事業の概要
- eコマース事業アスクルグループは、インターネットを通じた電子商取引(eコマース)を主な事業としています。オフィス用品から食品、医薬品、ペット用品まで幅広い商品を扱い、ASKUL事業(法人向け)とLOHACO事業(個人向け)の二つの柱で収益を上げています。特にASKUL事業では、販売店(エージェント)が顧客開拓と代金回収を担う独自のビジネスモデルを採用し、当社は商品供給と配送に集中することで効率的な運営を実現しています。
- ロジスティクス事業eコマース事業で培った物流のノウハウを活かし、ASKUL LOGIST株式会社を通じて、他社の通販商品の保管、物流、配送を請け負う企業向けのサービスも提供しています。これにより、自社の物流インフラを有効活用し、新たな収益源を確保しています。
- その他事業嬬恋銘水株式会社による水の製造販売も行っています。これは、アスクルグループの多角化戦略の一環であり、eコマース事業とは異なる分野での収益確保を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- eコマース事業アスクルグループの主力事業であり、売上高4,722.26億円、営業利益142.55億円を計上しています。法人向けのASKUL事業と個人向けのLOHACO事業を展開し、OA・PC用品、事務用品、食品、医薬品、ペット用品など幅広い商品をインターネットを通じて販売しています。グループ会社を通じてMRO商材や医療関連品、ペット・ガーデニング用品の品揃えも強化し、顧客ニーズに応えています。
- ロジスティクス事業売上高82.15億円、営業利益-2.99億円です。eコマース事業で培った物流ノウハウを活かし、ASKUL LOGIST株式会社がメーカーなどの通販商品の保管、物流、配送を請け負う企業向けサービスを提供しています。これは、自社の物流インフラを他社にも提供することで、効率化と新たな収益機会を追求する事業です。
- その他事業嬬恋銘水株式会社による水の製造販売を行っています。これは、アスクルグループの多角化の一環であり、eコマース事業とは異なる分野での収益確保を目指しています。規模は小さいものの、グループ全体の事業ポートフォリオを多様化する役割を担っています。
2025-05 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ECommerceReportableSegment | 事業 | 4,722 | 143 | 3.0% |
| LogisticsReportableSegment | 事業 | 82 | -3 | -3.6% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当社および連結子会社16社により構成され、eコマース事業(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)を主な事業として取り組んでおります。当社グループの事業における、当社と当社の関係会社の位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。<eコマース事業>OA・PC用品、事務用品、オフィス生活用品、オフィス家具、食料品、酒類、医薬品、化粧品、MRO商材(注)、ペット用品等の販売事業を行っており、販売チャネル別にはASKUL事業、LOHACO事業およびグループ会社に区分されます。ASKUL事業の主たる内容は、インターネット経由ならびにFAXの注文によるオフィス現場用品の翌日配送(一部、当日配送)サービスであります。このサービスを支える販売システム(以下、「アスクルシステム」という。)は、当社とお客様との間にアスクルシステムの販売店(以下、「エージェント」という。)を置くことにより、お客様の新規開拓および代金回収を含む債権管理をエージェントが担当するという独自のビジネスモデルにより構築されております。お客様からのご注文情報は当社が直接受け付け、商品は当社よりお客様にお届けしておりますが、お客様の商品ご購入代金は、エージェント経由で回収しております(事業系統図参照)。これによりエージェントは、お客様への販売価格と当社からの仕切り価格の売買差額を利益として得る一方、当社はお客様開拓や代金回収コストを軽減しております。また、当社グループの事業は上記エージェントをはじめとして、商品のサプライヤー、運送会社、情報システムの開発および運用会社等多くの協力会社によって支えられています。これら協力会社との間で、それぞれの機能に応じて、役割を分担・補完し合い、お互いにパートナーとして戦略的にコラボレーションをすることにより時間やコストの無駄を排除しております。ビジネスマート株式会社は、アスクルシステムにおけるエージェントの1社として、お客様の新規開拓を推進するに留まらず、同社を通じて培ったエージェント運営のノウハウ等を当社を通じて他のエージェントにも展開するなど、エージェントの営業活動の支援および当該活動を通じた革新的なエージェントモデルの追求ならびにお客様の満足度向上に貢献しております。またソロエル株式会社は、大企業向け購買最適化の支援および購買業務代行を中心に、ASKUL事業のさらなる拡大にチャレンジしております。LOHACO事業は、これまでASKUL事業において提供してきた事業所に対するオフィス現場用品の翌日配送(一部、当日配送)サービスを一般消費者向けに展開すべく、2012年11月20日に一般消費者向け通信販売サイト「LOHACO(ロハコ)」としてサービスを開始し、業務・資本提携契約を結ぶLINEヤフー株式会社とノウハウや人的リソースを結集することで、他のBtoCの通信販売事業者に比べて価格、商品品質、配送その他のあらゆる点において優位性を有するeコマース事業の構築に取り組んでまいりました。なお、ASKUL LOGIST株式会社は、ASKUL事業およびLOHACO事業それぞれにおいて物流・配送サービスを提供しており、当社グループとして、ワンストップ・ショッピング機能の強化、物流コストの節減による効率化および環境先進企業としてのプラットフォームの構築を進めております。グループ会社については、株式会社アルファパーチェスは、消耗品・補修用品等企業内で日常的に使用されるサプライ用品(MRO商材)をはじめとする取扱商材拡大に取り組んでおり、当社グループとしてお客様に提供する商品およびサービスの拡大を図っており、当社グループ全体で「機能主義」と「社会最適」を実現するバリューチェーン構築を目指しております。フィード株式会社は、全国の歯科医院に幅広く認知されている「FEED デンタル」の運営等の医療関連の通信販売事業を営んでおり、海外商品を含めたコストパフォーマンスの高い歯科材料や歯科用品など専門商材の幅広い品揃えを強みにしております。また株式会社チャームは、ペット・ガーデニング用品の品揃えに強みがあります。グループで協業していくことにより、「LOHACO」においてもペット用品の取扱商品数が拡大し、多種多様なライフスタイルをもつ消費者ニーズに対応することで、売上高の拡大を図っております。 (注)Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場等で使用される、消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。 (主な関係会社)ASKUL LOGIST㈱、㈱アルファパーチェス、㈱チャーム、ビジネスマート㈱、ソロエル㈱、㈱AP67、フィード㈱ <ロジスティクス事業>eコマース事業で培った物流ノウハウを生かし、ASKUL LOGIST株式会社を通じてメーカー等の通販商品の保管、物流、配送の請け負い等、企業向け物流・小口貨物輸送サービスを行っております。(主な関係会社)ASKUL LOGIST㈱ <その他>2015年8月に全株式を取得した嬬恋銘水株式会社にて、水の製造販売を行っております。(主な関係会社)嬬恋銘水㈱ 以上で述べた主な事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 (注)1 当社グループは、当社および連結子会社16社により構成され、eコマース事業を主たる事業としております。2 当社は、2002年11月に新たな電子調達システムを利用した企業購買の変化に対応するノウハウの蓄積を目的に100%子会社としてASKUL e-Pro Service株式会社(現ソロエル株式会社)を設立しております。なお、超大企業向けの間接材購買の最適化を支援するソロエルエンタープライズの営業代行を行っております。3 当社は、2005年5月に当社エージェント(販売店)であるビジネスマート株式会社の発行済株式全株を取得し、100%子会社といたしました。当社がエージェント運営に関わり、エージェントとして培った運営ノウハウを他のエージェントにも展開することで、新しいエージェント機能を模索し、お客様の満足度をさらに高めていくことを目的としております。 4 当社は、2009年4月に、プラス株式会社の100%子会社であるプラスロジスティクス株式会社より、プラスロジスティクス株式会社が行った新設会社分割において、(1)物流事業の一部(当社が委託している当社の物流センターの庫内運営に係る事業)および(2)Bizex事業(配送に係る事業)を承継して新設分割により設立されたBizex株式会社(現ASKUL LOGIST株式会社)の発行済株式全株を取得し、100%子会社といたしました。これまで外部に依存していた物流面でのお客様への直接リーチを取り込み、当社の強みであるワンストップ・ショッピング機能を強化することで、顧客満足度の向上を図ることおよび物流コストの節減による効率化を目的としております。5 当社は、2010年11月に株式会社アルファパーチェスの株式の78.8%(2026年5月20日現在における議決権の所有割合は61.6%)を取得し、連結子会社といたしました。当社と株式会社アルファパーチェスが持つお客様基盤と取扱商材の相互補完によるシナジー効果が見込まれ、当社グループの業績拡大に寄与することを目的としております。6 当社は、2015年8月に、水の製造販売を行っております嬬恋銘水株式会社の全株式を取得いたしました。7 当社は、2017年7月に、ペット・ガーデニング用品を専門に扱う株式会社チャームの全株式を取得いたしました。株式会社チャームで取り扱う商品を「LOHACO」でも販売することで、多種多様なお客様のニーズにお応えし、当社グループの業績拡大に寄与することを目的としております。8 当社は、2023年2月に、歯科業界向け通販サービス「FEED デンタル」を運営するフィード株式会社および他子会社を傘下におさめる、株式会社AP67の発行済株式の85%を取得し、連結子会社といたしました。当社とフィード株式会社が持つお客様基盤の相互活用による販路拡大など、グループ全体でのシナジー最大化を目指し、より幅広く仕事場を支えるインフラ企業として、企業価値の向上を図ることを目的としております。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 ASKUL事業ではエージェントを介した独自のビジネスモデルでコスト軽減を図り、LOHACO事業ではLINEヤフーとの提携で優位性を構築。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | ネットワーク ASKUL事業のエージェントシステムとLOHACO事業のLINEヤフーとの提携による顧客基盤と物流ネットワーク。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:従業員およびお客様の生命・身体・健康に対するリスク / 事業継続・サプライチェーンの分断におけるリスク / システム障害やサイバー攻撃によるリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
「アスクル」ブランドはBtoB領域で一定の認知度を持つが、特許や独占的IPは限定的。個人向けEC「LOHACO」はPayPayとの連携強化でブランド価値向上を目指すが、競合他社も同様の戦略をとるため、無形資産による明確な優位性はまだ確立されていない。
スイッチングコスト★★★☆☆
BtoB事業では、オフィス用品の定期購入や消耗品調達において、アスクルのプラットフォームに慣れた顧客は、価格以外の要因(品揃え、配送スピード、利便性)から他社への乗り換えに抵抗を感じやすい。特に、請求書払いなどの決済システムは乗り換えコストとなる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
アスクルのビジネスモデルは、プラットフォーム上のユーザー増加が直接的なサービス価値向上に繋がるネットワーク効果を生まない。顧客は個別の取引を行うのみであり、他の顧客の利用状況が自身の利用体験に影響を与える構造ではない。
コスト優位★★☆☆☆
物流網の効率化やPB商品の開発によりコスト削減努力は行われているが、EC業界全体で価格競争が激しく、他社も同様の効率化を進めているため、構造的なコスト優位性は限定的。特に個人向けECでは、送料負担が収益性を圧迫する要因となりうる。
規模の経済★★★☆☆
BtoB向けオフィス用品通販市場においては、一定のシェアを確保しており、規模の経済が働きやすい。物流網の整備や品揃えの拡充は、規模が大きいほど効率化が進み、競合に対する優位性を維持する一因となっている。
- 独自の販売店モデルASKUL事業では、エージェントが顧客開拓と代金回収を担う独自のビジネスモデルを構築しています。これにより、アスクルは顧客開拓や代金回収にかかるコストを軽減し、商品供給と配送に集中できるため、効率的な事業運営とコスト競争力の維持に繋がっています。
- 多様なパートナーシップ商品のサプライヤー、運送会社、情報システム開発会社など、多くの協力会社と戦略的なパートナーシップを築いています。これにより、それぞれの専門機能を分担・補完し合い、時間やコストの無駄を排除することで、顧客への価値提供を最大化しています。
- 強固な物流インフラASKUL LOGIST株式会社がASKUL事業とLOHACO事業の物流・配送サービスを一手に担い、ワンストップ・ショッピング機能の強化、物流コストの削減、効率化を進めています。自社で物流をコントロールすることで、迅速かつ安定した配送を実現し、顧客満足度を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2026年7月30日)現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針および中長期的な経営戦略等当社は1992年のアスクル創業以来、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、着実な成長を実現してまいりました。 これに加え、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まり、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。その後、デジタル化の加速や生成AIをはじめとする技術革新の進展に加え、人手不足の深刻化や働き方の変化など、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。そのような状況の中、2025年7月4日に「2026年5月期~2029年5月期中期経営計画(以下、中期経営計画)」を策定し、公表いたしました。中期経営計画の初年度にあたる2026年5月期においては、2025年10月に発生したランサムウェア攻撃に伴うシステム障害により一時的に事業運営が停止したことから業績が悪化いたしましたが、その後、全社一丸となって復旧に取り組むとともに、多くのステークホルダーの皆様のご支援もいただきながら、セキュリティ対策の強化および物流システムの再構築をはじめとする事業基盤の再整備を進めてまいりました。その結果、事業活動は早期に正常化しております。2027年5月期においては、正常化した事業基盤のもと、売上高の回復およびお客様基盤の強化に取り組んでまいります。売上高については被害発生前の水準まで回復を見込む一方で、収益力については過去水準と比較して回復途上にあるものの、下期に向けて改善が進展することを見込んでおります。こうした状況を踏まえ、2027年5月期は、足元の業績回復にとどまらず、今後の成長に向けた基盤整備の年度と位置づけており、中期経営計画で掲げた「Beyond Retail ~小売を超えて、働くを革新する~」の実現に向け、事業基盤の強化を着実に推進しております。「ASKUL関東DC」の稼働を通じた物流ネットワークの最適化に加え、「対人サービス業種」への提案強化や「仕事場の日用品」の拡大、AIを活用したマーケティングの高度化など、新たな需要創出にも取り組んでおります。これらの取り組みの成果を着実に売上成長と収益力向上へ結び付けることで、2028年5月期において収益水準の回復を図り、中期経営計画最終年度における過去最高益の達成に向けて取り組んでまいります。また、当社はサクセッション・プランに基づき経営承継を進めており、2026年8月をもって新体制への移行を予定しております。ランサムウェア攻撃からの復旧過程においても次世代人材が中心的な役割を果たしてきたことを踏まえ、新体制のもと、迅速な意思決定と実行力の強化を図るとともに、AIの進化によるeコマース市場の変化を成長機会と捉え、次の成長ステージへの挑戦を加速してまいります。 (2)目標とする経営指標 中期経営計画で掲げた戦略の方向性につきましては、基本的な考え方に変更はありませんが、数値目標については、外部環境および足元の事業状況を踏まえ、2029年5月期のコミット目標である連結売上高5,400億円、連結営業利益率3.7%の着実な達成を目指すとともに、連結株主資本利益率(ROE)20%の実現に取り組んでまいります。 当連結会計年度(2026年5月期)は、ランサムウェア攻撃の影響に加え、売上高回復に向けた過去最大規模の販売促進施策の実施や、一時的に物流効率が低下したことなどにより、売上高が減少するとともに、営業利益も大きく低下いたしました。また、特別損失としてシステム障害対応費用および株式会社AP67に係るのれんおよび顧客関連資産の減損損失を計上した結果、売上高は4,001億円、営業利益率は△4.4%、ROEは△35.3%となりました。 2027年5月期は、売上成長への転換と収益構造改革を着実に進め、持続的成長に向けた基盤を構築してまいります。 成長戦略については、事業復旧のプロセスで得た知見を活かし、新体制のもとで戦略実行を加速してまいります。特に、当社独自のビッグデータとAIを活用し、マーケティング・営業活動の質と量の両面を高度化することで、お客様生涯価値(LTV)の最大化を推進してまいります。これらの取り組みを着実に推進することにより、成長軌道への回帰を実現し、売上高は4,900億円、営業利益率は1.4%、ROEは8.3%となる見通しです。 (3)会社の対処すべき課題当社グループは、以下3つのテーマに注力して取り組んでまいります。 ① 収益構造の改革当社独自のビッグデータとAIを最大限に活用し、マーケティングおよび営業活動の高度化を推進することで、お客様ニーズに即した最適な商品提案を実現し、継続的な取引の拡大と購買点数の増加を図ってまいります。また、お客様一人当たりの購買価値の向上を重視し、お客様生涯価値(LTV)の最大化を軸とした営業戦略を推進することで、継続的な価値提供とお客様との関係深化に努めてまいります。さらに、「対人サービス業種」を中心とした新規顧客の開拓を進めるとともに、オリジナル商品の拡充や物流サービス品質の向上により提供価値を高めてまいります。加えて、物流の効率化や固定費の最適化を継続的に推進し、収益性の向上と強固な収益基盤の構築を目指してまいります。 ② 新たな価値提供領域の確立(新規事業の推進)中長期的な成長基盤の強化に向け、既存事業の競争力向上に加え、当社が保有するお客様基盤、購買データ、商品開発力、物流基盤および営業力などの経営資源を活用し、新たな価値提供領域の確立を積極的に推進してまいります。企業の従業員およびその先のお客様に対するソリューションビジネスの展開を通じて、新たな付加価値の創出を図るとともに、新たな事業・サービスについてはPoC(注)により市場性や収益性を検証し、有望な案件については事業化を推進してまいります。また、成長投資枠を活用したM&Aや他社との協業を組み合わせることで、新規事業の創出を加速し、収益基盤の多様化を図ってまいります。これにより、2035年における既存事業と新規事業の利益割合(EBITDAベース)50:50の実現を目指してまいります。 ③ セキュリティ対策の強化 ランサムウェア攻撃の経験を踏まえ、再発防止と事業継続性のさらなる向上を目的として、情報セキュリティ対策の高度化を最重要課題の一つと位置付けております。短期・中期・長期の各視点から継続的なリスク対応力の強化に取り組み、不正アクセス対策、侵入検知体制の高度化、バックアップおよび復旧体制の強化など、サイバー攻撃を前提とした多層的な防御体制を構築してまいります。 また、CEO直轄のもと独立した経営機能としてCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)を中心とする体制を整備するとともに、専門組織による実行体制を強化し、全社的な情報セキュリティガバナンスおよびリスクマネジメントの高度化を推進してまいります。(注)Proof of Conceptの頭文字をとった略称で、新しい技術やアイデア等の実現可能性を検証することを指します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2026年7月30日)現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針および中長期的な経営戦略等当社は1992年のアスクル創業以来、オフィスに必要なものやサービスを「迅速かつ確実にお届けする」トータルオフィスサポートサービスにおけるパイオニアとして、お客様の声を聞きながら、商品・サービス・システムを絶えず進化させて中小事業所から中堅大企業までのあらゆる企業の多様なニーズにお応えし、着実な成長を実現してまいりました。 これに加え、eコマース(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)へのニーズは、一般消費者へも急速に高まり、当社グループは、このような状況を絶好の成長機会と捉え、2012年11月20日に一般消費者向けインターネット通信販売サイト「LOHACO」のサービスを開始しました。その後、デジタル化の加速や生成AIをはじめとする技術革新の進展に加え、人手不足の深刻化や働き方の変化など、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。そのような状況の中、2025年7月4日に「2026年5月期~2029年5月期中期経営計画(以下、中期経営計画)」を策定し、公表いたしました。中期経営計画の初年度にあたる2026年5月期においては、2025年10月に発生したランサムウェア攻撃に伴うシステム障害により一時的に事業運営が停止したことから業績が悪化いたしましたが、その後、全社一丸となって復旧に取り組むとともに、多くのステークホルダーの皆様のご支援もいただきながら、セキュリティ対策の強化および物流システムの再構築をはじめとする事業基盤の再整備を進めてまいりました。その結果、事業活動は早期に正常化しております。2027年5月期においては、正常化した事業基盤のもと、売上高の回復およびお客様基盤の強化に取り組んでまいります。売上高については被害発生前の水準まで回復を見込む一方で、収益力については過去水準と比較して回復途上にあるものの、下期に向けて改善が進展することを見込んでおります。こうした状況を踏まえ、2027年5月期は、足元の業績回復にとどまらず、今後の成長に向けた基盤整備の年度と位置づけており、中期経営計画で掲げた「Beyond Retail ~小売を超えて、働くを革新する~」の実現に向け、事業基盤の強化を着実に推進しております。「ASKUL関東DC」の稼働を通じた物流ネットワークの最適化に加え、「対人サービス業種」への提案強化や「仕事場の日用品」の拡大、AIを活用したマーケティングの高度化など、新たな需要創出にも取り組んでおります。これらの取り組みの成果を着実に売上成長と収益力向上へ結び付けることで、2028年5月期において収益水準の回復を図り、中期経営計画最終年度における過去最高益の達成に向けて取り組んでまいります。また、当社はサクセッション・プランに基づき経営承継を進めており、2026年8月をもって新体制への移行を予定しております。ランサムウェア攻撃からの復旧過程においても次世代人材が中心的な役割を果たしてきたことを踏まえ、新体制のもと、迅速な意思決定と実行力の強化を図るとともに、AIの進化によるeコマース市場の変化を成長機会と捉え、次の成長ステージへの挑戦を加速してまいります。 (2)目標とする経営指標 中期経営計画で掲げた戦略の方向性につきましては、基本的な考え方に変更はありませんが、数値目標については、外部環境および足元の事業状況を踏まえ、2029年5月期のコミット目標である連結売上高5,400億円、連結営業利益率3.7%の着実な達成を目指すとともに、連結株主資本利益率(ROE)20%の実現に取り組んでまいります。 当連結会計年度(2026年5月期)は、ランサムウェア攻撃の影響に加え、売上高回復に向けた過去最大規模の販売促進施策の実施や、一時的に物流効率が低下したことなどにより、売上高が減少するとともに、営業利益も大きく低下いたしました。また、特別損失としてシステム障害対応費用および株式会社AP67に係るのれんおよび顧客関連資産の減損損失を計上した結果、売上高は4,001億円、営業利益率は△4.4%、ROEは△35.3%となりました。 2027年5月期は、売上成長への転換と収益構造改革を着実に進め、持続的成長に向けた基盤を構築してまいります。 成長戦略については、事業復旧のプロセスで得た知見を活かし、新体制のもとで戦略実行を加速してまいります。特に、当社独自のビッグデータとAIを活用し、マーケティング・営業活動の質と量の両面を高度化することで、お客様生涯価値(LTV)の最大化を推進してまいります。これらの取り組みを着実に推進することにより、成長軌道への回帰を実現し、売上高は4,900億円、営業利益率は1.4%、ROEは8.3%となる見通しです。 (3)会社の対処すべき課題当社グループは、以下3つのテーマに注力して取り組んでまいります。 ① 収益構造の改革当社独自のビッグデータとAIを最大限に活用し、マーケティングおよび営業活動の高度化を推進することで、お客様ニーズに即した最適な商品提案を実現し、継続的な取引の拡大と購買点数の増加を図ってまいります。また、お客様一人当たりの購買価値の向上を重視し、お客様生涯価値(LTV)の最大化を軸とした営業戦略を推進することで、継続的な価値提供とお客様との関係深化に努めてまいります。さらに、「対人サービス業種」を中心とした新規顧客の開拓を進めるとともに、オリジナル商品の拡充や物流サービス品質の向上により提供価値を高めてまいります。加えて、物流の効率化や固定費の最適化を継続的に推進し、収益性の向上と強固な収益基盤の構築を目指してまいります。 ② 新たな価値提供領域の確立(新規事業の推進)中長期的な成長基盤の強化に向け、既存事業の競争力向上に加え、当社が保有するお客様基盤、購買データ、商品開発力、物流基盤および営業力などの経営資源を活用し、新たな価値提供領域の確立を積極的に推進してまいります。企業の従業員およびその先のお客様に対するソリューションビジネスの展開を通じて、新たな付加価値の創出を図るとともに、新たな事業・サービスについてはPoC(注)により市場性や収益性を検証し、有望な案件については事業化を推進してまいります。また、成長投資枠を活用したM&Aや他社との協業を組み合わせることで、新規事業の創出を加速し、収益基盤の多様化を図ってまいります。これにより、2035年における既存事業と新規事業の利益割合(EBITDAベース)50:50の実現を目指してまいります。 ③ セキュリティ対策の強化 ランサムウェア攻撃の経験を踏まえ、再発防止と事業継続性のさらなる向上を目的として、情報セキュリティ対策の高度化を最重要課題の一つと位置付けております。短期・中期・長期の各視点から継続的なリスク対応力の強化に取り組み、不正アクセス対策、侵入検知体制の高度化、バックアップおよび復旧体制の強化など、サイバー攻撃を前提とした多層的な防御体制を構築してまいります。 また、CEO直轄のもと独立した経営機能としてCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)を中心とする体制を整備するとともに、専門組織による実行体制を強化し、全社的な情報セキュリティガバナンスおよびリスクマネジメントの高度化を推進してまいります。(注)Proof of Conceptの頭文字をとった略称で、新しい技術やアイデア等の実現可能性を検証することを指します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度(2025年5月21日から2026年5月20日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下でインバウンド需要の増加等もあり、景気は緩やかな回復基調で推移しております。一方、不安定な国際情勢を背景とした原材料価格・エネルギー価格の高騰および世界的な金融政策の不確実性による影響が懸念され、通商政策などのアメリカの政策動向が個人消費に及ぼす影響等もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような状況の中、当社グループは、2025年7月に公表しました中期経営計画(2026年5月期~2029年5月期)の目標達成に向け、リテール事業の再成長と新たな価値提供領域の確立を掲げ施策を進めてまいりました。しかしながら、2025年10月19日に発生した当社を標的としたランサムウェア攻撃により、物流システム等が被害を受けシステム障害が発生したことで、当社のWEBサイトでお客様からのご注文の受付を一時的に停止することとなりました。一刻も早くサービス復旧を果たすべく、被害を受けた物流システム等の再構築を迅速に進めると共に、復旧までの期間についても、物流システムを介さず手作業でお客様へ商品をお届けするフローを構築して社会インフラとしての責務に取り組みました。主要なサービスレベルがシステム障害発生前の水準まで復旧した2026年2月以降は、2027年5月期の業績回復の基盤となるお客様数の回復に向けて、価格施策を含む過去最大規模の販売促進活動等の施策を推進してまいりました。なお、当該システム障害に関連した費用として、主に、物流システムが被害を受けた事により休止した固定資産の減価償却費およびソフトウエア償却費を、営業外費用の休止固定資産減価償却費に12億69百万円、発生した復旧費用等を、特別損失のシステム障害対応費用に51億8百万円それぞれ計上しております。また、特別損失として株式会社AP67に係るのれんおよび顧客関連資産の減損損失48億23百万円を計上しております。この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高4,001億99百万円(前期比16.8%減)、営業損失174億45百万円(前期は営業利益140億4百万円)、経常損失190億62百万円(前期は経常利益138億16百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失221億50百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益90億68百万円)となりました。 セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。<eコマース事業>(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率売上高472,231393,084△79,146△16.8% ASKUL事業358,463282,948△75,514△21.1% LOHACO事業36,84228,084△8,757△23.8% グループ会社・内部取引消去76,92582,051+5,126+6.7%営業利益又は営業損失(△)14,255△16,270△30,526- (注)売上高はセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。 当連結会計年度のeコマース事業については、システム障害の発生を受け、当社のWEBサイトでお客様からのご注文の受付を一時的に停止した影響により、売上高は3,930億84百万円(前期比16.8%減)、営業損失は162億70百万円(前期は営業利益142億55百万円)となり、減収減益となりました。 売上高、営業損失の状況は、主に以下のとおりです。1)売上高a. ASKUL事業・システム障害の発生を受け、当社WEBサイト「ASKUL」および「ソロエルアリーナ」等のご注文の受付を一時的に停止したことにより前期比21.1%の減少・システム障害発生直後の11月度(2025年10月21日から2025年11月20日まで)は前年同月度比94.5%減まで落ち込むも、迅速に物流システムを再構築して順次サービス復旧を進めたことにより、当第4四半期連結会計期間(2026年2月21日から2026年5月20日まで)では前年同期比11.4%の減少まで回復b. LOHACO事業・システム障害の発生を受け当社WEBサイト「LOHACO」を一時的に停止した影響により前期比23.8%の減少・2026年1月20日にサービスを再開し、当第4四半期連結会計期間では前年同期比2.5%の伸長c. グループ会社・内部取引消去・株式会社アルファパーチェス、フィード株式会社の売上高が堅調に推移し、前期比6.7%の伸長2)営業損失営業損失は162億70百万円(前期は営業利益142億55百万円)となりました。主に、売上総利益率が22.9%と前期比で1.9ポイント低下したこと、売上高販管費比率が27.0%と前期比で5.2ポイント増加したことによるものであり、要因は以下のとおりです。・サービス復旧の過程で、利益率は低いもののお客様のニーズが高い商品(コピーペーパー等)の出荷を優先して進めたこと、サービスレベル復旧後に価格施策を含む大規模な販売促進活動を推進したこと等により、売上総利益率が低下・システム障害の発生に伴う売上高の減少により売上高固定費比率が上昇したこと、一時的な手作業による入出荷業務をはじめとする物流効率の低下等により、売上高販管費比率が増加・2025年6月の「ASKUL関東DC」の稼働により、立ち上げに係る一時コストや減価償却費等の固定費が増加(合計21億11百万円) <ロジスティクス事業>ASKUL LOGIST株式会社の当社グループ外の物流業務受託について、当社システム障害の発生を受け一時的に当該事業を停止した影響により、減収減益となりました。この結果、当連結会計年度の売上高は62億76百万円(前期比23.6%減)、営業損失は11億99百万円(前期は営業損失2億99百万円)となっております。 <その他>嬬恋銘水株式会社での飲料水の販売が猛暑の影響もあり堅調に推移しておりましたが、当社システム障害の発生により当社WEBサイトが一時的に停止したことで、当社WEBサイトにて販売しておりました飲料水の売上が減少したこと等から減収減益となりました。この結果、当連結会計年度の売上高は19億81百万円(前期比2.4%減)、営業利益は10百万円(前期比89.0%減)となっております。 財政状態の状況は以下の通りであります。 (資産の部)当連結会計年度末における総資産は2,299億7百万円となり、前連結会計年度末と比べ21億25百万円増加いたしました。これは主に、「ASKUL関東DC」の稼働によりリース資産が84億53百万円、繰延税金資産が84億28百万円、未収消費税等が40億75百万円、建物及び構築物が26億33百万円、商品及び製品が14億92百万円増加した一方、建設仮勘定が111億44百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が53億66百万円、のれんが40億61百万円、ソフトウエア仮勘定が22億16百万円、顧客関連資産が18億21百万円減少したことによるものであります。 (負債の部)当連結会計年度末における負債は1,784億52百万円となり、前連結会計年度末と比べ319億24百万円増加いたしました。これは主に、手元資金の流動性を担保する為に借入を実行したことにより短期借入金が269億円、リース債務が93億11百万円、未払金が27億75百万円増加した一方、電子記録債務が23億85百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)が20億96百万円、支払手形及び買掛金が12億77百万円減少したことによるものであります。 (純資産の部)当連結会計年度末における純資産は514億55百万円となり、前連結会計年度末と比べ297億99百万円減少いたしました。これは主に、自己株式の取得、消却および処分等により自己株式が16億27百万円減少(純資産は増加)した一方、親会社株主に帰属する当期純損失の計上が221億50百万円、自己株式の消却が77億94百万円、配当金の支払いが17億76百万円あったことにより、利益剰余金が317億22百万円減少したことによるものであります。以上の結果、自己資本比率は20.8%(前連結会計年度末は34.2%)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は486億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億1百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、108億2百万円の支出(前期は129億8百万円の収入)となりました。これは、減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却額および顧客関連資産償却額の合計136億58百万円、売上債権の減少額53億55百万円、システム障害対応費用51億8百万円、減損損失48億23百万円があった一方、税金等調整前当期純損失297億90百万円、仕入債務の減少額42億13百万円、システム障害対応費用の支払額27億60百万円、未収消費税等の増加額25億96百万円があったこと等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、142億16百万円の支出(前期は165億79百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出82億49百万円、ソフトウエアの取得による支出45億81百万円があったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、252億21百万円の収入(前期は96億49百万円の支出)となりました。これは、自己株式の取得による支出64億45百万円、長期借入金の返済による支出60億96百万円があった一方、短期借入金の純増額269億円、セール・アンド・リースバックによる収入130億43百万円があったこと等によるものであります。 ③ 生産、仕入および販売の状況 a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)その他 (注)11,454+1.5合計1,454+1.5 (注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。2 金額は、製造原価によっております。3 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。 b. 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称仕入高(百万円)前期比(%)eコマース事業303,733△14.6その他 (注)176△14.5合計303,810△14.6 (注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。3 金額は、仕入価格によっております。4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)eコマース事業393,081△16.8ロジスティクス事業6,276△23.6その他 (注)1840+27.4合計400,199△16.8 (注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2026年7月30日)現在において当社グループが判断したものであります。 ① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (繰延税金資産の回収可能性)繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。 (固定資産の減損)当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。 (のれんおよび顧客関連資産の減損)当社グループは、のれんおよび顧客関連資産について、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容a. 経営成績等「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。b. キャッシュ・フローの分析「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループが属するeコマース市場は、引き続き成長が期待される一方で、競争環境は一層激化しており、競合他社の動向が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このような環境のもと、主要なASKUL事業においては、当社独自のビッグデータとAIを活用し、マーケティングおよび営業活動の高度化を推進するとともに、お客様生涯価値(LTV)の最大化に取り組んでまいります。また、中期経営計画において重点ターゲットと位置付ける医療・介護、飲食、宿泊業などの「対人サービス業種」に対し、業種特性に応じた品揃えの拡充や営業・マーケティング施策の強化を進めることで、お客様基盤の拡大を図ってまいります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りです。 ④ 資本の財源および資金の流動性についての分析当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、各事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。 設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。 ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2025年7月4日に2029年5月期を最終年度とする4年間の中期経営計画で掲げた、連結売上高5,400億円、連結営業利益率3.7%、連結株主資本利益率(ROE)20%を経営上の目標としております。なお、当連結会計年度においては、ランサムウェア攻撃の影響により、連結売上高4,001億円、連結営業利益率△4.4%、連結株主資本利益率(ROE)△35.3%となっております。
事業リスク
- 従業員と顧客の安全従業員の労働災害や熱中症、長時間労働による健康被害、またプライベートブランド商品の品質問題(健康被害、異物混入、表示誤り)が発生した場合、人的資源の損失、対応費用発生、顧客からの信頼失墜により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- サプライチェーンの分断自然災害(地震、台風、感染症の蔓延など)による事業所の被害や、配送委託先・サプライヤーの被災、グローバルな物流ネットワークの寸断が長期化した場合、商品供給に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。特に海外からの調達が増える中で、地政学的リスクも高まっています。
- システム障害とサイバー攻撃eコマース事業の特性上、インターネットを通じた注文受付やサプライチェーン全体がITシステムに依存しています。システム障害やサイバー攻撃が発生した場合、サービス停止、情報漏洩、復旧費用発生などにより、顧客からの信頼を失い、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク、ならびに当事業年度において顕在化したリスクは、以下のとおりであります。なお、当社グループでは、将来の経営成績に影響を与えるリスクを「重要なリスク」として抽出しリスクアセスメントを行うと同時に、その中でも特に当社グループの事業継続に著しい影響を及ぼすと認めたリスクを「特に重要なリスク」と定め、必要なリスク対応策を策定しています。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当有価証券報告書提出日(2026年7月30日)現在において判断したものであります。 1.顕在化したリスク当連結会計年度において、主要なリスクのうち、以下のリスクが発生しております。 (1) ランサムウェア(身代金要求型ウィルス)攻撃によるシステム障害について当社グループでは、2025年10月19日に発生した当社を標的としたランサムウェア攻撃により、物流システムを中心としたシステム障害が発生し、一時的な出荷機能の制限等、事業活動に影響が生じました。また、当社グループが保有する情報の一部について外部流出が確認されました。当該事案への対応として、関係当局への報告を行うとともに、外部専門機関による調査を実施し、情報流出の対象となるお客様等への個別連絡を行うなどの必要な対応を進めてまいりました。また、当該システム障害に伴う対応により、システム再構築やセキュリティ対策強化にかかる復旧費用等、ならびに出荷停止期間中の機会損失が発生し、これらは当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼしております。 当連結会計年度において実施してきた安全性強化に向けた具体的な取り組みは以下のとおりです。 <安全性強化に向けた取り組み>・グローバル標準に基づくセキュリティ強化高度化・巧妙化するサイバー攻撃に適切に対応するため、米国国立標準技術研究所(NIST)が策定するサイバーセキュリティフレームワーク等(注)のグローバル標準を活用し、当社のセキュリティ対策状況を客観的かつ網羅的に評価します。その上で、リスクや事業影響度に応じて優先順位を定め、短期・中期・長期の視点で計画的に対策を推進することで、継続的なセキュリティレベルの向上と事業継続性の確保に取り組んでまいります。 (注) NIST SP800 シリーズ:NIST が発行するサイバーセキュリティおよび情報システムに関するガイドラインや標準コレクション NIST CSF:NIST が策定した、組織がサイバーセキュリティリスクを管理・軽減するためのフレームワーク(CyberSecurity Framework) ・セキュリティガバナンス体制の強化2026年3月21日より情報セキュリティ領域を強化する目的で本部制から独立したCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)を設置いたしました。CISOは、サイバーセキュリティ対応を含む全社情報セキュリティの管理統括責任を担い、高度かつ迅速な情報セキュリティを実現します。また、CISOの機能を支えるため情報セキュリティに特化した組織として「トラスト&セキュリティ」をCEO直下に新設し、経営直結型のセキュリティガバナンス体制の強化を進めてまいります。 当有価証券報告書提出日現在、セキュリティ強化のロードマップに基づき、引き続き、システム全体のセキュリティ強化、従事者に対するセキュリティ教育の徹底、監視と即時対応体制の高度化、BCP(事業継続計画)の見直し等を進めております(注)。 (注) 詳細につきましては、2025年12月12日付プレスリリース「ランサムウェア攻撃の影響調査結果および安全性強化に向けた取り組みのご報告」(https://pdf.irpocket.com/C0032/PDLX/O3bg/N4O3.pdf)、2026年1月28日付「2026年5月期第2四半期決算概要」(https://pdf.irpocket.com/C2678/ikpa/QKLJ/Ucx3.pdf)をご参照ください。 2.特に重要なリスク(1) ビジネスモデルの変革の遅れ・事業再編への対応不全に伴うリスクについて当社は「明日来る」という時間を約束したサービスの提供により、これまで事業を拡大してきました。この成功体験に捉われることなく、ビジネスモデルの変革に向けて、イノベーションやトランスフォーメーションを促進する人材の育成を重要と位置付け、労働環境の整備や人事評価制度の導入・整備など組織のアップデートを進めております。しかしながら、現行のビジネスモデルへの過度の依存による事業変革の遅れや、競合他社のサービス進化への対応不足により市場優位性を喪失し、お客様の離反を招いた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。加えて、昨今の事業環境の急速な変化に応じて法改正や制度変更が行われており、当社グループでは適宜これらに対応していますが、対応が不十分である場合や対応に時間を要する場合、ビジネスモデルの毀損や収益構造の悪化、競争力の低下といった事態が発生し、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。さらに、当社グループではM&Aや新規事業の立ち上げを通じて成長を図っておりますが、こうした取り組みにおいて所定のシナジーが十分に実現されない場合、期待収益の大幅な悪化が生じるリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの競争優位性が損なわれ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (2)サイバー攻撃によるシステム障害、大規模システム開発の遅延等、その他情報漏洩等のリスクについて① サイバー攻撃によるシステム障害に関するリスク当社グループでは、「ASKUL」、「ソロエルエンタープライズ」および「LOHACO」等のサイトを通じてご注文の大半をインターネットによって受け付けているとともに、お客様のお届けに至るサプライチェーン全体をITシステムにて構築しています。当社グループでは、システム障害やサイバー攻撃によるリスクを「特に重要なリスク」の一つとして認識し、サーバーの増強・分散化・最新化、通信回線容量の増強を図るとともに、万一の障害や事故に備えた基幹システムの二重化およびリアルタイムのバックアップ体制の整備、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するネットワーク・セキュリティの強化等を行い、システムの安定稼働に努めてまいりました。さらに、2025年10月に発生したランサムウェア被害による事業停止事案の発生を踏まえ、従来のセキュリティの取り組み全般に加え、<安全性強化に向けた取り組み>として記載したグローバル標準に基づくセキュリティ強化、ランサムウェア等の攻撃によるシステム停止を想定したデータの保全や、実効性のある復旧手順の検証をはじめとする対策、セキュリティガバナンス体制の強化等の対策に取り組んでおります。しかしながら、今後、これらの対策にも関わらず、サイバー攻撃の高度化・巧妙化やシステムの複雑化・自動化の進展等により、想定を超えるサイバー攻撃等の脅威やシステム障害、情報漏えい等が発生する可能性があり、当社グループの事業運営に重大な支障が発生する可能性があります。万一、このような事態が生じた場合には、復旧費用の発生、長期間にわたる事業活動の停止または制限、社会的な信用の低下や損害賠償請求等による多額の費用の発生等により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 ② 大規模システム開発、設備投資の実施、および実施後の減損に関するリスクについて当社グループでは、事業成長に伴って、情報処理能力や出荷能力の拡大、あるいはお客様向けサービスの刷新を目的に、大規模な情報システム開発や物流インフラ等への設備投資を継続的に実施しています。いずれの場合も、周到に準備を行い、綿密な計画を立案の上、必要な経営資源を投入することにより、決められた期間、予算内で実現するように努めていますが、想定を超えるトラブルの発生等によりスケジュールが大幅に遅延する、あるいは当該システムや設備の完成を断念せざるを得ない可能性があります。その場合、所定の投資費用が回収できないのみならず、多額の追加費用の発生や、ユーザビリティの低下によるお客様の離反、サービスの低下・停止等に伴う社会的信頼の失墜により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。さらに、ITの進歩が著しく、投資したソフトウエア等の利用可能期間が、当初予定したものより短くなった場合、残存期間分の償却が一時に発生し、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、いずれのシステム開発および設備投資の実施に際しましても、充分な投資対効果の検証を行った上で実施しておりますが、その効果が充分でない場合、またはその効果の発現が計画より遅れた場合には、固定資産の減損損失を計上することとなり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 ③ 従業員等による個人情報や機密情報の漏洩に関するリスクについて当社グループは、事業を展開する上で、お客様やお取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や役員、従業員等の個人情報を保有しております。これらの情報の破壊、改ざん、あるいは外部流出や競合他社への不正な提供等がないように、当社グループ全体で委託先も含めた管理体制を構築しセキュリティ対策を行うとともに、役員、従業員等への教育を実施しております。また、当社グループでは、情報資産の管理を徹底すべく、情報セキュリティマネジメントシステム(JIS Q 27001)の認証を取得し、JIS Q 27001の要求事項に沿ったマネジメントシステムを確立し、お客様情報および個人情報の保護においても必要な管理体制を整えており、今後も引き続きネットワーク・セキュリティと情報管理に関しまして強化を図ってまいります。しかしながら、万が一、不測の事態により、過去の在籍者を含む当社グループの役員、従業員、あるいは委託先の従業員等によって、これらの情報の破壊、改ざん、あるいは外部流出や競合他社への不正な提供等が引き起こされた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生、または長時間にわたる業務の停止等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (3)事業継続・サプライチェーンの分断におけるリスクについて① 自然災害等に関するリスク当社グループでは、東日本大震災の被災経験を踏まえ、また、台風の大型化や集中豪雨の頻発といった気象災害の激甚化や巨大地震などの自然災害の発生に伴う大規模な停電や公共交通機関の運休等に備え、受注センター・お問い合わせセンター・物流センターを複数設置することで、リスク分散を図っております。また、事業、拠点、体制等の拡大や当社グループ内外の事業環境の変化に応じて、事業継続計画の見直しを継続して行っております。しかしながら、自然災害の発生確率は依然として高いことから、想定以上の自然災害、特に南海トラフ地震、あるいは地球規模的な重度感染症のまん延など広域かつ深刻な災害が発生し、複数の事業所等が同時に甚大な被害を受け、サービスの継続に支障を来した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、このような広域かつ深刻な自然災害の発生に伴い、当社グループの事業所等のみならず、当社グループの配送委託先やサプライチェーンを構築するサプライヤー等が被害を受けその影響が長期化した場合、特にサプライヤーに関しては当社グループの調達先が海外に拡大していることからグローバルな物流ネットワークの寸断や遅延が長期化した場合にも、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、eコマースという事業内容の特性や事業規模の観点から、本社機能が1ヶ所に集中し、役員、従業員もその周辺に居住していることから、大規模な自然災害等により物理的な本社機能の喪失や通信手段の途絶が長期化した場合には、業務の中枢機能が影響を受けることで、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。なお、自然災害以外の災害、特に火災については、2017年2月に発生した「ASKUL Logi Park首都圏」の火災事故を受け、防火設備点検等の定期的な実施や物流センター運営体制の強化等により再発防止に努めておりますが、万が一こうした災害等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 ② パートナー企業への業務委託の継続性に関するリスクについて当社グループの主たる事業であるeコマース事業では、サプライヤーをはじめ、情報システムの開発および保守・運用会社、配送会社、その他の業務の委託先会社、およびASKUL事業独自のエージェント等多くの協力会社によって支えられております。それぞれの機能により、役割を分担・補完し合い、お互いにパートナーとして戦略的に連携し、業務や機能の重複、時間やコストの無駄を排除してお客様価値の最大化を図るバリューチェーンの考え方が当社グループの基本スタンスにあります。当社グループでは、こうした事業モデルを支えるパートナー企業との良好な関係の維持に努めておりますが、ビジネスモデルの進化と市場の変化に伴ってパートナー企業の役割の見直しや、契約関係の改廃が生じ、特定の分野のパートナーが離脱した場合、あるいは各社の経営状況や経営方針の変化等により業務委託等の継続ができなくなった場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (4) AI(人工知能)の進化に伴う事業・社会変化への対応不全によるリスク近年、生成AIをはじめとするAI技術は急速に進展しており、業務効率化やお客様対応、商品開発など、さまざまな分野で活用が進んでいます。当社グループにおいても、こうしたAIの進化を競争力向上やサービス進化の機会と捉え、その活用を積極的に進めています。しかしながら、競合他社よりもAIの活用が遅れる場合や、AIを活用できる人材の確保・育成が十分に行われない場合、競争力の低下を招く可能性があります。さらに、お客様においてもAIの活用により購買行動や意思決定のあり方が大きく変化すると見られ、それらに適切に対応できない場合、顧客満足度の低下や売上機会の喪失につながる可能性があります。また、当社グループの事業に関して、AIによって生成された偽情報や誤情報が拡散された場合、企業ブランドの毀損や信用低下といった重大な影響を及ぼすおそれがあり、こうした事態に早期に適切な対応を取れなかった場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)グローバルな情勢・経済環境の変化に関するリスクについて当社グループでは、商品調達先のサプライヤーに対して当社グループの販売力に応じて安定した商品供給体制を整えていただくよう要請し、また商品製造拠点のグローバルな最適化を含むサプライチェーンの見直しなどの対応を行っております。しかしながら、サプライチェーンが国内外に拡大しつつある昨今の状況においては、グローバルな経済状況の変化、原産地を含むサプライチェーンにおける政治体制の変化や地域紛争・戦争、あるいはこれらを原因とする国家間の経済制裁などのカントリーリスク・地政学的リスクの増加に伴い、原材料価格の高騰、人手不足、為替変動によるコスト上昇などが発生した場合、安定した商品調達や価格の維持が困難となる可能性があります。また、当社グループの主力事業であるASKUL事業では、製造業、医療・介護、建設業、サービス業等、多岐にわたる国内の事業者を主要顧客としており、特定の業種の業績悪化に伴う需要減少による影響は限定的と見込んでおります。しかしながら、前述のようなグローバルな経済環境の変化により、為替・関税・通商政策等の転換、さらにはマクロ経済環境の悪化による消費の停滞等が生じた場合には、お客様の購買力または消費意欲が減退し、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、グローバルな経済環境の変化という観点からは、地域情勢の悪化による地政学的リスクの顕在化や地球規模の感染症の拡大など全世界的に特定の商品への需要急増・逼迫等が生じた場合には、商品供給に支障をきたし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (6)社会的課題への対応、ESG・レピュテーションリスク、商品の品質に関するリスクについて① 社会的課題への対応に関するリスクについて現在、各企業は「社会の公器」として、環境や人権をはじめとするグローバルな社会課題への対応を求められています。当社グループも「責任あるサプライチェーンの構築」の一環として、「アスクルサステナブル調達方針」を定めるなど、企業活動を通じて、積極的にこうしたグローバルな社会課題の解決に努めております。しかしながら、こうしたグローバルな社会課題は、原因が複雑に絡み合い、関係者の利害も多岐にわたることから、当社グループの取組み方が不十分な場合、あるいはその成果がお客様、あるいは社会一般の期待に添えない場合には、社会的信用の低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に気候変動については、こうしたサプライチェーンの維持のみならず、政策・規制面、あるいは顧客の嗜好の変化など多方面での影響が懸念されます。当社グループでは、こうした気候変動による影響を経営上の重大リスクとして認識するとともに、それに適切に対応することで事業成長の機会に繋がると捉えています。気候変動への取組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 2.気候変動および自然資本への取組み」に記載しています。 ② 商品の品質に関するリスクについて当社グループは、主たる事業であるeコマース事業において、食品・飲料や衛生・医療用品、事務用品、生活雑貨等、多岐にわたるプライベートブランド商品を販売しております。当社グループでは、商品品質の管理部署を設置し、商品の調達先および商品の選定・管理を行い品質水準維持に努めております。さらに、発売後には、お客様相談窓口を通じて、購入されたお客様からのお申し出に関する情報を集約し、さらなる品質向上の活用に努めております。しかしながら、プライベートブランド商品に起因する健康被害、異物混入や商品表示の誤り等が発生し、お客様の生命、身体、健康に対し負の影響を及ぼした場合、お客様の信頼を損ない当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (7)法令違反、社会的要請への不適応に伴うレピュテーションリスク、内部統制におけるリスクについて① 法令順守、コンプライアンスについて当社グループは、事業を展開するにあたり、様々な法律や諸規制の遵守を求められております。当社グループは、役員、従業員共通の規範となる「ASKUL CODE OF CONDUCT」を定めるとともに、コンプライアンスに則した行動をするための体制や仕組みの構築を推進し、健全で公正かつ透明性の高い企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する規制への抵触や、役員、従業員による不祥事、不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 ② 内部統制について当社グループは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制を整備し運用する必要があります。当社グループは、効果的な内部統制システムの整備は極めて重要であると認識し、必要な経営資源を投下し相当な程度で緻密な整備に取り組んでおりますが、判断の誤りや過失の可能性を完全に排除することは極めて困難とみられます。内部統制上の重大な欠陥等が発見された場合、あるいは改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、財務報告に関わる内部統制に欠陥があり決算発表を延期せざるをえない等、市場における当社グループの評価が毀損するおそれが生じた場合、さらには欠陥の重大性や原因等の程度によって、法的責任が課せられた場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (8)従業員の生命・身体・健康に対するリスク、人材の確保・育成の不全におけるリスクについて① 従業員の生命・身体・健康に対するリスクについて当社グループが持続的に成長する上で、従業員の安全・安心は最大の優先事項であるとの基本的な考え方に基づき、当社グループでは、オフィス、物流センターにおける設備、車両等の維持・管理、およびそれらを取り扱う従業員向けの安全教育の徹底により、労働災害等の事故撲滅を目指しています。特に、近年の地球温暖化による気温上昇に伴う物流センター構内や配送現場等での熱中症リスクへの対応も重要課題と位置付け、温度管理対策や休憩環境の整備、現場従業員への体調管理支援を強化しています。また、職場における災害の発生、あるいは長時間労働により従業員の心身の健康が脅かされることのないように、建物、設備における防災対策の徹底や労働時間の管理を行っております。しかしながら、不慮の事故、突発的な災害発生、急激な感染症の拡大や不測の事態に伴う長時間労働等により、従業員の生命、健康が損なわれた場合、人的資源の損失のみならず、事後の対応費用等も含めて当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 ② 人材の確保・育成の不全におけるリスクについて当社グループの事業は、物流センターの庫内業務や配送業務等、労働集約型の業務がお客様との接点を支えており、質の高い人材を常に一定数確保することが重要であります。また、今後更なる事業拡大およびテクノロジーやサービスの進化に挑戦していくためエンジニアなどの優秀な人材を継続的に採用、確保することとともに、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保も重要となっております。さらには人材育成を継続的に推進していくことや、性別、年齢、人種、国籍の違いを尊重したダイバーシティを適切に推進することも必要となっております。当社グループは、ダイバーシティに十分に配慮しながら、事業の持続的成長のために新卒採用や経験者の中途採用を実施し、人材を育成するための各種教育の実施等、従業員のモチベーションを向上する仕組みを構築することにより労働環境の改善に継続的に取組み、従業員満足度の向上、および従業員の定着を図っております。一方、国内においては人手不足問題が顕在化しており、このような状況下において事業の継続、拡大に必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しく、こうした人材を確保できなかった場合、あるいは確保するために人件費が大幅に増加した場合、また、従業員満足度の低下に伴う転職者の増加等、人材の定着率が低下した場合には、商品価格、品揃えや配送納期、新規サービスの提供などの点においてサービスレベルの劣化や競争優位性の低下を招くことにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。当社は「お客様のために進化する」ことをDNAとしてずっと大切にしてきました。このDNAを根付かせ、企業文化へと昇華することを目指して、進化・変化にチャレンジする人材の育成をするための集合研修・OJT教育、および進化・変化へのチャレンジを後押しする人事評価制度を導入・整備してきました。これらにより「お客様のために進化する」というDNAは確実に根付いてきたと思われますが、一方、事業環境は急速に変化しており、それに応じたスキルを身に付けていないと人材価値が陳腐化することが危惧されています。キャリアの再構築や新たなスキルを習得するリスキリングには相当の手間や時間を要することから、このような人材育成が停滞することにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 3.重要なリスク(1)商品の安全性および品質水準のリスクについて当社グループでは、プライベートブランド商品のほかにも多くのナショナルブランド商品を取り扱っております。ナショナルブランド商品についても、基準に基づく商品の調達先および商品の選定・管理を行い品質水準維持に努めておりますが、商品の品質問題に起因するリコール等が発生した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、特に当社グループで製造している食品・飲料等の取扱商品については、食品衛生に関わる設備の充実、品質チェック体制の確立等、お客様に安全な商品をお届けできるよう努めておりますが、品質や商品情報等に瑕疵等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、その場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (2)事業運営に関わる関連法規等による規制について当社グループは、eコマース事業において通信販売事業者として「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、医薬品等販売事業者として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、その他「個人情報保護法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の規制を受けております。また、当社グループは医療・介護施設向け用品や医療機関向けの医療専門商材、一般消費者向けの医薬品、健康食品、酒類等をはじめ多岐にわたる商材を取り扱っており、これらの商材の販売および管理は、関連法規等により規制を受けるものもあり、必要な各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。その他、当社グループは、第一種貨物利用運送事業の登録、一般貨物自動車運送事業の許可、貨物軽自動車運送事業の届出、倉庫業の登録、その他各種許認可の取得、登録、届出等を行っております。また、ビジネスの構造上、多くのお取引先と多様な取引を行っており、独占禁止法、中小受託取引適正化法(通称:取適法)等一般的なビジネスに関わる法令の対象となっています。こうした各種の法令については、従業員に対して必要な教育や啓発活動を行うとともに、これらの法令の規制改正や新たな法的規制については、規制当局やお取引先を通じて適宜把握し、必要な対応策を講じています。しかしながら、担当する従業員の理解不足や、社内の部門間連携の不手際等によりこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの営業活動が制限され、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループの主たる事業であるeコマース事業で取り扱っている商品アイテム数は年を追うごとに加速度的に増加しています。商品の選定、およびその商品情報のインターネットや紙カタログへの掲載におきましては、人為的なミスを回避するためシステム化を進めるとともに、法令遵守のための専門組織を中心とする管理体制を設け、細心の注意を払っておりますが、表示内容に重大な瑕疵が発生した場合には、内容訂正やお詫び、損害賠償、法令違反への対応をはじめとする様々な対応を行う事態が発生することが考えられます。その場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (3)物流センターの出荷能力に関するリスク当社グループは取扱商品数やご利用お客様数の増加に対応するため、中期的な売上予測を踏まえて物流センターの新設を含む出荷能力向上のための設備投資計画を入念に立案・実行しております。しかしながらこのような設備投資、特に大型の投資は計画から稼働開始まで年単位を要することから、その間に不測の事態により設備投資の実施が遅延する、あるいは売上増加が物流センターの出荷能力の想定値を大幅に上回る事態が発生する可能性があります。その場合、受注件数が出荷能力を超える事態が常態化し、お客様へ商品をお届けする納期が遅延する状況が続くことでお客様の離反に繋がり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (4)競合企業の新規参入等に関するリスク 当社グループのビジネスモデルの主要な構成要素であるeコマースは、技術革新の変化が早く、また成長産業であるため資金調達も比較的容易である上に、店舗などの物理的、地理的な制約が比較的少ないことから、後発企業であっても一気にシェアを拡大できる余地が高いビジネスと考えられています。当社グループとしても、グループ内においてエンジニア等専門家の採用、育成を進めるとともに外部の先進的なパートナーと連携をすることで、こうした技術革新に対応し、ビジネスモデルを持続的に進化させているものの、新たな競合企業の参入や、既存の競合企業の台頭により競争が激化する可能性があり、その可能性が顕在化した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。 (5)LINEヤフー株式会社との業務・資本提携契約について当社およびLINEヤフー株式会社は、2012年4月27日付けで業務・資本提携契約を締結して以降、両社は事業運営の独立性をお互いに尊重し、イコールパートナーシップの精神の下、それぞれが有する集客能力、お客様、仕入先、決済システム、インターネットサービスに係るシステムおよびデザイン技術、物流・配送設備および物流・配送のオペレーション能力、ならびに、それらに関するノウハウ、人材その他のリソースを相互に提供し合い、「お客様に最高のeコマースを提供する」という壮大な目標を実現すべく、当社が運営する「LOHACO」をeコマース史上最も早い成長速度で立ち上げてまいりました。両社は「LOHACO」をさらに大きく成長させるとともに収益性の向上を図るために、3年間培ってきた信頼関係をベースにさらなる発展および連携の強化を図ることが最善であると判断し、2015年5月19日付けで、業務・資本提携契約を更改いたしました。当社は、更改された契約日以降、当社の株式の議決権希薄化行為(注)を行おうとする場合には、LINEヤフー株式会社に対して、議決権希薄化行為を行う旨およびその条件を書面にて通知した上で、議決権希薄化行為の直前の時点におけるLINEヤフー株式会社の当社の株式に係る議決権割合を維持するために必要なあらゆる措置を適時かつ適切に講じるものとしております。加えて、当社は、当社の新株予約権その他の潜在株式の行使または株式への転換(以下「新株予約権行使等」という。)により、当該新株予約権行使等の直後の時点におけるLINEヤフー株式会社の当社株式に係る議決権割合が、(a)2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるLINEヤフー株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下し、かつ、(b)直前に上記措置を講じた時点におけるLINEヤフー株式会社およびその子会社の当社の株式に係る議決権割合よりも100分の1以上低下した場合には、LINEヤフー株式会社に対して、その旨を書面にて通知した上で、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるLINEヤフー株式会社およびその子会社の当社株式に係る議決権割合を回復または維持するために必要なあらゆる措置を講じるものとしております。このため、当該措置を講じた場合、当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性があります。なお、LINEヤフー株式会社は、更改された契約日以降、自らまたは第三者をして、当社の株式を追加取得(LINEヤフー株式会社または第三者が当社の株式を有するその他の第三者(有価証券報告書または半期報告書の大株主の状況の記載により、当社の株式を有することが合理的に認知可能な第三者に限る。)の株式その他の持分を取得することにより、当社の株式を間接保有することとなる態様による取得を含む。)することを希望する場合は、事前に当社に対して書面により通知し、LINEヤフー株式会社および当社の書面による合意に基づいて実施するものとしております。その他、LINEヤフー株式会社は、LINEヤフー株式会社および契約更改後にLINEヤフー株式会社の子会社となった当該子会社(以下「LINEヤフーグループ」という。)の保有する当社の株式に係る議決権割合が、2015年8月27日の自己株式取得の終了時点におけるLINEヤフーグループの保有する当社の株式に係る議決権割合の合計よりも100分の1以上上昇した場合には、速やかに、市場取引等により当社の株式を売却し、または売却せしめることその他、LINEヤフーグループの当社の株式に係る議決権割合の合計を、本自己株式取得の終了時点におけるLINEヤフー株式会社の議決権割合の合計に復するために必要な措置を講じるものとしております。但し、上記に定めるLINEヤフー株式会社および当社の書面による合意に基づいて行われる取引により、または当社による自己株式取得その他LINEヤフーグループの作為によらずに、LINEヤフーグループの当社の株式に係る議決権割合の合計が上昇した場合は、この限りではありません。上記等により株価等に影響を及ぼす可能性があります。(注)当社の株式の議決権の希薄化が生じる可能性のある一切の行為(募集株式の発行、自己株式の処分、株式の発行を伴う組織再編等、議決権の希薄化が現に生じる行為のほか、新株予約権、議決権のある株式に転換可能な種類株式その他の潜在株式の発行等、将来議決権の希薄化が生じる可能性のある行為を含みます。但し、既に発行済の新株予約権の行使による当社の株式の発行若しくはそれに伴う自己株式の交付、または、当社の単元未満株式を有する株主から、会社法第194条第1項および当社の定款第9条に基づく単元未満株式の売渡請求がなされた場合において、当社がその保有する自己株式を当該株主に売り渡す行為を除きます。)を指します。