事業の概要
- 電子計測器事業アンリツグループは、デジタル通信やIPネットワーク、光通信、移動通信などに使われる測定器の開発、製造、販売を主な事業としています。これは、スマートフォンやインターネットの普及に伴う通信技術の進化を支える重要な役割を担っており、通信インフラの構築や品質維持に不可欠な製品を提供することで収益を上げています。
- 品質保証システム事業食品や医薬品の品質を保証するための自動重量選別機、異物検出機、総合品質管理システムなども手掛けています。これにより、食品メーカーや医薬品メーカーが製品の安全性を確保し、生産効率を高めるためのソリューションを提供しており、消費者の安心・安全に貢献するビジネスモデルです。
- 環境計測・デバイス事業EV(電気自動車)や電池向けの試験装置、ローカル5G支援サービス、環境モニタリングソリューション、さらにはデバイス開発なども行っています。これらの事業は、脱炭素社会への移行や新たな通信技術の導入といった社会の変化に対応し、多角的な収益源を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 通信計測事業デジタル通信、IPネットワーク、光通信、移動通信、RF・マイクロ波・ミリ波帯の汎用測定器などを開発・製造・販売しています。これはアンリツグループの主力事業であり、2024年3月期の実績では売上収益710億円、営業利益75億円を計上しており、グループ全体の収益の大部分を占めています。
- PQA(プロダクツ・クオリティ・アシュアランス)事業自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機、総合品質管理・制御システムなどを提供しています。主に食品産業向けの品質保証システムで、2024年3月期の実績では売上収益253億円、営業利益12億円を計上しており、食品の安全・安心を支える重要な事業です。
- 環境計測事業EV/電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、モニタリングソリューションなどを手掛けています。2024年3月期の実績では売上収益74億円、営業利益5.37億円と、グループの中では比較的小規模ですが、EV市場の成長に伴い今後の拡大が期待される分野です。
FY2024 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| EnvironmentalMeasurement | 事業 | − | 5 | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社51社、関連会社2社により構成されており、電子計測器、食品・医薬品の品質保証システム、環境計測機器、デバイスなどの開発、製造、販売を主な事業とし、これらに附帯する保守、サービス等を行っているほか、不動産賃貸業を営んでおります。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」のセグメント情報の区分と同一です。 区分主要製品名主要な会社通信計測デジタル通信・IPネットワーク用測定器、光通信用測定器、移動通信用測定器、RF・マイクロ波・ミリ波帯汎用測定器、サービス・アシュアランス当社、東北アンリツ株式会社、アンリツカスタマーサポート株式会社、Anritsu U.S. Holding, Inc.(米国)、Anritsu Company(米国)、Anritsu Americas Sales Company(米国)、Anritsu Electronics Ltd.(カナダ)、Anritsu Eletrônica Ltda.(ブラジル)、Anritsu Company, S.A. de C.V.(メキシコ)、Anritsu EMEA Holdings GmbH(オーストリア)、Anritsu EMEA GmbH(オーストリア)、Anritsu EMEA Limited(英国)、Anritsu GmbH(ドイツ)、Anritsu SA(フランス)、Anritsu S.R.L.(イタリア)、Anritsu AB(スウェーデン)、ANRITSU COMPANY LIMITED(香港)、Anritsu (China) Co., Ltd.(中国)、Anritsu Electronics (Shanghai) Co., Ltd.(中国)、Anritsu Corporation Limited(韓国)、ANRITSU PTE LTD(シンガポール)、ANRITSU COMPANY, INC.(台湾)、ANRITSU INDIA PRIVATE LIMITED(インド)、Anritsu Pty Ltd(オーストラリア)、ANRITSU COMPANY LIMITED (ベトナム)ANRITSU PHILIPPINES, INC.(フィリピン)、Anritsu A/S (デンマーク)PQA自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機、総合品質管理・制御システム当社、アンリツインフィビス株式会社、Anritsu Infivis Inc.(米国)、Anritsu Infivis B.V. (オランダ)、ANRITSU INDUSTRIAL SOLUTIONS (SHANGHAI) CO., LTD.(中国)、Anritsu Industrial Systems (Shanghai) Co., Ltd.(中国)、Anritsu Infivis (THAILAND) Co., Ltd.(タイ)環境計測EV/電池向け試験装置、電力計測器及びデータ収集システム、モニタリングソリューション当社、東北アンリツ株式会社、株式会社高砂製作所、株式会社鶴岡高砂製作所、DEWETRON GmbH(オーストリア)その他センシング&デバイス、物流、厚生サービス、不動産賃貸、製造請負業務当社、アンリツデバイス株式会社、アンリツ興産株式会社、アンリツ不動産株式会社、アンリツテクマック株式会社、株式会社ハピスマ(注)PQA:プロダクツ・クオリティ・アシュアランス[事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 高い技術力と最先端製品提供で顧客価値向上に努めるが、市場変動リスクあり |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 高い技術力による最先端製品とサービスの提供、規格追従による機能強化 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:技術・マーケティング戦略に関するリスク / 市場の変動に関するリスク / 戦略投資に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
アンリツは、通信計測分野で長年の実績と高い技術力を有し、特に5G/6G関連の試験測定器において、業界標準となるような技術や特許を複数保有している。これにより、競合他社が容易に模倣できない技術的優位性を確立している。
スイッチングコスト★★★☆☆
アンリツの試験測定器は、高度な専門知識と長期間の検証を経て導入されることが多く、顧客(通信事業者、機器メーカー等)は、導入済みのシステムや運用ノウハウとの互換性、トレーニングコスト、検証期間などを考慮すると、他社製品への切り替えには相応のコストとリスクが伴う。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
アンリツの主要事業である計測器は、個々の製品の性能が重視され、ユーザーが増えることで製品価値が直接的に向上するようなネットワーク効果は限定的である。
コスト優位★☆☆☆☆
量産効果によるコスト削減努力は行われているが、高度な技術開発と精密な製造プロセスを要するため、構造的な大幅なコスト優位性を確立しているとは言えない。特定のニッチ分野では優位性がある可能性も否定できない。
規模の経済★★★☆☆
通信計測機器市場において、アンリツは主要プレイヤーの一つであり、グローバルな販売網とサポート体制を有している。市場規模に対して、上位数社で寡占化が進んでいる傾向があり、その中で一定の地位を確保している。
- 最先端技術と迅速な製品提供アンリツグループは、高い技術力に基づいた最先端の製品とサービスをいち早く市場に投入することで、顧客価値の向上に努めています。特に情報通信市場のような技術革新が速い分野において、この迅速な対応力は競争優位の源泉となっています。
- グローバルな事業展開と顧客基盤海外売上比率が約70%と高く、世界中の主要な通信事業者、ネットワーク機器メーカー、スマートフォンメーカーなどを顧客に持っています。これにより、特定の地域や市場の変動リスクを分散し、安定的な収益基盤を築いています。
- 「はかる」技術の深化と新領域開拓長年培ってきた「はかる」技術(計測技術)をコアコンピタンスとし、これを情報通信分野だけでなく、食品・医薬品分野、EV/電池分野といった新領域にも応用しています。M&Aや外部連携も活用し、従来の計測技術の枠を超えた新たな価値創造を目指すことで、持続的な成長を追求しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 「はかる」技術を軸とした新領域開拓アンリツは、長年の強みである「はかる」技術をさらに深化させ、情報通信分野だけでなく、産業計測、EV/電池、医薬品/医療といった新しい分野での事業拡大を目指しています。M&Aや外部連携も積極的に活用し、2030年度には売上高2,000億円を目指す計画です。
- 中期経営計画「GLP2026」の推進2024年4月から新たな中期経営計画「GLP2026」をスタートさせ、2027年3月期には連結売上高1,400億円、営業利益200億円、営業利益率14%を目標としています。この計画では、5Gから6Gへの移行期を捉え、成長投資として400億円以上を投じ、通信計測事業以外の収益比率を25%に高めることを目指しています。
- 財務目標と株主還元経営の客観的な指標としてROE(自己資本利益率)と自己資本比率を重視し、ROE10%以上の安定的な達成を目指しています。また、株主還元においては配当性向50%以上を目標とし、企業価値の最大化と財務の安定性を両立させることで、持続的な成長と株主への利益還元を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。これらには、グループ従業員等の一人ひとりが自ら挑戦し、新しい価値を社会に提供し続け、未来に向けて成長していく、という思いを込めています。経営理念「誠と和と意欲」をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する経営ビジョン「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。経営方針1. 克己心を持ち、「誠実」な取り組みにより人も組織も“日々是進化”を遂げる2. 内外に敵を作らず協力関係を育み、「和」の精神で難題を解決する3. 進取の気性に富み、ブレークスルーを生み出す「意欲」を持つ4. ステークホルダーと共に人と地球にやさしい未来をつくり続ける「志」を持つ(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、キャッシュ・フロー(CF)を常に意識した経営を展開しており、「ROE (Return On Equity)」と「自己資本比率」をKPIと捉え、自己資本の効率性向上による中長期的な企業価値最大化と財務の安定性維持に取り組みます。なお、取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。)、執行役員及び理事を対象とした現行の業績連動型株式報酬制度においては、その評価指標として、本制度の対象期間における各事業年度の期初に定める営業利益目標及び中期経営計画に掲げる営業利益を採用しています。また、金銭の業績連動型報酬(年次役員賞与)においては、当該連結会計年度における連結ROEに加え、売上高、営業利益及びESG/SDGs目標の達成度等の指標を用いています。(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等今後の見通しにつきましては、当社グループの主力である通信計測事業においては、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要が今後も拡大していくことが期待できます。PQA事業においては、新製品の販売拡大を進めることで、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要を確実に捉え、売上拡大を目指していきます。また、医薬品市場に向けた新製品開発と販売力の強化を推進していきます。環境計測事業においては、国内のEV/電池向け試験需要を確実に捉えるとともに、新たに連結子会社となったDEWETRON GmbHを含めたグループシナジーの最大化、及び海外市場への進出に取り組みます。当社グループは、関係するあらゆるステークホルダーとともに持続可能で魅力的な未来を次世代に繋いでいくという思いを込め、経営理念・経営ビジョン・経営方針のもと、2030年度には安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。① 中長期的な経営戦略及び中期経営計画当社グループは、主力の通信計測事業を軸に、情報通信サービスに関わるビジネスを展開しております。現在の5Gシステムに代表される通信インフラの様々なイノベーションは、社会を劇的に変革するとともに、人類に「つながる」ことの豊かさを提供し、グローバル社会の進歩を生み出してきました。「誠と和と意欲」、“オリジナル&ハイレベル”を経営理念とするアンリツは、コアコンピタンスである「はかる」技術をベースに、情報通信分野と食品・医薬品分野を中心に支えてまいりました。当社のコンピテンシーである「はかる」を極めていくとともに、内外の異なる発想や技術を更に掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させ、攻めの姿勢で今までのアンリツの限界を超えてまいります。当社グループは、中長期経営戦略のもと、2024年4月に、新たな3ヶ年の中期経営計画GLP2026をスタートいたしました。GLP2026では、前中期経営計画GLP2023で育てた新しい芽を事業の柱へと成長させ、計画最終年度である今期(2027年3月期)において、連結売上高1,400億円、営業利益200億円、営業利益率14%を目指します。GLP2026の3年間は、5Gから6Gへの移行期であり、2030年度に売上高2,000億円企業となるための重要なマイルストーンと位置付けております。GLP2026では6Gと3つの新領域ビジネスを重点的に拡大します。3つの新領域ビジネスは“産業計測”と“EV/電池”そして“医薬品”です。M&Aとオーガニックで、新領域ビジネスの成長を加速し、更には来るべき6Gビジネスの需要を確実に獲得するための準備をいたします。中期経営計画(GLP2026)基本方針1. 成長投資に400億円以上(M&A+設備投資)2. ROE≧10%を安定的に達成する事業ポートフォリオの構築3. 2026年度(2027年3月期)の営業利益の25%を通信計測事業以外で創出4. 新領域ビジネスの人材強化、全社で人材育成体制を構築5. 事業活動における資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現6. 株主還元では配当性向50%以上を目指す 当連結会計年度の実績及びGLP2026に掲げる主な経営数値目標等は下表のとおりです。当社グループは、引き続き、中長期的な経営戦略及び中期経営計画の実現を図り、資本コストを意識した成長投資(含むM&A)と資本効率の改善で、企業価値KPI(ROE)の向上を目指します。 2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)2027年3月期(業績見通し)2027年3月期(GLP2026目標)売上収益(億円)1,1291,1741,4001,400営業利益(億円)121148200200当期利益(億円)92116150150通信計測事業売上収益(億円)701687850900営業利益(億円)83107165150PQA事業売上収益(億円)282310330300営業利益(億円)28334036環境計測事業売上収益(億円)85107160130営業利益(億円)981014ROE(%)7.49.11212※ 億円未満を切り捨てて表示しています。なお、2027年3月期の業績見通しは、2026年4月27日に公表した「2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」に基づいています。また、GLP2026では、当社グループのサステナビリティ目標を掲げ、その達成に向けた活動を推進しています。サステナビリティ推進活動、ダイバーシティ推進等の当社グループのサステナビリティに関する事項は、後記2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。当社グループは、ブランド・ステートメントに「Advancing beyond」を掲げ、皆様とともに進歩と進化へ向けて歩み続けていきたいという強い思いを込めて発信しています。さらなる高みを目指すとともに、お客様のビジョン実現を通じ社会のサステナビリティに貢献したいという姿勢を示しています。今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。② コーポレート・ガバナンスの充実当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を向上させていくことを経営の最重要課題としております。その目標を実現するために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する仕組みを構築することに努めております。執行役員制度導入による意思決定と業務執行の分離の促進、「監査等委員会設置会社」への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置、取締役会の実効性評価の実施などの従前からの取組に加え、社外取締役比率50%以上を確保することにより、取締役会の監視・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることで、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する事項は、後記第4「提出会社の状況」の4「コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。これらには、グループ従業員等の一人ひとりが自ら挑戦し、新しい価値を社会に提供し続け、未来に向けて成長していく、という思いを込めています。経営理念「誠と和と意欲」をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する経営ビジョン「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。経営方針1. 克己心を持ち、「誠実」な取り組みにより人も組織も“日々是進化”を遂げる2. 内外に敵を作らず協力関係を育み、「和」の精神で難題を解決する3. 進取の気性に富み、ブレークスルーを生み出す「意欲」を持つ4. ステークホルダーと共に人と地球にやさしい未来をつくり続ける「志」を持つ(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、キャッシュ・フロー(CF)を常に意識した経営を展開しており、「ROE (Return On Equity)」と「自己資本比率」をKPIと捉え、自己資本の効率性向上による中長期的な企業価値最大化と財務の安定性維持に取り組みます。なお、取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。)、執行役員及び理事を対象とした現行の業績連動型株式報酬制度においては、その評価指標として、本制度の対象期間における各事業年度の期初に定める営業利益目標及び中期経営計画に掲げる営業利益を採用しています。また、金銭の業績連動型報酬(年次役員賞与)においては、当該連結会計年度における連結ROEに加え、売上高、営業利益及びESG/SDGs目標の達成度等の指標を用いています。(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等今後の見通しにつきましては、当社グループの主力である通信計測事業においては、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要が今後も拡大していくことが期待できます。PQA事業においては、新製品の販売拡大を進めることで、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要を確実に捉え、売上拡大を目指していきます。また、医薬品市場に向けた新製品開発と販売力の強化を推進していきます。環境計測事業においては、国内のEV/電池向け試験需要を確実に捉えるとともに、新たに連結子会社となったDEWETRON GmbHを含めたグループシナジーの最大化、及び海外市場への進出に取り組みます。当社グループは、関係するあらゆるステークホルダーとともに持続可能で魅力的な未来を次世代に繋いでいくという思いを込め、経営理念・経営ビジョン・経営方針のもと、2030年度には安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。① 中長期的な経営戦略及び中期経営計画当社グループは、主力の通信計測事業を軸に、情報通信サービスに関わるビジネスを展開しております。現在の5Gシステムに代表される通信インフラの様々なイノベーションは、社会を劇的に変革するとともに、人類に「つながる」ことの豊かさを提供し、グローバル社会の進歩を生み出してきました。「誠と和と意欲」、“オリジナル&ハイレベル”を経営理念とするアンリツは、コアコンピタンスである「はかる」技術をベースに、情報通信分野と食品・医薬品分野を中心に支えてまいりました。当社のコンピテンシーである「はかる」を極めていくとともに、内外の異なる発想や技術を更に掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させ、攻めの姿勢で今までのアンリツの限界を超えてまいります。当社グループは、中長期経営戦略のもと、2024年4月に、新たな3ヶ年の中期経営計画GLP2026をスタートいたしました。GLP2026では、前中期経営計画GLP2023で育てた新しい芽を事業の柱へと成長させ、計画最終年度である今期(2027年3月期)において、連結売上高1,400億円、営業利益200億円、営業利益率14%を目指します。GLP2026の3年間は、5Gから6Gへの移行期であり、2030年度に売上高2,000億円企業となるための重要なマイルストーンと位置付けております。GLP2026では6Gと3つの新領域ビジネスを重点的に拡大します。3つの新領域ビジネスは“産業計測”と“EV/電池”そして“医薬品”です。M&Aとオーガニックで、新領域ビジネスの成長を加速し、更には来るべき6Gビジネスの需要を確実に獲得するための準備をいたします。中期経営計画(GLP2026)基本方針1. 成長投資に400億円以上(M&A+設備投資)2. ROE≧10%を安定的に達成する事業ポートフォリオの構築3. 2026年度(2027年3月期)の営業利益の25%を通信計測事業以外で創出4. 新領域ビジネスの人材強化、全社で人材育成体制を構築5. 事業活動における資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現6. 株主還元では配当性向50%以上を目指す 当連結会計年度の実績及びGLP2026に掲げる主な経営数値目標等は下表のとおりです。当社グループは、引き続き、中長期的な経営戦略及び中期経営計画の実現を図り、資本コストを意識した成長投資(含むM&A)と資本効率の改善で、企業価値KPI(ROE)の向上を目指します。 2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)2027年3月期(業績見通し)2027年3月期(GLP2026目標)売上収益(億円)1,1291,1741,4001,400営業利益(億円)121148200200当期利益(億円)92116150150通信計測事業売上収益(億円)701687850900営業利益(億円)83107165150PQA事業売上収益(億円)282310330300営業利益(億円)28334036環境計測事業売上収益(億円)85107160130営業利益(億円)981014ROE(%)7.49.11212※ 億円未満を切り捨てて表示しています。なお、2027年3月期の業績見通しは、2026年4月27日に公表した「2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」に基づいています。また、GLP2026では、当社グループのサステナビリティ目標を掲げ、その達成に向けた活動を推進しています。サステナビリティ推進活動、ダイバーシティ推進等の当社グループのサステナビリティに関する事項は、後記2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。当社グループは、ブランド・ステートメントに「Advancing beyond」を掲げ、皆様とともに進歩と進化へ向けて歩み続けていきたいという強い思いを込めて発信しています。さらなる高みを目指すとともに、お客様のビジョン実現を通じ社会のサステナビリティに貢献したいという姿勢を示しています。今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。② コーポレート・ガバナンスの充実当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を向上させていくことを経営の最重要課題としております。その目標を実現するために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する仕組みを構築することに努めております。執行役員制度導入による意思決定と業務執行の分離の促進、「監査等委員会設置会社」への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置、取締役会の実効性評価の実施などの従前からの取組に加え、社外取締役比率50%以上を確保することにより、取締役会の監視・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることで、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する事項は、後記第4「提出会社の状況」の4「コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 1) 財政状態及び経営成績の状況通信計測事業の分野における、ネットワークインフラの領域では、クラウドサービスの高度化や生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するため、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。800GEネットワークへの更新が本格化しており、光トランシーバーメーカーでは800GE向け光トランシーバーの生産が増強されていることに加え、1.6TE向け光トランシーバーの開発も進展しています。また、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen6)(*1)などのハイスピードバスの開発が進展しています。さらに、データセンターのグローバル接続においては、新たな経路での光海底ケーブル敷設が、ハイパースケーラーによって進められているほか、ネットワークのオール光化に向けた活動も活発化しています。情報通信の領域では、5Gスマートフォン市場が成熟しつつありますが、AI搭載などの高機能・高付加価値スマートフォンが牽引して安定的に推移しています。5G利活用の領域では、Automotive分野における5G活用に向けた研究開発が進展しており、実証実験が継続されています。IoT(Internet of Things)の領域では、Wi-Fi 7(*2)の開発需要が増加しており、今後、Wi-Fi7の普及が加速していくことが期待されています。衛星を用いた通信サービスの非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)では、4GシステムのNB-IoT(Narrowband IoT)を用いた端末もリリースされ、関連した開発需要が見込まれます。また、2024年6月に標準化が完了した「Release 18」(*3)では、IoT向けのeRedCap(enhanced Reduced Capability)や5G NR(New Radio)を用いるNTNなどの機能向上が図られ、チップセットや端末への対応が進められています。さらに、3GPPにおいて次世代通信規格である6Gの仕様についての議論も始まり、研究開発も行われています。PQA事業の分野においては、食品メーカーの人手不足を背景に、異物混入検査や包装品質検査などの品質保証プロセスの自動化、省人化に係る投資が行われており、需要が継続しています。また、日本市場における計量制度改正を背景とした自動重量選別機の需要も好調に推移しています。環境計測事業の分野では、国内のEV/電池向け試験需要は、米国関税政策の影響やEV投資の調整局面を背景に顧客の投資に延伸がみられ、試験装置の需要には不透明さがあります。なお、中期経営計画GLP2026で重点開拓領域の一つとして掲げている「EV/電池」事業拡大の取組として、電力計測器及びデータ収集システムを提供するメーカーであるDEWETRON GmbHを連結子会社としました。このような環境のなか、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。当期は、受注高は124,564百万円(前年同期比10.6%増)、売上収益は117,462百万円(同4.0%増)、営業利益は14,828百万円(同22.3%増)、税引前利益は16,147百万円(同26.8%増)、当期利益は11,677百万円(同26.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は11,677百万円(同26.1%増)となりました。当連結会計年度末の資産合計は、173,258百万円となり、前期末に比べ13,432百万円増加しました。当連結会計年度末の負債合計は、40,541百万円となり、前期末に比べ4,982百万円増加しました。当連結会計年度末の資本合計は、132,717百万円となり、前期末に比べ8,449百万円増加しました。なお、当社グループの当連結会計年度の財政状態の状況は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 2) 財政状態」に記載しています。 (*1)第6世代のPCI Express規格(シリアル転送方式の拡張スロット用インターフェース規格)(*2)第7世代のWi-Fi規格、第6世代(Wi-Fi 6)の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現(*3)3GPPで標準化される規格番号 セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。① 通信計測事業当事業は、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。当期は、米国関税政策の影響で延伸していた顧客の投資は回復し、データセンター関連需要も好調に推移しましたが、第1四半期の落ち込みを取り戻すまでには至らず、前年同期比で減収となりました。一方、棚卸資産の圧縮やコストコントロールを継続して進めたことにより収益性が改善しました。この結果、売上収益は68,774百万円(前年同期比1.9%減)、営業利益は10,782百万円(同28.7%増)となりました。 ② PQA事業当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。当期は、食品市場における品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要や品質検査への関心の高まりを背景に、需要が好調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。特に国内では、新製品の投入や、インバウンド需要による食品メーカーの生産能力増強、計量制度改正による自動重量選別機の更新等の需要を獲得しました。この結果、売上収益は31,033百万円(前年同期比9.9%増)、営業利益は3,318百万円(同17.0%増)となりました。③ 環境計測事業当事業は、EV/電池向け試験装置、電力計測器及びデータ収集システム、道路やダム・河川等の映像監視用モニタリングソリューションの開発、製造、販売を行っています。当期は、2025年10月21日付でDEWETRON GmbHを連結子会社とし、第3四半期中の11月より連結対象としたことも影響し、前年同期比で増収となりました。一方、国内のEV/電池向け試験需要においては、米国関税政策の影響やEV投資の調整局面を背景に顧客の投資に延伸がみられ、前年同期比で減益となりました。この結果、売上収益は10,787百万円(前年同期比26.2%増)、営業利益は850百万円(同5.5%減)となりました。④ その他の事業その他の事業は、センシング&デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。当期は、売上収益は6,867百万円(前年同期比12.9%増)、営業利益は1,972百万円(同35.4%増)となりました。 2) キャッシュ・フローの状況当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、49,314百万円となり、前期末に比べ780百万円減少しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、3,199百万円のプラス(前期は17,154百万円のプラス)となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。① 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果獲得した資金は、純額で17,881百万円(前年同期は21,071百万円の獲得)となりました。これは、税引前利益の計上により資金が増加した一方で、法人所得税の支払により資金が減少したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は6,014百万円(前年同期比306百万円増)となりました。② 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果使用した資金は、純額で14,681百万円(前年同期は3,916百万円の使用)となりました。これは、子会社の取得による支出及び有形固定資産の取得による支出が主な要因です。③ 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果使用した資金は、純額で6,405百万円(前年同期は12,257百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額5,139百万円(前年同期の配当金支払額は5,270百万円)による支出が主な要因です。 3) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%)通信計測(百万円)71,742104.7PQA (百万円)32,108112.0環境計測 (百万円)10,733123.4報告セグメント計(百万円)114,584108.2その他(百万円)6,878115.9合計(百万円)121,463108.6(注)金額は販売価格によっております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)通信計測75,369112.627,471139.6PQA32,806112.79,474127.3環境計測8,86688.44,55587.8報告セグメント計117,043110.341,501128.4その他7,520115.51,829132.5合計124,564110.643,331128.6 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%)通信計測(百万円)68,77498.1PQA (百万円)31,033109.9環境計測 (百万円)10,787126.2報告セグメント計(百万円)110,594103.5その他(百万円)6,867112.9合計(百万円)117,462104.0(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。その主な要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。 1) 経営成績当社グループは、通信計測事業、PQA事業および環境計測事業の3つを報告セグメントとしています。① 通信計測事業当社グループの売上収益の59%を占める通信計測事業は、「ネットワークインフラ市場」「モバイル市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。a. ネットワークインフラ市場ネットワークインフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、ネットワーク機器メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。当市場においては、クラウドサービスの高度化や生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。光トランシーバーメーカーでは800GE向け光トランシーバーの生産を増強しており、次世代1.6TE向け光トランシーバーの開発も進んでいます。また、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen6)などのハイスピードバスの開発が進展しています。さらに、データセンターのグローバル接続においては、ハイパースケーラーによって新たな経路での光海底ケーブル敷設が進められているほか、ネットワークのオール光化に向けた活動も活発化しています。これに伴い、関連する計測ソリューションの需要が拡大しています。当社は、通信機器の研究開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。 b. モバイル市場モバイル市場には、携帯電話サービスを行うサービス・プロバイダの端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末、ICチップセット、その他関連電子部品メーカーの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向け計測器等を含めております。 当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセットメーカーの新規参入又は撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数等に影響される傾向があります。通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、5Gスマートフォン市場が成熟しつつありますが、AI搭載などの高機能・高付加価値スマートフォンが牽引して安定的に推移しています。5G利活用の領域においては、Automotive分野における5G活用に向けた研究開発が進展しているほか、IoT(Internet of Things)分野では、Wi-Fi 7(*1)の開発需要が継続しており、今後、Wi-Fi 7の普及が加速していくことが期待されています。衛星を用いた通信サービスの非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)としては4GシステムのNB-IoT(Narrowband IoT)を用いた端末もリリースされ、関連した開発の需要が見込まれます。6Gの商用サービスは2030年の開始を目標に、国際標準化団体3GPPにおいて「Release 20」(*2)として規格検討が進められています。これに伴い、6G対応計測器の需要は2027年頃から本格的に立ち上がると見込んでいます。さらに、WRC-23で新たに定義されたFR3(7GHz~15GHz)帯の活用に向けた開発や、2028年のロサンゼルスオリンピックにおける6Gサービス提供を目指す動きが出ています。これらの取り組みにより、6G関連技術の開発需要は当初の想定よりも前倒しで拡大することが予測されます。当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを提供するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤の強化に努めてまいります。 (*1)第7世代のWi-Fi規格、第6世代(Wi-Fi 6)の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現(*2)3GPPで標準化される規格番号 c. エレクトロニクス市場エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。IoTサービスの拡大により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が堅調です。また、ANS(エアロスペース&ナショナルセキュリティ)に関連する計測器の需要も増加しています。当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。 ② PQA事業PQA事業は、当社グループの売上収益の26%を占めており、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。当事業は、食の安全安心に関する意識の高まりや、食品メーカーの業績に影響を及ぼす消費支出水準の変化に影響を受ける傾向があります。日本市場においては、計量制度改正による重量選別機の更新需要の獲得に加え、インバウンド需要や自動化需要が追い風となり、好調に推移しました。また海外市場では、欧米・アジアの各地域で自動化・省人化を目的とした設備投資の需要拡大が継続し、好調に推移しました。なお、当事業の海外売上比率は約5割となっています。食品メーカーや医薬品メーカーの品質検査への関心は高く、この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライチェーンの最適化とグローバルオペレーションの効率化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。 ③ 環境計測事業環境計測事業は、パワーエレクトロニクスとネットワークの2つの領域で事業を展開しており、当社グループの売上収益の9%を占めています。当事業は、EV/電池向け試験装置、電力計測器及びデータ収集システム、道路やダム・河川等の社会インフラ向け遠隔監視用装置の開発、製造、販売を行っています。EV/電池向け試験装置の売上収益が大きな比重を占めており、当市場の需要は各国のEVシフトに向けた政策や税制優遇による顧客投資の環境変化に大きな影響を受けます。パワーエレクトロニクスの分野においては、世界的な脱炭素化の流れにより、自動車メーカーの電動化シフトが進展しており、バッテリ、インバータ、モータ等の開発投資が拡大しています。子会社である㈱高砂製作所は、高度なエネルギー制御技術を活かした電源システムに強みを持ち、自動車メーカーや自動車部品メーカー、バッテリメーカー等に、EVの駆動系やバッテリの試験装置を提供しています。国内のEV/電池向け試験においては、米国関税政策の影響やEV投資の調整局面を背景に顧客の投資に延伸がみられました。また、EV/電池およびANS(エアロスペース&ナショナルセキュリティ)、再生可能エネルギーの各分野における事業拡大を目的として、電力計測器及びデータ収集システムを提供するメーカーであるDEWETRON GmbHを第3四半期中の11月より連結対象子会社としました。当社はこの分野に向けて積極的な開発投資を進め、新製品およびソリューションを拡充し、事業のグローバル展開に向けた取り組みを加速させていきます。ネットワークの分野においては、社会インフラ向けの遠隔監視用装置の需要は底堅く推移しました。 2) 財政状態① 資産資産合計は、173,258百万円となり、前期末に比べ13,432百万円増加しました。主な増加要因は、のれん及び無形資産の増加9,653百万円及び棚卸資産の増加3,856百万円です。② 負債負債合計は、40,541百万円となり、前期末に比べ4,982百万円増加しました。主な増加要因は、従業員給付の増加1,775百万円、営業債務及びその他の債務の増加1,710百万円及びその他の流動負債の増加1,433百万円です。③ 資本資本合計は、132,717百万円となり、前期末に比べ8,449百万円増加しました。主な増加要因は、利益剰余金の増加5,108百万円及びその他の資本の構成要素の増加4,597百万円です。一方で、自己株式の取得により資本が1,342百万円減少しました。 この結果、親会社所有者帰属持分比率は76.6%(前期末は77.8%)となりました。有利子負債残高は6,754百万円(前期末は6,072百万円)、デット・エクイティ・レシオは0.05(前期末は0.05)となりました。(注)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分 3) キャッシュ・フロー当社グループは、当連結会計年度末において49,314百万円の資金を保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。当連結会計年度の設備投資額は、5,766百万円(前年同期比71.0%増)となりました。主に主力の通信計測事業を中心に技術革新と販売競争に対処するための新製品開発と原価低減に向けた投資を継続しました。研究開発投資については、10,179百万円(前年同期比3.0%増)となりました。主に新製品開発とソリューションの競争力強化に向けた投資を実施しました。これらの設備投資額及び研究開発投資は、主に自己資金によって賄われました。翌連結会計年度においては、約11,000百万円の設備投資と約11,000百万円の研究開発投資を予定しています。設備投資額は、開発環境基盤強化および製造設備の老朽化対応を目的とした投資等を見込んでおります。研究開発投資については、更なる事業拡大にむけて、主力の通信計測事業においては、競争力の強化、PQA事業については、グローバルビジネス展開を目的とした投資を行っていく他、環境計測事業においては、製品競争力の強化に向けた投資を行います。これらの設備投資額及び研究開発費投資を、主に自己資金によって賄う予定です。 4) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、主に営業活動によって獲得した内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。また、2026年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2029年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。当期末の有利子負債残高は、6,754百万円(前期末の有利子負債残高は6,072百万円)となりました。また、デット・エクイティ・レシオは0.05(前期末は0.05)となりました。今後ともROEの向上、CCC(注)向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化に取り組み、強固な財務体質の維持に努めてまいります。当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、発行体格付が「A」、短期格付が「a-1」となっています。当社は、更なる格付向上に向けて、新たな経営ビジョンのもと、安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。株主還元については、連結当期利益の上昇に応じて、親会社所有者帰属持分配当率(DOE:Dividend On Equity)を上げることを基本に、連結配当性向50%以上の配当を行うとともに、総還元性向も勘案した株主還元施策も機動的に行っていくことを基本方針としています。また、剰余金については、データセンター市場等への事業拡大、5G市場における競争力強化、IoTを活用した産業分野への事業展開、新成長分野の開拓及び6Gをはじめとした次世代技術の獲得等に向けた戦略的投資(含むM&A)のための資金需要等に備える計画です。このような新規事業への投資も含めて、企業価値の向上に取り組みます。(注)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル 5) 経営戦略と今後の方針について経営戦略と今後の方針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。 6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS会計基準)に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
事業リスク
- 技術革新の速さ情報通信市場は技術革新のスピードが非常に速いため、アンリツグループが顧客のニーズに合致した最新ソリューションをタイムリーに提供できない場合、競争力を失い、業績に大きな影響が出る可能性があります。特に5Gから6Gへの移行期において、技術動向への対応が重要です。
- 市場変動への依存通信計測事業は、サービスプロバイダやスマートフォンメーカーなどの設備投資動向に大きく左右されます。また、PQA事業は食品産業、環境計測事業はEV/電池関連産業の設備投資に依存しており、これらの市場の景気変動や投資抑制が直接的に業績に影響を及ぼすリスクがあります。
- サプライチェーンの混乱と災害電子部品などの調達において、災害や感染症の蔓延、急激な需要増などによりサプライチェーンが混乱した場合、製品の製造や供給に遅延や停止が生じる可能性があります。これにより、顧客への製品提供が滞り、売上や利益に悪影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (方針及び体制)当社グループは、リスクを適切に管理することは、企業価値を継続的に高め、社会的責任を果たすために、極めて重要な経営課題であると認識しており、リスク管理体制を整備しています。また、企業価値を維持、増大し、企業の社会的責任を果たし、当社グループの持続的発展を図るため、経営者はもとより、全社員がリスク感性を向上させ、全員参加により、リスクマネジメントを推進する取り組みに注力しています。当社グループは、グループCEOのリスクマネジメント統括のもと、主要リスクを①経営の意思決定と業務の執行に係るビジネスリスク、②法令違反リスク、③環境リスク、④製品・サービスの品質リスク、⑤輸出入管理リスク、⑥情報セキュリティリスク、⑦感染症・災害リスクであると認識し、リスクごとにリスク管理責任者を明確にしています。各リスク管理責任者は、当該リスクに関する関係部門の責任者及びグループ会社管理責任者で構成する委員会を主管し、当該リスクマネジメントに関わるグループ会社全体を統括します。リスクマネジメントの対策、計画、実施状況及び年間を通したマネジメントサイクルの結果は、必要に応じ、経営戦略会議において審議され、取締役会に報告されております。また、リスクマネジメント推進部門は、規則、ガイドラインの制定、教育研修などを主管し、事業の継続発展を確保するための、リスク管理レベルの向上に必要な体制を整備しています。なお、各リスク管理責任者は、当該分野に関し、海外グループ会社の活動を支援しています。また、コンプライアンスリスクに関しては、各地域の統括会社の責任者が年度計画を策定し、リスクアセスメントを実施しています。 (主要リスクの概要)(1) 当社グループの技術・マーケティング戦略に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループは高い技術力により開発された最先端の製品とサービスをいち早く提供することで顧客価値の向上に努めております。しかしながら、当社グループの主要市場である情報通信市場は技術革新のスピードが速いため、当社グループが顧客価値を向上させるソリューションをタイムリーに提供できない事態や、顧客のニーズやウォンツを十分にサポートできない事態が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。(2) 市場の変動に関するリスク(①ビジネスリスク)経済や市場状況の変化、技術革新などの外的な要因は、当社グループが展開する製品群の収益に影響を及ぼし、グループの財政状態及び経営成績に大きな変動をもたらす可能性があります。通信計測事業は、情報通信市場向けの売上比率が高いため、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、スマートフォン・携帯電話メーカー、半導体・デバイスメーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。サービス・プロバイダは、急増するデータ・トラフィックに対応しながら、IoTサービスやクラウドサービスなど様々なニーズを実現するネットワークの構築が求められており、コスト効率を意識した設備投資を進めています。PQA事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食品メーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。環境計測事業は、EV/電池向け試験装置の売上比率が高いため、自動車メーカー、自動車部品メーカー、バッテリメーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。(3) 戦略投資に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループは、コンピテンシーである「はかる」を極めていくと共に、内外の異なる発想や技術をさらに掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させるため、外部との連携やM&Aを含めた戦略的成長投資を強化しています。投資の実行にあたっては、事前に事業計画の検証やデューデリジェンスを実施したうえで、投資判断を行っています。また、投資後もPMI(Post Merger Integration)計画を策定、実行し、投資後のビジネス立ち上げに万全の体制で取り組んでいます。しかしながら、予期せぬ外部環境の変化や、市場環境や競合状況の変化等によっては当初期待した成果が得られないリスクがあります。このような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。(4) 海外事業展開に関するリスク(①ビジネスリスク、②法令違反リスク、⑤輸出入管理リスク)当社グループはグローバルに事業を展開しており、海外売上比率は当期実績で約7割を占めています。顧客の多くもグローバル規模で事業を展開しているため、海外諸国の経済動向、国際情勢の変化、遵守すべき法令対応によって、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。 (5) 製品の供給に関するリスク(①ビジネスリスク、⑦感染症・災害リスク)当社グループは、電子部品等の安定調達を目指して、取引先との強固な関係構築に努めるとともに、部品調達リスクを速やかに把握する仕組み作りや、戦略的な部品在庫の確保などの対策を講じています。あわせて、リスクの高い部品については代替品への変更などによりリスクの最小化を図っています。しかしながら、災害等に起因するサプライチェーンの混乱や需要の急激な高まりによる部品供給の逼迫等が生じた場合は、電子部品等の調達や主要製品の製造が困難な状況になり、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあります。このような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。(6) 感染症の蔓延に関するリスク(⑦感染症・災害リスク)当社グループは、大規模な感染症の流行が発生した場合、従業員の安全確保と社内外の感染抑止を最優先に取り組んでいきます。また、事業への影響を最小限に抑えるべく、必要に応じて対策本部を設置し、情報収集と必要な対応を行います。しかしながら、感染拡大の状況によっては、サプライチェーンの寸断や当社グループ、顧客及び取引先の工場の操業停止や事業拠点の休業などの事業活動の制限等による影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。(7) 災害等に関するリスク(⑦感染症・災害リスク)当社グループはグローバルに生産・販売活動を展開しているため、地震、台風、気候変動に伴う異常気象等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が発生した場合には、当社グループや仕入先、顧客の主要設備への被害等により事業活動に支障が生じ、また、これらの災害等が政治不安又は経済不安を引き起こすことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。当社では、災害・緊急時の被害最小化と事業活動の早期回復を図り、円滑な事業活動を継続することを目的として、各部門がBCP(Business Continuity Plan)を作成しています。当社グループの製造拠点である東北アンリツ㈱では、地震や大雨による河川の氾濫などの自然災害を重要なリスクとして位置づけ、災害発生後になすべきことを具体的にプロセスごとに明確化しています。実際の大規模災害での教訓を受け、BCP緊急発動基準を見直し、より幅広いリスクに備えるとともに各リスク発生時の対応手順の精緻化を行っています。(8) 外国為替変動に関するリスク(①ビジネスリスク)当社では売掛金の回収などで発生する外貨取引への為替先物予約等によりリスク・ヘッジに努めておりますが、急激な為替変動は当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。(9) 在庫陳腐化のリスク(①ビジネスリスク)当社グループは顧客のニーズやウォンツをきめ細かく捉え、製品やサービスを市場に提供するよう努めております。しかし、特に通信計測事業における製品群は技術革新が極めて速いため、製品及び部品の陳腐化が起こりやすく、在庫の長期化・不良化を招くことで当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。(10) 人材確保に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループの持続的成長のためには、人材の獲得、確保、育成は非常に重要な要素となっています。当社グループは、国籍や性別などにこだわらない多様な人材の採用活動を積極的に行うことにより、優秀な人材の獲得に努めるとともに、社員の自発的成長を支援する教育研修体系の整備を継続的に進めています。また、ライフワークバランスを重視し、働き方や価値観の多様化に対応した労務環境の整備に取り組んでいます。しかしながら、人材の確保及び育成が想定どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。(11) コンプライアンスに関するリスク(②法令違反リスク)当社グループは、事業を展開する各国において当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合、あるいは社会的要請に反した行動等があった場合には、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。当社グループが社会的責任を遂行するにあたり、あるべき行動の指針とする「アンリツグループ行動規範」を定めるとともに、教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。国内アンリツグループのコンプライアンスの推進は、経営戦略会議の議長であるグループCEOが率先垂範しています。そして、経営戦略会議の下に、コンプライアンス担当執行役員を委員長とし、国内アンリツグループ各社の社員がメンバーとして参加する企業倫理推進委員会が、コンプライアンス推進活動を統括しています。また、企業倫理推進委員会およびその事務局である法務部は、法令対応の関連委員会とともに、海外アンリツグループ各社に対し、各国・各地域の法令・文化・慣習などを踏まえた倫理法令遵守を促し、必要な支援を行っています。さらに、海外アンリツグループ各社のコンプライアンス責任者と連携して、グローバルな推進体制を構築しています。なお、コンプライアンス推進体制が適正に機能しているかを内部監査部門が監査し、必要に応じて、提言・改善要請を行っています。 (12) 環境問題に関するリスク(③環境リスク)当社グループは、気候変動、エネルギー、大気、水、有害物質、廃棄物、商品リサイクルなどさまざまな環境に関する法令及び規制等の適用を受けています。当社グループでは、事業活動や製品に関わる環境コンプライアンスの徹底はもとより、気候変動対策、循環型社会の形成、環境汚染予防に取り組んでいます。しかしながら、環境規制の更なる強化や過去の行為に起因する環境責任の発生、自然災害などに起因した環境汚染の発生等が考えられます。これらの事象によって、法令遵守や環境対策のために必要なコストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。当社グループでは、ステークホルダーからの要請に応えるため、製品のライフサイクル全体にわたり環境とのかかわりを意識した製品を開発し、提供しています。また、地球温暖化防止、生物多様性保全などの観点から、オフィス・ファクトリーの省エネルギー化によるCO2排出量の削減、3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進による廃棄物の削減、環境汚染防止に関して法、条例の規制より厳しい自主管理基準の設定による環境汚染リスクの低減に努めています。(13) 製品の品質に関するリスク(④製品・サービスの品質リスク)当社グループでは、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001の認証を1993年から取得し、製品の設計・開発から製造・サービス・保守に至るまでの一貫した品質管理をグローバルに展開しています。しかしながら、予測し得ない品質上の重大な欠陥といった事象の発生や製造物責任につながる事態が発生した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等に加え、補償や対策に伴うコストが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。当社グループでは、製品品質の維持・向上と保証を図り、品質マネジメントシステムを適切に運用するために、品質マネジメントシステム委員会や内部品質監査委員会等を設けています。また、万一製品事故が発生した場合の体制の整備や製品事故予防のシステム及び再発防止に向けた取組について、検討を行っています。(14) 訴訟に関するリスク(②法令違反リスク)当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、知的財産権の適正な使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、重大な訴訟等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をもたらす可能性があります。(15) 情報セキュリティに関するリスク(⑥情報セキュリティリスク)当社グループは事業活動を行ううえで、顧客及び取引先、株主、従業員などすべての関係者の情報を適切に保護することが社会的責務であり、また、情報資産が当社グループ及びすべての関係者にとって重要な財産であると認識しています。これらの情報資産について、サイバー攻撃による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ管理体制を構築し、徹底した管理とセキュリティの維持・向上への取組や情報セキュリティ教育の実施などを継続的に行っています。グローバルに事業を展開する当社では、世界中のオフィスをネットワークで接続し、情報の共有化を進めてきました。情報セキュリティにおいては一カ所でも脆弱な部分があると、全体のセキュリティレベルに影響を及ぼすことから、グローバルで強固かつ均一なセキュリティシステムを構築することに取り組んでいます。(16) 繰延税金資産に関するリスク(①ビジネスリスク)当社グループは、税効果会計を適用し、繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。(17) 確定給付制度債務に関するリスク(①ビジネスリスク)当社及び一部の子会社の従業員を対象とした確定給付年金制度から生じる退職給付費用及び債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されておりますが、確定給付制度債務の見込額を算出する基礎となる割引率等の数理計算上の仮定に変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。