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アドバンテスト(6857)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

  • 半導体テスト装置事業
    アドバンテストは、半導体メーカーが製造した半導体チップが正しく機能するかを検査する「テストシステム」と、そのテストシステムに半導体を供給する「テストハンドラ」などを製造・販売しています。これらの製品は、スマートフォンやパソコン、自動車など、あらゆる電子機器に使われる半導体の品質を保証するために不可欠なものです。
  • 包括的なテストソリューション
    同社は、単にテスト装置を売るだけでなく、テストに必要な周辺機器やソフトウェア、そしてそれらを組み合わせた「テストソリューション」全体を提供することを目指しています。これにより、顧客である半導体メーカーは、より効率的かつ高精度に半導体をテストできるようになります。
  • 研究開発と保守サービス
    主力製品の製造・販売に加え、最先端の半導体に対応するための研究開発にも力を入れています。また、納入したテストシステムの保守やメンテナンス、消耗品の販売なども行い、顧客の長期的な事業活動をサポートすることで、安定的な収益源を確保しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • テストシステム事業
    この部門は、SoC(システムオンチップ)半導体やメモリ半導体のテストシステム、半導体を扱うテストハンドラ、そして被測定物との接続を行うデバイスインタフェースなどを提供しています。半導体やモジュールのシステムレベルテストソリューションも手掛けており、同社の主要な収益源となっています。
  • サービス他部門
    テストシステム事業に関連する総合的な顧客ソリューションの提供、ナノテクノロジー関連製品、サポートサービス、消耗品の販売などが含まれます。この部門は、製品販売後の継続的な収益と顧客満足度の向上に貢献し、安定した事業基盤を支えています。
  • グローバルな生産・販売・開発体制
    テストシステム事業部門の生産は日本と外部委託企業が担当し、販売は日本が国内と一部海外、その他海外はアメリカ、ヨーロッパ、台湾、シンガポールなどの現地法人が担っています。開発は日本、ヨーロッパ、アメリカが中心となっており、世界規模で事業を展開しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,251 文字
3【事業の内容】 株式会社アドバンテスト(以下「当社」という。)の企業グループ(以下「当社グループ」という。)は、テストシステム製品群とテストハンドラやデバイスインタフェース等のメカトロニクス関連製品群の製造・販売を主な事業内容とし、その他にこれらに関連する研究開発及び保守・サービス等の事業活動を展開しております。 当社グループの報告セグメントは、従来、「半導体・部品テストシステム事業」、「メカトロニクス関連事業」、及び「サービス他」の3つを報告セグメントとしておりましたが、テスタのみならず周辺機器等を含めた包括的なテストソリューションの提供を目指す中で、マネジメントアプローチの視点により当社グループにおける収益の源泉を再分類し、当連結会計年度より、「テストシステム事業」及び「サービス他」という2つの報告セグメントへと変更いたしました。 (テストシステム事業部門) テストシステム事業部門は、SoC半導体デバイス向けのSoCテストシステム、メモリ半導体デバイス向けのメモリテストシステム、半導体デバイスをハンドリングするメカトロニクス応用製品のテストハンドラ、被測定物とのインタフェースであるデバイスインタフェースなどの製品群及び半導体やモジュールのシステムレベルテストのソリューションを事業内容としております。 この事業部門の生産活動は、当社及び複数の外部委託企業等が担当しております。 販売活動は、主に当社が国内及び一部海外ユーザー(韓国、中国等)を担当し、その他の海外ユーザーについてはAdvantest America, Inc.、Advantest Europe GmbH、Advantest Taiwan Inc. 及び Advantest (Singapore) Pte. Ltd.等が担当しております。 開発活動は、当社、Advantest Europe GmbH及びAdvantest America, Inc.等が担当しております。 (サービス他部門) サービス他部門の内容は、上記の事業に関連した総合的な顧客ソリューションの提供、ナノテクノロジー関連の製品群、サポート・サービス及び消耗品販売等で構成されております。 当社企業グループ内の事業活動を系統図で示せば以下のとおりであります。 事業系統図 当社(アドバンテスト) 研究開発、製造、 販売、保守会社 Advantest America, Inc.Advantest Korea Co., Ltd. Essai, Inc. Advantest Europe GmbHAdvantest (China) Co., Ltd. Advantest Taiwan Inc.Advantest (Singapore) Pte. Ltd. Advantest Test Solutions, Inc. テストシステム事業部門 サービス他部門 上記以外に連結子会社が31社あります。連結子会社(国内5社、海外34社、合計39社)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
テストコスト削減の圧力、顧客によるテストシステムの内製化、競合による低価格テスタの投入。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品の独自技術と付加価値の高いソリューション。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:半導体産業の顕著な需要変動 / 国際的な事業展開に伴う経済的、政治的リスク / 化学物質規制強化や環境法規制厳格化による費用増
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

半導体テストソリューション分野で高い技術力とブランド力を有する。特に先端ロジック・メモリ向けテスト装置で世界トップクラスのシェアを誇り、顧客との長期的な信頼関係が強固な知的財産となっている。特許取得数も多く、技術的優位性を維持している。

スイッチングコスト★★★★☆
根拠:強い乗り換えの手間・コスト

半導体テスト装置は、導入に巨額の設備投資が必要であり、ソフトウェアや周辺機器との連携も複雑であるため、顧客(半導体メーカー)が他社製品へ乗り換える際のスイッチングコストは非常に高い。装置の入れ替えには数年単位の検証と再開発が必要となる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

半導体テスト装置のビジネスモデルにおいて、直接的なネットワーク効果は限定的である。ユーザーが増えることで装置の価値が直接的に向上するわけではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

量産効果によるコスト削減努力は行われているが、競合他社と比較して構造的なコスト優位性は確立されていない。研究開発費や製造コストは高水準である。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

半導体テスト装置市場は、高度な技術力と巨額の設備投資が必要なため、参入障壁が高く、少数の有力企業による寡占状態となっている。アドバンテストは、東京エレクトロンなどと並び、この市場でトップクラスのシェアと規模を誇る。

  • 最先端技術への貢献
    アドバンテストは、半導体の性能向上と複雑化に対応する最先端のテスト技術を提供することで、半導体産業の発展を支えています。特に、AIや高性能コンピューティング(HPC)向け半導体のテストは非常に複雑であり、同社の高度な技術力が競争優位の源泉となっています。
  • グローバルな事業展開
    同社は日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界中に拠点を持ち、主要な半導体メーカーを顧客としています。これにより、特定の地域や顧客に依存することなく、グローバルな半導体市場の成長を取り込むことが可能であり、事業の安定性にも寄与しています。
  • 顧客との信頼関係
    長年にわたり半導体テスト市場で培ってきた実績と、包括的なテストソリューションの提供を通じて、顧客からの厚い信頼を獲得しています。これは、単なる製品供給にとどまらない、技術サポートやサービスを含めた長期的なパートナーシップを築く上で重要な要素となります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 「The Advantest Way」の追求
    同社は「先端技術を先端で支える」という経営理念を掲げ、これを「The Advantest Way」という共通の価値観と行動原則としています。この理念に基づき、顧客満足度の高い製品・サービスを提供し、社会の発展に貢献することで、中長期的な企業価値向上を目指しています。
  • 中長期経営方針「グランドデザイン」
    2018年に策定し、2024年に改定した「グランドデザイン」は、同社の長期的な成長戦略の羅針盤です。半導体テストの複雑化や市場の変化に対応し、顧客や社会にとって価値ある存在であり続けるために、提供価値の拡大と経営基盤の強化を両立させることを目指しています。
  • 第3期中期経営計画(MTP3)
    2024年度から始まる3か年の中期経営計画「MTP3」では、コア市場での成長率を上回る成長を目指しています。特に、半導体テストの自動化(Automation of Test)の実現や、業界内エコシステムの構築を重点施策とし、高性能化・複雑化する半導体に対応するソリューション提供を強化していきます。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針:「The Advantest Way」 当社グループは、経営理念として「先端技術を先端で支える」を掲げています。すなわち、「世界中の顧客にご満足いただける製品・サービスを提供するためにたえず自己研鑽に励み、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献する」ことが当社グループの使命であり、またこれを追求し続けることで当社グループの社会的な存在意義は拡大するものと認識しています。 また過去からの事業拡大に向けた取り組みの結果、当社グループは多様な文化、言語、慣習、価値観を内包する組織となっていることから、経営理念に即した事業活動を行う前提として、共通価値観の醸成や共通の行動原則が重要となっています。 これらを総合し、当社グループは2019年に、過去から有していた企業理念体系「The Advantest Way」を発展させ、当社グループが今後進むべき方向性と大切にすべき価値観を包含するものへ改定しました。現在の当社グループの中長期的な経営戦略や事業活動は、すべてこの改定版「The Advantest Way」に沿って展開されています。当社グループは、「The Advantest Way」に沿った活動を実践し続けることで顧客や社会への提供価値を最大化し、各ステークホルダーからより厚い信頼を得られるよう努めます。 「The Advantest Way」は、以下の6要素から構成されます。 1. 経営理念(パーパス&ミッション):「先端技術を先端で支える」2. ビジョン・ステートメント:「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain)」3. コア・バリュー:「INTEGRITY」4. 「サステナビリティ基本方針」5. 「行動指針」:「本質を究める」6. 「行動基準」 1~3は、社会発展への貢献と中長期的な企業価値向上に向けて当社グループがどうありたいか、何をなすべきかを規定しています。4~6は、望まれるステークホルダーとの関係性や、業務遂行にあたり役員や従業員に求める価値観やふるまいなどを定めています。 (2)中長期経営方針「グランドデザイン」 当社グループは、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、長期的にどうありたいか、そしてそのために何をなすべきか等の当社グループの進むべき方向性を、2018年より中長期経営方針「グランドデザイン」として定めています。 2018年版の「グランドデザイン」のもとでは、第1期と第2期の二つの中期経営計画を推進し、当初の構想を超えた規模とスピードで当社グループの市場シェア向上、業容拡大、収益性改善を実現しました。 そして2024年、当社グループをさらに発展させるため、また当社グループが顧客や社会にとって価値ある存在であり続けるため、「グランドデザイン」をそれまでの経営・事業体制の変化や当時最新の長期事業環境見通しを踏まえた内容へ改定しました。 当社グループは今後、この改定版「グランドデザイン」に則り、ステークホルダーへの提供価値の拡大と経営基盤の強化に努めてまいります。「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ」(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain) 当社グループは、提供価値の拡大を通じ、すべてのステークホルダーから半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーとなることを目指します。 マクロ的な事業環境における将来の不確実性は、今後も高い状態が継続すると予想されます。気候変動、地政学的リスク、エネルギー、人口動態の変化など、世界を取り巻く問題はより深刻化しており、社会課題の複雑化が飛躍的に進んでいます。 一方で、AIに代表される、これら社会課題を解決するためのイノベーションが多様な産業でダイナミックに進行しています。社会的イノベーションの基盤となる半導体に対しては、さらなる性能改善と経済合理性確保に向けた企業間・地域間連携の拡大や、域内供給体制の強化などが進展しています。これらに沿い、半導体バリューチェーンは、その複雑さをさらに増しつつ、中長期的な発展を遂げていくと想定しています。 さらに半導体テストの技術的な潮流について展望すると、さらなる微細化、新アーキテクチャーの採用、先端パッケージの採用など、半導体の高性能化とエネルギー効率向上を実現するための技術進化が、半導体テストの複雑性を今後も持続的に引き上げていく見通しです。とりわけ、今後の半導体市場の最大の成長牽引役と予想されるAIやHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)関連の半導体において、テストの複雑性は一層顕著となると見込まれます。 このように複雑性の進行が業界のキートレンドとなる中、半導体テスト関連市場は、顧客のテスト能力増強投資を通じ、中長期的な市場成長を遂げると予想しています。また今後のテスト・ソリューションにおいては、半導体の品質保証プロセスにおける効率性向上をもたらす、より高度な自動化が望まれる方向と分析しています。こうした潮流下、当社グループは、より性能に優れる製品の開発・販売に加え、それら製品群を発展・統合した新たなソリューションやサービスの提供がさらなる成長機会となると見込んでおり、その機会の具体化を今後の中長期成長施策の基軸とする方針です。また業界全体が複雑化する中にあっては当社グループ自身においても効率が重要であり、経営及び事業全般にわたって様々な効率性の向上に取り組みます。 半導体は、サステナブルな社会の実現や多様な産業の発展に向けて今後も不可欠な存在とされています。そして現在の当社グループにおけるほぼすべての事業は、より性能に優れた半導体の実現と普及に深く結びつくものとなっています。このことから当社グループが経営理念に基づき、先端の技術開発を通じてより良い半導体の開発と普及に寄与していくことは、自社の持続的な成長のみならず、さらなる「安全・安心・心地よい」社会実現に向けても直接的に貢献する行為であり続けると考えます。 今後当社グループは、テストの複雑化への対応などを含めた顧客課題の解決を軸としながらサステナブルな社会実現につながる取り組みを推進し、それを通じて各ステークホルダーに対して提供する経済的・社会的価値を多面的かつバランスよく拡大することを、経営における長期的な目標とします。 (3)第3期中期経営計画(MTP3、2024~2026年度)の概要 半導体テスト関連市場は、短期的なダウンサイクルを織り込みつつも、中長期的に成長を続けると見込んでいます。また半導体市場の拡大に加え、半導体の複雑性への対応が業界における構造課題となる中で、当社グループの事業機会は中長期的に拡大するものと考えています。 このような環境のもと、当社グループは、改定した「グランドデザイン」に則り策定した、第3期となる3か年中期経営計画(MTP3)を2024年度より展開しています。MTP3で掲げた各戦略施策については、“Automation of Test”の提供実現に向けた取り組みや、その基盤となる業界内エコシステムの構築を筆頭に、総じて想定を上回る進捗と認識しています。MTP3の最終年度となる2026年度は、中長期的な企業価値向上に向けた各種の取り組みを引き続き推進いたします。 1. Outpace the growth in our core market(コア市場の成長率を上回る成長実現) 当社グループの今後のコア市場においては、半導体の生産量増加、半導体の高性能化、そして半導体の複雑性進行への対応が重要な成長機会となると想定しています。これに対しては、個々のテスト・ソリューションの性能向上に加え、顧客に“Automation of Test”、すなわち半導体テストの効率性向上をもたらす新たな価値を、当社グループが擁する多様な製品・ソリューション群の有機的な結合や社外パートナーとの連携などを通じて創造します。これらにより、市場成長率を上回る事業成長を引き続き実現することを目指します。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・テスト需要の変化を先読みした顧客訴求力ある製品の拡販や重点顧客・地域戦略を通じ、半導体テスタ市場における市場シェアをさらに拡大(市場シェア: 暦年2024年 58%、暦年2025年 65%)・複数の次世代テスト・ソリューションを新たに展開・中長期的な業界課題の解決に向け、研究開発体制を充実。また、次世代DRAM向けやシリコンフォトニクス向けなど今後期待の高い領域における高付加価値テスト・ソリューションの市場投入準備が進捗。シリコンフォトニクスは大規模量産向け用途で初受注 2. Expand adjacently / new businesses(近縁市場・新規事業領域への展開) 半導体の高性能化や複雑性が進行する中では、より広く、統合されたテスト・ソリューションが望まれます。当社グループはこれまでもシステムレベルテストやテスト周辺機器への事業展開を進めてきましたが、今後もこのアプローチを継続することで顧客への提供価値をさらに拡大します。具体的には、当社製品のインストールベースを活用したフィールド・サービスやAdvantest Cloud Solutions™の販促に取り組むほか、Applied Research & Ventureの取り組みを通じた事業機会創生にも挑戦します。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・シリコン検証を自動化する画期的なソリューション「SiConicTM」の業界内認知が拡大・テスト価値のさらなる創出に向け、「Advantest Innovation Center」の開設や、Applied Materials, Inc.社のEPIC(Equipment and Process Innovation and Commercialization)プラットフォームへの参画など、業界横断的な協働の取り組みを拡充・顧客の将来のニーズに応える高性能トータル・テスト・ソリューション実現に向けて、プローブカード・メーカー3社との戦略パートナーシップを深耕 3. Drive operational excellence(オペレーショナル・エクセレンスへの取り組みを推進) 当社グループは、技術、ノウハウ、リソースの活用を部門横断的に進めることで、半導体業界におけるテスト課題を解決していきます。また、当社グループのステークホルダーすべてにとって価値がある企業となるためには、製品や技術面の優秀さだけではなく、あらゆるオペレーションの効率性と有効性を高めていく必要があると認識しています。それに向け、DXを通じた社内オペレーションの迅速化と省人化、強靭なサプライチェーンの構築、有能人財の登用や社員教育の拡充などによる人的資本強化、AIやデータ・アナリティクスを活用した社内生産性向上などに取り組みます。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・先駆的なサプライチェーン管理高度化とサプライヤーとの強固な協業を通じ、急峻な製品需要の伸びに追従・業務の迅速化と効率向上に向け、ガバナンスを確保したAI利活用を本格化・今後の成長実現に向け、人財採用・育成・定着力の強化と魅力あふれる職場づくりを推進 4. Enhance sustainability(サステナビリティの取り組み強化) 気候変動や人権問題をはじめとするサステナビリティ課題に対する能動的かつ積極的なアクション、法令遵守や企業倫理の徹底を含めた責任ある事業活動の遂行、リスクマネジメントの強化やコーポレート・ガバナンスの高度化などを通じて企業価値向上基盤をさらに強化するとともに、各ステークホルダーからより厚い信頼を得られるよう努めます。またサステナビリティに関する取り組みの推進にあたっては、その根源となるものは企業内の共通カルチャーや価値観であることから、これらの醸成と浸透にも努めます。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・事業規模が拡大する中でも、GHG排出量(Scope1+2)を前年度実績と同等水準に抑制できる見通し・半導体業界に精通し、かつ高度な専門的知見と経験を有する多彩な人財を幹部として複数登用することで、当社グループの経営執行能力を強化するとともに事業環境の複雑化に対応 MTP3では、上記の4つの戦略を通じて収益拡大、収益性改善、資本効率向上を図ることで、企業価値の向上に取り組みます。これに沿い、MTP3において重視する経営指標を売上高、営業利益率、当期利益、投下資本利益率(ROIC)、基本的1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの向上に努めます。各指標の進捗を中長期視点で評価するため、下記の経営指標は、市場変動の影響を平準化できる3か年平均の値を用いています。 なお2025年10月、AI/HPC半導体のテスト需要が想定した以上に力強く推移する見通しとなったこと、及び市場シェア拡大等の社内戦略施策の進捗を踏まえ、2024年6月に公表した当初の内容から全指標を上方修正しています。 MTP3(2024~2026年度)平均目標*12024年度実績*22025年度実績*2売上高8,350~9,300億円7,797億円11,286億円営業利益率33~36%29.3%44.2%当期利益2,070~2,480億円1,612億円3,754億円投下資本利益率*3(ROIC)34~39%31.5%54.4%基本的1株当たり当期利益(EPS)284~341円218.67円515.15円*1.2025年10月時点での修正値。修正値は、2024年度及び2025年度上期の実績値に、その時点における2025年度下期及び2026年度の業績予想を加味したもの。前提とした為替レートは1米ドル=140円、1ユーロ=155円。*2.2024年度の為替レート実績は1米ドル=153円、1ユーロ=164円。2025年度の為替レート実績は1米ドル=150円、1ユーロ=173円。*3.投下資本利益率:NOPAT÷投下資本(期首・期末平均)。NOPAT:営業利益×(1-税負担率25%)。 投下資本:借入金+社債+資本合計(リース負債含まず)。 (4)2026年度の経営環境及び取り組み 今後の当社グループを取り巻く事業環境を展望しますと、暦年2026年の半導体市場は、AI関連向け半導体が引き続き成長を牽引し、約1兆ドルを超える規模になるとの予測もあります。半導体テスタ市場においても、AI関連向け半導体の生産数量の増加及びさらなる複雑化を背景に、過去最大の規模になると見込んでいます。 しかしながら、中東情勢の緊迫化により世界経済の減速が懸念されており、当社グループを取り巻く事業環境は、地政学的リスクの拡大をはじめ、予断を許さない状況にあると捉えております。高水準の需要が継続する中、サプライチェーン全体において供給不足が生じ、顧客の製品や当社グループ製品に影響を及ぼす可能性もあります。こうした状況を踏まえ、当社グループは引き続きサプライチェーンレジリエンスの強化に注力してまいります。 当社グループは、外部環境の変化に引き続き注意を払い、機敏かつ柔軟に対応するとともに、引き続きMTP3で掲げた施策を推し進めることで中長期的なステークホルダーへの提供価値拡大に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針:「The Advantest Way」 当社グループは、経営理念として「先端技術を先端で支える」を掲げています。すなわち、「世界中の顧客にご満足いただける製品・サービスを提供するためにたえず自己研鑽に励み、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献する」ことが当社グループの使命であり、またこれを追求し続けることで当社グループの社会的な存在意義は拡大するものと認識しています。 また過去からの事業拡大に向けた取り組みの結果、当社グループは多様な文化、言語、慣習、価値観を内包する組織となっていることから、経営理念に即した事業活動を行う前提として、共通価値観の醸成や共通の行動原則が重要となっています。 これらを総合し、当社グループは2019年に、過去から有していた企業理念体系「The Advantest Way」を発展させ、当社グループが今後進むべき方向性と大切にすべき価値観を包含するものへ改定しました。現在の当社グループの中長期的な経営戦略や事業活動は、すべてこの改定版「The Advantest Way」に沿って展開されています。当社グループは、「The Advantest Way」に沿った活動を実践し続けることで顧客や社会への提供価値を最大化し、各ステークホルダーからより厚い信頼を得られるよう努めます。 「The Advantest Way」は、以下の6要素から構成されます。 1. 経営理念(パーパス&ミッション):「先端技術を先端で支える」2. ビジョン・ステートメント:「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain)」3. コア・バリュー:「INTEGRITY」4. 「サステナビリティ基本方針」5. 「行動指針」:「本質を究める」6. 「行動基準」 1~3は、社会発展への貢献と中長期的な企業価値向上に向けて当社グループがどうありたいか、何をなすべきかを規定しています。4~6は、望まれるステークホルダーとの関係性や、業務遂行にあたり役員や従業員に求める価値観やふるまいなどを定めています。 (2)中長期経営方針「グランドデザイン」 当社グループは、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、長期的にどうありたいか、そしてそのために何をなすべきか等の当社グループの進むべき方向性を、2018年より中長期経営方針「グランドデザイン」として定めています。 2018年版の「グランドデザイン」のもとでは、第1期と第2期の二つの中期経営計画を推進し、当初の構想を超えた規模とスピードで当社グループの市場シェア向上、業容拡大、収益性改善を実現しました。 そして2024年、当社グループをさらに発展させるため、また当社グループが顧客や社会にとって価値ある存在であり続けるため、「グランドデザイン」をそれまでの経営・事業体制の変化や当時最新の長期事業環境見通しを踏まえた内容へ改定しました。 当社グループは今後、この改定版「グランドデザイン」に則り、ステークホルダーへの提供価値の拡大と経営基盤の強化に努めてまいります。「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ」(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain) 当社グループは、提供価値の拡大を通じ、すべてのステークホルダーから半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーとなることを目指します。 マクロ的な事業環境における将来の不確実性は、今後も高い状態が継続すると予想されます。気候変動、地政学的リスク、エネルギー、人口動態の変化など、世界を取り巻く問題はより深刻化しており、社会課題の複雑化が飛躍的に進んでいます。 一方で、AIに代表される、これら社会課題を解決するためのイノベーションが多様な産業でダイナミックに進行しています。社会的イノベーションの基盤となる半導体に対しては、さらなる性能改善と経済合理性確保に向けた企業間・地域間連携の拡大や、域内供給体制の強化などが進展しています。これらに沿い、半導体バリューチェーンは、その複雑さをさらに増しつつ、中長期的な発展を遂げていくと想定しています。 さらに半導体テストの技術的な潮流について展望すると、さらなる微細化、新アーキテクチャーの採用、先端パッケージの採用など、半導体の高性能化とエネルギー効率向上を実現するための技術進化が、半導体テストの複雑性を今後も持続的に引き上げていく見通しです。とりわけ、今後の半導体市場の最大の成長牽引役と予想されるAIやHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)関連の半導体において、テストの複雑性は一層顕著となると見込まれます。 このように複雑性の進行が業界のキートレンドとなる中、半導体テスト関連市場は、顧客のテスト能力増強投資を通じ、中長期的な市場成長を遂げると予想しています。また今後のテスト・ソリューションにおいては、半導体の品質保証プロセスにおける効率性向上をもたらす、より高度な自動化が望まれる方向と分析しています。こうした潮流下、当社グループは、より性能に優れる製品の開発・販売に加え、それら製品群を発展・統合した新たなソリューションやサービスの提供がさらなる成長機会となると見込んでおり、その機会の具体化を今後の中長期成長施策の基軸とする方針です。また業界全体が複雑化する中にあっては当社グループ自身においても効率が重要であり、経営及び事業全般にわたって様々な効率性の向上に取り組みます。 半導体は、サステナブルな社会の実現や多様な産業の発展に向けて今後も不可欠な存在とされています。そして現在の当社グループにおけるほぼすべての事業は、より性能に優れた半導体の実現と普及に深く結びつくものとなっています。このことから当社グループが経営理念に基づき、先端の技術開発を通じてより良い半導体の開発と普及に寄与していくことは、自社の持続的な成長のみならず、さらなる「安全・安心・心地よい」社会実現に向けても直接的に貢献する行為であり続けると考えます。 今後当社グループは、テストの複雑化への対応などを含めた顧客課題の解決を軸としながらサステナブルな社会実現につながる取り組みを推進し、それを通じて各ステークホルダーに対して提供する経済的・社会的価値を多面的かつバランスよく拡大することを、経営における長期的な目標とします。 (3)第3期中期経営計画(MTP3、2024~2026年度)の概要 半導体テスト関連市場は、短期的なダウンサイクルを織り込みつつも、中長期的に成長を続けると見込んでいます。また半導体市場の拡大に加え、半導体の複雑性への対応が業界における構造課題となる中で、当社グループの事業機会は中長期的に拡大するものと考えています。 このような環境のもと、当社グループは、改定した「グランドデザイン」に則り策定した、第3期となる3か年中期経営計画(MTP3)を2024年度より展開しています。MTP3で掲げた各戦略施策については、“Automation of Test”の提供実現に向けた取り組みや、その基盤となる業界内エコシステムの構築を筆頭に、総じて想定を上回る進捗と認識しています。MTP3の最終年度となる2026年度は、中長期的な企業価値向上に向けた各種の取り組みを引き続き推進いたします。 1. Outpace the growth in our core market(コア市場の成長率を上回る成長実現) 当社グループの今後のコア市場においては、半導体の生産量増加、半導体の高性能化、そして半導体の複雑性進行への対応が重要な成長機会となると想定しています。これに対しては、個々のテスト・ソリューションの性能向上に加え、顧客に“Automation of Test”、すなわち半導体テストの効率性向上をもたらす新たな価値を、当社グループが擁する多様な製品・ソリューション群の有機的な結合や社外パートナーとの連携などを通じて創造します。これらにより、市場成長率を上回る事業成長を引き続き実現することを目指します。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・テスト需要の変化を先読みした顧客訴求力ある製品の拡販や重点顧客・地域戦略を通じ、半導体テスタ市場における市場シェアをさらに拡大(市場シェア: 暦年2024年 58%、暦年2025年 65%)・複数の次世代テスト・ソリューションを新たに展開・中長期的な業界課題の解決に向け、研究開発体制を充実。また、次世代DRAM向けやシリコンフォトニクス向けなど今後期待の高い領域における高付加価値テスト・ソリューションの市場投入準備が進捗。シリコンフォトニクスは大規模量産向け用途で初受注 2. Expand adjacently / new businesses(近縁市場・新規事業領域への展開) 半導体の高性能化や複雑性が進行する中では、より広く、統合されたテスト・ソリューションが望まれます。当社グループはこれまでもシステムレベルテストやテスト周辺機器への事業展開を進めてきましたが、今後もこのアプローチを継続することで顧客への提供価値をさらに拡大します。具体的には、当社製品のインストールベースを活用したフィールド・サービスやAdvantest Cloud Solutions™の販促に取り組むほか、Applied Research & Ventureの取り組みを通じた事業機会創生にも挑戦します。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・シリコン検証を自動化する画期的なソリューション「SiConicTM」の業界内認知が拡大・テスト価値のさらなる創出に向け、「Advantest Innovation Center」の開設や、Applied Materials, Inc.社のEPIC(Equipment and Process Innovation and Commercialization)プラットフォームへの参画など、業界横断的な協働の取り組みを拡充・顧客の将来のニーズに応える高性能トータル・テスト・ソリューション実現に向けて、プローブカード・メーカー3社との戦略パートナーシップを深耕 3. Drive operational excellence(オペレーショナル・エクセレンスへの取り組みを推進) 当社グループは、技術、ノウハウ、リソースの活用を部門横断的に進めることで、半導体業界におけるテスト課題を解決していきます。また、当社グループのステークホルダーすべてにとって価値がある企業となるためには、製品や技術面の優秀さだけではなく、あらゆるオペレーションの効率性と有効性を高めていく必要があると認識しています。それに向け、DXを通じた社内オペレーションの迅速化と省人化、強靭なサプライチェーンの構築、有能人財の登用や社員教育の拡充などによる人的資本強化、AIやデータ・アナリティクスを活用した社内生産性向上などに取り組みます。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・先駆的なサプライチェーン管理高度化とサプライヤーとの強固な協業を通じ、急峻な製品需要の伸びに追従・業務の迅速化と効率向上に向け、ガバナンスを確保したAI利活用を本格化・今後の成長実現に向け、人財採用・育成・定着力の強化と魅力あふれる職場づくりを推進 4. Enhance sustainability(サステナビリティの取り組み強化) 気候変動や人権問題をはじめとするサステナビリティ課題に対する能動的かつ積極的なアクション、法令遵守や企業倫理の徹底を含めた責任ある事業活動の遂行、リスクマネジメントの強化やコーポレート・ガバナンスの高度化などを通じて企業価値向上基盤をさらに強化するとともに、各ステークホルダーからより厚い信頼を得られるよう努めます。またサステナビリティに関する取り組みの推進にあたっては、その根源となるものは企業内の共通カルチャーや価値観であることから、これらの醸成と浸透にも努めます。 当戦略領域における2025年度の主な進捗は以下となります。・事業規模が拡大する中でも、GHG排出量(Scope1+2)を前年度実績と同等水準に抑制できる見通し・半導体業界に精通し、かつ高度な専門的知見と経験を有する多彩な人財を幹部として複数登用することで、当社グループの経営執行能力を強化するとともに事業環境の複雑化に対応 MTP3では、上記の4つの戦略を通じて収益拡大、収益性改善、資本効率向上を図ることで、企業価値の向上に取り組みます。これに沿い、MTP3において重視する経営指標を売上高、営業利益率、当期利益、投下資本利益率(ROIC)、基本的1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの向上に努めます。各指標の進捗を中長期視点で評価するため、下記の経営指標は、市場変動の影響を平準化できる3か年平均の値を用いています。 なお2025年10月、AI/HPC半導体のテスト需要が想定した以上に力強く推移する見通しとなったこと、及び市場シェア拡大等の社内戦略施策の進捗を踏まえ、2024年6月に公表した当初の内容から全指標を上方修正しています。 MTP3(2024~2026年度)平均目標*12024年度実績*22025年度実績*2売上高8,350~9,300億円7,797億円11,286億円営業利益率33~36%29.3%44.2%当期利益2,070~2,480億円1,612億円3,754億円投下資本利益率*3(ROIC)34~39%31.5%54.4%基本的1株当たり当期利益(EPS)284~341円218.67円515.15円*1.2025年10月時点での修正値。修正値は、2024年度及び2025年度上期の実績値に、その時点における2025年度下期及び2026年度の業績予想を加味したもの。前提とした為替レートは1米ドル=140円、1ユーロ=155円。*2.2024年度の為替レート実績は1米ドル=153円、1ユーロ=164円。2025年度の為替レート実績は1米ドル=150円、1ユーロ=173円。*3.投下資本利益率:NOPAT÷投下資本(期首・期末平均)。NOPAT:営業利益×(1-税負担率25%)。 投下資本:借入金+社債+資本合計(リース負債含まず)。 (4)2026年度の経営環境及び取り組み 今後の当社グループを取り巻く事業環境を展望しますと、暦年2026年の半導体市場は、AI関連向け半導体が引き続き成長を牽引し、約1兆ドルを超える規模になるとの予測もあります。半導体テスタ市場においても、AI関連向け半導体の生産数量の増加及びさらなる複雑化を背景に、過去最大の規模になると見込んでいます。 しかしながら、中東情勢の緊迫化により世界経済の減速が懸念されており、当社グループを取り巻く事業環境は、地政学的リスクの拡大をはじめ、予断を許さない状況にあると捉えております。高水準の需要が継続する中、サプライチェーン全体において供給不足が生じ、顧客の製品や当社グループ製品に影響を及ぼす可能性もあります。こうした状況を踏まえ、当社グループは引き続きサプライチェーンレジリエンスの強化に注力してまいります。 当社グループは、外部環境の変化に引き続き注意を払い、機敏かつ柔軟に対応するとともに、引き続きMTP3で掲げた施策を推し進めることで中長期的なステークホルダーへの提供価値拡大に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績の状況の分析①業績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前連結会計年度比(百万円)前連結会計年度比(%)売上高779,7071,128,610348,90344.7 売上原価 販売費及び一般管理費 その他の損益△334,622△195,392△21,532△402,503△229,6282,641△67,881△34,23624,17320.317.5-営業利益228,161499,120270,959118.8 営業利益率29.3%44.2%14.9%- 金融損益△3,38717,60020,987-税引前利益224,774516,720291,946129.9 法人所得税費用△63,597△141,367△77,770122.3当期利益161,177375,353214,176132.9当期利益の帰属: 親会社の所有者 161,177 375,353 214,176 132.9 当連結会計年度における世界経済は、米国を中心としたAI関連投資の拡大もあり、全体として底堅く推移しました。 このような世界経済情勢のもと、半導体市場ではデータセンタ向けのHPC (High Performance Computing) デバイスや高性能DRAMなど、AIの普及に関連する半導体が市場成長を牽引しました。加えて、スマートフォンをはじめとした民生機器向け半導体需要も堅調に推移しました。下期におけるメモリ半導体を中心とした半導体価格の上昇もあいまって、半導体市場は力強い成長を遂げました。 当社グループのビジネスにおいては、AI関連の高性能半導体向けテスタ需要が大幅に拡大しました。当社グループは、顧客の旺盛な設備投資意欲に最大限応えるべく、製品供給能力の拡大に努め、タイムリーな製品納入を実施しました。 当連結会計年度の平均為替レートは米ドルが150円(前連結会計年度153円)、ユーロが173円(前連結会計年度164円)となりました。 (売上高) 2025年度はAI関連需要が引き続き旺盛に推移し、テスタ市場の拡大を促しました。暦年2025のテスタ市場規模は2年連続で拡大する中、当社は市場シェアを伸ばすことができました。主要顧客向けの需要の伸びを充足するとともに、新たな顧客向けの需要の取り込みが順調に進んだことと、高水準な需要を見据えて進めてきた戦略的な生産能力増強が奏功し、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ348,903百万円(44.7%)増加の1,128,610百万円となりました。 (売上原価) 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ売上高の増加により、67,881百万円(20.3%)増加の402,503百万円となりました。売上原価率は、製品ミックスの良化により、前連結会計年度に比べ7.2ポイント減少の35.7%となりました。 (販売費及び一般管理費) 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ34,236百万円(17.5%)増加の229,628百万円となりました。 (その他の損益) 当連結会計年度のその他の損益は、のれん及び無形資産の一部減損損失21,393百万円を計上した前連結会計年度21,532百万円の損失から24,173百万円改善し2,641百万円の利益となりました。 (営業利益) 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ270,959百万円(118.8%)増加の499,120百万円となり、売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度比14.9ポイント増加の44.2%となりました。 (金融損益) 当連結会計年度の金融収益と金融費用を合わせた金融損益は、戦略投資の一環として取得していた株式に関するコールオプションの公正価値評価による評価益17,312百万円を計上したことなどから、前連結会計年度3,387百万円の損失から20,987百万円改善し17,600百万円の利益となりました。 (税引前利益) 以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べ291,946百万円(129.9%)増加の516,720百万円となりました。 (法人所得税費用) 当社グループの法人所得税費用の実際負担税率は、当連結会計年度は27.4%、前連結会計年度は28.3%でありました。当社グループの当連結会計年度及び前連結会計年度の法人所得税に関しては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」(以下、「連結財務諸表注記」という。)の「15.法人所得税」に記載しております。 (親会社の所有者に帰属する当期利益) 以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ214,176百万円(132.9%)増加の375,353百万円となり、売上高に対する親会社の所有者に帰属する当期利益の比率は、前連結会計年度比12.6ポイント増加の33.3%となりました。 ②生産、受注及び販売の実績 a.生産、受注実績 当社グループは、原則として受注に基づいた生産を行っており、生産実績については販売実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。 b.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 当社グループは、当連結会計年度より、報告するセグメント情報を「テストシステム事業」及び「サービス他」の2つへと変更いたしました。詳細については、連結財務諸表注記「6.セグメント情報」をご参照ください。 なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。セグメントの名称前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前連結会計年度比(百万円)前連結会計年度比(%)テストシステム事業部門682,8191,019,390336,57149.3サービス他部門96,888109,23012,34212.7内部取引消去-△10△10-合計779,7071,128,610348,90344.7(注)1.セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。2.最近2連結会計年度において、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度当連結会計年度金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)NVIDIA INTERNATIONAL, INC.--228,27320.2Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.96,15812.3124,92211.1Samsung Electronics Co., Ltd.82,79510.6--(注)最近2連結会計年度において、外部顧客への売上高のうち連結損益計算書の売上高の10%以上を占めない場合は、記載を省略しております。 ③セグメントの業績(テストシステム事業部門) 当部門は、当連結会計年度において売上高の90.3%を占めております。 当部門では、SoCテストシステムにおいて、高性能SoC半導体向けの売上が大幅に増加しました。主にHPCデバイスやAI関連半導体の需要の高まりを背景に、半導体の複雑化や性能向上などがテスタ需要を牽引しました。一方で、自動車や産業機器関連などの成熟半導体向けのテスタ需要は軟調に推移しました。メモリテストシステムにおいては、高性能DRAM向けを中心とした堅調な製品販売に加え、不揮発性メモリ向け売上も増加しました。 このような旺盛な需要に対して、製品供給能力の強化も当セグメントの売上拡大に寄与しました。 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて336,571百万円(49.3%)増加の1,019,390百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べて256,640百万円(97.9%)増加の518,760百万円となりました。 (サービス他部門) 当部門は当連結会計年度において売上高の9.7%を占めております。 当部門では、当社グループ製品の設置台数の増加に伴い、サポート・サービスの売上が伸びました。加えて、高性能SoC半導体向けを中心としたテスト用インタフェースボードなどの消耗品販売も増加しました。なお、当連結会計年度のセグメント利益には、事業の一部譲渡による譲渡益2,504百万円が含まれています。また前連結会計年度のセグメント損失には、のれん及び無形資産の減損損失21,393百万円が含まれています。 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて12,342百万円(12.7%)増加の109,230百万円、セグメント利益は前連結会計年度16,125百万円の損失から24,883百万円改善し8,758百万円となりました。 ④地域別売上高 当連結会計年度の海外売上比率は97.8%(前連結会計年度98.0%)となりました。 (日本) 当連結会計年度の日本における売上高は、前連結会計年度に比べ9,288百万円(58.6%)増加の25,137百万円となりました。 (日本以外のアジア) 当連結会計年度の日本以外のアジアにおける売上高は、前連結会計年度に比べ339,073百万円(48.7%)増加の1,035,850百万円となりました。これは主に、台湾においてSoC半導体用試験装置の販売が好調だったことによります。 (米州) 当連結会計年度の米州における売上高は、前連結会計年度に比べ2,645百万円(5.6%)減少の44,474百万円となりました。 (欧州) 当連結会計年度の欧州における売上高は、前連結会計年度に比べ3,187百万円(16.0%)増加の23,149百万円となりました。 (2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析①流動性及び資金源 当社グループの資金・財務政策は、当社の経理部門が所管しております。当社は資金需要に関して、営業活動により稼得した現預金並びに手許の現金及び現金同等物から充当するほか、必要に応じて債券の発行及び株式等の発行並びに金融機関からの借入により資金を調達することが可能であります。 また、中期的に半導体業界及び半導体テストシステム業界の状況が低迷する場合、当社は将来の設備投資又はその他の運転資金需要のために債券の発行又は希薄化効果を伴う株式等の発行等を行う可能性があります。 なお、複数の金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しており、緊急時の流動性を確保しています。当連結会計年度末におけるコミットメントライン契約による借入枠は40,000百万円、当座貸越極度額は100,000百万円であり、当該コミットメントライン契約及び当座貸越契約に基づく借入実行残高はありません。 ②主要な借入先の状況 当連結会計年度末において該当はありません。 ③キャッシュ・フロー 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末より77,422百万円増加の339,966百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度は、335,182百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ49,211百万円の収入の増加となりました。これは税引前利益516,720百万円、法人所得税の支払額(△110,770百万円)、営業債権及びその他の債権の増加(△105,858百万円)、営業債務及びその他の債務の増加(31,888百万円)、棚卸資産の増加(△18,471百万円)の他、減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果によります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度は、34,552百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ7,637百万円の支出の減少となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(△33,012百万円)によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度は、230,550百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ147,732百万円の支出の増加となりました。これは主に、自己株式の取得による支出(△114,328百万円)、1年内返済予定の長期借入金の返済による支出(△75,352百万円)、配当金の支払額(△35,754百万円)によるものであります。④資金調達の状況 当連結会計年度中に重要な資金調達はありません。 ⑤資産、負債及び資本 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ317,606百万円増加の1,171,816百万円となりました。この主な要因は、営業債権及びその他の債権が115,700百万円、現金及び現金同等物が77,422百万円、その他の金融資産が41,782百万円、有形固定資産が23,026百万円、棚卸資産が22,011百万円、それぞれ増加したことなどによります。 負債は、前連結会計年度末に比べ28,419百万円増加の376,090百万円となりました。この主な要因は、借入金が74,952百万円減少したものの、未払法人所得税が39,432百万円、営業債務及びその他の債務が34,968百万円、その他の流動負債が11,690百万円それぞれ増加したことなどによります。 資本又は親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ289,187百万円増加の795,726百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比8.6ポイント増加の67.9%となりました。 (3)経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載しております。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。 この連結財務諸表を作成するために、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす会計上の判断、見積り及び仮定を用いております。見積り及び仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいております。しかしながら実際の結果は、その性質上、見積り及び仮定と異なることがあります。 重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積りは、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」、「第5 経理の状況 2.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)及び(重要な会計上の見積り)に記載しております。

事業リスク

  • 半導体市場の変動
    アドバンテストの業績は、半導体市場全体の設備投資水準に大きく左右されます。半導体需要が減少したり、地政学的な要因や世界経済の動向によって設備投資が抑制されたりすると、同社の売上や利益が大きく減少する可能性があります。
  • 技術革新への対応
    半導体技術は常に進化しており、より微細化され、複雑な構造を持つようになっています。同社がこれらの技術革新に追随し、顧客のニーズに応える新しいテストソリューションをタイムリーに開発・提供できない場合、競争力を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • サプライチェーンの混乱
    製品の製造には多くの部品や原材料が必要であり、グローバルなサプライチェーンに依存しています。自然災害、パンデミック、国際情勢の変化などにより、サプライチェーンが寸断されたり、部品の調達が困難になったりすると、生産活動に支障が生じ、製品供給が滞るリスクがあります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|20,375 文字
3【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント①リスクマネジメントの位置づけ 前述のとおり、半導体市場の拡大に加えて半導体の複雑性への対応が業界における構造課題となる中、当社グループの事業機会は中長期的に拡大するものと考えています。 一方で、当社グループを取り巻く事業環境は、技術革新の加速、事業のグローバル化、地政学的・規制環境の変化、社会からのESG要請の高度化などにより、不確実性が常態化しています。 こうした環境下において当社グループは、リスクマネジメントを、単なるリスク把握や不祥事防止にとどまらず、経営判断の質を高め、事業の継続性と中長期的な価値創造を支える基盤として位置づけています。 ②リスクマネジメントに対する考え方 当社グループでは、コーポレート・ビジョンである「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain)」の体現を阻害する要因をリスクファクターと定義し、その低減を図ることにより中長期的な企業価値向上を目指しています。 その中でも、各国法令及び企業理念「The Advantest Way」に反する行為については、当社グループの価値基盤を毀損するものとして許容しない(ゼロトレランス)方針を採っています。他方で、戦略目標の達成及び価値創造に資するリスクについては、許容可能な範囲を踏まえつつ、各ステークホルダーからの期待を経営会議における検討を通じて成長施策に落とし込み、当社として中長期的にありたい姿を実現することを重視しています。 ③リスクマネジメント体制 当社グループのうち、グループ経営に重要な影響を及ぼし得るリスクについては、グループ全体戦略やグループ横断施策の方向性に関する議論の一環として経営執行役員が直接関与し、経営会議において対応方針及び対応状況を継続的にモニタリングしています。 ユニットレベル(各本部・事業部門及び主要な海外拠点)における事業遂行上のリスクについては、各ユニットが事業特性や環境に応じたリスクマネジメントを実施し、その状況を内部統制委員会が全社横断的な視点からモニタリングしています。 さらに、重要性が高いと判断した事項については、必要に応じて取締役会に随時報告し、取締役会による監督のもとで適切に対応しています。(a) 全社的リスクのマネジメント当社グループでは、価値創造に向けた戦略と企業価値に影響を与える主要リスク管理を相互に照合するアプローチにより、マクロ環境・市場環境の変化から各国法令・規制対応まで、また短期から長期まで、主要なリスクを幅広く認識することに努めています。これらのリスクは経営会議等において定期的に見直すとともに、リスクそれぞれに対応方針及び対応責任者を定めています。また対応方針に沿って担当部門が機動的にリスク低減策を実施し、その進捗を経営会議において継続的にモニタリングしています。(b) ユニットレベルのリスクマネジメント中期経営計画や事業進捗を踏まえ、各ユニットは年次の事業目標を立案し、その達成を阻害する可能性を有する事象をユニットレベルのリスクとして特定し、その低減に努めています。各ユニットは、自部門におけるリスクマネジメントの状況を年2回、内部統制委員会に報告し、内部統制委員会はその内容を確認の上、必要に応じてフィードバック及び改善提案を行っています。(c) 有事のリスク対応緊急の案件が生じた場合には、危機管理本部が迅速かつ機動的な対応を通じて事業継続を図る体制としています。これにより、自社における損失低減とステークホルダーへの影響の最小化に努めています。 当社グループは、上記の体制でリスクマネジメントを実施しておりますが、世界政治・経済の動向、地政学的リスク、各国の政策・規制動向等を含め、当社グループを取り巻く事業環境は、従前以上に複雑さと不透明さを増しています。そうした環境を踏まえ、当社グループは、有事の際の即応性に加え、事業継続の観点から、財務基盤、人財、知的財産、サプライチェーン等の重要な経営資源の保全を含めたリスクマネジメント体制のさらなる高度化に取り組んでまいります。 (2)事業等のリスク①リスクユニバース 当社グループでは、コーポレート・ビジョンの体現を阻害するリスクファクターを一元的に整理した、「リスクユニバース」を策定しています。リスクユニバースは、マクロ経済、業界動向、法規制、ステークホルダーの期待等の情報を踏まえて構成しており、内部要因・外部要因を問わず、当社グループが認識するリスクを体系的に整理したものです。また、変化の激しい事業環境を踏まえ、当面は発生確率が低いと見なされるものの大きな影響を及ぼし得る極端リスク(エクストリームリスク)についても、リスクユニバースに包含し、有事への備えの強化に努めています。 1. 戦略的リスクa.市場変動b.顧客からの信頼c.政治・地政学d.成長投資e.顧客ポートフォリオ2. オペレーショナルリスク3. 財務リスク4. 法務・コンプライアンス・グループガバナンス・知的財産権リスクa.情報セキュリティ及び業務効率b.サプライチェーンc.製品ライフサイクルd.自社の事業継続e.人財a.為替変動b.信用格付c.税務a.人権・ハラスメント・DEI*b.倫理及びコンプライアンスc.責任ある事業運営d.貿易管理e.グループガバナンス及び内部統制f.知的財産権g.訴訟*DEI: Diversity, Equity and Inclusion(多様性、公平性及び包摂性) ②記載方針 本「(2)事業等のリスク」では、このリスクユニバースに基づき、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクを記載しています。 各リスクについては、発生する可能性が高い時間軸を短期・中期・長期のいずれかに区分した上で、発生した場合に財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に与え得る影響を踏まえて影響度を評価しています。その結果、短期又は中期に顕在化する可能性があり、かつ顕在化した場合に当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に大きな影響を与える可能性を有すると思われるリスクに「※」を付与しています。 ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載順は発生確率や重要性の高低を示すものではありません。また文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ③リスクファクター 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性がある主要なリスクは、以下のとおりです。 1. 戦略的リスクa. 市場変動 ※半導体設備投資水準の変動により、当社グループの業績及び将来業績に大きな影響が生じる可能性 当社グループは、世界中の半導体関連企業を顧客としているため、業界全体における半導体設備投資水準の変動の影響を直接的に受けやすい事業構造となっています。半導体需要は最終製品の需要動向や技術進化ペース、世界経済の動向や地政学的要因等に応じて変動し、さらに半導体の設備投資水準は、半導体の需給バランスの将来見通しに加え、半導体メーカー間の技術競争や半導体メーカーの事業戦略等、様々な要因の影響を受けます。そのため半導体の設備投資は、その時期と規模が当初の構想から逸れた、流動的なものとなる傾向が強く、このことが半導体製造装置メーカーである当社グループの事業環境の不確実性を高めています。 こうした環境下において、半導体需要が減速した場合には、顧客による設備投資が先送りされ、当社グループの業績が悪化する可能性があります。市場が急速かつ大幅に悪化した場合は、顧客の設備投資は抑制されるとともに、売上債権の回収リスクが拡大する可能性があります。一方、半導体市場が急拡大する局面において、当社グループの製品・サービス供給能力の改善が需要の伸びに追従できなかった場合、販売機会の逸失や顧客からの信頼の低下を通じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、開発フェーズから量産フェーズまで、半導体のテスト需要を網羅する製品ポートフォリオの構築や、リカーリング商材を含むサービス事業の強化を通じて、半導体及びその関連装置市場の変動影響の緩和を図っています。 あわせて、半導体市場の動向や技術トレンド、試験装置需要見通しの継続的な把握を通じて、市場変動への対応力向上に努めています。これらを踏まえ、サービスエンジニアや開発エンジニアの人員配置についても、機動的な最適化を図っています。販売プロセス、サプライチェーン管理及び製販間の連携については、デジタルツールの活用等を通じて改善を進めているほか、与信管理及び売上債権回収リスクについても適切な管理に努めています。 さらに、当社製品の需要が急峻に増加した場合の供給対応力を高めるため、また中長期的な需要増加見通しを踏まえ、戦略的な在庫バッファの保有及び計画的な生産キャパシティの増強に取り組んでいます。 財務面においては、半導体及びその関連装置市場の変動が短期間で複合的に顕在化する可能性がある事業環境を前提として、コスト構造の変動費化、資金調達枠の確保に係る契約の締結、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善等を通じ、半導体市場の減速局面における業績の下方耐性強化及び財政健全性の確保に平時より取り組んでいます。 b. 顧客からの信頼 ※顧客対応が顧客の期待水準に達しない場合、当社グループに対する信頼が低下し、取引の継続や成長機会獲得が制約される可能性 当社グループが事業を展開する半導体製造装置市場は、技術革新のスピードが速く、顧客からは高い技術対応力や開発スピードに加え、顧客の新デバイスの量産立ち上げ段階における安定的なサービス能力や、導入後の継続的なサービス体制が求められています。このような環境下において、当社グループが顧客の期待に十分応える製品・サービスをタイムリーに提供できない場合、又は顧客の新デバイスの量産立ち上げに対する当社サービスが計画どおりに機能しない場合、若しくはポストセールスにおけるサービスが十分に提供できない場合、顧客からの評価と信頼の低下を招く恐れがあります。 顧客からの信頼が十分に確保されない状況が長期化した場合、既存顧客における取引継続や取引拡大が困難になるほか、新たなプロジェクトや次世代技術領域において当社製品・ソリューションが採用されにくくなる可能性があります。その結果、当社の市場シェアの維持・拡大が制約され、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。 当社グループの主要な競合企業は、半導体テスタ市場においては、Teradyne, Inc.、Hangzhou Changchuan Technology Co., Ltd.(CCTech)、Beijing Huafeng Test & Control Technology Co., Ltd.(Accotest)、YC Corp.、Cohu, Inc.、UniTest Co., Ltd. 及び EXICON Ltd. 等があります。テストハンドラでは、Hon. Precision, Inc.、Hangzhou Changchuan Technology Co., Ltd.(CCTech)、Cohu, Inc. 及び TechWing, Inc. 等、デバイスインタフェースでは、TSE Co., Ltd.、Inchange Semiconductor Company Limited(ISC) 及び BeLINK Co., Ltd. 等と競合しています。〈リスク低減のための取り組み〉 顧客からの信頼を維持・向上させる基盤として、当社グループは、技術理解力及び顧客対応力の強化に取り組んでいます。具体的には、主要顧客と将来のテスト・ソリューションに関する技術情報交換の機会を設けることで、次世代半導体の技術、製品仕様、将来の顧客課題、及び顧客課題を解決するテスト・ソリューションの洞察に努めています。さらに、長期を見据えた要素技術の基礎研究や次期自社製品の量産技術の開発を並行して進めることで、顧客の期待に応える製品・ソリューションをタイムリーに提供する体制を構築しています。 また、顧客対応力を高めるためには、顧客のニーズをより的確に捕捉する能力の涵養と、汲み取ったニーズをソリューション提案として具現化する能力の実装が、ともに不可欠です。当社グループにおいて顧客に対し最も密な対応が求められるシステムエンジニア(SAE)に対しファシリテーション能力強化研修を実施しているほか、AIを活用した顧客対応能力や製品開発能力の拡充も推進しています。 これらの取り組みを通じ、当社グループは、半導体テスタを核とした当社のテスト・ソリューションの価値を、これまでより広い範囲の半導体バリューチェーンですでに訴求し始めています。直近事例としては、シリコン検証を自動化する画期的なソリューション「SiConicTM」の提供を開始しています。またプローブカード・メーカーやプローバ・メーカーなどの外部パートナーとの協業や技術提携を通じて、顧客課題を解決する新たな製品・ソリューションの開発に取り組んでいるほか、サービスの充実にも取り組んでいます。 これら製品・ソリューション群を拡充する取り組みを通じ、顧客製品の品質・信頼性向上や顧客の設計・製造オペレーションにおける生産性向上により多くの貢献を果たすことで、今後も業界で顧客から最も厚い信頼を寄せられる企業となることを目指しています。 c. 政治・地政学 ※地政学的緊張や経済安全保障を背景とした各国の規制環境の変化により、当社グループの調達・製造・販売等の事業活動が制約を受ける可能性 当社グループは、世界各地において部材調達、製品の製造、販売及び保守サービス等の事業活動を展開しており、これらの遂行は各国・地域の政治・経済情勢や規制環境の影響を受けます。特に半導体製造装置は、国際的なサプライチェーンに依拠して事業が成り立っていることから、地政学環境の変化が事業活動に及ぼす影響は相対的に大きい特性があります。 近年、国際的な地政学的緊張の高まりや地域紛争の発生、経済安全保障を重視した政策の強化等を背景に、主要国において輸出管理規制や投資規制、先端技術に関する管理の厳格化が進展しています。当社グループが取り扱う半導体製造装置及び関連技術についても、各国の産業政策や国家安全保障上の観点から規制の対象となる可能性があり、こうした規制や政策動向の変化によっては、当社グループの事業運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば以下のような事象を通じて顕在化する可能性があります。 - 特定の国・地域に対する製品、技術、又は保守サービスの提供について、法令等に基づき制限又は禁止される場合 - 原材料や主要部材の調達先における政情不安、貿易制限措置その他の外部要因による調達コストの上昇、供給の遅延・停止が生じる場合 - 各国当局による投資規制、買収・出資に関する審査の厳格化、関税の引き上げ、又は現地での事業運営に影響を及ぼす制度変更等が行われる場合 〈リスク低減のための取り組み〉 地政学的リスクの高まりに伴い、各国における貿易・投資・技術管理に関する規制環境が変化する可能性に備え、当社グループは、事業活動への影響を適切に把握し、必要な対応を講じています。 具体的には、関税、輸出管理規制、経済制裁等に関する動向について、信頼性の高い情報源を活用し、地政学動向を継続的にモニタリングしています。また、地政学的リスクが事業に与える影響を多面的に把握するため、地域別のリスクを踏まえたシナリオ分析を行い、事業への影響を評価しています。 さらに、業界団体や専門委員会等への参画を通じて、半導体産業を取り巻く政策動向や規制議論に関する情報収集及び意見交換を行うとともに、半導体産業に対する過度な規制の回避や影響の低減に向けた取り組みを行っています。 d. 成長投資成長投資において想定した成果が十分に実現せず、中長期的な企業価値の向上が制約される可能性 半導体市場では、設計の大規模化、製造加工精度の向上、デバイス構造の高度化などの手段を通じ、デバイスの性能向上やコストパフォーマンス最適化に向けた取り組みが日進月歩で進捗しています。また、半導体メーカーの生産能力増強投資も旺盛に行われています。 変化の激しいこのような環境下、当社グループは、将来の業界トレンドや顧客のテストニーズの変化に先駆的に対応するために、研究開発や、製品出荷能力を含めた顧客対応能力の強化など、有形・無形の成長投資を継続的に実施しています。しかし当社グループが業界の方向性を的確に予測及び対応できず、顧客にとって価値のある試験・計測ソリューションを、顧客が求めるタイミングとボリュームで提供できなかった場合、当社の競争力が低下する可能性があります。またこのような事象が継続した場合、価格競争の激化や製品・ソリューションの販売機会が減少し、過去の投資を回収することができない、又は回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。そのような場合、当該資産が減損の対象になり、当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが実施する成長投資には企業買収や資本業務提携なども含まれますが、これらの投資において、当初想定したとおりの事業上又は技術上のシナジーが創出されない可能性があります。企業買収により生じたのれん及び無形資産においては、利上げなどの様々な要因に伴い割引率が上昇する場合、あるいは期待されるシナジーを出せない場合、減損損失を計上する可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、今後当社が有すべき技術若しくは事業ポートフォリオ、ビジネスモデル、オペレーティングモデルの方向性を、業界におけるテクノロジー・リーダー企業や有識者とのコミュニケーションを通じて把握することに努めています。また得られた知見をもとに、“Automation of Test”をキーワードとした提供ソリューション群の革新、近縁市場における成長機会の具体化、新たな半導体関連の事業領域の探索等、事業と収益源の拡充につながる取り組みを行うことで、当社グループの中長期的かつ持続的な発展に努めています。 さらに、投資判断プロセスにおける規律を整備することでも、投資計画の精度向上及び投資リスクの低減を図っています。特に研究開発投資は、将来の事業成長性と事業収益性を左右する重要な投資であり、顧客ニーズを満たす製品ロードマップの策定とそれに基づく人員計画の策定、製品のプラットフォーム化等による開発効率向上、ROICベースの投資効果予測と判断等により、投資回収率の向上と投資リスクの軽減を図っています。企業買収や資本業務提携についても、投資効果予測の他、対象企業の技術優位性、当社グループのコアコンピタンスとの整合性、企業カルチャーの親和性等を総合的に検討した後に投資判断を行っています。 e. 顧客ポートフォリオ ※売上高において上位顧客の数社が大きな割合を占めるため、大口顧客の投資判断や取引関係の変化が当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性 当社グループの売上高は、半導体製造装置市場の特性と過去の販売努力の結果、特定の大口顧客が占める割合が相対的に高い構造となっています。顧客上位5社による売上高は、前連結会計年度の売上高全体の約48%及び当連結会計年度の同約50%を占めています。このように売上高に占める上位顧客の集中度が高い状況において、個別顧客の事業動向や購買方針等の変化が当社グループの業績に与える影響は、場合によっては市場全体の変化率よりも大きくなる可能性があります。このため、上位顧客の事業戦略や設備投資計画に変化が生じた場合、あるいは大口顧客との取引関係が縮小又は終了した場合は、当社グループの業績にその影響が短期間で顕在化する恐れがあります。 また、半導体産業においては、次世代技術や次世代デバイスの市場創出に関与する多様なプレーヤーとの関係構築が、中長期的な成長機会の獲得において重要です。当社グループがこうした外部との連携や情報アクセスを十分に確立できない場合、将来的に有望な顧客や事業機会への関与が限定され、競争優位性の中長期的な確立が難しくなる可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、顧客ポートフォリオに起因する業績変動リスクを低減するため、既存顧客とのさらなる関係強化と将来の成長機会へのアクセスの両面から、収益機会の多様化と収益の安定拡大に努めています。 具体的には、既存顧客の満足度をさらに引き上げるべく、顧客ごとの中長期的な技術動向や事業戦略、設備投資計画に対する理解を継続的な対話を通じて深め、さらにそれらに対する適切な対応を行っています。あわせて、規模の大小を問わず多様な顧客の成長を支援する観点から、既存顧客に加えて将来の重要顧客に対しても専任体制の構築を含むサービス体制を整備し、顧客ごとの課題やニーズに応じたきめ細かなサービスの提供を通じて当社グループへの信認拡大に取り組んでいます。さらに顧客基盤の拡大に向け、成長が期待されるインド等の市場において現地法人のオペレーション体制を強化したほか、一部地域で外部パートナーとの戦略的な提携を通じ、有望顧客や新たな成長機会へのアクセス強化に取り組んでいます。 2. オペレーショナルリスクa. 情報セキュリティ及び業務効率 ※ 当社グループでは、ITが事業活動の基盤となっています。ITシステム及びそれらを活用した業務オペレーションにおいて、十分な正確性、可用性、安定性、安全性が確保されない場合、当社グループの競争力、業績、及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、当社グループの事業運営に支障が生じる可能性があります。 - サイバー攻撃、インフラ障害、又はIT障害により、基幹システムや主要なクラウドサービス等が停止又は性能低下を起こし、受発注・生産・出荷・請求・代金回収等の業務が中断することで、納期遅延や売上の減少、復旧コストの増加が生じる場合 - 現職又は元従業員の不正や誤謬、サイバー攻撃、その他類似の事象を通じ、当社グループの技術情報、知的財産、顧客情報が外部に持ち出される、又は漏洩する場合 - ITシステムやソフトウエア更新、AI技術の活用が遅滞し、それに付随して業務プロセス効率化が十分に進まない場合。また、AI技術の利用が新たなリスクをもたらす場合 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、情報セキュリティ対策の継続的な強化に取り組むとともに、業務オペレーションのデジタル化を通じて業務効率の更なる向上を図っています。 情報セキュリティ及びIT基盤の強化については、情報セキュリティ・マネジメント・システムを整備し、リスク管理、法令遵守及び社内規程の運用状況について継続的な見直しを行っています。また、重大なサイバー攻撃やインフラ障害に備え、ITシステムの予防的な管理を行うとともに、グローバルなセキュリティ監視体制を整備し、インシデント発生時の事業への影響の回避又は最小化に努めています。 サイバー攻撃リスクへの対応としては、常時監視による脅威検知の強化や定期的な情報セキュリティ教育を通じた役員及び従業員のリテラシー向上に取り組むとともに、Advantest CSIRT*を整備し、情報セキュリティインシデントに対する初動体制を確立しています。事業継続性及び業務運営の安定性確保の観点からは、コアプロセスと関連するITシステムを洗い出し、障害時にも業務を継続できる仕組みの構築や、新しいITシステムやツールへの代替を推進しています。 2026年2月に発生したサイバーセキュリティインシデントを受け、当社グループはセキュリティ強化のための一定の施策を実施しました。さらに、当社グループは、本インシデントから得られた教訓及び外部専門家の知見を踏まえ、セキュリティロードマップの見直し、改善、及び加速を含む、情報セキュリティ体制のより広範な強化を進めています。具体的には、予防・検知・対応の各領域における能力強化に向けた施策を実施しており、これら施策の適時性、正確性、及び有効性の向上に重点を置いています。重点領域には、ネットワークセキュリティ、アイデンティティ及びアクセス管理、エンドポイント保護、クラウド及びアプリケーションセキュリティ、並びにセキュリティオペレーションが含まれます。これらの取り組みを通じて、当社グループは、情報セキュリティ体制のレジリエンスを強化し、安定的かつ継続的な事業運営を支えるとともに、顧客をはじめとするステークホルダーからの信頼の維持を図っています。 AIは、他の多くの技術と同様、社会に大きな便益をもたらすと考えられています。当社グループは、AIの効果的な活用を通じて自社の業務効率を向上させる施策を実施することにより、持続可能な社会の発展に貢献するとともに、顧客のイノベーションをさらに支援することを目指しています。他方で、当社グループは、AIの利用には、偏った出力、不正確又は誤解を招く出力、データプライバシーに関するリスク、及び自動化された意思決定への過度の依存といった、内在リスクが伴う可能性があることを認識しています。これらのリスクに対処するため、当社グループは、AIポリシーに沿ったAI利用に関するガバナンス体制及び利用ガイドラインを定めています。この枠組みのもとで、当社グループは、適用される法令並びにデータ管理に関する社内ポリシーの遵守を確保しつつ、AI技術の適切かつ責任ある利用を推進しています。さらに、AIの開発及び利用において、倫理的配慮及び人による監督を組み込むための取り組みを実施しています。これらにより、当社グループにおけるAI利活用の取り組みが、業務効率の向上にとどまらず、社会への有益な貢献とステークホルダーからの信頼維持に資することを目指しています*CSIRT: Computer Security Incident Response Team b. サプライチェーン ※ 当社グループは、製品をタイムリーに提供するため、部品・材料の調達から製品製造・物流まで、サプライヤー各社やアウトソース先企業と協業しながらサプライチェーンを編成しています。当社グループのサプライチェーンにおいて供給の安定性や柔軟性が十分に確保されない場合、当社グループの事業運営、競争力及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、リスクが顕在化する可能性があります。 - 天災に伴うサプライチェーン寸断、サプライヤーの事業悪化、物流の逼迫や混乱、自社及びサプライヤーの供給能力を超えた当社製品需要の急伸等により、必要な部品、材料、生産スペース、人的リソースを確保できず、製品供給の遅延又は停止が生じる場合 - 当社製品需要や生産・調達計画等の不整合により、過剰在庫や陳腐化が発生する場合 - サプライチェーンにおける人権・環境・コンプライアンス上の問題の発生により、調達断絶や取引停止が生じる場合 〈リスク低減のための取り組み〉 主要サプライヤーにおける供給停止・寸断に備え、重要サプライヤーの事業継続計画(BCP)の確認や見直しを行うとともに、緊急時の代替供給ルートの検討、連絡・情報共有のプロトコル整備を行っています。あわせて、複線化を含めたサプライチェーンのグローバル最適化や、製品供給能力強化に向けたサプライヤーに対する様々な支援を通じ、当社グループ全体にわたるサプライチェーン強靭化施策を展開しています。 また当社製品の供給リードタイムをより安定的なものとするため、生産能力の拡張に加え関連部門が連携し、需要予測や生産・調達計画の高度化、在庫水準の適正管理を進めています。さらに、一部の材料・部品について、調達の安定化のために長期調達契約を締結しているほか、前工程加工を済ませたウェーハの状態で備蓄する「ダイバンク」等で中間品を確保することを通じて、供給の安定性向上を図っています。 サプライチェーンにおける人権、環境及びコンプライアンス上の課題については、当社の事業運営に影響を及ぼすことを認識し、サプライヤーに対する当社の方針を伝達し、必要に応じて改善要請や対話を行うことで、調達断絶や取引停止等のリスク低減に努めています。 c. 製品ライフサイクル 当社グループは、事業活動の一環として、将来の市場や顧客ニーズに対応した製品の企画・開発、現行製品の改良、製品の品質管理など、一連の製品ライフサイクル管理を行っています。これらの取り組みが十分に機能しない場合、製品競争力や収益性が低下し、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、リスクが顕在化する可能性があります。 - 市場・顧客インサイトの把握不足や組織横断連携の不十分さにより、顧客が求める性能や機能を備えた次世代製品の投入が遅れる、あるいは失敗する場合 - 顧客要件、各国法規制、各種指令等への対応に必要な開発リソースを十分に確保できず、開発遅延が生じる場合、あるいは競合他社に技術的に先行され製品競争力を失う場合 - 市場動向、競合環境、製造原価、開発コストを踏まえた価格設定が不適切なために収益性が低下する場合 - 製品の性能、品質又は信頼性が顧客の要求水準を満たさない場合や、製品に欠陥が生じ、また製造物責任賠償保険によって損害が十分に補償されない結果として、出荷停止、納期遅延、事故発生、顧客対応費用の増大や損害賠償を請求されるなどする場合 〈リスク低減のための取り組み〉 製品ライフサイクル管理に起因する競争力低下や収益性悪化のリスクを低減するため、当社グループは、市場・顧客ニーズを的確に捉えた製品企画から、研究開発、量産、品質管理に至るまでの一連のプロセスの強化に取り組んでいます。 具体的には、顧客との対話を通じ、市場動向、顧客ニーズ、競争環境に関する現在及び将来見通しの継続的な把握に努めるとともに、これらの情報に基づいた研究開発体制の整備や人財・スキルの確保を中長期的に進めています。「6.研究開発活動」に記載のとおり、当社グループは多様な分野で研究開発活動を推進していますが、中長期的な研究開発テーマを定期的に見直していくことで、付加価値の高い次世代製品を、常にタイムリーに市場投入することに努めています。 また、市場・競合・コスト等を踏まえた価格設定を行うとともに、需要予測と生産・調達計画の整合、在庫の適正管理を推進することで、製品ライフサイクル全体を通じた収益性の確保を図っています。 加えて、製品の安全性及び信頼性を確保するため、ステージゲートシステム等のプロジェクト管理手法を運用し、各開発フェーズにおいて品質を含む定期的な開発レビューを行っています。あわせて、生産過程において様々な品質確認に加え、品質保証部門によるクロスチェックにより品質の安定化に努めています。d. 自社の事業継続 ※ 重大な事故、自然災害、その他の危機事象が発生した場合に、事業継続に支障を来し、当社グループの業績及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、リスクが顕在化する可能性があります。 - 危機事象発生時における事業継続計画(BCP)や、緊急時の指揮命令・対応体制の不備により、初動対応や復旧対応が遅延し、操業停止や関係当局・顧客対応の混乱等が生じる場合 - 自社拠点における危機事象発生時に、資産の保全・適切な処理を行う体制、並びに指揮命令系統が機能せず、操業や事業継続に支障を来す場合 - 危機事象発生時における役職員の安全確保に関する責任や対応体制が不明確なために、初動対応の遅延や情報混乱が生じ、人身安全リスクや操業停止の長期化につながる場合 〈リスク低減のための取り組み〉 重大な事故、自然災害等の危機事象が事業運営に与える影響を抑制するため、当社グループは、BCP及び事業継続マネジメントの整備・運用を通じて、危機対応力の向上に取り組んでいます。 具体的には、各拠点における危機対応手順や指揮命令系統を明確化するとともに、危機事象発生時の初動対応、復旧対応及び操業継続が円滑に行われる体制の構築に努めています。また、拠点における資産の保全及び適切な処理に関する体制を整備し、操業停止や事業中断が生じた場合においても、その影響を最小限に抑えることに努めています。さらに、役職員の安全確保を最優先事項として位置づけ、責任体制を明確化するとともに、訓練や検証を通じて、危機発生時における対応の遅延や情報混乱を防止し、事業及び信用への影響低減に取り組んでいます。 e. 人財 ※ 事業戦略の遂行や競争力の維持・向上において、必要な人財の育成、配置及び経営体制の継続性が重要な要素となっています。これら人財に関する取り組みが十分に機能しなかった場合、当社の競争力及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、リスクが顕在化する可能性があります。 - 人財の育成・定着やリスキリングが十分に進まず、イノベーション力や労働生産性、従業員エンゲージメントが低下する場合 - 経営層・主要幹部の不測の不在やサクセッションプランの不備により、経営の安定性や意思決定の継続性が損なわれる場合 - 人財獲得の停滞や人員計画の不備により、成長領域への人財配置が適切に行えず、競争力や労働生産性が低下する場合 〈リスク低減のための取り組み〉 人財に起因する競争力低下や事業運営への影響を低減するため、当社グループは、人財の育成・定着及びリスキリングを重要な経営課題として位置づけ、計画的な人財育成施策や学習機会の提供を通じて、イノベーション力及び労働生産性の向上に取り組んでいます。また、経営層及び主要幹部の不測の事態に備え、サクセッションプランの策定・運用を進め、経営の安定性及び意思決定の継続性の確保に努めています。さらに、戦略や中長期的な成長領域を踏まえた人員計画のもと、成長領域への適切な人財配置や人員獲得を通じて、競争力及び労働生産性の維持・向上を図っています。なお、当社グループの人的資本強化に向けた取り組みは、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人的資本」に記載しております。 3. 財務リスクa. 為替変動 ※ 当社グループの売上高の大半は日本国外の顧客への販売によるものです。当連結会計年度の売上高の97.8%は、海外顧客への製品売上によるものです。当連結会計年度の売上高のうち約75%は、米ドルを主とする円以外の外貨によるものです。当社グループが販売にあたり使用する外貨(主に米ドル)が円高に転じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なおユーロについては、現状ユーロ建ての売上よりも費用の発生額の方が大きいため、円安水準で推移した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 為替変動が業績及び財政状態に及ぼす影響を抑制するため、当社グループは為替リスク管理に関するガイドラインを策定し、保有通貨のバランス調整や、為替予約取引等の金融商品を活用したヘッジを行っています。また、外貨建て金融資産及び負債が相殺されるようなバランスシート管理を通じて、為替変動による影響の低減に努めています。 b. 信用格付 当社グループでは、事業運営及び成長投資に必要な資金について、営業活動により創出されるキャッシュ・フローを中心に対応する一方、企業買収や急激な経済環境の変化等に備え、かつ資本効率性に鑑み、社債の発行や金融機関からの借入等を行う場合があります。 当社グループの信用格付が引き下げられた場合や金融市場が不安定化した場合には、資金調達コストの上昇、調達条件の悪化、又は必要なタイミングでの資金調達が制約される可能性があり、これらを通じて当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 信用格付の維持及び資金調達環境の安定を図るため、当社グループは安定的な収益力の確保及び健全な財務基盤の維持に努めています。資本構成、キャッシュ・フロー及び負債水準等について継続的なモニタリングを行うとともに、事業計画及び投資判断において財務規律を重視しています。また、資金調達枠の契約により、十分な流動性を確保するとともに、資金調達が必要となった場合には速やかに実行できる体制を構築しております。これにより、資金調達コストの上昇や調達制約、投資余力の低下による業績及び財政状態への影響の抑制に取り組んでいます。 c. 税務 当社グループでは、各国・地域で事業活動を展開していることから、税制、国際税務、移転価格、間接税等に関する法令や制度の適用を受けています。これらへの対応や内部統制が不十分な場合、二重課税や罰金等の発生による税負担増が生じ、当社のキャッシュ・フローや財務指標に悪影響を及ぼす可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、各国の税制、国際税務、移転価格及び間接税等に関する動向を継続的に把握するとともに、適切な税務対応及び内部統制の整備に努めています。あわせて、外部専門家の活用を含めた情報収集・分析体制を構築し、税務リスクの低減を図ることで、税負担の増加によるキャッシュ・フロー及び財務指標への影響の抑制に取り組んでいます。 4. 法務・コンプライアンス・グループガバナンス・知的財産権リスクa. 人権・ハラスメント・DEI 当社グループでは、人権が尊重され、多様性が適切に配慮された職場環境を確保することは、企業価値創出の根幹であり、持続的な成長を果たすために不可欠であると認識しています。しかしながら、これらに関する取り組みが十分に機能しない場合、人権侵害やハラスメント等が発生する恐れがあり、その結果として、当社グループの企業価値及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、リスクが顕在化する可能性があります。 - 公平性や多様性が十分に尊重されない組織風土により、従業員エンゲージメントの低下や人財流出等が生じる場合 - 人権尊重やハラスメント防止に係る管理・対応が不十分であることにより、職場における人権侵害やハラスメント等が生じる場合 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、これらのリスクを低減するため、健全な企業文化の醸成を基盤として、人権尊重及び多様性に配慮した職場環境の整備を、全社的かつ継続的に推進しています。具体的には、コア・バリューである「INTEGRITY」の浸透に向けて、「INTEGRITY」ワークショップや「The INTEGRITY Award」などの取り組みを継続しています。 また、役員及び従業員に対し、人権尊重やハラスメント防止、DEIに関する教育・周知を実施するとともに、管理職による適切な関与を通じて、エンゲージメント向上や職場環境の整備に取り組んでいます。さらに、人権侵害やハラスメント等の発生を防止し、早期に対応するため、相談・通報窓口を設置し、従業員が安心して相談できる体制を整備しています。 b. 倫理及びコンプライアンス 当社グループでは、倫理及び法令遵守は経営の根幹となる要素の一つであり、役員及び従業員一人ひとりが企業倫理に則った行動を取ることは、企業価値の毀損防止を図る上での基本的前提と考えています。しかしながら、役員又は従業員による不適切な行為、組織風土上の問題、又は管理・運用上の不備等が生じた場合、当社グループの企業価値、社会的信用及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、リスクが顕在化する可能性があります。 - 役員又は従業員の倫理意識の低下、組織風土の問題等により、法令違反や社内規程違反を含むコンプライアンス上の問題が発生する場合 - 機密情報・個人情報等が、法令又は社内規程に基づき適切に管理されないことにより、情報漏洩、不正利用、刑事罰又は行政上の制裁、損害賠償請求、又は信頼の低下等が生じる場合 - 贈収賄や取引先等との不適切な関係を含む不祥事、内部通報制度の運用不全、又は役員・管理職による重大なコンプライアンス上の問題等が生じた場合 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループでは、これらのリスクを低減し、企業としての信頼性及び透明性を維持・向上させるため、社内規程や制度の整備及びその実効的な運用を、全社的かつ継続的に推進しています。 具体的には、贈答・接待に関する基本方針を含む各種社内規程や運用上のルール等を整備し、グローバルに適用しています。また、役員・管理職を含む全従業員を対象として、コンプライアンス意識の向上及びルールの理解を目的とした教育を実施しています。あわせて、従業員コンプライアンス意識調査を定期的に実施し、その結果を踏まえて取り組みの改善を図っています。 さらに、不正又は不祥事の早期発見及び未然防止を目的として、社内及び社外に内部通報窓口(ヘルプライン)を設置し、匿名による通報を含めた制度を運用しています。 なお、役員倫理規程等で不祥事発生時等に役員に報酬を返還させる、いわゆるクローバック条項を定めることにより、これらの取り組みの実効性を確保しています。 c. 責任ある事業運営 当社グループでは、従業員の安全衛生の確保、環境への配慮、並びに気候変動やESGに関する要請への対応を含む、責任ある事業運営が重要であると認識しています。これらに関する管理体制や対応が十分でない場合、操業の継続性や当社グループの企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような事象を通じて、リスクが顕在化する可能性があります。 - 従業員の安全衛生管理が不十分であったことにより、労働災害の発生、事業活動への制約や行政上の制裁が生じる場合 - 工場・事業所における環境管理や環境関連法令の遵守が不十分であったことにより、環境事故や行政上の制裁、評判の毀損が生じる場合 - 気候変動対策やESG関連の規制・基準への対応が遅れたことにより、事業活動への制約、追加コストの発生、企業評価への悪影響が生じる場合 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、事業運営の安定性及び企業価値の維持・向上を図るため、従業員の安全衛生の確保、環境関連法令の遵守、並びに気候変動関連リスクへの対応を含む、事業運営に関する管理体制の整備及び運用に、全社的かつ継続的に取り組んでいます。 労働安全衛生体制及びその実効性確保については、グループ全体で労働安全衛生に関する基本方針を定め、安全の確保及び従業員の健康保持を最優先事項としています。制度・組織面では、日本においては安全衛生委員会を設置し、労働災害の防止や快適な職場環境の形成に向けた継続的な協議及び改善活動を行っています。また、労働安全衛生マネジメントシステムの整備や認証取得に取り組むことで、管理体制の体系化及び継続的な改善を図っています。グローバルで統一した基準に基づいた安全衛生活動を推進するため、海外各拠点でRBA行動規範(B.安全衛生)を参考とした現状分析を行い、具体的な目標及び重点テーマの設定、実行につなげる活動を推進しています。あわせて、従業員に対する安全衛生教育を継続的に実施し、安全意識の向上及び基本的なルールの理解の徹底に努めています。 また、環境管理及び化学物質管理については、環境関連法令や社内規程に基づく管理体制を整備し、化学物質管理システムを活用した管理を行うとともに、化学物質の危険有害性及び適切な取扱いに関する教育を実施することで、環境事故や法令違反の未然防止に取り組んでいます。 さらに、当社グループは、気候変動への対応やESGに関する規制・基準の強化を重要な経営課題の一つと認識し、関係部門が連携しながら、環境負荷低減に向けた取り組みや法令・規制動向への対応を進めています。これらの活動を通じて、操業の不安定化や追加コストの発生、企業評価への悪影響といったリスクの低減を図っています。なお、当社グループの気候変動に向けた取り組みは、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候関連の取り組み」に記載しております。 d. 貿易管理 当社グループでは、半導体製造装置及び関連技術を取り扱う事業特性上、各国・地域における輸出管理規制、経済制裁及びその他の貿易関連法令の適用を受けています。近年、経済安全保障を背景とした規制の強化や運用の厳格化が進展しており、貿易管理の重要性と複雑性が一層高まっています。 こうした環境下において、当社グループが貿易管理に関する法令や規制への対応を適切に行えなかった場合、罰則や行政上の制裁、製品の出荷停止・制限等の措置を受ける可能性があります。また、これらを通じて、サプライチェーンや取引関係に影響が生じ、当社グループの事業活動、業績及び企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、各国・地域における貿易関連法令や規制動向について、継続的かつタイムリーな情報収集を行っています。全世界の役員及び従業員を対象として、貿易管理に関する教育を継続的に実施し、関連法令や社内ルールの理解を促進し、貿易管理に関するコンプライアンスの徹底を図っています。 e. グループガバナンス及び内部統制 当社グループでは、国内外における事業拡大やM&Aの実施を含むグローバルな事業展開の進展に伴い、グループ全体としてのガバナンスや内部統制の重要性が一層高まっています。こうした環境下において、グループ内における内部統制の設計若しくは運用が十分でない場合、又は設計若しくは運用に不整合を来した場合、統制の形骸化が生じる可能性があります。このことは、不正や違反の防止若しくは早期把握ができない恐れをもたらし、また財務及び非財務情報の不正確な開示若しくは開示遅延につながる可能性があります。これらの結果、法令遵守体制や開示情報の信頼性が損なわれ、当社グループの業績及び企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、グループ全体における適切なガバナンス及び内部統制を確保することを重要な経営基盤の一つとし、組織及び権限を適切に設計するとともに、社内規程や子会社の意思決定機関に対する規律等を整備、運用しています。また、内部統制の設計及び運用の有効性に対してグループ全体を対象とした定期的な評価を行うとともに、不正や違反の予防、早期把握、継続的なモニタリングに向けた仕組みを整備することで内部統制の実効性の確保に取り組んでいます。 これらの内部統制を基盤として、財務情報及び非財務情報の正確性及び適時性の確保に努めています。 f. 知的財産権 当社グループは、第三者にその知的財産権を侵害したと主張される可能性、及び第三者により当社グループの知的財産権が侵害されるなどして、当社グループの製品の出荷ができなくなる可能性、又は当社グループの知的財産権を第三者に行使せざるを得なくなる可能性があります。これらの知的財産権に関する紛争が生じた場合、当社グループの製品・サービスの競争優位性が低下したと見なされる可能性、品質やブランド価値に対する評価が低下したと見なされる可能性、交渉や訴訟等に伴う追加費用が発生する可能性があります。これらは、当社グループの売上と収益性、又は今後の事業展開や研究開発活動に悪影響を及ぼす可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、これらのリスクを軽減するため、製品開発時や製品出荷前において積極的かつ戦略的に特許申請を行うとともに、各国で特許権、実用新案権、意匠権、商標権等を取得することにより、当社グループの知的財産を保護しています。 g. 訴訟 当社グループの事業活動に関連して、訴訟その他の法的手続きが発生した場合、その進展や結果によっては、賠償金、和解費用、弁護士費用等の追加コストが発生し、当社グループの業績や財政状態、評判や信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。 〈リスク低減のための取り組み〉 当社グループは、事業活動における法令遵守の徹底や契約・取引管理の強化、紛争化を未然に防ぐための当事者間の協議を通じて、紛争発生の予防及び影響の最小化に取り組んでいます。 また、訴訟その他の法的手続きに関するリスクに備え、個別の案件が生じた際には、案件の重要性や影響度を踏まえ、必要に応じて外部専門家を活用しつつ、適切な対応を行う体制を整えています。

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