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オカムラ食品工業(2938)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

食料品 食品

事業の概要

  • 垂直統合型ビジネスモデル
    オカムラ食品工業は、サーモンを中心とした養殖から加工、販売までを一貫して行う「川上から川下まで」の垂直統合型ビジネスモデルを展開しています。これにより、製品の品質管理を徹底し、安定した供給体制を構築しています。世界中の人々に海の恵みを届け続けることをミッションとしています。
  • グローバルな事業展開
    同社グループは、日本国内だけでなく、デンマークでの養殖事業、ミャンマーやベトナムでの加工事業、シンガポール、マレーシア、台湾、タイでの卸売事業など、グローバルに事業を展開しています。これにより、多様な市場ニーズに対応し、収益源の多角化を図っています。
  • つの主要事業
    養殖事業、国内加工事業、海外加工事業、海外卸売事業の4つの柱でビジネスを展開しています。養殖でサーモントラウトを生産し、それを国内外の工場で加工し、最終的に国内外のスーパーマーケットやレストラン、回転寿司チェーンなどに販売しています。特に、自己資本利益率や売上高営業利益率で上場企業平均を上回る実績を達成しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 養殖事業
    サーモントラウトの養殖と販売が主な事業です。デンマークのMusholm A/Sでは年間約3,500トン超を生産し、日本では日本サーモンファームが青森県で養殖を行っています。生食用のサーモンを国内外に販売し、一部は自社加工用原料となります。売上高は60.3億円、営業利益は12.38億円と、利益率の高い事業です。
  • 国内加工事業
    青森県にある工場で、魚卵(数の子、たらこ、いくら、筋子)や自社養殖サーモンを加工し、国内外に販売しています。国内のスーパーマーケットや外食産業向けが主ですが、アジア圏の回転寿司チェーンへの輸出も増加しています。売上高は86.93億円、営業利益は11.77億円で、グループの主要な収益源の一つです。
  • 海外加工事業
    ミャンマーとベトナムに加工拠点を持ち、サーモン原料の寿司ネタ加工や、サバ原料の焼き魚・煮魚製品などを製造しています。自社養殖原料に加え、世界中から良質な原料を調達し、国内外の市場に供給しています。売上高は95.99億円、営業利益は10.4億円と、海外市場での加工品供給を担う重要な事業です。
  • 海外卸売事業
    シンガポール、マレーシア、台湾、タイに拠点を持ち、現地の日系スーパーマーケットや日本食レストランに日本食材を販売しています。自社グループで養殖・加工した製品もこの事業を通じて海外市場に展開されており、顧客ニーズに合わせたきめ細やかなサービスを提供しています。売上高は110.22億円、営業利益は6.03億円と、グループ内で最も売上規模の大きい事業です。
2025-06 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
CultureEnterpriseReportableSegment 事業 60 12 20.5%
DomesticProcessingReportableSegment 事業 87 12 13.5%
OverseasProcessingReportableSegment 事業 96 10 10.8%
OverseasWholesalingReportableSegment 事業 110 6 5.5%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,745 文字
3 【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社11社、関連会社1社で構成され「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける。」ことをMissionとし、養殖事業、国内加工事業、海外加工事業、海外卸売事業の4つの事業を柱としてビジネスを展開しています。サーモンを中心とした川上から川下までの垂直統合型ビジネスモデルで、グローバルに事業を展開し、その結果として、自己資本利益率や売上高営業利益率などの指標において上場会社平均を上回る実績を達成しています。 各事業における事業会社名及びその系統図は、次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。 各事業の概要は、次のとおりであります。 (1)養殖事業生食用のサーモントラウトを養殖し、国内外に向け販売する事業であります。Musholm A/Sにおいては、毎年約3,500~4,000トン強のサーモントラウトを生産しております。さらにサーモン養殖の世界的なリーダーであるノルウェーの養殖との差別化を図るため、卵を持たせる養殖を行っています。その一部は当社向けに輸出され、以下で説明する国内加工事業に使われます。当社グループ以外には、魚の身の部分はヨーロッパ諸国へスモークサーモンの加工用原料として、卵はいくらを生産しヨーロッパ各地へ、あるいはいくら加工用原料としてヨーロッパ各地へ販売しております。日本国内におきましては、2017年6月に青森県西津軽郡深浦町に日本サーモンファーム株式会社を設立し、サーモントラウトを生産しております。サーモン養殖先進国であるデンマーク子会社Musholm A/Sの大規模生産のノウハウを活用し、孵化から養殖まで一気通貫した生産体制を構築しております。 日本サーモンファーム株式会社の海面養殖イメージ サーモン養殖は自然と地域のバックアップを受けて行う事業です。サーモン養殖に適した青森の地で地元企業としての強みを生かし、地域と一体となって事業を進めています。例えば国内では、河川を利用した中間養殖を行うにあたっては水利権が、海面養殖を行うにあたっては区画漁業権の行使が必要です。当社グループは、地元漁協の組合員として区画漁業権を行使し、サーモン養殖を行っています。 なお、当社グループでは、養殖事業の一部においてASC認証を取得しております。 ASC認証とは、水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council)が管理運営する養殖に関する国際認証制度で、養殖場が自然環境の汚染や資源の過剰利用を行っておらず、その養殖事業に持続可能性が認められることを認証するものです。近年はASC認証のある原料を使った製品を取扱いの中心に据える国内の大手スーパーマーケットなども増えて来ています。 (2)国内加工事業国内加工事業及び後述の海外加工事業は、魚卵・成魚を原料として顧客の要望にそって加工し、販売を行う事業です。国内加工事業における加工拠点は青森県青森市に所在する第一~第三工場です。第一工場では数の子及びたらこと、当社グループ日本サーモンファーム株式会社の養殖サーモンを主に加工しております。第二工場ではイクラと筋子の加工をしております。国内のスーパーマーケットや外食向けの販売が主ですが、最近ではアジア圏の大手回転寿司チェーンへの輸出も増えております。2026年3月には委託加工先の工場を取得し、当社の第三工場として養殖サーモンの一次加工、魚卵関連製品の加工等を行い、加工キャパシティーの拡大とともに加工拠点の分散化によるリスク分散を図っております。 青森第一工場で製造した数の子製品 Musholm A/S魚卵原料から製造したイクラ製品 青森第一工場内たらこ製品製造ライン (3)海外加工事業 海外加工事業は、海外の加工拠点において水産加工品を製造する事業です。国内加工事業と同様に、当社養殖事業からの原料仕入れに加え、自社仕入れチームが自身で良質な原料を世界中から調達し加工販売まで行います。 海外加工事業における拠点は以下の3つです。①当社東京事業本部 当社の東京事業本部では、貿易実務、海外加工場の生産管理、国内外への販売活動を行っております。 ②ミャンマーの自社グループ工場(Okamura Trading Myanmar Co., Ltd.) 2017年9月、ミャンマーのティラワ経済特区内に子会社Okamura Trading Myanmar Co.,Ltd.を設立しました。同経済特区内は日本企業の進出が進んでおり、日本水準のインフラが整っております。主にサーモン原料の寿司ネタ加工を行っております。 外部仕入原料のサーモンハラス寿司スライス製品 Okamura Trading Myanmar Co., Ltd. 外観 ③ベトナムのパートナー工場当社とは20年来の関係があるベトナムの大手水産加工工場とパートナー契約を結んでおります。契約の内容は「第2 事業の状況 5 重要な契約等」をご参照ください。同工場では、サーモン原料の寿司ネタ加工の他、サバ原料を始めとした焼成済みの焼き魚・煮魚製品の加工も行っております。生産された製品は日本国内消費向けに輸出される他、後述のシンガポールやマレーシアなどの現地販売拠点に向けても出荷されます。 (4) 海外卸売事業 シンガポール(Okamura Trading Singapore Pte., Ltd.)、マレーシア(Xenka Trading (M) Sdn. Bhd.)、台湾(Okamura Trading Taiwan Co.,Ltd.)、タイ(Okamura Trading (Thailand) Co., Ltd.)、ベトナム(Okamura Trading Vietnam Co., Ltd.)、香港(Okamura Trading Hong Kong Co., Ltd.)、オランダ(Okamura Trading Netherlands B.V.)に拠点を有しており、現地の日系スーパーマーケットや日本食レストランに、日本から輸入した日本食材を販売しております。顧客のニーズに応じて他社から幅広く商材を調達しておりますが、自社グループ内で養殖・加工した商材も当事業を通じて海外市場に販売しております。顧客のニーズに合わせた製品をタイムリーに、そして日本基準のきめ細やかなサービスをもって提供しております。 Okamura Trading Singapore Pte., Ltd. 自社倉庫 Xenka Trading (M) Sdn. Bhd.の事務所及び配送トラック

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
水産物の相場変動が仕入と販売の両局面で影響し、利益率が大きく変動するため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
国内養殖において河川利用型の中間養殖には水利権、海面養殖には区画漁業権の行使が必要。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:気候変動による資源アクセス確保と自然災害の増加 / 海外事業拡大に伴うカントリーリスク / 養殖事業における区画漁業権・水利権の維持・新規取得
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

オカムラ食品工業に関する公開情報からは、強力なブランド力、特許、規制ライセンス、独占的IPといった無形資産の存在を示す具体的な証拠は見当たりません。主力製品の「こんにゃく」は一般的に汎用品としての認識が強く、差別化された無形資産による競争優位性は限定的と考えられます。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

主力のこんにゃく製品は、一般消費財であり、特定のブランドへの強いこだわりが薄い可能性があります。ただし、一部の業務用顧客やPB商品においては、長年の取引関係や品質への信頼から、一定のスイッチング・コストが存在する可能性も否定できません。しかし、全体としては乗り換えのハードルは低いと考えられます。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

オカムラ食品工業の事業モデルは、製品の利用者が増えることで価値が増すようなネットワーク効果を生み出す構造にはなっていません。食品製造・販売業であり、プラットフォーム型ビジネスとは根本的に異なります。したがって、ネットワーク効果による競争優位性は期待できません。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

食料品業界、特にこんにゃくのような汎用品においては、規模の経済や効率的な生産プロセスによるコスト優位性が競争力の源泉となり得ます。しかし、オカムラ食品工業が業界内で圧倒的なコストリーダーであるという具体的な証拠や、構造的なコスト優位性を示す情報は現時点では確認されていません。競合他社とのコスト差は限定的である可能性があります。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

オカムラ食品工業は、こんにゃく市場において一定のシェアを持つ企業と考えられます。しかし、業界全体が成熟しており、巨大なプレイヤーが複数存在するわけではないため、圧倒的な効率規模による寡占状態を形成しているとは言えません。一定の規模による効率性はありますが、それが持続的な競争優位に繋がるほどの「効率規模」とは評価しにくいです。

  • 垂直統合による品質管理
    サーモンの養殖から加工、販売までを自社グループで一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルにより、製品の品質を一貫して管理できる強みがあります。これにより、顧客に高品質な水産物を提供し、信頼を得ています。
  • 国際認証と環境配慮
    養殖事業の一部でASC認証(水産養殖管理協議会による持続可能な養殖の国際認証)を取得しており、環境に配慮した養殖を行っています。これにより、持続可能性を重視する国内外の大手スーパーマーケットなどへの販路拡大に繋がっています。
  • グローバルな生産・販売ネットワーク
    デンマークでの大規模養殖ノウハウを日本に導入したり、ミャンマーやベトナムに加工拠点を設けたり、アジア各国に販売拠点を展開したりと、グローバルな生産・販売ネットワークを構築しています。これにより、世界中から良質な原料を調達し、多様な市場に製品を供給できる体制を整えています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)経営方針 当社グループは、「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける。」ことをMissionとし、サーモン養殖事業、国内加工事業、海外加工事業、海外卸売事業の4つの事業を柱としてビジネスを展開しています。 日本において水産業は衰退産業といわれていますが、海外において水産業は成長産業と位置付けられています。私たちは日本の水産業において成長を阻害しているのは二つの要因、すなわち「供給の不安定性」と「消費の減少」であると考えております。養殖を推し進めることで「供給の不安定性」を解消し、また水産物の消費拡大が期待されるアジア圏での販売を促進することで「消費の減少」を解消していきたいと考えております。そして、これらの活動を通じて新しい水産業を切り開き、衰退産業とされた日本の水産業の成長産業化を実現することを経営方針としております。 (2)経営環境当社グループを取り巻く環境は以下のとおりと認識しております。 ①水産資源の需要はグローバルでは増加傾向 世界的にみると、一人当たりの食用魚介類の消費量は、先進国では健康志向、途上国においては食生活水準の向上や流通システムの整備改善などにより増加傾向にあります。魚介類消費量は、人口増と相俟って急拡大し、近年でもそのペースは衰えていません。とりわけ元来魚食習慣のあるアジア地域では、生活水準の向上に伴い顕著な増加を示しています。 ②養殖への需要の高まり 世界の漁業と養殖業を合わせた生産量は増加し続けています。その一方で、持続可能な(適正レベルよりも資源量が多く、生産量拡大の余地がある)レベルで漁獲されている状態の水産資源の割合は低下傾向です。この状況を背景に養殖の重要性はますます高まっており、サーモン類においては、養殖業の収穫量は1990年から2024年で約11倍に急激に拡大し、世界のサーモン需要の拡大を支えています。 ③サーモン需要の増加と養殖量拡大ペースの鈍化 世界中でサーモンの人気は高く、日本国内では各種調査でも人気の魚種として常に上位にあげられています。養殖効率に優れていて比較的低価格で購入しやすいサーモンの需要は、今後も伸びていくものと期待されています。 一方でノルウェーやチリといったサーモン養殖大国における養殖適地の開発は既に概ね行われていることから、今後の養殖量拡大のペースは、限定的となることが予想されています。 (3)経営戦略 このような環境を踏まえ、当社では養殖事業と海外卸売事業の成長を牽引する二つの事業として位置づけており、中長期の主な戦略として以下を計画しております。 ①国内養殖規模の拡大 当社の成長のエンジンの一つはサーモン養殖事業であります。そして生産量を拡大していくことが当社の成長の基礎になると考えています。サーモン養殖事業はデンマーク及び日本国内において展開しております。 当社グループはサーモン養殖には以下のような限りない可能性があると考えており、それがこのような戦略を採る背景となっています。・ サーモンは4大動物性タンパク質の供給源として、牛肉、豚肉、鶏肉と並ぶ存在になりうる。・ 肉類と同等の高タンパクでありながら、低いカロリーが健康志向にも合致する。・ 完全養殖が実現されていて、海から天然の稚魚の捕獲が不要。生態系に影響を与えない。・ 生産効率が高い。具体的には、増肉係数(FCR)が低く、かつ可食部分が多く、捨てる部位がほぼない。・ 低魚粉飼料で養殖が可能。植物性タンパク原料から、海由来タンパクを生産できる。・ サーモンの市場は世界中に存在しており、市場規模が大きい。回転寿司でも定番の人気ネタとなっている。 なおデンマークでは、主に魚卵の採取を目的としてサーモンを養殖しております。デンマークでは近年養殖の拡大による環境負荷が懸念されていることや、適地が限られていることを理由に、新たなライセンスが発行されておりません。そのため、急激な規模拡大は容易ではない状況ですが、引き続きライセンス取得のための活動は継続してまいります。 一方、日本国内においては特に北日本では養殖適地が多数存在していることや、国の方針として養殖を増やすことが決定されていることから、当社グループにおける養殖規模拡大は国内養殖が主となります。国内養殖量は継続的な設備投資を背景に、2026年4-6月の3,383トンから、順次拡大していく計画としています。引き続き、この国内養殖における水揚げ量増に対応するため、養殖設備の増強を継続してまいります。 ②国内養殖事業の効率性向上 養殖については、量の拡大とともに効率性の向上も重要な課題です。特に国内養殖においては改善の余地が大きく、当社グループでも屋外循環式の大規模中間育成魚高密度生産システムや給餌用バージ船(※)などを導入し効率化に取り組んでいるところであります。引き続き最新の養殖技術を持つデンマーク子会社Musholm A/Sの技術を取り入れながら、日本国内においてもサーモン養殖先進国並みの養殖技術を確立すべく、取組みを継続してまいります。 (※)バージ船とは、船底が平らになっている船舶のことであり、当社の連結子会社である日本サーモンファーム株式会社ではこのバージ船タンクに養殖用の餌を保管し、船外から自動で給餌できるシステムを構築しております。2026年秋に2隻目のバージ船を導入予定です。 ③海外卸売事業の強化 養殖事業と並ぶ当社の成長エンジンは海外卸売事業であります。日本食ブーム、あるいは人口増を背景に海外、特にアジアにおいて日本食マーケットが大きく成長を続けております。このマーケットの成長の波をしっかりキャッチし、当社の成長にも繋げてまいります。すでにシンガポール、マレーシア、台湾及びタイに子会社を有し、着実に成長してきておりますが、日本食需要の大きい地域を中心に今後も進出先を増やし、さらなる成長に繋げていく計画です。また、シンガポールでは自社保有の超低温倉庫(-60℃)による徹底した温度管理や迅速できめ細やかな配送を行っており、オカムラ食品工業独自のコールドチェーンを築いておりますが、さらに超低温倉庫や配送能力への投資を進めていく計画としております。マレーシアにおいては、ハラール食品(※)のニーズが高いことから、ハラール食品の強化を重点課題とし、ハラール対応を目的とした新倉庫を2024年1月より稼働しています。その他、水産専門会社であることや、養殖や加工部門を有していることの強みをより活かせるよう、カバーエリアの拡大、ヒトやモノへの先行投資を進めてまいります。(※)ハラール食品とは、イスラム教で食べることが許されている調理法等に従い生産した食品のことを指します。 (※) 2025年概数は前回調査比で約1割減となっていますが、これは最大市場の中国(本土)が経済停滞などにより△19%となった影響が大きく、当社進出国の伸長率は+4%と継続拡大しています。 (4)対処すべき課題 経営戦略を進めていくうえで当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。 養殖事業① 国内養殖規模の拡大 当社の成長エンジンの一つはサーモン養殖事業であり、その養殖量を拡大していくことが当社の成長の基礎になると考えています。養殖規模拡大のためには生産能力を上げていくことが必要で、特に不足しがちな中間養殖場の確保が課題です。中間養殖場の新設にあたっては、適地の選定、地元との調整、設備投資資金の確保、養殖施設の建設と、一朝一夕に進むものではないため、中長期的な視点に立って着実に設備投資計画を進めてまいります。 ② 養殖の効率性向上 養殖については、量の拡大とともに効率性の向上も重要な課題です。特に国内養殖においては改善の余地が大きく、当社グループでも屋外循環式の大規模中間育成魚高密度生産システムや給餌用バージ船などを導入し効率化に取り組んでいるところであります。引き続き最新の養殖技術を持つデンマーク子会社Musholm A/Sの技術を取り入れながら、日本国内においてもサーモン養殖先進国並みの養殖技術を確立すべく、取組みを継続してまいります。 海外卸売事業③ 海外市場での営業基盤の強化 アジアにおける日本食マーケットの成長の波を確実にキャッチすることが、当社の成長には重要です。そのための配送・保管設備の増強は計画しておりますが、それに加えて、新しい顧客の開拓に努めるとともに、既存の顧客のご不満を聞き、顧客にご満足していただける製品開発やサービス提供を行うことで、営業基盤の強化を図っていくことが課題であると認識しております。 国内加工事業、海外加工事業④ 安定的な加工体制の確保 安定的な加工体制の確保は、当社の基盤となります。これが確保されてこそ、加工事業の拡大だけでなく、養殖した青森サーモンのマーケット展開や、海外卸売事業における顧客ニーズへのきめ細やかな対応といったことが可能になります。加工拠点の分散によるリスクヘッジ、工場従業員の教育による品質や効率性の向上といった点を推し進めてまいります。 その他⑤ 品質管理に関する継続的な向上 消費者の安全・安心へのニーズはますます高まっており、食料品を取り扱う当社グループにおきましても、食品表示も含め、食の安全性を確保してお客様に安心してご利用いただけることが最重要事項であると認識しております。品質管理体制の強化、業務フローの標準化、食品表示や食品関連法規に関する情報の社内共有等を進め、品質管理に関する継続的な向上に取り組んでまいります。 ⑥ 環境への配慮 製造の原料となる水産物や養殖事業は大自然からの恩恵です。我々の事業は自然環境、特に海に大きく依存しています。自然への感謝の気持ちを忘れずに、自然を大切にすることこそ、当社の持続・発展にとって不可欠のことと考えています。 (原料について) 我々が製造に使用する原料は資源として持続的に調達出来るものでなければなりません。絶滅が危惧される原料、資源管理が徹底されていない原料を使用した製品加工は控えるべきです。資源管理が十分に行われていると認定されたASC・MSC(※)認証原料の使用を推進いたします。(※)MSC認証とは、水産資源や海洋環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業に対する認証制度を指し、海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)が管理運営しています。(養殖事業について) 養殖事業を拡大すれば、周辺海域に影響を与えてしまう可能性が生じます。もし我々の事業が水質汚染や生態系破壊の原因となってしまえば、事業を継続することは出来なくなってしまいます。魚を育てるためには大量の飼料が必要となりますが、その主成分である魚粉や魚油は天然水産物由来のものです。飼料の成分やその原材料について注意を払う必要があります。 ⑦ 地域との共生の推進 自然環境に加え、我々の事業は地域社会の理解と協力の基に成り立っています。事業の継続とその拡大には地域との共生の実現が不可欠です。そのためには地域の方々と十分に話し合い、それを通じて地域との信頼関係を築くことが重要です。我々企業と地域社会とのコミュニケーション推進を通じて地域社会に理解されるとともに、青森やミャンマーなどでの雇用創出という形でその地域に貢献する企業となることを目指してまいります。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社では養殖量、特に拡大余地の大きい国内養殖量を重要な経営指標と考えております。水産物については漁獲や商品相場の変動が大きなリスクとなっていますが、養殖量の拡大によってこれらのリスクを低下させることができ、安定的に水産原料を確保することに繋がります。また、養殖事業の利益率は相対的に高いため、養殖規模の拡大によって当社グループ全体の利益率をさらに向上させることに繋がります。 現在、国内養殖量拡大のためのネックとなっているのは、中間養殖場を主とした養殖設備の不足にあります。当社グループでは、養殖量拡大に向けて積極的に養殖設備への投資を行っていきたいと考えております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 (1)経営方針 当社グループは、「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける。」ことをMissionとし、サーモン養殖事業、国内加工事業、海外加工事業、海外卸売事業の4つの事業を柱としてビジネスを展開しています。 日本において水産業は衰退産業といわれていますが、海外において水産業は成長産業と位置付けられています。私たちは日本の水産業において成長を阻害しているのは二つの要因、すなわち「供給の不安定性」と「消費の減少」であると考えております。養殖を推し進めることで「供給の不安定性」を解消し、また水産物の消費拡大が期待されるアジア圏での販売を促進することで「消費の減少」を解消していきたいと考えております。そして、これらの活動を通じて新しい水産業を切り開き、衰退産業とされた日本の水産業の成長産業化を実現することを経営方針としております。 (2)経営環境当社グループを取り巻く環境は以下のとおりと認識しております。 ①水産資源の需要はグローバルでは増加傾向 世界的にみると、一人当たりの食用魚介類の消費量は、先進国では健康志向、途上国においては食生活水準の向上や流通システムの整備改善などにより増加傾向にあります。魚介類消費量は、人口増と相俟って急拡大し、近年でもそのペースは衰えていません。とりわけ元来魚食習慣のあるアジア地域では、生活水準の向上に伴い顕著な増加を示しています。 ②養殖への需要の高まり 世界の漁業と養殖業を合わせた生産量は増加し続けています。その一方で、持続可能な(適正レベルよりも資源量が多く、生産量拡大の余地がある)レベルで漁獲されている状態の水産資源の割合は低下傾向です。この状況を背景に養殖の重要性はますます高まっており、サーモン類においては、養殖業の収穫量は1990年から2024年で約11倍に急激に拡大し、世界のサーモン需要の拡大を支えています。 ③サーモン需要の増加と養殖量拡大ペースの鈍化 世界中でサーモンの人気は高く、日本国内では各種調査でも人気の魚種として常に上位にあげられています。養殖効率に優れていて比較的低価格で購入しやすいサーモンの需要は、今後も伸びていくものと期待されています。 一方でノルウェーやチリといったサーモン養殖大国における養殖適地の開発は既に概ね行われていることから、今後の養殖量拡大のペースは、限定的となることが予想されています。 (3)経営戦略 このような環境を踏まえ、当社では養殖事業と海外卸売事業の成長を牽引する二つの事業として位置づけており、中長期の主な戦略として以下を計画しております。 ①国内養殖規模の拡大 当社の成長のエンジンの一つはサーモン養殖事業であります。そして生産量を拡大していくことが当社の成長の基礎になると考えています。サーモン養殖事業はデンマーク及び日本国内において展開しております。 当社グループはサーモン養殖には以下のような限りない可能性があると考えており、それがこのような戦略を採る背景となっています。・ サーモンは4大動物性タンパク質の供給源として、牛肉、豚肉、鶏肉と並ぶ存在になりうる。・ 肉類と同等の高タンパクでありながら、低いカロリーが健康志向にも合致する。・ 完全養殖が実現されていて、海から天然の稚魚の捕獲が不要。生態系に影響を与えない。・ 生産効率が高い。具体的には、増肉係数(FCR)が低く、かつ可食部分が多く、捨てる部位がほぼない。・ 低魚粉飼料で養殖が可能。植物性タンパク原料から、海由来タンパクを生産できる。・ サーモンの市場は世界中に存在しており、市場規模が大きい。回転寿司でも定番の人気ネタとなっている。 なおデンマークでは、主に魚卵の採取を目的としてサーモンを養殖しております。デンマークでは近年養殖の拡大による環境負荷が懸念されていることや、適地が限られていることを理由に、新たなライセンスが発行されておりません。そのため、急激な規模拡大は容易ではない状況ですが、引き続きライセンス取得のための活動は継続してまいります。 一方、日本国内においては特に北日本では養殖適地が多数存在していることや、国の方針として養殖を増やすことが決定されていることから、当社グループにおける養殖規模拡大は国内養殖が主となります。国内養殖量は継続的な設備投資を背景に、2026年4-6月の3,383トンから、順次拡大していく計画としています。引き続き、この国内養殖における水揚げ量増に対応するため、養殖設備の増強を継続してまいります。 ②国内養殖事業の効率性向上 養殖については、量の拡大とともに効率性の向上も重要な課題です。特に国内養殖においては改善の余地が大きく、当社グループでも屋外循環式の大規模中間育成魚高密度生産システムや給餌用バージ船(※)などを導入し効率化に取り組んでいるところであります。引き続き最新の養殖技術を持つデンマーク子会社Musholm A/Sの技術を取り入れながら、日本国内においてもサーモン養殖先進国並みの養殖技術を確立すべく、取組みを継続してまいります。 (※)バージ船とは、船底が平らになっている船舶のことであり、当社の連結子会社である日本サーモンファーム株式会社ではこのバージ船タンクに養殖用の餌を保管し、船外から自動で給餌できるシステムを構築しております。2026年秋に2隻目のバージ船を導入予定です。 ③海外卸売事業の強化 養殖事業と並ぶ当社の成長エンジンは海外卸売事業であります。日本食ブーム、あるいは人口増を背景に海外、特にアジアにおいて日本食マーケットが大きく成長を続けております。このマーケットの成長の波をしっかりキャッチし、当社の成長にも繋げてまいります。すでにシンガポール、マレーシア、台湾及びタイに子会社を有し、着実に成長してきておりますが、日本食需要の大きい地域を中心に今後も進出先を増やし、さらなる成長に繋げていく計画です。また、シンガポールでは自社保有の超低温倉庫(-60℃)による徹底した温度管理や迅速できめ細やかな配送を行っており、オカムラ食品工業独自のコールドチェーンを築いておりますが、さらに超低温倉庫や配送能力への投資を進めていく計画としております。マレーシアにおいては、ハラール食品(※)のニーズが高いことから、ハラール食品の強化を重点課題とし、ハラール対応を目的とした新倉庫を2024年1月より稼働しています。その他、水産専門会社であることや、養殖や加工部門を有していることの強みをより活かせるよう、カバーエリアの拡大、ヒトやモノへの先行投資を進めてまいります。(※)ハラール食品とは、イスラム教で食べることが許されている調理法等に従い生産した食品のことを指します。 (※) 2025年概数は前回調査比で約1割減となっていますが、これは最大市場の中国(本土)が経済停滞などにより△19%となった影響が大きく、当社進出国の伸長率は+4%と継続拡大しています。 (4)対処すべき課題 経営戦略を進めていくうえで当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。 養殖事業① 国内養殖規模の拡大 当社の成長エンジンの一つはサーモン養殖事業であり、その養殖量を拡大していくことが当社の成長の基礎になると考えています。養殖規模拡大のためには生産能力を上げていくことが必要で、特に不足しがちな中間養殖場の確保が課題です。中間養殖場の新設にあたっては、適地の選定、地元との調整、設備投資資金の確保、養殖施設の建設と、一朝一夕に進むものではないため、中長期的な視点に立って着実に設備投資計画を進めてまいります。 ② 養殖の効率性向上 養殖については、量の拡大とともに効率性の向上も重要な課題です。特に国内養殖においては改善の余地が大きく、当社グループでも屋外循環式の大規模中間育成魚高密度生産システムや給餌用バージ船などを導入し効率化に取り組んでいるところであります。引き続き最新の養殖技術を持つデンマーク子会社Musholm A/Sの技術を取り入れながら、日本国内においてもサーモン養殖先進国並みの養殖技術を確立すべく、取組みを継続してまいります。 海外卸売事業③ 海外市場での営業基盤の強化 アジアにおける日本食マーケットの成長の波を確実にキャッチすることが、当社の成長には重要です。そのための配送・保管設備の増強は計画しておりますが、それに加えて、新しい顧客の開拓に努めるとともに、既存の顧客のご不満を聞き、顧客にご満足していただける製品開発やサービス提供を行うことで、営業基盤の強化を図っていくことが課題であると認識しております。 国内加工事業、海外加工事業④ 安定的な加工体制の確保 安定的な加工体制の確保は、当社の基盤となります。これが確保されてこそ、加工事業の拡大だけでなく、養殖した青森サーモンのマーケット展開や、海外卸売事業における顧客ニーズへのきめ細やかな対応といったことが可能になります。加工拠点の分散によるリスクヘッジ、工場従業員の教育による品質や効率性の向上といった点を推し進めてまいります。 その他⑤ 品質管理に関する継続的な向上 消費者の安全・安心へのニーズはますます高まっており、食料品を取り扱う当社グループにおきましても、食品表示も含め、食の安全性を確保してお客様に安心してご利用いただけることが最重要事項であると認識しております。品質管理体制の強化、業務フローの標準化、食品表示や食品関連法規に関する情報の社内共有等を進め、品質管理に関する継続的な向上に取り組んでまいります。 ⑥ 環境への配慮 製造の原料となる水産物や養殖事業は大自然からの恩恵です。我々の事業は自然環境、特に海に大きく依存しています。自然への感謝の気持ちを忘れずに、自然を大切にすることこそ、当社の持続・発展にとって不可欠のことと考えています。 (原料について) 我々が製造に使用する原料は資源として持続的に調達出来るものでなければなりません。絶滅が危惧される原料、資源管理が徹底されていない原料を使用した製品加工は控えるべきです。資源管理が十分に行われていると認定されたASC・MSC(※)認証原料の使用を推進いたします。(※)MSC認証とは、水産資源や海洋環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業に対する認証制度を指し、海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)が管理運営しています。(養殖事業について) 養殖事業を拡大すれば、周辺海域に影響を与えてしまう可能性が生じます。もし我々の事業が水質汚染や生態系破壊の原因となってしまえば、事業を継続することは出来なくなってしまいます。魚を育てるためには大量の飼料が必要となりますが、その主成分である魚粉や魚油は天然水産物由来のものです。飼料の成分やその原材料について注意を払う必要があります。 ⑦ 地域との共生の推進 自然環境に加え、我々の事業は地域社会の理解と協力の基に成り立っています。事業の継続とその拡大には地域との共生の実現が不可欠です。そのためには地域の方々と十分に話し合い、それを通じて地域との信頼関係を築くことが重要です。我々企業と地域社会とのコミュニケーション推進を通じて地域社会に理解されるとともに、青森やミャンマーなどでの雇用創出という形でその地域に貢献する企業となることを目指してまいります。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社では養殖量、特に拡大余地の大きい国内養殖量を重要な経営指標と考えております。水産物については漁獲や商品相場の変動が大きなリスクとなっていますが、養殖量の拡大によってこれらのリスクを低下させることができ、安定的に水産原料を確保することに繋がります。また、養殖事業の利益率は相対的に高いため、養殖規模の拡大によって当社グループ全体の利益率をさらに向上させることに繋がります。 現在、国内養殖量拡大のためのネックとなっているのは、中間養殖場を主とした養殖設備の不足にあります。当社グループでは、養殖量拡大に向けて積極的に養殖設備への投資を行っていきたいと考えております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ①当期の経営成績の状況当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況の概要は次のとおりであります。当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調が続いているものの、中東情勢や金融資本市場の変動など、景気を下押しするリスクに留意が必要な状況となっています。一方で、当社グループの主な事業地域である東南アジアの経済環境は、内需外需に支えられ、概ね堅調に推移しました。当社グループにおきましては、中期経営目標2030において、国内養殖量の拡大と海外卸売事業売上の拡大を最重要課題として位置付けています。当連結会計年度において、国内の養殖事業は、地方自治体との養殖場適地開発の協力強化や、中間養殖場及び新規バージ船の導入に向けた設備投資が順調に進みました。また、海外卸売事業については、東南アジア諸国の旺盛な経済需要を基に事業拡大傾向が継続しています。当連結会計年度の業績につきましては、海外加工事業において販売価格の転嫁が追い付かず営業利益が減少したものの、国内加工事業の主力製品であるいくら製品について、市中の原料不足・市場供給量不足から想定を上回る販売単価で推移したことで販売額が増加し、全体としては概ね順調に推移したと捉えています。経常利益については、外貨建債権の為替換算損益が営業外損益の大きなファクターになっています。当連結会計年度においては、これが前期比で621百万円プラスに作用しています(当期は為替差益398百万円、前期は為替差損222百万円)。以上の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ7,380百万円増の42,726百万円(前期比120.9%)、営業利益は前連結会計年度に比べ851百万円増の3,873百万円(前期比128.2%)、経常利益は前連結会計年度に比べ1,240百万円増の4,056百万円(前期比144.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ762百万円増の2,782百万円(前期比137.7%)となりました。各セグメントの事業概況は次のとおりであります。(単位:百万円/%) 売上高前期増減前期比セグメント利益前期増減前期比養殖事業10,9521,692118.3772△46662.3国内加工事業12,7673,368135.82,6101,432221.7海外加工事業15,4571,369109.7700△34067.3海外卸売事業15,3284,284138.81,044440172.9調整額※△11,779△3,334139.5△1,253△214120.6合計42,7267,380120.93,873851128.2 ※調整額はセグメント間取引及び全社費用等であります。 (養殖事業)当期の国内養殖量については、海面養殖における育成不良、生鮮販売量を増加させるため水揚げ時期を早めたことにより前期比△93トンの3,383トンの水揚量となりました。販売面においては、生鮮販売が好調に推移したことにより生鮮販売量及び販売額が増加しましたが、海面養殖の育成不良等により利益率が低下しました。デンマーク子会社による海外養殖においては、海面養殖場における生育不良、相場影響による販売単価低下等により利益率が低下しました。上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ1,692百万円増の10,952百万円(前期比118.3%)、セグメント利益は466百万円減の772百万円(前期比62.3%)となりました。なお、デンマーク子会社であるMusholm A/Sは国際財務報告基準(IFRS)を採用しており、養殖事業の損益には、IAS第41号「農業」に従った売却コスト控除後の公正価値により評価した結果(売上原価△79百万円)が含まれております。(単位:百万円)売上高 10,952営業費用材料費、人件費、販管費等10,259小計(公正価値評価を除いたセグメント損益)692営業費用公正価値評価による影響額79合計(セグメント損益)772 (国内加工事業)いくら、筋子については、北海道秋鮭不漁等による国内材料不足により販売価格相場が上昇、当社のいくら製品も想定を上回る水準での販売単価推移となり、販売額が増加しました。また、長期単価契約の販売先に関する契約単価の見直しも順調に進み、相対的に利益率の高いいくら商品の販売割合が増加したこと等により利益率が改善しました。上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ3,368百万円増の12,767百万円(前期比135.8%)、セグメント利益は1,432百万円増の2,610百万円(前期比221.7%)となりました。 (海外加工事業)為替や仕入相場の影響による原料価格上昇に対して一定の値上げを実施した結果、製品及び商品の販売量が減少し、加えて価格転嫁が追い付かなかったことから粗利率が低下しました。また、従業員数の増加による人件費増加等の影響により販売費及び一般管理費が増加いたしました。上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ1,369百万円増の15,457百万円(前期比109.7%)、セグメント利益は340百万円減の700百万円(前期比67.3%)となりました。 (海外卸売事業)東南アジア諸国における日本食マーケットの拡大を背景に、当事業は拡大を続けてきました。当連結会計年度においてもこの傾向は継続しており、売上は順調に拡大しました。利益率については、販管費率の改善と円安による仕入価格の低下により、大きく改善されました。上記の結果として、売上高は前連結会計年度と比べ4,284百万円増の15,328百万円(前期比138.8%)、セグメント利益は440百万円増の1,044百万円(前期比172.9%)となりました。 ②当期の財政状態の状況当社グループの財政状態は次のとおりであります。(資産)当連結会計年度末における流動資産は46,920百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,593百万円増加しました。これは主な要因としては、国内加工事業において魚卵の仕入を進めたこと等により原材料及び貯蔵品が9,992百万円増加したこと、加工委託先への原料支給が進んだことにより、未収入金が1,590百万円増加したこと等によるものです。固定資産は13,718百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,773百万円増加しました。これは主に事業拡大に伴う設備投資による増加であります。この結果、総資産は60,639百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,367百万円増加しました。 (負債)当連結会計年度末における流動負債は35,015百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,978百万円増加しました。これは主に、運転資金として短期借入金が12,596百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は5,904百万円となり、前連結会計年度末に比べ712百万円増加しました。この結果、負債合計は40,919百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,691百万円増加しました。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は19,719百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,676百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を2,782百万円計上したこと等により利益剰余金が2,426百万円増加したこと等によるものです。 ③当期のキャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、8,264百万円の支出(前期比11,801百万円の収入減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を4,096百万円計上し、有償支給取引に係る負債が1,532百万円増加した一方で、当社主要事業がそれぞれ事業拡大傾向であることにより売掛金残高の増加が631百万円生じたことに加え、国内加工事業において魚卵の仕入を進めたこと等により棚卸資産残高が11,725百万円増加したことなどによるものです。 投資活動によるキャッシュ・フローは、3,709百万円の支出(前期比1,723百万円の支出増加)となりました。当社の最重要課題である養殖量拡大に向けて養殖設備への投資を進めたことに伴い、有形固定資産の取得による支出が2,717百万円(前期比746百万円の支出増加)となったことなどによるものです。 財務活動によるキャッシュ・フローは、12,628百万円の収入(前期は1,931百万円の支出)となりました。これは主に、原材料仕入等の運転資金目的での借入を進めたことにより短期借入金の純増減額が12,596百万円生じたためです。 以上に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額177百万円を調整した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ831百万円増加し、5,246百万円となりました。 ④生産、受注及び販売の実績a 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)養殖事業10,952118.3国内加工事業12,767135.8海外加工事業1,462103.5海外卸売事業--合計25,181125.5 (注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。2.金額は、販売価格によっております。3.海外卸売事業については、自社生産設備を保有していないため、記載を省略しております。 b 受注実績当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。 c 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)養殖事業7,529124.9国内加工事業10,505120.8海外加工事業9,41898.1海外卸売事業15,271138.6合計42,726120.9 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 経営成績の状況に関する分析 外国の政情・政策不安に端を発した為替相場の乱高下や株式市場の不安定な動きの中において、当社グループは増収・増益となりました。 増収の主な要因は、養殖事業における国内養殖売上の拡大、海外市場の拡大です。国内養殖量は前シーズンから93トン減少して、当シーズンは3,383トン(2026年4月~7月までの水揚量)となりましたが、生鮮需要の高まりにより売上高は増加いたしました。海外加工事業においては国内向け売上が前年並みに留まった一方で、アジア市場の拡大により、海外卸売事業で売上が順調に増加いたしました。なお、国内加工事業においては、魚卵漁獲量不足から魚卵供給量が減少し、魚卵相場が上昇した中で、一定の在庫を保有していたことにより堅調に推移いたしました。 増益の主な要因は上記、海外卸売事業における売上高の増加に基づく利益額の増加と、国内加工事業において、契約更新による単価見直しが順調に進んだことによる利益率の好転であります。 b. 財政状態に関する分析棚卸資産の増加と有形固定資産の増加を主要因として総資産額が増加しています。負債純資産側では借入金の増加、有償支給取引にかかる負債の増加、利益剰余金の増加を主要因として負債純資産が増加しています。・棚卸資産の増加当社グループではどの事業も拡大基調にあるため、棚卸資産は増加傾向にあります。当連結会計年度末においては、有償支給先への原料の支給が前連結会計年度と比較して増加し、営業倉庫に保管する商品及び製品についても順調に増加いたしました。 ・有形固定資産の増加 有形固定資産の増加については養殖設備への増加が主な内容になります。特に国内養殖の規模拡大は当社の成長戦略の最重要課題となっていますので、今後も引き続き、積極的な設備投資を行っていく方針です。 ・借入金の増加 上記の在庫投資と設備投資のために要する資金は主に借入金で賄っており、その結果として負債が増加しています。 ・有償支給取引に係る負債の増加 有償支給先への原料の支給をした場合において当該負債を計上することとなりますが、棚卸資産の増加で記載のとおり、当連結会計年度は前連結会計年度と比較して、有償支給先への原料の支給残高が増えたことにより、増加しています。 ・利益剰余金の増加 親会社株主に帰属する当期純利益を順調に計上していることにより増加しています。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報a. キャッシュ・フローの状況の分析 営業活動によるキャッシュ・フローは、8,264百万円の支出(前連結会計年度は3,536百万円の収入)となりました。 税金等調整前当期純利益を4,096百万円計上や有償支給取引に係る負債の増減額1,532百万円を計上しましたが、国内加工事業において魚卵の仕入を進めたこと等に伴う棚卸資産残高の増減額△11,725百万円を計上したことなどにより、営業キャッシュ・フローはマイナスとなっています。 当社グループは事業の性質上、元々在庫回転期間が比較的長くなる傾向がありますが、そういったなかで事業規模拡大に伴い恒常在庫水準は年々上がっているため、大きなトレンドとして在庫投資に資金を要する傾向が継続しています。 投資活動によるキャッシュ・フローは、3,709百万円の支出(前連結会計年度は1,985百万円の支出)となりました。当社グループの成長に向けた主要課題として、国内の中間養殖場のキャパシティ拡大、成長するアジアの日本食需要への対応力強化があります。特に国内中間養殖場の拡大は重要課題であり、当連結会計年度においても泊川中間養殖場(秋田県八峰町)の建設工事を進め、生簀の増設等生産キャパシティ拡大のための投資を行いました。前連結会計年度に公表した中期経営目標2030に記載のとおり目標生産数12,000トンに向け、必要な設備を順次計画的に建設しています。 以上のように在庫投資や設備投資に多くの資金を投入していますが、その資金は自己資金及び外部借入で調達しています。当連結会計年度においては、原材料仕入等の運転資金目的での借入を進めたことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは12,628百万円の収入(前連結会計年度は1,931百万円の支出)となっています。現時点において、金融機関とは良好な関係を維持しており、資金調達環境に特段の懸念はありません。 なお、現金及び現金同等物の残高は、次期連結会計年度以降の資金繰り見込みを踏まえ、当連結会計年度末時点の必要水準を確保した残高となるよう、借入金返済とのバランスを考慮しております。 株主還元については経営における重要課題の一つと考えており、連結株主資本配当率(DOE)に基づく安定配当を行う方針です。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。 b. 資本の財源及び資金の流動性に関する情報当社グループの資本の財源は、自己資金及び金融機関からの借入であります。借入に関しましては、運転資金は主に短期借入金で、設備資金は主に長期借入金で調達しております。運転資金需要のうち主なものは、養殖事業における飼料代金、国内加工事業及び海外加工事業における原料仕入代金、海外卸売事業における商品仕入代金であります。設備資金需要のうち主なものは、養殖施設(冷凍設備や船等含む)や、国内加工工場(裁断機や浄化設備等)の設備投資代金であります。 当社グループでは、事業活動を円滑に行うため、金融機関との当座貸越契約等を利用し、実需に応じた資金調達を実施し、流動性を確保しております。当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。 ③ 重要な会計上の見積及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたって、棚卸資産の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等の資産、負債、収益及び費用に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらは、過去の実績や将来の事業計画等に基づき合理的に算出しておりますが、見積りの不確実性から実際の結果と異なる可能性があります。また、海外子会社における生物資産評価については、生物資産を公正価値で測定し、取得価額との差額を損益(売上原価の繰入または戻入)として認識しており、その測定には生物資産の正味売却価額や生存率等を見積もる必要があることから、市場の動向等により結果が大きく変動する可能性があります。

事業リスク

  • 気候変動と自然災害のリスク
    地球温暖化による海洋環境の変化は、水産物の生息域や漁獲量・養殖生産量に影響を与え、原料価格の高騰を招く可能性があります。また、台風や豪雨などの自然災害の増加・激甚化は、養殖施設や工場への直接被害、生産・物流の停止、予防コストの増加など、経営成績に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 海外事業拡大に伴うカントリーリスク
    海外での事業展開は、政情不安、為替変動、予期せぬ税制・法令変更、市場環境の理解不足、人材確保の難しさ、新たな競争といった様々なリスクに直面します。特にミャンマーのような不安定な情勢の地域では、加工能力に影響が出る可能性があり、事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 養殖事業特有のリスク
    国内養殖における区画漁業権や水利権の維持・新規取得の困難さ、残餌や糞尿による海洋汚染、環境規制の強化、養殖用卵の安定調達の難しさ、疾病による大量斃死(へいし)など、養殖事業には特有のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、事業の維持・拡大に支障をきたし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,783 文字
3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 1.気候変動・自然災害によるリスク (1)資源アクセス確保に与える影響(発生可能性:中/発生時期:特定時期無し/影響度:大) 地球温暖化による海洋環境の変化により、下記のようなリスクが生じることが考えられ、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ① 各水産品種の生息可能な水域が変化することにより、当社グループが取扱う水産品種における従来の漁場、海面養殖場の環境(海水温条件など)が、その魚種の生息条件に適さなくなり、漁獲量・養殖生産量が減る可能性があります。② 海洋環境が変化した場合には、当社グループに限らず、水産業界全体に及ぶ可能性があることから、漁獲量・養殖生産量減少により水産物の流通量が減ることで、水産物の価格が上昇し、当社にとっての原料仕入価格が高騰するおそれがあります。 (2)自然災害の頻度増加と激甚化によるリスク(発生可能性:高/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 地球温暖化による気候変動は、近年、台風、ハリケーン、時化、豪雨、洪水、赤潮、津波、干ばつ等の自然災害の頻度を増加させ、激甚化させる傾向にあります。また、東日本大震災以降、青森県東方沖から岩手県沖にかけてマグニチュード7クラスの地震が繰り返し発生しています。特に、当社の主力工場のある青森県青森市、当社グループの養殖場が集中する青森県西津軽郡深浦町及び青森県東津軽郡今別町、デンマークMusholm島周辺に想定外の災害が生じた場合には、当社グループの経営成績に下記のような大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 ① 当社グループの養殖魚、食品製造や冷蔵倉庫、養殖場、工場、漁船への直接被害 ② 台風等の悪天候による時化の増加により、海面養殖の生簀損壊、給餌回数の減少による魚の成長不足 ③ 長期停電や水道水停止等による生産・物流への影響 ④ 予防・安全対策コストとしての設備費や保険費用の増加 以上のリスクに対処するため、事業セグメントの分散、養殖拠点や製造拠点の分散を進めております。これにより、特定の事業や拠点に大きな損失が生じた場合でも、他の事業や拠点でその損失を吸収しうる体制を構築してまいります。 2.海外事業の拡大に関連するリスク(カントリーリスク)(発生可能性:高/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 当社グループは、「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける。」をMissionとして掲げているとおり、海外での事業展開を積極的に行っております。海外への展開においては、以下を含む様々なリスクにさらされております。 ・政情や治安の不安・外国為替相場の変動・将来起こりうる不利益な税制・法令や規制の予期せぬ変更・顧客ニーズ、市場環境及び現地の規制に関する理解不足・人財の採用・雇用及び国際的事業管理の難しさ・新たな多国籍企業との競争 海外事業の拡大に取り組む中で、上記のような事業展開に関連する様々なリスクが顕在化し、想定した事業展開を行うことができない可能性があります。また、海外企業への投資に関連して減損が生じる可能性や、当社グループの目標を達成できない市場から撤退する可能性があります。これらの結果、当社グループの事業展開、財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお海外加工事業においてはベトナムとミャンマーに加工拠点を有しており、このうちミャンマーにおいては本書提出日現在においても不安定な情勢が継続しております。現在もミャンマー工場は稼働を抑えた形で継続稼働しておりますが、情勢が悪化した場合は、海外加工事業における加工能力に影響を及ぼす可能性があります。今後も従業員の安全確保を最優先しつつ、引き続き情勢を注視してまいります。 3.養殖事業に関するリスク(1)国内養殖において区画漁業権や水利権の維持や新規取得ができなくなるリスク(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:大) 国内養殖において河川を利用した中間養殖を行うにあたっては水利権が、海面養殖を行うにあたっては区画漁業権の行使が必要になります。何らかの理由によりこれらの権利の使用や拡大に制約が生じた場合、当社グループの養殖事業の維持や拡大に支障を及ぼす可能性があります。 当該リスクに対応するため、当社グループでは法令遵守や環境配慮、行政、地域住民、地元漁協などとの対話を通じて、これらの権利の維持・拡大に努めております。 (2)養殖事業による海洋汚染に関するリスク(発生可能性:中/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 海面養殖では、残餌や糞尿等の海底堆積や逃亡魚等による海の汚染リスクが大きな課題です。当社がこの課題に適切に対処できない場合、ASC認証取消による当社養殖魚の付加価値の低下、地元漁協との関係悪化等により、養殖事業に悪影響を与える可能性があります。 当該リスクに対応するため、当社ではASC認証の維持を通じて環境に配慮した養殖を継続するとともに、潜水調査を含む継続的な環境影響調査や適正給餌などに努めております。 (3)養殖事業における環境規制の強化に関するリスク(発生可能性:中/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 環境保護の観点から、養殖事業に関する規制は強化される傾向にあります。新たな国内外の法規制等が制定された場合、当社グループにおいて、これら法規制等への対応のために新たな環境保全コストの負担等が生じることが予想されます。当社が現在又は将来の環境規制を遵守できなかった場合、当社に対する損害賠償請求や罰金の賦課、一定地域における生産・操業停止、当社の評判・信用の低下を招き、当社グループの事業展開、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループに重大な影響を及ぼす可能性のある法規制等の改正は、本書提出日現在においてはありません。 (4)養殖用卵の調達に関するリスク(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 本書提出日現在において養殖事業における養殖量の約5割程度を占める日本国内においては、サーモンの養殖用卵の仕入は国家間の魚病防疫の契約上、米国もしくはカナダからの仕入れに規制されています。当社グループの国内養殖では米国の業者から仕入れた発眼卵を使って養殖を行っていますが、何らかの理由で当該仕入先からの発眼卵仕入が滞った場合、当社グループの国内養殖事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (5)MSC認証およびASC認証について(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 当社グループが認証取得している持続可能な漁業認証(MSC)および養殖認証(ASC)においては、規格の要求事項を満たしたマニュアルを作成・運用し、定期的に認証審査機関による継続審査及び更新審査を受けることが求められます。当社グループでは、最新の規格要求事項に合わせてマニュアルをアップデートすることで、MSC・ASCを適切に運用しておりますが、当該審査で認証継続不可となる重大な不適合あるいは不適合品発生時の不適切な対応により、認証継続が一時停止又は取消された場合、当社グループが継続的に取り組んでいる事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (6)疾病による大量斃死(へいし)(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) サーモン養殖においてはIHNやIPNといった抗生物質の効かないウイルス性の病気が発生することがあります。これらの病気が蔓延すると大量斃死が発生し、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります 当社では病気が持ち込まれるリスクに対処するため、野生動物(特に鳥)による水平感染予防のための鳥よけ網、人的な水平感染予防のために場内入場時の全ての人、車に関する殺菌を実施しております。また、ワクチン開発を支援するため、ワクチン開発会社の行う治験へは積極的な協力を行っていく方針です。 (7)日本国内における養殖ライセンスの導入(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) デンマークをはじめ養殖先進国においては、淡水養殖を行う際は、取水量のライセンス、排水基準の規制などが存在し、海面養殖を行うためには、飼育生物量(バイオマス)ライセンスや使用給餌量ライセンスの取得が必要とされています。多くの国でこのライセンスの取得要件がネックとなり、それ以上の規模拡大が困難になるという状況が発生しています。 日本国内においてはこのような規制は現在はありませんし、規制が導入されることも現時点では予定されていません。しかしながら、長期的に見れば諸外国と同様にこのような規制が導入される可能性は排除できず、その場合は国内の養殖事業の大きな制約要件になる可能性があります。 当該リスクも見据え、当社では長期的な成長を想定して行使可能な水利権や区画漁業権の拡大を先行して進めております。また、ASC認証の取得率向上を通じて高い環境基準に対応できる体制の構築に努めてまいります。 4.製品の安全性について(発生可能性:中/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 食品の安全性に対する消費者の関心や要求は年々高まっております。 当社グループでは安全で、顧客に安心していただける商品をお届けするよう、経営責任者直轄の品質管理部を設置し、製造現場の衛生管理を推進しております。自社工場ではHACCPの管理手法を導入し、より高いレベルの食品安全マネジメントシステムの認証取得に取り組み、継続的な改善活動と、徹底した衛生管理を実践しております。また、検査室を設置して、食品の安全性を保証する微生物検査をはじめ各種検査を実施しております。さらに商品だけでなく製造環境の衛生状態も検査し、適切に管理しております。海外協力工場においても、自社工場と同等の管理手法を要求しており、緊密に連絡を取りながら当社主導で衛生管理の徹底と向上に取り組んでおります。食品表示につきましては、小さな誤りでもお客様の健康危害に直結することを踏まえ、製品開発時や原材料購買時における食品表示の確認、不当表示とならないようなチェック体制の構築等、継続的に体制の充実を図っております。 以上のように、食品の安全性に対しては万全を期しておりますが、それでもなお品質に関する問題が生じた場合は、消費者の健康を脅かし、企業の信用を失墜させるおそれがあります。 5.特定の外注先への依存に伴うリスク(発生可能性:中/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 海外加工事業では、サーモンやサバ製品の外注加工に関して、ベトナムのTrung Sonグループに加工業務の過半を依存しています。そのため、災害等の要因によって同社の稼働に影響が生じた場合、あるいは同社との取引条件が大きく変動した場合などは、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 このようなリスクに対応するために、当社グループでは自社工場の拡大及び加工先の分散に努めております。 6.相場変動リスクについて(発生可能性:高/発生時期:特定時期無し/影響度:小) 当社グループが取り扱う水産物は漁獲量や市況により相場が大きく変動するものがあります。当社ではこの相場変動が仕入と販売の両局面で影響を及ぼしますが、両者の相場変動の波にはタイムラグがあり、それによって利益率も大きく変動するため、当社の業績もその影響で大きく変動するリスクを抱えています。特に近年は不安定な世界情勢などを背景に、当社グループの取扱うサーモンや魚卵原料の相場が大幅に上昇をしてきました。今後はその反動減も想定されうる状況にありますので、この相場変動リスクは顕在化しやすい環境下にあると考えられます。 これらのリスクに対処するため、当社グループでは、漁獲量や市況のタイムリーな状況把握とその状況に応じた調達・販売に努めております。 7.原料調達リスク(仕入先への依存リスク)(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 国内加工事業では、他の仕入先への代替が難しく、原料の総仕入高の約半分程度が特定の仕入先に集中しております。特定の仕入先とは取引開始以来、良好な関係を継続しており、今後も仕入取引を継続していく方針であり、また継続的かつ安定的に仕入ができるよう連携を強化しております。また、自社養殖原料を増やすことによってもリスクヘッジを図るよう努めております。 しかしながら、今後、自然災害、品質問題及び仕入先の経営悪化等何らかの要因により継続的かつ安定的に仕入れることが困難な状況となった場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 8.有利子負債への依存について(発生可能性:中/発生時期:特定時期無し/影響度:小) 当社グループの事業の性質上、在庫残高は多くなる傾向にあり、2026年6月末時点における在庫残高(貯蔵品を除く)は29,985百万円(総資産の49.4%)となっております。これは、養殖在庫については販売までに一定の養殖期間を要すること、仕入在庫のなかには仕入時期に季節性があり買付が一時に集中するものがあること、長期保存が可能な凍結原料があること、などに起因しています。当社ではこれらの在庫資金の多くを借入金で賄っているため、事業規模の拡大に伴って有利子負債残高も多くなっており、2026年6月末時点の有利子負債残高は30,608百万円、総資産に占める有利子負債の割合は50.5%と大きくなっています。そのため、今後の金利情勢の変動によっては経営成績が影響を受ける可能性があります。 なお当社では、財務体質強化のために負債比率の削減が課題であると認識しており、それに向けて自己資本の充実に努めて参る所存です。 9.法的規制等について(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 当社グループの事業に適用される「食品安全基本法」「食品衛生法」「食品表示法」「製造物責任法」「廃棄物処理法」等の様々な規制・規則が存在しております。今後各省庁等における現行の法解釈に何らかの変更が生じた場合、もしくは新たに当社グループの事業を規制する法律等が制定・施行された場合、その内容によっては当社グループの事業が制約を受けたり、当社が新たな対応を余儀なくされたりする可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績又は今後の事業展開が影響を受ける可能性があります。 当社グループでは、専門家の活用や行政とのコミュニケーション等を通じて、タイムリーな情報収集や適切な対応策の策定など、当該リスクの低減に努めております。 10.個人情報の管理について(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 当社グループは、通信販売等を通じて顧客の個人情報を入手する機会があります。何らかの理由でこれらの個人情報が漏洩した場合には、損害賠償請求の発生や社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティの強化に努めております。 11.訴訟・係争等について(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:中) 当社グループでは、現在係争中の案件はありません。当社グループでは法令遵守をはじめコンプライアンスを常に考慮した経営に努めておりますが、意図せざる理由により製品回収、法令違反又は訴訟提起等が生じた場合、その結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 12.人財の確保、育成について(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:小) 当社グループは、世界の多くの国と地域で事業活動を推進しております。そのため、継続的に事業を発展させるためには、専門性のある多様な人財及び経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人財の獲得、育成を継続的に推進していくことが重要となります。 しかしながら、必要な人財を継続的に獲得し定着させるための競争は厳しく、特に日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等を背景に雇用環境の変化が急速に進んでおり、人財獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは人財獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。また、期待水準の明確化に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人財の定着を図っております。さらには、自律型人財やグローバル人財を育成し、当社グループの価値観を伝える教育プログラムの充実を図っております。 13.知的財産権に関するリスク(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:小) 国内外において、当社グループの商標権が侵害されるなどした場合、当社グループ又はそのブランドのイメージを侵害し、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。 また、当社グループが意図せず第三者等の知的財産権を侵害してしまった場合には、当該第三者から訴訟等を提起される可能性があり、損害賠償や補償等、又は訴訟等に対応するための多大な時間、労力、費用を要する可能性があることに加え、当社グループ又はそのブランドのイメージ、評価、社会的信用を害する可能性があり、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、保有する知的財産権を適切に管理し、第三者の知的財産権を侵害しないよう必要な調査を行う等、当該リスクの低減に努めております。 14.大株主について(発生可能性:低/発生時期:特定時期無し/影響度:小) 当社の代表取締役社長である岡村恒一は、当社の大株主であり、自身の資産管理会社である株式会社オカムラ、配偶者、二親等内の血族の所有株式数を含めると本書提出日現在で発行済株式総数の61.6%を所有しております。同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式の多くが減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

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