事業の概要
- 産業用プリンタ事業ミマキエンジニアリングは、産業用インクジェットプリンタ、カッティングプロッタ、インクなどの開発、製造、販売、保守サービスを主軸としています。広告看板、ノベルティ、工業製品、アパレルなど、幅広い市場向けに製品を提供し、デジタル印刷技術で顧客の多様なニーズに応えるビジネスモデルです。
- グローバル展開売上高の約7割を海外市場が占めており、世界25社の連結子会社と3社の関連会社を通じて、北米、欧州、アジア、オセアニアなど広範な地域で事業を展開しています。これにより、特定の地域経済に依存せず、安定的な収益基盤を構築しています。
- 多角的な事業展開主要なインクジェットプリンタ事業に加え、ファクトリーオートメーション(FA)装置事業、基板実装装置事業、半導体製造装置事業、金属加工事業なども手掛けています。これにより、技術シナジーを創出し、事業ポートフォリオの多様化とリスク分散を図っています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 日本・アジア・オセアニア地域この地域は、ミマキエンジニアリングの主要な販売・製造拠点であり、売上高379.91億円、営業利益78.68億円と、最も大きな収益を上げています。本社を含む複数の販売・製造子会社が、サイングラフィックス、インダストリアルプロダクツ、テキスタイル・アパレル市場向けに製品を提供しています。
- 北米地域北米市場は、売上高240.81億円、営業利益10.69億円を計上しており、MIMAKI USA, INC.が中心となって産業用インクジェットプリンタやカッティングプロッタの販売・保守サービスを展開しています。広大な市場において、広告・看板や工業製品向けに製品を供給しています。
- 欧州地域欧州市場は、売上高218.92億円、営業利益12.06億円を計上しており、MIMAKI EUROPE B.V.などが販売・製造を担っています。多様な国々で構成されるこの地域では、ファッションアパレルやデザイン関連の需要が高く、テキスタイル・アパレル市場向けの製品が特に重視されています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan | 地域 | 380 | 79 | 20.7% |
| NorthAmerica | 地域 | 241 | 11 | 4.4% |
| Europe | 地域 | 219 | 12 | 5.5% |
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3【事業の内容】 当社グループは、当社及び連結子会社25社(MIMAKI USA, INC.、MIMAKI EUROPE B.V.、台湾御牧股份有限公司、㈱ミマキプレシジョン、㈱グラフィッククリエーション、御牧噴墨打印科技(浙江)有限公司、Mimaki Deutschland GmbH、上海御牧貿易有限公司、MIMAKI BRASIL COMERCIO E IMPORTACAO LTDA、平湖御牧貿易有限公司、PT. MIMAKI INDONESIA、MIMAKI AUSTRALIA PTY LTD、MIMAKI SINGAPORE PTE. LTD.、MIMAKI INDIA PRIVATE LIMITED、MIMAKI EURASIA DIJITAL BASKI TEKNOLOJILERI PAZARLAMA VE TICARET LIMITED SIRKETI、Mimaki La Meccanica S.R.L.、Mimaki Lithuania, UAB、Mimaki Bompan Textile S.r.l、アルファーデザイン㈱、㈱アルファーシステムズ、㈱砺波製作所、㈱楽日、MIMAKI (THAILAND) CO., LTD.、㈱マイクロテック、MIMAKI VIETNAM CO., LTD.)、その他3社(MIMAKI KANPHOR INDIA PRIVATE LIMITEDほか)の計29社により構成され、産業用インクジェットプリンタ、カッティングプロッタ、インク等の開発・製造・販売・保守サービスを主たる業務とした事業を営んでおり、報告セグメントは地域別としております。 また、エンドユーザーの属する市場別に分類した事業の内容は次のとおりであります。(1)SG(サイングラフィックス)市場向け 広告・看板等のサイングラフィックス市場向けの製品群です。エコソルベントインクを搭載したインクジェットプリンタJVシリーズや、プリント&カット対応のCJVシリーズ、UV硬化インク搭載のUJV/UCJVシリーズが主要製品で、大型ポスター、カーラッピング、のぼり旗、表示板等の製作に用いられています。また、光学センサーで位置決めマークを読み取ることで高精度な輪郭カットを実現するカッティングプロッタのCGシリーズ等の製造販売も行っています。(2)IP(インダストリアルプロダクツ)市場向け ノベルティや工業製品等のインダストリアルプロダクツ市場向けの製品群です。UV硬化インクを採用した大判フラットベッドインクジェットプリンタのJFXシリーズに加え、A3〜A2サイズを中心としたデスクトップ型フラットベッドUVインクジェットプリンタのUJFシリーズが主要製品で、一般消費者向けの商品やギフト、オーダーグッズのほか、自動車の計器パネルや家電類の操作パネルなどの工業製品生産現場等で用いられています。また、SG市場向けと同様に光学センサーによる読み取り機能を搭載し、ダンボールなど厚みのある材料をカットできるフラットベッドカッティングプロッタであるCFシリーズ等の製造販売も行っています。さらに、フィギュア、模型、立体看板、試作品等の製作に用いられる立体造形物をプリントする3Dプリンタの製造販売も行っています。(3)TA(テキスタイル・アパレル)市場向け 衣服や生地等のテキスタイル・アパレル市場向けの製品群です。昇華転写インクジェットプリンタのTSシリーズや、ダイレクト捺染インクジェットプリンタのTxシリーズ、顔料転写方式の捺染プリントシステムTRAPIS(トラピス)、DTF(Direct To Film)プリンタのTxFシリーズ等が消費地向けの主要製品で、ファッションウエアやスポーツウエア、ネクタイやスカーフなどの生地へのプリント等に用いられています。(4)FA事業 ファクトリーオートメーション装置事業(カスタム機器)や基板実装装置事業(異形部品挿入装置、防湿剤の塗布装置)、半導体製造装置事業、基板検査装置事業、金属加工事業等、アルファーデザイングループが手掛ける事業の総称です。(5)その他 上記のいずれにも属さない機種の製造・販売やサービス等が該当いたします。 [セグメント別会社分類略図] セグメントの名称会 社 名 称日本・アジア・オセアニア販売会社当社上海御牧貿易有限公司 台湾御牧股份有限公司PT. MIMAKI INDONESIA MIMAKI AUSTRALIA PTY LTDMIMAKI SINGAPORE PTE. LTD.MIMAKI INDIA PRIVATE LIMITEDMIMAKI (THAILAND) CO., LTD. MIMAKI VIETNAM CO., LTD.アルファーデザイン㈱ ㈱アルファーシステムズ製造会社当社㈱ミマキプレシジョン御牧噴墨打印科技(浙江)有限公司台湾御牧股份有限公司 アルファーデザイン㈱㈱アルファーシステムズ ㈱砺波製作所プリントサービス会社㈱グラフィッククリエーション台湾御牧股份有限公司グッズ企画販売会社㈱楽日ソフトウエア開発会社㈱マイクロテック北・中南米販売会社MIMAKI USA,INC.MIMAKI BRASIL COMERCIO E IMPORTACAO LTDA欧州・中東・アフリカ販売会社MIMAKI EUROPE B.V.Mimaki Deutschland GmbHMIMAKI EURASIA DIJITAL BASKI TEKNOLOJILERI PAZARLAMA VE TICARET LIMITED SIRKETIMimaki Lithuania, UABMimaki Bompan Textile S.r.l製造会社MIMAKI EUROPE B.V.Mimaki La Meccanica S.R.L.Mimaki Lithuania, UAB [事業系統図](注)全て連結子会社であります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 技術面、品質面での優位性を認識しているが、競争激化による価格低下圧力のリスクがあるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 自社開発の製品を主な商材とし、要素技術の開発を先行して進める技術力。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:製品の欠陥 / コスト競争力(原材料調達・生産計画) / 製品開発の遅延
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
ミマキエンジニアリングは、インクジェットプリンターおよびカッタープロッターの分野で長年の技術開発とブランド認知を培ってきた。特に、産業用プリンター分野における特定用途向けのノウハウや、長年培ってきた顧客との関係性は無形資産となりうる。しかし、特許の有効性や競合他社の技術革新に対する優位性は限定的。
スイッチングコスト★★★☆☆
同社の産業用プリンターは、特定の生産ラインやワークフローに組み込まれることが多く、導入には初期投資やオペレーションの習熟が必要となる。そのため、顧客が競合他社製品へ乗り換える際には、再設定やトレーニング、生産ラインの停止といったコストが発生しうる。特に、高付加価値な用途においては、乗り換えコストは無視できない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の製品は、個々の顧客の生産設備として機能するため、ユーザーが増えることで製品自体の価値が向上するようなネットワーク効果は基本的に見られない。
コスト優位★☆☆☆☆
同社は長年の製造経験から一定の生産効率を確保していると考えられるが、グローバルな競合と比較して、構造的に圧倒的なコスト優位性を確立しているとは言えない。特に、汎用品においては価格競争に晒される可能性がある。
規模の経済★★★☆☆
産業用プリンター市場は、特定の用途に特化したニッチ市場も存在するが、全体としては一定の規模を持つ。ミマキエンジニアリングは、この市場において主要プレイヤーの一つであり、一定の生産規模と販売網を有している。しかし、市場全体を支配するほどの寡占状態ではなく、上位数社による競争環境にある。
- 独自技術と開発力ミマキエンジニアリングは、産業用インクジェットプリンタやカッティングプロッタ、3Dプリンタにおいて、エコソルベントインク、UV硬化インク、昇華転写インクなど、多様なインク技術と高精度なプリント・カット技術を自社開発しています。これにより、市場に「新しさと違い」を提供する製品を継続的に生み出し、競争優位性を確立しています。
- グローバルな販売・保守体制世界各地に販売会社と製造拠点を持ち、地域密着型の営業活動と迅速な保守サービスを提供しています。これにより、顧客ニーズを的確に捉え、製品導入から運用まで一貫したサポートを行うことで、顧客満足度を高め、強固な顧客基盤を築いています。
- 幅広い市場対応力サイングラフィックス、インダストリアルプロダクツ、テキスタイル・アパレルといった多様な市場向けに特化した製品ラインナップを展開しています。これにより、各市場の専門的な要求に応え、幅広い顧客層を獲得することで、市場の変化に柔軟に対応できる強みを持っています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 開発型企業への進化独自技術を保有し、自社ブランド製品を世界に供給する「開発型企業」を目指しています。2030年3月期に売上高1,500億円、営業利益率8%以上を目標とし、新製品売上高比率30%を達成することで、持続的な成長と収益性の向上を図ります。
- 新領域への挑戦高粘度領域でのデジタルペイント、フレキシブル有機ELシート、3Dプリンタ事業の進化など、新たな領域への積極的な投資とチャレンジを通じてイノベーションを創出します。これにより、既存事業の枠を超えた成長機会を追求し、将来の収益の柱を育成します。
- デジタルオンデマンド・ソリューションの強化IoTを活用したデジタルプリントの自動化・省人化を推進し、プリント前後工程を含むトータルソリューションを提供します。これにより、お客様の生産効率向上と環境負荷低減に貢献し、産業用印刷市場におけるデジタルオンデマンド・ソリューションプロバイダーとしての地位確立を目指します。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針 当社グループでは、下記の4項目を経営ビジョンとして掲げ、経営の基本方針としております。① 独自技術を保有し、自社ブランド製品を世界に供給する「開発型企業」を目指します。② 顧客に満足いただける製品を素早く提供する小回りの利いた会社を目指します。③ 市場に常に「新しさと違い」を提供するイノベーターを目指します。④ 各人が持っている個性・能力を力一杯発揮できる企業風土を目指します。 (2)中長期的な経営方針及び経営指標 当社グループでは、2025年5月に、2030年3月期を最終年度とする5か年の新中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」を策定いたしました。①「Mimaki Innovation 30」基本方針と業績目標 安定的な収益性で売上高成長の追求を継続し、資源の積極的な活用により新たな領域にチャレンジすることで、2030年3月期(FY2029)に売上高 1,500億円 を目指す。1.安定的な収益性の維持・強化・コア事業の成長と粗利率改善の追求を継続・売上高成長率(CAGR)10%以上を継続し、2030年3月期に売上高1,500億円、営業利益率8%以上を目指す・イノベーションに適切な新製品を継続的に市場へ投入し、新製品売上高比率 年30%の達成2.新たな領域へのチャレンジでInnovationの創出・塗料・工業用機能材料などの 高粘度領域 にチャレンジ。IP市場向けの飛躍的な拡大を目指し、Digital Paint領域へ・フレキシブル有機ELシートにチャレンジ・セカンドブランド「ミマキ ラメカニカ」を立ち上げ、プリンタ・カッティングの周辺機器へ進出・3Dプリンタ事業の進化を推進、事業拡大で3Dをコア事業の新たな柱とすべく育成・Mimaki Innovation 30 (2026年3月期~2030年3月期)の5年間は既存の開発投資とは別枠で、新たな領域への投資に売上高の 1~2% を充当3.技術開発マネジメント体制の確立と人的資本の拡大・新製品の開発スピードを向上し、競争力のある開発体制を構築・AIの活用による業務効率化、DXによるプロセス改革、ノーコード化とユーザーインターフェイスの最適化を推進し、経営管理体制の高度化を図る・技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化で新しさと違いを提供するイノベーターの創出 (3) 中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」重点施策①新しいMimakiに向けてインクジェット技術と印刷技術の蓄積とノウハウの応用・発展により高粘度領域やフレキシブル有機ELシートなど新しい領域へチャレンジ②周辺機器への取組みとしてセカンドブランドの立ち上げ③製品戦略は、定期的かつ革新的な新製品を上市やラインナップの充実を図るSG(サイングラフィックス)市場・UVプリンタと環境負荷を低減した最新のUV硬化型サステナブルインクで競争優位性を強化・多様な顧客ニーズを的確に捉えたハイエンドからエントリーモデルまでのラインナップ戦略で顧客体験価値の向上を図る・ハイエンド〜エントリーモデル領域に未参入レンジを追加し、ラインナップの充実でさらなる市場シェアの拡大を図る・高付加価値の印刷ビジネスの創出や製品展開の充実でターゲット市場を開拓、新たな顧客層を獲得・高画質の実現と優れた操作性に加え、収益性を維持したエントリーモデルの展開で差別化し市場シェアNo.1を奪取IP(インダストリアルプロダクツ)市場・小型FB(フラットベッド)市場:自動化・省人化で生産効率を重視し、産業用印刷のデジタル化を推進。No.1シェアを独走し続ける・大判・ミドル市場:生産性を重視した高付加価値のプロダクトモデルをラインナップ戦略で販売強化し、No.1シェアを維持・高粘度領域・Digital Paintで新たな分野を開拓・付加価値の高いサステナブルなUVインクを強みに差別化を推進TA(テキスタイル・アパレル)市場・デジタル化の潜在的拡大市場であると捉え、注力市場と位置付け・昇華転写市場のエントリー・ミドル・フラッグシップモデルのラインナップの拡充と販売チャネルの活用でシェアNo.1を目指す・デジタル化推進に欠かせない、DTFモデルにさらなる付加価値を加えた製品を展開し圧倒的な差別化を図る・サステナブル領域への追求・・・環境や印刷作業者に配慮した安心・安全な製品とインク開発の追求を継続3Dプリンティング事業・インクジェットプリンタ(IJP)の開発で培った技術を応用し、様々なマルチマテリアルで特性の異なる材料を複合化・3Dプリンタ技術のプラットフォーム化を推進し、将来的に3Dを次の柱へと成長を図る・高生産性に注力し色彩表現に優れた高品質の強みとインクコストを抑えた製品開発・アライアンスパートナーの検討など、販売チャネルマーケティングの強化でユーザーメリットのある商品企画を推進FA事業・FA装置事業 自動車関連事業の強化・半導体事業 未成熟市場であるAI処理に特化した半導体チップの“AIチップ”に注力し対応装置の販売でシェア拡大を図るダイボンダ(CIS,LPH)市場に注力・基板実装機器事業 後工程の挿入・塗布工程装置を提供可能な強みを活かし、販売強化で自動車部品メーカーをターゲットとする・基板検査事業 大型化需要を捉え高性能を追求した装置の開発で台湾・日本の販売強化のほか中国を強化し重点エリアを拡大 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループでは、2025年5月に公表の中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」の達成に向けて対処すべき課題は以下のとおりと認識し、取り組んでまいります。① デジタルオンデマンド・プリントソリューションの提供 当社が開発型企業として持続的な成長を実現するためには、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、SDGsに代表される社会的な要請をはじめ、お客様のニーズや課題に的確に応えていく必要があると認識しております。また、技術革新の進展や市場環境の変化の加速により、顧客ニーズは多様化・高度化が進んでおります。ECの普及拡大に伴い、パーソナライズ需要の拡大や過剰在庫問題などの環境負荷低減への意識の高まりから、「オンデマンド」供給への要求が一層強まっており、事業を通じて在庫削減や廃棄抑制に貢献することも重要な役割となっております。 このような環境変化に的確に対応し、持続的な成長の実現のため、当社グループは、独自技術を基盤とした競争優位性の高い製品、ソフトウエア、サービスの展開に加え、デジタルトランスフォーメーションを成長ドライバとして取り込み、産業用印刷市場におけるデジタルオンデマンド・ソリューションの強化を図ってまいります。 具体的な施策として、当社グループは、プリント前後工程を含めた製品・機能性インク・ソフトウエアのノウハウを組み合わせたトータルソリューション対応の強化に取り組んでまいります。蓄積した有形・無形の資産を源泉とし、プリント工程全体のシステム化を推進するとともに、自動化による省人化・無人化への対応を進めます。また、製品、機能性インク、ソフトウエア及び技術知見の組み合せにより、お客様の成果物の品質向上と生産プロセスの効率化を支援してまいります。これらの取り組みにより、産業用印刷分野におけるトータルソリューションプロバイダーとしてのポジションの確立を図ってまいります。以上を踏まえ、特に次の2領域にフォーカスして取り組んでまいります。a.デジタルプリントのIoT 当社が手掛けているSG(サイングラフィックス)市場、IP(インダストリアルプロダクツ)市場、TA(テキスタイル・アパレル)市場等の産業用インクジェットプリンタ分野における事業機会は、さらに拡大しております。これらの市場に向け、当社が保有するデジタルプリントの前処理装置、プリンタ、インク、カッティングプロッタ、後処理装置に加え、ワークフローソフトまでを含む豊富なラインナップ製品と、プリント成果物制作プロセスの構築ノウハウを基盤に、プリント工程の自動化による省人化・無人化を実現する「デジタルプリントのIoT」の展開を進めてまいります。 また、SG市場やIP市場で使用される機能性インクは、有機溶剤系インクから、環境負荷が低く生産性の高いUV硬化型インクへの転換が進んでおり、市場の拡大が見込まれております。当社は、UV硬化型インク開発と対応プリンタの開発に早期から取り組むとともに、保有の特許技術の活用により競争優位性を確保しています。 今後は、これらの強みを活かし、産業用印刷市場に対してデジタルプリントのIoTとUV硬化型インクを組み合わせた高い生産性を実現するトータルソリューションの提供を通じて、マーケットリーダーとしての地位を確実なものとしてまいります。b.3Dプリント事業 IP領域における3Dプリントビジネスにおいては、2017年に発売したUV硬化インクジェット方式で1,000万色のフルカラー造形を世界で初めて実現した3DUJ-553を皮切りに、2021年には小型化のエントリーモデル3DUJ-2207を発売する等、着実に製品ラインナップの拡充を図ってまいりました。今後も、お客様の多様なニーズにお応えする製品ラインナップのさらなる充実に取り組むとともに、新たにマルチマテリアルで特性の異なる材料の複合化等に注力してまいります。さらに材料開発においてはアライアンスの検討や有力な3Dソフトウエアメーカー等の幅広いパートナーシップの構築を進め、3D造形の市場成長を加速させるなど、多様な用途やアプリケーションの提案等に取り組み、3Dプリントを当社の次の事業の柱とすべく育成してまいります。② インクの収益性向上 当社グループにおいて、機能性インクは競争力の源泉であります。ストック性の高いインクの収益性を高めるため、揮発性有機化合物を削減したインクの開発など、印刷作業者や環境に配慮した安心・安全なインクの開発に取り組みつつ、さらなる品質改善やインクのスケールメリットによるコストダウンなどに取り組むことで、収益性の向上を図り競争力強化を図ってまいります。また、市場での品質問題発生時には、情報の早期フィードバックと見える化により、迅速な対応を図るとともに、不具合発生時にも正確かつ迅速な対応と的確な対策を実行できる体制を整備してまいります。これらの取り組みにより、インク品質のさらなる向上を通じて競争力の強化を図ってまいります。③ 内部統制・コンプライアンスの徹底 企業の社会的責任として、内部統制及びコンプライアンスに徹底して取り組んでまいります。関係法令・規則の遵守やお客様の情報管理に関するセキュリティーポリシーを確立し、役職員一人ひとりの倫理観の醸成と社会的良識に基づく責任ある行動の徹底に向け、社内教育を実施してまいります。内部統制システムの整備・運用を推進するとともに、独立した内部監査部門による定期的な内部監査により、業務監査及び財務報告の適正性を確保しています。あわせて、各本部・部門において年2回以上のコンプライアンス教育を実施し、法令遵守に関する意識向上を図っています。さらに、「1,000億企業」として成長を見据え、グローバルでのワークフローや規程、マニュアルの整備に努め、本社及び国内外の製造・販売子会社における統制基盤の強化を図ってまいります。具体的には、HSコード(輸出入統計品目番号)の確認・運用を含む貿易管理の見直しや、購買発注ワークフローの改定などに取り組み、複雑化する法規制に適切に対応するための業務プロセスの整備を推進してまいります。また、反社会的勢力に対しては断固たる姿勢で臨み、関係遮断の徹底とともに、コンプライアンスに則った経営を実践してまいります。④ サプライチェーンの最適化による生産・物流体制の構築 地政学的リスクの高まりなど変化の激しい社会情勢により、原材料の供給制約や調達リスクが顕在化しており、安定的な供給と確保が重要な経営課題となっております。当社グループは、こうした環境変化に対応するため、各生産拠点において調達体制の見直しと強化を進めてまいりました。具体的には、特定地域に偏らない調達体制の構築を進め、生産拠点または近隣地域において原材料を調達できる体制を整備するとともに、主要製品を日本及び中国の双方で生産できる体制を整備しております。今後も体制の維持・高度化を進め、地域ごとの自立性を高めることで外部環境の変化による影響を抑制し、安定的な生産・供給体制の確立を図ってまいります。加えて、販売・生産・調達・物流の連携強化及び在庫マネジメントの最適化により、機会損失の最小化と収益性の向上に取り組んでまいります。⑤ 研究・開発体制の強化 当社グループは、変化の激しい市場ニーズや顧客志向の変化を捉え、製品開発でイノベーションを起こし、新規市場・新規アプリケーションの開拓に取り組んでまいります。新たな取り組みとして、3年以内に上市した製品を新製品と定義し、新製品売上高比率を30%以上と掲げ、効率的な研究・開発体制のもとで優れた製品をタイムリーに市場投入する取り組みを推進しております。要求機能に対し、製品・ユニット・部品・技術情報より最適化を図り、組合せにより新製品をモジュール開発することにより売上高の拡大とSKU=在庫の削減につなげること等に取り組んでおります。また、基盤となる製品プラットフォームの横展開を通じて、短期間かつ効率的に新製品を投入する開発プロセスを確立し、開発サイクルの短縮化を進めています。これらの活動の結果、2024年3月期から2026年3月期までの3年間においてプリンタ本体は、合計22機種の新製品を市場投入しました。また、開発スペース不足の解消を目的に取得した本社・加沢工場の隣接地に新社屋F棟が竣工し、2026年4月より稼働を開始しました。これらを活用し、エントリーモデルからハイエンドモデルまで多岐にわたる開発体制を増強し、「新しさと違い」を出せる製品の市場投入を進めてまいります。⑥ CX(コーポレート・トランスフォーメーション) 当社グループは会社の構造変革に取り組んでまいります。固定費の圧縮と事業体質の筋肉質化に向け、生成AIやローコードツール等の導入により業務の棚卸と自動化・AI化を進めてまいります。また、資金効率の向上及び財務体質強化のほか、フリーキャッシュ・フローの最大化を目的としたCCCの短縮活動にも取り組んでまいります。具体的には、全社在庫管理プロジェクト活動により、サプライチェーン全体の在庫適正化を進め、特に滞留在庫・不動在庫の一掃を図るとともに、リードタイムを考慮した適正在庫水準の管理する在庫マネジメントの確立に努めております。さらには、グローバルマネジメント体制の強化が重要課題であると認識し、子会社管理の強化、基幹システムや会計システム、人事制度等の最適化に向け、業務の標準化やルールの明確化等を含めた管理強化に取り組んでまいります。加えて、為替リスクの低減に向けた施策にも取り組んでまいります。⑦ 営業体制の強化 当社グループはグローバルなお客様の多様なニーズにお応えするため、国内営業拠点及び海外販売子会社において、個々の地域特性に合致した販売戦略のもと、新規ユーザーや販売チャネルの開拓、製品用途の提案、製品導入後のアフターフォローや迅速な保守サービスの提供等、地域密着型の営業活動を推進し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、実際に製品を体験できる機会として、当社独自に開催するミニ展示会による提案・商談の機会を設けることで、効率的・効果的な営業活動を継続実施してまいります。加えて、インサイドセールス機能の強化を通じ、SFAやCRMを活用した営業分析により既存・見込客への営業活動状況を記録・管理して顧客接点を拡大するとともに、顧客からの引き合いプロセスの管理により着実に成約に繋げるなど、生成AIやITを活用した営業活動にも、積極的に取り組んでまいります。また、顧客へ向けての販売チャネルにつきましても、それぞれの領域での販売拡大に適したチャネルの開拓・構築を進めるとともに、自動化・省人化ソリューションの提供に向けたパートナーシップ構築により、産業用印刷のデジタル化提案を一層強化してまいります。⑧ リスクマネジメントへの取組み 近年の事業環境下では、想定を上回る規模の自然災害や感染症の発生等に加え、地政学的なリスクの顕在化により、事業継続計画(BCP)の重要性が増しています。大規模な自然災害が発生した場合でも、被害を最小限に留めるべく、復旧までの時間を最小限におさえて業務を継続できるよう、業務インフラ、緊急時連絡体制、本社屋をはじめとする各設備の防災対策等の体制強化を行ってまいります。また、感染症等によるパンデミックの発生に際しては社会全体での取り組みのもと、当社グループとしても、役職員を始め地域やステークホルダーの皆様の安全確保と感染症拡大抑止を最優先に、適切な対策を検討・実施してまいります。さらに、地政学的なリスクの顕在化に伴う需要の低迷や部品・原材料等の調達難とコスト上昇、生産の遅延や輸送の混乱によるリードタイムの長期化とコスト上昇等のサプライチェーン全体に係る諸課題に対しても、適切なリスク評価に基づき最適な対策を検討・実施してまいります。⑨ 知的財産戦略の強化 自社ブランド製品を展開する開発型企業である当社にとって、競争力や独自性の確保となる知的財産戦略は、持続的な成長を実現するうえで重要な要素です。当社は、特許・商標等の権利の適切な取得・管理により、他社による模倣や侵害から自社製品及びブランドを保護しております。今後は、新たな領域を含むイノベーション開発をより戦略的に推進し、差別化や付加価値の向上を図る知的財産の創出に取り組むとともに、事業活動と連動した知財活用により、知的財産を重要な経営資産として保護・活用する好循環の構築に取り組んでまいります。⑩ サステナビリティへの取組み 当社では、SDGs(持続可能な開発目標)に賛同し、当社グループにおいてさまざまな社会問題に真摯に向き合うとともに、事業を通じて社会や環境に良い影響をもたらすことで、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。 特に、気候変動などの地球環境問題への対応も重要な経営課題として捉え、とりわけ産業印刷市場においては環境や資源への負荷の高い従来のアナログ印刷主体の産業構造から、デジタル化によるオンデマンドプリントに転換させることにより環境負荷を大幅に低減できることから、今後の製品開発を含む事業活動において環境に配慮した製品展開を推進するなど、積極的に取り組んでまいります。 当社の重要な販売市場であるテキスタイル・アパレル市場では、従来からのアナログ方式による素材や商品の生産・捺染に始まり、輸送、在庫、販売、利用、廃棄・焼却という長いサプライチェーンの過程から大量のCO2が排出され、また素材生地の生産・捺染工程においては大量の水資源が使用されています。さらに、商品は未使用品も含め、全生産量の70%以上が廃棄・焼却処分され、リサイクル・リユース率は合わせても僅か15%程度とも言われています。このように、同市場は地球環境への負荷が最も高い産業の一つとされており、世界的に対処すべき重要な問題と認識されています。当社ではこの問題に対処するため、インクジェット技術でのデジタルオンデマンド捺染による「サステナブル・プリントソリューション」を提供しております。かつ従来のデジタル捺染プリント方式と比べ排水の約90%を削減し、環境にも人にも経済的にも優しい次世代捺染システム「TRAPIS(トラピス)」に加えて、最新の印刷脱色技術「ネオクロマト・プロセス」による循環型のアクションなど、今後も世界的にサステナブル・プリントソリューションを普及させることで、サステナブルなテキスタイル・アパレル産業の実現を目指して取り組んでまいります。 社会課題の面では、地元・長野県の障がい者福祉や雇用創出への貢献に積極的に取り組みました。また、印刷工程の自動化・省人化による人手不足へのソリューション提案等、当社ならではの価値を提供しております。CO2排出量削減については、2050年カーボンニュートラルという政府指針も踏まえ、国内の当社グループ主要事業所や欧州拠点において、CO2フリー電力を導入しております。今後もバリューチェーンを意識した省エネ・省資源の徹底や、地域社会や従業員を含むステークホルダーへの貢献等を通じて、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針 当社グループでは、下記の4項目を経営ビジョンとして掲げ、経営の基本方針としております。① 独自技術を保有し、自社ブランド製品を世界に供給する「開発型企業」を目指します。② 顧客に満足いただける製品を素早く提供する小回りの利いた会社を目指します。③ 市場に常に「新しさと違い」を提供するイノベーターを目指します。④ 各人が持っている個性・能力を力一杯発揮できる企業風土を目指します。 (2)中長期的な経営方針及び経営指標 当社グループでは、2025年5月に、2030年3月期を最終年度とする5か年の新中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」を策定いたしました。①「Mimaki Innovation 30」基本方針と業績目標 安定的な収益性で売上高成長の追求を継続し、資源の積極的な活用により新たな領域にチャレンジすることで、2030年3月期(FY2029)に売上高 1,500億円 を目指す。1.安定的な収益性の維持・強化・コア事業の成長と粗利率改善の追求を継続・売上高成長率(CAGR)10%以上を継続し、2030年3月期に売上高1,500億円、営業利益率8%以上を目指す・イノベーションに適切な新製品を継続的に市場へ投入し、新製品売上高比率 年30%の達成2.新たな領域へのチャレンジでInnovationの創出・塗料・工業用機能材料などの 高粘度領域 にチャレンジ。IP市場向けの飛躍的な拡大を目指し、Digital Paint領域へ・フレキシブル有機ELシートにチャレンジ・セカンドブランド「ミマキ ラメカニカ」を立ち上げ、プリンタ・カッティングの周辺機器へ進出・3Dプリンタ事業の進化を推進、事業拡大で3Dをコア事業の新たな柱とすべく育成・Mimaki Innovation 30 (2026年3月期~2030年3月期)の5年間は既存の開発投資とは別枠で、新たな領域への投資に売上高の 1~2% を充当3.技術開発マネジメント体制の確立と人的資本の拡大・新製品の開発スピードを向上し、競争力のある開発体制を構築・AIの活用による業務効率化、DXによるプロセス改革、ノーコード化とユーザーインターフェイスの最適化を推進し、経営管理体制の高度化を図る・技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化で新しさと違いを提供するイノベーターの創出 (3) 中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」重点施策①新しいMimakiに向けてインクジェット技術と印刷技術の蓄積とノウハウの応用・発展により高粘度領域やフレキシブル有機ELシートなど新しい領域へチャレンジ②周辺機器への取組みとしてセカンドブランドの立ち上げ③製品戦略は、定期的かつ革新的な新製品を上市やラインナップの充実を図るSG(サイングラフィックス)市場・UVプリンタと環境負荷を低減した最新のUV硬化型サステナブルインクで競争優位性を強化・多様な顧客ニーズを的確に捉えたハイエンドからエントリーモデルまでのラインナップ戦略で顧客体験価値の向上を図る・ハイエンド〜エントリーモデル領域に未参入レンジを追加し、ラインナップの充実でさらなる市場シェアの拡大を図る・高付加価値の印刷ビジネスの創出や製品展開の充実でターゲット市場を開拓、新たな顧客層を獲得・高画質の実現と優れた操作性に加え、収益性を維持したエントリーモデルの展開で差別化し市場シェアNo.1を奪取IP(インダストリアルプロダクツ)市場・小型FB(フラットベッド)市場:自動化・省人化で生産効率を重視し、産業用印刷のデジタル化を推進。No.1シェアを独走し続ける・大判・ミドル市場:生産性を重視した高付加価値のプロダクトモデルをラインナップ戦略で販売強化し、No.1シェアを維持・高粘度領域・Digital Paintで新たな分野を開拓・付加価値の高いサステナブルなUVインクを強みに差別化を推進TA(テキスタイル・アパレル)市場・デジタル化の潜在的拡大市場であると捉え、注力市場と位置付け・昇華転写市場のエントリー・ミドル・フラッグシップモデルのラインナップの拡充と販売チャネルの活用でシェアNo.1を目指す・デジタル化推進に欠かせない、DTFモデルにさらなる付加価値を加えた製品を展開し圧倒的な差別化を図る・サステナブル領域への追求・・・環境や印刷作業者に配慮した安心・安全な製品とインク開発の追求を継続3Dプリンティング事業・インクジェットプリンタ(IJP)の開発で培った技術を応用し、様々なマルチマテリアルで特性の異なる材料を複合化・3Dプリンタ技術のプラットフォーム化を推進し、将来的に3Dを次の柱へと成長を図る・高生産性に注力し色彩表現に優れた高品質の強みとインクコストを抑えた製品開発・アライアンスパートナーの検討など、販売チャネルマーケティングの強化でユーザーメリットのある商品企画を推進FA事業・FA装置事業 自動車関連事業の強化・半導体事業 未成熟市場であるAI処理に特化した半導体チップの“AIチップ”に注力し対応装置の販売でシェア拡大を図るダイボンダ(CIS,LPH)市場に注力・基板実装機器事業 後工程の挿入・塗布工程装置を提供可能な強みを活かし、販売強化で自動車部品メーカーをターゲットとする・基板検査事業 大型化需要を捉え高性能を追求した装置の開発で台湾・日本の販売強化のほか中国を強化し重点エリアを拡大 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループでは、2025年5月に公表の中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」の達成に向けて対処すべき課題は以下のとおりと認識し、取り組んでまいります。① デジタルオンデマンド・プリントソリューションの提供 当社が開発型企業として持続的な成長を実現するためには、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、SDGsに代表される社会的な要請をはじめ、お客様のニーズや課題に的確に応えていく必要があると認識しております。また、技術革新の進展や市場環境の変化の加速により、顧客ニーズは多様化・高度化が進んでおります。ECの普及拡大に伴い、パーソナライズ需要の拡大や過剰在庫問題などの環境負荷低減への意識の高まりから、「オンデマンド」供給への要求が一層強まっており、事業を通じて在庫削減や廃棄抑制に貢献することも重要な役割となっております。 このような環境変化に的確に対応し、持続的な成長の実現のため、当社グループは、独自技術を基盤とした競争優位性の高い製品、ソフトウエア、サービスの展開に加え、デジタルトランスフォーメーションを成長ドライバとして取り込み、産業用印刷市場におけるデジタルオンデマンド・ソリューションの強化を図ってまいります。 具体的な施策として、当社グループは、プリント前後工程を含めた製品・機能性インク・ソフトウエアのノウハウを組み合わせたトータルソリューション対応の強化に取り組んでまいります。蓄積した有形・無形の資産を源泉とし、プリント工程全体のシステム化を推進するとともに、自動化による省人化・無人化への対応を進めます。また、製品、機能性インク、ソフトウエア及び技術知見の組み合せにより、お客様の成果物の品質向上と生産プロセスの効率化を支援してまいります。これらの取り組みにより、産業用印刷分野におけるトータルソリューションプロバイダーとしてのポジションの確立を図ってまいります。以上を踏まえ、特に次の2領域にフォーカスして取り組んでまいります。a.デジタルプリントのIoT 当社が手掛けているSG(サイングラフィックス)市場、IP(インダストリアルプロダクツ)市場、TA(テキスタイル・アパレル)市場等の産業用インクジェットプリンタ分野における事業機会は、さらに拡大しております。これらの市場に向け、当社が保有するデジタルプリントの前処理装置、プリンタ、インク、カッティングプロッタ、後処理装置に加え、ワークフローソフトまでを含む豊富なラインナップ製品と、プリント成果物制作プロセスの構築ノウハウを基盤に、プリント工程の自動化による省人化・無人化を実現する「デジタルプリントのIoT」の展開を進めてまいります。 また、SG市場やIP市場で使用される機能性インクは、有機溶剤系インクから、環境負荷が低く生産性の高いUV硬化型インクへの転換が進んでおり、市場の拡大が見込まれております。当社は、UV硬化型インク開発と対応プリンタの開発に早期から取り組むとともに、保有の特許技術の活用により競争優位性を確保しています。 今後は、これらの強みを活かし、産業用印刷市場に対してデジタルプリントのIoTとUV硬化型インクを組み合わせた高い生産性を実現するトータルソリューションの提供を通じて、マーケットリーダーとしての地位を確実なものとしてまいります。b.3Dプリント事業 IP領域における3Dプリントビジネスにおいては、2017年に発売したUV硬化インクジェット方式で1,000万色のフルカラー造形を世界で初めて実現した3DUJ-553を皮切りに、2021年には小型化のエントリーモデル3DUJ-2207を発売する等、着実に製品ラインナップの拡充を図ってまいりました。今後も、お客様の多様なニーズにお応えする製品ラインナップのさらなる充実に取り組むとともに、新たにマルチマテリアルで特性の異なる材料の複合化等に注力してまいります。さらに材料開発においてはアライアンスの検討や有力な3Dソフトウエアメーカー等の幅広いパートナーシップの構築を進め、3D造形の市場成長を加速させるなど、多様な用途やアプリケーションの提案等に取り組み、3Dプリントを当社の次の事業の柱とすべく育成してまいります。② インクの収益性向上 当社グループにおいて、機能性インクは競争力の源泉であります。ストック性の高いインクの収益性を高めるため、揮発性有機化合物を削減したインクの開発など、印刷作業者や環境に配慮した安心・安全なインクの開発に取り組みつつ、さらなる品質改善やインクのスケールメリットによるコストダウンなどに取り組むことで、収益性の向上を図り競争力強化を図ってまいります。また、市場での品質問題発生時には、情報の早期フィードバックと見える化により、迅速な対応を図るとともに、不具合発生時にも正確かつ迅速な対応と的確な対策を実行できる体制を整備してまいります。これらの取り組みにより、インク品質のさらなる向上を通じて競争力の強化を図ってまいります。③ 内部統制・コンプライアンスの徹底 企業の社会的責任として、内部統制及びコンプライアンスに徹底して取り組んでまいります。関係法令・規則の遵守やお客様の情報管理に関するセキュリティーポリシーを確立し、役職員一人ひとりの倫理観の醸成と社会的良識に基づく責任ある行動の徹底に向け、社内教育を実施してまいります。内部統制システムの整備・運用を推進するとともに、独立した内部監査部門による定期的な内部監査により、業務監査及び財務報告の適正性を確保しています。あわせて、各本部・部門において年2回以上のコンプライアンス教育を実施し、法令遵守に関する意識向上を図っています。さらに、「1,000億企業」として成長を見据え、グローバルでのワークフローや規程、マニュアルの整備に努め、本社及び国内外の製造・販売子会社における統制基盤の強化を図ってまいります。具体的には、HSコード(輸出入統計品目番号)の確認・運用を含む貿易管理の見直しや、購買発注ワークフローの改定などに取り組み、複雑化する法規制に適切に対応するための業務プロセスの整備を推進してまいります。また、反社会的勢力に対しては断固たる姿勢で臨み、関係遮断の徹底とともに、コンプライアンスに則った経営を実践してまいります。④ サプライチェーンの最適化による生産・物流体制の構築 地政学的リスクの高まりなど変化の激しい社会情勢により、原材料の供給制約や調達リスクが顕在化しており、安定的な供給と確保が重要な経営課題となっております。当社グループは、こうした環境変化に対応するため、各生産拠点において調達体制の見直しと強化を進めてまいりました。具体的には、特定地域に偏らない調達体制の構築を進め、生産拠点または近隣地域において原材料を調達できる体制を整備するとともに、主要製品を日本及び中国の双方で生産できる体制を整備しております。今後も体制の維持・高度化を進め、地域ごとの自立性を高めることで外部環境の変化による影響を抑制し、安定的な生産・供給体制の確立を図ってまいります。加えて、販売・生産・調達・物流の連携強化及び在庫マネジメントの最適化により、機会損失の最小化と収益性の向上に取り組んでまいります。⑤ 研究・開発体制の強化 当社グループは、変化の激しい市場ニーズや顧客志向の変化を捉え、製品開発でイノベーションを起こし、新規市場・新規アプリケーションの開拓に取り組んでまいります。新たな取り組みとして、3年以内に上市した製品を新製品と定義し、新製品売上高比率を30%以上と掲げ、効率的な研究・開発体制のもとで優れた製品をタイムリーに市場投入する取り組みを推進しております。要求機能に対し、製品・ユニット・部品・技術情報より最適化を図り、組合せにより新製品をモジュール開発することにより売上高の拡大とSKU=在庫の削減につなげること等に取り組んでおります。また、基盤となる製品プラットフォームの横展開を通じて、短期間かつ効率的に新製品を投入する開発プロセスを確立し、開発サイクルの短縮化を進めています。これらの活動の結果、2024年3月期から2026年3月期までの3年間においてプリンタ本体は、合計22機種の新製品を市場投入しました。また、開発スペース不足の解消を目的に取得した本社・加沢工場の隣接地に新社屋F棟が竣工し、2026年4月より稼働を開始しました。これらを活用し、エントリーモデルからハイエンドモデルまで多岐にわたる開発体制を増強し、「新しさと違い」を出せる製品の市場投入を進めてまいります。⑥ CX(コーポレート・トランスフォーメーション) 当社グループは会社の構造変革に取り組んでまいります。固定費の圧縮と事業体質の筋肉質化に向け、生成AIやローコードツール等の導入により業務の棚卸と自動化・AI化を進めてまいります。また、資金効率の向上及び財務体質強化のほか、フリーキャッシュ・フローの最大化を目的としたCCCの短縮活動にも取り組んでまいります。具体的には、全社在庫管理プロジェクト活動により、サプライチェーン全体の在庫適正化を進め、特に滞留在庫・不動在庫の一掃を図るとともに、リードタイムを考慮した適正在庫水準の管理する在庫マネジメントの確立に努めております。さらには、グローバルマネジメント体制の強化が重要課題であると認識し、子会社管理の強化、基幹システムや会計システム、人事制度等の最適化に向け、業務の標準化やルールの明確化等を含めた管理強化に取り組んでまいります。加えて、為替リスクの低減に向けた施策にも取り組んでまいります。⑦ 営業体制の強化 当社グループはグローバルなお客様の多様なニーズにお応えするため、国内営業拠点及び海外販売子会社において、個々の地域特性に合致した販売戦略のもと、新規ユーザーや販売チャネルの開拓、製品用途の提案、製品導入後のアフターフォローや迅速な保守サービスの提供等、地域密着型の営業活動を推進し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、実際に製品を体験できる機会として、当社独自に開催するミニ展示会による提案・商談の機会を設けることで、効率的・効果的な営業活動を継続実施してまいります。加えて、インサイドセールス機能の強化を通じ、SFAやCRMを活用した営業分析により既存・見込客への営業活動状況を記録・管理して顧客接点を拡大するとともに、顧客からの引き合いプロセスの管理により着実に成約に繋げるなど、生成AIやITを活用した営業活動にも、積極的に取り組んでまいります。また、顧客へ向けての販売チャネルにつきましても、それぞれの領域での販売拡大に適したチャネルの開拓・構築を進めるとともに、自動化・省人化ソリューションの提供に向けたパートナーシップ構築により、産業用印刷のデジタル化提案を一層強化してまいります。⑧ リスクマネジメントへの取組み 近年の事業環境下では、想定を上回る規模の自然災害や感染症の発生等に加え、地政学的なリスクの顕在化により、事業継続計画(BCP)の重要性が増しています。大規模な自然災害が発生した場合でも、被害を最小限に留めるべく、復旧までの時間を最小限におさえて業務を継続できるよう、業務インフラ、緊急時連絡体制、本社屋をはじめとする各設備の防災対策等の体制強化を行ってまいります。また、感染症等によるパンデミックの発生に際しては社会全体での取り組みのもと、当社グループとしても、役職員を始め地域やステークホルダーの皆様の安全確保と感染症拡大抑止を最優先に、適切な対策を検討・実施してまいります。さらに、地政学的なリスクの顕在化に伴う需要の低迷や部品・原材料等の調達難とコスト上昇、生産の遅延や輸送の混乱によるリードタイムの長期化とコスト上昇等のサプライチェーン全体に係る諸課題に対しても、適切なリスク評価に基づき最適な対策を検討・実施してまいります。⑨ 知的財産戦略の強化 自社ブランド製品を展開する開発型企業である当社にとって、競争力や独自性の確保となる知的財産戦略は、持続的な成長を実現するうえで重要な要素です。当社は、特許・商標等の権利の適切な取得・管理により、他社による模倣や侵害から自社製品及びブランドを保護しております。今後は、新たな領域を含むイノベーション開発をより戦略的に推進し、差別化や付加価値の向上を図る知的財産の創出に取り組むとともに、事業活動と連動した知財活用により、知的財産を重要な経営資産として保護・活用する好循環の構築に取り組んでまいります。⑩ サステナビリティへの取組み 当社では、SDGs(持続可能な開発目標)に賛同し、当社グループにおいてさまざまな社会問題に真摯に向き合うとともに、事業を通じて社会や環境に良い影響をもたらすことで、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。 特に、気候変動などの地球環境問題への対応も重要な経営課題として捉え、とりわけ産業印刷市場においては環境や資源への負荷の高い従来のアナログ印刷主体の産業構造から、デジタル化によるオンデマンドプリントに転換させることにより環境負荷を大幅に低減できることから、今後の製品開発を含む事業活動において環境に配慮した製品展開を推進するなど、積極的に取り組んでまいります。 当社の重要な販売市場であるテキスタイル・アパレル市場では、従来からのアナログ方式による素材や商品の生産・捺染に始まり、輸送、在庫、販売、利用、廃棄・焼却という長いサプライチェーンの過程から大量のCO2が排出され、また素材生地の生産・捺染工程においては大量の水資源が使用されています。さらに、商品は未使用品も含め、全生産量の70%以上が廃棄・焼却処分され、リサイクル・リユース率は合わせても僅か15%程度とも言われています。このように、同市場は地球環境への負荷が最も高い産業の一つとされており、世界的に対処すべき重要な問題と認識されています。当社ではこの問題に対処するため、インクジェット技術でのデジタルオンデマンド捺染による「サステナブル・プリントソリューション」を提供しております。かつ従来のデジタル捺染プリント方式と比べ排水の約90%を削減し、環境にも人にも経済的にも優しい次世代捺染システム「TRAPIS(トラピス)」に加えて、最新の印刷脱色技術「ネオクロマト・プロセス」による循環型のアクションなど、今後も世界的にサステナブル・プリントソリューションを普及させることで、サステナブルなテキスタイル・アパレル産業の実現を目指して取り組んでまいります。 社会課題の面では、地元・長野県の障がい者福祉や雇用創出への貢献に積極的に取り組みました。また、印刷工程の自動化・省人化による人手不足へのソリューション提案等、当社ならではの価値を提供しております。CO2排出量削減については、2050年カーボンニュートラルという政府指針も踏まえ、国内の当社グループ主要事業所や欧州拠点において、CO2フリー電力を導入しております。今後もバリューチェーンを意識した省エネ・省資源の徹底や、地域社会や従業員を含むステークホルダーへの貢献等を通じて、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況 当連結会計年度(以下、当期)における世界経済は、各国による金融政策に伴うインフレや米国関税政策及び中国経済の見通しに加えて中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりにより国際経済は不透明な状況が続きました。わが国においては、設備投資は持ち直しの傾向があり経済は緩やかに回復しているものの、物価上昇や中東情勢の影響など不透明な状況は依然として継続しております。 このような環境のなか、当社グループでは中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」で定めた重点施策に基づき、収益性の維持による安定的な財務基盤の実践と、製品市場別戦略として定期的かつ革新的な新製品を上市する目標を策定し取り組んでおります。当期は、第4四半期連結会計期間において、SG(サイングラフィックス)市場向けでは、幅広いグラフィックを1台で制作するハイブリッドUVプリンタ「UJ330H-160」を発表しました。「UJ330H-160」はロール素材への出力とリジッド(ボード)素材のダイレクトプリントを1台で実現するプリンタです。また、フラグシッププリンタ「UCJV330」及び同製品に搭載されるUV硬化型インク「LUS-200」「LUS-170」が、3M™MCS™保証プログラムに認定されました。最長6年の耐候性保証により、屋外グラフィックスの高品質かつ高信頼性の長期利用価値を実現します。製品及びソリューションの組み合わせにより、高品質で信頼性の高いグラフィック製作の実現が可能となります。TA(テキスタイル・アパレル)市場向けでは、広幅テキスタイルもシームレスに出力する「TS330-1800」を昇華転写プリンタのラインナップに追加しました。「TS330-1800」は、高密度・高精細のプリントヘッドと当社独自のイメージング技術を搭載した、テキスタイル用途向けフラグシッププリンタです。また、2026年2月には、主力工場である加沢工場(長野県東御市)に開発体制の一層の充実を目的とした新社屋F棟が竣工しました。(2026年4月稼働開始) 売上高は、0.3%減収の結果となりました。製品市場別では、SG市場向けは、既存モデルが伸びず増収幅は微増でしたが、新製品が期を通じて好調でした。IP(インダストリアルプロダクツ)市場向けは、下期において回復基調となりましたが上期の軟調を補えず減収となりました。TA市場向けは、DTF(Direct to Film)モデルの販売減少が継続しましたが、昇華転写モデルの新製品の好調を背景に通期での減少幅は縮小されました。インクの販売は、各市場ともに前年比を上回る結果となりました。FA(ファクトリーオートメーション)事業では、自動車業界向けのFA装置の減少により大幅な減収となりました。 利益面では、営業利益は、原価低減活動に加えてインクと本体機種のプロダクトミックスの改善が進んだことから前年を上回る94億31百万円と過去最高益となりました。販売費及び一般管理費は、将来成長のための研究開発費や人件費等の開発投資は計画どおり積極的に実施しましたが、製品の品質改善の進展に伴い市場対応にかかる費用の減少が寄与したことに加えて為替のプラス影響もあり営業利益率も高水準の11.3%となりました。 以上の結果、当期における当社グループの売上高は837億25百万円(前期比0.3%減)、営業利益は94億31百万円(同3.5%増)、経常利益は89億7百万円(同5.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は67億41百万円(同9.5%増)となりとなり、営業利益以下の各段階利益は過去最高を更新しました。 当期における主要な為替レートは、1米ドル=150.78円(前期 152.57円)、1ユーロ=174.79円(前期 163.74円)で推移しました。 セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメントの利益につきましては、セグメント間取引消去の影響により連結損益計算書の営業利益から乖離してしまうため、記載を省略しております。 (日本・アジア・オセアニア) 売上高は371億52百万円(前期比2.2%減)となりました。日本では、TA市場向けは下期に発表の昇華転写プリンタの好調や特定用途の専用機種の販売が好調となり、インクも飛躍的に伸長しました。SG市場向けは、新製品のエコソルベントのエントリーモデルは好調に推移しましたが、IP市場向けとともに既存モデルが伸びずに減収となりました。なお、インクの販売はSG・IP市場向けも増加しました。FA事業は、自動車業界向けのFA装置が大幅に減少しました。これにより日本全体では微減となりました。なお、FA事業を除いた売上は前期比4.2%の増収でした。アジア・オセアニアでは、SG市場向けは、エコソルベントモデルの販売は伸長しましたが既存製品が伸びず減少となりました。IP市場向けは、大型・小型FB(フラッドベッド)ともに大幅減少により減収となりました。なお、インクの販売は大幅に伸長しました。TA市場向けは、DTFモデルやインクの販売が大幅に減少しました。 (北・中南米) 売上高は249億60百万円(同3.7%増)となりました。北米では、IP市場向けは大型のFBモデルやミドルサイズのモデルが好調となり、小型FBも前年並みに回復し、インクの販売も堅調でした。SG市場向けはエコソルベントのエントリーモデルが大幅に増加し、インクの販売も好調でした。TA市場向けでは大型生産機のTiger600が順調に推移しましたが、DTFモデルの軟調により本体の販売は大幅に減少しました。またインクの販売は、2桁増収と飛躍的に伸びました。全体では、北米の堅調に加え中南米の好調もあり増収となりました。 (欧州・中東・アフリカ) 売上高は216億13百万円(同1.3%減)となりました。欧州では、SG市場向けのエコソルベントモデルが大きく伸長し、UV-DTFモデルも堅調に増加しました。インクの販売は前年並みでした。IP市場向けは大型FBモデルの増加や一部の小型FBモデルは販売を伸ばしましたが、小型FBモデル全体では減少し同市場向けの本体販売は減少しました。インクの販売は堅調でした。TA市場向けは、環境配慮製品である昇華転写とダイレクト印刷が可能な無水モデルが好調でしたが、DTFモデルの販売減少により本体の販売は大幅に減少しました。インクの販売は、2桁増収と大きく伸長しました。欧州全体では為替の円安の追い風もあり前年並みに留まりましたが、中東・アフリカの軟調によりエリア全体では微減となりました。 [市場別売上高] 売上高(百万円)構成比率(%)対前年増減率(%)S G 市 場 向 け34,65041.41.9I P 市 場 向 け21,55725.7△2.4T A 市 場 向 け9,58811.5△7.1F A 事 業4,1404.9△18.1そ の 他13,78816.510.2合 計83,725100.0△0.3 (SG市場向け) 売上高は346億50百万円(前期比1.9%増)となりました。プリンタ本体は、エコソルベントのエントリーモデルが期を通じて好調に推移したものの、既存のUVインクモデルが伸び悩んだことから、小幅な増収となりました。インクの販売堅調もあり、全体でも増収となりました。(IP市場向け) 売上高は215億57百万円(同2.4%減)となりました。プリンタ本体は、ミドルサイズのFBモデルの牽引や第3四半期より回復基調にある小型FBモデルの販売が順調となりましたが、新製品の端境期の影響による上期の軟調分を通期では補いきれず減収となりました。インクの販売は好調に推移しましたが、全体では減収となりました。(TA市場向け) 売上高は95億88百万円(同7.1%減)となりました。プリンタ本体は、DTFモデルの減少影響を受け大幅に減少しました。インクの販売は継続して好調に推移しました。当第4四半期(2026年1月から3月)に投入の昇華転写のフラッグシップモデルは順調な立ち上がりとなりましたが、全体では減収となりました。(FA事業) 売上高は41億40百万円(同18.1%減)となりました。半導体製造装置等は前年並みでしたが、前期に受注が好調であった自動車業界向けFA装置の大幅減少を受け、全体でも大幅な減収となりました。②財政状態の状況(資産) 当連結会計年度における資産の残高は、828億89百万円(前連結会計年度末761億74百万円)となり67億15百万円増加しました。流動資産の残高は、626億75百万円(同576億3百万円)となり50億72百万円増加しました。これは、主に商品及び製品の増加等によるものです。また、固定資産は202億14百万円(同185億70百万円)となり16億43百万円増加しました。これは、主に建設仮勘定の増加等によるものです。(負債) 当連結会計年度における負債の残高は、427億83百万円(同438億円)となり10億16百万円減少しました。流動負債の残高は、384億42百万円(同372億91百万円)となり11億50百万円増加しました。これは、主に短期借入金の増加等によるものです。固定負債の残高は、43億41百万円(同65億8百万円)となり21億67百万円減少しました。これは、主に長期借入金の減少等によるものです。(純資産) 当連結会計年度における純資産の残高は、401億6百万円(同323億73百万円)となり77億32百万円増加しました。これは、主に利益剰余金の増加等によるものです。③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の増加や短期借入金の増加等があったものの、有形固定資産の取得による支出や定期預金の預入による支出等により前連結会計年度末に比べ14億55百万円減少し、当連結会計年度末には、104億19百万円となりました。なお、営業活動、投資活動、財務活動別の詳細につきましては、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果獲得した資金は46億22百万円(前連結会計年度比32億38百万円減)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益89億22百万円、法人税等の支払28億58百万円、棚卸資産の増加17億95百万円、仕入債務の減少14億91百万円等があったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は53億89百万円(同29億51百万円減)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出29億85百万円、定期預金の預入による支出22億51百万円等があったことによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は13億15百万円(同62億27百万円増)となりました。これは主に短期借入金の増加25億42百万円、長期借入金の返済による支出18億円等があったことによるものです。④生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年増減率(%)日本・アジア・オセアニア(千円)31,907,619△9.5欧州・中東・アフリカ(千円)3,256,360△6.0合 計(千円)35,163,980△9.2 (注)金額は標準原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 また、当連結会計年度の生産実績を市場別に示すと、次のとおりであります。市 場 別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年増減率(%)S G 市 場 向 け(千円)14,372,456△0.5I P 市 場 向 け(千円)7,103,933△17.7T A 市 場 向 け(千円)4,598,057△17.3F A 事 業(千円)3,437,034△21.7そ の 他 (千円)5,652,498△0.6合 計 (千円)35,163,980△9.2 b.受注実績 当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。c.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年増減率(%)日本・アジア・オセアニア(千円)37,152,204△2.2北・中南米(千円)24,960,0933.7欧州・中東・アフリカ(千円)21,613,143△1.3合 計(千円)83,725,442△0.3 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 また、当連結会計年度の販売実績を市場別に示すと、次のとおりであります。市 場 別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年増減率(%)S G 市 場 向 け(千円)34,650,2491.9I P 市 場 向 け(千円)21,557,021△2.4T A 市 場 向 け(千円)9,588,377△7.1F A 事 業(千円)4,140,950△18.1そ の 他 (千円)13,788,84210.2合 計(千円)83,725,442△0.3 当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。品 目当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年増減率(%)製 品 本 体(千円)31,410,096△8.8イ ン ク(千円)32,931,5724.2保 守 部 品(千円)7,486,1948.4そ の 他(千円)11,897,5787.9合 計(千円)83,725,442△0.3 (注)主要な販売先については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。 なお、運転資本(流動資産から流動負債を差し引いた金額)は、前連結会計年度末に対して39億21百万円増加し、242億33百万円となりました。今後も社会情勢等は不確実な経営環境が続くものと想定されますが、当社の財政状態は健全性を保っていることに加え、資金についても十分な手当てができております。 経営成績につきましては、売上高は837億25百万円(前連結会計年度比0.3%減)、営業利益は94億31百万円(同3.5%増)となりました。詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」記載のとおりであります。②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは△7億66百万円となりました。これは税金等調整前当期純利益は増加したものの、売上債権の減少や棚卸資産の増加等により営業キャッシュ・フローが減少(前連結会計年度比32億38百万円減)したことに加えて、中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」に掲げた目標達成に向けた、有形固定資産の取得等の積極的な投資により、投資キャッシュ・フローの支出が増加(同29億51百万円増)したことによるものです。当社グループは、売上高成長の追求のもと、安定的な収益性を維持することで、棚卸資産の適正化に向けた諸施策を実施して営業キャッシュ・フローの最大化を図りつつ、新たな領域への投資を含む成長投資も積極的に行い、財政状態の健全性維持と持続的な成長の実現を両立させるべく、内部資金・直接金融・間接金融のバランスを図りつつ、計画的に資本の財源を確保してまいります。③経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」において、2030年3月期に売上高1,500億円目標に掲げ、この実現に向けて従来のように売上高成長を追求するだけでなく、高い収益を継続的に生み出すとともに、財務基盤を強化して、持続可能な成長に向けた強靭な企業基盤の構築に取り組んでまいります。④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 製造物責任リスク製品の不具合が発生した場合、修理や補償コスト、開発計画の遅延により、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。品質問題の再発防止策を迅速に実施し、製造物責任賠償保険に加入することでリスクを軽減しています。
- 海外事業と為替変動リスク売上高の約7割を海外市場が占めるため、海外経済情勢の悪化や地政学的リスク、為替の急激な変動が経営成績に影響を与える可能性があります。為替ヘッジや外貨建て債権の早期回収、生産拠点の最適化によりリスク分散を図っています。
- コスト競争力と製品開発リスク原材料・部品の調達難や価格上昇、需要予測の変動による生産計画のずれ、新製品開発の遅延や研究開発費の増加が収益性を圧迫する可能性があります。サプライチェーンの最適化、部品共通化、効率的な開発手法の導入によりリスク低減に努めています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある認識しているリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)製造物責任 当社グループは、自社開発の製品を主な商材としておりますが、製品の不具合が発生した場合、その修理や補償に係るコストに加えて製品開発計画に遅れが生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。品質問題がやむなく発生した場合の対応策は、誠実かつ的確な顧客対応を行うとともに、発生の原因究明と対策を速やかに実施することと併せて、再発防止策を策定し実行いたします。なお、当社では製造物責任賠償保険に加入しております。品質問題を発生させないための対応策としては、設計・製造・サービスの各部門の課題を明確にして取り組むとともに、品質改善を経営の最優先事項としてプロジェクト体制で推進し、より実効性のある対策を展開して品質コストの低減を進めてまいります。(2)コスト競争力①原材料・部品調達 当社グループの製品は、プリントヘッド、電装部品、機構部品、インク染料等の原材料から構成されております。原材料・部品の調達にあたり現仕入先からの調達が困難になる可能性や、市況動向等の影響による価格上昇の可能性があります。また、原材料の供給が不安定になった場合、製品の生産困難による販売機会の喪失などにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、サプライチェーンの最適化による生産・物流体制の構築に向け調達力の強化に取り組み、地政学的リスクも勘案した調達先の見直しや複数の調達先確保等によるリスク分散を進めてまいります。また、設計段階における部品の共通化・点数削減、作業の効率化等による原価の抑制にも、継続して取り組んでまいります。②生産計画 当社グループは、主に見込み生産の形態をとり、需要予測の変動に追従して生産計画の見直しを行っております。需要予測の変動が正確に生産計画に反映されない場合や、販売実績が需要予測を大きく下回る場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、発注・受入・組立・出荷・着荷の連動性を高めることで需要変動に柔軟に対応できる生産システムの構築に取り組んでまいります。 (3)製品開発 当社グループは、新製品の開発を成長の源泉としている一方、新製品開発に際しては、試作部材、労務等の研究開発費が先行的に発生いたします。新製品開発が計画どおりに進捗せず、研究開発費が増加した場合や、開発遅延により売上高の減少等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策としては、先進的で効率的な開発手法を常に取り入れるとともに、開発技術のノウハウを内部蓄積させることにも取り組んでまいります。加えて、新たな技術開発へのチャレンジやプラットフォーム設計の推進等により、効率的な新製品開発に取り組んでまいります。(4)海外における事業展開①海外情勢の影響 当社グループは、売上高の約7割を海外市場が占めており、今後も海外での販売強化により売上高成長を目指す方針としております。また、生産についても既にアジア(中国、台湾)と欧州(オランダ、イタリア、リトアニア)の工場で産業用インクジェットプリンタ及びインクを製造しており、今後も海外適地での生産体制を維持する方針としております。そのため、主要な海外市場における経済情勢の悪化、進出国の諸法令・規制・税制等の変更、ロシア・ウクライナ問題や米中対立に代表される地政学的なリスク等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。地政学的リスクへの対応が急務である認識のもと、グローバルでの情報収集や管理体制、リスクマネジメント体制の強化とともに、サプライチェーンの最適化に向けた取り組みを進めてまいります。②為替変動リスク 当社グループは、海外生産に比して海外販売の比率が高い状況にあります。そのため、想定を超えて急激に為替が変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、為替管理の専門部署を設けてデリバティブ等により短期的な為替リスクのヘッジに努めるほか、外貨建て売掛金の早期回収により外貨建て債権を減らす取り組みや、インク等消耗品の消費地生産を推進して中期的な外貨ポジションの改善に努めてまいります。(5)他社との競合等 当社グループの主力製品である産業用インクジェットプリンタは、既存市場において大手企業や新興国企業等の市場参入が増加しております。現時点では、当社グループの製品に技術面、品質面等の優位性があると認識しておりますが、競争環境が激化して価格低下圧力に晒された場合や市場シェアが低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、地域密着型の営業活動を徹底して顧客ニーズを汲み取るとともに、革新的な新製品を継続的に上市できるように取り組んでまいります。(6)人財確保 当社グループは、開発型企業及びグローバル企業としての成長を志向するため、製品開発を行う人財とグローバル適応のできる人財の持続的な確保・育成が必須と認識しております。これらの人財が大きく不足する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、人的資本に係る戦略に基づき、中核人財の確保を積極的に推進しています。また、多様性を確保するためのダイバーシティの推進、特に女性活躍推進やジェンダーギャップの解消等に加え、ワークライフバランスに配慮した働きやすい職場環境づくりなども進めています。さらに、人財の育成を目的とした教育体系の充実を図り、各人の能力を最大限発揮できる企業風土の醸成に取り組んでまいります。(7)金利変動リスク 当社グループは、主に金融機関からの借入金等によって設備資金及び運転資金の一部を調達しており、有利子負債依存度は当連結会計年度末で28.8%となっております。そのため、急激に金利変動等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、経理部門が主導して多様な資金調達方法の検討に努めるとともに、在庫適正化活動の推進による運転資金の効率化に努めてまいります。(8)知的財産権 当社グループは、知的財産権に関連して①第三者が当社グループの知的財産権を使用し類似製品を製造することを防止できない可能性、②当社グループの取り扱う製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性、③当社グループが認識しない特許権等の成立で第三者より損害賠償等の訴訟を起こされる可能性、等のリスクが想定できます。これらが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、知的財産権の専門部門を設け、自社が保有する技術について特許権等の取得による保護を図るほか、他社の権利に抵触しないよう取り組んでまいります。(9)法的規制等による影響 当社グループは、国内において製造物責任法、輸出貿易管理令等の規制を受けているほか、事業展開する各国においては、CEマーキング、電気電子機器の特定有害物質使用規制等に加え、関税や移転価格税制等の様々な法令や規制の適用を受けております。これらの規制を遵守できずに当社グループの活動が制限された場合、または規制改正や新たな規制適用による対応のため当社グループのコストが増加した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、製造業に関連するグローバルベースの各種法的規制等の調査・管理ワークフローの見直しをプロジェクト体制で行い、これらを遵守するよう取り組んでまいります。(10)重要な訴訟 当社グループは、事業活動を展開する中で、ステークホルダーとの係争案件が発生する可能性がありますが、特に重要な訴訟等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、専門部門である法務部が主導して弁護士等を交え、円滑な解決に向けて取り組んでまいります。(11)情報セキュリティに係るリスク 当社グループにおいて、情報セキュリティの脆弱性やサイバー攻撃により、機密情報の漏洩による信頼性低下や信用の失墜、サービスやシステムが停止することによる業務停止や顧客サービスの低下、外部からの攻撃や強迫による金銭的損害や企業イメージの失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、専門部門である経営情報システム部が主導して、セキュリティポリシーの策定とそれに基づく徹底した情報管理及び社員教育の実施や、システムのバックアップ及びセキュリティ強化による防御力の向上と、脆弱性の監視・対策等に取り組んでまいります。(12)投資等に係るリスク 当社グループは、単独または他社と共同で新会社の設立や既存会社の買収等を行っております。これら投資等の価値が低下した場合、あるいは追加資金拠出が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、既存の投資事業に関しては客観的な事業性と成長性の評価とともに、新規の投資事業に際してはリスクとリターンの検証を十分に行ってまいります。(13)自然災害・感染症等 当社グループは、長野県東御市に本社・研究開発施設・工場を有しており、この地域に大規模な自然災害の発生や感染症が拡大した場合、役職員の出社困難や世界経済全体の低迷等により、事業活動が停滞し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、近年の気候変動に伴う台風や集中豪雨等の異常気象によるサプライチェーンの寸断や操業一時停止等が生じた場合、さらには脱炭素社会の進展に伴う各種環境規制の強化や市場環境の変化による対応コストの増加等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、大規模な自然災害や異常気象の発生時においても被害を最小限にとどめ、速やかな業務再開を可能とするため、事業継続計画(BCP)策定・整備を進めております。また、日頃からの安全・衛生活動により社員の啓蒙と予防に努める等、適切な管理体制を構築し、顧客や取引先並びに従業員の安全確保を最優先にしつつ、業績への影響を最小限にとどめる取り組みを適切に実施してまいります。気候変動リスクへの対応としては、気候変動が事業に与える中長期的な影響(エネルギーコストや調達環境への影響等)の分析を行うとともに、環境規制の強化等の移行リスクへの対応として省エネ・低炭素化に向けた取り組みを推進してまいります。なお、詳細な分析や体制につきましては、『第2 [事業の状況] 2 [サステナビリティに関する考え方及び取組]』に記載しております。