9201

日本航空(9201)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

空運業 運輸・物流

事業の概要

  • 航空運送事業
    日本航空グループは、世界と日本、都市と地域を結ぶ航空運送事業を主力としています。これには、旅客便だけでなく、貨物専用機や旅客機の貨物スペースを活用した貨物郵便事業も含まれ、国内外の広範なネットワークを通じて収益を上げています。
  • LCC事業の展開
    フルサービスキャリアに加え、ZIPAIR Tokyoやスプリング・ジャパンといったLCC(格安航空会社)も運営しています。これにより、多様な顧客ニーズに対応し、特に北米・アジア路線や国内・中国路線で競争力のある運賃を提供することで、収益源の多角化を図っています。
  • マイル・金融・コマース事業
    航空運送以外の収益源として、マイレージプログラムの運営、クレジットカード事業、卸売業なども展開しています。JALマイレージバンクやジャルカード、JALUXなどがこれらの事業を担い、顧客の囲い込みや関連消費の促進を通じて、航空事業との相乗効果を生み出しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 航空運送事業
    日本航空グループの主要な収益源であり、売上高1兆2572.65億円、営業利益1612.61億円を計上しています。世界と日本、都市と地域を結ぶ旅客および貨物郵便事業を展開しており、フルサービスキャリアとLCCの両方で多様な顧客層に対応しています。
  • フルサービスキャリア事業
    当社、ジェイエア、日本エアコミューター、日本トランスオーシャン航空などが担い、国内外の主要路線で高品質な航空サービスを提供しています。これがグループ全体のブランドイメージと収益基盤を形成する中核事業です。
  • LCC事業
    ZIPAIR Tokyo、スプリング・ジャパンなどが北米・アジアや国内・中国路線で運航し、価格競争力のあるサービスを提供しています。これにより、多様な市場ニーズを取り込み、グループ全体の事業規模拡大と収益の多角化に貢献しています。
FY2018 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
AirTransportation 事業 12,573 1,613 12.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|781 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社、子会社139社および関連会社54社により構成され、「フルサービスキャリア事業」、「LCC事業」、「マイル/金融・コマース事業」および「その他」を営んでおり、その事業内容と各事業に係る位置づけおよび事業の種類別セグメントとの関連は、次のとおりです。 (1)フルサービスキャリア 事業世界と日本、都市と地域をつなぐ航空運送事業や自社旅客機貨物スペースおよび貨物専用機を組み合わせた貨物郵便事業を当社、株式会社ジェイエア、日本エアコミューター株式会社、株式会社北海道エアシステム、日本トランスオーシャン航空株式会社、琉球エアーコミューター株式会社等が行っております。(2)LCC事業北米・アジアや日本国内・中国などを結ぶ航空運送事業を株式会社ZIPAIR Tokyo、スプリング・ジャパン株式会社等が行っております。(3)マイル/金融・コマース 事業マイレージプログラムの運営、クレジットカード事業、卸売業等を株式会社JALマイレージバンク、株式会社ジャルカード、株式会社JALUX等が行っております。(4)その他航空運送を利用した旅行の企画販売やシステム開発・運用等を株式会社ジャルパック、JALデジタル株式会社等が行っております。 以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。 (5)留意事項当社を含む当社グループ航空会社9社は、航空法に基づく本邦航空運送事業者として、国土交通省より事業許可を受けて事業を運営しており、当該許可についての有効期限やその他の期限は法令等で定められておらず、当該許可の取消は航空法第119条、失効は航空法第120条にてそれぞれ定められております。当社グループは、当該許可の保持を図るべく適正な社内体制を整えており、現時点において当該許可の取消または失効の原因となる事象はありません。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
燃油価格の上昇分を全て顧客に転嫁することは困難であり、競争も激しい。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
航空法に基づく本邦航空運送事業者としての事業許可が必要。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:航空安全に関わるリスク / 世界的な疫病の蔓延拡大に関わるリスク / 自然災害・テロ攻撃等の災害に関わるリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

日本航空(JAL)は、長年にわたり培ってきたブランド力と信頼性が無形資産として機能している。特に、安全運航へのコミットメントと、きめ細やかなサービスは、顧客のロイヤルティに繋がっている。国際線・国内線での長年の実績と認知度は、新規参入企業にとって容易に模倣できない価値を持つ。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

航空会社の利用は、マイレージプログラムや会員ステータスによる特典が顧客の乗り換え障壁となっている。JALマイレージバンク(JMB)の会員数は多く、上位ステータスを持つ顧客は、特典を享受するためにJAL便を選択する傾向が強い。ただし、価格比較サイトの普及により、一定のスイッチングコストは低下している。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

航空業界において、直接的なネットワーク効果は限定的である。乗客が増えることで便が増えるといった直接的な価値向上は見られない。ただし、コードシェア便やワンワールドアライアンスのような提携による広範な路線網は、間接的な顧客利便性向上に寄与している。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

航空業界は、燃料費、人件費、機材費など固定費の割合が高く、規模の経済が働きやすい。JALは、長年の運航実績と効率化努力により、一定のコスト管理能力を持つ。しかし、燃料価格の変動や国際的な競争環境により、構造的なコスト優位性を確立することは難しい。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

JALは国内大手航空会社の一つであり、国内線・国際線ともに広範なネットワークと高い運航シェアを持つ。この規模は、機材調達、整備、運航管理、販売チャネルなどにおいて効率性を生み出し、競合他社に対する優位性となっている。特に国内線における寡占的な地位は強固である。

  • 広範な事業許可とネットワーク
    日本航空グループは、航空法に基づく本邦航空運送事業者として国土交通省から事業許可を得ており、この許可は事業運営の基盤です。国内外に広がる路線ネットワークと、フルサービスキャリアからLCCまで多様なサービス展開により、幅広い顧客層に対応できる点が強みです。
  • 安全運航への信頼と実績
    航空安全を事業存続の大前提と位置づけ、世界最高水準の安全品質を追求しています。長年の運航実績と徹底した安全管理体制は、顧客からの信頼獲得に繋がり、競争の激しい航空業界において重要な差別化要因となっています。
  • 多様なパートナーシップ
    国内外の航空会社との共同事業、アライアンス加盟、コードシェア、マイレージ提携など、広範なパートナーシップを構築しています。これにより、自社だけではカバーできない路線網やサービスを補完し、顧客基盤の強化と事業機会の拡大を図っています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 事業ポートフォリオ変革の推進
    外部環境の変化に強く、社会価値創出と成長を実現する事業ポートフォリオへの変革を目指しています。2030年度にEBIT3,000億円、2035年度に3,500億円以上を目標とし、国際路線事業の成長加速、マイル・ライフ事業の飛躍的成長、国内路線事業の収益基盤強化を図ります。
  • 全社横断戦略による変革実現
    顧客体験(CX)の向上、グリーン・トランスフォーメーション(GX)、人財・デジタル・トランスフォーメーション(DX)を全社横断戦略として推進します。特にGXでは、2050年CO2排出量実質ゼロに向け、2030年度のCO2排出量10%削減(2019年度比)を目標に、SAFの活用などを進めます。
  • 強固な財務体質と資本効率の両立
    事業ポートフォリオ変革と全社横断戦略を支える基盤として、強固な財務体質と高い資本効率の両立を目指します。戦略的な経営資源配分を通じて企業価値向上を実現し、持続可能な社会と心はずむつながりが広がる未来の実現を目指しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは、「JALグループ企業理念」を次のとおり定めています。 (JALグループ企業理念)JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客さまに最高のサービスを提供します。一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。 (2)目標とする経営指標「JALグループ経営ビジョン2035」において、2030年度の経営目標を以下のとおり定めております。 (3)経営環境ならびに対処すべき課題当社グループを取り巻く経営環境に目を向けると、円安、物価高、サプライチェーンの乱れ等によるコスト増、地政学リスクによるボラティリティの常態化といった課題が顕在化する一方、アジア=北米の人流・物流、インバウンド需要拡大、成田空港の機能強化等の将来の成長に向けた事業機会が拡大しています。そのような中、当社グループは、2026年3月に新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を策定、発表しました。短期的な計画では実現の難しい抜本的な事業変革に取り組むとともに、顕在化している課題に対しては単年度計画により機動的かつ柔軟に対応してまいります。中長期レンジで取り組む課題は以下のとおり整理しています。 1.事業ポートフォリオ変革の推進 2.変革実現のための全社横断戦略の推進 3.財務戦略の推進 1.事業ポートフォリオ変革の推進外部環境の変化に強く、社会価値創出と着実な成長を実現する事業ポートフォリオへの変革を推進し、2030年度にEBIT3,000億円、2035年度に3,500億円以上を目指します。フルサービスキャリア、LCC、CARGOの3本柱で国際路線事業の成長を加速するとともに、戦略投資とグローバルでの提携拡大によりマイル・ライフ事業の飛躍的な成長を実現します。また、国内路線事業構造改革の完遂により収益基盤を強化し、社会インフラとしてサステナブルな国内線ネットワークを確立します。さらに、JALグループのアセットとパートナーとの共創を通じた社会的インパクト創出を目指すエコシステムの構築や次世代モビリティの新たなビジネス創出等、社会価値起点の事業領域を拡大してまいります。 2.変革実現のための全社横断戦略の推進変革実現に向けて、全社横断の戦略に取り組みます。「CX(顧客体験)」では、新ブランドスローガン「Soaring Together」の下、あらゆるシーンで一貫した顧客体験を創出し、JALらしいサービスを、日常・非日常のシーンでお届けしてまいります。そして、共感を軸としたお客さまとの深く長い関係づくりを推進し、お客さまの共感度世界No.1を目指します。「GX(Green Transformation)」では、2050年のCO2排出量実質ゼロに向け、2030年度の目標であるCO2排出量10%削減(2019年度対比)を着実に達成します。国産SAFの生産拡大や価格低廉化に向けた官民連携を強化し、持続可能な航空の未来に向けて取り組んでまいります。また、「人財/DX(Digital Transformation)」では、AIやデジタル技術を積極的に活用し、業務の効率化と当社グループの人財が持つ強みとデータの掛け合わせによる価値創造に取り組み、抜本的な生産性向上と日本トップレベルの社員のウェルビーイングを実現します。さらに、JALグループの存立基盤である「安全」を全ての活動の礎とし、先進テクノロジーとプロフェッショナリズムにより、世界最高水準の安全品質を追求し続けます。 3.財務戦略の推進事業ポートフォリオ変革、全社横断戦略を支える基盤として、強固な財務体質と高い資本効率を両立し、戦略的な経営資源配分によって企業価値向上を実現します。 以上の取り組みを通じて「JALグループ経営ビジョン2035」で掲げた理想の未来社会「Sustainable Well-being Future(心はずむつながりが社会全体に広がるサステナブルでウェルビーイングな未来)」の実現を目指します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは、「JALグループ企業理念」を次のとおり定めています。 (JALグループ企業理念)JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客さまに最高のサービスを提供します。一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。 (2)目標とする経営指標「JALグループ経営ビジョン2035」において、2030年度の経営目標を以下のとおり定めております。 (3)経営環境ならびに対処すべき課題当社グループを取り巻く経営環境に目を向けると、円安、物価高、サプライチェーンの乱れ等によるコスト増、地政学リスクによるボラティリティの常態化といった課題が顕在化する一方、アジア=北米の人流・物流、インバウンド需要拡大、成田空港の機能強化等の将来の成長に向けた事業機会が拡大しています。そのような中、当社グループは、2026年3月に新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を策定、発表しました。短期的な計画では実現の難しい抜本的な事業変革に取り組むとともに、顕在化している課題に対しては単年度計画により機動的かつ柔軟に対応してまいります。中長期レンジで取り組む課題は以下のとおり整理しています。 1.事業ポートフォリオ変革の推進 2.変革実現のための全社横断戦略の推進 3.財務戦略の推進 1.事業ポートフォリオ変革の推進外部環境の変化に強く、社会価値創出と着実な成長を実現する事業ポートフォリオへの変革を推進し、2030年度にEBIT3,000億円、2035年度に3,500億円以上を目指します。フルサービスキャリア、LCC、CARGOの3本柱で国際路線事業の成長を加速するとともに、戦略投資とグローバルでの提携拡大によりマイル・ライフ事業の飛躍的な成長を実現します。また、国内路線事業構造改革の完遂により収益基盤を強化し、社会インフラとしてサステナブルな国内線ネットワークを確立します。さらに、JALグループのアセットとパートナーとの共創を通じた社会的インパクト創出を目指すエコシステムの構築や次世代モビリティの新たなビジネス創出等、社会価値起点の事業領域を拡大してまいります。 2.変革実現のための全社横断戦略の推進変革実現に向けて、全社横断の戦略に取り組みます。「CX(顧客体験)」では、新ブランドスローガン「Soaring Together」の下、あらゆるシーンで一貫した顧客体験を創出し、JALらしいサービスを、日常・非日常のシーンでお届けしてまいります。そして、共感を軸としたお客さまとの深く長い関係づくりを推進し、お客さまの共感度世界No.1を目指します。「GX(Green Transformation)」では、2050年のCO2排出量実質ゼロに向け、2030年度の目標であるCO2排出量10%削減(2019年度対比)を着実に達成します。国産SAFの生産拡大や価格低廉化に向けた官民連携を強化し、持続可能な航空の未来に向けて取り組んでまいります。また、「人財/DX(Digital Transformation)」では、AIやデジタル技術を積極的に活用し、業務の効率化と当社グループの人財が持つ強みとデータの掛け合わせによる価値創造に取り組み、抜本的な生産性向上と日本トップレベルの社員のウェルビーイングを実現します。さらに、JALグループの存立基盤である「安全」を全ての活動の礎とし、先進テクノロジーとプロフェッショナリズムにより、世界最高水準の安全品質を追求し続けます。 3.財務戦略の推進事業ポートフォリオ変革、全社横断戦略を支える基盤として、強固な財務体質と高い資本効率を両立し、戦略的な経営資源配分によって企業価値向上を実現します。 以上の取り組みを通じて「JALグループ経営ビジョン2035」で掲げた理想の未来社会「Sustainable Well-being Future(心はずむつながりが社会全体に広がるサステナブルでウェルビーイングな未来)」の実現を目指します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)における経営環境を概括すると、日本および米国をはじめとする世界主要国経済は、不安定な世界情勢の中でも概ね緩やかな成長を持続しました。こうした経済情勢を踏まえ、国際旅客の売上については、好調なインバウンド需要が継続する中で日本発ビジネス需要も当初の見込みを上回る回復基調にあることから、旅客数を大きく伸ばし順調に推移しました。国内旅客の売上についても、各種キャンペーンを実施し需要喚起に取り組んだ結果、前年同期比で旅客数を大きく伸ばし、堅調に推移しました。費用に関しては、円安が進む中、費用削減に努めることで費用の増加を抑えられております。 (1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ①財政状態及び経営成績の状況当社グループは、コロナ禍の経験から事業ポートフォリオを再構築すべく、特に非航空事業領域での新たなビジネスの創造およびグループ全体の利益拡大を目指し、事業構造改革を推進してまいりました。中期経営計画最終年度である今年度は、非航空事業の利益拡大、「フルサービスキャリア事業」、「マイル/金融・コマース事業」およびその他の事業における増収増益により、EBIT目標2,000億円を上回る水準を達成しております。特に「LCC事業」では、国際線中長距離LCCであるZIPAIRを中心に成田空港からのネットワークを拡充し、「マイル/金融・コマース事業」では、マイルをよりたまりやすく使いやすくするサービスを拡大しております。人的資本経営については、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に取り組む企業を認定・表彰する日本最大のアワード「D&I AWARD 2025」において、従業員数3,001人以上の企業部門で最上位賞にあたる「D&I AWARD大賞」を、航空会社として初めて受賞しました。また、同認定において、2021年より5年連続で最高評価の「ベストワークプレイス」に認定されました。今後も多様な人財がさまざまなフィールドで活躍できる環境を整え、新たな価値創造を実現してまいります。GXについては、最新鋭の省燃費機材エアバスA350-1000型機の導入による環境に配慮したフライトの実施や、2025年5月より、国産SAF(持続可能な航空燃料)の使用を始めております。今後もSAFの利用拡大に社会やお客さまとともに取り組むなど、気候変動への対応と事業成長の両立を実現してまいります。また、航空業界において高い保安管理水準を達成していることを認められ、国際航空運送協会(IATA)から航空保安管理における国際認証において「Operating(レベル2)」を取得したほか、当社の提供するサービスが世界最高品質であると評価され、APEX主催の「2025 APEX EXPO」において、日本の航空会社として唯一、5年連続で「WORLD CLASS™」に、SKYTRAX社による「ワールド・エアライン・スター・レイティング」においては、最高評価「5スター」に9年連続で認定されるなど、企業価値向上に取り組む姿勢をご評価いただいております。 当社グループは3月2日に新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を発表いたしました。今後は、2030年度のEBIT目標3,000億円、そして2035年度のEBIT目標3,500億円の達成に向け、事業ポートフォリオ変革を推進してまいります。特に国際路線事業および「マイル/金融・コマース事業」の成長・利益の拡大を柱とし、国際路線事業については、「フルサービスキャリア事業」においての機材大型化、中長距離機材の増機により国際線を拡大してまいります。また、「LCC事業」では国際線中長距離LCCであるZIPAIRを中心に、成田空港からのネットワーク拡充により国際線の規模を拡大してまいります。貨物事業では大型貨物機増強や高付加価値貨物輸送拡大により、貨物機ネットワークを拡充してまいります。「マイル/金融・コマース事業」では、国内外での異業種提携先の拡大や戦略投資等により、事業を更に拡大してまいります。一方、国内路線事業では、燃油サーチャージ導入や競合他社との協業、業界横断での需給バランスの改善等により、早期に利益率を高め、重要な社会インフラとしてサステナブルな国内線ネットワークを確立してまいります。 a.財政状態当連結会計年度末における資産については、前連結会計年度末に比べ4,038億円増加し、3兆1,987億円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べ857億円増加の1兆8,639億円となりました。資本については、前連結会計年度末に比べ3,180億円増加の1兆3,347億円となりました。 b.経営成績当連結会計年度における売上収益は2兆125億円(前年同期比9.1%増加)、営業費用は1兆8,340億円(前年同期比8.3%増加)となり、財務・法人所得税前利益(当社は、当期利益から法人所得税費用、利息およびその他の財務収益・費用を除いた「財務・法人所得税前利益」をEBITと定義しております。以下「EBIT」という。)は2,180億円(前年同期比26.4%増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,376億円(前年同期比28.6%増加)となりました。 セグメントの経営成績は、次のとおりです。 <フルサービスキャリア事業>当連結会計年度におけるフルサービスキャリア事業の経営成績については、売上収益は1兆5,874億円(前年同期比9.3%増加)、EBITは1,450億円(前年同期比30.5%増加)となりました。(売上収益およびEBITはセグメント間連結消去前数値です。) フルサービスキャリア事業の売上収益は、次のとおりです。項目前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)対前年同期比フルサービスキャリア事業売上収益 (億円)14,51815,874109.3%国際線8,2989,180110.6% 旅客収入 (億円)6,9657,600109.1% 貨物郵便収入 (億円)1,3161,562118.7% 手荷物収入 (億円)1616100.9%国内線6,0366,431106.5% 旅客収入 (億円)5,7166,091106.6% 貨物郵便収入 (億円)314334106.3% 手荷物収入 (億円)44100.5%その他 (億円)183262143.1%(注)金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。 輸送実績(フルサービスキャリア)は次のとおりです。項目前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年同期比(利用率は ポイント差)国際線 有償旅客数(人)7,584,5368,008,848105.6%有償旅客キロ(千人・キロ)41,916,18145,305,343108.1%有効座席キロ(千席・キロ)49,971,88252,795,858105.7%有償座席利用率(%)83.985.81.9有償貨物トン・キロ(千トン・キロ)2,767,4803,220,293116.4%郵便トン・キロ(千トン・キロ)96,34980,38083.4%国内線 有償旅客数(人)36,127,46438,234,040105.8%有償旅客キロ(千人・キロ)27,666,78229,272,164105.8%有効座席キロ(千席・キロ)35,082,82434,889,51499.4%有償座席利用率(%)78.983.95.0有償貨物トン・キロ(千トン・キロ)305,220311,132101.9%郵便トン・キロ(千トン・キロ)21,67623,728109.5%合計 有償旅客数(人)43,712,00046,242,888105.8%有償旅客キロ(千人・キロ)69,582,96474,577,508107.2%有効座席キロ(千席・キロ)85,054,70687,685,373103.1%有償座席利用率(%)81.885.13.2有償貨物トン・キロ(千トン・キロ)3,072,7013,531,425114.9%郵便トン・キロ(千トン・キロ)118,025104,10988.2%(注)1.旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。2.区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機関)の統計資料に準じた算出基準の大圏距離方式で算出しております。3.フルサービスキャリア(国際線):日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)フルサービスキャリア(国内線):日本航空(株)、(株)ジェイエア、 日本エアコミューター(株)、(株)北海道エアシステム、 日本トランスオーシャン航空(株)、 琉球エアーコミューター(株)4.数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。 当連結会計年度では前年同期比で大幅な増収・増益となっております。国際旅客では、引き続き好調なインバウンド需要に加え、日本発ビジネス需要の計画を上回る回復により、旅客数・単価が前年より大きく増加しております。2026年1月より新たに成田=デリー線を開設したほか、最新鋭機材エアバスA350-1000型機を羽田=パリ線を含む5路線12便において毎日運航するなど、お客さまの利便性の向上、さらなる収益拡大に努めております。さらには、当社グループ会社である日本トランスオーシャン航空は、2026年2月より沖縄=台北線を就航しております。また、3月の中東情勢悪化による中東における外国航空会社の運休の影響をうけ、当社欧州線直行便への代替需要やインド発北米行きの乗り継ぎ需要を積極的に取り込んだことにより、運休となったドーハ線を上回る収益を確保することができております。国内旅客では、事業環境が厳しい中でも、各種キャンペーンを実施し需要喚起に取り組んだ結果、旅客数、収入とも前年同期比で増加しました。大阪・関西万博を契機に、インバウンドのお客さまの地方周遊を促進したほか、航空と多様な交通手段をシームレスに繋げることを目的に、JAL MaaS「乗換案内+乗車券」サイトとJR東日本の予約サービス「えきねっと」との連携を開始するなど、日本国内の空港および事業者との協働拡大を実現しております。国際貨物は、自社貨物機に加え、カリッタ航空の大型貨物機を活用した米国線の定期貨物便の運航により、成長著しいアジア=北米間の貨物需要獲得に注力、加えて医薬品やAI・EV関連部品等の高単価貨物の獲得を強化した結果、物量・単価共前年を大きく上回り、大幅な増収を達成しました。また、JR東日本グループと連携した新幹線と航空機を組み合わせたワンストップ輸送サービス「JAL de はこビュン」のサービスを開始し、地域産品の海外輸出促進にも取り組みました。さらに、カーゴルクス航空とのパートナーシップを強化し、2026年度からの欧州の貨物便ネットワーク強化に向けた準備を進めました。国内貨物は、総需要が伸び悩むなか、新規需要獲得に向け、保安検査代行などの新サービスや荷主等へのセミナーを積極的に実施しました。また、ヤマトホールディングス株式会社との貨物専用機の運航便数を増やし、物流を通じた社会課題の解決に取り組み、収入は前年を上回りました。 <LCC事業>当連結会計年度におけるLCC事業の経営成績については、売上収益は1,149億円(前年同期比10.4%増加)、EBITは96億円(前年同期比17.1%減少)となりました。(売上収益およびEBITはセグメント間連結消去前数値です。) LCC事業の売上収益は、次のとおりです。項目前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)対前年同期比LCC事業売上収益 (億円)1,0411,149110.4%国際線 旅客収入 (億円)855965112.9%国内線 旅客収入 (億円)331957.2%その他 (億円)152164107.7%(注)金額については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。 輸送実績(LCC)は、次のとおりです。項目前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)対前年同期比(利用率は ポイント差)ZIPAIR 有償旅客数(人)1,355,8051,380,861101.8%有償旅客キロ(千人・キロ)7,718,2878,190,437106.1%有効座席キロ(千席・キロ)9,106,38310,535,650115.7%有償座席利用率(%)84.877.7△7.0スプリング・ジャパン 有償旅客数(人)1,012,7181,068,838105.5%有償旅客キロ(千人・キロ)1,498,5091,765,293117.8%有効座席キロ(千席・キロ)1,896,9062,016,734106.3%有償座席利用率(%)79.087.58.5 (注)1.旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。2.区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機関)の統計資料に準じた算出基準の大圏距離方式で算出しております。3.スプリング・ジャパンの輸送実績には国際線および国内線の合計を記載しております。4.数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。 LCCマーケットの需要増加に柔軟に対応した結果、保有機数が前年と変わらない中で前年同期比で増収となりました。国際線中長距離LCCであるZIPAIRは旺盛な渡航需要にお応えし、成田=バンコク、ソウル線およびロサンゼルス、ホノルル線の増便等を行いました。また、2026年2月から3月には観光需要を取り込むべく米国フロリダ州オーランドへの直行チャーター便(旅客便)を運航いたしました。サービス面では、2026年2月より、アジアのエアラインとして初めて、スペースX社の衛星インターネットサービス「Starlink」を搭載し、上空でも地上と同等の高速かつ安定したインターネット接続を可能としました。今後も全機全路線でのご提供に向けて段階的に搭載便を拡大してまいります。ZIPAIRをはじめ、スプリング・ジャパン、ジェットスター・ジャパンも含めた特徴の異なるLCC3社によるネットワーク構築によりインバウンド・アウトバウンド増加に貢献するとともに、新たな人流の創出をめざしてまいります。 <マイル/金融・コマース事業> <その他>当連結会計年度におけるマイル/金融・コマース事業の経営成績については、売上収益は2,222億円(前年同期比10.9%増加)、EBITは455億円(前年同期比19.5%増加)となりました。(売上収益およびEBITはセグメント間連結消去前数値です。) JALUXの増収ならびにマイル発行数の順調な増加により、安定的に利益を計上いたしました。マイルについては、当社持分法適用会社である株式会社マネースクエアHDが2026年2月より日々の資産運用によりマイルを貯めることができる新プログラムを開始したほか、海外のお客さまへもマイルサービスを展開すべく、Capital OneやBilt Rewardsをはじめとする海外金融事業者との提携も開始しました。一方、マイルの償還先として「マイルde体験」のような体験型の特典を拡大するなど、償還の多様化を進めております。今後もマイルを「ためる」「つかう」シーンを拡大する「JALマイルライフ構想」を引き続き推進し、顧客層の拡大・利益成長を実現してまいります。また、コマースでは、JALUXの航空機エンジン部品取引が引き続き好調を維持していること等により、安定的に利益を計上しております。その他外航受託については、グランドハンドリングにおいて、2025年12月から、東京国際空港(羽田)および成田国際空港の2空港において国内で初めて、自動運転レベル4(特定条件下での完全無人運転)に対応したトーイングトラクターの実用化を開始しております。これにより、空港業務の省人化と効率化、電動車両による環境負荷低減を実現し、持続可能な空港グランドハンドリング体制を構築するとともに、外航受託を推進してまいります。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,611億円増加し、1兆101億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)税引前利益2,072億円に減価償却費等の非資金項目および営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は3,948億円(前年同期は3,815億円のキャッシュ・インフロー)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△1,831億円(前年同期は△2,811億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)その他の資本性金融商品の発行による収入を主因として、財務活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は446億円(前年同期は△649億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。 ③生産、受注及び販売の実績当社グループの生産、受注及び販売に該当する業種・業態がほとんどないため、「① 財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ①重要な会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断および見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積りは次のとおりです。 ・収益認識航空輸送に係る収益は、航空輸送役務の完了時に認識しております。航空輸送に使用される予定のない航空券販売(失効見込みの未使用航空券)は、航空券の条件や過去の傾向を考慮して適切な認識のタイミングを見積り、収益認識しております。また、当社グループは会員顧客向けのマイレージプログラム「JALマイレージバンク」を運営しており、旅客輸送サービス等の利用に応じて付与するマイルの内、将来顧客が行使することが見込まれる分を履行義務として認識し、顧客がマイルの利用に際して選択するサービスの構成割合を考慮して独立販売価格を見積り、取引価格はこれらの履行義務に対して独立販売価格の比率に基づいて配分しております。マイレージプログラムの履行義務に配分された取引価格は契約負債として認識し、マイルの利用に従い収益計上しております。 ・航空機等の減価償却費航空機、航空機エンジン部品および客室関連資産等の各構成要素の耐用年数決定にあたり、将来の経済的使用可能予測期間を考慮して、減価償却費を算定しております。 ・非金融資産の減損当社グループは、期末日現在の対象資産について、減損が生じている可能性を示す事象があるかを検討し、減損の兆候が存在する場合には減損損失の計上要否の検討を行っております。 ・繰延税金資産の認識当社グループは、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で繰延税金資産を認識しております。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたっての見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等1)財政状態(資産合計)当連結会計年度末における総資産は、主に現金及び現金同等物の増加により、前連結会計年度末に比べ4,038億円増加し、3兆1,987億円となりました。 (負債合計)当連結会計年度末における負債は、主に契約負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ857億円増加の1兆8,639億円となりました。 (資本合計)当連結会計年度末における資本は、配当金の支払い等で減少したものの、公募永久劣後債の発行によるその他の資本性金融商品の計上および親会社の所有者に帰属する当期利益による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ3,180億円増加の1兆3,347億円となりました。2)経営成績当社グループの当連結会計年度の経営成績は、収入面では、国際旅客収入(フルサービスキャリア)は引き続き好調なインバウンド需要に加え、日本発ビジネス需要の計画を上回る回復により、前年対比635億円の増収となりました。国内旅客収入(フルサービスキャリア)は、事業環境が厳しい中でも、各種キャンペーンを実施し需要喚起に取り組んだ結果、前年対比375億円の増収となりました。この結果、売上収益は2兆125億円(前年同期比9.1%増加)となりました。費用面では、燃油費は使用量の増加等により154億円の増加、人件費は人的資本投資の増加等により350億円増加しました。営業費用全体としては1兆8,340億円(前年同期比8.3%増加)となりました。 以上の結果、当連結会計年度のEBITは2,180億円(前年同期比26.4%増加)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、1,376億円(前年同期比28.6%増加)となりました。 (今後の見通し)JALグループは2026年3月2日に新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を発表いたしました。従来の5ヵ年の中期経営計画という枠組みを越え、10年先を見据えた現状にとらわれない抜本的な変革に挑むとともに、足元の環境変化に対しては単年度計画を実行し、機動的かつ柔軟に対応してまいります。具体的には、国際線の増機、機材大型化といった機材投資の倍増とともに、マイル・ライフ事業への戦略投資の強化を計画しております。これにより、「事業ポートフォリオ変革」を加速し、新たな成長を実現してまいります。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫による原油価格の高騰を含め、世界情勢は急速に不確実性を増しており、政治・経済の動向に依然として留意が必要な経営環境となっております。2027年3月期は、このような厳しい環境下においても、航空・非航空事業の業績を確実に安定させ、2027年3月期の通期連結業績予想につきましては、同経営ビジョンでお示ししたとおり、連結売上収益2兆950億円、EBIT1,800億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,100億円を見込んでおります。 3)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容好調な国際旅客事業や需要喚起が奏功した国内旅客事業の伸長、および高収益なマイル/金融・コマース事業の成長により2025年度は過去最高のEBIT2,180億円を達成しました。2026年度は、フルサービスキャリア事業とLCC事業における国際旅客の増収、国内旅客の収益性向上に引き続き取り組むと共に、戦略投資を通じたマイル/金融・コマース事業を中心とした非航空領域の成長により、EBIT1,800億円を目指します。また、中長期的には、新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」の実行を通じて、社会価値創出と着実な成長を実現します。円安、物価高、サプライチェーンの乱れ等によるコスト増、地政学リスクによるボラティリティの常態化等、足下で顕在化する課題に対しては単年度計画により機動的かつ柔軟に対応しながら、中長期的な成長に向けては、事業の成長機会を確実に捉える「Growth」、環境変化やリスクに柔軟に対応し航空インフラとしての持続性を高める「Sustainability」、社会価値を起点に事業領域を拡大する「Social Impact」の3軸で、環境変化に強い事業ポートフォリオを構築してまいります。 c.資本の財源及び資金の流動性1)財務戦略の基本的な考え方当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。強固な財務体質の維持に関しては、格付評価上の自己資本比率の水準を45%程度に保ち、「シングルAフラット」以上の信用格付(日本の格付機関)の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。同時に、持続的な成長に向けた取り組みも加速させます。設備投資に関しては、早期に新機材を導入するとともに、LCC事業領域の拡大を図り、グループとしての成長を加速します。 2)経営資源の配分に関する考え方当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大により甚大なる影響を受けた経験を踏まえ、適正な手元現預金の水準について検証を実施した結果、イベントリスク発生時に大きな影響を受ける旅客収入規模に応じ、航空券払戻リスクにも一定程度耐えうる水準を設定しております。リスク耐性の強化および資産効率の両立を図るべく、旅客収入の5.0~5.6カ月分(毎月末)を安定的な経営に必要な手元現預金水準(コミットメントライン含む)として確保してまいります。成長戦略を加速するための投資を推進しつつ、配当金総額と自己株式取得額の合計額を踏まえた総還元性向について、概ね35%から50%程度の範囲となるように努めることで、企業価値向上に資する経営資源の配分に取り組んでまいります。 3)資金需要の主な内容当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、航空運送事業に関わる燃油費、運航施設利用費、整備費、航空販売手数料、機材費(航空機に関わる償却費、賃借料、保険料など)、サービス費(機内・ラウンジ・貨物などのサービスに関わる費用)、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出は、成長を加速させるための省燃費機材の導入等の資産投資等があります。 4)資金調達当社グループは、事業活動の維持および将来の成長のために必要な資金について、安定的かつ機動的に確保することに努めております。設備投資は、内部資金および外部資金を有効に活用して実施してまいります。設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としておりますが、十分な手元流動性の確保、資金調達手段の多様化、資本効率の向上を企図し、主要な事業資産である航空機などの調達に当たっては、金融機関からの借入、社債の発行、航空機リース等の有利子負債を一部活用しております。また、ESG投資の推進に向けては、2024年5月に当社として3回目、4回目となるトランジションボンドを発行するなど、今後もESGファイナンスを積極的に活用してまいります。当社グループは従前から、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、資金調達能力の源泉である強固な財務体質の維持向上に努めてまいります。また、当社は国内2社の格付機関から信用格付を取得しております。本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付は「シングルA(安定的)」、格付投資情報センターの格付は「シングルAマイナス(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、健全な財務体質を有していることから、必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題ないと認識しています。コロナ禍を耐え抜くために機動的な資金調達を実施したことで、有利子負債残高はこの3年間で大幅に増加しましたが、2026年3月末時点においても、格付評価上の自己資本比率は40.2%(注1)、ネットD/Eレシオは△0.1倍(注2)と、航空業界においては世界最高レベルの強固な財務基盤を維持できております。 (注)1.格付評価上の自己資本比率=格付評価上の自己資本/総資産2.格付評価上のネットD/Eレシオ=(格付評価上の有利子負債-現金及び現金同等物)/格付評価上の自己資本 d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等JALグループでは「JALグループ経営ビジョン2035」を掲げ、その実現に向けて2030年度の経営目標を以下のとおり策定しております。 (安全・安心)航空事故(注1)・重大インシデント(注2)「ゼロ」の実現に向け、以下をはじめとする取り組みを進めるとともに、先進テクノロジーとプロフェッショナリズムで、安全と安心を磨き続けます。(1)飲酒問題の根絶経営層をはじめ全社一丸となった再発防止策の徹底と定着(2)揺れからお客さまと社員を守る運航の実現運航・気象データを活用した揺れの予測精度向上による負傷リスクの最小化(3)事故の教訓を心に刻み、自ら安全・安心をつくる人財の育成日々の業務と安全をより深く結びつけるための教育の拡充 指標2030年度までの目標2025年度までの目標2025年度実績航空事故0件0件3件(注3)重大インシデント0件0件1件(注4)2025年度の実績を真摯に受け止め、再発防止策を確実に実行していきます。(注)1.航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災、航行中の航空機の損傷(大修理相当)等2.航空事故には至らないものの、その恐れがあったと認められる事態。滑走路からの逸脱、非常脱出等3.航空事故(1)2025年12月8日、ジェイエアが運航する日本航空2151便において、降下中の揺れにより、お客さまが骨折した事案。(2)2025年12月22日、日本航空057便において、巡行中の揺れにより、客室乗務員が骨折した事案。(3)2026年3月13日、日本航空158便において、離陸上昇中に鳥衝突が発生した。この衝突による機首部の損傷について修理を進める過程で、損傷の程度が大修理を要するものであることが確認された事案。4.重大インシデント:2025年12月11日、北海道エアシステムが運航する日本航空2823便において、丘珠空港離陸後、第2(右側)エンジンが停止した事案。 2025年度は、引き続きお客さまに心地よい安心をお届けするため、NPS(Net Promoter Score)を顧客満足度目標の指標として顧客体験の向上に取り組んでまいりました。ご利用状況としては、国内線・国際線ともに前年度より多くのお客さまにご搭乗いただき、利用率は年間を通じて高い水準で推移しました。こうしたなか、国内線においては、機内エンターテインメントコンテンツの拡充や地方空港での「JAL SMART AIRPORT」の展開などのサービス強化が奏功し、お客さまから高い評価をいただいた結果、NPSの経営目標を達成いたしました。一方で国際線においては、旺盛な訪日需要の高まりのなかで、最新鋭機材エアバスA350-1000型機の導入拡大や機内サービス品質の向上などに努めたものの、お客さまの評価が伸び悩み、経営目標の達成には至りませんでした。この結果を真摯に受け止め、お客さまの多様な価値観やニーズに対して寄り添うとともにお応えしていくことが課題と捉えています。2026年度からは、JALグループ経営ビジョン2035の実現に向けて、顧客体験への満足に留まらず、共感を軸としたお客さまとの深く長い関係づくりに取り組み、当社への「お客さまの共感度合い」で世界No.1となることを目指します。新ブランドスローガン「Soaring Together」のもと、国内線サービスのリニューアルやJALアプリ刷新を皮切りに、移動中や旅先・日常生活などあらゆるシーンで、お客さまに心に響く出会いと体験をお届けしてまいります。 指標2025年度までの目標(2021年度期初対比)2025年度実績(2021年度期初対比)NPS 国内線+4.0ポイント+4.2ポイントNPS 国際線+4.0ポイント△3.0ポイント (財務)これまで築き上げた高い収益性と強固な財務安定性を兼ね備えつつ、成長に向けた積極的な投資および経営資源の有効活用により常に成長し続けるために、「EBITマージン(売上高利益率)2025年度に10%以上を達成、ROIC(投資利益率)2025年度に9%を達成、EPS(1株当たり純利益)2025年度に290円レベルを達成」を目指しておりました。中期経営計画の最終年度である2025年度の経営目標(財務)は全て達成いたしました。今後も高い収益性と強固な財務安定性を目指してまいります。指標2030年度までの目標2025年度までの目標2025年度実績EBITマージン(売上高利益率)(注1)10%以上10%以上10.8%ROIC(投資利益率)(注2)9%9%9.5%EPS(1株当たり純利益)-290円レベル306円自己資本比率(注3)45%程度50%程度40.3%(注)1.EBITマージン=EBIT / 売上収益2.投資利益率(ROIC)=EBIT(税引後)/ 期首・期末固定資産(*)平均*固定資産=棚卸資産+非流動資産-繰延税金資産-退職給付に係る資産3.自己資本比率=親会社所有者帰属持分比率 (サステナビリティ)環境目標について、「省燃費機材への更新」「運航の工夫」「持続可能な航空燃料(SAF)の活用」「カーボンクレジットの活用」「除去新技術を持つ企業への出資」によるCO2排出量削減と、客室・ラウンジでの新規石油由来プラスチック全廃、および貨物・空港での環境配慮素材配合への置き換えによる使い捨てプラスチック削減に取り組み、経営目標を達成しました。地域社会目標について、多くの人々やさまざまな物の流動を創出し、航空会社の根源的な価値である輸送力を活かして、地域活性化に貢献してまいりました。DEI推進目標について、女性社員の意思決定への参画をさらに促すとともに、多様な人財の登用と活躍を推進した結果、経営目標を達成しました。 指標2030年度までの目標2025年度までの目標2025年度実績環境CO2削減航空機からのCO2排出量(注1)FY2019対比△10%総排出量921万トン未満 (2019年度実績)913万トン※速報値使い捨てプラスチック削減-客室・ラウンジ:新規石油由来全廃貨物・空港:環境配慮素材配合へ100%変更客室・ラウンジ:全廃達成貨物・空港:100%変更達成地域社会国内の旅客(注2)・貨物輸送量-FY2019対比+10%旅客+9%貨物△8%人グループ内女性管理職比率-30%31.9%(注)1.オフセットを含む2.観光需要喚起などによる大都市圏と地方間の旅客数の増分

事業リスク

  • 航空安全に関わるリスク
    航空機の運航において死亡事故が発生した場合、顧客からの信頼失墜や社会的評価の低下、多額の補償費用が発生し、業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。安全対策は徹底されていますが、事故は予期せぬ形で発生しうるため、常に最大の注意が払われています。
  • 自然災害・テロ攻撃等のリスク
    羽田・成田空港への依存度が高く、また運航管理システムが東京地区に集中しているため、首都圏での大規模な自然災害やテロ攻撃が発生した場合、空港の閉鎖やシステム停止により、事業運営に重大な支障が生じる可能性があります。
  • 気候変動・環境規制のリスク
    航空業界は化石燃料を大量消費するため、CO2排出量削減が社会的な責務です。環境規制の強化や排出量取引制度の導入、消費者の環境意識の変化は、コスト増大や需要減退に繋がり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,282 文字
3【事業等のリスク】投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、航空運送事業を中心とする当社グループの事業の内容に鑑み、当社グループにおいては様々なリスクが存在しております。当社グループは、「JALグループリスクマネジメント基本方針」において、重大な損失につながる要素ならびに「業務の有効性と効率性」、「財務報告の信頼性」、「法令等の遵守」、「資産の保全」を阻害する要素、加えて市場環境の変動や疫病・震災・テロ等の外的要因のみならず、グループ全体・自社・自組織の目標達成を阻害する業務執行上の要素もリスクと定め、リスクに強靭な企業グループとして事業を継続できるよう、適切なリスクマネジメントを実施してまいります。グループ全体のリスク総括のために社長を議長とする「グループリスクマネジメント会議」を置き、JALグループが抱えている主要なリスクを俯瞰的に把握し適正なリスク管理に努めるとともに、連結業績に影響を及ぼす事象が発生した場合は「財務リスク委員会」と連携して対応しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは次のとおりです。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1)航空安全に関わるリスク当社グループでは、航空機の運航の安全性の確保のため、日々様々な取り組みを実施しておりますが、ひとたび死亡事故を発生させてしまった場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した旅客等への補償等に対応すべきであることから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。さらに、当社グループや、当社グループが運航する型式の航空機、また当社のコードシェア便において安全問題が発生した場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、「安全」をJALグループ存続の大前提と位置付け、全社員が日々航空安全の実現に向けたゆまぬ努力を継続しております。また、航空事故対応の専門部門を配置するとともに社長を議長とする「グループ安全対策会議」を置き、グループ全体の安全に対して徹底した管理を行っています。なお、航空事故に伴う各種損害の軽減、ならびに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。 (2)自然災害・テロ攻撃等の災害に関わるリスク当社グループの航空機の利用者の過半数は羽田空港および成田空港を発着する航空機を利用しており、当社グループの事業における羽田・成田両空港の位置付けは極めて重要です。また、当社グループの運航管理・予約管理等、航空機の運航に重要な情報システムセンター、ならびに全世界の航空機の運航管理やスケジュール統制等を実施する「IOC(Integrated Operations Control)」は東京地区に設置しています。そのため、東京地区を含む首都圏において、大規模な震災や火山の噴火、大型台風等による被害が発生した場合、もしくは当該重要施設において火災やテロ攻撃等の災害が発生し、羽田・成田両空港の長期間閉鎖や、当社グループの情報システムやIOCの機能が長期間停止した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。IOCの機能停止に備え危機管理体制およびBCPを整備しており、その一環として、大阪国際空港内にオペレーションコントロールの一部機能を移管しています。その機能は東京地区のIOCの機能の全てを代替できるものではありませんが、東京地区のIOCの機能が停止した場合、その再稼働までの間、暫定的に東京地区のIOCを代替します。 (3)気候変動・地球温暖化・環境規制に関わるリスク世界では、地球温暖化等に起因する気候変動が大きな課題となっており、日本国内において大規模な自然災害の発生頻度が多くなるような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが属する航空業界は、気候変動の要因となる化石燃料を大量に消費する業界であることから、CO2排出量の削減が社会的な責務であり、当社グループにおいても極めて重要な経営課題となっております。温暖化防止を始めとした地球環境に係わる企業の社会的責任が高まる中、CO2排出量、騒音、有害物質等に関する環境規制が強化され、消費行動にも影響を及ぼしつつあります。今後、温室効果ガス排出量取引制度等、温室効果ガス排出への課金等費用負担を伴う環境規制のさらなる強化等が行われた場合、また、消費者の行動様式に変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。加えて環境負荷軽減への取り組みが不十分な場合には、当社グループの社会的な評価が低下し、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。そのため、当社グループでは、2025年3月に公表した「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画ローリングプラン2025」において、ESG戦略を価値創造・成長を実現する最上位の戦略と位置づけ、社会課題の解決を加速化してまいりました。さらに、2026年3月に発表した新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」では、気候変動への対応と事業成長の両立を掲げ、2050年CO₂排出量実質ゼロの実現に向けては、省燃費機材への更新促進、運航の工夫、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の安定的かつ適正な価格での調達などの取り組みを加速させるとともに、排出量取引やネガティブエミッション(CO2除去・回収等)といった新技術を活用してまいります。 なお、気候変動に関わるリスクの概要やリスク低減に向けた当社の対応については、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の枠組みを活用し、その詳細を当社ホームページにて開示しています。(https://www.jal.com/ja/sustainability/environment/climate-action/) (4)国際情勢や経済動向等の外部経営環境に関わるリスク①外部経営環境に関わるリスク当社グループは、日本および世界各地に航空運送事業を展開しており、航空需要は、世界の経済動向、テロ攻撃や地域紛争、戦争等により大幅に減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業務は、整備業者、空港職員、航空保安官、燃油取扱業者、手荷物取扱者、警備会社等の第三者の提供するサービスに一定程度依存しており、第三者が、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。②競争環境に関わるリスク当社グループは、国内および海外において、路線、サービスおよび料金に関して激しい競争に直面しています。国内線では、既存の航空会社との競争に加え、LCCを含む低コストキャリアや新幹線との競争、国際線では、海外および日本の主要航空会社との競争が激化しており、それに加えて海外および日本の航空会社によって形成されるアライアンス、コードシェアおよびマイレージ提携が競争を激化させています。上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、航空運送事業においては、a)共同事業、b)複数の航空会社によるアライアンスへの加盟、c)コードシェア提携、d)マイレージ提携等、様々な形式で世界中の航空会社との提携を展開しております。また、マイル事業等の非航空事業分野においても、他業種との広範な提携関係を構築することで顧客基盤の強化を図っておりますが、これらの提携パートナーの経営状況や、提携関係に大きな変化が生じた場合には、当社グループの提携戦略に影響を及ぼす可能性があります。 これらのリスクの軽減に向け、地政学的なリスクをモニターする体制、関係当局、提携パートナーとの良好な関係の構築、商品・サービス競争力の向上、柔軟な需給適合の実施、適切な委託先管理に努めております。 (5)航空機導入に関わるリスク当社グループは、航空運送事業において、燃費効率に優れた新型機への更新や機種統合による効率化を目指し、ボーイング社、エアバス社等に対して航空機を発注しておりますが、これらの航空機メーカーやエンジン等の重要な部品のサプライヤーにおける技術上・財務上・その他の理由により納期が遅延した場合、当社グループの機材計画は変更を余儀なくされ、当社グループの中長期的な事業に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、航空機メーカー等と状況を常時把握し、都度、航空機導入・退役計画を見直すことでかかるリスクの低減に努めております。(6)市況変動に関わるリスク①燃油価格の変動に関わるリスク当社グループの業績は、燃油価格の変動により大きな影響を受けます。当社グループは、燃油価格の上昇分を一部燃油特別付加運賃として顧客に転嫁しておりますが、これは燃油価格の変動を直ちに反映することができず、また、顧客に全てを転嫁することは困難です。また、当社グループは、燃油価格の変動リスクを軽減するため、原油のヘッジ取引を行っております。なお、ヘッジ取引手法やヘッジポジションの状況等によっては、原油市況の下落の効果を直ちに業績に反映することができず、短期的な当社グループの業績の改善に寄与しない可能性があります。また、当社グループの事業運営には航空燃料の安定的な調達が不可欠であり、航空燃料の供給に制約等が生じる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。②為替変動に関わるリスク当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し費用の一部を支払っています。特に当社グループにおける主要な費用である航空機燃料の価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、当社グループにおいては米ドルの為替変動による影響は収益よりも費用が大きくなっております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本とし、加えてヘッジ取引を行っております。また航空機価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、資産計上額および減価償却費が為替変動により増減するリスクがあります。これら為替変動によるリスクを軽減する目的で為替取得機会の分散を図るべくヘッジ取引を行っております。③資金・金融市場・財務に関わるリスク当社グループは、航空機の購入等の多額の設備投資を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。また、当社グループは繰延税金資産を計上しておりますが、当社グループの将来の課税所得の見込み額が低下した場合、もしくは税制改正等により、過去に計上した繰延税金資産の取り崩しが発生し、当社グループの財務状況に一時的に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、キャッシュ・フロー創出力の向上と資金調達能力の維持向上に向け、強固なリスク耐性を備えた財務体質を保つべく財務戦略を計画・遂行してまいります。 (7)世界的な疫病の蔓延拡大に関わるリスク①短期的な業績に与える影響に関わるリスク2020年初頭から全世界規模で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症のように、未知の疫病の世界的な拡大が将来発生した場合には、各国政府による入境制限や移動の制限・自粛要請といった人の移動に関する規制の発動や、企業や利用者の感染防止を目的とした自発的な航空機利用の回避により、航空旅客需要は大幅に減少する可能性があります。当社グループが営む航空運送事業は、航空機材費や人件費等の固定費比率が高いことから、短期的な需要の急減は、当社グループを含む航空運送事業者の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。②中長期的な事業環境の変化に関わるリスク新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、一時的に人の移動が大きく制限を受けたことにより、ITを活用し、移動を伴わず非対面での働き方が社会に広く浸透しております。こうした社会・行動様式の変化により、航空機を使った業務渡航の需要に変化が生じることで、当社グループが営む航空運送事業の事業戦略への影響が拡大する可能性があります。当社グループでは、LCC事業やマイル・ライフ・インフラ領域を強化するポートフォリオ変革を進め、事業リスクの分散を進めております。また、旅客機に加えて貨物専用機も保有する等により、世界的な疫病の蔓延拡大により、旅客需要が減少した状況においても、貨物需要へ積極的に応じることのできる体制を強化しております。 (8)法的規制・訴訟に関わるリスク当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制ならびに政府および地方自治体レベルの法令および規則に基づく規制に服しています。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。①法的規制に関わるリスク当社グループは、航空法をはじめとする航空事業関連法令、二国間航空協定を含む条約その他の国際的取り決め、独占禁止法その他諸外国の類似の法令、ならびに着陸料等の公租公課等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合や、法令に基づき耐空性改善通報等が発出された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、羽田空港等、当社グループの航空運送事業において重要な位置付けをもつ空港における発着枠の割当て等が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、公正な競争環境が確保されるよう、国土交通省をはじめ国内外の関係当局等に対して要望しております。②訴訟に関わるリスク当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの事業または業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは訴訟の提起等を受けており、事態の進展によっては、追加的な支出や引当金の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、重大なリスクとなり得る法令違反および競争阻害行為等の防止に万全を期すべく、全社員および役員に対してコンプライアンス遵守を徹底させるべく、教育・啓発活動等に努めております。 (9)IT(情報システム)、顧客情報の取り扱いに関わるリスク当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しています。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウィルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、航空機の運航に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラや、メールコミュニケーション等の当社が利用するクラウドサービスに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。また、当社グループが保有する顧客の個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、システムまたはブランドに対する社会的評価が傷つけられ、顧客および市場の信頼が低下して、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティに関する国際規格の認証(ISO27001)の取得・維持をグループ内で推進し、全社の情報セキュリティ品質向上に努めています。具体的な活動として、グループ全社員の情報セキュリティ・個人情報保護に対する意識やリテラシーの向上を目的に、個人情報の取り扱いに関する教育や標的型メールの攻撃訓練を定期的に実施しております。また24時間365日体制で不正アクセスやウイルス感染などの脅威を監視し、インシデント発生時にはサイバーインシデントへの対応体制を構築し、迅速な対応と再発防止等を行っております。なお、個人情報の漏洩に備えた保険にも加入しております。 (10)人材・労務に関わるリスク当社グループの事業運営には、航空機の運航に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社グループが想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。また、当社グループの社員の多くは労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、採用競争力の向上、離職率の低減に努めるとともに、良好な労使関係の維持に努めております。

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