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ヤマイチエステート(2984)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

不動産業 不動産

事業の概要

  • 不動産開発と賃貸
    商業施設や共同住宅などの賃貸用不動産を開発・取得し、それらを保有することで賃料収入を得ています。特定の用途に偏らず、共同住宅、商業施設、オフィスビル、駐車場など多様な不動産を近畿圏を中心に展開し、長期的な安定収益を目指しています。
  • 不動産開発と販売
    住宅用地や産業用地の開発・販売、戸建住宅や店舗事務所の建築を行っています。和歌山県や兵庫県、埼玉県を中心に、地域の特性に合わせた分譲地の企画や戸建建築(木造軸組み工法、2×6工法)を提供し、販売益を主な収益源としています。
  • マンション事業
    ファミリー層向けの分譲マンション「ユニハイム」「ユニハイムエクシア」や都市型コンパクトマンション「アウラ」を企画・開発・販売しています。一次取得者層を主要顧客とし、内装のオーダー対応オプション「Only-I」で他社との差別化を図り、販売益を得ています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 不動産開発・賃貸事業
    商業施設や共同住宅などの賃貸用不動産を開発・保有し、賃料収入を得る事業です。近畿圏を中心に展開し、近年は東海や首都圏にも進出しています。長期的な安定収益源として、2024年5月期の売上高は31.5億円、営業利益は9.8億円を計上しています。
  • 不動産開発・販売事業
    住宅用地や産業用地の分譲販売、戸建住宅や店舗事務所の建築を行う事業です。和歌山県、兵庫県、埼玉県を主な営業エリアとし、販売益を追求しています。2024年5月期の売上高は55.1億円、営業利益は5.8億円と、グループの主要な収益柱の一つです。
  • マンション事業
    ファミリー層向け分譲マンション「ユニハイム」や都市型コンパクトマンション「アウラ」の企画・開発・販売を行う事業です。一次取得者層や投資家・事業者向けに展開し、販売益を得ています。2024年5月期の売上高は119.6億円、営業利益は11.9億円と、グループ内で最も大きな売上を誇る事業です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
RealEstateDevelopmentAndLeasingReportableSegment 事業 32 10 31.1%
RealEstateDevelopmentAndSalesReportableSegment 事業 55 6 10.6%
CondominiumsReportableSegment 事業 120 12 10.0%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,423 文字
3【事業の内容】 当社グループは当社及び連結子会社(株式会社ウェルネス・コート、ニューライフサービス株式会社、株式会社エルアンドビー、株式会社エスティリンク、株式会社大成住宅)、非連結子会社(野上電鉄株式会社)の計7社で構成されており、不動産開発を通じて、土地の価値が最大限に発揮される可能性を追求する事業に取り組んでおります。特に地権者調整が複雑な素地(宅地開発が必要な農地等)からの開発プロジェクトの経験値と、自社において用地取得から宅地造成そして売却又は長期保有までフルラインでカバーしている点をコア・コンピタンスと位置付けております。 当社グループの不動産開発は「土地を起点とした発想」でプロジェクトを構築し、中長期的なキャッシュ・フローが最大化する出口戦略に基づいて事業を推進するため、年度ごとに各セグメントの業績への寄与率が変動する特徴があります。 当社グループは、開発した不動産の用途と収益形態に応じて、①商業施設や共同住宅等の賃貸用不動産の保有により賃料収入を得る「不動産開発・賃貸事業」、②住宅用地や産業用地の分譲販売、戸建並びに店舗事務所の建築を行う「不動産開発・販売事業」、③マンションの企画開発、分譲販売並びに管理業を行う「マンション事業」、④高齢者向けサービス事業等を行う「その他の事業」の4事業に区分して展開しております。 なお、各セグメントにおける主要な関係会社の名称等は「4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。 (1)不動産開発・賃貸事業 当該事業は、主に賃貸用不動産の開発・取得及び賃貸を行う事業であり、各不動産が生み出す長期的なキャッシュ・フローを基盤とした賃料収入を主たる収益源としております。また、開発後の売却によるキャピタルゲインの獲得も行っております。 本事業は、長期保有による安定的な収益の確保を基本としつつ、市況や金利動向等を踏まえ、保有・売却を機動的に判断する特性を有しております。 特定の用途に偏らない分散投資を基本とし、共同住宅、商業施設、オフィスビル及び駐車場等を保有しております。開発エリアは、近畿圏及び首都圏を中心に展開しており、近年は地方中核都市にも進出しております。 当社グループは、用地取得から開発、運用、売却までを一貫して手掛ける体制を強みとしており、各プロジェクトの投資判断にあたっては、長期的なキャッシュ・フロー及び利回り水準を重視しております。 また、一般的な不動産の自社保有に加えて、複数の土地所有者から土地を賃借し、一団の土地としてテナント企業に転貸(サブリース)する形態も扱っております。 (2)不動産開発・販売事業 当該事業は、主に住宅用地の開発・販売や企業向けの産業用地の開発・販売を行っており、住宅用地の分譲販売に加え、戸建住宅の一般建築請負及び建売住宅の販売、並びにテナントのオーダーに基づく店舗建築を行っております。 本事業は、住宅関連事業による安定的な売上の確保を基盤としつつ、産業用地の開発・販売により高い収益を獲得する構造を有しております。住宅関連事業は比較的収益性が限定的である一方、産業用地の販売は案件規模が大きく収益性が高い反面、開発案件の進捗や市況の影響を受けやすく、業績は年度ごとに変動する傾向があります。 住宅用地の分譲販売は、近畿圏及び埼玉県内を主要エリアとしておりますが、近年は東京都内においても戸建分譲事業を展開しております。戸建建築については、木造軸組み工法(注1)及び2×6工法(注2)を採用し、幅広い顧客ニーズと価格帯に対応した商品ラインナップを有しております。 産業用地の販売は、倉庫、物流拠点や工場等の用途に適した用地の取得・開発を行い、自社又は仲介業者を介して販売しております。 (注1)柱(縦の構造材)に梁(横の構造材)などの軸組みで支える工法のこと。(注2)フレーム状に組まれた木材の骨組みに合板を打ちつけたものをパネル化し、それらを壁・床・天井に使う枠組壁工法の一種。 (3)マンション事業 当該事業は、主に分譲マンションの企画開発及び分譲販売を行う事業であり、ファミリー層を中心とした一次取得者を主要顧客としております。事業は、用地取得から企画・開発、販売、引渡しまでを一貫して行い、竣工・引渡しのタイミングで収益を計上するビジネスモデルであります。 本事業は、プロジェクト単位で収益を計上する特性から、用地取得や開発進捗の状況に応じて業績が変動する傾向があります。 事業エリアは、大阪市を中心とした近畿圏の駅近接立地及び首都圏としており、これらのエリアを中心に用地取得を進めております。 自社ブランドとして、ミドル~アッパークラスをターゲットとした「ユニハイム」及びハイエンドブランドである「ユニハイムエクシア」を中心に展開するとともに、内装のオーダー対応オプション「Only-I」により商品差別化を図っております。さらに、都市型コンパクトマンションブランド「アウラ」を展開し、顧客層及び商品ラインナップの拡充を進めております。 また、一般顧客向け分譲に加え、投資家や事業者向けに一棟販売等を行うマンション開発にも取り組み、投資回収期間の短縮化と収益機会の多様化を図っております。 このような事業運営のもと、当社グループは、用地取得力及び商品企画力を強みとし、各地域の需要特性に応じたマンション開発を推進しております。 (4)その他の事業 当該事業は、シニア向けマンションの賃貸・分譲・管理運営、訪問介護や居宅介護支援サービス、和食飲食店の運営及び温泉施設運営等により構成されております。また、当社の不動産関連ビジネスに付随して、損害保険代理店業、当社保有地の太陽光発電による売電事業による収益が含まれております。 [事業系統図] 事業の系統図は次のとおりです。 ヤマイチエステートグループ(YUEG)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
販売不振が生じた場合、販売促進費用増加や値引施策により採算悪化のリスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、都市計画法、国土利用計画法、借地借家法等の法的規制。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:社会経済情勢の変動 / 土地の仕入 / 原材料・資材価格等の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

ヤマイチエステートは不動産仲介・管理事業を主軸としており、特定の強力なブランド、特許、規制ライセンス、独占的IPに依存するビジネスモデルではない。そのため、無形資産による競争優位性は見られない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

不動産仲介においては、一度取引した顧客との関係性が継続する可能性はあるが、一般的に顧客が他の仲介業者へ乗り換える際の直接的な損失は限定的である。しかし、良好な顧客関係や過去の実績が一定のスイッチング・コストを生む可能性は否定できない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業は、ユーザー数の増加がサービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果を持つビジネスモデルではない。不動産仲介・管理は個別の取引や管理サービスが中心であり、プラットフォーム型ビジネスのような効果は期待できない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

不動産仲介・管理業において、構造的に圧倒的なコスト優位性を確立している証拠は現時点では見られない。ただし、効率的な店舗運営やIT投資による業務効率化は、競合と比較してわずかなコスト差を生む可能性はある。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

不動産仲介・管理業界は多数の事業者が存在する競争環境だが、ヤマイチエステートは一定の事業規模と地域でのプレゼンスを有している。しかし、業界全体を寡占するほどの規模の経済性はまだ確立されていない。

  • 複雑な土地開発の経験値
    地権者調整が難しい農地などの「素地」からの開発プロジェクトに豊富な経験を持っています。これにより、他社が手掛けにくい案件にも対応でき、土地の潜在価値を最大限に引き出すことで競争優位性を確立しています。
  • 一貫した事業体制
    用地取得から宅地造成、そして売却または長期保有まで、不動産開発の全工程を自社で完結できる「フルライン」体制が強みです。これにより、外部委託コストの削減や品質管理の徹底、迅速な意思決定が可能となり、効率的な事業運営を実現しています。
  • 多様な出口戦略と柔軟な経営
    開発した不動産を賃貸として長期保有するだけでなく、市場状況に応じて分譲販売に切り替えるなど、プロジェクト単位で収益性を最大化する柔軟な経営判断が可能です。中長期的なキャッシュフローを重視し、市場の変化に対応できる点が強みです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)企業理念と経営の基本的な方針 当社グループは、不動産事業を通じた「街づくり」と「地域活性化」を使命と考え、「人々が"安心"して住める街づくり」・「人々が"快適"に暮らせる街づくり」・「人々が"満足"する街づくり」を通して、地域の発展とそこに住む人々の幸せを追求することを企業理念に掲げております。 当社グループは、事業用不動産の取得(入口)~開発(商品化)~販売・賃貸(出口)までを縦断的にフルラインで扱う少数精鋭の専門家集団としての特徴を基盤とし、不動産業の一部領域に特化するのではなく、社会構造の変化、経済の動向、国策の転換等に応じて、柔軟に経営資源の選択と集中を行い、長期にわたり安定的成長を続けていくことを目指しております。 (2)経営環境 当連結会計年度におけるわが国経済は、日本銀行による段階的な利上げ実施に伴い「金利のある世界」が定着し、経済社会構造の大きな転換期となりました。雇用・所得環境の改善を背景に内需は底堅く推移したものの、為替変動や原材料価格の高止まりが続くなど、先行き不透明な状況が継続しております。不動産市場においては、当社が今後の成長分野として重点を置く首都圏と、事業基盤の確立された近畿圏とで、市場の二極化が一段と加速しております。 ・首都圏市場: 当社が事業基盤を拡大している首都圏においては、物件価格の高騰が続く一方で、利便性の高い都市近郊での住宅取得ニーズは依然として根強いものがあります。しかし、急激な価格上昇に対し実需層の購買力が限界に達しつつある中、市場では「高値止まり」感も広がっています。このような環境下、当社は徹底したコスト管理と商品企画の工夫及び適正な利益設定に基づき、上昇傾向にある市場環境下でも一次取得層が検討可能な価格帯での供給を継続した結果、成約状況は堅調に推移しています。当社の売上構成において、同エリアのプレゼンスは着実に高まっております。 ・近畿圏市場: 近畿圏においては、大阪都心部の再開発エリアやインバウンド需要の恩恵を受ける特定エリアでは底堅さが見られる一方、郊外部や地方都市においては、価格高騰と金利上昇懸念から住宅取得意欲が慎重になる傾向が見られます。エリア選別の重要性は一層高まっている状況にあります。 ・供給面の課題: 建設業界における人手不足や労務費の上昇に加え、いわゆる「2024年問題」(時間外労働規制の適用)の影響により、工期の長期化が顕著となっております。また、ZEH等の環境基準への対応コストも重なり、供給単価を下支えする構造的要因となっております。このような環境下、当社は市場の成長性が高い首都圏への展開を加速させるとともに、近畿圏においては立地選別を一層徹底するなど、地域特性に応じた機動的な事業展開を推進してまいります。 (3)経営戦略 当社グループは、土地の価値を最大化する不動産開発を基本方針とし、特定のエリアや用途に固執することなく、将来性のある優良地を見極め、中長期的な収益の最大化を追求しております。 土地の価値に対する分析力と、その価値を最大限に引き出す企画力を強みとし、社会経済情勢やニーズの変化に即応した付加価値の高い不動産の供給を推進しております。特に、素地からの不動産開発については、土地ごとの個別性が高く専門的知見を要する分野であり、当社グループの競争優位の源泉となっております。このノウハウを活用し、近畿圏における基盤の強化とともに、首都圏への展開を加速することで、持続的な成長を目指しております。 また、不動産開発においては、用地取得から売上計上までのリードタイムが異なる複数のプロジェクトを組み合わせて展開しております。短期案件から中長期案件までをバランスよく組成することにより、継続的なキャッシュインを確保し、収益の安定化と成長の両立を図っております。 事業ごとの具体的な施策は以下のとおりであります。 ① 不動産開発・賃貸事業 当事業では、長期保有による安定的な賃貸収益の積み上げを基本とし、継続的なポートフォリオの拡充を図っております。投資判断にあたっては、保有期間におけるキャッシュ・フローを重視し、安定収益の確保を優先しております。 賃貸用不動産の取得については、既存収益不動産の取得と、素地からの開発の双方を組み合わせて推進しております。既存物件の取得においては、収益性の高い不動産を厳選して取得し、設備更新やテナント管理等によるバリューアップを通じて収益性の向上を図っております。一方で、素地からの開発においては、ロードサイドを中心とした商業施設開発等に取り組み、長期の賃貸契約を前提とした安定収益の確保を目指しております。 また、開発初期段階からテナント誘致を進めることで在庫リスクの低減を図るとともに、保有資産については市況に応じて売却も選択肢とし、資金効率の向上を図っております。 ② 不動産開発・販売事業 当事業では、住宅関連事業による安定的な売上の確保を基盤としつつ、産業用地の開発・販売により高収益の獲得を目指しております。 戸建分譲においては、分譲地の開発・販売と建築請負、建売販売を組み合わせた製販一体のビジネスモデルを採用し、継続的な供給を通じて安定した売上の確保を図っております。一方で、産業用地の開発・販売は、案件規模が大きく高い収益性が期待できる反面、開発期間や市況の影響を受けやすく、業績が変動する特性を有しております。 産業用地については、物流・倉庫・工場等の用途に適した土地を選定し、素地からの開発力を活かすことで付加価値の高い土地供給を実現し、収益性の向上を図っております。 ③ マンション事業 当事業では、用地取得から企画・開発、販売、引渡しまでを一貫して行う分譲マンション事業を展開しており、プロジェクト単位で収益を計上するビジネスモデルであります。このため、用地取得や開発進捗の状況に応じて業績が変動する特性を有しております。 今後の成長戦略として、従来の近畿圏中心の事業展開から、首都圏への展開を加速させ、事業ポートフォリオの転換を進めてまいります。特に、需要の厚い都心部及び交通利便性の高いエリアにおける用地取得を強化し、供給戸数の着実な積み上げを図ることで、同エリアにおけるプレゼンスの向上を目指しております。 また、従来の一般顧客向け分譲マンションに加え、投資家向けの収益用マンション開発にも注力しております。具体的には、ワンルームタイプを中心とした一棟販売を推進することで、投資回収期間の短縮と資金効率の向上を図るとともに、販売チャネルの多様化による収益機会の拡大を進めております。 これらの取り組みにより、分譲マンション事業における収益基盤の強化とともに、事業の成長性と安定性の両立を図ってまいります。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、不動産開発を基礎とした事業展開を行っており、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しており、目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。また、当社グループでは賃貸不動産の積み上げを戦略の中心としていることに加えて、近年ではM&Aを活用した業容拡大を図っているため、償却額が増加傾向にあります。償却前の収益力の拡大を評価するために、EBITDAに関しても重要な指標としてモニタリングしております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 建設コストの上昇及びプロジェクト遅延への対応 円安基調やエネルギー価格の変動等を背景とする資材価格の高止まりに加え、建設業界における深刻な人手不足、時間外労働の上限規制の定着等により、建設コストの上昇や工期の長期化が継続しております。このような環境下においては、用地取得段階における原価形成や開発プロセスの最適化の巧拙が、事業者間の競争力の差として顕在化するものと認識しております。当社グループは、素地からの開発力を活かした土地原価のコントロール及び案件選別の高度化により、コスト上昇局面においても収益性を確保できる体制の強化を図っております。 また、工期の異なる複数のプロジェクトを組み合わせることによりキャッシュインの平準化を図るとともに、販売価格及び賃料の機動的な見直しを行うことで、収益の安定化と成長の両立を推進してまいります。 ② 優秀な人材の確保及び育成 不動産開発においては、用地取得、企画開発、販売等の各機能において高い専門性を有する人材の確保及び育成が、競争力の源泉になるものと認識しております。当社グループでは、配置転換や部門横断的なキャリア形成を通じて、多様な業務に対応可能な人材の育成を進めるとともに、経験豊富な外部人材の採用を積極的に推進しております。これにより、事業領域の拡大や新規市場への進出に対応できる組織体制の強化を図っております。人材の質の向上は、開発案件の精度及び収益性の向上に直結することから、中長期的な成長基盤を支える重要な経営課題として取り組んでまいります。 ③ 開発用地の取得力の強化 当社グループの不動産開発においては、土地部分から得られる収益の確保が重要であり、優良な開発用地を適切な条件で取得することが成長の基盤になると考えております。 特に、地価の上昇基調が継続する中、既成市街地における用地取得競争は一層厳しさを増していることから、相続や権利調整を要する案件、事業承継に課題を有する企業に対する不動産取得を目的としたM&Aの提案、開発許可取得に工夫を要する案件等、競争優位性を発揮しやすい開発用地の発掘を推進してまいります。 また、案件ごとのリスク・リターンを慎重に見極めながら、取得手法の多様化及び仕入ルートの拡充に努めてまいります。 ④ 首都圏における事業基盤の強化 当社グループの持続的な成長のためには、近畿圏に加え、市場規模の大きい首都圏における事業展開の強化が重要であると認識しております。 首都圏においては、用地取得に関する体制整備を進めておりますが、今後、一定件数の案件を継続的に推進していくためには、企画設計機能及び販売管理機能の充実が課題であります。特に、分譲マンション及び戸建開発においては、案件数の増加に対応可能な企画体制の構築に加え、販売の統括、重要事項説明及び契約書管理等を適切に遂行するための社内管理体制の強化を進めることで、事業運営の精度向上及び収益性の改善を図ってまいります。 一方で、販売活動については、首都圏における多様な販売チャネルを活用し、外部パートナーとの連携を柔軟に行うことで、効率的な販売体制の構築を進めてまいります。これにより、固定的なコストの抑制と機動的な販売戦略の両立を図ってまいります。 これらの取組みにより、首都圏における事業基盤の強化と案件対応力の向上を実現し、収益機会の拡大につなげてまいります。 ⑤ 金利上昇リスクへの対応及び資金調達の最適化 当社グループは、不動産開発に伴う資金需要の多くを金融機関からの借入れに依存していることから、金利上昇は資金コストの増加要因となります。 一方で、金利環境の変化は資産価格や投資判断にも影響を与えるため、資産回転や投資規律の重要性が一層高まる局面にあると認識しております。当社グループでは、案件ごとの投資効率を重視するとともに、保有不動産の入替えや売却による資金回収を適切に行うことで、財務の健全性及び資金効率の向上を図っております。 また、資金調達手段の多様化を推進し、財務基盤の安定性を確保しながら、成長投資とのバランスの最適化に努めてまいります。 ⑥ 資本コスト及び株価を意識した経営の推進当社グループは、中長期的な企業価値向上の実現に向けて、資本コスト及び資本収益性を意識した経営を一層推進してまいります。 そのため、成長投資、株主還元及び財務健全性のバランスを踏まえた経営資源配分を行うとともに、資本収益性の向上及び市場評価の改善に向けた取組みを継続してまいります。 加えて、株主・投資家との建設的な対話を推進し、当社グループの成長戦略、資本政策及び経営指標に関する開示の充実を図ることで、当社グループの中長期的な成長可能性に対する理解の向上に努めてまいります。 ⑦ 地政学的リスクへの対応(中東情勢等) 中東地域をはじめとする地政学的リスクの高まりは、エネルギー価格、為替動向等を通じて、当社グループの事業環境に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおいては、エネルギー価格、為替動向及び資材調達環境の変化を注視し、案件ごとの収支管理の徹底、販売価格・賃料設定の機動的な見直し、投資判断の厳格化等により、外部環境の変化に柔軟に対応してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)企業理念と経営の基本的な方針 当社グループは、不動産事業を通じた「街づくり」と「地域活性化」を使命と考え、「人々が"安心"して住める街づくり」・「人々が"快適"に暮らせる街づくり」・「人々が"満足"する街づくり」を通して、地域の発展とそこに住む人々の幸せを追求することを企業理念に掲げております。 当社グループは、事業用不動産の取得(入口)~開発(商品化)~販売・賃貸(出口)までを縦断的にフルラインで扱う少数精鋭の専門家集団としての特徴を基盤とし、不動産業の一部領域に特化するのではなく、社会構造の変化、経済の動向、国策の転換等に応じて、柔軟に経営資源の選択と集中を行い、長期にわたり安定的成長を続けていくことを目指しております。 (2)経営環境 当連結会計年度におけるわが国経済は、日本銀行による段階的な利上げ実施に伴い「金利のある世界」が定着し、経済社会構造の大きな転換期となりました。雇用・所得環境の改善を背景に内需は底堅く推移したものの、為替変動や原材料価格の高止まりが続くなど、先行き不透明な状況が継続しております。不動産市場においては、当社が今後の成長分野として重点を置く首都圏と、事業基盤の確立された近畿圏とで、市場の二極化が一段と加速しております。 ・首都圏市場: 当社が事業基盤を拡大している首都圏においては、物件価格の高騰が続く一方で、利便性の高い都市近郊での住宅取得ニーズは依然として根強いものがあります。しかし、急激な価格上昇に対し実需層の購買力が限界に達しつつある中、市場では「高値止まり」感も広がっています。このような環境下、当社は徹底したコスト管理と商品企画の工夫及び適正な利益設定に基づき、上昇傾向にある市場環境下でも一次取得層が検討可能な価格帯での供給を継続した結果、成約状況は堅調に推移しています。当社の売上構成において、同エリアのプレゼンスは着実に高まっております。 ・近畿圏市場: 近畿圏においては、大阪都心部の再開発エリアやインバウンド需要の恩恵を受ける特定エリアでは底堅さが見られる一方、郊外部や地方都市においては、価格高騰と金利上昇懸念から住宅取得意欲が慎重になる傾向が見られます。エリア選別の重要性は一層高まっている状況にあります。 ・供給面の課題: 建設業界における人手不足や労務費の上昇に加え、いわゆる「2024年問題」(時間外労働規制の適用)の影響により、工期の長期化が顕著となっております。また、ZEH等の環境基準への対応コストも重なり、供給単価を下支えする構造的要因となっております。このような環境下、当社は市場の成長性が高い首都圏への展開を加速させるとともに、近畿圏においては立地選別を一層徹底するなど、地域特性に応じた機動的な事業展開を推進してまいります。 (3)経営戦略 当社グループは、土地の価値を最大化する不動産開発を基本方針とし、特定のエリアや用途に固執することなく、将来性のある優良地を見極め、中長期的な収益の最大化を追求しております。 土地の価値に対する分析力と、その価値を最大限に引き出す企画力を強みとし、社会経済情勢やニーズの変化に即応した付加価値の高い不動産の供給を推進しております。特に、素地からの不動産開発については、土地ごとの個別性が高く専門的知見を要する分野であり、当社グループの競争優位の源泉となっております。このノウハウを活用し、近畿圏における基盤の強化とともに、首都圏への展開を加速することで、持続的な成長を目指しております。 また、不動産開発においては、用地取得から売上計上までのリードタイムが異なる複数のプロジェクトを組み合わせて展開しております。短期案件から中長期案件までをバランスよく組成することにより、継続的なキャッシュインを確保し、収益の安定化と成長の両立を図っております。 事業ごとの具体的な施策は以下のとおりであります。 ① 不動産開発・賃貸事業 当事業では、長期保有による安定的な賃貸収益の積み上げを基本とし、継続的なポートフォリオの拡充を図っております。投資判断にあたっては、保有期間におけるキャッシュ・フローを重視し、安定収益の確保を優先しております。 賃貸用不動産の取得については、既存収益不動産の取得と、素地からの開発の双方を組み合わせて推進しております。既存物件の取得においては、収益性の高い不動産を厳選して取得し、設備更新やテナント管理等によるバリューアップを通じて収益性の向上を図っております。一方で、素地からの開発においては、ロードサイドを中心とした商業施設開発等に取り組み、長期の賃貸契約を前提とした安定収益の確保を目指しております。 また、開発初期段階からテナント誘致を進めることで在庫リスクの低減を図るとともに、保有資産については市況に応じて売却も選択肢とし、資金効率の向上を図っております。 ② 不動産開発・販売事業 当事業では、住宅関連事業による安定的な売上の確保を基盤としつつ、産業用地の開発・販売により高収益の獲得を目指しております。 戸建分譲においては、分譲地の開発・販売と建築請負、建売販売を組み合わせた製販一体のビジネスモデルを採用し、継続的な供給を通じて安定した売上の確保を図っております。一方で、産業用地の開発・販売は、案件規模が大きく高い収益性が期待できる反面、開発期間や市況の影響を受けやすく、業績が変動する特性を有しております。 産業用地については、物流・倉庫・工場等の用途に適した土地を選定し、素地からの開発力を活かすことで付加価値の高い土地供給を実現し、収益性の向上を図っております。 ③ マンション事業 当事業では、用地取得から企画・開発、販売、引渡しまでを一貫して行う分譲マンション事業を展開しており、プロジェクト単位で収益を計上するビジネスモデルであります。このため、用地取得や開発進捗の状況に応じて業績が変動する特性を有しております。 今後の成長戦略として、従来の近畿圏中心の事業展開から、首都圏への展開を加速させ、事業ポートフォリオの転換を進めてまいります。特に、需要の厚い都心部及び交通利便性の高いエリアにおける用地取得を強化し、供給戸数の着実な積み上げを図ることで、同エリアにおけるプレゼンスの向上を目指しております。 また、従来の一般顧客向け分譲マンションに加え、投資家向けの収益用マンション開発にも注力しております。具体的には、ワンルームタイプを中心とした一棟販売を推進することで、投資回収期間の短縮と資金効率の向上を図るとともに、販売チャネルの多様化による収益機会の拡大を進めております。 これらの取り組みにより、分譲マンション事業における収益基盤の強化とともに、事業の成長性と安定性の両立を図ってまいります。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、不動産開発を基礎とした事業展開を行っており、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しており、目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。また、当社グループでは賃貸不動産の積み上げを戦略の中心としていることに加えて、近年ではM&Aを活用した業容拡大を図っているため、償却額が増加傾向にあります。償却前の収益力の拡大を評価するために、EBITDAに関しても重要な指標としてモニタリングしております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 建設コストの上昇及びプロジェクト遅延への対応 円安基調やエネルギー価格の変動等を背景とする資材価格の高止まりに加え、建設業界における深刻な人手不足、時間外労働の上限規制の定着等により、建設コストの上昇や工期の長期化が継続しております。このような環境下においては、用地取得段階における原価形成や開発プロセスの最適化の巧拙が、事業者間の競争力の差として顕在化するものと認識しております。当社グループは、素地からの開発力を活かした土地原価のコントロール及び案件選別の高度化により、コスト上昇局面においても収益性を確保できる体制の強化を図っております。 また、工期の異なる複数のプロジェクトを組み合わせることによりキャッシュインの平準化を図るとともに、販売価格及び賃料の機動的な見直しを行うことで、収益の安定化と成長の両立を推進してまいります。 ② 優秀な人材の確保及び育成 不動産開発においては、用地取得、企画開発、販売等の各機能において高い専門性を有する人材の確保及び育成が、競争力の源泉になるものと認識しております。当社グループでは、配置転換や部門横断的なキャリア形成を通じて、多様な業務に対応可能な人材の育成を進めるとともに、経験豊富な外部人材の採用を積極的に推進しております。これにより、事業領域の拡大や新規市場への進出に対応できる組織体制の強化を図っております。人材の質の向上は、開発案件の精度及び収益性の向上に直結することから、中長期的な成長基盤を支える重要な経営課題として取り組んでまいります。 ③ 開発用地の取得力の強化 当社グループの不動産開発においては、土地部分から得られる収益の確保が重要であり、優良な開発用地を適切な条件で取得することが成長の基盤になると考えております。 特に、地価の上昇基調が継続する中、既成市街地における用地取得競争は一層厳しさを増していることから、相続や権利調整を要する案件、事業承継に課題を有する企業に対する不動産取得を目的としたM&Aの提案、開発許可取得に工夫を要する案件等、競争優位性を発揮しやすい開発用地の発掘を推進してまいります。 また、案件ごとのリスク・リターンを慎重に見極めながら、取得手法の多様化及び仕入ルートの拡充に努めてまいります。 ④ 首都圏における事業基盤の強化 当社グループの持続的な成長のためには、近畿圏に加え、市場規模の大きい首都圏における事業展開の強化が重要であると認識しております。 首都圏においては、用地取得に関する体制整備を進めておりますが、今後、一定件数の案件を継続的に推進していくためには、企画設計機能及び販売管理機能の充実が課題であります。特に、分譲マンション及び戸建開発においては、案件数の増加に対応可能な企画体制の構築に加え、販売の統括、重要事項説明及び契約書管理等を適切に遂行するための社内管理体制の強化を進めることで、事業運営の精度向上及び収益性の改善を図ってまいります。 一方で、販売活動については、首都圏における多様な販売チャネルを活用し、外部パートナーとの連携を柔軟に行うことで、効率的な販売体制の構築を進めてまいります。これにより、固定的なコストの抑制と機動的な販売戦略の両立を図ってまいります。 これらの取組みにより、首都圏における事業基盤の強化と案件対応力の向上を実現し、収益機会の拡大につなげてまいります。 ⑤ 金利上昇リスクへの対応及び資金調達の最適化 当社グループは、不動産開発に伴う資金需要の多くを金融機関からの借入れに依存していることから、金利上昇は資金コストの増加要因となります。 一方で、金利環境の変化は資産価格や投資判断にも影響を与えるため、資産回転や投資規律の重要性が一層高まる局面にあると認識しております。当社グループでは、案件ごとの投資効率を重視するとともに、保有不動産の入替えや売却による資金回収を適切に行うことで、財務の健全性及び資金効率の向上を図っております。 また、資金調達手段の多様化を推進し、財務基盤の安定性を確保しながら、成長投資とのバランスの最適化に努めてまいります。 ⑥ 資本コスト及び株価を意識した経営の推進当社グループは、中長期的な企業価値向上の実現に向けて、資本コスト及び資本収益性を意識した経営を一層推進してまいります。 そのため、成長投資、株主還元及び財務健全性のバランスを踏まえた経営資源配分を行うとともに、資本収益性の向上及び市場評価の改善に向けた取組みを継続してまいります。 加えて、株主・投資家との建設的な対話を推進し、当社グループの成長戦略、資本政策及び経営指標に関する開示の充実を図ることで、当社グループの中長期的な成長可能性に対する理解の向上に努めてまいります。 ⑦ 地政学的リスクへの対応(中東情勢等) 中東地域をはじめとする地政学的リスクの高まりは、エネルギー価格、為替動向等を通じて、当社グループの事業環境に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおいては、エネルギー価格、為替動向及び資材調達環境の変化を注視し、案件ごとの収支管理の徹底、販売価格・賃料設定の機動的な見直し、投資判断の厳格化等により、外部環境の変化に柔軟に対応してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態の状況(資産) 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,731,806千円増加し、62,427,464千円となりました。 その主な要因は、仕掛販売用不動産が10,057,913千円増加したこと及び販売用不動産が652,272千円増加したこと並びに有形固定資産が827,887千円増加したことによるものであります。 (負債) 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ11,259,277千円増加し、48,312,328千円となりました。 その主な要因は、借入金が10,093,018千円増加したこと及び買掛金が297,081千円増加したこと並びに未払法人税等が284,763千円増加したことによるものであります。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ472,529千円増加し、14,115,135千円となりました。 その主な要因は、利益剰余金が303,709千円増加したこと及び譲渡制限付株式報酬としての新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ42,750千円増加したことによるものであります。 ② 経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げの継続やインバウンド需要の回復を背景に、個人消費は底堅く推移いたしました。一方で、物価上昇の影響による実質所得の伸び悩みや、金融政策正常化の進展に伴う金利上昇圧力が見られるなど、景気の先行きには引き続き留意が必要な状況となりました。また、企業における設備投資意欲は堅調であるものの、為替動向や資源価格の変動が収益環境に影響を及ぼす局面も見られました。 不動産市場におきましては、都市部を中心に引き続き価格は高水準で推移いたしました。特に都心部においては、国内外の投資資金の流入や再開発案件の進展を背景に、供給が限定的な中で需要が堅調に推移し、需給は引き締まった状態となりました。一方で、金利上昇の影響による資金調達コストの増加や、建設コストの高止まりは、開発計画や投資判断に影響を及ぼしております。また、地方エリアにおいては、人口動態や所得環境を背景とした需要の二極化が一層顕著となり、市場環境は地域ごとに差異が見られる状況となりました。 当社グループは、不動産開発を通じて、土地の価値が最大限に発揮される可能性を追求する事業に取り組んでおり、特定の建物用途に固執せず、「土地を起点とした発想」で中長期的なキャッシュ・フローの最大化ができるように、時代の変化に応じて柔軟な事業展開を行っております。不動産売却による利益の一部は、賃貸用不動産の獲得に投資し、安定収益の上積みを継続することを基本戦略としております。 当社グループは、開発した不動産の用途と収益形態に応じて、①商業施設や共同住宅等の賃貸用不動産の保有により賃料収入を得る「不動産開発・賃貸事業」、②戸建用地や産業用地の分譲販売と建築を行う「不動産開発・販売事業」、③マンションの企画開発及び分譲販売を行う「マンション事業」、④高齢者向けサービス事業等を行う「その他の事業」の4事業に区分して展開しております。 このような状況の下、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高17,638,530千円(前年同期比15.6%減)、営業利益1,929,047千円(前年同期比10.0%増)、経常利益1,179,153千円(前年同期比3.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益564,593千円(前年同期比17.3%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(不動産開発・賃貸事業) 当セグメントにおきましては、保有する賃貸用不動産の稼働が堅調に推移しました。奈良県桜井市において新たに開発した商業施設が新規オープンし、収益獲得に寄与しました。 これらの結果、セグメント売上としては3,273,561千円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は1,037,823千円(前年同期比5.9%増)となりました。 (不動産開発・販売事業) 当セグメントにおきましては、不動産開発・販売事業では、戸建住宅においては、資材や商品仕様の見直しを進めたこと等により建物原価は前年に比べて低下し、利益率の改善に寄与しました。一方で、子会社の株式会社大成住宅における戸建販売数が想定を大きく下回りました。 法人向け不動産販売においては、前年に取得した開発用不動産の権利調整が想定より前倒しで進捗したことにより、当期の販売が実現いたしました。 これらの結果、セグメント売上としては8,288,941千円(前年同期比50.5%増)、セグメント利益は2,115,440千円(前年同期比261.9%増)となりました。 (マンション事業) 当セグメントにおきましては、例年に比べて竣工物件が少なく、供給可能数が限定的であったことに加えて、一部の分譲プロジェクトについて販売ペースが想定を下回りました。 これらの結果、セグメント売上としては5,770,527千円(前年同期比51.8%減)、セグメント利益は93,388千円(前年同期比92.2%減)となりました。 (その他の事業) 当セグメントにおきましては、シニア事業での高齢者向け賃貸マンションの稼働が堅調に推移しました。一方で、レジャー事業については店舗の改装を行うために一定期間休業をしたことから、前年比で減収となりました。 これらの結果、セグメント売上としては305,499千円(前年同期比6.5%増)、セグメント利益は60,015千円(前年同期比10.0%増)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ283,105千円減少し、3,895,862千円(前連結会計年度末比6.8%減)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、使用した資金は8,499,635千円(前年同期は2,367,633千円の支出)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,113,024千円及び減価償却費652,274千円であり、主な減少要因は棚卸資産の増加額10,710,186千円及び法人税等の支払額305,541千円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、使用した資金は1,540,821千円(前年同期は1,009,627千円の支出)となりました。主な増加要因は、定期預金の減少額282,935千円であり、主な減少要因は、固定資産の取得による支出1,839,013千円であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、得られた資金は9,757,351千円(前年同期は1,826,760千円の収入)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入9,346,344千円及び短期借入金の純増加額7,207,721千円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出6,461,047千円であります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。 b.受注実績 当社グループでは、受注生産として、注文建築の請負工事が該当しますが、金額の重要性が低いため「受注実績」としての記載は省略しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称金額(千円)前年同期比不動産開発・賃貸事業3,273,5613.9%不動産開発・販売事業8,288,94150.5%マンション事業5,770,527△51.8%その他の事業305,4996.5%合計17,638,530△15.6%(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)南海電気鉄道株式会社--2,403,94713.6(注)南海電気鉄道株式会社は、2026年4月1日付で株式会社NANKAIに商号変更しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成に係る重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。 a.賃貸不動産(固定資産)の減損 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。将来の事業計画や市場環境の変化により、減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。 なお、当連結会計年度末の賃貸不動産(固定資産)の減損に関する算定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 b.繰延税金資産 当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断し計上しております。市場環境の変化等により課税所得の見積り額が変動した場合や、税制改正により実効税率が変更された場合及び将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。 c.販売用不動産の評価 当連結会計年度末の販売用不動産の評価に関する見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の販売用不動産の評価に関する算定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討(売上高) 当連結会計年度における売上高は17,638,530千円(前年同期比15.6%減)となりました。これは主に、マンション事業において、ファミリー向けの分譲マンション119戸(前期238戸)の引渡しを中心とする売上高が5,770,527千円(前年同期比51.8%減)、不動産開発・販売事業において、戸建用土地販売102区画(前期97区画)・建物販売87棟(前期76棟)・店舗建築販売3棟の引渡しをしたこと、及び法人向け不動産の販売をしたことにより売上高8,288,941千円(前年同期比50.5%増)を計上したことによるものであります。 (売上原価、売上総利益) 当連結会計年度における売上原価は12,179,526千円(前年同期比22.5%減)となりました。これは主に売上高の減少に伴う原価の減少によるものであります。 この結果、売上総利益は5,459,004千円(前年同期比5.3%増)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益) 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,529,956千円(前年同期比2.9%増)となりました。これは主に、住宅・マンションの売上戸数に応じた広告宣伝費や販売促進費等の変動費用が増加したこと及び子会社の取得に伴いのれんが発生したことで、のれん償却費が増加したことによるものであります。 この結果、営業利益は1,929,047千円(前年同期比10.0%増)となりました。 (営業外損益、経常利益) 当連結会計年度における営業外収益は84,048千円(前年同期比25.4%減)となりました。これは主に定期保険解約による受取保険金の減少によるものであります。また、営業外費用は833,942千円(前年同期比28.3%増)となりました。これは主に、物件の仕入れに伴う借入の支払利息及び支払手数料の増加によるものであります。 この結果、経常利益は1,179,153千円(前年同期比3.1%減)となりました。 (特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益) 当連結会計年度における特別利益は66,749千円(前年同期比53.0%増)となりました。これは、固定資産の売却に伴う固定資産売却益の増加によるものであります。また、特別損失は132,878千円(前年同期比126.7%増)となりました。これは主に、減損損失の計上によるものであります。 当連結会計年度における法人税等合計は539,146千円(前年同期比6.0%増)となりました。 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は564,593千円(前年同期比17.3%減)となりました。 b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度中におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの資金需要の主なものは、販売用及び賃貸用不動産の取得資金であります。その所要資金については自己資金、金融機関からの借入及び社債発行等により調達しており、案件ごとに調達条件を検討して決定しております。 ③ 財政状態の分析 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況について 当社グループは、不動産開発を基礎として、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しております。目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。 なお、過去2年間の自己資本当期純利益率(ROE)及びEBITDAは以下のとおりであります。決算年月2025年3月期2026年3月期自己資本当期純利益率(ROE)5.3%4.1%EBITDA2,603,470千円2,428,614千円

事業リスク

  • 社会経済情勢の変動リスク
    景気の悪化、個人消費の冷え込み、金利の大幅な上昇、不動産需要の低迷、税制変更などが、事業の収益性や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に販売不振が続けば、販売促進費の増加や値引きにより利益が圧迫されるリスクがあります。
  • 土地仕入れの困難化リスク
    優良な土地の取得は事業の根幹ですが、良質な不動産情報の入手が難しくなったり、地価上昇により収益を確保できる物件が減少したりする可能性があります。これにより、事業展開が制約され、経営成績や財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。
  • 原材料・資材価格の変動リスク
    戸建住宅やマンション建築に使用する木材、鉄材、セメントなどの原材料・資材の市場価格が変動するリスクがあります。特に海外需要の増加や為替変動により仕入れ価格が高騰した場合、建築コストが増加し、販売利益の圧縮や事業計画の見直しが必要となる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,284 文字
3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)社会経済情勢及び金融環境の変動について当社グループの事業は、景気動向、個人消費、金利、地価・不動産需要、各種税制及び補助制度等の影響を受けます。また、中東地域における地政学的リスクの高まり等により、エネルギー価格や為替動向、資材調達環境が変動した場合、当社グループの事業環境に影響を及ぼす可能性があります。これらの要因により、不動産需要の減退や資金調達コストの上昇等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2)開発用地の取得について当社グループの事業においては、賃貸又は分譲販売に用いる優良な土地を継続的に取得することが重要であります。今後、良質な不動産情報の入手が困難となる場合や、地価上昇等により収益性の確保が困難となる場合には、事業展開の制約要因となる可能性があります。 (3)原材料・資材価格及び建設コストの変動について当社グループは、建築資材(木材、鉄材、セメント等)を使用しており、これらの価格は市況、需給、為替等の影響を受けます。これらのコスト上昇について、仕様の見直し、代替品の確保、販売価格への転嫁その他の対応によっても十分に吸収できない場合には、販売利益の圧縮や営業計画の見直しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4)外注企業への依存について当社グループは、設計、施工、開発業務等の一部について外注企業を活用しております。外注企業の確保が困難となった場合や、施工不良、契約不履行、経営不振等が発生した場合には、工期遅延やコスト増加等により、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 (5)品質管理及び契約不適合について当社グループが供給する不動産について、引渡後に契約不適合が判明した場合、損害賠償や補修対応等の費用負担が発生する可能性があります。また、当社グループの信用低下につながることにより、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6)賃貸事業における稼働率について賃貸用不動産においては、テナントの退去や入居競争の激化により稼働率が低下する可能性があります。また、賃料の引下げ等が必要となる場合、収益性に影響を及ぼす可能性があります。 (7)不動産の引渡時期等による業績変動について当社グループの開発・販売事業においては、物件の引渡時期により売上及び利益が変動します。物件の引渡時期偏重により、期間損益に影響を及ぼす可能性があります。 (8)開発プロジェクトの遅延及び中止について当社グループの開発事業は、用地取得、許認可取得、施工、販売等の複数の工程を経るため、遅延や中止のリスクを有しております。近隣住民との調整、許認可の取得遅延、工期の長期化等が生じた場合、収益計上時期の遅延や事業採算に影響を及ぼす可能性があります。 (9)エリア展開及び市場集中について当社グループの事業は、近畿圏を中心とした地域に一定程度集中しております。当該地域における経済環境の悪化や人口動態の変化、大規模災害の発生等により、不動産需要が低下した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな営業エリアにおいては、競争環境や事業実績の蓄積不足により、想定通りの事業展開ができない可能性があります。 (10)人材の確保及び育成について当社グループの事業には、高度な専門知識と経験を有する人材が不可欠であります。人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合や、重要人材の流出が生じた場合には、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 (11)法的規制について当社グループは、不動産業、建設業等に関連する各種法規制の適用を受けております。許認可の取消しや更新不許可、法規制の変更等が生じた場合には、事業活動に制約が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12)財務体質及び資金調達について当社グループは、不動産取得資金の多くを金融機関からの借入に依存しており、有利子負債の割合が高い水準にあります。金利上昇や金融環境の変化により資金調達コストが増加した場合や、十分な資金調達が困難となった場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (13)保有資産の価値下落及び減損について不動産市況の悪化等により保有資産の価値が下落した場合には、評価損又は減損損失の計上が必要となる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 災害等について地震、風水害その他の自然災害又は感染症の流行等が発生した場合には、営業活動の停滞、工事の中断、保有資産の毀損等に加え、サプライチェーンの混乱等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (15)その他のリスク(訴訟・個人情報・M&A等)各種取引に関する紛争や訴訟リスク、個人情報漏洩リスク、並びにM&Aにおける計画未達やのれん減損等のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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