やデジタルサイネージ、さらには生成AIを活用したサービスやバーチャル空間の企画・開発など、情報伝達とコミュニケーションの未来を創造しています。また、ICカードや決済関連サービス、認証・セキュリティサービスを通じて、安全で便利な社会インフラの構築にも貢献しており、人々の日常生活やビジネス活動の基盤を支えることで収益を確保しています。
  • 先端技術で産業を支援
    ライフ&ヘルスケア部門では、リチウムイオン電池や太陽電池の部材、高機能包装材料、医薬品受託製造など、環境・エネルギーや医療分野の発展に不可欠な素材やサービスを提供しています。エレクトロニクス部門では、ディスプレイや半導体製造に欠かせない光学フィルムやフォトマスク、LSI設計などを手掛け、最先端技術産業の発展を支えることで、高付加価値な製品・サービスから収益を得るビジネスモデルを構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • スマートコミュニケーション部門
    この部門は、書籍や雑誌の出版、電子書籍、デジタルマーケティング支援、ICカード、決済サービス、さらには生成AIを活用したサービスやバーチャル空間の企画・開発など、情報とコミュニケーションに関する幅広い事業を展開しています。売上高は7139.77億円、営業利益は346.67億円と、グループ内で最も大きな売上を誇り、多岐にわたるサービスで社会のコミュニケーション基盤を支える稼ぎ頭となっています。
  • ライフ&ヘルスケア部門
    この部門は、リチウムイオン電池用部材、太陽電池用部材、高機能包装材料、医薬品受託製造、飲料製造など、生活と健康に関わる製品やサービスを提供しています。売上高は4958.55億円、営業利益は237.89億円で、環境・エネルギー、食品、医療といった社会の重要なインフラを支える事業を通じて、安定した収益を上げています。
  • エレクトロニクス部門
    この部門は、ディスプレイ用光学フィルム、有機ELディスプレイ用メタルマスク、半導体製品用フォトマスク、LSI設計など、エレクトロニクス産業の基盤を支える高機能材料や部品を提供しています。売上高は2477.76億円ですが、営業利益は573.63億円と、グループ内で最も高い利益率を誇る高収益部門です。最先端技術を要する製品が多く、技術力が競争優位の源泉となっています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SmartCommunicationReportableSegment 事業 7,140 347 4.9%
LifeAndHealthcareReportableSegment 事業 4,959 238 4.8%
Electronics 事業 2,478 574 23.2%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,571 文字
3 【事業の内容】DNPグループは、当社及び子会社145社、関連会社27社で構成され、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスに関連する事業活動を行っております。DNPグループの事業における位置づけ等は、おおむね次のとおりです。なお、次の3部門は、セグメントの区分と同一であります。 ≪スマートコミュニケーション部門≫単行本・辞書・年史等の書籍、週刊誌・月刊誌・季刊誌等の雑誌、企業PR誌、教科書、電子書籍、販促から顧客分析に関わるデジタルマーケティング支援、企業の業務プロセス・販売プロセスに関わるBPRコンサルとBPOサービス、コンタクトセンター事業、IPS、ICカード、決済関連サービス、カード関連機器、認証・セキュリティサービスと関連製品、ICタグ、ホログラム、ビジネスフォーム、カタログ、チラシ、パンフレット、カレンダー、POP、デジタルサイネージ(電子看板)、イベント・店舗・商品・コンテンツ等の企画・開発・制作・施工・運営、生成AIを活用したサービス、バーチャル空間の企画・開発・制作・運営、昇華型熱転写製品(カラーインクリボン、受像紙、昇華型フォトプリンター)、溶融型熱転写製品(モノクロインクリボン)、証明写真機事業、顔写真・IDソリューション、エンタメ・アミューズフォトソリューション、電子書籍流通・販売、図書販売、図書館運営、その他 [主な関係会社](製 造)㈱DNPイメージングコム、㈱DNPコミュニケーションデザイン、㈱DNPデータテクノ、㈱DNPマーコムプロダクツ (製 造・販 売)大口製本印刷㈱、㈱DNP出版プロダクツ、㈱DNPメディアサポート、DNP Imagingcomm Asia Sdn. Bhd.、DNP Imagingcomm Europe B.V.、DNP Imagingcomm America Corporation※MK Smart Joint Stock Company (販売・サービス)丸善CHIホールディングス㈱、㈱インテリジェント ウェイブ、㈱DNPアイディーシステム、㈱DNPアートコミュニケーションズ、㈱DNPコアライズ、㈱DNPデジタルソリューションズ、㈱DNPハイパーテック、㈱DNPフォトイメージングジャパン、㈱DNPプランニングネットワーク、㈱DNPホリーホック、㈱トゥ・ディファクト、㈱ハコスコ、㈱モバイルブック・ジェーピー、丸善雄松堂㈱、丸善出版㈱、㈱丸善ジュンク堂書店、㈱図書館流通センター、㈱丸善リサーチサービス、DNP Photo Imaging Europe SAS、DNP Photo Imaging Russia, LLC、DNP Photo Imaging Spain S.L.U.、DNP Photo Imaging Belgium SA、Rubicon SEZC※BIPROGY㈱、教育出版㈱ なお、丸善CHIホールディングス㈱、㈱インテリジェント ウェイブ及びBIPROGY㈱は東京証券取引所に上場しております。 ≪ライフ&ヘルスケア部門≫リチウムイオン電池用バッテリーパウチ、太陽電池用部材、透明バリアフィルム関連製品、 産業用高機能部材、食品・飲料・菓子・日用品・医療品用等の各種包装材料、カップ類、 プラスチックボトル、ラミネートチューブ、プラスチック成型容器、無菌充填システム、 住宅・店舗・オフィス・車両・家電製品・家具等の内外装材、自動車等の成型部品、 金属化粧板、医薬原薬中間体受託製造、医薬品受託製剤、炭酸飲料、コーヒー飲料、ティー飲料、 果汁飲料、機能性飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料、その他 [主な関係会社](製 造)㈱DNPテクノパック、㈲エヌテック、㈱巴樹脂、相模容器㈱、㈱DNPエリオ、㈱DNP高機能マテリアル、㈱DNP包装、㈱DNPモビリティ&リビング (製 造・販 売)北海道コカ・コーラボトリング㈱、シミックCMO㈱、㈱DNP高機能マテリアル彦根、DNP田村プラスチック㈱、㈱アセプティック・システム、㈱DNP光金属、㈱DNPファインケミカル宇都宮、PT DNP Indonesia、DNP Vietnam Co.,Ltd. (販売・サービス)㈱ライフスケープマーケティング、㈱DNP・SIG Combibloc なお、北海道コカ・コーラボトリング㈱は、東京証券取引所、札幌証券取引所に上場しております。 ≪エレクトロニクス部門≫ディスプレイ用光学フィルム、有機ELディスプレイ用メタルマスク、 液晶ディスプレイ用大型フォトマスク、電子シェード、半導体製造用フォトマスク、 小型半導体パッケージ用リードフレーム、LSI設計、 ハードディスクドライブ用サスペンション、スマホ用カメラ部材、その他 [主な関係会社](製 造)㈱DNPエル・エス・アイ・デザイン、㈱DNPファインオプトロニクス (製 造・販 売)ディー・ティー・ファインエレクトロニクス㈱、DNP Photomask Europe S.p.A.※新光電気工業㈱、Photronics DNP Mask Corporation、 Photronics DNP Mask Corporation Xiamen (販 売)DNP Taiwan Co.,Ltd. <複数の事業を行う関係会社>(製 造・販 売)㈱DNPファインケミカル、㈱DNPエンジニアリング、㈱DNP四国、DNP Denmark A/S※DICグラフィックス㈱ (販売・サービス)㈱DNPロジスティクス、大日本商事㈱、㈱DNPプロアカウンティング、㈱DNP情報システム、㈱DNPヒューマンサービス、㈱DNPファシリティサービス、サンシ興産㈱、㈱DNP科学分析センター、㈱DNP北海道、㈱DNP東北、㈱DNP中部、㈱DNP西日本、DNP Asia Pacific Pte. Ltd.、DNP Korea Co.,Ltd.、DNP Corporation USA、DNP America, LLC、DNP Holding USA Corporation (注)※:持分法適用関連会社 <事業系統図>以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
多岐にわたる製品・サービスと技術開発力により、一定の価格決定力を持つと推測される。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
AIを活用した販促最適化、分散型ID管理プラットフォーム、電子交付・web通知サービスなどの技術開発力。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:人権に関するリスク / 労働安全に関するリスク / 製品・サービスの安全と品質に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

大日本印刷は、長年にわたり培ってきた印刷技術、デザイン力、そして多様な顧客基盤を持つ。特に、情報・通信、生活・文化、産業・社会インフラ分野における高度なソリューション提供能力は、他社が容易に模倣できない無形資産となっている。例えば、ICカードや証券印刷などの高セキュリティ印刷技術は、長年の研究開発と実績に裏打ちされている。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

顧客は、大日本印刷が提供する高度な印刷技術やソリューション(例:ICカード、証券印刷、ディスプレイ材料)に依存しており、他社への切り替えには、仕様変更、再認証、サプライチェーン再構築などのコストやリスクが伴う。特に、金融機関や政府機関向けの印刷物においては、セキュリティと信頼性が最優先されるため、切り替えは困難である。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

該当するネットワーク効果は確認できない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

大規模な生産設備と長年のオペレーション最適化により、一定のコスト競争力を持つが、業界全体として価格競争も存在するため、圧倒的なコスト優位とは言えない。特に、デジタル化の進展により、従来の印刷物の需要が変化する中で、コスト構造の維持・改善が課題となる。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

印刷業界において、売上高、生産能力、技術力、顧客基盤のいずれにおいてもトップクラスの規模を誇る。この規模により、多様なニーズに対応できる生産体制と、大規模プロジェクトの遂行能力を有しており、業界内での寡占的な地位を築いている。特に、特殊印刷分野では、その規模が競争優位に直結する。

  • 幅広い事業領域と技術力
    大日本印刷は、印刷技術を核に培ってきた多様な技術とノウハウを活かし、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスという広範な事業領域で製品・サービスを提供しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、各分野での技術シナジーを生み出すことで、安定した収益基盤を築いていると考えられます。例えば、情報処理技術はデジタルマーケティングに、精密加工技術は半導体製造に活かされています。
  • サプライチェーン全体への影響力
    同社は、書籍・雑誌の製造から流通・販売、さらには図書館運営まで手掛ける丸善CHIホールディングスや、コカ・コーラ製品のボトリングを行う北海道コカ・コーラボトリングなど、多数の子会社や関連会社を擁しています。これにより、サプライチェーンの様々な段階で事業を展開し、顧客への包括的なソリューション提供を可能にしています。この広範なネットワークは、顧客との強固な関係構築や市場での存在感強化に寄与している可能性があります。
  • 研究開発と未来への投資
    生成AIを活用したサービスやバーチャル空間の企画・開発、電子書籍、さらにはリチウムイオン電池用部材や有機ELディスプレイ用メタルマスクといった先端技術分野への取り組みは、同社が常に新しい価値創造を目指していることを示しています。これらの研究開発と未来への投資は、技術革新が加速する現代において、持続的な競争優位性を確立し、将来の成長ドライバーとなる可能性を秘めていると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。この理念に基づき、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしを実現するために、長期を見据えて、自らが「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開していくことを「経営の基本方針」としています。さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNPグループ自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。DNPグループは、「経営の基本方針」に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。また、事業活動の評価指標としてROEやPBRなどを用いて、価値向上の達成状況を評価・分析し、次の施策の効果を高めていきます。 (2)中長期的な会社の経営戦略DNPグループは2026年4月を開始年度とする3か年の新しい中期経営計画を実行しています。この計画では、事業戦略として「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、それを財務戦略と非財務戦略で支えることで持続的な事業価値・株主価値の創出を図り、企業価値の向上を目指します。中期経営計画の最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円、ROE9.0%を計画しています。 <三つの戦略>〔1:事業戦略〕〔1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方〕「事業戦略」では、「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、「P&I」(印刷と情報)から生まれた注力事業への積極投資による事業拡大、新たな価値の創出と構造改革による収益性強化、「P&I」を強みとする新たな注力事業の育成、の3つの施策を実行します。これらの取り組みを進めるにあたって、中期経営計画では、事業ポートフォリオの4象限を「注力事業(*)」「基盤事業」「再構築事業」「成長ポテンシャル事業」と定義付けました。高いシェアと良好な収益性を備え、持続的な成長が見込まれる「注力事業」については、引き続き積極的な投資を実施し、さらなる成長を目指します。*注力事業:情報セキュア関連、フォトイメージング関連、モビリティ関連、産業用高機能材関連、デジタルインターフェース関連、半導体関連「基盤事業」及び「再構築事業」は、現時点では注力事業に対して成長性が劣るものの、これらの事業も「P&I」の技術を活かして社会に対して新たな価値を提供できる製品やサービスを生み出すことを目指すとともに、「再構築事業」においては成長余地が低いと判断した製品やサービスについて縮小・撤退も検討することで、事業全体の収益性を強化していきます。また、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った事業を「成長ポテンシャル事業」と位置付け、育成に向けた取り組みを進めていきます。このような施策を着実に実行することで、事業ポートフォリオの変革を進めるとともに、3つのセグメントすべてを成長させることで、中期経営計画最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円を計画しています。また、こうした営業利益の成長と、財務戦略の施策の一つである、機動的かつ継続的な株主還元を両立することで企業価値を最大化し、PBRの持続的向上を目指します。 〔1-2:各セグメントにおける戦略〕〇スマートコミュニケーション部門当部門では、「情報セキュア関連」及び「フォトイメージング関連」を注力事業と位置付け、中長期的な成長に向けた投資を積極的に実施することで事業を拡大していきます。情報セキュア関連では、社会全体におけるデジタル化の進展や、セキュリティ・信頼性への要求の高まりを背景に、ICカード、各種認証サービス、BPOサービス等の主力事業を中心とした、DNPが強みを有する安全・安心分野での提供価値拡大を図っていきます。また、連結子会社化したRubicon SEZC(ルビコン)とのシナジーにより、ID情報に関連するカードやカードプリンター等のグローバル展開を加速させていきます。フォトイメージング関連では、昇華型熱転写記録材等の主力製品を中心に、高品質・高付加価値を強みとした製品・サービスの提供を継続するとともに、グローバル生産体制・供給体制の強化と、新興国市場の開拓を進め、さらなる成長を目指します。出版印刷関連は、既存事業の収益性改善と新規事業拡大の両立により事業基盤の強化を進めます。マーケティング関連は、リアルとデジタルの強みを活かし、サプライチェーン上流から提供価値の最大化を図ります。また、新たな注力事業の育成として、各事業部門の強みを掛け合わせたコンテンツ(アニメ等のIP)ビジネスのグローバル展開や、情報加工・変換技術とAI・XRを組み合わせて社会課題解決に貢献する新たなサービスの創出に取り組みます。 〇ライフ&ヘルスケア部門当部門では、「モビリティ関連」及び「産業用高機能材関連」を注力事業と位置付けています。モビリティ関連では、自動車産業の構造変化を見据え、付加価値の高い材料開発や用途提案を進めることで、競争力の強化と持続的な成長を目指します。また、株式会社DNP光金属とのシナジーにより、HMI(Human Machine Interface)関連部材を拡大するとともに、グローバルも視野に事業を拡大させていきます。産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチの次世代電池への拡大や、太陽電池関連部材の生産増、他産業用途への各種機能性フィルム関連製品の展開を目指します。包装関連、生活空間関連については、製造拠点の再編やコスト構造の見直しを含めた継続的な構造改革を行い、強い収益体質を確立するとともに、包装関連では、グローバルを見据えた高付加価値フィルム関連製品を開発し、新たな価値の創出を目指すほか、国内トップシェアの無菌充填システムのグローバル展開を進めていきます。メディカル・ヘルスケア関連は、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った「成長ポテンシャル事業」の一つと位置付けており、シミックCMO株式会社とのシナジーにより原薬・製剤事業から包装まで一貫対応したビジネスを展開することで、事業拡大を目指します。 〇エレクトロニクス部門当部門では、「デジタルインターフェース関連」、「半導体関連」ともにグローバルでの需要拡大が期待できるため、注力事業として積極的な設備投資及び研究開発投資を継続し、事業規模の拡大と競争力の強化を図っていきます。デジタルインターフェース関連では、第8世代サイズの大型メタルマスクや、光学フィルムにおけるパネルの大型化に対応した広幅対応の新生産ラインの活用などにより事業拡大を図ります。半導体関連においては、フォトマスクの市場成長に応じた最適な体制を構築し、継続的な成長を図るとともに、EUV(極端紫外線)マスクや、ナノインプリントなどの最先端領域へも事業を展開していきます。加えて、次世代半導体パッケージ向けTGV(ガラス貫通電極)ガラスコア基板の事業化へ向けた活動を加速していきます。 ■中期経営計画における主な経営目標指標中期経営計画における経営目標(2027年3月期~2029年3月期)実績(当連結会計年度)営業利益1,300億円1,010億円ROE9.0%8.9% 〔2:財務戦略〕持続的な事業価値及び株主価値の創出に向け、安定的な財務基盤を維持しつつ、成長投資原資の確保と株主還元を両輪で進めていきます。 〇キャッシュ・アロケーション戦略成長投資の原資は、営業キャッシュ・フローの拡大に加え、政策保有株式等の資産縮減や手元資金の圧縮、有利子負債の積極活用などにより、資金効率を最大化して創出します。創出したキャッシュは、注力事業等への設備投資や、注力事業またはその周辺領域等へのM&Aを中心に活用します。また、持続的な成長を支える研究開発や人的資本への投資も進めていきます。株主還元については、利益成長に応じた累進配当及び配当性向の引き上げにより、配当水準の向上を図っていきます。自己株式の取得についても、成長投資とのバランス、株価水準、資本効率等を考慮した上で、機動的かつ継続的に実施していく方針です。 〔3:非財務戦略〕非財務戦略については、事業戦略・財務戦略と一体で推進し、競争力の源泉となる経営資本の強化を通じて、持続的な価値創出を図っていきます。特に、「人的資本の強化」による価値創出の源泉の最大化、「知的資本の強化」による競争優位性の獲得・拡張、並びに「環境への取り組み」による事業持続性と成長機会の確保を進めていきます。 〇人的資本の強化人的資本ポリシーに基づき、人への投資を拡大し、グローバルでの人的創造性を高めていくことで、事業を通じた付加価値の最大化を図っていきます。また、その成果をさらなる人への投資へ振り向けていく好循環の創出を目指します。具体的には、職群別キャリア・スキルマップによるスキル・経験の可視化を通じて、経営戦略と連動した戦略的人材配置と人材育成を推進していきます。あわせて、DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度や各種研修・リスキリングの充実を通じて、組織力の強化にも取り組んでいきます。さらに、ジェンダーギャップの解消による意思決定の多様化やDNPウェルビーイング(健康・安全・幸せ)の浸透により、持続的な企業価値向上を支える経営基盤を強化していきます。 〇知的資本の強化DNP独自の強みと、社外のパートナーの強みとの連携を活かし、グローバル競争力と事業活動の持続性の向上を目指します。研究開発については、注力領域と成長戦略を設定し、領域別ロードマップを策定した上で、自社技術と社外技術の融合や戦略的パートナー連携により、新規事業創出を目指します。また、独自技術の高度化に加え、新設したオランダ・インドの研究開発拠点も活用し、グローバル展開を加速させていきます。加えて、生成AIを全社的に最適活用し、AI前提の業務・意思決定プロセスへの転換を進めることで、知的生産性向上と、強みを次世代へ継承する知識循環モデルの高度化に取り組んでいきます。 〇環境への取り組み気候変動による影響の激甚化や生物多様性の劣化など、地球環境を取り巻く課題が事業活動の前提条件となりつつある中、DNPグループは環境への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「DNPグループ環境ビジョン2050」では、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を掲げており、ネイチャーポジティブなバリューチェーンの構築に向けて、取り組みを加速させています。脱炭素社会の構築に向けて、再生可能エネルギーの導入やエネルギー使用の効率化を進めるとともに、サプライチェーン全体を視野に入れた温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。また、低炭素製品・サービスの開発や次世代エネルギーに関する研究を推進し、事業を通じた排出削減への貢献を図っていきます。循環型社会の構築に向けて、プラスチックや複合材料を中心に、マテリアルリサイクル及びケミカルリサイクルの高度化を進め、資源の効率的な利用を推進しています。加えて、原材料のトレーサビリティを確保することで、サプライチェーンの透明性を高め、持続可能な資源利用につなげていきます。自然共生社会の構築に向けて、原材料や水資源の管理の高度化を含め、事業活動全体を通じた生態系への影響低減に取り組んでいきます。生産拠点やサプライチェーンにおける環境負荷を把握・管理し、自然環境との調和を図りながら事業を展開していきます。これらの環境への取り組みについては、環境投資を継続的に行うとともに、温室効果ガス排出量、資源循環率、水使用量、環境配慮製品・サービスの売上比率などの指標を用いて進捗を管理していきます。環境課題への対応を事業の成長機会と捉え、経営を推進していきます。 〔4:ガバナンス〕近年、環境・社会・経済の急激な変化により、経営に影響を与えるリスク及び事業機会は多様化・複雑化しています。このような状況を踏まえ、DNPグループは、環境・社会・経済の持続可能性を高めるとともに、持続的な成長を推進するため、ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」は、中長期的な経営リスクの評価及び事業機会の把握を行い、経営戦略への反映に向けた検討を行っています。当委員会で協議した事項は、経営会議を経て取締役会に報告・提言しています。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。この理念に基づき、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしを実現するために、長期を見据えて、自らが「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開していくことを「経営の基本方針」としています。さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNPグループ自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。DNPグループは、「経営の基本方針」に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。また、事業活動の評価指標としてROEやPBRなどを用いて、価値向上の達成状況を評価・分析し、次の施策の効果を高めていきます。 (2)中長期的な会社の経営戦略DNPグループは2026年4月を開始年度とする3か年の新しい中期経営計画を実行しています。この計画では、事業戦略として「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、それを財務戦略と非財務戦略で支えることで持続的な事業価値・株主価値の創出を図り、企業価値の向上を目指します。中期経営計画の最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円、ROE9.0%を計画しています。 <三つの戦略>〔1:事業戦略〕〔1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方〕「事業戦略」では、「注力事業の拡大と構造改革の推進」を掲げ、「P&I」(印刷と情報)から生まれた注力事業への積極投資による事業拡大、新たな価値の創出と構造改革による収益性強化、「P&I」を強みとする新たな注力事業の育成、の3つの施策を実行します。これらの取り組みを進めるにあたって、中期経営計画では、事業ポートフォリオの4象限を「注力事業(*)」「基盤事業」「再構築事業」「成長ポテンシャル事業」と定義付けました。高いシェアと良好な収益性を備え、持続的な成長が見込まれる「注力事業」については、引き続き積極的な投資を実施し、さらなる成長を目指します。*注力事業:情報セキュア関連、フォトイメージング関連、モビリティ関連、産業用高機能材関連、デジタルインターフェース関連、半導体関連「基盤事業」及び「再構築事業」は、現時点では注力事業に対して成長性が劣るものの、これらの事業も「P&I」の技術を活かして社会に対して新たな価値を提供できる製品やサービスを生み出すことを目指すとともに、「再構築事業」においては成長余地が低いと判断した製品やサービスについて縮小・撤退も検討することで、事業全体の収益性を強化していきます。また、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った事業を「成長ポテンシャル事業」と位置付け、育成に向けた取り組みを進めていきます。このような施策を着実に実行することで、事業ポートフォリオの変革を進めるとともに、3つのセグメントすべてを成長させることで、中期経営計画最終年度となる2028年度には過去最高の営業利益を超える1,300億円を計画しています。また、こうした営業利益の成長と、財務戦略の施策の一つである、機動的かつ継続的な株主還元を両立することで企業価値を最大化し、PBRの持続的向上を目指します。 〔1-2:各セグメントにおける戦略〕〇スマートコミュニケーション部門当部門では、「情報セキュア関連」及び「フォトイメージング関連」を注力事業と位置付け、中長期的な成長に向けた投資を積極的に実施することで事業を拡大していきます。情報セキュア関連では、社会全体におけるデジタル化の進展や、セキュリティ・信頼性への要求の高まりを背景に、ICカード、各種認証サービス、BPOサービス等の主力事業を中心とした、DNPが強みを有する安全・安心分野での提供価値拡大を図っていきます。また、連結子会社化したRubicon SEZC(ルビコン)とのシナジーにより、ID情報に関連するカードやカードプリンター等のグローバル展開を加速させていきます。フォトイメージング関連では、昇華型熱転写記録材等の主力製品を中心に、高品質・高付加価値を強みとした製品・サービスの提供を継続するとともに、グローバル生産体制・供給体制の強化と、新興国市場の開拓を進め、さらなる成長を目指します。出版印刷関連は、既存事業の収益性改善と新規事業拡大の両立により事業基盤の強化を進めます。マーケティング関連は、リアルとデジタルの強みを活かし、サプライチェーン上流から提供価値の最大化を図ります。また、新たな注力事業の育成として、各事業部門の強みを掛け合わせたコンテンツ(アニメ等のIP)ビジネスのグローバル展開や、情報加工・変換技術とAI・XRを組み合わせて社会課題解決に貢献する新たなサービスの創出に取り組みます。 〇ライフ&ヘルスケア部門当部門では、「モビリティ関連」及び「産業用高機能材関連」を注力事業と位置付けています。モビリティ関連では、自動車産業の構造変化を見据え、付加価値の高い材料開発や用途提案を進めることで、競争力の強化と持続的な成長を目指します。また、株式会社DNP光金属とのシナジーにより、HMI(Human Machine Interface)関連部材を拡大するとともに、グローバルも視野に事業を拡大させていきます。産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチの次世代電池への拡大や、太陽電池関連部材の生産増、他産業用途への各種機能性フィルム関連製品の展開を目指します。包装関連、生活空間関連については、製造拠点の再編やコスト構造の見直しを含めた継続的な構造改革を行い、強い収益体質を確立するとともに、包装関連では、グローバルを見据えた高付加価値フィルム関連製品を開発し、新たな価値の創出を目指すほか、国内トップシェアの無菌充填システムのグローバル展開を進めていきます。メディカル・ヘルスケア関連は、今後高い成長性が期待でき、新たな注力事業となる可能性を持った「成長ポテンシャル事業」の一つと位置付けており、シミックCMO株式会社とのシナジーにより原薬・製剤事業から包装まで一貫対応したビジネスを展開することで、事業拡大を目指します。 〇エレクトロニクス部門当部門では、「デジタルインターフェース関連」、「半導体関連」ともにグローバルでの需要拡大が期待できるため、注力事業として積極的な設備投資及び研究開発投資を継続し、事業規模の拡大と競争力の強化を図っていきます。デジタルインターフェース関連では、第8世代サイズの大型メタルマスクや、光学フィルムにおけるパネルの大型化に対応した広幅対応の新生産ラインの活用などにより事業拡大を図ります。半導体関連においては、フォトマスクの市場成長に応じた最適な体制を構築し、継続的な成長を図るとともに、EUV(極端紫外線)マスクや、ナノインプリントなどの最先端領域へも事業を展開していきます。加えて、次世代半導体パッケージ向けTGV(ガラス貫通電極)ガラスコア基板の事業化へ向けた活動を加速していきます。 ■中期経営計画における主な経営目標指標中期経営計画における経営目標(2027年3月期~2029年3月期)実績(当連結会計年度)営業利益1,300億円1,010億円ROE9.0%8.9% 〔2:財務戦略〕持続的な事業価値及び株主価値の創出に向け、安定的な財務基盤を維持しつつ、成長投資原資の確保と株主還元を両輪で進めていきます。 〇キャッシュ・アロケーション戦略成長投資の原資は、営業キャッシュ・フローの拡大に加え、政策保有株式等の資産縮減や手元資金の圧縮、有利子負債の積極活用などにより、資金効率を最大化して創出します。創出したキャッシュは、注力事業等への設備投資や、注力事業またはその周辺領域等へのM&Aを中心に活用します。また、持続的な成長を支える研究開発や人的資本への投資も進めていきます。株主還元については、利益成長に応じた累進配当及び配当性向の引き上げにより、配当水準の向上を図っていきます。自己株式の取得についても、成長投資とのバランス、株価水準、資本効率等を考慮した上で、機動的かつ継続的に実施していく方針です。 〔3:非財務戦略〕非財務戦略については、事業戦略・財務戦略と一体で推進し、競争力の源泉となる経営資本の強化を通じて、持続的な価値創出を図っていきます。特に、「人的資本の強化」による価値創出の源泉の最大化、「知的資本の強化」による競争優位性の獲得・拡張、並びに「環境への取り組み」による事業持続性と成長機会の確保を進めていきます。 〇人的資本の強化人的資本ポリシーに基づき、人への投資を拡大し、グローバルでの人的創造性を高めていくことで、事業を通じた付加価値の最大化を図っていきます。また、その成果をさらなる人への投資へ振り向けていく好循環の創出を目指します。具体的には、職群別キャリア・スキルマップによるスキル・経験の可視化を通じて、経営戦略と連動した戦略的人材配置と人材育成を推進していきます。あわせて、DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度や各種研修・リスキリングの充実を通じて、組織力の強化にも取り組んでいきます。さらに、ジェンダーギャップの解消による意思決定の多様化やDNPウェルビーイング(健康・安全・幸せ)の浸透により、持続的な企業価値向上を支える経営基盤を強化していきます。 〇知的資本の強化DNP独自の強みと、社外のパートナーの強みとの連携を活かし、グローバル競争力と事業活動の持続性の向上を目指します。研究開発については、注力領域と成長戦略を設定し、領域別ロードマップを策定した上で、自社技術と社外技術の融合や戦略的パートナー連携により、新規事業創出を目指します。また、独自技術の高度化に加え、新設したオランダ・インドの研究開発拠点も活用し、グローバル展開を加速させていきます。加えて、生成AIを全社的に最適活用し、AI前提の業務・意思決定プロセスへの転換を進めることで、知的生産性向上と、強みを次世代へ継承する知識循環モデルの高度化に取り組んでいきます。 〇環境への取り組み気候変動による影響の激甚化や生物多様性の劣化など、地球環境を取り巻く課題が事業活動の前提条件となりつつある中、DNPグループは環境への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「DNPグループ環境ビジョン2050」では、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を掲げており、ネイチャーポジティブなバリューチェーンの構築に向けて、取り組みを加速させています。脱炭素社会の構築に向けて、再生可能エネルギーの導入やエネルギー使用の効率化を進めるとともに、サプライチェーン全体を視野に入れた温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。また、低炭素製品・サービスの開発や次世代エネルギーに関する研究を推進し、事業を通じた排出削減への貢献を図っていきます。循環型社会の構築に向けて、プラスチックや複合材料を中心に、マテリアルリサイクル及びケミカルリサイクルの高度化を進め、資源の効率的な利用を推進しています。加えて、原材料のトレーサビリティを確保することで、サプライチェーンの透明性を高め、持続可能な資源利用につなげていきます。自然共生社会の構築に向けて、原材料や水資源の管理の高度化を含め、事業活動全体を通じた生態系への影響低減に取り組んでいきます。生産拠点やサプライチェーンにおける環境負荷を把握・管理し、自然環境との調和を図りながら事業を展開していきます。これらの環境への取り組みについては、環境投資を継続的に行うとともに、温室効果ガス排出量、資源循環率、水使用量、環境配慮製品・サービスの売上比率などの指標を用いて進捗を管理していきます。環境課題への対応を事業の成長機会と捉え、経営を推進していきます。 〔4:ガバナンス〕近年、環境・社会・経済の急激な変化により、経営に影響を与えるリスク及び事業機会は多様化・複雑化しています。このような状況を踏まえ、DNPグループは、環境・社会・経済の持続可能性を高めるとともに、持続的な成長を推進するため、ガバナンス体制の強化に取り組んでいます。代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」は、中長期的な経営リスクの評価及び事業機会の把握を行い、経営戦略への反映に向けた検討を行っています。当委員会で協議した事項は、経営会議を経て取締役会に報告・提言しています。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度におけるDNPグループの状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く状況は、国内のインバウンド需要の拡大や個人消費の持ち直しなどにより、景気に緩やかな回復が見られました。一方で、長期化・拡大する地政学リスクの影響や、米国をはじめとする各国・地域の政策動向、原材料費・人件費・物価の変動など、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。また、地球環境や人権に関わる課題の解決も、サプライチェーン全体で一層強く求められています。DNPグループは、こうした環境・社会・経済の変化やリスクに対応するだけでなく、長期を見据えて自らが変革を起こし、「より良い未来」をつくり出す事業活動を展開しています。独自の「P&I」(印刷と情報)の強みを掛け合わせ、生成AIをはじめとする先進技術も活かし、多様なパートナーとの連携をさらに深めながら、事業領域の拡張と業績の向上に取り組んでいます。当年度は、2023-2025年度の中期経営計画の最終年度として、「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に基づく取り組みを通じて、持続的な事業価値・株主価値の創出に注力しました。「事業戦略」では、中長期的に強みを発揮する事業ポートフォリオを構築するとともに、市場成長性と収益性が高い事業を中心に価値の創出を加速させました。「財務戦略」では、創出したキャッシュを事業のさらなる成長投資と株主還元に適切に配分すべく、政策保有株式の売却、計画的な自己株式の取得を行いました。「非財務戦略」では、「人への投資の拡大」「知的資本の強化」「環境への取り組み」を中心に、サステナブルな成長を支える経営基盤の強化を図りました。 その結果、当連結会計年度のDNPグループの売上高は1兆5,125億円(前期比3.8%増)、営業利益は1,010億円(前期比7.9%増)、経常利益は1,192億円(前期比2.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却にともなう特別利益の計上もあり、1,039億円(前期比6.1%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 (スマートコミュニケーション部門)イメージングコミュニケーション関連は、新型プリンター関連の需要増加等が寄与して写真プリント用部材が欧米・アジア市場で好調に推移したほか、IDカード用インクリボンが市場回復などを背景に堅調に推移し、前年を上回りました。情報セキュア関連は、デュアルインターフェイスのICカード(ICチップ1つで接触型と非接触型の規格に対応)が前年から減少したものの、BPO(Business Process Outsourcing)の大型案件などがあり、当事業全体で前年を上回りました。また、本人情報を登録・認証する政府向けID認証サービスをアフリカ中心に提供し、Laxton(ラクストン)ブランドで事業展開しているRubicon SEZC(ルビコン)の株式を取得し、2025年7月より連結子会社として協業を開始しました。マーケティング関連は、企業向け施策の実績・知見とデジタルの強みを掛け合わせた価値の提供に努めましたが、紙媒体の市場縮小の影響もあり、前年を下回りました。なお、セールスプロモーション分野で、DNP独自の専門性や機能を集約・統合することによるグループ全体の機能の強化と事業運営の効率化、競争力の強化と持続的な成長を目的に、2025年10月にグループ会社間における組織再編を実施しました。出版関連は、雑誌等の市場縮小の影響を受けたものの、教育・研究施設、図書館等の設計・内装施工に関する大型案件の完工が増加したことや、図書館運営業務が好調に推移したことによって、前年を上回りました。 コンテンツ・XRコミュニケーション関連のうち、コンテンツ関連は、国内外で人気の知的財産(IP:Intellectual Property)を活用した巡回型イベントや物販、日本発IPの海外展開など、新たな価値の創出に努めました。XRコミュニケーション関連では、教育分野や行政サービスを中心に地域連動XRサービスを充実させ、各自治体等への提供を進めています。今後も継続して、国内各地域とともに新しい価値を創出・発信するコミュニケーションモデルを構築していきます。その結果、部門全体の売上高は7,503億円(前期比4.9%増)となりました。営業利益は、人的資本や固定資産の適正化などの事業構造改革により、400億円(前期比15.4%増)となりました。 (ライフ&ヘルスケア部門)モビリティ・産業用高機能材関連のうち、産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが、スマートフォンやタブレット端末等のIT向けで新製品を中心に販売が伸長し、前年を上回りました。一方で車載向けは、米国の政策変更によってEVの販売が落ち込むなど電池需要が低迷し、前年を下回りました。太陽電池関連は、引き続き各国・地域で太陽電池等の再生可能エネルギー導入の拡大が見込まれるなか、太陽電池の電極やセル等を保護する封止材の生産能力を従来の約2倍に増強する生産ラインを2025年10月に泉崎工場(福島県)に導入し、これによる増産効果も寄与して、前年を上回りました。モビリティ関連は、自動車向け加飾フィルムが、内装用を中心に堅調に推移し、前年を上回りました。塗装工程の短縮に寄与する、環境に優しい高意匠外装用製品の販売にも注力しました。また、株式会社DNP光金属を中心として、高い意匠性や精度が求められる操作・表示部向けの自動車用加飾成型部品を対象としたハイエンドHMI(Human Machine Interface)領域への事業拡大を進めています。加えて、Turing(チューリング)株式会社との資本業務提携により、完全自動運転に必要な製品・サービスの開発を推進し、モビリティを中心としたスマート社会の実現に貢献していきます。生活空間関連は、高い耐久性とデザイン性を両立させた内・外装材「アートテック®」及び国内向け内装材は前年並みで推移しましたが、海外向け内装材は市況悪化の影響等により、全体で前年を下回りました。なお、事業構造改革の一環で、2025年10月にモビリティ関連と生活空間関連の事業を統合し、“モビリティと住まいがつながるスマート社会”の実現に向けた体制を構築しました。今後も、「オールDNP」で強みを掛け合わせ、社会や生活者への対応力と事業競争力をさらに強化していきます。包装関連は、2026年1月以降、物価高騰を背景とした買い控えの影響を受けたものの、紙カップやチューブ容器などが好調に推移したほか、PETボトル用無菌充填システムの販売も増加しました。また、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING®」シリーズをはじめとする機能性包材の開発・販売にも注力し、当事業全体で前年を上回りました。メディカル・ヘルスケア関連は、医療用パッケージが好調に推移したことに加え、医薬品の原薬事業・製剤事業も堅調に推移し、前年を上回りました。飲料事業は、自動販売機の業界がダウントレンドにあるなか、夏場の好天の恩恵に加え、価格改定が寄与し、量販店・飲食店・Webサイトでの販売が伸長したことで、前年を上回りました。その結果、部門全体の売上高は5,123億円(前期比3.3%増)となりました。営業利益は、固定費等のコストダウン、固定資産の適正化などの事業構造改革により、372億円(前期比56.6%増)となりました。 (エレクトロニクス部門)デジタルインターフェース関連は、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクが、2024年5月に黒崎工場(福岡県)で生産開始した第8世代サイズのガラス基板向け大型メタルマスクの寄与があったものの、半導体メモリ不足に起因するミドルローエンドのスマートフォン減産の影響を受けて、第4四半期に需要が減少しました。ディスプレイ用光学フィルムは、液晶テレビ用パネルの大型化にともなう出荷面積の拡大や、2025年9月に三原工場(広島県)で生産を開始した2,500mmの広幅対応のコーティング装置が寄与したことで、堅調に推移し、当事業全体で前年を上回りました。半導体関連は、市況が堅調に推移し、積極的な投資により事業を拡大したことで、前年を上回りました。引き続き、EUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)リソグラフィ用フォトマスクやナノインプリントなどの最先端領域への事業展開に取り組んでいきます。その結果、部門全体の売上高は2,518億円(前期比1.6%増)となりました。営業利益は、為替の影響に加え、半導体製造用フォトマスクの設備投資・開発投資によって固定費が増加した影響等もあり、507億円(前期比11.6%減)となりました。なお、次世代半導体パッケージ向けのTGV(Through Glass Via:ガラス貫通電極)ガラスコア基板のパイロットラインを久喜工場(埼玉県)に新設し、2025年12月に稼働を開始しました。本ラインで当製品の量産検証を行い、2026年1月から高品質なサンプルの提供を開始しています。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末の資産、負債、純資産については、総資産は、現金及び預金、のれん、退職給付に係る資産の増加や、投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1,162億円増加し、2兆341億円となりました。負債は、社債、繰延税金負債の増加や、支払手形及び買掛金、未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末に比べ579億円増加し、7,670億円となりました。純資産は、当期純利益による増加や、退職給付に係る調整累計額の増加、剰余金の配当、自己株式の取得、その他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ583億円増加し、1兆2,671億円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ70億円減少し、2,435億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,555億円、減価償却費528億円などにより403億円の収入(前連結会計年度は1,327億円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出600億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出227億円、投資有価証券の売却による収入578億円などにより736億円の支出(前連結会計年度は367億円の支出)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出507億円、配当金の支払額178億円、社債の発行による収入1,000億円などにより233億円の収入(前連結会計年度は874億円の支出)となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)スマートコミュニケーション部門452,090+2.7ライフ&ヘルスケア部門424,938+3.0エレクトロニクス部門235,341+3.1合 計1,112,370+2.9 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。 b.受注実績当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)スマートコミュニケーション部門585,057△1.3110,139△13.2ライフ&ヘルスケア部門460,704+3.9130,930+7.0エレクトロニクス部門251,337+2.140,514△0.1合 計1,297,099+1.1281,584△2.8 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)スマートコミュニケーション部門748,674+4.9ライフ&ヘルスケア部門512,092+3.3エレクトロニクス部門251,804+1.6合 計1,512,571+3.8 (注)セグメント間取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点によるDNPグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容DNPグループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて549億円増加し、1兆5,125億円(前期比3.8%増)となりました。売上原価は、前期に比べて272億円増加して1兆1,465億円(前期比2.4%増)となり、売上高に対する比率は前期の76.8%から75.8%となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べて202億円増加して2,649億円(前期比8.3%増)となり、この結果、営業利益は前期に比べて74億円増加して1,010億円(前期比7.9%増)となりました。営業外収益は、持分法による投資利益の減少等により前期に比べて19億円減少して243億円(前期比7.5%減)となり、営業外費用は、支払利息の増加等により前期に比べて21億円増加して61億円(前期比52.7%増)となりました。この結果、経常利益は前期に比べて33億円増加して1,192億円(前期比2.9%増)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益の減少等により、前期に比べて724億円減少して579億円(前期比55.6%減)となり、特別損失は、減損損失の減少等により前期に比べて560億円減少して216億円(前期比72.2%減)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,039億円(前期比6.1%減)となりました。 DNPグループの経営成績に重要な影響を与えた要因は以下のとおりです。当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く状況は、国内のインバウンド需要の拡大や個人消費の持ち直しなどにより、景気に緩やかな回復が見られました。一方で、長期化・拡大する地政学リスクの影響や、米国をはじめとする各国・地域の政策動向、原材料費・人件費・物価の変動など、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。また、地球環境や人権に関わる課題の解決も、サプライチェーン全体で一層強く求められています。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。スマートコミュニケーション部門については、イメージングコミュニケーション関連は、新型プリンター関連の需要増加等が寄与して写真プリント用部材が欧米・アジア市場で好調に推移したほか、IDカード用インクリボンも堅調に推移し、前年を上回りました。情報セキュア関連は、デュアルインターフェイスのICカードが前年から減少したものの、BPOの大型案件などがあり、前年を上回りました。マーケティング関連は、紙媒体の市場縮小の影響もあり、前年を下回りました。出版関連は、雑誌等の市場縮小の影響を受けたものの、教育・研究施設、図書館等の設計・内装施工に関する大型案件の完工が増加したことや、図書館運営業務が好調に推移したことによって、前年を上回りました。コンテンツ・XRコミュニケーション関連のうち、コンテンツ関連は、国内外で人気の知的財産を活用した巡回型イベントや物販、日本発IPの海外展開など、新たな価値の創出に努めました。XRコミュニケーション関連では、教育や行政分野のサービスを充実させ、各自治体等への提供を進めています。その結果、部門全体の売上高は前期比4.9%増の7,503億円となりました。営業利益は、人的資本や固定資産の適正化などの事業構造改革により、前期比15.4%増の400億円となりました。営業利益率は、前期の4.8%から0.5ポイント上昇し、5.3%となりました。ライフ&ヘルスケア部門については、モビリティ・産業用高機能材関連のうち、産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが、スマートフォンやタブレット端末等のIT向けで新製品を中心に販売が伸長し、前年を上回りました。一方で車載向けは、米国の政策変更によってEVの販売が落ち込むなど電池需要が低迷し、前年を下回りました。太陽電池関連は、太陽電池の電極やセル等を保護する封止材に関して、泉崎工場(福島県)に導入した新生産ラインの増産効果も寄与して、前年を上回りました。モビリティ関連は、自動車向け加飾フィルムが、内装用を中心に堅調に推移し、前年を上回りました。生活空間関連は、内・外装材「アートテック®」及び国内向け内装材は前年並みで推移しましたが、海外向け内装材は市況悪化の影響等により、全体で前年を下回りました。包装関連は、紙カップやチューブ容器などが好調に推移したほか、PETボトル用無菌充填システムの販売も増加しました。メディカル・ヘルスケア関連は、医療用パッケージが好調に推移したことに加え、医薬品の原薬事業・製剤事業も堅調に推移し、前年を上回りました。飲料事業は、夏場の好天の恩恵に加え、価格改定が寄与し、量販店・飲食店・Webサイトでの販売が伸長したことで、前年を上回りました。その結果、部門全体の売上高は前期比3.3%増の5,123億円となりました。営業利益は、固定費等のコストダウン、固定資産の適正化などの事業構造改革により、前期比56.6%増の372億円となりました。営業利益率は、前期の4.8%から2.5ポイント上昇し、7.3%となりました。エレクトロニクス部門については、デジタルインターフェース関連は、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクが、第8世代サイズのガラス基板向け大型メタルマスクの寄与があったものの、半導体メモリ不足に起因するミドルローエンドのスマートフォン減産の影響を受けて、第4四半期に需要が減少しました。ディスプレイ用光学フィルムは、液晶テレビ用パネルの大型化にともなう出荷面積の拡大や、三原工場(広島県)に導入した広幅対応の新生産ラインが寄与したことで、堅調に推移し、当事業全体で前年を上回りました。半導体関連は、市況が堅調に推移し、積極的な投資により事業を拡大したことで、前年を上回りました。その結果、部門全体の売上高は前期比1.6%増の2,518億円となりました。営業利益は、為替の影響に加え、半導体製造用フォトマスクの設備投資・開発投資によって固定費が増加した影響等もあり、前期比11.6%減の507億円となりました。営業利益率は、前期の23.2%から3.1ポイント低下し、20.1%となりました。 セグメント資産の状況については、スマートコミュニケーション部門は前期末に比べて、26億円減少して7,858億円(前期末比0.3%減)となりました。ライフ&ヘルスケア部門は前期末に比べて、66億円増加して4,914億円(前期末比1.4%増)となりました。エレクトロニクス部門は前期末に比べて、251億円増加して4,108億円(前期末比6.5%増)となりました。報告セグメント合計では前期末に比べて、292億円増加して1兆6,881億円(前期末比1.8%増)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報DNPグループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末に比べ70億円減少し、2,435億円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,555億円、減価償却費528億円などにより403億円の収入(前期は1,327億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出600億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出227億円、投資有価証券の売却による収入578億円などにより736億円の支出(前期は367億円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出507億円、配当金の支払額178億円、社債の発行による収入1,000億円などにより233億円の収入(前期は874億円の支出)となりました。 a.財務戦略の基本的な考え方DNPグループは、社会課題を解決し、人々の期待に応える新しい価値の創出のため、成長領域を中心とした事業へ集中的に事業投資(研究開発投資、設備投資、戦略的提携やM&A投資)を行うとともに、それらを支える人的資本に経営資源を投入していきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。 b.DNPグループの資本の財源DNPグループは、主に営業活動により確保されるキャッシュ・フローにより、成長を維持・発展させていくために必要な資金を確保しております。設備投資資金などの資金需要については自己資金で賄うことを基本としておりますが、自己資金に加え、他人資本も活用し、成長投資資金を調達していきます。 c.DNPグループの経営資源の配分に関する考え方DNPグループは、成長領域を中心とした注力事業への投資などを進めていきます。重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設等」に記載のとおりであります。また、利益の配分については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定DNPグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 人権問題による信頼失墜
    サプライチェーン全体における強制労働、児童労働、低賃金、長時間労働、ハラスメントなどの人権侵害は、企業の社会的信頼を大きく損ない、法規制違反による経済的損失につながる可能性があります。AI活用による新たな人権問題も発生しており、適切な対応を怠ると、ブランドイメージの低下や顧客離れを引き起こし、事業運営に深刻な影響を与えるリスクがあります。
  • 労働安全問題による事業停滞
    労働災害やメンタルヘルス問題の発生は、社員の安全と健康を脅かすだけでなく、生産活動の停止や遅延、企業の信用失墜、法的責任、経済的損失につながる可能性があります。各国・地域で労働安全に関する規制が強化される中、適切な対策を講じない場合、事業運営に大きな支障をきたし、企業価値を低下させるリスクがあります。
  • 製品・サービス品質問題
    製品の不具合や品質問題は、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージを大きく毀損する可能性があります。また、法的な責任追及や多額の経済的損失につながることもあり、事業活動に深刻な影響を及ぼします。特に、安全性が求められる包装材料や医薬品関連製品において品質問題が発生した場合、その影響は甚大になるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|17,446 文字
3 【事業等のリスク】DNPグループは、地球環境の持続可能性を高め、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしを実現していく新しい価値の創出に努めており、それによって当社自身の持続的な成長を達成していきます。社会環境の急変など、経営に影響を与える変動要因がますます多様かつ広範囲になるなか、全社のリスクを適切に評価・分析して中長期的な経営戦略に反映し、事業機会へと転換するプロセスを強化することが、よりサステナブルな社会への貢献と、当社が標榜する「未来のあたりまえ」につながると考えています。こうした考えに基づき、中長期的なリスクの管理と事業機会の把握、経営戦略への反映を担う「サステナビリティ推進委員会」を代表取締役社長が委員長に就いて運営しています。また、自然災害やサイバー攻撃による事業停止をはじめとする有事の際も社員の安全を確保して生産活動を維持し、企業継続を担保する「BCM推進委員会」、企業継続の基本となる社員のコンプライアンス意識の向上を図り、リスクの低減を図る「企業倫理行動委員会」を合わせた3つの委員会が互いに連携し、全社的リスクを網羅する体制を構築して、統合的なリスクマネジメントを推進しています。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。 (1)DNPグループの重要なリスクと重点対応施策当社は、事業活動を通じて識別したサステナビリティ関連のリスク及び機会について重要性評価を行い、「重要なリスク及び機会」として特定しています。また、当社は、これらの重要なリスクへの対応として重点的に推進する施策を位置付けており、「情報セキュリティ」「サプライチェーンマネジメント」「人権」を重点対応施策としています。本項では、これら重点対応施策の対象となる主要なリスク及びその対応状況について記載しています。重要なリスクの特定プロセス及び対応方針の考え方については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」に記載しています。 ①情報セキュリティに関するリスクへの取り組み当社は、顧客企業や生活者に関する個人情報及び機密情報を多く取り扱っており、サイバー攻撃、不正アクセス、委託先を含むサプライチェーンを起点とした情報漏えい、改ざん、システム停止等のリスクを重要な経営課題と認識しています。これらが発生した場合、信頼低下、対応費用の発生、事業活動の停止等により、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (ⅰ)ガバナンス当社は、本社に情報セキュリティ委員会及び情報セキュリティ本部を設置し、グループ全体を統括するとともに、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置し、サイバーセキュリティインシデント対応体制を構築しています。この体制のもと、「組織的・人的・技術的対策」を柱に多層的な対策を推進しています。 (ⅱ)戦略当社は、「セキュリティ・バイ・デザイン」に基づき、企画・設計段階から対策を組み込むとともに、外部機関による客観的評価を活用して有効性を検証し、継続的な改善を図っています。人的対策としては、全社員から経営層まで階層別教育・訓練を実施し、技術的対策としてはゼロトラストの採用やXDR(Extended Detection & Response)、サイバーハイジーンの導入により、予防・防御力の強化を図っています。一方で、DXの進展に伴うAI・データ利活用の拡大や技術革新、地政学リスク等を背景にサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、これらのリスクを完全に防止することは困難であるとの認識のもと、インシデント発生を前提としたレジリエンス強化に取り組んでいます。 具体的には、事業継続計画(BCP)の再評価を行い、事業・業績への影響度に応じた優先順位付けや重要システムを特定し、影響最小化による復旧時間の短縮と復旧プロセスの高度化を進めています。これらの取り組みは、BCM推進委員会や企業倫理行動委員会等で定期的に報告を行い、取締役会にも報告しています。また、重大インシデントを想定したシナリオに基づき、経営層を含む訓練を実施し、意思決定及び対応能力の向上に努めています。 <情報セキュリティの取り組み:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.115~123>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf (ⅲ)リスク管理当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」に記載しています。情報セキュリティの取り組みを経営における重要課題として取り上げ、対策を講じています。 ②サプライチェーンに関するリスクへの取り組みサプライチェーンに関する取り組みは、当社が特定した「重要なリスク」への対応として重点的に取り組んでいる施策の一つであり、地政学リスク、自然災害、物流混乱、法規制の変化等により、原材料や部材の調達が滞った場合、当社の事業活動や社会的信頼に影響を及ぼす可能性があるリスクに関するものです。当社は、半導体関連部材をはじめとするエレクトロニクス分野やモビリティ分野、生活・社会インフラを支える幅広い製品を提供しており、グローバルかつ多層的なサプライチェーンを有しています。近年、世界情勢の不安定化や経済安全保障の要請の高まりにより、従来の効率重視のサプライチェーンから、持続性・強靭性を重視した体制への転換が求められています。当社は、こうした環境変化を踏まえ、サプライチェーンの安定性確保を重要な経営課題の一つと位置付け、ガバナンス、戦略、リスク管理の観点から、継続的な強化に取り組んでいます。 (ⅰ)ガバナンスサプライチェーンに関する方針や重要事項については、BCM推進委員会等において議論を行い、必要に応じて経営層による意思決定・監督のもとで対応しています。新型コロナウイルスによる感染症拡大を契機に、原材料調達から製造・物流に至るまでのリスク認識を全社で共有する体制を整備し、部門横断での情報共有や定期的な点検を継続しています。また、サプライチェーン上で重要な事案が発生した場合には、関係部門が連携し、影響の把握と迅速な対応を行う体制を構築しています。さらに、サプライヤーとの協力関係を重視し、平時からリスクや調達上の重要性について認識を共有することで、有事においても安定的な供給の確保に努めています。 (ⅱ)戦略当社は、サプライチェーンに関するリスクを中長期的な経営環境の変化として捉え、事業の持続性を高める観点から、以下の取り組みを進めています。・情報を活用したサプライチェーン管理の高度化世界各地の情勢変化、法規制動向、物流状況等に関する情報を収集・分析し、自社の事業活動への影響を評価する仕組みを整備しています。これにより、潜在的なリスクを早期に把握し、対応策の検討につなげています。・複線化による安定調達の確保調達リスクを低減するため、特定の供給元への依存を抑え、複数の調達先の確保や代替材料の検討を進めています。研究開発段階から関係部門が連携し、安定的な供給を前提とした製品設計・生産体制の構築に取り組んでいます。・戦略的な在庫管理外部環境や調達状況を踏まえ、必要に応じて安全在庫の水準を見直すなど、資本効率とのバランスを考慮しながら、事業継続性を確保するための在庫管理を行っています。 (ⅲ)リスク管理当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」に記載しています。サプライチェーンマネジメントの取り組みを経営における重要課題として取り上げ、継続的な把握と管理を行っています。重要な製品や材料については、直接の取引先に加え、その上流に位置する供給網についても把握を進め、供給途絶の可能性や影響度を評価しています。また、自然災害や地政学的緊張、物流の制約等が想定される地域やルートについては、状況の変化を注視し、必要に応じて調達・物流の見直しを検討しています。加えて、経済安全保障に関する法制度や国際的な規制動向についても情報収集を行い、特定地域への過度な依存を避けるとともに、供給網の分散を図っています。これらの取り組みを通じて、当社はサプライチェーンに内在する不確実性の低減に努め、事業の安定的な運営と社会的責任の両立を目指しています。 ③人権に関するリスクへの取り組み人権に関する取り組みは、当社が特定した「重要なリスク」への対応として重点的に取り組んでいる施策の一つであり、人権侵害が発生した場合には、社会的信頼や事業継続に影響を及ぼす可能性があるリスクに関するものです。当社は、「人権の尊重」について、企業が社会の一員として果たすべき責任の一つであると認識しており、「社員」「地域社会」「サプライヤー」「顧客」「株主・投資家」といった多様なステークホルダーとの対話を通して、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを強化しています。 (ⅰ)ガバナンス人権尊重の取り組みの方針や戦略などについては、サステナビリティ推進委員会での議論を経て、取締役会にて審議・決定しています。サプライチェーン全体における人権に関する課題については、取締役会においてその重要性及び取り組みの必要性を審議しており、2022年度からサプライチェーン管理の強化を図っています。2024年度には、サステナビリティ推進委員会において人権デュー・ディリジェンス推進に向けた審議を行いました。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。 (ⅱ)戦略当社は、全ての社員が取るべき行動を示した「DNPグループ行動規範」のなかに「人類の尊厳と多様性の尊重」を掲げ、あらゆる人が固有に持つ文化、国籍、信条、人種、民族、言語、宗教、性別、年齢や考え方の多様性を尊重することを定めています。2020年には、取締役会の審議を経て、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「DNPグループ人権方針」を策定しました。この方針では、「国際人権章典」や「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」等が定め、国際的に認められた人権をDNPグループが尊重することを表明しています。その他にも、人権尊重に資する「DNPグループ 環境方針」や「DNPグループ サステナブル調達ガイドライン」(2024年7月改訂)を定めて、さまざまな活動を推進しています。当社は、自社の事業活動が、社員だけでなく、サプライヤーや地域社会をはじめとする、事業活動のサプライチェーン上の全てのステークホルダーの人権に影響を及ぼすことと、それにともなって人権尊重への取り組みが企業に求められていることを深く認識しています。当社は常に、社員の労働安全衛生や職場環境に関するリスク、サプライチェーン上の人権問題等の負の影響を防止・軽減する各種施策を実行しています。近年は特に、人権を尊重する企業の取り組みの重要性が高まっており、2024年度からは当社の事業活動に関わる人権リスクの特定・評価を加速させています。具体的には、社外の専門家を起用して、当社の国内外の拠点(一部の子会社等を除く)に人権リスクに関するアンケート及びヒアリングを実施し、潜在的なリスクの分析を行いました。これらの結果と、印刷関連業界特有の人権リスクの特徴を踏まえ、当社として考慮すべき人権リスクの全体像を見極めるとともに、特に重要な人権リスクを特定し、予防・改善施策の実行と実効性の評価を進めています。また、AI活用が広がり、差別やプライバシーの侵害など新たな人権課題が顕在化するなか、当社は「DNPグループAI倫理方針」及び社内向けの「AI倫理ガイドライン」を策定しており、AI監査体制の構築や運用体制の整備を進めるとともに、負の影響の最小化に取り組んでいます。 人権デュー・ディリジェンスで求められる救済へのアクセスを確保するために、退職者を含む社員やビジネスパートナーなどのステークホルダーが利用できる通報窓口として、弁護士が相談・通報を受け付ける外部窓口の設置や、多言語対応により実効性を強化するなど、ステークホルダーとの対話の促進に努めています。サプライチェーンにおける人権リスクについては、取引規模や事業継続の観点での重要なサプライヤーを対象として、「サステナブル調達ガイドライン」に基づく書面調査やヒアリングを継続的に行い、各社の遵守状況の確認と課題の改善に取り組んでいます。さらに、人権課題の実態を把握するため、サプライヤーの人権マネジメントの方針・体制等の整備状況や、強制労働の懸念、紛争状態にある国・地域との関与についても併せて確認しています。 特に、深刻な人権リスクの懸念があり、当社の事業活動にも欠かせない鉱物資源については、OECD「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に基づいて「DNPの責任ある鉱物調達フレームワーク」を定め、RMI(Responsible Minerals Initiative)のRMAP(Responsible Minerals Assurance Process)を用いて責任ある鉱物調達に取り組んでいます。 (ⅲ)リスク管理当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」に記載しています。人権尊重の取り組みを経営における重要課題として取り上げ、対策を講じています。 <人権の取り組み:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.44~49>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf (2)中長期的な経営環境の変化によるリスク及び機会当社は、事業環境へ中長期的に影響を及ぼし得る外部環境の変動要因を、以下のとおり整理しています。これらはリスク及び機会の両面で当社に影響を及ぼし得るものであり、その識別及び評価の詳細については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」に記載しています。 ①経済に関する主要な変動要因・経済活動関連‐市場・サプライチェーンのグローバル化‐地政学的要因に伴う事業環境・サプライチェーンの変化‐経済手段を通じた国家間対立(地経学的リスク)の顕在化‐経済環境・金融市場の変動‐各国・地域の規制・制度の高度化‐グローバル化に伴う知的財産・資本市場を巡る競争環境の変化・技術的動向関連‐DXの推進・生成AI、ロボティクスの技術進展と社会実装‐AI活用基盤(スキル・データ)の地域・企業間格差の拡大‐生活・ワークスタイルの変化、デジタルネットワークの高度化‐情報・サイバーセキュリティへの脅威の増大、各国規制の強化・多様化‐情報格差の拡大やプライバシー侵害への懸念の高まり など 「経済活動」における中長期的な動向は、企業の持続的な成長に直結する重要な要素であり、グローバル化の進展に伴う市場及びサプライチェーンの拡大・複雑化に加え、地政学的要因や経済手段を通じた国家間対立(地経学的リスク)の顕在化等により、事業環境の不確実性が高まっています。これらの変化は、サプライチェーンの混乱や再構築に伴う対応負荷の増大、事業展開地域・市場アクセスの制約、資源・エネルギー価格や為替等の変動を通じて、当社の事業運営及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。さらに、各国・地域における規制や制度の高度化・多様化、金融市場の変動、並びに知的財産や資本市場を巡る競争環境の変化に対し、企業には戦略的かつ継続的な対応が求められています。「技術的動向」の観点では、DXの推進に加え、生成AIやロボティクス等の技術進展と社会実装が急速に進んでおり、ビジネスモデルやワークスタイル、価値提供の在り方に影響を与えています。生産性向上や新たな顧客接点の創出といった機会が拡大する一方で、AI活用を支えるスキル、データ等の基盤の地域・企業間格差の拡大が、新たな競争条件となる可能性があります。また、デジタルネットワークの高度化に伴い、情報・サイバーセキュリティへの脅威の増大や各国・地域規制の強化・多様化への対応が不可欠となっており、情報格差の拡大やプライバシー侵害に対する懸念の高まりも、企業活動に影響を及ぼすリスクとなっています。こうした状況に対して当社は、経済環境及び技術動向の変化に対応するため、事業ポートフォリオの継続的な見直しを行っています。具体的には、各事業について成長性及び収益性の観点から評価を行い、「注力事業」「成長ポテンシャル事業」「基盤事業」「再構築事業」の4つに区分し、資源配分の最適化を図っています。また、デジタル技術の進展やAIの活用拡大を踏まえ、リアルとデジタルを融合した価値創出や事業化の迅速化に取り組んでいます。AIの利活用にあたっては、「DNPグループAI倫理方針」に基づき、リスクに適切に対応しながら活用を推進しています。加えて、サイバー攻撃の高度化・巧妙化や各国規制の動向を踏まえ、情報・サイバーセキュリティへの備えが重要であると認識しています。原材料の調達における経済的変動要因に対しては、国内外の複数の供給元から印刷用紙やフィルム材料等を調達することで、安定的な供給確保と調達価格の最適化に努めています。しかしながら、地政学的リスクや地経学的対立の影響、資源・エネルギー価格の変動、為替の不安定化、新興国における需要の急増、天然資源の制約などにより、需給バランスが大きく変動する可能性があります。為替リスクに対しては、現地生産化や為替予約等により一定のヘッジを行っていますが、急激な変動が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、これらの経済関連の中長期的なリスクに対して、戦略的な事業運営とリスクマネジメントの高度化を通じて対応し、持続可能な成長の実現を目指しています。今後も、不確実性の高い事業環境において柔軟かつ迅速に対応するとともに、技術革新への継続的な取り組みにより企業価値の向上を図り、持続可能な社会の実現に貢献していきます。なお、事業ポートフォリオマネジメントの詳細については、中期経営計画における事業戦略に記載しています。また、情報セキュリティ及びサプライチェーンマネジメントの取り組みについては、「3.事業等のリスク (1)DNPグループの重要なリスク」に記載しています。 <中期経営計画(2026-2028年度)>https://www.dnp.co.jp/ir/library/presentation/pdf/dnp_25Q4pre.pdf<DXによる価値創造:統合報告書2025 P.14>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/ir/library/annual/DNP_integrated2025j.pdf<知的資本の強化:統合報告書2025 P.34~35>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/ir/library/annual/DNP_integrated2025j.pdf<事業部門別戦略:統合報告書2025 P.20~28>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/ir/library/annual/DNP_integrated2025j.pdf<情報セキュリティ:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.115~123>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf<サプライチェーンマネジメント:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.124~132>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf ②社会に関する主要な変動要因・人的資本関連‐グローバルビジネスの進展、グローバルでの人口増加‐国内生産年齢人口の減少、少子高齢化、AI・ロボット活用を前提とした働き方への転換‐多様性・心理的安全性の重視とウェルビーイングに関する社会的要請の拡大‐サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの重要性の高まり‐経済的な格差の多様化と機会の不均衡・バリューチェーン関連‐地政学的リスク・カントリーリスクの高まりに伴う物流・資源・サプライチェーンへの影響の増大‐地域ごとの文化・制度・ルールの多様化‐企業の社会的責任・倫理的行動の重要性の高まり‐SNS等を通じた情報拡散によるレピュテーションへの影響の拡大 など 社会関連の中長期的な動向は、当社の事業運営及び企業価値の維持・向上に影響を及ぼし得る重要な要素となっています。「人的資本」の観点では、グローバルビジネスの進展や世界人口の増加、国内の少子高齢化の進行により、労働市場や人材獲得環境が大きく変化しています。国内における生産年齢人口の減少に伴う労働力不足に加え、AI・ロボットの活用を前提とした働き方への転換が進むなかで、企業にはこれまで以上に高度な専門性や適応力を持つ人材の確保・育成が求められています。これらへの対応が不十分な場合、競争優位性の低下等を通じて事業運営に影響を及ぼす可能性があります。さらに、多様性の尊重や心理的安全性の確保、ウェルビーイングの向上に関する社会的要請が拡大しており、企業には社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる職場環境の整備が求められています。また、サプライチェーン全体における人権デュー・ディリジェンスの重要性が高まっており、対応が不十分な場合には、事業活動への制約やレピュテーションの毀損につながるリスクがあります。加えて、経済的格差の多様化や教育・機会の不均衡の拡大により、社会的分断が深まることも懸念されており、企業にはこうした社会課題への対応が一層求められています。 「バリューチェーン」の観点では、地政学的リスクやカントリーリスクの高まりにより、物流や資源調達、サプライチェーンの安定性への影響が増大しています。また、各国・地域における文化・制度・ルールの多様化により、事業運営における対応の複雑性も高まっています。さらに、企業の社会的責任や倫理的行動に対する要求が強まるとともに、SNS等を通じた情報拡散の影響力が拡大しており、不適切な対応は迅速にレピュテーションリスクへと波及する可能性があります。一方で、これらの課題に適切に対応し、信頼性の高い事業活動を実現することは、ステークホルダーからの信頼獲得を通じた企業価値向上の機会にもつながります。こうした状況に対して当社は、“人に対するDNPグループの普遍的・基本的な考え方”を「人的資本ポリシー」として制定し、人的資本の強化・最大化を加速させるため、社員の心理的安全性が高く、健康で活力ある職場の実現に注力しています。当社は、人的資本ポリシーに基づき、人財の確保・育成や組織基盤の強化を通じて、社会環境の変化に対応できる経営基盤の強化を進めています。また、事業活動にかかわるステークホルダーへの配慮を含め、社会的要請への対応を継続的に強化しています。これらの取り組みを通じて当社は、社会関連の中長期的なリスクに適切に対処するとともに、変化する社会環境を踏まえた価値創造を推進し、持続可能な成長につなげています。企業としての社会的責任を果たしながら、変化する社会環境に柔軟に対応することに加え、当社自らが変革を起こしていくことが、今後の発展にとって不可欠であると考えています。なお、サプライチェーンマネジメント及び人権の取り組みの詳細については、「3.事業等のリスク (1)DNPグループの重要なリスク」に記載しています。 <社会関連の取り組み:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.42~100>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf ③環境に関する主要な変動要因・気候変動及び自然劣化に伴う物理的リスクの顕在化・激甚化・生物多様性損失や化学物質・プラスチック汚染の深刻化・自然資本へのアクセス制約の顕在化、サプライチェーンレジリエンスへの関心の高まり・ネイチャーポジティブ・カーボンニュートラル・循環経済への移行加速、制度の急激な変更・強化・環境ポジティブ市場及び関連技術の急成長・金融・投資家による開示要請の高度化とトランジション課題の顕在化 など 地球環境の持続可能性を高めていくことは、企業活動における重要課題となっています。気候変動及び自然劣化の進行に伴い、渇水や洪水といった水リスクの高まりに加え、自然災害の頻発・激甚化等の物理的リスクが顕在化しており、原材料調達や生産活動、さらにはサプライチェーン全体の安定性に影響を及ぼす可能性があります。加えて、生物多様性の損失や化学物質・プラスチック汚染の深刻化、自然資本へのアクセス制約の顕在化等も、企業経営における重要な課題となっています。また、ネイチャーポジティブ、カーボンニュートラル、循環経済への移行がグローバルで加速しており、制度・規制の変更や強化等の移行リスクが高まっています。これらへの対応が不十分な場合、コスト増や競争力の低下等が生じる可能性があります。一方で、環境ポジティブな製品・サービスや関連技術の市場は拡大を続けており、こうした変化は新たな事業機会の創出にもつながります。さらに、金融機関や投資家によるサステナビリティ関連情報の開示要請は高度化しており、気候変動に加えて自然資本や生物多様性に関するリスク・機会の把握及び開示、並びにトランジションに伴う課題への対応が求められています。これらへの対応が不十分な場合、資金調達や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。こうした状況に対して当社は、事業活動と地球環境の共生を絶えず考え、「DNPグループ環境ビジョン2050」を掲げて「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。このビジョンの実現に向け、2030年をターゲットとした中期目標を設定し、環境負荷の低減・削減を計画的に推進しています。一方で、GHG排出量削減のさらなる強化に加え、脱石化製品への移行や代替素材への切り替え要請の高まり、自然資本への依存低減に向けた対応などにより、目標水準の引き上げや製品・サービス仕様の見直しが必要となる場合があり、その際には事業に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の事業は、印刷用の基材である紙やプラスチックフィルム、鉱物資源等の原材料、製造工程で使用する水やエネルギー等の資源、事業所における土地利用など、さまざまな形で自然資本に依存しています。加えて、グローバルなサプライチェーンを通じて、原材料の原産地やビジネスパートナーが所在する地域の自然環境・社会とも密接に関係しています。これらの関係性を踏まえ、サプライチェーン全体での持続可能性の確保とレジリエンス強化が重要となっています。現在はさらに、気候変動及び生物多様性・自然資本に関する法規制や政策の強化が各国・地域で進展しており、不確実性も高まっています。当社は、こうした変化を先取りし、迅速かつ柔軟に対応していくことに加え、自ら主体的に「より良い未来」の実現に向けた変革を起こすことによって、価値創造と基盤強化の両輪で環境課題の解決に取り組んでいます。 <環境関連の取り組み:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.19~41>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf (3)事業運営に関するリスク①法令・社内規定の遵守近年は特に、企業の社会的責任や倫理的な行動を重視する傾向が強まっており、法令や社内規定を遵守することは、企業の信頼性を維持・向上させるためにますます不可欠となっています。コンプライアンス違反の発生は、企業のブランドイメージや顧客の信頼を損なうだけでなく、法的な責任や経済的損失を引き起こすリスクがあり、コンプライアンスリスクは、当社グループの事業運営にも深刻な影響を及ぼす可能性があると認識しています。当社グループは、あらゆるステークホルダーから信頼される企業であり続けるために、事業活動を遂行するにあたり、社員一人ひとりが単に法令を遵守するだけでなく、高い倫理観を持つ必要があると考えています。それによって、常に公正・公平な態度で秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与することで初めて、社会から信頼を得ることができると認識し、グループ全体で企業倫理の浸透・定着を図っています。具体的な取り組みの一つとして、当社グループは社員に対する研修・教育を徹底し、コーポレート・ガバナンスの充実に努めています。企業活動において、全ての社員が取るべき行動指針として「DNPグループ行動規範」を制定し、そのなかで「法令と社会倫理の遵守」など10項目を定めています。本行動規範については、社会環境などの変化を踏まえて定期的な見直しを行うとともに、「階層別研修」や国内外の全グループ社員を対象とした「自律的企業倫理研修」を通じて、浸透・定着を図っています。また、本社各主管部は「コンプライアンス評価制度」に基づき、各組織におけるコンプライアンスへの取り組み状況を毎年客観的に評価しています。評価結果を踏まえて課題を抽出し、経営層への報告及び各組織へのフィードバックを行うことで、改善を進めています。さらに、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上と、誠実な企業文化の醸成を目的として、毎年「コンプライアンス・アンケート」を実施しています。アンケート結果は分析のうえ経営層に報告を行うとともに、各組織へフィードバックし、企業倫理の浸透・定着に活用しています。加えて、不正行為等に関する相談・通報体制として、社員が上長や周囲の社員に相談できる体制に加え、自部門での解決が困難な場合の相談・通報窓口として、2002年に「オープンドア・ルーム」を設置しました。2015年には弁護士が対応する外部窓口を設け、2020年には多言語に対応した「グローバル内部通報窓口」を整備するなど、内部通報制度の充実を図っています。これらの取り組みを通じて、組織の自浄能力が当社グループ全体で適正に機能する体制を構築しています。 <コンプライアンスの徹底:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.110~114>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf ②労働安全近年、働き方の多様化や労働環境の変化が進むなか、社員の健康と安全を確保する企業の責任は一層重要性を増しています。特に、労働災害やメンタルヘルスに対する社会的関心は高まっており、企業には具体的かつ実効性のある対応が求められています。また、各国・地域において労働安全に関する法令や規制が強化されており、違反が発生した場合には企業の信用低下や経済的損失につながるリスクがあります。当社グループは、これらの環境変化が事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しています。 こうした状況を踏まえ、当社グループは、社員が業務に起因して負傷することはあってはならないとの基本認識のもと、人権上の重要課題である労働安全の確保に取り組んでいます。労使一体となってグループ全体の安全衛生水準の向上を図るとともに、人的資本ポリシーに基づき策定した「DNPグループ安全衛生憲章」及び「DNPグループ健康宣言」のもと、代表取締役社長をトップとして安全衛生活動を推進しています。労働災害の防止に向けては、国の示す労働災害防止計画や社内の労働災害発生の動向を踏まえ、3年ごとに基本計画を見直し、具体的な活動を強化・推進しています。製造部門の全拠点においては、「真に健康と安全を全てに優先させる風土」の実現に向け、「月1時間の対話・教育(ツキイチキョーイク)活動」を継続的に実施しています。特に重篤災害につながる可能性のある設備については、既存・新規を問わず全ての設備について、リスク部位を抽出して“見える化”を行い、重篤度の高い部位から優先的に対策を講じています。全ての職場において、当社が独自に策定した設備安全規格に準じた安全対策を展開することで、「不安全な状態」や「不安全な行動」の見直しと改善を徹底し、リスクアセスメント活動とそれに基づく対策に取り組んでいます。さらに、化学物質や有機溶剤等を取り扱う作業においては、作業環境管理の徹底を図り、適切な作業環境測定の実施及び評価に基づく改善を推進しています。また、発散源対策や局所排気装置の適正な設置・維持管理を前提に、化学物質や有機溶剤に関する知識の向上を目的とした社員への教育を継続的に実施し、社員一人ひとりのリスク認識の向上を図ることで、ばく露リスクの低減と社員の健康確保につなげています。これらの施策に加え、労働安全全般の基盤として、心理的安全性の高い職場風土の醸成に取り組んでいます。これにより、ヒヤリ・ハット事例や潜在的リスクに関する積極的な報告、現場からの問題提起や改善提案を促進するとともに、対話を通じたコミュニケーションの質の向上を図っています。こうした取り組みを通じて、安全に関する気づきの共有と未然防止活動を強化し、労働災害の防止及び安全衛生水準の継続的な向上につなげています。 <労働安全衛生:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.65~67>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf ③製品・サービスの安全と品質製品・サービスの安全と品質は、企業の社会的信頼の基盤を形成する重要な要素です。顧客企業や生活者は、企業が提供する製品やサービスに対して高い安全性や正確性を求めており、これに応えることは企業の責務です。近年はこうした企業責任に対する社会からの要請が一層高まっており、世界の各国・地域で安全と品質に関する新たな規制や基準の検討・制定が進行しています。このような環境変化は、当社グループの事業活動に対して深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、製品の不具合や品質問題が発生した場合、企業のブランドイメージや顧客からの信頼に対するダメージは非常に大きく、法的な責任や経済的損失を引き起こす可能性があります。したがって、製品・サービスの安全と品質に関するリスクを適切に管理し、継続的な改善を図ることが不可欠です。当社は「品質経営」の基本方針として、自社の製品・サービスに関して、必要な規格や法の規制に適合させることはもちろん、顧客企業や生活者のニーズと期待を上回る安全と品質を提供し、企業としての社会的責任を果たすことを定めています。その実現に向けて当社は、製品・サービスの安全性と品質の確保のために実施すべき事項を全社ルールとして定めるとともに、品質マネジメントシステムと製品安全管理の体制を構築・運用しています。また、当社が提供する全ての製品・サービスに対し、設計段階からリスクの抽出・評価を行い、リスクに対して適切に対応することで、安全と品質の両面から、顧客企業や生活者等が安心できる品質・価値の継続的な提供に努めています。また、品質マネジメントシステムの運用状況の確認や品質不正の防止の観点から、本社の品質保証統括部門による「品質システム検査」を年1回実施しています。この点検の結果は「DNPグループ品質保証・製品安全委員会」及び「企業倫理行動委員会」に報告し、各委員会からの指示に基づく改善を進めています。 <製品・サービスの安全性と品質:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.79~83>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf ④責任ある調達グローバル・サプライチェーンの拡大に伴い、人権・労働、汚職・腐敗等の社会課題や、気候変動をはじめとした環境問題など、企業活動が社会と環境に及ぼす影響は一層大きなものになっています。そのなかで、原材料の調達から生産・利用・廃棄・リサイクルまでのサプライチェーン全体を見据え、起こりうるリスクを把握・分析して、適切に課題を解決するマネジメントの強化がさらに重要となっています。加えて、グローバルに広がるサプライチェーン全体のリスクを的確に捉え、多様な課題を解決して持続可能な社会に貢献するため、国内外のサプライヤーや業務委託先(以下「ビジネスパートナー」)とともに「責任ある調達」に取り組むことがますます重要になっていると、当社は認識しています。当社は、「DNPグループ サステナブル調達ガイドライン」を定め、これに則した取り組みを条項の一つとして定めた「取引基本契約書」をビジネスパートナー各社と締結しています。特に重要度が高い個別のテーマについては、「DNPグループ 印刷・加工用紙調達ガイドライン」や「DNPグループ 化学物質に関するグリーン購入ガイドライン」などを制定し、ビジネスパートナー各社の指導に努めています。また、ビジネスパートナーに対する定期的な「サステナブル調達ガイドライン」遵守状況の調査とその結果のフィードバック、各種説明会を通じたサプライチェーンマネジメントの強化なども継続的に行っています。毎年、年間購入額の上位9割程度を占めるサプライヤーや事業継続上重要なサプライヤーに対し、「サステナブル調達ガイドライン」に基づく調査、人権問題並びに紛争鉱物問題に関するサプライヤー実態調査及びリスクアセスメントを実施しています。リスクが認められる一部のサプライヤーに対しては、改善計画の提出を求め、書類指導や個別面談を行い、課題や改善策を確認して次年度の活動に反映するといった継続的なマネジメントを行っています。 <責任ある調達の取り組み:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.124~132>https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf (4)事業継続に関するリスク気候変動による風水害リスクの高まり、大規模地震や火山噴火発生リスクの高まり、新たな感染症の発生によるパンデミックリスクなど、自然災害等によるリスクは増大しています。仮に甚大な規模の自然災害等の緊急事態が発生して、社員や家族の安全が脅かされ、建物・設備・インフラや取引先・サプライヤー各社の被害によって事業活動が中断することは、自社だけではなく、顧客企業や取引先で働く人たちをはじめ、さまざまなステークホルダーに影響を及ぼすことになります。当社は、これらのリスクの負の影響を低減するため、対策推進組織として本社に「BCM推進委員会」を設置するとともに、各事業部に事業部グループBCM推進委員会を設置しています。この体制のもと、「災害発生時の人的安全対策を最優先すること」及び「会社の災害に対する対応力と復旧力を高めること」を基本方針として、日常的に災害リスクを正しく認識し、適切な予防対策の推進に取り組んでいます。具体的には、製造設備やその他の主要施設に防火・耐震・水害対策等を施すとともに、製造拠点や原材料調達先の分散を図ることで、生産活動の停止や製品供給の混乱を最小化する事業継続計画(BCP)を策定しています。あわせて、これらのBCPを適切に運用・管理するための事業継続マネジメント(BCM)を推進しており、BCMや防災活動を通じて、継続的にBCPの見直しや訓練等を実施しています。また、各種保険を活用したリスク移転にも取り組んでおり、事業の存続に重大な影響を及ぼす緊急事態が発生した場合においても、事業活動の早期復旧が可能となる体制の整備を進めています。防災体制としては、当社グループ全体の基本的な防災対策を整備・推進する「中央防災会議」、各事業の特性に応じた具体的な防災対策を推進する「事業部・グループ会社防災会議」、地区・エリアでの連携を推進する「地区防災会議」を設置し、防災計画の策定及び予防対策の推進を行っています。災害等の不測の事態に備え、「DNPグループ災害基本規程」において基本方針及び推進体制を定め、社員及びその家族、関係者の安全確保を図るとともに、多様なステークホルダーに安心していただけるよう、継続的な防災対策を進めています。

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