事業の概要
- 表面改質加工が主力トーカログループは、溶射加工を中心にTD処理、ZACコーティング、PVD処理など多岐にわたる表面改質加工を手掛けています。これは、材料の表面に特殊な皮膜を形成し、耐摩耗性、耐熱性、導電性などの新しい機能を与える技術で、様々な産業の部品の性能向上に貢献しています。
- 半導体・FPD分野への貢献特に半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の部品に対して、プラズマやガス炎を用いて金属やセラミックスなどの材料を吹き付け、耐久性や電気的特性を向上させる溶射加工が主力事業の一つです。この技術は、精密な製造プロセスを支える重要な役割を担っています。
- 国内外での事業展開日本国内では、PVD処理加工を行う日本コーティングセンターや、工作機械・精密機械部品を製造する寺田工作所が事業を補完しています。海外では中国、台湾、米国に拠点を持ち、半導体・FPD製造装置部品のメンテナンスや溶射加工を展開し、グローバルな需要に対応する収益構造を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 溶射加工(単体)事業トーカロの主力事業であり、半導体・FPD製造装置部品、ガスタービン、産業機械部品など多岐にわたる製品の表面に、耐摩耗性や耐熱性などの機能性皮膜を形成しています。最新年度の売上高は392.13億円で、グループ全体の収益を牽引する中核事業です。
- 国内子会社事業日本コーティングセンターがPVD処理加工を、寺田工作所が工作機械・精密機械部品の製造・加工を手掛けています。これらの子会社は、溶射加工以外の表面改質技術や精密部品製造で事業領域を補完し、国内市場での多様なニーズに対応しています。最新年度の売上高は26.56億円です。
- 海外子会社事業中国、台湾、米国に拠点を持ち、半導体・FPD製造装置部品のメンテナンスや溶射加工を展開しています。特に中国・台湾では半導体・FPD市場の成長を取り込み、米国では半導体製造装置部品のサービス体制を強化しています。最新年度の売上高は93.19億円で、グローバル展開を加速しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ThermalSprayProcessingNonConsolidatedReportableSegment | 事業 | 392 | − | − |
| DomesticSubsidiariesReportableSegment | 事業 | 27 | − | − |
| OverseaSubsidiariesReportableSegment | 事業 | 93 | − | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社7社、非連結子会社2社で構成され、溶射加工を中心とし、その周辺分野としてTD処理加工、ZACコーティング加工、PTA処理加工、PVD処理加工等を行っております。これらはいずれも、被加工品の表面にその基材とは異なる性質の皮膜を形成し新たな機能を付与する「表面改質加工」と呼ばれるものであります。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであり、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。 (1) 溶射加工(単体) (主な関係会社:当社) 溶射加工は、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の部品、発電用ガスタービンや電力貯蔵用電池、各種軸受類などの産業用機械部品及び鉄鋼用ロールや製紙用ロール、化学プラント部品など設備部品等の被加工品の表面に、金属やセラミックス、サーメット等のコーティング材料をプラズマやガス炎等の高温熱源で加熱し吹き付けて皮膜を形成することで、耐摩耗性や耐熱性等の耐久性能を向上させたり、導電性や電気絶縁性等の電気的特性や、遮熱性や放熱性といった熱的特性を与えたりと、様々な機能を付与する表面改質法であります。溶射加工の方法は多種多様でありますが、当社では主に、プラズマを熱源とする大気プラズマ溶射や減圧プラズマ溶射、及び燃焼炎を熱源とする高速フレーム溶射や溶線式フレーム溶射、粉末フレーム溶射等を用いており、被加工品の用途により使い分けを行っております。 (2) 国内子会社 (主な関係会社:日本コーティングセンター株式会社、株式会社寺田工作所) 国内連結子会社の日本コーティングセンター株式会社は、主にPVD(物理蒸着)処理加工といわれる、切削工具や刃物、金型などへの表面改質加工を行っております。PVD処理加工は、真空中でチタン、クロムなどの金属を反応性ガスとともにイオン化し、切削工具、金型など被加工品の表面に、密着力の高い緻密な硬質セラミック薄膜を形成し、耐摩耗性、耐食性などの機能を付与する表面改質法であります。国内連結子会社の株式会社寺田工作所は、多様な素材を用いて工作機械や精密機械部品の製造、加工を行っております。 (3) 海外子会社 (主な関係会社:東華隆(広州)表面改質技術有限公司、東賀隆(昆山)電子有限公司、漢泰国際電子股份有限公司、TOCALO USA, Inc.、TOCALO USA-Arizona LLC) 在外連結子会社の東華隆(広州)表面改質技術有限公司(中国広東省広州市、2005年4月設立)は、主に中国国内において溶射と溶接肉盛を主体とする表面改質加工を行っております。在外連結子会社の東賀隆(昆山)電子有限公司(中国江蘇省昆山市、2011年5月設立)及び漢泰国際電子股份有限公司(中華民国(台湾)台南市、2011年6月設立)は、中国・台湾市場における半導体・FPD製造装置部品のメンテナンス事業の展開に向けた拠点であり、半導体・FPD製造装置部品等への溶射・洗浄・アルマイト等の表面改質加工を行っております。在外連結子会社のTOCALO USA, Inc.(米国カリフォルニア州、2015年11月設立)及びTOCALO USA-Arizona LLC(米国アリゾナ州、2025年9月設立)は、半導体製造装置部品のメンテナンス事業において、有力なエンドユーザーを有する米国でのサービス体制を整えるため設立されております。 (4) その他 (主な関係会社:当社) TD処理加工は、自動車用金型や鉄鋼用部品、押出機部品等の被加工品を高温の溶融塩浴中にひたし、バナジウムやニオブなどを拡散浸透させ、極めて硬く薄い炭化物皮膜を形成することで、耐摩耗性や耐焼き付き性を付与する表面改質法であります。ZACコーティング加工は、ポンプ部品や繊維機械部品、伸線機部品等の被加工品の表面に酸化クロムを主成分とする極めて緻密な複合セラミックス皮膜を形成し、耐食性や耐摩耗性を付与する表面改質法であります。PTA処理加工は、溶接肉盛加工の一種であり、高度の信頼性を要求されるポンプ・バルブ部品や鉄鋼用ロール等の被加工品の表面に、各種の粉末材料を高エネルギーのプラズマアークにより溶融し溶接肉盛するもので、耐摩耗性や耐食性を付与する表面改質法であります。在外非連結子会社のPT.TOCALO Surface Technology Indonesia(インドネシア、2017年6月設立)、並びにTOCALO Surface Technology (Thailand)Co., Ltd.(タイ、2012年10月設立)は、主に現地の日系鉄鋼メーカー向けに溶射及び溶接加工等の表面改質加工を行っております。 また、事業の系統図は、次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 競合企業との価格競争や顧客の内製化リスクがある一方で、独自の技術開発も行っているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 プラズマ溶射や高速フレーム溶射など多種多様な溶射加工技術と、PVD、TD処理加工等の周辺技術。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 低い |
会社が挙げる主要リスク:半導体・FPD関連業界の需要変動 / 特定の取引先(東京エレクトロン)への依存 / 顧客による表面改質加工の内製化リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
- 多様な表面改質技術トーカロは溶射加工だけでなく、TD処理、ZACコーティング、PVD処理など、幅広い表面改質技術を保有しています。これにより、顧客の多様なニーズや被加工品の特性に合わせて最適な加工法を選択・提供でき、競合他社との差別化を図っています。
- 半導体・FPD分野での実績長年にわたり半導体・FPD製造装置分野で培ってきた技術と実績は、同社の大きな強みです。この分野での高いシェアと信頼は、新規参入が難しい技術的障壁となり、安定した受注に繋がっています。特にメンテナンス需要の取り込みも強みです。
- 顧客密着型の事業展開主要顧客の工場近隣に加工拠点を設ける「顧客密着型」の事業展開は、迅速なサービス提供と顧客との強固な関係構築を可能にしています。これにより、顧客の生産プロセスに深く関与し、スイッチングコストを高める効果が期待できます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 全天候型経営と財務強化トーカロは、景気変動に左右されずに収益を確保できる「全天候型経営」を目指し、キャッシュ・フローとバランスシートを重視した財務体質の強化を図っています。これにより、安定した経営基盤を築き、持続的な成長を支える方針です。
- 研究開発主導と問題解決常に高品質・高機能な皮膜を追求する「研究開発主導型企業」として、お客様のニーズに的確かつ迅速に応える「問題解決型企業」を目指しています。先進的な皮膜開発と潜在市場の開拓を通じて、技術的優位性を維持・向上させる戦略です。
- ESG重視の持続的成長2030年のビジョンとして「人と自然の豊かな未来に貢献する」を掲げ、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営を推進しています。特に環境問題の深刻化やICT化の進展といったメガトレンドに対応し、半導体、環境・エネルギー、医療、農業などの分野で新商品開発と新市場開拓を進めることで、企業価値の向上を目指します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社は、溶射加工を中核とする表面処理加工の専業メーカーとして「技術とアイデア」「若さと情熱」「和と信頼」「グッド・サービス」を社是として掲げ、株主、取引先、社員、地域社会等あらゆるステークホルダーとの良好な信頼関係を基礎に、表面処理皮膜が持つ省資源化、省力化、環境負荷の低減等の諸機能を通じて社会に貢献し、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現することを経営の基本理念としております。当社は、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現するため、以下の6項目を経営の基本方針として掲げております。① 好不況に関係なく収益を確保できる「全天候型経営」を目指す。② キャッシュ・フロー重視、バランスシート重視の経営により財務体質の強化を図る。③ お客様のニーズに的確かつ迅速にお応えする「問題解決型企業」を目指す。④ 常に高品質の高機能皮膜を追求し提供する「研究開発主導型企業」を目指す。⑤ ステークホルダーとの信頼関係をより一層強化するため、コーポレート・ガバナンスの充実、環境保全への継続的な取り組みを行う。⑥ グループ企業の自主的運営を尊重するとともに、グループ全体での相乗効果を追求し、企業価値の向上と持続的かつ健全な成長を目指す。 (2) 中長期的な会社の経営戦略2026年5月に公表いたしました中期経営計画「TOCALO2030」(2027年3月期~2031年3月期)」では、当社グループの「ビジョン(2030年の目指す姿)」及び「ミッション」を次のとおり定めました。 ≪ビジョン(2030年の目指す姿)≫ 「人と自然の豊かな未来に貢献する」 ≪ミッション≫ 「すべてのステークホルダーから、信頼していただける会社であり続けること」 その上で、信頼を深める要素として以下を選定いたしました。今後これらの要素は当社グループのマテリアリティ及びKPIを構成する中心的なテーマとしていく予定です。 ・安全 :「安全は全てに優先する」の徹底 ・技術 :独自技術の深化と革新による競争力の強化 ・グッドサービス :顧客に信頼され、選ばれ続ける/価値あるサービスの提供 ・ものづくり・品質:技能レベルの強化とAIの活用による進化/高品質・高付加価値商品の提供 ・環境・社会貢献 :地球環境保全・社会との共生 ・人財 :「やる気」「チャレンジ意欲」の醸成/従業員満足度の向上 当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まりや資源価格の高騰などの「社会情勢の変化」、カーボンニュートラルに対する社会からの要請などの「サステナビリティ」、労働人口の減少に対応した生産性向上などの「技術と社会の構造変革」の3つの大きな変化(メガトレンド)が相互に影響することで大きく変化しています。これらの変化・課題に対して、当社グループは市場の成長ポテンシャルを確実に捉え、事業を成長させてまいります。2030年に半導体市場規模は2022年比で約2.3倍の1.3兆ドルを超える見通しです。半導体製造装置に不可欠な高度な表面処理技術などの当社グループの競争優位性を磨いて旺盛な需要に応えてまいります。一般産業分野では、環境・エネルギー、航空機産業など、成長分野からの量産品取り込みを推進してまいります。 中期経営計画「TOCALO2030」(2027年3月期~2031年3月期)」では、連結売上高900億円達成に向けた成長戦略として3つの柱をかかげております。① コア事業の深化 半導体・FPD分野の飛躍、一般産業分野の基盤強化、高収益体制の維持 ② 戦略的事業領域の拡大 新技術・新領域(分野)の拡大、グローバル市場への展開③ 持続的成長を支える経営基盤の強化 ものづくりと品質管理の高度化、ESG経営の継続的推進(サステナビリティ)、 働きがいと人財基盤の充実(人的資本経営)上記の戦略を実行することで社会に貢献し、持続的な成長と企業価値向上に努めてまいります。 (3) 目標とする経営指標中期経営計画「TOCALO2030」(2027年3月期~2031年3月期)」において、当社グループが目標として定めた財務関連指標は次のとおりであります。 現行事業の拡大に加え、事業構造の変革で連結売上高900億円、経常利益200億円を目指してまいります。 指標2026年3月期(実績)2031年3月期(計画)売上高(百万円)58,49090,000 半導体・FPD分野24,81345,000 一般産業分野※18,52426,000 子会社15,15219,000経常利益(百万円)14,74520,000経常利益率(%)25.222.0ROE(自己資本利益率)(%)15.815.0ROIC(投下資本益率)(%)13.113.0配当性向(%)50.250程度DOE(純資産配当率)(%)7.95以上 ※受取ロイヤリティー等は一般産業分野に含めております。 また、企業価値向上のため、以下の取り組みを実施してまいります。 <成長投資> 半導体・FPD、一般産業、海外の各分野で積極的な成長投資を実行 合計400~600億円 <株主還元> ・連結配当性向50%程度およびDOE(純資産配当率)5%以上を目途に継続運用 ・自己株式の取得 合計250~350億円 <資本コストや株価を意識した経営> ROE(自己資本利益率)15%を安定的に達成 なお、上記記載の数値目標に関しては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであり、その達成を保証するものではありません。 (参考)前中期経営計画「TOCALO2025」(2022年3月期~2026年3月期)における計画値と実績値 前中期経営計画期間において、2025年3月期の売上高が54,231百万円、経常利益12,558百万円となり、1年前 倒しで計画を達成いたしました。(単位:百万円) 2021年3月期(実績)2026年3月期(計画)2026年3月期(実績)売上高39,29453,00058,490 半導体・FPD分野18,17626,00024,813 その他(鉄鋼・産機・子会社等)21,11827,00033,677経常利益8,91412,00014,745 (4) 経営環境及び対処すべき課題当社の対処すべき主要な課題は、ウェブサイトにマテリアリティとして公開している以下5項目であり、これらの達成に向けて取り組んでおります。① 先進的皮膜開発と潜在市場の開拓当社は、「人と自然の豊かな未来に貢献する」をビジョンとして掲げており、半導体、インフラ、医療、農業など人々の暮らしを支える分野および、水力や風力、地熱発電、二次電池など温室効果ガス排出削減に寄与するなど環境に資する分野の高機能皮膜開発を主要テーマとして進め、潜在市場の開拓を行ってまいります。② 環境負荷低減への対応脱炭素化(カーボンニュートラル)については、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減、さらに2040年度の「ネットゼロ」達成に向けた取り組みを推進してまいります。電力使用に伴う温室効果ガスの排出削減を最優先とし、太陽光発電設備の拡充や再生可能エネルギーの調達を機動的に進めます。また、2024年度より開始したScope3の算定・可視化を土台に、サプライチェーン全体での排出削減や、廃棄物リサイクル率の向上、資源循環型モデルの構築を強化してまいります。③ ものづくりの高度化と品質向上2030年に向けた半導体関連パーツの生産能力倍増を見据え、今後5年間で400億円から600億円の戦略的投資を実行いたします。 DXを軸とした自動化・IoT化によるスマートファクトリー化を推進するとともに、世界水準の品質保証計画(PQP)の構築を通じて、品質管理体制を一層高度化させてまいります。④ 多様な人財の育成と活躍人的資本を成長の原動力と捉え、2030年度まで年間約40名の採用と賃上げを通じた処遇改善を継続してまいります。選抜型の中核人財育成プログラムをはじめ、各種社内研修により次世代リーダーを育成するとともに、社員が個性と能力を発揮してイキイキと働くことができるよう、社内環境整備に取り組んでまいります。また、労働安全衛生マネジメントシステムの適正な運用により、労働災害ゼロの職場環境づくりを徹底してまいります。⑤ コンプライアンスの徹底持続的な成長を支える経営基盤を強固にするため、多様な経営課題を迅速に対応、改善し、ガバナンス体制を強化してまいります。また、2025年4月に新設した情報セキュリティ管理室を中心に、グローバルレベルでの情報管理体制を構築します。さらに、サステナブル調達ガイドラインに基づき、人権・環境に配慮した公正な取引を推進し、社会から信頼される企業経営に努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社は、溶射加工を中核とする表面処理加工の専業メーカーとして「技術とアイデア」「若さと情熱」「和と信頼」「グッド・サービス」を社是として掲げ、株主、取引先、社員、地域社会等あらゆるステークホルダーとの良好な信頼関係を基礎に、表面処理皮膜が持つ省資源化、省力化、環境負荷の低減等の諸機能を通じて社会に貢献し、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現することを経営の基本理念としております。当社は、「高技術・高収益体質の、内容の充実した企業グループ」を実現するため、以下の6項目を経営の基本方針として掲げております。① 好不況に関係なく収益を確保できる「全天候型経営」を目指す。② キャッシュ・フロー重視、バランスシート重視の経営により財務体質の強化を図る。③ お客様のニーズに的確かつ迅速にお応えする「問題解決型企業」を目指す。④ 常に高品質の高機能皮膜を追求し提供する「研究開発主導型企業」を目指す。⑤ ステークホルダーとの信頼関係をより一層強化するため、コーポレート・ガバナンスの充実、環境保全への継続的な取り組みを行う。⑥ グループ企業の自主的運営を尊重するとともに、グループ全体での相乗効果を追求し、企業価値の向上と持続的かつ健全な成長を目指す。 (2) 中長期的な会社の経営戦略2026年5月に公表いたしました中期経営計画「TOCALO2030」(2027年3月期~2031年3月期)」では、当社グループの「ビジョン(2030年の目指す姿)」及び「ミッション」を次のとおり定めました。 ≪ビジョン(2030年の目指す姿)≫ 「人と自然の豊かな未来に貢献する」 ≪ミッション≫ 「すべてのステークホルダーから、信頼していただける会社であり続けること」 その上で、信頼を深める要素として以下を選定いたしました。今後これらの要素は当社グループのマテリアリティ及びKPIを構成する中心的なテーマとしていく予定です。 ・安全 :「安全は全てに優先する」の徹底 ・技術 :独自技術の深化と革新による競争力の強化 ・グッドサービス :顧客に信頼され、選ばれ続ける/価値あるサービスの提供 ・ものづくり・品質:技能レベルの強化とAIの活用による進化/高品質・高付加価値商品の提供 ・環境・社会貢献 :地球環境保全・社会との共生 ・人財 :「やる気」「チャレンジ意欲」の醸成/従業員満足度の向上 当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まりや資源価格の高騰などの「社会情勢の変化」、カーボンニュートラルに対する社会からの要請などの「サステナビリティ」、労働人口の減少に対応した生産性向上などの「技術と社会の構造変革」の3つの大きな変化(メガトレンド)が相互に影響することで大きく変化しています。これらの変化・課題に対して、当社グループは市場の成長ポテンシャルを確実に捉え、事業を成長させてまいります。2030年に半導体市場規模は2022年比で約2.3倍の1.3兆ドルを超える見通しです。半導体製造装置に不可欠な高度な表面処理技術などの当社グループの競争優位性を磨いて旺盛な需要に応えてまいります。一般産業分野では、環境・エネルギー、航空機産業など、成長分野からの量産品取り込みを推進してまいります。 中期経営計画「TOCALO2030」(2027年3月期~2031年3月期)」では、連結売上高900億円達成に向けた成長戦略として3つの柱をかかげております。① コア事業の深化 半導体・FPD分野の飛躍、一般産業分野の基盤強化、高収益体制の維持 ② 戦略的事業領域の拡大 新技術・新領域(分野)の拡大、グローバル市場への展開③ 持続的成長を支える経営基盤の強化 ものづくりと品質管理の高度化、ESG経営の継続的推進(サステナビリティ)、 働きがいと人財基盤の充実(人的資本経営)上記の戦略を実行することで社会に貢献し、持続的な成長と企業価値向上に努めてまいります。 (3) 目標とする経営指標中期経営計画「TOCALO2030」(2027年3月期~2031年3月期)」において、当社グループが目標として定めた財務関連指標は次のとおりであります。 現行事業の拡大に加え、事業構造の変革で連結売上高900億円、経常利益200億円を目指してまいります。 指標2026年3月期(実績)2031年3月期(計画)売上高(百万円)58,49090,000 半導体・FPD分野24,81345,000 一般産業分野※18,52426,000 子会社15,15219,000経常利益(百万円)14,74520,000経常利益率(%)25.222.0ROE(自己資本利益率)(%)15.815.0ROIC(投下資本益率)(%)13.113.0配当性向(%)50.250程度DOE(純資産配当率)(%)7.95以上 ※受取ロイヤリティー等は一般産業分野に含めております。 また、企業価値向上のため、以下の取り組みを実施してまいります。 <成長投資> 半導体・FPD、一般産業、海外の各分野で積極的な成長投資を実行 合計400~600億円 <株主還元> ・連結配当性向50%程度およびDOE(純資産配当率)5%以上を目途に継続運用 ・自己株式の取得 合計250~350億円 <資本コストや株価を意識した経営> ROE(自己資本利益率)15%を安定的に達成 なお、上記記載の数値目標に関しては、当連結会計年度末現在において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであり、その達成を保証するものではありません。 (参考)前中期経営計画「TOCALO2025」(2022年3月期~2026年3月期)における計画値と実績値 前中期経営計画期間において、2025年3月期の売上高が54,231百万円、経常利益12,558百万円となり、1年前 倒しで計画を達成いたしました。(単位:百万円) 2021年3月期(実績)2026年3月期(計画)2026年3月期(実績)売上高39,29453,00058,490 半導体・FPD分野18,17626,00024,813 その他(鉄鋼・産機・子会社等)21,11827,00033,677経常利益8,91412,00014,745 (4) 経営環境及び対処すべき課題当社の対処すべき主要な課題は、ウェブサイトにマテリアリティとして公開している以下5項目であり、これらの達成に向けて取り組んでおります。① 先進的皮膜開発と潜在市場の開拓当社は、「人と自然の豊かな未来に貢献する」をビジョンとして掲げており、半導体、インフラ、医療、農業など人々の暮らしを支える分野および、水力や風力、地熱発電、二次電池など温室効果ガス排出削減に寄与するなど環境に資する分野の高機能皮膜開発を主要テーマとして進め、潜在市場の開拓を行ってまいります。② 環境負荷低減への対応脱炭素化(カーボンニュートラル)については、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減、さらに2040年度の「ネットゼロ」達成に向けた取り組みを推進してまいります。電力使用に伴う温室効果ガスの排出削減を最優先とし、太陽光発電設備の拡充や再生可能エネルギーの調達を機動的に進めます。また、2024年度より開始したScope3の算定・可視化を土台に、サプライチェーン全体での排出削減や、廃棄物リサイクル率の向上、資源循環型モデルの構築を強化してまいります。③ ものづくりの高度化と品質向上2030年に向けた半導体関連パーツの生産能力倍増を見据え、今後5年間で400億円から600億円の戦略的投資を実行いたします。 DXを軸とした自動化・IoT化によるスマートファクトリー化を推進するとともに、世界水準の品質保証計画(PQP)の構築を通じて、品質管理体制を一層高度化させてまいります。④ 多様な人財の育成と活躍人的資本を成長の原動力と捉え、2030年度まで年間約40名の採用と賃上げを通じた処遇改善を継続してまいります。選抜型の中核人財育成プログラムをはじめ、各種社内研修により次世代リーダーを育成するとともに、社員が個性と能力を発揮してイキイキと働くことができるよう、社内環境整備に取り組んでまいります。また、労働安全衛生マネジメントシステムの適正な運用により、労働災害ゼロの職場環境づくりを徹底してまいります。⑤ コンプライアンスの徹底持続的な成長を支える経営基盤を強固にするため、多様な経営課題を迅速に対応、改善し、ガバナンス体制を強化してまいります。また、2025年4月に新設した情報セキュリティ管理室を中心に、グローバルレベルでの情報管理体制を構築します。さらに、サステナブル調達ガイドラインに基づき、人権・環境に配慮した公正な取引を推進し、社会から信頼される企業経営に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、2024年8月26日に行われた株式会社寺田工作所との企業結合について、前連結会計年度より暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。 ① 経営成績の状況当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は前期比42億59百万円(7.9%)増の584億90百万円、営業利益は同18億34百万円(15.0%)増の141億02百万円、経常利益は同21億86百万円(17.4%)増の147億45百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同20億09百万円(25.0%)増の100億60百万円となりました。なお、セグメント別の状況につきましては、以下のとおりであります。 a. 溶射加工(単体)半導体分野向け加工は、世界的な生成AI・データセンターの普及により需要が旺盛であったことに加え、産業機械分野における輸送機器部品や発電設備向けも好調に推移した結果、当セグメントの売上高は前期比14億96百万円(3.8%)増の407億09百万円、セグメント利益(経常利益)は同65百万円(0.7%)減の88億02百万円となりました。 b. 国内子会社国内子会社は、日本コーティングセンター株式会社において自動車分野における減産が一区切りしたことに加え、産業機械分野ならびに半導体分野の加工が伸長したものの、株式会社寺田工作所の受注が低迷したことで、当セグメントの売上高は前期比2億27百万円(8.6%)増の28億83百万円、セグメント利益(経常利益)は14百万円(4.2%)減の3億31百万円となりました。 c. 海外子会社海外子会社においては、半導体分野および鉄鋼分野の受注が世界的な需要拡大を背景に好調に推移した結果、当セグメントの売上高は前期比29億49百万円(31.7%)増の122億69百万円、セグメント利益(経常利益)は同16億06百万円(48.2%)増の49億37百万円となりました。 d. その他溶射加工(単体)、国内子会社、海外子会社以外のセグメントについては、農業機械部品の在庫調整によるTD処理加工の減産ならびに半導体、医療分野への加工が低迷したことから、売上高の合計は前期比4億13百万円(14.3%)減の24億67百万円、セグメント利益(経常利益)の合計は同1億41百万円(33.4%)減の2億81百万円となりました。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は892億91百万円となり、前連結会計年度末比76億08百万円増加いたしました。これは、トーカロ株式会社の半導体関連顧客向け増産対応のために東京工場新棟の立ち上げを進めたことなどで有形固定資産が62億37百万円増加したことなどによるものであります。一方、負債は166億34百万円と前連結会計年度末比6億81百万円増加いたしました。これは主に電子記録債務の減少の一方で長期借入金が増加したことによるものであります。また、当連結会計年度末における純資産は726億57百万円と前連結会計年度末比69億27百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産は1,122円58銭(前連結会計年度末比102円56銭の増加)、自己資本比率は74.8%(同0.6ポイントの上昇)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ31億29百万円減少し、144億61百万円となりました。なお、当連結会計年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。 a. 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前期比13億28百万円(14.6%)減の77億49百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益147億43百万円、減価償却費37億91百万円であり、支出の主な内訳は法人税等の支払額44億50百万円、売上債権の増加額19億31百万円、仕入債務の減少額15億49百万円であります。 b. 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、前期比37億69百万円(60.8%)増の99億63百万円となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出97億57百万円であります。 c. 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、前期比39億68百万円(77.4%)減の11億55百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入52億60百万円であり、支出の主な内訳は、配当金の支払額44億56百万円、長期借入金の返済による支出15億27百万円であります。 当連結会計年度におけるフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は22億13百万円の支出超過となりました。これは主に半導体関連の旺盛な需要に応えることを目的とした積極的な投資を行ったためでありますが、足元の受注は堅調であり、健全な状態を維持していると考えております。今後も規律を持った資金運営に努めてまいります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比生産高(百万円)生産高(百万円)金額(百万円)増減率(%)溶射加工(単体) 39,213 40,7091,496+3.8半導体・FPD製造装置用部品への加工24,114 24,813 698+2.9産業機械用部品への加工4,872 5,652 779+16.0鉄鋼用設備部品への加工3,927 3,963 35+0.9その他の溶射加工6,298 6,280 △ 17△0.3国内子会社 2,656 2,883227+8.6海外子会社 9,319 12,2692,949+31.7報告セグメント 計51,18855,8624,673+9.1その他2,8802,467△ 413△14.3合 計54,06958,3294,259+7.9 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 上記の金額は、販売価格によっております。 b. 受注実績当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(受注高)セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比受注高(百万円)受注高(百万円)金額(百万円)増減率(%)溶射加工(単体) 40,205 43,7753,570+8.9半導体・FPD製造装置用部品への加工24,850 28,016 3,165+12.7産業機械用部品への加工5,301 5,600 298+5.6鉄鋼用設備部品への加工3,846 3,922 76+2.0その他の溶射加工6,206 6,236 30+0.5国内子会社 2,786 2,81427+1.0海外子会社 10,274 12,7262,451+23.9報告セグメント 計53,26659,3166,049+11.4その他2,8922,507△ 385△13.3合 計56,15961,8235,664+10.1 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 上記の金額は、販売価格によっております。 (受注残高)セグメントの名称前連結会計年度(2025年3月31日)当連結会計年度(2026年3月31日)前年同期比受注残高(百万円)受注残高(百万円)金額(百万円)増減率(%)溶射加工(単体) 8,015 11,0813,065+38.3半導体・FPD製造装置用部品への加工5,372 8,575 3,202+59.6産業機械用部品への加工808 756 △ 52△6.5鉄鋼用設備部品への加工895 855 △ 40△4.5その他の溶射加工938 894 △ 44△4.7国内子会社 180 112△ 68△37.9海外子会社 2,805 3,262456+16.3報告セグメント 計11,00114,4563,454+31.4その他34838739+11.4合 計11,34914,8433,493+30.8 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 上記の金額は、販売価格によっております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比販売高(百万円)販売高(百万円)金額(百万円)増減率(%)溶射加工(単体) 39,213 40,7091,496+3.8半導体・FPD製造装置用部品への加工24,114 24,813 698+2.9産業機械用部品への加工4,872 5,652 779+16.0鉄鋼用設備部品への加工3,927 3,963 35+0.9その他の溶射加工6,298 6,280 △ 17△0.3国内子会社 2,656 2,883227+8.6海外子会社 9,319 12,2692,949+31.7報告セグメント 計51,18855,8624,673+9.1その他2,8802,467△ 413△14.3事業セグメントに帰属しない売上高(受取ロイヤリティー等)1611600△0.4合 計54,23158,4904,259+7.9 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)東京エレクトロン株式会社グループ14,72727.215,55426.6アプライド・マテリアルズグループ5,49410.14,2587.3 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 経営成績に関する分析等当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、所得環境の改善による個人消費の持ち直しやデジタル化・脱炭素対応の需要に支えられた設備投資の継続などから、内需を中心に緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界経済においては、米国の追加関税を巡る不確実性や地政学リスクの高まり、年度末の原油価格高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような状況のもと、当社グループの売上高は、石油化学分野やフィルム・繊維分野が減収となったものの、生成AI・データセンター需要の拡大を背景に半導体分野が好調に推移したほか、産業機械やエネルギー、環境などの各分野も堅調に推移した結果、前期比で増収となりました。利益面については、成長基盤強化に向けた設備投資による減価償却費の増加や、原材料・エネルギー価格高騰の影響を受けたものの、半導体分野を中心とした高付加価値製品の販売拡大に加え、生産効率の向上に努めたことにより、前期比で増益となりました。 (売上高)最大セグメントの溶射加工(単体)が、売上高を牽引するほか、海外子会社も好調であったことから、当連結会計年度の売上高は584億90百万円(前期比7.9%増)となりました。セグメント別の内訳は、溶射加工(単体)が407億09百万円(前期比3.8%増、構成比69.6%)、国内子会社が28億83百万円(前期比8.6%増、構成比4.9%)、海外子会社が122億69百万円(前期比31.7%増、構成比21.0%)、その他が24億67百万円(前期比14.3%減、構成比4.2%)、受取ロイヤリティー等が1億60百万円(前期比0.4%減、構成比0.3%)となっております。 (営業利益)利益率の高い海外子会社の売上増加や退職給付会計における数理計算上の差異一括償却の影響による退職給付費用の戻入があった一方で、賃上げの実施・人員増、積極的な設備投資による減価償却費の増加や研究開発費の増加などの結果、売上原価は359億13百万円、販売費及び一般管理費が84億74百万円となり、当連結会計年度の営業利益は141億02百万円(前連結会計年度の営業利益122億68百万円に比べ18億34百万円(15.0%)増)となりました。なお、売上高営業利益率は、前期比1.5ポイント増の24.1%であります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は17億51百万円(連結売上高比率は3.0%)であり、目標とする連結売上高比3%程度の水準を維持しております。 (経常利益)当連結会計年度における営業外損益は、補助金収入もあり、純額で6億42百万円の益となりました。この結果、経常利益は147億45百万円(前連結会計年度の経常利益125億58百万円に比べ21億86百万円(17.4%)増)となりました。なお、売上高経常利益率は、前期比2.1ポイント増の25.2%であり、前期に引き続き目標とする20%を維持しています。セグメント別の内訳は、溶射加工(単体)が88億02百万円(前期比0.7%減、売上高経常利益率21.6%)、国内子会社が3億31百万円(前期比4.2%減、売上高経常利益率11.5%)、海外子会社が49億37百万円(前期比48.2%増、売上高経常利益率40.2%)、その他が2億81百万円(前期比33.4%減、売上高経常利益率11.4%)となりました。 (税金等調整前当期純利益)当連結会計年度においては、特別利益として保険解約返戻金16百万円、固定資産売却益13百万円、特別損失として固定資産除売却損32百万円を計上いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は147億43百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益121億94百万円に比べ25億48百万円(20.9%)増)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における実効税率(税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率)は26.4%で、当期純利益は108億52百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益が7億92百万円となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は100億60百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益80億51百万円に比べ20億09百万円(25.0%)増)となりました。また、1株当たり当期純利益は169円19銭(前年度135円44銭)となりました。また、自己資本純利益率(ROE)は15.8%と前年度(13.9%)に比べ改善し、目標とする15%を達成しました。株主資本価値を更に高めるため、引き続き3つの施策(収益力の向上、現預金水準の最適化、株主還元の強化)を通じてROE15%の安定的な達成を目指します。 (参考)実力ベースの経常利益2026年3月期は、2021年11月に公表しました中期経営計画「TOCALO2025」(2022年3月期~2026年3月期)の最終年度にあたります。対象5カ年における実力ベースの経常利益は以下の推移となります。なお、2025年3月期に係る連結経常利益については、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。(単位:百万円) 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期連結経常利益10,57111,0039,66212,55814,745 数理計算上の差異3564556301662 補助金収入33101917419実力ベースの経常利益10,50210,9289,08612,23913,663 「実力ベースの経常利益」とは、連結経常利益から発生期に一括償却した退職給付による数理計算上の差異、営業外収益に計上した補助金収入を控除した経常利益額になります。当社の実力値を示す経営指標として参考開示いたします。 ② 財政状態に関する分析等財政状態に関する認識及び分析・検討内容は下記となります。なお、資産については、事業セグメントに配分していないため、財政状態についてのセグメント別内訳は記載しておりません。 (流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は408億75百万円で、前連結会計年度末に比べ9億15百万円増加いたしました。主な要因は、有価証券の減少35億00百万円、受取手形及び売掛金の増加20億82百万円、建築中の東京工場新棟に係る仮払消費税などによる流動資産その他の増加9億49百万円、仕掛品の増加6億56百万円であります。なお、当連結会計年度末における流動比率(流動資産の流動負債に対する割合)は398.4%(前連結会計年度末は295.9%)であります。 (固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は484億15百万円で、前連結会計年度末に比べ66億92百万円増加いたしました。主な要因は、積極的な設備投資により有形固定資産が62億37百万円増加したことや、退職給付に係る資産が6億84百万円増加した事などによるものであります。なお、当連結会計年度の設備投資総額は90億42百万円であります。また、当連結会計年度末における固定比率(固定資産の純資産に対する割合)は66.6%(前連結会計年度末は63.5%)、固定長期適合率(固定資産の長期資本(純資産と固定負債の合計)に対する割合)は61.3%(前連結会計年度末は61.2%)であり、当社グループの設備投資の現状に関して、問題のない水準であると判断しております。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は102億60百万円で、前連結会計年度末に比べ32億46百万円減少となりました。主な要因は、当社支払条件の見直しにより電子記録債務が25億10百万円減少したことや、未払法人税等が10億10百万円減少したことなどによります。 (固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は63億73百万円で、前連結会計年度末に比べ39億27百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金の増加33億82百万円であります。 (純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は726億57百万円で、前連結会計年度末に比べ69億27百万円増加いたしました。これは主に、株主資本の増加56億27百万円、非支配株主持分の増加8億14百万円、為替換算調整勘定の増加4億75百万円などによるものであります。この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産は1,122円58銭(前連結会計年度末比102円56銭の増加)、自己資本比率は74.8%(前連結会計年度末比0.6ポイントの増)となりました。なお、当連結会計年度の剰余金の配当につきましては、中間配当は1株当たり37円を実施し、期末配当は1株当たり48円を2026年6月25日開催予定の定時株主総会で決議して実施する予定であります。この結果、連結配当性向は50.2%、純資産配当率(DOE)は7.9%となります。 ③ キャッシュ・フローに関する分析等当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は31億29百万円減少し、期末残高は144億61百万円となりました。なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期自己資本比率(%)70.672.571.274.274.8時価ベースの自己資本比率(%)119.0106.2136.5120.8166.5キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)43.028.363.541.895.0インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)1,190.61,693.1860.6247.0171.7 (注) 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い ※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 ④ 資産の財源及び資金の流動性に関する認識等当社グループの運転資本や設備投資に係る財源としましては、営業活動により得られる資金以外に、資金需要に応じた金融機関からの借入を基本としております。手許資金の流動性につきましては、適正な水準の現預金残高を維持するよう財務部門での資金計画に基づいた管理を行なっておりますが、運転資金の効率的な調達のため、取引銀行と30億円の貸出コミットメント契約を締結しております。 ⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 における(重要な会計上の見積り)に記載しております。
事業リスク
- 自然災害・感染症リスク台風、地震、豪雨などの自然災害や、新型感染症の拡大は、生産活動の停止、設備の損壊、サプライチェーンの混乱を引き起こす可能性があります。これにより、製品の供給が滞り、売上減少や復旧費用の発生など、業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
- 半導体・FPD業界の変動売上高の約44.5%を占める半導体・FPD関連業界の市況悪化や需要変動は、受注の減少や価格競争の激化に直結し、業績に大きな影響を与える可能性があります。また、製造装置の構造変化により溶射加工が不要になるリスクも存在します。
- 特定の取引先への依存東京エレクトロン株式会社グループへの販売依存度が27.2%と高水準であるため、同社グループの生産動向や受注状況の変化は、トーカログループの業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。取引先の業績悪化や戦略変更がリスク要因となります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、下記事項のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 自然災害や事故、新型感染症等に係るリスク当社グループは自然災害や事故等から受ける生産活動への影響を可能な限り限定化し早期復旧を図るための対策・手順として危機管理マニュアルを作成するほか、従業員の安否確認等を適宜実施するなど事業継続のための体制の整備を進めております。しかし台風、豪雨、地震、津波又は火山活動等の自然災害や、事故、火災、テロ、ストライキ、騒乱等により、生産活動の停止、設備の損壊や給水・電力供給の制限等の不測の事態が発生する可能性があります。また、取引先においても同様に生産活動に支障をきたす可能性があり、いずれも長期間におよんだ場合には当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症は5類に移行していますが、今後変異ウイルスや新型感染症の拡大による影響により、受注の先送りや取消しが多数発生した場合、当社グループの従業員に感染者が多数発生し、長期間の生産活動停止に陥った場合、仕入先や外注先の生産活動や物流等、サプライチェーンに発生した混乱や分断が長期間におよんだ場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。 (2) 半導体・FPD関連業界の需要変動に関わるリスク当社グループの主力である溶射加工(単体)の中で、2001年3月期以降、半導体・FPD製造装置分野の売上高が大幅に増加し、2026年3月期では連結ベースの総売上高に占める割合は42.4%となっております。このため、半導体・FPD関連業界の市況、関連装置の需要動向が悪化した場合や、特に海外などで競合企業との価格競争が本格化した場合には、装置メーカー等からの受注減や値下げ要請により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、半導体・FPD製造装置が溶射を必要としない構造に変更された場合にも、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。これらのリスクに対応するため、既に納入された装置部品へのメンテナンス需要や非溶射部品の溶射化等の開拓、次世代装置の適用皮膜の開発を進め、半導体装置メーカー向けの受注変動による影響を最小限に止めるよう努力してまいる考えであります。 (3) 顧客による表面改質加工の内製化リスク及び顧客工場の海外等の移転リスク溶射加工は、当社のような専業者だけでなく、材料メーカーやメタリコン業者が手がけているほか、大手機械メーカー等が製造プロセスの一部として自社内で溶射加工を行っている場合もあります。これらの大手機械メーカー等は、生産能力的にオーバーフローした場合や、自社で技術対応できない場合、自社に当該溶射装置を保有しない場合などに当社をはじめとする溶射加工業者に委託しておりますが、これらの大手機械メーカー等が全面的に溶射加工を内製化したり、内製化の比率を高めたりした場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは顧客から被加工品を受け入れて、当該被加工品に表面改質を行なっていることから、主要顧客の近隣に加工工場を設けるなど、顧客密着型の事業展開を行なっておりますが、主要顧客が生産拠点を海外等の遠方に移転させた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (注) メタリコン業者とは、構造物等の防食目的で、亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金溶射による加工を行なう企業をいいます。 (4)原材料の調達リスク希土類を含む当社グループの原材料は、限られた購買先からの調達となっております。当社は主要な購買先との強固な取引関係の構築・維持に努めておりますが、特定の供給元からの調達に制約が発生した場合、生産活動に悪影響を及ぼすだけでなく、技術供与先への供給責任の遂行に問題が生じ、結果当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (5) 特定の取引先(東京エレクトロン株式会社グループ)への依存リスク当社グループの東京エレクトロン株式会社グループへの販売依存度(総売上高に占める同社グループへの売上高の割合)は高水準であるため(2026年3月期については26.6%)、同社グループの半導体・FPD製造装置等の生産動向や同社グループからの受注動向が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (6) 製造物責任に係るリスク当社グループは、多様な業界に顧客を有し、溶射加工を中心とした表面改質加工を提供しており、それぞれの製品に合わせた品質管理体制のもと、製品を出荷しております。製品の不具合を防止するため、品質保証に関わる人員と組織の充実を図るとともに、新たな品質管理手法を取り入れるなど体制の強化に努めております。また、当社の品質不具合を原因として製造物責任賠償を請求されるような万一の事態に備えるため生産物賠償責任保険等にも加入し、こうした事態の発生に伴う費用負担に対応しております。しかし品質に対するクレームの内容や不具合の規模によっては製造業としての当社グループの評価の低下につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (7) 知的財産権に係るリスク当社は、新皮膜開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの知的財産を特許出願し、権利保護と経営資源としての活用を図っておりますが、特定の地域では十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性があり、知的財産権が侵害されるリスクがあります。また、当社グループが認識しない第三者の特許が既に成立しており、当該第三者より知的財産権を侵害しているとの事由により、損害賠償等の訴えを起こされた場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。 (8) 情報セキュリティに係るリスク当社グループは、半導体・FPD関連をはじめとして、顧客から預かった部品図面など重要技術情報を多数保有しております。これらを適切に管理するため、情報セキュリティに係る規程・細則の整備のみならず、情報技術の進歩や社会情勢の変化に応じた情報セキュリティルールの強化、適切な技術的対策のための設備投資、社内管理体制の整備や社員教育に努めております。しかし不正アクセスによる重大なシステム障害が発生した場合や、不測の事態により情報漏洩が明らかとなった場合等には、対応のための多額の費用負担や顧客からの信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。 (9)国際的な事業活動に係るリスク当社グループは、中国・台湾などのアジアや米国にて海外事業を展開しております。そのため、事業展開している各国の文化、宗教、商慣習、社会資本の整備状況等の影響を受けるとともに、経済情勢、政治情勢及び治安状態の悪化や急激な為替変動が、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、主要な顧客の中には国際的に広く事業展開している企業もあるため、国際政治情勢の変化により、懲罰的な関税措置を含む輸出入規制や、商品販売に係る許認可等の一方的な規則変更などにより、当該顧客が深刻な事業活動の制限を受ける可能性があります。この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。さらに、当社グループは移転価格税制等、各国・地域における税法及びその他の関連諸規定等に適切に対応できるよう努めておりますが、税務当局との適用税法等の解釈に相違が生じた場合、結果として追加の税負担が生じる可能性があります。 (10)気候関連のリスク当社は「人と自然の豊かな未来に貢献する」ことをビジョンに掲げ、気候変動対応を経営における重要課題の一つと位置づけています。温室効果ガス排出削減をはじめとする様々なサステナビリティ課題の対応が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。その対応策として、情報収集を図るとともに、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)」に記載の戦略に基づき、気候変動による環境問題の深刻化という社会的課題に対する取り組みを進めてまいります。