有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考えております。当社グループが大切な価値観として掲げる「CS(Customer Satisfaction=お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とES(Employee Satisfaction=仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること)」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 当社グループは2021年度に、長期構想「Vision2030」を策定いたしました。 Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、5つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「5つの事業機会」 成長戦略② 4つの経営変革の実行 ・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2027 ① 位置づけ 「中期方針2027」は、Vision2030で描いた「ありたい姿」の実現に向けた「解像度を上げる3年」と位置付けています。AIの登場により、当社グループが2030年の世界観として想定する「デジタルツイン」の実現がより加速していくと考えております。2030年の世界観に至る2027年までの3年間がエレクトロニクス産業の大きな変革期となる中で、当社グループが「お客様や社会にとって最善の選択となる」ための取り組みを3つの基本方針として掲げ、解像度を上げて実行してまいります。 ② 全社経営目標 中期方針2027における全社経営目標は、以下のとおりです。※1 ROIC(税引後)=営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・ 使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)※2 Greenhouse Gas 温室効果ガス※3 カーボンニュートラル※4 主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合※5 当社グループの排出物(廃棄物 + 有価物)が循環資源化された重量割合※6 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の 累積数※7 村田製作所単体 ③ 3つの「基本方針」 ・基本方針1「AIがドライブするエレクトロニクスにおける飛躍的な成長」 AI技術の発展に伴い、サイバー(仮想)空間とフィジカル(物理)空間が途切れなくつながる「デジタルツイン」の世界観が実現していくことで、当社グループの事業機会はより一層拡大すると想定しております。 「エッジデバイス」、「モビリティ」、「ITインフラ」を当社グループの基盤領域として捉え、コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立、機能デバイス、高周波・通信、エナジー・パワーにおける高い売上成長の実現を目指してまいります。 また、「環境」、「ウェルネス」、「3層目事業」を挑戦領域として捉え、事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに、2030年以降の超長期を見据えた技術の探索を進めてまいります。 ・基本方針2「持続可能な事業プロセスの追求」 当社グループでは、軽薄短小・高効率な製品の追求による電子機器の小型化への貢献、持続可能な事業プロセスを通じた環境負荷低減の取り組みに率先して取り組むことで、これまで事業成長を遂げてまいりました。今後は、「気候変動対策」と「資源循環」の2つを主要テーマとして掲げ、ステークホルダーとの共創を通じて取り組みを加速させてまいります。 また、ハザードリスクの脅威や地政学リスクの複雑化が見られる経営環境において、安定的な製品の供給を実現するために、グローバルでの拠点間ネットワークの強化や、適正な在庫政策、サプライチェーンの強靭化・複線化に向けた取り組みを一層強化してまいります。 ・基本方針3「経営資本の中核である人・組織力の強化」 当社グループでは、「組織・人的資本」がすべての経営資本をつなぐ中核であると考え、イノベーションにあふれる個と組織への変容を促進することによって、Vision2030の実現を目指しております。自律分散型の組織運営において、個と組織が取るべき行動を明らかにした「個と組織の好循環」モデルを新たに描き、「ダイナミックな適所適材」、「未来変革リーダーの育成」、「個と組織の好循環モデルの実現」を3つの重点テーマとして掲げ、取り組みを推進してまいります。 また、DXの推進によって、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、デマンドチェーンの可視化・効率化を通じた事業プロセスのハイサイクル化の実現を目指します。これにより、業務本来の目的やお客様に向き合う時間を増やし、CSとESの最大化につなげてまいります。 ④ 経済価値目標及びキャピタル・アロケーションに対する進捗状況 「経済価値目標」 中期方針2027目標2025年3月期実績2026年3月期実績売上収益2,000,000百万円1,743,352百万円1,830,856百万円営業利益率18%以上16.0%15.4%ROIC(税引後)(注)12%以上10.0%9.7%(注)ROIC(税引後)= 営業利益 ×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・ のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) 当連結会計年度の実績としては、後掲「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で記載のとおり、売上収益は前連結会計年度の実績を上回りましたが、営業利益率及びROIC(税引後)は前連結会計年度の実績を下回る結果となりました。足元では、各国での通商政策の動向や不安定な中東情勢などの地政学リスクの高まりにより事業環境が不透明ですが、当社グループが属するエレクトロニクス市場における中長期的な電子部品の需要は拡大傾向であり、中期方針2027で掲げた「基本方針」に基づく取り組みを継続して進めながら、経済価値目標の達成に向けて収益性及び生産性の向上を強化してまいります。 「キャピタル・アロケーション」 中期方針2027では、事業拡大及び企業価値最大化を目指したキャピタル・アロケーション計画を右図のとおり定めています。 当連結会計年度において、設備投資の累計は2,478億円となりました。戦略投資は、実行済及び実行決裁済案件の累計が283億円となりました。また株主還元は、配当金の支払い累計が1,107億円、自己株式取得が1,000億円となりました。 現在の市場環境下において、AIサーバー及び周辺機器における電子部品の搭載数の増加により、データセンター関連の需要が大きく拡大しております。今後も主力事業であるコンポーネント、デバイス・モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指していくとともに、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実施することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。 ⑤ 社会価値目標に対する進捗状況 「社会価値1:環境」「GHG排出量(2019年度比)」、「再生可能エネルギー導入比率」、「持続可能な資源利用率」及び「循環資源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「脱炭素社会の実現」及び「循環型社会の実現」をご参照ください。 「社会価値2:多様性」「グローバル経験者数」及び「女性管理職比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。 「社会価値3:ES」「従業員エンゲージメント肯定回答比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。 (3) 当社グループのマテリアリティ 当社グループでは、重要な環境・社会課題(マテリアリティ)を特定し、製品・サービス及び事業プロセスの両面から取り組みを推進しています。マテリアリティは三か年の中期方針策定にあわせて見直しを行っています。中期方針2027でも引き続き経営変革の一環として社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営を掲げ、マテリアリティを「エレクトロニクス社会の発展」「持続可能な地球環境の実現」「社会との共栄」に分け取り組みを推進してまいります。 <特定プロセス> STEP1:環境・社会課題抽出ESRS、SASB、SDGs、グローバルリスクから環境・社会課題を抽出しました。 STEP2:環境・社会へのインパクト / 自社財務への機会・リスクの特定・評価CSRD、ESRSが提唱する「ダブルマテリアリティ」の考え方に則り、外部ステークホルダーからの意見を踏まえて、当社グループのバリューチェーン全体での「環境・社会へのインパクト」と「自社財務への機会・リスク」を特定し、評価しました。 STEP3:マテリアリティの特定代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会及び経営会議で議論を重ね、マテリアリティを特定し、取締役会で決定しました。 「エレクトロニクス社会の発展」マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思いエッジデバイスによるデジタル革新の実現最先端技術による多様なニーズへの価値提供と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促し、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決に貢献できている状態当社グループは、軽薄短小・無線通信技術を追求した最先端部品や高シェア部品の安定供給を果たすことで、スマートフォンをはじめとするエッジデバイスの小型化・多機能化や通信の高速・大容量化、エレクトロニクスの人々の暮らしへの浸透に貢献してきました。デジタル社会の進展に伴い、エッジデバイスは人々の生活にますます欠かせない存在となり、グローバルでの人口増加に伴い裾野の広がりも期待されます。当社グループは、高効率・低消費電力・センシングソリューションなどの新たな価値創出の追求と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促すことで、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決への貢献を目指します。 マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思い次世代モビリティ社会の実現拡張していくモビリティ社会のニーズに応じた製品・サービスを提供することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立に貢献できている状態当社グループは、高信頼性、高性能な製品を生み出す技術力、あるいは同一品質の製品を大量生産できる供給力という強みを活かしながら、電気自動車の普及や自動車の安全性向上へと貢献してきました。脱炭素社会への移行や交通事故防止、都市・過疎地での交通問題の解消、移動手段・消費者ニーズの多様化など、当市場は今後さらに大きく変革することが予想されます。このような環境変化の中、“モビリティ”として市場を広く捉え、高機能・高信頼な製品の安定供給を通じたxEVのさらなる普及、自動運転技術とこれを支える都市インフラの進化に貢献することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立を目指します。持続可能なITインフラの実現高速・大容量・高効率を軸とした信頼性の高い製品を提供することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現に貢献できている状態当社グループは、集積化に寄与する小型部品や、エネルギー効率の改善に寄与する各種電源装置などの製品を提供することで、社会とともに発展してきたITインフラの構築に貢献してきました。クラウド化の進行やAIの登場にともなって、通信のトラフィック量やITインフラ側での演算量も飛躍的に増加しています。これに伴い、データセンターのエネルギー消費量の急増など新しい課題も浮上しています。当社グループは、高速・大容量、高効率を軸とした信頼性の高い製品を安定供給することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現を目指します。心身ともに健康で豊かな社会の実現ウェルネス市場における新たな価値を創出し、人々の身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な生活に貢献できている状態当社グループは、最先端の技術や部品を創出するなどエレクトロニクスを通じてその時代に応じた社会課題解決に貢献してきました。健康志向が高まる今、身体的な健康だけでなく、精神的・社会的にバランスのとれた健康や生活者自身の幸せの追求など健康概念は変化しています。当社グループは、小型化・センシング・通信・流体制御技術といった要素技術や培ってきたエレクトロニクス領域の知見を製品・サービスに展開することで、医療の発展や病気の予防、さらに心の健康や人と人との良好な関係といった新しい豊かさを実現していくためのイノベーションを生み出し、すべての人が健康で豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指します。 「持続可能な地球環境の実現」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)2025年度実績脱炭素社会の実現2050年度目標GHG※1排出量(Scope 1,2,3):カーボンニュートラル 2040年度目標GHG排出量(Scope 1,2):カーボンニュートラル 2035年度目標再生可能エネルギー導入比率:100% 2030年度目標GHG排出量(Scope 1,2):87.3万t-CO2e(2019年度比46%減)GHG排出量(Scope 3):324.6万t-CO2(2019年度比27.5%減)再生可能エネルギー導入比率:75% GHG排出量(Scope 1,2):97.6万t-CO2e(2019年度比39%減)GHG排出量(Scope 3):データの精緻化再生可能エネルギー導入比率:55%GHG排出量(Scope 1,2):93.8万t-CO2e※2(2019年度比42%減)GHG排出量(Scope 3):386.0万t-CO2※2(2019年度比14%減)再生可能エネルギー導入比率:45.9%※2循環型社会の実現2050年度目標持続可能な資源利用率※3:100%循環資源化率※4:100% 2030年度目標持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%持続可能な資源利用率:16%循環資源化率:41%持続可能な資源利用率:約15%循環資源化率:39.0% 「社会との共栄」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)2025年度取り組み実績ダイバーシティと働きがいの実現2030年度目標従業員エンゲージメント肯定回答比率:76%以上グローバル経験者数※5:3,000人(6年累計)女性管理職比率※6:10%主観的健康観※7:80%労働災害千人率(休業4日以上):0.39未満従業員エンゲージメント肯定回答比率:71%以上グローバル経験者数:1,500人(3年累計)女性管理職比率:7%主観的健康観:79%労働災害千人率(休業4日以上):0.44未満従業員エンゲージメント肯定回答比率:68%グローバル経験者数:528人女性管理職比率:4.4%主観的健康観:77%労働災害千人率(休業4日以上):0.38人権の尊重2030年度目標特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100% マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)2025年度取り組み実績社会・地域の発展2030年度目標地域における会社の印象度調査肯定回答率:75%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):34,000人/年地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,000人/年地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,621人/年※1 GHG:Greenhouse gas。温室効果ガスの総称。※2 2026年6月時点の暫定値。※3 持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合。※4 循環資源化率:当社グループの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合。※5 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の累積数。※6 提出会社。※7 健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標。評価対象を国内従業員とし、肯定回答率で把握。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考えております。当社グループが大切な価値観として掲げる「CS(Customer Satisfaction=お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とES(Employee Satisfaction=仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること)」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 当社グループは2021年度に、長期構想「Vision2030」を策定いたしました。 Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、5つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「5つの事業機会」 成長戦略② 4つの経営変革の実行 ・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2027 ① 位置づけ 「中期方針2027」は、Vision2030で描いた「ありたい姿」の実現に向けた「解像度を上げる3年」と位置付けています。AIの登場により、当社グループが2030年の世界観として想定する「デジタルツイン」の実現がより加速していくと考えております。2030年の世界観に至る2027年までの3年間がエレクトロニクス産業の大きな変革期となる中で、当社グループが「お客様や社会にとって最善の選択となる」ための取り組みを3つの基本方針として掲げ、解像度を上げて実行してまいります。 ② 全社経営目標 中期方針2027における全社経営目標は、以下のとおりです。※1 ROIC(税引後)=営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・ 使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)※2 Greenhouse Gas 温室効果ガス※3 カーボンニュートラル※4 主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合※5 当社グループの排出物(廃棄物 + 有価物)が循環資源化された重量割合※6 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の 累積数※7 村田製作所単体 ③ 3つの「基本方針」 ・基本方針1「AIがドライブするエレクトロニクスにおける飛躍的な成長」 AI技術の発展に伴い、サイバー(仮想)空間とフィジカル(物理)空間が途切れなくつながる「デジタルツイン」の世界観が実現していくことで、当社グループの事業機会はより一層拡大すると想定しております。 「エッジデバイス」、「モビリティ」、「ITインフラ」を当社グループの基盤領域として捉え、コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立、機能デバイス、高周波・通信、エナジー・パワーにおける高い売上成長の実現を目指してまいります。 また、「環境」、「ウェルネス」、「3層目事業」を挑戦領域として捉え、事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに、2030年以降の超長期を見据えた技術の探索を進めてまいります。 ・基本方針2「持続可能な事業プロセスの追求」 当社グループでは、軽薄短小・高効率な製品の追求による電子機器の小型化への貢献、持続可能な事業プロセスを通じた環境負荷低減の取り組みに率先して取り組むことで、これまで事業成長を遂げてまいりました。今後は、「気候変動対策」と「資源循環」の2つを主要テーマとして掲げ、ステークホルダーとの共創を通じて取り組みを加速させてまいります。 また、ハザードリスクの脅威や地政学リスクの複雑化が見られる経営環境において、安定的な製品の供給を実現するために、グローバルでの拠点間ネットワークの強化や、適正な在庫政策、サプライチェーンの強靭化・複線化に向けた取り組みを一層強化してまいります。 ・基本方針3「経営資本の中核である人・組織力の強化」 当社グループでは、「組織・人的資本」がすべての経営資本をつなぐ中核であると考え、イノベーションにあふれる個と組織への変容を促進することによって、Vision2030の実現を目指しております。自律分散型の組織運営において、個と組織が取るべき行動を明らかにした「個と組織の好循環」モデルを新たに描き、「ダイナミックな適所適材」、「未来変革リーダーの育成」、「個と組織の好循環モデルの実現」を3つの重点テーマとして掲げ、取り組みを推進してまいります。 また、DXの推進によって、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、デマンドチェーンの可視化・効率化を通じた事業プロセスのハイサイクル化の実現を目指します。これにより、業務本来の目的やお客様に向き合う時間を増やし、CSとESの最大化につなげてまいります。 ④ 経済価値目標及びキャピタル・アロケーションに対する進捗状況 「経済価値目標」 中期方針2027目標2025年3月期実績2026年3月期実績売上収益2,000,000百万円1,743,352百万円1,830,856百万円営業利益率18%以上16.0%15.4%ROIC(税引後)(注)12%以上10.0%9.7%(注)ROIC(税引後)= 営業利益 ×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・ のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) 当連結会計年度の実績としては、後掲「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で記載のとおり、売上収益は前連結会計年度の実績を上回りましたが、営業利益率及びROIC(税引後)は前連結会計年度の実績を下回る結果となりました。足元では、各国での通商政策の動向や不安定な中東情勢などの地政学リスクの高まりにより事業環境が不透明ですが、当社グループが属するエレクトロニクス市場における中長期的な電子部品の需要は拡大傾向であり、中期方針2027で掲げた「基本方針」に基づく取り組みを継続して進めながら、経済価値目標の達成に向けて収益性及び生産性の向上を強化してまいります。 「キャピタル・アロケーション」 中期方針2027では、事業拡大及び企業価値最大化を目指したキャピタル・アロケーション計画を右図のとおり定めています。 当連結会計年度において、設備投資の累計は2,478億円となりました。戦略投資は、実行済及び実行決裁済案件の累計が283億円となりました。また株主還元は、配当金の支払い累計が1,107億円、自己株式取得が1,000億円となりました。 現在の市場環境下において、AIサーバー及び周辺機器における電子部品の搭載数の増加により、データセンター関連の需要が大きく拡大しております。今後も主力事業であるコンポーネント、デバイス・モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指していくとともに、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実施することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。 ⑤ 社会価値目標に対する進捗状況 「社会価値1:環境」「GHG排出量(2019年度比)」、「再生可能エネルギー導入比率」、「持続可能な資源利用率」及び「循環資源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「脱炭素社会の実現」及び「循環型社会の実現」をご参照ください。 「社会価値2:多様性」「グローバル経験者数」及び「女性管理職比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。 「社会価値3:ES」「従業員エンゲージメント肯定回答比率」の目標達成に向けた取り組みを進めております。詳細については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」の「ダイバーシティと働きがいの実現」をご参照ください。 (3) 当社グループのマテリアリティ 当社グループでは、重要な環境・社会課題(マテリアリティ)を特定し、製品・サービス及び事業プロセスの両面から取り組みを推進しています。マテリアリティは三か年の中期方針策定にあわせて見直しを行っています。中期方針2027でも引き続き経営変革の一環として社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営を掲げ、マテリアリティを「エレクトロニクス社会の発展」「持続可能な地球環境の実現」「社会との共栄」に分け取り組みを推進してまいります。 <特定プロセス> STEP1:環境・社会課題抽出ESRS、SASB、SDGs、グローバルリスクから環境・社会課題を抽出しました。 STEP2:環境・社会へのインパクト / 自社財務への機会・リスクの特定・評価CSRD、ESRSが提唱する「ダブルマテリアリティ」の考え方に則り、外部ステークホルダーからの意見を踏まえて、当社グループのバリューチェーン全体での「環境・社会へのインパクト」と「自社財務への機会・リスク」を特定し、評価しました。 STEP3:マテリアリティの特定代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会及び経営会議で議論を重ね、マテリアリティを特定し、取締役会で決定しました。 「エレクトロニクス社会の発展」マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思いエッジデバイスによるデジタル革新の実現最先端技術による多様なニーズへの価値提供と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促し、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決に貢献できている状態当社グループは、軽薄短小・無線通信技術を追求した最先端部品や高シェア部品の安定供給を果たすことで、スマートフォンをはじめとするエッジデバイスの小型化・多機能化や通信の高速・大容量化、エレクトロニクスの人々の暮らしへの浸透に貢献してきました。デジタル社会の進展に伴い、エッジデバイスは人々の生活にますます欠かせない存在となり、グローバルでの人口増加に伴い裾野の広がりも期待されます。当社グループは、高効率・低消費電力・センシングソリューションなどの新たな価値創出の追求と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促すことで、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決への貢献を目指します。 マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思い次世代モビリティ社会の実現拡張していくモビリティ社会のニーズに応じた製品・サービスを提供することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立に貢献できている状態当社グループは、高信頼性、高性能な製品を生み出す技術力、あるいは同一品質の製品を大量生産できる供給力という強みを活かしながら、電気自動車の普及や自動車の安全性向上へと貢献してきました。脱炭素社会への移行や交通事故防止、都市・過疎地での交通問題の解消、移動手段・消費者ニーズの多様化など、当市場は今後さらに大きく変革することが予想されます。このような環境変化の中、“モビリティ”として市場を広く捉え、高機能・高信頼な製品の安定供給を通じたxEVのさらなる普及、自動運転技術とこれを支える都市インフラの進化に貢献することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立を目指します。持続可能なITインフラの実現高速・大容量・高効率を軸とした信頼性の高い製品を提供することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現に貢献できている状態当社グループは、集積化に寄与する小型部品や、エネルギー効率の改善に寄与する各種電源装置などの製品を提供することで、社会とともに発展してきたITインフラの構築に貢献してきました。クラウド化の進行やAIの登場にともなって、通信のトラフィック量やITインフラ側での演算量も飛躍的に増加しています。これに伴い、データセンターのエネルギー消費量の急増など新しい課題も浮上しています。当社グループは、高速・大容量、高効率を軸とした信頼性の高い製品を安定供給することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現を目指します。心身ともに健康で豊かな社会の実現ウェルネス市場における新たな価値を創出し、人々の身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な生活に貢献できている状態当社グループは、最先端の技術や部品を創出するなどエレクトロニクスを通じてその時代に応じた社会課題解決に貢献してきました。健康志向が高まる今、身体的な健康だけでなく、精神的・社会的にバランスのとれた健康や生活者自身の幸せの追求など健康概念は変化しています。当社グループは、小型化・センシング・通信・流体制御技術といった要素技術や培ってきたエレクトロニクス領域の知見を製品・サービスに展開することで、医療の発展や病気の予防、さらに心の健康や人と人との良好な関係といった新しい豊かさを実現していくためのイノベーションを生み出し、すべての人が健康で豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指します。 「持続可能な地球環境の実現」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)2025年度実績脱炭素社会の実現2050年度目標GHG※1排出量(Scope 1,2,3):カーボンニュートラル 2040年度目標GHG排出量(Scope 1,2):カーボンニュートラル 2035年度目標再生可能エネルギー導入比率:100% 2030年度目標GHG排出量(Scope 1,2):87.3万t-CO2e(2019年度比46%減)GHG排出量(Scope 3):324.6万t-CO2(2019年度比27.5%減)再生可能エネルギー導入比率:75% GHG排出量(Scope 1,2):97.6万t-CO2e(2019年度比39%減)GHG排出量(Scope 3):データの精緻化再生可能エネルギー導入比率:55%GHG排出量(Scope 1,2):93.8万t-CO2e※2(2019年度比42%減)GHG排出量(Scope 3):386.0万t-CO2※2(2019年度比14%減)再生可能エネルギー導入比率:45.9%※2循環型社会の実現2050年度目標持続可能な資源利用率※3:100%循環資源化率※4:100% 2030年度目標持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%持続可能な資源利用率:16%循環資源化率:41%持続可能な資源利用率:約15%循環資源化率:39.0% 「社会との共栄」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)2025年度取り組み実績ダイバーシティと働きがいの実現2030年度目標従業員エンゲージメント肯定回答比率:76%以上グローバル経験者数※5:3,000人(6年累計)女性管理職比率※6:10%主観的健康観※7:80%労働災害千人率(休業4日以上):0.39未満従業員エンゲージメント肯定回答比率:71%以上グローバル経験者数:1,500人(3年累計)女性管理職比率:7%主観的健康観:79%労働災害千人率(休業4日以上):0.44未満従業員エンゲージメント肯定回答比率:68%グローバル経験者数:528人女性管理職比率:4.4%主観的健康観:77%労働災害千人率(休業4日以上):0.38人権の尊重2030年度目標特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100% マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)2025年度取り組み実績社会・地域の発展2030年度目標地域における会社の印象度調査肯定回答率:75%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):34,000人/年地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,000人/年地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,621人/年※1 GHG:Greenhouse gas。温室効果ガスの総称。※2 2026年6月時点の暫定値。※3 持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合。※4 循環資源化率:当社グループの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合。※5 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の累積数。※6 提出会社。※7 健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標。評価対象を国内従業員とし、肯定回答率で把握。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績 ①経営成績の概要 当連結会計年度の世界の経済情勢は、AI関連需要の拡大などを背景に底堅い成長を維持しているものの、各国での通商政策の動向や不安定な中東情勢などの地政学リスクの高まりにより、依然として先行き不透明な状況が続いています。 当社グループが属するエレクトロニクス市場の部品需要は、AIサーバー及び周辺機器における電子部品の搭載数の増加によりデータセンター関連の需要が拡大しました。また、自動車市場はxEVの成長率の鈍化がみられるものの、AD/ADASの進展により堅調に推移しています。 そのような中、当連結会計年度の売上収益は、高周波モジュールや樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少しましたが、積層セラミックコンデンサがサーバー向けを中心に幅広い用途で増加したことに加え、インダクタがスマートフォンやモビリティ向けで、EMI除去フィルタがサーバーやモビリティ向けで増加しました。その結果、為替変動(前連結会計年度比1円79銭の円高)の影響はありましたが、前連結会計年度比5.0%増の1,830,856百万円となりました。 利益につきましては、製品価格の値下がりや表面波フィルタ製品に係る事業において、のれんの減損損失を計上した影響はありましたが、生産高増加に伴う操業度益やコストダウンといった増益要因もあり、営業利益は前連結会計年度比0.8%増の281,835百万円、税引前当期利益は同1.4%増の308,643百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同0.0%増の233,920百万円となりました。 当連結会計年度のROIC(Return On Invested Capital)(税引後)は有形固定資産などの投下資本が増加したことにより、前年同期比0.3ポイント減の9.7%となりました。 前連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)増 減金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)増減率(%)売上収益1,743,352100.01,830,856100.087,5045.0営業利益279,70216.0281,83515.42,1330.8税引前当期利益304,40417.5308,64316.94,2391.4親会社の所有者に帰属する当期利益233,81813.4233,92012.81020.0ROIC(税引後) (%)10.0-9.7-△0.3-対米ドル平均為替レート(円)152.57-150.78-△1.79-(注)ROIC(税引後)= 営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)ROIC(税引後)で用いる実効税率は、平均実際負担税率を用いております。 (参考)事業別セグメントROIC(税引前) コンポーネント 2025年3月期 21.2% 2026年3月期 22.4% デバイス・モジュール 2025年3月期 1.2% 2026年3月期 △3.5%(注)ROIC(税引前)=営業利益/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) 事業別セグメントについては、コンポーネントは売上収益が1,175,235百万円(前連結会計年度比12.6%増)で営業利益が315,132百万円(同14.5%増)、デバイス・モジュールは売上収益が655,981百万円(同5.9%減)で営業損失26,491百万円(前連結会計年度は営業利益9,995百万円)、その他は売上収益が69,701百万円(同3.6%増)で営業損失6,806百万円(前連結会計年度は営業損失5,443百万円)となりました。 ②製品又は事業別の売上収益概況当連結会計年度の製品又は事業別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔コンデンサ〕この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。当連結会計年度は、積層セラミックコンデンサがサーバー向けを中心に幅広い用途で増加しました。その結果、コンデンサの売上収益は前連結会計年度に比べ12.6%増の936,418百万円となりました。 〔インダクタ・EMIフィルタ〕この区分には、インダクタ、EMI除去フィルタが含まれます。当連結会計年度は、インダクタがスマートフォンやモビリティ向けで、EMI除去フィルタがサーバーやモビリティ向けで増加しました。その結果、インダクタ・EMIフィルタの売上収益は前連結会計年度に比べ11.0%増の223,316百万円となりました。 〔高周波・通信〕この区分には、樹脂多層基板、高周波モジュール、コネクティビティモジュール、表面波フィルタなどが含まれます。当連結会計年度は、高周波モジュールがスマートフォンやPC向けで、樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少しました。その結果、高周波・通信の売上収益は前連結会計年度に比べ11.0%減の394,829百万円となりました。 〔エナジー・パワー〕この区分には、リチウムイオン二次電池、電源モジュールが含まれます。当連結会計年度は、電源モジュールが代理店や産業機器向けで減少しましたが、サーバー向けで増加しました。一方で、リチウムイオン二次電池がサーバー向けで増加しましたが、ゲーム機向けで減少しました。その結果、エナジー・パワーの売上収益は前連結会計年度に比べ1.1%減の154,063百万円となりました。 〔機能デバイス〕この区分には、センサ、タイミングデバイスなどが含まれます。当連結会計年度は、センサがモビリティ向けで、アクチュエータがコンピュータ向けで増加しました。その結果、機能デバイスの売上収益は前連結会計年度に比べ9.5%増の107,074百万円となりました。 ③用途別の売上収益概況 当連結会計年度の用途別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。なお、当第1四半期連結会計期間からビジネスの実態に合わせて用途別の売上収益区分の集計範囲を変更しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の金額を変更後の用途別の売上収益区分に組み替えた金額で比較分析しております。 〔通信〕当連結会計年度は、スマートフォン向けで積層セラミックコンデンサやインダクタが増加しましたが、高周波モジュールや樹脂多層基板が減少しました。その結果、通信用途の売上収益は前連結会計年度に比べ3.1%減の652,957百万円となりました。 〔モビリティ〕当連結会計年度は、自動車向けで積層セラミックコンデンサやセンサ、インダクタが増加しました。その結果、モビリティ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ4.8%増の474,484百万円となりました。 〔コンピュータ〕当連結会計年度は、PC向けで高周波モジュールが減少しましたが、サーバー向けで積層セラミックコンデンサやリチウムイオン二次電池が増加しました。その結果、コンピュータ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ28.4%増の310,392百万円となりました。 〔家電〕当連結会計年度は、ゲーム機向けでリチウムイオン二次電池や積層セラミックコンデンサが減少しましたが、AV機器向けでコネクティビティモジュールが増加しました。その結果、家電用途の売上収益は前連結会計年度に比べ0.1%増の142,694百万円となりました。 〔産業・その他〕当連結会計年度は、代理店向けで電源モジュールが減少しましたが、積層セラミックコンデンサが増加しました。また、産業機器やエネルギー市場向けでコンデンサが増加しました。その結果、産業・その他用途の売上収益は前連結会計年度に比べ7.8%増の250,329百万円となりました。 ④生産、受注及び販売の実績イ)生産実績 当連結会計年度のセグメント別の生産実績は、下表のとおりであります。 生産実績(2025年4月1日~2026年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計 年度比(%) コンデンサ923,24450.98.6 インダクタ・EMIフィルタ214,38611.83.3 コンポーネント1,137,63062.77.6 高周波・通信400,89822.1△7.7 エナジー・パワー153,4628.59.3 機能デバイス107,5685.915.2 デバイス・モジュール661,92836.5△0.9 その他14,9770.824.6 計1,814,535100.04.4 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.セグメント間取引については、相殺消去しております。3.以下のセグメント別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。 ロ)受注実績 当連結会計年度のセグメント別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。 受注高(2025年4月1日~2026年3月31日)受注残高(2026年3月31日現在)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度末比(%) コンデンサ1,063,56953.527.7269,15860.389.5 インダクタ・EMIフィルタ234,07811.815.342,2199.534.2 コンポーネント1,297,64765.325.3311,37769.879.5 高周波・通信403,74020.3△6.852,60711.820.4 エナジー・パワー164,2818.214.959,39813.320.8 機能デバイス110,0205.514.918,8854.218.5 デバイス・モジュール678,04134.00.9130,89029.320.3 その他13,8420.77.33,9020.9△25.2 計1,989,530100.015.6446,169100.055.2 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.セグメント間取引については、相殺消去しております。3.コンデンサの「受注残高」は、積層セラミックコンデンサの受注がサーバー向けを中心に増加し、受注高が売上を上回ったことにより、前連結会計年度比で大幅な増加となりました。4.インダクタ・EMIフィルタの「受注残高」は、インダクタの受注がスマートフォンやサーバー向けを中心に増加したことに加え、EMIフィルタの受注がサーバーやモビリティ向けを中心に増加し、受注高が売上を上回ったことにより、前連結会計年度比で大幅な増加となりました。 ハ)販売実績 当連結会計年度のセグメント別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2025年4月1日~2026年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) コンデンサ936,41851.112.6 インダクタ・EMIフィルタ223,31612.211.0 コンポーネント1,159,73463.312.3 高周波・通信394,82921.6△11.0 エナジー・パワー154,0638.4△1.1 機能デバイス107,0745.99.5 デバイス・モジュール655,96635.9△5.9 その他15,1560.816.0 計1,830,856100.05.0 (注)セグメント間取引については、相殺消去しております。 ニ)用途別販売実績 当連結会計年度の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2025年4月1日~2026年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) 通信652,95735.7△3.1 モビリティ474,48425.94.8 コンピュータ310,39216.928.4 家電142,6947.80.1 産業・その他250,32913.77.8 計1,830,856100.05.0 (注)当社推計値に基づいております。 ホ)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 当該割合が10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。 (2)財政状態 当連結会計年度末の資産合計は、のれんやその他の金融資産は減少しましたが、有形固定資産や棚卸資産の増加により、前連結会計年度末に比べ170,905百万円増加し、3,199,099百万円となりました。 負債合計は、リース負債は減少しましたが、未払法人所得税や営業債務の増加により、前連結会計年度末に比べ33,070百万円増加し、481,289百万円となりました。 資本合計は、自己株式は増加しましたが、利益剰余金やその他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末に比べ137,835百万円増加し、2,717,810百万円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.2ポイント減少の85.0%となりました。 (3)キャッシュ・フロー ①キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、425,222百万円のキャッシュ・イン(前年同期比26,683百万円の収入減少)となりました。 これは、主に法人所得税の支払による支出が75,067百万円、棚卸資産の増加額が16,847百万円となった一方で、当期利益が233,781百万円、減価償却費及び償却費が178,212百万円となったことによるものです。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、193,814百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比14,256百万円の支出減少)となりました。 これは、主に生産能力増強や生産棟の建設を中心とした有形固定資産の取得による支出が244,619百万円となったことによるものです。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、221,812百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比20,921百万円の支出減少)となりました。 これは、主に配当金の支払額が110,720百万円、自己株式の取得による支出が100,008百万円となったことによるものです。 ②資本の財源及び資金の流動性イ)財務戦略と経営資源の配分に関する考え方 当社グループは、健全な財務体質と高い資本効率を両立することを目指し、市場環境・競争環境に応じた最適な経営資源配分を行ってまいります。 財務体質については、事業環境の変化に機敏に対応し、持続的な利益成長を達成するとともに、厳しい環境下においても経営の安定を維持し、金融市場の市況悪化等のリスクへ備えるため自己資本の充実に努めております。また、信用格付は「AA+(信用力は極めて高く、優れた要素がある)」(格付投資情報センターによる)を取得し、資金調達が必要な場合に円滑かつ低コストの調達を可能としております。 経営資源の配分につきましては、「中期方針2027」に記載のキャピタル・アロケーション方針に基づき、資本効率と成長性を重視した投資と株主還元を行ってまいります。 資本効率については、継続的な資本効率の改善を目的として2027年度のROIC(税引後)12%以上を目標値として設定しております。また、資本コストを投資の意思決定と事業評価に反映しており、安定的にROICが資本コストを上回る構造を維持しております。なお、当連結会計年度末における当社グループの資本コスト(WACC)は9.4%(当社推計値)となっております。 株主還元については、長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、2027年度を目標にDOE(親会社所有者帰属持分配当率)5%に引き上げることを実現することといたします。また、自己株式の取得につきましても株主還元の手段として、資本効率の改善等を目的として適宜実施することといたします。 ロ)資金調達と手許流動性 当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、事業の成長に向けた投資や運転資金のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部から調達することとしており、銀行からの借入及び国内普通社債発行による資金調達を適宜実施しております。健全な財務体質を維持し、また主要な取引先金融機関と良好な関係を構築しており、今後の事業資金の調達に関して問題はないと認識しております。 完全子会社の資金需要に対しては、原則として銀行など外部からの資金調達を行わず、当社及び関係会社からのグループファイナンスにより対応しており、資金調達の一元化と資金効率の向上を図っております。 また、当社グループは、事業活動による資金需要への機動的な対応と金融市場の市況悪化等のリスクを最小限に抑えるため、月平均売上収益2.5か月~3.5か月を必要な資金流動性の水準としております。事業の状況によりこの水準を一時的に超過する場合もありますが、キャピタル・アロケーション方針に基づく資源配分へ資金の充当を進めることにより適正化を図ってまいります。当連結会計年度末における現金及び現金同等物、短期投資、有価証券の流動性資金の残高は664,632百万円となり月平均売上収益4.4か月となっております。事業投資の原資として手許資金を保有しているため、投機目的の運用は行わず、信用リスクが小さいと考えられる銀行への預金など、安全性の高い金融商品に分散して資金を保有しております。なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は3,261百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は653,701百万円となっております。 (4)重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成しております。当連結会計年度において、当社グループにおいて重要性があると認識している会計方針及び見積りは、連結財務諸表注記の「3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考えております。当社グループが大切な価値観として掲げる「CS(Customer Satisfaction=お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とES(Employee Satisfaction=仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること)」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」当連結会計年度に当社グループは、価値創造の源泉である経営資本の再整理を行うとともに、「CSとESによる総合力」をコンピタンスの中心に据えるなど、価値創造プロセスの見直しを行っております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 当社グループは2021年度に、長期構想「Vision2030」を策定いたしました。 Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、5つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「5つの事業機会」 当連結会計年度に策定した「中期方針2027」では、事業機会を従来の4つから5つへ変更しております。当社グループの基盤領域である「通信」領域を「エッジデバイス」と「ITインフラ」の2つに捉えなおすことで、AIやクラウドなどの技術革新により創出される事業機会をより具体化いたしました。これら5つの事業機会を捉えることにより、価値を創出していくことを目指してまいります。 成長戦略② 4つの経営変革の実行 ・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2027 中期方針2024の振り返り 当社グループは2021年度に、Vision2030のありたい姿に向かっていくための第1フェーズとして「中期方針2024」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。 ① 経済価値目標の達成状況 中期方針2024の経済価値目標については、売上収益・営業利益率・ROIC(税引前)のいずれも未達となりました。 中期方針2024目標2025年3月期実績目標比売上収益2,000,000百万円1,743,352百万円△256,648百万円営業利益率20%以上16.0%△4.0%ROIC(税引前)(注)20%以上13.0%△7.0%(注)ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・ 無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) 売上収益については、AIサーバー向け需要の盛り上がりやモビリティ市場における電動化の加速や円安の進行などはありましたが、スマートフォンやPCなどの民生市場において、コロナ禍で生じた需要増の反動減による在庫調整が長期化し部品需要が想定よりも大きく下振れしたこと、2層目事業におけるモジュールのシェア拡大が遅れたことなどにより、当社グループの想定を下回りました。営業利益率については、部品需要減に対してコストダウンや生産性向上の取り組みを進めましたが、工場操業度の低下や低収益事業の改善遅れなどにより目標に届きませんでした。ROIC(税引前)について、上述の通り営業利益率が低下するなかで、エレクトロニクス領域の拡大に備えた先行投資を継続したことにより、目標を下回る結果となりました。 ② キャピタル・アロケーションの実績 中期方針2024では、キャピタル・アロケーションを明確化し、長期視点での環境投資や技術獲得、リスク対策、ITインフラ強化などを戦略投資と位置付け、新たに「戦略投資枠」を設定しております。 戦略投資の進捗は、最近3連結会計年度の実行済および実行決裁済案件の累計が850億円となりました。また、株主還元については、最近3連結会計年度の配当金の支払いおよび自己株式の取得の累計が4,480億円となりました。さらに社債償還については、最近3連結会計年度に1,100億円の償還を実行しました。 今後も主力事業であるコンポーネント、デバイス・モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指していくとともに、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実施することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。※ 2021年度末時点の手元余剰資金および当該期間中に経費処理したものなどが含まれる。 ③社会価値目標の達成状況 「社会価値1:環境」・「GHG排出量(2019年度比)」、「再生可能エネルギー導入比率」、「持続可能な資源利用率」及び「循環資 源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。中期方針2024期間における実績については、後掲 「(3)当社グループのマテリアリティ」に記載の当社ウェブサイトを参照ください。 「社会価値2:多様性」・「海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率」の目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。中期方 針2024期間における実績については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」に記載の当社ウェブサイトを参照ください。 「社会価値3:ES」・当連結会計年度において、国内外全拠点の約72,000人の全従業員を対象としたグローバルサーベイを実施しまし た。回答率は95%、「従業員エンゲージメント肯定回答比率」は67%となり、2024年度目標を3ポイント下回る 結果となりました。従業員のボトムアップによる活動は実を結び始め、着実に改善はしておりますが、会社全体 の戦略・方向性を従業員が十分に理解し、行動につなげていく取り組みに対しては改善余地を残す結果となった ため、今後は経営層からの声をより確実に届けるような施策を実行してまいります。 ・国内外の各拠点・各組織における好事例を全社に共有する事例共有会をウェビナーにて実施し、1,000名以上 がリアルタイムで視聴しました。動画データや日・英の多言語対応した発表資料を全従業員へ配信しました。 ・従業員向け研修(役員主催研修・階層教育・理念教育など)や社内のポータルサイトを通じた経営層と従業員 の対話促進に取り組みました。 ・組織風土変革活動の推進を目的として、部門長向けのワークショップ、管理職向けの研修を実施しました。 ・エンゲージメント向上のために注力すべき属性である中途・シニア・製造に対し、各々の課題に合わせた取組 みを実施しました。 ④ 中期経営課題への取り組み 中期方針2024では、中期構想2021において顕在化した課題を解決していくとともに、長期視点で環境変化を捉え、バックキャストをして今から必要な備えを着実に進めていくために、「経営変革の推進」、「ポートフォリオ経営の実践(高度化)」、「筋肉質な経営基盤の形成」、「2030年への備え」の4つの中期経営課題に対する取り組みを進めてまいりました。 ・経営変革の推進 当社グループでは「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として、「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」、「自律分散型の組織運営の実践」、「仮説思考にもとづく変化対応型経営」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」の4つの経営変革を掲げております。 中期方針2024の期間では、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)に対する各種取り組みを推進するとともに、社会価値と経済価値の好循環を促進するための新たな経営管理制度の仕組みとして、サステナビリティ投資促進制度とインターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入いたしました。加えて、環境課題を解決する事業として、統合型再エネ制御ソリューション「efinnos」、当社製品と協業パートナーであるMutron社製AI省エネ制御を組み合わせた省エネルギーシステムの社内外への展開を推進しております。また、自律分散型組織を担保する仕組みとして、事業計画の管理プロセスに仮説思考アプローチを導入し、予算策定、事業中期計画策定、事業性評価プロセスの見直しを実施いたしました。事業性評価プロセスでは、ROICと市場成長率の2軸において一定の基準を下回るプロダクトを対象とし、改善計画を策定して定期的なモニタリングを実行してまいりました。その他にも、次世代デジタルプラットフォームおよびインフラ基盤の構築に向けた課題整理、構想・計画策定、PoC(Proof of Concept)実施に加えて、社内の意識醸成やDX人材の獲得・育成を推進いたしました。Vision2030実現に向けて、経営変革の取り組みを今後も推進してまいります。 ・ポートフォリオ経営の実践(高度化) 「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として掲げた「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」を実現するために、前掲の「3層ポートフォリオ」を用いたポートフォリオ経営の高度化を進めております。 1層目は、需要の成長に追随した供給力、技術的な限界を破って実現するカッティングエッジの技術力、事業効率の向上の3つをもって業界トップの位置づけを確実にするための取り組みを推進してまいりました。積層セラミックコンデンサやインダクタの中長期的な需要拡大への備えとして、中国、タイ、ベトナムでの新生産棟建設、合弁会社「MFマテリアル株式会社」の設立を進めたほか、将来的なインドでの生産活動への準備としてインドの工業団地内での工場賃借の契約を開始しております。また、カッティングエッジ技術の追求により、電子機器のさらなる小型化・高機能化に貢献する世界最小016008Mサイズ(0.16mm×0.08mm)の積層セラミックコンデンサを世界で初めて開発したほか、同サイズの世界最小クラスのチップインダクタの開発にも着手しております。 2層目は、差異化技術の強化を進めることで市場シェアの獲得に努めるとともに、事業の選択と集中などポートフォリオの見直しを行うことで財務体質の改善に努めてまいりました。高周波・通信では、2022年3月期に当社による買収が完了したResonant社のXBAR技術の開発を推進し、翌連結会計年度での出荷開始に向けて準備を進めております。電池事業においては、環境領域での事業機会創出、筋肉質な事業基盤の構築、経営資本の強化と再配分を通して、黒字化に向けた取り組みを推進しております。 3層目は、当社の強みを活かせる領域の探索を進めてまいりました。中期方針2024の期間では、当社グループのハードウェアを活用して、スタートアップや大学などのアイデア実現を目指す「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」を始動し、当連結会計年度には初めて日本国外(ブルガリア)での開催を実現するなど、イノベーションの創出・加速に向けた社外との共創活動も積極的に拡大してまいりました。また、PIECLEXや作業者安全モニタリングシステム、efinnos、無線センシングソリューションの展開など、3層目事業の社会実装事例は着実に増加しており、今後は事業のスケール化に向けて、ステークホルダーと共創をしながら取り組みを加速させてまいります。 ・筋肉質な経営基盤の形成 筋肉質な経営基盤の形成を実現するために、人的資本および品質基盤の強化に注力してまいりました。 社会価値指標として掲げる「ES」、「多様性」の向上に向けて、グローバル組織サーベイの実施とその結果に基づくアクションプランを検討・実行したほか、グローバルに他拠点での業務経験ができる機会の積極的な提供に努めてまいりました。さらに、将来の幹部人材育成を目的とした国内外の選抜教育プログラムを整備・実行するとともに、モノづくり現場でのムダ取りやスマート技術・デジタル活用による生産性向上、グローバル生産体制や現場改善を支える人材育成を推進いたしました。また、ビジネスリスクアセスメントの仕組みの導入、3層ポートフォリオ経営を支える品質保証・品質管理体制を強化いたしました。今後も、プロセスの源流から科学的管理を実践することで、すべてのお客様から信頼される品質の追求に努めてまいります。 ・2030年への備え 重要経営リスクの評価を進め、必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術の発掘・育成や、それを支える知的財産戦略の立案・実行に取り組んでまいりました。 具体的には、「備えプロジェクト」、「η(イータ)プロジェクト」の推進など、2030年以降を見据えたバックキャスティングを意識した取り組みを強化してきました。「備えプロジェクト」では、「次世代通信/6G」、「環境」、「光/半導体」、「生体エレクトロニクス」の4つのテーマに加えて、当連結会計年度には新たに「スペース」と「ロボティクス」を追加し、調査探索・研究開発・事業化を推進しております。さらに、多様化する顧客ニーズに応えるための営業・マーケティング力の強化、東京ロジスティクスセンターの開設をはじめとするBCM体制の整備、サプライチェーンの複線化を推進することにより、地政学リスクをはじめとした将来の経営リスクに対するリスクマネジメントを強化してきました。今後も短期視点にとどまらず、中長期の成長を見据えた経営を推進してまいります。 中期方針2027 当社グループは当連結会計年度に、Vision2030のありたい姿に向かっていくための第2フェーズとして「中期方針2027」(2026年3月期~2028年3月期)を策定しました。 ① 中期方針2027の位置づけ 「中期方針2027」は、Vision2030で描いた「ありたい姿」の実現に向けた「解像度を上げる3年」と位置付けています。AIの登場により、当社グループが2030年の世界観として想定する「デジタルツイン」の実現がより加速していくと考えております。2030年の世界観に至る2027年までの3年間がエレクトロニクス産業の大きな変革期となる中で、当社グループが「お客様や社会にとって最善の選択となる」ための取り組みを3つの基本方針として掲げ、解像度を上げて実行してまいります。 ② 全社経営目標 中期方針2027における全社経営目標は、以下図の通りです。※1 当中期方針から、開示するROICを税引前から税引後に変更しています。 ROIC(税引後)=営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・ 使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) なお、計算で用いる実効税率は、平均実際負担税率を用いております。※2 Greenhouse Gas 温室効果ガス※3 カーボンニュートラル※4 主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合※5 当社グループの排出物(廃棄物 + 有価物)が循環資源化された重量割合 ※6 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験を した国内外社員の累積数※7 村田製作所単体 ③ キャピタル・アロケーション方針 中期方針2027に基づき、事業拡大および企業価値最大化を目指したキャピタル・アロケーション方針を以下の通り定めています。 中長期的な稼ぐ力の強化に向けて、生産能力の増強やサプライチェーンの複線化への投資に加え、非連続な成長を実現するための戦略的な投資を積極的に実施します。株主還元においては、収益性の改善を通じてDOE(親会社所有者帰属持分配当率)の目標を引き上げることで安定した配当につなげ、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実行します。※ 2021年度末時点の手元余剰資金および当該期間中に経費処理したものなどが含まれる。 ④ 3つの「基本方針」 ・基本方針1「AIがドライブするエレクトロニクスにおける飛躍的な成長」 AI技術の発展に伴い、サイバー(仮想)空間とフィジカル(物理)空間が途切れなくつながる「デジタルツイン」の世界観が実現していくことで、当社グループの事業機会はより一層拡大すると想定しております。 「エッジデバイス」、「モビリティ」、「ITインフラ」を当社グループの基盤領域として捉え、コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立、機能デバイス、高周波・通信、エナジー・パワーにおける高い売上成長の実現を目指してまいります。 また、「環境」、「ウェルネス」、「3層目事業」を挑戦領域として捉え、事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに、2030年以降の超長期を見据えた技術の探索を進めてまいります。 ・基本方針2「持続可能な事業プロセスの追求」 当社グループでは、軽薄短小・高効率な製品の追求による電子機器の小型化への貢献、持続可能な事業プロセスを通じた環境負荷低減の取り組みに率先して取り組むことで、これまで事業成長を遂げてまいりました。今後は、「気候変動対策」と「資源循環」の2つを主要テーマとして掲げ、ステークホルダーとの共創を通じて取り組みを加速させてまいります。 また、ハザードリスクの脅威や地政学リスクの複雑化が見られる経営環境において、安定的な製品の供給を実現するために、グローバルでの拠点間ネットワークの強化や、適正な在庫政策、サプライチェーンの強靭化・複線化に向けた取り組みを一層強化してまいります。 ・基本方針3「経営資本の中核である人・組織力の強化」 当社グループでは、「組織・人的資本」がすべての経営資本をつなぐ中核であると考え、イノベーションにあふれる個と組織への変容を促進することによって、Vision2030の実現を目指しております。自律分散型の組織運営において、個と組織が取るべき行動を明らかにした「個と組織の好循環」モデルを新たに描き、「ダイナミックな適所適材」、「未来変革リーダーの育成」、「個と組織の好循環モデルの実現」を3つの重点テーマとして掲げ、取り組みを推進してまいります。 また、DXの推進によって、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、デマンドチェーンの可視化・効率化を通じた事業プロセスのハイサイクル化の実現を目指します。これにより、業務本来の目的やお客様に向き合う時間を増やし、CSとESの最大化につなげてまいります。 (3) 当社グループのマテリアリティ 当社グループでは、重要な環境・社会課題(マテリアリティ)を特定し、製品・サービス及び事業プロセスの両面から取り組みを推進しています。マテリアリティは三か年の中期方針策定にあわせて見直しを行っており、2024年度を最終年度とする中期方針2024の実績につきましては、当社ウェブサイト(https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/materiality/activities-2022)にて公表予定です。中期方針2027でも引き続き経営変革の一環として社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営を掲げ、マテリアリティを「エレクトロニクス社会の発展」「持続可能な地球環境の実現」「社会との共栄」に分け取り組みを推進してまいります。 <特定プロセス> STEP1:環境・社会課題抽出ESRS、SASB、SDGs、グローバルリスクから環境・社会課題を抽出しました。 STEP2:環境・社会へのインパクト / 自社財務への機会・リスクの特定・評価CSRD、ESRSが提唱する「ダブルマテリアリティ」の考え方に則り、外部ステークホルダーからの意見を踏まえて、当社グループのバリューチェーン全体での「環境・社会へのインパクト」と「自社財務への機会・リスク」を特定し、評価しました。 STEP3:マテリアリティの特定代表取締役社長を委員長とするCSR統括委員会で議論を重ね、マテリアリティを特定し、取締役会で決定しました。 「エレクトロニクス社会の発展」マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思いエッジデバイスによるデジタル革新の実現最先端技術による多様なニーズへの価値提供と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促し、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決に貢献できている状態当社グループは、軽薄短小・無線通信技術を追求した最先端部品や高シェア部品の安定供給を果たすことで、スマートフォンをはじめとするエッジデバイスの小型化・多機能化や通信の高速・大容量化、エレクトロニクスの人々の暮らしへの浸透に貢献してきました。デジタル社会の進展に伴い、エッジデバイスは人々の生活にますます欠かせない存在となり、グローバルでの人口増加に伴い裾野の広がりも期待されます。当社グループは、高効率・低消費電力・センシングソリューションなどの新たな価値創出の追求と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促すことで、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決への貢献を目指します。 マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思い次世代モビリティ社会の実現拡張していくモビリティ社会のニーズに応じた製品・サービスを提供することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立に貢献できている状態当社グループは、高信頼性、高性能な製品を生み出す技術力、あるいは同一品質の製品を大量生産できる供給力という強みを活かしながら、電気自動車の普及や自動車の安全性向上へと貢献してきました。脱炭素社会への移行や交通事故防止、都市・過疎地での交通問題の解消、移動手段・消費者ニーズの多様化など、当市場は今後さらに大きく変革することが予想されます。このような環境変化の中、“モビリティ”として市場を広く捉え、高機能・高信頼な製品の安定供給を通じたxEVのさらなる普及、自動運転技術とこれを支える都市インフラの進化に貢献することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立を目指します。持続可能なITインフラの実現高速・大容量・高効率を軸とした信頼性の高い製品を提供することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現に貢献できている状態当社グループは、集積化に寄与する小型部品や、エネルギー効率の改善に寄与する各種電源装置などの製品を提供することで、社会とともに発展してきたITインフラの構築に貢献してきました。クラウド化の進行やAIの登場にともなって、通信のトラフィック量やITインフラ側での演算量も飛躍的に増加しています。これに伴い、データセンターのエネルギー消費量の急増など新しい課題も浮上しています。当社グループは、高速・大容量、高効率を軸とした信頼性の高い製品を安定供給することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現を目指します。心身ともに健康で豊かな社会の実現ウェルネス市場における新たな価値を創出し、人々の身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な生活に貢献できている状態当社グループは、最先端の技術や部品を創出するなどエレクトロニクスを通じてその時代に応じた社会課題解決に貢献してきました。健康志向が高まる今、身体的な健康だけでなく、精神的・社会的にバランスのとれた健康や生活者自身の幸せの追求など健康概念は変化しています。当社グループは、小型化・センシング・通信・流体制御技術といった要素技術や培ってきたエレクトロニクス領域の知見を製品・サービスに展開することで、医療の発展や病気の予防、さらに心の健康や人と人との良好な関係といった新しい豊かさを実現していくためのイノベーションを生み出し、すべての人が健康で豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指します。 「持続可能な地球環境の実現」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)脱炭素社会の実現2050年度目標GHG※1排出量(Scope1,2,3):カーボンニュートラル 2040年度目標GHG排出量(Scope1,2):カーボンニュートラル 2035年度目標再生可能エネルギー導入比率:100% 2030年度目標GHG排出量(Scope1,2):87.3万t-CO2e(2019年度比46%減)GHG排出量(Scope3):324.6万t-CO2(2019年度比27.5%減)再生可能エネルギー導入比率:75% GHG排出量(Scope1,2):97.6万t-CO2e(2019年度比39%減)GHG排出量(Scope3):データの精緻化再生可能エネルギー導入比率:55%循環型社会の実現2050年度目標持続可能な資源利用率※2:100%循環資源化率※3:100% 2030年度目標持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%持続可能な資源利用率:16%循環資源化率:41% 「社会との共栄」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)ダイバーシティと働きがいの実現2030年度目標従業員エンゲージメント肯定回答比率:76%以上グローバル経験者数※4:3,000人(6年累計)女性管理職比率※5:10%主観的健康観※6:80%労働災害千人率(休業4日以上):0.39未満従業員エンゲージメント肯定回答比率:71%以上グローバル経験者数:1,500人(3年累計)女性管理職比率:7%主観的健康観:79%労働災害千人率(休業4日以上):0.44未満人権の尊重2030年度目標特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%社会・地域の発展2030年度目標地域における会社の印象度調査肯定回答率:75%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):34,000人 / 年地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,000人 / 年 ※1 GHG:Greenhouse gas。温室効果ガスの総称。※2 持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合。※3 循環資源化率:当社グループの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合。※4 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の累積数。※5 提出会社。※6 健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標。評価対象を国内従業員とし、肯定回答率で把握。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であると考えております。当社グループが大切な価値観として掲げる「CS(Customer Satisfaction=お客様が認めてくださる価値を創造し、提供し続けること)とES(Employee Satisfaction=仕事を通じて従業員一人ひとりがやりがいを感じ、成長し続けること)」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」当連結会計年度に当社グループは、価値創造の源泉である経営資本の再整理を行うとともに、「CSとESによる総合力」をコンピタンスの中心に据えるなど、価値創造プロセスの見直しを行っております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 当社グループは2021年度に、長期構想「Vision2030」を策定いたしました。 Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」であり続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、5つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「5つの事業機会」 当連結会計年度に策定した「中期方針2027」では、事業機会を従来の4つから5つへ変更しております。当社グループの基盤領域である「通信」領域を「エッジデバイス」と「ITインフラ」の2つに捉えなおすことで、AIやクラウドなどの技術革新により創出される事業機会をより具体化いたしました。これら5つの事業機会を捉えることにより、価値を創出していくことを目指してまいります。 成長戦略② 4つの経営変革の実行 ・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーの皆様に信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人ひとりが日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織と実行組織がともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2027 中期方針2024の振り返り 当社グループは2021年度に、Vision2030のありたい姿に向かっていくための第1フェーズとして「中期方針2024」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。 ① 経済価値目標の達成状況 中期方針2024の経済価値目標については、売上収益・営業利益率・ROIC(税引前)のいずれも未達となりました。 中期方針2024目標2025年3月期実績目標比売上収益2,000,000百万円1,743,352百万円△256,648百万円営業利益率20%以上16.0%△4.0%ROIC(税引前)(注)20%以上13.0%△7.0%(注)ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・ 無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) 売上収益については、AIサーバー向け需要の盛り上がりやモビリティ市場における電動化の加速や円安の進行などはありましたが、スマートフォンやPCなどの民生市場において、コロナ禍で生じた需要増の反動減による在庫調整が長期化し部品需要が想定よりも大きく下振れしたこと、2層目事業におけるモジュールのシェア拡大が遅れたことなどにより、当社グループの想定を下回りました。営業利益率については、部品需要減に対してコストダウンや生産性向上の取り組みを進めましたが、工場操業度の低下や低収益事業の改善遅れなどにより目標に届きませんでした。ROIC(税引前)について、上述の通り営業利益率が低下するなかで、エレクトロニクス領域の拡大に備えた先行投資を継続したことにより、目標を下回る結果となりました。 ② キャピタル・アロケーションの実績 中期方針2024では、キャピタル・アロケーションを明確化し、長期視点での環境投資や技術獲得、リスク対策、ITインフラ強化などを戦略投資と位置付け、新たに「戦略投資枠」を設定しております。 戦略投資の進捗は、最近3連結会計年度の実行済および実行決裁済案件の累計が850億円となりました。また、株主還元については、最近3連結会計年度の配当金の支払いおよび自己株式の取得の累計が4,480億円となりました。さらに社債償還については、最近3連結会計年度に1,100億円の償還を実行しました。 今後も主力事業であるコンポーネント、デバイス・モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指していくとともに、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実施することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。※ 2021年度末時点の手元余剰資金および当該期間中に経費処理したものなどが含まれる。 ③社会価値目標の達成状況 「社会価値1:環境」・「GHG排出量(2019年度比)」、「再生可能エネルギー導入比率」、「持続可能な資源利用率」及び「循環資 源化率」の目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。中期方針2024期間における実績については、後掲 「(3)当社グループのマテリアリティ」に記載の当社ウェブサイトを参照ください。 「社会価値2:多様性」・「海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率」の目標達成に向けた取り組みを進めてまいりました。中期方 針2024期間における実績については、後掲「(3)当社グループのマテリアリティ」に記載の当社ウェブサイトを参照ください。 「社会価値3:ES」・当連結会計年度において、国内外全拠点の約72,000人の全従業員を対象としたグローバルサーベイを実施しまし た。回答率は95%、「従業員エンゲージメント肯定回答比率」は67%となり、2024年度目標を3ポイント下回る 結果となりました。従業員のボトムアップによる活動は実を結び始め、着実に改善はしておりますが、会社全体 の戦略・方向性を従業員が十分に理解し、行動につなげていく取り組みに対しては改善余地を残す結果となった ため、今後は経営層からの声をより確実に届けるような施策を実行してまいります。 ・国内外の各拠点・各組織における好事例を全社に共有する事例共有会をウェビナーにて実施し、1,000名以上 がリアルタイムで視聴しました。動画データや日・英の多言語対応した発表資料を全従業員へ配信しました。 ・従業員向け研修(役員主催研修・階層教育・理念教育など)や社内のポータルサイトを通じた経営層と従業員 の対話促進に取り組みました。 ・組織風土変革活動の推進を目的として、部門長向けのワークショップ、管理職向けの研修を実施しました。 ・エンゲージメント向上のために注力すべき属性である中途・シニア・製造に対し、各々の課題に合わせた取組 みを実施しました。 ④ 中期経営課題への取り組み 中期方針2024では、中期構想2021において顕在化した課題を解決していくとともに、長期視点で環境変化を捉え、バックキャストをして今から必要な備えを着実に進めていくために、「経営変革の推進」、「ポートフォリオ経営の実践(高度化)」、「筋肉質な経営基盤の形成」、「2030年への備え」の4つの中期経営課題に対する取り組みを進めてまいりました。 ・経営変革の推進 当社グループでは「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として、「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」、「自律分散型の組織運営の実践」、「仮説思考にもとづく変化対応型経営」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」の4つの経営変革を掲げております。 中期方針2024の期間では、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)に対する各種取り組みを推進するとともに、社会価値と経済価値の好循環を促進するための新たな経営管理制度の仕組みとして、サステナビリティ投資促進制度とインターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入いたしました。加えて、環境課題を解決する事業として、統合型再エネ制御ソリューション「efinnos」、当社製品と協業パートナーであるMutron社製AI省エネ制御を組み合わせた省エネルギーシステムの社内外への展開を推進しております。また、自律分散型組織を担保する仕組みとして、事業計画の管理プロセスに仮説思考アプローチを導入し、予算策定、事業中期計画策定、事業性評価プロセスの見直しを実施いたしました。事業性評価プロセスでは、ROICと市場成長率の2軸において一定の基準を下回るプロダクトを対象とし、改善計画を策定して定期的なモニタリングを実行してまいりました。その他にも、次世代デジタルプラットフォームおよびインフラ基盤の構築に向けた課題整理、構想・計画策定、PoC(Proof of Concept)実施に加えて、社内の意識醸成やDX人材の獲得・育成を推進いたしました。Vision2030実現に向けて、経営変革の取り組みを今後も推進してまいります。 ・ポートフォリオ経営の実践(高度化) 「Vision2030(長期構想)」の成長戦略として掲げた「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」を実現するために、前掲の「3層ポートフォリオ」を用いたポートフォリオ経営の高度化を進めております。 1層目は、需要の成長に追随した供給力、技術的な限界を破って実現するカッティングエッジの技術力、事業効率の向上の3つをもって業界トップの位置づけを確実にするための取り組みを推進してまいりました。積層セラミックコンデンサやインダクタの中長期的な需要拡大への備えとして、中国、タイ、ベトナムでの新生産棟建設、合弁会社「MFマテリアル株式会社」の設立を進めたほか、将来的なインドでの生産活動への準備としてインドの工業団地内での工場賃借の契約を開始しております。また、カッティングエッジ技術の追求により、電子機器のさらなる小型化・高機能化に貢献する世界最小016008Mサイズ(0.16mm×0.08mm)の積層セラミックコンデンサを世界で初めて開発したほか、同サイズの世界最小クラスのチップインダクタの開発にも着手しております。 2層目は、差異化技術の強化を進めることで市場シェアの獲得に努めるとともに、事業の選択と集中などポートフォリオの見直しを行うことで財務体質の改善に努めてまいりました。高周波・通信では、2022年3月期に当社による買収が完了したResonant社のXBAR技術の開発を推進し、翌連結会計年度での出荷開始に向けて準備を進めております。電池事業においては、環境領域での事業機会創出、筋肉質な事業基盤の構築、経営資本の強化と再配分を通して、黒字化に向けた取り組みを推進しております。 3層目は、当社の強みを活かせる領域の探索を進めてまいりました。中期方針2024の期間では、当社グループのハードウェアを活用して、スタートアップや大学などのアイデア実現を目指す「KUMIHIMO Tech Camp with Murata」を始動し、当連結会計年度には初めて日本国外(ブルガリア)での開催を実現するなど、イノベーションの創出・加速に向けた社外との共創活動も積極的に拡大してまいりました。また、PIECLEXや作業者安全モニタリングシステム、efinnos、無線センシングソリューションの展開など、3層目事業の社会実装事例は着実に増加しており、今後は事業のスケール化に向けて、ステークホルダーと共創をしながら取り組みを加速させてまいります。 ・筋肉質な経営基盤の形成 筋肉質な経営基盤の形成を実現するために、人的資本および品質基盤の強化に注力してまいりました。 社会価値指標として掲げる「ES」、「多様性」の向上に向けて、グローバル組織サーベイの実施とその結果に基づくアクションプランを検討・実行したほか、グローバルに他拠点での業務経験ができる機会の積極的な提供に努めてまいりました。さらに、将来の幹部人材育成を目的とした国内外の選抜教育プログラムを整備・実行するとともに、モノづくり現場でのムダ取りやスマート技術・デジタル活用による生産性向上、グローバル生産体制や現場改善を支える人材育成を推進いたしました。また、ビジネスリスクアセスメントの仕組みの導入、3層ポートフォリオ経営を支える品質保証・品質管理体制を強化いたしました。今後も、プロセスの源流から科学的管理を実践することで、すべてのお客様から信頼される品質の追求に努めてまいります。 ・2030年への備え 重要経営リスクの評価を進め、必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術の発掘・育成や、それを支える知的財産戦略の立案・実行に取り組んでまいりました。 具体的には、「備えプロジェクト」、「η(イータ)プロジェクト」の推進など、2030年以降を見据えたバックキャスティングを意識した取り組みを強化してきました。「備えプロジェクト」では、「次世代通信/6G」、「環境」、「光/半導体」、「生体エレクトロニクス」の4つのテーマに加えて、当連結会計年度には新たに「スペース」と「ロボティクス」を追加し、調査探索・研究開発・事業化を推進しております。さらに、多様化する顧客ニーズに応えるための営業・マーケティング力の強化、東京ロジスティクスセンターの開設をはじめとするBCM体制の整備、サプライチェーンの複線化を推進することにより、地政学リスクをはじめとした将来の経営リスクに対するリスクマネジメントを強化してきました。今後も短期視点にとどまらず、中長期の成長を見据えた経営を推進してまいります。 中期方針2027 当社グループは当連結会計年度に、Vision2030のありたい姿に向かっていくための第2フェーズとして「中期方針2027」(2026年3月期~2028年3月期)を策定しました。 ① 中期方針2027の位置づけ 「中期方針2027」は、Vision2030で描いた「ありたい姿」の実現に向けた「解像度を上げる3年」と位置付けています。AIの登場により、当社グループが2030年の世界観として想定する「デジタルツイン」の実現がより加速していくと考えております。2030年の世界観に至る2027年までの3年間がエレクトロニクス産業の大きな変革期となる中で、当社グループが「お客様や社会にとって最善の選択となる」ための取り組みを3つの基本方針として掲げ、解像度を上げて実行してまいります。 ② 全社経営目標 中期方針2027における全社経営目標は、以下図の通りです。※1 当中期方針から、開示するROICを税引前から税引後に変更しています。 ROIC(税引後)=営業利益×(1-実効税率)/期首・期末平均投下資本(有形固定資産・ 使用権資産・のれん・無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務) なお、計算で用いる実効税率は、平均実際負担税率を用いております。※2 Greenhouse Gas 温室効果ガス※3 カーボンニュートラル※4 主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合※5 当社グループの排出物(廃棄物 + 有価物)が循環資源化された重量割合 ※6 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験を した国内外社員の累積数※7 村田製作所単体 ③ キャピタル・アロケーション方針 中期方針2027に基づき、事業拡大および企業価値最大化を目指したキャピタル・アロケーション方針を以下の通り定めています。 中長期的な稼ぐ力の強化に向けて、生産能力の増強やサプライチェーンの複線化への投資に加え、非連続な成長を実現するための戦略的な投資を積極的に実施します。株主還元においては、収益性の改善を通じてDOE(親会社所有者帰属持分配当率)の目標を引き上げることで安定した配当につなげ、事業環境に応じた追加的な株主還元を機動的に実行します。※ 2021年度末時点の手元余剰資金および当該期間中に経費処理したものなどが含まれる。 ④ 3つの「基本方針」 ・基本方針1「AIがドライブするエレクトロニクスにおける飛躍的な成長」 AI技術の発展に伴い、サイバー(仮想)空間とフィジカル(物理)空間が途切れなくつながる「デジタルツイン」の世界観が実現していくことで、当社グループの事業機会はより一層拡大すると想定しております。 「エッジデバイス」、「モビリティ」、「ITインフラ」を当社グループの基盤領域として捉え、コンデンサやインダクタ・EMIフィルタにおけるシェアNo.1の確立、機能デバイス、高周波・通信、エナジー・パワーにおける高い売上成長の実現を目指してまいります。 また、「環境」、「ウェルネス」、「3層目事業」を挑戦領域として捉え、事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに、2030年以降の超長期を見据えた技術の探索を進めてまいります。 ・基本方針2「持続可能な事業プロセスの追求」 当社グループでは、軽薄短小・高効率な製品の追求による電子機器の小型化への貢献、持続可能な事業プロセスを通じた環境負荷低減の取り組みに率先して取り組むことで、これまで事業成長を遂げてまいりました。今後は、「気候変動対策」と「資源循環」の2つを主要テーマとして掲げ、ステークホルダーとの共創を通じて取り組みを加速させてまいります。 また、ハザードリスクの脅威や地政学リスクの複雑化が見られる経営環境において、安定的な製品の供給を実現するために、グローバルでの拠点間ネットワークの強化や、適正な在庫政策、サプライチェーンの強靭化・複線化に向けた取り組みを一層強化してまいります。 ・基本方針3「経営資本の中核である人・組織力の強化」 当社グループでは、「組織・人的資本」がすべての経営資本をつなぐ中核であると考え、イノベーションにあふれる個と組織への変容を促進することによって、Vision2030の実現を目指しております。自律分散型の組織運営において、個と組織が取るべき行動を明らかにした「個と組織の好循環」モデルを新たに描き、「ダイナミックな適所適材」、「未来変革リーダーの育成」、「個と組織の好循環モデルの実現」を3つの重点テーマとして掲げ、取り組みを推進してまいります。 また、DXの推進によって、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、デマンドチェーンの可視化・効率化を通じた事業プロセスのハイサイクル化の実現を目指します。これにより、業務本来の目的やお客様に向き合う時間を増やし、CSとESの最大化につなげてまいります。 (3) 当社グループのマテリアリティ 当社グループでは、重要な環境・社会課題(マテリアリティ)を特定し、製品・サービス及び事業プロセスの両面から取り組みを推進しています。マテリアリティは三か年の中期方針策定にあわせて見直しを行っており、2024年度を最終年度とする中期方針2024の実績につきましては、当社ウェブサイト(https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/materiality/activities-2022)にて公表予定です。中期方針2027でも引き続き経営変革の一環として社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営を掲げ、マテリアリティを「エレクトロニクス社会の発展」「持続可能な地球環境の実現」「社会との共栄」に分け取り組みを推進してまいります。 <特定プロセス> STEP1:環境・社会課題抽出ESRS、SASB、SDGs、グローバルリスクから環境・社会課題を抽出しました。 STEP2:環境・社会へのインパクト / 自社財務への機会・リスクの特定・評価CSRD、ESRSが提唱する「ダブルマテリアリティ」の考え方に則り、外部ステークホルダーからの意見を踏まえて、当社グループのバリューチェーン全体での「環境・社会へのインパクト」と「自社財務への機会・リスク」を特定し、評価しました。 STEP3:マテリアリティの特定代表取締役社長を委員長とするCSR統括委員会で議論を重ね、マテリアリティを特定し、取締役会で決定しました。 「エレクトロニクス社会の発展」マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思いエッジデバイスによるデジタル革新の実現最先端技術による多様なニーズへの価値提供と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促し、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決に貢献できている状態当社グループは、軽薄短小・無線通信技術を追求した最先端部品や高シェア部品の安定供給を果たすことで、スマートフォンをはじめとするエッジデバイスの小型化・多機能化や通信の高速・大容量化、エレクトロニクスの人々の暮らしへの浸透に貢献してきました。デジタル社会の進展に伴い、エッジデバイスは人々の生活にますます欠かせない存在となり、グローバルでの人口増加に伴い裾野の広がりも期待されます。当社グループは、高効率・低消費電力・センシングソリューションなどの新たな価値創出の追求と、積み重ねてきた供給力によってエッジデバイスの普及を促すことで、エレクトロニクスの恩恵を受ける人を増やすとともに、デジタル革新による社会課題解決への貢献を目指します。 マテリアリティ2030年 目指す姿ムラタの思い次世代モビリティ社会の実現拡張していくモビリティ社会のニーズに応じた製品・サービスを提供することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立に貢献できている状態当社グループは、高信頼性、高性能な製品を生み出す技術力、あるいは同一品質の製品を大量生産できる供給力という強みを活かしながら、電気自動車の普及や自動車の安全性向上へと貢献してきました。脱炭素社会への移行や交通事故防止、都市・過疎地での交通問題の解消、移動手段・消費者ニーズの多様化など、当市場は今後さらに大きく変革することが予想されます。このような環境変化の中、“モビリティ”として市場を広く捉え、高機能・高信頼な製品の安定供給を通じたxEVのさらなる普及、自動運転技術とこれを支える都市インフラの進化に貢献することで、安全・安心で便利な社会の実現と、持続可能な地球環境の両立を目指します。持続可能なITインフラの実現高速・大容量・高効率を軸とした信頼性の高い製品を提供することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現に貢献できている状態当社グループは、集積化に寄与する小型部品や、エネルギー効率の改善に寄与する各種電源装置などの製品を提供することで、社会とともに発展してきたITインフラの構築に貢献してきました。クラウド化の進行やAIの登場にともなって、通信のトラフィック量やITインフラ側での演算量も飛躍的に増加しています。これに伴い、データセンターのエネルギー消費量の急増など新しい課題も浮上しています。当社グループは、高速・大容量、高効率を軸とした信頼性の高い製品を安定供給することで、エレクトロニクス社会の発展を支え続けるとともに、環境に配慮した持続可能なITインフラの実現を目指します。心身ともに健康で豊かな社会の実現ウェルネス市場における新たな価値を創出し、人々の身体的、精神的、そして社会的に健康で安心な生活に貢献できている状態当社グループは、最先端の技術や部品を創出するなどエレクトロニクスを通じてその時代に応じた社会課題解決に貢献してきました。健康志向が高まる今、身体的な健康だけでなく、精神的・社会的にバランスのとれた健康や生活者自身の幸せの追求など健康概念は変化しています。当社グループは、小型化・センシング・通信・流体制御技術といった要素技術や培ってきたエレクトロニクス領域の知見を製品・サービスに展開することで、医療の発展や病気の予防、さらに心の健康や人と人との良好な関係といった新しい豊かさを実現していくためのイノベーションを生み出し、すべての人が健康で豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指します。 「持続可能な地球環境の実現」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)脱炭素社会の実現2050年度目標GHG※1排出量(Scope1,2,3):カーボンニュートラル 2040年度目標GHG排出量(Scope1,2):カーボンニュートラル 2035年度目標再生可能エネルギー導入比率:100% 2030年度目標GHG排出量(Scope1,2):87.3万t-CO2e(2019年度比46%減)GHG排出量(Scope3):324.6万t-CO2(2019年度比27.5%減)再生可能エネルギー導入比率:75% GHG排出量(Scope1,2):97.6万t-CO2e(2019年度比39%減)GHG排出量(Scope3):データの精緻化再生可能エネルギー導入比率:55%循環型社会の実現2050年度目標持続可能な資源利用率※2:100%循環資源化率※3:100% 2030年度目標持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%持続可能な資源利用率:16%循環資源化率:41% 「社会との共栄」マテリアリティ長期目標中期目標(2025年度~2027年度)ダイバーシティと働きがいの実現2030年度目標従業員エンゲージメント肯定回答比率:76%以上グローバル経験者数※4:3,000人(6年累計)女性管理職比率※5:10%主観的健康観※6:80%労働災害千人率(休業4日以上):0.39未満従業員エンゲージメント肯定回答比率:71%以上グローバル経験者数:1,500人(3年累計)女性管理職比率:7%主観的健康観:79%労働災害千人率(休業4日以上):0.44未満人権の尊重2030年度目標特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%特定した顕著な人権リスクに対する防止・軽減、モニタリング、情報開示の実施率:100%社会・地域の発展2030年度目標地域における会社の印象度調査肯定回答率:75%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):34,000人 / 年地域における会社の印象度調査肯定回答率:70%以上STEAM教育プログラム体験者数(当社グループ所在地の小中学生中心):31,000人 / 年 ※1 GHG:Greenhouse gas。温室効果ガスの総称。※2 持続可能な資源利用率:主に枯渇リスクの高い24資源におけるリサイクル材使用の重量割合。※3 循環資源化率:当社グループの排出物(廃棄物+有価物)が循環資源化された重量割合。※4 2025年以降に、自国以外への異動や研修・リモートアサインメントでグローバルな経験をした国内外社員の累積数。※5 提出会社。※6 健康診断などの数値結果ではなく、自身の健康状態を主観的に評価する指標。評価対象を国内従業員とし、肯定回答率で把握。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績 ①経営成績の概要 当連結会計年度の世界の経済情勢は、中東情勢の緊迫化や米国の政策動向等、先行き不透明な状況が続くものの、緩やかな回復基調で推移しました。米国では、底堅い雇用・所得環境を背景とした個人消費に支えられ景気は堅調に推移しました。欧州では、ドイツを中心に製造業の低迷が続いているものの、インフレ率の低下や所得環境の改善による消費者マインドの回復もあり、底堅く推移しました。中国では、不動産市況の落ち込みの継続や輸出の弱さが景気の下押し要因となり、景気の回復は力強さを欠いていますが、景気刺激策や春節の影響もあり内需を中心に持ち直しの動きがみられました。 当社グループが属するエレクトロニクス市場の部品需要は、AIサーバー等のITインフラ投資の拡大を背景にコンピュータ向けで増加しました。 そのような中、当連結会計年度の売上収益は、表面波フィルタやコネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しました。一方で、コンデンサがコンピュータやモビリティ向けで、樹脂多層基板やインダクタがスマートフォン向けで増加しました。その結果、為替変動(前連結会計年度比7円95銭の円安)の影響はありましたが、前連結会計年度比6.3%増の1,743,352百万円となりました。 利益につきましては、製品価格の値下がりや固定費の増加といった減益要因はありましたが、操業度の回復やコストダウンなどの増益要因により、営業利益は前連結会計年度比29.8%増の279,702百万円、税引前当期利益は同27.2%増の304,404百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同29.3%増の233,818百万円となりました。 当連結会計年度のROIC(Return On Invested Capital)(税引前)は営業利益が大きく増加したことに加え、棚卸資産などの投下資本が減少したことにより、前連結会計年度比3.0ポイント増の13.0%となりました。 前連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)増 減金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)増減率(%)売上収益1,640,158100.01,743,352100.0103,1946.3営業利益215,44713.1279,70216.064,25529.8税引前当期利益239,40414.6304,40417.565,00027.2親会社の所有者に帰属する当期利益180,83811.0233,81813.452,98029.3ROIC(税引前) (%)10.0-13.0-3.0-対米ドル平均為替レート(円)144.62-152.57-7.95-(注)ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(有形固定資産・使用権資産・のれん・ 無形資産+棚卸資産+営業債権-営業債務)(参考)事業別セグメントROIC(税引前) コンポーネント 2024年3月期 19.0% 2025年3月期 21.2% デバイス・モジュール 2024年3月期 △ 1.5% 2025年3月期 1.2% 事業別セグメントについては、コンポーネントは売上収益が1,043,956百万円(前連結会計年度比10.8%増)で営業利益が275,150百万円(同17.5%増)、デバイス・モジュールは売上収益が697,176百万円(同0.3%増)で営業利益9,995百万円(前連結会計年度は営業損失12,999百万円)、その他は売上収益が67,274百万円(同0.3%減)で営業損失5,443百万円(前連結会計年度は営業損失5,735百万円)となりました。 ②製品又は事業別の売上収益概況当連結会計年度の製品又は事業別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔コンデンサ〕この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。当連結会計年度は、積層セラミックコンデンサがコンピュータやモビリティ向けで増加しました。その結果、コンデンサの売上収益は前連結会計年度に比べ10.4%増の831,845百万円となりました。 〔インダクタ・EMIフィルタ〕この区分には、インダクタ、EMI除去フィルタが含まれます。当連結会計年度は、インダクタがスマートフォン、コンピュータ、モビリティ向けで、EMI除去フィルタがモビリティ向けで増加しました。その結果、インダクタ・EMIフィルタの売上収益は前連結会計年度に比べ11.7%増の201,273百万円となりました。 〔高周波・通信〕この区分には、高周波モジュール、樹脂多層基板、コネクティビティモジュール、表面波フィルタなどが含まれます。当連結会計年度は、表面波フィルタやコネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しましたが、樹脂多層基板がスマートフォン向けで、高周波モジュールがPC向けで増加しました。その結果、高周波・通信の売上収益は前連結会計年度に比べ0.8%増の443,602百万円となりました。 〔エナジー・パワー〕この区分には、リチウムイオン二次電池、電源モジュールが含まれます。当連結会計年度は、電源モジュールが産業機器向けで減少しました。また、リチウムイオン二次電池がサーバー向けで増加しましたが、ゲーム機やパワーツール向けで減少しました。その結果、エナジー・パワーの売上収益は前連結会計年度に比べ5.3%減の155,741百万円となりました。 〔機能デバイス〕この区分には、センサ、タイミングデバイスなどが含まれます。当連結会計年度は、アクチュエータやセンサがコンピュータ向けで増加しました。その結果、機能デバイスの売上収益は前連結会計年度に比べ7.9%増の97,822百万円となりました。 ③用途別の売上収益概況当連結会計年度の用途別の売上収益を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔通信〕当連結会計年度は、スマートフォン向けで樹脂多層基板が増加しましたが、表面波フィルタやコネクティビティモジュールが減少しました。その結果、通信用途の売上収益は前連結会計年度に比べ0.3%減の674,188百万円となりました。 〔モビリティ〕当連結会計年度は、自動車向けで積層セラミックコンデンサ、EMI除去フィルタ、インダクタが増加しました。その結果、モビリティ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ4.7%増の453,081百万円となりました。 〔コンピュータ〕当連結会計年度は、サーバー向けで積層セラミックコンデンサやリチウムイオン二次電池が、PC向けで積層セラミックコンデンサや高周波モジュールが増加しました。その結果、コンピュータ用途の売上収益は前連結会計年度に比べ38.8%増の281,942百万円となりました。 〔家電〕当連結会計年度は、ゲーム機やパワーツール向けでリチウムイオン二次電池が減少しましたが、AV機器向けで積層セラミックコンデンサが増加しました。その結果、家電用途の売上収益は前連結会計年度に比べ1.3%増の150,392百万円となりました。 〔産業・その他〕当連結会計年度は、産業機器向けで電源モジュールが減少しましたが、代理店向けで積層セラミックコンデンサが増加しました。その結果、産業・その他用途の売上収益は前連結会計年度に比べ2.4%増の183,749百万円となりました。 ④生産、受注及び販売の実績イ)生産実績 当連結会計年度のセグメント別の生産実績は、下表のとおりであります。 生産実績(2024年4月1日~2025年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計 年度比(%) コンデンサ850,01948.922.2 インダクタ・EMIフィルタ207,49911.924.7 コンポーネント1,057,51860.822.7 高周波・通信434,31825.04.6 エナジー・パワー140,3418.16.4 機能デバイス93,3385.45.3 デバイス・モジュール667,99738.55.1 その他12,0160.7△0.0 計1,737,531100.015.1 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.セグメント間取引については、相殺消去しております。3.以下のセグメント別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。 ロ)受注実績 当連結会計年度のセグメント別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。 受注高(2024年4月1日~2025年3月31日)受注残高(2025年3月31日現在)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度末比(%) コンデンサ832,68448.49.7142,00749.40.6 インダクタ・EMIフィルタ203,04811.812.231,45710.96.0 コンポーネント1,035,73260.210.2173,46460.31.5 高周波・通信433,29525.22.243,69615.2△19.1 エナジー・パワー143,0108.3△4.049,18017.1△20.6 機能デバイス95,7635.610.215,9395.6△11.4 デバイス・モジュール672,06839.11.9108,81537.9△18.7 その他12,9000.717.95,2161.8△3.1 計1,720,700100.06.8287,495100.0△7.3 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.セグメント間取引については、相殺消去しております。 ハ)販売実績 当連結会計年度のセグメント別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2024年4月1日~2025年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) コンデンサ831,84547.710.4 インダクタ・EMIフィルタ201,27311.511.7 コンポーネント1,033,11859.210.6 高周波・通信443,60225.40.8 エナジー・パワー155,7418.9△5.3 機能デバイス97,8225.67.9 デバイス・モジュール697,16539.90.3 その他13,0690.917.2 計1,743,352100.06.3 (注)セグメント間取引については、相殺消去しております。 ニ)用途別販売実績 当連結会計年度の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2024年4月1日~2025年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) 通信674,18838.7△0.3 モビリティ453,08126.04.7 コンピュータ281,94216.238.8 家電150,3928.61.3 産業・その他183,74910.52.4 計1,743,352100.06.3 (注)当社推計値に基づいております。 ホ)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Hon Hai Technology Group166,54110.2162,3489.3 (2)財政状態 当連結会計年度末の資産合計は、その他の金融資産や繰延税金資産が増加しましたが、棚卸資産やその他の非流動資産の減少により、前連結会計年度末に比べ9,701百万円減少し、3,028,194百万円となりました。 負債合計は、主に社債及び借入金やその他の金融負債の減少により、前連結会計年度末に比べ34,067百万円減少し、448,219百万円となりました。 資本合計は、資本剰余金やその他の資本の構成要素は減少しましたが、利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ24,366百万円増加し、2,579,975百万円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント上昇の85.2%となりました。 (3)キャッシュ・フロー ①キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、451,905百万円のキャッシュ・イン(前年同期比37,732百万円の収入減少)となりました。 これは、主にキャッシュ・フローの源泉となる当期利益が232,973百万円、減価償却費及び償却費が173,335百万円となったことによるものです。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、208,070百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比6,499百万円の支出増加)となりました。 これは、主に生産能力増強や生産棟の建設を中心とした有形固定資産の取得による支出が182,936百万円となったことによるものです。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、242,733百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比77,412百万円の支出増加)となりました。 これは、主に配当金の支払額が101,581百万円、自己株式の取得による支出が80,006百万円、社債の償還による支出が50,000百万円となったことによるものです。 ②資本の財源及び資金の流動性イ)財務戦略と経営資源の配分に関する考え方 当社グループは、健全な財務体質と高い資本効率を両立することを目指し、市場環境・競争環境に応じた最適な経営資源配分を行ってまいります。 財務体質については、事業環境の変化に機敏に対応し、持続的な利益成長を達成するとともに、厳しい環境下においても経営の安定を維持し、金融市場の市況悪化等のリスクへ備えるため自己資本の充実に努めております。また、信用格付は「AA+(信用力は極めて高く、優れた要素がある)」(格付投資情報センターによる)を取得し、資金調達が必要な場合に円滑かつ低コストの調達を可能としております。 経営資源の配分につきましては、「中期方針2027」に記載のキャピタル・アロケーション方針に基づき、資本効率と成長性を重視した投資と株主還元を行ってまいります。 資本効率については、継続的な資本効率の改善を目的として2027年度のROIC(税引後)12%以上を目標値として設定しております。また、資本コストを投資の意思決定と事業評価に反映しており、安定的にROICが資本コストを上回る構造を維持しております。なお、当連結会計年度末における当社グループの資本コスト(WACC)は7.4%(当社推計値)となっております。 株主還元については、長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、2027年度を目標にDOE(親会社所有者帰属持分配当率)5%に引き上げることを実現することといたします。また、自己株式の取得につきましても株主還元の手段として、資本効率の改善等を目的として適宜実施することといたします。 ロ)資金調達と手許流動性 当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、事業の成長に向けた投資や運転資金のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部から調達することとしており、銀行からの借入及び国内普通社債発行による資金調達を適宜実施しております。健全な財務体質を維持し、また主要な取引先金融機関と良好な関係を構築しており、今後の事業資金の調達に関して問題はないと認識しております。 完全子会社の資金需要に対しては、原則として銀行など外部からの資金調達を行わず、当社及び関係会社からのグループファイナンスにより対応しており、資金調達の一元化と資金効率の向上を図っております。 また、当社グループは、事業活動による資金需要への機動的な対応と金融市場の市況悪化等のリスクを最小限に抑えるため、月平均売上収益2.5か月~3.5か月を必要な資金流動性の水準としております。事業の状況によりこの水準を一時的に超過する場合もありますが、キャピタル・アロケーション方針に基づく資源配分へ資金の充当を進めることにより適正化を図ってまいります。当連結会計年度末における現金及び現金同等物、短期投資、有価証券の流動性資金の残高は666,522百万円となり月平均売上収益4.6か月となっております。事業投資の原資として手許資金を保有しているため、投機目的の運用は行わず、信用リスクが小さいと考えられる銀行への預金など、安全性の高い金融商品に分散して資金を保有しております。なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は2,437百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は625,148百万円となっております。 (4)重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。当連結会計年度において、当社グループにおいて重要性があると認識している会計方針及び見積りは、連結財務諸表注記の「3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であるという考えのもと、当連結会計年度に当社グループの価値創造プロセスを、新たにサステナビリティの視点を織り込んだシナリオへと進化させました。当社グループが大切な価値観として掲げる「CSとES(Customer Satisfaction(お客様満足)とEmployee Satisfaction(従業員満足))」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 当連結会計年度に当社グループは、新たな長期構想として「Vision2030」、次連結会計年度を初年度とした3か年の取り組み計画である「中期方針2024」を策定いたしました。Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」である続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、4つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「4つの事業機会」 成長戦略② 4つの経営変革・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーのみなさまに信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。当社グループのマテリアリティへの取り組みの詳細につきましては後掲「当社グループのマテリアリティ」をご参照ください。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人一人が日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織を新設し、実行組織とともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2024中期構想2021の振り返り2018年に3か年の取り組み方針として「中期構想2021」(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。中期構想2021では、会社の規模拡大にあわせて強い経営基盤に造り直し、広がる事業機会を捉えながらお客様に満足していただける価値を提供すること、また従業員一人ひとりが活躍し、やりがいを感じながら成長ができる状態を目指して、健全に成長を続けていくための3つの全社課題を設定し、取り組みを進めてまいりました。 「経営目標の達成状況」 目標2020年3月期2021年3月期2022年3月期目標比売上高(百万円)2,000,0001,534,0451,630,1931,812,521△187,479営業利益率(%)17%以上16.519.223.46.4ROIC※(税引前)(%)20%以上16.118.522.62.6※ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(固定資産+棚卸資産+売上債権-仕入債務) 自動車の電装化の進展や5Gの普及に伴い、継続的に部品需要は拡大しています。一方で売上高は、リチウムイオン二次電池やコネクティビティモジュールにおいて事業ポートフォリオ見直しを進めた影響などにより、目標を下回る結果となりました。営業利益率は、各製品の利益率改善や製品構成の良化、旺盛な需要を背景とした生産高の増加による操業度益に加えて円安の影響もあり目標を大幅に上回りました。ROIC(税引前)につきましても、建物や生産能力増強のための設備投資により投下資本が増加しましたが、営業利益が増加したことにより目標達成となりました。 「全社課題の進捗状況」 中期方針2024の基本方針と中期経営課題 長期構想として打ち出したVision2030に向かっていくための第1フェーズとして「中期方針2024」を位置づけています。中期方針2024では、すでに顕在化している課題を解決していくとともに、長期視点で環境変化を捉え、バックキャストをして今から必要な備えを着実に進めていくために、「経営変革の推進」、「ポートフォリオ経営の実践(高度化)」、「筋肉質な経営基盤の形成」、「2030年への備え」の4つを3か年で着実に成果につなげていくべき経営課題として掲げています。 キャピタル・アロケーション中期方針2024では、キャピタル・アロケーションを明確化し、新たに「戦略投資枠」を設定しています。2030年に向かって広がっていく事業機会を掴み、持続的な成長につなげていくための種まきを3か年で実行し、リスクと機会に備える体制を構築してまいります。・主力事業であるコンポーネント、デバイス/モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指してまいります。・長期視点での環境投資や技術獲得、リスク対策、ITインフラ強化などを戦略投資と位置付け、積極的な推進を図ってまいります。・強固な財務基盤を維持しながら、余剰資金は自己株式の取得も含む株主還元を拡大することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。 (3) 全社経営指標(4) 当社グループのマテリアリティ 当社グループは、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定め、「事業を通じた社会課題解決への貢献」と「企業活動全体での社会課題への取り組み」に分け取り組みを進めております。「事業を通じた社会課題解決への貢献」・4つの事業機会(通信、モビリティ、環境、ウェルネス)における社会課題解決の方向性をマテリアリティとして設定しております。・ムラタだからこそ実現できるイノベーションを創出し、事業を通じた社会課題解決への貢献を目指します。 各事業機会における社会価値向上の考え方は次の通りです。なお、具体的な取り組みについては引き続き検討を進めてまいります。■通信・あらゆるものが「通信」でつながる世界において欠くことのできない企業として、顧客ニーズを捉えた技術革新で電子部品を進化させ、イノベーションを創出していく。・アプリケーションの多様化が進み、ネットワークのあり方が変化していくなかで、データを活用したソリューションやサービスの提供を通して生活環境における課題の解決を図り、都市のスマート化加速に貢献していく。■モビリティ・Global No.1部品メーカーを標榜するムラタとして、電装化や電動化が進む自動車のさらなる進化に貢献していく。・通信領域の知見を生かし、顧客やパートナー企業とともにソフトやソリューション提供も含めた新たな価値創出を図り、働き方の変化に対応していくことや深刻化する環境問題の解決につなげていくためのモビリティ社会の実現に貢献していく。 ■環境・電子部品において、カーボンフットプリント対応や資源循環への対応を積極的に進め、バリューチェーン上の協働パートナーとともにサステナブルな社会を実現する。・各種モニタリングを実現する通信部品や機能部品を提供することを通して、また、安心・安全・高効率・長寿命を競争優位とした電池・電源事業を通じて、脱炭素社会の実現を加速していく。・水素社会に向けた技術検討、循環型経済や水・農業の高度化を実現するためのエレクトロニクスの可能性を探求する。 ■ウェルネス・小型、高品質な電子部品の提供を通じて安心・安全を提供し、医療、ヘルスケア領域のデジタル化加速に貢献していく。・ムラタの技術やアイデアを組み合わせ、健康寿命の延伸や、不安を取り除いた活力のある暮らしを実現していくためソリューションを提供していく。・小型化、高機能化、高品質を実現する技術で、医療、ヘルスケアの安全性、効率性、利便性を追求したイノベーションを創出していく。 「企業活動全体での社会課題への取り組み」・E(環境)S(社会)G(ガバナンス)領域に対して9つのマテリアリティを設定しております。・地球環境、地域社会への負荷の最小化を通じた社会価値の向上を目指します。具体的には以下の中長期目標を設定し、取り組みを進めております。なお、2021年度を最終年度とする中期構想2021の実績につきましては、当社ウェブサイト(https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/way_of_thinking/activities)にて公表しております。 重点領域重点課題長期目標中期目標(2022年度~2024年度)環境気候変動対策の強化2050年度目標:再生可能エネルギー導入比率:100%温室効果ガス排出量(Scope1+2):2019年度比20%減再生可能エネルギー導入比率:25%2030年度目標:温室効果ガス排出量(Scope1+2):2019年度比46%減温室効果ガス排出量(Scope3):2019年度比27.5%減再生可能エネルギー導入比率:50%持続可能な資源利用2050年度目標:持続可能な資源※1利用率:100%循環資源化率※2:100%持続可能な資源利用率:1% ※3循環資源化率:5% ※32030年度目標:持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%公害防止と化学物質管理2030年度目標:重大な環境インシデント件数:0件VOC排出量:2021年度比30%減重大な環境インシデント件数:0件VOC排出量:2021年度排出量以下洗浄用途化学品への特定VOC含有を廃止していること。 重点領域重点課題長期目標中期目標(2022年度~2024年度)社会安全・安心な職場と健康経営2030年度目標:死亡重大災害がなく、従業員が怪我をせず、事故もなく、いきいきと働けている職場にすること。死亡重大災害:0件労働災害千人率:1.0未満発火事故件数:0件主観的健康観:80%(内、非常に健康と回答20%)死亡重大災害:0件労働災害千人率:1.35未満発火事故件数:2019-2021年度平均比30%減主観的健康観:80%(内、非常に健康と回答14%)人権と多様性の尊重2030年度目標:海外間接部門従業員※4の他拠点での勤務経験比率:10%女性管理職比率:10%(本社)海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率:7%人権マネジメントシステムに沿ったPDCAサイクルを各事業所で展開していること。地域社会との共生2030年度目標:地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、地域課題の解決につながる貢献活動を推進すること。地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、地域課題の解決につながる貢献活動を推進すること。ガバナンス公正な商取引2030年度目標:<独占禁止法>法令・社内規定・手続きをグローバルで浸透・徹底していること。<贈収賄>すべての関係会社において、各国法令に対応した贈収賄マネジメントシステムを確立し、贈収賄・汚職の発生件数ゼロを維持していること。<独占禁止法>法令・社内規定・手続きをグローバルで浸透・徹底していること。<贈収賄>腐敗度指数の高い地域において贈収賄マネジメントシステムが機能し、本社への報告体制を構築していること。事業継続の取り組み(BCM)2030年度目標:災害が発生した際に、非被災拠点が迅速に連携して、当社グループ全体としての事業継続を図れるような全社的なBCM※5を構築していること。各事業所・工場が定期的に訓練等を通じてBCPの有効性の検証・改善を行うなど、自律的なBCM活動を実践していること。甚大な被害が想定される南海トラフ地震に対する対策を実施していること。国内事業所・工場において必要項目を充足したBCPを整備していること。海外事業所・工場において、当地で想定される災害に対応したBCPを策定すること。情報セキュリティ2030年度目標:重大な影響が生じ得ると判断される事案数:0件従業員教育実施率※6:100%重大な影響が生じ得ると判断される事案数:0件従業員教育実施率:100%※1:持続可能な資源:リサイクルスキームを構築するなどにより、将来にわたって持続的に利用できる「枯渇リスクの低い資源」※2:循環資源化率:当社のoutput(排出物)が循環資源としてリサイクルに回されている割合※3:2024年度の目標値は現状からの改善幅を示しています※4:日本から海外への出向者を除いた、海外ローカルスタッフ対象※5:BCP策定や維持・更新、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、取り組みを浸透させるための教育・訓練の実施、点検、継続的な改善などを行う平常時からのマネジメント活動のこと。※6:実施率=実施拠点数/全拠点数 ◆ご参考 当社グループの気候変動の取り組み状況当社グループは気候変動の課題に向き合う企業のひとつとして、世界の気候変動対策に向けて果たすべき重要な役割があると考えております。気候変動は、コストの増加や事業の中断といったリスクをもたらす一方、社会に新たなニーズを生み、当社グループとして新たな価値を創出する機会でもあると認識しています。そのため、次の10年は、「文化の発展に貢献する」という当社グループの使命を果たしながら、革新的な技術やソリューションを生み出し、新しい領域に事業を拡大する機会であると捉えております。 以下内容において、気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨するフレームワークを活用し、気候変動がもたらすリスクと機会及びそれぞれに対する取り組みについて説明します。 <ガバナンス> 当社グループは気候変動対策において、ガバナンス体制を強化しており、取締役会は気候変動を含むすべてのリスクと機会について説明責任を負っております。また代表取締役社長と取締役常務執行役員は、それぞれCSR統括委員会と気候変動対策委員会の委員長を務めており、気候変動対策を監督する責任を負っております。当社グループでは気候変動対策委員会を中心に議論を進め、RE100やSBT等のイニシアティブへの対応やカーボンプライシング制度導入の意思決定を行っております。今後も中長期的な視点で企業価値を高めていくために、ガバナンス体制を強化してまいります。 取り組み・取締役を委員長とした気候変動対策委員会による気候変動関連の目標設定及び進捗管理・主要イニシアティブ(SBT/RE100等)への対応策の決定・脱炭素促進に向けた投資判断・制度導入の決定進展・各分野での有識者を構成員としたイニシアティブ推進部会、再エネ推進部会、省エネ 部会の設立による気候変動対策の推進・投資を伴う省エネ活動を促進するカーボンプライシング制度及びサステナビリティ 投資促進制度の導入 <戦略> 気候変動は当社グループにとって極めて重要な課題であり、気候変動がもたらすリスクと機会は、中長期的に事業の持続的な発展に大きな影響を与えることが予想されます。このような潜在的な影響を予想し、また各イニシアティブでの推奨事項も当社グループに取り入れることで、適切な戦略立案を行っております。 取り組み・「事業を通じた社会課題解決への貢献」と「企業活動全体での社会課題への取り組み」に環境(気候変動)分野を設定・シナリオ分析によるリスクと機会の把握・SBT 1.5℃目標達成に向けた中長期の目標設定※Scope1,2:1.5℃水準、Scope3:Well-Below2.0℃水準進展・SBT認定の取得による脱炭素に向けた中長期目標の設定・TCFD提言に沿った、リスクや機会の特定及びシナリオ分析の実施・開示・RE100達成に向けた再エネ導入の実施・CDP 気候変動調査2021で初のAリスト企業に選出 <リスク管理> CSR統括委員会が、社会、環境、経済の様々なマテリアリティ(重点課題)を、構造化されたプロセスで定期的に評価しております。最新のマテリアリティ評価では、気候変動による影響は重大なリスクとして認識しており、それに対しての監督や取組みを経営の重要課題として取締役会で承認しております。戦略面においては、気候変動対策委員会が変化する気候関連リスクを継続的に注視し、当社グループの気候変動に関する課題を設定し、その対応状況を管理しております。2021年度には、将来の気候変動がもたらす潜在的なリスクと機会、及び事業戦略のレジリエンスを評価するために、シナリオ分析の活用をはじめました。 オペレーション面においては、事業所でISO14001認証を取得し、環境リスクを評価しながら継続的な改善を推進しております。気候変動に起因するリスクは、CSR統括委員会のもと全社的なリスク管理の項目に組込まれています。また、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)などの業界団体や、RE100などのグローバルアライアンスに加盟し、気候変動に関連する新たなリスクや機会を含む最新動向の把握に努めます。 取り組み・CSR統括委員会が、社会、環境、経済の様々なマテリアリティ(重点課題)を、構造化されたプロセスで定期的に評価している。進展・シナリオ分析を活用し、将来の気候変動がもたらす潜在的なリスクと機会、及び事業戦略のレジリエンスを評価。・オペレーション面においては、事業所でISO14001認証を取得し、環境リスクを評価しながら継続的な改善を推進。・事業継続計画(BCP)において、台風や大雨などの異常気象による事業への影響の 最小化を検討。 <指標と目標> 当社グループは気温上昇を1.5℃に抑える世界的な取り組みに貢献するため、SBT認証取得やRE100への加盟を進めてきました。当社グループの事業規模は拡大する見込みですが、CO2排出削減や再エネ導入比率向上を目指し、バリューチェーン全体での脱炭素化を加速させてまいります。 目標<2050年目標>・事業活動での使用電力の再生可能エネルギー使用比率を100%にする。<2030年目標>・Scope1,2を46%削減する。(2019年度比)・Scope3を27.5%削減する。(2019年度比)・事業活動での使用電力の再生可能エネルギー使用比率を50%にする。<2024年目標>・Scope1,2を20%削減する。(2019年度比)・事業活動での使用電力の再生可能エネルギー使用比率を25%にする。※Scope1:自社の工場から直接排出されるCO2排出量Scope2:自社が購入した熱・電力の使用に伴うCO2排出量Scope3:企業活動のサプライチェーンのCO2排出量考え方・省エネ/再エネ/再エネ証書を自社の脱炭素を進める3本柱とし、CO2排出量の削減を行ってまいります。またサプライチェーン全体を通じたCO2排出量の削減も進めるべく、取引先とも今まで以上に連携に努め、対策を講じられるよう検討しております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、「独自の製品を供給して文化の発展に貢献する」ことを中核とした社是にもとづく経営を実践しております。また、エレクトロニクス産業のイノベーションを先導していく存在でありたいという思いを込めたスローガン「Innovator in Electronics」を全従業員で共有しています。 今後も真のInnovator in Electronicsとして主体的に価値創造をしていくためには、価値提供の軸を「お客様に対するイノベーション」だけでなく、「社会課題に対するイノベーション」へとその範囲を広げていくことが重要であるという考えのもと、当連結会計年度に当社グループの価値創造プロセスを、新たにサステナビリティの視点を織り込んだシナリオへと進化させました。当社グループが大切な価値観として掲げる「CSとES(Customer Satisfaction(お客様満足)とEmployee Satisfaction(従業員満足))」を原動力に、「先を読む力」、「ニーズをカタチにする力」、「価値を届ける力」という3つのコア・コンピタンスを相互に結びつけて総合力を発揮し、社会価値と経済価値の好循環を生み出すことにより、豊かな社会の実現に貢献していくことをありたい姿として掲げています。 なお、この実現のためには、多様な人材が組織を超えて連携し合い、イノベーションを創出していくことに加え、ステークホルダーとの共創を積極的に進めていくことがこれまで以上に大切であると考えています。今後さらにステークホルダーの皆様との関係を強固なものにし、社会課題の解決に向けて取り組み、持続可能社会の実現に貢献してまいります。 「当社グループの価値創造プロセス」 (2) 中長期的な会社の経営戦略 Ⅰ Vision2030(長期構想) 当連結会計年度に当社グループは、新たな長期構想として「Vision2030」、次連結会計年度を初年度とした3か年の取り組み計画である「中期方針2024」を策定いたしました。Vision2030では「ムラタのイノベーションで社会価値と経済価値の好循環を生み出し、豊かな社会の実現に貢献していく」ことをありたい姿として掲げています。さらに、「基盤事業の深化とビジネスモデルの進化」及び「4つの経営変革の実行」を成長戦略として位置づけています。これらをビジョンとして示すことで2030年までの取り組みに一貫性を持たせ、ありたい姿を実現していくことによりお客様や社会にとって当社グループが「最善の選択」である続けることが、「Global No.1部品メーカー」としてめざす姿でもあります。 「Vision2030ありたい姿」 成長戦略① 基盤事業の深化とビジネスモデルの進化 大きな変化を迎えているエレクトロニクス市場において、当社グループが今後もイノベーターとして価値を生み出していくためには、技術や社会変化の潮流を大局的に捉えた経営が求められます。長期視点で将来を見据えて多様なイノベーションを生み出すために、当社グループでは3層構造のポートフォリオを用いた経営を行い、4つの事業領域を重要な事業機会として位置づけ価値を創出してまいります。 「3層ポートフォリオ」 「4つの事業機会」 成長戦略② 4つの経営変革・経営変革1「社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営」 当社グループは、社会に対して提供する価値(社会価値)を向上させ、経済価値との好循環を生み出していくことで、ステークホルダーのみなさまに信頼され、選ばれ続ける存在であることを目指しています。これを実現するために、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定めています。当社グループのマテリアリティへの取り組みの詳細につきましては後掲「当社グループのマテリアリティ」をご参照ください。 ・経営変革2「自律分散型の組織運営の実践」 会社の規模や事業範囲が拡大する中でも、社是が定められた当時と変わらずに社員一人一人が日々の仕事において社是を実践し、価値を提供し、成長を続けるために、より自律分散型の組織運営へと変革してまいります。 ・経営変革3「仮説思考にもとづく変化対応型経営」 激化する環境変化の中でも、受け身でなく、将来起こり得ることについて仮説を立てて備え、柔軟に軌道修正を行うことができる変化対応型の事業経営を実践していきます。各機能、各組織が将来の変化に対する情報収集、議論、アクション、モニタリングを継続的に実行することで、変化対応力を強化してまいります。 ・経営変革4「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」 当社グループではデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ムラタ内外の人・組織(業務)を、デジタルで縦横無尽につなぎ、プロセスを短く、早く、かつ見える化を進めることで、飛躍的に顧客価値と競争力の向上をドライブし続けるもの」と定義しています。全社DXの戦略推進組織を新設し、実行組織とともに強化領域と基盤領域のあるべき姿の実現に向け、全体的なデジタル推進を加速してまいります。 Ⅱ 中期方針2024中期構想2021の振り返り2018年に3か年の取り組み方針として「中期構想2021」(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。中期構想2021では、会社の規模拡大にあわせて強い経営基盤に造り直し、広がる事業機会を捉えながらお客様に満足していただける価値を提供すること、また従業員一人ひとりが活躍し、やりがいを感じながら成長ができる状態を目指して、健全に成長を続けていくための3つの全社課題を設定し、取り組みを進めてまいりました。 「経営目標の達成状況」 目標2020年3月期2021年3月期2022年3月期目標比売上高(百万円)2,000,0001,534,0451,630,1931,812,521△187,479営業利益率(%)17%以上16.519.223.46.4ROIC※(税引前)(%)20%以上16.118.522.62.6※ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(固定資産+棚卸資産+売上債権-仕入債務) 自動車の電装化の進展や5Gの普及に伴い、継続的に部品需要は拡大しています。一方で売上高は、リチウムイオン二次電池やコネクティビティモジュールにおいて事業ポートフォリオ見直しを進めた影響などにより、目標を下回る結果となりました。営業利益率は、各製品の利益率改善や製品構成の良化、旺盛な需要を背景とした生産高の増加による操業度益に加えて円安の影響もあり目標を大幅に上回りました。ROIC(税引前)につきましても、建物や生産能力増強のための設備投資により投下資本が増加しましたが、営業利益が増加したことにより目標達成となりました。 「全社課題の進捗状況」 中期方針2024の基本方針と中期経営課題 長期構想として打ち出したVision2030に向かっていくための第1フェーズとして「中期方針2024」を位置づけています。中期方針2024では、すでに顕在化している課題を解決していくとともに、長期視点で環境変化を捉え、バックキャストをして今から必要な備えを着実に進めていくために、「経営変革の推進」、「ポートフォリオ経営の実践(高度化)」、「筋肉質な経営基盤の形成」、「2030年への備え」の4つを3か年で着実に成果につなげていくべき経営課題として掲げています。 キャピタル・アロケーション中期方針2024では、キャピタル・アロケーションを明確化し、新たに「戦略投資枠」を設定しています。2030年に向かって広がっていく事業機会を掴み、持続的な成長につなげていくための種まきを3か年で実行し、リスクと機会に備える体制を構築してまいります。・主力事業であるコンポーネント、デバイス/モジュールへ投資を継続し、着実なキャッシュ創出を目指してまいります。・長期視点での環境投資や技術獲得、リスク対策、ITインフラ強化などを戦略投資と位置付け、積極的な推進を図ってまいります。・強固な財務基盤を維持しながら、余剰資金は自己株式の取得も含む株主還元を拡大することでステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。 (3) 全社経営指標(4) 当社グループのマテリアリティ 当社グループは、社会課題を起点とした重点課題(マテリアリティ)を定め、「事業を通じた社会課題解決への貢献」と「企業活動全体での社会課題への取り組み」に分け取り組みを進めております。「事業を通じた社会課題解決への貢献」・4つの事業機会(通信、モビリティ、環境、ウェルネス)における社会課題解決の方向性をマテリアリティとして設定しております。・ムラタだからこそ実現できるイノベーションを創出し、事業を通じた社会課題解決への貢献を目指します。 各事業機会における社会価値向上の考え方は次の通りです。なお、具体的な取り組みについては引き続き検討を進めてまいります。■通信・あらゆるものが「通信」でつながる世界において欠くことのできない企業として、顧客ニーズを捉えた技術革新で電子部品を進化させ、イノベーションを創出していく。・アプリケーションの多様化が進み、ネットワークのあり方が変化していくなかで、データを活用したソリューションやサービスの提供を通して生活環境における課題の解決を図り、都市のスマート化加速に貢献していく。■モビリティ・Global No.1部品メーカーを標榜するムラタとして、電装化や電動化が進む自動車のさらなる進化に貢献していく。・通信領域の知見を生かし、顧客やパートナー企業とともにソフトやソリューション提供も含めた新たな価値創出を図り、働き方の変化に対応していくことや深刻化する環境問題の解決につなげていくためのモビリティ社会の実現に貢献していく。 ■環境・電子部品において、カーボンフットプリント対応や資源循環への対応を積極的に進め、バリューチェーン上の協働パートナーとともにサステナブルな社会を実現する。・各種モニタリングを実現する通信部品や機能部品を提供することを通して、また、安心・安全・高効率・長寿命を競争優位とした電池・電源事業を通じて、脱炭素社会の実現を加速していく。・水素社会に向けた技術検討、循環型経済や水・農業の高度化を実現するためのエレクトロニクスの可能性を探求する。 ■ウェルネス・小型、高品質な電子部品の提供を通じて安心・安全を提供し、医療、ヘルスケア領域のデジタル化加速に貢献していく。・ムラタの技術やアイデアを組み合わせ、健康寿命の延伸や、不安を取り除いた活力のある暮らしを実現していくためソリューションを提供していく。・小型化、高機能化、高品質を実現する技術で、医療、ヘルスケアの安全性、効率性、利便性を追求したイノベーションを創出していく。 「企業活動全体での社会課題への取り組み」・E(環境)S(社会)G(ガバナンス)領域に対して9つのマテリアリティを設定しております。・地球環境、地域社会への負荷の最小化を通じた社会価値の向上を目指します。具体的には以下の中長期目標を設定し、取り組みを進めております。なお、2021年度を最終年度とする中期構想2021の実績につきましては、当社ウェブサイト(https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/way_of_thinking/activities)にて公表しております。 重点領域重点課題長期目標中期目標(2022年度~2024年度)環境気候変動対策の強化2050年度目標:再生可能エネルギー導入比率:100%温室効果ガス排出量(Scope1+2):2019年度比20%減再生可能エネルギー導入比率:25%2030年度目標:温室効果ガス排出量(Scope1+2):2019年度比46%減温室効果ガス排出量(Scope3):2019年度比27.5%減再生可能エネルギー導入比率:50%持続可能な資源利用2050年度目標:持続可能な資源※1利用率:100%循環資源化率※2:100%持続可能な資源利用率:1% ※3循環資源化率:5% ※32030年度目標:持続可能な資源利用率:25%循環資源化率:50%公害防止と化学物質管理2030年度目標:重大な環境インシデント件数:0件VOC排出量:2021年度比30%減重大な環境インシデント件数:0件VOC排出量:2021年度排出量以下洗浄用途化学品への特定VOC含有を廃止していること。 重点領域重点課題長期目標中期目標(2022年度~2024年度)社会安全・安心な職場と健康経営2030年度目標:死亡重大災害がなく、従業員が怪我をせず、事故もなく、いきいきと働けている職場にすること。死亡重大災害:0件労働災害千人率:1.0未満発火事故件数:0件主観的健康観:80%(内、非常に健康と回答20%)死亡重大災害:0件労働災害千人率:1.35未満発火事故件数:2019-2021年度平均比30%減主観的健康観:80%(内、非常に健康と回答14%)人権と多様性の尊重2030年度目標:海外間接部門従業員※4の他拠点での勤務経験比率:10%女性管理職比率:10%(本社)海外間接部門従業員の他拠点での勤務経験比率:7%人権マネジメントシステムに沿ったPDCAサイクルを各事業所で展開していること。地域社会との共生2030年度目標:地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、地域課題の解決につながる貢献活動を推進すること。地域の皆様とのコミュニケーションを大切にし、地域課題の解決につながる貢献活動を推進すること。ガバナンス公正な商取引2030年度目標:<独占禁止法>法令・社内規定・手続きをグローバルで浸透・徹底していること。<贈収賄>すべての関係会社において、各国法令に対応した贈収賄マネジメントシステムを確立し、贈収賄・汚職の発生件数ゼロを維持していること。<独占禁止法>法令・社内規定・手続きをグローバルで浸透・徹底していること。<贈収賄>腐敗度指数の高い地域において贈収賄マネジメントシステムが機能し、本社への報告体制を構築していること。事業継続の取り組み(BCM)2030年度目標:災害が発生した際に、非被災拠点が迅速に連携して、当社グループ全体としての事業継続を図れるような全社的なBCM※5を構築していること。各事業所・工場が定期的に訓練等を通じてBCPの有効性の検証・改善を行うなど、自律的なBCM活動を実践していること。甚大な被害が想定される南海トラフ地震に対する対策を実施していること。国内事業所・工場において必要項目を充足したBCPを整備していること。海外事業所・工場において、当地で想定される災害に対応したBCPを策定すること。情報セキュリティ2030年度目標:重大な影響が生じ得ると判断される事案数:0件従業員教育実施率※6:100%重大な影響が生じ得ると判断される事案数:0件従業員教育実施率:100%※1:持続可能な資源:リサイクルスキームを構築するなどにより、将来にわたって持続的に利用できる「枯渇リスクの低い資源」※2:循環資源化率:当社のoutput(排出物)が循環資源としてリサイクルに回されている割合※3:2024年度の目標値は現状からの改善幅を示しています※4:日本から海外への出向者を除いた、海外ローカルスタッフ対象※5:BCP策定や維持・更新、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、取り組みを浸透させるための教育・訓練の実施、点検、継続的な改善などを行う平常時からのマネジメント活動のこと。※6:実施率=実施拠点数/全拠点数 ◆ご参考 当社グループの気候変動の取り組み状況当社グループは気候変動の課題に向き合う企業のひとつとして、世界の気候変動対策に向けて果たすべき重要な役割があると考えております。気候変動は、コストの増加や事業の中断といったリスクをもたらす一方、社会に新たなニーズを生み、当社グループとして新たな価値を創出する機会でもあると認識しています。そのため、次の10年は、「文化の発展に貢献する」という当社グループの使命を果たしながら、革新的な技術やソリューションを生み出し、新しい領域に事業を拡大する機会であると捉えております。 以下内容において、気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨するフレームワークを活用し、気候変動がもたらすリスクと機会及びそれぞれに対する取り組みについて説明します。 <ガバナンス> 当社グループは気候変動対策において、ガバナンス体制を強化しており、取締役会は気候変動を含むすべてのリスクと機会について説明責任を負っております。また代表取締役社長と取締役常務執行役員は、それぞれCSR統括委員会と気候変動対策委員会の委員長を務めており、気候変動対策を監督する責任を負っております。当社グループでは気候変動対策委員会を中心に議論を進め、RE100やSBT等のイニシアティブへの対応やカーボンプライシング制度導入の意思決定を行っております。今後も中長期的な視点で企業価値を高めていくために、ガバナンス体制を強化してまいります。 取り組み・取締役を委員長とした気候変動対策委員会による気候変動関連の目標設定及び進捗管理・主要イニシアティブ(SBT/RE100等)への対応策の決定・脱炭素促進に向けた投資判断・制度導入の決定進展・各分野での有識者を構成員としたイニシアティブ推進部会、再エネ推進部会、省エネ 部会の設立による気候変動対策の推進・投資を伴う省エネ活動を促進するカーボンプライシング制度及びサステナビリティ 投資促進制度の導入 <戦略> 気候変動は当社グループにとって極めて重要な課題であり、気候変動がもたらすリスクと機会は、中長期的に事業の持続的な発展に大きな影響を与えることが予想されます。このような潜在的な影響を予想し、また各イニシアティブでの推奨事項も当社グループに取り入れることで、適切な戦略立案を行っております。 取り組み・「事業を通じた社会課題解決への貢献」と「企業活動全体での社会課題への取り組み」に環境(気候変動)分野を設定・シナリオ分析によるリスクと機会の把握・SBT 1.5℃目標達成に向けた中長期の目標設定※Scope1,2:1.5℃水準、Scope3:Well-Below2.0℃水準進展・SBT認定の取得による脱炭素に向けた中長期目標の設定・TCFD提言に沿った、リスクや機会の特定及びシナリオ分析の実施・開示・RE100達成に向けた再エネ導入の実施・CDP 気候変動調査2021で初のAリスト企業に選出 <リスク管理> CSR統括委員会が、社会、環境、経済の様々なマテリアリティ(重点課題)を、構造化されたプロセスで定期的に評価しております。最新のマテリアリティ評価では、気候変動による影響は重大なリスクとして認識しており、それに対しての監督や取組みを経営の重要課題として取締役会で承認しております。戦略面においては、気候変動対策委員会が変化する気候関連リスクを継続的に注視し、当社グループの気候変動に関する課題を設定し、その対応状況を管理しております。2021年度には、将来の気候変動がもたらす潜在的なリスクと機会、及び事業戦略のレジリエンスを評価するために、シナリオ分析の活用をはじめました。 オペレーション面においては、事業所でISO14001認証を取得し、環境リスクを評価しながら継続的な改善を推進しております。気候変動に起因するリスクは、CSR統括委員会のもと全社的なリスク管理の項目に組込まれています。また、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)などの業界団体や、RE100などのグローバルアライアンスに加盟し、気候変動に関連する新たなリスクや機会を含む最新動向の把握に努めます。 取り組み・CSR統括委員会が、社会、環境、経済の様々なマテリアリティ(重点課題)を、構造化されたプロセスで定期的に評価している。進展・シナリオ分析を活用し、将来の気候変動がもたらす潜在的なリスクと機会、及び事業戦略のレジリエンスを評価。・オペレーション面においては、事業所でISO14001認証を取得し、環境リスクを評価しながら継続的な改善を推進。・事業継続計画(BCP)において、台風や大雨などの異常気象による事業への影響の 最小化を検討。 <指標と目標> 当社グループは気温上昇を1.5℃に抑える世界的な取り組みに貢献するため、SBT認証取得やRE100への加盟を進めてきました。当社グループの事業規模は拡大する見込みですが、CO2排出削減や再エネ導入比率向上を目指し、バリューチェーン全体での脱炭素化を加速させてまいります。 目標<2050年目標>・事業活動での使用電力の再生可能エネルギー使用比率を100%にする。<2030年目標>・Scope1,2を46%削減する。(2019年度比)・Scope3を27.5%削減する。(2019年度比)・事業活動での使用電力の再生可能エネルギー使用比率を50%にする。<2024年目標>・Scope1,2を20%削減する。(2019年度比)・事業活動での使用電力の再生可能エネルギー使用比率を25%にする。※Scope1:自社の工場から直接排出されるCO2排出量Scope2:自社が購入した熱・電力の使用に伴うCO2排出量Scope3:企業活動のサプライチェーンのCO2排出量考え方・省エネ/再エネ/再エネ証書を自社の脱炭素を進める3本柱とし、CO2排出量の削減を行ってまいります。またサプライチェーン全体を通じたCO2排出量の削減も進めるべく、取引先とも今まで以上に連携に努め、対策を講じられるよう検討しております。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績 ①経営成績の概要当連結会計年度の世界の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症のワクチンの普及に伴う経済活動の進展や各国での景気刺激策の実施により、景気の回復が見られました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻や中国での新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う都市封鎖により、グローバルでサプライチェーンに混乱が見られるほか、資源価格やエネルギー価格の高騰に伴うインフレも加速しており、世界経済の先行きは不透明な状況にあります。当社グループが属するエレクトロニクス市場は、カーエレクトロニクス向けでは、自動車の電装化の進展や顧客による部品在庫積み増しの動きにより、前連結会計年度比で需要が大きく増加しました。また、PC向けではリモートワーク用途などの需要が引き続き堅調に推移しました。一方で、スマートフォン向けでは中華圏得意先での在庫調整の影響もあり、需要が軟調に推移しました。そのような中、当連結会計年度の売上高は、コネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少しましたが、積層セラミックコンデンサがコンピュータ及び関連機器向けやカーエレクトロニクス向けで大きく増加したことに加え、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで増加しました。その結果、当連結会計年度の売上高は、為替変動(前連結会計年度比6円32銭の円安)の影響もあり、前連結会計年度比11.2%増の1,812,521百万円となり、過去最高を更新しました。利益につきましては、生産高増加に伴い生産関連費用は増加しましたが、操業度益やコストダウン、円安効果などの増益要因により、営業利益は前連結会計年度比35.4%増の424,060百万円、税引前当期純利益は同36.8%増の432,702百万円、当社株主に帰属する当期純利益は同32.5%増の314,124百万円となり、それぞれ過去最高を更新しました。当連結会計年度のROIC(Return on Invested Capital)(税引前)は、翌連結会計年度の電子部品需要を見据えて、棚卸資産の積み上げを実行したことにより投下資本が増加したものの、営業利益が大きく増加したことにより、前連結会計年度比4.1ポイント増の22.6%となりました。 前連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)増 減金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)増減率(%)売上高1,630,193100.01,812,521100.0182,32811.2営業利益313,24019.2424,06023.4110,82035.4税引前当期純利益316,41719.4432,70223.9116,28536.8当社株主に帰属する当期純利益237,05714.5314,12417.377,06732.5ROIC(税引前) (%)18.5-22.6-4.1-対米ドル平均為替レート(円)106.06-112.38-6.32-対ユーロ平均為替レート(円)123.70-130.56-6.86-(注)ROIC(税引前)= 営業利益 / 期首・期末平均投下資本(固定資産+棚卸資産+売上債権-仕入債務) 事業別セグメントについては、コンポーネントは、コンデンサやインダクタの売上が大きく増加したことにより、売上高が1,416,596百万円(前連結会計年度比20.5%増)で事業利益(※)が452,611百万円(同44.6%増)、モジュールは、コネクティビティモジュールにおいて事業ポートフォリオ見直しにより売上が減少したほか、樹脂多層基板や高周波モジュールの売上が減少したことにより、売上高が425,562百万円(同12.1%減)で事業利益が38,524百万円(同29.0%減)、その他は売上高が61,279百万円(同0.3%増)で事業利益が6,947百万円(同10.7%減)となりました。(※)「事業利益」は売上高から事業に直接帰属する費用を控除した利益であります。 ②製品別の売上高概況当連結会計年度の製品別の売上高を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔コンデンサ〕この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。当連結会計年度は、積層セラミックコンデンサがリモートワークやオンライン教育の需要を背景としてPC向けで大きく増加したほか、電装化の進展や顧客による部品在庫の積み増し需要によりカーエレクトロニクス向けで増加しました。その結果、コンデンサの売上高は前連結会計年度に比べ25.3%増の785,254百万円となりました。 〔圧電製品〕この区分には、表面波フィルタ、圧電センサ、発振子などが含まれます。当連結会計年度は、圧電センサがHDD向けで増加したほか、発振子が幅広い用途で増加しました。その結果、圧電製品の売上高は前連結会計年度に比べ7.0%増の138,357百万円となりました。 〔その他コンポーネント〕この区分には、リチウムイオン二次電池、インダクタ、EMI除去フィルタ、コネクタ、センサ、サーミスタなどが含まれます。当連結会計年度は、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで大きく増加したほか、インダクタがPCやカーエレクトロニクス向けで増加しました。その結果、その他コンポーネントの売上高は前連結会計年度に比べ18.8%増の460,443百万円となりました。 〔モジュール〕この区分には、コネクティビティモジュール、高周波モジュール、樹脂多層基板、電源モジュール、多層デバイスなどが含まれます。当連結会計年度は、コネクティビティモジュールにおいて製品ポートフォリオ見直しによりスマートフォン向けの売上が減少したほか、樹脂多層基板が通信機器向けで減少しました。その結果、モジュールの売上高は前連結会計年度に比べ12.1%減の425,562百万円となりました。 ③用途別の売上高概況当連結会計年度の用途別の売上高を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりであります。 〔AV〕当連結会計年度は、デジタルカメラ向けでリチウムイオン二次電池が増加したものの、セットトップボックス向けで積層セラミックコンデンサが減少しました。その結果、AV用途の売上高は前連結会計年度に比べ横ばいの71,457百万円となりました。 〔通信〕当連結会計年度は、スマートフォン向けで積層セラミックコンデンサが増加したものの、同用途向けで事業ポートフォリオ見直しによりコネクティビティモジュールが減少したほか、高周波モジュールが減少しました。その結果、通信用途の売上高は前連結会計年度に比べ3.2%減の779,208百万円となりました。 〔コンピュータ及び関連機器〕当連結会計年度は、PCやサーバー向けで積層セラミックコンデンサやインダクタが大きく増加しました。その結果、コンピュータ及び関連機器用途の売上高は前連結会計年度に比べ23.6%増の360,406百万円となりました。 〔カーエレクトロニクス〕当連結会計年度は、電装化の進展や顧客による部品在庫の積み増し需要により、積層セラミックコンデンサが大きく増加したほか、EMI除去フィルタやインダクタの売上も増加しました。その結果、カーエレクトロニクス用途の売上高は前連結会計年度に比べ23.1%増の336,321百万円となりました。 〔家電・その他〕当連結会計年度は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池の売上が大きく増加したほか、代理店向けで積層セラミックコンデンサの売上が増加しました。その結果、家電・その他用途の売上高は前連結会計年度に比べ40.9%増の262,224百万円となりました。 ④生産、受注及び販売の実績イ)生産実績 当連結会計年度の製品別の生産実績は、下表のとおりであります。 生産実績(2021年4月1日~2022年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計 年度比(%) コンデンサ857,04644.736.7 圧電製品147,4207.718.0 その他コンポーネント495,56925.827.8 コンポーネント計1,500,03578.231.6 モジュール417,53821.8△15.4 計1,917,573100.017.4 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.カーエレクトロニクス向けやPC及び関連機器向けで積層セラミックコンデンサの売上が大きく増加したことにより、コンデンサの「生産実績」が前連結会計年度比で、大幅な増加となりました。3.以下の製品別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。 ロ)受注実績 当連結会計年度の製品別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。 受注高(2021年4月1日~2022年3月31日)受注残高(2022年3月31日現在)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度末比(%) コンデンサ823,47843.416.5227,94243.720.1 圧電製品120,2156.3△20.824,8594.8△42.2 その他コンポーネント479,54425.35.7146,22528.015.0 コンポーネント計1,423,23775.08.4399,02676.510.9 モジュール473,88925.0△6.9122,79823.564.9 計1,897,126100.04.1521,824100.020.1 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.スマートフォン向けで表面波フィルタの受注残高が減少したことにより、圧電製品の「受注残高」が前連結会計年度末比で、大幅な減少となりました。3.IoT市場向けでコネクティビティモジュールの受注残高が増加したことに加え、電源モジュールの受注残高が増加したことにより、モジュールの「受注残高」が前連結会計年度末比で、大幅な増加となりました。 ハ)販売実績 当連結会計年度の製品別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2021年4月1日~2022年3月31日)金額(百万円)構成比(%) 前連結会計 年度比(%) コンデンサ785,25443.425.3 圧電製品138,3577.77.0 その他コンポーネント460,44325.418.8 コンポーネント計1,384,05476.521.0 モジュール425,56223.5△12.1 計1,809,616100.011.2 ニ)用途別販売実績 当連結会計年度の用途別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2021年4月1日~2022年3月31日)金額(百万円)構成比(%) 前連結会計 年度比(%) AV71,4573.9△0.6 通信779,20843.1△3.2 コンピュータ及び関連機器360,40619.923.6 カーエレクトロニクス336,32118.623.1 家電・その他262,22414.540.9 計1,809,616100.011.2 (注)1.当社推計値に基づいております。2.パワーツール向けでリチウムイオン二次電池の売上が大きく増加したほか、代理店向けで積層セラミックコンデンサの売上が大きく増加したことにより、家電・その他の「販売実績」が前連結会計年度比で、大幅な増加となりました。 (2)財政状態 当連結会計年度末の総資産は、主に短期投資や棚卸資産の増加により、前連結会計年度末に比べ346,910百万円増加し、2,809,171百万円となりました。負債は、社債の償還による減少はあったものの、未払税金や買掛金の増加により前連結会計年度末に比べ4,643百万円増加し、545,259百万円となりました。資本は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ342,267百万円増加し、2,263,912百万円となりました。株主資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.6ポイント上昇の80.6%となりました。 (3)キャッシュ・フロー ①キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加が81,363百万円となりましたが、キャッシュ・フローの源泉となる当期純利益が313,879百万円、減価償却費が155,583百万円となったことなどにより、421,458百万円のキャッシュ・インとなりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ47,887百万円の増加となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資項目の償還及び売却が34,335百万円となりましたが、生産能力増強を中心とした有形固定資産の取得による支出が150,531百万円、Eta Wireless, Inc.やResonant Inc.の買収による支出が48,802百万円となったことなどにより、212,300百万円のキャッシュ・アウトとなりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ62,025百万円の減少となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが76,779百万円となり、また、社債の償還が40,000百万円となったことなどにより、117,505百万円のキャッシュ・アウトとなりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ684百万円の増加となりました。 ②資本の財源及び資金の流動性イ)財務戦略と経営資源の配分に関する考え方 当社グループは、健全な財務体質と高い資本効率を両立することを目指し、市場環境・競争環境に応じた最適な経営資源配分を行ってまいります。 財務体質については、事業環境の変化に機敏に対応し、持続的な利益成長を達成するとともに、厳しい環境下においても経営の安定を維持し、金融市場の市況悪化等のリスクへ備えるため自己資本の充実に努めております。また、信用格付は「AA+(信用力は極めて高く、優れた要素がある)」(格付投資情報センターによる)を取得し、資金調達が必要な場合に円滑かつ低コストの調達を可能としております。 経営資源の配分につきましては、「中期方針2024」に記載のキャピタル・アロケーション方針に基づき、資本効率と成長性を重視した投資と株主還元を行ってまいります。 資本効率については、継続的な資本効率の改善を目的としてROIC(税引前)20%以上を目標値として設定しております。また、資本コストを投資の意思決定と事業評価に反映しており、当連結会計年度末における当社グループの資本コスト(WACC)は6.8%となっており、税引後ベースの比較においても安定的にROICが資本コストを上回る構造を維持しております。 株主還元については、長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、1株当たり利益を増加させることにより、配当の安定的な増加に努めることを基本方針とし、中期的に配当性向30%程度を目安にDOE(株主資本配当率)4%以上を実現することといたします。また、自己株式の取得につきましても株主還元の手段として、資本効率の改善等を目的として適宜実施することといたします。 ロ)資金調達と手許流動性 当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、事業の成長に向けた投資や運転資金のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部から調達することとしており、銀行からの借入及び国内普通社債発行による資金調達を適宜実施しております。健全な財務体質を維持し、また主要な取引先金融機関と良好な関係を構築しており、今後の事業資金の調達に関して問題はないと認識しております。 完全子会社の資金需要に対しては、原則として銀行など外部からの資金調達を行わず、当社及び関係会社からのグループファイナンスにより対応しており、資金調達の一元化と資金効率の向上を図っております。 また、当社グループは、事業活動による資金需要への機動的な対応と金融市場の市況悪化等のリスクを最小限に抑えるため、月平均売上高2.5か月~3.5か月を必要な資金流動性の水準とし、確保しております。事業の状況によりこの水準を一時的に超過する場合もありますが、キャピタル・アロケーション方針に基づく資源配分へ資金の充当を進めることにより適正化を図ってまいります。当連結会計年度における現金及び預金、短期投資、有価証券の流動性資金の残高は568,440百万円となり月平均売上高3.8か月相当の流動性を確保しております。事業投資の原資として手許資金を保有しているため、投機目的の運用は行わず、信用リスクが小さいと考えられる銀行への預金など、安全性の高い金融商品に分散して資金を保有しております。なお、当連結会計年度における社債及び借入金等の有利子負債の残高は111,078百万円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は512,072百万円となっております。 (4)重要な会計方針及び見積 当社グループの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。ただし、関連当事者情報については、連結財務諸表規則に従って開示しております。 連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債の計上金額、偶発資産・負債の開示情報及び収益・費用の計上金額に影響する見積や仮定を使用する必要があります。 当社グループは、連結財務諸表の作成において以下のものを重要な会計方針と考えておりますが、全ての会計方針の包括的な記載を目的としたものではありません。当社グループの重要な会計方針については連結財務諸表注記事項Ⅰに記載しております。 なお、当社グループを取り巻く環境や状況の変化により、これらの見積や仮定が実際の結果と異なる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響は依然として不透明ではありますが、中長期的に電子部品需要が拡大する見通しは変わらないと判断しており、見積や仮定に与える影響は限定的であります。 イ)棚卸資産 当社グループは、棚卸資産を主として総平均法による低価法により評価しております。棚卸資産の売却可能性や劣化度合いを定期的に見直しており、需要動向及び市況の変化に基づく過剰や長期滞留、陳腐化を考慮して評価減を行っております。実際の需要動向や市況が想定した見積より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。 ロ)有価証券及び投資有価証券 当社グループは、市場性がなく容易に決定できる公正価値のない持分証券は、同一発行体の同一又は類似取引などの観察できる価格の変動を加減算することで測定、評価損益を純損益に計上しております。売却可能負債証券は、公正価値が取得原価又は償却原価を一定割合又は一定期間下回った場合、価格の下落が一時的でないと判断し、減損処理を行っております。また、未実現損失が一定期間を超えて発生した場合、公正価値が回復するまでに売却する予定や必要性及び発行体の格付などを考慮して、減損処理の必要性を判断しております。発行体の経営状態が悪化した場合、もしくは市場において悪影響を与える事象が発生した場合には、追加の評価損や減損処理が必要となる可能性があります。 ハ)長期性資産の減損及び処分 当社グループは、必要に応じて、事業別資産グループごとの保有及び使用中の長期性資産の帳簿価額と割引前将来見積キャッシュ・フローを比較することにより、減損の要否を判定しております。長期性資産の帳簿価額に減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が公正価値を超える金額を減損損失として認識しております。また、除却対象の長期性資産については、除却予定時期を期限として耐用年数の見直しを行い、売却予定の長期性資産については、帳簿価額又は売却に要する費用控除後の公正価値のうちいずれか低い価額で評価されます。割引前将来見積キャッシュ・フロー、除却予定時期及び公正価値の変更を要した場合には、追加の損失が発生する可能性があります。 ニ)のれん及びその他の無形資産 当社グループは、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却を行わず、年1回及び減損の可能性を示す事象の発生又は状況の変化が生じた時点で減損テストを行うこととしております。全てののれんは、企業結合のシナジー効果から便益を享受する報告単位に配分されます。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分されたのれんの帳簿価額を限度とし、当該差額をのれんの減損損失として認識しております。報告単位の公正価値は、主として割引キャッシュ・フロー法により社内で評価しておりますが、必要に応じ、第三者による評価を活用しております。この手法は、将来の見積キャッシュ・フロー、報告単位ごとのリスクを反映した割引率、永久成長率等多くの見積り及び前提を使用しております。また、将来の見積キャッシュ・フローに使用される前提は、当社グループが決定した事業計画に基づいており、過去の経験、製品及び技術動向、市場データ、現在及び見込まれる世界経済の状況を考慮しております。当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積は合理的であると考えておりますが、事業遂行上予測不能の変化に起因して将来キャッシュ・フロー及び公正価値が当初の見積を下回った場合には、のれんの減損損失を追加計上する可能性があります。 ホ)退職給付 当社グループは、従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算を行う際に使用する基礎率に基づいて算出しております。基礎率には、割引率及び年金資産の長期運用利回りや、最新の統計データに基づく退職率・死亡率・昇給率が含まれます。割引率は長期国債及び優良社債の利回りを参考に決定しております。また、年金資産の長期運用利回りは、投資対象資産の資産区分ごとの将来収益に対する予測や過去の運用実績に加えて、長期国債の利回りなどを考慮して決定しております。基礎率の変更は、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与えます。割引率の低下は、退職給付債務を増加させ、数理計算上の差異の償却により翌期以降の退職給付費用を増加させます。また、年金資産の長期運用利回りの低下は、期待運用収益の減少により退職給付費用を増加させます。 へ)繰延税金資産 当社グループは、繰延税金資産について、その実現可能性を将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的なタックス・スケジュール等を検討することで判断しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、相応の評価性引当金を計上しております。将来の利益計画が実現できない等の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性が低下した場合、評価性引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「新しい電子機器は新しい電子部品から、新しい電子部品は新しい材料から」の基本理念に基づき、基礎技術から次代の先端技術までを追求することで、独自の製品を開発・供給し、エレクトロニクス社会の発展に貢献することを目指しております。当社は、セラミック材料などの電子材料技術をはじめ、高周波技術、回路設計技術、薄膜・微細加工技術などのプロセス技術、生産設備の開発技術などの各種要素技術の研究開発に注力し、その成果を有機的に融合して、通信機器、情報・コンピュータ関連機器からカーエレクトロニクスに至る様々な電子機器に不可欠な積層セラミックコンデンサや圧電製品、ノイズ対策製品、高周波デバイス、回路モジュール等の電子部品の創出に努めております。 (2)目標とする経営指標営業利益率及びROIC(Return on Invested Capital)(税引前)※を重視する経営指標としており、資本効率の向上により企業価値の向上を図ってまいります。※ROIC(税引前)= 営業利益 / 投下資本(固定資産+たな卸資産+売上債権-仕入債務) (3)中長期的な会社の経営戦略当社は新たに、2020年3月期を初年度とした3カ年の取り組み方針である「中期構想2021」を策定いたしました。成長市場を事業機会として的確に捉える一方、健全な成長を実現するために、ポートフォリオ経営による適切な経営資源配分を実践し、さらなる顧客価値の創造を目指します。また、資本・労働生産性を飛躍的に向上させると同時に、需要変動に対応する安定的な供給体制を構築してまいります。そして、事業規模の拡大に対応できる強固な経営基盤を再構築するとともに、当社が及ぼす社会や環境への影響を十分に認識し、これらに配慮した事業運営を行ってまいります。 成長市場としては、以下を柱に取り組んでまいります。 ①通信市場での競争優位の追求スマートフォンを中心とするモバイル通信機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、機器の高機能化による、電子部品の員数増加と新製品需要の増加に伴う高付加価値化が依然見込まれます。当社はシェアを維持するだけでなく、新たな付加価値を提供することで競争優位を保ち拡大を図ってまいります。また、5G(第5世代移動通信システム)導入が牽引する基地局やデータセンター等の情報通信インフラ向け需要拡大への対応、5Gの性能を活用したアプリケーションに必要とされる高度な顧客ニーズを解決できる技術力、製品力の提供により更なる成長を目指します。 ②自動車市場を次の収益の柱へ通信市場とともに今後の電子部品需要を牽引する自動車市場を次の収益の柱とすべく、注力してまいります。自動車市場では電動化と自動運転化の進展にともない、半導体の搭載個数が増加することで半導体周辺に使われるコンポーネントを中心とした電子部品の需要が大幅に拡大します。また、安全走行のためのセンサ、車外とデータ通信を行う無線モジュールの需要も確実な伸びが見込まれます。顧客に安心をもたらす「高信頼性」を共通価値とし、センシング、通信、小型、ノイズ対策など、当社の強みを活かした幅広いラインナップを揃え、成長を持続させていきます。 ③エネルギー、メディカル・ヘルスケアは長期的な視点で挑戦を続ける自動車に加えて、エネルギー、メディカル・ヘルスケア分野では長期的な視点で挑戦を続け、新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、市場の多様化と成長を図ってまいります。参入シナリオを明確にしたうえで、ムラタらしさが発揮できる領域でビジネスを展開してまいります。 ④更なる長期を見据えた市場開拓IoT(Internet of Things)社会に対する顧客ニーズが広がりを見せております。当社は、IoT社会の実現に求められる低消費電力と長距離通信を特徴とするLPWA(Low Power Wide Area)無線技術を用いた通信モジュールの開発を行うなど、センサや通信技術を融合した新たな価値提供に向けて取り組んでおります。 (4)会社の経営環境と対処すべき課題電動化と自動運転化が進む自動車市場では、中長期的に電子部品需要が拡大していくことが見込まれます。また、スマートフォンを中心とする民生用電子機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、5Gによる通信技術の進化と普及がIoT社会の実現を加速させており、通信市場を基盤とする当社にとって、事業機会はさらに拡がっていきます。それに伴い、顧客層がさらに拡がることによって、多様化する顧客ニーズの把握と的確な需要予測が難しくなってきております。当社は、マーケティング体制を強化して顧客ニーズの変化を的確に捉え、民生市場を中心とした激しい需要変動に追随するため、販売計画・生産計画・調達計画をシームレスに連動させた供給体制の構築を図ってまいります。また、拡大する電子部品需要に対応するための設備投資が増大しており、資本効率の向上が重要課題となります。生産プロセスの合理化や革新を進めるとともに、ITを活用した管理体制の構築を図り、生産性を向上させてまいります。さらに、小型・薄型、高機能かつ高品質な製品を同業他社に先駆けて投入すること、あるいは新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、中長期的に拡大する需要を確実に取り込んでまいります。企業の社会的責任への取り組みにつきましては、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の17の目標などを踏まえ、E (Environment=環境) 、S (Social=社会) 、G(Governance=企業統治) の3つの側面に配慮して事業を展開してまいります。コーポレートガバナンスにつきましては、経営上の最も重要な課題の1つと位置付けており、すべてのステークホルダーに配慮しつつ、会社が健全に発展・成長していくため、常に最適な経営体制を整備し、機能させるよう引き続き取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「新しい電子機器は新しい電子部品から、新しい電子部品は新しい材料から」の基本理念に基づき、基礎技術から次代の先端技術までを追求することで、独自の製品を開発・供給し、エレクトロニクス社会の発展に貢献することを目指しております。当社は、セラミック材料などの電子材料技術をはじめ、高周波技術、回路設計技術、薄膜・微細加工技術などのプロセス技術、生産設備の開発技術などの各種要素技術の研究開発に注力し、その成果を有機的に融合して、通信機器、情報・コンピュータ関連機器からカーエレクトロニクスに至る様々な電子機器に不可欠な積層セラミックコンデンサや圧電製品、ノイズ対策製品、高周波デバイス、回路モジュール等の電子部品の創出に努めております。 (2)目標とする経営指標営業利益率及びROIC(Return on Invested Capital)(税引前)※を重視する経営指標としており、資本効率の向上により企業価値の向上を図ってまいります。※ROIC(税引前)= 営業利益 / 投下資本(固定資産+たな卸資産+売上債権-仕入債務) (3)中長期的な会社の経営戦略当社は新たに、2020年3月期を初年度とした3カ年の取り組み方針である「中期構想2021」を策定いたしました。成長市場を事業機会として的確に捉える一方、健全な成長を実現するために、ポートフォリオ経営による適切な経営資源配分を実践し、さらなる顧客価値の創造を目指します。また、資本・労働生産性を飛躍的に向上させると同時に、需要変動に対応する安定的な供給体制を構築してまいります。そして、事業規模の拡大に対応できる強固な経営基盤を再構築するとともに、当社が及ぼす社会や環境への影響を十分に認識し、これらに配慮した事業運営を行ってまいります。 成長市場としては、以下を柱に取り組んでまいります。 ①通信市場での競争優位の追求スマートフォンを中心とするモバイル通信機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、機器の高機能化による、電子部品の員数増加と新製品需要の増加に伴う高付加価値化が依然見込まれます。当社はシェアを維持するだけでなく、新たな付加価値を提供することで競争優位を保ち拡大を図ってまいります。また、5G(第5世代移動通信システム)導入が牽引する基地局やデータセンター等の情報通信インフラ向け需要拡大への対応、5Gの性能を活用したアプリケーションに必要とされる高度な顧客ニーズを解決できる技術力、製品力の提供により更なる成長を目指します。 ②自動車市場を次の収益の柱へ通信市場とともに今後の電子部品需要を牽引する自動車市場を次の収益の柱とすべく、注力してまいります。自動車市場では電動化と自動運転化の進展にともない、半導体の搭載個数が増加することで半導体周辺に使われるコンポーネントを中心とした電子部品の需要が大幅に拡大します。また、安全走行のためのセンサ、車外とデータ通信を行う無線モジュールの需要も確実な伸びが見込まれます。顧客に安心をもたらす「高信頼性」を共通価値とし、センシング、通信、小型、ノイズ対策など、当社の強みを活かした幅広いラインナップを揃え、成長を持続させていきます。 ③エネルギー、メディカル・ヘルスケアは長期的な視点で挑戦を続ける自動車に加えて、エネルギー、メディカル・ヘルスケア分野では長期的な視点で挑戦を続け、新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、市場の多様化と成長を図ってまいります。参入シナリオを明確にしたうえで、ムラタらしさが発揮できる領域でビジネスを展開してまいります。 ④更なる長期を見据えた市場開拓IoT(Internet of Things)社会に対する顧客ニーズが広がりを見せております。当社は、IoT社会の実現に求められる低消費電力と長距離通信を特徴とするLPWA(Low Power Wide Area)無線技術を用いた通信モジュールの開発を行うなど、センサや通信技術を融合した新たな価値提供に向けて取り組んでおります。 (4)会社の経営環境と対処すべき課題電動化と自動運転化が進む自動車市場では、中長期的に電子部品需要が拡大していくことが見込まれます。また、スマートフォンを中心とする民生用電子機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、5Gによる通信技術の進化と普及がIoT社会の実現を加速させており、通信市場を基盤とする当社にとって、事業機会はさらに拡がっていきます。それに伴い、顧客層がさらに拡がることによって、多様化する顧客ニーズの把握と的確な需要予測が難しくなってきております。当社は、マーケティング体制を強化して顧客ニーズの変化を的確に捉え、民生市場を中心とした激しい需要変動に追随するため、販売計画・生産計画・調達計画をシームレスに連動させた供給体制の構築を図ってまいります。また、拡大する電子部品需要に対応するための設備投資が増大しており、資本効率の向上が重要課題となります。生産プロセスの合理化や革新を進めるとともに、ITを活用した管理体制の構築を図り、生産性を向上させてまいります。さらに、小型・薄型、高機能かつ高品質な製品を同業他社に先駆けて投入すること、あるいは新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、中長期的に拡大する需要を確実に取り込んでまいります。企業の社会的責任への取り組みにつきましては、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の17の目標などを踏まえ、E (Environment=環境) 、S (Social=社会) 、G(Governance=企業統治) の3つの側面に配慮して事業を展開してまいります。コーポレートガバナンスにつきましては、経営上の最も重要な課題の1つと位置付けており、すべてのステークホルダーに配慮しつつ、会社が健全に発展・成長していくため、常に最適な経営体制を整備し、機能させるよう引き続き取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の概要 ①経営成績当連結会計年度の世界の経済情勢は、米国では継続した雇用拡大や個人所得の改善を受け経済は堅調に推移しました。その一方で、中国では米国との貿易摩擦の影響が鮮明になり、欧州は経済が軟化する中で政治不安も抱えており、年度の終わりにかけて世界経済の減速傾向が強まってきました。当社が属するエレクトロニクス市場は、カーエレクトロニクス向けで自動車の環境対応や安全性の向上により、電装品の搭載数が増加し部品需要が拡大しました。また、スマートフォンやPCの高機能化による1台当たりの部品数増加など、第3四半期までは様々な用途においてコンポーネント部品を中心に需要が拡大しましたが、第4四半期はスマートフォンの台数減少もあり、部品需要に陰りが見られました。そのような中で当社は伸びる市場に注力し、当連結会計年度の売上高は主力製品の積層セラミックコンデンサが大幅に増加し、2017年9月に取得が完了したリチウムイオン二次電池の売上計上により、前連結会計年度比14.8%増の1,575,026百万円となりました。利益につきましては、需要に対応するための生産関連費用の増加、有形固定資産に係る減損損失などの減益要因はあったものの、操業度益や原価低減の取り組み、減価償却費の減少、新製品の継続的な投入により、営業利益は前連結会計年度比63.4%増の266,807百万円、税引前当期純利益は同59.3%増の267,316百万円、当社株主に帰属する当期純利益は同41.6%増の206,930百万円となりました。 事業別セグメントについては、コンポーネントは売上高が1,140,003百万円(前連結会計年度比18.3%増)で事業利益(※)が312,141百万円(同43.5%増)、モジュールは売上高が466,710百万円(同5.1%増)で事業利益が14,471百万円(前連結会計年度は11,284百万円の事業損失)、その他は売上高が102,399百万円(前連結会計年度比19.0%増)で事業利益が10,596百万円(同12.5%増)となりました。(※)「事業利益」は売上高から事業に直接帰属する費用を控除した利益であります。 当連結会計年度の製品別の売上高を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりです。 〔コンデンサ〕この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。当連結会計年度は主力の積層セラミックコンデンサについて、カーエレクトロニクス向けで電装化の進展を受け好調に推移したほか、中華圏スマートフォン向けやコンピュータ及び関連機器向けなど幅広い用途で需要が拡大し、大幅に増加しました。その結果、コンデンサの売上高は前連結会計年度に比べ27.7%増の574,230百万円となりました。 〔圧電製品〕この区分には、表面波フィルタ、発振子、圧電センサなどが含まれます。当連結会計年度は表面波フィルタにおいて、スマートフォン向けでの高付加価値品の数量減少や値下げの進展により、減少しました。その結果、圧電製品の売上高は前連結会計年度に比べ8.8%減の138,586百万円となりました。 〔その他コンポーネント〕この区分には、リチウムイオン二次電池、コイル、EMI除去フィルタ、コネクタ、センサ、サーミスタなどが含まれます。当連結会計年度は、高周波コイルがハイエンドスマートフォン向けで低調でしたが、カーエレクトロニクス向けでMEMSセンサが伸長したほか、2017年9月に取得が完了したリチウムイオン二次電池の売上が計上されたことから、大きく増加しました。その結果、その他コンポーネントの売上高は前連結会計年度に比べ21.7%増の392,194百万円となりました。 〔通信モジュール〕この区分には、近距離無線通信モジュール、樹脂多層基板、多層モジュール、通信機器用モジュール、多層デバイスなどが含まれます。当連結会計年度は、樹脂多層基板がハイエンドスマートフォンの新モデルでの採用により大きく伸長したほか、通信機器用モジュールにおいても増加しました。その結果、通信モジュールの売上高は前連結会計年度に比べ7.7%増の425,486百万円となりました。 〔電源他モジュール〕この区分には、電源などが含まれます。当連結会計年度は、電源がOA機器向けなどで減少しました。その結果、電源他モジュールの売上高は前連結会計年度に比べ15.6%減の41,213百万円となりました。 ②キャッシュ・フロー<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加が59,250百万円、仕入債務の減少が24,140百万円となりましたが、キャッシュ・フローの源泉となる当期純利益が206,959百万円、減価償却費が124,419百万円、未払税金の増加が13,521百万円となったことなどにより、279,842百万円のキャッシュ・インとなりました。営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ54,593百万円の増加となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資項目の償還及び売却が28,853百万円となりましたが、設備投資が291,581百万円、有価証券及び投資項目の購入が25,792百万円となったことなどにより、303,741百万円のキャッシュ・アウトとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ109,576百万円の減少となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが57,579百万円となりましたが、社債の増加が99,813百万円、短期借入金の増加が9,507百万円となったことなどにより、51,546百万円のキャッシュ・インとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ135,131百万円の増加となりました。 ③生産、受注及び販売の実績イ)生産実績 当連結会計年度の製品別の生産実績は、下表のとおりであります。 生産実績(2018年4月1日~2019年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計 年度比(%) コンデンサ676,13240.143.2 圧電製品140,5418.4△7.9 その他コンポーネント399,74023.716.3 コンポーネント計1,216,41372.225.6 通信モジュール428,59025.45.1 電源他モジュール40,7862.4△15.0 モジュール計469,37627.83.0 計1,685,789100.018.4 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3.以下の製品別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。スマートフォン、カーエレクトロニクス向けを中心に幅広い用途で需要が拡大したことにより、コンデンサの「生産実績」が前連結会計年度比で、大幅な増加となりました。ロ)受注実績 当連結会計年度の製品別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。 受注高(2018年4月1日~2019年3月31日)受注残高(2019年3月31日現在)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) コンデンサ550,42135.52.7130,27249.4△12.3 圧電製品135,5788.8△11.517,5586.7△11.3 その他コンポーネント389,92525.216.061,37923.3△1.5 コンポーネント計1,075,92469.55.0209,20979.4△9.3 通信モジュール431,68827.910.545,10017.116.3 電源他モジュール40,8812.6△19.69,1383.50.8 モジュール計472,56930.57.054,23820.613.3 計1,548,493100.05.6263,447100.0△5.4 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 ハ)販売実績 当連結会計年度の製品別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2018年4月1日~2019年3月31日)金額(百万円)構成比(%) 前連結会計 年度比(%) コンデンサ574,23036.527.7 圧電製品138,5868.8△8.8 その他コンポーネント392,19425.021.7 コンポーネント計1,105,01070.319.6 通信モジュール425,48627.17.7 電源他モジュール41,2132.6△15.6 モジュール計466,69929.75.1 計1,571,709100.014.9 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 (2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積 当社グループの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。ただし、関連当事者情報については、連結財務諸表規則に従って開示しております。 連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債の計上金額、偶発資産・負債の開示情報及び収益・費用の計上金額に影響する見積や仮定を使用する必要があります。 当社グループは、連結財務諸表の作成において以下のものを重要な会計方針と考えておりますが、全ての会計方針の包括的な記載を目的としたものではありません。当社グループの重要な会計方針については連結財務諸表注記事項Ⅰに記載しております。 なお、当社グループを取り巻く環境や状況の変化により、これらの見積や仮定が実際の結果と異なる可能性があります。 イ)たな卸資産 当社グループは、たな卸資産の売却可能性や劣化度合いを定期的に見直しており、需要動向及び市況の変化に基づく過剰又は長期滞留や陳腐化を考慮して評価減を行っております。実際の需要動向又は市況が想定した見積より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。 ロ)有価証券及び投資有価証券の減損 当社グループは、保有する売却可能負債証券について、公正価値が取得原価又は償却原価の一定割合以上下落又は一定期間継続して下落した場合に、価値の下落が一時的でないと判断し、減損処理を行っております。また、一定期間を超えて未実現損失が発生した場合に、売却する予定、公正価値が償却原価まで回復する前に売却する必要性及び発行体の格付等を勘案し、減損処理の必要性を判断しております。発行体の経営状態が悪化した場合、もしくは市場において悪影響を与える事象が発生した場合には、追加の減損処理が必要となる可能性があります。 ハ)長期性資産の減損 当社グループは必要に応じて、保有又は使用中の長期性資産の帳簿価額と将来の見積キャッシュ・フローに基づき算定された公正価値とを比較し、長期性資産が減損したと判断した場合、当該資産の帳簿価額が公正価値を超える金額を減損額として計上しております。また、除却対象の長期性資産については、除却予定時期を期限として耐用年数の見直しを行い、売却予定の長期性資産については、見積売却価額に基づき減損額を計上しております。将来の見積キャッシュ・フロー、公正価値及び除却予定時期並びに見積売却価額の修正がなされた場合には、評価の結果が変わり利益を減少させる可能性があります。 ニ)のれん及びその他の無形資産 当社グループは、のれん及び耐用年数を見積もることができない無形資産は償却を行わず、年1回及びその帳簿価額が公正価値を上回るような状況の変化が生じた場合に減損テストを行うこととしております。また、耐用年数の見積可能な無形資産については、その見積耐用年数に亘って償却されますが、耐用年数が不確定であると判断した場合には償却を停止し、減損テストを行うこととしております。当該資産の公正価値は、当社グループが決定した事業計画に基づき、将来キャッシュ・フローを見積った上で算定されます。当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積は合理的であると考えておりますが、予測不能な要素により将来キャッシュ・フロー及び公正価値が当初の見積を下回った場合には、当該資産の減損処理が必要となる可能性があります。 ホ)退職給付 従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算を行う際に使用する基礎率に基づいて算出しております。基礎率には、割引率及び年金資産の長期運用利回りや、最新の統計データに基づく退職率・死亡率・昇給率が含まれます。割引率は長期国債の利回りを参考に決定しております。また、年金資産の長期運用利回りは、投資対象資産の資産区分ごとの将来収益に対する予測や過去の運用実績に加えて、長期国債の利回りなどを考慮して決定しております。基礎率の変更は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与えます。割引率の低下(上昇)は、退職給付債務を増加(減少)させ、数理計算上の差異の償却により翌期以降の退職給付費用を増加(減少)させます。また、年金資産の長期運用利回りの低下(上昇)は、期待運用収益の減少(増加)により退職給付費用を増加(減少)させます。へ)繰延税金資産 当社グループは、繰延税金資産について、その実現可能性を将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的なタックス・スケジュールを検討することで判断しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、相応の評価性引当金を計上しております。将来の利益計画が実現できないもしくは達成できない場合、又はその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性が低下した場合、利益を減少させる可能性があります。 ②当連結会計年度の経営成績等の分析イ)経営成績経営成績については、「(1)経営成績等の概要 ①経営成績」をご参照下さい。 ロ)財政状態当連結会計年度末の総資産は、主に有形固定資産、たな卸資産、短期投資の増加、投資及びその他の資産の減少により、前連結会計年度末に比べ251,880百万円増加し、2,048,893百万円となりました。負債は、主に社債の増加、買掛金の減少により前連結会計年度末に比べ104,556百万円増加し、444,353百万円となりました。資本は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ147,324百万円増加し、1,604,540百万円となりました。当連結会計年度末の株主資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント低下し78.3%となりました。 ハ)キャッシュ・フローの状況 キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フロー」をご参照下さい。 ニ)資本の財源及び資金の流動性 当社グループでは、翌連結会計年度において300,000百万円の設備投資を計画しており、この設備投資及びその他の事業資金につきましては手許資金及び外部からの資金調達により対応します。 なお、当連結会計年度における社債及び借入金等の有利子負債の残高は123,614百万円となっております。また当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は217,805百万円となっております。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「新しい電子機器は新しい電子部品から、新しい電子部品は新しい材料から」の基本理念に基づき、基礎技術から次代の先端技術までを追求することで、独自の製品を開発・供給し、エレクトロニクス社会の発展に貢献することを目指しております。当社は、セラミック材料などの電子材料技術をはじめ、高周波技術、回路設計技術、薄膜・微細加工技術などのプロセス技術、生産設備の開発技術などの各種要素技術の研究開発に注力し、その成果を有機的に融合して、通信機器、情報・コンピュータ関連機器からカーエレクトロニクスに至る様々な電子機器に不可欠な積層セラミックコンデンサや圧電製品、ノイズ対策製品、高周波デバイス、回路モジュール等の電子部品の創出に努めております。 (2)目標とする経営指標①売上高年率5~10%の成長を目標とし、通信市場を中心とした既存事業の成長に加え、新たに注力していく市場での中長期的な売上拡大を図ってまいります。また新商品売上高比率40%を目標と定め、お客様への新たな価値提供を実現し、売上拡大を目指してまいります。 ②営業利益営業利益率20%以上(為替水準1米ドル=115円)を目標とし、1株当たりの当期利益額増加による企業価値の向上を目指してまいります。また投下資本利益率を向上させることで資本効率の向上を図ってまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略上記の経営目標実現に向け、以下の成長戦略を柱に取り組んでまいります。①通信市場での競争優位の追求モバイル通信機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、機器の高機能化による、電子部品の員数増加と新製品需要の増加に伴う高付加価値化が依然見込まれます。当社はシェアを維持するだけでなく、新たな付加価値を提供することで競争優位を保ち拡大を図ってまいります。また、将来5G(第5世代移動通信システム)導入を見据えた高度な顧客ニーズを解決できる技術力、製品力の提供により更なる成長を目指します。 ②注力市場での事業拡大自動車、エネルギー、ヘルスケア・メディカル分野を注力していく市場とし、新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、市場の多様化と成長を図ってまいります。自動車市場では電動化と自動運転化の進展にともない、半導体の搭載個数が増加することで半導体周辺に使われるコンポーネントを中心とした電子部品の需要が大幅に拡大します。また、安全走行のためのセンサ、車外とデータ通信を行う無線モジュールの需要も確実な伸びが見込まれます。顧客に安心をもたらす「高信頼性」を共通価値とし、センシング、通信、小型、ノイズ対策など、当社の強みを活かした幅広いラインナップを揃え、成長を持続させていきます。エネルギー、ヘルスケア・メディカル分野では、参入シナリオを明確にしたうえで、ムラタらしさが発揮できるビジネスを展開してまいります。 ③更なる長期を見据えた市場開拓IoT(Internet of Things)社会に対する顧客ニーズが広がりを見せております。当社は拡大するニーズに対して、センサや通信技術を融合した新たな価値提供の実現に向けて取り組んでまいります。 (4)会社の経営環境と対処すべき課題世界のエレクトロニクス市場は、スマートフォンを中心とする民生用電子機器の高機能化・多機能化による需要拡大に加え、電動化と自動運転化が進む自動車市場で確実な伸びが見込まれます。次の重点市場となりうるアプリケーションとしてエネルギー、ヘルスケア・メディカル分野にも電子部品の需要が着実に拡がっていくことが期待されます。また、これらの市場を横断して普及拡大していくIoTのトレンドは需要増加に拍車をかけます。当社は、マーケティング体制を強化して市場動向を見極めながら、設備投資や生産性向上による生産能力の拡充を進め、小型・薄型、高機能かつ高品質な製品を同業他社に先駆けて投入すること、あるいは新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、拡大する需要を確実に取り込んでまいります。2017年9月1日にソニー株式会社からの電池事業の譲渡取引を完了しました。ソニー株式会社の高い技術力に加え、当社の顧客基盤とマーケティング力を活用するとともに、積層セラミックコンデンサなどで培った生産技術を導入し、本事業をエネルギー分野の中核事業に育成していきます。企業の社会的責任への取り組みにつきましては、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の17の目標などを踏まえ、E (Environment=環境) 、S (Social=社会) 、G(Governance=企業統治) の3つの側面に配慮して事業を展開してまいります。コーポレートガバナンスにつきましては、経営上の最も重要な課題の1つと位置付けており、すべてのステークホルダーに配慮しつつ、会社が健全に発展・成長していくため、常に最適な経営体制を整備し、機能させるよう取り組んでおります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「新しい電子機器は新しい電子部品から、新しい電子部品は新しい材料から」の基本理念に基づき、基礎技術から次代の先端技術までを追求することで、独自の製品を開発・供給し、エレクトロニクス社会の発展に貢献することを目指しております。当社は、セラミック材料などの電子材料技術をはじめ、高周波技術、回路設計技術、薄膜・微細加工技術などのプロセス技術、生産設備の開発技術などの各種要素技術の研究開発に注力し、その成果を有機的に融合して、通信機器、情報・コンピュータ関連機器からカーエレクトロニクスに至る様々な電子機器に不可欠な積層セラミックコンデンサや圧電製品、ノイズ対策製品、高周波デバイス、回路モジュール等の電子部品の創出に努めております。 (2)目標とする経営指標①売上高年率5~10%の成長を目標とし、通信市場を中心とした既存事業の成長に加え、新たに注力していく市場での中長期的な売上拡大を図ってまいります。また新商品売上高比率40%を目標と定め、お客様への新たな価値提供を実現し、売上拡大を目指してまいります。 ②営業利益営業利益率20%以上(為替水準1米ドル=115円)を目標とし、1株当たりの当期利益額増加による企業価値の向上を目指してまいります。また投下資本利益率を向上させることで資本効率の向上を図ってまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略上記の経営目標実現に向け、以下の成長戦略を柱に取り組んでまいります。①通信市場での競争優位の追求モバイル通信機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、機器の高機能化による、電子部品の員数増加と新製品需要の増加に伴う高付加価値化が依然見込まれます。当社はシェアを維持するだけでなく、新たな付加価値を提供することで競争優位を保ち拡大を図ってまいります。また、将来5G(第5世代移動通信システム)導入を見据えた高度な顧客ニーズを解決できる技術力、製品力の提供により更なる成長を目指します。 ②注力市場での事業拡大自動車、エネルギー、ヘルスケア・メディカル分野を注力していく市場とし、新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、市場の多様化と成長を図ってまいります。自動車市場では電動化と自動運転化の進展にともない、半導体の搭載個数が増加することで半導体周辺に使われるコンポーネントを中心とした電子部品の需要が大幅に拡大します。また、安全走行のためのセンサ、車外とデータ通信を行う無線モジュールの需要も確実な伸びが見込まれます。顧客に安心をもたらす「高信頼性」を共通価値とし、センシング、通信、小型、ノイズ対策など、当社の強みを活かした幅広いラインナップを揃え、成長を持続させていきます。エネルギー、ヘルスケア・メディカル分野では、参入シナリオを明確にしたうえで、ムラタらしさが発揮できるビジネスを展開してまいります。 ③更なる長期を見据えた市場開拓IoT(Internet of Things)社会に対する顧客ニーズが広がりを見せております。当社は拡大するニーズに対して、センサや通信技術を融合した新たな価値提供の実現に向けて取り組んでまいります。 (4)会社の経営環境と対処すべき課題世界のエレクトロニクス市場は、スマートフォンを中心とする民生用電子機器の高機能化・多機能化による需要拡大に加え、電動化と自動運転化が進む自動車市場で確実な伸びが見込まれます。次の重点市場となりうるアプリケーションとしてエネルギー、ヘルスケア・メディカル分野にも電子部品の需要が着実に拡がっていくことが期待されます。また、これらの市場を横断して普及拡大していくIoTのトレンドは需要増加に拍車をかけます。当社は、マーケティング体制を強化して市場動向を見極めながら、設備投資や生産性向上による生産能力の拡充を進め、小型・薄型、高機能かつ高品質な製品を同業他社に先駆けて投入すること、あるいは新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、拡大する需要を確実に取り込んでまいります。2017年9月1日にソニー株式会社からの電池事業の譲渡取引を完了しました。ソニー株式会社の高い技術力に加え、当社の顧客基盤とマーケティング力を活用するとともに、積層セラミックコンデンサなどで培った生産技術を導入し、本事業をエネルギー分野の中核事業に育成していきます。企業の社会的責任への取り組みにつきましては、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の17の目標などを踏まえ、E (Environment=環境) 、S (Social=社会) 、G(Governance=企業統治) の3つの側面に配慮して事業を展開してまいります。コーポレートガバナンスにつきましては、経営上の最も重要な課題の1つと位置付けており、すべてのステークホルダーに配慮しつつ、会社が健全に発展・成長していくため、常に最適な経営体制を整備し、機能させるよう取り組んでおります。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績等の概要 ①業績当連結会計年度の世界経済情勢は、保護主義的な政策の台頭が懸念されるものの、米国では雇用拡大や個人所得の改善に加え、設備投資にも持ち直しの動きが見られるなど、景気の回復基調が続いています。欧州では雇用環境の改善を受けた個人消費の好調さを背景に、安定した経済成長が継続したほか、中国は輸出の増加により景気が底堅く推移するなど、総じて緩やかな回復を示しました。当社が属するエレクトロニクス市場は、スマートフォン向けが中国市場で出荷台数が減少しているものの上位機種を中心に高機能化による1台当たりの部品数の増加が堅調に推移しています。さらにカーエレクトロニクス向けで自動車の環境対応や安全性の向上により、電装品の搭載数が飛躍的に増加し、部品需要が大幅に拡大しました。このように当社は伸びる市場に注力し、当連結会計年度の売上高は、2017年9月1日にソニー株式会社から取得が完了したリチウムイオン二次電池事業が加わったことや、為替変動(前連結会計年度比2円44銭の円安)の影響もあり、前連結会計年度比20.8%増の1,371,842百万円となりました。利益につきましては、原価低減の取り組みと新製品の継続的な投入を推し進めましたが、技術難度の高い新製品の立ち上げの遅れに伴う製造費用の増加や、新製品の生産拡大に係る建物および生産設備を中心とした減価償却費や、投資関連費用の増加などの減益要因により、営業利益は前連結会計年度比19.4%減の162,146百万円、税引前当期純利益は同16.3%減の167,801百万円、当社株主に帰属する当期純利益は同6.4%減の146,086百万円となりました。 事業別セグメントについては、コンポーネントは売上高が963,901百万円(前連結会計年度比20.8%増)で事業利益(※)が216,786百万円(同7.0%増)、モジュールは売上高が443,865百万円(同19.7%増)で事業損失が11,478百万円(前連結会計年度は39,512百万円の事業利益)、その他は売上高が86,042百万円(前連結会計年度比99.8%増)で事業利益が9,453百万円(同148.1%増)となりました。(※)「事業利益」は売上高から事業に直接帰属する費用を控除した利益であります。 当連結会計年度の製品別の売上高を前連結会計年度と比較した概況は、以下のとおりです。 〔コンデンサ〕この区分には、積層セラミックコンデンサなどが含まれます。当連結会計年度は、主力の積層セラミックコンデンサについて、通信機器向けがスマートフォンの新モデル向けに新製品が大きく増加したほか、カーエレクトロニクス向けが、自動車の電装化の進展で大きく増加するなど、幅広い用途において需要が拡大し、大幅に増加しました。その結果、コンデンサの売上高は、前連結会計年度に比べ21.7%増の449,801百万円となりました。 〔圧電製品〕この区分には、表面波フィルタ、発振子、圧電センサ、セラミックフィルタなどが含まれます。当連結会計年度は、中国スマートフォンの生産台数減少及び製品の価格下落の影響により、表面波フィルタが大きく減少しました。その結果、圧電製品の売上高は、前連結会計年度に比べ10.6%減の152,016百万円となりました。 〔その他コンポーネント〕この区分には、コイル、EMI除去フィルタ、コネクタ、センサ、サーミスタ、リチウムイオン二次電池などが含まれます。当連結会計年度は、カーエレクトロニクス向けでコイルやEMI除去フィルタ、MEMSセンサが伸長したほか、取得が完了したリチウムイオン二次電池が加わったことから、大きく増加しました。その結果、その他コンポーネントの売上高は、前連結会計年度に比べ45.0%増の322,332百万円となりました。 〔通信モジュール〕この区分には、近距離無線通信モジュール、多層モジュール、通信機器用モジュール、樹脂多層基板、多層デバイスなどが含まれます。当連結会計年度は、多層モジュール、通信機器用モジュールがハイエンドスマートフォン向けで特定顧客向けのシェア減少により振るいませんでしたが、近距離無線通信モジュールがスマートフォン向けやPC向け等で好調だったほか、樹脂多層基板がハイエンドスマートフォンの採用モデルでの員数増加により大きく伸長しました。その結果、通信モジュールの売上高は、前連結会計年度に比べ21.3%増の395,003百万円となりました。 〔電源他モジュール〕この区分には、電源などが含まれます。当連結会計年度は、電源がOA機器向けなどで増加しました。その結果、電源他モジュールの売上高は、前連結会計年度に比べ8.3%増の48,851百万円となりました。 ②キャッシュ・フロー<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加が47,268百万円、売上債権の増加が30,135百万円となりましたが、キャッシュ・フローの源泉となる当期純利益が146,052百万円、減価償却費が141,625百万円、仕入債務の増加が24,873百万円となったことなどにより、225,249百万円のキャッシュ・インとなりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ18,671百万円の減少となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、短期投資の減少が98,424百万円、有価証券及び投資項目の償還及び売却が57,131百万円となりましたが、設備投資が306,608百万円、事業の取得が33,648百万円、有価証券及び投資項目の購入が13,016百万円となったことなどにより、194,165百万円のキャッシュ・アウトとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ8,532百万円の増加となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが51,058百万円、短期借入金の減少が32,618百万円となったことなどにより、83,585百万円のキャッシュ・アウトとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ71,856百万円の減少となりました。 ③生産、受注及び販売の実績イ)生産実績 当連結会計年度の製品別の生産実績は、下表のとおりであります。 生産実績(2017年4月1日~2018年3月31日)金額(百万円)構成比(%)前連結会計 年度比(%) コンデンサ472,21633.228.0 圧電製品152,52710.7△14.3 その他コンポーネント343,68124.156.7 コンポーネント計968,42468.026.4 通信モジュール407,88628.628.8 電源他モジュール47,9953.46.4 モジュール計455,88132.026.0 計1,424,305100.026.3 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3.以下の製品別諸表については、主たる事業である電子部品並びにその関連製品の生産、受注及び販売の実績を記載しております。ソニー株式会社より譲渡された電池事業を当第2四半期連結会計期間より「その他コンポーネント」に含めたことから、その他コンポーネントの「生産実績」、「受注高」、「受注残高」及び「販売実績」が前連結会計年度比で、大幅な増加となりました。ロ)受注実績 当連結会計年度の製品別の受注高及び受注残高は、下表のとおりであります。 受注高(2017年4月1日~2018年3月31日)受注残高(2018年3月31日現在)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%)金額(百万円)構成比(%)前連結会計年度比(%) コンデンサ535,85936.534.9148,54253.3137.7 圧電製品153,15310.5△0.419,7917.16.1 その他コンポーネント336,07622.948.762,31922.4176.0 コンポーネント計1,025,08869.931.9230,65282.8122.4 通信モジュール390,74826.617.338,79413.9△9.9 電源他モジュール50,8303.510.19,0643.327.9 モジュール計441,57830.116.447,85817.2△4.5 計1,466,666100.026.8278,510100.081.0 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3.スマートフォン、カーエレクトロニクス向けを中心とした幅広い用途における電子部品の需要拡大により、コンデンサの「受注高」及び「受注残高」が前連結会計年度比で、大幅な増加となりました。 ハ)販売実績 当連結会計年度の製品別の販売実績は、下表のとおりであります。 販売実績(2017年4月1日~2018年3月31日)金額(百万円)構成比(%) 前連結会計 年度比(%) コンデンサ449,80132.921.7 圧電製品152,01611.1△10.6 その他コンポーネント322,33223.645.0 コンポーネント計924,14967.621.3 通信モジュール395,00328.921.3 電源他モジュール48,8513.58.3 モジュール計443,85432.419.7 計1,368,003100.020.8 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 (2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積 当社グループの連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。ただし、関連当事者情報については、連結財務諸表規則に従って開示しております。 連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債の計上金額、偶発資産・負債の開示情報及び収益・費用の計上金額に影響する見積や仮定を使用する必要があります。 当社グループは、連結財務諸表の作成において以下のものを重要な会計方針と考えておりますが、全ての会計方針の包括的な記載を目的としたものではありません。当社グループの重要な会計方針については連結財務諸表注記事項Ⅰに記載しております。 なお、当社グループを取り巻く環境や状況の変化により、これらの見積や仮定が実際の結果と異なる可能性があります。 イ)たな卸資産 当社グループは、たな卸資産の売却可能性や劣化度合いを定期的に見直しており、需要動向及び市況の変化に基づく過剰又は長期滞留や陳腐化を考慮して評価減を行っております。実際の需要動向又は市況が想定した見積より悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。 ロ)有価証券及び投資有価証券の減損 当社グループは、保有する株式及び債券について、公正価値が取得原価又は償却原価の一定割合以上下落又は一定期間継続して下落した場合に、価値の下落が一時的でないと判断し、減損処理を行っております。また、債券については一定期間を超えて未実現損失が発生した場合に、売却する予定、公正価値が償却原価まで回復する前に売却する必要性及び発行体の格付等を勘案し、減損処理の必要性を判断しております。発行体の経営状態が悪化した場合、もしくは市場において悪影響を与える事象が発生した場合には、追加の減損処理が必要となる可能性があります。 ハ)長期性資産の減損 当社グループは必要に応じて、保有又は使用中の長期性資産の帳簿価額と将来の見積キャッシュ・フローに基づき算定された公正価値とを比較し、長期性資産が減損したと判断した場合、当該資産の帳簿価額が公正価値を超える金額を減損額として計上しております。また、除却対象の長期性資産については、除却予定時期を期限として耐用年数の見直しを行い、売却予定の長期性資産については、見積売却価額に基づき減損額を計上しております。将来の見積キャッシュ・フロー、公正価値及び除却予定時期並びに見積売却価額の修正がなされた場合には、評価の結果が変わり利益を減少させる可能性があります。 ニ)のれん及びその他の無形資産 当社グループは、のれん及び耐用年数を見積もることができない無形資産は償却を行わず、年1回及びその帳簿価額が公正価値を上回るような状況の変化が生じた場合に減損テストを行うこととしております。また、耐用年数の見積可能な無形資産については、その見積耐用年数に亘って償却されますが、耐用年数が不確定であると判断した場合には償却を停止し、減損テストを行うこととしております。当該資産の公正価値は、当社グループが決定した事業計画に基づき、将来キャッシュ・フローを見積った上で算定されます。当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積は合理的であると考えておりますが、予測不能な要素により将来キャッシュ・フロー及び公正価値が当初の見積を下回った場合には、当該資産の減損処理が必要となる可能性があります。 ホ)退職給付 従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算を行う際に使用する基礎率に基づいて算出しております。基礎率には、割引率及び年金資産の長期運用利回りや、最新の統計データに基づく退職率・死亡率・昇給率が含まれます。割引率は長期国債の利回りを参考に決定しております。また、年金資産の長期運用利回りは、投資対象資産の資産区分ごとの将来収益に対する予測や過去の運用実績に加えて、長期国債の利回りなどを考慮して決定しております。基礎率の変更は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与えます。割引率の低下(上昇)は、退職給付債務を増加(減少)させ、数理計算上の差異の償却により翌期以降の退職給付費用を増加(減少)させます。また、年金資産の長期運用利回りの低下(上昇)は、期待運用収益の減少(増加)により退職給付費用を増加(減少)させます。へ)繰延税金資産 当社グループは、繰延税金資産について、その実現可能性を将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的なタックス・スケジュールを検討することで判断しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、相応の評価性引当金を計上しております。将来の利益計画が実現できないもしくは達成できない場合、又はその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性が低下した場合、利益を減少させる可能性があります。 ②当連結会計年度の経営成績等の分析イ)経営成績経営成績については、「第2事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要」をご参照下さい。 ロ)財政状態当連結会計年度末の総資産は、主に有形固定資産、たな卸資産、売掛金の増加、短期投資、現金及び預金の減少により、前連結会計年度末に比べ162,014百万円増加し、1,797,013百万円となりました。負債は、主に買掛金、未払費用及びその他の流動負債の増加、短期借入金の減少により前連結会計年度末に比べ60,132百万円増加し、339,797百万円となりました。資本は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ101,882百万円増加し、1,457,216百万円となりました。当連結会計年度末の株主資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント低下し81.1%となりました。 ハ)キャッシュ・フローの状況 キャッシュ・フローの状況については、「第2事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要」をご参照下さい。 ニ)資本の財源及び資金の流動性 当社グループでは、翌連結会計年度において340,000百万円の設備投資を計画しており、この設備投資及びその他の事業資金につきましては手許資金及び外部からの資金調達により対応します。 なお、当連結会計年度における借入金等の有利子負債の残高は14,487百万円となっております。また当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は187,910百万円となっております。
経営方針・経営戦略
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「新しい電子機器は新しい電子部品から、新しい電子部品は新しい材料から」の基本理念に基づき、基礎技術から次代の先端技術までを追求することで、独自の製品を開発・供給し、エレクトロニクス社会の発展に貢献することを目指しております。当社は、セラミック材料などの電子材料技術をはじめ、高周波技術、回路設計技術、薄膜・微細加工技術などのプロセス技術、生産設備の開発技術などの各種要素技術の研究開発に注力し、その成果を有機的に融合して、通信機器、情報・コンピュータ関連機器からカーエレクトロニクスに至る様々な電子機器に不可欠な積層セラミックコンデンサや圧電製品、ノイズ対策製品、高周波デバイス、回路モジュール等の電子部品の創出に努めております。 (2)目標とする経営指標①売上高年率5~10%の成長を目標とし、通信市場を中心とした既存事業の成長に加え、新たに注力していく市場での中長期的な売上拡大を図ってまいります。また新商品売上高比率40%を目標と定め、お客様への新たな価値提供を実現し、売上拡大を目指してまいります。 ②営業利益営業利益率20%以上(為替水準1米ドル=115円)を目標とし、1株当たりの当期利益額増加による企業価値の向上を目指してまいります。また投下資本利益率を向上させることで資本効率の向上を図ってまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略上記の経営目標実現に向け、以下の成長戦略を柱に取り組んでまいります。①通信市場での競争優位の追求モバイル通信機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、機器の高機能化による、電子部品の員数増加と新製品需要の増加に伴う高付加価値化が依然見込まれます。当社はシェアを維持するだけでなく、新たな付加価値を提供することで競争優位性を保ち拡大を図ってまいります。また、将来5G(第5世代移動通信システム)導入を見据えた高度な顧客ニーズを解決できる技術力、製品力の提供により更なる成長を目指します。 ②注力市場での事業拡大すでに事業実績のある自動車に加え、エネルギー、ヘルスケア・メディカル分野を今後当社が注力していく市場として、新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することにより、市場の多様化と成長を図ってまいります。注力市場へのアプローチとしては、参入シナリオを明確にしたうえで、ムラタらしさが発揮できるビジネスを展開してまいります。 ③更なる長期を見据えた市場開拓IoT(Internet of Things)社会に対する顧客ニーズが広がりを見せております。当社は拡大するニーズに対して、センサや通信技術を融合した新たな価値提供の実現に向けて取り組んでまいります。 (4)会社の経営環境と対処すべき課題世界のエレクトロニクス市場は、電子機器の高機能化・多機能化による需要に加え、スマートフォンを中心とした民生エレクトロニクス市場の世界的拡がりにより数量増が見込まれます。また、電装化が進展している自動車市場も確実な伸びが見込まれます。次の重点市場となりうるアプリケーションとしてエネルギー、ヘルスケア・メディカル分野にも電子部品の需要が着実に拡がっていくことが期待されます。これらの市場に対して、当社は、マーケティング・販売体制の強化や生産能力の拡充を進め、小型・薄型、高機能かつ高品質な製品を同業他社に先駆けて投入すること、あるいは新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、拡大する需要を確実に取り込んでまいります。また、市場の要求に基づく製品価格の値下がりに追随するために生産コストの引き下げに加えて、次期以降も継続して中国、タイ、マレーシア、フィリピンといった海外工場において生産の拡大を図り、コスト削減や為替変動リスク軽減を実現して企業価値の向上に努めてまいります。平成29年9月以降にソニー株式会社(以下、ソニー)からの譲渡取引完了を予定している電池事業につきましては、高い技術力とグローバルでの事業展開に経験と実績のあるソニーグループの電池事業を当社が継承し、本事業をエネルギー分野の中核事業にすえ、成長・拡大させる狙いです。企業の社会的責任への取り組みにつきましては、E (Environment=環境) 、S (Social=社会) 、G(Governance=企業統治) の3つの側面に配慮して事業を展開してまいります。コーポレートガバナンスにつきましては、経営上の最も重要な課題の1つと位置付けており、すべてのステークホルダーに配慮しつつ、会社が健全に発展・成長していくため、常に最適な経営体制を整備し、機能させるよう取り組んでおります。当社は、平成28年6月に「監査等委員会設置会社」に移行いたしました。より迅速な意思決定、機動的な業務執行を実現し、また取締役会の監督機能を一層強化するよう努めてまいります。
対処すべき課題
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「新しい電子機器は新しい電子部品から、新しい電子部品は新しい材料から」の基本理念に基づき、基礎技術から次代の先端技術までを追求することで、独自の製品を開発・供給し、エレクトロニクス社会の発展に貢献することを目指しております。当社は、セラミック材料などの電子材料技術をはじめ、高周波技術、回路設計技術、薄膜・微細加工技術などのプロセス技術、生産設備の開発技術などの各種要素技術の研究開発に注力し、その成果を有機的に融合して、通信機器、情報・コンピュータ関連機器からカーエレクトロニクスに至る様々な電子機器に不可欠な積層セラミックコンデンサや圧電製品、ノイズ対策製品、高周波デバイス、回路モジュール等の電子部品の創出に努めております。 (2)目標とする経営指標①売上高年率5~10%の成長を目標とし、通信市場を中心とした既存事業の成長に加え、新たに注力していく市場での中長期的な売上拡大を図ってまいります。また新商品売上高比率40%を目標と定め、お客様への新たな価値提供を実現し、売上拡大を目指してまいります。 ②営業利益営業利益率20%以上(為替水準1米ドル=115円)を目標とし、1株当たりの当期利益額増加による企業価値の向上を目指してまいります。また投下資本利益率を向上させることで資本効率の向上を図ってまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略上記の経営目標実現に向け、以下の成長戦略を柱に取り組んでまいります。①通信市場での競争優位の追求モバイル通信機器の生産台数の成長は鈍化傾向にありますが、機器の高機能化による、電子部品の員数増加と新製品需要の増加に伴う高付加価値化が依然見込まれます。当社はシェアを維持するだけでなく、新たな付加価値を提供することで競争優位性を保ち拡大を図ってまいります。また、将来5G(第5世代移動通信システム)導入を見据えた高度な顧客ニーズを解決できる技術力、製品力の提供により更なる成長を目指します。 ②注力市場での事業拡大すでに事業実績のある自動車に加え、エネルギー、ヘルスケア・メディカル分野を今後当社が注力していく市場として、新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することにより、市場の多様化と成長を図ってまいります。注力市場へのアプローチとしては、参入シナリオを明確にしたうえで、ムラタらしさが発揮できるビジネスを展開してまいります。 ③更なる長期を見据えた市場開拓IoT(Internet of Things)社会に対する顧客ニーズが広がりを見せております。当社は拡大するニーズに対して、センサや通信技術を融合した新たな価値提供の実現に向けて取り組んでまいります。 (4)会社の経営環境と対処すべき課題世界のエレクトロニクス市場は、電子機器の高機能化・多機能化による需要に加え、スマートフォンを中心とした民生エレクトロニクス市場の世界的拡がりにより数量増が見込まれます。また、電装化が進展している自動車市場も確実な伸びが見込まれます。次の重点市場となりうるアプリケーションとしてエネルギー、ヘルスケア・メディカル分野にも電子部品の需要が着実に拡がっていくことが期待されます。これらの市場に対して、当社は、マーケティング・販売体制の強化や生産能力の拡充を進め、小型・薄型、高機能かつ高品質な製品を同業他社に先駆けて投入すること、あるいは新たなビジネスモデルや顧客価値を創出することで、拡大する需要を確実に取り込んでまいります。また、市場の要求に基づく製品価格の値下がりに追随するために生産コストの引き下げに加えて、次期以降も継続して中国、タイ、マレーシア、フィリピンといった海外工場において生産の拡大を図り、コスト削減や為替変動リスク軽減を実現して企業価値の向上に努めてまいります。平成29年9月以降にソニー株式会社(以下、ソニー)からの譲渡取引完了を予定している電池事業につきましては、高い技術力とグローバルでの事業展開に経験と実績のあるソニーグループの電池事業を当社が継承し、本事業をエネルギー分野の中核事業にすえ、成長・拡大させる狙いです。企業の社会的責任への取り組みにつきましては、E (Environment=環境) 、S (Social=社会) 、G(Governance=企業統治) の3つの側面に配慮して事業を展開してまいります。コーポレートガバナンスにつきましては、経営上の最も重要な課題の1つと位置付けており、すべてのステークホルダーに配慮しつつ、会社が健全に発展・成長していくため、常に最適な経営体制を整備し、機能させるよう取り組んでおります。当社は、平成28年6月に「監査等委員会設置会社」に移行いたしました。より迅速な意思決定、機動的な業務執行を実現し、また取締役会の監督機能を一層強化するよう努めてまいります。