事業の概要
- 自動車部品の製造販売武蔵精密工業は、自動車のエンジンや駆動系、サスペンション、ステアリングなどに使われる様々な部品を製造・販売しています。具体的には、パワートレイン部品(エンジンの力を伝える部分)やサスペンション部品(車体を支え衝撃を吸収する部分)、ステアリング部品(ハンドル操作を伝える部分)などが主力製品です。これらの部品は、自動車だけでなく、工作機械や産業機械など幅広い分野で利用されています。
- グローバルな生産体制同社は日本を含む世界各地に製造拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。例えば、北米、欧州、アジア、中国など、主要な自動車生産地域に子会社を設立し、それぞれの地域で部品の製造・販売を行っています。これにより、各地域の顧客ニーズに合わせた供給体制を構築し、効率的な事業運営を図っています。
- 本田技研工業との関係主要な取引先として本田技研工業株式会社があり、同社との継続的で緊密な事業関係が特徴です。ホンダグループへの売上高比率は約50%と高く、安定した取引基盤となっています。この関係は、同社の事業の安定性の一因である一方で、ホンダグループの事業戦略や購買政策が業績に大きな影響を与える可能性も示唆しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 北米事業北米地域は、売上高1045.66億円、営業利益63.31億円と、同社にとって最も大きな売上を誇る稼ぎ頭のセグメントです。自動車用パワートレイン部品やサスペンション部品などを製造販売しており、ムサシオートパーツミシガン・インコーポレーテッドなどが主要な関係会社として事業を推進しています。
- 欧州事業欧州地域は、売上高819.03億円、営業利益91.63億円と、北米に次ぐ規模を持ち、営業利益率が高い点が特徴です。この地域では、ムサシハンガリーマニュファクチャリング・リミテッドなどが中心となり、自動車部品の製造販売を行っています。高い収益性は、効率的な生産体制や市場での競争力の高さを示唆しています。
- 日本事業日本地域は、売上高399.13億円、営業利益43.87億円を計上しています。同社の本社所在地であり、九州武蔵精密株式会社やMusashi AI株式会社などが主要な関係会社として、パワートレイン部品、サスペンション部品、2輪車部品などの製造販売を行っています。技術開発や新たな事業創出の拠点としての役割も担っています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan | 地域 | 399 | 44 | 11.0% |
| NorthAmerica | 地域 | 1,046 | 63 | 6.1% |
| Europe | 地域 | 819 | 92 | 11.2% |
| Asia | 地域 | 315 | 5 | 1.7% |
| SouthAmerica | 地域 | 893 | -7 | -0.8% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社及び当社の子会社(武蔵精密工業株式会社及び子会社37社により構成)は、自動車用パワートレイン部品・サスペンション部品・ステアリング部品・トランスミッション部品等の製造販売を主な事業内容とし、その製品は、自動車、工作機械、産業機械等多くの産業に使用されております。また、当社と継続的で緊密な事業上の関係にあるその他の関係会社である本田技研工業株式会社(輸送用機器等の製造販売)は主要な取引先であります。当社及び当社の子会社の事業内容及び当該事業に係る位置づけ及びセグメントとの関連は次のとおりであります。製品事業主要製品PT(パワートレイン)プラネタリィギヤアッセンブリィ、デファレンシャルギヤアッセンブリィ、ベベルギヤ、リングギヤ、カムシャフト、バランスシャフト、減速機ギヤ(リダクションギヤ)・トランスミッションギヤ、ギヤボックスユニットL&S(リンケージ& サスペンション)サスペンションアームアッセンブリィ、サスペンションボールジョイント、ステアリングボールジョイント、各種連結用ジョイント2輪2輪車用トランスミッションギヤアッセンブリィ、2輪車用カムシャフト、2輪車用キックスターター部品、その他2輪車用駆動系部品、汎用エンジン部品(1)PT パワートレイン当事業においては、上記主要製品の製造販売をしております。セグメント区分は製造拠点ごとの区分によっており、当該区分ごとの主要な関係会社の名称は、以下のとおりであります。(日本)当社九州武蔵精密株式会社武蔵キャスティング株式会社(米州)ムサシオートパーツミシガン・インコーポレーテッドムサシオートパーツカナダ・インコーポレーテッドムサシオートパーツメキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイムサシドブラジル・リミターダ(アジア)ムサシオートパーツカンパニー・リミテッドピーティー・ムサシオートパーツインドネシアムサシオートパーツインディア・プライベートリミテッド(中国)武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司武蔵精密汽車零部件(南通)有限公司武蔵汽車零部件(天津)有限公司(欧州)ムサシハンガリーマニュファクチャリング・リミテッドムサシバードゾーベルンハイム・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲームサシボッケナウ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲームサシリュッホ・ゲーエムベーハームサシグロルスハイム・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲームサシハンミュンデンホールディング・ゲーエムベーハームサシライネフェルデマシニング・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲームサシスペインビジャルバ・エスエルムサシハンガリーフゼザボーニー・カーエフテー (2)L&S リンケージ& サスペンション当事業においては、上記主要製品の製造販売をしております。セグメント区分は製造拠点ごとの区分によっており、当該区分ごとの主要な関係会社の名称は、以下のとおりであります。(日本)当社(米州)ムサシオートパーツカナダ・インコーポレーテッドムサシオートパーツメキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイ(アジア) (中国)(欧州)ムサシオートパーツカンパニー・リミテッドピーティー・ムサシオートパーツインドネシアムサシオートパーツインディア・プライベートリミテッド武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司ムサシハンガリーマニュファクチャリング・リミテッド (3)2輪当事業においては、上記主要製品の製造販売をしております。セグメント区分は製造拠点ごとの区分によっており、当該区分ごとの主要な関係会社の名称は、以下のとおりであります。(日本) 当社九州武蔵精密株式会社(米州) (アジア) ムサシドブラジル・リミターダムサシダアマゾニア・リミターダムサシオートパーツカンパニー・リミテッドピーティー・ムサシオートパーツインドネシアムサシオートパーツインディア・プライベートリミテッドムサシオートパーツベトナムカンパニー・リミテッド 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 培ってきた高い技術力とグローバル生産体制を活かし、積極的な顧客提案を進める。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 ギヤ技術による静音化、高強度で静音性に優れ、省電費に貢献するスムーズなギヤやディファレンシャルの製品ラインナップ。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:市場環境の変化による売上高減少 / 電動化の進展による自動車業界の構造変化 / 特定の取引先(ホンダグループ)への依存
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
武蔵精密工業は、長年培ってきた精密加工技術と、自動車部品業界における一定のブランド認知度を持つ。特に、デファレンシャルアセンブリなどのコア部品における技術力は、新規参入障壁となりうるが、特許による独占性は限定的。
スイッチングコスト★★☆☆☆
自動車メーカーとの長年の取引関係と、部品の仕様適合性から、一定のスイッチング・コストは存在する。しかし、プラットフォーム共通化やサプライヤー多様化の動きもあり、乗り換えリスクはゼロではない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業モデルは、直接的なネットワーク効果を生み出すものではない。製品の普及がユーザー数の増加に直結するようなプラットフォームビジネスではない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の生産ノウハウと、グローバルな生産拠点網による効率化努力は存在する。しかし、原材料価格の変動や、競合他社も同様の効率化を進めているため、構造的なコスト優位性は限定的。
規模の経済★★★☆☆
デファレンシャルアセンブリなどの特定部品においては、グローバルで高いシェアを誇る。この規模の経済性は、生産効率や調達力において一定の競争優位性をもたらしている。
- 多様な自動車部品技術武蔵精密工業は、パワートレイン、サスペンション、ステアリング、トランスミッションなど、自動車の主要な機能に関わる多岐にわたる部品の製造技術を持っています。プラネタリィギヤアッセンブリィやカムシャフト、サスペンションアームアッセンブリィなど、専門性の高い製品群を開発・生産できる技術力は、同社の競争力の源泉です。
- 世界規模の生産ネットワーク日本、米州、アジア、中国、欧州に広がる36社の子会社からなるグローバルな生産・供給体制を構築しています。これにより、各地域の顧客への迅速な対応や、地政学リスクの分散、効率的なサプライチェーンの構築が可能となり、安定した製品供給とコスト競争力の維持に貢献しています。
- 主要顧客との強固な関係長年にわたり主要な取引先である本田技研工業株式会社との緊密な関係を築いています。これは、同社の技術力と品質が信頼されている証であり、安定した受注基盤となっています。特定の顧客への依存はリスクにもなり得ますが、同時に安定的な収益源としての強みも持ち合わせています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針当社グループは、Origin(創業の精神)、Purpose(使命)、Way(行動指針)で構成されるムサシフィロソフィーを基軸に事業を運営しております。 ムサシフィロソフィー 激変する事業環境の中、当社は長い歴史の中で培った挑戦のDNAを受け継ぎ、長期ビジョン「Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~」を実現することで、新たな価値の創出と更なる成長を目指します。 ・ムサシ100年ビジョン Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~ -人:自らの限界を壊し、ワクワクする仕事をしよう!-しくみ:組織・風土の壁を壊し、常に変革を起こそう!-事業:常識・既成概念を壊し、世界をあっと驚かせよう! (2)中長期的な経営戦略当社グループにおいては、ムサシ100年ビジョンの実現に向け、人・しくみ・事業の各視点で以下の方針を定め、Mobility事業の深化と、新規事業の創出による更なる成長を目指しています。 ・人:ムサシフィロソフィーの体現、ビジョンへの挑戦ムサシ100年ビジョンのグローバルでの実践に向けて、将来を担う、高いスキルを持ったプロ人財や、新しい働き方で価値を生み出す自律人財の育成を目指しています。全ての活動の基軸であるムサシフィロソフィーについて、階層別の期待行動を具体化し、実践のための教育プログラムの整備やそれに連動した人事評価制度のしくみを導入することで、各個人が能力を高め、発揮し、活躍できる環境・企業文化づくりを進めてまいります。 ・しくみ:AI・デジタル前提の業務変革AI・デジタル技術の活用により、業務の自動化やエンジニアリングチェーンの連動化を推進し、意思決定の高速化・質の向上を実現するとともに、従業員がより創造的な業務に注力できる環境を整えます。蓄積されるデータの利活用を通じ、新たな価値の創出にも挑戦してまいります。また、進化したツールを使いこなし価値を生み出せる人財の育成と、リテラシー向上や実践プログラムの整備を通じて、AI・デジタル前提の企業文化を構築してまいります。 ・事業:強靭かつ柔軟な事業構造の確立「選択と集中」の観点から、変化の激しい市場環境に即応できる強靭で柔軟な事業構造の確立を目指します。QCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の観点で最適なものづくりを追求するとともに、新技術の仕込みやオープンイノベーションによる新規事業の創出にも取り組みます。Mobility事業においては、ICE(内燃機関車)、HEV(ハイブリッド車)、BEV(電気自動車)の全パワートレイン領域にわたる多様な商品ポートフォリオと、これまで培ってきた独自の技術力、グローバルの生産インフラを最大限に活用し、強い収益基盤を構築します。加えて、AIデータセンターを支えるハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)を中核とするEnergy Solution事業を、新たな成長の柱として育成してまいります。 ・Musashi GX(グリーン戦略の推進)当社は、2021年5月にカーボンニュートラルの実現に向けた中長期目標を発表いたしました。当社が創業100周年を迎える2038年までに事業活動(*1)でのカーボンニュートラル(グリーンオペレーション100)、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指します。全ての事業活動を対象に、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大などの取り組みを価値に変えるグリーン戦略を策定・実行してまいります。製造工程においては、CO2の見える化と徹底的な省エネ化、再エネ活用を進め、CO2排出を抑えた低炭素商品の実現を目指しています。また、自動車のCO2排出低減に貢献できる技術・商品の開発や、一人ひとりの意識・行動を変えていくことによる事業活動全般における低炭素化を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。(*1) GHGプロトコルのScope1,2を対象 (3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標当社グループでは、収益性の向上を経営上の重要課題の一つとして捉えています。競争力の高い商品開発や生産プロセスの効率化、財務規律の確保に向けた諸施策により、売上高に対する利益率や資本効率性(ROA・ROE・ROIC)を高め、長期的な企業価値向上を目指しています。このほか、自己資本比率や借入金依存度などの指標により財務の安全性や健全性にも配慮しております。 (4)経営環境及び対処すべき課題等当社を取り巻く事業環境は、不確実性が顕在化する新たな局面を迎えています。世界経済は地域ごとに動きが分かれる多極化の段階へと移行しており、企業には変化に柔軟に対応し、自ら未来を切り拓く構想力と実行力が求められています。ハードウェア面では、主要完成車メーカーがEV戦略を見直す動きが出ています。ソフトウェア面では、SDV(ソフトウェア定義車両)の進展により自動車そのものの価値が再定義されつつあります。同時に、生成AIの劇的な進化は、企業に新たな事業機会と働き方そのものの変革を迫っています。当社は、これらの事業環境の変化に速やかに適応すべく、「選択と集中」の観点で以下の優先的課題に取り組んでおります。 ①Mobility事業:強靭で柔軟な事業構造の確立変化の激しい市場環境に即応するため、独自の技術力とグローバルの生産インフラを最大限に活用し、多様な商品のポートフォリオ戦略を展開しています。 [4輪事業の最適ポートフォリオ構築]PT(パワートレイン)事業・ICE(内燃機関車)、HEV(ハイブリッド車)、BEV(電気自動車)の全てのパワートレイン領域において、磨きをかけた開発力と技術力で安定的な収益基盤を構築します。L&S(リンケージ&サスペンション)事業・BEVの重い車体重量を支える高機能ボールジョイント等の受注を拡大し、次世代の成長を牽引します。 [2輪事業の成長と電動化シフト]・東南アジア、インドの2輪市場において、長年培ってきた生産インフラや設計・加工技術を活かし、さらなる事業成長を実現します。・インド、アフリカでのEV駆動ユニット(e-Axle)の生産・拡販を加速させ、電動化の潮流を確実に捉えます。 [地域特性に応じた最適戦略の完遂]・北米でのHEV生産体制の拡充、中国での民族系メーカーへの受注活動の強化、インドでのe-Mobility事業の成長加速など、地域ごとのニーズに即した地産地消型の取り組みを推進します。・欧州市場においては、厳しい市場環境を踏まえ、生産能力の適正化および拠点再編を柱とする構造改革を実行しております。安定的に利益を創出できる事業体質への転換を図ってまいります。 ②Energy Solution事業:AIデータセンターを支える新たな成長の柱の創出生成AIの爆発的普及に伴い、電力需要と安定化へのニーズが世界規模で急拡大しています。当社はこの分野を次なる成長の柱に据えています。 [ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)のニーズの高まり]・AIデータセンター特有の複雑で大きな電力負荷に対し、当社のHSCが持つ高入出力かつ長寿命という特長が高く評価されており、電力供給の安定化に向けた規制強化も追い風となっています。 [供給体制の増強]・2027年以降の本格的な需要増に応えるため、北杜工場の能力拡大に加え、南アルプス新工場の建設を推進し、早期に供給体制を増強します。 ③組織力強化:マーケティングの強化とAI前提の業務変革不確実な時代を勝ち抜くため、「人」と「プロセス」の双方から組織力を根本的に強化します。 [市場の変化と顧客のニーズを起点とした商品戦略への転換]・自社の技術や製品を起点とする「プロダクトアウト」の発想から、市場の変化と顧客のニーズを起点とする「マーケットドリブン」の発想へ、商品戦略を転換します。提案力・コスト・スピードの三要素を磨き込み、大きく変化するグローバル市場の中で勝ち続ける競争力を築きます。 [AI・デジタルによる業務プロセスの刷新]・業務の自動化やエンジニアリングチェーンの連動化を推進します。これにより、意思決定の高速化・質の向上を実現するとともに、従業員がより創造的な業務に注力できる環境を整えます。 [自律的に挑戦できる組織文化の醸成]・多様な人材が活き活きと働き、自律的に挑戦できる文化を育みます。職場環境の継続的な改善を通じ、グローバルでの「働きがいのある会社」の実現を目指します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針当社グループは、Origin(創業の精神)、Purpose(使命)、Way(行動指針)で構成されるムサシフィロソフィーを基軸に事業を運営しております。 ムサシフィロソフィー 激変する事業環境の中、当社は長い歴史の中で培った挑戦のDNAを受け継ぎ、長期ビジョン「Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~」を実現することで、新たな価値の創出と更なる成長を目指します。 ・ムサシ100年ビジョン Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~ -人:自らの限界を壊し、ワクワクする仕事をしよう!-しくみ:組織・風土の壁を壊し、常に変革を起こそう!-事業:常識・既成概念を壊し、世界をあっと驚かせよう! (2)中長期的な経営戦略当社グループにおいては、ムサシ100年ビジョンの実現に向け、人・しくみ・事業の各視点で以下の方針を定め、Mobility事業の深化と、新規事業の創出による更なる成長を目指しています。 ・人:ムサシフィロソフィーの体現、ビジョンへの挑戦ムサシ100年ビジョンのグローバルでの実践に向けて、将来を担う、高いスキルを持ったプロ人財や、新しい働き方で価値を生み出す自律人財の育成を目指しています。全ての活動の基軸であるムサシフィロソフィーについて、階層別の期待行動を具体化し、実践のための教育プログラムの整備やそれに連動した人事評価制度のしくみを導入することで、各個人が能力を高め、発揮し、活躍できる環境・企業文化づくりを進めてまいります。 ・しくみ:AI・デジタル前提の業務変革AI・デジタル技術の活用により、業務の自動化やエンジニアリングチェーンの連動化を推進し、意思決定の高速化・質の向上を実現するとともに、従業員がより創造的な業務に注力できる環境を整えます。蓄積されるデータの利活用を通じ、新たな価値の創出にも挑戦してまいります。また、進化したツールを使いこなし価値を生み出せる人財の育成と、リテラシー向上や実践プログラムの整備を通じて、AI・デジタル前提の企業文化を構築してまいります。 ・事業:強靭かつ柔軟な事業構造の確立「選択と集中」の観点から、変化の激しい市場環境に即応できる強靭で柔軟な事業構造の確立を目指します。QCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の観点で最適なものづくりを追求するとともに、新技術の仕込みやオープンイノベーションによる新規事業の創出にも取り組みます。Mobility事業においては、ICE(内燃機関車)、HEV(ハイブリッド車)、BEV(電気自動車)の全パワートレイン領域にわたる多様な商品ポートフォリオと、これまで培ってきた独自の技術力、グローバルの生産インフラを最大限に活用し、強い収益基盤を構築します。加えて、AIデータセンターを支えるハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)を中核とするEnergy Solution事業を、新たな成長の柱として育成してまいります。 ・Musashi GX(グリーン戦略の推進)当社は、2021年5月にカーボンニュートラルの実現に向けた中長期目標を発表いたしました。当社が創業100周年を迎える2038年までに事業活動(*1)でのカーボンニュートラル(グリーンオペレーション100)、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指します。全ての事業活動を対象に、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大などの取り組みを価値に変えるグリーン戦略を策定・実行してまいります。製造工程においては、CO2の見える化と徹底的な省エネ化、再エネ活用を進め、CO2排出を抑えた低炭素商品の実現を目指しています。また、自動車のCO2排出低減に貢献できる技術・商品の開発や、一人ひとりの意識・行動を変えていくことによる事業活動全般における低炭素化を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。(*1) GHGプロトコルのScope1,2を対象 (3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標当社グループでは、収益性の向上を経営上の重要課題の一つとして捉えています。競争力の高い商品開発や生産プロセスの効率化、財務規律の確保に向けた諸施策により、売上高に対する利益率や資本効率性(ROA・ROE・ROIC)を高め、長期的な企業価値向上を目指しています。このほか、自己資本比率や借入金依存度などの指標により財務の安全性や健全性にも配慮しております。 (4)経営環境及び対処すべき課題等当社を取り巻く事業環境は、不確実性が顕在化する新たな局面を迎えています。世界経済は地域ごとに動きが分かれる多極化の段階へと移行しており、企業には変化に柔軟に対応し、自ら未来を切り拓く構想力と実行力が求められています。ハードウェア面では、主要完成車メーカーがEV戦略を見直す動きが出ています。ソフトウェア面では、SDV(ソフトウェア定義車両)の進展により自動車そのものの価値が再定義されつつあります。同時に、生成AIの劇的な進化は、企業に新たな事業機会と働き方そのものの変革を迫っています。当社は、これらの事業環境の変化に速やかに適応すべく、「選択と集中」の観点で以下の優先的課題に取り組んでおります。 ①Mobility事業:強靭で柔軟な事業構造の確立変化の激しい市場環境に即応するため、独自の技術力とグローバルの生産インフラを最大限に活用し、多様な商品のポートフォリオ戦略を展開しています。 [4輪事業の最適ポートフォリオ構築]PT(パワートレイン)事業・ICE(内燃機関車)、HEV(ハイブリッド車)、BEV(電気自動車)の全てのパワートレイン領域において、磨きをかけた開発力と技術力で安定的な収益基盤を構築します。L&S(リンケージ&サスペンション)事業・BEVの重い車体重量を支える高機能ボールジョイント等の受注を拡大し、次世代の成長を牽引します。 [2輪事業の成長と電動化シフト]・東南アジア、インドの2輪市場において、長年培ってきた生産インフラや設計・加工技術を活かし、さらなる事業成長を実現します。・インド、アフリカでのEV駆動ユニット(e-Axle)の生産・拡販を加速させ、電動化の潮流を確実に捉えます。 [地域特性に応じた最適戦略の完遂]・北米でのHEV生産体制の拡充、中国での民族系メーカーへの受注活動の強化、インドでのe-Mobility事業の成長加速など、地域ごとのニーズに即した地産地消型の取り組みを推進します。・欧州市場においては、厳しい市場環境を踏まえ、生産能力の適正化および拠点再編を柱とする構造改革を実行しております。安定的に利益を創出できる事業体質への転換を図ってまいります。 ②Energy Solution事業:AIデータセンターを支える新たな成長の柱の創出生成AIの爆発的普及に伴い、電力需要と安定化へのニーズが世界規模で急拡大しています。当社はこの分野を次なる成長の柱に据えています。 [ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)のニーズの高まり]・AIデータセンター特有の複雑で大きな電力負荷に対し、当社のHSCが持つ高入出力かつ長寿命という特長が高く評価されており、電力供給の安定化に向けた規制強化も追い風となっています。 [供給体制の増強]・2027年以降の本格的な需要増に応えるため、北杜工場の能力拡大に加え、南アルプス新工場の建設を推進し、早期に供給体制を増強します。 ③組織力強化:マーケティングの強化とAI前提の業務変革不確実な時代を勝ち抜くため、「人」と「プロセス」の双方から組織力を根本的に強化します。 [市場の変化と顧客のニーズを起点とした商品戦略への転換]・自社の技術や製品を起点とする「プロダクトアウト」の発想から、市場の変化と顧客のニーズを起点とする「マーケットドリブン」の発想へ、商品戦略を転換します。提案力・コスト・スピードの三要素を磨き込み、大きく変化するグローバル市場の中で勝ち続ける競争力を築きます。 [AI・デジタルによる業務プロセスの刷新]・業務の自動化やエンジニアリングチェーンの連動化を推進します。これにより、意思決定の高速化・質の向上を実現するとともに、従業員がより創造的な業務に注力できる環境を整えます。 [自律的に挑戦できる組織文化の醸成]・多様な人材が活き活きと働き、自律的に挑戦できる文化を育みます。職場環境の継続的な改善を通じ、グローバルでの「働きがいのある会社」の実現を目指します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。①財政状態及び経営成績の状況[当連結会計年度における経済環境]当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の世界経済は、一部地域で弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続きました。一方で、米国の関税政策の影響が自動車産業を中心に顕在化しました。地域別では、米国は堅調な労働市場と個人消費に支えられ、景気は緩やかに拡大しました。欧州ではドイツを中心に製造業の低迷が長期化し、景気回復に足踏みがみられました。中国経済は、政府の景気刺激策が下支えとなった一方、不動産市況の調整が長引き、緩やかな減速となりました。アジアでは、インドが堅調な内需を背景に拡大基調を維持し、地域経済を牽引しました。こうした国際情勢や金融資本市場の変動を背景に、世界経済は地域ごとに動きが分かれる多極化の段階へと移行し、不確実性が顕在化する新たな時代を迎えております。 [自動車業界の動向]自動車業界では、世界的なEV戦略の見直しが継続いたしました。中国・欧州を含む主要市場において、BEV(電気自動車)需要の伸びは当初の想定を下回りました。欧州では補助金政策の見直しを背景に成長が鈍化し、北米ではBEVからHEV(ハイブリッド車)への揺り戻しが進むなど、地域ごとに多極化が鮮明となりました。一方、HEVへの需要は世界的に堅調に推移しました。こうした市場環境を踏まえ、自動車メーカー各社はBEV、HEV、PHEV(プラグインハイブリッド車)を含む多様なパワートレインのポートフォリオ戦略を推進しています。加えて、SDV(ソフトウェア定義車両)の進展により、自動車そのものの価値がハードからソフトウェア主体へと再定義される潮流が一段と鮮明となりました。また、地政学的リスクやサプライチェーンにおける一時的な生産調整への対応など、変化への迅速な適応が強く求められた1年となりました。 [当社グループの取り組みと成果]当社グループは、こうした激変する事業環境に適応すべく、経営基盤の強化と事業ポートフォリオの変革を力強く推進してまいりました。 ■ 経営基盤の強化・2025年10月、戦略立案およびグローバル展開の中核拠点として「東京オフィス」を開設し、既存事業のさらなる発展と新規事業領域での成長を加速する体制を整えました。 ■ Mobility事業〈4輪事業の最適ポートフォリオ構築〉・4輪事業では、主力製品である世界トップシェアのデファレンシャルをはじめ、BEVやHEVに適用される部品の受注が堅調に推移しました。顧客の生産・供給体制の再構築に伴い現地生産への移管ニーズが高まり、当社に対する引き合いも増加しています。 〈2輪事業の成長と電動化シフト〉・2輪事業では、世界トップシェアのトランスミッションアッセンブリィをはじめICE(エンジン車)向け部品が好調で、特にインド市場が大きく成長しました。・インドにおいて、当社製e-Axle(EV駆動ユニット)の搭載車種が拡大いたしました。また、ケニアおよびエチオピアでの2輪EV普及に向けた取り組みが経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択され、バングラデシュにおいてもスタートアップとの協業を開始するなど、新興国市場における事業展開を加速しております。 〈地域特性に応じた最適戦略の完遂〉・中国市場においては、現地完成車メーカーからの受注を拡大し、中長期的な成長基盤を築きました。・欧州市場においては、厳しい市場環境を踏まえ、生産能力の適正化および拠点再編を柱とする構造改革を決定いたしました。安定的に利益を創出できる事業体質への転換を図ってまいります。 ■ Energy Solution 事業・生成AIの爆発的普及に伴うAIデータセンター向けの需要急拡大を受け、高入出力かつ長寿命を特長とするハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)の供給体制の強化を進めております。山梨県の北杜工場の能力拡大に加え、南アルプス市での新工場建設を推進し、稼働開始に向けた準備を着実に進めております。・北米での事業展開を加速するため、2025年12月、米国テキサス州に「オースティンR&Dセンター」を開設いたしました。 このような状況において、当連結会計年度における連結売上高は347,200百万円(前連結会計年度比0.0%増)となりました。利益面では、連結営業利益は20,538百万円(同4.1%増)となりました。連結経常利益は20,230百万円(同12.5%増)となり、構造改革費用などを計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,264百万円(同83.8%減)となりました。 セグメント別の状況は次の通りです。(日本)販売は堅調に推移しましたが、Energy Solution事業への先行投資費用が嵩んでおり、売上高は41,541百万円(前期比4.1%増)、セグメント利益は3,517百万円(同19.8%減)となりました。(米州)昨年から引き続き好調に推移しておりましたが、客先の半導体不足等による一時的な生産調整もあり、売上高は111,006百万円(同6.2%増)、セグメント利益は5,911百万円(同6.6%減)となりました。(アジア)2輪車向け販売は堅調に推移しましたが4輪車向け販売は伸び悩んだことから、売上高は80,657百万円(同1.5%減)、セグメント利益は9,592百万円(同4.7%増)となりました。(中国)日系の自動車販売の低迷が継続する中、徹底した費用管理により、売上高は29,074百万円(同7.8%減)、セグメント利益は1,103百万円(同103.2%増)となりました。(欧州)自動車市場全般が低迷する中、引き続きコスト管理などの改善施策を推進した結果、売上高は84,920百万円(同4.9%減)、セグメント利益は290百万円(前連結会計年度は740百万円の損失)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、33,894百万円となり、前連結会計年度末に比べ262百万円の減少となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、33,007百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9,273百万円(前期は15,348百万円)、減価償却費18,130百万円(前期は18,710百万円)などの資金の増加要因によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、27,863百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出26,516百万円(前期は15,055百万円)、投資有価証券の取得による支出487百万円(前期は1,825百万円)などによる資金の減少要因によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、7,970百万円となりました。これは主に借入の返済2,285百万円(前期は2,432百万円)、配当金の支払による支出3,276百万円(前期は3,275百万円)などによる資金の減少要因によるものです。 ③生産、受注及び販売の実績(ⅰ)生産実績当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)日本41,366102.5%米州111,251105.9%アジア79,97898.3%中国29,14392.7%欧州87,781100.0%合計349,520101.0%(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 (ⅱ)受注実績当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)日本41,579105.3%1,339102.9%米州112,008107.1%4,467128.9 %アジア80,51298.0%5,90497.6%中国29,10592.4%603105.4%欧州84,91495.4%1,75099.7%合計348,119100.4%14,066107.0%(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 (ⅲ)販売実績当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)日本41,541104.1%米州111,006106.2%アジア80,65798.5%中国29,07492.2%欧州84,92095.1%合計347,200100.0%(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。指標2025年度(計画)2025年度(実績)2025年度(計画比)連結売上高330,000百万円347,200百万円17,200百万円 (5.2%増)連結営業利益18,000百万円20,538百万円2,538百万円 (14.1%増)親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円1,264百万円264百万円 (26.4%増)1株当たり当期純利益15.26円19.29円4.03円増当連結会計年度における連結売上高は計画比17,200百万円増(5.2%増)となりました。連結営業利益は計画比2,538百万円増(14.1%増)となりました。これらは、中国及び欧州で販売が想定を上回ったためです。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比264百万円増(26.4%増)にとどまりました。これは、保有する投資有価証券の評価損を計上したためです。その結果1株当たり当期純利益は計画比4.03円増となりました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(ⅰ)キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。(ⅱ)借入金等の状況2026年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。区分年度別要支払額(百万円)1年以内1年超5年以内5年超合計短期借入金45,206--45,206長期借入金16,73436,02676953,530上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。(ⅲ)財務政策当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金で調達しております。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。○退職給付費用及び退職給付債務当社グループは退職給付債務に関する割引率等の仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は、発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。○固定資産の減損当社グループが減損を判定する際のグルーピングは欧州地域を除き原則として会社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、減損テストを実施し、その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しています。当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。なお、重要なものについては、第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 ○投資有価証券の減損判定当社グループは、市場価格のない株式等以外のものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。また、市場価格のない株式等については、第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 ○繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。
事業リスク
- 市場環境の変化と競争激化景気後退や経済危機により、自動車部品の需要が減少し、売上高が低下する可能性があります。また、自動車業界では電気自動車(EV)化の進展により、必要な部品点数が減少する構造変化が起きており、これが同社の売上高に影響を与える可能性があります。EV、ハイブリッド車、内燃機関車いずれの需要にも対応できる事業構造への転換が求められます。
- 特定の取引先への依存主要な取引先であるホンダグループへの売上高比率が約50%と高く、ホンダグループの事業戦略や購買政策の変更が同社の業績に大きな影響を与える可能性があります。この依存度が高いことは、安定した取引がある一方で、顧客の動向に業績が左右されやすいというリスクを抱えています。
- グローバル事業展開に伴うリスク世界各国で事業を展開しているため、政情不安、規制強化、自然災害、為替変動、関税変動など、地域特有のリスクに晒されています。これらの要因により、素材の確保、生産活動、製品の供給に問題が生じたり、コストが増加したりすることで、業績が悪化する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】当社グループでは、経営におけるリスク、およびそのリスクが及ぼす影響を的確に把握し、事業への影響を回避・低減するリスクマネジメント活動を通じて、事業の競争力を維持し、継続的な企業価値の向上を目指しています。経営におけるリスクは、国内/海外拠点共通の指標にて評価しており、結果を取締役会での報告/検証をすることで、リスクマネジメントの実効性を保証しています。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、事業に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。記載されたリスクが当社グループの全てではありません。 1)市場環境の変化景気後退や経済危機により、当社グループ商品の売上高が減少する可能性があります。 (対応策)市場・顧客の需要動向を監視し、ニーズに合わせた柔軟な生産体制の構築を行うことでリスクの影響を低減します。 2)電動化トレンドの多様化と自動車業界の構造変化自動車の電動化は地域ごとに進展のスピードが異なり、完成車メーカーのEV戦略にも見直しの動きが出るなど、市場動向の不確実性が高まっています。こうした自動車業界の構造変化が、当社グループの売上高に影響を与える可能性があります。 (対応策)EV、ハイブリッド車、内燃機関車いずれの需要に対しても対応できる変化に強い事業構造の構築、付加価値の高い商品の開発、製造を通じてリスクの影響を低減します。 3)地域的要因によるリスク当社グループは世界各国で事業展開をしているため、政情不安、規制の強化等により、素材確保、生産活動、商品の供給に問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)海外子会社を通じて、情報の現地の情報収集に努めるとともに、グループ間での相互補完ができる生産体制、サプライチェーンの構築を通じてリスクの影響を低減します。 4)地震等の自然災害大規模な自然災害が発生した場合、生産活動の停止、復旧に要する費用の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)災害発生時の体制、対応を文書に定め、被害の最小化と早期解決を図る仕組みを構築することにより、リスクの影響を低減します。 5)環境及びその他の規制当社グループでは、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラル実現を目指しています。省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大のための設備投資や管理コストの上昇が見込まれ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)段階ごとの目標値を適切に管理することで、効果的な環境対策に取り組むことで、リスクの影響を低減します。 6)特定の取引先への依存当社グループの業績は、ホンダグループの事業戦略や購買政策等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。2026年3月期では、主要な取引先であるホンダグループへの売上高比率は約51%でした。 (対応策)培ってきた高い技術力とグローバル生産体制を活かし、積極的な顧客提案を進めます。また、新規事業の成長により、特定事業に依存するリスクの影響を低減します。 7)特定のサプライヤーへの依存当社グループは、多数のサプライヤーから部品・原材料等を購入しております。製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料等については、一部の取引先に依存しております。購入品の入手困難、価格高騰により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)主要サプライヤーとの関係維持に加え、新たなサプライチェーンの開拓、見直しを進めることで、競争力のある価格で原材料等を調達することでリスクの影響を低減します。 8)製品の欠陥のリスク大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合が起きた場合、多額の対応コストが必要となります。また当社グループの評価に重大な影響を与えることで、売上が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)開発から量産に至るプロセス中に複数の確認ゲートを設け、商品品質を評価、保証する仕組みを構築しています。量産段階においても変更点を管理・報告する仕組みを整備し、お客様に信頼頂ける生産・供給体制を実現し、リスクの影響を低減します。 9)新規事業展開に関するリスク新規事業の創出にあたって、新技術の獲得や、事業開発のスピード向上のために、M&Aやスタートアップ企業への出資を伴う共同開発を行っております。対象企業の事業活動が想定通りに推移しない場合、また対象企業に想定しなかった問題点が発見された場合等には、減損損失の発生によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)経営会議における投資判断の厳格な検証に加え、出資先の事業計画の進捗を継続的にモニタリングすることで、リスクの影響を低減します。 10)合弁事業のリスク当社グループはグローバル展開並びに新技術や新製品の開発強化のため、外部企業との間で資本提携・業務提携等を推進しております。これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあります。それにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)経営会議における投資判断の厳格な検証に加え、合弁会社の事業計画の進捗を継続的にモニタリングすることで、リスクの影響を低減します。 11)固定資産の減損に係るリスク当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下した場合には、減損損失が発生し当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (対応策)経営会議における投資判断の厳格な検証に加え、事業計画の進捗を継続的にモニタリングすることで、リスクの影響を低減します。 12)為替変動リスク当社グループではグループ間の海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態、経営成績、競争力にも影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)当社グループは当該リスクを軽減するため、為替予約契約等を締結しております。 13)関税変動リスク当社グループではグループ間の海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。関税政策の変動は、当社グループの財政状態、経営成績、競争力にも影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)海外子会社を通じ、現地の情報収集に努めております。状況に応じて、取引先との交渉、サプライチェーンの見直しを通じてリスクの影響を低減します。 14)情報セキュリティリスク外部からのサイバー攻撃や当社グループが利用する情報システムにアクセスすることができる者による不正使用等によって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。その結果、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (対応策)未然防止に向けたセキュリティ体制を構築するとともに、リスク発生時の体制、対応を定め、被害の最小化と早期解決を図る仕組みを構築しリスクの影響を低減します。 15)人権に関するリスク昨今、グローバル社会でビジネスにおける人権尊重への取り組みの重要性が高まる中、差別やハラスメントによるコンプライアンス違反が発生した場合、社会的信頼が失墜し、連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 (対応策)2025年2月に新たに「Musashi 人権方針」を定義し、人権の尊重、強制労働や差別の禁止を明文化し、グループで共有し、徹底を図っています。