7202

いすゞ自動車(7202)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

輸送用機器 自動車・輸送機

事業の概要

  • 自動車製造・販売事業
    いすゞ自動車グループは、主に大型トラック・バス、小型トラック(CV・LCV)といった商用車と、それらに使われるエンジンやトランスミッションなどのパワートレインの製造・販売を国内外で展開しています。これらの製品がグループの主要な収益源となっています。また、関連する物流サービスなども手掛けています。
  • グローバルな生産・販売体制
    日本国内での製造・組立に加え、海外の子会社が日本から供給される部品を組み立てる現地生産も行っています。販売は、国内では中央官庁や大口顧客へは直接販売し、その他は販売会社を通じて行います。海外ではグループ企業の販売網やゼネラルモーターズグループ、商社などを通じて広範に展開しています。
  • 産業用エンジン事業
    自動車部品としてのパワートレインだけでなく、自動車以外の主力製品である産業用エンジンの製造・販売も行っています。これらのエンジンは主に日本およびアジア地域で生産されており、多様な産業機械に供給されることで、自動車事業以外の収益基盤も構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 商用車(CV)事業
    大型トラック・バスの製造・販売がこのセグメントの中心です。物流や公共交通機関など、社会インフラを支える重要な車両であり、高い積載能力や耐久性、燃費性能が求められます。国内外の幅広い顧客に製品を提供し、グループの中核的な収益源となっています。
  • 小型商用車(LCV)事業
    ピックアップトラックやその派生車の製造・販売を指します。これらの車両は、新興国市場を中心に物流や個人用途で広く利用されており、特にアジア地域などで需要の増加が見込まれています。多様な市場ニーズに対応することで、事業の拡大を図っています。
  • パワートレイン・関連事業
    エンジン、トランスミッション、駆動系コンポーネントといったパワートレインの製造・販売、およびこれらに関連する物流やリースなどの各種サービスが含まれます。自動車本体だけでなく、その基幹部品や付帯サービスを提供することで、安定的な収益確保と顧客への総合的なソリューション提供を目指しています。
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FY2026|785 文字
3【事業の内容】 当社の連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成しており、関係会社の状況においてもIFRSの定義に基づいて開示しています。 当社グループは、当社及び連結子会社120社、持分法適用会社等(関連会社、共同支配事業及び共同支配企業)35社で構成されており、自動車事業を主たる事業として、これを補完するための金融事業を行っています。 自動車 当事業においては、大型トラック・バス、小型トラックを中心としたCV・LCV及びパワートレイン(注)の製造・販売、それらに関連する物流等の各種サービス事業をグループの中核事業として国内外に展開しています。 生産体制は、当社による製造・組立と、当社が供給するコンポーネントを在外グループ企業により組立てる現地生産を行っています。また、自動車以外の主力製品であるエンジンは、日本及びアジア地域で生産しています。 国内の販売体制は、中央官庁並びに大口需要者の一部に対しては、大型トラック・バスを当社が直接販売にあたり、大型トラック・バス、小型トラックほかの、その他の需要者に対しては販売会社がその販売にあたっています。 海外への販売は、当社グループ企業の販売網及びゼネラル モーターズ グループ各社等の販売網並びに商社等を通じ行っています。 金融 当事業においては、当社グループが製造する自動車及び他の製品の販売を補完するための金融並びに車両のリース事業を行っています。 各事業における主な関係会社については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」をご参照ください。 (注)文中「CV」「LCV」「パワートレイン」とあるのはそれぞれ「商用車」「ピックアップトラック及び派生車」「エンジン、トランスミッション及び駆動系のコンポーネント」のことを示します。以上、述べた事項を事業系統図によって示すと概ね次のとおりとなります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
自動運転レベル4トラック・バスの2027年度社会実装に向けた開発など、高い技術力が不可欠。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク / 新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応 / 資材、部品等の調達の不足や遅延
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 13 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

いすゞ自動車は、商用車分野における長年の実績と信頼性により、一定のブランド価値を築いている。特に、小型トラック「エルフ」や大型トラック「ギガ」は、国内外で高い認知度を持つ。しかし、特許や独自IPによる明確な優位性は限定的であり、ブランド価値の持続性には競合他社の動向も影響する。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

商用車は、車両の性能、信頼性、メンテナンス体制、そしてディーラーネットワークが顧客の選定において重要な要素となる。一度導入した車両やサービス体制に慣れた顧客が、他社へ乗り換える際には、新たな学習コスト、メンテナンス網の再構築、予備部品の調達などの手間が発生するため、一定のスイッチング・コストが存在する。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

いすゞ自動車の事業モデルにおいて、ネットワーク効果は直接的な競争優位性とはなりにくい。車両の販売やアフターサービスは、個々の顧客との関係性が中心であり、ユーザー数の増加が直接的に製品やサービスの価値を高める構造ではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

いすゞは、商用車に特化することで、開発・生産・調達における効率化を図っている。特に、グローバルでのプラットフォーム共通化や、部品共通化を進めることで、規模の経済を活かしたコスト競争力を維持している。しかし、原材料価格の変動や、新興国メーカーの台頭による価格競争圧力は存在する。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

いすゞ自動車は、世界有数の商用車メーカーであり、特に中・大型トラックおよび小型トラックの分野で高いシェアを持つ。グローバルな生産・販売ネットワークと、規模の経済による効率的な生産体制は、新規参入者にとって容易に模倣できない強固な障壁となっている。この規模は、開発投資やサプライチェーン管理においても優位性をもたらす。

  • 商用車に特化した技術力
    いすゞ自動車は、大型トラック・バスや小型トラックといった商用車(CV・LCV)およびパワートレイン(エンジン、トランスミッションなど)の開発・製造に長年の実績と専門的な技術を持っています。これにより、高い耐久性、燃費性能、積載能力を持つ製品を提供し、顧客からの信頼を得ています。
  • グローバルな生産・販売ネットワーク
    日本を拠点に、子会社120社、関連会社等42社からなる広範な国内外の生産・販売ネットワークを構築しています。これにより、各地域の市場ニーズに合わせた製品供給や、効率的な部品調達・生産が可能となり、世界中の顧客に製品とサービスを提供できる体制が強みです。
  • 多様な販売チャネルとサービス
    国内では直販と販売会社網、海外ではグループ企業やゼネラルモーターズグループ、商社を通じた多様な販売チャネルを持っています。また、製品販売だけでなく、物流サービスやリーシングサービスなど、関連する各種サービスも展開しており、顧客の事業活動を総合的にサポートすることで競争優位性を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針・企業理念・行動方針 当社グループを取り巻く事業環境の変化は日増しに加速しており、事業は複雑性を増しています。こうした状況下で、当社グループはさまざまな社会課題を解決し、商用車業界をリードしていくために、自らの存在意義、そしてお客様・社会に対する提供価値を問い直すことが必要とされています。 このような課題認識のもと、当社グループは、従業員一人ひとりが高い視座に立ち、同じ価値観を共有し、一丸となって社会課題の解決に取り組むことが必要と考え、2023年5月に新経営理念体系「ISUZU ID」を策定しました。 「ISUZU ID」の概要は以下のとおりです。◆PURPOSE(使命):地球の「運ぶ」を創造するお客様、そしてパートナーの皆さまと地球上のすべてのモノ・ヒトの「運ぶ」を主体的に創造するとともに、カーボンニュートラルへの対応や、進化する物流への貢献など、新たな「運ぶ」の価値を提供し、社会を豊かにしていきたい、という決意を表しています。 ◆VISION(将来像):「安心×斬新」で世界を進化させるイノベーションリーダーあらゆる社会課題の解決に貢献していくために、従来大切にしてきた「安心」に、「斬新」を掛け合わせ、イノベーションリーダーを目指します。 ◆MISSION(任務):あなたと共に「運ぶ」の課題を解決するすべての人々と共に社会を前進させるという意志を込め、4つの分野(お客様満足度・地球へのやさしさ・働きがい・社会への影響力)でNo.1を目指します。 ◆CORE VALUE(コア・バリュー):相互成長イノベーションリーダーとして、一人ひとりが挑戦・変化・貢献する意欲を持ち、集団として尊重・信頼・刺激し合うことで、成長していきます。 今後、当社グループは「ISUZU ID」を起点に、既存事業の更なる強化と新事業への挑戦を通じて社会課題の解決に貢献し、世界を進化させるイノベーションリーダーを目指します。 (2)対処すべき課題 「地球の『運ぶ』を創造する」をPURPOSE(使命)として、「運ぶ」に関わるさまざまな社会課題を解決するためには、多様化するお客様ニーズや不確実性の高い事業環境にもしなやかに対応し、絶えず柔軟に変革し続けることが不可欠です。 変革の実現に向け、当社グループでは2024年4月に、中期経営計画「ISUZU Transformation – Growth to 2030」(以下「IX」という。)を公表しました。「IX」は「ISUZU ID」のVISION(将来像)とMISSION(任務)を、足元からのフォーキャストと「ISUZU ID」からのバックキャストで、2030年目線で具体化し策定したものです。当社グループは2030年に向けて、創造・提供する価値を従来の商品軸から、新たにソリューションへと広げ、ビジネスモデルを変革します。現在の収益拡大と、未来の収益への投資を両輪として、お客様・社会をはじめ、あらゆるステークホルダーが抱える課題を「安心×斬新」な「運ぶ」で解決する、「商用モビリティソリューションカンパニー」を目指していきます。 次に挙げる課題は、「ISUZU ID」及び「IX」の実現のみならず、自動車業界・商用車業界におけるお客様のご期待や技術的変革に対応するため中長期的な観点から抽出したものです。 「運ぶ」を創造する新事業への挑戦 物流業界を取り巻く環境は、カーボンニュートラル(以下「CN」という。)社会の実現が急がれるなか、昨今の慢性的なドライバー不足等の課題を抱えています。こうしたお客様・社会課題の解決に貢献し、未来の新たな収益へと成長させるため、従来培ってきた当社の強みである「安心」を活かし、「自動運転ソリューション」、「コネクテッドサービス」、「カーボンニュートラルソリューション」の3領域を軸に、「安心×斬新」でお客様と社会の課題を解決する新事業に挑戦します。これら新事業への挑戦に向け、総額1兆円規模のイノベーション投資を着実に実行します。 (当連結会計年度の取組み) 「自動運転ソリューション」については、2027年度までの「自動運転レベル4技術」を活用したトラック・バス事業の開始に向け、技術獲得の推進及び複数の実証事業を実施しました。2025年10月には、経済産業省及び国土交通省が推進する「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」の「高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組み(テーマ3)」の集大成として、国内商用車メーカー4社合同で新東名高速道路における総合走行実証を開始しました。また、同じく2025年10月に、神奈川県平塚市で実施された自動運転バス実証実験事業に当社が開発・製造した「エルガEV自動運転バス」を提供したほか、2026年1月には栃木県・愛知県間を結ぶ自社部品物流ルート内において自動運転大型トラックの公道実証を開始しました。さらに、2026年3月からは、自動運転用ソフトウェアスタック技術に強みを持つ株式会社ティアフォー及びAIコンピューティング技術に長けたNVIDIA Corporationと共同で、自動運転レベル4バスの社会実装に向けた取組みを開始しています。 「コネクテッドサービス」では、かねてより運行管理・ドライバー支援サービス「MIMAMORI」、高度純正整備サービス「PREISM」等の先進的なサービスを、業界に先駆けて導入してきました。2025年12月には、これらに加え、商用BEV(※)向けのエネルギーマネジメントサービス「SmartEVer」の提供を開始しました。同サービスを通じ、1拠点で複数台のBEVを導入・運用する際の充電管理や電気料金の抑制を実現することで、お客様のBEV導入によるメリットを最大限に引き出すことが可能となりました。また、「MIMAMORI」への荷待ち自動判定機能や作業時間集計機能等の追加、「PREISM」への故障予兆検知機能の追加等、既存のサービスの性能向上及び機能追加も実施しました。 「カーボンニュートラルソリューション」では、多様な動力源での技術開発・商品提供及びBEVの普及と市場競争力向上にむけた実証実験の推進に取り組みました。2025年9月には、株式会社ファミリーマート及び伊藤忠商事株式会社と連携し、バッテリー交換式EVトラックを使用した配送実証を横浜市で開始しました。本実証実験では、左右両側からのバッテリー同時交換を可能とした国内初の仕様の車両を使用し、バッテリー交換時間をディーゼル車の燃料給油と同程度まで短縮することに寄与しました。さらに、NGV(天然ガス車)トラックへのバイオメタン充填実証への参画や空港におけるEVトラック活用検証も、パートナー連携を通じて実施しました。 (※)BEV:Battery Electric Vehicle (今後の計画) 「自動運転ソリューション」では、2027年度までに、日本及び北米を皮切りに自動運転レベル4技術を活用したトラック・バスの事業化を目指します。この実現に向けて、当連結会計年度に開始した当社グループ独自の公道実証を引き続き推進するほか、北海道むかわ町に新設した国内商用車メーカー初の自動運転専用テストコースも、2027年9月に本格的な稼働開始を計画しています。これらの取組みによるノウハウの蓄積と、当社が従来培ってきた「通常時、緊急時の車両制御技術」、「お客様による使われ方の熟知」を掛け合わせることで、2027年度より順次、高速道路・ハブ間での輸送や、市街地をはじめとする路線バスの自動運転ソリューションを提供していきます。 「コネクテッドサービス」では、国内においては運送事業者・荷主の輸配送効率を高めるサービスを提供するほか、業界を超えたさまざまなデータを商用車情報基盤「GATEX」と連携させることで、新たなサービスの創出や既存サービスの高度化・効率化を推進します。さらに、北米より高度純正整備サービス「PREISM」とEVトータルソリューションプログラム「EVision」を展開し、2028年までに北米以外の主要地域へも対象エリアを拡大します。 「カーボンニュートラルソリューション」では、「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づき、マルチパスウェイで技術開発を進め、各国の使われ方・地域状況・社会動向に適した商品を展開することで、CN社会実現に貢献します。具体的には、2030年までに全車種でCN商品をラインアップに加える予定です。また、CN商品の開発加速のため、藤沢工場内に電動開発実験棟「The EARTH lab.」を新設し、2026年6月の稼働開始を目指しています。 さらに、2030年代のEV普及期を見据え、価格競争力のあるBEVの投入や、バッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」をはじめとする周辺事業の展開を本格的に推進し、社会のCN化を牽引します。2026年度には、トヨタ自動車株式会社と共同開発を進めている次世代燃料電池路線バス(次世代FC路線バス)の生産を開始します。同取組みを皮切りに、FCV(※)については、実用性・需要を見極めながら、路線バス及び小型車を足掛かりに展開することを計画しています。 (※)FCV:Fuel Cell Vehicle 「運ぶ」を支える既存事業の強化 当社グループは150カ国以上で事業を展開し、うち35カ国以上でシェア第1位、グローバル販売台数は57万台以上と、世界中のお客様・社会の「運ぶ」を支えてきました。今後も業界を牽引するとともに、お客様・社会の「運ぶ」を支え続けるためには、既存事業の商品力・販売力を強化し、グループの事業基盤を一層強固にする必要があります。当社グループは、商用車市場のグローバルリーディングカンパニーとして、2030年度に新車販売85万台(トラック45万台及びピックアップトラック40万台)以上の販売を目指します。 (当連結会計年度の取組み) 当連結会計年度も引き続き、各国の使われ方、地域状況、社会動向に適した商品の開発、展開に取り組みました。 日本においては、小型トラック「ELF 4WD」のフルモデルチェンジと「ELF mio4WD」の追加、中型トラック「フォワード」に対する先進安全装備や軽量・低燃費エンジンの搭載、大型トラック「ギガ」の安全・運転支援機能及びコネクテッド機能強化等、幅広い商品の性能向上を実現しました。また、海外においては、1トン積みピックアップトラック「D-MAX」のバッテリーEVモデルにあたる「D-MAX EV」をタイで生産開始し、2025年夏より欧州主要国で発売しています。 加えて、当連結会計年度においては、「トータルライフサイクルで稼働を支えるサービス」の提供に向け、アフターセールス事業の強化及び海外展開に向けた取組みを加速しました。日本においては、首都圏・東海・近畿を中心に、アフターセールス拠点の新設や拠点更新投資を進めてまいります。また、海外ではグループ初となるリース会社Isuzu Financial Services Australia Pty Ltd.(以下「IFSA」という。)を豪州に設立し、2025年10月より営業を開始しています。 (今後の計画) 日本においては、当社とUDトラックスの連携を重視した車両の生産及び販売体制の再構築を推進します。具体的には、大型トラックの共通プラットフォーム共同開発及び市場投入を見据え、生産機能を藤沢工場からUDトラックス上尾工場へ移管し、2028年の稼働開始を目指しています。また、いすゞ連結販売会社とUDトラックスの地域販売拠点の統合を2027年4月までに完了し、ブランド横断でのサービス提供によるお客様の利便性向上と同時に、業務フローやシステムの統一による効率的な運営を目指します。さらに、国内のアフターセールス事業についても拠点新設や拠点更新を継続し、2030年までに2,050億円規模の新規投資を行うことを計画しています。 海外においては、日本国内で先行してフルモデルチェンジした先進装備搭載の小型・中型トラックを、北米を皮切りに順次、豪州や欧州などの市場に投入します。生産機能やサプライチェーンの強靭化に向けた取組みとして、米国においては、サウスカロライナ州の新生産拠点の2027年中の稼働開始を目指すとともに、北米市場での需要増加が見込まれるBEV部材の現地調達化を推進します。また、タイにおいても、LCV旗艦工場の自動化・ライン統合等を通じた競争力強化を目的とした設備投資を行い、2027年の稼働開始を目指します。さらに、アフターセールス事業の海外展開を加速することで、「稼働を守るバリュープロバイダー」としての海外市場での地位確立を目指します。特に、メンテナンスリース事業については、当連結会計年度のIFSA設立を皮切りとして、北米や南アフリカ、東南アジアなどの地域に順次展開・強化します。 「ISUZU ID」を基軸とした経営基盤の確立 「ISUZU ID」で示すVISION(将来像)・MISSION(任務)、「IX」で示す「商用モビリティソリューションカンパニー」への変革を実現するためには、人的資本経営やグローバル視点でのグループ経営を支える経営基盤の確立が必要不可欠です。当社グループではグローバル基準の人財マネジメント基盤の整備、「安心×斬新」を実現する人財への投資を加速し、更なる事業成長を目指していきます。 (当連結会計年度の取組み) 執行体制の強化と社内意思決定の迅速化を企図し、CTO・CLO・CDXOの新設と、部門数を15から11に集約する組織再編を決定し、2026年4月より実施しました。(詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」中の「(3)人的資本・多様性」を参照ください。) さらに、DXケイパビリティの充実に向け、グループ横断的な生成AIの展開及びデジタル人材育成推進に向けた取組みを加速しました。これらの取組みを通じ、開発データ・ツールの一元化により、国内外のグループ会社を横断したグローバルな開発体制の構築を実現しています。 (今後の計画) 「ISUZU ID」のビジョン・ミッションを起点とした人的資本経営への進化に向け、グローバル基準の人財マネジメント基盤を整備し「安心×斬新」を実現する人財への投資を継続し、社員一人ひとりの成長を更なる事業成長へ繋げていきます。従来の職能型を改め、職務型を採用した人事制度については、2024年4月に管理職者を対象に開始、2025年4月より非管理職者にも適用を開始しました。今後、それぞれの特性を踏まえながらグループ各社へ人的資本経営への進化に向けた仕組みや取組みの浸透を図っていきます。職務(ジョブ)の明確化とそれに基づいた適所適財の人財配置、公正な評価・報酬を実現することで、対話と育成の文化を醸成し、従業員の更なる成長を支援します。また、社員が失敗を恐れず積極的に挑戦することで相互成長し、またメンバー間で刺激し合い相互価値を創出する集団へ進化を目指すべく、マネジメント層の負荷軽減等の職場改善の取組みを通じ、エンゲージメントに関する肯定的回答率を2030年までに70%に高めることを目指します。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」中の「(3)人的資本・多様性」を参照ください。 また、当社と100%子会社であるUDトラックスの2027年度中の合併に向けた検討を開始します。この取組みは、両社の人財やインフラなどの経営資源の一体化による、高い付加価値の創出と意思決定の迅速化を目指しています。 さらに、物流に関する課題解決に向け、外部機関と連携した人財育成も強化します。引き続き、2025年2月に東京大学と開設した「トランスポートイノベーション研究センター」に当社グループより毎年3名の技術者を派遣し、物流・交通分野の社会課題解決を推進します。 「IX」を達成するための経営基盤を確固たるものにするべく、迅速かつ適切な意思決定を実現するガバナンス体制及びリスクマネジメントをはじめとした内部統制の強化にも引き続き注力していきます。 強固な収益基盤・財務基盤の確立及び成長投資と株主還元の両立 当社グループは、企業価値の持続的な向上を目指し、事業継続及び将来成長に必要な投資を優先に実行していきます。グループ全体での既存事業の強化を軸に、新事業を強力に推進することで、2030年度には売上収益6兆円、営業利益率10%以上を目指します。 (当連結会計年度の取組み) 当連結会計年度は、国内では市場の堅調な推移により車両販売台数が増加し、海外でもホルムズ海峡封鎖の影響による中近東向けの出荷停止や米国関税影響・市況悪化等に伴うCV(商用車(トラック及びバス))の北米向け販売台数の減少、タイを中心とした厳しい市況の継続といった下押し要因はあったものの、CVは中近東・アフリカ・中南米を中心に、LCV(ピックアップトラック及び派生車)はアフリカ・オセアニアを中心に車両販売台数が増加し、総車両販売台数は前連結会計年度に比べ42,625台(8.1%)増加し565,858台に、売上収益は3兆4,791億円となりました。他方で、米国関税影響・資材費等の上昇・為替影響・成長関連費用の増加の影響により、売上収益営業利益率は5.9%、ROEは9.5%となりました。 投資については、当連結会計年度においてもイノベーション投資としてCN対応や自動運転関連、既存事業投資として販売・サービスインフラ強化に向けた投資を実施し、設備投資及び研究開発支出は合わせて3,092億円となりました。株主還元では、1株当たり配当金を前連結会計年度から据え置き、配当金は638億円となる予定です。また、自己株式取得は500億円と、適正な自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)を維持した、機動的な自己株式取得に取り組みました。財務健全性としては、各格付にてA格を取得しています。 (今後の計画) 企業価値の持続的な向上を目指し、事業により得られた収益をもとに、将来成長に必要な投資を優先して実行するとともに、株主還元と財務健全性を両立していきます。 収益面は、2027年度に売上収益3兆7,000億円、営業利益率7.0%、2030年度には売上収益6兆円、営業利益率10%以上、ROE15%以上を目指します。 投資については既存事業投資とイノベーション投資を積極的かつバランスを見ながら実行することで、長期にわたる持続的な成長の実現を目指します。具体的には、2031年3月期までにイノベーション投資1兆円、既存事業投資1.6兆円、合わせて2.6兆円規模の投資を計画しています。2027年3月期までは既存事業投資として国内販売拠点整備・北米CV新工場・大型トラックのUD上尾工場への生産集約などを実行し、イノベーション投資として自動運転関連の研究開発費などを計画していますが、2031年3月期にかけてはイノベーション投資のウエイトを徐々に増やしていく予定です。このように積極的なイノベーション投資を推進しつつ、既存事業ではDXを活用することで業務効率化を図り、収益を確保します。 株主還元は、配当性向は平均で40%を維持し、着実な配当成長を目指します。2027年3月期の配当金については、2026年3月期から2円増配の1株当たり94円を下限とし、配当性向40%以上の方針に基づき決定します。また、固定資産と自己資本(親会社の所有者に帰属する持分)のバランスを考慮しつつ、適正な自己資本水準を意識しながら、機動的に自己株式取得を継続します。また、財務健全性は、各格付でのA格を維持しつつ、有利子負債(社債及び借入金、リース負債の合計)も活用していきます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針・企業理念・行動方針 当社グループを取り巻く事業環境の変化は日増しに加速しており、事業は複雑性を増しています。こうした状況下で、当社グループはさまざまな社会課題を解決し、商用車業界をリードしていくために、自らの存在意義、そしてお客様・社会に対する提供価値を問い直すことが必要とされています。 このような課題認識のもと、当社グループは、従業員一人ひとりが高い視座に立ち、同じ価値観を共有し、一丸となって社会課題の解決に取り組むことが必要と考え、2023年5月に新経営理念体系「ISUZU ID」を策定しました。 「ISUZU ID」の概要は以下のとおりです。◆PURPOSE(使命):地球の「運ぶ」を創造するお客様、そしてパートナーの皆さまと地球上のすべてのモノ・ヒトの「運ぶ」を主体的に創造するとともに、カーボンニュートラルへの対応や、進化する物流への貢献など、新たな「運ぶ」の価値を提供し、社会を豊かにしていきたい、という決意を表しています。 ◆VISION(将来像):「安心×斬新」で世界を進化させるイノベーションリーダーあらゆる社会課題の解決に貢献していくために、従来大切にしてきた「安心」に、「斬新」を掛け合わせ、イノベーションリーダーを目指します。 ◆MISSION(任務):あなたと共に「運ぶ」の課題を解決するすべての人々と共に社会を前進させるという意志を込め、4つの分野(お客様満足度・地球へのやさしさ・働きがい・社会への影響力)でNo.1を目指します。 ◆CORE VALUE(コア・バリュー):相互成長イノベーションリーダーとして、一人ひとりが挑戦・変化・貢献する意欲を持ち、集団として尊重・信頼・刺激し合うことで、成長していきます。 今後、当社グループは「ISUZU ID」を起点に、既存事業の更なる強化と新事業への挑戦を通じて社会課題の解決に貢献し、世界を進化させるイノベーションリーダーを目指します。 (2)対処すべき課題 「地球の『運ぶ』を創造する」をPURPOSE(使命)として、「運ぶ」に関わるさまざまな社会課題を解決するためには、多様化するお客様ニーズや不確実性の高い事業環境にもしなやかに対応し、絶えず柔軟に変革し続けることが不可欠です。 変革の実現に向け、当社グループでは2024年4月に、中期経営計画「ISUZU Transformation – Growth to 2030」(以下「IX」という。)を公表しました。「IX」は「ISUZU ID」のVISION(将来像)とMISSION(任務)を、足元からのフォーキャストと「ISUZU ID」からのバックキャストで、2030年目線で具体化し策定したものです。当社グループは2030年に向けて、創造・提供する価値を従来の商品軸から、新たにソリューションへと広げ、ビジネスモデルを変革します。現在の収益拡大と、未来の収益への投資を両輪として、お客様・社会をはじめ、あらゆるステークホルダーが抱える課題を「安心×斬新」な「運ぶ」で解決する、「商用モビリティソリューションカンパニー」を目指していきます。 次に挙げる課題は、「ISUZU ID」及び「IX」の実現のみならず、自動車業界・商用車業界におけるお客様のご期待や技術的変革に対応するため中長期的な観点から抽出したものです。 「運ぶ」を創造する新事業への挑戦 物流業界を取り巻く環境は、カーボンニュートラル(以下「CN」という。)社会の実現が急がれるなか、昨今の慢性的なドライバー不足等の課題を抱えています。こうしたお客様・社会課題の解決に貢献し、未来の新たな収益へと成長させるため、従来培ってきた当社の強みである「安心」を活かし、「自動運転ソリューション」、「コネクテッドサービス」、「カーボンニュートラルソリューション」の3領域を軸に、「安心×斬新」でお客様と社会の課題を解決する新事業に挑戦します。これら新事業への挑戦に向け、総額1兆円規模のイノベーション投資を着実に実行します。 (当連結会計年度の取組み) 「自動運転ソリューション」については、2027年度までの「自動運転レベル4技術」を活用したトラック・バス事業の開始に向け、技術獲得の推進及び複数の実証事業を実施しました。2025年10月には、経済産業省及び国土交通省が推進する「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」の「高速道路における高性能トラックの実用化に向けた取り組み(テーマ3)」の集大成として、国内商用車メーカー4社合同で新東名高速道路における総合走行実証を開始しました。また、同じく2025年10月に、神奈川県平塚市で実施された自動運転バス実証実験事業に当社が開発・製造した「エルガEV自動運転バス」を提供したほか、2026年1月には栃木県・愛知県間を結ぶ自社部品物流ルート内において自動運転大型トラックの公道実証を開始しました。さらに、2026年3月からは、自動運転用ソフトウェアスタック技術に強みを持つ株式会社ティアフォー及びAIコンピューティング技術に長けたNVIDIA Corporationと共同で、自動運転レベル4バスの社会実装に向けた取組みを開始しています。 「コネクテッドサービス」では、かねてより運行管理・ドライバー支援サービス「MIMAMORI」、高度純正整備サービス「PREISM」等の先進的なサービスを、業界に先駆けて導入してきました。2025年12月には、これらに加え、商用BEV(※)向けのエネルギーマネジメントサービス「SmartEVer」の提供を開始しました。同サービスを通じ、1拠点で複数台のBEVを導入・運用する際の充電管理や電気料金の抑制を実現することで、お客様のBEV導入によるメリットを最大限に引き出すことが可能となりました。また、「MIMAMORI」への荷待ち自動判定機能や作業時間集計機能等の追加、「PREISM」への故障予兆検知機能の追加等、既存のサービスの性能向上及び機能追加も実施しました。 「カーボンニュートラルソリューション」では、多様な動力源での技術開発・商品提供及びBEVの普及と市場競争力向上にむけた実証実験の推進に取り組みました。2025年9月には、株式会社ファミリーマート及び伊藤忠商事株式会社と連携し、バッテリー交換式EVトラックを使用した配送実証を横浜市で開始しました。本実証実験では、左右両側からのバッテリー同時交換を可能とした国内初の仕様の車両を使用し、バッテリー交換時間をディーゼル車の燃料給油と同程度まで短縮することに寄与しました。さらに、NGV(天然ガス車)トラックへのバイオメタン充填実証への参画や空港におけるEVトラック活用検証も、パートナー連携を通じて実施しました。 (※)BEV:Battery Electric Vehicle (今後の計画) 「自動運転ソリューション」では、2027年度までに、日本及び北米を皮切りに自動運転レベル4技術を活用したトラック・バスの事業化を目指します。この実現に向けて、当連結会計年度に開始した当社グループ独自の公道実証を引き続き推進するほか、北海道むかわ町に新設した国内商用車メーカー初の自動運転専用テストコースも、2027年9月に本格的な稼働開始を計画しています。これらの取組みによるノウハウの蓄積と、当社が従来培ってきた「通常時、緊急時の車両制御技術」、「お客様による使われ方の熟知」を掛け合わせることで、2027年度より順次、高速道路・ハブ間での輸送や、市街地をはじめとする路線バスの自動運転ソリューションを提供していきます。 「コネクテッドサービス」では、国内においては運送事業者・荷主の輸配送効率を高めるサービスを提供するほか、業界を超えたさまざまなデータを商用車情報基盤「GATEX」と連携させることで、新たなサービスの創出や既存サービスの高度化・効率化を推進します。さらに、北米より高度純正整備サービス「PREISM」とEVトータルソリューションプログラム「EVision」を展開し、2028年までに北米以外の主要地域へも対象エリアを拡大します。 「カーボンニュートラルソリューション」では、「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づき、マルチパスウェイで技術開発を進め、各国の使われ方・地域状況・社会動向に適した商品を展開することで、CN社会実現に貢献します。具体的には、2030年までに全車種でCN商品をラインアップに加える予定です。また、CN商品の開発加速のため、藤沢工場内に電動開発実験棟「The EARTH lab.」を新設し、2026年6月の稼働開始を目指しています。 さらに、2030年代のEV普及期を見据え、価格競争力のあるBEVの投入や、バッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」をはじめとする周辺事業の展開を本格的に推進し、社会のCN化を牽引します。2026年度には、トヨタ自動車株式会社と共同開発を進めている次世代燃料電池路線バス(次世代FC路線バス)の生産を開始します。同取組みを皮切りに、FCV(※)については、実用性・需要を見極めながら、路線バス及び小型車を足掛かりに展開することを計画しています。 (※)FCV:Fuel Cell Vehicle 「運ぶ」を支える既存事業の強化 当社グループは150カ国以上で事業を展開し、うち35カ国以上でシェア第1位、グローバル販売台数は57万台以上と、世界中のお客様・社会の「運ぶ」を支えてきました。今後も業界を牽引するとともに、お客様・社会の「運ぶ」を支え続けるためには、既存事業の商品力・販売力を強化し、グループの事業基盤を一層強固にする必要があります。当社グループは、商用車市場のグローバルリーディングカンパニーとして、2030年度に新車販売85万台(トラック45万台及びピックアップトラック40万台)以上の販売を目指します。 (当連結会計年度の取組み) 当連結会計年度も引き続き、各国の使われ方、地域状況、社会動向に適した商品の開発、展開に取り組みました。 日本においては、小型トラック「ELF 4WD」のフルモデルチェンジと「ELF mio4WD」の追加、中型トラック「フォワード」に対する先進安全装備や軽量・低燃費エンジンの搭載、大型トラック「ギガ」の安全・運転支援機能及びコネクテッド機能強化等、幅広い商品の性能向上を実現しました。また、海外においては、1トン積みピックアップトラック「D-MAX」のバッテリーEVモデルにあたる「D-MAX EV」をタイで生産開始し、2025年夏より欧州主要国で発売しています。 加えて、当連結会計年度においては、「トータルライフサイクルで稼働を支えるサービス」の提供に向け、アフターセールス事業の強化及び海外展開に向けた取組みを加速しました。日本においては、首都圏・東海・近畿を中心に、アフターセールス拠点の新設や拠点更新投資を進めてまいります。また、海外ではグループ初となるリース会社Isuzu Financial Services Australia Pty Ltd.(以下「IFSA」という。)を豪州に設立し、2025年10月より営業を開始しています。 (今後の計画) 日本においては、当社とUDトラックスの連携を重視した車両の生産及び販売体制の再構築を推進します。具体的には、大型トラックの共通プラットフォーム共同開発及び市場投入を見据え、生産機能を藤沢工場からUDトラックス上尾工場へ移管し、2028年の稼働開始を目指しています。また、いすゞ連結販売会社とUDトラックスの地域販売拠点の統合を2027年4月までに完了し、ブランド横断でのサービス提供によるお客様の利便性向上と同時に、業務フローやシステムの統一による効率的な運営を目指します。さらに、国内のアフターセールス事業についても拠点新設や拠点更新を継続し、2030年までに2,050億円規模の新規投資を行うことを計画しています。 海外においては、日本国内で先行してフルモデルチェンジした先進装備搭載の小型・中型トラックを、北米を皮切りに順次、豪州や欧州などの市場に投入します。生産機能やサプライチェーンの強靭化に向けた取組みとして、米国においては、サウスカロライナ州の新生産拠点の2027年中の稼働開始を目指すとともに、北米市場での需要増加が見込まれるBEV部材の現地調達化を推進します。また、タイにおいても、LCV旗艦工場の自動化・ライン統合等を通じた競争力強化を目的とした設備投資を行い、2027年の稼働開始を目指します。さらに、アフターセールス事業の海外展開を加速することで、「稼働を守るバリュープロバイダー」としての海外市場での地位確立を目指します。特に、メンテナンスリース事業については、当連結会計年度のIFSA設立を皮切りとして、北米や南アフリカ、東南アジアなどの地域に順次展開・強化します。 「ISUZU ID」を基軸とした経営基盤の確立 「ISUZU ID」で示すVISION(将来像)・MISSION(任務)、「IX」で示す「商用モビリティソリューションカンパニー」への変革を実現するためには、人的資本経営やグローバル視点でのグループ経営を支える経営基盤の確立が必要不可欠です。当社グループではグローバル基準の人財マネジメント基盤の整備、「安心×斬新」を実現する人財への投資を加速し、更なる事業成長を目指していきます。 (当連結会計年度の取組み) 執行体制の強化と社内意思決定の迅速化を企図し、CTO・CLO・CDXOの新設と、部門数を15から11に集約する組織再編を決定し、2026年4月より実施しました。(詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」中の「(3)人的資本・多様性」を参照ください。) さらに、DXケイパビリティの充実に向け、グループ横断的な生成AIの展開及びデジタル人材育成推進に向けた取組みを加速しました。これらの取組みを通じ、開発データ・ツールの一元化により、国内外のグループ会社を横断したグローバルな開発体制の構築を実現しています。 (今後の計画) 「ISUZU ID」のビジョン・ミッションを起点とした人的資本経営への進化に向け、グローバル基準の人財マネジメント基盤を整備し「安心×斬新」を実現する人財への投資を継続し、社員一人ひとりの成長を更なる事業成長へ繋げていきます。従来の職能型を改め、職務型を採用した人事制度については、2024年4月に管理職者を対象に開始、2025年4月より非管理職者にも適用を開始しました。今後、それぞれの特性を踏まえながらグループ各社へ人的資本経営への進化に向けた仕組みや取組みの浸透を図っていきます。職務(ジョブ)の明確化とそれに基づいた適所適財の人財配置、公正な評価・報酬を実現することで、対話と育成の文化を醸成し、従業員の更なる成長を支援します。また、社員が失敗を恐れず積極的に挑戦することで相互成長し、またメンバー間で刺激し合い相互価値を創出する集団へ進化を目指すべく、マネジメント層の負荷軽減等の職場改善の取組みを通じ、エンゲージメントに関する肯定的回答率を2030年までに70%に高めることを目指します。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」中の「(3)人的資本・多様性」を参照ください。 また、当社と100%子会社であるUDトラックスの2027年度中の合併に向けた検討を開始します。この取組みは、両社の人財やインフラなどの経営資源の一体化による、高い付加価値の創出と意思決定の迅速化を目指しています。 さらに、物流に関する課題解決に向け、外部機関と連携した人財育成も強化します。引き続き、2025年2月に東京大学と開設した「トランスポートイノベーション研究センター」に当社グループより毎年3名の技術者を派遣し、物流・交通分野の社会課題解決を推進します。 「IX」を達成するための経営基盤を確固たるものにするべく、迅速かつ適切な意思決定を実現するガバナンス体制及びリスクマネジメントをはじめとした内部統制の強化にも引き続き注力していきます。 強固な収益基盤・財務基盤の確立及び成長投資と株主還元の両立 当社グループは、企業価値の持続的な向上を目指し、事業継続及び将来成長に必要な投資を優先に実行していきます。グループ全体での既存事業の強化を軸に、新事業を強力に推進することで、2030年度には売上収益6兆円、営業利益率10%以上を目指します。 (当連結会計年度の取組み) 当連結会計年度は、国内では市場の堅調な推移により車両販売台数が増加し、海外でもホルムズ海峡封鎖の影響による中近東向けの出荷停止や米国関税影響・市況悪化等に伴うCV(商用車(トラック及びバス))の北米向け販売台数の減少、タイを中心とした厳しい市況の継続といった下押し要因はあったものの、CVは中近東・アフリカ・中南米を中心に、LCV(ピックアップトラック及び派生車)はアフリカ・オセアニアを中心に車両販売台数が増加し、総車両販売台数は前連結会計年度に比べ42,625台(8.1%)増加し565,858台に、売上収益は3兆4,791億円となりました。他方で、米国関税影響・資材費等の上昇・為替影響・成長関連費用の増加の影響により、売上収益営業利益率は5.9%、ROEは9.5%となりました。 投資については、当連結会計年度においてもイノベーション投資としてCN対応や自動運転関連、既存事業投資として販売・サービスインフラ強化に向けた投資を実施し、設備投資及び研究開発支出は合わせて3,092億円となりました。株主還元では、1株当たり配当金を前連結会計年度から据え置き、配当金は638億円となる予定です。また、自己株式取得は500億円と、適正な自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)を維持した、機動的な自己株式取得に取り組みました。財務健全性としては、各格付にてA格を取得しています。 (今後の計画) 企業価値の持続的な向上を目指し、事業により得られた収益をもとに、将来成長に必要な投資を優先して実行するとともに、株主還元と財務健全性を両立していきます。 収益面は、2027年度に売上収益3兆7,000億円、営業利益率7.0%、2030年度には売上収益6兆円、営業利益率10%以上、ROE15%以上を目指します。 投資については既存事業投資とイノベーション投資を積極的かつバランスを見ながら実行することで、長期にわたる持続的な成長の実現を目指します。具体的には、2031年3月期までにイノベーション投資1兆円、既存事業投資1.6兆円、合わせて2.6兆円規模の投資を計画しています。2027年3月期までは既存事業投資として国内販売拠点整備・北米CV新工場・大型トラックのUD上尾工場への生産集約などを実行し、イノベーション投資として自動運転関連の研究開発費などを計画していますが、2031年3月期にかけてはイノベーション投資のウエイトを徐々に増やしていく予定です。このように積極的なイノベーション投資を推進しつつ、既存事業ではDXを活用することで業務効率化を図り、収益を確保します。 株主還元は、配当性向は平均で40%を維持し、着実な配当成長を目指します。2027年3月期の配当金については、2026年3月期から2円増配の1株当たり94円を下限とし、配当性向40%以上の方針に基づき決定します。また、固定資産と自己資本(親会社の所有者に帰属する持分)のバランスを考慮しつつ、適正な自己資本水準を意識しながら、機動的に自己株式取得を継続します。また、財務健全性は、各格付でのA格を維持しつつ、有利子負債(社債及び借入金、リース負債の合計)も活用していきます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況 当連結会計年度における国内と海外を合わせた総販売台数は、前連結会計年度に比べ42,625台(8.1%)増加し、565,858台となりました。 国内車両販売台数につきましては、市場が堅調に推移し、前連結会計年度に比べ4,274台(5.5%)増加の81,741台となりました。海外車両販売台数につきましては、CV(商用車(トラック及びバス))は、米国の関税影響・市況悪化はあったものの、中近東・アフリカ・中南米を中心に13,082台(6.0%)増加し229,898台、LCV(ピックアップトラック及び派生車)は、タイ国内向けは厳しい市況が続くものの、販売サイドでの在庫調整を実施した前連結会計年度比では増加、輸出向けはサウジアラビアの需要減・中東情勢影響を受けた3月の出荷停止により減少した一方で、アフリカ・オセアニアを中心に台数増となったことで、25,269台(11.0%)増加し254,219台となりました。 また、産業用エンジンの売上収益は、前連結会計年度に比べ225億円(21.4%)増加の1,280億円となり、その他の売上収益につきましては、保有事業等の国内/海外での順調な伸長等により、前連結会計年度に比べ577億円(7.4%)増加の8,428億円となりました。 これらの結果、売上収益につきましては、前連結会計年度に比べ2,434億円(7.5%)増加の3兆4,791億円となりました。内訳は、国内が1兆3,853億円(前連結会計年度比8.6%増)、海外が2兆937億円(前連結会計年度比6.8%増)です。 当連結会計年度の業績は次のとおりです。 当連結会計年度 前連結会計年度比売上収益34,791億円 2,434億円7.5%営業利益2,037億円 △258億円△11.2%税引前利益2,306億円 △144億円△5.9%親会社の所有者に帰属する当期利益1,349億円 △52億円△3.7%(為替レート)USD/JPY150.8円 (152.5円)AUD/JPY99.8円 ( 99.5円)EUR/JPY174.8円 (163.7円)THB/JPY4.67円 ( 4.38円)注:( )内は前連結会計年度の為替レート 損益につきましては、販売台数の増加及び価格対応によるプラス影響はあるものの、米国関税影響、資材費等の上昇、為替影響、成長関連費用の増加によるマイナス影響に加えて、中東情勢影響による出荷停止もあり、営業利益は2,037億円(前連結会計年度比11.2%減)となりました。また、税引前利益は2,306億円(前連結会計年度比5.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,349億円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。 セグメントの業績は以下のとおりです。 自動車事業セグメント 売上収益につきましては、前連結会計年度に比べ2,386億円(7.5%)増加の3兆4,350億円となりましたが、セグメント利益は1,899億円(前連結会計年度比12.1%減)となりました。セグメント利益の減少は、諸経費の増加などによるものです。 金融事業セグメント 売上収益につきましては、前連結会計年度に比べ257億円(13.9%)増加の2,108億円となりましたが、セグメント利益は139億円(前連結会計年度比4.0%減)となりました。セグメント利益の減少は、諸経費の増加などによるものです。 ② 財政状態の状況 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて3,598億円増加し、3兆6,631億円となりました。 負債は、前連結会計年度末に比べて2,335億円増加し、1兆9,992億円となりました。 資本は、前連結会計年度末に比べて1,263億円増加し、1兆6,640億円となりました。 自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は40.4%(前連結会計年度末41.6%)となりました。 有利子負債(社債及び借入金、リース負債の合計)につきましては、前連結会計年度末に比べて986億円増加の8,574億円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、営業活動により2,474億円獲得した資金を、投資活動で1,700億円、財務活動で832億円使用したこと等により、前連結会計年度末に比べて267億円増加し、3,854億円となりました。 なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除して計算した、フリーキャッシュ・フローは、774億円の資金流入(前連結会計年度は517億円の資金流入)となっています。 [営業活動によるキャッシュ・フロー] 営業活動により獲得した資金は、2,474億円(前連結会計年度比2.6%減)となりました。 これは、税引前利益を2,306億円、減価償却費及び償却費を1,525億円計上し、営業債務及びその他の債務の増加により78億円の資金流入があった一方で、営業債権及びその他の債権の増加により454億円、棚卸資産の増加により278億円、法人所得税の支払により564億円の資金流出があったことが主な要因です。 [投資活動によるキャッシュ・フロー] 投資活動により使用した資金は、1,700億円(前連結会計年度比16.0%減)となりました。 これは、有形固定資産の取得で1,791億円の資金流出があったことが主な要因です。 [財務活動によるキャッシュ・フロー] 財務活動により使用した資金は、832億円(前連結会計年度比8.1%減)となりました。 これは、長期借入の実行で3,450億円及び社債の発行で299億円の資金流入があった一方で、長期借入金の返済で1,390億円、自己株式の取得で500億円、配当金の支払で648億円及び非支配株主への配当金の支払で330億円の資金流出があったことが主な要因です。 ④ 生産、受注及び販売の実績(ⅰ)生産実績 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。セグメントの名称 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 前連結会計年度比台数(台)金額(百万円)台数(%)金額(%)自動車事業大型・中型CV95,718-△0.2-小型CV215,858-9.2-LCV307,557-13.3-計619,133-9.6-産業用エンジン-113,568-21.8その他-260,294-15.4 (注)1.産業用エンジン、その他の金額は、販売価格によります。2.上記の表には、関連会社等の生産実績は含まれていません。(ⅱ)受注実績 当社グループ(当社及び連結子会社)は、過去の販売実績と将来の予想に基づいて、見込み生産を行っています。(ⅲ)販売実績 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。セグメントの名称 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 前連結会計年度比金額(百万円)増減率(%) 国 内527,96810.9 海 外381,636△1.3 大型・中型CV計909,6045.5 国 内198,4537.5 海 外584,4844.7 小型CV計782,9385.4 海 外815,81610.2 LCV計815,81610.2 国 内726,42210.0 海 外1,781,9375.8 車両計2,508,3607.0 国 内58,59310.7 海 外69,36132.2 産業用エンジン127,95421.4 国 内398,5113.6 海 外242,4498.7 その他640,9605.5 国 内1,183,5277.8 海 外2,093,7486.8自動車事業合計3,277,2757.2 国 内201,79813.7 海 外--金融事業合計201,79813.7 国 内1,385,3258.6 海 外2,093,7486.8売上収益合計3,479,0747.5 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。 相手先セグメントの名称 前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)トリペッチいすゞセールス㈱自動車事業196,8636.0250,4047.2 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(ⅰ)概観[CV販売] 当連結会計年度におけるCV車両の販売台数は、前連結会計年度から17,356台(5.9%)増加の311,639台となりました。 国内では、堅調な市場により、前連結会計年度から4,274台(5.5%)増加の81,741台となりました。海外では、米国の関税影響や市況悪化はあったものの、中近東やアフリカ、中南米で伸長し、前連結会計年度から13,082台(6.0%)増加の229,898台となりました。 なお、当社の国内の普通トラックのシェアは、前連結会計年度比1.2%増加の42.2%となりました(UDトラックスを含む当社グループの国内の普通トラックのシェアは58.1%)。また、小型トラックのシェアは、前連結会計年度比1.1%増加の52.2%となり、いすゞシェアは、昨年記録した過去最高を更新しました。 ・CV車両販売台数 前連結会計年度(台)当連結会計年度(台) 増減台数(台)増減率(%)国内大型・中型39,30141,628 2,3275.9 小型38,16640,113 1,9475.1 計77,46781,741 4,2745.5北米大型・中型2,9651,566 △1,399△ 47.2 小型24,01316,943 △7,070△ 29.4 計26,97818,509 △8,469△ 31.4アジア大型・中型19,95819,798 △160△ 0.8 小型54,16056,558 2,3984.4 計74,11876,356 2,2383.0その他地域大型・中型30,34331,276 9333.1 小型85,377103,757 18,38021.5 計115,720135,033 19,31316.7合計大型・中型92,56794,268 1,7011.8 小型201,716217,371 15,6557.8 計294,283311,639 17,3565.9 [LCV販売] 当連結会計年度におけるLCV車両の販売台数は、前連結会計年度から25,269台(11.0%)増加の254,219台となりました。 アジアでは、タイ国内向けは厳しい市況が続くものの、前連結会計年度は販売サイドで在庫調整していたことから、前連結会計年度からは増加しました。その結果、販売台数は前連結会計年度から13,773台(21.2%)増加の78,618台となりました。その他地域は、サウジアラビアの需要減や中東情勢影響による出荷停止があったものの、アフリカやオセアニアを中心に伸長し、前連結会計年度から11,496台(7.0%)増加の175,601台となりました。 ・LCV車両販売台数 前連結会計年度(台)当連結会計年度(台) 増減台数(台)増減率(%)アジア64,84578,618 13,77321.2その他地域164,105175,601 11,4967.0計228,950254,219 25,26911.0 [パワートレイン出荷] 当連結会計年度における産業用エンジンの出荷基数は、堅調な新興国向けの需要により、前連結会計年度から16,490台(14.5%)増加の129,955台となりました。 ・産業用エンジン出荷基数 前連結会計年度(台)当連結会計年度(台) 増減台数(台)増減率(%)計113,465129,955 16,49014.5 (ⅱ)当連結会計年度の経営成績についての分析[売上収益] 売上収益につきましては、米国関税影響や中東情勢影響があったものの、国内、海外ともに車両販売台数が増加し、前連結会計年度に比べ2,434億円増加の3兆4,791億円となりました。内訳は、国内が1兆3,853億円(前連結会計年度比8.6%増)、海外が2兆937億円(前連結会計年度比6.8%増)です。 [営業利益] 当連結会計年度の営業利益は2,037億円(前連結会計年度比11.2%減)となりました。 当連結会計年度における販売台数増加に伴う売上変動/構成差の影響は前連結会計年度に対して320億円の増益、価格対応の影響は前連結会計年度に対して360億円の増益となりました。一方で、資材費等の変動は255億円の減益、為替変動の影響は前連結会計年度に対して円高となり220億円の減益、成長関連費用の増加により210億円の減益、北米関税影響により160億円の減益となりました。 この結果、当連結会計年度における売上収益営業利益率は5.9%(前連結会計年度は7.1%)となりました。 なお、前連結会計年度からの営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。 ・営業利益の増減分析(前連結会計年度比) (億円)価格対応+360売上変動/構成差+320原価低減活動+175費用増減他△478資材費等の変動△255為替変動△220米国関税影響△160合計△258 [金融収支] 金融収支につきましては119億円の利益となり、前連結会計年度に比べて56億円の増益となりました。 為替差損益が前連結会計年度は36億円の為替差損に対して、当連結会計年度は42億円の為替差益となったことにより増益となりました。 [法人所得税費用] 法人所得税費用は、前連結会計年度では640億円の損失でしたが、当連結会計年度では560億円の損失となりました。 [非支配持分に帰属する当期利益] 非支配持分に帰属する当期利益は、主にアセアン現地法人、北米現地法人、国内のリース会社の非支配持分に帰属する当期利益からなり、前連結会計年度の409億円に対し、当連結会計年度は397億円となりました。 [親会社の所有者に帰属する当期利益] 当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は1,349億円となり、前連結会計年度に比べて52億円の減益となりました。基本的1株当たり当期利益は193.14円となりました。 (ⅲ)当連結会計年度の財政状態についての分析[資産] 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて3,598億円増加し、3兆6,631億円となりました。 主な要因としましては、営業債権及びその他の債権が1,004億円、有形固定資産が849億円、棚卸資産が583億円、売却目的で保有する資産が505億円増加したことによります。 [負債] 負債は、前連結会計年度末に比べて2,335億円増加し、1兆9,992億円となりました。 主な要因としましては、有利子負債(社債及び借入金、リース負債の合計)が986億円、営業債務及びその他の債務が678億円増加したことによります。 [資本] 資本は、前連結会計年度末に比べて1,263億円増加し、1兆6,640億円となりました。 主な要因としましては、剰余金の配当を649億円行ったことに加え、自己株式の取得によって500億円減少した一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益を1,349億円及び非支配持分に帰属する当期利益を397億円計上したことによります。 (ⅳ)経営上の目標の達成状況についての分析 「IX」(2025年3月期から2031年3月期まで)の達成に向けた当社グループが掲げた定量値目標とそれに対する当期の達成状況は次のとおりです。 当連結会計年度(2026年3月期) 定量値目標(2031年3月期)売上収益34,791億円 60,000億円営業利益5.9% 10%以上ROE9.5% 15%以上配当性向47.6% 40.0%維持 「IX」の達成に向けて掲げた定量値目標のうち、売上収益につきましては国内、海外で車両販売台数を伸ばしたものの、米国関税影響や中東情勢影響等を受け、3兆4,791億円となりました。営業利益につきましては、販売台数の増加、価格対応によるプラス影響はあるものの、米国関税影響、資材費等の上昇、為替影響、成長関連費用の増加によるマイナス影響に加えて、中東情勢影響による出荷停止もあり、営業利益2,037億円(営業利益率5.9%)となりました。また、ROEにつきましても、親会社の所有者に帰属する当期利益が減少したことで、当連結会計年度は9.5%となりました。 「IX」2030年度達成に向けては、「IX」に沿った収益成長(詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照)に加え、配当による株主還元及び機動的な自社株取得を継続することで、適正な自己資本水準を意識しつつ、定量値目標の15%の達成を目指します。 配当性向につきましては、株主への利益還元、経営基盤の強化及び将来への事業展開に備えるための内部留保の充実等のバランスを総合的に勘案し、剰余金の配当を実施した結果、47.6%と目標値を上回りました。 (ⅴ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報[キャッシュ・フローの状況] 「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。 [資金需要] 当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。 設備投資の状況については、「第3 設備の状況 1.設備投資等の概要」に記載のとおりです。 [資金調達の状況] 運転資金については返済期限が1年以内の短期借入金で、基本は各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については原則として資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。今後、投融資の実行に伴い借入金・社債等による資金調達を検討する可能性があります。 なお、当連結会計年度末における資金調達の状況については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 20.社債、借入金及びリース負債」及び「同注記 35.金融商品 (4)流動性リスク管理」に記載のとおりです。 [資金の流動性] 当社グループは2030年に目指す姿として、お客様・社会の課題を「安心×斬新」な「運ぶ」で解決する、グローバルな商用車市場をリードする「商用モビリティソリューションカンパニー」へと進化することを、2024年4月に公表した中期経営計画「IX」の中で掲げています。この中期経営計画の財務目標としては、2030年度の売上収益6兆円、営業利益率10%以上を掲げ、そのために自動運転ソリューション、コネクテッドサービス、カーボンニュートラルソリューションの新技術3領域を柱に据えた「イノベーション投資」に1兆円、グループ全体の既存事業の強化のための「既存事業投資」に1.6兆円の投資を実行していきます。また、財務健全性は確保しながら、株主還元として配当性向(期間平均)40%を維持、適正な親会社所有者帰属持分比率を意識した機動的な自己株式取得を継続していきます。 それら成長投資や株主還元、借入金返済の資金としては、事業で創出される営業キャッシュ・フローを原資に充当し、M&A等に係る資金は主として借入金、社債等で対応することによって、新たな中期経営計画の達成実現に向けて取り組みます。 なお、手元資金の流動性には絶えず注視が必要ですが、当社グループは現金及び現金同等物に加え、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、金融市場の急激な環境変化にも対応できる流動性を保持していると考えています。 ② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行う必要があります。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及びそれ以降の将来の会計期間において認識されます。 当社の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の見積り及び仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しています。

事業リスク

  • 世界経済・市場の変動リスク
    いすゞ自動車の売上は、日本、タイ、米国などの主要市場や一部の新興国市場の経済状況に大きく左右されます。景気後退や需要の縮小、追加関税措置などによる経済環境の不透明感が増すと、自動車販売台数が減少し、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 激しい競争と技術革新への対応
    自動車市場は競争が激しく、製品性能、価格、環境負荷、アフターサービスに加え、各国のEV補助金や関税政策なども競争力に影響します。また、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に代表される技術革新やビジネスモデルの変化に迅速に対応できない場合、競争優位性を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 地政学リスクと為替・金利変動
    世界各地での調達、生産、販売活動は、国家間紛争、政情不安、保護政策(関税)、輸出入規制、為替・金利の変動など、多様な地政学リスクの影響を受けます。これらのリスクが顕在化すると、サプライチェーンの寸断、コスト増加、売上減少などにより、業績や財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|9,366 文字
3【事業等のリスク】 当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメント活動の責任分担及び実効性を向上させるために、三線防御体制を前提としたリスクガバナンス体制を構築しています。当社における各部門及び当該部門が所管するグループ企業を第一線、当社グループのリスクマネジメントを所管するCRMOの指揮監督のもと専門組織であるリスクマネジメント部を第二線、さらに監査部を第三線と位置づけ、各防御線が相互に連携をしながらリスクマネジメント活動を行っています。 また、リスクマネジメント活動の実効性を担保するため、リスク管理確認会議を毎月開催し、重点リスク項目を中心に各部門及びグループ企業の予防的取組み及びインシデント管理の対応状況を確認するとともに、その内容を経営層へ報告しています。 CRMOは、インシデント発生時には、発生部門又はグループ企業に解決に向けた速やかな対応を指示するとともに、危機に転化するおそれがある場合は、その影響を極小化するために、CRMOが指名するメンバーによる対応チームを組成し、各種対応方針等を決定、実行しています。 なお、事業影響が生じる重大な危機に繋がる可能性がある場合は、速やかに経営に報告し、対応方針について審議・決定しています。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。 (1)世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク① 主要市場の経済状況・総需要の変動 当社グループの全世界における売上収益のうち、主要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域、特に日本、タイ、米国などの主要国市場における経済状況の影響を受けます。 また商用車市場は、新興国においては物流需要の増加が見込まれることから、当社グループは一部の新興国市場を戦略地域と定め、拡販活動を進めています。そのため、一部の新興国市場における経済状況もまた、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、経済状況・需要動向の見通しの正確な把握に努めるとともに、製品を販売する市場の分散によって影響を極小化していますが、追加関税措置等により、世界的に経済環境の不透明さが増しており、当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 自動車市場における競争 当社グループの全世界における売上収益のうち、主要な部分を占める自動車市場は、激しい競争が繰り広げられています。競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があります。競争に影響を与える要素は、製品性能、安全性、燃費、環境負荷、価格、アフターサービスといった当社製品に起因する事項の他、各国の電気自動車(EV)等への補助金政策や関税政策をはじめとする外部起因の事項を含め多岐にわたり、各国の市場によって状況は異なります。 当社グループは、主要市場での競争力を維持・強化するため、当社製品に起因する要素の改善に取り組みながら、競争力の高い製品について継続的に開発・生産・販売並びにそのアフターサービスを実施していますが、主要市場や新興国市場等での他社との競争に劣後した場合や業界再編に伴う当社の競争優位性が失われた場合、及び各国の政策等が当社グループに不利な内容となる等の場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 地政学リスクの発生 当社グループの製品の調達、生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われ、事業展開する各国・地域において許認可をはじめとした各種政策の影響を受けます。また、戦争や政権交代等の政治情勢の変化、経済安全保障を目的とした保護政策(関税政策等)による経済状況の変化は、当社グループの経営・事業活動及びサプライチェーンに影響を与えます。当社グループでは、こうした不確実性を地政学リスクとして認識し、特に以下の予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。・国家間紛争・内戦、革命、クーデタ、騒擾、テロ・潜在的に不利な租税政策(関税政策等)の変更・輸出入、技術移転の制限・事業等に係る各国の法令、規制(排出ガス規制並びに燃費/CO₂規制)の変更・安全保障上のリスクがある設備、ソフトウエア、クラウドサービス、委託先等の利用・調達に関する制限・事業・投資の許認可基準の変更・当社グループ財産の直接的又は間接的収用・情報やデータの管理や移転の制限・送金や兌換の規制・為替・金利政策・重要な海上交通路の寸断 当社グループは、各国・地域、特に日本、米国、アセアン地域、中国、欧州地域における地政学リスクの情報収集を行い、法規制の変化に備えた投資や新技術・製品の開発を行う等、様々な対策を実施しています。しかし、上記のような地政学リスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、2026年2月以降の中東情勢の緊迫化に伴い、ホルムズ海峡周辺で海上輸送の安全性及び安定性が低下しており、今後の事態の推移によっては、当社グループのサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。 ④ 為替及び金利の変動 当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レート、特に米ドルやタイバーツ等の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。さらに、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響し、実際に原材料価格や製品価格の変動が生じています。 また当社グループは、日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に関わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大する可能性があります。 当社グループは、為替及び金利の変動による影響を極小化すべく、現地生産に加えて、先物為替予約取引を含むデリバティブ金融商品の活用を行っています。 しかし、為替及び金利の大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 原材料等価格の変動 当社グループは、自動車製造にあたり、鉄、非鉄金属、樹脂等の原材料や半導体をはじめとする外製品を使用しており、加えて、xEVの研究・開発やBEVの市場投入等によってレアメタル等の使用が増加することを見込んでいます。 世界的な需給逼迫等によりこれらの原材料価格、外製品価格やエネルギー価格及び輸送等にかかる費用が上昇すると、当社グループとしての調達コスト・製造コストもそれに伴い上昇する可能性があります。その際、生産性向上などの内部努力や製品価格への転嫁などをもってしても上昇分のコストを吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業に関するリスク⑥ 新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応 当社グループの事業に関わる外部環境は大きく変化しています。商用車市場のお客様ニーズの多様化や商用車を用いたビジネスモデルの変化、「CASE」に代表される技術革新、生産・販売・アフターサービス・バックオフィス業務におけるデジタルイノベーションの推進、ESG投資やSDGs達成への社会的な要請は、当社グループの事業の拡大と深耕の好機です。 当社グループは、こうした技術革新や社会的要請に速やかに対応するため、常設部署を設置し、全社横断の複数プロジェクトを推進しています。また、当社グループは商用モビリティソリューションカンパニーへの進化を掲げ、自動運転ソリューション、コネクテッドサービス、カーボンニュートラルソリューション等の「運ぶ」を創造する新事業の創出・拡大を目指しています。しかし、万が一、これらの技術革新や社会的要請に速やかかつ十分に対応できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 研究開発の失敗や遅延 当社グループの置かれた事業環境は、競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。 このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠です。 当社グループは、将来の市場ニーズの予測、研究開発分野の優先順位付けを通じて、新たな技術や製品の開発に取り組んでいますが、求められる技術水準への到達や市場ニーズの的確な把握に失敗や遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 合弁事業をはじめとするアライアンス先との提携目的の未達 当社グループは、いくつかの国において、各国の法律あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。また、国内外の販売ではディーラーやディストリビュータと提携し、研究開発では合弁事業や業務提携を行っています。 当社グループは、合弁相手やアライアンス先の経営状況、ガバナンス、その他重要な非財務情報も含め、様々な情報をもとに業務提携の要否を検討しています。しかし、合弁相手やアライアンス先の経営方針、経営環境の変化等により、アライアンス先が適時適切な技術・製品の提供に失敗や遅延が生じた場合、及び当社グループがアライアンス先から求められる技術水準への到達に失敗や遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 販売・供給における大口顧客への依存 当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、一部特定の大口顧客企業に供給しています。当社グループは、大口顧客企業との関係を維持するとともに、新規顧客の開拓によりリスク分散を図っていますが、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により、上記の対策をもってしてもリスクを受容できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 資材、部品等の調達の不足や遅延 当社グループは、生産に必要な原材料や半導体をはじめとした部品及び製品を外部のサプライヤーから調達しています。しかし、以下のような事象が当社グループのサプライヤーや調達網で発生した際には、供給・輸送能力の低下や供給・輸送の中断が引き起こされ、生産に必要な量の原材料、部品及び製品が確保できなくなる、又は確保が遅れる可能性があります。 ・サプライヤーや物流網において自然災害や大規模な事故等の不測の事態が発生した場合・サプライヤーや物流網において労働争議等が発生した場合・サプライヤーや物流網で大規模なシステム障害が発生した場合・サプライヤーの供給能力を大幅に超えるような需給状況になった場合・サプライヤーにおいて許認可取り消し等による製品の出荷停止が生じた場合・サプライチェーン上の人権侵害等、品質・コスト・納期以外の問題が顕在化した場合・海上交通の要衝での事件・事故等により物流網で混乱が生じた場合 当社グループは、サプライヤー各社の生産能力、信用リスク、製品等の品質、コスト等を定期的に把握するとともに、各社の法令・コンプライアンス遵守や気候変動問題等への対応状況を確認し、調達に支障が生じないように努めています。しかし、上記のような事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 製品の欠陥 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を開発・生産しています。品質の維持及び改善のため、当社グループは「品証・CS委員会」を通じて、不具合情報の早期発見と共有、品質向上のための全社横断的検討、全社的な品質マネジメントの運用状況の監視を実施しています。また製品の欠陥等を原因とする損害賠償が必要な場合に備えて、製造物賠償責任保険に加入しています。 しかし、万が一、大規模なリコールを実施する場合、加えて、実際に発生した費用が事前に計上した引当金を大きく上回る場合や損害賠償の価額が製造物賠償責任保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ 人権の侵害 当社グループでは、従業員、関係者、取引先等のすべてのステークホルダーの人権を尊重し、事業活動を展開しています。また、「いすゞグループ人権方針」に基づき、サプライチェーン上に労働環境や安全衛生面での人権侵害などがないかを確認する「人権デュー・ディリジェンス」を実施し、人権に対する負の影響を特定・評価し、これらの防止・軽減に取り組んでいます。 しかし、全世界のサプライチェーン全体の人権状況を正確かつリアルタイムに把握することは困難であり、当社グループやサプライチェーンで人権侵害が発生した場合、事業の中断、法令違反に伴う制裁金、レピュテーションの低下等により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑬ 優秀な人財の確保・定着の困難 当社グループの事業では、人財が最も重要な資産と考え、当社グループの事業推進に必要となる技能・能力をもった多様な人財の確保に努めるとともに、従業員一人ひとりのモチベーション、熱意、技能、能力、パフォーマンスを高め、当社グループに定着させるための取組みを進めています。しかし、今後の人財獲得競争の一層の激化により、優秀な人財確保・定着がより困難になっていく可能性があります。 こうした状況を踏まえて、当社グループでは「ISUZU ID」に掲げる「働きがいNo.1」を目指し、また「IX」で2030年に目指す姿の一つとして掲げた「人的資本経営への進化」を実践しています。従業員の専門性強化と挑戦を後押しするグローバル基準の人財マネジメント基盤を整備すべく、当社では2024年4月より人事制度を刷新し順次展開するとともに、今後、それぞれの特性を踏まえながらグループ各社へ人的資本経営への進化に向けた仕組みや取組みの浸透を図っていきます。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」中の「(3)人的資本・多様性」を参照ください。 しかし、これらの対応が十分ではない場合、従業員の離職、モチベーション低下、期待値に満たない成果、技能伝承の失敗、競争力の低下によって、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑭ 労働災害の発生 当社グループは、自動車及び自動車部品の生産、開発実験、販売にあたり、組立、機械加工、プレス、塗装、自動車整備及び設備メンテナンス等を展開しています。これらの業務において、従業員の労働安全の確保をグループ全体の重要な経営課題と位置づけており、代表取締役 取締役社長CEOを最高責任者とした「安全推進特別委員会」を設置し、安全に関する方針の策定と、その実行状況のモニタリング及び是正措置を継続的に行っています。また、災害リスクの低減に向け、法令遵守の徹底、安全管理体制の強化、安全パトロールの実施、設備の安全仕様向上対策、VR等を活用した実践的な安全教育の導入にも取り組んでいます。発生した労働災害については、専門会議体を設置し、個別事案における原因究明と対策を実行することで、再発防止に努めています。 こうした取組みを通じて安全な職場環境の構築に努めていますが、万が一、労働災害が発生した場合には、操業停止等により事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑮ コンプライアンス違反 当社グループでは、関係法令の遵守はもちろん、社内規範や倫理規範を含めコンプライアンスを徹底しています。 当社では、代表取締役 取締役社長CEOを委員長とし、重要法令を所管する各部門長をメンバーとした「コンプライアンス委員会」を定期的に開催、当社グループのコンプライアンス活動の推進状況をモニタリングし、適切な指示・助言を行っています。さらに、グループ内でコンプライアンス違反又はそのおそれがある事象が発生した場合には、速やかにCRMOに報告するとともに、是正及び再発防止を行う体制を構築しています。また当社グループでは、経営層から従業員まで定期的にコンプライアンス教育を実施しています。 しかし、コンプライアンスの徹底にもかかわらず、将来にわたってコンプライアンス違反が発生する可能性は皆無ではなく、コンプライアンス違反の重篤性及び発生時の対応内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。特に、道路運送車両法違反による生産停止や各国の個人情報保護、腐敗防止、独占禁止・不正競争防止・中小受託取引、及び金融商品取引に関する法令等への重大な違反が認められ、当局等から勧告を受けたり、高額な制裁金が課せられたりした場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑯ 情報セキュリティへの対応不足 当社グループの事業は多くのシステムに依存しており、情報の機密性、完全性、可用性を一定以上で維持するため、体制整備及び対策強化に努めています。具体的には、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等を目的に、様々な情報セキュリティ対策を実施しています。また、製品のサイバーセキュリティ法規(R155 CSMS認証、R156 SUMS認証)も遵守し、お客様が安心安全にご利用できるように努めています。 しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合や、製品の安心安全に影響がある事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害、ランサムウェアを含むコンピューターウイルスへの感染、サイバー攻撃、不正アクセス等が発生した場合には、受発注、出荷、物流、顧客対応、生産・販売活動等の停滞又は中断、データの破損・喪失、情報漏洩等を引き起こす可能性があります。その結果、復旧対応費用、調査費用、代替運用費用、損害賠償責任、信用低下等により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 また当社グループは、アライアンス先等の取引先との機密情報の管理についても上記のような様々なリスク対策を実施しています。しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、アライアンス先等に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑰ 知的財産の保護の不足や侵害・被侵害 当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国・地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。 当社グループは、知的財産保護のための取組みを進めています。しかし、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない場合や当社グループに対する知的財産権侵害訴訟による製造・販売の差し止めや損害賠償の請求が認められた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑱ 気候変動に関する社会的要請への対応遅れ 当社グループは、気候変動対応を重要な経営課題の一つとして位置づけ、気候変動に関する規制強化及び頻発・激甚化している自然災害への対応に取り組んでいます。一方で、更なる成長機会の獲得のため、脱炭素社会に貢献するイノベーションの創出を進めています。 当社グループは、「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定し、2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)ゼロ及び当社グループの事業活動から直接排出されるGHGゼロを掲げ、GHG削減に取り組んでいます。 また、2024年4月に中期経営計画として策定した「IX」においても、「運ぶ」を創造する新事業として、「カーボンニュートラルソリューション」を掲げています。具体的には、「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づきマルチパスウェイで技術開発を進め、地域の状況や社会動向に適した商品を展開することで、CN社会実現に貢献します。また、燃料代や電気代までを含む総所有コスト(TCO)の観点で価格競争力のあるBEVを投入し、周辺事業の展開を推進します。 しかし、脱炭素に向けたイノベーションの取組みが失敗ないし遅延した場合、気候変動による影響への対応・取組みが不十分である場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動」を参照ください。 ⑲ 災害等の発生 当社グループは、全世界で事業を展開しており、国内外において様々な災害リスクにさらされています。大規模地震、風水害や噴火等の自然災害、停電又はその他の中断事象、疫病・感染症が顕在化した場合、当社グループの生産活動、販売活動、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。特に主要な事業拠点が集中する日本・南関東やアセアン地域における主要拠点が多数存在するタイ等で大規模な災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、設備トラブル、オペレーションミスによる事故、火災等の人為的災害が発生した場合にも、当社グループの生産、販売、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、自然災害や人為的災害等が発生した場合に備え、事業継続計画を予め策定し、それに基づいた訓練を実施することで被害の拡大防止及び迅速な復旧に努めています。しかし、これらの取組みにもかかわらず、災害等による影響を完全に防止又は軽減できない場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

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