事業の概要
- 主力製品の種類ヒロセ電機は「コネクタ」と呼ばれる電子部品を専門に製造・販売する企業です。コネクタとは、電子機器の中で電気信号やデータをつなぐ接続部品のことで、スマートフォン・自動車・産業機器など幅広い製品に使われています。大きく「多極コネクタ」と「同軸コネクタ」の2種類が主力で、その他にマイクロスイッチなども手がけています。
- 収益の仕組みコネクタ専業メーカーとして、製品を国内外のメーカーに販売することで収益を得ています。売上の約8割以上が海外からであり、グローバルな販売網を持つことが特徴です。製造は日本国内の東北地方の工場を中心に、アジア各地(中国・マレーシア・インドネシア・韓国・台湾など)の子会社でも行われており、世界規模の生産・販売体制を構築しています。
- グループ全体の構造当社グループは親会社であるヒロセ電機と19の子会社で構成されています。製造を担う子会社と、各地域での販売を担う子会社が役割分担しており、米国・欧州・アジア各国に販売拠点を持ちます。この製造と販売を一体で管理するグループ体制が、世界中の顧客への安定供給を支えています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 多極コネクタ事業(主力)売上約985億円・営業利益約258億円と、グループ全体の売上・利益の大部分を占める中核事業です。多極コネクタとは複数の接続端子を持つコネクタで、丸形・角形・プリント配線板用など種類が豊富です。スマートフォンや自動車、産業機器など幅広い用途に使われており、国内外の多くの子会社が製造・販売に携わっています。
- 同軸コネクタ事業(第2の柱)売上約138億円・営業利益約25億円で、多極コネクタに次ぐ規模の事業です。同軸コネクタは主に高周波の電気信号を伝えるために使われ、通信機器やアンテナ接続などに用いられます。また光コネクタ(光ファイバーをつなぐ部品)も含まれており、通信技術の高度化とともに需要が期待される分野です。
- 事業の収益構造の比較多極コネクタの営業利益率は約26%、同軸コネクタは約18%と、多極コネクタの方が利益率・規模ともに大きい状況です。両事業ともアジアを中心とした海外子会社が製造を担い、米国・欧州・アジア各地の販売子会社を通じて世界中の顧客に届けるという共通の事業モデルを持っています。
FY2016 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| MultiPinConnector | 事業 | 986 | 258 | 26.2% |
| CoaxialConnector | 事業 | 138 | 25 | 18.3% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループは、当社、子会社21社で構成され、主に多極コネクタ及び同軸コネクタ並びにその他の電子部品等の製造販売を行っております。当社グループの事業に係わる位置づけ及びセグメントとの関連は以下のとおりであります。 (多極コネクタ)多極コネクタには、丸形コネクタ、角形コネクタ及びプリント配線板用コネクタ等があります。[主な関係会社](製造)東北ヒロセ電機㈱、郡山ヒロセ電機㈱、一関ヒロセ電機㈱、台廣電子股份有限公司、廣瀬香港有限公司、広瀬電機(東莞)有限公司、広瀬電機(蘇州)有限公司、ヒロセエレクトリックマレーシアSdn.Bhd.、P.T.ヒロセエレクトリックインドネシア、ヒロセコリア㈱、威海広瀬電機有限公司(販売)ヒロセエレクトリック(U.S.A.),INC.、ヒロセエレクトリックヨーロッパB.V.、ヒロセエレクトリックシンガポールPte.Ltd.、広瀬(中国)企業管理有限公司、廣瀬電機香港貿易有限公司、ヒロセコリア㈱、ヒロセエレクトリックインドPvt.Ltd.、ヒロセエレクトリックマーケティングマレーシアSdn.Bhd.、威海広瀬貿易有限公司 (同軸コネクタ)同軸コネクタには、同軸コネクタ及び光コネクタがあります。[主な関係会社](製造)一関ヒロセ電機㈱、台廣電子股份有限公司、廣瀬香港有限公司、広瀬電機(東莞)有限公司、広瀬電機(蘇州)有限公司、ヒロセエレクトリックマレーシアSdn.Bhd.、P.T.ヒロセエレクトリックインドネシア、ヒロセコリア㈱(販売)ヒロセエレクトリック(U.S.A.),INC.、ヒロセエレクトリックヨーロッパB.V.、ヒロセエレクトリックシンガポールPte.Ltd.、広瀬(中国)企業管理有限公司、廣瀬電機香港貿易有限公司、ヒロセコリア㈱、ヒロセエレクトリックインドPvt.Ltd.、ヒロセエレクトリックマーケティングマレーシアSdn.Bhd. (その他)その他には、半導体テスト製品やマイクロスイッチ等があります。[主な関係会社](製造)ヒロセコリア㈱、一関ヒロセ電機㈱、盛岡ヒロセSER㈱(販売)ヒロセコリア㈱、廣瀬電機香港貿易有限公司、ヒロセSER㈱ 事業の系統図は以下のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い コネクタ業界は多数の同業者が存在し、極めて競合的であり、価格引下げ競争に巻き込まれる可能性があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 小型・高密度化、高性能、高品質、経済性、高速デジタル信号処理、超高周波信号の伝送技術など、高度なコネクタ技術が求められる。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:経済動向変化 / スマートフォン市場への依存 / 大口顧客グループからの受注動向
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
ヒロセ電機はコネクタ業界で長年の実績と高い技術力を有し、一部製品で特許を取得している。しかし、ブランド力は欧米大手競合に比べて限定的であり、特許による独占性は低い。技術力は評価できるものの、無形資産としての競争優位性はまだ発展途上と言える。
スイッチングコスト★★★☆☆
同社のコネクタは、自動車や産業機器など、一度採用されると仕様変更が困難な分野で広く使用されている。顧客は製品の信頼性や品質を重視するため、サプライヤー変更には開発・評価コスト、リスクが伴う。このため、一定のスイッチング・コストが発生していると考えられる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ヒロセ電機の事業モデルは、プラットフォーム型ではなく、個別の製品供給が中心であるため、ネットワーク効果は期待できない。ユーザーが増えることで製品の価値が向上するような構造ではない。
コスト優位★☆☆☆☆
コネクタ業界は価格競争も存在するが、ヒロセ電機は高付加価値製品に強みを持つ。しかし、グローバルな規模を持つ競合と比較して、圧倒的なコスト優位性を確立しているとは言えない。一部の汎用品では価格競争に巻き込まれる可能性もある。
規模の経済★★★☆☆
ヒロセ電機はコネクタ業界において、特定のニッチ分野で高いシェアを持つ。しかし、業界全体で見ると、TE ConnectivityやAmphenolといったグローバル大手と比較すると規模は小さい。特定の高機能コネクタ市場においては、効率的な規模を享受している可能性がある。
- コネクタ専業の技術力ヒロセ電機はコネクタ一本に経営資源を集中させてきた専業メーカーであり、長年の技術開発で培った設計・製造ノウハウを持つとされています。特許などの知的財産権を活用して技術保護にも取り組んでおり、顧客の細かいニーズに対応した高付加価値製品を提供できる点が競合他社との差別化につながっていると考えられます。
- グローバルな生産・販売網日本国内の東北拠点を中心に、中国・マレーシア・インドネシア・韓国・台湾などアジア各地で製造し、米国・欧州・インド・シンガポールなど世界各地で販売する体制を持っています。これにより、世界中の顧客に迅速かつ安定的に製品を届けられる体制が整っており、グローバル展開する大手電子機器メーカーとの取引に対応できます。
- 顧客との継続的な関係コネクタは電子機器の設計段階から採用が決まることが多く、一度採用されると別メーカーへ切り替えるコストが高い性質があります(スイッチングコストが高いとも言えます)。そのため、大口顧客との長期的な取引関係が生まれやすく、安定した受注につながりやすい構造を持っていると考えられます。ただし、特定顧客への依存リスクも同時に存在します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 高収益・資本効率の追求経営の目標指標として、IFRSベースの営業利益率(売上に対して利益がどれだけ出ているかの割合)とROE(自己資本利益率:株主から預かったお金をどれだけ効率よく利益に変えているか)を重視しています。単に規模を拡大するだけでなく、収益性と資本効率にこだわった経営を目指す姿勢が示されています。
- 重点市場への集中中長期的に成長が期待される自動車分野・産業用機器分野・通信機器分野・スマートフォンや高度情報端末分野を重点領域として市場開拓を進める方針です。これらの分野は情報化や通信技術の高度化(5Gや自動運転など)の進展とともに需要拡大が見込まれており、コネクタの需要増加も期待されると考えられます。
- 生産拠点のリスク分散とグローバル化推進特定地域への生産集中によるリスクを軽減するため、国内外の生産拠点の分散化を進める方針を掲げています。同時に高付加価値新製品の開発力強化・生産効率化・品質向上によるコスト競争力の強化、グローバル販路の開拓にも取り組み、企業価値の継続的な向上を目指すとしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、コネクタメーカーとして技術革新を推進するとともに多様化するニーズに適合した製品を開発・提供し、エレクトロニクス業界の発展に寄与してまいることを使命としております。そして、株主の皆様にとっての価値を長期継続的に高めていくことを経営上の最重要課題のひとつとして掲げ、お客様の更なる信頼を得られる電子部品メーカーとしての責任を果たすとともに強固な財務体質を維持し、成長し続けていくことを基本方針としております。(2) 目標とする経営指標当社グループは、経営の基本方針を具現化するべく、高収益にこだわりを持った経営及び事業展開を進めてまいります。目標とする経営指標は、事業の総合的な収益性が反映されるIFRSベースの営業利益率および資本効率性が反映されるROEとしております。(3) 中長期的な会社の経営戦略今後の当社グループを取り巻く経営環境は、企業間競争がより激化するものと思われます。このような環境の中で当社グループは、常に最先端の技術を追求し、より効率的な資源の配分と集中化を図り、弛まぬ改善・革新に取り組み、情報化のさらなる進展、通信技術の高度化に伴って中長期的に一層の成長・拡大が予想される自動車分野、産業用機器分野、及びスマートフォンを含む民生用機器分野を重点に市場開拓を進めてまいります。あわせて、より一層の製品の安定供給を図るべく、効率性も考慮しながら国内外生産拠点のリスク分散化も行い、高収益経営を維持しつつ、中期経営目標として2029年度連結売上収益2,900億円、営業利益率23%以上、ROE12%以上の数値目標の達成を目指し企業価値増大に取り組んでまいる所存であります。さらなる飛躍を目指すため、3つの投資領域(人財投資、ESG投資、IT投資)において基盤強化に取り組んでおります。人財投資においては、次世代リーダーやスペシャリスト育成を強化し、チャレンジ人財育成を計画的に推進してまいります。ESG投資としては、カーボンニュートラルや健康経営を推進してまいります。また、サプライチェーンマネジメント再構築等の業務改革を推進するにあたり、IT投資を行っております。(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題市場の多様化、製品の短サイクル化による投資回収リスクの高まりや、価格引き下げ圧力の強まりなど、ますます厳しさを増す経営環境の中で、当社グループは市場ニーズに対応した高付加価値新製品の開発力強化、生産効率化の促進、国内外における販路の開拓等に努めてまいります。また、資源高、為替変動、地政学リスク、各国による関税政策等への対応力も求められております。当社グループは利益成長だけでなく、グローバル社会における様々な課題解決への貢献が不可欠と認識しております。SDGsにリンクした目標の設定や取り組みの強化により、サステナビリティ経営を推進し、中長期的な企業価値向上と持続的な成長を実現してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、コネクタメーカーとして技術革新を推進するとともに多様化するニーズに適合した製品を開発・提供し、エレクトロニクス業界の発展に寄与してまいることを使命としております。そして、株主の皆様にとっての価値を長期継続的に高めていくことを経営上の最重要課題のひとつとして掲げ、お客様の更なる信頼を得られる電子部品メーカーとしての責任を果たすとともに強固な財務体質を維持し、成長し続けていくことを基本方針としております。(2) 目標とする経営指標当社グループは、経営の基本方針を具現化するべく、高収益にこだわりを持った経営及び事業展開を進めてまいります。目標とする経営指標は、事業の総合的な収益性が反映されるIFRSベースの営業利益率および資本効率性が反映されるROEとしております。(3) 中長期的な会社の経営戦略今後の当社グループを取り巻く経営環境は、企業間競争がより激化するものと思われます。このような環境の中で当社グループは、常に最先端の技術を追求し、より効率的な資源の配分と集中化を図り、弛まぬ改善・革新に取り組み、情報化のさらなる進展、通信技術の高度化に伴って中長期的に一層の成長・拡大が予想される自動車分野、産業用機器分野、及びスマートフォンを含む民生用機器分野を重点に市場開拓を進めてまいります。あわせて、より一層の製品の安定供給を図るべく、効率性も考慮しながら国内外生産拠点のリスク分散化も行い、高収益経営を維持しつつ、中期経営目標として2029年度連結売上収益2,900億円、営業利益率23%以上、ROE12%以上の数値目標の達成を目指し企業価値増大に取り組んでまいる所存であります。さらなる飛躍を目指すため、3つの投資領域(人財投資、ESG投資、IT投資)において基盤強化に取り組んでおります。人財投資においては、次世代リーダーやスペシャリスト育成を強化し、チャレンジ人財育成を計画的に推進してまいります。ESG投資としては、カーボンニュートラルや健康経営を推進してまいります。また、サプライチェーンマネジメント再構築等の業務改革を推進するにあたり、IT投資を行っております。(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題市場の多様化、製品の短サイクル化による投資回収リスクの高まりや、価格引き下げ圧力の強まりなど、ますます厳しさを増す経営環境の中で、当社グループは市場ニーズに対応した高付加価値新製品の開発力強化、生産効率化の促進、国内外における販路の開拓等に努めてまいります。また、資源高、為替変動、地政学リスク、各国による関税政策等への対応力も求められております。当社グループは利益成長だけでなく、グローバル社会における様々な課題解決への貢献が不可欠と認識しております。SDGsにリンクした目標の設定や取り組みの強化により、サステナビリティ経営を推進し、中長期的な企業価値向上と持続的な成長を実現してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな景気回復基調となり、個人消費や設備投資を中心に国内需要は底堅く推移しました。一方で金や銅などをはじめとする原材料価格の高騰が進展するとともに、中東情勢の緊張の急激な高まりといった地政学リスクが不透明感を強め、製造業を取り巻く環境は予断を許さない状況となりました。海外におきましては、米国は個人消費が停滞する一方で、活発なAI関連投資が下支えし景気は堅調に推移しました。欧州経済は緩やかに回復したものの力強さを欠き、中国は長引く不動産市況の低迷や内需の停滞により弱含みで推移するなど、地域や産業により景気の色合いが異なる状況となりました。このような状況下、当社グループは、主にスマートフォン市場向け、自動車市場向け及び産業用機器市場向けのグローバル事業拡大を進めるとともに高度化する市場ニーズへの更なる迅速な対応を目指し、高付加価値新製品の開発・販売・生産体制の強化を推進してまいりました。また、新たな成長ドライバーのひとつとすることを目的に、2025年7月に半導体テスト製品の製造・販売事業を展開する株式会社エス・イー・アール(東京都品川区、現ヒロセSER株式会社)を連結子会社化しました。当社グループの業績につきましては、産業用機器市場向けビジネスが幅広い用途・地域で受注・売上が増加し好調な結果となり、自動車用機器市場向けビジネスも需要は総じて堅調に推移する中、新たな案件の生産の立ち上がりなどが着実に寄与しました。一方、民生用機器市場向けビジネスはやや軟調に推移しました。その結果、当連結会計年度の売上収益は、2,112億64百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益は429億95百万円(同0.8%増)、税引前利益は466億26百万円(同0.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は331億42百万円(同0.3%増)となりました。 セグメントの業績を示すと、以下のとおりであります。(多極コネクタ)当社の主力製品群であります多極コネクタは、丸形コネクタ、角形コネクタ、リボンケーブル用コネクタ、プリント基板用コネクタ、FPC(フレキシブル基板)用コネクタ、ナイロンコネクタ等多品種にわたります。主としてスマートフォン、通信機器、カーエレクトロニクス等の分野から計測・制御機器、FA機器及び医療機器などの産業用機器等の分野まで幅広く使用されているコネクタであり、今後の更なる高度情報通信ネットワーク化社会及び環境を考慮した省エネ化社会の進展とともに需要の拡大が見込まれております。当連結会計年度は、売上収益は1,858億14百万円(前年同期比8.8%増)、営業利益は367億67百万円(同6.7%減)となりました。 (同軸コネクタ)同軸コネクタは、マイクロ波のような高周波信号を接続する特殊な高性能コネクタであり、主にスマートフォンやパソコンなどの無線LANやBluetooth通信のアンテナ接続や自動車でのGPSアンテナ接続として、また無線通信装置や電子計測器の高周波信号接続として使用されるコネクタであります。なお、光コネクタ、同軸スイッチもこの中に含んでおります。当連結会計年度は、売上収益は183億38百万円(前年同期比34.2%増)、営業利益は58億75百万円(同73.9%増)となりました。 (その他)以上のコネクタ製品以外の製品として半導体テスト製品及びマイクロスイッチ類及びコネクタ用治工具類を一括しております。当連結会計年度は、売上収益は71億12百万円(前年同期比45.0%増)、営業利益は3億52百万円(前年同期は97百万円の営業損失)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(資金)は、前連結会計年度末と比べて16億69百万円増加して、873億35百万円となりました。 a.営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、458億77百万円の増加(前年同期は556億82百万円の増加)となりました。これは、税引前利益466億26百万円や減価償却費及び償却費194億65百万円の計上などによる資金増、法人所得税の支払額157億20百万円による資金減などによるものです。b.投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、92億48百万円の減少(前年同期は429億47百万円の減少)となりました。これは、投資の取得による支出288億49百万円、有形固定資産の取得による支出200億21百万円による資金減、定期預金の減少262億51百万円による資金増などによるものです。c.財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、379億24百万円の減少(前年同期は166億71百万円の減少)となりました。これは、自己株式の取得による支出203億51百万円、配当金の支払額164億94百万円による資金減などによるものです。 ③ 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ143億12百万円増加して4,311億77百万円となりました。負債は営業債務及びその他の債務の増加等により63億83百万円増加して531億2百万円となりました。また、資本合計は利益剰余金の増加及び自己株式の増加等により79億28百万円増加して3,780億75百万円となりました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は87.7%となり、前連結会計年度末と比べ1.1%減少しました。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)多極コネクタ192,35013.5同軸コネクタ17,83542.5その他4,74324.9合計214,92715.7(注)金額は、販売価格によっております。 b.受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)多極コネクタ197,26715.149,07030.4同軸コネクタ18,89727.05,10412.3その他10,777121.54,809655.7合計226,94018.858,98437.8(注)当連結会計年度において株式会社エス・イー・アール(現ヒロセSER株式会社)を連結子会社化したことに伴い、その他の「受注高」及び「受注残高」が前年同期比で、大幅な増加となりました。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)多極コネクタ185,8148.8同軸コネクタ18,33834.2その他7,11245.0合計211,26411.5 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の財政状態および経営成績等につきましては、産業用機器市場向けビジネスが幅広い用途・地域で伸長しました。また、自動車用機器市場向けビジネスも需要は総じて堅調に推移する中、新たな案件の生産・販売が始まったことが寄与しました。その結果、対前年同期と比べ増収増益となりました。当社グループは、中期経営計画「G-WING」において、コンシューマ、産業用機器、自動車の強い3本柱を形成することで、高収益体制を維持しつつ、中長期的に売上を伸長させていく計画を立てております。現在当社グループが置かれている状況は、この3本柱によるバランスのよいポートフォリオを確立させながら成長を加速させるため、開発・生産拠点の増強を進めております。また、継続的な現場改善、品質向上、DXや人財の活性化に向けた投資も強化してまいります。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、国内外の経済動向の変化が挙げられます。現時点では特にスマートフォン市場の動向が当社グループの業績に大きな影響を与えております。当社グループとしましては、「G-WING」の3本柱を強固にしていくことでスマートフォン市場への依存率を相対的に減少させてまいります。その他の当社グループの経営成績に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、親会社所有者帰属持分比率が87.7%と十分な資本を維持しております。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、IFRSベースの営業利益率を重視した経営を行っております。当連結会計年度における営業利益率は20.4%となり、前連結会計年度の22.5%を下回る結果となりました。これは設備投資や人財への投資を続けていることおよび、原材料の高騰によるものです。引き続き、高い営業利益率を安定的に生み出せる体制づくりを行ってまいります。また、当社グループは中長期的に資本コストを上回るROE (自己資本利益率) の達成を目指しております。具体的には、収益性の改善を進めるとともに、2029年度までにROE12%以上の達成を目指してまいります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローの合計が366億29百万円となっており、成長と安定のバランスを図っております。詳細につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当社グループの資本の財源および資金の流動性につきましては、親会社所有者帰属持分比率は87.7%と高い水準を維持しており、資金の調達を行わずに事業に必要な資金の流動性を確保していると判断しています。当社グループは、事業の成長のための投資と株主への還元をともに図るため、中期的に営業キャッシュ・フローの50%から60%を事業投資へ、40%から50%を株主に還元する方針としています。また、さらなる成長のためのM&Aや資本提携などの戦略投資については現在有しているキャッシュを充てる方針です。事業への投資につきましては、中長期的な視野に立って、今後ますます進展する技術革新に対する研究開発投資、グローバル化に伴う設備投資および、ITなどのインフラ投資を行ってまいります。株主への利益還元策としては、配当による成果の配分を優先的に考えており、長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、1株当たり利益を増加させることにより配当の安定的な増加に努めることを基本方針としております。この基本方針の一層の実践を図るため、DOE(株主資本配当率)を株主還元指標として採用し、2024年度より中期的にDOE5%の配当を行うことを目標としております。また、自己株式の取得についても、株主への利益還元策としてとらえており、資本効率の改善を目的として、2025年度から2028年度の4年間で、600億円を上限とした自己株式を取得する方針を決定しております。なお、当社は自己株式の保有については、発行済株式総数の5%程度を上限とし、それを超過する部分は、原則として毎期消却する旨を自己株式の保有・消却に関する基本方針としております。 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって必要となる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。金融商品の公正価値及び棚卸資産の正味実現可能価額は社内外の環境の変化により変動する可能性は高いと考えておりますが、当社グループにおける連結財務諸表に大きな影響を与えるほど変動する可能性は極めて低いと考えております。一方、法人税等につきましては、当局との見解の相違などにより、見積りの結果とは異なる可能性があります。とりわけ移転価格について追徴を受けた場合は、当社グループにおける連結財務諸表に一定の影響を与える可能性があると認識しております。
事業リスク
- スマートフォン市場への依存当社グループはスマートフォン向けコネクタへの依存度が比較的高いとされています。スマートフォン市場は技術革新が早く需要変動も大きいため、市場が縮小したり特定の大口顧客の発注量が減少したりすると、業績に直接大きな影響が出る可能性があります。特定顧客グループからの受注動向にも左右されやすい点が課題です。
- 為替変動と海外展開リスク売上の約8割以上が海外由来であるため、急激な円高が進むと円換算での売上・利益が目減りするリスクがあります。為替予約などで対策は講じていますが、完全には回避できません。また、海外拠点では地政学リスク(国際情勢の変化)・自然災害・感染症・労務問題・各国の税制対応なども潜在的なリスクとして存在しています。
- 生産拠点の集中と競争激化国内生産拠点が東北地方に集中しており、東日本大震災のような大規模災害が発生した場合、生産能力に深刻な影響が出る恐れがあります。またコネクタ業界は国内外に多数の競合が存在し、価格引き下げ競争に巻き込まれる可能性があります。新製品開発の遅れや製品不具合が発生した場合も、販売機会の損失や損害賠償につながるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、このようなリスク (強みの裏返しでもあること) を認識した上で、CSR・リスク管理委員会を設置し、BCP (事業継続計画) を策定、定期的に見直すことにより必要なリスク管理体制を整え、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経済動向変化当社グループは、グローバルに事業展開しておりますので、様々な要因によって起こりうる世界及び日本経済の景気動向に影響を受けます。当社グループは一部の生産を協力会社に委託していることで固定費を下げ、景気動向に対する耐性を有するよう努めるとともに、一部の製品を受注生産することにより、在庫リスクを抑えています。(2) スマートフォン市場への依存当社グループの主たる事業領域である電子部品事業は、変化の激しいエレクトロニクス業界の需要動向に左右されますが、スマートフォン市場への依存度が比較的高く、その市場動向によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。当社グループはスマートフォン市場の顧客に対し積極的に新技術を有した製品を提案するとともに、スマートフォン用に開発した製品を他のアプリケーションに対しても採用されるよう営業活動を行っております。(3) 大口顧客グループからの受注動向当社グループの売上は、特定の大口顧客グループの受注量に影響を受ける可能性があります。(2)にも記載のとおり、大口顧客グループに対しては積極的に新技術を有した製品を提案することで大口顧客グループの信頼を得られるよう努めています。(4) 当社製品の需要変動当社製品のうち、需要変動の大きいエレクトロニクス製品に使用されるコネクタについては、実態と乖離する部品需要が発生することもあり、対応次第で在庫リスクとなる可能性があります。一方、需要が当社予測を急激かつ大幅に上回り、生産体制が追いつかない場合には、納期遅延による損害賠償金の発生や販売機会を逃す可能性があります。当社グループは顧客と積極的に情報交換をすることおよび、一部の製品を受注生産とすることで在庫リスクを抑えています。また、生産体制については積極的な設備投資を行うとともに、一部の生産を協力会社へ委託することで生産能力の向上を図っています。(5) 競合と価格競争コネクタ業界は、国内外の大手から中小にいたる様々な規模の多数の同業者が存在し、極めて競合的であり、当社もその価格引下げ競争に巻き込まれる可能性があります。当社グループは新製品の開発および、金型の開発や生産設備の運用といった生産技術の向上を積極的に行っており、他社が容易に真似をすることができない製品を投入し続けることで、価格の引き下げ競争に巻き込まれないよう努めています。(6) 新製品開発企業の成長は、マーケティングと技術革新によりますが、顧客製品のライフサイクルは短期から長期まで様々であり、これらの市場変化や技術革新への対応遅れで、差別化する新製品の開発が遅れることにより、販売機会を失う可能性があります。また、開発した新製品が想定に比べて顧客に受け入れられない可能性があります。これらの場合、企業経営に影響が出る可能性があります。当社グループは新製品の一部について顧客の要請を受けて開発しています。また、当社グループはコネクタの総合メーカーとして幅広いラインナップを取りそろえることで顧客に受け入れられる可能性を高めています。(7) 製品の不具合予期していない製品の不具合が発生し、品質・信頼性に係る重大な問題が起こった場合、顧客への多額の損害賠償金や売上の減少等の影響が出る可能性があります。当社グループは製品の品質を重要視しており、技術者は過去に発生した品質問題及びその原因について把握できるデータベースを作成するとともに、生産現場ではカメラを使用した外観検査等を行っております。 (8) 海外展開に伴うリスク生産及び販売の拠点を置いている海外の国々では、様々な地政学リスク、為替変動・貿易摩擦などの経済的リスク、文化・慣習の相違から発生する労務問題や新型コロナウイルス感染症のような疾病などの社会的リスク及び自然災害リスクが、当社の予想を超える範囲で発生する可能性があります。一方で、海外展開していることで、特定の地域で事業活動が行えないときは他地域の拠点で代わりに事業を行うことができます。ただし、当社グループは一部の製品を除き、特定の製品を特定の拠点でしか生産できない体制となっていることが現状リスクであると認識しています。(9) 大規模災害当社グループは、地震・火災・台風・洪水・火山の噴火をはじめとする災害に対して、BCP (事業継続計画) を策定するなどリスクの低減に努めていますが、これらの災害が発生した場合、当社グループの事業活動、特に工場における生産活動に影響を受ける可能性があります。とりわけ、当社グループの国内生産拠点は東北地方に集中しており、東日本大震災のような大規模災害が発生した場合、生産設備の破壊、物流機能の麻痺等が生じ、生産能力に影響が出る可能性があります。これらの災害に対しては保険をかけていますが、起こりうる全ての事象に対してカバーされているわけではなく、またカバーされていたとしても、受け取る保険金が十分ではない可能性があります。(10) 感染症の拡大によるリスク当社グループは、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症の急激な拡大に対して、BCP (事業継続計画) を策定するなどリスクの低減に努めていますが、当社グループの事業活動、特に工場における生産活動及び物流の状況に影響を受ける可能性があります。 (11) 為替変動当社グループは、海外売上収益比率が約8割を超え、外貨建販売のウェイトが高い割合を占めています。為替変動による損益影響を軽減する為、為替予約や海外売上と海外生産の比率の均衡化等に取組んでおりますが、急激な円高が進んだ場合には業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(12) グループ外の組立外注及び部品・材料供給先に係るリスク当社グループは、生産の一定部分を複数の外部協力会社に委託しておりますが、委託生産が困難になった場合、生産量の減少やコストアップの要因になる可能性があります。また、部品・材料メーカーからの供給が滞った場合、生産に支障をきたす可能性があります。(13) 人財確保に関するリスク/管理運営リスク従来に増して急激に変化する外部環境に対応するため、従業員の確保および能力向上が必要不可欠であります。このような環境下、各分野で必要となる専門性を持つ従業員や、変化に対応できるリーダーシップを持った従業員の確保、育成が滞る場合および従業員の退職により人財が流出する場合には、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。当社グループは同業他社と比べて高い水準の給与・賞与の支給を目指すとともに、様々な状況下にある従業員が働き続けられるよう制度を改定してきました。また、実際の業務内容に即した、実践的な研修を実施することで従業員の能力向上を図っています。(14) 労使関係当社グループには、労働組合がなく、従業員加入の親睦団体「八要会」により、正常かつ円満な労使関係を維持継続しております。この良好な労使関係が崩れた場合、経営上影響が出る可能性があります。(15) 知的財産当社グループは技術開発研究等によって得られた成果について、特許などの知的財産権によりこれらの技術の保護を図っています。しかし、他社が当社グループの知的財産を無断で使用し、類似製品を製造することを当社グループとして効果的に防止できない可能性があります。このような場合、当社グループは訴訟を含む法的手段に訴えることがあります。また、当社グループの製造する製品、または使用している技術が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。 (16) 税制当社グループは各国の税制に沿って適切な申告・納税をするよう努めていますが、各国税務当局と見解の相違が発生することで追徴の通知を受ける可能性があります。また、当社グループはグローバルにビジネス展開しているため、移転価格税制による追徴の通知を受ける可能性があります。当社グループは、特に移転価格税制によるリスクが高いと認識しており、外部の税務専門家による助言を受け、リスク回避に努めております。(17) サイバーセキュリティ当社グループはサイバー攻撃に備え、ネットワーク環境の監視や、定期的に従業員への情報セキュリティ教育を行うなどのセキュリティ対策を実施しておりますが、サイバー攻撃を受けた場合、当社グループのビジネスに影響を及ぼす可能性があります。