5401

日本製鉄(5401)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

鉄鋼 鉄鋼・非鉄

事業の概要

  • 製鉄事業が収益の柱
    日本製鉄グループは、連結売上収益の約9割を占める製鉄事業を中核としています。自動車、建設、エネルギー、産業機械など、幅広い産業に鋼材を供給しており、これらの産業の景気動向がグループ全体の業績に大きく影響します。
  • 多角的な事業展開
    製鉄事業の他に、各種プラントや施設の設計・建設・運営を行うエンジニアリング事業、化学製品や高機能材料を製造するケミカル&マテリアル事業、そしてITソリューションを提供するシステムソリューション事業を展開しています。これにより、事業ポートフォリオの多様化を図っています。
  • グローバルな事業体制
    日本国内だけでなく、海外にも積極的に事業を展開しており、海外売上収益は連結売上収益の約4割を占めます。世界各地に連結子会社419社、持分法適用関連会社110社を展開し、グローバルな供給体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 製鉄事業(Steel Manufacturing)
    日本製鉄グループの基幹事業であり、売上高は5兆172億4500万円と全体の約9割を占めます。条鋼、鋼板、鋼管、特殊鋼など多種多様な鉄鋼製品を製造・販売し、自動車、建設、エネルギー産業など幅広い分野に供給しています。
  • エンジニアリング事業(Engineering)
    各種プラント・施設、エネルギー導管、産業機械などの設計、製作、施工、監理、運転・維持管理を行います。売上高は2,942億6,800万円で、社会インフラの整備や産業設備の提供を通じて収益を上げています。
  • ケミカル&マテリアル事業(Chemistry & New Materials)
    ピッチコークス、カーボンブラックなどの化学製品や、液晶ディスプレイ材料、半導体用材料、炭素繊維複合材などの高機能材料を製造・販売しています。売上高はケミカル事業が2,007億6,700万円、ニューマテリアル事業が370億5,000万円で、先端技術分野に貢献しています。
FY2018 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SteelManufacturing 事業 50,172 − −
Engineering 事業 2,943 − −
Chemistry 事業 2,008 − −
NewMaterials 事業 371 − −
SystemSolution 事業 2,442 − −
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,368 文字
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)の事業体制は、製鉄事業、エンジニアリング事業、ケミカル&マテリアル事業及びシステムソリューション事業です。なお、これら4事業は本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 事業セグメント」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。 2026年3月31日現在、当社グループは、当社及び493社の連結子会社並びに112社の持分法適用関連会社等により構成されます。 各事業を構成している当社及び当社連結子会社において営まれている主な事業の内容及び位置づけは次のとおりです。なお、主要な関係会社につきましては、本報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載しています。 [製鉄事業]条鋼(鋼片、軌条、鋼矢板、H形鋼、その他形鋼、棒鋼、バーインコイル、普通線材、特殊線材)、鋼板(厚板、中板、熱延薄板類、冷延薄板類、ブリキ、ティンフリースチール、亜鉛めっき鋼板、その他金属めっき鋼板、塗装鋼板、冷延電気鋼帯)、鋼管(継目無鋼管、鍛接鋼管、電縫鋼管、電弧溶接鋼管、冷けん鋼管、めっき鋼管、被覆鋼管)、交通産機品(鉄道車両部品、型鍛造品、鍛造アルミホイール、リターダ、環状圧延品、鍛鋼品)、特殊鋼(ステンレス鋼、機械構造用炭素鋼、構造用合金鋼、ばね鋼、軸受鋼、耐熱鋼、快削鋼、ピアノ線材、高抗張力鋼)、鋼材二次製品(スチール・合成セグメント、NS-BOX、メトロデッキ、パンザーマスト、制振鋼板、建築用薄板部材、コラム、溶接材料、ドラム缶、ボルト・ナット・ワッシャー、線材加工製品、油井管付属品、建築・土木建材製品)、銑鉄・鋼塊他(製鋼用銑、鋳物用銑、鋼塊、鉄鋼スラグ製品、セメント、鋳物用コークス)、製鉄事業に付帯する事業(機械・電気・計装関係機器の設計・整備・工事施工、海上運送、港湾運送、陸上運送、荷役、倉庫業、梱包作業、材料試験・分析、作業環境測定、技術情報の調査、施設運営管理、警備保障業、原料決済関連サービス、製鉄所建設エンジニアリング、操業指導、製鉄技術供与、ロール)、その他(チタン展伸材、食料品、繊維品、電力、不動産、サービスその他) [エンジニアリング事業]各種プラント・施設、エネルギー導管、水道設備、産業機械・装置、建築物、建築部材・装置、鋼構造物等の設計・製作・販売・施工・監理、プラント・施設等の運転・運営・維持管理、廃棄物等の処理・再生資源化事業、電気・ガス・熱等の供給事業 [ケミカル&マテリアル事業]ピッチコークス、ピッチ、ナフタリン、無水フタル酸、カーボンブラック、スチレンモノマー、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、無接着剤FPC用銅張積層板、液晶ディスプレイ材料、有機EL材料、UV・熱硬化性樹脂材料、圧延金属箔、半導体用ボンディングワイヤ・マイクロボール、半導体封止材用フィラー、炭素繊維複合材、排気ガス浄化用触媒担体、多孔質炭素材料 [システムソリューション事業]コンピュータシステムに関するエンジニアリング・コンサルティング、ITを用いたアウトソーシングサービスその他の各種サービス [事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。(2026年3月31日現在)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
原燃料市況高騰時に販売価格に転嫁できなければ業績に悪影響が生じる。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
製鉄事業は資本集約型産業であり、継続的に多額の設備投資及び設備修繕支出を必要とする。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:日本及び海外の経済状況の変動 / 鋼材需給の変動 / 原燃料価格の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

日本製鉄は長年にわたり培ってきた高品質な鋼材のブランド力と、自動車、インフラ分野での技術的信頼性を持つ。特に特殊鋼や高機能鋼板においては、長年の研究開発によるノウハウが競争優位の源泉となっているが、特許やライセンスによる明確な独占性は限定的。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

自動車メーカーや建設業界など、主要顧客との長期的な取引関係と、仕様変更に伴う認証プロセスやサプライチェーン再構築のコストを考慮すると、顧客の乗り換えには一定のハードルが存在する。しかし、代替素材の台頭やグローバル調達の進展により、スイッチングコストは絶対的なものではない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄鋼業は製造業であり、製品の価値がユーザー数の増加によって直接的に高まるネットワーク効果は基本的に存在しない。プラットフォーム型ビジネスとは異なり、顧客との関係は個別の取引に基づいている。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

日本製鉄は、規模の経済を活かした生産効率、原料調達力、そして長年の操業で培われた生産技術により、コスト競争力を維持している。特に、高炉の効率化や最新技術の導入による生産性向上は、競合他社に対する優位性をもたらす可能性がある。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

日本製鉄は日本の鉄鋼業界において圧倒的なシェアを誇り、世界でもトップクラスの生産能力を持つ。この巨大な生産規模は、設備投資、研究開発、原料調達において大きな優位性を生み出し、新規参入や小規模プレイヤーの追随を困難にしている。

  • 広範な製品ラインナップ
    日本製鉄は、条鋼、鋼板、鋼管、特殊鋼など多岐にわたる鉄鋼製品を提供しています。自動車部品から建築材料、インフラ設備まで、幅広い産業のニーズに対応できる製品群を持つことが強みです。
  • 高度な技術力と研究開発
    電炉による高級鋼の量産製造や高炉水素還元法「Super-COURSE50」の開発など、革新的な技術開発に挑戦しています。これにより、高品質な製品供給と環境負荷低減を両立させ、競争力を維持・向上させています。
  • 強固なサプライチェーン
    鉄鉱石や石炭などの主原料をオーストラリア、ブラジルなど複数の国から調達し、安定供給に努めています。また、海上・陸上輸送、港湾運送、倉庫業なども自社グループで手掛けることで、効率的かつ安定的なサプライチェーンを構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(経営方針)日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献することを企業理念に掲げて事業を行っています。 <日本製鉄グループ企業理念>基本理念日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。 経営理念1.信用・信頼を大切にするグループであり続けます。2.社会に役立つ製品・サービスを提供し、お客様とともに発展します。3.常に世界最高の技術とものづくりの力を追求します。4.変化を先取りし、自らの変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。5.人を育て活かし、活力溢れるグループを築きます。 (経営環境)中長期的な環境変化については、次のとおり想定しています。世界経済は、今後とも新興国の経済成長やAI・エネルギー関連投資の拡大による成長が期待されます。一方、保護主義への転換、相互関税の発動等、政治と経済の相互作用が強まることで不確実性が増しています。こうした環境下での成長停滞リスク等を念頭に置く必要があります。鉄鋼の需要見通しについては、インドをはじめとする新興国での経済成長に伴う需要増加、米国での製造業国産化による高級鋼需要の増加が期待されます。一方、日本国内では人口減少や製造業の海外移転等を背景に、需要の減少傾向が続く見通しです。供給面では、中国経済のピークアウトや内需の減少にも関わらず、中国国内での高水準の生産と積極的な輸出姿勢が続いており、通商摩擦の拡大も懸念されます。世界的な鉄鋼供給過剰構造の解消にはなお時間を要し、今後とも厳しい経営環境が続くと想定しています。 2026年度については、上記に加え、中東情勢が経済活動に与える影響が見込まれるものの、過去のオイルショック時に見られたエネルギー供給面での影響にとどまらず、グローバル分業型のサプライチェーンを構築している現在の経済構造のもと世界全体に波及するものとなっています。加えて、中東地域の経済規模が格段に拡大したことにより中東地域は日本を含むアジア諸国にとって重要な輸出マーケットとなっており、同地域の情勢は幅広い産業の需要に極めて大きな影響を及ぼします。特に鉄鋼業は多くの産業を下支えする基幹産業であるなか、当社は、他社と比較して品種メニューが豊富で対応する産業分野も極めて広く事業展開もよりグローバルに進めていることから、中東情勢が当社業績に与える影響について、現時点で網羅的かつ合理的に把握することはできません。 (経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)2025年12月、当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定しました。2026年度からの2030中長期経営計画では、一段と厳しい経営環境を想定し、国内事業のさらなる収益基盤強化と海外事業でのグローバル成長戦略の実行により、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たします。連結実力利益1兆円以上の実現を目指すとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、国内は、さらなる収益基盤強化による収益力向上、海外は、グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大を推進する各種施策を実行していきます。これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。2030中長期経営計画の概要と具体的施策は次のとおりです。 <2030中長期経営計画(2025年12月公表)の概要と具体的施策>当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定し、諸施策に取り組んでいます。 Ⅰ.計画の概要日本製鉄は、連結実力利益1兆円以上を確実に実現するとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、以下の戦略に基づき各種施策を実行していきます。 1.国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上国内事業では、コスト競争力の徹底追求に加え、総合的ソリューションの展開、グループ総合力の最大化を通じて、各需要分野・品種毎のニーズに応じた競争力を強化し、収益力の向上を図ります。自動車、インフラ(建築・土木)、さらにはエネルギー・造船等の分野毎に、お客様価値を創造し、国内需要を捕捉していきます。 2.海外: グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大海外事業では、米国・欧州、インド、タイを重点地域とし、設備投資の実行に加え、日本製鉄の技術・ノウハウを最大限移転し、鉄源一貫体制を強化します。これにより、高級鋼から汎用鋼まで様々な需要を捕捉し、飛躍的に利益の拡大を図ります。 これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。 Ⅱ.具体的施策1. 国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上 [需要分野・品種に応じた競争力強化](1) コスト競争力の徹底追求製鉄事業の主要な事業である薄板事業において、新鋭設備投資の立上げと効果のフル発揮を推進します。各製鉄所・製造拠点の主たる役割を明確化し、集中的に生産することで効率化を図るとともに、グループ会社も含めた最適生産・物流体制を築きます。こうした最適生産体制追求の一環で、東日本製鉄所鹿島地区の連続焼鈍1基を2027年度末目途に休止します。また、生産性向上に向けた日本製鉄と協力会社横断での改善取組みや、業務刷新・効率化にも徹底的に取り組むことで、国際競争を勝ち抜くコスト競争力を確保します。 (2) 総合的ソリューションの展開自動車分野におけるNSafe®-AutoConceptやインフラ(建築・土木)分野でのProStruct®、エネルギー・造船分野向けの高機能商品・ソリューション提案を通じ、お客様価値の創造を図ります。また、名古屋製鉄所次世代熱延の活用や九州製鉄所八幡地区・瀬戸内製鉄所広畑地区・阪神地区(堺)における電磁鋼板の能力増強、㈱中山製鋼所との業務提携等を通じて、お客様の様々なニーズへの対応力を強化し、国内各分野での需要を捕捉します。 (3) グループ総合力の最大化インフラ(建築・土木)分野において、地域軸で営業部や支社・支店、グループ会社が一体となった営業活動を一層強力に進めるとともに、日本製鉄グループ一貫での生産・流通体制を追求し、内需の捕捉力を強化します。また、これまでも進めてきたグループ会社再編によるさらなる収益力向上にも引き続き取り組んでいきます。 2. 海外:グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大重点地域である米国・欧州、インド、タイにおいて積極的な設備投資を行っていくにあたり、今まで国内で培ってきた設備エンジニアリング技術を最大限活かすとともに、操業・商品等の技術力や品質管理・工程管理等のノウハウを移転し、海外事業の利益拡大を追求します。また、技術やノウハウ移転の効果発揮を確実なものとするために、人材についても集中的に投入し、グローバル成長戦略を確実に実行します。 (1) 米国日本製鉄はUnited States Steel Corporation(以下「USスチール」)の買収を通じて、世界最大の高級鋼市場である米国において鉄源一貫製造体制を構築しています。 USスチールは、2028年末までに110億ドルの設備投資を実行し、日本製鉄は、最先端の操業技術・設備技術・商品技術を移転していくことにより、設備投資効果・シナジーを最大限発揮します。USスチールの競争力を抜本的に強化し、今後も成長が見込まれる米国の高級鋼ニーズに応えていきます。 (2) インド人口増を背景とした経済成長により、鋼材需要の拡大が見込まれるインドでは、ArcelorMittal Nippon Steel India Limitedにおいて高級鋼製造対策とさらなる生産規模拡大を推進していきます。具体的には、インド西海岸ハジラ製鉄所において、既に着手している最新鋭の薄板製造設備も含めた能力拡張を確実に進めるとともに、南部(アンドラプラデシュ州ラジャヤペタ)における一貫製鉄所建設に着手し、インド国内でのシェアの拡大を図ります。 (3) タイタイの薄板市場は高級鋼・汎用鋼ともに今後も堅調な成長が期待されます。日本製鉄はタイにおいて、G Steel Public Company Limited及びG J Steel Public Company Limited並びにNS-Siam United Steel Co., Ltd.を中心に現在、約30%の市場シェアを確保していますが、鉄源からサプライチェーン一貫での強化を図り、インサイダーとしての強みを最大限発揮することで、ASEANの最重点マーケットであるタイの薄板市場におけるさらなるポジション拡大を図ります。 3. GXの推進カーボンニュートラルへの取組みについては、国内で2030年までに大型電炉の実装を図るとともに、並行してGXスチール市場の形成に向けた制度化・国際標準化を推進していきます。また、政府支援や産官学連携強化を通じて革新技術の開発を加速し、2050 年でのカーボンニュートラルの実現を目指します。 4. 経営基盤の強化国内・海外における主要施策を着実に実行する基盤として、最先端技術の開発推進、業務刷新・効率化の推進及び人材競争力の強化に取り組みます。 (1) 最先端技術の開発推進研究リソースを継続的に投入し、安定生産とコスト競争力を実現するプロセス開発や品種高度化に貢献する商品開発を推進します。また、カーボンニュートラルに向けた革新技術の開発にも継続的に取り組みます。さらに、USスチールとの連携等グローバル研究開発体制の強化も図り、世界最先端技術の開発をより一層加速します。 (2) 業務刷新・効率化の推進DXも含めた業務刷新・効率化を通じて、事業成長や付加価値の創造に直接的につながる仕事に集中し、生産性向上や技術力・営業力強化を通じて圧倒的競争力を確保します。そして、海外も含めた人材投入等全社最適の観点から課題に迅速・的確かつ機動的に対応し、持続的成長を実現する企業風土の確立に取り組んでいきます。 (3) 人材競争力の強化人材の育成と活躍を推進すべく、人材の多様化を引き続き推進するとともに、海外派遣を含むグローバル人材育成施策のさらなる充実に取り組みます。また、育児等のライフイベントとの両立を支援する各種制度はすでに充実していますが、その実効性を最大化する取組みを加速化します。あわせて、業務刷新・効率化を含む生産性向上施策も実行し、社員一人ひとりの個の力を強化し、組織パフォーマンスを最大化します。 Ⅲ. 財務目標・株主還元1.経営資源投入方針と投資計画企業価値の持続的な向上を目指して、成長投資・株主還元・財務体質の健全性において、適切なバランスを追求しながら、経営資源を戦略的に投入します。国内におけるさらなる収益基盤の強化による収益力向上、海外におけるグローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大のために、今後5年間で、総額6兆円規模*1の設備投資・事業投資を実施します。*1 USスチール(米国)への約110億ドルの投資(~2028年末)を含む。 2.収益・財務目標、株主還元方針(1) 収益・財務目標経営計画の諸施策の実行により、中長期的な収益力及び資本効率の向上、並びに財務基盤の強化に取り組んでいきます。こうした取組みの成果として、2030年度を一つのマイルストーンとし、下記の財務指標の達成を目指します。 主要財務指標(2030年度目標)連結実力利益1兆円/年以上ROE10%程度(2031年度以降 10%)D/E0.7程度D/EBITDA *23.5以下 *2 劣後債等の資本性等調整後 (2) 株主還元方針(下限配当の新設)中長期的成長に向けた投資、株主還元、財務体質の健全性を適切なバランスで実現する観点から、現行の「連結配当性向年間30%程度を目安」とする配当方針を継続します。加えて、安定した収益基盤を築いてきたことも踏まえ、株主・投資家の皆様の配当の予見性を高め、日本製鉄の株式の魅力を高める観点から、2030中長期経営計画の5年間(2027年3月期~2031年3月期)においては、1株当たりの年間配当額の下限を24円とする方針とします。 日本製鉄は、今般策定した2030中長期経営計画の達成を通じて、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たし、日本経済の復活に貢献します。 (経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しています。 (注) 上記(経営環境)と(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)の記載には、本有価証券報告書提出日時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれている。これらはその発表又は公表の時点において当社が適切と考える情報や分析、一定の前提等に基づき策定したものであり、かかる見積りに固有の限界があることに加え、実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。かかる要因については、後記「3 事業等のリスク」を参照されたい。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(経営方針)日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献することを企業理念に掲げて事業を行っています。 <日本製鉄グループ企業理念>基本理念日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。 経営理念1.信用・信頼を大切にするグループであり続けます。2.社会に役立つ製品・サービスを提供し、お客様とともに発展します。3.常に世界最高の技術とものづくりの力を追求します。4.変化を先取りし、自らの変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。5.人を育て活かし、活力溢れるグループを築きます。 (経営環境)中長期的な環境変化については、次のとおり想定しています。世界経済は、今後とも新興国の経済成長やAI・エネルギー関連投資の拡大による成長が期待されます。一方、保護主義への転換、相互関税の発動等、政治と経済の相互作用が強まることで不確実性が増しています。こうした環境下での成長停滞リスク等を念頭に置く必要があります。鉄鋼の需要見通しについては、インドをはじめとする新興国での経済成長に伴う需要増加、米国での製造業国産化による高級鋼需要の増加が期待されます。一方、日本国内では人口減少や製造業の海外移転等を背景に、需要の減少傾向が続く見通しです。供給面では、中国経済のピークアウトや内需の減少にも関わらず、中国国内での高水準の生産と積極的な輸出姿勢が続いており、通商摩擦の拡大も懸念されます。世界的な鉄鋼供給過剰構造の解消にはなお時間を要し、今後とも厳しい経営環境が続くと想定しています。 2026年度については、上記に加え、中東情勢が経済活動に与える影響が見込まれるものの、過去のオイルショック時に見られたエネルギー供給面での影響にとどまらず、グローバル分業型のサプライチェーンを構築している現在の経済構造のもと世界全体に波及するものとなっています。加えて、中東地域の経済規模が格段に拡大したことにより中東地域は日本を含むアジア諸国にとって重要な輸出マーケットとなっており、同地域の情勢は幅広い産業の需要に極めて大きな影響を及ぼします。特に鉄鋼業は多くの産業を下支えする基幹産業であるなか、当社は、他社と比較して品種メニューが豊富で対応する産業分野も極めて広く事業展開もよりグローバルに進めていることから、中東情勢が当社業績に与える影響について、現時点で網羅的かつ合理的に把握することはできません。 (経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)2025年12月、当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定しました。2026年度からの2030中長期経営計画では、一段と厳しい経営環境を想定し、国内事業のさらなる収益基盤強化と海外事業でのグローバル成長戦略の実行により、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たします。連結実力利益1兆円以上の実現を目指すとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、国内は、さらなる収益基盤強化による収益力向上、海外は、グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大を推進する各種施策を実行していきます。これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。2030中長期経営計画の概要と具体的施策は次のとおりです。 <2030中長期経営計画(2025年12月公表)の概要と具体的施策>当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定し、諸施策に取り組んでいます。 Ⅰ.計画の概要日本製鉄は、連結実力利益1兆円以上を確実に実現するとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、以下の戦略に基づき各種施策を実行していきます。 1.国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上国内事業では、コスト競争力の徹底追求に加え、総合的ソリューションの展開、グループ総合力の最大化を通じて、各需要分野・品種毎のニーズに応じた競争力を強化し、収益力の向上を図ります。自動車、インフラ(建築・土木)、さらにはエネルギー・造船等の分野毎に、お客様価値を創造し、国内需要を捕捉していきます。 2.海外: グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大海外事業では、米国・欧州、インド、タイを重点地域とし、設備投資の実行に加え、日本製鉄の技術・ノウハウを最大限移転し、鉄源一貫体制を強化します。これにより、高級鋼から汎用鋼まで様々な需要を捕捉し、飛躍的に利益の拡大を図ります。 これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。 Ⅱ.具体的施策1. 国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上 [需要分野・品種に応じた競争力強化](1) コスト競争力の徹底追求製鉄事業の主要な事業である薄板事業において、新鋭設備投資の立上げと効果のフル発揮を推進します。各製鉄所・製造拠点の主たる役割を明確化し、集中的に生産することで効率化を図るとともに、グループ会社も含めた最適生産・物流体制を築きます。こうした最適生産体制追求の一環で、東日本製鉄所鹿島地区の連続焼鈍1基を2027年度末目途に休止します。また、生産性向上に向けた日本製鉄と協力会社横断での改善取組みや、業務刷新・効率化にも徹底的に取り組むことで、国際競争を勝ち抜くコスト競争力を確保します。 (2) 総合的ソリューションの展開自動車分野におけるNSafe®-AutoConceptやインフラ(建築・土木)分野でのProStruct®、エネルギー・造船分野向けの高機能商品・ソリューション提案を通じ、お客様価値の創造を図ります。また、名古屋製鉄所次世代熱延の活用や九州製鉄所八幡地区・瀬戸内製鉄所広畑地区・阪神地区(堺)における電磁鋼板の能力増強、㈱中山製鋼所との業務提携等を通じて、お客様の様々なニーズへの対応力を強化し、国内各分野での需要を捕捉します。 (3) グループ総合力の最大化インフラ(建築・土木)分野において、地域軸で営業部や支社・支店、グループ会社が一体となった営業活動を一層強力に進めるとともに、日本製鉄グループ一貫での生産・流通体制を追求し、内需の捕捉力を強化します。また、これまでも進めてきたグループ会社再編によるさらなる収益力向上にも引き続き取り組んでいきます。 2. 海外:グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大重点地域である米国・欧州、インド、タイにおいて積極的な設備投資を行っていくにあたり、今まで国内で培ってきた設備エンジニアリング技術を最大限活かすとともに、操業・商品等の技術力や品質管理・工程管理等のノウハウを移転し、海外事業の利益拡大を追求します。また、技術やノウハウ移転の効果発揮を確実なものとするために、人材についても集中的に投入し、グローバル成長戦略を確実に実行します。 (1) 米国日本製鉄はUnited States Steel Corporation(以下「USスチール」)の買収を通じて、世界最大の高級鋼市場である米国において鉄源一貫製造体制を構築しています。 USスチールは、2028年末までに110億ドルの設備投資を実行し、日本製鉄は、最先端の操業技術・設備技術・商品技術を移転していくことにより、設備投資効果・シナジーを最大限発揮します。USスチールの競争力を抜本的に強化し、今後も成長が見込まれる米国の高級鋼ニーズに応えていきます。 (2) インド人口増を背景とした経済成長により、鋼材需要の拡大が見込まれるインドでは、ArcelorMittal Nippon Steel India Limitedにおいて高級鋼製造対策とさらなる生産規模拡大を推進していきます。具体的には、インド西海岸ハジラ製鉄所において、既に着手している最新鋭の薄板製造設備も含めた能力拡張を確実に進めるとともに、南部(アンドラプラデシュ州ラジャヤペタ)における一貫製鉄所建設に着手し、インド国内でのシェアの拡大を図ります。 (3) タイタイの薄板市場は高級鋼・汎用鋼ともに今後も堅調な成長が期待されます。日本製鉄はタイにおいて、G Steel Public Company Limited及びG J Steel Public Company Limited並びにNS-Siam United Steel Co., Ltd.を中心に現在、約30%の市場シェアを確保していますが、鉄源からサプライチェーン一貫での強化を図り、インサイダーとしての強みを最大限発揮することで、ASEANの最重点マーケットであるタイの薄板市場におけるさらなるポジション拡大を図ります。 3. GXの推進カーボンニュートラルへの取組みについては、国内で2030年までに大型電炉の実装を図るとともに、並行してGXスチール市場の形成に向けた制度化・国際標準化を推進していきます。また、政府支援や産官学連携強化を通じて革新技術の開発を加速し、2050 年でのカーボンニュートラルの実現を目指します。 4. 経営基盤の強化国内・海外における主要施策を着実に実行する基盤として、最先端技術の開発推進、業務刷新・効率化の推進及び人材競争力の強化に取り組みます。 (1) 最先端技術の開発推進研究リソースを継続的に投入し、安定生産とコスト競争力を実現するプロセス開発や品種高度化に貢献する商品開発を推進します。また、カーボンニュートラルに向けた革新技術の開発にも継続的に取り組みます。さらに、USスチールとの連携等グローバル研究開発体制の強化も図り、世界最先端技術の開発をより一層加速します。 (2) 業務刷新・効率化の推進DXも含めた業務刷新・効率化を通じて、事業成長や付加価値の創造に直接的につながる仕事に集中し、生産性向上や技術力・営業力強化を通じて圧倒的競争力を確保します。そして、海外も含めた人材投入等全社最適の観点から課題に迅速・的確かつ機動的に対応し、持続的成長を実現する企業風土の確立に取り組んでいきます。 (3) 人材競争力の強化人材の育成と活躍を推進すべく、人材の多様化を引き続き推進するとともに、海外派遣を含むグローバル人材育成施策のさらなる充実に取り組みます。また、育児等のライフイベントとの両立を支援する各種制度はすでに充実していますが、その実効性を最大化する取組みを加速化します。あわせて、業務刷新・効率化を含む生産性向上施策も実行し、社員一人ひとりの個の力を強化し、組織パフォーマンスを最大化します。 Ⅲ. 財務目標・株主還元1.経営資源投入方針と投資計画企業価値の持続的な向上を目指して、成長投資・株主還元・財務体質の健全性において、適切なバランスを追求しながら、経営資源を戦略的に投入します。国内におけるさらなる収益基盤の強化による収益力向上、海外におけるグローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大のために、今後5年間で、総額6兆円規模*1の設備投資・事業投資を実施します。*1 USスチール(米国)への約110億ドルの投資(~2028年末)を含む。 2.収益・財務目標、株主還元方針(1) 収益・財務目標経営計画の諸施策の実行により、中長期的な収益力及び資本効率の向上、並びに財務基盤の強化に取り組んでいきます。こうした取組みの成果として、2030年度を一つのマイルストーンとし、下記の財務指標の達成を目指します。 主要財務指標(2030年度目標)連結実力利益1兆円/年以上ROE10%程度(2031年度以降 10%)D/E0.7程度D/EBITDA *23.5以下 *2 劣後債等の資本性等調整後 (2) 株主還元方針(下限配当の新設)中長期的成長に向けた投資、株主還元、財務体質の健全性を適切なバランスで実現する観点から、現行の「連結配当性向年間30%程度を目安」とする配当方針を継続します。加えて、安定した収益基盤を築いてきたことも踏まえ、株主・投資家の皆様の配当の予見性を高め、日本製鉄の株式の魅力を高める観点から、2030中長期経営計画の5年間(2027年3月期~2031年3月期)においては、1株当たりの年間配当額の下限を24円とする方針とします。 日本製鉄は、今般策定した2030中長期経営計画の達成を通じて、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たし、日本経済の復活に貢献します。 (経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しています。 (注) 上記(経営環境)と(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)の記載には、本有価証券報告書提出日時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれている。これらはその発表又は公表の時点において当社が適切と考える情報や分析、一定の前提等に基づき策定したものであり、かかる見積りに固有の限界があることに加え、実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。かかる要因については、後記「3 事業等のリスク」を参照されたい。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当期における当社グループの経営成績の状況の概要は、本報告書「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しています。 ② 当期末の資産、負債、資本及び当期のキャッシュ・フロー当連結会計年度末における資産、負債、資本については、下記のとおりです。 連結総資産は14兆6,605億円と、前連結会計年度に比べて3兆7,181億円増加しました。負債は8兆6,360億円と、前連結会計年度に比べて3兆5,969億円増加しました。資本は6兆245億円と、前連結会計年度に比べて1,211億円増加しました。なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は5兆5,304億円となり、有利子負債は当期末5兆1,742億円となりました。この結果、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.94倍(劣後ローン・劣後債資本性調整後0.71倍)となりました。 (総資産)現金及び現金同等物は、前期末(6,725億円)から2,112億円減少し、当期末4,612億円となりました。これは、事業利益による営業活動キャッシュ・フローの収入、当社米国子会社とUnited States Steel Corporationとの合併(以下「本合併」という。)に伴う株式取得対価のパーマネントファイナンスを目的としたコミット型劣後特約付タームローン、転換社債型新株予約権付社債、JBIC協調融資等の資金調達等による財務活動キャッシュ・フローの収入があった一方で、有形固定資産及び無形資産の取得、本合併を中心とした連結の範囲の変動を伴う子会社株式の取得等による投資活動キャッシュ・フローの支出があったことによるものです。 営業債権及びその他の債権は、前期末(1兆4,304億円)から3,377億円増加し、当期末1兆7,682億円となりました。これは、本合併等によるものです。 棚卸資産は、前期末(2兆1,990億円)から5,769億円増加し、当期末2兆7,760億円となりました。これは、本合併等によるものです。 有形固定資産は、前期末(3兆6,355億円)から2兆2,639億円増加し、当期末5兆8,995億円となりました。これは、本合併に加えて、名古屋製鉄所の次世代熱延ライン等、戦略商品の能力・品質向上対策への投資を含め、競争力優位な設備への選択投資を実行したこと等によるものです。 のれんは、前期末(716億円)から1,881億円増加し、当期末2,597億円となりました。これは、本合併等によるものです。 無形資産は、前期末(2,632億円)から5,695億円増加し、当期末8,328億円となりました。これは、本合併等によるものです。 (負債)有利子負債は、前期末(2兆5,074億円)から2兆6,668億円増加し、当期末5兆1,742億円となりました。これは、本合併に伴う株式取得対価のパーマネントファイナンス等によるものです。 営業債務及びその他の債務は、前期末(1兆6,713億円)から6,687億円増加し、当期末2兆3,401億円となりました。これは、本合併等によるものです。 (資本) 利益剰余金は、前期末(3兆8,199億円)から677億円減少し、当期末3兆7,521億円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益(171億円)等による増加があった一方で、配当の支払による減少(1,464億円)があったことによるものです。 その他の資本の構成要素は、前期末(4,736億円)から2,061億円増加し、当期末6,797億円となりました。これは、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の公正価値の純変動による増加(579億円)、為替相場の変動による在外営業活動体の換算差額の増加(1,753億円)等があったことによるものです。 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローについては、下記のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは7,169億円の収入となりました(前期は9,785億円の収入)。投資活動によるキャッシュ・フローは2兆8,371億円の支出となりました(前期は4,624億円の支出)。この結果、フリーキャッシュ・フローは2兆1,202億円の支出となりました(前期は5,161億円の収入)。財務活動によるキャッシュ・フローは1兆8,863億円の収入となりました(前期は3,133億円の支出)。以上により、当期末における現金及び現金同等物は4,612億円(前期は6,725億円)となっています。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)税引前利益1,728億円に、減価償却費及び償却費(5,739億円)の加算、事業再編損(2,712億円)の加算等の収入がある一方で、持分法による投資損益(854億円)の控除の調整に加え、法人所得税の支払(2,233億円)等による支出がありました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)関係会社株式の売却による収入(1,005億円)等がある一方で、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(8,631億円)、本合併を中心とした連結の範囲の変動を伴う子会社株式の取得による支出(2兆155億円)等がありました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 本合併に伴う株式取得対価のパーマネントファイナンス等の資金調達を通じた有利子負債の増加(2兆52億円)等による収入がある一方で、前期末及び当第2四半期末の配当の支払(1,464億円)等による支出がありました。 ③ 生産、受注及び販売の状況a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。 セグメントの名称前連結会計年度 金額(百万円)当連結会計年度 金額(百万円)製鉄9,255,66010,187,229エンジニアリング342,927324,011ケミカル&マテリアル241,817221,565システムソリューション345,156382,294合計10,185,56111,115,101 (注) 1 金額は製造原価による。2 上記の金額には、グループ向生産分を含む。 b. 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメント毎に示すと、次のとおりです。 セグメントの名称前連結会計年度受注高(百万円)当連結会計年度受注高(百万円)前連結会計年度受注残高(百万円)当連結会計年度受注残高(百万円)エンジニアリング364,525322,047422,888387,418システムソリューション262,387317,144122,836147,345合計626,913639,192545,725534,763 (注)1 上記の金額には、グループ内受注分を含まない。 2 「製鉄」、「ケミカル&マテリアル」は、多種多様な製品毎に継続的かつ反復的に注文を受けて生産・出荷する形態を主としており、その受注動向は、生産実績や販売実績に概ね連動していく傾向にあり、また、需要動向等についても、本報告書「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」において記載していることから、金額又は数量についての記載を省略している。 c. 販売実績当連結会計年度における外部顧客に対する販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。 セグメントの名称前連結会計年度 金額(百万円)当連結会計年度 金額(百万円)製鉄7,819,7489,173,227エンジニアリング371,309357,517ケミカル&マテリアル250,873239,835システムソリューション253,594292,636合計8,695,52610,063,216 (注) 1 前連結会計年度及び当連結会計年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりである。前連結会計年度当連結会計年度輸出販売高(百万円)輸出割合(%)輸出販売高(百万円)輸出割合(%)3,585,75541.25,203,06951.7 (注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。2 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は、次のとおりである。輸出先前連結会計年度(%)当連結会計年度(%)アジア57.935.5中近東5.43.4欧州9.612.6北米13.938.5中南米10.98.0アフリカ1.71.6大洋州0.60.4合計100.0100.0 (注) 輸出販売高には、在外子会社の現地販売高を含む。3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略している。4 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動があった。これは、製鉄セグメントにおいてUnited States Steel Corporationが連結子会社となったこと等によるものである。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(経営成績の分析)当期の世界経済は、AI、電力、防衛等の一部分野を除き、国内・海外ともに製造業・建設業のベース需要が低迷し、世界の鉄鋼事業環境は危機的な状況が継続しています。中国では、経済減速による需給ギャップ拡大を背景に過剰生産が継続し、これに伴う安価な鋼材輸出増加が国際市況の低迷を招いています。こうした環境のもと、各国・地域で通商措置が発動されており、日本国内への輸出圧力がさらに高まっています。このため、日本においては輸入通商対策の強力な検討・推進が重要性を増している状況です。当社は、こうした厳しい経営環境を早くから想定し、2021年3月に策定した「日本製鉄グループ中長期経営計画」(以下、前中長期経営計画)において、4つの柱として「国内製鉄事業の再構築とグループ経営の強化」、「海外事業の深化・拡充に向けた、グローバル戦略の推進」、「カーボンニュートラルへの挑戦」及び「デジタルトランスフォーメーション戦略の推進」を掲げるとともに、当初想定を上回る事業環境の変化にも対応する諸施策を実行してきました。国内では、生産設備構造対策による固定費削減、紐付き価格の是正と外部調達コスト変動影響の負担適正化とともに品種高度化を通じた限界利益の引上げによる損益分岐点の抜本的な引下げを実行し、その効果を着実に発現させてきました。加えて、国内鉄グループ会社再編によるシナジー最大化の追求、United States Steel Corporation(以下、USスチール)買収やインドでの能力拡張等の海外事業の深化・拡充、原料「調達」から「事業」への進化、流通を自らの事業分野へ取り込むことにより「幅と厚み」を持つ強靱な事業構造への進化を進めてきました。これらの取組みにより鉄鋼事業の環境悪化に先手を打つことで、当初想定以上に需要が減少し競合が激化する局面においても、実力ベース連結事業利益(※)6,000億円以上を確保し得る優位性を構築しました。その結果、世界の同業他社と比較して相対的に高水準の収益力を維持しているものと認識しています。(※)事業利益より在庫評価差等を控除し、当社グループとしての実力を表すと認識しているもの。 当期の連結業績については、売上収益は10兆632億円(前期は8兆6,955億円)、事業利益は5,141億円(前期は6,832億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は171億円(前期は3,502億円)となりました。セグメント別の業績は以下のとおりです。当社グループは、製鉄事業を中核として、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つのセグメントで事業を推進しており、製鉄セグメントが連結売上収益の約9割を占めています。 (当期のセグメント別の業績の概況) 製鉄エンジニアリングケミカル&マテリアルシステムソリューション合計調整額連結財務諸表計上額売上収益当期92,2173,9442,5793,828102,570△1,937100,632(億円)前期78,7434,0042,6913,39388,833△1,87886,955セグメント利益当期4,3992312194335,283△1425,141(億円)前期6,2101461893886,934△1026,832 <製鉄>製鉄セグメントの売上収益は9兆2,217億円(前期は7兆8,743億円)、セグメント利益は4,399億円(前期は6,210億円)となりました。製鉄セグメント利益の前期に対する増減△1,810億円の主な要因は次のとおりです。 生産・出荷数量△ 200億円マージン(為替影響含む)△1,150億円コスト改善+1,300億円本体海外事業△ 350億円原料事業△ 710億円鉄グループ会社△ 350億円在庫評価差△ 90億円その他△ 260億円合計△1,810億円 当社は従来からの抜本的な収益構造対策等の継続により収益の最大化に取り組んできましたが、極めて厳しい事業環境が継続するなか、コスト改善(+1,300億円)の効果はあったものの、生産・出荷数量(△200億円)やマージン(△1,150億円)、本体海外事業(△350億円)、原料事業(△710億円)、鉄グループ会社(△350億円)等の影響が大きく、セグメント利益は前期比1,810億円減となりました。 <エンジニアリング>日鉄エンジニアリング㈱においては、高い水準の受注残工事を実行し、2025年度の目標としていた事業利益200億円を超過達成しました。また、タイ国内のオンサイト事業会社の買収・連結子会社化を実行し一層の事業拡大を図るなど、各事業領域における成長のための具体的な取組みを着実に進めました。売上収益については、事業毎に案件規模や工事進捗状況等による増減はあるものの、過年度から順調に積み上がった受注残高を背景に、廃棄物発電プラント事業等で大型案件の工事が着実に進捗したことや、環境O&M事業や電力ビジネス事業の取引規模増等により、全体では前年度とほぼ同じ水準を維持しました。事業利益については、堅調な工事進捗に加え、電力ビジネス事業での収益改善等もあり、増益となりました。エンジニアリングセグメントの売上収益は3,944億円(前期は4,004億円)、セグメント利益は231億円(前期は146億円)となりました。事業形態別の売上収益(連結調整前)は以下のとおりです。 (当期の事業形態別の売上収益の概況) EPCO&M・サービス部材等販売製鉄プラントその他調整等連結財務諸表計上額売上収益当期2,5501,103198133△403,944(億円)前期2,751999187112△454,004 EPC分野については、廃棄物発電プラント事業においては複数の大型案件が着実に進捗した一方、建築工事事業では大型物流施設案件が工事進捗の端境期だった影響で、前期(2,751億円)より減少し2,550億円となりました。O&M・サービス分野については、電力取引量の増加やオンサイト事業の新規受注等により前期(999億円)を上回る1,103億円を計上しました。部材等販売分野についても堅調で、前期(187億円)より増収の198億円となりました。 <ケミカル&マテリアル>日鉄ケミカル&マテリアル㈱においては、米国関税措置による世界経済の先行き不透明感や原料価格の高騰の影響を受ける厳しい事業環境下において、コスト削減や販売価格改善に努めるとともに、AI関連需要の取込みにより事業全体は概ね堅調に推移しました。ケミカル&マテリアルセグメントの売上収益は2,579億円(前期は2,691億円)、セグメント利益は219億円(前期は189億円)、在庫評価損益を除く実力ベースでは242億円(前期は194億円)となりました。事業別の売上収益(連結調整前)は以下のとおりです。 (当期の事業別の売上収益の概況) コールケミカル化学品機能材料/複合材料その他調整等連結財務諸表計上額売上収益当期5209101,150△12,579(億円)前期6101,0801,00012,691 コールケミカル事業は、主力の黒鉛電極用ニードルコークスの需要低迷やピッチコークスの在庫調整が続く一方、タイヤ向けカーボンブラックは前年度並みで推移し、520億円(前期は610億円)となりました。化学品事業は、ベンゼン及びスチレンモノマーの需要停滞や中国での生産設備の新・増設継続の影響を受け、市況は低迷し、910億円(前期は1,080億円)となりました。機能材料事業では、AIサーバー・データセンター向け需要の拡大を背景に、機能樹脂や基板材料、半導体材料が好調に推移し、1,150億円(前期は1,000億円)となりました。 <システムソリューション>日鉄ソリューションズ㈱においては、「2025-2027中期経営計画」で掲げた以下の4つの抜本的変革を中心に取り組み、初年度はほぼ計画どおりに進捗しました。「事業収益モデルの変革」については、「TAM型(※)」モデルの拡大を図るべく各種施策に取り組み、事業構造の転換が進んでいます。「顧客アプローチの変革」については、企業のデジタル変革を支援するオファリングブランド「Corepeak」を立ち上げ、お客様へのアプローチを開始しています。「技術獲得・適用プロセスの変革」については、開発・運用統合プラットフォーム「Nestorium」を全社標準のITサービスプラットフォームとして活用し、開発生産性の向上に取り組んでいます。「社内業務・マネジメントの変革」については、管理系部門の統合、社内システムの刷新、生成AIの適用促進等による業務生産性の向上、経営管理の高度化に取り組んでいます。また、外部成長戦略・グローバル戦略についても積極的に取り組んでおり、インフォコム㈱及びインドネシアのPT.WCS ABYAKTA NAWASENAのグループ会社化や、機能強化・提供価値向上、事業領域の拡張等を目的とした資本業務提携等も実行しています。システムソリューションセグメントの売上収益は3,828億円(前期は3,393億円)、セグメント利益は433億円(前期は388億円)となりました。事業別の売上収益(連結調整前)は以下のとおりです。 (当期の事業別の売上収益の概況) ビジネスソリューションコンサルティング&デジタルサービスその他調整等連結財務諸表計上額売上収益当期2,865948153,828(億円)前期2,434948113,393 (注)当期より、組織改正に伴い、一部の分野につき、ビジネスソリューションからコンサルティング&デジタルサービスへの組替えを実施している。なお、前期は、当該変更を反映して作成したものを開示している。 当社及び製造分野向けが好調であったこと並びに金融分野向けのプロダクト販売の増により、2,865億円と前期(2,434億円)に対して増加しました。コンサルティング&デジタルサービスは、948億円と前期(948億円)と同水準となりました。(※)TAM型:以下の3つの収益モデルから構成される新たなビジネスモデル・SI Transformation(次世代SIモデル「T型」):革新的技術を用いて高い生産性で提供 ・Asset Driven(アセット活用型 「A型」):強みをアセット化して提供 ・Multi Company Platform(PF提供モデル「M型」):共同利用プラットフォームを提供 (経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)前中長期経営計画に掲げた収益・財務体質目標、株主還元とそれに対する当期の状況は以下のとおりです。2025年度の連結業績につきましては、売上収益は10兆632億円(うち上期4兆6,356億円、下期5兆4,275億円)、事業利益は5,141億円(うち上期2,275億円、下期2,865億円)、ROSは5.1%(うち上期4.9%、下期5.3%)となりました。 2025年度(実績) 2025年度経営計画売上収益事業利益率(ROS)5.1% 10%程度親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)0.3% 10%程度D/Eレシオ(*)0.71倍 0.7倍以下連結配当性向731.0% 30%程度を目安 (*) 劣後ローン・劣後債資本性調整後 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況の分析については、本報告書「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②当期末の資産、負債、資本及び当期のキャッシュ・フロー」 に記載しています。 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (資本政策) 一定水準の財務健全性が維持されることを前提として、当社グループは投下資本の運用効率を重視し、投資先への資本の投入(資本的支出、R&D、M&A含む)によって企業価値を最大化する資本政策を推進しています。それは、資本コストを超過する収益の創出が期待され、持続的な成長を可能にすると同時に、株主への利益還元によって株主の要求を満たすものです。 当社グループは、上記資本政策の達成に必要な資金を、主として「稼ぐ力」の維持と向上によって生み出される営業キャッシュ・フローから獲得することに加え、必要に応じて銀行借入や社債の発行等、外部からの資金調達も実施しています。 また当社グループは、ROS、ROE及びD/Eレシオを中長期的な収益の成長と財務体質の健全性を達成するうえでの主要な経営管理指標としています。 剰余金の配当等につきましては、本報告書「第4 提出会社の状況 3配当政策」に記載しています。 また、自己株式の取得については、機動性を確保する観点から、定款第33条の規定に基づき取締役会の決議によることとします。取締役会においては、機動的な資本政策等の遂行の必要性、財務体質への影響等を考慮したうえで、総合的に判断することとしています。 (資金需要の動向に関する経営者の認識と資金調達の方法)1)中長期経営計画の実行状況(2021年3月公表「日本製鉄グループ中長期経営計画」)2021年3月に公表した「日本製鉄グループ中長期経営計画」 (以下、「前中長期経営計画」という。)の期間(2021年度から2025年度)においては、当初想定を上回る事業環境の変化にも対応する諸施策を実行してきました。国内では生産設備構造対策による固定費削減、紐付分野を中心とする販売価格の是正と外部調達コスト変動影響の負担適正化・品種高度化による限界利益の引上げを通じ、損益分岐点を4割引き下げました。加えて、国内鉄グループ会社再編によるシナジー最大化の追求や、United States Steel Corporation (以下、「USスチール」という。)の買収やArcelor Mittal Nippon Steel India Limited(以下、「AM/NS India」という。)における能力拡張等の海外事業の深化・拡充を進めるとともに、原料「調達」から「事業」への深化を図り、流通についても自らの事業分野へ取り込むことで、「幅と厚み」を持つ強靭な事業構造への深化を実現してきました。これらの取り組みにより、当初想定以上に鋼材需要が減少するなか、鉄鋼事業の環境悪化に先手を打つことで、市場における如何なる競合の激化が生じても、「実力ベース連結事業利益6,000 億円以上」を確保し得る優位性を確立しました。その結果、世界の同業他社に対しても相対的に高水準の収益力を維持しています。 上記対応を進めるなかで、設備投資については、「強靭な国内生産体制の再構築」及び「戦略商品の競争力強化」を基本方針として、計画的に実行してきました。国内製鉄事業において、生産設備構造対策により競争力優位な設備に生産を集中するとともに、高付加価値製品の能力・品質向上のための投資を進めています。これらの結果、2021年度から2025年度までの5年間における設備投資額は、USスチール関連投資を含め、約3.5兆円となりました。 また、事業投資については、将来的なグローバル粗鋼1億トン体制及び外部環境に左右されない厚みを持った事業構造への進化に向けた施策を推進しました。具体的には、当社・グループ会社のさらなる競争力の強化、シナジーの追求を目的として、2023年4月の日鉄物産㈱の子会社化、2025年4月の山陽特殊製鋼㈱及び2026年4月の黒崎播磨㈱の完全子会社化等を実行しました。原料事業においては、カーボンニュートラル鉄鋼生産プロセスに必要不可欠な製鉄用原料炭等を目的として、2024年1月のカナダの原料炭事業会社Elk Valley Mining Limited Partnershipへの出資、2025年3月の豪州Blackwater炭鉱の権益の20%取得等を実行しました。海外事業においては、需要の伸びが確実に期待できる地域、当社の技術力・商品力を活かせる分野における鉄源一貫生産体制の拡充を推進しました。特に重点地域である「米国・欧州」「インド」「タイ」では、2022年2月のタイG Steel Public Company Limited及びG J Steel Public Company Limited(以下、「G/GJ Steel」という。)の買収、2025年6月の当社米国子会社とUSスチールの合併等を実行し、インドにおいては、AM/NS Indiaの既存拠点であるハジラ製鉄所にて、現在、能力拡張を進めています。これらの結果、2021年度から2025年度までの5年間における事業投資額は、USスチール関連投資を含め、約4.0兆円となりました。カーボンニュートラルについて、2030年にCO2総排出量を対2013年比で30%削減するというターゲット、及び2050年カーボンニュートラルを目指すというビジョンを掲げ、カーボンニュートラル社会の実現に向け革新技術の他国に先駆けた開発・実機化の取組みを進めています。技術開発については、「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」に参画し、国の支援も活用しながら、高炉水素還元、100%水素直接還元プロセス、大型電炉による高級鋼製造の3つの革新的技術等の開発を進めています。また、実機化については、2025年5月に高炉プロセスから電炉プロセスへの転換投資がGX推進法に基づく支援事業に採択され、2029年度までに九州製鉄所八幡地区、瀬戸内製鉄所広畑地区、山口製鉄所(周南)で電炉3基を新設・増設・再稼働させる設備投資を決定しました。 利益成長の実現に向け経営資源を戦略的に投入する一方、資本効率の向上及び財務健全性の確保の両立の観点から、資産圧縮を財務戦略上の最優先課題の一つとして位置付け、継続的に取り組んできました。設備投資や事業投資といった成長投資が先行する局面においても、一定の財務規律遵守の観点から、資産圧縮推進による運転資本の最適化を並行して進めることで、投資余力の確保と財務体質の強化を図っています。具体的には、2012年度以降、政策保有株式の売却、在庫圧縮、不動産売却、並びに資金効率化等を通じ、2025年度までの14年間累計で連結ベースで約2.2兆円の資産圧縮を実行しました。 2)資金調達利益成長の実現に向けた戦略投資の実行に伴う多額の資金所要に対し、当社は調達環境、金利条件等を勘案して、最適なタイミングで資金調達面での対応を図ってきました。2025年度においては、USスチールの買収(約2兆円)に伴う株式取得対価の支払いを目的として借り入れた資金(以下、「ブリッジローン」という。)に対し、コミット型劣後特約付タームローン(2025年9月、総額5,000億円)、2029年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債及び2031年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2026年3月、総額6,000億円)、及び㈱国際協力銀行、㈱三菱UFJ銀行、㈱三井住友銀行、㈱みずほ銀行及び三井住友信託銀行㈱による協調融資(2026年3月、総額約9,000億円)による資金調達(以下、「パーマネントファイナンス」という。)を実行し、ブリッジローン全額に係る返済資金の調達を完了しました。劣後ローン・劣後債資本性調整後のD/Eレシオは、USスチールの買収直後となる2025年6月末には一時的に0.85倍まで悪化したものの、上記のパーマネントファイナンス等を通じ、2026年3月末は0.71倍まで改善し、2025中長期経営計画の目標を概ね達成しました。 3)日本製鉄グループ中長期経営計画(2025年12月公表「2030 中長期経営計画」)2025年12月に公表した「2030年中長期経営計画」において、一段と厳しい経営環境を想定し、国内事業のさらなる収益基盤強化と海外事業でのグローバル成長戦略の実行により、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たすことを目標としています。同計画においては、企業価値の持続的な向上を目指して、成長投資・株主還元・財務体質の健全性において、適切なバランスを追求しながら、経営資源を戦略的に投入することとしています。国内事業におけるさらなる収益基盤の強化による収益力向上と、海外事業におけるグローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大のために、2026年度から2030年度までの5年間で総額6兆円規模の設備投資及び事業投資を計画しています。特に、海外事業では、米国・欧州、インド、タイを重点地域とし、鉄源からの一貫生産体制の強化を目的とした大規模な成長投資及び経営リソースの集中投入を行い、飛躍的利益拡大を図ります。具体的には、米国においては、USスチールが2028 年末までに約110億ドルの設備投資を実行し、日本製鉄が最先端の操業技術・設備技術・商品技術を移転していくことにより、設備投資効果・シナジーを最大限発揮することを目指します。インドにおいては、AM/NS Indiaにおいて高級鋼製造対策とさらなる生産規模拡大を推進すべく、インド西海岸ハジラ製鉄所において、既に着手している最新鋭の薄板製造設備も含めた能力拡張を確実に進めるとともに、南部(アンドラプラデシュ州ラジャヤペタ)における一貫製鉄所建設に着手し、インド国内でのシェアの拡大を図ります。タイにおいては、G/GJ Steel及びNS-Siam United Steel Co., Ltd.を中心に鉄源からサプライチェーン一貫での強化を図り、インサイダーとしての強みを最大限発揮することで、ASEANの最重点マーケットであるタイの薄板市場におけるさらなるポジション拡大を図ります。 カーボンニュートラルへの取組みについては、国内において2030年までに大型電炉の実装を図るとともに、GXスチール市場の形成に向けた制度整備や国際標準化の推進に取り組んでいく方針です。また、政府支援や産官学連携の活用を通じて革新技術の開発を加速し、2050年におけるカーボンニュートラルの実現を目指します。また、国内・海外における主要施策を着実に実行する基盤として、最先端技術の開発推進、業務刷新・効率化の推進及び人材競争力の強化に取組みます。これらの経営計画の諸施策を実行することにより、中長期的な収益力及び資本効率の向上、並びに財務基盤の強化に取り組むとともに、これらの成長戦略を機動的かつ継続的に遂行するため、当社グループは一定の財務規律を遵守したキャッシュ・マネジメントを引き続き実行します。こうした取組みの成果として、2030年度を一つのマイルストーンとし、連結実力利益は1兆円/年以上、連結ROEは10%程度(2031年度以降は10%超)、劣後債等の資本性等を調整したD/Eレシオについては0.7倍程度、劣後債等の資本性等を調整したD/EBITDA倍率については3.5倍以下を目指し、成長投資と財務健全性の両立を図っていく方針です。 (流動性管理及び資金調達の方針について)当社グループの円滑な事業活動に必要な資金を確保するため、手許資金及び外部借入を有効に活用しています。手許資金については、実需に見合った最低限の現預金を保有する方針としており、過去及び将来の資金繰りを勘案し、最適な保有残高を志向しています。外部借入については、安全性・安定性・柔軟性を担保する観点から基本的な調達の枠組みを決定しています。具体的には、不測の事態発生時における、当社の支払余力を確保すべく、適正な長期固定適合比率を維持するとともに、安全性の補完のためにコミットメントライン(当社連結:1兆185億円)契約を締結しています。また、短期資金と長期資金のバランスを踏まえた有利子負債残高の設計により自由度を確保しており、当該枠組みの範囲内で、最適な資金調達の実現を志向しています。 ③会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、本報告書「第一部企業情報 第5 経理の状況」に記載しています。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、引当金の計上、非金融資産の減損、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っています。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。 当社が特に重要と判断している会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下です。 a.非金融資産の減損当社グループは、資産が減損している可能性を示す兆候のいずれかが存在する場合、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額を回収可能価額として見積り、回収可能価額が資産又は資金生成単位の帳簿価額を下回る場合、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しており、使用価値は見積将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算出しています。当該キャッシュ・フローは中長期経営計画及び最新の事業計画を基礎としており、これらの計画には鋼材需給の予測及び製造コスト改善等を主要な仮定として織り込んでいます。鋼材需給及び製造コスト改善の予測には高い不確実性を伴い、これらの経営者による判断が将来キャッシュ・フローに重要な影響を及ぼすと予想されます。なお、当期末における有形固定資産の残高は5兆8,995億円、無形資産の残高は8,328億円、のれんの残高は2,597億円となっています。 b.繰延税金資産の回収可能性当社グループは、鋼材需給の予測及び製造コスト削減等の仮定に基づいて算定された将来における課税所得の見積り等の予想等、現状入手可能な全ての将来情報を用いて、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。当社グループは、税務上の便益が実現する可能性が高いと判断した範囲内でのみ繰延税金資産を認識していますが、経営環境悪化に伴う中長期経営計画及び事業計画の目標未達等による将来における課税所得の見積りの変更や、法定税率の変更を含む税制改正等により回収可能額が変動する可能性があります。なお、当期末における繰延税金資産(繰延税金負債との相殺前)の残高は4,806億円です。 (中東情勢が当社グループにおける重要な会計上の見積りに与える影響について)中東情勢が当社グループの非金融資産の減損における回収可能価額及び繰延税金資産の回収可能性に与える影響については、中東情勢の終結の見通しが立っておらず、当該影響を網羅的かつ合理的に把握することはできないことから、一定の想定が可能な影響に限り反映し見積りを行っています。しかしながら、この仮定は高い不確実性を伴っており、翌期以降において、仮定の見直しにより、見積り額及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。

事業リスク

  • 世界経済の変動と鉄鋼市場
    製鉄事業は、自動車や建設など主要な需要産業の景気動向に大きく左右されます。日本や世界経済の悪化、特に中国経済の低迷や過剰生産は、鋼材需要の減少や価格競争の激化を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 原燃料価格と為替の変動
    鉄鉱石や石炭などの主原料の多くを海外からの輸入に依存しており、国際的な需給状況や海上運賃の変動がコストに直結します。また、為替相場の変動、特に急速な円安は輸入コストを押し上げ、収益を圧迫する可能性があります。
  • 他素材との競合と技術革新
    アルミニウムや炭素繊維、樹脂など、鉄鋼以外の素材との競合が激化しています。特に電気自動車(EV)の普及に伴い、自動車向け素材のニーズが多様化しており、他素材への転換が進むと鋼材需要が減少し、業績に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|10,876 文字
3 【事業等のリスク】本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、下記各項のものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況」の他の項目、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の各注記、その他においても個々に記載していますので、あわせて御参照ください。なお、当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、本報告書「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの企業統治体制を整え、内部統制システムを整備・運用し、各社・各部門が自らの事業上のリスクの把握・評価を行ったうえで、組織規程・業務規程において定められた権限・責任に基づき業務を遂行しています。文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。 <経営環境(鉄鋼市場)に関するリスク>(1)日本及び海外の経済状況の変動等製鉄事業を中核とする当社グループにおいては、連結売上収益の約9割を製鉄事業が占めています。自動車、建設、エネルギー、産業機械等、鋼材の主要な需要家が属する業界と同様に、製鉄事業は国内外のマクロ経済情勢と相関性が高く、日本や世界経済の景気に大きく影響されます。当社は、資産の多くを日本に保有しており、日本の政治的、経済的又は法的環境が大きく変わると、その資産価値が大きく変動するリスクがあります。また、日本は、当社グループの最も重要な地理的市場の一つであり、国内売上収益が連結売上収益の約5割を占めます。先行きを見通すことは困難ですが、日本国内においては、人口減少や製造業の海外移転等を背景に需要の減少傾向が継続しており、今後、経済情勢が悪化した場合には、当社グループの事業活動、業績、財政状態や将来の成長に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループは、グローバル戦略の深化・拡充を事業戦略の一つに掲げており、海外売上収益は、連結売上収益の約5割を占めます。海外では政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む。)、日本との外交関係の悪化、経済情勢の悪化、商習慣、労使関係や文化の相違に加え、鋼材需要の減退、価格競争の激化、大幅な為替レート変動、自然災害の発生、感染症の拡大、投資規制、輸出入規制、為替規制、現地産業の国有化、税制や税率の大幅な変更等、海外各国における事業環境の変化により、当社グループの事業活動、業績、財政状態や将来の成長に悪影響が生じる可能性があります。足元の事業環境においては、国内外ともに製造業・建設業のベース需要が低迷しているなか、中国経済の減速に伴う需給ギャップの拡大及び過剰生産の継続を背景に、安価な鋼材輸出の増加が国際市況の低迷を招いており、鉄鋼需給の観点から厳しい環境が継続しています。さらに、保護主義的な通商政策の台頭や相互関税の発動等により、通商措置の強化及び輸出入環境の変化が生じており、政治と経済の相互作用の強まりを通じて、不確実性が増しています。 加えて、中東情勢の緊迫化等を含む地政学的リスクは、エネルギーや原燃料の供給に影響を及ぼすのみならず、グローバルなサプライチェーンを通じて幅広い産業の需要に波及しており、その影響を網羅的かつ合理的に定量化することは困難な状況にあります。 このように、鉄鋼需要の構造的な変化に加え、通商政策の動向及び地政学的要因等が複合的に影響するなか、当社グループの事業活動、業績、財政状態や将来の成長は、今後の世界経済の動向等により、想定と大きく異なる結果となる可能性があります。 (2)鋼材需給の変動等鋼材の国際的な需給の変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。特に、中国における鉄鋼の過剰生産及び輸出拡大を背景とした各国の通商措置拡大や、米国政権による関税政策等が、世界の鋼材需給の悪化や鋼材価格の下落を招くおそれがあります。また、各地で勃発する紛争等の地政学リスクによっても、鋼材需給が悪化するおそれがあり、これらにより、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。さらに、当社グループの製鉄事業における需要家の多くは、鋼材を大量にかつ長期にわたり購入しており、主要な需要家において事業戦略や購買方針の大幅な変更が生じた場合、あるいは鋼材等の販売先である商社・需要家等において与信リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。 (3)原燃料価格の変動等当社グループは、鋼材の生産に必要な鉄鉱石、石炭等の主原料の大半をオーストラリア、ブラジル、カナダ、米国等の海外から輸入しています。また、当社グループは、主原料をはじめ、合金、スクラップ、天然ガス等の原燃料の調達に際し、調達ソースの分散等を通じて安定調達に努めていますが、その価格や海上輸送にかかる運賃は国際的な需給状況により大きく変動しており、市況が高騰した際に、当社グループがこれを鋼材の販売価格に転嫁できなければ、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、原燃料生産国における大きな自然災害、ストライキやトラブルの発生、政治情勢の悪化や戦争・テロ、感染症の拡大等により、原燃料の生産・出荷・貿易量が減少すると、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (4)為替相場の変動当社グループは、製品等の輸出及び原燃料等の輸入において外貨建取引を行っており、また外貨建ての債権債務を保有しています。製品等の輸出による受取外貨を原燃料等の輸入の際の支払外貨に充当することにより為替変動影響の大部分を排除したうえで、実需原則に基づいて先物為替予約を実施していますが、為替相場の変動が当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。また、外貨建資産の評価や海外事業の利益の円換算等において、為替相場の変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。円高が進んだ場合、鋼材を中心とする当社グループの国内製品の輸出競争力が損なわれることや、自動車、家電、エネルギー、産業機械等、製鉄事業の主要な需要産業の輸出競争力も損なわれて国内鋼材需要が減退することにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。一方、円安が進んだ場合、輸出市場においては相対的に価格競争力が増しますが、原燃料等の価格が高騰している状況においては、急速な円安によるコスト影響が従来以上に大きくなる可能性があります。 (5)他素材との競合鉄鋼製品は、アルミニウム、炭素繊維、ガラス、樹脂・プラスチック、複合材、コンクリート及び木材のような他の素材と常に競合しています。近年、特にエコカーの普及等により素材へのニーズが多様化している自動車向け用途においては、当社グループも独自に鋼材のさらなる軽量化や高機能鋼材の研究・開発・製造等を進めていますが、需要家がアルミニウム、樹脂、炭素繊維複合材等の他素材への転換を選択し鋼材の需要が減少すると、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 <事業戦略・計画の遂行に関するリスク>(1)中長期経営計画の遂行当社グループは、2025年12月に「2030中長期経営計画」(本項において、以下「中長期経営計画」という。)を策定し、その計画に掲げた具体的諸施策を推進しています。中長期経営計画は、策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されていますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれています。今後、事業環境の悪化や本「事業等のリスク」として記載したすべての事項を含めたその他の要因により、期待される成果の実現に至らず、中長期経営計画で掲げた投入計画、財務目標も達成できない可能性があります。 (2)コスト改善の取組み当社グループは、コスト体質強化につながる技術開発や操業効率化に資する設備・技術への投資、製造プロセス一貫での最適製造化、当社技術・ノウハウの海外拠点への移転、並びに業務刷新・効率化や自動化・機械化等を通じた生産性向上の取組みを進めています。しかしながら、国内外の鉄鋼需給の変化や輸出環境の悪化、各種コストの上昇等により、当社グループを取り巻く事業環境が悪化した場合には、収益に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらの環境変化に対し、上記の取組みを通じてコスト低減及び収益力の維持・向上を図りますが、技術開発や設備投資等が計画通り進まない場合や、外部環境の変化に対して想定通りの効果を発揮できない場合、又は必要な投資が適時かつ十分に実施されない場合には、コスト競争力の強化が十分に実現されず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (3)設備投資製鉄事業は資本集約型産業であり、継続的に多額の設備投資及び設備修繕支出を必要とします。当社グループは、国内外において設備の新鋭化・健全性維持及び成長分野の需要捕捉等に向けた設備投資を計画的に実施していますが、減価償却費が増加するほか、当初想定した効果が十分に得られないこと等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (4)組織再編、海外投資等当社グループは、国内外において、合併や買収、合弁会社の設立等の組織再編や投資を実施しており、今後もこれらを継続する可能性があります。当社グループは、慎重な事業評価、契約交渉、社内審議等のプロセスを経たうえで投資等の実行を判断し遂行していますが、対象各地域の需要動向、競争環境、為替動向、政治・経済情勢、規制・政策動向等の影響や、設備技術・操業技術・商品技術等の技術力、品質管理・工程管理等のノウハウの移転及び統合が計画通りに進まないことにより、投資効果が創出されなかったり、連結財政状態計算書に計上したのれんに減損が生じたりする場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (5)事業構造・生産体制の見直し国内鉄鋼需要の縮小や海外鉄鋼市場における競争激化及び主要生産設備の老朽化に対応すべく、国内製鉄事業においては、商品と設備の取捨選択による集中生産等を基軸とした、体質強化の徹底的な推進を目的に、設備の休止や不採算品種からの撤退等の生産設備構造対策を実施していますが、今後の経営環境の変化や収益動向等を踏まえ、さらなる対策を実施する可能性があります。海外においても、既存の事業についてこれまでに選択と集中を積極的に推進しましたが、経営環境の悪化等により、将来的に収益回復の見込みがない不採算事業や投資目的が希薄化した事業を中心に、引き続き再編・撤退を行う可能性があります。これらのさらなる対策及び再編・撤退等を実施する場合、減産や一時的な損失の発生等により、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、当期においては、事業再編損として2,712億円の損失を計上しています。 (6)カーボンニュートラル実現に向けた取組み当社は、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」のもと、「大型電炉による高級鋼製造」「水素による還元鉄製造」「Super-COURSE50等の高炉水素還元」の3つの新たなプロセス技術の開発・実装に取り組み、CCUS等によるカーボンオフセット対策も含めた複線的なアプローチで、2050年までのカーボンニュートラルを目指しています。こうしたカーボンニュートラル鉄鋼生産プロセスの実現には巨額の投資が必要であり、操業コストが従来プロセスと比べ上昇することも見込まれます。これに対し、非連続的イノベーション等のための研究開発や設備実装、増加する操業コストに対する政策措置、「CO2削減価値」をバリューチェーン全体で共有・負担する健全なGXスチール市場の形成等について、政府をはじめとする関係部門に対して働きかけを行ってきていますが、十分な政策措置等が講じられない場合や、必要な原材料(高品位鉄鉱石・スクラップ等)やグリーンエネルギー(水素、電力等)の安定的な供給体制、CCUSの社会的実装等の外部条件が想定と異なる場合、鉄鋼業界にとって不利となる制度変更、研究開発の成果が得られない等の場合には、期待される成果の実現に至らず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (7)人材確保・育成、DEIへの取組み、業務刷新・効率化当社グループの将来の成長は、有能な人材の確保及び育成に依拠する部分も大きいことから、仕事と生活の調和の取れた働き方の実現や関連諸制度の浸透・定着等によって就労環境の整備を図りつつ、育成体系の整備等を行いながら、安定的な人材確保と人材競争力の強化に努めています。また、有能な人材の確保及び育成とともに、会社人生で発生し得るライフイベントや健康に起因する労働損失を最小化し、様々な事情を抱える多様な人材が生産性高く、誇りを持って活躍できる働き方を実現するために、DEIの積極的な推進等を通じ、多様な従業員が誇りとやりがいを持って活躍できる企業を実現していくべく、具体的な取組みの強化に努めています。加えて、海外派遣を含むグローバル人材育成施策の更なる充実に取り組むとともに、国内人口減少による人手不足等の課題に対応するべく、DXを含めた業務刷新・効率化を進めています。当社グループは、有能な人材の確保と育成、DEIの推進、また業務刷新・効率化の推進に努めていますが、計画通り達成できない場合、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 <事業運営に関するリスク>(1)設備事故、労働災害等当社グループの中核事業である製鉄事業の生産プロセスは、高炉、コークス炉、転炉、連続鋳造機、圧延機、発電設備等の特定の重要設備に依存しています。当社グループは、安定生産の確保を図るため、設備と人材の両面で製造実力の強化策を推進していますが、これらの設備において、電気的又は機械的事故、火災や爆発、労働災害等が生じた場合、一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延すること等により費用や補償の支払いが発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、当社グループは、これらの事故等に関連し、一定の保険を付しています。 (2)品質問題等当社グループは、鉄鋼製品をはじめ、様々な製品・サービスを顧客に提供しています。当社は、「品質は生産に優先する」という基本的なものづくりの価値観のもと、一般社団法人日本鉄鋼連盟が定めた「品質保証体制強化に向けたガイドライン」等に沿った様々な取組みを実施していますが、製品やサービスに欠陥が見つかり品質問題が生じた場合は、顧客等から代品の納入や補償を求められるほか、製造・品質管理オペレーションの中止や見直しを行う必要が生じたり、当社グループ又は当社グループの製品やサービスに関する信頼が損なわれて売上が減少したりすること等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、当社グループは、これらの事故等に関連し、一定の保険を付しています。 (3)知的財産権の侵害等当社グループは、技術開発等の成果である知的財産について、特許権等の知的財産権を取得、保有又は営業秘密として秘匿することにより、事業活動における競争優位性を確保しています。これらの知的財産について第三者による権利侵害や無断使用等がなされた場合又は第三者から権利の有効性が争われた場合、当社グループは速やかに法的措置等を検討・実施するものの、必要な法的保護が受けられない可能性、また、損害の回復が十分になされない可能性があります。この場合、当社グループの競争優位性の喪失を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。当社グループは、各国・地域の知的財産法を遵守し、また第三者の知的財産を尊重し、事業活動を展開しています。しかしながら、第三者から知的財産の侵害訴訟等を提起され、当社グループに不利な判断がなされた場合は、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (4)情報システムの障害、情報漏洩等当社グループの事業活動は、情報システムの利用に大きく依存しており、また、自社及び顧客・取引先の営業機密や個人情報等の機密情報が情報システムに保管されています。当社においては、技術情報をはじめとする機密情報の漏洩対策を最重要の経営課題として認識し、システムのセキュリティ強化に加えて、業務ルール、社員教育等の対策を推進していますが、当社グループの情報システムにおいて、悪意ある第三者からのウイルス感染等のサイバー攻撃等により、システム停止、機密情報の外部漏洩や棄損・改ざん等の事故が起きた場合、生産や業務の停止、知的財産における競争優位性の喪失、訴訟、社会的信用の低下等を招き、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 <その他のリスク>(1)自然災害、戦争・テロ・感染症等当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。製鉄所をはじめとするこれらの各拠点においては、台風、地震、津波、洪水等の自然災害、戦争やテロ行為が生じた場合に備え、ハード面(設備対策)、ソフト面(事業継続計画の策定等)において、一定の対策を施していますが、大規模な自然災害等に見舞われた場合は、各拠点の設備、情報システム等が損害を被り、一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延すること等により費用や補償の支払いが発生したり、原料・製品・燃料の輸送手段等のインフラが停止したりすること等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループの拠点の有無にかかわらず、大規模な自然災害や戦争・テロ行為が生じた場合や強力な新型インフルエンザ等の感染症が世界的に流行した場合には、当社グループの事業活動に制約が生じる可能性があります。また、これに伴い、需要家の活動水準の低下やサプライチェーンの混乱等の影響による景気の急速な悪化等を通じて、当社グループの生産活動及び販売活動等に支障をきたす可能性があります。 (2)事業活動にかかる環境規制当社は、製鉄所毎に異なる環境リスクへのきめ細かな対応や各地域の環境保全活動を通じた環境リスクマネジメントを推進し、グループ全体での環境負荷低減に取り組んでいます。当社グループは、事業活動を行う日本及び海外各国において、大気・水・土壌の汚染、化学物質の利用、廃棄物の処理・リサイクル等に関する広範な環境関連規制の適用を受けており、今後、当社グループに不利な法規制の導入・改正・運用・解釈がなされることにより、当社グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加したりする可能性があります。また、当社グループは、「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つのゴールに掲げられた気候変動対策にも貢献すべく、世界最高レベルの資源・エネルギー効率で鋼材を生産し、中長期的なCO2排出量削減の観点から革新的な技術開発と長年培った技術の海外への移転・普及にも積極的に取り組んでいますが、CO2排出量取引(GX-ETS)が2026年度から本格導入されたことから、CO2の排出や化石燃料の利用に対する新たな規制により、製鉄事業を中心に当社グループの事業活動が制約を受けたり、費用が増加したりする可能性があります。 (3)非金融資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性当社グループは、製鉄所設備等の有形固定資産や無形資産、のれん等の多額の非金融資産を所有していますが、経営環境の変化等に伴い、その収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合には、将来的な回収可能性を踏まえて非金融資産の帳簿価額を減額し減損損失を計上するため、当社グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。当期末における有形固定資産の残高は5兆8,995億円、無形資産の残高は8,328億円、のれんの残高は2,597億円となっています。また、当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づき繰延税金資産を計上していますが、経営環境の変化等に伴い将来課税所得の見積りの変更が必要になった場合や税率等の税制変更があった場合、繰延税金資産の取崩しにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、当期末における繰延税金資産(繰延税金負債との相殺前)の残高は4,806億円となっています。 (4)有価証券等の保有資産(制度資産を含む。)価値の変動当期末において、当社グループは株式等の資本性金融商品、関連会社・共同支配企業に対する投資を合計1兆9,336億円保有しています。このうち、取引先や提携先の政策保有株式については、すべての株式を対象に、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を確認しており、時価が一定額を超える政策保有株式については、取締役会において毎年検証しています。しかしながら、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等により、評価損が発生する可能性があります。また、上記のほかに、当期末において、制度資産(退職給付信託財産を含む。)が当社グループ合計で1兆4,427億円あり、この資産を構成する国内外の株式、債券等の価格変動や金利情勢の変動が財政状態等に影響を与える可能性があります。 (5)金融市場の変動や資金調達環境の変化当期末における当社グループの連結有利子負債残高は、5兆1,742億円であり、金利情勢、その他の金融市場の変動が業績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、事業資金を金融機関からの借入及び社債の発行等により調達しています。当社グループは、中長期経営計画に掲げた親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(劣後ローン・劣後債資本性調整後D/Eレシオ)0.7程度、及びEBITDAに対する有利子負債の比率(劣後ローン・劣後債資本性調整後D/EBITDA)3.5以下を目標とし、健全な財務体質の維持に努めていますが、金融市場が不安定となり又は悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮したり格付機関が当社の信用格付の引き下げをしたりした場合等においては、必要な資金を必要な時期に適切な条件で調達できず、資金調達コストが増加することにより、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。その結果として、「中長期経営計画」に掲げた上記目標を達成できない可能性もあります。 (6)海外の主要市場における関税引上げ、輸入規制これまで当社グループにおける一部の鋼材の輸出取引において、米国や東南アジア諸国等から反ダンピング税等の特殊関税を賦課されています。当社グループは、輸入規制を受ける可能性を認識のうえ輸出取引を行うなど、適切に対応するよう努めていますが、将来、海外の主要市場国において関税引上げ、特殊関税の賦課、数量制限等の輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受けることにより、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。 (7)会計制度や税制の大幅な変更当社グループが事業活動を行う国において、会計制度や税制が大きく変更され又は当社グループに不利な解釈や適用がなされたりした場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、当社は、グローバル展開の一層の推進による企業価値の向上と資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的に、連結財務諸表において国際会計基準(IFRS)を任意適用しています。 (8)人権に関する国際規範等への対応当社グループは、人権に関する国際規範等を踏まえ、人権の尊重へのコミットメント、人権デューディリジェンスや是正・救済措置等の取組みを定め、人権尊重に対する当社グループの企業姿勢を内外に示すため、「日本製鉄グループ人権方針」を制定しています。本方針は、当社グループの役員・従業員のみならず、サプライヤーを含むすべてのステークホルダーにも本方針を理解し、支持していただくことを求めています。当社グループは、人権の尊重に最大限配慮しつつ、高い倫理観を持って事業活動に取り組む方針としていますが、当社グループ及びそのステークホルダーに人権の尊重に関する問題が発生した場合には、調達や生産・販売への影響に加えて、社会的信用の低下等により、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (9)各種法的規制、訴訟等当社グループの事業活動はグローバルに展開しており、日本及び海外各国・地域の法規制に従って事業活動を行っています。法規制には、商取引法、競争法、労働法、証券関連法、知的財産権法、環境法、税法、輸出入関連法、個人情報保護関連法、刑法等に加えて、事業活動や投資を行うために必要とされる様々な許認可及び経済安全保障に関連する規制等があります。今後、当社グループに不利な法規制の導入・改正・運用・解釈がなされることにより、当社グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加したりする可能性があります。当社グループは、法令遵守が事業活動の基盤であることを認識し、国内外の役員・従業員に対し、様々な形で法務・コンプライアンス教育を実施していますが、当社グループが何らかの法規制に違反したと認定された場合には、課徴金、許可取消等の行政処分、罰金等の刑事処分を受ける可能性があり、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループの広範な事業活動から、様々な第三者から訴訟を提起される可能性があり、重要な訴訟において当社グループに不利な判断がなされた場合には、事業活動の停止・制約、補償等により、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。

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