事業の概要
- 多角的な素材事業東洋紡グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維といった幅広い分野で事業を展開しています。例えば、食品包装に使われるフィルムや、医薬品の製造に必要なバイオ製品、自動車のエアバッグに使われる繊維など、多岐にわたる素材や製品を提供することで収益を上げています。
- 研究開発型ビジネス診断薬用酵素などのバイオ製品や、エンジニアリングプラスチック、スーパー繊維といった高機能素材の製造・販売に強みを持っています。これらの製品は高度な技術や専門知識を必要とし、研究開発を通じて新たな価値を創出することで、競争力を維持し収益を確保しています。
- グローバルなサプライチェーン国内外に生産拠点と販売網を持ち、連結子会社や関連会社と連携しながら事業を展開しています。原材料の調達から製品の製造・加工、そして販売までを一貫して行うことで、効率的なサプライチェーンを構築し、安定的な事業運営と収益の確保を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- フィルム事業包装用や工業用フィルムの製造・加工・販売が主な事業内容です。売上高は1,668.42億円、営業利益は69.2億円と、グループ内で最も売上が大きく、主力事業の一つです。
- ライフサイエンス事業診断薬用酵素などのバイオ製品、医薬品、医用膜、医療機器の製造・加工・販売を行っています。売上高は343.41億円、営業利益は20.1億円で、専門性の高い製品を提供しています。
- 環境・機能材事業エンジニアリングプラスチック、工業用接着剤、機能フィルター、スーパー繊維、アクア膜などの製造・販売を手掛けています。売上高は1,108.07億円、営業利益は79.61億円と、高機能素材分野で高い収益性を誇ります。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Films | 事業 | 1,668 | 69 | 4.1% |
| LifeScience | 事業 | 343 | 20 | 5.9% |
| EnvironmentAndFunctionalMaterial | 事業 | 1,108 | 80 | 7.2% |
| FunctionalFiberAndTrading | 事業 | 981 | 5 | 0.5% |
| RealEstate | 事業 | 41 | 18 | 42.8% |
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3【事業の内容】当社および当社の関係会社が営んでいる主な事業内容と、当該事業における位置づけおよびセグメントとの関連は、次のとおりです。 フ ィ ル ム :当社グループは、包装用フィルム、工業用フィルム等の製造・加工および販売を行っています。東洋クロス㈱等の連結子会社5社と非連結子会社および関連会社7社は、フィルム等の化成品の製造・加工および販売を行っており、当社とも原料等の売買を行っています。ラ イ フ サ イ エ ン ス:当社グループは、診断薬用酵素等のバイオ製品、医薬品、医用膜、医療機器等の製造・加工および販売を行っています。Spinreact, S.A.U.等の連結子会社3社は、診断薬の製造および販売や機器の製造・販売等を行っています。環 境 ・ 機 能 材 :東洋紡エムシー㈱等の連結子会社12社と関連会社1社は、エンジニアリングプラスチック、工業用接着剤、光機能材料、機能フィルター、スーパー繊維、アクア膜、不織布等の製造・販売を行っており、当社とも原料等の売買を行っています。機 能 繊 維 ・ 商 事:当社グループは、エアバッグ用基布等の製造・加工および販売を行っています。また、衣料テキスタイル、衣料ファイバーの製造・販売を行っています。TOYOBO INDUSTRIAL MATERIAL (THAILAND) LTD.等の連結子会社3社および関連会社2社は、エアバッグ用基布等の製造および販売を行っており、当社とも原料等の売買を行っています。東洋紡せんい㈱等の連結子会社10社と非連結子会社および関連会社3社は紡績・織・編・染等の繊維加工および合成繊維・繊維二次製品等の製造・販売を行っており、当社とも原料等の売買を行っています。東洋紡STC㈱等の連結子会社9社は、各種工業品の流通等を行っています。不 動 産 :東洋紡不動産㈱等の連結子会社2社は、不動産の販売・賃貸・管理等を行っています。そ の 他 :東洋紡エンジニアリング㈱は、建物・機械等の設計・施工および機器の販売を行っています。また、同社は当社の工場設備の設計・施工等も受託しています。東洋紡ロジスティクス㈱等の連結子会社2社と非連結子会社および関連会社2社は、物流サービス等を行っており、当社にもサービス等を提供しています。 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次ページのとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 原材料価格高騰時に販売価格への転嫁や製造コスト低減に努めているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 包装用フィルム、工業用フィルム、バイオ製品、医薬品、医用膜、医療機器等の製造・加工・販売。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:災害・事故・感染症の発生 / 政治・経済情勢の悪化 / 原材料の購入価格高騰
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
東洋紡は、高機能繊維やフィルム、不織布などの分野で長年の研究開発により培われた技術力を持つ。特に、特殊ポリマーや加工技術に関する特許は存在するが、競合他社も同様の技術開発を進めており、圧倒的なブランド力や独占的IPによる優位性は限定的。
スイッチングコスト★★☆☆☆
一部の産業用資材(例:自動車用エアバッグクロス、ディスプレイ用フィルム)では、顧客の仕様要求や品質基準が厳格であり、サプライヤー変更には時間とコストがかかる可能性がある。しかし、汎用的な素材も多く、顧客の乗り換え障壁は全体として高くない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
東洋紡の事業は、特定のプラットフォームやサービスを介したユーザー間の相互作用に依存するものではなく、ネットワーク効果は期待できない。
コスト優位★☆☆☆☆
長年の操業で培われた生産ノウハウや効率化の努力はあるが、化学産業全体として原料価格の変動やエネルギーコストの影響を受けやすく、構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。規模の経済によるコスト削減効果は限定的。
規模の経済★★★☆☆
高機能繊維、フィルム、不織布、化成品など多岐にわたる事業を展開しており、各分野で一定の生産規模を持つ。特に、特定のニッチ市場においては、業界内で上位のシェアを占める製品もあると考えられる。しかし、グローバルな化学メーカーと比較すると、圧倒的な規模の優位性はない。
- 多様な高機能素材技術包装用フィルムから医薬品、スーパー繊維、アクア膜まで、幅広い分野で独自の高機能素材技術を保有しています。これにより、様々な産業のニーズに応えることができ、特定の市場変動リスクを分散し、安定した収益基盤を築いています。
- 強固なグループ連携多数の連結子会社や関連会社が、フィルム、化成品、診断薬、エンジニアリングプラスチック、機能繊維などの製造・加工・販売を担っています。グループ内で原料の売買やサービスの提供を行うことで、効率的な事業運営とシナジー効果を生み出し、競争力を高めています。
- 品質管理と安全体制製品の欠陥防止のため、所定の品質管理規定に基づき生産を行っています。また、災害・事故防止のため、老朽設備の更新や訓練、オペレーター教育を推進し、安全防災本部を設置して安全管理を徹底しています。これにより、製品の信頼性を高め、顧客からの評価を得ています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1)当社グループの企業理念当社グループは、創立者である渋沢栄一が座右の銘の一つとしていた『順理則裕』を企業理念としています。『順理則裕』とは、「なすべきことをする、なすべからざることはしない。順理を貫くことで、世の中をゆたかにし、自らも成長する。」という会社の創業精神です。いわゆるCSV(Creating Shared Value:社会課題の解決に貢献するとともに、経済的価値の向上を図り、企業価値を高める)の考え方を、当社グループは創業当時から140年以上にわたり受け継いできました。2019年、当社グループは、あらためて渋沢栄一の創業精神に立ち戻り、時代の変化に対応しながら、社会への貢献を通じて持続的に成長できる会社となることをめざして、企業理念体系「TOYOBO PVVs」として再整理しました。 ■企業理念体系「TOYOBO PVVs」 (2)サステナブル・ビジョン2030(2022年5月発表)当社グループは、企業理念体系「TOYOBO PVVs」に基づいて、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」を発表しました。今後の事業環境の変化や社会トレンドを想定し、「人」と「地球」に関する5つの社会課題とサステナビリティ目標およびアクションプランを設定しています。当社のコア技術をベースにしたイノベーションにより5つの社会課題解決へ貢献していくことで、「安心してくらせる「ゆたか」な社会の実現と企業価値向上のスパイラルアップ」という当社グループのありたい姿を実現していきます。 ■サステナブル・ビジョン2030の全体像 (3)マテリアリティ当社グループは、ステークホルダーの要請・期待に応え、めざす姿「人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループ」を実現するため、マテリアリティ(サステナブルな会社であるための重要課題)を特定しています。ステークホルダーにとっての影響度と当社グループにとっての影響度の2軸から、優先度の高い目標を明確にし、「事業を通じて社会課題解決に貢献する」「人的資本」「環境・モノづくり」「事業基盤」の4つの領域に整理しました。 ■マテリアリティマップ (4)2025中期経営計画、および2026年度以降の取組み(2022~2025年度)(2022年5月発表)① 基本方針「2025中期経営計画(2022~2025年度)(以下、「2025中計」といいます。)」では、2025年を「サステナブル・ビジョン2030」で掲げる目標達成に向けた通過点としました。2025中計策定時点において、大規模な火災事故や品質不適切事案など、製造業としての信頼が揺らぐ事案を抱える一方、工業用フィルム事業を除く事業の成長が足踏みしていました。そこで、2022年度から2025年度までの期間を「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、「安全・防災、品質の徹底」「事業ポートフォリオの組替え」「未来への仕込み」「土台の再構築」の4つの施策への取組みを通じて、「サステナブル・グロース」への変革を図りました。 ■基本方針と4つの施策 ② 2025中計の進捗(2022~2025年度)(イ)経営環境2025中計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では、インフレ抑制を目的とした金融引締めや相互関税政策の影響がみられたものの、雇用環境の底堅さを背景に個人消費は概ね堅調に推移し、景気は総じて底堅く推移しました。中国では、不動産市場の低迷が長期化し、個人消費も力強さを欠いたことから、内需の回復は限定的にとどまり、景気停滞が継続しました。国内においては、賃上げの広がりを背景とした所得環境の改善や、企業の設備投資の持ち直しにより、景気は緩やかな回復基調で推移しました。 (ロ)業績このような経営環境の中、2022年度から2025年度までの2025中計は、「サステナブル・ビジョン2030」の前半、「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、4つの施策に取り組んできました。安全・防災、品質の徹底、事業ポートフォリオの組替え、未来への仕込み、そして土台の再構築など、積極的な設備投資、事業構造改革、組織風土改革を含めた基盤づくりと成長に向けた仕込みを進めました。しかしながら、急激な原燃料高騰など事業環境変化への対応遅れ、大型成長投資の立上げ遅れなどにより、営業利益、ROE、ROICなどの財務指標は当初計画に対し未達となりました。2025中計の最初の2年間は、収益が大きく低下しましたが、後半は、価値に見合ったプライシングの徹底、要改善事業への対策、全社プロジェクトによる経費削減などにより、収益の回復、改善を図りました。 ■財務指標 ■稼ぐ力の低下と回復 (ハ)4つの施策の進捗2025中計の4つの施策のうち、「安全・防災、品質の徹底」「未来への仕込み」「土台の再構築」は着実に前進しましたが、「事業ポートフォリオの組替え」に遅れが生じました。i)施策1:安全・防災、品質の徹底安全・防災については、「ゼロ災」をめざして、「安全防災ロードマップ」に沿って、ハード面(安全基盤の整備)、ソフト面(安全文化の醸成)での取組みを進めてきました。2021年度以降、重大インシデント・ゼロを達成しました。具体的な取組みとして、ハード面においては、現場安全防災総点検を実施し、老朽化更新を含む安全・防災投資を進めました。また、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得を進め、2026年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場、犬山工場の4拠点が取得しています。ソフト面においては、安全ワークショップの推進や、安全意識調査の実施と結果の活用を進めました。品質については、「品質保証体制再構築ロードマップ」に沿って、PL/QAアセスメントの徹底、品質データのオンライン化、品質の中核人材育成(Qaceセミナー)(※)を含む製品安全・品質保証教育の充実化や品質不正に関する研修などのコンプライアンス教育の強化、品質保証マニュアルの多言語化(海外拠点への共有)などを進めました。加えて、品質文化の醸成、その基盤となる組織風土改革、安全・安心を最優先するモノづくりを推進しました。過年度に発生した品質不適切事案への対応として、エンジニアリングプラスチック製品においてISO9001認証を2024年5月に再取得し、医薬品製造受託においてアメリカ食品医薬品局(FDA)より受領していたWarning Letterが2023年7月に解除されました。(※) Qace:Qa_assurance Qc_control Qe_ensuranceの頭文字をとったもの ii)施策2:事業ポートフォリオの組替え「収益性」と「成長性」の2軸により、各事業を「重点拡大事業」「安定収益事業」「要改善事業」「新規育成事業」に層別し、それぞれの位置づけに応じた事業運営を行いました。「収益性」は営業利益を使用資本で除した使用資本利益率(ROCE)、「成長性」は年平均売上高成長率(CAGR)を指標としました。「収益性」は資本コストをベースにハードルレート6.5%、「成長性」は業界の年平均売上高成長率を参考にハードルレート4.5%を目安として設定しました。なお、当社グループ全体の資本効率性指標はROICとしましたが、各事業の層別においてはROCEを用いました。 ■事業ポートフォリオ(位置づけの変化) a.重点拡大事業フィルム事業およびライフサイエンス事業は、当社グループに優位性があり、市場の拡大が見込めるものとして「重点拡大事業」に位置づけ、中長期の成長拡大をめざして積極的な投資を計画どおりに実施してきました。一方で、技術難易度の高い新製品の製造設備を含め、大型投資が集中したことから、一部の新設備において立上げ遅れが生じ、収益に影響を与えました。 b.安定収益事業環境・機能材事業は、安定収益事業に位置づけられていますが、各商材のもつ成長機会および潜在力を再評価し、第三の柱とすべく、2023年4月に、三菱商事株式会社との合弁会社である東洋紡エムシー株式会社による事業運営を開始しました。当社のモノづくりと三菱商事株式会社のグローバル経営力により、経営基盤の整備・強化、収益改善施策の実行を進めるなど、順調な立ち上がりを見せました。c.要改善事業2025中計策定当初、要改善事業に位置づけられた衣料繊維事業、エアバッグ用基布事業、医薬品製造受託事業の3事業は、黒字化ロードマップに従い、収益性は着実に改善しました。しかしながら、包装用フィルム事業と不織布マテリアル事業においては、原燃料価格高騰など事業環境の変化により収益性が低下しました。このことにより、当該2事業の位置づけを2024年度に要改善事業に変更し、それぞれに収益性改善に向けた対策を実行しました。 ■セグメント別 アクションプランの結果 iii)施策3:未来への仕込み4つのコア技術「高分子技術」「バイオ・メディカル技術」「環境技術」「分析・シミュレーション技術」を融合させ、リニューアブルポリマー100%を目標とする「新循環プラスチックソリューション」、水・空気などの環境浄化やCO2の回収・利用に貢献する「環境アクティブクリーンソリューション」、人々が健康に寿命を全うできる社会をめざす「Well-Beingソリューション」の3つの領域でイノベーションの創出を進めました。また、気候変動対応として、カーボンニュートラルに向けて策定した「GHG排出量削減ロードマップ」に沿って、Scope1,2の2050年ネットゼロ達成に向けて取り組むと同時に、バリューチェーン全体のGHG排出量の削減を進めました。加えて、燃料電池や風力発電に使われる材料、良質な水域・大気の維持に貢献する海水淡水化膜やVOC(揮発性有機化合物)回収装置など環境分野での拡販を図りました。さらに、DXの実現に向けて、IT環境を整備し、ビジネス・イノベーションを加速・推進するための基盤づくりを進めました。当社はこの取組みについて、経済産業省の認定基準を満たしていることが評価され、2024年2月に「DX認定事業者」の認定を取得しました。また、TX(Toyobo-Transformation)活動として、デジタル活用にとどまらず、意識改革・組織風土改革までを含む「付加価値革命」を実践する取組みを進めました。 iv)施策4:土台の再構築当社グループが持続的に成長していくために必要な基盤の再構築として、「人的資本」「人権の尊重」「モノづくり現場力の強化」「事業基盤の整備」「ガバナンス・コンプライアンス」「組織風土改革」を進めました。「人的資本」については、「人」こそが最も重要な経営資本と位置づける「人材マネジメント方針」のもと各種施策を実行しました。具体的には、次世代経営人材やモノづくりを支える現場リーダーなどの人材育成、ダイバーシティの推進、健康経営の推進などの取組みを進めていくことで、従業員の幸せと当社グループの持続的成長、そして、従業員エンゲージメントの向上を図りました。 「人権の尊重」については、2020年10月に制定(2024年2月改定)した「東洋紡グループ人権方針」にのっとり、外国人技能実習生の就業状況を把握し、特に海外グループ会社において児童労働や強制労働がないことの確認を進めました。また、役員・従業員向けに「ビジネスと人権研修」を実施し、人権デュー・デリジェンスの啓発を進めました。「モノづくり現場力の強化」については、技術者教育体系の整備や階層別教育の強化を行い、デジタル技術の活用(スマートファクトリーなど)、全社の知恵を結集するための現場交流や3Sの取組みなどにより、生産革新活動の全社展開を進めました。「事業基盤の整備」については、全社・事業所拠点構想の検討、老朽化したインフラのリニューアル投資やレガシーシステムの更新などに取り組みました。「ガバナンス・コンプライアンス」については、グループガバナンスの強化として、リスクマネジメント体制の整備を行いました。具体的には、リスクマネジメント部は、リスク内在部門(事業)、リスク主管部門(スタッフ)と連携しながら、リスクアセスメント(重大リスクの抽出、モニタリング)、リスク最小化のための資源配置を行い、グループ会社へも展開しました。内部監査部は、監査の結果および財務報告に係る内部統制評価の状況を取締役会および監査等委員会へ報告し、内部監査機能の実効性を確保しています。また、コンプライアンスについては、全従業員の理解促進とルールの周知徹底を行うため、「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を毎年発行・配布しています。また、研修や勉強会の充実や具体事例の共有等を推進するとともに、内部通報窓口の利用促進を図りました。「組織風土改革」については、人事・労務総括部による企業理念体系「TOYOBO PVVs」の浸透活動を軸に、組織の垣根を越えて、気づきを改善・改革につなげる働きかけや「カエ続ける」ことを文化として定着させるための取組みを行いました。また、社長ほか経営幹部と従業員が対話する「まじめな雑談」など職場での対話機会を広げていくことで、心理的安全性の向上に努めました。 ③ 2026年度以降の取組み(2030中期経営計画(2026~2030年度))当社グループは、「サステナブル・ビジョン2030」の後半に位置づける「2030中期経営計画」(以下、「2030中計」といいます。)を策定しました。2030中計では、財務体質の改善と利益成長を両立させ、事業ポートフォリオ改革と投資効果により2030年度までにROE8%超をめざします。具体的には、「安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底」を大前提とし、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の3つの施策を進めます。 (イ)安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底(大前提)安全・防災については、「安全防災ロードマップ」に沿って、安全文化の醸成と安全基盤の整備を活動の両輪とし、全ての階層への教育の充実や安全防災投資によるリスク低減に取り組み、「ゼロ災」をめざします。品質については、「品質保証体制再構築ロードマップ」に沿って、PL/QAアセスメントの徹底、品質データのオンライン化などを推進することで、安全・安心な製品・サービスをお届けします。コンプライアンスについては、引き続き、研修の充実や具体事例の共有、内部通報窓口の利用促進施策などを進め、問題の早期発見と是正に努めます。 (ロ)事業ポートフォリオ改革主な事業を、収益性(事業別ROA)と将来性(今後の市場成長率、市場シェアなど)の軸で評価し、「重点」「維持改善」「育成」「課題」に層別しました。2030年度に向けて、「重点事業」には、収益拡大のため積極的に資源を投下し、「維持改善事業」は、投資を抑制しつつ、収益を最大化していきます。「育成事業」は、競争力を強化し、収益力を高めていきます。一方、「課題事業」は、収益性と資産効率の改善に取り組みます。これら層別に基づく取組みを進めることで、2028年度には、主要事業の使用資本全体に占める重点事業の比率を2025年度時点の27%から50%超に引き上げる計画です。 ■事業ポートフォリオ改革 (ハ)未来への布石当社グループの価値創造ストーリー(※1)に基づき、「先端材料」「ヘルスケア」「環境・エネルギー」の3つの領域を、価値提供領域と再設定しました。当該3領域に開発資源をシフトすることにより、技術・製品開発と事業化を加速していきます。また、当社グループの技術や製品を社会の課題解決(ソリューション)、社会実装につなげるために、技術開発と市場・顧客の開発の融合などマーケティング機能を強化します。一方、当社グループは、気候変動リスクへの対応として策定した「カーボンニュートラルに向けたロードマップ」に沿って、2050年までにGHG(※2)排出量(Scope1,Scope2)ネットゼロ達成に向けて取り組みます。併せて、当社グループの活動に関連するバリューチェーン全体のGHG排出量の削減を進めます。 ※1 )価値創造ストーリー・『順理則裕』(なすべきことをなし、ゆたかにする)のもと・高分子、バイオのコア技術をベースに、柔軟性と変革のDNA、粘り強さ、真摯さの企業文化により、社会課題の解決に貢献し続ける・お客様との共創、およびパートナーとの協業を通じて、多様な素材を目的性能に最適化することで、顧客価値を創造し、人々の暮らしと地球環境を「ゆたか」にする。そして、私たち(人・企業)も成長・発展し続ける ※2)GHG:Greenhouse Gas(温室効果ガス) ■未来への布石(価値提供領域) ■未来への布石(重点3領域) (ニ)基盤づくり・強化人的資本においては、価値創造ストーリー、中期計画と連動した人材開発、組織開発に取り組みます。TX(Toyobo-Transformation、東洋紡が変わる)の推進においては、「ヤメル、まとめる、つなぐ」の基本方針を通じて、デジタル技術も活用し、業務改革、ものづくり改革など生産性改革と付加価値の創出を図ります。安全・防災、品質については、これまでの取組み成果を踏まえ、新たなロードマップに沿って活動を推進します。加えて、リスクマネジメント体制の整備など、経営基盤の整備・強化を図ります。 ■基盤づくり(TXの推進) ■基盤づくり(安全・防災、品質) ④ 財務指標当社は、2025中期経営計画において、「売上高」「営業利益」「営業利益率」「EBITDA」「当期純利益」「自己資本利益率(ROE)」「投下資本利益率(ROIC)」「D/Eレシオ」「Net Debt/EBITDA倍率」を重要な財務指標として設定し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んできました。持続的な成長を実現する観点からは、積極的な投資マインドを社内に醸成するため、営業利益に減価償却費を加えた「EBITDA」を活用するとともに、資本効率を重視した経営を推進する目的で「投下資本利益率(ROIC)」を重視し、成長性と効率性の両面から経営資源の適切な配分に努めてきました。また、社債の発行体格付の維持・向上等を通じて資金調達の安定性を確保する観点から、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオを重視し、財務規律の維持に取り組んできました。2018年度から2021年度までの中期経営計画においては、D/Eレシオ1.0倍未満を目標として掲げ、当該目標を達成しました。これを踏まえ、2025中期経営計画では、将来の成長に向けた先行投資を機動的に実行する観点から、D/Eレシオの目標を1.2倍未満とし、併せて、キャッシュ・フロー創出力と有利子負債とのバランスを適切に管理するため、Net Debt/EBITDA倍率を指標に加え、4倍台を目安として財務運営を行ってきました。しかしながら、経営環境の大きな変化に加え、事業ポートフォリオの組替えの遅れによる営業キャッシュ・フローの減少や、フィルム事業、ライフサイエンス分野をはじめとする成長事業への大型投資を優先的に実行した結果、有利子負債が増加しました。この結果、2025年3月末において、D/Eレシオは1.37倍、Net Debt/EBITDA倍率は6.1倍となり、財務指標は一時的に悪化する状況となりました。このような状況を踏まえ、成長投資の継続と財務健全性の両立を図ることを目的として、2024年9月に、劣後特約付ローンおよび公募劣後特約付社債により、総額400億円の資金調達を実施しました。これらの資金調達は、資本性を考慮した財務基盤の強化に寄与するとともに、信用力を維持しながら中長期的な成長に必要な投資余力を確保するための施策として位置づけています。2025年度においては、要改善事業の正常化および構造改革の進展を通じて、事業の稼ぐ力を回復させるための取組みを進めてきました。その結果、営業利益およびEBITDAは改善基調に転じ、ROE、ROICといった資本効率指標についても回復に向けた動きが見られるようになりました。あわせて、D/EレシオおよびNet Debt/EBITDA倍率についても、改善に向けた道筋を示すことができたものと認識しています。一方で、持続的な企業価値向上に向けては、収益力の回復を確実なものとしつつ、事業ポートフォリオ改革を一層推し進め、営業キャッシュ・フロー創出力を大幅に向上させることが重要であると認識しています。こうした2025年度までの実績および課題認識を踏まえ、当社は2026年度以降を対象とする新たな中期経営計画(2030中計)を策定しました。2030中計においては、収益力の回復と事業ポートフォリオ改革の進展を通じ、営業キャッシュ・フロー創出力の大幅な向上を図る方針としています。こうしたキャッシュ・フローの改善を基盤として、成長分野をはじめ、安全・防災・環境に関する投資を継続的に実行するとともに、財務規律を維持しながら、D/EレシオおよびNet Debt/EBITDA倍率の改善、ならびに資本効率の段階的な向上をめざす方針としています。当社は、2025年度経営方針として掲げた「未来をつくるために稼ぐ力を取り戻す」のもとで進めてきた取組みを確実に成果につなげるとともに、2026年度以降は、2030中計に基づく成長ステージへと移行することで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。中東情勢の緊迫化による影響については、2030中計には織り込んでいません。■2030中期経営計画における財務指標 ■2030中期経営計画における財務戦略(キャッシュ・フロー・アロケーション) (設備投資) ⑤ 資本コストや株価を意識した経営当社グループでは、PBRが1.0倍を下回る状態にあることを重く受け止め、引き続き資本コストと株価を意識した経営を推進します。2030中計では、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の三つの施策を着実に実行し、財務体質の改善と利益成長を両立させます。これによりROE8%超をめざすとともに、持続的な企業価値の向上を通じて、PBR1.0倍超の実現および株主価値の向上を図ります。 ■企業価値向上へ向けて ~成長投資・仕込みの成果を実現する~ ⑥ 株主還元方針「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1)当社グループの企業理念当社グループは、創立者である渋沢栄一が座右の銘の一つとしていた『順理則裕』を企業理念としています。『順理則裕』とは、「なすべきことをする、なすべからざることはしない。順理を貫くことで、世の中をゆたかにし、自らも成長する。」という会社の創業精神です。いわゆるCSV(Creating Shared Value:社会課題の解決に貢献するとともに、経済的価値の向上を図り、企業価値を高める)の考え方を、当社グループは創業当時から140年以上にわたり受け継いできました。2019年、当社グループは、あらためて渋沢栄一の創業精神に立ち戻り、時代の変化に対応しながら、社会への貢献を通じて持続的に成長できる会社となることをめざして、企業理念体系「TOYOBO PVVs」として再整理しました。 ■企業理念体系「TOYOBO PVVs」 (2)サステナブル・ビジョン2030(2022年5月発表)当社グループは、企業理念体系「TOYOBO PVVs」に基づいて、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」を発表しました。今後の事業環境の変化や社会トレンドを想定し、「人」と「地球」に関する5つの社会課題とサステナビリティ目標およびアクションプランを設定しています。当社のコア技術をベースにしたイノベーションにより5つの社会課題解決へ貢献していくことで、「安心してくらせる「ゆたか」な社会の実現と企業価値向上のスパイラルアップ」という当社グループのありたい姿を実現していきます。 ■サステナブル・ビジョン2030の全体像 (3)マテリアリティ当社グループは、ステークホルダーの要請・期待に応え、めざす姿「人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループ」を実現するため、マテリアリティ(サステナブルな会社であるための重要課題)を特定しています。ステークホルダーにとっての影響度と当社グループにとっての影響度の2軸から、優先度の高い目標を明確にし、「事業を通じて社会課題解決に貢献する」「人的資本」「環境・モノづくり」「事業基盤」の4つの領域に整理しました。 ■マテリアリティマップ (4)2025中期経営計画、および2026年度以降の取組み(2022~2025年度)(2022年5月発表)① 基本方針「2025中期経営計画(2022~2025年度)(以下、「2025中計」といいます。)」では、2025年を「サステナブル・ビジョン2030」で掲げる目標達成に向けた通過点としました。2025中計策定時点において、大規模な火災事故や品質不適切事案など、製造業としての信頼が揺らぐ事案を抱える一方、工業用フィルム事業を除く事業の成長が足踏みしていました。そこで、2022年度から2025年度までの期間を「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、「安全・防災、品質の徹底」「事業ポートフォリオの組替え」「未来への仕込み」「土台の再構築」の4つの施策への取組みを通じて、「サステナブル・グロース」への変革を図りました。 ■基本方針と4つの施策 ② 2025中計の進捗(2022~2025年度)(イ)経営環境2025中計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では、インフレ抑制を目的とした金融引締めや相互関税政策の影響がみられたものの、雇用環境の底堅さを背景に個人消費は概ね堅調に推移し、景気は総じて底堅く推移しました。中国では、不動産市場の低迷が長期化し、個人消費も力強さを欠いたことから、内需の回復は限定的にとどまり、景気停滞が継続しました。国内においては、賃上げの広がりを背景とした所得環境の改善や、企業の設備投資の持ち直しにより、景気は緩やかな回復基調で推移しました。 (ロ)業績このような経営環境の中、2022年度から2025年度までの2025中計は、「サステナブル・ビジョン2030」の前半、「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、4つの施策に取り組んできました。安全・防災、品質の徹底、事業ポートフォリオの組替え、未来への仕込み、そして土台の再構築など、積極的な設備投資、事業構造改革、組織風土改革を含めた基盤づくりと成長に向けた仕込みを進めました。しかしながら、急激な原燃料高騰など事業環境変化への対応遅れ、大型成長投資の立上げ遅れなどにより、営業利益、ROE、ROICなどの財務指標は当初計画に対し未達となりました。2025中計の最初の2年間は、収益が大きく低下しましたが、後半は、価値に見合ったプライシングの徹底、要改善事業への対策、全社プロジェクトによる経費削減などにより、収益の回復、改善を図りました。 ■財務指標 ■稼ぐ力の低下と回復 (ハ)4つの施策の進捗2025中計の4つの施策のうち、「安全・防災、品質の徹底」「未来への仕込み」「土台の再構築」は着実に前進しましたが、「事業ポートフォリオの組替え」に遅れが生じました。i)施策1:安全・防災、品質の徹底安全・防災については、「ゼロ災」をめざして、「安全防災ロードマップ」に沿って、ハード面(安全基盤の整備)、ソフト面(安全文化の醸成)での取組みを進めてきました。2021年度以降、重大インシデント・ゼロを達成しました。具体的な取組みとして、ハード面においては、現場安全防災総点検を実施し、老朽化更新を含む安全・防災投資を進めました。また、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得を進め、2026年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場、犬山工場の4拠点が取得しています。ソフト面においては、安全ワークショップの推進や、安全意識調査の実施と結果の活用を進めました。品質については、「品質保証体制再構築ロードマップ」に沿って、PL/QAアセスメントの徹底、品質データのオンライン化、品質の中核人材育成(Qaceセミナー)(※)を含む製品安全・品質保証教育の充実化や品質不正に関する研修などのコンプライアンス教育の強化、品質保証マニュアルの多言語化(海外拠点への共有)などを進めました。加えて、品質文化の醸成、その基盤となる組織風土改革、安全・安心を最優先するモノづくりを推進しました。過年度に発生した品質不適切事案への対応として、エンジニアリングプラスチック製品においてISO9001認証を2024年5月に再取得し、医薬品製造受託においてアメリカ食品医薬品局(FDA)より受領していたWarning Letterが2023年7月に解除されました。(※) Qace:Qa_assurance Qc_control Qe_ensuranceの頭文字をとったもの ii)施策2:事業ポートフォリオの組替え「収益性」と「成長性」の2軸により、各事業を「重点拡大事業」「安定収益事業」「要改善事業」「新規育成事業」に層別し、それぞれの位置づけに応じた事業運営を行いました。「収益性」は営業利益を使用資本で除した使用資本利益率(ROCE)、「成長性」は年平均売上高成長率(CAGR)を指標としました。「収益性」は資本コストをベースにハードルレート6.5%、「成長性」は業界の年平均売上高成長率を参考にハードルレート4.5%を目安として設定しました。なお、当社グループ全体の資本効率性指標はROICとしましたが、各事業の層別においてはROCEを用いました。 ■事業ポートフォリオ(位置づけの変化) a.重点拡大事業フィルム事業およびライフサイエンス事業は、当社グループに優位性があり、市場の拡大が見込めるものとして「重点拡大事業」に位置づけ、中長期の成長拡大をめざして積極的な投資を計画どおりに実施してきました。一方で、技術難易度の高い新製品の製造設備を含め、大型投資が集中したことから、一部の新設備において立上げ遅れが生じ、収益に影響を与えました。 b.安定収益事業環境・機能材事業は、安定収益事業に位置づけられていますが、各商材のもつ成長機会および潜在力を再評価し、第三の柱とすべく、2023年4月に、三菱商事株式会社との合弁会社である東洋紡エムシー株式会社による事業運営を開始しました。当社のモノづくりと三菱商事株式会社のグローバル経営力により、経営基盤の整備・強化、収益改善施策の実行を進めるなど、順調な立ち上がりを見せました。c.要改善事業2025中計策定当初、要改善事業に位置づけられた衣料繊維事業、エアバッグ用基布事業、医薬品製造受託事業の3事業は、黒字化ロードマップに従い、収益性は着実に改善しました。しかしながら、包装用フィルム事業と不織布マテリアル事業においては、原燃料価格高騰など事業環境の変化により収益性が低下しました。このことにより、当該2事業の位置づけを2024年度に要改善事業に変更し、それぞれに収益性改善に向けた対策を実行しました。 ■セグメント別 アクションプランの結果 iii)施策3:未来への仕込み4つのコア技術「高分子技術」「バイオ・メディカル技術」「環境技術」「分析・シミュレーション技術」を融合させ、リニューアブルポリマー100%を目標とする「新循環プラスチックソリューション」、水・空気などの環境浄化やCO2の回収・利用に貢献する「環境アクティブクリーンソリューション」、人々が健康に寿命を全うできる社会をめざす「Well-Beingソリューション」の3つの領域でイノベーションの創出を進めました。また、気候変動対応として、カーボンニュートラルに向けて策定した「GHG排出量削減ロードマップ」に沿って、Scope1,2の2050年ネットゼロ達成に向けて取り組むと同時に、バリューチェーン全体のGHG排出量の削減を進めました。加えて、燃料電池や風力発電に使われる材料、良質な水域・大気の維持に貢献する海水淡水化膜やVOC(揮発性有機化合物)回収装置など環境分野での拡販を図りました。さらに、DXの実現に向けて、IT環境を整備し、ビジネス・イノベーションを加速・推進するための基盤づくりを進めました。当社はこの取組みについて、経済産業省の認定基準を満たしていることが評価され、2024年2月に「DX認定事業者」の認定を取得しました。また、TX(Toyobo-Transformation)活動として、デジタル活用にとどまらず、意識改革・組織風土改革までを含む「付加価値革命」を実践する取組みを進めました。 iv)施策4:土台の再構築当社グループが持続的に成長していくために必要な基盤の再構築として、「人的資本」「人権の尊重」「モノづくり現場力の強化」「事業基盤の整備」「ガバナンス・コンプライアンス」「組織風土改革」を進めました。「人的資本」については、「人」こそが最も重要な経営資本と位置づける「人材マネジメント方針」のもと各種施策を実行しました。具体的には、次世代経営人材やモノづくりを支える現場リーダーなどの人材育成、ダイバーシティの推進、健康経営の推進などの取組みを進めていくことで、従業員の幸せと当社グループの持続的成長、そして、従業員エンゲージメントの向上を図りました。 「人権の尊重」については、2020年10月に制定(2024年2月改定)した「東洋紡グループ人権方針」にのっとり、外国人技能実習生の就業状況を把握し、特に海外グループ会社において児童労働や強制労働がないことの確認を進めました。また、役員・従業員向けに「ビジネスと人権研修」を実施し、人権デュー・デリジェンスの啓発を進めました。「モノづくり現場力の強化」については、技術者教育体系の整備や階層別教育の強化を行い、デジタル技術の活用(スマートファクトリーなど)、全社の知恵を結集するための現場交流や3Sの取組みなどにより、生産革新活動の全社展開を進めました。「事業基盤の整備」については、全社・事業所拠点構想の検討、老朽化したインフラのリニューアル投資やレガシーシステムの更新などに取り組みました。「ガバナンス・コンプライアンス」については、グループガバナンスの強化として、リスクマネジメント体制の整備を行いました。具体的には、リスクマネジメント部は、リスク内在部門(事業)、リスク主管部門(スタッフ)と連携しながら、リスクアセスメント(重大リスクの抽出、モニタリング)、リスク最小化のための資源配置を行い、グループ会社へも展開しました。内部監査部は、監査の結果および財務報告に係る内部統制評価の状況を取締役会および監査等委員会へ報告し、内部監査機能の実効性を確保しています。また、コンプライアンスについては、全従業員の理解促進とルールの周知徹底を行うため、「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を毎年発行・配布しています。また、研修や勉強会の充実や具体事例の共有等を推進するとともに、内部通報窓口の利用促進を図りました。「組織風土改革」については、人事・労務総括部による企業理念体系「TOYOBO PVVs」の浸透活動を軸に、組織の垣根を越えて、気づきを改善・改革につなげる働きかけや「カエ続ける」ことを文化として定着させるための取組みを行いました。また、社長ほか経営幹部と従業員が対話する「まじめな雑談」など職場での対話機会を広げていくことで、心理的安全性の向上に努めました。 ③ 2026年度以降の取組み(2030中期経営計画(2026~2030年度))当社グループは、「サステナブル・ビジョン2030」の後半に位置づける「2030中期経営計画」(以下、「2030中計」といいます。)を策定しました。2030中計では、財務体質の改善と利益成長を両立させ、事業ポートフォリオ改革と投資効果により2030年度までにROE8%超をめざします。具体的には、「安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底」を大前提とし、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の3つの施策を進めます。 (イ)安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底(大前提)安全・防災については、「安全防災ロードマップ」に沿って、安全文化の醸成と安全基盤の整備を活動の両輪とし、全ての階層への教育の充実や安全防災投資によるリスク低減に取り組み、「ゼロ災」をめざします。品質については、「品質保証体制再構築ロードマップ」に沿って、PL/QAアセスメントの徹底、品質データのオンライン化などを推進することで、安全・安心な製品・サービスをお届けします。コンプライアンスについては、引き続き、研修の充実や具体事例の共有、内部通報窓口の利用促進施策などを進め、問題の早期発見と是正に努めます。 (ロ)事業ポートフォリオ改革主な事業を、収益性(事業別ROA)と将来性(今後の市場成長率、市場シェアなど)の軸で評価し、「重点」「維持改善」「育成」「課題」に層別しました。2030年度に向けて、「重点事業」には、収益拡大のため積極的に資源を投下し、「維持改善事業」は、投資を抑制しつつ、収益を最大化していきます。「育成事業」は、競争力を強化し、収益力を高めていきます。一方、「課題事業」は、収益性と資産効率の改善に取り組みます。これら層別に基づく取組みを進めることで、2028年度には、主要事業の使用資本全体に占める重点事業の比率を2025年度時点の27%から50%超に引き上げる計画です。 ■事業ポートフォリオ改革 (ハ)未来への布石当社グループの価値創造ストーリー(※1)に基づき、「先端材料」「ヘルスケア」「環境・エネルギー」の3つの領域を、価値提供領域と再設定しました。当該3領域に開発資源をシフトすることにより、技術・製品開発と事業化を加速していきます。また、当社グループの技術や製品を社会の課題解決(ソリューション)、社会実装につなげるために、技術開発と市場・顧客の開発の融合などマーケティング機能を強化します。一方、当社グループは、気候変動リスクへの対応として策定した「カーボンニュートラルに向けたロードマップ」に沿って、2050年までにGHG(※2)排出量(Scope1,Scope2)ネットゼロ達成に向けて取り組みます。併せて、当社グループの活動に関連するバリューチェーン全体のGHG排出量の削減を進めます。 ※1 )価値創造ストーリー・『順理則裕』(なすべきことをなし、ゆたかにする)のもと・高分子、バイオのコア技術をベースに、柔軟性と変革のDNA、粘り強さ、真摯さの企業文化により、社会課題の解決に貢献し続ける・お客様との共創、およびパートナーとの協業を通じて、多様な素材を目的性能に最適化することで、顧客価値を創造し、人々の暮らしと地球環境を「ゆたか」にする。そして、私たち(人・企業)も成長・発展し続ける ※2)GHG:Greenhouse Gas(温室効果ガス) ■未来への布石(価値提供領域) ■未来への布石(重点3領域) (ニ)基盤づくり・強化人的資本においては、価値創造ストーリー、中期計画と連動した人材開発、組織開発に取り組みます。TX(Toyobo-Transformation、東洋紡が変わる)の推進においては、「ヤメル、まとめる、つなぐ」の基本方針を通じて、デジタル技術も活用し、業務改革、ものづくり改革など生産性改革と付加価値の創出を図ります。安全・防災、品質については、これまでの取組み成果を踏まえ、新たなロードマップに沿って活動を推進します。加えて、リスクマネジメント体制の整備など、経営基盤の整備・強化を図ります。 ■基盤づくり(TXの推進) ■基盤づくり(安全・防災、品質) ④ 財務指標当社は、2025中期経営計画において、「売上高」「営業利益」「営業利益率」「EBITDA」「当期純利益」「自己資本利益率(ROE)」「投下資本利益率(ROIC)」「D/Eレシオ」「Net Debt/EBITDA倍率」を重要な財務指標として設定し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んできました。持続的な成長を実現する観点からは、積極的な投資マインドを社内に醸成するため、営業利益に減価償却費を加えた「EBITDA」を活用するとともに、資本効率を重視した経営を推進する目的で「投下資本利益率(ROIC)」を重視し、成長性と効率性の両面から経営資源の適切な配分に努めてきました。また、社債の発行体格付の維持・向上等を通じて資金調達の安定性を確保する観点から、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオを重視し、財務規律の維持に取り組んできました。2018年度から2021年度までの中期経営計画においては、D/Eレシオ1.0倍未満を目標として掲げ、当該目標を達成しました。これを踏まえ、2025中期経営計画では、将来の成長に向けた先行投資を機動的に実行する観点から、D/Eレシオの目標を1.2倍未満とし、併せて、キャッシュ・フロー創出力と有利子負債とのバランスを適切に管理するため、Net Debt/EBITDA倍率を指標に加え、4倍台を目安として財務運営を行ってきました。しかしながら、経営環境の大きな変化に加え、事業ポートフォリオの組替えの遅れによる営業キャッシュ・フローの減少や、フィルム事業、ライフサイエンス分野をはじめとする成長事業への大型投資を優先的に実行した結果、有利子負債が増加しました。この結果、2025年3月末において、D/Eレシオは1.37倍、Net Debt/EBITDA倍率は6.1倍となり、財務指標は一時的に悪化する状況となりました。このような状況を踏まえ、成長投資の継続と財務健全性の両立を図ることを目的として、2024年9月に、劣後特約付ローンおよび公募劣後特約付社債により、総額400億円の資金調達を実施しました。これらの資金調達は、資本性を考慮した財務基盤の強化に寄与するとともに、信用力を維持しながら中長期的な成長に必要な投資余力を確保するための施策として位置づけています。2025年度においては、要改善事業の正常化および構造改革の進展を通じて、事業の稼ぐ力を回復させるための取組みを進めてきました。その結果、営業利益およびEBITDAは改善基調に転じ、ROE、ROICといった資本効率指標についても回復に向けた動きが見られるようになりました。あわせて、D/EレシオおよびNet Debt/EBITDA倍率についても、改善に向けた道筋を示すことができたものと認識しています。一方で、持続的な企業価値向上に向けては、収益力の回復を確実なものとしつつ、事業ポートフォリオ改革を一層推し進め、営業キャッシュ・フロー創出力を大幅に向上させることが重要であると認識しています。こうした2025年度までの実績および課題認識を踏まえ、当社は2026年度以降を対象とする新たな中期経営計画(2030中計)を策定しました。2030中計においては、収益力の回復と事業ポートフォリオ改革の進展を通じ、営業キャッシュ・フロー創出力の大幅な向上を図る方針としています。こうしたキャッシュ・フローの改善を基盤として、成長分野をはじめ、安全・防災・環境に関する投資を継続的に実行するとともに、財務規律を維持しながら、D/EレシオおよびNet Debt/EBITDA倍率の改善、ならびに資本効率の段階的な向上をめざす方針としています。当社は、2025年度経営方針として掲げた「未来をつくるために稼ぐ力を取り戻す」のもとで進めてきた取組みを確実に成果につなげるとともに、2026年度以降は、2030中計に基づく成長ステージへと移行することで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。中東情勢の緊迫化による影響については、2030中計には織り込んでいません。■2030中期経営計画における財務指標 ■2030中期経営計画における財務戦略(キャッシュ・フロー・アロケーション) (設備投資) ⑤ 資本コストや株価を意識した経営当社グループでは、PBRが1.0倍を下回る状態にあることを重く受け止め、引き続き資本コストと株価を意識した経営を推進します。2030中計では、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の三つの施策を着実に実行し、財務体質の改善と利益成長を両立させます。これによりROE8%超をめざすとともに、持続的な企業価値の向上を通じて、PBR1.0倍超の実現および株主価値の向上を図ります。 ■企業価値向上へ向けて ~成長投資・仕込みの成果を実現する~ ⑥ 株主還元方針「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度(以下、「当年度」といいます。)における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では、相互関税政策の影響が引き続き懸念されたものの、雇用環境の底堅さを背景に個人消費は概ね堅調に推移し、景気は総じて底堅く推移しました。中国では、不動産市場の低迷が長期化し、個人消費も力強さを欠いたことから、内需の回復は限定的にとどまり、景気停滞が続きました。国内においては、賃上げの広がりを背景とした所得環境の改善や、企業の設備投資の持ち直しにより、景気は緩やかな回復基調を維持しました。こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、セラミックコンデンサ用離型フィルムは堅調に推移しました。加えて、包装用フィルム事業において、新設備の生産性の改善を進めた結果、収益が改善しました。以上の結果、当年度の売上高は4,216億円と前年度比0.1%の減収、営業利益は279億円と前年度比67.6%の増益、経常利益は229億円と前年度比116.0%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は112億円と前年度比457.8%の増益となりました。 セグメント別の概況は、次のとおりです。 (フィルム)包装用フィルム事業では、食品価格高騰を背景とした消費者の節約志向の定着により、荷動きは全般的に低調に推移しました。一方、新設備の生産性の改善を進めた結果、収益は改善しました。工業用フィルム事業では、セラミックコンデンサ用離型フィルムはAIサーバー向けを中心に販売が順調に拡大しました。液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は強い需要に支えられ、引き続き堅調に推移しました。この結果、当セグメントの売上高は前年度比83億円(5.0%)増の1,752億円、営業利益は同97億円(140.4%)増の166億円となりました。 (ライフサイエンス)バイオ事業においては、診断薬用原料酵素の需要は堅調に推移したものの、中国市況の影響により診断薬用試薬の販売が低調となりました。加えて、海外拠点における販売減少も重なり、収益は悪化しました。メディカル事業では、人工腎臓用中空糸膜の販売は堅調に推移しましたが、新工場の立上げに遅れが生じ、その影響を受けました。医薬品製造受託事業では、製品価格の改定を進めたことにより、収益が改善しました。この結果、当セグメントの売上高は前年度比2億円(0.4%)増の345億円となり、営業利益は同19億円(96.8%)減の1億円となりました。 (環境・機能材)樹脂・ケミカル事業では、エンジニアリングプラスチックは、主に自動車用途の販売増が寄与し、収益が改善しました。工業用接着剤“バイロン”は、欧米向けおよび国内向けの塗料・接着用途に加え、東南アジア向け電子材料用途の販売が増加しました。環境・ファイバー事業では、環境ソリューションは、EV市場減速の影響により、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置の出荷が減少しました。高機能ファイバーは、国内向け販売が堅調に推移しました。不織布マテリアルは、国内生産体制の見直しが進み、収益性が改善しました。この結果、当セグメントの売上高は前年度比7億円(0.6%)減の1,101億円、営業利益は17億円(21.9%)増の97億円となりました。 (機能繊維・商事)衣料繊維事業では、中東向け特化生地は、強い需要に加えて円安の影響もあり、販売を伸ばしました。スポーツ用途は、国内生産拠点の集約を進めました。エアバッグ用基布事業では、日系顧客のアジアでの減産影響を受けましたが、コストダウンを進め、収益性が改善しました。この結果、当セグメントの売上高は前年度比85億円(8.6%)減の896億円、営業利益は7億円(132.4%)増の13億円となりました。 (不動産、その他)不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等の各インフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。この結果、当セグメントの売上高は前年度比2億円(1.5%)増の122億円、営業利益は6億円(24.4%)増の32億円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、450億円の収入となりました。主な内容は、減価償却費246億円および税金等調整前当期純利益194億円による資金の増加と運転資本の増加による資金の減少69億円です。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、271億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出292億円です。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、165億円の支出となりました。主な内容は、社債の償還による支出100億円、長期借入金の返済による支出100億円、配当金の支払額35億円およびコマーシャル・ペーパーの減少30億円と、社債の発行による収入100億円および長期借入れによる収入45億円です。 この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比27億円増の301億円となりました。 ③生産、受注及び販売の実績(イ)生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)フィルム180,5507.3ライフサイエンス35,8615.5環境・機能材118,5093.1機能繊維・商事87,424△12.2その他(うち製造)17,304△8.4合計439,6490.9(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。2.外注生産を含んでいます。3.不動産の生産実績はありません。 (ロ)受注実績当社グループの製品は一部の受注生産を除き見込生産を行っています。 (ハ)販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)フィルム175,1695.0ライフサイエンス34,4940.4環境・機能材110,126△0.6機能繊維・商事89,612△8.6不動産4,4958.4その他7,666△2.1合計421,563△0.1(注)1.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上となる販売先はありません。2.セグメント間の取引については相殺消去しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(イ)財政状態の分析総資産は、前年度末比99億円(1.6%)増の6,277億円となりました。これは主として棚卸資産が増加したことによります。負債は、前年度末比101億円(2.6%)減の3,757億円となりました。これは主として借入金が減少したことによります。純資産は、主として利益剰余金や退職給付に係る調整累計額が増加したことから、前年度末比200億円(8.6%)増の2,520億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末のD/Eレシオは1.22倍(前年度末1.37倍)となりました。 (ロ)経営成績の分析2025中期経営計画の最終年度にあたる当連結会計年度は、2025年度経営方針「未来をつくるために稼ぐ力を取り戻す」のもと、2025年度以降の企業価値向上に向けた取組みを行いました。売上高については、バイオ事業において中国市場の影響により診断薬用試薬の販売が低調となったほか、エアバッグ用基布事業強化のためタイへ拠点を集約したことに伴う売上高減少などにより、期初の計画には届きませんでした。営業利益については、バイオ事業における販売減少やメディカル事業における新工場の立上げ遅れの影響を受けましたが、包装用フィルムにおける新設備の生産性の改善や、セラミックコンデンサ用離型フィルムの販売拡大に加え、液晶偏光子保護フィルムが堅調に推移したことなどにより、期初の計画を上回りました。 各種指標の実績と目標は以下のとおりです。 2025年度(計画 ※1)2025年度(実績)2030年度目標(2030中計)売上高(億円)4,4004,2165,000営業利益(億円)210279450営業利益率(%)4.86.69.0EBITDA(億円)460525762親会社株主に帰属する当期純利益(億円)45112190ROE(%)2.35.5>8.0ROIC(%)2.83.8>6.0D/Eレシオ(倍)1.401.22<1.20Net Debt/EBITDA倍率 ※25.04.4<4.0※1 期初において計画した計画値※2 (有利子負債-現預金)<期末>/EBITDA 2025年度の事業環境(当初想定との差異)セグメント事業期初想定期初想定との差異(※)フィルム包装用前年度並みの需要荷動きが鈍化工業用液晶偏光子保護フィルムは前年度並みの需要―セラミックコンデンサ用離型フィルムはAIサーバー向けを中心に需要拡大―ライフサイエンスバイオ生化学診断薬用酵素は需要堅調中国市場の競争激化メディカル人工腎臓用中空糸膜は需要堅調―環境・機能材樹脂・ケミカル自動車用途は前年度並みの需要―電子材料用途は需要回復基調―環境・ファイバーVOC回収装置はEV化減速の影響継続―不織布マテリアルの厳しい競争環境は継続―機能繊維・商事エアバッグ前年度並みの需要―※「―」は期初想定との大きな差異なし 当社グループは、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」の後半に位置づける「2030中期経営計画」(2030中計)を策定しました。財務体質の改善と利益成長を両立させ、事業ポートフォリオ改革と投資効果により2030年度までにROE8%超をめざします。具体的なアクションについては「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2025中期経営計画(2022~2025年度)、および2026年度以降の取組み ③2026年度以降の取組み」に記載のとおりです。 (ハ)経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。また、包装用フィルム事業の新機台の収益状況を注視しています。 (ニ)当社グループの資本の財源および資金の流動性についてa.キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。b.契約債務2026年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりです。 年度別要支払額(百万円)契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超短期借入金54,70054,700---長期借入金120,77112,42631,95729,86846,520リース債務6,5359381,2508063,541上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めています。当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2026年3月31日現在の債務保証額は、5,775百万円です。c.財務政策当社グループは、2025中期経営計画(2022~2025年度)期間において、主にフィルム事業とライフサイエンス事業をはじめとする成長事業へ積極的に大型投資を実施してきました。今後、この大型投資の効果を、収益として着実に実現させていきます。2030中期経営計画(2026~2030年度)においては、事業ポートフォリオにおける重点・育成事業を中心に投資を行っていきます。投資にあたっては、原則として自己資金を基本としつつ、資金調達手段の多様性を確保し、事業環境や財務状況等を踏まえた柔軟な対応を行います。同時に、財務体質の改善および財務健全性の維持を重要な経営課題と位置づけ、規律ある財務運営を継続していきます。具体的な財務指標としては、D/Eレシオは1.2倍未満、Net Debt/EBITDA倍率は4倍未満を目標として掲げ、管理を行っていく方針です。また、マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段確保のため、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計17,500百万円のコミットメントライン契約を締結しています。(借入未実行残高17,500百万円)。
事業リスク
- 災害・事故・感染症のリスク国内外の生産拠点で、地震、風水害、火災などの自然災害や事故、感染症の世界的流行が発生した場合、生産活動が停止し、事業に大きな影響が出る可能性があります。過去の火災事故を踏まえ、安全文化の醸成と安全基盤の整備に取り組んでいますが、想定を超える事態には対応しきれない可能性があります。
- 政治・経済情勢の悪化米国通商政策の変更、各国の金融政策見直し、地政学リスクの変動などにより、主要市場での景気後退や政治的混乱が生じると、製品の生産や販売が縮小する可能性があります。また、取引先の信用悪化や経営破綻により、貸倒損失が発生し、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 原材料価格の変動と調達リスク石油化学製品を主要原材料としているため、原油価格や為替の変動、需給バランスの急激な変化により、原材料の購入価格が高騰するリスクがあります。また、自然災害や取引先の経営悪化などにより、必要な原材料が確保できなくなる可能性があり、生産や販売に影響を及ぼす恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】当社グループの経営成績および財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、グループ全体のリスクを一元的に管理する「リスクマネジメント委員会」を設置し、本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括するほか、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定し、PDCAサイクルを回すことにより、実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用および、リスク管理体制の強化に努めています。 サステナビリティ推進体制 当社グループでは、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、従業員が誇りとやりがいをもって働き続けられる会社、持続的に成長できるサステナブルな会社をめざし、2030中期経営計画を策定しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2030中期経営計画では2026年度をスタートとし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの影響については不確定要素が多く、原燃料価格の高止まり、急激な為替相場の変動など事業環境の不透明な状況が続くことが見込まれます。加えて、以下の(1)から(15)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているものの、それらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2030中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <既発生もしくは発生の蓋然性の高いリスク>(1)災害・事故・感染症の発生当社グループは、事業に重大な影響を及ぼす可能性のある大規模地震や風水害などの自然災害、労働災害、火災・流出事故、感染症などが発生した場合を想定した対応手順を策定し、従業員への教育訓練や施設管理の充実などにより被害の拡大を最小限に防ぐよう努めています。これらの自然災害のうち、南海トラフ地震を想定した「東洋紡グループ事業継続計画(BCP)ガイドライン」を策定し、被災状況の確認・連絡体制・全体を指揮する責任者・復旧作業を行う体制とその役割、優先順位などを定めています。さらに、サプライチェーン全体のリスクの把握・管理に努め、調達・物流の代替手段の設定等を進めています。今後も従業員への教育、訓練を定期的に実施することにより、事業継続に関する意識と組織対応能力の向上に努めています。また、当社グループは、2018年9月発生の敦賀事業所第2火災事故、2020年9月発生の犬山工場火災事故を踏まえ、「自分を守る、仲間を守る、気付きを声に出す」をスローガンに掲げ、安全文化の醸成と安全基盤の整備の二側面から再発防止に取り組んでいます。経営の最重要課題である労働安全と保安防災の取組みを着実に進めるため、社長直轄の組織として環境安全防災本部を設置しています。同組織は、安全防災の基本方針、年度毎の重点活動を立案、策定し、サステナビリティ委員会、経営会議で報告、決定します。進捗については、取締役会に適宜報告します。また、各拠点や部門代表をメンバーとする東洋紡グループ環境安全防災会議を主催し、決定された方針や活動内容を共有するとともに、各部門での安全・防災活動の有効性を評価しています。さらに、当社グループでは、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得を進めており、2026年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場、犬山工場の4拠点が取得しています。 (2)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。米国通商政策の変更および各国の金融政策の見直しや、中東地域における武力衝突や緊張の高まり等、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学的情勢の変動によって、当社グループおよび仕入先の生産拠点や主要市場等において深刻な政治的混乱、物流の停滞、エネルギー価格の急騰、または景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小する可能性があります。また、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。販売および委託加工に際しては、当社グループは与信取引を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻などによる与信リスクを負っています。当社グループでは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、与信管理規程のもと、取引先別の信用度に見合う取引限度額を設定し管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握することに努めています。また、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上することにより、与信リスクの低減を図っています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)訴訟等当連結会計年度末において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼすことが明らかな訴訟等の事案はありません。当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。訴訟等において、当社グループの主張が最終的に認められない場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <中長期的なリスク>(4)原材料の購入当社グループの、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品は、石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などが主要な原材料です。「(1)災害・事故・感染症の発生」および「(2)政治・経済情勢の悪化」にて記載した、自然災害、事故、感染症や、経営破綻、事業撤退、縮小および深刻なサプライチェーンの混乱などが取引先において発生した場合、必要量の原材料が確保できなくなる可能性があります。また、原油価格や為替の変動、当該原材料等の急激な需給バランスの変動などにより、購入価格が高騰し、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、販売価格への転嫁や製造コストの低減に努めているほか、適正な取引方針を確立し、仕入先の分散による複数社購買等による原材料調達手段の多様化や、植物由来原料やリサイクル原料の使用を進めるグリーン化の取組みなど、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。また、法令順守、公正な取引、環境配慮、人権尊重などに対応する「CSR調達ガイドライン」および環境配慮のための「グリーン調達ガイドライン」を制定しています。CSR調達ガイドラインは、急速にグローバル化が進む社会情勢に対応するため、定期的に見直し、更新することで、特に人権尊重、環境配慮を強化しています。お取引先さまの選定にあたって人権に関する事項(児童労働・強制労働や、あらゆる属性の人々への差別を禁止するなど)を考慮することを明記し、本ガイドラインをご理解いただくことを取引可否の判断基準の一つとして設定し、本ガイドラインに定める事項の順守を主要なお取引先さまを含むビジネス・パートナーに周知しています。 (5)製品の欠陥等当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止するため、所定の品質管理規定に基づいて、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不具合が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などにおいて何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながるリスクがあります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しているものの、最終的に負担する損害額は保険によって十分カバーされないリスクがあります。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、PL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する品質保証本部会を設けています。品質保証本部会は品質を統括する役員、各事業本部および品質保証本部の品質を統括する部長で構成され毎月開催しています。また、各事業本部の部長クラスを推進委員としたPL/QA推進委員会を年6回開催しました。また、事業推進から独立した品質保証本部および他部門の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を客観的に確認し、改善の機会としています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前に対応することで、お客さま等に掛かるリスクの低減に努めています。なお、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下「UL」といいます。)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等により、2020年10月以降、一部の品番についてUL認証登録を取り消されましたが、2026年3月末時点で2製品を残してUL認証を再取得しています。未取得の2製品についてもお客さまと引き続き相談させて頂きながら再取得を進めています。 (6)人材の確保当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。当社グループでは、成長戦略実現への寄与をめざし、次世代経営人材の育成や主体的に学び成長できる環境づくりに力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動、障がい者雇用、LGBTQ+に向けた施策にも積極的に取り組んでいます。なお、当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (7)気候変動気候変動の進行に伴う物理的リスクとして、台風や集中豪雨等の自然災害による、一時的な事業活動停止等の可能性があります。また、脱炭素社会への移行リスクとして、カーボンプライシングの導入によるGHG排出量や化石燃料の使用に伴うコスト増加等の可能性があります。当社グループはTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言にのっとって、パリ協定に基づく気候変動シナリオを前提とした将来リスクと事業機会を分析・整理しています。それらリスクと機会の影響と財務インパクトを特定した上で、対応策とそれに基づく指標・目標を設定し、経営戦略の強靭性(レジリエンス)向上を図ります。なお、当該リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (8)環境負荷当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品の生産等を通じて多くの化学物質を取り扱っており、水質汚濁、大気汚染、土壌汚染や化学物質管理に関する法令や規制の適用を受けています。これらの法令や規制がさらに強化されることで、対応コストの上昇や、収益機会の減退による当社グループの売上減少など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。このリスクを最小限にするため、有害な化学物質の使用量・排出量は極小化できるよう製造工程の改善に努めるとともに、流出状況をモニタリングしています。また、化学物質の管理体制を整備し、「東洋紡グループ化学物質管理区分」を定め、取り扱う化学物質を分類し、区分ごとに管理内容を定め、効率的な使用や代替化を進めています。 (9)情報セキュリティ当社グループは、DXとデータの利活用によるビジネスイノベーション加速・推進に取り組み、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要な情報資産を管理しています。近年、サイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、攻撃手法の多様化や、海外拠点、業務委託先等を起点とした情報セキュリティ侵害のリスクが中長期的に高まっています。さらに、世界各国で個人情報・データ保護のための法規制強化が行われており、これらへの対応も求められています。当社グループはこれらの情報資産について様々なセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスや想定を超えるサイバー攻撃、従業員の過誤などが発生した場合、生産・供給を含む事業活動の停止や遅延、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などが発生する可能性があります。これらの事象が顕在化した場合には、取引先や顧客からの信頼低下、復旧対応等にかかる多額の費用負担や損害賠償請求等により、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティポリシー」を定め、情報セキュリティに関する各種規定を整備し、全情報資産の適切な運用・管理・活用に努めています。また、代表取締役社長が任命した最高情報セキュリティ責任者(CISO)をリーダーとした情報セキュリティ部会(TOYOBO-CSIRT)を設置し、情報セキュリティに関するリスクの評価および対策状況について、経営層への定期的な報告を行うとともに、国内外の法規制動向や脅威動向を踏まえた継続的な対策の見直しを実施しています。 (10)法規制およびコンプライアンス当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報管理、労働、会計・税務などに関する様々な法令等による規制を受けています。近年では、環境・気候変動対応に関する規制の強化や、人権・労働慣行を含むサプライチェーン全体での法令順守要請の高まり、経済安全保障や地政学的緊張を背景とした輸出規制・制裁措置の導入、データ保護・サイバーセキュリティに関する規制の強化など、事業環境は一層複雑化しています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を順守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法や経済制裁、輸出入管理の強化などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不順守や違法行為が発生した場合には、行政処分、制裁金・課徴金、損害賠償請求等の発生に加え、当社グループの信用失墜につながるなど多額の損害が生じる可能性があります。また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスを重視した経営を推進していますが、製品・サービスや労働・安全、人権・環境配慮、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、訴訟の提起、損害賠償責任の発生などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、内部通報制度やコンプライアンス調査を通じた不正事案の早期発見、早期是正や未然防止に加え、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。内部通報制度に関しては、24年度に引き続き、海外グループ会社のナショナルスタッフや日本国内で働く外国人労働者や技能実習生などが当社コンプライアンス部門に使いやすい言語で内部通報ができるように、これまでの日本語・英語に加えて多言語で通報できる窓口の整備を行いました。コンプライアンスの推進に関しては、「東洋紡グループ企業行動憲章」に対応した当社グループの全従業員が守るべきルール「東洋紡グループ社員行動基準」を定め、同基準を具体的に分かりやすく解説した「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を発行して全社員に配付しています。各職場でのコンプライアンスマニュアルを用いた研修(読み合わせ)などを通して、全従業員に社員行動基準を周知するとともに、海外拠点向けには、グローバル版(英語・中国語)を発行し配布しています。25年度はグローバル版の全面改訂を行いました。また、各国・地域の法令・慣習に合わせ編集を加えた現地版マニュアルが、海外グループ会社における研修にて活用されています。そのほか、国内グループ会社の全社員を対象としたコンプライアンス勉強会の実施や、職場で問題となり得るコンプライアンス違反事例等を題材としたケーススタディ形式で啓発する「コンプライアンスミニスタディ」を毎月発行するなど、継続的にコンプライアンス意識の向上を図っています。これらの教育・啓発活動においては、ハラスメント防止、適正な情報管理などを重点テーマとして取り上げています。また、25年度は、ギフトコンプライアンスに関する社会的要請の高まりや各国で進展する贈収賄法規制の強化を背景として、ステークホルダーからの信頼確保の観点から、贈答接待の取り扱いに関するルール全般の見直しを実施しました。これを受けて、贈収賄防止に関する規程の再整備を行うと共に、利害関係者から受ける贈答接待に関する基準の明確化を図りました。さらに、法令改正を踏まえ、中小受託取引適正化法についても、順守体制の整備および内部啓発を進めています。 (11)海外での事業活動当社グループは、アジアや中国をはじめ、米国、欧州、中東、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、地球温暖化による気候変動や世界経済全体の動向に加え、各国の法令・規制や政策等の予期しない改定変更、またはテロ、戦争、政変、疫病やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらリスクに対し、グループ各社での情報収集や、公的機関だけにとどまらず外部コンサルタントからの情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前後で具体的かつ適切に対処できるよう、海外グループ会社ごとに「危機管理マニュアル」を策定しています。また、当社グループ全体でのリスクマネジメント活動の中、国内および海外のグループ会社ごとにリスクアセスメントのミーティングを開き、自然災害・安全防災から情報漏洩・法改正などの各種リスクについて、発生した場合の影響度を網羅的に把握し、改善策につなげています。さらに、当社グループは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行い、各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても適切に対処しています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。<財務リスク>(12)為替レートの大幅変動当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的に著しい変動があった場合は、製造リードタイムが比較的長い製品などは業績に対して影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (13)金利の大幅上昇当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」および「純有利子負債のEBITDA(営業利益と減価償却費の和)に対する倍率(Net Debt/EBITDA倍率)」を重視しています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは1.22倍、Net Debt/EBITDA倍率は4.4倍となりました。 (14)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。当連結会計年度において、保有する投資有価証券の一部を売却し、5億円の売却益を計上しました。 (15)固定資産の減損当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において、当社および一部の子会社が保有する固定資産のうち、処分・休止予定資産および事業用資産について合計3.8億円の減損損失を計上しました。