8604

野村ホールディングス(8604)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

証券・商品先物取引業 金融(除く銀行)

事業の概要

  • 証券投資サービス業
    野村ホールディングスは、証券業を中核とする投資・金融サービスを提供しています。これは、お客様が株式や債券などの有価証券を売買したり、企業が資金を調達するのを手伝ったりする事業です。具体的には、有価証券の売買の仲介、新しい有価証券の発行を支援する引受け、お客様の資産を運用するアセット・マネジメントなど多岐にわたります。
  • グローバルな事業展開
    日本だけでなく、世界の主要な金融市場に営業拠点を持っており、世界中のお客様にサービスを提供しています。これにより、多様な地域の経済状況や金融ニーズに対応し、幅広い収益機会を得ています。
  • 自己資金投資と銀行業
    お客様へのサービスだけでなく、自己資金を使って有価証券に投資する事業も行っています。また、銀行業も営んでおり、金融サービス全般をカバーすることで、収益源の多様化と顧客基盤の強化を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ウェルス・マネジメント部門
    この部門は、お客様の資産を管理する「ストック型ビジネス」への転換を進めています。全国の野村證券の支店やデジタルチャネルを通じて、お客様一人ひとりの多様な資産管理ニーズに応える包括的なサービスを提供し、収益構造の安定化を図っています。
  • インベストメント・マネジメント部門
    お客様からお預かりした資金を運用する事業です。国内外の様々な資産クラスに投資することで、お客様の資産形成をサポートし、運用成績に応じた手数料収入を得ています。この部門の強化は、野村グループ全体の収益安定化に貢献します。
  • ホールセール部門
    法人のお客様(企業や機関投資家など)に対して、資金調達の支援(株式や債券の発行など)や、株式・債券の売買仲介、M&Aアドバイザリーなどのサービスを提供しています。この部門は、大規模な取引を通じて収益を上げ、成長と安定化を目指しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|595 文字
3【事業の内容】 当社および当社の連結子会社等(連結子会社および連結変動持分事業体、2026年3月末現在1,554社)の主たる事業は、証券業を中核とする投資・金融サービス業であり、わが国をはじめ世界の主要な金融資本市場を網羅する営業拠点等を通じ、お客様に対し資金調達、資産運用の両面で幅広いサービスを提供しております。具体的な事業として、有価証券の売買等および売買等の委託の媒介、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集および売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱い、自己資金投資業、アセット・マネジメント業、銀行業、その他の証券業および金融業等を営んでおります。なお持分法適用会社は2026年3月末現在15社であります。 当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 また、当社および当社の連結子会社等の業務運営および経営成績の報告は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 23 セグメントおよび地域別情報」に記載の事業別セグメントに基づいて行われております。事業別セグメントを構成する主要な関係会社については、以下の企業集団等の事業系統図をご参照ください。 ・企業集団等の事業系統図 ※1 持分法適用関連会社

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
仲介業務、引受業務などで激しい価格競争に直面しているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
証券業および金融業は、政府・金融当局による政策変更や規制強化の影響を強く受ける。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:日本経済および世界経済の情勢ならびに金融市場の動向 / 金融業界の激しい競争 / 市場低迷の長期化や市場参加者の減少による流動性低下
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

野村證券というブランド力は一定の認知度と信頼を得ている。しかし、金融業界全体でブランドへの依存度は相対的に低く、他社との差別化は限定的。M&Aやグローバル展開における無形資産の蓄積は道半ば。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

富裕層向け資産管理サービスや機関投資家向けサービスでは、担当者との信頼関係や過去の実績が重視され、顧客が他社へ乗り換える際の心理的・実務的ハードルは存在する。ただし、個人向け取引ではスイッチングコストは低い。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

証券会社としての情報網や顧客基盤は存在するが、明確なネットワーク効果(ユーザー増→価値増)は働きにくい構造。プラットフォーム型のビジネスモデルではないため、指数関数的な成長は見込みにくい。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

規模の経済は一部存在するものの、金融規制やコンプライアンスコスト、人材獲得競争により、構造的なコスト優位性を確立するのは困難。テクノロジー投資による効率化は進めているが、競合も同様。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

日本の証券業界において、野村證券はトップクラスの規模とカバレッジを持つ。特に投資銀行部門やウェルスマネジメント部門では、その規模が案件獲得やサービス提供能力に直結しており、一定の寡占状態を形成している。

  • グローバルな事業基盤
    野村ホールディングスは、日本を含む世界の主要な金融資本市場に広範な営業拠点を持っています。これにより、多様な国や地域のお客様にサービスを提供でき、特定の市場に依存しない安定した収益基盤を築いています。
  • 幅広い金融サービス
    証券の売買、引受け、資産運用(アセット・マネジメント)、銀行業など、多岐にわたる金融サービスを提供しています。これにより、お客様の様々なニーズにワンストップで応えることができ、顧客との関係を強化し、他社との差別化を図っています。
  • 長年の信頼と実績
    2025年には創立100周年を迎える歴史を持ち、金融資本市場の発展に貢献してきました。長年にわたる経験と実績は、お客様からの信頼に繋がり、安定した事業運営の基盤となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 持続的成長と収益安定化
    野村グループは、社会からの信頼とステークホルダーの満足度向上を通じて企業価値を高めることを目指しています。自己資本利益率(ROE)を経営目標とし、収益の安定化・多様化、資本効率性を意識した事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。
  • 新たな成長モデルの構築
    パブリック市場だけでなく、プライベート領域への拡大・強化を戦略の一つとして掲げています。資産管理ビジネスの推進、インベストメント・マネジメント部門の強化、デジタル金融サービスやサステナブル・ファイナンスといった新領域の開拓を通じて、新しい成長モデルを構築しようとしています。
  • 顧客中心の価値提供
    顧客やマーケットの声に真摯に耳を傾け、金融・資本市場を通じた付加価値の高い問題解決策を提供することを目指しています。法令遵守と適正な企業行動を重視し、顧客の利益を尊重しながら、あらゆる投資に関して最高のサービスを提供することを使命としています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (1)経営の基本方針① 経営の基本方針 当社は、「経営の基本方針」を取締役会で策定し、以下のとおり定めております。 [経営目標]野村グループは、社会からの信頼および株主・顧客をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高めることを経営目標とする。『グローバル金融サービス・グループ』として国内外の顧客に付加価値の高いソリューションを提供するとともに、当グループに課せられた社会的使命を踏まえて経済の成長や社会の発展に貢献していく。企業価値の向上にあたっては、経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図るものとする。 [グループ経営の基本観](1)新たな事業領域におけるビジネスの拡大をいち早く実現することにより、自ら新しい成長モデルを構築する。また、的確なコスト・コントロールおよびリスク・マネジメントにより、市場環境に左右されにくい収益構造を実現する。(2)顧客やマーケットの声に真摯に耳を傾け、ビジネスの可能性を広く捉えながら、金融・資本市場を通じた付加価値の高い問題解決策を顧客に提供し、あらゆる投資に関して最高のサービスを提供する会社を目指す。(3)法令・諸規則の遵守と適正な企業行動を重視し、日々の業務執行においてコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を実践する。野村グループ各社は、顧客の利益を尊重し、業務に関する諸規制を遵守する。(4)経営に対する実効性の高い監督機能の確保および経営の透明性の向上に努める。(5)事業活動を通じて証券市場の拡大に貢献するとともに、企業市民として、経済・証券に関する教育機会の提供を中心とした社会貢献活動に積極的に取り組む。(注) 当社および当社の連結子会社は「野村」として表示しておりますが、「経営の基本方針」については原文に沿って「野村グループ」として表示しております。 ② パーパス 2024年4月、野村は、2025年12月に創立100周年を迎えるにあたり、創業の精神や企業理念を受け継ぎつつ、次の100年につながるグループ経営の基礎となる野村のパーパスを策定しました。 パーパス金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する 野村は創立以来、金融資本市場の発展に寄与すべく、挑戦を続けてきました。急激に変化し複雑化する環境において、今後も当社の持つ知識やノウハウといった付加価値を提供し、金融資本市場を通じた多様な豊かさを実現していくために、さらなる取組みを進めていきます。「世界と共に挑戦し」には、さまざまなステークホルダーのより良い未来に向けた想いを実現するために、皆様と一緒に歩んでいくこと、当社においてはグループ全体で理想の姿を追求し、挑戦を続けていくことへの決意を込めました。「実現する」という言葉は、「豊かな社会の実現」に向けた野村のより強いコミットメントを示しております。 ③ 経営ビジョン 2024年5月、野村は、パーパスに沿った経営戦略を推進することを目的として、2030年度に向けた新経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を定めました。 野村は、幅広い金融サービスの提供を通じ、リスクマネーを循環させ、金融資本市場の発展、お客様への最適なソリューションの提供に取り組んでまいります。 (2)経営環境 当期においては、世界経済は全体として回復軌道を維持したものの、米国の関税政策、AI関連セクターへの期待と不安の交錯、日本の政治イベント、イラン情勢などの地政学イベントが市場の大きな変動要因となりました。米国政府は2025年4月2日、世界各国に対する「相互関税」を発表し、世界的な株価急落を招くとともに、「ドル資産離れ」への警戒を招きました。しかし、翌週には適用の「90日間停止」が打ち出され、市場はV字回復に転じました。なかでもAI関連株については、夏場までの米国株式のけん引役となった一方、秋口以降は過熱への警戒も表れるようになっております。為替市場では、米国の関税政策への警戒から2025年4月に1ドル140円までの円高が進む局面がありましたが、その後は円安基調で推移し、2026年1月以降は変動が大きいながらも152~161円のレンジ内で推移しております。 日本では2025年9月に石破首相が辞任表明し、10月には自民党総裁選を経て高市内閣が発足しました。新政権が「責任ある積極財政」を掲げたなかで、日本市場では株高・金利上昇・円安という傾向が強まりました。さらに、高市首相は2026年1月に衆議院を解散しました。2月に行われた総選挙では自民党が単独で定数の3分の2を超える議席を獲得し、海外投資家の関心を集めました。日本株は、一部の業種に関税の影響が表れたものの、全体としては増益を確保する中で上昇トレンドをたどり、2025年10月には日経平均株価指数が50,000円を突破するなど、史上最高値の更新を重ねております。同指数は2026年4月半ば以降は58,000~71,000円台の高値圏にあります。 この間、金融政策に関しては、米国では雇用にやや減速感が表れたなかでFRB(連邦準備制度理事会)は2025年9月、10月、12月と、3回の利下げを打ち出しました。日本では、米国が発動した関税の影響が大きくないことを見極めたうえで、日本銀行が12月に、2025年1月以来となる利上げを決めております。日本の国債10年利回りは、日本経済のデフレ脱却とそれにともなう利上げの継続を織り込む形で、12月に2%を突破するなど、上昇傾向が強まりました。さらに、2026年2月末以降は中東情勢の不安定化によって原油価格が大きく上昇し、その影響を受けて国債10年利回りも3月末から4月にかけて2.5%に達した後、5月18日には一時2.8%をつけております。 地政学をめぐる動きとしては、2025年6月にイスラエル・米国がイラン核施設を空爆、2026年1月に米国がベネズエラに軍事行動(大統領を拘束)、2026年2月にイスラエル・米国がイランに空爆(最高指導者が死亡)といったイベントが市場の不安定化要因となっております。 (3)対処すべき課題 野村を取り巻く経営環境は大きな変化の只中にあります。引き続き、適正な財務基盤の維持と、資本効率の改善等を通じた経営資源の有効活用を図りながら、機動的に対応してまいります。また、既存ビジネスの拡大とお客様へのさらなる付加価値の提供を目指し、常に新たな取組みも実践します。 ① 中長期の優先課題 野村では、グループ全体の持続的成長の実現を追求しており、収益の安定化・多様化、資本効率性を意識した事業ポートフォリオの構築に取り組んでおります。 「野村を今立っている場所とは違うところ、次のステージに進める」という考えのもと、その実現に向けた戦略の1つとして「パブリックに加え、プライベート領域への拡大・強化」を打ち出しました。この戦略に基づき、コアビジネステーマとして、資産管理ビジネスの推進、インベストメント・マネジメント部門およびバンキング部門の強化、ホールセールビジネスにおける成長と安定化に取り組むとともに、デジタルアセットビジネスを含むデジタル金融サービスやサステナブル・ファイナンスを含むサステナビリティ分野等の新領域を開拓・強化してまいりました。また、構造改革を通じた全社的なコスト・コントロールを推進しております。加えて、これらの事業の基盤となるコーポレート機能の高度化・効率化、ガバナンス体制やリスク・マネジメントの強化、人材マネジメント戦略の進化、行動規範・コンプライアンスのより一層の浸透、AI・デジタルを活用したサービス高度化・業務効率化やサイバーセキュリティに関する取組みも推進しております。なお、ビジネスの各部門の取組みについては、「②部門別の課題」もご参照ください。 当社は、2030年度に向けた経営の方向性を示すものとして、経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を掲げ、経営定量目標としてROE10~12%+、7,500億円超の税引前当期純利益の達成を目指しております。達成に向けた注力テーマとして、(ⅰ)日本のフランチャイズを活かしたグローバル戦略の深化、(ⅱ)安定収益の飛躍的な成長、(ⅲ)“プラットフォーム”提供戦略の更なる推進に取り組んでまいります。 なお、当社ではPBR(株価純資産倍率)を下図のように分解して整理しております。ROEの絶対水準の最大化は、その主要な要素のひとつです。中長期の優先課題の解決を通じて、企業価値の向上を目指します。 ② 部門別の課題 各部門の課題、取組みは以下のとおりです。 [ウェルス・マネジメント部門] ウェルス・マネジメント部門は、資産管理によるストック型ビジネスへと転換を図ってきた結果、ストック資産が着実に積み上がり、ストック収入が大きく拡大するなど一定の成果が出てきております。日本の家計の金融資産全体に占める有価証券比率の向上に向けて、多様化する資産管理のニーズに応えていくことが課題だと考えておりますが、全国の野村證券株式会社の本支店・営業所やデジタル等の接点を通じて、包括的な資産管理サービスを提供することで、お客様一人ひとりが目指すゴールを共に実現することを目指しております。今後とも、ウェルス・マネジメントビジネスの進化に向けて、パートナー(営業担当者)のスキルアップを継続して図るとともに、野村の総合力を最大限に活用し、幅広い商品・サービスの充実に努めてまいります。 [インベストメント・マネジメント部門] インベストメント・マネジメント部門は、伝統的資産からオルタナティブ資産までのさまざまなアセットクラスからなる商品・サービスを通じて、幅広い投資家の多様な投資ニーズに対するソリューションを提供しております。お客様の多様な運用ニーズに応える高品質な投資商品を提供することを通じて、社会課題の解決につながる投資の好循環を実現することを目指しております。日本の豊富な個人金融資産と日本政府の資産運用立国実現プランによる政策のあと押し、プライベート資産への投資の成長余地、サステナビリティ関連投資に対する高水準の資金需要と投資家意識の高まりを成長機会として捉えております。報酬率に下方圧力が継続する中、運用力向上、パブリック市場ビジネスにおける運用資産残高拡大と商品やサービスの高付加価値化、オルタナティブ資産など報酬率の高い成長分野における運用基盤の拡充、効率化とコスト・コントロールを戦略課題として取り組んでおります。 2025年12月、当社は、運用資産残高の拡大を実現するとともに、投資運用プラットフォームおよび顧客向けプロダクトの多様化・強化を推進する目的で、Macquarie Group Limitedの米国および欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業にかかる株式を取得しました。 [ホールセール部門] ホールセール部門においては、お客様のニーズのさらなる高度化やテクノロジーの発展に加えて、不透明なマーケットおよびマクロ環境などが当社のビジネスに影響を及ぼす可能性があります。引き続きお客様へ高度なサービスと付加価値を提供し続けるために、各ビジネスライン、各地域および各部門との連携を強化していくほか、ビジネスの領域を広げて収益の安定を図ります。また、成長の見込まれる分野において、規律ある形で財務リソースを選択的に配分し、生産性を意識した成長を実現するとともに、コストの最適化に注力します。 グローバル・マーケッツでは、徹底したリスク管理のもとでお客様に流動性の提供を継続してまいります。また、日本の強固な事業基盤とグローバル・プロダクトの競争力を活かし、ビジネス・ポートフォリオの多角化やグローバル連携の強化を通じたクロスセルの拡大に取り組むとともに、ストラクチャード・ファイナンス、ソリューション・ビジネス、インターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)およびエクイティ・ビジネスなどの成長分野における収益機会の追求や、マクロ・プロダクトにおけるフロー・ビジネスの強化をさらに推し進めてまいります。 一方、インベストメント・バンキングでは、事業環境の変化にともないお客様のビジネス活動やニーズが変化する中、国内外で業界再編・事業再編に関するアドバイザリーや資金調達に加え、金利・為替ビジネスなどのソリューション・ビジネスをシームレスに提供することを加速させてまいります。日本における強みも活かしてグローバルにアドバイザリー・ビジネスの拡大に注力するとともに、市場ならびにお客様にとって重要なテーマであるサステナビリティ関連のビジネスを引き続き強化しております。またグループワイドな連携を強化し、幅広いサービスやプロダクト、アドバイスをお客様へご提供できるように注力してまいります。 [バンキング部門] 各国におけるインフレの進行、金利環境の変化、資産運用立国の実現に向けた動きの加速といった大きな潮流の中、野村の銀行・信託機能を活用することでより多様かつ質の高いサービスを提供する取組みを強化することが重要であると考え、2025年4月にバンキング部門は設立されました。バンキング部門は、傘下のエンティティである野村信託銀行株式会社とNomura Bank (Luxembourg) S.A.のそれぞれの強みである「プライベート」「オーダーメイド」といった特長を活かし、お客様の資産形成や円滑な資産承継等のさまざまなニーズに応えてまいります。 野村信託銀行株式会社では、2025年5月に勘定系システムの更改を完了し、銀行としての基幹システムの整備・拡充を図りました。また、2026年4月には、野村證券株式会社と野村信託銀行株式会社の双方に口座をお持ちのお客様の口座間で資金を自動振替できる預金スイープサービスを開始、証券口座に銀行機能を付加した金融ハイブリッドサービスの提供によりお客様の利便性向上を図っております。 今後も、「顧客接点」「プロダクト・サービス」「システム」の3つを切り口に戦略の実現を進めてまいります。 [リスク・マネジメント、コンプライアンスなど] 野村では、経営戦略の目的と事業計画を達成するために許容するリスクの種類と水準をリスク・アペタイトとして定め、それをリスク・アペタイト・ステートメントとして文書化しております。そのうえで、事業戦略に合致し、適切な経営判断に資するリスク管理体制を継続的に強化していくことにより、財務の健全性の確保および企業価値の向上に努めております。 野村では、リスク・アペタイト・ステートメントにおいて、三つの防衛線による管理体制のもと、すべての役職員が自らの役割を認識し、能動的にリスク管理に取り組むことを明記しております。またグループ会社を含む役職員への継続的な研修の実施等を通じ、金融のプロフェッショナルとしてリスクに関する知識を深め、リスクを正しく認識・評価し、適切に管理する企業文化、すなわちリスク・カルチャーの醸成に努めております。 コンプライアンスの観点からは、野村がビジネスを展開している各国の法令諸規則を遵守するための管理体制の整備に引き続き取り組むとともに、すべての役職員がより高い倫理観を持って自律的に業務に取り組めるよう社内の制度やルールの見直しを継続的に実施しております。 また野村では、法令諸規則の遵守にとどまらず高い倫理観を持ち、社会から真に信頼される会社を目指し、野村の全役職員が取るべき行動の指針である野村グループ行動規範を定めております。加えて、研修やその他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(以下「コンダクト」)を推進する取組みを日々進めております。毎年8月実施の「野村『創業理念と企業倫理』の日」においては、全社で過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、過去の不祥事を振り返ったうえでの適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション等を行うとともに、行動規範を遵守することへの宣誓を行っております。行動規範は2019年12月の策定以降、野村を取り巻く社会・経済情勢の変化やステークホルダーの期待によりよく応えることができるよう、定期的に見直すこととしております。なお、創立100周年に先立ち、2024年に野村のパーパス「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」を策定しました。パーパスの実践を通して「野村グループ企業理念」の実現および、さらなる行動規範の定着を目指しております。 以上の課題に対処し、解決することを通じて、金融資本市場の安定とさらなる発展とともに、野村の持続的な成長に尽力してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (1)経営の基本方針① 経営の基本方針 当社は、「経営の基本方針」を取締役会で策定し、以下のとおり定めております。 [経営目標]野村グループは、社会からの信頼および株主・顧客をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高めることを経営目標とする。『グローバル金融サービス・グループ』として国内外の顧客に付加価値の高いソリューションを提供するとともに、当グループに課せられた社会的使命を踏まえて経済の成長や社会の発展に貢献していく。企業価値の向上にあたっては、経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図るものとする。 [グループ経営の基本観](1)新たな事業領域におけるビジネスの拡大をいち早く実現することにより、自ら新しい成長モデルを構築する。また、的確なコスト・コントロールおよびリスク・マネジメントにより、市場環境に左右されにくい収益構造を実現する。(2)顧客やマーケットの声に真摯に耳を傾け、ビジネスの可能性を広く捉えながら、金融・資本市場を通じた付加価値の高い問題解決策を顧客に提供し、あらゆる投資に関して最高のサービスを提供する会社を目指す。(3)法令・諸規則の遵守と適正な企業行動を重視し、日々の業務執行においてコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を実践する。野村グループ各社は、顧客の利益を尊重し、業務に関する諸規制を遵守する。(4)経営に対する実効性の高い監督機能の確保および経営の透明性の向上に努める。(5)事業活動を通じて証券市場の拡大に貢献するとともに、企業市民として、経済・証券に関する教育機会の提供を中心とした社会貢献活動に積極的に取り組む。(注) 当社および当社の連結子会社は「野村」として表示しておりますが、「経営の基本方針」については原文に沿って「野村グループ」として表示しております。 ② パーパス 2024年4月、野村は、2025年12月に創立100周年を迎えるにあたり、創業の精神や企業理念を受け継ぎつつ、次の100年につながるグループ経営の基礎となる野村のパーパスを策定しました。 パーパス金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する 野村は創立以来、金融資本市場の発展に寄与すべく、挑戦を続けてきました。急激に変化し複雑化する環境において、今後も当社の持つ知識やノウハウといった付加価値を提供し、金融資本市場を通じた多様な豊かさを実現していくために、さらなる取組みを進めていきます。「世界と共に挑戦し」には、さまざまなステークホルダーのより良い未来に向けた想いを実現するために、皆様と一緒に歩んでいくこと、当社においてはグループ全体で理想の姿を追求し、挑戦を続けていくことへの決意を込めました。「実現する」という言葉は、「豊かな社会の実現」に向けた野村のより強いコミットメントを示しております。 ③ 経営ビジョン 2024年5月、野村は、パーパスに沿った経営戦略を推進することを目的として、2030年度に向けた新経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を定めました。 野村は、幅広い金融サービスの提供を通じ、リスクマネーを循環させ、金融資本市場の発展、お客様への最適なソリューションの提供に取り組んでまいります。 (2)経営環境 当期においては、世界経済は全体として回復軌道を維持したものの、米国の関税政策、AI関連セクターへの期待と不安の交錯、日本の政治イベント、イラン情勢などの地政学イベントが市場の大きな変動要因となりました。米国政府は2025年4月2日、世界各国に対する「相互関税」を発表し、世界的な株価急落を招くとともに、「ドル資産離れ」への警戒を招きました。しかし、翌週には適用の「90日間停止」が打ち出され、市場はV字回復に転じました。なかでもAI関連株については、夏場までの米国株式のけん引役となった一方、秋口以降は過熱への警戒も表れるようになっております。為替市場では、米国の関税政策への警戒から2025年4月に1ドル140円までの円高が進む局面がありましたが、その後は円安基調で推移し、2026年1月以降は変動が大きいながらも152~161円のレンジ内で推移しております。 日本では2025年9月に石破首相が辞任表明し、10月には自民党総裁選を経て高市内閣が発足しました。新政権が「責任ある積極財政」を掲げたなかで、日本市場では株高・金利上昇・円安という傾向が強まりました。さらに、高市首相は2026年1月に衆議院を解散しました。2月に行われた総選挙では自民党が単独で定数の3分の2を超える議席を獲得し、海外投資家の関心を集めました。日本株は、一部の業種に関税の影響が表れたものの、全体としては増益を確保する中で上昇トレンドをたどり、2025年10月には日経平均株価指数が50,000円を突破するなど、史上最高値の更新を重ねております。同指数は2026年4月半ば以降は58,000~71,000円台の高値圏にあります。 この間、金融政策に関しては、米国では雇用にやや減速感が表れたなかでFRB(連邦準備制度理事会)は2025年9月、10月、12月と、3回の利下げを打ち出しました。日本では、米国が発動した関税の影響が大きくないことを見極めたうえで、日本銀行が12月に、2025年1月以来となる利上げを決めております。日本の国債10年利回りは、日本経済のデフレ脱却とそれにともなう利上げの継続を織り込む形で、12月に2%を突破するなど、上昇傾向が強まりました。さらに、2026年2月末以降は中東情勢の不安定化によって原油価格が大きく上昇し、その影響を受けて国債10年利回りも3月末から4月にかけて2.5%に達した後、5月18日には一時2.8%をつけております。 地政学をめぐる動きとしては、2025年6月にイスラエル・米国がイラン核施設を空爆、2026年1月に米国がベネズエラに軍事行動(大統領を拘束)、2026年2月にイスラエル・米国がイランに空爆(最高指導者が死亡)といったイベントが市場の不安定化要因となっております。 (3)対処すべき課題 野村を取り巻く経営環境は大きな変化の只中にあります。引き続き、適正な財務基盤の維持と、資本効率の改善等を通じた経営資源の有効活用を図りながら、機動的に対応してまいります。また、既存ビジネスの拡大とお客様へのさらなる付加価値の提供を目指し、常に新たな取組みも実践します。 ① 中長期の優先課題 野村では、グループ全体の持続的成長の実現を追求しており、収益の安定化・多様化、資本効率性を意識した事業ポートフォリオの構築に取り組んでおります。 「野村を今立っている場所とは違うところ、次のステージに進める」という考えのもと、その実現に向けた戦略の1つとして「パブリックに加え、プライベート領域への拡大・強化」を打ち出しました。この戦略に基づき、コアビジネステーマとして、資産管理ビジネスの推進、インベストメント・マネジメント部門およびバンキング部門の強化、ホールセールビジネスにおける成長と安定化に取り組むとともに、デジタルアセットビジネスを含むデジタル金融サービスやサステナブル・ファイナンスを含むサステナビリティ分野等の新領域を開拓・強化してまいりました。また、構造改革を通じた全社的なコスト・コントロールを推進しております。加えて、これらの事業の基盤となるコーポレート機能の高度化・効率化、ガバナンス体制やリスク・マネジメントの強化、人材マネジメント戦略の進化、行動規範・コンプライアンスのより一層の浸透、AI・デジタルを活用したサービス高度化・業務効率化やサイバーセキュリティに関する取組みも推進しております。なお、ビジネスの各部門の取組みについては、「②部門別の課題」もご参照ください。 当社は、2030年度に向けた経営の方向性を示すものとして、経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を掲げ、経営定量目標としてROE10~12%+、7,500億円超の税引前当期純利益の達成を目指しております。達成に向けた注力テーマとして、(ⅰ)日本のフランチャイズを活かしたグローバル戦略の深化、(ⅱ)安定収益の飛躍的な成長、(ⅲ)“プラットフォーム”提供戦略の更なる推進に取り組んでまいります。 なお、当社ではPBR(株価純資産倍率)を下図のように分解して整理しております。ROEの絶対水準の最大化は、その主要な要素のひとつです。中長期の優先課題の解決を通じて、企業価値の向上を目指します。 ② 部門別の課題 各部門の課題、取組みは以下のとおりです。 [ウェルス・マネジメント部門] ウェルス・マネジメント部門は、資産管理によるストック型ビジネスへと転換を図ってきた結果、ストック資産が着実に積み上がり、ストック収入が大きく拡大するなど一定の成果が出てきております。日本の家計の金融資産全体に占める有価証券比率の向上に向けて、多様化する資産管理のニーズに応えていくことが課題だと考えておりますが、全国の野村證券株式会社の本支店・営業所やデジタル等の接点を通じて、包括的な資産管理サービスを提供することで、お客様一人ひとりが目指すゴールを共に実現することを目指しております。今後とも、ウェルス・マネジメントビジネスの進化に向けて、パートナー(営業担当者)のスキルアップを継続して図るとともに、野村の総合力を最大限に活用し、幅広い商品・サービスの充実に努めてまいります。 [インベストメント・マネジメント部門] インベストメント・マネジメント部門は、伝統的資産からオルタナティブ資産までのさまざまなアセットクラスからなる商品・サービスを通じて、幅広い投資家の多様な投資ニーズに対するソリューションを提供しております。お客様の多様な運用ニーズに応える高品質な投資商品を提供することを通じて、社会課題の解決につながる投資の好循環を実現することを目指しております。日本の豊富な個人金融資産と日本政府の資産運用立国実現プランによる政策のあと押し、プライベート資産への投資の成長余地、サステナビリティ関連投資に対する高水準の資金需要と投資家意識の高まりを成長機会として捉えております。報酬率に下方圧力が継続する中、運用力向上、パブリック市場ビジネスにおける運用資産残高拡大と商品やサービスの高付加価値化、オルタナティブ資産など報酬率の高い成長分野における運用基盤の拡充、効率化とコスト・コントロールを戦略課題として取り組んでおります。 2025年12月、当社は、運用資産残高の拡大を実現するとともに、投資運用プラットフォームおよび顧客向けプロダクトの多様化・強化を推進する目的で、Macquarie Group Limitedの米国および欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業にかかる株式を取得しました。 [ホールセール部門] ホールセール部門においては、お客様のニーズのさらなる高度化やテクノロジーの発展に加えて、不透明なマーケットおよびマクロ環境などが当社のビジネスに影響を及ぼす可能性があります。引き続きお客様へ高度なサービスと付加価値を提供し続けるために、各ビジネスライン、各地域および各部門との連携を強化していくほか、ビジネスの領域を広げて収益の安定を図ります。また、成長の見込まれる分野において、規律ある形で財務リソースを選択的に配分し、生産性を意識した成長を実現するとともに、コストの最適化に注力します。 グローバル・マーケッツでは、徹底したリスク管理のもとでお客様に流動性の提供を継続してまいります。また、日本の強固な事業基盤とグローバル・プロダクトの競争力を活かし、ビジネス・ポートフォリオの多角化やグローバル連携の強化を通じたクロスセルの拡大に取り組むとともに、ストラクチャード・ファイナンス、ソリューション・ビジネス、インターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)およびエクイティ・ビジネスなどの成長分野における収益機会の追求や、マクロ・プロダクトにおけるフロー・ビジネスの強化をさらに推し進めてまいります。 一方、インベストメント・バンキングでは、事業環境の変化にともないお客様のビジネス活動やニーズが変化する中、国内外で業界再編・事業再編に関するアドバイザリーや資金調達に加え、金利・為替ビジネスなどのソリューション・ビジネスをシームレスに提供することを加速させてまいります。日本における強みも活かしてグローバルにアドバイザリー・ビジネスの拡大に注力するとともに、市場ならびにお客様にとって重要なテーマであるサステナビリティ関連のビジネスを引き続き強化しております。またグループワイドな連携を強化し、幅広いサービスやプロダクト、アドバイスをお客様へご提供できるように注力してまいります。 [バンキング部門] 各国におけるインフレの進行、金利環境の変化、資産運用立国の実現に向けた動きの加速といった大きな潮流の中、野村の銀行・信託機能を活用することでより多様かつ質の高いサービスを提供する取組みを強化することが重要であると考え、2025年4月にバンキング部門は設立されました。バンキング部門は、傘下のエンティティである野村信託銀行株式会社とNomura Bank (Luxembourg) S.A.のそれぞれの強みである「プライベート」「オーダーメイド」といった特長を活かし、お客様の資産形成や円滑な資産承継等のさまざまなニーズに応えてまいります。 野村信託銀行株式会社では、2025年5月に勘定系システムの更改を完了し、銀行としての基幹システムの整備・拡充を図りました。また、2026年4月には、野村證券株式会社と野村信託銀行株式会社の双方に口座をお持ちのお客様の口座間で資金を自動振替できる預金スイープサービスを開始、証券口座に銀行機能を付加した金融ハイブリッドサービスの提供によりお客様の利便性向上を図っております。 今後も、「顧客接点」「プロダクト・サービス」「システム」の3つを切り口に戦略の実現を進めてまいります。 [リスク・マネジメント、コンプライアンスなど] 野村では、経営戦略の目的と事業計画を達成するために許容するリスクの種類と水準をリスク・アペタイトとして定め、それをリスク・アペタイト・ステートメントとして文書化しております。そのうえで、事業戦略に合致し、適切な経営判断に資するリスク管理体制を継続的に強化していくことにより、財務の健全性の確保および企業価値の向上に努めております。 野村では、リスク・アペタイト・ステートメントにおいて、三つの防衛線による管理体制のもと、すべての役職員が自らの役割を認識し、能動的にリスク管理に取り組むことを明記しております。またグループ会社を含む役職員への継続的な研修の実施等を通じ、金融のプロフェッショナルとしてリスクに関する知識を深め、リスクを正しく認識・評価し、適切に管理する企業文化、すなわちリスク・カルチャーの醸成に努めております。 コンプライアンスの観点からは、野村がビジネスを展開している各国の法令諸規則を遵守するための管理体制の整備に引き続き取り組むとともに、すべての役職員がより高い倫理観を持って自律的に業務に取り組めるよう社内の制度やルールの見直しを継続的に実施しております。 また野村では、法令諸規則の遵守にとどまらず高い倫理観を持ち、社会から真に信頼される会社を目指し、野村の全役職員が取るべき行動の指針である野村グループ行動規範を定めております。加えて、研修やその他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(以下「コンダクト」)を推進する取組みを日々進めております。毎年8月実施の「野村『創業理念と企業倫理』の日」においては、全社で過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、過去の不祥事を振り返ったうえでの適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション等を行うとともに、行動規範を遵守することへの宣誓を行っております。行動規範は2019年12月の策定以降、野村を取り巻く社会・経済情勢の変化やステークホルダーの期待によりよく応えることができるよう、定期的に見直すこととしております。なお、創立100周年に先立ち、2024年に野村のパーパス「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」を策定しました。パーパスの実践を通して「野村グループ企業理念」の実現および、さらなる行動規範の定着を目指しております。 以上の課題に対処し、解決することを通じて、金融資本市場の安定とさらなる発展とともに、野村の持続的な成長に尽力してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績の概況 以下の業績の概況は、「第1[企業の概況] 1[主要な経営指標等の推移]」および「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]」の部とあわせてご覧ください。また、以下の内容には、一部、将来に対する予測が含まれており、その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれています。野村の実際の経営成績はここに記載されている将来に対する予測と大きく異なる可能性があります。 エグゼクティブ・サマリー① 全体の業績について 当期の収益合計(金融費用控除後)は、前期比14.5%増の2兆1,677億円、金融費用以外の費用計は同14.6%増の1兆6,279億円となりました。税引前当期純利益は5,398億円、当社株主に帰属する当期純利益は3,621億円となりました。自己資本利益率は10.1%となり、また、当期のEPS(注)は前期の111.03円から118.99円となっております。なお、2026年3月末を基準日とする普通配当は、1株当たり24円とし、年間での配当は1株につき51円といたしました。(注)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益 ② 当期における主な取組み、実績についての評価等 当期は、これまで進めてきたストック型ビジネス・モデルの加速、安定収益基盤の拡大、そしてグローバル戦略の深化といった取組みが着実に成果を上げ、収益力と事業基盤の強化が一段と進みました。2030年に向けた経営ビジョン『Reaching for Sustainable Growth』の実現に向けて、着実に前進することができ、当社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を更新しました。 ウェルス・マネジメント部門では、包括的な資産管理サービスの進展によりストック資産の純増が継続し、ストック収入はこれまでの記録を上回りました。収益の伸長に加えて適切なコスト・コントロールも継続した結果、ストック収入費用カバー率は72%まで上昇し、税引前当期純利益は、2002年3月期の部門設立以来、過去最高となりました。 インベストメント・マネジメント部門では、市場要因や資金純流入に加え、買収を通じた海外ビジネスの拡大により、運用資産残高は136.9兆円まで拡大し、事業収益が大きく伸長しました。 ホールセール部門では、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングが高い収益水準を実現し、税引前当期純利益も2010年4月の部門設立以来、過去最高となりました。 バンキング部門では、ローン残高や投資信託受託残高が拡大し、収益は前期を上回りました。 ③ 資本政策と株主還元の考え方 当社は、適正な資本比率を確保しつつ、最適な資本配分を通じて持続可能な成長を実現したいと考えております。経営ビジョン達成に向けた布石として、コスト水準は抑制しながらも、パブリックに加え、プライベート領域のビジネスを拡大するための成長投資も行うことで、投資と株主還元のバランスを図るとともに、当社の生産性向上と収益源の拡大を通じた株主価値の最大化を目指しております。 配当については、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向を40%以上とすることを重要な指標の1つとして設定しており、また、自己株式取得による株主還元分を含めた総還元性向を50%以上とすることを、株主還元上の目処としております。各期の株主還元の総額は、バーゼル規制強化をはじめとする国内外の規制環境の動向、連結業績をあわせて総合的に勘案し、決定することとしております。 詳細は「第4[提出会社の状況] 3[配当政策]」をご参照ください。 ④ 事業セグメント別の概況各部門の状況については以下のとおりです。 2026年3月期のウェルス・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比12.5%増の4,879億円、金融費用以外の費用は同6.2%増の2,839億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同22.8%増の2,040億円となりました。ウェルス・マネジメント部門では、お客様一人ひとりが目指す未来の実現に向かって、お客様のニーズに沿った包括的な資産管理サービスを充実させることで、ウェルス・マネジメントサービスの強化に取り組んでまいりました。当期は好調なマーケット環境を背景に、顧客ニーズを的確に捉え、対面チャネルを中心に株式および投資信託の買付が増加し、フロー収入等は増加しました。加えて、継続的に取り組んできたお客様の資産全体に対する資産管理サービスにより、預り資産の拡大にともないストック収入も増加しました。また、ワークプレイス(職域)サービスによる接点拡大を通じて、持続的な顧客基盤の構築、部門の中長期的なサービス拡大を目指しておりますが、現役世代のお客様を含め、ワークプレイスサービスを提供するお客様を順調に拡大することができております。今後も、サービスを必要とする多くのお客様に、対面によるコンサルティングや、デジタルツール等を用いた非対面サービス、資産形成ニーズへの対応を含むワークプレイスサービスなど、幅広い形でウェルス・マネジメントサービスを提供してまいります。 2026年3月期のインベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比34.3%増の2,585億円、金融費用以外の費用は同65.5%増の1,702億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同1.4%減の883億円となりました。インベストメント・マネジメント部門では、運用資産の拡大および高付加価値化を通じた事業収益の成長に取り組んでおります。当期は、期初および期末に調整局面が見られたものの、株式市場が前期を上回る水準で推移したことに加え、2025年12月に買収を完了したMacquarie Group Limitedの米国および欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業の取得にともなう運用資産残高の加算もあり、当期末の運用資産残高は136.9兆円となり、過去最高となりました。また、期中平均の運用資産残高も前期比で増加し、事業収益の拡大に寄与しました。買収した事業において資金流出が生じたものの、当期の資金純流入は0.4兆円となり、全体でも純流入を確保しました。こうした運用資産残高の拡大を背景に、アセットマネジメント・ビジネスの増収に加え、航空機リースビジネスにおいて優良案件を獲得し、販売量も伸びたことが収益拡大に寄与し、安定収益である事業収益は過去最高となりました。さらに、オルタナティブ運用資産残高は、堅調な資金流入と運用益により、当期末は3.6兆円となり、前期末比で増加しました。加えて、投資家の投資スタイルに応じてバランスよく投資できる「のむラップ・ファンド」シリーズは安定した資金流入が続き、純資産総額が1.5兆円を突破しました。 2026年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比9.9%増の1兆1,622億円、金融費用以外の費用は同7.9%増の9,617億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同20.6%増の2,006億円となりました。グローバル・マーケッツは、リスク管理を徹底しながら、マクロ環境、金融政策および地政学的緊張などに絡むマーケットの不透明感を背景とした投資家のポートフォリオのリバランス取引やヘッジ取引などに対して流動性を提供しました。また、顧客アクティビティやマーケットの機会を適切に捉え、特にエクイティ・プロダクト、証券化商品およびインターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)を中心に収益を積み上げました。インベストメント・バンキングは、地域ごとに違いはあったものの、グローバルに顧客活動が増え、ニーズが多様化する中で、サービスやソリューションの提案に尽力した結果、案件が増加しました。特に、日本ではアドバイザリーとエクイティ・ソリューション、海外地域ではアドバイザリーに加えてエクイティ・ソリューションや一部レンディングを含むソリューションが堅調だったことが増収につながりました。 2026年3月期のバンキング部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比14.3%増の539億円、金融費用以外の費用は、同29.5%増の399億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同14.3%減の140億円となりました。バンキング部門では、部門間連携を強化してきていることに加え、営業活動や広告宣伝の効果等も出てきており、KPIとして掲げる、野村信託銀行株式会社のローン残高と投資信託受託残高、Nomura Bank (Luxembourg) S.A.の管理資産残高が、期を通じて着実に伸長いたしました。その結果、安定収益として位置づけられるバンキング部門の収益は、前期から増収となりました。一方、野村信託銀行株式会社の勘定系システムの更改等を実施していることから費用が増加しているものの、今後の商品・サービスの提供を充実させるための基盤の構築が進捗しております。 主要なパフォーマンス指標の進捗 《経営指標》自己資本利益率(ROE)・税引前当期純利益 当社は、2030年度に向けた経営の定量目標としてROE8~10%+、5,000億円超の税引前当期純利益の達成を最も重視する経営指標として設定し、着実に取組みを進めてまいりました。2026年5月にこの定量目標を更新し、2030年度に向けた経営の定量目標としてROE10~12%+、7,500億円超の税引前当期純利益の達成を掲げております。 国内でコーポレートガバナンス・コードが導入された後、日本企業においては資本コストを意識した経営の重要性が高まっております。加えて、金融業界においては、世界的な金融規制の枠組みのもとで、さらなる資本の有効活用が求められております。そのため、当社では、経営資源の最適配分という観点がより一層重要になるということに鑑み、2020年5月に開催された取締役会での決定を踏まえ「経営の基本方針」を改定するとともに、2021年3月期より、重要な経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図ることとしました。 ROEは当社株主に帰属する当期純利益を前期末当社株主資本合計および当期末当社株主資本合計の平均で除した値と定義しております。ROEの開示は、企業価値の向上や、投資家の皆様が当社の経営状況や資本の有効活用の状況を把握するためにも有益だと考えております。 ROEの目標水準としては、当社に求められる資本コストを意識し、2031年3月期において10~12%+の水準を掲げております。一方で、ROEは必ずしも財務の健全性を反映するものではないと考えられることから、ROE向上を企図した過度な資本効率の追求を行うことのないよう、財務健全性に十分に配慮した上での企業価値の創造を重視し、ROEの向上に努めております。なお、2026年3月期のROEは、2025年3月期の10.0%から上昇し、10.1%となりました。 あわせて、持続的成長の実現に向けて、企業価値の向上と当社の経営状況をより具体的に理解できるよう、2030年度に向けた経営の定量目標として7,500億円超の税引前当期純利益の達成を掲げております。2026年3月期の税引前当期純利益は、5,398億円となりました。 普通株式等Tier1比率 野村が遵守しなくてはならないグローバル金融規制は複数ありますが、なかでもバーゼル委員会および金融庁が定める自己資本規制は、当社のビジネスの在り方に、直接影響を及ぼすものです。そのため当社は、連結普通株式等Tier1比率を11%以上に維持することを掲げ、厳しいマーケットストレス等がかかった際のバッファーを含む財務健全性についても考慮しております。また、当社は成長投資と株主還元のバランスを図り、最適な資本配分を実施していく方針としており、連結普通株式等Tier1比率のターゲットレンジとして11%~14%を掲げております。 2026年3月31日現在の連結普通株式等Tier1比率は、2025年3月31日現在の14.52%から減少し、12.86%となりました。当社の普通株式等Tier1比率の詳細と算定方法については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (5)流動性資金調達と資本の管理」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。 《事業セグメント別の指標》ウェルス・マネジメント部門ウェルス・マネジメント部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、ストック資産、ストック資産純増、フロービジネス顧客数、ワークプレイスサービス提供数の4項目を設定し、ビジネスの持続的な推進と発展を目指しております。これらの指標の開示は、ウェルス・マネジメント部門のお客様との接点における進捗とともに持続可能な成長性を投資家の皆様が把握するに際して有益だと考えております。 (単位:兆円) 2024年3月31日 2025年3月31日 増減率 2026年3月31日 増減率ストック資産 ……………………… 23.0 23.5 2.3% 27.9 18.8% (単位:十億円) 2024年3月期 2025年3月期 増減率 2026年3月期 増減率ストック資産純増 ………………… 702.0 1,374.0 95.7% 1,495.1 8.8% (単位:千件) 2024年3月期 2025年3月期 増減率 2026年3月期 増減率フロービジネス顧客数 …………… 1,692 1,644 △2.9% 1,741 5.9%ワークプレイスサービス提供数 … 3,627 3,883 7.0% 4,142 6.7% ストック資産は、投資信託や投資一任、保険、レベルフィーなど、預り資産に対し運用管理費用等の手数料を頂戴する資産の総額に関連ローンを加算して算出しております。当該ローン金額は2026年3月末の連結財務諸表の貸付金として報告されているうちの約1兆1,147億円です。2026年3月末時点のストック資産残高は27.9兆円であり、ストック資産拡大の取組みおよび市場要因により、2025年3月末時点の23.5兆円より4.4兆円、18.8%増加しております。 ストック資産純増は、ストック資産の買付・流入金額から売却・流出金額を差引した金額であり、時価変動を除いたストック資産の拡大を測るための指標です。資産管理ビジネスの浸透により2026年3月期のストック資産純増年度累計は14,951億円と2025年3月期の13,740億円を8.8%上回っております。 フロービジネス顧客数は、事業年度内にフロービジネス(フロー収入が発生するビジネス)を提供した顧客数の累計であり、フロー収入の拡大を実現するために重要な顧客基盤の拡大を測るための指標です。活況なマーケット環境も背景に、期末に向けて積み上がりが伸びた結果、2026年3月末時点のフロービジネス顧客数は174.1万件と2025年3月末の164.4万件を5.9%上回っております。 ワークプレイスサービス提供数は、持株会会員数、持株会由来口座数(現会員除く)、企業型DC加入者など、職域に関連するサービスの提供数を合算した数字であり、職域ビジネスを通じた顧客基盤の拡大を測るための指標です。2026年3月末時点のワークプレイスサービス提供数は414.2万件です。2025年3月末の388.3万件より25.9万件、6.7%増加しており、持株会会員数の増加を中心に、持続的な成長に繋がる顧客基盤の拡大を実現しております。 インベストメント・マネジメント部門インベストメント・マネジメント部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、運用資産残高および資金純流入を設定しております。運用資産残高は、インベストメント・マネジメント部門における運用ビジネスの収益源であり、運用ビジネスの進捗状況を把握する上で有効であると考えております。また、運用プロダクトがどの程度、投資家に受け入れられたか把握する上で、重要な指標になります。資金純流入は、運用資産残高の増減から市場要因等を除いた運用ビジネスの進捗動向を把握する上で有効であると考えております。運用資産の拡大、それによる部門収益拡大目標の達成における施策の効果を確認する上で、重要な指標になります。 (単位:十億円) 2024年3月期 2025年3月期 増減率 2026年3月期 増減率資金純流入 ………………………… 3,760 2,648 △29.5% 443 △83.3% (単位:兆円) 2024年3月31日 2025年3月31日 増減率 2026年3月31日 増減率運用資産残高 ……………………… 89.0 89.3 0.4% 136.9 53.3% 資金純流入は、資金流入額から資金流出額を差し引いた額となります。なお当該資金流出額は、分配金による流出額を含まない額となります。2026年3月期の資金純流入は0.4兆円となりました。投資信託ビジネスでは、マネー・リザーブ・ファンド等のマネーファンド、オルタナティブ投資、バランス型投信等への資金流入がありました。投資顧問・海外ビジネス他では、2025年12月に買収を完了したMacquarie Group Limitedの米国および欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業において、米国の業界トレンドを背景に、主にアクティブ型ミューチュアルファンドから資金流出がありました。 運用資産残高は、インベストメント・マネジメント部門傘下の運用会社の運用資産の単純合計(グロス)からインベストメント・マネジメント部門内の重複資産を控除したものとなります。2026年3月末の運用資産残高は、株式市場が前期を上回る水準で推移したことに加え、買収事業の取得にともなう運用資産残高の加算もあり、当期末の運用資産残高は136.9兆円となり、過去最高となりました。 ホールセール部門ホールセール部門では経費率と収益/調整リスク・アセットを主要なパフォーマンス指標として採用しております。これらKPIの開示は投資家に対してコストおよびリソース運用の効率性を示すうえで有効であり、マネジメントはビジネスにおけるコスト削減と収益力の評価に活用しております。 2024年3月期 2025年3月期 増減率 2026年3月期 増減率経費率 ……………………………… 94% 84%△10% 83%△1%収益/調整リスク・アセット …… 6.8% 7.6%0.8% 7.4%△0.2% 経費率は、対象期間の金融費用以外の費用を同期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)で除して算出しており、部門運営の効率性を確認するために使用しております。2026年3月期は、前期比で金融費用以外の費用が8%増加した一方、収益合計が10%増加したため、前期に比べて改善しました。ホールセール部門の収益は、2010年4月の部門設立以来、2017年3月期以降の会計年度で比較可能な範囲において、過去最高を記録し、グローバル・マーケッツとインベストメント・バンキング双方において記録的な年度となりました。費用の増加は、主に業績連動の賞与引当金の増加、および業績にともなう変動費の増加によるものです。2025年3月期は、前期比で金融費用以外の費用が10%増加した一方、収益合計が22%増加したため、前期に比べて改善しました。収益は、グローバル・マーケッツとインベストメント・バンキング双方において増加しました。グローバル・マーケッツではエクイティ・プロダクト、エグゼキューション、証券化商品、インターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)が大きく伸長し、インベストメント・バンキングではECM(エクイティ・キャピタル・マーケット)、アドバイザリー、およびソリューション・ビジネスで大きく伸長したことにより増加しました。費用の増加は、主に業績にともなう変動費の増加と業績関連費用の増加によるものです。 収益/調整リスク・アセットは、対象期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)を部門が使用する同期間の調整リスク・アセット(各会計期間の日次平均)で除して算出しており、使用リソースに対する収益率をそれぞれ確認するために使用しております。調整リスク・アセットは、(1)バーゼルⅢ規制のリスク・アセットと、(2)バーゼルⅢ規制の資本調整項目を当社が内部で設定する最低資本比率で除したリスク・アセット相当額の合計です。各部門の活動に起因する控除額は内部の資本比率(12.5%)で除したうえで各部門のリソース使用額にチャージしたものを、調整リスク・アセットとしております。当社の収益/調整リスク・アセットは、計算手法等の違いにより他社の提示している同様の指標とは定義が異なる可能性があります。適用される計算手法等の詳細については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] 連結自己資本規制」をご参照ください。ホールセール部門のリスク・アセット(RWA)の調整RWAへの換算は、社内の最低自己資本比率目標を反映して調整しております。また、収益/調整リスク・アセットは、RWAに適用される調整が当社の事業部門に帰属するRWAの適切な金額を(規制上の資本として計算されるRWAとは対照的に)把握することを目的としたものであり、当社内部でのリスク許容度を反映した推定値であるという点で、その有用性が制限される可能性があり、当該調整は実際のリソースの用途については正確に反映していない可能性もあります。2026年3月期の収益/調整リスク・アセットは、前年比でわずかに減少しました。これは、バーゼルIII最終化によるRWAの増加が、ホールセール部門の収益の増加をわずかに上回ったことが要因です。グローバル・マーケッツとインベストメント・バンキング双方において、2017年3月期以降の会計年度で比較可能な範囲において、過去最高の収益を記録しました。2025年3月期の収益/調整リスク・アセットの増加は、調整リスク・アセットの増加以上の収益の増加によるもので、グローバル・マーケッツではエクイティ・プロダクト、エグゼキューション、証券化商品、インターナショナル・ウェルス・マネジメント(海外富裕層ビジネス)が大きく伸長し、インベストメント・バンキングではECM(エクイティ・キャピタル・マーケット)、アドバイザリー、およびソリューション・ビジネスが大幅に伸長したことにより増加しました。 バンキング部門バンキング部門は、以下の主要業績評価指標(KPI)を設定しております。すなわち、(i) 貸出金残高(野村信託銀行株式会社)、(ii) 投資信託受託残高(野村信託銀行株式会社)、および(iii) 管理資産残高(Nomura Bank (Luxembourg) S.A.)です。当部門は、主として預金により調達した資金を貸出や有価証券投資で運用して収益を得る銀行業務と、投資信託を含む顧客資産の管理を通じて手数料収入を得る信託・エージェント業務から構成されていることから、経営陣は、これらの指標が当部門の事業進捗を把握するうえで有効であると考えております。 また、当社は、これらの指標が投資家にとっても当部門の事業進捗を評価するうえで有用であると考えております。 (単位:兆円) 2025年3月31日 2026年3月31日 増減率貸出金残高(野村信託銀行株式会社)……………… 1.04 1.18 12.7% (単位:兆円) 2025年3月31日 2026年3月31日 増減率投資信託受託残高(野村信託銀行株式会社)……… 40.5 42.9 5.8% (単位:十億米ドル) 2025年3月31日 2026年3月31日 増減率管理資産残高(Nomura Bank (Luxembourg) S.A.) 56.6 64.6 14.1% 貸出金残高(野村信託銀行株式会社)とは、野村信託銀行株式会社(以下「NTB」)が個人顧客および法人顧客に対して実行した貸出金の期末残高総額をいいます。NTBの主な融資商品は有価証券担保ローンであり、その主力商品には、富裕層顧客に対して対面で提供されるPB(プライベート・バンキング)ローン、および借入から返済までをインターネットバンキングサービス上で完結できる「野村Webローン」が含まれます。この数値は、NTBの単体貸借対照表の資産の部に開示される「貸出金」の数値に対応しております。当該数値は、日本において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づく規制上の基準に従って開示されるものであり、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成される野村ホールディングス株式会社(以下「NHI」)の連結貸借対照表に開示される「貸付金」と必ずしも一致するものではありません。新規顧客の獲得およびマーケティング施策を背景に、貸出金残高(野村信託銀行株式会社)は、2026年3月31日現在で1兆177十億円となり、2025年3月31日現在の1兆44十億円から12.7%増加しました。 投資信託受託残高(野村信託銀行株式会社)とは、NTBが受託者を務める投資信託に係る保管資産の総額をいいます。投資信託残高(野村信託銀行株式会社)は、純流入・純流出額(設定額と解約額の差額)および資産価格の変動により増減します。なお、このKPIは、各ファンドの直近の決算期末時点における純資産総額を合計して算出しております。そのため、当該決算期末は表示日と一致しない場合があり、また、年1回または年2回のみ決算を行うファンドについては、対象四半期中に決算期末が到来せず、金額が更新されていない場合があります。表示されている金額は、NTBの単体信託財産残高表の負債の部に開示される「投資信託」の数値に対応しております。当該数値は、日本の規制上の基準に基づいて開示されるものであり、NHIの連結貸借対照表には含まれていません。 2026年3月31日現在の投資信託受託残高(野村信託銀行株式会社)は新規の資金流入や好調な市場環境から42.9兆円となり、2025年3月31日現在の40.5兆円から5.8%増加しました。 管理資産残高(Nomura Bank (Luxembourg) S.A.)とは、Nomura Bank (Luxembourg) S.A.が純資産価額の算定、会計処理、注文処理、名義人管理ならびに各種レポートの作成を担う、ケイマン諸島籍およびルクセンブルク籍の投資信託その他のファンドの残高合計をいいます。管理資産残高(Nomura Bank (Luxembourg) S.A.)は、純流入・純流出額(設定額と解約額の差額)および資産価格の変動により増減します。2026年3月31日現在の管理資産残高(Nomura Bank (Luxembourg) S.A.)は646億米ドルとなり、2025年3月31日現在の566億米ドルから14.1%増加しました。プライベートアセットに投資する公募ファンドおよび私募ファンドの双方への資金流入が継続し、管理資産残高(Nomura Bank (Luxembourg) S.A.)の増加を牽引しました。 経営成績 損益概況 野村の主要な連結損益計算書情報は以下のとおりであります。 2024年3月期(百万円)2025年3月期(百万円)2026年3月期(百万円)金融収益以外の収益: 増減率 増減率委託・投信募集手数料364,095407,01111.8%455,28911.9%投資銀行業務手数料173,265212,23422.5%200,548△5.5%アセットマネジメント業務手数料310,154378,19621.9%468,60023.9%トレーディング損益491,611580,09918.0%696,89420.1%プライベートエクイティ・デット投資関連損益11,8777,634△35.7%12,60465.1%投資持分証券関連損益9,612444△95.4%13,066-その他175,824223,26427.0%241,8458.3%金融収益以外の収益合計1,536,4381,808,88217.7%2,088,84615.5%純金融収益25,56283,603227.1%78,867△5.7%収益合計(金融費用控除後)1,562,0001,892,48521.2%2,167,71314.5%金融費用以外の費用1,288,1501,420,52110.3%1,627,89214.6%税引前当期純利益273,850471,96472.3%539,82114.4%法人所得税等96,630124,70929.1%165,43932.7%当期純利益177,220347,25595.9%374,3827.8%差引:非支配持分に帰属する当期純利益11,3576,519△42.6%12,25388.0%当社株主に帰属する当期純利益165,863340,736105.4%362,1296.3%自己資本利益率(ROE)5.1%10.0% 10.1% 2026年3月期の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。この増加は、主にウェルス・マネジメント部門およびインベストメント・マネジメント部門においてアセットマネジメント業務手数料が増加したことおよびホールセール部門においてトレーディング損益が増加したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料の減少により収益は減少となりました。アセットマネジメント業務手数料は運用資産の増加にともない、増加しました。トレーディング損益は、フィクスト・インカムビジネスおよびエクイティビジネスが増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益50億円が含まれております。この収益は主にクレジット・スプレッドが拡大したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇により増収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、東京都港区高輪二丁目に所在する土地および建物の譲渡による売却益により増加しております。 2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。この増加は、主にウェルス・マネジメント部門およびインベストメント・マネジメント部門においてアセットマネジメント業務手数料が増加したことおよびホールセール部門においてトレーディング損益が増加したことによります。委託・投信募集手数料は、投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料およびM&Aアドバイザリーフィーの増加が収益増加に寄与しました。アセットマネジメント業務手数料は期中平均の運用資産の増加にともない、増加しました。トレーディング損益は、フィクスト・インカムビジネスおよびエクイティビジネスが増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益23億円が含まれております。この収益は主にクレジット・スプレッドが拡大したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇が限定的で減収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、為替損益が増加しております。 純金融収益は、トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、ならびに、金利の期間構造とボラティリティに左右されます。純金融収益は、トレーディング業務と不可分な1つの要素であり、野村は、特にグローバル・マーケッツについて、純金融収益と金融収益以外の収益との合計額で、ビジネス全体の収益性を評価しております。2026年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比9%減少、また、金融費用も前期比9%減少し、その結果、2026年3月期の純金融収益は2025年3月期から減少しました。2025年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比12%増加、また、金融費用も前期比10%増加し、その結果、2025年3月期の純金融収益は2024年3月期から増加しました。 2026年3月期の金融費用以外の費用は、人件費の増加により前年度比で増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、人件費の増加により前年度比で増加しました。 野村は、日本においてさまざまな税金を課されており、グループ通算制度を適用しております。このグループ通算制度は、国税だけを対象としています。国内の法定実効税率は、2024年3月期、2025年3月期、2026年3月期において、31%となっております。なお、2025年度税制改正により、繰延税金資産および繰延税金負債を計算する法定実効税率は、2026年4月1日に開始する事業年度以降に解消すると見込まれる一時差異等について31%から31.5%に増加しております。海外子会社は現地で課税を受けており、通常国内より低い税率が適用されています。そのため野村の各期の実効税率は、各地域での損益状況や、各地域で適用される特有の税務上の取扱いにも影響を受けています。 2026年3月期の実効税率は30.6%となりました。野村は、ASU第2023-09号「法人所得税:法人所得税に関する開示の改善」を当連結会計年度末より将来に向かって適用しております。当該ASUの適用にともない、当連結会計年度末より、税率差異の調整表について、日本の国税にかかる表面税率を起点として実効税率との差異を表示しております。この実効税率30.6%と日本の国税にかかる表面税率25.6%の差異の重要な要因は、日本の地方税の影響が5.4%あり、米国における繰延税金資産に対する評価性引当金の減少により実効税率が8.1%引き下げられた一方、損金に算入されない費用項目のうち、株式報酬にかかる影響により2.0%実効税率が引き上げられ、また英国における繰延税金資産に対する評価性引当金の増加により実効税率が1.8%引き上げられたことがあげられます。 2025年3月期の実効税率は26.4%となりました。この実効税率26.4%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、評価性引当金の増減により5.3%実効税率が引き下げられたことがあげられます。 2024年3月期の実効税率は35.3%となりました。この実効税率35.3%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目の影響により2.5%実効税率が引き下げられた一方で、損金に算入されない費用項目の増加により6.0%実効税率が引き上げられたことがあげられます。 事業セグメント別経営成績 野村は、2025年4月1日付でバンキング部門を新設いたしました。これにより、野村の業務運営および経営成績の報告は、ウェルス・マネジメント部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門、バンキング部門の区分で行われております。当連結会計期間より、この部門体制に基づき、事業別セグメント情報を開示します。また、当連結会計期間の開示方法と整合させるために、過去に遡り報告数値の組み替えを行っております。 経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社利益(損失)の持分額、本社勘定、その他財務調整項目等は、事業セグメント別情報においては、“その他”として表示されています。 営業目的で保有する投資持分証券評価損益の一部は、セグメント情報には含まれておりません。なお、事業セグメント別経営成績については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 23 セグメントおよび地域別情報」にも記載がございます。また、そこでは、連結財務諸表数値と事業セグメント別数値の調整計算についても説明がありますのでご参照ください。 ウェルス・マネジメント部門 ウェルス・マネジメント部門の経営成績 (単位:百万円) 2024年3月期 2025年3月期増減率(%) 2026年3月期増減率(%)金融収益以外の収益380,563 422,61711.1 473,28212.0純金融収益6,461 10,93469.2 14,62433.7収益合計(金融費用控除後)387,024 433,55112.0 487,90612.5金融費用以外の費用268,035 267,369△0.2 283,8826.2税引前当期純利益118,989 166,18239.7 204,02422.8 2026年3月期のウェルス・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信募集手数料の増加により、全体として増加しました。 2025年3月期のウェルス・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に投資信託残高報酬の増加により、全体として増加しました。 2026年3月期の金融費用以外の費用は、主に賞与による人件費の増加により増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、2024年3月期に比べ横ばいでした。 下の表は、2025年3月期、2026年3月期の商品別の金融収益以外の収益構成の内訳を示しています。 (単位:百万円) 2025年3月期 2026年3月期増減率(%)委託・投信募集手数料183,598 217,53318.5 株式委託手数料72,249 95,99332.9 投資信託募集手数料65,852 66,0570.3 その他手数料45,497 55,48321.9トレーディング損益52,483 49,331△6.0投資銀行業務手数料27,323 25,550△6.5投資信託残高報酬156,732 176,09812.4その他2,481 4,77092.3金融収益以外の収益422,617 473,28212.0 2026年3月期の委託・投信募集手数料は、株式委託手数料の増加により増加しました。2026年3月期の投資信託残高報酬は、ストック収入の増加により増加しました。ウェルス・マネジメント部門顧客資産残高 下の表は、2025年3月末、2026年3月末のウェルス・マネジメント部門顧客資産残高と、その内訳を示しています。ウェルス・マネジメント部門顧客資産にはウェルス・マネジメント部門の顧客の預かり資産および変額年金保険商品に関連する資産が含まれています。 (単位:兆円) 2025年3月31日期首顧客資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末顧客資産残高株式102.5 41.1 △38.4 △13.0 92.2債券20.1 20.5 △23.7 3.8 20.7株式型投資信託13.3 5.4 △5.0 △0.4 13.3債券型投資信託7.3 0.7 △0.5 △0.8 6.7外国投資信託1.8 0.7 △0.2 △0.3 2.0その他8.6 2.5 △1.1 △1.1 8.9合計153.6 70.9 △68.9 △11.8 143.8 (単位:兆円) 2026年3月31日期首顧客資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末顧客資産残高株式92.2 31.0 △31.1 25.5 117.6債券20.7 19.4 △16.7 △1.8 21.6株式型投資信託13.3 4.1 △3.4 2.1 16.1債券型投資信託6.7 0.5 △0.3 0.1 7.0外国投資信託2.0 0.6 △0.1 0.2 2.7その他8.9 1.7 △0.8 1.0 10.8合計143.8 57.3 △52.4 27.1 175.8 2026年3月末のウェルス・マネジメント部門顧客資産残高は、2025年3月末に比べ増加しました。2026年3月末の株式関連資産残高は、株価の上昇により時価評価益が増加し、117.6兆円となりました。また、2026年3月末の投資信託残高は、2025年3月末の22.0兆円から3.8兆円増加し、25.8兆円となりました。 2025年3月末のウェルス・マネジメント部門顧客資産残高は、2024年3月末に比べ減少しました。2025年3月末の株式関連資産残高は、株価の下落により時価評価益が減少し、92.2兆円となりました。また、2025年3月末の投資信託残高は、2024年3月末の22.4兆円から0.4兆円減少し、22.0兆円となりました。 インベストメント・マネジメント部門 インベストメント・マネジメント部門の経営成績 (単位:百万円) 2024年3月期 2025年3月期増減率(%) 2026年3月期増減率(%)金融収益以外の収益149,575 181,01021.0 248,38837.2純金融収益4,568 11,463150.9 10,128△11.6収益合計(金融費用控除後)154,143 192,47324.9 258,51634.3金融費用以外の費用93,945 102,8829.5 170,21965.5税引前当期純利益60,198 89,59148.8 88,297△1.4 2026年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の増加およびアセットマネジメント・ビジネスにおける手数料の増加により増加しました。 2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の増加およびアセットマネジメント・ビジネスにおける手数料の増加により増加しました。 2026年3月期の金融費用以外の費用は、主に買収事業に関連する費用および投資先への出資持分に係る減損を計上したことにより増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、主に賞与による人件費の増加により増加しました。 インベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)の内訳は以下のとおりです。 (単位:百万円) 2024年3月期 2025年3月期増減率(%) 2026年3月期増減率(%)事業収益(1)137,249 163,68819.3 223,69936.7投資損益(2)16,894 28,78570.4 34,81721.0収益合計(金融費用控除後)154,143 192,47324.9 258,51634.3 (1) 投資損益を除く部門収益であり、主にアセット・マネジメント事業からの収益(アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益を除く)、野村バブコックアンドブラウン株式会社の航空機リース関連事業収益およびプライベート・エクイティ等の投資事業における管理報酬により構成(2) 部門収益のうち投資に起因するものであり、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社への投資、プライベート・エクイティ等の投資事業における投資にかかる損益(公正価値の変動、資金調達コストおよび配当金を含む)により構成 下の表は、2025年3月末、2026年3月末のインベストメント・マネジメント部門の運用会社別の運用資産残高を示しています。 (単位:十億円) 2025年3月31日 期首運用資産残高 期首調整(1) 資金流入額 資金流出額 時価評価損益等 期末運用資産残高野村アセットマネジメント91,011 △2,837 34,509 △33,369 △1,264 88,050ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント他5,588 0 1,091 △1,382 249 5,546単純合計96,599 △2,837 35,600 △34,751 △1,015 93,596グループ運用会社間の重複資産△7,598 2,837 △952 1,552 △97 △4,258合計89,001 0 34,648 △33,199 △1,112 89,338 (単位:十億円) 2026年3月31日 期首運用資産残高 調整(2) 資金流入額 資金流出額 時価評価損益等 期末運用資産残高野村アセットマネジメント88,050 412 39,000 △38,735 22,551 111,278ノムラ・アセットマネジメント・ インターナショナル他5,546 28,648 2,249 △3,912 1,584 34,115単純合計93,596 29,060 41,249 △42,647 24,135 145,393グループ運用会社間の重複資産△4,258 △3,536 △1,163 1,555 △1,088 △8,490合計89,338 25,524 40,086 △41,092 23,047 136,903 (1)2024年4月1日付の米州の組織再編成にともない、野村アセットマネジメントの単純合計およびグループ運用会社間の重複資産から同額の運用資産残高が減少しています。(2)2025年4月1日付の野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングのインベストメント・マネジメント部門への移管にともない、ノムラ・アセットマネジメント・インターナショナル他の単純合計ならびにグループ運用会社間の重複資産において同額の運用資産残高が増加しています。また、2025年12月1日に買収が完了したマッコーリー・グループのパブリック・アセットマネジメント事業の運用資産残高によりノムラ・アセットマネジメント・インターナショナル他の単純合計ならびにグループ運用会社間の重複資産が増加しています。 2026年3月期の運用資産残高は、主にマッコーリー・グループの資産運用会社の取得にともない増加しました。 2025年3月期の運用資産残高は、2024年3月末に比べ横ばいでした。 下の表は、2024年、2025年、2026年それぞれの3月末時点の、野村アセットマネジメントの日本の公募投資信託市場におけるシェア(純資産残高ベース)を示しています。 2024年3月31日 2025年3月31日 2026年3月31日公募投資信託合計26% 25% 25%株式型投資信託25% 24% 23%公社債型投資信託44% 44% 43%(出所)一般社団法人投資信託協会の統計データを基に作成 2026年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、78.0兆円と、対前期比15.9兆円、26%増加しました。その内訳は、0.6兆円の資金流入と15.3兆円の運用増によるものです。主に「TOPIX連動型上場投信」、「日経225連動型上場投信」といった上場投資信託で残高が増加しました。 2025年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、62.1兆円と、対前期比0.8兆円、1%減少しました。その内訳は、1.6兆円の資金流入と2.4兆円の運用減によるものです。市場要因による運用減の中、主に「東証銀行業株価指数連動型上場投信」といった上場投資信託や「のむラップ・ファンド」で残高が増加しました。 ホールセール部門 ホールセール部門の経営成績 ホールセール部門の経営成績はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングにより構成されています。また、グローバル・マーケッツはフィクスト・インカムとエクイティにより構成されています。 (単位:百万円) 2024年3月期 2025年3月期増減率(%) 2026年3月期増減率(%)金融収益以外の収益875,664 1,015,80316.0 1,168,96615.1純金融収益△9,517 42,135- △6,737-収益合計(金融費用控除後)866,147 1,057,93822.1 1,162,2299.9金融費用以外の費用812,236 891,6569.8 961,6627.9税引前当期純利益53,911 166,282208.4 200,56720.6 2026年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、スプレッド・プロダクトにより増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、エクイティ・プロダクトおよびエグゼキューションにより増収となりました。またインベストメント・バンキングは、日本ビジネスおよび海外ビジネスともに増収となりました。 2025年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、スプレッド・プロダクトにより増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、エクイティ・プロダクトおよびエグゼキューションにより増収となりました。またインベストメント・バンキングは、日本ビジネスおよび海外ビジネスともに増収となりました。 2026年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加等により、前期から増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加等により、前期から増加しました。 次の表は、ホールセール部門における収益合計(金融費用控除後)における、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングの内訳表であります。 (単位:百万円) 2024年3月期 2025年3月期増減率(%) 2026年3月期増減率(%)ホールセール部門 収益合計(金融費用控除後): グローバル・マーケッツ707,113 874,62223.7 968,12210.7インベストメント・バンキング159,034 183,31615.3 194,1075.9収益合計(金融費用控除後)866,147 1,057,93822.1 1,162,2299.9 グローバル・マーケッツ 野村は長年にわたって主に国内外の機関投資家を対象として、債券・株式や為替およびそれらのデリバティブ商品のセールスとトレーディングをグローバルに展開してきました。近年では、より多様化・複雑化するお客様からのご要望にお応えするため、トレーディング能力と商品組成能力の強化に取り組み、国内外の機関投資家のみならず、ウェルス・マネジメント部門およびインベストメント・マネジメント部門にさまざまな高付加価値商品を提供すると同時に、インベストメント・バンキングとも協働し、付加価値の高いソリューションを提供しています。また、国内外の機関投資家に加えて、国内の富裕層・諸法人や地域金融機関、国内外の政府機関や金融機関・事業法人などと強固な関係を構築し、ビジネスを拡大しております。これにより、お客様がどのような商品を求めているかを把握し、そのニーズに合わせた商品を国内外のプロダクトラインにおいて迅速に開発・提供することが可能となっております。 2026年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2026年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2025年3月期の4,992億円から5,090億円となりました。スプレッド・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2026年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2025年3月期の3,754億円から4,592億円となりました。エクイティ・プロダクトおよびエグゼキューションが好調で増収となりました。 2025年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2024年3月期の4,203億円から4,992億円となりました。スプレッド・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2025年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2024年3月期の2,868億円から3,754億円となりました。エクイティ・プロダクトおよびエグゼキューションが好調で増収となりました。 インベストメント・バンキング 野村は、引受け、アドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しています。アジア、欧州、米国といった世界の主要な金融市場で、債券、株式、その他の引受業務を行っており、日本国内、クロスボーダーおよび海外のM&A/財務コンサルティング業務を継続的に強化してきました。また、グローバルでのオーダーメイド型サービス提供による、顧客との強固で長期的な関係を構築することを追求しております。 2026年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、ファイナンスやソリューション等の案件の増加により前期比で増収となりました。 2025年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、引受・売出手数料およびM&Aアドバイザリーフィーの増加により前期比で増収となりました。 バンキング部門 バンキング部門の経営成績 バンキング部門は、NTBおよびノムラ・バンク・ルクセンブルク S.A.(以下「NBL」)で構成されています。 同部門は、(i) 主として預金その他の資金調達手段により調達した資金を、貸出および有価証券投資に振り向けて利息収入を得る銀行業務、ならびに (ii) 投資信託を含む顧客に対して運用資産管理その他の関連サービスを提供することにより、手数料収入および委託者報酬を得る信託・代理業務を行っています。 (単位:百万円) 2024年3月期 2025年3月期増減率(%) 2026年3月期増減率(%)金融収益以外の収益35,244 36,3443.1 42,08115.8純金融収益7,617 10,82842.2 11,8379.3収益合計(金融費用控除後)42,861 47,17210.1 53,91814.3金融費用以外の費用27,755 30,81511.0 39,90229.5税引前当期純利益15,106 16,3578.3 14,016△14.3 2026年3月期のバンキング部門の収益合計(金融費用控除後)は、貸出金残高や投資信託受託残高、管理資産残高の増加により増加しました。 2025年3月期のバンキング部門の収益合計(金融費用控除後)は、貸出金残高や投資信託受託残高、管理資産残高の増加により増加しました。 2026年3月期の金融費用以外の費用は、主に勘定系システムの更改による減価償却費の増加により増加しました。 2025年3月期の金融費用以外の費用は、主に賞与による人件費の増加により増加しました。 下の表は、2025年3月末、2026年3月末のNTBの単体貸借対照表から主要な数値を抜粋したものです。これは、日本において一般に公正妥当と認められた会計原則およびNTBに適用される規制上の要件に従って作成されたものであり、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成される野村の連結貸借対照表とは直接比較することはできません。 (単位:十億円) 2025年3月31日 2026年3月31日資産の部 有価証券310.7 423.1貸出金(1)1,044.4 1,177.2資産の部合計2,075.4 2,607.4負債の部 預金1,357.3 1,334.5 NTBの総資産は、2026年3月31日現在で2.6兆円となり、2025年3月31日現在の2.1兆円から25.6%増加しました。この期間において、貸出金は主として取引顧客の拡大および広告宣伝活動を背景に12.7%増加し、有価証券は36.2%増加しました。 (1) プライベート・バンキング向け融資や証券担保ローン商品「野村Webローン」など、NTBが実行した貸出金の総残高により構成されています。なお、当該数値は、野村の連結貸借対照表に開示される「貸付金」と必ずしも一致するものではありません。 下の表は、2025年3月末、2026年3月末のNTBの信託財産を示したものです。これらの数値は提出日現在における暫定的な見積値であり、今後修正される可能性があります。 (単位:十億円) 2025年3月31日 2026年3月31日指定金銭信託404.9 374.3特定金銭信託4,417.8 4,609.2年金信託0.8 0.2投資信託40,541.4 42,899.2金銭信託以外の金銭の信託1,064.7 1,275.6有価証券の信託3,754.7 6,290.8金銭債権の信託0.8 0.7包括信託1,111.7 1,403.1合計51,296.8 56,853.1 2026年3月31日現在の信託財産残高は56.9兆円となり、2025年3月31日現在の51.3兆円から10.8%増加しました。 この期間において、投資信託は5.8%、有価証券信託は67.5%増加しました。 下の表は、2025年3月末、2026年3月末のNBLの管理資産残高について、その受託元別の内訳を示したものです。すなわち、(i) 野村グループから受託した金額と、(ii) 野村グループ以外の顧客(以下「その他の顧客」)から受託した金額とを区分して表示しています。 (単位:十億米ドル) 2025年3月31日 2026年3月31日野村グループ29.9 35.3その他の顧客26.7 29.2合計56.6 64.5 NBLの管理資産残高は、2026年3月31日現在で646億米ドルとなり、2025年3月31日現在の566億米ドルから14.1%増加しました。 この期間において、野村グループからの受託額は18.3%増加し、その他の顧客からの受託額は9.4%増加しました。その他の経営成績 その他の経営成績には、経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社損益の持分額、本社勘定、その他の財務調整が含まれております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 23 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。 その他の経営成績における税引前当期純利益は、2024年3月期、2025年3月期、それぞれ360億円、351億円、2026年3月期は、246億円と2025年3月期に比べ減少しました。 2026年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益16億円、デリバティブ資産に対するカウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する損失26億円がその他の業績に含まれております。 2025年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益14億円、デリバティブ資産に対するカウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益8億円がその他の業績に含まれております。 2024年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失121億円、デリバティブ資産に対するカウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益72億円がその他の業績に含まれております。 地域別経営成績 地域別の収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益(損失)については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 23 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。 キャッシュ・フロー 「(5)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。 (2)トレーディング業務の概要トレーディング目的資産負債 トレーディング目的資産および負債の内訳については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記]」 の 「2 公正価値測定」 および 「3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。 トレーディングのリスク管理 野村はトレーディング業務における市場リスクの測定方法として、バリュー・アット・リスク(VaR)を採用しております。① VaRの前提・信頼水準:95%・保有期間:1日・商品の価格変動等を考慮 野村は、開示に使用する保有期間1日のVaRの信頼水準は95%を使用しております。2026年3月期の保有期間1日のVaRデータは以下のとおりです。 ② VaRの実績 2025年3月31日(億円)2026年3月31日(億円)株式関連2045金利関連2129為替関連1511小計5685分散効果△18△27バリュー・アット・リスク(VaR)3858 2026年3月期最大値(億円)最小値(億円)平均値(億円)バリュー・アット・リスク(VaR)773151 (3)重要な会計方針および見積もり 重要な会計方針は当社の連結財務諸表の作成に最も重要な影響を与える会計方針であり、適用にあたって経営者による会計上の見積もりに関する最も困難かつ主観的で複雑な判断を必要とするものを指します。見積もりはその性質上、経営者の判断を必要とする仮定やその時点で利用可能な情報の範囲に依拠しています。将来の実績はこれらの見積もりと乖離する可能性があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。 下表は、重要な会計方針やこれらの会計方針の適用に含まれる重要な会計上の見積もり、見積もりの要素、経営者による仮定と判断、当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響について当期特に重要なものを要約したものです。適用された重要な会計方針および重要な会計上の見積もりの詳細については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記]1 会計処理の原則および会計方針の要旨」および下表に含まれる各連結財務諸表注記をご参照ください。 重要な会計方針重要な会計上の見積もり経営者による重要な主観的仮定または判断当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響 金融商品の公正価値評価 連結財務諸表注記 2 公正価値測定 金融商品の公正価値の見積もり 野村が保有する金融商品は主に公正価値で評価されております。これらの金融商品の公正価値は観察可能な市場価格のみならず、評価手法の選択や仮定といった判断をともなう要素の影響を受けます。 この判断は、特定の金融商品にかかる未実現損益または累積的その他の包括利益の金額および計上時期に影響を与えます。 適切な評価手法の選択·活発な市場において観察可能な市場価格によって公正価値評価される金融商品については、野村は一般的に、当該金融商品の公正価値を決定するため、レベル1のインプットとして当該価格を使用します。 ·このような観察可能な価格が入手できない金融商品については、レベル2もしくは3のインプットにより公正価値が測定されます。異なる評価手法および仮定が適用された場合、公正価値の測定結果は異なりうるため、適切な評価手法の選択と評価手法に適用される仮定の検証に重要な判断が含まれます。評価手法を選択する際には、これらの金融商品が取引される特定の状況や市場、信頼性のあるインプットの利用可能性、関連する観察可能なインプットの使用の最大化、観察不能なインプットの使用の最小化などのさまざまな要因が考慮されます。 レベル3インプットの重要性·市場で観察不能なインプットが用いられる、公正価値レベル3の金融商品の公正価値評価は、より多くの判断を必要とします。 ·これらの金融商品の公正価値は、流動性、経済環境および特定の金融商品に影響を与えるリスクに対する認識を含む、市場参加者が価格を決定する際に使用する仮定についての経営者の判断に基づいて決定されます。 当社の評価手法および公正価値の階層における金融商品の分類に関する方針については、連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 当連結会計年度において公正価値レベル3の金融商品(デリバティブ負債相殺後資産)の公正価値は前連結会計年度の1,330十億円から1,290十億円に減少しました。毎期経常的に公正価値評価される資産の合計に対するレベル3に分類された資産の比率は、2026年3月31日現在で5%(2025年3月31日現在で6%)となりました。 レベル3インプットに関する定性的、定量的な情報およびそれらが公正価値測定に与える影響についての詳細については連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 一定の金融商品および取引先に対するエクスポージャー 市場環境は、野村が一定のエクスポージャーを有するさまざまな金融商品に影響を与え続けています。また、野村は通常の業務においても、特別目的事業体などの取引先に対し、一定のエクスポージャーを有しております。 レバレッジド・ファイナンス 野村は、顧客にレバレッジド・バイアウト、レバレッジド・バイインにかかる貸付金を提供しています。通常このような資金提供はコミットメントを通じて行われることが多く、野村は実行済および未実行コミットメントの双方においてエクスポージャーを有しております。次の表は、2026年3月31日現在において未実行コミットメントがあるレバレッジ・ファイナンスのエクスポージャーを実行済および未実行分に分けて、対象企業の地域別に表しております。 (単位:百万円) 実行済残高 未実行コミットメント残高 合計欧州26,844 178,906 205,750米州35,888 375,156 411,044アジア・オセアニア11,221 87,495 98,716合計73,953 641,557 715,510 特別目的事業体 野村が行う特別目的事業体との関与は、これらの事業体を組成すること、またマーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティ・デリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメイク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。特別目的事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。 変動持分事業体への関与に関するより詳しい説明は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 7 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。 新しい会計基準の公表 「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨:会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。 (4)繰延税金資産の状況 ① 繰延税金資産・負債の主な発生原因 2026年3月31日現在、連結貸借対照表上、その他の資産-その他として記載されている繰延税金資産、およびその他の負債として記載されている繰延税金負債の内訳は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2026年3月31日繰延税金資産 減価償却、その他の償却、および固定資産の評価43,007子会社・関連会社株式投資3,604金融商品の評価差額128,286未払退職・年金費用5,224未払費用および引当金118,047繰越欠損金477,481リース負債39,964その他20,477繰延税金資産小計836,090控除:評価性引当金△588,426繰延税金資産合計247,664繰延税金負債 子会社・関連会社株式投資129,826金融商品の評価差額98,372海外子会社の未分配所得17,816固定資産および無形資産の評価58,329使用権資産35,219その他13,030繰延税金負債合計352,592繰延税金資産(負債)の純額△104,928 ② 繰延税金資産の算入根拠 繰延税金資産は、米国会計基準に基づき、将来において実現すると予想される範囲内で認識しており、将来において実現が見込まれない場合には評価性引当金を計上しております。なお、将来の課税所得の見積期間は納税単位ごとに個別に判断し、適正な期間見積もっております。 ③ 過去5年間の課税所得および見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額 当社は、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行し、野村證券株式会社を含む主要子会社は当制度に含まれております。上記①に記載されている繰延税金資産のうち、日本の通算グループにおける繰延税金資産(負債)の純額は△125,696百万円となっており、野村の連結財務諸表における繰延税金資産(負債)の純額の大部分を占めております。 以下の過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)では、2021年度以前についてはグループ通算制度への移行前の連結納税グループの合算数値を記載し、2022年度以降については通算グループの合算値を記載しております。 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値) (単位:百万円) 2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度日本の通算グループ(連結納税グループ)合算値214,001233,50886,143239,034300,666 (注) 法人確定申告書上の繰越欠損金控除前の課税所得であり、その後の変動は反映しておりません。 見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額 日本の通算グループについては、5年を課税所得見積もり期間とし、見込み税引前当期純利益合計および見込み調整前課税所得合計はそれぞれ、743,942百万円、879,986百万円となっております。 (5)流動性資金調達と資本の管理資金調達と流動性管理 概況 野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。このリスクは、市場において有担保あるいは無担保調達が不可能になる、野村の信用格付が低下する、予定外の資金需要の変化に対応できない、迅速かつ最小の損失での資産の流動化ができない、あるいは、グループ会社間の自由な資金移動が妨げられる規制資本上の制約に関する変化等、市場全体の事情や野村固有の事情により発生します。資金流動性リスク管理については、経営会議が定める流動性リスク・アペタイトに基づくことを基本方針としております。野村の資金流動性管理は、市場全体が流動性ストレス下にある場合において、またそれに加えて野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合においても、それぞれ1年間、および30日間にわたり、無担保による資金調達が困難な場合においても、保有資産を維持しつつ業務を継続することができる十分な資金流動性を常に確保することを主な目的としております。また、金融庁の定める流動性カバレッジ比率(以下「LCR」)および安定調達比率(「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性のうち流動性にかかる健全性の状況を表示する基準」)(以下「NSFR」)の充足が求められております。 野村は、主な流動性維持の目的を達成可能とする、さまざまな資金流動性リスク管理フレームワークを定めております。このフレームワークには、(1)余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持、(2)流動性ポートフォ

事業リスク

  • 経済情勢と市場変動
    日本および世界経済の状況や金融市場の動き(地政学的イベントを含む)は、野村のビジネスに大きな影響を与えます。市場が低迷したり、参加者が減少したりすると、取引量が減り、大きな損失が発生する可能性があります。
  • 激しい競争環境
    金融業界は、他の金融機関や非金融企業との競争が非常に激しいです。金融グループの再編や業務提携も進んでおり、競争の激化により、収益性が圧迫される可能性があります。
  • オペレーショナル・リスク
    情報システムの不具合、サイバー攻撃による情報漏洩、役職員による不正行為など、業務遂行上の様々な要因で損失を被る可能性があります。これにより、事業活動に支障が生じたり、会社の評判が損なわれたりするリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|27,600 文字
3【事業等のリスク】 投資判断をされる前に以下に述べるリスクについて十分にご検討ください。以下に述べるリスクのいずれかが実際に生じた場合、野村のビジネスや財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。その場合、当社の株式の市場価格が下落し、投資家の皆さまが投資額の全部または一部を失う可能性があります。また、以下に述べられたリスク以外にも、現時点では確認できていない追加的なリスクや現在は重要でないと考えられているリスクも野村に影響を与え、皆さまの投資に影響を与える可能性があります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 目次経営環境に関するリスク1.野村のビジネスは日本経済および世界経済の情勢ならびに金融市場の動向(地政学的イベント含む)により重大な影響を受ける可能性があります (1)野村がビジネスを行う国・地域における政府・金融当局による政策の変更が、野村のビジネス、財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります (2)市場低迷の長期化や市場参加者の減少が流動性を低下させ、大きな損失が生じる可能性があります (3)自然災害、地政学的イベント、感染症等により野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります2.金融業界は激しい競争に晒されています (1)他の金融機関や非金融企業の金融サービス等との競争が激化しています (2)金融グループの統合・再編、各種業務提携や連携の進展により競争が激化しています (3)戦略的提携や出資、新規事業の立ち上げなどが、野村に重大な影響をもたらす可能性があります (4)野村の海外ビジネスは激しい競争に晒されており、ビジネス・モデルの更なる見直しが必要となる可能性があります3.市場リスクや資金流動性リスクだけではなく、イベント・リスク(地政学リスク含む)も野村のトレーディング資産や投資資産に損失を生じさせる可能性があります4.気候変動やそれに関わる各国の政策変更などを含む、サステナビリティの要素が野村の事業に影響を及ぼす可能性があります事業に関するリスク5.野村のビジネスは業務遂行にあたってさまざまな要因により損失を被る可能性があります (1)トレーディングや投資活動から大きな損失を被る可能性があります (2)証券やその他の資産に大口かつ集中的なポジションを保有することによって、野村は大きな損失を被る可能性があります (3)ヘッジ戦略により損失を回避できない場合があります (4)野村のリスク管理方針や手続きがリスクの管理において十分に効果を発揮しない場合があります (5)市場リスクによって、その他のリスクが増加する可能性があります (6)野村の仲介手数料やアセット・マネジメント業務からの収入が減少する可能性があります (7)野村の投資銀行業務からの収入が減少する可能性があります6.野村に債務を負担する第三者がその債務を履行しない結果、損失を被る可能性があります (1)大手金融機関の破綻が金融市場全般に影響を与え、野村に影響を及ぼす可能性があります (2)野村の信用リスクに関する情報の正確性、また信用リスク削減のために受け入れている担保の十分性については、必ずしも保証されたものではありません (3)野村の顧客や取引相手が政治的・経済的理由から野村に対する債務を履行できない可能性があります7.モデルに誤りがある場合、またはモデルを不正確もしくは不適切に使用した場合、意思決定を誤り、財務的損失を被る可能性や、顧客からの信頼低下を招く可能性があります8.当社は持株会社であり、当社の子会社からの支払に依存しています9.投資持分証券・トレーディング目的以外の負債証券について野村が期待する収益を実現できない可能性があります10.野村が提供したキャッシュ・リザーブ・ファンドや債券に損失が生じることで顧客資産が流出する可能性があります 財務に関するリスク11.連結貸借対照表に計上されているのれんおよび有形・無形資産にかかる減損が認識される可能性があります12.資金流動性リスクの顕在化によって野村の資金調達能力が損なわれ、野村の財政状態が悪化する可能性があります (1)野村が無担保あるいは有担保での資金調達ができなくなる場合があります (2)野村が資産を売却できなくなる可能性があります (3)信用格付の低下により、野村の資金調達能力が損なわれる可能性があります13.連結財務諸表に計上されている関連会社およびその他の持分法投資先の株価が一定期間以上大幅に下落した場合には減損が認識される可能性があります非財務リスク14.オペレーショナル・リスクの顕在化により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります15.レピュテーショナル・リスクの顕在化により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります16.野村の財務報告に関する内部統制に開示すべき重要な不備が特定され、財務報告に係る内部統制が有効に機能しない可能性があります17.役職員または第三者による不正行為や詐欺その他の犯罪により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります18.利益相反を特定し適切に対処することができないことにより、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります19.野村のビジネスは、重大なリーガル・リスクおよびレギュラトリー・リスクに影響される可能性があります (1)野村のビジネス等に起因した法的責任が発生し、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります (2)規制による業務制限や、行政処分等による損失が発生し、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります (3)金融システム・金融セクターに対する規制強化の進行が、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります (4)経営状況、法的規制の変更などにより、繰延税金資産の計上額の見直しが行われ、野村の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります (5)マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策へ適切に対処できなかった場合には、行政処分や罰金等の対象となる可能性があります20.野村の保有する個人情報の漏洩により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります21.野村の情報システムが適切に稼働しないこと、外部からのサイバー攻撃による情報漏洩または十分なサイバーセキュリティを維持するために必要な費用負担により、野村のビジネス、財政状態および経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります22.人材の確保・育成ができないことにより、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります 経営環境に関するリスク 1.野村のビジネスは日本経済および世界経済の情勢ならびに金融市場の動向(地政学的イベント含む)により重大な影響を受ける可能性があります 野村のビジネスや収益は、日本経済および世界経済の情勢ならびに金融市場の動向により影響を受ける可能性があります。また、各国の経済情勢や金融市場の動向は、経済的要因だけではなく、武力紛争、テロ行為、経済・政治制裁、世界的流行病、地政学的リスクの見通しまたは実際に発生した地政学的イベント、あるいは自然災害などによっても影響を受ける可能性があります。このような事象が生じた場合、金融市場や経済の低迷が長期化し、野村のビジネスおよび業務継続態勢に影響が及ぶとともに、大きな損失が発生する可能性があります。あるいは金融市場に限らず、例えば日本が直面する人口高齢化や人口減少の長期的傾向等の社会情勢は、野村の事業分野において、需要を継続的に圧迫する可能性があります。なお、野村のビジネス・業務運営に影響を与える金融市場や経済情勢に関するリスクには以下のものが含まれます。 (1)野村がビジネスを行う国・地域における政府・金融当局による政策の変更が、野村のビジネス、財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります 野村は、国内外の拠点網を通じて、グローバルにビジネスを展開しています。したがって、野村がビジネスを行う国・地域において、政府・金融当局が財政および金融その他の政策を変更した場合、野村のビジネス、財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります。具体的には、日本を含む多くの主要各国の中央銀行による金融政策が変更され、それにともなう金利や利回りの変動等が進んだ場合、顧客向け運用商品の提供やトレーディング活動または投資活動等に影響を及ぼす可能性があります。2025年には、日本銀行が1月と12月に政策金利を引き上げるなか、10年国債利回りは年間を通じて約1%上昇しました。また、2026年2月の衆議院議員選挙に際しては、主要政党が軒並み消費税率引き下げを掲げる中で、国債市場が不安定化する局面が見られました。また、2026年4月には、米国とイランの和平協議の決裂を受けて、日本国債利回りは約30年ぶりの高水準に達しました。米国における現政権下の政策運営に対する不確実性が市場の変動要因となりえます。 (2)市場低迷の長期化や市場参加者の減少が流動性を低下させ、大きな損失が生じる可能性があります 市場低迷が長期化すると、野村の業務に関連する市場において取引量が減少し、流動性が低下します。また、規制強化を背景とする金融機関の市場関連業務の縮小も市場の流動性に影響を与えます。この結果、市場において、野村は、自己の保有する資産を売却またはヘッジすることが困難になるほか、当該資産の市場価格が形成されず、自己の保有する資産の時価を認識できない可能性があります。特に店頭デリバティブ等においてはポジションのすべてを適切に解消し、またはヘッジすることができない場合に大きな損失を被る可能性があります。さらに、市場の流動性が低下し、自己の保有するポジションの市場価格が形成されない場合、予期しない損失を生じることがあります。 野村は、これらの市場リスクおよび市場流動性リスク等を日々計測し、事前に設定したリミットを超過する場合は即座の対応をとる等のリスク管理体制を整備しています。 (3)自然災害、地政学的イベント、感染症等により野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります 想定を上回る規模の災害、地政学的イベント、感染症等により、野村の役職員、施設やシステム、通信ネットワーク等が機能しなくなり、業務の継続が困難になる可能性があります。特に、野村が本社を構える日本は地震や津波などの自然災害が多く、主要拠点が集中する地域で大規模な地震等が発生した場合、当社の業務遂行能力や財務状態あるいは業績に深刻な影響が生じる可能性があります。 地政学的イベントには、武力紛争および軍事的緊張の高まり、テロ行為の他、政情不安、貿易分断化のような事象を含みます。これらのリスクに備え、野村は不測の事態に備えた業務継続計画を策定するとともに、役職員の安否確認訓練などの危機管理訓練を行っております。万が一不測の事態が生じた際には対策本部を設置し、役職員等の安否確認、安全確保、被害拡大の防止、および業務継続態勢を維持するために適切な措置を講じる体制を整えております。これらを含め、オペレーショナル・レジリエンス(システム障害、サイバー攻撃、自然災害等が発生しても、重要な業務を最低限維持すべき水準において提供し続ける能力)の確保に向けて取り組んでいます。 2.金融業界は激しい競争に晒されています 野村のビジネスは激しい競争に晒されており、この状況は今後も続くことが予想されます。野村は、取引執行能力や商品・サービス、イノベーション、評判(レピュテーション)、価格など多くの要因において競争しており、特に、仲介業務、引受業務などで激しい価格競争に直面しています。 (1)他の金融機関や非金融企業の金融サービス等との競争が激化しています 金融業界において、野村は多種多様な競合企業との激しい競争に直面しています。独立系証券会社や、商業銀行系の証券会社、日本に限らず各国に拠点を置く証券会社と競合しております。その結果、特に、セールス・トレーディング、投資銀行業務、資産管理ビジネスの分野において、野村のシェアや取引手数料等に影響を及ぼしています。上記に加え、オンライン証券会社の台頭の他、デジタライゼーションやデジタル・トランスフォーメーション(DX)と呼ばれる潮流によりフィンテック企業の台頭や非金融企業の金融サービス参入など、従来の業界領域を超え、競争が一層激化の様相を呈しています。今後はAI技術の活用によるサービス態様の変化により、競争環境がさらに変化する可能性があります。野村はこうした競争環境の変化に対応するべく、既に多角的な取組みを始動させています。しかしながら、激化する競争環境において、このような取組みが野村のシェアの維持拡大に効果を発揮できない場合、ビジネス獲得の競争力が低下し、野村のビジネスおよび経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (2)金融グループの統合・再編、各種業務提携や連携の進展により競争が激化しています 金融業界において、金融機関同士の統合・再編が進んでいます。特に、大手の商業銀行、その他幅広い業容を持つ大手金融グループは、その傘下における証券業の設置および獲得ならびに他金融機関との連携に取り組んでいます。これら大手金融グループが、総合的な金融サービスをワンストップで顧客に提供すべく、グループ内での事業連携を引き続き強化しています。具体的には、ローン、預金、保険、証券ブローカレッジ業務、資産運用業務、投資銀行業務など、グループ内での幅広い種類の商品・サービスの提供を進めており、この結果として金融グループの競争力が野村に対し相対的に高まる可能性があります。また、金融グループは、市場シェアを獲得するために、商業銀行業務その他金融サービスの収入により投資銀行業務や証券ブローカレッジ業務を補う可能性があります。また、グループの垣根を越えた商業銀行と証券業との提携や、昨今では新興企業を含む事業会社との提携等、業態・業界を超えた連携へと広がる傾向も見られ、これらの大手金融グループの事業拡大や提携等による収益力の向上などにより、野村の市場シェアが低下する可能性があります。 (3)戦略的提携や出資、新規事業の立ち上げなどが、野村に重大な影響をもたらす可能性があります 野村は、戦略的提携、買収やマイノリティー出資、新規事業の立ち上げなどを通じて、随時事業の拡大を図る可能性があります。しかしながら、規制上その他の理由により、これらの事業戦略の選定、評価、構築・実施が想定どおりにいかない場合等には、事業の拡大または競争力の維持もしくは向上、期待したとおりのシナジーその他の効果を得られない可能性があります。また、魅力的な投資・提携機会が限られる中で、他社との競争にさらされる可能性もあります。これらの新たな戦略的提携、出資および事業活動は、より広範な顧客や取引先との取引、新たな資産クラスや新たな市場に関わることによりリスクが増加する可能性があります。 (4)野村の海外ビジネスは激しい競争に晒されており、ビジネス・モデルの更なる見直しが必要となる可能性があります 海外には多くのビジネスの機会およびそれにともなう競争が存在します。野村は、これらのビジネス機会を有効に活用するため、米国、欧州、アジアなどの重要な海外市場において他金融機関と競合しています。野村は、ビジネス・ポートフォリオの見直し、および顧客ビジネスと成長地域への注力を行うべく、ビジネスプラットフォームの強化に取り組んでおり、2023年にCapital Nomura Securities Public Company Limitedの持分を売却したほか、2025年にはMacquarie Management Holdings, Inc.、Macquarie Investment Management Holdings (Luxembourg) S.à.r.l.、およびMacquarie Investment Management Holdings (Austria) GmbHの全持分を取得するなど、オーガニックだけでなくインオーガニックにもビジネスプラットフォームを適宜見直してきました。今後も、競争環境を俯瞰しながらビジネス・ポートフォリオ全体の見直しは継続し、各種リスクを考慮のうえで戦略を実行していきますが、スピードも意識する必要がある中で想定以上の費用がかさんだり、財務、経営その他の資源を想定以上に投じることとなった場合などには、野村のビジネスおよび経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、戦略の土台となる想定が正しくなかった場合、得られる利益が想定以上に落ち込むなど、結果として野村のビジネスおよび経営成績に影響を与える可能性があります。さらに、戦略の実行にともなう人員数や報酬の削減により、野村のビジネスの成功に必要な従業員の獲得および維持に悪影響が及ぶ可能性があります。また、経営体制の合理化が適切に行われなかった場合、野村がグローバルに展開するビジネスを適切に管理監督するための機能に影響を及ぼす可能性があります。 3.市場リスクや資金流動性リスクだけではなく、イベント・リスク(地政学リスク含む)も野村のトレーディング資産や投資資産に損失を生じさせる可能性があります イベント・リスクとは、事前に予測が困難な出来事(例えば、自然災害、人災、流行病、テロ行為、武力紛争、政情不安、その他野村のビジネスや取引相手等に影響を与える出来事)によりマーケットに急激な変動がもたらされた場合に発生する潜在的な損失をいいます。これらには、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大、2022年のロシアによるウクライナへの侵攻、および中東における地政学的緊張、米国政権による各種政策運営に起因する突然かつ想定外の貿易環境や安全保障政策の急変などの社会的に重大な事象のほか、より個別具体的に野村のトレーディング資産や投資資産に損失を生じさせるおそれのある、次のような出来事が含まれます。 ・主要格付機関による、野村が保有するトレーディング資産や投資資産に関する信用格付の突然かつ大幅な格下げ・野村のトレーディング戦略を陳腐化させ、競争力を低下させ、または実行不能にするような、トレーディング、税務、会計、金融規制、法律その他関連規則の突然の変更・野村が関与する取引が予測不能な事由により遂行されないために野村が受け取るべき対価を受け取れないこと、または野村がトレーディングもしくは投資資産として保有する有価証券の発行会社の倒産や詐欺的行為もしくはこれらに対する行政処分等 4.気候変動やそれに関わる各国の政策変更などを含む、サステナビリティの要素が野村の事業に影響を及ぼす可能性があります 野村は、気候変動を主要なグローバル課題の1つであると認識しています。気候変動がもたらす直接的な影響(物理的リスク)と、それにともなうビジネス環境の変化(移行リスク)により野村は損失を被る可能性があります。 また、野村は、グローバルな金融サービス・グループとして、環境・社会課題の解決に資する幅広いソリューションを提供しています。しかしながら、サステナビリティを取り巻く環境の変化は速く、事業活動において環境や人権などへの配慮が十分でないと見做されたり、脱炭素化やその他サステナビリティ関連の取組みなどを進めていく顧客に対して十分なサービス提供ができない場合があります。さらに、各国の規制や市場の期待等は急速に変化し続けており、対立する見解やアプローチが生じることがあります。その結果、野村のサステナビリティ関連の情報開示や規制対応が不十分である、あるいはそのように見做される場合や、逆に自主的なイニシアティブへの参画などを含む野村の取組みが一部ステークホルダーから否定的に受け取られる場合には、訴訟提起や一定の行政上の措置が課される可能性があります。これらの結果として野村のレピュテーション、経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 事業に関するリスク 5.野村のビジネスは業務遂行にあたってさまざまな要因により損失を被る可能性があります (1)トレーディングや投資活動から大きな損失を被る可能性があります 野村は顧客取引および自己売買のために、債券市場や株式市場等でトレーディング・ポジションと投資ポジションを保有しております。野村のポジションは金利、為替、クレジット、証券化商品、株式などさまざまな種類の資産によって構成されており、その中にはデリバティブ、レポおよびローンなどの取引も含まれます。これらの資産が取引される市場の変動は、当該資産のポジションの価値に影響を及ぼす可能性があります。そのため、野村はさまざまなヘッジ手法を用いてポジション・リスクの軽減に努めていますが、それでも資産価格が大きく変動した場合、もしくは、金融システムに過大な負荷がかかることで市場が野村の予測していない動きをした場合、野村は損失を被る可能性があります。また、暗号資産の価格については、業界の動向や暗号資産の規制などさまざまな要因により大きく変動する可能性があります。 野村のビジネスは市場のボラティリティ水準の変化に影響を受けており、今後も継続して影響を受ける可能性があります。トレーディングや裁定取引の機会は市場のボラティリティに依存しており、ボラティリティが低下した場合は取引機会が減少し、これらのビジネスの結果に影響を与える可能性があります。一方、ボラティリティが上昇した場合は取引量が増加し、バリュー・アット・リスク(以下「VaR」)で計測されるリスク量が増大することがあります。また過度なボラティリティの上昇や価格スプレッドの拡大が生じた場合、野村はマーケットメイクや自己勘定投資においてより高いリスクに晒される可能性があります。そのため、必要に応じてこれらのビジネスの既存ポジションまたは取引量を減らすことがあります。 野村は資本市場における取引を円滑に進めるために、引受業務やトレーディング業務にともない比較的大きなポジションを保有することがあります。また、野村が投資商品の開発を目的として試験的なファンドを設定してポジションを保有し、投資商品の設定・維持を目的として資金を出資することがあります。野村は市場価格の変動によりこれらのポジションから大きな損失を被る可能性があります。 加えて、野村が担保を提供する取引においては、担保資産価値の大幅な下落や、野村の信用格付の引下げ等によって信用力低下にともなう追加担保の提供義務が生じた場合は、取引コストの上昇および収益性の低下を招く可能性があります。一方、担保の提供を受ける取引においては、担保資産価値や信用力の下落が顧客取引の減少につながり、それにともなう収益性の低下を招く可能性があります。信用格付の低下に関しては「財務に関するリスク 12.資金流動性リスクの顕在化によって野村の資金調達能力が損なわれ、野村の財政状態が悪化する可能性があります -(3)信用格付の低下により、野村の資金調達能力が損なわれる可能性があります」をご参照ください。 (2)証券やその他の資産に大口かつ集中的なポジションを保有することによって、野村は大きな損失を被る可能性があります 野村は、マーケットメイク、ブロック取引、引受業務、証券化商品の組成、プライム・ブローカレッジ取引、または、顧客ニーズに対応した各種ファイナンシングおよびソリューション・ビジネス等においては、特定の資産を大口かつ集中的に保有することがあり、多額の資金をこれらのビジネスに投じています。その結果、しばしば特定の発行者または特定の業界、国もしくは地域の発行者が発行する証券または資産に大口のポジションを保有することがあります。これらの資産の価格変動は、必要に応じたそれらポジションの処理・換金に重大な影響を与える可能性があり、大きなトレーディング損失を計上することがあります。なお、一般に、取引相手としては商業銀行、ブローカー・ディーラー、清算機関、取引所および投資会社といった金融サービス業に携わる者に対するエクスポージャーが大きくなる傾向があります。 (3)ヘッジ戦略により損失を回避できない場合があります 野村はさまざまな金融商品や戦略を用いて、野村が顧客または自己のために行う金融取引から生じるリスク・エクスポージャーをヘッジしています。ヘッジ戦略が効果的に機能しない場合、野村は損失を被る可能性があります。野村のヘッジ戦略の多くは過去の取引パターンや相関性に根拠を置いています。例えば、ある資産を保有する場合は、それまでその資産の価値の変化を相殺する方向に価格が動いていた資産を保有することでヘッジを行っています。しかし野村は、さまざまな市場環境においてあらゆる種類のリスクに晒されており、過去の金融危機の際に見られたように、過去の取引パターンや相関性が維持されず、これらのヘッジ戦略が必ずしも十分に効果を発揮しない可能性があります。さらに、すべてのヘッジ戦略がすべての種類のリスクに対して有効であるわけではなく、リスクが適切に管理されていない場合には、特定の戦略がリスクを増加させる可能性があります。 (4)野村のリスク管理方針や手続きがリスクの管理において十分に効果を発揮しない場合があります リスクの特定、モニターおよび管理を行うための野村の方針や手続きが十分な効果を発揮しない場合があります。例えば、野村のリスク管理方法の一部は過去の金融市場におけるデータの動きに基づいて設計、構築されていますが、将来の金融市場における個々のデータの振る舞いは、過去に観察されたものと同じであるとは限りません。その結果、将来のリスク・エクスポージャーが想定を超えて、大きな損失を被る可能性があります。また、野村が使用しているリスク管理方法は、市場、顧客等に関する公表情報または野村が入手可能な情報の評価をよりどころとしています。これらの情報が正確、完全、最新でない、または正しく評価されていない場合には、野村は、リスクを適切に評価できず、大きな損失を被る可能性があります。加えて、市場のボラティリティ等を要因として野村のリスク評価モデルが市場と整合しなくなり、適正な評価やリスク管理が行えなくなる可能性があります。さらに、リスク管理の方針や手続きが定められていたとしても、それらが実際に有効に機能するためには、適切に遵守される必要があります。また、組織の構造やガバナンスの枠組みに潜在的な問題がある場合、リスク管理にかかる役割や責任などについて意見の相違が生じる可能性があります。 (5)市場リスクによって、その他のリスクが増加する可能性があります 前述の野村のビジネスに影響を与えうる可能性に加え、市場リスクがその他のリスクを増幅させる可能性があります。例えば、金融工学や金融イノベーションを用いて開発された金融商品に内在する諸リスクは市場リスクによって増幅されることがあります。 また、野村が市場リスクによりトレーディングで大きな損失を被った場合、野村の流動性ニーズが急激に高まる可能性があり、一方で、野村の信用リスクが市場で警戒され、資金の調達が困難になる可能性があります。 さらに、市場環境が悪化している場合に、野村の顧客や取引相手が大きな損失を被り、その財政状態が悪化した場合には、顧客や取引相手に対する信用リスクが増加する可能性があります。 (6)野村の仲介手数料やアセット・マネジメント業務からの収入が減少する可能性があります 金融市場や経済情勢が低迷すると、野村が顧客のために仲介する証券取引の取扱高が減少するため、仲介業務にかかる収入が減少する可能性があります。また、近年、野村のアセット・マネジメント業務は、自律的成長に加え、Macquarie Group Limitedの米国および欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業の買収などを通じて、その重要性を増しています。そのため、このプラットフォームのさらなる成長は、野村の成長戦略における優先課題の一つとなっています。しかしながら、野村は、この戦略全体、または特にMacquarie Group Limitedの米国および欧州におけるパブリック・アセットマネジメント事業の買収によって期待される利益を実現できない可能性があります。さらに、アセット・マネジメント業務は、市場の下落局面の影響を受けます。アセット・マネジメント業務については、多くの場合、野村は顧客のポートフォリオを管理することで報酬を得ており、その報酬額はポートフォリオの価値に基づいています。したがって、市場の低迷によって、顧客のポートフォリオの価値が下がり、解約等の増加や新規投資の減少が生じることによって、野村がアセット・マネジメント業務から得ている収入も減少する可能性があります。また、顧客の資産運用の趣向が変化し、預金などの安定運用や、相対的に低報酬率であるパッシブファンドなどへシフトすることで、これらの収入は減少する可能性があります。 (7)野村の投資銀行業務からの収入が減少する可能性があります 金融市場や経済情勢の変動によって、野村の行う引受業務やM&Aアドバイザリー業務などの投資銀行業務における案件の数や規模が変化する可能性があります。これらの業務の手数料をはじめとして、投資銀行業務からの収入は、野村が取り扱う案件の数や規模により直接影響を受けるため、野村の投資銀行業務および当該業務における顧客等に好ましくない形で経済または市場が変動した場合には、これらの収入が減少する可能性があります。 6.野村に債務を負担する第三者がその債務を履行しない結果、損失を被る可能性があります 野村の取引先は、ローンやローン・コミットメントに加え、その他偶発債務、デリバティブなどの取引や契約により、野村に対して債務あるいは担保差入れ等の一定の義務を負うことがあります。これらの取引先が法的整理手続きの申請、信用力の低下、流動性の欠如、人為的な事務手続き上の過誤、政治的・経済的事象による制約など、さまざまな理由で債務不履行に陥った場合、野村は大きな損失を被る可能性があります。2024年3月期においては、英国における当社子会社とブローカーである業者との取引における決済不履行にともなう貸倒引当金(約140億円)の計上を行いました。貸倒引当金の積立と維持は行っていますが、当該引当金は、入手可能な限りの情報に基づく経営者の判断および仮定に基づいています。しかしながら、それらの情報が不正確または不完全であり、さらにそれらの情報に基づく判断および仮定が、場合によっては重大な誤りであると判明する可能性があります。 信用リスクは、第三者が発行する証券の保有、金融機関やヘッジファンドなどの野村の取引相手による未履行、決済機関・取引所・清算機関等のシステム障害などにより、証券・先物・通貨またはデリバティブ取引の執行が所定の期日に行われない場合からも生じます。 第三者の信用リスクに関連した問題には次のものが含まれます。 (1)大手金融機関の破綻が金融市場全般に影響を与え、野村に影響を及ぼす可能性があります 多くの金融機関の経営健全性は、与信、トレーディング、清算・決済など、金融機関間の取引を通じて密接に関連しています。その結果、ある特定の金融機関に関する信用懸念や債務不履行が、他の金融機関の重大な流動性問題や損失、債務不履行を引き起こし、決済・清算機関、銀行、証券会社、取引所といった、野村が日々取引を行っている金融仲介機関にも影響を及ぼす可能性があります。また将来発生しうる債務不履行や債務不履行懸念の高まり、その他類似の事象が、金融市場や野村に影響を及ぼす可能性があります。 (2)野村の信用リスクに関する情報の正確性、また信用リスク削減のために受け入れている担保の十分性については、必ずしも保証されたものではありません 野村は信用に懸念のある顧客や取引相手、特定の国や地域に対するクレジット・エクスポージャーを定期的に見直しています。しかし、債務不履行が発生するリスクは、粉飾決算や詐欺行為のように発見が難しい事象や状況から生じる場合があります。また、野村が取引相手のリスクに関し、すべての情報を手に入れることができない、あるいは情報を正確に管理・評価できない可能性があります。さらに、野村が担保提供を条件として与信をしている場合に、当該担保の市場価格が急激に下落して担保価値が減少した場合、担保不足に陥る可能性があります。 (3)野村の顧客や取引相手が政治的・経済的理由から野村に対する債務を履行できない可能性があります カントリー・リスクや地域特有のリスク、政治的リスクは、市場リスクのみならず、信用リスクに影響を与える可能性があります。現地市場における混乱や通貨危機のように、ある国または地域における政治的・経済的問題はその国や地域に所在するもしくは関係する顧客・取引相手の信用力や外貨調達力に影響を与え、結果として野村に対する債務の履行に影響を与える可能性があります。 7.モデルに誤りがある場合、またはモデルを不正確もしくは不適切に使用した場合、意思決定を誤り、財務的損失を被る可能性や、顧客からの信頼低下を招く可能性があります 野村では、流動性の低いデリバティブ取引の評価や債務者の信用力の評価等を目的として、さまざまな業務でモデルを使用しています。しかし、モデルは常に完璧とは限らず、モデルを使用することで、モデル・リスクが生じる可能性があります。モデルに誤りがある場合、またはモデルを不正確もしくは不適切に使用した場合、意思決定の誤り、財務的損失、または顧客からの信頼低下を招く可能性があります。野村は、モデルの開発、実装や使用に加え、有効なモデル検証プロセスやモデル・リスクを管理し、軽減するための体制を含むモデル・リスクの管理の枠組みを設置しています。それにより、モデル・リスクの軽減に努めていますが、それでも損失が出る可能性があります。 8.当社は持株会社であり、当社の子会社からの支払に依存しています 当社は持株会社であり、配当金の支払や負債の支払の資金について、当社の子会社から受領する配当金、分配金およびその他の支払に依存しています。会社法などの法規制により、子会社への資金移動または子会社からの資金移動が制限される可能性があります。特に、ブローカー・ディーラー業務を行う子会社を含め、多くの子会社は、親会社である持株会社への資金の移動を停止または減少させる、あるいは一定の状況においてそのような資金の移動を禁止するような、自己資本規制を含む法規制の適用を受けています。例えば、当社の主要なブローカー・ディーラー子会社である野村證券株式会社、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルInc.、ノムラ・インターナショナルPLCおよびノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITEDは、自己資本規制の適用を受けており、自己資本規制の変更や要求水準によっては、当社への資金移動が制限される可能性があります。当社は、関連する法規制に基づき野村グループ間における資金移動について日々確認し管理しておりますが、これらの法規制は当社の債務履行に必要となる資金調達の方法を制限する可能性があります。 9.投資持分証券・トレーディング目的以外の負債証券について野村が期待する収益を実現できない可能性があります 野村は、プライベート・エクイティ投資や当社が公正価値オプションを選択した関連会社株式を含む、多額の投資持分証券・トレーディング目的以外の負債証券を保有しています。米国会計原則では、市場環境によってこれらの投資にかかる多額の損失が計上されることがあり、このことが野村の損益に大きな影響を与えます。また、野村はこれらの投資持分証券・負債証券の売却を決定する可能性がありますが、市場の環境によっては、これらの投資持分証券・負債証券を売却したい場合に、期待どおり迅速には、また望ましい水準では売却できない可能性があります。 10.野村が提供したキャッシュ・リザーブ・ファンドや債券に損失が生じることで顧客資産が流出する可能性があります マネー・マーケット・ファンド(MMF)やマネー・リザーブ・ファンド(MRF)といったキャッシュ・リザーブ・ファンドは低リスク商品と位置づけられています。しかし急激な金利上昇にともなうファンドの債券価格の下落による損失、債券のデフォルト、マイナス金利の適用による手数料チャージにより、元本割れを起こす場合があります。また、野村は運用による安定的な利回りが見込めないと判断した場合、これらのキャッシュ・リザーブ・ファンドに対し繰上償還や入金制限を行う可能性があります。 また、野村が提供した債券の発行体が債務不履行に陥り、利息や元本の支払が遅延する場合があります。 上記事象の結果、野村は顧客の信頼を失う可能性があり、ひいては野村が保管する顧客からの預かり資産の流出もしくは預かり資産増加の妨げとなる可能性があります。 財務に関するリスク 11.連結貸借対照表に計上されているのれんおよび有形・無形資産にかかる減損が認識される可能性があります 野村は、事業の拡大等のため、企業の株式などを取得し、または企業グループの一部の事業を承継しており、野村が有益と判断した場合にはこれらの活動を今後も継続して行う可能性があります。このような取得や承継は、米国会計原則に基づき、当社の連結財務諸表において、企業結合として認識され、取得価額は資産と負債に配分され、差額はのれんとしています。 例えば、野村は2025年12月にMacquarie Management Holdings, Inc.、Macquarie Investment Management Holdings (Luxembourg) S.à.r.l.、およびMacquarie Investment Management Holdings (Austria) GmbHの全持分を取得し、150,976百万円ののれん、および118,201百万円の無形資産を連結貸借対照表に計上しております。 これらの企業結合などにより認識されたのれんおよび有形・無形資産に対して減損損失やその後の取引にともなう損益が認識される可能性があり、野村の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。 12.資金流動性リスクの顕在化によって野村の資金調達能力が損なわれ、野村の財政状態が悪化する可能性があります 資金流動性、すなわち必要な資金の確保は、野村のビジネスにとって極めて重要です。野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。即時に利用できるキャッシュ・ポジションを確保しておくことに加え、野村は、レポ取引や有価証券貸借取引、長期借入金の利用や長期社債の発行、コマーシャル・ペーパーのような短期資金調達先の分散、流動性の高いポートフォリオの構築などの方法によって十分な資金流動性の確保に努めています。しかし、野村は一定の環境の下で資金流動性の低下に晒されるリスクを負っています。その内容は以下のとおりです。 (1)野村が無担保あるいは有担保での資金調達ができなくなる場合があります 野村は、借り換えも含めた日常の資金調達において、短期金融市場や債券発行市場での債券発行、銀行からの借入といった無担保資金調達を継続的に行っています。また、トレーディング業務のための資金調達活動として、レポ取引や有価証券貸借取引といった有担保資金調達を行っています。これらの資金調達ができない場合、あるいは通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる場合、野村の資金流動性は大きく損なわれる可能性があります。例えば、野村の短期または中長期の財政状態に対する評価を理由に、資金の出し手が資金提供を拒絶する可能性があるのは、次のような場合です。 ・多額のトレーディング損失・市場の低迷にともなう野村の営業活動水準の低下・規制当局による行政処分・信用格付の低下 上記に加え、市場金利の上昇、資金の出し手側の貸付能力の低下、金融市場やクレジット市場における混乱、投資銀行業や証券ブローカレッジ業、その他広く金融サービス業全般に対する否定的な見通し、日本の国家財政の健全性に対する市場の否定的な見方など、野村に固有でない要因によって、野村の資金調達が困難になることもあります。 (2)野村が資産を売却できなくなる可能性があります 野村が資金を調達できない、もしくは資金流動性残高が大幅に減少するなどの場合、野村は期限が到来する債務を履行するために資産を売却するなどの手段を講じなければなりません。市場環境が不安定で不透明な場合には、市場全体の流動性が低下している可能性があります。このような場合、野村は資産を売却することができなくなる可能性や資産を低い価格で売却しなければならなくなる可能性があり、結果的に野村の経営成績や財政状態に影響を与える場合があります。また、他の市場参加者が同種の資産を同時期に市場で売却しようとしている場合には、野村の資産売却に影響を及ぼすことがあります。 (3)信用格付の低下により、野村の資金調達能力が損なわれる可能性があります 野村の資金調達は、信用格付に大きく左右されます。格付機関は野村の格付の引下げや取下げを行い、または引下げの可能性ありとして「クレジット・ウォッチ」に掲載することがあります。格付の引下げがあった場合、野村の資金調達コストが上昇する可能性や、資金調達自体が制約される可能性があります。その結果、野村の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。 さらに、日本の国家財政の健全性に対する市場の否定的な見方といった、野村に固有でない要因によっても、野村の資金調達が困難になることもあります。 13.連結財務諸表に計上されている関連会社およびその他の持分法投資先の株価が一定期間以上大幅に下落した場合には減損が認識される可能性があります 米国会計基準に基づいて、野村は上場している関連会社およびその他の持分法投資先の株式に投資しており、この投資は持分法で連結財務諸表に計上されています。野村が保有する関連会社の株式の市場価格が一定期間を超えて下落した場合において、価格の下落が一時的ではないと野村が判断したときには、野村は減損を認識しなければなりません。このことは、野村の経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 非財務リスク 14.オペレーショナル・リスクの顕在化により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります オペレーショナル・リスクとは、内部プロセス・システム・役職員の行動が不適切であること、機能しないこと、もしくは外生的事象から生じる財務上の損失、または非財務的影響を被るリスクをいいます。また、オペレーショナル・リスクには、不正、コンプライアンス、リーガル、ITおよび情報セキュリティ、サードパーティに関するリスク、その他の非財務リスクが含まれます。かかるリスクが顕在化した場合には、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります。なお、オペレーショナル・リスクに関連する事項には、以下に記載した16番から22番までのものも含まれます。 15.レピュテーショナル・リスクの顕在化により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります レピュテーショナル・リスクとは、ステークホルダーから見て不適切、非倫理的、または野村の価値観や企業理念と矛盾していると判断される行為等があった場合に評判を損なうリスク、および、それにともない利益、資本、流動性が影響を受けるリスクを指します。「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」に記載したような事象が発生する等して、かかるリスクが顕在化した場合、野村のビジネスの見通し、財務状況や経営成績に悪影響を与える可能性があります。 16.野村の財務報告に関する内部統制に開示すべき重要な不備が特定され、財務報告に係る内部統制が有効に機能しない可能性があります 当社は、金融商品取引法に基づいて、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書の提出を行っております。また、米国証券取引所上場会社として、米国サーベンス・オクスリー法に基づいて、財務報告に係る内部統制の有効性の評価を行っております。当社は、財務報告に係る内部統制の有効性および妥当性を確保するために必要な体制を整備しております。しかしながら、野村の財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備が特定され、財務報告に係る内部統制が有効に機能しない可能性があります。 例えば、野村は2024年3月期の第4四半期において、提出済みの有価証券報告書に含まれる連結財務諸表に記載された連結キャッシュ・フロー計算書の一部の区分および表示に関する内部統制に重要な不備を特定しました。これにより、野村は当該連結財務諸表および四半期連結財務諸表に含まれる連結キャッシュ・フロー計算書を訂正する必要が生じました。野村は、これらの重要な不備に対処するための多くの改善策を策定し、将来開示する有価証券報告書に含まれる連結キャッシュ・フロー計算書およびその他の連結財務諸表で同様の不備の発生の防止に取り組みました。当社はこのように再発防止策を講じ、2024年3月31日に終了した会計年度以降、その会計年度の年度末日時点において、財務報告に係る内部統制が有効であると結論付けました。 野村の財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備が特定された場合、連結財務諸表およびその他財務情報において正確、迅速かつ信頼性のある方法で財務情報を提供することができない可能性や、連結財務諸表や他の定期的に行う開示において追加的な訂正が発生する可能性があります。これは、公表された財務諸表その他の情報に対する株主を含めた利用者の信頼を失わせることで、米国預託証券の価格を含めた株価を下落させる可能性だけでなく、資本市場へのアクセスが制限される可能性、顧客が野村との取引を控える可能性、潜在的な規制当局の調査や制裁を受ける可能性があります。それが結果として野村の事業、業績、財務状況に対して重大で不利な影響を与える可能性があります。 17.役職員または第三者による不正行為や詐欺その他の犯罪により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります 野村の役職員が、上限額を超えた取引、限度を超えたリスクの負担、権限外の取引や損失の生じた取引の隠蔽、顧客に対する犯罪行為や違法行為等の不正行為を行うことにより、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります。また、不正行為には、インサイダー取引、情報伝達行為や取引推奨行為等の役職員または第三者による野村やその顧客の非公開情報の不適切な使用・漏洩その他の犯罪も含まれ、その結果、野村が行政処分を受け、もしくは法的責任を負う可能性、または野村のレピュテーションや財政状態に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。 また、野村は、第三者が行う詐欺的行為に直接または間接に巻き込まれる可能性があります。野村は、投資、融資、保証、その他あらゆる種類のコミットメントを含め、幅広いビジネス分野で多くの第三者と日々取引を行っているため、こうした第三者による詐欺や不正行為を防止し、発見することが困難な場合があり、こうした行為に巻き込まれることにより、野村の将来のレピュテーションや財政状態に影響が及び、野村が被る損失が多額になり、また野村に対する信頼が損なわれる等の悪影響を受けるおそれがあります。 野村は、「野村グループ行動規範」を策定するとともに、コンプライアンス研修等の実施、内部通報制度での対応の充実等を通じて、その浸透と遵守を徹底することをはじめとする役職員や第三者による不正行為や詐欺的行為を防止または発見するための対策を講じていますが、これらの実装済の対策または今後追加する対策により役職員や第三者による不正行為や詐欺的行為を常に防止または発見できるとは限らず、また、不正行為や詐欺的行為の防止・発見のために取っている予防措置がすべての場合に効果を発揮するとは限りません。そのような不正行為や詐欺的行為の結果として野村に対する行政上の処分または司法上の決定・判決等が行われれば、野村はビジネスの機会を喪失する可能性があり、また、顧客、特に公的機関が野村との取引を行わない決定をした場合は、たとえ処分等が解除された後であっても、ビジネスの機会を喪失し、将来の収益や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社の連結子会社である野村證券株式会社は、フィッシング詐欺等による証券口座への不正アクセス等により、第三者が顧客の資産を利用して有価証券等の売買等を行ったことにより発生した被害について、2025年1月以降に不正取引の被害にあった同社の顧客口座については、最大で不正取引が行われる前の状態に戻すことを含め、顧客ごとの個別の事情に応じて対応することとしております。足元では、関係各所との連携強化、顧客への注意喚起、本人認証手段の強化等により、同種事案の被害状況は従前に比べ落ち着いているものの、フィッシング等の手口は継続的に高度化・多様化しており、今後も同様の事案が再発する可能性があります。そのような事案に当社グループ又は顧客が巻き込まれた場合、また、被害補償やセキュリティ強化に向けた措置等が不十分とみなされた場合には、野村の将来のレピュテーションや財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 18.利益相反を特定し適切に対処することができないことにより、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります 野村は、多様な商品およびサービスを個人、企業、他の金融機関および政府機関を含む幅広い顧客に対して提供するグローバルな金融機関です。それにともない、野村の日々の業務において利益相反が発生するおそれがあります。利益相反は、特定の顧客へのサービスの提供が野村の利益と競合・対立する、または競合・対立するとみなされることにより発生します。また、適切な非公開情報の遮断措置または共有がされていない場合、特定の顧客との取引とグループ各社または他の顧客との取引が競合・対立する、または競合・対立するとみなされることにより利益相反が発生する可能性があります。野村は利益相反を特定し対処するための「野村グループ利益相反管理方針」に基づく利益相反管理体制を整備していますが、利益相反を特定、開示し、適切に対処することができなかった場合、またはできていないとみなされた場合には、野村のレピュテーションが悪化し、現在または将来の顧客を失い、行政処分、または訴訟の提起を生じさせる可能性があり、収益や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 19.野村のビジネスは、重大なリーガル・リスクおよびレギュラトリー・リスクに影響される可能性があります 野村が重大な法的責任を負うことまたは野村に対する行政処分がなされることにより、重大な財務上の影響を受け、または野村のレピュテーションが低下し、その結果、ビジネスの見通し、財政状態や経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、野村や野村が業務を行う市場に適用される規制に重大な変更がなされた場合、これが野村のビジネスに悪影響を与える可能性があります。野村に対する主な訴訟その他の法的手続きについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 コミットメント、偶発事象および債務保証」をご参照ください。 野村は、ビジネスにおいてさまざまなリーガル・リスクに晒されています。これらのリスクには、金融商品取引法およびその他の法令における有価証券の引受けおよび勧誘に関する責任、有価証券その他金融商品の売買から生じる責任、複雑な取引条件に関する紛争、野村との取引にかかる契約の有効性をめぐる紛争、業務提携先との間の紛争ならびにその他の業務に関する法的賠償請求等が含まれます。野村は、重大な法的責任が発生した場合、専門家や第三者機関等にも助言を求め、適切な方針を策定の上、これらへの対応を行っておりますが、紛争等の動向によっては、野村のレピュテーションや財政状態に影響が及び、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (1)野村のビジネス等に起因した法的責任が発生し、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります 市場の低迷の長期化または市場に重大な影響を与えるイベントの発生により、野村に対する賠償請求等が増加することが予想され、また、重大な訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟費用は高額にのぼる可能性もあり、訴訟を提起されることにより野村のレピュテーションが悪化する可能性もあります。例えば、2022年3月期においては、米国における世界金融危機(2007~2008年)以前の取引に関連して、約620億円の法的費用(将来的な損失発生の軽減を目的とした一定の取引を含みます。)が認識されました。さらに、適法な取引であったとしても、その取引手法によっては社会的非難の対象となってしまう場合もあります。 これらのリスクの査定や数量化は困難であり、リスクの存在およびその規模が認識されない状況が相当期間続く可能性もあります。 (2)規制による業務制限や、行政処分等による損失が発生し、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります 金融業界は広範な規制を受けています。野村は、国内において政府機関や自主規制機関の規制を受けるとともに、海外においては業務を行っているそれぞれの国の規制を受けています。また、野村のビジネスの拡大とともに、適用される政府機関や自主規制機関の規制も増加する可能性や、法改正によって、これらの規制が強化される可能性があります。さらに、金融規制の体系の複雑化が進み、ある一国の規制が、当該国以外の活動に域外適用される可能性も増加しています。これらの規制は、広く金融システムの安定や金融市場・金融機関の健全性の確保、野村の顧客および野村と取引を行う第三者の保護等を目的としており、自己資本規制、顧客保護規制、市場行動規範などを通じて野村の活動を制限し、野村の収益に影響を与えることがあります。この他、従来の金融関連法制に加え、広く国際的な政治経済環境や政府当局の規制・法執行方針等によっても、野村のビジネスに適用・影響する法令諸規制の範囲が拡大する可能性があります。とりわけ、金融業界に対する各国の政府機関や自主規制機関による調査手続きや執行については、近年件数が増加し、また、それらによる影響はより重大なものになっており、野村もそのような調査手続きや執行の対象となるリスクに晒されています。この点、野村は、法令諸規制を遵守するため、随時モニタリングや社内管理体制の構築といった対策を講じてはおりますが、法令諸規制に抵触することを完全には防ぐことができない可能性があり、仮に法令違反等が発生した場合には、罰金、一部の業務の停止、社内管理体制の改善等にかかる命令、もしくは営業認可の取消しなどの処分を受ける可能性があります。野村が行政上の処分または司法上の決定・判決等を受けた場合、野村のレピュテーションが悪化し、ビジネス機会の喪失や人材確保が困難になるといった悪影響を受ける可能性があります。また、それらの処分により、顧客(とりわけ公的機関)が野村との金融取引を行わない決定をした場合は、たとえ命令等の処分が解除された後であっても、一定期間、野村がビジネスの機会を喪失する可能性があります。さらに、野村が国際的な制裁の対象地域で事業活動を行う場合には、当該事業活動が制裁規制に違反していなくても、一部の市場関係者が野村への投資や野村との取引を控える可能性があります。 (3)金融システム・金融セクターに対する規制強化の進行が、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります 野村のビジネスに適用される規制が導入・改正・撤廃される場合、野村は、直接またはその結果生じる市場環境の変化を通じて悪影響を受けることがあります。規制の導入・改正・撤廃により、野村の全部または一部の事業を継続することの経済合理性がなくなる可能性、もしくは規制の対応に膨大な費用が生じる可能性があります。 加えて、野村に適用される会計基準や自己資本比率・流動性比率・レバレッジ比率等に関する規制の変更が、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そうした新たな規制の導入または既存の規制の改正には、バーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」)によるいわゆるバーゼルⅢと呼ばれる規制パッケージが含まれ、2017年12月には、バーゼルⅢの最終規則文書が公表され、さらに、2019年1月には「マーケット・リスクの最終所要自己資本」にかかる最終文書が公表されました。これらの最終文書に基づく改正後の自己資本比率およびレバレッジ比率の算出方法が、2025年3月末より当社に適用されています。 その他、2015年12月、金融庁は当社を国内のシステム上重要な銀行(以下「D-SIBs」)に指定し、2016年3月以降の追加的な資本賦課水準を3年間の経過措置はありますが0.5%といたしました。さらに、金融安定理事会(FSB)は、2015年11月にグローバルにシステム上重要な銀行(以下「G-SIBs」)に対して破綻時の総損失吸収力(以下「TLAC」)を一定水準以上保有することを求める最終文書を公表しました。これを受けて、金融庁は、2018年4月に、本邦G-SIBsに加え、本邦D-SIBsのうち、国際的な破綻処理対応の必要性が高く、かつ破綻の際に我が国の金融システムに与える影響が特に大きいと認められる金融機関についても本邦TLAC規制の適用対象とする方針とし、2019年3月に当該方針に基づきTLAC規制にかかる告示等を公表しました。当社は、現時点ではG-SIBsに選定されてはおりませんが、これにより、2021年3月末より本邦TLAC規制の適用対象に加えられることになりました。これらの規制により、野村の資金調達コストが上昇する、あるいは野村のビジネス、資金調達活動や野村の株主の利益に影響を及ぼすような資産売却、資本増強もしくは野村のビジネスの制限を行わなければならない可能性があります。 (4)経営状況、法的規制の変更などにより、繰延税金資産の計上額の見直しが行われ、野村の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります 米国会計基準に基づいて、野村は、一定の条件の下で、将来における税金負担額の軽減効果を有すると見込まれる額を繰延税金資産として当社の連結貸借対照表に計上しております。今後、経営状況の悪化、法人税率の引下げ等の税制改正、米国会計基準の変更などその回収可能性に変動が生じる場合には、当社の連結貸借対照表に計上する繰延税金資産を減額する可能性があります。その結果、野村の経営成績および財政状態に影響が生じる可能性があります。繰延税金資産の内訳につきましては「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 17 法人所得税等」をご参照ください。 (5)マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策へ適切に対処できなかった場合には、行政処分や罰金等の対象となる可能性があります 近年、金融犯罪の手口は複雑化・高度化・多様化してきています。国際的にも武力紛争、テロ犯罪やサイバー攻撃の脅威が増す中、犯罪者やテロリスト等につながる資金を断つことの重要性は極めて高く、世界的に金融業界は対応の強化が求められています。野村ではこのような状況に適切に対応するため、金融活動作業部会(FATF)の勧告や金融庁「マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に関するガイドライン」等をはじめ各国の規制等に基づき、グループ全体で一貫したマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の態勢整備および強化に継続的に取り組んでおります。しかしながら、かかる対策が有効に機能せず、適用される規制に反する取引を未然に防ぐことができなかった場合またはそのような取引に適切に対処できなかった場合には、行政処分や罰金等の対象となる可能性があります。関連する処分等やその影響については「非財務リスク 19.野村のビジネスは、重大なリーガル・リスクおよびレギュラトリー・リスクに影響される可能性があります -(2)規制による業務制限や、行政処分等による損失が発生し、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります」をご参照ください。 20.野村の保有する個人情報の漏洩により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります 野村は業務に関連して顧客から取得する個人情報を保管、管理しています。近年、企業が保有する個人情報および記録への不正アクセスや漏洩にかかる事件や不正利用の事件が多数発生していると報じられており、また、顧客情報の不正取得や転職後の不正使用などのリスクも存在します。 野村は個人情報の保護に関する法令諸規則に基づき、個人情報の保護に留意し、適用されるポリシーや手続きを定め、セキュリティ対策を講じておりますが、仮に個人情報の重大な不正漏洩または不正利用が生じた場合には、野村のビジネスにさまざまな点で悪影響が及ぶ可能性があります。例えば、野村は、これらの法令諸規則を万が一違反した場合、規制当局から行政処分や罰則を受ける可能性があるほか、個人情報の漏洩(業務委託先による漏洩を含む)または不正利用により顧客に損失が生じた場合には、顧客から苦情や損害賠償請求を受ける可能性があります。また、自主的に、もしくは行政上の命令その他の規制上の措置の対応として行うセキュリティ・システムの変更により、追加的な費用が発生する可能性があります。また、顧客からお預かりした個人情報の利用が制限されることにより、既存事業や新規事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、不正漏洩または不正利用の結果、野村に対するレピュテーションが悪化することによって、新規顧客が減少したり既存顧客を喪失したりするとともに、野村のブランド・イメージやレピュテーションの悪化の防止・抑制のために行う広報活動のために追加的な費用が発生する可能性があります。 21.野村の情報システムが適切に稼働しないこと、外部からのサイバー攻撃による情報漏洩または十分なサイバーセキュリティを維持するために必要な費用負担により、野村のビジネス、財政状態および経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります 野村のビジネスは、個人情報および機密情報を野村のシステムにおいて安全に処理、保存、送受信できる環境に依拠しています。野村は、過去において、野村のシステム上にある情報にアクセスしこれを入手することを企図した、または野村のサービスにシステム障害その他の損害をもたらすことを企図した不正アクセス、コンピューターウイルスもしくは破壊工作ソフトその他のサイバー攻撃の標的になってきましたが、今後も再び標的になる可能性があります。また、近年、従業員の多くがネットワーク技術を利用してリモートワークを行っています。これにより、サイバー攻撃その他の情報セキュリティ侵害の対象となる可能性が高まる恐れがあります。加えて、野村は暗号資産ビジネスを行っており、当該ビジネスにおいて利用している暗号資産ウォレットが、サイバー攻撃その他の情報セキュリティ侵害の対象となった場合、暗号資産の不正流出や損失が発生する可能性があります。さらに、野村はAI(生成AIを含む)利用の拡大に伴い、新たなリスクにも直面する可能性があります。AIの利用が適切に統治・管理されない場合、新たな情報漏洩、AIモデルの不正操作、これらを利用した不正行為やソーシャルエンジニアリング、ならびにサードパーティ・ベンダーリスクを引き起こす可能性があります。これらの脅威は、人為的なミスまたは技術的不具合から発生する場合もありますが、従業員などの内部関係者または海外の非国家主体および過激派組織などの第三者の悪意もしくは不正行為により発生する場合もあります。また、野村のシステムが相互接続している外部事業者、証券取引所、決済機関またはその他の金融機関のいずれかがサイバー攻撃その他の情報セキュリティ侵害の対象となった場合、野村にもその悪影響が及ぶ可能性があります。当該事象により、野村のシステム障害、信用の失墜、顧客の不満、法的責任、行政処分または追加費用が生じる可能性があり、上記事象のいずれかまたはその全部の発生により、野村の財政状態および事業運営が悪影響を受ける可能性があります。 野村は、システムのモニタリングおよびアップデートを行うため多大な経営資源を継続的に投入し、かつシステム保護のため情報セキュリティ対策を講じていますが、実施しているそれらの管理手段や手続きが、将来のセキュリティ侵害から野村を十分に保護できる保証はありません。サイバー上の脅威は日々進化しているため、将来的には、現在の管理手段や手続きが不十分となる可能性があり、また、システム修正または強化のため、更なる経営資源を投入しなければならなくなる可能性があります。 22.人材の確保・育成ができないことにより、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります 野村は、人材こそが野村の最大の財産であるとの理念のもと、人材の採用・育成・評価・配置および登用を1つのサイクルとしてとらえ、総合的な観点から各種の人材マネジメント施策に取り組んでおります。こうした取組みの下、野村はグローバルに多くの人材を雇用していますが、差別、ハラスメント、各地の法規制や規範に反する等、人事・職場環境に関わる様々なリスクがともないます。また、報酬や労働環境、利用できる研修・福利厚生、雇用者としての評判などの要因により、人材確保は激しい競争となっており、適切な人材の確保や育成が想定どおりに進まない場合、野村のビジネスや業務運営に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、人材確保のための支出は野村の収益性を損なう可能性があります。加えて、人材育成や企業文化の定着には継続的かつ徹底した取組みが必要であり、当初の想定よりも時間がかかる可能性があります。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 野村ホールディングス の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →