事業の概要
- 特殊鋼材の製造販売東北特殊鋼は、自動車産業向けを中心に、様々な特殊鋼鋼材を製造・販売しています。これには、エンジンバルブ用耐熱鋼や燃料噴射装置用電磁ステンレス鋼などが含まれ、多品種・小ロット・短納期での対応を強みとしています。主要原材料は大同特殊鋼グループから仕入れ、一部製品の販売も同グループを通じて行っています。
- 加工製品と熱処理加工特殊鋼材だけでなく、機械部品や工具などの加工製品の製造、さらに熱処理加工の受託も行っています。これにより、顧客の多様なニーズに応え、製品の付加価値を高めています。海外ではタイとインドの子会社が特殊鋼事業を展開し、グローバルな供給体制を構築しています。
- 不動産賃貸事業かつての長町工場用地を子会社である東特エステートサービスに賃貸し、同社が商業施設(ショッピングセンター)を建設して西友に賃貸しています。これにより、工場跡地の有効活用と安定的な賃貸収入を得ており、特殊鋼事業とは異なる収益源を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 特殊鋼事業このセグメントは、特殊鋼鋼材の製造・販売を主軸としています。自動車産業向けが売上の約7割を占め、エンジンバルブ用耐熱鋼や燃料噴射装置用電磁ステンレス鋼などが主要製品です。2023年度の売上高は188.21791億円、営業利益は1.87368億円で、同社の主力事業であり、海外ではタイとインドでも事業を展開しています。
- 不動産賃貸事業旧長町工場用地を子会社に賃貸し、商業施設(ショッピングセンター)として再開発された物件を西友に賃貸することで収益を得ています。2023年度の売上高は23.56289億円、営業利益は10.62447億円となっており、特殊鋼事業に次ぐ収益源として、安定した収益を上げています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| SpecialSteelBusiness | 地域 | 188 | 2 | 1.0% |
| RealEstateBusiness | 地域 | 24 | 11 | 45.1% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社グループは、当社および連結子会社4社により構成されており、その主な事業内容は次のとおりであります。(1)当社および当社の関係会社の事業における当社および関係会社の位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。特殊鋼事業………………… 当社は、特殊鋼メーカーとして各種特殊鋼鋼材を製造しているほか、機械部品、工具などの加工製品ならびに熱処理加工を行っており、多品種、小ロット、短納期対応を当社の特色としております。 当社は、主要原材料の大半をその他の関係会社である大同特殊鋼㈱およびその子会社の大同興業㈱を通じて仕入れており、大同特殊鋼㈱および大同興業㈱を通じて当社製品の一部の販売を行っております。 子会社である東特エステートサービス㈱からは工場用地の賃借および清掃・警備業務の支援を受けております。また、原材料の一部の購入および製品の一部の販売を子会社である東特興業㈱を通じて行っております。海外子会社であるTOHOKU Manufacturing(Thailand) Co.,Ltd.およびTOHOKU STEEL INDIA PRIVATE LIMITEDは、タイ、インドにおいて特殊鋼事業を展開しております。不動産賃貸事業…………… 当社の旧長町工場用地は、再開発のため子会社東特エステートサービス㈱に賃貸しております。東特エステートサービス㈱は、商業施設として建設したショッピングセンターを㈱西友に賃貸し、メンテナンス業務を請負っております。(2)事業の系統図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 製造コスト高騰を全て販売価格に反映することは困難であるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 加工が難しい特殊鋼の製造に特化した設備と、価値のある新しい機能材料を生み出す開発活動。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:原材料・エネルギー価格高騰による収益性悪化 / エンジン用商品市場の縮小 / 重要設備トラブルによる生産停止
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
東北特殊鋼は、特定の特殊鋼分野に特化しているものの、強力なブランド力、特許、規制ライセンスなどの明確な無形資産に関する情報は限定的である。汎用性の高い素材を扱うため、差別化された無形資産による競争優位性は低いと考えられる。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
特殊鋼は、自動車部品や産業機械など、高い信頼性が求められる分野で使用される。一度採用された鋼材の仕様変更は、設計変更や再試験を伴うため、顧客にとって一定のスイッチングコストが発生する可能性がある。しかし、代替材の存在や価格競争力も考慮すると、そのコストは限定的と推測される。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
特殊鋼の製造・販売事業は、ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。製品の品質や供給能力が重要であり、ユーザー数の増加が直接的に製品価値を高める構造ではない。
コスト優位★★☆☆☆
鉄鋼業は規模の経済が働きやすい産業であり、生産効率や原料調達においてコスト競争力が重要となる。東北特殊鋼は、特定のニッチ市場に特化することで、その分野での生産効率を高めている可能性があるが、大手鉄鋼メーカーと比較した場合の絶対的なコスト優位性は限定的と考えられる。
規模の経済★★★☆☆
特殊鋼というニッチ市場に特化することで、その分野においては一定の規模と専門性を有している。これにより、大手総合鉄鋼メーカーがカバーしきれない領域で、効率的な生産と供給体制を構築していると考えられる。市場シェアは限定的だが、特定分野での寡占的な地位を築いている可能性はある。
- 多品種・小ロット・短納期対応東北特殊鋼は、顧客の細かな要望に応えるため、多品種・小ロット生産と短納期での供給体制を確立しています。これは、特殊鋼という専門性の高い分野において、顧客の生産計画に柔軟に対応できる競争優位性となります。
- 高機能材料の開発力電磁ステンレス鋼などの高機能材料の開発に注力しており、真空誘導溶解炉や磁気焼鈍炉といった先進設備を最大限活用しています。これにより、自動車の電動化や半導体製造装置など、成長分野での新たな需要を取り込む可能性を秘めています。
- 大同特殊鋼グループとの連携主要原材料の大半を大同特殊鋼グループから仕入れ、一部製品の販売も同グループを通じて行っています。これにより、安定した原材料調達と販売チャネルを確保し、事業基盤の安定化に寄与していると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針 当社は、創立の精神である『高級特殊鋼を製造し、産業界に貢献する』に基づき、特殊鋼素材開発、製造、精密部品加工、熱処理、表面処理から成るバリューチェーンを活かした特徴ある商品をお客様に提供しております。また、お客様とのコラボレーションによる新たな商品開発も含め、多方面で新しい技術開発に取組んでおります。さらに、海外での生産活動も積極的に進め、タイとインドの生産拠点と連携し、グローバルに広がるお客様の多様なニーズに応えております。 2026年度は、前年度から続く厳しい経営環境の下、「潮目は今! 総力挙げて漕ぎ出せ 新海路」をスローガンに掲げました。全社一丸で事業ポートフォリオ改革や収益性向上などの事業改革を推進し、これからも産業界の発展ならびに人々の豊かな暮らしに貢献できるよう挑戦し続けてまいります。(2)中期経営計画の実績 当社グループは2024年に「2026中期経営計画」を策定・公表しました。当中期経営計画において、当連結会計年度は、売上高250億円、営業利益20億円、ROS(売上高営業利益率)8%、ROE(自己資本利益率)5%を目標として掲げましたが、実績は売上高209億円、営業利益14億円、ROS 6.8%、ROE 4.4%となり、いずれの数値目標も未達となりました。 当社グループは前回の中期経営計画において、2030年に目指す姿として「東北特殊鋼 2030 VISION」を策定し、「迫り来る革新的モビリティ・エネルギー・デジタル社会 その激流に流されず、変化を御してよりよい社会づくりのために高機能材を提供し続ける」ことを掲げました。「2026中期経営計画」は、このビジョンの実現に向け、前中期経営計画のコンセプトを踏襲しつつ、「『開発機能会社』への前進と柔軟な事業の転進」を基本コンセプトとして定めています。 当社グループは、特殊鋼事業と不動産賃貸事業が相互に連携しながら価値創出と成長を目指しており、「未来への成長投資」の強化とともに、厳しい事業環境下においても安定的に利益を確保する「収益性の改善」に取り組んでいます。主なアクションプランと当連結会計年度の取り組み状況は以下の通りです。 特殊鋼事業アクションプラン①「商品ポートフォリオ改革の断行」 第一に、当社グループの強み商品である電磁ステンレス鋼および特殊合金について、半導体製造装置や新エネルギー関連などの成長産業向け領域での販売拡大を図っています。過年度に実施した設備投資の成果を最大限活用し、安定した供給体制の構築を進めるとともに、マーケティングおよび営業活動の強化にも努めています。当連結会計年度においては、国内外の半導体製造装置向け市場において在庫調整が継続した影響を受け、強み商品の販売量は前連結会計年度比で減少しました。一方で、拡販活動を強化した結果、新規の引き合いは増加しており、その一部は受注に結びついています。 第二に、新たなビジネスモデルの構築として、トマト栽培向け害虫防除機器「トマタブル」の量産化および販売開始、振動発電によるIoT電源の商品化を計画しています。これらはいずれも当社が開発した磁歪クラッド材を活用した製品です。当連結会計年度においては、農業関連メディアへの掲載等を通じてトマト農家や自治体から大きな反響をいただきました。社内リソースを集約し、2026年度中の本格提供に向けた体制整備を進めています。 第三に、内燃自動車向けの既存主力商品および海外事業については、今後の需要減少局面においても収益性を維持・確保することを目的に、生産体制の見直しや低収益商品の選別を進めています。需要環境の変化を前提とした設備稼働の集約や人員配置の最適化に取り組むとともに、当連結会計年度においては、内燃自動車向け需要減少への備えとして、海外においても半導体製造装置向け製品の拡販活動を推進しました。特殊鋼事業アクションプラン②「環境価値の優れた開発商品拡大」 当社グループは、社会課題や顧客ニーズに応える環境価値の高い開発商品の拡大に取り組んでいます。具体的には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業を通じた次世代モーター用素材の開発、および磁歪クラッド材の用途開発を進めています。これらは、電動車の省エネルギー化や振動発電による新たなエネルギー獲得など、電動化社会の実現に貢献する取組みです。 当連結会計年度においては、次世代モーター用素材の性能向上に向けた研究を継続するとともに、将来の量産化を見据えたサプライチェーンおよび製造プロセスの検討を進めました。また、磁歪クラッド材については、害虫防除機器に加え、IoT電源や微小荷重センサー等への応用可能性を検討しました。特殊鋼事業アクションプラン③「未来工場実現に向けた基盤整備」 前述のアクションプランを支える基盤として、多様な人材が活躍できる環境の整備およびDXの推進に取り組んでいます。生産設備や基幹システムの更新を通じて、工場の効率稼働に加え、将来の成長に資する生産技術の蓄積や高付加価値・高品質製品の提供を目指しています。 当連結会計年度においては、ITインフラの更新および生成AI利用に関する社内ガイドラインの策定を実施しました。RPAによる業務自動化や生成AI活用の社内浸透により、業務DXは着実に進展しています。今後も、デジタル技術と製造現場の融合による未来工場の実現に向け、部門横断的な取組みを継続していきます。不動産賃貸事業アクションプラン「収益性の長期持続性確保」 当社グループの不動産賃貸事業は、仙台市長町エリアの旧工場跡地に建設した商業施設を中心とした賃貸事業であり、特殊鋼事業と並ぶ収益の柱として安定的な利益を創出しています。「2026中期経営計画」においては、商業施設の老朽化対応を進めつつ、周辺不動産への追加投資等を通じて、エリア全体の価値向上を図る方針としています。 当連結会計年度においては、商業施設を安全・快適に利用いただくための計画的な予防保全を継続し、不動産価値の維持・向上に努めました。(3)経営環境及び対処すべき課題 当社を取り巻く環境は、自動車の電動化、カーボンニュートラル、IT技術の進化、そして爆発的なAIの普及等、これまで経験したことがないスピードで変化しています。また、それぞれの分野で国際的な競争が激化しており、各種コストが高騰する中で、より良いものを需要環境に応じて柔軟に生産しお客様へ提供することが求められてきています。このような環境の中で、当社グループが策定した中期経営計画に沿って以下の活動を実施してまいります。①特殊鋼事業a.本業での収益力強化近年の原材料や人件費等の上昇により、当社では製造コストの上昇分を原価低減活動で吸収することが困難になってきております。併せて、事業の継続的な成長のため、研究開発活動や人的資本への投資を続けながら設備の維持更新も必要となります。また、半導体製造装置産業を中心とした慢性的な需要変動により理想的な操業水準が予測困難な状況となっており、コストの固定費負担が大きくなっています。自動車産業では生産台数が回復基調、かつ半導体製造装置産業では日本国内で半導体企業の進出が増えている状況ですが、サプライチェーンの上流における特殊鋼の需要はまだ先行きが不透明です。既存商品に係る特殊鋼の需要が低位な状況でも、当社は収益を確保するため、高付加価値商品を中心とした拡販活動を強化してまいります。 b.ポートフォリオ改革特殊鋼事業の売上高の約7割は自動車産業向けであり、その大部分はエンジンバルブ用耐熱鋼や燃料噴射装置用電磁ステンレス鋼の特殊鋼鋼材並びに自動車燃料系統用途の精密加工商品が占めています。今後、これらエンジン用商品の需要は縮小すると見込んでおりますが、その他の用途で需要がある電磁ステンレス鋼等の高機能材料について、市場シェアの拡大を図ります。また、現在当社グループの中で磁歪クラッド材や拡散接合技術の収益貢献はわずかではありますが、マーケティングの結果潜在的な需要があることがわかりました。これらの商品や技術が将来の収益に貢献できるよう、個々の需要を捉えて事業成長を図ります。 c.研究開発活動2024年度から2026年度の3年間は、毎期特殊鋼事業の売上高の2.5%を目標として研究開発活動に割り当てていきます。次世代モーター用素材の開発、及び磁歪クラッド材を用いた振動発電デバイスの開発を推進します。 ②不動産賃貸事業 旧長町工場用地に建設した商業施設である「ザ・モール仙台長町」を中心とした不動産価値の最大化が課題です。インターネット通信販売の普及や人口減少により、実店舗での販売は減少傾向が見られますが、これからも「安全・安心・快適」な施設作りとビルメンテナンスの提供を行い、集客力の維持・向上を図ります。また、地域や近隣店舗との連携を強化し、仙台市長町エリアの活性化を目指します。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、産業のグローバル化を背景に厳しい価格競争を強いられる事業環境のなか、さらなる経営基盤の強化・持続的発展に向けた戦略投資に向けて積極的に資源配分しつつ、収益確保を目指しております。 2026中期経営計画では、最終年度の2027年3月期において連結売上高260億円、連結営業利益23億円を目標としております。 実績中期経営計画2025年度2024年度2025年度2026年度連結売上高(億円)209230250260連結営業利益(億円)14142023ROS(連結営業利益/連結売上高)6.8%6%8%9%ROE(連結当期純利益/連結純資産)4.4%4%5%6%
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針 当社は、創立の精神である『高級特殊鋼を製造し、産業界に貢献する』に基づき、特殊鋼素材開発、製造、精密部品加工、熱処理、表面処理から成るバリューチェーンを活かした特徴ある商品をお客様に提供しております。また、お客様とのコラボレーションによる新たな商品開発も含め、多方面で新しい技術開発に取組んでおります。さらに、海外での生産活動も積極的に進め、タイとインドの生産拠点と連携し、グローバルに広がるお客様の多様なニーズに応えております。 2026年度は、前年度から続く厳しい経営環境の下、「潮目は今! 総力挙げて漕ぎ出せ 新海路」をスローガンに掲げました。全社一丸で事業ポートフォリオ改革や収益性向上などの事業改革を推進し、これからも産業界の発展ならびに人々の豊かな暮らしに貢献できるよう挑戦し続けてまいります。(2)中期経営計画の実績 当社グループは2024年に「2026中期経営計画」を策定・公表しました。当中期経営計画において、当連結会計年度は、売上高250億円、営業利益20億円、ROS(売上高営業利益率)8%、ROE(自己資本利益率)5%を目標として掲げましたが、実績は売上高209億円、営業利益14億円、ROS 6.8%、ROE 4.4%となり、いずれの数値目標も未達となりました。 当社グループは前回の中期経営計画において、2030年に目指す姿として「東北特殊鋼 2030 VISION」を策定し、「迫り来る革新的モビリティ・エネルギー・デジタル社会 その激流に流されず、変化を御してよりよい社会づくりのために高機能材を提供し続ける」ことを掲げました。「2026中期経営計画」は、このビジョンの実現に向け、前中期経営計画のコンセプトを踏襲しつつ、「『開発機能会社』への前進と柔軟な事業の転進」を基本コンセプトとして定めています。 当社グループは、特殊鋼事業と不動産賃貸事業が相互に連携しながら価値創出と成長を目指しており、「未来への成長投資」の強化とともに、厳しい事業環境下においても安定的に利益を確保する「収益性の改善」に取り組んでいます。主なアクションプランと当連結会計年度の取り組み状況は以下の通りです。 特殊鋼事業アクションプラン①「商品ポートフォリオ改革の断行」 第一に、当社グループの強み商品である電磁ステンレス鋼および特殊合金について、半導体製造装置や新エネルギー関連などの成長産業向け領域での販売拡大を図っています。過年度に実施した設備投資の成果を最大限活用し、安定した供給体制の構築を進めるとともに、マーケティングおよび営業活動の強化にも努めています。当連結会計年度においては、国内外の半導体製造装置向け市場において在庫調整が継続した影響を受け、強み商品の販売量は前連結会計年度比で減少しました。一方で、拡販活動を強化した結果、新規の引き合いは増加しており、その一部は受注に結びついています。 第二に、新たなビジネスモデルの構築として、トマト栽培向け害虫防除機器「トマタブル」の量産化および販売開始、振動発電によるIoT電源の商品化を計画しています。これらはいずれも当社が開発した磁歪クラッド材を活用した製品です。当連結会計年度においては、農業関連メディアへの掲載等を通じてトマト農家や自治体から大きな反響をいただきました。社内リソースを集約し、2026年度中の本格提供に向けた体制整備を進めています。 第三に、内燃自動車向けの既存主力商品および海外事業については、今後の需要減少局面においても収益性を維持・確保することを目的に、生産体制の見直しや低収益商品の選別を進めています。需要環境の変化を前提とした設備稼働の集約や人員配置の最適化に取り組むとともに、当連結会計年度においては、内燃自動車向け需要減少への備えとして、海外においても半導体製造装置向け製品の拡販活動を推進しました。特殊鋼事業アクションプラン②「環境価値の優れた開発商品拡大」 当社グループは、社会課題や顧客ニーズに応える環境価値の高い開発商品の拡大に取り組んでいます。具体的には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業を通じた次世代モーター用素材の開発、および磁歪クラッド材の用途開発を進めています。これらは、電動車の省エネルギー化や振動発電による新たなエネルギー獲得など、電動化社会の実現に貢献する取組みです。 当連結会計年度においては、次世代モーター用素材の性能向上に向けた研究を継続するとともに、将来の量産化を見据えたサプライチェーンおよび製造プロセスの検討を進めました。また、磁歪クラッド材については、害虫防除機器に加え、IoT電源や微小荷重センサー等への応用可能性を検討しました。特殊鋼事業アクションプラン③「未来工場実現に向けた基盤整備」 前述のアクションプランを支える基盤として、多様な人材が活躍できる環境の整備およびDXの推進に取り組んでいます。生産設備や基幹システムの更新を通じて、工場の効率稼働に加え、将来の成長に資する生産技術の蓄積や高付加価値・高品質製品の提供を目指しています。 当連結会計年度においては、ITインフラの更新および生成AI利用に関する社内ガイドラインの策定を実施しました。RPAによる業務自動化や生成AI活用の社内浸透により、業務DXは着実に進展しています。今後も、デジタル技術と製造現場の融合による未来工場の実現に向け、部門横断的な取組みを継続していきます。不動産賃貸事業アクションプラン「収益性の長期持続性確保」 当社グループの不動産賃貸事業は、仙台市長町エリアの旧工場跡地に建設した商業施設を中心とした賃貸事業であり、特殊鋼事業と並ぶ収益の柱として安定的な利益を創出しています。「2026中期経営計画」においては、商業施設の老朽化対応を進めつつ、周辺不動産への追加投資等を通じて、エリア全体の価値向上を図る方針としています。 当連結会計年度においては、商業施設を安全・快適に利用いただくための計画的な予防保全を継続し、不動産価値の維持・向上に努めました。(3)経営環境及び対処すべき課題 当社を取り巻く環境は、自動車の電動化、カーボンニュートラル、IT技術の進化、そして爆発的なAIの普及等、これまで経験したことがないスピードで変化しています。また、それぞれの分野で国際的な競争が激化しており、各種コストが高騰する中で、より良いものを需要環境に応じて柔軟に生産しお客様へ提供することが求められてきています。このような環境の中で、当社グループが策定した中期経営計画に沿って以下の活動を実施してまいります。①特殊鋼事業a.本業での収益力強化近年の原材料や人件費等の上昇により、当社では製造コストの上昇分を原価低減活動で吸収することが困難になってきております。併せて、事業の継続的な成長のため、研究開発活動や人的資本への投資を続けながら設備の維持更新も必要となります。また、半導体製造装置産業を中心とした慢性的な需要変動により理想的な操業水準が予測困難な状況となっており、コストの固定費負担が大きくなっています。自動車産業では生産台数が回復基調、かつ半導体製造装置産業では日本国内で半導体企業の進出が増えている状況ですが、サプライチェーンの上流における特殊鋼の需要はまだ先行きが不透明です。既存商品に係る特殊鋼の需要が低位な状況でも、当社は収益を確保するため、高付加価値商品を中心とした拡販活動を強化してまいります。 b.ポートフォリオ改革特殊鋼事業の売上高の約7割は自動車産業向けであり、その大部分はエンジンバルブ用耐熱鋼や燃料噴射装置用電磁ステンレス鋼の特殊鋼鋼材並びに自動車燃料系統用途の精密加工商品が占めています。今後、これらエンジン用商品の需要は縮小すると見込んでおりますが、その他の用途で需要がある電磁ステンレス鋼等の高機能材料について、市場シェアの拡大を図ります。また、現在当社グループの中で磁歪クラッド材や拡散接合技術の収益貢献はわずかではありますが、マーケティングの結果潜在的な需要があることがわかりました。これらの商品や技術が将来の収益に貢献できるよう、個々の需要を捉えて事業成長を図ります。 c.研究開発活動2024年度から2026年度の3年間は、毎期特殊鋼事業の売上高の2.5%を目標として研究開発活動に割り当てていきます。次世代モーター用素材の開発、及び磁歪クラッド材を用いた振動発電デバイスの開発を推進します。 ②不動産賃貸事業 旧長町工場用地に建設した商業施設である「ザ・モール仙台長町」を中心とした不動産価値の最大化が課題です。インターネット通信販売の普及や人口減少により、実店舗での販売は減少傾向が見られますが、これからも「安全・安心・快適」な施設作りとビルメンテナンスの提供を行い、集客力の維持・向上を図ります。また、地域や近隣店舗との連携を強化し、仙台市長町エリアの活性化を目指します。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、産業のグローバル化を背景に厳しい価格競争を強いられる事業環境のなか、さらなる経営基盤の強化・持続的発展に向けた戦略投資に向けて積極的に資源配分しつつ、収益確保を目指しております。 2026中期経営計画では、最終年度の2027年3月期において連結売上高260億円、連結営業利益23億円を目標としております。 実績中期経営計画2025年度2024年度2025年度2026年度連結売上高(億円)209230250260連結営業利益(億円)14142023ROS(連結営業利益/連結売上高)6.8%6%8%9%ROE(連結当期純利益/連結純資産)4.4%4%5%6%
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 ⑴経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度における世界経済は、地政学的リスクの高まりと通商摩擦の顕在化により不透明感が増しております。わが国経済は、主要企業における賃上げにより名目賃金が上昇しましたが、インフレーションや円安による物価高騰で実質賃金は減少しており、個人消費を中心に内需は停滞しております。 特殊鋼業界の主要な需要先である自動車産業においては、部品メーカーの在庫調整が部分的に進展し、需要回復の兆しが見えてきました。しかしながら、半導体製造装置産業においては在庫調整局面が長引き、特殊鋼の需要は当初の計画を下回りました。 このような環境の中、当連結会計年度における財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a.財政状態 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,332百万円増加し、36,363百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ787百万円増加し、6,898百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,544百万円増加し、29,465百万円となりました。 b.経営成績 当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比246百万円減の20,931百万円となりました。経常利益は前連結会計年度比237百万円増の1,610百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比267百万円増の1,275百万円となりました。 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。○特殊鋼事業 売上高は前連結会計年度比306百万円減の18,515百万円、セグメント利益(営業利益)は132百万円増の320百万円となりました。○不動産賃貸事業 売上高は前連結会計年度比59百万円増の2,415百万円、セグメント利益(営業利益)は36百万円増の1,098百万円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ2,255百万円増加し、10,609百万円となりました。 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動による資金収支は、2,371百万円の増加(前連結会計年度は2,131百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,713百万円に、プラス要因として、減価償却費920百万円、利息及び配当金の受取額98百万円、マイナス要因として、法人税等の支払額205百万円、未払消費税等の減少額170百万円等を調整した結果によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動による資金収支は、108百万円の増加(前連結会計年度は589百万円の減少)となりました。これは、プラス要因として、有価証券の償還による収入350百万円、投資有価証券の売却による収入307百万円、マイナス要因として、投資有価証券の取得による支出293百万円、有形固定資産の取得による支出289百万円等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動による資金収支は、270百万円の減少(前連結会計年度は485百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額259百万円等によるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)特殊鋼事業18,235,614101.3不動産賃貸事業-- (注)金額は、販売価額により算出しております。 b.受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)特殊鋼事業19,675,001106.15,276,268128.2不動産賃貸事業---- (注)金額は、販売価額により算出しております。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)特殊鋼事業18,515,49198.4不動産賃貸事業2,415,788102.5合計20,931,28098.8 (注)主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)㈱NITTAN2,256,18710.72,203,64410.5㈱西友2,140,56010.12,173,51610.4愛三工業㈱1,535,3857.21,650,8867.9佐久間特殊鋼㈱1,612,2277.61,564,0067.5大同特殊鋼㈱1,662,5917.91,274,2066.1 ⑵経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等1)財政状態(流動資産) 当連結会計年度末における流動資産の残高は19,320百万円(前連結会計年度末17,413百万円)となり、1,907百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。・合同運用指定金銭信託を取得したこと等により有価証券が3,050百万円増加しております。(固定資産) 当連結会計年度末における固定資産の残高は17,043百万円(前連結会計年度末16,618百万円)となり、425百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。・時価上昇等により投資有価証券が586百万円増加しております。・特別高圧受変電設備の更新等によりリース資産(有形固定資産その他)が267百万円増加しております。(流動負債) 当連結会計年度末における流動負債の残高は4,296百万円(前連結会計年度末3,955百万円)となり、341百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。・課税所得の増加等により未払法人税等が209百万円増加しております。(固定負債) 当連結会計年度末における固定負債の残高は2,601百万円(前連結会計年度末2,155百万円)となり、446百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。・特別高圧受変電設備の更新等により長期リース債務(固定負債その他)が279百万円増加しております。(純資産の部) 当連結会計年度末における純資産の残高は29,465百万円(前連結会計年度末27,920百万円)となり、1,544百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。・親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が1,015百万円増加しております。 当社グループは、持続的発展を図るためには安定した財務基盤が必要であると考えており、今後も積極的に戦略投資を行いつつも、安定した財務基盤の維持に努めてまいります。 2)経営成績 当連結会計年度における売上高は20,931百万円(前連結会計年度21,178百万円)であり、246百万円の減少となりました。また、営業利益は1,418百万円(前連結会計年度1,249百万円)で168百万円の増加、経常利益は1,610百万円(前連結会計年度1,372百万円)で237百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は1,275百万円(前連結会計年度1,008百万円)で267百万円の増加となりました。 当社グループの特殊鋼事業につきましては、自動車向けの特殊合金や海外向け耐熱鋼の販売量が減少したことで、売上高は前年実績を下回りました。その一方で、ITインフラの更新や研究開発活動などの将来成長に向けた投資を積極的に進めながら原価低減活動を推進することで、利益面では前年実績上回り、減収増益となりました。不動産賃貸事業につきましては、商業施設における店舗入れ替えに伴う改装工事の増加等により売上高と利益は前年実績を上回り、増収増益となりました。 b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは2024年に「2026中期経営計画」を策定し公表しました。当計画の2年度目である当連結会計年度は、売上高250億円、営業利益20億円、ROS(売上高営業利益率)8%、ROE(自己資本利益率)5%の目標を掲げましたが、売上高209億円、営業利益14億円、ROS 6.8%、ROE 4.4%の実績となりました。 不動産賃貸事業は安定した売上高を計上し、当社グループの利益に貢献しました。一方、特殊鋼事業においては、国内自動車産業向けおよび半導体製造装置産業向けで需要回復の兆しが見られたものの、地政学的リスクの高まりや通商摩擦の顕在化により不安定な事業環境が継続しました。このような中、当連結会計年度においては、特殊鋼事業の販売量減少により売上高は減少し、結果として売上高、営業利益、ROSおよびROEのいずれも目標を達成することができませんでした。 c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容○特殊鋼事業 売上高は、半導体製造装置向けの特殊鋼鋼材が在庫調整により出荷量が減少したことで、前連結会計年度比306百万円減の18,515百万円となりました。 セグメント利益(営業利益)は、販売価格の値上げや原価低減活動を推進してきたことで、前連結会計年度比132百万円増の320百万円となりました。 セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ80百万円減少の15,636百万円となりました。○不動産賃貸事業 売上高は、商業施設の警備サービスや清掃サービスの値上げにより前連結会計年度比59百万円増の2,415百万円となりました。 セグメント利益(営業利益)は、商業施設の修繕工事減少や長期修繕計画の見直しに伴う修繕引当金の戻し入れ等により前連結会計年度比36百万円増の1,098百万円となりました。 セグメント資産は、有価証券の増加等により前連結会計年度末に比べ778百万円増加の12,808百万円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループは、不動産賃貸事業が毎期安定的な利益を上げており、営業キャッシュ・フローが継続してプラスとなっております。投資活動によるキャッシュ・フローは、特殊鋼事業への合理化投資及び戦略投資等により継続してマイナス傾向となっておりましたが、当連結会計年度においては投資有価証券の取得額の減少等により資金流出が抑制されプラスとなっております。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、その大半が配当金の支払いであります。当社グループは、今後も収益拡大につとめ、営業キャッシュ・フローの最大化を図ってまいります。 当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な運転資金(材料、外注費及び人件費等)、販売費及び一般管理費等の営業費用、設備の増強、更新及び改造のための設備投資資金、新製品・新技術開発のための研究開発費であります。当社グループは、これらの資金需要に対して、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については、銀行借入(当座借越)により資金を調達することとしております。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性が高いものは以下のとおりであります。a.固定資産の減損損失 当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際して、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与える可能性があります。b.繰延税金資産の回収可能性の評価 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。 当社グループは、これらについては過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。
事業リスク
- 原材料・エネルギー価格の変動特殊鋼事業の製造原価は、鉄、クロム、ニッケルなどの原材料価格や、電気・LPGなどのエネルギー費用に大きく左右されます。これらの価格は市場の需給バランスや世界情勢の影響を受けやすく、高騰した場合、収益性を圧迫する可能性があります。
- 自動車産業の電動化による市場縮小売上高の約7割を占める自動車産業において、電動化の進展によりエンジン用部品の市場が縮小するリスクがあります。エンジン搭載車の販売減少は、エンジンバルブ用耐熱鋼や燃料噴射装置用電磁ステンレス鋼などの主力製品の需要に悪影響を及ぼし、業績に重要な影響を与える可能性があります。
- 重要設備の老朽化とトラブル本社工場は30年以上が経過し、大型の工場インフラや設備で老朽化が進んでいます。これにより、生産活動の停止や有害物質の漏洩などのリスクがあります。設備故障が発生した場合、生産停止による売上減少や修繕費用の増加が業績に影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】(1)当社のリスクマネジメント体制当社はリスクマネジメント基本方針の中で、「リスクマネジメントおよびコンプライアンスが当社グループの持続的な発展に不可欠なものであると認識し、リスクマネジメントおよびコンプライアンスを最重要課題の一つとして重視する経営を実践する」ことと定めております。この基本的な考え方のもと、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ・リスクマネジメント委員会を設置しています。サステナビリティ担当役員、リスクマネジメント担当役員およびコンプライアンス担当役員のもと、当社グループの持続的な発展の実現と社会の持続可能な発展への貢献を目指して、社会の中で責任ある存在としての役割や企業活動、発生が予想されるリスクおよび潜在的なリスクのマネジメントについて審議します。サステナビリティ・リスクマネジメント委員会で審議した内容、及び個別リスクへの対応等については取締役会へ報告しております。(2)リスクマネジメントプロセス・リスクの総合的、統一的把握・評価当社にとって不利な影響を与え得る事象をリスクと定義し、各事業部門でリスクを抽出します。サステナビリティ・リスクマネジメント委員会では、抽出した各リスクを統合・分割した上で、当社グループへの影響度と発生頻度を評価しリスクマップを作成します。その中で重点管理すべきリスクを個別リスクとして特定します。・各個別リスクへの対応計画の決定と実行サステナビリティ・リスクマネジメント委員会では、各個別リスクに対して主管部門(個別リスク主管部門)を割り当てます。個別リスク主管部門は各個別リスクへの全社対応計画(発生抑制策、危機発生時の対応策、教育・啓発等)を策定します。全社対応計画に従い、各事業部門では個別の対応計画を策定し実行します。・活動のモニタリング個別リスク主管部門は、各事業部門の活動をモニタリングし、その結果をサステナビリティ・リスクマネジメント委員会へ報告します。サステナビリティ・リスクマネジメント委員会では報告の結果を受け、必要に応じて個別リスク主管部門へ対応方針の見直しを指示します。 (3)個別リスク有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。①収益性の維持影響度:大発生確率:大○リスク当社グループの特殊鋼事業では特殊鋼鋼材、特殊合金及び精密加工製品の製造販売、並びに熱処理加工の受託加工を行っております。各商品の製造原価に占める割合が最も高いものは原材料で、鉄だけではなくクロムやニッケル及びその他の希少元素が含まれており、これらの市況価格によって原材料価格が変動します。次に割合が高いものは各生産工程において使用する電気とLPGによるエネルギー費用で、原油価格や為替変動によって変動します。このように、特殊鋼事業の製造原価の大部分が、市場の需給バランスや世界情勢の影響を受けやすいものとなっております。次に、特殊鋼事業では、お客様の要求に応え高品質・高機能な商品を安定供給するため、加工が難しい特殊鋼の製造に特化した設備を一定の規模で揃える必要があります。併せて、当社は特殊鋼鋼材や特殊合金の金属材料の製造販売を主な収益源としており、価値のある新しい機能材料を生み出し社会に供給し続けるため、材料の開発活動を継続しなければなりません。よって、特殊鋼事業では、設備の減価償却費や研究開発費等の固定費の負担割合が高くなっております。近年は、コロナ禍を発端とした世界的なサプライチェーンの混乱、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、及び中東情勢の悪化等、原材料や電力費用等の製造コストが高騰する可能性が高まってきています。また、米国の関税政策による自動車生産の変動を受け、特殊鋼需要は不安定な状況となっています。特殊鋼事業の売上減少により、減価償却費や研究開発費等の固定費が回収できない場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼします。○対応当社グループでは、原材料や電力等の製造コストの高騰について、お客様に丁寧な説明を行い、適正に販売価格に反映できるよう値上げ活動を実施していきます。しかしながら、高騰した製造コストを全て販売価格に反映することは困難であることから、高付加価値商品を中心とした拡販活動を強化してまいります。特に、過年度までに投資を実行した真空誘導溶解炉や磁気焼鈍炉を最大限活用し、電磁ステンレス鋼などの高機能材料を拡販していきます。これまで取り組んできた企業風土改革やDX推進活動をさらに進め、DXによって生まれた人的リソースを柔軟に値上げ活動や拡販活動の営業活動に投入していきます。 ②エンジン用商品市場の縮小影響度:大発生確率:大○リスク特殊鋼事業の主要な需要先である自動車産業では電動化が進み、エンジン用商品の市場は縮小すると見込んでおります。当社グループの売上高の約7割は自動車産業向けであり、その大部分をエンジンバルブ用耐熱鋼や燃料噴射装置用電磁ステンレス鋼の特殊鋼鋼材並びに自動車燃料系統用途の精密加工製品が占めています。エンジン搭載車の販売台数が減少する等した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼします。○対応当社グループは、これまでバッテリー式電気自動車(BEV)を含めた次世代自動車向けの需要探索をしてきました。その中で電磁ステンレス鋼は、エンジン廃熱が利用できないBEVのエアコン用途として需要があることが判明しました。今後も関連する部品メーカーと情報を共有し、当社商品の需要補足を図ります。次に、水素等の新エネルギーに関して、当社商品の燃料電池自動車や水素燃料自動車の燃料系統の材料としての需要も見えてきました。水素やアンモニア環境下での材料特性を調査し、顧客に対して当社商品の優位性を訴求してまいります。自動車産業以外では、半導体製造装置等の新しい分野での需要の創出、新規用途の拡大を目指した取り組みも進めてまいります。今後のシリコンサイクルの回復による受注拡大の機会を逃さないよう、在庫の適正管理及び社内の生産能力の検証を実施します。併せて、既存商品以外についても半導体製造装置での用途調査を行い、拡販アイテムや顧客の選定を進めてまいります。上記の他にも、錆びにくい電磁石である電磁ステンレス鋼等の電磁材料は電動化社会の中で利用領域が広がると見込んでおります。これらの市場環境を踏まえ、戦略製品拡販WGを立上げ、商品ポートフォリオ改革、戦略製品の拡販強化、新たなビジネス獲得へ向けた活動を推進してまいります。 ③重要設備トラブル影響度:大発生確率:中○リスク当社の本社工場は1990年に現在の宮城県村田町に移転し、35年以上が経過しております。これまでも定期的な設備修繕や更新を実施してきましたが、大型の工場インフラや設備では老朽化が進み、生産活動の停止や有害物質の漏洩等の可能性があります。工場インフラや主要な設備で故障が発生した場合、生産停止の長期化による売上高の減少と修繕費用の増加により当社業績に影響を及ぼします。また、当社の製造工程には酸洗処理や有機溶剤での洗浄処理がありますが、これら工程の設備では老朽化により薬液槽から薬液漏洩の重要設備トラブルの可能性があり、漏洩した場合には薬液除去費用が発生します。○対応当社グループの工場保全活動では、法定点検だけではなく独自の課題抽出と補修計画の策定により、不具合の早期発見と重大な設備故障や事故の防止に努めております。大型の工場インフラと主要設備については、個別に保全スケジュールを策定し、計画的な修繕・更新を実施してまいります。長期の工場停止に対しては、設備稼働中のトラブル予兆を適時に検知できるよう、従業員向けの点検、異常検知、簡易復旧の各手法の教育を進めてまいります。生産活動の停止を伴う大規模な修繕や更新については、生産調整や外注加工を活用し商品出荷への影響を最小限に抑えるよう努めております。また、故障診断や消耗品の劣化検知のためのIoT化並びに重要な消耗品管理のデジタル化等を積極的に進め、管理の効率化、省力化を図りトラブルの早期発見に努めてまいります。 ④客先への不正データ提出影響度:大発生確率:中○リスク当社では品質マネジメントシステムを導入しております。その中で、お客様と商品の仕様について取り決め、その仕様に合致するよう品質検査を行うことになっております。原則、品質検査に合格した商品のみをお客様へ納入しております。品質検査の結果は検査証明書としてお客様へ商品納入時に発行しております。品質検査の合否については当社基幹システム内で判定されており、不合格品は出荷できないよう制限されています。なお、不合格の内容によってはお客様の承認を得た場合のみ出荷制限が解除可能となっておりますが、出荷制限の解除には独立した品質管理部門の承認を必要としております。しかし、一般的に組織的な不正を完全に防止することは困難であり、お客様へ不正データを提出する可能性があります。品質結果の合否は基幹システムで判定することになっておりますが、その基となる情報は各種分析・検査装置で作成したものとなります。すべての装置について、基幹システムとのデータ連携を構築していないため、一部の情報は手入力で行っております。そのため、誤入力の恐れがあり、結果的にお客様へ不正データを提出する可能性があります。お客様へ不正データを提出してしまった場合、商品の返品、交換、損害賠償請求等の費用が発生し業績に重要な影響を及ぼします。また、対象の商品が市場へ流出し重大な事故が発生した場合は、当社グループの信用力低下や取引量減少及び売上高減少の影響があります。○対応当社では基幹システムで商品品質の合否判定の後、品質管理担当者による検査証明書のダブルチェックを実施しており、誤入力した情報の外部流出を防いでおります。品質マネジメントシステムは毎期外部の認証機関による外部監査を実施しております。外部監査では、品質検査で不合格となった商品の出荷手続も含めて品質マネジメントシステム全体の各種手続に不正がないことを確認しております。 ⑤客先からの重大品質クレーム影響度:大発生確率:中○リスク当社グループでは、徹底した品質検査・保証管理体制を構築し、安定した品質の維持に努めております。しかしながら、すべての商品に不良がなく、製造物責任賠償が発生しないという保証はないことから、予期せぬ事情により品質不適合品がお客様へ納入される可能性があります。その場合、商品の返品、交換、損害賠償請求等の費用が発生し業績に重要な影響を及ぼします。○対応当社グループでは商品の品質リスクを排除し、お客様のニーズにお応えするため、製造部門において定期的に品質検討会を開催し、顧客ニーズや品質課題に関する情報の共有、課題に対する対処を行っております。