経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 当社は、お客さまはもとより株主、社員、地域社会から信頼され、選ばれる金融サービス会社として発展するために、以下の経営理念、パーパス及び経営ビジョンを掲げております。 <経営理念>「水戸証券は、顧客・株主・社員にBESTをつくす企業でありたい」 <パーパス(当社の存在意義)>「金融サービスを通じて価値を創造し、お客さまと地域社会の豊かな未来の実現に貢献する」 <経営ビジョン(当社の目指す姿)>1.お客さまの資産形成をサポートしライフプランの実現に貢献する2.地域社会の発展に貢献する3.社員が誇りを持って働き自己実現できる4.ビジネス構造の変革に挑戦し続ける (1)経営環境当社を取り巻く経営環境は、政府による「資産運用立国」の実現に向けた施策が追い風となる一方で、国際情勢の不透明感、長期化するインフレ、日本における高齢化の進展に加え、サステナビリティやDXへの対応など、急速な環境変化に直面しております。こうした中、お客さまのライフステージに応じた資産形成や承継への関心は一層高まり、証券会社に求められる役割は多様化・高度化しております。当社は、営業基盤である北関東を中心とした関東一円において、対面を重視した金融サービスの提供と地域社会との共生を通じて、付加価値の提供に努めております。後述する第七次中期経営計画では、「人の力」と「組織の力」の強化を柱に、お客さま本位の質の高い金融サービスの提供(ふやす・まもる・つなぐ)によりお客さまとの信頼を深め、預り資産の増大を通じて持続的な成長を目指します。 (2)対処すべき課題当社は、「経営ビジョン」の実現に向け「人と組織の力で、お客さまからの信頼を深め、持続的に成長する企業へ」をテーマとした第七次中期経営計画(2026年3月期~2030年3月期)を当事業年度よりスタートしました。 (第七次中期経営計画の4つ基本方針と重点戦略) (第七次中期経営計画の計数目標及び実績)項目ROEストック収益による販管費カバー率※1株式投資信託※2+水戸ファンドラップの合計残高計数目標(2030年3月期)8.0%以上50.0%以上7,500億円以上実績(2026年3月期)7.5%45.6%6,439億円 ※1 ストック収益(投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計)の販売費・一般管理費に占める割合 ※2 MRFや公社債投資信託等を除いた株式投資信託 ① 第七次中期経営計画の計数目標にも掲げている株式投資信託と水戸ファンドラップの合計(ストック資産)の残高は、堅調なマーケット環境もあり、2026年3月末に6,439億円にまで増加しました。内訳は、株式投資信託の残高が4,326億円、水戸ファンドラップの残高が2,113億円です。この結果、ストック資産の残高から生じる投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計(ストック収益)は58億59百万円となりました。② ストック収益による販管費カバー率については、賞与引当金繰入などの人件費の増加などにより販売費・一般管理費は増加しましたが、それ以上にストック収益の増加が寄与し、当社として過去最高の水準となる45.6%まで上昇してきております。③ 2026年3月期のROEは、株式関連収益やストック収益(投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬)が増加したことに加え、投資有価証券の売却益もあり、7.5%となりました。 (第七次中期経営計画の重点戦略にかかる成果と課題)〔価値創造〕1.お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービス(ふやす・まもる・つなぐ)を提供(成果)● マーケット環境が好転する中、お客さまの多様なニーズに応えるため、水戸ファンドラップや投資信託、日米優良株式等を中心としたポートフォリオ営業の推進を継続いたしました。この結果、当事業年度末の当社預り資産は1兆7,846億円、うち株式預り資産が1兆311億円、投資信託と水戸ファンドラップの合計残高が6,439億円と、いずれも当社として過去最高の水準にまで増加いたしました。● お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービスの提供に努めるなかで、必要に応じ当社の専門部署や外部の専門家と連携をするなど、ご家族を含めた個別相談の質の向上を図ることで、次世代層のお客さまとの関係を強めてまいりました。● お客さまの利便性向上のため、お取引履歴や投資情報などをパソコンやタブレット、スマートフォンなどからご覧いただけるお客さま専用サイト「マイページ」構築の準備を進め、新たなサービスを開始する体制を整えました。(課題)● 「お客さま本位の業務運営」を深化させ、引き続きお客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービス(ふやす・まもる・つなぐ)の提供と、そのための人材育成・体制整備を行ってまいります。● ご家族を含めた信頼関係をさらに深め、口座を次世代へつないでいく取組みを進めてまいります。 2. 地域社会との共生(成果)● 地域社会の活性化及び市民サービスの更なる向上を図ることで持続可能なまちづくりの実現を支援するため、茨城県つくば市と「SDGsの推進に係る包括連携協定」を締結(2026年2月)いたしました。● 社会貢献活動の一環である未来サポート制度で、子どもたちの生活を支援する団体への寄付を実施いたしました。また、スポーツ・文化・地域の発展を支援するため、各種スポンサー・協賛を実施いたしました。● 金融教育については、茨城県内の小学校、中学校へ出前授業の実施、水戸市内の中学生を対象にした水戸支店内での職場体験、水戸市市民講座の開催等、授業数96回(39校1団体、延べ参加人数2,781名)実施いたしました。● 当社発祥の地である茨城県を中心とする当社が事業を展開している地域の特産品を優待品として全国の株主の皆さまにお届けすることにより、地域の魅力を広く発信し、地域経済の活性化につなげるべく、株主優待制度を導入(2026年3月)いたしました。(課題)● SDGsへの取組みを継続するとともに、地域社会と当社の共通価値の創造の観点から地域貢献活動を継続してまいります。 〔経営基盤〕3.主体性のある人材の育成と自律的な組織運営の推進(成果)● 当社では、営業店において、お客さまの属性やニーズを踏まえた信頼関係の構築や提案のあり方について、チームで議論し最善な提案ができる取組みを推進しております。この取組みにより、お客さま本位の行動の一層の深化に加え、チーム間のコミュニケーション活性化や、若手社員の育成が進み、主体性のある人材の育成と自律的な組織運営の強化につながっております。● 管理職層を対象に、育成につながる評価面談プロセスの習得に向けた研修を継続的に実施するとともに、人の行動スタイルに応じた高度なマネジメントを学ぶマネジメント研修を新たに実施し、自律的な組織運営の推進につなげました。● 社員に対する社内外の研修支援を継続し、幅広い相談に対応できる人材育成に取組んだ結果、当社が独自に認定した上級資格(CFP、証券アナリスト2次等)の取得者数は、当事業年度末時点で72名と、経営ビジョンを掲げた2015年以降で最大となりました。● 心身ともに快適に働ける職場環境づくりの一環としてオフィスカジュアルを導入し、また、リフレッシュ休暇(連続5日間の休暇取得)の積極的な取得促進等、社員の健康保持・増進への取組みを継続したことから、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に6年連続で認定されました。(課題)● 働き方の選択肢を拡大するなど、多様な人材が働きやすい環境の整備に努めてまいります。● 主体性のある人材の育成を通じて、変化に柔軟に対応し、自らが考え行動できる人材の拡充を図ってまいります。● 市場環境の変化に柔軟に対応できるよう、現場が自ら考え、行動できる組織運営の定着と強化を推進してまいります。 〔資本政策〕4.資本の効率的活用(成果)● 第六次中期経営計画期間中の1株当たりの年間下限配当20円を、第七次中期経営計画期間中は30円に引き上げました。また、2026年4月に創業105周年を迎えたことを受け、株主の皆さまへ感謝の意を表するため、記念配当(3円)を実施することといたしました。● 自己株式取得(2025年4月~7月に合計200万株)や政策保有株式の縮減を実施するなど、資本効率の向上に取組むとともに、別途積立金の全額(2025年5月、72億円)を取り崩し、繰越利益剰余金に振り替えることで、今後の経営環境の変化に対応した資本政策の機動性を確保いたしました。(課題)● コーポレート・ガバナンスの強化を継続し、資本収益性の向上を重視することで、引き続き持続的な成長と株主価値向上を目指した資本の効率的な活用(成長投資、株主還元の拡充)に取組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 当社は、お客さまはもとより株主、社員、地域社会から信頼され、選ばれる金融サービス会社として発展するために、以下の経営理念、パーパス及び経営ビジョンを掲げております。 <経営理念>「水戸証券は、顧客・株主・社員にBESTをつくす企業でありたい」 <パーパス(当社の存在意義)>「金融サービスを通じて価値を創造し、お客さまと地域社会の豊かな未来の実現に貢献する」 <経営ビジョン(当社の目指す姿)>1.お客さまの資産形成をサポートしライフプランの実現に貢献する2.地域社会の発展に貢献する3.社員が誇りを持って働き自己実現できる4.ビジネス構造の変革に挑戦し続ける (1)経営環境当社を取り巻く経営環境は、政府による「資産運用立国」の実現に向けた施策が追い風となる一方で、国際情勢の不透明感、長期化するインフレ、日本における高齢化の進展に加え、サステナビリティやDXへの対応など、急速な環境変化に直面しております。こうした中、お客さまのライフステージに応じた資産形成や承継への関心は一層高まり、証券会社に求められる役割は多様化・高度化しております。当社は、営業基盤である北関東を中心とした関東一円において、対面を重視した金融サービスの提供と地域社会との共生を通じて、付加価値の提供に努めております。後述する第七次中期経営計画では、「人の力」と「組織の力」の強化を柱に、お客さま本位の質の高い金融サービスの提供(ふやす・まもる・つなぐ)によりお客さまとの信頼を深め、預り資産の増大を通じて持続的な成長を目指します。 (2)対処すべき課題当社は、「経営ビジョン」の実現に向け「人と組織の力で、お客さまからの信頼を深め、持続的に成長する企業へ」をテーマとした第七次中期経営計画(2026年3月期~2030年3月期)を当事業年度よりスタートしました。 (第七次中期経営計画の4つ基本方針と重点戦略) (第七次中期経営計画の計数目標及び実績)項目ROEストック収益による販管費カバー率※1株式投資信託※2+水戸ファンドラップの合計残高計数目標(2030年3月期)8.0%以上50.0%以上7,500億円以上実績(2026年3月期)7.5%45.6%6,439億円 ※1 ストック収益(投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計)の販売費・一般管理費に占める割合 ※2 MRFや公社債投資信託等を除いた株式投資信託 ① 第七次中期経営計画の計数目標にも掲げている株式投資信託と水戸ファンドラップの合計(ストック資産)の残高は、堅調なマーケット環境もあり、2026年3月末に6,439億円にまで増加しました。内訳は、株式投資信託の残高が4,326億円、水戸ファンドラップの残高が2,113億円です。この結果、ストック資産の残高から生じる投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計(ストック収益)は58億59百万円となりました。② ストック収益による販管費カバー率については、賞与引当金繰入などの人件費の増加などにより販売費・一般管理費は増加しましたが、それ以上にストック収益の増加が寄与し、当社として過去最高の水準となる45.6%まで上昇してきております。③ 2026年3月期のROEは、株式関連収益やストック収益(投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬)が増加したことに加え、投資有価証券の売却益もあり、7.5%となりました。 (第七次中期経営計画の重点戦略にかかる成果と課題)〔価値創造〕1.お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービス(ふやす・まもる・つなぐ)を提供(成果)● マーケット環境が好転する中、お客さまの多様なニーズに応えるため、水戸ファンドラップや投資信託、日米優良株式等を中心としたポートフォリオ営業の推進を継続いたしました。この結果、当事業年度末の当社預り資産は1兆7,846億円、うち株式預り資産が1兆311億円、投資信託と水戸ファンドラップの合計残高が6,439億円と、いずれも当社として過去最高の水準にまで増加いたしました。● お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービスの提供に努めるなかで、必要に応じ当社の専門部署や外部の専門家と連携をするなど、ご家族を含めた個別相談の質の向上を図ることで、次世代層のお客さまとの関係を強めてまいりました。● お客さまの利便性向上のため、お取引履歴や投資情報などをパソコンやタブレット、スマートフォンなどからご覧いただけるお客さま専用サイト「マイページ」構築の準備を進め、新たなサービスを開始する体制を整えました。(課題)● 「お客さま本位の業務運営」を深化させ、引き続きお客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービス(ふやす・まもる・つなぐ)の提供と、そのための人材育成・体制整備を行ってまいります。● ご家族を含めた信頼関係をさらに深め、口座を次世代へつないでいく取組みを進めてまいります。 2. 地域社会との共生(成果)● 地域社会の活性化及び市民サービスの更なる向上を図ることで持続可能なまちづくりの実現を支援するため、茨城県つくば市と「SDGsの推進に係る包括連携協定」を締結(2026年2月)いたしました。● 社会貢献活動の一環である未来サポート制度で、子どもたちの生活を支援する団体への寄付を実施いたしました。また、スポーツ・文化・地域の発展を支援するため、各種スポンサー・協賛を実施いたしました。● 金融教育については、茨城県内の小学校、中学校へ出前授業の実施、水戸市内の中学生を対象にした水戸支店内での職場体験、水戸市市民講座の開催等、授業数96回(39校1団体、延べ参加人数2,781名)実施いたしました。● 当社発祥の地である茨城県を中心とする当社が事業を展開している地域の特産品を優待品として全国の株主の皆さまにお届けすることにより、地域の魅力を広く発信し、地域経済の活性化につなげるべく、株主優待制度を導入(2026年3月)いたしました。(課題)● SDGsへの取組みを継続するとともに、地域社会と当社の共通価値の創造の観点から地域貢献活動を継続してまいります。 〔経営基盤〕3.主体性のある人材の育成と自律的な組織運営の推進(成果)● 当社では、営業店において、お客さまの属性やニーズを踏まえた信頼関係の構築や提案のあり方について、チームで議論し最善な提案ができる取組みを推進しております。この取組みにより、お客さま本位の行動の一層の深化に加え、チーム間のコミュニケーション活性化や、若手社員の育成が進み、主体性のある人材の育成と自律的な組織運営の強化につながっております。● 管理職層を対象に、育成につながる評価面談プロセスの習得に向けた研修を継続的に実施するとともに、人の行動スタイルに応じた高度なマネジメントを学ぶマネジメント研修を新たに実施し、自律的な組織運営の推進につなげました。● 社員に対する社内外の研修支援を継続し、幅広い相談に対応できる人材育成に取組んだ結果、当社が独自に認定した上級資格(CFP、証券アナリスト2次等)の取得者数は、当事業年度末時点で72名と、経営ビジョンを掲げた2015年以降で最大となりました。● 心身ともに快適に働ける職場環境づくりの一環としてオフィスカジュアルを導入し、また、リフレッシュ休暇(連続5日間の休暇取得)の積極的な取得促進等、社員の健康保持・増進への取組みを継続したことから、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に6年連続で認定されました。(課題)● 働き方の選択肢を拡大するなど、多様な人材が働きやすい環境の整備に努めてまいります。● 主体性のある人材の育成を通じて、変化に柔軟に対応し、自らが考え行動できる人材の拡充を図ってまいります。● 市場環境の変化に柔軟に対応できるよう、現場が自ら考え、行動できる組織運営の定着と強化を推進してまいります。 〔資本政策〕4.資本の効率的活用(成果)● 第六次中期経営計画期間中の1株当たりの年間下限配当20円を、第七次中期経営計画期間中は30円に引き上げました。また、2026年4月に創業105周年を迎えたことを受け、株主の皆さまへ感謝の意を表するため、記念配当(3円)を実施することといたしました。● 自己株式取得(2025年4月~7月に合計200万株)や政策保有株式の縮減を実施するなど、資本効率の向上に取組むとともに、別途積立金の全額(2025年5月、72億円)を取り崩し、繰越利益剰余金に振り替えることで、今後の経営環境の変化に対応した資本政策の機動性を確保いたしました。(課題)● コーポレート・ガバナンスの強化を継続し、資本収益性の向上を重視することで、引き続き持続的な成長と株主価値向上を目指した資本の効率的な活用(成長投資、株主還元の拡充)に取組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、景況感の改善が進み、概ね堅調に推移いたしました。国内総生産(GDP)は、7~9月期に名目・実質ともに6四半期ぶりのマイナス成長となったものの、10~12月期にはプラス成長へと回復いたしました。有効求人倍率は低下したものの、景気動向指数(CI)の先行指数や消費動向調査における消費者態度指数、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境などは改善傾向にあり、消費者物価指数の上昇率も鈍化傾向を示しております。米国による関税政策の不確実性が低下し、物価上昇を背景とした企業の積極的な賃上げが継続するなか、日本銀行が2025年12月に追加利上げを決定するなど、国内景気の緩やかな回復見通しが強まりました。米国経済は、7~9月期の実質GDP成長率が2年ぶりの水準に回復いたしました。10月には連邦政府のつなぎ予算不成立に伴い、史上最長となる43日間の政府機関の一部閉鎖が発生したため、10~12月期の実質GDP成長率は減速を余儀なくされましたが、マイナス成長への転落は回避されました。主要経済統計の発表が遅延・中止される不透明な環境下ではありましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)は雇用環境の減速を背景に、12月会合まで3回連続となる利下げを実施しました。当事業年度の国内株式市場は、期初に米国による相互関税の発表を受けて日経平均株価が記録的な下落幅を示し、約1年5ヵ月ぶりの安値を付けるなど波乱の展開で始まりました。しかしその後、相互関税の一部停止や日米・米中間の関税交渉の合意に加え、生成AI関連の需要拡大を背景とした半導体関連銘柄の躍進、国内企業の堅調な業績、米国の金融緩和などを背景に、調整を交えつつも上昇基調となりました。さらに、自民党総裁選における高市氏の勝利と衆院選での与党大勝を受けた政策期待などが支援材料となり、日経平均株価は2026年2月27日に史上最高値58,850円27銭を記録しました。翌28日にイスラエルと米国がイランを攻撃したことで投資環境は大きく変化し、3月は波乱の展開となりましたが、当事業年度末の日経平均株価は、2025年3月末と比べ43.4%高い51,063円72銭で取引を終了しました。 このような状況の中、当事業年度の業績は、営業収益が160億74百万円(前期比 15.0%増)と増加し、営業収益より金融費用76百万円(同 44.2%増)を控除した純営業収益は、159億98百万円(同 14.8%増)と増加しました。また、販売費・一般管理費は128億51百万円(同 6.5%増)となり、その結果、営業利益は31億46百万円(同 69.3%増)、経常利益は35億98百万円(同 54.5%増)となりました。特別利益が6億68百万円(前事業年度実績 8億57百万円)、特別損失が2百万円(前事業年度実績 -百万円)、税金費用が11億69百万円(前期比52.8%増)となったことから、当期純利益は30億95百万円(同 27.9%増)と増加しました。 主な概況は以下のとおりであります。 イ 受入手数料当事業年度の「受入手数料」の合計は、124億99百万円(前期比 1.7%減)となりました。 a 委託手数料「委託手数料」は、49億10百万円(同 1.4%減)となりました。これは、主に日本株の委託手数料が33億4百万円(同 13.6%増)と増加する一方、米国株の委託手数料が15億72百万円(同 22.8%減)と減少したことにより、株券の委託手数料が48億77百万円(同 1.4%減)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は33百万円(同 2.5%減)となりました。 b 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、81百万円(同 1.0%増)となりました。 c 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、16億円(同 37.8%減)となりました。 d その他の受入手数料「その他の受入手数料」は、投資信託の代行手数料やファンドラップ報酬の増加等により59億5百万円(同 16.3%増)となりました。 ロ トレーディング損益当事業年度の「トレーディング損益」は、株券等が30億24百万円(前期比 280.3%増)、債券・為替等が1億6百万円(同 6.1%減)となり、合計で31億31百万円(同 244.5%増)となりました。 ハ 金融収支当事業年度の「金融収益」は、受取利息の増加等により4億18百万円(前期比 25.0%増)、「金融費用」は信用取引費用や支払利息の増加等により76百万円(同 44.2%増)で差引収支は3億41百万円(同 21.4%増)の利益となりました。 ニ 販売費・一般管理費当事業年度の「販売費・一般管理費」は、「取引関係費」が減少する一方、営業収益の増加により賞与引当金繰入などの「人件費」や「不動産関係費」等が増加したことから、128億51百万円(前期比 6.5%増)となりました。 ホ 特別損益当事業年度の「特別利益」は「投資有価証券売却益」が6億68百万円、「特別損失」は「金融商品取引責任準備金繰入れ」が2百万円と差引収支は6億66百万円(前年同期実績 8億57百万円)となりました。 ② 財政状態の状況イ 流動資産当事業年度の「流動資産」は、前事業年度に比べ63億75百万円増加し、528億75百万円となりました。これは、「立替金」が2億13百万円減少する一方、「預託金」が36億45百万円、「現金・預金」が11億99百万円、「信用取引資産」が10億78百万円、「募集等払込金」が2億9百万円、「短期差入保証金」が2億6百万円増加したことなどによるものです。 ロ 固定資産当事業年度の「固定資産」は、前事業年度に比べ33億5百万円増加し、202億86百万円となりました。これは、「投資有価証券」が28億87百万円、「無形固定資産」が2億43百万円、「有形固定資産」が1億25百万円増加したことなどによるものです。 ハ 流動負債当事業年度の「流動負債」は、前事業年度に比べ60億98百万円増加し、254億61百万円となりました。これは、「従業員株式給付引当金」が社員への給付により5億18百万円、「有価証券担保借入金」が3億22百万円減少する一方、「預り金」が50億94百万円、「未払法人税等」が4億99百万円、「信用取引負債」が4億47百万円、「賞与引当金」が2億64百万円、「未払金」が2億43百万円、「受入保証金」が2億29百万円増加したことなどによるものです。 ニ 固定負債及び特別法上の準備金当事業年度の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ9億円増加し、49億21百万円となりました。これは、「退職給付引当金」が1億44百万円減少する一方、「繰延税金負債」が8億76百万円、「従業員株式給付引当金」が1億41百万円増加したことなどによるものです。 ホ 純資産当事業年度の「純資産」は、前事業年度に比べ26億80百万円増加し、427億78百万円となりました。これは、「剰余金の配当」が18億51百万円、「自己株式の取得」が11億1百万円減少する一方、「当期純利益」が30億95百万円、「その他有価証券評価差額金」が20億69百万円、「自己株式の処分」が4億68百万円増加したことによるものです。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ11億99百万円増加し、259億91百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は39億28百万円の増加となりました。これは、「顧客分別金信託の増減額」が37億4百万円、「投資有価証券売却損益」が6億68百万円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」6億31百万円、「法人税等の支払額」が6億26百万円、「従業員株式給付引当金」が3億76百万円、「トレーディング商品の増減額」が1億20百万円減少する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」が53億23百万円、「税引前当期純利益」が42億65百万円、「賞与引当金の増減額」が2億64百万円、「立替金の増減額」が2億13百万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」4億67百万円の減少と比較すると43億96百万円の増加となっております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は89百万円の増加となりました。これは、「有形固定資産の取得による支出」が2億98百万円、「無形固定資産の取得による支出」が1億92百万円減少する一方、「投資有価証券の売却による収入」が6億70百万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」9億63百万円の増加と比較すると8億73百万円の減少となっております。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は29億58百万円の減少となりました。これは、「配当金の支払額」が18億48百万円、「自己株式の取得による支出」が11億1百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」36億91百万円の減少と比較すると7億33百万円の増加となっております。 ④ 生産、受注及び販売の状況 当社は金融商品取引業を営んでいるため、「生産、受注及び販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要①~③」に含めて記載しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 当事業年度の経営成績の分析当事業年度は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)対処すべき課題」に記載のとおり、数値目標の達成及び施策に取り組んでまいりました。 数値目標に対する当事業年度の実績は以下のとおりです。イ 第七次中期経営計画の計数目標にも掲げている株式投資信託と水戸ファンドラップの合計(ストック資産)の残高は、堅調なマーケット環境もあり、2026年3月末に6,439億円にまで増加しました。内訳は、株式投資信託の残高が4,326億円、水戸ファンドラップの残高が2,113億円です。この結果、ストック資産の残高から生じる投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計(ストック収益)は58億59百万円となりました。ロ ストック収益による販管費カバー率については、賞与引当金繰入などの人件費の増加などにより販売費・一般管理費は増加しましたが、それ以上にストック収益の増加が寄与し、当社として過去最高の水準となる45.6%まで上昇してきております。ハ 2026年3月期のROEは、株式関連収益やストック収益(投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬)が増加したことに加え、投資有価証券の売却益もあり、7.5%となりました。 当社は、第七次中期経営計画の重点戦略の下、お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービスの提供(ふやす・まもる・つなぐ)と主体的な人材の育成・自律的な組織運営の推進により経営基盤の一層の強化を図り、投資信託・ファンドラップを軸としたストック収入の拡大による安定収益基盤の構築に取り組んでまいります。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因の分析当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式等のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安(円高)になると円ベースの価格が上昇(下落)いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価額が上下しますが、基準価額が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは値動きの異なる複数のファンドを効果的に組み合わせた国際分散投資を行い、ポートフォリオ全体のリスク低減と安定したリターンの追求を図っていますが、為替の影響を受けやすく、円安(円高)になると時価評価額が上昇(下落)する傾向があります。そのため、時価評価額に応じて算出するファンドラップ報酬は増減しますが、お客さまの国際分散投資ニーズの高まりを受け、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当事業年度末の現金・預金残高は259億91百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。当社が保有する現預金については、事業運営、成長投資及び株主還元等を使途として、当社の財務の安全性及び企業価値の向上の観点から適切に配分してまいります。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 当社は、お客さまはもとより株主、社員、地域社会から信頼され、選ばれる金融サービス会社として発展するために、以下の経営理念および経営ビジョンを掲げております。 「水戸証券は、顧客・株主・社員にBESTをつくす企業でありたい」 <経営ビジョン>金融サービスを通じて価値を創造し、お客さまと地域社会の豊かな未来の実現に貢献する 1.お客さまの資産形成をサポートしライフプランの実現に貢献する2.地域社会の発展に貢献する3.社員が誇りを持って働き自己実現できる4.ビジネス構造の変革に挑戦し続ける (1)対処すべき課題当社が掲げる「経営ビジョン」の実現に向けて策定した第六次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)は、当事業年度で終了しました。本計画における計数目標とその実績、並びに4つのビジョンにかかる成果と課題については、以下のとおりです。 (第六次中期経営計画の計数目標及び実績)項目① ROE②ストック収益による販管費カバー率※計数目標5.0%(計画期間の各年度)33%以上(2025年3月期)実績2024年度 5.8%2023年度 5.7%2022年度 2.0%41.8% ※ストック収益による販管費カバー率:投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計を販売費・一般管理費で除した比率であり、費用を安定収益でどれだけカバーできているかの割合を示します。 ① ROEについては、初年度となる2022年度が世界的なインフレ懸念から米国長短金利が急上昇し、日米株式市場の調整もあり、株式委託手数料や投資信託の募集手数料が落ち込み、目標を下回る結果となりました。2年目に入ると、脱デフレ気運や資本コスト経営の広がり等を背景としたマーケット環境が好転したことから目標を上回り、最終年度の2024年度も、企業業績の拡大と積極的な株主還元策期待、NISA制度の拡充なども追い風となり、特に投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬が増加したことなどから、最終的に5.0%の目標に対し、5.8%の実績となりました。② 販管費カバー率については、減価償却費や不動産関係費の減少などにより販売費・一般管理費が減少した一方、投資信託とファンドラップの残高増加に伴い、投資信託の代行手数料が28億57百万円(2021年度末比 41.3%増)、ファンドラップ報酬は21億85百万円(同 35.8%増)となったことから、33%以上(2024年度)の目標に対し、41.8%の実績となりました。 (経営ビジョン)指針となる経営ビジョンが掲げる4つのビジョンにかかる成果と課題1. お客さまの資産形成をサポートしライフプランの実現に貢献する(成果)● お客さまの多様なニーズに応えるため、ファンドラップや投資信託、日米優良株式等を中心にポートフォリオ営業を推進した結果、当事業年度末時点の当社預り資産は1兆4,000億円超となるなど、順調に増加しました。● お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービスの提供に努めるなかで、特に高齢のお客さまに対しては、専門部署や専門家と連携し、ご家族を含めた個別相談の高度化を図ることで、次世代層のお客さまとの関係強化を図りました。● 川口支店を草加支店に統合し、草加支店・川口営業所として移転をするなど、お客さまサービス向上に向けた新たな店舗形態を開始しました。(課題)● 「お客さま本位の業務運営」を高度化させ、お客さまのライフプランに応じた最適な金融サービスの提供と、そのための人材育成・体制整備を行います。● ご家族を含めた信頼関係をさらに深め、口座を次世代へつないでいく取組みを進めてまいります。 2. 地域社会の発展に貢献する(成果)● 社会貢献活動の一環である未来サポート制度として、子供たちの生活を支援する団体への寄付を実施しました。また、スポーツ・文化・地域の発展を支援するため、各種スポンサー・協賛を実施しました。● 金融教育については、茨城県内の小学校、中学校へ出前授業の実施、水戸市内の中学生を対象にした水戸支店内での職場体験、水戸市市民講座の開催等、計46回(25校4団体、1,072名)実施しました。(課題)● SDGsへの取組みを継続するとともに、地域社会と当社の共通価値の創造の観点から地域貢献活動を継続してまいります。 3. 社員が誇りを持って働き自己実現できる(成果)● 「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に5年連続で認定されたことに加え、管理職のメンタルヘルス・マネジメント検定資格取得を推進し(当事業年度末時点の資格取得率97.4%)、働きやすい環境の整備に取組みました。● 当社が独自に認定した社員の上級資格(CFP、証券アナリスト2次等)の取得者数は、当事業年度末時点で65名と、経営ビジョンを掲げた2015年以降で最大となりました。(課題)● 働き方の選択肢を拡大するなど、多様な人材が働きやすい環境の整備に努めます。● 主体性のある人材の育成を通じて、変化に柔軟に対応し、自らが考え行動できる人材の拡充を図ってまいります。 4. ビジネス構造の変革に挑戦し続ける(成果)● ファンドラップと投資信託の残高が着実に増加したことにより、安定した収益基盤の構築が進み、販管費カバー率は41.8%まで上昇しました。● 「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応について」への取組みの一環として、第七次中期経営計画期間中の下限配当の設定、自己株式取得や政策保有株式の縮減を実施するなど、資本効率の向上に取組みました。 (課題)● コーポレート・ガバナンスの強化やサステナビリティを考慮した経営を行うなど、当社の企業価値向上に向けた取組みを継続します。● 市場環境の変化に柔軟に対応できるよう、営業店、本社部署が自ら考え、行動できる組織運営の定着と強化を推進してまいります。● 資本収益性の向上を重視し、持続的な成長と株主価値向上を目指した資本の効率的な活用(成長投資、株主還元の拡充)に取組んでまいります。 (2)経営環境当社を取り巻く経営環境は、政府による「資産運用立国」の実現に向けた施策が追い風となる一方で、国際情勢の不透明感、長期化するインフレ、日本における高齢化の進展に加え、サステナビリティやDXへの対応など、急速な環境変化に直面しております。こうした中、お客さまのライフステージに応じた資産形成や承継への関心は一層高まり、証券会社に求められる役割は多様化・高度化しております。当社は、営業基盤である北関東を中心とした関東一円において、対面を重視した金融サービスの提供と地域社会との共生を通じて、付加価値の提供に努めております。後述する第七次中期経営計画では、「人の力」と「組織の力」の強化を柱に、お客さま本位の質の高い金融サービスの提供(ふやす・まもる・つなぐ)によりお客さまとの信頼を深め、預り資産の増大を通じて持続的な成長を目指します。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社は、経営環境の変化及び経営ビジョンの実現に向けた課題を踏まえ、企業価値の更なる向上を目指すため、2026年3月期から2030年3月期までの5年間を対象とした「第七次中期経営計画」を以下のとおり策定しました。 (第七次中期経営計画) ① 期 間 2026年3月期から 2030年3月期(5年間)② テ ー マ 「人と組織の力で、お客さまからの信頼を深め、持続的に成長する企業へ」③ 4つの基本方針と重点戦略 ④ KPI 2030年3月期達成目標項目数値目標ROE8.0%以上ストック収益による販管費カバー率※150.0%以上株式投資信託※2+水戸ファンドラップの合計残高7,500億円以上 ※1 ストック収益(投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計)の販売費・一般管理費に占める割合※2 MRFや公社債投資信託等を除いた株式投資信託 ⑤ 資本政策当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題の一つと位置付けており、今後、更なる株主還元の強化の一環として、第七次中期経営計画期間の5期においては、1株当たり年間配当金の下限を30円とすることとしております。第七次中期経営計画では、資本収益性の向上をより重視し、持続的な成長と株主価値向上を目指した資本の効率的な活用に取組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。 当社は、お客さまはもとより株主、社員、地域社会から信頼され、選ばれる金融サービス会社として発展するために、以下の経営理念および経営ビジョンを掲げております。 「水戸証券は、顧客・株主・社員にBESTをつくす企業でありたい」 <経営ビジョン>金融サービスを通じて価値を創造し、お客さまと地域社会の豊かな未来の実現に貢献する 1.お客さまの資産形成をサポートしライフプランの実現に貢献する2.地域社会の発展に貢献する3.社員が誇りを持って働き自己実現できる4.ビジネス構造の変革に挑戦し続ける (1)対処すべき課題当社が掲げる「経営ビジョン」の実現に向けて策定した第六次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)は、当事業年度で終了しました。本計画における計数目標とその実績、並びに4つのビジョンにかかる成果と課題については、以下のとおりです。 (第六次中期経営計画の計数目標及び実績)項目① ROE②ストック収益による販管費カバー率※計数目標5.0%(計画期間の各年度)33%以上(2025年3月期)実績2024年度 5.8%2023年度 5.7%2022年度 2.0%41.8% ※ストック収益による販管費カバー率:投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計を販売費・一般管理費で除した比率であり、費用を安定収益でどれだけカバーできているかの割合を示します。 ① ROEについては、初年度となる2022年度が世界的なインフレ懸念から米国長短金利が急上昇し、日米株式市場の調整もあり、株式委託手数料や投資信託の募集手数料が落ち込み、目標を下回る結果となりました。2年目に入ると、脱デフレ気運や資本コスト経営の広がり等を背景としたマーケット環境が好転したことから目標を上回り、最終年度の2024年度も、企業業績の拡大と積極的な株主還元策期待、NISA制度の拡充なども追い風となり、特に投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬が増加したことなどから、最終的に5.0%の目標に対し、5.8%の実績となりました。② 販管費カバー率については、減価償却費や不動産関係費の減少などにより販売費・一般管理費が減少した一方、投資信託とファンドラップの残高増加に伴い、投資信託の代行手数料が28億57百万円(2021年度末比 41.3%増)、ファンドラップ報酬は21億85百万円(同 35.8%増)となったことから、33%以上(2024年度)の目標に対し、41.8%の実績となりました。 (経営ビジョン)指針となる経営ビジョンが掲げる4つのビジョンにかかる成果と課題1. お客さまの資産形成をサポートしライフプランの実現に貢献する(成果)● お客さまの多様なニーズに応えるため、ファンドラップや投資信託、日米優良株式等を中心にポートフォリオ営業を推進した結果、当事業年度末時点の当社預り資産は1兆4,000億円超となるなど、順調に増加しました。● お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービスの提供に努めるなかで、特に高齢のお客さまに対しては、専門部署や専門家と連携し、ご家族を含めた個別相談の高度化を図ることで、次世代層のお客さまとの関係強化を図りました。● 川口支店を草加支店に統合し、草加支店・川口営業所として移転をするなど、お客さまサービス向上に向けた新たな店舗形態を開始しました。(課題)● 「お客さま本位の業務運営」を高度化させ、お客さまのライフプランに応じた最適な金融サービスの提供と、そのための人材育成・体制整備を行います。● ご家族を含めた信頼関係をさらに深め、口座を次世代へつないでいく取組みを進めてまいります。 2. 地域社会の発展に貢献する(成果)● 社会貢献活動の一環である未来サポート制度として、子供たちの生活を支援する団体への寄付を実施しました。また、スポーツ・文化・地域の発展を支援するため、各種スポンサー・協賛を実施しました。● 金融教育については、茨城県内の小学校、中学校へ出前授業の実施、水戸市内の中学生を対象にした水戸支店内での職場体験、水戸市市民講座の開催等、計46回(25校4団体、1,072名)実施しました。(課題)● SDGsへの取組みを継続するとともに、地域社会と当社の共通価値の創造の観点から地域貢献活動を継続してまいります。 3. 社員が誇りを持って働き自己実現できる(成果)● 「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に5年連続で認定されたことに加え、管理職のメンタルヘルス・マネジメント検定資格取得を推進し(当事業年度末時点の資格取得率97.4%)、働きやすい環境の整備に取組みました。● 当社が独自に認定した社員の上級資格(CFP、証券アナリスト2次等)の取得者数は、当事業年度末時点で65名と、経営ビジョンを掲げた2015年以降で最大となりました。(課題)● 働き方の選択肢を拡大するなど、多様な人材が働きやすい環境の整備に努めます。● 主体性のある人材の育成を通じて、変化に柔軟に対応し、自らが考え行動できる人材の拡充を図ってまいります。 4. ビジネス構造の変革に挑戦し続ける(成果)● ファンドラップと投資信託の残高が着実に増加したことにより、安定した収益基盤の構築が進み、販管費カバー率は41.8%まで上昇しました。● 「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応について」への取組みの一環として、第七次中期経営計画期間中の下限配当の設定、自己株式取得や政策保有株式の縮減を実施するなど、資本効率の向上に取組みました。 (課題)● コーポレート・ガバナンスの強化やサステナビリティを考慮した経営を行うなど、当社の企業価値向上に向けた取組みを継続します。● 市場環境の変化に柔軟に対応できるよう、営業店、本社部署が自ら考え、行動できる組織運営の定着と強化を推進してまいります。● 資本収益性の向上を重視し、持続的な成長と株主価値向上を目指した資本の効率的な活用(成長投資、株主還元の拡充)に取組んでまいります。 (2)経営環境当社を取り巻く経営環境は、政府による「資産運用立国」の実現に向けた施策が追い風となる一方で、国際情勢の不透明感、長期化するインフレ、日本における高齢化の進展に加え、サステナビリティやDXへの対応など、急速な環境変化に直面しております。こうした中、お客さまのライフステージに応じた資産形成や承継への関心は一層高まり、証券会社に求められる役割は多様化・高度化しております。当社は、営業基盤である北関東を中心とした関東一円において、対面を重視した金融サービスの提供と地域社会との共生を通じて、付加価値の提供に努めております。後述する第七次中期経営計画では、「人の力」と「組織の力」の強化を柱に、お客さま本位の質の高い金融サービスの提供(ふやす・まもる・つなぐ)によりお客さまとの信頼を深め、預り資産の増大を通じて持続的な成長を目指します。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社は、経営環境の変化及び経営ビジョンの実現に向けた課題を踏まえ、企業価値の更なる向上を目指すため、2026年3月期から2030年3月期までの5年間を対象とした「第七次中期経営計画」を以下のとおり策定しました。 (第七次中期経営計画) ① 期 間 2026年3月期から 2030年3月期(5年間)② テ ー マ 「人と組織の力で、お客さまからの信頼を深め、持続的に成長する企業へ」③ 4つの基本方針と重点戦略 ④ KPI 2030年3月期達成目標項目数値目標ROE8.0%以上ストック収益による販管費カバー率※150.0%以上株式投資信託※2+水戸ファンドラップの合計残高7,500億円以上 ※1 ストック収益(投資信託の代行手数料とファンドラップ報酬の合計)の販売費・一般管理費に占める割合※2 MRFや公社債投資信託等を除いた株式投資信託 ⑤ 資本政策当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題の一つと位置付けており、今後、更なる株主還元の強化の一環として、第七次中期経営計画期間の5期においては、1株当たり年間配当金の下限を30円とすることとしております。第七次中期経営計画では、資本収益性の向上をより重視し、持続的な成長と株主価値向上を目指した資本の効率的な活用に取組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況当事業年度のわが国経済は、堅調に推移しました。国内総生産(GDP)は名目・実質ともに2024年1~3月期のマイナス成長を最後に同10~12月期まで3四半期連続でプラス成長となりました。こうした中、消費者物価指数は安定した上昇ペースとなり、日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後、3度の利上げを実施しました。一方、低水準の失業率や主要企業を中心とした近年の積極的な賃上げの動きにもかかわらず、消費動向調査の「暮らし向き」では、悪化すると考える世帯が増加しました。年明け以降は、米トランプ政権による関税政策への警戒感が強まる状況となりました。米国経済も堅調に推移しました。実質GDPは順調な成長を示し、また失業率は低水準で推移し、消費者物価指数の上昇率は概ね落ち着いた水準となりました。しかし、トランプ政権の政策の不確実性が高まり、米国経済への悪影響が懸念される状況となりました。当事業年度の国内株式市場は、2024年7月まで概ね堅調に推移した後、8月に半導体領域での米中対立激化や米景気悪化への懸念、日本銀行の利上げ観測などから大きく調整する動きとなりました。その後、2025年1月まで米国の大幅利下げによる米経済のソフトランディング(軟着陸)期待や米大統領選でのトランプ候補の勝利を受けた政策関連銘柄への期待、衆議院選挙での与党の苦戦による国内政治の不安定化懸念、与党敗北を受けた経済政策への期待、米連邦準備制度理事会(FRB)の緩やかな2025年利下げ見通し、日本銀行の早期利上げ観測など好悪材料を織り込むボックス圏での推移となりました。しかし、2月以降はトランプ政権による関税政策が世界経済や企業業績を圧迫するとの警戒感が強まり、株価は大きく調整する動きとなりました。この結果、当事業年度末の日経平均株価は2024年3月末と比べ11.8%安い35,617円56銭で取引を終了しました。 このような状況の中、当事業年度の業績は、営業収益が139億83百万円(前期比 3.9%減)と減少し、営業収益より金融費用53百万円(同 2.7%増)を控除した純営業収益は、139億30百万円(同 3.9%減)と減少しました。また、販売費・一般管理費は120億72百万円(同 0.3%減)となり、その結果、営業利益は18億58百万円(同 22.3%減)、経常利益は23億28百万円(同 17.0%減)となりました。特別利益が8億57百万円(前事業年度実績 6億35百万円)、税金費用が7億65百万円(前期比30.2%減)となったことから、当期純利益は24億20百万円(同 3.6%増)と増加しました。 主な概況は以下のとおりであります。 イ 受入手数料当事業年度の「受入手数料」の合計は、127億14百万円(前期比 0.5%減)となりました。 a 委託手数料「委託手数料」は、49億81百万円(同 12.7%減)となりました。これは、主に株券委託売買金額が1兆56億円(同 7.5%減)と減少したことにより、株式の委託手数料が49億47百万円(同 12.9%減)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は34百万円(同 37.8%増)となりました。 b 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、81百万円(同 160.5%増)となりました。 c 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、25億71百万円(同 13.4%減)となりました。これは、米国を中心に世界の優良企業へ投資を行う投資信託や米国の持続的な成長企業に投資をする投資信託の販売に注力しましたが、株式市場が8月に急落するなど不安定な状況となったことを受け、販売額が減少したことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、投資信託の代行手数料やファンドラップ報酬の増加等により50億79百万円(同 24.8%増)となりました。 ロ トレーディング損益当事業年度の「トレーディング損益」は、株券等が7億95百万円(前期比 39.5%減)、債券・為替等が1億13百万円(同 27.7%減)となり、合計で9億8百万円(同 38.2%減)となりました。 ハ 金融収支当事業年度の「金融収益」は、受取利息の増加等により3億34百万円(前期比 18.4%増)、「金融費用」は有価証券貸借取引費用の増加等により53百万円(同 2.7%増)で差引収支は2億81百万円(同 21.9%増)の利益となりました。 ニ 販売費・一般管理費当事業年度の「販売費・一般管理費」は、「不動産関係費」や「取引関係費」が増加する一方、「人件費」等が減少したことから、120億72百万円(前期比 0.3%減)となりました。 ホ 特別損益当事業年度の「特別利益」は、「投資有価証券売却益」が8億57百万円(前事業年度実績 6億28百万円)となりました。 ② 財政状態の状況イ 流動資産当事業年度の「流動資産」は、前事業年度に比べ79億46百万円減少し、465億円となりました。これは、「立替金」が4億8百万円、「未収収益」が74百万円増加する一方、「現金・預金」が32億19百万円、「預託金」が32億19百万円、「トレーディング商品」が17億18百万円、「募集等払込金」が2億44百万円減少したことなどによるものです。 ロ 固定資産当事業年度の「固定資産」は、前事業年度に比べ26億6百万円減少し、169億80百万円となりました。これは、「投資有価証券」が23億48百万円、「有形固定資産」が1億50百万円、「長期差入保証金」が61百万円、「無形固定資産」が46百万円減少したことなどによるものです。 ハ 流動負債当事業年度の「流動負債」は、前事業年度に比べ64億98百万円減少し、193億63百万円となりました。これは、「従業員株式給付引当金」が固定負債からの振替えにより4億99百万円増加する一方、「預り金」が47億10百万円、「未払法人税等」が9億76百万円、「信用取引負債」が4億24百万円、「未払金」が3億87百万円、「有価証券担保借入金」が3億54百万円、「賞与引当金」が71百万円減少したことなどによるものです。 ニ 固定負債及び特別法上の準備金当事業年度の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ13億24百万円減少し、40億20百万円となりました。これは、「資産除去債務」が11百万円増加する一方、「繰延税金負債」が6億78百万円、「従業員株式給付引当金」が流動負債への振替えにより3億73百万円、「退職給付引当金」が2億25百万円、「その他の固定負債」が48百万円減少したことなどによるものです。 ホ 純資産当事業年度の「純資産」は、前事業年度に比べ27億29百万円減少し、400億97百万円となりました。これは、「当期純利益」で24億20百万円、「自己株式の処分」で20百万円増加する一方、「剰余金の配当」で18億75百万円、「自己株式の取得」で18億9百万円、「その他有価証券評価差額金」で14億86百万円減少したことによるものです。 ③ キャッシュ・フローの状況当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ32億19百万円減少し、247億91百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は4億67百万円の減少となりました。これは、「顧客分別金信託の増減額」で32億96百万円、「税引前当期純利益」で31億85百万円、「トレーディング商品の増減額」で17億19百万円増加する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で47億74百万円、「法人税等の支払額」で17億75百万円、「投資有価証券売却損益」で8億57百万円、「その他の資産・負債の増減額」で4億67百万円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」で4億58百万円、「立替金の増減額」で4億8百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」69億20百万円の増加と比較すると73億87百万円の減少となっております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は9億63百万円の増加となりました。これは、「有形固定資産の取得による支出」で1億4百万円、「投資有価証券の取得による支出」で53百万円減少する一方、「投資有価証券の売却による収入」で9億42百万円、「投資有価証券の償還による収入」で1億94百万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」10億41百万円の増加と比較すると78百万円の減少となっております。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は36億91百万円の減少となりました。これは、「配当金の支払額」で18億71百万円、「自己株式の取得による支出」で18億9百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」19億55百万円の減少と比較すると17億36百万円の減少となっております。 ④ 生産、受注及び販売の状況 当社は金融商品取引業を営んでいるため、「生産、受注及び販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要①~③」に含めて記載しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ① 当事業年度の経営成績の分析当事業年度は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)対処すべき課題」に記載のとおり、数値目標の達成及び施策に取り組んでまいりました。 数値目標に対する当事業年度の実績は以下のとおりです。イ ROEについては、日米株式市場の調整もあり、株式委託手数料や投資信託の募集手数料が減少した一方、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬が増加したこと、投資有価証券売却益を計上したことなどから、5.0%の目標に対し、5.8%の実績となりました。ロ 販管費カバー率については、従業員株式給付引当金繰入や賞与引当金繰入などの人件費の減少により販売費・一般管理費が減少した一方、投資信託とファンドラップの残高の増加に伴い、投資信託の代行手数料が28億57百万円(前期比27.9%増)、ファンドラップ報酬が21億85百万円(同21.5%増)となったことから、33%以上の目標に対し、41.8%の実績となりました。 当社は、第七次中期経営計画の重点戦略の下、お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービスの提供(ふやす・まもる・つなぐ)と主体的な人材の育成・自律的な組織運営の推進により経営基盤の一層の強化を図り、投資信託・ファンドラップを軸としたストック収入の拡大による安定収益基盤の構築に取り組んでまいります。 ② 経営成績に重要な影響を与える要因の分析当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式等のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安(円高)になると円ベースの価格が上昇(下落)いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価額が上下しますが、基準価額が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは値動きの異なる複数のファンドを効果的に組み合わせた国際分散投資を行い、ポートフォリオ全体のリスク低減と安定したリターンの追求を図っていますが、為替の影響を受けやすく、円安(円高)になると時価評価額が上昇(下落)する傾向があります。そのため、時価評価額に応じて算出するファンドラップ報酬は増減しますが、お客さまの国際分散投資ニーズの高まりを受け、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当事業年度末の現金・預金残高は247億91百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。当社が保有する現預金については、事業運営、成長投資及び株主還元等を使途として、当社の財務の安全性及び企業価値の向上の観点から適切に配分してまいります。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。