事業の概要
- 主要事業の概要デクセリアルズは、光学材料と電子材料の製造・販売を主な事業としています。具体的には、スマートフォンや自動車のディスプレイに使われる反射防止フィルムや、電子部品の接続に使われる異方性導電膜などを提供しており、これらは現代社会のデジタル化に不可欠な高機能性材料です。グループ全体で9社の連結子会社と7社の持分法適用関連会社を持ち、グローバルに事業を展開しています。
- 高機能材料の提供同社は、独自の技術を組み合わせて顧客のニーズに応え、エレクトロニクス、自動車、フォトニクスといった幅広い分野に高度な材料技術やプロセス技術に支えられた新しい高機能性材料やデバイスを提供しています。これにより、人間社会と地球環境の豊かさと質の向上に貢献することを目指しています。
- 企業ビジョンとパーパス企業ビジョンとして「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」を掲げ、常に新しい価値を創造できる「人」を育てることを重視しています。また、2024年5月には「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」をパーパスとして制定し、社会の効率化を実現するデジタルテクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することを存在意義としています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 光学材料部品事業この事業は、光学フィルムと光学樹脂材料の2つのカテゴリーで構成されています。主な製品には、ディスプレイの視認性を高める反射防止フィルムや、ディスプレイモジュールとカバーガラスの貼り合わせに使われる光学弾性樹脂、センサーモジュールの組み立て用接着剤である精密接合用樹脂などがあります。主にスマートフォン、タブレットPC、パソコン、自動車向けディスプレイの需要に対応しており、2024年3月期の売上高は509.75億円、営業利益は160.4億円です。
- 電子材料部品事業この事業は、異方性導電膜、表面実装型ヒューズ、フォトニクス、接合関連材料の4つのカテゴリーに分かれています。特に主力製品である異方性導電膜は、ガラスやプリント基板に電子部品を接続する接着フィルムで、スマートフォンなどの小型化・薄型化に貢献し、世界市場で高いシェアを持っています。また、データセンター増加に伴い需要が伸びるフォトニクス領域にも注力しています。2024年3月期の売上高は542.22億円、営業利益は191.67億円です。
- 主要製品と市場光学材料部品事業では、反射防止フィルムがノートPCや車載ディスプレイで採用を拡大し、精密接合用樹脂はスマートフォンなどのセンサーモジュールで広く使われています。電子材料部品事業では、異方性導電膜が中小型フレキシブルOLEDパネルのデファクトスタンダード品として広く使われています。これらの製品は、エレクトロニクス、自動車、フォトニクス分野の進化を支える重要な材料であり、同社の収益の柱となっています。
2024-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| OpticalMaterialsAndComponents | 事業 | 510 | 160 | 31.5% |
| ElectronicMaterialsAndComponents | 事業 | 542 | 192 | 35.3% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 デクセリアルズ株式会社は、電子部品、接合材料、光学材料などの開発・製造・販売を手掛ける機能性材料メーカーです。また、光半導体などフォトニクス製品の開発・製造を手掛けるグループ会社をもち、持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。 卓越した独自の技術を組み合わせることでお客さまのニーズや課題に応え、エレクトロニクスや自動車、フォトニクス分野などに新しい高機能性材料やデバイスを提供しております。そして、付加価値の高い製品を提供し続けるために、常に新しい価値を創造できる「人」を育てることが重要だと考えております。 当社グループは、経営理念である「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」、企業ビジョンである「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」を、そして、2024年5月に「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」をパーパスと定め、社会の効率化を実現するデジタルテクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することが自社の存在意義であると定義しております。これらのフィロソフィーは、当社グループにおいて、技術開発や製品品質の向上につながり、お客さまに喜んでいただける付加価値の高い製品を生む基礎(いしずえ)となっていると考えております。 当社グループの事業内容および当該事業にかかる位置付けは次のとおりであります。 なお、次の2事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1)光学材料部品セグメント 当セグメントは反射防止フィルム(ARF)、光学弾性樹脂(SVR)、精密接合用樹脂などが含まれております。特に主力製品である反射防止フィルム(ARF)は当社独自の技術によりコンシューマーIT製品および車載ディスプレイパネルでの採用が進んでおり、お客さまから高い評価をいただいております。また、精密接合用樹脂は、精密な固定が要求されるセンサーモジュールの組み立て用接着剤として、スマートフォンをはじめとするさまざまなアプリケーションで採用が広がっております。 当社が製造・販売を行うほか、連結子会社Dexerials Europe B.V.、Dexerials Singapore Pte. Ltd.、Dexerials America Corporation、持分法適用関連会社3社が販売を行っております。 当セグメントは、主に製品技術として光学特性の向上にかかるものであり、すべてお客さまの仕様にあわせてカスタマイズした上で、液晶パネルメーカーおよびセットメーカーなどに販売しております。 主にスマートフォン、タブレットPC、ノートPCおよび車載ディスプレイの需要に対応しております。 その中でも、反射防止フィルム(ARF)は、ディスプレイの表面で発生する外光反射を抑制するフィルムとして、ノートPCや車載ディスプレイでの採用が拡大しております。スパッタリング製法を用いることで、優れた低反射特性と耐擦傷性を実現しております。 (光学材料部品セグメントに含まれる主な製品の概要)・反射防止フィルム(ARF): ディスプレイの最表面に施すことで、外光の反射を低減し、ディスプレイの視認性を向上させるフィルム・光学弾性樹脂(SVR): フラットパネルディスプレイのディスプレイモジュールとトッププレートの間に充填することで、視認性を向上さ せる透明な液状接着剤・精密接合用樹脂: カメラモジュールをはじめとする各種センサーモジュールの組み立てなどに用いられる液状接着剤 (2)電子材料部品セグメント 当セグメントには、異方性導電膜(ACF)、二次保護ヒューズ、光半導体などが含まれております。特に主力製品である異方性導電膜(ACF)は1977年に業界に先駆けて開発・量産化しており、高い技術力と品質で、世界市場において高いシェアを有しております。 当社および連結子会社Dexerials (Suzhou) Co.,Ltd.が製造・販売を行う他、デクセリアルズ フォトニクス ソリューションズ株式会社が製造を行い、連結子会社Dexerials America Corporation、Dexerials Europe B.V.、Dexerials Singapore Pte. Ltd.、持分法適用関連会社3社が販売を行っております。 当セグメントは、主に接着・接合関連製品やフォトニクスにかかるものであり、お客さまの仕様に合わせたカスタマイズ製品と標準タイプの汎用製品を、電子部品メーカーおよび材料加工メーカーなどに販売しております。 その中でも、異方性導電膜(ACF)は、スマートフォン、タブレットPCなどの小型化、薄型化、狭額縁化、軽量化に寄与しております。特にスマートフォンのフレキシブルOLEDパネルでは、当社の粒子整列型異方性導電膜(ACF)が世界のデファクトスタンダードとして広く使われており、安定的に供給できる体制を確立しております。また、生成AIの社会への浸透によるデータセンターの増加などに伴って需要が伸びている光半導体においても、省エネルギー化、高速通信化のニーズに応えた次世代の製品の開発を進めております。 (電子材料部品セグメントに含まれる主な製品の概要)・異方性導電膜(ACF): 主に、ディスプレイのガラス基板とICチップやフレキシブルプリント基板を接続するとともに、導通と絶縁の機能 を兼ね備えた接着フィルム・二次保護ヒューズ: リチウムイオン二次電池を過充電や過電流から保護するためのヒューズ・無機光学素子: 主にプロジェクター向けの無機偏光板・無機波長板・無機拡散板・光半導体: 光通信用デバイス・センシング用デバイスなどの光半導体デバイスおよびモジュール・接合関連材料: 電子機器向けの粘着テープなどの機能性接合材料 (3)研究開発・生産・販売体制(研究開発・生産体制) 研究開発・生産に関しては、生産効率および管理効率の最大化を図るため、開発拠点およびメイン工場として栃木県下野市の本社・栃木事業所へ集約しております。 研究開発の基本方針として、薄膜形成・コーティング技術、微細加工技術、光半導体技術、無機材料技術、有機材料技術、分析評価技術という6つのコア技術の強化およびビジネス拡大への貢献を掲げております。新規領域での事業成長を加速させるべく、研究開発はコーポレートR&D本部、各事業の意思決定の迅速化を図るべく、商品開発は各事業部に各権限と責任を明確化した上で、自律的な運営を行っております。これらの研究開発からマーケティングまでの機能を連携させた全社の技術戦略の策定と推進をDexerials Innovation Group(DIG)推進部が担っております。 また、分析・解析機能を日本、中国、韓国の各拠点に設置し、お客さまの実装ラインを保有することにより、迅速かつお客さまの生産工程に即した対応に加えて、同時に製品の改良・開発などへフィードバックが可能となっております。 生産体制につきましては、流通および管理効率化のため、生産拠点は本社・栃木事業所、鹿沼事業所をはじめ国内外の7拠点で構成しております。 (販売体制) 当社グループはグローバルに事業を展開しており、直接のお客さまだけでなく、最終のお客さま(最終製品メーカー)との直接のコミュニケーションを行うことで、トレンドを先回りした製品開発を実現しております。また、装置メーカーやEMS(電子機器受託製造)とも連携し、強固な関係を築いております。特に、新製品投入の際には、外部からの分析や模倣が非常に難しい高機能な材料と、その性能を最大限引き出すプロセスを組み合わせたソリューションを提供しております。さらに、お客さまへのプロセス特許の無償提供や、製造設備の導入サポートまで行う場合もあります。これらの販売機能はグローバルセールス&マーケティング本部が主体的に担っております。 また、お客さまに密着した営業活動を行うため、海外営業・販売子会社を米国、オランダ、中国、台湾、韓国およびシンガポールに置き、国内では東京に営業部門を置いており、製品別に組織しております。 [事業系統図] 以上で述べた主な事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 当社の他、連結子会社6社は光学材料部品セグメント・電子材料部品セグメント共通であり、連結子会社Dexerials (Suzhou) Co.,Ltd.、デクセリアルズ フォトニクス ソリューションズ株式会社は電子材料部品セグメントに属しております。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 常に付加価値の創出及び製品の高品質化に努め、価格水準の維持及び向上を目指しているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 独自の技術を組み合わせた高機能性材料やデバイスの提供、スパッタ製法を用いた低反射特性と耐擦傷性。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:経済状況の動向 / 競争の激化 / 事業ポートフォリオ変革の遅れ
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
デクセリアルズは、光学機能性フィルムやディスプレイ用部材において、長年培ってきた技術力とノウハウを蓄積している。特に、ディスプレイの反射防止や表面保護に関する独自技術は、顧客からの信頼を得ているが、特許による明確な独占性や強力なブランド力は限定的。
スイッチングコスト★★★☆☆
同社の製品は、スマートフォンやタブレットなどのディスプレイに組み込まれる部材が中心であり、一度採用されると、品質や性能の要求水準が高いため、サプライヤーの切り替えには多大な時間とコスト、リスクが伴う。特に、カスタム対応が求められる製品群ではスイッチングコストが高い。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社のビジネスモデルは、特定のプラットフォームやユーザーコミュニティの拡大に依存するネットワーク効果を生まない。
コスト優位★☆☆☆☆
製造プロセスにおける効率化や材料調達の最適化を進めているが、競合他社との圧倒的なコスト優位性を確立しているとは言えない。技術集約型の製品が多く、コスト競争力よりも品質や性能が重視される傾向にある。
規模の経済★★★☆☆
光学機能性フィルムやディスプレイ用部材の分野において、一定の市場シェアを確保しており、大手顧客との取引実績も豊富である。これにより、一定の生産規模の経済性を享受しているが、グローバルな巨大企業と比較すると、絶対的な規模の優位性は限定的。
- 独自の技術力デクセリアルズは、反射防止フィルムや光学弾性樹脂、異方性導電膜といった主力製品において、独自の技術を強みとしています。特に反射防止フィルムは、スパッタ製法を用いた優れた低反射特性と耐擦傷性を実現し、ノートPCや車載ディスプレイで高く評価されています。異方性導電膜は1977年に業界で初めて開発・量産化され、高い技術と品質で世界市場において高いシェアを誇ります。
- グローバルな顧客基盤同社はグローバルに事業を展開し、世界の主要メーカーと取引を行っています。直接の販売先だけでなく、最終製品メーカーとの密なコミュニケーションや、装置メーカー、EMS(電子機器受託製造サービス)との連携を通じて強固な関係を築いています。これにより、顧客の生産工程に即した迅速な対応や製品改良・開発へのフィードバックが可能となり、顧客満足度を高めています。
- 研究開発体制研究開発は、薄膜形成・コーティング技術、微細加工技術、光半導体技術、無機材料技術、有機材料技術、分析評価技術の6つの基軸を強化しています。本社・栃木事業所に開発拠点を集約し、コーポレートR&D本部と各事業部が連携して自律的な運営を行っています。また、日本、中国、韓国に分析・解析拠点を設置し、顧客の実装ラインを保有することで、迅速な対応と製品開発へのフィードバックを実現しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営戦略、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針経営理念「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」 当社グループは、知的で卓越した当社独自の技術でお客さまのニーズ、課題をかしこく、機敏に解決し、お客さまの期待を超える価値を一人ひとりの社員が誠心誠意、真摯に創造してまいります。 企業ビジョン「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」 当社グループは、世の中にない新しい価値を提供しつづけ、人間社会と地球環境の豊かさと質の向上に貢献します。そのために価値を創る人をつくることが当社の使命であり、目指すべき企業の姿であると考えています。 パーパス「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」 当社グループは、社会の効率化を実現するデジタルテクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・デバイス・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することが自社の存在意義であると定義しています。 (2)経営戦略 当社グループは、2024年5月に策定した中期経営計画2028「進化の実現」に基づき、成長投資と株主還元の両立を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指してきました。これまでの計画進捗は概ね順調であり、事業ポートフォリオはフォトニクス分野を中心に拡大が進んでおります。一方で、当社を取り巻く外部環境は計画策定時から変化しており、機会と課題の重要性や不確実性が増しております。 具体的には、光電融合技術の研究開発の加速や、データセンター建設ラッシュに伴う新たな社会課題の高まり、地政学リスクの顕在化による調達・物流環境の長期的な見通しの難しさが挙げられます。また、為替環境についても、中期計画策定当初の前提と比較して円安基調が継続しており、事業環境に一定の影響を与えております。 これらの外部環境の変化を踏まえると、データセンター向け光半導体を中心とした需要は、従来想定を上回る規模で拡大する可能性が高まっており、これを確実に取り込むことが当社グループの成長にとって重要な課題となっております。そのためには、生産能力の強化に加え、サプライチェーンの強靭化を含むレジリエンスの高い供給体制の構築が不可欠であります。 当社グループは、これらの認識のもと、フォトニクスを成長ドライバーと位置づけ、光半導体分野における需要拡大を取り込むため、中期経営計画のリフレッシュ(アップデート)を2026年5月13日に公表いたしました。次期中期経営計画を見据え、研究開発を加速するとともに、事業ポートフォリオの変革を推進し、変化の大きい事業環境下においても持続的な成長を実現してまいります。 1.3つの基本方針 本計画では、事業ポートフォリオの拡大と環境変化に強い経営基盤づくりに向けて、引き続き以下の3つの基本方針に基づき、それぞれにおいて外部環境の変化に応じてアップデートした施策を実行してまいります。 ①成長領域の事業拡大 ②既存領域における事業の質的強化 ③経営基盤の進化 2.経営目標 2027年3月期から2029年3月期の事業計画を見直し、最終年度である2029年3月期の経営目標を売上高 1,640億円、事業利益 630億円、EBITDAマージン 45%、EPS 263円、ROIC 19%程度、ROE 31%程度を設定しております。 (注)1.事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した当社グループの経常的な事 業の業績を測る利益指標であります。 2.EPSは、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っておりますが、当該株式 分割後の株式数にて算出しております。 詳細については2026年5月13日発表の「中期経営計画リフレッシュ(アップデート)のお知らせ」をご覧ください。 (注意事項) 中期経営計画に関する記述中の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、将来に関する記述の正確性・完全性に関する責任を負うものではありません。実際の業績などは様々な要因により異なる可能性があり、当社として将来計画の達成を約束する趣旨のものではありません。なお、実際の結果などにかかわらず、当社は本資料の日付以降において、本資料に記載された内容を随時更新する義務を負うものではなく、かかる方針も有していません。 これらの記述は投資家の皆さまの判断のための参考情報の公開のみを目的としており、投資に関する最終決定はご自身の責任においてご判断ください。これらの記述に全面的に依拠して投資判断を下すことによって生じうるいかなる損失に関しても、当社は責任を負うものではありません。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、株主資本利益率(ROE)を持続的な企業価値向上に関わる指標として、EBITDAを当社グループの稼ぐ力として、投下資本利益率(ROIC)を投資効率性の指標としてそれぞれを採用しております。 (4)経営環境 当社グループの製品が関わる主要業界では、コンシューマーIT分野において、液晶ディスプレイ(LCD)から有機ELディスプレイ(OLED)への移行が継続するとともに、センサーモジュールの高性能化・大型化・複雑化が進んでおります。これに伴い、精密性や信頼性を備えた接続・固定を実現する材料やソリューションへのニーズが高まっております。 また、自動車分野においては、電動化や情報表示の高度化を背景に、車載ディスプレイの大型化・高機能化が進展しており、反射防止をはじめとする光学特性のさらなる高度化に対する関心が高まりつつあります。 フォトニクス分野においては、生成AIの普及や利用拡大に伴い、データセンターの需要が拡大しており、省エネルギー化に加え、大容量かつ高速なデータ伝送を可能とする光半導体・光デバイスの重要性が一段と増しております。 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題 当社グループは、2026年5月13日発表の中期経営計画2028「進化の実現」リフレッシュ(アップデート)において、従来の基本方針のもとで主要施策を見直しました。特に以下の施策に重点的に取り組んでまいります。 ■成長領域の事業拡大:フォトニクス事業における成長機会を捉えた高成長の実現 フォトニクス事業においては、データセンターの高度化・大規模化を背景に、光半導体および光トランシーバー関連製品の需要が当初想定を上回るペースで拡大しております。一方で、通信速度の高速化や機能高度化に伴い、技術革新のスピードは一段と加速しており、研究開発力の強化および高付加価値製品の継続的な投入が重要な課題となっております。当社グループは、シリコンフォトニクス対応デバイスや高速応答フォトダイオードなどの差異化技術を軸に、研究開発投資を重点的に行うとともに、需要拡大に対応する生産体制の強化を進め、高成長を実現してまいります。 ■成長領域の事業拡大:自動車事業における将来需要を見据えた高度化の促進 自動車事業においては、EV化の進展や車載ディスプレイの搭載数の増加および大型化を背景に、反射防止フィルム(ARF)を中心とした需要の着実な拡大が見込まれております。一方で、顧客や地域ごとに求められる機能・仕様が多様化しており、市場のブロック化への対応が重要な課題となっています。当社グループは、新規光学設計による付加価値製品の投入や、顧客・地域別ニーズに応じた製品展開を推進するとともに、デザイン性と機能性を両立したソリューションの提供を通じて、事業の高度化を促進してまいります。 ■既存領域における事業の質的強化:培った技術・知見を活かした事業価値の深化 既存領域においては、異方性導電膜(ACF)および反射防止フィルム(ARF)を中心に、高付加価値製品の投入と新規アプリケーション開拓を通じた事業の質的強化が重要な課題となっております。市場環境の変化やデバイスの高度化に伴い、顧客ニーズはより高度化・多様化しており、差異化技術を活かしたソリューション提案力の強化が求められております。当社グループは、接合・プロセス技術などのコア技術を深化させるとともに、既存領域で培った技術や知見を成長領域へ展開することで、事業の付加価値向上と持続的な競争優位の確立に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営戦略、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針経営理念「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」 当社グループは、知的で卓越した当社独自の技術でお客さまのニーズ、課題をかしこく、機敏に解決し、お客さまの期待を超える価値を一人ひとりの社員が誠心誠意、真摯に創造してまいります。 企業ビジョン「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」 当社グループは、世の中にない新しい価値を提供しつづけ、人間社会と地球環境の豊かさと質の向上に貢献します。そのために価値を創る人をつくることが当社の使命であり、目指すべき企業の姿であると考えています。 パーパス「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」 当社グループは、社会の効率化を実現するデジタルテクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・デバイス・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することが自社の存在意義であると定義しています。 (2)経営戦略 当社グループは、2024年5月に策定した中期経営計画2028「進化の実現」に基づき、成長投資と株主還元の両立を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指してきました。これまでの計画進捗は概ね順調であり、事業ポートフォリオはフォトニクス分野を中心に拡大が進んでおります。一方で、当社を取り巻く外部環境は計画策定時から変化しており、機会と課題の重要性や不確実性が増しております。 具体的には、光電融合技術の研究開発の加速や、データセンター建設ラッシュに伴う新たな社会課題の高まり、地政学リスクの顕在化による調達・物流環境の長期的な見通しの難しさが挙げられます。また、為替環境についても、中期計画策定当初の前提と比較して円安基調が継続しており、事業環境に一定の影響を与えております。 これらの外部環境の変化を踏まえると、データセンター向け光半導体を中心とした需要は、従来想定を上回る規模で拡大する可能性が高まっており、これを確実に取り込むことが当社グループの成長にとって重要な課題となっております。そのためには、生産能力の強化に加え、サプライチェーンの強靭化を含むレジリエンスの高い供給体制の構築が不可欠であります。 当社グループは、これらの認識のもと、フォトニクスを成長ドライバーと位置づけ、光半導体分野における需要拡大を取り込むため、中期経営計画のリフレッシュ(アップデート)を2026年5月13日に公表いたしました。次期中期経営計画を見据え、研究開発を加速するとともに、事業ポートフォリオの変革を推進し、変化の大きい事業環境下においても持続的な成長を実現してまいります。 1.3つの基本方針 本計画では、事業ポートフォリオの拡大と環境変化に強い経営基盤づくりに向けて、引き続き以下の3つの基本方針に基づき、それぞれにおいて外部環境の変化に応じてアップデートした施策を実行してまいります。 ①成長領域の事業拡大 ②既存領域における事業の質的強化 ③経営基盤の進化 2.経営目標 2027年3月期から2029年3月期の事業計画を見直し、最終年度である2029年3月期の経営目標を売上高 1,640億円、事業利益 630億円、EBITDAマージン 45%、EPS 263円、ROIC 19%程度、ROE 31%程度を設定しております。 (注)1.事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した当社グループの経常的な事 業の業績を測る利益指標であります。 2.EPSは、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っておりますが、当該株式 分割後の株式数にて算出しております。 詳細については2026年5月13日発表の「中期経営計画リフレッシュ(アップデート)のお知らせ」をご覧ください。 (注意事項) 中期経営計画に関する記述中の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、将来に関する記述の正確性・完全性に関する責任を負うものではありません。実際の業績などは様々な要因により異なる可能性があり、当社として将来計画の達成を約束する趣旨のものではありません。なお、実際の結果などにかかわらず、当社は本資料の日付以降において、本資料に記載された内容を随時更新する義務を負うものではなく、かかる方針も有していません。 これらの記述は投資家の皆さまの判断のための参考情報の公開のみを目的としており、投資に関する最終決定はご自身の責任においてご判断ください。これらの記述に全面的に依拠して投資判断を下すことによって生じうるいかなる損失に関しても、当社は責任を負うものではありません。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、株主資本利益率(ROE)を持続的な企業価値向上に関わる指標として、EBITDAを当社グループの稼ぐ力として、投下資本利益率(ROIC)を投資効率性の指標としてそれぞれを採用しております。 (4)経営環境 当社グループの製品が関わる主要業界では、コンシューマーIT分野において、液晶ディスプレイ(LCD)から有機ELディスプレイ(OLED)への移行が継続するとともに、センサーモジュールの高性能化・大型化・複雑化が進んでおります。これに伴い、精密性や信頼性を備えた接続・固定を実現する材料やソリューションへのニーズが高まっております。 また、自動車分野においては、電動化や情報表示の高度化を背景に、車載ディスプレイの大型化・高機能化が進展しており、反射防止をはじめとする光学特性のさらなる高度化に対する関心が高まりつつあります。 フォトニクス分野においては、生成AIの普及や利用拡大に伴い、データセンターの需要が拡大しており、省エネルギー化に加え、大容量かつ高速なデータ伝送を可能とする光半導体・光デバイスの重要性が一段と増しております。 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題 当社グループは、2026年5月13日発表の中期経営計画2028「進化の実現」リフレッシュ(アップデート)において、従来の基本方針のもとで主要施策を見直しました。特に以下の施策に重点的に取り組んでまいります。 ■成長領域の事業拡大:フォトニクス事業における成長機会を捉えた高成長の実現 フォトニクス事業においては、データセンターの高度化・大規模化を背景に、光半導体および光トランシーバー関連製品の需要が当初想定を上回るペースで拡大しております。一方で、通信速度の高速化や機能高度化に伴い、技術革新のスピードは一段と加速しており、研究開発力の強化および高付加価値製品の継続的な投入が重要な課題となっております。当社グループは、シリコンフォトニクス対応デバイスや高速応答フォトダイオードなどの差異化技術を軸に、研究開発投資を重点的に行うとともに、需要拡大に対応する生産体制の強化を進め、高成長を実現してまいります。 ■成長領域の事業拡大:自動車事業における将来需要を見据えた高度化の促進 自動車事業においては、EV化の進展や車載ディスプレイの搭載数の増加および大型化を背景に、反射防止フィルム(ARF)を中心とした需要の着実な拡大が見込まれております。一方で、顧客や地域ごとに求められる機能・仕様が多様化しており、市場のブロック化への対応が重要な課題となっています。当社グループは、新規光学設計による付加価値製品の投入や、顧客・地域別ニーズに応じた製品展開を推進するとともに、デザイン性と機能性を両立したソリューションの提供を通じて、事業の高度化を促進してまいります。 ■既存領域における事業の質的強化:培った技術・知見を活かした事業価値の深化 既存領域においては、異方性導電膜(ACF)および反射防止フィルム(ARF)を中心に、高付加価値製品の投入と新規アプリケーション開拓を通じた事業の質的強化が重要な課題となっております。市場環境の変化やデバイスの高度化に伴い、顧客ニーズはより高度化・多様化しており、差異化技術を活かしたソリューション提案力の強化が求められております。当社グループは、接合・プロセス技術などのコア技術を深化させるとともに、既存領域で培った技術や知見を成長領域へ展開することで、事業の付加価値向上と持続的な競争優位の確立に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績など」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)における世界経済は、米政権の相互関税を含む各種政策による影響や、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東地域の緊張の高まりといった地政学リスクの増大に加え、為替動向の不安定さも継続しており、先行き不透明な状況が続いております。 当社グループの製品が関わる主要業界では、コンシューマーIT製品市場において、下期からメモリ価格高騰の影響が懸念されたものの、通期では堅調に推移しました。自動車市場は中国市場の競争環境が激化したなか、EV化の進展により生産台数は底堅く推移しました。データセンター向け光トランシーバー市場は、生成AIの普及を背景に需要が好調に推移いたしました。 このような経営環境のなか、中期経営計画に基づき事業環境の変化の影響を受けにくい事業ポートフォリオの拡大に取り組みました。成長領域においては、フォトニクス事業でデータセンター向け光トランシーバー用製品や通信機器向け製品の出荷数量が拡大いたしました。自動車事業では、中国自動車市場の競争激化に伴い顧客の販売数量が減少したものの、反射防止フィルム(ARF)の採用モデル数の増加およびディスプレイ面積の拡大により、売上高は微増となりました。また、既存領域においては、前年上期末で蛍光体フィルムの販売が終息し、同製品の売上がなくなったものの、形状加工異方性導電膜(ACF)をはじめとしたハイエンドスマートフォン向けカメラモジュール関連の高付加価値製品の販売が拡大いたしました。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は113,832百万円(前連結会計年度比3.1%増)、事業利益は39,352百万円(前連結会計年度比3.4%増)、営業利益は38,097百万円(前連結会計年度比4.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、28,009百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。 各セグメントの業績、ならびに製品カテゴリー別の売上状況は以下のとおりであります。 (光学材料部品事業) (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減率売上高50,64747,971△5.3%事業利益14,55614,308△1.7% (注)売上高にはセグメント間取引が含まれております。 売上高については、反射防止フィルム(ARF)のノートPC用ディスプレイ向け製品が、前年下期から続く最終製品の買い替え需要を追い風に上期まで好調に推移したものの、下期には需要が落ち着き、また第4四半期には一部採用モデルの販売数量が減少したことから、微減となりました。他方、自動車向け製品は採用モデル数の増加やディスプレイ面積の拡大により微増となったことから、全体では横ばいとなりました。 精密接合用樹脂では、ハイエンドスマートフォン向け製品が採用モデルの販売数量増加により堅調に推移いたしました。 他方、セグメント全体では、蛍光体フィルムが前年上期末で販売終息した影響により、売上高は47,971百万円(前連結会計年度比5.3%減)となりました。 事業利益については、精密接合用樹脂の増収効果があったものの、高付加価値製品であるノートPC用ディスプレイ向けARFの減収影響などにより、14,308百万円(前連結会計年度比1.7%減)となりました。 (電子材料部品事業) (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減率売上高60,43466,72410.4%事業利益23,51125,0436.5% (注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。 売上高について、異方性導電膜(ACF)では、ディスプレイ向けACFにおいて前連結会計年度への需要の前倒しなどがあったものの、カメラモジュール向けACFではハイエンドスマートフォン向け製品である形状加工ACFが好調に推移いたしました。 光半導体では、データセンター向け光トランシーバー用製品や通信機器向け製品の需要が拡大したなか、歩留まりの改善に取り組み、出荷数量が拡大いたしました。 二次保護ヒューズでは、電動工具向け製品の主要顧客の在庫調整が前連結会計年度で終了したことに伴う生産回復に加え、データセンター向けバッテリー・バックアップ・ユニット(BBU)用製品の売上が継続したことにより、販売数量が拡大いたしました。 これらにより、売上高は66,724百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。 事業利益については、光半導体への成長投資が増加したものの、上記の増収効果により、25,043百万円(前連結会計年度比6.5%増)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が38,388百万円となりましたが、法人所得税の支払による減少があった一方で、減価償却費などの非キャッシュ項目による増加があり、27,544百万円の収入(前連結会計年度比12,889百万円の収入減)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、25,061百万円の支出(前連結会計年度比2,744百万円の支出増)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出および配当金の支払などがあり、21,443百万円の支出(前連結会計年度比156百万円の支出増)となりました。 上記の結果、当期における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ18,324百万円減少し、当連結会計年度末には16,655百万円となりました。 ③生産、受注および販売の実績a.生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%)金額(百万円)光学材料部品48,70899.2電子材料部品67,595113.0合計116,304106.8(注)金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 b.受注実績当社グループは主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%)金額(百万円)光学材料部品47,16294.3電子材料部品66,669110.5合計113,832103.1(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)株式会社レスター14,56013.236,94032.5日東電工株式会社13,67112.412,95911.4 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績などの状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1)財政状態 当連結会計年度末の資産合計は現金及び現金同等物が減少しましたが、有形固定資産、営業債権及びその他の債権、棚卸資産が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ13,282百万円増加し、165,104百万円となりました。 負債合計は、その他の金融負債、有利子負債(非流動負債)が増加しましたが、有利子負債(流動負債)、未払法人所得税が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ165百万円減少し、55,740百万円となりました。 資本合計は、利益剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ13,448百万円増加し、109,363百万円となりました。 2)経営成績経営成績については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は16,655百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,324百万円の減少となりました。当社グループでは、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得したキャッシュ・フローと投資活動により支出したキャッシュ・フローの合計として定義しており、当連結会計年度のキャッシュ・フローは以下のとおりであります。 項目前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー40,433百万円27,544百万円△12,889百万円投資活動によるキャッシュ・フロー△22,316百万円△25,061百万円△2,744百万円フリー・キャッシュ・フロー18,117百万円2,482百万円△15,634百万円 当社グループの主な短期的な資金の需要としては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資および研究開発のための資金、配当金の支払などを見込んでおります。なお、当社の短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によって獲得した現金であります。資金調達は金融機関からの借入れにより調達を行っておりますが、当連結会計年度末の借入金残高は14,749百万円であり、総資産に対して8.9%と低い依存度となっております。 当社グループでは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性を維持することを資金調達の基本としており、国内の主要金融機関との良好な関係に基づき、長期借入れを中心として必要資金を低いコストで調達しております。また、流動性資金の確保の面では、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約および貸出コミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末における総額は、21,000百万円(うち借入未実行残高は17,000百万円)であります。 連結子会社が保有する資金は、当連結会計年度末において7,090百万円でありますが、グループ資金は当社での有効活用を前提に、可能な限り配当を実施することを基本方針としており、各連結子会社の配当可能利益をベースに、各社の手元必要流動性資金を考慮の上、当社への資金還流を今後も積極的に進めていく予定であります。 株主還元方針については、中期経営計画の5年間累計で総還元性向60%をめどとし、うち年間現金配当は長期安定を基本として、配当性向40%を目安としながら、ROEや資本コスト、最適な資本構成を意識した経営を推進する意味も込めて、DOEで7%以上を下限値として設定しております。また自己株式の取得についても、財務状況や株価水準、キャッシュ・ポジションなどを勘案し機動的に実施する予定であります。 ③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標などについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。 2026年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりであります。 指標2026年3月期(期初計画)2026年3月期(修正計画)2026年3月期(実績)売上高103,500百万円114,000百万円113,832百万円事業利益29,000百万円39,000百万円39,352百万円親会社の所有者に帰属する当期利益20,500百万円26,000百万円28,009百万円EBITDA36,900百万円46,700百万円46,892百万円ROIC14.4%22.1%22.8%ROE20.3%25.8%27.3%(注)2026年3月期(期初計画)は2025年5月12日、2026年3月期(修正計画)は2025年11月12日公表値 セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 経済状況の変動デクセリアルズはグローバルに事業を展開しているため、世界経済の動向や金融不安が製品の需要に大きく影響します。特にスマートフォンやタブレットPCなどの完成品市場は景気変動の影響を受けやすく、経済の減速やサプライチェーンの混乱、資源価格の高騰などが需要減少につながる可能性があります。急激な需要変化に対応しきれない場合、固定費の調整が難しくなり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 競争激化と人材確保同社が製品を展開する市場では、競合他社との厳しい競争が続いています。競合他社が研究開発や資金力で優位に立つ場合や、優秀な研究者・エンジニアを確保できない場合、またはデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れにより事業効率が向上しない場合、競争力が低下する可能性があります。また、顧客がコスト削減や戦略変更により、仕入先を競合他社に切り替える可能性もあり、市場シェアの減少や業績への影響が懸念されます。
- 事業ポートフォリオ変革の遅れ現在、売上高に占めるコンシューマーIT関連製品の割合が高く、ディスプレイメーカーやセットメーカーの事業戦略、モデルチェンジ時期、販売量に業績が左右されやすい状況です。同社は自動車やフォトニクスといったコンシューマーIT以外の分野への事業ポートフォリオ転換を進めていますが、この転換が遅れると、コンシューマーIT製品業界全体の需要低下や特定製品の需要減少が、業績に大きな影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 当社グループは、中期経営計画2028「進化の実現」において、事業ポートフォリオの拡大と、変化の激しい事業環境においても持続的な成長を実現するための経営基盤の強化を進めております。 こうした経営方針のもと、当社グループは、2025年6月時点における事業環境、経営戦略および事業運営の状況を踏まえ、当社グループの中長期的な企業価値に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、リスクマネジメントプロセスに従い網羅的な洗い出しおよび評価を実施しました。 当該リスク評価においては、当社独自のビジネスモデルである「デザイン・イン」「スペック・イン」による価値創出プロセスを基点として、事業ポートフォリオの拡大・転換を支える中核要素である「技術」と「人財」をマテリアリティと位置づけ、これらに密接に関連するリスクを、特に経営上の重要リスクとして認識しております。 本項では、これらの重要リスクを含む当社グループの主なリスクについて、事業戦略への影響、事業運営上の影響の観点から整理し、それぞれのリスクの特性、想定される影響および対応方針を記載しております。 なお、以下に記載する各リスクが顕在化した場合には、その内容および程度により、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 リスクの区分リスクの分類リスクの重要度※戦略リスク① グローバルでの事業展開② 製品の競争力③ 事業ポートフォリオ④ M&A、事業提携、その他戦略的投資⑤ 技術開発⑥ 人材リスク高オペレーショナルリスク⑦ 情報セキュリティ⑧ サプライチェーン高⑨ 品質⑩ 事業継続計画(BCP)⑪ 訴訟⑫ 知的財産中外部環境リスク⑬ 地政学⑭ 社会課題(環境・人権・バリューチェーン)高⑮ コンプライアンス⑯ 為替中※リスクの重要度は、発生可能性および事業・財務への影響の大きさなどを総合的に勘案し、当連結会計年度末現在で定性的に評価したものです。 <リスクマネジメント体制とプロセス> 当社グループは、リスクマネジメントを持続的成長と企業価値向上の基盤と位置づけ、リスクマネジメント体制は「三線モデル」に基づき構築しております。第一線として、事業部門および本社機能部門がリスクオーナーとなり、日常業務におけるリスクを管理しております。第二線として、リスク専門部門やリスクマネジメント委員会が横断的に進捗(しんちょく)管理・支援を担うほか、特定領域のリスクは専門部門が全社的対応を推進し、定期的に執行役員会と取締役会に報告しております。第三線として、内部監査部門が独立した立場から本体制の有効性を評価し、リスクマネジメント委員会および監査等委員会へ報告しております。当社グループのリスクマネジメントプロセスでは、全社での重要リスクを特定し、発生可能性と影響度などの観点によるリスク評価の結果、「重点対応リスク」と位置づけたリスクを当連結会計年度の最重要課題として対応しております。重点対応リスクはリスク専門部門が年間のリスク低減計画を策定・モニタリングし、執行役員が定期的に確認・是正指示を行い、その状況を取締役会へ報告しております。さらに、取締役会による監督機能のもと、監査等委員が職務執行を監査することで、監督・執行・監査が相互に補完し合う仕組みを実現しております。 [リスクマネジメント体制・プロセス図] <戦略リスク> ①グローバルでの事業展開重要度:高背景当社グループは、各国・地域においてグローバルに事業を行っており、売上高の相当程度は海外顧客向け製品の販売によるものとなっております。このため、進出している国や地域の政治・経済動向などが、当社グループの事業活動や製品需要に影響を及ぼす可能性があります。 リスクと影響当社グループの海外事業展開においては、進出先各国・地域における政治情勢や経済環境の変化、法令・規制や税制の新設・変更または解釈の相違、労務管理上の問題や人件費の上昇、高関税や貿易規制、為替レートの変動、ならびに電力・輸送・通信といった社会インフラの不安定化などのリスクが内在しております。これらの要因により、事業運営に影響が及ぶ可能性があります。また、テロ、戦争、経済制裁、貿易摩擦、感染症の世界的な拡大などの予測困難な事象が発生した場合には、事業活動に支障をきたす可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、売上高の減少、費用の増加、業務の混乱が生じる可能性があります。 対応当社グループは各国・地域の政治・経済・規制動向を継続的に把握し、事業への影響を評価するとともに、グローバル拠点間で情報を共有し、必要に応じて供給体制・販売体制の見直しを行っております。また、顧客との対話を通じて顧客側の需要変化やリスク認識を早期に把握し、製品提案・量産支援を含む対応をすることで、需要変動や供給制約の影響を低減する取り組みを進めております。 ②製品の競争力重要度:高背景当社グループが事業展開する分野においては、技術革新の進展やコスト競争の激化により、製品の性能、品質および価格競争力に対する要求が高まっております。このような事業環境のもと、競合他社との競争状況によっては、当社グループの製品競争力が相対的に低下する可能性があります。 リスクと影響競合他社による低価格製品や高性能製品の市場投入、顧客との価格交渉の結果などにより、当社グループのコスト低減の取り組みを上回る製品価格の下落が生じた場合、または利益率の低い製品の販売比率が拡大した場合には、当社グループが十分な利益を確保することが困難となる可能性があります。 対応当社グループは、中期的な技術動向および価格動向を踏まえ、差別化技術を活かした製品開発や事業競争力の強化に取り組んでおります。また、生産工程の改善や歩留まり向上などによるコスト低減を進めることで、技術的優位性の維持および販売価格下落リスクへの対応に努めております。 ③事業ポートフォリオ重要度:高背景当社グループは、高機能材料メーカーとして光学材料および電子材料の事業領域で製品を展開しており、売上高に含まれるコンシューマーIT関連製品は高い競争力を有する半面、ディスプレイメーカーやセットメーカーによる事業戦略や販売戦略の変更、完成品のモデルチェンジの時期および販売量は、当社グループの製品に対する需要に影響を与える事業環境にあります。 リスクと影響当社グループは、フォトニクス事業および自動車事業(ディスプレイおよび自動運転用センサー向け材料を含む)を成長分野として位置づけております。これらの分野はコンシューマーIT関連製品に比べモデルサイクルは長いものの、同様に市場環境や技術動向などの変化により、需要の動向が変動する可能性があります。このため、当該事業の成長が想定どおりに進まない場合には、当社グループの事業ポートフォリオ転換が遅延するリスクがあります。事業ポートフォリオ転換が遅れ、コンシューマーIT製品への依存度の低下が進まない状態において、コンシューマーIT製品業界全体の需要低下が起こった場合には当社グループの製品需要の減少が生じる可能性があります。 対応当社グループは成長分野における需要変動リスクを踏まえ、市場環境や技術動向を注視しつつ、事業運営の柔軟性を確保することでリスクの低減に努めております。また、当社グループは事業ごとの状況を客観的に把握し、事業性や成長性などを総合的に勘案したポートフォリオ管理により、事業ポートフォリオの健全性の維持に努めております。 ④M&A、事業提携、その他戦略的投資重要度:高背景当社グループは、M&A、事業提携、パートナー企業との協業およびその他の戦略的投資を、成長のための経営戦略の一つとして位置づけております。また、成長領域や新規事業領域の展開および既存事業領域の強化などを目的として、これらを実施しております。 リスクと影響M&A、事業提携、パートナー企業との協業およびその他の戦略的投資においては、事前の調査や検討にもかかわらず、投資実行後に想定していなかった問題が顕在化する可能性があります。また、投資先企業や新規事業領域の業績が想定どおりに推移しない場合や、市場環境や価格動向の変化などにより事業収益性が低下した場合には、投資価値の下落や追加的な支出が発生する可能性もあります。さらに、対象となる資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には、減損損失を計上する必要が生じる可能性があります。 対応当社グループは、M&A、事業提携および戦略的投資の実施にあたり、対象事業や投資先に関する調査および投資経済性評価を行い、投資回収およびリスクを総合的に検討しております。また、投資実行後においても、事業の進捗(しんちょく)状況や市場環境の変化を継続的に把握し、必要に応じて対応をすることで、リスクの低減に努めております。 ⑤技術開発重要度:高背景当社グループの売上高および営業利益の相当部分は、特定の主力製品の販売によるものであり、これらの主力製品を取り巻く技術環境や競争環境の変化が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 リスクと影響当社グループが事業を展開する市場では技術革新のスピードが速く、将来の市場動向や技術トレンドを正確に予測することは容易ではありません。このため、競合他社によって当社グループの主力製品に代替する技術や、より優れた製品が開発・導入された場合には、当社グループ製品の需要が減少する可能性があります。また、新たに開発した製品について、想定した売上や収益効果が得られない可能性もあります。 対応当社グループは、全社的な研究開発体制のもと、中期的な開発戦略を策定し、独自技術を活かした新技術および新製品の開発、新用途・新市場の開拓、新規プロセス開発などに取り組んでおります。また、「デザイン・イン」「スペック・イン」の活動を通じて顧客との対話を継続し、要求仕様や技術動向の変化を把握したうえで、複数の技術要素を組み合わせた研究開発テーマの検討や開発計画の見直しを推進し、顧客の要求に応じたソリューション提案力の維持・向上に努めております。さらに、DXやAIを含むデジタル活用により研究開発の効率化に取り組むとともに、研究開発投資や設備投資についても事業戦略および市場環境を踏まえながら継続的に実施することで、技術競争力の維持・向上に努めております。 ⑥人材リスク重要度:高背景当社グループのビジネスモデルは、顧客の技術的課題を先回りして解決する「デザイン・イン」と、顧客の量産工程への深い関与を通じて部材指定を獲得する「スペック・イン」を両輪としております。このモデルを支えるのは、顧客との対話を通じて価値を生み出す多様なプロフェッショナル人材であり、当社は「技術」と「人財」を中長期的なマテリアリティとして位置づけております。一方、高速通信やセンシングを支えるフォトニクス領域の急拡大など業界全体の技術転換が加速するなか、当社グループに求められる人材の専門性・グローバル対応力の要件は継続的に高度化しております。 リスクと影響国内では専門人材をめぐる採用競争が業界横断で激化しており、専門人材の採用が計画通りに進まない場合、次世代製品の開発スピードが低下し、参入機会を逸するリスクがあります。材料認定は一度競合に先行を許すと数年単位での機会損失につながるため、人材の採用遅延は売上高・収益に直接影響します。また、ベテラン技術者の退職に際して経験則・暗黙知が適切に継承されなかった場合、製品品質の安定性低下や顧客への技術提案力の低下が生じます。加えて、海外売上高比率が高い当社グループにおいて、海外拠点での現地人材の定着が不十分な場合には、成長領域であるグローバル事業の拡大への制約となります。さらに、事業ポートフォリオの転換に伴うスキルギャップの拡大や従業員エンゲージメントの低下は、離職率の上昇を通じて技術知識と顧客関係の喪失を加速させるリスクがあります。 対応人財ポリシーに基づき、多様な人材の採用・登用をグローバルで積極的に推進し専門人材の獲得を進めるとともに、事業戦略に基づき成長領域に必要なスキル・人員の見極めを行い、人財ポートフォリオの最適化を図っております。育成面では、若手段階から開発現場で試行錯誤を重ねる文化を組織的に維持するとともに、グレード別研修・自己啓発支援制度(通信教育・eラーニング)を整備し、技術の継承と自律的なキャリア形成を支援しております。従業員エンゲージメント向上については、2016年度導入の株式給付信託(J-ESOP)制度により従業員が社員株主として企業価値向上に当事者意識を持つことができる体制を整えております。 <オペレーショナルリスク> ⑦情報セキュリティ重要度:高背景当社グループは、研究開発、製造、販売および営業などの企業活動において、顧客・取引先に関する情報、技術情報、業務ノウハウなど多様な情報資産を、当社グループの情報システム内や様々な形態で保有・管理しております。 リスクと影響生成AIをはじめとしたデジタル技術の急速な進展など、外部環境の変化によりサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、不正アクセスやマルウェア感染などによる情報の漏洩(ろうえい)、滅失、改ざん、企業活動の停止が顕在化する可能性があります。また、信用の失墜や法的責任の発生を通じて、当社グループの事業運営に重大な影響が生じる可能性があります。 対応当社グループの情報セキュリティ推進体制は、代表取締役専務執行役員を最高情報セキュリティ責任者とし、執行役員の統括情報セキュリティ責任者が指揮命令を行っております。社内ネットワークへの不正接続の防止、多要素認証の導入に加え、Webアクセスの制御・監視による不正サイトへの接続防止や情報漏洩(ろうえい)対策を講じております。また、専門チームによるセキュリティ監視体制を構築・強化するとともに、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を組成し、インシデント発生時の迅速かつ的確な対応体制を整備しております。従業員に対しては保有・管理する情報資産全般の取り扱いについて明確な方針を示すとともに、継続的な教育・啓発・訓練に取り組んでおります。 ⑧サプライチェーン重要度:高背景当社グループ製品の製造には、産地や供給者が限定される原材料を多数使用しております。EV、AI、半導体などの世界的拡大を背景に、電子材料用の原材料への需要が急増しており、需給のひっ迫と価格変動が常態化しております。また、サプライチェーン・デューデリジェンスの進展により、原材料の産地・製造工程の透明性確保が調達の前提条件となりつつあります。 リスクと影響当社グループは、購入先を複数にするなど主要原材料が確保できなくなるリスクを低減するよう努めておりますが、主要原材料の単一サプライヤー依存または特定地域への集中が継続した場合、地政学的緊張、自然災害、規制変更を契機として調達が途絶するリスクがあります。また、調達コストの急騰は製造原価を押し上げ、当社グループの利益に影響を与えます。加えて、顧客からのサプライチェーン情報開示要求に応じられない場合、取引を失うリスクが生じます。 対応当社グループは、重要原材料について、原産国および調達先の集中度、代替可能性、リードタイム、価格変動などの観点から調達リスクを特定し、管理しております。具体的には、調達先の複線化・地域分散を推進するとともに、調達途絶時の代替調達候補の確保、必要に応じた在庫方針(安全在庫・調達リードタイム)の見直しを行っております。 ⑨品質重要度:中背景当社グループ製品は半導体・ディスプレイ・車載部品の製造工程において極めて厳密な品質水準が要求される製品であり、微量の不純物・物性のばらつきが顧客の最終製品の歩留まりや性能に直接影響します。半導体プロセスの微細化・車載部品/電子機器に搭載される製品の品質基準や信頼性要求の高度化に伴い、当社グループに求められる要求特性は年々厳格化しています。高度な要求特性を満足するためのプロセス構築、品質管理に基づいた品質保証体制の構築が顧客要求として標準化しつつあります。 リスクと影響製品の品質不具合が発生した場合、顧客への補償・代替品供給コストに加え、顧客の製造ラインの停止に起因する損害賠償請求リスクが生じます。製品の特性上、不具合が最終製品に組み込んだ後に発覚するケースでは、影響範囲が広域に及ぶ可能性があります。重大な品質問題は顧客との取引関係の長期的な毀損(きそん)にもつながる可能性があります。 対応当社グループは、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを全製造拠点で運用しており、一部の自動車産業向け製品においては、IATF16949に基づいております。QMS推進においては、製品トレーサビリティーシステムの整備を進め、原材料受入から出荷までを一元管理しております。また、製造工程をリアルタイムで監視・分析ができるインラインモニタリングの導入を順次拡大、品質管理体制を強化、品質異常の早期検知体制を構築し、品質不具合品の流出を防止しております。 ⑩事業継続計画(BCP)重要度:中背景事業継続を脅かすリスクの性質は近年多様化しております。従来から存在する自然災害・感染症に加え、製造設備のIoT化・DXの進展に伴うサイバー攻撃、および地政学・地経学的緊張を背景とした重要原材料の調達途絶が、事業継続に対する複合的な脅威として顕在化しつつあります。当社グループは国内外に事業拠点および取引先を有しており、地震・津波・洪水などの大規模自然災害や感染症の世界的流行といった事象が発生した場合、当社グループの操業およびサプライチェーンが影響を受ける可能性があります。また、当社グループはグローバルにシングルソース※製品を供給するケースが多く、供給中断が顧客の生産活動などへ影響を及ぼす可能性があるため、事業継続性の確保が重要な課題となっております。 リスクと影響自然災害・パンデミックによる主要拠点の操業停止、サイバー攻撃による生産システムの機能不全、または地政学リスクの顕在化による原材料の突然の調達途絶が発生した場合、顧客ラインへの供給が途絶し、売上の急減・損害賠償リスクがあります。当社製品の多くはシングルソース※製品として顧客の量産工程に組み込まれているため、供給途絶が顧客ラインの停止に直結する場合があり、信頼関係の長期的な毀損(きそん)につながります。サイバー攻撃については、物理的な設備被害がなくても製造ラインが機能不全に陥るリスクがあります。また、AIをはじめ技術摩擦の深刻化や特定地域での有事などにより、当社製品の製造に不可欠な希少原材料・特殊化学品の調達が突然途絶した場合、代替調達先の確保に時間を要するほか、長期化によって顧客との供給契約に基づく義務の不履行リスクも生じます。 対応当社グループは、次の3系統のリスクに対応した事業継続計画(BCP)の整備を推進し、多様なリスクを想定した「オールハザード型の考えに基づく事業継続マネジメント(BCM)」への拡張を進めております。自然災害系については、初動・復旧体制を整備するとともに、自家発電・蓄電設備の導入を推進しております。また、新工場(鹿沼事業所 第2工場)ではDX化によるスマートファクトリーの構築を進め、設備の安定稼働体制の強化に努めております。サイバーインシデント系については、システム強化、従業員への教育訓練の実施、セキュリティ監視体制構築およびCSIRT構築によりインシデント発生時の初動対応手順を事業継続計画(BCP)に組み込み、復旧時間の最少化を図っております。地政学リスク系については、主要原材料の代替調達先の事前認定と戦略在庫の維持を進め、特定地域・特定サプライヤーへの依存度低減を継続的に推進しております。また、定期的な訓練および見直しのサイクルを通じて、事業継続計画(BCP)の継続的な改善を図っております。ESG重点課題において各拠点の事業継続計画(BCP)整備強化を明示的な方針として掲げており、取締役会レベルでその進捗(しんちょく)をモニタリングしております。※シングルソース:技術的独自性を有しており、同等もしくは代替となる材料・製品が存在しない状態 ⑪訴訟重要度:中背景当社グループは世界各地において事業活動を展開しており、取引先、顧客、その他の第三者との間で訴訟を提起される可能性があります。 リスクと影響訴訟対応コストがかさむ場合や、当社グループに不利益な判決、決定または命令を受けた場合には、費用負担の増加、損害賠償金の支払いなどを通じて財政状態に影響が生じる可能性があります。 対応当社グループは、訴訟・紛争などが発生した場合に備え、外部専門家(弁護士など)との連携体制を整備するとともに、賠償責任保険に加入しております。また、事案の重要性に応じて適切に経営層へ報告し、早期解決と損失最小化を図っております。 ⑫知的財産重要度:中背景当社グループは国内外で多くの知的財産権を保有し、維持・管理しております。また、主要な競合他社を含む第三者から実施許諾を受けて第三者の知的財産権を実施する場合があります。 リスクと影響当社グループの知的財産権について、無効化、特定の国・地域における保護の不十分さ、模倣などにより権利の保護が損なわれる場合、当社グループの競争優位性や事業活動に影響を及ぼすおそれがあります。また、第三者から実施許諾を受けている知的財産権について、必要な許諾の継続取得が困難となる、または当社グループに不利な条件での実施許諾となる場合、当社グループの製品開発・製造・販売活動に制約が生じる可能性があります。さらに、第三者の知的財産権侵害などを理由として当社グループが損害賠償請求や差し止め請求を受ける場合、第三者によって当社グループの知的財産権が侵害される場合、またはこれらに関する訴訟などにおいて当社グループに不利益な判断がなされる場合には、費用負担の増加、事業活動の制限、信用の低下などが生じる可能性があります。 対応当社グループは、製品開発の各段階において他社の知的財産権の調査・分析・評価により、侵害などの問題が発生することのないように努めております。また、当社グループが保有する知的財産については、適正に出願・権利取得・維持・管理をしており、事業戦略および技術戦略に沿って権利の有効活用を進めております。 <外部環境リスク> ⑬地政学重要度:高背景国家間の技術覇権競争の激化、および各国政府による経済安全保障政策の強化を背景として、グローバルなサプライチェーンと販売市場が構造的な再編圧力にさらされております。当社グループの事業は、東アジア地域に主要な販売先・調達先・生産拠点を持つため、これらの地政学・地経学リスクの直接的影響を受けます。 リスクと影響当社グループの製品または原材料が輸出管理規制の対象となった場合、特定顧客・地域向けへの販売が制限される可能性があります。また、主要輸出先における追加関税の発動は、価格競争力の低下と収益減少をもたらします。顧客がサプライチェーン分散を進める場合、当社も供給体制の再構築が必要となり相応の投資負担が生じます。東アジア地域における有事の極端なシナリオでは、生産・物流ネットワーク全体が機能不全に陥る可能性があります。 対応当社グループは、地政学・経済安全保障に関するリスクを重要リスクとして位置づけ、各国の輸出規制・制裁・関税などの規制動向や顧客動向、物流・調達環境の変化について、継続的なモニタリングと影響評価を実施しております。また、当社グループに影響度の大きいリスクについては社内横断で情報を集約し、供給継続を前提とした代替調達・物流手段の検討を実施しております。 ⑭社会課題(環境・人権・バリューチェーン)重要度:高背景気候変動、水資源の制約、生物多様性の損失、有害化学物質による汚染などの環境課題に加え、バリューチェーン全体における人権尊重や責任ある調達への要請が高まっております。これらは、規制の強化、顧客要求の高度化、投資家評価の変化などを通じて、企業の事業活動に影響を及ぼし得る重要な社会課題であり、当社グループとしても継続的な対応が求められております。 リスクと影響当社グループが社会課題への対応を十分に進められない場合、顧客から求められる基準への適合が困難となり、取引関係に影響が生じる可能性があります。さらに、社会的信用の低下が生じるおそれがあります。また、環境・人権に関する規制強化や市場要請の変化に対し、追加的な投資・対応コストが発生する可能性があります。 対応当社グループは、社会課題への対応を経営上の重要事項の一つとして位置づけ、環境負荷低減や責任ある調達などに関する取り組みを進めるとともに、関連する情報開示を継続しております。また、規制動向や顧客要請などの外部環境の変化を踏まえ、必要に応じて施策の見直しを行うことで、リスク低減に努めております。なお、調達の安定性に関するリスクは、「⑧サプライチェーン」に記載しております。 ⑮コンプライアンス重要度:中背景当社グループは国内外で事業活動を展開しており、各国・地域の法令・規制や商慣習などの適用を受けております。事業の拡大や外部環境の変化に伴い、企業に求められるガバナンスおよびコンプライアンスの水準は高度化しており、これらを適切に維持・強化することは、事業継続およびステークホルダーからの信頼確保の前提となります。また、当社グループにおける不正競争や贈収賄・不正取引の防止、職場におけるハラスメントの防止、内部通報制度の適切な運用などは、重大な法令違反やレピュテーション毀損(きそん)を未然に防ぐ観点から重要であり、継続的な取り組みが求められます。 リスクと影響当社グループが適用法令・規制に違反する場合、または許認可などに付された条件・制約を順守できない場合には、規制当局からの制裁や罰金・罰則の適用、追加費用の負担、許認可などの停止・取り消しなどが生じる可能性があります。さらに、不正競争や贈収賄などの不正が発生した場合には、取引停止や入札参加資格の制限などにより事業機会を喪失するおそれがあるほか、社会的信用の低下を通じて中長期的に事業運営へ影響が生じるおそれもあります。また、ハラスメントが発生した場合には、労務問題や訴訟・紛争に発展する可能性があるほか、従業員の就業環境や職場の生産性に悪影響が生じ、組織運営上の問題となるおそれがあります。 対応当社グループは、内部統制システムのもと、より実効性・透明性の高いグループ・コンプライアンスの進化を目指し、実効性・透明性の向上のため重要課題抽出、改善を継続しております。また、規程・手続きの整備および教育・研修などを通じて法令順守体制の維持・強化に努め、不正競争や贈収賄などの不正防止およびハラスメント防止については、関連規程の整備や周知・啓発などにより未然防止に取り組んでおります。なお、国内外の全グループ会社の役員および従業員や取引先などが利用できる内部通報制度を適切に運用し、通報を受けた事案については速やかに調査・対応を行うことで、問題の早期把握と拡大防止に努めております。 ⑯為替重要度:中背景当社グループはグローバルに事業を展開し、外貨建てによる取引を行っております。製品・サービスなどのコストや価格、ならびに外貨建ての資産・負債を保有しており、海外関連会社を含めた外貨建ての資産・負債などは連結財務諸表作成の際に円換算されます。 リスクと影響主に外貨建ての製品販売取引において為替相場の変動リスクにさらされており、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。当社グループの為替リスクは、主に米ドルの為替相場の変動によるものであります。 対策当社グループでは、外貨建ての製品販売取引にかかる為替変動リスクをヘッジするため、先物為替予約ならびに通貨オプション取引を利用しております。