9605

東映(9605)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 映像コンテンツ制作配給: 東映グループは、映画、テレビドラマ、アニメーション作品の企画、製作、配給を主軸としています。自社で製作した作品を劇場公開するだけでなく、テレビ局への配給、DVDやブルーレイディスクの販売、海外への輸出入、教育映像の製作配給など、多角的な展開で収益を得ています。特にアニメーションは子会社の東映アニメーションが強みです。
  • 興行・イベント運営: 直営の映画館やシネマコンプレックスの経営、キャラクターショーや文化催事の企画・運営、さらには「東映太秦映画村」のようなテーマパークの運営も行っています。これにより、自社コンテンツの出口戦略を強化し、直接的な顧客接点を通じて収益を上げています。
  • 不動産賃貸・ホテル経営: 観光不動産事業として、賃貸施設の運営やホテルの経営も手掛けています。これは、安定的な収益源を確保し、グループ全体の事業ポートフォリオを多様化する役割を担っています。映画製作や興行以外の分野でも収益を上げることで、事業の安定性を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 映像関連事業: 東映グループの主力事業であり、映画、ドラマ、アニメーションの製作・配給、DVD・ブルーレイディスクの販売、映像版権の許諾、輸出入など多岐にわたる活動を含みます。売上高は1,340.24億円、営業利益は336.55億円と、グループ全体の収益の大部分を占める稼ぎ頭です。特にアニメーション作品は子会社の東映アニメーションが手掛けています。
  • 興行関連事業: 直営の映画館やシネマコンプレックスの経営が主な内容です。自社製作の映画だけでなく、他社の作品も上映することで収益を上げています。売上高は189.66億円、営業利益は7.82億円であり、映像コンテンツの出口戦略として重要な役割を担っています。
  • 観光不動産事業: 賃貸施設の運営やホテルの経営を行っています。安定的な賃料収入や宿泊収入を得ることで、グループの収益基盤を多様化しています。売上高は68.38億円、営業利益は25.42億円と、売上規模は大きくないものの、比較的高い利益率を確保している事業です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
ImageRelated 事業 1,340 337 25.1%
PictureShowBusiness 地域 190 8 4.1%
SpecialEventRelated 事業 112 13 11.3%
SightseeingRealEstate 事業 68 25 37.2%
ArchitectureInteriorReportableSegment 事業 89 5 5.6%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,993 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社32社及び関連会社4社の37社で構成されております。 映像関連事業は映画事業、ドラマ事業、コンテンツ事業、その他で構成されております。映画事業では劇場用映画の製作配給等及び劇場用映画等のポストプロダクション並びにアーカイブ事業を行い、ドラマ事業ではテレビ映画の製作配給等及びこれらのテレビ映画に登場するキャラクターの商品化権許諾等を行っております。コンテンツ事業では映像版権に関する許諾等、DVD・ブルーレイディスクの製作販売等及び劇場用映画等の輸出入、教育映像の製作配給等を行っております。そのほか、各種映像作品の制作請負、広告代理業、テレビコマーシャルの制作等を行っております。 興行関連事業では、シネマコンプレックスの経営を行っております。また、催事関連事業では、当社グループの製作した作品に登場するキャラクターショーや文化催事の企画・運営等及びテーマパーク施設の運営を、観光不動産事業では、賃貸施設の賃貸等及びホテルの経営を行っております。 建築内装事業では、建築工事・室内装飾請負等を、その他事業では、物品の販売等を行っております。 これらを主な内容とし、当社グループの事業に係わる位置づけは次のとおりであります。映像関連事業 - 会社総数31社映画事業 映画の製作のうち劇場用映画は主に当社が製作しておりますが、アニメーション作品については主に連結子会社である東映アニメーション㈱が製作しております。劇場用映画の配給は主に当社が行っております。連結子会社である東映ラボ・テック㈱が、劇場用映画等のポストプロダクション並びにアーカイブ事業を行っております。ドラマ事業 テレビ映画の製作は当社が行っておりますが、一部の作品については連結子会社である㈱東映テレビ・プロダクションに下請させており、アニメーション作品については連結子会社である東映アニメーション㈱が製作しております。配給先のうちには持分法適用関連会社かつその他の関係会社である㈱テレビ朝日ホールディングスの子会社の㈱テレビ朝日があります。コンテンツ事業 主に当社及び連結子会社である東映アニメーション㈱が所有するコンテンツの映像版権に関する許諾等を行っております。主に連結子会社である東映ビデオ㈱がDVD・ブルーレイディスクの製作販売等を行っております。劇場用映画等の輸出入は主に当社が行っております。また、教育映像の製作配給等は当社が行っております。その他 当社撮影所において、各種映像作品の制作請負等を行っております。また、連結子会社である㈱東映エージエンシーが広告代理業を、連結子会社である東映シーエム㈱がテレビコマーシャルの制作を行っております。興行関連事業 - 会社総数2社主に連結子会社である㈱ティ・ジョイがシネマコンプレックスの経営を行っております。(注)㈱ティ・ジョイは、2026年4月1日に東映ジョイ・エンタテインメント㈱に商号変更しております。催事関連事業 - 会社総数2社主に当社が事業展開を行っております。また、当社の所有するテーマパーク施設を連結子会社である㈱東映太秦映画村が賃借し、その経営を行っております。観光不動産事業 - 会社総数3社不動産賃貸業については、主に当社が事業展開を行っております。また、ホテル事業については、当社が経営するホテルの営業に関する業務を連結子会社である㈱東映ホテルチェーンに委託しております。建築内装事業 - 会社総数1社連結子会社である㈱東映建工が建築工事・室内装飾請負等を行っております。その他事業 - 会社総数1社持分法非適用非連結子会社が物品の販売等を行っております。 なお、上記の事業区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報等における事業区分と同一であります。 以上に述べた事業の系統図は次の通りであります。 (注)1 事業系統図においては、企業グループの主要な位置づけ及び取引を記載しております。2 事業区分別の会社総数のうち、映像関連事業、催事関連事業及び観光不動産事業には東映㈱が重複しております。3 事業区分別の会社総数のうち、映像関連事業及び観光不動産事業には連結子会社の東映ラボ・テック㈱が重複しております。4 映像関連事業の映画事業、ドラマ事業、コンテンツ事業及びその他には、連結子会社の東映アニメーション㈱が重複しております。5 ㈱テレビ朝日ホールディングスは、持分法適用関連会社かつその他の関係会社であります。また、㈱テレビ朝日ホールディングスの子会社の㈱テレビ朝日にテレビ映画を配給しております。6 ㈱ティ・ジョイは、2026年4月1日に東映ジョイ・エンタテインメント㈱に商号変更しております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
コンテンツの企画・制作力とブランド力により一定の価格決定力を持つ。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ブランド
長年の映画・ドラマ製作によるブランド力とコンテンツ資産、東映太秦映画村等の施設。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:災害リスク / 情報セキュリティリスク / 著作権等の知的財産権に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

東映は長年にわたり、アニメ、特撮、映画、ドラマといった多様なコンテンツを制作・配給してきた実績を持つ。特に「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「プリキュア」シリーズなどの強力なIPは、世代を超えて認知されており、新たなコンテンツ展開や商品化においても優位性を持つ。これらのIPは、長年のブランド構築とファンコミュニティの形成によって無形資産となっている。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

映画やアニメの視聴者は、特定のプラットフォームや作品に強い愛着を持つ場合があるが、他のコンテンツへの乗り換えに対する心理的・経済的コストは比較的低い。サブスクリプションサービスなどでは、解約すれば利用できなくなるが、それが乗り換えの障壁となるほどではない。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

東映のコンテンツは、ファンコミュニティの形成や口コミによる拡散といった間接的なネットワーク効果を持つ可能性がある。しかし、プラットフォーム型ビジネスのような直接的なネットワーク効果(ユーザーが増えるほどサービス価値が高まる)は限定的である。SNSでの話題性などが一部影響する程度。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

コンテンツ制作には一定の固定費がかかるが、制作能力やノウハウは他社も有しており、構造的なコスト優位性は見出しにくい。配給網や劇場網は強みだが、それが他社に比べて圧倒的に低いコスト構造に繋がるわけではない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

東映は、映画、アニメ、テレビ、Vシネマ、ゲーム、イベントなど、多岐にわたるメディアミックス展開を行う総合エンターテイメント企業であり、その事業規模は大きい。これにより、IPの多角的な活用や大規模なプロモーションが可能となり、業界内での一定の地位を確立している。しかし、グローバルな巨大プラットフォーマーと比較すると、規模の優位性は限定的。

  • 多様なコンテンツ制作力: 東映グループは、長年にわたり映画、ドラマ、アニメーションなど多岐にわたる映像コンテンツを自社で企画・制作してきた実績とノウハウを持っています。特に「東映アニメーション」は世界的に評価されるアニメ作品を多数生み出しており、強力なコンテンツ制作力が競争優位の源泉となっています。
  • 強力なブランドとIP資産: 「東映」というブランド自体が持つ信頼性と、数多くの人気キャラクターや作品(知的財産、IP)を保有していることが強みです。これらのIPは、映画、テレビ、DVD販売、商品化権許諾、イベントなど様々な形で活用され、長期にわたる安定的な収益を生み出す基盤となっています。
  • 垂直統合型ビジネスモデル: 映画の製作から配給、劇場運営、DVD販売、キャラクターイベント、テーマパーク運営まで、映像コンテンツに関する幅広い事業をグループ内で手掛けています。これにより、コンテンツの企画から消費者に届けるまでの一連の流れを自社でコントロールし、効率的な収益化とブランド価値の最大化を図ることが可能となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは「愛される『ものがたり』を全世界に」を使命とし、東映を中心とする安定的なグループ経営のもと、映像作品をはじめとする良質なエンターテインメントを全世界に提供し続けて参ります。 (2)中長期的な会社の経営戦略 創業以来の組織変更を実施の上、グループの中長期的な成長戦略として「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」を2023年2月に策定し、推進しております。 概要◆使命:愛される「ものがたり」を全世界に◆スローガン: ◆10年後に目指す姿:世界で愛されるコンテンツを数多く創造発信している◆成長戦略:実写、アニメ映像事業を強化・拡大し、グローバル展開を加速する◆全体像:重点施策 当社グループの強みは多様で魅力的な作品群を生み出す源泉となる企画製作力、そしてIPホルダーとして収益最大化を実現するマルチユース展開力と認識しております。その強みを活用した重点施策として、以下に取り組んでおります。①映像事業収益の最大化 企画製作力の強化、コンテンツのマルチユース促進、IPライフサイクルの長期化②コンテンツのグローバル展開へのチャレンジ 現地企業とのコラボレーション(ローカライズ作品やオリジナル作品の創出)、海外におけるファンの育成、グローバルメジャーと共同開発・世界展開、世界的ネットワークの構築③映像事業強化のための人的投資の拡大 企画製作力とマルチユース展開力を高める採用・配置/育成、エンゲージメントを高める評価・報酬/環境整備④持続的なチャレンジと成長を支える経営基盤強化 事業基盤強化に向けた投資戦略(製作設備関連投資、不動産関連投資)、コーポレート・ガバナンスの強化、サステナビリティへの取り組み、資本・財務戦略 <キャピタルアロケーション>2033年に向けた東映グループでの成長投資(予定)▼コンテンツ投資: 2,400億円▼事業基盤強化に向けた投資: 600億円※ ※〈内訳〉製作設備関連投資: 360億円 不動産関連投資: 240億円 また、株主・投資家をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に当社をよりご理解いただき、適正に評価していただくため、更なる開示の充実にも取り組みます。引き続き、当社グループの企業価値ひいては全てのステークホルダー共同の利益の長期安定的な向上に努めてまいります。 (3)目標とする経営指標 上記した重点施策の展開により、企画からマルチユース展開のサイクルのグローバル化を推進し、国内外でのトップライン拡大及びベースライン収益の向上を目指してまいります。・売上構成比率における海外割合が50%・営業利益 ベースラインとして250億~400億円・ROE8%以上 (4)経営環境及び対処すべき課題 地政学リスクの高まりによる資源価格の高騰や物価の上昇等、依然として世界経済の先行き不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境におきましても、コンテンツ産業は今後も世界的な成長が期待される一方、国内における少子高齢化やそれに伴う人口減少、消費者ニーズや伝達媒体の多様化等、厳しい情勢下にあります。こうした状況のなか、当社グループの経営課題として、以下を認識しております。 ・オリジナルを中心とした新規IP創出力の増強によるIPポートフォリオの拡充・IPのグローバル展開の加速と、国内・海外のIPマルチユース促進によるIPあたり収益の最大化・持続的成長に向けたIPライフサイクルの長期化 これらの経営課題の解決に向けて、「(2)中長期的な会社の経営戦略」に記載の通り、東映グループでは10年後に目指すべき姿を「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」として策定しました。本ビジョンの実現に向け、「愛される『ものがたり』を全世界に」の使命のもと、より積極的な事業展開を図り、総合エンターテインメント企業として成長を続けてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは「愛される『ものがたり』を全世界に」を使命とし、東映を中心とする安定的なグループ経営のもと、映像作品をはじめとする良質なエンターテインメントを全世界に提供し続けて参ります。 (2)中長期的な会社の経営戦略 創業以来の組織変更を実施の上、グループの中長期的な成長戦略として「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」を2023年2月に策定し、推進しております。 概要◆使命:愛される「ものがたり」を全世界に◆スローガン: ◆10年後に目指す姿:世界で愛されるコンテンツを数多く創造発信している◆成長戦略:実写、アニメ映像事業を強化・拡大し、グローバル展開を加速する◆全体像:重点施策 当社グループの強みは多様で魅力的な作品群を生み出す源泉となる企画製作力、そしてIPホルダーとして収益最大化を実現するマルチユース展開力と認識しております。その強みを活用した重点施策として、以下に取り組んでおります。①映像事業収益の最大化 企画製作力の強化、コンテンツのマルチユース促進、IPライフサイクルの長期化②コンテンツのグローバル展開へのチャレンジ 現地企業とのコラボレーション(ローカライズ作品やオリジナル作品の創出)、海外におけるファンの育成、グローバルメジャーと共同開発・世界展開、世界的ネットワークの構築③映像事業強化のための人的投資の拡大 企画製作力とマルチユース展開力を高める採用・配置/育成、エンゲージメントを高める評価・報酬/環境整備④持続的なチャレンジと成長を支える経営基盤強化 事業基盤強化に向けた投資戦略(製作設備関連投資、不動産関連投資)、コーポレート・ガバナンスの強化、サステナビリティへの取り組み、資本・財務戦略 <キャピタルアロケーション>2033年に向けた東映グループでの成長投資(予定)▼コンテンツ投資: 2,400億円▼事業基盤強化に向けた投資: 600億円※ ※〈内訳〉製作設備関連投資: 360億円 不動産関連投資: 240億円 また、株主・投資家をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に当社をよりご理解いただき、適正に評価していただくため、更なる開示の充実にも取り組みます。引き続き、当社グループの企業価値ひいては全てのステークホルダー共同の利益の長期安定的な向上に努めてまいります。 (3)目標とする経営指標 上記した重点施策の展開により、企画からマルチユース展開のサイクルのグローバル化を推進し、国内外でのトップライン拡大及びベースライン収益の向上を目指してまいります。・売上構成比率における海外割合が50%・営業利益 ベースラインとして250億~400億円・ROE8%以上 (4)経営環境及び対処すべき課題 地政学リスクの高まりによる資源価格の高騰や物価の上昇等、依然として世界経済の先行き不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境におきましても、コンテンツ産業は今後も世界的な成長が期待される一方、国内における少子高齢化やそれに伴う人口減少、消費者ニーズや伝達媒体の多様化等、厳しい情勢下にあります。こうした状況のなか、当社グループの経営課題として、以下を認識しております。 ・オリジナルを中心とした新規IP創出力の増強によるIPポートフォリオの拡充・IPのグローバル展開の加速と、国内・海外のIPマルチユース促進によるIPあたり収益の最大化・持続的成長に向けたIPライフサイクルの長期化 これらの経営課題の解決に向けて、「(2)中長期的な会社の経営戦略」に記載の通り、東映グループでは10年後に目指すべき姿を「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」として策定しました。本ビジョンの実現に向け、「愛される『ものがたり』を全世界に」の使命のもと、より積極的な事業展開を図り、総合エンターテインメント企業として成長を続けてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費の持ち直しが見られたものの、地政学リスクやコスト高、為替変動によるインフレ圧力などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような状況下で当社グループは、映像関連事業を中心により一層のコンテンツ事業の強化及び保有IPの効率的な活用を図り、堅実な営業施策に努めました。 その結果、売上高は1,853億3千3百万円、営業利益は360億9千6百万円、経常利益は435億4千3百万円となり、また、特別利益として固定資産売却益等を、特別損失として解体撤去費用等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は233億2千万円となりました。 売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)1株当たり当期純利益(円)当連結会計年度185,33336,09643,54323,320374.29前連結会計年度179,92235,15539,99215,722253.96増減率(%)3.02.78.948.347.4 ② 財政状態の状況 当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりです。 資産合計(百万円)負債合計(百万円)純資産合計(百万円)自己資本比率(%)1株当たり純資産額(円)当連結会計年度末499,129113,412385,71758.34,657.03前連結会計年度末463,639109,315354,32357.14,274.51増減率(%)7.73.78.9-9.0 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)現金及び現金同等物の期末残高(百万円)当連結会計年度26,716△4,660△1,887109,995前連結会計年度33,646△17,466△4,62088,987増減額(百万円)△6,93012,8062,73321,007 ④ 生産、受注及び販売の実績 当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため、生産、受注及び販売の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 経営成績の分析 当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりです。 売上高営業利益前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)映像関連事業134,024127,941△4.533,65532,448△3.6興行関連事業18,96625,22633.07822,403207.0催事関連事業11,20313,00616.11,2691,61627.4観光不動産事業6,8386,9201.22,5422,7578.5建築内装事業8,89012,23837.74961,390179.9全社・消去---△3,591△4,519-連結計179,922185,3333.035,15536,0962.7 〔映像関連事業〕 映画事業では、提携製作作品等41本を配給しました。このうち、『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』がヒットし、『花まんま』、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』、『映画「仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者」映画「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード」』、『宝島』、『木挽町のあだ討ち』が好稼働いたしました。また、『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』、『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』、『楓』、『港のひかり』が堅調に稼働いたしました。ドラマ事業では、『相棒season24』、『仮面ライダーガヴ』、『仮面ライダーゼッツ』、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』、『大追跡 ~警視庁SSBC強行犯係~』、『仮面の忍者 赤影』、『キミとアイドルプリキュア♪』等を製作して作品内容の充実と高視聴率の獲得、製作本数の確保に努めました。また、特撮キャラクターの国内商品化権営業は、玩具等に関する消費者の嗜好が多様化するなか、特に旧作の周年記念施策、ゲームアプリ、大人向け商材等への版権許諾が好調に推移しました。コンテンツ事業では、新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権販売、配信事業者向けの配信権販売及びビデオ化権等の販売を行い、『室町無頼』、『35年目のラブレター』、『花まんま』、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』、『港のひかり』、『あぶない刑事』シリーズ、『ワンピース』等の配信権販売が堅調に推移しました。海外においては、新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画並びに催事等の海外販売を行い、『十一人の賊軍』、『室町無頼』、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』、『推しの子-The Final Act-』、『バトル・ロワイアル』、『犬鳴村』、『THE仮面ライダー展』等が堅調に稼働いたしました。また、海外における商品化権営業及びゲーム等への版権許諾は、アジア及び北南米・欧州の一部にてサイマル配信を開始した『仮面ライダーゼッツ』をはじめ、『仮面ライダーガヴ』、『ワンピース』、『パワーレンジャー』シリーズ、『デジモン』シリーズが好調に稼働しました。加えて、リメイク権の販売においては、中国向けの『百円の恋』が好調でした。その他、撮影所事業では、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。 以上により、当セグメントの売上高は1,279億4千1百万円(前年度比4.5%減)、営業利益は324億4千8百万円(前年度比3.6%減)となりました。 (注)『推しの子-The Final Act-』は「推しの子」部分のみを墨付括弧で囲んだものが正式タイトルです。 〔興行関連事業〕 興行関連事業では、2025年7月27日に当社最後の直営館である「丸の内TOEI」(2スクリーン)が閉館しましたが、連結子会社・㈱ティ・ジョイ(2025年7月 簡易株式交換により完全子会社化、2026年4月1日付「東映ジョイ・エンタテインメント株式会社」へ商号変更)によるシネマコンプレックス(23サイト230スクリーン。共同経営・共同運営含む)の運営が事業の中心となっており、『名探偵コナン 隻眼の残像』、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』、『国宝』、『マインクラフト/ザ・ムービー』、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、『チェンソーマン レゼ編』、『ズートピア2』、『超かぐや姫!』等の大ヒットが業績を牽引し、好調に推移しました。また、前年度にオープンしたT・ジョイ エミテラス所沢が引き続き好調に稼働し、前年度に比して増収増益となりました。 以上により、当セグメントの売上高は252億2千6百万円(前年度比33.0%増)、営業利益は24億3百万円(前年比207.0%増)となりました。 〔催事関連事業〕 催事事業では、『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』、『シルバニアファミリー展 40th』、『超クウガ展』、『爆上戦隊ブンブンジャーファイナルライブツアー2025』、『全スーパー戦隊展』、『舞台 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」』、『超英雄祭2026』、『仮面ライダーガヴ ファイナルステージ』、『キミとアイドルプリキュア♪』関連催事や人気キャラクターショー等の各種催事が好調に稼働し、催事関連商品の製作・販売並びに仮面ライダーストア及び東映オンラインストアでの販売が好調に推移いたしました。太秦映画村においては、リニューアル工事による営業エリア及び営業日の制限が動員数に影響し売上高が伸び悩むなか、『怪々YOKAI祭』等の施策を展開し、収益の確保に努めました。 以上により、当セグメントの売上高は130億6百万円(前年度比16.1%増)、営業利益は16億1千6百万円(前年比27.4%増)となりました。 〔観光不動産事業〕 観光不動産事業を取り巻く環境は、建築費や人件費の高騰が賃貸・売買・再開発の各事業に影を落とし、需要と供給のバランスに変化が生じています。こうしたなか、不動産賃貸事業では、全国に所有する「東映プラザ(渋谷・福岡・広島・仙台)」「新宿三丁目イーストビル」等の複合商業施設及びマンション等において、市場実勢に合わせた賃料の適正化を進めた結果、賃貸運営が好調に推移いたしました。ホテル事業においては、インバウンド需要等の回復により稼働率が向上した一方、引き続き国内団体利用の減少及び光熱費等の物価高の影響を受けております。このような状況のなか、独自の物販や、需要に応じた弾力的な価格設定、徹底した経費削減を推し進めた結果、湯沢東映ホテル・福岡東映ホテルにおいて、収入・利益ともに、過去最高の実績となりました。 以上により、当セグメントの売上高は69億2千万円(前年度比1.2%増)、営業利益は27億5千7百万円(前年度比8.5%増)となりました。 〔建築内装事業〕 建築内装事業では、建設資材費等の高止まりや労務費の上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続きましたが、既存顧客の維持及び新規顧客の獲得を目指して積極的な営業活動を行いました。このような状況のなか、商業施設及びシネコン関係、マンション、障がい者施設、老健施設等の大型工事の受注数が増加したことに加え、適切な工事価格の維持と利益確保に努め、前年度に比して増収増益となりました。 以上により、当セグメントの売上高は122億3千8百万円(前年度比37.7%増)、営業利益は13億9千万円(前年度比179.9%増)となりました。 当社グループの主幹事業である映像関連事業におきましては、その中核を成す劇場用映画がヒットするか否かの予測が困難であり、その好不調がドラマ事業、コンテンツ事業等の映像関連事業全般に広く影響を及ぼすことから、収益の安定化が命題となっております。そのため、より一層の営業努力に邁進し、業界各社との強力な連携を図り、収益力を見極めた企画の選定に注力する一方で、不動産賃貸業にて保有する賃貸資産の有効活用等に努めることで、安定した収益確保に努めて参ります。 このような状況のなかで当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び保有IPの効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。 なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。 ② 財政状態の分析〔資産〕 当連結会計年度末における資産合計は、4,991億2千9百万円となり、前期末に比べ354億9千万円増加しました。これは主に、現金及び預金が211億6千4百万円、仕掛品が44億2百万円、建物及び構築物が90億4千1百万円、退職給付に係る資産が19億7百万円増加し、受取手形、売掛金及び契約資産が14億5千9百万円、建設仮勘定が27億8千2百万円減少したことによるものであります。 〔負債〕 負債合計は、1,134億1千2百万円となり、前期末に比べ40億9千6百万円増加しました。これは主に、短期借入金が46億8千2百万円、長期借入金が56億1千2百万円増加し、支払手形及び買掛金が25億2千1百万円、1年内返済予定の長期借入金が44億8千4百万円減少したことによるものであります。 〔純資産〕 純資産合計は、3,857億1千7百万円となり、前期末に比べ313億9千4百万円増加しました。これは主に、資本剰余金が28億6千2百万円、利益剰余金が196億8千9百万円、土地再評価差額金が41億7千6百万円、退職給付に係る調整累計額が18億7千7百万円、非支配株主持分が50億3千1百万円増加し、その他有価証券評価差額金が29億1千6百万円減少したことによるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが267億1千6百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが46億6千万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが18億8千7百万円減少した結果、1,099億9千5百万円(前年同期は889億8千7百万円)となりました。 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕 営業活動により得た資金は、267億1千6百万円(前年同期は336億4千6百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益511億2千7百万円、減価償却費44億4千4百万円、利息及び配当金の受取額37億6千1百万円による増加と、受取利息及び受取配当金22億8千2百万円、持分法による投資損益42億8千8百万円、固定資産売却損益74億1千3百万円、仕入債務の増減額28億3千8百万円、棚卸資産の増減額39億8千3百万円、法人税等の支払額121億8百万円による減少があったことによります。 〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕 投資活動により支出した資金は、46億6千万円(前年同期は174億6千6百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入395億1千2百万円、有形固定資産の売却による収入79億6千1百万円による増加と、定期預金の預入による支出399億4百万円、有形固定資産の取得による支出108億7千2百万円による減少があったことによります。 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕 財務活動により支出した資金は、18億8千7百万円(前年同期は46億2千万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額46億8千2百万円、長期借入れによる収入98億円による増加と、長期借入金の返済による支出86億7千1百万円、配当金の支払額11億6千3百万円、非支配株主への配当金の支払額47億3千2百万円、子会社の自己株式の取得による支出13億1千8百万円による減少があったことによります。 ④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報イ 財務戦略の基本的な考え方 当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。なお、映像製作設備や不動産賃貸設備に対する大型投資案件等については、内部資金に加え、必要に応じて金融機関等からの借入等により資金調達することとしております。 また、資産の有効活用と収益基盤の強化をはかりつつ、適正な手許資金の水準について検証を実施し、企業価値向上のため、重点施策を中心とした成長投資へ優先的にフリーキャッシュ・フローを配分することを財務戦略としており、これによりROE(自己資本利益率)の向上及び長期安定的な株主還元を実現することが重要であると考えております。 ロ 資金調達の方法及び状況 当社グループは、運転資金及び設備資金、大型投資案件等の資金は、内部資金又は金融機関等からの借入により資金を調達しております。また、財務基盤をより堅固なものとするべく、グループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減をはかり、グループ全体の有利子負債の削減に努めております。 なお、当連結会計年度末における金融機関等からの借入金については、次のとおりです。 前連結会計年度末(百万円)当連結会計年度末(百万円)増減額(百万円)短期借入金2004,8824,6821年内返済予定の長期借入金7,2822,798△4,484長期借入金9,92815,5405,612合計17,41023,2215,810 ハ 資金需要の主な内容 当社グループは、2023年2月に策定した中長期的な経営戦略「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」において成長投資を掲げており、2033年に向けた資金需要の主な内容として、コンテンツ投資2,400億円、事業基盤強化に向けた投資600億円(製作設備関連投資360億円、不動産関連投資240億円)を見込んでおります。 上記のほか、運転資金需要の主な内容としましては、営業活動に係る資金支出における、劇場用映画やテレビ映画等の製作費、DVD・ブルーレイディスクの製作費、配給収入やコンテンツ事業収入に係る配分金、シネマコンプレックスの運営に関わる地代家賃、劇場用映画等の広告宣伝費、人件費等の販売費及び一般管理費があります。また、投資活動に係る資金支出においては、撮影所やシネマコンプレックス等の設備改修等があります。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

事業リスク

  • 災害・感染症による事業影響: 地震や台風などの自然災害、火災、停電、または感染症の蔓延は、映画館やテーマパーク、ホテルなどの商業施設の運営に大きな影響を与える可能性があります。顧客や従業員の安全確保、施設の損壊、行動制限による利用客減少、制作費増加などが経営成績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。
  • 知的財産権侵害と風評被害: 著作権や商標権などの知的財産権は、映像コンテンツ事業において非常に重要です。これらの権利が侵害された場合、または自社作品や従業員、関係者による不祥事、SNSでの不適切な情報発信などにより風評被害が発生した場合、ブランドイメージや社会的信用が大きく損なわれ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 取引先管理とコンプライアンス違反: 映像制作業務を外部の個人事業主や中小事業者に委託する際、取引先の財務状況悪化による業務停止や契約不備が発生すると、事業継続に支障が生じる可能性があります。また、国内外の多様な取引先との契約において不利な条件となるリスクや、コンプライアンス違反が発生した場合、法的・経済的損失や企業イメージの低下につながるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,187 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの経営成績又は財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして認識している事項には以下のようなものがあります。なお、当社グループのリスクのうち主なものを記載しており、現時点では予見できないまたは重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載する方法などにより、その発生の回避及び発生時の適切な対応に向けて努力してまいる所存であります。 文中の将来に関する内容については、当有価証券報告書提出日現在における判断に基づくものであります。 (1)リスクマネジメント推進体制 当社グループでは、リスクマネジメントを企業価値の最大化と持続可能な事業運営における重要な経営テーマとして責任を持って取り組むこと、及びグループ全体のリスク管理状況の把握と向上を目的としたリスクマネジメントの統括機関である「リスクマネジメント委員会」を設置しております。 当該委員会は代表取締役社長を最高責任者とし、リスクマネジメント担当役員及び各事業部門の責任者を委員としております。リスクマネジメント委員会は、当社グループを取り巻くリスクに関する情報の収集分析、リスクの対応方針及び目標の決定、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価、定期的なリスク対応状況に関するモニタリングを行っております。当社グループのリスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントプロセス 当社グループでは、リスクマネジメントの管理体制が適切かつ健全な役割を果たすために、リスクマネジメントの管理体制及び方針のレビュー・見直しを毎年行っております。当社グループの事業に関するリスクの評価を行い、リスクの性質に基づいて「ハザードリスク」、「事業戦略リスク」、「ガバナンスリスク」の3つに区分した上で、優先的に対応すべきリスクを特定しております。各リスク項目における関係部署においてリスクの対応策を検討し、実施しております。 なお、リスク統括部署はリスクへの対応支援及びモニタリングを実施し、定期的に実施状況や確認結果をリスクマネジメント委員会に報告します。リスクマネジメント委員会は報告に基づいて、体制の強化または改善等が必要な項目に対して審議し、意見交換を通じて取り組みを最善な方向性に調整しております。加えて、当社グループの経営に影響する可能性がある事項を適時に最高責任者の代表取締役社長及び取締役会に報告しております。 当社グループのリスクマネジメントプロセス (3)リスクの特定 リスクの特定においては、以下のとおりに実施しております。・リスクの識別当社グループの事業戦略を分析すると共にそれぞれの事業部門と管理部門の責任者に対してインタビューを実施することによって、トップダウン・ボトムアップ両方のアプローチで当社グループにおける各リスクを識別。・リスクの評価識別されたリスクに対して、定量的かつ定性的に事業に及ぼす影響度と発生可能性を評価した後、既存の対応状況を評価。・リスクヒートマップによる対応優先度の特定上記2段階のリスク評価結果に基づいて、リスクヒートマップを作成し、特定されたリスクを「低」・「中」・「高」の3つのレベルに分け、「高」または「中」になるリスクを優先的に対応すべきリスクとして特定。 最新のリスク評価の実施結果において、当社グループは40項目のリスクを識別し、「(4)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に示す11個のリスク項目に分類し、対応策の検討及び実施を行っております。また、刻々と変化する事業環境に対応するため、モニタリングの結果や新たなリスクを識別した際には、リスク評価の見直しを行い、必要に応じて優先的に対応すべきリスクを更新しております。 (4)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク 当事業年度において優先的に対応すべきリスクと位置付けたもののうち、主なものを記載しておりますが、その他のリスクについても、それぞれ対応を進めております。 また、下記のリスクは有価証券報告書提出日現在における当社グループが判断したもので、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。分類リスク項目対策優先度ハザードリスク① 災害リスク高② 感染症リスク中事業戦略リスク③ 取引先管理に関するリスク中④ 風評リスク高⑤ 労働・安全衛生に関するリスク高⑥ 人材確保に係るリスク中⑦ 事業環境に関するリスク中ガバナンスリスク⑧ 個人情報等の機密情報の取り扱いに関するリスク高⑨ 情報セキュリティリスク高⑩ 著作権等の知的財産権に関するリスク高⑪ コンプライアンス違反リスク高 <ハザードリスク> ① 災害リスク対応優先度高 リスクシナリオ当社グループは映画劇場、テーマパーク、ホテル等多数の顧客等を収容可能な商業施設及び撮影所を含めた重要な作業施設において事業を行っております。地震、台風及び津波等の自然災害、火災や停電あるいは予期せぬ事故等が発生した場合は、顧客または当社グループの従業員の人的被害、施設及び設備の損壊等により、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 対応策当社グループは自然災害または人為的な災害の発生による被害を軽減するために、重要な事業の継続を図る体制及び計画を整備しております。また、顧客及び従業員の安全を確保するために、安否確認システムの導入、災害対応手順の文書化・周知及び定期的な訓練の実施、備蓄品の整備等の対策を講じています。 ② 感染症リスク対応優先度中 リスクシナリオ感染症等の蔓延により、政府や地方自治体からの行動制限の要請、消費者行動の変容やビジネスモデルの変化の結果として、以下のような事象が発生し、当社グループの事業活動及び収益に影響を及ぼす可能性があります。・感染の拡大や景気の後退等による商業施設の利用減少・物価の高騰や撮影関係者の感染等による制作費用の増加・不動産市況の低迷による不動産価値の低下・従業員の感染による業務停滞の発生 対応策当社グループは感染症等の拡大を防ぐために、業種別ガイドライン等に基づく適切な感染防止対策を徹底し、検温・消毒等による従業員・施設の衛生管理、リモートワークの導入等様々な感染拡大防止策を積極的に推進しております。 <事業戦略リスク> ③ 取引先管理に関するリスク対応優先度中 リスクシナリオ当社グループは個人事業主または中小事業者に映像制作等の関連業務を委託しております。それらの業務委託先が自社の財務状況等による運営が停止された場合は、当社グループの業務継続に支障が生じる可能性があります。加えて、それらの業務委託先との契約に不備があった場合、当社が提供するサービスや制作する作品の品質レベルが維持できなくなり、当社グループの社会的信用あるいはブランドイメージが毀損される可能性があります。また、当社グループは国内外において多様な企業と取引を行っております。適切な契約条件での契約締結ができない場合は、当社グループにとって不利益な状況に陥り、事業活動及び収益に影響を及ぼす可能性があります。 対応策当社グループは、公正な取引の実現と健全なパートナーシップの構築を築くため、業務委託先を含む取引先との関係において、選定管理体制の強化および契約内容の適正化に継続して取り組んでまいりました。また、これらの取り組みをより一層実効性のあるものとし、グループ全体で一貫した高い水準の管理体制を確立するため、「東映グループ取引方針」を策定しております。本方針に基づき、サプライチェーン全体のリスク低減と相互の持続的なパートナーシップの深化に努めてまいります。 ④ 風評リスク対応優先度高 リスクシナリオ当社グループが事業展開を行う各種事業のサービス及び映像作品に関して、各種のソーシャルメディアを通じて、宣伝や交流等を目的とした積極的な情報発信をしております。当社グループの従業員による不適切な内容が投稿された場合は、当社グループの社会的信用及びブランドイメージが毀損される可能性があります。また、当社グループの映像作品等の社外関係者による不祥事、または第三者による誹謗中傷が発生した場合は、当社グループまたは映像作品等が風評被害を受け、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。ソーシャルメディアの普及に伴う情報拡散力や、不祥事・誹謗中傷がブランド価値へ与える影響の深刻度を再評価し、対策優先度を「高」に引き上げております。 対応策ソーシャルメディアにおける情報発信に関し、その内容を事前に確認・承認する管理体制を構築し、その実効性ある運用を徹底しております。また、専用ツール等を活用した多角的なSNS監視体制の強化や、運用するSNSアカウント及びECサイトの網羅的な状況把握を進めております。風評被害の発生可能性を低減することを目的として、定期的な社内セミナーの開催に加え、各種ガイドラインのリマインド、具体的なケーススタディの定期発信を実施しております。さらに、社内報やポスター等を通じて全従業員のソーシャルメディア・リテラシー及びコンプライアンス意識の向上、並びに万一の際における迅速な報告経路の周知徹底を推進しております。加えて、迅速かつ的確な対応を実行し事業への影響を最小限に抑制できるよう、他社事例の収集や具体的な対応策の検証を行い、社内における包括的な危機管理体制の構築および強化にも注力しております。 ⑤ 労働・安全衛生に関するリスク対応優先度高 リスクシナリオ従業員の長時間労働は、健康障害や心身の不調につながる恐れがあり円滑な業務の遂行に支障をきたす可能性があるだけでなく、これに起因して労働災害等重篤な事故が発生すると、損害賠償等経済的な損失や、社会的信用の失墜を招く可能性があります。 対応策当社グループは従業員の心身健康を守るために、長時間労働を抑制する働き方改革を推進しており、各部署における労務管理を徹底すると共にリモートワークの推進や休暇取得の奨励等の働きやすい職場環境を構築する対応策を積極的に講じています。加えて、定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、長時間労働の発生状況等をモニタリングしております。また、労働安全衛生に関するリスクへの対応を強化することを一つの目的として、「東映グループ人権方針」を策定しております。本方針に基づき、従業員の人権尊重及び安全衛生水準の向上に取り組み、当該リスクの低減を図ってまいります。 ⑥ 人材確保に係るリスク対応優先度中 リスクシナリオ少子高齢化の加速による労働人口の減少、あるいは当社グループが人材の多様性等を確保した良好な職場環境やリモートワーク等の従業員にとって柔軟な職場環境を整備できない場合は、人材獲得における競争上の優位性の確保できず、従業員の採用及び維持が難しくなり、採用コストを含めた人件費が増加し、または人員不足による業務停滞が発生する等、事業の継続に影響を与える可能性があります。 対応策従業員の能力開発においては、専門人材の継続的な育成に注力しております。また、定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、その結果を職場環境の具体的な改善策に反映させることで、従業員一人ひとりが働きがいを感じられる環境づくりを推進しています。これらに加え、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため、各種制度の充実化も図っております。採用面では、ダイバーシティを重要な戦略と位置づけ、多様な視点や価値観を持つ人材を積極的に採用しております。さらに、事業戦略の実現に不可欠な人材を安定的に確保するため、採用チャネルの多様化を戦略的に進めております。 ⑦ 事業環境に関するリスク対応優先度中 リスクシナリオ当社グループが事業展開を行う事業において、競争環境や事業環境の変化によって、以下のような事象が発生し、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。・関連する技術の研究や開発による費用の増加・技術革新に対する対応や導入の遅れによる競争上の優位性の低下・既存IPにおける原作終了や新たなIPの原作利用権の喪失による収益の低下・劇場用映画の興行成績の予測が困難であることによる収益の低下 対応策当社グループは2010年に映像制作におけるデジタル技術の実践を中心に研究を行うツークン研究所を立上げ、当社グループが制作した作品に映像技術の活用を継続的に取り組んできました。加えて、バーチャルプロダクション技術を多様な作品に活用する取り組みを推進しております。また、各作品の興行成績の予測には困難を伴いますが、可能な限りの厳密な興収予測を立て、動員力と完成度を重視した企画選定を徹底しております。加えて、幅広いチャンネルでの多様かつ良質なコンテンツの企画及び制作に努め、年間を通じてバランスの取れた興行収入を得られるような取り組みを推進しております。 <ガバナンスリスク> ⑧ 個人情報等の機密情報の取り扱いに関するリスク対応優先度高 リスクシナリオ当社グループでは、顧客等から得た個人情報を数多く保有しております。当社グループの従業員あるいは外部の業務委託先が保有する個人情報を適切に取り扱わず、個人情報の外部流出、あるいは不正利用が生じた場合は、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受ける可能性、顧客または関係企業から訴訟を提起される可能性や当社グループの社会的信用及びブランドイメージが毀損される可能性があります。 対応策当社グループは保有する個人情報を適切に管理するために、個人情報の取り扱いに関するルール及びガイドラインの策定と運用の徹底に努めております。また、当社グループの従業員に対して、定期に個人情報の取り扱いに関する教育の実施と社内管理体制の整備を行い、細心の注意を払っております。 ⑨ 情報セキュリティリスク対応優先度高 リスクシナリオ当社グループが事業展開を行う各種事業のサービス提供や業務遂行にあたって、様々な情報システム及びネットワークを活用しております。災害、事故または大規模なシステム障害によるシステムの停止、遅延、あるいは第三者によるサイバー攻撃または不正アクセス等が発生した場合は、当社グループが提供するサービスや業務の遂行が停止すると共に、当社グループが保有する個人情報や映像コンテンツ等を含めた重要データが漏洩、改ざん、あるいは不正利用され、当社グループの事業活動、社会的信用及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 対応策当社グループでは、情報セキュリティ事故を未然に防止するため、情報セキュリティの推進体制整備と従業員への啓発、社内ネットワークに関する監視機能の強化や情報へのアクセスの制限等を実施しております。また、当該リスクが発生した場合は、適切な対応を即時実施の上、原因解析や影響範囲の調査を行い、再発防止並びに防御の最適化を図る体制をとっております。 ⑩ 著作権等の知的財産権に関するリスク対応優先度高 リスクシナリオ当社グループの保有する知的財産権については、海賊版や模倣品等による権利侵害が現実に発生しております。それらについては、ケースごとに適切な対応をとるよう努めておりますが、海外あるいはインターネット等においては、法規制その他の問題から、知的財産権の保護を充分に受けられない可能性があります。仮に、当社グループが、侵害行為を回避できない場合は、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。一方、当社グループが所有または利用する知的財産権に関して、第三者から訴訟を提起される等の結果、損害賠償義務を負ったり、知的財産権の利用が差し止められたりする可能性があります。 対応策当社グループは著作権、商標権等の保護に関する各種対策の強化に努めております。なお、第三者による侵害が発生した場合、当社グループは毅然とした対応で、法的措置を取る等の対策を徹底しております。また、従業員による第三者が保有する知的財産の侵害を防ぐために、当社グループは知的財産の取り扱いに関する周知等を定期的に行っております。 ⑪ コンプライアンス違反リスク対応優先度高 リスクシナリオ当社グループの役員または従業員によるハラスメントや不正行為、当社グループの雇用環境に関する従業員等からの当社グループへの訴訟の提起等が発生した場合は、当社グループの社会的信用及びブランドイメージが毀損される可能性があります。 対応策当社グループでは「コンプライアンス委員会」を設置しており、「東映コンプライアンス指針」を周知徹底し、コンプライアンス全般に関する啓発・研修体制の充実に取り組み、適正なコンプライアンス体制の構築及び運用を行っております。加えて、「東映グループホットライン規程」を定めており、通報窓口を活用し、不正・不祥事に関する情報収集及び即時に必要な対応を実施しており、予防・再発防止のための情報展開等に取り組んでおります。また、コンプライアンス違反リスクへの対応を強化することを一つの目的として、「東映グループ人権方針」を策定しております。本方針に基づき、事業活動における人権尊重を徹底し、法令遵守及び企業倫理の浸透を図ることで、当該リスクの低減に努めてまいります。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 東映 の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →