経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(1) 経営方針 当社は「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。 現在、当社は新中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)の始動に伴い、従来の「データ分析会社」から、企業の意思決定そのものを支える「意思決定支援会社」への進化を加速させております。実店舗からECまでを横断する購買データとAIを融合させた「意思決定基盤(OS)」の提供を通じ、企業が市場への過剰なリソース投下を抑制し、需給の最適化による在庫及び廃棄ロスの削減を実現できる仕組みを構築してまいります。これにより、大量生産・大量消費の時代からの脱却を促し、顧客と社会のサステナビリティへの貢献を目指します。 当社は、データやテクノロジーは新しいパワフルな道具であるからこそ、道具を使う「人」の育成が重要であり、持続的な成長と社会課題の解決を両立させたいとの志のもと、以下の行動指針を掲げて経営に取り組んでおります。① 社会に貢献し、持続的な成長を追求します。② 地域や規模を超え、あらゆる組織のデータ活用を支援します。③ データやテクノロジーを使う人の教育を推進します。 (2) 経営戦略 当社はこれまで、国内最大規模の消費者マーケティングデータ(ID-POSデータ)を核に、企業各社の現状把握や課題抽出を担う「購買データプラットフォーム」を同業他社に先駆けて構築・展開し、「データ分析会社」として市場における独自の地位を築いてまいりました。現在は、新中期経営計画の始動に伴い、この強固なデータ基盤を土台として、クライアント企業の経営判断や価値創造そのものをリードする「意思決定支援会社」への進化を強力に推進しております。具体的には、従来の顧客分析に留まらず、AIを活用した高度なテクノロジー支援、オンライン・オフラインを横断する広告・販促支援、さらにはデータガバナンス構築や人材育成支援に至るまで、データ活用の全プロセスをフルサポートする体制を確立しております。この独自の事業モデルに基づき、小売業に対しては、顧客の購買データを精製・蓄積・管理・分析するツールとして「ショッピングスキャン」を主に提供しております。また、消費財メーカーに対しては、全国や地域における消費者の購買行動を詳細に分析できるツールとして「イーグルアイ」を主に提供しております。このように、各ステークホルダーに最適化されたサービスを統合的に提供することで、産業全体の生産性向上と持続的な成長に寄与し、デジタル時代の新たな「意思決定基盤(OS)」としての地位確立を目指しております。 ① サービス利用小売業の増加による、消費者との「顧客接点」であるID-POSデータの増加当社サービスの基盤となるID-POSデータの網羅性を高めるため、既存のドラッグストア・スーパーマーケットに加え、コンビニエンスストア、ホームセンター、EC、プレステージチャネル等への対象拡大を推進しております。これにより、消費財メーカーが抱える多様な販路(マス・チャネルからECまで)を一気通貫で分析したいという高度なニーズに応えます。 ② ストック型サービス(「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」など)の拡大による収益構造の強化「イーグルアイ」や「ショッピングスキャン」等のストック型サービスを事業の柱とし、収益構造の強靭化を図ります。無償情報サービス「ウレコン」による潜在顧客層の開拓や、卸商社等の販売パートナーを通じた提案強化により、利用企業数の拡大を加速させます。あわせて、AI・機械学習による予測モデルや、デジタル広告・サイネージと連携するマーケティングソリューション等の新領域をストック型サービスとして展開いたします。購買データベースは、利用数が増加しても追加原価が限定的であるという特性(限界利益率が高い構造)を持つため、ストック売上の伸長に伴い、利益率が加速度的に向上する高収益モデルを確立してまいります。 ③ 消費者をビッグデータで把握するための多角的なデータラインナップの充実AI・機械学習の精度を左右する教師データとして、独自の生活者インサイトデータ「KURASHI360」の提供を強化し、他社との差別化を図ります。また、データサプライヤーとの連携により外部ビッグデータを拡充し、購買行動の背後にある「嗜好性」や「ライフスタイル」までを可視化する体制を整えます。これらのデータ連携を通じ、小売・消費財領域に留まらず、幅広い業界における顧客理解の深化に寄与いたします。 ④ 当社データプラットフォームに連携される多様なソリューションのエコシステム運営による事業拡大自社サービスの提供に留まらず、外部のAI・テクノロジー・データ企業との連携によるエコシステムを構築し、提供価値の最大化とスピード向上を実現します。新規出店予測や在庫・廃棄ロス削減といった顧客ニーズに即した高度なソリューションをクロスセルすることで、顧客企業内での「意思決定基盤(OS)」としての定着を促します。グローバルプラットフォーム企業やAIスタートアップのテクノロジーを積極的に導入し、最先端の知見と日本のリテール現場の知恵を融合させた、独自のデータエコシステムを展開してまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、主要な経営指標として、成長性については売上高の対前期成長率、収益性については営業利益及び営業利益率を掲げており、それらの向上を図る経営に努めてまいります。 また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとなるKPIは、データの網羅性やデータ価値を示す「分析 対象とする小売業の購買データ金額」及び事業成長の持続性と安定性を示す「ストック型契約」の売上高及び売上 高比率であります。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① ブランドの認知度向上 当社が主な事業領域とする小売業界及び消費財メーカーにおけるサービス利用企業の確保は、当社事業において重要な要素であり、ブランドの認知度の向上は重要な課題と認識しております。無償サービスである「ウレコン」の提供やメディアでのデータ活用実績の増加、サービス導入企業の増加に伴い、認知度は着実に高まっているものの、持続的な事業成長のためには、さらなる認知度の向上が不可欠と考えております。この課題に対し、AI等を活用したサービスの利便性向上、消費者ビッグデータの活用ノウハウの高度化など、提供価値の強化を積極的に行い、「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」に代表される当社サービス利用者の満足度向上に努め、クオリティの高いソリューションを提供する企業としてのブランド確立を着実に進めてまいります。 ② 収益基盤の多様化と強化 当社は、国内最大級の消費者購買データプラットフォームを基盤とした分析サービスを主軸に成長してまいりました。次なる成長ステージにおいて、持続的な企業価値向上を実現するためには、収益基盤の多様化と強化が最重要課題であると認識しております。この課題に対処するため、新たな中期経営計画では、「リテールデータ」と「AIインサイト」を掛け合わせ、現場の意思決定を自律化・高度化させるソリューションの提供を加速させております。単なるデータの提供にとどまらず、AIが精緻な需要予測や最適な施策を提示することで、顧客のマーケティング業務そのものを変革する「意思決定のOS」の構築に注力しております。 さらに、ビジネスアナリティクス領域や広告領域(リテールメディア)といった領域においても、すでに具体的な収益化が始まっております。これらのサービス群を、従来のID-POS分析サービスに次ぐ収益の柱として確立させることで、収益源の多角化と、より強固な収益ポートフォリオの構築を推進してまいります。 ③ プラットフォームの価値向上 当社は、データマーケティングに不可欠な3領域である①データ、②テクノロジー、③教育プログラムを含むデータ活用ノウハウの全てにおいて提供価値とクオリティを向上させ、データを収集・精製・管理・分析し、多様なマーケティングソリューションで活用するためのビジネスプラットフォームとしての優位性の盤石化を図ります。 データ戦略に関しては、既に強みを持つドラッグストアに加え、スーパーマーケットとの連携が着実に進展しており、購買データの網羅性は一段と高まっております。今後はこれらをベースとしつつ、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなどの他業態の小売業のデータ連携により、データの付加価値を高めていくことが重要と認識しております。 テクノロジー戦略に関しては、グローバルプラットフォーマー及びAIスタートアップとの連携を推進しております。世界標準のDXソリューションや、AIスタートアップが持つ最先端のアルゴリズムを当社の購買データと融合させることで、クライアントへの提供価値を飛躍的に高めてまいります。 教育プログラムを含む活用ノウハウに関しては、小売業から消費財メーカーへのデータ外販支援を含め、データマーケティングに関連する様々な活用ノウハウを蓄積しています。これらをベースに事業会社、教育研究機関、地方公共団体等に対するデータマーケティングに係る教育機会の提供を行っています。今後はデータマーケターの育成活動を通じて地域での雇用創出、地方経済や企業の発展に寄与していくことが、持続的な成長と社会への貢献を両立させる企業として重要であると認識しております。この取り組みの一環として、地域性を持つデータを分析し、マーケティング戦略の立案・実行につなげる専門性を有した「データマーケティング人材」を育成すること、また、地域社会の人材確保のために実践力のあるマーケティング人材の採用支援を図り、地域の雇用創出、地方創生に貢献することを目的とする一般社団法人ビッグデータマーケティング教育推進協会に出資しております。 ④ 業績の持続的成長と社会課題解決への貢献の両立 データやテクノロジーを活用したマーケティングや市場変化への対応は、大企業のみならず中堅・中小企業や地方経済においてもその重要性が高まっております。 当社はかねてよりデータマーケターの育成や、地方行政との連携、教育研究機関や自治体と連携したSDGsやESGに関わる指標づくり、地域雇用の活性化や女性のエンパワーメントをはじめとする取り組みにも力を入れてまいりましたが、こうした社会課題の解決やサステナビリティに関わる領域への価値提供についての社会的な意義は今後ますます高まっていくと認識しており、企業としての持続的成長と並ぶ経営活動の基本戦略に位置付けて取り組みを進めています。 ⑤ 組織と人材 当社の競争力の源泉は、データの力と人材の力であり、人材に関しては特に採用と教育に力を入れています。当社のような規模の企業にとっては、良質な人材の確保は経営上の重要課題です。当社の価値観に共感し自ら成長を求める人材を幅広く採用し、挑戦する舞台と教育の機会を用意することで、自律的なプロフェッショナルや次世代の経営人材を育成することが、持続的な成長につながると信じています。 そのためにも、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整え、様々な価値観や働き方を支えるインフラや制度を模索し、整備することで自律的なプロフェッショナルにとって魅力ある企業であることを目指しています。新卒採用と中途採用をバランス良く行いながら、人を育てることで組織も成長し、互いの成長を支援する風土を醸成しております。 教育プログラムとしては、専門性向上のためのテクニカル・スキルの教育プログラムのみならず、リーダーシップ開発や人間力の向上を目指したヒューマンスキルのプログラムを提供しています。具体的には、研修等のプログラムに加え、専門のコーチによるリーダーシップ開発、チームビルディング、女性リーダーのエンパワーメント、キャリアコーチングなど、コーチングプログラムの提供がそれにあたります。 当社としては、全社員が安心して自らの持つ力を存分に発揮できる環境を用意することで、組織としてのレジリエンシーを高めることが何よりも重要だと考えております。 ⑥ 情報管理体制の強化 当社の事業は、将来的な発展を期待される領域であると同時に個人情報の取り扱いをベースとするため、その社会的責任は極めて重いものと認識しています。堅確な情報セキュリティは当社ビジネスを継続する上での大前提であり、最優先で取り組むべき課題です。個人情報保護体制に関するプライバシーマークに加え、国際基準の情報セキュリティ管理体制を示す「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」の認証を取得し、厳格な運用を実施しております。グローバルレベルの関連規制を遵守することはもとより、データマーケティングのリーディングカンパニーとして、さらなるデータガバナンスの強化を推進してまいります。徹底した社内統制や継続的な社員教育を通じ、お客様や取引先の皆様から常に信頼いただける確かなセキュリティ体制を構築し、安全かつ付加価値の高いデータ活用を追求してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(1) 経営方針 当社は「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。 現在、当社は新中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)の始動に伴い、従来の「データ分析会社」から、企業の意思決定そのものを支える「意思決定支援会社」への進化を加速させております。実店舗からECまでを横断する購買データとAIを融合させた「意思決定基盤(OS)」の提供を通じ、企業が市場への過剰なリソース投下を抑制し、需給の最適化による在庫及び廃棄ロスの削減を実現できる仕組みを構築してまいります。これにより、大量生産・大量消費の時代からの脱却を促し、顧客と社会のサステナビリティへの貢献を目指します。 当社は、データやテクノロジーは新しいパワフルな道具であるからこそ、道具を使う「人」の育成が重要であり、持続的な成長と社会課題の解決を両立させたいとの志のもと、以下の行動指針を掲げて経営に取り組んでおります。① 社会に貢献し、持続的な成長を追求します。② 地域や規模を超え、あらゆる組織のデータ活用を支援します。③ データやテクノロジーを使う人の教育を推進します。 (2) 経営戦略 当社はこれまで、国内最大規模の消費者マーケティングデータ(ID-POSデータ)を核に、企業各社の現状把握や課題抽出を担う「購買データプラットフォーム」を同業他社に先駆けて構築・展開し、「データ分析会社」として市場における独自の地位を築いてまいりました。現在は、新中期経営計画の始動に伴い、この強固なデータ基盤を土台として、クライアント企業の経営判断や価値創造そのものをリードする「意思決定支援会社」への進化を強力に推進しております。具体的には、従来の顧客分析に留まらず、AIを活用した高度なテクノロジー支援、オンライン・オフラインを横断する広告・販促支援、さらにはデータガバナンス構築や人材育成支援に至るまで、データ活用の全プロセスをフルサポートする体制を確立しております。この独自の事業モデルに基づき、小売業に対しては、顧客の購買データを精製・蓄積・管理・分析するツールとして「ショッピングスキャン」を主に提供しております。また、消費財メーカーに対しては、全国や地域における消費者の購買行動を詳細に分析できるツールとして「イーグルアイ」を主に提供しております。このように、各ステークホルダーに最適化されたサービスを統合的に提供することで、産業全体の生産性向上と持続的な成長に寄与し、デジタル時代の新たな「意思決定基盤(OS)」としての地位確立を目指しております。 ① サービス利用小売業の増加による、消費者との「顧客接点」であるID-POSデータの増加当社サービスの基盤となるID-POSデータの網羅性を高めるため、既存のドラッグストア・スーパーマーケットに加え、コンビニエンスストア、ホームセンター、EC、プレステージチャネル等への対象拡大を推進しております。これにより、消費財メーカーが抱える多様な販路(マス・チャネルからECまで)を一気通貫で分析したいという高度なニーズに応えます。 ② ストック型サービス(「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」など)の拡大による収益構造の強化「イーグルアイ」や「ショッピングスキャン」等のストック型サービスを事業の柱とし、収益構造の強靭化を図ります。無償情報サービス「ウレコン」による潜在顧客層の開拓や、卸商社等の販売パートナーを通じた提案強化により、利用企業数の拡大を加速させます。あわせて、AI・機械学習による予測モデルや、デジタル広告・サイネージと連携するマーケティングソリューション等の新領域をストック型サービスとして展開いたします。購買データベースは、利用数が増加しても追加原価が限定的であるという特性(限界利益率が高い構造)を持つため、ストック売上の伸長に伴い、利益率が加速度的に向上する高収益モデルを確立してまいります。 ③ 消費者をビッグデータで把握するための多角的なデータラインナップの充実AI・機械学習の精度を左右する教師データとして、独自の生活者インサイトデータ「KURASHI360」の提供を強化し、他社との差別化を図ります。また、データサプライヤーとの連携により外部ビッグデータを拡充し、購買行動の背後にある「嗜好性」や「ライフスタイル」までを可視化する体制を整えます。これらのデータ連携を通じ、小売・消費財領域に留まらず、幅広い業界における顧客理解の深化に寄与いたします。 ④ 当社データプラットフォームに連携される多様なソリューションのエコシステム運営による事業拡大自社サービスの提供に留まらず、外部のAI・テクノロジー・データ企業との連携によるエコシステムを構築し、提供価値の最大化とスピード向上を実現します。新規出店予測や在庫・廃棄ロス削減といった顧客ニーズに即した高度なソリューションをクロスセルすることで、顧客企業内での「意思決定基盤(OS)」としての定着を促します。グローバルプラットフォーム企業やAIスタートアップのテクノロジーを積極的に導入し、最先端の知見と日本のリテール現場の知恵を融合させた、独自のデータエコシステムを展開してまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、主要な経営指標として、成長性については売上高の対前期成長率、収益性については営業利益及び営業利益率を掲げており、それらの向上を図る経営に努めてまいります。 また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとなるKPIは、データの網羅性やデータ価値を示す「分析 対象とする小売業の購買データ金額」及び事業成長の持続性と安定性を示す「ストック型契約」の売上高及び売上 高比率であります。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① ブランドの認知度向上 当社が主な事業領域とする小売業界及び消費財メーカーにおけるサービス利用企業の確保は、当社事業において重要な要素であり、ブランドの認知度の向上は重要な課題と認識しております。無償サービスである「ウレコン」の提供やメディアでのデータ活用実績の増加、サービス導入企業の増加に伴い、認知度は着実に高まっているものの、持続的な事業成長のためには、さらなる認知度の向上が不可欠と考えております。この課題に対し、AI等を活用したサービスの利便性向上、消費者ビッグデータの活用ノウハウの高度化など、提供価値の強化を積極的に行い、「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」に代表される当社サービス利用者の満足度向上に努め、クオリティの高いソリューションを提供する企業としてのブランド確立を着実に進めてまいります。 ② 収益基盤の多様化と強化 当社は、国内最大級の消費者購買データプラットフォームを基盤とした分析サービスを主軸に成長してまいりました。次なる成長ステージにおいて、持続的な企業価値向上を実現するためには、収益基盤の多様化と強化が最重要課題であると認識しております。この課題に対処するため、新たな中期経営計画では、「リテールデータ」と「AIインサイト」を掛け合わせ、現場の意思決定を自律化・高度化させるソリューションの提供を加速させております。単なるデータの提供にとどまらず、AIが精緻な需要予測や最適な施策を提示することで、顧客のマーケティング業務そのものを変革する「意思決定のOS」の構築に注力しております。 さらに、ビジネスアナリティクス領域や広告領域(リテールメディア)といった領域においても、すでに具体的な収益化が始まっております。これらのサービス群を、従来のID-POS分析サービスに次ぐ収益の柱として確立させることで、収益源の多角化と、より強固な収益ポートフォリオの構築を推進してまいります。 ③ プラットフォームの価値向上 当社は、データマーケティングに不可欠な3領域である①データ、②テクノロジー、③教育プログラムを含むデータ活用ノウハウの全てにおいて提供価値とクオリティを向上させ、データを収集・精製・管理・分析し、多様なマーケティングソリューションで活用するためのビジネスプラットフォームとしての優位性の盤石化を図ります。 データ戦略に関しては、既に強みを持つドラッグストアに加え、スーパーマーケットとの連携が着実に進展しており、購買データの網羅性は一段と高まっております。今後はこれらをベースとしつつ、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなどの他業態の小売業のデータ連携により、データの付加価値を高めていくことが重要と認識しております。 テクノロジー戦略に関しては、グローバルプラットフォーマー及びAIスタートアップとの連携を推進しております。世界標準のDXソリューションや、AIスタートアップが持つ最先端のアルゴリズムを当社の購買データと融合させることで、クライアントへの提供価値を飛躍的に高めてまいります。 教育プログラムを含む活用ノウハウに関しては、小売業から消費財メーカーへのデータ外販支援を含め、データマーケティングに関連する様々な活用ノウハウを蓄積しています。これらをベースに事業会社、教育研究機関、地方公共団体等に対するデータマーケティングに係る教育機会の提供を行っています。今後はデータマーケターの育成活動を通じて地域での雇用創出、地方経済や企業の発展に寄与していくことが、持続的な成長と社会への貢献を両立させる企業として重要であると認識しております。この取り組みの一環として、地域性を持つデータを分析し、マーケティング戦略の立案・実行につなげる専門性を有した「データマーケティング人材」を育成すること、また、地域社会の人材確保のために実践力のあるマーケティング人材の採用支援を図り、地域の雇用創出、地方創生に貢献することを目的とする一般社団法人ビッグデータマーケティング教育推進協会に出資しております。 ④ 業績の持続的成長と社会課題解決への貢献の両立 データやテクノロジーを活用したマーケティングや市場変化への対応は、大企業のみならず中堅・中小企業や地方経済においてもその重要性が高まっております。 当社はかねてよりデータマーケターの育成や、地方行政との連携、教育研究機関や自治体と連携したSDGsやESGに関わる指標づくり、地域雇用の活性化や女性のエンパワーメントをはじめとする取り組みにも力を入れてまいりましたが、こうした社会課題の解決やサステナビリティに関わる領域への価値提供についての社会的な意義は今後ますます高まっていくと認識しており、企業としての持続的成長と並ぶ経営活動の基本戦略に位置付けて取り組みを進めています。 ⑤ 組織と人材 当社の競争力の源泉は、データの力と人材の力であり、人材に関しては特に採用と教育に力を入れています。当社のような規模の企業にとっては、良質な人材の確保は経営上の重要課題です。当社の価値観に共感し自ら成長を求める人材を幅広く採用し、挑戦する舞台と教育の機会を用意することで、自律的なプロフェッショナルや次世代の経営人材を育成することが、持続的な成長につながると信じています。 そのためにも、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整え、様々な価値観や働き方を支えるインフラや制度を模索し、整備することで自律的なプロフェッショナルにとって魅力ある企業であることを目指しています。新卒採用と中途採用をバランス良く行いながら、人を育てることで組織も成長し、互いの成長を支援する風土を醸成しております。 教育プログラムとしては、専門性向上のためのテクニカル・スキルの教育プログラムのみならず、リーダーシップ開発や人間力の向上を目指したヒューマンスキルのプログラムを提供しています。具体的には、研修等のプログラムに加え、専門のコーチによるリーダーシップ開発、チームビルディング、女性リーダーのエンパワーメント、キャリアコーチングなど、コーチングプログラムの提供がそれにあたります。 当社としては、全社員が安心して自らの持つ力を存分に発揮できる環境を用意することで、組織としてのレジリエンシーを高めることが何よりも重要だと考えております。 ⑥ 情報管理体制の強化 当社の事業は、将来的な発展を期待される領域であると同時に個人情報の取り扱いをベースとするため、その社会的責任は極めて重いものと認識しています。堅確な情報セキュリティは当社ビジネスを継続する上での大前提であり、最優先で取り組むべき課題です。個人情報保護体制に関するプライバシーマークに加え、国際基準の情報セキュリティ管理体制を示す「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」の認証を取得し、厳格な運用を実施しております。グローバルレベルの関連規制を遵守することはもとより、データマーケティングのリーディングカンパニーとして、さらなるデータガバナンスの強化を推進してまいります。徹底した社内統制や継続的な社員教育を通じ、お客様や取引先の皆様から常に信頼いただける確かなセキュリティ体制を構築し、安全かつ付加価値の高いデータ活用を追求してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況a. 経営成績の状況 当事業年度のわが国経済は、円安の影響等による物価上昇の継続などにより景気の下振れリスクがあるものの、各種政策の効果もあって雇用・所得環境が改善する中で緩やかな回復がみられました。一方で、欧米における高い金利水準の継続、それに伴う日本との金利差による円安基調、中国における不動産市場及び個人消費の停滞継続、ウクライナ問題の長期化や中東情勢のさらなる緊迫、米国の通商政策動向など海外の政治・経済の諸課題による影響も大きく、景気の先行きに対する不透明感は継続いたしました。 当社は、全国に広がるドラッグストアやスーパーマーケット等の小売店における消費者購買ビッグデータとAI等テクノロジーを活用し、小売企業や消費財メーカーなど顧客企業の収益拡大に貢献するソリューションの提供を主力事業としております。当社の事業領域はビッグデータを用いた社会構造変革や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの台頭というメガトレンドの追い風を受け、中長期的な成長が見込まれております。当社においてもこのような追い風を背景に、小売企業や消費財メーカーの顧客企業の開拓・深耕が進み、成長トレンドが継続しております。 当事業年度においては、大手小売向けリテールDXサービスやAIソリューションの垂直展開による業績貢献に加え、主力サービスである「イーグルアイ」の契約社数を着実に積み上げ収益基盤の強化が進みました。また、前事業年度に実施した伊藤忠商事株式会社との資本業務提携に加え、さらなる販路の拡大やサービスの水平展開を強力に推進するため、アルフレッサ ヘルスケア株式会社との協業を開始するとともに、株式会社あらたとの戦略的業務提携契約を締結いたしました。これにより、食品、医薬品、日用品という消費財における主要3領域をカバーする国内トップクラスの卸商社との協業パートナー網が完成いたしました。リテールメディア領域では、ソニーグループのSMN株式会社や三井物産グループの株式会社MBKデジタルが提供する広告ソリューションに、当社の広告用購買セグメントデータの連携を開始いたしました。また、事業の拡大に伴い、情報資産を適切に管理し、顧客企業が安心してサービスを利用できる体制を構築するため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC 27001:2022+Amd1:2024(JIS Q 27001:2025)」の認証を取得いたしました。一方で、中長期的なさらなる収益拡大を見据え、人材投資やAIソリューションの業務洗練化を優先して進めた結果、運営・稼働費等の先行費用が嵩んだことにより、2025年5月14日に公表いたしました通期業績予想を下回る結果となりましたが、前事業年度比で大幅な増収増益となりました。 以上の結果、当事業年度における当社の売上高は1,870,468千円(前事業年度比20.3%増)となり、営業利益は101,600千円(前事業年度比109.6%増)、経常利益は108,959千円(前事業年度比121.6%増)、当期純利益は80,508千円(前事業年度比508.5%増)となりました。 なお、当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 b. 財政状態の状況(資産の部) 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ171,438千円増加し1,534,079千円となりました。流動資産は、現金及び預金や売掛金の増加により、1,315,188千円と前事業年度末に比べ172,915千円増加いたしました。固定資産は、ソフトウエア開発及び出資金の払込みを行った一方で、ソフトウエアの減価償却が進んだことにより、218,890千円と前事業年度末に比べ1,477千円減少いたしました。 (負債の部) 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ88,319千円増加し370,161千円となりました。流動負債は、買掛金や契約負債の増加により、366,305千円と前事業年度末に比べ88,284千円増加いたしました。 (純資産の部) 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ83,118千円増加し1,163,917千円となりました。利益剰余金が80,508千円増加したほか、ストック・オプションの行使により資本金が1,305千円増加し、さらに資本剰余金も1,305千円増加いたしました。 ② キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は971,079千円と、前事業年度末に比べ111,521千円増加いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況及び変動要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度末における営業活動により獲得した資金は189,052千円(前事業年度は37,153千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益102,963千円、減価償却費65,829千円、売上債権の増加額65,387千円、仕入債務の増加額44,921千円があったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度末における投資活動により使用した資金は74,205千円(前事業年度は104,905千円の支出)となりました。これは主に、出資金の払込による支出32,500千円及び有形固定資産の取得による支出15,899千円及び無形固定資産の取得による支出15,518千円があったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度末における財務活動により使用した資金は2,870千円(前事業年度は10,220千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出5,480千円があった一方で、新株の発行による収入2,610千円があったことによるものです。 ③ 生産、受注及び販売の状況a. 生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 b. 受注実績 生産実績と同様の理由により、受注状況に関する記載はしておりません。 c. 販売実績 第26期事業年度の販売実績は、次のとおりであります。サービスの名称販売高(千円)前年同期比(%)メーカー向けソリューション952,697107.99リテール向けソリューション509,726165.19リテールメディアその他408,045112.24合計1,870,468120.34(注)1.当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、取扱データ分野別に記載しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。3.当事業年度より、事業戦略に伴う顧客属性別開示を目的として、従来、「あらゆる産業向けソリューション」としておりました項目を、「リテールメディアその他」に名称変更しております。この変更により、「メーカー向けソリューション」に含まれていた事業に係る収益の一部を、「リテールメディアその他」に組み替えております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。 経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。 ② 経営成績等分析(売上高) 当事業年度の売上高は前事業年度に比べ316,183千円増加し、1,870,468千円となりました。 当社ストック型売上の主力サービスのうち、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の販売拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し、新規取引先開拓のための取り組みを進めてまいりました。加えて、当社の強みである消費者購買ビッグデータの更なる活用を目指し、ビジネスアナリティクスや広告領域等の新規領域の開拓にも注力してまいりました。(売上原価、売上総利益) 当事業年度の売上原価は新基盤システムの減価償却費等により、前事業年度に比べ162,121千円増加し、821,563千円となりました。 この主な内訳は、労務費203,000千円、減価償却費49,018千円、データセンター使用料166,445千円であります。 以上の結果、当事業年度における売上総利益は前事業年度に比べ154,061千円増加し、1,048,904千円となりました。(販売費及び一般管理費、営業利益) 当事業年度の販売費及び一般管理費は業務委託費の増加等の影響により、前事業年度に比べ100,929千円増加し、947,304千円となりました。 この主な内訳は、給与手当447,775千円、役員報酬66,640千円であります。 以上の結果、当事業年度における営業利益は101,600千円(前事業年度は48,468千円)となりました。(経常利益) 当事業年度における営業外収益は12,773千円(前事業年度は2,657千円)を計上しております。これは、主に受取保険金であります。 当事業年度における営業外費用は5,414千円(前事業年度は1,959千円)を計上しております。これは主に支払手数料であります。 以上の結果、当事業年度における経常利益は108,959千円(前事業年度は49,166千円)となりました。(当期純利益) 当事業年度の税引前当期純利益は102,963千円(前事業年度は22,831千円)となりました。 また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は22,455千円(前事業年度は9,599千円)であります。 以上の結果、当事業年度における当期純利益は80,508千円(前事業年度は13,231千円)となりました。 ③ 財政状態の分析 財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態の状況」に含めて記載しております。 (3) キャッシュ・フローの状況の分析 キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 (4) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報 当社の資金需要のうち主なものは、システムの運用費及び人件費であります。当社の資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行うこととしております。 また、資金の流動性については、当事業年度における現金及び現金同等物の残高が、前事業年度末より111,521千円増加し、971,079千円となっており、流動比率は359.0%と高い水準となっております。 (5) 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 (6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。現在は、当社が保有するビッグデータ、そしてオープンデータや協力企業が保有するデータ等、ビッグデータ同士をかけ合わせるプロジェクトを推進しております。これにより、小売業、消費財メーカーのみならず、業種や企業規模を問わず多様な産業において当社のデータが活用される機会が拡大しております。 当社の経営指標につきましては、成長性については売上高の対前期成長率、収益性については営業利益及び営業利益率を設定しております。当事業年度における当社の売上高は、複数の大手小売り向け大型案件の立ち上がり等により、前事業年度比20.3%増の1,870,468千円と伸長する結果となりました。また当事業年度の営業利益も前事業年度比109.6%増の101,600千円と伸長するとともに、営業利益率は5.4%(前事業年度3.1%)を確保し、収益性についても向上することとなりました。 また、小売業の購買データは当社ビジネスの基盤であることから、購買データ量を主要な経営指標としております。小売業向け主要サービスであります「ショッピングスキャン」の分析対象となる小売業の購買データ(一年間に集信された購買データの合計金額)が、10兆6,055億円となりました。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(1) 経営方針 当社は「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。また、当社データを活用することで、企業は市場への過剰な商品投下を抑制し、在庫削減と廃棄ロス削減を通じてコスト効率を向上させることが可能になります。これにより、大量生産・大量消費の時代からの脱却を促し、顧客と社会のサステナビリティへの貢献を目指します。 当社は、データやテクノロジーは新しいパワフルな道具であるからこそ、道具を使う「人」の育成が重要であり、持続的な成長と社会課題の解決を両立させたいとの志のもと、以下の行動指針を掲げて経営に取り組んでおります。① 社会に貢献し、持続的な成長を追求します。② 地域や規模を超え、あらゆる組織のデータ活用を支援します。③ データやテクノロジーを使う人の教育を推進します。 (2) 経営戦略 当社は、日本最大規模の消費者マーケティングデータ(ID-POSデータ)を取り扱う企業として、企業各社の顧客分析から広告・販促支援、新規出店時の売上予測、外部へのデータガバナンスに基づくデータ提供支援、AIなどテクノロジー支援、データ活用教育支援に至るまでフルサポートする購買データプラットフォームを同業他社に先駆けて構築・展開してきたと自負しております。 このビジネスコアをベースに、小売業に対しては、顧客の購買データを精製・蓄積・管理・分析するツールとして「ショッピングスキャン」を主に提供しております。 また、消費財メーカーに対しては、全国や地域における消費者の購買行動を詳細に分析できるツールとして「イーグルアイ」を主に提供しております。 ① サービス利用小売業の増加による、消費者との「顧客接点」であるID-POSデータの増加・小売業への提案強化 (ドラッグストア、スーパーマーケットから、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなどに対象を拡大)(注)当社の現在の中核商品領域である「日用品・化粧品・食品・飲料」を製造・販売する消費財メーカーでは、ドラッグストア・スーパーマーケット以外のマスチャネルやプレステージチャネル、EC、あるいは日本以外の海外で事業展開している企業が多く存在するため、これらの領域でID-POSデータを増加させることによる消費財メーカーのニーズへの対応・当社協業パートナーとの関係強化を進めることによる東南アジアの小売業の購買データ、ID-POSデータの獲得及び活用開始 ② ストック型サービス(「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」など)の拡大による収益構造の強化・無償のインターネット情報サービスである「ウレコン」を通じた将来の潜在顧客層の拡大・協業パートナーや販売パートナーを通じた小売業、消費財メーカー企業への提案強化・新たな領域でのストック型サービスの追加(他の消費者ビッグデータとのかけ合わせによるデータ領域、AI・機械学習など分析領域、デジタル広告やデジタルサイネージと連携するマーケティングソリューション領域など)・購買データのデータベースは「どれだけ使っても原価は共通」のため、ストック型サービスの売上が伸びるほど収益性(利益率)が加速度的に向上 ③ 消費者をビッグデータで把握するための多角的なデータラインナップの充実・AIや機械学習の提供に組み合わせて、AIや機械学習に必要な教師データである「KURASHI360」やID-POSデータを提供することによる差別化・データサプライヤーとの連携強化による「KURASHI360」に連携する外部ビッグデータの充実(注)「KURASHI360」の嗜好分析はあらゆる産業の顧客対応や販促活動に活用することが可能。また、小売業や消費財メーカーにとっては、自社で保有する顧客データと当社の購買データをかけ合わせることで、顧客の日常活動に対する理解が深まり、より精度の高い顧客アプローチやマーケティング活動を行えるようになる。また、観光業・自動車業界・外食産業等、様々な領域でこのようなデータのかけ合わせニーズが顕在化し始めており、当社は購買データプラットフォームのリーディング企業として、サービス提供を進める。 ④ 当社データプラットフォームに連携される多様なソリューションのエコシステム運営による事業拡大・「ショッピングスキャン」「イーグルアイ」など既存サービスの提供に加え、「POS分析クラウド」などの顧客社内に存在するデータ活用の効率化支援、小売業の新規出店時の売上予測、広告・販促支援、顧客のロイヤル化促進、在庫/廃棄ロス削減、SDGs支援など、企業ニーズが強くデータ活用に親和性の高いソリューションのリリース及びクロスセル強化・「ショッピングスキャン」で蓄積した技術・ノウハウを活用した価格競争力の向上及びサービス利用体験の改善・提供ソリューションは、自社開発に加えて、当社データプラットフォームとの連携により提供価値の拡大が見込まれる外部AI・テクノロジー・データ企業のソリューションとのパートナーシップを促進、エコシステムとして運営することで、協業パートナーであるグローバルプラットフォーム企業のテクノロジーの選定とサービスへの導入を進め、スピーディーな提供価値の向上を実現(注)例えば、世界最大のデータマーケティング企業であるニールセンは当社と資本業務提携関係にあり、同社のサステナビリティやデジタルマーケティング関連のソリューションなどグローバルに競争力あるプロダクツを日本仕様へ適合させた上で提供する等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、主要な経営指標として、成長性については売上高の対前期成長率、収益性については営業利益及び営業利益率を掲げており、それらの向上を図る経営に努めてまいります。 また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとなるKPIは、データの網羅性やデータ価値を示す「分析対象とする小売業の購買データ金額」及び事業成長の持続性と安定性を示す「ストック型契約」の継続率であります。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① ブランドの認知度向上 当社が主な事業領域とする小売業界、消費財メーカーのサービス利用企業の確保は、当社事業において重要な要素であり、ブランドの認知度向上が重要な課題であると認識しております。無償サービスである「ウレコン」の利用やメディアでのデータ活用機会の増加、サービス導入企業の増加に伴って当社サービスの利用者数が拡大したこと等により、認知度は一定程度高まってはいるものの、持続的な事業成長のためには、更なるブランド認知度の向上が不可欠と考えております。この課題に対処するため、サービスの利便性向上、更なる消費者ビッグデータのデータ活用ノウハウの蓄積など、データ提供価値の向上に努め、利用者向けサービスクオリティを強化し続けることで「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」に代表される当社サービス利用者の満足度向上に努め、クオリティの高いソリューションを提供する企業としてのブランド確立を着実に進めてまいります。 ② 収益基盤の多様化と強化 当社は、購買データプラットフォームとして集信された消費者購買データの分析サービス及び開示サービスを主な収益源としております。当社が安定的な成長を続けていくためには、消費者ビッグデータの充実によるデータ網羅性を拡大し、データ活用ノウハウの蓄積によりデータ分析及びマーケティング領域での実績を積み上げ、顧客からの信頼に基づく受注のリピートを促す等の取組により、収益基盤を強化していくことが課題と認識しております。これらの課題に対処するため、AIを活用した高度なデータ分析技術やサービス開発力を駆使し、データ活用によるマーケティング業務の効率化など顧客の要望に応える新機能や新サービスの開発を行っております。加えて、当事業年度にはビジネスアナリティクス領域、広告領域などの新規領域のサービス開発にも積極的に取り組んでまいりました。顧客に高く評価される付加価値を持つ新機能・新サービスを開発することにより、収益源の多様化を図ってまいります。 ③ プラットフォームの価値向上 当社は、データマーケティングに不可欠な①データ、②テクノロジー、③教育プログラムを含むデータ活用ノウハウ、の3領域全てにおいて提供価値とクオリティを向上し続けることで、データを収集・精製・管理・分析し多様なマーケティングソリューションの活用を可能とするビジネスプラットフォーム企業としての位置付けの盤石化を図ります。 データに関してはドラッグストアに加え、スーパーマーケットとのデータ連携強化を図ることが最大の経営課題です。また、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなど他業態の小売業のデータ連携を推進しつつ、キャッシュレス決済や位置情報など他の消費者ビッグデータホルダーとのデータ連携により、データの付加価値を高めていくことが重要と認識しております。 テクノロジーに関しては、自社開発によるソリューションのクオリティ強化を継続しつつ、テクノロジーパートナーであるグローバルのプラットフォーム企業との協業を通じ、グローバルに競争力を持つ彼らのDXソリューションと自社ソリューションを組み合わせることで、クライアントへの提供価値を更に高めること、そして互いの顧客基盤を連携することで販売の効率化を図ることが重要と考えています。 教育プログラムを含む活用ノウハウに関しては、小売業から消費財メーカーへのデータ外販支援を含め、データマーケティングに関連する様々な活用ノウハウを蓄積しています。これらをベースに事業会社、教育研究機関、地方公共団体等に対するデータマーケティングに係る教育機会の提供を行っています。今後はデータマーケターの育成活動を通じて地域での雇用創出、地方経済や企業の発展に寄与していくことが、持続的な成長と社会への貢献を両立させる企業として重要であると認識しております。この取り組みの一環として、地域性を持つデータを分析し、マーケティング戦略の立案・実行につなげる専門性を有した「データマーケティング人材」を育成すること、また、地域社会の人材確保のために実践力のあるマーケティング人材の採用支援を図り、地域の雇用創出、地方創生に貢献することを目的とする一般社団法人ビッグデータマーケティング教育推進協会に出資しております。 ④ 業績の持続的成長と社会課題解決への貢献の両立 データやテクノロジーを活用したマーケティングや市場変化への対応は、大企業のみならず中堅・中小企業や地方経済においてもその重要性が高まっております。 当社はかねてよりデータマーケターの育成や、地方行政との連携、教育研究機関や自治体と連携したSDGsやESGに関わる指標づくり、地域雇用の活性化や女性のエンパワーメントをはじめとする取り組みにも力を入れてまいりましたが、こうした社会課題の解決やサステナビリティに関わる領域への価値提供についての社会的な意義は今後ますます高まっていくと認識しており、企業としての持続成長と並ぶ経営活動の基本戦略に位置付けて取り組みを進めています。 ⑤ 組織と人材 当社の競争力の源泉は、データの力と人材の力であり、人材に関しては特に採用と教育に力を入れています。当社のような規模の企業にとっては、良質な人材の確保は最重要課題です。当社の価値観に共感し自ら成長を求める人材を幅広く採用し、挑戦する舞台と教育の機会を用意することで、自律的なプロフェッショナルを育成することが、持続的な成長につながると信じています。 そのためにも、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整え、様々な価値観や働き方を支えるインフラや制度を模索し、整備することで自律的なプロフェッショナルにとって魅力ある企業であることを目指しています。新卒採用と中途採用をバランス良く行いながら、人を育てることで組織も成長し、互いの成長を支援する風土を醸成しております。 教育プログラムとしては、専門性向上のためのテクニカル・スキルの教育プログラムのみならず、リーダーシップ開発や人間力の向上を目指したヒューマンスキルのプログラムを提供しています。具体的には、研修等のプログラムに加え、専門のコーチによるリーダーシップ開発、チームビルディング、女性リーダーのエンパワーメント、キャリアコーチングなど、コーチングプログラムの提供がそれにあたります。 当社としては、全社員が安心して自らの持つ力を存分に発揮できる環境を用意することで、組織としてのレジリエンシーを高めることが何よりも重要だと考えております。 ⑥ 情報管理体制の強化 当社の事業は、将来的な発展を期待される領域であると同時に個人情報の取り扱いをベースとするため、その社会的責任は極めて重いものと認識しています。堅確な情報セキュリティは当社ビジネスを継続する上での大前提であり、最優先で取り組むべき課題です。プライバシーマークなど個人情報保護体制についても第三者機関から基準への適合性の認証を取得し、厳格な運用を心がけておりますが、グローバルレベルの関連規制を遵守することは当然とし、データマーケティングのリーディングカンパニーとして、社内の統制や社員教育等、お客さまや取引先に信頼される確かな取り組み、更なるデータガバナンスとセキュリティ強化に向けた取り組みを継続してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。(1) 経営方針 当社は「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。また、当社データを活用することで、企業は市場への過剰な商品投下を抑制し、在庫削減と廃棄ロス削減を通じてコスト効率を向上させることが可能になります。これにより、大量生産・大量消費の時代からの脱却を促し、顧客と社会のサステナビリティへの貢献を目指します。 当社は、データやテクノロジーは新しいパワフルな道具であるからこそ、道具を使う「人」の育成が重要であり、持続的な成長と社会課題の解決を両立させたいとの志のもと、以下の行動指針を掲げて経営に取り組んでおります。① 社会に貢献し、持続的な成長を追求します。② 地域や規模を超え、あらゆる組織のデータ活用を支援します。③ データやテクノロジーを使う人の教育を推進します。 (2) 経営戦略 当社は、日本最大規模の消費者マーケティングデータ(ID-POSデータ)を取り扱う企業として、企業各社の顧客分析から広告・販促支援、新規出店時の売上予測、外部へのデータガバナンスに基づくデータ提供支援、AIなどテクノロジー支援、データ活用教育支援に至るまでフルサポートする購買データプラットフォームを同業他社に先駆けて構築・展開してきたと自負しております。 このビジネスコアをベースに、小売業に対しては、顧客の購買データを精製・蓄積・管理・分析するツールとして「ショッピングスキャン」を主に提供しております。 また、消費財メーカーに対しては、全国や地域における消費者の購買行動を詳細に分析できるツールとして「イーグルアイ」を主に提供しております。 ① サービス利用小売業の増加による、消費者との「顧客接点」であるID-POSデータの増加・小売業への提案強化 (ドラッグストア、スーパーマーケットから、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなどに対象を拡大)(注)当社の現在の中核商品領域である「日用品・化粧品・食品・飲料」を製造・販売する消費財メーカーでは、ドラッグストア・スーパーマーケット以外のマスチャネルやプレステージチャネル、EC、あるいは日本以外の海外で事業展開している企業が多く存在するため、これらの領域でID-POSデータを増加させることによる消費財メーカーのニーズへの対応・当社協業パートナーとの関係強化を進めることによる東南アジアの小売業の購買データ、ID-POSデータの獲得及び活用開始 ② ストック型サービス(「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」など)の拡大による収益構造の強化・無償のインターネット情報サービスである「ウレコン」を通じた将来の潜在顧客層の拡大・協業パートナーや販売パートナーを通じた小売業、消費財メーカー企業への提案強化・新たな領域でのストック型サービスの追加(他の消費者ビッグデータとのかけ合わせによるデータ領域、AI・機械学習など分析領域、デジタル広告やデジタルサイネージと連携するマーケティングソリューション領域など)・購買データのデータベースは「どれだけ使っても原価は共通」のため、ストック型サービスの売上が伸びるほど収益性(利益率)が加速度的に向上 ③ 消費者をビッグデータで把握するための多角的なデータラインナップの充実・AIや機械学習の提供に組み合わせて、AIや機械学習に必要な教師データである「KURASHI360」やID-POSデータを提供することによる差別化・データサプライヤーとの連携強化による「KURASHI360」に連携する外部ビッグデータの充実(注)「KURASHI360」の嗜好分析はあらゆる産業の顧客対応や販促活動に活用することが可能。また、小売業や消費財メーカーにとっては、自社で保有する顧客データと当社の購買データをかけ合わせることで、顧客の日常活動に対する理解が深まり、より精度の高い顧客アプローチやマーケティング活動を行えるようになる。また、観光業・自動車業界・外食産業等、様々な領域でこのようなデータのかけ合わせニーズが顕在化し始めており、当社は購買データプラットフォームのリーディング企業として、サービス提供を進める。 ④ 当社データプラットフォームに連携される多様なソリューションのエコシステム運営による事業拡大・「ショッピングスキャン」「イーグルアイ」など既存サービスの提供に加え、「POS分析クラウド」などの顧客社内に存在するデータ活用の効率化支援、小売業の新規出店時の売上予測、広告・販促支援、顧客のロイヤル化促進、在庫/廃棄ロス削減、SDGs支援など、企業ニーズが強くデータ活用に親和性の高いソリューションのリリース及びクロスセル強化・「ショッピングスキャン」で蓄積した技術・ノウハウを活用した価格競争力の向上及びサービス利用体験の改善・提供ソリューションは、自社開発に加えて、当社データプラットフォームとの連携により提供価値の拡大が見込まれる外部AI・テクノロジー・データ企業のソリューションとのパートナーシップを促進、エコシステムとして運営することで、協業パートナーであるグローバルプラットフォーム企業のテクノロジーの選定とサービスへの導入を進め、スピーディーな提供価値の向上を実現(注)例えば、世界最大のデータマーケティング企業であるニールセンは当社と資本業務提携関係にあり、同社のサステナビリティやデジタルマーケティング関連のソリューションなどグローバルに競争力あるプロダクツを日本仕様へ適合させた上で提供する等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、主要な経営指標として、成長性については売上高の対前期成長率、収益性については営業利益及び営業利益率を掲げており、それらの向上を図る経営に努めてまいります。 また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとなるKPIは、データの網羅性やデータ価値を示す「分析対象とする小売業の購買データ金額」及び事業成長の持続性と安定性を示す「ストック型契約」の継続率であります。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① ブランドの認知度向上 当社が主な事業領域とする小売業界、消費財メーカーのサービス利用企業の確保は、当社事業において重要な要素であり、ブランドの認知度向上が重要な課題であると認識しております。無償サービスである「ウレコン」の利用やメディアでのデータ活用機会の増加、サービス導入企業の増加に伴って当社サービスの利用者数が拡大したこと等により、認知度は一定程度高まってはいるものの、持続的な事業成長のためには、更なるブランド認知度の向上が不可欠と考えております。この課題に対処するため、サービスの利便性向上、更なる消費者ビッグデータのデータ活用ノウハウの蓄積など、データ提供価値の向上に努め、利用者向けサービスクオリティを強化し続けることで「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」に代表される当社サービス利用者の満足度向上に努め、クオリティの高いソリューションを提供する企業としてのブランド確立を着実に進めてまいります。 ② 収益基盤の多様化と強化 当社は、購買データプラットフォームとして集信された消費者購買データの分析サービス及び開示サービスを主な収益源としております。当社が安定的な成長を続けていくためには、消費者ビッグデータの充実によるデータ網羅性を拡大し、データ活用ノウハウの蓄積によりデータ分析及びマーケティング領域での実績を積み上げ、顧客からの信頼に基づく受注のリピートを促す等の取組により、収益基盤を強化していくことが課題と認識しております。これらの課題に対処するため、AIを活用した高度なデータ分析技術やサービス開発力を駆使し、データ活用によるマーケティング業務の効率化など顧客の要望に応える新機能や新サービスの開発を行っております。加えて、当事業年度にはビジネスアナリティクス領域、広告領域などの新規領域のサービス開発にも積極的に取り組んでまいりました。顧客に高く評価される付加価値を持つ新機能・新サービスを開発することにより、収益源の多様化を図ってまいります。 ③ プラットフォームの価値向上 当社は、データマーケティングに不可欠な①データ、②テクノロジー、③教育プログラムを含むデータ活用ノウハウ、の3領域全てにおいて提供価値とクオリティを向上し続けることで、データを収集・精製・管理・分析し多様なマーケティングソリューションの活用を可能とするビジネスプラットフォーム企業としての位置付けの盤石化を図ります。 データに関してはドラッグストアに加え、スーパーマーケットとのデータ連携強化を図ることが最大の経営課題です。また、ホームセンター、コンビニエンスストア、ECなど他業態の小売業のデータ連携を推進しつつ、キャッシュレス決済や位置情報など他の消費者ビッグデータホルダーとのデータ連携により、データの付加価値を高めていくことが重要と認識しております。 テクノロジーに関しては、自社開発によるソリューションのクオリティ強化を継続しつつ、テクノロジーパートナーであるグローバルのプラットフォーム企業との協業を通じ、グローバルに競争力を持つ彼らのDXソリューションと自社ソリューションを組み合わせることで、クライアントへの提供価値を更に高めること、そして互いの顧客基盤を連携することで販売の効率化を図ることが重要と考えています。 教育プログラムを含む活用ノウハウに関しては、小売業から消費財メーカーへのデータ外販支援を含め、データマーケティングに関連する様々な活用ノウハウを蓄積しています。これらをベースに事業会社、教育研究機関、地方公共団体等に対するデータマーケティングに係る教育機会の提供を行っています。今後はデータマーケターの育成活動を通じて地域での雇用創出、地方経済や企業の発展に寄与していくことが、持続的な成長と社会への貢献を両立させる企業として重要であると認識しております。この取り組みの一環として、地域性を持つデータを分析し、マーケティング戦略の立案・実行につなげる専門性を有した「データマーケティング人材」を育成すること、また、地域社会の人材確保のために実践力のあるマーケティング人材の採用支援を図り、地域の雇用創出、地方創生に貢献することを目的とする一般社団法人ビッグデータマーケティング教育推進協会に出資しております。 ④ 業績の持続的成長と社会課題解決への貢献の両立 データやテクノロジーを活用したマーケティングや市場変化への対応は、大企業のみならず中堅・中小企業や地方経済においてもその重要性が高まっております。 当社はかねてよりデータマーケターの育成や、地方行政との連携、教育研究機関や自治体と連携したSDGsやESGに関わる指標づくり、地域雇用の活性化や女性のエンパワーメントをはじめとする取り組みにも力を入れてまいりましたが、こうした社会課題の解決やサステナビリティに関わる領域への価値提供についての社会的な意義は今後ますます高まっていくと認識しており、企業としての持続成長と並ぶ経営活動の基本戦略に位置付けて取り組みを進めています。 ⑤ 組織と人材 当社の競争力の源泉は、データの力と人材の力であり、人材に関しては特に採用と教育に力を入れています。当社のような規模の企業にとっては、良質な人材の確保は最重要課題です。当社の価値観に共感し自ら成長を求める人材を幅広く採用し、挑戦する舞台と教育の機会を用意することで、自律的なプロフェッショナルを育成することが、持続的な成長につながると信じています。 そのためにも、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整え、様々な価値観や働き方を支えるインフラや制度を模索し、整備することで自律的なプロフェッショナルにとって魅力ある企業であることを目指しています。新卒採用と中途採用をバランス良く行いながら、人を育てることで組織も成長し、互いの成長を支援する風土を醸成しております。 教育プログラムとしては、専門性向上のためのテクニカル・スキルの教育プログラムのみならず、リーダーシップ開発や人間力の向上を目指したヒューマンスキルのプログラムを提供しています。具体的には、研修等のプログラムに加え、専門のコーチによるリーダーシップ開発、チームビルディング、女性リーダーのエンパワーメント、キャリアコーチングなど、コーチングプログラムの提供がそれにあたります。 当社としては、全社員が安心して自らの持つ力を存分に発揮できる環境を用意することで、組織としてのレジリエンシーを高めることが何よりも重要だと考えております。 ⑥ 情報管理体制の強化 当社の事業は、将来的な発展を期待される領域であると同時に個人情報の取り扱いをベースとするため、その社会的責任は極めて重いものと認識しています。堅確な情報セキュリティは当社ビジネスを継続する上での大前提であり、最優先で取り組むべき課題です。プライバシーマークなど個人情報保護体制についても第三者機関から基準への適合性の認証を取得し、厳格な運用を心がけておりますが、グローバルレベルの関連規制を遵守することは当然とし、データマーケティングのリーディングカンパニーとして、社内の統制や社員教育等、お客さまや取引先に信頼される確かな取り組み、更なるデータガバナンスとセキュリティ強化に向けた取り組みを継続してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況a. 経営成績の状況 当事業年度のわが国経済は、円安の影響等による物価高により実質所得が伸び悩み足踏み状態ながらも、各種政策の効果もあって雇用・所得環境が改善する中で個人消費は緩やかな回復がみられました。一方で、欧米における高い金利水準の継続、それに伴う日本との金利差による円安基調、中国における不動産市場および個人消費の停滞継続、ウクライナ問題の長期化や中東情勢のさらなる緊迫、米国の政策動向など海外の政治・経済の諸課題による影響も大きく、景気の先行きに対する不透明感は継続しました。 当社は、全国に広がるドラッグストアやスーパーマーケット等の小売店における消費者購買ビッグデータとAI等テクノロジーを活用し、小売企業や消費財メーカーなど顧客企業の収益拡大に貢献するソリューションの提供を主力事業としています。当社の事業領域はビッグデータを用いた社会構造変革や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)というメガトレンドの追い風を受け、中長期的な成長が見込まれております。当社においてもこのような追い風を受けつつ、小売企業や消費財メーカーの顧客企業の開拓・深耕が進み、成長トレンドが継続しております。 当事業年度においては、中期的な成長の土台を確固たるものとするために、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」の販路拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し新規取引先開拓のための取り組みを進めました。これらの主力サービスは、クラウド上のサービス提供に対して月次課金型の使用料を受け取るビジネスモデルであり、ベースとなるストック型の安定的な収益を確保できるものです。具体的には、販路の拡大やサービスの拡充を強力に推進するため、伊藤忠商事株式会社との食品業界のデータ利活用推進に向けた資本業務提携契約や、物流ロス削減・事業者DX推進に向けた東京海上スマートモビリティ株式会社との業務提携に向けた基本合意を締結し、広告領域ではアライアンス先との協業による広告効果の精度向上に向けた新サービスの立ち上げなど、新たな事業領域におけるサービスの顧客開拓に注力してまいりました。 以上の結果、当事業年度における当社の売上高は1,554,285千円(前事業年度比2.4%減)となり、営業利益は48,468千円(前事業年度比24.2%減)、経常利益は49,166千円(前事業年度比21.6%減)、当期純利益は13,231千円(前事業年度比77.9%減)となりました。 なお、当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 b. 財政状態の状況(資産の部) 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ67千円増加し1,362,640千円となりました。流動資産は、売掛金が増加した一方、現金及び預金の減少により、1,142,272千円と前事業年度末に比べ9,996千円減少いたしました。固定資産は、ソフトウエアの減価償却が進んだものの、ソフトウエア開発により無形固定資産が増加したため、220,368千円と前事業年度末に比べ11,950千円増加いたしました。 (負債の部) 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ32,743千円減少し281,841千円となりました。流動負債は、買掛金や契約負債の減少により、278,021千円と前事業年度末に比べ27,299千円減少いたしました。固定負債は、主に「オンプレミスからクラウドへの構造転換」の推進による新基幹システム開発に要した長期借入金の返済が進み、3,820千円と前事業年度末に比べ5,444千円減少いたしました。 (純資産の部) 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ32,811千円増加し1,080,798千円となりました。繰越利益剰余金が13,231千円増加したほか、ストック・オプションの行使により資本金が9,790千円増加し、さらに資本準備金も9,790千円増加いたしました。 ② キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は859,557千円と、前事業年度末に比べ77,971千円減少いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況及び変動要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における営業活動により獲得した資金は37,153千円(前事業年度は127,526千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益22,831千円及びソフトウエア等の減価償却費を46,597千円計上した一方で、売上債権の増加額36,631千円及び契約負債の減少額24,774千円及び未払金の増加額22,720千円があったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における投資活動により減少した資金は104,905千円(前事業年度は58,809千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出15,309千円、無形固定資産の取得による支出88,663千円があったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度における財務活動により減少した資金は10,220千円(前事業年度は10,235千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出29,800千円があった一方で、新株の発行による収入19,580千円があったことによるものです。 ③ 生産、受注及び販売の状況a. 生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。 b. 受注実績 生産実績と同様の理由により、受注状況に関する記載はしておりません。 c. 販売実績 第25期事業年度の販売実績は、次のとおりであります。サービスの名称販売高(千円)前年同期比(%)メーカー向けソリューション956,020100.10リテール向けソリューション308,56493.52あらゆる産業向けソリューション289,70094.04合計1,554,28597.57(注)1.当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、取扱データ分野別に記載しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。 経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。 ② 経営成績等分析(売上高) 当事業年度の売上高は前事業年度に比べ38,755千円減少し、1,554,285千円となりました。 当社ストック型売上の主力サービスのうち、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の販売拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し、新規取引先開拓のための取り組みを進めてまいりました。加えて、当社の強みである消費者購買ビッグデータの更なる活用を目指し、ビジネスアナリティクスや広告領域等の新規領域の開拓にも注力してまいりました。(売上原価、売上総利益) 当事業年度の売上原価は新基盤システムの減価償却費等により、前事業年度に比べ19,170千円減少し、659,441千円となりました。 この主な内訳は、労務費181,551千円、減価償却費33,278千円、データセンター使用料144,721千円であります。 以上の結果、当事業年度における売上総利益は前事業年度に比べ19,585千円減少し、894,843千円となりました。(販売費及び一般管理費、営業利益) 当事業年度の販売費及び一般管理費は研究開発費の減少等の影響により、前事業年度に比べ4,111千円減少し、846,374千円となりました。 この主な内訳は、給与手当426,737千円、役員報酬65,061千円であります。 以上の結果、当事業年度における営業利益は48,468千円(前事業年度は63,942千円)となりました。(経常利益) 当事業年度における営業外収益は2,657千円(前事業年度は1,763千円)を計上しております。これは、主に雑収入であります。 当事業年度における営業外費用は1,959千円(前事業年度は3,009千円)を計上しております。これは主に株式交付費償却であります。 以上の結果、当事業年度における経常利益は49,166千円(前事業年度は62,696千円)となりました。(当期純利益) 当事業年度の税引前当期純利益は22,831千円(前事業年度は62,696千円)となりました。 また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は9,599千円(前事業年度は2,696千円)であります。 以上の結果、当事業年度における当期純利益は13,231千円(前事業年度は60,000千円)となりました。 ③ 財政状態の分析 財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態の状況」に含めて記載しております。 (3) キャッシュ・フローの状況の分析 キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 (4) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報 当社の資金需要のうち主なものは、システムの運用費及び人件費であります。当社の資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行うこととしております。 また、資金の流動性については、当事業年度における現金及び現金同等物の残高が、前事業年度末より77,971千円減少し、859,557千円となっており、流動比率は410.9%と高い水準となっております。 (5) 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。 (6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。当社が保有するビッグデータ、そしてオープンデータや協力企業が保有するデータ等、ビッグデータ同士をかけ合わせるプロジェクトが進行中であり、小売業、消費財メーカーのみならず、金融、自動車、広告等、業種や企業規模を問わず当社データが活用されるエリアが広がっております。 当社の経営指標につきましては、成長性については売上高の対前期増加額、収益性については営業利益の対前期増加額を設定しております。当事業年度における当社の売上高は、前事業年度と比べ38,755千円(前事業年度比2.4%)減少し1,554,285千円となりました。営業利益は、前事業年度と比べ15,473千円(前事業年度比24.2%)減少し48,468千円となりました。 この要因といたしましては、中期的な成長のための計画的な人員増強、研究開発費投資、事業運営基盤の構築等により販売費及び一般管理費が前事業年度と比べ4,111千円(前事業年度比0.5%)減少し、846,374千円となったことによります。 また、小売業の購買データは当社ビジネスの基盤であることから、購買データ量を主要な経営指標としております。小売業向け主要サービスであります「ショッピングスキャン」の分析対象となる小売業の購買データ(一年間に集信された購買データの合計金額)が、5兆5,230億円となりました。