事業の概要
- 多角的な事業展開: オムロンは、電気機械器具、電子応用機械器具、精密機械器具、医療用機械器具、その他の一般機械器具の製造・販売を中核事業としています。産業用制御機器から生活・公共関連機器まで幅広い製品を提供し、多様な顧客ニーズに対応することで収益を上げています。
- ソリューションビジネスへの進化: モノづくりだけでなく、データ活用によるソリューション提供へとビジネスモデルを進化させています。2023年12月にデータソリューション事業本部を新設し、デバイスから得られるデータと外部データを組み合わせることで、新たな価値創造を目指しています。
- グローバルな事業展開: 世界163の子会社と10の関連会社(2026年3月31日現在)を擁し、製品・サービスをグローバルに展開しています。特に血圧計や体温計などのヘルスケア製品は世界130カ国以上で販売されており、国際市場での収益獲得を重視しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 産業オートメーション事業(IAB): 製造業のモノづくりを革新する制御機器事業で、「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」をビジョンとしています。独自の価値創造コンセプト“i-Automation!”に基づき、幅広い制御機器と革新的ソリューションで産業の高度化と働く人々の幸せに貢献しています。
- ヘルスケア事業(HCB): 「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションとし、血圧計、体温計、ネブライザなどの医療機器とサービスを世界130カ国以上に提供しています。循環器疾患と呼吸器疾患、痛みの分野で予防医療の実現を目指し、遠隔患者モニタリングサービスも展開しています。
- 社会システム事業(SSB): 「世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続ける豊かな社会を創造する」ことをミッションに、社会インフラを支える事業を展開しています。蓄電システム、駅務システム、交通管制システム、UPS(無停電電源装置)など幅広い製品・システムを提供し、エンジニアリングから保守メンテナンスまで一貫して行っています。
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3【事業の内容】当社グループは、当社および子会社163社(国内75社、海外88社)、関連会社10社(国内7社、海外3社)により構成(2026年3月31日現在)しており、電気機械器具、電子応用機械器具、精密機械器具、医療用機械器具、およびその他の一般機械器具の製造・販売およびこれらに付帯する業務を中心とした事業を営んでいますが、その製品の範囲は産業用制御機器コンポーネントの全分野およびシステム機器、さらには生活・公共関連の機器・システムへと広範囲に及んでいます。また、当社グループ全体をモノづくりからソリューションビジネス(モノ+サービス)へ進化させることを目指し、2023年12月にデータソリューション事業本部を新設いたしました。 オペレーティング・セグメントごとの主要な事業内容、および主な関係会社は次のとおりです。なお、当連結会計年度より電子部品事業を非継続事業へ分類しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅱ 主な科目の内訳および内容の説明 Y 非継続事業」に記載のとおりです。 (1)インダストリアルオートメーションビジネス(IAB、制御機器事業)制御機器事業は、「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」をビジョンに、オムロンがこれまでに培ってきた“センシング&コントロール+Think”のコア技術を基盤に、世界中の製造業のモノづくりを先進のオートメーションで革新し、産業の発展に貢献してきました。独自の価値創造コンセプト“i-Automation!”(*)を掲げ、業界随一の幅広い制御機器を軸に、製造業を中心に急激に変化する社会課題を革新的ソリューションで解決し、産業の高度化とともに働く人々の幸せの実現に貢献する社会価値の創出を目指します。(*)当社は、モノづくり現場の課題解決を通じて社会価値を創出する価値創造コンセプト“i-Automation!”を提唱し、モノづくり革新を牽引しながら地球環境との共存と人々の働きがいを実現するサステナビリティに向けたオートメーションの提供を推進しています。“i-Automation!”は、人をより創造的な役割に誘い、現場生産性の最大化とエネルギー効率を両立する「人を超える自働化」、人の可能性を最大に引き出し、人と機械が共に成長・進化する「人と機械の高度協調」、そして製造現場や設備をデジタル空間で再現し、モノづくり現場のDXを加速させ、業務プロセスの革新に貢献する「デジタルエンジニアリング革新」の3つのコンセプトの具現化を目指しています。 (2)ヘルスケアビジネス(HCB、ヘルスケア事業)ヘルスケア事業は、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションに、誰でも簡単・正確に測定できる使いやすさと、医療現場でも活用できる精度と品質にこだわった医療機器とサービスを提供しています。「Going for Zero -予防医療で世界を健康に-」を事業ビジョンに掲げ、循環器疾患と呼吸器疾患、日常生活に影響する痛みの分野において、当社がこれまで培った技術と知見をいかしたデバイスとサービスをグローバルに提供しています。血圧計や体温計、喘息治療薬を吸入するための機器であるネブライザなど、各国や地域における医療機器認証に適合したデバイスを世界130ヵ国以上に展開しています。また、近年においてグローバルに普及がすすむ遠隔診療サービスの領域では、医師が遠隔で患者が測定した日常のバイタルデータをモニタリングして、よりよい治療につなげる遠隔患者モニタリングサービスを欧州や米国を中心に展開しています。 (3)ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(SSB、社会システム事業)社会システム事業は、「世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続ける豊かな社会を創造する」ことをミッションに、社会インフラを支える事業を展開しています。蓄電システムや太陽光発電用パワーコンディショナーなどのエネルギー関連製品、自動改札機・券売機に代表される駅務システム、交通管制・道路管理システム、UPS(無停電電源装置)やインフラモニタリングなど、幅広い製品・システムを提供しています。また、エンジニアリングから運用管理・保守メンテナンスまでを一体で提供するM&S(マネジメント&サービス)により、社会インフラの安定稼働に貢献しています。 (4)デバイス&モジュールソリューションズビジネス(DMB、電子部品事業) (非継続事業)電子部品事業は、「我々のデバイスとモジュールで、顧客の価値を創造し、地球上の人と社会に貢献する」をミッションとしています。EV・モビリティやエネルギーインフラ、家電製品、産業機器など、幅広い業界の顧客に対して、電気を繋ぐ・切るためのコア部品となる、リレー、スイッチ、コネクターや、さまざまな製品の目や耳になるセンサなどのデバイスやモジュールを、全世界で提供しています。 (5)データソリューションビジネス(DSB、データソリューション事業)データソリューション事業は、「モノの枠を超えるビジネスへ。オムロンを変革し、真の顧客価値を創出する。」をミッションとし、オムロングループ全体をモノづくりからデータを活用したソリューションビジネスに進化させます。デバイスやコンポーネントから得られる各事業の膨大な現場データと、2023年10月にグループに加わった株式会社JMDCのデータマネジメント力、ソリューション開発力を組み合わせることで、SF2030で掲げる3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」を解決し、次の成長事業を創造します。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 医療機器認証取得製品や独自のオートメーション技術による差別化。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 “センシング&コントロール+Think”のコア技術、i-Automation!、AI技術ViLaIn。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:事業ポートフォリオリスク / 品質リスク / 会計・税務リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
オムロンは、ヘルスケア分野における「お薬おくすり手帳」アプリや、FA分野での長年の実績に基づくブランド認知度を有する。しかし、特許やIPによる明確な独占性は限定的であり、競合他社も類似技術を開発可能。
スイッチングコスト★★★☆☆
産業用オートメーション(FA)分野では、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やセンサーなどのシステム連携が重要。一度オムロン製品で構築された生産ラインは、互換性や再設定の手間から他社製品への切り替えコストが高くなる傾向がある。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果を直接的に生み出すようなプラットフォームビジネスや、ユーザー数増加がサービス価値を指数関数的に高める事業モデルは、現時点では見られない。
コスト優位★☆☆☆☆
グローバルな生産体制と効率化努力は存在するが、電気機器業界全体として価格競争も激しく、構造的な圧倒的コスト優位を確立しているとは言えない。
規模の経済★★★★☆
FA機器、ヘルスケア機器、社会システム分野において、グローバルで一定以上のシェアを確保しており、規模の経済が働きやすい環境にある。特にFA分野では、主要プレイヤーとして安定した地位を築いている。
- 「センシング&コントロール+Think」のコア技術: 長年培ってきた「センシング&コントロール+Think」という独自のコア技術を基盤に、製造業の自動化やヘルスケア分野での精密な測定機器開発を推進しています。これにより、高精度で信頼性の高い製品を提供し、競合との差別化を図っています。
- 幅広い製品ラインナップとソリューション提供力: 産業用制御機器の全分野をカバーする幅広い製品群と、駅務システム、交通管制システム、医療機器など多岐にわたるソリューションを提供しています。これにより、顧客の多様な課題に対して最適な組み合わせで対応できる強みを持っています。
- 予防医療と社会インフラへの貢献: ヘルスケア事業では「Going for Zero -予防医療で世界を健康に-」を掲げ、循環器疾患や呼吸器疾患の予防に貢献する医療機器とサービスを提供しています。また、社会システム事業では蓄電システムや自動改札機など、社会インフラを支える製品・システムを提供し、社会貢献を通じて事業基盤を強化しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 企業理念に基づく経営: 創業以来の社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を礎に、事業を通じて社会の発展に貢献することを経営の根幹としています。企業理念の実践を通じて、持続的な企業価値の向上を目指しています。
- 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」: 2022年度から2030年度までの長期ビジョン「SF2030」を掲げ、社会変革期における社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献することを目指しています。特に「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」の3つの課題解決に注力します。
- 「人が活きるオートメーション」の追求: 工業社会の「機械による人の作業の代替」から進化し、「代替、協働、融和を最適に組み合わせて人の能力を最大限に発揮させる」オートメーションを目指しています。この「人が活きるオートメーション」を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下で構成しています。(1)経営方針(2)長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)(3)中期経営計画「SF 1st Stage」と構造改革プログラム(2022~2025年度)(4)中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(2026~2030年度)(5)SF 2nd Stageの経営目標 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、文中における「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」 を控除したものを表示しています。 (1) 経営方針①当社グループの企業理念 当社グループは、「企業は社会の公器」であるという考えに基づき、事業を通じてよりよい社会づくりに貢献することを使命とし、その実現に向け、企業理念を軸にした経営を実践しています。企業理念は、創業者・立石一真が、1959年に制定した社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を礎としています。1990年には、企業理念体系を導入し、その後、時代の変化に合わせて改良してきました。現在の企業理念は2015年に改訂したものです。2022年には、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていく当社の経営の根幹は普遍であることを明確にするために、定款に「企業理念の実践」を記載しました。 ②企業理念に基づく経営のスタンス 当社グループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を2015年に設定しました。「長期ビジョンを掲げ、事業を通じて社会的課題を解決すること」、「真のグローバル企業を目指し、公正かつ透明性の高い経営を実現すること」、「すべてのステークホルダーと責任ある対話を行い、強固な信頼関係を構築すること」を掲げ、企業理念の実践を通じた持続的な企業価値の向上を目指しています。 < 経営のスタンス > この「経営のスタンス」は、企業の永続的な成長を目指すものであるため、当社グループの「サステナビリティ方針」としても同内容を掲げています。 ③当社グループの存在意義 当社グループでは、甚大化・頻発化する自然災害、超高齢社会への突入、経済格差の拡大、地政学リスクの高まりなど、不確実で、これまでに経験したことのない多くの社会変化に直面する状況の中でも、当社が当社らしくあり続けるために、2021年に自社の存在意義を「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」と再定義しました。存在意義は、企業理念の実践そのものです。社会がどのように変化しようとも、これは、変わることはありません。 < 存在意義 > (2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度) 当社グループでは、2022年度から2030年度までの長期ビジョン「Shaping The Future 2030」、(略称:「SF2030」)を掲げています。社会が変革期を迎える中、存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めたものです。 ①「SF2030」ビジョンステートメント 人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける 近未来を描き、ソーシャルニーズを感知・発掘し、オートメーションで新たな価値を創造する。私たちはこれを、“ソーシャルニーズの創造”とよび、創業以来この実践を通じて、よりよい社会づくりに貢献してきました。持続的発展が可能な社会・経済システムづくりへの貢献は、オムロンの存在意義そのものです。私たちは、これからも変わることなく企業理念経営の実践に取り組みます。工業社会で必要とされたオートメーションは、機械による人の作業の代替でした。“自律社会”で求められるのは、代替、協働、融和を最適に組み合わせて人の能力を最大限に発揮させるオートメーションです。これからのオートメーションを、“人が活きるオートメーション”と定めその実現に向けて、センシング&コントロール+Think技術を進化させていきます。多くの社会的課題が生じる次の10年、私たちは存在意義を発揮し、“人が活きるオートメーション”によって、カーボンニュートラルの実現、デジタル化社会の実現、健康寿命の延伸に貢献し、社会全体の豊かさと、自分らしさの追求が両立する自律社会の実現を目指します。 「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。 ②オムロンが創出する社会価値 当社グループでは、長期ビジョン策定にあたり多くの社会的課題が噴出する10年を、新たな市場と事業を創造する大きなチャンスと捉えました。SF2030では、このチャンスを確実に捉えるために優先する社会の変化因子を、「高齢化」「気候変動」「個人の経済格差の拡大」の3つに絞りました。この3つの変化因子から、オムロンが捉えるべき社会的課題を3つ設定しました。具体的には、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」です。この3つの課題は、社会に与えるインパクトが大きいことに加え、オムロンの強みであるオートメーションや顧客資産、事業資産を活かす観点から設定しました。 カーボンニュートラルの実現においては、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステムづくりに貢献します。デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的で、かつ持続可能な社会を実現するモノづくりやインフラづくりに貢献します。そして、健康寿命の延伸においては、あらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで、高齢化社会における問題解決に真正面から取り組んでいます。 <オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値> これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて3つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。 < 3つのドメインが創出する社会価値 > (ⅰ)インダストリアルオートメーション インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、幅広い商品ラインナップと現場密着で培ったノウハウを強みに、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、グローバルの顧客現場で使用されているデバイス群を引き続き強化します。そして、それらデバイスから得られる高品質データを価値ある形に変換しDXを実現することで、顧客の製造現場をサステナブルにすることに貢献していきます。 (ⅱ)ヘルスケアソリューション ヘルスケアソリューションでは「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。 (ⅲ)ソーシャルソリューション ソーシャルソリューションでは「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。 ③「SF2030」策定時におけるサステナビリティ重要課題 「SF2030」では、①企業理念と存在意義②2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング③環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請の観点および外部有識者との対話から得た示唆を踏まえて、経営レベルで議論を重ねて5つのサステナビリティ重要課題を設定しました。これらの課題に取り組むことで、社会価値と経済価値の両方を創出し、企業価値の最大化を目指しました。 サステナビリティ重要課題は、企業への要請や事業環境の変化などに対応していくため、定期的に確認・見直しを行います。 < 「SF2030」策定時におけるサステナビリティ重要課題 > SF2030策定時におけるサステナビリティ重要課題SF2030目標1事業を通じた社会的課題の解決事業を通じた社会的課題の解決により、社会価値を創出するとともにオムロンの持続的な成長を牽引するSF2030でフォーカスする社会の変化因子「高齢化」、「気候変動」、「個人の経済格差」から、全社で捉える3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」を解決し、持続可能な社会の発展に貢献している状態2ソーシャルニーズ創造力の最大化オムロンの持続的成長のために競争力となるビジネスモデルの進化と新たな事業創出の取組みの拡大必要なコア技術開発の推進やビジネスモデルへの組み込みなどを通じて、既存事業および新規事業の領域でソーシャルニーズ創造力を発揮し、新たな事業を生み出し続けている状態3価値創造にチャレンジする多様な人財づくりオムロンの持続的成長の源泉となるオムロンで働く多様な人財の能力やスキルを引き出す人財マネジメントの進化オムロンで働く多様な人財が成長できる機会を提供するとともに、能力・スキルを最大限引き出す人財マネジメントへと進化し、国籍・性別・働き方と関係なく、多様な人財が集まり、誰もが活躍している状態4脱炭素・環境負荷低減の実現気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉えた企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築バリューチェーンにおける温室効果ガスの排出削減と資源循環モデルの構築を通じて、社会的課題を解決すると共に、更なる競争優位性が構築されている状態・Scope1・2(注1):2016年度比△65%・Scope3 カテゴリー11(注2):2016年度比△18%5バリューチェーンにおける人権の尊重企業の社会的責任として、自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対する影響力の発揮国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿って自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対して影響力を発揮し、人権侵害を許さない、発生させない風土と仕組みが形成されている状態 (注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス 2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は 製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出 ※「SF2030」の詳細は、当社ウェブサイトでご覧いただけます。 https://www.omron.com/jp/ja/sf2030/ ※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、当社ウェブサイトでご覧いただけます。 https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/omron_csr/sustainability_management/ (3) 中期経営計画「SF 1st Stage」と構造改革プログラム(2022~2025年度)①「SF2030」における中期経営計画「SF 1st Stage」の変更 当社グループでは、2022年度から2024年度を中期経営計画「SF 1st Stage」とし、「SF2030」ビジョン達成に向け、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置付け、社会構造の変化に伴う成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することにより力強い成長を実現することを目指しました。しかしながら、2023年度に、中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など、事業環境が想定以上に悪化したことに加え、当社グループの成長を牽引する事業やエリアが一部に偏っていたことで、この急激な変化に対応できず、業績が大幅に悪化しました。 このような状況を受け、当社グループは、当初2024年度までとしていたSF 1st Stageを取り下げ、2024年4月1日から2025年9月末までを「構造改革期間」とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行しました。 < 中期経営計画の変更 > ②構造改革プログラム「NEXT2025」の総括 当社グループでは、「NEXT2025」において、収益を伴った持続的な売上成長を確かなものとし、持続的な企業価値向上を実現すべく、「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」を軸とした5つの経営施策を実行しました。5つの経営施策の具体的な取組みは以下のとおりです。 <「NEXT2025」経営施策の取組み > (ⅰ)制御機器事業(IAB)の早急な立て直し制御機器事業の再成長に向けた取組み 当初計画・事業の再成長に向け、顧客起点かつ実効性の観点から戦略・計画を刷新。・構造改革期間での、制御機器事業の営業利益率の最大化と、SF2030で期待する成長 を実現する基盤を確立するために、リソースアロケーションを見直し、施策の実行 を加速。取組みと成果・事業基盤(顧客基盤/業務オペレーション)の強化に向けた変革のための10の タスクフォースを立ち上げ、12の取組みを実行。・顧客のニーズを確実にとらえ顧客基盤を拡大させるとともに、商品・サービスへの フィードバックに迅速に対応することで、顧客満足度を高める好循環を生み出し、 安定的な成長の実現を目指し、グローバル11万顧客の可視化(Customer Base Map) を開始。・注力領域へのリソースアロケーションを実施し、顧客・業界ニーズを捉えた新商品 を33機種リリース完了。(2024年度:11機種、2025年度:22機種)・制御機器事業の2025年度の売上高および営業利益、営業利益率の改善。 (売上高:前期比12.3%増加、営業利益:前期比18.0%増加、営業利益率:前期比+0.5P) (ⅱ)収益・成長基盤の再構築1.ポートフォリオの最適化 当初計画・事業・製品・エリアの各ポートフォリオの最適化を行い、事業を取り巻く環境変化 に対する耐性の強化と、収益を伴った持続的な成長を実現。・データソリューション事業本部の主導で、JMDC社のケイパビリティも活用した 制御機器・ヘルスケア・社会システム事業領域でのデータソリューションビジネス の創造加速にも取り組む。取組みと成果・全事業の再評価を行い、成長事業・エリアへの優先投資に加え、低収益事業の 収益化の取組みや収束の検討を完了。13事業を注力事業として特定。・全52事業の最適化を進め、注力事業13事業(注1)、キャッシュカウ事業22事業(注2)の 35事業(注2)に整理完了。・電子部品事業(DMB)の分社化検討開始し、2026年3月に事業譲渡を発表。・社会システム事業(SSB)の決済端末事業の収束。・ヘルスケア事業(HCB)のブラジル工場の生産終了。・グループ全体のデータソリューションの拡大および顧客のDX・AI活用を推進する オムロン デジタル株式会社を新設。・コーポレートヘルス事業の本格始動に向け、株式会社iCAREの全株式を取得。2.人員数・能力の最適化 当初計画・顧客価値の拡大を実現し、収益を伴った持続的な成長を実現する人員・人件費構造を 構築するために、グローバルに人員数・能力の最適化を実施。取組みと成果・人員数最適化を完了。マネジメント層の最適配置、能力強化策を実行。 (グローバル合計で2,526名(国内1,206名、海外1,320名)が退職)3.固定費生産性の向上 当初計画・グループ全体で固定費生産性の最大化を追求。・売上高に対する販管費の比率について中期的に30%未満(JMDC社連結影響除き28% 未満。2023年度の実績は32.0%)を実現する固定費規律の導入と運用の徹底。取組みと成果・新たな固定費規律にもとづいた固定費管理の徹底や、間接材購買の集約化や拠点の 統廃合など、固定費生産性の向上に向けた取組みを実施。・アジアパシフィックおよび米州のエリア統括本社の解消による間接コストの適正化。・トランスコスモス社とのJV設立による国内バックオフィス業務の効率化・高質化。・販管費の比率の低減:販管費の比率 2025年度 31.9%(2024年度 33.1%)(注3)。4.顧客起点マネジメントシステムの導入・運用 当初計画・経営・事業・本社のマネジメントを顧客起点での思考・行動に変革する施策の導入と 運用。取組みと成果・顧客起点を全社の指針とし、顧客起点での思考・行動を実践するためのKPIを全部門で 設定し実行。・マネジメント層が顧客起点での思考・行動を実践するための新たな人事施策を設計、 運用を開始。・パフォーマンスマネジメントとピープルマネジメントを両立できているマネージャー の割合が前年度から増加。国内のマネージャーの半数近くが両立。 (注) 1 2026年3月末日時点 2 2026年3月末日時点、事業譲渡が決定した電子部品事業は除く 3 非継続事業(電子部品事業)を除外して算出 業績悪化の要因となった課題に早急に対応したことで制御機器事業を中心に各事業の再成長への道筋をつけると共に、2024年度および2025年度の2年間で、固定費を2023年度比で約350億円削減したことで、2年連続の増益を達成しました。一方、売上高、営業利益共に過去最高水準に到達できていないこと、ROICやROEなどの指標が資本コストを下回る水準であることから、収益・成長基盤の再構築は道半ばであると認識しております。 今後は、この改善基調を早期に定着させると共に、ビジネスモデルのトランスフォーメーションや成長を促進する事業ポートフォリオマネジメント、収益・成長基盤の再構築、顧客起点を実現する社内風土改革など、収益を伴った持続的成長の実現に向けた本質的な課題の解決に取り組んでいきます。 (4) 中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(2026~2030年度) 「NEXT2025」の成果と課題を踏まえ、2026年度から2030年度までの新たな中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(以下 SF 2nd Stage)に2026年4月より取り組みます。 ① オムロンが目指す「GEMBA DX企業」 長期ビジョンで想定している社会の変化因子は、SF 2nd Stageの期間においても社会に与えるインパクトの拡大・深化が見込まれることから、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」の3つを当社グループが捉えるべき社会的課題としました。一方で、ハードウェアの提供だけでは、今後、さらに複雑化・深化していく3つの社会的課題の本質的な解決に貢献するのは難しくなっています。 SF 2nd Stageでは、当社グループの強みである「グローバルの現場に敷き詰められた高シェアのデバイス群」から得られる「高品質なデータおよびその他の現場にあるデータ」および、長年、顧客と共に「現場で蓄積してきた課題解決のノウハウ・知見」を「現場のデータやノウハウを突合し価値ある情報へ変換する技術」で組み合わせ、顧客の本質的課題を解決するデータサービスを提供する「GEMBA DX企業」への転換を目指しています。 < 「GEMBA DX企業」の姿 > ② SF 2nd Stageの位置付けと方針 SF 2nd Stageは、2030年以降にデータサービスによる新たな成長を実現する「GEMBA DX企業」への転換のための期間としています。2030年までの5年間は、デバイス事業を成長の原動力とするため、デバイス事業の競争力強化に軸足を置きます。デバイス事業の競争力を強化し、シェアを高めることで競争優位性を再度鍛え上げていきます。このような考えのもと、SF 2nd Stageの方針を「Trusted Growth ~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~」としました。 < GEMBA DXの実現に向けたタイムライン > < SF 2nd Stage方針 > Trusted Growth~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~ ③ SF 2nd Stage コア戦略「事業ポートフォリオの再構築」 SF 2nd Stageでは、「事業ポートフォリオの再構築」をコア戦略とします。「収益性」「市場成長性」「データサービス事業(注)との親和性」の観点から、52事業のうち、グループの成長を牽引する13事業を新たな注力事業として特定しました。 注力事業は、8つのデバイス事業(コントローラ、汎用センサ、セーフティ、制御コンポ、基板検査装置、血圧計、家庭用心電、蓄電システム)と5つのデータサービス事業(IAデータソリューション、データヘルス、コーポレートヘルス、デジタルヘルス、M&S)で構成されます。残りの39事業は、キャッシュカウ事業として位置付け、市況変化に応じた投資を行い、高収益化を着実に進めていきます。なお、2026年3月に発表したデバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化および譲渡後の継続事業におけるキャッシュカウ事業は22事業となります。 投資に関しては、まず8つの注力デバイス事業に集中し、事業の競争優位性を高め市場占有率を拡大することで、市場成長以上の事業成長を実現し、確かな成長の土台を築き上げます。そして、注力デバイス事業から得られたキャッシュを5つのデータサービス事業に投資し、データサービス事業の売上比率を向上していくことで、当社グループ全体の成長を最大化する尖りのある事業ポートフォリオに進化させていきます。 (注)データサービス事業とは、オムロン製品などから得られる高品質な現場データを活用し、長年にわたり蓄積してきた知見・ノウハウに基づいて価値ある情報へと変換することで、顧客の課題解決に貢献する事業です。 < SF 2nd Stageでの投資サイクル > デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化および譲渡 当社は、2025年9月19日付「デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化の検討開始に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社のデバイス&モジュールソリューションズカンパニーが営む事業(以下「DMB(電子部品事業)」)の分社化について検討してまいりました。当社は、2026年3月30日開催の取締役会において、当社の子会社であるオムロンデバイス株式会社(以下「本承継会社」)にDMB(電子部品事業)を吸収分割の方法により承継させること、当社グループ内において海外各国・地域における当社のグループ会社が保有するDMB(電子部品事業)に関連する株式及び資産等の譲渡を実施すること(以下「本株式譲渡」)、及び本承継会社の全株式をThe Carlyle Groupが設立するTCG2601 株式会社の完全子会社であるTCG2602 株式会社(以下「本SPC」)に譲渡することを決定し、2026年3月30日付で本承継会社との間で吸収分割契約書を、また、本SPCとの間で株式譲渡契約書をそれぞれ締結しました。 本株式譲渡実行日は2026年10月1日を予定しています。 本株式譲渡は当社が、2025年11月に公表した「中期ロードマップ SF 2nd Stage」で掲げる事業ポートフォリオの再構築の加速-すなわち、IA(インダストリアルオートメーション)を中心としたデバイス事業領域とデータサービス事業領域における13の注力事業の拡大に向けて、投資のさらなる集中を可能とするものです。 ④ SF 2nd Stageにおける経営体制強化 当社グループは、SF 2nd Stageの成長戦略をリードする経営体制として、従来の最高財務責任者(CFO)、最高技術責任者(CTO)、最高人事責任者(CHRO)の3つの役職に加え、最高情報責任者(CIO)、最高DX責任者(CDXO)、最高リスク管理責任者(CRO)の3つの役職を最高経営責任者(CEO)の直下に新たに設置しました。そして、コーポレート機能を担う6つの役職(CxO)の責任権限を中期ロードマップの戦略にあわせて再定義すると共に、それぞれの機能をCxOに権限移譲しました。また、併せて事業ごとの意思決定についても各ビジネスカンパニー(BC)に権限を移譲しました。 この体制により、CxOが担当領域における全社方針の策定から実行まで一貫して責任を担い、現場の素早い判断と意思決定を支える「スピード経営」を加速します。また、全社施策を担うCxOと事業戦略を担うBCとが一体となり執行することで実行力を強化し、顧客起点での価値創出と成果の最大化を推進します。 各CxOの役割は以下のとおりです。 < 各CxOの役割 > 役職名役割最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer)当社グループの財務価値を向上させることに責任を持つ。全社中計・短計および経営課題の設定、事業ポートフォリオの再編、キャピタルアロケーション、資本市場との対話に関する権限を持ち、利益を伴った成長の実現を推進する。最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)コア技術の強化と開発生産性を高めることに責任を持つ。全社重要技術戦略の策定と実行、注力事業を支える重要商品・サービスの企画への参画と開発投資の決定、「GEMBA DX企業」に向けた先行投資の策定・実行の権限を持ち、競合に打ち勝つ技術の創造を推進する。最高人事責任者(CHRO:Chief Human Resources Officer)グループ横断での経営人財の継続的な輩出とエンゲージメントの向上に責任を持つ。経営人財の採用・配置と後継者育成、成果に応じた評価・処遇の運用徹底の権限を持ち、チャレンジ精神旺盛な企業文化の醸成を推進する。最高情報責任者(CIO:Chief Information Officer)業務品質・効率と、収益性・リスク耐性を高めるデータドリブン経営の推進に責任を持つ。グループ横断でのIT投資の優先順位付けやリソース配分計画の策定・実行の権限を持ち、生産性と実行スピードを両立する業務プロセスのDXを推進する。最高デジタルトランスフォーメーション責任者(CDXO:Chief Digital Transformation Officer)グループ横断でのデータサービス事業の成長実現とデジタルエンジニアリング力の強化に責任を持つ。成長実現に資する戦略および必要なリソース投資計画の策定・実行の権限を持ち、データサービス事業の立ち上げや成長を加速させ、事業のDXを推進する。最高リスク管理責任者(CRO:Chief Risk & compliance Officer)当社グループの持続可能性を高めるための内部統制システムの強化と運用徹底に責任を持つ。重要リスクを定め現場組織に予防策の徹底を指示し、その結果をモニタリング・是正する権限を持ち、企業価値の毀損を防ぐ取り組みを推進する。 (5) SF 2nd Stageの経営目標 SF 2nd Stageにおいても、事業とサステナビリティを融合した社会価値創出を継続するため、経営目標として、財務目標と非財務目標を設定しました。 財務目標では、2030年度に、売上高の年平均成長率:7%、営業利益率:12%、自己資本利益率(ROE):10~12%、投下資本利益率(ROIC):8~10%、1株当たり純利益(EPS)成長率:20%、データサービス売上比率:15%を目指します。 非財務目標では、マテリアリティ(=サステナビリティ重要課題)として特定した、事業を通じた社会的課題の解決、ソーシャルニーズ創造力の最大化、人財の可能性を引き出し成長を加速、レジリエントなサプライチェーン構築、脱炭素・循環経済の実現による環境負荷の低減、バリューチェーンにおける人権の尊重の6つの領域で定めた指標の目標達成を目指します。 財務および非財務の目標は次の通りです。 ①SF 2nd Stage財務目標指標2025年度実績2030年度挑戦的目標売上高の年平均成長率(CAGR)7.3%7%(注1)営業利益率7.8%12%自己資本利益率(ROE)4.7%(注2)10~12%投下資本利益率(ROIC)3.9%(注2)8~10%1株当たり純利益(EPS)成長率116.5%(注3)~20%データサービス売上比率9%15% (注)1 CAGR:2024年度から2030年度 2 継続事業からの当期純利益ベースで算出した数値 3 対前年度成長率 ②SF 2nd Stage非財務目標(ⅰ)マテリアリティの特定 SF 2nd Stageの非財務目標を定めるにあたり、SF2030で特定した5つのサステナビリティ重要課題(=マテリアリティ)が、SF 2nd Stageの期間においても有効なマテリアリティとなり得るかの確認・見直しを2025年度に行いました。執行会議等での議論、取締役会による承認を経て、SF 2nd Stageにおける6つのマテリアリティを特定しました。今回の確認・見直しでは、2023年度の業績の大幅な悪化、特に営業利益減少の要因となったサプライチェーンの混乱などに、先回りして適切に対応することで、企業の持続可能性を高めていくことを目的に、「レジリエントなサプライチェーン構築」を6つ目のマテリアリティとして追加しました。また、6つのマテリアリティを、事業成長を加速させていく「成長マテリアリティ」、事業継続の基盤として社会の持続可能性を高めていく「基盤マテリアリティ」、事業成長、持続可能性向上の双方に関わる「成長&基盤マテリアリティ」として位置づけを整理しました。 (ⅱ)SF 2nd Stage非財務目標 マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)非財務目標(経済価値創出のKPI)指標2030年度目標成長マテリアリティ事業を通じた社会的課題の解決<インダストリアルオートメーション>・「Customer Base Map」占有数拡大率・2024年度比:160%<ヘルスケアソリューション>・血圧計販売台数・「OMRON connect」と「Pep Up」の連携ID数・3,172万台(2025年度比:124%)・2024年度比:3,000%<ソーシャルソリューション>・蓄電システム出荷台数・125,000台(2025年度比:252%)ソーシャルニーズ創造力の最大化・インキュベーションフェーズの4事業を 含むデータサービス事業(注1)の全社に 占める売上構成比率・15%(2025年度比:+5P超)成長&基盤マテリアリティ人財の可能性を引き出し成長を加速・社員エンゲージメント (VOICEエンゲージメント指標)(注2)・グローバル 70(2025年度比:+3P)レジリエントなサプライチェーン構築主要製品の調達・生産の複線化推進・IAB: グローバル生産拠点の再編・HCB: インドでの有意なコスト 構造実現・SSB: 蓄電システム生産能力 125,000台の実現基盤マテリアリティ脱炭素・循環経済の実現による環境負荷の低減<脱炭素>・Scope1・2 削減量(1.5℃水準)・Scope3(カテゴリー1・11)削減量 (Well Below2.0℃水準)温室効果ガス(GHG)排出量削減(注3、4)・Scope1・2 2016年度比:▲68%・Scope3 2016年度比:▲35%<循環経済>・資源循環モデルの拡大・拡充・資源循環モデルの拡大・拡充完了・グローバル全生産拠点で ゼロエミッション達成バリューチェーンにおける人権の尊重・オムロンにおける顕著な人権課題ごとに、 UNGPsに沿った人権デューディリジェンス を実施・救済メカニズムの整備・各人権課題に対する人権デュー ディリジェンスの実施完了・人権救済メカニズムの適正運用 の継続 (注)1 データサービス事業の売上は、DSBセグメントで行う事業の売上に加え、DSBセグメント事業以外が行う、現場データを 活用して顧客の課題を解決するサービス事業の売上の合計額 2 組織の目指すゴールに対する社員の自発的な貢献意欲を測定する調査。エンゲージメントスコア65以上が概ね良好とされる 3 事業ポートフォリオの変更に伴い、対象範囲の見直しを実施 4 国際非営利団体「Science Based Targets initiative(SBTi)」の認定後に確定予定
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下で構成しています。(1)経営方針(2)長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)(3)中期経営計画「SF 1st Stage」と構造改革プログラム(2022~2025年度)(4)中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(2026~2030年度)(5)SF 2nd Stageの経営目標 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、文中における「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」 を控除したものを表示しています。 (1) 経営方針①当社グループの企業理念 当社グループは、「企業は社会の公器」であるという考えに基づき、事業を通じてよりよい社会づくりに貢献することを使命とし、その実現に向け、企業理念を軸にした経営を実践しています。企業理念は、創業者・立石一真が、1959年に制定した社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を礎としています。1990年には、企業理念体系を導入し、その後、時代の変化に合わせて改良してきました。現在の企業理念は2015年に改訂したものです。2022年には、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていく当社の経営の根幹は普遍であることを明確にするために、定款に「企業理念の実践」を記載しました。 ②企業理念に基づく経営のスタンス 当社グループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を2015年に設定しました。「長期ビジョンを掲げ、事業を通じて社会的課題を解決すること」、「真のグローバル企業を目指し、公正かつ透明性の高い経営を実現すること」、「すべてのステークホルダーと責任ある対話を行い、強固な信頼関係を構築すること」を掲げ、企業理念の実践を通じた持続的な企業価値の向上を目指しています。 < 経営のスタンス > この「経営のスタンス」は、企業の永続的な成長を目指すものであるため、当社グループの「サステナビリティ方針」としても同内容を掲げています。 ③当社グループの存在意義 当社グループでは、甚大化・頻発化する自然災害、超高齢社会への突入、経済格差の拡大、地政学リスクの高まりなど、不確実で、これまでに経験したことのない多くの社会変化に直面する状況の中でも、当社が当社らしくあり続けるために、2021年に自社の存在意義を「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」と再定義しました。存在意義は、企業理念の実践そのものです。社会がどのように変化しようとも、これは、変わることはありません。 < 存在意義 > (2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度) 当社グループでは、2022年度から2030年度までの長期ビジョン「Shaping The Future 2030」、(略称:「SF2030」)を掲げています。社会が変革期を迎える中、存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めたものです。 ①「SF2030」ビジョンステートメント 人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける 近未来を描き、ソーシャルニーズを感知・発掘し、オートメーションで新たな価値を創造する。私たちはこれを、“ソーシャルニーズの創造”とよび、創業以来この実践を通じて、よりよい社会づくりに貢献してきました。持続的発展が可能な社会・経済システムづくりへの貢献は、オムロンの存在意義そのものです。私たちは、これからも変わることなく企業理念経営の実践に取り組みます。工業社会で必要とされたオートメーションは、機械による人の作業の代替でした。“自律社会”で求められるのは、代替、協働、融和を最適に組み合わせて人の能力を最大限に発揮させるオートメーションです。これからのオートメーションを、“人が活きるオートメーション”と定めその実現に向けて、センシング&コントロール+Think技術を進化させていきます。多くの社会的課題が生じる次の10年、私たちは存在意義を発揮し、“人が活きるオートメーション”によって、カーボンニュートラルの実現、デジタル化社会の実現、健康寿命の延伸に貢献し、社会全体の豊かさと、自分らしさの追求が両立する自律社会の実現を目指します。 「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。 ②オムロンが創出する社会価値 当社グループでは、長期ビジョン策定にあたり多くの社会的課題が噴出する10年を、新たな市場と事業を創造する大きなチャンスと捉えました。SF2030では、このチャンスを確実に捉えるために優先する社会の変化因子を、「高齢化」「気候変動」「個人の経済格差の拡大」の3つに絞りました。この3つの変化因子から、オムロンが捉えるべき社会的課題を3つ設定しました。具体的には、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」です。この3つの課題は、社会に与えるインパクトが大きいことに加え、オムロンの強みであるオートメーションや顧客資産、事業資産を活かす観点から設定しました。 カーボンニュートラルの実現においては、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステムづくりに貢献します。デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的で、かつ持続可能な社会を実現するモノづくりやインフラづくりに貢献します。そして、健康寿命の延伸においては、あらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで、高齢化社会における問題解決に真正面から取り組んでいます。 <オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値> これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて3つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。 < 3つのドメインが創出する社会価値 > (ⅰ)インダストリアルオートメーション インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、幅広い商品ラインナップと現場密着で培ったノウハウを強みに、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、グローバルの顧客現場で使用されているデバイス群を引き続き強化します。そして、それらデバイスから得られる高品質データを価値ある形に変換しDXを実現することで、顧客の製造現場をサステナブルにすることに貢献していきます。 (ⅱ)ヘルスケアソリューション ヘルスケアソリューションでは「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。 (ⅲ)ソーシャルソリューション ソーシャルソリューションでは「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。 ③「SF2030」策定時におけるサステナビリティ重要課題 「SF2030」では、①企業理念と存在意義②2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング③環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請の観点および外部有識者との対話から得た示唆を踏まえて、経営レベルで議論を重ねて5つのサステナビリティ重要課題を設定しました。これらの課題に取り組むことで、社会価値と経済価値の両方を創出し、企業価値の最大化を目指しました。 サステナビリティ重要課題は、企業への要請や事業環境の変化などに対応していくため、定期的に確認・見直しを行います。 < 「SF2030」策定時におけるサステナビリティ重要課題 > SF2030策定時におけるサステナビリティ重要課題SF2030目標1事業を通じた社会的課題の解決事業を通じた社会的課題の解決により、社会価値を創出するとともにオムロンの持続的な成長を牽引するSF2030でフォーカスする社会の変化因子「高齢化」、「気候変動」、「個人の経済格差」から、全社で捉える3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」を解決し、持続可能な社会の発展に貢献している状態2ソーシャルニーズ創造力の最大化オムロンの持続的成長のために競争力となるビジネスモデルの進化と新たな事業創出の取組みの拡大必要なコア技術開発の推進やビジネスモデルへの組み込みなどを通じて、既存事業および新規事業の領域でソーシャルニーズ創造力を発揮し、新たな事業を生み出し続けている状態3価値創造にチャレンジする多様な人財づくりオムロンの持続的成長の源泉となるオムロンで働く多様な人財の能力やスキルを引き出す人財マネジメントの進化オムロンで働く多様な人財が成長できる機会を提供するとともに、能力・スキルを最大限引き出す人財マネジメントへと進化し、国籍・性別・働き方と関係なく、多様な人財が集まり、誰もが活躍している状態4脱炭素・環境負荷低減の実現気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉えた企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築バリューチェーンにおける温室効果ガスの排出削減と資源循環モデルの構築を通じて、社会的課題を解決すると共に、更なる競争優位性が構築されている状態・Scope1・2(注1):2016年度比△65%・Scope3 カテゴリー11(注2):2016年度比△18%5バリューチェーンにおける人権の尊重企業の社会的責任として、自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対する影響力の発揮国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿って自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対して影響力を発揮し、人権侵害を許さない、発生させない風土と仕組みが形成されている状態 (注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス 2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は 製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出 ※「SF2030」の詳細は、当社ウェブサイトでご覧いただけます。 https://www.omron.com/jp/ja/sf2030/ ※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、当社ウェブサイトでご覧いただけます。 https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/omron_csr/sustainability_management/ (3) 中期経営計画「SF 1st Stage」と構造改革プログラム(2022~2025年度)①「SF2030」における中期経営計画「SF 1st Stage」の変更 当社グループでは、2022年度から2024年度を中期経営計画「SF 1st Stage」とし、「SF2030」ビジョン達成に向け、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置付け、社会構造の変化に伴う成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することにより力強い成長を実現することを目指しました。しかしながら、2023年度に、中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など、事業環境が想定以上に悪化したことに加え、当社グループの成長を牽引する事業やエリアが一部に偏っていたことで、この急激な変化に対応できず、業績が大幅に悪化しました。 このような状況を受け、当社グループは、当初2024年度までとしていたSF 1st Stageを取り下げ、2024年4月1日から2025年9月末までを「構造改革期間」とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行しました。 < 中期経営計画の変更 > ②構造改革プログラム「NEXT2025」の総括 当社グループでは、「NEXT2025」において、収益を伴った持続的な売上成長を確かなものとし、持続的な企業価値向上を実現すべく、「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」を軸とした5つの経営施策を実行しました。5つの経営施策の具体的な取組みは以下のとおりです。 <「NEXT2025」経営施策の取組み > (ⅰ)制御機器事業(IAB)の早急な立て直し制御機器事業の再成長に向けた取組み 当初計画・事業の再成長に向け、顧客起点かつ実効性の観点から戦略・計画を刷新。・構造改革期間での、制御機器事業の営業利益率の最大化と、SF2030で期待する成長 を実現する基盤を確立するために、リソースアロケーションを見直し、施策の実行 を加速。取組みと成果・事業基盤(顧客基盤/業務オペレーション)の強化に向けた変革のための10の タスクフォースを立ち上げ、12の取組みを実行。・顧客のニーズを確実にとらえ顧客基盤を拡大させるとともに、商品・サービスへの フィードバックに迅速に対応することで、顧客満足度を高める好循環を生み出し、 安定的な成長の実現を目指し、グローバル11万顧客の可視化(Customer Base Map) を開始。・注力領域へのリソースアロケーションを実施し、顧客・業界ニーズを捉えた新商品 を33機種リリース完了。(2024年度:11機種、2025年度:22機種)・制御機器事業の2025年度の売上高および営業利益、営業利益率の改善。 (売上高:前期比12.3%増加、営業利益:前期比18.0%増加、営業利益率:前期比+0.5P) (ⅱ)収益・成長基盤の再構築1.ポートフォリオの最適化 当初計画・事業・製品・エリアの各ポートフォリオの最適化を行い、事業を取り巻く環境変化 に対する耐性の強化と、収益を伴った持続的な成長を実現。・データソリューション事業本部の主導で、JMDC社のケイパビリティも活用した 制御機器・ヘルスケア・社会システム事業領域でのデータソリューションビジネス の創造加速にも取り組む。取組みと成果・全事業の再評価を行い、成長事業・エリアへの優先投資に加え、低収益事業の 収益化の取組みや収束の検討を完了。13事業を注力事業として特定。・全52事業の最適化を進め、注力事業13事業(注1)、キャッシュカウ事業22事業(注2)の 35事業(注2)に整理完了。・電子部品事業(DMB)の分社化検討開始し、2026年3月に事業譲渡を発表。・社会システム事業(SSB)の決済端末事業の収束。・ヘルスケア事業(HCB)のブラジル工場の生産終了。・グループ全体のデータソリューションの拡大および顧客のDX・AI活用を推進する オムロン デジタル株式会社を新設。・コーポレートヘルス事業の本格始動に向け、株式会社iCAREの全株式を取得。2.人員数・能力の最適化 当初計画・顧客価値の拡大を実現し、収益を伴った持続的な成長を実現する人員・人件費構造を 構築するために、グローバルに人員数・能力の最適化を実施。取組みと成果・人員数最適化を完了。マネジメント層の最適配置、能力強化策を実行。 (グローバル合計で2,526名(国内1,206名、海外1,320名)が退職)3.固定費生産性の向上 当初計画・グループ全体で固定費生産性の最大化を追求。・売上高に対する販管費の比率について中期的に30%未満(JMDC社連結影響除き28% 未満。2023年度の実績は32.0%)を実現する固定費規律の導入と運用の徹底。取組みと成果・新たな固定費規律にもとづいた固定費管理の徹底や、間接材購買の集約化や拠点の 統廃合など、固定費生産性の向上に向けた取組みを実施。・アジアパシフィックおよび米州のエリア統括本社の解消による間接コストの適正化。・トランスコスモス社とのJV設立による国内バックオフィス業務の効率化・高質化。・販管費の比率の低減:販管費の比率 2025年度 31.9%(2024年度 33.1%)(注3)。4.顧客起点マネジメントシステムの導入・運用 当初計画・経営・事業・本社のマネジメントを顧客起点での思考・行動に変革する施策の導入と 運用。取組みと成果・顧客起点を全社の指針とし、顧客起点での思考・行動を実践するためのKPIを全部門で 設定し実行。・マネジメント層が顧客起点での思考・行動を実践するための新たな人事施策を設計、 運用を開始。・パフォーマンスマネジメントとピープルマネジメントを両立できているマネージャー の割合が前年度から増加。国内のマネージャーの半数近くが両立。 (注) 1 2026年3月末日時点 2 2026年3月末日時点、事業譲渡が決定した電子部品事業は除く 3 非継続事業(電子部品事業)を除外して算出 業績悪化の要因となった課題に早急に対応したことで制御機器事業を中心に各事業の再成長への道筋をつけると共に、2024年度および2025年度の2年間で、固定費を2023年度比で約350億円削減したことで、2年連続の増益を達成しました。一方、売上高、営業利益共に過去最高水準に到達できていないこと、ROICやROEなどの指標が資本コストを下回る水準であることから、収益・成長基盤の再構築は道半ばであると認識しております。 今後は、この改善基調を早期に定着させると共に、ビジネスモデルのトランスフォーメーションや成長を促進する事業ポートフォリオマネジメント、収益・成長基盤の再構築、顧客起点を実現する社内風土改革など、収益を伴った持続的成長の実現に向けた本質的な課題の解決に取り組んでいきます。 (4) 中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(2026~2030年度) 「NEXT2025」の成果と課題を踏まえ、2026年度から2030年度までの新たな中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(以下 SF 2nd Stage)に2026年4月より取り組みます。 ① オムロンが目指す「GEMBA DX企業」 長期ビジョンで想定している社会の変化因子は、SF 2nd Stageの期間においても社会に与えるインパクトの拡大・深化が見込まれることから、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」の3つを当社グループが捉えるべき社会的課題としました。一方で、ハードウェアの提供だけでは、今後、さらに複雑化・深化していく3つの社会的課題の本質的な解決に貢献するのは難しくなっています。 SF 2nd Stageでは、当社グループの強みである「グローバルの現場に敷き詰められた高シェアのデバイス群」から得られる「高品質なデータおよびその他の現場にあるデータ」および、長年、顧客と共に「現場で蓄積してきた課題解決のノウハウ・知見」を「現場のデータやノウハウを突合し価値ある情報へ変換する技術」で組み合わせ、顧客の本質的課題を解決するデータサービスを提供する「GEMBA DX企業」への転換を目指しています。 < 「GEMBA DX企業」の姿 > ② SF 2nd Stageの位置付けと方針 SF 2nd Stageは、2030年以降にデータサービスによる新たな成長を実現する「GEMBA DX企業」への転換のための期間としています。2030年までの5年間は、デバイス事業を成長の原動力とするため、デバイス事業の競争力強化に軸足を置きます。デバイス事業の競争力を強化し、シェアを高めることで競争優位性を再度鍛え上げていきます。このような考えのもと、SF 2nd Stageの方針を「Trusted Growth ~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~」としました。 < GEMBA DXの実現に向けたタイムライン > < SF 2nd Stage方針 > Trusted Growth~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~ ③ SF 2nd Stage コア戦略「事業ポートフォリオの再構築」 SF 2nd Stageでは、「事業ポートフォリオの再構築」をコア戦略とします。「収益性」「市場成長性」「データサービス事業(注)との親和性」の観点から、52事業のうち、グループの成長を牽引する13事業を新たな注力事業として特定しました。 注力事業は、8つのデバイス事業(コントローラ、汎用センサ、セーフティ、制御コンポ、基板検査装置、血圧計、家庭用心電、蓄電システム)と5つのデータサービス事業(IAデータソリューション、データヘルス、コーポレートヘルス、デジタルヘルス、M&S)で構成されます。残りの39事業は、キャッシュカウ事業として位置付け、市況変化に応じた投資を行い、高収益化を着実に進めていきます。なお、2026年3月に発表したデバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化および譲渡後の継続事業におけるキャッシュカウ事業は22事業となります。 投資に関しては、まず8つの注力デバイス事業に集中し、事業の競争優位性を高め市場占有率を拡大することで、市場成長以上の事業成長を実現し、確かな成長の土台を築き上げます。そして、注力デバイス事業から得られたキャッシュを5つのデータサービス事業に投資し、データサービス事業の売上比率を向上していくことで、当社グループ全体の成長を最大化する尖りのある事業ポートフォリオに進化させていきます。 (注)データサービス事業とは、オムロン製品などから得られる高品質な現場データを活用し、長年にわたり蓄積してきた知見・ノウハウに基づいて価値ある情報へと変換することで、顧客の課題解決に貢献する事業です。 < SF 2nd Stageでの投資サイクル > デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化および譲渡 当社は、2025年9月19日付「デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化の検討開始に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社のデバイス&モジュールソリューションズカンパニーが営む事業(以下「DMB(電子部品事業)」)の分社化について検討してまいりました。当社は、2026年3月30日開催の取締役会において、当社の子会社であるオムロンデバイス株式会社(以下「本承継会社」)にDMB(電子部品事業)を吸収分割の方法により承継させること、当社グループ内において海外各国・地域における当社のグループ会社が保有するDMB(電子部品事業)に関連する株式及び資産等の譲渡を実施すること(以下「本株式譲渡」)、及び本承継会社の全株式をThe Carlyle Groupが設立するTCG2601 株式会社の完全子会社であるTCG2602 株式会社(以下「本SPC」)に譲渡することを決定し、2026年3月30日付で本承継会社との間で吸収分割契約書を、また、本SPCとの間で株式譲渡契約書をそれぞれ締結しました。 本株式譲渡実行日は2026年10月1日を予定しています。 本株式譲渡は当社が、2025年11月に公表した「中期ロードマップ SF 2nd Stage」で掲げる事業ポートフォリオの再構築の加速-すなわち、IA(インダストリアルオートメーション)を中心としたデバイス事業領域とデータサービス事業領域における13の注力事業の拡大に向けて、投資のさらなる集中を可能とするものです。 ④ SF 2nd Stageにおける経営体制強化 当社グループは、SF 2nd Stageの成長戦略をリードする経営体制として、従来の最高財務責任者(CFO)、最高技術責任者(CTO)、最高人事責任者(CHRO)の3つの役職に加え、最高情報責任者(CIO)、最高DX責任者(CDXO)、最高リスク管理責任者(CRO)の3つの役職を最高経営責任者(CEO)の直下に新たに設置しました。そして、コーポレート機能を担う6つの役職(CxO)の責任権限を中期ロードマップの戦略にあわせて再定義すると共に、それぞれの機能をCxOに権限移譲しました。また、併せて事業ごとの意思決定についても各ビジネスカンパニー(BC)に権限を移譲しました。 この体制により、CxOが担当領域における全社方針の策定から実行まで一貫して責任を担い、現場の素早い判断と意思決定を支える「スピード経営」を加速します。また、全社施策を担うCxOと事業戦略を担うBCとが一体となり執行することで実行力を強化し、顧客起点での価値創出と成果の最大化を推進します。 各CxOの役割は以下のとおりです。 < 各CxOの役割 > 役職名役割最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer)当社グループの財務価値を向上させることに責任を持つ。全社中計・短計および経営課題の設定、事業ポートフォリオの再編、キャピタルアロケーション、資本市場との対話に関する権限を持ち、利益を伴った成長の実現を推進する。最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)コア技術の強化と開発生産性を高めることに責任を持つ。全社重要技術戦略の策定と実行、注力事業を支える重要商品・サービスの企画への参画と開発投資の決定、「GEMBA DX企業」に向けた先行投資の策定・実行の権限を持ち、競合に打ち勝つ技術の創造を推進する。最高人事責任者(CHRO:Chief Human Resources Officer)グループ横断での経営人財の継続的な輩出とエンゲージメントの向上に責任を持つ。経営人財の採用・配置と後継者育成、成果に応じた評価・処遇の運用徹底の権限を持ち、チャレンジ精神旺盛な企業文化の醸成を推進する。最高情報責任者(CIO:Chief Information Officer)業務品質・効率と、収益性・リスク耐性を高めるデータドリブン経営の推進に責任を持つ。グループ横断でのIT投資の優先順位付けやリソース配分計画の策定・実行の権限を持ち、生産性と実行スピードを両立する業務プロセスのDXを推進する。最高デジタルトランスフォーメーション責任者(CDXO:Chief Digital Transformation Officer)グループ横断でのデータサービス事業の成長実現とデジタルエンジニアリング力の強化に責任を持つ。成長実現に資する戦略および必要なリソース投資計画の策定・実行の権限を持ち、データサービス事業の立ち上げや成長を加速させ、事業のDXを推進する。最高リスク管理責任者(CRO:Chief Risk & compliance Officer)当社グループの持続可能性を高めるための内部統制システムの強化と運用徹底に責任を持つ。重要リスクを定め現場組織に予防策の徹底を指示し、その結果をモニタリング・是正する権限を持ち、企業価値の毀損を防ぐ取り組みを推進する。 (5) SF 2nd Stageの経営目標 SF 2nd Stageにおいても、事業とサステナビリティを融合した社会価値創出を継続するため、経営目標として、財務目標と非財務目標を設定しました。 財務目標では、2030年度に、売上高の年平均成長率:7%、営業利益率:12%、自己資本利益率(ROE):10~12%、投下資本利益率(ROIC):8~10%、1株当たり純利益(EPS)成長率:20%、データサービス売上比率:15%を目指します。 非財務目標では、マテリアリティ(=サステナビリティ重要課題)として特定した、事業を通じた社会的課題の解決、ソーシャルニーズ創造力の最大化、人財の可能性を引き出し成長を加速、レジリエントなサプライチェーン構築、脱炭素・循環経済の実現による環境負荷の低減、バリューチェーンにおける人権の尊重の6つの領域で定めた指標の目標達成を目指します。 財務および非財務の目標は次の通りです。 ①SF 2nd Stage財務目標指標2025年度実績2030年度挑戦的目標売上高の年平均成長率(CAGR)7.3%7%(注1)営業利益率7.8%12%自己資本利益率(ROE)4.7%(注2)10~12%投下資本利益率(ROIC)3.9%(注2)8~10%1株当たり純利益(EPS)成長率116.5%(注3)~20%データサービス売上比率9%15% (注)1 CAGR:2024年度から2030年度 2 継続事業からの当期純利益ベースで算出した数値 3 対前年度成長率 ②SF 2nd Stage非財務目標(ⅰ)マテリアリティの特定 SF 2nd Stageの非財務目標を定めるにあたり、SF2030で特定した5つのサステナビリティ重要課題(=マテリアリティ)が、SF 2nd Stageの期間においても有効なマテリアリティとなり得るかの確認・見直しを2025年度に行いました。執行会議等での議論、取締役会による承認を経て、SF 2nd Stageにおける6つのマテリアリティを特定しました。今回の確認・見直しでは、2023年度の業績の大幅な悪化、特に営業利益減少の要因となったサプライチェーンの混乱などに、先回りして適切に対応することで、企業の持続可能性を高めていくことを目的に、「レジリエントなサプライチェーン構築」を6つ目のマテリアリティとして追加しました。また、6つのマテリアリティを、事業成長を加速させていく「成長マテリアリティ」、事業継続の基盤として社会の持続可能性を高めていく「基盤マテリアリティ」、事業成長、持続可能性向上の双方に関わる「成長&基盤マテリアリティ」として位置づけを整理しました。 (ⅱ)SF 2nd Stage非財務目標 マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)非財務目標(経済価値創出のKPI)指標2030年度目標成長マテリアリティ事業を通じた社会的課題の解決<インダストリアルオートメーション>・「Customer Base Map」占有数拡大率・2024年度比:160%<ヘルスケアソリューション>・血圧計販売台数・「OMRON connect」と「Pep Up」の連携ID数・3,172万台(2025年度比:124%)・2024年度比:3,000%<ソーシャルソリューション>・蓄電システム出荷台数・125,000台(2025年度比:252%)ソーシャルニーズ創造力の最大化・インキュベーションフェーズの4事業を 含むデータサービス事業(注1)の全社に 占める売上構成比率・15%(2025年度比:+5P超)成長&基盤マテリアリティ人財の可能性を引き出し成長を加速・社員エンゲージメント (VOICEエンゲージメント指標)(注2)・グローバル 70(2025年度比:+3P)レジリエントなサプライチェーン構築主要製品の調達・生産の複線化推進・IAB: グローバル生産拠点の再編・HCB: インドでの有意なコスト 構造実現・SSB: 蓄電システム生産能力 125,000台の実現基盤マテリアリティ脱炭素・循環経済の実現による環境負荷の低減<脱炭素>・Scope1・2 削減量(1.5℃水準)・Scope3(カテゴリー1・11)削減量 (Well Below2.0℃水準)温室効果ガス(GHG)排出量削減(注3、4)・Scope1・2 2016年度比:▲68%・Scope3 2016年度比:▲35%<循環経済>・資源循環モデルの拡大・拡充・資源循環モデルの拡大・拡充完了・グローバル全生産拠点で ゼロエミッション達成バリューチェーンにおける人権の尊重・オムロンにおける顕著な人権課題ごとに、 UNGPsに沿った人権デューディリジェンス を実施・救済メカニズムの整備・各人権課題に対する人権デュー ディリジェンスの実施完了・人権救済メカニズムの適正運用 の継続 (注)1 データサービス事業の売上は、DSBセグメントで行う事業の売上に加え、DSBセグメント事業以外が行う、現場データを 活用して顧客の課題を解決するサービス事業の売上の合計額 2 組織の目指すゴールに対する社員の自発的な貢献意欲を測定する調査。エンゲージメントスコア65以上が概ね良好とされる 3 事業ポートフォリオの変更に伴い、対象範囲の見直しを実施 4 国際非営利団体「Science Based Targets initiative(SBTi)」の認定後に確定予定
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討①中期ロードマップ「SF 2nd Stage」における財務目標 当社グループが中期ロードマップ「SF 2nd Stage」で掲げる財務ガイダンスは下記の通りです。 <SF 2nd STAGE 財務ガイダンス>指標2025年度実績2026年度計画 2030年度挑戦的目標売上高の年平均成長率(CAGR)(注1)7.3%(注2)7.0%(注2) 7%(注1)営業利益率7.8%7.6% 12%自己資本利益率(ROE)4.7%(注3)5.5%程度(注3) 10~12%投下資本利益率(ROIC)3.9%(注3)4.0%程度(注3) 8~10%EPS(注4)成長率116.5%(注2)15% ~20%データサービス売上比率9%11% 15%(注)1 CAGR:2024年度から2030年度の成長率、2030年度挑戦的目標では同期間の平均成長率の目標を記載 2 2025年度及び2026年度の成長率は前年度実績に対する成長率を記載 3 継続事業からの当期純利益ベースで算出した数値 4 1株当たり利益(Earnings Per Share) <事業セグメント別ガイダンス>セグメント2025年度実績 2030年度挑戦的目標売上高営業利益営業利益率 CAGR営業利益率制御機器事業(IAB)4,095億円428億円10.4% +6.0%16%ヘルスケア事業(HCB)1,453億円154億円10.6% +4.0%14%社会システム事業(SSB)1,443億円197億円13.7% +9.0%14%データソリューション事業(DSB)512億円36億円7.1% +23.0%18% ②成長実現に向けた施策~キャッシュ創出力の強化~ SF 2nd Stageでは、当社グループを再び成長軌道に乗せるための積極的な投資の原資として、2026年度から2030年度の5年間累計で10,500億円のキャッシュ創出を目標に、収益拡大と資産効率向上の両面から施策を推進します。収益拡大に向けては、高収益なコア事業の成長を軸に、地域統括本社の発展的解消などによるグループ間接コストの削減や開発生産性の向上に取り組みます。資産効率の向上においては、事業ポートフォリオの継続的な見直しに加え、サプライチェーンの最適化による在庫圧縮や、取引先と連携したサプライヤー・ファイナンスの導入を通じて、運転資本の効率化を図ります。これらの取組みにより、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮による資金循環の効率化を実現し、キャッシュ・フロー創出力のさらなる向上を目指します。 <キャッシュ創出力の強化> ③SF 2nd Stageにおけるキャピタルアロケーションの考え方 当社は、2030年に向けた経営戦略の中核としてポートフォリオマネジメントを位置付け、制御機器事業を軸に競争力の強化と持続的成長の実現を目指しております。ポートフォリオ改革の一環として実施した電子部品事業の株式譲渡やキャッシュ創出力強化の取組みによって、獲得した投資原資は成長を牽引する注力事業に重点的に配分します。また、資本効率の向上も重要課題と認識しており、自己株式の取得については、株価水準、財務健全性及び成長投資機会等を総合的に勘案し、機動的に判断してまいります。 <SF 2nd Stageにおけるキャピタルアロケーション> (注) 本社等の設備投資、必要手元資金への充当、社債・借入返済、株主還元等 ④当社グループの経営成績の実績及び見通し<2025年度実績> 当社は、2026年3月30日にDMB(電子部品事業)の会社分割(吸収分割)及び承継会社の株式譲渡(子会社等の異動)を行うことを当社取締役会で決議したことに伴い、当連結会計年度から当事業を非継続事業に分類しています。このため、当社グループの経営成績等の開示数値については、売上高、売上総利益、営業利益、継続事業からの税引前当期純利益については、非継続事業を除外した数値を開示しています。 当期(2026年3月期)における当社グループの業績は、前期比で、増収増益となりました。売上高は、制御機器事業において生成AI関連などで堅調に推移する需要を着実に捉えたことに加え、他の事業も順調に推移したことで、前期比で増加しました。 営業利益は、原材料価格の高騰、物流コストの上昇、米国関税政策の影響などによる売上総利益率が低下したほか、2025年11月7日に発表した2030年度までの中期ロードマップ「SF 2nd Stage」の実現に向けた成長投資の実施があったものの、売上拡大および業績状況に応じた固定費コントロールを行った結果、前期比で増加しました。 継続事業からの税引前当期純利益および当社株主に帰属する当期純利益は、人員数・能力の最適化に伴う一時的費用を計上した前期に比べ、大きく増加しました。 <2026年度見通し> 当社グループにおける次期(2027年3月期)の事業環境は、制御機器事業において、生成AI関連需要を背景に、半導体関連や二次電池領域での設備投資は年間を通して好調に推移すると見ています。ヘルスケア事業や社会システム事業においても事業環境は堅調に推移すると見込みます。 一方で、足元では中東情勢の動向次第で世界経済が大きな影響を受ける可能性もあり、不確実性の高い状況にあります。引き続き、今後の動向を注視してまいります。 なお、当社グループは、2027年3月期第1四半期より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度の見通しはIFRSに 基づき作成しています。 <売上高・営業利益・売上総利益率の推移>(注)1 DMB(電子部品事業)を非継続事業に分類したことに伴い、2024年度及び2025年度の売上高、売上総利益率、営業利益については非継続事業を除いた継続事業の金額に組替えを行っています 2 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。 <2026年度の経営方針と重点取組み> 次期は、「Trusted Growth ~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~」を全社方針とし、注力13事業の成長に向けた計画を完遂するためのアクションを着実に遂行します。 <財務目標>指標2024年度実績米国会計基準2025年度実績米国会計基準2026年度計画IFRS売上高7,154億円7,674億円8,200億円営業利益534億円599億円620億円自己資本利益率(ROE)2.2%4.7%5.5%程度投下資本利益率(ROIC)1.9%3.9%4.0%程度1株当たり利益(EPS)86.83187.98228.86(注)上記数値は非継続事業を除外して算出していますまた、ROE、ROIC,EPSの各数値は継続事業からの当期純利益ベースで算出しています <非財務目標> ⑤各事業セグメントの実績及び見通し<「SF2030」における成長戦略> IABでは、事業ビジョン「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」を掲げ、サステナブルな産業への進化に向け、産業の高度化と働く人々の幸せの両立を目指しています。このビジョンの実現に向け、大きく2つの取組みを進めています。それは、私たちのソリューションを支える商品(コンポーネント)の再強化と新たなソリューション創出に向けたパートナーとの協創です。 商品の再強化にあたっては、全社の開発リソースを競争力の高い商品開発に集中的に配分しています。2025年度にはセンサやコントローラなど20機種を計画通りリリースし、2026年度にもリレーなど多くの機種を発売する予定です。加えて、製造技術の進化を実現する制御アプリケーションの強化を業界やお客様にあわせて進めています。「半導体・EV」などの高精度な制御技術が求められる先端技術領域のお客様にむけても、オムロンのエンジニアがお客様の現場に入り込み、一緒に課題を解決することでアプリケーションを進化させていきます。例えば、半導体大手のNVIDIA社と仮想空間上で機器動作を高精度に再現・検証するデジタルツイン技術の協業を進め、現場の生産性向上に寄与することを目指しています。 新たなソリューションの創出に向けては、現場データによってライン単位、工場単位で「予兆保全」や「不良品を作らないモノづくり」「省エネルギー生産」を解決してきたi-BELTサービスに加え、製造業への高い知見を有するIT企業のコグニザント社との戦略的パートナーシップにより新たなIT-OTソリューションを創出し、今後の成長の柱としていきます。オムロンはコンポーネントの幅広い品揃えと新たなソリューションでお客様の課題を解決し、持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化に貢献していきます。 <2025年度の業績と2026年度の見通し>2025年度の業績売上高の状況 グローバルにおける設備投資需要は、EV関連分野は引き続き停滞したものの、生成AI関連は堅調に推移しました。これらの投資需要を確実に捉えたことに加え、昨年度から継続的に進めている各エリアの顧客ニーズに対応した新商品を計画通りに開発・リリースを行った効果もあり、売上高は前期比で大きく増加しました。営業利益の状況 将来成長に向けた先行投資を実行したことに加え、部材価格や物流コストの上昇などの影響があったものの、売上高が大きく増加したことにより、営業利益は前期を大きく上回りました。 2026年度の見通し売上高の見通し 生成AI関連の力強い需要を背景に、半導体関連の設備投資はグローバルで堅調に推移すると見込みます。また、電気自動車(EV)や二次電池業界においても、停滞していた設備投資が緩やかに回復すると見込みます。また、顧客ニーズに対応した新商品のリリースも予定しており、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。営業利益の見通し将来の事業成長に向けた投資を売上高の増加に加え、固定費の効率的な運用や生産性向上を図ることで、次期の営業利益は当期比での増加を見込みます <売上高・営業利益・営業利益率の推移> <非財務目標KPIの進捗> (注)1 経営管理区分の見直しにより、2022年度よりIABの一部をDMBに含めて開示しています。これに伴い2021年度を新管理区分に組み替えて表示しています。2 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。3 DMB(電子部品事業)を非継続事業に分類したことに伴い、2024年度及び2025年度の数値については、当該区分で再算出した数値で記載しています。 <「SF2030」における成長戦略>革新的なデバイスの創出 50年以上にわたり蓄積してきた圧脈波(*)に関する深い知見とAIを活用して、血圧を測定するだけで「心房細動」の可能性を検知することができるオムロン独自の次世代アルゴリズム「Intellisence AFib」を搭載した血圧計を2024年に欧州と米国、中国で、2025年に日本と東南アジア、中南米で発売しました。これは、血圧測定時に取得できる圧脈波データを解析し、心房細動の可能性を判別する今までにない技術です。中国では、主要薬局チェーンと連携し、店舗に「心房細動リスクスクリーニングエリア」を設けるなど、この技術の価値をより多くのお客様に体験していただく機会を増やしています。脳梗塞の原因のひとつである心房細動の早期発見・早期治療につなげる取組みを、グローバルに展開していきます。* 心臓が拍動し血液が動脈内を流れる際に、血管内壁にかかる圧力 デジタルヘルス事業の加速 2016年に日本でリリースを開始したスマートフォンの健康管理アプリ「OMRON connect」(オムロンコネクト)は、現在130を超える国や地域で累計1,500万以上ダウンロードされています。「OMRON connect」には血圧計などのデバイスで測定された数値が日々蓄積されています。これらの血圧データと、JMDC社の健診・レセプトデータを組み合わせることで、個人の疾病リスクを予測し、一人ひとりに最適なアドバイスを提供し、生活習慣改善をサポートするための検証が本格的にスタートしています。また、今後は通信機能つきデバイスの普及拡大による会員基盤の強化に加えて、専門家監修による個人向け健康管理プログラム医療との連携、さらに自社以外のサービスとの連携を拡大していきます。 これらの取組みにより、革新的な予防医療の仕組みを社会に実装し、世界中の人々の健康寿命の延伸に貢献していきます。<2025年度の業績と2026年度の見通し>2025年度の業績売上高の状況主力製品である血圧計市場において、中国を除くエリアでは堅調に推移しました。中国では、消費低迷の影響を受けつつも新商品を投入したことなどにより、第2四半期(2025年7月~9月)以降、継続して前年同期比で増加しました。しかしながら、第1四半期(2025年4月~6月)における減少の影響が大きく、通期の売上高は前期並みの水準となりました。営業利益の状況米国関税政策による影響や血圧計のグローバルでの主要価格帯における競争激化がある中、原価低減や固定費構造の見直しに取り組みましたが、営業利益は前期比で大きく減少しました。 2026年度の見通し売上高の見通し グローバルでの血圧計需要は堅調に拡大するものの、中国では横ばいに推移すると見込みます。グローバルでオンラインチャネル拡大への対応を進めるとともに、新興国における低価格化の流れの中でも価格競争力のある商品の投入を行い、需要拡大を引き続き捉えてまいります。以上より、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。営業利益の見通し 売上高の増加に加え、収益性向上に向けた経営効率化を推進することで、原材料価格の高騰等の外部環境の変化に対応し、次期の営業利益は当期並みの水準を見込みます。 <売上高・営業利益・営業利益率の推移> <非財務目標KPIの進捗> (注) 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。 <「SF2030」における成長戦略> SF2030におけるSSBのビジョンは「Design Next Social Structure ~ソーシャルオートメーションで、人と社会を有機的につなげ “ソーシャルグッド”を生み出す~」です。これには、顧客起点でお客様のニーズに応え、世の中の課題を見つめ、「次世代の社会システム」をデザインし続けるという意志を込めています。事業成長に向けた取組みとして、市場が堅調に成長する「エネルギー」と「マネジメント・ サービス(M&S)」をSSBの中長期的な成長事業として注力し、新たなソリューション提供を加速させていきます。エネルギーソリューションエネルギーソリューションでは、蓄電システムのトップシェアの維持に加え,高品質な新商品の投入等により付加価値の向上や新たなサービスビジネスの拡大により、市場成長を上回る事業成長を目指します。具体的には、蓄電システムの商品ラインナップ拡大に加え、日常生活における電力の使用パターンに応じて太陽光発電量と消費電力量の変動をAIで最適に制御するサービスなどと掛け合わせた提供を進めます。M&SM&Sでは、全国に有する保守拠点を活かした迅速・均質なサービス提供や、顧客の導入する機器メーカーに拘らないマルチベンダー対応に加え、多拠点をもつお客様の各拠点での機器の稼働状況や在庫管理、顧客行動など様々なデータを収集し、店舗運営にとどまらず事業運営全体での課題解決に向けて取り組むことで事業拡大を目指します。SSBは、事業成長の基盤を確立しながら、再生可能エネルギーの普及・効率的運用と社会のインフラ持続性に貢献し、次世代の社会システムをデザインし続けることで、“ソーシャルグッド”による笑顔溢れる未来の実現を目指します。 <2025年度の業績と2026年度の見通し>2025年度の業績売上高の状況エネルギーソリューション事業は、再生可能エネルギーの自家消費ニーズの高まりや補助金制度の利用、産業・商業領域でのカーボンニュートラルに向けた取組み加速による投資継続を受け、蓄電システムなどが堅調に推移しました。また、駅務システム事業についても、旅客者数の回復などを背景に、設備投資需要が安定して推移しました。これらの結果、売上高は前期比で増加しました。営業利益の状況 売上高が堅調に推移したことに加え、製造原価のコストダウンや価格適正化に取り組んだ効果により営業利益は前期比で大きく増加しました。 2026年度の見通し売上高の見通しエネルギーソリューション事業においては、エネルギー価格の高騰や、カーボンニュートラルに向けた取組みが続いており、引き続き投資は堅調に推移すると見込みます。また、駅務システム事業では、顧客の設備投資が引き続き堅調であると想定しております。以上より、売上高は当期比で増加を見込みます。 営業利益の見通し 売上高の増加や生産性向上により、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。 <売上高・営業利益・営業利益率の推移> <非財務目標KPIの進捗> (注)1 当社グループ内の経営管理体制変更により、従来SSBに計上していたオムロンデジタル株式会社の業績を本社機能部門としたことに伴い、 2025年度および2024年度のセグメント情報を新管理区分に組替えて記載しています。 2 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。 <「SF2030」における成長戦略> データソリューション事業本部(DSB)は、オムロングループのビジネスモデルを、モノ(製品)単体の製造販売モデルからモノ+サービスのソリューションモデルへ進化させる中核的な役割を担います。長年にわたり、制御機器事業・ヘルスケア事業・社会システム事業で提供してきた各種製品から得られる現場データを活用して、顧客の課題解決をオムロンのサービス価値として提供します。 その成長を牽引するのは、JMDC事業の拡大と、DSBが注力する3つのデータサービス事業(データヘルス、コーポレートヘルス、マネジメント・サービス(M&S))です。データヘルス事業では、JMDCが持つ医療データとオムロンが持つバイタルデータを活用し、個人の疾患リスク可視化と行動変容の促進を通じて、予防医療の実現と市場拡大を図ります。コーポレートヘルス事業では、従業員の健康データを基盤に、組織・個人の課題を経営視点で可視化し、健康経営支援サービスを展開します。M&S事業では、現場データを活用したアセスメントとデータソリューションにより、顧客の業務プロセスの高度化を支援し、顧客の売上成長および収益性向上に資するサービスを提供します。オムロングループ全体では、制御機器事業(IAB)で推進するIAデータソリューション事業やヘルスケア事業(HCB)で推進するデジタルヘルス事業を加えた注力データサービス事業群で、2027年度データサービス事業売上高1,000億円超を目指します。 <2025年度の業績と2026年度の見通し>2025年度の業績売上高の状況JMDC社における健康情報プラットフォーム「Pep Up」(ペップアップ)の発行ID数が引き 続き拡大しました。健康保険組合や医療機関に由来した匿名加工データを利活用する製薬企 業および保険会社などとの取引額も引き続き増加しました。これらの結果、売上高は前期比 で大きく増加しました。営業利益の状況 データサービス事業創出に向けた投資を着実に実施する一方で、JMDC社の営業利益 が堅調に推移したことにより、前期比で大きく増加しました。 2026年度の見通し売上高の見通し JMDC社の事業において、製薬企業中心に医療データ利活用の動きが引き続き拡大すると見込んでいます。また個人の健康、予防意識の高まりを受け、保険者、生活者向けサービスの需要も拡大が続くと見ています。以上より、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。営業利益の見通し 売上高増加に伴い、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。 <売上高・営業利益・営業利益率の推移> <非財務目標KPIの進捗> <データサービス事業の全社に占める売上構成比率> (注)1 当社グループでは2026年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、2026年度はIFRS基準で作成した数値を表示しています。 2 データサービス事業の売上は、DSBセグメントで行う事業の売上に加え、DSBセグメント事業以外が行う、現場データを活用して顧客の課題を解決するサービス事業の売上も合算して表示しています。 (2) 財政状態、キャッシュ・フローの状況・分析・検討①財政状態 当期末の資産の部は、現金及び現金同等物の増加や株価上昇等による年金資産増加を背景とした前払年金費用の増加により、前連結会計年度末に比べ1,538億円増加の15,163億円となりました。負債の部は、事業運営資金確保のための短期債務の増加により、前連結会計年度末に比べ877億円増加の5,157億円となりました。純資産の部は、為替換算調整額や退職年金債務調整額の増加などにより、前連結会計年度末に比べ661億円増加し10,006億円となりました。株主資本比率は55.1%と強固な財務基盤を維持しています。なお、資産の部・負債の部の合計額には、DMB(非継続事業)に関連する流動資産及び流動負債を、それぞれ1,272億円、406億円含んでいます。 資金流動性については、当期末現在の手元現預金を1,665億円保有していることに加えて、金融機関との間で700億円のコミットメントラインを契約しており、高い水準を維持しています。また、今後の成長投資資金の確保に備え、格付機関から長期発行体格付として高格付を維持するとともに、グローバルで金融機関との良好な関係を維持することで、資金調達力を確保してまいります。 <2026年3月末の連結貸借対照表の概要> 2025 年 3 月末2026 年 3 月末増減資産合計(資産の部合計)13,625億円15,163億円+1,538億円負債の部合計4,280億円5,157億円+877億円株主資本7,719億円8,359億円+640億円非支配持分1,625億円1,647億円+21億円純資産の部合計9,344億円10,006億円+661億円負債及び純資産合計13,625億円15,163億円+1,538億円 なお、当期(2025年度)のROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)は、前期より改善しましたが、依然として当社グループの資本コスト(当社推定値8%)を大きく下回る水準となりました。さらなる企業価値向上のためには、蓄積されたキャッシュと今後生み出すキャッシュを既存事業の強化と新たな成長機会に再投資し、成長を加速することが必要と認識しています。引き続き、経営資本の適正配分により、将来キャッシュ・フローの創出能力と資本効率を高めて企業価値向上を実現してまいります。 <ROICの推移> <ROEの推移>(注)ROIC及びROEの2024年度、2025年度および2026年度の数値は、継続事業からの当期純利益をベースに算出しています。 <株主資本、株主資本比率> ②キャッシュ・フローの状況キャピタルアロケーションの方針 当社グループにおける株主還元方針を含めたキャピタルアロケーションポリシーは、以下のとおりです。 <キャッシュアロケーションポリシー> (ⅰ)中長期視点で新たな価値を創造するため、事業投資に軸足を置いた資源配分を実行します。持続的な成長を支える注力事業への投資を最優先し、特に最注力ドメインである制御機器事業領域への投資を強化します。(ⅱ)そのうえで、安定的・継続的な配当に加え、当社グループの将来の資金需要、業績水準、株価水準、財務状況などを総合的に勘案し、自己株式の取得を機動的に実施します。(ⅲ)投資や株主還元の原資は、内部留保や持続的に創出する営業キャッシュ・フローを基本としつつ、M&Aの実行においては外部資金調達も積極的に活用します。なお、金融情勢によらず資金調達を可能とするため、引き続き財務健全性の確保に努めます。 当社グループの株主還元方針については、「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載しています 2025年度のキャッシュ・フローの状況 営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加などにより、609億円の収入(前期比51億円の収入増)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、資本的支出などにより701億円の支出(前期比222億円の支出増)となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは92億円の支出(前期比170億円の支出増)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期債務の増加などにより324億円の収入(前期比370億円の収入増)となりました。 以上の結果、継続事業に係る当期末における現金及び現金同等物残高は、前期末から346億円増加し、1,665億円となりました。 <2025年度のキャッシュ・フローの概要> 2024年度2025年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー558億円609億円+51億円投資活動によるキャッシュ・フロー△479億円△701億円△222億円フリーキャッシュ・フロー79億円△92億円△170億円財務活動によるキャッシュ・フロー△46億円324億円+370億円 資本政策の基本的な考え方 当社グループは、成長投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することを基本としています。SF 2nd Stageにおける、資金調達を含む資本政策の基本的な考え方は以下の通りです。 (ⅰ) 株主価値を維持・向上するため、売上高成長率、投下資本利益率(ROIC)、株主資本利益率(ROE)および1株当たり利益(EPS)成長率の目標水準を考慮した経営を行います。また、株主総利回り(TSR)の継続的な向上を実現するため、中長期視点で企業価値向上に繋がる成長投資に優先的に配分し、株主還元は安定的・継続的な配当を基本方針とします。なお、有望な投資機会が限定的な場合は、株価水準・財務健全性等を含めて総合的に勘案し、余剰資金を用いた機動的な自己株式の取得に充当します。 (ⅱ) 有望な投資機会に対しては財務規律を意識しつつ、必要に応じて財務レバレッジを活用するものの、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢によらず資金調達が可能な財務健全性を確保することを前提とします。また、規律ある財務戦略を実現するため、資本・負債バランスを示す純有利子負債資本倍率(Net DER)や収益性を示す利払前税引前減価償却前利益率(EBITDAマージン)等を財務規律上の重要指標と位置づけ、管理しています。 (ⅲ) 大規模な希薄化や支配権の変動を伴う資本政策を実施する場合は、取締役会で上記目標水準への影響・資金使途や回収計画の合理性・妥当性等を取締役会で十分に審議のうえ決議し、投資家・株主への説明責任を果たします。 <格付情報> 本報告書提出時点における格付けについては、株式会社格付投資情報センター(R&I)から以下のとおり取得しております。 格付長期短期 格付投資情報センター AA- a-1+ <社債情報> 社債の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅱ 主な科目の内訳および内容の説明 I 短期債務および長期債務」をご参照ください。 (3) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 当有価証券報告書に記載する連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。長期性資産の減損、のれんおよび非償却性の無形資産の減損、および繰延税金資産の回収可能性等については、事業環境の変化の影響を踏まえて見積りおよび判断を行っています。 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅰ 重要な会計方針の概要 F 会計処理基準」に記載していますが、当社の経営戦略および連結財務諸表に与える影響から重要性があると考えられるものは以下のとおりです。 戦略投資等にかかるのれん等の評価及び繰延税金資産の回収可能性 当社グループは将来に向けた成長力強化の一環として積極的な戦略投資を行っています。 制御機器事業(IAB)においては、モノ作り現場の課題に対して、“i-Automation!”で革新を起こすアプリケーションを強化することを目的として、2015年にモーションコントローラーメーカーであるDelta Tau Systems, Inc. およびロボットメーカーであるAdept Technology, Inc.を、2017年にコードリーダーメーカーであるMicroscan Systems, Inc.をいずれも 米国にて取得しました。これら一連の戦略投資に起因して取得したのれんについては、取得した事業が“i-Automation!”戦略と一体となってシナジー効果が創出されることから、シナジー効果の享受が期待される、検査装置事業を除いたIABをのれんの報告単位として決定しています。 長期ビジョン「SF2030」ではデータを基軸とした価値創造への収益構造転換が重要になると考えており、その先駆けとして、2022年2月に医療データサービス会社であるJMDC社との資本業務提携のために同社株式を取得したのち、2023年10月には同社株式の追加取得を行い、連結子会社としました。JMDC社の連結子会社化により取得した事業ののれんについては、当社グループの既存ビジネスとJMDC社の協業により、ソリューションビジネスを推進するために2023年12月21日付で設立したデータソリューション事業本部(DSB)を報告単位として決定しています。 ヘルスケア事業(HCB)においては、脳・心血管疾患の重症化を防ぎ、治療をサポートする事業での協業を目的として、米国を中心に心疾患の診断と治療の支援サービスおよび商品を提供するAliveCor,Inc.へ2020年2月に出資を行いました。当年度末連結貸借対照表において、関連会社に対する投資および貸付金には、同社投資時識別した持分法によるのれん相当額が含まれています。 また、当年度末連結財務諸表には、当社にかかる繰延税金資産(繰延税金負債相殺前)が42,681百万円含まれています。繰延税金資産の残高は、2023年度の業績の急速な悪化に加え、2024年度から実施した構造改革「NEXT 2025」に関連する費用の計上や研究開発投資の継続的に実施した影響などにより前年度期末時点から増加しています。 ・のれん評価 当社グループは、のれんの評価について、のれんの償却は行わず、少なくとも年に1回又は減損の兆候が識別された場合に減損テストを実施しています。 IABのれんの減損テストの実施に当たっては、当該報告単位の公正価値をディスカウント・キャッシュ・フロー法により算出した評価額と対応する帳簿価額を比較して行っています。 DSBのれんは、市場価格にコントロールプレミアムを加味した市場株価法による評価額と、経営者により承認された事業計画を基礎とし、事業計画予測期間以降は、類似する上場企業の財務諸表から算定したマルチプルを用いて算出した将来キャッシュ・フローの見積り額の現在価値に割り引いて算出しています。 これらの減損テストの実施に使用する事業計画の策定には、マクロ経済状況、市場成長率、利益率、設備計画等の仮定を用いており、事業計画予測期間以後のキャッシュ・フローは、各事業の所在国のインフレ率で永続的に成長する仮定や、類似企業の公開市場での評価を参考にしており、多くの重要な見積りを含んでいます。 加重平均資本コストは、リスクフリーレート、所在国の経済や市場の状況を反映させるためのリスクプレミアム、インフレ率、負債コスト、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムもしくはディスカウントが適用されるべきかの決定等、多くの見積りを使用して算出しています。 当年度の減損判定においては、のれんを持つすべての報告単位の公正価値が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失は認識しておりません。 各オペレーティングセグメントの当期末連結貸借対照表におけるのれん残高および減損テストの方法は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅱ 主な科目の内訳および内容の説明 G のれんおよびその他の無形資産」に記載しています。 ・関連会社に対する投資の評価 当年度末連結貸借対照表に計上されている関連会社に対する投資および貸付金には、HCBのAliveCor,Inc.に対する持分法による投資8,682百万円が含まれており、純資産に対する当社の持分相当額を上回る9,118百万円は、主に持分法適用開始時に識別したのれん相当額によるものです。 当社は、関連会社に対する投資について、投資先の超過収益力に基づく公正価値評価を行い、その価値の下落が一時的とは認められない場合には、持分の簿価が当該関連会社の公正価値の当社持分を超過した分について持分法損失を認識しています。同社についてはスタートアップ企業であるため将来事業計画の達成可能性の不確実性やのれん相当額の重要性を鑑み当該公正価値をのれんの評価と同じ方法で算出した結果、公正価値が投資簿価を上回ることから、評価損失の計上は不要と判断しています。 ・繰延税金資産の評価 当年度末連結財務諸表に計上されている繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しており、将来の課税所得の見込みには多くの重要な見積もりを含んでいます。繰延税金資産の評価は、財政状態計算書日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、当社グループの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。当年度の回収可能性の評価においては、期末日時点の繰延税金資産の残高を利用できる十分な将来の課税所得の稼得を見込んでいます。 (4) 生産、受注および販売の実績 当年度におけるセグメントごとの販売実績は、「(1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討」に記載のとおりです。なお、当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額で示すことはしていません。 (5) 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
事業リスク
- 品質問題の発生: 製品の品質問題、特に大規模リコールや製品セキュリティの脆弱性に対するサイバー攻撃は、売上減少やブランド価値の毀損、多額の損失につながる可能性があります。AI利用や製品セキュリティに関する新たな法規制への対応も求められます。
- 会計・税務リスク: グローバル事業における会計基準や監査基準の厳格化、国際課税ルールや各国の税法への不適切な対応は、決算修正や損失計上、追徴課税などの財務的影響を及ぼす可能性があります。特にM&Aやデータビジネスの推進、海外市場展開の加速に伴い、リスクが増大しています。
- 地政学リスクと競争激化: 地政学リスクの高まりやAI利活用・コスト競争の激化など、外部環境の変化は事業戦略の実現を阻害する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、長期ビジョンの達成や経営成績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント 当社グループでは、統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。 現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。 「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。 (2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制 統合リスクマネジメントの枠組みは、内部統制システムの下、Chief Risk & compliance Officer(CRO)を推進責任者とし、オムロングループルール(OGR)(注1)「オムロングループ統合リスクマネジメントルール」にまとめ、グループ経営における位置づけを明確にしています。また、リスクマネージャを本社機能部門、ビジネスカンパニー、海外の地域統括、国内外の各グループ会社で任命し(約120名)、経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進しています。 主な活動は次の3点です。・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行う・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとる・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じる <企業倫理リスクマネジメント委員会体制> 取締役・監査役の参加・監督のもと、CROを委員長、主要なリスクマネージャを構成員とする企業倫理リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)においては、重要なリスクの発生状況、環境変化、リスク対策の状況について議論・共有するとともに、グループ全体のリスク評価を行っています。 危機が発生した場合には、速やかに経営報告され、リスクのランクに応じて危機対策本部を通じて対応を行っています。 これらリスクマネジメントの活動状況については、執行会議や取締役会への報告を通じ、継続的な評価・モニタリングが行われます。 また、内部監査部門により、リスクマネジメント活動を中心としたテーマ監査が行われます。 <統合リスクマネジメントのサイクル> (注)1 当社グループでは、公正かつ透明性の高い経営を実現する経営基盤として、グループ共通の「オムロングループルール(OGR)」を制定しています。OGRは、リスクマネジメントの他、会計・資金、人財、情報セキュリティ、品質保証等の主な機能に対し制定されています。環境変化等を適宜・適切にルールへ反映するため、毎年見直しを行っています。 (3) グループ重要リスクとその分析 当社グループでは、「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、事業ドメインにおける社会価値創出、事業とサステナビリティとの一体としての取組みを行っています。「SF2030」のもと、2026年度から2030年度までの5年間を対象とする「中期ロードマップ SF 2nd Stage」においては、その遂行過程において企業価値の棄損を防止し、持続可能性を高めるために対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。 リスクのうち、当社グループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスク(Sランク)および重要なグループ目標の実現を阻害するリスク(Aランク)を「グループ重要リスク」に位置付け、これらを顕在化させることなく許容レベルにリスクを収めるため、環境変化や対策の実行状況をモニタリングしています。 ・2025年度末時点のリスク評価 2025年度末に実施した当社グループのリスク分析に基づくグループ重要リスクのカテゴリーは下表の通りです。地政学リスクの高まりやAI利活用・コスト競争の激化等の環境変化、M&A等による事業領域のさらなる拡大、データビジネス推進、インド・中国等各エリア市場展開加速等の全社・事業戦略を踏まえ、特にリスクの高まりが予想され、マネジメントシステムの強化が求められる重点テーマには、予防対策やリスク事案への対応を全社レベルで実行していきます。重要リスクは、適切かつ十分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があるため、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。 <グループ重要リスクと重点テーマ> ・グループ重要リスクへの対応① 品質 ※ 重点テーマリスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、13の注力事業に関するSensing&Control+ThinkおよびAI/データマネジメント技術の強化と、サプライチェーンの最適化によるコスト競争力の向上により、グローバルに高い成長率を実現します。 そのような中、品質に対しては高い安全性や正確性の確保が求められ、またAI利用や製品セキュリティ等の新たな技術に対する法規制の検討・制定が進んでいます。さらに気候変動や資源循環に対する社会的要請も高く、グローバルで、製品の製造・販売を行う事業者が、使用後の回収・リサイクル・処理に至るまで一定の責任を負う(拡大生産者責任)制度等が広がってきています。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・当社グループ製品の大規模リコール・製品環境・安全・セキュリティ関連の法規制違反・製品セキュリティの脆弱性に対するサイバー攻撃によりネットワーク製品・サービスの稼働停止体制社長を最高責任者とする品質保証体制を構築し、「品質第一」を基本とする「品質基本方針」のもと、グローバル購買・品質・物流本部が推進しています。重大な品質問題が発生した場合は、取締役会の監督のもと、迅速かつ適切に対応を行っています。・関連OGR:品質保証ルール、製品品質リスク管理ルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・ISO9001等(ISO13485:医療機器産業、IATF16949:自動車産業)品質マネジメントシステム(QMS)の認証取得・サービス事業に適合したQMSの適用展開・安全リスクが高い技術(リチウムイオン電池、パワーデバイス等)に関する品質技術確立・製品セキュリティ体制強化(外部からの脆弱性情報収集と対応(PSIRT)・セキュリティ監視活動等)・製品環境、安全、セキュリティ関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化・品質相談窓口の設置・運用、QMS有効性監査・現場品質点検の実施[注力取組み事例:現場品質点検] 製品安全・事業損失リスクを考慮して各生産拠点から対象機種を選定し、QMS運用状況を確認し、現場担当者に納期・コストの過度なプレッシャーの有無やリソース管理状況等のヒアリングを行いました。 ② 会計・税務 ※ 重点テーマリスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、注力事業やITに対する積極的な投資、インド・中国等グローバル各エリアでの需要を捉えた高い売上成長により、2030年に掲げる挑戦的目標の実現を目指します。 そのような中、グローバル事業に対する収益認識や無形資産評価等の会計基準や監査基準の高度化・厳格化が進むとともに、各国間の協調・連携により整備が進む国際課税ルール、各国の政策により複雑化する関税法、移転価格税制、その他租税法への適時的確な対応が求められます。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、決算修正や損失の計上、多額の追徴や和解金の支払い、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・社内不正や会計基準に準拠しない不適切な会計処理の発生・市況の悪化やシステム等への投資効果が十分でないことによる資産の貸倒や評価額の下落・関税法や移転価格税制等に関する法規制違反体制財務報告に係る内部統制の基本的枠組み、取締役会で承認した「税務方針」のもと、グローバル理財本部を中心に、会計・税務の適正性を担保するための体制・ルールを整備し、運用しています。・関連OGR:会計・資金ルール、不正統制ルール、J-SOX推進ルール、関税・通関ルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・内部統制の自主点検強化とリスク兆候への重点監査・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直し・現地法人と連携した各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化[注力取組み事例:内部統制強化プロジェクト] 中国グループ会社の自立化に伴う統制強化を目的として、購買・経費領域のリスク検知ツール導入、取引先への定期リスク評価、専門人財の追加配置等の内部統制施策が完了しました。 ③ 地政学 ※ 重点テーマリスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、中国・インド事業の成長を加速させながらも、生産・販売拠点をグローバルに展開し、特定のエリアに依存しない状態を目指しています。 そのような中、米国の関税引上げや中国のレアアース等の輸出管理強化をはじめとする各国の政策動向、半導体・AI等の先端技術等の競争・保護政策の激化、イラン・ウクライナでの紛争等は、企業活動にも大きな影響を与えています。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、売上減少や戦略の見直し、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・サプライチェーンの見直し等、各国経済安全保障政策への対応が遅れ、競争力が低下・紛争発生に伴う製品供給の停止・大幅なコスト増加・輸出規制や制裁への違反体制事業対応方針については、取締役会や執行会議等の経営会議体にて議論し、決定しています。法規制対応については、各主管部門が統括し、例えば、輸出規制はグローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会のもと、グローバルに安全保障取引管理を行っています。・関連OGR:統合リスクマネジメントルール、安全保障取引管理ルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・地政学リスク影響を低減する中長期的な生産・研究開発等の体制検討と推進・グローバルの政治・経済情勢や法規制動向のモニタリング、経済制裁等に対する影響分析と対応[注力取組み事例:安全保障取引管理の強化] 各国の輸出規制や制裁が強化・複雑化する中、安全保障取引管理について、グローバルのグループ会社にて取引審査を行う体制を再整備するとともに、取引リスク判定プロセスのシステム化の検討を進めています。 ④ IT・情報 ※ 重点テーマリスク認識AI、IoT、クラウドコンピューティング等のデジタル技術は急速に進展し、企業における活動も、IT資産やデータへの依存度が高まっています。一方、当該技術を悪用したサイバー攻撃は増大しており、その手口は高度化・巧妙化しています。対象も大企業に限らずサプライチェーン全体へと拡大しています。また、安全保障や産業競争力の確保、個人の権利意識やプライバシー意識の高まりといった様々な要請を受け、データおよびプライバシーの取扱いを巡る各国の法規制は複雑化・厳格化されています。 当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、コーポレートシステムプロジェクトを完遂し、データドリブンな企業運営を推進します。 このような中、上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の発生や行政罰、事業活動への支障、売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクが生じる可能性があります。・大規模なシステム障害・サイバー攻撃や個人・技術情報の管理不全による情報漏洩、事業の停止・各国データ・プライバシー規制違反体制基本方針として「情報セキュリティ基本方針」を制定し公表しています。施策については、統括担当取締役の監督のもと、情報セキュリティ、製品セキュリティ、個人情報管理の領域ごとに、各本社機能本部長が執行責任者として統制・管理しています。各領域を横断する課題については、Chief Information Officer(CIO)が議長となり、サイバーセキュリティ統括担当取締役が監督する「サイバーセキュリティ統合会議」を随時開催し、解決しています。さらに、経営レベルで推進の方向付けを行うために、社長を議長とする「情報セキュリティ戦略会議」にて優先課題と戦略を議論しています。実行面においては、CIOを議長とし、各地域のIT責任者が参画する「情報セキュリティ推進会議」を通じて施策を推進・管理しています。また、個人データについては、グローバルリスクマネジメント・法務本部長の責任のもと、各国法令動向や当社グループの状況を把握し、法規制対応の強化を図っています。・関連OGR:IT統制ルール、情報セキュリティルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・グローバル標準のフレームワークであるNIST-CSF(注1)に準拠した評価と対策の強化・外部専門機関を通じた包括的な脅威情報の収集とグループ内への対策の展開・インシデント対応オフィス(CSIRT)による事故発生時の迅速な報告と被害最小化に向けた対応・情報システムの脆弱性診断や改善の実行・サイバー攻撃訓練の実施・高リスクのサプライチェーンのセキュリティ確保のためリスク評価と対応の推進・情報漏洩リスクへの対策強化(PC・ネットワークのログのモニタリング・分析)・情報リテラシー向上のための社員教育と専門資格人財の拡充・グローバルでのデータ越境移転プロセス構築[注力取組み事例:サプライチェーンリスク評価のグローバル展開] リスクの高い個人情報および機密情報を提供している取引先に対し実施しているリスク評価及び評価に応じた改善対応をグローバルの取引先にも展開し、サプライチェーンでのセキュリティ確保を強化しています。(注)1 NIST-CSF:米国国立標準技術研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)。汎用的かつ体系的なフレームワークで、米国だけでなく世界各国の公的機関や企業が準拠を進めている。 ⑤ グループガバナンス・コンプライアンスリスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、大幅な権限移譲により経営スピードを加速することで、迅速な市場変化対応の期待に応えます。 そのような中、公正な取引をはじめとするコンプライアンスに対する社会的要請は高く、国際機関や各国政府による反競争法的行為や贈収賄防止等に対する法規制の運用強化や、ITやAI等技術の進化やアライアンス等によるイノベーションの推進に対応した規制の検討等、事業環境は複雑化しています。日本では、サプライチェーン全体での価格転嫁等を促進する要請も高まっています。また、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・新規事業における業法違反、許認可取得に関する不備・競争法、取適法等の公正な取引に関する法規制違反・接待・贈答等の贈収賄に関する法規制違反体制企業倫理・コンプライアンスを含む内部統制システムの基本方針は、取締役会で議論し決定しています。また、OGRに基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用、企業倫理リスクマネジメント委員会による活動の展開を行っています。・関連OGR:法人運営ルール、倫理行動ルール、内部監査ルール、購買ルール等取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング・毎年10月のグローバル企業倫理月間等による定期的なコンプライアンス教育・グローバル内部通報制度の運用・リスクアプローチに基づく内部監査と改善指導・購買統括部門における対象事業所に対するモニタリング・取適法研修 ⑥ 事業再編リスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、事業ポートフォリオの再構築をコア戦略として位置づけ、制御機器事業を最優先領域としてM&Aを実行する等、選択と集中を加速し中長期的な企業価値の向上を図っていきます。 そのような中、事業の資本効率や投資により生じるのれん等に対するアカウンタビリティ、企業グループが拡大・多様化する中での適切なガバナンスが強く求められています。また、各国の経済安全保障政策による投資規制や事業再編時の法規制等が変化・複雑化する中で適時・適切な対応が重要となっています。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の計上や戦略の見直しにつながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・M&A・投資先の業績・評価の悪化や想定していたシナジー効果の未発揮、コンプライアンス問題の発生・海外投資規制への対応によるM&Aや出資審査の想定外の長期化・事業撤退に伴う多額の費用計上、各国法規制への違反、訴訟体制M&A・投資・撤退の方針と実行は、投資規律のもと、経営ルールに定める責任権限に基づき取締役会等の経営会議体にて議論・決定し、案件ごとに、ビジネスカンパニーと本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームにより推進しています。・関連OGR:経営ルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・事業戦略に基づいたM&A・投資・事業売却先候補の探索・評価・対象企業の財務内容や契約内容の確認等の詳細な事前審査・デューディリジェンス・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー(少なくとも年に1回) ⑦ 人権リスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、コスト競争力やレジリエンスの強化に向けてサプライチェーンの見直しを推進するとともに、引き続き人権の尊重に取り組むことで、持続可能な社会づくりに貢献します。 そのような中、強制労働、児童労働、低賃金・賃金未払、長時間労働、安全面や衛生面への配慮が不十分な労働環境、ハラスメントといった人権課題に対する企業への取組み要請は高まっており、デューディリジェンスによる負の影響の特定・防止・軽減・是正や強制労働により生産された製品の輸入禁止等、法規制の整備も進んでいます。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、取引停止・製品の開発中止やブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・ハラスメントの発生、労働基準違反、労働安全衛生問題の発生・サプライチェーン上の人権課題の発生体制人権課題への対応については、取締役会の承認を経て制定されたオムロン人権方針に基づいた活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、グループ共通の人権施策や人権関連法規制への対応などを審議しています。また、全社の取組みを強化するため、「サステナビリティ推進委員会」の傘下に、「人権プロジェクト」を設置し、重要課題の事業実装に向けた議論や年度計画の進捗モニタリングを行っています。・関連OGR:HRMルール、労働安全衛生管理ルール、購買ルール取組み具体的には、企業の人権尊重責任を果たすために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に沿って、以下を含む対策を推進しています。・RBA(注1)アセスメントツールを活用した人権リスク評価と課題の是正・仕入先に対するサステナブル調達ガイドラインの提示・遵守状況確認・グローバルでの人権救済メカニズムの運用 (注)1 RBA:Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。 ⑧ 人財・労務リスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、挑戦的な目標を達成するため、社員一人ひとりの能力と意欲を一層引き出し、事業成長や全社変革を推進していく実行力とスピードを高め、結果を出し続ける組織をつくりあげます。 そのような中、人財の流動化が進んでおり、先端技術を保有する希少な人財の獲得競争は激化しています。また、多様な人財から選ばれる人財戦略を実行し、従業員のエンゲージメントを向上させることが、ますます重要となっています。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、事業競争力の低下、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・事業成長のために必要なスキルや経験を持つ人財の流出や獲得の失敗・従業員のエンゲージメント低下や労務トラブルの発生体制重要な人財戦略については、取締役会・執行会議にて議論し、決定しています。Chief HumanResources Officer(CHRO)のもと、グローバル人財総務本部が中心となり施策を実行しています。・関連OGR:HRMルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・注力事業への人財アロケーションの推進・事業成長および全社変革を担う経営人財の輩出・主体的な挑戦意欲を一層高めるための評価・報酬制度への改革・多様な人財の意欲と能力を引き出し、成長を促すためのマネージャーのスキル強化・エンゲージメントサーベイ「VOICE」を通じた、組織課題への主体的な社員のアクションの促進 ⑨ 事業継続リスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、レジリエントなサプライチェーンを構築し、顧客・消費者に対する社会的供給責任を果たします。 そのような中、半導体等の重要部品や原材料について、旺盛なAI需要や中東情勢の緊迫化の継続等により、供給逼迫の影響が拡大する可能性があります。また、巨大地震、洪水・豪雨等の自然災害や感染症の発生により、社会がグローバルに機能不全に陥る可能性が継続しています。 上記環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・重要仕入先からの長期にわたる部品等の供給停止・ITインフラ等の大規模停止・自社工場の生産停止体制サプライチェーンの強靭化については、全社非財務目標の一つに掲げ、グローバル戦略本部を中心に推進します。また、自然災害については、人身の安全、社会インフラの維持、復興への全面協力等を定めた基本方針のもと、各ビジネスカンパニーと本社機能部門とが連携し、生産、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を整備しています。・関連OGR:統合リスクマネジメントルール、購買ルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・仕入先の生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備・主要製品の調達・生産体制の複線化の推進・緊急時のエスカレーションルート・影響を把握する仕組みの整備・有事を想定したシミュレーション・訓練・社員の安否確認システムの運用、リスクに応じた事業所での非常食や飲料水の備蓄対応 ⑩ 技術・知財 ※ 重点テーマリスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、注力事業に紐づく6つのコア技術を重点的に強化することにより、注力13事業の成長を図るとともに、AI等の最新技術を活用し、GEMBA DXを推進します。そのような中、企業や国家間で先端技術を巡る競争は激化しています。特に、生成AIやAIエージェント等、AI技術は急速に進化し続けており、その活用拡大に伴うリスクへの懸念を受け、各国での法規制の整備や企業に対するガバナンス強化を求める動きは活発化しています。さらに、知的財産をめぐる紛争や、電子商取引(EC)市場の急激な発展に伴う正規品を騙った模倣品の流通が、グローバルで年々増加しています。上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、取引停止・製品の開発中止、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・AI技術の利用に伴う倫理問題の発生やAIに関する規制への非準拠・特許等の侵害や不正使用に関する紛争の発生・当社グループの技術・ノウハウの流出やブランドの模倣・事業戦略に連動した技術開発・知財活用が十分に行われず事業競争力を喪失体制コア技術への投資や開発体制の強化策の検討については、ストラテジックR&D本部長を委員長とする全社テクノロジーガバナンス委員会を通じて推進しています。また、AI課題への対応については、AIの適正な取り扱いとAIガバナンスへの取組みについて定めた「オムロンAI方針」のもと、AIの適正な利用に必要な活動を推進する「AIガバナンス委員会」を設置し、AIの活用に伴うリスク低減施策やAI法規制への対応等を審議しています。さらに、知財課題への対応については、ストラテジックR&D本部を主管として、「知財ポリシー」に基づく知的財産活動を実行しています。・関連OGR:研究開発ルール、AI統制ルール、知的財産管理ルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・重点強化技術特定と全社管理、技術人財マネジメント・事業戦略や技術戦略と連動させた知財戦略を策定・実行し、強みのある知的財産権を蓄積・生成AIシステムの利用にあたってのガイドラインの整備・運用・研究開発および設計にあたっての第三者の知的財産権調査・第三者の当社グループへの知的財産権の侵害に対する分析・評価と権利行使の強化・オンライン取引も含む模倣品摘発活動、悪意を持った当社ブランド名と類似した商標権取得の阻止[注力取組み事例:AI統制ルールの制定] AIシステムを適正に活用し、AIがもたらす価値を最大限に享受することを目的とした、AIシステムを利用・提供・開発する際に共通に適用されるグローバル社内規程を整備しました。 ⑪ 環境リスク認識当社グループでは、SF 2nd Stageにおいて、地球温暖化や資源の枯渇といった社会課題の解決に向け、引き続き脱炭素・循環経済の実現による環境負荷の低減を推進し、持続可能な社会づくりに貢献します。 そのような中、企業の環境課題への取組み開示に対する第三者保証の要請や見せかけの環境配慮を排除する表示規制などの整備が進展しています。一方で、欧米を中心に、環境関連政策を見直す動きもあり、企業には、これらの政策動向を適時に把握しながら対応することが求められています。 上記の環境認識を踏まえた対策が十分に行われなかった場合、戦略の実現を阻害し、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・環境に関する新たな取引・開示規制への違反・対応コストの増加、顧客要請への不十分な対応・販促活動でのグリーンウォッシングと捉えられる不適切な表示体制環境課題への対応については、取締役会の承認を経て制定されたオムロン環境方針に基づいた活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、グループ共通の環境施策や環境法規制への対応などを審議しています。また、グループ全体の環境マネジメントの強化と環境施策の加速を目的とし、本社機能部門および各ビジネスカンパニーの環境担当部門で構成される「グループ環境委員会」を設置し、事業拠点の環境目標の設定や施策の計画について議論するとともに、オムロングループへの影響が大きい環境課題の特定や施策の検討・効果測定などを行いながら、環境経営の推進を図っています。・関連OGR:環境経営ルール、購買ルール取組み具体的には、以下を含む対策を推進しています。・Scope1・2、Scope3カテゴリー1・11ごとに目標を設定した温室効果ガス排出量の削減の加速・回収・リサイクルの拡大、循環型の原材料調達等による循環経済への移行・気候変動関連のリスク・機会に係る情報開示・TNFD(注1)提言に沿った生物多様性保全活動の推進・環境評価制度を通じた製品ライフサイクル全体における環境パフォーマンスの可視化 (注)1 TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース。自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築するための国際的組織。