事業の概要
- 発泡技術を核とした製品製造販売JSPグループは、発泡技術を基盤としたプラスチック製品の製造と販売を主な事業としています。これにより、製品に機能性や経済性を付加し、幅広い産業に貢献しています。具体的には、建築材料、自動車部品、食品容器など、私たちの身の回りにある様々な製品の素材を提供しています。
- 押出事業とビーズ事業の二本柱事業は大きく「押出事業」と「ビーズ事業」に分かれています。押出事業では、スチレンペーパーやミラフォームといったシート状・ボード状の発泡製品を製造販売し、梱包材や断熱材などに使われます。ビーズ事業では、ARPROやスチロダイアといった発泡性の粒状材料(ビーズ)を製造し、これを成形して自動車部品や緩衝材などに利用されています。
- 国内外に広がる事業展開JSPグループは日本国内だけでなく、北米、南米、欧州、アジアなど世界各地に子会社を展開し、グローバルに事業を行っています。これにより、各地域の市場ニーズに対応した製品供給や、効率的な生産体制を構築し、持続的な成長を目指しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 押出事業主にスチレンペーパーやミラフォームなどの発泡ポリスチレンシート・ボード、ミラマットなどの高発泡ポリエチレンシート、キャプロンなどのポリエチレン気泡緩衝材の製造販売を行っています。2025年3月期の売上高は495.5億円、営業利益は20.58億円でした。梱包材や断熱材など幅広い用途で利用され、国内子会社や海外子会社もこの事業に携わっています。
- ビーズ事業主にARPRO(発泡ポリオレフィンビーズ)やスチロダイア(発泡性ポリスチレン)の製造販売を行っています。2025年3月期の売上高は959.05億円、営業利益は66.33億円と、JSPグループの稼ぎ頭となっています。自動車部品、HVAC関連部品、輸送用通い函など、高機能が求められる分野で広く採用されており、国内外の多くのグループ会社がこの事業に携わっています。
- グローバルに展開する二つの事業JSPグループの事業は、押出事業とビーズ事業の二つのセグメントで構成され、どちらも日本だけでなく、北米、南米、欧州、アジアといった世界各地で展開されています。特にビーズ事業は、売上高・営業利益ともにグループ全体の大部分を占める主力事業であり、ARPROの生産能力増強など、グローバルでの成長戦略の中核を担っています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Extrusion | 地域 | 494 | 16 | 3.3% |
| Beads | 事業 | 929 | 64 | 6.9% |
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3【事業の内容】 当社グループは、当社と国内子会社11社、海外子会社27社、関連会社4社及びその他の関係会社1社(2026年3月31日現在)で構成され、発泡技術を主体として機能性、経済性を高めたプラスチック製品の製造販売を主な事業内容としております。また、これらに付随する事業活動も展開しております。 当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分はセグメントと同一の区分であります。 (押出事業) 当社は、主にスチレンペーパー(発泡ポリスチレンシート)、ミラボード(発泡ポリスチレンボード)、ミラマット(高発泡ポリエチレンシート)、キャプロン(ポリエチレン気泡緩衝材)、ミラフォーム(発泡ポリスチレンボード)及びミラプランク(発泡ポリエチレンボード)の製造販売をしております。㈱JSPパッケージングは、主にシートの成形加工品を販売しております。㈱ケイピーは、当社及び㈱JSPパッケージングのシートの成形加工品の委託加工をしております。㈱ミラックスは、ミラネット(高発泡ポリエチレンネット)の委託生産及び当社製品の二次加工をしております。セイホクパッケージ㈱は、当社製品や一般包装資材の仕入販売等をしております。三昌フォームテック㈱は、建築土木資材を中心としたビーズ成型品の製造販売をしております。海外では、JSP Seihoku Material Technology(Kunshan)Co.,LTD.が、当社製品や一般包装資材の仕入販売等をしております。 (ビーズ事業) 当社は、主にARPRO(発泡ポリオレフィンビーズ)及びスチロダイア(発泡性ポリスチレン)の製造販売をしております。JSPモールディング㈱は、ビーズ成型品の委託加工をしております。北菱イーピーエス㈱、本州油化㈱及びNK化成㈱は、ビーズ成型品の製造販売をしております。海外では、JSP International Group LTD.、JSP Brasil Industria de Plasticos LTDA.、JSP International S.A.R.L.、JSP Foam Products PTE.LTD.、JSP Advanced Materials (Wuxi) Co.,LTD.、JSP Advanced Materials (Dongguan) Co.,LTD.、JSP Advanced Materials (Wuhan) Co.,LTD.、JSP Plastics (Shanghai) Co.,LTD.、KOSPA㈱、Taiwan JSP Chemical Co.,LTD.及びJSP Foam India Pvt.Ltd.が主にこの事業に携わり、現地でARPRO及びビーズ成型品の製造販売をしております。 事業の系統図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 多くの製品が厳しい価格競争に晒されており、特にアジア地域で現地企業の参入により競争が激化。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 プラスチックの発泡技術と重合技術を基軸とした現行製品の品質・性能改善及び高機能製品の開発。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:主要市場環境の変化 / 海外事業展開に関するリスク / 価格競争の激化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
JSPは発泡樹脂分野で長年の実績と一定のブランド認知を持つが、特許や独自IPによる明確な独占性は限定的。競合他社も類似技術を有しており、無形資産による強固な競争優位性は現時点では弱い。
スイッチングコスト★★☆☆☆
自動車部品や包装材など、JSPの製品は顧客のサプライチェーンに組み込まれている。仕様変更やサプライヤー変更には一定のコストや手間がかかるため、軽微なスイッチング・コストは存在する。しかし、代替材料や競合製品への移行が完全に不可能ではない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
JSPの事業は、製品の利用者が増えることで価値が増大するようなネットワーク効果は発生しない。個々の顧客との取引が中心であり、プラットフォーム型ビジネスではない。
コスト優位★★★☆☆
発泡ポリスチレン(EPS)や発泡ポリプロピレン(EPP)などの製造において、長年の経験と生産ノウハウの蓄積により、一定のコスト競争力を有していると考えられる。特に、スケールメリットを活かした効率的な生産体制が強み。
規模の経済★★★★☆
発泡樹脂分野、特に自動車内装材や包装材向けEPS/EPPにおいて、JSPは国内有数のシェアを持つ。グローバルにも生産拠点を持ち、一定の規模の経済を享受している。業界内での寡占的な地位は、規模の経済によるコスト優位性を支える。
- 多様な発泡プラスチック製品の技術力JSPグループは、スチレンペーパー、ミラフォーム、ARPROなど、多種多様な発泡プラスチック製品を製造する高い技術力を持っています。これにより、顧客の様々なニーズに応じた製品を提供し、幅広い産業分野で活用されています。特にARPROは、軽量性や耐衝撃性、断熱性などに優れ、自動車部品やHVAC関連部品など高機能が求められる分野で強みを発揮しています。
- グローバルな生産・販売ネットワークJSPグループは、国内子会社11社、海外子会社27社、関連会社4社を擁し、世界中に生産・販売拠点を展開しています。この広範なネットワークにより、各地域の市場動向に迅速に対応し、効率的な製品供給体制を構築しています。特にARPRO事業では、メキシコ、インド、チェコなどでの生産能力増強を進め、グローバル市場でのシェア拡大を目指しています。
- 高付加価値製品への注力と開発力JSPグループは、単なる素材提供にとどまらず、ミラフォームラムダやプレカット品などの高付加価値製品の拡販に注力し、収益性の向上を図っています。また、連続気泡構造の樹脂材料「OROUS」や、軽量・高耐熱でCO2排出量の少ない新素材「イシリアル」など、独自の技術開発により新たな事業領域を開拓し、将来の成長エンジンとして期待されています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 「真のグローバルサプライヤー」を目指す長期ビジョンJSPグループは、10年スパンの長期ビジョン『VISION2027』で「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」を目指しています。これは、海外市場での地理的拡大、独自技術を活かした新規需要の開拓、周辺領域への事業拡大を積極的に推進することで実現しようとしています。売上高1800億円、営業利益180億円、営業利益率10%を定量目標としています。
- 「グループ全体の収益力強化」を掲げる中期経営計画2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画「Change for Growth 2026」では、「グループ全体の収益力強化」を基本コンセプトに掲げています。市場環境に頼らない持続的成長と資本効率を意識した経営を目指し、ARPRO事業、建築住宅断熱材、FPD表面保護材、そして新規事業創出・M&Aを「4つの成長エンジン」として位置付け、高付加価値製品の販売に注力することで利益率向上を図ります。
- サステナビリティ経営と経営基盤の強化中期経営計画では、サステナビリティ経営をさらに推進し、カーボンニュートラルや人的資本への対応など、非財務分野への社会的要求に応えることを重視しています。また、「経営基盤の強化」として、人材育成の強化、労働安全と環境保全、コーポレート・ガバナンスの強化、情報システム基盤の強化、働きがいのある企業風土の醸成、人材の多様性に取り組むことで、持続的な成長を支える強固な基盤を構築することを目指しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。 (1)会社の企業理念 当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念とし、コア事業である発泡樹脂製品及び新しい素材を用い、省資源・省エネルギーで社会生活の利便性向上に寄与する価値を、社会に提供していくことを使命としております。 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標a.長期ビジョン 第61期(2019年3月期)スタートにあたり、10年スパンの長期的な方向性を示す『VISION2027』を策定しました。長期ビジョンでは、「顧客と消費者に感動を届ける」、「株主と地域社会に満足を届ける」、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」など、すべてのステークホルダーに感動と満足を届けることの意を込め、新しい経営方針「Deliver with WOW!」を定め、将来のありたい姿を「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」とし、海外市場に目を向けた地理的拡大、独自技術の強みを活かした新規需要の掘り起こしや周辺領域への事業拡大などを積極的に推進してまいります。 (経営方針) 「Deliver with WOW!」・VISION2027の基本方針①既存事業の強化・拡大②事業領域の拡大③経営基盤の強化 ・2027年度の定量的ビジョン 売上高 180,000百万円、営業利益 18,000百万円、営業利益率 10% ・進むべき事業領域 (ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)FPD(フラットパネルディスプレイ)表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&Aとして売上高30,000百万円規模を目指します)の4つの成長エンジンを、今後の進むべき事業領域として位置付けました。 b.中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)について 第67期から第69期を実行期間とする中期経営計画「Change for Growth 2026」では、「グループ全体の収益力強化」を基本コンセプトの第一に掲げ、市場環境の変化のみに頼らない主体的な持続的成長を目指すと同時に、資本効率を意識した経営を実施してまいります。また、前中期経営計画において推進してきたサステナビリティ経営をさらに突き詰める必要があります。カーボンニュートラルに向けた世界的気運の更なる高まり、人的資本への対応など、非財務分野への更なる対応に関する社会的要求が高まっていることは周知のとおりです。また、環境対応力の高さを今後の成長の源泉として位置付けており、循環型経済への転換を積極的に推進していきます。また、「経営基盤の強化」として、前中期経営計画において人事制度の見直しを検討してきました。2024年度より、当社は新人事制度として、年齢や勤続年数を重視した制度から、職責や期待する役割・能力を重視した制度へ移行し、運用が始まりました。多様化するキャリアパスへの対応や専門性が活かされる仕組みづくりを含め、「働きがいのある企業風土の醸成」に取り組みます。・基本コンセプト「グループ全体の収益力強化」「発泡樹脂製品による社会への貢献」*「経営基盤の強化」① 人材育成の強化② 労働安全と環境保全③ コーポレート・ガバナンスの強化④ 情報システム基盤の強化⑤ 働きがいのある企業風土の醸成⑥ 人材の多様性*「発泡樹脂製品による社会への貢献」とは、前中期経営計画における基本コンセプトの一つ「経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大」と同じ考え方です。 ・最終年度/第69期(2027年3月期)の定量目標と前提条件 <定量目標>売上高 160,000百万円、営業利益 10,000百万円、営業利益率 6.3%<前提条件>為替:140円/米ドル、150円/ユーロ、20.0円/人民元 原油価格(ドバイ):90米ドル/バーレル (要約セグメント情報)(単位:百万円)事業の種類第68期 実績第69期 中期計画売上高営業利益売上高営業利益押出事業49,5502,05854,0002,600ビーズ事業95,9056,633106,0008,600計145,4568,691160,00011,200調整額-△926-△1,200合計145,4567,765160,00010,000 ・設備投資計画 持続的成長及び収益性強化を目的とした戦略的投資として、メキシコのラモス・アリスペ工場の新設、インドのプネ工場の新設、チェコのヘブ工場の生産能力増強などARPRO生産能力増強のほか、自動化、省力化、省エネ化など合理化効果の高い設備投資を積極的に行います。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 成長戦略の推進における課題・長期ビジョン『VISION2027』では、当社グループの進むべき事業領域を(ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)FPD表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&A)の4つとし、中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)においても定量目標を設定し取り組んでおります。 4つの成長エンジン(2023年度数量比) ARPRO事業建築住宅断熱材FPD表面保護材新たな事業領域中期経営計画目標値(2026年度)23%増15%増21%増売上高 50億円2025年度実績8%増23%増12%減売上高 29億円 (ⅰ)ARPRO事業 2025年度のARPRO事業は、中国や台湾においてバッテリー用包材やAIサーバー用包材の分野で需要が増加し、北米では堅調に推移しましたが、欧州においてHVAC(*1)関連部品向け需要は回復傾向がみられているものの2023年度比では停滞していることもあり、全体としては8%増の販売数量となりました。2026年度は中東情勢の悪化の影響により需要の予測が困難な状況ですが、引き続きHVAC関連部品や輸送用通い函など非自動車部品分野への用途拡大に注力してまいります。また、中東情勢の悪化に伴う原料価格の高騰を背景に、リサイクル材の活用や省エネ性能へのニーズが一層高まる中、ARPROのグローバル対応力と高い開発・提案力という優位性を活かし、市場シェアの拡大を加速してまいります。*1 空調システムを指します。Heating(暖房)、Ventilation(換気)、Air Conditioning(空調)。(ⅱ)建築住宅断熱材(*2) 住宅着工件数が伸び悩む中で、伸び筋分野であるミラフォームラムダやプレカット品などの高付加価値製品の拡販が進展しており、収益性向上を目指しております。*2 中期経営計画より高付加価値製品の増加率で目標設定しております。(ⅲ)FPD表面保護材 2025年度のFPD関連保護材は、底堅い需要はありましたが、国内メーカーの事業撤退や顧客の生産工程見直し等により、販売は低調に推移しました。新たな顧客獲得に注力するとともに、顧客要求に対する技術提案力により増販を目指してまいります。(ⅳ)新たな事業領域 欧州における射出成形事業のグループ会社2社が完全子会社となり、両社の技術力と販売ネットワークを最大限に活用し、当社グループの更なる企業価値向上を推進しております。また、OROUS(*3)およびイシリアル(*4)の新製品については、市場開拓を積極的に推進しております。*3 当社が開発した連続気泡構造の樹脂材料です。切削加工性・断熱性・軽量性・吸音性に優れ、各産業分野における応用が期待されております。*4 当社が開発した新素材であり、軽量、高耐熱性など多彩な特性を備え、製造時のCO2排出量が一般的なコンクリートの20~30%と非常に低く、環境に配慮した材料であります。 ② 収益性改善における課題・2027年3月期は、中東情勢の緊迫化などを背景に、事業環境の先行き不透明感が一段と高まるものと見込んでおります。原材料価格や物流費、エネルギーコストの上昇が想定される中、適時・適切な製品価格改定を進めるとともに、コスト削減や高付加価値製品の拡販による販売構成の改善に取り組む必要があります。あわせて、業務効率化を推進し、安定供給と収益性の確保を図ることを重要な課題としております。 ③ 中期経営計画の基本コンセプトに関わる課題・2026年度は、中東情勢の緊迫化や地政学的リスクの高まりを背景に、原油・ナフサをはじめとする原燃料の供給不安や価格高騰が懸念されております。加えて、物流網の混乱やエネルギーコストの上昇、為替変動等の影響により、主原料であるスチレンモノマーやポリスチレン等の原料価格についても不安定な状況が継続する可能性があります。また、原料メーカーにおける労務費、設備維持費、物流費等の上昇に伴う価格転嫁の圧力の高まりに加え、当社グループにおいても労務費や修繕費、各種コストの上昇が見込まれることから、収益確保に向けた対応が重要な課題であると認識しております。このような事業環境のもと、中期経営計画の基本コンセプトである「グループ全体の収益力の強化」に向けて、適切な製品価格の改定、高付加価値製品への販売構成のシフト、生産性向上によるコスト削減、安定調達体制の強化等を推進し、収益基盤の強化に取り組んでまいります。・資源の有効活用やエネルギー使用量の低減に対する社会的要請は一層強まっております。加えて、地球温暖化対策や海洋プラスチック問題への対応、並びにESG課題への関心の高まりを背景に、プラスチック資源循環の推進やGHG排出量削減など、サステナビリティ関連の取組の重要性はさらに増しております。今後は、資源循環の高度化や省エネルギー化への対応が一段と加速していくものと認識しております。これらの事業環境の変化に対し、当社グループは、「発泡樹脂製品による社会への貢献」を基本コンセプトの一つとして、リサイクル材の活用拡大、製品の軽量化や省資源化、省エネルギー活動の推進等に取り組むとともに、環境対応型製品の提供を通じて、顧客及び社会の課題解決と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。・当社は、「経営基盤の強化」の一環として、「働きがいのある企業風土の醸成」を重要課題と位置付けております。2024年度より運用を開始した新人事制度については、2026年度において制度導入後3年目を迎えることから、更なる浸透と運用強化を推進してまいります。職責や期待役割・能力に基づく人事制度の定着を図ることで、多様なキャリアパスへの対応や専門性を活かした人材活用を進めるとともに、公正かつ納得感のある評価・処遇の実現に取り組んでまいります。また、定期的な面談や人材育成施策の充実を通じて、社員一人ひとりの成長支援を強化するとともに、働きやすさと働きがいの向上に向けた取組を推進し、社員エンゲージメントの向上を図ってまいります。・「経営基盤の強化」の中で、重要課題と認識している事項は、「情報システム基盤の強化」であります。近年、サイバー攻撃の高度化や情報漏えいリスクの高まりに加え、グループ全体でのデジタル活用の拡大が進むなか、情報セキュリティ対策及びITガバナンスの強化が重要性を増しております。当社グループにおいては、生産工程における自動化・省力化の推進に加え、単なるデジタル化にとどまらず、業務プロセス全体の最適化を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しております。あわせて、グループ全体での情報セキュリティ水準の向上に向け、システム管理体制の整備、情報資産管理の強化、従業員への教育・啓発活動等を継続的に実施し、サイバーセキュリティリスクへの対応強化に取り組んでまいります。 ④ その他の課題・資本財務戦略として、売上高利益率の改善だけでなく、資本コストと株価を意識した取組を重要視しております。資本収益性と財務健全性を両立した資本構成に向け、バランスシートのコントロールを意識した経営運営を課題と認識しております。・企業価値の持続的な向上には、投資家やステークホルダーとの信頼関係の強化がこれまで以上に重要となっております。そのためには、IR情報の発信力を高めるとともに、双方向の対話をより一層深めていくことが求められております。透明性と信頼性を高める情報開示と積極的なコミュニケーションを通じて、持続可能な企業価値の実現に向けた基盤づくりが不可欠と認識しております。・少子高齢化に伴う労働人口の不足、デジタル革命が進む中で専門性の高い特定分野の人材不足など、適時に人材を確保することが年々厳しくなっております。組織の活性化・効率化を推進するとともに、人的資本経営を意識した人材育成システムの充実化を図り、グローバル企業として更なる組織強化に努めてまいります。また、生産工程の短縮、製造ラインの自動化などの対策を実施することで、人手不足解消に努めてまいります。・持続的な成長を実現するためには、イノベーションの創出とそれを支える技術の事業化がこれまで以上に重要となっております。そのため、研究開発部門と新事業開発部門の連携を一層強化し、社内の基礎技術や社外の先進技術を活用した新たな価値創出に取り組む体制の強化が求められております。技術力を成長エンジンへとつなげていく仕組みづくりが、今後の重要な課題であると認識しております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。 (1)会社の企業理念 当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念とし、コア事業である発泡樹脂製品及び新しい素材を用い、省資源・省エネルギーで社会生活の利便性向上に寄与する価値を、社会に提供していくことを使命としております。 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標a.長期ビジョン 第61期(2019年3月期)スタートにあたり、10年スパンの長期的な方向性を示す『VISION2027』を策定しました。長期ビジョンでは、「顧客と消費者に感動を届ける」、「株主と地域社会に満足を届ける」、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」など、すべてのステークホルダーに感動と満足を届けることの意を込め、新しい経営方針「Deliver with WOW!」を定め、将来のありたい姿を「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」とし、海外市場に目を向けた地理的拡大、独自技術の強みを活かした新規需要の掘り起こしや周辺領域への事業拡大などを積極的に推進してまいります。 (経営方針) 「Deliver with WOW!」・VISION2027の基本方針①既存事業の強化・拡大②事業領域の拡大③経営基盤の強化 ・2027年度の定量的ビジョン 売上高 180,000百万円、営業利益 18,000百万円、営業利益率 10% ・進むべき事業領域 (ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)FPD(フラットパネルディスプレイ)表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&Aとして売上高30,000百万円規模を目指します)の4つの成長エンジンを、今後の進むべき事業領域として位置付けました。 b.中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)について 第67期から第69期を実行期間とする中期経営計画「Change for Growth 2026」では、「グループ全体の収益力強化」を基本コンセプトの第一に掲げ、市場環境の変化のみに頼らない主体的な持続的成長を目指すと同時に、資本効率を意識した経営を実施してまいります。また、前中期経営計画において推進してきたサステナビリティ経営をさらに突き詰める必要があります。カーボンニュートラルに向けた世界的気運の更なる高まり、人的資本への対応など、非財務分野への更なる対応に関する社会的要求が高まっていることは周知のとおりです。また、環境対応力の高さを今後の成長の源泉として位置付けており、循環型経済への転換を積極的に推進していきます。また、「経営基盤の強化」として、前中期経営計画において人事制度の見直しを検討してきました。2024年度より、当社は新人事制度として、年齢や勤続年数を重視した制度から、職責や期待する役割・能力を重視した制度へ移行し、運用が始まりました。多様化するキャリアパスへの対応や専門性が活かされる仕組みづくりを含め、「働きがいのある企業風土の醸成」に取り組みます。・基本コンセプト「グループ全体の収益力強化」「発泡樹脂製品による社会への貢献」*「経営基盤の強化」① 人材育成の強化② 労働安全と環境保全③ コーポレート・ガバナンスの強化④ 情報システム基盤の強化⑤ 働きがいのある企業風土の醸成⑥ 人材の多様性*「発泡樹脂製品による社会への貢献」とは、前中期経営計画における基本コンセプトの一つ「経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大」と同じ考え方です。 ・最終年度/第69期(2027年3月期)の定量目標と前提条件 <定量目標>売上高 160,000百万円、営業利益 10,000百万円、営業利益率 6.3%<前提条件>為替:140円/米ドル、150円/ユーロ、20.0円/人民元 原油価格(ドバイ):90米ドル/バーレル (要約セグメント情報)(単位:百万円)事業の種類第68期 実績第69期 中期計画売上高営業利益売上高営業利益押出事業49,5502,05854,0002,600ビーズ事業95,9056,633106,0008,600計145,4568,691160,00011,200調整額-△926-△1,200合計145,4567,765160,00010,000 ・設備投資計画 持続的成長及び収益性強化を目的とした戦略的投資として、メキシコのラモス・アリスペ工場の新設、インドのプネ工場の新設、チェコのヘブ工場の生産能力増強などARPRO生産能力増強のほか、自動化、省力化、省エネ化など合理化効果の高い設備投資を積極的に行います。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 成長戦略の推進における課題・長期ビジョン『VISION2027』では、当社グループの進むべき事業領域を(ⅰ)ARPRO事業、(ⅱ)建築住宅断熱材、(ⅲ)FPD表面保護材、(ⅳ)新たな事業領域(新規事業創出及びM&A)の4つとし、中期経営計画「Change for Growth 2026」(第67期~第69期)においても定量目標を設定し取り組んでおります。 4つの成長エンジン(2023年度数量比) ARPRO事業建築住宅断熱材FPD表面保護材新たな事業領域中期経営計画目標値(2026年度)23%増15%増21%増売上高 50億円2025年度実績8%増23%増12%減売上高 29億円 (ⅰ)ARPRO事業 2025年度のARPRO事業は、中国や台湾においてバッテリー用包材やAIサーバー用包材の分野で需要が増加し、北米では堅調に推移しましたが、欧州においてHVAC(*1)関連部品向け需要は回復傾向がみられているものの2023年度比では停滞していることもあり、全体としては8%増の販売数量となりました。2026年度は中東情勢の悪化の影響により需要の予測が困難な状況ですが、引き続きHVAC関連部品や輸送用通い函など非自動車部品分野への用途拡大に注力してまいります。また、中東情勢の悪化に伴う原料価格の高騰を背景に、リサイクル材の活用や省エネ性能へのニーズが一層高まる中、ARPROのグローバル対応力と高い開発・提案力という優位性を活かし、市場シェアの拡大を加速してまいります。*1 空調システムを指します。Heating(暖房)、Ventilation(換気)、Air Conditioning(空調)。(ⅱ)建築住宅断熱材(*2) 住宅着工件数が伸び悩む中で、伸び筋分野であるミラフォームラムダやプレカット品などの高付加価値製品の拡販が進展しており、収益性向上を目指しております。*2 中期経営計画より高付加価値製品の増加率で目標設定しております。(ⅲ)FPD表面保護材 2025年度のFPD関連保護材は、底堅い需要はありましたが、国内メーカーの事業撤退や顧客の生産工程見直し等により、販売は低調に推移しました。新たな顧客獲得に注力するとともに、顧客要求に対する技術提案力により増販を目指してまいります。(ⅳ)新たな事業領域 欧州における射出成形事業のグループ会社2社が完全子会社となり、両社の技術力と販売ネットワークを最大限に活用し、当社グループの更なる企業価値向上を推進しております。また、OROUS(*3)およびイシリアル(*4)の新製品については、市場開拓を積極的に推進しております。*3 当社が開発した連続気泡構造の樹脂材料です。切削加工性・断熱性・軽量性・吸音性に優れ、各産業分野における応用が期待されております。*4 当社が開発した新素材であり、軽量、高耐熱性など多彩な特性を備え、製造時のCO2排出量が一般的なコンクリートの20~30%と非常に低く、環境に配慮した材料であります。 ② 収益性改善における課題・2027年3月期は、中東情勢の緊迫化などを背景に、事業環境の先行き不透明感が一段と高まるものと見込んでおります。原材料価格や物流費、エネルギーコストの上昇が想定される中、適時・適切な製品価格改定を進めるとともに、コスト削減や高付加価値製品の拡販による販売構成の改善に取り組む必要があります。あわせて、業務効率化を推進し、安定供給と収益性の確保を図ることを重要な課題としております。 ③ 中期経営計画の基本コンセプトに関わる課題・2026年度は、中東情勢の緊迫化や地政学的リスクの高まりを背景に、原油・ナフサをはじめとする原燃料の供給不安や価格高騰が懸念されております。加えて、物流網の混乱やエネルギーコストの上昇、為替変動等の影響により、主原料であるスチレンモノマーやポリスチレン等の原料価格についても不安定な状況が継続する可能性があります。また、原料メーカーにおける労務費、設備維持費、物流費等の上昇に伴う価格転嫁の圧力の高まりに加え、当社グループにおいても労務費や修繕費、各種コストの上昇が見込まれることから、収益確保に向けた対応が重要な課題であると認識しております。このような事業環境のもと、中期経営計画の基本コンセプトである「グループ全体の収益力の強化」に向けて、適切な製品価格の改定、高付加価値製品への販売構成のシフト、生産性向上によるコスト削減、安定調達体制の強化等を推進し、収益基盤の強化に取り組んでまいります。・資源の有効活用やエネルギー使用量の低減に対する社会的要請は一層強まっております。加えて、地球温暖化対策や海洋プラスチック問題への対応、並びにESG課題への関心の高まりを背景に、プラスチック資源循環の推進やGHG排出量削減など、サステナビリティ関連の取組の重要性はさらに増しております。今後は、資源循環の高度化や省エネルギー化への対応が一段と加速していくものと認識しております。これらの事業環境の変化に対し、当社グループは、「発泡樹脂製品による社会への貢献」を基本コンセプトの一つとして、リサイクル材の活用拡大、製品の軽量化や省資源化、省エネルギー活動の推進等に取り組むとともに、環境対応型製品の提供を通じて、顧客及び社会の課題解決と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。・当社は、「経営基盤の強化」の一環として、「働きがいのある企業風土の醸成」を重要課題と位置付けております。2024年度より運用を開始した新人事制度については、2026年度において制度導入後3年目を迎えることから、更なる浸透と運用強化を推進してまいります。職責や期待役割・能力に基づく人事制度の定着を図ることで、多様なキャリアパスへの対応や専門性を活かした人材活用を進めるとともに、公正かつ納得感のある評価・処遇の実現に取り組んでまいります。また、定期的な面談や人材育成施策の充実を通じて、社員一人ひとりの成長支援を強化するとともに、働きやすさと働きがいの向上に向けた取組を推進し、社員エンゲージメントの向上を図ってまいります。・「経営基盤の強化」の中で、重要課題と認識している事項は、「情報システム基盤の強化」であります。近年、サイバー攻撃の高度化や情報漏えいリスクの高まりに加え、グループ全体でのデジタル活用の拡大が進むなか、情報セキュリティ対策及びITガバナンスの強化が重要性を増しております。当社グループにおいては、生産工程における自動化・省力化の推進に加え、単なるデジタル化にとどまらず、業務プロセス全体の最適化を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しております。あわせて、グループ全体での情報セキュリティ水準の向上に向け、システム管理体制の整備、情報資産管理の強化、従業員への教育・啓発活動等を継続的に実施し、サイバーセキュリティリスクへの対応強化に取り組んでまいります。 ④ その他の課題・資本財務戦略として、売上高利益率の改善だけでなく、資本コストと株価を意識した取組を重要視しております。資本収益性と財務健全性を両立した資本構成に向け、バランスシートのコントロールを意識した経営運営を課題と認識しております。・企業価値の持続的な向上には、投資家やステークホルダーとの信頼関係の強化がこれまで以上に重要となっております。そのためには、IR情報の発信力を高めるとともに、双方向の対話をより一層深めていくことが求められております。透明性と信頼性を高める情報開示と積極的なコミュニケーションを通じて、持続可能な企業価値の実現に向けた基盤づくりが不可欠と認識しております。・少子高齢化に伴う労働人口の不足、デジタル革命が進む中で専門性の高い特定分野の人材不足など、適時に人材を確保することが年々厳しくなっております。組織の活性化・効率化を推進するとともに、人的資本経営を意識した人材育成システムの充実化を図り、グローバル企業として更なる組織強化に努めてまいります。また、生産工程の短縮、製造ラインの自動化などの対策を実施することで、人手不足解消に努めてまいります。・持続的な成長を実現するためには、イノベーションの創出とそれを支える技術の事業化がこれまで以上に重要となっております。そのため、研究開発部門と新事業開発部門の連携を一層強化し、社内の基礎技術や社外の先進技術を活用した新たな価値創出に取り組む体制の強化が求められております。技術力を成長エンジンへとつなげていく仕組みづくりが、今後の重要な課題であると認識しております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、北米の通商政策動向や中東地域の緊迫化による地政学的リスクの高まりなどにより、先行き不透明な状況となりました。日本経済は、金利上昇や為替変動が継続し、中東情勢の影響による景気の下振れリスクの懸念もあり、企業業績や雇用・所得環境の改善に足踏みがみられるものの、個人消費の持ち直しや設備投資の増加などを通じて緩やかな回復基調となりました。国内発泡プラスチック業界におきましては、食品トレー向け分野での需要は減少傾向となり、水産分野向けでは需要回復の足踏み状態が継続し、物価上昇による影響もあり厳しい状況となりました。このような状況のもと当社グループは、新中期経営計画「Change for Growth 2026」の2年目を迎え、3つの基本コンセプトである「グループ全体の収益力強化」、「発泡樹脂製品による社会への貢献」、「経営基盤の強化」をより推進し、資本収益性の向上、成長分野への経営資源の集中、環境対応型製品やプラスチック資源循環でのサステナビリティ経営など、更なる企業価値向上に取り組みました。当社グループの経営成績は、販売は前期並みとなりましたが、売上高は増加しました。営業利益は、付加価値の高い製品が好調に推移したことにより前期を上回りました。特別利益は、主に退職金制度における一部制度の移行によるものです。これらの結果、当連結会計年度の売上高は、145,456百万円(前期比2.3%増)となりました。利益面では、営業利益は7,765百万円(同12.7%増)、経常利益は8,092百万円(同10.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,602百万円(同30.3%増)となりました。 セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。 (押出事業)食品容器用の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」を中心とした生活資材製品は、広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」の販売は前期並みとなりましたが、食品トレー向け分野の販売は減少したことから売上は減少しました。産業用包装材やフラットパネルディスプレイ向けの発泡ポリエチレンシート「ミラマット」を中心とした産業資材製品は、付加価値の高い製品及び汎用製品の販売は減少しましたが、一般包材が好調に推移したことから売上は増加しました。発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とした建築土木資材製品は、建築・住宅分野向け製品の販売は前期並みとなりましたが、ミラフォームラムダやプレカット品などの付加価値の高い製品の販売割合が増加したことや、土木分野向けの販売が増加したことから売上は増加しました。押出事業全体としては、販売は減少しましたが、売上は前期並みとなりました。利益面では、一般包材及び建築・住宅分野向けの付加価値の高い製品が好調に推移したことにより増益となりました。これらの結果、押出事業の売上高は49,550百万円(前期比0.3%増)、営業利益は2,058百万円(同25.1%増)となりました。 (ビーズ事業)世界各国で製造販売している発泡ポリプロピレン「ARPRO」を中心とした高機能材製品は、自動車分野及び非自動車分野ともに販売は増加したことから売上は増加しました。地域ごとの販売数量概況は、国内では、自動車分野は増加しましたが、非自動車分野では減少しました。北米では、非自動車分野は前期並みとなり、自動車分野は増加しました。南米では、自動車分野は増加しました。欧州では、HVAC向けは需要回復が遅れているものの前期並みとなり、自動車分野もリサイクル原料を使用した製品の販売が増加しましたが、前期並みとなりました。中国及び台湾では、包装材分野は好調に推移しました。東南アジアでは、自動車分野は増加しました。発泡性ポリスチレン「スチロダイア」を中心とした発泡性ビーズ製品は、水産分野などでの需要の影響により販売は減少し、売上も減少しました。ビーズ事業全体としては、販売は中国及び台湾での好調により増加し、売上も増加しました。利益面では、高機能材製品の販売増加に加えて、固定費削減に努めたことにより増益となりました。これらの結果、ビーズ事業の売上高は95,905百万円(前期比3.3%増)、営業利益は6,633百万円(同4.1%増)となりました。 ② 財政状態の状況 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ10,912百万円増加し164,848百万円となりました。 流動資産は、3,244百万円増加し81,938百万円となりました。増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が2,155百万円増加したことなどによるものです。 固定資産は、7,667百万円増加し82,909百万円となりました。増加の主な要因は、建物及び構築物(純額)が1,251百万円、機械装置及び運搬具(純額)が3,444百万円増加したことなどによるものです。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,253百万円増加し51,334百万円となりました。 流動負債は、2,908百万円増加し36,901百万円となりました。 固定負債は、344百万円増加し14,432百万円となりました。 これらの結果、当連結会計年度末の純資産合計は113,514百万円、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.3ポイント増加し65.9%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、増加要因である税金等調整前当期純利益8,641百万円、減価償却費8,124百万円、棚卸資産の減少額1,919百万円などに対し、減少要因である売上債権の増加額1,744百万円、法人税等の支払額1,582百万円などにより、差引き16,349百万円の収入(前期比7,452百万円増加)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出10,359百万円などに対し、定期預金の純減少額2,277百万円などにより、差引き8,574百万円の支出(同37百万円減少)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入4,920百万円などに対し、主に営業活動によるキャッシュ・フローによる収入を充当した長期借入金の返済による支出5,908百万円、配当金の支払額2,096百万円などにより、差引き3,745百万円の支出(同87百万円減少)となりました。 これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ4,640百万円増加し、16,567百万円となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比増減率(%)押出事業40,456△3.4ビーズ事業78,1540.1合計118,610△1.1(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。2 金額は平均販売価格により算出しております。 b.受注実績 当社グループは原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比増減率(%)押出事業49,5500.3ビーズ事業95,9053.3合計145,4562.3(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析・検討 当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載したとおりであります。それを踏まえ、次のとおり事業全体及びセグメントごとの経営成績等に重要な影響を与えた要因や当該要因への対応について分析・検討を行っております。(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期比(%)売上高142,250145,456102.3%営業利益6,8887,765112.7%経常利益7,3118,092110.7%親会社株主に帰属する当期純利益5,0666,602130.3% 前期と比較した、当連結会計年度の売上高及び利益の主な定性的増減要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載したとおりであります。なお、営業利益は前期比で876百万円の増益となりましたが、定量的な増減要因として、増加要因は主に中国、北米、台湾の需要好調による販売数量の増加(1,170百万円)、国内を中心とした販売単価の見直し(860百万円)などであります。一方減少要因は、国内における製造労務費等の増加と欧州におけるグループ会社の完全子会社化による固定費の増加(△860百万円)、原材料価格の上昇による変動費単価の悪化(△280百万円)などであります。 今期におきましては、中東情勢の緊迫化を背景に、先行き不透明な状況が一段と強まるものと見込まれます。各国・地域の経済活動への影響が懸念されるなか、景気の減速に加え、インフレ率の上昇が想定されております。特にエネルギー市場では、中東情勢の緊迫化に伴い原油価格の動向に不確実性が高まっており、紛争の長期化や供給面の懸念から、原油価格が高水準で推移する可能性があります。このような環境下、原材料価格や物流費、エネルギーコストの上昇が見込まれるほか、自動車部品、建築資材、包装資材など幅広い分野において、コスト増加や供給体制への懸念が生じております。これらの影響により、企業の設備投資や生産活動、並びに消費者の購買行動が慎重化し、製品需要の先行きについても不透明な状況が続くものと見込まれます。業績見通しの策定にあたっては、市場動向や原材料・エネルギー価格の推移を踏まえ、サプライチェーンについては、重大な供給制約や物流混乱が発生しない前提のもと、現時点で入手可能な情報に基づき算定しております。 こうしたなか、当社グループは、コスト上昇について適切な製品価格改定を行うとともに、業務効率化を推進し、安定供給と収益性の確保に努めてまいります。 中期的な課題への対応としては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「グループ全体の収益力強化」を基本コンセプトの第一に掲げ、市場環境の変化のみに頼らない主体的な持続的成長を目指すと同時に、資本効率を意識した経営を実施してまいります。 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (押出事業)(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期比(%)売上高49,38549,550100.3%営業利益1,6452,058125.1% 食品容器用の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」を中心とした生活資材製品は、循環型耐熱反、環境対応型製品やマスバランス方式の製品など高付加価値製品の販売を推進してまいります。 発泡ポリエチレンシート「ミラマット」を中心とした産業資材製品は、付加価値の高い製品及び汎用製品の販売は減少しましたが、一般包材が好調に推移したことから売上は増加しました。今期は、付加価値の高い製品の品種構成をさらに高めていきます。 発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とした建築土木資材製品は、建築・住宅分野向け製品の販売は前期並みとなりました。今期は、高付加価値、高性能製品の拡販と新規製品開発を推進することにより、高利益率製品へのポートフォリオの入れ替えを推進してまいります。 (ビーズ事業)(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期比(%)売上高92,86595,905103.3%営業利益6,3736,633104.1% 「ARPRO」を中心とした高機能材製品は、自動車分野及び非自動車分野ともに販売は増加したことから売上は増加しました。当社グループのグローバル対応力や開発・提案力といったブランド戦略を推進し、サステナビリティ経営に則し、省エネ・軽量化やリサイクルなど各地域の市場の要求に対応した次世代製品を投入し、マーケットシェアの拡大と顧客満足度の最大化を図ります。また、成長が見込まれる非自動車部品分野において、既存領域の深耕と新規分野への展開を通じて拡販を図ってまいります。「スチロダイア」を代表とする発泡性ビーズ製品は、水産分野などでの需要の影響により販売は減少し、売上も減少しました。市場動向、販売規模に見合った生産体制を構築し、事業収益の安定化を図ります。 b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報 当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況及び③ キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。 当社グループの運転資金及び設備資金等の充当につきましては、自己資金及び金融機関からの短期及び長期の借入金を基本とし、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保しております。 また、当社グループ内において、資金の有効活用を目的とした、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及びタームローンを実施しております。 当連結会計年度末現在、借入金残高は、長期借入金7,889百万円、1年内返済予定の長期借入金5,758百万円、短期借入金8,040百万円となっております。 なお、2027年3月期の設備投資総額は11,000百万円を計画しております。ARPROの生産能力増強として、米国のジャクソン工場の拡張、タラホーマ第二工場の増強を計画しており、国内はミラフォームの割付断裁能力の増強のほか、足元では自動化や省エネ化等の設備投資を積極的に行います。 セグメントごとの設備投資計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。 c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 ② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 主要市場環境の変化JSPグループは、中期経営計画でARPRO事業、建築住宅断熱材、FPD表面保護材などを成長の原動力としていますが、需要や経済情勢、技術動向、法規制の改定など、様々な要因による市場環境の変化によって計画通りに進まない可能性があります。特に中東情勢の緊迫化は、需要の先行きに不透明感をもたらし、業績に影響を与える可能性があります。
- 海外事業展開に伴うリスクJSPグループは世界各地で事業を展開しており、各地域の政治・経済情勢、環境規制、為替レートの変動、労働争議、人材確保の困難さなどが事業活動に支障をきたし、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。グローバル事業部によるPDCA管理や内部統制機能の強化でリスク低減を図っていますが、完全に回避することは困難です。
- 原燃料価格の変動と価格競争の激化JSPグループの製品は原油やナフサ価格に大きく影響されるため、原燃料価格の変動が業績に影響を与える可能性があります。特に価格上昇局面では、製品価格への転嫁の遅れが収益悪化を招きやすい傾向があります。また、アジア地域を中心に価格競争が激化しており、コスト低減や高付加価値製品へのシフトで競争優位性を維持する必要があります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 当社グループは毎年リスクアセスメントを実施し、リスクの特定、分析、評価を行い、リスク顕在化の未然防止及び低減に努めております。 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性がある主要な事業等のリスクは以下のとおりであります。これらの事業等のリスクは、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、全てのリスクを網羅したものではなく、リスクアセスメントの結果を加味して投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。 (1) 事業(外部)環境に関するリスク① 主要市場環境の変化 当社グループは、2025年3月期から2027年3月期の3ヶ年を実行期間とする中期経営計画「Change for Growth 2026」を2024年4月よりスタートしました。本計画の対象期間は、10年スパンのありたい姿を定めた長期ビジョン『VISION2027』の最終段階であり、ありたい姿である「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」の実現に向け、大きな転換期とする3ヶ年であると認識しております。 本計画では、基本コンセプトのひとつの柱として「グループ全体の収益力の強化」を掲げ、事業領域の拡大、事業地域の拡大を目指してまいります。前中期経営計画に引き続き、「ARPRO事業」「建築住宅断熱材」「FPD表面保護材」を持続的成長の原動力として位置付け、数量拡大に加え高付加価値製品の販売に注力することで利益率向上を図り収益拡大を目指す計画としておりますが、需要や経済情勢、技術動向、法規制の改定等、様々な要因による市場環境の変化によっては計画どおりに進まない可能性があります。2027年3月期については、中東情勢の緊迫化により、需要の先行きに不透明感が増しています。 当社グループは、市場環境の変化に対応するため、上記既存事業に加え新しい事業領域への展開を進めてまいります。また、環境問題への意識の高まりに対し、サステナビリティ経営に軸足を置いた変革戦略を進め、循環型経済に対応した製品とサービスの提供に努めてまいります。 ② 海外事業展開に関するリスク 当社グループは、北米、南米、欧州、アジアの各地域で広く事業を展開しておりますが、各地域の政治的または経済的要因、環境規制等による投資許可、移転価格税制上の問題、社会情勢の変化や各種規制の動向、労働争議、人材確保の困難さ、為替レートの変動等が各地域の事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、当社グローバル事業部が各拠点のPDCAサイクルを管理することでリスク低減に努めております。また、グループガバナンス強化として内部統制機能の更なる充実化を図ってまいります。 ③ 価格競争の激化 当社グループの製品群はライフサイクルの長いものもあり、多くの製品は厳しい価格競争に晒されています。特にアジア地域では、現地企業の参入や台頭など様々な要因により今後も厳しい価格競争が予想されます。 当社グループは、コスト低減に注力するとともに、高付加価値製品シフトによる競合優位性を維持拡大することで適正な利益率の確保に努めてまいります。 ④ 原燃料価格等の変動 当社グループの使用する原料や燃料は、原油及びナフサ価格の変動に大きく影響されるため、価格が大きく変動することがあります。当社グループの場合、原燃料価格が上昇する局面において、製品価格への反映の遅れなどにより業績の悪化を招き易い傾向にあります。 2027年3月期は、中東情勢の緊迫化によるホルムズ海峡の封鎖が原油及びナフサの供給不安をもたらし、当社グループの使用する原料の調達も不透明になっております。このことから、原料価格も高騰しており、ホルムズ海峡の封鎖解除後も当分の間、原料価格の高止まりが予想されます。 当社グループは、原燃料価格変動に影響を受けない経営基盤構築として、適時に製品価格に反映するため取引先との価格のフォーミュラ化を推進するとともに、コスト低減に努めてまいります。 (2) 事業運営に関するリスク① 人材の確保について 少子高齢化に伴う労働人口の不足、デジタル革命が進む中で専門性の高い特定分野の人材不足など、適時に人材を確保することが年々厳しくなっております。また、人手不足は生産・物流面でコストアップの大きな要因になりつつあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社グループは、長期ビジョン『VISION2027』の基本方針「経営基盤の強化」の中で、人材育成を経営の重要課題のひとつとして捉え、人材育成システムの充実化を図り、グローバル企業として更なる組織強化に努めてまいります。また、生産工程の短縮、製造ラインの自動化などの対策を実施することで、人手不足解消に努めてまいります。 なお、人的資本に関する具体的な取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」および「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1)人材戦略に関する基本方針等」に記載しております。 ② 感染症拡大(パンデミック)に関するリスク 感染症や伝染病などの拡大に伴い、当社グループの従業員が感染し従業員同士の接触等により社内での感染が拡大した場合には、工場における生産及び出荷に支障をきたし、ある一定期間操業を停止する可能性があります。また、当社グループの工場が稼働可能であっても、原料の供給が停止する場合など、サプライチェーンに問題が生じると操業停止にせざるを得ない状況となるリスクがあります。 新型コロナウイルスは、ほぼ収束したものと認識しておりますが、今後も拡大する可能性はあり一定の感染対策は継続してまいります。また、新たな感染症拡大に備え、事業継続計画(BCP)の観点から本社機能の継続を想定した対策を整備しております。 ③ 知的財産権について 当社グループは、国際的な特許権をはじめとして知的財産を多く保有しておりますが、これらを保護することは将来の利益確保の面でも重要です。他社から侵害を受けたり他社との間で紛争が生じたりする場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、このリスクを回避すべく知的財産管理の統括部署である当社知的財産ユニットを中心として国内外で体制強化に努めております。 ④ 品質保証について 当社グループはメーカーとして、予期せぬ品質欠陥の発生や製造物責任訴訟のリスクが想定されます。当社グループの製品は、食品容器、自動車部品、建築住宅断熱材など最終製品の部材として使用されるものが多く、品質欠陥により顧客において甚大な損害につながる可能性があります。 当社グループは、各工場で品質マネジメントシステムの認証取得を積極的に進めるなど、品質保証体制強化に努めております。 ⑤ 固定資産の減損について 当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ビーズ事業に属する当社EPS事業の資産グループ及び国内連結子会社の資産グループの営業活動から生じる損益については、主原料であるスチレンモノマーの継続的な調達価格の上昇等を主要因として、前連結会計年度まで継続してマイナスとなっていたものの、当連結会計年度においては主に販売価格の適正化や生産コスト削減等の結果、プラスとなっております。加えて、翌連結会計年度以降の営業活動から生じる損益もプラスと見込んでいるため、減損の兆候は認められないと判断しました。この詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 今後、市場環境等の変化により、実際の結果が異なった場合又は、前提条件に変化が生じた場合には、翌連結会計年度において、減損損失を認識する可能性があります。 当社グループは、重要な投資に関して、当初計画から大きく乖離していないかを確認するため経営幹部の出席する主要会議で報告を求めるなど、定期的なモニタリングを実施しております。 ⑥ 情報セキュリティ・情報管理について IT技術が高度に進化する中で、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害、あるいは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性は完全に排除することはできません。 当社グループは、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化のため、関連規程を整備し、保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性の確保に努めるとともに、リスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理しております。また、外部からの当社グループの情報システムに対する攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練を実施しております。 ⑦ コンプライアンス・内部統制について 当社グループはグローバルに事業を展開する中で、世界各地域の法規制が変更されることによりその遵守が困難となり、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、その遵守のための新たな費用発生や事業活動が制限される可能性があります。 当社グループは、コンプライアンスをはじめとする適切な内部統制の重要性を認識し、そのシステムを構築し運用しております。具体的には、国内外共通の企業行動準則を定めその周知徹底を図る他、グループ社員全員が利用できる内部通報制度を整備するなど、コンプライアンス体制強化に努めております。 (3) 環境・安全等に関するリスク① 自然災害・事故災害について 当社グループは、国内外に多数の製造工場を有しており、工場における事故・労働災害、外部倉庫・製品輸送における事故、自然災害による生産設備への被害などが発生する可能性があります。 日本は自然災害の多発地域であり、当社グループの事業活動もその影響を受ける可能性があります。なかでも、発生が懸念されている南海トラフ巨大地震については、今後の発生確率が高いとされており、当社の四日市地区における工場等が被災した場合には、生産活動の停止や設備の損壊などにより、多大な損害を被る可能性があります。また、当社関西工場は山間部に立地していることから、大雨や洪水、土砂災害といった災害による被害を受けるリスクも想定されます。 これらの自然災害リスクに備えるため、当社グループでは地震保険および損害保険に加入し、万が一の損失発生時における影響の軽減を図っております。あわせて、無事故・無災害および安定供給を目標に、安全確保に向けた継続的な取組を推進しております。さらに、地震や風水害等への備えとして、災害対策マニュアルおよび事業継続計画(BCP)の策定、社員の安否確認システムの運用、防災訓練の実施など、平時からの体制整備にも努めております。 ② プラスチックの環境問題について 当社グループは、発泡プラスチックの機能性・利便性を通じて、省資源・省エネルギーなど地球エネルギー資源の保護及び地球環境への配慮を基本としており、社会や市場からの要求に応えております。一方で、プラスチックは不適切な処理により海洋ゴミになり、グローバルな社会問題となっております。また、パリ協定、SDGs、ESG課題への注目を背景として、プラスチックリサイクル、他素材への転換、脱プラスチックなどの動きが活発化しております。特に、欧州においてサーキュラー・エコノミーの動きが進展しており、今後さらに資源循環を追求する動きが加速すると想定しております。これらの動きに対し、対応が不十分あるいは遅れた場合には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 プラスチックの環境問題は、当社グループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)のひとつであると認識しており、環境対応型製品による社会への貢献、また廃プラスチックのマテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、再生原料の使用などの取組を積極的に進めております。 なお、当社グループは、気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会やシナリオ分析、戦略、指標、目標について、当社のサステナビリティ推進体制において審議し、これを取締役会において承認しております。シナリオ分析を通じて、気候変動によるリスクを低減するとともに、リスクを事業上の機会とできるよう当社グループの事業に則した戦略を推進してまいります。気候変動に関する具体的な取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。