事業の概要
- 鶏卵の生産・販売ホクリヨウは、鶏卵の生産から販売までを一貫して自社で行うビジネスモデルを展開しています。これにより、消費者のニーズを素早く生産に反映させることができ、スーパーマーケットやホテル、レストラン、パン・ケーキ店など幅広い顧客に鶏卵を供給しています。北海道内では採卵鶏飼養羽数で高いシェアを誇り、安定した供給体制を築いています。
- 食の安全への取り組みサルモネラ菌対策として、初生雛からの自社育成、サルモネラワクチンの接種、野生動物の侵入を防ぐウインドレス鶏舎の採用、植物性飼料の使用など、徹底した衛生管理を行っています。また、FSSC22000認証を取得したGP工場(選別・包装工場)での製品化により、安全で高品質な鶏卵を提供しています。
- 液卵・温泉卵の製造2016年には液卵工場を新設し、液卵や温泉卵の製造を本格化させています。これは将来的な加工品分野の拡大を見据えた動きであり、鶏卵の新たな付加価値創造と事業領域の拡大を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 鶏卵事業ホクリヨウは鶏卵事業のみの単一セグメントで事業を展開しており、鶏卵の生産、製造、販売を一貫して行っています。北海道内では高い市場シェアを持ち、主要な収益源となっています。
- 生産業務北海道内では初生雛から自社で育成し、サルモネラワクチン接種やウインドレス鶏舎での飼育により、安全で高品質な鶏卵を生産しています。道外では岩手県と宮城県に農場を展開し、一部外部から雛を導入しつつ、平飼い卵やエビアリー卵の生産も行っています。
- 製造・販売業務生産された鶏卵はFSSC22000認証を取得したGP工場で製品化され、トレーサビリティシステムにより品質管理を徹底しています。販売は問屋を介さず直接取引先に販売する直売が中心で、自社ブランド卵やプライベートブランド卵、特殊卵の販売に注力し、香港市場への輸出も開始しています。
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3【事業の内容】 当社は、鶏卵の生産・販売(鶏卵事業)を主たる業務としております。 当社の最大の特徴は、多くは生産から流通会社(取引先)への販売まで、自社内で一貫して行っている点であり、流通会社と直接取引することによって消費者サイドのニーズを素早く生産に反映させることができます。 また、サルモネラ菌による食中毒、鳥インフルエンザ等近年食の安全を脅かす様々な問題が発生する中、当社は、北海道内(以下道内)においては初生雛(孵化したばかりの鶏の雛)から自社にて育成、野生動物の侵入を防ぐウインドレスの鶏舎構造、サルモネラワクチンの接種、植物性飼料の使用、FSSC22000の認証を取得したGP工場(GP工場:Grading & Packing 選別・包装の略)など、食の安全を作り出す様々な取組みを常に実行し安全対策を進めてまいりました。 鶏卵販売は、多くのスーパーで取扱われるとともに、ホテル、レストラン、パン・ケーキなどの業務用にも幅広く利用されております。また、農水省は2025年2月時点での北海道の採卵鶏飼養羽数は発表していませんが、2024年2月時点で約452万羽と発表しており、これに対し当社の道内飼養羽数は2026年3月末時点で約225万羽となっており、北海道市場では毎年高いシェアを占めております。 当社の事業内容の詳細は次のとおりであります。 なお、当社は鶏卵事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 鶏卵事業 鶏卵事業については、生産業務を行う生産部、製造業務を行う製造部、販売業務を行う営業部の部門毎に事業の内容を説明いたします。① 生産業務(生産部) 道内においては、独自の強健な清浄雛を育てるために雛専用の育成農場を早くから北海道安平町早来に設置、雛を鶏舎単位で入れ替えるオールイン・オールアウトという方法で飼育しております。道内における雛は、他社から購入した大雛(120日令前後の鶏)ではない自社育成の雛です。サルモネラ食中毒に備え、全ての雛にサルモネラワクチンを接種しております。育成農場で育成した強健な雛は札幌、登別、北見、十勝、千歳の道内自社成鶏5農場に送られ産卵をはじめます。道内の鶏舎は、窓のないウインドレス鶏舎で鳥獣の侵入を防ぎサルモネラ等の危険を効果的に防備しております。また、ウインドレス鶏舎は舎内換気、温度管理、給餌、採卵、鶏糞処理を全自動で管理し、快適な飼養環境を維持することによって、1年中安定した環境の中で安全で清浄な卵を産むとともにコストダウンにも大きく寄与しております。 道内の成鶏5農場では同一の飼料、HACCP(注)手法も取り入れた同一の飼養管理がなされており、どの農場も同一品質の鶏卵を生産しております。 なお、技術部では専任の獣医、スタッフが衛生飼料、栄養学、獣医学等の観点から様々な研究を行っており、飼料は安全性を考慮して動物性蛋白質を一切含まないオリジナル植物性飼料が主流になっております。 道外においては岩手県に盛岡、はまなすの2農場、宮城県に吉目木農場の現在3農場を保有しております。道内とは異なり、雛は大雛を外部から購入しております。尚、2020年より吉目木農場にて平飼い卵の生産を、また2022年からは同農場でエイビアリー卵(多段式平飼い卵)の生産を開始しましたが、ここで使用している雛は外部購入ではなく、当社育成農場で育成したものです。(注) HACCP --- Hazard Analysis Critical Control Point食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析(Hazard Analysis)し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという重要管理点(Critical Control Point)を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理の手法です。 ② 製造業務(製造部) 道内の成鶏5農場で生産された卵はすべてFSSC22000(注)の認証を取得した5GP工場で製品化されます。道内の5GP工場は2000年~2011年にかけて、統一された設計思想に基づき、従来のGP工場を廃止し新築された工場で、同一品質の製品を製造できることが大きな特徴となっております。 GP工場は多くの農場鶏舎とバーコンベアで連結されており、その日に生産されたほぼ全ての卵をその日の内に製品化しております。GP工場は、HACCPに準拠した手法を取り入れた最新鋭の工場で品質検査も全自動で行われております。2005年6月よりトレーサビリティ(卵の生産農場、製造工場の追跡が可能)の手法も導入し、卵殻に直接賞味期限とトレーサビリティ番号(ユビキタスコード)を印字し、一旦製造したパックの日付改ざんは不可能です。 2016年12月には輪厚液卵工場を新設し、翌年1月より液卵・温泉卵の製造を本格稼働しております。将来の加工品分野拡大へのファーストステップを踏み出しております。 東北においては現在3GP工場(岩手2GP、宮城1GP)が稼働しており当社の盛岡支店、仙台支店に鶏卵製品を供給する役割を担っております。これらの3GP工場の内、はまなすGP(岩手)は2017年4月に、多賀城GP(宮城)は2020年6月にFSSC22000の認証を取得しております。 (注) FSSC22000 --- Food Safety System Certification(食品安全認証財団)FSSC22000は、食品安全の基本である前提条件プログラム(PRP)をより具体的にするため、食品安全マネジメントシステムISO22000のPRPに関する要求事項を産業分野ごとに規定しており、フードディフェンス(Food defense=食品防御)が含まれた国際規格です。 ③ 販売業務(営業部) 道内5つのGP工場で製造された鶏卵製品はほぼ100%問屋を通さず取引先に直接販売をしており、道内取引先にGP工場から均一な品質の安全な卵を迅速にお届けしております。 当社の鶏卵の特徴は「PG卵モーニング」、「サラダ気分」、「雛の巣」などの自社ブランドのほか、安心安全の当社の品質が評価され各取引先別にプライベートブランドもOEM提供しており、消費者が求める価値(栄養素等)を付与し高価格設定が可能な特殊卵の販売比率が高いという点があげられます。 また、従来東北地区での販売は問屋売りが主流でしたが、現在は当社盛岡支店・仙台支店におきまして直接地場取引先への販売を拡大しており、直接販売の比率を高めております。 2022年秋からはアニマルウェルフェアへの取り組みの一環として宮城県吉目木農場にてエイビアリー鶏舎(多段式平飼い)で生産を開始した平飼い卵を関東、東海、東北、北海道エリアにて販売開始しております。さらに昨年からはマヨネーズ、タルタルソースの原料としてのエイビアリー卵の販売も始まりました。 また、2021年3月より香港市場向けに当社道産卵の輸出を開始いたしました。現在は東北の農場からも輸出を行っており、今後輸出数量の拡大を通じ、当社ブランドの香港市場での定着を図って参ります。 事業の2026年3月末時点での系統図は以下の通りです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 鶏卵相場の変動リスクにさらされており、相場に左右されない特殊卵へのシフトを進めているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 設備 初生雛から自社育成、ウインドレス鶏舎、サルモネラワクチン接種、FSSC22000認証GP工場など。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 維持投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:鶏卵相場の変動性 / 原料価格(飼料費)の変動 / 卵価安定基金制度及び飼料安定基金制度の基金不足
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
ブランド力や特許などの無形資産は限定的。主力事業である鶏卵生産・販売においては、特定のブランドによる強い優位性は見られない。技術的な差別化も目立たない。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
顧客にとっての乗り換えコストは低い。鶏卵は汎用品としての側面が強く、生産者や販売チャネルの変更に対する顧客の抵抗感は小さいと考えられる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果はほとんど見られない。鶏卵の生産・流通においては、プラットフォーム型ビジネスのようなネットワーク効果が働く要素は少ない。
コスト優位★★☆☆☆
規模の経済によるコスト優位性は限定的。ただし、長年の経験に基づく生産効率の改善や、原料調達における交渉力などが一部コスト優位性につながる可能性はある。
規模の経済★★★☆☆
国内有数の鶏卵生産・販売事業者であり、一定の規模の経済を享受している。大規模な生産設備や広範な販売網は、新規参入者にとって障壁となりうる。
- 生産から販売までの一貫体制ホクリヨウは、鶏卵の生産から流通、販売までを自社で一貫して行うことで、消費者ニーズを迅速に生産に反映させ、高品質な製品を安定的に供給できる強みを持っています。これにより、流通コストの削減や品質管理の徹底も可能となり、競争優位性を確立しています。
- 徹底した食の安全管理体制初生雛からの自社育成、サルモネラワクチン接種、ウインドレス鶏舎、植物性飼料の使用、FSSC22000認証GP工場など、業界トップクラスの衛生管理体制を構築しています。これにより、食の安全に対する消費者の高い要求に応え、ブランド価値を高めています。
- 北海道における高い市場シェア北海道の採卵鶏飼養羽数約452万羽に対し、ホクリヨウは約230万羽を占めており、道内市場で非常に高いシェアを持っています。この規模の経済は、生産効率の向上や仕入れコストの優位性につながり、安定した事業基盤を形成しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 事業領域の拡大持続的成長のため、エビアリー卵(多段式平飼い卵)の販売地域・チャネルの多様化、鶏糞の東南アジアへの輸出拡大に注力しています。また、M&Aや資本参加を通じて、国内外での事業拡大を積極的に検討し、新たな収益源の確保を目指しています。
- 相場に左右されない収益体質の構築鶏卵相場の変動リスクを軽減するため、販売価格が比較的安定している「付加価値卵」(栄養強化卵、平飼い卵など)の生産と拡販に注力しています。これにより、収益構造の安定化を図り、経営の安定性を高めることを目指しています。
- 生産コストの引き下げと品質向上生産コスト削減は永遠の課題と認識し、最新技術を導入した鶏舎への建て替え、飼料成分や飼育環境の改良、徹底した防疫対策を通じて、生産成績の向上とコスト削減に取り組んでいます。これにより、競争力を強化し、収益性の向上を目指します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針及び経営環境等① 経営方針当社は「グローバルな競争社会で成長発展していくために、常に将来を見通し、大胆に変化していく。」を経営方針としております。人口減少局面に入った国内市場だけを事業領域としていては成長戦略は描けません。アジアを中心とした海外市場動向の変化にも目を配り、鶏卵関連製品の国内販売、輸出、さらには事業投資をバランスよく進めていくことが肝要です。 ② 経営環境 当事業年度における日本経済は堅調な企業業績を背景とした株高やベースアップに支えられ、実質賃金も今年1月以降プラスに転じるなど景気には持ち直しの傾向がみられました。しかしながら国際情勢は昨年1月に発足した第2次トランプ政権による「相互関税」政策や今年2月末からイスラエルと合同で開始したイランへの武力行使とそれに対抗するイランによるホルムズ海峡閉鎖、改善の兆しがないウクライナ情勢等、円安とコストアップが改善する兆しが見えません。 養鶏業界最大のリスクとなる鳥インフルエンザについては昨年の10月以降今年3月末までにすでに570万羽を超える鶏が殺処分されるなど依然として最大の脅威となっています。有力な予防策の一つと考えられているワクチンについては米国、EU、日本政府もようやく使用を検討するための研究を始めましたが、結論が出るまでまだ時間がかかりそうです。 (2)経営戦略等① ケージフリー卵の拡売欧州では認知度が高いアニマルウェルフェアですが日本でも少しずつ認知度が高まりつつあります。当社が5年前からアニマルウェルフェアへの取り組みとして生産を開始したケージフリー卵(エイビアリー:多段式平飼い卵)は順調に販売量をのばしています。本年度は宮城県での生産拡大、北海道における新規生産を計画するとともに、販売チャネルの多角化、マヨネーズやタルタルソースなどの加工品原料としての販売の強化に取り組んでまいります。 ② 海外事業の強化地産地消が基本となる鶏卵にとって国内市場の重要性は変わりませんが日本は少子化により16年連続で人口が減少しており、国内市場のみに依存していてはこれからの成長戦略は描けません。当社はこれまで販売市場の拡大策としてアジア向け鶏卵、発酵鶏糞肥料輸出に注力してきましたが、今年はさらに加工食品のアジア市場向けへの輸出可能性を探ってまいります。加えて海外においてもM&A、資本参加案件を積極的に検討してまいります。 ③ 農場、工場における生産性向上による鶏卵生産製造コストの引き下げ生産製造コストの引き下げはメーカーでもある当社にとって永遠の取り組み課題です。老朽化した鶏舎から最新技術を導入した鶏舎への建替え、GP(Grading&Packing)工場の統廃合を積極的に進め、鶏卵生産製造コスト削減と鳥インフルエンザ予防に取り組んでまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社の事業は製品の定価販売が可能な製造業と異なり、製品たる鶏卵、原料である飼料ともその価格が相場に大きく左右されます。このため売上高総利益率等の指標を計画や経営上の目標とすることはかえって経営の本質を見誤る危険性を含んでいるため、事業計画上これらの指標に目標を設定しておりません。代わりに事業毎の事業成績目標の達成状況を判断するため、産卵率、平均卵重、飼料要求率(卵を産むためにどれだけの餌が必要かを示す指標)、一人一時間当たり製造量(パック詰め等作業)、相場差(販売単価と鶏卵相場の価格差)等の生産・製造・販売に関連する指標を当社では重視しており、結果として売上高総利益率の改善につながるような事業活動を行っております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ① 高病原性鳥インフルエンザ感染防止対策の徹底2023年4月に当社千歳農場で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されてから当社は本件を教訓に鳥インフルエンザ再発防止のための投資を毎年行っております。2年前から野生動物が農場に入ることを防ぐための塀の建設や、ウイルスを媒介すると考えられているカラスが鶏舎に飛来するのを防ぐための投資を行いました。さらに千歳農場においては昨年から老朽化した鶏舎を野生動物が進入しにくい最新型鶏舎へ建て替えるための更新投資を行っており、2027年度中に完了する見込みです。 ② 人材の育成当社拠点がある北海道、岩手、宮城では生産年齢人口減少から採用環境は年々厳しくなってきています。当社としては今後とも継続して年間休日の増加、初任給の引上げ等の対策を講じていきますが、昨年から今年にかけて初めて3名の外国人を正社員として採用しました。今後は国籍を問わず優秀な人材の獲得を通じて企業価値の向上を実現していきます。また2年前から開始した外部講師による若手、経営層別の研修も継続し、人材育成の強化を図ります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針及び経営環境等① 経営方針当社は「グローバルな競争社会で成長発展していくために、常に将来を見通し、大胆に変化していく。」を経営方針としております。人口減少局面に入った国内市場だけを事業領域としていては成長戦略は描けません。アジアを中心とした海外市場動向の変化にも目を配り、鶏卵関連製品の国内販売、輸出、さらには事業投資をバランスよく進めていくことが肝要です。 ② 経営環境 当事業年度における日本経済は堅調な企業業績を背景とした株高やベースアップに支えられ、実質賃金も今年1月以降プラスに転じるなど景気には持ち直しの傾向がみられました。しかしながら国際情勢は昨年1月に発足した第2次トランプ政権による「相互関税」政策や今年2月末からイスラエルと合同で開始したイランへの武力行使とそれに対抗するイランによるホルムズ海峡閉鎖、改善の兆しがないウクライナ情勢等、円安とコストアップが改善する兆しが見えません。 養鶏業界最大のリスクとなる鳥インフルエンザについては昨年の10月以降今年3月末までにすでに570万羽を超える鶏が殺処分されるなど依然として最大の脅威となっています。有力な予防策の一つと考えられているワクチンについては米国、EU、日本政府もようやく使用を検討するための研究を始めましたが、結論が出るまでまだ時間がかかりそうです。 (2)経営戦略等① ケージフリー卵の拡売欧州では認知度が高いアニマルウェルフェアですが日本でも少しずつ認知度が高まりつつあります。当社が5年前からアニマルウェルフェアへの取り組みとして生産を開始したケージフリー卵(エイビアリー:多段式平飼い卵)は順調に販売量をのばしています。本年度は宮城県での生産拡大、北海道における新規生産を計画するとともに、販売チャネルの多角化、マヨネーズやタルタルソースなどの加工品原料としての販売の強化に取り組んでまいります。 ② 海外事業の強化地産地消が基本となる鶏卵にとって国内市場の重要性は変わりませんが日本は少子化により16年連続で人口が減少しており、国内市場のみに依存していてはこれからの成長戦略は描けません。当社はこれまで販売市場の拡大策としてアジア向け鶏卵、発酵鶏糞肥料輸出に注力してきましたが、今年はさらに加工食品のアジア市場向けへの輸出可能性を探ってまいります。加えて海外においてもM&A、資本参加案件を積極的に検討してまいります。 ③ 農場、工場における生産性向上による鶏卵生産製造コストの引き下げ生産製造コストの引き下げはメーカーでもある当社にとって永遠の取り組み課題です。老朽化した鶏舎から最新技術を導入した鶏舎への建替え、GP(Grading&Packing)工場の統廃合を積極的に進め、鶏卵生産製造コスト削減と鳥インフルエンザ予防に取り組んでまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社の事業は製品の定価販売が可能な製造業と異なり、製品たる鶏卵、原料である飼料ともその価格が相場に大きく左右されます。このため売上高総利益率等の指標を計画や経営上の目標とすることはかえって経営の本質を見誤る危険性を含んでいるため、事業計画上これらの指標に目標を設定しておりません。代わりに事業毎の事業成績目標の達成状況を判断するため、産卵率、平均卵重、飼料要求率(卵を産むためにどれだけの餌が必要かを示す指標)、一人一時間当たり製造量(パック詰め等作業)、相場差(販売単価と鶏卵相場の価格差)等の生産・製造・販売に関連する指標を当社では重視しており、結果として売上高総利益率の改善につながるような事業活動を行っております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ① 高病原性鳥インフルエンザ感染防止対策の徹底2023年4月に当社千歳農場で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されてから当社は本件を教訓に鳥インフルエンザ再発防止のための投資を毎年行っております。2年前から野生動物が農場に入ることを防ぐための塀の建設や、ウイルスを媒介すると考えられているカラスが鶏舎に飛来するのを防ぐための投資を行いました。さらに千歳農場においては昨年から老朽化した鶏舎を野生動物が進入しにくい最新型鶏舎へ建て替えるための更新投資を行っており、2027年度中に完了する見込みです。 ② 人材の育成当社拠点がある北海道、岩手、宮城では生産年齢人口減少から採用環境は年々厳しくなってきています。当社としては今後とも継続して年間休日の増加、初任給の引上げ等の対策を講じていきますが、昨年から今年にかけて初めて3名の外国人を正社員として採用しました。今後は国籍を問わず優秀な人材の獲得を通じて企業価値の向上を実現していきます。また2年前から開始した外部講師による若手、経営層別の研修も継続し、人材育成の強化を図ります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況a.財政状態(資産合計) 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べて4,186百万円増加し23,402百万円となりました。 流動資産は、前事業年度末に比べて3,344百万円増加し10,139百万円となりました。これは、主として現金及び預金が3,109百万円、未収入金が261百万円増加したこと等によるものです。 固定資産は、前事業年度末に比べて842百万円増加し13,263百万円となりました。これは、主として建物が231百万円、構築物が89百万円、工具、器具及び備品が74百万円、建設仮勘定が272百万円、ソフトウエアが102百万円、投資有価証券が95百万円増加した一方で、投資その他の資産のその他が125百万円減少したこと等によるものです。 なお、当事業年度において実施いたしました設備投資の総額は3,686百万円であります。これらの資金は自己資金でまかなっております。 (負債合計) 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて821百万円増加し5,884百万円となりました。 流動負債は、前事業年度末に比べて1,086百万円増加し4,642百万円となりました。これは、主として未払法人税等が721百万円、その他が346百万円増加した一方で、買掛金が120百万円減少したこと等によるものです。 固定負債は、前事業年度末に比べて265百万円減少し1,241百万円となりました。これは主として長期借入金が274百万円減少したこと等によるものです。 (純資産合計) 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて3,364百万円増加し17,518百万円となりました。これは、剰余金の配当を592百万円計上したものの、当期純利益を3,862百万円計上したこと等によるものです。 b.経営成績 鶏卵業界におきましては、昨シーズン(2024年秋~2025年春)、今シーズン(2025年秋~2026年春)と2年連続で高病原性鳥インフルエンザの感染が拡大したため、当事業年度の鶏卵相場は1年を通じて堅調に推移しました。この結果当事業年度平均鶏卵相場は、北海道Mサイズが1キロ332円19銭と前年比67円54銭高、東京Mサイズは1キロ327円53銭と前年比68円54銭高となりました。 当社は飼料価格の上昇や物流費、人件費の増加に対応するため、販売価格の改定、差別化卵の拡販に注力してきました。この結果、当事業年度の業績は、売上高は23,107百万円(前年同期比19.1%増)、営業利益は4,965百万円(前年同期比157.8%増)、経常利益は5,046百万円(前年同期比152.2%増)、当期純利益は3,862百万円(前年同期比77.0%増)となりました。 なお、当社は鶏卵事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ②キャッシュ・フローの状況 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べて3,109百万円増加し、7,304百万円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、6,087百万円の収入(前事業年度は3,216百万円の収入)となりました。これは主として、税引前当期純利益5,406百万円、減価償却費1,165百万円等による資金の増加が、法人税等の支払額952百万円等による減少を上回ったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、2,065百万円の支出(前事業年度は2,258百万円の支出)となりました。これは主として有形固定資産の取得2,008百万円等による資金の減少等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、911百万円の支出(前事業年度は663百万円の支出)となりました。これは主として長期借入金の返済294百万円、配当金の支払592百万円等による資金の減少によるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における生産実績は区分別に記載しております。区分別当事業年度(百万円)(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前年同期比(%)鶏 卵15,0040.5鶏糞肥料1053.2レンダリング188△2.6食 品1315.3合計15,4290.5 (注)金額は製造原価によっております。 b.商品仕入実績 当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における商品仕入実績は区分別に記載しております。区分別当事業年度(百万円)(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前年同期比(%)鶏 卵12111.2食 品17641.7その他0△38.4合計29827.5 (注)金額は仕入価格によっております。 c.受注実績 当社は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。 d.販売実績 当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は区分別に記載しております。区分別当事業年度(百万円)(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前年同期比(%)鶏 卵22,57819.0鶏糞肥料2715.5レンダリング12840.0食 品37320.8その他0△36.2合計23,10719.1 (注)総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りです。 当社鶏卵販売数量は前年度から微増となり、鶏卵相場は全国で高病原性鳥インフルエンザの感染が拡大したこと等から、Mサイズ平均の北海道相場は前期比で25.5%、東京相場は26.5%上昇いたしました。その結果、売上高は前期比19.1%の増加の23,107百万円となりました。 売上高総利益率は31.9%と前期比12.3ポイント向上しました。営業利益については、主に卵価相場の上昇等により前期比3,039百万円増加の4,965百万円となり、当期純利益は3,862百万円となりました。 当社が経営管理上重視している道内市場占有率、販売重量、農場における飼料要求率、製造部門における稼働率等の管理指標はほぼ計画通りとなりました。これらの点から当社の収益構造を支える基礎的な体力は維持されていると判断しております。 今後については経営戦略に掲げたケージフリー卵の拡売、海外事業の強化、農場工場の生産性向上に加え、販売単価の改定や物流の合理化によるコスト削減等を確実に実行し、当社収益構造の改善を達成してまいります。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当事業年度キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 資金需要動向については以下の通りです。 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは飼料費、初生雛費、大雛費、各事業についての一般管理費等があります。設備資金需要としては、鶏舎の建替え、GP工場の機械更新、情報処理投資等があります。 資金調達及び流動性確保に関する認識は以下の通りです。 当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。尚、当社のD/Eレシオは0.06と極めて低く、当面の資金調達余力に問題はないと認識しております。 新型コロナウイルス感染症による当事業年度のキャッシュ・フローへの影響につきましては、「3 事業等のリスク (1)事業環境に関するリスク ⑤新型コロナウイルスの影響について」に記載の通りであります。また、鳥インフルエンザ感染による影響につきましては、「3 事業等のリスク (2)事業活動に関するリスク ③鳥インフルエンザ発生による殺処分、移動制限等」に記載の通りであります。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 鶏卵相場の変動性鶏卵は相場商品であるため、国内の需要と供給のバランスが崩れ、供給過剰が長期化すると、鶏卵相場の低迷が経営成績に大きな影響を与える可能性があります。特殊卵へのシフトや卵価安定基金制度への加入でリスク軽減を図っていますが、完全に回避することは困難です。
- 原料価格の変動鶏卵生産原価の約60%を占める飼料価格は、作況、船運賃、為替変動、世界的な需要動向に左右されます。飼料価格が大幅に上昇し、コスト削減努力が追いつかない場合、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。飼料安定基金制度への加入でリスク軽減を図っています。
- 鳥インフルエンザの発生鳥インフルエンザが発生した場合、鶏の殺処分や移動制限により、鶏卵の供給力が大幅に減少し、売上高の減少につながります。感染防止対策を強化していますが、感染リスクを完全に排除することはできず、発生時には経営に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)事業環境に関するリスク① 鶏卵相場の変動性 当社は鶏卵を主力商品として生産及び販売しており、鶏卵相場の変動によるリスクにさらされております。当社では、相場変動リスクを軽減するため、鶏卵相場に左右されない固定単価で販売可能な特殊卵へのシフトを進めてきた結果、鶏卵販売重量の約40%が特殊卵となっております。また、鶏卵相場の変動に対する負担増が軽減される卵価安定基金制度(注)があり、これに加入(積立て)しております。しかしながら、国内の需要バランスが崩れ供給過剰となり、鶏卵相場の低迷が長期にわたった場合は、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (注) 鶏卵生産者経営安定対策事業(通称 卵価安定基金制度)について 本制度は卵価低落時に価格差補填交付金を交付することによって鶏卵生産者の経営の安定を図るもので現在は一般社団法人日本養鶏協会が事業主体となっています。 まず、毎年「補填基準価格」が決められますが、2026年度(2025年4月~2026年3月)は240円となっております。「標準取引価格」(JA全農たまご株式会社の東日本営業所(東京相場)と同西日本営業所(大阪相場)の加重平均取引価格…取引の実績)が補填基準価格を下回った場合、下回った価格の90%が交付される仕組みです。加入者はキロ当たり5円程度の積立てを行います。また、支給額の16.7%は国からの補助金となります。 卵価安定基金支払及び卵価安定基金収入は販売費及び一般管理費で処理しております。 ② 業績の季節変動について 当社の売上高及び営業利益は上述の通り、鶏卵相場の推移によって大きく変動します。例年、鶏卵相場は1月の初市で大きく下落しますが2月にかけて上昇し、4月までは比較的高値圏で推移し、5月の連休以降は下落傾向になり、夏場にかけてかなり下落し、8月後半から9月にかけて上昇し、10~12月の需要期に高値推移という一定のリズムの季節変動性を持っています。 この要因は気候の良くなる春先から一羽あたりの産卵が向上する反面、暑い夏場に向けて外食産業や一般家庭の消費が減退し、供給過剰になるためです。逆に、秋から冬にかけて卵価は高くなりますが、これは鍋物、クリスマスケーキなどに代表される冬季食品の伸びによる需要の増加のためです。 このような鶏卵相場特有の季節的変動のため、業績の比重が下期に高く、当社の利益は第3四半期会計期間に偏重する傾向があります。 ③ 原料価格の変動 当社の鶏卵生産の原価の60%程度は飼料費であります。飼料価格は、作況、船運賃、為替変動や世界的な需要動向に左右されるため、当社では自社の研究鶏舎において飼料コスト低減のために給餌方法の試験を実施しております。飼料コストの低減を研究することによって、飼料価格の上昇を吸収し生産原価の低減に努めております。また、飼料価格の変動に対する負担増が軽減される飼料安定基金制度(注)があり、これに加入(積立て)しております。しかしながら、飼料価格が大きく上昇し十分なコスト削減ができなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (注) 配合飼料価格差補填事業(通称 飼料安定基金制度)について 本制度は原料価格に起因する配合飼料価格の変動によって生ずる畜産経営者の損失を補てんすることにより畜産経営の安定を図るもので、現在は一般社団法人全日本配合飼料価格畜産安定基金と一般社団法人全国配合飼料供給安定基金が事業主体となっています。 当社が加入している全日本配合飼料価格畜産安定基金を例にとると生産者がトン当たり800円、配合飼料製造会社がトン当たり1,600円(2025年度)を積立てます。そして、当該四半期の配合飼料の輸入原料価格が直前1年間に係る配合飼料輸入原料価格の平均価格を上回るとき、その上回る額を限度として補てん金が交付されます。 飼料安定基金支払及び飼料安定基金収入は製造原価で処理しております。 ④ 卵価安定基金制度及び飼料安定基金制度の基金不足 養鶏経営の健全な発展を目的として、既述の通り卵価安定基金制度と飼料安定基金制度の仕組みが形成されています。 当社も、同制度が相場の変動及び飼料価格の変動に対する負担増が軽減される仕組みとなっていることから、これらの安定基金制度に加入(積立て)しております。しかしながら、これらの基金制度は、卵価低迷又は飼料価格高騰が長期化する場合には基金不足により充分に機能せず、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 新型コロナウイルスの影響について 2020年以降感染が拡大した新型コロナウイルス感染症とそれに伴う緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は、鶏卵消費にとっても大きなマイナスの影響を与え鶏卵相場の下落要因となりました。昨年から感染症は沈静化の様相を示し、その影響は徐々に薄れてきております。しかしながら、もし再び感染者やそれに伴う死者が急増し、まん延防止等重点措置を含む緊急対策が実施された場合には、相場の急落を通じて当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業活動に関するリスク① 単品経営(鶏卵依存) 当社の売上のほとんどは鶏卵販売が占めており、かつ上述の(1)①において記載のとおり、相場商品であることから、利益は鶏卵相場により大きく変動する可能性があります。当社としては、鶏卵生産コスト低減のため、自社研究鶏舎において生産性向上のための様々な研究の実施により有効な研究結果を一般鶏舎に適用し、鶏卵相場が低迷しても利益を計上できるような体質づくりを進めております。しかしながら、これらの対策を上回る価格変動が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ② 食品の安全・衛生問題について 当社におきましては、安全・安心で高品質な製品を提供するために最新鋭設備の導入や製品の品質管理、従業員への衛生教育を行うなど、衛生問題には万全の注意を払っております。卵が原因であるサルモネラ食中毒は我が国では近年大きく減少しておりますが、生で食べる食品であるため食中毒のリスクを完全に排除することはできません。道内におきましては、健康な雛を当社農場で育成し、かつ鶏舎単位で雛をすべて入れ替えるオールイン・オールアウト方式を採用し、鳥獣の侵入を防ぐウインドレス鶏舎での育成を実施しております。成鶏舎におきましてもウインドレス鶏舎にてHACCP手法を取入れた飼養管理をする他、GP工場においてパッキングする前に卵殻の塩素殺菌等を実施するなど様々なサルモネラ対策を実施しております。しかしながら、今後、偶発的な事由によるものも含めて、当社製品を起因とした安全衛生問題が発生する可能性があり、もし発生した場合は当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ③ 鳥インフルエンザ発生による殺処分、移動制限等 当社は3年前の千歳農場における感染を教訓に感染防止対策にはより一層注力して参りますが、今後とも感染リスクを100%排除することは出来ません。 当社の成鶏で鳥インフルエンザが発生した場合、原則として鶏は殺処分となり、淘汰した羽数に対応した鶏卵供給力が減少します。感染前の供給力に戻るまでには1年程度の時間がかかることから、この間の売上減少を通じて当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼすことになります。 当社の育成農場に鳥インフルエンザが感染した場合、当社は育成農場を予め分散して建設しているため生産機能が全滅することはありませんが、育成農場から成鶏農場への大雛供給に支障を来たし、生産計画に重要な影響を及ぼす可能性があります。 また当社農場の近隣で鳥インフルエンザが発生した場合、近隣農場は一時的に鶏や鶏卵の移動制限を受けるため、その間出荷が出来なくなる可能性があります。 ④ 鶏糞処理 家畜の糞尿処理については「家畜排せつ物の管理適正化及び利用の促進に関する法律」により適切に処理することとなっています。家畜排せつ物は不適切な管理によって、環境問題の発生源となりうる側面を有する一方で、堆肥化など適切な処理を施すことによって土地改良資材や肥料としての有効活用が期待され貴重な資源としての側面も有するものといえます。当社では鶏の排せつ物がこの対象となり、鶏糞のほとんどは肥料として近隣農家へ無償で譲渡しております。 しかしながら、鶏糞処理が円滑に行われなければ当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)法的規制によるリスク 当社では、コンプライアンスを経営上の重要な課題と位置付け、その強化に努めておりますが、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできません。当社の事業活動が法令や規制に抵触するような事態が発生したり、予期せぬ法令や規制の新設・変更が行われたりした場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (4)自然災害のリスク 当社では自然災害への対策として生産、製造、営業、管理の各部門毎にBCPを作成しております。しかしながら、地震、台風などの自然災害が発生し、当社の農場・GP工場が想定外の大規模な被害を受けた場合には、事業活動が停滞し、また損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生するなど、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。