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パーソルホールディングス(2181)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

サービス業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 人材派遣事業:パーソルホールディングスは、日本国内で事務職を中心に幅広い業種に対応した人材派遣サービスを提供しています。企業と派遣スタッフの間で雇用契約と派遣契約を結び、派遣スタッフに給与を支払いながら、企業のニーズに合った人材を派遣することで収益を得ています。このモデルは、企業の柔軟な人材確保を支援し、多様な働き方を求める個人に機会を提供します。
  • BPO・コンサルティング事業:企業や官公庁の業務プロセスを外部委託(BPO)として引き受け、効率化や品質向上を支援するサービスを提供しています。人事・総務・経理などのコーポレート業務から、受付・受注処理、ITサポート、地方自治体の窓口業務まで多岐にわたります。プロセスデザイン力とテクノロジーを組み合わせ、顧客の課題解決を一貫してサポートすることで収益を上げています。
  • IT・エンジニアリング事業:IT・エンジニアリング分野の専門家や技術者集団として、設計・開発に関する業務委託やエンジニアの人材派遣サービスを提供しています。システム開発、インフラ設計、自動車・家電製品などの機械・電気設計、制御ソフト開発など、幅広い技術領域をカバーしています。登録型派遣やフリーランスエンジニアへの就労機会提供も行い、技術革新を支えることで収益を得ています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 人材派遣事業(Staffing SBU):日本国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業を展開しており、売上高6,139.43億円、営業利益361.8億円と、グループ内で最も大きな売上と利益を上げています。企業の多様な人材ニーズに応え、登録スタッフのスキルと企業の求める条件をマッチングさせることで収益を上げており、グループの主要な収益源となっています。
  • キャリア事業(Career SBU):「doda」ブランドを主体に、正社員の中途採用を支援する人材紹介事業と求人メディア事業を展開しています。売上高は1,022.1億円、営業利益は155.32億円で、人材派遣事業に次ぐ規模です。企業の求人と転職希望者をマッチングさせ、雇用契約成立時に紹介手数料を得る人材紹介と、求人広告掲載料を得る求人メディアが主な収益源です。
  • アジア太平洋事業(Asia Pacific SBU):シンガポールやマレーシアをはじめとするアジア地域で人材サービス事業を、豪州・ニュージーランドでは人材サービスとファシリティマネジメント事業を展開しています。売上高3,677.79億円、営業利益25.17億円と、海外市場での存在感を示しています。多様な国・地域で事業を展開することで、地域ごとの経済状況変動リスクを分散し、成長機会を追求しています。
2023-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Staffing 事業 6,139 362 5.9%
Career 事業 1,022 155 15.2%
ProfessionalOutsourcing 事業 1,184 75 6.3%
Solution 事業 147 -38 -26.1%
AsiaPacific 地域 3,678 25 0.7%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|4,390 文字
3【事業の内容】 当社グループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣、人材紹介、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織に関わる多様なサービスを提供しております。さらにそれにとどまらず、APAC地域を中心とした海外事業や、人とテクノロジーの融合による次世代のイノベーション開発にも積極的に取り組んでおります。 また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 2026年3月31日現在、当社グループは、当社(パーソルホールディングス㈱)と連結子会社154社及び関連会社5社により構成され、「Staffing SBU(Strategic Business Unit)」「BPO SBU」「Technology SBU」「Career SBU」「Asia Pacific SBU」の5つのSBU及び「その他」のセグメントで各事業を展開しております。 2026年3月31日現在、当社グループの各セグメントにおける主な事業内容は次のとおりであります。Staffing SBU本セグメントは、日本国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業を主に行っております。当社グループが行う人材派遣事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の規定に従い、厚生労働大臣の許可を受けて行う「労働者派遣事業」であります。労働者の派遣においては、予め広く募集し、登録された労働者(以下、「派遣スタッフ」という。)の中から、派遣スタッフの意向及び派遣先企業の希望する条件が合致する人材を選定し、派遣しております。派遣に際しては、派遣スタッフと当社グループとの間で期間・業務内容・就業条件等を定める雇用契約を締結し、当社グループが派遣スタッフに給与を支払います。また、企業と当社グループとの間では期間・業務内容・就業条件等を定める派遣契約が締結され、派遣スタッフは派遣先企業での就業において派遣先企業から指揮命令を受け、派遣契約で定めた業務を行います。当社グループにおいて、サービスを提供している職種は以下のとおりとなります。 ビジネスモデルは以下のとおりとなります。 BPO SBU 本セグメントは、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やコンサルティング等のサービスを主に提供しております。 BPOは、企業や官公庁が外部の専門企業に業務を委託することで、業務の効率化や品質向上を実現するサービスです。事業のために必要な業務の一部をアウトソースすることで、コスト削減や人材の効果的な活用、事業への専念が可能になります。 本セグメントでは、強みであるプロセスデザイン力と組織・人材マネジメント力に、テクノロジーを掛け合わせることで、最適な運用体制を築きながら、課題解決の提案から施策の定着まで一気通貫でサポートしております。 受託する業務は多岐にわたっており、民間企業における受付や受注処理等の事務業務、給与計算、データ入力、テレマーケティングやテクニカルサポートなどIT業務、公共の地方自治体の総合窓口業務等を行っております。 本セグメントでは、以下の3つの事業に区分しております。 ■BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業 公共・民間企業の経営・組織における生産性向上・人材不足・コストなどの課題をBPO支援によって解決しております。 主な業務は以下のとおりです。 ・人事、総務、経理等のコーポレート業務 ・営業事務等のフロントバックオフィス業務 ・新規事業の立ち上げ、業務運用設計、DX支援等 ■CX(カスタマー・エクスペリエンス)事業 顧客企業とそのお客様の間に入り、データとテクノロジーを活用したサービスを提供しております。 主な業務は以下のとおりです。 ・オムニチャネル(電話、メール、チャット)型のインバウンド、アウトバウンド顧客対応業務 ・カスタマーサポート、ITヘルプデスク等の受託 ■プロフェッショナル事業 戦略立案から実行支援、効果検証まで一気通貫で提供しております。 主な業務は以下のとおりです。 ・営業、人事、総務、経理等、幅広い業務のBPR及びDX支援 ・RPA、AI等、テクノロジー導入及び活用支援 ・デジタル人材育成支援 ビジネスモデルは以下のとおりとなります。 Technology SBU本セグメントは、IT・エンジニアリング等の専門家・技術者集団として、技術革新を支える設計・開発に関する業務委託や、エンジニア人材の派遣等のサービスを主に提供しております。 本セグメントでは、多様なサービスをIT・DXソリューション事業、エンジニアリング事業、登録型派遣・フリーランス事業の3つのサブセグメントに区分しており、IT・DXソリューション事業及びエンジニアリング事業では各専門分野における案件の受託や社員エンジニアの派遣を、登録型派遣・フリーランス事業では主に登録型派遣としてスタッフを派遣するほか、フリーランスエンジニアへの就労機会の提供を行っております。ビジネスモデルは以下のとおりとなります。 ■IT・DXソリューション事業IT・インターネット、EC分野を中心とした幅広い業界に対してのシステム開発・インフラ設計・評価検証業務 や、映像・音響機器、情報通信機器のソフトウエア及び機構設計、電気回路の開発・設計の業務委託等を提供しております。これらに加え、業務プロセスコンサルティングやクラウドサービス、ICTをはじめとする業務委託等、幅広いサービスを顧客企業に提供しております。 ■エンジニアリング事業自動車、商用車、家電製品、航空宇宙関連機器の分野において、主に機械設計、電気・電子設計、制御ソフト設計、実験認証サービス等の専門的技術開発に携わる技術系人材サービスを提供しております。顧客企業における製品企画・構想、設計開発等の工程から試作・評価・試験までの全工程について、プロジェクト内容や規模に応じた支援体制を顧客企業へ提案し、研究開発の業務委託を行っております。 ■登録型派遣・フリーランス事業 顧客企業の依頼内容に基づき、ITやエンジニアリング分野に係る登録スタッフの中から、適した人材を企業に派遣しております。また、新たなはたらき方の選択肢として増加が続くフリーランスエンジニアに向けて、IT・エンジニアリング領域での就労機会を提供し、即戦力となる技術支援サービスを顧客企業に提供しております。 Career SBU 本セグメントは、顧客企業の正社員の中途採用活動を支援する人材紹介事業、求人メディア事業を主に展開しております。これらの事業は代表ブランド「doda」を主体として展開しており、マーケティング効率などのシナジー発揮のため、そのブランド力を最大限に活用しております。 ■人材紹介事業 「職業安定法」に基づいて厚生労働大臣より許可を受けた有料職業紹介事業等を行っております。有料職業紹介を行うにあたっては、企業に直接雇用されることを望む労働者(以下「転職希望者」という。)を広く募集し、企業の求人依頼における諸条件(業務内容・必要とされる経験や能力・雇用条件等)と転職希望者の希望条件とを照合し、求人企業へ転職希望者を紹介しております。求人企業と転職希望者の間で面接等を行った結果、双方の合意によって雇用契約が成立した場合、求人企業から対価(紹介手数料)を得ます。 なお、有料職業紹介の対象となる業務は職業安定法によって定められており、港湾運送業務や建設業務を除く業務とされております。 ■求人メディア事業 正社員領域における採用企業の求人広告を掲載する求人メディアの運営を行っております。求人企業からの申込みを受けて求人広告原稿を制作し、自社運営の求人メディアに求人広告を掲載した時点で利用プランに応じて求人企業から対価(掲載料金)を得ます。 ビジネスモデルは以下のとおりとなります。 Asia Pacific SBU本セグメントは主に、シンガポールやマレーシアをはじめとしたアジア地域で人材サービス事業、豪州・ニュージーランドにおいては人材サービス事業及びファシリティマネジメント事業を行っており、13カ国・地域で展開しております。 ■人材サービス事業アジア地域において、各国の法律に基づき人材派遣及び人材紹介事業、業務委託、人事労務コンサルティング等の事業を行っております。また、豪州・ニュージーランドにおいて、鉱業・製造業向けのスタッフ及び技術者等の派遣や紹介、トレーニングプログラム等の提供を行っております。当社グループと顧客企業、また労働者との関係は概ね「Staffing SBU」における人材派遣事業、「BPO SBU」におけるBPO事業、「Career SBU」における人材紹介事業と同様であります。 ■ファシリティマネジメント事業 豪州・ニュージーランドにおいて、空港、水道、学校等幅広い施設の管理・維持・補修等を行っております。当社グループと顧客企業、また労働者との関係は、概ね「BPO SBU」におけるBPO事業と同様であります。 その他本セグメントは、グループにおける未来の事業の探索を行うR&D Function Unitと、Specialized Servicesで構成されております。 R&D Function Unitは、パーソルデジタルベンチャーズ株式会社を中核会社として、新規デジタルプロダクトの開発やインキュベーションプログラムの推進等、新領域における事業の探索・創造を担っております。主なサービス及び個社は以下のとおりとなります。・ミイダス株式会社:アセスメントリクルーティング・シェアフル株式会社:スキマバイトアプリ・ポスタス株式会社:クラウド型モバイルPOSレジ・パーソルイノベーション株式会社:インキュベーション Specialized Servicesは、フランス・米国におけるAIドリブンの人材派遣プラットフォーム事業、人・組織・マネジメントの調査・研究・開発を軸としたコンサルティング事業や研修事業、障害者雇用支援事業、ベンチャーキャピタル事業等を展開しております。 (事業系統図) *1 SBUは、Strategic Business Unitの略称です。*2 ベネッセi-キャリアは連結対象外です。*3 Asia Pacific SBUにおける「PERSOL」ブランドはサービスブランドを示します。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
人材派遣事業は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の規定に従い、厚生労働大臣の許可が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等) / 企業買収投資に伴うリスク / プライバシー侵害リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

「テンプスタッフ」「パーソル」といったブランド認知度は一定程度あるが、人材業界は多岐にわたり、特定の強力なブランドロイヤリティに繋がっているとは言い難い。M&Aによるブランド取得は進めている。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

派遣社員は比較的容易に登録先を変更可能。一方、企業側は求人掲載や採用プロセスにコストがかかるため、一定のスイッチングコストは存在する。しかし、他社サービスへの乗り換え障壁は高くない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

人材紹介プラットフォーム等で一部ネットワーク効果は考えられるが、ユーザー数増加が直接的なサービス価値向上に繋がる強力なフライホイールは形成されていない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

規模の経済による効率化は一部見られるが、人材業界は労働集約型であり、構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。M&Aによる事業拡大が主。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる
  • 多様な人材サービスとブランド力:パーソルホールディングスは、人材派遣、人材紹介、BPO、ITアウトソーシングなど、人と組織に関わる多様なサービスを幅広く提供しており、これにより顧客企業の様々なニーズにワンストップで対応できる強みがあります。特に人材紹介事業では「doda」といった知名度の高いブランドを主体に展開し、マーケティング効率を高め、顧客からの信頼を獲得しています。
  • グローバルな事業展開:APAC地域(アジア太平洋地域)を中心に海外事業を積極的に展開しており、シンガポール、マレーシア、豪州、ニュージーランドなど13カ国・地域で人材サービスやファシリティマネジメント事業を行っています。これにより、特定の地域経済に依存することなく、事業リスクを分散し、成長市場での収益機会を追求できる可能性があります。
  • 総合的なリスク管理体制:同社は、リスクマネジメント委員会を設置し、グループ全体のリスクを特定・評価・対策する体制を構築しています。特にIT関連リスクや企業買収投資に伴うリスクなど、7つの「グループ重要リスク」を選定し、経営層がリスクオーナーとなって対応を進めています。これにより、事業継続性を高め、企業価値の維持・向上に努めていると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)グループビジョンとありたい姿 当社グループは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現を目指し、多様なはたらき方や学びの機会の提供を通じて、一人ひとりの可能性を広げ、はたらく自由を広げ、個人と社会の幸せを広げる「“はたらくWell-being”創造カンパニー」をありたい姿として掲げています。その実現に向けて、2030年に100万人のより良い“はたらく機会”の創出を価値創造ゴールとして定めています。 (2)前中期経営計画(グループ中期経営計画2026)の振り返り(数値目標の達成状況) 成長性指標として掲げた調整後EBITDAは、2026年3月期の目標1,000億円に対し881億円と、未達となりました。一方で、財務健全性指標であるNet Debt/Equity1倍以内、Net Debt/EBITDA2倍以内を遵守しつつ、成長投資及び株主還元を概ね計画どおりの割合で実施するとともに、前中期経営計画において調整後EPSの約50%に引き上げた配当性向についても、期間を通じて50%以上を維持しました。これらの取り組みにより、資本効率性指標であるROIC及びROEは、前中期経営計画最終年度である2026年3月期においてそれぞれ目標(ROIC15%以上、ROE20%以上)を上回り、ROIC18.2%、ROE20.9%となりました。(価値創造ゴール/経営の方向性「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」の進捗) 価値創造ゴールにおける2026年3月期末の目標である、より良い“はたらく機会”の創出(50万人)については、実績は約47万人となり、目標未達となりました。これは市場環境の変化、新規事業計画に対する遅れ等によるものです。一方で、2030年に100万人のより良い“はたらく機会”の創出に向け、対象領域の拡張やテクノロジー活用の推進などの取り組みを着実に進めています。 経営の方向性として定めた「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」の実現に向けては、テクノロジー領域の人材確保(2026年3月期末現在約2千人)と、グループ横断で組織化するCenter of Excellence(CoE)体制の整備を完了しました。また、Staffing SBUとCareer SBUは、AIによる事業変革に着手したほか、フランスに拠点を置くGojob社の子会社化により、AIドリブンの事業モデルの知見や実装力を獲得しました。(各事業の進捗) Staffing SBUは盤石な収益基盤を堅持し、調整後EBITDAはCAGR9%(CAGRは2023年3月期から2026年3月期の年平均成長率。以下同じ。)と、安定的に成長しました。利益成長の柱としての確立を目指したCareer SBUは、売上収益、調整後EBITDAともに二桁成長(売上収益 CAGR14%、調整後EBITDA CAGR20%)を実現し、両SBUの調整後EBITDAはそれぞれ350億円規模となりました。加えて、次の利益成長の柱として位置づけたBPO SBUはM&Aの実施、Technology SBUは人的資本への先行投資により、それぞれ高い売上成長(BPO SBU CAGR7%、Technology SBU CAGR11%)を実現し、調整後EBITDAはいずれも100億円規模となりました。一方、Asia Pacific SBUは市場環境が想定より厳しい中、利益規模は着実に拡大し、100億円規模に到達したものの、掲げていたROIC10%目標の達成には至りませんでした。 (3)中期経営計画FY2028(AI時代における事業環境認識と方向性) 国内人材市場は、AI活用の進展を背景に、人材需要やビジネスモデルにおいて、構造的な変化局面に移行しています。 当社グループはこのような構造的な変化を成長機会と捉え、AIを最大限活用した事業モデル変革を通じて、以下を推進します。・AIを活用した業務効率化による価値創出領域への注力(全SBU)・AIとの協働による、マッチング機会の最大化(Staffing SBU・Career SBU)・AI代替リスクが低く成長が期待できる、新たな雇用需要の獲得(その他) 加えて、個人と企業に寄り添う「人による介在価値」を基盤に、顧客である個人や法人の行動データや社員のスキル・ノウハウの行動データなどの「独自データ」と「AI活用」を融合することで、“より良いはたらく機会”の創出と高成長・高収益の実現を図ります。(基本方針) 経営の方向性である「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」の実現に向け、「AIを起点とした、収益性向上と事業モデル転換」を基本方針とし、中長期での高成長と高収益の実現を目指してまいります。 (企業価値向上に向けた事業の位置づけ) 2030年以降を見据え、AI影響を踏まえた市場成長性及び各SBUの競争優位性の観点から、各事業の位置づけを以下のとおり再定義しました。中長期的な位置づけ方向性基盤市場成長が緩やかな領域Staffing SBUBPO SBUAsia Pacific SBU安定した売上成長の維持と生産性向上による収益基盤強化※Asia Pacific SBUは事業ポートフォリオ最適化を優先成長市場成長が見込め、モデル変革による成長余地が高い領域Career SBUTechnology SBUAIモデルの実装や高付加価値領域へのシフトによる、高成長・高収益モデルへの転換成長ポテンシャルが高い新規領域R&D FUGojobGojobと国内事業とのシナジーを念頭に、注力分野をFrontline Worker領域(注)に一本化(注)現場オペレーションや顧客・利用者との接点を担う最前線の職種 また、上記事業の位置づけと方向性に基づいた各SBU戦略は以下のとおりです。SBU事業戦略Staffingテーマ:人×デジタル・AIによる収益性向上とシェア拡大・人×デジタルの最適マッチングによるスタッフLTV向上・顧客接点データを起点とした課題解決による収益性向上・新領域(建設・作業系など)開拓によるシェア拡大BPOテーマ:人×AIによる業務高度化と収益性向上・AI実装による業務自動化・生産性向上・業務プロセス再設計による運営効率向上・人材の高付加価値化Careerテーマ:人材紹介の強みを活かしたAIモデルの実装・人×独自データ×AIによるマッチング高度化・生産性向上・ハイクラス領域への人材・投資シフト・複層サービスによるマネタイズ機会の最大化Technologyテーマ:技術力を武器にした上流工程の請負シフトの加速・AIソリューションなどの上流領域強化による高単価化・請負比率上昇による収益性向上・インオーガニックも含む非連続な規模拡大※ Asia Pacific SBUは事業ポートフォリオ最適化が優先事項 (Frontline Worker領域の考え方) R&D FUやGojobなどの既存のリソースと事業モデルを活用・拡張し、Frontline Worker領域に注力します。 本領域は構造的な労働力不足の継続や、AI影響によるホワイトカラー領域からの人材流動化が想定されるため、中長期的な市場成長が見込まれます。当社グループの競争優位である独自の資産(膨大な個人データと高いブランド力、人材派遣・人材紹介・スキマバイトなど多様な就労経路)に加え、AIドリブンの人材派遣プラットフォームを有するGojobの成功実績及びテクノロジー知見を活用し、人材流動化が進むAI時代において新たな雇用需要を取り込み、中長期の高成長を目指します。 (財務戦略) 当社グループは、中期経営計画FY2028において、企業価値の向上を図るため、財務戦略を「財務指標」「キャピタル・アロケーション」「株主還元」の3つに分け、それぞれ達成すべき目標を明確にしています。<財務指標>利益成長性調整後EBITDA年平均成長率10%(原則、毎年10%)資本効率性ROIC(投下資本利益率)18%以上ROE(自己資本利益率)20%以上財務健全性(通常時)Net Debt/Equity1倍以下Net Debt/EBITDA2倍以下 資本効率性に関しては、取締役会において資本コスト及び資本効率性のモニタリングなどを継続して実施しており、ROICの2026年3月期の実績は18.2%でした。中期経営計画FY2028においては、資本コストの前提を7~8%としたうえで、ROICは18%以上を目標とし、今後も中長期的に「ROIC-資本コスト」(ROICスプレッド)を拡大することに努めるとともに、資本コストの低減に向けた取り組みを行ってまいります。ROEの2026年3月期の実績は20.9%であり、中期経営計画FY2028では、20%以上を目標とします。 なお、当社グループでは、資本効率性の向上を役員報酬制度の指標の一つとして既に導入しております。(参考)ROIC = 税引後営業利益 ÷ 投下資本(資本合計+有利子負債(リース除く))の期首・期末平均(2025年3月期) 税引後営業利益 398億円 投下資本の期首・期末平均 2,395億円(資本合計2,073億円+有利子負債(リース除く)322億円)(2026年3月期) 税引後営業利益 461億円 投下資本の期首・期末平均 2,540億円(資本合計2,225億円+有利子負債(リース除く)314億円)ROE = 親会社の所有者に帰属する当期利益 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分の期首・期末平均(2025年3月期) 親会社の所有者に帰属する当期利益 358億円 親会社の所有者に帰属する持分の期首・期末平均 1,909億円(2026年3月期) 親会社の所有者に帰属する当期利益 426億円 親会社の所有者に帰属する持分の期首・期末平均 2,045億円 <キャピタル・アロケーション> 当社グループは、リターンを重視した規律ある成長投資と株主還元の強化を通じて、中長期的な企業価値向上を図ることを基本方針としています。中期経営計画FY2028においては、税引後の調整後EBITDAから既存のIT投資(CAPEX)約500億円を除いた約1,800億円(3カ年合計)について、原則として成長投資及び株主還元にそれぞれ約50%ずつ配分する方針です。成長投資については、AI投資を中心に業務の高度化を進めることで、収益性及び成長性の向上を図るとともに、成長領域におけるM&Aについても、ROICが資本コストを上回る水準を目安として投資規律を遵守しつつ、積極的に検討してまいります。株主還元については次項に記載のとおりです。 <株主還元> 当社グループは、株主還元を重視しており、前中期経営計画で掲げた株主還元方針を継承し、配当による還元を基本方針とします。中期経営計画FY2028においては、安定的な利益成長を前提に、原則として減配は行わない方針のもと、調整後EPSに対する配当性向は50%以上とします。また、将来に向けた成長投資を優先しつつ、投資機会の状況に応じて、資本効率向上の観点から機動的な自己株式の取得についても検討してまいります。 (テクノロジー戦略) 当社グループは、持続的な成長及び事業競争力の強化に向け、AIを中核とした事業・業務設計への転換を進めています。本テクノロジー戦略では、「AI × Business」「AI × Work」「AI × Data」を主要な取り組み領域と位置づけ、価値創出に直結する業務時間の最大化を重要な指標として、生産性及び収益性の向上を目指します。 「AI × Business」においては、競争優位性を生むパーソルらしいAI活用により、AIエージェントを構築し事業プロセスの自動化・高度化や意思決定支援を推進し、事業成果創出力の向上を図ります。あわせて、人員計画とAI施策の連動を通じて、収益創出力を高めていきます。 「AI × Work」では、自動化・高度化可能な定型業務のAI化と、AIとの協働を前提とした業務設計を進めることで、生産性向上と人材リソースの最適配分を実現します。 「AI × Data」では、競争優位の源泉となるデータの特定・蓄積を進め、データ活用の高度化によるパーソルらしいAI活用と適切なガバナンスの両立を図ります。 これらの取り組みを支える基盤として、インフラ・セキュリティ、ガバナンス及び人材・組織面の整備を進め、セキュリティと利便性の両立、グローバル連携の推進、タレントマネジメント機能の強化を通じて、AI活用を前提とした事業基盤の高度化に取り組みます。 (人事戦略) 当社グループは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現に向け、社員及び派遣スタッフを含む多様な人材が“はたらくWell-being”を体現し、経済価値と社会価値の創出を推進する組織を目指しています。 中期経営計画FY2028では、「人とAIが協働して価値創造するための変革」を人事戦略の前提としています。人的資本を事業成長と変革を支える重要な経営基盤と捉え、「企業価値への貢献」と、多様な人材の“はたらくWell-being”体現を通した「社会価値への貢献」の両立を図ります。 中期経営計画FY2028における人事戦略の柱として5つの戦略テーマを設定し、経営戦略と連動した施策を推進します。1つ目に、テクノロジーによる事業変革をけん引する経営チーム・経営リーダーづくりを進めます。2つ目に、AI活用を通じて労働生産性の向上を図るとともに、事業変革に対応した人材ポートフォリオへの転換を進めます。3つ目に、AIと協働する時代における管理職の役割や社員に求められる能力を明確化し、それに基づくスキル開発やキャリアオーナーシップの確立を支援します。4つ目に、社員及び派遣スタッフの“はたらくWell-being”向上を重要テーマと捉え、多様な人材が安心して活躍できる環境整備を進めます。5つ目に、当社グループ内の人事機能を可視化・再設計し、事業変革をリードする組織体制や制度を構築します。これらの取り組みを通じて、ステークホルダーへの価値提供を実現するとともに、企業価値の向上につなげていきます。 (4)当社グループのサステナビリティに関する重要課題 当社は、2030年に向けた新たな中期経営計画の策定にあたり、経営戦略との整合性を一層高める観点から、サステナビリティに関する重要課題(以下、「マテリアリティ」という。)を再整理しました。 これまでの取り組みにより一定の進展が見られた一方で、事業との結びつきや、背景となる機会・リスクの整理、並びに成果や実効性を的確に捉えるKPI設定などの点で改善の余地があると判断し、中期経営計画FY2028の策定と一体で見直しを行いました。 本見直しにより 、「事業を通じた社会課題の解決」「持続的成長を実現するための基盤」の2つの領域で、従来のマテリアリティを整理・統合し、7つのマテリアリティとして再整理するとともに、今後3年間の事業戦略・コーポレート戦略に則した目標及び指標を設定し、進捗管理を通じて、グループ全体で継続的な改善と推進を図ってまいります。 マテリアリティの概要については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載をしております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)グループビジョンとありたい姿 当社グループは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現を目指し、多様なはたらき方や学びの機会の提供を通じて、一人ひとりの可能性を広げ、はたらく自由を広げ、個人と社会の幸せを広げる「“はたらくWell-being”創造カンパニー」をありたい姿として掲げています。その実現に向けて、2030年に100万人のより良い“はたらく機会”の創出を価値創造ゴールとして定めています。 (2)前中期経営計画(グループ中期経営計画2026)の振り返り(数値目標の達成状況) 成長性指標として掲げた調整後EBITDAは、2026年3月期の目標1,000億円に対し881億円と、未達となりました。一方で、財務健全性指標であるNet Debt/Equity1倍以内、Net Debt/EBITDA2倍以内を遵守しつつ、成長投資及び株主還元を概ね計画どおりの割合で実施するとともに、前中期経営計画において調整後EPSの約50%に引き上げた配当性向についても、期間を通じて50%以上を維持しました。これらの取り組みにより、資本効率性指標であるROIC及びROEは、前中期経営計画最終年度である2026年3月期においてそれぞれ目標(ROIC15%以上、ROE20%以上)を上回り、ROIC18.2%、ROE20.9%となりました。(価値創造ゴール/経営の方向性「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」の進捗) 価値創造ゴールにおける2026年3月期末の目標である、より良い“はたらく機会”の創出(50万人)については、実績は約47万人となり、目標未達となりました。これは市場環境の変化、新規事業計画に対する遅れ等によるものです。一方で、2030年に100万人のより良い“はたらく機会”の創出に向け、対象領域の拡張やテクノロジー活用の推進などの取り組みを着実に進めています。 経営の方向性として定めた「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」の実現に向けては、テクノロジー領域の人材確保(2026年3月期末現在約2千人)と、グループ横断で組織化するCenter of Excellence(CoE)体制の整備を完了しました。また、Staffing SBUとCareer SBUは、AIによる事業変革に着手したほか、フランスに拠点を置くGojob社の子会社化により、AIドリブンの事業モデルの知見や実装力を獲得しました。(各事業の進捗) Staffing SBUは盤石な収益基盤を堅持し、調整後EBITDAはCAGR9%(CAGRは2023年3月期から2026年3月期の年平均成長率。以下同じ。)と、安定的に成長しました。利益成長の柱としての確立を目指したCareer SBUは、売上収益、調整後EBITDAともに二桁成長(売上収益 CAGR14%、調整後EBITDA CAGR20%)を実現し、両SBUの調整後EBITDAはそれぞれ350億円規模となりました。加えて、次の利益成長の柱として位置づけたBPO SBUはM&Aの実施、Technology SBUは人的資本への先行投資により、それぞれ高い売上成長(BPO SBU CAGR7%、Technology SBU CAGR11%)を実現し、調整後EBITDAはいずれも100億円規模となりました。一方、Asia Pacific SBUは市場環境が想定より厳しい中、利益規模は着実に拡大し、100億円規模に到達したものの、掲げていたROIC10%目標の達成には至りませんでした。 (3)中期経営計画FY2028(AI時代における事業環境認識と方向性) 国内人材市場は、AI活用の進展を背景に、人材需要やビジネスモデルにおいて、構造的な変化局面に移行しています。 当社グループはこのような構造的な変化を成長機会と捉え、AIを最大限活用した事業モデル変革を通じて、以下を推進します。・AIを活用した業務効率化による価値創出領域への注力(全SBU)・AIとの協働による、マッチング機会の最大化(Staffing SBU・Career SBU)・AI代替リスクが低く成長が期待できる、新たな雇用需要の獲得(その他) 加えて、個人と企業に寄り添う「人による介在価値」を基盤に、顧客である個人や法人の行動データや社員のスキル・ノウハウの行動データなどの「独自データ」と「AI活用」を融合することで、“より良いはたらく機会”の創出と高成長・高収益の実現を図ります。(基本方針) 経営の方向性である「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」の実現に向け、「AIを起点とした、収益性向上と事業モデル転換」を基本方針とし、中長期での高成長と高収益の実現を目指してまいります。 (企業価値向上に向けた事業の位置づけ) 2030年以降を見据え、AI影響を踏まえた市場成長性及び各SBUの競争優位性の観点から、各事業の位置づけを以下のとおり再定義しました。中長期的な位置づけ方向性基盤市場成長が緩やかな領域Staffing SBUBPO SBUAsia Pacific SBU安定した売上成長の維持と生産性向上による収益基盤強化※Asia Pacific SBUは事業ポートフォリオ最適化を優先成長市場成長が見込め、モデル変革による成長余地が高い領域Career SBUTechnology SBUAIモデルの実装や高付加価値領域へのシフトによる、高成長・高収益モデルへの転換成長ポテンシャルが高い新規領域R&D FUGojobGojobと国内事業とのシナジーを念頭に、注力分野をFrontline Worker領域(注)に一本化(注)現場オペレーションや顧客・利用者との接点を担う最前線の職種 また、上記事業の位置づけと方向性に基づいた各SBU戦略は以下のとおりです。SBU事業戦略Staffingテーマ:人×デジタル・AIによる収益性向上とシェア拡大・人×デジタルの最適マッチングによるスタッフLTV向上・顧客接点データを起点とした課題解決による収益性向上・新領域(建設・作業系など)開拓によるシェア拡大BPOテーマ:人×AIによる業務高度化と収益性向上・AI実装による業務自動化・生産性向上・業務プロセス再設計による運営効率向上・人材の高付加価値化Careerテーマ:人材紹介の強みを活かしたAIモデルの実装・人×独自データ×AIによるマッチング高度化・生産性向上・ハイクラス領域への人材・投資シフト・複層サービスによるマネタイズ機会の最大化Technologyテーマ:技術力を武器にした上流工程の請負シフトの加速・AIソリューションなどの上流領域強化による高単価化・請負比率上昇による収益性向上・インオーガニックも含む非連続な規模拡大※ Asia Pacific SBUは事業ポートフォリオ最適化が優先事項 (Frontline Worker領域の考え方) R&D FUやGojobなどの既存のリソースと事業モデルを活用・拡張し、Frontline Worker領域に注力します。 本領域は構造的な労働力不足の継続や、AI影響によるホワイトカラー領域からの人材流動化が想定されるため、中長期的な市場成長が見込まれます。当社グループの競争優位である独自の資産(膨大な個人データと高いブランド力、人材派遣・人材紹介・スキマバイトなど多様な就労経路)に加え、AIドリブンの人材派遣プラットフォームを有するGojobの成功実績及びテクノロジー知見を活用し、人材流動化が進むAI時代において新たな雇用需要を取り込み、中長期の高成長を目指します。 (財務戦略) 当社グループは、中期経営計画FY2028において、企業価値の向上を図るため、財務戦略を「財務指標」「キャピタル・アロケーション」「株主還元」の3つに分け、それぞれ達成すべき目標を明確にしています。<財務指標>利益成長性調整後EBITDA年平均成長率10%(原則、毎年10%)資本効率性ROIC(投下資本利益率)18%以上ROE(自己資本利益率)20%以上財務健全性(通常時)Net Debt/Equity1倍以下Net Debt/EBITDA2倍以下 資本効率性に関しては、取締役会において資本コスト及び資本効率性のモニタリングなどを継続して実施しており、ROICの2026年3月期の実績は18.2%でした。中期経営計画FY2028においては、資本コストの前提を7~8%としたうえで、ROICは18%以上を目標とし、今後も中長期的に「ROIC-資本コスト」(ROICスプレッド)を拡大することに努めるとともに、資本コストの低減に向けた取り組みを行ってまいります。ROEの2026年3月期の実績は20.9%であり、中期経営計画FY2028では、20%以上を目標とします。 なお、当社グループでは、資本効率性の向上を役員報酬制度の指標の一つとして既に導入しております。(参考)ROIC = 税引後営業利益 ÷ 投下資本(資本合計+有利子負債(リース除く))の期首・期末平均(2025年3月期) 税引後営業利益 398億円 投下資本の期首・期末平均 2,395億円(資本合計2,073億円+有利子負債(リース除く)322億円)(2026年3月期) 税引後営業利益 461億円 投下資本の期首・期末平均 2,540億円(資本合計2,225億円+有利子負債(リース除く)314億円)ROE = 親会社の所有者に帰属する当期利益 ÷ 親会社の所有者に帰属する持分の期首・期末平均(2025年3月期) 親会社の所有者に帰属する当期利益 358億円 親会社の所有者に帰属する持分の期首・期末平均 1,909億円(2026年3月期) 親会社の所有者に帰属する当期利益 426億円 親会社の所有者に帰属する持分の期首・期末平均 2,045億円 <キャピタル・アロケーション> 当社グループは、リターンを重視した規律ある成長投資と株主還元の強化を通じて、中長期的な企業価値向上を図ることを基本方針としています。中期経営計画FY2028においては、税引後の調整後EBITDAから既存のIT投資(CAPEX)約500億円を除いた約1,800億円(3カ年合計)について、原則として成長投資及び株主還元にそれぞれ約50%ずつ配分する方針です。成長投資については、AI投資を中心に業務の高度化を進めることで、収益性及び成長性の向上を図るとともに、成長領域におけるM&Aについても、ROICが資本コストを上回る水準を目安として投資規律を遵守しつつ、積極的に検討してまいります。株主還元については次項に記載のとおりです。 <株主還元> 当社グループは、株主還元を重視しており、前中期経営計画で掲げた株主還元方針を継承し、配当による還元を基本方針とします。中期経営計画FY2028においては、安定的な利益成長を前提に、原則として減配は行わない方針のもと、調整後EPSに対する配当性向は50%以上とします。また、将来に向けた成長投資を優先しつつ、投資機会の状況に応じて、資本効率向上の観点から機動的な自己株式の取得についても検討してまいります。 (テクノロジー戦略) 当社グループは、持続的な成長及び事業競争力の強化に向け、AIを中核とした事業・業務設計への転換を進めています。本テクノロジー戦略では、「AI × Business」「AI × Work」「AI × Data」を主要な取り組み領域と位置づけ、価値創出に直結する業務時間の最大化を重要な指標として、生産性及び収益性の向上を目指します。 「AI × Business」においては、競争優位性を生むパーソルらしいAI活用により、AIエージェントを構築し事業プロセスの自動化・高度化や意思決定支援を推進し、事業成果創出力の向上を図ります。あわせて、人員計画とAI施策の連動を通じて、収益創出力を高めていきます。 「AI × Work」では、自動化・高度化可能な定型業務のAI化と、AIとの協働を前提とした業務設計を進めることで、生産性向上と人材リソースの最適配分を実現します。 「AI × Data」では、競争優位の源泉となるデータの特定・蓄積を進め、データ活用の高度化によるパーソルらしいAI活用と適切なガバナンスの両立を図ります。 これらの取り組みを支える基盤として、インフラ・セキュリティ、ガバナンス及び人材・組織面の整備を進め、セキュリティと利便性の両立、グローバル連携の推進、タレントマネジメント機能の強化を通じて、AI活用を前提とした事業基盤の高度化に取り組みます。 (人事戦略) 当社グループは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現に向け、社員及び派遣スタッフを含む多様な人材が“はたらくWell-being”を体現し、経済価値と社会価値の創出を推進する組織を目指しています。 中期経営計画FY2028では、「人とAIが協働して価値創造するための変革」を人事戦略の前提としています。人的資本を事業成長と変革を支える重要な経営基盤と捉え、「企業価値への貢献」と、多様な人材の“はたらくWell-being”体現を通した「社会価値への貢献」の両立を図ります。 中期経営計画FY2028における人事戦略の柱として5つの戦略テーマを設定し、経営戦略と連動した施策を推進します。1つ目に、テクノロジーによる事業変革をけん引する経営チーム・経営リーダーづくりを進めます。2つ目に、AI活用を通じて労働生産性の向上を図るとともに、事業変革に対応した人材ポートフォリオへの転換を進めます。3つ目に、AIと協働する時代における管理職の役割や社員に求められる能力を明確化し、それに基づくスキル開発やキャリアオーナーシップの確立を支援します。4つ目に、社員及び派遣スタッフの“はたらくWell-being”向上を重要テーマと捉え、多様な人材が安心して活躍できる環境整備を進めます。5つ目に、当社グループ内の人事機能を可視化・再設計し、事業変革をリードする組織体制や制度を構築します。これらの取り組みを通じて、ステークホルダーへの価値提供を実現するとともに、企業価値の向上につなげていきます。 (4)当社グループのサステナビリティに関する重要課題 当社は、2030年に向けた新たな中期経営計画の策定にあたり、経営戦略との整合性を一層高める観点から、サステナビリティに関する重要課題(以下、「マテリアリティ」という。)を再整理しました。 これまでの取り組みにより一定の進展が見られた一方で、事業との結びつきや、背景となる機会・リスクの整理、並びに成果や実効性を的確に捉えるKPI設定などの点で改善の余地があると判断し、中期経営計画FY2028の策定と一体で見直しを行いました。 本見直しにより 、「事業を通じた社会課題の解決」「持続的成長を実現するための基盤」の2つの領域で、従来のマテリアリティを整理・統合し、7つのマテリアリティとして再整理するとともに、今後3年間の事業戦略・コーポレート戦略に則した目標及び指標を設定し、進捗管理を通じて、グループ全体で継続的な改善と推進を図ってまいります。 マテリアリティの概要については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載をしております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績等の概要①業績 当社グループは、日本国内では人材派遣及び人材紹介など幅広く人材関連サービスを提供しております。また、アジア・パシフィック(APAC)地域では人材サービス事業及びファシリティマネジメント事業などを展開しております。 日本国内における人材不足が続く中、当社グループは、顧客企業の堅調な人材需要を背景に、主力事業であるStaffing SBU及びCareer SBU(SBU:Strategic Business Unit)を中心に積極的な事業活動を展開いたしました。また、グループ中期経営計画2026の方針に沿って、利益成長の柱と定めたCareer SBU、BPO SBU、Technology SBUを注力領域とし、推進してまいりました。その結果、当連結会計年度において、すべてのSBUで増収となり、グループ全体の売上収益は、1,555,833百万円(前年同期比7.2%増)となりました。利益面では、売上総利益は堅調に増加し、グループ全体の調整後EBITDAは、88,176百万円(同12.6%増)、営業利益は、66,512百万円(同15.8%増)となりました。また、税引前利益は、64,935百万円(同13.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、42,688百万円(同19.0%増)となりました。 (注)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費(使用権資産の減価償却費のうち家賃等相当額を除く)+(-)未払有給休暇の増額(減額)+株式報酬費用-(+)その他の収益(費用)-(+)その他恒常的でない収益(損失) (為替)期中平均為替レート :(豪ドル)前連結会計年度: 99.5円、当連結会計年度: 99.8円 セグメントの業績(セグメント間内部取引消去前)は次のとおりであります。 セグメントの名称前連結会計年度当連結会計年度増減 百万円百万円百万円%Staffing売上収益調整後EBITDA587,38730,996608,08634,80420,6983,8073.512.3BPO売上収益調整後EBITDA117,2336,667143,08310,32925,8503,66222.154.9Technology売上収益調整後EBITDA114,7058,640124,80710,13610,1011,4958.817.3Career売上収益調整後EBITDA144,64530,369152,86634,9328,2204,5625.715.0Asia Pacific売上収益調整後EBITDA476,10311,704496,35410,51120,251△1,1934.3△10.2その他売上収益調整後EBITDA52,611△3,15674,602△98321,9902,17241.8-調整額売上収益調整後EBITDA△41,447△6,883△43,966△11,555△2,518△4,671--連結損益計算書計上額売上収益調整後EBITDA1,451,23878,3401,555,83388,176104,5959,8367.212.6(注)1.当社グループは、グループ内再編を行ったことに伴い、2025年4月1日付で「Staffing」の一部事業を「その他」へ、2025年8月1日付で「その他」の区分に計上していた一部事業を各セグメントに帰属しない「調整額」へ変更しております。前連結会計年度のセグメントの業績については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。2.上記の売上収益のうち、調整額及び連結損益計算書計上額に記載の売上収益以外の売上収益については、セグメント間内部取引消去前の金額であります。 a. Staffing SBU 本セグメントは、国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業に加え、事務職を中心とした人材紹介事業などを展開しております。 当連結会計年度における売上収益は、608,086百万円(前年同期比3.5%増)、調整後EBITDAは、34,804百万円(同12.3%増)、営業利益は、30,416百万円(同13.0%増)となりました。 売上収益は、前年同期比で就業日数が1営業日少なかったものの、主に派遣就業者数が前年同期比で1.8%、請求単価が2.2%増加したことなどにより安定的に推移し、増収となりました。調整後EBITDA及び営業利益は、増収効果に加えて生産性が向上したこと、また、利益率の高い人材紹介事業の伸長も寄与し、増益となりました。 (注)2025年4月1日付で「Staffing SBU」の一部事業を「その他」へ移管したことに伴い、前年同期比についても変更後の区分方法にて作成した前期の数値との比較を記載しております。 b. BPO SBU 本セグメントは、受託請負のBPO事業を主として展開しております。 当連結会計年度における売上収益は、143,083百万円(前年同期比22.1%増)、調整後EBITDAは、10,329百万円(同54.9%増)、営業利益は、7,636百万円(同80.1%増)となりました。 売上収益は、オーガニック成長(同6.8%増)に加え、2025年2月に取得したパーソルコミュニケーションサービス株式会社(旧富士通コミュニケーションサービス株式会社)の寄与もあり、増収となりました。また、調整後EBITDA及び営業利益は、増収効果により、増益となりました。 (注)オーガニック:COVID-19関連事業と2025年2月に取得したパーソルコミュニケーションサービス株式会社によって生じた売上収益を除く。(COVID-19関連事業の売上収益)前連結会計年度:952百万円、当連結会計年度:計上なし(パーソルコミュニケーションサービス株式会社の売上収益)前連結会計年度:4,053百万円、当連結会計年度:23,214百万円 c. Technology SBU 本セグメントは、IT領域やエンジニアリング領域の設計・開発受託事業や、技術者を専門とした人材派遣事業を展開しております。 当連結会計年度における売上収益は、124,807百万円(前年同期比8.8%増)、調整後EBITDAは、10,136百万円(同17.3%増)、営業利益は、8,694百万円(同13.8%増)となりました。 売上収益は、IT・DXソリューション事業及びエンジニアリング事業において、継続的なエンジニア採用強化による稼働エンジニア数の増加などにより、増収となりました。調整後EBITDA及び営業利益は、IT・ DXソリューション事業における一部のグループ内案件の遅延による影響(上期に収束)があったものの、請負強化による収益性改善効果と費用コントロールにより、増益となりました。 d. Career SBU 本セグメントは、顧客企業の正社員の中途採用活動を支援する人材紹介事業や求人メディア事業などを展開しております。 当連結会計年度における売上収益は、152,866百万円(前年同期比5.7%増)、調整後EBITDAは、34,932百万円(同15.0%増)、営業利益は、28,680百万円(同11.9%増)となりました。 売上収益は、顧客企業の厳選採用及び転職希望者の慎重姿勢の傾向が続く中でも、堅調な求人需要を背景に増収となりました。特にハイクラス層(年収帯が6百万円以上の転職希望者)向けの人材紹介やプロフェッショナル人材活用の総合支援サービスは好調に推移しております。費用面については、前連結会計年度の下期から積極的に行っているマーケティング投資を継続しながら、人件費はじめ経費は引き続き適正なレベルでコントロールしております。その結果、調整後EBITDA及び営業利益は、増収効果に加えて生産性の向上も相まって、増益となりました。 e. Asia Pacific SBU 本セグメントは、アジア地域で人材サービス事業、豪州においては人材サービス事業及びファシリティマネジメント事業などを主に展開しております。 当連結会計年度における売上収益は、496,354百万円(前年同期比4.3%増)、調整後EBITDAは、10,511百万円(同10.2%減)、営業利益は、7,639百万円(同1.6%減)となりました。 売上収益は、主にファシリティマネジメント事業が好調に推移したことにより、増収となりました。また、調整後EBITDA及び営業利益は、補助金計上額の前年差異による収益の押し下げや、システム刷新による費用の増加などの一時的要因により、減益となりました。 ②生産、受注及び販売の実績a. 生産実績 当社グループは、Staffing、BPO、Technology、Career、Asia Pacific等のセグメント区分にて国内及びAPAC地域において人材関連事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、省略しております。 b.受注実績 生産実績の記載と同様に、受注状況の記載に馴染まないため省略しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)売上収益(百万円)構成比(%)前年同期比増減(%)Staffing599,59238.5%3.3%BPO135,3918.7%24.3%Technology113,6327.3%9.3%Career150,4959.7%5.7%Asia Pacific496,35431.9%4.3%全社及びその他の事業60,3663.9%54.3%合 計1,555,833100.0%7.2%(注)セグメント間の取引は、相殺消去しております。 (2)財政状態の分析 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ80,789百万円増加し、620,535百万円となりました。流動資産は35,390百万円増加し、335,364百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が25,778百万円増加、契約資産が6,086百万円増加したことによるものであります。非流動資産は45,399百万円増加し、285,171百万円となりました。これは主に、のれんが23,953百万円、無形資産が11,396百万円、使用権資産が4,956百万円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ48,383百万円増加し、381,746百万円となりました。流動負債は45,110百万円増加し、311,269百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が21,770百万円、社債及び借入金が10,445百万円増加したことによるものであります。非流動負債は3,273百万円増加し、70,476百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が8,110百万円減少した一方、その他の金融負債が8,403百万円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ32,406百万円増加し、238,788百万円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益42,688百万円の計上、剰余金の配当23,362百万円の支払等により利益剰余金が20,905百万円増加、及びその他の資本の構成要素が増加しており、主にその内訳である在外営業活動体の換算差額が為替相場の変動の影響により14,329百万円増加したことによるものであります。 以上の結果、財務指標としては、流動比率が前連結会計年度末の112.7%から107.7%に下降し、親会社所有者帰属持分比率が前連結会計年度末の35.1%から35.4%に上昇いたしました。 前連結会計年度当連結会計年度売上収益営業利益率4.0%4.3%売上収益調整後EBITDA比率5.4%5.7%ROIC16.6%18.2%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)18.8%20.9%流動比率112.7%107.7%固定比率126.4%129.9%固定長期適合率93.4%98.3%親会社所有者帰属持分比率35.1%35.4%Net Debt/Equity(倍)△0.28△0.24Net Debt/EBITDA(倍)△0.67△0.59 (3)経営成績の分析 当連結会計年度における売上収益は1,555,833百万円と前連結会計年度に比べ104,595百万円の増収となりました。利益面では、売上総利益において、355,471百万円と前連結会計年度に比べ23,343百万円の増益、調整後EBITDAにおいて、88,176百万円と前連結会計年度に比べ9,836百万円の増益、営業利益において、66,512百万円と前連結会計年度に比べ9,086百万円の増益、税引前利益において、64,935百万円と前連結会計年度に比べ7,779百万円の増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、42,688百万円と前連結会計年度に比べ6,816百万円の増益となりました。 ① 売上収益 売上収益は、顧客企業の堅調な人材需要を背景に、すべてのSBUで増収となった結果、全体として7.2%の増収となりました。 ② 売上総利益 売上総利益は、売上収益同様に、すべてのSBUで増収となった結果、7.0%の増益となりました。 ③ 調整後EBITDA 調整後EBITDAは、システム刷新費用の増加などの一時的要因により減益となったAsia Pacific SBUを除いたすべてのSBUで増益となった結果、12.6%の増益となりました。 ④ 営業利益 営業利益は、調整後EBITDA同様に、Asia Pacific SBUを除いたすべてのSBUで増益となった結果、15.8%の増益となりました。 ⑤ 税引前利益 税引前利益は、営業利益の増加により13.6%の増益となりました。 ⑥ 親会社の所有者に帰属する当期利益 親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加により19.0%の増益となりました。 (4)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,200百万円増加し、85,018百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度より8,586百万円増加し、77,440百万円となりました。これは主に、税引前利益が64,935百万円、減価償却費及び償却費が36,407百万円となった一方、法人所得税の支払額が27,323百万円となったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度より4,550百万円増加し、34,316百万円となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が19,371百万円、無形資産の取得による支出が13,073百万円となったことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度より19,061百万円減少し、44,817百万円となりました。これは主に、配当金の支払額が23,361百万円、リース負債の返済による支出が20,837百万円となったことによるものであります。 (5)経営成績に重要な影響を与える要因について 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社の主な運転資金需要は、派遣スタッフ及び従業員に対する給与支払いであります。事業構造上、現金及び現金同等物が資産の中で占める割合が高くなっております。短期運転資金は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保する基本方針を踏まえて、事業収益から得られる自己資金を基本としており、特に多額の資金が必要となる企業買収等については、安定した財務基盤を活かし、銀行借入、社債発行など最適な資金調達手段を通じて行うことを基本としております。 なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は85,018百万円、有利子負債の残高は、32,634百万円となっております。 (7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。 (8)経営者の問題認識と今後の方針について 当社は、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現を目指し、多様なはたらき方や学びの機会の提供を通じて、一人ひとりの可能性を広げ、はたらく自由を広げ、個人と社会の幸せを広げる「“はたらくWell-being”創造カンパニー」をありたい姿として掲げています。この理念に基づき、当社は、2027年3月期を初年度とする3カ年の「中期経営計画FY2028」を2026年5月に発表しました。中期経営計画FY2028では、経営の方向性として掲げる「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」のもと、「AIを起点とした、収益性向上と事業モデル転換」を基本方針とし、中長期での高成長と高収益の実現を目指してまいります。 詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

事業リスク

  • IT関連リスク(個人情報漏えい・システム障害等):登録スタッフや顧客企業などの個人情報を大量に保有しており、サイバー攻撃やシステム設定の不備、従業員の過失などにより情報が漏えいした場合、ブランドイメージの低下、顧客減少、損害賠償請求などにより、事業運営や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害が発生すると、サービス提供が滞り、事業活動に大きな支障が生じる恐れがあります。
  • 企業買収投資に伴うリスク:成長戦略の一環として企業買収を積極的に行っていますが、買収後の統合が計画通りに進まなかったり、買収先の事業環境が変化したりした場合、期待した収益が得られず、のれんの減損処理などにより、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。買収には多額の資金を要するため、投資判断の誤りは大きなリスクとなります。
  • 景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク:人材サービス業界は、企業の採用意欲や投資動向に大きく左右されるため、景気後退や経済状況の悪化は、人材派遣・紹介サービスの需要減少に直結します。これにより、売上高や利益が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、不況時には企業のコスト削減意識が高まり、人材投資が抑制される傾向があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|14,339 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは、リスクマネジメント活動を、リスク発現時の損失や被害を最小限に留め、また、グループの企業価値の維持・向上のために必要な活動と位置付けております。この考えのもと、「グループリスク管理規程」を定め、事業戦略の遂行を妨げるリスクを特定し、適切な対策を講じることでリスクコントロールを行っております。また、「グループクライシスマネジメント規程」を定め、リスクが発現した場合に迅速かつ適切な対応を行えるよう備えております。 (1)リスクマネジメントの体制とプロセス①リスクマネジメント委員会 当社グループは、パーソルホールディングスのHMC(Headquarters Management Committee)の機能補完・強化を行うグループ横断組織としてリスクマネジメント委員会を設置しております。本委員会は四半期ごとに開催され、委員には代表取締役社長CEOをはじめとした経営層並びにSBU及びFUの内部統制推進責任者が就いており、議長はCLO/CROが務めます。本委員会では、後述する「グループ重要リスク」を議題として取扱うほか、パーソルホールディングスの機能本部やSBU(Strategic Business Unit)及びFU(Function Unit)におけるリスクマネジメントの状況についてモニタリングなどを行っております。また、本委員会の活動状況については取締役会に報告を行っております。 ②リスクマネジメント体制 当社グループでは、3線モデルによるリスクマネジメント体制を構築しており、第2線によるリスク管理状況については、パーソルホールディングス内のグループリスク管理統括部署や、リスクマネジメント委員会に報告を行っております。・第1線(グループ各社):リスクが発生する現場であり、事業活動及び日常活動と一体になってリスクマネジメント活動を推進する。・第2線(管理部門) :グループ各社のリスクマネジメント活動に対し、モニタリングと支援を行う。・第3線(内部監査部門):第1線及び第2線から独立した立場で、リスクマネジメントの有効性について合理的な保証を与える。 ※PHD=パーソルホールディングス㈱、HMC=Headquarters Management Committee、CFO=Chief Financial Officer、CIO=Chief Information Officer、CAIO=Chief AI Officer、CHRO=Chief Human Resources Officer、GRC=ガバナンス・リスク・コンプライアンスCLO= Chief Legal Officer、CRO=Chief Risk Officer、SBU=Strategic Business Unit、FU=Function Unit また、リスクの性質により、パーソルホールディングスとSBU/FUで次の役割分担を行っております。・グループ共通リスク:グループ共通のリスク対策が効果的なもの(主に、オペレーショナルリスク)については、パーソルホールディングスの各機能本部が、グループ横断的にリスク管理を行う・SBU/FU個別のリスク:事業特性や地域特性に基づくSBU/FU固有のリスクについては、各SBU/FUにリスク管理責任者(=SBU/FU内部統制推進責任者)を設置し、各SBU/FU内で自律的にリスク管理を行う ③グループ重要リスクの管理プロセス 当社グループでは、当社グループにおけるリスクのうち、グループの経営状況や経営戦略に照らし、特に重要性の高いリスクを「グループ重要リスク」として選定しております。グループ重要リスク選定の目的は、これらのリスクへの対応を経営課題として優先的に経営資源を割り当てるためであり、選定された各グループ重要リスクには、パーソルホールディングスの役員をリスクオーナー(リスクの最終的な説明責任を負う者)として設定することでリスク対応への実効性を高めております。グループ重要リスクの選定時には、主に「影響度」と「発生可能性」の観点での評価に加え、リスク対策の脆弱性や、社会からの期待・関心も加味したうえで決定しております。 <リスク評価基準> 影響度レベル定義判断基準(例)経済的損失事業継続レピュテーション大甚大な影響・グループ全体に及ぶ大きな損失・複数年度にわたる影響・事業許可の取り消し、事業廃止命令、事業停止命令・長期的な事業停止処分・長期にわたる致命的な信頼の失墜(数年単位)中中程度の影響・単年度実績への影響・監督官庁からの改善命令、一時的な業務停止命令・短期/一時的な信頼の失墜(1年以内)小限定的な影響・影響が限定的で、年度内に回復可能・監督省庁からの行政指導・勧告・注意・監督省庁へ報告義務がある事案の発生・信頼の失墜にまでは至らない 発生可能性レベル定義高頻繁に発生する(1年に1回以上)中時々発生する(2~3年に1回程度発生)低発生頻度が低い(3~5年に1回程度より少ない) また、リスクマネジメント委員会においてこれらのリスクを議案として取扱い、リスク対応の進捗や効果を確認し、年次で改善及び見直しを検討するPDCAサイクルを回すことで、継続的に改善できる仕組みとしております。 <グループ重要リスク管理のPDCAサイクル> (2)当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク 当社グループは、2026年3月のグループ重要リスクの見直しにより、2027年3月期も2026年3月期同様の「IT関連リスク(個人情報漏洩、システム障害等)」「企業買収投資に伴うリスク」「プライバシー侵害リスク」「自然災害等の有事に関する事業継続リスク」「人権侵害リスク」「景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク」「気候変動に伴うリスク」の7項目をグループ重要リスクとして選定しました。2027年3月期も引き続きこれらの重要リスクを中心にリスク対策を講じ、定期的なモニタリングを実施いたします。 また上記のグループ重要リスク7項目を含め、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす主要なリスクは以下の表に記載のとおりであります。当社経営者が認識する当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与えるリスクに関し、発生の蓋然性及び事業への影響の度合いに鑑み、重要と考えられる順に記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありません。 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク一覧重要度順位リスク名称グループ重要リスク1IT関連リスク(個人情報漏洩、システム障害等)● 継続2企業買収投資に伴うリスク● 継続3プライバシー侵害リスク● 継続4人権侵害に関するリスク● 継続5自然災害等の有事に関する事業継続リスク● 継続6景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク● 継続7気候変動に伴うリスク● 継続8技術革新によるリスク 9法令遵守等コンプライアンスに関するリスク 10人材の育成・確保におけるリスク 11海外事業展開に伴うリスク 12競合によるリスク ①グループ重要リスクと主な対応策グループ重要リスク1 IT関連リスク(個人情報漏洩・システム障害等)リスクオーナーCIO/CAIO残存リスクa. 個人情報漏洩 影響度:大、 発生可能性:高b. システム障害 影響度:大、 発生可能性:中リスク認識a. 個人情報漏洩 当社グループでは、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者をはじめとするサービス利用者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取扱っており、当社グループにおいてサイバー攻撃をはじめとした、第三者によるセキュリティ侵害、不適切なシステムの設定・管理、従業員の不正・過失等によりこれらの個人情報が漏洩する事態が生じた場合、当社グループのブランドの棄損、企業イメージの悪化等の社会的信用の低下に伴う顧客・サービス利用者の減少、さらに損害賠償請求等の発生により、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 b. システム障害 当社グループの事業は、国内外を問わずよりITへの依存が高まり、よりコンピュータシステム及び通信ネットワークに多くを依存しております。近年のリモートワーク拡大等により、当該リスクへの対応の重要性は一段と高いものとして認識しております。またシステムのメンテナンス等の一部はクラウドシステム業者を含む外部業者に委託しております。人為的過誤、サイバー攻撃、広範な自然災害や外部業者のトラブル等により、コンピュータシステムや通信ネットワークに何らかの問題が生じ、適切に利用ができなくなることにより、当社グループの業務や提供するサービスに遅延・停止の可能性があり、当社グループに対する信頼性の低下を招き事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 リスク対策の状況 いずれのリスクにおいても、ITの技術的な側面、人的な側面など多面的に適時・適切な管理体制の構築・維持に努めております。具体的な対策例としては次のものが挙げられます。 a. 個人情報漏洩 ・当社グループのネットワークやシステムに対するセキュリティ対策の実装 ・当社グループのCSIRT (PERSOL-SIRT)設置による、グループ内でのセキュリティインシデント対応力の強化 ・従業員向けセキュリティ教育や標的型メール訓練、セキュリティインシデント対応訓練の実施 ・グループ共通の情報セキュリティや個人情報取扱いに関する規程・ルールの制定 ・新規サービスの立ち上げや新規の個人データ利活用に際して、専門部署によるプライバシーレビュープロセスを経る体制を構築 ・グループのセキュリティ統括部門を中心としたIT環境やグループ各社のセキュリティ状況の点検 ・ASM(アタックサーフェスマネジメント)や脆弱性管理システム等を用いたシステム脆弱性対応の実施 ・クラウドサービスを含む外部サービスや委託先に対するセキュリティ水準の確認(契約時と定期点検) b. システム障害 ・障害発生時の体制・報告フローの整備、障害対応訓練の実施 ・システムセキュリティの強化 ・耐障害性を向上させるIT環境の検討・改修・構築 グループ重要リスク2 企業買収投資に伴うリスクリスクオーナーCFO残存リスク影響度:大、 発生可能性:高リスク認識 当社グループまた当社グループを取巻く業界においては、これまでオーガニックな成長に加え、企業買収や事業提携を行い事業の拡大を行ってまいりました。引き続き企業買収等を通じて事業規模を拡大していくとともに、ITなどの新しいテクノロジーの取り込みを目的とする企業買収を行うことによって、さらなる企業価値の向上と競争優位性の確保を行ってまいります。 企業買収や事業提携に際しては、対象となる企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューディリジェンスを行い、リスク回避に努めておりますが、案件の性質や時間的な制約等から十分なデューディリジェンスが実施できず、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合、また当該事業が、当初想定した収益計画と大きく乖離した場合、多額の資金投入が発生する可能性のほか、関係会社株式の評価替えやのれんの減損等により、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、買収を通じて取得した企業ののれんは、当連結会計年度末において94,019百万円であり、そのうち、BPO SBU、Career SBU、Asia Pacific SBU及びその他セグメントが大きな割合を占めております。 なお、当社グループは2024年3月期第1四半期よりIFRSに基づき開示しております。IFRSにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「日本基準」という。)と異なり、のれんの償却が行われない一方で、減損の判定方法が異なるため、日本基準と比較し、減損損失が早期に計上され、また、一度に計上される金額が多額となる可能性があります。 また、買収した企業は、それぞれのブランド力やグループ内の相互協力により極めて有益なビジネスシナジーの創出が可能になるものと判断しておりますが、今後、経営環境や事業の状況の著しい変化、技術革新、また何らかの事由によりそれぞれの経営成績が想定通り進捗しない場合、これらの資産について追加の減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 リスク対策の状況 事業投資案件に関しては、資本効率を重視し、その決裁プロセスにおけるガバナンス体制の強化に取り組んでおります。2020年4月からは、多額の事業投資案件に関して専門的見地から審議した上で経営陣に対して助言する「投資委員会」を設置し、過去の投資案件に対する事業進捗・投資効果のモニタリングを行っております。投資委員会は、グループの投資全般に関する重要事項の審議を行うとともに、投資推進に関連した一連の知識、知見をグループの組織知として高めていくことを目的としており、審議結果をHMC(Headquarters Management Committee)に上程し、HMCの適切な判断を補完する組織となります。 グループ重要リスク3 プライバシー侵害リスクリスクオーナーCLO/CRO残存リスク影響度:大、 発生可能性:中リスク認識 当社グループ各社では、事業運営に際し、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取扱っております。サービスの利便性向上やパーソルグループの成長戦略の観点から、個人データの活用の推進が期待される一方、世の中では人工知能(AI: Artificial Intelligence)を含むITの発達によりデータ提供者本人に対しても何らかの不利益が発生するリスクがあります。 当社グループで保有する個人情報の取扱いについては、当該国の個人情報に関する法律が適用されます。特に主力事業を展開している日本国内においては「個人情報保護法」、「職業安定法」、「労働者派遣法」等に準拠した取扱いが求められます。これらの法令は、近年の個人情報保護及びプライバシーの権利に対する意識の高まりやグローバル基準への適合に向けた動きにより内容が高度化しており、当社グループでは、法務と情報セキュリティの両面からこれらの解釈や運用について慎重な検討と判断を重ねております。しかしながら、これらの法令での実務面に対する要求事項は解釈の余地も多いことから、当社グループにおける解釈によっては、意図せず当社グループの個人情報の取扱いが不適切と評価され、当局からの業務停止命令、データ提供者若しくは法人からの訴訟につながる可能性があります。 さらに法令を遵守して活用した場合でも、データ提供者の不利益又は不信感を招くおそれがあります。特にAIを用いたプロファイリングやマッチング、発展の著しい生成AIの活用において、公平性や公正性の担保をはじめとする適切な取扱いや、透明性やアカウンタビリティの確保ができないときは、当社グループのブランド及び企業イメージの低下や信用が毀損し、これらに伴い、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 リスク対策の状況 「グループプライバシーガバナンス審議会」を設置し、グループ全体のパーソナルデータ利活用に伴うプライバシーリスクについて議論することで、グループ全体で整合性のとれたパーソナルデータの利活用を支えるプライバシーガバナンスを構築しております。新規サービスの立ち上げや新規の個人データ利活用に際しては、専門部署によるプライバシーレビュープロセスを経る体制を構築し、データ提供者への影響を予め十分に検討し、適切な対応策を講じることで、ユーザー等の信頼を確保することに努めております。また、AIを用いたプロファイリングやマッチング、生成AIの活用に関しては、適切なプライバシーレビューを促進するためのガイドラインを整備しております。 また、当社グループにおけるプライバシーに関する基本的な考え方を示した「パーソナルデータ指針」を、当社グループにおけるプライバシー保護の体制・取り組み等を紹介する「プライバシーセンター」上で公開しております。当該指針に基づき、AIの活用におけるパーソナルデータの適切な取扱いの確保に向けた体制の強化やパーソナルデータの利用目的と利用期間のバランスを適切に保つ取り組みなどを進めております。 AIのプライバシーへの影響の観点からは「パーソルグループAI基本方針」を策定すると同時に「グループAIガバナンス審議会」を設置し、AIの利活用に際しては専門部署によるAIレビュープロセスを経る体制を構築しています。 グループ重要リスク4 人権侵害に関するリスクリスクオーナーCLO/CRO残存リスク影響度:大、 発生可能性:中リスク認識 当社グループは、日本国内とAPAC地域で事業拠点を持ち、取引する顧客企業や個人の求職者等の方々も多国にわたっております。近年、先進国を中心として「ビジネスと人権」に関する関心は高まっており、またステークホルダーによる人権への高度な対応要求は、当社グループの事業活動にも大きく影響します。 人権尊重の取り組みはグループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するために必要不可欠であり、人権侵害に該当する事案が生じた場合には、各国における行政罰や当社グループの社会的信用・ブランドイメージ毀損等により、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 リスク対策の状況 当社グループでは、2022年12月に取締役会の承認のもと「パーソルグループ人権方針」を制定し、従前からのパーソルグループ行動規範に基づく取り組みなどと合わせて、人権尊重に向けた取り組みを進めてまいりました。また、2023年4月より、選定した事業において人権デューディリジェンスの運用を開始するとともに、人権に関するグループ役職員向けの研修を開始いたしました。今後もこれらの取り組みについて引き続き実施していくことに加え、人権デューディリジェンスの拡大・高度化、救済メカニズムの構築等、さらなる体制整備に向けて取り組みを推進してまいります。 グループ重要リスク5 自然災害等の有事に関する事業継続リスクリスクオーナーCLO/CRO残存リスク影響度:大、 発生可能性:中リスク認識 当社グループは、日本国内及びAPAC地域で主要な事業活動を展開しております。地震、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、戦争、テロ行為等が起こり、当社グループの従業員の安全が脅かされる若しくは会社資産が毀損した場合、又はパンデミックが起こり、多数の従業員の感染若しくは行動制限措置により業務が制限された場合、当社グループの事業が一時的に中断され、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材サービスという事業性質上、有事には派遣スタッフの安否確認や顧客企業との契約内容の調整等、多大な顧客対応による業務負荷が予想されることから、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 さらに、自然災害等の外部要因による有事に限らず、当社グループの企業活動における不祥事やコンプライアンス上の問題が顕在化した場合には、顧客やサービス利用者に重大な不利益を与える可能性があります。加えて、これらの事案が外部メディア等で報道された場合、当社グループのブランドの毀損、企業イメージの悪化等の社会的信用の低下に伴う顧客・サービス利用者の減少により、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。 リスク対策の状況 かかるリスクに対し、当社グループでは当社にクライシスマネジメントの統括部署を設置し、①従業員と派遣スタッフの安全確保、②顧客・会社資産保護、③事業継続、④ステークホルダーコミュニケーションを基本方針として、有事に適切な対応をとる体制を日本国内及びAPAC地域で構築しております。日本国内では、人材サービスの根幹である従業員・派遣スタッフへの給与支払い業務をグループの最重要業務と位置づけ、大規模自然災害やパンデミックが発生した場合でも給与支払い業務を継続し、従業員・派遣スタッフが生活基盤を維持するための事業継続計画を策定しております。併せて、グループ全体で迅速な危機対応を行うための体制や計画の整備を進めるとともに、危機対応力向上に向け定期的な訓練の実施に努めております。なお、初動対応の迅速化・効率化を実現するため、被災地域の拠点情報や従業員安否情報等を自動で収集するITツールを導入しております。また、自然災害に限らず、不祥事やコンプライアンス上の問題等、様々な危機シナリオに対応するため、当社グループ内におけるエスカレーション基準や基本対応方針を定め、危機発生時において適切な判断と迅速な対応が行われる体制を整備しております。これらの対応方針に基づき、危機発生時の対応を確認・検証する訓練を定期的に実施し、グループ全体の危機対応力の向上に努めております。 加えて、APAC地域においては、政治的・社会的情勢の不安定化や戦争、テロ等を想定し、日本からの駐在員を含む現地従業員の安全対策・教育、医療支援を実施するとともに、有事の際の安否確認ルールを策定するなど、従業員の安全と健康を守るための取り組みを行っております。また、定期的な事業継続計画の見直しと訓練の実施による対応の強化を進めております。 グループ重要リスク6 景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスクリスクオーナーCFO残存リスク影響度:大、 発生可能性:中リスク認識 当社グループが提供している人材サービスは、日本国内における構造的な要因(少子化・労働人口の減少・労働市場の構造変化など)が追い風となってきました。同時に景気変動による影響を受けやすく、こうしたマクロ経済の変化にうまく対応できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。グローバル化の進展に伴い、他国の経済状況、国際政治情勢、地政学的要因、国際金融市場等の影響により、事業を展開する各国の経済が大きく左右される傾向が強まっております。また、2008年の世界金融危機、2020年初頭からのCOVID-19感染拡大や地政学的要因による世界的な経済活動の急激な収縮といった、予見が難しい事象が発生しております。2008年の世界金融危機のような深刻な経済危機が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、不況時における当社グループの収益に与える影響度の順に記載すると以下の表のとおりです。 想定される状況影響度合主要な該当セグメント(提出日現在)人材紹介事業・顧客企業の採用抑制による転職決定者数の減少・内定決定までのリードタイムの伸長・景気感応度は最も高い・売上高の減少及び採算性の悪化 Career SBU Asia Pacific SBU求人広告事業・企業の採用予算の縮小、採用活動の抑制による求人広告出稿数の減少・競争の激化による広告単価の低下・景気感応度は高い・売上高の減少及び採算性の悪化 Career SBU人材派遣事業及び受託請負事業・顧客企業の人件費全般の抑制に伴う派遣スタッフ契約数の減少・顧客企業の操業停止等による派遣契約の終了・取引規模の大きな顧客企業の業績悪化による売上の大幅な減少・業務受託業や人材派遣業等の常用雇用者を有する事業における、契約数の減少及び契約規模の縮小・顧客企業のコスト削減に伴う案件のキャンセル、予算の削減による受託案件の減少・景気感応度は相対的に低く遅行する・売上高の減少及び採算性の悪化 Staffing SBU BPO SBU Technology SBU Asia Pacific SBU リスク対策の状況 通常の景気循環による変動に対しては、当社グループでは、期初段階から景気悪化時シナリオを用意し、コスト管理を行う等の経営努力により、当社の経営成績に与える影響を抑制するよう努めております。こうしたマクロの影響に対して、新しいサービスの展開、AIやITを利用した付加価値の提供に努めるなど、成長分野への投資を継続的に行い、新たな事業領域への展開と成長に努めております。 グループ重要リスク7 気候変動に伴うリスクリスクオーナー総務購買管掌役員残存リスク影響度:大、 発生可能性:中リスク認識 当社グループは、地球規模で発生している気候変動問題に対して、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に賛同し、気候変動による事業へのリスクと機会を特定するシナリオ分析に基づいた開示を2022年5月より実施しております。 気候変動が当社グループ事業に及ぼす影響及び気候関連の機会とリスクを具体化して把握するために、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの外部機関が公表している4℃シナリオ(気候変動により自然災害の甚大さ・頻度が増加する世界)と1.5~2℃シナリオ(急速に脱炭素社会が実現する世界)をベンチマークとして参照し、分析しております。 当社グループでは、実効性及び進捗管理の明確性を重視し、2035年までの具体的な削減目標を設定するとともに、長期的に目指すべき姿として「ネットゼロ」を掲げ、2050年には大幅な削減水準を達成することを目指します。また気候変動への取り組み遅延や法令違反等があった場合、当社グループの信頼性の低下を招き事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 リスク対策の状況 当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しております。「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 (3)気候変動への対応」を参照ください。 ②その他、当社グループの経営成績等に影響を与える主要なリスク<8 技術革新によるリスク> 当社グループの営む人材サービスは、ITの活用が不可欠な事業であり、当社グループではITを用い、新規サービスの開発やオペレーションの改善に努めております。特に近年のAIの急速な進展を捉え、AIによる求職者と求人企業のマッチングへの活用や求職者向けの職務経歴書・スキルシート作成の自動化サービスの提供など、サービスの高度化に取り組んでおります。加えて、AI関連のスキル保有人材の派遣や、導入支援、研修等のサービスを提供し、新たな企業ニーズに適合すべくサービス展開を実施しております。しかしながら、当社グループがIT領域の高度な専門人材の確保・育成が計画通りに進まない場合には、技術実装の遅れにより競争力の低下や既存ビジネスモデルの陳腐化を招くことが懸念されます。加えて、投資に対して期待した導入効果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、特にAIの導入や改良に際し、透明性・安全性といった当初想定した品質の確保が困難となる場合等において、社会的・法的基準から逸脱するコンテンツを生成する可能性が生じることに加え、偏見や差別的表現を助長することによる人権侵害につながり、社会正義や公正性を損なうなど、倫理面での深刻なリスクが顕在化する可能性があります。これらにより、当社グループの社会的信用やブランド価値が毀損し、ひいては事業運営に深刻な影響を及ぼすとともに、財政状態や経営成績にも悪影響を与える可能性があります。加えて、他社のAIの活用動向によっては、事務派遣事業や受託請負事業の代替となることや、職業紹介事業においても、人を介さないビジネスモデルが考えられることなど、既存ビジネスを陳腐化させるディスラプター(Disruptor: 破壊的イノベーター)が現れる可能性があります。 <9 法令遵守等コンプライアンスに関するリスク> 当社グループは、事業活動を行う上で自らが事業を展開する国又は地域の様々な法令の適用を受けております。人材サービスを行う当社グループは、労働関連法令の遵守を求められております。当社グループでは、コンプライアンスを、法令遵守に留まらず、「社会からの要請や期待に応え、誠実に事業活動を行っていくこと」とより広範囲で捉え、「パーソルグループ行動規範」を制定し、当社グループの役職員には、公正、正直、敬意及び誠実さをもって行動することを定めております。 また当社グループでは、事業の拡大に合わせ、コンプライアンス統括部署を設置し、コンプライアンス関連規程の整備や継続的な教育・研修の実施、グループ内部通報制度の整備等、コンプライアンス体制を構築しております。しかしながら、当社グループに適用される法令等に違反する事態が生じた場合や社会からの要請や期待に応えられなかった場合は、次のaまたはbに記載するリスクが具現化し、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 a.人材派遣事業 当社グループの主要な事業である人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣法」に基づき、労働者派遣事業の許可を受け事業運営を行っております。現時点で、当社グループにおいては、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が労働者派遣法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、労働者派遣法及び関係法令については、これまでにも労働環境の変化に応じ改正が適宜実施されており、当社グループではその都度、当該法改正に対応するための諸施策を講じております。今後、さらなる法改正が実施され、大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。 b.人材紹介事業・求人広告事業 当社グループが行う人材紹介事業及び求人広告事業は、国内においては「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業の許可又は募集情報等提供事業の届出のもとに行っている事業であります。現時点で、当社グループにおいては、職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が職業安定法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、職業安定法及び関係法令については、これまでにも労働環境の変化に応じた改正が適宜実施されており、当社グループでは法改正の都度、当該法改正に対応するための諸施策を講じております。今後、さらなる法改正が実施され、大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。 <10 人材の育成・確保におけるリスク> 当社グループの中長期戦略の実行及び持続的な成長において、様々な分野での多様な人材の確保・育成が必要となります。当社グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するため、当社グループのすべての従業員が仕事へのやりがいと組織への貢献意欲を持てるよう良好な職場づくりに努めております。しかしながら、今後の当社グループの成長をけん引するためのAI・データ活用をはじめとしたテクノロジー人材やグローバル人材等、一部の領域において、要件を満たす人材は希少性が極めて高く、これら人材の確保が想定通り進められない可能性があります。また、当社グループの目指す職場環境づくりが困難な場合には、優秀な人材の育成が想定通りに進まず、また競合他社等への流出が発生し、当社グループの事業運営が計画通りに進まず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しております。「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本」を参照ください。 <11 海外事業展開に伴うリスク> 当社グループは、日本国内に加えAPACや欧米地域においても人材派遣事業、人材紹介事業、受託請負事業等を行っております。海外事業展開に際しては、支援体制及び経営管理機能の強化を進めておりますが、APACや欧米地域各国の政治・社会情勢の急激な変化、法令改正、想定外の為替変動等、著しい事業環境変化等により同地域における明確な競争優位を確立できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 <12 競合によるリスク> 当社グループが展開している人材ビジネス市場では、各国の各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループと同水準のサービスを低価格で提供した場合や、当社グループのサービスを必要としないプロセスや仕組みを顧客企業に提供若しくは社会的に浸透・普及に成功した場合、求職者等の個人や法人顧客にとってより魅力的なサービスを提供する又は当社グループがニーズに対応したサービスや機能の改善を図れない場合には、当社グループの競争力が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 また、当社グループにおける派遣スタッフ及び求職者等の個人の集客においては、他社の運営する検索エンジン等を利用して求人広告を掲載しているものがあります。かかるプラットフォームを提供する企業が求人広告業界における集客力を強め、独占的なポジションを確立した場合には、当社グループの集客力や財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

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