7701

島津製作所(7701)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

精密機器 電機・精密

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    島津製作所は、計測機器、医用機器、産業機器、航空機器の4つの主要事業分野で収益を上げています。これらの事業は、研究開発から製造、販売、保守サービスまでを一貫して手掛けることで、顧客の多様なニーズに応えています。特に計測機器事業は、クロマト分析システムや質量分析システムなど多岐にわたる製品を提供し、幅広い産業の基盤を支えています。
  • グローバルな事業活動
    日本国内だけでなく、子会社85社、関連会社8社(2025年3月31日現在)を通じて世界各地で事業を展開しています。これにより、各地域の市場規模や産業構造に合わせた販売戦略を実行し、グローバル市場での収益機会を最大化しています。海外での売上比率も高く、国際的な経済動向が業績に大きく影響するビジネスモデルです。
  • 高付加価値製品とサービス
    同社の製品は、高度な技術と専門知識を要するものが多く、高い付加価値を提供しています。例えば、医用機器では血管撮影システムやPETシステムなど、医療現場の最先端を支える機器を提供し、人々の健康に貢献しています。また、製品販売後の保守サービスも重要な収益源となっており、顧客との長期的な関係構築を通じて安定した収益を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 計測機器事業
    この事業は、クロマト分析システム、質量分析システム、X線分析システムなど、幅広い分析・計測機器を提供しています。売上高は3479.15億円、営業利益は520.73億円と、同社グループの収益の柱となっています。科学研究、品質管理、環境分析など多岐にわたる分野で活用され、国内外の子会社が製造・販売・保守サービスを一貫して手掛けています。
  • 医用機器事業
    血管撮影システム、X線TVシステム、PETシステムなど、医療現場で使用される高度な機器を提供しています。売上高は725.67億円、営業利益は42.63億円です。医療の質の向上に貢献しており、島根島津株式会社などが製造を担い、島津メディカルシステムズ株式会社が販売・保守サービスを提供することで、医療機関のニーズに応えています。
  • 産業・航空機器事業
    産業機器ではターボ分子ポンプや油圧ギヤポンプ、航空機器ではフライトコントロールシステムやコックピットディスプレイシステムなどを手掛けています。産業機器の売上高は723.35億円、営業利益は104.67億円、航空機器の売上高は386.62億円、営業利益は60.68億円です。これらの事業は、それぞれの専門分野で高い技術力を活かし、産業の発展や航空安全に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
MeasurementEquipment 事業 3,479 521 15.0%
MedicalEquipment 事業 726 43 5.9%
IndustrialEquipment 地域 723 105 14.5%
AircraftEquipment 事業 387 61 15.7%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,744 文字
3 【事業の内容】 当社および当社の関係会社(子会社81社および関連会社8社(2026年3月31日現在))は、計測機器、医用機器、産業機器、航空機器、その他の各事業分野で研究開発、製造、販売、保守サービス等にわたる事業活動を行っています。 当社および主要な関係会社の当該事業における位置付けはつぎのとおりです。 なお、計測機器、医用機器、産業機器、航空機器、その他の各事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。事業区分主要製品等主要な関係会社計測機器クロマト分析システム、質量分析システム、光分析システム、熱分析システム、ライフサイエンス関連分析システム、X線分析システム、電子線観察システム、表面分析・観察システム、水質計測システム、排ガス測定システム、材料試験機、疲労・耐久試験機、構造物試験機、非破壊検査システム、高速度ビデオカメラ、粉粒体測定システム、天びん・はかり、回折格子、レーザ機器、小形分光器、臨床検査用試薬、全自動PCR検査システム、培地、微生物検査システム[製造・販売]島津サイエンス(株)、島津ダイアグノスティクス(株)、(株)島津理化、島津システムソリューションズ(株)、島津エイテック(株)、シマヅ サイエンティフィック インスツルメンツ インク(アメリカ)、シマヅ ユーエスエー マニュファクチュアリング インク(アメリカ)、シマヅ オイローパ ゲーエムベーハー(ドイツ)、クレイトス アナリティカル リミテッド(イギリス)、島津(香港)有限公司(中国)、島津企業管理(中国)有限公司(中国)、島津儀器(蘇州)有限公司(中国)、シマヅ サイエンティフィック コリア コーポレーション(韓国)、シマヅ(エイシア パシフィック)プライベイト リミテッド(シンガポール)、シマヅ マニュファクチュアリング エイシア エスディーエヌ ビーエイチディー(マレーシア)、シマヅ ミドル イースト アンド アフリカ エフゼットイー(アラブ首長国連邦)、シマヅ ラテン アメリカ エスエー(ウルグアイ) [保守サービス](株)島津アクセス [研究開発・分析受託](株)島津テクノリサーチ、シマヅ リサーチ ラボラトリー(ヨーロッパ)リミテッド(イギリス) 医用機器血管撮影システム、X線TVシステム、一般撮影システム、回診用システム、外科用X線TVシステム、PETシステム、近赤外光カメラシステム、放射線治療関係、医療情報システム[製造・販売]島根島津(株)、シマヅ プレシジョン インスツルメンツ インク(アメリカ)、シマヅ オイローパ ゲーエムベーハー(ドイツ)、島津(香港)有限公司(中国)、島津企業管理(中国)有限公司(中国)、北京島津医療器械有限公司(中国)、シマヅ(エイシア パシフィック)プライベイト リミテッド(シンガポール)、シマヅ ミドル イースト アンド アフリカ エフゼットイー(アラブ首長国連邦)、シマヅ ラテン アメリカ エスエー(ウルグアイ) [販売・保守サービス]島津メディカルシステムズ(株) 産業機器ターボ分子ポンプ、油圧ギヤポンプ、コントロールバルブ、パワーパッケージ、工業炉、液送ポンプ、ガラスワインダ、動釣合試験機(バランシングマシン)、ヘリウムリークディテクタ、高速スパッタリングシステム、磁気探知機/磁力計、水中光無線装置、光格子時計[製造・販売]島津産機システムズ(株)、島津プレシジョンテクノロジー(株)、シマヅ プレシジョン インスツルメンツ インク(アメリカ)、島津(香港)有限公司(中国)、島津企業管理(中国)有限公司(中国)、天津島津液圧有限公司(中国)航空機器フライトコントロールシステム、エアマネジメントシステム、コックピットディスプレイシステム、エンジン補機[製造・販売]島津エアロテック(株)、シマヅ プレシジョン インスツルメンツ インク(アメリカ) その他不動産賃貸、不動産管理、建設舗床業 等(株)島津総合サービス、太平工業(株) 当社グループ(当社および連結子会社)の主要な事業活動を事業系統図によって示すとつぎのとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
専門性が高く高度な技術力を要する新製品開発に多額の投資を行っているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
専門性が高く、高度な技術力を必要とする事業であり、新製品開発に多額の投資が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:国内外の市場の動向 / 海外での事業活動 / 製品品質
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

島津製作所は、分析計測機器、医用機器、航空機器、産業機器の分野で長年の実績と高い技術力を有する。特に、質量分析計やクロマトグラフィーなどの分析計測機器分野では、世界的に認知されたブランド力と特許技術が競争優位の源泉となっている。これらの分野での研究開発投資と技術蓄積は、新規参入障壁を形成している。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

島津製作所の分析計測機器や医用機器は、導入に高額な初期投資が必要であり、かつオペレーターの習熟度や既存のデータ管理システムとの連携が重要となる。そのため、顧客が競合他社製品へ切り替える際には、再教育コスト、システム再構築、データ移行などの多大なスイッチングコストが発生する可能性がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

島津製作所の事業モデルは、製品の利用者が増えることでその製品自体の価値が向上するようなネットワーク効果は直接的には見られない。個々の機器の性能や信頼性が重視されるビジネスモデルである。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

精密機器製造においては、高度な品質管理と生産技術が求められるため、構造的なコスト優位性を確立することは難しい。島津製作所は効率的な生産体制を追求しているが、競合他社も同様の努力をしており、顕著なコスト優位性を示す要素は限定的である。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

島津製作所は、分析計測機器や医用機器の分野でグローバルに事業を展開しており、一定の市場シェアを確保している。特に、特定のニッチ市場においては、規模の経済を活かした効率的な生産・販売体制が競争力に寄与していると考えられる。しかし、業界全体で見ると、多数の競合が存在する。

  • 高度な技術力と研究開発
    島津製作所は、専門性が高く高度な技術力を必要とする分野で事業を展開しており、新製品・新技術の研究開発に多額の投資を行っています。これにより、競合他社に先駆けて革新的な製品を市場に投入し、技術的な優位性を確立しています。例えば、ライフサイエンス関連分析システムや高速度ビデオカメラなど、最先端の技術が求められる分野で強みを発揮しています。
  • 強固な品質保証体制
    ISO規格の認証を受けた品質システムを構築し、「品質保証基本方針」に基づき、製品のライフサイクル全体で品質向上に努めています。また、「製品安全基本方針」を定め、顧客の安全と信頼を最優先に行動することで、製品の信頼性を高め、ブランド価値を維持しています。これにより、顧客からの信頼を獲得し、長期的な顧客関係を築く基盤となっています。
  • グローバルな販売・サービス網
    世界各地に子会社や関連会社を展開し、研究開発、製造、販売、保守サービスまでを一貫して提供できる体制を構築しています。これにより、各地域の市場ニーズに迅速に対応し、きめ細やかなサービスを提供することが可能です。特に、計測機器事業では、アメリカ、ドイツ、中国など主要市場に製造・販売拠点を持ち、グローバルな顧客基盤を確立しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活かし、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供、それを基にした社会課題解決の仕組み作りを行い、ステークホルダーからの信頼の獲得と、企業価値の向上に努めています。 また、社是・経営理念に基づく事業活動を通してサステナブルな社会を実現するために、「島津グループサステナビリティ憲章」を制定しました。グループ全体で、「地球環境とグローバル社会の持続可能性」、「島津グループの事業活動の持続と成長」、「従業員の健康とエンゲージメントの向上」を目指して、サステナビリティ経営を実践していきます。 これからも、地球・社会・人との調和を図りながら、“事業を通じた社会課題の解決”と“社会の一員としての責任ある活動”の両輪で企業活動を行い、明るい未来を創造します。 (2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題1) 4つの社会価値創生領域における各事業の取り組み①ヘルスケア領域 ライフサイエンス分野では、低分子医薬品、バイオ医薬品市場および食品市場を中心に、液体クロマトグラフ(LC)や質量分析システム(MS)を重点機種と位置付け、AIとロボティクスによる分析プロセスの革新を提案し、お客様の業務効率化・省力化に貢献するとともに、製造工程の分離分析ニーズへも事業領域を広げていきます。 メドテック分野の臨床MS事業では、分析の安定化と迅速化、対応試薬の拡充、前処理機能の強化を進め、お客様へトータルソリューションを提供します。感染症検査事業では、微生物同定MALDIの展開と、試薬と培地の拡充を通じて診断の迅速化と検査対象拡大に貢献します。医用機器事業では、引き続き医療現場における患者負担の軽減や医療スタッフの業務効率向上に貢献するため、AI画像解析とIoT技術を融合した新製品投入とアフターサービスの強化を進めます。②グリーン領域 地球の健康とカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを継続します。人体への影響から世界で問題となっている有機フッ素化合物(PFAS)規制への対応や、各国で進む水素やアンモニアなどの新エネルギー開発、温室効果ガス(GHG)低減への貢献を目指し、LCMSやガスクロマトグラフ(GC)などの分析装置に、前処理や自動化装置を組み合わせた用途別専用システムを開発投入し、幅広いニーズへの対応を進めていきます。③マテリアル領域 新素材や高機能材料の開発とサーキュラーエコノミー実現に向けて必要とされる計測機器事業を強化します。特に、電池・半導体・樹脂や金属などの各種材料分野で進む新素材や高機能材料の開発に必要な最先端計測の、高機能・高性能化を進めます。加えて、自動化装置やインフォマティクスを活用した複合計測・解析も組み合わせ、付加価値の高いソリューションを提供します。また、走査電子顕微鏡を加えた表面観察事業を拡大し、ナノ領域の表面観察分野における高付加価値ソリューションの提供にも力を入れます。④インダストリー領域 AIおよびデータセンターの発展を背景に成長が見込まれる半導体市場に対し、ターボ分子ポンプ(TMP)事業を通じ、世界の製造装置需要に対応するとともに、TMPの顧客基盤・サービス網を活用して、当社の保有する純水・ガス・表面分析・材料計測システムを展開します。特に、電子顕微鏡や非破壊検査装置を活用して、半導体製造プロセスにおける不良解析での貢献を目指します。 航空機器事業では、防衛および民間航空機市場での将来需要を予測しながら、中長期的に成長と収益を確保できる事業体制の確立を進めます。 2)リカーリングビジネスの拡大 アフターサービスと、試薬・カラムなどの消耗品の両輪で、リカーリングビジネスの拡大に取り組みます。特に、顧客の開発から製造までのワークフロー全体に密着し、自社開発・協業による商材拡充、マルチベンダーサービスの拡大、AI・IoTを活用した保守事業の高度化、Labの設計・運用から移設までの全てをカバーするLabTotal事業を展開し、製品のライフタイム全体での提供価値最大化を図ります。3)海外事業の拡大 海外全地域で事業展開を強化・拡大し、世界のお客様ニーズに貢献します。特に、①北米ではR&Dセンターを核に最先端市場の顧客との関係を深化させ、バイオ医薬、臨床、環境規制市場でのエコシステム提案により事業拡大を図ります。②インドでは新工場建設を含むMake in India政策への対応を進め、製薬・受託分析に加え、次世代モビリティ、電池、環境市場への貢献を強化します。③中国では国産優遇政策に対応する機種を拡充し、事業の維持拡大を図ります。④欧州では臨床MSセンターを活用した臨床ビジネスと環境分野への貢献に取り組みます。 4)経営基盤の強化 AIを活用した経営基盤の強化を図り、お客様への提供価値を高めます。①AI活用による研究開発の迅速化、アジャイル開発の拡大、グローバル拠点を活用した共同研究を推進します。②戦略的成長投資とAIによる業務効率化・意思決定の高速化を進め、ROICを指標とした資本効率向上を図ります。③自社開発に加え、「SHIMADZUみらい共創チャレンジ」やCVC「Shimadzu Future Innovation Fund」を通じた新事業創出を継続します。④多様性を生かし、世界各地で活躍する人財の育成に向けて、次世代リーダー育成を含む人財育成プログラムを充実させます。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 上記の通り事業活動を進めていくものの、中東情勢の緊迫化に伴い、原材料価格や物流費の上昇、ならびに一部地域における顧客投資抑制等が懸念されています。当社においては、現時点で想定される影響を踏まえ、業績予想の前提条件に一定の影響を織り込んでいます。今後の情勢変化によっては、業績予想を見直す必要が生じる可能性があります。 (単位:百万円) 2027年3月期連結業績予想対前期増減率売上高575,0002.5%営業利益76,0003.1%経常利益75,000△9.4%親会社株主に帰属する当期純利益55,000△9.1%※上記の業績予想は、2026年3月期決算短信公表時点(2026年5月12日)において入手可能な情報に基づき算出したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想値と異なる可能性があります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活かし、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供、それを基にした社会課題解決の仕組み作りを行い、ステークホルダーからの信頼の獲得と、企業価値の向上に努めています。 また、社是・経営理念に基づく事業活動を通してサステナブルな社会を実現するために、「島津グループサステナビリティ憲章」を制定しました。グループ全体で、「地球環境とグローバル社会の持続可能性」、「島津グループの事業活動の持続と成長」、「従業員の健康とエンゲージメントの向上」を目指して、サステナビリティ経営を実践していきます。 これからも、地球・社会・人との調和を図りながら、“事業を通じた社会課題の解決”と“社会の一員としての責任ある活動”の両輪で企業活動を行い、明るい未来を創造します。 (2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題1) 4つの社会価値創生領域における各事業の取り組み①ヘルスケア領域 ライフサイエンス分野では、低分子医薬品、バイオ医薬品市場および食品市場を中心に、液体クロマトグラフ(LC)や質量分析システム(MS)を重点機種と位置付け、AIとロボティクスによる分析プロセスの革新を提案し、お客様の業務効率化・省力化に貢献するとともに、製造工程の分離分析ニーズへも事業領域を広げていきます。 メドテック分野の臨床MS事業では、分析の安定化と迅速化、対応試薬の拡充、前処理機能の強化を進め、お客様へトータルソリューションを提供します。感染症検査事業では、微生物同定MALDIの展開と、試薬と培地の拡充を通じて診断の迅速化と検査対象拡大に貢献します。医用機器事業では、引き続き医療現場における患者負担の軽減や医療スタッフの業務効率向上に貢献するため、AI画像解析とIoT技術を融合した新製品投入とアフターサービスの強化を進めます。②グリーン領域 地球の健康とカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを継続します。人体への影響から世界で問題となっている有機フッ素化合物(PFAS)規制への対応や、各国で進む水素やアンモニアなどの新エネルギー開発、温室効果ガス(GHG)低減への貢献を目指し、LCMSやガスクロマトグラフ(GC)などの分析装置に、前処理や自動化装置を組み合わせた用途別専用システムを開発投入し、幅広いニーズへの対応を進めていきます。③マテリアル領域 新素材や高機能材料の開発とサーキュラーエコノミー実現に向けて必要とされる計測機器事業を強化します。特に、電池・半導体・樹脂や金属などの各種材料分野で進む新素材や高機能材料の開発に必要な最先端計測の、高機能・高性能化を進めます。加えて、自動化装置やインフォマティクスを活用した複合計測・解析も組み合わせ、付加価値の高いソリューションを提供します。また、走査電子顕微鏡を加えた表面観察事業を拡大し、ナノ領域の表面観察分野における高付加価値ソリューションの提供にも力を入れます。④インダストリー領域 AIおよびデータセンターの発展を背景に成長が見込まれる半導体市場に対し、ターボ分子ポンプ(TMP)事業を通じ、世界の製造装置需要に対応するとともに、TMPの顧客基盤・サービス網を活用して、当社の保有する純水・ガス・表面分析・材料計測システムを展開します。特に、電子顕微鏡や非破壊検査装置を活用して、半導体製造プロセスにおける不良解析での貢献を目指します。 航空機器事業では、防衛および民間航空機市場での将来需要を予測しながら、中長期的に成長と収益を確保できる事業体制の確立を進めます。 2)リカーリングビジネスの拡大 アフターサービスと、試薬・カラムなどの消耗品の両輪で、リカーリングビジネスの拡大に取り組みます。特に、顧客の開発から製造までのワークフロー全体に密着し、自社開発・協業による商材拡充、マルチベンダーサービスの拡大、AI・IoTを活用した保守事業の高度化、Labの設計・運用から移設までの全てをカバーするLabTotal事業を展開し、製品のライフタイム全体での提供価値最大化を図ります。3)海外事業の拡大 海外全地域で事業展開を強化・拡大し、世界のお客様ニーズに貢献します。特に、①北米ではR&Dセンターを核に最先端市場の顧客との関係を深化させ、バイオ医薬、臨床、環境規制市場でのエコシステム提案により事業拡大を図ります。②インドでは新工場建設を含むMake in India政策への対応を進め、製薬・受託分析に加え、次世代モビリティ、電池、環境市場への貢献を強化します。③中国では国産優遇政策に対応する機種を拡充し、事業の維持拡大を図ります。④欧州では臨床MSセンターを活用した臨床ビジネスと環境分野への貢献に取り組みます。 4)経営基盤の強化 AIを活用した経営基盤の強化を図り、お客様への提供価値を高めます。①AI活用による研究開発の迅速化、アジャイル開発の拡大、グローバル拠点を活用した共同研究を推進します。②戦略的成長投資とAIによる業務効率化・意思決定の高速化を進め、ROICを指標とした資本効率向上を図ります。③自社開発に加え、「SHIMADZUみらい共創チャレンジ」やCVC「Shimadzu Future Innovation Fund」を通じた新事業創出を継続します。④多様性を生かし、世界各地で活躍する人財の育成に向けて、次世代リーダー育成を含む人財育成プログラムを充実させます。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 上記の通り事業活動を進めていくものの、中東情勢の緊迫化に伴い、原材料価格や物流費の上昇、ならびに一部地域における顧客投資抑制等が懸念されています。当社においては、現時点で想定される影響を踏まえ、業績予想の前提条件に一定の影響を織り込んでいます。今後の情勢変化によっては、業績予想を見直す必要が生じる可能性があります。 (単位:百万円) 2027年3月期連結業績予想対前期増減率売上高575,0002.5%営業利益76,0003.1%経常利益75,000△9.4%親会社株主に帰属する当期純利益55,000△9.1%※上記の業績予想は、2026年3月期決算短信公表時点(2026年5月12日)において入手可能な情報に基づき算出したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想値と異なる可能性があります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要はつぎのとおりです。 ① 経営成績の状況 当連結会計年度の経営成績は、売上高5,607億2千8百万円(前年度比4.0%増)、営業利益737億2百万円(同2.8%増)、経常利益827億5千3百万円(同14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益604億9千9百万円(同12.5%増)となりました。 セグメントごとの経営成績はつぎのとおりです。 ・計測機器事業 売上高3,649億8百万円(前年度比4.9%増)、営業利益525億7千8百万円(同1.0%増)となりました。 ・医用機器事業 売上高737億9千4百万円(前年度比1.7%増)、営業利益48億7千1百万円(同14.3%増)となりました。 ・産業機器事業 売上高715億2千3百万円(前年度比1.1%減)、営業利益105億9千5百万円(同1.2%増)となりました。 ・航空機器事業 売上高433億7千1百万円(前年度比12.2%増)、営業利益82億2千万円(同35.5%増)となりました。 ・その他の事業 売上高71億3千万円(前年度比5.8%減)、営業利益11億8千万円(同87.2%増)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ236億4千9百万円増加し、1,608億3千9百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況はつぎのとおりです。 ・営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは、546億7千9百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ26億7千7百万円増加しました。その主なものは、税金等調整前当期純利益の増加97億3千2百万円、仕入債務の増減による減少52億6千3百万円です。 ・投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ72億6千5百万円支出が減少し、159億7百万円の支出となりました。その主なものは、設備投資による支出149億4千2百万円、投資有価証券の取得による支出18億7千9百万円です。 ・財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ229億4百万円支出が減少し、255億4百万円の支出となりました。その主なものは、配当金の支払額193億5千4百万円です。 ③ 生産、受注及び販売の実績イ. 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)計測機器368,8306.8医用機器75,8255.6産業機器71,856△0.5航空機器45,03315.7その他7,245△4.4合計568,7916.1 (注) 金額は、販売価格によっています。 ロ. 受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)計測機器366,5174.6115,6051.4医用機器73,9754.123,5480.8産業機器74,6096.217,55321.3航空機器49,181△14.789,6896.9その他5,731△30.21,828△43.3合計570,0152.3248,2253.9 ハ. 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)計測機器364,9084.9医用機器73,7941.7産業機器71,523△1.1航空機器43,37112.2その他7,130△5.8合計560,7284.0 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容はつぎのとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容イ. 財政状態 当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が239億1百万円、退職給付に係る資産が132億4千4百万円、棚卸資産が87億4千2百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が71億9千9百万円それぞれ増加したことなどにより、総資産は658億円増加し、7,379億7千8百万円となりました。純資産は、利益剰余金が409億1百万円、為替換算調整勘定が153億4千6百万円それぞれ増加したことなどにより、670億9千9百万円増加し、5,651億6千6百万円となりました。 ロ. 経営成績 当連結会計年度の世界経済は、中国経済での民需停滞による景気不振や米国の関税政策の影響による景気の下振れリスクに加え、ウクライナ紛争の長期化や中東情勢激化等の地政学リスクもあり、先行きの不透明な状況が続きました。 このような経営環境下で、当社グループは地産地消での開発・生産・販売体制の構築を目指し、開発面では北米R&Dセンターの新拠点をサンフランシスコに設立し、生産面では中国でターボ分子ポンプの生産拠点を立ち上げました。また販売面では、国内で販売子会社の統合を行ったほか、インド、オーストラリアで分析・医用の販売体制を統合した新会社の設立などを行いました。 加えて、情報システムとAI技術の導入による経営と工場の高度化を進めるとともに、製品やシステムにAI技術を取り込み、より簡便で高度なデータの提供を継続しました。 中期経営計画の事業戦略については、ヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーの4注力領域で、世界のパートナーと共に社会課題の解決に取り組みました。 具体的には、「重点事業*1強化」では、機能や仕様のさらなる向上に加え、顧客のワークフロー全体へのトータルソリューション提供を目指し、ロボティクス・AIの活用や操作性向上を実現した新製品の開発を推進しました。 「メドテック事業*2の強化」では、臨床市場向け多検体処理用質量分析システムの展開、専用装置および試薬のラインアップ拡充に努めました。また、AI画像解析やIoT技術を用いた“イメージングトランスフォーメーション”を推進し、ユーザビリティの向上と検査効率化を実現したX線撮影システムの拡販を進めました。 「リカーリングビジネス*3の強化・拡大」では、計測機器のリカーリング事業を統括する新組織を設立し、アフターサービス事業や試薬・消耗品事業の強化・拡大をより強力に推進する体制を整えました。 また、一昨年に立ち上げた営業本部のもと、お客様(領域)中心志向での活動を展開し、事業部の枠を超えた最適なトータルソリューションの提供を継続しました。*1.重点事業:液体クロマト分析システム、質量分析システム、ガスクロマト分析システム、試験機、ターボ分子ポンプの5事業*2.メドテック事業:健康管理、検査、診断、治療、予後管理において、 医用画像システムや血液等の成分を分析するシステムを用いてトータルソリューションを提供する事業*3.リカーリングビジネス:試薬、培地、カラムなどの消耗品や、機器のメンテナンスサービスを提供する事業 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は日本、北米、欧州、その他のアジア地域で増加し、5,607億2千8百万円(前年度比4.0%増)となり、過去最高を更新しました。一方利益面では、売上高の増加等により、営業利益は737億2百万円(同2.8%増)となりました。経常利益は827億5千3百万円(同14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は604億9千9百万円(同12.5%増)となりました。 セグメントの経営成績は、つぎのとおりです。 ・計測機器事業 計測機器事業は、新製品の積極的な投入とソリューション提案力の強化に取り組みました。また、マルチベンダーサービス*事業をはじめとするアフターサービスや試薬・消耗品を強化し、リカーリング事業の拡大を進めました。 これらの取り組みにより、特にヘルスケア領域のライフサイエンス分野では、製薬・臨床検査市場向けの質量分析システムや液体クロマト分析システムが増加し、GX/マテリアル領域では、環境分析・化学市場向けに質量分析システムやガスクロマト分析システムが増加しました。 地域別には、中国は民間市場の停滞により減少しましたが、日本、欧米、その他のアジア地域の成長が補い、全体では増加となりました。 この結果、当事業の売上高は3,649億8百万円(前年度比4.9%増)となりました。営業利益は売上高の増加等により525億7千8百万円(同1.0%増)となりました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本131,029138,0025.3製薬・食品市場向けに液体クロマト分析システムや質量分析システムが増加。また、化学市場向けに液体クロマト分析システムやガスクロマト分析システムが増加。海外216,886226,9064.6海外売上高比率が62.2%と0.1pt減少。主要地域 北米39,02642,2908.4北米R&Dセンターで顧客と共同開発した質量分析システムが臨床検査市場で増加。また、マルチベンダーサービス事業を展開するZef Scientific, Inc.の業績も貢献。欧州40,88945,77111.9官公庁・大学向けに液体クロマト分析システムや水質検査用途の質量分析システムが増加。また、化学市場向けでガスクロマト分析システムが増加。中国67,77967,274△0.7民間市場の停滞により減少したが、製薬向け液体クロマト分析システムや質量分析システムは増加。また、政府の経済対策により大学市場向けの需要が増加。その他のアジア47,88951,7248.0インドで製薬・食品市場向けに液体クロマト分析システムや質量分析システムが増加。*お客様が使用中の装置についての、製造元を問わず一社による一括したアフターサービス形態のこと ・医用機器事業 医用機器事業では、医療現場における患者負担の軽減や医療スタッフの業務効率向上に貢献するため、AI画像解析にIoT技術を融合した新製品を投入するとともに、内視鏡検査向けの新ソフトウェアを搭載したX線TVシステムの拡販に努めました。 これらの取り組みにより、血管撮影システムは日本での導入計画の見直しや医療予算削減の影響を受け減少しましたが、X線TVシステムやユーザビリティの向上を実現した一般撮影システムの新製品は海外を中心に増加しました。 地域別には、日本、欧州は減少したものの、その他のアジア地域が牽引し、全体では増加となりました。 この結果、当事業の売上高は737億9千4百万円(前年度比1.7%増)となり、営業利益はプロダクトミックスの良化等により48億7千1百万円(同14.3%増)となりました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本33,95733,638△0.9血管撮影システムなど大型案件の導入計画の見直しが発生したことで減少。海外38,60940,1554.0海外売上高比率は54.4%と1.2pt増加。主要地域 北米12,13412,2220.7関税影響をうけて厳しい市況の中、ユーザビリティを向上させる新機能が評価されX線TVシステムが増加。欧州4,1133,938△4.2一般撮影システムが新製品効果で増加するも、東欧を中心に医療予算削減の影響を受け、血管撮影システムやX線TVシステムが減少。中国3,9414,0171.9政府が推進する経済対策の需要を捉え、X線TVシステムを中心に増加。その他のアジア8,66810,11316.7操作性の高さや低被ばくかつ高画質な画像が評価され、血管撮影システムやX線TVシステム、一般撮影システムが増加。 ・産業機器事業 産業機器事業では、生成AI分野が牽引する先端半導体などの製造に貢献するため、ターボ分子ポンプの生産能力の拡大と、販売強化およびリカーリング事業の拡大を推進しました。これらの取り組みにより、ターボ分子ポンプが、半導体製造装置やコーティング装置向けで堅調に推移したことに加え、リカーリング事業も増加しました。 油圧機器では、油圧ユニットが産業車両向けで減少しましたが、省力化需要の増加により特装車車両向けで増加しました。 地域別には、海外は欧州、中国およびその他のアジア地域の成長により増加したものの、日本が減少し、全体では減少となりました。 この結果、当事業の売上高は715億2千3百万円(前年度比1.1%減)、営業利益はリカーリング事業の伸長に伴う採算性の改善等により105億9千5百万円(同1.2%増)となりました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本31,47228,499△9.4油圧機器は特装車車両向け油圧ユニットの需要が伸長し増加したものの、車載用セラミックス製造向け工業炉が減少。海外40,86343,0245.3海外売上高比率は60.2%と3.7pt増加。主要地域 北米8,7978,241△6.3半導体製造装置向けターボ分子ポンプは増加したものの、油圧機器が産業車両の市況回復遅れにより減少。欧州4,2254,6229.4半導体製造装置向けターボ分子ポンプが増加。中国19,56020,2763.7半導体製造装置向けおよびコーティング装置向けターボ分子ポンプや電子基板用ガラス繊維向けのガラスワインダが増加。その他のアジア8,1239,52517.3台湾・韓国でターボ分子ポンプのリカーリング事業が増加。 ・航空機器事業 航空機器事業は、防衛や民間航空機向けに搭載品需要が拡大し、堅調に推移しました。 日本では政府の防衛力強化方針に伴い防衛分野向けが大きく増加しました。海外では、為替の影響を受けて売上は減少しましたが、航空旅客需要の増加に伴い、民間航空機分野で、機体製造会社向け搭載品や、航空会社向け補用部品の需要が拡大しました。 この結果、当事業の売上高は433億7千1百万円(前年度比12.2%増)、営業利益は売上高の増加や採算性の改善により、82億2千万円(同35.5%増)となりました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本30,54435,31515.6防衛分野で政府の防衛力強化方針に伴い航空機用搭載品が増加。海外8,1178,056△0.8海外売上高比率は18.6%と2.4pt減少。主要地域北米7,4157,298△1.6民間航空機向け搭載品や航空会社向け補用部品の需要が拡大したものの、為替影響により売上は減少。 ・その他の事業 当事業の売上高は71億3千万円(前年度比5.8%減)となり、営業利益は11億8千万円(同87.2%増)となりました。 (注) セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでいません。 当社グループは、当連結会計年度を最終年度とする2023-2025中期経営計画において、最終年度の目標数値として、売上高5,500億円以上、営業利益800億円以上、営業利益率14.5%以上、自己資本利益率12.5%以上を設定し、取り組んできました。最終年度である当連結会計年度の結果は、売上高5,607億2千8百万円、営業利益737億2百万円、営業利益率13.1%、自己資本利益率11.4%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループは、手元資金を次なる成長につなげることを示すキャピタルアロケーション(資本配分)を策定しています。財務健全性を確保しながら、持続的な成長に必要な戦略的投資を実施します。 イ. キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ロ. 資金需要 当社グループの資金需要のうち営業活動については、当社グループ製品製造のための材料や部品の購入のほか、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および研究開発費です。 投資活動については、M&Aやコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)等の戦略投資、生産能力の拡大・効率化、研究開発環境の整備、DX関連の基盤強化を目的とした設備投資・研究開発投資が主な内容です。今後、社会価値創生領域での事業成長に資する、戦略投資・設備投資・研究開発投資等を継続していく予定です。 ハ. 財務政策 当社グループの当連結会計年度末の借入金等の残高はありません(前連結会計年度末に比べ13億7千2百万円減少)。 当社グループは、営業活動によりキャッシュを生み出す能力を持っていることなどから、当社グループの成長を維持するために将来必要となる運転資金および設備投資資金を創出・調達することが十分に可能であると考えています。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。 連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮したうえで行っています。特に重要な見積りを伴う会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

事業リスク

  • 国際情勢と市場変動
    世界各国の政策や景気動向、設備投資の変動、戦争、テロ、疫病の蔓延などが、サプライチェーンの混乱や資源価格の高騰を引き起こし、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。特に、海外での事業活動が広範であるため、予期せぬ法律や規制の変更、貿易制限、政治的混乱などが、海外事業の拡大戦略に悪影響を及ぼすリスクがあります。
  • 製品品質と新製品開発
    製品の品質トラブルや安全性への懸念が発生した場合、企業の信頼性やブランド力が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、高度な技術を要する新製品開発において、商品化の遅れや市場ニーズとの不一致が生じた場合、競争力の低下や将来の事業成長、収益性の低下に繋がるリスクがあります。研究開発への多額の投資が必ずしも成功に結びつかない可能性も考慮されます。
  • サプライチェーンと人材確保
    自然災害、疫病、地政学リスクなどにより、原材料の供給不足や価格高騰が発生した場合、生産活動に支障をきたし、利益率の悪化や機会損失に繋がる可能性があります。さらに、研究開発や製造に必要な有能な人材の確保が困難になったり、人材流出が進んだりした場合、事業の継続性や成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。特に、労働人口減少が進む日本では、人材獲得競争が激化する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|4,681 文字
3 【事業等のリスク】 当社グループでは、リスクマネジメントの最高責任者である社長の下、審議機関として半期ごとに「リスク・倫理会議」を開催し、当社が優先して対策を講じるべきリスクやコンプライアンスに関わるリスクに対する取組について報告し必要事項を決定しています。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 国内外の市場の動向 当社グループは、当社(日本)と世界各地の子会社が密接に連携し、各地域の市場規模や産業構造に応じて販売戦略を策定・実行しています。しかしながら、日本を含む世界各国の政策や景気動向、設備投資動向などにおいて、戦略策定時には予期できなかった変化が当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、戦争やテロ行為、疫病の蔓延等がもたらすサプライチェーンの混乱や資源価格の高騰は世界各国の経済活動を停滞させ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 海外での事業活動 当社グループは、事業戦略の一環として海外市場における事業の拡大を図っており、これを通じて、売上高の増加、コストの削減および収益性の向上を目指しています。海外での事業活動を支える経営基盤を強化し、適正かつ効率的な運営を実現するため、「島津グループマネジメント基本規程」を制定して必要な統制、管理を行っています。さらに各地域の主要な子会社に域内のガバナンスを統括する機能を持たせ、各地域におけるリスクの把握と適切な対応に努めています。最近の国際情勢変化に対しては、社内外のリソースを活用して情勢をモニタリングし、グループ内で情報を共有・周知し、変化に対応しています。しかしながら、海外での事業活動には、予期できない法律や規制および政策の変更、産業基盤の脆弱性、国家間の貿易制限措置および報復措置、テロ、戦争その他の要因による社会的または政治的混乱といったリスクがあるため、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 製品品質 当社グループは、ISO規格の認証を受けた品質マネジメントシステムを構築し、「品質保証基本方針」を定め、開発・製造・販売・サービスなど製品ライフサイクルの各段階での絶え間ない改善を通して、優れた品質で顧客にとって最大の価値を生み出す製品・サービスを提供するように努めています。また、顧客の満足を得る上で、基本的かつ重要である製品安全性のさらなる向上を目指した「製品安全基本方針」により、グループ一丸となって顧客の安全と信頼を最優先に行動することを宣言しています。しかしながら、想定が難しい多様な環境下での製品使用による品質トラブルや製品安全への懸念などが発生する場合には、当社グループの信頼性やブランド力の低下にも繋がり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 新製品開発力 当社グループの事業は、専門性が高く、高度な技術力を必要とします。そのため、新製品・新技術の研究開発には多額の投資を行っていますが、商品化の遅れや市場ニーズを満たす新製品を開発できない場合には、競合力の低下や市場トレンドに沿ったビジネスの取り込みが進まないことにより、将来の事業成長と収益性が低下し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 購買調達 当社グループは、品質および環境面で当社グループの要求を満たす原材料やサービスを安定的に入手するため、信頼のおける調達先を選定しています。また、重要な原材料等について一定の在庫を確保するとともに、代替調達先の選定、特定調達先に依存しないよう自社における生産能力獲得等を実施しています。しかしながら、自然災害や疫 病、事故、調達先の倒産に加え、地政学リスクなどにより、原材料等が不足または供給量が制限され当社グループの生産活動に影響を及ぼす場合があります。また、長期にわたる原材料等の供給悪化や、急激に調達価格が高騰する場合には、機会損失の発生や製品の価格競争力の低下、利益率の悪化等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 人財確保 当社グループの事業成長に必要な人財は、研究開発に従事する人財をはじめ、製造業各社にとっても必要な人財候補と重なります。そのため採用活動においては企業間の獲得競争になることがあります。特に当社の研究開発部門の多くが所在する日本では、今後、労働人口の減少を背景に、社内需要を充足出来なくなるリスクがあります。また、当社における人財定着率は比較的安定していますが、日本の労働市場における人財流動化が一層進展した場合、社員の離職が増加するリスクがあります。これに対応するため、当社ではインターンシップや外国大学の学生が日本で就業するためのプログラムへの参加などの多様な採用活動を通じて、グローバル人財、博士等の専門人財、即戦力人財の採用に力を入れています。また、人財流出を防ぐための魅力的な処遇への改善や柔軟な勤務制度の整備、社員の強みを活かす複線型人事制度の導入、自律的なキャリア形成を支援する社内公募制の実施、65歳定年制による豊富な経験やスキルを持った人財の確保を通じて、事業への影響を低減させるべく取り組んでいます。しかしながら、有能な人財の確保が出来ない場合や、人財流出を防止出来ない場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 法令・規制 当社グループは、グローバルに様々な事業を展開しているため、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、国内外の各種法令、行政による許認可および規制の適用を受けており、その遵守に努めています。また、当社グループでは、法令の遵守のみならず、社是・経営理念・島津グループサステナビリティ憲章のもと、役員および従業員が共有・遵守すべき倫理規範を「島津グループ企業倫理規程」として定めています。集合研修やe-learningなどの教育活動により、当該規程の内容を啓発・浸透させることでコンプライアンス上の問題発生の予防に取り組むとともに、上記法令等への対応状況を適時にモニタリングすること、内部通報窓口を社内外に設置し、問題発生時の報告体制を整備することなどにより、当社グループにおけるコンプライアンスの実効性を担保しています。しかしながら、法令・規制に対する理解が不十分、または予期せぬ変更への対応が適切でない場合等には、コンプライアンス違反と判定され、過料、課徴金等による損失や営業停止等の行政処分、または信用の低下などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 知的財産権 当社グループは、現在の事業活動および将来の事業展開に有用な知的財産権を取得できるよう、研究所、事業部、知的財産部が一体となり知的財産創出活動を行っています。一方、他社知的財産権の調査・検討体制を整備し、問題発生を未然に防止するよう努めています。また、技術者を対象とした知的財産研修会を定期的に開催することにより、技術者の知的財産に対するスキルの底上げを図っています。しかしながら、権利範囲や権利の有効性の解釈によっては他社との間に知的財産紛争が生じる場合があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 環境規制・気候変動への対応 当社グループは、気候変動、水質汚濁、大気汚染、騒音、土壌汚染、廃棄物、使用する有害化学物質などに関して、国内外の各種環境法令・規制の適用を受けており、その遵守に努めています。また、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを構築し、第三者認証を取得しています。さらに、国際的なサステナビリティ開示の動向を考慮し、気候変動対策を含む環境情報の適切な開示と、環境課題の解決に向けたリスクおよび機会を踏まえた取組を進めています。しかしながら、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、環境対応に関する費用の増加や事業活動の停止など、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 情報セキュリティ 当社グループは、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報などの機密情報を保有しています。当社グループでは、IT資産の盗難・紛失などを通じた情報漏洩や、サイバー攻撃による改ざん・流出・システム停止等の被害を防ぐために情報セキュリティ推進体制を構築し、「島津グループ 情報セキュリティ基本方針」を定め、外部からの不正侵入防止、データの暗号化、社外向けWEBサイトの情報漏洩・改ざん防止などのセキュリティ対策を実施しています。また、ネットワークやIT資産に対するセキュリティ対策はもとより、従業員への定期的な情報セキュリティ教育も実施しています。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃や、予期せぬ不正利用などにより、重要情報や個人情報の漏洩や事業活動停止などの被害が発生する場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 自然災害等 当社グループは、大規模地震をはじめとする災害や新型インフルエンザ感染症の発生等を想定し、必要とされる安全対策の実施、早期復旧のための事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、および防災訓練等の対策を講じています。また、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、感染症の感染拡大防止のための様々な知見を獲得しました。しかしながら、当社グループの事業活動はグローバルに展開されていることから、新たな感染症の流行や自然災害等が発生する場合のリスクを全て回避・管理することは困難であり、想定外の規模の被害が発生する場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 為替変動の影響 当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、外国通貨建て取引にかかる事業活動は為替変動によるリスクに晒されています。為替変動リスクは、現地生産体制や、為替予約等により、最小限に抑える努力をしていますが、影響を完全に排除することは困難です。また、連結財務諸表の作成においては、各地域の現地通貨建ての項目を円換算しているため、換算時の為替レートにより、換算後の価値が変動します。通常、他の通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響となり、過度な為替相場の変動は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (13) 国際税務 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、グループ内でも相互に取引を行っていることから、移転価格税制等の国際税務リスクが伴います。各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国の税制の変化や税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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