有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)当社グループの目指す姿当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、当社グループの強みを最大限に活かせる4つの注力領域における事業活動を通じて課題解決に取り組んでおります。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の領域では、お客様や社会課題に対して、ソリューションを通じた価値を提供します。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の領域では、製品技術及び生産技術をコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値を提供します。 図:価値創造を実現するための戦略について (2) 中期経営計画2027の進捗 ●業績の進捗と評価「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)の初年度にあたる2025年度は、売上高が前期比8.3%増の3,261億94百万円、営業利益が前期比26.1%増の271億22百万円、ROEは15.1%となりました。いずれも当初計画を上回るとともに、売上高及び営業利益は過去最高を達成する結果となりました。受注高については、インド高速鉄道1号線を受注し、過去最高を記録した2024年度に次ぐ額となりました。これらの背景には、電力インフラ事業を中心とした旺盛な需要環境に加え、これまで取り組んできた価格適正化やコスト削減の取組み等の成果や当初想定していたリスク要因の影響を最小限にすることで、社会インフラ事業の業績改善に繋がったことが挙げられます。さらに、保守・メンテナンス等のストック型ビジネスの収益拡大により、外部環境の変動に左右されにくく、利益率と資本効率(ROIC)が同時に向上する収益構造が確立されつつあります。一方で、築き上げてきた収益基盤を維持し、更なる成長を実現していくためには、解決すべき課題も明確になっております。第一の課題は、成長戦略の核となる「生産性向上の加速」であります。労働需給の逼迫に伴う人手不足は当社グループにおいても顕著であり、将来にわたって限られたリソースで旺盛な需要に確実に応えていくためには、抜本的な生産性向上が不可欠であります。DX推進による業務プロセス効率化は既に取り組んでおりますが、更に加速させ、生産能力の向上を図ります。第二の課題は、「持続的な成長と従業員エンゲージメント向上の両立」であります。現場の一人ひとりの努力が当社グループの成長を支えており、急速な事業拡大により業務負担が増す場面でも、従業員がやりがいと誇りを持って働くことができる環境の整備は重要な経営課題であります。業績の成果を従業員に適切に還元することに加え、多様な働き方を尊重し、キャリア形成の支援や企業風土の改革といった「人的資本の強化」に注力することで、持続的な成長の実現を目指します。 市場環境の変化に加え、当社グループの各種取組みの成果及び工程面での改善が相乗的に寄与した結果、営業利益は計画を上回るペースで進捗しております。この傾向は、次連結会計年度においても継続するものと見込んでおります。一方で、外部環境については、引き続き不確実性を伴う状況であると認識しており、今後の事業環境の動向を注視していく必要があると考えております。当社グループの中期経営計画は、成長投資、技術開発、人財戦略等を前提に、中長期的な視点で策定したものであり、現時点では各戦略目標の達成に向けた道半ばの段階にあると認識しております。今回の利益目標の早期達成をもって中期経営計画の終着点と捉えるのではなく、引き続き成長投資及び事業基盤の強化を着実に進めるとともに、次なる成長ステージに向けた戦略の検討を進めてまいります。単年度の業績予想については、前事業年度実績を基礎としつつ、最新の事業環境及び足元の進捗状況を適切に見極めながら反映させる方針であります。 ●事業環境認識中東情勢の緊迫化や中国による重要鉱物の輸出規制に伴うサプライチェーンリスクの顕在化等の地政学的リスク、急激な為替変動等は、引き続き当社グループの経営に影響を与え得る大きな不確実性要因であると認識しております。このような事業環境のもと、電力インフラ事業においては、AI・データセンターの拡大、電動化の進展、再生可能エネルギー導入の加速を背景に、世界的な電力需要の増加が一層進展しております。これに伴い、設備更新や保守・サービスの需要は、当初の想定を上回る水準で推移することが見込まれており、当社グループにとって中長期的な成長機会であると考えております。また、EVの出荷台数増加や真空コンデンサ(VC)市況の回復を見込む中で、これまで低迷していた一部の事業についても、段階的な改善が進むものと想定しております。これらの事業環境及び足元の進捗状況を踏まえつつ、外部環境の不確実性を十分に考慮したうえで、次連結会計年度の業績計画として、受注高3,750億円、売上高3,550億円、営業利益290億円を設定しております。なお、本計画は1米ドル=150円の為替レートを前提としております。 2024年度実績2025年度2026年度予想2027年度目標目標実績受注高3,835億円3,400億円3,582億円3,750億円3,800億円売上高3,011億円3,350億円3,261億円3,550億円3,700億円営業利益(営業利益率)215億円(7.1%)200億円(6.0%)271億円(8.3%)290億円(8.2%)250億円(6.8%)ROE13.9%10.0%15.1%―10.0%ROIC8.2%8.0%9.4%―8.0% ●中期経営計画2027の成長戦略と進捗状況中計2027では、「製品」「事業」「技術」を成長戦略の柱に据えております。また、これらを支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を着実に進展させることで、持続的な企業価値の向上を目指しております。 成長戦略1:製品(短期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果電力・電子分野等の生産能力増設・増強[国内]・変電・電子分野の生産能力 増強(設備投資130億円以上)・変圧器工場の新建屋増築の投資を決定(2028年度稼働予定)。・真空コンデンサ(VC)の生産設備を増強(2027年度 より段階的に稼働予定)。[海外]・各拠点の生産能力増強・ 再構築(設備投資130億円以上)・変電機器工場(シンガポール)の移転及び拠点統合を決定(2028年度稼働予定)。特長技術を活かした製品・システムのアップデート・環境対応製品の競争力強化・123kVエコタンク型真空遮断器(VCB)の開発が完了し、北米において販売を開始。・系統用電池システム向けパワーコンディショナ(PCS)新機種の販売を開始。DXの加速による生産性向上・リードタイム削減・生産能力25%向上・リードタイム50%削減・生産システムのDX化の中で製品ごとの生産基準情報の整備を実施しており、量産製品ラインのうち代表機種の製造BOM(Bill of Material:工程部品表)の整備が完了。製造BOMの活用により、代表機種製造ラインの作業におけるボトルネックを把握し改善することで、生産性向上を実現。 成長戦略2:事業(中期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果変電・電鉄、半導体関連における海外新市場の開拓[海外インフラ]・環境対応製品等の特長製品の拡販や、信頼性・実績を活かした海外プロジェクト受注の獲得<変電事業>・欧州市場向けの真空インタラプタ(VI)・真空遮断器(VCB)の開発仕様を決定。現地マーケティング体制構築による拡販活動を本格化。<鉄道事業>・インド高速鉄道1号線向け変電設備の出荷を開始。[半導体関連]・技術・開発力の強化による北米新規顧客の獲得・品質強化による北米顧客からの新規開発案件を獲得。市場環境変化に合わせた価値提供手段の多角化[データ活用ビジネス]・既設機器情報のクラウド集約を通じたO&M支援やオファリングビジネスによる価値提供<クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」の活用>・架線検測システムのクラウド対応により省スペースと異常の即時検知を実現し、新たに2社より契約内定を獲得。・設備劣化診断等保安業務を効率化するスマート保安サービスで本契約を獲得。[事業領域の拡大]・機器システム販売を超えたサービス事業による価値 提供<モビリティT&S事業>・EV分野にて包括的な試験サービスを提供するサービスプロバイダを目指し、新製品・開発品検証や共同実験・受託試験を実現する実験開発棟の構築・投資を決定(2028年度稼働予定)。 成長戦略3:技術(長期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果指向型研究の加速電気のチカラで自然と人が調和した「エレクトロピア」(電気×ユートピア)を実現するコア技術の獲得 ■重点領域・直流&高周波・パワーケミトロニクス (パワーエレクトロニクス ×電気化学)・デジタルツインO&M<直流&高周波>・半導体式変圧器(SST):高圧高周波トランスの絶縁技術と高効率化技術をはじめとするコア技術の評価を実施。<パワーケミトロニクス>・CO2電解還元:CO2資源化技術の確立に向けた構成要素の製作と基礎実験を実施。<デジタルツインO&M>・4Dデジタルツイン&センシング:巡視点検業務の遠隔化と自律化実現に向けた個別コア技術の評価を実施。 成長を支える経営基盤脱炭素化を加速する「グリーン戦略の深化」、人財の採用・育成・活躍の質を高める「人的資本の強化」、基幹システム刷新を中心とした「社内DXの加速」を中心に、将来の成長に向けた経営基盤を強化しております。展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果グリーン戦略の深化2030年度(2019年度比) Scope1+250%削減 Scope330%削減 2050年カーボンニュートラル達成・名古屋・甲府地区における使用電力の調達につき、再生可能エネルギー100%を達成。・サプライヤ5社に対してScope3算定の支援を実施。・八竜風力発電所リプレース投資を決定(2029年度稼働予定)。人的資本の強化個を惹きつける組織と多様な人財が夢・志で重なり、共に成長する環境の実現・業務や役割に応じた処遇の実現を図るとともに、多様な働き方を踏まえた新たな人事処遇制度の運用を開始。・エンゲージメント向上に向け、役員・上司と従業員との対話を促進するとともに、管理職層のコミュニケーションを強化。社内DXの加速経営・業務情報を有機的に繋ぎ、より効果的・効率的な経営を推進・業務効率化を目指した業務基幹システム刷新を推進。業務仕様及びその仕様に基づく開発範囲の明確化が完了(2028年度稼働予定)。・DXの基盤となるデータ活用力を高めるため、基礎教育を実施。当社従業員約3,200名が受講。・生成AIの業務適用を目指した推進活動を展開。説明会、勉強会、体験学習、外部トレーニング等を計39回実施し、当社従業員延べ約2,300名が参加。 ● 資本コストや株価を意識した経営当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、資本コストや株価を意識した経営を重要な経営課題として位置付けております。一般的に、企業価値を示す指標であるPBR(株価純資産倍率)は「PBR=ROE(自己資本利益率)×PER(株価収益率)」により算出されることから、収益力・資本効率の向上によるROE改善と、将来成長に対する市場期待の向上によるPER改善の両面から企業価値向上に取り組んでおります。中計2027で推進する「製品」「事業」「技術」の各成長戦略により、当社グループが長年にわたって培ってきた技術力と顧客基盤を活かし、収益基盤の強化と投資効率の向上を図るとともに、クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」を活用したソリューション型ビジネスの拡大等を通じて、成長期待の向上を目指します。ROEを株主価値向上の主要指標、ROICを事業採算・投資効率管理の主要指標として運用し、ROE10%、ROIC8%を前提にするとともに、拡大する電力需要や脱炭素化の進展を着実に取り込むことで、目標水準を上回る成果の実現を目指します。また、資本効率性の更なる向上に向けて、保有意義や合理性が認められなくなった遊休不動産や政策保有株式の順次売却を進めております。当連結会計年度は東京都品川区大崎二丁目における土地及び建物の譲渡を実施しました。創出したキャッシュについては事業成長に向けた再投資を重視しつつ、キャッシュ・アロケーションの最適化を通じて、「成長による中長期的な株主価値の向上」と「安定的かつ継続的な配当の実施」を両立させながら長期的な株主価値向上に取り組んでおります。中計2027期間中は成長への投資を優先する方針としており、株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益の30%としております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)当社グループの目指す姿当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、当社グループの強みを最大限に活かせる4つの注力領域における事業活動を通じて課題解決に取り組んでおります。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の領域では、お客様や社会課題に対して、ソリューションを通じた価値を提供します。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の領域では、製品技術及び生産技術をコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値を提供します。 図:価値創造を実現するための戦略について (2) 中期経営計画2027の進捗 ●業績の進捗と評価「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)の初年度にあたる2025年度は、売上高が前期比8.3%増の3,261億94百万円、営業利益が前期比26.1%増の271億22百万円、ROEは15.1%となりました。いずれも当初計画を上回るとともに、売上高及び営業利益は過去最高を達成する結果となりました。受注高については、インド高速鉄道1号線を受注し、過去最高を記録した2024年度に次ぐ額となりました。これらの背景には、電力インフラ事業を中心とした旺盛な需要環境に加え、これまで取り組んできた価格適正化やコスト削減の取組み等の成果や当初想定していたリスク要因の影響を最小限にすることで、社会インフラ事業の業績改善に繋がったことが挙げられます。さらに、保守・メンテナンス等のストック型ビジネスの収益拡大により、外部環境の変動に左右されにくく、利益率と資本効率(ROIC)が同時に向上する収益構造が確立されつつあります。一方で、築き上げてきた収益基盤を維持し、更なる成長を実現していくためには、解決すべき課題も明確になっております。第一の課題は、成長戦略の核となる「生産性向上の加速」であります。労働需給の逼迫に伴う人手不足は当社グループにおいても顕著であり、将来にわたって限られたリソースで旺盛な需要に確実に応えていくためには、抜本的な生産性向上が不可欠であります。DX推進による業務プロセス効率化は既に取り組んでおりますが、更に加速させ、生産能力の向上を図ります。第二の課題は、「持続的な成長と従業員エンゲージメント向上の両立」であります。現場の一人ひとりの努力が当社グループの成長を支えており、急速な事業拡大により業務負担が増す場面でも、従業員がやりがいと誇りを持って働くことができる環境の整備は重要な経営課題であります。業績の成果を従業員に適切に還元することに加え、多様な働き方を尊重し、キャリア形成の支援や企業風土の改革といった「人的資本の強化」に注力することで、持続的な成長の実現を目指します。 市場環境の変化に加え、当社グループの各種取組みの成果及び工程面での改善が相乗的に寄与した結果、営業利益は計画を上回るペースで進捗しております。この傾向は、次連結会計年度においても継続するものと見込んでおります。一方で、外部環境については、引き続き不確実性を伴う状況であると認識しており、今後の事業環境の動向を注視していく必要があると考えております。当社グループの中期経営計画は、成長投資、技術開発、人財戦略等を前提に、中長期的な視点で策定したものであり、現時点では各戦略目標の達成に向けた道半ばの段階にあると認識しております。今回の利益目標の早期達成をもって中期経営計画の終着点と捉えるのではなく、引き続き成長投資及び事業基盤の強化を着実に進めるとともに、次なる成長ステージに向けた戦略の検討を進めてまいります。単年度の業績予想については、前事業年度実績を基礎としつつ、最新の事業環境及び足元の進捗状況を適切に見極めながら反映させる方針であります。 ●事業環境認識中東情勢の緊迫化や中国による重要鉱物の輸出規制に伴うサプライチェーンリスクの顕在化等の地政学的リスク、急激な為替変動等は、引き続き当社グループの経営に影響を与え得る大きな不確実性要因であると認識しております。このような事業環境のもと、電力インフラ事業においては、AI・データセンターの拡大、電動化の進展、再生可能エネルギー導入の加速を背景に、世界的な電力需要の増加が一層進展しております。これに伴い、設備更新や保守・サービスの需要は、当初の想定を上回る水準で推移することが見込まれており、当社グループにとって中長期的な成長機会であると考えております。また、EVの出荷台数増加や真空コンデンサ(VC)市況の回復を見込む中で、これまで低迷していた一部の事業についても、段階的な改善が進むものと想定しております。これらの事業環境及び足元の進捗状況を踏まえつつ、外部環境の不確実性を十分に考慮したうえで、次連結会計年度の業績計画として、受注高3,750億円、売上高3,550億円、営業利益290億円を設定しております。なお、本計画は1米ドル=150円の為替レートを前提としております。 2024年度実績2025年度2026年度予想2027年度目標目標実績受注高3,835億円3,400億円3,582億円3,750億円3,800億円売上高3,011億円3,350億円3,261億円3,550億円3,700億円営業利益(営業利益率)215億円(7.1%)200億円(6.0%)271億円(8.3%)290億円(8.2%)250億円(6.8%)ROE13.9%10.0%15.1%―10.0%ROIC8.2%8.0%9.4%―8.0% ●中期経営計画2027の成長戦略と進捗状況中計2027では、「製品」「事業」「技術」を成長戦略の柱に据えております。また、これらを支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を着実に進展させることで、持続的な企業価値の向上を目指しております。 成長戦略1:製品(短期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果電力・電子分野等の生産能力増設・増強[国内]・変電・電子分野の生産能力 増強(設備投資130億円以上)・変圧器工場の新建屋増築の投資を決定(2028年度稼働予定)。・真空コンデンサ(VC)の生産設備を増強(2027年度 より段階的に稼働予定)。[海外]・各拠点の生産能力増強・ 再構築(設備投資130億円以上)・変電機器工場(シンガポール)の移転及び拠点統合を決定(2028年度稼働予定)。特長技術を活かした製品・システムのアップデート・環境対応製品の競争力強化・123kVエコタンク型真空遮断器(VCB)の開発が完了し、北米において販売を開始。・系統用電池システム向けパワーコンディショナ(PCS)新機種の販売を開始。DXの加速による生産性向上・リードタイム削減・生産能力25%向上・リードタイム50%削減・生産システムのDX化の中で製品ごとの生産基準情報の整備を実施しており、量産製品ラインのうち代表機種の製造BOM(Bill of Material:工程部品表)の整備が完了。製造BOMの活用により、代表機種製造ラインの作業におけるボトルネックを把握し改善することで、生産性向上を実現。 成長戦略2:事業(中期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果変電・電鉄、半導体関連における海外新市場の開拓[海外インフラ]・環境対応製品等の特長製品の拡販や、信頼性・実績を活かした海外プロジェクト受注の獲得<変電事業>・欧州市場向けの真空インタラプタ(VI)・真空遮断器(VCB)の開発仕様を決定。現地マーケティング体制構築による拡販活動を本格化。<鉄道事業>・インド高速鉄道1号線向け変電設備の出荷を開始。[半導体関連]・技術・開発力の強化による北米新規顧客の獲得・品質強化による北米顧客からの新規開発案件を獲得。市場環境変化に合わせた価値提供手段の多角化[データ活用ビジネス]・既設機器情報のクラウド集約を通じたO&M支援やオファリングビジネスによる価値提供<クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」の活用>・架線検測システムのクラウド対応により省スペースと異常の即時検知を実現し、新たに2社より契約内定を獲得。・設備劣化診断等保安業務を効率化するスマート保安サービスで本契約を獲得。[事業領域の拡大]・機器システム販売を超えたサービス事業による価値 提供<モビリティT&S事業>・EV分野にて包括的な試験サービスを提供するサービスプロバイダを目指し、新製品・開発品検証や共同実験・受託試験を実現する実験開発棟の構築・投資を決定(2028年度稼働予定)。 成長戦略3:技術(長期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果指向型研究の加速電気のチカラで自然と人が調和した「エレクトロピア」(電気×ユートピア)を実現するコア技術の獲得 ■重点領域・直流&高周波・パワーケミトロニクス (パワーエレクトロニクス ×電気化学)・デジタルツインO&M<直流&高周波>・半導体式変圧器(SST):高圧高周波トランスの絶縁技術と高効率化技術をはじめとするコア技術の評価を実施。<パワーケミトロニクス>・CO2電解還元:CO2資源化技術の確立に向けた構成要素の製作と基礎実験を実施。<デジタルツインO&M>・4Dデジタルツイン&センシング:巡視点検業務の遠隔化と自律化実現に向けた個別コア技術の評価を実施。 成長を支える経営基盤脱炭素化を加速する「グリーン戦略の深化」、人財の採用・育成・活躍の質を高める「人的資本の強化」、基幹システム刷新を中心とした「社内DXの加速」を中心に、将来の成長に向けた経営基盤を強化しております。展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果グリーン戦略の深化2030年度(2019年度比) Scope1+250%削減 Scope330%削減 2050年カーボンニュートラル達成・名古屋・甲府地区における使用電力の調達につき、再生可能エネルギー100%を達成。・サプライヤ5社に対してScope3算定の支援を実施。・八竜風力発電所リプレース投資を決定(2029年度稼働予定)。人的資本の強化個を惹きつける組織と多様な人財が夢・志で重なり、共に成長する環境の実現・業務や役割に応じた処遇の実現を図るとともに、多様な働き方を踏まえた新たな人事処遇制度の運用を開始。・エンゲージメント向上に向け、役員・上司と従業員との対話を促進するとともに、管理職層のコミュニケーションを強化。社内DXの加速経営・業務情報を有機的に繋ぎ、より効果的・効率的な経営を推進・業務効率化を目指した業務基幹システム刷新を推進。業務仕様及びその仕様に基づく開発範囲の明確化が完了(2028年度稼働予定)。・DXの基盤となるデータ活用力を高めるため、基礎教育を実施。当社従業員約3,200名が受講。・生成AIの業務適用を目指した推進活動を展開。説明会、勉強会、体験学習、外部トレーニング等を計39回実施し、当社従業員延べ約2,300名が参加。 ● 資本コストや株価を意識した経営当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、資本コストや株価を意識した経営を重要な経営課題として位置付けております。一般的に、企業価値を示す指標であるPBR(株価純資産倍率)は「PBR=ROE(自己資本利益率)×PER(株価収益率)」により算出されることから、収益力・資本効率の向上によるROE改善と、将来成長に対する市場期待の向上によるPER改善の両面から企業価値向上に取り組んでおります。中計2027で推進する「製品」「事業」「技術」の各成長戦略により、当社グループが長年にわたって培ってきた技術力と顧客基盤を活かし、収益基盤の強化と投資効率の向上を図るとともに、クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」を活用したソリューション型ビジネスの拡大等を通じて、成長期待の向上を目指します。ROEを株主価値向上の主要指標、ROICを事業採算・投資効率管理の主要指標として運用し、ROE10%、ROIC8%を前提にするとともに、拡大する電力需要や脱炭素化の進展を着実に取り込むことで、目標水準を上回る成果の実現を目指します。また、資本効率性の更なる向上に向けて、保有意義や合理性が認められなくなった遊休不動産や政策保有株式の順次売却を進めております。当連結会計年度は東京都品川区大崎二丁目における土地及び建物の譲渡を実施しました。創出したキャッシュについては事業成長に向けた再投資を重視しつつ、キャッシュ・アロケーションの最適化を通じて、「成長による中長期的な株主価値の向上」と「安定的かつ継続的な配当の実施」を両立させながら長期的な株主価値向上に取り組んでおります。中計2027期間中は成長への投資を優先する方針としており、株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益の30%としております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、2025年度(当連結会計年度)末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、春闘における高水準の賃上げを背景に雇用・所得環境の改善が続き、政府による成長投資・危機管理投資の具体化に向けた動きが、景気の下支えの要因となりました。一方で、米国の関税政策の動向や中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスク、これらを背景としたエネルギー価格上昇や原材料価格高騰などにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社の関連する市場においては、国内電力市場では老朽設備の更新需要や防災・国土強靭化政策を背景とした需要が堅調に推移するとともに、海外先進国を中心に環境規制の強化によるSF6ガス不使用製品の需要が拡大するなど当社の事業に追い風となっております。一方で、自動車事業でのEVシフトの進展が一時的に鈍化しており、当社EV事業の業績に一定の影響を及ぼしました。このような中、「中期経営計画2027」で掲げた方針に基づき、「成長&挑戦」の初年度として「製品」、「事業」、「技術」の3つの領域で戦略的に施策を展開してきました。また、成長戦略を支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」「人的資本の強化」「社内DXの加速」を推し進め、更なる価値創造基盤の強化にも努めてまいりました。 当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2025年3月期実績2026年3月期実績増減額増減率(%)売 上 高301,101326,19425,0928.3営 業 利 益21,51227,1225,60926.1経 常 利 益21,19227,8896,69731.6親会社株主に帰属する当期純利益18,48723,6255,13827.8 当期の営業利益は27,122百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し5,609百万円増加しております。当期の営業外損益につきましては、営業外収益が3,242百万円、営業外費用が2,475百万円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金1,181百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息928百万円であります。この結果、経常利益は27,889百万円となり前期と比較して6,697百万円増加し、売上高経常利益率は8.5%となっております。当期の特別損益につきましては、特別利益が6,451百万円、特別損失が3,521百万円となりました。特別利益の主な内訳は、固定資産売却益5,391百万円、投資有価証券売却益967百万円であります。特別損失の主な内訳は、減損損失3,303百万円であります。この結果、税金等調整前当期純利益は30,820百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で6,814百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益380百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は23,625百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は520円78銭、自己資本利益率は15.1%となっております。 ① 電力インフラ事業セグメント売上高は前期比16.7%増の100,844百万円、営業利益は前期比4,596百万円改善の12,584百万円となり、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。海外を主体とする変電事業については、アメリカ、シンガポールなどにおける需要の伸びや収益性改善の取組みにより、増収増益となりました。また、国内主体の電力エネルギー事業についても、電力会社向け案件の需要増を背景に、増収増益となりました。 ② 社会システム事業セグメント売上高は前期比8.5%増の104,555百万円、営業利益は前期比1,057百万円改善の4,092百万円となりました。社会システム事業は工事進行案件の予想を上回る進捗により増収増益となりました。電鉄事業においては、一部工事進行案件における前倒し需要や海外プロジェクトにおける採算の事後改善により、増収増益となりました。また水インフラ事業においては、売上はほぼ前年並みに推移しましたが、工事進行基準を適用した高収益性案件の拡大により利益が改善しました。 ③ 産業電子モビリティ事業セグメント売上高は前期比3.8%減の69,308百万円となった一方、営業利益は前期比1,111百万円悪化の21百万円となりました。モビリティT&S事業については、前年度に受注した大口案件の売上が順調に推移したことにより増収増益となりました。電動力ソリューション事業及び電子機器事業では、売上高はわずかな減少にとどまり、製品構成や設備稼働の変動に伴う利益率の低下により、営業利益は減少いたしました。EV事業は、当社製品を搭載する車種で販売台数の落ち込みにより減収減益となりました。 ④ フィールドエンジニアリング事業セグメント売上高は前期比15.0%増の57,007百万円、営業利益は前期比2,742百万円改善の12,673百万円となりました。保守サービスに関する堅調な需要が継続していることに加えて、当年度に売り上がる案件の増加により、3年連続で売上高及び営業利益が過去最高を更新し、継続的な増収増益を実現しました。 ⑤ 不動産事業セグメント売上高は前期比0.1%減の3,233百万円、営業利益は29百万円悪化の1,413百万円となりました。 ⑥ その他報告セグメントに含まれない事業において、売上高は前期比2.9%増の8,920百万円となった一方で、営業利益は前期比386百万円悪化の91百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業97,691115.6社会システム事業94,63699.4産業電子モビリティ事業64,17490.0フィールドエンジニアリング事業54,502114.2不動産事業--その他3,319101.9合計314,324104.1 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業115,69392.3179,365113.4社会システム事業116,35199.0181,382112.3産業電子モビリティ事業64,50776.230,06286.9フィールドエンジニアリング事業55,256112.519,550108.2不動産事業3,19599.9248118.1その他3,23488.71,32372.8合計358,23993.4411,933110.0 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業100,295117.4社会システム事業96,602106.6産業電子モビリティ事業67,83396.3フィールドエンジニアリング事業54,501114.3不動産事業3,19599.9その他3,766101.4合計326,194108.3 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比32,321百万円(9.5%)増加し、373,668百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加により、前期末比23,154百万円(10.7%)増加の240,271百万円となりました。固定資産は、保有する上場株式の市場価値上昇に伴う投資有価証券の増加により、前期末比9,166百万円(7.4%)増加の133,396百万円となりました。負債合計は、退職給付に係る負債の減少により、前期末比3,997百万円(2.0%)減少して195,136百万円となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及びその他有価証券評価差額金の増加により、前期末比36,318百万円(25.5%)増加して178,531百万円となりました。この結果、自己資本比率は前期末の40.7%から46.8%となりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ5,452百万円減少し、23,639百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は17,498百万円(前年同期は35,454百万円の獲得)となりました。 主な収入は、税金等調整前当期純利益30,820百万円、減価償却費11,174百万円であり、主な支出は、売上債権の増加額14,125百万円、法人税等の支払額7,699百万円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は17,134百万円(前年同期は9,065百万円の使用)となりました。 主な支出は、有形及び無形固定資産の取得による支出15,241百万円によるものであり、主な収入は、有形固定資産の売却による収入6,090百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は7,785百万円(前年同期は14,536百万円の使用)となりました。 主な支出は、長期借入金の返済による支出7,246百万円、配当金の支払額6,114百万円であり、主な収入は、長期借入れによる収入4,550百万円であります。 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比161百万円減少の44,404百万円となりました。また、当連結会計年度末のコミットメントラインは40,000百万円で設定されております。 (4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)を「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立する3年間として位置づけております。中計2027では既存事業の持続的な成長と非連続的な成長の両方を実現することを目指し、「製品」「事業」「技術」を成長戦略の柱に据えて、これらを支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を着実に進展させることで、持続的な企業価値の向上を目指しております。中計2027の初年度にあたる2025年度は、当初計画を上回るとともに、売上高、営業利益のいずれも過去最高を達成することができ、売上高326,194百万円、営業利益27,122百万円、ROE15.1%となりました。この達成の背景には、電力インフラ事業を中心とした旺盛な需要環境に加え、これまで取り組んできた価格適正化やコスト削減の取組み等の成果が現れ、社会インフラ事業の業績改善に繋がったことがあります。さらに、保守・メンテナンス等のストック型ビジネスの収益拡大により、外部環境の変動に左右されにくく、利益率と資本効率(ROIC)が同時に向上する収益構造が確立されつつあります。当連結会計年度の投資の状況につきましては、設備投資18,082百万円、研究開発13,473百万円となりました。設備投資については、大型変圧器用試験エリアの拡張や乾燥炉の改修といった変圧器工場の既存生産ラインの増強をはじめ、生産能力の向上を図る投資とともに、沼津事業所全体の排水設備や空調追加設置等の工場のインフラ・職場環境改善に向けた投資を行いました。また、その他の工場においても2026年度以降の稼働に向け、生産能力増強に関する投資を着実に進めております。研究開発については後記「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりであります。当社を取り巻く経営環境としては、米国関税の発動、中国による重要鉱物の輸出規制に伴うサプライチェーンリスクの表面化や中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスク、急激な為替変動等が、経営上の大きな不確実性要因となっております。このような環境下においても、AI・データセンターの拡大、電動化の進展、再生可能エネルギーの導入拡大を背景とした世界的な電力需要の高まりや、設備更新需要、保守サービス需要の拡大等により、当社の成長に繋がる機会が継続すると捉えております。一方、EV市場の成長鈍化など事業分野によっては慎重な見極めが必要な状況も継続しております。このような環境の動向に注視しながら、今後も持続的な価値創造に向けて、更なる変化への対応力を高めながら中計2027の取組みを加速してまいります。2026年度以降の単年度計画につきましては、以下の2026年度当初計画のように前年度実績を基礎としつつ、最新の事業環境および足元の進捗状況を適切に見極めながら、業績予想に反映させていく方針であります。 指標2025年度(当初計画)2025年度(修正発表)2025年度(実績)2026年度(当初計画)2027年度(目標)受注高 (百万円)340,000345,000358,239375,000380,000売上高 (百万円)335,000325,000326,194355,000370,000営業利益 (百万円)20,00024,00027,12229,00025,000経常利益 (百万円)20,00024,50027,88929,00025,000親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)14,00020,50023,62522,00017,500ROE (%)--15.1-10.0ROIC (%)--9.4-8.0営業利益率 (%)6.07.48.38.26.8自己資本額(百万円)--174,889--自己資本比率 (%)--46.8-- (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。 ① 固定資産の減損及び投融資の評価当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。 回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんの価値算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、更に減損損失の計上が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。 ② 繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分につきましては評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。 ③ 受注損失引当金当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ④ 製品保証引当金当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ⑤ 退職給付に係る負債従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%変動した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。 退職給付費用退職給付債務割引率0.5%上昇87百万円の減少1,708百万円の減少0.5%低下96百万円の増加1,845百万円の増加長期期待運用収益率0.5%上昇21百万円の減少―0.5%低下21百万円の増加― ⑥ 工事契約に係る収益認識工事契約に係る収益のうち、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法によっております。工事契約に係る収益認識は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。 工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、工事契約に係る収益及び費用の修正が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)中期経営計画2024振り返り ●当社グループを取り巻く事業環境中期経営計画2024(以下、中計2024)策定時に想定した事業環境に対して大きな変化が生じました。第一に、世界的なインフレと部材調達の長納期化であります。その影響は主に社会システム事業セグメントの業績を直撃しました。しかし、代替品の開発や新規調達先の開拓といった様々な取組みを進めてきたことで、当連結会計年度は長納期化の影響は概ね収まり、またインフレ影響の価格転嫁も進むなど、業績には明るい兆しが見えてまいりました。第二にEV市場の動向の変化であります。2015年のパリ協定採択以降、多くの国がEV化の目標を掲げ、EV導入を推進した結果、EV市場は大きく成長しましたが、その勢いが落ち着きつつあります。これは、新技術への関心が高いアーリーアダプターの需要が一巡したことや各国のEV購入に対する補助金終了等の影響であると考えております。脱炭素の観点から、今後も世界全体のEVへの移行は進んでいくと考えられておりますが、国によっては導入期から普及期へ転換するにあたり、充電インフラの整備等が必要となってきていると捉えております。最後に電力市場の動向の変化であります。国内においては、送配電網について、高度経済成長期に整備された設備の老朽化による更新需要に加え、脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギー導入のための整備を目的とした需要が拡大しました。更に、レベニューキャップ制度が導入されたことによって計画的な送配電網の整備が可能となり、安定的に更新できることとなりました。海外においても、先進国を中心にSF6ガス不使用製品の需要が高まるなど市場が急速に拡大しました。このような動向は、今後も暫く継続すると考えております。 ●業績(2021年度~2024年度)このような事業環境の中、当社グループは業績を順調に拡大させ、中計2024で目標として掲げた営業利益180億円、ROE10%を上回り、当連結会計年度は受注高、売上高、営業利益いずれも過去最高値を達成することができました。財務状況について、中計2024開始前の2021年3月末時点と比べて、自己資本比率は34.6%から40.7%に向上し、有利子負債の圧縮も進んだことでネットD/Eレシオは0.34倍から0.10倍に改善するなど、より強固な財務基盤を構築することができました。効率性の面においては、総資産回転率が0.84回転から0.89回転に若干の改善が見られた一方で、部材長納期化への対策で戦略的に在庫を増やした影響等により、棚卸資産回転率が3.95回転から3.24回転に大きく悪化し、課題の残る結果となりました。受注環境については、インド高速鉄道1号線(ムンバイ〜アーメダバード間)向け変電機器の大型受注を獲得するなど極めて良好で、受注残も年々増加しております。好調な受注状況を業績向上に繋げていくためにも、効率性指標の向上による生産力の拡大は重要な経営課題であると捉えております。 (2) 新中期経営計画:中期経営計画2027 ●ビジョン達成に向けた価値創造プロセス当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。中計2024では、2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に取り組んでまいりました。近年、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化されており、企業を取り巻く環境や提供すべき価値のあり方は、今後更に大きく、かつ多様に変化していくと想定されます。その中で、2030年のビジョンを実現していくためには、成長と挑戦による価値提供方法の更新や、その実現を担う人財、企業文化の変革が必要になります。これらを踏まえ、マテリアリティにデジタル化の視点を加えて再構成し、「未来へ挑む人財・企業文化づくり」、「価値提供のアップグレード」、「人とデジタルの調和」を新たな重要課題として追加しました。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の両領域においては、顧客や社会の課題に対し、ソリューションを通じた価値提供を推進してまいります。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の両領域では、製品技術及び生産技術を当社のコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値提供を展開してまいります。 ビジョン達成に向けた価値創造プロセスについて ●価値創造を実現するための戦略当社グループは、「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)を「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立する3年間として位置づけております。中計2027では既存事業の持続的な成長と非連続的な成長の両方を実現することを目指し、「成長&挑戦」をキーワードに成長戦略を推進してまいります。成長戦略は大きく3つの柱で構成されます。第一の柱は「製品」であり、生産能力の増強のため、国内では変圧器や電子機器の生産設備を増設・増強し、海外ではアメリカ・ドイツ・シンガポール・インドにおける拠点再構築や新工場設立を進めるなど、合計260億円超の設備投資を計画しております。また、受注から出荷までの情報基盤整備や自動化・試験データの連携による生産プロセスの効率化等、DXによる生産性向上とリードタイムの削減を進めてまいります。第二の柱は「事業」であり、新たな需要が見込まれる海外市場の開拓と、データ活用によるサービスビジネスの拡大を図ってまいります。変電事業・電鉄事業・半導体関連事業のグローバル展開に加え、水インフラ事業では機器・工事・運転維持管理・保守までを担う総合エンジニアリング体制を構築するなど、従来の機器販売に留まらない価値提供を推進してまいります。そして第三の柱は「技術」であり、未来の社会を見据えた指向型研究を通じて、将来的な競争力の源泉を育成してまいります。注力する技術の方向性を、①直流・高周波、②パワーケミトロニクス(パワーエレクトロニクス×電気化学)、③デジタルツインO&Mという3つに定め、実現したい社会を構成するシステム・要素を整理し、その中で当社が特に取り組むコア技術の獲得を目指してまいります。これら3つの成長戦略を支えるのが、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を軸とした経営基盤の強化であります。「グリーン戦略の深化」では、脱炭素経営を加速し、工場ユニットの脱炭素化や再生可能エネルギーの導入、ライフサイクルアセスメント(LCA)の取組みを推進してまいります。「人的資本の強化」では、多様な人財が活躍できる環境づくりを進め、採用・育成・活躍の質的転換を目指してまいります。そして「社内DXの加速」では、基幹システムの刷新とデータ基盤の整備による業務の標準化・効率化・可視化を推進してまいります。 価値創造を実現するための戦略について (3) 資本コストや株価を意識した経営 ●基本方針当社グループは、企業価値向上の取組みとして、ROE(自己資本利益率)の向上とPER(株価収益率)の向上という二つの観点から方針を掲げ、それぞれに基づいた施策を実行しております。ROE向上に向けては、収益力の強化や投資効率の向上に取り組むことで、効率的な資本活用を通じた価値の創出を目指しております。一方、PER向上に向けては、成長期待を高める投資の実行と、人的資本やガバナンス体制の強化等、非財務価値の充実を通じて、将来にわたる持続的な価値創造に取り組んでおります。これらの方針は、中計2027における成長戦略・投資戦略と連動しており、収益力や資産効率の向上を通じてキャッシュ創出力を高め、創出されたキャッシュを再投資することで、更なる成長と企業価値の向上を生み出す好循環の構築を目指してまいります。また、限られた経営資源をいかに成長投資と株主還元へ配分していくかというキャッシュ・アロケーションの最適化にも重点を置き、長期的な視点での価値創造に取り組んでまいります。 ●キャッシュ・アロケーション中計2027においては、上位格付けの取得に向けた財務基盤の強化と、大型投資を可能とする資本力の増強に取り組み、将来に向けた戦略的投資を着実に実行できる体制を整備してまいります。設備投資については、事業の持続的成長と競争力強化を目的に、「成長・DX投資」に350億円、「通常投資」に350億円を計画しております。成長投資では、真空コンデンサ製造ラインの増設等、新市場の開拓や生産能力の増強を通じて新たな価値の創出に挑戦してまいります。DX投資では、プロジェクト管理や経営情報の可視化、データ活用の高度化を目的とした基幹システムの再構築により、全社的な業務価値の最大化を図ってまいります。通常投資については、既存設備の更新・維持・補修を通じて、生産性と品質の安定を確保し、継続的な事業価値の維持・向上に努めてまいります。設備投資において、特に大型案件については社内の投資判断における収益率の基準(ハードルレート)等の定量的指標と戦略的意義等の定性的要素を総合的に評価したうえで実施の可否を判断してまいります。また、将来を見据えた戦略の具体化を進める中で、非連続的な価値創造を目指すM&A等の大型投資とその資金調達方法についても検討を進めてまいります。株主還元については、「安定的かつ継続的な配当の実施」と「成長による中長期的な株主価値の向上」の両立を基本方針としております。具体的には、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当によって直接還元するとともに、中計2027の施策を通じて、既存事業による継続的な価値の創出と新たな収益源の確保を両立させ、株主価値の更なる向上を実現してまいります。 資本コストや株価を意識した経営について (4)「中期経営計画2027」財務指標・非財務指標 以上の戦略を踏まえ、中計2027の財務指標・非財務指標は次のとおり設定しております。 ※1.計画為替レート:140円/USD ※2.ROIC=税引後営業利益/(有利子負債+自己資本) ※3.Scope1,2,3:2019年度実績比※4.eNPS:従業員向けNPS®(ネット・プロモーター・スコア)。NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標であります。eNPSの単位を%とし、記載しております。また、eNPSの対象は、提出会社及び国内関係会社(イームル工業株式会社及び明電ユニバーサルサービス株式会社を除く。)であります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)中期経営計画2024振り返り ●当社グループを取り巻く事業環境中期経営計画2024(以下、中計2024)策定時に想定した事業環境に対して大きな変化が生じました。第一に、世界的なインフレと部材調達の長納期化であります。その影響は主に社会システム事業セグメントの業績を直撃しました。しかし、代替品の開発や新規調達先の開拓といった様々な取組みを進めてきたことで、当連結会計年度は長納期化の影響は概ね収まり、またインフレ影響の価格転嫁も進むなど、業績には明るい兆しが見えてまいりました。第二にEV市場の動向の変化であります。2015年のパリ協定採択以降、多くの国がEV化の目標を掲げ、EV導入を推進した結果、EV市場は大きく成長しましたが、その勢いが落ち着きつつあります。これは、新技術への関心が高いアーリーアダプターの需要が一巡したことや各国のEV購入に対する補助金終了等の影響であると考えております。脱炭素の観点から、今後も世界全体のEVへの移行は進んでいくと考えられておりますが、国によっては導入期から普及期へ転換するにあたり、充電インフラの整備等が必要となってきていると捉えております。最後に電力市場の動向の変化であります。国内においては、送配電網について、高度経済成長期に整備された設備の老朽化による更新需要に加え、脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギー導入のための整備を目的とした需要が拡大しました。更に、レベニューキャップ制度が導入されたことによって計画的な送配電網の整備が可能となり、安定的に更新できることとなりました。海外においても、先進国を中心にSF6ガス不使用製品の需要が高まるなど市場が急速に拡大しました。このような動向は、今後も暫く継続すると考えております。 ●業績(2021年度~2024年度)このような事業環境の中、当社グループは業績を順調に拡大させ、中計2024で目標として掲げた営業利益180億円、ROE10%を上回り、当連結会計年度は受注高、売上高、営業利益いずれも過去最高値を達成することができました。財務状況について、中計2024開始前の2021年3月末時点と比べて、自己資本比率は34.6%から40.7%に向上し、有利子負債の圧縮も進んだことでネットD/Eレシオは0.34倍から0.10倍に改善するなど、より強固な財務基盤を構築することができました。効率性の面においては、総資産回転率が0.84回転から0.89回転に若干の改善が見られた一方で、部材長納期化への対策で戦略的に在庫を増やした影響等により、棚卸資産回転率が3.95回転から3.24回転に大きく悪化し、課題の残る結果となりました。受注環境については、インド高速鉄道1号線(ムンバイ〜アーメダバード間)向け変電機器の大型受注を獲得するなど極めて良好で、受注残も年々増加しております。好調な受注状況を業績向上に繋げていくためにも、効率性指標の向上による生産力の拡大は重要な経営課題であると捉えております。 (2) 新中期経営計画:中期経営計画2027 ●ビジョン達成に向けた価値創造プロセス当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。中計2024では、2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に取り組んでまいりました。近年、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化されており、企業を取り巻く環境や提供すべき価値のあり方は、今後更に大きく、かつ多様に変化していくと想定されます。その中で、2030年のビジョンを実現していくためには、成長と挑戦による価値提供方法の更新や、その実現を担う人財、企業文化の変革が必要になります。これらを踏まえ、マテリアリティにデジタル化の視点を加えて再構成し、「未来へ挑む人財・企業文化づくり」、「価値提供のアップグレード」、「人とデジタルの調和」を新たな重要課題として追加しました。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の両領域においては、顧客や社会の課題に対し、ソリューションを通じた価値提供を推進してまいります。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の両領域では、製品技術及び生産技術を当社のコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値提供を展開してまいります。 ビジョン達成に向けた価値創造プロセスについて ●価値創造を実現するための戦略当社グループは、「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)を「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立する3年間として位置づけております。中計2027では既存事業の持続的な成長と非連続的な成長の両方を実現することを目指し、「成長&挑戦」をキーワードに成長戦略を推進してまいります。成長戦略は大きく3つの柱で構成されます。第一の柱は「製品」であり、生産能力の増強のため、国内では変圧器や電子機器の生産設備を増設・増強し、海外ではアメリカ・ドイツ・シンガポール・インドにおける拠点再構築や新工場設立を進めるなど、合計260億円超の設備投資を計画しております。また、受注から出荷までの情報基盤整備や自動化・試験データの連携による生産プロセスの効率化等、DXによる生産性向上とリードタイムの削減を進めてまいります。第二の柱は「事業」であり、新たな需要が見込まれる海外市場の開拓と、データ活用によるサービスビジネスの拡大を図ってまいります。変電事業・電鉄事業・半導体関連事業のグローバル展開に加え、水インフラ事業では機器・工事・運転維持管理・保守までを担う総合エンジニアリング体制を構築するなど、従来の機器販売に留まらない価値提供を推進してまいります。そして第三の柱は「技術」であり、未来の社会を見据えた指向型研究を通じて、将来的な競争力の源泉を育成してまいります。注力する技術の方向性を、①直流・高周波、②パワーケミトロニクス(パワーエレクトロニクス×電気化学)、③デジタルツインO&Mという3つに定め、実現したい社会を構成するシステム・要素を整理し、その中で当社が特に取り組むコア技術の獲得を目指してまいります。これら3つの成長戦略を支えるのが、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を軸とした経営基盤の強化であります。「グリーン戦略の深化」では、脱炭素経営を加速し、工場ユニットの脱炭素化や再生可能エネルギーの導入、ライフサイクルアセスメント(LCA)の取組みを推進してまいります。「人的資本の強化」では、多様な人財が活躍できる環境づくりを進め、採用・育成・活躍の質的転換を目指してまいります。そして「社内DXの加速」では、基幹システムの刷新とデータ基盤の整備による業務の標準化・効率化・可視化を推進してまいります。 価値創造を実現するための戦略について (3) 資本コストや株価を意識した経営 ●基本方針当社グループは、企業価値向上の取組みとして、ROE(自己資本利益率)の向上とPER(株価収益率)の向上という二つの観点から方針を掲げ、それぞれに基づいた施策を実行しております。ROE向上に向けては、収益力の強化や投資効率の向上に取り組むことで、効率的な資本活用を通じた価値の創出を目指しております。一方、PER向上に向けては、成長期待を高める投資の実行と、人的資本やガバナンス体制の強化等、非財務価値の充実を通じて、将来にわたる持続的な価値創造に取り組んでおります。これらの方針は、中計2027における成長戦略・投資戦略と連動しており、収益力や資産効率の向上を通じてキャッシュ創出力を高め、創出されたキャッシュを再投資することで、更なる成長と企業価値の向上を生み出す好循環の構築を目指してまいります。また、限られた経営資源をいかに成長投資と株主還元へ配分していくかというキャッシュ・アロケーションの最適化にも重点を置き、長期的な視点での価値創造に取り組んでまいります。 ●キャッシュ・アロケーション中計2027においては、上位格付けの取得に向けた財務基盤の強化と、大型投資を可能とする資本力の増強に取り組み、将来に向けた戦略的投資を着実に実行できる体制を整備してまいります。設備投資については、事業の持続的成長と競争力強化を目的に、「成長・DX投資」に350億円、「通常投資」に350億円を計画しております。成長投資では、真空コンデンサ製造ラインの増設等、新市場の開拓や生産能力の増強を通じて新たな価値の創出に挑戦してまいります。DX投資では、プロジェクト管理や経営情報の可視化、データ活用の高度化を目的とした基幹システムの再構築により、全社的な業務価値の最大化を図ってまいります。通常投資については、既存設備の更新・維持・補修を通じて、生産性と品質の安定を確保し、継続的な事業価値の維持・向上に努めてまいります。設備投資において、特に大型案件については社内の投資判断における収益率の基準(ハードルレート)等の定量的指標と戦略的意義等の定性的要素を総合的に評価したうえで実施の可否を判断してまいります。また、将来を見据えた戦略の具体化を進める中で、非連続的な価値創造を目指すM&A等の大型投資とその資金調達方法についても検討を進めてまいります。株主還元については、「安定的かつ継続的な配当の実施」と「成長による中長期的な株主価値の向上」の両立を基本方針としております。具体的には、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当によって直接還元するとともに、中計2027の施策を通じて、既存事業による継続的な価値の創出と新たな収益源の確保を両立させ、株主価値の更なる向上を実現してまいります。 資本コストや株価を意識した経営について (4)「中期経営計画2027」財務指標・非財務指標 以上の戦略を踏まえ、中計2027の財務指標・非財務指標は次のとおり設定しております。 ※1.計画為替レート:140円/USD ※2.ROIC=税引後営業利益/(有利子負債+自己資本) ※3.Scope1,2,3:2019年度実績比※4.eNPS:従業員向けNPS®(ネット・プロモーター・スコア)。NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標であります。eNPSの単位を%とし、記載しております。また、eNPSの対象は、提出会社及び国内関係会社(イームル工業株式会社及び明電ユニバーサルサービス株式会社を除く。)であります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、2024年度(当連結会計年度)末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が進み、旺盛なインバウンド需要などにより、景気は緩やかに持ち直している一方で、米国の関税政策、円安を背景とした原材料価格やエネルギー価格の高騰の影響などにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社の関連する市場においては、国内電力市場では設備更新需要が拡大し、海外先進国を中心にSF6ガス不使用製品の需要が高まるなど当社の事業に好影響を及ぼしております。また半導体市況の需給調整は徐々に回復の兆しが見える一方で、自動車事業でのEVシフトの勢いが弱まり、当社のEV事業の業績に少なからず影響を与えました。このような中、「中期経営計画2024」最終年度となった本年は計画完遂に向け、市場需要の積極的な取り込みや環境に資する事業・製品への注力、海外事業における収益基盤の強化を進めてまいりました。並行してグリーン戦略・人的資本といったサステナビリティ経営の各種施策展開を推し進め、価値創造基盤の強化にも努めてまいりました。 当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2024年3月期実績2025年3月期実績増減額増減率(%)売 上 高287,880301,10113,2214.6営 業 利 益12,73121,5128,78169.0経 常 利 益13,38521,1927,80658.3親会社株主に帰属する当期純利益11,20518,4877,28165.0 当期の営業利益は21,512百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し8,781百万円増加しております。当期の営業外損益につきましては、営業外収益が2,170百万円、営業外費用が2,490百万円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金1,100百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息986百万円であります。この結果、経常利益は21,192百万円となり前期と比較して7,806百万円増加し、売上高経常利益率は7.0%となっております。当期の特別損益につきましては、特別利益が3,100百万円、特別損失が456百万円となりました。特別利益の主な内訳は、投資有価証券売却益1,274百万円、受取保険金1,165百万円であります。特別損失の主な内訳は、災害損失354百万円であります。この結果、税金等調整前当期純利益は23,836百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で4,961百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益387百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は18,487百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は407円51銭、自己資本利益率は13.9%となっております。 なお、当社は、前連結会計年度において明電商事株式会社を吸収合併したことに伴い、当連結会計年度より、同社が手掛けていた事業のセグメント区分の変更を行っております。以下、前年同期比較については、当該変更を反映した前年同期の数値を用いております。 ① 電力インフラ事業セグメント売上高は前期比10.2%増の86,437百万円、営業利益は前期比1,544百万円改善の7,988百万円となり、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。海外を主体とする変電事業については、シンガポール、ドイツ、インドなどにおける需要の伸びや収益性改善の取組みにより、増収増益となりました。また、国内主体の電力エネルギー事業についても、電力会社向け案件の需要増を背景に、増収増益となりました。 ② 社会システム事業セグメント売上高は前期比10.0%増の96,323百万円、営業利益は前期比3,568百万円改善の3,034百万円となりました。社会システム事業及び水インフラ事業においては、工程の遅れによる売上計上時期の後ろ倒しの影響が一部の案件でみられたものの、資材高騰に伴う収益性悪化は改善傾向にあり、増収増益となりました。電鉄事業においては、海外案件の減少がみられましたが、シンガポールで手掛けてきた大型案件の原価が改善したことなどから、減収増益となりました。 ③ 産業電子モビリティ事業セグメント売上高は前期比8.5%減の72,079百万円となった一方、営業利益は前期比936百万円改善の1,132百万円となりました。電動力ソリューション事業は、主に搬送分野の受注減少、EV事業は、当社製品を搭載する車種で販売台数の落ち込みにより減収減益となりました。その一方で、電子機器事業及びモビリティT&S事業については、緩やかな需要の回復が見られ、増収増益となりました。 ④ フィールドエンジニアリング事業セグメント売上高は前期比17.2%増の49,567百万円、営業利益は前期比3,281百万円改善の9,931百万円となりました。保守サービスに関する堅調な需要が継続していることに加えて、当年度に売り上がる案件の増加により、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。 ⑤ 不動産事業セグメント売上高は前期比0.2%増の3,235百万円、営業利益は前期比10百万円改善の1,443百万円となりました。 ⑥ その他報告セグメントに含まれない事業において、売上高は前期比16.3%減の8,672百万円となった一方で、営業利益は前期比149百万円改善の477百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業84,529111.1社会システム事業95,217113.6産業電子モビリティ事業71,27495.1フィールドエンジニアリング事業47,729117.5不動産事業--その他3,25794.0合計302,008108.3 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業125,374129.3158,108131.2社会システム事業117,548118.1161,567122.7産業電子モビリティ事業84,687110.334,596171.9フィールドエンジニアリング事業49,136109.518,061110.8不動産事業3,197100.221084.9その他3,64645.91,81896.3合計383,590116.5374,362128.7 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業85,417109.8社会システム事業90,617107.5産業電子モビリティ事業70,47391.8フィールドエンジニアリング事業47,679117.3不動産事業3,197100.2その他3,71671.5合計301,101104.6 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比6,559百万円(2.0%)増加し、341,347百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の回収が進んだものの、現金及び預金が増加した結果、前期末比8,613百万円(4.1%)増加の217,116百万円となりました。固定資産は、保有する上場株式の売却及び市場価値下落に伴う投資有価証券の減少により、前期末比2,053百万円(1.6%)減少の124,230百万円となりました。負債合計は、社債の償還、支払手形及び買掛金の減少により、前期末比6,164百万円(3.0%)減少して199,134百万円となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前期末比12,724百万円(9.8%)増加して142,212百万円となりました。この結果、自己資本比率は前期末の37.8%から40.7%となりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ11,867百万円増加し、29,091百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は35,454百万円(前年同期は8,968百万円の獲得)となりました。 主な収入は、税金等調整前当期純利益23,836百万円、減価償却費10,463百万円、売上債権の減少額5,159百万円であり、主な支出は、仕入債務の減少額4,433百万円、法人税等の支払額4,309百万円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は9,065百万円(前年同期は7,553百万円の使用)となりました。 主な支出は、有形及び無形固定資産の取得による支出10,547百万円によるものであり、主な収入は、投資有価証券の売却による収入1,422百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は14,536百万円(前年同期は749百万円の獲得)となりました。 主な支出は、社債の償還による支出6,000百万円、短期借入金の返済による支出4,623百万円、コマーシャル・ペーパーの返済による支出4,000百万円、配当金の支払額3,851百万円であり、主な収入は、長期借入れによる収入5,900百万円であります。 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比10,114百万円減の44,565百万円となりました。また、コミットメントラインは前期末比5,000百万円増加の40,000百万円で設定されています。 (4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、「中期経営計画2024」で掲げた、「質の高い成長」「サステナビリティ経営の推進」「両利きの経営の推進」という3つの基本方針に基づき、再生エネルギーやEV等の環境に資する事業拡大、海外事業の収益力強化及び気候変動への対応に向けた各種施策を推し進めてまいりました。当連結会計年度においては、電力インフラ事業を中心に海外事業の収益を前年比で大幅に改善させたとともに、保守サービスに関する堅調な需要が継続したことにより、受注高・売上高・営業利益いずれも過去最高を更新しました。当連結会計年度の投資については、設備投資11,953百万円、研究開発11,234百万円となりました。事業環境の変化に伴い、当初計画していたEV用モーター・インバーター一体機量産や風力発電用風車リプレースを延期した一方、環境負荷低減や電力需要の高まりに対応し、真空インタラプタ製品の増産投資などを進めました。また、従業員の声に耳を傾け、働きやすい環境づくりを目指し、各事業所の食堂や休憩スペース、更衣室、トイレの整備など生産環境改善の投資も実施しました。研究開発の状況は、後記「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりであります。今後も、会社の「成長」のために強みを伸ばし、新しい価値を創造するため「挑戦」し続けることを基本方針として、研究開発を推進してまいります。当社を取り巻く事業環境としては、社会課題の解決と経済・産業の持続的な発展が求められる中で、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化され、デジタル活用のニーズは拡大し、更に多様化すると想定しております。このような中、当社グループでは、多くの政治的・社会的な動向を注視する必要がありますが、「成長」を戦略の中心に据え、中期経営計画2027(以下、中計2027)で掲げたとおり、「製品」、「事業」、「技術」の3つの領域でそれぞれに適した戦略的アプローチを展開します。そしてこの3つの成長戦略を支える経営基盤としては、価値創造の根源である「脱炭素経営」「人的資本の強化」「経営マネジメントの変革」を展開し、更なる価値創造に繋げてまいります。2025年度においては、生産性の改善や工場におけるコストリダクションをしっかり行い、利益の拡大に努め、現行のリソースで工夫できることやDXなどの要素も加味した設備投資で収益力の向上を目指してまいります。2024年度(当連結会計年度)実績、2025年度当初計画及び中計2027最終年度目標は以下のとおりであります。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。 ① 固定資産の減損及び投融資の評価当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。 回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんの価値算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、更に減損損失の計上が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。 ② 繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分につきましては評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。 ③ 受注損失引当金当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ④ 製品保証引当金当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ⑤ 退職給付に係る負債従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%変動した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。 退職給付費用退職給付債務割引率0.5%上昇95百万円の減少2,397百万円の減少0.5%低下104百万円の増加2,612百万円の増加長期期待運用収益率0.5%上昇24百万円の減少―0.5%低下24百万円の増加― ⑥ 工事契約に係る収益認識工事契約に係る収益のうち、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法によっております。工事契約に係る収益認識は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。 工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、工事契約に係る収益及び費用の修正が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループの企業理念は、「より豊かな未来をひらく」ことを企業使命とし、「お客様の安心と喜びのために」を提供価値としております。当社グループは、より豊かで住みよい未来社会の実現に貢献するため、新しい技術と価値の創造にチャレンジし続けるとともに、お客様の安心と喜びのために、環境への配慮と丁寧なサポートを徹底し、品質の高い製品・サービスを通じてお客様の課題解決や夢の実現をお手伝いします。 (2) 会社の対処すべき課題 ①中期経営計画2020基本方針 当社グループは、「中期経営計画2020」(2018~2020年度)において、更なる飛躍に向けた『力強いステップ』を踏むフェーズとして、『成長事業』『収益基盤事業』『新たな成長事業』の3つの事業領域で、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資や施策を推進しております。これらの投資や施策により、事業を拡大させていくとともに、営業利益率やROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)等の財務指標の改善に取り組んでまいります。収益目標につきましては、「中期経営計画2020」の最終年度である2020年度目標として、売上高2,800億円、営業利益140億円、経常利益135億円、親会社株主に帰属する当期純利益94億円の達成を目指しております。「中期経営計画2020」の最終年度目標である営業利益率5%を着実に達成し、次の成長に向けた基盤を固め、「JUMP」のフェーズである次期中期経営計画の期間における収益拡大を目指しております。財務体質につきましては、利益目標を着実に達成することで、2020年度に自己資本1,000億円に積増すことで、財務安定性の確保を図っております。ROEにつきましては、自己資本の拡充と収益性のバランスを図り、中長期的に「10%」の確保を目指しております。また、「中期経営計画2020」の3年間は、飛躍に向けた「力強いステップ」として、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資・施策を積極的に行うフェーズと位置付けており、3年間合計で、設備投資300億円、研究開発費300億円、及びPHEV・EV用モータ・インバータ関連をはじめとする「成長投資」200億円を実施しております。投資の実行と業績拡大の両立を図るために、投資の効率性を確保することが重要であるため、財務目標の主要指標としてROICを選定し、投下資本に対する利益を測っております。 ②重点施策及び対処すべき課題 Ⅰ.成長事業アジア新興国を中心に市場拡大が見込まれる海外変電事業や、車の電動化・デジタル化の進展が著しい自動車関連事業を『成長事業』と位置付け、積極的にリソースを投入し、事業規模拡大を目指しております。海外電力事業では、ベトナムにおいて配電盤メーカへの資本参画について契約締結し、米国において真空遮断器の製造子会社を設立しました。EV事業では、名古屋、甲府にて2020年度の量産開始を目指して準備を進めており、中国では初の海外生産拠点を設立し、事業拡大に注力してまいります。動力計測システム事業では、業務提携したFEV社のソフトウェアを組み込んだEV用モータ評価ベンチの運用により、お客様の開発スピードアップを支援しております。引き続き協業による事業強化及びEV事業との相乗効果を発揮してまいります。 Ⅱ.収益基盤事業 水処理事業、電力エネルギー事業では、人口減少や自治体の財政難による社会ニーズの多様化に対応するため、組織体制を強化し、インフラサービスの領域横断や広域化、脱炭素、BCPといった課題に応えていくためのソリューション提案活動を推進してまいります。数多くの納入実績を活かし、かつ電力会社や自治体、異業種企業とのパートナーシップにより、保守・サービスも含めた新たなビジネスモデルの創出に注力してまいります。 Ⅲ.新たな成長事業ピュアオゾンを応用した常温成膜技術の事業化を目的として明電ナノプロセス・イノベーション㈱を設立しました。子会社化することで、意思決定やグループ外との協業を迅速に行い、早期事業化を図ってまいります。 (ご参考)上記の3つの事業領域と事業セグメントの関係性は以下のとおり示されます。 Ⅳ.事業活動基盤のQuality向上 当社グループは、企業スローガン「Quality connecting the next」に込めた想いを実現してまいります。製品・システム・サービスの継続的な品質向上に加え、労働災害の撲滅やコーポレート・ガバナンス強化、温室効果ガス排出量削減、更に従業員の働き方改革など、事業活動基盤のQuality向上に積極的に取り組んでおります。 (安全衛生)労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格である「ISO45001」の拡大認証や、過去の労働災害・事故の実例を展示した「安全伝承館」による風化防止の社内教育、従業員の危険感受性を向上させる「安全体感教育」の強化などを実施し、安全管理体制の構築及び従業員の安全意識向上に更に注力してまいります。また、「明電グループ健康経営宣言」に基づき、従業員の健康向上のためメンタル・ヘルスに関する教育、チェック体制の強化、たばこによる健康被害防止のための施策等を推進してまいります。 (品質)リスクマップを活用した適切なデザイン・レビューの実施、購入品の品質管理基準の整備、品質データに基づいた変化点管理の強化、製品検査工程における自動化設備の導入等、仕様決めから、開発、設計、調達、製造、試験、出荷、運用の全ての工程における品質向上のための施策を展開しております。グループ全体での不良撲滅を目指し、過去の不具合事象及び対策を全社で共有し、海外製造拠点を含めた人財育成を図ってまいります。 (コーポレート・ガバナンス)任意の指名・報酬委員会の設置や、経営課題や戦略をテーマとした意見交換会の実施等による取締役会の実効性向上のための活動に加え、第156期定時株主総会での承認を前提に監査等委員会設置会社へ移行します。社外取締役の割合増加等による取締役会の議論の充実化や監督機能強化及び内部統制の充実により、適切かつ透明性のある情報開示と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。 (環境)「第一次明電環境ビジョン」を掲げ、2030年度までに事業活動に伴う温室効果ガス排出量を30%削減(2017年度比)することを目指しております。この取組みの一環として、当社グループ内の風力発電所の発電電力を自社の総合研究所及び大崎会館の使用電力に充て、そこでの電力消費に伴うCO2排出量をゼロとしました。今後も省エネ機器の積極的導入、業務の合理化の推進に努めてまいります。また、長期的には再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、温室効果ガスの代替を図り、持続可能な社会の実現に向けて生産・事業活動及び製品・サービスの提供により、より豊かな未来の創造に貢献してまいります。 (働き方改革)実行計画「スマートワーク2020」に基づき、RPA活用等による業務改革やテレワークの促進をはじめ、残業時間削減や有給休暇取得推進を制度化して取り組んでおります。また、ダイバーシティの実現に向けた育児・介護支援等の各種施策の展開など柔軟な働き方を推進しており、経験豊富なシニア層の活躍を目的とした65歳定年制を導入し、社会インフラを支える技術伝承の強化とシニア層のモチベーションアップを図ってまいります。 なお、新型コロナウイルスの影響につきましては、「2 事業等のリスク(4)その他のリスク①新型コロナウイルス」をご参照ください。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループの企業理念は、「より豊かな未来をひらく」ことを企業使命とし、「お客様の安心と喜びのために」を提供価値としております。当社グループは、より豊かで住みよい未来社会の実現に貢献するため、新しい技術と価値の創造にチャレンジし続けるとともに、お客様の安心と喜びのために、環境への配慮と丁寧なサポートを徹底し、品質の高い製品・サービスを通じてお客様の課題解決や夢の実現をお手伝いします。 (2) 会社の対処すべき課題 ①中期経営計画2020基本方針 当社グループは、「中期経営計画2020」(2018~2020年度)において、更なる飛躍に向けた『力強いステップ』を踏むフェーズとして、『成長事業』『収益基盤事業』『新たな成長事業』の3つの事業領域で、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資や施策を推進しております。これらの投資や施策により、事業を拡大させていくとともに、営業利益率やROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)等の財務指標の改善に取り組んでまいります。収益目標につきましては、「中期経営計画2020」の最終年度である2020年度目標として、売上高2,800億円、営業利益140億円、経常利益135億円、親会社株主に帰属する当期純利益94億円の達成を目指しております。「中期経営計画2020」の最終年度目標である営業利益率5%を着実に達成し、次の成長に向けた基盤を固め、「JUMP」のフェーズである次期中期経営計画の期間における収益拡大を目指しております。財務体質につきましては、利益目標を着実に達成することで、2020年度に自己資本1,000億円に積増すことで、財務安定性の確保を図っております。ROEにつきましては、自己資本の拡充と収益性のバランスを図り、中長期的に「10%」の確保を目指しております。また、「中期経営計画2020」の3年間は、飛躍に向けた「力強いステップ」として、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資・施策を積極的に行うフェーズと位置付けており、3年間合計で、設備投資300億円、研究開発費300億円、及びPHEV・EV用モータ・インバータ関連をはじめとする「成長投資」200億円を実施しております。投資の実行と業績拡大の両立を図るために、投資の効率性を確保することが重要であるため、財務目標の主要指標としてROICを選定し、投下資本に対する利益を測っております。 ②重点施策及び対処すべき課題 Ⅰ.成長事業アジア新興国を中心に市場拡大が見込まれる海外変電事業や、車の電動化・デジタル化の進展が著しい自動車関連事業を『成長事業』と位置付け、積極的にリソースを投入し、事業規模拡大を目指しております。海外電力事業では、ベトナムにおいて配電盤メーカへの資本参画について契約締結し、米国において真空遮断器の製造子会社を設立しました。EV事業では、名古屋、甲府にて2020年度の量産開始を目指して準備を進めており、中国では初の海外生産拠点を設立し、事業拡大に注力してまいります。動力計測システム事業では、業務提携したFEV社のソフトウェアを組み込んだEV用モータ評価ベンチの運用により、お客様の開発スピードアップを支援しております。引き続き協業による事業強化及びEV事業との相乗効果を発揮してまいります。 Ⅱ.収益基盤事業 水処理事業、電力エネルギー事業では、人口減少や自治体の財政難による社会ニーズの多様化に対応するため、組織体制を強化し、インフラサービスの領域横断や広域化、脱炭素、BCPといった課題に応えていくためのソリューション提案活動を推進してまいります。数多くの納入実績を活かし、かつ電力会社や自治体、異業種企業とのパートナーシップにより、保守・サービスも含めた新たなビジネスモデルの創出に注力してまいります。 Ⅲ.新たな成長事業ピュアオゾンを応用した常温成膜技術の事業化を目的として明電ナノプロセス・イノベーション㈱を設立しました。子会社化することで、意思決定やグループ外との協業を迅速に行い、早期事業化を図ってまいります。 (ご参考)上記の3つの事業領域と事業セグメントの関係性は以下のとおり示されます。 Ⅳ.事業活動基盤のQuality向上 当社グループは、企業スローガン「Quality connecting the next」に込めた想いを実現してまいります。製品・システム・サービスの継続的な品質向上に加え、労働災害の撲滅やコーポレート・ガバナンス強化、温室効果ガス排出量削減、更に従業員の働き方改革など、事業活動基盤のQuality向上に積極的に取り組んでおります。 (安全衛生)労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格である「ISO45001」の拡大認証や、過去の労働災害・事故の実例を展示した「安全伝承館」による風化防止の社内教育、従業員の危険感受性を向上させる「安全体感教育」の強化などを実施し、安全管理体制の構築及び従業員の安全意識向上に更に注力してまいります。また、「明電グループ健康経営宣言」に基づき、従業員の健康向上のためメンタル・ヘルスに関する教育、チェック体制の強化、たばこによる健康被害防止のための施策等を推進してまいります。 (品質)リスクマップを活用した適切なデザイン・レビューの実施、購入品の品質管理基準の整備、品質データに基づいた変化点管理の強化、製品検査工程における自動化設備の導入等、仕様決めから、開発、設計、調達、製造、試験、出荷、運用の全ての工程における品質向上のための施策を展開しております。グループ全体での不良撲滅を目指し、過去の不具合事象及び対策を全社で共有し、海外製造拠点を含めた人財育成を図ってまいります。 (コーポレート・ガバナンス)任意の指名・報酬委員会の設置や、経営課題や戦略をテーマとした意見交換会の実施等による取締役会の実効性向上のための活動に加え、第156期定時株主総会での承認を前提に監査等委員会設置会社へ移行します。社外取締役の割合増加等による取締役会の議論の充実化や監督機能強化及び内部統制の充実により、適切かつ透明性のある情報開示と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。 (環境)「第一次明電環境ビジョン」を掲げ、2030年度までに事業活動に伴う温室効果ガス排出量を30%削減(2017年度比)することを目指しております。この取組みの一環として、当社グループ内の風力発電所の発電電力を自社の総合研究所及び大崎会館の使用電力に充て、そこでの電力消費に伴うCO2排出量をゼロとしました。今後も省エネ機器の積極的導入、業務の合理化の推進に努めてまいります。また、長期的には再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、温室効果ガスの代替を図り、持続可能な社会の実現に向けて生産・事業活動及び製品・サービスの提供により、より豊かな未来の創造に貢献してまいります。 (働き方改革)実行計画「スマートワーク2020」に基づき、RPA活用等による業務改革やテレワークの促進をはじめ、残業時間削減や有給休暇取得推進を制度化して取り組んでおります。また、ダイバーシティの実現に向けた育児・介護支援等の各種施策の展開など柔軟な働き方を推進しており、経験豊富なシニア層の活躍を目的とした65歳定年制を導入し、社会インフラを支える技術伝承の強化とシニア層のモチベーションアップを図ってまいります。 なお、新型コロナウイルスの影響につきましては、「2 事業等のリスク(4)その他のリスク①新型コロナウイルス」をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、消費税率引き上げなどで勢いが弱まったものの、個人消費を中心に全体としては緩やかな回復基調でした。一方、世界経済は、米中貿易摩擦等の影響で先進国、後進国ともに減速傾向にありました。更に、年度末より発生し感染が拡大している新型コロナウイルスの影響により、世界の経済活動が停滞し、国内外ともに先行きが見通せない厳しい状況にあります。このような中、当社グループは「成長事業」、「収益基盤事業」、「新たな成長事業」の3つの事業領域において戦略的な投資を推し進める事で、「中期経営計画2020」の施策を着実に進めてまいりました。当連結会計年度の連結業績への新型コロナウイルスの影響は比較的軽微に留まり、その結果、営業利益は過去最高となり、営業利益率5%を達成いたしました。 当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2019年3月期実績2020年3月期実績増減額増減率(%)売 上 高245,033255,74810,7154.4営 業 利 益10,33612,7252,38923.1経 常 利 益10,12811,4811,35313.4親会社株主に帰属する当期純利益7,6538,2085547.2 当期の営業利益は12,725百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し2,389百万円増加しております。当期の営業外損益につきましては、営業外収益が1,485百万円、営業外費用が2,729百万円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金624百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息621百万円、訴訟関連費用656百万円であります。この結果、経常利益は11,481百万円となり前期と比較して1,353百万円増加し、売上高経常利益率は4.5%となっております。当期の特別損益につきましては、特別利益が366百万円、特別損失が407百万円となりました。特別利益の主な内訳は、段階取得に係る差益365百万円であります。特別損失の主な内訳は、投資有価証券評価損367百万円、固定資産除却損32百万円であります。この結果、税金等調整前当期純利益は11,441百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で3,062百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益170百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は8,208百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は180円91銭、自己資本利益率は9.6%となっております。 なお、各事業分野における営業活動の状況は次のとおりであります。売上高につきましては、セグメント間の取引を含んでおります。 ① 社会インフラ事業セグメント売上高は前期比6.2%増の146,074百万円、営業利益は3,761百万円改善の3,654百万円となりました。電力エネルギー分野と水インフラシステム分野は、前年度からの工期延期案件の売上計上等に加え、原価改善による利益率向上を図り、前期比で増収増益となりました。社会システム分野は、内需が堅調に推移した事に加え、前年度に海外民需案件で発生した原価悪化の解消等により、前期比で増収増益となりました。電鉄システム分野は、国内外大型案件減少の影響により、前期比で減収となりました。 ② 産業システム事業セグメント売上高は前期比1.2%増の65,885百万円、営業利益は2,350百万円悪化の3,272百万円となりました。EV分野は、PHEV・EV用モータ・インバータの堅調な売上や沼津インバータ工場の新ライン稼働等により前期比で増収となりましたが、新設備における量産開始に向けた先行費用の発生等により、前期比で減益となりました。電動力分野は、射出成型機用の需要減速等により、減収減益となりました。電子機器分野は、前期比では減収減益となりましたが、半導体市場は調整局面からの回復傾向にあります。動力計測システム分野は、自動車業界全体の落込み影響を受けたものの、生産性向上により、前期比で減収増益となりました。 ③ 保守・サービス事業セグメントBCPや省エネ対応、設備延命化需要の高まりを背景に、電気設備の保守・点検、維持・運転管理までを一括して請け負うワンストップサービスが堅調に推移し、また、AR・VRなどを取り入れた人財の即戦力強化に取り組んだ結果、売上高は前期比5.1%増の38,857百万円、営業利益は1,311百万円改善の5,654百万円となりました。 ④ 不動産事業セグメント売上高は前期並みの3,481百万円、営業利益は66百万円悪化の1,353百万円となりました。 ⑤ その他売上高は前期比3.8%増の19,311百万円、営業利益は93百万円改善の891百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)社会インフラ事業134,56299.1産業システム事業63,160104.0保守・サービス事業36,650101.3不動産事業--その他2,53897.4合計236,912100.7 (注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)社会インフラ事業132,878101.3174,28395.2産業システム事業61,145102.017,65292.9保守・サービス事業37,706106.96,16391.9不動産事業3,219102.1249100.1その他9,23185.81,72766.3合計244,180101.6200,07794.6 (注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)社会インフラ事業142,979106.1産業システム事業62,485101.8保守・サービス事業36,977103.6不動産事業3,219100.0その他10,087101.2合計255,748104.4 (注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。2.金額は販売価格であり、消費税等を含んでおりません。 (2)財政状態当連結会計年度末(以下「当期末」)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比4,824百万円(1.8%)増加し、270,410百万円となりました。流動資産は、売上債権の増加により、前期末比2,827百万円(1.8%)増加の156,558百万円となりました。固定資産は、EV用部品の生産ラインの増強及びイームル工業株式会社の連結に伴う有形固定資産の増加により、前期末比1,997百万円(1.8%)増加の113,852百万円となりました。負債合計は、未払金及び長期借入金等債務の減少により、前期末比795百万円(0.4%)減少して180,292百万円となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前期末比5,620百万円(6.7%)増加して90,117百万円となりました。この結果、自己資本比率は前期末の31.5%から32.2%となりました。 (3) キャッシュ・フロー当期末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前期末に比べ187百万円増加し、12,621百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は10,416百万円(前年同期は14,365百万円の獲得)となりました。 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11,441百万円、減価償却費9,200百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額4,707百万円、売上債権の増加額4,407百万円、法人税等の支払額3,808百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は13,700百万円(前年同期は8,074百万円の使用)となりました。 支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出14,908百万円であり、収入の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入1,649百万円であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は3,735百万円(前年同期は3,101百万円の使用)となりました。 収入の主な内訳は、社債の発行による収入6,000百万円、コマーシャル・ペーパーの発行による収入3,000百万円、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出3,096百万円、配当金の支払額2,267百万円であります。 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。社債では、EV用モータ・インバータの量産設備資金を使途とするグリーンボンドを発行しました。その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比6,472百万円増の45,995百万円となりました。また、既存のコミットメントラインとは別に、2020年6月には、金融上のリスクに対応するために新たに20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。 (4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等収益目標につきましては、「中期経営計画2020」の最終年度である2020年度目標として、売上高280,000百万円、営業利益14,000百万円、経常利益13,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益9,400百万円の達成を目指しております。「中期経営計画2020」の最終年度目標である営業利益率5%を着実に達成し、次の成長に向けた基盤を固め、「JUMP」のフェーズである次期中期経営計画の期間における収益拡大を目指しております。財務体質につきましては、利益目標を着実に達成することで、2020年度に自己資本100,000百万円に積増すことで、財務安定性の確保を図っております。ROEにつきましては、自己資本の拡充と収益性のバランスを図り、中長期的に「10%」の確保を目指しております。また、「中期経営計画2020」の3年間は、飛躍に向けた「力強いステップ」として、設備・人財・研究開発・パートナーシップ強化などの投資・施策を積極的に行うフェーズと位置付けており、3年間合計で、設備投資30,000百万円、研究開発費30,000百万円、及びPHEV・EV用モータ・インバータ関連をはじめとする「成長投資」20,000百万円を実施しております。投資の実行と業績拡大の両立を図るために、投資の効率性を確保することが重要であるため、財務目標の主要指標としてROICを選定し、投下資本に対する利益を測っております。2020年度における数値目標に対する2019年度の実績につきましては、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高値を達成し、ROE・ROIC等の指標についても、ROEは最終利益の増益により前期比0.3%改善、ROICは前期比1%改善しました。財務目標は中期経営計画の目標に向けて、着実に改善したと評価しております。また、本中期経営計画は投資を行うフェーズと位置付けており、EV事業の成長投資による有形固定資産の増加等により総資産が増加しましたが、利益の増大により自己資本比率は過去最高の32.2%と拡大しました。ROE・ROIC等の2020年度目標達成に向けては営業利益の確保が第一であるため、中期経営計画最終年度では、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)会社の対処すべき課題」に記載の各施策を推進していくことにより、各指標の目標達成に努めてまいります。 「中期経営計画2020」の最終年度である2020年度における数値目標に対する2019年度の実績指標2019年度(実績)2020年度(目標)売上高 (百万円)255,748280,000営業利益 (百万円)12,72514,000経常利益 (百万円)11,48113,500親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円)8,2089,400 ROE (%)9.610ROIC (%)6.97営業利益率 (%)5.05自己資本額 (百万円)87,111100,000 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、および連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。 ①有形固定資産及び無形固定資産の減損当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんを含む固定資産の使用価値の算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。2020年3月31日時点における評価において、連結財務諸表では減損損失の計上はありませんが、個別財務諸表において当社のインド子会社Prime Meiden Ltd.社株式の評価損を4,670百万円計上しております。これは、インド経済状況の減速や新型コロナウイルス感染症の発生等を起因とした、将来見通しの不確実性の高まりに伴う事業計画の引き下げによる、同社株式の実質価額の低下によるものです。これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 ②繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分については評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。 ③受注損失引当金当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ④製品保証引当金当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ⑤退職給付に係る負債従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%低下した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。 退職給付費用退職給付債務割引率0.5%低下78百万円の増加2,926百万円の増加長期期待運用収益率0.5%低下39百万円の増加― ⑥工事進行基準当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事につきましては、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。工事進行基準による完成工事高の計上は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価の修正が必要となる可能性があります。