4091

日本酸素ホールディングス(4091)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 工業ガス事業
    酸素、窒素、アルゴンなどの工業ガスやLPガス、医療用ガス、特殊ガスの製造・販売が主力事業です。これらのガスは、鉄鋼、化学、半導体、医療など幅広い産業で不可欠な素材として利用されており、安定的な需要が見込まれます。また、ガス供給に必要な溶断機器や溶接材料、各種ガス関連機器、空気分離装置の製造・販売も手掛けています。
  • 設備・メンテナンス事業
    顧客の工場敷地内や隣接地に空気分離装置などを設置し、パイプラインでガスを供給する「オンサイトプラント方式」を展開しています。これにより、顧客は安定的にガスを調達でき、当社グループは長期的な収益を確保しています。設備の設置だけでなく、その後のメンテナンスも行うことで、顧客との関係を強化し、継続的な収益源としています。
  • 魔法瓶等の製造・販売
    ステンレス製魔法瓶などの家庭用品の製造・販売も行っています。これは、工業ガス事業とは異なる一般消費者向けの事業であり、ブランド力を持つ製品を通じて収益の多角化を図っています。特に「サーモス」ブランドは、世界中で認知されており、安定した収益に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

同社グループの事業セグメントは、主に「日本」「米国」「欧州」「アジア・オセアニア」「サーモス」の5つに分かれています。「日本」セグメントでは、各種工業ガス、医療用ガス、特殊ガス、ガス関連機器の製造・販売などを手掛けています。「米国」「欧州」「アジア・オセアニア」セグメントは、それぞれの地域で工業ガスの製造・販売を中核事業としています。特に米国と欧州は、現地の主要子会社を通じて広範なガス事業を展開しています。「サーモス」セグメントは、ステンレス製魔法瓶などの家庭用品の製造・販売を担っています。これにより、ガス事業をグローバルに展開しつつ、家庭用品事業も持つ多角的な構成となっています。

有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,690 文字
3【事業の内容】当社グループは、主として酸素・窒素・アルゴン等各種工業ガス、LPガス、医療用ガス、特殊ガスの製造・販売及び溶断機器・溶接材料、各種ガス関連機器、空気分離装置の製造・販売、設備メンテナンス並びにステンレス製魔法瓶等の製造・販売を営んでおります。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当するため、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結財務諸表の数値に基づいて判断することとなります。主な事業内容と主要な関係会社の位置づけは、次のとおりで、事業内容の区分はセグメント情報における区分と同一であります。主要な関係会社主な事業内容日本 大陽日酸㈱酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、ガス関連機器、特殊ガス、電子関連機器・工事、化合物半導体製造装置、機械装置、LPガス、医療用ガス、医療機器、安定同位体の製造・販売日酸TANAKA㈱ガス溶断機器、レーザー加工機の製造・販売、各種圧縮・液化ガス、溶断機材の販売大陽日酸ガス&ウェルディング㈱溶断機材の販売並びに各種圧縮ガスの製造・販売日本液炭㈱液化炭酸ガス、ドライアイスの製造・販売並びに各種圧縮・液化ガスの販売大陽日酸東関東㈱酸素、窒素の製造・販売並びに各種圧縮ガス、特殊ガスの販売大陽日酸系統科技股份有限公司ガス供給機器、精製装置の製造・販売、配管工事日本メガケア㈱各種圧縮・液化ガスの販売、医療ガスの製造・販売、医療機器の販売・レンタルアイ・エム・アイ㈱医療機器の輸入・開発・販売・レンタル・メンテナンス㈱ティーエムエアー酸素、窒素、アルゴンの製造 米国 Matheson Tri-Gas, Inc.酸素、窒素、アルゴン、特殊ガス、水素、ドライアイス、機器の製造・販売、溶断機材の販売 欧州 Nippon Gases Euro-Holding S.L.U.ヨーロッパにおける関係会社の株式保有等Nippon Sanso Homecare España, S.L.U.在宅医療サービスの提供及び医療機器の販売Nippon Sanso Deutschland Holding GmbH中央ヨーロッパにおける関係会社の株式保有等Nippon Gases Belgium NV酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Gases Italia S.r.l.イタリアにおける関係会社の株式保有等Nippon Gases Industrial S.r.l.酸素、窒素、アルゴンの製造・販売 主要な関係会社主な事業内容アジア・オセアニア Nippon Sanso Holdings Singapore Pte. Ltd.東南アジアにおける関係会社の株式保有等Leeden National Oxygen Ltd.溶接関連器具、安全具、各種圧縮ガス、特殊ガスの販売並びに酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Sanso Vietnam Joint Stock Company酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Sanso (Thailand) Co., Ltd. 〃NSC (Australia) Pty Ltdオセアニアにおける関係会社の株式保有等Coregas Pty Ltdオーストラリアにおける産業ガスの製造・販売日酸投資有限公司中国における関係会社の株式保有等日酸(揚州)電子材料有限公司特殊ガスの製造・販売日酸(上海)電子材料有限公司特殊ガスの販売日酸美気神(西安)電子材料有限公司 〃台湾日酸股份有限公司窒素の製造・販売、特殊ガス並びに機器の販売Matheson Gas Products Korea Co., Ltd.特殊ガスの製造・販売 サーモス サーモス㈱家庭用品等の製造・販売膳魔師(中国)家庭制品有限公司 〃 (注)1.次の各社は、当連結会計年度において下記のとおり商号変更しております。・Esteve Teijin Healthcare, S.L.は、Nippon Sanso Homecare España, S.L.U.へ商号変更しております。・Nippon Gases Deutschland Holding GmbHは、Nippon Sanso Deutschland Holding GmbHへ商号変更しております。・大陽日酸(中国)投資有限公司は、日酸投資有限公司へ商号変更しております。・揚州大陽日酸半導体気体有限公司は、日酸(揚州)電子材料有限公司へ商号変更しております。・大陽日酸特殊気体(上海)有限公司は、日酸(上海)電子材料有限公司へ商号変更しております。・美气神甩子材料(西安)有限公司は、日酸美気神(西安)電子材料有限公司へ商号変更しております。2.次の各社は、2026年4月1日付けで下記のとおり商号変更しております。・大陽日酸㈱は、日本酸素㈱へ商号変更しております。・大陽日酸ガス&ウェルディング㈱は、日本酸素G&W㈱へ商号変更しております。・大陽日酸東関東㈱は、日本酸素東関東㈱へ商号変更しております。・大陽日酸系統科技股份有限公司は、台湾日酸系統科技股份有限公司へ商号変更しております。・Matheson Tri-Gas, Inc.は、Nippon Sanso Matheson, Inc.へ商号変更しております。・Nippon Gases Euro-Holding S.L.U.は、Nippon Sanso Euro-Holding S.L.U.へ商号変更しております。・Nippon Gases Belgium NVは、Nippon Sanso Belgium NVへ商号変更しております。・Nippon Gases Italia S.r.l.は、Nippon Sanso Italia S.r.l.へ商号変更しております。・Nippon Gases Industrial S.r.l.は、Nippon Sanso Industrial S.r.l.へ商号変更しております。・Leeden National Oxygen Ltd.は、Nippon Sanso Singapore Ltd.へ商号変更しております。・Matheson Gas Products Korea Co., Ltd.は、Nippon Sanso Matheson Korea Co., Ltd.へ商号変更しております。3.以上の概略図は次頁のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
製造コスト上昇に対し販売価格への転嫁を実施しているが、充分でない場合があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
各国に工業ガスの製造拠点を有し、大口顧客向けにはオンサイトプラント方式でガス供給。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:グローバル事業展開における各国・地域の市場動向、政治、経済、慣習、テロ、紛争、大規模災害等の影響 / 主力顧客の操業率低下や生産拠点統廃合による製造設備の稼働率低下、減損損失等の発生 / 電力コスト、人件費、輸送費等の製造コスト上昇と販売価格への転嫁不足
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 13 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

日本酸素ホールディングスは、産業ガス分野で長年の実績と技術力を有しており、一部の特殊ガスや関連技術において独自のノウハウを持つ。しかし、特許の有効期限や競合他社の技術開発により、絶対的な無形資産としての優位性は限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

産業ガスは、顧客の生産プロセスに不可欠であり、供給元の変更には設備投資や安全性の検証が必要となる。特に大手顧客との長期契約や、特定のガス供給システムを導入している場合、乗り換えコストは高くなる傾向がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

産業ガス供給は、個々の顧客との個別契約に基づくものであり、プラットフォーム型のようなネットワーク効果は発生しない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

産業ガスは、製造・輸送コストが製品価格に大きく影響する。同社は、大規模な生産設備と効率的な物流網を構築することで、一定のコスト競争力を確保している。しかし、原料価格の変動やエネルギーコストの上昇はリスクとなる。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

産業ガス業界は、設備投資が巨額になるため、新規参入が困難であり、上位数社による寡占状態が形成されている。日本酸素ホールディングスは、グローバルでトップクラスのシェアを有しており、規模の経済を活かした効率的な事業運営が可能。

  • グローバルな事業展開と供給網
    日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で事業を展開しており、世界中に製造拠点と供給ネットワークを持っています。これにより、特定の地域のリスクを分散し、多様な市場の需要に対応できる強みがあります。特に半導体特殊材料ガスやヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品の安定供給能力は競争優位性となります。
  • オンサイトプラント方式による顧客との強固な関係
    大口顧客向けに、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給を行う「オンサイトプラント方式」を採用しています。この方式は、一度導入されると顧客のスイッチングコストが高くなるため、長期的な契約と安定した収益に繋がり、顧客との強固な関係を構築できる点が強みです。
  • 多岐にわたる製品と技術力
    酸素、窒素、アルゴンといった汎用ガスから、医療用ガス、特殊ガス、さらには化合物半導体製造装置まで、幅広い製品と関連技術を有しています。これにより、多様な産業ニーズに対応できるだけでなく、技術開発を通じて新たな市場を開拓する潜在力も持ち合わせています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営方針当社グループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 (2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題当社グループを取り巻く事業環境においては、世界的な物価上昇圧力や地政学リスク長期化に加え、関税措置の強化に起因する全世界的な景気後退懸念、さらには戦略物資の供給懸念など、多様で複雑なマクロ経済環境の変化に直面いたしました。こうした外部要因によるコストの増加は当社グループにおける重要な対処すべき課題です。この課題に対して、当社はグループ全体での製品の価格マネジメントの推進と生産性向上活動などの施策を積極的に行い対応してまいりました。足元では、イランにおける紛争など地政学リスクはますます高まるとともにサプライチェーンリスクが増大しております。顧客産業への影響やエネルギー価格の変動など、当社グループの事業への影響について引き続き注視し、適切に対処してまいります。また、生成AIの活用促進などデジタル技術の進展によって、当社グループの事業領域である半導体・エレクトロニクス市場に中長期的な成長機会が生まれており、こうした変化にも迅速に対応していく必要があります。以上のような環境認識のもと、当社は本年3月に新中期経営計画「Next Innovation 2030 - Evolving for the Future」(対象期間:2027年3月期~2030年3月期。以下、「Next Innovation 2030」という。)を策定いたしました。前中期経営計画「NS Vision 2026 - Enabling the Future」(対象期間:2023年3月期~2026年3月期。以下、「NS Vision 2026」という。)は、純粋持株会社制移行後初の経営計画として、未来の成長を支える基盤づくりに重点を置き、当初計画を概ね上回る成果を挙げてまいりました。こうして築いた基盤を踏まえ、Next Innovation 2030では以下の3点を重点戦略として設定し、未来へ向かって進化し続ける段階へとステージを引き上げます。各々の戦略実行にあたっては、グループ事業会社が有する強みを共有し、シナジーを高めることを目的として、グループ横断のCenter of Excellence(以下、「CoE」という。)体制を構築します。CoE体制においては、「エレクトロニクス事業の拡大」やNS Vision 2026のオペレーショナル・エクセレンス活動を承継する「Commercial, Operations, Resilience and Execution(CORE)」などを重点テーマとして設定し、今後4年間にわたり、グループ重点戦略の着実な実行を通じて、事業収益の拡大及び新たな成長ドライバーの創出に取り組んでまいります。 ① 産業ガス事業の収益力の強化・オペレーショナル・エクセレンスの拡大によるベストプラクティス共有の加速・レジリエント事業の拡大 ② エレクトロニクス事業の拡大・トータル・ガス・サプライ・ソリューションのグローバル展開の加速・先端材料分野への重点投資・新たな地域への参入 ③ 将来の成長ドライバーの創出・イノベーションマインドのさらなる醸成・グローバルな事業開発・研究開発体制の拡充によるイノベーションの加速 上記のグループ重点戦略を軸にしながら、以下のセグメント別戦略を遂行いたします。 日本・産業ガスに加え、ガスを起点とした革新的な事業の拡充をめざしたポートフォリオの実現・エレクトロニクス事業の拡大と研究開発力の強化・革新事業(安定同位体、アディティブ・マニュファクチャリング)の拡大 米国・プラント稼働効率の向上・事業密度の向上・エレクトロニクス材料ガス・機器事業の拡大 欧州・産業ガス事業のフットプリント拡大・エレクトロニクス事業(機器、トータル・ガス&ケミカル・マネジメント含む)の強化・カーボンニュートラル等の革新的な事業の拡大・ヘルスケア事業の拡大・DX、ロボティクスの活用 アジア・オセアニア・ガス事業の強化(アプリケーション含む)・エレクトロニクス事業の強化・HYCO事業(※)の機会追求・急成長をサポートするガバナンス体制の拡充(※)天然ガス等から水蒸気改質装置(SMR)で分離される水素(H2)と一酸化炭素(CO)を石油精製・石油化学産業にパイプラインを通じて大規模供給する事業 サーモス・当社グループ唯一のBtoCビジネスとして、魔法びん事業から生活全体に寄り添う「ライフスタイルブランド」への進化・サステナビリティを企業文化として確立し、それを支える事業変革の実現・グローバル市場でのさらなるブランド力強化とパートナーシップ構築を通じて海外展開を推進 上記に加えて、グループとして「人的資本価値の創造」「ブランディング」「サステナビリティ」「DX」「エンジニアリング」「技術・事業開発戦略」の6つのテーマで経営基盤の進化に努め、社会・市場環境の変化に迅速に対応してまいります。 財務KPI 実績(2026年3月期)Next Innovation 2030最終年度目標(2030年3月期)売上収益 [億円]13,59615,000~15,750コア営業利益 [億円]2,0302,500~2,750EBITDA(注1) [億円]3,2994,000~4,400EBITDAマージングループ:24.3%各セグメント:16.5~32.8%グループ:≧26.5%各セグメント:≧19.0%EBITDA純有利子負債倍率(注2)2.37倍≦1.5倍ROCE after Tax(注3)7.1%≧8.0%(注)1.EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)コア営業利益に減価償却費及び償却費を加えて算出される利益です。国・地域により、金利水準、税率、減価償却費などに差異がありますが、この指標ではその差異を最小限に抑え、利益額を表示します。2.EBITDA純有利子負債倍率純有利子負債÷EBITDAで算出する財務健全性を示す指標です。3.ROCE after Tax(Return on Capital Employed after Tax:税引後使用資本利益率)[NOPAT:税引後コア営業利益(+受取配当金)]((コア営業利益-コア営業利益に含まれる持分法による投資損益)×(1-実効税率)+コア営業利益に含まれる持分法による投資損益+受取配当金)÷[使用資本](有利子負債+親会社の所有者に帰属する持分)で算出する資本効率性指標です。サステナビリティKPI 実績(2025年3月期)Next Innovation 2030最終年度目標(2030年3月期)ご参考:長期目標(2036年3月期)GHG排出量削減率(注4)16.5%9%(2031年3月期)21%環境貢献性商品・サービスの提供によるGHG削減貢献量の増加率(注5)-30%-サステナブルビジネス売上の増加率(注5)(注6)-30%-生産単位当たりの取水量削減率(注5)-10%-生産単位当たりの廃棄物削減率(注5)-10%-休業災害度数率(注7)1.85≦1.3-女性管理職比率16.7%≧22%(2031年3月期)-女性従業員比率20.8%≧25%(2031年3月期)-サステナブルエンゲージメントスコア(注8)81≧83-コンプライアンスサーベイスコア-≧80-(注)4.特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化に伴い、前中期経営計画「NS Vision 2026」から、基準年度のGHG排出量及び実績の見直しを行っております。5.基準年度:2025年3月期6.サステナブルビジネス売上には、食品及び飲料、医療・ヘルスケア及びライフスタイルなどの製商品・サービスが含まれます。7.休業災害度数率労働災害の発生頻度を表す指標であり、休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間で算出します。8.サステナブルエンゲージメントスコアは、「 ①会社への愛着(Engaged)、②生産性と業績を支える職場環境(Enabled)、③職場における身体的・人間関係的・感情的な健康(Energized)」を総合的にとらえる指標です。 当社グループは、グループ理念にも通じるDNAである「進取の気概(イノベーティブマインド)」と技術力を一層高めることで、産業・社会を取り巻く環境変化に的確に対応し、未来の課題に応えうる企業への進化をめざし、上記に掲げた課題に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営方針当社グループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 (2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題当社グループを取り巻く事業環境においては、世界的な物価上昇圧力や地政学リスク長期化に加え、関税措置の強化に起因する全世界的な景気後退懸念、さらには戦略物資の供給懸念など、多様で複雑なマクロ経済環境の変化に直面いたしました。こうした外部要因によるコストの増加は当社グループにおける重要な対処すべき課題です。この課題に対して、当社はグループ全体での製品の価格マネジメントの推進と生産性向上活動などの施策を積極的に行い対応してまいりました。足元では、イランにおける紛争など地政学リスクはますます高まるとともにサプライチェーンリスクが増大しております。顧客産業への影響やエネルギー価格の変動など、当社グループの事業への影響について引き続き注視し、適切に対処してまいります。また、生成AIの活用促進などデジタル技術の進展によって、当社グループの事業領域である半導体・エレクトロニクス市場に中長期的な成長機会が生まれており、こうした変化にも迅速に対応していく必要があります。以上のような環境認識のもと、当社は本年3月に新中期経営計画「Next Innovation 2030 - Evolving for the Future」(対象期間:2027年3月期~2030年3月期。以下、「Next Innovation 2030」という。)を策定いたしました。前中期経営計画「NS Vision 2026 - Enabling the Future」(対象期間:2023年3月期~2026年3月期。以下、「NS Vision 2026」という。)は、純粋持株会社制移行後初の経営計画として、未来の成長を支える基盤づくりに重点を置き、当初計画を概ね上回る成果を挙げてまいりました。こうして築いた基盤を踏まえ、Next Innovation 2030では以下の3点を重点戦略として設定し、未来へ向かって進化し続ける段階へとステージを引き上げます。各々の戦略実行にあたっては、グループ事業会社が有する強みを共有し、シナジーを高めることを目的として、グループ横断のCenter of Excellence(以下、「CoE」という。)体制を構築します。CoE体制においては、「エレクトロニクス事業の拡大」やNS Vision 2026のオペレーショナル・エクセレンス活動を承継する「Commercial, Operations, Resilience and Execution(CORE)」などを重点テーマとして設定し、今後4年間にわたり、グループ重点戦略の着実な実行を通じて、事業収益の拡大及び新たな成長ドライバーの創出に取り組んでまいります。 ① 産業ガス事業の収益力の強化・オペレーショナル・エクセレンスの拡大によるベストプラクティス共有の加速・レジリエント事業の拡大 ② エレクトロニクス事業の拡大・トータル・ガス・サプライ・ソリューションのグローバル展開の加速・先端材料分野への重点投資・新たな地域への参入 ③ 将来の成長ドライバーの創出・イノベーションマインドのさらなる醸成・グローバルな事業開発・研究開発体制の拡充によるイノベーションの加速 上記のグループ重点戦略を軸にしながら、以下のセグメント別戦略を遂行いたします。 日本・産業ガスに加え、ガスを起点とした革新的な事業の拡充をめざしたポートフォリオの実現・エレクトロニクス事業の拡大と研究開発力の強化・革新事業(安定同位体、アディティブ・マニュファクチャリング)の拡大 米国・プラント稼働効率の向上・事業密度の向上・エレクトロニクス材料ガス・機器事業の拡大 欧州・産業ガス事業のフットプリント拡大・エレクトロニクス事業(機器、トータル・ガス&ケミカル・マネジメント含む)の強化・カーボンニュートラル等の革新的な事業の拡大・ヘルスケア事業の拡大・DX、ロボティクスの活用 アジア・オセアニア・ガス事業の強化(アプリケーション含む)・エレクトロニクス事業の強化・HYCO事業(※)の機会追求・急成長をサポートするガバナンス体制の拡充(※)天然ガス等から水蒸気改質装置(SMR)で分離される水素(H2)と一酸化炭素(CO)を石油精製・石油化学産業にパイプラインを通じて大規模供給する事業 サーモス・当社グループ唯一のBtoCビジネスとして、魔法びん事業から生活全体に寄り添う「ライフスタイルブランド」への進化・サステナビリティを企業文化として確立し、それを支える事業変革の実現・グローバル市場でのさらなるブランド力強化とパートナーシップ構築を通じて海外展開を推進 上記に加えて、グループとして「人的資本価値の創造」「ブランディング」「サステナビリティ」「DX」「エンジニアリング」「技術・事業開発戦略」の6つのテーマで経営基盤の進化に努め、社会・市場環境の変化に迅速に対応してまいります。 財務KPI 実績(2026年3月期)Next Innovation 2030最終年度目標(2030年3月期)売上収益 [億円]13,59615,000~15,750コア営業利益 [億円]2,0302,500~2,750EBITDA(注1) [億円]3,2994,000~4,400EBITDAマージングループ:24.3%各セグメント:16.5~32.8%グループ:≧26.5%各セグメント:≧19.0%EBITDA純有利子負債倍率(注2)2.37倍≦1.5倍ROCE after Tax(注3)7.1%≧8.0%(注)1.EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)コア営業利益に減価償却費及び償却費を加えて算出される利益です。国・地域により、金利水準、税率、減価償却費などに差異がありますが、この指標ではその差異を最小限に抑え、利益額を表示します。2.EBITDA純有利子負債倍率純有利子負債÷EBITDAで算出する財務健全性を示す指標です。3.ROCE after Tax(Return on Capital Employed after Tax:税引後使用資本利益率)[NOPAT:税引後コア営業利益(+受取配当金)]((コア営業利益-コア営業利益に含まれる持分法による投資損益)×(1-実効税率)+コア営業利益に含まれる持分法による投資損益+受取配当金)÷[使用資本](有利子負債+親会社の所有者に帰属する持分)で算出する資本効率性指標です。サステナビリティKPI 実績(2025年3月期)Next Innovation 2030最終年度目標(2030年3月期)ご参考:長期目標(2036年3月期)GHG排出量削減率(注4)16.5%9%(2031年3月期)21%環境貢献性商品・サービスの提供によるGHG削減貢献量の増加率(注5)-30%-サステナブルビジネス売上の増加率(注5)(注6)-30%-生産単位当たりの取水量削減率(注5)-10%-生産単位当たりの廃棄物削減率(注5)-10%-休業災害度数率(注7)1.85≦1.3-女性管理職比率16.7%≧22%(2031年3月期)-女性従業員比率20.8%≧25%(2031年3月期)-サステナブルエンゲージメントスコア(注8)81≧83-コンプライアンスサーベイスコア-≧80-(注)4.特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化に伴い、前中期経営計画「NS Vision 2026」から、基準年度のGHG排出量及び実績の見直しを行っております。5.基準年度:2025年3月期6.サステナブルビジネス売上には、食品及び飲料、医療・ヘルスケア及びライフスタイルなどの製商品・サービスが含まれます。7.休業災害度数率労働災害の発生頻度を表す指標であり、休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間で算出します。8.サステナブルエンゲージメントスコアは、「 ①会社への愛着(Engaged)、②生産性と業績を支える職場環境(Enabled)、③職場における身体的・人間関係的・感情的な健康(Energized)」を総合的にとらえる指標です。 当社グループは、グループ理念にも通じるDNAである「進取の気概(イノベーティブマインド)」と技術力を一層高めることで、産業・社会を取り巻く環境変化に的確に対応し、未来の課題に応えうる企業への進化をめざし、上記に掲げた課題に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1) 経営成績① 業績全般 当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)における当社グループの事業環境は、主要市場・地域において先行きを見通すことが困難な状況が続きました。 このような状況の下、グループ全体における製商品の出荷数量は前連結会計年度比で減少しました。グループ全体としては、コスト上昇による販売価格への転嫁等の価格マネジメント、そして地域ごとに生産性向上プログラムに継続的に取り組みました。これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上収益1兆3,596億11百万円(前連結会計年度比 3.9%増加)、コア営業利益2,030億84百万円(同 7.4%増加)、営業利益1,978億82百万円(同 19.3%増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,238億91百万円(同 25.4%増加)となりました。 為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べ、米ドルで152円57銭から151円9銭へと1円48銭(同 1.0%)の円高、ユーロで163円66銭から175円58銭へと11円92銭(同 7.3%)の円安となるなど、売上収益は全体で約229億円、コア営業利益は全体で約44億円多く表示されております。 なお、コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率(%)売上収益1,308,0241,359,61151,5863.9コア営業利益189,149203,08413,9347.4 非経常項目△23,243△5,20218,041-営業利益165,906197,88231,97619.3 金融収益3,8862,816△1,069- 金融費用△24,520△23,912607-税引前利益145,272176,78631,51421.7 法人所得税△43,326△48,904△5,577-当期利益101,945127,88225,93625.4 親会社の所有者に帰属する当期利益98,779123,89125,11125.4 非支配持分に帰属する当期利益3,1663,990824- ② セグメント業績 セグメント業績は、次のとおりです。 なお、セグメント利益はコア営業利益で表示しております。 〔日本〕 産業ガス関連では、主に炭酸ガス、パッケージガス、電子材料ガスの価格マネジメント効果があったものの、セパレートガス・LPガスといったガスの出荷数量が減少し、減収となりました。機器・工事では、エレクトロニクス関連は中大型案件の工事の進捗に伴う売上等により増収でしたが、産業ガス関連は減収となりました。セグメント利益は、価格マネジメント効果やエレクトロニクス関連の機器・工事における売上収益の増加が寄与し、増益となりました。 以上の結果、日本セグメントの売上収益は、4,062億96百万円(前連結会計年度比 0.9%減少)、セグメント利益は、541億82百万円(同 15.1%増加)となりました。 〔米国〕 産業ガス関連では、製商品の出荷は低調でしたが、価格マネジメント効果により増収となりました。機器・工事では、エレクトロニクス関連で減収となりました。セグメント利益は、価格マネジメント効果や生産性向上への取組みがあったものの、コストの上昇や、製商品の出荷数量減少の影響を受け、減益となりました。 以上の結果、米国セグメントの売上収益は、3,605億57百万円(前連結会計年度比 0.1%増加)、セグメント利益は、529億14百万円(同 11.5%減少)となりました。 〔欧州〕 産業ガス関連では、セパレートガスをはじめとするガスの出荷数量は減少しましたが、為替の影響や価格マネジメント効果により、増収となりました。機器・工事では、医療関連機器・工事が堅調に推移したこと、前期に買収したイタリアのプラントエンジニアリング会社の売上収益が加わったことが寄与し、増収となりました。セグメント利益は、ガスの出荷数量減少の影響を受けたものの、価格マネジメント効果や生産性向上への取組みにより、増益となりました。 以上の結果、欧州セグメントの売上収益は、3,509億78百万円(前連結会計年度比 6.8%増加)、セグメント利益は、704億26百万円(同 12.8%増加)となりました。 〔アジア・オセアニア〕 産業ガス関連では、前期に取得したオーストラリアのLPガス販売事業、そして今期に取得したオセアニア地域における産業ガス事業の寄与により、増収となりました。エレクトロニクス関連では、電子材料ガスの出荷数量が回復基調であること、機器・工事が堅調に推移したことにより、増収となりました。セグメント利益は、売上収益の増加により増益となりました。 以上の結果、アジア・オセアニアセグメントの売上収益は、2,084億52百万円(前連結会計年度比 18.1%増加)、セグメント利益は、197億46百万円(同 31.2%増加)となりました。 〔サーモス〕 日本では、猛暑の影響によりスポーツボトルの販売が上期を中心に堅調に推移したこと、機能的でスタイリッシュなデザインを特徴とする新製品の上市もあり、増収となりましたが、韓国では減収となりました。セグメント利益は、日本における売上収益の増加、継続的なコスト削減などにより、増益となりました。 以上の結果、サーモスセグメントの売上収益は、332億63百万円(前連結会計年度比 2.1%増加)、セグメント利益は、65億11百万円(同 3.6%増加)となりました。 各セグメントの売上収益及びセグメント利益の状況は以下のとおりです。(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減売上収益セグメント利益売上収益セグメント利益売上収益増減率(%)セグメント利益増減率(%)日本410,00947,090406,29654,182△3,712△0.97,09215.1米国360,20059,761360,55752,9143560.1△6,846△11.5欧州328,60162,419350,97870,42622,3766.88,00612.8アジア・オセアニア176,53815,047208,45219,74631,91318.14,69831.2サーモス32,5936,28633,2636,5116692.12253.6調整額80△1,45563△697△16-757-合計1,308,024189,1491,359,611203,08451,5863.913,9347.4(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③ 経営成績 当連結会計年度における売上収益は1兆3,596億11百万円となり、前連結会計年度に比べ515億86百万円の増収となっております。為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べ米ドルで1円48銭の円高、ユーロで11円92銭の円安、豪ドルで1円11銭の円安となるなど、売上収益は全体で約229億円多く表示されております。 売上原価は7,771億92百万円(前連結会計年度比 146億10百万円増加)、販売費及び一般管理費は3,853億43百万円(同 260億24百万円増加)、その他の営業収益は68億90百万円(同 45億48百万円減少)、その他の営業費用は106億37百万円(同 260億33百万円減少)、持分法による投資利益は45億53百万円(同 4億60百万円減少)となっております。以上の結果、営業利益は1,978億82百万円となり、前連結会計年度比で319億76百万円の増益となりました。また、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いたコア営業利益は2,030億84百万円となっており、前連結会計年度比で139億34百万円の増益となりました。非経常的な要因により発生した損益の主な内容は、特別退職金18億43百万円、事業整理損失引当金繰入額14億81百万円などとなっております。 金融収益は28億16百万円(同 10億69百万円減少)、金融費用は239億12百万円(同 6億7百万円減少)、これにより税引前利益は1,767億86百万円となり、前連結会計年度に比べて315億14百万円の増益となりました。主な内容は、受取利息が19億7百万円(同 8億25百万円減少)、受取配当金が9億9百万円(同 1億5百万円減少)、支払利息が228億59百万円(同 15億29百万円減少)、為替差損が10億9百万円(前連結会計年度は為替差益が1億38百万円)などとなっております。 これらの結果、法人所得税と非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は1,238億91百万円となり、前連結会計年度比で251億11百万円の増益となりました。 (2) 財政状態 当連結会計年度末の資産合計は2兆7,676億79百万円で、前連結会計年度末比で3,494億81百万円の増加となりました。為替の影響については、前連結会計年度末に比べて米ドルで10円36銭の円安、ユーロで21円33銭の円安となるなど、約2,093億円多く表示されております。 当連結会計年度では、設備投資や企業買収の実行により、有形固定資産が増加したほか、財務健全性を意識した有利子負債の計画的な返済を進めました。不透明な事業環境下においても、債券市場や金融機関との適切なコミュニケーションを続け、資金流動性と調達力を向上してまいります。 また、2019年1月及び同年3月に調達したハイブリッドファイナンスは合計2,500億円であり、格付機関(株式会社日本格付研究所及び株式会社格付投資情報センター)から、この調達額の50%を「資本」として認められており、当社では資本性負債と呼称しております。2019年1月に調達した公募ハイブリッド社債のうち、2024年1月の1,000億円に続き、750億円を2024年12月に全額期限前償還しましたため、当連結会計年度末時点でハイブリッドファイナンスは合計750億円となっております。このハイブリッドファイナンスを考慮した財務安全性指標として、当社では調整後ネットD/Eレシオ(※)を重要業績指標の1つとして定め、負債及び資本の最適な構成を意識してまいりました。なお、調整後ネットD/Eレシオは0.59倍で前連結会計年度末に比べ0.12ポイント改善し、当連結会計年度末時点で0.7倍以下とするKPIを達成することができました。(※)調整後ネットD/Eレシオ=(純有利子負債-資本性負債)÷(親会社の所有者に帰属する持分+資本性負債) 〔資産〕 流動資産は、前連結会計年度末比で575億27百万円増加し、6,233億4百万円となりました。これは主に為替の影響によるものです。為替影響除外後の実質的な金額で比較すると、主にその他の流動資産が減少、また営業債権が増加しております。 非流動資産は、前連結会計年度末比で2,919億53百万円増加し、2兆1,443億75百万円となりました。これは主に為替の影響によるものです。為替影響除外後の実質的な金額で比較すると、主に有形固定資産やのれんが増加しております。〔負債〕 流動負債は、前連結会計年度末比で1,083億0百万円増加し、5,035億86百万円となりました。これは主に社債及び借入金やその他の金融負債の増加によるものです。 非流動負債は、前連結会計年度末比で14億39百万円増加し、1兆34億21百万円となりました。これは主に為替の影響によるものです。為替影響除外後の実質的な金額で比較すると、主に社債及び借入金が減少、またその他の金融負債が増加しております。 〔資本〕 資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加や、利益剰余金の配当による減少、在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度末比で2,397億41百万円増加し、1兆2,606億71百万円となりました。 なお、親会社所有者帰属持分比率は44.0%で前連結会計年度末に比べ3.5ポイント高くなっております。 (3) キャッシュ・フロー〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕 税引前利益、減価償却費及び償却費、法人所得税の支払額又は還付額等により、営業活動によるキャッシュ・フローは2,725億94百万円の収入(前連結会計年度比 15.9%増加)となりました。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕 有形固定資産の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは2,027億76百万円の支出(前連結会計年度比 41.9%増加)となりました。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕 長期借入金の返済による支出、長期借入れによる収入、社債発行による収入等により、財務活動によるキャッシュ・フローは592億30百万円の支出(前連結会計年度比 19.2%減少)となりました。 これらの結果に、為替換算差額等を加えた当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、1,653億48百万円(前連結会計年度比 14.4%増加)となりました。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期 親会社所有者帰属持分比率(%)31.833.538.040.544.0 時価ベースの親会社所有者 帰属持分比率(%)51.147.885.480.886.6 債務償還年数(年)6.25.04.33.83.5 インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍)13.714.79.39.411.7(注)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により、以下の定義で算出しております。親会社所有者帰属持分比率 = 親会社の所有者に帰属する持分 ÷ 資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率 = [株式時価総額] ÷ 資産合計債務償還年数 = [有利子負債] ÷ [キャッシュ・フロー]インタレスト・カバレッジ・レシオ = [キャッシュ・フロー] ÷ [利払い]・[株式時価総額]は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。・[キャッシュ・フロー]は、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。・[有利子負債]は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。・[利払い]は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 (4) 生産、受注及び販売の実績 セグメントごとの販売実績については、「(1) 経営成績 ② セグメント業績」に記載のとおりであります。 なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により国際会計基準(IFRS会計基準)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 及び 3.重要性がある会計方針」に記載しております。(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金又は金融機関からの借入金、社債等により調達しております。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。 資金の流動性については、安定的な営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関とのコミットメント・ライン契約の締結やコマーシャル・ペーパー発行枠の設定等により十分な手元流動性を確保しております。

事業リスク

  • 地政学リスクと経済情勢の変化
    世界各地で事業を展開しているため、各国・地域の政治情勢、経済状況、貿易政策、テロ、紛争、大規模災害などが事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、米国による関税政策の変更は、主要拠点への影響を通じて、当社グループの収益に悪影響を与える可能性があります。
  • 製造コストの変動と価格転嫁の難しさ
    主力製品である工業ガスの製造には多量の電力を消費するため、原油価格やLNG価格の変動による電力コストの上昇が大きなリスクです。また、人件費や輸送費の上昇も製造コストを押し上げています。これらのコスト上昇を販売価格に十分に転嫁できない場合、利益率が低下し、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 設備投資と稼働率の低下
    大口顧客向けのオンサイトプラント方式では、多額の設備投資が必要です。主要顧客である鉄鋼、化学、半導体、自動車産業などの操業率低下や生産拠点の統廃合・移転が発生した場合、製造設備の稼働率が低下したり、設備が不要になったりするリスクがあります。これにより、設備の除却損や減損損失が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|8,541 文字
3【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、「グローバルリスクマネジメント会議」を中心に、グループにおける役割と責任を明確化し、経営上のリスクを中長期的な視点から評価し、リスクマネジメント活動の最適化を図っております。代表取締役社長 CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントを推進しております。「グローバルリスクマネジメント会議」は同時期に開催される「グローバル戦略検討会議」と連携し、グループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることに努めております。また、関連する会議体・組織等ともリスク情報を共有しながら、全社的なリスクマネジメント活動を推進しております。当社グループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。 (図表1)当社グループのリスクマネジメント体制図(注)本図は提出日現在(2026年6月15日)のリスクマネジメント体制を示しています。図表内の日本酸素株式会社、Nippon Sanso Matheson, Inc.、及びNippon Sanso Euro-Holding S.L.U.は2026年4月1日付けでそれぞれ大陽日酸株式会社、Matheson Tri-Gas, Inc.、及びNippon Gases Euro-Holding S.L.U.から商号変更しております。 (2)リスクマネジメントのプロセス当社グループでは、事業を取り巻く外部環境・内部環境の変化をリスクと機会の両面から特定・評価します。リスク評価にあたり、様々な国・地域・領域で事業を展開する事業会社のリスクと、持株会社としての当社のリスクをグループ共通の枠組み(リスクカテゴリ、リスク定義、リスク評価基準)で評価します。グループ全体のリスク評価結果に基づき、「グローバルリスクマネジメント会議」にて、リスク認識、リスク対応を共有するとともに、優先して全社的な対応が必要となる「重要リスク」を決定し、グループ全体で重要リスクへの対応を推進してまいります。リスクマネジメントプロセスは、「当社及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、当社グループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれもリスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。 また、事業環境の変化が著しい昨今は、変化に応じたリスク対応の強化・見直しが必要となります。当社グループでは、各事業会社とグローバルリスクマネジメント推進事務局が「リスクマネジメント連絡会」を定期的に開催し、事業環境の変化や、それに応じたリスク対応の強化・見直し等のモニタリングを実施し、リスク情報とベストプラクティスの共有を図っております。 (3)グローバルリスクマネジメント会議当社グループは「グローバルリスクマネジメント会議」を原則年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、当社代表取締役社長 CEOを議長とし、執行役員、各部門長、監査役、グループCCO、地域リスクマネジメント統括責任者及び議長が指名する者で構成し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程、及び計画に関する事項等について審議を行います。当社グループの重要リスクの選定にあたっては、グループ共通のリスク評価基準である「発生頻度」(5段階)「影響度」(5段階)とともに、以下図表2の考え方を踏まえて検討します。 (図表2)当社グループの重要リスク選定の考え方 2025年度のグローバルリスクマネジメント会議では、昨年度の重要リスクテーマ、そしてこの1年間の環境変化を踏まえ、以下を当社グループの重要リスクテーマとして選定いたしました。 1.世界経済及び社会の変化地政学・サプライチェーン、経済情勢の変化、AIの進展とサイバー攻撃の高度化、カーボンニュートラル2.基盤事業の維持・強化設備老朽化、技術開発の連携強化、グループガバナンス/コンプライアンス3.人財人財確保、後継者計画、人権/DEI 2025年度は、各事業会社、NSHD各部門から地政学リスクに加え、経済情勢の不確実性の高まりやサイバー攻撃の高度化など、社会環境の大きな変化について共有されました。また、情報セキュリティリスク及びグループコンプライアンスリスクへの対応状況の報告と議論が行われました。それぞれの事業環境により、リスク認識、リスク対応策は異なりますが、その背景と違いを理解し、リスクを多面的に捉えることにより、当社グループにおけるリスクマネジメント活動のさらなる向上を図ります。 今後も当社と各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取組みを進めてまいります。上記を踏まえた当社グループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。 (4)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 経営戦略・事業に関するもの① グローバル事業展開について当社グループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各国における事業運営は、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は各地域を統括する事業会社との意思疎通と情報共有を進め、迅速な意思決定に努めております。 ② 設備投資について当社グループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。また、新たな分野を含め、今後ともビジネスチャンスの獲得に向けた投資を進めてまいりますが、産業構造、及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、石油精製、半導体、自動車等、主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、当社グループの製造設備の稼働率が低下し、或いは設備の全部又は一部が不要になり、また建設中のプロジェクトにおいて、顧客の事業環境、経営状況の変化によりプロジェクトの継続が困難となり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損、減損損失等の発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力製品である酸素、窒素、アルゴンの製造コストは、電力コストが大きな割合を占めており、近年の原油価格やLNG価格の大幅な変動の影響を受けております。また、人件費や輸送費等も上昇しており、製造コストは高止まりが継続しております。それに対し、販売価格への転嫁を実施しておりますが、製造コストの上昇が継続し、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ サプライチェーンについて当社グループが取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりにより、輸出入の規制対象品となることや、国際情勢の緊張を背景とした海上輸送状況の変動により、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあります。また、お客様の事業活動に支障が生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報セキュリティについて近年、AI技術の急速な発展により業務効率化や新たな価値創出の機会が広がる一方で、これを悪用したサイバー攻撃の高度化・巧妙化が進んでおり、情報セキュリティリスクは引き続き高い状況にあります。特に当社グループの事業基盤である製造設備や制御システムなどのOT(オペレーショナルテクノロジー)領域においても攻撃対象となるリスクが高まっており、万一被害が発生した場合には、操業停止や供給への影響など、事業活動に支障を及ぼす可能性があります。当社はこうしたリスクに対処するため、グループ全体でのリスク評価の実施やセキュリティ対策の強化を進めております。また、情報セキュリティポリシーの展開及び基準の整備を通じた統制の強化に加え、従業員への教育・訓練の充実を図ることで、グループ全体のセキュリティ意識の向上とリスク低減に向けた取組みを継続しております。 ⑥ 気候変動について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まる中、当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づいた情報開示を進めております。これにより、ステークホルダーとの対話を強化し、グループ全体で企業価値の向上を目指しております。温暖化シナリオ分析を通じて特定した主要なリスクは、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは特定したリスクを〔影響を受ける可能性〕と〔影響の大きさ〕に基づき評価し、主要なリスクについては、財務的な影響を定量的に試算しております。気候変動に関する当社の取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」にて、詳細に記載しております。 ⑦ 法規制等について当社グループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、当社グループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが製品を輸出している国において、当該製品に対する関税の引き上げが行われた場合には、当該製品の競争力が失われることによりその国への輸出が減少し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、腐敗防止法、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人財について当社グループは現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各地域の事業運営には安定的に労働力を確保することが不可欠であり、目標達成には、生産、エンジニアリング、マーケティング、販売、物流、管理等の各機能や経営全般を担う人財や関連法規で要求される資格やIT等の高度専門知識と技能を有した人財、さらにグループ総合力の強化の取組みを促進するため、グローバルな視点をもった人財が必要です。そのため、多様な人財を受け入れる職場環境を醸成する施策や従業員のエンゲージメントを向上させる施策をグループ全体で促進し、人財の定着、人財の多様化、グローバル人財の育成、及び採用の競争力向上に努めております。 ⑨ 技術開発について当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。当社グループでは、各開発プロジェクトの進捗と市場環境の変化に合わせて、適時プロジェクトの見直しを図っております。また、グループ内で情報共有を行い、技術開発活動に反映することで、当社グループの技術の競争力向上に努めております。 (2) 技術・保安に関するもの当社グループは、保安、環境、品質・製品安全、知的財産に係るリスクを技術リスクとして定義し、原則年1回開催する「グローバル戦略検討会議」の中で、各事業会社の取組み状況を確認し、持株会社としての取組み方針を決定しております。また、当社と各事業会社の保安、環境、品質保証、知的財産の責任者を委員とする「技術リスク連絡会議」を年2回開催し、会議の決定事項に取り組み、技術リスクの低減に努めております。 ① 保安について当社グループは、産業ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性のほか、半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員に対して階層別や応募型の教育を行っております。特に、体験型技能研修施設であるテクニカルアカデミーにおいて、ガスの物性や危険性及びその取扱いについて講習することで、設備事故はもとより労働災害事故の撲滅を目指しております。また、アジア・オセアニア地域の海外現地法人向けにも講習を拡充し、安全文化の醸成による保安の確保に万全を期しております。 ② 環境について当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など、事業展開する各国の環境規制に従って、業務を遂行しております。当社グループが現在及び将来の環境規制を遵守できなかった場合や当社グループが責任を負う汚染が発見された場合、罰金、汚染物質の除去費用又は損害賠償を含む費用や、施設及び設備を改良する投資が必要となる可能性があります。また、将来的に環境に対する法規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。当社グループでは、環境マネジメントシステム、保安・環境監査などにより、環境法令遵守に努めております。 ③ 品質・製品安全について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。 ④ 知的財産について当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための経営資源と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。そのため、必要に応じて弁護士、弁理士、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品、模倣品の監視及び排除に努めております。一方、第三者の有効な知的財産権に対しては、代替技術の開発又は技術的な回避策を事業部門及び開発部門と連携して講じるなど、第三者の知的財産の侵害を回避する体制を構築しております。これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にありますが、訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、第三者の知的財産権を尊重することをポリシーとして掲げ、定期的な知的財産教育を行うことで、当該リスクの低減と最小化に努めております。 (3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、ヘリウム、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。当社グループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 三菱ケミカルグループ株式会社との資本関係について三菱ケミカルグループ株式会社は当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他大規模自然災害、感染症等について大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。大規模な各種自然災害によって大型の製造拠点が被災した場合、労働力や生産機能の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症などが発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、当社グループでは、平時において事業継続計画(BCP)に必要となる発災直後の迅速な情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取組みを進めております。

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