4100

戸田工業(4100)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 機能性顔料事業
    戸田工業グループは、磁性粉末材料や様々な着色材料などを製造・販売しています。これらは、塗料やインク、プラスチック製品などに色をつけたり、特定の機能を持たせたりするために使われる材料です。子会社の東京色材工業は有機顔料を、中国の浙江華源応用新材料股份有限公司は無機顔料などを手掛けており、国内外で幅広い製品を提供することで収益を上げています。
  • 電子素材事業
    電子機器の基盤となるフェライトコンパウンドやフェライト材料などの製造・販売が主力です。これらは、スマートフォンやパソコン、自動車の電子部品などに使われる重要な素材で、磁気を帯びる特性を持っています。海外子会社もフェライト磁性コンパウンドなどを製造しており、特にリチウムイオン電池の正極材料やその前駆体の製造・販売にも注力しており、成長分野への投資を通じて収益拡大を目指しています。
  • 多角的な事業展開
    戸田工業グループは、機能性顔料と電子素材という二つの主要事業を柱としています。機能性顔料は幅広い産業で利用される一方、電子素材は特に成長著しい電子機器や電気自動車関連市場に深く関わっています。これにより、特定の市場変動リスクを分散しつつ、それぞれの分野で専門性を活かした製品を提供することで、安定した収益基盤を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 機能性材料事業
    この事業は、主に磁性粉末材料や各種着色材料の製造・販売を行っています。塗料やインク、プラスチック製品などに使われる顔料が中心で、東京色材工業が有機顔料を、中国の浙江華源応用新材料股份有限公司が無機顔料などを手掛けています。最新年度の売上高は80.54億円、営業利益は10.09億円となっており、安定した収益を上げています。
  • 電子材料事業
    電子機器の素材となるフェライトコンパウンドやフェライト材料、リチウムイオン電池用正極材料の前駆体や正極材料の製造・販売が中心です。スマートフォンや自動車の電子部品、電気自動車のバッテリーなど、成長分野に不可欠な素材を提供しています。最新年度の売上高は236.12億円、営業利益は12.12億円と、グループの稼ぎ頭であり、今後の成長が期待される事業です。
  • 事業構成と収益性
    戸田工業グループは、機能性材料事業と電子材料事業の二つの主要セグメントで構成されています。電子材料事業が売上高、営業利益ともに機能性材料事業を大きく上回っており、グループ全体の収益を牽引しています。特にリチウムイオン電池関連材料への注力は、将来の成長戦略において重要な位置を占めており、今後の市場拡大とともにさらなる収益貢献が見込まれます。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
FunctionalMaterialBusiness 地域 81 10 12.5%
ElectronicMaterialBusiness 地域 236 12 5.1%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|688 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社15社、関連会社4社及びその他の関係会社1社により構成されており、機能性顔料、電子素材の製造・販売の事業を主たる業務としております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 (1)機能性顔料 磁性粉末材料及び各種着色材料等の製造・販売を当社が中心となって行っております。 東京色材工業㈱は、有機顔料の製造・販売を行っております。 また、中国における事業活動として、浙江華源応用新材料股份有限公司は、無機顔料等の製造・販売を行っております。 (2)電子素材 当社は電子機器の素材としてのフェライトコンパウンド・フェライト材料等の製造・販売を行っており、戸田塑磁材料(浙江)有限公司及び戸田工業アジア(タイランド)Co.,Ltd.は、フェライト磁性コンパウンド等の製造・販売を、浙江東磁戸田磁業有限公司は、ボンド用フェライト材料の製造・販売を行っております。戸田マテリアルズ㈱は磁性材料の製造・販売を、戸田麦格昆磁磁性材料(天津)有限公司は希土類磁性コンパウンド等の製造・販売を、江門協立磁業高科技有限公司は射出成型磁石等の製造・販売を行っております。 また、㈱セントラル・バッテリー・マテリアルズはリチウムイオン電池用正極材料の前駆体の製造・販売を行っております。BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社は、リチウムイオン電池用正極材料の製造・販売を行っております。 なお、主要な関係会社における異動はありません。 事業の系統図は、次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
仕入価格の変動を販売価格への転嫁や原価低減活動で吸収しきれない場合があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
酸化鉄総合メーカーとしての製品開発力と供給力、独自の磁性粉造粒技術、世界最高レベルの磁気特性を持つ射出成形用異方性NdFeBコンパウンドの製造販売。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:予期し得ない事業環境急変に関するリスク / 製品品質に関するリスク / 原燃料の調達に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

戸田工業は特定の強力なブランド、特許ポートフォリオ、あるいは規制ライセンスに依存する事業モデルではない。ニッチな化学品を製造しているが、それらが独占的な知的財産権によって保護されているという情報は限定的である。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

一部の特殊化学品においては、顧客が代替品を見つけるのに時間とコストがかかる可能性がある。しかし、多くの顧客は複数のサプライヤーを比較検討する傾向があり、乗り換えコストは限定的と考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

戸田工業の事業は、プラットフォーム型ビジネスではなく、製造業であるため、ネットワーク効果は発生しない。製品の価値はユーザー数の増加によって向上するものではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の製造経験と効率化努力により、一定のコスト競争力は有していると考えられる。しかし、原料価格の変動や、より大規模な競合他社とのコスト差は大きい可能性がある。

規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

特定のニッチ市場においては一定のシェアを確保している可能性があるが、業界全体で見ると規模の経済による圧倒的な優位性は見られない。グローバルな大手化学メーカーと比較すると規模は小さい。

  • 酸化鉄の総合メーカーとしての技術力
    長年にわたり酸化鉄を基盤とした製品開発と供給力を培ってきました。酸化鉄は機能性顔料や電子素材の主要な原材料であり、その製造技術や応用ノウハウは同社の競争力の源泉です。これにより、顧客の多様なニーズに応える高品質な製品を提供できる強みがあります。
  • グローバルな生産・販売体制
    日本国内だけでなく、中国やタイなど海外にも生産拠点や販売網を構築しています。これにより、各地域の市場ニーズに合わせた製品供給が可能となり、サプライチェーンの安定化にも寄与しています。特に電子素材分野では、海外子会社がフェライト磁性コンパウンドや射出成型磁石などを製造しており、国際的な競争力を高めています。
  • リチウムイオン電池材料への注力
    リチウムイオン電池用正極材料の前駆体や正極材料の製造・販売に力を入れています。電気自動車(EV)市場の拡大に伴い、リチウムイオン電池の需要は今後も増加が見込まれるため、この分野への投資は将来の成長ドライバーとなる可能性があります。BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社との協業も、この分野での競争優位性を高める要因と考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、マテリアリティで定めた第98期(2031年3月期)のありたい姿の実現を目指し、第92期(2025年3月期)から第94期(2027年3月期)までの3ヶ年を実行期間とする中期経営計画「Vision2026」を推進しております。第94期(2027年3月期)は「Vision2026」の最終年度にあたり、本計画で掲げた経営目標数値の達成に向けた総仕上げを行うとともに、次期成長フェーズへの確かな基盤を構築する重要な一年と位置付けております。 当社グループは引き続き、「事業ポートフォリオマネジメントの強化」という経営方針に基づき、選択と集中を徹底することで、収益構造の質的改善と、より筋肉質な経営体質への転換を図ってまいります。 「Vision2026」における事業セグメント及び材料区分「電子素材」セグメントの材料 「機能性顔料」 セグメントの材料・磁石材料 ・顔料(着色顔料、トナー、触媒など)・誘電体材料 ・環境関連材料・軟磁性材料 ・リチウムイオン電池(LIB)用材料 ・ハイドロタルサイト 事業ポートフォリオマネジメントの強化 <「Vision2026」の概要> 当社グループは、各材料・事業について収益性及び成長性の観点から整理し、以下の4つのカテゴリーに分類して事業運営を行っております。「成長事業」 :磁石材料、誘電体材料、LIB用材料(持分法適用関連会社)「次世代事業」 :軟磁性材料、環境関連材料「収益基盤事業」 :触媒など「再生・転換事業」:LIB用前駆体、ハイドロタルサイト、着色顔料、トナー用材料 また、事業ポートフォリオマネジメントを強力に推し進めるべく、事業戦略、財務戦略、人財戦略の3つの戦略を着実に実行してまいります。 <「Vision2026」の振り返り> 「Vision2026」の中間年度にあたる当期は、前期に顕在化した収益構造上の課題に対する改善施策を着実に実行するとともに、事業ポートフォリオマネジメントのもと、成長事業への積極的な投資による将来に向けた事業基盤の拡充に取り組んでまいりました。 成長事業である磁石材料及び誘電体材料につきましては、磁石材料において中国市場での競争激化の影響を受け減収となったものの、新製法の導入による製造コスト削減などの取組みが奏功し、利益を確保いたしました。また、誘電体材料については、AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサ用途を中心に、小型化・高性能化ニーズの高まりを背景として、当社独自の微粒子材料への需要が拡大し、順調に推移いたしました。再生・転換事業に位置付けた各種材料についても、合理化の推進や事業体制の見直しを進め、収益改善に向けた成果を得ることができました。 一方、次世代事業の軟磁性材料は、中国での競争激化により減収減益となり、収益改善に向けた取組みを開始いたしました。LIB用材料は、EV市場減速の影響を受けたことから、2026年2月26日開催の取締役会において、当該材料の生産・販売を行う持分法適用関連会社「BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社」の出資持分を全て譲渡し、合弁事業の解消することを決議いたしました。これにより、収益構造の改善と経営資源の最適配分を図り、連結経常利益の向上を見込んでおります。 財務体質の改善に向けては、キャッシュ・フローの改善を重要な経営課題として位置付け、棚卸資産の適正化をはじめとする運転資本の効率化に取り組んだ結果、財務の柔軟性は着実に回復し、成長事業及び次世代事業への投資余力を確保するための環境が整いつつあります。併せて、経営戦略と一体化した人財戦略のもと、多様な人財の活躍推進やDXを支える人財の育成にも取り組んでまいりました。 これらの取組みを通じて、当期は収益構造の質的改善や、より筋肉質な経営体質への転換に向けた成果が表れ始めた年度であったと認識しております。 <今後の取組み>1.事業戦略成長分野における当社グループの事業展開イメージ 「Vision2026」の最終年度となる次期は、不安定な国際情勢による原材料及びエネルギー価格の高騰、物流への影響等が懸念され、依然として不透明な状況が続くことが予想されます。特に中東情勢の緊迫化は様々なコストの上昇や原材料調達への影響等、サプライチェーン全体におけるリスクが顕在化しつつあり、当社グループを取り巻く経営環境は、慎重な見極めと柔軟な対応が求められる局面にあると認識しております。 このような環境の中、当社グループは、第98期(2031年3月期)に目指すありたい姿の実現に向けた重要な節目と認識し、これまで進めてきた選択と集中をさらに深化させ、事業ポートフォリオマネジメントの強化による持続的な成長基盤の確立に取り組んでまいります。 当社グループは、独自の湿式合成をはじめとする微粒子合成技術を中核に据え、「事業ポートフォリオマネジメントの強化」を軸として、モビリティ、AI、環境といった成長分野への事業展開を加速し、持続的な企業価値の向上を目指しております。これらの成長分野において、当社グループが長年培ってきた材料技術を、社会や産業にとって「なくてはならない価値」として提供し続けることが、当社グループにとって重要な経営課題であると認識しております。 最終年度である次期においては、単なる施策の推進にとどまらず、成長事業・次世代事業の拡大と、再生・転換事業の収益性改善による財務体質の強化を着実に進めることで、「Vision2026」の総仕上げを図ってまいります。 今後、以下の重点施策を着実に実行し、「Vision2026」の達成と、その先の持続的な成長につなげてまいります。 (モビリティ及びAI分野への取組み) 成長事業である磁石材料及び誘電体材料に加え、次世代事業と位置づける軟磁性材料の事業拡大に注力しております。 磁石材料では、磁性粉と樹脂を複合化したボンド磁石及びその材料の開発・製造・販売を行っております。ボンド磁石は、焼結磁石と比較して軽量であることに加え、高い寸法精度や形状自由度を有することから、自動車のモータやセンサをはじめとする用途で採用が進んでおります。特に、自動車における省エネルギー性能の向上に向けては、車両全体の熱を効率的に制御する熱マネジメントの重要性が高まっており、温度管理に用いられる冷却ポンプモータ向けを中心に、磁石材料の需要が拡大しております。こうした市場ニーズに対応するため、当社グループではアジアを中心としたグローバルな生産体制を構築し、安定供給体制の強化を進めております。また、2021年に連結子会社化した射出成形磁石メーカーである江門協立磁業高科技有限公司を中核に、川下領域を含めた事業基盤の強化を図っております。さらに、高磁力・高耐食・高耐熱性を備えた希土類系ボンド磁石材料の展開を拡充しております。希土類磁石の課題である腐食に対しては、当社独自の表面処理技術により高い耐食性を実現し、顧客から高い評価を得ております。一方、希土類磁石に使用される希土類(レアアース)は、貴重な資源であるとともに、国際情勢等の影響を受けやすく、調達面における不確実性が高い材料であります。当社は、希土類の中でも特に高価で調達難易度の高い重希土類(ジスプロシウム)に依存することなく、比較的安定的に調達が可能な希土類を用いた磁石材料の生産技術及び製造プロセスを確立しております。これにより、原材料調達リスクの低減を図るとともに、お客様の求める安定的な製品供給を継続的に実現してまいります。 誘電体材料であるチタン酸バリウムは、自動車やICT機器に用いられる積層セラミックコンデンサの主要材料であり、AIサーバー向けを中心とした需要回復・拡大を背景に市場環境は堅調に推移しております。積層セラミックコンデンサの高周波化・小型化・高容量化に伴い、材料には粒子径や形状の均一性、高い結晶性が求められることから、当社グループでは湿式合成法を用いた独自の微粒子合成技術により、150nm以下の微粒子に特化した製品の開発・製造を進めております。加えて、従来は粉体として供給していたチタン酸バリウムについて、顧客の工程負担低減と付加価値向上を目的に、分散体形態での提供を推進しており、当期には専用設備を稼働させております。今後も安定品質・安定供給を徹底し、成長市場における事業拡大を図ってまいります。 軟磁性材料については、電子機器に搭載されるインダクタ用途を中心に、自動車及びICT分野で市場拡大が続いております。電源モジュールの小型化や大電流化に対応するため、材料は従来のフェライト系磁性粉からメタル系磁性粉へと移行が進んでおり、当社グループでは顧客ニーズに応じた多様な磁気特性・粒子サイズのメタル系磁性粉を供給しております。さらに、競争が激化する市場においても技術力を軸とした差別化を進め、事業拡大を図ってまいります。 (環境分野への取組み) 機能性顔料(着色顔料、トナー用材料)で長年培ってきた酸化鉄に関する技術・知見を活かし、次世代事業として環境関連材料の開発を進めております。現在、主に2つの材料開発を進めており、いずれも温室効果ガスの資源化を目的とした取組みであります。 ①CO₂分離回収材料の開発 室温でCO₂を分離・回収する材料で、2025年「大阪・関西万博」に出展し、事業化に向けた実証試験を実施いたしました。万博での実証試験データをもとに様々な需要に対応すべく、CO₂回収能力の向上に取り組んでおります。現在は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業/CO₂の分離回収等技術開発プロジェクト」に基づき、実証設備を当社小野田事業所(山口県山陽小野田市)に移設し、引き続き実証実験を行い、第95期(2028年3月期)以降の商用化を目指しております。 ②CO₂フリー水素・CNT製造技術の開発 メタンガスを原料としたCO₂フリー水素・カーボンナノチューブ(CNT)の製造技術・材料の実証試験を北海道豊富町で実施いたしました。現地においては、NEDOの助成事業により実証プラントを建設しております。今後、DMR 法による水素製造システムの確立とコスト低減を図るとともに需要家での品質実証を行い、本事業の社会実装を目指してまいります。 環境負荷低減への貢献と将来の事業成長を見据え、第95期(2028年3月期)までの事業化、第98期(2031年3月期)には売上高10億円、営業利益率10%規模への成長を目指しております。 2.財務戦略 「Vision2026」において、当社グループは、財務基盤の安定と資本効率の向上を目指した事業運営を推進するため、営業利益率、ROE、自己資本比率、運転資本回転期間を主要KPIとして設定し、管理しております。これらの指標を通じて、資本コストを意識した経営判断を行い、持続的なキャッシュ創出に取り組んでまいりました。 前期に低下した収益力を踏まえ、当社グループでは、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の改善を中心とした運転資本の効率化を全社一丸となって推進しております。その結果、営業キャッシュ・フローは着実に改善し、財務の柔軟性の回復が進むとともに、収益力の回復に向けた事業体質の整備が着実に進展しております。 また、事業ポートフォリオマネジメントの実効性を高めるため、投資判断及び資源配分にあたっては、収益性と成長性の両面から重要な指標としてNPVを用い、投資の妥当性を検証しております。こうした評価に基づき、成長事業及び次世代事業への重点的な資源配分を進めております。これらの取組みにより、次期以降は収益の着実な創出と中長期的な成長につなげていく方針であります。 株主還元につきましては、安定的な配当の継続を重要な方針としておりますが、現時点では収益力及び財務基盤の回復を優先すべき段階にあると認識しております。「Vision2026」の期間を通じて、復配に向けた体制整備を着実に進めてまいります。 3.人財戦略 当社グループは、200年を超えて事業を継続してきた技術立社として、「人財」こそが最大の経営資本であるとの認識のもと、「Vision2026」における事業ポートフォリオマネジメントを実行するため、経営戦略と一体化した人財戦略を推進しております。 社員一人ひとりが自主的に学び、経験を重ねながら成長し続けることを重視し、その基盤として自律的なキャリア形成を支援しております。また、多様な人財の活躍とDXを支える人財育成は、「Vision2026」の達成と次期成長フェーズへの備えの双方において重要な要素であると考えております。 これらの考え方を踏まえ、以下の3つの重点施策を軸に取組みを進めてまいります。 ①主要部門のサクセッションプラン強化 当社は、「Vision2026」を確実に実行し、次期成長フェーズにつなげていくためには、CEOを含む主要ポジションの後継者について、経営トップの見立てに加え、制度による妥当性・継続性の担保が必要と認識しております。前期及び当期においては、サクセッションプラン本格導入に向けたガバナンス及び制度基盤の整備を進めてまいりました。具体的には、指名・報酬諮問委員会の運用を見直し、形式的な審議から脱却した実質的な議論を行う体制へ移行するとともに、役員報酬制度の点検・整備および役職体系の整理を通じて、人財マネジメントの制度運用の整合性と透明性の向上を図ってまいりました。これらの取り組みを踏まえ、次期からは、キーポジションの定義や人財要件の明確化、候補者プールの管理、育成、定期モニタリングを含むサクセッションプランの制度を構築し、運用を開始いたします。取締役会の監督のもと、透明性の確保に努めてまいります。 ②女性及びマイノリティのキャリア開発 当社は、事業ポートフォリオマネジメントを支える人財基盤を強化するため、多様な人財が能力を発揮できる環境を整備し、適所適材の配置や将来の登用につなげていくことが重要であると考えております。とりわけ女性やマイノリティの活躍推進を重要視し、アンコンシャス・バイアス研修や女性社員向けのシリーズ研修を通じてキャリア支援の強化を図っております。また、管理職への理解促進や育児・介護両立支援策の充実も継続して行い、多様な人財の活躍環境を整備しております。採用面では、性別にとらわれることなく、能力や意欲を重視した人財の確保を行っております。その前提のもと、多様な視点を活かした組織づくりを進めるため、理工系女性の採用にも取り組んでおります。マイノリティ理解については、2024年1月より、LGBTQ+に関する啓発漫画を毎月配信し、理解度確認テストを全社員が受講することを通じて、偏見の是正と多様性尊重の意識醸成に努めております。次期はこれらの取り組みを基盤に、多様な人財の採用強化と戦略的な配置・育成を進めるとともに、女性のキャリア形成支援や両立支援施策の充実を通じて活躍機会の拡大を図り、管理職層の多様性向上につなげてまいります。 ③DX推進を加速する人財育成 迅速な業務遂行・意思決定を実現するためには、業務のデジタル化とDXの推進が不可欠であります。当社では、デジタルイノベーション推進室を中心に、各部門から選出されたメンバーが現場業務の棚卸しを行い、デジタル技術を活用した効率的な業務体制の構築に取り組んでおります。これらの活動に加え、部門内外での勉強会や研修を積極的に実施し、DX推進を担う人財の育成を推進しております。今後も組織全体のDX推進力強化を図り、企業価値のさらなる向上を目指してまいります。 最後に、当社グループは、「事業活動を通じて、社会的な課題解決を支援する」ことを使命とし、社会のニーズや時代の最先端の要請に応えることで持続的な成長を遂げてまいりました。今後も、酸化鉄の可能性を追求し、新たな素材やソリューションを提供し、多様化・高度化する社会を支える存在であり続けることを目指しております。 また、メーカーとして重要な責務である「お客様のニーズに応える製品の安定的かつ継続的な供給」に真摯に取り組み、信頼されるパートナーとしての役割を果たしてまいります。 当社グループは、今後も会社を生々発展させることを通じて、株主様、お客様、従業員及び地域社会の皆様に対する社会的責任を果たしてまいります。 パーパス微粒子の可能性を、世界の可能性に変えていく。 経営理念私たちグループは、酸化鉄で培った微粒子合成技術を深化させながら、永遠に生々発展します。誠実・信頼を基盤とし創造力と製造力を結集させ、魅力ある独創性に富んだ新素材及びソリューションを通じて、広く社会に貢献します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループは、マテリアリティで定めた第98期(2031年3月期)のありたい姿の実現を目指し、第92期(2025年3月期)から第94期(2027年3月期)までの3ヶ年を実行期間とする中期経営計画「Vision2026」を推進しております。第94期(2027年3月期)は「Vision2026」の最終年度にあたり、本計画で掲げた経営目標数値の達成に向けた総仕上げを行うとともに、次期成長フェーズへの確かな基盤を構築する重要な一年と位置付けております。 当社グループは引き続き、「事業ポートフォリオマネジメントの強化」という経営方針に基づき、選択と集中を徹底することで、収益構造の質的改善と、より筋肉質な経営体質への転換を図ってまいります。 「Vision2026」における事業セグメント及び材料区分「電子素材」セグメントの材料 「機能性顔料」 セグメントの材料・磁石材料 ・顔料(着色顔料、トナー、触媒など)・誘電体材料 ・環境関連材料・軟磁性材料 ・リチウムイオン電池(LIB)用材料 ・ハイドロタルサイト 事業ポートフォリオマネジメントの強化 <「Vision2026」の概要> 当社グループは、各材料・事業について収益性及び成長性の観点から整理し、以下の4つのカテゴリーに分類して事業運営を行っております。「成長事業」 :磁石材料、誘電体材料、LIB用材料(持分法適用関連会社)「次世代事業」 :軟磁性材料、環境関連材料「収益基盤事業」 :触媒など「再生・転換事業」:LIB用前駆体、ハイドロタルサイト、着色顔料、トナー用材料 また、事業ポートフォリオマネジメントを強力に推し進めるべく、事業戦略、財務戦略、人財戦略の3つの戦略を着実に実行してまいります。 <「Vision2026」の振り返り> 「Vision2026」の中間年度にあたる当期は、前期に顕在化した収益構造上の課題に対する改善施策を着実に実行するとともに、事業ポートフォリオマネジメントのもと、成長事業への積極的な投資による将来に向けた事業基盤の拡充に取り組んでまいりました。 成長事業である磁石材料及び誘電体材料につきましては、磁石材料において中国市場での競争激化の影響を受け減収となったものの、新製法の導入による製造コスト削減などの取組みが奏功し、利益を確保いたしました。また、誘電体材料については、AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサ用途を中心に、小型化・高性能化ニーズの高まりを背景として、当社独自の微粒子材料への需要が拡大し、順調に推移いたしました。再生・転換事業に位置付けた各種材料についても、合理化の推進や事業体制の見直しを進め、収益改善に向けた成果を得ることができました。 一方、次世代事業の軟磁性材料は、中国での競争激化により減収減益となり、収益改善に向けた取組みを開始いたしました。LIB用材料は、EV市場減速の影響を受けたことから、2026年2月26日開催の取締役会において、当該材料の生産・販売を行う持分法適用関連会社「BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社」の出資持分を全て譲渡し、合弁事業の解消することを決議いたしました。これにより、収益構造の改善と経営資源の最適配分を図り、連結経常利益の向上を見込んでおります。 財務体質の改善に向けては、キャッシュ・フローの改善を重要な経営課題として位置付け、棚卸資産の適正化をはじめとする運転資本の効率化に取り組んだ結果、財務の柔軟性は着実に回復し、成長事業及び次世代事業への投資余力を確保するための環境が整いつつあります。併せて、経営戦略と一体化した人財戦略のもと、多様な人財の活躍推進やDXを支える人財の育成にも取り組んでまいりました。 これらの取組みを通じて、当期は収益構造の質的改善や、より筋肉質な経営体質への転換に向けた成果が表れ始めた年度であったと認識しております。 <今後の取組み>1.事業戦略成長分野における当社グループの事業展開イメージ 「Vision2026」の最終年度となる次期は、不安定な国際情勢による原材料及びエネルギー価格の高騰、物流への影響等が懸念され、依然として不透明な状況が続くことが予想されます。特に中東情勢の緊迫化は様々なコストの上昇や原材料調達への影響等、サプライチェーン全体におけるリスクが顕在化しつつあり、当社グループを取り巻く経営環境は、慎重な見極めと柔軟な対応が求められる局面にあると認識しております。 このような環境の中、当社グループは、第98期(2031年3月期)に目指すありたい姿の実現に向けた重要な節目と認識し、これまで進めてきた選択と集中をさらに深化させ、事業ポートフォリオマネジメントの強化による持続的な成長基盤の確立に取り組んでまいります。 当社グループは、独自の湿式合成をはじめとする微粒子合成技術を中核に据え、「事業ポートフォリオマネジメントの強化」を軸として、モビリティ、AI、環境といった成長分野への事業展開を加速し、持続的な企業価値の向上を目指しております。これらの成長分野において、当社グループが長年培ってきた材料技術を、社会や産業にとって「なくてはならない価値」として提供し続けることが、当社グループにとって重要な経営課題であると認識しております。 最終年度である次期においては、単なる施策の推進にとどまらず、成長事業・次世代事業の拡大と、再生・転換事業の収益性改善による財務体質の強化を着実に進めることで、「Vision2026」の総仕上げを図ってまいります。 今後、以下の重点施策を着実に実行し、「Vision2026」の達成と、その先の持続的な成長につなげてまいります。 (モビリティ及びAI分野への取組み) 成長事業である磁石材料及び誘電体材料に加え、次世代事業と位置づける軟磁性材料の事業拡大に注力しております。 磁石材料では、磁性粉と樹脂を複合化したボンド磁石及びその材料の開発・製造・販売を行っております。ボンド磁石は、焼結磁石と比較して軽量であることに加え、高い寸法精度や形状自由度を有することから、自動車のモータやセンサをはじめとする用途で採用が進んでおります。特に、自動車における省エネルギー性能の向上に向けては、車両全体の熱を効率的に制御する熱マネジメントの重要性が高まっており、温度管理に用いられる冷却ポンプモータ向けを中心に、磁石材料の需要が拡大しております。こうした市場ニーズに対応するため、当社グループではアジアを中心としたグローバルな生産体制を構築し、安定供給体制の強化を進めております。また、2021年に連結子会社化した射出成形磁石メーカーである江門協立磁業高科技有限公司を中核に、川下領域を含めた事業基盤の強化を図っております。さらに、高磁力・高耐食・高耐熱性を備えた希土類系ボンド磁石材料の展開を拡充しております。希土類磁石の課題である腐食に対しては、当社独自の表面処理技術により高い耐食性を実現し、顧客から高い評価を得ております。一方、希土類磁石に使用される希土類(レアアース)は、貴重な資源であるとともに、国際情勢等の影響を受けやすく、調達面における不確実性が高い材料であります。当社は、希土類の中でも特に高価で調達難易度の高い重希土類(ジスプロシウム)に依存することなく、比較的安定的に調達が可能な希土類を用いた磁石材料の生産技術及び製造プロセスを確立しております。これにより、原材料調達リスクの低減を図るとともに、お客様の求める安定的な製品供給を継続的に実現してまいります。 誘電体材料であるチタン酸バリウムは、自動車やICT機器に用いられる積層セラミックコンデンサの主要材料であり、AIサーバー向けを中心とした需要回復・拡大を背景に市場環境は堅調に推移しております。積層セラミックコンデンサの高周波化・小型化・高容量化に伴い、材料には粒子径や形状の均一性、高い結晶性が求められることから、当社グループでは湿式合成法を用いた独自の微粒子合成技術により、150nm以下の微粒子に特化した製品の開発・製造を進めております。加えて、従来は粉体として供給していたチタン酸バリウムについて、顧客の工程負担低減と付加価値向上を目的に、分散体形態での提供を推進しており、当期には専用設備を稼働させております。今後も安定品質・安定供給を徹底し、成長市場における事業拡大を図ってまいります。 軟磁性材料については、電子機器に搭載されるインダクタ用途を中心に、自動車及びICT分野で市場拡大が続いております。電源モジュールの小型化や大電流化に対応するため、材料は従来のフェライト系磁性粉からメタル系磁性粉へと移行が進んでおり、当社グループでは顧客ニーズに応じた多様な磁気特性・粒子サイズのメタル系磁性粉を供給しております。さらに、競争が激化する市場においても技術力を軸とした差別化を進め、事業拡大を図ってまいります。 (環境分野への取組み) 機能性顔料(着色顔料、トナー用材料)で長年培ってきた酸化鉄に関する技術・知見を活かし、次世代事業として環境関連材料の開発を進めております。現在、主に2つの材料開発を進めており、いずれも温室効果ガスの資源化を目的とした取組みであります。 ①CO₂分離回収材料の開発 室温でCO₂を分離・回収する材料で、2025年「大阪・関西万博」に出展し、事業化に向けた実証試験を実施いたしました。万博での実証試験データをもとに様々な需要に対応すべく、CO₂回収能力の向上に取り組んでおります。現在は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業/CO₂の分離回収等技術開発プロジェクト」に基づき、実証設備を当社小野田事業所(山口県山陽小野田市)に移設し、引き続き実証実験を行い、第95期(2028年3月期)以降の商用化を目指しております。 ②CO₂フリー水素・CNT製造技術の開発 メタンガスを原料としたCO₂フリー水素・カーボンナノチューブ(CNT)の製造技術・材料の実証試験を北海道豊富町で実施いたしました。現地においては、NEDOの助成事業により実証プラントを建設しております。今後、DMR 法による水素製造システムの確立とコスト低減を図るとともに需要家での品質実証を行い、本事業の社会実装を目指してまいります。 環境負荷低減への貢献と将来の事業成長を見据え、第95期(2028年3月期)までの事業化、第98期(2031年3月期)には売上高10億円、営業利益率10%規模への成長を目指しております。 2.財務戦略 「Vision2026」において、当社グループは、財務基盤の安定と資本効率の向上を目指した事業運営を推進するため、営業利益率、ROE、自己資本比率、運転資本回転期間を主要KPIとして設定し、管理しております。これらの指標を通じて、資本コストを意識した経営判断を行い、持続的なキャッシュ創出に取り組んでまいりました。 前期に低下した収益力を踏まえ、当社グループでは、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の改善を中心とした運転資本の効率化を全社一丸となって推進しております。その結果、営業キャッシュ・フローは着実に改善し、財務の柔軟性の回復が進むとともに、収益力の回復に向けた事業体質の整備が着実に進展しております。 また、事業ポートフォリオマネジメントの実効性を高めるため、投資判断及び資源配分にあたっては、収益性と成長性の両面から重要な指標としてNPVを用い、投資の妥当性を検証しております。こうした評価に基づき、成長事業及び次世代事業への重点的な資源配分を進めております。これらの取組みにより、次期以降は収益の着実な創出と中長期的な成長につなげていく方針であります。 株主還元につきましては、安定的な配当の継続を重要な方針としておりますが、現時点では収益力及び財務基盤の回復を優先すべき段階にあると認識しております。「Vision2026」の期間を通じて、復配に向けた体制整備を着実に進めてまいります。 3.人財戦略 当社グループは、200年を超えて事業を継続してきた技術立社として、「人財」こそが最大の経営資本であるとの認識のもと、「Vision2026」における事業ポートフォリオマネジメントを実行するため、経営戦略と一体化した人財戦略を推進しております。 社員一人ひとりが自主的に学び、経験を重ねながら成長し続けることを重視し、その基盤として自律的なキャリア形成を支援しております。また、多様な人財の活躍とDXを支える人財育成は、「Vision2026」の達成と次期成長フェーズへの備えの双方において重要な要素であると考えております。 これらの考え方を踏まえ、以下の3つの重点施策を軸に取組みを進めてまいります。 ①主要部門のサクセッションプラン強化 当社は、「Vision2026」を確実に実行し、次期成長フェーズにつなげていくためには、CEOを含む主要ポジションの後継者について、経営トップの見立てに加え、制度による妥当性・継続性の担保が必要と認識しております。前期及び当期においては、サクセッションプラン本格導入に向けたガバナンス及び制度基盤の整備を進めてまいりました。具体的には、指名・報酬諮問委員会の運用を見直し、形式的な審議から脱却した実質的な議論を行う体制へ移行するとともに、役員報酬制度の点検・整備および役職体系の整理を通じて、人財マネジメントの制度運用の整合性と透明性の向上を図ってまいりました。これらの取り組みを踏まえ、次期からは、キーポジションの定義や人財要件の明確化、候補者プールの管理、育成、定期モニタリングを含むサクセッションプランの制度を構築し、運用を開始いたします。取締役会の監督のもと、透明性の確保に努めてまいります。 ②女性及びマイノリティのキャリア開発 当社は、事業ポートフォリオマネジメントを支える人財基盤を強化するため、多様な人財が能力を発揮できる環境を整備し、適所適材の配置や将来の登用につなげていくことが重要であると考えております。とりわけ女性やマイノリティの活躍推進を重要視し、アンコンシャス・バイアス研修や女性社員向けのシリーズ研修を通じてキャリア支援の強化を図っております。また、管理職への理解促進や育児・介護両立支援策の充実も継続して行い、多様な人財の活躍環境を整備しております。採用面では、性別にとらわれることなく、能力や意欲を重視した人財の確保を行っております。その前提のもと、多様な視点を活かした組織づくりを進めるため、理工系女性の採用にも取り組んでおります。マイノリティ理解については、2024年1月より、LGBTQ+に関する啓発漫画を毎月配信し、理解度確認テストを全社員が受講することを通じて、偏見の是正と多様性尊重の意識醸成に努めております。次期はこれらの取り組みを基盤に、多様な人財の採用強化と戦略的な配置・育成を進めるとともに、女性のキャリア形成支援や両立支援施策の充実を通じて活躍機会の拡大を図り、管理職層の多様性向上につなげてまいります。 ③DX推進を加速する人財育成 迅速な業務遂行・意思決定を実現するためには、業務のデジタル化とDXの推進が不可欠であります。当社では、デジタルイノベーション推進室を中心に、各部門から選出されたメンバーが現場業務の棚卸しを行い、デジタル技術を活用した効率的な業務体制の構築に取り組んでおります。これらの活動に加え、部門内外での勉強会や研修を積極的に実施し、DX推進を担う人財の育成を推進しております。今後も組織全体のDX推進力強化を図り、企業価値のさらなる向上を目指してまいります。 最後に、当社グループは、「事業活動を通じて、社会的な課題解決を支援する」ことを使命とし、社会のニーズや時代の最先端の要請に応えることで持続的な成長を遂げてまいりました。今後も、酸化鉄の可能性を追求し、新たな素材やソリューションを提供し、多様化・高度化する社会を支える存在であり続けることを目指しております。 また、メーカーとして重要な責務である「お客様のニーズに応える製品の安定的かつ継続的な供給」に真摯に取り組み、信頼されるパートナーとしての役割を果たしてまいります。 当社グループは、今後も会社を生々発展させることを通じて、株主様、お客様、従業員及び地域社会の皆様に対する社会的責任を果たしてまいります。 パーパス微粒子の可能性を、世界の可能性に変えていく。 経営理念私たちグループは、酸化鉄で培った微粒子合成技術を深化させながら、永遠に生々発展します。誠実・信頼を基盤とし創造力と製造力を結集させ、魅力ある独創性に富んだ新素材及びソリューションを通じて、広く社会に貢献します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度(以下、「当期」という)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。①経営成績の状況 売上高(百万円)営業利益又は営業損失(△)(百万円)経常損失(△)(百万円)親会社株主に帰属する当期純損失(△)(百万円)1株当たり当期純損失(△)(円)当期28,041862△77△3,455△597.39前期31,667△648△1,411△3,563△616.44増減率(%)△11.4---- 当期の業績は、売上高は28,041百万円(前期比11.4%減)、営業利益は862百万円(前期は営業損失648百万円)、経常損失は77百万円(前期は経常損失1,411百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,455百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,563百万円)となりました。 セグメント別の状況は、次のとおりであります。 売上高セグメント利益前期(百万円)当期(百万円)増減率(%)前期(百万円)当期(百万円)増減率(%)機能性顔料8,0717,815△3.21,0091,49848.4電子素材24,12120,726△14.11,2122,15177.5消去又は全社△525△500-△2,870△2,787-合計31,66728,041△11.4△648862- (機能性顔料) 記録材の需要は好調に推移し、前期に比べ伸長いたしました。また、祖業である着色材料も回復いたしました。一方、トナー用材料において一部顧客による在庫調整の影響を受けたこと等により、売上高は前期比3.2%減の7,815百万円となりました。セグメント利益においては、原価低減及び諸経費削減に加え、製品の価格是正活動等の効果により前期比48.4%増の1,498百万円となりました。 (電子素材) 誘電体材料はAIサーバー及び周辺機器向けMLCC(積層セラミックコンデンサ)の需要が大幅に増加していることにより、過去最高の売上高となりました。一方、磁石材料や軟磁性材料は自動車市場における新車販売台数の減少や中国における同業他社との競争激化により苦戦いたしました。また、戸田アドバンストマテリアルズInc.の解散及び清算することを決定したこと、ハイドロタルサイト事業の協業活動を解消した影響もあり、売上高は前期比14.1%減の20,726百万円となりました。利益面においては、拡販活動や原価低減及び諸経費削減の効果に加え、戸田アドバンストマテリアルズInc.においても費用の減少や在庫の販売により、前期に比べ業績が大幅に改善いたしました。以上のことから、セグメント利益は前期比77.5%増の2,151百万円となりました。 ②財政状態の状況 前期(百万円)当期(百万円)増減(百万円)資産合計50,67247,887△2,785負債合計38,89438,069△825純資産合計11,7779,817△1,960 当社グループの当期末における資産は、投資有価証券が941百万円増加したものの、現金及び預金が796百万円、受取手形及び売掛金が1,177百万円、商品及び製品が787百万円、関係会社出資金が1,218百万円減少したこと等から、前期末に比べ2,785百万円減少いたしました。 負債は、関係会社出資金譲渡損失引当金が3,016百万円増加したものの、借入金が2,695百万円、関係会社整理損失引当金が422百万円、流動負債のその他が579百万円減少したこと等から、前期末に比べ825百万円減少いたしました。 純資産は、その他有価証券評価差額金が643百万円、為替換算調整勘定が248百万円、退職給付に係る調整額が573百万円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失3,455百万円の計上等から、前期末に比べ1,960百万円減少いたしました。 以上の結果、1株当たりの純資産額は前期比343.65円減少して1,561.31円となり、自己資本比率は前期比2.8ポイント減少して18.9%となりました。 ③キャッシュ・フローの状況 前期(百万円)当期(百万円)増減(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー3,8203,323△497投資活動によるキャッシュ・フロー△1,890△994896財務活動によるキャッシュ・フロー△2,131△3,175△1,044現金及び現金同等物期末残高7,8377,234△603 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は7,234百万円となり、前期末より603百万円減少いたしました。 当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは3,323百万円(前期は3,820百万円)となりました。これは主に、売上債権の減少額1,276百万円、棚卸資産の減少額838百万円等による資金の増加が、仕入債務の減少額223百万円、法人税等の支払額481百万円等による資金の減少を上回ったこと等によります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは△994百万円(前期は△1,890百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,580百万円、無形固定資産の取得による支出230百万円等による資金の減少が、利息及び配当金の受取額380百万円、補助金の受取額273百万円等による資金の増加を上回ったこと等によります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは△3,175百万円(前期は△2,131百万円)となりました。これは主に、長期借入金等の返済による支出7,507百万円等による資金の減少が、長期借入れによる収入4,350百万円等による資金の増加を上回ったこと等によります。 ④生産、受注及び販売の実績(1)生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)機能性顔料7,560△1.7電子素材18,603△9.9合計26,164△7.7 (注)金額は、平均販売価格によっております。 (2)受注実績 当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。 (3)販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)機能性顔料7,807△3.1電子素材20,234△14.3合計28,041△11.4 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(a)経営成績の分析 当期における当社グループを取り巻く事業環境は、雇用・所得環境の改善等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、米国の通商政策の動向や日中関係の悪化、中東情勢の緊迫化による原材料及びエネルギー価格の高騰が懸念される等、依然として先行き不透明な状況が続いております。 当社グループにおきましては、2030年度(2031年3月期)のありたい姿や2024年度(2025年3月期)から2026年度(2027年3月期)までの3ヶ年を実行期間とする中期経営計画「Vision2026」で掲げたKPIの達成に向けて、選択と集中を加速させ、さらなる事業ポートフォリオマネジメントの強化を推し進めております。事業ポートフォリオマネジメントにおいて成長事業と位置付けている磁石材料及び誘電体材料はさらなる事業拡大を図っております。磁石材料の主な用途は自動車のモータやセンサであり、自動車部品の小型化・軽量化ニーズによる需要拡大に対応するため、経営資源を投入いたしました。また、誘電体材料の主な用途は自動車やICT機器等に搭載される積層セラミックコンデンサであり、さらなる小型化、高容量化が求められております。当社は独自の微粒子合成技術による150nm以下に特化した製品の開発及び製造を進めていることに加え、お客様に乾燥前の微粒子をご提供することで、高品質かつ微粒子分散の手間の軽減を実現可能とする分散体を提供することも目指しております。再生・転換事業と位置付けている着色材料やトナー用材料は、製品の価格是正活動や原価低減及び諸経費削減等の合理化活動を推し進めてまいりました。次世代事業と位置付けている環境関連材料においては、CO₂分離回収材料等の環境負荷低減に貢献する新素材の開発を進め、早期事業化を目指し、経営資源を重点的に投入いたしました。 営業外収支においてはEV市場の成長鈍化の影響を受け、持分法による投資損失を計上いたしました。また、特別損益においては当社の持分法適用関連会社であるBASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社の出資持分の全部を譲渡することに伴い、発生が見込まれる損失を計上いたしました。 以上のことから、売上高は28,041百万円(前期比11.4%減)、営業利益は862百万円(前期は営業損失648百万円)、経常損失は77百万円(前期は経常損失1,411百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,455百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,563百万円)となりました。 なお、セグメント別の経営成績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。 (b)財政状態の分析 当期の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当期におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。また、当期における金融機関からの借入状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表 借入金等明細表」に記載しております。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、関係会社への投融資等によるものであります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入れを基本としております。 ③経営成績に重要な影響を与える要因 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 予期せぬ事業環境の急変
    グローバルに事業を展開しているため、国内外の政治・経済情勢の悪化、貿易摩擦の長期化、テロやパンデミックなどにより、サプライチェーンが分断されたり、輸出入規制が強化されたりする可能性があります。これにより、原材料の調達が困難になったり、製品の販売が滞ったりすることで、企業の収益が大きく悪化する恐れがあります。
  • 製品品質に関するリスク
    自動車向け製品など、顧客からの品質要求水準が高まる中で、品質上の欠陥や事故が発生する可能性があります。品質問題が発生した場合、製品のリコールや損害賠償、顧客からの信頼失墜などにより、企業の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
  • 原燃料の調達・価格変動リスク
    原材料の一部は限られた供給国や供給者に依存しているため、輸出入規制、災害、供給者の事故などにより供給が中断したり、品質不良が発生したりする可能性があります。また、市場の需給バランスの崩れやエネルギー価格の高騰により、原材料価格や製造コストが増大し、販売価格への転嫁が困難な場合には、企業の収益を圧迫する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|5,467 文字
3【事業等のリスク】[体制] 企業を取り巻く環境は年々複雑化し、かつ不確実性を増しております。当社グループは、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに的確に対処し、経営戦略や事業目標を達成するために各リスクの責任部署を定め、各責任部署において、リスクの特定、分析、評価及び対策を行う取組みを進めております。また、当該各リスクを管理する責任者として、リスク管理責任者を定めております。各リスク管理活動の進捗や課題については、代表取締役社長執行役員を委員長として、執行役員及び常勤の監査等委員等で構成するリスク管理委員会にて毎月1回、各リスク管理部署からの報告を受け、報告に対する意見交換やモニタリングを行っています。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)予期し得ない事業環境急変に関するリスク 当社グループは、グローバルに事業展開していることから、国内外における政治・経済の情勢悪化、輸出入や外資企業への規制、テロ・戦争・パンデミックの発生等に伴うサプライチェーンの分断又は世界的な貿易摩擦の長期化により、当社グループの企業収益が悪化する恐れがあります。コスト構造のスリム化、生産拠点・資材調達の複数化等の施策による収益体制の強化を通じて、事業環境の変化に備えております。しかしながら、中東情勢の長期化、中国の輸出規制の深刻化等、政治・経済情勢に予期し得ない環境の変化があった場合、当社グループの資金繰り環境、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(2)製品品質に関するリスク 当社グループは、モノづくりへの取組みを進めていくための原点である「Toda Spirits」を定め、「継続的改善活動を展開し、お客様の信頼と満足を得る品質を提供する」という品質方針の下、品質保証活動を推進しております。各事業所における品質マネジメントシステム(ISO9001)の運用、車載用製品に対するIATF16949システム運用による源流管理、プロセス管理の強化、営業及び製造から独立した品質保証部による品質監査、人材育成の強化等の活動を行っております。しかしながら、各国規制の変化や車載用製品を中心に顧客の要求水準が高まる中、品質上の欠陥や事故が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(3)原燃料の調達に関するリスク 当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適正な在庫の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、一部原材料等は、代替困難な限られた供給国、供給者に依存する場合があります。そのため、各国の輸出入規制や環境規制、供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油及び石炭をはじめとするエネルギー価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。さらに、中東情勢より石油関連原燃料の供給不安や大幅な価格上昇等にも直面しております。このような仕入価格の変動を販売価格への転嫁や海外を含めた当社グループでの共同購入及び共有化等の原価低減活動で吸収しきれなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(4)新製品の開発力、技術革新、事業拡大に関するリスク 当社グループは、酸化鉄総合メーカーとして、製品開発力と供給力を高めてまいりました。加えて、更なる発展のため、酸化鉄以外の事業への多角化も進めております。市場環境変化が激しく、製品ライフサイクルの短命化が進む現代においては、開発した新製品をより早く確実に社会実装する必要があります。そのため、新製品の開発にあたり、ステージゲート方式を導入し、開発テーマの選択と集中によるリソースの効率的な活用を進めております。しかしながら、既存製品市場における需要減退、競合先による安価な製品又は代替製品が出現した場合、新製品の開発が計画通りに進展しない場合又は技術革新による新製品が出現した場合には、当社グループの競争力が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 (5)減損損失・在庫評価損等のリスク 当社グループは、電子部品及び自動車市場の顧客に素材・部材を提供しており、顧客の業績及び経営戦略の転換等によって需要の変動が発生した場合には、在庫評価損等が発生する可能性があります。また、当社グループは、品質及び生産性の向上並びに事業拡大のため、製造設備等の投資を継続的に行っており、多額の固定資産を保有しております。固定資産については、定期的に調査を行い、減損の兆候が認められる場合は適切な会計処理を行っております。しかしながら、固定資産の時価が著しく低下した場合や事業の収益性が悪化した場合には減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(6)情報セキュリティに関するリスク 当社グループは、事業や業務を通して取引先や当社グループ内の機密情報等を保有しており、これらの情報に対してウイルス感染やサイバー攻撃等、外部からの攻撃や内部的な過失による情報流出、システム停止等が生じる可能性があります。当社グループは、これらの脅威に対してソフトウェア、ハードウェアの技術を活用した管理及び制御による技術的対策、入退室・施錠管理等の強化による物理的対策、情報セキュリティ関連規程の見直しや当社グループ及び協力会社の従業員に対する定期的な教育・訓練等により人的・組織的対策をITリテラシーの向上と合わせて強化してまいります。しかしながら、前述の脅威が顕在化した場合は、情報システムの停止等により、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(7)訴訟等に関するリスク 当社グループは、法令遵守を重視した事業活動を行っておりますが、 知的財産権に関する争いを含め、事業活動の中で第三者との訴訟、クレーム又は種々の紛争に関わる可能性があります。契約条件の明確化、知的財産権の適正な管理、弁護士等専門家との連携等により、紛争等の未然防止に努めております。しかしながら、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(8)コンプライアンスに関するリスク 当社グループは、法令遵守を重視した事業活動を行うべく、適切な社内規程整備を行うとともに、コンプライアンス行動規範を定めて、従業員に対するコンプライアンス教育の実施、内部通報制度等を整え、グループ全体のコンプライアンスの維持及び向上に取り組んでおります。しかしながら、当社グループにおいて、故意又は過失による法令違反、不正、ハラスメント等のコンプライアンス違反が発生する可能性があります。また、当社グループは、グローバルに事業活動を行っていることから、各国の法規制等の改廃により、当社グループの事業活動に不利な影響が生じる可能性があります。これらの内容及び結果によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(9)災害等に関するリスク 地震・集中豪雨等の自然災害、火災等の事故、重大な感染症によるパンデミック、電力や物流等の社会インフラの長期的な停止等によって、当社グループの各拠点において事業活動に支障が生じる可能性があります。BCP策定、設備の定期点検や改修及び定期的な防災訓練、備蓄食料や非常電源の準備等の対策を行っておりますが、この様な災害等が発生した場合、当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上が低下することに加え、製造拠点等の修復又は代替のために巨額な費用を要することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(10)戦略的提携に関するリスク 当社グループは、既存事業の拡大あるいは、新たな事業への進出等のために、事業戦略の一環として企業買収・M&A等の戦略的提携を行う可能性があります。これら戦略的提携に際しては、市場動向や相手企業について十分な調査検討を行っております。しかしながら、買収・提携後に市場環境の著しい変化があった場合等、当初想定した計画通りに進捗しない場合には、投下資金の回収ができない場合や追加費用が発生すること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(11)人材確保と人材育成に関するリスク 当社グループは、経営戦略やグローバル経営といったマネジメント能力及び専門性を有した人材の確保が重要と考えております。新卒採用及び経験者の通年採用を通じて人材の獲得を行うとともに、階層毎の教育プログラムを充実させ、人材の育成も推進しております。しかしながら、少子高齢化、労働人口減少等により人材獲得競争が激化し、事業運営に必要となる優秀な人材の確保が困難となり育成が計画的に推進できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 (12)為替レートの変動に関するリスク 当社グループは、海外の関係会社が14社あり、各地域における現地通貨建ての財務諸表の項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。加えて、日本からの輸出の大部分は外貨建てであり、海外関係会社への外貨建て貸付等も行っております。常に為替変動のモニタリングを行い、円建て又は安定的な通貨での取引、外貨建て取引については外貨預金口座での決済を行う等の対策をとっておりますが、円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(13)金利変動によるリスク 当社グループは、運転資金及び設備投資資金の一部を銀行借入によって調達しております。有利子負債の圧縮を進めるとともに将来の金利変動によるリスクを回避する目的で固定金利での借入を行っておりますが、今後の市場動向により金利に急激な変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(14)カントリーリスク 当社グループは、中国をはじめとしたアジア、北米、ヨーロッパに海外拠点を有しております。各拠点とは定期的に海外安全情報等を共有して適時適切な対応がとれるよう努めております。しかしながら、これら拠点のある国において、紛争やテロ、政治情勢の悪化、大規模災害、パンデミック、労働争議、外資規制等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(15)環境に関するリスク 当社グループは、製品の製造過程において、原材料及び廃棄物等の化学物質並びに燃料、電気及び蒸気等のエネルギーを使用しております。また、多くの水資源を使用しており、使用した水は排水処理工程を経て無害化し、全量を河川・海に排水しております。このため当社グループは、化学物質管理、エネルギー管理、水資源管理を徹底し、法規制に沿ったリスクアセスメントを実施しております。しかしながら、環境に関わる法規制が変更された場合や、自然災害及び火災等の事故による化学物質の流失が発生した場合、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。(16)気候変動に関するリスク 当社グループは、将来の世代も安心して暮らせる持続可能な経済社会をつくるため、気候変動を経営上の重要課題とし、地球温暖化対策に取り組んでおります。しかしながら、気候変動について、移行リスク(カーボンプライシングによる税負担の増加、低炭素化設備・低炭素プロセスへの転換による設備投資の増加等)と物理的リスク(自然災害による建物や設備への被害、海面上昇による沿岸部事業所への追加投資の発生等)があります。 詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)気候変動への対応(TCFD提言への取組) ②戦略」に記載しております。 (17)知的財産に関するリスク 当社グループは、重要な財産である知的財産に関わる創作活動を奨励し、その適切な保護と活用を推進しております。事業展開に必要な製品及び技術について知的財産権の確保に努め、第三者の知的財産権を侵害しないように十分な調査を行っております。しかしながら、想定するような権利範囲が確保できない場合又は第三者の知的財産権を侵害しているとして権利侵害の訴えを起こされた場合、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

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