2750

石光商事(2750)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

  • 商社ビジネスモデル
    石光商事グループは、主にコーヒーや食品を海外から輸入し、国内の様々な業者(コーヒー焙煎業者、食品問屋、量販店、外食チェーンなど)に販売することで収益を上げています。自社で商品を製造するだけでなく、国内外の仕入れと販売を仲介する「商社」としての機能が中心です。
  • 多角的な商品調達と販売
    コーヒー生豆、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、紅茶などの「コーヒー・茶類」と、瓶・缶詰、調味料、乳製品、酒類などの「食品」が主要な取扱品目です。これらの商品を国内外から幅広く調達し、多様な顧客層に提供することで、安定的な収益基盤を構築しています。
  • 国内外のグループ会社連携
    連結子会社5社と関連会社1社が、それぞれ特定の役割を担っています。例えば、ユーエスフーズは小口ユーザー向け販売、アライドコーヒーロースターズはコーヒーの焙煎・加工、石光商貿(上海)有限公司やTHAI ISHIMITSU CO.,LTD.は海外での販売を担い、グループ全体で事業を展開しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • コーヒー・茶類事業
    コーヒー生豆、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、紅茶、コーヒー関連器具・備品などを取り扱っています。これは石光商事グループの主要な事業の一つであり、国内外のコーヒー焙煎業者や飲料メーカー、カフェなどに供給することで、安定した収益源となっています。
  • 食品事業
    瓶・缶詰、小麦加工品、調味料、乳製品、油脂、酒類、水産・畜産・農産加工品、調理加工品など、多岐にわたる食品を扱っています。この事業は、業務用食品問屋、量販店、外食チェーン店など、幅広い顧客に食品を提供することで、グループ全体の収益を支える重要な柱となっています。
  • 海外事業
    石光商貿(上海)有限公司、THAI ISHIMITSU CO.,LTD.、A.Tosh Ishimitsu Beverages India Private Limitedなどが、それぞれの地域でコーヒーや食品の販売、紅茶製品の製造販売を行っています。これらの海外拠点は、グローバルな事業展開と収益の多様化に貢献しており、特に新興国市場での成長機会を追求しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|681 文字
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社5社及び関連会社1社により構成されております。主な事業としてコーヒー及び食品の販売を行っており、その事業別の主要品目等は次のとおりであります。 事業別主要品目等コーヒー・茶類事業コーヒー生豆、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、紅茶等茶類、コーヒー関連器具・備品食品事業瓶・缶詰、小麦加工品、調味料、乳製品、油脂、酒類、素材加工品(水産・畜産・農産)、調理加工品農産事業生鮮野菜、野菜缶詰、塩蔵野菜、農産加工品海外事業上記品目 当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 当社上記のすべての品目を海外から輸入又は国内で仕入れ、全国のコーヒー焙煎業者、業務用食品問屋、飲料メーカー、食品加工メーカー、量販店、外食チェーン店等に販売をしております。ユーエスフーズ㈱コーヒー生豆を自家焙煎喫茶店等の小口ユーザーに販売をしております。石光商貿(上海)有限公司コーヒー及び食品の販売をしております。THAI ISHIMITSU CO.,LTD.コーヒー及び食品の販売をしております。A.Tosh Ishimitsu Beverages India Private Limited紅茶製品の製造販売をしております。アライドコーヒーロースターズ㈱コーヒー生豆の焙煎及びレギュラーコーヒー・インスタントコーヒーの加工・販売をしております。Atariya-Ishimitsu UK Limited傘下にある英国子会社の統括をしております。 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
相場リスク回避のため為替予約取引やコーヒー先物取引を行い、販売価格への転嫁を行っている
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 なし
競合他社に対する差別化を図るため主に商品の魅力、特性を訴求している
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:世界的貿易体制と輸入商品の価格変動 / ITリスク / サプライチェーンリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 3 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

石光商事の事業内容(化学品、合成樹脂、食品原料等の専門商社)において、特許やブランド力、規制ライセンスといった明確な無形資産による競争優位性は見出しにくい。特定のサプライヤーとの長年の取引関係は存在する可能性はあるが、それが他社にとって容易に模倣できないほどの強固な無形資産となっているかは不明。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

専門商社として、特定の顧客ニーズに合わせた製品供給や技術サポートを提供している場合、顧客はサプライヤー変更による調達リスクや品質管理の手間を考慮し、一定のスイッチング・コストが発生する可能性がある。しかし、化学品や食品原料といった汎用性の高い商材も扱うため、顧客の乗り換え障壁は限定的と考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

石光商事の事業モデルは、サプライヤーと顧客を繋ぐ仲介業であり、プラットフォーム型ビジネスのようなネットワーク効果は発生しない。ユーザー数が増加することでサービスの価値が向上する構造ではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

専門商社としての効率的なサプライチェーン管理や、長年の取引による仕入れ価格交渉力は存在する可能性がある。しかし、競合他社も同様の努力を行っており、構造的に圧倒的なコスト優位性を確立しているとは考えにくい。規模の経済によるコスト削減効果も限定的。

  • グローバルな調達ネットワーク
    世界中のコーヒー産地や食品メーカーから商品を調達できるネットワークを持っていることが強みです。これにより、特定の産地やメーカーに依存せず、安定した供給と多様な商品ラインナップを実現し、顧客の様々なニーズに応えることができます。
  • 多様な販売チャネル
    全国のコーヒー焙煎業者、業務用食品問屋、飲料メーカー、食品加工メーカー、量販店、外食チェーン店など、非常に幅広い顧客層に販売しています。これにより、特定の業界や顧客に業績が左右されにくく、市場の変化にも柔軟に対応できる体制を構築しています。
  • 品質管理とリスクヘッジ
    輸入商品が多いため、専門部署による品質チェックや海外製造元への監査・指導を通じて、食の安全に対する高い意識と管理体制を構築しています。また、為替予約やコーヒー先物取引を活用し、国際商品相場や為替レートの変動リスクを軽減する努力も行っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループはコーヒー等の飲料及び食品の専門商社として主に業務用の分野で事業を行っております。経営理念「ともに考え、ともに働き、ともに栄えよう」のもと、事業活動のミッションとして「世界の食の幸せに貢献する」ことを掲げております。当社グループは1906年創業と、歴史の長い会社が多い我が国にあっても比較的長い業歴を有しておりますが、更に業歴を伸ばし「永く続く会社となること」に重点を置いております。その必要条件として以下を規定しております。・社会に必要とされ続ける会社であること 社会と同じ方向を向いて事業を行うこと、利益とともに社会貢献にもしっかり取り組むこと・顧客、取引先に必要とされ続ける会社であること 価値を共有するパートナーから信頼され、頼りにされ、よい顧客、よい取引先であり続けること・株主に必要とされ続ける会社であること ガバナンスを強化し、適切な情報発信と還元を通じて株主から評価され、満足し続けていただくこと・従業員に必要とされ続ける会社であること従業員に適切に報いるだけでなく、働きやすさ、働きがいを追求し、従業員に愛され希望が宿る職場であり続けること・変化に対応し続ける会社であること 変化に対する感度を高め、変化に対し常にしなやかに対応できる会社であり続けること・利益を安定的かつ継続して出し続ける会社であること社会や環境に配慮しながら事業や取扱商品の新陳代謝をすすめ、労働生産性・資本生産性の向上を追求し続けること、適切な事業ポートフォリオの構築を追求し続けること そしてこれらの必要条件の充足を着実に進めていくため、継続的に新たな「商売の仕組み」「経営の仕組み」「人事の仕組み」「働き方の仕組み」の確立や改革改善等、様々な「仕組み化」を進めております。また、当社グループは2023年3月期よりスタートさせている中期経営計画「SHINE2024」をもとに、GHG(温室効果ガス)を削減しながらの企業成長や、社会的課題解決のビジネス化等の土台作りに取り組み、当連結会計年度からは新たな中期経営計画「SHINE2027」をもとに変革と実践を掲げ、一層の経済的価値・社会的価値の追求を目指しております。当社の事業はコーヒー・茶類事業、食品事業、農産事業、海外事業の4つに分類され、それぞれの取り組みは以下のとおりであります。① コーヒー・茶類事業コーヒーや茶類の輸出入、加工、販売を通じて「1杯の幸せ」をつくり、消費者の皆様にお届けしていきます。原料となる作物の特性上、発展途上国との関わりが深く、長期間のパートナーシップの構築により、安定した雇用や技術の向上、生活の改善に貢献するとともに、生産国と共同で引き続きGHG(温室効果ガス)削減を中心とした社会課題解決に向けて取り組んでまいります。② 食品事業日本国内外で開発する業務用や中食等の食材の販売により「食の豊かさ」を支えていきます。様々な社会問題(GHG(温室効果ガス)問題・人手不足等)と向き合いながら当社グループの財産であるサプライチェーンとの繋がりを大事に社会課題解決に向けて取り組んでまいります。③ 農産事業「安全安心かつサステナブルな農産物で、世界のステークホルダーの幸せに貢献する。」をミッションとし、専門性を持って付加価値のある海外及び国内の生鮮野菜と加工野菜の安定供給に努めると同時に、カントリーリスクを考慮した新規仕入先の開拓の他、雇用の創出、循環型農業の推進、環境や生態系への配慮、GHG(温室効果ガス)削減等、社会課題を解決する商品の開発にも注力していきます。 ④ 海外事業日本の誇るべき伝統文化と技術を「食」を通じて、多様化する世界の消費者ニーズに寄り添いながら広めていきます。また、海外グループ会社とのシナジーを活用することで、世界の食文化の発展に貢献していきます。 (2) 経営環境① 企業構造当社グループの企業構造については第1 企業の概況、3 事業の内容の事業系統図のとおりであります。② 市場環境コーヒー・茶類事業、食品事業、農産事業、海外事業それぞれの市場環境・顧客動向は以下のとおりであります。1)コーヒー・茶類事業2025年度は、国際コーヒー相場が引き続き乱高下を見せ、史上最高値を更新しました。我が国のコーヒー輸入量は微増したものの、国内消費量は微減となりました。世界的にはコーヒー消費量の増加が継続しており、特に当社海外グループ企業の所在地である中国でのコーヒーの消費量は拡大するなど、新たな需要の広がりがみられます。我が国のレギュラーコーヒー市場においては、訪日外国人旅行客数が過去最高を記録し、日本の喫茶文化への関心が高まりました。また、大阪・関西万博には延べ2,500万人超が来場し、各国のコーヒー文化への注目も集まりました。一方、米国の関税政策や円安に伴うコスト上昇により、各社が断続的な価格改定を余儀なくされる状況となっています。サステナブルコーヒーへの関心は引き続き高まっており、温室効果ガス排出抑制に向けた焙煎技術の革新、再生可能エネルギーの活用、物流効率化などの取り組みが業界全体で拡大しました。また、健康意識の高まりを背景にカフェインレスコーヒーへの需要も引き続き旺盛であり、輸入量は過去最高を記録しました。茶類市場に関しまして、家庭用品の市場につきましては数量ベースでは減少しているものの、市場に値上げが浸透し金額ベースでは増加しています。当社の主要な市場である工業用市場においてはRTD(Ready-to-Drink)のペットボトル飲料が大半を占めております。昨年度と同様に2025年度においても、大手メーカーの積極的なマーケティング及び夏の猛暑によりアイスティー需要が増加し、また麦茶飲料にも伸長が見られました。2)食品事業食品業界は、原材料高騰の常態化と国内市場縮小という構造的課題に直面しつつ、健康志向の深化(食物繊維・多様性重視)と持続可能性、インスタント食品等の簡便食品の進化が主要トレンドとなりつつあります。その中で原材料上昇・人口減少・物流コスト急騰(人件費・輸送費)で従来の商売自体を再考しました。また、卸売依存脱却から高収益な直販モデルへ転換し利益率の低い商品についても見直しを行いました。現在当社グループは「観光・インバウンド」「海外輸出」などの成長市場へのシフトを迫られております。これらの領域は、高収益な直販モデルへの転換を可能にし、卸売依存からの脱却を促す意味があり、改めて商売の中身を見直す一年となりました。また2024年物流問題にもなったドライバー不足・時間外規制で人件費・輸送費急騰により物流コストの上昇もあり従来の取引自体を見直すタイミングとなりました。他社との差別化をはかる意味で当連結会計年度からはサステナブル商品(各種認証を得た商品)の取り扱いを増やし、特に水産商品はBAP認証取得の工場との取組強化を進め対象商品の販売比率を増やしました。人手不足解消にも着目し調理場・バックヤードの労働軽減ができる商品の開発も進めました。GHG(温室効果ガス)削減・食品ロス削減・脱プラ推進と環境問題にも取り組み、社会課題解決型の商品開発も進めました。今後の課題としてコスト高に対応し低収益商品の見直しを進め、高収益商品の比率を増やしながら新ジャンルにも挑戦した商品作りを進めてまいります。 3)農産事業近年、過去には見られなかった天候不順が頻発し、その影響によって輸入品や生鮮野菜の相場が大きく変動しています。このような状況下で、安定した供給や価格の維持を図るため、国産品から輸入品へとシフトする動きが多く見られるようになりました。また、米価格の高騰によりレトルト食品や冷凍食品の需要が減少し、全体的な物価高が続いていることから、従来の野菜加工品以外での新たな提案も必要になっております。そのような中で、社会課題解決型の商品開発は今後ニーズが高まる分野であり、特に注力が求められます。環境や経済、生産者の安定につながる商品の提案を通じて、持続可能な社会を目指す取り組みが一層重要となっております。4)海外事業2025年度の事業環境は、各国における通商環境の変化、環境への対応や安全性に関する規制強化、世界的な物価高の継続や主食である米価格の変動などが重なり、先行き不透明な状況が継続しました。こうした中、農林水産省が2026年2月3日に公表している2025年の日本の農林水産物・食品の輸出額は1兆7005億円となり、前年比12.8%の増加と過去最高を更新しましたが、この伸びには円安進行や世界的なインフレを背景とした輸出単価上昇の影響も含まれており、実質的な需要拡大については、国・地域や品目ごとに濃淡があるものとみられます。このような環境下においても、日本食に対する海外での認知度は着実に高まっており、調味料など日常的に使用される商品群の定着が進みました。また、健康志向の高まりや日本文化への関心を背景に、抹茶関連商品の需要拡大など、新たな市場トレンドも見られました。さらに、多くの国・地域では物価上昇を背景とした節約志向の高まりにより消費行動に変化が生じ、外食から小売・テイクアウト・デリバリーへのシフトが進行し、簡便性や保存性へのニーズの高まりから、冷凍食品市場も拡大傾向となりました。③ 競合の状況当社グループの事業について、グループ会社のコーヒー・飲料関連の焙煎・加工工場を除き総じて比較的少額の資本により新規参入、あるいは川上・川下からの参入が可能であると目され、事実、相応の競合は存在しております。しかしながら事業遂行にあたっては、かなり高度な専門知識や経験に基づくノウハウ、顧客・取引先との相互の信頼関係が伴わなければならず、当社グループはそうしたソフト面の知見や基盤をもとに競争優位を保っております。コーヒー・茶類事業、食品事業、農産事業、海外事業それぞれの競争優位のポイントは以下のとおりであります。1)コーヒー・茶類事業・原料、加工技術、品質管理等に関して、業界をリードする広範で深い知見、諸資格を有する人材の豊富さと、こだわりの原料から加工までお客様のニーズに合わせた商品価値創造力・原料の生産者・輸出業者と長年かけて構築したパートナーシップとそれからもたらされる最新の情報や付加価値の創造力と提案力・海外拠点(中国、タイ、インド、英国)との連携による、多角的な視点と世界的な販売網・グループ会社が有する東西の焙煎工場機能・コーヒーや紅茶の商品特性からGHG(温室効果ガス)削減や多様性、生産国とともに生きるための社会課題解決型商品の提案とサステナブルな取り組みとその価値の提供2)食品事業・食品原料、製品、それらの加工技術、品質管理等に関する広範で深い知見・国内外の多数のサプライチェーンとの繋がり3)農産事業・商品ごとの高度な専門性を有した担当者による知見と対応力・供給元との密接な連携により確立された、安定的な供給網4)海外事業・「日本食」に関する深く広範な知識と、国内外サプライヤーとの厚い信頼関係・輸出先国の輸入食品管理に係る諸規制や流通制度に関する情報、輸出に係る貿易知識 ④ 法改正その他当社グループは、事業の遂行にあたって、品質・衛生・表示面について我が国の食品衛生法、JAS法及び食品表示法等を遵守しております。加えて海外との取引が盛んな当社は、輸出入を行う商品に関し対象国の法的規制も受けており、各国で法令の変更や新たな法令の施行等があった場合には、それを適切に受け入れ遵守していく必要があります。その上、我が国と輸出入先の国とで食品衛生等に関する基準が異なる場合には、そのどちらをも充足するように対応していくことが求められております。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 ① 利益の絶対金額(当期純利益及び営業利益)当社グループは、ステークホルダーとの双方向での実りある関係の維持・発展、すなわち[a]顧客に提供する商品について満足をいただき収入を得る、[b]取引先に仕入れた商品や受けたサービスの対価を支払う、[c]従業員に適切に報い安心して働いてもらう、[d]金融機関等に対しサービスに応じた金利、手数料を支払う、[e]国・地方政府にきちんと税金を納める、[f]株主に配当等により適切に報いる、の関係の均衡の取れた拡大を経営の根幹に置き、それに基づく様々な事業活動と直接的にリンクする利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の絶対額確保を最も重視しております。また事業面でその利益を特に大きく左右するものとして営業利益をキーとして捉え、その絶対金額及びその従業員1人当たり金額も注視しております。 ② 自己資本当期純利益率(ROE)当社グループは、効率化指標として自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。自己資本当期純利益率の最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月自己資本当期純利益率(%)5.457.709.487.459.87 (注)自己資本 = 純資産合計-新株予約権-非支配株主持分、期首・期末の平均により計算我が国では広く自己資本当期純利益率8%が一つの基準とされております。当社グループは長らくその水準に達しておりませんでしたが、徐々に改善が図られました。前連結会計年度は8%を下回りましたが、当連結会計年度はクリアしております。引き続き安定して適切な水準を確保できるよう運営してまいります。なお近時我が国において株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回る会社が多く存在し、改善への取り組みの必要性が指摘されております。当社グループも残念ながら1倍を下回っております。PBRは本項のROEと株価収益率(PER)の積によって表され、当社グループのPBRとPERの最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月株価純資産倍率(倍)0.420.560.840.580.78株価収益率(倍)7.727.288.837.767.89 (注)純資産は上記の自己資本で、発行済株式数を8,000千株として計算すなわちROEの改善はPBR引き上げのための重要なファクターであると認識され、当社グループは業績向上の取り組み、IR活動の強化と適切な株主還元等により、ROEとPBRの両方の漸次引上げを図るよう努めてまいりました。しかしながら、当初目標として掲げていた数値には届かず、引き続き改善に向けて努めてまいります。またROEが「売上高当期純利益率」と「売上高に対する総資産の回転率」と「自己資本比率の逆数」の積に分解されることはよく知られているところです。「売上高に対する総資産の回転率」の改善を構造的な課題として中長期的に取り組み、短期的には売上高に対する各利益の比率に焦点を当て、特に次項の売上高営業利益率の引き上げを図るべく、事業の見直しや刷新を進めております。 ③ 売上高営業利益率 売上高営業利益率の最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月売上高営業利益率(%)1.492.232.672.403.54 当社グループは、自己資本当期純利益率の構成要素である総資産回転率や自己資本比率の過去の実績と実効税率等をもとに自己資本当期純利益率8%を達成するために必要な売上高営業利益率を概ね2.5%以上と算定し、事業全体としてこの2.5%を平均的・安定的にクリアすることを目標にしております。前連結会計年度はその目安を下回りましたが、当連結会計年度はグループ会社において、工業用製品及び家庭用製品において販売先の新規開拓が進み、加えてコーヒー相場高騰に伴う原材料価格の上昇を踏まえた適正価格への見直し及び低利益商品の見直しを進めたこと等により、営業利益率が大きく上昇いたしました。④ 投下資本利益率(ROIC) 当社グループでは、投資効率と価値創出の程度を把握するための指標として、ROICを用いております。ROICの重要性は以下2点にあります。・投資効率の評価: ROICは、全ての投資資本(短期・長期の負債と自己資本)がどの程度効果的に使用されているかを評価するのに役立ちます。つまり、企業が投資した資本に対してどの程度のリターンを生み出しているかを示します。これは企業の資本配分の効率性を評価する上で非常に重要な指標となります。・資本コストとの比較: ROICと資本コスト(WACC:加重平均資本コスト)を比較することで、企業が投資家から調達した資本のコストを上回るリターンを生み出しているかどうかを評価することができます。ROICが資本コストを上回っている場合、それは企業が投資家の期待を上回るリターンを生み出し、企業価値を創出していると解釈できます。 ROICは、全ての資本(負債と自己資本)をどの程度効率的に利益に変換できているかを示します。当社はこれらの数値を向上させることで、投資家に対するリターンを最大化し、企業価値を向上させることを目指しています。 事業によって使用する資本は異なり、前項の売上高営業利益率をそれぞれの事業の目標として一律に適用するのは必ずしも適切でないため、今後はROICをもとに的確に事業ポートフォリオマネジメントを行い、投資及び経営資源配分の最適化に繋げてまいります。 なお、全社の投下資本利益率の最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月投下資本利益率(%)2.674.405.084.587.62WACC(%)3.913.653.623.854.05 (注)投下資本利益率の分子は営業利益×(1-実効税率)で、実効税率は30.5%とし、分母は期首・期末の平均で計算 WACCの計算に当たり、暫定的に負債コスト=1.25~2.00% 株主資本コスト(自社及び類似業種他社のCAPMをもとに、証券会社等の意見を参考に算定)=6.5% 以上のように、当社グループは株主資本コストと負債コストを織り込んで投下資本利益率をウォッチしながら、経営効率の向上を目指しております。 ⑤ 運転資本関連項目の回転期間当社グループは、グループ会社にコーヒー・飲料関連の加工工場を有しておりますが、主たる事業は商社として卸売業であり、健全にキャッシュフローを回していくとの観点で棚卸資産、売上債権等、運転資本関連項目の回転期間を重視しております。これは前項の投下資本利益率にも影響を与えるものであります。 (4) 中期経営計画について当社グループは、2030年のありたい姿「日本が認めるいい食品企業グループ」を目指し、3年×3回のサイクルで中期経営計画「SHINE」を推進しております。2023年3月期よりスタートさせた「SHINE2024」ではビジネス・ガバナンス・エンゲージメント向上の各土台作りのフェーズとしてROIC経営、GHG(温室効果ガス)の削減と社会課題解決型商品の開発に重点を置いた事業拡大、社内体制強化に積極的に取り組みました。当連結会計年度からは新たに「SHINE2027」をスタートさせ、変革と実践をテーマに「SHINE2024」で掲げたビジネス・ガバナンス・エンゲージメント向上の各土台を実践へと移し、成長投資やGHG(温室効果ガス)の削減及び社会課題解決型商品の開発、並びに社内体制の強化を一層加速させています。当連結会計年度においては、グループ会社においてコーヒー相場の高騰に伴う原材料価格の上昇を踏まえた適正価格への見直しを進めるとともに、家庭用分野におけるコーヒー製品の販売が好調に推移したこと、加えて低利益商品の見直しを進めたこと等により、業績は順調に拡大いたしました。その結果、「SHINE2027」の初年度業績の動向及び当社グループを取り巻く事業環境が、当初の計画策定時から大きく変化していることを踏まえ、中期経営計画「SHINE2027」の数値目標について見直しを行うことといたしました。今後も、重点施策を継続しつつ、中期経営計画で掲げる財務指標の達成を目指し、経営基盤の一層の強化のもと、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、課題認識として、2010年代まで長きにわたり売上高及び利益が大きく成長しない状況が続いておりました。それは食品という我が国国内においては成熟した商品を取扱っていることに由来するものと考えられます。とは言え、我が国の食品業界において急成長を遂げている会社は存在しており、当社グループといたしましても、「永く続く」とともに成長の必要性を十二分に認識しております。その成長に関しましては、次の3点をテーマに取り組んでまいります。・既存事業の枠組みのもとでヒット商品を生み出し、それを核に新規事業を発展させること・成長余地のある海外事業を拡大させていくこと・取扱商品に関し、GHG(温室効果ガス)削減等、プロセスやストーリーを含めた付加価値を創っていくこと上記以外にも、ブルーオーシャンである新規事業分野への進出や、M&Aの積極的な推進も選択肢として挙げられます。しかしながら前者は、市場の真の見極めが難しく、また、当社グループが培ってきた既存の知見や強みを活かせる分野でなければ、著しくリスクが高いものと思料しております。また後者は、あくまでも目的でなく手段の一つであるとの認識のもとに選別的に展開することとしております。そうしたことから当社グループの今後の成長路線のためのテーマとして、上記の3つをまずは優先させております。このような企業成長と歩調を合わせる形で、当社グループは収益体質の強化、企業としてのより一層の健全化にも取り組んでまいります。今後の経営環境につきましては、国内景気は緩やかな回復基調で推移することが期待される一方、米国政策の動向等に起因する海外景気の下振れリスクや、中東情勢の長期化に伴う資源・エネルギー価格の変動等、先行き不透明な状況が続くことが予想されております。そうしたなか、当社グループは、ミッションとして「世界の食の幸せに貢献する」を掲げ、永く続く会社=200年企業を目指しております。当社グループは当連結会計年度から中期経営計画「SHINE2027」(3ヶ年計画)をスタートさせ、「変革と実践」をテーマに、ROICをもとにした事業・商品の見直しと今後の成長を見据えた必要投資、GHG(温室効果ガス)の削減と社会課題解決型商品の開発等に重点を置いた事業拡大、社内体制強化に積極的に取り組んでおります。今後も引き続き事業の持続的成長を目指すため、以下を課題として挙げ、対処してまいります。① ビジネスモデル変革・高利益率商品へのシフト・今後の成長に向けた必要投資(特にグループ会社)・グローバル展開の加速・デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進・社会課題解決型商品の拡大・GHG排出削減を踏まえた商品力強化② 人財育成体制の再構築、エンゲージメント向上・多様な人財の活躍による組織的人財力強化・継続的な賃金ベースアップに向けた諸改革・教育・研修費の適正化・労働生産性の指標化・企業風土の刷新…「一緒に、夢中に!」取り組む風土作り・DE&Iの促進…「女性管理職比率の向上」「障がい者雇用率の向上」「男女の賃金格差縮小」③ グループ経営深掘・グループ全体でのシナジー効果追求、戦略人事推進によるグループ内の人財流動化促進・グループ全体でのインフラ統合と効率化の推進
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループはコーヒー等の飲料及び食品の専門商社として主に業務用の分野で事業を行っております。経営理念「ともに考え、ともに働き、ともに栄えよう」のもと、事業活動のミッションとして「世界の食の幸せに貢献する」ことを掲げております。当社グループは1906年創業と、歴史の長い会社が多い我が国にあっても比較的長い業歴を有しておりますが、更に業歴を伸ばし「永く続く会社となること」に重点を置いております。その必要条件として以下を規定しております。・社会に必要とされ続ける会社であること 社会と同じ方向を向いて事業を行うこと、利益とともに社会貢献にもしっかり取り組むこと・顧客、取引先に必要とされ続ける会社であること 価値を共有するパートナーから信頼され、頼りにされ、よい顧客、よい取引先であり続けること・株主に必要とされ続ける会社であること ガバナンスを強化し、適切な情報発信と還元を通じて株主から評価され、満足し続けていただくこと・従業員に必要とされ続ける会社であること従業員に適切に報いるだけでなく、働きやすさ、働きがいを追求し、従業員に愛され希望が宿る職場であり続けること・変化に対応し続ける会社であること 変化に対する感度を高め、変化に対し常にしなやかに対応できる会社であり続けること・利益を安定的かつ継続して出し続ける会社であること社会や環境に配慮しながら事業や取扱商品の新陳代謝をすすめ、労働生産性・資本生産性の向上を追求し続けること、適切な事業ポートフォリオの構築を追求し続けること そしてこれらの必要条件の充足を着実に進めていくため、継続的に新たな「商売の仕組み」「経営の仕組み」「人事の仕組み」「働き方の仕組み」の確立や改革改善等、様々な「仕組み化」を進めております。また、当社グループは2023年3月期よりスタートさせている中期経営計画「SHINE2024」をもとに、GHG(温室効果ガス)を削減しながらの企業成長や、社会的課題解決のビジネス化等の土台作りに取り組み、当連結会計年度からは新たな中期経営計画「SHINE2027」をもとに変革と実践を掲げ、一層の経済的価値・社会的価値の追求を目指しております。当社の事業はコーヒー・茶類事業、食品事業、農産事業、海外事業の4つに分類され、それぞれの取り組みは以下のとおりであります。① コーヒー・茶類事業コーヒーや茶類の輸出入、加工、販売を通じて「1杯の幸せ」をつくり、消費者の皆様にお届けしていきます。原料となる作物の特性上、発展途上国との関わりが深く、長期間のパートナーシップの構築により、安定した雇用や技術の向上、生活の改善に貢献するとともに、生産国と共同で引き続きGHG(温室効果ガス)削減を中心とした社会課題解決に向けて取り組んでまいります。② 食品事業日本国内外で開発する業務用や中食等の食材の販売により「食の豊かさ」を支えていきます。様々な社会問題(GHG(温室効果ガス)問題・人手不足等)と向き合いながら当社グループの財産であるサプライチェーンとの繋がりを大事に社会課題解決に向けて取り組んでまいります。③ 農産事業「安全安心かつサステナブルな農産物で、世界のステークホルダーの幸せに貢献する。」をミッションとし、専門性を持って付加価値のある海外及び国内の生鮮野菜と加工野菜の安定供給に努めると同時に、カントリーリスクを考慮した新規仕入先の開拓の他、雇用の創出、循環型農業の推進、環境や生態系への配慮、GHG(温室効果ガス)削減等、社会課題を解決する商品の開発にも注力していきます。 ④ 海外事業日本の誇るべき伝統文化と技術を「食」を通じて、多様化する世界の消費者ニーズに寄り添いながら広めていきます。また、海外グループ会社とのシナジーを活用することで、世界の食文化の発展に貢献していきます。 (2) 経営環境① 企業構造当社グループの企業構造については第1 企業の概況、3 事業の内容の事業系統図のとおりであります。② 市場環境コーヒー・茶類事業、食品事業、農産事業、海外事業それぞれの市場環境・顧客動向は以下のとおりであります。1)コーヒー・茶類事業2025年度は、国際コーヒー相場が引き続き乱高下を見せ、史上最高値を更新しました。我が国のコーヒー輸入量は微増したものの、国内消費量は微減となりました。世界的にはコーヒー消費量の増加が継続しており、特に当社海外グループ企業の所在地である中国でのコーヒーの消費量は拡大するなど、新たな需要の広がりがみられます。我が国のレギュラーコーヒー市場においては、訪日外国人旅行客数が過去最高を記録し、日本の喫茶文化への関心が高まりました。また、大阪・関西万博には延べ2,500万人超が来場し、各国のコーヒー文化への注目も集まりました。一方、米国の関税政策や円安に伴うコスト上昇により、各社が断続的な価格改定を余儀なくされる状況となっています。サステナブルコーヒーへの関心は引き続き高まっており、温室効果ガス排出抑制に向けた焙煎技術の革新、再生可能エネルギーの活用、物流効率化などの取り組みが業界全体で拡大しました。また、健康意識の高まりを背景にカフェインレスコーヒーへの需要も引き続き旺盛であり、輸入量は過去最高を記録しました。茶類市場に関しまして、家庭用品の市場につきましては数量ベースでは減少しているものの、市場に値上げが浸透し金額ベースでは増加しています。当社の主要な市場である工業用市場においてはRTD(Ready-to-Drink)のペットボトル飲料が大半を占めております。昨年度と同様に2025年度においても、大手メーカーの積極的なマーケティング及び夏の猛暑によりアイスティー需要が増加し、また麦茶飲料にも伸長が見られました。2)食品事業食品業界は、原材料高騰の常態化と国内市場縮小という構造的課題に直面しつつ、健康志向の深化(食物繊維・多様性重視)と持続可能性、インスタント食品等の簡便食品の進化が主要トレンドとなりつつあります。その中で原材料上昇・人口減少・物流コスト急騰(人件費・輸送費)で従来の商売自体を再考しました。また、卸売依存脱却から高収益な直販モデルへ転換し利益率の低い商品についても見直しを行いました。現在当社グループは「観光・インバウンド」「海外輸出」などの成長市場へのシフトを迫られております。これらの領域は、高収益な直販モデルへの転換を可能にし、卸売依存からの脱却を促す意味があり、改めて商売の中身を見直す一年となりました。また2024年物流問題にもなったドライバー不足・時間外規制で人件費・輸送費急騰により物流コストの上昇もあり従来の取引自体を見直すタイミングとなりました。他社との差別化をはかる意味で当連結会計年度からはサステナブル商品(各種認証を得た商品)の取り扱いを増やし、特に水産商品はBAP認証取得の工場との取組強化を進め対象商品の販売比率を増やしました。人手不足解消にも着目し調理場・バックヤードの労働軽減ができる商品の開発も進めました。GHG(温室効果ガス)削減・食品ロス削減・脱プラ推進と環境問題にも取り組み、社会課題解決型の商品開発も進めました。今後の課題としてコスト高に対応し低収益商品の見直しを進め、高収益商品の比率を増やしながら新ジャンルにも挑戦した商品作りを進めてまいります。 3)農産事業近年、過去には見られなかった天候不順が頻発し、その影響によって輸入品や生鮮野菜の相場が大きく変動しています。このような状況下で、安定した供給や価格の維持を図るため、国産品から輸入品へとシフトする動きが多く見られるようになりました。また、米価格の高騰によりレトルト食品や冷凍食品の需要が減少し、全体的な物価高が続いていることから、従来の野菜加工品以外での新たな提案も必要になっております。そのような中で、社会課題解決型の商品開発は今後ニーズが高まる分野であり、特に注力が求められます。環境や経済、生産者の安定につながる商品の提案を通じて、持続可能な社会を目指す取り組みが一層重要となっております。4)海外事業2025年度の事業環境は、各国における通商環境の変化、環境への対応や安全性に関する規制強化、世界的な物価高の継続や主食である米価格の変動などが重なり、先行き不透明な状況が継続しました。こうした中、農林水産省が2026年2月3日に公表している2025年の日本の農林水産物・食品の輸出額は1兆7005億円となり、前年比12.8%の増加と過去最高を更新しましたが、この伸びには円安進行や世界的なインフレを背景とした輸出単価上昇の影響も含まれており、実質的な需要拡大については、国・地域や品目ごとに濃淡があるものとみられます。このような環境下においても、日本食に対する海外での認知度は着実に高まっており、調味料など日常的に使用される商品群の定着が進みました。また、健康志向の高まりや日本文化への関心を背景に、抹茶関連商品の需要拡大など、新たな市場トレンドも見られました。さらに、多くの国・地域では物価上昇を背景とした節約志向の高まりにより消費行動に変化が生じ、外食から小売・テイクアウト・デリバリーへのシフトが進行し、簡便性や保存性へのニーズの高まりから、冷凍食品市場も拡大傾向となりました。③ 競合の状況当社グループの事業について、グループ会社のコーヒー・飲料関連の焙煎・加工工場を除き総じて比較的少額の資本により新規参入、あるいは川上・川下からの参入が可能であると目され、事実、相応の競合は存在しております。しかしながら事業遂行にあたっては、かなり高度な専門知識や経験に基づくノウハウ、顧客・取引先との相互の信頼関係が伴わなければならず、当社グループはそうしたソフト面の知見や基盤をもとに競争優位を保っております。コーヒー・茶類事業、食品事業、農産事業、海外事業それぞれの競争優位のポイントは以下のとおりであります。1)コーヒー・茶類事業・原料、加工技術、品質管理等に関して、業界をリードする広範で深い知見、諸資格を有する人材の豊富さと、こだわりの原料から加工までお客様のニーズに合わせた商品価値創造力・原料の生産者・輸出業者と長年かけて構築したパートナーシップとそれからもたらされる最新の情報や付加価値の創造力と提案力・海外拠点(中国、タイ、インド、英国)との連携による、多角的な視点と世界的な販売網・グループ会社が有する東西の焙煎工場機能・コーヒーや紅茶の商品特性からGHG(温室効果ガス)削減や多様性、生産国とともに生きるための社会課題解決型商品の提案とサステナブルな取り組みとその価値の提供2)食品事業・食品原料、製品、それらの加工技術、品質管理等に関する広範で深い知見・国内外の多数のサプライチェーンとの繋がり3)農産事業・商品ごとの高度な専門性を有した担当者による知見と対応力・供給元との密接な連携により確立された、安定的な供給網4)海外事業・「日本食」に関する深く広範な知識と、国内外サプライヤーとの厚い信頼関係・輸出先国の輸入食品管理に係る諸規制や流通制度に関する情報、輸出に係る貿易知識 ④ 法改正その他当社グループは、事業の遂行にあたって、品質・衛生・表示面について我が国の食品衛生法、JAS法及び食品表示法等を遵守しております。加えて海外との取引が盛んな当社は、輸出入を行う商品に関し対象国の法的規制も受けており、各国で法令の変更や新たな法令の施行等があった場合には、それを適切に受け入れ遵守していく必要があります。その上、我が国と輸出入先の国とで食品衛生等に関する基準が異なる場合には、そのどちらをも充足するように対応していくことが求められております。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 ① 利益の絶対金額(当期純利益及び営業利益)当社グループは、ステークホルダーとの双方向での実りある関係の維持・発展、すなわち[a]顧客に提供する商品について満足をいただき収入を得る、[b]取引先に仕入れた商品や受けたサービスの対価を支払う、[c]従業員に適切に報い安心して働いてもらう、[d]金融機関等に対しサービスに応じた金利、手数料を支払う、[e]国・地方政府にきちんと税金を納める、[f]株主に配当等により適切に報いる、の関係の均衡の取れた拡大を経営の根幹に置き、それに基づく様々な事業活動と直接的にリンクする利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の絶対額確保を最も重視しております。また事業面でその利益を特に大きく左右するものとして営業利益をキーとして捉え、その絶対金額及びその従業員1人当たり金額も注視しております。 ② 自己資本当期純利益率(ROE)当社グループは、効率化指標として自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。自己資本当期純利益率の最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月自己資本当期純利益率(%)5.457.709.487.459.87 (注)自己資本 = 純資産合計-新株予約権-非支配株主持分、期首・期末の平均により計算我が国では広く自己資本当期純利益率8%が一つの基準とされております。当社グループは長らくその水準に達しておりませんでしたが、徐々に改善が図られました。前連結会計年度は8%を下回りましたが、当連結会計年度はクリアしております。引き続き安定して適切な水準を確保できるよう運営してまいります。なお近時我が国において株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回る会社が多く存在し、改善への取り組みの必要性が指摘されております。当社グループも残念ながら1倍を下回っております。PBRは本項のROEと株価収益率(PER)の積によって表され、当社グループのPBRとPERの最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月株価純資産倍率(倍)0.420.560.840.580.78株価収益率(倍)7.727.288.837.767.89 (注)純資産は上記の自己資本で、発行済株式数を8,000千株として計算すなわちROEの改善はPBR引き上げのための重要なファクターであると認識され、当社グループは業績向上の取り組み、IR活動の強化と適切な株主還元等により、ROEとPBRの両方の漸次引上げを図るよう努めてまいりました。しかしながら、当初目標として掲げていた数値には届かず、引き続き改善に向けて努めてまいります。またROEが「売上高当期純利益率」と「売上高に対する総資産の回転率」と「自己資本比率の逆数」の積に分解されることはよく知られているところです。「売上高に対する総資産の回転率」の改善を構造的な課題として中長期的に取り組み、短期的には売上高に対する各利益の比率に焦点を当て、特に次項の売上高営業利益率の引き上げを図るべく、事業の見直しや刷新を進めております。 ③ 売上高営業利益率 売上高営業利益率の最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月売上高営業利益率(%)1.492.232.672.403.54 当社グループは、自己資本当期純利益率の構成要素である総資産回転率や自己資本比率の過去の実績と実効税率等をもとに自己資本当期純利益率8%を達成するために必要な売上高営業利益率を概ね2.5%以上と算定し、事業全体としてこの2.5%を平均的・安定的にクリアすることを目標にしております。前連結会計年度はその目安を下回りましたが、当連結会計年度はグループ会社において、工業用製品及び家庭用製品において販売先の新規開拓が進み、加えてコーヒー相場高騰に伴う原材料価格の上昇を踏まえた適正価格への見直し及び低利益商品の見直しを進めたこと等により、営業利益率が大きく上昇いたしました。④ 投下資本利益率(ROIC) 当社グループでは、投資効率と価値創出の程度を把握するための指標として、ROICを用いております。ROICの重要性は以下2点にあります。・投資効率の評価: ROICは、全ての投資資本(短期・長期の負債と自己資本)がどの程度効果的に使用されているかを評価するのに役立ちます。つまり、企業が投資した資本に対してどの程度のリターンを生み出しているかを示します。これは企業の資本配分の効率性を評価する上で非常に重要な指標となります。・資本コストとの比較: ROICと資本コスト(WACC:加重平均資本コスト)を比較することで、企業が投資家から調達した資本のコストを上回るリターンを生み出しているかどうかを評価することができます。ROICが資本コストを上回っている場合、それは企業が投資家の期待を上回るリターンを生み出し、企業価値を創出していると解釈できます。 ROICは、全ての資本(負債と自己資本)をどの程度効率的に利益に変換できているかを示します。当社はこれらの数値を向上させることで、投資家に対するリターンを最大化し、企業価値を向上させることを目指しています。 事業によって使用する資本は異なり、前項の売上高営業利益率をそれぞれの事業の目標として一律に適用するのは必ずしも適切でないため、今後はROICをもとに的確に事業ポートフォリオマネジメントを行い、投資及び経営資源配分の最適化に繋げてまいります。 なお、全社の投下資本利益率の最近の状況は次のとおりであります。回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月投下資本利益率(%)2.674.405.084.587.62WACC(%)3.913.653.623.854.05 (注)投下資本利益率の分子は営業利益×(1-実効税率)で、実効税率は30.5%とし、分母は期首・期末の平均で計算 WACCの計算に当たり、暫定的に負債コスト=1.25~2.00% 株主資本コスト(自社及び類似業種他社のCAPMをもとに、証券会社等の意見を参考に算定)=6.5% 以上のように、当社グループは株主資本コストと負債コストを織り込んで投下資本利益率をウォッチしながら、経営効率の向上を目指しております。 ⑤ 運転資本関連項目の回転期間当社グループは、グループ会社にコーヒー・飲料関連の加工工場を有しておりますが、主たる事業は商社として卸売業であり、健全にキャッシュフローを回していくとの観点で棚卸資産、売上債権等、運転資本関連項目の回転期間を重視しております。これは前項の投下資本利益率にも影響を与えるものであります。 (4) 中期経営計画について当社グループは、2030年のありたい姿「日本が認めるいい食品企業グループ」を目指し、3年×3回のサイクルで中期経営計画「SHINE」を推進しております。2023年3月期よりスタートさせた「SHINE2024」ではビジネス・ガバナンス・エンゲージメント向上の各土台作りのフェーズとしてROIC経営、GHG(温室効果ガス)の削減と社会課題解決型商品の開発に重点を置いた事業拡大、社内体制強化に積極的に取り組みました。当連結会計年度からは新たに「SHINE2027」をスタートさせ、変革と実践をテーマに「SHINE2024」で掲げたビジネス・ガバナンス・エンゲージメント向上の各土台を実践へと移し、成長投資やGHG(温室効果ガス)の削減及び社会課題解決型商品の開発、並びに社内体制の強化を一層加速させています。当連結会計年度においては、グループ会社においてコーヒー相場の高騰に伴う原材料価格の上昇を踏まえた適正価格への見直しを進めるとともに、家庭用分野におけるコーヒー製品の販売が好調に推移したこと、加えて低利益商品の見直しを進めたこと等により、業績は順調に拡大いたしました。その結果、「SHINE2027」の初年度業績の動向及び当社グループを取り巻く事業環境が、当初の計画策定時から大きく変化していることを踏まえ、中期経営計画「SHINE2027」の数値目標について見直しを行うことといたしました。今後も、重点施策を継続しつつ、中期経営計画で掲げる財務指標の達成を目指し、経営基盤の一層の強化のもと、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、課題認識として、2010年代まで長きにわたり売上高及び利益が大きく成長しない状況が続いておりました。それは食品という我が国国内においては成熟した商品を取扱っていることに由来するものと考えられます。とは言え、我が国の食品業界において急成長を遂げている会社は存在しており、当社グループといたしましても、「永く続く」とともに成長の必要性を十二分に認識しております。その成長に関しましては、次の3点をテーマに取り組んでまいります。・既存事業の枠組みのもとでヒット商品を生み出し、それを核に新規事業を発展させること・成長余地のある海外事業を拡大させていくこと・取扱商品に関し、GHG(温室効果ガス)削減等、プロセスやストーリーを含めた付加価値を創っていくこと上記以外にも、ブルーオーシャンである新規事業分野への進出や、M&Aの積極的な推進も選択肢として挙げられます。しかしながら前者は、市場の真の見極めが難しく、また、当社グループが培ってきた既存の知見や強みを活かせる分野でなければ、著しくリスクが高いものと思料しております。また後者は、あくまでも目的でなく手段の一つであるとの認識のもとに選別的に展開することとしております。そうしたことから当社グループの今後の成長路線のためのテーマとして、上記の3つをまずは優先させております。このような企業成長と歩調を合わせる形で、当社グループは収益体質の強化、企業としてのより一層の健全化にも取り組んでまいります。今後の経営環境につきましては、国内景気は緩やかな回復基調で推移することが期待される一方、米国政策の動向等に起因する海外景気の下振れリスクや、中東情勢の長期化に伴う資源・エネルギー価格の変動等、先行き不透明な状況が続くことが予想されております。そうしたなか、当社グループは、ミッションとして「世界の食の幸せに貢献する」を掲げ、永く続く会社=200年企業を目指しております。当社グループは当連結会計年度から中期経営計画「SHINE2027」(3ヶ年計画)をスタートさせ、「変革と実践」をテーマに、ROICをもとにした事業・商品の見直しと今後の成長を見据えた必要投資、GHG(温室効果ガス)の削減と社会課題解決型商品の開発等に重点を置いた事業拡大、社内体制強化に積極的に取り組んでおります。今後も引き続き事業の持続的成長を目指すため、以下を課題として挙げ、対処してまいります。① ビジネスモデル変革・高利益率商品へのシフト・今後の成長に向けた必要投資(特にグループ会社)・グローバル展開の加速・デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進・社会課題解決型商品の拡大・GHG排出削減を踏まえた商品力強化② 人財育成体制の再構築、エンゲージメント向上・多様な人財の活躍による組織的人財力強化・継続的な賃金ベースアップに向けた諸改革・教育・研修費の適正化・労働生産性の指標化・企業風土の刷新…「一緒に、夢中に!」取り組む風土作り・DE&Iの促進…「女性管理職比率の向上」「障がい者雇用率の向上」「男女の賃金格差縮小」③ グループ経営深掘・グループ全体でのシナジー効果追求、戦略人事推進によるグループ内の人財流動化促進・グループ全体でのインフラ統合と効率化の推進
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、景気は緩やかに回復しているものの、中東情勢における影響もあり先行き不透明な状況となっております。海外に関しては、米国では一部の経済指標に弱さがみられるものの、景気は緩やかに拡大が続いており、欧州でも景気は持ち直しの動きを見せております。一方中国ではサービス消費を中心に景気は持ち直しの動きを見せたものの、再び停滞ないし減速している模様です。当社グループの主力マーケットである食品業界におきましては、原材料価格や人件費等の高止まりを背景に、幅広い食品での価格改定が続き、依然として厳しい経営環境となっております。一方、外食産業においてはインバウンド需要の回復や客単価の上昇等により、売上高は総じて堅調に推移しております。当社グループの業績に影響を与える為替相場におきましては、期初1ドルあたり149円台で始まり、その後、日米の金利差や金融政策の方向性を背景としてドル高・円安基調が続き、一時160円近辺まで円安が進行いたしましたが3月末では159円台となりました。コーヒー業界においては、ニューヨークコーヒー相場は期初に1ポンドあたり389.05セントでスタートし、米国トランプ大統領による関税発動の報道を受けて、投機筋主導の売りが加速し、相場は一時300セントを切るところまで下落しました。しかし、需給のタイト感が目立つ中で値を戻し、420セント台まで上昇するなど、非常にボラティリティの高い展開が続きました。その後も乱高下が続きましたが、不安定な国際情勢と在庫逼迫リスクがある中、ブラジルでの順調な降雨状況と十分な収穫量の見込みが確認されたことによる下落圧力がかかり、3月末では298.35セントとなりました。 出所:コーヒー価格とコーヒー先物価格(https://www.barchart.com/futures/quotes/KC*0/futures-prices)出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(https://www.murc-kawasesouba.jp/fx/past_3month.php) このような状況のなか、当社グループは当連結会計年度より新たな中期経営計画「SHINE2027」をスタートさせました。前中期経営計画で掲げたビジネス・ガバナンス・エンゲージメント向上の各土台作りを実践へと移し、成長投資やGHG(温室効果ガス)の削減及び社会課題解決型商品の開発に注力いたしました。また、社内体制の強化にも積極的に取り組み、事業の持続的成長を目指して中期経営計画「SHINE2027」を推進してまいりました。以上の結果、当連結会計年度においては、売上高は76,527百万円(前年同期比17.8%増加)、売上総利益は10,004百万円(前年同期比18.3%増加)、営業利益は2,707百万円(前年同期比73.8%増加)、経常利益は2,161百万円(前年同期比61.7%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,267百万円(前年同期比42.8%増加)となりました。 各事業別の状況は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より主にコーヒーを取り扱う海外グループ会社の事業区分を前期までは海外事業に含めておりましたが、コーヒー・茶類事業に含めることに変更したため、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。 コーヒー・茶類事業1)コーヒー飲料原料コーヒー生豆では、中国現地法人における中国国内での販売拡大に加え、コーヒー相場の高騰による販売価格の上昇もあり、売上高は増加いたしました。飲料原料では、抹茶の需要増加を背景としたスポット販売があった一方で、飲料製造向けの販売が一部減少したことから、売上高は減少いたしました。その結果、コーヒー飲料原料の売上高は前年同期比33.6%増加いたしました。2) コーヒー飲料製品 (単位:トン) 2025年3月期2026年3月期増減焙煎数量17,07917,880801 工業用製品及び家庭用製品では、販売先の新規開拓が進んだことに加え、販売価格の改定を進めたことにより、売上高は増加いたしました。その結果、コーヒー飲料製品の売上高は前年同期比43.3%増加いたしました。 これらの理由により、コーヒー・茶類事業の売上高は42,027百万円と前年同期比38.7%の増加となり、売上総利益は5,307百万円と前年同期比30.0%の増加となりました。 食品事業1)加工食品ドライ商品では、製造メーカー向けのトマト原料等の販売が契約終了等の影響を受け、売上高は前年同期比17.2%減少いたしました。フローズン商品では、期初より新規取引として開始した外食向け中国産ポテトの販売が引き続き好調に推移したことから、売上高は前年同期比39.3%増加いたしました。メーカー商品では、顧客の商流変更やメニューカット等の影響により、売上高は前年同期比0.8%減少いたしました。その結果、加工食品の売上高は前年同期比3.0%減少いたしました。2)水産主力のエビ関連では、量販店向けの販売が好調に推移した一方で、回転寿司チェーンにおけるメニューカット等の影響により、外食向けの販売は大きく減少いたしました。タコ関連では、たこ焼き用原料の販売が引き続き好調に推移し、売上高は増加いたしました。その結果、水産の売上高は前年同期比1.5%減少いたしました。 3)調理冷食量販店向け新規商材の販売が引き続き好調に推移したものの、量販店向けロースト製品の一部終売により、売上高は減少いたしました。その結果、売上高は前年同期比1.7%減少いたしました。 これらの理由により食品事業の売上高は21,904百万円と前年同期比2.2%の減少となりましたが、利益率の低い商品の見直しを進めた結果、売上総利益は3,297百万円と前年同期比9.0%の増加となりました。 農産事業生鮮野菜では、新規取り組みにより、量販店チェーン向け中国産玉葱及び人参等の販売が順調に推移し、売上高は増加いたしました。農産加工品では、外食チェーン向け牛蒡加工品の新規取り組みを開始したほか、回転寿司チェーン向け甘酢しょうがスライスの売上高が増加いたしました。一方で、唐辛子は主力販売先における在庫調整の影響により、売上高が減少いたしました。その結果、農産事業の売上高は7,576百万円と前年同期比5.4%の増加となり、売上総利益は854百万円と前年同期比3.4%の増加となりました。 海外事業英国合弁会社における事業展開が進み、英国向け輸出の売上高は増加いたしました。これに加え、タイ向け輸出では、現地量販店向け販売が好調に推移し、売上高の増加に寄与いたしました。さらに、オーストラリア向けでは、スポット採用品が通年採用へ切り替わったことにより、売上高が増加いたしました。一方、欧州向け輸出では、現地輸入規制の厳格化に伴い、輸出可能品目の一部が減少したことにより、売上高は減少いたしました。また、台湾向けでは、前連結会計年度に販売が増加した一部商品の現地在庫の滞留や、価格改定に伴う競争激化等により、売上高が減少いたしました。その結果、海外事業の売上高は5,019百万円と前年同期比1.0%の減少となりましたが、より利益率の高い商品の販売が進んだことから売上総利益は544百万円と前年同期比5.5%の増加となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,144百万円増加し、5,204百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は2,457百万円(前連結会計年度に使用した資金は1,029百万円)となりました。その主な内容は、税金等調整前当期純利益2,352百万円です。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果得られた資金は175百万円(前連結会計年度に使用した資金は1,122百万円)となりました。その主な内容は、補助金の受取額268百万円及び投資有価証券の売却による収入142百万円に対し、有形固定資産の取得による支出285百万円です。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は1,520百万円(前連結会計年度に得られた資金は1,001百万円)となりました。その主な内容は、借入金及び社債の収支による支出944百万円及びリース債務の返済による支出245百万円、配当金の支払額232百万円です。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループ(当社及び連結子会社)は単一セグメントに該当するため、事業別に生産、受注及び販売の状況を記載しております。なお、当連結会計年度の期首より主にコーヒーを取り扱う海外グループ会社の事業区分を前期までは海外事業に含めておりましたが、コーヒー・茶類事業部に含めることに変更したため、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。a. 生産実績及び受注状況当社グループのうち連結子会社において飲料製品(レギュラーコーヒー・インスタントコーヒー)の生産を行っておりますが、グループ事業全体における重要性が低いため、生産実績及び受注状況については記載しておりません。 b. 商品仕入実績 事業別金額(千円)前期比(%)コーヒー・茶類事業35,964,43149.0食品事業18,864,609△4.3農産事業6,713,0005.2海外事業4,495,421△1.0合計66,037,46320.6 c. 販売実績 事業別金額(千円)前期比(%)コーヒー・茶類事業42,027,03138.7食品事業21,904,670△2.2農産事業7,576,5495.4海外事業5,019,041△1.0合計76,527,29217.8 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高76,527百万円(前年同期比17.8%増加)、売上総利益10,004百万円(前年同期比18.3%増加)、営業利益2,707百万円(前年同期比73.8%増加)、経常利益2,161百万円(前年同期比61.7%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益1,267百万円(前年同期比42.8%増加)となりました。為替相場は日米の金利差や金融政策の方向性を背景としてドル高・円安基調が続き、食品業界におきましては、幅広い食品における値上げの影響から消費者の節約志向が強まっておりますが、外食産業においては引き続きインバウンド需要等に支えられ、売上は前連結会計年度に比べて増加しております。当連結会計年度におきましては、コーヒー相場の高騰に伴う原材料価格の上昇を踏まえた適正価格への見直しを進めるとともに、家庭用分野におけるコーヒー製品の販売が好調に推移したこと、加えて低利益商品の見直しを進めたこと等により、売上高、利益ともに順調に業績を伸ばし、期中で当初計画の上方修正を行いました。また、当連結会計年度より中期経営計画「SHINE2027」をスタートさせ、前中期経営計画で掲げたビジネス・ガバナンス・エンゲージメント向上の各土台作りを実践へと移し、成長投資やGHG(温室効果ガス)の削減及び社会課題解決型商品の開発、並びに社内体制の強化に取り組んでまいりました。その結果、上記で述べたように「SHINE2027」の初年度業績の動向及び当社グループを取り巻く事業環境が、当初の計画策定時から大きく変化していることを踏まえ、中期経営計画の見直しを行いました。今後も、重点施策を継続しつつ、中期経営計画で掲げる財務指標の達成を目指し、経営基盤の一層の強化のもと、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期実績 業績予想 (2025年5月)業績予想修正(2026年2月)実績連結売上高64,95368,81776,78476,527営業利益1,5571,7022,3952,707経常利益1,3361,4812,0432,161親会社株主に帰属する当期純利益8889721,3231,267個別売上高50,706 50,674売上総利益6,014 6,060営業利益1,028 933経常利益966 981当期純利益607 488 当連結会計年度の財政状態に関しては、コーヒー相場高騰等の影響により棚卸資産が増加しております(1,383百万円増加)。一方、連結子会社において中小受託取引適正化法が適用されたことにより支払いサイトが短縮され売上債権が減少いたしました。当連結会計年度末の現預金の残高は月商の0.83ヶ月と当社グループとしては特に問題ない水準ですが(前連結会計年度末は0.77ヶ月)、引き続き財務の効率化と健全化を意識して取り組んでまいります。事業別の経営成績の状況は次のとおりであります。コーヒー・茶類事業 ・・・ 売上高: 42,027百万円 (前年同期比 38.7%増加) 売上総利益: 5,307百万円 (前年同期比 30.0%増加)食品事業 ・・・ 売上高: 21,904百万円 (前年同期比 2.2%減少) 売上総利益: 3,297百万円 (前年同期比 9.0%増加)農産事業 ・・・ 売上高: 7,576百万円 (前年同期比 5.4%増加) 売上総利益: 854百万円 (前年同期比 3.4%増加)海外事業 ・・・ 売上高: 5,019百万円 (前年同期比 1.0%減少) 売上総利益: 544百万円 (前年同期比 5.5%増加)コーヒー・茶類事業は増収増益となっておりますが、中国現地法人における中国国内での販売拡大に加え、コーヒー相場の高騰による販売価格の上昇や工業用製品及び家庭用製品で、新規開拓が進み、加えて販売価格の改定を進めたことが主な要因であります。食品事業は減収増益となっておりますが、低利益商品の見直しを進めたことが主な要因であります。農産事業は増収増益となっておりますが、新規取り組みとして、量販店チェーン向けや外食チェーン向けの販売が順調に推移したことが主な要因であります。海外事業は減収増益となっておりますが、欧州向け輸出で、現地輸入規制の厳格化に伴い、輸出可能品目の一部が減少しましたが、より利益率の高い商品の販売が進んだことが主な要因であります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、現金及び現金同等物において期末残高は、前連結会計年度末に比べ1,144百万円増加し、5,204百万円となりました。また営業活動によるキャッシュ・フローは営業活動の結果得られた資金は2,457百万円となりました。当社が特に重視している運転資本関連項目の回転期間の推移は以下のとおりです。業態を勘案すれば特に問題ない水準と考えており、引き続きキャッシュ・コンバージョン・サイクルを注視しながら適切な運営を行ってまいります。 連結2024年3月期2025年3月期2026年3月期売上債権 四半期末毎の平均残高(百万円)12,71813,20214,275回転期間(ヶ月)2.462.442.24棚卸資産 四半期末毎の平均残高(百万円)10,32010,63813,532回転期間(ヶ月)2.001.972.12仕入債務 四半期末毎の平均残高(百万円)8,4098,5289,407回転期間(ヶ月)1.631.581.48運転資本 四半期末毎の平均残高(百万円)14,63015,31218,399回転期間(ヶ月)2.832.832.89 ③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは適切な自己資本比率を維持しつつ、外部からの資金調達の制約を考慮しながら、円滑、安定的な資金繰り運営と手許流動性の維持を行っております。2002年の株式店頭登録以降、資本(エクイティ)による資金調達の実績はなく、調達の源泉は基本的に金融機関からの借入金に依存しております。その最近の推移は以下のとおりであります。当社グループは、前項の適切なキャッシュ・コンバージョン・サイクル、金融機関との密接な取引関係、不測の事態へのクッションとしての相応の自己資本の3つを資金流動性維持の根幹に据え、運営を行っております。今後も安定・効率的な資金調達と資本コストを意識した事業運営により、健全な財政状態が維持されるよう努めてまいります。(単位:百万円)連結2024年3月期2025年3月期2026年3月期短期借入金5,8237,5276,729長期借入金4,1174,0053,917内1年内返済予定1,3921,3641,386社債(私募債)1489236内1年内返済予定565636リース債務930749656有利子負債 計11,02012,37411,339 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。ただし見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。それに関連する主な項目は以下のとおりであります。a 貸倒引当金について当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒が懸念される特定の債権については個別に回収可能性を検討し、債権の回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。b 繰延税金資産について繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を検討し計上しております。c 保有資産の減損リスクについて当社グループは、投資案件に関し、金額・内容の妥当性や損益・資金収支の見通し等を慎重に検討の上、金額に応じ取締役会等で決定し、適切に進めております。d 投資有価証券について当社グループは、保有株式に関し定期的に資本コストに見合っているか等を精査し、保有の適否を見直すこととしております。e 賞与引当金について当社グループは、従業員に対する賞与支給に充てるため、業績を鑑み、支給見込額を見積り計上しております。f 棚卸資産の評価について当社グループは、棚卸資産を主として移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法)で評価しておりますが、収益性の低下による簿価の切り下げは、一定の仮定及び販売可能性の判断に基づいております。

事業リスク

  • 国際相場と為替変動リスク
    コーヒー生豆などの輸入商品の仕入れ価格は、産地の天候、作柄、地場通貨の相場、政情、為替レートによって大きく変動します。これらの変動が急激な場合、販売価格への転嫁が難しくなり、会社の業績に影響を与える可能性があります。為替予約などでリスク軽減を図っていますが、完全に回避することは困難です。
  • ITシステム障害・サイバー攻撃リスク
    事業活動の効率化のために多くのITシステムを運用しており、サイバー攻撃やシステム障害が発生した場合、情報漏洩、システム停止、事業活動の中断につながる可能性があります。これにより、会社の信用低下や財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。過去にランサムウェア被害も経験しており、セキュリティ強化に努めています。
  • サプライチェーン寸断リスク
    商品の調達は世界中の産地やメーカーに依存しており、世界的な需給バランスの変化、不作、調達国の法律変更、政治的混乱、国際紛争などにより、商品の価格高騰や調達量不足が生じる可能性があります。また、サプライチェーンにおける人権問題(児童労働など)が発覚した場合、企業の社会的信用が低下し、業績に影響を与える可能性もあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,994 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また各事項の発生可能性や影響度について、以下の分類を目安に考察を行っております。 [A] 発生の可能性:(イ)高(2~3年の期間に1度以上程度)、(ロ)中(3年~10年の期間に1度以上程度)、(ハ)低(10年以上の期間に1度以上程度) [B] 影響度:(イ)大(売上高換算10%以上又は利益換算30%以上)、(ロ)中(売上高換算5%~10%又は利益換算15%~30%)、(ハ)小(売上高換算5%未満又は利益換算15%未満)、なお影響が表れる様相は売上高、利益といった業績のみならず、財産損失、事業遂行力低下、企業イメージダウン等が考えられますが、すべて業績に引き直して考察しております。(1) 世界的貿易体制と輸入商品の価格変動が業績に与える影響について当社グループの根幹事業は商社であり、世界的に開かれた自由度の高い貿易体制が続いていくことが望ましい状況です。また国内向けの事業に関して主に輸入商品を取扱っており、その仕入価格は産地国・調達先国の気候・作柄状況、地場通貨の相場、政情等によって変動する国際商品相場及び為替レートの影響を受けます。このような相場リスクを回避する目的で為替予約取引及びコーヒー先物取引を行い、また、調達先国を複数持つとともに、販売価格への転嫁を行っております。しかしながら、相場の変動が著しく急激あるいは変則的で、リスク回避を含めたコスト上昇分を販売価格に転嫁しきれない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、リスク回避目的の為替予約取引やコーヒー先物取引の未実現分の評価については繰延ヘッジ損益に計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのこれまでの業績推移を振り返り、発生の可能性は中、影響度は中と認識しております。近時は主要国間で関税や貿易体制をめぐる議論がかまびすしく、予断を許さない状況ですが、緩みのない高感度の情報収集と注意深い状況観察をもとに経営主導で適切に判断し、迅速な対応を図っております。(2) ITリスクについて当社グループは、ITを活用し事業活動を効率的に進めるために、多くのITシステムを運用しています。これらを安全に運用するために権限責任の明確化、チェック体制、外部からの侵入対策、社員教育等情報セキュリティ体制の強化に努めております。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為により、情報の漏洩、消失、各種障害等の影響を受け、信用低下や事業活動が一時的に中断することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。2024年9月に発生した外部からの不正アクセスによる、一部サーバーが暗号化されるランサムウェア被害では、当社グループが保有する個人情報の漏洩は確認されませんでしたが、事態を真摯に受け止め、セキュリティと監視体制のさらなる強化を実施し再発防止に取り組み、個人情報の管理についても改めて規程による厳重な見直しと運用を行っております。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は中、影響度は中と認識しております。引き続ききめ細かく管理し、不測の事態が起きないよう努めてまいります。(3) サプライチェーンリスクについて当社グループは、需給バランス、作柄、国際相場等様々な調達リスクや市場の変化に素早く対応できるよう、取扱商品により産地を分散化し安定的に調達できるよう努めております。さらに、サプライチェーン全体においてどこで人権リスクが発生しやすいかを分析・確認することが重要であり予防・低減に努めております。しかしながら、世界的な需給バランスの変化や不作、調達国における法律等の変更や政治的混乱、国際紛争等により商品の大幅な価格上昇や調達量不足が生じた場合やサプライチェーンにおける児童労働、強制労働、外国人労働者の差別等による当社グループの社会的な信用低下により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。途上国・新興国等における人権状況等に鑑み発生の可能性は中、影響度は、当社グループの一部の商品において代替が難しいものが含まれるため中と認識しております。それらの対策として、サプライチェーンにおけるリスクの該否及び対応について確認と継続的な対応改善を図ってまいります。 (4) 地政学的リスクについて当社グループは、世界各地における政治・社会情勢の不安定化や外交関係の緊張、紛争等に起因する地政学的リスクが継続的に存在していると認識しております。具体的には、米中対立の激化による輸出入制限や関税の引き上げ、ロシア・ウクライナ情勢や中東地域における紛争、台湾海峡を巡る緊張の高まりなどが挙げられます。これらの事象が発生または長期化した場合、原材料やエネルギー価格の高騰、サプライチェーンの分断、物流の混乱等が生じ、事業活動に支障をきたす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は中、影響度は中と認識しております。引き続き、国際情勢の継続的なモニタリング、サプライチェーンの強化を図ること等の対策を講じることで、著しい影響の回避を図ってまいります。(5) 食の安全について当社グループは、取扱商品の多くを海外から調達しており、その衛生管理に関し、専門部署による品質チェック、海外製造元に対する監査・指導等を通じ、万全な品質管理体制を敷き、十分な注意を払っておりますが、偶発的な事象等による商品事故や当社グループの取り組み範囲を超えるトラブルが発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。不断の管理により未然防止に努めているため、過去においてリスクは最小限に抑えてまいりましたが、食の安全安心の観点から慎重を期し発生の可能性は高、影響度は、当社グループの取扱商品が多岐にわたることから個々の商品としては小と認識しております。引き続き事故に繋がるいかなる兆候も見逃さず、油断なく管理を行ってまいります。(6) 感染症(パンデミック)のリスクについて2020年に発生した新型コロナウイルスは世界中に拡散し、人々の社会生活や経済活動を一変させ、当社グループの主力マーケットである食品業界では、特に外食関連において深刻な打撃を与えてきました。当社グループについて、感染症(パンデミック)に関して想定されている主要なリスクは次の通りであります。① 国内外にて需要減少により販売が低下するリスク② 販売ルートのいずれかで信用面の悪化が生じ連鎖するリスク③ 生産拠点あるいは物流、サプライチェーンにおいて何らかの支障が生じ、販売用の仕入れ商品の調達が滞るリスク④ 顧客・取引先と対面商談ができないことによるリスク⑤ 当社グループのいずれかのユニットで社内感染により業務が停止するリスク⑥ リモートワークに伴う業務機能の低下、あるいは社員の精神的な不安、ストレス等のリスク⑦ 金融市場の混乱、あるいは当社グループの不測の業績悪化により資金調達に支障が生じるリスク例年、インフルエンザ等はありますが、今回の新型コロナウイルスほどのパンデミックは1920年代のスペイン風邪以来と言われており、発生の可能性は低であると認識しております。しかしながら、感染症(パンデミック)が当社グループ商品の需要先の一つである国内外の外食関連に対し厳しい打撃を与える場合の影響度は大と考えられ、中食等影響を受けない分野の営業強化や新しい販売チャンネルの開拓等の必要性を認識し、継続して検討してまいります。(7) 取引先の信用リスクについて当社グループでは、国内外の取引先との商取引に伴い発生する売掛債権等の信用リスクが存在します。債権の回収不能という事態を未然に防ぐため、情報収集や与信管理等を徹底し、取引信用保険を付保して、債権の保全策を講じております。また、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を見積り、回収不能見込額を貸倒引当金に計上しております。しかしながら、取引先の予期せぬ事態により信用状況等が大きく悪化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ここ約10年来、管理強化に取り組んできた結果、本件リスクが顕在化したことはほとんどありませんが、実際の貸倒引当金の計上事案等を鑑み、発生の可能性は高、影響度は、与信先の分散により小と認識しております。引き続き緻密に管理を行ってまいります。 (8) 物流等のインフラ機能不全の影響について当社グループは、輸出入取引に係る貿易業務、常温もしくは冷蔵・冷凍保管、運送をそれぞれに強みのある取引先業者に委託し、それらを通じ様々な物流関連のインフラを利用しております。後述する自然災害のケースのみならず、突発的な電力等の供給不足、大規模ネット障害等によりインフラ機能に支障が生じ、その対応のため、一時的に、関連コストの増加を余儀なくされる場合があります。一方で、物流業界の慢性的な人手不足は、将来的に物流コストの上昇を招くものであり、現に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼしておりますが、物流を担当する専門部署を設置し、物流の最適化を進めており、それをもとに発生の可能性は低、影響度は中と認識しております。(9) 競合について当社グループは、専門商社として取扱商品をコーヒー焙煎業者、飲料メーカー、業務用食品問屋、量販店、外食チェーン等へ販売しており、競合他社に対する差別化を図るため主に商品の魅力、特性を訴求しております。今後、消費者の嗜好変化に伴う需要変動、新規参入、販売先の系列化等の影響により競争がさらに激化するような場合には収益性が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。流行商品は変遷し、販売先の事業見直しや合従連衡は起きていますが、大規模なものの発生の可能性は中、影響度は小と認識しております。当社グループの商品開発力、営業力に磨きをかけ、一層の競争優位を図ってまいります。(10) 人財リスクについて当社グループにあっては人財が最重要の経営資源であり、新卒及び中途採用を通じて優秀な人財の獲得及び育成に力を入れております。しかしながら、これら優秀な人財の退職や日本国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少、産業構造の変化等により人財の確保が計画どおりに遂行できなかった場合、あるいは予見し得なかった突発的な事情により相応に知見・技能を有した人財の手当てが相当期間できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに当該リスクの発生の可能性は中、影響度は小と認識しております。社員エンゲージメントを高めるために、各社員がモチベーションを持ってそれぞれの能力を伸ばしながら安心して働ける環境作り、時代に即した働き方の採用、適切な待遇、加えて緻密で整合性のある事業計画と要員計画の実践、これらを通じ安定した要員体制を保持してまいります。(11) 海外事業展開について当社グループは、中長期的な視点で今後の国内需要の伸びに大きな期待をすることは難しいため、漸次、輸出事業の他、販売・製造拠点展開等、投資含め海外事業を拡大させております。それぞれの案件の採算を慎重に検証し、分散を図り、進捗ペースは既存の事業収益と適度なバランスが保たれるようコントロールしておりますが、対象国・地域に関して政治・経済情勢の変化、政策変更の他、自然災害、テロ、争乱等の予期し得ないリスクも存在しております。そうしたリスクの顕在化の程度が著しい場合、あるいは事前想定が困難なイレギュラー要因により計画とのギャップが顕著な場合には、減損の計上等を通じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに当該リスクの発生の可能性は中、影響度は海外事業のボリュームが依然小さいため小と認識しております。きめ細かな情報収集と管理により、不測の事態が起きないよう努めてまいります。 (12) 保有資産の減損等のリスクについて当社グループは、グループ会社にてコーヒー・飲料関連の加工工場を有し、対象事業の維持と拡大を図るため、漸次、機械設備等の増強、保守・更新を行っております。そうした投資案件に関し、金額・内容の妥当性や損益・資金収支の見通し等を慎重に検討の上、金額に応じ取締役会等で決定し、適切に進めております。しかしながら予期せぬ事態の発生により需要が当初予測を大幅に下回った場合、対象資産に係る損益・資金収支に影響を与え、それが高じた際には減損を余儀なくされ、それらにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに当該リスクの発生の可能性は低、影響度は中と認識しております。引き続き投資判断を厳正に行うとともに、投資後案件をマネジメントレベルで定期的にレビューすること、保有資産の稼働状況、需要及び損益の先行き見通しを適切に管理することにより、不測の事態が起きないよう努めてまいります。(13) 有利子負債の依存度について当社グループは、運転資金及び設備投資資金等を主に金融機関からの借入れにより調達しており、総資産に占める有利子負債の割合が2026年3月決算期で28.5%(有利子負債残高(リース債務を含む)11,339百万円/総資産39,844百万円)といった水準にあります。収益力向上とキャッシュ・フロー重視の経営によりこの水準を引き下げ、金融機関とは円滑、安定的な関係維持を図っておりますが、金融環境の変化により金利が大きく上昇した場合、あるいは金融市場の動揺、当社信用力に係る評価の著しい悪化等で資金調達が制約を受けた場合、調達コストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまで本件リスクが顕在化したことはなく、発生の可能性は低、影響度は小と認識しております。引き続き当社グループのバランスシートに万全の注意を払い、金融市場の状況を見ながら、円滑、安定した金融機関取引を継続してまいります。(14) 気候変動リスクによる影響について気候変動や地球温暖化の原因とされるGHG(温室効果ガス)削減が世界的に叫ばれるなか、当社グループの主要取扱商品であるコーヒーに関しては、コーヒー豆の生産地が2050年まで半減するという「2050年問題」が注目され、当社グループとしても検討すべきリスクファクターに含めております。また、他の商品についても少なからず気候変動の影響を受けるものと考えられます。本件は長期的に取り組むべきテーマであり、現時点では発生の可能性は低、影響度は小と認識しておりますが、目下、グループ全体としてGHG(温室効果ガス)排出量の合理的な算出に取り組んでおり、さらにScope1・2とScope3に分けそれぞれの具体的な削減に向けた活動を推進しております。同様の観点で、当社グループはSDGsへの取り組みをグループ挙げての方針に掲げており、その一環として、近畿大学との共同により、コーヒーグラウンズ(コーヒー残渣)由来のバイオ燃料によるコーヒーの焙煎(グリーン焙煎)に成功しました。現在、兵庫県小野市に建設中の新工場ではサーキュラーエコノミーシステムを用いたグリーン焙煎機の導入準備を進めており、先行して、神奈川・横浜工場でグリーン焙煎機が本格稼働しております。(15) 自然災害等による影響について当社グループでは、自然災害等により事業所や設備の損壊による事業活動の低下や停止等、不測の事態が発生する可能性があるため、リスク管理委員会において対応の整備を図っております。しかしながら、予期せぬ自然災害等により想定を著しく超える事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験や統計的な判断をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低、影響度は小と認識しております。BCP(事業継続計画)の強化を図りながら、想定外に対応するような事前検討・準備を怠りなく行い、きめ細かな状況分析に基づく的確な判断により、著しい影響の回避を図ってまいります。 (16) 需要期の季節集中について当社グループは、取り扱う商品の中に冬季を中心に需要が高まるものを含んでおります。特に一部の商品は、年末・年初に繁忙期を迎えるため、売上高や利益が増加する傾向があります。そのため、需要期・繁忙期に突発的な自然災害、事変等が発生し、充分な需要を確保できないような事態が発生した場合、年度を通じた業績への影響等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低、影響度は小と認識しております。引き続ききめ細かな状況分析に基づく的確な判断により、著しい影響の回避を図ってまいります。(17) 法的規制等について当社グループは、事業の遂行にあたって、品質・衛生・表示面について食品衛生法、JAS法及び食品表示法等を遵守しております。しかしながら、海外との取引が盛んな当社は、日本のみならず海外各国の法的規制も受けており、各国で法令の変更や新たな法令の施行等があった場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。またこれらにより、各種規制事項を遵守するためのコストが増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低、影響度は小と認識しております。引き続き、きめ細かな状況分析に基づく的確な判断により、不測の事態が起きないよう努めてまいります。(18) 投資有価証券について当社グループは、良好な取引関係を維持する目的で一部の取引先企業の株式を保有しております。これらの保有 株式に関し定期的に取引関係、保有メリットが資本コストに見合っているかを精査し、保有の適否を見直すことと しておりますが、景気や市場動向、発行体の信用状況等の急激な変化により保有している有価証券の価格が著しく下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低、影響度は小と認識しております。引き続き、きめ細かな精査と見直しにより、著しい影響の回避を図ってまいります。(19) 繰延税金資産について当社グループは、我が国において一般的に通用する会計規則に則り、将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の見積もり等に大きな変動が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これまでの経験をもとに大事に至る当該リスクの発生の可能性は低、影響度は小と認識しております。引き続ききめ細かく管理し、不測の事態が起きないよう努めてまいります。

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