有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針企業の社会的ニーズ、社会の変化するスピード、そして企業を取り巻く諸環境に対する、当社グループの取り組み姿勢をより明確にするため、ミッションとして「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」、ビジョンとして「変化をとらえ、進化につなげる」、バリューとして「SPIRIT of Challenge」の3構成からなる当社グループの基本理念を2020年3月期に再構築しました。使命・存在意義であるミッションは「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えを持ち続けることが重要であると考え、「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」としました。近未来の姿であるビジョンについては、今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識することが重要であり、これまで以上に、「変化をとらえ、進化につなげる」企業にならなければならないとの思いを込めて定めました。そして、私達は、変化をとらえるために必要とするバリュー(価値観)を明確にし、それらのバリューを発揮することによって変化に対応していくことができると考えました。常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に「SPIRIT of Challenge」を当社グループのバリューとして掲げました。以下8項目がバリューの構成要素です。「Speed:迅速性」「Professionalism:専門性」「Integrity:高潔な倫理観」「Responsibility:当事者意識」「Imagination:想像力」「Toughness:タフネス」「Challenge:挑戦」「Leadership:リーダーシップ」これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業の積極的な展開に取り組むと共に、安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せて期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を測る手段として「フリーキャッシュ創造力(ROIC等)」を第一に考え、キャッシュフロー創造により増加した株主資本を分配するか次の成長のために再投資するかは都度判断し、「投資効率」も重視してまいります。また、資本コストと資本収益性の状況を分析し、資本コストを上回る収益性を確保できる収益構造の構築を目指してまいります。具体的には、中期ビジョン2028の最終年度2028年3月期において、ROE9%超、ROIC8%超を目指しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けております。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。当社グループは、祖業の金融事業中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業への参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業へ参画し、中期ビジョン2025の下、「総合エネルギー事業会社への変革」を目指してまいりました。その結果、定量目標は未達となりましたが、定性目標として事業基盤の変革と強化は実現しました。次期中期ビジョンである「中期ビジョン2028(Shift Up)」においても基本方針は変わることなく、「総合エネルギー事業会社」への歩みを進めてまいります。当社グループは、強みである再生可能エネルギー開発・運用、BPOサービス、電力トレード及びリスク管理ノウハウをフルに活かし、発電事業者、小売電気事業者、電力需要家等のあらゆるニーズに応える「エネルギートータルソリューションプロバイダー」としてさらに成長してまいります。2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画においては、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指していくことが打ち出されており、電力システム改革においても電力供給のさらなる安定化・自由化を目指すことがうたわれております。こうした施策は当社グループにとって追い風であることは間違いなく、市場価格をベースとした多様な電力価格の提供に強みを持つ当社グループは有利な位置にあると考えております。当社は事業・財務・非財務戦略の三位一体推進により、可能な限り早期にPBR1倍超を目指してまいります。また、従来より継続しております「事業の選択と集中」のさらなる推進と獲得キャッシュの成長投資と株主還元のバランスを考慮した分配を行ない、ガバナンスへの取り組みを一層強化しつつ電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させてまいります。 事業戦略:・「事業の選択と集中」のさらなる推進:成長が見込まれるセグメントに各種資本(財務、人的等)を集中 アセット・マネジメント事業廃止 ディーリング事業を段階的に縮小し、2年を目途に廃止 トレーディングノウハウを電力取引関連事業へ集約し、電力取引の差別化を実現・安定収益基盤の強化に向けた小売事業の拡充 財務戦略:・成長を支えるキャッシュアロケーション・株主還元方針: 配当性向30%以上、中期ビジョン2028の期間中においては1株当たり7.00円の配当を下限とすることを基本 非財務戦略:・ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理の強化・人財育成及び社内環境整備、人事施策上の定量目標設定 なお、2028年3月期の数値目標としては、以下を目標としております。連結営業収益:350億円、税金等調整前当期純利益(実質):8億円、ROE:9%以上 (4) 対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)①次世代マネジメント人材の育成とマネジメント継承について当社の取締役会は、高度な専門性を有する複数の社外取締役、業務執行取締役及び社外監査役にて構成しております。加えて、業務執行と業務執行状況の管理の分離、業務執行責任者の権限の拡大と結果責任の明確化、並びに経営判断に携わる人員育成・拡充等を目的として「委任型執行役員制度」を導入しております。今後の更なる事業拡大と企業価値の持続的な向上を実現していくためには、高い専門性と豊富な経験を備え、優れた人格を有するマネジメント人材を選抜・育成し、新しい経営体制を確立していくことが急務であると認識しております。本年度からスタートする中期ビジョン2028の初年度中に新たな経営を担うマネジメント人材を起用し、引継ぎを行いつつ次世代マネジメントへの移行を明確に進めてまいります。 ②電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダーに向けて当社グループは、祖業の金融事業に加え、そのノウハウを活かし、2012年度以降、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業を展開し、2021年3月期には既存ビジネスをさらに拡充するために小売事業(電力・ガス)を立ち上げました。2021年11月には、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする「中期ビジョン2025 事業の深化と進化」を策定し、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長に向けてグループ一丸となって取り組んでまいりました。しかしながら、2023年3月期、2024年3月期と一定の成果を積み上げてきたものの、最終年度の2025年3月期は誠に遺憾ながら、中期ビジョン2025の定量目標を達成することができませんでした。その一方、当初は赤字事業であった小売事業(電力・ガス)は2年連続の黒字となり、営業収益・セグメント利益ともに前年比増加することができました。再生可能エネルギー関連事業でも発電事業と発電所の維持管理に加え、系統用蓄電所やコーポレートPPAの開発によりこの2年間はセグメント黒字を達成できております。当社グループは、今一度「総合エネルギー事業会社」に向けて、当社の強みの洗い出しと何をすべきかを検討した結果、さらに非中核事業からの撤退(事業の選択と集中)を進め、その上で具体的には「電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダー」を目指していくことを決意しました。電力事業に関わる一事業者として、国の第7次エネルギー基本計画や電力システム改革の課題を解決すべく、良質な環境価値を生み出すベースロード電源である地熱発電の開発や大規模系統用蓄電所におけるAIを活用した市場予測等に基づく各種市場での取引業務、環境価値(再エネ価値)の取り扱いの拡大等を進め、顧客目線での付加価値に繋がる「なくてはならないビジネスパートナー」を目指します。 ③営業力の向上②を達成するために、当社グループは自社の持てる能力を顧客に届ける営業力に課題があると認識しております。そのため、現在の縦割りの営業体制を見直し、セグメントを横断した横連携の営業機能の強化に取り組み、「需要家、発電事業者まであらゆる場面でソリューションの提供を可能とするエネルギートータルソリューションプロバイダー」に向けて、顧客ニーズを取りこぼしすることのないよう、コミュニケーションの強化、データ分析、サービスの改善等に取り組んでまいります。 ④資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について2023年3月に東京証券取引所より、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請がなされました。資本コストや株価を意識した経営を実践する観点から、自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価に関して、取締役会で現状を分析・評価した上で、改善に向けた計画を策定・開示し、その後も投資者との対話の中で取り組みをアップデートする、といった一連の対応を継続的に実施することを求められております。当社においては、資本収益性等の分析を進めており、次期中期ビジョンにおいてROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を上回ることは当然のこと、各セグメントの分析も進め、収益性を高め、BSから見る経営を進めてまいります。 ⑤事業規模の拡大当社グループは、小規模ながら発電から小売までをグループ内でカバーしております。小売事業における電力販売量の増加は、小売事業と電力取引関連事業の収益増加へと繋がり、顧客数の増加は新たな顧客向けサービスのビジネスチャンスとなる等、当社グループの他の事業にも好影響を及ぼします。引き続き新規顧客の獲得と既存顧客の維持管理を並行して行い、事業規模の拡大を図ってまいります。 ⑥株主資本の充実と持続的な収益力の確保総合エネルギー事業を展開する当社グループにとって、事業規模の拡大には、株主資本を充実し企業体力を強化することと、持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度に応じた経営資源配分の最適化を図り、事業目標の進捗管理の強化と資本効率の向上が必要であると考えています。人財育成等を含め、人的資源の一層の活用を通じて収益力の向上に取り組んでまいります。また、継続的に経費構造を見直し、経費率の改善を同時に進めることも重要であると考えており、引き続きコスト削減を徹底してまいります。 ⑦効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化上記の課題の達成のためには、適材適所の人材配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が必要であると考えております。主に業務代行に関連して進められていたDXの推進は、他の分野でも活用してまいります。さらに、市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、当社グループの事業を取り巻くリスクは、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのものも発生し得ると考えられます。こうした事業を取り巻くリスクを迅速かつ的確に管理することの重要性を明確に認識し、不測の事態に備えたリスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。 ⑧サステナビリティに関する考え方及び取り組み当社グループは、環境・社会・経済という3つの観点において、持続可能な状態の実現に貢献するため、長期的に良好な企業活動を維持し続けることを、サステナビリティ経営として捉えております。当社は、この経営方針を推進するため、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、気候変動や人的資本をはじめとした重要課題や基本方針を特定・策定の上、そのリスク管理状況等について、同委員会より取締役会に報告を行う体制を構築しており、今後も継続的に機能を強化してまいります。 (その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)①再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国のエネルギー基本計画に鑑み、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を取り巻く環境としては、再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等により、依然として案件確保が容易ではない状況が続くと想定されます。こうした環境下、当社は、太陽光発電による売電収入、発電所の維持管理業務(O&M事業)に加え、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークの力を活用し、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開や系統用蓄電池所の開発、地熱発電の開発等に取り組んでおります。発電事業では、出力抑制が課されるエリアの増加や経済的出力抑制が営業収益に与える影響が大きくなっており、また各種保険料の増加もみられるため、引き続き業務効率化や経費の見直し等を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において掘削した生産井2本・還元井1本・貯留層のモニタリング用井戸1本から、発電事業に必要な能力を有するとした調査結果を得ております。追加容量を含めた全4.4MWの連系契約は時間をかなり要したものの当連結会計年度に完了し、事業化に向けて着実に前進していると考えております。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー関連事業の新たな中核の一つとなるよう、潜在的なリスク検証も含め、パートナー企業とともに取り組みを加速・拡大させてまいります。なお、昨今の物価上昇等による建設コストの増加を踏まえ、当社グループにとって最適なプロジェクト推進体制の見直しの検討も進めております。 ②電力取引関連事業における収益力強化電力取引関連事業は小売電気事業者向けの業務代行に加え、多様な電力調達ニーズに対応する電力の仕入・販売に注力してきた結果、収益基盤の強化が進んできております。事業を取り巻く環境は、取引参加者の増加に伴うマージンの低下傾向が見られ、厳しくなりつつありますが、サービスの質の向上やコストの見直し等の対策を講じ、収益の改善に努めてまいります。また、業務代行については、今後もAIを用いた電力の需要予測等、引き続き質の高いサービスにより顧客増を目指し、事業基盤の強化に貢献してまいります。さらに、系統用蓄電所の運転開始に伴い、当事業では、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引の業務を請け負います。当社にとって初めての取り組みとなるため、取引開始に向けて入念な準備をしてまいります。 ③小売事業における収益力強化当社グループは小売電気事業者を有するアストマックス・エネルギー株式会社を2020年4月に買収し、2022年3月期から小売電気事業を積極的に展開しております。2022年4月から販売を開始した低圧顧客向けの電力プラン「フリープラン」は、変動料金と固定料金を組み合わせることで、カスタムメイドな電気プランを実現できるプランであり、2022年夏からは特別高圧・高圧の法人顧客に対しても販売を開始しました。この時期は、大手電力会社が引き受けを停止し、電力プランが実質的に市場連動に切り替わることがアナウンスされたタイミングであり、当社の「フリープラン」に対する比較優位性があらためて認識され、2022年夏以降顧客数が大きく増加し、2024年3月期に初めて年間を通じてセグメント黒字となりました。2025年3月期も、引き続き顧客訪問をメインに、2024年4月から開始された容量拠出金制度や、固定価格と市場価格を組み合わせたハイブリッド・フリープラン、キャップ付きフリープランなどの商品の説明を行い、顧客の理解を深めていただく機会を設けました。低圧小売については新たなパートナー企業とともに送客のしくみを構築することで、顧客の増加を見込んでおります。2025年3月期の顧客数や電力の供給拠点数は年間を通じて横ばい傾向にあるものの、電力供給量は前年比増加し、営業費用の見直しもあってセグメント利益も増加しております。今後も様々な取り組みを通じて、サービスへの理解促進と更なる顧客の獲得に努め、一層の収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。また、コーポレートPPAや蓄電池の活用等を小売事業と連携させ、質の高いサービスの提供に取り組んでまいります。 ④ディーリング事業のノウハウを電力取引関連事業へ継承ディーリング事業は、近年、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりましたが、現状の取引市場規模は従来に比べ縮小傾向にあり、取引にかかるコストも海外を中心に年々上昇しております。そのため、事業間のシナジーや投下資本の効率等を改めて検討した結果、2年を目途にディーリング事業の規模を段階的に縮小し、トレーディング及びリスク管理ノウハウを電力取引関連事業に移行した上で最終的に廃止することを決定いたしました。これまで培ってきた取引に関する専門知識や経験等のノウハウを確実に継承してまいります。 ⑤コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業、小売事業を展開する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であることを強く認識しております。そのため役職員一人ひとりに高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めるとともに、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、研修を行う等継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑥セキュリティ対策当社グループでは、事業別に業務データのアクセス権を細かく設定するだけでなく、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を設けることで、情報漏洩のリスクを低減させる取り組みを行っております。さらに、役職員の高いセキュリティ意識が重要であるとの認識のもと、役職員全員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の意識の向上と啓発に努めてまいります。 ⑦IRの充実当社グループは、規模に比べセグメント数が多いことから、株主や投資家の皆様からそれぞれの事業が分かりにくいとのご意見をいただいておりましたが、非中核事業からの撤退を進め、事業を集約してまいりました。IRについては、月次での当社グループが保有する発電所の売電状況の開示、四半期決算の補足説明資料の公表、年に2回のオンライン決算説明会、年次の株主通信の充実、各種適時開示等を通じて、事業全体の関連性や状況をより分かりやすく可視化することに努めております。なお、2024年12月にはコーポレートサイト内に、サステナビリティに関する当社の考え方や取り組みを紹介するページを公開いたしました。今後もIRの一層の充実に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針企業の社会的ニーズ、社会の変化するスピード、そして企業を取り巻く諸環境に対する、当社グループの取り組み姿勢をより明確にするため、ミッションとして「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」、ビジョンとして「変化をとらえ、進化につなげる」、バリューとして「SPIRIT of Challenge」の3構成からなる当社グループの基本理念を2020年3月期に再構築しました。使命・存在意義であるミッションは「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えを持ち続けることが重要であると考え、「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」としました。近未来の姿であるビジョンについては、今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識することが重要であり、これまで以上に、「変化をとらえ、進化につなげる」企業にならなければならないとの思いを込めて定めました。そして、私達は、変化をとらえるために必要とするバリュー(価値観)を明確にし、それらのバリューを発揮することによって変化に対応していくことができると考えました。常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に「SPIRIT of Challenge」を当社グループのバリューとして掲げました。以下8項目がバリューの構成要素です。「Speed:迅速性」「Professionalism:専門性」「Integrity:高潔な倫理観」「Responsibility:当事者意識」「Imagination:想像力」「Toughness:タフネス」「Challenge:挑戦」「Leadership:リーダーシップ」これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業の積極的な展開に取り組むと共に、安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せて期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を測る手段として「フリーキャッシュ創造力(ROIC等)」を第一に考え、キャッシュフロー創造により増加した株主資本を分配するか次の成長のために再投資するかは都度判断し、「投資効率」も重視してまいります。また、資本コストと資本収益性の状況を分析し、資本コストを上回る収益性を確保できる収益構造の構築を目指してまいります。具体的には、中期ビジョン2028の最終年度2028年3月期において、ROE9%超、ROIC8%超を目指しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けております。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。当社グループは、祖業の金融事業中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業への参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業へ参画し、中期ビジョン2025の下、「総合エネルギー事業会社への変革」を目指してまいりました。その結果、定量目標は未達となりましたが、定性目標として事業基盤の変革と強化は実現しました。次期中期ビジョンである「中期ビジョン2028(Shift Up)」においても基本方針は変わることなく、「総合エネルギー事業会社」への歩みを進めてまいります。当社グループは、強みである再生可能エネルギー開発・運用、BPOサービス、電力トレード及びリスク管理ノウハウをフルに活かし、発電事業者、小売電気事業者、電力需要家等のあらゆるニーズに応える「エネルギートータルソリューションプロバイダー」としてさらに成長してまいります。2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画においては、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指していくことが打ち出されており、電力システム改革においても電力供給のさらなる安定化・自由化を目指すことがうたわれております。こうした施策は当社グループにとって追い風であることは間違いなく、市場価格をベースとした多様な電力価格の提供に強みを持つ当社グループは有利な位置にあると考えております。当社は事業・財務・非財務戦略の三位一体推進により、可能な限り早期にPBR1倍超を目指してまいります。また、従来より継続しております「事業の選択と集中」のさらなる推進と獲得キャッシュの成長投資と株主還元のバランスを考慮した分配を行ない、ガバナンスへの取り組みを一層強化しつつ電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させてまいります。 事業戦略:・「事業の選択と集中」のさらなる推進:成長が見込まれるセグメントに各種資本(財務、人的等)を集中 アセット・マネジメント事業廃止 ディーリング事業を段階的に縮小し、2年を目途に廃止 トレーディングノウハウを電力取引関連事業へ集約し、電力取引の差別化を実現・安定収益基盤の強化に向けた小売事業の拡充 財務戦略:・成長を支えるキャッシュアロケーション・株主還元方針: 配当性向30%以上、中期ビジョン2028の期間中においては1株当たり7.00円の配当を下限とすることを基本 非財務戦略:・ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理の強化・人財育成及び社内環境整備、人事施策上の定量目標設定 なお、2028年3月期の数値目標としては、以下を目標としております。連結営業収益:350億円、税金等調整前当期純利益(実質):8億円、ROE:9%以上 (4) 対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)①次世代マネジメント人材の育成とマネジメント継承について当社の取締役会は、高度な専門性を有する複数の社外取締役、業務執行取締役及び社外監査役にて構成しております。加えて、業務執行と業務執行状況の管理の分離、業務執行責任者の権限の拡大と結果責任の明確化、並びに経営判断に携わる人員育成・拡充等を目的として「委任型執行役員制度」を導入しております。今後の更なる事業拡大と企業価値の持続的な向上を実現していくためには、高い専門性と豊富な経験を備え、優れた人格を有するマネジメント人材を選抜・育成し、新しい経営体制を確立していくことが急務であると認識しております。本年度からスタートする中期ビジョン2028の初年度中に新たな経営を担うマネジメント人材を起用し、引継ぎを行いつつ次世代マネジメントへの移行を明確に進めてまいります。 ②電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダーに向けて当社グループは、祖業の金融事業に加え、そのノウハウを活かし、2012年度以降、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業を展開し、2021年3月期には既存ビジネスをさらに拡充するために小売事業(電力・ガス)を立ち上げました。2021年11月には、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする「中期ビジョン2025 事業の深化と進化」を策定し、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長に向けてグループ一丸となって取り組んでまいりました。しかしながら、2023年3月期、2024年3月期と一定の成果を積み上げてきたものの、最終年度の2025年3月期は誠に遺憾ながら、中期ビジョン2025の定量目標を達成することができませんでした。その一方、当初は赤字事業であった小売事業(電力・ガス)は2年連続の黒字となり、営業収益・セグメント利益ともに前年比増加することができました。再生可能エネルギー関連事業でも発電事業と発電所の維持管理に加え、系統用蓄電所やコーポレートPPAの開発によりこの2年間はセグメント黒字を達成できております。当社グループは、今一度「総合エネルギー事業会社」に向けて、当社の強みの洗い出しと何をすべきかを検討した結果、さらに非中核事業からの撤退(事業の選択と集中)を進め、その上で具体的には「電力需要家、発電事業者のあらゆるニーズに応えるエネルギートータルソリューションプロバイダー」を目指していくことを決意しました。電力事業に関わる一事業者として、国の第7次エネルギー基本計画や電力システム改革の課題を解決すべく、良質な環境価値を生み出すベースロード電源である地熱発電の開発や大規模系統用蓄電所におけるAIを活用した市場予測等に基づく各種市場での取引業務、環境価値(再エネ価値)の取り扱いの拡大等を進め、顧客目線での付加価値に繋がる「なくてはならないビジネスパートナー」を目指します。 ③営業力の向上②を達成するために、当社グループは自社の持てる能力を顧客に届ける営業力に課題があると認識しております。そのため、現在の縦割りの営業体制を見直し、セグメントを横断した横連携の営業機能の強化に取り組み、「需要家、発電事業者まであらゆる場面でソリューションの提供を可能とするエネルギートータルソリューションプロバイダー」に向けて、顧客ニーズを取りこぼしすることのないよう、コミュニケーションの強化、データ分析、サービスの改善等に取り組んでまいります。 ④資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について2023年3月に東京証券取引所より、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請がなされました。資本コストや株価を意識した経営を実践する観点から、自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価に関して、取締役会で現状を分析・評価した上で、改善に向けた計画を策定・開示し、その後も投資者との対話の中で取り組みをアップデートする、といった一連の対応を継続的に実施することを求められております。当社においては、資本収益性等の分析を進めており、次期中期ビジョンにおいてROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を上回ることは当然のこと、各セグメントの分析も進め、収益性を高め、BSから見る経営を進めてまいります。 ⑤事業規模の拡大当社グループは、小規模ながら発電から小売までをグループ内でカバーしております。小売事業における電力販売量の増加は、小売事業と電力取引関連事業の収益増加へと繋がり、顧客数の増加は新たな顧客向けサービスのビジネスチャンスとなる等、当社グループの他の事業にも好影響を及ぼします。引き続き新規顧客の獲得と既存顧客の維持管理を並行して行い、事業規模の拡大を図ってまいります。 ⑥株主資本の充実と持続的な収益力の確保総合エネルギー事業を展開する当社グループにとって、事業規模の拡大には、株主資本を充実し企業体力を強化することと、持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度に応じた経営資源配分の最適化を図り、事業目標の進捗管理の強化と資本効率の向上が必要であると考えています。人財育成等を含め、人的資源の一層の活用を通じて収益力の向上に取り組んでまいります。また、継続的に経費構造を見直し、経費率の改善を同時に進めることも重要であると考えており、引き続きコスト削減を徹底してまいります。 ⑦効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化上記の課題の達成のためには、適材適所の人材配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が必要であると考えております。主に業務代行に関連して進められていたDXの推進は、他の分野でも活用してまいります。さらに、市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、当社グループの事業を取り巻くリスクは、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのものも発生し得ると考えられます。こうした事業を取り巻くリスクを迅速かつ的確に管理することの重要性を明確に認識し、不測の事態に備えたリスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。 ⑧サステナビリティに関する考え方及び取り組み当社グループは、環境・社会・経済という3つの観点において、持続可能な状態の実現に貢献するため、長期的に良好な企業活動を維持し続けることを、サステナビリティ経営として捉えております。当社は、この経営方針を推進するため、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、気候変動や人的資本をはじめとした重要課題や基本方針を特定・策定の上、そのリスク管理状況等について、同委員会より取締役会に報告を行う体制を構築しており、今後も継続的に機能を強化してまいります。 (その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)①再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国のエネルギー基本計画に鑑み、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を取り巻く環境としては、再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等により、依然として案件確保が容易ではない状況が続くと想定されます。こうした環境下、当社は、太陽光発電による売電収入、発電所の維持管理業務(O&M事業)に加え、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークの力を活用し、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開や系統用蓄電池所の開発、地熱発電の開発等に取り組んでおります。発電事業では、出力抑制が課されるエリアの増加や経済的出力抑制が営業収益に与える影響が大きくなっており、また各種保険料の増加もみられるため、引き続き業務効率化や経費の見直し等を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において掘削した生産井2本・還元井1本・貯留層のモニタリング用井戸1本から、発電事業に必要な能力を有するとした調査結果を得ております。追加容量を含めた全4.4MWの連系契約は時間をかなり要したものの当連結会計年度に完了し、事業化に向けて着実に前進していると考えております。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー関連事業の新たな中核の一つとなるよう、潜在的なリスク検証も含め、パートナー企業とともに取り組みを加速・拡大させてまいります。なお、昨今の物価上昇等による建設コストの増加を踏まえ、当社グループにとって最適なプロジェクト推進体制の見直しの検討も進めております。 ②電力取引関連事業における収益力強化電力取引関連事業は小売電気事業者向けの業務代行に加え、多様な電力調達ニーズに対応する電力の仕入・販売に注力してきた結果、収益基盤の強化が進んできております。事業を取り巻く環境は、取引参加者の増加に伴うマージンの低下傾向が見られ、厳しくなりつつありますが、サービスの質の向上やコストの見直し等の対策を講じ、収益の改善に努めてまいります。また、業務代行については、今後もAIを用いた電力の需要予測等、引き続き質の高いサービスにより顧客増を目指し、事業基盤の強化に貢献してまいります。さらに、系統用蓄電所の運転開始に伴い、当事業では、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引の業務を請け負います。当社にとって初めての取り組みとなるため、取引開始に向けて入念な準備をしてまいります。 ③小売事業における収益力強化当社グループは小売電気事業者を有するアストマックス・エネルギー株式会社を2020年4月に買収し、2022年3月期から小売電気事業を積極的に展開しております。2022年4月から販売を開始した低圧顧客向けの電力プラン「フリープラン」は、変動料金と固定料金を組み合わせることで、カスタムメイドな電気プランを実現できるプランであり、2022年夏からは特別高圧・高圧の法人顧客に対しても販売を開始しました。この時期は、大手電力会社が引き受けを停止し、電力プランが実質的に市場連動に切り替わることがアナウンスされたタイミングであり、当社の「フリープラン」に対する比較優位性があらためて認識され、2022年夏以降顧客数が大きく増加し、2024年3月期に初めて年間を通じてセグメント黒字となりました。2025年3月期も、引き続き顧客訪問をメインに、2024年4月から開始された容量拠出金制度や、固定価格と市場価格を組み合わせたハイブリッド・フリープラン、キャップ付きフリープランなどの商品の説明を行い、顧客の理解を深めていただく機会を設けました。低圧小売については新たなパートナー企業とともに送客のしくみを構築することで、顧客の増加を見込んでおります。2025年3月期の顧客数や電力の供給拠点数は年間を通じて横ばい傾向にあるものの、電力供給量は前年比増加し、営業費用の見直しもあってセグメント利益も増加しております。今後も様々な取り組みを通じて、サービスへの理解促進と更なる顧客の獲得に努め、一層の収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。また、コーポレートPPAや蓄電池の活用等を小売事業と連携させ、質の高いサービスの提供に取り組んでまいります。 ④ディーリング事業のノウハウを電力取引関連事業へ継承ディーリング事業は、近年、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりましたが、現状の取引市場規模は従来に比べ縮小傾向にあり、取引にかかるコストも海外を中心に年々上昇しております。そのため、事業間のシナジーや投下資本の効率等を改めて検討した結果、2年を目途にディーリング事業の規模を段階的に縮小し、トレーディング及びリスク管理ノウハウを電力取引関連事業に移行した上で最終的に廃止することを決定いたしました。これまで培ってきた取引に関する専門知識や経験等のノウハウを確実に継承してまいります。 ⑤コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業、小売事業を展開する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であることを強く認識しております。そのため役職員一人ひとりに高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めるとともに、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、研修を行う等継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑥セキュリティ対策当社グループでは、事業別に業務データのアクセス権を細かく設定するだけでなく、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を設けることで、情報漏洩のリスクを低減させる取り組みを行っております。さらに、役職員の高いセキュリティ意識が重要であるとの認識のもと、役職員全員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の意識の向上と啓発に努めてまいります。 ⑦IRの充実当社グループは、規模に比べセグメント数が多いことから、株主や投資家の皆様からそれぞれの事業が分かりにくいとのご意見をいただいておりましたが、非中核事業からの撤退を進め、事業を集約してまいりました。IRについては、月次での当社グループが保有する発電所の売電状況の開示、四半期決算の補足説明資料の公表、年に2回のオンライン決算説明会、年次の株主通信の充実、各種適時開示等を通じて、事業全体の関連性や状況をより分かりやすく可視化することに努めております。なお、2024年12月にはコーポレートサイト内に、サステナビリティに関する当社の考え方や取り組みを紹介するページを公開いたしました。今後もIRの一層の充実に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当社グループは、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において創業以来培ってきたノウハウを活用し事業を展開しております。当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における我が国の経済状況は、所得・雇用環境の改善などを背景に社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調が継続していますが、物価高の長期化を受けて個人の消費財消費の動きは弱い状況となっています。さらに、トランプ新政権の発足、中東・ウクライナ情勢の長期化、海外経済や物価動向、日銀の金融政策、円相場の急激な変動など、内外の不確実性が高く、先行きには、引き続き十分な注視が必要です。 このような中、当社グループは、2021年11月に策定した3.5ヵ年計画の「中期ビジョン2025」の方針に則り、目標に掲げている「総合エネルギー事業会社への変革」に向けて、引き続き下記項目に取り組み、当連結会計年度においては2)及び3)を中心に進めてまいりました。 1) 事業構造と経営資源配分の見直しに着手2) 特別高圧・高圧市場の需要家向けマーケティングの更なる注力3) 系統用蓄電池の事業化のアレンジメント4) コア事業向けの資金調達等---------------------------------------------------------------------------------中期ビジョン2025:「事業の深化と進化」、「総合エネルギー事業会社への変革」優先して取り組む事項: 1. 『電力利用の新しい日常』を創造 2. 電気は『つくって、ためて、賢く使う』時代を先取り 3. 蓄電池を活用した事業・ビジネスの拡大 4. 地域電力設立の支援強化(地域脱炭素化の支援) 5. 小売電気事業者様向マネジメントサービス提供型ビジネスの一層の拡大2025年3月期における定量目標: 1. 連結営業収益 :200億円以上 2. 税金等調整前当期純利益:7億円以上 3. 一株当たり純資産額 :500円以上---------------------------------------------------------------------------------当連結会計年度は、中期ビジョン2025の最終年度であり、上記定量目標に向けてグループ一丸となって取り組んでまいりましたが、最終的に5事業のうち2事業がセグメント損失となり、3事業のセグメント利益で賄うことができず、全体としては前年比増収となったものの、誠に遺憾ながら最終赤字となり定量目標の2及び3を達成することができませんでした。最終赤字となった主な要因は、ディーリング事業において、第1四半期連結会計期間は順調に利益を計上した一方、裁定取引における市場の歪みが当社の想定を超えて拡大したことにより第4四半期連結会計期間において大幅な評価損失を計上し、通期の営業収益が辛うじてプラスになる水準にまで落ち込みました。また、電力取引関連事業において、後段の<2 電力取引関連事業>にて補足説明しているとおり、電力のヘッジ取引に係る押し上げ押し下げ要因(前連結会計年度は営業収益及びセグメント利益は198百万円押し上げられていましたが、当連結会計年度は104百万円押し下げられている)の変動に加え、電力取引の流動性を高めるため取引量を増加させたことにより営業収益が大幅に増加した一方、取引手数料の増加や取引当たりの収益性が低下し減益となったことが要因です。なお後段の<2 電力取引関連事業>にて補足説明しているとおり、当事業のセグメント損失は104百万円利益が押し下げられており、押し下げ要因を勘案した損益は3百万円のセグメント利益でした。他の3事業はそれぞれ前年比セグメント利益を増加させましたが、上記2事業のセグメント損失を補うことはできませんでした。当社グループは、事業間のシナジーやリソースの最適化等を改めて検討し、アセット・マネジメント事業は他のセグメントとの今後のビジネスシナジーが見込み難いと判断し、2025年3月末をもって廃止することとしました。さらにディーリング事業についても、事業間のシナジーや投下資本の効率等を改めて検討した結果、2年を目途にディーリング事業の規模を段階的に縮小し、最終的に廃止することを決定いたしました。この事業を通じて培ってきたトレーディングおよびリスク管理ノウハウは電力取引関連事業に移行し、同事業の一層の拡充に活かしてまいります。 (単位:百万円) 2024年3月期連結会計年度2025年3月期連結会計年度増減増減率(%)増減の主要因ほか営業収益14,85520,6665,81039.1①電力取引関連事業(+4,944)※2②再生可能エネルギー関連事業(△168)③小売事業(+1,273)④ディーリング事業(△247)⑤アセット・マネジメント事業(+9)営業費用14,17520,8436,66747.0①電力仕入の増加(+6,530)②支払手数料の増加(+20)③人件費関連(+40)④電算機費(+27)⑤減価償却費(+36)営業利益又は営業損失(△)679△176△856- 経常利益又は経常損失(△)512△146△658-①受取保険金の減少(△14)②投資有価証券売却益の増加(+151)③支払利息の増加(△18)④持分法による投資損失の減少(+63)特別利益1821213.3 特別損失319△22△69.4 税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(△)499△134△634- 法人税等合計(※1)619△51△83.8 非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失(△)△729- 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)445△146△592- ※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。※2 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。 セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。セグメント利益:再生可能エネルギー関連事業、小売事業、アセット・マネジメント事業セグメント損失:電力取引関連事業、ディーリング事業 (セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円) 2024年3月期連結会計年度2025年3月期連結会計年度増減増減率(%)再生可能エネルギー関連事業営業収益883739△144△16.3セグメント損益12613586.9電力取引関連事業(※1)営業収益8,15513,0524,89760.1セグメント損益382△101△483-小売事業営業収益5,5886,8611,27322.8セグメント損益1241583327.2アセット・マネジメント事業営業収益18619594.8セグメント損益33632838.4ディーリング事業営業収益33789△247△73.5セグメント損益△14△231△217-調整額営業収益△295△27223-セグメント損益△110△144△33-連結財務諸表計上額営業収益14,85520,6665,81039.1セグメント損益512△146△658- ※1 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。※2 セグメント損益は、当連結会計年度の経常損益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益及び特別損失は含んでおりません。 <1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は当社及びアストマックスえびの地熱株式会社が推進しており、当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針の下、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を通じて、再生可能エネルギーの導入加速と電力系統の安定化に貢献するとともに、カーボンニュートラルの実現、GXの推進に取り組んでまいります。 (太陽光発電事業)2024年4月末日に栃木県大田原市内に約2.1MWの太陽光発電所が完工、運転を開始し、当事業が関与した完工済みの案件は合計33.5MWとなりました。当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークに加え、小売事業部門と連携を取りながら潜在顧客の発掘とアプローチを行い、固定価格買取制度に頼らないFITモデルから非FIT又はFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでおります。なお、熊本県菊池市の太陽光発電所(約8.1MW)は、九州再生可能エネルギー投資事業有限責任組合(LPS)を通じて保有しており、当社グループの持分比率は50.04%でしたが、同組合の契約期間満了に伴い同組合が保有していた持分を取得したことにより、2025年1月22日付けで当社グループが同発電所の持分を100%保有することになりました。 自社開発:栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年4月完工。当社が維持・運営管理(O&M事業)を行っております。セカンダリー市場:該当ありません。新たな案件についても精査を行っております。ポートフォリオの入替:当連結会計年度に入替を実施した案件はありません。 維持・運営管理(O&M事業):当社が開発に携わった案件等20サイト、合計31.6MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。昨今の自然災害やケーブル盗難の増加に伴う保険料の上昇については、発電事業者様への説明を実施し、適正な価格転嫁の商談を進めております。なお、当社グループが所有及び管理している栃木県の発電所(あくとソーラーパーク)で2024年2月に発生した電気ケーブルの一部が切断された被害については、2024年8月上旬に復旧工事が完了いたしました。発電停止期間の休業補償は2025年1月に受領し、第4四半期連結会計期間に計上いたしました。コーポレートPPA事業:当社は北海道山越郡長万部町と包括連携協定を締結し、「持続可能な街づくりと脱炭素化・再生可能エネルギー推進を同時実現することを目的とした事業」を協同で推進しており本案件は2023年3月期末に運転開始済です。また、当社は株式会社熊谷組とコーポレートPPA事業の協業を開始いたしました。両社が匿名組合出資する合同会社ACEを事業主体とし、発電事業者としてPPA事業を展開いたします。2024年7月に静岡県富士宮市の民間企業とのPPA契約を締結し、2025年2月に運転開始いたしました。このほか、当社が匿名組合出資をしております合同会社GreenPowerでは、第2四半期連結会計期間に民間企業との間で4件の運転を開始しており、今後も案件受注に向けて取り組んでまいります。 (系統用蓄電池事業)当社は大和エナジー・インフラ株式会社、芙蓉総合リース株式会社が主体となり共同で匿名組合出資する合同会社DAXより、北海道札幌市内にて開発中の系統用蓄電池(定格出力50MW、定格容量100MWh)事業のオペレーターとして、運転開始前は本事業の工程管理及び運用準備業務を、運転開始後は蓄電所の運営、維持・管理、AIを活用した需給調整や市場予測等の機能を活用した電力取引の業務を請け負います。当該系統用蓄電所は2023年度に着工し、工程はスケジュールどおり進捗しており、2025年秋の運転開始を予定しております。また、当社で手掛けていた系統用蓄電池案件のうち1件をエリア分散の観点等から2024年12月に他社に譲渡したため、当連結会計年度において譲渡までのアレンジメント業務の対価に相当する151百万円の営業外収益(投資有価証券売却益)を計上いたしました。なお、引き続き他のエリアでの展開も検討しており、幾つかの案件について具体的な事業化に向けて取り組みを進めております。 (地熱発電事業等)当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016年度~2018年度に3本の調査井を掘削、その後計画規模を4~5MWに拡大し、2019年度助成事業として4本目の調査井を掘削いたしました。これら4坑井(生産井2本・還元井1本・貯留層のモニタリング用井戸1本)から、発電事業に必要な能力を有するとした調査結果を得ており、事業化に向けて取り組んでおります。当初より計画している2MW分については、2019年度に連系契約を完了しておりましたが、計画規模拡大後の追加容量については、度重なる制度改正等により手続きが非常に長期化しておりました。この間、連系時期の不確実性や物価上昇等による建設コストの増加に伴い、並行して送電容量の拡大等見直しを行った結果、全体の発電容量は5MW未満のままとする一方、送電容量を0.4MW拡大し、合計4.4MWの送電計画といたしました。追加容量を含めた全4.4MWの連系契約は当連結会計年度に完了し、現在は許認可手続き及び発電設備の工事契約等の準備を進めております。なお、運転開始時期は、上記のとおり度重なる制度改正や工事契約の納期等が長期化しているため、当初の予定より1年延長して2027年度を想定しております。 当社グループ所有の太陽光発電所が2024年4月に完工し売電を開始したことや、経済的出力制御(オンライン代理制御)による電力販売のマイナス調整負担が前年同期間比減少したこと等で、売電収入は前年同期間比増加しました。しかしながら前連結会計年度は系統用蓄電池事業開始に係るアレンジメント業務等により営業収益289百万円及び営業外費用60百万円を計上していたことから、当事業全体では営業収益は前年同期間比減少したものの、系統用蓄電池1案件の譲渡益(151百万円)や休業補償を営業外収益に計上したことからセグメント利益は前年同期間比増加いたしました。 以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は739百万円(前年同期間比144百万円(16.3%)の減少)、135百万円のセグメント利益(前年同期間比8百万円(6.9%)の増加)となりました。 <2 電力取引関連事業>当事業は、当社が推進し、①小売電気事業者向け電力取引及び電力小売顧客向け固定価格取引等の提供、②需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供等を行っております。①については、顧客毎の電力調達及びリスクヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。②については、既存顧客に対して安定したサービスの提供をしつつ、新規取引先の拡大を目指し、電力取引のリスク管理コンサルティング等を加え、顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。電力取引の増加及び多様化に伴い、リスク管理の重要性が高まっていることを踏まえ、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進し、変動率が高い相場展開の中、リスクを適切に抑制しながら取引を実行しております。当連結会計年度においては、電力取引の流動性を高めるため取引量を増加させたことにより営業収益が増加した一方、取引手数料の増加や取引当たりの収益性が低下し減益となったことに加えて、電力のヘッジ取引に係る押し上げ押し下げ要因(前連結会計年度は営業収益及びセグメント利益は198百万円押し上げられていましたが、当連結会計年度は104百万円押し下げられている)の変動によりセグメント損失となりました。 (当連結会計年度のヘッジ目的で行う電力先物取引による営業収益への影響)当連結会計年度末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3か月以上の期間のポジションは期末が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済損失148百万円(純額①-1)と、当連結会計年度末を越えて限月を迎える電力先物取引の時価評価益8百万円(純額①-2)は、当連結会計年度末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、純額では当連結会計年度の営業収益を押し下げ、電力取引関連事業のセグメント利益を減少させる要因となっております。一方、同様の理由で、当連結会計年度に受渡しが行われる電力現物先渡取引をヘッジする目的で行われた電力先物取引に係る前連結会計年度に認識された決済損失10百万円(純額②-1)及び時価評価損24百万円(純額②-2)は当連結会計年度の営業収益を押し上げ、電力取引関連事業のセグメント利益を増加させる要因となっております。上記①と②を総合すると、結果として当連結会計年度の営業収益とセグメント利益はそれぞれ合計104百万円(104=148(純額①-1)-8(純額①-2)-10(純額②-1)-24(純額②-2))押し下げられており、押し下げ要因を勘案した損益は3百万円のセグメント利益でした。なお、前連結会計年度(2024年3月期)の電力取引関連事業の営業収益とセグメント利益はそれぞれ合計198百万円押し上げられておりました。 以上の結果、電力取引関連事業の当連結会計年度の営業収益は13,052百万円(前年同期間比4,897百万円(60.1%)の増加)となりましたが、101百万円のセグメント損失(前年同期間は382百万円のセグメント利益)となりました。 前連結会計年度まで新機能開発部で行っていた、系統用蓄電池事業で使用するAIアルゴリズムの開発等は当事業にて取り進めております。これは、系統用蓄電所の運転開始後に、電力需給バランスの安定化と電力供給の効率化を図るために必要なもので、需給調整や電力関連市場予測及び入札価格や入札量の最適化等の機能にAIを活用します。系統用蓄電池事業は当社グループにおいても優先課題の一つとなっており、再生可能エネルギー関連事業部と連携しながら取り組んでおります。 <3 小売事業>当事業は、当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進し、当社は特別高圧・高圧市場の顧客へ電力販売を行い、AEKK社は個人を中心とする低圧市場の顧客へ電力とガスの販売を行っております。 (電力小売事業)特別高圧・高圧の電力市場では電力価格の高騰により、2022年秋より実質的な市場連動型料金に変更しております。こうした動きもあり、特別高圧・高圧電力市場では市場連動型料金体系が従来に比べ一般的になり、当社は2022年夏より特別高圧・高圧向け「フリープラン」の営業に注力してまいりました。その結果、同プランの優位性が認知され、撤退する事業者の顧客引受や媒介店からの流入を中心とした新規顧客が大幅に増加し、2023年5月には特別高圧・高圧の顧客数(請求単位)が500件を超える水準となりました。2023年度以降は、2022年度のような最終保障契約からの流入は一巡し、顧客数の増加は鈍化傾向ではありますが、市場価格をベースとした「フリープラン」の競争力は比較的優位な状況を維持できていると判断しております。2024年4月より開始した容量拠出金制度における負担転嫁を契機として、一部のお客様が他の小売電気事業者に切り替える動きが見られましたが、当社は従来より高圧のお客様に対して個別訪問やオンライン会議等を活用したニーズの把握に努め、使用電力量の分析やシミュレーション等の情報提供を通じて、当社サービスへの理解促進に努めており、新規顧客の獲得も徐々に進んでおります。結果として2025年3月末の特別高圧・高圧の顧客数(請求単位)は前連結会計年度末比横ばいの548件となりましたが、大口顧客の取引の増加や、猛暑による顧客の使用電力量増加により電力販売実績は前年同期間比増加いたしました。今後も一層のサービス向上と顧客獲得を目指してまいります。なお、特別高圧・高圧の顧客への供給量増加に対応し、その電力仕入に係る資金を安定的かつ機動的に調達することを目的に、新たに4金融機関を加え、コミットメント金額を10億円増額した都市銀行4行を含む8金融機関による総枠30億円のコミットメントライン契約を2024年9月に締結し、27百万円の資金調達費用を一時費用として計上しております。一方、低圧市場の事業環境は、2022年11月以降、みなし小売電気事業者から新電力への切替数が伸び悩む傾向にありましたが、2023年7月以降増加傾向に転じております。当事業では、2023年9月に低圧市場向け電力プランを「フリープラン」に一本化し、これにより一部既存顧客の契約解除もありましたが、一般的な固定単価の電気料金プランに対し、現在の市場環境においては当社のフリープランが比較優位にあるとの判断等から、高圧需要家からの低圧電力契約の引き合いが増加しました。また、販売強化策として、2024年8月からキャッシュバックキャンペーンを再開しました。さらに販売代理店拡充の一環として、2024年9月にポート株式会社と業務提携契約を締結し、12月よりポート社専用プランの販売を開始いたしました。ポート社を通じた販路拡大と当社サービスの認知度向上により、更なる顧客の獲得を目指して取り組んでまいります。 (ガス小売事業)AEKK社では株式会社グローバルエンジニアリングのガス小売取次店として電気とガスのセット販売を継続しております。 以上の結果、引き続き顧客への電力供給が安定的に行われ、年間供給量が前年比増加したことから、小売事業の当連結会計年度の営業収益は6,861百万円(前年同期間比1,273百万円(22.8%)の増加)となり、158百万円のセグメント利益(前年同期間比33百万円(27.2%)の増加)となりました。 <4 アセット・マネジメント事業>当事業は、当社とアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社。(以下「AFM社」)が推進し、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担うほか、2020年3月に運用開始した基金の安定運用のファンド、2022年10月に運用開始した学校法人東京理科大学が支援する再生可能エネルギーファンドの運用業務を行っておりました。再生可能エネルギーファンドにおいては、「地域の地産地消のための再エネ導入」を、産官学連携の力も活用して行うことを目指しており、また、第3四半期連結会計期間に開始した新たな大学発ベンチャーキャピタルファンドについても、AFM社が支援を行うこととなり、当事業の利益増加に寄与することとなりました。AFM社が営業者として運用しているファンドの運用資産は前年同期間比増加し、営業収益に計上する運用報酬額も前年同期間比増加していることから、2024年1月以降安定した利益を確保できる体制となっており、当連結会計年度も規模は小さいながらもセグメント黒字を継続いたしました。なお、冒頭に記載のとおり、事業間のシナジーやリソースの最適化等を改めて検討した結果、当事業は他のセグメントとの今後のビジネスシナジー効果が見込まれ難いと判断したため、当連結会計年度末をもって廃止し、AFM社は当社グループの連結対象外となりました。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は195百万円(前年同期間比9百万円(4.8%)の増加)となり、36百万円のセグメント利益(前年同期間比32百万円(838.4%)の増加)となりました。 <5 ディーリング事業>当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、TFX、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定による裁定取引を主に行っております。当連結会計年度のWTI原油市場は、原油需要伸び悩みへの警戒感、中東情勢などの地政学リスク等を受け、一進一退の動きの中で徐々に下落基調となり、NY金市場の価格は、最高値の更新を繰り返すなど高い水準で推移いたしました。当連結会計年度においては、第1四半期連結会計期間は順調に利益を計上した一方、裁定取引における市場の歪みが当社の想定を超えて拡大したことにより第4四半期連結会計期間において大幅な評価損失を計上し、通期の営業収益が辛うじてプラスになる水準にまで落ち込み、大幅なセグメント損失となりました。なお、当事業についても、事業間のシナジーや投下資本の効率等を改めて検討した結果、2年を目途にディーリング事業の規模を段階的に縮小し、トレーディング及びリスク管理ノウハウを電力取引に移行した上で最終的に廃止することを決定いたしました。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は89百万円(前年同期間比247百万円(73.5%)の減少)、231百万円のセグメント損失(前年同期間は14百万円のセグメント損失)となりました。 上記、セグメント損益は当連結会計年度の経常損益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,747百万円(前年同期間比25.1%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として差入保証金の増減額(△1,464百万円)、自己先物取引差金の増減額(1,365百万円)等により、△58百万円(前年同期は610百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出(△403百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出(△101百万円)、投資有価証券の売却による収入(450百万円)等により、△30百万円(前年同期は△515百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として非支配株主への払戻による支出(△626百万円)、社債の償還による支出(社債の発行による収入との純額は△340百万円)等により、△831百万円(前年同期は638百万円)となりました。 ③ 営業収益の状況a. 営業収益実績当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)前年同期比(%)再生可能エネルギー関連事業(千円)666,982△20.2電力取引関連事業(千円)12,855,67262.5小売事業(千円)6,858,92122.8アセット・マネジメント事業(千円)195,6614.8ディーリング事業(千円)89,441△73.5 合 計(千円)20,666,67839.1 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社東名2,758,23918.64,660,05922.5 b. 太陽光発電所発電量実績〔再生可能エネルギー関連事業〕以下の表は、当社グループが保有する太陽光発電所の発電実績を示したものです。 発電所数パネル出力(MW)発電量(kWh)(調整量を含む)オンライン代理制御(注2)調整電力量(kWh)CO2削減効果(kg-CO2)(調整量含)(注1)2024年4月513.0854,509△ 127,791469,9805月513.01,385,575△ 244,842762,0666月513.01,266,545△ 57,480696,6007月513.01,296,7970713,2388月513.01,580,6850869,3779月513.01,463,736△ 1,338805,05510月513.0984,502△ 23,211541,47611月513.0920,378△ 33,936506,20812月513.0931,733△ 16,754512,4532025年1月513.0983,850△ 48,659541,1182月513.01,150,925 633,0093月513.01,198,973 659,435合計--14,018,208△ 554,0117,710,014 (注) 1 環境省の制定する「CO2削減効果算定マニュアル」に基づき算出し、端数は四捨五入しています。 CO2排出係数(代替値):0.55kg-CO2/kWh(注) 2.オンライン代理制御とは、オンライン制御事業者がオフライン制御事業者の代わりに出力制御を行い、オフライン制御事業者がオンライン事業者に対価を支払う経済的出力制御のこと。オンライン代理制御による調整電力量はおよそ3か月後に判明します。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益20,666百万円(前期比5,810百万円の増加)、営業費用20,843百万円(前期比6,667百万円の増加)、営業損失は176百万円(前期は679百万円の営業利益)、経常損失は146百万円(前期は512百万円の経常利益)となりました。営業収益の増加は、小売電気事業の特別高圧・高圧向けの供給量増加に伴う売電収入の増加と電力取引関連事業で電力卸売取引が増加したことが主な要因です。また、営業費用の増加は、小売電気事業の供給量増加と電力取引関連事業の電力卸売取引増加に伴う電力仕入と支払い手数料の増加、加えて物価高による各種サービスの値上げや人員増に伴う人件費の増加が主な要因となっています。税金等調整前当期純損失は134百万円(前期は499百万円の税金等調整前当期純利益)、法人税等合計は9百万円(前期比51百万円の減少)、非支配株主に帰属する当期純利益は2百万円(前期は7百万円の非支配株主に帰属する当期純損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は146百万円(前期は445百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。なお、電力のヘッジ取引に係る押下げ要因(※)の影響を排除した実質の親会社株主に帰属する当期純損失は42百万円です。自己資本は2024年3月期末の5,426百万円から5,042百万円と384百万円減少しました。加えて、非支配株主持分の減少(541百万円)等もあり、純資産は5,042百万円となりました。 再生可能エネルギー関連事業では、当社グループ所有の太陽光発電所が2024年4月に完工し売電を開始したことや、経済的出力制御(オンライン代理制御)による電力販売のマイナス調整負担が前年同期間比減少したこと等で、売電収入は前年同期間比増加しました。しかしながら前連結会計年度は系統用蓄電池事業開始に係るアレンジメント業務等により営業収益289百万円及び営業外費用60百万円を計上していたことから、当事業全体の営業収益は前年同期間比減少しました。一方、営業費用については、従来より地熱開発を含む発電所の開発に係るコストを負担しており、また、O&M事業にかかる資材高、工賃の上昇、昨今の自然災害やケーブル盗難の増加に伴う保険料の上昇等のコスト負担増により増加いたしましたが、系統用蓄電池1案件の譲渡益(151百万円)や休業補償を営業外収益に計上したことからセグメント利益は前年同期間比8百万円増加の135百万円となりました。2014年度から着手している宮崎県えびの市における地熱発電事業は、匿名組合契約を締結いたしましたパートナー企業である大和エナジー・インフラ株式会社様とJFEエンジニアリング株式会社様と共に、引き続き協働しております。噴気試験等の結果を受けた発電規模の拡大後の追加容量については、度重なる制度改正等により手続きが非常に長期化しましたが、全ての連系契約は当連結会計年度に完了し、現在は許認可手続き及び発電設備の工事契約等の準備を進めております。なお、連系時期の遅れや物価上昇等による建設コストの増加もあり、送電容量の拡大等見直しを行った結果、全体の発電容量は5MW未満のままとする一方、送電容量を0.4MW拡大し、合計4.4MWの送電計画として契約しております。運転開始時期は、上記のとおり度重なる制度改正や工事契約の納期等が長期化しているため、当初の予定より1年延期して2027年度を想定しております。 電力取引関連事業では、当連結会計年度は、電力取引の流動性の向上を目的とした新規取引先の開拓を進め、取引量を増加させたことにより営業収益が大幅に増加した一方、取引手数料の増加や取引当たりの収益性が低下し減益となったことに加えて、電力のヘッジ取引に係る押し下げ要因(※)により101百万円のセグメント損失となりました。電力のヘッジ取引に係る押下げ要因(※)の影響を排除した実質は3百万円のセグメント利益でした。手数料の削減と競争力を高めるため取引先の変更に取り組む等、今後は、取引の“質”の向上につとめ、収益の改善を図ってまいります。※当事業の当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係るヘッジ目的で行う電力先物取引による影響の内容については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。 小売事業では、特高・高圧需要家様の顧客数(請求単位)が前期末の550件超から当連結会計年度末548件と横這いとなりましたが、大口顧客との取引が増加し、電力販売実績は前年同期間比8.5%増となりました。電力販売量の増加に加え、経費率改善に向けコスト削減に努めた結果、当事業の営業収益は前年比22.8%増加し、158百万円のセグメント利益となりました。更なる顧客獲得を目指し、引き続き積極的な事業展開を進めてまいりたいと考えております。 アセット・マネジメント事業は、「1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、事業間のシナジーやリソースの最適化、投下資本の効率性等を改めて検討した結果、他のセグメントとのシナジーが見込み難いと判断し、2025年3月末をもって廃止いたしました。 ディーリング事業は、第1四半期連結会計期間は順調に利益を確保できましたが、長期保有を目的とした裁定取引における先物市場の歪みが当社の想定を大幅に超えて拡大したことにより、第4四半期連結会計期間に大幅な評価損失を計上することとなりました。この結果、通期の営業収益が若干のプラスになる水準にまで落ち込み、大幅なセグメント損失となりました。当事業についても、「1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、事業間のシナジーや投下資本の効率性等を改めて検討した結果、今後2年間を目途に段階的に規模を縮小し、最終的に廃止することを決定いたしました。この事業を通じて培ってきたトレーディング及びリスク管理のノウハウは、今後は電力取引関連事業に確実に継承し、同事業の差別化要素の強化に活かしてまいります。なお、当該評価損失は、当社の各事業から創出される基礎的収益とは異なる一過性の損失と認識しており、当社グループの持続的な収益性には影響を及ぼすものではないと判断しております。 なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 また、財務の主要な指標による現状分析は以下のとおりです。PBR:0.6倍水準と1倍未満で推移ROE:ヘッジ損益補正後のROEは2年間5%強であったが、2025年3月期はマイナスROIC:2024年3月期にヘッジ損益補正後のROIC>WACC、2025年3月期にはROIC<WACCこれは、当社の損益は事業年度ごとの変動が大きいことに加え、成長戦略を十分に説明しきれておらず、また、バランスシートを意識した経営への取り組み開始が遅れたことも、要因であったと認識しております。 今後の対応策:・事業ポートフォリオの見直しによる資本効率の向上 ディーリング事業に投下していた資本を電力取引関連事業等の成長のために再配分・事業採算の分析強化 セグメント毎の投下資本配分の定期的な見直しを実施 業務効率の向上やコスト見直しにより、売上原価や販管費を削減・基礎収益性の向上:事業戦略の着実な推進と実現これらにより、WACCを上回るROICの水準を達成し、維持・向上させてまいります。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。(再生可能エネルギー関連事業)引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取り組みを継続するとともに、既存太陽光発電所の「FIP転+蓄電池」への転換を事業化、リパワリングに取り組むとともに、系統用蓄電池事業の取り組みに注力してまいります。並行して、電力の自家消費モデルを企業や、自治体へ展開していくことに取り組んでまいります。なお、同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載のとおり、過度な出力抑制や不測の事態が生じた場合は、同事業の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。 (電力取引関連事業)当事業においては、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が同事業の経営成績に影響を与える可能性があります。また、業務代行サービスを利用する顧客数及び顧客の取り扱う電力量や需給逼迫等による電力価格の高騰が経営成績に影響を与えることとなります。さらに、取引参加者の増加による市場競争環境の激化に伴って事業環境は厳しくなりつつあるものの、サービスの質の向上やコスト見直し等を通じ、収益性の向上を進めていきます。 (小売事業)当事業も、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が同事業の経営成績に影響を与える可能性があります。また、当事業では2022年秋以降、特高・高圧需要家様向けの販売が順調に伸びた後は2024年4月から容量拠出金制度の運用が開始したこともあり、顧客数は横這いの状況ですが、2026年3月期も、当社サービスの認知により更なる特高・高圧の顧客獲得に努めてまいりたいと考えております。しかしながら想定以上に顧客の解約が発生する場合は経営成績に影響を与えることとなります。 (ディーリング事業)当事業にとって、取引対象銘柄の出来高の大幅な減少や市場変動率の著しい低下(または、その反対に著しく急激な上昇)などの市場環境によって取引機会が減少する場合、同事業の業績は大きな影響を受ける可能性があります。2020年度に貴金属を中心とする銘柄は日本取引所へ移管が完了しましたが、東京商品取引所と大阪取引所の旧東京商品取引所銘柄を合算した日次出来高は前連結会計年度末の数字をやや上回る状況となっております。市場参加者の増加と市場流動性の向上を今後も期待するものの、市場参加者や市場の流動性が減少する場合は同事業の業績に影響を与える可能性があります。 経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。当期は中期ビジョン2025の最終年度であり、「総合エネルギー事業会社」への変革に向けて取り組んできた結果、定性目標として事業基盤の変革と強化は実現しましたが、定量目標は未達となりました。しかしながら、基本方針は次期中期ビジョンである「中期ビジョン2028(Shift Up)」においても変わることなく、さらにギアをもう一段上げていく思いで「Shift Up」というスローガンを掲げております。当社グループは、強みである再生可能エネルギー開発・運用、BPOサービス、電力トレード及びリスク管理ノウハウをフルに活かし、発電事業者、小売電気事業者、電力需要家等のあらゆるニーズに応える「エネルギートータルソリューションプロバイダー」としてさらに成長いたします。2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画においては、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指していくことが打ち出されており、電力システム改革においても電力供給のさらなる安定化・自由化を目指すことがうたわれております。こうした施策は当社グループにとって追い風であることは間違いなく、市場価格をベースとした電力価格での提供に強みを持つ当社グループは有利な位置にあると思っております。当社は事業・財務・非財務の戦略の三位一体推進により、まずはPBR1倍超を目指してまいります。また、従来より続けております「事業の選択と集中」のさらなる推進、獲得キャッシュの成長投資と株主還元のバランスを考えた分配を行ない、ガバナンスの強化をもって取り組んでまいります。 現状認識に対する具体的な対応策は、「1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(3) 中長期的な会社の経営戦略」及び「4 「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。 一方、当社の各事業に関連する事業の成果は、内外の金融商品市場、電力関連市場及び商品先物市場等の動向の影響のほか、電力システムを取り巻く環境は、新たな市場や新制度の導入が諸々予定されており、注視が必要です。想定と異なる動きやそもそもの動きが想定できない可能性もあり、それらの影響を大きく受ける可能性があります。このため、これらの市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力することは以前にも増して重要となっております。業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。 ② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(資産、負債及び純資産の状況)当連結会計年度における総資産は、主に差入保証金の増加(1,473百万円)、営業未収入金の増加(450百万円)等により、14,961百万円(前年同期比4.7%増)となりました。 負債は、主に自己先物取引差金の増加(1,176百万円)、営業未払金の増加(411百万円)等により、9,919百万円(前年同期比19.1%増)となりました。 純資産は、主に非支配株主持分の減少(541百万円)等により、5,042百万円(前年同期比15.5%減)となりました。(キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,747百万円(前年同期間比25.1%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として差入保証金の増減額(△1,464百万円)、自己先物取引差金の増減額(1,365百万円)等により、△58百万円(前年同期は610百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出(△403百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出(△101百万円)、投資有価証券の売却による収入(450百万円)等により、△30百万円(前年同期は△515百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として非支配株主への払戻による支出(△626百万円)、社債の償還による支出(社債の発行による収入との純額は△340百万円)等により、△831百万円(前年同期は638百万円)となりました。 再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野に入れております。電力小売事業における資金需要については、手元流動性に加え、銀行借入れにより確保しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 (減損の認識)当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。また、地熱発電開発事業に係る固定資産の評価に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針企業の社会的ニーズ、社会の変化するスピード、そして企業を取り巻く諸環境に対して、当社グループの取り組み姿勢をより明確にするため、当社グループの基本理念は、ミッションとして「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」、ビジョンとして「変化をとらえ、進化につなげる」、バリューとして「SPIRIT of Challenge」の3構成として2020年3月期に再構築しました。使命・存在意義であるミッションは「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えを持ち続けることが重要であると考え、「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」としました。近未来の姿であるビジョンについては、今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識することが重要であり、これまで以上に、「変化をとらえ、進化につなげる」企業にならなければならないとの思いを込めて定めました。そして、私達は、変化をとらえるために必要とするバリュー(価値観)を明確にし、それらのバリューを発揮することによって変化に対応していくことができると考えました。常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に「SPIRIT of Challenge」を当社グループのバリューとして掲げました。以下8項目がバリューの構成要素です。「Speed:迅速性」「Professionalism:専門性」「Integrity:高潔な倫理観」「Responsibility:当事者意識」「Imagination:想像力」「Toughness:タフネス」「Challenge:挑戦」「Leadership:リーダーシップ」これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業と金融事業の積極的な展開に取り組むと共に、安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せて期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を測る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、1株当たりの純資産の増加を目指し、加えて「フリーキャッシュ創造力」及び「投資効率」についても重視してまいります。また、資本コストと資本収益性の状況を分析し、資本コストを上回る収益性を確保できる収益構造の構築を目指してまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けております。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。当社グループは、創業から続くアセット・マネジメント事業とディーリング事業による資産運用中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、さらに2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業への参画等により、「総合エネルギー事業会社」を目指してまいりました。事業及び社会環境、ビジネスモデル、技術等の変化のスピードは従来にも増して加速化しており、当社グループは、電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させていく所存であります。加えて、当社は、持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者にならなければなりません。そのためには当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、必要な外部パートナーとの提携等をより広げ、システム人財・IT人財の確保、プラットフォームの確立に向け、経営資源を集中する必要があると考えております。これらを具体的に進めるにあたり、当社グループは、「(4)対処すべき課題 ①新たな事業への挑戦と事業モデルの構築」に記載のとおり「中期ビジョン2025」を策定しております。 (4) 対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 新たな事業への挑戦と事業モデルの構築当社グループは、祖業のアセット・マネジメント事業、ディーリング事業に加え、そのノウハウを活かし2012年度以降、再生可能エネルギー関連事業や電力取引関連事業を展開しております。2021年3月期には既存ビジネスをさらに拡充するために小売事業(電力・ガス)を立ち上げましたが、今後も社会の変化のスピードに遅れることなく、社会的要請及び時代の方向性に即するために、一歩先の動きを見据えた事業展開をさらに進めていく必要があると考えております。これを実現するために、当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする「中期ビジョン2025 事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎えた当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。 優先して取り組む事項は以下の6項目です。 1. 『電力利用の新しい日常』を創造 2. 電気は『つくって、ためて、賢く使う』時代を先取り 3. 蓄電池を活用した事業・ビジネスの拡大 4. 地域電力設立の支援強化(地域脱炭素化の支援) 5. 小売電気事業者様向けマネジメントサービス提供型ビジネスの一層の拡大 6. ファンド等を活用した資金調達による再生可能エネルギーや蓄電池など脱炭素 (カーボンニュートラル)社会に向けたインフラ投資の推進(6.については2024年3月期の期首より、事業環境に鑑み「優先して取り組む事項」から除外いたしました) これらの取り組みを推進するにあたり、所有する資産から収益を得るアセット型事業から電力に係る需給管理やリスク管理等各種マネジメントやオペレーションにより収益を得るノンアセット型の事業により重心を移していくことを指向しております。とりわけ、蓄電池については、脱炭素社会に向けて急速に拡大する再生可能エネルギーを効果的に活用するために重要な分野と認識しており、2021年2月より大型蓄電池を用いたエネルギーマネジメントサービスの提供を開始しております。これらマネジメント/オペレーションサービスの確立及び継続的発展のためには、現行の電力関連事業(再生可能エネルギー関連、電力取引関連、小売)で培いつつあるノウハウはもとより、これまでディーリング事業で培ってきたトレーディングや各種マネジメント等に係るノウハウや、アセット・マネジメント事業で培ってきたアセットオーナーとのコミュニケーション、新規事業投資等に係るノウハウを最大限活用するとともに、資金調達手段の多様化を図り、より一層のAIの活用等によるDXの推進や、人的資本投資の拡充に取り組んでいくことが必要であると考えております。なお、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定しております。 ② 事業規模の拡大当社グループは、当社グループのエネルギー事業に係る事業領域を、電力サプライチェーン全体に広げ、より機能的なサービスの提供と収益機会の開拓を図ることを目的に、2020年より小売事業(電力・ガス)に参入しております。当社グループが「総合エネルギー事業」を目指す過程においては、小売電気事業の環境変化により、2022年夏以降、小売電気事業の「特別高圧・高圧」の当社の顧客契約数は増加傾向にあります。電力販売量の増加は電力仕入の増加へと繋がり、顧客数の増加は新たな顧客向けサービスのビジネスチャンスとなる等、当社グループの他の事業にも好影響を及ぼします。引き続き新規顧客の獲得と既存顧客の維持管理を並行して行い、事業規模の拡大を図ってまいります。 ③ 株主資本の充実と持続的な収益力の確保総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において蓄積したノウハウを活用しつつ、事業展開を進めている当社グループにとって、事業規模の拡大と今後の新しい事業モデルを構築するためには、株主資本を充実させ企業体力を強化させることと持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度を重視し、各セグメントに対する経営資源配分の最適化を図り、事業目標の進捗管理の強化と資金効率をさらに向上させることが必要であると考えています。人財育成等を含め、人的資源の一層の活用を通じて収益力の向上に取り組んでまいります。また、継続的に経費構造を見直し、経費率の改善を同時に進めることも重要であると考えており、引き続きコスト削減を徹底してまいります。 ④ 効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化上記の目標達成のためには、適材適所の人財配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が必要であると考えております。特にDXを推進する上では、システム人財の拡充が課題であると認識しており、外部登用や社内の人財活用も含め積極的に取り組んでまいります。さらに、市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、当社グループの事業を取り巻くリスクは、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのものも発生しうると考えられます。こうした事業を取り巻くリスクを迅速かつ的確に管理することの重要性を明確に認識し、不測の事態に備えたリスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。 ⑤ サステナビリティに関する考え方及び取組当社グループは、環境・社会・経済という3つの観点において、持続可能な状態の実現に貢献するため、長期的に良好な企業活動を維持し続けることを、サステナビリティ経営として捉えております。当社は、この経営方針を推進するため、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、企業が継続するための課題を分析し、気候変動や人的資本を始めとしたグループ全体の重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティに関する方針を策定するとともに各課題について全社的な取り組みを推進します。取り組み状況やリスク管理状況等については、同委員会より取締役会に報告を行う体制となっております。詳細は、後掲の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国のエネルギー基本計画に鑑み、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を取り巻く環境としては、再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない状況が引き続き継続することが想定されます。こうした環境下、当社は、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークの力を活用し、固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開にも取り組んでおります。固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保し、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換を図りながら、事業採算性の向上に取り組んでまいります。その一方で、全国的に太陽光発電設備が増加したことにより、九州地方において春や秋等電力をあまり必要としない時期に出力抑制が課される事態が増加してきており、2022年4月に入ってからは従来出力抑制が実施されていなかった他のエリアにおいても出力抑制が課せられております。また、2022年12月からは九州地方において経済的出力抑制の制度もスタートしております。当社グループはこれまで以上に出力抑制が実施される可能性を十分に認識し、業務効率化や経費見直し等を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において調査井4本の掘削が完了し、そのうち3ヵ所において自噴を確認しており、事業化に向けて着実に前進していると考えております。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー関連事業の新たな中核の一つとなるよう、潜在的なリスク検証も含め、パートナー企業とともに取り組みを加速・拡大させてまいります。なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、現行制度においては空き容量が無い状態が続いておりますが、2023年4月1日よりローカル系統におけるノンファーム型接続の受付が開始されるなど、系統利用の在り方については制度変更を含め様々な議論が進められているため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。 ② 電力取引関連事業における収益力強化電力取引関連事業においては小売電気事業者向けの業務代行の受注に加え、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するため電力の仕入・販売に注力してきた結果、着実に当社の収益基盤として成長してきております。しかしながら、事業をとりまく環境は2021年1月の電力需給ひっ迫に加え、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻等によりエネルギー価格が高騰し、電力の仕入価格が販売価格を上回る状況が断続的に発生する等、当社の重要顧客である小売電気事業者にとっては厳しい事業環境となりました。当社といたしましては、AIを用いた電力の需要予測等、質の高いサービスと独自のネットワークを武器として引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、一層の収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。 ③ 小売事業の事業基盤の確立当社グループは小売電気事業者を有するAEKK社を2020年4月に買収し、2022年3月期から小売電気事業を積極的に展開しております。しかしながら、前述のとおり、小売電気事業者を取り巻く環境は厳しい状況に変化しており、AEKK社も事業計画の見直しを行っております。このような状況の中、2022年4月から販売を開始した低圧顧客向けの電力プラン「フリープラン」は、電力の価格を変動料金と固定料金を組み合わせ、カスタムメイドな電気プランを実現できるプランであり、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに関心のある顧客に適しております。フリープランとともに家庭の家電制御とデマンドレスポンスへの対応を可能とするデバイスのモニターサービスも2022年冬から開始しており、これらを組み合わせて使用することで、小売事業の付加価値を高めていきたいと考えております。高圧及び特別高圧の法人顧客に対しては、大手電力会社が引き受けを停止し、電力プランが実質的に市場連動に切り替わることがアナウンスされたこともあり、当社の「フリープラン」に対する比較優位性があらためて認識され、2022年夏以降顧客数が大きく増加しております。さらなる顧客の獲得に加え、コーポレートPPAや蓄電池の活用等を小売事業とも連携させ、質の高いサービスを提供してまいりたいと考えております。 ④ アセット・マネジメント事業の収益基盤の拡充当事業を主として推進しているアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社では、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しております。運用対象が拡大するに伴い、この運用業務を適切に行うとともに、ベンチャーキャピタルファンドについては、投資先企業の成長にも寄与できるよう、引き続き努力を継続してまいります。なお、当社グループのアセット・マネジメント事業を主として担っていたPayPayアセットマネジメント株式会社は、2度の株式譲渡を経て2020年3月期より当社の持分法適用関連会社となって以降、税引後当期純損益のうち当社の持分49.9%相当を営業外損失としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に反映しておりましたが、2022年8月に残る全株式を譲渡したことに伴い、持分法適用関連会社から除外されました。 ⑤ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めない一方、取引にかかるコストは海外を中心に年々上昇していることから、引き続き管理部門の業務効率化やコストコントロールを積極的に行ってまいります。2020年度には原油と石油製品を除く商品先物が東京商品取引所から日本取引所グループ傘下の大阪取引所に移され、総合取引所が発足しましたが、期待した程の参加者の増加は未だ見受けられないものの、当社グループの得意とするリスク管理手法を用いて収益の最大化、利益率及び資本効率の向上を目指して事業展開を行ってまいります。 ⑥ 新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を受けて新型コロナウイルス感染症の感染拡大は約3年となり収束の目途も立ってきましたが、その間、業務システム導入等によるIT化やデジタル化を進めた結果、ニューノーマルな生活や勤務体制が一般化しました。在宅勤務の利便性が確認できたと共に、リアルな時間や場所を共有できないことに伴う弊害についてもあらためて認識しつつ、アフターコロナの時代において、ハイブリッドな勤務体制を維持しつつ、当社の全てのステークホルダーにとっての最適解を導くべく、今後も様々な施策にトライしてまいります。また、今後起こりうる別種のウイルス等による感染拡大や自然災害に対しての想定も必要になってくるものと考えております。 ⑦ コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業、小売事業、アセット・マネジメント事業を展開している当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めるとともに、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、研修を行う等継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑧ セキュリティ対策当社グループでは、事業別に業務上の全てのデータにアクセス権を設定するだけでなく、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を施すことで、情報漏洩のリスクを低減させる取り組みを行っております。その上で、役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、役職員全員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。 ⑨ IRの充実当社グループの事業は複数で構成されているため、既存株主様や投資家からそれぞれの事業が分かり難いとのご意見をいただいております。IRについては、月次開示(当社グループが保有する発電所の売電状況)、四半期決算の補足説明資料開示、年に2回のオンライン決算説明会、年次の株主通信の充実や、各種適時開示等にて、事業全体の関連性及び状態をより分かり易く可視化に努めております。今後もIRの一層の充実に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針企業の社会的ニーズ、社会の変化するスピード、そして企業を取り巻く諸環境に対して、当社グループの取り組み姿勢をより明確にするため、当社グループの基本理念は、ミッションとして「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」、ビジョンとして「変化をとらえ、進化につなげる」、バリューとして「SPIRIT of Challenge」の3構成として2020年3月期に再構築しました。使命・存在意義であるミッションは「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えを持ち続けることが重要であると考え、「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」としました。近未来の姿であるビジョンについては、今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識することが重要であり、これまで以上に、「変化をとらえ、進化につなげる」企業にならなければならないとの思いを込めて定めました。そして、私達は、変化をとらえるために必要とするバリュー(価値観)を明確にし、それらのバリューを発揮することによって変化に対応していくことができると考えました。常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に「SPIRIT of Challenge」を当社グループのバリューとして掲げました。以下8項目がバリューの構成要素です。「Speed:迅速性」「Professionalism:専門性」「Integrity:高潔な倫理観」「Responsibility:当事者意識」「Imagination:想像力」「Toughness:タフネス」「Challenge:挑戦」「Leadership:リーダーシップ」これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業と金融事業の積極的な展開に取り組むと共に、安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せて期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を測る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、1株当たりの純資産の増加を目指し、加えて「フリーキャッシュ創造力」及び「投資効率」についても重視してまいります。また、資本コストと資本収益性の状況を分析し、資本コストを上回る収益性を確保できる収益構造の構築を目指してまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けております。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。当社グループは、創業から続くアセット・マネジメント事業とディーリング事業による資産運用中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、さらに2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業への参画等により、「総合エネルギー事業会社」を目指してまいりました。事業及び社会環境、ビジネスモデル、技術等の変化のスピードは従来にも増して加速化しており、当社グループは、電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させていく所存であります。加えて、当社は、持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者にならなければなりません。そのためには当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、必要な外部パートナーとの提携等をより広げ、システム人財・IT人財の確保、プラットフォームの確立に向け、経営資源を集中する必要があると考えております。これらを具体的に進めるにあたり、当社グループは、「(4)対処すべき課題 ①新たな事業への挑戦と事業モデルの構築」に記載のとおり「中期ビジョン2025」を策定しております。 (4) 対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 新たな事業への挑戦と事業モデルの構築当社グループは、祖業のアセット・マネジメント事業、ディーリング事業に加え、そのノウハウを活かし2012年度以降、再生可能エネルギー関連事業や電力取引関連事業を展開しております。2021年3月期には既存ビジネスをさらに拡充するために小売事業(電力・ガス)を立ち上げましたが、今後も社会の変化のスピードに遅れることなく、社会的要請及び時代の方向性に即するために、一歩先の動きを見据えた事業展開をさらに進めていく必要があると考えております。これを実現するために、当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする「中期ビジョン2025 事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎えた当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。 優先して取り組む事項は以下の6項目です。 1. 『電力利用の新しい日常』を創造 2. 電気は『つくって、ためて、賢く使う』時代を先取り 3. 蓄電池を活用した事業・ビジネスの拡大 4. 地域電力設立の支援強化(地域脱炭素化の支援) 5. 小売電気事業者様向けマネジメントサービス提供型ビジネスの一層の拡大 6. ファンド等を活用した資金調達による再生可能エネルギーや蓄電池など脱炭素 (カーボンニュートラル)社会に向けたインフラ投資の推進(6.については2024年3月期の期首より、事業環境に鑑み「優先して取り組む事項」から除外いたしました) これらの取り組みを推進するにあたり、所有する資産から収益を得るアセット型事業から電力に係る需給管理やリスク管理等各種マネジメントやオペレーションにより収益を得るノンアセット型の事業により重心を移していくことを指向しております。とりわけ、蓄電池については、脱炭素社会に向けて急速に拡大する再生可能エネルギーを効果的に活用するために重要な分野と認識しており、2021年2月より大型蓄電池を用いたエネルギーマネジメントサービスの提供を開始しております。これらマネジメント/オペレーションサービスの確立及び継続的発展のためには、現行の電力関連事業(再生可能エネルギー関連、電力取引関連、小売)で培いつつあるノウハウはもとより、これまでディーリング事業で培ってきたトレーディングや各種マネジメント等に係るノウハウや、アセット・マネジメント事業で培ってきたアセットオーナーとのコミュニケーション、新規事業投資等に係るノウハウを最大限活用するとともに、資金調達手段の多様化を図り、より一層のAIの活用等によるDXの推進や、人的資本投資の拡充に取り組んでいくことが必要であると考えております。なお、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定しております。 ② 事業規模の拡大当社グループは、当社グループのエネルギー事業に係る事業領域を、電力サプライチェーン全体に広げ、より機能的なサービスの提供と収益機会の開拓を図ることを目的に、2020年より小売事業(電力・ガス)に参入しております。当社グループが「総合エネルギー事業」を目指す過程においては、小売電気事業の環境変化により、2022年夏以降、小売電気事業の「特別高圧・高圧」の当社の顧客契約数は増加傾向にあります。電力販売量の増加は電力仕入の増加へと繋がり、顧客数の増加は新たな顧客向けサービスのビジネスチャンスとなる等、当社グループの他の事業にも好影響を及ぼします。引き続き新規顧客の獲得と既存顧客の維持管理を並行して行い、事業規模の拡大を図ってまいります。 ③ 株主資本の充実と持続的な収益力の確保総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において蓄積したノウハウを活用しつつ、事業展開を進めている当社グループにとって、事業規模の拡大と今後の新しい事業モデルを構築するためには、株主資本を充実させ企業体力を強化させることと持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度を重視し、各セグメントに対する経営資源配分の最適化を図り、事業目標の進捗管理の強化と資金効率をさらに向上させることが必要であると考えています。人財育成等を含め、人的資源の一層の活用を通じて収益力の向上に取り組んでまいります。また、継続的に経費構造を見直し、経費率の改善を同時に進めることも重要であると考えており、引き続きコスト削減を徹底してまいります。 ④ 効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化上記の目標達成のためには、適材適所の人財配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が必要であると考えております。特にDXを推進する上では、システム人財の拡充が課題であると認識しており、外部登用や社内の人財活用も含め積極的に取り組んでまいります。さらに、市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、当社グループの事業を取り巻くリスクは、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのものも発生しうると考えられます。こうした事業を取り巻くリスクを迅速かつ的確に管理することの重要性を明確に認識し、不測の事態に備えたリスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。 ⑤ サステナビリティに関する考え方及び取組当社グループは、環境・社会・経済という3つの観点において、持続可能な状態の実現に貢献するため、長期的に良好な企業活動を維持し続けることを、サステナビリティ経営として捉えております。当社は、この経営方針を推進するため、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、企業が継続するための課題を分析し、気候変動や人的資本を始めとしたグループ全体の重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティに関する方針を策定するとともに各課題について全社的な取り組みを推進します。取り組み状況やリスク管理状況等については、同委員会より取締役会に報告を行う体制となっております。詳細は、後掲の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国のエネルギー基本計画に鑑み、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を取り巻く環境としては、再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない状況が引き続き継続することが想定されます。こうした環境下、当社は、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークの力を活用し、固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開にも取り組んでおります。固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保し、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換を図りながら、事業採算性の向上に取り組んでまいります。その一方で、全国的に太陽光発電設備が増加したことにより、九州地方において春や秋等電力をあまり必要としない時期に出力抑制が課される事態が増加してきており、2022年4月に入ってからは従来出力抑制が実施されていなかった他のエリアにおいても出力抑制が課せられております。また、2022年12月からは九州地方において経済的出力抑制の制度もスタートしております。当社グループはこれまで以上に出力抑制が実施される可能性を十分に認識し、業務効率化や経費見直し等を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において調査井4本の掘削が完了し、そのうち3ヵ所において自噴を確認しており、事業化に向けて着実に前進していると考えております。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー関連事業の新たな中核の一つとなるよう、潜在的なリスク検証も含め、パートナー企業とともに取り組みを加速・拡大させてまいります。なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、現行制度においては空き容量が無い状態が続いておりますが、2023年4月1日よりローカル系統におけるノンファーム型接続の受付が開始されるなど、系統利用の在り方については制度変更を含め様々な議論が進められているため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。 ② 電力取引関連事業における収益力強化電力取引関連事業においては小売電気事業者向けの業務代行の受注に加え、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するため電力の仕入・販売に注力してきた結果、着実に当社の収益基盤として成長してきております。しかしながら、事業をとりまく環境は2021年1月の電力需給ひっ迫に加え、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻等によりエネルギー価格が高騰し、電力の仕入価格が販売価格を上回る状況が断続的に発生する等、当社の重要顧客である小売電気事業者にとっては厳しい事業環境となりました。当社といたしましては、AIを用いた電力の需要予測等、質の高いサービスと独自のネットワークを武器として引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、一層の収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。 ③ 小売事業の事業基盤の確立当社グループは小売電気事業者を有するAEKK社を2020年4月に買収し、2022年3月期から小売電気事業を積極的に展開しております。しかしながら、前述のとおり、小売電気事業者を取り巻く環境は厳しい状況に変化しており、AEKK社も事業計画の見直しを行っております。このような状況の中、2022年4月から販売を開始した低圧顧客向けの電力プラン「フリープラン」は、電力の価格を変動料金と固定料金を組み合わせ、カスタムメイドな電気プランを実現できるプランであり、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに関心のある顧客に適しております。フリープランとともに家庭の家電制御とデマンドレスポンスへの対応を可能とするデバイスのモニターサービスも2022年冬から開始しており、これらを組み合わせて使用することで、小売事業の付加価値を高めていきたいと考えております。高圧及び特別高圧の法人顧客に対しては、大手電力会社が引き受けを停止し、電力プランが実質的に市場連動に切り替わることがアナウンスされたこともあり、当社の「フリープラン」に対する比較優位性があらためて認識され、2022年夏以降顧客数が大きく増加しております。さらなる顧客の獲得に加え、コーポレートPPAや蓄電池の活用等を小売事業とも連携させ、質の高いサービスを提供してまいりたいと考えております。 ④ アセット・マネジメント事業の収益基盤の拡充当事業を主として推進しているアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社では、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しております。運用対象が拡大するに伴い、この運用業務を適切に行うとともに、ベンチャーキャピタルファンドについては、投資先企業の成長にも寄与できるよう、引き続き努力を継続してまいります。なお、当社グループのアセット・マネジメント事業を主として担っていたPayPayアセットマネジメント株式会社は、2度の株式譲渡を経て2020年3月期より当社の持分法適用関連会社となって以降、税引後当期純損益のうち当社の持分49.9%相当を営業外損失としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に反映しておりましたが、2022年8月に残る全株式を譲渡したことに伴い、持分法適用関連会社から除外されました。 ⑤ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めない一方、取引にかかるコストは海外を中心に年々上昇していることから、引き続き管理部門の業務効率化やコストコントロールを積極的に行ってまいります。2020年度には原油と石油製品を除く商品先物が東京商品取引所から日本取引所グループ傘下の大阪取引所に移され、総合取引所が発足しましたが、期待した程の参加者の増加は未だ見受けられないものの、当社グループの得意とするリスク管理手法を用いて収益の最大化、利益率及び資本効率の向上を目指して事業展開を行ってまいります。 ⑥ 新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を受けて新型コロナウイルス感染症の感染拡大は約3年となり収束の目途も立ってきましたが、その間、業務システム導入等によるIT化やデジタル化を進めた結果、ニューノーマルな生活や勤務体制が一般化しました。在宅勤務の利便性が確認できたと共に、リアルな時間や場所を共有できないことに伴う弊害についてもあらためて認識しつつ、アフターコロナの時代において、ハイブリッドな勤務体制を維持しつつ、当社の全てのステークホルダーにとっての最適解を導くべく、今後も様々な施策にトライしてまいります。また、今後起こりうる別種のウイルス等による感染拡大や自然災害に対しての想定も必要になってくるものと考えております。 ⑦ コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業、小売事業、アセット・マネジメント事業を展開している当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めるとともに、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、研修を行う等継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑧ セキュリティ対策当社グループでは、事業別に業務上の全てのデータにアクセス権を設定するだけでなく、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を施すことで、情報漏洩のリスクを低減させる取り組みを行っております。その上で、役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、役職員全員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。 ⑨ IRの充実当社グループの事業は複数で構成されているため、既存株主様や投資家からそれぞれの事業が分かり難いとのご意見をいただいております。IRについては、月次開示(当社グループが保有する発電所の売電状況)、四半期決算の補足説明資料開示、年に2回のオンライン決算説明会、年次の株主通信の充実や、各種適時開示等にて、事業全体の関連性及び状態をより分かり易く可視化に努めております。今後もIRの一層の充実に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当社グループは、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において創業以来培ってきたノウハウを活用し事業を展開しております。当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染第6波、第7波を経て、11月以降の第8波により感染者数が過去最高水準まで増加したものの、重症者の比率が低下したこともあり、経済社会活動の正常化は徐々に進んでおります。一方で、ウクライナ情勢の長期化などによるエネルギー価格を中心とする諸物価の上昇に対し、欧米のインフレ対策としての金利引き上げと内外金利差を背景に円相場では急激な円安傾向が続いておりましたが、2022年12月に日本銀行がイールドカーブコントロールにおける長期金利の上限に関し0.5%への引き上げを決定すると、一転して円は急騰する展開となりました。引き続き、為替・債券及び株式市場の変動に注視しなければならない状況にあると判断しております。 このような環境の中、当社は、2021年11月に策定した「中期ビジョン2025」において総合エネルギー事業会社への変革を加速させることを掲げ、戦略的投資と事業資産の入れ替え(選択と集中)を検討しておりました。その結果、当連結会計年度においては2社の株式譲渡を行いました。一つめは、当社の持分法適用関連会社であったPayPayアセットマネジメント株式会社(以下、「PPAM社」という。)の当社保有全株式を2022年8月にアセットマネジメントOne株式会社(以下、「AM-One社」という。)に譲渡いたしました。譲渡先であるAM-One社は、PPAM社の更なる発展を目指す方針であり、本株式譲渡を行うことがPPAM社の今後の企業価値の更なる向上に資すると判断するとともに、本株式譲渡により得られる資本を総合エネルギー事業に直接かかわる事業に投下することが当社グループの株主価値の向上に寄与すると判断いたしました。アセット・マネジメント事業のセグメントについては、引き続きアストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)を中心としたベンチャーキャピタルファンド等の運用業務を行うことに加え、当社における他の総合エネルギー事業とのシナジー効果が期待される領域の事業展開等に重点を置く方針です。二つめは、2022年12月27日付で、当社の子会社であった長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)の株式の譲渡であります。これは、前述のとおり「中期ビジョン2025」において、総合エネルギー事業会社への変革を図るべく、事業領域の選択と集中を行う旨を明らかにしたことで、アグリビジネス分野に関する注力度は、引き下げる方針としたため、そのような中で、当社がアグリ社の経営権を継続的に保有し、農場運営及びアグリ社の発展を目指すことは難しいとの判断によります。譲渡先は、北海道を拠点として、新千歳空港における店舗運営を含めた道産品の販売チャネルを有し、グループ内で農産物の生産も行う等、農業事業の拡大を目指す会社です。引き続きアグリ社は、譲渡先の会社及び同社グループ内における、地方創生の中核事業の一つとして、今後も発展を目指すこととなります。 当社は、「中期ビジョン2025」の目標に掲げております「総合エネルギー事業会社への変革」に向かって、事業構造と経営資源配分の見直し、コア事業向けの資金調達等を含め、着実な一歩を踏み出しております。今後はセグメント間の連携を一層強化し、引き続きグループ一丸となって総合エネルギー会社への変革に取り組んでまいります。 当連結会計年度のセグメントごとの経営環境は以下のとおりです。再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2021年度の事業用太陽光発電のFIT価格が11円(税抜)、2022年度は10円(税抜)となり、250kW以上の設備は、引き続き入札制度適用区分として定められております。また、2022年4月に、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が改正され、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する失効制度、市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度、源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度、再生可能エネルギーのポテンシャルを活かす系統増強等が示されました。再生可能エネルギーの増加に伴い、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から出力抑制が発令されており、当連結会計年度において当社グループが保有する青森県の発電所では通常制御が合計2回、熊本県の発電所では合計9回(前年同期間比19回減)となりました。なお、出力制御及び系統の運用の最適化から、オンライン制御事業者が出力制御を実施する代わりに、オフライン制御事業者が対価を支払う、経済的出力制御(オンライン代理制御)が九州電力管轄内で2022年12月から始まりました。それに伴い、当社グループが所有する熊本県の発電所において、制度開始以降継続的にオンライン代理制御が発生しております。 電力市場においては、天候不順や燃料市場の高騰、再エネ電源の増加による既存発電施設の運用コスト増加等により市場価格の変動リスクが高まっております。前連結会計年度から当連結会計年度にかけては、燃料価格が上昇したことから発電コストが上昇し、電力卸売価格が高騰、燃料費調整単価の上昇や電力小売価格の値上げ等で需要家の負担が増えると同時に、安価での販売による小売電気事業者の収支の悪化、事業撤退が相次ぎました。当連結会計年度は、ウクライナ情勢の悪化などの影響で高騰していた燃料価格が軟調に推移し、高値で推移していた電力卸売価格も2023年の年初より下落傾向にあることもあり、来年度の買いヘッジを目的とした電力取引が増えております。電力卸売価格が大きく変動する中、小売電気事業者や発電事業者の経営においては、電力価格の「リスク管理」の重要性が再認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えられます。 商品市場においては、前連結会計年度にウクライナ情勢を受けて大幅高となった原油価格及び貴金属価格は、当連結会計年度に入り、落ち着きを取り戻しやや軟調に推移しておりましたが、2023年3月以降欧米の銀行破綻及び金融システムへの懸念が続いたことにより、金価格は日々最高値を更新することとなりました。引き続きウクライナ情勢、世界的なインフレ傾向・金融政策を注視する必要があると考えます。 電力小売業界では、2021年度後半から2022年度にかけての電力スポット市場の高止まり傾向により、小売電気事業者を取り巻く環境は厳しさを増しております。電力スポット価格の高騰は、スポット市場からの電力調達を余儀なくされる小売電気事業者へ大きな打撃を与えており、2022年度においては、当該事業から撤退または倒産する企業や、新規契約の受付停止をする企業が相次ぎました。上昇する燃料費と電力料金の消費者の負担感は高まってきており、国は2023年1月から価格激変緩和事業として電気料金とガス料金の一部を補助金で負担する制度を開始しています。また冬の電力需給のひっ迫に備え、2022年12月~2023年3月に「節電ポイント」制度等を設ける小売事業者を通じて、国や自治体が節電特典を支給する対策を実行しました。 このような市場環境等のもと、当連結会計年度における経営成績は以下のとおりです。(単位:百万円) 2022年3月期連結会計年度2023年3月期連結会計年度増減増減率(%)増減の主要因ほか営業収益12,76911,774△995△7.8①電力取引関連事業(△1,865)※2②再生可能エネルギー関連事業(+7)③小売事業(+734)④ディーリング事業(+113)⑤アセット・マネジメント事業(+22)営業費用12,24112,5252832.3電力仕入の増加(+121)営業利益又は営業損失(△)527△750△1,278- 経常利益又は経常損失(△)324△857△1,182-①投資有価証券売却益(+30)②持分法による投資損失の減少(+79)特別利益21613592-①当社保有のPPAM社全株式を譲渡したことによる特別利益(+575)②補助金収入(+20)特別損失11125113965.5①投資有価証券の減損(+101)②固定資産圧縮損(+20)税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(△)334△369△703- 法人税等合計(※1)206△21△228- 非支配株主に帰属する当期純利益1109794.9 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)127△357△485- ※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。※2 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係る減少の要因については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。 セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。セグメント利益:ディーリング事業はセグメント利益。セグメント損失:小売事業とアセット・マネジメント事業のセグメント損失は、前年同期間比減少。 再生可能エネルギー関連事業のセグメント損失は、前年同期間比増加。 電力取引関連事業は、<2 電力取引関連事業>に記載した押し下げ要因によりセグメント損失。 (セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円) 2022年3月期連結会計年度2023年3月期連結会計年度増減増減率(%)再生可能エネルギー関連事業営業収益635671365.7セグメント損益△11△12△1-電力取引関連事業(※3)営業収益11,5029,823△1,679△14.6セグメント損益875△537△1,412-小売事業営業収益3911,122731186.8セグメント損益△234△19637-アセット・マネジメント事業営業収益1481702214.9セグメント損益△159△45113-ディーリング事業営業収益34345711333.1セグメント損益△453379-その他(※1)営業収益2314△8△37.7セグメント損益△19△711-調整額営業収益△275△485△210-セグメント損益△81△92△11-連結財務諸表計上額営業収益12,76911,774△995△7.8セグメント損益324△857△1,182- ※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。※2 セグメント利益又は損失は、当連結会計年度の経常損益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益及び特別損失は含んでおりません。※3 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係る減少の要因については、「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」をご参照ください。 <1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は主に当社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は前述のとおりですが、当社は当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。現時点においては、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。また、前述の経営環境にあるとおり、足元のエネルギー価格の高騰等を受け、PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入利用できるもの。)を中心とした自家消費モデルは今後も拡大していくと考えられ、当社も企業や自治体への展開に積極的に取り組んでおります。 (太陽光発電事業)当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1か所、2.1MWになります。 再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境が引き続き想定されます。当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係るノウハウとネットワークに加え、小売事業部門と連携を取りながら潜在顧客の発掘とアプローチを行い、固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心にマーケティングを行っております。また、並行して固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しつつ、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでおります。自社開発(建設中):① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定稼働後は当社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。自社開発(運転開始):当連結会計年度に運転開始した案件はありません。セカンダリー市場:新たな案件についても精査を行っております。ポートフォリオの入替:当連結会計年度に入替を実施した案件はありません。維持・運営管理(O&M事業):当社が開発に携わった案件等16か所、合計29.5MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。後述のコーポレートPPA案件も順次締結予定です。なお、2023年3月に当社グループが所有する栃木県の発電所において、ケーブルの一部盗難が発生いたしました。復旧工事及び復旧に要する費用及び本休業に伴う休業補償について、今後保険金の請求を行う予定です。コーポレートPPA事業:既に開示いたしましたとおり、当社は北海道山越郡長万部町と包括連携協定を締結し、「持続可能な街づくりと脱炭素化・再生可能エネルギー推進を同時実現することを目的とした事業」を協同で推進しており、本案件は当第4四半期連結会計期間に運転開始しております。この他、民間企業との案件が順次運転開始する予定となっております。 (地熱発電事業等)当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。この結果を受け、当社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業収益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。また2021年3月には、JFEエンジニアリング株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結し、合計2回の匿名組合出資を受けました。損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、現行制度においては空き容量が無い状態が続いておりますが、2023年4月1日よりローカル系統におけるノンファーム型接続の受付が開始されるなど、系統利用の在り方については制度変更を含め様々な議論が進められているため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。 再生可能エネルギー関連事業では、出力抑制が前年同期間に比べて大幅に減少したことや、発電効率向上のためパネル洗浄を実施したこと等から営業収益は前年同期間比増加いたしましたが、地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しているほか、今年度より源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度が始まったことによる負担の増加、保険料の増加、さらに新機能開発部門で準備を進めている系統用蓄電池発電にかかる事業のコスト負担増等により営業費用も前年同期間比増加しました。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は671百万円(前年同期間比36百万円(5.7%)の増加)、12百万円のセグメント損失(前年同期間は11百万円のセグメント損失)となりました。 <2 電力取引関連事業>当事業は、当社が推進し、小売電気事業者への電力取引の提供、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供を行っております。電力取引については、顧客の電力調達及びヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が高まっていることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進し、変動率が高い相場展開の中、リスクを適切に抑制しながら取引を実行しております。当連結会計年度においては、夏場に高騰していた電力卸売価格も燃料価格の軟調な地合いを受けて下落、年初以降、冬場及び来年度の小売電気事業者からの取引ニーズが増加いたしました。しかしながら電力卸売価格の水準は全般的に高く推移したことから、取引量は前年同期間比減少いたしました。小売電気事業者の事業継続に向けた電力調達及び価格リスクヘッジから電力取引のニーズは引き続き高く、価格が落ち着いてきている中、取引量は増加するものと考えております。業務代行サービスについては、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等新メニューを加え顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。自治体、企業ともに電力を自社の電源を活用、調達する動きが増えており、当連結会計年度においては、新規サービス提供先を4件獲得しましたが、前述のとおり小売電気事業者の事業縮小、撤退の影響を受け、3件の取引先でサービス提供が終了となりました。また、当社がコンサルタントとして開発に携わっている、日鉄ソリューションズ株式会社の電力リスク管理システム「エネファロス」の販売は、今年度から開始いたしました。なお、当連結会計年度の電力取引関連事業の営業収益減少は以下の理由によるものです。当連結会計年度末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3カ月以上の期間のポジションは期末が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済損失75百万円(純額)と、当連結会計年度末を越えて限月を迎える電力先物取引の時価評価損158百万円(純額)は、当連結会計年度末を越えて受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、当連結会計年度の営業収益を押し下げ、電力取引関連事業のセグメント損失を増加させる要因となっております。一方、同様の理由で、当連結会計年度に受渡しが行われる電力現物先渡取引をヘッジする目的で行われた電力先物取引に係る前連結会計年度に認識された決済利益344百万円(純額)及び時価評価益82百万円(純額)は当連結会計年度の営業収益を押し下げ、電力取引関連事業のセグメント損失を増加させる要因となっております。以上の結果、電力取引関連事業の当連結会計年度の営業収益は9,823百万円(前年同期間比1,679百万円(14.6%)の減少)となり、セグメント損失は537百万円(前年同期間は875百万円のセグメント利益)となりました。 <3 小売事業>当事業は、当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進しております。当社は特別高圧・高圧市場の顧客へ電力販売を行い、AEKK社では個人を中心とする低圧市場の顧客へ電力とガスの販売を行っております。 (電力小売事業)AEKK社では前連結会計年度に、固定料金の基本プランとして4つのプランのラインナップを揃え、また実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給する「プラス・グリーン」を各基本プランにトッピングできるサービスを開始いたしました。一方、前述の事業環境のとおり、小売電気事業者から撤退する企業や倒産する企業が続出している中、電力会社の切替えを希望する顧客も多く、顧客を増加させる好機であるものの、現在の市場状況下での新規顧客獲得は電力調達コストが高騰していることから逆ザヤによる採算悪化となるため、プランを限定して新規顧客獲得を行わざるを得ない状況となっております。AEKK社でも、2022年4月より基本プランの新規受付を停止し、2022年6月には既存顧客に対する基本プランの料金改定を発表しました。このような状況の中AEKK社では、市場連動型プランでありながら市場価格と固定価格を自由に組み合わせることができる新プラン「フリープラン」の提供を2022年4月から開始いたしました。本プランは、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに興味のある顧客に適した、他社との差別化ができる当社独自の商品となっております。また、「フリープラン」と連携して自宅の家電をスマートフォン上のアプリでどこからでも制御できるスマートリモコンの機能と、自宅の電力使用量や太陽光発電の発電量を計測・分析できる機能を兼ね備えた「アストHEMS」の開発を終え、一般モニターの募集を2022年10月から開始いたしました。特別高圧・高圧の電力市場では電力価格の高騰により、2022年度に入ってからみなし小売事業者を含む多くの小売事業者が顧客への供給契約の停止や撤退を進めた結果、電力供給を絶たれた多くの顧客は送配電事業者による最終保障契約に移行いたしました。その結果、送配電事業者は2022年9月より最終保障契約の値上げを発表し、実質的な市場連動型料金に変更しております。こうした動きもあり、特別高圧・高圧電力では市場連動型料金体系が従来に比べ一般的になってきた市場環境の下、2022年夏季より当社は特別高圧・高圧向けフリープランの営業に注力してまいりました。その結果、同プランの優位性が認知され、撤退する事業者の顧客引受や媒介店からの流入を中心とした新規顧客が急増いたしました。今後もサービスの拡充と知名度の向上に努め、早期の黒字化を目指して取り組んでまいります。 (ガス小売事業)2021年1月より、AEKK社は当社のガス小売り取次店として、既存の電力顧客に対し電気とガスのセット販売を行っておりましたが、2022年10月以降は、AEKK社は当社の業務提携関係である株式会社グローバルエンジニアリングのガス小売り取次店として電気とガスのセット販売を継続しております。ガス小売取次営業の新規顧客推移は横ばいとなっておりますが、これは前述した当社特別高圧・高圧電力の営業が好調に推移していることから、当社経営資源を高圧電力営業に大きく配分していることに起因しております。 獲得した特別高圧・高圧の顧客への電力供給開始時期は2023年1月以降より徐々に本格化していることから、当連結会計年度における特別高圧・高圧事業の収益寄与は限定的でした。以上の結果、小売事業の当連結会計年度の営業収益は1,122百万円(前年同期間比731百万円(186.8%)の増加)となり、196百万円のセグメント損失(前年同期間は234百万円のセグメント損失)となりました。 <4 アセット・マネジメント事業>当事業は、当社とAFM社が推進し、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担う他、2020年3月から開始したファンドの運用業務も継続しております。2022年10月には、学校法人東京理科大学が支援する新たな再生可能エネルギーファンドの受託を開始しました。この新たな再生可能エネルギーファンドにおいては、当社の「中期ビジョン2025」でも重点課題となっている「地域の地産地消のための再エネ導入」を、産官学連携の力も活用して計ってまいります。AFM社が営業者として運用しているファンドは順調に運用資産を増加させており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額は前年同期間比増加しております。なお、冒頭に記載しましたとおり、当社は保有していたPPAM社の全株式を2022年8月にAM-One社に譲渡し575百万円の特別利益を計上しましたが、当社のセグメント損益は経常損益にて計算されていることから、当該特別利益はアセット・マネジメント事業のセグメント損益には反映しておりません。一方、2022年4~7月までのPPAM社の持分法による投資損失73百万円は営業外費用としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に含んで表示しております。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は170百万円(前年同期間比22百万円(14.9%)の増加、持分法適用関連会社のPPAM社の営業収益は含まず)となり、45百万円のセグメント損失(前年同期間は159百万円のセグメント損失)となりました。 <5 ディーリング事業>当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。当連結会計年度における原油市場の動きは、上期はウクライナ情勢等を受け高値で推移していましたが、下期は原油需要の減少懸念などから軟調な推移が続きました。上期に軟調に推移していた貴金属の価格は、下期は金融引き締め減速期待などから上昇しました。裁定取引の機会は、特にプラチナの取引が国内外取引所の値差の動きが激しい中、安定してプラスに貢献し、金や原油市場でも総じてコンスタントに裁定取引機会がありました。また、AIを活用した分析やトレーディングシステムを開発し、為替やプラチナ等の取引において実稼働しております。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は457百万円(前年同期間比113百万円(33.1%)の増加)、セグメント利益は33百万円(前年同期間は45百万円のセグメント損失)となりました。当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。 <6 新機能開発部門>2021年4月に設置した「新機能開発部門」は、当社が推進する総合エネルギー事業の様々な領域において、当部門が中心となって各事業部門との連携を図り、DXの推進や新しいビジネスモデルを組み立てていくことを業務目的としております。AI活用による需給管理や、発電/供給サイドの事業と販売/需要サイドの事業のアグリゲート(集約化)及び、双方のマッチングによる新たなサービスを展開すること等、独自性の高いビジネスフィールドを考えてまいります。当連結会計年度においても、AI等を活用した電力の需要予測や太陽光発電出力予測等の需給管理、リスク管理の高度化に取り組んでおります。 業務代行サービスを提供している既存顧客の電力需要予測及び太陽光発電出力予測に関して、AIによる予測精度向上を確認し、順次、自動システム化に取り組んでおり、電力需要予測及び家庭における太陽光発電の余剰売電予測のAIを活用したシステムは電力取引関連事業にて実稼働しております。今後は更なる精度向上を図りつつ適用社数を増加させていく計画です。また、再生可能エネルギーのアグリゲート事業に必要な太陽光発電出力予測及び九州等のエリア全体の再生可能エネルギー発電出力予測や需要予測及びJEPX価格予測等、顧客の新しいニーズに対応したAI化にも取り組んでおります。さらに、電力需給調整や再エネ価値向上等に資する系統用蓄電池(発電所併設型含む)による蓄電事業開発については、再生可能エネルギー関連事業と連携を取りながら候補地の選定等に積極的に取り組んでおります。 <7 その他(地方創生ほか)>当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。2017年11月に設立されたアグリ社は、北海道長万部町における「長万部町と東京理科大学との地方創生に係る包括的連携協定」を背景に、内閣府の助成を受けた産官学連携の「地方創生事業」の担い手として設立され、これまで先端技術を活用した先進的アグリビジネスの推進や、「働きがいのある」雇用の創出等に取り組んでまいりました。しかしながら冒頭に記載しましたとおり、当社は保有していたアグリ社の株式77.27%のうち、67.27%を2022年12月27日付で譲渡し、アグリ社は第3四半期連結会計期間末において当社の連結対象から除外されました。さらに5%を2023年1月に譲渡した結果、当社の持株比率は5%となりました。 上記、セグメント利益又は損失は当連結会計年度の経常損失と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,934百万円(前年同期間比10.8%増)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として預り保証金の増加による収入(593百万円)、差入保証金の減少による収入(451百万円)等により、239百万円(前年同期は△442百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として投資有価証券の売却による収入(650百万円)等により、259百万円(前年同期は△269百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△137百万円)等により、△211百万円(前年同期は133百万円)となりました。 ③ 営業収益の状況a. 営業収益実績当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)前年同期比(%)再生可能エネルギー関連事業(千円)570,1851.4電力取引関連事業(千円)9,444,763△16.5小売事業(千円)1,116,818192.5アセット・マネジメント事業(千円)170,41614.9ディーリング事業(千円)457,50433.1その他収益(千円)14,523△38.0 合 計(千円)11,774,210△7.8 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。 b. 太陽光発電所発電量実績〔再生可能エネルギー関連事業〕以下の表は、当社グループが保有する太陽光発電所の発電実績を示したものです。 発電所数パネル出力(MW)発電量(kWh)(調整量を含む)オンライン代理制御(注2)調整電力量(kWh)CO2削減効果(kg-CO2)(調整量含)(注1)2022年4月410.91,242,575-683,4165月410.91,298,553-714,2046月410.91,161,498-638,8247月410.91,091,907-600,5498月410.91,152,985-634,1429月410.91,122,581-617,42010月410.91,045,497-575,02311月410.9858,584-472,22112月410.9723,075△2,350397,6912023年1月410.9723,912△31,871398,1522月410.9795,431△65,397437,4873月410.91,098,959 604,427合計--12,315,557△99,6186,773,556 (注) 1 環境省の制定する「CO2削減効果算定マニュアル」に基づき算出しています。 CO2排出係数(代替値):0.55kg-CO2/kWh(注) 2.オンライン代理制御とは、オンライン制御事業者がオフライン制御事業者の代わりに出力制御を行い、オフライン制御事業者がオンライン事業者に対価を支払う経済的出力制御のこと。オンライン代理制御による調整電力量はおよそ3か月後に判明します。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益は11,774百万円(前期比995百万円の減少)、営業費用は12,525百万円(前期比283百万円の増加)、営業損失は750百万円(前期は527百万円の営業利益)、経常損失は857百万円(前期は324百万円の経常利益)となりました。営業収益の減少は、電力取引関連事業の取引先である小売電気事業者の事業縮小等により取引量が前年比減少したことに加え、前掲の「セグメント毎の経営成績及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>」に記載のとおり、電力先渡取引に対するヘッジ目的の取引に係る損益が、ヘッジ対象取引と同一期間に認識されないことによる影響によります。その他の4事業の営業収益はそれぞれ前年比増加いたしましたが、電力取引関連事業の減少が大きく、全体としては前期比減少となりました。営業費用の増加は、主に小売電気事業にかかる電力の仕入が増加したことによります。PPAM社の全株式譲渡による575百万円とPPA事業にかかる補助金収入20百万円の特別利益と、投資有価証券の減損処理による101百万円とPPA事業にかかる固定資産圧縮損20百万円の特別損失により、税金等調整前当期純損失は369百万円(前期は334百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。法人税等合計は△21百万円(前期比228百万円の減少)、非支配株主に帰属する当期純利益は10百万円(前期比9百万円の増加)となったことから、親会社株主に帰属する当期純損失は357百万円(前期は127百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。自己資本は2022年3月期末の5,601百万円から5,201百万円と400百万円減少し、純資産は5,763百万円となりました。 再生可能エネルギー関連事業では、当連結会計年度は、ポートフォリオの入替を目的とした保有する太陽光発電所の設備の譲渡等は無く、保有する太陽光発電所の売電収入や管理する太陽光発電所の維持運営報酬等が主な収入となり、営業収益は前年比5.7%増加となりました。営業費用については、従来より、地熱開発を含む発電所の開発に係るコストを負担しておりますが、当連結会計年度においては、太陽光発電システムの廃棄費用積立制度の開始や、調査費用の増加、また、新機能開発部門で準備を進めている系統用蓄電池事業のコスト負担増等により、結果として、12百万円のセグメント損失となりました。2014年度から着手している宮崎県えびの市で進めている地熱発電事業は、2026年度の事業化に向けて、匿名組合契約を締結いたしましたパートナー企業である大和エナジー・インフラ株式会社様とJFEエンジニアリング株式会社様と共に、引き続き協働をしております。発電規模を2MWから4.8MWに拡大した分の連系につきましては、2023年4月1日より、ローカル系統におけるノンファーム型接続の受付開始が予定されるなど、系統利用の在り方につきましては、制度変更を含め、様々な議論が進められている状況ではありますが、今後の動向を確認しながら、引き続き系統確保に向けての取り組みを進めております。 電力取引関連事業では、上記、全体の営業収益の減少要因として記載した背景等により営業収益が前期比1,679百万円減少し、537百万円のセグメント損失となりました。 小売事業では、電力の新料金プラン「フリープラン」の販売を開始し、特高・高圧需要家様向けの販売が順調に伸び、期末時点での契約件数は400件超となりました。実際の供給開始は契約締結後、一定のタイムラグを経て始まるため、当期への収益貢献は限定的であり、2023年3月期も通期ではセグメント損失となっておりますが、営業収益は前年比186.8%増加いたしました。本事業は本年3月には単月黒字を達成しており、2024年3月期における通期黒字化達成に向け、さらなる顧客獲得を目指し、引き続き積極的な事業展開を進めてまいりたいと考えております。 アセット・マネジメント事業は、ファンド運用業務の新規受注などにより、営業収益は前連結会計年度比14.9%増加しました。利益面では持分法適用関連会社による損失が7月までとなったことから、セグメント損失は前期比113百万円改善し、45百万円のセグメント損失となりました。 ディーリング事業は、プラチナの取引が国内外取引所の値差の動きが激しい中、裁定取引の機会が多く収益に貢献しました。金や原油市場でも総じてコンスタントに裁定取引機会がありました。営業収益は前連結会計年度比33.1%増加し、33百万円のセグメント利益となりました。 なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。(再生可能エネルギー関連事業)引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取り組みを継続しております。FIT制度からFIP制度への移行が進む中で、新しい取り組みとして、電力の自家消費モデルを企業や、自治体へ展開していくことに取り組んでおります。これは、需要家と発電事業者が、長期間の電力購入契約を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入することが可能となるという、ひとつのモデルとして、脱炭素化への貢献につながるものと考えております。なお、同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じた場合は、同事業の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。 (電力取引関連事業)同事業においては、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が同事業の経営成績に影響を与える可能性があります。また、業務代行サービスを利用する顧客数及び顧客の取り扱う電力量や需給逼迫等による電力価格の高騰が経営成績に影響を与えることとなります。 (小売事業)当事業では2022年度に電力の新料金プラン「フリープラン」の販売を開始し、秋以降、特高・高圧需要家様向けの販売が順調に伸び、期末時点で400件を突破いたしました。2024年3月期も各事業部門間の連携を一層強化し、当社サービスの認知によりさらなる特高・高圧の顧客獲得に努め、ひいてはPPA事業や電力取引の拡大に繋げていきたいと考えております。しかしながら想定以上に顧客の解約が発生する場合は経営成績に影響を与えることとなります。 (ディーリング事業)ディーリング事業にとって、取引対象銘柄の出来高の大幅な減少や市場変動率の著しい低下(または、その反対に著しく急激な上昇)などの市場環境によって取引機会が減少する場合、同事業の業績は大きな影響を受ける可能性があります。また、2020年度に貴金属を中心とする銘柄は日本取引所へ移管が完了しましたが、東京商品取引所と大阪取引所の旧東京商品取引所銘柄を合算した日次出来高は前連結会計年度末の数字をやや下回っております。市場参加者の増加と市場流動性の向上を今後も期待するものの、現時点におきましては、減少後横這い傾向にあり、さらに市場参加者や市場の流動性が減少する場合は同事業の業績に影響を与える可能性があります。 経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させるには、当社のトレーディング及びリスク管理ノウハウを生かしつつ新たなビジネスモデルの構築を早急に進めていく必要があり、加えて、当社は持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者になる必要があると考えております。このような考えの下、当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、人財育成と確保、そして当社の事業展開を補完する事業パートナーの発掘を含め、スピード感をもって事業領域を広げると同時に深めるため、中期ビジョン2025「事業の進化と深化」の優先的に取り組む事項に沿って、事業を推進しております。そのような中、2023年3月期は「事業の選択と集中」を進め、さらに、特高・高圧需要家向けの電力供給拡大や系統用蓄電池の事業化第1号に着手するなど「総合エネルギー会社」としての素地は出来つつあると考えております。2024年3月期は前期の流れをさらに拡大出来るよう、セグメント間の連系を強め全社一丸となって取り組んでまいります。一方、当社の各事業に関連する事業の成果は、内外の金融商品市場、電力関連市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢の影響を大きく受けるものとなっております。このため、これらの市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力することは以前にも増して重要となっております。業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。 ② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(資産、負債及び純資産の状況)当連結会計年度における総資産は、主にディーリング事業と電力取引関連事業に係る差入保証金の減少(462百万円)等により、12,942百万円(前年同期比1.4%減)となりました。負債は、主に電力取引関連事業に係る1年内返還予定の預り保証金の増加(594百万円)等により、7,178百万円(前年同期比3.3%増)となりました。純資産は、主に利益剰余金の減少(396百万円)等により、5,763百万円(前年同期比6.6%減)となりました。 (キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,934百万円(前年同期間比10.8%増)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として預り保証金の増加による収入(593百万円)、差入保証金の減少による収入(451百万円)等により、239百万円(前年同期は△442百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として投資有価証券の売却による収入(650百万円)等により、259百万円(前年同期は△269百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△137百万円)等により、△211百万円(前年同期は133百万円)となりました。 再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借り入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野に入れております。電力小売事業における資金需要については、手元流動性に加え、銀行借り入れにより確保いたします。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 (減損の認識)当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。また、地熱発電開発事業に係る固定資産の評価に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針企業の社会的ニーズ、社会の変化するスピード、そして企業を取り巻く諸環境に対して、当社グループの取り組み姿勢をより明確にするため、当社グループの基本理念は、ミッションとして「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」、ビジョンとして「変化をとらえ、進化につなげる」、バリューとして「SPIRIT of Challenge」の3構成として2020年3月期に再構築しました。使命・存在意義であるミッションは「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えをしっかりと持ち続けることが重要であると考え、「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」としました。近未来の姿であるビジョンについては、今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識することが重要であって、これまで以上に、「変化をとらえ、進化につなげる」企業にならなければならないとの思いを込めて定めました。そして、私達は、変化をとらえるために必要とするバリュー(価値観)を明確にし、それらのバリューを発揮することによって変化に対応していくことができると考えました。常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に「SPIRIT of Challenge」をバリューとして掲げました。以下8項目がバリューの構成要素です。「Speed:迅速性」「Professionalism:専門性」「Integrity:高潔な倫理観」「Responsibility:当事者意識」「Imagination:想像力」「Toughness:タフネス」「Challenge:挑戦」「Leadership:リーダーシップ」これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業と金融事業の積極的な展開に取り組むと共に安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループは資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せて期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を測る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、1株当たりの純資産の増加を目指し加えて「フリーキャッシュ創造力」及び「投資効率」についても重視してまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けてまいります。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。当社グループは、創業から続くアセット・マネジメント事業とディーリング事業による資産運用中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、さらに2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業への参画等により、「総合エネルギー事業」を目指してまいりました。事業及び社会環境、ビジネスモデル、技術等の変化のスピードは従来にも増して加速化しており、当社グループは、電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させていく所存であります。その過程においては、当社のトレーディング及びリスク管理ノウハウをさらに生かしたビジネスモデルの構築、また高品質かつ独自性の高いサービスを提供できる小売電力事業の展開等を進めていくことが必要であるとの認識を有しております。加えて、当社は、持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者にならなければなりません。そのためには当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、必要な外部パートナーとの提携等をより広げ、システム人材・IT人材の確保、プラットフォームの確立に向け、経営資源を集中していく必要があると考えております。これらを具体的に進めるにあたり、当社グループは、「(4)対処すべき課題 ①新たな事業への挑戦と事業モデルの構築」に記載のとおり「中期ビジョン2025」を策定しております。 (4) 対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 新たな事業への挑戦と事業モデルの構築当社グループは、祖業のアセット・マネジメント事業、ディーリング事業に加え、そのノウハウを活かし2012年度以降、再生可能エネルギー関連事業や電力取引関連事業を展開しております。2021年3月期には既存ビジネスをさらに拡充するために小売事業(電力・ガス)を立ち上げましたが、今後も社会の変化のスピードに遅れることなく、社会的要請及び時代の方向性に即するために、一歩先の動きを見据えた事業展開をさらに進めていく必要があると考えています。これらを実現するために、当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする中期ビジョン「事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎える当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と当社の強みをベースに、当社事業を深化・進化させ、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた優先的に取り組む事項を達成します。優先して取り組む事項は以下の6項目です。1. 『電力利用の新しい日常』を創造2. 電気は『つくって、ためて、賢く使う』時代を先取り3. 蓄電池を活用した事業・ビジネスの拡大4. 地域電力設立の支援強化(地域脱炭素化の支援)5. 小売電気事業者様向けマネジメントサービス提供型ビジネスの一層の拡大6. ファンド等を活用した資金調達による再生可能エネルギーや蓄電池など脱炭素(カーボンニュートラル)社会に向けたインフラ投資の推進これらの取り組みを推進するにあたり、所有する資産から収益を得るアセット型事業から電力に係る需給管理やリスク管理等各種マネジメントやオペレーションにより収益を得るノンアセット型の事業により重心を移していくことを指向しております。とりわけ、蓄電池については、脱炭素社会に向けて急速に拡大する再生可能エネルギーを効果的に活用するために重要な分野と認識しており、2021年2月より大型蓄電池を用いたエネルギーマネジメントサービスの提供を開始しております。これらマネジメント/オペレーションサービスの確立及び継続的発展のためには、現行の電力関連事業(再生可能エネルギー関連、電力取引関連、小売)で培いつつあるノウハウはもとより、これまでディーリング事業で培ってきたトレーディングや各種マネジメント等に係るノウハウや、アセット・マネジメント事業で培ってきたアセットオーナーとのコミュニケーション、新規事業投資等に係るノウハウを最大限活用するとともに、ファンドを活用したエクイティファイナンス等も含めた資金調達手段の多様化、より一層のAIの活用等によるDXの推進、人的資本投資の拡充に取り組んでいくことが必要であると考えております。なお、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定いたしました。 ② 株主資本の充実と持続的な収益力の確保総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において蓄積したノウハウを活用しつつ、事業展開を進めている当社グループにとって、今後の新しい事業モデルを構築するためには、株主資本を充実させ企業体力を強化させることと持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度を重視し、各セグメントに対する経営資源配分の最適化を図り、事業目標の進捗管理の強化と資金効率をさらに向上させることが必要であると考えています。人財育成等を含め、人的資源の一層の活用を通じて収益力の向上に取り組んでまいります。また、企業体力を強化するためには収益力の向上に加え、継続的に経費構造を見直し経費率の改善も同時に進めることも重要であると考えております。引き続きコスト削減を徹底してまいります。 ③ 効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化上記の目標達成のためには、適材適所の人材配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が必要であると考えております。特にDXを推進する上では、システム人材の拡充が課題であると認識しており、外部登用や社内の人材活用も含め積極的に取り組んでまいります。また、当社は2021年1月28日開催の取締役会にて連結子会社であるアストマックス・トレーディング株式会社を吸収合併することを決議し、2021年4月1日付で実施いたしました。持株会社体制を抜本的に見直し、これまで培ったガバナンス能力を引き続き発揮しつつ、親子会社の取締役会の併存による重複感の解消、意思決定の迅速化、柔軟な事業展開、経営資源の一層の有効活用により、業績の向上に努めております。さらに、市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、当社グループの事業を取り巻くリスクは、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのものも発生しうると考えられます。こうした事業を取り巻くリスクを迅速かつ的確に管理することの重要性を明確に認識し、不測の事態に備えたリスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。 (その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国のエネルギー基本計画に鑑み、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を取り巻く環境としては、再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない状況が引き続き継続することが想定されます。こうした環境下、当社は、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係わるノウハウとネットワークの力を活用して、今後は固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心に取り組んでまいります。また、併行して固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保し、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換を図りながら、事業採算性の向上に取り組んでまいります。その一方で、全国的に太陽光発電設備が増加したことにより九州地方において春や秋等電力をあまり必要としない時期に出力抑制が課される事態が増加してきており、2022年4月に入ってからは従来出力抑制が実施されていなかった他のエリアにおいても出力抑制が課せられております。当社グループはこれまで以上に出力抑制が実施される可能性を十分に認識し、業務効率化や経費見直し等を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において調査井4本の掘削が完了し、そのうち3ヵ所において自噴を確認し事業化に向けて着実な前進を示しました。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー関連事業の新たな中核の一つとなるよう、潜在的なリスク検証も含め、パートナー企業とともに取り組みを加速・拡大させてまいります。なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、電源接続案件一括検討プロセス(系統連系希望者の間で、系統容量の増強工事費を共同負担することにより、効率的な系統整備等を図ることを目的とする手続)が、2021年12月に不成立のまま完了となりました。系統利用の在り方については様々な議論が進められており、ルールの見直しを含めた変更の可能性があるため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。 ② 電力取引関連事業における収益力強化電力取引関連事業においては小売電気事業者向けの業務代行の受注に加え、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するため電力の仕入・販売に注力してきた結果、報告セグメントとして独立してから5年目となる2021年3月期以降、当連結会計年度まで2期連続して大幅なセグメント利益を計上することができました。しかしながら、事業をとりまく環境は2021年1月の電力需給ひっ迫に加え、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻等によりエネルギー価格が高騰し、電力の仕入価格が販売価格を上回る状況が断続的に発生する等、当社の重要顧客である小売電気事業者にとっては厳しい事業環境となっております。当社といたしましては、サービスの質の高さと独自のネットワークを武器として引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、一層の収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。 ③ 小売事業の事業基盤の確立当社グループは小売電気事業者を有するAEKK社を2020年4月に買収し、AEKK社を当社グループにおける小売電気事業のプラットフォームとして活用するとともに、2022年3月期から小売電気事業を積極的に展開しております。しかしながら、前述のとおり、小売電気事業者を取り巻く環境は厳しい状況に変化しており、AEKK社としても事業計画の見直しを行っております。このような状況の中、2022年4月から販売を開始した低圧顧客向けの電力プラン「フリープラン」は、電力の価格を変動料金と固定料金を組み合わせ、カスタムメイドな電気プランを実現できるプランであり、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに興味のある顧客に適しているものとしてスタートさせております。また、今後は本フリープランと各家庭の家電制御とデマンドレスポンスへの対応を可能とするデバイスを組み合わせて使用することで、小売事業の付加価値を高めていきたいと考えております。なお、本デバイスは、当社グループが2020年12月に第三者割当増資を引き受け、業務提携契約を締結したAI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業を展開するスタートアップ企業である株式会社LiveSmartが提供しております。 高圧及び特別高圧の法人顧客に対しては、昨今大手電力会社が引き受けを停止していることもあり、これを当社グループにとってのビジネスチャンスと捉え、コーポレートPPAと蓄電池等を複合的に活用し、サービスを提供してまいりたいと考えております。 ④ アセット・マネジメント事業の収益基盤の拡充当社グループのアセット・マネジメント事業を主として担っていたPayPayアセットマネジメント株式会社(旧アストマックス投信投資顧問株式会社から2021年3月8日に社名変更。以下、「PPAM社」という。)が2度の株式譲渡を経て2020年3月期より当社の持分法適用関連会社となって以降、PPAM社については、税引後当期純損益のうち当社の持分49.9%のみが、営業外損益としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に反映されることとなっております。PPAM社の運用資産残高は2018年12月末の4,267億円のピークから1,800億円超減少しておりますが、同社では、この動きに歯止めをかけ、顧客の属性分散、商品開発力及び提供力の拡充等を含めた立て直しを迅速に実行するため、新たな人材の確保と組織体制の見直しを行い運用資産残高の回復に取り組んでおります。また、個人投資家向けビジネスについては、「PayPayアセットマネジメント株式会社」への社名変更を契機にZホールディングス株式会社グループとの協働がさらに推進されております。 一方、現在当事業を主として推進しているAFM社では、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しております。運用対象が拡大するに伴い、この運用業務を適切に行うと共に、ベンチャーキャピタルファンドについては、投資先企業の成長にも寄与できるよう、引き続き努力を継続してまいります。 ⑤ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めない一方、取引にかかるコストは海外を中心に年々上昇していることから、引き続き管理部門の業務効率化やコストコントロールを積極的に行ってまいります。2020年度には原油と石油製品を除く商品先物が東京商品取引所から日本取引所グループ傘下の大阪取引所に移され、総合取引所が発足しましたが、期待した程の参加者の増加は未だ見受けられないものの、当社グループの得意とするリスク管理手法を用いて収益の最大化、利益率及び資本効率の向上を目指して事業展開を行ってまいります。 ⑥ 新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を受けて新型コロナウイルス感染症の感染拡大も既に3年目に入り、当社グループにおいても業務システム導入等によるIT化やデジタル化を進めた結果、ニューノーマルな生活や勤務体制が一般化しつつあります。在宅勤務の利便性が確認できたと共に、リアルな時間や場所を共有できないことに伴う弊害についてもあらためて認識しつつ、ウイズコロナの時代において、ハイブリッドな勤務体制を維持しつつも当社の全てのステークホルダーにとっての最適解を導くべく、今後も様々な施策にトライしてまいります。また、今後起こりうる別種のウイルス等による感染拡大や自然災害に対しての想定も必要となってくると考えております。 ⑦ コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業、小売事業を展開し、グループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑧ セキュリティ対策当社グループでは、事業別に業務上の全てのデータにアクセス権を設定するだけでなく、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を施すことで、情報漏洩のリスクを低減させる取り組みを行っております。その上で、役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、役職員全員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。 ⑨ IRの充実当社グループの事業は複数で構成されているため、既存株主様や投資家からそれぞれの事業が分かり難いとのご意見をいただいております。IRについては、月次開示(当社グループが保有する発電所の売電状況と運用資産残高)、四半期決算の補足説明資料開示、年に2回のオンライン決算説明会、年次の株主通信の充実や、各種適時開示等にて、事業全体の関連性及び状態をより分かり易く可視化することに努めております。今後もIRの一層の充実に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針企業の社会的ニーズ、社会の変化するスピード、そして企業を取り巻く諸環境に対して、当社グループの取り組み姿勢をより明確にするため、当社グループの基本理念は、ミッションとして「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」、ビジョンとして「変化をとらえ、進化につなげる」、バリューとして「SPIRIT of Challenge」の3構成として2020年3月期に再構築しました。使命・存在意義であるミッションは「私達=社会の一員」であるという認識の下、持続可能な社会の実現を目指すために、絶えず未来を考え続けることが私達の使命であり、存在意義であるとの考えをしっかりと持ち続けることが重要であると考え、「私達の未来を考える ~すべては持続可能な社会のために~」としました。近未来の姿であるビジョンについては、今、必要なことは変化の波を的確にとらえ、その大きさ、方向性そして速さを認識することであるとの考えをもとに、独自性を発揮しつつ、自らも変化していかなければならないこと、そして私達の未来は変化に富み、予想しえない事象が起こりうることを認識することが重要であって、これまで以上に、「変化をとらえ、進化につなげる」企業にならなければならないとの思いを込めて定めました。そして、私達は、変化をとらえるために必要とするバリュー(価値観)を明確にし、それらのバリューを発揮することによって変化に対応していくことができると考えました。常にチャレンジ精神を持ちバリューを発揮していくことを役職員全員がしっかりと認識することを目的に「SPIRIT of Challenge」をバリューとして掲げました。以下8項目がバリューの構成要素です。「Speed:迅速性」「Professionalism:専門性」「Integrity:高潔な倫理観」「Responsibility:当事者意識」「Imagination:想像力」「Toughness:タフネス」「Challenge:挑戦」「Leadership:リーダーシップ」これら「ミッション・ビジョン・バリュー」の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業と金融事業の積極的な展開に取り組むと共に安定的に収益を確保できる事業基盤の拡充を目指し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに対する一層の付加価値の提供を進めてまいりたいと考えております。また、事業活動を通じ幅広い人財を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいります。 (2) 目標とする経営指標当社グループは資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せて期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を測る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、1株当たりの純資産の増加を目指し加えて「フリーキャッシュ創造力」及び「投資効率」についても重視してまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を事業活動の基本に位置付けてまいります。それは、個々の企業の存続だけでなく、社会全体の持続的な発展が求められている中で、当社グループのビジネスモデルが、その実現のための価値提供を果たすことができると考えているからです。当社グループは、創業から続くアセット・マネジメント事業とディーリング事業による資産運用中心の事業展開から、収益源の多様化を図るべく2012年の太陽光発電事業参入を機に再生可能エネルギー関連事業を徐々に拡充させ、さらに2016年には電力取引関連事業、そして2020年には小売事業への参画等により、「総合エネルギー事業」を目指してまいりました。事業及び社会環境、ビジネスモデル、技術等の変化のスピードは従来にも増して加速化しており、当社グループは、電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させていく所存であります。その過程においては、当社のトレーディング及びリスク管理ノウハウをさらに生かしたビジネスモデルの構築、また高品質かつ独自性の高いサービスを提供できる小売電力事業の展開等を進めていくことが必要であるとの認識を有しております。加えて、当社は、持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者にならなければなりません。そのためには当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、必要な外部パートナーとの提携等をより広げ、システム人材・IT人材の確保、プラットフォームの確立に向け、経営資源を集中していく必要があると考えております。これらを具体的に進めるにあたり、当社グループは、「(4)対処すべき課題 ①新たな事業への挑戦と事業モデルの構築」に記載のとおり「中期ビジョン2025」を策定しております。 (4) 対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の持続的拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 新たな事業への挑戦と事業モデルの構築当社グループは、祖業のアセット・マネジメント事業、ディーリング事業に加え、そのノウハウを活かし2012年度以降、再生可能エネルギー関連事業や電力取引関連事業を展開しております。2021年3月期には既存ビジネスをさらに拡充するために小売事業(電力・ガス)を立ち上げましたが、今後も社会の変化のスピードに遅れることなく、社会的要請及び時代の方向性に即するために、一歩先の動きを見据えた事業展開をさらに進めていく必要があると考えています。これらを実現するために、当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする中期ビジョン「事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎える当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と当社の強みをベースに、当社事業を深化・進化させ、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた優先的に取り組む事項を達成します。優先して取り組む事項は以下の6項目です。1. 『電力利用の新しい日常』を創造2. 電気は『つくって、ためて、賢く使う』時代を先取り3. 蓄電池を活用した事業・ビジネスの拡大4. 地域電力設立の支援強化(地域脱炭素化の支援)5. 小売電気事業者様向けマネジメントサービス提供型ビジネスの一層の拡大6. ファンド等を活用した資金調達による再生可能エネルギーや蓄電池など脱炭素(カーボンニュートラル)社会に向けたインフラ投資の推進これらの取り組みを推進するにあたり、所有する資産から収益を得るアセット型事業から電力に係る需給管理やリスク管理等各種マネジメントやオペレーションにより収益を得るノンアセット型の事業により重心を移していくことを指向しております。とりわけ、蓄電池については、脱炭素社会に向けて急速に拡大する再生可能エネルギーを効果的に活用するために重要な分野と認識しており、2021年2月より大型蓄電池を用いたエネルギーマネジメントサービスの提供を開始しております。これらマネジメント/オペレーションサービスの確立及び継続的発展のためには、現行の電力関連事業(再生可能エネルギー関連、電力取引関連、小売)で培いつつあるノウハウはもとより、これまでディーリング事業で培ってきたトレーディングや各種マネジメント等に係るノウハウや、アセット・マネジメント事業で培ってきたアセットオーナーとのコミュニケーション、新規事業投資等に係るノウハウを最大限活用するとともに、ファンドを活用したエクイティファイナンス等も含めた資金調達手段の多様化、より一層のAIの活用等によるDXの推進、人的資本投資の拡充に取り組んでいくことが必要であると考えております。なお、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定いたしました。 ② 株主資本の充実と持続的な収益力の確保総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において蓄積したノウハウを活用しつつ、事業展開を進めている当社グループにとって、今後の新しい事業モデルを構築するためには、株主資本を充実させ企業体力を強化させることと持続的な収益力を確保していくことが最も重要な課題であります。事業展開の優先度を重視し、各セグメントに対する経営資源配分の最適化を図り、事業目標の進捗管理の強化と資金効率をさらに向上させることが必要であると考えています。人財育成等を含め、人的資源の一層の活用を通じて収益力の向上に取り組んでまいります。また、企業体力を強化するためには収益力の向上に加え、継続的に経費構造を見直し経費率の改善も同時に進めることも重要であると考えております。引き続きコスト削減を徹底してまいります。 ③ 効率的かつ機動力のある体制の構築とリスク管理の高度化上記の目標達成のためには、適材適所の人材配置と業務効率の向上を実現させる組織運営が必要であると考えております。特にDXを推進する上では、システム人材の拡充が課題であると認識しており、外部登用や社内の人材活用も含め積極的に取り組んでまいります。また、当社は2021年1月28日開催の取締役会にて連結子会社であるアストマックス・トレーディング株式会社を吸収合併することを決議し、2021年4月1日付で実施いたしました。持株会社体制を抜本的に見直し、これまで培ったガバナンス能力を引き続き発揮しつつ、親子会社の取締役会の併存による重複感の解消、意思決定の迅速化、柔軟な事業展開、経営資源の一層の有効活用により、業績の向上に努めております。さらに、市場取引に係るリスク、信用リスク、流動性リスクに加え、セキュリティリスク、自然災害発生及び感染症拡大等に伴う事業継続に係るリスク等、当社グループの事業を取り巻くリスクは、今後、従来想定していない新たなカテゴリーのものも発生しうると考えられます。こうした事業を取り巻くリスクを迅速かつ的確に管理することの重要性を明確に認識し、不測の事態に備えたリスク管理体制の一層の強化に努めてまいります。 (その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)① 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国のエネルギー基本計画に鑑み、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。本事業を取り巻く環境としては、再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない状況が引き続き継続することが想定されます。こうした環境下、当社は、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係わるノウハウとネットワークの力を活用して、今後は固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心に取り組んでまいります。また、併行して固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保し、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換を図りながら、事業採算性の向上に取り組んでまいります。その一方で、全国的に太陽光発電設備が増加したことにより九州地方において春や秋等電力をあまり必要としない時期に出力抑制が課される事態が増加してきており、2022年4月に入ってからは従来出力抑制が実施されていなかった他のエリアにおいても出力抑制が課せられております。当社グループはこれまで以上に出力抑制が実施される可能性を十分に認識し、業務効率化や経費見直し等を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において調査井4本の掘削が完了し、そのうち3ヵ所において自噴を確認し事業化に向けて着実な前進を示しました。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー関連事業の新たな中核の一つとなるよう、潜在的なリスク検証も含め、パートナー企業とともに取り組みを加速・拡大させてまいります。なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、電源接続案件一括検討プロセス(系統連系希望者の間で、系統容量の増強工事費を共同負担することにより、効率的な系統整備等を図ることを目的とする手続)が、2021年12月に不成立のまま完了となりました。系統利用の在り方については様々な議論が進められており、ルールの見直しを含めた変更の可能性があるため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。 ② 電力取引関連事業における収益力強化電力取引関連事業においては小売電気事業者向けの業務代行の受注に加え、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するため電力の仕入・販売に注力してきた結果、報告セグメントとして独立してから5年目となる2021年3月期以降、当連結会計年度まで2期連続して大幅なセグメント利益を計上することができました。しかしながら、事業をとりまく環境は2021年1月の電力需給ひっ迫に加え、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻等によりエネルギー価格が高騰し、電力の仕入価格が販売価格を上回る状況が断続的に発生する等、当社の重要顧客である小売電気事業者にとっては厳しい事業環境となっております。当社といたしましては、サービスの質の高さと独自のネットワークを武器として引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、一層の収益力の拡大と事業基盤の強化を目指してまいります。 ③ 小売事業の事業基盤の確立当社グループは小売電気事業者を有するAEKK社を2020年4月に買収し、AEKK社を当社グループにおける小売電気事業のプラットフォームとして活用するとともに、2022年3月期から小売電気事業を積極的に展開しております。しかしながら、前述のとおり、小売電気事業者を取り巻く環境は厳しい状況に変化しており、AEKK社としても事業計画の見直しを行っております。このような状況の中、2022年4月から販売を開始した低圧顧客向けの電力プラン「フリープラン」は、電力の価格を変動料金と固定料金を組み合わせ、カスタムメイドな電気プランを実現できるプランであり、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに興味のある顧客に適しているものとしてスタートさせております。また、今後は本フリープランと各家庭の家電制御とデマンドレスポンスへの対応を可能とするデバイスを組み合わせて使用することで、小売事業の付加価値を高めていきたいと考えております。なお、本デバイスは、当社グループが2020年12月に第三者割当増資を引き受け、業務提携契約を締結したAI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業を展開するスタートアップ企業である株式会社LiveSmartが提供しております。 高圧及び特別高圧の法人顧客に対しては、昨今大手電力会社が引き受けを停止していることもあり、これを当社グループにとってのビジネスチャンスと捉え、コーポレートPPAと蓄電池等を複合的に活用し、サービスを提供してまいりたいと考えております。 ④ アセット・マネジメント事業の収益基盤の拡充当社グループのアセット・マネジメント事業を主として担っていたPayPayアセットマネジメント株式会社(旧アストマックス投信投資顧問株式会社から2021年3月8日に社名変更。以下、「PPAM社」という。)が2度の株式譲渡を経て2020年3月期より当社の持分法適用関連会社となって以降、PPAM社については、税引後当期純損益のうち当社の持分49.9%のみが、営業外損益としてアセット・マネジメント事業のセグメント損益に反映されることとなっております。PPAM社の運用資産残高は2018年12月末の4,267億円のピークから1,800億円超減少しておりますが、同社では、この動きに歯止めをかけ、顧客の属性分散、商品開発力及び提供力の拡充等を含めた立て直しを迅速に実行するため、新たな人材の確保と組織体制の見直しを行い運用資産残高の回復に取り組んでおります。また、個人投資家向けビジネスについては、「PayPayアセットマネジメント株式会社」への社名変更を契機にZホールディングス株式会社グループとの協働がさらに推進されております。 一方、現在当事業を主として推進しているAFM社では、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しております。運用対象が拡大するに伴い、この運用業務を適切に行うと共に、ベンチャーキャピタルファンドについては、投資先企業の成長にも寄与できるよう、引き続き努力を継続してまいります。 ⑤ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めない一方、取引にかかるコストは海外を中心に年々上昇していることから、引き続き管理部門の業務効率化やコストコントロールを積極的に行ってまいります。2020年度には原油と石油製品を除く商品先物が東京商品取引所から日本取引所グループ傘下の大阪取引所に移され、総合取引所が発足しましたが、期待した程の参加者の増加は未だ見受けられないものの、当社グループの得意とするリスク管理手法を用いて収益の最大化、利益率及び資本効率の向上を目指して事業展開を行ってまいります。 ⑥ 新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を受けて新型コロナウイルス感染症の感染拡大も既に3年目に入り、当社グループにおいても業務システム導入等によるIT化やデジタル化を進めた結果、ニューノーマルな生活や勤務体制が一般化しつつあります。在宅勤務の利便性が確認できたと共に、リアルな時間や場所を共有できないことに伴う弊害についてもあらためて認識しつつ、ウイズコロナの時代において、ハイブリッドな勤務体制を維持しつつも当社の全てのステークホルダーにとっての最適解を導くべく、今後も様々な施策にトライしてまいります。また、今後起こりうる別種のウイルス等による感染拡大や自然災害に対しての想定も必要となってくると考えております。 ⑦ コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業、小売事業を展開し、グループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑧ セキュリティ対策当社グループでは、事業別に業務上の全てのデータにアクセス権を設定するだけでなく、情報にアクセスする場所やデバイスにおいても制限を施すことで、情報漏洩のリスクを低減させる取り組みを行っております。その上で、役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、役職員全員を対象としたサイバー攻撃に関する訓練や研修を定期的に実施しております。今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。 ⑨ IRの充実当社グループの事業は複数で構成されているため、既存株主様や投資家からそれぞれの事業が分かり難いとのご意見をいただいております。IRについては、月次開示(当社グループが保有する発電所の売電状況と運用資産残高)、四半期決算の補足説明資料開示、年に2回のオンライン決算説明会、年次の株主通信の充実や、各種適時開示等にて、事業全体の関連性及び状態をより分かり易く可視化することに努めております。今後もIRの一層の充実に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当社グループは、創業以来培ってきたノウハウを活用し、総合エネルギー事業をコアとし、金融及び市場取引分野において蓄積したノウハウを活用しつつ、事業を展開しております。前第4四半期連結会計期間に開始した蓄電池リースに関連する取引は、従来「小売事業」セグメントとして区分しておりましたが、経営管理区分の変更に伴い、当連結会計年度より「再生可能エネルギー関連事業」セグメントへ区分することに変更しており、当該変更の内容を反映させた組替え後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。 当社は、2021年11月に、2022年3月期から2025年3月期までを対象期間とする中期ビジョン「事業の深化と進化」を策定いたしました。2022年9月に創業30周年を迎える当社グループは、本中期ビジョンにおける3年半を第2の創業期と捉え、総合エネルギー事業会社への変革を加速化させ、会社の飛躍的な成長を図ってまいります。具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と当社の強みをベースに、当社事業を深化・進化させ、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた優先的に取り組む事項を達成します。また、2025年3月期における定量的目標として、連結営業収益:200億円以上、税金等調整前当期純利益:7億円以上、1株当たり純資産額:500円以上、の3つを設定いたしました。中期ビジョンの進捗の報告については、決算短信や適時開示等で随時行ってまいります。 当連結会計年度の経営環境は以下のとおりです。当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症拡大により首都圏や関西圏等を中心に、2度の緊急事態宣言が発出され、その後解除された地域でもまん延防止等重点措置が続く等、一進一退を繰り返してきました。ワクチン接種率が全国的に上昇する中で感染者数が大幅に減少、さらに菅総理(当時)の自民党総裁選への立候補断念を受けて、岸田新総裁及び新内閣への期待が市場で高まり、9月には日経平均株価が終値として31年ぶりの高値となる30,670円をつけました。しかしながら、緊急事態宣言解除や岸田内閣の発足も強材料とはならず、堅調な上昇を続ける米国市場と比べると、力強さに欠ける展開となりました。ロシアによるウクライナ侵攻が開始されると、世界の物価高に拍車がかかる中、米国を中心とする金融引締めによる景気後退懸念と日米金利差の拡大が継続する見込み、日本が輸入に頼っているエネルギー及び資源価格の高騰、産業に必要な原材料の調達への支障懸念等を受けて、円と株が同時に売られる展開となり、2022年3月末の日経平均株価は27,821.43円と前連結会計年度末比4.7%の下落となりました。 当連結会計年度のセグメントごとの経営環境は以下のとおりです。再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2020年度の事業用太陽光発電のFIT価格は12円(税抜)、2021年度は11円(税抜)となり、250kW以上の設備については入札制度適用区分として定められております。また、2022年4月より、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が改正され、未稼働案件に対して運転開始期限設定を義務化する失効制度、市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度、源泉徴収的な外部積立を前提とした廃棄費用積立て制度、再生可能エネルギーポテンシャルを活かす系統増強等が示されました。 FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しておりますが、前述のようにFIT制度に加え、FIP制度の導入、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」、「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」「ESG(持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの観点)」等、世界的に推進されている脱炭素社会を目指す動きは急速に広がりを見せてきております。我が国においても、「強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」や「エネルギー基本計画」等において、2050年までの温暖化ガス排出量実質ゼロ、S+3E(エネルギー政策の基本的視点。安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向上(Economic Efficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図るもの。)の原則に基づく再生可能エネルギーの主力電源化が政策目標とされています。しかしながら、ウクライナ情勢の影響によるエネルギー価格のさらなる高騰や脱ロシアの動き等により、脱炭素社会に向けた世界的な取り組みは一時的に不透明な展開となっております。また、国内においては、再生可能エネルギーの増加に伴い、電力需給バランスの維持及び電力安定供給の必要性から出力抑制が発令される回数が年々増加しており、当連結会計年度における当社グループが保有する熊本県の発電所への発令回数は合計28回に及びました。2022年4月には他の電力管轄内においても出力抑制が発令されており、今後さらに増加する可能性があります。 電力市場においては、天候不順や燃料市場の高騰、再エネ電源の増加による既存発電施設の運用コスト増加等によって市場価格の変動リスクが高まっております。2021年1月には、複数の要因が重なったことによる電力需給のひっ迫により、電力スポット価格は一時200円台まで高騰しました。その後春先から夏にかけての電力価格は安定しましたが、世界的な燃料価格の上昇を受け秋以降は再び高騰し、2022年2月にはウクライナ情勢を受けて一段高となり高値で推移しました。小売電気事業者や発電事業者の経営においても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており、電力取引のヘッジニーズは高い状態が続くものと考えられます。 商品市場においては、原油価格は、ワクチン普及に伴う経済活動の活発化による需要回復と世界的な金融緩和を受けた物価上昇観測により堅調に推移していましたが、ウクライナ情勢を受けて他の資源同様、大幅に上昇しました。貴金属価格は昨年度のような新型コロナウイルス感染症の影響による高騰は終わりましたが、同じくウクライナ情勢を受けて大幅高となっております。 電力小売業界では多くの小売電気事業者が参入した結果、顧客獲得に向けた価格競争は激化しており、昨年来業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。その中で2021年1月にかけて起きた前述の電力スポット価格高騰に続き、2021年10月以降もスポット価格は高水準で推移し、スポット市場からの電力調達を余儀なくされる小売電気事業者へ大きな打撃を与えることとなり、当該事業から撤退する企業や倒産する企業が続出しております。 このような市場環境等のもと、当連結会計年度における経営成績は以下のとおりです。(単位:百万円) 2021年3月期連結会計年度2022年3月期連結会計年度増減増減率(%)増減の主要因ほか営業収益12,28012,7694894.0①電力取引関連事業(+1,305)②再生可能エネルギー関連事業(△766)③ディーリング事業(△297)④小売事業(+238)⑤アセット・マネジメント事業(+14)営業費用12,01712,2412231.9①電力仕入の増加(+903)②再生可能エネルギー関連事業の外注工事費の減少(△642)営業利益262527265101.0 経常利益95324229239.4①営業利益(+265)②持分法による投資損失の増加(△40)特別利益31221△290△93.1前連結会計年度は鹿児島県内の太陽光発電設備を譲渡したことによる特別利益及び国庫補助金による特別利益を計上特別損失13711△126△91.5前連結会計年度は国庫補助金にかかる固定資産圧縮損として特別損失を計上税金等調整前当期純利益2703346423.9 法人税等合計(※1)1382066849.4 非支配株主に帰属する当期純利益101△9△89.3 親会社株主に帰属する当期純利益12112765.0 ※1 「法人税等合計」には、「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を含みます。※2 当連結会計年度の営業収益における電力取引関連事業に係る増加の要因については、セグメント毎の経営成績 及び取り組み状況<2 電力取引関連事業>をご参照ください。 セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。セグメント利益:電力取引関連事業のセグメント利益は、前年比増加しました。セグメント損失:再生可能エネルギー関連事業並びに小売事業及びアセット・マネジメント事業のセグメント損失 は、前年比増加しました。ディーリング事業は、セグメント損失となりました。 (セグメント別営業収益・セグメント損益) (単位:百万円) 2021年3月期連結会計年度2022年3月期連結会計年度増減増減率(%)再生可能エネルギー関連事業営業収益1,376635△741△53.9セグメント損益△1△11△9-電力取引関連事業営業収益10,08311,5021,41814.1セグメント損益302875572189.5小売事業営業収益146391244166.9セグメント損益△194△234△39-アセット・マネジメント事業営業収益1331481411.0セグメント損益△115△159△43-ディーリング事業営業収益641343△297△46.4セグメント損益203△45△248-その他営業収益2923△5△19.9セグメント損益△21△191-調整額営業収益△131△275△144-セグメント損益△77△81△3-連結財務諸表計上額営業収益12,28012,7694894.0セグメント損益95324229239.4 ※1「その他」は、地方創生事業など、現時点で事業セグメント化されていない事業を示しています。※2 セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の経常損益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。各事業に帰属する特別利益および特別損失は含んでおりません。 <1 再生可能エネルギー関連事業>当事業は主に当社及びアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)が推進しております。再生可能エネルギーを取り巻く環境は前述のとおりですが、当社は当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針であり、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指しております。現時点においては、以下のとおり、継続的に再生可能エネルギー発電所の開発、取得、発電及び電気の供給(発電事業)、維持・運営管理(O&M事業)を行っております。また、PPA(需要家と発電事業者が長期間の電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入利用できるもの。)を中心とした自家消費モデルについて、企業や自治体への展開に取り組んでおります。 (太陽光発電事業)当事業が従事した完工済みの案件は合計31.4MWであり、今後着工する案件は以下の①のとおり、1か所、2.1MWになります。 再エネ特措法の改正、競合他社の参入、優良案件の減少等、案件確保が容易ではない事業環境が引き続き想定されます。当事業では、長年に亘り培ってきた再生可能エネルギーに係わるノウハウとネットワークの力を活用して、今後は固定価格買取制度に頼らない、非FIT太陽光発電設備を用いたPPAの展開を中心に取り組んでまいります。また、併行して固定価格買取制度上のセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件確保、保有している既存発電設備について譲渡を行うこと等を含め、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しつつ、FITモデルから非FITまたはFIPモデルへの転換により、事業採算性の向上に取り組んでまいります。自社開発(建設中):① 栃木県大田原市 出力規模:約2.1MW 2024年5月完工予定稼働後は当社が維持・運営管理(O&M事業)を行います。 自社開発(運転開始):当連結会計年度に運転開始した案件はありません。セカンダリー市場:新たな案件についても精査を行っております。ポートフォリオの入替:当連結会計年度に入替を実施した案件はありません。維持・運営管理(O&M事業):当社が開発に携わった案件等16か所、合計29.5MWの太陽光発電所の維持・運営管理(O&M事業)を行っております。 (地熱発電事業等)当事業では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」(以下、「助成事業」という。)の採択を受け、2MW規模の地熱発電の事業化を目指して、2016~2018年度に3本の調査井掘削を完了し、1号調査井及び3号調査井については自噴を確認、2号調査井については熱水資源の還元ゾーンとしての十分な能力を確認してまいりました。この結果を受け、当社は、事業規模の計画拡大及び、最大49%までの範囲による第三者からの事業参画をより容易にすることを目的として、2019年5月に、新設分割により設立したえびの地熱社に、宮崎県えびの市における地熱開発事業の全てを承継させました。2020年3月には大和エナジー・インフラ株式会社とえびの地熱社との間で、事業収益の10%を分配する匿名組合契約を締結いたしました。なお、匿名組合出資と損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。その後、えびの地熱社では、2019年度助成事業として掘削した4号調査井についても自噴を確認しており、これまでの調査結果から計画規模を4.8MWに拡大し、発電所建設のための検討を進めております。また2021年3月には、JFEエンジニアリング株式会社とえびの地熱社との間で、事業損益の10%を分配する匿名組合契約を締結し、第一回匿名組合出資を受けました。なお、損益分配の開始は発電所の運転開始時となります。 なお、当初計画の2MW分については、発電設備等を電力系統に連系するための工事費負担金契約を九州電力株式会社との間で締結しており、2026年度の運転開始を予定しております。一方、計画規模拡大後の連系枠については、電源接続案件一括検討プロセス(系統連系希望者の間で、系統容量の増強工事費を共同負担することにより、効率的な系統整備等を図ることを目的とする手続)が、2021年12月に不成立のまま完了となりました。系統利用の在り方については様々な議論が進められており、ルールの見直しを含めた変更の可能性があるため、今後の動向を確認しながら引き続き系統確保に向けて、取り組んでまいります。 再生可能エネルギー関連事業では、前連結会計年度末に保有する発電所を譲渡したことによる売電収入の減少に加え、前述のとおり規模の大きい熊本県の発電所で合計28回(前年同期間比6回増加)の出力抑制が発せられたことにより営業収益は前年同期間比減少しました。また、当事業では地熱開発を含む発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は635百万円(前年同期間比741百万円(53.9%)の減少)、11百万円のセグメント損失(前年同期間は1百万円のセグメント損失)となりました。 <2 電力取引関連事業>当事業では、小売電気事業者をサポートするために、電力取引の提供、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供を行っております。電力取引については、顧客の電力調達及びヘッジニーズに対応し、電力現物先渡取引、デリバティブ取引である電力スワップ取引、電力先物取引に取り組んでおります。電力取引の増加及び多様化に伴うリスク管理の重要性が高まっていることに鑑み、当社グループでは、リスク管理体制の強化も推進しております。前連結会計年度は、冬期に電力の需給がひっ迫したことを受け、ヘッジのための電力取引は増加しました。当連結会計年度においても電力取引ニーズは引き続き堅調であり、春夏に続き燃料価格の高騰を受けた秋以降の電力取引についても取引量は増加し、リスクを抑制しながら利益を確保しております。業務代行サービスについては、既存顧客へ安定したサービスの提供をしながら、引き続き新規取引先を増やすべく、電力取引のリスク管理コンサルティング等新メニューを加え顧客ニーズにあったきめ細かいサービスの提案を行っております。2022年1月には日鉄ソリューションズ株式会社が販売開始する電力リスク管理システム「エネファロス」の開発にコンサルタントとして加わることを発表、2022年度以降の販売にも携わります。なお、翌連結会計年度以降に受渡しが行われる電力現物先渡取引は時価評価の対象ではありませんが、当該取引をヘッジする目的で行う電力先物取引はデリバティブ取引として時価評価の対象となります。電力先物取引のうち、一部取引所では取引所の規定によって3カ月以上の期間のポジションは限月が近付いた段階で決済され、より短い期間の新たなポジションに分割されます。これに伴う決済利益344百万円(純額)と、翌連結会計年度以降に限月を迎える電力先物取引の時価評価益82百万円(純額)は、翌連結会計年度以降に受渡しが行われる電力現物先渡取引と同一の会計期間に認識されないため、当連結会計年度の連結損益計算書の営業収益及び電力取引関連事業セグメント利益を押し上げる要因となっております。以上の結果、電力取引関連事業の当連結会計年度の営業収益は11,502百万円(前年同期間比1,418百万円(14.1%)の増加)となり、セグメント利益は875百万円(前年同期間比572百万円(189.5%)の増加)となりました。 <3 小売事業>当事業は、主に当社及びアストマックス・エネルギー株式会社(以下「AEKK社」)が推進しております。当社は、当社グループ内における業務効率化を目的として、2021年10月1日付にて、AEKK社を存続会社、アストマックス・エネルギー合同会社(以下、AEGK社)を消滅会社とする、連結子会社間の吸収合併を行いました。AEKK社はAEGK社の行っていた個人を中心とする低圧市場の顧客への電力・ガス販売を継承し、当社は特高・高圧市場の顧客への販売を行っております。 (電力小売事業)AEKK社では「お客様のライフスタイルに合った電力プランが選べます」のキャッチフレーズの下、従来の2プランに加え、第1四半期連結会計期間に基本料金ゼロプラン、ナイトセイバープランの2つの新プランを発売し、これにより基本プランとして4つのプランのラインナップが揃うことになりました。また、第1四半期連結会計期間に実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給する「プラス・グリーン」をリリースし、各基本プランにトッピングできるサービスを開始いたしました。一方、AEKK社の電気ブランドを「アストでんき」とし、その知名度を上げるべくSNSでの配信や検索サイトでのリスティング広告を開始しました。さらに、節電機器メーカーとの間で節電機器の販売代理店契約を締結し、低圧電力を利用する法人向けに節電機器とアストでんきの電力プランのセット販売を展開できる体制を整えました。一方、前述の事業環境のとおり、小売電気事業者から撤退する企業や倒産する企業が続出している中、切替えを希望する顧客も多く、顧客を増加させる好機である一方、現在の市場状況下での新規顧客獲得は電力調達コストが高騰していることから逆ザヤによる採算悪化を避けるため、プランを限定して新規顧客獲得を行わざるを得ない状況となっております。このような状況の中、2022年3月に受付を開始した新プラン「フリープラン」は市場連動型プランでありながら、市場価格と固定価格を自由に組み合わせることができるプランであり、特に太陽光発電や蓄電システムを導入し、家庭内のエネルギーマネジメントに興味のある顧客に適した、他社との差別化ができる当社独自の商品となります。今後もサービスの拡充と知名度の向上に努め、早期の黒字化を目指して取り組んでまいります。 (ガス小売事業)当事業では、取次店候補である複数の企業と交渉を行っておりましたが、2021年1月からAEKK社を取次店のひとつとしてAEKK社の既存の電力顧客に対し電気とガスのセット販売キャンペーンを継続しております。 以上の結果、小売事業の当連結会計年度は、コスト先行が継続しており、営業収益は391百万円(前年同期間比244百万円(166.9%)の増加)となり、234百万円のセグメント損失(前年同期間は194百万円のセグメント損失)となりました。 2021年4月に新たに設置した「新機能開発部門」は、当社が推進する総合エネルギー事業の様々な領域において、当部門が中心となって各事業部門との連携を図り、DXの推進や新しいビジネスモデルを組み立てていくことを業務目的としております。AI活用による需給管理や、発電/供給サイドの事業と販売/需要サイドの事業のアグリゲート(集約化)及び、双方のマッチングによる新たなサービスを展開すること等、独自性の高いビジネスフィールドを考えてまいります。当連結会計年度においては、AI等を活用した電力の需要予測や太陽光発電出力予測等の需給管理、リスク管理の高度化に取り組んでおります。 業務代行サービスを提供している既存顧客の電力需要予測、および太陽光発電出力予測に関して、AIによる予測精度向上を確認し、順次、自動システム化に取り組んでおります。また、AI・IoTを活用した生活空間におけるサービスプラットフォーム事業を展開する、株式会社LiveSmartの「LiveSmart for Business」と連携した、電力小売事業で販売している「フリープラン」向けのシステム開発を行っております。今後は、電力需給調整や再エネ価値向上等に資する系統用蓄電池による蓄電事業への展開を検討しております。 <4 アセット・マネジメント事業>アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社(以下、「AFM社」という。)においては、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務等を担う他、2020年3月以降、新たなファンドの運用業務も受託しております。PayPayアセットマネジメント株式会社(以下、「PPAM社」という。)においては、世界的な株式相場の上昇及び円安ドル高の進行局面では、投資家の間で利益確定目的での解約や満期償還に伴う資金流出が見られた他、適格機関投資家向けの新規設定私募投信への資金流入が伸び悩みました。一方、世界的な物価上昇の流れを受けて米国を中心とする金融引締めが加速すると、債券・金利ものを敬遠しての解約と、円安ドル高進行に伴うドル建て投資の私募投信の利益確定目的での解約が見られました。2022年3月末時点の運用資産残高合計は前連結会計年度末比約687億円減少の2,445億円となりました。このため、PPAM社の営業収益は前年同期間比減少を続けており、当社の連結決算上は営業外損益として取り込まれる持分法による投資損益はマイナスとなりました。一方、AFM社が営業者として運用しているファンドは順調に運用資産を増加させており、当セグメントの営業収益に計上する運用報酬額も増加しております。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は148百万円(前年同期間比14百万円(11.0%)の増加、持分法適用関連会社のPPAM社の営業収益は含まず)となり、159百万円のセグメント損失(前年同期間は115百万円のセグメント損失)となりました。PPAM社では、機関投資家向けビジネス、個人投資家向けビジネス共に、拡大に向けた取り組みがこれまでのところ当初計画より大幅に遅れております。しかしながら、機関投資家等の運用成果に貢献すると共に、年金基金等の中長期の投資対象となりうるファンド組成をタイムリーに行っていくことに注力しつつ、同時に投資信託の販売会社等との協業も強化することによって運用資産残高の積み上げに努め、収益基盤の拡充にも取り組んでおります。また、PPAM社ではこれまでの主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家に向けて、ネット取引に加え対面型営業による長期積立型投資信託事業の展開も進めております。また、個人投資家向けビジネスについては、「PayPayアセットマネジメント株式会社」への社名変更を契機にZホールディングス株式会社グループとの協働をさらに推進してまいります。 <5 ディーリング事業>当事業は、当社が推進し、OSE、TOCOM、CME、ICE、INE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。当連結会計年度における原油市場の動きは、一時的にマイナス価格をつける等大きく価格変動した前年同期間に比べ堅調に推移し、裁定取引の機会はやや減少しました。貴金属の裁定取引においても、前連結会計年度に乖離が多かった市場間の値差は一部を除き理論値からの乖離が減少し、裁定取引の機会も減少しました。ウクライナ情勢による商品の暴騰時は予期せぬリスクに備え取引を限定しました。市場間の値差が乖離する場面では利益につながる取引を継続したものの、全体としては取引機会の減少の影響が大きくなりました。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は343百万円(前年同期間比297百万円(46.4%)の減少)、セグメント損失は45百万円(前年同期間は203百万円のセグメント利益)となりました。当事業では、今後も引き続き経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い引き続き収益力の強化を目指してまいります。 <6 その他(地方創生ほか)>当事業は報告セグメントとして独立しておりませんが、事業の状況について説明いたします。当事業は北海道長万部町の「長万部地方創生事業」において、「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指し2017年11月に設立された長万部アグリ株式会社(以下、「アグリ社」という。)が主に推進しております。当社グループはアグリ社の設立当初より出資しておりましたが、2018年6月にアグリ社の第三者割当増資を引き受け、アグリ社は当社の子会社となりました。アグリ社では、サンゴ及び焼成したホタテ貝殻のアルカリ培地を利用した新しい農法でミニトマトを生産・出荷しており、2020年2月にはアグリ社の「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」が、一般財団法人格付けジャパン研究機構が主催する格付け認証のミニトマト部門における総合評価において「データプレミアムNo1」の認証を取得いたしました。本「データプレミアムNo.1」の認証期限は2024年まで延長され、また、2022年3月には、鈴木北海道知事が農場視察に来訪されました。アグリ社では継続的に商品販売の機会を確保することを目的として、Eコマースプラットフォームを活用した販路拡大も進めております。これまでの「長万部アグリYahoo!店」等に加え2021年5月には「BASE店」を開店、SNS等を利用した情報発信によっても「ENRICH MINI TOMATO(エンリッチミニトマト)」及びトマトジュースの周知活動を行っております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束する中では、百貨店・ホテル・観光関連施設・飲食店等、既存のお客様への販売も再開した他、都内のイタリアンレストラン等の新規顧客も増加しておりますが、全体としては、ビニールハウスを暖める燃料費の高騰もあり、営業費用が営業収益を上回る状態が継続しております。 上記、セグメント利益又は損失は当該連結会計年度の経常利益と調整を行っており、セグメント間の内部取引消去等の調整額が含まれております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,648百万円(前年同期間比17.9%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として差入保証金の増加による支出(△1,252百万円)等により、△442百万円(前年同期は921百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業等に係る有形固定資産の取得による支出(△190百万円)等により、△269百万円(前年同期は1,153百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として社債の発行による収入(500百万円)等により、133百万円(前年同期は△1,637百万円)となりました。 ③ 営業収益の状況a. 営業収益実績当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)前年同期比(%)再生可能エネルギー関連事業(千円)562,223△57.7電力取引関連事業(千円)11,309,84213.0小売事業(千円)381,862166.8アセット・マネジメント事業(千円)148,28011.0ディーリング事業(千円)343,747△46.4その他収益(千円)23,416△20.2 合 計(千円)12,769,3724.0 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。 b. 運用資産残高の状況[アセット・マネジメント事業]以下の表は、当連結会計年度の運用資産残高の状況を示したものです。 2021年3月6月9月12月2022年3月合計(百万円)313,320291,221278,552265,627244,577 c. 太陽光発電所発電量実績〔再生可能エネルギー関連事業〕以下の表は、当社グループが保有する太陽光発電所の発電実績を示したものです。 発電所数パネル出力(MW)予想発電量(kWh)(A)発電量(kWh)(B)差異(B)-(A)CO2削減効果(kg-CO2)2021年4月410.91,265,8521,153,585△ 112,267634,4725月410.91,223,087721,919△ 501,168397,0556月410.91,153,9401,266,344112,404696,4897月410.91,270,7591,207,520△ 63,239664,1368月410.91,339,355918,498△ 420,857505,1749月410.91,060,6901,014,384△ 46,306557,91110月410.9965,7451,026,83961,094564,76111月410.9814,819822,6607,841452,46312月410.9724,511755,29330,782415,4112022年1月410.9748,894883,048134,154485,6762月410.9920,979954,22433,245524,8233月410.91,100,0541,006,004△ 94,050553,302合計--12,588,68511,730,318△ 858,3676,451,675 (注) 1 環境省の制定する「CO2削減効果算定マニュアル」に基づき算出しています。 CO2排出係数(代替値):0.55kg-CO2/kWh (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益は12,769百万円(前期比489百万円の増加)、営業費用は12,241百万円(前期比223百万円の増加)、営業利益は527百万円(前期比265百万円の増加)、経常利益は324百万円(前期は229百万円の増加)となりました。営業収益の増加は、電力取引関連事業における電力価格の高騰や取引が活発化したことによる増加が、再生可能エネルギー関連事業やディーリング事業の営業収益の減少を上回ったことによります。営業費用の増加は、再生可能エネルギー関連事業の外注工事費は減少したものの、電力取引関連事業の電力の仕入れが増加したことによります。営業外費用に計上している持分法適用関連会社による損失は増加しましたが、税金等調整前当期純利益は334百万円(前期比64百万円の増加)となりました。法人税等合計は206百万円(前期比68百万円の増加)、非支配株主に帰属する当期純利益は1百万円(前期比9百万円の減少)となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は127百万円(前期比6百万円の増加)となりました。配当後の非支配株主持分を除いた純資産額は2021年3月期末の5,488百万円から5,601百万円と112百万円増加し、純資産は6,170百万円となりました。 再生可能エネルギー関連事業では、当連結会計年度は、ポートフォリオの入替を目的とした保有する太陽光発電所の設備の譲渡等は無く、保有する太陽光発電所の売電収入や管理する太陽光発電所の維持運営報酬等が主な収入となり、営業収益は53.9%減となりました。営業費用については、従来より、地熱開発を含む発電所の開発に係るコストを負担しておりますが、当連結会計年度においては、新たな取組みに向けたAI研究や、システム開発関連コストが発生していることもあり、結果として、11百万円のセグメント損失となりました。2014年度から着手している宮崎県えびの市で進めている地熱発電事業は、4本の調査井の掘削および仮噴気試験が完了しております。2019年5月には今後の事業規模の拡大を目指すことを前提に、最大49%までの範囲にて第三者からの事業参加を想定し、パートナー企業の参画をより容易にすることを目的に、宮崎県えびの市の地熱事業を新たに設立したえびの地熱社に承継させる新設分割を実施いたしました。2020年3月にはえびの地熱社の事業損益の10%を分配する匿名組合契約を大和エナジー・インフラ株式会社と、また2021年3月にはJFEエンジニアリング株式会社と締結いたしました。電力取引関連事業では、電力の需給が逼迫し、電力価格が急騰したこともあり、当連結会計年度は一年を通じて電力需要が減少することなく、電力取引額も増加しました。当社は効果的なポジション構築と適切なリスクコントロールにより収益を確保し、営業収益は前連結会計年度比14.1%増加し、875百万円のセグメント利益となりました。小売事業では、電力の基本プランを新たに追加、実質再生可能エネルギーによる電力を100%供給するサービスを開始、「アストでんき」の知名度向上のための施策などを実施しました。その結果として、顧客数は増加し、営業収益は166.9%増加いたしましたが、依然として、現時点においては、顧客獲得のための費用や広告宣伝費、新たな取組みに関するシステム開発等によるコスト先行となっており、セグメント損失は前期比39百万円増加し、234百万円となりました。アセット・マネジメント事業は、ファンド運用業務の新規受注などにより、営業収益は前連結会計年度比11.0%増加したものの、利益面では持分法適用関連会社による損失が増加し、159百万円のセグメント損失となりました。ディーリング事業は、主要商品先物銘柄における価格の変動率が低い状態が続いたこと、ロシアによるウクライナ侵攻開始後においては、予期せぬリスクに備えポジションを縮小したこと等から、結果として取引機会が制約されることとなり、営業収益は前連結会計年度比46.4%減少し、45百万円のセグメント損失となりました。なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。(再生可能エネルギー関連事業)引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取り組みを継続しております。FIT制度からFIP制度への移行が進む中で、新しい取り組みとして、電力の自家消費モデルを企業や、自治体へ展開していくことに取り組んでおります。これは、需要家と発電事業者が、長期間の電力購入契約を締結することで、初期投資不要で太陽光設備等を導入することが可能となるという、ひとつのモデルとして、脱炭素化への貢献につながるものと考えております。なお、同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じた場合は、同事業の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。(電力取引関連事業)同事業においては、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、業務代行サービスを利用する顧客数及び顧客の取り扱う電力量や需給逼迫等による電力価格の高騰が経営成績に影響を与えることとなります。(小売事業)企業買収により小売電気ビジネスに前連結会計年度より本格参入いたしました。小売電気事業のビジネスモデルは、顧客獲得にかかる代理店・取次店等への販売報酬を営業費用として先行して認識し、顧客契約からの収益はその後一定期間をかけて回収するという特性がある為、顧客を継続的に増やしていく成長過程においては、小売電気事業者の損益計算書は費用先行になる傾向がありますが、中長期的には当社の企業価値向上に寄与するものと考えております。ウクライナ情勢前からのエネルギー価格高騰により、小売電気事業から撤退する企業もでてきている中、契約の切替えを希望するユーザーも増加しております。これは事業を拡大することができる好機である一方、現在の電力調達コストが高騰している市場環境下での新規顧客獲得は、逆ザヤによる採算悪化を強いられることになり、現時点においては、プランを限定して新規顧客獲得を行っております。(アセット・マネジメント事業)PPAM社では顧客層の拡充・事業基盤の拡大に努めてはおりますが、依然として、投資家による利益確定または損失限定のための投資行動などにより解約が一定期間に集中することで、同事業の業績は影響を受ける可能性があります。また、PPAM社における信託報酬率の低下傾向が今後も続くような場合も同事業の業績に影響を与える可能性があります。なお、個人投資家を対象とする長期資産形成の事業は、一定規模の事業規模を達成するためには、時間を要する事業と認識しております。(ディーリング事業)ディーリング事業にとって、取引対象銘柄の出来高の大幅な減少や市場変動率の著しい低下(または、その反対に著しく急激な上昇)などの市場環境によって取引機会が減少する場合、同事業の業績は大きな影響を受ける可能性があります。また、2020年度に貴金属を中心とする銘柄は日本取引所へ移管が完了しましたが、東京商品取引所と大阪取引所の旧東京商品取引所銘柄を合算した日次出来高と取組高は前連結会計年度末の数字を下回っております。市場参加者の増加と流動性の向上は今後も期待されますが、これらは同事業の業績に影響を与える可能性があります。 経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。電力を中心とした総合エネルギー事業をより発展させるには、当社のトレーディング及びリスク管理ノウハウを生かしつつ新たなビジネスモデルの構築を早急に進めていく必要があります。加えて、当社は持続可能な社会の成長に資する脱炭素社会の実現を視野に、エネルギー資源の有効活用を図ると共に、効率的かつ利便性に優れたサービスの提供者になる必要があると考えております。そのためには当社グループの事業領域における近未来のサービスの在り方をいち早く見極め、人財育成と確保、そして当社の事業展開を補完する事業パートナーの発掘を含め、スピード感をもって事業領域を広げると同時に深めていくことに努めてまいります。その第一歩として、中期ビジョン2025「事業の進化と深化」に沿って、事業を展開してまいります。また、当社の各市場に関連する事業の成果は、内外の金融商品市場、電力関連市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢の影響を大きく受けるものとなっております。このため、これらの市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力することは以前にも増して重要となっております。業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。 ② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(資産、負債及び純資産の状況)当連結会計年度における総資産は、主にディーリング事業と電力取引関連事業に係る差入保証金の増加(1,302百万円)等により、13,121百万円(前年同期比10.1%増)となりました。負債は、主に社債の増加(980百万円)及び主に短期社債の減少(500百万円)等により、6,950百万円(前年同期18.8%増)となりました。純資産は、主に利益剰余金の増加(102百万円)等により、6,170百万円(前年同期比1.6%増)となりました。 (キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,648百万円(前年同期間比17.9%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として差入保証金の増加による支出(△1,252百万円)等により、△442百万円(前年同期は921百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業等に係る有形固定資産の取得による支出(△190百万円)等により、△269百万円(前年同期は1,153百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として社債の発行による収入(500百万円)等により、133百万円(前年同期は△1,637百万円)となりました。再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借り入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野に入れております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 (減損の認識)当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。また、地熱発電開発事業に係る固定資産の評価に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。 この基本理念の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、金融事業と総合エネルギー事業を展開し、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人材を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せ期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を計る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、加えて「フリーキャッシュ創造力」及びROE(株主資本利益率)についても重視してまいります。また、上記に加えアセット・マネジメント事業においては運用資産残高の推移を、再生可能エネルギー関連事業においては保有する太陽光発電設備の発電量を重視しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、かつては、経営資源を資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に集中しておりましたが、企業グループとしての事業基盤の強化と市場環境に左右されない安定した収益の確保を目指し、再生可能エネルギー関連事業及び電力取引関連事業への参入を決定し、その取組みを積極的に進めております。このような中、2017年3月期に2020年(2020年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、以下の骨子のとおり、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定し、2019年3月期に3年目を終えました。中期ビジョン達成のために役職員全員が「自走(じそう)できる人財&集団」となるべく、人財育成に必要な経営資源を十分に配分することとしております。 中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」① 株主還元と再投資による成長力の強化とバランスを重視した経営を行います。② 4事業を通じて社会に貢献できる企業を目指します。③ 当社グループは積極的にイノベーションに取組み、それを支えるガバナンス体制の充実を目指します。(イノベーション)1. 従来型の概念にとらわれることなく、新たな事業の発掘と既存事業の進化と深化により、社会的意義のあ る新たな価値を創造2. 異なる組織及び機能との融合により、新たな知見を獲得し独自性を発揮3. 自発的な人材の育成と人材を活かす組織を構築し、会社と社会に幅広い変革を推進4. あらゆるステークホルダーからの信頼の確保(ガバナンス)1. 業務執行体制と取締役会の監督機能を強化2. 迅速且つ牽制の効いた機関決定3. バランスシートマネジメントを重視 (4) 会社の対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。① 継続的な経常利益と当期純利益の確保並びに株主資本の増加前述のとおり、2017年3月期において、持続的な企業価値の向上に向けて、2020年3月期の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。同ビジョン1年目である2017年3月期は、アセット・マネジメント事業で前年比増収増益を達成しましたが、その他3事業は想定通りのセグメント利益を確保できず、当社連結決算は前年度比大幅な減収減益となりました。2016年10月に実施した子会社株式の一部譲渡による収益は、「連結財務諸表に関する会計基準」により、連結財務諸表においては期間収益として認識しないこととなった一方で、弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表では収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用の合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しました。上記子会社株式の一部譲渡を経て、連結での「非支配株主持分」を含む純資産額は、2016年3月期末の約45億円から約60億円に、また株主資本も、同様に約45億円から約53億円に増加しました。2年目である2018年3月期及び3年目である2019年3月期は、再生可能エネルギー関連事業において従来より推進している投資事業ポートフォリオの入替の一環として高知県奈半利町と大分県中津市の太陽光発電設備を譲渡しました。当該譲渡益は特別利益に計上されているため、本事業のセグメント損益に含まれておりませんが、実質的に本事業の収益と認識しております。また、アセット・マネジメント事業においても継続的にセグメント利益を確保できており、株主資本は、2017年3月期末の約53億円から約54億円に増加しました。当社グループは、会社の基本理念及び中期ビジョンに基づき、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理強化、人財育成等を通じて、中期ビジョンの最終年度2020年3月期においても、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいります。② 経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理上記の目標達成のためには、当社グループの目指す姿を共有し、事業展開のスピードアップを図り経営効率を上げていかなければなりません。2012年10月1日付の組織再編以降、各事業会社の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業において必要なファイア・ウォール(業務隔壁)については引き続き徹底しつつ、各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しております。また、中期ビジョンの目指す姿の達成に向け、持株会社はグループ事業を支援する専門家集団として、グループ内の事業を積極的にサポートすると共に、人財育成に注力し、引き続き経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでまいります。③ アセット・マネジメント事業における顧客本位の事業展開と収益基盤の拡充アストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)は2013年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図り、運用資産残高は2013年3月末の1,437億円から6年後の2019年3月末は4,173億円へと増加しました。2016年10月にはヤフー株式会社(以下、「ヤフー」という。)と資本・業務提携を行い、ASTAM社株式の33.4%を譲渡し、当社グループは国民の長期資産形成に資する投資運用事業に本格的に乗り出しました。ASTAM社のさらなる発展のために、当社は2019年4月1日付でASTAM社株式の16.7%をヤフーに追加譲渡し、当社のASTAM社株式の持分比率は49.9%となり、ASTAM社は当社の持分法適用会社になりました。今後も、機関投資家向けの投資運用業の品質の一層の向上に加え、投資家の皆様の長期資産形成に貢献できる投資運用会社としての態勢を構築し、引き続き、運用資産残高の拡大を図るべく、本事業の収益基盤の拡充に尽力してまいります。④ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。2019年3月期は、数年来取り組んでいる経費削減が奏功したこともあり、2年ぶりにセグメント利益となりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めないことから、引き続き管理部門の業務効率化や経費削減等を行い、コストの低減を図ってまいります。一方で、2018年3月に中国原油市場が海外へ開放されたこと及び2020年3月期には延期されていた電力先物が東京商品取引所に試験上場される予定であることも十分に視野に入れ、資本効率の向上を目指した事業展開を図ってまいります。また、取引所再編にも充分注視しつつ、リスク管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制の構築を推進して収益率を高め、利益率の好転を図ります。⑤ 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント、投資及び発電所の管理・オペレーション業務並びに農業関連法人への出資を行っております。当社グループとしては今後も「発電事業に投資し自ら発電事業を営むと共に、全部または一部をファンド化する等の事業展開により投資資金の早期回収を行い、再投資を行う。」というビジネス展開をベースに事業を推進していく方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギー事業の展開も進めており、これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業基盤を早期に確立していきたいと考えております。既に当社グループでは2019年3月末時点で、太陽光発電設備を約24メガワットを自社開発、約4メガワットを購入し、これらとは別に約2.2メガワットの案件を開発しております。天候に左右されることはあるものの、既に当社グループが保有する太陽光発電所からの売電収益は当事業の黒字化を実現可能とする水準になりました。その一方で、全国的に太陽光発電設備が増加したことにより春や秋等電力をあまり必要としない時期に出力抑制が課されることがエリアによっては増加してきていることから、これまでどおり、出力抑制可能性を十分に認識した事業運営を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において調査井3本の掘削及びそれらの調査・仮噴気試験を完了し、着実に前進してきております。調査結果を受け、2019年5月にはASTRA社の100%子会社としてアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)を新設しました。当社グループが開発を進めている宮崎県尾八重野地域の地熱発電事業については、今後えびの地熱社を主体とし、パートナー企業の事業参画を得ながら取り組みを加速・拡大させていきます。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー事業の新たな中核の一つとなる様、潜在的なリスク検証も含め、着実に取組んでまいります。⑥ 電力取引関連事業における事業基盤の確立電力取引関連事業は、電力小売全面自由化を契機に2017年3月期より再生可能エネルギー関連事業から独立したセグメントにいたしました。米国のEnergy Service Group, LLC(以下、「ESG社」という。)と電力小売事業者向けのシステムの国内独占販売契約を締結し、同システムの日本仕様化及び販売を進めてまいりましたが、電力小売全面自由化から1年が経った2018年3月期は、本格的なシステム導入や既に高圧で実績のある会社がシステムの入替等を検討する素地も整い、当事業にとって顧客基盤を拡大できる時期でありました。2019年3月期は電力取引が拡大し2019年3月期下期においては月次ベースでは単月黒字が続き、通年での赤字幅は大幅に圧縮されました。また、予定されていた東京商品取引所での電力先物の上場は、2020年3月期に試験上場する見込みに延期されているものの、電力の調達手段においてもディーリング事業で培ったノウハウが貢献し得るものと考えております。電力取引関連事業としての黒字化が計画より遅れておりますが、前述の事業機会を確実にとらえ、事業年度を通して黒字転換するためにも、引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。⑦ コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業を展開し、グループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。⑧ 情報管理の徹底当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、2012年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し、サーバーも物理的に別々のものとする等、厳格なファイア・ウォール体制を築いております。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。 ⑨ 新たな事業への挑戦当社グループでは、既に、2018年3月期における個人投資家説明会資料等で説明させて頂いておりますとおり、大学発ベンチャーファンド関連事業及び地方創生事業への取り組みも開始しております。社会的要請及び時代の方向性に即した新たな事業への参入も検討してまいります。 ⑩ IRの充実当社は2012年度以降、既存事業に加え、再生可能エネルギー関連事業や電力取引関連事業を展開しておりますが、既存株主や投資家からそれぞれの事業が分かり難いとの意見を頂いております。IRについては、近年、個人投資家説明会の開催や、四半期決算の補足説明資料開示、株主通信の充実等に取り組んでまいりましたが、事業全体の関連性及び状態を、より分かり易く可視化する必要性があると考えており、今後は月次開示の拡充や、個人投資家説明会の開催頻度見直し、オンライン説明会の実施、第三者機関による当社のレポート作成等を検討し、IRの一層の充実に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。 この基本理念の下、当社は創業以来、培ってきたノウハウを活用し、金融事業と総合エネルギー事業を展開し、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人材を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せ期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を計る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、加えて「フリーキャッシュ創造力」及びROE(株主資本利益率)についても重視してまいります。また、上記に加えアセット・マネジメント事業においては運用資産残高の推移を、再生可能エネルギー関連事業においては保有する太陽光発電設備の発電量を重視しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、かつては、経営資源を資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に集中しておりましたが、企業グループとしての事業基盤の強化と市場環境に左右されない安定した収益の確保を目指し、再生可能エネルギー関連事業及び電力取引関連事業への参入を決定し、その取組みを積極的に進めております。このような中、2017年3月期に2020年(2020年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、以下の骨子のとおり、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定し、2019年3月期に3年目を終えました。中期ビジョン達成のために役職員全員が「自走(じそう)できる人財&集団」となるべく、人財育成に必要な経営資源を十分に配分することとしております。 中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」① 株主還元と再投資による成長力の強化とバランスを重視した経営を行います。② 4事業を通じて社会に貢献できる企業を目指します。③ 当社グループは積極的にイノベーションに取組み、それを支えるガバナンス体制の充実を目指します。(イノベーション)1. 従来型の概念にとらわれることなく、新たな事業の発掘と既存事業の進化と深化により、社会的意義のあ る新たな価値を創造2. 異なる組織及び機能との融合により、新たな知見を獲得し独自性を発揮3. 自発的な人材の育成と人材を活かす組織を構築し、会社と社会に幅広い変革を推進4. あらゆるステークホルダーからの信頼の確保(ガバナンス)1. 業務執行体制と取締役会の監督機能を強化2. 迅速且つ牽制の効いた機関決定3. バランスシートマネジメントを重視 (4) 会社の対処すべき課題当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。① 継続的な経常利益と当期純利益の確保並びに株主資本の増加前述のとおり、2017年3月期において、持続的な企業価値の向上に向けて、2020年3月期の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。同ビジョン1年目である2017年3月期は、アセット・マネジメント事業で前年比増収増益を達成しましたが、その他3事業は想定通りのセグメント利益を確保できず、当社連結決算は前年度比大幅な減収減益となりました。2016年10月に実施した子会社株式の一部譲渡による収益は、「連結財務諸表に関する会計基準」により、連結財務諸表においては期間収益として認識しないこととなった一方で、弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表では収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用の合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しました。上記子会社株式の一部譲渡を経て、連結での「非支配株主持分」を含む純資産額は、2016年3月期末の約45億円から約60億円に、また株主資本も、同様に約45億円から約53億円に増加しました。2年目である2018年3月期及び3年目である2019年3月期は、再生可能エネルギー関連事業において従来より推進している投資事業ポートフォリオの入替の一環として高知県奈半利町と大分県中津市の太陽光発電設備を譲渡しました。当該譲渡益は特別利益に計上されているため、本事業のセグメント損益に含まれておりませんが、実質的に本事業の収益と認識しております。また、アセット・マネジメント事業においても継続的にセグメント利益を確保できており、株主資本は、2017年3月期末の約53億円から約54億円に増加しました。当社グループは、会社の基本理念及び中期ビジョンに基づき、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理強化、人財育成等を通じて、中期ビジョンの最終年度2020年3月期においても、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいります。② 経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理上記の目標達成のためには、当社グループの目指す姿を共有し、事業展開のスピードアップを図り経営効率を上げていかなければなりません。2012年10月1日付の組織再編以降、各事業会社の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業において必要なファイア・ウォール(業務隔壁)については引き続き徹底しつつ、各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しております。また、中期ビジョンの目指す姿の達成に向け、持株会社はグループ事業を支援する専門家集団として、グループ内の事業を積極的にサポートすると共に、人財育成に注力し、引き続き経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでまいります。③ アセット・マネジメント事業における顧客本位の事業展開と収益基盤の拡充アストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)は2013年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図り、運用資産残高は2013年3月末の1,437億円から6年後の2019年3月末は4,173億円へと増加しました。2016年10月にはヤフー株式会社(以下、「ヤフー」という。)と資本・業務提携を行い、ASTAM社株式の33.4%を譲渡し、当社グループは国民の長期資産形成に資する投資運用事業に本格的に乗り出しました。ASTAM社のさらなる発展のために、当社は2019年4月1日付でASTAM社株式の16.7%をヤフーに追加譲渡し、当社のASTAM社株式の持分比率は49.9%となり、ASTAM社は当社の持分法適用会社になりました。今後も、機関投資家向けの投資運用業の品質の一層の向上に加え、投資家の皆様の長期資産形成に貢献できる投資運用会社としての態勢を構築し、引き続き、運用資産残高の拡大を図るべく、本事業の収益基盤の拡充に尽力してまいります。④ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりました。2019年3月期は、数年来取り組んでいる経費削減が奏功したこともあり、2年ぶりにセグメント利益となりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めないことから、引き続き管理部門の業務効率化や経費削減等を行い、コストの低減を図ってまいります。一方で、2018年3月に中国原油市場が海外へ開放されたこと及び2020年3月期には延期されていた電力先物が東京商品取引所に試験上場される予定であることも十分に視野に入れ、資本効率の向上を目指した事業展開を図ってまいります。また、取引所再編にも充分注視しつつ、リスク管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制の構築を推進して収益率を高め、利益率の好転を図ります。⑤ 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント、投資及び発電所の管理・オペレーション業務並びに農業関連法人への出資を行っております。当社グループとしては今後も「発電事業に投資し自ら発電事業を営むと共に、全部または一部をファンド化する等の事業展開により投資資金の早期回収を行い、再投資を行う。」というビジネス展開をベースに事業を推進していく方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギー事業の展開も進めており、これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業基盤を早期に確立していきたいと考えております。既に当社グループでは2019年3月末時点で、太陽光発電設備を約24メガワットを自社開発、約4メガワットを購入し、これらとは別に約2.2メガワットの案件を開発しております。天候に左右されることはあるものの、既に当社グループが保有する太陽光発電所からの売電収益は当事業の黒字化を実現可能とする水準になりました。その一方で、全国的に太陽光発電設備が増加したことにより春や秋等電力をあまり必要としない時期に出力抑制が課されることがエリアによっては増加してきていることから、これまでどおり、出力抑制可能性を十分に認識した事業運営を行ってまいります。地熱発電事業については長期に亘る事業ではありますが、既に宮崎県において調査井3本の掘削及びそれらの調査・仮噴気試験を完了し、着実に前進してきております。調査結果を受け、2019年5月にはASTRA社の100%子会社としてアストマックスえびの地熱株式会社(以下、「えびの地熱社」という。)を新設しました。当社グループが開発を進めている宮崎県尾八重野地域の地熱発電事業については、今後えびの地熱社を主体とし、パートナー企業の事業参画を得ながら取り組みを加速・拡大させていきます。地熱発電事業は太陽光発電に比べリスクが高いことは認識してはおりますが、再生可能エネルギー事業の新たな中核の一つとなる様、潜在的なリスク検証も含め、着実に取組んでまいります。⑥ 電力取引関連事業における事業基盤の確立電力取引関連事業は、電力小売全面自由化を契機に2017年3月期より再生可能エネルギー関連事業から独立したセグメントにいたしました。米国のEnergy Service Group, LLC(以下、「ESG社」という。)と電力小売事業者向けのシステムの国内独占販売契約を締結し、同システムの日本仕様化及び販売を進めてまいりましたが、電力小売全面自由化から1年が経った2018年3月期は、本格的なシステム導入や既に高圧で実績のある会社がシステムの入替等を検討する素地も整い、当事業にとって顧客基盤を拡大できる時期でありました。2019年3月期は電力取引が拡大し2019年3月期下期においては月次ベースでは単月黒字が続き、通年での赤字幅は大幅に圧縮されました。また、予定されていた東京商品取引所での電力先物の上場は、2020年3月期に試験上場する見込みに延期されているものの、電力の調達手段においてもディーリング事業で培ったノウハウが貢献し得るものと考えております。電力取引関連事業としての黒字化が計画より遅れておりますが、前述の事業機会を確実にとらえ、事業年度を通して黒字転換するためにも、引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。⑦ コンプライアンスの徹底上場企業として、再生可能エネルギー関連事業、電力取引関連事業を展開し、グループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。⑧ 情報管理の徹底当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、2012年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し、サーバーも物理的に別々のものとする等、厳格なファイア・ウォール体制を築いております。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。 ⑨ 新たな事業への挑戦当社グループでは、既に、2018年3月期における個人投資家説明会資料等で説明させて頂いておりますとおり、大学発ベンチャーファンド関連事業及び地方創生事業への取り組みも開始しております。社会的要請及び時代の方向性に即した新たな事業への参入も検討してまいります。 ⑩ IRの充実当社は2012年度以降、既存事業に加え、再生可能エネルギー関連事業や電力取引関連事業を展開しておりますが、既存株主や投資家からそれぞれの事業が分かり難いとの意見を頂いております。IRについては、近年、個人投資家説明会の開催や、四半期決算の補足説明資料開示、株主通信の充実等に取り組んでまいりましたが、事業全体の関連性及び状態を、より分かり易く可視化する必要性があると考えており、今後は月次開示の拡充や、個人投資家説明会の開催頻度見直し、オンライン説明会の実施、第三者機関による当社のレポート作成等を検討し、IRの一層の充実に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当社は、創業以来、培ってきたノウハウを活用し、金融事業と総合エネルギー事業を展開しております。当連結会計年度(2018年4月1日~2019年3月31日)における金融市場は、緩やかな景気拡大と低金利環境下で株高が進む「適温相場」が転換点を迎え、リスク資産は下半期に乱高下する展開となりました。株式市場は、米国株に主導された形で、先進国を中心に上半期は堅調に推移しましたが、米中貿易戦争の激化や米欧の金融政策正常化と長期金利の上昇等が嫌気され、10~12月には世界的に下落しました。年明け以降、米欧中央銀行の金融政策スタンスがハト派色を強め、主要国の長期金利が低下に向かったことから投資家のリスク選好が回復し、年度末にかけて世界的に急反発しました。国内株式は、米株高や円安を背景に9月の日経平均株価が約27年ぶりに2万4千円台を回復する等、上半期は堅調に推移しました。しかし、10月以降は世界的な株安に連れ下げ幅を拡大しました。1月以降、世界的な株高の動きから反発に転じましたが、3月末の日経平均株価は2万1千円台と、前年度末比ほぼ変わらない水準となりました。債券市場は堅調に推移しました。世界経済が拡大基調をたどり、米欧の金融政策正常化が進んだことから、上半期は世界的に債券利回りが上昇し(債券価格は低下)、米10年国債利回りは10月上旬に約7年ぶりとなる3.2%台を付けました。11月以降は、世界同時株安を受けた「質への逃避」や、世界的な景況感の悪化から債券利回りは低下基調をたどりました。年明け以降は、米欧中央銀行の金融政策スタンスの緩和への転換を受けて債券利回りは一段と低下しました。日本の長期国債利回りは、日銀の金融政策柔軟化を受けて7月には上昇しましたが、10月上旬をピークに低下基調をたどり、年明けには10年国債利回りは約1年半ぶりのマイナス圏入りとなりました。商品市場は総じて軟調な動きとなりました。原油価格は期首より堅調に推移しましたが、供給過剰懸念や世界的な株安から年末にかけて大幅に下落しました。しかし、年明け以降はOPEC等による協調減産効果等から反騰しました。金価格は、米ドル高が進行した上半期は軟調に推移しましたが、年末にかけての世界的な株安局面で反発、年明け以降も米国の利上げ打ち止め観測等から続伸しました。大豆価格は、豊作見通しと中国の対米報復関税を受けて下落しましたが、9月以降は底堅く推移しました。銅、ニッケル等の非鉄金属価格は、米中貿易摩擦の激化や中国景気減速懸念から6月以降軟調に推移し、その後も上値の重い展開が続きました。 再生可能エネルギーを取り巻く環境については、2018年度の太陽光発電のFIT価格が18円(税抜)、2019年度については14円(税抜)となり、500kw以上は入札により調達価格を決定するものとなりました。また、国民負担の抑制に向けた対応の一環として、2012年度から2014年度にIDを取得した事業用太陽光発電案件のうち、運転開始期限が設定されていない未稼働案件に対する運転開始期限設定を義務化する新たな仕組みも定められました。九州電力管轄内においては、再生可能エネルギー、とりわけ太陽光発電の接続量は着実に増加しているため、電力需給バランス維持、電力の安定供給の必要性により、出力抑制が発令されました。上述のとおり、FIT価格は制度スタート時の40円(税抜)から大幅に低下しましたが、2015年に第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて採択された気候変動抑制に関する「パリ協定」が、欧州連合も含めた110の国及び団体によって批准されたことを受け、脱炭素社会を目指す動きが世界的に広がりをみせています。わが国においても「RE100(事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ)」に加盟する企業が増えている他、経済産業省資源エネルギー庁の掲げる「第5次エネルギー基本計画(2018年7月)」では、再生可能エネルギーについて「確実な主力電源化」を目指すために、「円滑な大量導入に向けた取組を引き続き積極的に推進していく。」と明記されたことに加え、「分散型エネルギーシステム」についての多くの記述があったことが注目されています。 わが国の電力市場においては、2016年4月の電力小売全面自由化以降、小売電力事業者の事業者数及び切替件数、共に、右肩上がりの順調な増加が継続しています。一方、電力価格については、日本卸電力取引所(JEPX)で取引されるスポット市場価格で、2018年夏、冬に発電状況や天候によって一時的に通常の数倍の価格が出現する等、小売電力事業者の経営おいても、電力市場価格の「リスク管理」の重要性が認識されており電力取引のヘッジニーズが高まってきています。 このような市場環境等のもと、当社グループの当連結会計年度の営業収益は11,120百万円(前年同期間比4,934百万円(79.8%)の増加)、営業費用は10,960百万円(前年同期間比4,940百万円(82.1%)の増加)、営業利益は160百万円(前年同期間比5百万円(3.5%)の減少)、経常利益は130百万円(前年同期間は1百万円の経常損失)となりました。税金等調整前当期純利益は206百万円(前年同期間比90百万円(30.5%)の減少)、法人税等合計は△20百万円(前年同期間は110百万円)、非支配株主に帰属する当期純利益は59百万円(前年同期間比35百万円(145.3%)の増加)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は168百万円(前年同期間比5百万円(3.5%)の増加)となりました。営業収益と営業費用の大幅な増加は、主として電力取引関連事業において、電力の販売と仕入れが増加したことによるものです。再生可能エネルギー関連事業にて前連結会計年度末に行った融資の借換により支払利息等が減少したこと等により、経常利益は前年同期間に比べ大幅に改善しました。また、再生可能エネルギー関連事業において、2018年12月に大分県中津市の太陽光発電所を譲渡したことによる譲渡益132百万円は特別利益に計上されております。一方、複数の農業関連企業への出資の評価損等により68百万円の特別損失(前年同期間比28百万円の増加)が発生しましたが、繰延税金資産が積み増されたことにより法人税等調整額が大幅に減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は前年並みとなりました。 セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。 <アセット・マネジメント事業>当事業は、主にASTAM社が推進しており、金融商品取引業等を行っております。日本や米国の国債への連動又は逆連動を目指すファンドへの資金流入等を受け、5月末時点における運用資産残高合計は4,000億円を超える水準となりました。その後は、スワップ取引を対象としたファンドの満期償還や米ドルへの連動を目指すファンドからの資金流出等もあったことから、9月末時点における運用資産残高合計は前連結会計年度末比199億円減少の3,742億円となりましたが、10月以降は日本の株式への連動を目指すファンドへの資金流入等を受け、12月末時点における運用資産残高合計は月末運用資産残高として過去最高額である4,266億円となりました。2019年1月以降は、日本の株式への連動を目指すファンド(安定運用移行済みのファンド)の満期償還等がありましたが、当連結会計年度末の運用資産残高は前連結会計年度末比232億円増加の4,173億円になりました。全体として運用資産残高が前年同期間を上回る水準で推移したことはプラス要因となったものの、報酬率が相対的に高い運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率が前年同期間と比較して低下したことから、営業収益の総額は、前年同期間比で減少しました。また、営業収益の総額の減少等を受けて売上原価が減少したこと等から営業費用も減少しました。学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドについては、アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社が営業者としてファンド運営業務等を担い、投資金額の順調な積み上げを継続しております。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は、1,974百万円(前年同期間比114百万円(5.5%)の減少)となり、セグメント利益は168百万円(前年同期間比16百万円(8.9%)の減少)となりました。なお、当連結会計年度期間中に商品投資顧問業務は全て終了し、2019年3月31日をもって商品投資顧問業を廃止しました。当事業では、投資信託の販売会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、収益基盤の拡充にも取り組んでまいります。なお、既存主力事業である機関投資家ビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家の皆様に向けて、対面型営業による長期積立型投資信託事業に加え、ファイナンシャル・テクノロジーを活用した長期資産形成に貢献できる事業を展開してまいります。また、2019年4月1日付で開示しましたとおり、当社はアセット・マネジメント事業を主として営むASTAM社の株式の一部をヤフー株式会社(以下、「ヤフー」という。)に追加譲渡し、当社の持分比率は49.9%となりました。ASTAM社は当社の持分法適用会社となりましたが、当社は、引き続きASTAM社の企業価値向上を目指し、ASTAM社において推進する協働事業に全力で取り組んでまいります。 <ディーリング事業>当事業は、ASTRA社が推進し、東京商品取引所、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物を取引対象とした自己勘定取引を行っております。前述の市場環境の中、主たる取引市場である商品先物市場では、貴金属価格が上昇後安定、原油価格は上昇後下落、今年に入り反転する展開となり、市場間の値差を利用した裁定取引で一定の収益を確保することができました。先物価格における変動率の低下等によって、取引機会が少ない期間も多かったことから収益は伸び悩みましたが、ここ数年注力してきた大幅なコスト削減の成果もあり、セグメント黒字を確保することができました。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は485百万円(前年同期間比53百万円(9.9%)の減少)、セグメント利益は10百万円(前年同期間は41百万円のセグメント損失)となりました。当事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い、取引所の組織や制度変更にも適切に対応し、また収益力の増加を図るため中国先物市場の海外投資家への開放等の取引の好機を的確に捉え、引き続き収益力の回復を目指してまいります。 <再生可能エネルギー関連事業>当事業は主にASTRA社等が推進しております。当事業では主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っております。当事業の進捗状況については継続的に開示しておりますが、当連結会計年度における状況は以下のとおりです。(太陽光発電事業)太陽光発電事業につきましては、自社開発に加え、未稼働ID及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件取得に取り組んでおります。当連結会計年度においては、以下の2のとおり自社開発した太陽光発電設備を譲渡し、以下の3のとおり新設の発電所を取得したほか、以下の4及び5のとおり既に売電を行っている太陽光発電所を2箇所取得しました。改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等により、環境的には案件確保は容易ではないと言えますが、今後におきましても、引き続き太陽光発電設備の未稼働ID及びセカンダリー市場での案件確保に取り組むと共に、保有している既存発電設備についても、譲渡を行うこと等を含めて、事業ポートフォリオの一部入替を検討する等、期間利益を確保しながら、事業採算の向上に取り組んでまいります。(自社開発・新設取得)1. 鹿児島県霧島市 出力規模:約2.2メガワット既に開示しておりますとおり、2016年10月に着工となりました本案件につきましては、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しており、2016年12月16日付にて太陽光発電設備を設置する合同会社に対し出資をしております。稼働開始は、2018年3月を見込んでおりましたが、工程が変更となり2019年10月以降となる見込みです。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。2.大分県中津市 出力規模:約2.3メガワット既に開示しておりますとおり、2018年12月5日付にて、太陽光発電設備の譲渡が完了し、2019年3月29日付で匿名組合出資の全てを回収しました。3. 岡山県岡山市 出力規模:約1.2メガワット2019年3月に設備を取得しました。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行っております。(セカンダリー市場)4.栃木県栃木市 出力規模:約2.0メガワット2018年12月に中古設備を取得しました。5.岩手県奥州市 出力規模:約0.9メガワット2018年12月に中古設備を取得しました。(生産性向上)6.既設案件への増設栃木県佐野市の既設案件へ約0.1メガワット増設し、2018年11月に運転を開始しました。熊本県菊池市の既設案件へ約0.3メガワット増設し、2018年11月に運転を開始しました。 (地熱発電事業等)ASTRA社では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、2メガワット規模の地熱発電の事業化を目指し、2017年3月に1号調査井、2017年12月に2号調査井、2018年9月に3号調査井の掘削を完了しております。発電規模を確認するための仮噴気試験につきましては、2018年2月に1号調査井の自噴を確認し、2号井については2018年5月に高温熱水の存在を確認しました。3号調査井は熱水資源の還元ゾーンを調査する目的でしたが、掘削結果を受け、生産ゾーンの調査へと目的を切り替え、仮噴気試験を実施したところ、2019年1月に自噴を確認致しました。今後、2メガワット以上の開発も視野に入れつつ、引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。なお、本件は、九州電力株式会社主宰の電源接続案件募集プロセス(2015年4月に設立された電力広域的運営推進機関により新たに規定されたルールであり、発電設備等を電力系統に連系するにあたり、系統連系希望者により工事費負担金を共同負担する手続き)の手続き中です。また、既に開示しておりますとおり、今後の事業規模の拡大を目指すことを前提に、最大49%までの範囲にて第三者からの事業参加を想定し、パートナー企業の参画をより容易にすることを目的に、宮崎県えびの市の地熱事業を新たに設立したえびの地熱社に承継させる新設分割を、2019年5月7日に実施いたしました。 再生可能エネルギー関連事業では、前連結会計年度に続き発電所の開発に係るコスト(建設コストを賄うための銀行借入に対する諸手数料や金利負担等)を負担しております。2018年3月に奈半利ソーラー発電所を譲渡したことや、西日本豪雨及び台風の影響により、当社グループ最大規模(約7.8メガワット)の熊本県の発電所が日射量に恵まれなかったこと等により、営業収益は前年同期間比で減少しましたが、既存案件増設による採算性向上、上述のとおり、2018年3月に実施した融資の借換により借入コストが減少したこと、当社が受託している発電所の保守見直しによりコストを低減できたこと等から、セグメント利益を確保することができました。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は575百万円(前年同期間比93百万円(14.0%)の減少)、セグメント利益は7百万円(前年同期間は78百万円のセグメント損失)となりました。なお、当社グループのセグメント損益は、特別損益を含まず、経常損益をもって表示しております。特別利益として計上した奈半利ソーラー発電所の増設分の譲渡益12百万円及び大分県中津市の太陽光発電所の譲渡益132百万円、また特別損失として計上した農業関連企業への出資の評価損の内20百万円は、当事業に帰属するものとなります。 <電力取引関連事業>当事業は、小売電気事業者等を対象にシステム及び付帯サービスを提供するアストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)と、小売電気事業者であり、日本卸電力取引所の会員でもあるASTRA社の協業により推進しております。 小売電気自由化が開始された2016年4月から2019年1月までのみなし小売電気事業者から新電力へのスイッチングの累積件数は916万件、全体に占める割合は14.6%となり、1年前に比べ347万件増加しております。一方、販売電力量に占める新電力のシェアは当連結会計年度の月次平均で14.3%のシェアを占め、前連結会計年度に比べ2.5%増加しました。 このような環境の中、AES社では、電力自由化の先進国である米国において実績のあるEnergy Services Group, LLCの電力・ガス小売事業サポートシステムの日本版を提供するとともに、ASTRA社と協業し、需要予測等を含む需給管理業務並びに顧客のための電力調達業務を行っておりますが、これらの業務を通じて小売電気事業者等のニーズに応えるべく、きめ細かなサービス及びソリューションの提供に取り組んでおります。また、2018年10月にはASTRA社の経済産業大臣へのガス小売事業者登録が完了し、商品ラインナップの1つとしてガス小売事業を開始するべく準備を行っております。 (電力事業)当事業の内、システム販売及び代行サービスについては、既存顧客へのサービスの提供により収入を確保しながら、引き続き新規取引先を増やすべく、顧客ニーズにあったサービスの提案を行っています。 電力取引については、顧客の電力調達ニーズ、価格変動リスク及び電力市場の需給状況等を考慮し、電力先渡取引を行うと同時に、電力取引における価格変動リスクを抑える目的でデリバティブ取引である電力スワップ取引にも必要に応じて取り組んでおります。当連結会計年度においては、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するために取り組んでいた電力の調達及び販売の多様化が評価され、多くの小売電気事業者との新たな電力取引が開始できたこと、また既存顧客との取引も活発化したこと等により、営業収益と営業費用はともに大幅に増加しました。 なお、会計上現物取引である上記電力先渡取引については、引き続き、当連結会計年度において時価評価の対象ではありません。 電力取引の増加及び多様化に伴い、リスク管理の重要性が増加していることに鑑み、社内に新たに「電力取引委員会」を立ち上げる等リスク管理体制の強化も推進しています。 (ガス事業)2018年9月付でガス小売事業開始のお知らせを行い、10月には経済産業省へのガス小売事業者登録が完了し、都市ガスの卸売り及びガス消費機器の定期点検等の保守業務を委託する東京エナジーアライアンス株式会社と契約を締結しました。販売面においては、主に取次店方式で最終需要家への販売を進めていく計画ですが、9月には、そのパートナー候補である新電力会社を対象に今後の活動計画やパートナー企業との連携の考え方に関する説明会を開催し、多数のご参加をいただきました。現時点においては、引き続き事業開始に向け、複数の契約候補会社と契約内容及び事業計画の確認を進めております。 以上の結果、当事業の当連結会計年度は、前述のとおり電力取引(電力の販売と仕入)が増加しているため、営業収益及び営業費用が前年同期間比大幅に増加し、営業収益は8,067百万円(前年同期間比5,179百万円(179.3%)の増加)となりました。2018年12月以降、当事業は単月黒字となりましたが、それまでの損失を補うことは出来ず、14百万円のセグメント損失(前年同期間は60百万円のセグメント損失)となりました。 上記、セグメント利益又は損失は当連結会計年度の経常利益と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,143百万円(前年同期間比8.7%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主としてたな卸資産(売却目的で取得した太陽光発電設備)の増加による支出(△1,435百万円)等により、△61百万円(前年同期は801百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△1,385百万円)、投資有価証券の取得による支出(△228百万円)、太陽光発電事業に係る有形固定資産の売却による収入(1,130百万円)等により、△478百万円(前年同期は△38百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として短期借入れによる収入(短期借入金の返済による支出との純額は662百万円)等により、239百万円(前年同期は△1,004百万円)となりました。 ③ 営業収益の状況a. 営業収益実績当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2018年4月1日至 2019年3月31日)前年同期比(%)アセット・マネジメント事業(千円)1,974,352△5.5うち管理報酬(千円)149,375△4.1うち成功報酬(千円)22,037-うちその他(千円)973△64.5うち投信委託者報酬(千円)1,801,966△6.6ディーリング事業(千円)485,432△9.9再生可能エネルギー関連事業(千円)561,730△15.2電力取引関連事業(千円)8,067,973179.3その他収益(千円)31,220247.9 合 計(千円)11,120,710 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。 b. 運用資産残高の状況[アセット・マネジメント事業]以下の表は、当連結会計年度の運用資産残高の状況を示したものです。 2018年3月6月9月12月2019年3月商品(百万円)489----証券(百万円)393,670395,579374,233426,650417,366 合計(百万円)394,160395,579374,233426,650417,366 c. 自己資産運用における取引高比率の推移[ディーリング事業]以下の表は、東京商品取引所の総取引高における自己勘定投資事業の取引高の比率の推移を示したものです。 2018年4月5月6月7月8月9月 取引所における総取引高(枚)3,616,1303,943,7264,227,9623,575,8323,986,6902,920,222 ディーリング事業が占める取引高の比率(%)4.304.563.792.372.723.47 10月11月12月2019年1月2月3月年間取引所における総取引高(枚)3,780,6723,484,6903,202,9383,045,9063,031,5843,160,42641,976,778ディーリング事業が占める取引高の比率(%)3.943.002.853.853.052.623.40 (注) 1 上記に記載した取引所における総取引高は、東京商品取引所発表の取引高を記載しております。2 上記は、当社グループにおける東京商品取引所での自己売買取引の比率を記載しておりますが、それ以外にも国内取引所や海外取引所において取引を実施しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。① 重要な会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。当社の経営者は、連結財務諸表の作成に当たり、会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 ② 経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益は11,120百万円(前期比4,934百万円の増加)、営業費用は10,960百万円(前期比4,940百万円の増加)、営業利益は160百万円(前期比5百万円の減少)、経常利益は130百万円(前年同期は1百万円の損失)となりました。営業収益及び営業費用の増加は、主として電力取引関連事業において、電力の販売と仕入れが増加したことによるものです。税金等調整前当期純利益は、再生可能エネルギー関連事業における事業ポートフォリオの入替の一環として実施した大分県中津市の太陽光発電所や奈半利ソーラー発電所の増設分の設備譲渡に伴う特別利益144百万円等の計上により、206百万円(前期比90百万円の減少)となりました。また、法人税等合計が△20百万円(前期は110百万円)、非支配株主に帰属する当期純利益が59百万円(前期比35百万円の増加)となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は168百万円(前期比5百万円の増加)となりました。なお、当社が最も重視している財務指標の1つである株主資本は、前期比24百万円増加し5,442百万円となりました。当社グループは、2020年に向けた中期ビジョンを策定し、「持続的な企業価値の向上」と「外部環境に耐性のある安定的収益基盤の強化」を謳っております。アセット・マネジメント事業は、営業収益が前連結会計年度比5.5%減少しましたが、マイナス金利等の外部環境の影響もあり、運用資産全体の報酬率が前年同期間比で低下したこと等からセグメント利益は前連結会計年度比8.9%減少しました。ディーリング事業における営業収益は前連結会計年度比9.9%減少となりました。当事業においては、株式市場や仮想通貨、FX市場等への資金流入が続いたことの影響もあり、国内商品先物価格の市場変動率が相対的に低い状況であったこと等、厳しいビジネス環境にあったとの認識を有しております。このような認識の下、当事業では販売管理費を前連結会計年度比2割程度削減する等、さらに経費率を改善し2期ぶりにセグメント黒字に転じました。今後も一層の経費率改善を目指すとともに、ディーリング資金のより効率的な活用を図ることによって事業の収益率を向上させてまいりたいと考えております。再生可能エネルギー関連事業の営業収益は、2018年3月に奈半利ソーラー発電所を譲渡したことにより前連結会計年度比14.0%の減益となりました。当連結会計年度においては、保有する太陽光発電所の売電収入に加え、ポートフォリオの入替を目的とした保有する太陽光発電所の設備譲渡(大分県中津市)、既存発電所の増設や融資の借換等により事業採算性の改善を図ってまいりました。当社グループのセグメント損益は、特別損益を含まない経常損益をもって公表しておりますが、太陽光発電所の設備譲渡に伴う特別利益及び農業関連企業へ出資の評価損を勘案した場合、当事業における税金等調整前当期純利益は、約132百万円となります。2014年度から着手している宮崎県えびの市で進めている地熱発電事業は、3本の調査井の掘削および仮噴気試験が完了しております。既に開示しておりますとおり、今後の事業規模の拡大を目指すことを前提に、最大49%までの範囲にて第三者からの事業参加を想定し、パートナー企業の参画をより容易にすることを目的に、宮崎県えびの市の地熱事業を新たに設立したえびの地熱社に承継させる新設分割を、2019年5月7日に実施いたしました。電力取引関連事業においては、顧客の電力調達ニーズが多様化してきたこと等も受け電力取引も活発化してきており、営業収益は前連結会計年度比179.3%と前年に続き大幅に増加しました。増加の大半を電力販売が占めており、電力販売量に見合う電力仕入れも大幅に増加したことから、電力仕入による営業費用も増加しております。新電力へのスイッチング件数や小売電気事業者の数は1年前と比べ増加傾向が継続していることから、今後も事業機会を的確に捉えると同時に新規顧客確保に努め、年間を通した黒字化を達成してまいりたいと考えております。 なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。(アセット・マネジメント事業)顧客層の拡充・事業基盤の拡大に努めてはおりますが、依然として、債券市場・外国為替市場・株式市場・商品市場等の動きによっては、投資家による利益確定または損失限定のための投資行動などにより解約が集中することで、同事業の業績が影響を受ける可能性があります。また、信託報酬率の低下傾向が今後も続くような場合も同事業の収益に影響を与える可能性があります。なお、個人投資家を対象とする長期資産形成の事業は、一定規模の事業規模を達成するためには、時間を要する事業と認識しております。(ディーリング事業)当連結会計年度においては、一時的に商品先物価格の市場変動率上昇することはありましたが、東京商品取引所の取引は総体的に保合相場となることが多く、ディーリング事業にとって取引機会が少ない展開が続いておりました。今後も同取引所における出来高が大きく減少したり、市場変動率が著しく低下するなどの市場環境によっては、同事業の収益が大きく影響を受ける可能性があります。(再生可能エネルギー関連事業)引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取り組みを継続しております。同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じた場合は、同事業の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。(電力取引関連事業)同事業においては、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、システムや業務代行サービスを利用いただく顧客数及び顧客の取り扱う電力量が経営成績に影響を与えることとなります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。(資産、負債及び純資産の状況)当連結会計年度における総資産は、製品(売却目的で取得した太陽光発電設備)の増加(1,415百万円)及び太陽光発電事業と地熱発電事業の推進に伴う建設仮勘定の増加(228百万円)等により、13,167百万円(前年同期比9.0%増)となりました。負債は、主に太陽光発電事業の推進に伴う短期借入金の増加(662百万円)及び主に電力取引関連事業における営業未払金の増加(590百万円)等により、7,173百万円(前年同期比16.9%増)となりました。純資産は、非支配株主持分の増加(26百万円)及び利益剰余金の増加(23百万円)等により、5,993百万円(前年同期比0.9%増)となりました。(キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,143百万円(前年同期間比8.7%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主としてたな卸資産(売却目的で取得した太陽光発電設備)の増加による支出(△1,435百万円)等により、△61百万円(前年同期は801百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として太陽光発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△1,385百万円)、投資有価証券の取得による支出(△228百万円)、太陽光発電事業に係る有形固定資産の売却による収入(1,130百万円)等により、△478百万円(前年同期は△38百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として短期借入れによる収入(短期借入金の返済による支出との純額は662百万円)等により、239百万円(前年同期は△1,004百万円)となりました。 ASTAM社株式の一部譲渡によって増加した手元流動性は、今後も引き続き電力取引関連事業におけるファイナンスに伴う資金需要、再生可能エネルギー関連事業への投資等に充当することに加え、株主還元及び資本効率の向上にも充当したいと考えております。再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借り入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野にいれております。 経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社を取り巻く経営環境は、依然として、内外の金融商品市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢により大きく影響を受けるものとなっております。このため、金融商品市場及び商品先物市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力する一方、前述のとおり、当社グループの事業について、市場動向の影響を受けにくい体質への改善を進めております。また、アセット・マネジメント事業におきましては、投資運用業者が求められる社会的役割を十分に認識し、今後一層、個人投資家向け長期資産形成事業への注力度を上げてまいります。上記のほか我が国の再生可能エネルギー等に対する政策の動向も踏まえつつ、業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。 この基本理念の下、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人材を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せ期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を計る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、加えて「フリーキャッシュ創造力」及びROE(株主資本利益率)についても重視してまいります。また、アセット・マネジメント事業においては上記に加え運用資産残高の推移を重視しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、従来、経営資源を資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に集中してきましたが、企業グループとしての事業基盤の強化と市場環境に左右されない安定した収益の確保を目指し、再生可能エネルギー関連事業及び電力取引関連事業への参入を決定し、その取組みを積極的に進めております。このような中、平成29年3月期に2020年(平成32年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、以下の骨子のとおり、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定し、平成30年3月期に2年目を終えました。平成30年3月期は中期ビジョン達成のために役職員全員が「自走(じそう)できる人財&集団」となるべく、人財育成に必要な経営資源を十分に配分することとしております。 中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」① 株主還元と再投資による成長力の強化とバランスを重視した経営を行います。② 4事業を通じて社会に貢献できる企業を目指します。③ 当社グループは積極的にイノベーションに取組み、それを支えるガバナンス体制の充実を目指します。(イノベーション)1. 従来型の概念にとらわれることなく、新たな事業の発掘と既存事業の進化と深化により、社会的意義のあ る新たな価値を創造2. 異なる組織及び機能との融合により、新たな知見を獲得し独自性を発揮3. 自発的な人材の育成と人材を活かす組織を構築し、会社と社会に幅広い変革を推進4. あらゆるステークホルダーからの信頼の確保(ガバナンス)1. 業務執行体制と取締役会の監督機能を強化2. 迅速且つ牽制の効いた機関決定3. バランスシートマネジメントを重視 (4) 会社の対処すべき課題 当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。① 継続的な経常利益と当期純利益の確保並びに株主資本の増加前述のとおり、平成29年3月期において、持続的な企業価値の向上に向けて、2020年3月期の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。同ビジョン1年目である平成29年3月期は、アセット・マネジメント事業で前年比増収増益を達成しましたが、その他3事業は想定通りのセグメント利益を確保できず、当社連結決算は前年度比大幅な減収減益となりました。 平成28年10月に実施した子会社株式の一部譲渡による収益は、「連結財務諸表に関する会計基準」により、連結財務諸表においては期間収益として認識しないこととなった一方で、弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表では収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用の合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しております。上記子会社株式の一部譲渡を経て、連結での「非支配株主持分」を含む純資産額は、平成28年3月期末の約45億円から約60億円に、また株主資本も、同様に約45億円から約53億円に増加しました。2年目である平成30年3月期は、再生可能エネルギー関連事業において従来より推進している投資事業ポートフォリオの入替の一環として高知県奈半利町の太陽光発電設備を譲渡しました。当該譲渡益は特別利益に計上されているため、本事業のセグメント損益に含まれておりませんが、実質的に本事業の収益と認識しております。また、アセット・マネジメント事業においても継続的にセグメント利益を確保できており、株主資本は、前連結会計年度末の約53億円から約54億円に増加しています。当社グループは、会社の基本理念及び中期ビジョンに基づき、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理強化、人財育成等を通じて、平成31年3月期以降も、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいります。② 経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理上記の目標達成のためには、当社グループの目指す姿を共有し、事業展開のスピードアップを図り経営効率を上げていかなければなりません。平成24年10月1日付の組織再編以降、各事業会社の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業において必要なファイア・ウォール(業務隔壁)については引き続き徹底しつつ、各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しております。また、中期ビジョンの目指す姿の達成に向け、持株会社はグループ事業を支援する専門家集団として、グループ内の事業を積極的にサポートすると共に、人財育成に注力し、引き続き経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでまいります。③ アセット・マネジメント事業における顧客本位の事業展開と収益基盤の拡充アストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)は平成25年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図ってまいりました。運用資産残高は平成25年3月末の1,437億円から5年後の平成30年3月末は3,942億円へと増加しました。引き続き、運用資産残高の拡大を図るべく、本事業の事業基盤を拡充してまいります。また、平成28年10月にはASTAM社株式の33.4%をヤフー株式会社(以下、「Yahoo! JAPAN」という。)に譲渡し、資本・業務提携を行い、当社グループは国民の長期資産形成に資する投資運用事業に本格的に乗り出しました。今後も、機関投資家向けの投資運用業の品質の一層の向上に加え、投資家の皆様の長期資産形成に貢献できる投資運用会社としての態勢を構築してまいります。④ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりましたが、平成30年3月期においても売上総利益(営業収益から売上原価を差し引いた収益)は確保できたものの、2年連続で販売管理費を賄うことはできず、2期連続でセグメント損失となりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めないことから、管理部門の業務効率化や情報端末の削減、オフィススペース等の見直し等をより積極的に行い、コストの低減を図ってまいりました。引き続き上記施策につぃて継続的に取り組み、加えて平成30年3月に中国原油市場が海外へ開放されたこと及び平成31年3月期には東京商品取引所に電力先物が上場される予定であることも十分に視野に入れ、資本効率の向上を目指した事業展開を図ってまいります。また、リスク管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制の構築を推進して収益率を高め、利益率の好転を図ります。⑤ 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント及び投資並びに農業生産法人への出資を行っております。当社グループとしては今後も「発電事業に投資し自ら発電事業を営むと共に、全部または一部をファンド化する等の事業展開により投資資金の早期回収を行い、再投資を行う。」というビジネス展開をベースに事業を推進していく方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギー事業の展開も進めており、これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業基盤を早期に確立していきたいと考えております。既に当社グループでは平成30年3月末時点で、太陽光発電設備を約21メガワット開発、その内約10.2メガワットを保有し、これらとは別に約4.5メガワットの案件を開発しております。天候に左右されることはあるものの、既に当社グループが保有する太陽光発電所からの売電収益は当事業の黒字化を実現可能とする水準になりました。地熱発電事業については、既に宮崎県において調査井2本の掘削及びその内1本の仮噴気試験を完了し、長期に亘る事業ではありますが、着実に前進してきております。一方、大分県で進めていた小規模地熱発電については今期掘削したところ良好な結果を得ることが出来ず断念することになりました。地熱事業は太陽光発電に比べリスクが高いことも認識してはおりますが、再生可能エネルギー事業の新たな中核の一つとなる様、潜在的なリスク検証も含め、着実に取組んでまいります。⑥ 電力取引関連事業における事業基盤の確立電力取引関連事業は、電力小売全面自由化を契機に平成29年3月期より再生可能エネルギー関連事業から独立したセグメントにいたしました。米国のEnergy Service Group, LLC(Energy Service Group, Inc.から改組。以下、「ESG社」という。)と電力小売事業者向けのシステムの国内独占販売契約を締結し、同システムの日本仕様化及び販売を進めてまいりましたが、電力小売全面自由化から1年が経った平成30年3月期は、本格的なシステム導入や既に高圧で実績のある会社がシステムの入替等を検討する素地も整い、当事業にとって顧客基盤を拡大できる時期でありました。結果として一定規模の顧客基盤を構築でき、平成30年3月期下期においては月次ベースでは単月黒字化を達成した時期もあるなど、通年での赤字幅は大幅に圧縮されました。また、予定されていた東京商品取引所での電力先物の上場は、平成30年秋を予定しており、電力の調達手段においてもディーリング事業で培ったノウハウが貢献し得るものと考えております。電力取引関連事業としての黒字化が計画より遅れておりますが、前述の事業機会を確実にとらえ、事業年度を通して黒字転換するためにも、引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。⑦ コンプライアンスの徹底上場企業としてグループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。⑧ 情報管理の徹底当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、平成24年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し、サーバーも物理的に別々のものとする等、厳格なファイア・ウォール体制を築いております。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。(注)ファイア・ウォールとは、元来は、米国における銀行業務と証券業務を分離するための業務隔壁を指します。また、証券会社の引受部門やM&A部門と、株式部門のディーラーや営業部門との間における未公開情報の交換を防ぎ、インサイダー取引等を未然防止するための隔壁は「チャイニーズ・ウォール」とも呼ばれています。⑨ 新たな事業への挑戦当社グループでは、既に、平成30年3月期における個人投資家説明会資料等で説明させて頂いておりますとおり、大学発ベンチャーファンド関連事業及び地方創生事業への取り組みも開始しております。まだ新たな事業セグメントにはなっていませんが、社会的要請及び時代の方向性に即した新たな事業への参入も検討してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。 この基本理念の下、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人材を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは資本政策の重要性を十分認識し、株主資本を効率的に活用することによって、強固な財務基盤を構築し、併せ期間収益の安定的確保を目指してまいりたいと考えています。持続的成長性を計る手段として継続的な「株主資本の増加」を第一に考え、加えて「フリーキャッシュ創造力」及びROE(株主資本利益率)についても重視してまいります。また、アセット・マネジメント事業においては上記に加え運用資産残高の推移を重視しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、従来、経営資源を資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に集中してきましたが、企業グループとしての事業基盤の強化と市場環境に左右されない安定した収益の確保を目指し、再生可能エネルギー関連事業及び電力取引関連事業への参入を決定し、その取組みを積極的に進めております。このような中、平成29年3月期に2020年(平成32年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、以下の骨子のとおり、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定し、平成30年3月期に2年目を終えました。平成30年3月期は中期ビジョン達成のために役職員全員が「自走(じそう)できる人財&集団」となるべく、人財育成に必要な経営資源を十分に配分することとしております。 中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」① 株主還元と再投資による成長力の強化とバランスを重視した経営を行います。② 4事業を通じて社会に貢献できる企業を目指します。③ 当社グループは積極的にイノベーションに取組み、それを支えるガバナンス体制の充実を目指します。(イノベーション)1. 従来型の概念にとらわれることなく、新たな事業の発掘と既存事業の進化と深化により、社会的意義のあ る新たな価値を創造2. 異なる組織及び機能との融合により、新たな知見を獲得し独自性を発揮3. 自発的な人材の育成と人材を活かす組織を構築し、会社と社会に幅広い変革を推進4. あらゆるステークホルダーからの信頼の確保(ガバナンス)1. 業務執行体制と取締役会の監督機能を強化2. 迅速且つ牽制の効いた機関決定3. バランスシートマネジメントを重視 (4) 会社の対処すべき課題 当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。① 継続的な経常利益と当期純利益の確保並びに株主資本の増加前述のとおり、平成29年3月期において、持続的な企業価値の向上に向けて、2020年3月期の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。同ビジョン1年目である平成29年3月期は、アセット・マネジメント事業で前年比増収増益を達成しましたが、その他3事業は想定通りのセグメント利益を確保できず、当社連結決算は前年度比大幅な減収減益となりました。 平成28年10月に実施した子会社株式の一部譲渡による収益は、「連結財務諸表に関する会計基準」により、連結財務諸表においては期間収益として認識しないこととなった一方で、弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表では収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用の合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しております。上記子会社株式の一部譲渡を経て、連結での「非支配株主持分」を含む純資産額は、平成28年3月期末の約45億円から約60億円に、また株主資本も、同様に約45億円から約53億円に増加しました。2年目である平成30年3月期は、再生可能エネルギー関連事業において従来より推進している投資事業ポートフォリオの入替の一環として高知県奈半利町の太陽光発電設備を譲渡しました。当該譲渡益は特別利益に計上されているため、本事業のセグメント損益に含まれておりませんが、実質的に本事業の収益と認識しております。また、アセット・マネジメント事業においても継続的にセグメント利益を確保できており、株主資本は、前連結会計年度末の約53億円から約54億円に増加しています。当社グループは、会社の基本理念及び中期ビジョンに基づき、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理強化、人財育成等を通じて、平成31年3月期以降も、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいります。② 経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理上記の目標達成のためには、当社グループの目指す姿を共有し、事業展開のスピードアップを図り経営効率を上げていかなければなりません。平成24年10月1日付の組織再編以降、各事業会社の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業において必要なファイア・ウォール(業務隔壁)については引き続き徹底しつつ、各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しております。また、中期ビジョンの目指す姿の達成に向け、持株会社はグループ事業を支援する専門家集団として、グループ内の事業を積極的にサポートすると共に、人財育成に注力し、引き続き経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでまいります。③ アセット・マネジメント事業における顧客本位の事業展開と収益基盤の拡充アストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)は平成25年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図ってまいりました。運用資産残高は平成25年3月末の1,437億円から5年後の平成30年3月末は3,942億円へと増加しました。引き続き、運用資産残高の拡大を図るべく、本事業の事業基盤を拡充してまいります。また、平成28年10月にはASTAM社株式の33.4%をヤフー株式会社(以下、「Yahoo! JAPAN」という。)に譲渡し、資本・業務提携を行い、当社グループは国民の長期資産形成に資する投資運用事業に本格的に乗り出しました。今後も、機関投資家向けの投資運用業の品質の一層の向上に加え、投資家の皆様の長期資産形成に貢献できる投資運用会社としての態勢を構築してまいります。④ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラを整備し収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりましたが、平成30年3月期においても売上総利益(営業収益から売上原価を差し引いた収益)は確保できたものの、2年連続で販売管理費を賄うことはできず、2期連続でセグメント損失となりました。当事業は市場環境に左右される側面があり、現状の取引対象市場における市場規模は従来に比べ縮小してきている事実は否めないことから、管理部門の業務効率化や情報端末の削減、オフィススペース等の見直し等をより積極的に行い、コストの低減を図ってまいりました。引き続き上記施策につぃて継続的に取り組み、加えて平成30年3月に中国原油市場が海外へ開放されたこと及び平成31年3月期には東京商品取引所に電力先物が上場される予定であることも十分に視野に入れ、資本効率の向上を目指した事業展開を図ってまいります。また、リスク管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制の構築を推進して収益率を高め、利益率の好転を図ります。⑤ 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント及び投資並びに農業生産法人への出資を行っております。当社グループとしては今後も「発電事業に投資し自ら発電事業を営むと共に、全部または一部をファンド化する等の事業展開により投資資金の早期回収を行い、再投資を行う。」というビジネス展開をベースに事業を推進していく方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギー事業の展開も進めており、これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業基盤を早期に確立していきたいと考えております。既に当社グループでは平成30年3月末時点で、太陽光発電設備を約21メガワット開発、その内約10.2メガワットを保有し、これらとは別に約4.5メガワットの案件を開発しております。天候に左右されることはあるものの、既に当社グループが保有する太陽光発電所からの売電収益は当事業の黒字化を実現可能とする水準になりました。地熱発電事業については、既に宮崎県において調査井2本の掘削及びその内1本の仮噴気試験を完了し、長期に亘る事業ではありますが、着実に前進してきております。一方、大分県で進めていた小規模地熱発電については今期掘削したところ良好な結果を得ることが出来ず断念することになりました。地熱事業は太陽光発電に比べリスクが高いことも認識してはおりますが、再生可能エネルギー事業の新たな中核の一つとなる様、潜在的なリスク検証も含め、着実に取組んでまいります。⑥ 電力取引関連事業における事業基盤の確立電力取引関連事業は、電力小売全面自由化を契機に平成29年3月期より再生可能エネルギー関連事業から独立したセグメントにいたしました。米国のEnergy Service Group, LLC(Energy Service Group, Inc.から改組。以下、「ESG社」という。)と電力小売事業者向けのシステムの国内独占販売契約を締結し、同システムの日本仕様化及び販売を進めてまいりましたが、電力小売全面自由化から1年が経った平成30年3月期は、本格的なシステム導入や既に高圧で実績のある会社がシステムの入替等を検討する素地も整い、当事業にとって顧客基盤を拡大できる時期でありました。結果として一定規模の顧客基盤を構築でき、平成30年3月期下期においては月次ベースでは単月黒字化を達成した時期もあるなど、通年での赤字幅は大幅に圧縮されました。また、予定されていた東京商品取引所での電力先物の上場は、平成30年秋を予定しており、電力の調達手段においてもディーリング事業で培ったノウハウが貢献し得るものと考えております。電力取引関連事業としての黒字化が計画より遅れておりますが、前述の事業機会を確実にとらえ、事業年度を通して黒字転換するためにも、引き続き安定した顧客基盤の拡充を図り、収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。⑦ コンプライアンスの徹底上場企業としてグループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。⑧ 情報管理の徹底当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、平成24年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し、サーバーも物理的に別々のものとする等、厳格なファイア・ウォール体制を築いております。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。(注)ファイア・ウォールとは、元来は、米国における銀行業務と証券業務を分離するための業務隔壁を指します。また、証券会社の引受部門やM&A部門と、株式部門のディーラーや営業部門との間における未公開情報の交換を防ぎ、インサイダー取引等を未然防止するための隔壁は「チャイニーズ・ウォール」とも呼ばれています。⑨ 新たな事業への挑戦当社グループでは、既に、平成30年3月期における個人投資家説明会資料等で説明させて頂いておりますとおり、大学発ベンチャーファンド関連事業及び地方創生事業への取り組みも開始しております。まだ新たな事業セグメントにはなっていませんが、社会的要請及び時代の方向性に即した新たな事業への参入も検討してまいります。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度(平成29年4月1日~平成30年3月31日)における金融市場は、世界経済の緩やかな拡大を背景にリスク資産価格の上昇基調が続きましたが、期末にかけてはリスク回避色が強まり、株式、債券市場ともに乱高下する展開となりました。欧米を中心とした景気見通しの改善や、主要中央銀行による流動性供給が下支えとなって世界的に株価は上昇傾向が続き、欧米主要市場は過去最高値を更新する展開となりました。しかし1月下旬以降は、長期金利の急騰や米中貿易戦争への懸念などから投資家のリスク選好が低下し、米国市場に端を発した株価下落の動きは主要株式市場に広がりました。国内株式市場は9月以降に騰勢を強め、日経平均株価は1月には約26年ぶりとなる2万4千円台に乗せましたが、期末にかけては一時2万1千円台を割り込む水準まで調整が進みました。また、世界的にインフレなき経済成長が続き、主要市場の長期債利回りは低位での安定的な推移が継続しましたが、年明け以降の長期債利回りは米国の利上げペース加速や欧州中央銀行の量的緩和縮小などが懸念されて、世界的に上昇しました。前年度末との比較では、米、英、独の長期国債利回りは上昇し、日、仏、伊などでは低下しました。 商品市況は堅調に推移しました。原油価格は北米生産量の増加から春先より軟調に推移したものの、米ドル安や需給逼迫を受けて6月を底に反発し、WTI原油先物は1月には66ドル台を付けました。金価格はレンジ内での取引が続きましたが、米ドル安の進行や地政学リスクの高まりを材料に1月以降高値で推移しました。穀物価格は、7月には北米の天候を材料に急騰したほか、1月以降は南米産地の高温乾燥による供給懸念などから上昇基調を辿りました。 再生可能エネルギーを取り巻く環境については、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立に向けて、「エネルギーミックスを踏まえた電源間でバランスの取れた導入の促進」、「国民負担の抑制のためコスト効率的な導入の促進」、「電力システム改革の成果を活かした効率的な電力の取引及び流通」を実現することを目的に、固定価格買取制度(FIT)の見直しが行われ、改正FIT法が施行されました。「太陽光発電」については、FIT価格が、平成27年度の29円及び27円(税抜)から、平成28年度には24円(税抜)となったことに続き、当連結会計年度には21円(税抜)と更に引き下げられました。また、改正FIT法により、2メガワット以上の特別高圧案件について入札制度が導入されるとともに、未稼働案件発生防止の仕組みが盛り込まれました。8月末には、稼働済みの太陽光発電所に関し、パワーコンディショナの出力を変更せずに行う太陽光パネルの事後的な増設を制限する目的で、改正FIT法施行規則の一部改正省令が公布され、同日施行されました。このような市場環境等のもと、当社グループの当連結会計年度の営業収益は6,186百万円(前年同期間比2,663百万円(75.6%)の増加)、営業費用は6,019百万円(前年同期間比2,705百万円(81.7%)の増加)、営業利益は166百万円(前年同期間比42百万円(20.4%)の減少)、経常損失は1百万円(前年同期は100百万円の経常利益)となりました。営業収益と営業費用の増加は、主として電力取引関連事業において、電力の販売と仕入れが増加したことによるものです。後述の「セグメント毎の業績及び取り組み状況」の再生可能エネルギー関連事業に記載の通り、同事業への投資に係るポートフォリオの入替の一環として実施した奈半利ソーラー発電所の売却に伴う特別利益338百万円により、税金等調整前当期純利益は297百万円(前年同期間比198百万円(201.6%)の増加)となりました。法人税等合計は110百万円(前年同期間比76百万円(220.1%)の増加)、非支配株主に帰属する当期純利益は24百万円(前年同期間比37百万円(61.1%)の減少)となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は162百万円(前年同期間比160百万円(7,855.4%)の増加)となりました。 法人税等合計は、主としてアセット・マネジメント事業を推進するアストマックス投信投資顧問株式会社(以下、「ASTAM社」という。)において、税務上の繰越欠損金が当連結会計年度において消滅したことなどを受けて繰延税金資産を44百万円取り崩したこと、及び再生可能エネルギー関連事業の地熱発電において掘削した井戸等の原状回復費用にかかる繰延税金負債11百万円を計上したこと等により増加しました。また、当連結会計年度よりASTAM社では法人税等25百万円、アストマックス連結納税グループとして法人税等17百万円、合計42百万円が発生しております。当連結会計年度における総資産は、奈半利ソーラー発電所(太陽光発電設備)の売却を主な要因とした機械及び装置(純額)の減少(831百万円)及び太陽光発電事業と地熱発電事業の推進に伴う建設仮勘定の増加(826百万円)等により、12,078百万円(前年同期比0.3%減)となりました。負債は、固定負債のその他に含まれる長期預り金の増加(367百万円)、自己先物取引差金の増加(256百万円)及び前述における太陽光発電設備の売却等による長期借入金の減少(966百万円)等により、6,135百万円(前年同期比0.1%増)となりました。純資産は、非支配株主への配当等による非支配株主持分の減少(118百万円)及び利益剰余金の増加(70百万円)等により、5,942百万円(前年同期比0.7%減)となりました。 セグメント毎の経営成績及び取り組み状況は次のとおりです。 <アセット・マネジメント事業>当事業は、主にASTAM社が推進しており、金融商品取引業と商品投資顧問業等を行っております。当連結会計年度においては、ヤフー株式会社(以下、「Yahoo! JAPAN」という。)との協働により、4月に公募投資信託「Yjamライト!」を新規に設定したほか、米ドルへの連動又は逆連動を目指すファンド(私募の投資信託)などへの資金流入も見られましたが、スワップ取引を対象としたファンドや外貨建債券を対象としたファンドにおいては投資家の解約の動きが見られたことや公募の投資信託「日本株ハイインカム(毎月分配型)(ブラジルレアルコース)」からの資金流出が継続したこともあり、運用資産残高合計は9月末時点で前連結会計年度末比211億円減少の約3,642億円となりました。10月以降は、Yahoo! JAPANとの協働により設定した公募投資信託「Yjamプラス!」への資金流入なども見られましたが、「日本株ハイインカム(毎月分配型)(ブラジルレアルコース)」の満期償還(償還時の純資産総額は114億円)や米国国債への連動又は逆連動を目指すファンドからの資金流出などもあり、運用資産残高合計は12月末時点で前連結会計年度末比275億円減少の約3,579億円となりました。1月以降は、前述の米国国債への連動又は逆連動を目指すファンド、米ドルへの連動又は逆連動を目指すファンドや「Yjamプラス!」への資金流入が見られたことなどから運用資産残高は増加に転じ、当連結会計年度末では前連結会計年度末比88億円増加の3,942億円となり、月末運用資産残高として過去最高額を更新しました。しかしながら、報酬率が相対的に高い運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率が前年同期間比低下して推移したことなどから、営業収益の総額は前年同期間比で微増にとどまりました。一方、販売管理費は、公募投資信託に係る広告宣伝費の増加等を受けて、前年同期間比で増加しました。学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドについては、アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社が営業者としてファンド運営業務等を担い投資金額の積み上げを継続しております。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は、2,089百万円(前年同期間比47百万円(2.4%)の増加)、セグメント利益は185百万円(前年同期間比220百万円(54.3%)の減少)となりました。当事業では、今後とも拡充した事業基盤を活用し、投資信託の販売会社等との協業を通じて運用資産残高の積み上げに努めるとともに、収益基盤の拡充にも取り組んでまいります。なお、既存主力事業である機関投資家ビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても、一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家の皆様に対して、対面型営業による長期積立型投資信託事業に加え、ファイナンシャル・テクノロジーを活用した長期資産形成に貢献できる事業を展開してまいります。 <ディーリング事業>当事業は、主にアストマックス・トレーディング株式会社(以下、「ASTRA社」という。)が推進し、東京商品取引所、CME、ICE等、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数等の金融先物をも取引対象とした自己勘定取引を行っております。当連結会計年度における商品先物市場は、1月に金、原油など商品価格が当期最高値を付ける展開となり、1月及び2月は貴金属を中心に市場間の値差を利用した裁定取引が好調に推移したことにより収益を確保しましたが、第3四半期連結累計期間までに計上された期間損失を埋めるには至りませんでした。また、株式市場や仮想通貨、FX市場等に資金が流れている状況が続いており、商品先物市場への参入者減少に加え、総じて価格変動率が低下している局面も続いており、当事業にとってのビジネス環境は依然として厳しい環境にあるものと判断しています。こうした環境の中、事業の「選択と集中」を実行するために、アストマックス・エナジー株式会社にて行っていた現物株式取引については、今後の収益の拡大の見通しが立て難いことから6月末で取引を停止し、主力である商品先物へのディーリング資金の配分を増加いたしました。また、管理部門において、従来よりも少人数でこれまでと同レベルのリスク管理体制を維持できる体制を構築し、人的コストの削減を図るとともに、情報ベンダーの整理・オフィスレイアウト変更によるディーリング事業の経費負担軽減等の経費削減を実行し、当連結会計年度のディーリング事業損益分岐点を、前連結会計年度に比べ約2割低下させました。この結果、第4四半期連結会計期間の3ヶ月間においては、セグメント黒字を確保いたしました。以上の結果、当事業における当連結会計年度の営業収益は538百万円(前年同期間比111百万円(17.2%)の減少)、セグメント損失は41百万円(前年同期間は18百万円のセグメント損失)となりました。当事業では、更なる経費削減を検討する一方、ディーリング資金の効率的な活用を行い、電力先物等の新規上場や3月末に開放された中国市場の活用を模索し、収益力の回復を目指す所存です。 <再生可能エネルギー関連事業>当事業は主にASTRA社等が推進しております。当事業では主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っております。当事業の進捗状況については継続的に開示しておりますが、当連結会計年度における状況は以下のとおりです。(太陽光発電事業)1. 鹿児島県霧島市 出力規模:約2.2メガワット平成28年10月に着工となりました本案件につきましては、当社グループとしての事業リスクを限定するために、SPC(特別目的会社)及び匿名組合契約(ASTRA社を出資者とし、SPCを営業者とする契約)を使った投資スキームを利用しており、平成28年12月16日付にて太陽光発電設備を設置する合同会社に対し出資をしております。稼働開始は、平成30年3月を見込んでおりましたが、造成工事に時間を要した影響で工程が変更となり平成31年となる見込みです。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。2. 大分県中津市 出力規模:約2.3メガワット平成29年10月27日付にて合同会社に対し匿名組合出資をしております本案件の稼働開始は、平成30年4月を見込んでおりましたが、天候や造成工事に時間を要した影響で工程が変更となり平成30年6月以降となる予定です。稼働後はASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。3. 再生可能エネルギー関連事業投資に係るポートフォリオの入替平成30年3月29日付にて太陽光発電設備1件(高知県安芸郡奈半利町)を譲渡し、特別利益338百万円を計上しております。なお、本件譲渡後も引き続きASTRA社による管理・オペレーション業務を行います。4. リファイナンス(融資の借換)今後の投資事業採算を向上させることを目的として、平成30年3月30日付にて太陽光発電設備(熊本県菊池市)のリファイナンス(融資の借換)を実行いたしました。本件リファイナンスの実行により、当連結会計年度において営業外費用(資金調達費用)52百万円を計上いたしましたが、平成31年3月期以降の事業採算は大幅に改善される見込みです。太陽光発電事業につきましては、前述のほか、未稼働ID及びセカンダリー市場(完成した発電所の売買市場)での案件取得に取り組んでおります。改正FIT法の施行、競合他社の参入、優良案件の減少等により競争率が高くなっており、案件取得が困難な状況ですが、今後につきましても、引き続き太陽光発電設備の未稼働ID及びセカンダリー市場での案件取得に取り組み、譲渡を行うこと等を含め、期間利益の獲得を目指してまいります。また、保有している既存発電設備においても、投資事業ポートフォリオの一部入替、リファイナンス、生産性向上のため増設等を行うことも予定しており、これらを通じた事業採算の向上に取り組んでまいります。(地熱発電事業等)ASTRA社では、ベースロード電源である地熱を利用した発電事業の取り組みも進めております。宮崎県えびの市尾八重野地域では、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構による「地熱資源開発調査事業費助成金交付事業」の採択を受け、2メガワット規模の地熱発電の事業化を目指し、平成29年3月に1号調査井、平成29年12月に2号調査井の掘削を完了しております。発電規模を確認するための仮噴気試験につきましては、平成30年2月にて1号調査井の自噴を確認いたしました。平成30年度においては2号調査井の仮噴気試験及び3号調査井(還元井)の掘削を実施し、2メガワット以上の開発も視野に入れつつ、引き続き事業化に向けて取り組んでまいります。なお、本件は、九州電力株式会社主宰の電源接続案件募集プロセス(電源接続案件募集プロセスとは、平成27年4月に設立された電力広域的運営推進機関により新たに規定されたルールであり、発電設備等を電力系統に連系するにあたり、系統連系希望者により工事費負担金を共同負担する手続きのこと。)に移行しております。このほかに、大分県日田市において、100キロワット規模のバイナリー(温泉)発電の事業化について取り組みを進めておりましたが、温泉井の掘削結果を慎重に検討した結果、遺憾ながら以後の開発を断念することといたしました。この結果、当連結会計年度において39百万円の特別損失を計上いたしました。 当事業では、前連結会計年度に続き建設中の発電所の開発に係るコスト(銀行借入に対する金利負担等)を負担しております。また、当社グループが保有する太陽光発電所は、第1四半期連結会計期間においては全般的に日射量に恵まれておりましたが、夏から秋にかけて全国的に記録的な台風や長雨が続いたことの影響もあり、当事業における当連結会計年度の営業収益は669百万円(前年同期間比112百万円(20.1%)の増加)となりました。また、前述のとおりリファイナンスによる営業外費用52百万円を計上したことから、セグメント損失は78百万円(前年同期間は76百万円のセグメント損失)となりました。なお、当社グループのセグメント損益は、経常損益をもって公表(特別損益を含まない)しております。固定資産の譲渡である高知県奈半利町の太陽光設備に係る譲渡利益338百万円は特別利益として、また大分県日田市での小規模地熱発電の開発断念による減損損失39百万円は特別損失として計上したことから、再生可能エネルギー関連事業のセグメント損益には含まれておりませんが、当社グループが保有する既存の太陽光設備の譲渡は、従前より開示しておりますとおり、当事業の事業展開の一環として行う投資事業ポートフォリオの入替であり、本特別利益及び特別損失は当事業に帰属するものになります。 <電力取引関連事業>当事業は小売電気事業者等を対象にシステム及び付帯サービスを提供するアストマックス・エナジー・サービス株式会社(以下、「AES社」という。)と、小売電気事業者であり、日本卸電力取引所の会員でもあるASTRA社による協業により推進しております。AES社では、電力自由化の先進国である米国において実績のあるEnergy Services Group, LLCの電力・ガス小売事業サポートシステムの日本版を提供するとともに、ASTRA社との協業による需要予測等を含む需給管理業務並びに顧客のための電力調達業務を通じて、小売電気事業者等のニーズに応えるべくきめ細かいサービス及びソリューションの提供に取り組んでおります。当事業を取り巻く環境は、平成28年4月に電力小売全面自由化されて以来、新電力への切替(スイッチング)は確実に進み、平成29年11月末現在のスイッチング件数は契約総数の約8.2%に当る514万件と1年前と比べ3倍近くに増加しております。このような中、当連結会計年度においては、複数件のシステム販売及び付帯サービス契約の獲得に至り、サービスの提供を開始しております。また、顧客の多様な電力調達ニーズに対応するため、ASTRA社では電力調達手段の多様化に積極的に取り組み、徐々にその成果が出てきております。なお、顧客の増加により取扱う電力量が増加することに伴い、当事業の電力取引に係るリスク管理体制の拡充を図ると共に、今後の事業展開を見据え、小売電気事業者向けの新たな業務支援体制の構築を図っており、人員を増加しました。引き続き当事業の電力取引に係るリスク管理体制の拡充、精緻化を図っております。以上の結果、当事業の当連結会計年度は、顧客の増加に伴う電力の卸売や仕入れが大幅に増加し営業収益及び営業費用は前年同期間比大幅に増加しました。また、前述のとおり、新規契約のサービス提供を開始したことによる導入に伴う報酬の獲得に加え、当事業の顧客である電力小売事業者の顧客数も増加したことから、営業収益は2,888百万円(前年同期間比2,612百万円(945.6%)の増加)、セグメント損失は60百万円(前年同期間は185百万円のセグメント損失)となり、損失を減少させることができました。 上記、セグメント利益又は損失は当連結会計年度の経常損失と調整を行っており、連結会社間の内部取引消去等の調整額が含まれております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,443百万円(前年同期間比6.6%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益による収入(297百万円)、非資金項目である減価償却費(316百万円)、長期預り金の増加による収入(367百万円)等により、801百万円(前年同期は367百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として地熱発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△883百万円)、投資有価証券の取得による支出(△150百万円)、太陽光発電事業に係る有形固定資産の売却による収入(910百万円)等により、△38百万円(前年同期は△1,247百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△1,008百万円)等により、△1,004百万円(前年同期は2,608百万円)となりました。 ③ 営業収益の状況a. 営業収益実績当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 平成29年4月1日至 平成30年3月31日)前年同期比(%)アセット・マネジメント事業(千円)2,087,2552.6うち管理報酬(千円)155,738△17.1うちその他(千円)2,741△57.0うち投信委託者報酬(千円)1,928,7764.8ディーリング事業(千円)538,922△17.2再生可能エネルギー関連事業(千円)662,20920.3電力取引関連事業(千円)2,888,658945.6その他収益(千円)8,974△9.2 合 計(千円)6,186,020 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3 当社グループのアセット・マネジメント事業、ディーリング事業は生産・受注といった区分が困難であるため、「生産・受注及び販売の状況」に代わり「営業収益の状況」を記載しております。また、同様の理由で「主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」について記載をしておりません。 b. 運用資産残高の状況[アセット・マネジメント事業]以下の表は、当連結会計年度の運用資産残高の状況を示したものです。 平成29年3月6月9月12月平成30年3月商品(百万円)470449479510489証券(百万円)384,985364,423363,785357,427393,670 合計(百万円)385,455364,873364,264357,937394,160 c. 自己資産運用における取引高比率の推移[ディーリング事業]以下の表は、東京商品取引所の総取引高における自己勘定投資事業の取引高の比率の推移を示したものです。 平成29年4月5月6月7月8月9月 取引所における総取引高(枚)3,331,6503,714,7744,206,0504,433,2064,477,7844,394,016 ディーリング事業が占める取引高の比率(%)5.285.284.613.894.333.60 10月11月12月平成30年1月2月3月年間取引所における総取引高(枚)3,725,8583,724,3564,098,6404,940,7564,842,6264,536,66850,426,384ディーリング事業が占める取引高の比率(%)3.443.614.143.964.264.014.18 (注) 1 上記に記載した取引所における総取引高は、東京商品取引所発表の取引高を記載しております。2 上記は、当社グループにおける東京商品取引所での自己売買取引の比率を記載しておりますが、それ以外にも国内取引所や海外取引所において取引を実施しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。① 重要な会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の経営者は、連結財務諸表の作成に当たり、会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 ② 経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の経営成績は、連結営業収益は6,186百万円(前期比2,663百万円の増加)、営業費用は6,019百万円(前期比2,705百万円の増加)、営業利益は166百万円(前期比42百万円の減少)、経常損失は1百万円(前年同期は100百万円の利益)となりました。営業収益及び営業費用の増加は、主として電力取引関連事業において、電力の販売と仕入れが増加したことによるものです。税金等調整前当期純利益は、再生可能エネルギー関連事業における事業ポートフォリオの入替の一環として実施した奈半利ソーラー発電所の設備譲渡に伴う特別利益338百万円等の計上により、297百万円(前期比198百万円の増加)となりました。また、法人税等合計が110百万円(前期比76百万円の増加)、非支配株主に帰属する当期純利益が24百万円(前期比37百万円の減少)となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は162百万円(前期比160百万円の増加)となりました。なお、当社が最も重視している財務指標の1つである株主資本は、前期比71百万円増加し5,417百万円となりました。当社グループは、当連結会計年度において2020年に向けた中期ビジョンを策定し、「持続的な企業価値の向上」と「外部環境に耐性のある安定的収益基盤の強化」を謳っております。アセット・マネジメント事業は、営業収益が前連結会計年度比2.4%増加しましたが、マイナス金利等の外部環境の影響もあり、運用資産全体の報酬率が前年同期間比で低下したことや、長期資産形成に係る公募投資信託の広告宣伝費用を先行投資していること等からセグメント利益は前連結会計年度比54.3%減少しました。ディーリング事業における営業収益は前連結会計年度比17.2%減少となり、2年連続のセグメント損失となりました。当事業においては、株式市場や仮想通貨、FX市場等への資金流入が続いたことの影響もあり、国内商品先物価格の市場変動率が相対的に低い状況であったこと等、厳しいビジネス環境にあったとの認識を有しております。このような認識の下、当事業では、販売管理費を前連結会計年度比2割程度削減する等、経費率を改善いたしました。今後も一層の経費率改善を目指すとともに、ディーリング資金のより効率的な活用を図ることによって事業の収益率を向上させてまいりたいと考えております。 再生可能エネルギー関連事業の営業収益は、平成28年7月に売電を開始した出力規模約7.8メガワットの太陽光発電所が年間を通じて稼働したこともあり前連結会計年度比20.1%の増収となりました。当連結会計年度においては、保有する太陽光発電所の売電収入に加え、新たな太陽光発電所の建設(大分県耶馬渓)やポートフォリオの入替を目的とした保有する太陽光発電所の設備譲渡(高知県安芸群奈半利町)、融資の借換(熊本県菊池市)等を行うことにより、本事業における事業採算性の改善を図ってまいりました。当社グループのセグメント損益は、特別損益を含まない経常損益をもって公表していることから、当事業は、前連結会計年度に続きセグメント損失を計上しておりますが、太陽光発電所の設備譲渡に伴う特別利益及び融資の借換に伴う営業外損失を勘案した場合、当事業における税金等調整前当期純利益は、約221百万円の利益計上となります。なお、融資の借換に伴う期間損益の改善効果は、来年度以降に反映される予定です。平成26年度から着手している地熱発電事業は、小規模地熱発電については誠に遺憾ながら断念せざるを得ない結果となったものの、宮崎県で進めている案件は、2本の調査井の掘削が完了し、これまでの調査結果を基に、引き続き事業化に向けた検討に取り組んでおります。 前連結会計年度より独立したセグメントとした電力取引関連事業においては、小売電気事業者向けの拡販に向けた営業活動が奏功し、システム提供及び業務代行サービスについて複数の契約を締結することができました。顧客の電力調達ニーズが多様化してきたこと等も受け電力取引も活発化してきており、営業収益は前連結会計年度比945.6%と大幅に増加しました。増加の大半を電力販売が占めており、電力販売量に見合う電力仕入れも大幅に増加したことから、電力仕入による営業費用も増加しております。新電力へのスイッチング件数や小売電気事業者の数は1年前と比べ増加傾向が継続していることから、今後も事業機会を的確に捉えると同時に新規顧客確保に努め、年間を通した黒字化を達成してまいりたいと考えております。 なお、当連結会計年度の経営成績と事業の種類別セグメント情報の詳細やその背景となる当社を取り巻く環境等につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下の事項であると考えております。(アセット・マネジメント事業)顧客層の拡充・事業基盤の拡大に努めてはおりますが、依然として、債券市場・外国為替市場・株式市場・商品市場等の動きによっては、投資家による利益確定または損失限定のための投資行動などにより解約が集中することで、同事業の業績が影響を受ける可能性があります。また、信託報酬率の低下傾向が今後も続くような場合も同事業の収益に影響を与える可能性があります。なお、個人投資家を対象とする長期資産形成の事業は、一定規模の事業規模を達成するためには、時間を要する事業と認識しております。(ディーリング事業)当連結会計年度においては、一時的に商品先物価格の市場変動率上昇することはありましたが、東京商品取引所の取引は総体的に保合相場となることが多く、ディーリング事業にとって取引機会が少ない展開が続いておりました。今後も同取引所における出来高が大きく減少したり、市場変動率が著しく低下するなどの市場環境によっては、同事業の収益が大きく影響を受ける可能性があります。(再生可能エネルギー関連事業)引き続き積極的に経営資源を投入し、太陽光発電事業の更なる拡大と地熱発電事業等への取組みを継続しております。同事業は、市場の変動の影響を受けにくい安定収益源として営業収益への貢献が期待できる一方で、「事業等のリスク」に記載の通り、不測の事態が生じた場合は、同事業の業績にマイナスの影響を与える可能性があります。(電力取引関連事業)同事業においては、国内における電力契約の切替ニーズの変化や小売電気事業者数の増減等が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、システムや業務代行サービスを利用いただく顧客数及び顧客の取り扱う電力量が経営成績に影響を与えることとなります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。(資産、負債及び純資産の状況)当連結会計年度における総資産は、奈半利ソーラー発電所(太陽光発電設備)の売却を主な要因とした機械及び装置(純額)の減少(831百万円)及び太陽光発電事業と地熱発電事業の推進に伴う建設仮勘定の増加(826百万円)等により、12,078百万円(前年同期比0.3%減)となりました。負債は、固定負債のその他に含まれる長期預り金の増加(367百万円)、自己先物取引差金の増加(256百万円)及び前述における太陽光発電設備の売却等による長期借入金の減少(966百万円)等により、6,135百万円(前年同期比0.1%増)となりました。純資産は、非支配株主への配当等による非支配株主持分の減少(118百万円)及び利益剰余金の増加(70百万円)等により、5,942百万円(前年同期比0.7%減)となりました。(キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物は、3,443百万円(前年同期間比6.6%減)となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益による収入(297百万円)、非資金項目である減価償却費(316百万円)、長期預り金の増加による収入(367百万円)等により、801百万円(前年同期は367百万円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として地熱発電事業に係る有形固定資産の取得による支出(△883百万円)、投資有価証券の取得による支出(△150百万円)、太陽光発電事業に係る有形固定資産の売却による収入(910百万円)等により、△38百万円(前年同期は△1,247百万円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主として長期借入金の返済による支出(長期借入れによる収入との純額は△1,008百万円)等により、△1,004百万円(前年同期は2,608百万円)となりました。 平成29年3月期に行ったASTAM社株式の一部売却によって増加した手元流動性は、今後も引き続き電力取引関連事業におけるファイナンスに伴う資金需要、再生可能エネルギー関連事業への投資等に充当する予定ですが、再生可能エネルギー関連事業における資金需要については、主としてプロジェクトファイナンスによって投資資金を確保することを想定しております。なお、手元流動性を超える資金需要の増加が見込まれる場合におきましては、銀行借り入れ等による財務活動を通じた資金調達も視野にいれております。 経営者の問題認識と今後の方針については、以下のとおりであります。当社の経営者は、現状の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社を取り巻く経営環境は、依然として、内外の金融商品市場及び商品先物市場等の動向等の諸経済情勢により大きく影響を受けるものとなっております。このため、金融商品市場及び商品先物市場等に関する情報を幅広く入手し、市場動向に迅速に対応すべく努力する一方、前述のとおり、当社グループの事業について、市場動向の影響を受けにくい体質への改善を進めております。また、アセット・マネジメント事業におきましては、投資運用業者が求められる社会的役割を十分に認識し、今後一層、個人投資家向け長期資産形成事業への注力度を上げてまいります。上記のほか我が国の再生可能エネルギー等に対する政策の動向も踏まえつつ、業績と事業計画に大きな乖離が生じる可能性がある場合には、事業計画を抜本的に見直すことも含めて、環境変化への対応を適切に行ってまいります。
経営方針・経営戦略
3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社経営の基本方針当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。 この基本理念の下、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人材を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは収益力を高め期間利益を安定的に確保するためには、株主資本を最も効率的に活用することが重要であるとの認識のもと、ROE(株主資本利益率)を念頭においた経営を進めておりますが、持続的成長性を計る手段として「純資産額の増加」、「フリーキャッシュ創造力」についても重視してまいります。また、アセット・マネジメント事業においては上記に加え運用資産残高の推移を重視しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、従来、経営資源を資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に集中してきました。しかしながら、企業グループとしての収益基盤の安定及び収益力の強化を目指すために、市場動向の影響を受けにくい事業へ参入することを決定し、再生可能エネルギー関連事業および電力取引関連事業への取組みも積極的に進めております。平成29年3月期においては、2020年(平成32年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、以下の骨子のとおり、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。① 株主還元と再投資による成長力の強化とバランスを重視した経営を行います。② 4事業を通じて社会に貢献できる企業を目指します。③ 当社グループは積極的にイノベーションに取組み、それを支えるガバナンス体制の充実を目指します。(イノベーション)以下の事項に沿って事業を展開します。1. 従来型の概念にとらわれることなく、新たな事業の発掘と既存事業の進化と深化により、社会的意義のあ る新たな価値を創造2. 異なる組織及び機能との融合により、新たな知見を獲得し独自性を発揮3. 自発的な人材の育成と人材を活かす組織を構築し、会社と社会に幅広い変革を推進4. あらゆるステークホルダーからの信頼の確保(ガバナンス)1. 業務執行体制と取締役会の監督機能を強化2. 迅速且つ牽制の効いた機関決定3. バランスシートマネジメントを重視 (4) 会社の対処すべき課題文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。 ① 継続的な経常利益及び税金等調整前当期純利益の確保当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。平成27年3月期に策定した中期経営計画(2ヵ年)は、初年度において同計画の目標の一つであった全セグメントにおける黒字化を達成しました。しかしながら同計画2年目の平成28年3月期においては、アセット・マネジメント事業で大幅な増収増益を達成したものの、再生可能エネルギー関連事業において新たに進出した電力取引関連事業において費用先行となったこと及び前期の収益に寄与した太陽光発電設備の売却案件がなかったこと等もあり、連結ベースでは前年比減収減益となりました。上記2ヵ年計画終了後の平成29年3月期においては、持続的な企業価値の向上に向けて、2020年3月期の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。同ビジョン1年目である平成29年3月期は、アセット・マネジメント事業で前年比増収増益を達成しましたが、その他3事業は想定通りのセグメント利益を確保できず、当社連結決算は前年度比大幅な減収減益となりました。なお、前述のとおり、子会社株式の一部譲渡による収益は、「連結財務諸表に関する会計基準」により、連結財務諸表においては期間収益として認識しないこととなった一方で、弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表では収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用の合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しております。上記子会社株式の一部譲渡を経て、連結での「非支配株主持分」を含む純資産額は、前連結会計年度末の約45億円から約60億円に、また株主資本も、前連結会計年度末の約45億円から約53億円に増加しており、当社グループが企業価値の向上を図る上で重要視している純資産は着実に増加しております。4ヵ年中期ビジョンの1年目は上記のとおりの結果となりましたが、当社グループは、会社の基本理念及び中期ビジョンに基づき、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理強化、人材育成等を通じて、平成30年3月期以降も、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいります。 ② 持株会社体制下での経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理上記の目標達成のためには、当社グループの目指す姿を共有し、事業展開のスピードアップを図り経営効率を上げていかなければなりません。平成24年10月1日付の組織再編以降、各事業会社の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業において必要なファイア・ウォール(業務隔壁)については引き続き徹底しつつ、各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しております。また、中期ビジョンの目指す姿の達成に向け、持株会社はグループ事業を支援する専門家集団として、グループ内の事業を積極的にサポートすると共に、人材育成に注力し、引き続き経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでまいります。 ③ アセット・マネジメント事業における顧客本位の事業展開と収益基盤の拡充ASTAM社は平成25年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図ってまいりました。運用資産残高は平成25年3月末の1,437億円から4年後の平成29年3月末は3,854億円へと大幅に増加し、当連結会計年度におきましても820億円の流入超過となりましたが、引き続き、運用資産残高の拡大を図るべく、本事業の事業基盤を拡充してまいります。また、平成28年10月にはASTAM社株式の33.4%をYahoo! JAPANに譲渡し、資本・業務提携を行いましたが、これは当社グループにおける国民の長期資産形成に資する投資運用事業を着実に取り組んでいくことの一環であると考えております。今後も、機関投資家向けの投資運用業の品質の一層の向上に加え、投資家の皆様の長期資産形成に貢献できる投資運用会社としての態勢を構築してまいります。 ④ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラの整備、事業全体のポートフォリオ分析等を進め、収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりましたが、平成29年3月期は売上総利益(営業収益から売上原価を差し引いた収益)は確保できたものの、販売管理費を賄うことはできず、3期ぶりにセグメント損失となりました。当事業は市場環境に左右される側面があることは否めないものの、世界的には先物市場の規模が拡大傾向にあることから、引き続き上記施策に取り組みつつ、資本効率を向上させるとともにリスク管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制の構築を推進して収益率を高め、利益率の好転を図ります。また、電力OTC市場の発展及び東京商品取引所への上場を見据え、これまでのディーリング業務で蓄積してきた経験と知識を応用して電力取引関連事業でも活用し、電力取引の収益化に繋げる体制を構築してまいる所存です。 ⑤ 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント及び投資並びに農業生産法人への出資を行っております。当社グループとしては今後も「発電事業に投資し自ら発電事業を営むと共に、全部または一部をファンド化する等の事業展開により投資資金の早期回収を行い再投資を行う。」というビジネス展開をベースに事業を推進していく方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギー事業の展開も進めており、これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業基盤を早期に確立していきたいと考えております。既に当社グループでは平成29年3月末現在、太陽光発電設備約12.4メガワットを保有しておりますが、既に着工し今後完工予定の太陽光発電事業案件を合わせると、当社グループが自ら保有する太陽光発電所からの売電収益によって当事業の黒字化が実現可能となる見込みです。また、調査井の掘削が無事完了した地熱発電事業についても、再生可能エネルギー事業の新たな中核の一つとなる様、着実に取組んでまいります。 ⑥ 電力取引関連事業における事業基盤の確立電力取引関連事業は、電力小売全面自由化を契機に平成29年3月期より再生可能エネルギー関連事業から独立したセグメントにいたしました。ESG社と電力小売事業者向けのシステムの国内独占販売契約を締結し、同システムの日本仕様化及び販売を進めてまいりました。電力小売全面自由化から1年が経った現在、本格的なシステム導入や既に高圧で実績のある会社がシステムの入替等を検討する段階にあることは、当事業にとって顧客基盤を拡大する事業機会であると考えております。また、当社グループのディーリング事業において主たる取引の場である東京商品取引所では、今年度中に電力先物の上場を予定しており、電力の調達においてもディーリング事業で培ったノウハウが貢献し得るものと考えております。ESG社システムの日本版完成が当初計画より遅れたこと等で費用先行となり、電力取引関連事業としての黒字化が計画より遅れておりますが、前述の事業機会を確実にとらえ、早期黒字化と収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。 ⑦ コンプライアンスの徹底上場企業としてグループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑧ 情報管理の徹底当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、平成24年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し、サーバーも物理的に別々のものとする等、厳格なファイア・ウォール体制を築いております。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。
対処すべき課題
3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社経営の基本方針当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。 この基本理念の下、安定的な収益を確保できる事業基盤を確立し、持続的な企業価値の向上とステークホルダーに付加価値を提供することを目指しております。また、事業活動を通じ幅広い人材を育成すると共に、経済合理性と強い倫理観を併せ持った企業活動及び社会活動を行ってまいりたいと考えております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは収益力を高め期間利益を安定的に確保するためには、株主資本を最も効率的に活用することが重要であるとの認識のもと、ROE(株主資本利益率)を念頭においた経営を進めておりますが、持続的成長性を計る手段として「純資産額の増加」、「フリーキャッシュ創造力」についても重視してまいります。また、アセット・マネジメント事業においては上記に加え運用資産残高の推移を重視しております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、従来、経営資源を資産運用業(アセット・マネジメント事業及びディーリング事業)に集中してきました。しかしながら、企業グループとしての収益基盤の安定及び収益力の強化を目指すために、市場動向の影響を受けにくい事業へ参入することを決定し、再生可能エネルギー関連事業および電力取引関連事業への取組みも積極的に進めております。平成29年3月期においては、2020年(平成32年3月期)の当社グループのあるべき姿を定め、以下の骨子のとおり、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。① 株主還元と再投資による成長力の強化とバランスを重視した経営を行います。② 4事業を通じて社会に貢献できる企業を目指します。③ 当社グループは積極的にイノベーションに取組み、それを支えるガバナンス体制の充実を目指します。(イノベーション)以下の事項に沿って事業を展開します。1. 従来型の概念にとらわれることなく、新たな事業の発掘と既存事業の進化と深化により、社会的意義のあ る新たな価値を創造2. 異なる組織及び機能との融合により、新たな知見を獲得し独自性を発揮3. 自発的な人材の育成と人材を活かす組織を構築し、会社と社会に幅広い変革を推進4. あらゆるステークホルダーからの信頼の確保(ガバナンス)1. 業務執行体制と取締役会の監督機能を強化2. 迅速且つ牽制の効いた機関決定3. バランスシートマネジメントを重視 (4) 会社の対処すべき課題文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 当社グループは今後更なる事業及び収益の拡大を図るために、以下の課題に取り組んでまいります。 ① 継続的な経常利益及び税金等調整前当期純利益の確保当社グループは、「ステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献する企業グループを目指すこと。」及び、「高潔な倫理観と柔軟な発想をもって、全力で事業目的を達成すること。」を会社の基本理念としております。平成27年3月期に策定した中期経営計画(2ヵ年)は、初年度において同計画の目標の一つであった全セグメントにおける黒字化を達成しました。しかしながら同計画2年目の平成28年3月期においては、アセット・マネジメント事業で大幅な増収増益を達成したものの、再生可能エネルギー関連事業において新たに進出した電力取引関連事業において費用先行となったこと及び前期の収益に寄与した太陽光発電設備の売却案件がなかったこと等もあり、連結ベースでは前年比減収減益となりました。上記2ヵ年計画終了後の平成29年3月期においては、持続的な企業価値の向上に向けて、2020年3月期の当社グループのあるべき姿を定め、今後4年間の中期ビジョン「Innovation & Governance for 2020」を策定しました。同ビジョン1年目である平成29年3月期は、アセット・マネジメント事業で前年比増収増益を達成しましたが、その他3事業は想定通りのセグメント利益を確保できず、当社連結決算は前年度比大幅な減収減益となりました。なお、前述のとおり、子会社株式の一部譲渡による収益は、「連結財務諸表に関する会計基準」により、連結財務諸表においては期間収益として認識しないこととなった一方で、弁護士報酬や監査法人への報酬、及び財務諸表では収益計上していることに伴う事業税付加価値割の負担増加分等の関連費用の合計額を、連結損益計算書に約30百万円計上しております。上記子会社株式の一部譲渡を経て、連結での「非支配株主持分」を含む純資産額は、前連結会計年度末の約45億円から約60億円に、また株主資本も、前連結会計年度末の約45億円から約53億円に増加しており、当社グループが企業価値の向上を図る上で重要視している純資産は着実に増加しております。4ヵ年中期ビジョンの1年目は上記のとおりの結果となりましたが、当社グループは、会社の基本理念及び中期ビジョンに基づき、引き続き事業展開の優先度、経営資源の適正な配分と各事業会社の設定目標の進捗管理強化、人材育成等を通じて、平成30年3月期以降も、継続してこの課題を十分に認識し、対処してまいります。 ② 持株会社体制下での経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理上記の目標達成のためには、当社グループの目指す姿を共有し、事業展開のスピードアップを図り経営効率を上げていかなければなりません。平成24年10月1日付の組織再編以降、各事業会社の管理業務は新設持株会社である当社に集約され、当社グループ全体の管理業務の効率化及び管理コストの削減を図ると共に、各事業において必要なファイア・ウォール(業務隔壁)については引き続き徹底しつつ、各々の事業会社の迅速な意思決定を可能とする体制を構築しております。また、中期ビジョンの目指す姿の達成に向け、持株会社はグループ事業を支援する専門家集団として、グループ内の事業を積極的にサポートすると共に、人材育成に注力し、引き続き経営資源の効率的な配分及びリスクの効果的な管理に取り組んでまいります。 ③ アセット・マネジメント事業における顧客本位の事業展開と収益基盤の拡充ASTAM社は平成25年3月期の投資運用会社2社の買収を経て、事業規模拡大を図ってまいりました。運用資産残高は平成25年3月末の1,437億円から4年後の平成29年3月末は3,854億円へと大幅に増加し、当連結会計年度におきましても820億円の流入超過となりましたが、引き続き、運用資産残高の拡大を図るべく、本事業の事業基盤を拡充してまいります。また、平成28年10月にはASTAM社株式の33.4%をYahoo! JAPANに譲渡し、資本・業務提携を行いましたが、これは当社グループにおける国民の長期資産形成に資する投資運用事業を着実に取り組んでいくことの一環であると考えております。今後も、機関投資家向けの投資運用業の品質の一層の向上に加え、投資家の皆様の長期資産形成に貢献できる投資運用会社としての態勢を構築してまいります。 ④ ディーリング事業の一層の効率化ディーリング事業は、ここ数年にわたり、取引対象の拡大や取引インフラの整備、事業全体のポートフォリオ分析等を進め、収益源の多様化と収益力の拡大を目指してまいりましたが、平成29年3月期は売上総利益(営業収益から売上原価を差し引いた収益)は確保できたものの、販売管理費を賄うことはできず、3期ぶりにセグメント損失となりました。当事業は市場環境に左右される側面があることは否めないものの、世界的には先物市場の規模が拡大傾向にあることから、引き続き上記施策に取り組みつつ、資本効率を向上させるとともにリスク管理手法の高度化と管理体制の効率化を両立させ、更に低コストで十分な管理運営を行う体制の構築を推進して収益率を高め、利益率の好転を図ります。また、電力OTC市場の発展及び東京商品取引所への上場を見据え、これまでのディーリング業務で蓄積してきた経験と知識を応用して電力取引関連事業でも活用し、電力取引の収益化に繋げる体制を構築してまいる所存です。 ⑤ 再生可能エネルギー関連事業における事業基盤の拡充再生可能エネルギー関連事業においては、再生可能エネルギー関連事業の発掘、開発、アレンジメント及び投資並びに農業生産法人への出資を行っております。当社グループとしては今後も「発電事業に投資し自ら発電事業を営むと共に、全部または一部をファンド化する等の事業展開により投資資金の早期回収を行い再投資を行う。」というビジネス展開をベースに事業を推進していく方針です。太陽光発電事業のみならず、地熱等の再生可能エネルギー事業の展開も進めており、これらの取組みを通じて中長期的に安定した事業基盤を早期に確立していきたいと考えております。既に当社グループでは平成29年3月末現在、太陽光発電設備約12.4メガワットを保有しておりますが、既に着工し今後完工予定の太陽光発電事業案件を合わせると、当社グループが自ら保有する太陽光発電所からの売電収益によって当事業の黒字化が実現可能となる見込みです。また、調査井の掘削が無事完了した地熱発電事業についても、再生可能エネルギー事業の新たな中核の一つとなる様、着実に取組んでまいります。 ⑥ 電力取引関連事業における事業基盤の確立電力取引関連事業は、電力小売全面自由化を契機に平成29年3月期より再生可能エネルギー関連事業から独立したセグメントにいたしました。ESG社と電力小売事業者向けのシステムの国内独占販売契約を締結し、同システムの日本仕様化及び販売を進めてまいりました。電力小売全面自由化から1年が経った現在、本格的なシステム導入や既に高圧で実績のある会社がシステムの入替等を検討する段階にあることは、当事業にとって顧客基盤を拡大する事業機会であると考えております。また、当社グループのディーリング事業において主たる取引の場である東京商品取引所では、今年度中に電力先物の上場を予定しており、電力の調達においてもディーリング事業で培ったノウハウが貢献し得るものと考えております。ESG社システムの日本版完成が当初計画より遅れたこと等で費用先行となり、電力取引関連事業としての黒字化が計画より遅れておりますが、前述の事業機会を確実にとらえ、早期黒字化と収益力の拡大を目指し、事業基盤の確立に努めてまいります。 ⑦ コンプライアンスの徹底上場企業としてグループ内に顧客資産の運用に携わる事業会社を擁する当社グループは、極めて公共性の高いビジネスの担い手であると強く認識しております。よって役職員一人一人に高いモラルが求められており、当社グループの全役職員に対して社内規程で法令等の遵守を求めると共に、誓約書を提出させております。コンプライアンスについては、継続的な啓蒙活動とチェックが必要であり、引き続きその徹底を図ってまいります。 ⑧ 情報管理の徹底当社グループでは、各事業会社で、商品先物市場及び金融商品市場等において、アセット・マネジメント事業とディーリング事業を行っております。両事業は以前よりオフィスを物理的に隔離し、ICカードキーにより入室者を限定する等、相互に立ち入りができないオフィス管理体制を取っておりましたが、より両事業における情報遮断等を徹底すべく、平成24年10月にはそれぞれの事業を別会社化いたしました。また、両事業の取引データを含む業務上の全てのデータにはアクセス権を設定し、サーバーも物理的に別々のものとする等、厳格なファイア・ウォール体制を築いております。しかしながら、上記コンプライアンスの徹底同様、このファイア・ウォール体制についても役職員の高い意識が重要であるとの認識のもと、今後も継続して役職員の啓蒙、意識の醸成に努めてまいります。