4068

ベイシス(4068)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 通信インフラの設計・施工・運用・保守
    ベイシスは、携帯電話の基地局工事や、電力・ガスなどのIoT機器の設置・保守を通じて、通信インフラの設計から運用・保守までを一貫して手掛けています。特に、通信事業者向けにエンジニアを常駐させ、電波環境の最適化や運用監視を行うことで、安定した収益を確保しています。
  • プロジェクト管理システムの活用
    自社開発システム「BLAS」やRPA、AIといった最新テクノロジーを導入し、現場管理や作業、プロジェクト管理の効率化を推進しています。これにより、ヒューマンエラーの低減や業務の自動化を実現し、コスト削減と品質向上に繋げています。
  • ストック型ビジネスとフロー型ビジネス
    携帯電話基地局の設置工事のような単発の請負案件(フロー型)と、通信事業者のプロジェクト支援やIoT機器の運用監視・保守のような継続的な契約(ストック型)の両方で収益を上げています。特に、客先常駐型のプロジェクト支援は、契約更新により複数年にわたり安定した収益をもたらす基盤となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • モバイルエンジニアリングサービス
    携帯電話の基地局建設や運用保守が中心の事業です。通信事業者向けに、基地局のエリア設計、設置工事、電波環境の最適化、運用監視、障害対応などを提供しています。特に、エンジニアを顧客先に常駐させることで、継続的な収益(ストック型ビジネス)を確保しています。
  • IoTエンジニアリングサービス
    電力・ガスなどの生活インフラ事業者や、鉄道・駐車場・小売などのIoTインフラ事業者向けに、IoT機器の設置・交換、ネットワーク構築、運用・監視サービスを提供しています。モバイルエンジニアリングで培ったノウハウを活かし、新たな成長分野として注力しています。
  • その他サービス
    モバイルおよびIoTエンジニアリングサービスで得た経験を基に、ITインフラ領域のエンジニアリングやRPAツールの販売、導入支援サービスを提供しています。これは、既存事業の周辺領域で新たな収益源を確保し、事業の多角化を図るものです。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,576 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社および連結子会社1社(株式会社アヴァンセ・アジル)により構成されており、インフラ業界における「通信インフラ構築のノウハウ・スキル」に「最新テクノロジー」を掛け合わせたインフラテック事業(Infrastructure × Technology)を展開しております。通信・電力・ガスなどのインフラ事業者に対し、通信インフラおよびIoTインフラの設計・施工・運用・保守、ならびに各種プロジェクト支援サービスを提供しております。 当社グループのサービスの特徴は、自社開発の現場作業DXクラウド「BLAS」(※1)に加え、AIやRPAといったテクノロジーを活用し、現場管理や作業、プロジェクト管理の効率化を推進している点にあります。現場オペレーションの受託(BPO)とBLAS(SaaS)を組み合わせ、インフラの構築から運用・保守までを一気通貫で提供する形態を「BPaaS」(※2)と称しております。 また、国内主要都市(仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)に事業拠点を設け、協力会社ネットワーク「ベイシスパートナーズ」(※3)を活用することで、大規模案件を含め日本全国にサービスを提供できる体制を有しております。 当社グループは単一のインフラテック事業セグメントであるためセグメント別の記載は行っておりませんが、当連結会計年度における主たるサービスは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度においては、IoTエンジニアリングサービスの売上高が構成比で最大となっております。 (1) モバイルエンジニアリングサービス(携帯電話のインフラ・ネットワーク構築・運用保守) 通信事業者を主要顧客とし、携帯電話基地局施工など請負案件によるフィールド業務対応に加え、通信事業者等へエンジニアを常駐させ、通信インフラの構築・運用・監視等を担っております。特に強みとするのは客先常駐型のプロジェクト支援業務であり、基地局設置後の電波環境を最適化するインテグレーション業務や、定常的な運用監視・保守を通じ、異常発生時には遠隔あるいは現地対応を迅速に実施しております。具体的な業務内容は以下のとおりであります。 ① エリア設計・置局・施工 携帯電話やWi-Fiなどの電波を発射する基地局工事に関する品質管理、工期管理、免許申請、部材管理、無線ネットワーク解析、エリア検討等を受託しております。RPAや独自開発ツールを用いてエラーの自動検出、データの自動更新、照合作業の自動化等を実現し、ヒューマンエラーの低減と業務効率化を推進しております。 ② インテグレーション 基地局が電波を発射できる状態にするためのデータ投入・設定、ソフトウェアアップグレード、工程管理等を受託しております。通信キャリアを問わない様々な無線機に対応してきた実績に加え、作業標準化や効率化のためのツール開発・運用により、コスト削減と品質向上を実現しております。 ③ 運用監視・保守 通信障害の検知、原因調査、障害対応、現地対応管理を受託しております。自社工事部門との連携により、障害発生時の現場対応を迅速に実施することが可能であります。 これらのサービスは特定の通信事業者に限定されず、主要通信方式(4G、5G、Wi-Fi、WiMAX、AXGP、LoRA等)に幅広く対応しております。基地局工事などの請負案件は単発のフロー型ビジネスとなることが多い一方、客先常駐型のプロジェクトは主にストック型ビジネスであり、契約更新によりサービス提供が複数年にわたり継続する案件も多くあります。 なお、当連結会計年度においては、通信事業者における5Gエリア展開工事の縮小に伴い、売上高は前連結会計年度を下回りました。 (2) IoTエンジニアリングサービス(IoTインフラ・ネットワーク構築・運用保守) 電力会社・ガス会社などの生活インフラ事業者、通信事業者および通信機器メーカーのほか、鉄道、駐車場、小売店舗等の施設を運営する事業者を顧客としております。スマートメーター、温度センサー、ネットワークカメラ、デジタルサイネージ、EV充電設備等のIoT機器について、設置・交換、ネットワーク構築、運用・監視サービスを提供しております。 ① 仕様検討・機器設置工事仕様検討、現地での機器設置・ネットワーク工事、設定・動作確認を実施しております。 ② 運用監視・保守機器やネットワークの不具合を監視し、障害発生時には現地またはリモートで対応しております。 「BLAS」による進捗・成果物管理、AI(画像認識)による入力データと表示データの自動照合、RPAによる定型業務の自動化を組み合わせ、作業ミスの防止、工数の削減およびオペレーションコストの低減を実現しております。機器設置案件は請負契約に基づくフロー型ビジネス、保守・運用は継続的業務によるストック型ビジネスであります。 なお、当連結会計年度においては、主力であるスマートメーターの設置・交換に加え、温度センサーやネットワークカメラ等のIoTデバイスの設置案件が拡大いたしました。 (3)その他サービス モバイルエンジニアリングサービスおよびIoTエンジニアリングサービスの現場業務で培ったノウハウを基に、サーバーやネットワーク等のITインフラ領域のエンジニアリング、RPAツールの販売およびRPA導入支援のサービスを提供しております。また、2023年9月より、「BLAS」の外部への販売を開始しております。連結子会社である株式会社アヴァンセ・アジルの売上高は、本区分に含めて計上しております。 当社グループの事業系統図は下記のとおりであります。 (4)提出日現在の事業体制に関する補足 当社グループは、2027年6月期より、サービス区分を従来の顧客属性を中心とした区分から、提供サービスの実態に基づく区分へ変更し、「IoTサービス」「ネットワークサービス」「SaaSサービス」の3区分に再編しました。各区分の内容は、IoTサービスがIoT機器の設置・運用・保守などの現場オペレーション、ネットワークサービスが通信・ITネットワークの設計・構築・更改・保守運用等、SaaSサービスが「BLAS」等のソフトウェア・データ活用サービスであります。これは、「どの顧客から受注したか」ではなく「何を提供しているか」で区分することにより、サービスごとの成長性および収益構造をより明確に可視化することを目的とするものであります。 [用語の定義] 本書記載内容に対する理解を容易にするために、また、正しい理解をいただくために、本書で使用する用語の定義と解説を以下に記載します。 なお、番号は本項「3 事業の内容」の文中において※で示した用語と対応しております。 番号用語用語の定義、解説※1BLAS自社開発の通信インフラ構築に特化したDXクラウド(プロジェクト管理システム)です。これまで通信インフラ構築の工程管理はFAXやメールなどアナログで行っていましたが、一連の作業がBLASのみで完結することができます。例えば、作業員はスマートフォンから作業終了後の写真をアップロードすることで自動的に作業報告書を作成することができ、管理者側ではクラウド上のAIを通じて画像認識による品質確認を行うなど、人手による作業の自動化・効率化を実現しています。なお、2025年12月において、「IT導入補助金2025」(2026年より「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更)の対象ツールに認定されております。※2BPaaS BPaaS(Business Process as a Service)は、業務プロセスの外部受託(BPO)と、クラウド上のソフトウェア(SaaS)を組み合わせて提供するサービスモデルです。当社グループは、オンサイト・フィールドでの現場オペレーションの実行・管理(BPO)とBLAS(SaaS)を組み合わせ、インフラの構築から運用までを一気通貫で提供しております。※3ベイシスパートナーズ当社グループが発注する案件を受託する意思を持ち登録している外注先企業です。各社とは専属契約を締結しているわけではなく、ベイシスパートナーズは当社グループの外注先企業の呼称であり、総数は545社となっております(2026年6月末時点)。ベイシスパートナーズに登録するメリットとしては、当社グループが独立系エンジニアリング会社のため、特定の顧客・業界に関わらず発注できること、自社の得意な分野の案件のみ受注可能なこと、BLAS等を無償で活用できることなどがあります。ベイシスパートナーズには人材派遣会社、工事会社、システム開発会社、その他があります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
RPAやAI活用による効率化とコスト削減、全国ネットワークによる大規模案件対応力
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ネットワーク
自社開発システム「BLAS」と全国の協力会社ネットワーク「ベイシスパートナーズ」
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:顧客の料金競争激化や設備投資縮小 / 法的規制の変更や許認可の取り消し / 特定取引先(ソフトバンク)への依存
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 0 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

提供された財務サマリにベイシス(4068)のデータが含まれておらず、具体的な無形資産(ブランド、特許、IP等)に関する情報も不足しているため、現時点では評価不能。

スイッチングコスト☆☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

顧客がベイシス社のサービスから他社へ乗り換える際のコストに関する具体的な情報がなく、スイッチング・コストの有無や強さを判断する材料が不足している。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ベイシス社のサービスにおいて、ユーザー数の増加がサービスの価値向上に繋がるネットワーク効果が存在するかどうかを示す情報がなく、評価不能。

コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

ベイシス社が競合他社と比較して構造的に低コストでサービスを提供できるかどうかの情報がなく、コスト優位性を評価する根拠が不足している。

規模の経済☆☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

ベイシス社が情報・通信業において、規模の経済性を活かした効率的な事業運営ができているか、また業界内でのポジションを示す情報が不足しており、評価不能。

  • 全国対応可能な協力会社ネットワーク
    全国に営業拠点を持ち、522社(2025年6月末時点)の協力会社ネットワーク「ベイシスパートナーズ」を活用することで、日本全国の大規模案件にも対応できる体制を構築しています。これにより、地域を問わず幅広い顧客のニーズに応えることが可能です。
  • 自社開発システムによる効率化
    自社開発のプロジェクト管理システム「BLAS」は、通信インフラ構築の全工程をデジタルで完結させ、作業報告書の自動作成やAIによる品質確認を可能にしています。これにより、作業効率の向上、ヒューマンエラーの削減、コスト低減を実現し、競合他社との差別化を図っています。
  • 多様な通信方式への対応実績
    4G、5G、Wi-Fi、WiMAX、AXGP、LoRAなど、主要な通信方式に幅広く対応できる技術力と実績を持っています。これにより、特定の通信キャリアに限定されず、多様な顧客のニーズに応えることができ、事業の安定性と成長性を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営方針 当社グループは、企業理念に掲げるMISSION「社会の基盤を創り、人と社会の未来と幸福を支える」のもと、VISION「Update The World~変化し、変化させ、必要不可欠なOnly Oneへ」を掲げており、インフラテック事業を推進することで、インフラ業界の抱えるデジタル化が遅れた非効率な現場作業や業界特有の多重下請けによる高コスト構造といった課題を解決し、より快適な社会の実現に貢献してまいります。 また、当社グループは、2035年に向けたビジョンとして「規模じゃない、価値で勝つ。2035年、業界を代表する企業へ」を掲げております。事業規模の拡大のみを追うのではなく、現場実行力とテクノロジーの掛け合わせによって顧客に提供する価値を高め、その対価として持続的な収益成長を実現することを基本的な考え方としております。 同時に、顧客へのサービス提供を通じて当社の社員が成長し続けることを支援し、結婚・出産といったライフステージの変化に合わせたテレワークやフレックス勤務の推進、多国籍な人材の登用などを促進するとともに、自律的でフラットな組織を構築し、顧客へ高い付加価値を提供できるプロフェッショナルの育成に努めてまいります。 (2) 経営環境 当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善などにより緩やかな回復基調が続いているものの、米国の通商政策の動向および中東情勢の緊迫化に起因する景気の下振れリスクに加え、継続的な物価上昇による個人消費の減速懸念などもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような経済環境のもと、当社グループを取り巻く事業環境は以下のとおりであります。 ① モバイル(通信キャリア)領域 当社グループが主要な顧客とする通信事業者の設備投資は、5Gエリア展開の一巡に伴い抑制傾向が続いてまいりましたが、足元では回復の動きがみられます。株式会社MCAの調査によれば、国内のセルラーキャリア設備投資額は、2024年度は1兆3,260億円(前年度比2.6%減)と減少した一方、2025年度は1兆3,830億円(同4.3%増)と増加する見込みとされております。キャリア別には、NTTドコモおよびソフトバンクが投資を拡大する一方、KDDI(au)および楽天モバイルは投資を縮小する見通しであります(※1)。 同社の別の調査によれば、国内の通信事業者の設備投資額は、2025年度に前年度比13.2%増の2兆6,211億円が計画されているものの、2026年度以降は2024年度並みの水準に戻り、2028年度は2兆2,759億円になると予測されており、楽観できるものではありません(※2)。 加えて、通信事業者の投資の重点は変化しております。5Gのエリア展開が一巡する一方、各社はAI・データセンター、光ネットワークおよび衛星通信といった新たな領域への投資を拡大しており、基地局関連の投資は、新規エリアの展開から既存設備の維持・更新および運用の効率化へと性格が変わりつつあるものと認識しております。この結果、通信事業者の設備投資額の増減は、当社グループが受託する基地局工事の量に直ちに連動するものではなくなっております。 当連結会計年度における当社グループのモバイルエンジニアリングサービスの売上高は、前連結会計年度比3.4%減となりました。これは、当社グループが強みとする5Gエリア展開工事が縮小したことに加え、主要顧客において外注費の削減方針が継続していることによるものであります。以上を踏まえ、当社グループは、モバイル領域の売上高について当面横ばいまたは減少が続くことを前提としております。 ② IoT・社会インフラ領域 一方、わが国では労働力人口の減少が続いており、生産年齢人口(15〜64歳)は2000年の8,622万人から2025年には7,354万人へ減少しております(※3)。有効求人倍率は2025年度平均で1.20倍と、2000年の0.59倍から大きく上昇した水準で推移しております(※4)。また、株式会社帝国データバンクの調査によれば、正社員が不足していると回答した企業の割合は51.3%、非正社員では28.8%となっており、なかでも建設業における正社員の不足割合は66.0%と全業種で2番目に高い水準にあります(※5)。 こうした環境のもと、現場の省人化・デジタル化が不可欠となり、AI・ドローン・ロボット・IoTの社会実装が加速しております。IoT機器の設置台数は今後大きく増加することが見込まれており、クラウドカメラの累計稼働台数は2024年度の54.75万台(見込み)から2029年度には131万台へ拡大すると予測されているほか(※6)、EV用充電器は公共用で2030年までに30万口の整備が目標とされ(※7)、水道スマートメーターについては、東京都において先行導入されている約13万件から、2030年代までに約780万件の全戸導入が予定されております(※8)。 また、危機管理型水位計は2025年時点で9,300台が設置されており、今後、更新および高性能化が本格化するものと見込まれます(※9)。 IoT機器の種類および設置台数の増加は、全国・多拠点での設置・運用・保守需要の拡大につながるものであり、当社グループにとって事業機会の拡大を意味するものと認識しております。 当連結会計年度における当社グループのIoTエンジニアリングサービスの売上高は、前連結会計年度比13.1%増となりました。当社グループは、当該領域を中期経営計画2030における成長の中心と位置付けております。(注)本項に記載した外部データの出所は以下のとおりであります。将来に関する数値は、当社が入手可能な公表資料に基づくものであり、将来の実現を保証するものではありません。 番号出所※1株式会社MCA「携帯電話基地局及び周辺部材市場の現状と将来予測2025年版」(2026年6月)。同設備投資額は、基地局向け投資に加えコアネットワーク向け投資を含む金額であります。※2株式会社MCA「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2025年版」。※1とは調査の対象範囲が異なります。※3総務省統計局「人口推計」※4厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」。2025年度の年度平均であります。※5株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」(2026年8月公表。調査期間2026年7月17日~31日、有効回答企業数10,518社)※6株式会社矢野経済研究所「監視カメラ/システム国内市場に関する調査(2024年)」(2025年3月31日公表)。台数は累計稼働台数であり、2024年度は見込値であります。※7経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針」(2023年10月)※8国土交通省水管理・国土保全局水道事業課「水道分野におけるスマートメーターの導入促進について」(2025年3月10日)※9国土交通省水管理・国土保全局「危機管理型水位計設置の手引き(案)」(2026年3月)。台数は令和7年現在の全国の導入台数であります。 (3) 中長期的な経営戦略当社グループは、2026年8月に「中期経営計画2030」(2027年6月期から2030年6月期までの4か年)を策定・公表いたしました。 ① 前中期経営計画(中期経営計画2026)の総括 前中期経営計画では、上場時から掲げてきた「インフラテック企業」への進化に向け、モバイルサービスで培った通信キャリア品質の現場実行力をIoT領域へ転用し、IoTサービスの成長とBPaaSモデルの形成を進めました。その結果、IoT領域を成長事業へ転換し、BPaaSモデルの形成と、それを通じた競争資産(下記②に記載)の蓄積といった成長基盤を構築いたしました。一方、売上高については、モバイル領域が計画以上に大きく縮小したことに加え、IoT領域も成長は継続したものの当初想定した水準には届かず、最終年度(2026年6月期)の売上高は8,427百万円と当初計画9,612百万円を下回りました。利益面では、利益率の高いモバイルストック案件の減少をIoT領域の成長でカバーしきれず売上総利益率が低下したことに加え、IoTサービスは施工・設置を中心としたフロー案件の比率が高く、売上成長を継続的な利益成長へ転換する収益構造の構築が十分に進まなかったことから、EBITDAは294百万円と当初計画753百万円を下回りました。この結果、当社グループは、①対応領域・顧客基盤が限定的であること、②高収益・継続収益モデルが未確立であること、③利益成長の仕組みが未完成であること、④市場認知が不十分であること、⑤事業機能の拡充に時間を要していること、を残された課題と認識しております。 ② 中期経営計画2030の基本方針中期経営計画2030では、基本方針を「『インフラテックプラットフォーム』の構築・拡張」と定めております。インフラの構築・運用に必要な機能を一気通貫で提供するとともに、新たな領域・市場・サービスへ継続的に拡張していく事業エコシステムの構築を目指すものであります。 ▼図1 中期経営計画2030の全体像 その成長エンジンと位置付けているのが「BPaaS」であります。現場実行力とテクノロジーを掛け合わせ、ICT・IoTインフラの構築・運用に係る現場オペレーションを一気通貫で提供する形態であり、BPaaS案件の拡大を通じて、現場実行力、全国パートナー網、顧客接点・案件実績および現場データという4つの競争資産を蓄積・強化してまいります。これらを核として新たな領域・顧客へ展開することで、ストック収益と顧客生涯価値(LTV)の拡大を図ってまいります。 ▼図2 成長エンジン「BPaaS」と4つの競争資産③ 5つの重点戦略基本方針を実現するため、以下の5つの重点戦略を相互に連携させて推進いたします。 重点戦略内 容目 的① 対応領域拡大培った4つの競争資産を活用し、建物・設備マネジメント、エネルギー・スマートメーター、AIカメラ・認証、社会インフラ、防災・レジリエンス等の新たな領域・顧客へ展開する対応領域/顧客接点の拡大・売上成長 ② BLAS拡販・BPaaS化推進構築後の運用・保守・改善まで継続提供し、フロー型案件のストック化を進めるストック収益・顧客LTVの拡大 ③ 全社AXによる経営基盤の変革AIを前提に業務・組織・データ・システムを一体で再設計し、案件別の原価・利益をタイムリーに可視化する全社共通の業務基盤へ転換する生産性・収益性の向上 ④ ブランディング・マーケティングブランドの再定義と情報発信を強化し、顧客・採用候補者・パートナー・M&A対象企業との接点を継続的に創出する市場認知・顧客/人材獲得力の強化 ⑤ M&Aの推進 垂直統合(協力会社の取込)・水平展開(サービスラインの拡充)・ストック化(保守運用への拡張)により、自社に不足する事業機能・対象領域・顧客基盤を獲得する事業基盤・収益基盤・全国対応力の強化 ④ サービス別の戦略当社グループは、2027年6月期より、提供サービスの実態に基づく「IoTサービス」「ネットワークサービス」「SaaSサービス」の3区分により事業を管理する方針であり、それぞれの戦略は以下のとおりであります。 サービス2030年6月期に目指す姿成長戦略IoTサービス現場データとAIを活用し、導入・保守・運用・改善までを最適化する現場オペレーション基盤の確立単発受託から、導入・運用・改善まで担う現場オペレーション事業へ進化し、BPaaS化により継続収益を拡大ネットワークサービスネットワークインフラの設計・構築・現地対応・運用保守まで一貫して支援できるエンジニアリング体制の確立収益改善が見込める上流工程への対応拡大、エンジニア育成、ナレッジ標準化SaaSサービスBLASを基盤に、保守高度化・予兆保全・パートナー連携まで展開するBPaaS基盤の確立BLASの機能高度化により、ストック収益と顧客LTVを拡大 (4) 目標とする経営指標 当社グループは、企業価値を向上させ株主価値を高めることが重要であると考えており、そのためには、より専門性を高め、事業拡大を進めていくことで収益性を向上させ、継続的な成長を目指すことが重要であると認識しております。 中期経営計画2030においては、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、調整後EBITDAを最重要指標と位置付けております。これは、M&Aを重要な成長戦略の一つとして位置付けていることから、M&Aに伴うのれん償却費等の影響を受ける営業利益を主要指標とした場合、成長投資を実行するほど指標が悪化するためであります。 当社グループにおける調整後EBITDAの定義は以下のとおりであり、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づく指標ではありません。 • EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額• 調整後EBITDA=EBITDA+一時的または非経常的な費用(M&A関連費用、株式報酬費用、株主優待費用など) 当該指標の実績および目標は以下のとおりであります。2030年6月期の目標は、新規のM&Aを含まない前提の数値であり、M&Aによる成長を含めた場合は1,500百万円以上を目指しております。 2026年6月期(実績)2030年6月期(中期経営計画2030目標)調整後EBITDA(百万円)3341,348 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、これまで事業ポートフォリオの転換を進めてまいりましたが、収益性の改善は当初の想定に至っておりません。こうした状況を踏まえ、「中期経営計画2030」を策定し、『インフラテックプラットフォーム』の構築・拡張を基本方針に掲げております。同計画の実現に向け、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題は次のとおりであります。 [事業上の課題]① 対応領域・顧客基盤の拡大 当社グループが対応する領域および顧客は、通信・エネルギーの周辺が中心であり、他の分野への広がりは途上にあります。人手不足を背景にIoTの社会実装が加速し、全国・多拠点における機器の設置から運用・保守までの需要が高まるなか、この機会を確実に取り込むことが重要であると認識しております。通信インフラの構築を通じて培った現場実行力と全国のパートナー網、ならびに蓄積した案件実績と現場データを活かし、建物・設備の管理、AIカメラ・認証、社会インフラ、防災・減災といった新たな分野へ展開してまいります。あわせて、既存顧客に対する提案の範囲を広げるとともに、成功事例を標準化し、同様の課題を有する他の業界へと展開してまいります。 また、当社グループの売上高に占める特定顧客への依存度は低下傾向にあるものの、通信事業者との取引比率は依然として高い水準にあります。新規顧客の獲得に加え、既存顧客へのアップセル・クロスセルを推進するため、営業機能の一層の拡充・強化に取り組んでまいります。② 継続収益モデルの確立 当社グループの利益を支えてきたストック型の案件は、通信キャリアによる設備投資の抑制に伴い減少しております。一方、成長領域であるIoT分野は、機器の設置・施工をもって完了するフロー型の案件が中心であり、設置後の運用・保守まで受託する取り組みは広がりつつあるものの、売上の成長が継続的な利益に結びつく収益モデルの確立には、なお至っておりません。 機器の設置にとどまらず、稼働監視、定期点検、障害対応から改善提案までを一貫して担うことで、フロー型からストック型への転換を進めてまいります。これらの業務につきましては、自社開発の現場作業DXクラウド「BLAS」を活用して標準化を進め、現場のデータを蓄積してまいります。あわせて、2023年9月より開始した「BLAS」の外部の顧客への販売を拡大してまいります。③ 生産性の向上と収益性の改善 案件が増えるにつれて業務の流れが複雑になり、システムの分散と管理工数の増大を招いた結果、生産性の向上を十分に実現できておりません。当社グループは、AIの活用を前提として業務・組織・データ・システムを一体で見直す全社的な変革(AX)に取り組んでまいります。受注から請求に至る販売・購買・原価の処理を部門横断で再設計し、案件ごとの原価と利益を適時に把握できる仕組みを整えることで、見積および単価の精度を高め、低採算案件を早期に把握し、収益性の改善につなげてまいります。なお、AIの出力については人が評価・承認する統制(Human in the Loop)を組み込み、品質と説明責任を担保する方針であります。 また、自社開発の現場作業DXクラウドサービス「BLAS」については開発を強化し、一日あたり数千件に及ぶ現場案件の管理に加え、前工程(機器準備・現地情報確認等)および後工程(レポート作成等)の効率化を実現しております。さらに、運用で得られた知見や顧客・現場作業者からのフィードバックを踏まえ、監視や保守高度化等の「保守DX」の実現に向けた機能開発を進めております。引き続き「BLAS」の継続的な機能拡充と将来を見据えたシステム開発を推進すべく、内製体制の強化および他社との連携等を通じてテクノロジーの強化を図ってまいります。④ 市場認知の向上 新たな顧客の開拓、パートナー企業の獲得および人材の採用のいずれにおいても、当社グループの認知度は十分ではありません。認知度の向上は、これらすべての土台となるものと認識しております。ブランドの再定義と情報発信の強化に取り組み、コーポレートサイトおよび「BLAS」のサービスサイトを軸として、顧客、採用候補者ならびにパートナー企業との継続的な接点を生み出す体制を整えてまいります。⑤ 事業機能の拡充 機器の設置・施工以外の専門性の高い保守・点検や、AI・データの活用といった機能を自社のみで備えるには時間を要します。当社グループは、対象となる領域の特性に応じてM&Aと事業提携を使い分け、これらの機能と新たな顧客を獲得することで、提供できるサービスの幅を広げてまいります。具体的には、当社グループのオペレーションとの類似性が高く、かつ顧客・設置物件の重複度が高い領域についてはM&Aを優先し、類似性は低いものの重複度が高い領域については事業提携を優先する方針であります。M&Aの実行にあたりましては、投資判断の基準と財務規律を定めるとともに、買収後の統合(PMI)を着実に進められる体制を築いてまいります。 ⑥ 人材の育成と安全・品質の確保 事業の拡大を支えるためには、プロジェクトマネージャーやフィールドエンジニアをはじめとする人材の確保と育成を一段と進める必要があります。階層別・職能別の教育体制の充実、リスキリングの機会提供およびキャリアパスの整備を通じて人材力を高めるとともに、全国の施工を支えるパートナー企業に対しても、技術研修や情報共有の場を設けてまいります。特に、全社AXの推進に対応するためのデジタル人材の確保・育成を重点課題としております。 また、労働災害の防止と施工品質の維持は事業の継続と社会からの信頼の基礎であることから、安全衛生教育の徹底と作業手順の標準化に引き続き取り組んでまいります。 [財務上の課題]⑦ 資本政策およびキャピタルアロケーション 当社グループは、創出したキャッシュについて、①自社の成長投資、②M&Aによる成長投資、③株主還元、の順で配分する方針であります。資本コストを上回るリターンが見込める投資機会が存在する限り成長投資を優先することとし、株主還元については、配当は当面行わず、株価が本源的価値を下回ると判断される場合に自己株式の取得を実施する方針であります。配当は余資が生じた場合に検討いたします。⑧ 投資規律および財務健全性の維持 当社グループは、上記⑤に記載のM&Aの実行にあたり、以下の投資規律に基づき判断する方針であります。• 取得価額はEV/EBITDA倍率で評価し、当社の評価倍率に照らして妥当な水準にとどめること• のれんの計上額を抑制し、将来の減損リスクと1株当たり利益の希薄化を限定すること• 営業キャッシュ・フローと借入により実行し、レバレッジ上限(ネット有利子負債/調整後EBITDA 2.5倍、M&A直後は3.0倍まで)の範囲内で判断すること(現時点でエクイティ・ファイナンスは想定しておりません)⑨ 資本コストや株価を意識した経営および上場維持基準への対応 当社株式は株式会社東京証券取引所グロース市場に上場しております。同取引所は、グロース市場の時価総額に関する上場維持基準について、従来の「上場から10年経過後に40億円以上」から「上場から5年経過後に100億円以上」へ引き上げることとし、2030年3月1日より適用することを公表しております。当社は6月決算であるため、当該基準による判定は2030年6月30日を基準日として行われることとなり、中期経営計画2030の最終年度末と一致いたします。 当社グループは、中期経営計画2030において2030年6月期までに時価総額100億円以上を目指すこととしており、収益性の改善と成長性の実現、資本コストを意識した資本政策の遂行、およびIR活動を通じた情報開示の充実により、企業価値の向上に取り組んでまいります。⑩ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの強化 当社グループは、事業環境の変化に対応しつつ事業拡大を進めるため、内部管理体制およびコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しております。特に、M&Aおよびグループ会社の増加を見据え、グループガバナンス体制の整備、投資判断・モニタリングプロセスの高度化、および子会社を含む内部統制の実効性向上を図ってまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営方針 当社グループは、企業理念に掲げるMISSION「社会の基盤を創り、人と社会の未来と幸福を支える」のもと、VISION「Update The World~変化し、変化させ、必要不可欠なOnly Oneへ」を掲げており、インフラテック事業を推進することで、インフラ業界の抱えるデジタル化が遅れた非効率な現場作業や業界特有の多重下請けによる高コスト構造といった課題を解決し、より快適な社会の実現に貢献してまいります。 また、当社グループは、2035年に向けたビジョンとして「規模じゃない、価値で勝つ。2035年、業界を代表する企業へ」を掲げております。事業規模の拡大のみを追うのではなく、現場実行力とテクノロジーの掛け合わせによって顧客に提供する価値を高め、その対価として持続的な収益成長を実現することを基本的な考え方としております。 同時に、顧客へのサービス提供を通じて当社の社員が成長し続けることを支援し、結婚・出産といったライフステージの変化に合わせたテレワークやフレックス勤務の推進、多国籍な人材の登用などを促進するとともに、自律的でフラットな組織を構築し、顧客へ高い付加価値を提供できるプロフェッショナルの育成に努めてまいります。 (2) 経営環境 当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善などにより緩やかな回復基調が続いているものの、米国の通商政策の動向および中東情勢の緊迫化に起因する景気の下振れリスクに加え、継続的な物価上昇による個人消費の減速懸念などもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような経済環境のもと、当社グループを取り巻く事業環境は以下のとおりであります。 ① モバイル(通信キャリア)領域 当社グループが主要な顧客とする通信事業者の設備投資は、5Gエリア展開の一巡に伴い抑制傾向が続いてまいりましたが、足元では回復の動きがみられます。株式会社MCAの調査によれば、国内のセルラーキャリア設備投資額は、2024年度は1兆3,260億円(前年度比2.6%減)と減少した一方、2025年度は1兆3,830億円(同4.3%増)と増加する見込みとされております。キャリア別には、NTTドコモおよびソフトバンクが投資を拡大する一方、KDDI(au)および楽天モバイルは投資を縮小する見通しであります(※1)。 同社の別の調査によれば、国内の通信事業者の設備投資額は、2025年度に前年度比13.2%増の2兆6,211億円が計画されているものの、2026年度以降は2024年度並みの水準に戻り、2028年度は2兆2,759億円になると予測されており、楽観できるものではありません(※2)。 加えて、通信事業者の投資の重点は変化しております。5Gのエリア展開が一巡する一方、各社はAI・データセンター、光ネットワークおよび衛星通信といった新たな領域への投資を拡大しており、基地局関連の投資は、新規エリアの展開から既存設備の維持・更新および運用の効率化へと性格が変わりつつあるものと認識しております。この結果、通信事業者の設備投資額の増減は、当社グループが受託する基地局工事の量に直ちに連動するものではなくなっております。 当連結会計年度における当社グループのモバイルエンジニアリングサービスの売上高は、前連結会計年度比3.4%減となりました。これは、当社グループが強みとする5Gエリア展開工事が縮小したことに加え、主要顧客において外注費の削減方針が継続していることによるものであります。以上を踏まえ、当社グループは、モバイル領域の売上高について当面横ばいまたは減少が続くことを前提としております。 ② IoT・社会インフラ領域 一方、わが国では労働力人口の減少が続いており、生産年齢人口(15〜64歳)は2000年の8,622万人から2025年には7,354万人へ減少しております(※3)。有効求人倍率は2025年度平均で1.20倍と、2000年の0.59倍から大きく上昇した水準で推移しております(※4)。また、株式会社帝国データバンクの調査によれば、正社員が不足していると回答した企業の割合は51.3%、非正社員では28.8%となっており、なかでも建設業における正社員の不足割合は66.0%と全業種で2番目に高い水準にあります(※5)。 こうした環境のもと、現場の省人化・デジタル化が不可欠となり、AI・ドローン・ロボット・IoTの社会実装が加速しております。IoT機器の設置台数は今後大きく増加することが見込まれており、クラウドカメラの累計稼働台数は2024年度の54.75万台(見込み)から2029年度には131万台へ拡大すると予測されているほか(※6)、EV用充電器は公共用で2030年までに30万口の整備が目標とされ(※7)、水道スマートメーターについては、東京都において先行導入されている約13万件から、2030年代までに約780万件の全戸導入が予定されております(※8)。 また、危機管理型水位計は2025年時点で9,300台が設置されており、今後、更新および高性能化が本格化するものと見込まれます(※9)。 IoT機器の種類および設置台数の増加は、全国・多拠点での設置・運用・保守需要の拡大につながるものであり、当社グループにとって事業機会の拡大を意味するものと認識しております。 当連結会計年度における当社グループのIoTエンジニアリングサービスの売上高は、前連結会計年度比13.1%増となりました。当社グループは、当該領域を中期経営計画2030における成長の中心と位置付けております。(注)本項に記載した外部データの出所は以下のとおりであります。将来に関する数値は、当社が入手可能な公表資料に基づくものであり、将来の実現を保証するものではありません。 番号出所※1株式会社MCA「携帯電話基地局及び周辺部材市場の現状と将来予測2025年版」(2026年6月)。同設備投資額は、基地局向け投資に加えコアネットワーク向け投資を含む金額であります。※2株式会社MCA「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2025年版」。※1とは調査の対象範囲が異なります。※3総務省統計局「人口推計」※4厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」。2025年度の年度平均であります。※5株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」(2026年8月公表。調査期間2026年7月17日~31日、有効回答企業数10,518社)※6株式会社矢野経済研究所「監視カメラ/システム国内市場に関する調査(2024年)」(2025年3月31日公表)。台数は累計稼働台数であり、2024年度は見込値であります。※7経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針」(2023年10月)※8国土交通省水管理・国土保全局水道事業課「水道分野におけるスマートメーターの導入促進について」(2025年3月10日)※9国土交通省水管理・国土保全局「危機管理型水位計設置の手引き(案)」(2026年3月)。台数は令和7年現在の全国の導入台数であります。 (3) 中長期的な経営戦略当社グループは、2026年8月に「中期経営計画2030」(2027年6月期から2030年6月期までの4か年)を策定・公表いたしました。 ① 前中期経営計画(中期経営計画2026)の総括 前中期経営計画では、上場時から掲げてきた「インフラテック企業」への進化に向け、モバイルサービスで培った通信キャリア品質の現場実行力をIoT領域へ転用し、IoTサービスの成長とBPaaSモデルの形成を進めました。その結果、IoT領域を成長事業へ転換し、BPaaSモデルの形成と、それを通じた競争資産(下記②に記載)の蓄積といった成長基盤を構築いたしました。一方、売上高については、モバイル領域が計画以上に大きく縮小したことに加え、IoT領域も成長は継続したものの当初想定した水準には届かず、最終年度(2026年6月期)の売上高は8,427百万円と当初計画9,612百万円を下回りました。利益面では、利益率の高いモバイルストック案件の減少をIoT領域の成長でカバーしきれず売上総利益率が低下したことに加え、IoTサービスは施工・設置を中心としたフロー案件の比率が高く、売上成長を継続的な利益成長へ転換する収益構造の構築が十分に進まなかったことから、EBITDAは294百万円と当初計画753百万円を下回りました。この結果、当社グループは、①対応領域・顧客基盤が限定的であること、②高収益・継続収益モデルが未確立であること、③利益成長の仕組みが未完成であること、④市場認知が不十分であること、⑤事業機能の拡充に時間を要していること、を残された課題と認識しております。 ② 中期経営計画2030の基本方針中期経営計画2030では、基本方針を「『インフラテックプラットフォーム』の構築・拡張」と定めております。インフラの構築・運用に必要な機能を一気通貫で提供するとともに、新たな領域・市場・サービスへ継続的に拡張していく事業エコシステムの構築を目指すものであります。 ▼図1 中期経営計画2030の全体像 その成長エンジンと位置付けているのが「BPaaS」であります。現場実行力とテクノロジーを掛け合わせ、ICT・IoTインフラの構築・運用に係る現場オペレーションを一気通貫で提供する形態であり、BPaaS案件の拡大を通じて、現場実行力、全国パートナー網、顧客接点・案件実績および現場データという4つの競争資産を蓄積・強化してまいります。これらを核として新たな領域・顧客へ展開することで、ストック収益と顧客生涯価値(LTV)の拡大を図ってまいります。 ▼図2 成長エンジン「BPaaS」と4つの競争資産③ 5つの重点戦略基本方針を実現するため、以下の5つの重点戦略を相互に連携させて推進いたします。 重点戦略内 容目 的① 対応領域拡大培った4つの競争資産を活用し、建物・設備マネジメント、エネルギー・スマートメーター、AIカメラ・認証、社会インフラ、防災・レジリエンス等の新たな領域・顧客へ展開する対応領域/顧客接点の拡大・売上成長 ② BLAS拡販・BPaaS化推進構築後の運用・保守・改善まで継続提供し、フロー型案件のストック化を進めるストック収益・顧客LTVの拡大 ③ 全社AXによる経営基盤の変革AIを前提に業務・組織・データ・システムを一体で再設計し、案件別の原価・利益をタイムリーに可視化する全社共通の業務基盤へ転換する生産性・収益性の向上 ④ ブランディング・マーケティングブランドの再定義と情報発信を強化し、顧客・採用候補者・パートナー・M&A対象企業との接点を継続的に創出する市場認知・顧客/人材獲得力の強化 ⑤ M&Aの推進 垂直統合(協力会社の取込)・水平展開(サービスラインの拡充)・ストック化(保守運用への拡張)により、自社に不足する事業機能・対象領域・顧客基盤を獲得する事業基盤・収益基盤・全国対応力の強化 ④ サービス別の戦略当社グループは、2027年6月期より、提供サービスの実態に基づく「IoTサービス」「ネットワークサービス」「SaaSサービス」の3区分により事業を管理する方針であり、それぞれの戦略は以下のとおりであります。 サービス2030年6月期に目指す姿成長戦略IoTサービス現場データとAIを活用し、導入・保守・運用・改善までを最適化する現場オペレーション基盤の確立単発受託から、導入・運用・改善まで担う現場オペレーション事業へ進化し、BPaaS化により継続収益を拡大ネットワークサービスネットワークインフラの設計・構築・現地対応・運用保守まで一貫して支援できるエンジニアリング体制の確立収益改善が見込める上流工程への対応拡大、エンジニア育成、ナレッジ標準化SaaSサービスBLASを基盤に、保守高度化・予兆保全・パートナー連携まで展開するBPaaS基盤の確立BLASの機能高度化により、ストック収益と顧客LTVを拡大 (4) 目標とする経営指標 当社グループは、企業価値を向上させ株主価値を高めることが重要であると考えており、そのためには、より専門性を高め、事業拡大を進めていくことで収益性を向上させ、継続的な成長を目指すことが重要であると認識しております。 中期経営計画2030においては、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、調整後EBITDAを最重要指標と位置付けております。これは、M&Aを重要な成長戦略の一つとして位置付けていることから、M&Aに伴うのれん償却費等の影響を受ける営業利益を主要指標とした場合、成長投資を実行するほど指標が悪化するためであります。 当社グループにおける調整後EBITDAの定義は以下のとおりであり、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づく指標ではありません。 • EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額• 調整後EBITDA=EBITDA+一時的または非経常的な費用(M&A関連費用、株式報酬費用、株主優待費用など) 当該指標の実績および目標は以下のとおりであります。2030年6月期の目標は、新規のM&Aを含まない前提の数値であり、M&Aによる成長を含めた場合は1,500百万円以上を目指しております。 2026年6月期(実績)2030年6月期(中期経営計画2030目標)調整後EBITDA(百万円)3341,348 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、これまで事業ポートフォリオの転換を進めてまいりましたが、収益性の改善は当初の想定に至っておりません。こうした状況を踏まえ、「中期経営計画2030」を策定し、『インフラテックプラットフォーム』の構築・拡張を基本方針に掲げております。同計画の実現に向け、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題は次のとおりであります。 [事業上の課題]① 対応領域・顧客基盤の拡大 当社グループが対応する領域および顧客は、通信・エネルギーの周辺が中心であり、他の分野への広がりは途上にあります。人手不足を背景にIoTの社会実装が加速し、全国・多拠点における機器の設置から運用・保守までの需要が高まるなか、この機会を確実に取り込むことが重要であると認識しております。通信インフラの構築を通じて培った現場実行力と全国のパートナー網、ならびに蓄積した案件実績と現場データを活かし、建物・設備の管理、AIカメラ・認証、社会インフラ、防災・減災といった新たな分野へ展開してまいります。あわせて、既存顧客に対する提案の範囲を広げるとともに、成功事例を標準化し、同様の課題を有する他の業界へと展開してまいります。 また、当社グループの売上高に占める特定顧客への依存度は低下傾向にあるものの、通信事業者との取引比率は依然として高い水準にあります。新規顧客の獲得に加え、既存顧客へのアップセル・クロスセルを推進するため、営業機能の一層の拡充・強化に取り組んでまいります。② 継続収益モデルの確立 当社グループの利益を支えてきたストック型の案件は、通信キャリアによる設備投資の抑制に伴い減少しております。一方、成長領域であるIoT分野は、機器の設置・施工をもって完了するフロー型の案件が中心であり、設置後の運用・保守まで受託する取り組みは広がりつつあるものの、売上の成長が継続的な利益に結びつく収益モデルの確立には、なお至っておりません。 機器の設置にとどまらず、稼働監視、定期点検、障害対応から改善提案までを一貫して担うことで、フロー型からストック型への転換を進めてまいります。これらの業務につきましては、自社開発の現場作業DXクラウド「BLAS」を活用して標準化を進め、現場のデータを蓄積してまいります。あわせて、2023年9月より開始した「BLAS」の外部の顧客への販売を拡大してまいります。③ 生産性の向上と収益性の改善 案件が増えるにつれて業務の流れが複雑になり、システムの分散と管理工数の増大を招いた結果、生産性の向上を十分に実現できておりません。当社グループは、AIの活用を前提として業務・組織・データ・システムを一体で見直す全社的な変革(AX)に取り組んでまいります。受注から請求に至る販売・購買・原価の処理を部門横断で再設計し、案件ごとの原価と利益を適時に把握できる仕組みを整えることで、見積および単価の精度を高め、低採算案件を早期に把握し、収益性の改善につなげてまいります。なお、AIの出力については人が評価・承認する統制(Human in the Loop)を組み込み、品質と説明責任を担保する方針であります。 また、自社開発の現場作業DXクラウドサービス「BLAS」については開発を強化し、一日あたり数千件に及ぶ現場案件の管理に加え、前工程(機器準備・現地情報確認等)および後工程(レポート作成等)の効率化を実現しております。さらに、運用で得られた知見や顧客・現場作業者からのフィードバックを踏まえ、監視や保守高度化等の「保守DX」の実現に向けた機能開発を進めております。引き続き「BLAS」の継続的な機能拡充と将来を見据えたシステム開発を推進すべく、内製体制の強化および他社との連携等を通じてテクノロジーの強化を図ってまいります。④ 市場認知の向上 新たな顧客の開拓、パートナー企業の獲得および人材の採用のいずれにおいても、当社グループの認知度は十分ではありません。認知度の向上は、これらすべての土台となるものと認識しております。ブランドの再定義と情報発信の強化に取り組み、コーポレートサイトおよび「BLAS」のサービスサイトを軸として、顧客、採用候補者ならびにパートナー企業との継続的な接点を生み出す体制を整えてまいります。⑤ 事業機能の拡充 機器の設置・施工以外の専門性の高い保守・点検や、AI・データの活用といった機能を自社のみで備えるには時間を要します。当社グループは、対象となる領域の特性に応じてM&Aと事業提携を使い分け、これらの機能と新たな顧客を獲得することで、提供できるサービスの幅を広げてまいります。具体的には、当社グループのオペレーションとの類似性が高く、かつ顧客・設置物件の重複度が高い領域についてはM&Aを優先し、類似性は低いものの重複度が高い領域については事業提携を優先する方針であります。M&Aの実行にあたりましては、投資判断の基準と財務規律を定めるとともに、買収後の統合(PMI)を着実に進められる体制を築いてまいります。 ⑥ 人材の育成と安全・品質の確保 事業の拡大を支えるためには、プロジェクトマネージャーやフィールドエンジニアをはじめとする人材の確保と育成を一段と進める必要があります。階層別・職能別の教育体制の充実、リスキリングの機会提供およびキャリアパスの整備を通じて人材力を高めるとともに、全国の施工を支えるパートナー企業に対しても、技術研修や情報共有の場を設けてまいります。特に、全社AXの推進に対応するためのデジタル人材の確保・育成を重点課題としております。 また、労働災害の防止と施工品質の維持は事業の継続と社会からの信頼の基礎であることから、安全衛生教育の徹底と作業手順の標準化に引き続き取り組んでまいります。 [財務上の課題]⑦ 資本政策およびキャピタルアロケーション 当社グループは、創出したキャッシュについて、①自社の成長投資、②M&Aによる成長投資、③株主還元、の順で配分する方針であります。資本コストを上回るリターンが見込める投資機会が存在する限り成長投資を優先することとし、株主還元については、配当は当面行わず、株価が本源的価値を下回ると判断される場合に自己株式の取得を実施する方針であります。配当は余資が生じた場合に検討いたします。⑧ 投資規律および財務健全性の維持 当社グループは、上記⑤に記載のM&Aの実行にあたり、以下の投資規律に基づき判断する方針であります。• 取得価額はEV/EBITDA倍率で評価し、当社の評価倍率に照らして妥当な水準にとどめること• のれんの計上額を抑制し、将来の減損リスクと1株当たり利益の希薄化を限定すること• 営業キャッシュ・フローと借入により実行し、レバレッジ上限(ネット有利子負債/調整後EBITDA 2.5倍、M&A直後は3.0倍まで)の範囲内で判断すること(現時点でエクイティ・ファイナンスは想定しておりません)⑨ 資本コストや株価を意識した経営および上場維持基準への対応 当社株式は株式会社東京証券取引所グロース市場に上場しております。同取引所は、グロース市場の時価総額に関する上場維持基準について、従来の「上場から10年経過後に40億円以上」から「上場から5年経過後に100億円以上」へ引き上げることとし、2030年3月1日より適用することを公表しております。当社は6月決算であるため、当該基準による判定は2030年6月30日を基準日として行われることとなり、中期経営計画2030の最終年度末と一致いたします。 当社グループは、中期経営計画2030において2030年6月期までに時価総額100億円以上を目指すこととしており、収益性の改善と成長性の実現、資本コストを意識した資本政策の遂行、およびIR活動を通じた情報開示の充実により、企業価値の向上に取り組んでまいります。⑩ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの強化 当社グループは、事業環境の変化に対応しつつ事業拡大を進めるため、内部管理体制およびコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しております。特に、M&Aおよびグループ会社の増加を見据え、グループガバナンス体制の整備、投資判断・モニタリングプロセスの高度化、および子会社を含む内部統制の実効性向上を図ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末における流動資産は、3,047,548千円で前連結会計年度末に比べ33,812千円の増加となりました。これは主に現金及び預金の減少を、仕掛品の増加51,787千円や売掛金及び契約資産の増加30,266千円等が上回ったことによるものであります。固定資産は、766,326千円で前連結会計年度末に比べて62,562千円増加いたしました。これは主にのれん、顧客関連資産の償却などの減少要因を、投資有価証券の増加32,510千円及びその他の投資の増加16,228千円等が上回ったことによるものであります。この結果資産合計は3,813,875千円となり、前連結会計年度末に比べ96,374千円増加いたしました。 (負債)当連結会計年度末における流動負債合計は1,399,412千円で、前連結会計年度末に比べ15,920千円の減少となりました。これは主にその他流動負債の減少39,767千円、未払金の減少13,018千円及び未払法人税等の減少18,724千円が、買掛金の増加59,434千円を上回ったことによるものであります。固定負債は269,571千円となり、前連結会計年度末に比べ13,996千円の増加となりました。これは主に長期借入金の返済による45,000千円を、資産除去債務の増加63,694千円等が上回ったことによるものであります。この結果負債合計は1,668,984千円となり、前連結会計年度末に比べ1,924千円減少いたしました。 (純資産)当連結会計年度末における純資産は、2,144,891千円で前連結会計年度末に比べ98,298千円の増加となりました。これは主に当期純利益による利益剰余金の増加112,798千円が、自己株式の取得による減少44,857千円を上回ったことによるものであります。この結果、自己資本比率は55.6%となりました。 ② 経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善などにより緩やかな回復基調が続いているものの、米国の通商政策の動向および中東情勢の緊迫化に起因する景気の下振れリスクに加え、継続的な物価上昇による個人消費の減速懸念などもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような経済環境のもと、当社グループの業績概況は以下のとおりであります。 モバイルエンジニアリングサービスにおいては、通信キャリア各社における5Gエリア展開工事の縮小が続いたことにより、売上高は前連結会計年度を下回りました。一方、業績予想においては同工事の減少を織り込んでおりましたが、通信キャリア向けの通信品質改善工事、基地局設置および法令点検案件が想定以上に推移したことから、業績予想を上回る着地となりました。 IoTエンジニアリングサービスにおいては、主力のスマートメーターの設置・交換に加えて、温度センサーやネットワークカメラ等のIoTデバイスの設置案件が拡大し、売上高は前連結会計年度比13.1%増と二桁の成長を継続し、当社グループの事業成長を牽引いたしました。これは、当社が自社開発している現場作業DXクラウド「BLAS(ブラス)」の活用による現場作業の効率化および日本全国をカバーする幅広いサービスデリバリー体制が奏功したことによるものです。業績予想におきましては、前連結会計年度比26.7%増となる一段と高い成長を前提としておりましたが、多店舗向けネットワーク構築案件およびWi-Fi・LAN構築案件の受注が想定を下回ったことに加え、大型案件の検収が翌連結会計年度にずれ込んだことから、当該水準には至りませんでした。なお、当該案件は翌連結会計年度の業績に寄与する見込みであります。 その他サービスにおいては、金融機関向けネットワーク更改の需要増によりITインフラ関連の案件が拡大し、売上高は前連結会計年度比9.4%増となりました。一方、グループ子会社において、需要に対応するサービス提供体制の拡充が計画に対して遅れたことから、業績予想には至りませんでした。 なお、当連結会計年度においては、「BLAS」が経済産業省の「IT導入補助金2025」の対象ツールに認定されたほか、現場データの活用を支援するシリコンバレー発のスタートアップMODE, Inc.との戦略的業務提携および同社への出資、株式会社Vieurekaとのプロダクト連携を開始するなど、現場データを活用した事業モデルへの進化に向けた取り組みを進めております。 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は8,427,008千円(前年同期比5.5%増)、営業利益216,040千円(前年同期比21.5%増)、経常利益210,504千円(前年同期比25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益112,798千円(前年同期比16.7%増)となりました。 なお、当社はインフラテック事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の売上内訳といたしましては、モバイルエンジニアリングサービス3,252,441千円(前年同期比3.4%減)、IoTエンジニアリングサービス3,742,570千円(前年同期比13.1%増)、及びその他1,431,995千円(前年同期比9.4%増)となっております。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は857,334千円となり、前連結会計年度末に比べ60,297千円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは103,735千円の収入(前連結会計年度は464,976千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益210,504千円、仕入債務の増加59,434千円等の増加要因が、棚卸資産の増加51,631千円といった減少要因を上回ったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、75,683千円の支出(前連結会計年度は52,164千円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出34,236千円および投資有価証券の取得による支出30,670千円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは88,348千円の支出(前連結会計年度は466,037千円の支出)となりました。これは主に自己株式の取得による支出44,857千円、長期借入金の返済による支出45,000千円によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 b.受注実績当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。当連結会計年度(自 2025年7月1日至 2026年6月30日)受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)7,880,430110.42,250,134149.1(注) 当社グループはインフラテック事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。当連結会計年度(自 2025年7月1日至 2026年6月30日)金額(千円)前年同期比(%)8,427,008105.5(注)1.当社グループはインフラテック事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年7月1日至 2025年6月30日)当連結会計年度(自 2025年7月1日至 2026年6月30日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)ソフトバンク株式会社1,958,49224.51,536,73418.2SBエンジニアリング株式会社1,080,84713.51,272,48715.1東京電力パワーグリッド株式会社957,55512.0891,54210.6 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.財政状態「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績(売上高) 当連結会計年度における売上高は、8,427,008千円(前期比5.5%増)となりました。主な要因は、5G縮小の一方で、キャリア向け他案件やIoTデバイス設置案件が増加したことによるものであります。(売上原価、売上総利益) 当連結会計年度における売上原価は、6,491,521千円(前期比6.1%増)となりました。主な要因は売上高の増加に伴う増加であり、その主な内訳は人員増加による給与等の人件費の増加27,966千円であります。 この結果、売上総利益は1,935,486千円(前期比3.8%増)となりました。(販売費及び一般管理費、営業利益) 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,719,445千円(前期比1.9%増)となりました。主な要因は支払手数料の増加22,388千円及び業務委託費の増加13,652千円等であります。 この結果、営業利益は216,040千円(前期比21.5%増)となりました。(営業外損益、経常利益) 当連結会計年度における営業外収益は、3,566千円(前期比93.9%増)、営業外費用は、9,103千円(前期比23.2%減)となりました。営業外費用の主な減少要因は、前連結会計年度に計上した保険解約損の剥落等によるものであります。 この結果、経常利益は210,504千円(前期比25.4%増)となりました。(特別損益、当期純利益) 当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税は、88,336千円となりました。また、法人税等調整額は9,369千円となりました。 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は112,798千円(前期比16.7%増)となりました。 c.キャッシュ・フローの状況 キャッシュ・フローの分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 d.経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 e.資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社グループは、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した自己資金に加え、一部資金を銀行借入等により調達しており、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は857,334千円となっており、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しております。 f.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について 当社グループは、前連結会計年度において、従来進捗を確認していた指標(IoTエンジニアリングサービスにおける機器の設置台数及び稼働人員数)を取りやめ、適切な指標を検討することとしておりました。当連結会計年度においては、中期経営計画2030の策定に伴い、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として調整後EBITDAを採用しております。当該指標の内容及び採用の理由は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。 当連結会計年度の調整後EBITDAは334百万円となりました。中期経営計画2030においては、2030年6月期の調整後EBITDAを1,348百万円(新規のM&Aを含まない前提)と定めており、対応領域の拡大、ストック型ビジネスへの転換、生産性の向上及びM&Aの推進により、当該目標の達成を目指してまいります。

事業リスク

  • 主要顧客への依存と市場変動
    ベイシスは通信事業者を主たる顧客としており、特にソフトバンク株式会社への売上依存度が高い(24.5%)です。通信業界の料金競争激化や5G設備投資の縮小、顧客の内製化が進んだ場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。IoTエンジニアリングサービスで新たな顧客開拓を進めていますが、その進捗が遅れるとリスクが高まります。
  • 法的規制や許認可の変更・取消
    建設業や労働者派遣事業に関する許認可を得て事業を行っており、これらの許認可が取り消されたり、新たな法的規制が導入されたりした場合、事業活動に制約が生じ、業績に影響を与える可能性があります。法令遵守には努めていますが、予期せぬ変更や解釈の違いがリスクとなり得ます。
  • 情報セキュリティとシステム障害
    顧客の機密情報や個人情報を取り扱う機会が多く、情報漏洩が発生した場合には、賠償責任や信用失墜、営業活動への支障が生じる可能性があります。また、自社システム「BLAS」に重大な障害が発生した場合も、同様に業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対策は講じていますが、リスクはゼロではありません。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,443 文字
3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。 Ⅰ 事業環境および事業戦略に関するリスク① 事業環境及び顧客の動向について 当社グループは通信事業者(移動体通信キャリア)を主たる顧客の一つとしております。通信事業者の設備投資は5Gエリア展開の一巡に伴い抑制傾向が続いており、足元では回復の動きがみられるものの、その継続は見込まれておりません。また、投資の重点はAI・データセンター、光ネットワーク及び衛星通信といった新たな領域へ移りつつあり、基地局関連の投資は新規エリアの展開から既存設備の維持・更新及び運用の効率化へと性格が変わりつつあります。 このため、設備投資額の増減は当社グループが受託する工事量に直ちに連動するものではなく、投資の重点の変化、顧客内における内製化の進展、外注費の削減方針の継続等により当社グループの提供するサービス領域が縮小する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該状況は当面継続することが想定されます。 当社グループはIoTサービスへ事業領域を拡大しており、当連結会計年度のIoTエンジニアリングサービスの売上高はモバイルエンジニアリングサービスの売上高を上回っております。中期経営計画2030においても、2030年6月期のIoTサービスの売上高はネットワークサービスの売上高を上回る計画であり、通信事業者の設備投資の動向が当社グループの経営成績に及ぼす影響は相対的に低下していくものと見込んでおります。 もっとも、IoT及び社会インフラ領域における需要の拡大が想定を下回る場合には、通信事業者の設備投資の動向が当社グループの経営成績に及ぼす影響の低下が、想定どおりに進まない可能性があります。② 特定取引先・業界に対する依存度が高いことについて 当社グループは情報通信ネットワークの構築・施工等を主な事業としていることから各通信事業者との取引比率が高く、特にソフトバンク株式会社に対する売上高が当連結会計年度の売上高に占める割合は18.2%であり、この傾向は今後も継続することが見込まれます。新たな業界における顧客の開拓が進まない場合、情報通信業界の市況動向や技術革新等により各通信事業者の設備投資行動が変化した場合、又は何らかの理由により継続的な取引が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、対応する領域及び顧客を建物・設備の管理、AIカメラ・認証、社会インフラ、防災等へ拡大することにより、特定の取引先及び業界への依存の低減に努めております。③ 中期経営計画の達成及び成長投資について 当社グループは、2026年8月に中期経営計画2030(2027年6月期から2030年6月期までの4か年)を公表しております。同計画に掲げる目標は「第2 1(4) 目標とする経営指標」に記載のとおりでありますが、当該計画は現時点で入手可能な情報及び一定の前提に基づき策定したものであり、その達成を保証するものではありません。 前中期経営計画(中期経営計画2026)における最終年度(2026年6月期)の売上高及びEBITDAの実績は、いずれも当初の目標を下回りました。中期経営計画2030においても、市場環境の変化、競合状況、人材及び協力会社の確保状況、重点戦略の進捗等により、計画と実績が乖離する可能性があります。 また、当社グループは重点戦略の推進に向けて先行的な投資を実行する方針であり、これらの投資は費用計上が先行する一方、収益への寄与には一定の期間を要します。想定した効果が得られない場合又は効果の発現が遅延した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ ストック型ビジネスへの転換について 当社グループは、中期経営計画2030において、機器の設置・施工にとどまらず稼働監視、定期点検、障害対応及び改善提案までを継続的に受託することにより、フロー型の受託案件をストック型の継続契約へ転換することを計画しております。当該転換はIoTサービス及びネットワークサービスの双方において進めるものであり、自社開発の現場作業DXクラウド「BLAS」は、現場業務の標準化と品質の確保を担う基盤として、またその外部への販売による収益源として、これを支えるものであります。 機器の設置後の運用・保守を継続的に受託できるか否かは、顧客の調達方針及び競合の状況に左右されます。想定した範囲又は期間の契約を獲得できない場合には、計画したストック収益の拡大が実現しない可能性があります。 また、「BLAS」の外部への販売は2023年9月に開始したものであり、その実績は限定的です。SaaSサービスの売上高が2030年6月期の売上高計画に占める割合は小さいため、当該計画の未達が全社の経営成績に及ぼす影響は限定的でありますが、「BLAS」の機能高度化のためのソフトウェア投資について将来の収益獲得が見込めないと判断される場合には、ソフトウェア又はソフトウェア仮勘定に係る減損損失が発生する可能性があります(提供したソフトウェアの品質に起因するリスクは、下記Ⅱ⑩に記載しております)。⑤ M&Aについて 当社グループは、M&Aを重要な成長戦略の一つと位置付け、協力会社の取込による垂直統合、サービスラインの水平展開、及び保守・運用への拡張によるストック化を企図しております。しかしながら、当社グループはM&Aの実績が限定的であり、対象企業の選定、企業価値評価、買収後の統合(PMI)及びシナジーの創出には相応の経験とノウハウを要します。 想定した対象企業を適時に取得できない場合、取得価額が想定を上回る場合、又は統合が計画どおりに進捗しない場合には、中期経営計画2030に掲げる、M&Aによる成長を含めた調整後EBITDAの目標(「第2 1(4) 目標とする経営指標」に記載しております。)の達成が困難となる可能性があります。また、デュー・デリジェンスの限界等により取得後に新たな法的又は事業上のリスク要因が判明した場合、及び対象会社の収益性が当初の想定を下回りのれんその他の無形資産又は投資有価証券について減損損失を計上する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、投資判断の基準及び財務規律に基づく検討を行うとともに、既存事業とのシナジー及びリスクを十分に確認したうえでM&Aを実行する方針であります。⑥ 競合について 当社グループが従来から事業を展開してきた通信インフラ及びリモートモニタリング関連の領域においては、全国規模の協力会社ネットワーク「ベイシスパートナーズ」及び現場のプロジェクトマネジメントにおいて蓄積してきたノウハウが優位性につながっているものと考えておりますが、これらの市場は今後も成長が見込まれることから、国内外の事業者が参入する可能性があります。 また、中期経営計画2030において拡大を図る新たな領域及び「BLAS」の外部への販売においては、当社グループは後発の参入者となり、既存の優位性が直接には及ばない場合があります。十分な差別化を図ることができない場合又は価格競争が生じた場合には、想定した事業の拡大が実現せず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。Ⅱ 事業運営に関するリスク⑦ 業務委託先との取引関係について 当社グループは、業務の一部を個人又は法人に業務委託契約により委託しており、全国規模でのインフラの構築・運用は委託先であるベイシスパートナーズに支えられております。良好な関係を維持継続できなくなった場合や、今後見込まれる新規パートナー企業の開拓が困難となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、労働需給の逼迫を背景に協力会社への外注単価は上昇傾向にあり、当社グループが受注価格へ適時に転嫁できない場合には、売上総利益率の低下を通じて同様の影響を及ぼす可能性があります。⑧ 優秀な人材の獲得、育成について 当社グループの事業は、プロジェクトマネージャー及びフィールドエンジニアをはじめとする人材に支えられており、事業規模の拡大には人材の継続的な確保と育成が前提となります。特に、中期経営計画2030の遂行にあたっては、これらの人材に加え、全社AXの推進を担うデジタル人材の確保が必要となります。 国内では労働力人口の減少を背景に人材の獲得競争が続いており、当社グループの求める人材を計画どおりに確保・育成できない場合又は人材の流出が進んだ場合には、重点戦略の進捗が遅延し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 重大な人身・設備事故等の発生について 当社グループの事業は建設工事現場における作業を伴うことから、不測の事態により重大な人身・設備事故が発生した場合には、顧客からの信頼の低下、損害賠償義務の発生及び受注機会の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、安全衛生教育の徹底及び作業手順の標準化により、事故の未然防止に努めております。⑩ システム及び提供サービスの品質について 当社グループが提供するシステム及びサービスについて、当社グループでは制御できない外部要因により重大なシステム障害その他の欠陥が生じた場合には、賠償費用の発生、取引の停止及び信用の失墜を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、外部の顧客に対して有償で提供している「BLAS」に障害、機能の不具合又はデータの毀損等が生じた場合には、契約に基づく損害賠償責任を負う可能性があるほか、解約の増加及び新規顧客の獲得の停滞を通じて、同様の影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、業務管理システム「BLAS」によるプロジェクトの進捗の一元管理、AI(画像認識)を用いた成果物の確認及び報告書の自動作成等により、作業ミス及び設備トラブルの低減に努めております。⑪ 情報セキュリティについて 当社グループは、事業の性質上、個宅を訪問してIoT機器を設置するなど顧客の機密情報及び個人情報に接する機会があり、また多くの顧客情報を保有しております。情報漏洩等の問題が発生した場合には、賠償費用の発生、取引の停止及び信用の失墜を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、中期経営計画2030における現場データの蓄積・活用及び全社AXの推進に伴い、取り扱う情報量の増加及びAIの業務利用の拡大が見込まれることから、情報の誤用又は不適切な出力に起因する新たなリスクが生じる可能性があります。 当社グループは、「情報システム管理規程」及び「個人情報保護規程」に基づく情報セキュリティ推進体制の整備、従業員に対する教育・啓発活動、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001(2009年12月)及びISO27017(2024年6月)の認証取得と定期監査の受審、情報漏洩時の損害を補填する保険への加入、並びにデータセンターの利用によるデータの保全及び不正アクセスへの対策により、これらのリスクの低減に努めております。AIの利用については、社内規程の整備及びAIの出力を人が評価・承認する統制(Human in the Loop)の組込みにより対応しております。⑫ 自然災害・不測の事故等について 地震や津波、台風等の自然災害、パンデミック、テロリストによる攻撃等が発生した場合、また事業遂行上重要な要素となっている情報システム・通信ネットワークがこれらの要因や停電等により遮断・停止した場合には、円滑な事業運営の阻害や事業活動の中断を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、担当・責任者を定めて速やかに対策本部を設置する体制を構築するとともに、BCPの整備・運用を進めております。Ⅲ 財務・資本に関するリスク⑬ 借入及び財務制限条項への抵触について 当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結しており、2026年6月期末の当社グループ総資産に占める有利子負債比率は13.1%となっております。当該借入契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には、貸付人の請求により当該契約上の期限の利益を喪失し、ただちに債務を弁済するための資金の確保が必要となります。当該資金を確保できない場合には、当社グループの財政状態及び資金繰りに重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項の内容は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しております。 また、当社グループは中期経営計画2030において、M&Aによる成長投資を営業キャッシュ・フローと借入により実行する方針とし、レバレッジの上限をネット有利子負債/調整後EBITDA 2.5倍(M&A直後は3.0倍まで許容)を目安としております。M&Aの実行により有利子負債が増加した後に、対象会社の業績又は当社グループの調整後EBITDAが計画を下回った場合には、当該水準を維持できず、追加の資金調達の必要又は財務制限条項への抵触が生じる可能性があります。 ⑭ 上場維持基準への適合について 当社株式は株式会社東京証券取引所グロース市場に上場しております。同取引所は、グロース市場の時価総額に関する上場維持基準について、従来の「上場から10年経過後に40億円以上」から「上場から5年経過後に100億円以上」へ引き上げることとし、2030年3月1日より適用することを公表しております。当社は2021年に上場し、かつ6月決算であることから、当該基準による判定は2030年6月30日を基準日として行われることとなります。 業績が計画を下回った場合、株式市場の動向により当社株式の評価が変動した場合その他の要因により当該基準に適合しない状態となり、所定の改善期間内に適合しない場合には、当社株式は監理銘柄・整理銘柄に指定された後、上場廃止となる可能性があります。この場合、当社株式の流動性及び株主価値に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、中期経営計画2030において2030年6月期までに時価総額100億円以上を目指すこととし、収益性及び成長性の向上とIR活動の充実に取り組んでおります。Ⅳ ガバナンス・経営体制に関するリスク⑮ 法的規制等について 当社グループは、施工業務において「一般建設業(電気工事業、電気通信工事業)」等の許認可を得てサービスを提供しているほか、顧客先への派遣業務について「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)の規制を受けております。また、業務委託契約(準委任契約を含む)に基づき事業を行う場合には、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(1986年4月17日 労働省告示第37号)に従い運営しております。 許認可が取消となり業務の全部若しくは一部の停止処分を受けた場合、新たな許可を取得することができなくなった場合、法的規制が変更となった場合、又は請負と労働者派遣の区分に関する判断が当局の解釈と異なることとなった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&Aにより工事会社等を取得する場合には、対象会社が保有する許認可の承継及び維持が前提となり、取得後にその維持が困難となった場合には、当該事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、顧問弁護士事務所による許認可維持要件の定期確認、セルフチェックリストの運用並びに入社研修及び定期講習の実施により法令遵守に努めており、当該法的規制等に抵触する事実はないものと認識しております。M&Aの実行にあたりましては、デュー・デリジェンスにおいて許認可の状況を確認する方針であります。⑯ 内部管理体制について 当社グループは、現在の規模においては適正な内部管理体制を構築していると考えておりますが、今後の事業拡大に合わせて一層の充実・強化を図る必要があると認識しております。特に、M&Aの実行により子会社が増加した場合には、グループとしての内部管理体制の構築及び運用が必要となります。体制の整備が事業規模の拡大に追いつかない場合には、業務の適正性の確保に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。⑰ 経営者への依存について 当社グループの創業者である代表取締役社長の吉村公孝は、創業以来、経営方針や事業戦略の決定をはじめ当社グループの企業運営全般にわたり重要な役割を果たしております。何らかの理由により同氏が当社グループの経営の執行を継続することが困難となる事態が生じた場合には、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、取締役会その他の重要な会議における情報共有及び権限委譲を進めるとともに、次世代の幹部人材を育成するための研修を継続することにより、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、当該体制が十分に機能するまでには一定の期間を要するものと認識しております。

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