事業の概要
- 多角的な化学製品製造デンカは、電子材料から医療品、ゴム製品、プラスチックまで、幅広い化学製品の製造・販売を主軸としています。これにより、特定の市場変動に左右されにくい安定した収益構造を目指しています。
- グローバルな事業展開日本国内だけでなく、シンガポール、中国、米国、ドイツ、ベトナムなど世界各地に製造・販売拠点を持ち、国際的な市場で事業を展開しています。これにより、地域ごとの需要に対応し、収益機会を最大化しています。
- 研究開発とサービス提供製品の製造・販売だけでなく、バイオ医薬品の研究開発受託やプラントエンジニアリング事業、卸売業など、多岐にわたるサービス業務も手掛けています。これにより、技術力を活かした付加価値の高いサービスを提供し、収益源の多様化を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 電子・先端プロダクツ事業半導体や電子部品関連の材料を中心に、溶融シリカ、電子回路基板、アセチレンブラックなどを製造・販売しています。売上高922.03億円、営業利益91.68億円と、収益の柱の一つであり、国内外の子会社が連携して事業を展開しています。
- ライフイノベーション事業ワクチン、抗原迅速診断キット、がん治療ウイルス製剤など、医療・ヘルスケア分野の製品を手掛けています。売上高432.62億円、営業利益96.02億円と、高い利益率を誇り、ドイツやシンガポールでの研究開発も活発に行われています。
- ポリマーソリューション事業スチレンモノマー、ABS樹脂、食品包装用シートなど、プラスチックや合成樹脂関連製品を提供しています。売上高1353.65億円、営業利益11.54億円と、グループ内で最も売上規模が大きい事業ですが、利益率は他の事業に比べて低い傾向にあります。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ElectronicsAndInnovativeProducts | 事業 | 922 | 92 | 9.9% |
| LifeInnovationReportableSegment | 事業 | 433 | 96 | 22.2% |
| ElastomersAndInfrastructureSolutionsReportableSegment | 事業 | 1,117 | -80 | -7.1% |
| PolymerSolutionsReportableSegment | 事業 | 1,354 | 12 | 0.9% |
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3 【事業の内容】当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社(デンカ株式会社)、子会社57社および関連会社11社より構成されており、「電子・先端プロダクツ」、「ライフイノベーション」、「エラストマー・インフラソリューション」、「ポリマーソリューション」の製造・販売を主たる業務としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。当社グループの事業内容および当社と関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。なお、次の4部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1) 電子・先端プロダクツ主要な製品は、溶融シリカ、球状アルミナ、電子回路基板、ファインセラミックス、電子包装材料、アセチレンブラック、電設資材、接着剤、粘着テープ、半導体工程用材料等であります。当社が製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱が当社製品の販売をおこなっております。国内では子会社のデナールシラン㈱がモノシランガス等の製造・販売をおこなっております。海外では、シンガポールで子会社のデンカアドバンテックP.L.が溶融シリカおよび球状アルミナの製造・販売、デンカシンガポールP.L.がアセチレンブラックの製造・販売をおこなっております。また、中国では電化精細材料(蘇州)有限公司が電子部品包装材料の製造・販売、電化電子材料(大連)有限公司がアルシンクの製造・販売をおこない、ベトナムではデンカアドバンストマテリアルズベトナムC.L.が電子部品包装材料およびビニテープの製造・販売をおこなっております。 (2) ライフイノベーション主要な製品は、ワクチン、抗原迅速診断キット、臨床試薬、 がん治療ウイルス製剤等であります。国内では、当社が当部門主要製品の製造・販売をおこなっております。また、当連結会計年度において、㈱カイノスの株式を取得し、同社を連結子会社としております。同社は臨床試薬の開発・製造・販売を行っており、当社グループのライフイノベーション分野における事業基盤の強化に資するものと位置付けております。海外では、デンカライフイノベーションリサーチP.L.(シンガポール)にて遺伝子法による簡易診断システム等の研究開発をおこなっております。 (3) エラストマー・インフラソリューション主要な製品は、クロロプレンゴム、肥料、カーバイド、耐火物、特殊混和材、ポリエチレン製コルゲート管等であります。当社が製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱が当社製品の販売をおこなっております。子会社の日之出化学工業㈱が熔成リン肥および熔成ケイ酸リン肥の製造を、デンカアヅミン㈱が腐植酸苦土肥料および腐植酸液肥の製造をおこなっております。海外では、中国において子会社の電化無機材料(天津)有限公司が特殊混和材の製造・販売を行っているほか、東南アジアでは、デンカインフラストラクチャーマレーシアSdn.Bhd.(マレーシア)が特殊混和材および建設化学品の製造・販売を行っております。 (4) ポリマーソリューション主要な製品は、スチレンモノマー、ABS樹脂、SBC樹脂、N-フェニルマレイミド樹脂、透明樹脂、ポバール、ウィッグ・ヘアピース用合成繊維、食品包装用シート等であります。当社が製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱が当社製品の販売をおこなっております。国内では子会社の東洋スチレン㈱がポリスチレン樹脂の製造・販売を、デンカポリマー㈱が食品包装容器等の製造・販売を、デンカアステック㈱が住設資材の製造・販売をおこなっております。関連会社のデナック㈱がモノクロル酢酸等の製造・販売をおこなっております。海外ではシンガポールにおいて、子会社のデンカシンガポールP.L.がSBC樹脂、MS樹脂といったスチレン系樹脂と、N-フェニルマレイミド樹脂を、デンカアドバンテックP.L.がウィッグ・ヘアピース用合成繊維の製造・販売をおこなっております。 (5) その他プラントエンジニアリング事業、卸売業等を含んでおります。子会社のデンカエンジニアリング㈱がプラントエンジニアリング事業を、YKアクロス㈱が当社製品等の卸売を、関連会社の黒部川電力㈱が電力供給事業をおこなっております。 [事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 当社固有のセラミックスの開発技術や有機・無機材料の複合化技術、先端加工技術。 |
|---|---|
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:外部事業環境(需要動向、原燃料市況、為替) / 品質、製造物責任(不適切行為含む) / 事故・自然災害(配管破裂事故、地震、集中豪雨)
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
デンカは、独自の合成技術に基づく機能性化学品(例:アセチレン誘導品、クロロプレンゴム)や、デンタル材料、電子材料分野で特許やノウハウを蓄積している。特に、特定のニッチ市場においては、長年の研究開発で培われた技術的優位性が無形資産となりうる。
スイッチングコスト★★☆☆☆
デンタル材料や一部の電子材料では、顧客の製造プロセスに組み込まれているため、切り替えにはコストや時間、品質リスクが伴う可能性がある。しかし、汎用性の高い化学品においてはスイッチング・コストは限定的と考えられる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
デンカの事業ポートフォリオにおいて、ネットワーク効果が競争優位の源泉となっている事業は確認できない。製品・サービスの利用者が増えることで価値が増大するようなビジネスモデルではない。
コスト優位★★☆☆☆
一部の汎用化学品においては、生産規模や効率化によるコスト競争力が存在する可能性がある。しかし、高付加価値製品が多く、グローバルな価格競争に晒される分野では、絶対的なコスト優位を築くことは難しい。
規模の経済★★★☆☆
クロロプレンゴムやアセチレン誘導品など、特定の化学品分野では、一定の生産規模を持つことで効率的な生産が可能となり、業界内での寡占的な地位を築いている。これにより、価格決定力や供給安定性において優位性を持つ。
- 幅広い製品ポートフォリオ溶融シリカ、ワクチン、クロロプレンゴム、ABS樹脂など、多種多様な製品群を持つことで、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した事業基盤を築いています。これにより、顧客の多様なニーズに応えることが可能です。
- グローバルな生産・販売網アジア、米国、欧州など世界各地に生産・販売拠点を持ち、地域ごとの市場特性に合わせた製品供給とサービス提供が可能です。これにより、国際的な競争力を高め、市場シェアの拡大を目指しています。
- 多層的な品質保証体制本社コーポレート部門、各事業部門、各生産拠点に品質保証部門を配置する3層の体制を構築し、製品の品質管理と継続的な改善に努めています。これにより、顧客からの信頼を獲得し、ブランド価値の向上に繋げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)当社グループは、企業価値の持続的な向上の実現に向け、2023年度より経営計画「Mission 2030」を推進してまいりましたが、計画策定時からの急激な事業環境の変化により、収益力が低下したことに加え、米国のクロロプレンゴム事業が当社グループの収益を大きく圧迫していることから、足元の業績立て直しが急務となっておりました。2025年度は、当社が直面している、米国クロロプレンゴム事業の不振、電子・先端プロダクツ部門における先行投資の回収遅れ、ポリマーソリューション部門の業績停滞、全社的なコスト負担増、という4つの収益課題を克服し成長軌道へ回帰するため、投資の厳選を徹底し財務規律の統制を図りながら、「ポートフォリオ変革の加速」と「稼ぐ力の回復」を最優先に取り組みました。 ポートフォリオ変革の最優先事項である米国クロロプレンゴム事業の抜本的対策については、2025年5月に米国製造子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下DPE)が、クロロプレンゴム製造設備を、期限を定めず暫定停止いたしました。DPEでは、製造設備の安全な状態での休止を目的として、原材料や中間品などの物質の抜き出しおよび処分作業を進めており、これらは最終段階を迎えつつあります。同社の操業休止に伴い、今後も連結上一定の特別損失の発生が見込まれており、資産売却等による補填を検討するとともに、これら負担を最小化すべく、関係当局も含めたステークホルダーとの協議等を着実に進めてまいります。不採算事業の整理としては、2025年6月にセメントの生産を停止し、2026年3月には大船工場を閉鎖しカラリヤンフィルム・テープ事業から撤退するとともに、合繊かつら用原糸はシンガポール子会社への事業集約を実施いたしました。事業構造改革としては、2026年2月に、スチレン関連事業について、2027年4月を目途に分社化の検討を開始することを決定しました。分社化により事業の独立性や採算性を高め、構造改革の推進力強化につなげるとともに、外部パートナーとの協業や資本提携など多様な戦略的選択肢を取りうる体制等を整えることといたしました。また、2026年3月には、臨床検査薬メーカーであるカイノス社を日本政策投資銀行との共同出資により子会社化いたしました。同社とは既に一部で協業関係にあり、特に臨床試薬の分野では高い補完関係となっており、海外展開も含めシナジーの最大化を図ってまいります。また、「コストベンチマーク」や「最適なコストダウン手法」など従来とは違った社外の知見を全面的に活用し、全社で取り組んできたコストダウンプロジェクトは、スタートした2024年度の効果額は9億円にとどまっていたものが、2年目の2025年度は、収益寄与の本格化と取り組みの深化により、37億円を実績化しました。2025年度の業績は、以上のとおりポートフォリオ変革やコストダウン等の施策を強力に推し進めたことに加え、電子・先端プロダクツ部門での先行投資の刈り取りに注力し、拡大するAI関連や電力インフラ向けの需要を取り込み実績化したことで、営業利益は必達目標としていた250億円を上回り、262億円となりました。当社グループは、外部環境の急激な変化等を踏まえ、今般、経営計画「Mission 2030」の見直しをおこないました。不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資を実施した2023年度から2025年度までをフェーズ1とし、2026年度から2028年度までの3カ年をフェーズ2として、さらなる成長に向けた「稼ぐ力の再構築」と「新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、この期間中に営業利益の過去最高益更新とROE8%を目指します。このフェーズ2での取り組みは、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスが取れたものとすることを基本とし、メガトレンド(成長性)とスペシャリティ(収益性)の観点から、事業領域ごとに「成長ドライバー」、「安定成長」、「キャッシュカウ」の方向性を明確にいたしました。そのうえで、それぞれの事業領域において、「戦略的拡大」、「先行投資の刈り取り」、「資本効率改善・事業モデル転換」の3つに区分し、次の領域別事業戦略に基づき、メリハリをつけて実行いたします。成長ドライバーとして会社の成長を牽引する「ICT &Energy」は、当社が得意なサーマルマネジメント分野でキーとなる材料を供給し、トップシェアを維持しながら、今後さらなる伸長が見込まれるAIや電力インフラの市場等、最先端分野でのデファクトスタンダード化を実現いたします。「Healthcare」は、既存の診断薬事業での安定成長を追求しつつ、業界におけるアライアンス形成のフロントランナーとして中心的な役割を担うことで、市場を創出・拡大させ、成長ドライバーへと昇華させます。「Sustainable Living」は、カーバイドチェーンとスチレンチェーンのキャッシュカウ化を実現いたします。また、経営計画「Mission 2030」の達成に必要不可欠な新規事業創出については、2030年度を見据え、早期事業化を実現するため、当社の強みである有機、無機、バイオの技術知見を基盤に既存事業の周辺の潜在ニーズを掘り起こしていく「浸み出し戦略」に重点をおいた取り組みを展開いたします。具体例としては、今後プリント配線基板や次世代半導体での需要が見込まれる低誘電有機絶縁樹脂“スネクトン”について、多様な用途に対応すべくシリカやアルミナといった他の自社材料と掛け合わせ、ラインナップを拡充させることで、高度化する需要に対する迅速なソリューションの提供につなげます。 本年度からスタートした経営計画「Mission 2030」のフェーズ2では、これらの施策を確かな成果につなげる覚悟をもって実行することで、稼ぐ力を再構築し、新たな成長ステージへの基盤を固めてまいります。そしてフェーズ3以降は、「ICT & Energy」における市場拡大を捉えた勢いのある成長分野と、「Healthcare」における安定的で着実な成長分野という、異なる角度の成長トレンドを掛け合わせたベストミックスを通じて、また「Sustainable Living」は勝ち残る事業に厳選し、社会課題の解決につなげることで、デンカらしい持続的な成長を実現してまいります。 ◇新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」~OUR "NEW" VISION & Mission 2030~ 2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。 デンカの新たなビジョン新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。 コアバリュー「コアバリュー」とは、デンカのDNA。さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。これからも一層大切にしていくべき信条です。 パーパス「パーパス」とは、デンカを導く北極星。デンカが存在する根本的理由です。デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。 ミッション「ミッション」は、デンカの務め。大胆で説得力のある野心的目標です。「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。 コーポレートメッセージこのデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。」を創りました。世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。 (ご参考)経営計画「Mission 2030」フェーズ2(2026~2028年度)デンカ株式会社は、Visionに掲げるMission「2030年までに、人財・経営価値を高め、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素を備えた事業価値創造に集中する」の実現に向け、経営計画『Mission 2030』を推進しております。2023~2025年度のフェーズ1では、不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資の実施により、短期間での成長と長期的な成長基盤強化の両立を目指しましたが、電材需要の低迷やEV市場の変調に伴う先行投資の回収遅れなど、急激な事業環境の変化に十分な対応ができず、収益力が低下する結果となりました。これを受け、2026~2028年度のフェーズ2は「稼ぐ力の再構築と新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、確度の高い計画として営業利益の過去最高益更新とROE8%を設定しました。また、フェーズ3以降では再構築した稼ぐ力を基盤に、「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベストミックス」を確立させ、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。 1.「Mission2030」の進捗状況(1)財 務 <主な収益力低下の要因>・2021年度比で約150億円の固定費増 (先行投資に伴う償却負担増など)・米国クロロプレンゴム事業(DPE)の低迷・半導体、EV等電材需要の変調・スチレン系樹脂の需要減・新規事業・製品開発の遅延 (2)非財務第一部 第2の2 サステナビリティに関する考え方及び取組をご参照ください。 2.フェーズ2(2026~2028年度)の取り組み・蓋然性の高い事業計画を前提とし、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスを図る。・事業領域ごとに「成長ドライバー」「安定成長」「キャッシュカウ」の方向性を明確化し、「戦略的拡 大」「先行投資の刈り取り」「資本効率改善・事業モデル転換」の3つの戦略でメリハリをつけて実行。・フェーズ3以降は、再構築した稼ぐ力を基盤に「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベ ストミックス」を確立させ、Sustainable Livingでは、勝ち残る事業に厳選し、新たな価値創造を図る。 (1)成長戦略<事業領域別の戦略>ICT&Energyサーマルマネジメントにおけるキーマテリアルを供給し、メガトレンド(AI、高速通信、xEV、再生可能エネルギー、半導体)における最先端分野でのデファクトスタンダード化を実現Healthcare診断薬事業での安定成長を基盤に、業界におけるアライアンス形成(M&Aを含む)のフロントランナーを目指すSustainable Living事業チェーン最適化・再構築によるキャッシュカウ化を実現した上で、勝ち残る事業のみへのポートフォリオ変革を断行 (2)構造改革 ・ライフイノベーションに おけるアライアンス:カイノス社の完全子会社化では、シナジーの早期実現を目指す(TOB 3月 完了) ・スチレンチェーン再構築:スチレン系事業の分離により、意思決定のスピードを速め、競争力強化に 向けた協業や資本提携を含む選択肢の拡大を目指す ・ カーバイドチェーン最適化:青海工場1拠点体制でのクロロプレンゴム最適生産および収益の最大化 (3)財務目標<数値> (億円) 当初計画フェーズ1フェーズ226年度30年度23年度実績24年度実績25年度実績26年度27年度28年度営業利益6001,000134144262350400450当期利益--119△123157180220260ROE (資本効率)*111%15%以上4.0%△4.1%5.2%6.0%7.0%8.0%ROIC(資本効率)7%以上10%以上2.5%2.5%4.2%5.0%5.5%6.0%D/Eレシオ(財務健全性)0.6~0.8倍(信用格付A格維持)0.570.730.710.750.700.7 以下投資額8年間5,700億円440700608430340330総還元性向8年累計50%水準72%-55%株主還元方針を維持 年間配当額(円/株)100100100 *1:ROE(資本効率)に関しては、フェーズ2の26年度~28年度のいずれかでROE8.0%の達成を目指します。 <キャピタルアロケーション>・フェーズ2でも財務規律を統制しながら成長戦略を推進すると共に、株主還元方針「経営計画8年間累計の総還元性向50%を目安」を継続。 「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」ため、デンカグループ一丸となって『Mission 2030』フェーズ2達成に注力してまいります。 ※文中の将来に関する事項は、計画発表時において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)当社グループは、企業価値の持続的な向上の実現に向け、2023年度より経営計画「Mission 2030」を推進してまいりましたが、計画策定時からの急激な事業環境の変化により、収益力が低下したことに加え、米国のクロロプレンゴム事業が当社グループの収益を大きく圧迫していることから、足元の業績立て直しが急務となっておりました。2025年度は、当社が直面している、米国クロロプレンゴム事業の不振、電子・先端プロダクツ部門における先行投資の回収遅れ、ポリマーソリューション部門の業績停滞、全社的なコスト負担増、という4つの収益課題を克服し成長軌道へ回帰するため、投資の厳選を徹底し財務規律の統制を図りながら、「ポートフォリオ変革の加速」と「稼ぐ力の回復」を最優先に取り組みました。 ポートフォリオ変革の最優先事項である米国クロロプレンゴム事業の抜本的対策については、2025年5月に米国製造子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下DPE)が、クロロプレンゴム製造設備を、期限を定めず暫定停止いたしました。DPEでは、製造設備の安全な状態での休止を目的として、原材料や中間品などの物質の抜き出しおよび処分作業を進めており、これらは最終段階を迎えつつあります。同社の操業休止に伴い、今後も連結上一定の特別損失の発生が見込まれており、資産売却等による補填を検討するとともに、これら負担を最小化すべく、関係当局も含めたステークホルダーとの協議等を着実に進めてまいります。不採算事業の整理としては、2025年6月にセメントの生産を停止し、2026年3月には大船工場を閉鎖しカラリヤンフィルム・テープ事業から撤退するとともに、合繊かつら用原糸はシンガポール子会社への事業集約を実施いたしました。事業構造改革としては、2026年2月に、スチレン関連事業について、2027年4月を目途に分社化の検討を開始することを決定しました。分社化により事業の独立性や採算性を高め、構造改革の推進力強化につなげるとともに、外部パートナーとの協業や資本提携など多様な戦略的選択肢を取りうる体制等を整えることといたしました。また、2026年3月には、臨床検査薬メーカーであるカイノス社を日本政策投資銀行との共同出資により子会社化いたしました。同社とは既に一部で協業関係にあり、特に臨床試薬の分野では高い補完関係となっており、海外展開も含めシナジーの最大化を図ってまいります。また、「コストベンチマーク」や「最適なコストダウン手法」など従来とは違った社外の知見を全面的に活用し、全社で取り組んできたコストダウンプロジェクトは、スタートした2024年度の効果額は9億円にとどまっていたものが、2年目の2025年度は、収益寄与の本格化と取り組みの深化により、37億円を実績化しました。2025年度の業績は、以上のとおりポートフォリオ変革やコストダウン等の施策を強力に推し進めたことに加え、電子・先端プロダクツ部門での先行投資の刈り取りに注力し、拡大するAI関連や電力インフラ向けの需要を取り込み実績化したことで、営業利益は必達目標としていた250億円を上回り、262億円となりました。当社グループは、外部環境の急激な変化等を踏まえ、今般、経営計画「Mission 2030」の見直しをおこないました。不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資を実施した2023年度から2025年度までをフェーズ1とし、2026年度から2028年度までの3カ年をフェーズ2として、さらなる成長に向けた「稼ぐ力の再構築」と「新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、この期間中に営業利益の過去最高益更新とROE8%を目指します。このフェーズ2での取り組みは、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスが取れたものとすることを基本とし、メガトレンド(成長性)とスペシャリティ(収益性)の観点から、事業領域ごとに「成長ドライバー」、「安定成長」、「キャッシュカウ」の方向性を明確にいたしました。そのうえで、それぞれの事業領域において、「戦略的拡大」、「先行投資の刈り取り」、「資本効率改善・事業モデル転換」の3つに区分し、次の領域別事業戦略に基づき、メリハリをつけて実行いたします。成長ドライバーとして会社の成長を牽引する「ICT &Energy」は、当社が得意なサーマルマネジメント分野でキーとなる材料を供給し、トップシェアを維持しながら、今後さらなる伸長が見込まれるAIや電力インフラの市場等、最先端分野でのデファクトスタンダード化を実現いたします。「Healthcare」は、既存の診断薬事業での安定成長を追求しつつ、業界におけるアライアンス形成のフロントランナーとして中心的な役割を担うことで、市場を創出・拡大させ、成長ドライバーへと昇華させます。「Sustainable Living」は、カーバイドチェーンとスチレンチェーンのキャッシュカウ化を実現いたします。また、経営計画「Mission 2030」の達成に必要不可欠な新規事業創出については、2030年度を見据え、早期事業化を実現するため、当社の強みである有機、無機、バイオの技術知見を基盤に既存事業の周辺の潜在ニーズを掘り起こしていく「浸み出し戦略」に重点をおいた取り組みを展開いたします。具体例としては、今後プリント配線基板や次世代半導体での需要が見込まれる低誘電有機絶縁樹脂“スネクトン”について、多様な用途に対応すべくシリカやアルミナといった他の自社材料と掛け合わせ、ラインナップを拡充させることで、高度化する需要に対する迅速なソリューションの提供につなげます。 本年度からスタートした経営計画「Mission 2030」のフェーズ2では、これらの施策を確かな成果につなげる覚悟をもって実行することで、稼ぐ力を再構築し、新たな成長ステージへの基盤を固めてまいります。そしてフェーズ3以降は、「ICT & Energy」における市場拡大を捉えた勢いのある成長分野と、「Healthcare」における安定的で着実な成長分野という、異なる角度の成長トレンドを掛け合わせたベストミックスを通じて、また「Sustainable Living」は勝ち残る事業に厳選し、社会課題の解決につなげることで、デンカらしい持続的な成長を実現してまいります。 ◇新たなビジョンと新経営計画「Mission 2030」~OUR "NEW" VISION & Mission 2030~ 2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。 デンカの新たなビジョン新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。 コアバリュー「コアバリュー」とは、デンカのDNA。さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。これからも一層大切にしていくべき信条です。 パーパス「パーパス」とは、デンカを導く北極星。デンカが存在する根本的理由です。デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。 ミッション「ミッション」は、デンカの務め。大胆で説得力のある野心的目標です。「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。 コーポレートメッセージこのデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。」を創りました。世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。 (ご参考)経営計画「Mission 2030」フェーズ2(2026~2028年度)デンカ株式会社は、Visionに掲げるMission「2030年までに、人財・経営価値を高め、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素を備えた事業価値創造に集中する」の実現に向け、経営計画『Mission 2030』を推進しております。2023~2025年度のフェーズ1では、不採算事業の整理や事業構造改革と合わせ、成長分野での先行投資の実施により、短期間での成長と長期的な成長基盤強化の両立を目指しましたが、電材需要の低迷やEV市場の変調に伴う先行投資の回収遅れなど、急激な事業環境の変化に十分な対応ができず、収益力が低下する結果となりました。これを受け、2026~2028年度のフェーズ2は「稼ぐ力の再構築と新たな成長ステージへの基盤固め」に注力する期間と位置づけ、確度の高い計画として営業利益の過去最高益更新とROE8%を設定しました。また、フェーズ3以降では再構築した稼ぐ力を基盤に、「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベストミックス」を確立させ、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。 1.「Mission2030」の進捗状況(1)財 務 <主な収益力低下の要因>・2021年度比で約150億円の固定費増 (先行投資に伴う償却負担増など)・米国クロロプレンゴム事業(DPE)の低迷・半導体、EV等電材需要の変調・スチレン系樹脂の需要減・新規事業・製品開発の遅延 (2)非財務第一部 第2の2 サステナビリティに関する考え方及び取組をご参照ください。 2.フェーズ2(2026~2028年度)の取り組み・蓋然性の高い事業計画を前提とし、成長戦略・構造改革・財務規律のバランスを図る。・事業領域ごとに「成長ドライバー」「安定成長」「キャッシュカウ」の方向性を明確化し、「戦略的拡 大」「先行投資の刈り取り」「資本効率改善・事業モデル転換」の3つの戦略でメリハリをつけて実行。・フェーズ3以降は、再構築した稼ぐ力を基盤に「異なる成長トレンドを持つICT&EnergyとHealthcareのベ ストミックス」を確立させ、Sustainable Livingでは、勝ち残る事業に厳選し、新たな価値創造を図る。 (1)成長戦略<事業領域別の戦略>ICT&Energyサーマルマネジメントにおけるキーマテリアルを供給し、メガトレンド(AI、高速通信、xEV、再生可能エネルギー、半導体)における最先端分野でのデファクトスタンダード化を実現Healthcare診断薬事業での安定成長を基盤に、業界におけるアライアンス形成(M&Aを含む)のフロントランナーを目指すSustainable Living事業チェーン最適化・再構築によるキャッシュカウ化を実現した上で、勝ち残る事業のみへのポートフォリオ変革を断行 (2)構造改革 ・ライフイノベーションに おけるアライアンス:カイノス社の完全子会社化では、シナジーの早期実現を目指す(TOB 3月 完了) ・スチレンチェーン再構築:スチレン系事業の分離により、意思決定のスピードを速め、競争力強化に 向けた協業や資本提携を含む選択肢の拡大を目指す ・ カーバイドチェーン最適化:青海工場1拠点体制でのクロロプレンゴム最適生産および収益の最大化 (3)財務目標<数値> (億円) 当初計画フェーズ1フェーズ226年度30年度23年度実績24年度実績25年度実績26年度27年度28年度営業利益6001,000134144262350400450当期利益--119△123157180220260ROE (資本効率)*111%15%以上4.0%△4.1%5.2%6.0%7.0%8.0%ROIC(資本効率)7%以上10%以上2.5%2.5%4.2%5.0%5.5%6.0%D/Eレシオ(財務健全性)0.6~0.8倍(信用格付A格維持)0.570.730.710.750.700.7 以下投資額8年間5,700億円440700608430340330総還元性向8年累計50%水準72%-55%株主還元方針を維持 年間配当額(円/株)100100100 *1:ROE(資本効率)に関しては、フェーズ2の26年度~28年度のいずれかでROE8.0%の達成を目指します。 <キャピタルアロケーション>・フェーズ2でも財務規律を統制しながら成長戦略を推進すると共に、株主還元方針「経営計画8年間累計の総還元性向50%を目安」を継続。 「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」ため、デンカグループ一丸となって『Mission 2030』フェーズ2達成に注力してまいります。 ※文中の将来に関する事項は、計画発表時において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当期のわが国経済は、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、景気は緩やかな回復に向かいました。世界経済は、全体としては持ち直しましたが、米国の通商政策の動向や中東情勢の緊迫化などにより、先行きは不透明な状況にあります。このような状況下、当社グループは、2023年度にスタートした8カ年の経営計画「Mission2030」に掲げる「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つの成長戦略にもとづく施策を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。この結果、当期の業績は、電子・先端製品の販売数量が増加しましたが、原燃料価格の下落に応じた販売価格の見直しなどによる手取り減があり、売上高は3,842億47百万円と前年同期に比べ160億3百万円(4.0%)の減収となりました。収益面では、営業利益は262億25百万円(前年同期比118億11百万円増、82.0%増益)となり、経常利益は192億95百万円(前年同期比116億71百万円増、153.1%増益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、期限を定めず暫定停止している米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマー社に関わる特別損失を計上した一方で、特別利益として大船工場の工場用地の譲渡益や政策保有株式の売却益を計上したことから、156億95百万円(前年同期は123億円の損失)となりました。 <電子・先端プロダクツ部門>当部門の製品は、AI関連や電力インフラ向けの需要が拡大しました。球状シリカ、球状アルミナの販売は、AI向け半導体等の需要拡大に伴い、好調に推移しました。高機能フィルムも電子部品向けの需要が緩やかに回復し増収となりました。また、アセチレンブラックの販売は、xEV向けは前年を下回りましたが、高圧ケーブル向けが前年を上回り、全体で増収となりました。このほか、高信頼性放熱プレート“アルシンク”は、電鉄向けの需要回復や直流送電向けの需要増加により増収となり、新製品である低誘電有機絶縁樹脂“スネクトン”の販売も順調に伸長しました。この結果、当部門の売上高は1,044億30百万円(前年同期比122億27百万円(13.3%)増収)となり、営業利益は138億86百万円と前年同期に比べ47億17百万円(51.5%)の増益となりました。 <ライフイノベーション部門>POCT検査試薬は、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症は一定程度流行しましたが、年明け以降、急速に収束し検査数が減少したことから、全体では販売数量が前年を下回りました。また、その他の検査試薬の販売は、一部海外向けの不調もあり、前年を下回りました。このほか、インフルエンザワクチンは計画通りの出荷となりました。この結果、当部門の売上高は405億20百万円(前年同期比27億42百万円(6.3%)減収)となり、営業利益は62億47百万円と前年同期に比べ33億54百万円(34.9%)の減益となりました。 <エラストマー・インフラソリューション部門>クロロプレンゴムの需要は引き続き低調に推移しましたが、高コストである米国子会社の製造設備を暫定停止しており収益性は改善しました。このほか、農業・土木用途向けのコルゲート管の販売は増収となりましたが、特殊混和材の販売は工事遅れなどの影響により前年を下回りました。この結果、当部門の売上高は975億83百万円(前年同期比140億90百万円(12.6%)減収)となり、営業利益は68百万円と前年同期に比べ80億30百万円の増益(前年同期は営業損失79億62百万円)となりました。 <ポリマーソリューション部門>当部門の各製品は、原燃料価格の下落に応じて販売価格の見直しを行いました。AS・ABS樹脂やスチレンモノマーの出荷は前年を上回りましたが、デンカシンガポール社のMS樹脂は前年を下回りました。このほか、食品包材用シートおよびその加工品の販売は、需要回復が遅れており、前年を下回りました。この結果、当部門の売上高は1,241億61百万円(前年同期比112億4百万円(8.3%)減収)となり、営業利益は35億74百万円と前年同期に比べ24億20百万円(209.8%)の増益となりました。 <その他部門>YKアクロス株式会社等の商社は取扱高が概ね前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は175億52百万円(前年同期比1億94百万円(1.1%)減収)となり、営業利益は24億27百万円と前年同期に比べ31百万円(1.3%)の増益となりました。 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ254億82百万円増加の6,810億6百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の減少などにより前連結会計年度末に比べ103億79百万円減少の2,600億75百万円となりました。固定資産は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ358億61百万円増加の4,209億30百万円となりました。負債は、工事未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ50億47百万円減少の3,421億80百万円となりました。非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ305億30百万円増加の3,388億26百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の45.2%から45.6%となり、1株当たり純資産は3,436円95銭から3,604円53銭となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、352億70百万円となり、前連結会計年度末と比べ17億32百万円の減少となりました。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加したことなどにより、361億54百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いなどにより、450億21百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、76億3百万円の収入となりました。 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期自己資本比率(%)51.750.149.945.245.6時価ベースの自己資本比率(%)52.639.832.828.144.7債務償還年数(年)3.219.04.811.76.1インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)45.48.121.78.917.7 自己資本比率………………………………自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率………………株式時価総額/総資産債務償還年数………………………………有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ……営業キャッシュ・フロー/利息支払額(注) 1.いずれの指標も連結ベースの財務数値により算出しております。2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品がほとんどであるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。このため「生産、受注及び販売の実績」については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの経営成績に関連付けて記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容2025年度のわが国経済は、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、景気は緩やかな回復に向かいました。世界経済は、全体としては持ち直しましたが、米国の通商政策の動向や中東情勢の緊迫化などにより、先行きは不透明な状況にあります。このような状況下、当社グループは、2023年度にスタートした8カ年の経営計画「Mission 2030」に掲げる「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つの成長戦略にもとづく施策を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。この結果、当期の業績は、電子・先端製品の販売数量が増加しましたが、原燃料価格の下落に応じた販売価格の見直しなどによる手取り減があり、売上高は3,842億円と前年同期に比べ160億円の減収となりました。収益面では、営業利益は262億円(前年同期比118億円増)となり、経常利益は192億円(前年同期比116億円増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、米国製造子会社デンカパフォーマンスエラストマー社(以下DPE)に関わる特別損失を計上した一方で、特別利益として大船工場の工場用地の譲渡益や政策保有株式の売却益を計上したことから、156億円(前年同期は123億円の損失)となりました。 当社グループは、経営計画「Mission 2030」の策定時からの急激な事業環境の変化等により収益力が低下し、業績立て直しが急務となっていたことから、2025年度は、収益課題を克服し成長軌道へ回帰するため、投資の厳選を徹底し財務規律の統制を図りながら、「ポートフォリオ変革の加速」と「稼ぐ力の回復」を最優先に取り組みました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは361億54百万円の収入となりましたが、経営計画「Mission2030」にもとづく厳選した投資案件への支出および株主還元方針にもとづく配当を実施した結果、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は前連結会計年度末比で57億66百万円増加し、1,864億44百万円となりました。なお、自己資本比率は45.6%、ネットD/Eレシオは0.60倍となり、引き続き良好な財政状態を維持しているものと判断しております。資本の財源及び資金の流動性については、当社グループでは将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達を行うことを基本的な方針としております。当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資資金等であり、必要資金の調達については、自己資金を主とし、運転資金の一部を短期借入金やコマーシャル・ペーパーによって、設備資金等の長期資金の一部を長期借入金や社債によって外部調達しております。資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針と合理的と考えられる見積りに基づき、収益、費用、資産、負債の計上について判断しております。当社グループの連結財務諸表の作成においては、例えば一般債権に対する貸倒引当金の引当については主として過去の貸倒実績率を、繰延税金資産の計上については将来の税務計画を、退職給付債務については、昇給率、割引率などを使用して見積っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。 (a) 固定資産当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。また、年次の減損テストが必要な場合、資産グループの公正価値を算定し、その帳簿価額が公正価値を超過する場合には、公正価値まで減額を行います。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映しているほか、必要に応じて外部専門家による評価を活用しております。減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討をおこなっておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。 (b) 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性は、収益力もしくはタックス・プランニングに基づく将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、各納税主体の事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映し見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の予測不能な経営環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、評価性引当額が変動し損益に影響を及ぼす可能性があります。 (c) 退職給付債務の算定当社グループでは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用について、数理計算上の仮定を用いて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎があり、これらの計算基礎については、例えば期待運用収益率であれば前提となる企業年金の運用方針などを、定期的かつ合理的な見直しをおこなっております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付債務および関連する勤務費用が変動する可能性があります。
事業リスク
- 外部環境変動の影響自動車や電子部品の需要変動、原油・基礎石油化学製品の市況、為替相場の変動、関税引き上げなどが業績に影響を与える可能性があります。これらの要因は予測が難しく、収益の不安定化を招くリスクがあります。
- 品質問題と製造物責任製品やサービスに品質問題が発生した場合、顧客からの信頼失墜や大規模なリコール、損害賠償などが発生し、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。過去には第三者認証における不適切行為も発生しており、再発防止策の徹底が重要です。
- 事故・自然災害のリスク生産設備での重大な産業事故や、地震、集中豪雨、大型台風などの自然災害が発生した場合、従業員や第三者への人的・物的損害、生産設備の損壊、生産停止などにより、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)外部事業環境等当社グループの経営成績は、自動車や電子部品などの需要動向により影響を受けるほか、原油や基礎石油化学製品などの原燃料市況ならびに為替相場の変動、関税の引き上げ等の影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営計画「Mission 2030」において、全ての事業をスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指し、外部環境の変化に左右されにくい、企業体質の強化を進めてまいります。 (2)品質、製造物責任昨今の科学技術の急速な発展により、品質保証活動は複雑化しております。当社グループの製品やサービスに品質問題が発生した場合は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、社会および顧客の信頼を第一に考え、安心して使用できる製品の提供のため、本社コーポレート部門、各事業部門、各生産拠点に品質保証部門を配置する3層の品質保証体制を取っております。当社および主要子会社の全事業所の対象製品における品質管理、および継続的な品質改善に努めることで、ステークホルダーからの当社への満足度向上にむけ推進しております。(第三者認証等における不適切行為について)当社は、2023年に品質等に関する不適切行為が判明したことを受け、外部調査を実施し、その結果をもとに、再発防止のためにデンカ対応策マスタープランを定め、是正と再発防止に取り組んでまいりました。今般、2026年3月末をもって、再発防止対応策の完了を確認いたしましたので、その旨をご報告申し上げるとともに、再発防止対応策進捗状況の定期的なご報告を終了させていただきます。再発防止対応策の完了状況は、当社公式ホームページをご参照ください。今後も、当社グループ役職員一同、引き続きコンプライアンス強化と徹底遵守に努め、皆様に信頼していただける企業を目指して全力で取り組んでまいります。 (3)事故・自然災害当社グループは、安全最優先をすべての生産に係る活動の基盤と位置付けております。過去に発生させてしまった重大事故を教訓に、その再発防止対策としてリスクアセスメントの質的向上、工事安全管理、ノンテクニカルスキルに力点を置いた安全保安教育、安全監査など、すべての現場で災害を起こさないための総合的な取り組みを進めております。しかしながら、重大な産業事故や、地震、気候変動による集中豪雨および大型台風などの自然災害が発生した場合、従業員や第三者への人的、物的な損害、生産設備の損壊や生産停止等が生じるリスクがあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)環境当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、パリ協定および日本政府が掲げる目標を念頭に、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた温室効果ガスの排出量削減に関する中長期目標を定め、自家用再エネ発電導入などを通じたクリーンエネルギーの利用拡大、温室効果ガスを回収・固定化・有効利用する革新技術の開発、製品のライフサイクルを通じた地球温暖化ガスの排出削減、グループ各工場の環境負荷物質排出削減など、環境負荷の低減に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制の強化や2026年度から開始された排出量取引制度や、2028年度から導入が見込まれる化石燃料賦課金などにより、今後は事業活動の制限や対応費用の負担等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)海外事業展開当社グループは、アジア、米国、欧州等の国および地域に進出し、現地生産や販売をおこなうなど、海外展開を推進しております。海外での事業活動には予期できない法律や制度の変更、労使や人材確保の問題、テロや戦争などによる社会的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)財務当社グループは、将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達をおこなうことを基本的な方針としております。資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。また、長期借入金の金利を固定化する等、金利変動リスクの低減を図っております。しかしながら、金融環境が急激に悪化した場合、資金調達リスクや金利の上昇等が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、事業環境の著しい悪化による収益性の低下等があった場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)訴訟等当社グループは、倫理規定をはじめ各種社内規定に基づき、国内外の法令遵守はもちろんのこと、当社グループの社会における信頼を維持・確保することに努めておりますが、広範な事業活動を行う中で訴訟やその他の法律的手続きの対象となり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、訴訟等については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2) その他 ② 訴訟」をご参照下さい。 (9)新型コロナウイルス等の感染症当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、顧客、従業員、関係先等の安全・安心を第一に考え、国内外の事業所において各国の状況にあわせた感染防止対策をおこなっております。今後、新型コロナウイルスやその他の感染症の流行が発生した場合には、ロックダウンなどによる活動の制限、サプライチェーンの停滞、世界経済の悪化などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10)国際情勢当社グループはESG基本方針に則り、人権の尊重やサステナビリティの観点から、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢に対する国際社会の動きや日本政府の方針を尊重するとともに、日本政府を含むステークホルダーと建設的な対話に努め、適切に対応してまいります。国際情勢は日々変化を続けており、今後一部原料の調達難に伴う操業への影響、およびナフサ・天然ガス・石炭など原燃料価格の継続的な高騰などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 その他、国内外の経済・政治情勢、技術革新、株式相場の変動、繰延税金資産の取崩し等が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。