6090

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

サービス業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • メタボローム解析サービス
    ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)は、慶應義塾大学発のベンチャー企業で、生物の体内で作られる「代謝物質(メタボライト)」を網羅的に分析する「メタボローム解析」を主力事業としています。この解析技術は、病気の原因解明や新しい薬の開発、健康食品の機能性評価、環境に優しいバイオ製品の開発など、幅広い分野の研究開発を支援し、その解析結果と専門家によるコンサルテーションを提供することで収益を得ています。
  • 独自技術CE-MS法
    同社の核となる技術は、キャピラリー電気泳動装置(CE)と質量分析計(MS)を組み合わせた「CE-MS法」です。この技術により、生体内のイオン性代謝物質を一度に、かつ網羅的に測定することが可能となり、従来の分析方法では難しかった詳細な代謝変化の把握を可能にしています。この独自技術が、顧客の研究開発における課題解決に貢献しています。
  • ヘルスケア・ソリューション・プロバイダー
    HMTは、単に解析データを提供するだけでなく、顧客のライフサイエンス研究支援、機能性素材開発支援、バイオものづくり支援といった具体的なニーズに対して、メタボローム解析技術とノウハウを活かしたソリューションを提供しています。これにより、顧客が画期的なヘルスケア製品・サービスを創造するためのベストパートナーとなることを目指し、事業を展開しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 研究支援解析事業
    この事業は、主にライフサイエンス分野の研究開発を支援するサービスを提供しています。具体的には、病気の診断や治療効果を予測する「バイオマーカー」の探索や、薬や食品成分が体内でどのように作用するかを解明する「作用機序解明」を目的としたメタボローム解析を行います。この事業は売上高11.43億円、営業利益1.85億円と、同社グループの主要な収益源となっています。
  • ヘルスケア解析事業
    この事業は、機能性表示食品の開発支援や、環境に優しい「バイオものづくり」の支援に特化しています。機能性表示食品制度の活用を支援し、効率的な機能性素材・製品の開発に貢献しています。また、微生物などを活用して有用物質を生産するバイオものづくりにおいて、生産性向上にメタボローム解析が貢献しています。この事業は売上高3.12億円、営業利益0.65億円です。
  • 事業セグメントの統合
    以前は研究支援解析事業とヘルスケア解析事業の2つのセグメントに分かれていましたが、ビジネスモデルがほぼ同じであることから、2026年6月期からは1つの事業セグメントに統合して運営されています。これは、効率的な経営と事業運営を目指すための変更であり、顧客のライフサイエンス研究支援、機能性素材開発支援、バイオものづくり支援のニーズに対し、統合された形でソリューションを提供していきます。
2025-06 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
ResearchsupportAnalysis 事業 11 2 16.1%
HealthcareAnalysis 事業 3 1 20.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|5,307 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社および欧米市場における販売子会社であるHuman Metabolome Technologies America, Inc.(以下「HMT-A」といいます。)の2社で構成され、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、独創的な質量分析技術を駆使して、研究開発から生産効率化、品質保証・検査までを支える“バイオ解析プラットフォーマー”として、顧客・ユーザに付加価値を提供することをビジョンとして事業を展開する慶應義塾大学発のベンチャー企業です。 顧客のライフサイエンス研究支援、機能性素材開発支援、バイオものづくり支援のニーズに対し当社のバイオ解析技術・ノウハウにより、ソリューションを提供してまいります。 <事業系統図> (1)メタボローム解析 人間をはじめとする生物は、筋肉や臓器、骨といった多様な機能を持つ器官から成り立ちますが、これらはアミノ酸や脂質、核酸などの代謝物質(メタボライト)を共通の構成因子としており、代謝物質は全ての生命活動において欠かせない役割を担っています。代謝物質は食事により供給され、運動など日々の活動の中で消費されます。その機能に応じて体内や細胞内を移動し、多くの化学反応によって新しい物質へと作り替えられていきます。このような化学反応のことを代謝(メタボリズム)と呼び、この物質変換は代謝経路という一定の規則により成り立っています。代謝の仕組みを理解することは、私たち自身をより深く知ることに繋がります。 メタボローム解析は幅広い分野で利用されていますが、主に以下のようなニーズ分野で代謝を理解する手法として活用されています。① ライフサイエンス研究支援 主にバイオマーカー探索や作用機序解明などの基礎研究分野で利用されています。 生命活動を営むためには、様々な機能を精緻に制御して”恒常性”を維持する仕組み(内的/外的な影響を最小限にし、一定に保つ仕組み)が備わっています。体温や心拍数が一時的に変化しても元に戻ることが、恒常性の身近な例と言えます。しかし、疾病に罹患することにより恒常性が破綻した場合、代謝物質などの構成要素にも影響が及び、健康の時とは異なる振る舞いを示すようになります。それがバイオマーカーです。バイオマーカーとして広く知られているものに、膵臓の機能指標となる血糖(糖尿病)や肝機能の指標となるγ-GTP(肝硬変等)、腫瘍マーカーとしてPSA(前立腺がん)やCA19-9(膵臓がん等)があります。バイオマーカーとは、特定の疾患に対して客観的に評価できる生体上の指標をいいます。 バイオマーカーは、疾患をモニターすることを目的に古くから研究されてきましたが、より高感度で一度に多くの物質を分析できる新しい方法の出現により、新たなバイオマーカーの研究成果が相次いで発表されています。メタボローム解析技術により、探索が進んでいるバイオマーカーには、以下のようなものがあります。・疾患を予測するバイオマーカー・治療の予後を予測するバイオマーカー・投薬による副作用を予測するバイオマーカー・投薬の効果を予測するバイオマーカー 作用機序解明とは、ある成分を摂取した場合にどの代謝経路に作用しているのかを判断するために代謝物の変動の比較分析から情報を提供するものです。摂取した成分が特定の酵素などに働くことにより、活性化あるいは抑制された結果、その後に生成される代謝物の量に変化が生じます。この群比較を行うことにより、対象成分がどの酵素などに働きかけたのかなどを推定するのに活用されています。 ② 機能性素材開発支援 2015年に機能性表示食品制度が開始されました。これは機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者の皆さんがそうした商品の正しい情報を得て選択できることを目的としています。国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。この制度により機能性表示食品に関する認知度も向上し、届け出数も増加するとともに、その市場規模も大きく増加して今日に至っています。 この制度は、企業などにより高機能な素材開発の推進を促進することにつながったのみならず、良い素材・商材を生産されている中堅中小企業の幅広い利用にもつながっています。さらに効率的な機能性素材・製品の開発を進めるために、メタボローム解析による網羅的な機能性成分の発見と機能検証への活用が進んでいます。 ③ バイオものづくり支援 「バイオものづくり」とは、生物由来の素材を用いてものづくりを行うこと、さらには微生物などの生物の能力を活用して有用化合物などを作り出すことをいいます。化石燃料を原料としないで物質の生産を行うことができることから、カーボンニュートラル実現のキーテクノロジーとして大きな期待が寄せられています。これにより環境負荷低減に貢献できるのみならず、資源自律経済の推進や、食料安全保障の点からも重要視されています。現政権の戦略17分野の1つでもあり、今後大きな成長が期待されます。 バイオものづくりによる物質生産の拡大を促進していくためには、生産コストを大幅に引き下げることが求められます。微生物の反応が化学的な手法と比べて長い時間を要することや、製造に成功するまで技術的に困難なことが多いため、コストが高くなりがちです。この課題を解消するために、微生物や菌株のゲノム編集などによる生産性の向上への取組みが行われてきましたが、それを効率化するためにメタボローム解析が極めて有用です。また培養プロセスにおける生産性向上にもメタボローム解析が大きく貢献しています。 (2) 当社グループ設立の経緯 生物学、医学分野において、オミクス(注1)は生体の網羅的情報を得る手法として重要です。2001年慶應義塾大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授(当時)は、生体内の低分子代謝物質(メタボローム)(注2)を網羅的に測定する方法を開発しました。このメタボローム測定法はキャピラリー電気泳動装置(Capillary Electrophoresis)と質量分析計(Mass Spectrometer)を組み合わせて測定するもので、頭文字をとってCE-MS法と呼ばれています。 曽我朋義教授の測定法は、生体内のイオン性代謝物質(注3)を、一斉に、かつ、網羅的に測定できる点で画期的な技術でした。メタボローム解析技術は、生物学基礎研究から医薬品開発、疾患バイオマーカー(注4)開発等に用いられるため、本技術の社会的ニーズが見込まれました。 こうした技術の確立を背景に、当社グループは、CE-MS法の開発者である曽我朋義教授、冨田勝教授、慶應義塾大学等が中心となり、2003年7月に設立されました。当社グループは、慶應義塾大学のアントレプレナー資金制度により出資を受けた慶應義塾大学発ベンチャー企業の第1号となりました。 (3) ビジネスモデル 当社グループは、主にCE-MS法を用いたメタボローム解析法をコア技術として、代謝物質の網羅的解析技術を用いて顧客の研究開発を支援し、その解析結果に基づくソリューション提案を行うことで、顧客の成功に貢献すべく活動しております。 当社は顧客から提供された試料から代謝物質を抽出し、CE-MS等によるメタボローム解析などを行い、解析結果を報告書として納品します。また顧客のご要望に応じて解析結果に基づき、専門家によるソリューションを提案するコンサルテーションも実施しております。 (4) 事業内容 当社グループでは主に以下の3分野のニーズにお応えするサービスを提供しております。① ライフサイエンス研究支援サービス(略称 LSS:Life Science analysis Support service) 主に顧客のバイオマーカー探索並びに作用機序解明などのニーズに応えるために、当社が独自に開発した高感度網羅解析技術を活用した受託解析サービスを提供しています。当社グループの解析サービスで得られた代謝物質データは、製薬企業や大学、研究所では基礎生物学研究から薬剤効果及び毒性の評価等、顧客の研究開発進展に貢献しております。 ② 機能性素材開発支援サービス(略称 FDS:Functional material Development Support services) 主に機能性素材開発におけるワンストップソリューションサービスを提供しております。機能性成分探索パッケージでは、当社のメタボローム解析技術により製品に含まれる機能性関与成分を網羅的に測定することができます。また小規模でのヒト試験「目利き臨床試験」や当社グループ独自のアルゴリズムを用いたヘルスクレーム予測パッケージにより、素材のもつ機能を推定いたします。これにより迅速かつ効果的にヘルスクレームを予測することが可能なため、素材の新たな機能を見出すとともに、本臨床試験のアウトカム未達のリスクを軽減します。その後の大規模臨床試験などでも対象素材摂取と非摂取の比較をメタボローム解析にて行うことにより、科学的な効果検証を支援いたします。 ③ バイオものづくり支援サービス(略称 BMS:Bio-Manufacturing Support services) 主にバイオものづくりにおける生産性向上を支援するサービスを提供しています。 バイオものづくりの研究開発に取り組む企業は、宿主となる微生物や動物細胞を用いてバイオエタノールや機能性成分、抗体医薬などを生産しておりますが、このプロセスの生産効率化が、バイオものづくりに関わる企業の方々の共通の課題となっております。 本サービスを活用して細胞内や培養上清中のメタボローム解析を実施することで、宿主となる細胞が、目的の物質を生成するのに必要な、あるいは不必要な一連の栄養素を明らかにすることが可能となります。具体的には、培養上清中の代謝物質を網羅的にかつ経時的に分析することで、培養途中で枯渇している成分、培養液中に蓄積する成分、並びに細胞内の代謝物の経時変化を調べることができ、生産性向上に向けた様々な施策につなげることができます。 本サービスに含まれるフラックス解析により、ある物質が別の物質に変換される反応の速度を推定することができます。これにより、基質となる物質がどの程度効率的に目的の物質に変換されているか、その流れを可視化することができます。加えて理論的に最大量の目的物質が生産される場合の代謝の流れを可視化することにより、理論的にはどの程度のさらなる生産効率化が可能であるかという目標を把握し、基質となる物質をより効率的に目的物質に変換させるためのヒントを得ることができ、バイオものづくりの飛躍的な生産性向上に貢献することが期待されています。 (注1)オミクス(omics)とは、生体内に存在する遺伝子及びその発現、タンパク質、代謝物質等を網羅的に解析し、生体内の挙動を理解しようとする研究アプローチです。遺伝子(gene)ではゲノミクス(genomics)、遺伝子発現(transcript)ではトランスクリプトミクス(transcriptomics)、タンパク質(protein)ではプロテオミクス(proteomics)、代謝物質(metabolite)ではメタボロミクス(metabolomics)と表現します。 (注2)ヒトや動植物の生体内には、生命活動の維持に必要なATP(アデノシン三リン酸)等の高エネルギー物質や有機酸、アミノ酸等、数多くの代謝物質が存在し、酵素による代謝物質の変換が活発に行われています。メタボロームとは、これら生体由来の代謝物質の総称です。個々の代謝物質を指す場合には、メタボライトと言うこともあります。 (注3)イオン性代謝物質とは、水溶液中で電荷を帯びる代謝物質を指します。例えば、食塩(NaCl)は水に溶けると、Na+(ナトリウムイオン)とCl-(塩化物イオン)に分かれます。イオン性代謝物質は、このように分子が分かれて電荷的な性質を持ち、CE-MS法は、こうしたイオン性代謝物質が電荷を帯びている性質を利用し、キャピラリー電気泳動装置で測定試料に含まれる代謝物質を分離します。 (注4)疾患バイオマーカーとは、ある病気の有無、進行状況、重症度、あるいは治療効果などを客観的に示す生体内の指標(マーカー)のことです。血液や尿、唾液、組織などから測定できる分子や物質などの情報がバイオマーカーとなります。代謝物質の疾患バイオマーカーとして広く知られているものに、糖尿病の可能性を示唆する血糖や痛風の発症リスクと関連する尿酸などがあります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
国内外の競合が増加傾向にあり、価格競争も一部でみられる
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術、慶應義塾大学発のベンチャー企業であること
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
会社が挙げる主要リスク:売上高の季節変動に関するリスク / 国内外での競合リスク / 事業化及び商品開発の遅延リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 1 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

現時点では、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズが保有する特許、ブランド、規制ライセンス、独占的IPに関する具体的な情報は開示されておらず、無形資産による競争優位性は確認できません。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

特定の疾患領域における網膜色素変性症の遺伝子治療薬開発に特化しており、開発の初期段階であるものの、臨床試験の進捗やデータ蓄積が進めば、研究機関や製薬企業との連携において一定のスイッチング・コストが発生する可能性があります。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

事業モデルにおいて、ユーザー数が増加することでサービスの価値が増大するようなネットワーク効果は想定されません。研究開発型バイオベンチャーであり、直接的な顧客ネットワークの構築は事業の主眼ではありません。

コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

バイオテクノロジー分野の研究開発は、高度な専門知識、設備、人材を必要とし、構造的にコスト優位性を確立することは困難です。むしろ、研究開発費の増大が事業の特性となっています。

規模の経済☆☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは、特定の疾患領域に特化した研究開発型企業であり、業界規模に対して最適な少数寡占を形成するような規模の経済性は見られません。ニッチな分野での活動が中心です。

  • 慶應義塾大学発の独自技術
    HMTは、慶應義塾大学先端生命科学研究所で開発された画期的なメタボローム解析技術「CE-MS法」を基盤としています。この技術は、生体内のイオン性代謝物質を網羅的かつ高感度に測定できる点で優れており、他社にはない独自の強みとなっています。この技術力は、同社の競争優位性の源泉であり、幅広い研究分野からのニーズに応えることを可能にしています。
  • 幅広い応用分野と実績
    メタボローム解析は、バイオマーカー探索、作用機序解明といった基礎研究から、機能性表示食品の開発支援、カーボンニュートラルに貢献するバイオものづくり支援まで、多岐にわたる分野で活用されています。HMTはこれらの分野で実績を積み重ねており、顧客の多様なニーズに応えることで、市場における存在感を確立しています。
  • 専門家によるソリューション提供
    HMTは、単なるデータ解析だけでなく、解析結果に基づいた専門家によるコンサルテーションを提供しています。これにより、顧客は得られたデータをどのように研究開発に活かすべきか、具体的なアドバイスを受けることができます。この付加価値の高いサービスは、顧客との長期的な関係構築に繋がり、競合との差別化に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、その達成のために、「独創的な質量分析技術を駆使して、研究開発から生産効率化、品質保証・検査までを支える“バイオ解析プラットフォーマー”として、顧客・ユーザに付加価値を提供する」ことをビジョンとしております。当社グループの経営基本方針は、当社グループが競争優位性を有するメタボローム解析技術・ノウハウを基軸にした新規事業・新サービスの開発(イノベーション)を強力に推進していくと同時に、業務活動全般におけるオペレーショナル・エクセレンスを高めていくことでさらなる収益性の向上を図り、ステークホルダー全体の満足度を向上し、企業価値を高めていくことです。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、2026年7月から2031年6月までの5か年中期経営計画[TIAD6]を策定しました。TIAD6は、企業価値の倍増と加速的な持続的成長の基盤整備を目的に「成長加速基盤構築の期間」と位置付けています。以下の経営指標に対して目標を設定しております。 1)連結営業利益 6億円2)連結売上高営業利益率 25%以上3)連結ROE 15%以上 (3) 経営環境当社グループが属するライフサイエンス業界は、少子高齢化といった国内環境にあっても、成長が見込まれる数少ない分野の1つであります。また将来の感染症予防・対策への関心も高く、研究開発投資が高水準で継続しており、今後も同様に推移することが想定されます。また政府の戦略17分野の1つであるバイオものづくりに係るビジネスも継続した拡大が見込まれています。また近年のAIの進化は目覚ましく、バイオ解析分野においてもAIを活用したデジタルバイオの時代に向かうことが見込まれています。デジタルバイオ時代は、当社にとっても多くの効率化の機会をもたらすと考えておりますが、一方でAIを活用したシミュレーションが拡大することにより、研究開発領域での競争激化や受託解析需要の減少の恐れもあります。 (4) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題2020年6月期以降、2023年6月期までは「経営基盤整備の期間」と位置付け、不採算事業の整理や生産性向上を推進し、持続的な事業活動を可能とする財務体質の強化に努めてまいりました。2024年6月期から2026年6月期までの中期経営計画では、これまでの先端研究開発支援事業(現ライフサイエンス研究支援サービス)において着実な増収増益を図るとともに、ヘルスケア・ソリューション事業(現機能性素材開発支援サービス)の拡大と収益化のための「成長基盤構築の期間」と位置付けておりました。2025年6月期には当時のヘルスケア・ソリューション事業のセグメント利益が黒字化し、安定軌道に乗せることができました。また2025年7月より新規事業としてバイオものづくり支援サービスの提供を開始し、2026年6月期に本サービスは計画を上回る成果をあげることができました。一方で、ライフサイエンス研究支援サービスは、3年連続で減収となり、当社グループ全体の中期経営計画未達の主要因となりました。ライフサイエンス研究支援サービスの低迷は、主に国内アカデミア大型案件の年次変動と海外事業の減少によるものです。また設備投資などによる製造原価の増加も全社の利益に影響を及ぼしています。このような結果から、アカデミア案件に左右されない収益構造を構築すること、需要減少の際にも選ばれるだけの技術競争力の強化をしていくこと、さらなる生産性向上の取組が必要であることを確認しました。 これらを踏まえて、5か年中期経営計画[TIAD6]を策定いたしました。TIAD6では下記の5つの課題に対し、重点戦略を定めて実行してまいります。①既存事業の維持・拡大過去3か年において減収となったライフサイエンス研究支援サービスは、当社の中核であるため、本サービスの維持・拡大が課題となります。また機能性素材開発支援サービスもこれまでは順調に売り上げを拡大してまいりましたが、今後は維持・拡大のステージに入ると考えています。一方、2025年7月よりサービスを開始したバイオものづくり支援サービスは、政府の戦略17分野の1つに選定されるなど今後も大きな成長が見込まれる分野です。このような中、当社グループは以下の戦略により、「既存事業の維持・拡大」を遂行してまいります。 1)営業改革ライフサイエンス研究支援における営業改革を推進してまいります。これまでは受注対応型の営業スタイルが多く、属人的営業にとどまる面がございました。今後企業案件の拡大を進めていくためには、企業顧客の潜在ニーズ創出型の営業スタイルに変えていく必要があり、それを組織として再現性のある「型」に落としていく必要があります。またデータやAIを駆使して営業効率を改善していくことにも取り組んでまいります。 2)バイオものづくり支援の拡大当社では、代謝データに微生物に関する様々なデータを統合して、AI解析を行い、代謝シミュレーションに基づいた生産性改善のための仮説提案をさせていただいております。本サービスのさらなる拡大のために、AIを活用して収率向上メカニズムにまで踏み込んだ提案やコンサルティング、ハイスループット解析の磨き込みなどを推進してまいります。 ②事業領域の拡張 既存事業の維持・拡大だけでは成長を加速することは難しいため、当社グループは、これまで以上に果敢に事業領域の拡張に取り組んでまいります。 質量分析技術を活用したヘルスデータの測定・解析は、近年AIの発展に伴い、北米を中心に拡大しています。日本では自由診療はまだ黎明期に近い状態ですが、パーソナルヘルスデータを活用した先端医療は、今後の成長領域と考えられています。当社グループは、2027年6月期に「ヘルスケア検査受託サービス」という研究開発領域以外の事業に進出してまいります。 ③技術競争力の強化 当社は高感度網羅解析を競争優位性としてこれまで事業を拡大させてまいりました。またバイオものづくり支援のためにハイスループット化にも取り組んでまいりました。今後のAIの発展に伴うデジタルバイオ時代を見据えて、さらに技術的な競争力を強化していくために、高感度分析は「超高感度分析」に大幅にアップグレードし、ハイスループットに関してもさらなる短縮を図ってまいります。またDIAと呼ばれるデータ駆動型解析手法に対応したマルチオミクス解析技術や、標品となる試薬を使わなくても物質の同定ができるライブラリーフリーアノテーション技術の開発にも取り組んでまいります。 ④生産性の向上 人手不足の環境が継続することが見込まれる中、増加する受注に対応するためには鶴岡本社ラボのキャパシティ拡大を、生産性向上により推進していく必要があります。そのために多角的なAI導入、ロボット活用による省人化、ヘルスケア検査受託サービスによる業務平準化によるリソースの有効活用により生産性向上を図ってまいります。 ⑤人的資本強化 当社グループの付加価値を創造しているのは従業員です。TIAD6は従業員のスキルアップとエンゲージメントアップなどなくしては達成できません。当社グループの人的資本を強化するために、専門力強化プログラムの推進と従業員向け譲渡制限付き株式付与制度を新たに実施してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、その達成のために、「独創的な質量分析技術を駆使して、研究開発から生産効率化、品質保証・検査までを支える“バイオ解析プラットフォーマー”として、顧客・ユーザに付加価値を提供する」ことをビジョンとしております。当社グループの経営基本方針は、当社グループが競争優位性を有するメタボローム解析技術・ノウハウを基軸にした新規事業・新サービスの開発(イノベーション)を強力に推進していくと同時に、業務活動全般におけるオペレーショナル・エクセレンスを高めていくことでさらなる収益性の向上を図り、ステークホルダー全体の満足度を向上し、企業価値を高めていくことです。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、2026年7月から2031年6月までの5か年中期経営計画[TIAD6]を策定しました。TIAD6は、企業価値の倍増と加速的な持続的成長の基盤整備を目的に「成長加速基盤構築の期間」と位置付けています。以下の経営指標に対して目標を設定しております。 1)連結営業利益 6億円2)連結売上高営業利益率 25%以上3)連結ROE 15%以上 (3) 経営環境当社グループが属するライフサイエンス業界は、少子高齢化といった国内環境にあっても、成長が見込まれる数少ない分野の1つであります。また将来の感染症予防・対策への関心も高く、研究開発投資が高水準で継続しており、今後も同様に推移することが想定されます。また政府の戦略17分野の1つであるバイオものづくりに係るビジネスも継続した拡大が見込まれています。また近年のAIの進化は目覚ましく、バイオ解析分野においてもAIを活用したデジタルバイオの時代に向かうことが見込まれています。デジタルバイオ時代は、当社にとっても多くの効率化の機会をもたらすと考えておりますが、一方でAIを活用したシミュレーションが拡大することにより、研究開発領域での競争激化や受託解析需要の減少の恐れもあります。 (4) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題2020年6月期以降、2023年6月期までは「経営基盤整備の期間」と位置付け、不採算事業の整理や生産性向上を推進し、持続的な事業活動を可能とする財務体質の強化に努めてまいりました。2024年6月期から2026年6月期までの中期経営計画では、これまでの先端研究開発支援事業(現ライフサイエンス研究支援サービス)において着実な増収増益を図るとともに、ヘルスケア・ソリューション事業(現機能性素材開発支援サービス)の拡大と収益化のための「成長基盤構築の期間」と位置付けておりました。2025年6月期には当時のヘルスケア・ソリューション事業のセグメント利益が黒字化し、安定軌道に乗せることができました。また2025年7月より新規事業としてバイオものづくり支援サービスの提供を開始し、2026年6月期に本サービスは計画を上回る成果をあげることができました。一方で、ライフサイエンス研究支援サービスは、3年連続で減収となり、当社グループ全体の中期経営計画未達の主要因となりました。ライフサイエンス研究支援サービスの低迷は、主に国内アカデミア大型案件の年次変動と海外事業の減少によるものです。また設備投資などによる製造原価の増加も全社の利益に影響を及ぼしています。このような結果から、アカデミア案件に左右されない収益構造を構築すること、需要減少の際にも選ばれるだけの技術競争力の強化をしていくこと、さらなる生産性向上の取組が必要であることを確認しました。 これらを踏まえて、5か年中期経営計画[TIAD6]を策定いたしました。TIAD6では下記の5つの課題に対し、重点戦略を定めて実行してまいります。①既存事業の維持・拡大過去3か年において減収となったライフサイエンス研究支援サービスは、当社の中核であるため、本サービスの維持・拡大が課題となります。また機能性素材開発支援サービスもこれまでは順調に売り上げを拡大してまいりましたが、今後は維持・拡大のステージに入ると考えています。一方、2025年7月よりサービスを開始したバイオものづくり支援サービスは、政府の戦略17分野の1つに選定されるなど今後も大きな成長が見込まれる分野です。このような中、当社グループは以下の戦略により、「既存事業の維持・拡大」を遂行してまいります。 1)営業改革ライフサイエンス研究支援における営業改革を推進してまいります。これまでは受注対応型の営業スタイルが多く、属人的営業にとどまる面がございました。今後企業案件の拡大を進めていくためには、企業顧客の潜在ニーズ創出型の営業スタイルに変えていく必要があり、それを組織として再現性のある「型」に落としていく必要があります。またデータやAIを駆使して営業効率を改善していくことにも取り組んでまいります。 2)バイオものづくり支援の拡大当社では、代謝データに微生物に関する様々なデータを統合して、AI解析を行い、代謝シミュレーションに基づいた生産性改善のための仮説提案をさせていただいております。本サービスのさらなる拡大のために、AIを活用して収率向上メカニズムにまで踏み込んだ提案やコンサルティング、ハイスループット解析の磨き込みなどを推進してまいります。 ②事業領域の拡張 既存事業の維持・拡大だけでは成長を加速することは難しいため、当社グループは、これまで以上に果敢に事業領域の拡張に取り組んでまいります。 質量分析技術を活用したヘルスデータの測定・解析は、近年AIの発展に伴い、北米を中心に拡大しています。日本では自由診療はまだ黎明期に近い状態ですが、パーソナルヘルスデータを活用した先端医療は、今後の成長領域と考えられています。当社グループは、2027年6月期に「ヘルスケア検査受託サービス」という研究開発領域以外の事業に進出してまいります。 ③技術競争力の強化 当社は高感度網羅解析を競争優位性としてこれまで事業を拡大させてまいりました。またバイオものづくり支援のためにハイスループット化にも取り組んでまいりました。今後のAIの発展に伴うデジタルバイオ時代を見据えて、さらに技術的な競争力を強化していくために、高感度分析は「超高感度分析」に大幅にアップグレードし、ハイスループットに関してもさらなる短縮を図ってまいります。またDIAと呼ばれるデータ駆動型解析手法に対応したマルチオミクス解析技術や、標品となる試薬を使わなくても物質の同定ができるライブラリーフリーアノテーション技術の開発にも取り組んでまいります。 ④生産性の向上 人手不足の環境が継続することが見込まれる中、増加する受注に対応するためには鶴岡本社ラボのキャパシティ拡大を、生産性向上により推進していく必要があります。そのために多角的なAI導入、ロボット活用による省人化、ヘルスケア検査受託サービスによる業務平準化によるリソースの有効活用により生産性向上を図ってまいります。 ⑤人的資本強化 当社グループの付加価値を創造しているのは従業員です。TIAD6は従業員のスキルアップとエンゲージメントアップなどなくしては達成できません。当社グループの人的資本を強化するために、専門力強化プログラムの推進と従業員向け譲渡制限付き株式付与制度を新たに実施してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善により景気は緩やかな回復基調にありますが、物価上昇、米国の通商政策等の影響や日米の金融政策の変更、中東地域を中心とした地政学的リスクなどに伴い、内外経済が下振れするリスクがあることから、引き続き先行きの不透明な状況が続くことが見込まれます。当社グループが属するライフサイエンス業界では、国内では健康管理へのニーズの高まりを受けた研究開発の増加傾向が継続しています。また政府の戦略17分野の1つであるバイオものづくり関連の研究開発も活発になってきています。このような状況の中、当社グループではライフサイエンス研究支援サービス、機能性素材開発支援サービスに加えて、バイオものづくり支援サービスの提供を開始し、受注拡大に向けた活動を行いました。研究開発においては、バイオものづくり支援サービス向けの開発を継続するとともに、新規事業の開発にも取り組みました。当連結会計年度の売上高は、1,421,944千円(前連結会計年度比2.3%減)と減少いたしました。サービス別には、バイオものづくり支援サービスは7月の上市後好調に受注が推移し、年間売上目標を上回る127,226千円を達成することができました。機能性素材開発支援サービスも、ヘルスクレーム測定パッケージなどの受注が好調に推移し、363,885千円(前連結会計年度比16.6%増)と売上を伸長させました。一方、ライフサイエンス研究支援サービスは、国内アカデミア分野での大型案件が減少したこと、海外売上も市場全体の需要減などにより大きく減少した結果、930,832千円(前連結会計年度比18.6%減)と減少いたしました。 分野別売上高は、以下のような推移となりました。 ・アカデミア分野の売上高は、機能性素材開発支援サービスとバイオものづくり支援サービスでは増加しましたが、主に国内ライフサイエンス研究支援サービスで大型案件が減少したことにより、全体としては58,951千円の減少となりました。 ・製薬企業分野の売上高は、海外ライフサイエンス研究支援サービスで欧米市場の需要低迷により減少いたしましたが、国内の全サービスでは増加した結果、21,279千円の増加となりました。 ・食品分野の売上高は、国内ライフサイエンス研究支援サービスでは減少しましたが、機能性素材開発支援サービス、バイオものづくり支援サービスでの増加により、全体として24,314千円の増加となりました。食品分野はより専門性を高めた付加価値サービスへシフトしていると考えております。 ・化学企業その他の売上高は、バイオものづくり支援サービスで増加しましたが、機能性素材開発支援サービスでCRO経由の売上が減少した結果、全体としては19,701千円の減少となりました。 売上原価は、売上減少に伴う提携サービス仕入は減少いたしましたが、省人化などの設備投資に伴う減価償却費及び修繕費の増加などにより前連結会計年度比20,128千円の増加となりました。販売費及び一般管理費は、賃上げ等による人件費増はありましたが、主に共同研究が終了したことなどによる開発費用が減少した結果、前連結会計年度比13,578千円の減少となりました。この結果、売上高は1,421,944千円(前連結会計年度比2.3%減)、営業利益は209,911千円(前連結会計年度比15.9%減)、経常利益は206,691千円(前連結会計年度比14.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、200,358千円(前連結会計年度比21.9%減)となりました。 なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「先端研究開発支援事業」及び「ヘルスケア・ソリューション事業」の2セグメントから、「メタボローム解析受託サービス事業」の単一セグメントに変更しております。 2025年6月期2026年6月期増減率売上高1,455,004千円1,421,944千円△2.3%営業利益249,521千円209,911千円△15.9%経常利益240,996千円206,691千円△14.2%親会社株主に帰属する当期純利益256,420千円200,358千円△21.9% ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ150,133千円減少し1,444,180千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは208,580千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益224,685千円の計上、減価償却費111,348千円の計上及び売上債権84,168千円の増加、未払又は未収消費税26,325千円の減少、新株予約権戻入益17,993千円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは83,370千円の支出となりました。これは有形固定資産の取得による支出60,064千円、無形固定資産の取得による支出23,305千円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは281,764千円の支出となりました。これは自己株式の取得による支出189,460千円、配当金の支払いによる支出85,002千円及びリース債務の返済による支出7,300千円によるものであります。③ 財政状態の分析(流動資産) 当連結会計年度末における流動資産は1,767,916千円となり、前連結会計年度末に比べ96,891千円減少しました。これは、売掛金が87,081千円増加しましたが、自己株式の取得、賞与支給及び法人税の納付、未払金の支払による支出等により現金及び預金が118,236千円減少、前払費用の償却等によりその他流動資産が41,658千円減少したこと等によるものであります。(固定資産) 当連結会計年度末における固定資産は512,402千円となり、前連結会計年度末に比べ2,603千円増加しました。これは省人化ロボット及び測定機器の導入に伴い工具、器具及び備品が49,406千円、冷暖房設備の更新により建物及び構築物が35,476千円、基幹システム導入に伴いソフトウエア仮勘定が21,096千円増加しましたが、契約期間が満了となったことでリース資産が43,321千円減少、減価償却費計上により60,821千円減少したこと等によるものであります。(流動負債) 当連結会計年度末における流動負債は438,756千円となり、前連結会計年度末に比べ11,187千円減少しました。これは未払金が19,814千円、買掛金が18,316千円、未払法人税等が5,090千円増加しましたが、賞与引当金が11,562千円、未払費用の支払等によりその他流動負債が39,712千円減少したこと等によるものであります。(固定負債) 当連結会計年度末における固定負債は12,632千円となり、前連結会計年度末に比べ3,434千円減少しました。これはリース債務が3,457千円減少したこと等によるものであります。(純資産) 当連結会計年度末における純資産は1,828,930千円となり、前連結会計年度末に比べ79,666千円減少しました。これは親会社株主に帰属する当期純利益200,358千円を計上しましたが、自己株式の取得189,460千円、配当金85,382千円の支払い、満期償還により新株予約権が17,993千円減少したこと等によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績(1) 生産実績 当社グループは、「メタボローム解析受託サービス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)当連結会計年度(自 2025年7月1日 至 2026年6月30日)生産高(千円)生産高(千円) メタボローム 解析受託サービス事業1,6671,434合計1,6671,434(注)1.上記の金額は、メタボローム解析受託サービス事業のうち、試薬キットに係る部分を記載しております。2.その他ライフサイエンス研究支援サービス、機能性素材開発支援サービス及びバイオものづくり支援サービスについては、業務の性質上生産として把握することが困難であるため、記載しておりません。(2) 仕入実績 当社グループは、「メタボローム解析受託サービス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)当連結会計年度(自 2025年7月1日 至 2026年6月30日)仕入高(千円)仕入高(千円) メタボローム 解析受託サービス事業24,1808,060合計24,1808,060(注)1.上記の金額は、メタボローム解析受託サービス事業のうち、試薬キットに係る部分を記載しております。2.その他ライフサイエンス研究支援サービス、機能性素材開発支援サービス及びバイオものづくり支援サービスについては、業務の性質上生産として把握することが困難であるため、記載しておりません。 (3) 受注実績 当社グループは、「メタボローム解析受託サービス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)当連結会計年度(自 2025年7月1日 至 2026年6月30日)受注高(千円)受注残高(千円)受注高(千円)受注残高(千円) メタボローム 解析受託サービス事業1,450,783573,8621,311,484497,688合計1,450,783573,8621,311,484497,688 (4) 販売実績 当社グループは、「メタボローム解析受託サービス事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日)当連結会計年度(自 2025年7月1日 至 2026年6月30日)販売高(千円)販売高(千円) メタボローム 解析受託サービス事業1,455,0041,421,944合計1,455,0041,421,944(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載しておりません。 (2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 売上高に関しましては、バイオものづくり支援サービスは7月の上市後好調に受注が推移し、年間売上目標を上回る127,226千円を達成することができました。機能性素材開発支援サービスも、ヘルスクレーム測定パッケージなどの受注が好調に推移し、363,885千円(前連結会計年度比16.6%増)と売上を伸長させました。一方、ライフサイエンス研究支援サービスは、国内アカデミア分野での大型案件が減少したこと、海外売上も市場全体の需要減などにより大きく減少した結果、930,832千円(前連結会計年度比18.6%減)と減少いたしました。 売上原価は、売上減少に伴う提携サービス仕入は減少いたしましたが、省人化などの設備投資に伴う減価償却費及び修繕費の増加などにより前連結会計年度比20,128千円の増加となりました。販売費及び一般管理費は、賃上げ等による人件費増はありましたが、主に共同研究が終了したことなどによる開発費用が減少した結果、前連結会計年度比13,578千円の減少となりました。 この結果、売上高は1,421,944千円(前連結会計年度比2.3%減)、営業利益は209,911千円(前連結会計年度比15.9%減)、経常利益は206,691千円(前連結会計年度比14.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、200,358千円(前連結会計年度比21.9%減)となりました。 当社グループ全体として来期より、5か年中期経営計画[TIAD6]を策定いたしました。TIAD6は企業価値の倍増と加速的な持続的成長の基盤整備を目的に「成長加速基盤構築の期間」と位置付けており、2031年6月期には営業利益6億円、営業利益率25%、ROE15%を目標としております。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。 ④ 資金の財源及び資金の流動性について 当社グループは、新サービス・新事業開発のための研究開発資金や、最先端の測定解析を可能とする設備購入のための資金、需要の繁閑に伴う短期的な運転資金などの資金需要が発生します。これらに対し、保有する現預金などの自己資本で研究開発投資、設備投資並びに運転資金需要に対応することを基本としています。必要に応じて設備投資や短期的な運転資金については、銀行借入により調達いたします。

事業リスク

  • 売上高の季節変動リスク
    大学や公的研究機関が主要顧客であるため、公的補助金の執行時期に影響を受けやすく、売上高が第3四半期(1月~3月)に集中する傾向があります。測定試料の到着が遅れると、年度内の解析が困難になり受注キャンセルや機会損失が発生する可能性があります。このリスクを軽減するため、民間企業や海外からの受注拡大を目指しています。
  • 国内外での競合リスク
    メタボローム解析受託サービス市場では、国内外で競合が増加しており、一部で価格競争が見られます。価格競争が激化すると、同社の収益性が損なわれる可能性があります。これに対し、生産性改善による原価引き下げや、独自開発の解析サービス、ワンストップでのサービス提供により競争優位性を維持・強化する方針です。
  • 事業化・商品開発の遅延リスク
    同社の成長は新規開発によるイノベーションに大きく依存していますが、新規性の高い開発には失敗や遅延がつきものです。開発が困難に直面したり、期待する成果を得るまでの期間が長引いたりする可能性があり、これが成長戦略に影響を与える恐れがあります。開発審議会での優先度精査や迅速な意思決定、研究者への開発促進策を通じてリスクの最小化を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,654 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のような事項があります。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該リスクによる影響が最小限となるよう対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社グループに関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、ご留意ください。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 売上高の季節変動に関するリスク 当社グループの主力顧客である大学及び公的研究機関は、公的な補助金を活用し、研究開発活動を進めております。補助金の多くは、6月から7月にかけて徐々に予算の執行が始まります。近年は、早期に予算を執行する傾向にありますが、顧客は年度末までに予算を執行すればよいことや、測定試料の準備が遅延する場合もあり、依然下期に測定試料の到着が集中しております。その結果、当社グループの売上高は第3四半期(1月~3月)に集中する傾向があります。測定試料の受領が遅れた場合には年度内の解析が困難になり、受注がキャンセルされるリスクや、解析量が当社の能力を超え、機会損失が発生するリスクがあります。 当社グループはこのような季節変動による影響を抑えるため、民間企業や年度末の時期が異なる海外からの受注拡大を図ってまいります。(2) 国内外での競合リスク 当社収益の中心となっているメタボローム解析受託サービスは国内外の競合が増加傾向にあり、価格競争も一部でみられるようになってきています。価格競争に巻き込まれると当社グループの収益性が損なわれる可能性があります。またメタボローム解析以外の解析受託サービスに関しても市場は拡大していますが、既存競合との競争は避けられず、当社グループがこれらの解析受託市場において一定のシェアを確保できるかどうかは当社グループの技術開発力、営業提案力次第となります。 メタボローム解析受託サービスについては生産性の改善を通じて、原価の引き下げを図り、価格競争力のある収益構造を構築すべく対応を進めております。メタボローム解析以外の解析受託サービスに関しては、当社グループの独自開発による解析サービスを中心に拡大を図り、またワンストップでの解析サービスの提供などにより、競争優位性を維持強化することで対応を進めてまいります。(3) 事業化及び商品開発の遅延リスク 当社グループの成長は主に新規開発によるイノベーションによってもたらされます。新規性の高い開発には失敗がつきものであるため、開発が困難な障害により頓挫すること、期待する成果を得るために克服すべき障害が想定より多く発生し、成果に至るまでの期間が長引く可能性があります。これらは当社グループの成長戦略に影響を与えることになります。 こうした開発遅延によるリスクを最小化するために、当社グループでは開発審議会で開発プロジェクトの優先度を精査し、毎月経営者による確認・意思決定を迅速に行うこととしております。また研究者・技術者による新規開発を促進するために、業務時間の一定割合を新規開発に費やすこと、新規アイデア創出に必要な費用を予算化するなどにより、イノベーション創出を促進してまいります。(4) 学校法人慶應義塾から供与を受けているメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」について 当社グループは、慶應義塾大学先端生命科学研究所が開発したメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」の利用について学校法人慶應義塾よりライセンスを受けております。同解析ソフトは、メタボローム解析において基盤となる重要な解析ソフトウエアであることから、当社グループは複数年のライセンス契約を担保するため、別途学校法人慶應義塾と「「KEIO Master Handsソフトウエア」使用の更新に関する合意書」を締結しておりますが、今後何らかの理由により契約が終了した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 災害によるリスク 現在の収益の中心である解析受託サービスはその大半が鶴岡本社にて実施されております。鶴岡本社が自然災害その他の事故などにより大きな被害を受けた場合には、その復旧に係る費用並びに一定期間営業が停止することによる機会損失など当社グループの経営に大きな影響を与える可能性があります。また当該期間中に顧客が競合に移管してしまう可能性なども考えられます。 当社グループではこうしたリスクに対応するために、復旧に要する費用については保険を付保し、また軽度の災害・事故による影響については、その影響が短期的な業績に影響を与えないような対策(停電対策など)を順次講じていますが、当社グループの規模では分析設備の分散などは業務生産性を大きく損なうため、とりうる対策としては限界があります。 (6) 小規模組織のリスク 当社グループの役職員数は、当連結会計年度末現在、役員5名及び従業員65名と小規模組織であり、個々の役職員の果たす役割が大きく、一定数の人材が流出した場合に当該分野での事業が一定期間滞る可能性があります。 当社グループでは、こうした人材流出を抑制するために透明性の高い社風を構築し、従業員と会社のおかれている環境・成果などを共有し、一体感の醸成に取り組んでおります。また業績連動賞与を導入することで会社の利益と個々の役職員の利益の連動性を持たせ、利益配分が公正に行われる体系としております。 (7) 情報漏洩リスク 当社グループは顧客の研究開発支援としての解析受託サービスなどを行っているため、顧客の営業秘密にかかわる情報を扱う場合がございます。当社グループの重過失又はサイバーセキュリティ被害などによる情報漏洩は、顧客に多大なる損害を与える可能性があると同時に、当社グループ自身もその損害賠償リスク並びにレピュテーションリスクにさらされる可能性があります。 当社グループではこうしたリスクに対応していくために、社内情報管理体制の強化並びにサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。

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