事業の概要
- 飲食店販促サービスインターネット上の飲食店情報サイト『楽天ぐるなび』を通じて、飲食店が情報を掲載し、ネット予約サービスなどを提供することで収入を得ています。飲食店は「ぐるなびPRO」で情報を更新したり、ネット予約システム、アクセス分析機能、多言語版への掲載などを利用できます。これらに対し、飲食店から基本加盟料やネット予約手数料、商品利用料を得ています。
- プロモーション支援食品・飲料メーカーや自治体などに対し、食に関するトレンド調査や商品開発、販促支援、地域活性化プロモーションなどを提供しています。ぐるなびが持つ飲食店や消費者ネットワーク、外食データベースを活用し、多様なプロモーションサービスを展開することで収益を上げています。
- 関連事業の展開訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」の運営や、人気店の料理を家庭で再現するミールキット、企業秘書が選んだ手土産などのECサイト運営も行っています。また、商業施設の飲食フロアのプロデュースや有料会員制サービス、海外での日本食プロモーションなども手掛け、加盟料やコンサルティング料、販売手数料、会費などを収入としています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 基盤事業(飲食店販促)インターネット上の『楽天ぐるなび』を通じて、飲食店に情報掲載やネット予約システム、アクセス分析機能などを提供し、基本加盟料やネット予約手数料、商品利用料を得ています。また、食品・飲料メーカーや自治体へのプロモーション支援も行い、食に関するトレンド調査や地域活性化支援で収益を上げています。
- 関連事業訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」の運営や、ミールキット・手土産などのECサイト運営、商業施設の飲食フロアのプロデュース、有料会員制サービス「PREMIUM GOURMET CLUB」などを展開しています。これらの事業から、加盟料やコンサルティング料、販売手数料、会費などを収入としています。
- その他事業連結子会社である㈱ぐるなびサポートアソシエでは、当社が委託した事務関連業務の請負や福利厚生サービスの提供を行っています。また、㈱Gダイニングでは、店舗開発事業の一環として直営店舗の運営を手掛けており、これらの事業もグループ全体の収益に貢献しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当社(㈱ぐるなび)及び連結子会社3社により構成されており、その主な事業内容は、パソコン・スマートフォン等による飲食店等の情報提供サービス、飲食店等の経営に関わる各種業務支援サービスの提供その他関連する事業であります。また上記のほかに、関連会社として株式会社日本食材情報、その他の関係会社として楽天グループ株式会社があります。当社グループの具体的な事業内容、事業に係わる位置付けは次のとおりです。 (1) 基盤事業① 飲食店販促サービス当社はインターネット上で運営する飲食店情報サイト『楽天ぐるなび』(以下『楽天ぐるなび』という。)を通して、利用者(ユーザー)に様々な飲食店情報及びネット予約サービス等を提供しております。飲食店販促サービスにおいては、飲食店の情報を『楽天ぐるなび』に掲出し、その情報を飲食店自ら更新することのできる「ぐるなびPRO(管理画面)」やネット予約システム、店舗ページのアクセス集計・分析機能を持つ「GONアクセス集計」、「楽天ぐるなび外国語版(英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字))」への店舗情報掲載等を基本機能・サービスとして加盟飲食店へ提供しております。同時に、『楽天ぐるなび』内での露出を強化する「ディスプレイ広告」や「ぐるなびネット予約クーポン」、当社ユーザー会員に直接アプローチ可能な「e-DM(Eメールによるダイレクトメール)」等の新規集客やリピート促進に効果的な販促支援商品のほか、予約・顧客管理システム「ぐるなび台帳」やモバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」、『楽天ぐるなび』に限らず Google ビジネスプロフィールやSNS等を含む各種販促メディアの登録・更新・運用を代行するマーケティングエージェントサービス等の業務支援商品を数多く取り揃えております。加えて、営業担当者をはじめとする人的なサポート体制を持ち、各飲食店の経営課題に合わせた解決策の提案や、各種商品・サービスの導入・活用支援等も行っております。当社はこれらの商品・サービスに対し、飲食店から基本加盟料、ネット予約手数料、商品利用料等を収入として得ております。② プロモーションプロモーションでは、省庁・自治体等より受注した国内の食材・食文化等に関するプロモーションや地域活性化支援のほか、食品・飲料メーカー等に対する当社の飲食店・消費者ネットワークを活用したプロモーションサービス等の提供等を行っております。(2) 関連事業関連事業においては、厨房機器販売店「テンポスぐるなび」、訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」、人気店の名物料理を家庭で再現するミールキットや企業秘書が選りすぐった手土産等のECサイトの運営のほか、商業施設の飲食フロアをプロデュースする店舗開発事業、ユーザー向け有料会員制サービス「PREMIUM GOURMET CLUB」、さらにぐるなび上海社を通じた海外に対する日本食のプロモーション等を行う海外事業等を行っております。当社はこれらの店舗・サイト運営、サービス提供を通じ、商品売上のほか、情報発信者として参加する業者や出店事業者、商業施設の運営者、自治体のほかユーザー会員等から加盟料やコンサルティング料、販売手数料、会費等を収入として得ております。 上記のほか、㈱ぐるなびサポートアソシエにおいて当社が委託した事務関連業務の請負及び福利厚生サービスの提供、㈱Gダイニングにおいて上述の店舗開発事業の一環として展開する直営店舗の運営を行っております。 事業系統図は下記のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 飲食店販促サービス売上の成長は有料加盟店舗数と店舗あたり契約高の増加に大きく依存 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | ネットワーク 飲食店・消費者ネットワークや外食に関するデータベース等を活用したプロモーションサービス |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:飲食店の支持獲得について / 「楽天ぐるなび」のユーザーの支持獲得について / 事業計画の実現に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
「ぐるなび」ブランドは認知度が高いが、新規参入や他プラットフォームの台頭により、絶対的なブランド優位性は低下傾向。特許やIPは限定的。
スイッチングコスト★★☆☆☆
飲食店側は、予約・販促ツールとしてぐるなびを利用しているが、複数プラットフォーム利用や自社予約システム導入により、乗り換えコストは限定的。ユーザー側は、情報収集ツールとして利用するのみでスイッチングコストはほぼゼロ。
ネットワーク効果★★★☆☆
飲食店とユーザー双方に価値を提供するプラットフォーム。飲食店が増えればユーザーが集まり、ユーザーが増えれば飲食店が集まるというネットワーク効果の側面はあるが、競合プラットフォームとの競争により、その効果は限定的。
コスト優位☆☆☆☆☆
特筆すべきコスト優位性は見られない。プラットフォーム運営には一定のコストがかかる。
規模の経済★★★☆☆
国内の飲食店情報プラットフォームとしては一定の規模を持つが、業界全体で見ると寡占度は低く、最適規模とは言えない。競合との競争による規模の経済性は限定的。
- 強固な飲食店ネットワーク長年にわたり築き上げてきた飲食店との強固なネットワークと、外食に関する豊富なデータベースが強みです。これにより、飲食店販促サービスだけでなく、食品メーカーや自治体へのプロモーション支援においても、独自の価値を提供し、他社との差別化を図っています。
- 楽天グループとの連携楽天グループとの資本業務提携により、日本最大級の経済圏である楽天エコシステムを活用できる点が大きな競争優位性です。楽天ID連携を通じてエンゲージメントの高いユーザーを獲得し、『楽天ぐるなび』の送客力を強化することで、加盟飲食店への価値提供を高めています。
- 多様な業務支援サービス飲食店販促に留まらず、予約・顧客管理システム「ぐるなび台帳」やモバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」など、飲食店の経営課題を解決する多様な業務支援商品を提供しています。これにより、飲食店のDX化を支援し、単なる情報提供サイト以上のパートナーとしての地位を確立しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社は創業からつなぐ「日本の食文化を守り育てる」との想いを礎とした「食でつなぐ。人を満たす。」とのパーパス(存在意義)のもと、「食」が持つあらゆる可能性を模索し、「食」を通じてあらゆるヒト・モノ・コトをつなぎ合わせることで、世の中に対して新たな価値を提供し続け、持続可能なより良い社会の実現に貢献していく企業であり続けることを経営方針としております。 (2) 経営環境及び対処すべき課題当社は、2024年3月期から2026年3月期までの中期事業方針のもと、着実な売上回復と徹底したコストコントロールに取り組み、2025年3月期において黒字転換を達成いたしました。これにより、全社的なコスト管理能力が向上し、筋肉質な収益体質への転換を果たした一方で、コロナ禍以降の財務安定化を最優先し、既存のメディア事業を通じたネット予約による新規集客支援や既存加盟店のサポートにリソースを重点配分してまいりました。このような中においても、マーケティングエージェントの伸長により業務支援領域での手応えが得られたほか、足元では有料加盟店舗数も増加に転じ始める等の成果がみられたものの、当社独自の強みを活かした飲食店に対する業務・経営支援領域における提供価値のさらなる拡大や、持続的な成長の礎となる有料加盟店舗数の本格的な拡大については、組織全体の遂行能力を最大限に発揮しきれたとはいえず、中長期的な再成長に向け加速の余地を残す結果となりました。 当社を取り巻く事業環境については、顧客である飲食店において、生産年齢人口の減少や各種コストの高騰を背景に、従来の労働集約的な経営手法からの転換が急務となっています。具体的には、デジタルトランスフォーメーションやアウトソーシング活用による省人化・省力化を通じた業務効率化、データやAIの活用による業務の最適化等の必要性が一段と高まっています。また、ネット予約を軸とした新規集客支援を中心とするメディア領域は、多様なプレイヤーの台頭により激しい競争環境にあり、当社が持続的な成長を実現するためには、従来のメディア事業の成長のみに依拠した事業構造からの転換が不可欠であると認識しております。 このような状況下、当社が「日本の食文化を守り育てる」という創業の想いと「食でつなぐ。人を満たす。」というパーパスのもと、中長期的な企業価値の向上を実現するためには、飲食店に深く寄り添い、課題を解決するB2Bモデルでの事業展開に回帰・集中し、創業以来のコア・コンピタンスである「サポート力」と「情報資産」を最大限に発揮することが重要であると捉えております。 この方向性を具現化するため、当社グループは2027年3月期から2029年3月期までの3か年を対象とする「中期経営計画2028」を策定いたしました。本計画では、改めて「“真の”飲食店のサポーター」となることをビジョンに掲げ、顧客である飲食店からの当社に対する認識を、従来の「集客メディア」から「経営サポーター」へと転換させる『提供価値の変革』と、中長期的な成長の礎となる『飲食店ネットワークの拡大』を全社方針として推進してまいります。本方針のもと、当社は飲食店の経営手法の転換を伴走支援する「飲食店経営プラットフォーム」としての機能拡充を図るため、具体的に以下の5つの事業戦略に取り組んでまいります。 ① メディア・会員サービスの強化ネット予約を軸とした新規集客支援を中心とするメディア領域は、変化の激しいWebサービスの潮流に左右されやすい側面を有しております。そのため、当社は楽天グループとの強固な連携体制をさらに推し進め、最大限に活用することで、飲食店への安定的かつ持続的な送客サイクルの構築を推進してまいります。具体的には、「幹事ランク制度」の活性化や公式アプリの機能強化、パーソナライズされたプッシュ型情報発信の精度向上等に取り組むことで、楽天会員による「楽天ぐるなび」のリピート利用を促進いたします。同時に、楽天IDを通じて予約・来店・会計といった外食に関わる行動をシームレスに統合し、楽天会員にとって最も「利便性と利得性の高いメディア」の実現を追求してまいります。 ② エージェント事業の確立外食産業における深刻な人手不足を背景に、Web販促をはじめとする飲食店の多様な業務を代行するエージェント事業は、飲食店のニーズを捉え着実な拡大基調にあります。今後、生産年齢人口の減少に伴い、アウトソーシングへの需要はさらに高まることが予測されること、また、本領域はB2Bモデルへの回帰・集中を進め、当社のコア・コンピタンスである「サポート力」と「情報資産」を最大限に発揮する重要施策のひとつであることから、本領域を当社の成長の牽引役と位置付け、サービスのさらなる拡充を推進してまいります。運用面においては、生成AIを段階的に導入することで業務の効率化を徹底し、創出したリソースを顧客との対話や潜在ニーズの把握に配分いたします。これにより、個々の店舗に寄り添った付加価値の高いサービス提供と、対応店舗数の拡大を両立させ、事業の実効性を高めてまいります。 ③ 加盟価値の拡充これまで飲食店が当社へ加盟する主な目的はメディア掲載による集客力の向上にありましたが、今後は飲食店の認識を「集客メディア」から「経営サポーター」へと転換させ、当社が選ばれる理由を多角化してまいります。具体的には、店舗ページ掲載やネット予約システムといった従来の基本機能に加え、リピート促進を支援するCRM機能や、店舗の収益及びキャッシュ・フローの改善に寄与する決済関連機能を楽天グループとの協業により付加いたします。これにより、日々の店舗運営における課題解決と収益力の向上に資する価値を創出し、飲食店に深く寄り添うB2Bモデルへの回帰・集中を具現化することで、より一層幅広い飲食店へとターゲット層を拡大いたします。同時に、店舗運営の基幹を支えるサービスとして定着を図ることで、解約リスクを最小化し、強固な顧客基盤を構築してまいります。 ④ 営業体制の強化・活動プロセスの改善上述の「加盟価値の拡充」を通じた飲食店ネットワークの拡大を実効性のあるものとするため、中小規模店を中心とした外食産業と深くつながり・支える力であり、当社のB2Bモデルの要である営業体制の強化及びその活動プロセスの改善を推進してまいります。具体的には、営業人員の増員(2027年3月期において約70名の採用予定)に加え、新規開拓に特化した組織の組成や、生成AIの活用や人材育成体制の強化等による営業スキルの標準化・向上を進めてまいります。また、外部パートナーとの連携による見込み客獲得チャネルの拡充や、生成AIの活用による営業の提案準備工数の削減、受注後のオンボーディング期間の短縮等のプロセス改善にも取り組んでまいります。これらの改革により、有料加盟店舗数の増加ペースを加速させ、中長期にわたる指数関数的成長の礎となる強固な飲食店ネットワークの構築を目指してまいります。 ⑤ AI時代に即したデータ基盤の構築・活用上述の各施策や飲食店ネットワークから得られる多種多様な情報を最大限に活用し、経営支援の精度を高めるため、生成AIを軸としたデータ基盤の構築を進めてまいります。具体的には、AIによる高速かつ柔軟な解析を可能とするインフラ整備に加え、部門を越えてデータや機能を自在に組み合わせる連携体制を構築し、情報の蓄積がさらなる価値向上を生む「自律的な成長サイクル」を確立いたします。これにより、過去の分析に留まらない予見に基づく先回りのサポートを実現すると同時に、AIを自在に操りながら顧客に寄り添って価値を生み出すプロデュース型組織への変革を図り、「AI×データ×人」の力を融合させた「経営コンシェルジュ」として、飲食店を繁盛へと導く圧倒的な競争優位性を発揮してまいります。 これらの取り組みを通じて、最終年度となる2029年3月期には、売上高18,900百万円(年平均成長率10%)、営業利益1,300百万円(営業利益率7%)、総有料加盟店舗数60,000店舗、総加盟店舗数100,000店舗の達成を目指してまいります。あわせて、本計画の遂行にあたっては、「ROICマネジメントの実践による収益力と資本生産性の向上」、「戦略的財務基盤の構築」及び「株主還元の強化」という3つの視点を軸とした資本コスト経営を推進してまいります。これらを通じて資本効率の最適化を図り、2029年3月期において自己資本当期純利益率(ROE)21%、投下資本利益率(ROIC)16%の達成を目指してまいります。 さらに長期的な視点においては、本中期経営計画期間における飲食店経営プラットフォーム機能の拡充と飲食店ネットワークの拡大を通じて、質及び量の飛躍的な向上を見込む外食産業に関する情報資産の本格的な利活用を進めてまいります。具体的には、飲食店に対し仕入れや調達業務にも支援の領域を広げていくとともに、メーカーや卸等の外食関連事業者との最適なマッチングを図る等、バリューチェーン全体への価値提供を構想しております。こうした情報資産を核としたデータ駆動型のビジネスモデルの本格展開により外食産業のさらなる繁栄と当社の持続的な企業価値向上を実現してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社は創業からつなぐ「日本の食文化を守り育てる」との想いを礎とした「食でつなぐ。人を満たす。」とのパーパス(存在意義)のもと、「食」が持つあらゆる可能性を模索し、「食」を通じてあらゆるヒト・モノ・コトをつなぎ合わせることで、世の中に対して新たな価値を提供し続け、持続可能なより良い社会の実現に貢献していく企業であり続けることを経営方針としております。 (2) 経営環境及び対処すべき課題当社は、2024年3月期から2026年3月期までの中期事業方針のもと、着実な売上回復と徹底したコストコントロールに取り組み、2025年3月期において黒字転換を達成いたしました。これにより、全社的なコスト管理能力が向上し、筋肉質な収益体質への転換を果たした一方で、コロナ禍以降の財務安定化を最優先し、既存のメディア事業を通じたネット予約による新規集客支援や既存加盟店のサポートにリソースを重点配分してまいりました。このような中においても、マーケティングエージェントの伸長により業務支援領域での手応えが得られたほか、足元では有料加盟店舗数も増加に転じ始める等の成果がみられたものの、当社独自の強みを活かした飲食店に対する業務・経営支援領域における提供価値のさらなる拡大や、持続的な成長の礎となる有料加盟店舗数の本格的な拡大については、組織全体の遂行能力を最大限に発揮しきれたとはいえず、中長期的な再成長に向け加速の余地を残す結果となりました。 当社を取り巻く事業環境については、顧客である飲食店において、生産年齢人口の減少や各種コストの高騰を背景に、従来の労働集約的な経営手法からの転換が急務となっています。具体的には、デジタルトランスフォーメーションやアウトソーシング活用による省人化・省力化を通じた業務効率化、データやAIの活用による業務の最適化等の必要性が一段と高まっています。また、ネット予約を軸とした新規集客支援を中心とするメディア領域は、多様なプレイヤーの台頭により激しい競争環境にあり、当社が持続的な成長を実現するためには、従来のメディア事業の成長のみに依拠した事業構造からの転換が不可欠であると認識しております。 このような状況下、当社が「日本の食文化を守り育てる」という創業の想いと「食でつなぐ。人を満たす。」というパーパスのもと、中長期的な企業価値の向上を実現するためには、飲食店に深く寄り添い、課題を解決するB2Bモデルでの事業展開に回帰・集中し、創業以来のコア・コンピタンスである「サポート力」と「情報資産」を最大限に発揮することが重要であると捉えております。 この方向性を具現化するため、当社グループは2027年3月期から2029年3月期までの3か年を対象とする「中期経営計画2028」を策定いたしました。本計画では、改めて「“真の”飲食店のサポーター」となることをビジョンに掲げ、顧客である飲食店からの当社に対する認識を、従来の「集客メディア」から「経営サポーター」へと転換させる『提供価値の変革』と、中長期的な成長の礎となる『飲食店ネットワークの拡大』を全社方針として推進してまいります。本方針のもと、当社は飲食店の経営手法の転換を伴走支援する「飲食店経営プラットフォーム」としての機能拡充を図るため、具体的に以下の5つの事業戦略に取り組んでまいります。 ① メディア・会員サービスの強化ネット予約を軸とした新規集客支援を中心とするメディア領域は、変化の激しいWebサービスの潮流に左右されやすい側面を有しております。そのため、当社は楽天グループとの強固な連携体制をさらに推し進め、最大限に活用することで、飲食店への安定的かつ持続的な送客サイクルの構築を推進してまいります。具体的には、「幹事ランク制度」の活性化や公式アプリの機能強化、パーソナライズされたプッシュ型情報発信の精度向上等に取り組むことで、楽天会員による「楽天ぐるなび」のリピート利用を促進いたします。同時に、楽天IDを通じて予約・来店・会計といった外食に関わる行動をシームレスに統合し、楽天会員にとって最も「利便性と利得性の高いメディア」の実現を追求してまいります。 ② エージェント事業の確立外食産業における深刻な人手不足を背景に、Web販促をはじめとする飲食店の多様な業務を代行するエージェント事業は、飲食店のニーズを捉え着実な拡大基調にあります。今後、生産年齢人口の減少に伴い、アウトソーシングへの需要はさらに高まることが予測されること、また、本領域はB2Bモデルへの回帰・集中を進め、当社のコア・コンピタンスである「サポート力」と「情報資産」を最大限に発揮する重要施策のひとつであることから、本領域を当社の成長の牽引役と位置付け、サービスのさらなる拡充を推進してまいります。運用面においては、生成AIを段階的に導入することで業務の効率化を徹底し、創出したリソースを顧客との対話や潜在ニーズの把握に配分いたします。これにより、個々の店舗に寄り添った付加価値の高いサービス提供と、対応店舗数の拡大を両立させ、事業の実効性を高めてまいります。 ③ 加盟価値の拡充これまで飲食店が当社へ加盟する主な目的はメディア掲載による集客力の向上にありましたが、今後は飲食店の認識を「集客メディア」から「経営サポーター」へと転換させ、当社が選ばれる理由を多角化してまいります。具体的には、店舗ページ掲載やネット予約システムといった従来の基本機能に加え、リピート促進を支援するCRM機能や、店舗の収益及びキャッシュ・フローの改善に寄与する決済関連機能を楽天グループとの協業により付加いたします。これにより、日々の店舗運営における課題解決と収益力の向上に資する価値を創出し、飲食店に深く寄り添うB2Bモデルへの回帰・集中を具現化することで、より一層幅広い飲食店へとターゲット層を拡大いたします。同時に、店舗運営の基幹を支えるサービスとして定着を図ることで、解約リスクを最小化し、強固な顧客基盤を構築してまいります。 ④ 営業体制の強化・活動プロセスの改善上述の「加盟価値の拡充」を通じた飲食店ネットワークの拡大を実効性のあるものとするため、中小規模店を中心とした外食産業と深くつながり・支える力であり、当社のB2Bモデルの要である営業体制の強化及びその活動プロセスの改善を推進してまいります。具体的には、営業人員の増員(2027年3月期において約70名の採用予定)に加え、新規開拓に特化した組織の組成や、生成AIの活用や人材育成体制の強化等による営業スキルの標準化・向上を進めてまいります。また、外部パートナーとの連携による見込み客獲得チャネルの拡充や、生成AIの活用による営業の提案準備工数の削減、受注後のオンボーディング期間の短縮等のプロセス改善にも取り組んでまいります。これらの改革により、有料加盟店舗数の増加ペースを加速させ、中長期にわたる指数関数的成長の礎となる強固な飲食店ネットワークの構築を目指してまいります。 ⑤ AI時代に即したデータ基盤の構築・活用上述の各施策や飲食店ネットワークから得られる多種多様な情報を最大限に活用し、経営支援の精度を高めるため、生成AIを軸としたデータ基盤の構築を進めてまいります。具体的には、AIによる高速かつ柔軟な解析を可能とするインフラ整備に加え、部門を越えてデータや機能を自在に組み合わせる連携体制を構築し、情報の蓄積がさらなる価値向上を生む「自律的な成長サイクル」を確立いたします。これにより、過去の分析に留まらない予見に基づく先回りのサポートを実現すると同時に、AIを自在に操りながら顧客に寄り添って価値を生み出すプロデュース型組織への変革を図り、「AI×データ×人」の力を融合させた「経営コンシェルジュ」として、飲食店を繁盛へと導く圧倒的な競争優位性を発揮してまいります。 これらの取り組みを通じて、最終年度となる2029年3月期には、売上高18,900百万円(年平均成長率10%)、営業利益1,300百万円(営業利益率7%)、総有料加盟店舗数60,000店舗、総加盟店舗数100,000店舗の達成を目指してまいります。あわせて、本計画の遂行にあたっては、「ROICマネジメントの実践による収益力と資本生産性の向上」、「戦略的財務基盤の構築」及び「株主還元の強化」という3つの視点を軸とした資本コスト経営を推進してまいります。これらを通じて資本効率の最適化を図り、2029年3月期において自己資本当期純利益率(ROE)21%、投下資本利益率(ROIC)16%の達成を目指してまいります。 さらに長期的な視点においては、本中期経営計画期間における飲食店経営プラットフォーム機能の拡充と飲食店ネットワークの拡大を通じて、質及び量の飛躍的な向上を見込む外食産業に関する情報資産の本格的な利活用を進めてまいります。具体的には、飲食店に対し仕入れや調達業務にも支援の領域を広げていくとともに、メーカーや卸等の外食関連事業者との最適なマッチングを図る等、バリューチェーン全体への価値提供を構想しております。こうした情報資産を核としたデータ駆動型のビジネスモデルの本格展開により外食産業のさらなる繁栄と当社の持続的な企業価値向上を実現してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及び当該経営成績等に関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 当連結会計年度の我が国経済は、米国の通商政策等による影響が一部にみられたものの、全体として緩やかな回復基調が続きました。当社サービスの対象である外食産業においては、前期と比較し消費者の外食支出が増加傾向にあり、客数及び客単価双方の上昇により飲食店の売上も増加しましたが、一方で原材料価格の高騰や人材不足等、経営環境には厳しさもみられています。 当社は前期、中期事業方針(2024年3月期から2026年3月期)に掲げる2年目での黒字転換を果たし、コロナ禍以降のコスト抑制による赤字縮小フェーズから売上拡大による利益拡大フェーズへと移行いたしました。この利益拡大のペースを中長期にわたって加速し企業価値の拡大へとつなげるべく、当期においては、当社独自の強みである「サポート力」を最大限に発揮できる飲食店支援事業への注力を基本方針とし、「楽天ぐるなびの強化」「マーケティングエージェントの拡大」、そしてこれらの推進力や実効性を高める「商品造成力の向上」に重点的に取り組んでまいりました。 各施策の具体的な取り組みは以下のとおりです。「楽天ぐるなびの強化」については、サイト利用者の拡大及び利便性の向上を図るため、低迷していた有料加盟店舗数及びネット予約対応店舗数の拡大を重要指標と位置付け営業活動に取り組んでまいりました。その結果、当期末のストック型有料加盟店舗数は33,881店舗(前期末比1.2%増)、ネット予約対応店舗数は3.6万店舗(前期末比4.2%増)となり、ともに増加基調への転換を果たしました。また、楽天ID連携会員による当社サイトの積極的な利用を通じたネット予約送客力の向上を目的として、楽天カード株式会社が楽天カード会員に対し多様な特典を提供する「楽天カードプレミアムプログラム」と当社のユーザー会員向けロイヤリティプログラム「幹事ランク制度」との連携を10月より開始いたしました。「マーケティングエージェントの拡大」については、 Google ビジネスプロフィール(GBP)へのクーポン情報の提供や、訪日外国人向けショート動画の作成支援等の新サービスを開始する等、サービスラインナップを拡充いたしました。特にGBPの運用支援においては、サービスの利用店舗数と平均利用単価の双方が前期を上回って推移いたしました。「商品造成力の向上」については、重要施策ごとに営業・企画・開発が一体となる分科会を設置し、部門横断的なプロジェクト推進体制を構築いたしました。これにより、意思決定の迅速化と部門間連携の強化を図り、商品造成サイクル「創って、作って、売る。」を推進する強力なエンジンとして機能いたしました。加えてこれらの取り組みを加速し、今後の売上拡大に向けた体制を強化するため、重点施策に携わる営業、企画、運用の人員増強も実施いたしました。 その他、生成AI活用を推進する「ぐるなびNEXTプロジェクト」のもと、業務の生産性や創造性の向上に取り組んだほか、AIエージェント搭載アプリ「UMAME!(うまみー!)」について、1月に大幅アップデートを実施いたしました。本アップデートでは、掲載店舗情報の拡充やAIエージェント機能の強化によりマッチング精度の向上を図るとともに、Android版のリリース及び多言語対応(3月に英語版を提供開始)を通じて、訪日外国人観光客の利便性向上にも注力いたしました。 以上の活動の結果、当社の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。 財政状態について、当連結会計年度末の総資産は、流動資産が現金及び預金の減少を主因に前連結会計年度末より657百万円減少した一方、固定資産がソフトウエアの積み上がりを主因に同439百万円増加したことから、同217百万円減少し10,911百万円となりました。負債は、2025年2月に調達した短期借入金を長期借入金に借り換えたことから、流動負債が前連結会計年度末より1,235百万円減少した一方、固定負債が同752百万円増加し、合計では483百万円減少の5,667百万円となっております。純資産については、主に親会社株主に帰属する当期純利益236百万円により、前連結会計年度末より265百万円増加し5,243百万円となりました。なお財務面での取り組みとして、前連結会計年度において黒字転換を果たしたことを踏まえ、上述の借り換えのほか、2024年9月に設定したコミットメントライン3,000百万円についてアンコミットメントラインへの変更を実施いたしました。 経営成績について、当連結会計年度の売上高は14,132百万円(前期比5.0%増)となりました。事業区分別の売上高は下表のとおりです。 区分前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前期増減率(%)金額(千円)金額(千円)基盤事業飲食店販促サービス ストック型サービス9,142,2939,898,544+8.3スポット型サービス1,335,0821,221,150△8.5小計10,477,37611,119,694+6.1プロモーション1,168,4811,225,801+4.9小計11,645,85812,345,496+6.0関連事業1,812,4161,787,245△1.4合計13,458,27514,132,741+5.0 ストック型サービスについては、ARPU(1店舗あたり契約高)の伸長に加え、上述のストック型有料加盟店舗数の増加が寄与し、前期比8.3%増となりました。一方、スポット型サービスについては、上期の営業活動においてストック型での受注を重視したこと、またネット予約手数料売上が前期を下回ったことにより、前期比減収となりました。この結果、飲食店販促サービス全体では前期比6.1%増となりました。プロモーションについては、主に省庁・自治体からの売上が拡大し前期比4.9%増となりました。関連事業については、2024年4月に開店した厨房機器販売店「テンポスぐるなび」の売上が伸長した一方、店舗開発事業における新規案件の受注見送り等により前期比1.4%減となりました。 費用については、上述の人員増強に伴う労務費及び給与手当、採用費の増加に加え、ソフトウエアの増加に伴う減価償却費、売上拡大に伴う原価の増加等により、前期を上回りました。 以上の結果、営業利益は400百万円(前期比52.7%増)、経常利益は368百万円(前期比41.2%増)となりました。なお、特別利益に投資有価証券売却益103百万円、特別損失に店舗開発事業の一部施設等に係る固定資産の減損処理に伴う減損損失234百万円を計上したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は236百万円(前期比11.9%増)となりました。 各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは172百万円の支出(前連結会計年度は921百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益239百万円や減価償却費587百万円を計上した一方で、未収入金728百万円の増加、未払金193百万円の減少等の支出があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、主にソフトウエアの取得により1,448百万円の支出(前連結会計年度は1,049百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により121百万円の支出(前連結会計年度は209百万円の支出)となりました。以上のほか為替換算差を含め、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は3,300百万円(前連結会計年度末は5,042百万円)となりました。 当社グループにおける主な資金需要は、営業活動等に係る人件費やサービスの制作・運用に係る外注費、事務所賃借料等の運転資金のほか、サービスの拡大・強化に係るソフトウエア投資等の設備資金です。資金調達につきましては、基本的に内部資金を活用しておりますが、事業環境の変化を見据え、適宜外部資金の調達を実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 また、生産実績については、当社グループは飲食店販促支援事業を主たる事業として行っており、生産に該当する事項はありません。また、当社グループの主たる業務である飲食店販促支援事業は、提供するサービスの性格上、受注の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
事業リスク
- 飲食店の支持獲得ぐるなびの売上の大部分は飲食店販促サービスに依存しており、外食市場の動向や飲食業界の業況変動に大きく影響されます。原材料費や人件費の高騰、景気減速、インバウンド客の減少などが飲食店の経営を圧迫し、有料加盟店舗数や契約単価の低下につながる可能性があります。
- ユーザーの支持獲得『楽天ぐるなび』のユーザー数が減少すると、飲食店の販促ツールとしての価値が低下し、加盟飲食店の減少につながる恐れがあります。競合他社のサービス進化や新たな飲食店向けサービスの出現、消費者の環境意識の変化などが、ユーザーの支持低迷やサービス需要の低下を引き起こす可能性があります。
- 事業計画の未達成新規事業の展開や企業買収、出資などにおいて、想定以上の費用発生や期待通りの成果が得られないリスクがあります。特に、人材確保や設備増強にかかる費用が計画を上回る場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、以下の記載における将来に関する事項については、提出日現在において当社グループで想定される範囲で記載したものであります。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。 ①外部環境および市場構造の変化に関するリスク当社グループの連結売上高の基盤である飲食店販促サービスは、外食市場の動向に強く左右されます。現在、飲食業界においては、昨今の中東情勢の不安定化に伴う原油価格の上昇や、それに連動した広範な物価上昇による原材料費・光熱費の上昇に加え、構造的な労働力不足に起因する人件費の増大が深刻な課題となっています。これにより、加盟飲食店の収益性が悪化し、販促をはじめとする経営改善に向けた投資意欲の減退や休廃業が加速した場合、当社の有料加盟店舗数および契約単価の低下を招く恐れがあります。あわせて、地政学リスクや為替相場の変動によるインバウンド需要の質的変化、個人消費の選別意識の高まりといった市場構造の変化に適応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対応するため、当社グループは以下の施策に重点的に取り組んでおります。外食市場の構造変化や各種コストの高騰に直面する飲食店が、収益力を高められるよう「飲食店経営プラットフォーム」としての機能拡充を進めております。具体的に、「楽天ぐるなび」においては、楽天エコシステム(経済圏)を活用した安定的な送客サイクルの構築を図っております。また、人手不足の深刻化を踏まえ、当社が飲食店の一部となり各種業務を代行する「エージェントサービス」や、デジタルの力で店内業務の効率化を図る「モバイルオーダーサービス」等を通じ、飲食店経営の生産性向上支援に取り組んでおります。加えて、CRM機能や決済機能等、飲食店のライフラインとなり得る新たな価値を創出することで、飲食店の持続可能な経営モデル構築を後押しすると同時に、マクロ環境変動に強い強固な飲食店ネットワークの構築に努めてまいります。 ②大規模な自然災害および感染症の流行に関するリスク当社グループは過去において、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行といった未曾有の事態に伴う外食需要の急減により、加盟飲食店からの収入が激減する等、業績に著しい悪影響を受けた経験を有しております。今後も、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模な自然災害、気候変動に伴う激甚災害、あるいは新たな未知の感染症が発生した場合、店舗の物理的被害や食材サプライチェーンの寸断により、加盟飲食店の休廃業が相次ぐ恐れがあり、当社の収益基盤に対する直接的かつ致命的な打撃を及ぼす可能性があります。さらに、これらの自然災害等の発生は、当社グループのデータセンター、通信ネットワーク、オフィス設備といったサービス提供基盤の物理的破損や、従業員の安全確保を困難にするリスクを内包しております。これらによりサービスの長期停止を余儀なくされた場合、当社グループの事業継続、財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。そこで当社グループは、不測の事態においても事業を継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的な見直しと訓練を実施しております。また、従業員の安全確保を最優先としつつ、テレワーク基盤の活用により業務継続を可能にする体制を整えております。加えて、サービス提供基盤においては、システムのクラウド環境への移行(クラウドマイグレーション)を推進し、データセンターの冗長化やバックアップ体制の強化により、物理的被害に対する耐性と早期復旧能力(レジリエンス)を高め、サービス提供の中断リスクを最小化するよう努めております。 ③中期経営計画の達成状況に関するリスク当社グループは、2027年3月期から2029年3月期の3か年を対象とする中期経営計画を始動しております。本計画では、「提供価値の変革」と「飲食店ネットワークの拡大」を全社方針とし、飲食店経営を多面的に支えるプラットフォーム機能の拡充に取り組みます。これにより、従来の延長線上とは異なる売上・利益の成長を遂げつつ、次なる飛躍への強固な礎を構築する方針です。しかしながら、B2B領域への「飲食店経営プラットフォーム」の機能拡充が計画通り進まないことにより、新規加盟店の獲得が遅延する等、本計画が達成できなかった場合には、当社グループの中長期的な成長基盤および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。そこで当社グループでは、本計画の方針である「提供価値の変革」と「飲食店ネットワークの拡大」を具現化し、実効性を高めるべく、初年度(2027年3月期)に営業体制の大幅な増強等への戦略投資を実施いたします。これにより、新規加盟店獲得力を向上させるとともに、CRMや決済機能等を含む多面的なプラットフォーム機能の拡充、および楽天グループとの協業深化による新たな価値創出に取り組んでおります。これらの施策実行にあたっては、ROIC(投下資本利益率)マネジメントを軸とした資本コスト経営を推進し、各事業の収益性や資本生産性を厳格にモニタリングしてまいります。また、定期的に取締役会や経営執行会議において進捗状況を確認し、事業環境の変化に応じて柔軟かつ機動的なリソース再配分や事業の見極めを行うことで、計画未達リスクの低減に努めてまいります。 ④技術革新への対応とAI活用に関するリスク当社グループはITを事業の根幹と位置付けておりますが、技術革新の進展は極めて著しく、次のようなリスクを内包しております。なかでも生成AI技術の進化は、消費者および飲食店双方に大きな変化をもたらす可能性があります。消費者側においては、飲食店検索行動が従来の「ポータルサイト検索」から「AIとの対話による情報収集」へと変化し、既存のメディア型販促支援モデルの競争力が相対的に低下する恐れがあります。また、飲食店側においては、「AIを活用した経営の高度化」へのニーズが高まる可能性があり、これらの変化に適応し、新たな価値をタイムリーに提供できない場合、プラットフォームとしての優位性が低下するリスクがあります。これに対応するためのAI投資やシステム刷新において、技術の短命化による投資回収の遅延や、既存システムの技術的負債に伴う開発生産性の低下が生じた場合、市場シェアの喪失を招きかねません。また、当社が蓄積する情報資産のコモディティ化(汎用化)により独自性および優位性が損なわれた場合、当社グループの中長期的な成長基盤および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。そこで、当社グループでは、生成AI等の最新技術の検証・導入を推進する専門組織を中心に、全社的な実装を進めております。現在、AIがプロダクトやデータを直接解釈・活用できるモジュール構造(クラウドネイティブ)へ刷新する「AIフレンドリー化」のほか、AIが多種多様かつ膨大なデータを自律的に読み解き、価値を高め続ける「情報エコシステム」の構築を推進中です。また、開発プロセスに「Prototype First」を導入し、AIへの作業委譲による効率化と開発リードタイムの短縮を図っております。さらに、情報資産のコモディティ化への対策の面では、当社の強みである営業を中心とした外食産業と深くつながり・支える力の強化を図るとともに、B2B領域への当社提供価値の拡大を通じた飲食店との接点の拡充から得られる「リアル情報」の集積を推進いたします。これによりWeb情報に留まらない、飲食店の経営状態をリアルに示し、改善提案に直結する情報資産の獲得が進みます。こうした取り組みにより、技術陳腐化リスクを低減するとともに、当社独自の情報資産を活かした競争優位性の構築に努めております。 ⑤人材の確保および組織運営に関するリスク当社事業の領域拡大および構造転換を推進するための高度な専門人材や、収益確保の根幹を支える営業人員を確保・育成することは、当社グループの成長戦略における最重要課題です。IT・サービス業界における人材獲得競争の激化により、新規加盟店の獲得および既存加盟店の経営サポートを担う営業人員を計画通りに確保できない場合や、離職率の上昇によるノウハウ継承の断絶等が生じた場合、売上高の成長が停滞するリスクがあります。また、加盟飲食店のDX化を支援するためのコンサルティングスキルの習得が遅延し、人員配置の最適化が図れない場合、営業生産性の低下や採用・教育コストの著しい増加を招き、当社グループの競争力および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。これに対して、当社グループでは「飲食店経営プラットフォーム」としての機能拡充を推進するにあたり、高度専門人材および営業人員の採用・育成を人的資本経営の柱と位置づけております。採用チャネルの多角化等により優秀な人材を確保するとともに、エンゲージメントサーベイの導入を通じた組織状態の可視化や、階層別マネジメント研修等の強化を通じて従業員の定着率向上を図っております。また、全社的なAI活用により創出された時間を高付加価値な事業推進へ再配置し、個人の「やりがい」と組織全体の生産性向上を両立させることで、人材不足リスクの軽減に努めております。 ⑥情報セキュリティおよびシステム基盤に関するリスク当社グループのサービスは複雑なネットワークおよびクラウド基盤に依存しており、サイバー攻撃の高度化(AI悪用型攻撃等)やサプライチェーンの脆弱性を突いたセキュリティ侵害のリスクに常に晒されています。万が一、大規模なシステム障害や個人情報の漏洩・不適切な利用が発生した場合、サービス提供の中断による直接的な収益減少にとどまらず、国内外の法規制に基づく巨額の制裁金、損害賠償、およびブランド価値の致命的な毀損を招く恐れがあります。また、ゼロトラスト環境への移行やサイバーレジリエンスの強化に遅れが生じた場合、事故発生時の社会的責任を問われ、事業に対する信頼が失墜すること等により、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。そこで当社グループでは、情報セキュリティを極めて重要な経営課題と認識し、専門組織である「セキュリティマネジメント室」を中心に全社的なガバナンス体制を構築しております。サイバー攻撃に対するゼロトラスト環境の整備や常時監視体制を敷くとともに、プライバシーマーク(Pマーク)の取得・運用に向けた個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の構築・内部監査を通じ、情報管理の徹底と教育を行っております。また、クラウド環境への移行により、システム障害時の早期復旧能力(サイバーレジリエンス)を強化しております。 ⑦資本・業務提携および財務戦略に関するリスク当社グループは、楽天グループ株式会社との資本業務提携によるシナジーを成長戦略の柱の一つとしております。仮にこの提携関係が解消・縮小された場合、楽天エコシステム(経済圏)を通じた送客力の減退や、共同マーケティング機会の喪失等が業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、財務面においては、国内金利の上昇トレンドに伴う調達コストの増大に加え、資本コスト(WACC)の上昇による投資判断基準の厳格化が、成長投資のスピードを抑制する要因となる可能性があります。さらに、新規事業やM&Aにおいて、期待通りの成果・シナジーが創出できず、投資原資の回収が困難と判断された場合には、減損損失の計上等により財務状況が悪化するリスクがあります。これに対処するため、楽天グループ株式会社との提携においては、楽天ポイントや楽天カード、楽天ペイ等とのサービス連携を深化させ、会員の相互送客や共同商品の開発等、高いシナジー効果の実現に努めております。財務面においては、D/Eレシオ0.5倍程度、自己資本比率45%以上、手元流動性(現預金)月商2か月分以上の維持、これら3つのマイルストーンのもと、財務の健全性および安全性の維持に取り組んでまいります。さらに、ROICマネジメントの実践による投資規律の強化や、債権回収領域の拡大による早期キャッシュインを図ることで、金利変動・資金繰りリスクを適切にコントロールしていく所存であります。 ⑧法規制の遵守およびレピュテーションに関するリスク当社グループは、景品表示法、特定商取引法、独占禁止法、個人情報保護法、取適法等広範な法的制約下で事業を行っております。また、アルゴリズムの透明性確保やAI利用に関する新たな法的枠組みへの対応、サプライチェーン全体での適正取引(価格転嫁)の要請等、規制環境は厳格化の途にあります。これらの遵守に不備があった場合、行政処分や課徴金の対象となるだけでなく、SNS等を通じたネガティブな評判の急速な拡散により当社のレピュテーションが毀損し、その悪評が定着するリスクがあります。特に社会課題への取り組みにおける実効性の欠如が指摘された場合、ステークホルダーからの信頼喪失を招き、中長期的な企業価値の毀損等を通じて当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを低減するため、当社グループでは、オンラインプラットフォーム運営やデータ収集・利用、取適法等を含む新たな法的規制の動向を継続的に注視し、適切なコンプライアンス体制の保持と必要なシステム改修等の検討を進めております。また、レピュテーションリスクに対しては、「食でつなぐ。人を満たす。」とのパーパスを中核とした理念体系に基づく経営を徹底しております。具体的には、継続的なコーポレートガバナンスの強化や人的資本経営の推進、気候変動に関するリスク・機会への対応等に取り組んでおります。経営の透明性を高めるにあたっては、財務情報のみならず気候変動対応を含む非財務情報の開示の充実に取り組むことで、ステークホルダーからの信頼維持と社会的責任の遂行に努めております。なお、CO2排出量に関する規制強化に伴うコスト増加リスクについては、事業の特性上限定的であると認識しております。