2607

不二製油(2607)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

食料品 食品

事業の概要

  • 植物性油脂事業
    不二製油グループは、食用加工油脂やチョコレート用油脂など、幅広い植物性油脂の製造販売をグローバルに展開しています。これらの油脂は、食品メーカーの製品に不可欠な原材料であり、同社の主要な収益源の一つとなっています。アジア、欧州、米州など世界各地に拠点を持ち、地域ごとのニーズに応じた製品を提供しています。
  • 業務用チョコレート事業
    製菓・製パン業界向けの業務用チョコレートの製造販売を手掛けています。チョコレートは、菓子やパンの材料としてだけでなく、様々な加工食品にも使用されており、同社の技術力と製品開発力が強みです。特に、海外市場での展開も積極的に行っており、国際的な食品産業を支える重要な役割を担っています。
  • 乳化・発酵素材事業
    クリーム、マーガリン、フィリング、チーズ風味素材、そしてUSS製法による豆乳加工品やプレミアム豆乳製品など、多岐にわたる乳化・発酵素材を製造販売しています。これらの素材は、食品の風味や食感を向上させるために利用され、食品メーカーの製品開発に貢献しています。特に、植物性素材を活用した製品開発に注力しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 植物性油脂事業
    この事業は、食用加工油脂や食用油、チョコレート用油脂などを製造販売しており、売上高は2072.74億円、営業利益は262.7億円と、同社グループの主要な収益源の一つです。国内外の食品メーカーに不可欠な原材料を提供し、グローバルな生産・販売体制を確立しています。
  • 業務用チョコレート事業
    チョコレート製品の製造販売を手掛けるこの事業は、売上高3346.96億円とグループ内で最も大きいですが、営業利益は-158.33億円と赤字を計上しています。これは、市場競争の激化や原材料価格の高騰、あるいは特定の地域での事業再編などが影響している可能性があります。
  • 乳化・発酵素材事業
    クリーム、マーガリン、フィリング、チーズ風味素材、豆乳加工品などを製造販売しており、売上高は941.75億円、営業利益は34.44億円です。この事業は、食品の機能性や風味を向上させる素材を提供し、特に植物性素材を活用した製品開発に注力しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
VegetableOilsAndFats 事業 2,073 263 12.7%
IndustrialChocolate 地域 3,347 -158 -4.7%
EmulsifiedAndFermentedIngredients 事業 942 34 3.7%
SoyBasedIngredients 事業 351 7 1.9%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,378 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社41社(うち連結子会社39社)、関連会社6社(うち持分法適用会社5社)、その他の関係会社1社及びその他の関係会社の親会社1社で構成され、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の製造販売を主として行っており、さらに各事業に関連する物流及びその他のサービス等の事業活動を展開しております。 また、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することになります。 当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりです。 報告セグメント主要な製品主要な会社植物性油脂・食用加工油脂・食用油・チョコレート用油脂・不二製油(株)・FUJI OIL ASIA PTE. LTD.・FUJI OIL (SINGAPORE) PTE. LTD.・PALMAJU EDIBLE OIL SDN. BHD.・不二(中国)投資有限公司・不二製油(張家港)有限公司・FUJI SPECIALTIES, INC.・FUJI VEGETABLE OIL, INC.・Fuji Oil International Inc.・Oilseeds International, LLC・FUJI OIL EUROPE・FUJI OIL GHANA LIMITED・UNIFUJI SDN. BHD.・RITO Partnership・PROVENCE HUILES S.A.S業務用チョコレート・チョコレート・不二製油(株)・PT. FREYABADI INDOTAMA・FUJI GLOBAL CHOCOLATE (M) SDN. BHD.・INDUSTRIAL FOOD SERVICES PTY LIMITED・不二(中国)投資有限公司・不二製油(張家港)有限公司・Blommer Chocolate Manufacturing (Shanghai) Co., Ltd.・HARALD INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE ALIMENTOS LTDA・Blommer Chocolate Company, LLC・FUJI OIL EUROPE乳化・発酵素材・クリーム・マーガリン・フィリング・チーズ風味素材・USS製法による豆乳加工品 及びプレミアム豆乳製品・不二製油(株)・(株)フジサニーフーズ・オーム乳業(株)・FUJI OIL ASIA PTE. LTD.・WOODLANDS SUNNY FOODS PTE. LTD.・FUJI OIL (THAILAND) CO., LTD.・不二(中国)投資有限公司・不二製油(張家港)有限公司・不二製油(肇慶)有限公司大豆加工素材・大豆たん白素材・大豆たん白食品・水溶性大豆多糖類・不二製油(株)・(株)フジサニーフーズ・天津不二蛋白有限公司・Fuji Brandenburg GmbH 以上のほか、その他の関係会社の親会社である伊藤忠商事㈱とは、主に不二製油㈱が原材料等の購入及び製品販売等の取引を行っております。 以上に述べた当社グループの事業系統図は次のとおりです。(2026年3月31日現在)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 強い
重要特許シェア率が国内トップレベルに位置しており、市場優位性や価格決定力に影響し得る。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
植物性の油脂とたん白の加工技術を深掘りし、磨き上げてきた成果を特許ポートフォリオとして構築。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:社会課題・経済環境変化等の影響を受けた様々なリスク / グループ戦略上のリスク / 財務リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

不二製油は、大豆を主原料とする油脂製品、チョコレート用油脂、大豆たん白、イヌリンなどの機能性素材において、長年の研究開発で培われた独自の製造技術とノウハウを持つ。特に、特殊な油脂加工技術や大豆たん白の機能性向上技術は、競合他社が容易に模倣できない強みとなっている。これらの技術は、食品メーカーからの高い信頼を得ており、製品開発における差別化要因となっている。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

不二製油の製品は、食品メーカーの最終製品の品質や風味、機能性に直接影響を与えるため、一度採用されると切り替えにはリスクが伴う。特に、長年の配合実績や品質安定性が求められる分野では、サプライヤーの変更は製品の再開発や品質保証プロセスの見直しが必要となり、多大なコストと時間を要する。そのため、顧客企業は不二製油の製品を継続的に採用する傾向が強い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

該当なし

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

大豆という汎用的な原料を主に使用している点はコスト面で有利に働く可能性がある。また、長年の生産経験による効率化も進んでいると考えられる。しかし、特殊な加工技術や高付加価値製品へのシフトは、必ずしも絶対的なコスト優位性には繋がりにくい側面もある。原料価格の変動リスクも存在する。

  • グローバルな生産・販売網
    不二製油グループは、日本、米州、欧州、東南アジア、中国など世界各地に子会社や関連会社を有し、広範な生産・販売ネットワークを構築しています。これにより、各地域の市場ニーズに迅速に対応できるだけでなく、原材料の調達や製品供給の安定性を高め、国際的な競争力を維持しています。
  • 多様な食品素材の技術力
    植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材という幅広い分野で、高度な技術とノウハウを蓄積しています。特に、USS製法による豆乳加工品やプレミアム豆乳製品など、独自の技術を用いた製品開発は、他社との差別化要因となり、顧客企業の多様なニーズに応えることを可能にしています。
  • ESGへの取り組みとリスク管理
    同社は、全社リスクマネジメント体制を構築し、経営会議を全社リスクマネジメント機関と位置付けています。ESGマテリアリティを踏まえたリスク特定と対応策の策定・実行を通じて、事業継続性を高め、持続可能な成長を目指しています。これにより、社会からの信頼を獲得し、長期的な企業価値向上に繋げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが入手可能な情報に基づき作成したものです。実際の成果や業績は、今後様々な要因によって、記載されている内容とは異なる可能性があります。 (1)経営の基本方針 当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を経営の基本方針として掲げております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を会社運営の基本方針としています。 当社グループは創業以来、植物性素材のもつ可能性を追求し、おいしいもの、体によいものをお届けしたいという想いで製品を生み出し、価値を提供してきました。「不二製油グループ憲法」のミッションの下、当社グループが目指す姿として「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します。」をビジョンとし、社会課題の解決と持続的な成長を目指しています。 社員一人一人が本憲法に示されているバリュー(価値観)を共有し、プリンシプル(行動原則)を実践することで、ビジョンを実現し、全てのステークホルダーに対する貢献を果たしてまいります。 <不二製油グループ憲法> (2)ビジョン実現に向けた考え方 食が消費者に届くまでには、複雑なサプライチェーンと多くのステークホルダーが関与しています。食の社会課題の解決には、一社のみならず消費者も含めたバリューチェーン全体で価値向上に取り組むことが重要です。当社グループは食のバリューチェーンにおける川中の機能を担い、研究開発や生産活動を通して、顧客とその先の消費者の困りごとに対するソリューションの提供に努めています。 当社グループは心身の健康・地球環境問題・人権等、食のバリューチェーン上の社会課題を機敏に捉え、当社の提供価値につながるESGマテリアリティを特定し、経営戦略の立案・推進に活用しています。 経営戦略に基づき、財務資本、製造資本、人的資本等、当社グループが有する経営資本を活用し、4つの事業が持つ強みを組み合わせて、当社グループならではの植物性素材を創出しています。この植物性素材により食の選択肢を広げ“おいしさと健康”“サステナブルな食のバリューチェーン”を構築することが、当社グループの提供価値であると考えています。 そして、当社グループの提供価値が顧客価値=消費者価値となり、獲得した利益やキャッシュ・フローは食のバリューチェーン全体のサステナビリティ向上に寄与する当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資しています。 当社グループは価値創造プロセスの循環を通じ、持続的な成長を果たし、「サステナブルな食の未来」の実現を目指しています。 当社グループの経営資本は以下のとおりです。 “財務資本”とは、当社グループの事業活動により獲得した利益やキャッシュ・フローを持続的な企業価値向上へ向けて再投資することで構築される財務基盤です。2025年度において親会社の所有者に帰属する持分は2,401億59百万円、有利子負債は2,683億81百万円、営業キャッシュ・フローは548億40百万円の収入となりました。詳細は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「第5 経理の状況」に記載のとおりです。 “製造資本”とは、当社グループの安全・安心で安定した品質の製品を生産、顧客に提供するための製造拠点・製造能力です。2026年3月末時点においては、連結子会社39社、持分法適用会社5社がグループの生産を支えています。また、2025年度の設備投資額は292億25百万円となりました。 詳細は「第1 企業の概況 3 事業の内容」、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」及び「第3 設備の状況」に記載のとおりです。 “人的資本”とは、当社グループの企業活動を支え、持続的な成長を支える人材です。2026年3月末時点で連結従業員5,891名となり、うち約7割が海外拠点で働く従業員となりました。詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)戦略」に記載の、人的資本に関する当社の考え方及び取組をご覧ください。 “知的資本”とは、当社グループの技術革新と社会課題に貢献する製品の創出を支える研究成果と技術力です。2025年度の研究開発費は70億77百万円となりました。特許ポートフォリオ等の研究開発活動に関する情報は「6 研究開発活動」に記載のとおりです。 “社会・関係資本”とは、食のバリューチェーンの川中に位置する存在として構築してきた、ステークホルダーとの共創関係です。ステークホルダーとの共創の詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(1)不二製油グループのサステナビリティ経営」に記載のとおりです。 “自然資本”とは、エネルギーや水、生態系サービス(注)などの自然の恩恵を受けて生産されるパーム、カカオ、大豆、シアカーネル等の農産物原料を指します。当社グループの事業活動はこうした自然や生態系サービスに依存するとともに、その利用を通じて環境や生態系に負の影響を及ぼす可能性があります。当社グループは環境負荷の低減や持続可能な調達の推進を通じて、自然資本の保全と回復に努めています。 詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)リスク管理 ② 環境マネジメント」に記載のとおりです。(注)生態系サービス:食料や水の供給、気候の安定等、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵み ① 不二製油グループの強み 当社グループは創業当初から、南方系油脂と大豆たん白を中核に「植物性素材」にこだわり、パーム、カカオ、大豆を主原料とした技術の深掘りと横展開で植物性油脂事業、業務用チョコレート事業、乳化・発酵素材事業、大豆加工素材事業を発展させてきました。当社グループは、その歴史の中で培った各事業固有の技術で製品を創出するのみならず、各事業の持つ技術の融合により事業の垣根を越えた新しい、安全・安心で安定した品質の製品を生み出しています。 また、創業の精神「挑戦と革新」の下、BtoBの食品素材メーカーとして、顧客の課題、困りごとに共に挑み、当社グループの製品・取組による解決策を提案するとともに、多様化する消費者の食シーンに貢献する‘食’を顧客と共に創造し、社会課題解決に取り組んでいます。 さらには、当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決するべく、事業活動全体を通じて、環境や人権等を尊重するサプライヤー等との信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める取組を進めるとともに、これらサプライヤーから主要な原料を調達するサステナブル調達を進めています。 主要事業で培ってきた「技術の融合」、「顧客との課題解決力」、「サステナブル調達」は当社グループの歴史の中で育んできた、大きな強みであり、当社グループビジネスモデルの核となっています。 ② ビジネスモデルと競争優位性 当社グループのビジネスモデルは、「植物性油脂事業」、「業務用チョコレート事業」、「乳化・発酵素材事業」、「大豆加工素材事業」から構成されています。 当社グループは当社グループと関わる顧客・消費者・社会等のステークホルダーが直面する食の課題解決に取り組む課題解決型ビジネスを展開しています。 a.植物性油脂事業 ―南方系油脂を軸とした高度な利用技術(注1)・サステナブル原料のサプライチェーン― 当社グループは創業当初から、南方系油脂の加工、チョコレート用油脂(CBE:注2)に活路を見出し、南方系油脂を軸として、様々な油脂の高度な利用技術の革新を進め、植物性油脂事業を基盤事業として展開してきました。また、限りある資源の中で、自然との共生によるサステナブルな社会・事業活動を指向しており、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決すべく、早くから農園・農家との協働に取り組み、信頼関係を構築しています。このような取組で構築してきた‘サステナブル原料のサプライチェーン’も植物性油脂事業の差別化戦略につながる強みとなっています。(注)1.高度な利用技術:多様なニーズに合わせて、油脂加工技術と様々な油脂種の組み合わせにより油脂原料を余すことなく利用し、製品化する技術。2.CBE:Cocoa Butter Equivalentの略。ココアバターと同等の物性を持ったチョコレート用油脂。 b.業務用チョコレート事業 ―油脂技術の融合による多様化する価値を実現する機能性とおいしさの提供― 業務用チョコレート事業は、技術革新を進めてきた当社グループのチョコレート用油脂技術に支えられています。顧客の多様化する商品価値を具現化でき、価値を高める機能性と、口溶けのよさや豊かな風味といった消費者が求める‘おいしさ’を兼ね備えた高品質なコンパウンドチョコレートに強みを有しています。 c.乳化・発酵素材事業 ―乳化・発酵技術により「おいしさと使いやすさ」を提供― 乳化・発酵素材事業は、顧客の商品製造過程における加工安定性や流通過程での保形性等の‘使いやすさ’を実現できる油脂を使用した乳化技術と、消費者にとっての‘おいしさ’につながる風味を生む発酵技術の融合により、製菓・製パン・調理用途等にクリーム、マーガリン、フィリングといった幅広い素材を提供しています。 d.大豆加工素材事業 ―大豆のおいしさと栄養を活用した多様な製品群― 当社グループでは創業時から油脂とともに、大豆の豊富な栄養と大豆たん白の特性に着目し、研究を進め、用途拡大と技術革新を進めてきました。また大豆本来の‘おいしさ’を引き出す研究開発とともに、大豆たん白に含まれる機能性成分の研究により製品を創出し、多様な製品群を展開しています。大豆に含まれる植物性のタンパク質は食の未来を見据える中で、重要な食資源の一つです。大豆加工素材事業において社会課題の解決と消費者の要望に応える多様な高付加価値製品を創出し、提供することで、社会貢献を果たしてまいります。 ③ 不二製油グループの提供価値 持続可能な社会の実現に向けて、また食と健康への意識の高まりに伴い、消費者からはウェルビーイングにつながるおいしくて心と身体に良いものを食べること、つまり「おいしさと健康」の両立と「サステナブルな食のバリューチェーン」への貢献が求められています。当社グループは4つの事業の強みを活かした事業活動を通じ、「社会価値」と「経済価値」を創出し、ステークホルダーへの貢献を果たしてまいります。 「社会価値」 当社グループの事業活動では、創業以来培ってきた技術、顧客の課題や困りごとを解決する課題解決力、環境や人権等に配慮した原料の調達、そしてそれらを元に、様々なステークホルダーとの共創によって付加価値の高い製品を生み出しています。 当社グループは、事業活動を通じ、自然環境への負荷低減に取り組むとともにサステナブルな食資源の供給により、消費者の食の歓び、健康増進、雇用、人権尊重等のウェルビーイングの実現に貢献してまいります。 「経済価値」 当社グループの事業活動により得られた利益やキャッシュ・フローは当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資してまいります。 (3)対処すべき課題 当社グループは、2025年度から2027年度を対象期間とする中期経営計画「United for Growth 2027」を、2030年ビジョン実現に向けたPhase2「軌道に乗せる」期間として位置付けており、初年度となる当連結会計年度は、成長領域の強化など、当初企図した施策において目標を達成することができました。 しかしながら、2024年から発生したカカオ相場の高騰は継続しており、Blommer Chocolate Company, LLC(米国、以下「Blommer」という。)の収益悪化も継続し、当社グループの連結業績及び資本効率に影響を与え、引続きリスク管理の強化に課題を残す結果となりました。 このような状況のもと当社グループが引き続き取り組む対処すべき課題は、以下と認識して対応を進めてまいります。 ① 成長領域における収益力の安定化と競争力強化 当社グループの持続的な成長と企業価値向上において、植物性油脂事業及び業務用チョコレート事業を中心とする成長領域の収益力を安定的に確保し、競争力を一層強化することが、最も重要な経営課題のひとつであると考えています。 植物性油脂事業においては、原料のボラティリティリスクに対して当社グループは、パーム油、ひまわり油、シア脂、米ぬか油など多様な原料を活用した油脂加工技術を強みとして、原料の調達から製造、販売に至るまでのサプライチェーン全体の強化を通じて、安定供給と品質の両立を図ってまいりました。気候変動や地政学的な視点から、市場の不確実性は、今後も継続すると予測しており、今後はさらに原料段階からの付加価値化や機能性の高度化を進めることで、価格競争に依存しない収益構造の構築を目指してまいります。 また、チョコレート用油脂(CBE)のグループ供給体制の強化では、サステナブル調達やトレーサビリティへの対応が競争優位性の重要な要素となっております。環境・人権に配慮した原料調達体制の構築を進めるとともに、顧客の要請や各国の規制動向を踏まえた対応力を高めることで、グローバル市場における信頼性と競争力の向上に取り組んでまいります。 業務用チョコレート事業においては、ピュアチョコレート比率の高いBlommerにおいて引続きカカオ豆の価格変動への対応が重要な課題と認識しており、原料産地の多角化、適正在庫の厳格な管理に加え、カナダ工場の増産も含め、コンパウンドチョコレートの増産・拡販にてバランスを改善していきます。 当社グループは長年培ってきた油脂技術を活用した、機能性の高いコンパウンドチョコレートの製造技術とアプリケーション提案力を強みとして、日本市場以外でも、機能性を兼ね備えたコンパウンドチョコレートの更なる拡販など、ブラジル、豪州、欧州を中心に販売拡大を実行してまいります。 ② 事業構造改革と収益性改善 市場環境の悪化や、競争環境が変化している乳化・発酵素材事業及び、大豆加工素材事業については、更なる高付加価値製品へのシフトと、事業効率の改善が重要な課題であると認識しています。 乳化・発酵素材事業では、日本市場においては競争が激化する中でも乳化・発酵技術を生かし、成長領域での収益力強化に加え、挑戦領域における新製品開発まで、幅広い取り組みを推進してまいります。 また海外市場においては、技術のグローバル展開を通じて、高付加価値製品群を中心とした事業ポートフォリオの拡充を目指すとともに当社が培ってきた商品開発力やアプリケーション提案力を基盤として、東南アジアや中国など成長が見込まれる地域への展開を加速させてまいります。 大豆加工素材事業については、日本市場は食品の値上げ継続により、購買意欲が減退する中、中国産との競争環境が激化するなど、厳しい事業環境となりました。このような状況を踏まえ、更なる生産性の改善を含む、コスト競争力の強化を課題として認識しております。加えて、新商品の開発・投入により付加価値化・差別化を高め、収益性の改善を推進します。 ③ 新たな挑戦領域の確立と将来成長への布石 新しい製品や技術の開発にとどまらず、新しい市場や新しい販売手法による価値創出を含む概念として「挑戦領域」を位置づけております。 付加価値の高いプレミアムオイルの市場開拓、顧客の課題解決につながる製品群として日本の技術を駆使し機能を追求した素材並びにアプリケーションを展開するなど、挑戦領域製品群の拡充を進めています。 日本市場においては、挑戦領域を牽引するフラッグシップとして植物性に特化したブランド‘GOODNOON’を展開しています。短期的な収益性にとらわれることなく、中長期的な視点で市場性や競争優位性を評価し、成長が見込まれる領域には重点的に経営資源を配分してまいります。 ‘GOODNOON’の展開などを通じて、当社グループが掲げるビジョンや価値観を社内外に共有し、将来の成長を牽引する事業基盤の構築に取り組んでまいります。 (4)会社の経営戦略と経営目標① 中期経営計画「United for Growth 2027」 2030年に向けて、対処すべき課題への対応に取り組み、収益成長と資本効率の改善を今中期経営計画「United for Growth 2027」においても推進しております。本中期経営計画では、経営方針の中核として以下の3つの基本方針を掲げております。 a.事業持株会社体制への移行によるガバナンスの強化 当社グループは事業持株会社体制へ移行し、各事業本部が国内外のグループ会社を含めた事業運営及び管理責任を担うガバナンス体制へと再編いたしました。 これにより、事業本部長の権限と責任を明確化し、事業戦略の立案から実行、業績管理、リスク対応までを一体的に推進しています。 一方、機能軸においては、全社的な視点からの統制、リスク管理、コンプライアンスの確保を行うことで、経営の健全性を担保し、グループ全体の資本効率及び財務健全性の向上を図っております。また、人事においては、海外を含む人材マネジメントや人材育成体制を強化し、グローバル経営を支える人材基盤の整備を進めております。 当体制により、全社が一体となって喫緊の経営課題となっているBlommerの構造改革の推進に取り組むと共に、グループ全体の経営管理体制の強化を進めてまいります。 b.資本効率を重視した経営管理と財務体質の強化 中期経営計画「United for Growth 2027」における経営目標は以下の通りです。 財務KPI 中期経営計画目標(2027年度)事業利益(注1)450億円ROE10.0%以上FUJI ROIC(投下資本利益率)(注2)6.0%以上(注)1.2025年度よりIFRSを任意適用しております。2.FUJI ROIC=税引後事業利益 ÷(運転資本+固定資産+持分法投資)当社グループでは本指標を各事業で把握・管理可能な項目とすべく、分母となる投下資本を運転資本、固定資産、持分法投資に置き換えて使用しております。 事業持株会社体制の下、FUJI ROICを経営指標として活用し、事業ごとの資本効率を可視化することにより、投資判断の精度向上や経営資源の最適配分を推進することで、持続的な成長と企業価値向上を実現してまいります。 また、運転資本の適正化や固定資産の効率的な活用を通じて、キャッシュ・フロー創出力の向上に取り組んでおります。 さらに、当連結会計年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用し、財務情報の比較可能性及び透明性を高め、資本市場との対話の一層の充実を図っております。 c.サステナビリティの更なる深化 将来財務KPI 中期経営計画目標(2027年度)GHG排出量の削減(スコープ1+2)(注1)20%削減サステナブル調達(パーム油TTP比率(注2))95%以上(注)1.基準年:2020年度(全連結子会社)2.パーム油TTP:パーム油の農園までのトレーサビリティ(Traceability to Plantation)※2025年度実績は2026年9月発行予定のサステナビリティレポートにて開示予定。 当社グループにとって、サステナビリティの深化は、単なる社会的要請への対応にとどまるものではなく、競争力の源泉であり、持続的成長を支える重要な経営基盤であると認識しております。 サステナビリティ分野においては、環境ビジョン2030/2050及びサステナブル調達コミットメントに基づき、GHG排出量の削減、資源循環の推進、原料のトレーサビリティの確保などの取り組みを継続しております。 これらの取り組みは、環境・社会への貢献に加え、顧客や投資家からの信頼獲得を通じて、当社グループの競争力向上にも寄与するものと考えております。 詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 ② 財務戦略 当社グループは、資本コストを基準とした投資管理の徹底及び投資管理レビュー制度を通じた投資・撤退判断により、資本効率の改善を推進しております。製品ポートフォリオの見直しや在庫回転率の向上による運転資本の圧縮、各事業本部及びグループ会社におけるFUJI ROIC改善の取り組みを強化するとともに、グループファイナンスを活用した資金の最適配分により、金利上昇や原料高騰といった事業環境の変化への対応力を高めております。 これらの取り組みを通じて安定的なキャッシュ・フローの創出を図るとともに、株主還元については配当性向30~40%を目安とした、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが入手可能な情報に基づき作成したものです。実際の成果や業績は、今後様々な要因によって、記載されている内容とは異なる可能性があります。 (1)経営の基本方針 当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を経営の基本方針として掲げております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を会社運営の基本方針としています。 当社グループは創業以来、植物性素材のもつ可能性を追求し、おいしいもの、体によいものをお届けしたいという想いで製品を生み出し、価値を提供してきました。「不二製油グループ憲法」のミッションの下、当社グループが目指す姿として「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します。」をビジョンとし、社会課題の解決と持続的な成長を目指しています。 社員一人一人が本憲法に示されているバリュー(価値観)を共有し、プリンシプル(行動原則)を実践することで、ビジョンを実現し、全てのステークホルダーに対する貢献を果たしてまいります。 <不二製油グループ憲法> (2)ビジョン実現に向けた考え方 食が消費者に届くまでには、複雑なサプライチェーンと多くのステークホルダーが関与しています。食の社会課題の解決には、一社のみならず消費者も含めたバリューチェーン全体で価値向上に取り組むことが重要です。当社グループは食のバリューチェーンにおける川中の機能を担い、研究開発や生産活動を通して、顧客とその先の消費者の困りごとに対するソリューションの提供に努めています。 当社グループは心身の健康・地球環境問題・人権等、食のバリューチェーン上の社会課題を機敏に捉え、当社の提供価値につながるESGマテリアリティを特定し、経営戦略の立案・推進に活用しています。 経営戦略に基づき、財務資本、製造資本、人的資本等、当社グループが有する経営資本を活用し、4つの事業が持つ強みを組み合わせて、当社グループならではの植物性素材を創出しています。この植物性素材により食の選択肢を広げ“おいしさと健康”“サステナブルな食のバリューチェーン”を構築することが、当社グループの提供価値であると考えています。 そして、当社グループの提供価値が顧客価値=消費者価値となり、獲得した利益やキャッシュ・フローは食のバリューチェーン全体のサステナビリティ向上に寄与する当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資しています。 当社グループは価値創造プロセスの循環を通じ、持続的な成長を果たし、「サステナブルな食の未来」の実現を目指しています。 当社グループの経営資本は以下のとおりです。 “財務資本”とは、当社グループの事業活動により獲得した利益やキャッシュ・フローを持続的な企業価値向上へ向けて再投資することで構築される財務基盤です。2025年度において親会社の所有者に帰属する持分は2,401億59百万円、有利子負債は2,683億81百万円、営業キャッシュ・フローは548億40百万円の収入となりました。詳細は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「第5 経理の状況」に記載のとおりです。 “製造資本”とは、当社グループの安全・安心で安定した品質の製品を生産、顧客に提供するための製造拠点・製造能力です。2026年3月末時点においては、連結子会社39社、持分法適用会社5社がグループの生産を支えています。また、2025年度の設備投資額は292億25百万円となりました。 詳細は「第1 企業の概況 3 事業の内容」、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」及び「第3 設備の状況」に記載のとおりです。 “人的資本”とは、当社グループの企業活動を支え、持続的な成長を支える人材です。2026年3月末時点で連結従業員5,891名となり、うち約7割が海外拠点で働く従業員となりました。詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)戦略」に記載の、人的資本に関する当社の考え方及び取組をご覧ください。 “知的資本”とは、当社グループの技術革新と社会課題に貢献する製品の創出を支える研究成果と技術力です。2025年度の研究開発費は70億77百万円となりました。特許ポートフォリオ等の研究開発活動に関する情報は「6 研究開発活動」に記載のとおりです。 “社会・関係資本”とは、食のバリューチェーンの川中に位置する存在として構築してきた、ステークホルダーとの共創関係です。ステークホルダーとの共創の詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(1)不二製油グループのサステナビリティ経営」に記載のとおりです。 “自然資本”とは、エネルギーや水、生態系サービス(注)などの自然の恩恵を受けて生産されるパーム、カカオ、大豆、シアカーネル等の農産物原料を指します。当社グループの事業活動はこうした自然や生態系サービスに依存するとともに、その利用を通じて環境や生態系に負の影響を及ぼす可能性があります。当社グループは環境負荷の低減や持続可能な調達の推進を通じて、自然資本の保全と回復に努めています。 詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)リスク管理 ② 環境マネジメント」に記載のとおりです。(注)生態系サービス:食料や水の供給、気候の安定等、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵み ① 不二製油グループの強み 当社グループは創業当初から、南方系油脂と大豆たん白を中核に「植物性素材」にこだわり、パーム、カカオ、大豆を主原料とした技術の深掘りと横展開で植物性油脂事業、業務用チョコレート事業、乳化・発酵素材事業、大豆加工素材事業を発展させてきました。当社グループは、その歴史の中で培った各事業固有の技術で製品を創出するのみならず、各事業の持つ技術の融合により事業の垣根を越えた新しい、安全・安心で安定した品質の製品を生み出しています。 また、創業の精神「挑戦と革新」の下、BtoBの食品素材メーカーとして、顧客の課題、困りごとに共に挑み、当社グループの製品・取組による解決策を提案するとともに、多様化する消費者の食シーンに貢献する‘食’を顧客と共に創造し、社会課題解決に取り組んでいます。 さらには、当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決するべく、事業活動全体を通じて、環境や人権等を尊重するサプライヤー等との信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める取組を進めるとともに、これらサプライヤーから主要な原料を調達するサステナブル調達を進めています。 主要事業で培ってきた「技術の融合」、「顧客との課題解決力」、「サステナブル調達」は当社グループの歴史の中で育んできた、大きな強みであり、当社グループビジネスモデルの核となっています。 ② ビジネスモデルと競争優位性 当社グループのビジネスモデルは、「植物性油脂事業」、「業務用チョコレート事業」、「乳化・発酵素材事業」、「大豆加工素材事業」から構成されています。 当社グループは当社グループと関わる顧客・消費者・社会等のステークホルダーが直面する食の課題解決に取り組む課題解決型ビジネスを展開しています。 a.植物性油脂事業 ―南方系油脂を軸とした高度な利用技術(注1)・サステナブル原料のサプライチェーン― 当社グループは創業当初から、南方系油脂の加工、チョコレート用油脂(CBE:注2)に活路を見出し、南方系油脂を軸として、様々な油脂の高度な利用技術の革新を進め、植物性油脂事業を基盤事業として展開してきました。また、限りある資源の中で、自然との共生によるサステナブルな社会・事業活動を指向しており、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決すべく、早くから農園・農家との協働に取り組み、信頼関係を構築しています。このような取組で構築してきた‘サステナブル原料のサプライチェーン’も植物性油脂事業の差別化戦略につながる強みとなっています。(注)1.高度な利用技術:多様なニーズに合わせて、油脂加工技術と様々な油脂種の組み合わせにより油脂原料を余すことなく利用し、製品化する技術。2.CBE:Cocoa Butter Equivalentの略。ココアバターと同等の物性を持ったチョコレート用油脂。 b.業務用チョコレート事業 ―油脂技術の融合による多様化する価値を実現する機能性とおいしさの提供― 業務用チョコレート事業は、技術革新を進めてきた当社グループのチョコレート用油脂技術に支えられています。顧客の多様化する商品価値を具現化でき、価値を高める機能性と、口溶けのよさや豊かな風味といった消費者が求める‘おいしさ’を兼ね備えた高品質なコンパウンドチョコレートに強みを有しています。 c.乳化・発酵素材事業 ―乳化・発酵技術により「おいしさと使いやすさ」を提供― 乳化・発酵素材事業は、顧客の商品製造過程における加工安定性や流通過程での保形性等の‘使いやすさ’を実現できる油脂を使用した乳化技術と、消費者にとっての‘おいしさ’につながる風味を生む発酵技術の融合により、製菓・製パン・調理用途等にクリーム、マーガリン、フィリングといった幅広い素材を提供しています。 d.大豆加工素材事業 ―大豆のおいしさと栄養を活用した多様な製品群― 当社グループでは創業時から油脂とともに、大豆の豊富な栄養と大豆たん白の特性に着目し、研究を進め、用途拡大と技術革新を進めてきました。また大豆本来の‘おいしさ’を引き出す研究開発とともに、大豆たん白に含まれる機能性成分の研究により製品を創出し、多様な製品群を展開しています。大豆に含まれる植物性のタンパク質は食の未来を見据える中で、重要な食資源の一つです。大豆加工素材事業において社会課題の解決と消費者の要望に応える多様な高付加価値製品を創出し、提供することで、社会貢献を果たしてまいります。 ③ 不二製油グループの提供価値 持続可能な社会の実現に向けて、また食と健康への意識の高まりに伴い、消費者からはウェルビーイングにつながるおいしくて心と身体に良いものを食べること、つまり「おいしさと健康」の両立と「サステナブルな食のバリューチェーン」への貢献が求められています。当社グループは4つの事業の強みを活かした事業活動を通じ、「社会価値」と「経済価値」を創出し、ステークホルダーへの貢献を果たしてまいります。 「社会価値」 当社グループの事業活動では、創業以来培ってきた技術、顧客の課題や困りごとを解決する課題解決力、環境や人権等に配慮した原料の調達、そしてそれらを元に、様々なステークホルダーとの共創によって付加価値の高い製品を生み出しています。 当社グループは、事業活動を通じ、自然環境への負荷低減に取り組むとともにサステナブルな食資源の供給により、消費者の食の歓び、健康増進、雇用、人権尊重等のウェルビーイングの実現に貢献してまいります。 「経済価値」 当社グループの事業活動により得られた利益やキャッシュ・フローは当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資してまいります。 (3)対処すべき課題 当社グループは、2025年度から2027年度を対象期間とする中期経営計画「United for Growth 2027」を、2030年ビジョン実現に向けたPhase2「軌道に乗せる」期間として位置付けており、初年度となる当連結会計年度は、成長領域の強化など、当初企図した施策において目標を達成することができました。 しかしながら、2024年から発生したカカオ相場の高騰は継続しており、Blommer Chocolate Company, LLC(米国、以下「Blommer」という。)の収益悪化も継続し、当社グループの連結業績及び資本効率に影響を与え、引続きリスク管理の強化に課題を残す結果となりました。 このような状況のもと当社グループが引き続き取り組む対処すべき課題は、以下と認識して対応を進めてまいります。 ① 成長領域における収益力の安定化と競争力強化 当社グループの持続的な成長と企業価値向上において、植物性油脂事業及び業務用チョコレート事業を中心とする成長領域の収益力を安定的に確保し、競争力を一層強化することが、最も重要な経営課題のひとつであると考えています。 植物性油脂事業においては、原料のボラティリティリスクに対して当社グループは、パーム油、ひまわり油、シア脂、米ぬか油など多様な原料を活用した油脂加工技術を強みとして、原料の調達から製造、販売に至るまでのサプライチェーン全体の強化を通じて、安定供給と品質の両立を図ってまいりました。気候変動や地政学的な視点から、市場の不確実性は、今後も継続すると予測しており、今後はさらに原料段階からの付加価値化や機能性の高度化を進めることで、価格競争に依存しない収益構造の構築を目指してまいります。 また、チョコレート用油脂(CBE)のグループ供給体制の強化では、サステナブル調達やトレーサビリティへの対応が競争優位性の重要な要素となっております。環境・人権に配慮した原料調達体制の構築を進めるとともに、顧客の要請や各国の規制動向を踏まえた対応力を高めることで、グローバル市場における信頼性と競争力の向上に取り組んでまいります。 業務用チョコレート事業においては、ピュアチョコレート比率の高いBlommerにおいて引続きカカオ豆の価格変動への対応が重要な課題と認識しており、原料産地の多角化、適正在庫の厳格な管理に加え、カナダ工場の増産も含め、コンパウンドチョコレートの増産・拡販にてバランスを改善していきます。 当社グループは長年培ってきた油脂技術を活用した、機能性の高いコンパウンドチョコレートの製造技術とアプリケーション提案力を強みとして、日本市場以外でも、機能性を兼ね備えたコンパウンドチョコレートの更なる拡販など、ブラジル、豪州、欧州を中心に販売拡大を実行してまいります。 ② 事業構造改革と収益性改善 市場環境の悪化や、競争環境が変化している乳化・発酵素材事業及び、大豆加工素材事業については、更なる高付加価値製品へのシフトと、事業効率の改善が重要な課題であると認識しています。 乳化・発酵素材事業では、日本市場においては競争が激化する中でも乳化・発酵技術を生かし、成長領域での収益力強化に加え、挑戦領域における新製品開発まで、幅広い取り組みを推進してまいります。 また海外市場においては、技術のグローバル展開を通じて、高付加価値製品群を中心とした事業ポートフォリオの拡充を目指すとともに当社が培ってきた商品開発力やアプリケーション提案力を基盤として、東南アジアや中国など成長が見込まれる地域への展開を加速させてまいります。 大豆加工素材事業については、日本市場は食品の値上げ継続により、購買意欲が減退する中、中国産との競争環境が激化するなど、厳しい事業環境となりました。このような状況を踏まえ、更なる生産性の改善を含む、コスト競争力の強化を課題として認識しております。加えて、新商品の開発・投入により付加価値化・差別化を高め、収益性の改善を推進します。 ③ 新たな挑戦領域の確立と将来成長への布石 新しい製品や技術の開発にとどまらず、新しい市場や新しい販売手法による価値創出を含む概念として「挑戦領域」を位置づけております。 付加価値の高いプレミアムオイルの市場開拓、顧客の課題解決につながる製品群として日本の技術を駆使し機能を追求した素材並びにアプリケーションを展開するなど、挑戦領域製品群の拡充を進めています。 日本市場においては、挑戦領域を牽引するフラッグシップとして植物性に特化したブランド‘GOODNOON’を展開しています。短期的な収益性にとらわれることなく、中長期的な視点で市場性や競争優位性を評価し、成長が見込まれる領域には重点的に経営資源を配分してまいります。 ‘GOODNOON’の展開などを通じて、当社グループが掲げるビジョンや価値観を社内外に共有し、将来の成長を牽引する事業基盤の構築に取り組んでまいります。 (4)会社の経営戦略と経営目標① 中期経営計画「United for Growth 2027」 2030年に向けて、対処すべき課題への対応に取り組み、収益成長と資本効率の改善を今中期経営計画「United for Growth 2027」においても推進しております。本中期経営計画では、経営方針の中核として以下の3つの基本方針を掲げております。 a.事業持株会社体制への移行によるガバナンスの強化 当社グループは事業持株会社体制へ移行し、各事業本部が国内外のグループ会社を含めた事業運営及び管理責任を担うガバナンス体制へと再編いたしました。 これにより、事業本部長の権限と責任を明確化し、事業戦略の立案から実行、業績管理、リスク対応までを一体的に推進しています。 一方、機能軸においては、全社的な視点からの統制、リスク管理、コンプライアンスの確保を行うことで、経営の健全性を担保し、グループ全体の資本効率及び財務健全性の向上を図っております。また、人事においては、海外を含む人材マネジメントや人材育成体制を強化し、グローバル経営を支える人材基盤の整備を進めております。 当体制により、全社が一体となって喫緊の経営課題となっているBlommerの構造改革の推進に取り組むと共に、グループ全体の経営管理体制の強化を進めてまいります。 b.資本効率を重視した経営管理と財務体質の強化 中期経営計画「United for Growth 2027」における経営目標は以下の通りです。 財務KPI 中期経営計画目標(2027年度)事業利益(注1)450億円ROE10.0%以上FUJI ROIC(投下資本利益率)(注2)6.0%以上(注)1.2025年度よりIFRSを任意適用しております。2.FUJI ROIC=税引後事業利益 ÷(運転資本+固定資産+持分法投資)当社グループでは本指標を各事業で把握・管理可能な項目とすべく、分母となる投下資本を運転資本、固定資産、持分法投資に置き換えて使用しております。 事業持株会社体制の下、FUJI ROICを経営指標として活用し、事業ごとの資本効率を可視化することにより、投資判断の精度向上や経営資源の最適配分を推進することで、持続的な成長と企業価値向上を実現してまいります。 また、運転資本の適正化や固定資産の効率的な活用を通じて、キャッシュ・フロー創出力の向上に取り組んでおります。 さらに、当連結会計年度より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用し、財務情報の比較可能性及び透明性を高め、資本市場との対話の一層の充実を図っております。 c.サステナビリティの更なる深化 将来財務KPI 中期経営計画目標(2027年度)GHG排出量の削減(スコープ1+2)(注1)20%削減サステナブル調達(パーム油TTP比率(注2))95%以上(注)1.基準年:2020年度(全連結子会社)2.パーム油TTP:パーム油の農園までのトレーサビリティ(Traceability to Plantation)※2025年度実績は2026年9月発行予定のサステナビリティレポートにて開示予定。 当社グループにとって、サステナビリティの深化は、単なる社会的要請への対応にとどまるものではなく、競争力の源泉であり、持続的成長を支える重要な経営基盤であると認識しております。 サステナビリティ分野においては、環境ビジョン2030/2050及びサステナブル調達コミットメントに基づき、GHG排出量の削減、資源循環の推進、原料のトレーサビリティの確保などの取り組みを継続しております。 これらの取り組みは、環境・社会への貢献に加え、顧客や投資家からの信頼獲得を通じて、当社グループの競争力向上にも寄与するものと考えております。 詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 ② 財務戦略 当社グループは、資本コストを基準とした投資管理の徹底及び投資管理レビュー制度を通じた投資・撤退判断により、資本効率の改善を推進しております。製品ポートフォリオの見直しや在庫回転率の向上による運転資本の圧縮、各事業本部及びグループ会社におけるFUJI ROIC改善の取り組みを強化するとともに、グループファイナンスを活用した資金の最適配分により、金利上昇や原料高騰といった事業環境の変化への対応力を高めております。 これらの取り組みを通じて安定的なキャッシュ・フローの創出を図るとともに、株主還元については配当性向30~40%を目安とした、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当社グループは当連結会計年度より、IFRSを任意適用しております。また、前連結会計年度の数値も、IFRSに組み替えて表示しております。連結財務数値に係るIFRSと日本において一般に公正妥当と認められる会計基準(以下「日本基準」という。)との差異につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」をご参照ください。 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが入手可能な情報に基づき作成したものです。実際の成果や業績は、今後様々な要因によって、記載されている内容とは異なる可能性があります。 (1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 経営成績の状況の分析 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、米国の関税政策や地政学リスクの高まりに関連する経済的な影響、中国の景気動向等が懸念要素となる状況が続いています。日本においては物価上昇の影響が続いているものの、雇用・所得環境の改善等により、支出動向は底堅い推移が続いています。 当社グループにおいては、2025年度から2027年度までの3ヵ年を対象とした中期経営計画「United for Growth 2027」を策定しました。持続的な企業価値の向上に向けて、「ガバナンスの深化」、「成長領域の更なる強化」、「新たな挑戦領域の確立」を基本方針として、事業軸と機能軸の強化による管理体制の強化、チョコレート用油脂(CBE)やコンパウンドチョコレートといった成長領域における競争優位性の更なる強化、新たな事業の柱を担う挑戦領域の育成へ注力します。 中期経営計画の初年度となる2025年度は、チョコレート用油脂(CBE)を中心とした成長領域において競争優位性を発揮し、収益力の向上が進みました。なお、Blommer Chocolate Company, LLC(米国、以下「Blommer」)においては、2024年3月に公表しております構造改革を推進中であり、2024年以降のカカオ価格高騰を背景とした2024年度の事業損失からも大幅な回復の途上にあります。しかしながら、需要低迷の長期化による販売数量の減少や管理強化に伴う固定費増加等により、当連結会計年度において当初の事業計画と実績に乖離が発生しました。このような状況から、想定していたBlommerの収益実現には時間を要すると判断し、同社に係るのれんの減損損失と繰延税金資産の取崩しに伴う法人税等調整額を計上しました。Blommerの収益改善に向けて、ガバナンス体制の強化によるリスク低減や、当社グループの強みであり技術力を有するコンパウンドチョコレートの販売強化等の施策を実行しています。 以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、以下のとおりとなりました。(単位:百万円) 売上高事業利益税引前当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益2026年3月期772,28836,04823,43011,1422025年3月期671,20713,2616,9003,863前期比 増減(前期比 増減率)+101,080(+15.1%)+22,787(+171.8%)+16,529(+239.5%)+7,278(+188.4%) 売上高は、パーム油価格が前年同期比で上昇したことに加え、カカオ豆価格も2024年の高騰以降、調達価格が高値水準を継続していることから、主要原材料の調達価格上昇に伴う販売価格の上昇により増収となりました。事業利益は、植物性油脂事業のチョコレート用油脂の堅調な販売や、Blommerでのカカオ豆価格の安定及び関連費用の減少により増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、Blommerに係るのれんの減損損失や繰延税金資産の取崩しに伴う法人税等調整額を計上しましたが、事業利益の伸長により、増益となりました。 当社は、当連結会計年度より、従来「連結消去・グループ管理費用」に含めていたセグメントに配分していない全社費用を、各報告セグメントに配分して記載しております。そのため、前連結会計年度のセグメント情報は、全社費用を各報告セグメントに配分し、比較分析をしております。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。(単位:百万円) 売上高前期比増減前期比(%)事業利益前期比増減前期比(%)植物性油脂271,076+63,747+30.7%33,394+6,612+24.7%業務用チョコレート370,904+36,219+10.8%2,391+16,560-乳化・発酵素材97,432+3,180+3.4%1,144△556△32.7%大豆加工素材32,874△2,066△5.9%△874△57-連結消去・グループ管理費用---△8+226-合 計772,288+101,080+15.1%36,048+22,787+171.8% (植物性油脂事業) 売上高は、原材料価格の上昇並びに需要の拡大に伴う販売価格の上昇に加え、当第1四半期連結累計期間に発生した新規連結に伴う売上高の増加により増収となりました。事業利益は、チョコレート用油脂の堅調な販売等により増益となりました。 (業務用チョコレート事業) 売上高は、原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇により増収となりました。事業利益は、Blommerにおいて販売数量が減少しましたが、カカオ豆関連費用の減少により損失は改善しました。 (乳化・発酵素材事業) 売上高は、原材料価格の上昇に伴う販売価格の上昇により増収となりました。事業利益は、原材料価格の上昇に伴う採算性の悪化や、アジアでの販売数量の減少により減益となりました。 (大豆加工素材事業) 売上高及び事業利益は、機能剤の販売数量減少等により減収減益となりました。 ② 財政状態の状況の分析 当連結会計年度末における連結財政状態は、以下のとおりです。(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期増減 流動資産363,997359,051△4,946 非流動資産233,079277,881+44,802資産 597,076636,933+39,856 有利子負債283,721268,381△15,340 その他102,428124,074+21,645負債 386,150392,455+6,305資本 210,926244,477+33,550 (資産) 当連結会計年度末の資産は、原材料価格の上昇や新規連結会社の増加に伴い棚卸資産や営業債権が増加しましたが、現金及び現金同等物の減少により、流動資産が減少しました。新規連結会社の株式取得に伴うのれんの増加や設備投資の実施等により、非流動資産が増加しました。以上の結果、前連結会計年度末に比べ398億56百万円増加し、6,369億33百万円となりました。 (負債) 当連結会計年度末の負債は、運転資本の減少等に伴う短期借入金の返済により有利子負債が減少しましたが、その他に含まれる営業債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ63億5百万円増加し、3,924億55百万円となりました。(資本) 当連結会計年度末の資本は、利益剰余金の増加やアメリカドル、ユーロ並びにブラジルレアルに対する円安によるその他の資本の構成要素の増加等により、前連結会計年度末に比べ335億50百万円増加し、2,444億77百万円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析 当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。(単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期増減営業活動によるキャッシュ・フロー△48,82854,840+103,669投資活動によるキャッシュ・フロー△21,753△46,847△25,094フリー・キャッシュ・フロー△70,5817,993+78,575財務活動によるキャッシュ・フロー113,188△38,590△151,778現金及び現金同等物70,84046,811△24,029 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、548億40百万円の収入となりました。前連結会計年度では増加していた運転資本需要の改善等により、1,036億69百万円収入が増加しております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、468億47百万円の支出となりました。新規連結会社の株式並びに有形固定資産の取得の増加等により、250億94百万円支出が増加しております。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、385億90百万円の支出となりました。運転資本の増加を主要因として資金需要が増加した前連結会計年度からの反動に加えて、手元資金を活用し借入金等の返済を進めたことにより、1,517億78百万円支出が増加しております。 (2)資本の財源及び資金の流動性 当社グループは円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務規律の維持及び財務健全性の向上を基本方針とし、中長期的な企業価値向上を実現すべく、資本コストを意識した経営を実践しております。 当社グループの主な資金需要は、生産活動及び販売活動に必要な運転資金、生産性向上のための設備投資、成長基盤強化のための事業投資等です。資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー並びに社債の発行等による資金調達です。 短期運転資金は営業キャッシュ・フローとコマーシャル・ペーパー発行及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資及び事業投資の資金は金融機関からの長期借入のほか、社債発行による資金調達を行っております。 当社グループは複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しているほか、コマーシャル・ペーパー発行枠及び国内社債発行枠の登録により資金調達手段の多様化を図り、事業運営に必要な資金の流動性を十分に確保しております。 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は2,683億81百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は468億11百万円となっております。 (3)生産、受注及び販売の実績① 生産実績 当社グループの生産品目は広範囲、多種多様であり、かつ、製品のグループ内使用(製品を他のグループ会社の原材料として使用)が数多くあるため、セグメント別(連結ベース)に生産実績を、金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産の実績については、「(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 経営成績の状況の分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。 ② 受注実績 当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 ③ 販売実績 当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績については、「(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 経営成績の状況の分析」に記載のとおりです。 (4)重要性がある会計方針及び見積り 重要性がある会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行いますので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。 なお、当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.見積り及び判断の利用」に記載しております。 (5)並行開示情報 連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりです。 なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。 ① 要約連結貸借対照表(日本基準)(単位:百万円) 前連結会計年度(2025年3月31日)当連結会計年度(2026年3月31日)資産の部 流動資産354,830358,540固定資産 有形固定資産156,505178,372無形固定資産51,18567,028投資その他の資産33,85931,479固定資産合計241,550276,880繰延資産183134資産合計596,564635,556 負債の部 流動負債273,204254,448固定負債108,835130,164負債合計382,040384,612 純資産の部 株主資本174,998183,788その他の包括利益累計額35,49962,837非支配株主持分4,0254,318純資産合計214,524250,944負債純資産合計596,564635,556 ② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)要約連結損益計算書(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)売上高671,211772,285売上原価591,984664,273売上総利益79,227108,012販売費及び一般管理費69,33275,342営業利益9,89532,669営業外収益3,2673,422営業外費用7,8589,408経常利益5,30426,684特別利益990373特別損失4432,115税金等調整前当期純利益5,85024,942法人税等合計2,06712,248当期純利益3,78312,693非支配株主に帰属する当期純利益1,552367親会社株主に帰属する当期純利益2,23012,325 要約連結包括利益計算書(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)当期純利益3,78312,693その他の包括利益合計△8,46428,437包括利益△4,68141,131(内訳) 親会社株主に係る包括利益△5,98340,591非支配株主に係る包括利益1,302539 ③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額非支配株主持分純資産合計当期首残高189,82842,35712,105244,291当期変動額△14,830△6,857△8,079△29,767当期末残高174,99835,4994,025214,524 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額非支配株主持分純資産合計当期首残高174,99835,4994,025214,524当期変動額8,79027,33729236,419当期末残高183,78862,8374,318250,944 ④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)営業活動によるキャッシュ・フロー△50,63154,263投資活動によるキャッシュ・フロー△21,738△46,823財務活動によるキャッシュ・フロー114,931△37,380現金及び現金同等物に係る換算差額△2506,533現金及び現金同等物の増減額(△は減少)42,311△23,405現金及び現金同等物の期首残高27,48069,846連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)54-現金及び現金同等物の期末残高69,84646,440 ⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 該当事項はありません。 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(連結の範囲の変更) 増加2社(新規取得) 減少2社(吸収合併) ⑥ 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40.初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」に記載のとおりです。 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(のれんの償却) 日本基準ではのれんを一定期間にわたり償却しておりましたが、IFRSではのれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「販売費及び一般管理費」が2,735百万円減少しております。 (リース) 日本基準では借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりましたが、IFRSでは原則としてすべての借手のリースについて使用権資産及びリース負債を計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「使用権資産」及び「リース負債」がそれぞれ3,103百万円及び3,854百万円増加しております。 (退職給付) 日本基準では数理計算上の差異を発生時にその他の包括利益で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で純損益に振替えておりましたが、IFRSでは発生時にその他の包括利益で認識し、利益剰余金に振り替えております。また、IFRSでは、日本基準と異なり、確定給付制度が積立超過である場合には、確定給付資産の純額は資産上限額に制限され、その調整をその他の包括利益で認識しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「退職給付に係る資産」が9,589百万円減少しております。

事業リスク

  • 原材料価格の変動リスク
    植物性油脂や大豆などの主要原材料の価格は、天候不順、地政学的リスク、需給バランスの変化などにより大きく変動する可能性があります。原材料価格の高騰は、製品の製造コストを押し上げ、収益性を悪化させる要因となります。同社は、グローバルな調達網やリスクヘッジ戦略で対応していますが、影響を完全に回避することは困難です。
  • 為替変動リスク
    不二製油グループは、海外に多数の事業拠点を持ち、国際的な取引を活発に行っているため、為替レートの変動が業績に大きな影響を与える可能性があります。円高は海外子会社の収益を円換算した際に減少させる要因となり、また輸入原材料のコストにも影響を及ぼします。為替リスクは、同社のグローバル事業展開における重要な課題です。
  • 地政学・経済環境変化のリスク
    世界各地で事業を展開しているため、各国の政治情勢、経済状況、貿易政策の変化、あるいは自然災害やパンデミックといった予期せぬ事態が、生産活動やサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。これにより、製品の供給遅延や需要の減少、事業コストの増加などが発生し、業績に悪影響を与えるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,118 文字
3【事業等のリスク】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。 (1)不二製油グループのリスクマネジメント 日本・欧米・アジアの各エリアで主要4事業を展開していることから、当社グループのバリューチェーンには社会課題・経済環境変化等の影響を受けた、様々なリスクが潜在します。不二製油株式会社では全社リスクマネジメント体制を構築し、グループを取り巻く環境を踏まえた情報ソースから、本社(事業軸、機能軸)主導で経営への影響度、発生可能性、顕在化時期等を総合的に判断し、「全社重要リスク」を選定しています。 また、「リスクマネジメント委員会」を開催し、優先して対処すべき「全社重要リスク」の審議、リスク対策状況の進捗管理を実施しています。リスクマネジメント委員会で審議した「全社重要リスク」は、不二製油株式会社の経営会議による決議、不二製油株式会社の取締役会によるモニタリングを行っています。 (2)全社重要リスクの管理プロセス① 全社重要リスクの特定 不二製油グループでは、全社リスクマネジメント体制のもと、戦略や財務、災害・事故、オペレーショナルに関するリスク、ESGマテリアリティを踏まえてグループのリスクを網羅的に把握しています。全社重要リスク分科会での検討・議論、リスクマネジメント委員会での審議を経て、全社として認識・対応すべき重要なリスクを「全社重要リスク」と特定しています。加えて、グループ各社特有のリスクは、各社のリスクアセスメントを通じて「リスクマップ」を作成し、本社主導で各種リスクの特定と対策を行っています。 ② 全社重要リスクの対応とモニタリング 当社グループは、特定された全社重要リスクの主管本部・部門を定め、リスク低減施策と目標KPIを設定し管理しています。これらの施策・目標KPIは「リスクマネジメント委員会」にて進捗管理を行っています。 2025年度の活動では、リスクマネジメント委員会を3回開催し、特定された全社重要リスク(12項目)の個別進捗や課題状況の確認を行いました。また適宜、経営会議、取締役会に報告し、顕在化したリスクの発生原因、対応策と妥当性、適時性等を確認しています。 ③ 不二製油グループ全社重要リスク 当社グループは、投資者の判断に重大な影響を及ぼす可能性があり管理すべき重要なリスクとして以下の項目を特定し、各リスクに対応する主管本部・部門を定め、対応方針を策定しています。なお、将来事項に関する記述につきましては、2026年3月31日現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものです。 (2026年度 全社重要リスク)

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