事業の概要
- グローバルな住生活事業: LIXILは、世界中の人々の豊かで快適な住まいを実現するため、「ウォーターテクノロジー事業」と「ハウジングテクノロジー事業」を主要な柱としています。水回り設備から建材、住宅関連サービスまで幅広く手掛け、グローバルに事業を展開することで多様な収益源を確保しています。
- 水回り設備の提供: ウォーターテクノロジー事業では、衛生機器、シャワートイレ、水栓金具、浴槽、システムキッチンなど、生活に不可欠な水回り製品を提供しています。これらの製品は、日々の暮らしの快適性や衛生面に直結し、安定した需要が見込まれる事業です。
- 住まいを支える建材・サービス: ハウジングテクノロジー事業では、サッシ、玄関ドア、シャッターなどの金属製建材から、窓枠、インテリア建材、サイディング、屋根材といった木質・その他建材を提供しています。さらに、工務店のフランチャイズ支援や建築請負、不動産管理など、住宅関連の幅広いサービスも展開し、住まいに関する総合的なソリューションを提供しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 水回り設備事業(ウォーターテクノロジー事業): この事業は、衛生機器、シャワートイレ、水栓金具、浴槽、ユニットバス、システムキッチンなど、水回りに関する幅広い製品を提供しています。LIXIL本体のほか、Grohe AGなどの海外子会社が主要な役割を担い、グローバル市場で展開されており、日々の生活に密接に関わる製品群で安定した収益基盤を形成しています。
- 住まい関連技術事業(ハウジングテクノロジー事業): この事業では、住宅・ビル・店舗用サッシ、玄関ドア、シャッターなどの金属製建材、窓枠、インテリア建材などの木質内装建材、サイディング、屋根材などのその他建材を提供しています。さらに、工務店のフランチャイズチェーン展開支援や建築請負、不動産管理など、住宅関連のサービスも手掛けており、住宅建設やリフォーム市場に貢献しています。
- 多角的な事業展開と地域構成: LIXILグループは、日本国内だけでなく、欧州、北米、アジアなど世界各地に生産・販売拠点を持ち、多様な地域で事業を展開しています。これにより、特定の市場に依存することなく、グローバルな需要を取り込み、リスクを分散しながら持続的な成長を目指しています。複数事業を営む会社は、それぞれの事業セグメントに含めて報告されています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当連結会計年度末時点において子会社152社及び関連会社36社で構成され、事業活動を通じて、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という企業としての存在意義を追求し、「ウォーターテクノロジー事業」、「ハウジングテクノロジー事業」及び「リビング事業」を主要な事業内容とし、関連するサービス等の事業活動を展開しています。当社グループが営んでいる主要な事業内容と、当該事業に関わる各社の位置付け並びに報告セグメントの関連は次のとおりであり、複数事業を営んでいる会社については、各事業にそれぞれ含めています。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおりです。 事業区分主要製品及び商品主要な会社ウォーターテクノロジー事業[水回り設備]衛生機器、シャワートイレ(温水洗浄便座)、水栓金具、浴槽、ユニットバス、スマート製品、シャワー等[タイル建材類]住宅・ビル外装タイル、内装タイル等 ㈱LIXIL、㈱LIXILトータルサービス、㈱テムズ、㈱ダイナワン、LIXIL Europe S.à r.l.、Grohe AG及びLIXIL Europe S.à r.l.のその他の子会社47社、ASD Holding Corp.及び同社子会社16社、A-S (China) Co., Ltd.、LIXIL Vietnam Corporation、LIXIL (Thailand) Public Co., Ltd.、LIXIL AFRICA HOLDINGS (Pty) Ltd.、驪住(中国)投資有限公司、台灣驪住設備股分有限公司、驪住科技(蘇州)有限公司、驪住衛生潔具(蘇州)有限公司、LIXIL India Sanitaryware Private Limited、LIXIL INTERNATIONAL Pte. Ltd.、LIXIL GLOBAL MANUFACTURING VIETNAM Co., Ltd. ハウジングテクノロジー事業[金属製建材]住宅・ビル・店舗用サッシ、玄関ドア、各種シャッター、門扉、カーポート、手摺、高欄、カーテンウォール等[その他建材類]窓枠、造作材、サイディング、屋根材等[住宅・サービス関連]工務店のフランチャイズチェーンの展開、建築請負、不動産管理、不動産事業のフランチャイズチェーンの展開支援等[その他]太陽光発電システム、スマート製品等 ㈱LIXIL、㈱LIXILトータルサービス、㈱LIXILトータル販売、Gテリア㈱、㈱LIXIL住宅研究所、㈱LIXILリニューアル、㈱LIXIL TEPCOスマートパートナーズ、㈱クワタ、㈱LIXILリアルティ、大分トステム㈱、西九州トステム㈱、㈱ジーエイチエス、㈱LIXIL住生活ソリューション、サンヨーホームズ㈱、LIXIL INTERNATIONAL Pte. Ltd.、TOSTEM THAI Co., Ltd.、LIXIL GLOBAL MANUFACTURING VIETNAM Co., Ltd.、驪住通世泰建材(大連)有限公司、LIXIL WINDOW SYSTEMS PRIVATE LIMITED、PT. LIXIL ALUMINIUM INDONESIA リビング事業[水回り設備]システムキッチン、セクショナルキッチン、洗面化粧台、洗面カウンター等[インテリア建材]室内ドア・引き戸、室内用窓、床材、カウンター・造作材、階段、収納等 ㈱LIXIL、㈱LIXILトーヨーサッシ商事、驪住通世泰建材(大連)有限公司 事業の系統図は次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 原材料価格高騰部分の販売価格への転嫁、適切なタイミングでの価格改定を実施。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | ブランド 「Red Dot Design Award」最高位受賞製品など、高付加価値で差別化された製品を多数開発。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:経済状況、為替相場・金利の変動 / 地政学 / 新製品の開発
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
LIXILは強力なブランドポートフォリオ(INAX、American Standardなど)を持つが、グローバルでのブランド認知度や特許による独占性は限定的。一部の製品デザインや技術に関する知的財産は存在するものの、それが持続的な競争優位の源泉となるほどの強さはない。
スイッチングコスト★★☆☆☆
住宅設備機器は一度設置すると、交換には工事費用や手間がかかるため、一定のスイッチングコストが存在する。特にプロユース(工務店、ハウスメーカー)では、長年の取引関係や仕様の互換性から、他社製品への切り替えは容易ではない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
LIXILの事業モデルには、ユーザー数の増加が製品・サービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果は基本的に見られない。BtoBtoCの側面が強く、プラットフォーム型ビジネスではない。
コスト優位★★☆☆☆
グローバルな生産・調達網を活用し、一定の規模の経済によるコスト削減努力は行われている。しかし、原材料価格の変動や為替の影響を受けやすく、構造的な圧倒的コスト優位を確立しているとは言えない。
規模の経済★★★★☆
住宅設備機器業界において、LIXILは世界有数の規模を持つ企業の一つである。グローバルな販売網、多様な製品ラインナップ、そして多数の製造拠点を持つことで、規模の経済を享受し、競合他社に対する優位性を築いている。
- 幅広い製品ラインナップと総合力: LIXILは、水回り設備から住宅建材、関連サービスまで、住まいに関する非常に幅広い製品とサービスを提供しています。これにより、顧客はLIXILグループ内で多様なニーズを満たすことができ、他社との差別化要因となっています。
- グローバルな事業展開: ウォーターテクノロジー事業を中心に、欧州、北米、アジア、アフリカなど世界各地に子会社や関連会社を持ち、グローバルに事業を展開しています。これにより、特定の地域経済に依存するリスクを分散し、多様な市場での成長機会を捉えることが可能となっています。
- 強固なブランドと技術力: 衛生機器や建材分野における長年の実績と、新製品開発への継続的な取り組みは、LIXILのブランド力を高めています。特に水回り設備における技術力は、快適性や機能性を追求する顧客ニーズに応え、競争優位性を確立する基盤となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営方針及び経営環境私たちを取り巻く世界や日々の暮らしは変化を続けています。しかし、より豊かで快適な住まいで暮らしたいという人びとの願いは、いつの時代も変わりません。LIXILのPurpose(存在意義)は、持続的な成長に向けて、よりアジャイルで起業家精神にあふれた企業になるための取り組みを続け、意思決定を行う際に指針となるものです。従業員は、当社における価値創造の原動力であり、LIXIL Behaviors(3つの行動)を日々の業務の中で実践することで存在意義の実現につなげています。 上記のPurposeのもと、当社グループは、人びとの住まいの夢を実現するために、先進的な技術と製品を開発、提供しています。水の可能性を広げるシャワーや水栓、料理の創作意欲を高めるキッチン。清潔さと快適さを兼ね備えたトイレ。家の中と外の世界をつなぐドアや窓。空間に彩りを添える内装や外装。長い一日の疲れを癒すお風呂。住まいをより豊かで快適にするのは、実は意外とシンプルなことです。当社は、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー5社が統合して誕生しました。以後、GROHE、American Standardといった世界的ブランドを傘下に収め、日本のものづくりの伝統を礎に、世界をリードする技術やイノベーションで、日々の暮らしの課題を解決する高品質な製品をグローバルで幅広く提供しています。 現在、当社グループは、世界150カ国以上で約48,000人の従業員を擁するグローバル企業となり、毎日10億人以上の人びとに当社グループの製品をご愛用いただいています。今後も生活者視点に立ち、考え抜いた、意味のある製品デザインにこだわり、世界中のあらゆる人びとのより豊かで快適な住まいと暮らしの実現に向けて、さらなる可能性を追求し、責任ある事業成長を推進していきます。 この数年間、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。地政学的リスクの高まり、インフレーション、住宅に対するニーズの多様化、サプライチェーンの分断などさまざまな課題に直面しながらも、さらに強い組織へと変革を推進してきました。経営の基本的方向性を示したLIXIL Playbookに基づき、持続的な成長の実現に向けて、着実に前進しています。 直近においても、グローバル市場は地政学的リスクの高まりや供給網の分断、コモディティ市場の急激な変動など不透明な状況が続いています。このような環境のなか、当連結会計年度を持続的に収益力を備えた企業へと成長するための転換点として位置づけ、米国事業のターンアラウンド、GROHEブランドの成長、日本におけるリフォーム事業の強化及び差別化商品開発の加速を優先的に取り組むべき注力点として掲げ対応を進めてきました。この結果、収益性の向上、外部環境の変化に強い組織づくり、機動性の強化といった取り組みが大きく進展し、事業基盤はより強固なものになってきました。今後も、外部環境の変動を変革を加速させる機会として捉え、新たな成長ステージを切り拓いていきます。海外では、成熟市場における事業効率化と収益性向上、及び成長市場における積極的な需要取り込みを軸に、地域特性に応じた施策を展開しています。欧州や米国などの成熟市場では、インフレーションの長期化や金利の高止まりの影響を受け、住宅市場の回復が当初の想定よりも遅れていますが、外部環境の変化に強い組織づくりに向けて、財務面、事業展開の両面における施策を前倒しで実行してきました。欧州全体では景気回復の動きは鈍いものの、GROHEのブランド力の強化により、ハイエンドのカテゴリーでシェア拡大しています。米国では、浴槽事業のAmerican Bath Groupへの完全移管が完了したことにより、人員配置や販売戦略の最適化による成果が出始めています。また、成長著しい中東・インドでは大幅な売上成長を達成しており、今後も需要の継続的な拡大が期待できる中、地域の特性やニーズに的確に対応すべく事業運営体制の強化を継続していきます。日本国内では、住宅市場は、想定を大きく上回るスピードで変化しています。新設住宅着工件数は、住宅関連の法改正の影響に加え、主要な建築資材における供給制約、さらに世界的なインフレに伴う建築コストの高騰が重なったことで、前年比12.9%減と大きく落ち込みました。このような厳しい事業環境においても、中長期的に取り組んできたリフォーム事業へのシフトや、高収益な事業構造への転換の成果が顕在化しています。また、昨今の光熱費の高騰や環境意識の高まりを背景に、高性能な窓・ドアや節水型水まわり製品は、日々の生活コストを抑制するための不可欠な選択肢の一つという意識が浸透してきています。当社は高断熱・省エネなどの高付加価値製品へリソースを集中させ、変化する消費者のニーズに応える製品展開を強化しています。このように、構造改革の推進とイノベーションによる差別化に取り組んできたことで、売上収益、事業利益ともに前年同期比で増収増益と業績を改善させることができました。対処すべき課題はなお残っているものの、中長期的な財務目標の達成に向けた道筋を着実に進むことができていると考えています。 中長期的な見通しとして、グローバル全体の市場環境を見ると、地域ごとの違いはあるものの、共通して二つの大きな構造的な変化が起きています。一つ目は住宅需要そのものの変化、二つ目はサステナビリティや省エネへの取り組みの加速です。こうした構造的な変化に加え、地政学的リスクや物流の混乱、コストの高騰といった外部環境の変化は今後も続き、原材料の調達や物流、エネルギー価格など中東情勢の動向についても、引き続き注視が必要となります。しかしながら、住宅市場を取り巻く環境に変化があったとしても、長期的な住宅需要のトレンドそのものが変わるものではなく、住宅購入意欲の低下、プロジェクトの遅れやインフレ圧力は、一時的に住宅投資の足を引っ張る要因にはなりますが、住まいへの需要は底堅く存在しています。海外事業については、成長のけん引役となっているGROHEを中核としつつ、当社が強みを発揮できる領域を見極め、それぞれの市場の特性に応じて各グローバルブランドを機動的に展開していくことで、成長機会を確実に獲得していきます。日本事業においては、リフォーム事業へのシフトの効果に加え、収益性の高い事業構造への転換を引き続き進めていきます。また、こうした変化の激しい事業環境において最も重要なのは、「LIXILの製品を買うこと自体に価値がある」と感じて頂けるような差別化された製品を生み出し続けることです。リサイクル素材を活用した「PremiAL」や「レビア」といった製品は、LIXILの循環型のビジネスを代表するものとして評価を高めてきており、これらを通じてブランド力の向上や、リフォーム需要の拡大につなげていきます。なお、当社は持続可能な成長と価値創造を実現していくための長期目標として、事業利益率10%、ROIC10%を掲げ、事業戦略を着実に実行していくことで達成を目指していきます。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は、すべての事業の軸となるPurpose(存在意義)達成の道筋として、2021年3月期に経営の基本的方向性を示すLIXIL Playbookを策定し、取り組むべき優先課題を設定しました。Purposeを追求し、当社グループの特長をさらなる強みへと進化させ、持続的な成長の実現につなげていくロードマップを明確化したものです。先行きが不透明で将来の予測がしにくい事業環境においても、目指すべき方向を明確に示すことで、従業員が一丸となって優先課題に注力することができています。(なお、策定日以降の事業環境の変化に対応させるため、2023年に優先課題の一部改訂を実施しています。) [LIXIL Playbookにおける5つの優先課題]① インフレーションとサプライチェーンにおける課題への対応資材や物流費の高騰による影響を踏まえ、販売価格の最適化や、素材の変更によるコストダウンとコスト安定の両立を図るとともに、付加価値の高い差別化製品へのシフトにより収益性改善を進めます。また、グローバルサプライチェーンが寸断されるリスクに備え、調達先の冗長化や生産のプラットフォーム化といった従来からの施策に加え、地域内における調達、生産体制への移行を進めていきます。 ② 日本事業の最適化と新たな事業成長の追求日本事業の収益性と機動力を高めるための施策を継続し、従来は水回り製品が中心であったリフォーム商材を窓や壁といった断熱改修にまで広げることで、拡大するリフォーム需要の取込みを強化します。さらに、全ての製品群に関して環境配慮型の製品を導入し、差別化につなげていきます。 ③ ウォーターテクノロジー事業における海外事業の成長促進付加価値の高い製品の販売拡大、販売チャネルの多角化、戦略的なブランド・ポートフォリオの構築といった施策を通じて、コモディティビジネスからの脱却を図り、海外市場の成長を着実に取り込むための基盤を強化します。 ④ 環境戦略の事業戦略への統合当社グループの環境戦略は、「気候変動対策を通じた緩和と適応」「水の持続可能性を追求」「資源の循環利用を促進」という3つの重点領域を設定しています。環境戦略を事業戦略に統合し、各領域における中期目標の実現に向けて取組みを強化しており、持続的成長と地球環境や社会へのインパクトの拡大を目指します。 ⑤ 新たなコア事業の創出将来の成長に向けて、インパクトのある新しい技術、製品、ビジネスモデルの創造を通じて、新たな収益の柱になるようなコア事業の確立を目指しリソースを投入していきます。 LIXIL Playbookで掲げた優先課題に沿って、複雑化していた組織の簡素化、基幹事業への注力、サプライチェーンの強化といった取り組みは順調に進捗し、外部変化への対応力を着実に強化してきたという実感があります。しかしながら、海外事業を中心に、取り組むべき課題はまだ残されています。引き続き構造改革を推進し、外部環境に対する組織の弾力性を高めていきます。 事業環境は引き続き厳しい状況が続きますが、縮小が見込まれる国内市場の売上比率の高さ、資本効率の改善、利益率の低下といった課題は、企業努力で対処可能な課題であり、経営者として克服に努めていきます。最終的には、私たちの提供する商品すべてが、社会・環境にインパクトを創出し、それらの商品を迅速かつ効率的に、低コストで生み出していくことができる、強靭な事業基盤の構築を目指します。中長期で目指すのは、「LIXILから商品を買うこと自体が、世の中にとって良い」と認知される、そういう世界を創ることであり、その中核を担うのが、社会・環境にインパクトを生み出す商品群です。2030年には、売上の半分以上をこれらの商品群が占める姿を目指します。LIXIL Playbookの優先課題に沿ってこうした取り組みを中長期的に進めていくことで、目標とする事業利益率10%、ROIC10%は達成できると確信を強めています。長期的に、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まい」を実現する企業になるための絵は描けています。今はまず、将来の利益成長につなげる準備期間として、しっかりと足固めを行いながら、新たな暮らしの可能性を広げるイノベーションの創出に注力し、競争力の強化を図ります。事業活動を通じて社会・環境課題の解決に貢献することは、企業として果たすべき役割です。こうした活動は社会全体に利益をもたらすだけでなく、当社グループの事業の持続可能性を高める上でも、非常に重要です。今後も全社一丸となり、次世代へとつなぐ住まいと暮らしの向上に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営方針及び経営環境私たちを取り巻く世界や日々の暮らしは変化を続けています。しかし、より豊かで快適な住まいで暮らしたいという人びとの願いは、いつの時代も変わりません。LIXILのPurpose(存在意義)は、持続的な成長に向けて、よりアジャイルで起業家精神にあふれた企業になるための取り組みを続け、意思決定を行う際に指針となるものです。従業員は、当社における価値創造の原動力であり、LIXIL Behaviors(3つの行動)を日々の業務の中で実践することで存在意義の実現につなげています。 上記のPurposeのもと、当社グループは、人びとの住まいの夢を実現するために、先進的な技術と製品を開発、提供しています。水の可能性を広げるシャワーや水栓、料理の創作意欲を高めるキッチン。清潔さと快適さを兼ね備えたトイレ。家の中と外の世界をつなぐドアや窓。空間に彩りを添える内装や外装。長い一日の疲れを癒すお風呂。住まいをより豊かで快適にするのは、実は意外とシンプルなことです。当社は、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー5社が統合して誕生しました。以後、GROHE、American Standardといった世界的ブランドを傘下に収め、日本のものづくりの伝統を礎に、世界をリードする技術やイノベーションで、日々の暮らしの課題を解決する高品質な製品をグローバルで幅広く提供しています。 現在、当社グループは、世界150カ国以上で約48,000人の従業員を擁するグローバル企業となり、毎日10億人以上の人びとに当社グループの製品をご愛用いただいています。今後も生活者視点に立ち、考え抜いた、意味のある製品デザインにこだわり、世界中のあらゆる人びとのより豊かで快適な住まいと暮らしの実現に向けて、さらなる可能性を追求し、責任ある事業成長を推進していきます。 この数年間、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。地政学的リスクの高まり、インフレーション、住宅に対するニーズの多様化、サプライチェーンの分断などさまざまな課題に直面しながらも、さらに強い組織へと変革を推進してきました。経営の基本的方向性を示したLIXIL Playbookに基づき、持続的な成長の実現に向けて、着実に前進しています。 直近においても、グローバル市場は地政学的リスクの高まりや供給網の分断、コモディティ市場の急激な変動など不透明な状況が続いています。このような環境のなか、当連結会計年度を持続的に収益力を備えた企業へと成長するための転換点として位置づけ、米国事業のターンアラウンド、GROHEブランドの成長、日本におけるリフォーム事業の強化及び差別化商品開発の加速を優先的に取り組むべき注力点として掲げ対応を進めてきました。この結果、収益性の向上、外部環境の変化に強い組織づくり、機動性の強化といった取り組みが大きく進展し、事業基盤はより強固なものになってきました。今後も、外部環境の変動を変革を加速させる機会として捉え、新たな成長ステージを切り拓いていきます。海外では、成熟市場における事業効率化と収益性向上、及び成長市場における積極的な需要取り込みを軸に、地域特性に応じた施策を展開しています。欧州や米国などの成熟市場では、インフレーションの長期化や金利の高止まりの影響を受け、住宅市場の回復が当初の想定よりも遅れていますが、外部環境の変化に強い組織づくりに向けて、財務面、事業展開の両面における施策を前倒しで実行してきました。欧州全体では景気回復の動きは鈍いものの、GROHEのブランド力の強化により、ハイエンドのカテゴリーでシェア拡大しています。米国では、浴槽事業のAmerican Bath Groupへの完全移管が完了したことにより、人員配置や販売戦略の最適化による成果が出始めています。また、成長著しい中東・インドでは大幅な売上成長を達成しており、今後も需要の継続的な拡大が期待できる中、地域の特性やニーズに的確に対応すべく事業運営体制の強化を継続していきます。日本国内では、住宅市場は、想定を大きく上回るスピードで変化しています。新設住宅着工件数は、住宅関連の法改正の影響に加え、主要な建築資材における供給制約、さらに世界的なインフレに伴う建築コストの高騰が重なったことで、前年比12.9%減と大きく落ち込みました。このような厳しい事業環境においても、中長期的に取り組んできたリフォーム事業へのシフトや、高収益な事業構造への転換の成果が顕在化しています。また、昨今の光熱費の高騰や環境意識の高まりを背景に、高性能な窓・ドアや節水型水まわり製品は、日々の生活コストを抑制するための不可欠な選択肢の一つという意識が浸透してきています。当社は高断熱・省エネなどの高付加価値製品へリソースを集中させ、変化する消費者のニーズに応える製品展開を強化しています。このように、構造改革の推進とイノベーションによる差別化に取り組んできたことで、売上収益、事業利益ともに前年同期比で増収増益と業績を改善させることができました。対処すべき課題はなお残っているものの、中長期的な財務目標の達成に向けた道筋を着実に進むことができていると考えています。 中長期的な見通しとして、グローバル全体の市場環境を見ると、地域ごとの違いはあるものの、共通して二つの大きな構造的な変化が起きています。一つ目は住宅需要そのものの変化、二つ目はサステナビリティや省エネへの取り組みの加速です。こうした構造的な変化に加え、地政学的リスクや物流の混乱、コストの高騰といった外部環境の変化は今後も続き、原材料の調達や物流、エネルギー価格など中東情勢の動向についても、引き続き注視が必要となります。しかしながら、住宅市場を取り巻く環境に変化があったとしても、長期的な住宅需要のトレンドそのものが変わるものではなく、住宅購入意欲の低下、プロジェクトの遅れやインフレ圧力は、一時的に住宅投資の足を引っ張る要因にはなりますが、住まいへの需要は底堅く存在しています。海外事業については、成長のけん引役となっているGROHEを中核としつつ、当社が強みを発揮できる領域を見極め、それぞれの市場の特性に応じて各グローバルブランドを機動的に展開していくことで、成長機会を確実に獲得していきます。日本事業においては、リフォーム事業へのシフトの効果に加え、収益性の高い事業構造への転換を引き続き進めていきます。また、こうした変化の激しい事業環境において最も重要なのは、「LIXILの製品を買うこと自体に価値がある」と感じて頂けるような差別化された製品を生み出し続けることです。リサイクル素材を活用した「PremiAL」や「レビア」といった製品は、LIXILの循環型のビジネスを代表するものとして評価を高めてきており、これらを通じてブランド力の向上や、リフォーム需要の拡大につなげていきます。なお、当社は持続可能な成長と価値創造を実現していくための長期目標として、事業利益率10%、ROIC10%を掲げ、事業戦略を着実に実行していくことで達成を目指していきます。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社は、すべての事業の軸となるPurpose(存在意義)達成の道筋として、2021年3月期に経営の基本的方向性を示すLIXIL Playbookを策定し、取り組むべき優先課題を設定しました。Purposeを追求し、当社グループの特長をさらなる強みへと進化させ、持続的な成長の実現につなげていくロードマップを明確化したものです。先行きが不透明で将来の予測がしにくい事業環境においても、目指すべき方向を明確に示すことで、従業員が一丸となって優先課題に注力することができています。(なお、策定日以降の事業環境の変化に対応させるため、2023年に優先課題の一部改訂を実施しています。) [LIXIL Playbookにおける5つの優先課題]① インフレーションとサプライチェーンにおける課題への対応資材や物流費の高騰による影響を踏まえ、販売価格の最適化や、素材の変更によるコストダウンとコスト安定の両立を図るとともに、付加価値の高い差別化製品へのシフトにより収益性改善を進めます。また、グローバルサプライチェーンが寸断されるリスクに備え、調達先の冗長化や生産のプラットフォーム化といった従来からの施策に加え、地域内における調達、生産体制への移行を進めていきます。 ② 日本事業の最適化と新たな事業成長の追求日本事業の収益性と機動力を高めるための施策を継続し、従来は水回り製品が中心であったリフォーム商材を窓や壁といった断熱改修にまで広げることで、拡大するリフォーム需要の取込みを強化します。さらに、全ての製品群に関して環境配慮型の製品を導入し、差別化につなげていきます。 ③ ウォーターテクノロジー事業における海外事業の成長促進付加価値の高い製品の販売拡大、販売チャネルの多角化、戦略的なブランド・ポートフォリオの構築といった施策を通じて、コモディティビジネスからの脱却を図り、海外市場の成長を着実に取り込むための基盤を強化します。 ④ 環境戦略の事業戦略への統合当社グループの環境戦略は、「気候変動対策を通じた緩和と適応」「水の持続可能性を追求」「資源の循環利用を促進」という3つの重点領域を設定しています。環境戦略を事業戦略に統合し、各領域における中期目標の実現に向けて取組みを強化しており、持続的成長と地球環境や社会へのインパクトの拡大を目指します。 ⑤ 新たなコア事業の創出将来の成長に向けて、インパクトのある新しい技術、製品、ビジネスモデルの創造を通じて、新たな収益の柱になるようなコア事業の確立を目指しリソースを投入していきます。 LIXIL Playbookで掲げた優先課題に沿って、複雑化していた組織の簡素化、基幹事業への注力、サプライチェーンの強化といった取り組みは順調に進捗し、外部変化への対応力を着実に強化してきたという実感があります。しかしながら、海外事業を中心に、取り組むべき課題はまだ残されています。引き続き構造改革を推進し、外部環境に対する組織の弾力性を高めていきます。 事業環境は引き続き厳しい状況が続きますが、縮小が見込まれる国内市場の売上比率の高さ、資本効率の改善、利益率の低下といった課題は、企業努力で対処可能な課題であり、経営者として克服に努めていきます。最終的には、私たちの提供する商品すべてが、社会・環境にインパクトを創出し、それらの商品を迅速かつ効率的に、低コストで生み出していくことができる、強靭な事業基盤の構築を目指します。中長期で目指すのは、「LIXILから商品を買うこと自体が、世の中にとって良い」と認知される、そういう世界を創ることであり、その中核を担うのが、社会・環境にインパクトを生み出す商品群です。2030年には、売上の半分以上をこれらの商品群が占める姿を目指します。LIXIL Playbookの優先課題に沿ってこうした取り組みを中長期的に進めていくことで、目標とする事業利益率10%、ROIC10%は達成できると確信を強めています。長期的に、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まい」を実現する企業になるための絵は描けています。今はまず、将来の利益成長につなげる準備期間として、しっかりと足固めを行いながら、新たな暮らしの可能性を広げるイノベーションの創出に注力し、競争力の強化を図ります。事業活動を通じて社会・環境課題の解決に貢献することは、企業として果たすべき役割です。こうした活動は社会全体に利益をもたらすだけでなく、当社グループの事業の持続可能性を高める上でも、非常に重要です。今後も全社一丸となり、次世代へとつなぐ住まいと暮らしの向上に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は、次のとおりです。 ① 経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、米国の通商政策による影響で一部下押し圧力がみられたものの、企業収益や雇用・所得環境は堅調を維持する中、設備投資や個人消費に持ち直しの動きもみられるなど、景気は緩やかな回復傾向となりました。今後の先行きについては、中東情勢の影響や米国の通商政策の動向など、不透明な状況が続いており、物価上昇の継続による企業収益や個人消費への影響も懸念されますが、政府の経済対策や緩和的な金融環境など、各種政策効果が緩やかな景気の回復を支えることが期待されます。住宅投資に関しては、政府の住宅省エネ支援策により断熱製品を中心とした窓リフォーム市場の需要が引き続き創出されたものの、2025年4月の建築基準法等の改正に伴う一時的な着工数の増加に対する反動減や住宅価格の高騰に起因した住宅取得マインドの低下などから、新設住宅着工戸数は著しく減少しました。世界経済に関しては、欧州ではインフレ警戒から長らく金利が据え置かれる一方で、米国でも利下げ圧力がある中で足元では金利が据え置かれるなど、景気回復の足取りは地域によりばらつきがみられました。中東・インドなどの成長市場では底堅い内需がみられ、また、米国ではAI関連投資などに牽引され全体としては堅調な成長を維持したものの、住宅投資は回復が遅れ雇用情勢にも一部で軟化の兆しが現れました。中国経済においては、長引く不動産市況の低迷などにより景気減速の懸念が一層鮮明となりました。今後についても、不安定な中東情勢や長期化するロシア・ウクライナ紛争といった地政学リスクの再燃によるエネルギー価格への影響、及び主要国の通商政策の変化がもたらす下振れリスクについて、引き続き注視していく必要があります。 このような環境のもと、当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」)における当連結会計年度の業績は、国内事業においては、新設住宅着工戸数の低迷により新築向け売上が伸び悩んだものの、水回り製品を中心としたリフォーム需要は堅調に推移しました。海外事業においても、米国における継続した需要の低迷及び中国における不動産市況の低迷があった一方で、欧州における収益性の向上に加え、中東・インドの成長拡大、為替換算の影響などもあり、売上収益が改善しました。これらの結果、当社グループにおける売上収益は1兆5,107億4百万円(前年同期比0.4%増)の増収となりました。利益面については、資材・エネルギー及び部品価格の高止まりによるコスト増加があったものの、主に国内において販売価格の適正化に努めたことや欧州を中心とした売上の改善、構造改革によるコスト削減効果などもあり、事業利益は385億0百万円(前年同期比22.9%増)の増益となりました。一方で、追加の構造改革の実施などに伴うその他の費用の計上が前連結会計年度に比べて増加したことにより、営業利益は284億3百万円(前年同期比4.3%減)の減益となりました。また、継続事業からの税引前利益についても、その他の費用の増加に加え、為替差損により金融費用が増加したことなどから、157億8百万円(前年同期比22.0%減)の減益となりました。非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は、一部の連結子会社の収益性の低迷などに起因する税負担率の上昇があったものの、海外の連結子会社における法人税率変更により税金費用が減少したこと等から、81億43百万円(前年同期比4.1倍)の増益となりました。 (注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。 セグメント別の概況は次のとおりです。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前です。また、報告セグメントについては従来2区分で開示しておりましたが、当連結会計年度より3区分に変更しています。このため、前年同期との比較は、変更後の報告セグメントに基づき組み替えて行っています。(以下、「④ 生産、受注及び販売の実績」においても同様です。)報告セグメントの変更の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおりです。 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増減額増減率ウォーターテクノロジー事業売上収益804,881811,0526,1710.8%事業利益36,85345,4388,58523.3%利益率4.6%5.6% ハウジングテクノロジー事業売上収益527,123525,657△ 1,466△ 0.3%事業利益26,03426,7106762.6%利益率4.9%5.1% リビング事業売上収益205,462207,5792,1171.0%事業利益7,2267,8426168.5%利益率3.5%3.8% 消去又は全社売上収益△ 32,769△ 33,584△ 815 事業利益△ 38,776△ 41,490△ 2,714 合 計売上収益1,504,6971,510,7046,0070.4%事業利益31,33738,5007,16322.9%利益率2.1%2.5% [ウォーターテクノロジー事業]主に水回り製品を手がけるウォーターテクノロジー事業においては、国内事業は、衛生陶器やバスルーム製品のリフォーム向け売上が堅調に推移したことにより、対前年同期比で増収となりました。海外事業は、欧州における水栓金具を含む大半の商品カテゴリーで売上が改善し販売数量が増加したことに加え、中東・インドも引き続き堅調な需要継続による売上拡大がありました。一方で、米国においては、前年の浴槽事業譲渡に伴う売上減少やリフォーム市場が需要回復には至らず、また中国においても引き続き不動産市況が低迷したことなどから、海外事業全体では、対前年同期比でほぼ横ばいとなりました。その結果、同事業の売上収益は、8,110億52百万円(前年同期比0.8%増)の増収となりました。事業利益は、国内事業のリフォーム売上の増加と価格改定効果があったことに加え、海外事業においても欧州・中東における売上改善や構造改革による効果が寄与したことなどから、454億38百万円(前年同期比23.3%増)の増益となりました。 [ハウジングテクノロジー事業]主に国内で住宅建材製品を展開するハウジングテクノロジー事業においては、低炭素社会の実現に向けた国策による補助金制度を背景に、窓を中心とした高断熱商品のリフォーム向け売上が堅調に推移した一方で、新設住宅着工戸数の低迷により新築向け売上が低調であったことなどから、売上収益は、5,256億57百万円(前年同期比0.3%減)とわずかに減収となりました。事業利益は、売上減少の影響に加え、窯業サイディング事業の終了に係る費用計上の影響があったものの、価格改定とコスト削減効果などで補ったことから、267億10百万円(前年同期比2.6%増)と増益となりました。 [リビング事業]主に国内でキッチン、洗面、インテリア建材を扱うリビング事業においては、リフォーム向け売上が堅調に推移したほか、キッチンは新築向け売上も好調を維持したことなどから、売上収益は、2,075億79百万円(前年同期比1.0%増)の増収となりました。事業利益についても、リフォーム関連製品の売上増による影響に加え、原材料や資材のコスト上昇による影響を価格改定効果でカバーしたことなどから、78億42百万円(前年同期比8.5%増)の増益となりました。 (注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。2.「国内事業」「海外事業」については、当社グループの連結業績管理にて定義しているマネジメントベースの区分を使用しており、所在国による区分とは一部異なります。具体的には、ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業及びリビング事業において、国内で管轄している一部の海外子会社を「国内事業」に含めています。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて531億23百万円増加の1兆8,839億27百万円となりました。流動資産は、為替換算に伴う増加影響に加え、価格上昇などによる棚卸資産の増加により、現金及び現金同等物などの減少があったものの、前連結会計年度末に比べて177億8百万円増加の7,189億49百万円となりました。非流動資産は、主にのれん及びその他の無形資産が為替換算に伴い増加したことにより、一部の政策保有株式の売却を行ったことによるその他の金融資産の減少があったものの、前連結会計年度末に比べて354億15百万円増加の1兆1,649億78百万円となりました。また、資本は6,683億61百万円、親会社所有者帰属持分比率は35.3%(前連結会計年度末比1.6ポイント上昇)です。 (億円) ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額です。 営業活動によるキャッシュ・フローは、826億89百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて173億13百万円の減少となり、この主な要因は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産、営業債務及びその他の債務などの運転資本の変動に伴う減少があったことなどによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、政策保有株式の売却に係る収入があった一方で、設備投資に伴う有形固定資産及び無形資産の取得による支出などから235億93百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて45億34百万円の支出減少です。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期、長期とも有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことに加え、配当金やリース負債の支払があったことなどから724億68百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて2百万円の支出減少です。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて79億3百万円減少の1,156億24百万円です。 ④ 生産、受注及び販売の実績生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円) 前年同期比(%)ウォーターテクノロジー事業435,51299.6ハウジングテクノロジー事業225,11999.2リビング事業103,188101.5合計763,81999.7 商品仕入実績 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円) 前年同期比(%)ウォーターテクノロジー事業67,21295.4ハウジングテクノロジー事業108,35790.7リビング事業41,215103.8合計216,78494.4 受注実績 ハウジングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っています。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)ハウジングテクノロジー事業87,621100.7134,147109.4 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称金額(百万円) 前年同期比(%)ウォーターテクノロジー事業811,052100.8ハウジングテクノロジー事業525,65799.7リビング事業207,579101.0報告セグメント計1,544,288100.4セグメント間取引△33,584102.5合計1,510,704100.4 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しています。 ① 重要な会計上の見積り及び判断、重要性がある会計方針重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。また、当社グループを取り巻く市場の動向や為替変動等の経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要性がある会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及びセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりです。 [当連結会計年度の業績に対する評価]当連結会計年度は、引き続き厳しい事業環境ながら売上収益は60億円増の1兆5,107億円と増収を達成することができました。売上総利益率は34.1%と1.0ポイント改善しました。国内事業では、新設住宅着工戸数の低迷の影響を受けたものの、リフォーム事業へのシフトの効果に加え、高断熱や省エネなど高付加価値製品の販売強化の効果により増収となりました。ウォーターテクノロジー事業及びリビング事業は、リフォーム向け売上が堅調だったことにより好調に推移しました。一方で、国策による大規模な補助金制度を背景に窓を中心とした断熱商品のリフォーム向け売上が堅調だったものの、新築向け売上減少の影響が大きく、ハウジングテクノロジー事業はわずかに減収となりました。海外事業では、欧州全体では景気回復の動きは鈍いものの、ブランド力強化により水栓金具やフラッシングシステムなどの売上が改善したことや、成長市場である中東・インドにおける堅調な売上拡大があったものの、米国における浴槽事業譲渡に伴う売上減少や中国の不動産市況の低迷が継続した影響などを受け、前期比で減収となりました。今後は収益性の改善を目指し、成長に向けた戦略的集中と市場特性に応じたアプローチを機動的に展開していきます。コストの削減については、海外事業において人員配置や販売戦略の最適化などの構造改革を推進してきた効果の発現や、本社費などの販管費削減努力の継続に加え、サプライチェーンの再構築、事業ポートフォリオの最適化等に取り組みました。今後も、AI活用を含めた事業全体のデジタル化などにより、販管費を中心としたコスト構造を抜本的に作り変えるべく対応を進めていきます。事業環境が厳しい時期だからこそ、変化への対応力を高め、強固な事業基盤を築いていきます。また、税負担率について、これまでグローバルに事業を拡大してきた過程で、赤字が続く一部の子会社が存在するなど、グループ全体の税務構造が必ずしも最適化されておらず、高い水準にありました。こちらについて、赤字法人の解消や法人の適正配置、国際的な税制変化に即したグループ内資金還流の円滑化に取り組んでいます。税負担率を適正化することにより、事業ポートフォリオの最適化と連動した「利益体質の変革」を進めていきます。 当社グループを取り巻く事業環境の厳しさは続いており、迅速かつ適切な対応が迫られています。上記にて説明した対応策を着実に取り組むことにより、財務の安定性を確保しつつ、当社の持続的な成長とPurpose(存在意義)の実現に努めてまいります。 [資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応]当社は、中期目標の指標として事業利益率7.5%、ネット有利子負債EBITDA倍率3.5倍以下、親会社所有者帰属持分比率35%以上の実現を掲げています。また、長期の財務指標として事業利益率10%、投下資本利益率(ROIC)10%を達成することを目指しています。 (注)1.ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷{(親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2}2.ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務) また、当連結会計年度末時点でのPBRは0.7倍にとどまっており、ROEの向上に繋がる利益率の改善を推進していきます。そのために事業利益率の改善策として、価格の適正化や、AI等のテクノロジーを駆使した効率化による販管費を中心としたコスト構造の抜本的な見直し、及び税務構造の最適化に取り組んでいきます。加えて、アセットライト戦略によって資産効率を上げることで、ROEを段階的に、かつ着実に目標水準に引き上げていきます。 [キャピタルアロケーション・株主還元に対する考え方]当社は、期間収益並びにキャッシュ・フロー、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、利益配分を決定することを方針としています。具体的には、その時点でのキャッシュ・フローの状況を勘案し、財務体質の強化に加え、競争力の強化を目的とした設備投資(新商品開発、合理化、IT投資等含む)等の成長投資を優先することを前提に内部留保の使途を決定します。株主還元については、長期にわたり安定した配当を実施することを基本とし、中期的なEBITDAの水準に基づき年間配当金額を決定するとともに、自己株式の取得は機動的に行う方針です。この方針のもと、次期の配当は1株当たり90円を予想しています。 (注)調整後EBITDA:事業利益 + 減価償却費(IFRSにおけるリース会計適用による現金の流出を伴う減価償却費の計上額の補正)[財務の安定性確保]現時点では、将来成長の基盤であるイノベーションを優先事項ととらえ、大型のM&Aや設備投資は検討していません。また、当面、大型の借入れや増資計画はありませんが、資本的支出については長期的かつ持続的な成長につながるITや人材、デザイン・ブランドなどの無形資産も含む成長投資により営業キャッシュ・フローの増加を図るとともに、保有資産の最適化を通じて成長投資に必要な資金の創出を図ります。当社では、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下に、また親会社所有者帰属持分比率を35%以上に改善することを中期目標の指標として、アセットライト化の推進に基づく資本効率の向上と固定費の削減に取り組んでいきます。 [次期の見通しと通期業績予想値]次期の見通しについては、国内においては雇用・所得環境の改善や底堅い企業収益を背景に、個人消費及び省力化・デジタル関連を中心とした設備投資などに支えられ、経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されます。しかしながら、住宅価格の上昇による新築需要のさらなる縮小や、中東情勢等の地政学リスクに起因する石油由来原材料の供給懸念並びにエネルギー価格の高止まり、為替変動や物価上昇の動向によっては依然として先行きが不透明な状況が続くと見込まれます。海外においても、各国のインフレ動向を受けた金融政策の不確実性が残るものの、欧州における安定的な成長や中東・インド地域などの成長市場における底堅い需要の取り込みが期待されます。その一方で、米国の相互関税措置をはじめとする通商政策の動向や、中東情勢及びロシア・ウクライナ紛争などの地政学的リスクの長期化に起因する世界的な情勢不安が懸念されます。これらに加え、中国における長引く不動産市場の低迷や、紛争に起因するエネルギー・資源価格の上昇に伴うインフレーションのリスクなど、引き続き不透明な状況が続くと見込まれます。このような厳しい事業環境のもと、当社グループにおいては経営の基本的方向性を示した「LIXIL Playbook」の優先課題に基づき、これまでも積極的な対策を講じてきました。特に喫緊の課題である海外事業の収益性の回復に向けては継続して構造改革に取り組むとともに、利益率の高い商品へのシフト並びに流通経路のシフト、不採算事業の整理などの事業ポートフォリオのさらなる見直し、サプライチェーンの再構築などを推進していきます。こうした取り組みの成果は、次期以降の収益性の改善に必ず貢献するものと考えています。一方で、業績の向上と持続的成長に向けて、差別化商品の拡大と、社会や環境課題の解決におけるインパクト(良い影響)創出を同時に実現することを目指しています。これまでも機動的で起業家精神にあふれた組織へと変革する取り組みを続けてきましたが、今後も引き続き、デジタル化の加速とインクルーシブな企業文化の醸成を通じてイノベーションを推進し、新たな成長機会の確立につなげていきます。これまで取り組んできた事業基盤の強化による成果は見え始めており、長期的な成長への道筋は変わっていません。ステークホルダーの皆様に提供する価値をさらに高め、ひいては、『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』という当社グループの存在意義を実現するために前進してまいります。 このような中、次期の通期業績予想値につきましては、上記のような事業環境・経営戦略を考慮し反映させた結果、売上収益は1兆6,000億円(前年同期比5.9%増)、事業利益は450億円(前年同期比16.9%増)、営業利益は375億円(前年同期比32.0%増)、税引前利益は250億円(前年同期比59.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は120億円(前年同期比47.4%増)と、増収増益を見込んでいます。 なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。昨今の中東地域における地政学的リスクの高まり、それを発端とするサプライチェーンの混乱による資材の調達難、原油価格の高騰並びに石油由来原材料の価格上昇等の不確実性につきましては、現時点においてその影響額を合理的に算定することが困難であることから、本業績予想には織り込んでいません。そのため、実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。 (注)1.EPS(基本的1株当たり当期利益)の2027年3月期予想値の算定上の基礎となる期中平均株式数については、2026年3月31日現在の発行済株式数(自己株式数を除く)を使用しています。2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。また、各指標は、以下により算出しています。ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)ROA :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))÷2)ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物3.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。 資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めています。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っています。なお、新型コロナウイルス感染症拡大のような想定外の事象により経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しています。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めています。 当連結会計年度においては、運転資本の増減などにより営業キャッシュ・フローは減少したものの、政策保有株式の売却に係る収入があったことなどから、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて27億円減少し5,316億円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,156億円となりました。次期においても、引き続きフリー・キャッシュ・フローの改善を通じて有利子負債の圧縮と財務体質の健全化を図ります。 なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりです。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期売上収益事業利益率(%)4.51.71.62.12.5親会社所有者帰属持分比率(%)34.333.734.133.735.3ネット有利子負債/EBITDA(倍)2.94.85.34.74.4(注)1.各指標は、連結ベースの財務数値により算出しています。なお、各指標は、以下により算出しています。ネット有利子負債:有利子負債-現金及び現金同等物EBITDA :事業利益+減価償却費及び償却費2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
事業リスク
- 経済状況・為替・金利変動リスク: LIXILはグローバルに事業を展開しているため、世界経済の景気変動、物価上昇、原材料価格の高騰、為替相場の変動、金利上昇などが経営成績や財政状態に大きな影響を与える可能性があります。特に、アルミや銅などの原材料価格の変動や、日本国内の新設住宅着工戸数の大幅な変動は、収益に直接的な悪影響を及ぼす可能性があります。
- 地政学リスク: 国際情勢の不安定化や地政学的な緊張は、原材料の調達リスク、輸送費の高騰、物流の停滞・遅延を引き起こす可能性があります。また、各国の経済安全保障政策の強化や新たな制裁・法規制の導入、戦争・紛争の発生は、特定の国や企業との取引停止、事業の長期停止、事業撤退につながり、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 新製品開発の遅延・失敗リスク: 常に変化する市場や顧客ニーズを的確に捉え、魅力的な新製品を開発し続けることがLIXILの成長には不可欠です。しかし、市場ニーズへの対応の遅れや、新製品が顧客に効果的に訴求できない場合、将来の事業成長が鈍化し、売上収益の低下につながる可能性があります。また、製品に欠陥が生じ、大規模なリコールや製造物責任賠償が発生した場合には、多額の費用発生やブランドイメージの毀損につながるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】(1)リスクマネジメント体制当社グループでは、事業の継続と安定的発展を目的に、グループ全体でEnterprise Risk Management(ERM)の構築を推進しています。CFOを委員長とするリスクマネジメント委員会を設置し、ERMの推進状況やリスクへの対応状況及び大規模インシデントの発生状況を把握し、リスクに係る意思決定を行っています。重要事項については執行役会に報告するとともに、取締役会は定期的にCFOから報告を受け、リスクマネジメントの取り組み状況を監督しています。また、監査委員会はリスクマネジメント部門より報告を受け、リスクマネジメントの実効性を監督しています。 (2)リスク評価と重要リスクの特定当社グループでは、事業戦略及び戦略目標に影響を及ぼすリスクを「戦略リスク」、戦略的計画の実施に影響を及ぼすリスクを「オペレーショナルリスク」と定義し、これらを評価対象として年に1回全社的なリスク評価を実施しています。評価結果はリスクマネジメント委員会へ報告され、当社グループとしての重要リスクを選定し、対応すべきリスクの優先順位を決定しています。また、定期的に重要リスクのモニタリングを実施し、リスク対応策の見直しや進捗の確認を行っています。評価項目においては、ESGリスクを組み込んでおり、事業リスクと当社グループの重要課題の相互補完的な関係を考慮しています。重要課題の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (3)2026年3月期の事業等のリスクグループの重要リスクのうち、事業の状況及び経理の状況等に関するリスクの一覧、リスクマップ、及び詳細情報は下記のとおりです。なお、発生可能性や影響度、重要性の前年からの変化を考慮して選定していますが、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクにつきましては、リスクの大きさに関わらず記載をしています。また、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (リスクマップ及び凡例) 2026年3月期の以下に関するリスク発生可能性(注)影響度(注)重要性の前年からの変化(1)経済状況、為替相場・金利の変動高高同水準(2)地政学高中→高増加(3)新製品の開発中中同水準(4)原材料等の調達中→高中→高増加(5)環境(気候変動、水、資源)中中同水準(6)事業再編低中同水準(7)競合他社との競争・製品価格中中同水準(8)人材の獲得と育成及びダイバーシティ推進中中同水準(9)販売チャネル中中同水準(10)ブランド低高同水準(11)災害・事故・感染症等中高同水準(12)情報・サイバーセキュリティ高高同水準(13)知的財産中中同水準(14)繰延税金資産の回収可能性中中同水準(15)規制強化低→中低増加(注)前連結会計年度の評価から変更のあったリスクについて、前連結会計年度の発生可能性、影響度を併記しています。 (1)経済状況、為替相場・金利の変動に関するリスク当社グループは、グローバルに販売活動を行っており、その売上収益は世界における需要、景気、物価の変動、産業・業界の動向に影響を受けます。例えばアルミ、銅、樹脂、半導体など原材料価格や物流コスト、エネルギーコストの上昇は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に日本国内においては、新設住宅着工戸数や建設会社の建設工事受注高の大幅な変動が同様に当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、為替相場の変動は、当社グループの外貨建取引により発生する資産及び負債の円貨換算額や外貨建で取引されている製品の価格や売上収益等にも重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの資金調達は、主として金融機関からの借入や社債の発行等の有利子負債によっており、市場金利が著しく上昇した場合には当社グループの資金調達に係る金利負担が増加し、借入や社債発行による資金調達の難航や支払利息・社債利息が増加する等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性高影響度高重要性の前年からの変化同水準対応策当社グループ全体における販売活動においては、適切なタイミングにおける価格改定を実施し、価格の適正化を図っています。日本での販売活動においては、日本国内における人口減少に伴う新設住宅着工戸数減少の予想を踏まえ、新築市場におけるシェアの拡大の取り組みのみならず、中高級品市場への拡販、リフォーム戦略の強化を進めています。また、生産活動においては、代替調達先の確保による製品・原材料を含めた適切な在庫水準の維持により、安定的な供給体制の構築に努めています。さらに、日本の財務部門において、運転資金及び投融資による資金需要を把握し、投資審査委員会等で案件を審査する体制を構築しています。また、日本の財務部門の他に、中国、シンガポール、ドイツ、米国に1か所ずつ計4拠点の「リージョナル・トレジャリー・センター」を設置し、各拠点において為替相場の動向を月次でモニタリングするとともに、必要に応じヘッジ手続きを実行することにより、為替相場の変動影響を低減しています。当該センターに各地域における資金管理業務等を集約することにより、資金調達の効率化及び安定化を進めています。 (2)地政学に関するリスク当社グループは、グローバルに事業を展開しており、地政学の影響を広範囲に受ける可能性があります。国際情勢や多国間の国際関係は、原材料、資源・エネルギー価格の変動や輸送費の高騰、主要航路の遮断や迂回に伴う物流リードタイムの長期化及び調達リスク、物流における供給停滞・遅延といった直接的な影響に加え、世界的な物価高や政策金利、為替相場の変動への影響を増長させるといった間接的な影響もあり、多岐にわたる他のリスクと複雑に関係し、それらの影響及び不確実性を増長する可能性があります。特に、直近の中東情勢の緊迫化や長期化は不確実性を高める要因となっています。また、各国の経済安全保障政策が強化され、新たな制裁・法規制の対象となった国や企業との取引の停止、戦争・紛争が発生した地域における長期事業停止や事業撤退等、予期しない政策や法規制等の変更、また社会的な期待の変化が、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性高影響度中→高重要性の前年からの変化増加対応策当社グループは国内外に生産拠点を持ち、製品をグローバルの顧客に供給していることから、事業継続に影響する地政学的リスクについて様々な面から対応を強化しています。調達においては、事業に甚大な影響を及ぼすサプライチェーンの分断対策として、カントリーリスク対応を推進し、特定国・地域に過度に偏ることがないように取り組んでいます。また、要求性能を明確化し、在庫備蓄品目を拡大することに加え、リスクの高い原材料・部材については代替材への転換を検討・実行することで有事の際の備えを強化しています。さらに緊急対応先への移管や行動計画を作成し、定期的なコミュニケーションが取れる関係を構築することでグループ全体としての調達機能の活用・強化を実行しています。生産・物流においては、供給網の寸断に加えエネルギーコストの高騰や関税政策にも柔軟に対応できるよう、グローバルのサプライチェーンの最適化を進めています。欧州においては配送センターを再編し、北米においてはメキシコの生産力を高め地域内での供給体制を強化するとともに、足元の米国の関税政策の動向を注視し、適時の価格政策やコスト削減施策等により影響の最小化を図っています。国内においては調達物流専門部署を設置し、複数拠点の生産体制や工場間の応援生産体制の整備、購買ポータルサイトによる適切な在庫水準の維持を進めています。また、政治・経済情勢や法規制に関する動向を注視し、事業に影響が出る可能性のあるリスクについてグループ内に共有し、周知に努めるとともに、海外渡航者・駐在員の安全確保及び技術・情報の管理体制の強化も推進しています。そのうえで、従来からのリスク対応策や事業継続計画(BCP)を定期的に見直していくこととしています。中東情勢等に起因する急激なコスト上昇や供給制約に対しては、機動的な価格改定の実施、調達先の多角化、及び製品供給体制の最適化等を通じて、業績への影響軽減を図っています。 (3)新製品の開発に関するリスク当社グループは、常に技術と顧客ニーズを的確に把握し、魅力ある製品の開発に努めています。しかしながら、市場や業界のニーズの急速な変化に対応できない、あるいは新製品の価値が顧客へ効果的に訴求できない場合、将来の事業成長の鈍化や売上収益の低下につながる可能性があります。また、製品に欠陥が生じリコールが発生するリスクもあります。大規模なリコールや製造物責任賠償につながった場合、多額の支払が生じ、当社グループ製品への信頼性や評判に悪影響を及ぼし、結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策市場の変化に迅速に対応し、将来を見据えたイノベーションの創出や魅力的な製品開発に注力しています。例えば、家庭の蛇口から冷たいミネラルウォーターを楽しめる「Greentap」、国産材の活用によるデザイン性と木製サッシ特有のメンテナンス性を解決した高性能窓「TW WOOD」、近年の造作洗面ニーズに対応する「カスタムバニティ」、AIによりパブリックトイレの清掃業務を効率化するIoTトイレ「LIXIL Toilet Cloud」など、高付加価値で差別化された製品を継続的に開発しています。開発された製品は、グッドデザイン賞・キッズデザイン賞・Red Dot Awardなど国内外のデザイン賞を多数受賞しています。経営の基本的方向性を示す「LIXIL Playbook」では、優先課題として「事業戦略と環境戦略の統合」を掲げ、環境配慮型製品の開発を加速しています。例えば、シャワールームとバスルームを自在に切り替えられる布製浴槽「bathtope」は、従来の浴槽と比較して26%節水が可能となり、環境問題への対応を図りつつ新しいライフスタイルを提案しています。また、CO2排出量削減に大きく寄与する循環型低炭素アルミ形材PremiALシリーズは、環境意識が高い企業からの採用を着実に増加させており、2026年2月には環境省「ESGファイナンス・アワード」サーキュラーエコノミー賞を受賞するなど取り組みを評価いただいています。資源の循環利用についても、「LIXILプラスチック行動宣言」の実現に向け、リサイクル比率を従来品の3倍に高めた高性能樹脂窓「EW」や、廃プラスチックと廃木材を利用した新素材「revia」など、製品の原材料として可能な限りリサイクル素材を使用し、市場ニーズと持続可能な社会への貢献のどちらにも応える製品ラインアップを拡充しています。各製品の上市後は業績管理により、市場トレンドと開発戦略の適合性を確認しています。開発においてはステージゲートシステムを導入し、品質不具合の未然防止と再発防止をプロセスに組み込んでおり、大規模な製造物責任賠償やリコールにつながる可能性を低減しています。また、従業員を対象とした品質意識調査や品質テーマを掲げた啓発活動、品質意識を高める情報メディアの発行など、顧客目線での品質を最優先する風土の醸成に努めています。 (4)原材料等の調達に関するリスク当社グループの生産活動では、金属・木材・樹脂・セラミック等の資材、部品を調達しています。しかしながら、国際情勢や経済状況などにより為替レートやコモディティ価格が変動し、原材料価格の高騰や調達遅延が発生する可能性があります。また、物流においてドライバー不足の深刻化や石油価格の変動、人件費の高騰などにより、製品供給の安定性に影響を及ぼすとともに売上原価の増加を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすほか、欠品により当社グループの製品の信頼性や評判へも影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中→高影響度中→高重要性の前年からの変化増加対応策原材料価格高騰部分の販売価格への転嫁、価格変動のヘッジを目的としたデリバティブの活用を行っています。また、有事における対応力が強いサプライヤーの選定、複数購買の実施などカントリーリスク対応を推進しています。取引先に対しては、信用情報調査や調達アンケート、及び定期的なコミュニケーションを実施しています。昨今の法規制の動向を注視し適切な価格協議を定期的に実施するなど、取引の適正化に努めています。BCPの観点では、定期的な品質テスト、安全在庫量の確保等により安定的な供給体制の構築に努めています。また、コモディティ価格の高騰の影響緩和のため、原材料の代替素材への転換やリサイクル素材の使用、及び製品の長寿命化とリサイクル性を考慮した設計を推進しています。その一環として、当社グループが掲げる「LIXIL環境ビジョン2050」の注力分野の1つとして資源の循環利用を促進しています。さらに、物流に関しても、共同物流化や荷待ち時間の削減、積載効率の向上に注力し、コストの最適化と安定輸送の確保に継続的に取り組むことで物流費の安定化を図っています。 (5)環境(気候変動、水、資源)に関するリスク当社グループは、製品開発から調達、生産、販売、製品使用、使用後の廃棄に至るあらゆるプロセスにおいて地球環境保全に向け様々な活動を行っています。特に近年では、気候変動や自然消失が自社のバリューチェーンに及ぼす影響として、政策や規制、市場の変化がもたらす移行リスク、異常気象や生態系の変化などの物理リスクが顕在化する可能性が高まっています。さらに、今後世界的な水資源への課題、原材料・部材の価格高騰、石油由来のプラスチックや木材に関する規制強化、サーキュラー・エコノミーへの移行による消費者嗜好の変化等の市場変化に柔軟に対応していかなければ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策当社グループでは、執行役会から任命を受けた担当役員が委員長を務める環境戦略審議会を設置し、環境ガバナンスに関わる規程や方針の制定、気候変動、自然資本及び生物多様性を含む環境重要課題に対する施策の審議と決定、当社グループ全体の目標管理とモニタリングなど、環境戦略を構築し、実行しています。LIXIL環境ビジョン2050では「Zero Carbon and Circular Living(CO2ゼロと循環型の暮らし)」を掲げ、2050年までのCO2排出ネットゼロ及び水の恩恵と限りある資源を次世代につなぐことを目指した活動を推進しています。長期目標である2050年までのCO2削減目標は、2024年3月期にSBT(Science Based Targets)よりネットゼロ認定を取得しました。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言を踏まえ、気候変動、自然資本及び生物多様性を含む環境課題が当社グループに及ぼすリスクと機会を特定・評価し、執行役会・取締役会へ報告・承認を経て、環境戦略に反映させる取り組みを進めています。移行リスクに対しては、生産活動におけるエネルギー使用効率化や積極的な再生可能エネルギー活用に加えて、今後はサプライチェーン全体での環境負荷削減の取り組みを強化していきます。さらに、インターナルカーボンプライシングのより実効的な運用に向けた検証や、2050年に向けた長期的な脱炭素技術の開発や導入を促進していくための製造技術や製品材料の研究を進めています。また、物理リスクに対しては、BCP計画によるリスク最小化、生産バックアップ体制整備、固定資産への保険、渇水対策のための取水管理などを進めています。移行リスク及び機会への対応においては、環境目標・実行計画に落とし込み、環境パフォーマンス向上やリスク管理に関わる施策を推進・展開し、その進捗の監視と振り返りを行う管理プロセスを構築し、適宜改善を進めています。また、ISO14001若しくは環境マネジメントシステムによる環境関連法令の洗い出しや遵守の点検ルールを定め、運用状況について定期的に内部監査を実施し、内部監査で指摘があった事項については、フォローアップを行い、改善の実施を確認することで、環境マネジメントシステムの効果的な運用につなげています。 パリ協定及びSDGsの目標13に掲げられているとおり、CO2削減のため、製造・販売活動の見直しや気候変動による影響を低減するための取り組みを実施することが以前にも増して企業に求められています。また、世界的な人口増加や経済成長に伴い、SDGsの目標12や目標6に掲げられているとおり、持続可能な資源利用や節水・浄水技術に対する需要が高まっています。近年では、SDGsの目標14や15に掲げられているとおり、気候変動の影響と合わせて生物多様性の損失がグローバルリスクとして認識が高まり、自然資本に関するリスクの把握や対応に対する評価を求める動きが始まっており、当社グループにおいてもTNFD提言への対応として情報開示をしています。 (6)事業再編に関するリスク当社グループは、経営の効率化及び競争力強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の再編、製造拠点や販売・物流網の再編及び人員配置等の適正化による事業の再構築を行うことがあります。これらの施策に関連して、事業再編後の組織において全社的な戦略上の優先順位が劣後し、経営資源が適切に配分されないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、投融資等の意思決定の際に、事業戦略、領域、展開国等に内在するリスクが的確に識別されず、投資実行後に当初想定していた利益やシナジー効果を実現できないこと等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性低影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策経営陣と従業員とのコミュニケーション強化を図ることにより、当社グループの経営戦略の浸透を図っています。事業・地域ポートフォリオマネジメントを強化することを通じて経営資源配分の優先順位を明確にすることにより、事業再編後の組織において、シナジー効果の最大化や戦略実効性の向上が早期に実現するよう努めています。事業再編後のスムーズな組織の構築に向けて、M&Aにおける買収先企業のPMIを強化しています。その一環として、ガイドラインの策定を通じて、PMI推進体制及び進捗報告プロセスを明確化することにより、有効かつ適切なPMIプロセスの整備・運用による子会社のガバナンス強化を推進しています。さらに、当社又はその子会社による会社の新設、事業再編等を含む投融資に関する事項(投融資案件)については、その内容や金額的重要性に応じて適時適切な判断ができるよう、投資審査委員会による審査や決議をする体制を整えるとともに、投資後の進捗を定期的にモニタリングする体制を構築しています。 (7)競合他社との競争・製品価格に関するリスク当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争に直面しており、特に売上収益は競合他社の価格設定に影響を受けます。高品質で魅力的な製品の市場投入に取り組む一方で、価格面においては必ずしも競争優位に展開できる確証はありません。製品・サービスが厳しい価格競争に晒され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策競合他社との激しい競争による市場価格の下落に対し、多様なニーズに寄り添った付加価値製品の市場投入による差別化を進め、販売価格の底上げに取り組んでいます。生産活動においては、資材の共通化や、プラットフォーム化による生産スペースの削減、コア技術を強化しアセットライトを促進するなど、投資資本効率の向上に努めており、新製品の早いサイクルでの市場投入や、時代に合った新しい価値の継続的な提供を行っています。販売活動においては、富裕層をターゲットとした製品や、当社グループ独自の技術によって実現した環境配慮型製品や省施工型商品など、他社差別化製品の展開により価格競争に晒されにくい事業ポートフォリオの改善を推進しています。また、事業横断で素材や仕上げなどのデザインやスタイルを統一し、リビング空間全体のコーディネートを追求した提案を行うなど、当社グループならではの幅広い製品群を活かした体制づくりを行っています。 これらの取り組みを通して、変化の激しい市場環境においても新しい価値を提供する製品を投入することで、価格ではなく「価値」で顧客に選ばれる取り組みを実施しています。 (8)人材の獲得と育成及びダイバーシティ推進に関するリスク当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが必要です。しかしながら、特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、国内外で必要な人材を継続的に採用・維持するための競争は厳しく、人材獲得や育成が計画通りに進まない場合には、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策当社グループにおいて、継続的な事業の発展のためにグループ全体で女性のさらなる活躍、障がいのある従業員のための取り組みや人種における平等、性的マイノリティに関する取り組み等を推進しており、地域ごとに人事制度の改定や拡充を行うほか、グローバル規模の従業員リソースグループ(ERGs:Employee Resource Groups)として、ジェンダー平等、多文化、障がい、働く親や介護者、LGBTQ+にフォーカスした5つのグループを立ち上げる等、インクルーシブな組織風土を醸成するために様々な活動を行っています。日本において、新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開するほか、従業員の自立的なキャリア形成の支援及び組織力を高めるためのマネジメント層の育成といった多角的な教育プログラムを実施し、多様なバックグラウンドを持つ従業員が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう、インクルーシブな環境を構築するための取り組みを推進しており、マネージャー向けD&I研修をはじめとする多様な人材を受け入れる企業文化の醸成や、従業員が働きやすい職場環境を整備しています。さらに、「報酬・福利厚生委員会」を設置し、グローバルでの処遇の公平性・透明性に向けた取り組みを強化しています。近年、高齢化の進行による高齢世帯の増加及び障がい者人口の増加に対応した製品の必要性が高まっています。また、SDGsの目標5にて掲げられているとおり、企業に対して高齢者や障がい者の雇用だけでなく、ジェンダー格差の是正に対する取り組みも求められています。 (9)販売チャネルに関するリスク当社グループはグローバルに事業を展開しており、各事業において販売チャネルの戦略を推進しています。しかしながら、流通経路の変更や新規の販路拡大に対して、想定していた顧客数が確保できない等の理由により、売上成長が鈍化する可能性があります。例えば、当社の連結子会社であるASD Holding Corp.は様々な需要に応じて幅広い製品を展開していますが、各製品の拡販が計画通りに進捗しない場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。発生可能性中影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策各事業の市場傾向やターゲット顧客の特性を把握し、事業戦略と一貫した販売チャネル戦略を推進しています。市場環境の変化における需要の変動や法規制、技術革新、競合他社の活動等を適切に把握し、適時に戦略の方針やアプローチを改善することで、各事業における当社製品の効果的な市場浸透を図っています。ASD Holding Corp.では、販売チャネルの拡大を進めるために、営業組織の再構築を含め様々な施策を推進しています。特に、施工業者への拡販やショールームの活用強化に注力しており、複数ブランドの差別化商品の投入や価格戦略を進めています。また、自社のECを活用したウェブサイトの展開や施工者向けトレーニングを充実させるなど、エンドユーザーへの直販チャネルの拡大を促進しており、売上高も増加傾向にあります。その他、リテール市場の縮小によるリスク軽減を見据え、子会社の買収・売却・解散等を適切に判断することにより、ポートフォリオの管理を行っています。 (10)ブランドに関するリスク当社グループはグローバルに事業を展開しており、多数のブランドを保有しています。しかしながら、ブランド戦略と事業戦略との整合性や、市場トレンドとの適合性、それらの把握及び管理不足によりブランド・エクイティが変動する、あるいは製品事故などインシデント発生によるレピュテーション毀損等によりブランド価値が低下することで、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に当社の連結子会社であるLIXIL Europe S.à r.l.が保有するGROHEブランドは富裕層をターゲットとしたプレミアムブランドとして認知されており、激しい競争環境において従来の欧州中心のビジネスのみならず、中東市場における販売の拡大を推進しています。当ブランド価値の毀損により、売上成長が鈍化、若しくは利益率が低下した場合、当社グループが計上しているのれんについて減損損失が発生する可能性があります。発生可能性低影響度高重要性の前年からの変化同水準対応策各ブランドの強みや認知度を活かし、事業戦略と一貫したブランド戦略を策定し展開しています。各市場や競合環境を適切に把握するとともに、策定した戦略に基づき顧客・従業員・取引先等を含めたコミュニケーションを強化することで、共通したブランド認識の構築と浸透を図っています。また、グローバルで自社及び競合他社ブランドの販売価格を継続的にモニタリング・分析し、当社グループ全体において統一的な施策を立案・実行できる仕組みを整備し、競争の激しい市場においてもブランド価値を反映した価格帯を維持できるよう対応しています。さらに、ウォーターテクノロジー事業におけるGROHEブランドの位置付けについて、事業内の他ブランドとの差別化を図るため、ブランドデザインの使用に関するルールを設け、ブランド価値の維持・管理に努めています。このような総合的なブランド戦略により、GROHEブランドの認知度を高め、市場でのトップポジションを維持することを目指しています。 (11)災害・事故・感染症等に関するリスク当社グループは、日本国内及び海外諸国の複数の拠点において生産・販売活動を行っていることから、各地で発生する地震や台風等の自然災害、未曽有の大事故や感染症によって、当社グループの調達、生産、物流、販売活動や情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害を受ける可能性があります。特に、災害・事故等の発生により、当社グループの国内及び海外工場の生産活動が停止することは、市場への製品供給に深刻な影響を及ぼし、売上収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の発生や拡大は当社グループ従業員の健康状態悪化による労働力の低下の可能性や、取引先の生産・販売活動の一部停止等、当社グループの事業活動に支障が出る可能性もあります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中影響度高重要性の前年からの変化同水準対応策大規模自然災害や事業活動に伴う事故に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、災害・事故発生時の速やかな情報集約と対応を適時に行うことができるよう事前の対策を講じています。また、被害情報収集アプリや備蓄品管理アプリの導入、緊急時回線の確保を通じて、初動における効率化と的確性の確保に努めています。実際に大規模災害が発生した場合には危機管理対策本部を立ち上げ、被害の最小化と早期復旧が確保できる体制を整備し、製品・サービスの供給継続に向けた対策を推進しています。海外子会社の従業員や出張者、駐在員が自然災害や政変によるテロ・暴動に巻き込まれた場合についても、外部専門家と提携した現地従業員へのサポート体制を整えています。また、渡航時の危機管理フローを作成し、渡航前研修の実施や特にリスクが高いとされる国や地域に関する注意喚起を通じて、従業員の安全確保に努めています。感染症対策に関しては、在宅勤務の環境整備と運用を従来から推進しており、また政府指針等を踏まえた対応ハンドブックを策定し、適時更新し運用しています。感染発生時の対応準備や報告フローの見直しなどを行い、従業員が安心して働ける環境を構築するとともに、事業活動を従来通り継続する環境の整備に努めています。当社グループは、従業員及び従業員家族、取引先を含むステークホルダーの方々の生命及び安全の確保を最優先とした災害・危機対応に取り組んでいます。なお、緊急事態発生時の行動や対策については定期的な訓練の実施等を通じて、従業員への周知徹底と継続的見直しを実施しています。 (12)情報・サイバーセキュリティに関するリスク当社グループが行う生産・販売活動及び各種事業活動は、コンピュータシステムとそれを結ぶ通信ネットワークを利用しています。このため、通信ネットワークに生じる障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウェア、若しくは、ソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動に支障が出る可能性があります。また、情報システムが適切に導入・更新されていないことによりシステム上の不具合、業務の非効率、生産性低下を招き、事業活動に支障が出る可能性があります。さらに、当社グループでは、業務を遂行する中で顧客情報をはじめとする様々な個人情報を取り扱う機会があり、厳格な情報管理が求められています。このため、不測の事態により個人情報の遺漏が発生した場合には、社会的信頼の失墜を招くとともに多額の費用負担が生じる可能性があります。その結果、売上収益の減少あるいは販管費等の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性高影響度高重要性の前年からの変化同水準対応策当社グループは、情報セキュリティ委員会を設置し、関連規程の整備、不正アクセス等の未然防止策、及び従業員への継続的な教育を実施しています。これらの取り組みを定期的に評価・見直すことで、情報セキュリティマネジメントシステムの継続的な改善を図っています。特に、事業活動の安定性を担保するため、老朽化した基幹システムの刷新を推進するとともに、多要素認証の導入など、境界防御に依存しないゼロトラストの考え方に基づいた認証基盤の整備を進めています。サイバー攻撃全体への対応としては、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視しています。万が一、リスクが顕在化した場合には、緊急時の報告基準とフローに基づき、事業部門とコーポレート部門が連携して速やかに初動対応と事業復旧を行う危機管理体制を構築しています。IoT(Internet of Things)やOT(Operational Technology)領域も含めたサイバーセキュリティ強化も推進しており、個人情報保護については、GDPR(EU一般データ保護規則)を含む各国の法令を遵守すべく、データ保護責任者の設置や適切なプロセス整備を行っています。さらに、ランサムウェア対策として、拠点間のネットワークの分離、イミュータブルバックアップ、フィッシング詐欺対策研修、エンドポイントセキュリティの強化を実施し、防御体制を多層化しています。あわせて、外部専門家と連携した初動体制の確保や財務的備えについても実施しています。 (13)知的財産に関するリスク当社グループは、魅力ある差別化された製品やサービスの開発に努めています。このような製品やサービスに対し、第三者が保有する知的財産権との関係で紛争や交渉が生じる可能性があります。この場合、当該第三者の知的財産権を侵害しない製品やサービスの開発、損害賠償金の支払い、当該第三者の知的財産権のライセンスの取得とロイヤルティの支払い、差止命令による製品やサービスの一部について製造販売や提供の中止を要求される可能性があります。一方で、協業の増加に伴うノウハウ流出や、製品やサービスの差別化要素となる技術やデザイン等が第三者に模倣されることにより、製品又はサービスの市場競争力の低下を引き起こす可能性があります。また、当社グループの商標権等の知的財産権を侵害する模倣品の流通により、当該模倣品を使用した顧客に事故や健康被害等が発生した場合、当社グループへの評判、ブランド価値、製品の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。これらは、当社グループの経営成績及び財政状態にも悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策知的財産部門と事業部門が連携し、第三者の知的財産権の調査分析を行う等の知的財産権についてのリスクアセスメントを製品開発のプロセスに組みこむことで、開発段階から訴訟その他の重大な事業リスクの発生を未然に防止する対応をしています。すなわち、第三者の知的財産権についての事前調査や必要なライセンスの取得などの対応を図っています。また、持続的な競争優位性と高収益性を実現するために、競争力の源泉である当社グループの差別化要素の第三者による模倣を防ぐ対応を行っています。そのため技術開発、製品企画の段階から保護すべき知的財産を特定し、特許権、意匠権、商標権等の取得に加え、ノウハウの評価と整理を行い、コアとなるノウハウの適切な管理による秘匿化を通じて、日本及び各国における知的財産ポートフォリオマネジメントを推進しています。なお、模倣品に対しては、お客様に対する注意喚起や税関への差止申立て、インターネット販売における監視と排除、当局による摘発への協力等を行い、その流通の防止に努めています。さらに、知的財産情報をはじめとする各種のデータ分析に基づく知財インテリジェンスを実行し、上記のリスクアセスメントを効率的に行うとともに、戦略的に知的財産ポートフォリオを構築することに活用しています。 (14)繰延税金資産の回収可能性に関するリスク当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対してそれらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得は、マネジメントが確認した将来の業績見積りを基礎としています。当該見積りにおいて、日本国内における人口減少に伴う新設住宅着工戸数の減少が予想される中、販売価格の適正化及び政府による住宅省エネ化支援策の拡充も踏まえたリフォーム戦略の強化等による売上収益の増加や原価低減による売上総利益率の改善等の収益性向上を見込んでおりますが、これらの施策の達成には不確実性が伴います。また、税務上の繰越欠損金の繰越年数や使用上限割合が変更される等、当社グループにとって不利な税制改正が行われる可能性が否定できません。これらの結果、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。発生可能性中影響度中重要性の前年からの変化同水準対応策見積りの達成にあたっては、当社グループ全体の業績管理を担う企画管理部門によるモニタリングを強化しており、見積りの達成を阻む要因があれば、早期に対応できる体制を構築しています。さらに、当社CFO直轄組織がガバナンス強化の取り組みの一環として業績管理プロセスを強化することにより、業績悪化の兆候を早期に捉え、税制改正にかかる情報については、当社税務部門において早期に捉えるようにしています。これらの部門が、業績悪化の兆候や税制改正にかかる情報を把握した際には、当社経理財務部門及び税務部門と協議を行い、繰延税金資産の回収可能性に関して、タックスプランニングの見直しの必要性も含めて適時に対策が打てるような体制を構築しています。当期においては、当社及び一部の子会社の繰延税金資産の一部については使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が生じたため、当該繰延税金資産の帳簿価額の一部を減額しました。今後、収益性の回復により回収可能性が高いと見込まれた際には、再度帳簿価額の増額を行います。 (15)規制強化に関するリスク当社グループは、日本国内において事業活動を行う上で、会社法や独占禁止法、個人情報保護法、税法、会計基準等、経営に係る一般的な法令諸規制の適用を受けています。また、海外での事業活動についても、それぞれの国や地域における競争法、個人情報保護法、国際取引規制、その他の法令諸規制の適用を受けています。近年、当社グループの重要な物的資源(金属・木材・樹脂・セラミック等)又はその原材料を含む自然資源の利用や、非財務情報開示を含むサステナビリティに関わる規制等、新たな法令諸規制の導入について活発に議論されています。また、個人情報保護に関する規制については、グローバルに規制強化の一途を辿っており、その執行も活発化しています。これらの法令諸規制は、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の上昇、国際情勢や多国間の国際関係の変化、その他の社会情勢の変化などに応じて、将来において急速に新設・変更・廃止され、厳正な法執行が行われる可能性があります。その結果、製品その他サービスの提供の制限や、売上原価の増加、設計・開発段階におけるコスト増、新たな制裁・法規制の対象となった国や企業との取引の停止等、当社グループの事業運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、新たな法令諸規制に対応できる人材の確保を含む体制整備や、システム導入に遅れが生じた場合、従来と比較して法令違反のリスクが高まる可能性があります。発生可能性低→中影響度低重要性の前年からの変化増加対応策当社グループは、複雑化し急速に変化し続けるグローバルな規制環境の中で行う事業活動に機動的に対応するため、2022年1月に法務・コンプライアンス部門のグローバルでの組織再編を実施しています。また、2024年12月には、ロシア・ウクライナ紛争のために輸出入に関する規制が活発になっているヨーロッパ地域において新たなTrade Compliance Leaderを迎え入れる等、規制遵守体制をさらに強化しています。これらの新体制のもと、法務部門を中心とした各地域の法令遵守と法的リスクを抑制するための体制が整備されています。さらに、法令諸規制に関する情報発信や定期的な教育等により、従業員の理解度を高めるとともに、事業部門とコーポレート部門が規制対応に関して適切に連携できるよう取り組んでいます。規制の新設・変更・廃止が実施された場合には、規程やガイドライン等の作成・更新に加えて、取引先に対するコンプライアンスデューデリジェンスにその内容を反映する等の実務的な方策によって、規制違反の回避に努めています。