6508

明電舎(6508)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

  • 多岐にわたる事業展開
    明電舎グループは、電力インフラ、社会システム、産業電子モビリティ、フィールドエンジニアリング、不動産など6つの事業分野で、製品の企画・開発から製造、販売、サービスまでを一貫して手掛けています。これにより、幅広い顧客ニーズに対応し、安定した収益基盤を構築しています。
  • 重電機器とシステムが中核
    発電機、変圧器、スイッチギヤといった電気を作る・送るための重電機器や、それらを組み合わせたシステムが主要な収益源です。電力会社や官公庁、鉄道事業者、民間企業など、社会の基盤を支えるインフラ分野に貢献しています。
  • 保守・メンテナンスで安定収益
    フィールドエンジニアリング事業では、電気設備の保守、点検、維持管理といったメンテナンスサービスを提供しています。これは、一度導入された設備に対して継続的に発生する需要であり、安定した収益に繋がるビジネスモデルです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 電力インフラ事業
    電気を作る・送るための発電機、変圧器、スイッチギヤなどの重電機器やシステムを電力会社等に提供する事業です。売上高は854.17億円、営業利益は79.88億円と、グループの主要な収益源の一つであり、社会の基盤を支える重要な役割を担っています。
  • 社会システム事業
    官公庁、鉄道事業者、民間企業など、電気の需要家に対して重電機器やシステムを提供する事業です。売上高は906.17億円と最も大きく、営業利益は30.34億円です。電鉄システムや水インフラシステムなど、幅広い分野で社会の発展に貢献しています。
  • フィールドエンジニアリング事業
    電気設備の保守、点検、維持管理といったメンテナンスサービスを提供する事業です。売上高は476.79億円ですが、営業利益は99.31億円と最も高く、収益性の高い事業セグメントです。設備の安定稼働を支え、顧客との長期的な関係構築に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
PowerInfrastrucutureBusinessReportableSegment 地域 854 80 9.4%
PublicIndustrialAndCommercialSectorBusinessReportableSegment 地域 906 30 3.3%
MobilityAndElectricalComponentsBusinessReportableSegment 地域 705 11 1.6%
FieldServiceEngineeringBusinessReportableSegment 地域 477 99 20.8%
RealEstate 事業 32 14 45.1%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,421 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び国内子会社24社、国内関連会社2社、海外子会社20社、海外関連会社1社の合計48社で構成され、①電力インフラ事業セグメント、②社会システム事業セグメント、③産業電子モビリティ事業セグメント、④フィールドエンジニアリング事業セグメント、⑤不動産事業セグメント、⑥その他の6事業分野にわたって、製品の企画・開発から製造、販売、サービス等の事業活動を幅広く展開しております。 当社グループの事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。 ① 電力インフラ事業セグメント 15社電気を作り、送るための重電機器やシステムを電力会社等に提供する事業を行っております。主な製品・サービスは、発電機、変電製品(変圧器、スイッチギヤ、避雷器等)、発電・変電・配電システム、監視制御設備、水力発電設備、エネルギーシステムであります。 ・主な関係会社㈱エムウインズ、イームル工業㈱、MEIDEN SINGAPORE PTE. LTD.、MEIDEN ZHENGZHOU ELECTRIC CO., LTD.、TRIDELTA MEIDENSHA GmbH、MEIDEN T&D (INDIA) LIMITED ② 社会システム事業セグメント 14社電気の需要家となる官公庁、鉄道事業者、民間企業等に、重電機器やシステムを提供する事業を行っております。主な製品・サービスは、発電・変電・配電システム、監視制御設備、無停電電源装置、電鉄システム、水インフラシステム、上下水道維持管理、セラミック平膜であります。 ・主な関係会社明電プラントシステムズ㈱、明電システム製造㈱、明電システムソリューション㈱、MEIDEN ASIA PTE. LTD.、THAI MEIDENSHA CO., LTD. ③ 産業電子モビリティ事業セグメント 5社半導体分野、一般産業分野及びEV向けコンポーネント製品や自動車産業向け研究開発用システムを提供する事業を行っております。主な製品・サービスは、モーター、インバーター、EV駆動システム、真空コンデンサ、産業用PC、パルス電源、自動車産業向け試験装置、エレベーター用巻上機、無人搬送車であります。 ・主な関係会社㈱甲府明電舎、明電機電工業㈱、MEIDEN HANGZHOU DRIVE SYSTEMS CO., LTD.、MEIDEN AMERICA, INC.、MEIDEN (HANGZHOU) DRIVE TECHNOLOGY CO., LTD. ④ フィールドエンジニアリング事業セグメント 6社電気設備の保守、点検、維持管理等の保守メンテナンス事業を行っております。主なサービスは、保守、点検、保全コンサルティング、予防保全、改良保全、維持管理及び運用管理、事後保全、総合診断、延命措置、更新計画であります。 ・主な関係会社㈱明電エンジニアリング、明電ファシリティサービス㈱ ⑤ 不動産事業セグメント業務・商業ビルThinkPark Tower(東京都品川区大崎)を中心とした保有不動産の賃貸事業を行っております。 ⑥ その他 7社電気化学計測機器や電気絶縁材料の製造・販売、従業員の福利厚生サービス等が含まれております。 ・主な関係会社明電興産㈱、明電北斗㈱ (事業系統図) 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
製品の品質維持と安定供給が責務であり、品質低下は競争力喪失のリスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
発電機、変電製品、EV駆動システム、水インフラシステムなど多岐にわたる重電機器やシステムの開発・製造技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:市場環境変化への認識・対応不足 / 自然災害の発生 / 気候変動、環境規制に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

明電舎は、電力システム、産業システム、電子デバイスなど多岐にわたる事業を展開しており、長年の実績と技術蓄積がある。特に、電力インフラ分野での信頼性は無形資産となりうるが、特許やブランド力が突出しているわけではない。特定のニッチ分野での技術的優位性は存在する可能性はあるが、広範な競争優位性を示す具体的な指標は限定的。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

電力インフラや産業用制御システムなど、一度導入されると交換が容易ではない製品・サービスを提供している。特に、公共性の高いインフラ分野では、信頼性や保守体制が重視され、顧客が他社へ乗り換える際のコストやリスクは一定程度存在する。しかし、顧客の投資判断や技術革新のスピードによっては、スイッチング・コストが低下する可能性もある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

明電舎の事業モデルは、直接的なネットワーク効果を生み出す性質のものではない。製品やサービスは個別の顧客ニーズに基づいて提供されることが多く、ユーザー数が増えることで製品自体の価値が向上するという構造は見られない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

長年の製造業としての経験から、一定の生産効率やサプライチェーン管理能力は有していると考えられる。しかし、グローバルな価格競争が激しい分野も含まれており、構造的なコスト優位性を確立していると断言できるほどの顕著な証拠はない。規模の経済によるコスト削減効果は限定的。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

電力システムや産業システム分野では、一定の市場シェアを有していると考えられる。特に国内の電力インフラ関連では、大手プレイヤーとして一定の地位を築いている。しかし、グローバル市場全体で見ると、圧倒的な規模を持つ競合も存在し、効率規模による寡占的な優位性が確立されているとは言い難い。

  • 社会インフラを支える技術力
    発電機や変圧器、EV駆動システムなど、社会の電力供給や産業活動に不可欠な重電機器やシステムに関する高い技術力を持っています。長年の実績とノウハウが、信頼性の高い製品・サービス提供の基盤となっています。
  • 幅広い事業領域と顧客基盤
    電力会社から官公庁、鉄道、半導体、自動車産業まで、多岐にわたる顧客と事業領域を持つことで、特定の市場変動リスクを分散しています。これにより、安定した事業運営と収益確保に繋がっています。
  • 国内外に広がる生産・販売網
    国内に23社、海外に21社の子会社・関連会社を持ち、シンガポール、中国、インド、欧米などグローバルに事業を展開しています。これにより、各地域の市場ニーズに合わせた製品供給やサービス提供が可能となり、国際競争力を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 持続的な成長と挑戦の両立
    中期経営計画2027では、「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立させることを目指しています。既存事業の強化に加え、新たな技術や市場への挑戦を通じて、持続的な企業価値向上を図ります。
  • 生産能力増強とDX推進
    国内外の生産設備に260億円超の設備投資を行い、変圧器や電子機器の生産能力を増強します。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、生産プロセスの効率化やリードタイムの削減を進め、生産性向上を目指します。
  • 未来を見据えた技術開発
    直流・高周波、パワーケミトロニクス、デジタルツインO&Mといった3つの注力技術分野を定め、将来的な競争力の源泉となるコア技術の獲得を目指します。これにより、脱炭素社会やスマートインダストリーといった未来の社会ニーズに対応した製品・サービスを創出します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)当社グループの目指す姿当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、当社グループの強みを最大限に活かせる4つの注力領域における事業活動を通じて課題解決に取り組んでおります。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の領域では、お客様や社会課題に対して、ソリューションを通じた価値を提供します。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の領域では、製品技術及び生産技術をコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値を提供します。 図:価値創造を実現するための戦略について (2) 中期経営計画2027の進捗 ●業績の進捗と評価「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)の初年度にあたる2025年度は、売上高が前期比8.3%増の3,261億94百万円、営業利益が前期比26.1%増の271億22百万円、ROEは15.1%となりました。いずれも当初計画を上回るとともに、売上高及び営業利益は過去最高を達成する結果となりました。受注高については、インド高速鉄道1号線を受注し、過去最高を記録した2024年度に次ぐ額となりました。これらの背景には、電力インフラ事業を中心とした旺盛な需要環境に加え、これまで取り組んできた価格適正化やコスト削減の取組み等の成果や当初想定していたリスク要因の影響を最小限にすることで、社会インフラ事業の業績改善に繋がったことが挙げられます。さらに、保守・メンテナンス等のストック型ビジネスの収益拡大により、外部環境の変動に左右されにくく、利益率と資本効率(ROIC)が同時に向上する収益構造が確立されつつあります。一方で、築き上げてきた収益基盤を維持し、更なる成長を実現していくためには、解決すべき課題も明確になっております。第一の課題は、成長戦略の核となる「生産性向上の加速」であります。労働需給の逼迫に伴う人手不足は当社グループにおいても顕著であり、将来にわたって限られたリソースで旺盛な需要に確実に応えていくためには、抜本的な生産性向上が不可欠であります。DX推進による業務プロセス効率化は既に取り組んでおりますが、更に加速させ、生産能力の向上を図ります。第二の課題は、「持続的な成長と従業員エンゲージメント向上の両立」であります。現場の一人ひとりの努力が当社グループの成長を支えており、急速な事業拡大により業務負担が増す場面でも、従業員がやりがいと誇りを持って働くことができる環境の整備は重要な経営課題であります。業績の成果を従業員に適切に還元することに加え、多様な働き方を尊重し、キャリア形成の支援や企業風土の改革といった「人的資本の強化」に注力することで、持続的な成長の実現を目指します。 市場環境の変化に加え、当社グループの各種取組みの成果及び工程面での改善が相乗的に寄与した結果、営業利益は計画を上回るペースで進捗しております。この傾向は、次連結会計年度においても継続するものと見込んでおります。一方で、外部環境については、引き続き不確実性を伴う状況であると認識しており、今後の事業環境の動向を注視していく必要があると考えております。当社グループの中期経営計画は、成長投資、技術開発、人財戦略等を前提に、中長期的な視点で策定したものであり、現時点では各戦略目標の達成に向けた道半ばの段階にあると認識しております。今回の利益目標の早期達成をもって中期経営計画の終着点と捉えるのではなく、引き続き成長投資及び事業基盤の強化を着実に進めるとともに、次なる成長ステージに向けた戦略の検討を進めてまいります。単年度の業績予想については、前事業年度実績を基礎としつつ、最新の事業環境及び足元の進捗状況を適切に見極めながら反映させる方針であります。 ●事業環境認識中東情勢の緊迫化や中国による重要鉱物の輸出規制に伴うサプライチェーンリスクの顕在化等の地政学的リスク、急激な為替変動等は、引き続き当社グループの経営に影響を与え得る大きな不確実性要因であると認識しております。このような事業環境のもと、電力インフラ事業においては、AI・データセンターの拡大、電動化の進展、再生可能エネルギー導入の加速を背景に、世界的な電力需要の増加が一層進展しております。これに伴い、設備更新や保守・サービスの需要は、当初の想定を上回る水準で推移することが見込まれており、当社グループにとって中長期的な成長機会であると考えております。また、EVの出荷台数増加や真空コンデンサ(VC)市況の回復を見込む中で、これまで低迷していた一部の事業についても、段階的な改善が進むものと想定しております。これらの事業環境及び足元の進捗状況を踏まえつつ、外部環境の不確実性を十分に考慮したうえで、次連結会計年度の業績計画として、受注高3,750億円、売上高3,550億円、営業利益290億円を設定しております。なお、本計画は1米ドル=150円の為替レートを前提としております。 2024年度実績2025年度2026年度予想2027年度目標目標実績受注高3,835億円3,400億円3,582億円3,750億円3,800億円売上高3,011億円3,350億円3,261億円3,550億円3,700億円営業利益(営業利益率)215億円(7.1%)200億円(6.0%)271億円(8.3%)290億円(8.2%)250億円(6.8%)ROE13.9%10.0%15.1%―10.0%ROIC8.2%8.0%9.4%―8.0% ●中期経営計画2027の成長戦略と進捗状況中計2027では、「製品」「事業」「技術」を成長戦略の柱に据えております。また、これらを支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を着実に進展させることで、持続的な企業価値の向上を目指しております。 成長戦略1:製品(短期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果電力・電子分野等の生産能力増設・増強[国内]・変電・電子分野の生産能力 増強(設備投資130億円以上)・変圧器工場の新建屋増築の投資を決定(2028年度稼働予定)。・真空コンデンサ(VC)の生産設備を増強(2027年度 より段階的に稼働予定)。[海外]・各拠点の生産能力増強・ 再構築(設備投資130億円以上)・変電機器工場(シンガポール)の移転及び拠点統合を決定(2028年度稼働予定)。特長技術を活かした製品・システムのアップデート・環境対応製品の競争力強化・123kVエコタンク型真空遮断器(VCB)の開発が完了し、北米において販売を開始。・系統用電池システム向けパワーコンディショナ(PCS)新機種の販売を開始。DXの加速による生産性向上・リードタイム削減・生産能力25%向上・リードタイム50%削減・生産システムのDX化の中で製品ごとの生産基準情報の整備を実施しており、量産製品ラインのうち代表機種の製造BOM(Bill of Material:工程部品表)の整備が完了。製造BOMの活用により、代表機種製造ラインの作業におけるボトルネックを把握し改善することで、生産性向上を実現。 成長戦略2:事業(中期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果変電・電鉄、半導体関連における海外新市場の開拓[海外インフラ]・環境対応製品等の特長製品の拡販や、信頼性・実績を活かした海外プロジェクト受注の獲得<変電事業>・欧州市場向けの真空インタラプタ(VI)・真空遮断器(VCB)の開発仕様を決定。現地マーケティング体制構築による拡販活動を本格化。<鉄道事業>・インド高速鉄道1号線向け変電設備の出荷を開始。[半導体関連]・技術・開発力の強化による北米新規顧客の獲得・品質強化による北米顧客からの新規開発案件を獲得。市場環境変化に合わせた価値提供手段の多角化[データ活用ビジネス]・既設機器情報のクラウド集約を通じたO&M支援やオファリングビジネスによる価値提供<クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」の活用>・架線検測システムのクラウド対応により省スペースと異常の即時検知を実現し、新たに2社より契約内定を獲得。・設備劣化診断等保安業務を効率化するスマート保安サービスで本契約を獲得。[事業領域の拡大]・機器システム販売を超えたサービス事業による価値 提供<モビリティT&S事業>・EV分野にて包括的な試験サービスを提供するサービスプロバイダを目指し、新製品・開発品検証や共同実験・受託試験を実現する実験開発棟の構築・投資を決定(2028年度稼働予定)。 成長戦略3:技術(長期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果指向型研究の加速電気のチカラで自然と人が調和した「エレクトロピア」(電気×ユートピア)を実現するコア技術の獲得 ■重点領域・直流&高周波・パワーケミトロニクス (パワーエレクトロニクス ×電気化学)・デジタルツインO&M<直流&高周波>・半導体式変圧器(SST):高圧高周波トランスの絶縁技術と高効率化技術をはじめとするコア技術の評価を実施。<パワーケミトロニクス>・CO2電解還元:CO2資源化技術の確立に向けた構成要素の製作と基礎実験を実施。<デジタルツインO&M>・4Dデジタルツイン&センシング:巡視点検業務の遠隔化と自律化実現に向けた個別コア技術の評価を実施。 成長を支える経営基盤脱炭素化を加速する「グリーン戦略の深化」、人財の採用・育成・活躍の質を高める「人的資本の強化」、基幹システム刷新を中心とした「社内DXの加速」を中心に、将来の成長に向けた経営基盤を強化しております。展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果グリーン戦略の深化2030年度(2019年度比) Scope1+250%削減 Scope330%削減 2050年カーボンニュートラル達成・名古屋・甲府地区における使用電力の調達につき、再生可能エネルギー100%を達成。・サプライヤ5社に対してScope3算定の支援を実施。・八竜風力発電所リプレース投資を決定(2029年度稼働予定)。人的資本の強化個を惹きつける組織と多様な人財が夢・志で重なり、共に成長する環境の実現・業務や役割に応じた処遇の実現を図るとともに、多様な働き方を踏まえた新たな人事処遇制度の運用を開始。・エンゲージメント向上に向け、役員・上司と従業員との対話を促進するとともに、管理職層のコミュニケーションを強化。社内DXの加速経営・業務情報を有機的に繋ぎ、より効果的・効率的な経営を推進・業務効率化を目指した業務基幹システム刷新を推進。業務仕様及びその仕様に基づく開発範囲の明確化が完了(2028年度稼働予定)。・DXの基盤となるデータ活用力を高めるため、基礎教育を実施。当社従業員約3,200名が受講。・生成AIの業務適用を目指した推進活動を展開。説明会、勉強会、体験学習、外部トレーニング等を計39回実施し、当社従業員延べ約2,300名が参加。 ● 資本コストや株価を意識した経営当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、資本コストや株価を意識した経営を重要な経営課題として位置付けております。一般的に、企業価値を示す指標であるPBR(株価純資産倍率)は「PBR=ROE(自己資本利益率)×PER(株価収益率)」により算出されることから、収益力・資本効率の向上によるROE改善と、将来成長に対する市場期待の向上によるPER改善の両面から企業価値向上に取り組んでおります。中計2027で推進する「製品」「事業」「技術」の各成長戦略により、当社グループが長年にわたって培ってきた技術力と顧客基盤を活かし、収益基盤の強化と投資効率の向上を図るとともに、クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」を活用したソリューション型ビジネスの拡大等を通じて、成長期待の向上を目指します。ROEを株主価値向上の主要指標、ROICを事業採算・投資効率管理の主要指標として運用し、ROE10%、ROIC8%を前提にするとともに、拡大する電力需要や脱炭素化の進展を着実に取り込むことで、目標水準を上回る成果の実現を目指します。また、資本効率性の更なる向上に向けて、保有意義や合理性が認められなくなった遊休不動産や政策保有株式の順次売却を進めております。当連結会計年度は東京都品川区大崎二丁目における土地及び建物の譲渡を実施しました。創出したキャッシュについては事業成長に向けた再投資を重視しつつ、キャッシュ・アロケーションの最適化を通じて、「成長による中長期的な株主価値の向上」と「安定的かつ継続的な配当の実施」を両立させながら長期的な株主価値向上に取り組んでおります。中計2027期間中は成長への投資を優先する方針としており、株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益の30%としております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)当社グループの目指す姿当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、当社グループの強みを最大限に活かせる4つの注力領域における事業活動を通じて課題解決に取り組んでおります。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の領域では、お客様や社会課題に対して、ソリューションを通じた価値を提供します。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の領域では、製品技術及び生産技術をコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値を提供します。 図:価値創造を実現するための戦略について (2) 中期経営計画2027の進捗 ●業績の進捗と評価「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)の初年度にあたる2025年度は、売上高が前期比8.3%増の3,261億94百万円、営業利益が前期比26.1%増の271億22百万円、ROEは15.1%となりました。いずれも当初計画を上回るとともに、売上高及び営業利益は過去最高を達成する結果となりました。受注高については、インド高速鉄道1号線を受注し、過去最高を記録した2024年度に次ぐ額となりました。これらの背景には、電力インフラ事業を中心とした旺盛な需要環境に加え、これまで取り組んできた価格適正化やコスト削減の取組み等の成果や当初想定していたリスク要因の影響を最小限にすることで、社会インフラ事業の業績改善に繋がったことが挙げられます。さらに、保守・メンテナンス等のストック型ビジネスの収益拡大により、外部環境の変動に左右されにくく、利益率と資本効率(ROIC)が同時に向上する収益構造が確立されつつあります。一方で、築き上げてきた収益基盤を維持し、更なる成長を実現していくためには、解決すべき課題も明確になっております。第一の課題は、成長戦略の核となる「生産性向上の加速」であります。労働需給の逼迫に伴う人手不足は当社グループにおいても顕著であり、将来にわたって限られたリソースで旺盛な需要に確実に応えていくためには、抜本的な生産性向上が不可欠であります。DX推進による業務プロセス効率化は既に取り組んでおりますが、更に加速させ、生産能力の向上を図ります。第二の課題は、「持続的な成長と従業員エンゲージメント向上の両立」であります。現場の一人ひとりの努力が当社グループの成長を支えており、急速な事業拡大により業務負担が増す場面でも、従業員がやりがいと誇りを持って働くことができる環境の整備は重要な経営課題であります。業績の成果を従業員に適切に還元することに加え、多様な働き方を尊重し、キャリア形成の支援や企業風土の改革といった「人的資本の強化」に注力することで、持続的な成長の実現を目指します。 市場環境の変化に加え、当社グループの各種取組みの成果及び工程面での改善が相乗的に寄与した結果、営業利益は計画を上回るペースで進捗しております。この傾向は、次連結会計年度においても継続するものと見込んでおります。一方で、外部環境については、引き続き不確実性を伴う状況であると認識しており、今後の事業環境の動向を注視していく必要があると考えております。当社グループの中期経営計画は、成長投資、技術開発、人財戦略等を前提に、中長期的な視点で策定したものであり、現時点では各戦略目標の達成に向けた道半ばの段階にあると認識しております。今回の利益目標の早期達成をもって中期経営計画の終着点と捉えるのではなく、引き続き成長投資及び事業基盤の強化を着実に進めるとともに、次なる成長ステージに向けた戦略の検討を進めてまいります。単年度の業績予想については、前事業年度実績を基礎としつつ、最新の事業環境及び足元の進捗状況を適切に見極めながら反映させる方針であります。 ●事業環境認識中東情勢の緊迫化や中国による重要鉱物の輸出規制に伴うサプライチェーンリスクの顕在化等の地政学的リスク、急激な為替変動等は、引き続き当社グループの経営に影響を与え得る大きな不確実性要因であると認識しております。このような事業環境のもと、電力インフラ事業においては、AI・データセンターの拡大、電動化の進展、再生可能エネルギー導入の加速を背景に、世界的な電力需要の増加が一層進展しております。これに伴い、設備更新や保守・サービスの需要は、当初の想定を上回る水準で推移することが見込まれており、当社グループにとって中長期的な成長機会であると考えております。また、EVの出荷台数増加や真空コンデンサ(VC)市況の回復を見込む中で、これまで低迷していた一部の事業についても、段階的な改善が進むものと想定しております。これらの事業環境及び足元の進捗状況を踏まえつつ、外部環境の不確実性を十分に考慮したうえで、次連結会計年度の業績計画として、受注高3,750億円、売上高3,550億円、営業利益290億円を設定しております。なお、本計画は1米ドル=150円の為替レートを前提としております。 2024年度実績2025年度2026年度予想2027年度目標目標実績受注高3,835億円3,400億円3,582億円3,750億円3,800億円売上高3,011億円3,350億円3,261億円3,550億円3,700億円営業利益(営業利益率)215億円(7.1%)200億円(6.0%)271億円(8.3%)290億円(8.2%)250億円(6.8%)ROE13.9%10.0%15.1%―10.0%ROIC8.2%8.0%9.4%―8.0% ●中期経営計画2027の成長戦略と進捗状況中計2027では、「製品」「事業」「技術」を成長戦略の柱に据えております。また、これらを支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を着実に進展させることで、持続的な企業価値の向上を目指しております。 成長戦略1:製品(短期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果電力・電子分野等の生産能力増設・増強[国内]・変電・電子分野の生産能力 増強(設備投資130億円以上)・変圧器工場の新建屋増築の投資を決定(2028年度稼働予定)。・真空コンデンサ(VC)の生産設備を増強(2027年度 より段階的に稼働予定)。[海外]・各拠点の生産能力増強・ 再構築(設備投資130億円以上)・変電機器工場(シンガポール)の移転及び拠点統合を決定(2028年度稼働予定)。特長技術を活かした製品・システムのアップデート・環境対応製品の競争力強化・123kVエコタンク型真空遮断器(VCB)の開発が完了し、北米において販売を開始。・系統用電池システム向けパワーコンディショナ(PCS)新機種の販売を開始。DXの加速による生産性向上・リードタイム削減・生産能力25%向上・リードタイム50%削減・生産システムのDX化の中で製品ごとの生産基準情報の整備を実施しており、量産製品ラインのうち代表機種の製造BOM(Bill of Material:工程部品表)の整備が完了。製造BOMの活用により、代表機種製造ラインの作業におけるボトルネックを把握し改善することで、生産性向上を実現。 成長戦略2:事業(中期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果変電・電鉄、半導体関連における海外新市場の開拓[海外インフラ]・環境対応製品等の特長製品の拡販や、信頼性・実績を活かした海外プロジェクト受注の獲得<変電事業>・欧州市場向けの真空インタラプタ(VI)・真空遮断器(VCB)の開発仕様を決定。現地マーケティング体制構築による拡販活動を本格化。<鉄道事業>・インド高速鉄道1号線向け変電設備の出荷を開始。[半導体関連]・技術・開発力の強化による北米新規顧客の獲得・品質強化による北米顧客からの新規開発案件を獲得。市場環境変化に合わせた価値提供手段の多角化[データ活用ビジネス]・既設機器情報のクラウド集約を通じたO&M支援やオファリングビジネスによる価値提供<クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」の活用>・架線検測システムのクラウド対応により省スペースと異常の即時検知を実現し、新たに2社より契約内定を獲得。・設備劣化診断等保安業務を効率化するスマート保安サービスで本契約を獲得。[事業領域の拡大]・機器システム販売を超えたサービス事業による価値 提供<モビリティT&S事業>・EV分野にて包括的な試験サービスを提供するサービスプロバイダを目指し、新製品・開発品検証や共同実験・受託試験を実現する実験開発棟の構築・投資を決定(2028年度稼働予定)。 成長戦略3:技術(長期)展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果指向型研究の加速電気のチカラで自然と人が調和した「エレクトロピア」(電気×ユートピア)を実現するコア技術の獲得 ■重点領域・直流&高周波・パワーケミトロニクス (パワーエレクトロニクス ×電気化学)・デジタルツインO&M<直流&高周波>・半導体式変圧器(SST):高圧高周波トランスの絶縁技術と高効率化技術をはじめとするコア技術の評価を実施。<パワーケミトロニクス>・CO2電解還元:CO2資源化技術の確立に向けた構成要素の製作と基礎実験を実施。<デジタルツインO&M>・4Dデジタルツイン&センシング:巡視点検業務の遠隔化と自律化実現に向けた個別コア技術の評価を実施。 成長を支える経営基盤脱炭素化を加速する「グリーン戦略の深化」、人財の採用・育成・活躍の質を高める「人的資本の強化」、基幹システム刷新を中心とした「社内DXの加速」を中心に、将来の成長に向けた経営基盤を強化しております。展開事項目指すこと2025年度の主な進捗・成果グリーン戦略の深化2030年度(2019年度比) Scope1+250%削減 Scope330%削減 2050年カーボンニュートラル達成・名古屋・甲府地区における使用電力の調達につき、再生可能エネルギー100%を達成。・サプライヤ5社に対してScope3算定の支援を実施。・八竜風力発電所リプレース投資を決定(2029年度稼働予定)。人的資本の強化個を惹きつける組織と多様な人財が夢・志で重なり、共に成長する環境の実現・業務や役割に応じた処遇の実現を図るとともに、多様な働き方を踏まえた新たな人事処遇制度の運用を開始。・エンゲージメント向上に向け、役員・上司と従業員との対話を促進するとともに、管理職層のコミュニケーションを強化。社内DXの加速経営・業務情報を有機的に繋ぎ、より効果的・効率的な経営を推進・業務効率化を目指した業務基幹システム刷新を推進。業務仕様及びその仕様に基づく開発範囲の明確化が完了(2028年度稼働予定)。・DXの基盤となるデータ活用力を高めるため、基礎教育を実施。当社従業員約3,200名が受講。・生成AIの業務適用を目指した推進活動を展開。説明会、勉強会、体験学習、外部トレーニング等を計39回実施し、当社従業員延べ約2,300名が参加。 ● 資本コストや株価を意識した経営当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、資本コストや株価を意識した経営を重要な経営課題として位置付けております。一般的に、企業価値を示す指標であるPBR(株価純資産倍率)は「PBR=ROE(自己資本利益率)×PER(株価収益率)」により算出されることから、収益力・資本効率の向上によるROE改善と、将来成長に対する市場期待の向上によるPER改善の両面から企業価値向上に取り組んでおります。中計2027で推進する「製品」「事業」「技術」の各成長戦略により、当社グループが長年にわたって培ってきた技術力と顧客基盤を活かし、収益基盤の強化と投資効率の向上を図るとともに、クラウド基盤「MEIDEN CONNECT」を活用したソリューション型ビジネスの拡大等を通じて、成長期待の向上を目指します。ROEを株主価値向上の主要指標、ROICを事業採算・投資効率管理の主要指標として運用し、ROE10%、ROIC8%を前提にするとともに、拡大する電力需要や脱炭素化の進展を着実に取り込むことで、目標水準を上回る成果の実現を目指します。また、資本効率性の更なる向上に向けて、保有意義や合理性が認められなくなった遊休不動産や政策保有株式の順次売却を進めております。当連結会計年度は東京都品川区大崎二丁目における土地及び建物の譲渡を実施しました。創出したキャッシュについては事業成長に向けた再投資を重視しつつ、キャッシュ・アロケーションの最適化を通じて、「成長による中長期的な株主価値の向上」と「安定的かつ継続的な配当の実施」を両立させながら長期的な株主価値向上に取り組んでおります。中計2027期間中は成長への投資を優先する方針としており、株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益の30%としております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、2025年度(当連結会計年度)末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、春闘における高水準の賃上げを背景に雇用・所得環境の改善が続き、政府による成長投資・危機管理投資の具体化に向けた動きが、景気の下支えの要因となりました。一方で、米国の関税政策の動向や中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスク、これらを背景としたエネルギー価格上昇や原材料価格高騰などにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社の関連する市場においては、国内電力市場では老朽設備の更新需要や防災・国土強靭化政策を背景とした需要が堅調に推移するとともに、海外先進国を中心に環境規制の強化によるSF6ガス不使用製品の需要が拡大するなど当社の事業に追い風となっております。一方で、自動車事業でのEVシフトの進展が一時的に鈍化しており、当社EV事業の業績に一定の影響を及ぼしました。このような中、「中期経営計画2027」で掲げた方針に基づき、「成長&挑戦」の初年度として「製品」、「事業」、「技術」の3つの領域で戦略的に施策を展開してきました。また、成長戦略を支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」「人的資本の強化」「社内DXの加速」を推し進め、更なる価値創造基盤の強化にも努めてまいりました。 当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2025年3月期実績2026年3月期実績増減額増減率(%)売 上 高301,101326,19425,0928.3営 業 利 益21,51227,1225,60926.1経 常 利 益21,19227,8896,69731.6親会社株主に帰属する当期純利益18,48723,6255,13827.8 当期の営業利益は27,122百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し5,609百万円増加しております。当期の営業外損益につきましては、営業外収益が3,242百万円、営業外費用が2,475百万円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金1,181百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息928百万円であります。この結果、経常利益は27,889百万円となり前期と比較して6,697百万円増加し、売上高経常利益率は8.5%となっております。当期の特別損益につきましては、特別利益が6,451百万円、特別損失が3,521百万円となりました。特別利益の主な内訳は、固定資産売却益5,391百万円、投資有価証券売却益967百万円であります。特別損失の主な内訳は、減損損失3,303百万円であります。この結果、税金等調整前当期純利益は30,820百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で6,814百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益380百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は23,625百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は520円78銭、自己資本利益率は15.1%となっております。 ① 電力インフラ事業セグメント売上高は前期比16.7%増の100,844百万円、営業利益は前期比4,596百万円改善の12,584百万円となり、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。海外を主体とする変電事業については、アメリカ、シンガポールなどにおける需要の伸びや収益性改善の取組みにより、増収増益となりました。また、国内主体の電力エネルギー事業についても、電力会社向け案件の需要増を背景に、増収増益となりました。 ② 社会システム事業セグメント売上高は前期比8.5%増の104,555百万円、営業利益は前期比1,057百万円改善の4,092百万円となりました。社会システム事業は工事進行案件の予想を上回る進捗により増収増益となりました。電鉄事業においては、一部工事進行案件における前倒し需要や海外プロジェクトにおける採算の事後改善により、増収増益となりました。また水インフラ事業においては、売上はほぼ前年並みに推移しましたが、工事進行基準を適用した高収益性案件の拡大により利益が改善しました。 ③ 産業電子モビリティ事業セグメント売上高は前期比3.8%減の69,308百万円となった一方、営業利益は前期比1,111百万円悪化の21百万円となりました。モビリティT&S事業については、前年度に受注した大口案件の売上が順調に推移したことにより増収増益となりました。電動力ソリューション事業及び電子機器事業では、売上高はわずかな減少にとどまり、製品構成や設備稼働の変動に伴う利益率の低下により、営業利益は減少いたしました。EV事業は、当社製品を搭載する車種で販売台数の落ち込みにより減収減益となりました。 ④ フィールドエンジニアリング事業セグメント売上高は前期比15.0%増の57,007百万円、営業利益は前期比2,742百万円改善の12,673百万円となりました。保守サービスに関する堅調な需要が継続していることに加えて、当年度に売り上がる案件の増加により、3年連続で売上高及び営業利益が過去最高を更新し、継続的な増収増益を実現しました。 ⑤ 不動産事業セグメント売上高は前期比0.1%減の3,233百万円、営業利益は29百万円悪化の1,413百万円となりました。 ⑥ その他報告セグメントに含まれない事業において、売上高は前期比2.9%増の8,920百万円となった一方で、営業利益は前期比386百万円悪化の91百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業97,691115.6社会システム事業94,63699.4産業電子モビリティ事業64,17490.0フィールドエンジニアリング事業54,502114.2不動産事業--その他3,319101.9合計314,324104.1 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業115,69392.3179,365113.4社会システム事業116,35199.0181,382112.3産業電子モビリティ事業64,50776.230,06286.9フィールドエンジニアリング事業55,256112.519,550108.2不動産事業3,19599.9248118.1その他3,23488.71,32372.8合計358,23993.4411,933110.0 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業100,295117.4社会システム事業96,602106.6産業電子モビリティ事業67,83396.3フィールドエンジニアリング事業54,501114.3不動産事業3,19599.9その他3,766101.4合計326,194108.3 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比32,321百万円(9.5%)増加し、373,668百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加により、前期末比23,154百万円(10.7%)増加の240,271百万円となりました。固定資産は、保有する上場株式の市場価値上昇に伴う投資有価証券の増加により、前期末比9,166百万円(7.4%)増加の133,396百万円となりました。負債合計は、退職給付に係る負債の減少により、前期末比3,997百万円(2.0%)減少して195,136百万円となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及びその他有価証券評価差額金の増加により、前期末比36,318百万円(25.5%)増加して178,531百万円となりました。この結果、自己資本比率は前期末の40.7%から46.8%となりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ5,452百万円減少し、23,639百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は17,498百万円(前年同期は35,454百万円の獲得)となりました。 主な収入は、税金等調整前当期純利益30,820百万円、減価償却費11,174百万円であり、主な支出は、売上債権の増加額14,125百万円、法人税等の支払額7,699百万円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は17,134百万円(前年同期は9,065百万円の使用)となりました。 主な支出は、有形及び無形固定資産の取得による支出15,241百万円によるものであり、主な収入は、有形固定資産の売却による収入6,090百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は7,785百万円(前年同期は14,536百万円の使用)となりました。 主な支出は、長期借入金の返済による支出7,246百万円、配当金の支払額6,114百万円であり、主な収入は、長期借入れによる収入4,550百万円であります。 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比161百万円減少の44,404百万円となりました。また、当連結会計年度末のコミットメントラインは40,000百万円で設定されております。 (4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)を「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立する3年間として位置づけております。中計2027では既存事業の持続的な成長と非連続的な成長の両方を実現することを目指し、「製品」「事業」「技術」を成長戦略の柱に据えて、これらを支える経営基盤として、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を着実に進展させることで、持続的な企業価値の向上を目指しております。中計2027の初年度にあたる2025年度は、当初計画を上回るとともに、売上高、営業利益のいずれも過去最高を達成することができ、売上高326,194百万円、営業利益27,122百万円、ROE15.1%となりました。この達成の背景には、電力インフラ事業を中心とした旺盛な需要環境に加え、これまで取り組んできた価格適正化やコスト削減の取組み等の成果が現れ、社会インフラ事業の業績改善に繋がったことがあります。さらに、保守・メンテナンス等のストック型ビジネスの収益拡大により、外部環境の変動に左右されにくく、利益率と資本効率(ROIC)が同時に向上する収益構造が確立されつつあります。当連結会計年度の投資の状況につきましては、設備投資18,082百万円、研究開発13,473百万円となりました。設備投資については、大型変圧器用試験エリアの拡張や乾燥炉の改修といった変圧器工場の既存生産ラインの増強をはじめ、生産能力の向上を図る投資とともに、沼津事業所全体の排水設備や空調追加設置等の工場のインフラ・職場環境改善に向けた投資を行いました。また、その他の工場においても2026年度以降の稼働に向け、生産能力増強に関する投資を着実に進めております。研究開発については後記「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりであります。当社を取り巻く経営環境としては、米国関税の発動、中国による重要鉱物の輸出規制に伴うサプライチェーンリスクの表面化や中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスク、急激な為替変動等が、経営上の大きな不確実性要因となっております。このような環境下においても、AI・データセンターの拡大、電動化の進展、再生可能エネルギーの導入拡大を背景とした世界的な電力需要の高まりや、設備更新需要、保守サービス需要の拡大等により、当社の成長に繋がる機会が継続すると捉えております。一方、EV市場の成長鈍化など事業分野によっては慎重な見極めが必要な状況も継続しております。このような環境の動向に注視しながら、今後も持続的な価値創造に向けて、更なる変化への対応力を高めながら中計2027の取組みを加速してまいります。2026年度以降の単年度計画につきましては、以下の2026年度当初計画のように前年度実績を基礎としつつ、最新の事業環境および足元の進捗状況を適切に見極めながら、業績予想に反映させていく方針であります。 指標2025年度(当初計画)2025年度(修正発表)2025年度(実績)2026年度(当初計画)2027年度(目標)受注高 (百万円)340,000345,000358,239375,000380,000売上高 (百万円)335,000325,000326,194355,000370,000営業利益 (百万円)20,00024,00027,12229,00025,000経常利益 (百万円)20,00024,50027,88929,00025,000親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)14,00020,50023,62522,00017,500ROE (%)--15.1-10.0ROIC (%)--9.4-8.0営業利益率 (%)6.07.48.38.26.8自己資本額(百万円)--174,889--自己資本比率 (%)--46.8-- (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。 ① 固定資産の減損及び投融資の評価当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。 回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんの価値算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、更に減損損失の計上が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。 ② 繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分につきましては評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。 ③ 受注損失引当金当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ④ 製品保証引当金当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ⑤ 退職給付に係る負債従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%変動した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。 退職給付費用退職給付債務割引率0.5%上昇87百万円の減少1,708百万円の減少0.5%低下96百万円の増加1,845百万円の増加長期期待運用収益率0.5%上昇21百万円の減少―0.5%低下21百万円の増加― ⑥ 工事契約に係る収益認識工事契約に係る収益のうち、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法によっております。工事契約に係る収益認識は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。 工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、工事契約に係る収益及び費用の修正が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

事業リスク

  • 市場環境変化への対応不足
    社会情勢や経済動向、法律・規制の変化により、製品・サービスの需要が減少したり、案件の進捗が遅れたりする可能性があります。特に政情不安や景気後退は、受注活動や業績に直接的な影響を及ぼすリスクがあります。
  • 自然災害による事業中断
    主要な生産拠点が南海トラフ地震の想定被災地域や沿岸地域に立地しているため、大規模な自然災害が発生した場合、生産設備が損害を受け、稼働が困難になる可能性があります。これにより、製品供給が滞り、業績や財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。
  • 地政学リスクによる影響
    ロシア・ウクライナ情勢や米中対立など、国際情勢の変動が海外の生産・営業拠点に影響を及ぼす可能性があります。これにより、事業活動や生産活動に支障が生じたり、輸出や技術者派遣が困難になったりすることで、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|8,272 文字
3 【事業等のリスク】 (1) リスクマネジメントの体制当社グループでは、下図のとおりスリーラインモデルによるリスクマネジメント体制を構築しております。 用語の説明第1ライン工場や国内外関係会社を含む事業部門(=第1ライン)では、統制自己評価(Control Self-Assessment = CSA)を導入し、各部門が自らのリスクの抽出、評価、コントロールを実施しております。リスクの抽出にあたっては、網羅性を確保する観点から148項目にわたるリスク事例表を参考にしており、各部門が自ら抽出した重要リスクについて「影響度」と「発生可能性」を主眼に評価しております。第2ライン第2ラインは総務、法務、人事、経理・財務等の専門知識を持ったスタッフ部門で構成され、第1ラインが行っているCSAのモニタリングと支援を行っております。第3ライン内部監査部門(=第3ライン)は定期的な監査の実施により、第1ラインのCSAのサイクルや第2ラインのサポートが有効に機能しているかを検証しております。この内部監査の状況は随時、常務会・取締役会・監査等委員会及び主要な当社経営層に報告されております。2.5ライン内部統制推進部は、第1ライン・第2ラインを支援するとともに、第3ラインからの課題提起を第1ライン・第2ラインへ展開する役割を担っております。全社横断的にリスクマネジメント体制の整備・運用を支援・牽引する機能を有することから2.5ラインと位置づけております。リスクマネジメント委員会役付執行役員を委員とし、内部統制推進部が集約した全社重要リスクを審議する目的で年1回開催しております。委員会で経営レベルでの審議を行うことで、リスク選定の十全性とリスク対応の実効性向上を図っております。BCM委員会役付執行役員等を委員とし、当社グループの事業継続における基本的な方針や事業継続目標、災害時の対応についての「BCP基本方針書」を策定し、経営レベルでBCP方針や施策を審議・決定しております。内部統制推進部を事務局として年1回開催しております。グループ会社内部統制委員会国内関係会社の社長等を委員とし、各社のCSAの状況報告を受けるとともに、当社グループ全体の重要リスク情報を共有する目的で年2回開催しております。委員会では関係会社間のリスクディスカッションも実施して議論を深めております。リスク対策分科会リスクマネジメント委員会で深掘りが必要と判断した重要リスクについて、リスク対策分科会において課題の洗い出しや対策の立案を行っております。第1ライン・第2ラインの関係部門で構成し、検討結果は常務会へ報告のうえ、全社的な対応に繋げております。 (2) 全社重要リスク決定までのプロセス第1ラインのCSAはすべての部門において年度ごとにリスクやそのコントロールの見直しが行われ、その結果を踏まえた翌年度のCSA進捗確認表を作成しております。各部門で抽出された重要なリスクは「影響度」と「発生可能性」の二軸での評価に加えて、「リスクが顕在化する速度」や「リスク発生による影響期間」、「対策レベル」を加味して総合的に評価しております。第1ラインのCSAによる各部門の重要リスク情報は、事業グループ単位のリスクディスカッションを経て内部統制推進部に集約されます。さらに、スタッフ部門へのリスクヒアリングから抽出した第2ラインのリスク情報も加えて総合的な評価を行い、全社的に認識すべき重要リスクの一覧表を作成しております。リスクマネジメント委員会では、重要リスク一覧表をベースに経営レベルでの事業リスクの評価とコントロールの審議を実施しております。その結果は常務会・取締役会にも報告されております。 (3) 重要な事業リスク上記の経営層による議論の結果、当社グループは本有価証券報告書に記載している事業に関し、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスク事象をリスクカテゴリー別に分類し、以下のリスク事象一覧表に記載しております。また、これらのリスクの内容とシナリオ及び対応策については、適宜取りまとめて以下(4)「重要な事業リスクの内容と対応策」に記述しております。 リスク事象一覧表番号リスク名称リスク評価影響度発生可能性リスクが顕在化する速度リスク発生による影響期間外部環境リスク1-1市場環境変化への認識・対応不足大高中中1-2自然災害の発生大中速い短い1-3サイバー攻撃大中速い短い1-4地政学リスク中高速い中戦略リスク2-1人財の不足大高速い長い2-2経営方針、事業戦略に対するリスク大中中短いオペレーショナルリスク3-1設備等による生産停止リスク大高中中3-2品質の低下大高中中3-3労務管理・労働環境の悪化大中速い長い3-4労働災害のリスク大中速い短い3-5内部情報の流出、不正利用大中速い短い3-6調達リスク大中中中コンプライアンスリスク4-1建設業法違反大中中中4-2独占禁止法違反・贈収賄大低速い長い4-3環境規制違反大低速い中4-4品質偽装・検査不正大低中長い (注)リスク評価は当社グループにおける多種のリスク事象を独自に評価したものであります。 (4) 重要な事業リスクの内容と対応策上記(3)のリスク事象に関するリスクの内容とシナリオ及びリスク対応策は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社グループの状況に基づく判断であります。 ① 市場環境変化への認識・対応不足(リスク事象一覧表 1-1)リスクの内容とシナリオ当社グループの製品・サービスに対する需要は、受注活動を行っている国または地域の社会情勢や経済動向の不確実性、法律・規制等の様々な影響を受けます。そのため、需要の減少や受注した案件の進捗遅延が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策当社グループでは、外部専門機関などを活用し、国または地域の社会情勢や経済動向を注視しつつ案件の実現性や受注確度を見極めながら受注活動を行うとともに、規模の大きい案件については、法務・財務などのスタッフ部門で構成される事前審査会議を開催して情報整理やリスク評価を実施し、その情報をもとに経営の意思決定を行っております。また、プロジェクト管理を通じて、案件の進捗や採算状況をモニタリングする等、リスクの低減に努めております。 ② 自然災害の発生(同 1-2)リスクの内容とシナリオ自然災害の激甚化により、各種事業活動に支障をきたすリスクがあります。特に当社グループの主要な生産拠点は、関東から東海地方の南海トラフ地震の想定被災地域、又は沿岸地域等に立地しているため、大規模な地震が発生し津波、液状化等により生産拠点等が重大な損害を受け、生産設備の稼働が困難になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策当社グループでは、災害時における事業継続についての方針・施策を審議・決定する機関としてBCM委員会を設置しており、経営レベルでBCPの策定や維持・更新、対策の実施、点検・改善を推進するとともに、取組みを浸透させるための教育・訓練を実施しております。また、当社グループの国内外各拠点で防災対策・防災訓練を実施するとともに、生産拠点での事業影響度の分析も進めており、サプライチェーンも含めた実効的なBCPの整備・強化に取り組んでおります。 ③ 情報セキュリティに関するリスク(同 1-3、3-5)リスクの内容とシナリオ近年、サイバー攻撃のリスクが高まっており、その手口も巧妙化しております。また、働き方の変化や情報機器の活用に伴う紛失や盗難等のリスクのほか、生成AIの活用に伴う新たなリスクも増加しております。マルウェア感染等を起因とする基幹システム停止による企業活動の中断、機密情報・個人情報漏洩や著作権侵害による多額の損害賠償責任の発生、社会的信用の失墜により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策日々変化する脅威へ総合的に対応するため、情報セキュリティ委員会を設置し、全社横断的なセキュリティ体制を構築しております。お客様へ提供する製品・サービスの情報セキュリティ対策を強化する目的のPSIRT※1、社内の情報セキュリティを強化する目的のCSIRT※2、工場を統括するFSIRT※3、サプライチェーンのリスク低減を目指すPrSIRT※4を設置し、通常時の対策とインシデント発生時の対応のための専門チームを組織しております。各部門には情報セキュリティを担当するSIRTマネージャを配置して部門内での点検・改善や教育を継続的に実施しております。情報セキュリティリスクやインシデント発生時の迅速な対応を行うため、各部門との連携を促進する統括窓口を設置するとともに、課題抽出を目的としたワークショップを開催し、インシデント対応力の強化にも取り組んでおります。保有する個人情報や当社グループの技術・営業等の事業に関する機密情報等については、各種セキュリティ管理システムを導入し、不審メール訓練やe-learningなどの社内教育を通じて管理の徹底を図っております。また、情報機器端末の暗号化や資産管理の徹底等により、情報機器の活用に対応したリスク対策を強化しております。生成AIについては、業務の高度化・効率化のために活用を図りつつ、ガイドラインの策定や従業員教育の実施により適正な利用を進めております。※1 PSIRT : Product Security Incident Response Team※2 CSIRT : Computer Security Incident Response Team※3 FSIRT : Factory Security Incident Response Team※4 PrSIRT : Procurement Security Incident Response Team ④ 地政学リスク (同 1-4)リスクの内容とシナリオ近年、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、米中の対立等、国際情勢が大きく変化しております。当社グループは主にASEAN、中国、インド、欧米等に生産拠点や営業拠点を有しておりますが、該当地域に影響が及ぶことで事業活動、生産活動に支障が生じる可能性があります。加えて、原材料の調達の停滞や価格高騰、国内からの輸出や技術者の派遣の制約等により当社グループの事業運営に影響が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策当社グループでは、外部専門機関等からの情報及びサポートを含め、海外各拠点における政治経済の状況、国際情勢や戦争等のリスク情報、法規制の変更等に関する情報を収集しており、各拠点の事業継続計画(BCP)構築に取り組んでおります。経済安全保障については専門の部門を設置して情報収集・分析と対策に取り組んでおります。事業継続に関わる危機や海外駐在員、現地従業員に関わる危機が想定される場合は、早期の情報収集により対策とそれに応じた体制を迅速に決定・構築することとしております。 ⑤ 人財に関するリスク(同 2-1、3-3)リスクの内容とシナリオ当社グループの経営戦略の実現にあたっては、多様な人財一人ひとりがその能力を最大限発揮することが不可欠であります。人財の獲得及び育成の停滞並びに人財流出等により必要な人員を確保できない場合には、技術・技能の継承が滞り、当社グループの競争優位性の低下を通じて、成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策当社グループは、人財を既存事業の着実な成長及び新たな価値創造への挑戦を支える重要な経営基盤と位置付け、事業を支える人財の確保・育成に加え、自律的に学び挑戦する人財の活躍、多様な人財が能力を最大限に発揮できる組織基盤及び企業風土の整備に取り組んでおります。これらの取組みについては、「第一部第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)戦略 ②未来へ挑む人財・企業風土づくり(人的資本) 」及び「第一部第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1)人材戦略に関する基本方針等」においてその概要を記載しております。 ⑥ 経営方針・事業戦略に対するリスク(同 2-2)リスクの内容とシナリオ当社グループは、経営方針・事業戦略を中期経営計画として策定して事業展開を行っておりますが、市場環境や顧客動向の変化を適切に捉えられない場合、これらの方針・戦略が想定どおり機能しない可能性があります。その結果、不採算事業の継続、特定顧客への過度な依存による収益力の低下、投資回収の不能や減損、追加コストの発生等が生じ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策各事業グループの事業運営状況について、取締役会及び常務会による定期的なレビューを通じて進捗及び収益性を確認し、中期経営計画や事業計画との乖離が生じた場合には、速やかに対応を検討・実行できる体制を整えております。設備投資等の重要な投資案件については、事前の情報収集と収益性・回収可能性の検証を行うとともに、投資後も計画に対する進捗や成果を継続的にモニタリングし、必要に応じて投資内容の見直しや追加対応を行うことで、業績及び財政状態への影響の低減に努めております。 ⑦ 設備等による生産停止リスク(同 3-1)リスクの内容とシナリオ当社グループは社会インフラを支える製品の生産やお客様の事業を支えるサプライヤとして供給責任を負っていますが、その生産を行う建屋及び生産設備に関する投資や保全が十分に実施されない場合、設備の故障・不具合の増加や火災その他の重大事故の発生に繋がるおそれがあります。その結果、生産性の低下や生産活動の停滞・停止及び労働環境の悪化により製品の品質確保や安定供給ができず、納期遅延や追加対応コストの発生、顧客からの信用低下及び受注機会の逸失等に繋がるおそれがあります。リスク対応策共通インフラを含む重要設備の老朽化リスクに対応するため、計画的な更新投資を継続的に実施するとともに、設備保全に関する仕組みの構築及び運用の定着を進めております。各工場については、個別に立案された設備更新計画及び設備投資計画の内容をもとに、故障や能力低下の兆候に迅速に応じた対応を行うことで、生産への影響の抑制に努めております。また、保全業務に係る帳票類の整備・共通化を進めるとともに、保全担当者の育成やOJTの実施、設備保有部門に対する教育を通じて、設備故障時の初動対応力及び保全能力の向上を図っております。さらに、設備の保全要否や保全周期等について基準の整備・標準化を進めるとともに、設備更新投資に関するヒアリングを通じて投資ニーズを把握し、計画的かつ効率的な設備保全・更新の推進に取り組んでおります。 ⑧ 品質の低下(同 3-2)リスクの内容とシナリオ当社グループは、お客様が求める品質を維持しつつ、製品を安定的に供給することが責務と考えておりますが、調達品や生産設備といった有形要因、技術力低下や技術継承不足といった無形要因によって品質が低下した場合、品質のみならず納期や生産性にも影響を与え、製品の競争力を喪失するリスクがあります。また、個別受注製品における設計・製造不良、工事案件における施工不良、EV用モーター等の量産製品においてはリコールや製造物責任につながる品質問題が発生した場合、製造原価の悪化や保険等ではカバーできない損害賠償の発生により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策当社グループでは、「社長品質方針」に基づき各種品質維持活動を展開しており、不良を「入れない」「作らない」「出さない」の視点で品質管理を徹底しております。主に生産部門で活用されているQRマップ(品質管理工程図)を技術部門にも適用し、品質の確保を図っております。リスク対応は「受入(外注・購入品)」と「社内工程」を重点テーマとして取り組んでおります。外注・購入品については、受入検査の強化や品質監査・指導を定期的に実施することで、サプライヤ管理の強化を図っております。社内工程については、人的要因の不良を防止する視聴覚教育や再発防止策の妥当性評価をすることで、不良発生の抑制を図っております。また、全社QA推進会議を継続的に開催し、不具合情報、品質活動の共有・水平展開等により品質向上活動を推進しております。 ⑨ 労働災害の発生(同 3-4)リスクの内容とシナリオ当社グループの生産現場や現地工事において重大な事故・災害により労働災害が発生した場合、当人及び職場への影響はもとより、行政処分を受け、当社グループの生産活動等に支障をきたす可能性があります。また、お客様施設において重大な事故を発生させた場合、お客様の事業活動にも影響を及ぼし、信用の失墜や施工遅延、指名停止や損害賠償の発生により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策当社グループでは、主要拠点に労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)を導入し、安全衛生活動のPDCAサイクルにより継続的な改善を行っております。また、安全の施策として個人の危険感受性向上のため、安全体感教育を始めとする各種教育の実施、リスクの早期摘み取りとしてリスクアセスメント実施による環境の改善、ヒヤリハット活動による不安全箇所の改善及び過去の労働災害の風化防止として安全伝承館を用いた労働災害の再発防止教育等を継続して行い、労働災害の未然防止に努めております。 ⑩ 調達に関するリスク(同 3-6)リスクの内容とシナリオ 当社グループの製品・システムは多種多様な部品・部材等を使用しており、代替が困難なものもあります。社会情勢や予期せぬ事情により部品不足や調達コストの増大等が発生し、安定的な供給が停滞した場合、生産、出荷の遅れや製品コストの増大により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策 当社グループでは、調達管理の徹底を推進するとともに、適正在庫の確保を含めたサプライチェーン全体での供給体制の強化により、これらのリスクへの対応を行っております。 また、部品の仕様標準化を推進し、複数の調達先の確保等を通じて、安定的な調達活動の維持・強化に努めております。さらに、お取引先との持続的なパートナーシップ強化のため、2022年度から「明電グループサステナブル調達ガイドライン」を発行し、各種の支援活動等を通じて取引先との一層のコミュニケーションと協力関係の強化を図っております。 ⑪ コンプライアンスに関するリスク(同 4-1、4-2、4-3、4-4)リスクの内容とシナリオ 当社グループは、国内外の法令、慣習その他全ての適用されうる社会規範を遵守して事業活動を行っておりますが、それらに反する事象が発生した場合、法的制裁や社会的信用の失墜を伴う受注機会の減少により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク対応策 当社グループでは、過去に発生させた独占禁止法違反の再発防止をはじめ、遵法意識の向上を図っており、法務部を事務局とするコンプライアンス委員会のもと、グループ全ての従業員に対して「企業行動規準」の周知徹底を図っております。 また、職場へのコンプライアンスマネージャーの配置、内部通報制度の整備やハラスメント相談窓口・品質不正相談窓口の設置など、違法行為や不適切行為の防止、早期発見及び解決を図る枠組みを整備しております。2025年9月にはSOSリスク未然防止相談窓口を新設し、違法行為・不正行為に繋がるおそれのある状況についても早期に拾い上げ、不正の未然防止に努めております。加えて、全グループ会社を対象としたコンプライアンス研修を継続的に実施し、独占禁止法、取適法、建設業法、個人情報保護法などの法令や贈収賄、品質不正防止など、幅広くコンプライアンス・倫理に関する意識向上を図っております。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 明電舎 の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →