一般的なネットキャッシュは「現預金 − 有利子負債」で計算するが、清原達郎氏の定義は流動資産を丸ごと足し、負債を全額引く。売掛金や在庫も「いずれ現金になるもの」として数え、そのぶん負債側も厳しく見る、という考え方である。さらに投資有価証券は70%でしか評価しない。持ち合い株などを売れば税金がかかり、額面どおりには手元に残らないためだ。この一手間が、机上の計算と実際に回収できる金額の差を埋めている。比率が1を超えるとは、会社を丸ごと買い取ったとき、買収代金より多い現金が金庫から出てくる状態を意味する。事業がタダで付いてくる計算になる。
スクリーニングの一次フィルタとして使う。ただしこの指標単独で買ってはいけない。現金が多いだけの会社には、たいてい安い理由がある。5年平均ROEや営業利益率を重ねて「稼ぐ力があるか」を確かめ、さらに増配・自社株買いの実績で「現金が株主に還る道筋があるか」を確認する。
価格はあなたが支払うもの。価値はあなたが得るもの。
ポイント:投資有価証券を70%で評価するのは、売却時の税金を織り込むため。額面どおりには手元に残らない。