事業の概要
- 主力事業の全体像ニッスイ(日本水産株式会社)は、水産・食品・ファイン・物流の4事業を柱とする総合水産食品企業です。漁撈・養殖・加工・販売まで一貫して手がける垂直統合型のビジネスモデルを持ち、国内外64の子会社・25の関連会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
- 収益の中心となる事業売上規模が最も大きいのは食品事業(約4,711億円)で、冷凍食品や総菜などの加工食品が収益を牽引しています。水産事業(約3,641億円)は漁撈・養殖・加工・商事を網羅し、黒瀬水産やNISSUI USA等を通じて国内外で展開。この2事業で全売上の大半を占める構造です。
- ファイン・物流の補完的役割ファイン事業はEPAやDHAといった健康機能素材の製造・販売を担い、売上規模は約158億円と小さいながらも高付加価値領域です。物流事業(約165億円)は冷蔵倉庫・配送・通関を担う日水物流を中心に、グループ全体のサプライチェーンを支える基盤的な役割を果たしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 食品事業が最大の稼ぎ頭食品事業の売上は約4,711億円、営業利益は約287億円と、4事業の中で売上・利益ともに最大規模を誇ります。㈱日本デリカサービスや米国のGORTON'S, INC.など国内外19社の連結子会社を通じ、冷凍食品・チルド食品などの加工事業を展開しています。消費者に身近な食品を扱うことから安定した収益基盤となっている模様です。
- 水産事業は規模大・利益率は相対的に低め水産事業の売上は約3,641億円と大きいものの、営業利益は約84億円にとどまり、利益率は食品事業と比べると低い水準です。漁撈・養殖・加工・商事と幅広い活動を国内外32社超の子会社・関連会社で行っており、原材料費や漁業コストなどが利益を圧迫しやすい構造とみられます。
- ファイン・物流は小規模だが収益性に注目ファイン事業は売上約158億円・営業利益約9億円、物流事業は売上約165億円・営業利益約28億円と規模は小さいものの、物流事業の利益率(約17%)は相対的に高水準です。ファイン事業はEPA・DHAなど機能性素材という高付加価値領域を担い、健康食品市場の成長とともに将来的な拡大が期待される分野とされています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| MarineProducts | 事業 | 3,641 | 84 | 2.3% |
| Grocery | 事業 | 4,711 | 287 | 6.1% |
| Fine | 事業 | 158 | 9 | 5.6% |
| Logistics | 事業 | 165 | 28 | 17.2% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社71社及び関連会社27社で構成され、水産事業、食品事業、ファイン事業及び物流事業を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びサービス等を展開しております。当社グループの事業に関わる位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。 ○水産事業………当社及び連結子会社[黒瀬水産㈱、NISSUI USA, INC.他38社]、非連結子会社1社[持分法適用会社]、並びに関連会社㈱大水他18社[持分法適用会社]で漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を行っております。 ○食品事業………当社及び連結子会社[㈱日本デリカサービス、GORTON'S, INC.他18社]、並びに関連会社5社[持分法適用会社]で加工事業及びチルド事業を行っております。 ○ファイン事業…当社及び連結子会社1社で医薬品原料、機能性原料(注1)及び機能性食品(注2)などの生産・販売を行っております。 ○物流事業………連結子会社[日水物流㈱他2社]及び関連会社2社[うち持分法適用会社1社]で冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を行っております。 ○その他…………連結子会社[ニッスイ・エンジニアリング㈱他5社]及び関連会社1社で船舶の建造・修繕、運航、エンジニアリング等を行っております。 (注1)サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。 (注2)主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品 「イマークS」などの健康食品。 事業の系統図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 水産物の持続的調達やサステナブル製品への需要で価格決定力向上機会があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 「シーフードプロ技術」や高純度EPAの研究、完全養殖技術など独自の技術開発を行っている。 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:人的資本への対応に関するリスク / 気候変動への対応に関するリスク / 生物多様性への対応に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
ニッスイは長年培ってきた水産・食品加工技術と、ブランド力を持つ商品群(おさかなソーセージ、冷凍食品など)が強み。ただし、競合他社も同様の技術やブランドを持つため、差別化は限定的。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
一般消費者向け商品が多く、ブランドロイヤリティは一定程度あるものの、価格や利便性で代替可能な商品も多い。業務用では顧客との関係性は存在するが、切り替えコストは高くない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
特定のネットワーク効果が働く事業モデルではない。サプライヤーや流通網との関係性は重要だが、ネットワーク外部性はない。
コスト優位★☆☆☆☆
規模の経済によるコスト優位性は一部存在するが、原材料価格の変動や国際的な競争環境により、絶対的なコスト優位性を確立するのは難しい。
規模の経済★★★☆☆
水産・食品大手として、調達、生産、販売において規模の経済が働く。国内外に広がる事業基盤と、多様な製品ポートフォリオが強み。
- 水産事業の川上から川下への一貫体制漁撈・養殖から加工・流通・販売まで自社グループで一括管理できる垂直統合体制は、原料調達の安定性やコスト管理の面で強みとなり得ます。黒瀬水産による養殖事業やNISSUI USAなどの海外拠点を持つことで、国内外の調達網を分散させているとみられます。ただし天候や漁況など自然要因の影響は避けられない面もあります。
- 機能性素材分野での技術蓄積ファイン事業では、サプリメントや乳幼児向け粉ミルクに添加するEPA・DHAなどの機能性原料を生産・販売しており、長年の研究開発に裏付けられた技術力が背景にあるとみられます。「イマークS」などの特定保健用食品や機能性表示食品の自社ブランドも保有しており、一定のブランド価値が形成されている可能性があります。
- 海外ブランドと国際展開力米国子会社GORTON'S, INC.は北米で知名度のある水産食品ブランドとされており、海外における販売基盤の一端を担っています。国内大手水産企業として長年にわたり培ってきた業界ネットワークや流通チャネルも一定の参入障壁になり得ますが、競合他社との差異化については継続的な努力が必要とみられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】<ミッションと長期ビジョン>当社グループのミッションは、時代や環境の変化に応じた“食”の新たな可能性の追求を通じて、社会課題を解決することです。ミッションは、土台にある 「創業の理念と5つの遺伝子」 とステークホルダーへのコミットを示す 「サステナビリティ行動宣言」 に基づいており、時代や環境の変化に応じた“食”の新たな可能性の追求を通じて、長期ビジョン 「GOOD FOODS 2030」の実現と持続的な成長を目指します。 当社がこれまで110余年かけて培った資源アクセス力、研究開発力、生産技術、品質保証力、世界各国に張り巡らせたグローバルリンクス・ローカルリンクスで構成される*バリューチェーンの強みと特長を活かし、「心と体を豊かにする新しい食」、「社会課題を解決する新しい食」を提供してまいります。*「バリューチェーンの強みと特長」の詳細は「統合報告書2025」P.16をご覧ください。https://www.nissui.co.jp/ir/download/integrated_report/2025_integrated_report_a4all.pdf <長期ビジョン「2030年のありたい姿」> 長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」の達成に向け、マルチステークホルダーへ配慮しながら持続可能な社会への価値を創造する“サステナビリティ経営”を推進するとともに、ROIC活用により成長分野へ経営資源を集中する“事業ポートフォリオマネジメント”を強化し、企業価値向上に努めます。 海外マーケットでの伸長、養殖事業・ファインケミカル事業の成長と差別化を加速し、2030年には、海外所在地売上高比率を50%、売上高1兆円、営業利益500億円を稼げる企業を目指します。 (中期経営計画の基本戦略の進捗状況) 事業ポートフォリオマネジメントの深化事業のROICスプレッド・成長性・ミッション親和性を評価し、最適な経営資源配分と事業戦略を推進します。2025年度は南米養殖会社の買収などを通じて、重点成長分野である海外成長の加速及び養殖事業の強化を進めました。さらに、体質強化分野である北米水産加工及び南米漁業会社の生産性向上による収益改善に取り組みました。グローバル展開の加速北米・欧州を中心に事業規模拡大を加速させ、水産フライに加え第二の柱を育成するとともに、アジア事業の拡大とグローバルサウスでの事業機会を探索します。2027年度までに海外所在地売上高比率を43%程度に高める目標を掲げており、2025年度は資源アクセスの強化と海外販路の拡大等を目的として南米養殖会社を買収しました。また、海外食品工場の新設・増設を通じて、生産能力の向上と物流効率化を進めました。これらの取り組みにより、2025年度の海外所在地売上高比率は41.2%となりました。新規事業・事業境界領域の開拓“心と体を豊かにする”“さまざまな社会課題を解決する”イノベーティブな食を通じて成長に繋げます。2025年度は食の可能性を引き出し、新しい価値を共創することを目的に、パートナー企業及び事業アイデアを募集するプログラム「Nissui Open Innovation 2025」を実施しました。また、社員の起業家精神の醸成と挑戦する風土づくりを目的に、2020年度から新規事業アイデアの社内公募を実施しており、2025年度の応募件数は前年度を大きく上回る約80件となりました。「PAWSOME DELI」のようなペットフード事業や、「黒瀬ぶり」の皮という未利用資源を活用したアップサイクル素材「namino leather」など、新たな価値創出につながる取り組みを進めています。DXの推進全体最適を志向したDXにより、業務はもとより製品・サービス・働き方などを革新します。2025年度は、養殖ブリの3D魚体計測システムを開発し、従来の人手による体型データ収集の課題を解決しました。これにより、高精度かつ大量のデータ収集が可能となり、魚体重推定モデルの精度向上を実現しました。今後は、病気の早期発見による養殖魚のウェルフェア改善や、適切な給餌量設定によるコスト削減・環境負荷低減につなげていきます。また、DX推進を自分ごと化し、自らの業務に即して捉え実行に移せる「DX人財」の育成にも取り組み、社内全体でのDX推進力強化を図っています。サステナビリティと事業戦略の連動強化黒瀬ぶりの養殖の様なサステナビリティ基点でのビジネスモデルを構築し競争優位を獲得します。また、ステークホルダーとの共創でマテリアリティに取り組み、企業価値を向上させます。2025年度発行の「TNFDレポート」では、重点成長分野である養殖事業を対象として、自然への依存・影響分析並びにリスク・機会評価の深化に加え、当社の具体的な取り組みについて開示しています。資金調達面では本邦初となるブルー・ネイチャーボンドを発行しました。調達した資金は、完全養殖かつASC・MEL等の認証を取得済みの養殖事業に充当し、水産資源の生物多様性の保全と持続的な利用を一層推進していきます。人的資本経営とブランディングの推進競争力の源泉である人的資本とブランディングの取り組みを強化します。2025年度は、ミッションの体現及びビジョンの実現に向け、「人財マネジメントポリシー」を策定しました。本ポリシーに基づき人財戦略を推進することで、人的資本経営に取り組んでいます。経営戦略と連動したリスクマネジメント重要リスク対応を一元管理し、優先順位をつけ経営戦略を遂行します。2025年度は当社グループを取り巻く各リスクが中長期的な重要課題・事業戦略に及ぼす影響を判断する「リスク評価基準」を策定しました。今後はこれを活用してリスクの重要度を客観的かつ統一的に評価し、優先順位に応じた具体的なリスク低減策や初動対応計画の策定、リソースの再配分を行うことで、不確実性に対する経営のレジリエンス強化に努めていきます。グループガバナンスの強化グループ会社取締役会の実効性を高め、グループ経営の基盤を強化します。2025年度は、グループ会社役員の指名・報酬制度の整備、人財基盤強化を目的とした取締役研修の実施、監査指摘事項のグループ内共有などを通じて、グループガバナンスの強化を進めました。 <マテリアリティ>当社グループでは、マテリアリティを「当社グループの成長と中長期的な企業価値向上に向けて優先的に取り組むべき経営上の重要課題」と位置付けています。特定した10のマテリアリティは全社のリスクマネジメントとも連動しており、マテリアリティをリスクマネジメントの基点として、中長期的な経営戦略を見据えた重要リスクを特定しています。また、マテリアリティを踏まえた新中期経営計画「GOOD FOODS Recipe2」における基本戦略を実行することで、長期ビジョンの実現に向けて取り組むとともに、ミッションで掲げる「健やかな生活とサステナブルな未来の実現」へ貢献していきます。 マテリアリティの特定プロセス 当社グループでは、2016年度に特定したマテリアリティに基づき、サステナビリティ経営への進化に取り組んできましたが、外部環境の複雑化に対応すべく、2023年度に見直しを行いました。STEP1:当社グループが取り組むべき社会課題の抽出と整理多様な社会ニーズ・要請に対応するため、SDGsやサステナビリティ情報開示ガイドライン、ESG評価項目、規制当局や行政からの要請事項、ステークホルダーエンゲージメントの内容などから社会課題を抽出。当社グループの事業領域や各部門で行ったリスクと機会の分析や役員によるワークショップの結果をもとに、マテリアリティ候補をリストアップしました。 STEP2:サステナビリティ委員会におけるレビューサステナビリティ委員会において、当社グループのビジネスモデルの持続性に関するディスカッションを実施。リストアップしたマテリアリティ候補について、不足している項目がないか、レビューを行いました。STEP3:ステークホルダーによる重要度評価サステナビリティ委員会でレビューしたマテリアリティ候補について、社内外のステークホルダー(従業員、労働組合、海外グループ会社、NPO/NGO、学識経験者、投資家(株主)、国際機関、行政、業界団体、取引先、将来世代)にアンケートを実施し、ステークホルダーにとっての重要度と当社グループにとっての重要度の二軸で課題の重要度を測定しました。STEP4:役員ワークショップ、社外取締役によるレビュー重要度評価の結果をもとに、役員によるワークショップを実施。マテリアリティマトリックスを最終化し、マテリアリティ候補を特定しました。また、社外取締役によるマトリックス及びマテリアリティ候補のレビューも実施しました。STEP5:外部有識者による妥当性評価外部有識者4名(投資家、NGO、学識経験者)より、マテリアリティの特定プロセス及び最終案について、妥当性の評価をいただきました。STEP6:役員による再討議を経て取締役会にて決議外部有識者からのご意見を踏まえ、サステナビリティ委員会と執行役員会で複数回の討議を重ね、サステナビリティ委員会にてマテリアリティ最終案を審議。その後、取締役会決議により当社グループが取り組むマテリアリティを特定しました。 (注)マテリアリティ及びマテリアリティ特定プロセスの詳細については、サステナビリティサイトをご参照ください。https://nissui.disclosure.site/ja/themes/85 マテリアリティ推進体制見直したマテリアリティについては、それぞれ対応する推進組織を設置し、執行役員以上が責任者を務め経営視点で取り組むことで、持続可能な社会に向けて価値を創造するサステナビリティ経営を推進しています。 <中期経営計画と基本戦略>2030年の長期ビジョン実現に向け、中期経営計画「GOOD FOODS Recipe2」において以下3つの基本戦略で取り組みます。 (基本戦略) 〇事業ポートフォリオマネジメントの深化 事業のROICスプレッド・成長性・ミッション親和性を評価し、最適な経営資源配分と事業戦略を推進します。 〇グローバル展開の加速北米・欧州を中心に事業規模拡大を加速。水産フライに加え第二の柱を育成するとともに、アジア事業の拡大とグローバルサウスでの事業機会を探索します。 〇新規事業・事業境界領域の開拓“心と体を豊かにする”“さまざまな社会課題を解決する”イノベーティブな食を通じて成長に繋げます。 〇DXの推進全体最適を志向したDXにより、業務はもとより製品・サービス・働き方などを革新します。 〇サステナビリティと事業戦略の連動強化サステナビリティ基点でのビジネスモデルを構築し競争優位を獲得します。また、ステークホルダーとの共創でマテリアリティに取り組み、企業価値の向上を目指します。 〇人的資本経営とブランディングの推進ニッスイの競争力の源泉を強化し、Recipe2では人的資本とブランディングの取り組みを強化し企業価値の向上を目指します。 〇経営戦略と連動したリスクマネジメント重要リスク対応を一元管理し、優先順位をつけ経営戦略に落とし込みます。 〇グループガバナンスの強化グループ会社取締役会の実効性を高め、グループ経営の基盤を強化します。 <中期経営計画における投資と財務戦略>成長と財務安全性の両立を図り、3年間の株主還元は総還元性向40%以上を目指します。 投資については、中計3年間で1,500億円程度を計画しています。(完成ベース)
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】<ミッションと長期ビジョン>当社グループのミッションは、時代や環境の変化に応じた“食”の新たな可能性の追求を通じて、社会課題を解決することです。ミッションは、土台にある 「創業の理念と5つの遺伝子」 とステークホルダーへのコミットを示す 「サステナビリティ行動宣言」 に基づいており、時代や環境の変化に応じた“食”の新たな可能性の追求を通じて、長期ビジョン 「GOOD FOODS 2030」の実現と持続的な成長を目指します。 当社がこれまで110余年かけて培った資源アクセス力、研究開発力、生産技術、品質保証力、世界各国に張り巡らせたグローバルリンクス・ローカルリンクスで構成される*バリューチェーンの強みと特長を活かし、「心と体を豊かにする新しい食」、「社会課題を解決する新しい食」を提供してまいります。*「バリューチェーンの強みと特長」の詳細は「統合報告書2025」P.16をご覧ください。https://www.nissui.co.jp/ir/download/integrated_report/2025_integrated_report_a4all.pdf <長期ビジョン「2030年のありたい姿」> 長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」の達成に向け、マルチステークホルダーへ配慮しながら持続可能な社会への価値を創造する“サステナビリティ経営”を推進するとともに、ROIC活用により成長分野へ経営資源を集中する“事業ポートフォリオマネジメント”を強化し、企業価値向上に努めます。 海外マーケットでの伸長、養殖事業・ファインケミカル事業の成長と差別化を加速し、2030年には、海外所在地売上高比率を50%、売上高1兆円、営業利益500億円を稼げる企業を目指します。 (中期経営計画の基本戦略の進捗状況) 事業ポートフォリオマネジメントの深化事業のROICスプレッド・成長性・ミッション親和性を評価し、最適な経営資源配分と事業戦略を推進します。2025年度は南米養殖会社の買収などを通じて、重点成長分野である海外成長の加速及び養殖事業の強化を進めました。さらに、体質強化分野である北米水産加工及び南米漁業会社の生産性向上による収益改善に取り組みました。グローバル展開の加速北米・欧州を中心に事業規模拡大を加速させ、水産フライに加え第二の柱を育成するとともに、アジア事業の拡大とグローバルサウスでの事業機会を探索します。2027年度までに海外所在地売上高比率を43%程度に高める目標を掲げており、2025年度は資源アクセスの強化と海外販路の拡大等を目的として南米養殖会社を買収しました。また、海外食品工場の新設・増設を通じて、生産能力の向上と物流効率化を進めました。これらの取り組みにより、2025年度の海外所在地売上高比率は41.2%となりました。新規事業・事業境界領域の開拓“心と体を豊かにする”“さまざまな社会課題を解決する”イノベーティブな食を通じて成長に繋げます。2025年度は食の可能性を引き出し、新しい価値を共創することを目的に、パートナー企業及び事業アイデアを募集するプログラム「Nissui Open Innovation 2025」を実施しました。また、社員の起業家精神の醸成と挑戦する風土づくりを目的に、2020年度から新規事業アイデアの社内公募を実施しており、2025年度の応募件数は前年度を大きく上回る約80件となりました。「PAWSOME DELI」のようなペットフード事業や、「黒瀬ぶり」の皮という未利用資源を活用したアップサイクル素材「namino leather」など、新たな価値創出につながる取り組みを進めています。DXの推進全体最適を志向したDXにより、業務はもとより製品・サービス・働き方などを革新します。2025年度は、養殖ブリの3D魚体計測システムを開発し、従来の人手による体型データ収集の課題を解決しました。これにより、高精度かつ大量のデータ収集が可能となり、魚体重推定モデルの精度向上を実現しました。今後は、病気の早期発見による養殖魚のウェルフェア改善や、適切な給餌量設定によるコスト削減・環境負荷低減につなげていきます。また、DX推進を自分ごと化し、自らの業務に即して捉え実行に移せる「DX人財」の育成にも取り組み、社内全体でのDX推進力強化を図っています。サステナビリティと事業戦略の連動強化黒瀬ぶりの養殖の様なサステナビリティ基点でのビジネスモデルを構築し競争優位を獲得します。また、ステークホルダーとの共創でマテリアリティに取り組み、企業価値を向上させます。2025年度発行の「TNFDレポート」では、重点成長分野である養殖事業を対象として、自然への依存・影響分析並びにリスク・機会評価の深化に加え、当社の具体的な取り組みについて開示しています。資金調達面では本邦初となるブルー・ネイチャーボンドを発行しました。調達した資金は、完全養殖かつASC・MEL等の認証を取得済みの養殖事業に充当し、水産資源の生物多様性の保全と持続的な利用を一層推進していきます。人的資本経営とブランディングの推進競争力の源泉である人的資本とブランディングの取り組みを強化します。2025年度は、ミッションの体現及びビジョンの実現に向け、「人財マネジメントポリシー」を策定しました。本ポリシーに基づき人財戦略を推進することで、人的資本経営に取り組んでいます。経営戦略と連動したリスクマネジメント重要リスク対応を一元管理し、優先順位をつけ経営戦略を遂行します。2025年度は当社グループを取り巻く各リスクが中長期的な重要課題・事業戦略に及ぼす影響を判断する「リスク評価基準」を策定しました。今後はこれを活用してリスクの重要度を客観的かつ統一的に評価し、優先順位に応じた具体的なリスク低減策や初動対応計画の策定、リソースの再配分を行うことで、不確実性に対する経営のレジリエンス強化に努めていきます。グループガバナンスの強化グループ会社取締役会の実効性を高め、グループ経営の基盤を強化します。2025年度は、グループ会社役員の指名・報酬制度の整備、人財基盤強化を目的とした取締役研修の実施、監査指摘事項のグループ内共有などを通じて、グループガバナンスの強化を進めました。 <マテリアリティ>当社グループでは、マテリアリティを「当社グループの成長と中長期的な企業価値向上に向けて優先的に取り組むべき経営上の重要課題」と位置付けています。特定した10のマテリアリティは全社のリスクマネジメントとも連動しており、マテリアリティをリスクマネジメントの基点として、中長期的な経営戦略を見据えた重要リスクを特定しています。また、マテリアリティを踏まえた新中期経営計画「GOOD FOODS Recipe2」における基本戦略を実行することで、長期ビジョンの実現に向けて取り組むとともに、ミッションで掲げる「健やかな生活とサステナブルな未来の実現」へ貢献していきます。 マテリアリティの特定プロセス 当社グループでは、2016年度に特定したマテリアリティに基づき、サステナビリティ経営への進化に取り組んできましたが、外部環境の複雑化に対応すべく、2023年度に見直しを行いました。STEP1:当社グループが取り組むべき社会課題の抽出と整理多様な社会ニーズ・要請に対応するため、SDGsやサステナビリティ情報開示ガイドライン、ESG評価項目、規制当局や行政からの要請事項、ステークホルダーエンゲージメントの内容などから社会課題を抽出。当社グループの事業領域や各部門で行ったリスクと機会の分析や役員によるワークショップの結果をもとに、マテリアリティ候補をリストアップしました。 STEP2:サステナビリティ委員会におけるレビューサステナビリティ委員会において、当社グループのビジネスモデルの持続性に関するディスカッションを実施。リストアップしたマテリアリティ候補について、不足している項目がないか、レビューを行いました。STEP3:ステークホルダーによる重要度評価サステナビリティ委員会でレビューしたマテリアリティ候補について、社内外のステークホルダー(従業員、労働組合、海外グループ会社、NPO/NGO、学識経験者、投資家(株主)、国際機関、行政、業界団体、取引先、将来世代)にアンケートを実施し、ステークホルダーにとっての重要度と当社グループにとっての重要度の二軸で課題の重要度を測定しました。STEP4:役員ワークショップ、社外取締役によるレビュー重要度評価の結果をもとに、役員によるワークショップを実施。マテリアリティマトリックスを最終化し、マテリアリティ候補を特定しました。また、社外取締役によるマトリックス及びマテリアリティ候補のレビューも実施しました。STEP5:外部有識者による妥当性評価外部有識者4名(投資家、NGO、学識経験者)より、マテリアリティの特定プロセス及び最終案について、妥当性の評価をいただきました。STEP6:役員による再討議を経て取締役会にて決議外部有識者からのご意見を踏まえ、サステナビリティ委員会と執行役員会で複数回の討議を重ね、サステナビリティ委員会にてマテリアリティ最終案を審議。その後、取締役会決議により当社グループが取り組むマテリアリティを特定しました。 (注)マテリアリティ及びマテリアリティ特定プロセスの詳細については、サステナビリティサイトをご参照ください。https://nissui.disclosure.site/ja/themes/85 マテリアリティ推進体制見直したマテリアリティについては、それぞれ対応する推進組織を設置し、執行役員以上が責任者を務め経営視点で取り組むことで、持続可能な社会に向けて価値を創造するサステナビリティ経営を推進しています。 <中期経営計画と基本戦略>2030年の長期ビジョン実現に向け、中期経営計画「GOOD FOODS Recipe2」において以下3つの基本戦略で取り組みます。 (基本戦略) 〇事業ポートフォリオマネジメントの深化 事業のROICスプレッド・成長性・ミッション親和性を評価し、最適な経営資源配分と事業戦略を推進します。 〇グローバル展開の加速北米・欧州を中心に事業規模拡大を加速。水産フライに加え第二の柱を育成するとともに、アジア事業の拡大とグローバルサウスでの事業機会を探索します。 〇新規事業・事業境界領域の開拓“心と体を豊かにする”“さまざまな社会課題を解決する”イノベーティブな食を通じて成長に繋げます。 〇DXの推進全体最適を志向したDXにより、業務はもとより製品・サービス・働き方などを革新します。 〇サステナビリティと事業戦略の連動強化サステナビリティ基点でのビジネスモデルを構築し競争優位を獲得します。また、ステークホルダーとの共創でマテリアリティに取り組み、企業価値の向上を目指します。 〇人的資本経営とブランディングの推進ニッスイの競争力の源泉を強化し、Recipe2では人的資本とブランディングの取り組みを強化し企業価値の向上を目指します。 〇経営戦略と連動したリスクマネジメント重要リスク対応を一元管理し、優先順位をつけ経営戦略に落とし込みます。 〇グループガバナンスの強化グループ会社取締役会の実効性を高め、グループ経営の基盤を強化します。 <中期経営計画における投資と財務戦略>成長と財務安全性の両立を図り、3年間の株主還元は総還元性向40%以上を目指します。 投資については、中計3年間で1,500億円程度を計画しています。(完成ベース)
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の拡大や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調が継続した一方、地政学リスクや米国の関税政策に伴う景気の下振れリスク、物価上昇に伴う消費者の節約志向の高まりなど、依然として先行き不透明な状況が続いています。世界経済(連結対象期間1-12月)については、欧米を中心に景気は底堅く推移したものの、地政学リスクの継続により先行き不透明な経済環境が続いています。当社グループでは、2025年4月にスタートした「中期経営計画GOOD FOODS Recipe2」にて「海外事業の成長」「養殖事業の高度化」「不採算事業のターンアラウンド」を掲げ、事業ポートフォリオの強化を推進しています。当連結会計年度においては、前期に苦戦した漁撈・養殖事業及び北米水産加工事業の改善が進むとともに、チルド事業が堅調に推移しました。このような状況下、当連結会計年度の営業成績は、売上高は9,312億65百万円(前期比451億39百万円増)、営業利益は404億30百万円(前期比86億51百万円増)、経常利益は431億87百万円(前期比78億86百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は275億17百万円(前期比21億36百万円増)となり、売上高、各段階利益とも過去最高を更新しました。(単位:百万円) 売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益2026年3月期931,26540,43043,18727,5172025年3月期886,12631,77935,30125,381前期増減45,1398,6517,8862,136前期比105.1%127.2%122.3%108.4% セグメント別の経営成績は次のとおりであります。(単位:百万円) 売上高前期増減前期比営業利益前期増減前期比水産事業380,15116,093104.4%17,7709,351211.1%食品事業500,98529,926106.4%29,632921103.2%ファイン事業16,9821,137107.2%839△5294.1%物流事業16,61579100.5%2,410△42784.9%その他16,531△2,09788.7%499△42554.0%全社経費---%△10,720△714107.1%合計931,26545,139105.1%40,4308,651127.2% ①水産事業水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。<当連結会計年度の概況>水産事業では売上高は3,801億51百万円(前期比160億93百万円増)となり、営業利益は177億70百万円(前期比93億51百万円増)となりました。 漁撈事業:前期比で増収、増益〈日本〉・ブリ・アジ・サバの漁獲が好調、かつ販売価格の上昇もあり増収・増益となりました。〈南米〉・2隻中1隻を減船したことにより漁獲量は減少しましたが、経費削減により赤字幅の縮小に努め減収・増益となりました。 養殖事業:前期比で増収、増益〈日本〉・短期養殖本まぐろの生産比率上昇による利益改善や、ブリの販売価格上昇に加え、ギンザケの増産が寄与し増収・増益となりました。〈南米〉・ギンザケの販売数量増加、北米向け販売の強化に加え、加工度を高めた付加価値品の生産比率上昇や市況影響などにより販売価格も上昇したうえ、生残率の向上などによる養殖コストの低減もあり増収・増益となりました。 加工・商事事業:前期比で増収、増益〈日本〉・魚油の販売数量増加や鮭鱒の価格改定の効果等により第3四半期から持ち直してきたものの、上期の影響が残り累計では増収・減益となりました。〈北米〉・加工事業は、スケソウダラのフィレ生産比率を向上させることで赤字幅の縮小に努めつつ、すりみの販売価格上昇の効果もありました。商事事業ではグループ品であるマダラ・鮭鱒・カニをはじめ販売が堅調に推移し、全体で増収・増益となりました。〈欧州〉・イタリア、ベネルクス、イギリスでの販売が堅調に推移したものの、EU諸制度対応による経費増加の影響もあり増収・減益となりました。 ②食品事業食品事業につきましては、加工事業及びチルド事業を営んでおります。<当連結会計年度の概況>食品事業では売上高は5,009億85百万円(前期比299億26百万円増)となり、営業利益は296億32百万円(前期比9億21百万円増)となりました。 加工事業:前期比で増収、減益〈日本〉・販売は家庭用のちくわ・フィッシュソーセージが順調に推移し、業務用も外食・量販店惣菜向け冷凍食品が堅調に推移しました。利益面では、原料価格上昇などを受け価格改定を実施したものの、特に家庭用冷凍食品でタイムラグや価格改定後の販売数量の減少もあり減益となりました。〈北米〉・家庭用は販売が堅調に推移しシェアを拡大しましたが、業務用が外食需要減少や米国関税による原料価格上昇の影響を受け、全体では増収・減益となりました。〈欧州〉・チルド白身魚フライ向け原料価格上昇の影響を受けたものの、フランス、イギリス及びスペインでの販売が好調に推移したことにより増収・増益となりました。 チルド事業:前期比で増収、増益・コンビニエンスストアの販売促進効果が大きく、弁当・惣菜などの販売が前期に引き続き好調に推移し増収・増益となりました。 ③ファイン事業ファイン事業につきましては、医薬品原料、機能性原料(注1)及び機能性食品(注2)などの生産・販売を行っております。<当連結会計年度の概況>ファイン事業では売上高は169億82百万円(前期比11億37百万円増)となり、営業利益は8億39百万円(前期比52百万円減)となりました。 ・医薬品原料の販売やサプリメント向け機能性原料の国内販売が堅調に推移したものの、原価高の影響もあり増収・減益となりました。 ④物流事業物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。<当連結会計年度の概況>物流事業では売上高は166億15百万円(前期比79百万円増)となり、営業利益は24億10百万円(前期比4億27百万円減)となりました。・物流の2024年問題を背景とした人員増に伴う人件費増加や、燃料費の上昇により増収・減益となりました。 (注1) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。(注2) 主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品「イマークS」などの健康食品。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)水産事業197,0314.3食品事業441,71910.4ファイン事業12,865△4.8合計651,6168.1 (注) 1.金額は、販売価格によります。 ②受注実績受注生産は行っておりません。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)水産事業380,1514.4食品事業500,9856.4ファイン事業16,9827.2物流事業16,6150.5その他16,531△11.3合計931,2655.1 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)株式会社SCI103,83011.7123,18013.2 (2)財政状態(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期増減 流動資産332,568376,08443,516 (うち 棚卸資産)195,008224,27829,270 固定資産302,309373,42571,115資産合計634,878749,509114,631 流動負債226,179276,41650,236 固定負債122,758163,14940,390負債合計348,938439,56690,627純資産合計285,939309,94324,003 資産合計は前連結会計年度末に比べて1,146億31百万円増の7,495億9百万円(18.1%増)となりました。流動資産は435億16百万円増の3,760億84百万円(13.1%増)となりました。売上増加などにより受取手形及び売掛金が82億68百万円増加したこと、棚卸資産が292億70百万円増加したことが主な要因です。固定資産は711億15百万円増の3,734億25百万円(23.5%増)となりました。新規連結化や設備投資などにより有形固定資産が375億18百万円増加したこと、無形固定資産が209億35百万円増加したことが主な要因です。 負債合計は前連結会計年度末に比べて906億27百万円増の4,395億66百万円(26.0%増)となりました。流動負債は502億36百万円増の2,764億16百万円(22.2%増)となりました。支払手形及び買掛金が220億41百万円増加したこと、短期借入金が138億98百万円増加したことが主な要因です。固定負債は403億90百万円増の1,631億49百万円(32.9%増)となりました。社債が100億円増加したこと、長期借入金が251億1百万円増加したことが主な要因です。 純資産合計は前連結会計年度末に比べて240億3百万円増の3,099億43百万円(8.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を275億17百万円計上したこと、剰余金の配当を92億37百万円行ったこと、円安の影響により為替換算調整勘定が72億86百万円増加したことなどによります。 (3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報①キャッシュ・フローの状況(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期増減営業活動によるキャッシュ・フロー40,37953,24212,862投資活動によるキャッシュ・フロー△30,393△61,403△31,010財務活動によるキャッシュ・フロー△11,45213,12924,582現金及び現金同等物期末残高18,68624,2515,565 営業活動によるキャッシュ・フローは、532億42百万円の収入(前期比128億62百万円の収入増)となりました。税金等調整前当期純利益及び減価償却費の合計が697億14百万円となった一方で、棚卸資産の増加をはじめ運転資本の増加による資金の減少が79億12百万円、法人税等の支払額が79億24百万円あったことなどによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、614億3百万円の支出(前期比310億10百万円の支出増)となりました。主に国内外の新工場建設を含む生産能力増強に向けた有形固定資産の取得による支出が430億76百万円、PESQUERA YADRAN S.A.等に係る連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が190億47百万円あったことが主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは、131億29百万円の収入(前期は114億52百万円の支出)となりました。社債の発行による収入が100億円、長期借入れによる収入が408億29百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が251億89百万円、配当金の支払額が92億26百万円あったことが主な要因です。 ②資金調達方針当社は、事業活動を円滑に行うため、コストを抑えた安定資金の調達を目指し、銀行借入等の間接金融に加え、コマーシャル・ペーパー及び社債の発行等の直接金融も活用することで、資金調達手段の多様化を推進しております。資金調達については、スワップ等を利用した長期固定資金と変動の短期資金のバランスを概ね1:1を基本に、経済情勢等に応じ長期固定資金の比率を上げるなど、機動的に対応することで金利変動リスクを低減し安定資金を確保しています。調達通貨は円・米ドル・ユーロを基本に各国の事業規模に応じた調達とすることで為替リスクを軽減しています。また、複数の金融機関とコミットメントラインを設定しており、経済環境の急激な変化による資金調達難等の流動性リスクに備えております。資金の効率性の側面では、国内はキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用、海外は各国の税制等を考慮のうえ、海外グループ間の資金融通等を本社で一元管理しています。なお、北米は日本同様、統括会社でCMSを導入し北米における資金を管理しています。 ③調達方法四半期ごとにグループの資金需要を予想し市場環境を考慮したうえで、最適な資金調達方法を策定、取締役会で審議しています。長期資金については、毎期の償還額にも配慮しつつ、長期間に亘り構築してきた幅広くかつ良好な関係にある複数の金融機関からの借入に加え、社債の発行等の直接金融も活用することで、調達基盤の強化を図っております。また、シンジケート・ローンや社債(ブルー・ネイチャーボンド)、健康経営・環境対応などESG関連の格付けを活用した調達も行っています。短期資金については、従来の借入枠の活用に加え、コマーシャル・ペーパーの発行を通じて市場から資金需要に応じて直接調達を行っております。今後もコストを抑えた安定資金を調達するため、信用格付「A」を活用した調達を含め、間接金融と直接金融のバランスを最適化しながら、資金調達手段の多様化を図ってまいります。 (4)重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、棚卸資産の評価、固定資産等の減損、繰延税金資産の回収可能性などの資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、特にIFRSを適用している在外子会社で保有する生物資産の評価(在池魚評価)については、生物資産を販売費用等の追加コスト控除後の公正価値で測定し、取得原価との差額の変動額を純損益として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生残率等を見積もる必要があることから、市場動向や養殖成績などによって公正価値評価額が大きく変動する可能性があります。海外及び国内養殖会社の仕掛魚の評価、国内養殖会社の固定資産の減損、PESQUERA YADRAN S.A.及びその子会社の海面使用権の評価に関する見積りや前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (5)今後の方針について今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
事業リスク
- 人材確保・育成に関するリスク日本国内の少子高齢化・人口減少により、優秀な人材の確保が年々難しくなっています。特にグローバル人材・DX人材・サステナビリティ人材といった専門性の高い「プロフェッショナル人材」の不足は、事業拡大の停滞や生産性の低下に直結する可能性があります。従業員エンゲージメントの低下も重なると、人材流出リスクがさらに高まる恐れがあります。
- 気候変動・生物多様性・地政学リスク水産事業は海洋環境に依存するため、気候変動による漁獲量の変動や生物多様性の喪失は原料調達に直接影響します。また海外事業を広く展開しているため、地政学的緊張(貿易摩擦・紛争・規制変更等)による事業継続リスクも存在します。これらは単独企業の対応では限界があり、業績への影響が長期にわたる可能性があります。
- サプライチェーン・コンプライアンスリスクグローバルなサプライチェーンを持つため、調達先における環境破壊や人権侵害が発覚した場合、ブランド毀損や取引停止といった経営上の打撃を受けるリスクがあります。情報セキュリティへの攻撃や製品の品質・安全問題も重要リスクとして特定されており、これらが顕在化すると消費者・投資家からの信頼低下につながりかねません。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント①リスクマネジメントの考え方当社は、『リスクマネジメント規程』において、企業の存続に影響を与えると考えられる事象発生の不確実性を「リスク」、企業が経営を行っていく上で事業に関連する内外の様々なリスクを適切に管理する活動を「リスクマネジメント」と定義しており、適切な「リスクマネジメント」の実行が経営の重要課題であると認識しています。 ②リスクマネジメントの基本方針当社グループでは、事業活動の妨げとなるリスクの未然防止に努め、緊急時には人命尊重を第一に損失の発生を最小限に抑え、被災者支援など社会への配慮を行うとともに経営資源の保全と事業の継続に最善を尽くすことで、企業価値を維持・向上していくことをリスクマネジメントの基本方針として「リスクマネジメント規程」において定めています。 ③リスクマネジメント体制当社は、リスクマネジメントの実効性を高めるため、全社的リスクマネジメントシステムの構築とその維持・向上を任務とする、社長直轄の組織であるリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は全執行役員によって構成され、社長が委員長を務め、リスクマネジメント担当執行役員は、取締役会へ定期的に活動報告をしています。また、当社のグループ経営において極めて重要度が高く優先的に対応すべきと判断したリスクを「重要リスク」として定義し、全社横断的なリスク対応計画の管理責任を負う「重要リスク管理組織」をそれぞれ設置しています。この重要リスク管理組織が各リスク対応の中心となって、グループ全体のリスクを適宜、的確に捉える体制を敷き、重要リスク対応を全社グループ視点で一元管理して経営戦略に落とし込み、将来の成長の機会とリスクの的確なマネジメントに取り組んでいます。 ・重要リスクの特定 (重要リスク管理組織の特定)・重要リスク対応計画の審議 (重要リスク管理組織が策定・報告)・重要リスク対応計画実行のレビュー (過年度総括・評価・是正)・重要リスク対応計画の網羅的な把握・確認 (次年度計画の全社集約・一元化) ■リスクマネジメント推進体制図 ④リスクマネジメントプロセス当社グループでは、新しいリスクマネジメント体制において、中長期的な経営戦略を見据えた重要リスクを特定するため、外部環境の変化を踏まえたマテリアリティをリスクマネジメントの起点とし、年間のPDCAサイクルでリスクマネジメント活動を推進しています。重要リスクの見直しはマテリアリティを見直すタイミングで、定期的に実施しています。ただし大きな環境変化があった場合は、年度の進捗確認・評価で議論します。 ⑤重要リスクの特定プロセス当社グループは、中長期的に企業価値を維持・向上していくためには、政治・経済・社会・テクノロジーなどの外部環境の変化がもたらすリスクと機会に戦略的に対応することが重要と考えています。当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記述のとおり、昨今の外部環境の変化を捉えたマテリアリティの見直しを行い、その過程でマテリアリティに関連するリスクを抽出・分析し、リスク属性で整理した結果、17のリスク項目を特定しました。それらを後述する基準で評価して中長期的な重要課題・事業戦略に重大な影響を及ぼすと認識するリスク項目を11の重要リスクとして特定しています。 ■重要リスクの特定プロセス また、プラスとマイナスの影響を持ち併せたリスクを「経営戦略リスク」(中長期的/攻め=機会に転化)、マイナスの影響を主とするリスクを「経営基盤リスク」(短期的/守り:抑制と最小限化)と分類して、それぞれ評価指標を整理しています。 ⑥ リスク評価基準 リスク評価にあたっては、経営戦略リスクと経営基盤リスクの各リスク特性を考慮し、異なる評価軸でのリスクマトリックスとしています。特に経営戦略リスクは、今すぐに顕在化しないものの、中長期的な戦略上で対策開始の必要性が高いリスクを重要リスクとして特定するため、一般的な「発生可能性」でなく「緊急度」の評価軸としています。 ■リスクマトリックス (※■のリスクを重要リスクとして特定) ⑦ リスクマネジメントの高度化に向けて 今後はリスクマネジメントの高度化に向けて、従来の経験や知見に基づいた定性的なリスク評価に加え、影響度を数値化して定量的に把握することで、リスクの客観的な可視化を図るため、現在、シナリオ分析を通じた定量的影響の評価に取り組んでいます。具体的には、気候・自然関連リスク、大規模災害リスク、情報セキュリティリスク、地政学リスク等について、顕在化した場合の財務的影響の算定・分析を進めています。 この結果を基に、優先順位に応じた具体的な低減策や初動対応計画の策定及びリソースの再配分を行っていくことで、不確実性に対する経営のレジリエンス強化と企業価値の向上に努めていきます。 (2)重要リスク当社グループの戦略・事業その他を遂行する上での重要リスクについて、投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。以下に記載したリスクは、当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、本文中における将来に関する事項は別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。 ■ニッスイグループ 重要リスク ≪経営戦略リスク≫(戦略1)人的資本への対応に関するリスク〔概要〕当社グループの経営計画達成のために、事業創出・企画運営の能力のある経営を担う人財、海外国内を問わず活躍できるグローバル人財やプロフェッショナル人財、各生産拠点で成果を上げる人財の確保と育成が必要ですが、日本国内の少子高齢化と人口減少が進むにつれ、国内での優秀な人財確保が難しくなりつつあります。また、多様な人財が働けるダイバーシティ対応に後れをとると、必要な人財確保が困難になると想定されます。本リスクへの対応体制として、当社グループでは、経営戦略と連動した人財戦略・人財育成を実行しており、人財育成・労働力確保については人財確保部会、ミッションへの共感とブランディングに関してはブランディング部会がそれぞれ中心となり、マテリアリティ・リスク対応活動を推進する体制を整備しています。________________________________________________________________________________〔関連するマテリアリティ〕・人財育成と多様な人財の活躍・労働力確保と生産性の向上・ミッションへの共感とブランディング________________________________________________________________________________〔主な機会〕・人財の確保・育成による事業拡大、生産性向上への貢献・現場労働力の確保による生産性向上________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕・多様な人財が活躍する環境構築の遅れによって事業に必要な人財※の不足が顕在化し、生産性の停滞、事業拡大の停滞などの影響が想定されます。・生産年齢人口減少への対応不足によって現場労働力の不足が発生し、生産性停滞、事業拡大の停滞などの影響が想定されます。・社内外ブランディングの構築失敗によって従業員エンゲージメントの低下やレピュテーションの低下が顕在化し、人財確保の難化などの影響が想定されます。※経営人財、グローバル人財、DX人財のほか、サステナビリティ人財、R&D人財など________________________________________〔主な対応策〕当社グループは、ミッションの実現及び中期経営計画の達成に向け、人的資本を最も重要な経営資源と位置付け、経営戦略と連動した人財マネジメントを推進してきました。特に、海外事業、養殖事業、ファインケミカル事業等の成長領域において必要となるグローバル人財及び高度な専門性を有する人財の確保・育成を重点課題と認識し、人財ポートフォリオの最適化に取り組んでいます。人財の確保・育成にあたっては、グループ横断の推進体制である「人財確保部会」を中心に、事業戦略に基づく必要人財の質・量の定義、人財需給ギャップの把握及び人財ポートフォリオの最適化を進めるとともに、採用・育成・配置に関する方針の策定及び各社施策への展開を通じて、これらを一体的に推進しています。これにより、必要な人財の安定的な確保とグループ全体での人財確保力の強化を図るとともに、事業拡大及び生産性向上の実現を目指していきます。また、経営人財については「人財育成委員会」を中心に後継者育成及びパイプラインの強化を進めるとともに、グローバル人財については海外出向や短期派遣等の実践機会を通じて育成を強化してきました。また、多様な人財が活躍できる環境整備及び従業員エンゲージメント向上についても重要な経営課題と位置付けています。当社では、経営と社員が経営テーマについて直接対話する「One Table Meeting」、エンゲージメントサーベイに基づく改善活動や「GOOD FOODS Talk」を通じて、ミッションへの理解・共感を主体的な行動へつなげる取り組みを推進しています。これらの取り組みについては、エンゲージメントスコアやミッション浸透度等の指標を継続的にモニタリングし、施策の改善につなげています。さらに、当社グループにおいては、「One Table Meeting」や「GOOD FOODS Talk+」を通じて、グループ全体の共創を考え、企業価値向上に向けた施策浸透、ミッションの理解・共感及び行動への展開を進めています。今後は、グループ会社へのエンゲージメントサーベイの展開も予定しており、グループ全体での対話や実践活動を通じて、社員一人ひとりの主体的な行動を促すとともに、個人の行動を組織的な実践へとつなげる組織風土の醸成を図っていきます。加えて、採用ブランディング活動として、当社グループが求める人財像と求職者が当社グループを選ぶ動機が一致するようなコミュニケーションを強化し、人財確保力の向上に取り組んでいます。また、少子高齢化に伴う労働力不足への対応として、多様な働き方の実現や労働環境の改善に加え、デジタル化・自動化による省人化・省力化を推進し、現場労働力の確保と生産性向上を図っていきます。これらの取り組みを通じて、必要な人財の確保とリテンションの強化を図るとともに、環境変化に柔軟に対応可能な人財ポートフォリオの構築を推進しています。今後も、人的資本への投資を通じて事業成長及び収益性向上を実現し、企業価値の持続的向上を図っていきます。※詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1)人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。 (戦略2)気候変動への対応に関するリスク〔概要〕 近年、世界的に気候変動が深刻化しており、その影響はますます顕著になっています。温暖化に伴う異常気象や自然災害の激甚化は、当社グループの原材料調達、生産、物流、販売等のあらゆる事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動への対応を目的とした各国・各地域における規制の強化や市場動向の変化によって、対応コストの増加や事業環境の変化が生じ、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の環境部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。________________________________________________________________________________〔関連するマテリアリティ〕・脱炭素・循環型社会への貢献________________________________________________________________________________〔主な機会〕・省エネ、高効率設備の導入による生産性向上・コスト削減・GHG排出量削減によるカーボンプライシング影響の軽減・サステナブル、低カーボン製品への需要の高まりに伴う水産物の販売機会拡大________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕台風、豪雨、洪水等の風水害の激甚化や渇水等の発生によって、当社グループの生産拠点、物流機能、調達網等に被害や停滞が発生し、顕在化した場合には、事業停止に伴うビジネス機会の喪失、供給の遅延・中断、復旧対応コストの増加などの影響が想定されます。また、異常気象や海洋環境の変化によって、天然魚及び養殖魚の漁獲量・生産量の減少や原材料調達の不安定化が発生し、顕在化した場合には、調達コストの増加、原料確保の難化、商品供給への影響などが想定されます。さらに、カーボンプライシングの導入や、省エネルギー・GHG排出等に関する規制の強化によって、追加的な設備投資や運営対応が必要となり、顕在化した場合には、対応コストの増加や収益性の低下などの影響が想定されます。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕 当社グループでは、2018年度比でCO2排出量を2030年までに30%削減する目標を設定し、その達成に向けた取り組みを継続的に推進しています。生産拠点においては、省エネルギーの推進、高効率機器への更新、自然冷媒への切り替え、燃料転換、魚油・廃油の燃料活用に加え、太陽光発電設備の導入や再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進め、CO2排出量の削減に取り組んでいます。あわせて、CO2排出量の実績や各施策の進捗を継続的に確認し、必要に応じて施策の見直しを図っています。今後もこれらの取り組みを着実に推進し、脱炭素化に向けた対応を一層強化することで、目標達成を目指していきます。また、気候変動に伴う漁獲量の減少や調達コストの上昇への対応として、産地の分散化、調達ネットワークの強化、代替原料の開発等を進め、サプライチェーンのレジリエンス向上を図っています。今後も、変化する事業環境への適応力を高め、安定的かつ持続可能な原材料調達体制の構築を推進していきます。さらに、風水害の激甚化や渇水による事業停止リスクへの対応として、BCPの見直しやハザードマップ等を活用した詳細なリスク評価を実施するとともに、必要に応じて拠点の移転・分散を検討しています。今後も気候変動に伴うリスクを継続的に評価し、事業継続性の向上とレジリエンス強化を図っていきます。※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)テーマ別課題 気候変動への対応(TCFD提言への取組)」をご参照ください。 (戦略3)生物多様性への対応に関するリスク〔概要〕水産資源の減少や海洋環境の変化は、当社グループの漁業、養殖、原材料調達等の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、水産資源の減少に伴う漁獲制限等の規制強化や、水産物の流通量減少による価格上昇・消費行動の変化は、市場環境や販売機会に影響を及ぼす可能性があります。加えて、近年、容器包装や事業活動に伴うプラスチック使用が海洋環境へ与える影響が社会課題として注目されており、海洋汚染や生態系への影響に適切に対応できない場合には、当社グループの原料調達、食の安全性、企業評価等に影響を及ぼす可能性があります。本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の水産資源持続部会、海洋環境部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。________________________________________________________________________________〔関連するマテリアリティ〕・海洋の生物多様性の主流化________________________________________________________________________________〔主な機会〕・水産物の持続的調達によるサプライチェーンの安定化・消費者の購買行動変化(持続可能性に配慮した製品の需要増加)による売上の拡大・サステナブルな養殖技術開発による事業のレジリエンス強化と競争優位性の確立・対応策の推進によるステークホルダーからの評判の向上________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕水産資源の枯渇化や海洋環境の変化によって、従来の漁場や海面養殖場の不適地化、漁獲量の減少、調達難が発生し、顕在化した場合には、調達コストの増加、原料確保の不安定化、商品の供給制約などの影響が想定されます。また、漁業における漁獲制限や養殖における環境規制の強化、魚病の発生によって、事業活動上の制約や養殖魚の斃死等が発生し、顕在化した場合には、生産量の低下、収益性の悪化、安定供給への支障などの影響が想定されます。さらに、生物多様性や海洋環境への配慮に関する対応の遅れによって、ステークホルダーからの信頼低下や評判の低下が生じ、これが顕在化した場合には、販売機会の逸失や企業価値の毀損などの影響が想定されます。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕 当社グループでは、TNFDのLEAPアプローチ(注1)を活用し、事業活動による自然への依存と影響の把握を進めることで、自然資本への負の影響の回避・軽減に取り組んでいます。今後も、分析結果を踏まえた対応の高度化を図るとともに、自然資本への負の影響の回避・軽減に向けた取り組みを推進していきます。また、水産資源の持続的な利用に向け、持続可能な調達比率を2030年までに100%とする目標を設定し、3年ごとに「取り扱い水産物の資源状態調査」を実施しています。調査結果を踏まえ、調達の見直しや認証品の取扱比率向上等の対応策を講じることで、持続可能な水産物の利用につなげています。養殖事業においては、自動給餌制御システムの活用や養殖漁場の沖合化などにより海洋環境への負荷の軽減を図るとともに、天然種苗に依存しない完全養殖の拡大や陸上養殖の推進にも取り組んでいます。今後も、環境負荷のさらなる軽減と安定的な生産体制の構築に向け、技術開発と事業展開を推進していきます。さらに、海洋のサステナビリティ課題への対応については、様々な業界イニシアティブを通じて、国内外のステークホルダーと連携した取り組みを進めています。今後も業界内外との協働を深め、海洋生態系の保全と水産資源の持続可能な利用に貢献していきます。(注1)LEAPアプローチ: TNFDが開発した、自然関連のリスクと機会を評価するためのガイダンス。分析プロセスであるLocate、Evaluate、Assess、Prepareの頭文字をとったもの。※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 自然資本の持続可能性向上に向けた対応 生物多様性への対応(TNFD提言への取組)」をご参照ください。 (戦略4)サプライチェーンの環境・人権に関するリスク〔概要〕 企業活動のグローバル化が進む中、サプライチェーンにおける環境や人権への負の影響が顕在化しており、国際機関や各国政府による基準策定や法整備が進められています。当社グループにおいても、事業活動に関連して、環境及び人権に関するリスクを適切に把握し、対処することが求められています。サプライチェーン上で環境配慮や人権尊重が不十分な問題が発生した場合には、調達の困難化にとどまらず、訴訟、行政処分、企業イメージの低下、不買運動等につながる可能性があります。本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の人権部会、サステナブル調達部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。________________________________________________________________________________〔関連するマテリアリティ〕・持続可能なサプライチェーンの構築________________________________________________________________________________〔主な機会〕・対応策の推進による安定的な調達、生産、供給の実現と競争力の向上・対応策の推進によるステークホルダーからの評判の向上やグローバルなブランド価値の向上________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕サプライチェーンにおける環境・人権対応の強化や販売先からの調達基準の高度化によって、既存調達先の見直しや対応水準の引上げが必要となり、顕在化した場合には、調達コストの上昇や調達の不安定化、販売機会の逸失などの影響が想定されます。また、環境問題や人権侵害等を直接引き起こし、又は間接的に関与したと認識される事案が発生し、顕在化した場合には、訴訟や行政罰の対象となるほか、評判低下やブランド価値の毀損などの影響が想定されます。さらに、環境・人権デューデリジェンスの義務化や規制強化によって、調査・是正・管理体制の整備が必要となり、顕在化した場合には、追加的な対応コストの増加や事業運営への負荷増大などの影響が想定されます。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕 当社グループでは、バリューチェーンにおける実際又は潜在的な人権リスクの把握と対応を継続的に進め、ライツホルダーへの負の影響の防止・軽減に努めています。今後も人権デューデリジェンスの実効性向上を図り、人権尊重の取り組みを継続的に強化していきます。また、サプライチェーン全体で環境・人権リスクを低減するため、サプライヤーとの協力関係を重視し、「サプライヤーガイドライン」を通じて、強制労働や児童労働の禁止に加え、IUU漁業に由来する水産物及び原材料の取り扱いを禁止するよう求めています。一次サプライヤーに対しては、ガイドラインの配布・説明を行い、同意確認書の回収を進めるとともに、SAQ(自己評価アンケート)や対話を通じて遵守状況を確認しています。あわせて、優先的に確認すべき原材料や産地の特定を進め、より詳細な確認体制の整備を図っています。グループでは、年1回「外国人労働者の労働環境調査」を実施し、各事業所における外国人労働者の労働環境を確認することで、負の影響の防止・軽減に努めています。さらに、救済の仕組みとして、グループ内の内部通報制度とは別に、外部プラットフォームを活用した外国人労働者向け相談窓口を設置し、サプライヤーをはじめとするその他のステークホルダーに対しても同様の相談窓口を提供しています。今後も、サプライチェーン全体における環境・人権リスクの低減を図るとともに、責任ある事業活動を推進していきます。※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)テーマ別課題 人権の尊重に関する取り組み」をご参照ください。 (戦略5)海外事業展開に関するリスク〔概要〕当社グループの主要戦略の一つとして、海外展開の加速を目指し、水産・食品事業における北米・欧州でのさらなる拡大とアジアでの事業基盤構築、ファインケミカル事業における医薬品原料の海外展開を掲げています。しかしながら、事業展開する国において、経済環境及び法規制の変更等の各国固有のリスクが顕在化した場合、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。________________________________________________________________________________〔関連するマテリアリティ〕・グローバル展開の加速________________________________________________________________________________〔主な機会〕・販路拡大、市場開拓・資源アクセス強化に伴うサプライチェーンの強靭化・対応策の推進によるグローバルなブランド価値の向上________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕・税制、漁獲枠、賃金、規制など各国の政治的判断による方向性の変換によって、事業環境の変化が発生し、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。・海外子会社におけるガバナンス不全や社内管理の不備等によって不祥事が発生し、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。・為替の急激な変動によって海外子会社の業績に影響が生じ、当社グループの収支に影響を与える可能性があります。・その他の地域的特殊性及びこれらの諸要因の急激な変化によって事業環境の変化が生じ、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕当社グループでは、2030年に海外所在地売上高比率50%を目指しており、グループガバナンスの取り組み強化を進めてきました。当社グループの強みの一つに「グローバルリンクス」があり、資源アクセスから生産・販売に至る各機能を担う国内外の企業ネットワークで、各社が独自の強みを生かしつつシナジーを発揮していることが特色です。食文化や価値観は世界各地で異なることから、意思決定の迅速性の観点などにおいて現地マネジメントに裁量を委ねるべきところは委ねる一方で、リスクコントロールや資本効率などの観点でグリップを利かせたグローバルガバナンスの強化を進めています。ガバナンスの実効性を高めるためには、ルールづくりや管理・監査などのシステムを強化することに加え、「新しい“食”の創造」というミッションを共有し、志を同じくすることが重要であると考え、ミッションや長期ビジョンの浸透に継続的に取り組んできました。今後も海外事業におけるリスクと機会の継続的な把握・評価及び適切な対応を通じて、これまで以上のシナジー創出や付加価値の向上に努めていきます。 ≪経営基盤リスク≫(基盤1)製品の安全安心・品質に関するリスク〔概要〕 品質に対する消費者の関心が一層高まる中、国内外を問わず安全で安心な商品を提供していくことが強く求められています。食を取り扱う当社グループにおいても、より高い品質管理と安心につながる信頼性や透明性が求められていると認識しています。品質事故や表示偽装などのお客様の安全・安心を脅かす品質不正が発生した場合、当社グループ全体に対する信用が損なわれるとともに、ブランド価値が大きく毀損し、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。本リスクへの対応体制として、お客様一人一人に安全・安心で、価値ある品質の商品をお届けし、健やかな生活とサステナブルな未来を実現するという品質保証の理念を達成するため、品質方針では食品安全文化の醸成に取り組みます。そのための行動指針では、全ての役職員がお客様起点で品質及び食品安全のリスクを考え、行動することとし、各種品質保証基準も定めています。________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕・製造物責任、リコール、自主回収による経済損失・品質事故・トラブルによる顧客信頼の低下(ブランド価値毀損)・新規事業、拡大事業(健康訴求商品等)における品質リスクの拡大・グループ会社(国内外)のニッスイブランド以外の商品の品質保証水準の管理不十分________________________________________________________________________________〔主な対応策〕当社グループでは、品質保証憲章に基づく食品安全文化の醸成と、品質保証理念のもと品質方針、行動指針を定め、品質保証体制の整備・強化を進めてきました。製品の安全性を確保するため、関連法規より厳格な独自の「ニッスイ品質保証基準」を定め、HACCP(注1)管理を前提とした「ニッスイ工場認定基準」を核に、使用水・薬剤管理・防虫管理・樹脂部品・原材料・包材・アレルギー物質コンタミ防止・フードディフェンス等の各種基準を整備しています。ニッスイブランド商品はニッスイ工場認定基準により認定した工場のみで生産しており、認定後も品質保証部による定期的な監査を実施、工場指導を実施しています。また工場間の情報共有や課題解決を目的とし、工場経営者会議、工場品質管理担当者会議などを定期的に開催するとともに、食品安全の第三者認証であるFSSC22000(注2)の認証取得を生産工場で推進してきました。加えて、原材料情報の一元管理体制の構築、グローバルでの検査体制の確立及びエクセレントラボによる検査精度の向上にも取り組んでいます。今後も、従業員への品質教育の強化に努め、食品安全文化の醸成を推進し、製品の安全・安心と品質の維持・向上に取り組んでいきます。(注1) HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食中毒菌汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を把握し、原材料の入荷から製品出荷までの各工程において、それらの危害要因を除去又は低減するために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会が提唱し、各国に採用が推奨されています。日本では2020年の食品衛生法改正により、HACCPに基づく衛生管理が義務化されています。(注2)FSSC22000 : Food Safety System Certificationの略。FSSC22000財団(Foundation FSSC22000)により開発された食品安全のためのマネジメントシステム規格。食品小売業界が中心の非営利団体、国際食品安全イニシアティブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)により、食品安全の認証スキームの一つとして承認された規格です。 (基盤2)情報セキュリティに関するリスク〔概要〕今後、生産・物流・販売のシステム連携の進展に伴い、システム停止が事業活動に及ぼす影響は拡大する可能性があります。システム停止は、ハードウェア障害、ソフトウェアの不具合や脆弱性、人為的ミスなど様々な要因で発生しますが、近年は外部からのサイバー攻撃など情報セキュリティリスクが大きな懸念となっています。情報セキュリティインシデントが発生した場合、システム停止による影響に加え、信頼性の低下や損害賠償等の費用負担が生じ、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 本リスクへの対応体制として、情報セキュリティインシデントが発生した場合には、「情報セキュリティ基本方針」のもと、「情報セキュリティ部会」が中心となり迅速なシステム復旧対応を行う体制を整備しています。________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕・外部脅威(サイバー攻撃、フィッシング等)、内部過失(紛失/盗難、システム障害等)、内部不正 (不正操作、情報持ち出し等)により、システム停止に伴う製品供給・サービス提供の遅延・中断、ビジネス機会の損失による収益減少、信頼性の低下、損害賠償等の影響が想定されます。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕グループ経営を進める中、当社グループ内でデータ漏洩、システム破壊が発生した場合、グループ全体の事業に大きく影響を及ぼす可能性があります。このため、国内グループでは、個人情報や経営・事業・研究等に関する重要情報の漏洩・紛失の防止に向け、「情報セキュリティ基本方針」等の規程・ルールの徹底、システムの管理体制の強化、教育・訓練を含む人的対策を推進してきました。また、各対策の到達目標を具体的に設定するとともに、ニッスイグループIT部門会議を定期的に開催し、グループ全体におけるセキュリティ対策水準の向上と均質化を図っています。さらに、2024年度からは海外グループを含む全グループを対象としてサイバー攻撃のリスクが高い社外公開サーバの脆弱性を検知するサービスを導入し、脆弱性等のリスクを検知した場合、グループ会社に通知し是正措置を促す体制を構築しました。是正措置の実施状況について定期的にモニタリングしています。加えて、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を踏まえ、2025年度は強固なサイバーインシデント対応体制の構築やバックアップ環境保護、ネットワーク監視システムの構築、従業員へのセキュリティ教育の継続的な実施に取り組みました。今後は、グループ共通(海外含む)のセキュリティポリシー・ルールを整備するとともに、平時・有事のサイバーセキュリティ情報連携活動を通じて、子会社のガバナンスを強化することで、各社がリスクに応じて自律的にセキュリティを強化できる状態を目指します。今後も、グループ会社の情報セキュリティ対策が有効に機能しているか定期的な確認や、情報セキュリティ対策の有効性の継続的な評価・改善を通じて、グループ全体のサイバーレジリエンス向上に取り組んでいきます。 (基盤3)コンプライアンスに関するリスク〔概要〕 当社グループは、日本及び事業を行う海外における多岐にわたる法規制の適用を受けており、当社グループによる法令違反や社会規範に反した行動等により、営業停止等の制裁、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける可能性があります。また、お客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が大きく毀損し、当社グループの事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。 本リスクへの対応体制として、当社グループでは、国内外の法令及び社内諸規程の遵守を徹底し、企業としての責任を果たすため、倫理憲章を制定したうえで、コンプライアンス向上施策の策定・実施を担う倫理部会を設置しています。また、法令等に違反している疑いのある行為について、当社グループの役職員が通報できる内部通報制度を設けており(社内外に窓口を設置)、倫理部会が内部通報制度の適正な運営を担っております。________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕当社グループ会社や役職員による法令違反、社会規範に反した行為等の不祥事の発生及びそれらへの対応不足、対応遅れ等によって、営業停止等の事業への悪影響、損害賠償責任の発生、及び株価下落等の経済的な損失、並びに法令上の処罰、社会的制裁及びレピュテーション低下等の影響が想定されます。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕当社は、内部通報制度の適切な運営やコンプライアンスアンケートの実施等により、法令等に違反する疑いのある行為やコンプライアンス課題を早期発見し、関係する役員・部門と協働して、個別事象の是正はもちろん、必要な場合に再発防止策も含め検討のうえ実施しています。また、コンプライアンス向上施策として、コンプライアンス研修や法令改正等の動きに合わせた研修・周知等を実施しています。さらに、2020年度からは、当社グループの子会社と個別にコンプライアンスワークショップを実施しコンプライアンスに関するありたい姿を共有、各社のコンプライアンス課題・施策について協議を行い、施策の実施状況についてフォローすることにより、当社グループ全体のコンプライアンス向上を推進しています。今後は、グローバル・コンプライアンス体制を構築することを目指し、ニッスイグループの統一的な行動規範の整備及びグローバル内部通報制度の導入等の検討を進め、今後も当社グループ全体のコンプライアンス向上に取り組んでいきます。 (基盤4)大規模自然災害・事故に関するリスク〔概要〕大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害は近年激甚化・頻発化の傾向にあり、国内外を問わず各地で大規模災害が発生しています。国内においても、首都直下地震や南海トラフ地震等の発生が高い確率で想定されており、今後も中長期的に自然災害による影響が懸念されています。これらの大規模災害が発生した場合、当社グループ従業員及びその家族への被害、事務所・工場等の拠点設備の損壊、電力・ガス・水道等のユーティリティーの停止、物流の停滞等により、重要な経営資源が損失し、事業活動の停止又は縮小が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業継続及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。本リスクへの対応体制として、当社グループでは、大規模災害に直面した場合でも人命を第一とした上で、従業員・お客様・ステークホルダーにとって必要な支援・サービス等を継続するため、「災害BCP基本方針」のもと、速やかに災害対策本部を立ち上げる体制を整備しています。________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕大規模な自然災害(地震、噴火、津波、風災、水災等)や火災・爆発事故等が発生した場合、当社グループの従業員及び施設設備に人的・物的被害が生じる可能性があります。これに伴い、生産設備の停止、物流機能の停滞、サプライチェーンの分断等が発生し、製品供給やサービス提供の遅延・中断、ビジネス機会の損失による収益減少など、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕当社グループでは、大規模自然災害や事故等の発生時に迅速かつ適切な対応を行うため、災害対策本部を中心とした危機管理体制の整備を進めてきました。災害発生時には、各拠点やグループ各社から迅速に情報を収集し、適切な判断・対応を行うため、安否確認や拠点被害報告等の情報収集システムを活用し、初動対応及び事業継続対応を実施しています。また、オールハザード型BCP(注1)への更新に向け、災害対策本部初動対応マニュアルの見直しや、BCP策定のための事業影響度分析を実施するとともに、自然災害リスク(地震等)の定量評価を行い、当社への影響の把握に取り組んでいます。さらに、社内教育としては、拠点訓練の実効性向上に向けた支援のほか、定期的な災害対策本部訓練や従業員向けのシステム操作確認訓練及び防災教育e-learningを実施し、初動対応力の強化を図ってきました。今後も、災害リスクの継続的な評価とBCPの高度化を進めるとともに、訓練・教育の充実及び危機管理体制の強化を通じて、事業継続能力とレジリエンスのさらなる向上に取り組んでいきます。(注1) オールハザード型BCP : リスク(原因事象)を問わず、必要な経営資源が何らかの理由で被害を受けた場合の(結果事象)の影響に基づき、対応策を考える事業継続計画 (基盤5)労働安全衛生に関するリスク〔概要〕 近年、企業における労働災害や各種ハラスメント、労働時間管理に対する社会的監視は一層厳しさを増しており、情報化社会の進展により不祥事は瞬時に顕在化し、その対応の適否が企業価値に直結する可能性があります。また、労働者の権利意識の高まりは潜在的課題を顕在化させ、社会的責任の履行が一層強く求められています。当社グループにおいても、これらの問題は単なる法令遵守にとどまらず、経営基盤に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクとして認識しております。 本リスクへの対応体制として、企業価値向上に最も重要な要素である「人財」を守り、その多様性を尊重して働きやすい職場環境の維持向上を図るため、当社グループ各事業の統括責任者により構成する「労務安全衛生部会」が中心となり、グループ横断的にリスクを把握・共有し、適切な対策を迅速に講じることができる体制を整備しております。________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕・労働災害の発生によって、従業員の生命・身体に重大な被害を及ぼすとともに事業運営への支障が発生し、これらが継続的に発生した場合には、操業停止等の行政処分、社会的評価や生産性の著しい低下などの影響が生じる可能性があります。・法令違反となる労働慣行、過労による疾病及びハラスメントの発生によって、休職・退職の増加及び社会的信用の毀損が生じ、人財確保への影響が生じる可能性があります。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕 当社グループでは、従業員を守る「安全」を最優先とすることを不変の基本方針として位置付け、「ニッスイグループ安全宣言」のもと、各社・各事業所における安全活動を推進してきました。2025年度からは、安全最優先の考え方を改めて徹底し、管理者のみならず従業員一人ひとりが自ら及び同僚の安全を守るという意識のもと、安全活動に主体的に参画し、それが定着した「安全文化の醸成」に取り組んでいます。 2026年度は、全事業所・全従業員参画による「安全宣言」の継続的な実践に加え、安全文化をグループ共通の価値観として浸透させるための教育ツールの整備・展開を進めます。また職長教育やリスクアセスメント実践者教育等の階層別教育の強化に加え、管理者や安全担当者に限らず全従業員が安全パトロールに参画できる体制の構築を進め、他職場とのクロスパトロールの拡充を図り、従業員一人ひとりの意識向上及び安全活動全体の高度化を図ります。昨年度は国内グループ全体で1ヶ月休業災害ゼロを達成しましたので、2026年度は2ヶ月連続の達成を目指し、最終的には労災ゼロという理想に近づけていきます。 ハラスメントについては、2022年に経営トップから国内グループ全体に発信した「ハラスメント撲滅宣言」に基づき、「ハラスメントをしない、させない、許さない、そして見過ごさない」という強力な企業風土づくりに取り組んでいます。2026年度は引き続き実態を把握・分析し、その結果を踏まえた対応体制の整備及び必要な教育研修を実施するとともに、カスタマーハラスメント防止に関する法令の動向も踏まえてグループとしての対応方針を明確化し、周知徹底を図っていきます。 労働時間管理についても、毎月の勤怠状況の確認を通じて、法令及び労使協定の遵守を徹底しており、これを継続します。加えて、当社グループに対しては、各社の課題への対応状況及び運営の適切性を確認するため、定期的な実態調査を実施するとともに、必要に応じて個別対応を実施していきます。その結果として、36協定等の順守に加えて、労働時間全体の対前年比削減の実現を目指します。 当社海外グループに対する活動は、各地域の法規制や運用状況の把握を起点とした基盤整備が課題であると認識しており、安全宣言に示す安全最優先の理念を改めて海外グループ会社にも展開し、それを契機として安全活動に関する海外各社との情報共有・連携の具体化を図ります。 今後も、安全文化のさらなる定着と労働災害の未然防止に向けて、安全管理体制及び教育体制の高度化を進めるとともに、ハラスメント防止や適正な労務管理の徹底を通じて、従業員が安心して働くことのできる職場環境の整備を推進します。また、海外グループ会社を含めたグループ共通の安全基準の整備と運用の強化を進め、グローバルベースでの労働安全衛生水準の向上に取り組んでいきます。 (基盤6)地政学的問題に関するリスク〔概要〕 近年、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性を考慮する必要性が高まっていると認識されています。例えば、当社グループが事業を展開するエリアにおいて、国境封鎖、制裁、輸出入規制、主要輸送ルートの遮断など国際貿易が阻害されるリスクが想定され、これらが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。________________________________________________________________________________〔主なリスクと影響〕・サプライチェーンにおける政治的・軍事的・社会的な情勢変化等によって、製品供給・サービス提供の遅延や中断・停止が発生し、ビジネス機会の喪失などの影響が想定されます。________________________________________________________________________________〔主な対応策〕 当社グループでは、紛争、経済制裁、輸出規制の強化等の地政学的リスクに関する動向について、国内外の情報源を活用した継続的な情報収集及び分析を行ってきました。加えて、複数のリスクシナリオに基づく影響評価を実施しています。現状、主に事業展開国・地域におけるカントリーリスクの調査及び評価を中心に対応を進めておりますが、地政学リスクは地域を超えてサプライチェーンや物流網、エネルギー価格等へ影響を及ぼすことから、海外拠点を含めたリスク把握及び対応体制のさらなる強化が重要課題であると認識しています。 これを踏まえ、主要原材料・製品について調達先の分散化や代替調達先の確保、複数拠点からの供給体制の構築を進めるとともに、海外拠点を含めた情報収集ネットワークの整備や、有事を想定した対応方針の策定・訓練の実施等に取り組んでいます。また、サプライチェーンの可視化及び在庫戦略の見直しを通じて供給途絶リスクの低減を図るほか、定期的なモニタリングにより対応策の高度化を進めています。 今後も、中東情勢をはじめとするグローバルな情勢変化を注視しながら、海外を含むリスク管理体制の強化とサプライチェーンの強靭化を推進し、事業活動への影響の最小化に努めていきます。