9023

東京地下鉄(9023)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

  • 鉄道事業が基盤
    東京メトロは、東京都心部を中心に9路線からなる地下鉄ネットワークを保有し、鉄道の運行・運営、施設保守管理を主軸としています。運賃収入が主な収益源であり、首都圏の経済活動と人々の移動を支える公共交通機関としての役割が、安定した収益基盤となっています。
  • 不動産賃貸事業
    鉄道事業との相乗効果を狙い、沿線にオフィスビルや商業施設(渋谷マークシティ、渋谷ヒカリエなど)を開発・保有し、賃貸収入を得ています。駅直結や駅近の好立地物件が多く、安定的な収益に貢献しています。
  • 生活・ビジネス支援
    駅構内の商業施設「Echika」の運営や、駅構内・車両内の広告事業、携帯電話通信サービスの営業許諾など、鉄道利用者の生活やビジネスをサポートする多様なサービスを提供しています。これにより、鉄道以外の収益源も確保し、事業の多角化を進めています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 運輸事業
    売上高3,705.39億円、営業利益741.61億円。東京メトロの主力事業であり、地下鉄の運行・運営、鉄道施設の保守管理が主な内容です。首都圏の移動を支える公共交通機関として、安定した収益を上げており、グループ全体の売上・利益の大部分を占める稼ぎ頭です。
  • 不動産事業
    売上高144.29億円、営業利益42億円。鉄道沿線のオフィスビルや商業施設(渋谷マークシティ、渋谷ヒカリエなど)の賃貸が主な事業です。駅直結や駅近の好立地物件が多く、安定した賃料収入を得ており、グループの収益に貢献しています。
  • ライフ・ビジネスサービス事業
    売上高223.08億円、営業利益84.06億円。駅構内の商業施設「Echika」の運営、駅構内や車両内の広告事業、情報通信事業などが含まれます。鉄道事業との相乗効果を発揮し、多様なサービスを提供することで、グループの収益源を多角化しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Transportation 事業 3,705 742 20.0%
RealEstate 事業 144 42 29.1%
LogisticsAndAdvertising 事業 223 84 37.7%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,319 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び当社の関係会社(うち連結子会社14社、非連結子会社2社、持分法適用関連会社4社))で構成され、その営んでいる主要な事業内容は、次のとおりです。なお、各区分は、セグメント情報の報告セグメントと同一です。また、当連結会計年度から、組織改正及び一部業務移管を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。これに併せて、流通事業はライフサービス事業に、広告事業はアドバタイジングサービス事業に、情報通信事業はコミュニケーションサービス事業に名称変更しています。 (1) 運輸業東京都区部を中心に、9路線からなる地下鉄ネットワークを保有し、鉄道の運行及び運営並びに鉄道施設等の保守管理を行っています。 事業の内容主な会社名鉄道事業当社鉄道駅の清掃及び運営管理㈱メトロセルビス(鉄道駅の清掃等)、㈱メトロコマース(鉄道駅の運営管理)鉄道施設等の整備及び保守管理㈱メトロステーションファシリティーズ(駅設備関係)、メトロ車両㈱(車両関係)、㈱メトロレールファシリティーズ(土木構築物・建築物関係)、メトロ開発㈱(土木構築物関係)、東京メトロ電気メインテナンス㈱(電気設備関係)海外都市鉄道運営・維持の支援ベトナム東京メトロ(VIETNAM TOKYO METRO ONE MEMBER LIMITED LIABILITYCOMPANY) (2) 不動産事業鉄道事業とのシナジー効果が発揮できる事業展開を基本とし、当社路線の沿線において、渋谷マークシティ、渋谷ヒカリエ、東急プラザ原宿「ハラカド」など、オフィスビルやホテルを中心とした不動産の賃貸を行っています。 事業の内容主な会社名不動産の開発当社不動産の賃貸当社、東京メトロ都市開発㈱不動産の管理東京メトロ都市開発㈱投資法人の資産運用東京メトロアセットマネジメント㈱ (3) ライフ・ビジネスサービス事業当社資産などを活用し、当社路線の駅においてEchikaなどの商業施設の運営を行うライフサービス事業や、主として駅構内や車両内の広告を取り扱うアドバタイジングサービス事業、携帯電話通信サービスの営業許諾などを行うコミュニケーションサービス事業等を行っています。 事業の内容主な会社名商業施設の開発当社商業施設の運営㈱メトロコマース(駅構内売店等の運営)、メトロ開発㈱(高架下商業施設の運営)、㈱メトロプロパティーズ(Echika等駅構内及び駅周辺における商業施設及び飲食店舗の運営)アドバタイジングサービス事業㈱メトロアドエージェンシーコミュニケーションサービス事業当社 (4) その他「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、当社施設の管理運営事業等を含んでいます。 事業の内容主な会社名福利厚生施設の運営㈱メトロライフサポート人事・経理・システムサービスに関する事務㈱メトロビジネスアソシエ施設の清掃㈱メトロフルール 以上の企業集団の状況について、事業系統図を示すと次のとおりです。 (注) 1 上図は、当社及び子会社15社の概要図です。 2 ※は非連結子会社です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
運賃設定には国土交通大臣の認可が必要であり、機動的な改定ができないため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
鉄道事業法により国土交通大臣の許可が必要であり、運賃設定にも認可が必要。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:首都圏の人口減少・社会構造変化 / 電力料金、原材料価格、労務費の高騰 / 自然災害・事故、感染症の流行
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 14 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

東京メトロは、首都圏における鉄道事業の運営において、長年にわたり培われたブランド力と、都心部における広範な路線網という無形資産を持つ。特に、東京という国際的な大都市のインフラとしての地位は、他社が容易に模倣できない強みである。

スイッチングコスト★★★★☆
根拠:強い乗り換えの手間・コスト

首都圏の通勤・通学客にとって、東京メトロの路線網は生活に不可欠なインフラとなっている。乗り換えの手間や定期券の再購入などを考慮すると、他の交通手段へのスイッチングコストは非常に高い。特に、都心部での利便性は圧倒的である。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄道事業は、利用者数が増加しても、個々の利用者の体験価値が直接的に向上するネットワーク効果は限定的である。プラットフォーム型ビジネスとは異なり、利用者間の相互作用による価値創出は見られない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年のインフラ投資と維持管理により、一定の規模の経済は存在するものの、新規参入企業が同等のコスト構造を実現することは困難である。しかし、大規模な設備投資が必要なため、構造的なコスト優位性は限定的。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

東京メトロは、首都圏における鉄道事業において、圧倒的な路線網と利用者数を誇る寡占企業である。この規模は、新規参入や既存他社による大規模な事業拡大を困難にし、強力な効率規模の優位性を確立している。

  • 首都圏の強固な基盤
    東京都区部という経済の中心地に広範な地下鉄ネットワークを持つことが最大の強みです。通勤・通学、ビジネス、観光など多様な移動需要を捉え、安定した旅客運輸収入を確保しています。この強固な営業基盤が、高い収益力を支えています。
  • 駅直結の好立地不動産
    鉄道事業と連携した不動産開発により、駅直結や駅近の商業施設・オフィスビルを多数保有しています。これらの物件は高い集客力と利便性を持ち、安定した賃貸収入を生み出すだけでなく、沿線価値向上にも貢献しています。
  • 安全・安定輸送の信頼
    長年にわたる鉄道運行の実績と、安全管理規程に基づく厳格な安全マネジメント体制により、利用者からの高い信頼を得ています。これは、公共交通機関として不可欠な要素であり、競争優位性を維持する上で重要なブランド価値となっています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 安全・安定輸送の確保と強化
    鉄道事業の信頼の根幹である安全・安定輸送を最優先とし、鉄道設備の修繕・更新を計画的に実施します。激甚化する自然災害への備えやセキュリティ強化、バリアフリー化を進め、お客様が安心して利用できる環境を維持・向上させます。
  • 事業の多角化と成長投資
    鉄道事業の持続性強化に加え、不動産事業では物件価値向上やフロー型ビジネスの強化、ライフ・ビジネスサービス事業では新規ビジネス開発を推進します。さらに、CVC活動やM&Aを含めた成長投資を強化し、新たな収益源の創出を目指します。
  • 新技術導入とDX推進
    労働人口減少に対応するため、CBTCシステム導入による遅延回復効果の向上や、自動運転技術(GOA2.5)の導入により輸送システムの変革を目指します。故障予知などの状態基準保全(CBM)を推進し、鉄道オペレーションの効率化と事業運営能力の向上を図ります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足時に定めたグループ理念(ミッション)である「東京を走らせる力」を念頭に、様々な取組を進めてきました。 <東京メトログループ理念> 東京を走らせる力 私たち東京メトログループは、 鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、首都東京の都市機能を支え、 都市としての魅力と活力を引き出すとともに、 優れた技術力と創造力により、安全・安心で快適なより良いサービスを提供し、 東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 当社の基幹事業である鉄道事業においては、通勤・通学需要、東京都心部の開発進展やインバウンド旅行者の増加を背景に、旅客運輸収入は好調に推移しています。一方で、労務費・資材価格の高騰により、修繕費・外注費を中心としたコストは中期経営計画策定時の想定を大きく上回っており、加えて労働人口減少、鉄道における安全・安定性の維持に対する社会的関心の高まり等、当社を取り巻く経営環境は大きく変化しています。さらに、足許では中東情勢の悪化等を背景としたエネルギー価格の上昇や資材調達環境の不安定化、金融資本市場の変動に伴う物価上昇圧力が強まっており、今後の事業運営への影響が懸念されます。このような状況を踏まえ、当社の信頼の根幹である安全・安定輸送の確保を前提に、鉄道設備の修繕・更新を適正なタイミングで実施すべく、必要な修繕費を計画的に確保するとともに、インフレを見据えたコスト構造の見直しに取り組んでいきます。また、人的資本経営の更なる推進による人財確保及びエンゲージメント向上に努めるとともに、労働人口減少への対応として、新技術の開発・導入を推進していきます。これらの取組により、鉄道事業の持続性を強化していきます。さらに、お客様の利便性向上に資する設備投資を通じて中長期的な成長を実現する基盤を構築するため、経営努力を前提とした、加算運賃等各運賃改定制度の適用可能性や、制度を適用する場合に対象とする事業等について検討を進めていきます。不動産事業においては、リノベーション等により物件の価値向上を図るとともに、東京メトロプライベートリート投資法人等へ物件売却することで、資産効率性の高いフロー型ビジネスも強化していきます。ライフ・ビジネスサービス事業においては、様々な事業パートナーとの連携を強化することで、新規ビジネス開発の推進等により、中長期的な成長の実現を目指していきます。加えて、新たな成長ドライバーの創出に向け、出資・M&Aを実施すべく、2026年度より専任組織を新設するとともに、新たに投資枠を設定することにより、成長投資を強化していきます。そのほか、各種事業戦略及びコーポレート戦略に基づく具体的な施策に取り組むことで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。 (当社グループ中期経営計画「Run!〜次代を翔けろ〜」に基づく取組について)(1)運輸業① 鉄道事業の安全性・利便性向上トンネル中柱の補強工事や脱線検知装置の搭載、駅出入口の浸水対策等の推進により、激甚化する自然災害への備えを進めるとともに、駅構内及び車両内の防犯カメラの高度化、巡回警備の強化等、社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化を進めていきます。また、構内のバリアフリー化の一環として、エレベーターによる1ルート・複数ルート・乗換ルートの整備を進めていきます。② 新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)の着実な推進鉄道ネットワークの強化を通じた臨海部・都心部へのアクセス利便性向上や沿線・まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化への貢献及び新規鉄道需要の開拓を目的として、十分な公的支援を前提に、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の工事等を推進していきます。③ 新技術の導入及びDX等による鉄道オペレーションの進化 日比谷線及び半蔵門線において、高い遅延回復効果を得ることができるCBTCシステムの導入に向けた取組を推進していきます(日比谷線は2026年度導入予定)。また、労働人口の減少を踏まえ、安全性の確保を前提に、必要な要件を有した乗務員が先頭車両に乗務する自動運転技術(GOA2.5)等により、輸送システムの変革を目指していきます。また、故障予知や劣化予測を行う状態基準保全(CBM)の推進と鉄道運営ノウハウの外販により、事業運営能力の向上・事業領域拡大を図っていきます。④ 鉄道需要創出の促進メトポを中心に当社グループの保有する各種データを効果的に活用することでマーケティング機能を強化し、お客様一人ひとりのニーズを的確に捉えた情報・サービスを提供していきます。また、インバウンド旅行者のご利用促進を図るべく、資本業務提携先であるリンクティビティ株式会社と連携し、Tokyo Subway Ticketや観光施設・体験とのセット商品(Tokyo City Pass等)の販売を強化するほか、2026年3月から開始したクレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスと当社を含む関東の鉄道事業者11社局での同サービスの相互利用の浸透を図っていきます。⑤ 海外鉄道ビジネスの拡大今後の成長の牽引役の1つとして、海外鉄道ビジネスの取組を強化していきます。鉄道の運行管理、メンテナンス又はその両方を受託するO&M事業について、2025年5月から開始した英国のElizabeth line(エリザベス・ライン) の運営事業を着実に実施し、同路線のオペレーションとサービスの質の一層の向上に取り組んでいきます。また、更なる事業拡大に向けて、案件の選定や協業パートナーとの連携を深度化し、更なる事業拡大を目指していきます。 (2)不動産事業① 不動産開発、まちづくりとの連携強化東京においてまちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産開発を強化していくとともに、有楽町線延伸部をはじめとした当社沿線において、子育て世代やシニア世代に選ばれるまちづくりに貢献することで、人々の快適な生活環境の形成に寄与するとともに、沿線価値の向上を目指していきます。② 不動産取得の推進、保有物件の価値向上これまでの不動産事業は、不動産賃貸業を主軸とするストック型事業モデルでありましたが、今後は東京メトロプライベートリート投資法人等への物件売却を通じ、資産効率性の高いフロー型事業モデルも強化していきます。また、事業パートナーとの連携強化を図るとともに、ホテル経営・運営事業への参画の具体化を進めていきます。③ 新たな領域への挑戦都心部でのインバウンド需要をはじめとした、更なる宿泊ニーズの高まりを見据え、ホテルを開発するとともに当社が主体となって東京の来街者に対してホスピタリティ溢れるサービスを提供するために、ホテル経営・運営事業への参画に向けて準備を進めていきます。 (3)ライフ・ビジネスサービス事業① 高架下商業施設のリニューアル、駅ナカの魅力向上東西線高架下の商業施設をリニューアルし、まちと一体となった賑わいを創出するほか、駅ナカの様々なサービスを拡充させることによって、駅まちの魅力向上に取り組んでいきます。② 既存アセットの有効活用改札口ディスプレイ跡地を活用したデジタルサイネージの開発の推進に加え、クライアントニーズを踏まえたデジタルサイネージの増設や移設、媒体の仕様変更を行うことにより、媒体価値の向上に取り組んでいきます。また、当社グループが保有する発車メロディや駅案内標等のアセットに広告価値を付加した活用により、収益の向上を図っていきます。③ 新たな分野への挑戦事業領域の拡大として、沿線エリアのお客様の生活基盤を支えるサービスや、生活を豊かにするサービスを当社グループ自らの手で提供するとともに、東京に集う人々が関心を寄せワクワクするような体験を提供するコンテンツビジネスの更なる展開等により、事業の拡大を加速させていきます。 (4)その他(新たな取組)①コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動の強化2025年3月から開始したCVC活動「Tokyo Metro Ventures」を通じ、当社グループが保有する事業アセットとスタートアップ企業の技術やアイデアを掛け合わせることで、東京の未来を創る革新的なサービスの開発と社会実装を推進し、東京の多様な魅力と価値の向上を目指していきます。②事業領域拡大に向けた投資戦略の推進持続的な成長及び新たな成長ドライバーの創出に向け、専任組織として「出資・事業投資担当」を新設し、新たに投資枠を設定することにより、資本規律も踏まえつつ、出資・M&Aを含めた事業領域拡大の検討を進めていきます。 (5)サステナビリティ(ESG)の取組① 環境への取組鉄道をより一層環境に優しい交通手段にしていくとともに、脱炭素社会の実現に向け、「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、当社グループ全事業が排出するCO₂量について、「2030年度目標△53%(2013年度比)」、「2050年度実質ゼロ」を目指しています。また、国の削減目標に基づき「2035年度△60%」、「2040年度△73%」の目標値を新たに設定することで、更なる推進を図っていきます。② 社会とのつながり強化各地域のコミュニティと連携しながら、東京の鉄道事業者として、事業基盤である沿線地域の成長・発展に対し継続的にサポートを行うとともに、お客様、取引先、社員、地域・社会をはじめとする全ての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を進めていきます。③ ガバナンス体制の充実社会情勢の変化、法令改正の状況等を踏まえ、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に向けて随時取組の見直しを行っていきます。なお、当社社員に対する不適切な言動による取締役の辞任を踏まえた再発防止策として、役員登用時の資質チェックを導入するとともに、役員向けコンプライアンス研修を拡充し継続的に実施していきます。 (6)人財戦略人的資本経営の更なる推進・人事施策人的資本経営を推進するにあたり、「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を実行し、人財確保及び社員一人ひとりの最大活躍を実現することにより、経営戦略の実現を図っていきます。奨学金の返済支援や社外副業制度の導入により、多様な働き方・キャリア支援制度等、各種人事施策を拡充していきます。また、老朽化に伴う職場環境の改善を図るため、2026年夏に本社オフィスを一時移転し、業務内容やプロジェクトに応じて働く場所を選べるABW(Activity Based Working)を実現し、社員エンゲージメント向上を図っていきます。 (7) デジタル戦略データ共有基盤の整備・デジタル技術の活用とデジタル人財育成新たな価値創出の源泉としてデータとデジタル技術を積極的に活用するため、データ共有基盤の整備や生成AIの活用・DXの促進、XR事業に取り組んでいきます。また、デジタルリテラシーの底上げを図るため、全社員を対象とした「デジタル利活用人財」の育成強化に取り組んでいきます。 当社グループは、ビジョン(実現したい未来)として掲げた「次の『あたりまえ』と『ワクワク』を」の実現に向け、今後とも様々な施策を通じて持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業を目指していきます。 (3) 目標とする経営指標 当社グループは、中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」における経営目標として、資本効率を意識することで企業価値及び経営効率の向上を目指すという観点から連結ROE、持続的な成長に向けて本業の収益力を向上させていくという観点から連結営業利益、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から連結EBITDA、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率の4つを定めています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標値の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。 経営指標2028年3月期末目標連結ROE(注1)7.7%連結営業利益930億円連結EBITDA(注2)1,740億円連結純有利子負債/EBITDA倍率(注3、4)6.3倍(新線除く 5.2倍) (注)1 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものとします。 2 営業利益+減価償却費により計算したものとします。 3 (債務残高-現金及び現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。 4 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。 「Run!~次代を翔けろ~」において目標とする経営指標である連結ROE、連結営業利益、連結EBITDA及び連結純有利子負債/EBITDA倍率に関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。回次第21期第22期決算年月2025年3月2026年3月営業収益(注)2(百万円)407,832422,414 運輸業(百万円)372,500386,618 不動産事業(百万円)14,66314,694 ライフ・ビジネスサービス事業(百万円)25,75726,388 その他(百万円)3,7433,994 調整額(百万円)△8,832△9,281営業利益(注)2(百万円)86,94289,588 運輸業(百万円)74,21776,189 (営業利益率)(%)(20)(20) 不動産事業(百万円)4,2004,399 (営業利益率)(%)(29)(30) ライフ・ビジネスサービス事業(百万円)8,2598,527 (営業利益率)(%)(32)(32) その他(百万円)152349 (営業利益率)(%)(4)(9) 調整額(百万円)112120EBITDA(注)3(百万円)159,042163,509 運輸業(注)4(百万円)142,627146,265 不動産事業(注)4(百万円)6,6926,901 ライフ・ビジネスサービス事業(注)4(百万円)9,4859,892 その他(注)4(百万円)168358有利子負債残高(百万円)1,086,8121,071,499現金及び現金同等物(注)5(百万円)73,76268,280純有利子負債(注)6(百万円)1,013,0491,003,219連結ROE(注)7(%)7.88.1純有利子負債/EBITDA倍率(注)8(倍)6.46.1 (注) 1 第22期の期首より、一部業務移管及び組織変更を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。なお、第21期のセグメント毎の営業収益、営業利益及びEBITDAは、変更後のセグメント区分により作成したものを記載しています。2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。3 営業利益+減価償却費により算出したものです。4 セグメント毎の営業利益+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益の調整額は含めていません。5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。7 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。8 小数点以下第2位を四捨五入しています。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足時に定めたグループ理念(ミッション)である「東京を走らせる力」を念頭に、様々な取組を進めてきました。 <東京メトログループ理念> 東京を走らせる力 私たち東京メトログループは、 鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、首都東京の都市機能を支え、 都市としての魅力と活力を引き出すとともに、 優れた技術力と創造力により、安全・安心で快適なより良いサービスを提供し、 東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 当社の基幹事業である鉄道事業においては、通勤・通学需要、東京都心部の開発進展やインバウンド旅行者の増加を背景に、旅客運輸収入は好調に推移しています。一方で、労務費・資材価格の高騰により、修繕費・外注費を中心としたコストは中期経営計画策定時の想定を大きく上回っており、加えて労働人口減少、鉄道における安全・安定性の維持に対する社会的関心の高まり等、当社を取り巻く経営環境は大きく変化しています。さらに、足許では中東情勢の悪化等を背景としたエネルギー価格の上昇や資材調達環境の不安定化、金融資本市場の変動に伴う物価上昇圧力が強まっており、今後の事業運営への影響が懸念されます。このような状況を踏まえ、当社の信頼の根幹である安全・安定輸送の確保を前提に、鉄道設備の修繕・更新を適正なタイミングで実施すべく、必要な修繕費を計画的に確保するとともに、インフレを見据えたコスト構造の見直しに取り組んでいきます。また、人的資本経営の更なる推進による人財確保及びエンゲージメント向上に努めるとともに、労働人口減少への対応として、新技術の開発・導入を推進していきます。これらの取組により、鉄道事業の持続性を強化していきます。さらに、お客様の利便性向上に資する設備投資を通じて中長期的な成長を実現する基盤を構築するため、経営努力を前提とした、加算運賃等各運賃改定制度の適用可能性や、制度を適用する場合に対象とする事業等について検討を進めていきます。不動産事業においては、リノベーション等により物件の価値向上を図るとともに、東京メトロプライベートリート投資法人等へ物件売却することで、資産効率性の高いフロー型ビジネスも強化していきます。ライフ・ビジネスサービス事業においては、様々な事業パートナーとの連携を強化することで、新規ビジネス開発の推進等により、中長期的な成長の実現を目指していきます。加えて、新たな成長ドライバーの創出に向け、出資・M&Aを実施すべく、2026年度より専任組織を新設するとともに、新たに投資枠を設定することにより、成長投資を強化していきます。そのほか、各種事業戦略及びコーポレート戦略に基づく具体的な施策に取り組むことで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。 (当社グループ中期経営計画「Run!〜次代を翔けろ〜」に基づく取組について)(1)運輸業① 鉄道事業の安全性・利便性向上トンネル中柱の補強工事や脱線検知装置の搭載、駅出入口の浸水対策等の推進により、激甚化する自然災害への備えを進めるとともに、駅構内及び車両内の防犯カメラの高度化、巡回警備の強化等、社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化を進めていきます。また、構内のバリアフリー化の一環として、エレベーターによる1ルート・複数ルート・乗換ルートの整備を進めていきます。② 新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)の着実な推進鉄道ネットワークの強化を通じた臨海部・都心部へのアクセス利便性向上や沿線・まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力の強化への貢献及び新規鉄道需要の開拓を目的として、十分な公的支援を前提に、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の工事等を推進していきます。③ 新技術の導入及びDX等による鉄道オペレーションの進化 日比谷線及び半蔵門線において、高い遅延回復効果を得ることができるCBTCシステムの導入に向けた取組を推進していきます(日比谷線は2026年度導入予定)。また、労働人口の減少を踏まえ、安全性の確保を前提に、必要な要件を有した乗務員が先頭車両に乗務する自動運転技術(GOA2.5)等により、輸送システムの変革を目指していきます。また、故障予知や劣化予測を行う状態基準保全(CBM)の推進と鉄道運営ノウハウの外販により、事業運営能力の向上・事業領域拡大を図っていきます。④ 鉄道需要創出の促進メトポを中心に当社グループの保有する各種データを効果的に活用することでマーケティング機能を強化し、お客様一人ひとりのニーズを的確に捉えた情報・サービスを提供していきます。また、インバウンド旅行者のご利用促進を図るべく、資本業務提携先であるリンクティビティ株式会社と連携し、Tokyo Subway Ticketや観光施設・体験とのセット商品(Tokyo City Pass等)の販売を強化するほか、2026年3月から開始したクレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスと当社を含む関東の鉄道事業者11社局での同サービスの相互利用の浸透を図っていきます。⑤ 海外鉄道ビジネスの拡大今後の成長の牽引役の1つとして、海外鉄道ビジネスの取組を強化していきます。鉄道の運行管理、メンテナンス又はその両方を受託するO&M事業について、2025年5月から開始した英国のElizabeth line(エリザベス・ライン) の運営事業を着実に実施し、同路線のオペレーションとサービスの質の一層の向上に取り組んでいきます。また、更なる事業拡大に向けて、案件の選定や協業パートナーとの連携を深度化し、更なる事業拡大を目指していきます。 (2)不動産事業① 不動産開発、まちづくりとの連携強化東京においてまちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産開発を強化していくとともに、有楽町線延伸部をはじめとした当社沿線において、子育て世代やシニア世代に選ばれるまちづくりに貢献することで、人々の快適な生活環境の形成に寄与するとともに、沿線価値の向上を目指していきます。② 不動産取得の推進、保有物件の価値向上これまでの不動産事業は、不動産賃貸業を主軸とするストック型事業モデルでありましたが、今後は東京メトロプライベートリート投資法人等への物件売却を通じ、資産効率性の高いフロー型事業モデルも強化していきます。また、事業パートナーとの連携強化を図るとともに、ホテル経営・運営事業への参画の具体化を進めていきます。③ 新たな領域への挑戦都心部でのインバウンド需要をはじめとした、更なる宿泊ニーズの高まりを見据え、ホテルを開発するとともに当社が主体となって東京の来街者に対してホスピタリティ溢れるサービスを提供するために、ホテル経営・運営事業への参画に向けて準備を進めていきます。 (3)ライフ・ビジネスサービス事業① 高架下商業施設のリニューアル、駅ナカの魅力向上東西線高架下の商業施設をリニューアルし、まちと一体となった賑わいを創出するほか、駅ナカの様々なサービスを拡充させることによって、駅まちの魅力向上に取り組んでいきます。② 既存アセットの有効活用改札口ディスプレイ跡地を活用したデジタルサイネージの開発の推進に加え、クライアントニーズを踏まえたデジタルサイネージの増設や移設、媒体の仕様変更を行うことにより、媒体価値の向上に取り組んでいきます。また、当社グループが保有する発車メロディや駅案内標等のアセットに広告価値を付加した活用により、収益の向上を図っていきます。③ 新たな分野への挑戦事業領域の拡大として、沿線エリアのお客様の生活基盤を支えるサービスや、生活を豊かにするサービスを当社グループ自らの手で提供するとともに、東京に集う人々が関心を寄せワクワクするような体験を提供するコンテンツビジネスの更なる展開等により、事業の拡大を加速させていきます。 (4)その他(新たな取組)①コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動の強化2025年3月から開始したCVC活動「Tokyo Metro Ventures」を通じ、当社グループが保有する事業アセットとスタートアップ企業の技術やアイデアを掛け合わせることで、東京の未来を創る革新的なサービスの開発と社会実装を推進し、東京の多様な魅力と価値の向上を目指していきます。②事業領域拡大に向けた投資戦略の推進持続的な成長及び新たな成長ドライバーの創出に向け、専任組織として「出資・事業投資担当」を新設し、新たに投資枠を設定することにより、資本規律も踏まえつつ、出資・M&Aを含めた事業領域拡大の検討を進めていきます。 (5)サステナビリティ(ESG)の取組① 環境への取組鉄道をより一層環境に優しい交通手段にしていくとともに、脱炭素社会の実現に向け、「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、当社グループ全事業が排出するCO₂量について、「2030年度目標△53%(2013年度比)」、「2050年度実質ゼロ」を目指しています。また、国の削減目標に基づき「2035年度△60%」、「2040年度△73%」の目標値を新たに設定することで、更なる推進を図っていきます。② 社会とのつながり強化各地域のコミュニティと連携しながら、東京の鉄道事業者として、事業基盤である沿線地域の成長・発展に対し継続的にサポートを行うとともに、お客様、取引先、社員、地域・社会をはじめとする全ての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を進めていきます。③ ガバナンス体制の充実社会情勢の変化、法令改正の状況等を踏まえ、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に向けて随時取組の見直しを行っていきます。なお、当社社員に対する不適切な言動による取締役の辞任を踏まえた再発防止策として、役員登用時の資質チェックを導入するとともに、役員向けコンプライアンス研修を拡充し継続的に実施していきます。 (6)人財戦略人的資本経営の更なる推進・人事施策人的資本経営を推進するにあたり、「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を実行し、人財確保及び社員一人ひとりの最大活躍を実現することにより、経営戦略の実現を図っていきます。奨学金の返済支援や社外副業制度の導入により、多様な働き方・キャリア支援制度等、各種人事施策を拡充していきます。また、老朽化に伴う職場環境の改善を図るため、2026年夏に本社オフィスを一時移転し、業務内容やプロジェクトに応じて働く場所を選べるABW(Activity Based Working)を実現し、社員エンゲージメント向上を図っていきます。 (7) デジタル戦略データ共有基盤の整備・デジタル技術の活用とデジタル人財育成新たな価値創出の源泉としてデータとデジタル技術を積極的に活用するため、データ共有基盤の整備や生成AIの活用・DXの促進、XR事業に取り組んでいきます。また、デジタルリテラシーの底上げを図るため、全社員を対象とした「デジタル利活用人財」の育成強化に取り組んでいきます。 当社グループは、ビジョン(実現したい未来)として掲げた「次の『あたりまえ』と『ワクワク』を」の実現に向け、今後とも様々な施策を通じて持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業を目指していきます。 (3) 目標とする経営指標 当社グループは、中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」における経営目標として、資本効率を意識することで企業価値及び経営効率の向上を目指すという観点から連結ROE、持続的な成長に向けて本業の収益力を向上させていくという観点から連結営業利益、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から連結EBITDA、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率の4つを定めています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標値の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。 経営指標2028年3月期末目標連結ROE(注1)7.7%連結営業利益930億円連結EBITDA(注2)1,740億円連結純有利子負債/EBITDA倍率(注3、4)6.3倍(新線除く 5.2倍) (注)1 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものとします。 2 営業利益+減価償却費により計算したものとします。 3 (債務残高-現金及び現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。 4 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。 「Run!~次代を翔けろ~」において目標とする経営指標である連結ROE、連結営業利益、連結EBITDA及び連結純有利子負債/EBITDA倍率に関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。回次第21期第22期決算年月2025年3月2026年3月営業収益(注)2(百万円)407,832422,414 運輸業(百万円)372,500386,618 不動産事業(百万円)14,66314,694 ライフ・ビジネスサービス事業(百万円)25,75726,388 その他(百万円)3,7433,994 調整額(百万円)△8,832△9,281営業利益(注)2(百万円)86,94289,588 運輸業(百万円)74,21776,189 (営業利益率)(%)(20)(20) 不動産事業(百万円)4,2004,399 (営業利益率)(%)(29)(30) ライフ・ビジネスサービス事業(百万円)8,2598,527 (営業利益率)(%)(32)(32) その他(百万円)152349 (営業利益率)(%)(4)(9) 調整額(百万円)112120EBITDA(注)3(百万円)159,042163,509 運輸業(注)4(百万円)142,627146,265 不動産事業(注)4(百万円)6,6926,901 ライフ・ビジネスサービス事業(注)4(百万円)9,4859,892 その他(注)4(百万円)168358有利子負債残高(百万円)1,086,8121,071,499現金及び現金同等物(注)5(百万円)73,76268,280純有利子負債(注)6(百万円)1,013,0491,003,219連結ROE(注)7(%)7.88.1純有利子負債/EBITDA倍率(注)8(倍)6.46.1 (注) 1 第22期の期首より、一部業務移管及び組織変更を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。なお、第21期のセグメント毎の営業収益、営業利益及びEBITDAは、変更後のセグメント区分により作成したものを記載しています。2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。3 営業利益+減価償却費により算出したものです。4 セグメント毎の営業利益+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益の調整額は含めていません。5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。7 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。8 小数点以下第2位を四捨五入しています。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、景気に持ち直しの動きがみられるものの、海外経済の動向や国際情勢の緊張の高まりを背景とした地政学的リスクの高まり、並びに物価動向や金融資本市場の変動等により、先行きについては依然として不透明な状況が続いています。このような状況下で、当社グループは、2025年度から2027年度までの新たな中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」を2025年4月に公表しました。中期経営計画の初年度として、各種事業戦略及びコーポレート戦略に基づき、自然災害対策やバリアフリー化を含めた更なる鉄道の安全・サービス向上、新線建設の着実な推進に取り組むほか、自動運転等の新技術の開発・推進や鉄道需要の創出に加え、まちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産事業をはじめとした都市・生活創造事業の拡大、新たなビジネスの取組を推進することを目指した各種施策に取り組みました。当連結会計年度の業績は、旅客運輸収入が引き続き好調に推移したこと等により、営業収益が4,224億1千4百万円(前期比3.6%増)となった一方、営業費は経費・人件費の増加等により3,328億2千6百万円(前期比3.7%増)となった結果、営業利益が895億8千8百万円(前期比3.0%増)、経常利益が792億3千4百万円(前期比2.9%増)となりました。また、退職給付制度改定益を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益が590億1千5百万円(前期比9.8%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、当連結会計年度から、組織改正及び一部業務移管を行ったことに伴い、従来の報告セグメントのうち「流通・広告」を「ライフ・ビジネスサービス」に変更しています。これに併せて、流通事業はライフサービス事業に、広告事業はアドバタイジングサービス事業に、情報通信事業はコミュニケーションサービス事業に名称変更しています。そのため、前連結会計年度の実績を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで比較しています。 [運輸業]鉄道事業においては、安全性・利便性向上を第一に取り組むことを前提に、デジタルマーケティング及びインバウンド施策の確実な推進と、海外鉄道ビジネスの拡大等事業領域の拡大に取り組みました。 安全性・利便性向上については、セキュリティ強化として、車内セキュリティカメラ映像を総合指令所等にてリアルタイムで確認する機能の整備を推進したほか、自然災害対策として、これまで様々な耐震補強を実施しており、現在は震災発生後の復旧性向上を目的としたトンネル中柱の耐震補強工事を進めています。また、大規模浸水対策として、浸水深等に応じた駅出入口の止水板の改良、防水扉の設置、上屋建て替えによる完全防水型出入口への改良、換気塔の嵩上げ又は浸水防止機の設置等を進めています。お客様の円滑な移動の実現に向け、2025年8月に有楽町線銀座一丁目駅においてエレベーターの供用を開始したことにより、同駅におけるエレベーター1ルート整備が完了しました。また、2026年3月に全路線全駅(大規模改良中の東西線南砂町駅一部番線については工事進捗を踏まえて整備予定)でのホームドア整備が完了しました。さらに、半蔵門線の新型車両を8編成導入し、全編成導入完了しました。輸送改善に向け、東西線における混雑緩和を目的とした南砂町駅ホームの2面3線化、飯田橋駅~九段下駅間の折返し線整備を着実に進めました。南砂町駅においては、一時閉鎖していた3番出入口を2026年3月に供用再開いたしました。また、南北線3編成の8両化を行いました。さらに、東京メトロmy!アプリで全路線の混雑状況を配信するとともに、混雑の偏りが大きい駅や混雑度が高い駅では、新設したディスプレイで複数列車の混雑状況を号車ごとにリアルタイムで配信し、分散乗車及び混雑平準化を推進しました。新技術の導入やDXの推進については、朝ラッシュ時間帯の定時運行性向上を目的に、2024年12月から丸ノ内線で運用を開始した無線式列車制御システム(CBTCシステム)について、2026年度中の日比谷線運用開始に向けて導入を推進したほか、自動運転技術(GOA2.5)や状態基準保全(CBM)等の導入に向けた取組を進めています。新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)については、2024年11月に工事着手し、道路施設物や埋設物等の撤去・移設を進めています。南北線品川工区では、2026年3月から土留め壁の施工を開始しました。鉄道事業におけるデジタルマーケティング推進については、「メトロポイントクラブ(メトポ)」の会員基盤拡大を図ったことから、2025年9月には会員数が100万人に到達しました。また、メトポの顧客基盤を活用した沿線施設やグループ店舗等の利用を促す取組を実施しました。新たな乗車サービスとして、2026年3月からクレジットカード等のタッチ決済による後払い乗車サービスを開始し、当社を含む関東の鉄道事業者11社局での相互利用に対応したほか、国内外の旅行者向けの「Tokyo Subway Ticket」がQRコード(※)で乗車可能となりました。 ※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。海外鉄道ビジネスについては、O&M(オペレーション&メンテナンス)事業において、英国ロンドン市における地下鉄Elizabeth line(エリザベス・ライン)の運営事業を2025年5月から開始しています。海外技術コンサルティング事業では、JICAから受注したベトナムにおける「ホーチミン市都市鉄道規制機関及び運営会社能力強化プロジェクト」及び「ベトナム鉄道学校都市鉄道研修能力強化プロジェクト」を完了したほか、新たにJICAから「フィリピン国持続的開発に向けたフィリピン鉄道訓練センター技術支援プロジェクト」を受注しました。2025年3月から開始したCVC活動については、ジャフコグループ株式会社が運営するファンド及びフィットネスジム事業を営む株式会社FiTに対して出資しました。なお、2025年7月に発生した副都心線東新宿駅構内における転てつ器損傷及び速度超過事案につきましては、外部有識者を加えた「東新宿駅構内転てつ器損傷及び速度超過に伴う再発防止対策推進委員会」を設置し、委員会で取りまとめた報告書を公表し、現在は当該報告書に基づく各種対策を推進しています。運輸業の当連結会計年度の業績は、旅客運輸収入が引き続き好調に推移したこと等により、営業収益が3,866億1千8百万円(前期比3.8%増)、営業利益が761億8千9百万円(前期比2.7%増)となりました。 (運輸成績表)種別単位第21期連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)第22期連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)営業日数日365366旅客営業キロキロ195.0195.0客車走行キロ千キロ289,057289,499輸送人員定期千人1,297,8331,341,390 定期外〃1,197,9161,229,839 計〃2,495,7502,571,229旅客運輸収入定期百万円129,995134,162 定期外〃209,370216,323 計〃339,366350,485乗車効率%4850 (注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。 2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100 [不動産事業]不動産事業においては、収益性の向上を図るべく、駅周辺の都市開発と一体となった建物の整備を進めています。新宿駅においては、新築工事に着手した新宿駅西口地区開発計画を共同事業者とともに推進し、東上野四丁目A-1地区、飯田橋四丁目5・6・7番地区においては、再開発準備組合へ事業協力者として参画し、他の地権者とともに事業を推進しています。また、2025年9月には家族寮跡地において「メトロステージ亀有」を竣工し入居を開始したほか、同年9月にPATH中目黒uno(現メトロステージ中目黒1)、PATH中目黒due(現メトロステージ中目黒2)、浅草スクエアを取得しています。不動産事業の成長を目的に2025年3月に運用を開始した「東京メトロプライベートリート投資法人」については、資産価値の向上を図りながら、順調に運用を行っています。不動産事業の当連結会計年度の業績は、2025年3月期に実施した物件売却による賃貸収入の減少があったものの、取得・開業物件(TS青山ビル・メトロステージPLUS中野弥生町等)、渋谷マークシティの賃貸収入の増加等により、営業収益が146億9千4百万円(前期比0.2%増)となりました。また、物件売却による費用の減少等により、営業利益が43億9千9百万円(前期比4.7%増)となりました。 [ライフ・ビジネスサービス事業]ライフサービス事業については、東西線高架下商業施設のリニューアル、2026年2月の原木中山駅高架下への商業施設開業、2026年3月にメトロ・エム高島平のリニューアルを実施しました。また、Echika等の商業施設についても店舗入替を行いました。その他、事前予約機能、ホテル配送サービスを搭載した新機能ロッカーである「東京メトロッカー+(Tokyo Metlocker PLUS)」の設置や、自動販売機等の増設も進めています。アドバタイジングサービス事業については、コンテンツIPを活用したビジネスの展開として、映画『8番出口』の製作委員会へ参画するとともに、「映画『8番出口』東京メトロ脱出ゲーム」等を開催しました。また、改札口付近にデジタルサイネージ及び広告看板を新設したほか、広告貸切電車等インパクトのある商品の展開により、収益拡大に努めました。コミュニケーションサービス事業については、第5世代(5G)通信サービスについて、2026年度整備開始に向けた取組を進めました。このほか、フィットネス領域への参入として、24時間無人フィットネスジム「Life Fit」の店舗展開を進め、2025年4月に葛西駅店、2025年9月に上池袋店、2026年3月に東陽町店を開業しました。ライフ・ビジネスサービス事業の当連結会計年度の業績は、ライフサービス事業における既存店舗及び開業物件(M’av浦安EAST等)の賃貸収入増等や、アドバタイジングサービス事業における駅構内媒体及び車両内媒体の販売増により、営業収益が263億8千8百万円(前期比2.5%増)、営業利益が85億2千7百万円(前期比3.2%増)となりました。 当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ174億2千3百万円増の2兆471億6千8百万円、負債合計は7億9千8百万円減の1兆3,124億1千6百万円、純資産合計は182億2千2百万円増の7,347億5千1百万円となりました。資産の部の増加については、固定資産において設備投資に伴う増加等によるものです。負債の部の減少については、流動負債において1年内返済予定の長期借入金の返済等によるものです。純資産の部の増加については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものです。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、35.9%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ54億8千2百万円減少し、当連結会計年度末には682億8千万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,337億6千4百万円(前期比102億1千9百万円の収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益856億3千3百万円(前期比113億円の収入増)と非資金科目である減価償却費739億2千1百万円(前期比18億2千2百万円の収入増)を計上したこと等によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、874億円(前期比21億4百万円の支出減)となりました。これは主に、設備投資等を中心に有形及び無形固定資産の取得による支出が917億6千6百万円(前期比242億1千3百万円の支出減)あったこと等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、518億4千6百万円(前期比9億3百万円の支出増)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が403億1千2百万円(前期比82億2千5百万円の支出増)及び配当金の支払額が354億1千2百万円(前期比168億2千万円の支出増)あったこと等によるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減額増減率 % 営業収益407,832422,41414,5823.6 営業費320,889332,82611,9363.7 営業利益86,94289,5882,6453.0 営業外収益2,1252,019△106△5.0 営業外費用12,06012,3733122.6 経常利益77,00879,2342,2262.9 特別利益10,06520,21910,153100.9 特別損失12,74113,8201,0788.5 税金等調整前当期純利益74,33285,63311,30015.2 親会社株主に帰属する 当期純利益53,74859,0155,2669.8 [営業収益及び営業利益]当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ145億8千2百万円増の4,224億1千4百万円となりました。 これは、旅客運輸収入が引き続き好調に推移したこと等によるものです。営業費は、前連結会計年度に比べ119億3千6百万円増の3,328億2千6百万円となりました。これは、経費・人件費の増加があったこと等によるものです。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ26億4千5百万円増の895億8千8百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。 [営業外損益及び経常利益]当連結会計年度の営業外収益は、受取受託工事事務費の減少等により、前連結会計年度に比べ1億6百万円減の20億1千9百万円となりました。営業外費用は、支払利息の増加等により、前連結会計年度に比べ3億1千2百万円増の123億7千3百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ22億2千6百万円増の792億3千4百万円となりました。 [特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]当連結会計年度の特別利益は、退職給付制度改定益を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ101億5千3百万円増の202億1千9百万円となりました。特別損失は、固定資産圧縮損の増加等により、前連結会計年度に比べ10億7千8百万円増の138億2千万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は856億3千3百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ52億6千6百万円増の590億1千5百万円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資等に充当しています。当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー整備などの旅客サービス等の運輸業への投資、持続的な成長を実現する不動産事業及びライフ・ビジネスサービス事業への投資のほか、有楽町線、南北線延伸事業等に係る投資があります。資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。ⅰ固定資産の減損当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、景気低迷、他事業者との競合、市場価格の下落、感染症の発生等により当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を認識する可能性があります。 ⅱ繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 ⅲ退職給付債務及び費用従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。 実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の推移につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載のとおりです。第22期においては、連結ROE8.1%、連結営業利益895億円、連結EBITDA1,635億円、連結純有利子負債/EBITDA倍率は6.1倍となっており、これらの経営指標は概ね堅調に推移しているものと判断しています。なお、今後の事業環境においては、労務費や資材価格、エネルギー価格の上昇等の影響を受け、経費が増加する可能性があり、これにより収益性やキャッシュ・フロー創出力が低下した場合には、連結営業利益や連結EBITDAの減少、連結ROEの低下、並びに連結純有利子負債/EBITDA倍率の上昇等、当社グループが目標とする各経営指標に影響を及ぼす可能性があります。

事業リスク

  • 人口動向と社会構造の変化
    首都圏の人口減少や高齢化、テレワークの普及などにより、通勤・移動需要が減少する可能性があります。これにより、鉄道事業の主要な収益源である旅客運輸収入が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 電力料金・原材料価格の高騰
    列車の運行には多大な電力を消費し、設備投資や維持補修には原材料が必要です。国内外の情勢変化や労働需給の逼迫により、電力料金や原材料価格、労務費が高騰した場合、コストが増加し、収益を圧迫する可能性があります。
  • 自然災害・感染症の発生
    地震、洪水、台風などの自然災害や、新型インフルエンザ等の感染症が大規模に発生した場合、鉄道の運行に支障が生じたり、外出自粛により利用者が大幅に減少したりする可能性があります。これにより、事業運営や業績に重大な影響を及ぼす恐れがあります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|13,097 文字
3 【事業等のリスク】当社グループでは、当社グループを取り巻くリスクについてリスク評価を実施し、その重要度に応じて、各リスクの軽減に取り組んでいます。具体的には、当社グループ全社を対象に実施したアンケート・ヒアリング結果等を基に、当社グループにとっての影響度及び発生可能性を踏まえて、当該リスク自体の重要度(固有リスク)と、それぞれのリスクに対する対策(統制)の導入・実施後も残存するリスク(残存リスク)について専門家の知見を得ながら分析・評価し、重要度の高いリスクを特定しています。その結果を踏まえて年度計画を策定の上、それに基づき当社グループ全体でリスクマネジメントに取り組んでおり、取組の進捗状況についてコンプライアンス・リスクマネジメント委員会で定期的に確認するとともに、経営会議・取締役会に報告することによりリスクマネジメントの実効性を確保しています。また、上記のリスク評価の結果において重要性が認められたものを中心に選定した結果、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクとしては、次のようなものがあります。 それぞれのリスクの具体的な内容及びリスクに対する対策は次のとおりです。なお、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や蓋然性、リスクの性質等に応じて、分類しています。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。また、以下のリスクは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、予想される主なリスクを例示したものです。 (1) 当社グループの経営環境に関連するリスク① 人口動向等について当社グループは、東京都区部及びその周辺地域で鉄道事業を中心に事業を展開しています。我が国における経済的中心地である東京都区部に強固な基盤を有することは、高い営業収益力を保つ上で当社グループの強みの一つであり、この営業基盤の特性を最大限活用していきます。しかしながら、首都圏の人口動向については、中長期的には減少傾向となることが予想されています。また、首都圏における就業・就学人口の減少、高齢化の進展等による人口構造の変化や、テレワークやウェブ会議の進展・定着とこれに伴う通勤・移動需要の減少等の社会構造の変化が進んだ場合、さらには今後、首都圏における経済情勢の大きな変化、大企業の本社機能又は政府機関の東京都区部からの移転等が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては「Tokyo Subway Ticket」「Tokyo City Pass」等の企画乗車券の発売やメトポを活用した施策、クレジットカードのタッチ決済及びQRコードを活用した乗車サービス等を中心としたマーケティングを推進するとともに、不動産・ライフ・ビジネスサービスといった都市・生活創造事業を強化し、事業の多角化を図ることで需要変動の平準化を図り、沿線地域との連携によって沿線価値を高めていきます。さらに、持続的な成長及び新たな成長ドライバーの創出に向け、資本規律も踏まえつつ、出資・M&Aを含めた事業領域拡大の検討を進めていきます。 ② 電力料金、原材料価格及び労務費の高騰について当社グループは、列車の運行等に際し多大な電力を消費するほか、継続的な設備投資やトンネルをはじめとした鉄道設備の維持補修等を行っていることから、国内外の情勢の変化、労働需給のひっ迫等により電力料金、原材料価格及び労務費が高騰し、それが長期にわたって継続する場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループとしてはグループ全体で将来を見据えたコスト削減に努めており、環境配慮型車両の導入等による省エネ、調達チャネルの多様化、市況変化への対応等を行っています。 (2) 自然災害、感染症、気候変動等に関連するリスク① 自然災害・事故等について地震・洪水・台風等の自然災害、大規模停電又は電力の使用制限、国際情勢の変化に伴うサプライチェーンの混乱、エネルギー供給、保守部品等のリソース供給不足や重大な犯罪行為やテロリストによる攻撃等により、当社の路線の運行に支障を来す事態、当社の路線において重大な事故等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、当社グループは、安全の確保を常に念頭に置き、技術面からの更なる安全性向上に向けた取組を実施するとともに、安全管理規程に基づく安全マネジメント体制の運用等制度面からの取組も推進し、安全の確保を目指しています。首都直下地震や大規模浸水等に備えた鉄道事業における自然災害対策として、施設の耐震性の強化、帰宅困難者対策、洪水等による浸水対策等の諸課題への取組を強化するとともに、危機管理機能の強化を推進しています。加えて、サプライチェーンの混乱への備えとして、鉄道事業運営への影響を最小限に収めるため、在庫管理を徹底し、必要な物品等の確保に努めています。また、事故等の対策として、異常時対応能力を向上させるため、異常時総合想定訓練等の全社的な訓練を実施しています。 ② 感染症について新型インフルエンザ等の感染症が当社沿線地域において大規模に流行し、外出自粛等により通勤・通学・業務・私事利用を問わず鉄道利用者が大幅に減少した場合、世界的な流行に伴い訪日外国人が大幅に減少した場合や、列車運行等の事業運営に支障を来す場合等には、当社グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、新型インフルエンザ等対策計画や事業継続計画(BCP)に基づき、必要な対策用品の備蓄をはじめとする感染対策を行うことで、お客様や役職員の安全確保を図るとともに、適切な輸送を確保するため必要な措置を講じていきます。 ③ 気候変動について近年、気候変動は大きな社会経済リスク及び機会をもたらす要因の一つであり、世界中の政府や企業において脱炭素化の動きが広がっています。鉄道事業を中心に事業展開する当社グループは、自然災害による事業リスクに加え、電力を大量消費する事業特性を有することから、今後、政策・法規制の見直しやエネルギーミックスの変化による電力料金の上昇や、豪雨の激甚化による鉄道施設の損傷・沿線地域の被災等が生じた場合や、ステークホルダーの皆様から気候変動に関する情報開示が不十分であると判断され、当社グループの社会的信用の低下等が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このような状況を踏まえ、当社グループはサステナビリティ経営戦略を推進することを目的に、取締役会の決議により選任されたサステナビリティ責任者を委員長、執行役員及び各部の長をメンバー、社長を議長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に沿って気候変動問題に関する取組を進めています。また、当社グループはTCFD提言に賛同しており、主要事業である鉄道事業への気候関連リスク/機会を特定し、段階的に開示を進めています。加えて、長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、当社グループ全事業で排出するCO₂量について、「2030年度 △53%(2013年度比)」、「2050年度 実質ゼロ」の達成を目指し、バーチャルPPAをはじめとした再生可能エネルギーの活用やエネルギー効率に優れた車両の導入等の省エネ施策に取り組んでいます。また、国の削減目標(NDC)に基づき「2035年度 △60%」、「2040年度 △73%」の目標値を新設し、さらなる推進を図っています。 ④ 人権について日本国内における労働力人口減少や働き方改革等といった雇用環境等の変化が生じる中で、当社グループの事業活動に関わる人的資本は多様化しており、社会的、国際的に人権意識が一層高まっていることも踏まえ、人権問題に対して、より多面的に対処する必要性が高まっています。このような状況において、事業活動を通じて当社グループ内、あるいは取引先、事業パートナー等を含む国内外のステークホルダーにおいて人権を侵害する行為が発生し、当社グループの社会的信用の低下等が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、当社グループは、人権問題に対してより多面的に対処する必要性を踏まえ、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に「人権の尊重」を掲げ、「東京メトログループ人権方針」を制定・公表するとともに、各ステークホルダーにおける人権への負の影響を特定し、その防止又は軽減に取り組むために影響調査を継続的に実施しています。また、「東京メトログループ調達方針」及び「東京メトログループ調達ガイドライン」を制定し、当社グループの取引先を含めたサプライチェーン全体での「人権の尊重」に関するパートナーシップの強化を図っています。さらに、人権侵害を含むコンプライアンスに反する行為等を通報できるよう、グループ内の窓口である「企業倫理向上窓口」に加えて、取引先向けの窓口である「お取引先様コンプライアンス通報窓口」を設置しています。 (3) 当社グループの経営に関連するリスク① 法的規制等について鉄道事業においては、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めにより、経営しようとする路線及び鉄道事業の種別について許可を受ける必要があります(同法第3条)。収益の中心となる運賃面においては、上限運賃を設定するときは国土交通大臣の認可を受けなければならず、上限運賃の範囲内で運賃を改定する場合にも、事前に国土交通大臣に届け出ることとされています(同法第16条)。当社が現在取得しているこれらの国土交通大臣の許可及び認可には期間の定めは無く、当社の現在の運賃は、2019年9月5日に変更の認可を受けたものです(2019年10月1日より改定後の運賃を適用)。なお、運賃の改定を施行するに当たっては、所定の手続を経る必要があることから、機動的な運賃の改定を行うことができない場合等には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、2021年12月に軌道法施行規則(大正12年内務省・鉄道省令)及び鉄道事業法施行規則(昭和62年運輸省令第6号)の改正により創設された「鉄道駅バリアフリー料金制度」に基づき、バリアフリー設備の整備費等に充当するための料金を定める場合には、バリアフリー整備・徴収計画を作成の上、事前に国土交通大臣に届け出ることとされています(鉄道事業法第16条第4項)。鉄道駅バリアフリー料金は、第二次交通政策基本計画(2021年5月8日閣議決定)に基づき、利用者に過度の負担感を与えないものとする必要があるとされており、また、その総徴収額はバリアフリー整備・徴収計画における総整備費を超えない額とすることとされています。当社は2023年3月18日から、運賃に加算して鉄道駅バリアフリー料金の収受を開始していますが、法令又は運用の変更等により、バリアフリー整備・徴収計画に定めたとおりに料金の徴収ができない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。鉄道事業を休廃止する場合には、事前に(廃止の場合は廃止日の1年前までに)国土交通大臣に届出を行うこととされています(同法第28条、第28条の2)。また、鉄道事業法、同法に基づく命令、これらに基づく処分、許可・認可に付した条件に違反した場合、正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しない場合、同法第6条に定める事業許可の欠格事由に該当することとなった場合などの際には、国土交通大臣は事業の停止を命じ又は許可を取り消すことができるとされています(同法第30条)。仮に、国土交通大臣より事業の停止や許可の取消しを受けた場合には、事業活動の継続に支障を来すこととなりますが、現在、同法に抵触する事実等は存在せず、事業活動の継続に支障を来す要因は発生していません。当社は鉄道事業法に加えて、東京地下鉄株式会社法(平成14年法律第188号)や安全、環境、バリアフリー等の規制に関する様々な法令の適用を受けており、これらの法令が改正され又はその運用が変更された場合、その内容によっては当社の事業活動における柔軟性の減少、費用の増加等を招き、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 なお、東京地下鉄株式会社法の概要は以下のとおりですが、この法律においては、国及び同法附則第11条の規定により営団から株式の譲渡を受けた地方公共団体は、特殊法人等改革基本法に基づく特殊法人等整理合理化計画の趣旨を踏まえ、この法律の施行の状況を勘案し、できる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする旨規定されています(東京地下鉄株式会社法附則第2条)。また、2021年4月2日に開催された、第3回交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会において、国土交通省が配布した資料には、「東京メトロが完全民営化(政府が株式を全て売却)した場合には、JR本州3社・JR九州の例を踏まえると、現行の東京メトロ法に基づく監督規定は廃止される一方、引き続き、鉄道事業法等の規定に基づき鉄道事業を運営することとなる。」旨記載されています。(ⅰ) 制定趣旨・目的等 東京地下鉄株式会社法は、当社の設立について定めるとともに、その目的、事業に関する事項について規定しています。同法は、鉄道事業法に加えて当社を規制するとともに、商号の使用制限等の特例措置を定めています。 なお、東京地下鉄株式会社法に基づく政府の規制は、当社の経営の自主性の確保を前提とするものであり、毎事業年度の開始前に事業計画を国土交通大臣に提出することは求められているものの、事業計画の認可、関連事業の実施についての認可等は不要とされています。(ⅱ) 概要ア 国土交通大臣による認可を必要とする事項(ア) 発行する株式又は新株予約権を引き受ける者の募集等の認可(東京地下鉄株式会社法第4条第1項) 会社法(平成17年法律第86号)第199条第1項に規定するその発行する株式若しくは会社法第238条第1項に規定する募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換若しくは株式交付に際して株式、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。(イ) 代表取締役等の選定等の決議の認可(同法第5条)代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査等委員である取締役若しくは監査役の選任及び解任又は監査委員の選定及び解職の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じません。(ウ) 定款の変更等の認可(同法第7条)定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く)、合併、分割及び解散の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じません。イ その他の規制事項国土交通大臣への事業計画及び財務諸表の提出義務(同法第6条、第8条)、国土交通大臣の監督・命令権限並びに報告指示及び検査権限(同法第9条、第10条)が規定されています。ウ 特例措置(ア) 商号の使用制限(同法第2条)当社でない者は、その商号中に東京地下鉄株式会社という文字を使用してはなりません。(イ) 一般担保(同法第3条) 社債権者は、当社の財産について、民法の規定による一般の先取特権に次いで優先弁済を受けることができます。当社グループとしては、前述の法令等の規定に則り関係者と連携しながら、引き続き持続的な鉄道事業の運営に向けた取組を進めていきます。 ② 鉄道事業に関する道路占用料について当社の路線は、主として道路の地下を運行しているため、道路法(昭和27年法律第180号)第39条第1項の規定により、道路占用料徴収の対象となっていますが、有価証券報告書提出日現在、指定国道以外の道路における出入口等の地上施設を除く地下施設については、各種法令・条例等の減免措置の適用により、道路占用料の全額を免除されています。しかしながら、指定国道以外の道路について、今後、現行の各種法令等の改正により、減免措置が受けられなくなった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、指定国道における出入口等の地上施設を除く地下施設の道路占用料については、他の第三セクターの地下鉄事業者と同様、道路法施行令(昭和27年政令第479号)で定める金額の10%とされており、2025年度から徴収が開始されています。当社の完全民営化後の指定国道の道路占用料の取扱いについては、現時点では取扱いを決めず、完全民営化の時期が具体化した段階で改めて協議するとの方針が示されています。しかしながら、指定国道の道路占用料について、今後、徴収率が変更された場合や、将来における当社の完全民営化後の取扱いの内容によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、各種法令等が改正された場合においても、減免措置が引き続き受けられるよう、継続して関係先と調整及び交渉を行っていきます。 ③ 中期経営計画について当社グループは、2025年度から2027年度までの新たな中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」を2025年4月に公表しました。本計画においては、自然災害対策やバリアフリー化を含めたさらなる鉄道の安全・サービス向上、新線建設の着実な推進に取り組むほか、自動運転等の新技術の開発・推進や鉄道需要の創出に加え、まちづくり・鉄道成長にも寄与する都市・生活創造事業の拡大、新たなビジネスの取組を推進することとし、資本効率性、収益性、財務健全性を踏まえた経営目標値を設定しました。しかしながら、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載された事項を含む様々なリスク要因により本計画に掲げる取組が計画どおりに進捗しない可能性や、本計画を策定するための各種の前提が変化する可能性があります。このような場合には、当社グループは、かかる状況や変化に対応した成長戦略又は事業運営を立案又は実行するよう努めますが、適時に成長戦略や事業運営を変更し、又は改善することができないなど様々な要因により、本計画で掲げた経営目標について、当初計画した期間内に又は当該期間経過後においても達成できない可能性があります。当社グループとしては、経営層による業績動向の早期把握と迅速な意思決定・モニタリングを徹底するとともに、財務規律を維持し、事業の多角化により需要変動の平準化に努めていきます。 ④ 他事業者との競合等について当社グループは、運輸業において一部の鉄道事業者及びタクシー、バス等の交通機関と競合関係にあるほか、自家用車等の他の交通手段の利用の多寡にも影響を受けます。したがって、他事業者による新線開業や、他事業者同士による相互乗り入れ等の新しいサービスの提供は、当社の路線の輸送人員を減少させ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は他事業者との相互乗り入れ等により、当社の利用者の利便性向上及び輸送人員の拡大を図っていますが、自然災害や事故、停電又は電力の使用制限その他の理由により相互乗り入れ等のサービスを提供できなくなった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、交通の結節点としての機能を維持しつつ、定時運行の安全性・定時性のさらなる強化を図ります。また、他事業者との直通運転中止などの異常時においても迅速に対応できる指令体制を整備し、お客様への情報提供のスピード向上に努めていきます。 ⑤ 長期債務について当社は、前身の営団時代から地下鉄ネットワークの整備拡充に努め、その建設資金の多くを財政融資資金法(昭和26年法律第100号)に基づく財政投融資による政府からの借入金及び交通債券等の長期資金にて調達してきました。また、当社は、これら債務の償還や鉄道事業を中心とした継続的な設備投資のために、社債の発行や借入金により長期資金を調達しています。さらに、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)、南北線延伸(品川・白金高輪間)及び豊洲駅の改良事業(以下、「有楽町線、南北線延伸事業等」といいます。)に充当するため、2023年3月30日に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、「鉄道・運輸機構」といいます。)から、1,921億円の長期資金(新線建設推進長期借入金)を調達しており、2026年3月31日現在の社債及び借入金残高は1兆714億9千9百万円となっています。なお、新線建設推進長期借入金による資金は、分別管理を目的として信託を設定しており、2026年3月31日現在の当該長期借入金残高は1,921億円となっています。このような状況において、金融環境の変化等により金利が大幅に上昇した場合や、当社の信用格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの増加等を通じて、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、当社グループは、債務残高を収益力との関係性において一定の水準に抑制するなど財務規律を堅持し、財務健全性の維持・向上を図っています。 ⑥ 不動産事業及びライフ・ビジネスサービス事業等について今後の人口動向やそれに伴う競争激化等の経営環境の変化を踏まえると、運輸業の拡大には一定の限度があるため、当社グループの今後の成長及び収益基盤の強化という観点から、不動産事業及びライフ・ビジネスサービス事業等、運輸業以外の事業分野である事業領域・規模の拡大を追求することが将来的な課題となっています。そのため、今後さらにこれら事業の積極的な展開を促進していきますが、当社グループの経営資源の制約や経済環境の悪化等で、期待される収益が獲得できず、又は、新たな事業分野におけるリスクが顕在化した場合等には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、市場やユーザー調査及び事業収支の定量管理を行うとともに、案件ごとに事業の進捗状況に応じて段階的に投資判断を実施していきます。あわせて、協業によるリスク分担や撤退ルールの策定・運用を通じて、投資リスクを適切に管理していきます。 ⑦ 都営地下鉄との一元化について当社は、当社と同じく東京都区部及びその周辺地域における地下鉄道事業を営む都営地下鉄とのサービスの一体化は、当社の利用者の利便性向上につながるものと考えており、地下鉄利用者の利便性向上への取組の検討を進めていきます。また、当社は国及び東京都との間で、当社の完全民営化並びに当社と都営地下鉄とのサービスの一体化及び経営の一元化に関して従来から意見交換を行っています。これらの課題について具体的な解決策やサービス向上策の実現に向けて実務的な検討を行うことを目的として、「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」が2010年8月に設置されました。また、2013年7月には都営地下鉄と当社とのサービスの改善・一体化を推進することを目的として「東京の地下鉄の運営改革会議」が設置されました。当社・都営地下鉄間の運賃の乗換負担軽減策を含むサービスの一体化に関するこれらの協議の結果によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。他方、都営地下鉄については、公営企業という組織形態や累積欠損を抱えていること等を考慮すると、当社との経営の一元化を図るために解決されなければならない多くの問題が残されており、仮に経営の一元化を実施する場合においても、相当程度の時間を要することが想定されます。また、経営の一元化を実施する場合には、都営地下鉄の経営状況の改善や当社の企業価値向上が図られることが基本と考えますが、経営の一元化の具体的な内容によっては、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。当社としては、都営地下鉄との定期的な協議等を通じて、引き続き都営地下鉄と当社とのサービスの改善・一体化を推進していきます。 ⑧ 新線建設について当社は、有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)(以下「両路線」といいます。)については、沿線の開発状況等を勘案した輸送需要予測の動向を踏まえ、交通政策審議会答申第371号及び国と東京都の合意に基づく十分な公的支援及び当社株式の売却が確実に実施されることを前提に、当社ネットワークに関連する両路線の整備主体となることがさらなる企業価値向上に資するものと判断し、2022年1月に国土交通大臣に対し第一種鉄道事業許可の申請を行い、同年3月に許可を受け、2023年3月に工事施行認可の申請を行いました。2024年5月に環境影響評価書の提出、同月に東京都都市計画審議会での議決、同年6月に都市計画の決定がなされ、同月に南北線延伸、同年10月に有楽町線延伸における鉄道事業法の工事施行認可を受け、各種協議・手続を経て同年11月に両線ともに着工しました。しかしながら、両路線の新線建設を進めるにあたり、輸送需要を含めた事業環境の変化、想定外の建設スケジュールの長期化や追加コストの発生、公的支援の実施状況等によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。今後も当社は、両路線を除き新線建設を行わず、また、新線建設に対する協力を求められる場合には、都市鉄道ネットワークの一部を構成する事業者としての立場から、「当社の経営に悪影響を及ぼさない範囲内において行う」という方針で対応していきたいと考えています。なお、1982年1月に免許申請を行った8号線(豊洲・亀有間14.7km)については、半蔵門線(水天宮前・押上間)の開業や輸送需要予測の減少等、免許申請時とは事業環境が異なってきたことから、当社としては、整備主体となることは極めて困難と認識しています。 ⑨ コンプライアンスについて当社グループでは、法令、社内規程、「東京メトログループコンプライアンス行動基準」などに基づきコンプライアンスの遵守に努めています。しかしながら、これらに反する行為が発生した場合には、法令等に基づく罰則や規制当局による処分、コンプライアンス違反に起因する損害賠償請求等を受けること等により、当社グループの社会的信用が低下するとともに、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、コンプライアンス教育を定期的に実施するなどの啓発活動を行うとともに、コンプライアンスに反する行為等を通報できる「企業倫理向上窓口」を設置するなど、コンプライアンス体制の整備・拡充に取り組んでいます。 ⑩ 人財確保について近年、国内の少子高齢化の進行及び人口規模の縮小に加え、働き方や雇用形態の多様化が進んでおり、労働市場における人財の流動性は一段と高まっています。これらの要因により、必要な人財の採用や既存人員の定着がこれまで以上に困難となる可能性があります。こうした人員不足により、安全・安定輸送の確保に支障が生じた場合には、当社グループに対する信頼が低下し、お客様や取引先の離反を招くおそれがあり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、人的資本経営のさらなる推進による人財獲得及び社員一人ひとりの最大活躍の実現に向け人財戦略を策定し、人事制度や福利厚生の見直しに加え、人財育成の強化、健康経営の推進に取組んでいます。また、多様な就労ニーズに対応した柔軟な勤務形態を導入するなど、職場定着率の向上及び安定的な人財確保を図るための施策を講じています。さらに、事業運営の持続性向上を図るべく、DXの活用などにより業務変革を進め、効率的な事業運営体制を構築していきます。 ⑪ 財務大臣及び東京都の当社株式保有について有価証券報告書提出日現在において、当社の発行済株式のうち、26.73%(議決権比率26.74%)を財務大臣が、23.31%(議決権比率23.32%)を東京都が保有しており、財務大臣及び東京都は引き続き当社の経営に重要な影響を及ぼしうることになります。当社グループの事業その他に関する政府や東京都の利益は当社の他の株主の利益と相反する可能性があり、当社グループの他の株主の利益に反する影響力の行使がなされる可能性があります。なお、東京地下鉄株式会社法附則第2条により、「国及び東京都は、特殊法人等整理合理化計画の趣旨を踏まえ、この法律の施行の状況を勘案し、できる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする」旨規定されています。また、2021年7月15日に交通政策審議会が答申した「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」(交通政策審議会答申第371号)において、当社株式の売却に当たっては、国及び東京都が当面当社株式の2分の1を保有することが適切であり、その後の当社株式の売却について国と東京都は、これまでの閣議決定や法律において完全民営化の方針が規定されていることを堅持しつつ、その中で、首都の中枢エリアを支える地下鉄の公共性や地下鉄ネットワーク整備の進展を踏まえながら対応することが求められるとの考え方が示されています。さらに、2022年3月28日に財政制度等審議会が答申した「東京地下鉄株式会社の株式の処分について」及び同日に東京都が公表した「東京地下鉄株式会社の株式の処分の基本的な考え方」において、新規公開後の「その後の売却においては、国と東京都の協議を踏まえて対応すること」が適当であるとの考え方が示されています。以上のとおり、今後、地下鉄の公共性や地下鉄ネットワーク整備の進展等を踏まえつつ、国と東京都が保有する当社株式の全部又は一部を売却することが想定されており、かかる売却が実施される場合には、短期的に当社株式の需給バランスに影響が生じ、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。国及び東京都による当社株式の売却が行われる場合には、当社としては、関係法令及び開示規則に従い、必要な対応を適切に行っていきます。 (4) システム関連のリスク① 情報システムについて当社グループの事業は、コンピューターシステムや通信ネットワークといった情報システムに大きく依存しています。当社グループでは、サイバーセキュリティ推進体制の整備や専門機関による定期的なシステム監査の実施等の施策に取り組んでいます。しかしながら、上記(2)①に記載した自然災害・事故等のほか、人為的ミス及びマルウェア感染並びに第三者による妨害行為等により、列車運行や電力供給に関するシステム等に障害が発生した場合には、正常な列車運行その他の事業運営に支障を来す可能性や、これに伴う当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、引き続きサイバーセキュリティ対策の強化に努めていきます。 ② 個人情報保護について当社グループでは、各事業において顧客情報等の個人情報を保有しているため、何らかの原因により個人情報が流出した場合には、損害賠償等による費用を負担する必要が生じるほか、当社グループの社会的信用が低下するとともに、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当社グループの「個人情報保護方針」や「情報管理規程」に基づき、個人情報の厳正な管理を行っています。

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