4088

エア・ウォーター(4088)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    エア・ウォーターグループは、産業ガス、エネルギー、医療、食品、物流など多岐にわたる分野で製品の製造・販売を行っています。これにより、特定の市場変動に左右されにくい安定した収益基盤を構築しています。
  • 国内外でのM&A活用
    成長戦略の一環として、M&A(企業の合併・買収)を積極的に活用し、特に海外事業の強化を進めています。これにより、新たな市場への参入や事業規模の拡大を図り、収益源の多様化を進めています。
  • 社会インフラの提供
    酸素・窒素などの産業ガスやLPガス・灯油といったエネルギー、医療用ガスや病院設備、さらには食品加工・流通など、社会生活や産業活動に不可欠な製品やサービスを提供しています。これにより、社会の基盤を支えることで安定的な需要を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • デジタル&インダストリー事業
    酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、水素などの産業ガスや、電子材料、機能材料の製造・販売を行っています。この事業は、様々な産業の基盤を支える重要な役割を担っており、安定した需要が見込まれます。
  • エネルギーソリューション事業
    LPガスや灯油の販売、LNG関連機器の製造・販売を手掛けています。生活や産業に不可欠なエネルギー供給を通じて、地域社会のインフラを支えるとともに、エネルギー効率化にも貢献しています。
  • ヘルス&セーフティー事業
    医療用ガス、歯科材料、衛生材料、注射針、エアゾール製品の製造・販売に加え、病院設備工事や在宅医療サービスを提供しています。医療・介護分野のニーズに応え、人々の健康と安全を支える事業です。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,134 文字
3 【事業の内容】当「エア・ウォーター」グループは、当社、連結子会社206社、持分法適用会社53社の合計260社で構成され、デジタル&インダストリー、エネルギーソリューション、ヘルス&セーフティー、アグリ&フーズ、並びにその他の事業に関する製品・商品の製造・販売を行っております。 当グループが営んでいる主な事業内容と当社及び関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりであります。以下の事業区分はセグメント情報における事業区分と同一であります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5.事業セグメント」をご参照ください セグメント名称主な事業内容主要な会社デジタル&インダストリー酸素・窒素・アルゴン等の産業ガスの製造・販売、電子材料、機能材料等の製造・販売、北米・インドをはじめとした海外における産業ガス事業及び高出力UPS(無停電電源装置)事業等当社、エア・ウォーター東日本㈱、エア・ウォーター西日本㈱、エア・ウォーター・メカトロニクス㈱エア・ウォーター・マッハ㈱、エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル㈱、エア・ウォーター・ガスプロダクツ㈱、日本電熱㈱、エア・ウォーター産業・医療ガス㈱AIR WATER INDIA PVT. LTD.、AIR WATER AMERICA INC.、エア・ウォーター・エンジニアリング㈱エネルギーソリューションLPガス・灯油の販売及び、LNG関連機器の製造・販売、炭酸ガス・水素ガスの製造・販売、等当社、エア・ウォーター東日本㈱、エア・ウォーター西日本㈱、エア・ウォーター・ライフソリューション㈱、エア・ウォーター・グリーンデザイン㈱K&Oエナジーグループ㈱ヘルス&セーフティー酸素等の医療用ガス、歯科材料、衛生材料、注射針、エアゾール製品等の製造・販売並びに、病院設備工事、病院サービス、在宅医療等当社、エア・ウォーター東日本㈱、エア・ウォーター西日本㈱、エア・ウォーター防災㈱、川本産業㈱、エア・ウォーター・リアライズ㈱、㈱歯愛メディカルアグリ&フーズ青果物の加工・流通及び冷凍食品・食肉加工等の製造・販売並びに清涼飲料水の製造受託等当社、ゴールドパック㈱、㈱九州屋、エア・ウォーターアグリ&フーズ㈱、㈱プラスその他の事業一般貨物・食品・医療・環境等の物流サービスを展開する物流事業、業務用塩やマグネシア等を製造・販売する海水事業、木質バイオマスによる電力事業、エレクトロニクス関連専門商社事業等当社、㈱日本海水、エア・ウォーター物流㈱、エア・ウォーター・マテリアル㈱、タテホ化学工業㈱ 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
電力コスト上昇時に販売価格の改定を図り、収益確保に努めているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
酸素・窒素・アルゴン・炭酸ガス・水素等の産業ガスの製造・販売、電子材料、機能材料等の製造・販売。
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:海外事業リスク / 制度変更リスク / 自然災害リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

エア・ウォーターは、医療・産業ガス分野で長年の実績と高い技術力を有し、特に医療用ガス供給においては、病院との強固な信頼関係と安定供給体制を構築している。また、フッ素化学品や機能性材料分野でも独自の技術開発を進めており、これが無形資産として競争優位の源泉となっている。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

医療用ガスや産業ガスは、供給インフラの構築や安全管理の厳格さから、顧客(病院、工場など)がサプライヤーを切り替えるには多大なコストと時間を要する。特に、長期間の供給契約や、顧客の生産・医療プロセスに不可欠なガスであるため、スイッチング・コストは比較的高いと考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

エア・ウォーターの主要事業であるガス供給や化学品製造において、直接的なネットワーク効果(ユーザーが増えるほどサービス価値が高まる)は限定的である。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

ガス製造・供給においては、プラントの稼働効率や物流網の最適化がコスト競争力に影響する。エア・ウォーターはM&Aによる事業拡大や効率化を進めているが、業界全体として規模の経済や技術革新によるコスト削減競争が激しく、顕著なコスト優位を確立しているとは言い難い。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

エア・ウォーターは、医療・産業ガス、化学品、エア・ウォーター・アグリ&ライフサイエンス、エンジニアリングなどの多角的な事業を展開し、国内有数の規模を持つ。特にガス事業においては、全国的な供給網を構築しており、一定の効率規模の経済を享受している。

  • 広範な事業ポートフォリオ
    産業ガスから医療、食品、エネルギーまで多岐にわたる事業を展開しており、それぞれの市場で培った技術やノウハウを相互に活用できる可能性があります。これにより、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した経営基盤を築いています。
  • 全国規模の供給ネットワーク
    産業ガス事業では、高効率小型液化酸素・窒素製造装置「VSU」と貯蔵・物流拠点の分散配置により、国内における産業・医療用ガスの安定供給インフラを整備しています。これにより、災害時にも安定供給を維持できる強みがあります。
  • 海外事業展開による成長性
    米国やアジア圏を中心にM&Aによる海外事業展開を強化しており、グローバル市場での成長機会を取り込んでいます。これにより、国内市場の成熟化リスクを補完し、持続的な成長を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループの経営理念は、次のとおりであります。「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」当社グループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことが当社グループの使命であります。当社グループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。 (2) 対処すべき課題当社グループにおける不適切な会計処理により、株主、投資家、お客様、従業員をはじめとするあらゆるステークホルダーの方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。当社は、2025年7月に、連結子会社において在庫を巡る不適切な会計処理を自主点検により発見いたしました。その後、社内調査を進める中で、同年9月に複数の連結子会社および当社の事業部門でも在庫や貯蔵品等で不適切な会計処理を発見し、会計監査人による監査の実施過程でもこれらの会計処理に対し指摘を受けました。これを受け、2025年10月に、独立した外部専門家(弁護士および公認会計士)からなる特別調査委員会を設置して当社グループ全体を対象にした調査を開始するとともに、同年11月に取締役会の諮問機関として経営改革委員会を設置し、同委員会からの答申を受け、社外取締役からの取締役会議長選任および経理・財務統括責任者の設置等の経営体制の一部見直しを実施いたしました。その後、2026年4月3日付で公表した「特別調査委員会による調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会による調査の結果、2019年度から2025年度上半期までの期間において、当社グループにおいて不適切な会計処理が行われていた事実に加え、その一部に経営トップやマネジメント層の関与が認められました。また、特別調査委員会からは、一部調査未了であった事項につき、2026年6月19日付で追加調査報告書を受領しております。さらに、不適切会計事案に係る責任の明確化を図るため、2026年6月19日開催の取締役会および監査役会において責任調査委員会の設置を決定いたしました。同委員会において、当社の現旧の取締役および監査役の法的責任の有無について調査・検討を行っており、その報告・提言を踏まえ、必要な対応を検討してまいります。また、本件を受け、当社は2026年5月1日付で東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されております。当社は、特別注意銘柄の指定解除に向け、特別調査委員会の調査報告書において指摘された原因分析および再発防止策の提言を踏まえ、企業風土、ガバナンスおよび内部管理体制等の改善を目的とした改善計画を策定することとし、その策定および「改善計画・状況報告書」の提出に向けた基本方針を2026年5月29日付で「改善計画の策定方針に関するお知らせ」として公表いたしました。この策定方針に基づき、当社は企業風土改革、経営体制・ガバナンスの適正性、役員体制(取締役・監査役)および選任プロセス、グループ全体の内部管理体制(内部監査・子会社管理を含む)の整備・運用等について、外部専門家の支援も受けながら再発防止策ならびに改善計画を策定し、改善計画・状況報告書を2026年7月31日付で公表いたしました。当社は調査報告書に示された原因分析および提言を真摯に受け止め、経営の最優先課題として再発防止策を不退転の決意をもって実行し、社会的信頼の回復に向け、当社グループを挙げて取り組んでまいります。 ①特別調査委員会による調査概要特別調査委員会は、不適切な会計処理に関する事実関係の解明、類似事象の有無およびグループ全体への波及状況の確認、財務影響額の算定、原因分析ならびに再発防止策に関する提言等を目的として調査を実施しました。調査は、関係者へのヒアリング、資料の精査、デジタル・フォレンジック等の手法により行われ、当社は、同委員会から2026年2月12日に調査報告書(2026年2月9日時点)、2026年3月31日に調査報告書、2026年6月19日に追加調査報告書を受領しました。 ②調査により判明した主な内容調査の結果、売上又は利益目標の達成に対する当社経営トップによる過度なプレッシャーを背景に、当社並びに相当数の子会社及び関連会社において、在庫の過大計上、資産評価損の先送り、売上の過大計上及び先行計上、不要な取引先を介在させた売上の嵩上げ、引当金の計上回避、資産性のない支出の資産計上等、売上や利益を嵩上げする目的で、様々な手法による不適切な会計処理が広範に行われていることが発見されました。特に、エア・ウォーター防災株式会社においては、仕掛品の過大計上、売上の期間帰属の操作、原価付替による利益操作等の不適切な会計処理のほか、これらの不適切な会計処理を隠蔽するための証憑の偽造が行われていました。また、株式会社日本海水においては、工場設備の定期修繕費及び労務費の恣意的な固定資産計上、本来純額で表示すべき代理人取引における売上の総額表示、事業部間における原価付替等による不適切な会計処理が行われていました。 ③原因分析業績目標の達成を最優先する企業文化とトップダウンによる組織マネジメント、経理・管理機能の未整備と内部統制システムの実効性不足、会計リテラシーの低さと上場企業グループに必要な倫理感の欠如といった複数の要因※が重なり、結果として、長期間にわたり不適切な会計処理が看過されやすい環境が形成されていました。 ※不適切な会計処理が発生した複数の要因(1)業績目標の達成を最優先する企業風土の下、現場に過度な業績プレッシャーが生じ、意見や問題意識を率直に表明しにくい状況があったこと(2)成長戦略やM&Aの進展に対し、管理体制やルールの整備が十分に追いついていなかったこと(3)経営トップおよびマネジメント層による会計処理への関与のあり方や、内部統制の実効性に課題があったこと(4)不適切な処理が業務フロー上、是正されにくい構造となっていたこと(5)会計やコンプライアンスに関する知識・意識(会計リテラシー)や、上場企業グループとして求められる自覚・理解が十分に共有されていなかったこと(6)管理部門・内部監査部門によるモニタリング機能や、取締役会による監視・牽制機能、監査役会による監督機能が十分に機能していなかったこと(7)財務報告責任の認識・体制上の問題があったこと ④再発防止策上記の原因分析を踏まえ、「企業風土改革」「ガバナンス改革」「経営管理基盤、内部統制の再構築」「全社戦略の見直し(事業ポートフォリオの見直し)」の4項目を柱とする再発防止策を策定し取り組みを進めております。(1)企業風土改革当社は、コンプライアンスを最重視し、「健全で風通しがよく、正しい行動を促す」企業風土に向けた抜本的改革が必要であると考え、経営トップ(代表取締役)が企業風土改革に向けた覚悟を表明するとともに、経営理念やパーパスを再認識し、従業員との直接対話によるグループ全体への浸透を図っております。また、組織の役割、管掌とその責任を明確化し、報告プロセスを再構築しております。コンプライアンス最重視の経営体制の構築の観点からは、経営トップ・マネジメント層の意識の向上・強化を図り、グループ全社に向けた経営トップ・マネジメント層による継続的発信、グループ会社従業員との直接対話による意思の共有と従業員の意識向上に努めております。さらに、心理的安全性が確保された組織作りと、誰もが互いを尊重し合い、自由闊達に意見を言える風土の醸成に向けて、コミュニケーションの改善に取り組んでおります。その他、適切な業績目標の設定と過度な業績プレッシャーの排除、教育・研修(倫理・会計リテラシー)の抜本強化、内部通報制度の強化に取り組んでおります。(2)ガバナンス改革当社は、取締役会においてグループ全体の内部統制上の問題点を抽出・把握し、改善に向けたガバナンス体制を再構築するなど、取締役会の監督機能を強化するための取り組みを進めております。また、経営トップの重要意思決定に対する監督・牽制機能を強化するために、取締役会議長を独立社外取締役から選任するとともに、これを支える事務局体制を整備いたしました。さらに、監督機能強化を意図した取締役構成へ見直すべく、管理・監督機能強化を推進する取締役を選任するとともに、独立社外取締役の増員および独立社外取締役の比率を高めることとし、2026年6月29日開催の第26期定時株主総会において取締役選任議案が原案とおり承認されたことにより、取締役8名中5名が独立社外取締役となりました。監査役会の監査機能を強化するために、リスクベースに基づく監査計画の見直しや、監査補助者の配置、また必要に応じて外部の不正・会計専門家を活用していくなど、監査役会の体制・機能強化に取り組んでおります。さらに、常勤監査役の増員や財務・会計の専門家である公認会計士および危機管理・コンプライアンスに関する高度な見識と豊富な経験を有する人材の新たな招聘による監査役体制の強化を図ることを目的に監査役候補者を選任し、第26期定時株主総会において監査役選任議案が原案とおり承認されたことにより、監査役6名中3名が独立社外監査役、常勤監査役は3名となりました。指名・報酬委員会は、独立社外役員のみのメンバー構成に変更するとともに、その役割を強化し、取締役選任プロセスの明確化やCEOサクセッションプランの全体像の構築などに取り組んでおります。また、取締役の質の向上のため、外部機関が提供する研修プログラムに、社内外の現任取締役および新任取締役が継続的な受講を目的とした、研修・教育計画を策定し、実施しております。(3)経営管理基盤、内部統制の再構築当社は、事業部門に対する管理・牽制機能を強化するため経理・財務統括責任者を設置いたしました。また、会計および開示実務に関する十分な知識・経験を有する人材の配置・増員や、分掌・承認・牽制が整備された業務プロセスの再構築、経理部員に対する継続的な教育・研修の実施など、経理部を中心とした管理部門の機能強化に取り組んでおります。内部統制の強化に向けては、子会社における業務フローの整備や、上場企業の子会社として適切な会計業務を行うための十分な知識・経験を有する人材の配置・増員、在庫および売上管理等の不適切な会計処理がされうる領域の定期的な妥当性検証とモニタリングの実施など、グループ全体を俯瞰した内部統制の再構築を行っております。また、内部監査室に内部監査業務を適切に遂行できる十分な知識・経験を有する人材を配置・増員し、内部監査室メンバーに対して継続的な研修を実施するなど、内部監査機能の強化に取り組んでおります。(4)全社戦略の見直し(事業ポートフォリオの見直し)当社は産業ガスを祖業とし、関連する産業分野の裾野の広さを活かして多角化を進め、全天候型経営による安定を追求してまいりました。一方で、多角化の広がり・グループ会社数の増加に伴って、自社グループのコアコンピタンスが不明瞭になったことも事実であり、全社戦略を見直すうえで、今一度グループの強みを再定義する必要があると認識しております。当社のコアコンピタンスを見直す場として、全社事業戦略会議を開催し、経営トップ、事業責任者だけでなく、社外を含む取締役も参加し、当社のコア/ノンコアを再定義するとともに、全社事業戦略を定量的、定性的に議論し、決定いたします。また、コアコンピタンスを活かした「既存事業の深化」と「新規事業の進化」を念頭に、事業ポートフォリオ改革を推進してまいります。2026年2月よりポートフォリオ管理委員会を発足し、当社ポートフォリオの評価軸を定めるとともに、事業性・コアコンピタンス・ガバナンスなどの観点から各事業の取組み方針(成長/改善/統合等)および今後の全社戦略における各事業の位置づけについて協議しております。戦略的な投資配分について、事業領域毎の投資可能枠の設定や、ガバナンス強化、IT・技術開発投資など、当社の成長に欠かせない領域の投資枠についても、同管理委員会での議論を開始しております。さらに、事業性のみならずグループ全体のガバナンスの観点からもグループ会社の適正化・再構築を行います。グループ会社全社に対して上場企業基準のグループガバナンスの徹底を最重要視し、その方策の一つとして事業特性が同じ会社の統合を進めます。一方で当社のコアコンピタンスに合致せず、事業撤退の判断となった会社はベストオーナーに対し適切なプロセスを経て事業譲渡を推進し、2028年度中の完了を目標といたします。 当社は、上記の4項目を柱とする再発防止策の実行を、グループ一体となって推進し、経営の透明性と健全性を高め、社会的信頼の回復に全力を尽くしてまいります。 なお、各セグメントの取り組みは、次のとおりであります。 (デジタル&インダストリー)産業ガス分野では、鉄鋼・化学などの素材分野向けを中心に国内の産業ガス需要が減少基調にある中で、地域供給ニーズへの高い対応力・競争力を活かして、各種ガスの安定供給及び新規需要の獲得に努めております。また、中東情勢の影響による原油価格高騰に伴い、電力費や物流費の上昇が見込まれる中で、これらのコストアップ影響を反映した価格マネジメントに取り組んでおります。半導体・エレクトロニクス分野では、生成AI向けを中心とする先端半導体工場の増強・拡大に対応した大型プラント投資や新規取引先の開拓により、ガス需要の取り込みを進めております。あわせて、特殊ケミカル及び同供給装置、ガス精製装置、関連工事など、半導体製造プロセスを支えるグループ商材・サービスをトータルソリューションで提供できる強みを活かし、最先端ニーズから周辺分野まで幅広い需要に対応することで、事業拡大を図ってまいります。グローバル分野では、当社が国内で培ってきた強みや知見を活かし、新市場における成長拡大と高い収益性の実現を目指しております。一方で、各国の政策動向等に起因する地政学リスクを背景とした事業環境の変化や、国内とは異なる商慣習・市場特性・ボラティリティに適切に対応していく必要があります。インドの産業ガス分野は、政府による積極的なインフラ投資政策を背景に、鉄鋼をはじめとしたガス需要の拡大が見込まれることから、オンサイト供給案件の新規獲得や自社液化ガス工場の稼働によるローリー・シリンダー事業の拡充を進めてまいります。北米の産業ガス分野は、現地ディストリビューターとの連携やM&Aを通じて事業展開エリアを拡大するとともに、自社プラントの設置によりメーカーとしての事業基盤の確立を進めております。これにより、産業ガスの製造から販売まで一貫した事業インフラの構築を推進してまいります。高出力UPS(無停電電源装置)分野では、データセンターや半導体工場のBCPに不可欠なバックアップ電源ソリューションを提供しており、需要拡大を背景とした新規受注の獲得により成長を目指してまいります。 (エネルギーソリューション)産業ガス分野では、液化炭酸ガス・ドライアイスの原料となる排ガスCO2の調達先(製鉄所や化学プラント等)の統廃合が進み、業界全体において生産数量が減少傾向にある中で、国内外からのバックアップを含めた安定供給体制の構築・維持に努めております。また、こうした原料調達の難化により製造原価や横持ち物流費の上昇が進む中で、こうしたコストアップ影響を反映した適正な価格マネジメントを徹底するとともに、生産工場プロセスの省人化をはじめとする生産性向上にも引き続き取り組んでおります。低炭素・脱炭素分野では、社会のカーボンニュートラル実現に向けて、北海道において家畜ふん尿由来のクリーンエネルギーである液化バイオメタンの製造・販売を行っております。また、低濃度排ガスCO2から液化炭酸ガス・ドライアイスを製造する小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」や、垂直ソーラー発電システム「VERPA」など、脱炭素ソリューションの社会実装化に注力しております。エネルギー分野では、北海道を中心としたLPガス・灯油供給において、人口減少を背景に需要・消費が減少傾向にあるほか、地方販売店の人手不足や後継者不在による廃業も顕在化しつつあります。こうした中で、販売店の商権取得等による直販体制の強化と全体数量の維持・拡大に努めるとともに、IoT技術を活用した配送の効率化など、収益力の強化に取り組んでおります。 (ヘルス&セーフティー)医療分野では、病院をはじめとする医療機関において、物価・人件費・エネルギーコストの上昇を背景に消耗材の使用抑制等の動きが見られる中で、ガス・機器・材料の供給ならびに病院設備工事を含めたトータルソリューションの提供に努めております。医療機関向け製品供給においては、医療用ガスの供給基盤を活かして医療現場のニーズを把握し、最適な医療機器・医療材料まで総合的に提案・提供しております。中長期の成長に向けては、健康寿命の延伸や在宅医療体制の構築といった社会的ニーズを踏まえ、人々の健康増進、リハビリによる予後の改善、在宅患者のQOL(生活の質)向上につながる医療機器や介護用製品の開発体制の強化を進めてまいります。SPD(病院物品物流管理)や病院向け滅菌受託といった医療現場のサポートにおいては、低収益取引の見直しや効率化を進めてまいります。手術室の改修など病院設備工事においては、直接受注による収益力の強化に取り組んでまいります。防災分野では、データセンターや電力施設向けのガス消火設備工事の需要が高まる中で、新規案件の獲得による事業拡大を推進するとともに、旺盛な需要に即応できる工事人員体制の強化を図ってまいります。コンシューマーヘルス分野では、グループリソースの最大活用やサプライチェーンの拡充等により事業体制の強化を進めるとともに、衛生材料・注射針の販売拡大、化粧品・エアゾール受託増を通じて事業拡大及び収益力の強化に取り組んでまいります。 (アグリ&フーズ)農産分野では、天候影響等に伴う豊作・不作や市場価格変動が主要なリスク要因となる中、作物ごとの圃場(契約農場)の拡大を通じて全体調達量の安定確保を図ることで、ボラティリティの低減に取り組んでおります。また、当社のロジスティクス分野が有する全国ネットワークを活かし、原料野菜の調達や青果流通・加工・販売におけるサプライチェーンネットワークの構築を強化し、安定供給の維持と事業拡大を図ってまいります。食品分野では、食肉加工品の原料輸入において、為替変動リスクをヘッジするとともに、原材料費・労務費・物流費・エネルギーコスト等の上昇に対しては、適時適正な価格改定によりコストアップ影響の吸収に取り組んでおります。飲料分野では、消費者向け製品価格の上昇が消費マインドの低下につながることで、飲料の受託生産数量の減少に直結するリスクを内包しております。また、各種コストの上昇が進む中、適正な収益水準の確保に向け、契約価格の見直しに随時取り組んでおります。あわせて、飲料製造における充填ラインの増強による生産性向上等を通じ、収益力の強化を進めてまいります。 (その他の事業)ロジスティクス分野では、中東情勢の影響による原油価格高騰に伴い、軽油価格(トラック燃料費)の上昇が大きなリスク要因となる中、最適な軽油調達方法の判断や、荷主への価格転嫁の申し入れを含め、適切なタイミングを見極めながら対応を進めております。電力分野では、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)により売電価格が一定程度保証されている一方で、発電燃料となるPKS(パームヤシ殻)や木質ペレットは海外から輸入しており、PKS市況や海上輸送運賃の変動に伴う調達価格の変動が大きなリスク要因となっています。こうした中で、計画外停止の最小化による安定操業の維持や、荷揚港湾施設の運用改善、為替変動リスクのヘッジ、燃料調達先の多角化や燃料ミックスの見直し等を複合的に推進することにより、稼働率の向上、原価低減及びコスト変動リスクの低減を図ってまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループの経営理念は、次のとおりであります。「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」当社グループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことが当社グループの使命であります。当社グループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。 (2) 対処すべき課題当社グループにおける不適切な会計処理により、株主、投資家、お客様、従業員をはじめとするあらゆるステークホルダーの方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。当社は、2025年7月に、連結子会社において在庫を巡る不適切な会計処理を自主点検により発見いたしました。その後、社内調査を進める中で、同年9月に複数の連結子会社および当社の事業部門でも在庫や貯蔵品等で不適切な会計処理を発見し、会計監査人による監査の実施過程でもこれらの会計処理に対し指摘を受けました。これを受け、2025年10月に、独立した外部専門家(弁護士および公認会計士)からなる特別調査委員会を設置して当社グループ全体を対象にした調査を開始するとともに、同年11月に取締役会の諮問機関として経営改革委員会を設置し、同委員会からの答申を受け、社外取締役からの取締役会議長選任および経理・財務統括責任者の設置等の経営体制の一部見直しを実施いたしました。その後、2026年4月3日付で公表した「特別調査委員会による調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会による調査の結果、2019年度から2025年度上半期までの期間において、当社グループにおいて不適切な会計処理が行われていた事実に加え、その一部に経営トップやマネジメント層の関与が認められました。また、特別調査委員会からは、一部調査未了であった事項につき、2026年6月19日付で追加調査報告書を受領しております。さらに、不適切会計事案に係る責任の明確化を図るため、2026年6月19日開催の取締役会および監査役会において責任調査委員会の設置を決定いたしました。同委員会において、当社の現旧の取締役および監査役の法的責任の有無について調査・検討を行っており、その報告・提言を踏まえ、必要な対応を検討してまいります。また、本件を受け、当社は2026年5月1日付で東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されております。当社は、特別注意銘柄の指定解除に向け、特別調査委員会の調査報告書において指摘された原因分析および再発防止策の提言を踏まえ、企業風土、ガバナンスおよび内部管理体制等の改善を目的とした改善計画を策定することとし、その策定および「改善計画・状況報告書」の提出に向けた基本方針を2026年5月29日付で「改善計画の策定方針に関するお知らせ」として公表いたしました。この策定方針に基づき、当社は企業風土改革、経営体制・ガバナンスの適正性、役員体制(取締役・監査役)および選任プロセス、グループ全体の内部管理体制(内部監査・子会社管理を含む)の整備・運用等について、外部専門家の支援も受けながら再発防止策ならびに改善計画を策定し、改善計画・状況報告書を2026年7月31日付で公表いたしました。当社は調査報告書に示された原因分析および提言を真摯に受け止め、経営の最優先課題として再発防止策を不退転の決意をもって実行し、社会的信頼の回復に向け、当社グループを挙げて取り組んでまいります。 ①特別調査委員会による調査概要特別調査委員会は、不適切な会計処理に関する事実関係の解明、類似事象の有無およびグループ全体への波及状況の確認、財務影響額の算定、原因分析ならびに再発防止策に関する提言等を目的として調査を実施しました。調査は、関係者へのヒアリング、資料の精査、デジタル・フォレンジック等の手法により行われ、当社は、同委員会から2026年2月12日に調査報告書(2026年2月9日時点)、2026年3月31日に調査報告書、2026年6月19日に追加調査報告書を受領しました。 ②調査により判明した主な内容調査の結果、売上又は利益目標の達成に対する当社経営トップによる過度なプレッシャーを背景に、当社並びに相当数の子会社及び関連会社において、在庫の過大計上、資産評価損の先送り、売上の過大計上及び先行計上、不要な取引先を介在させた売上の嵩上げ、引当金の計上回避、資産性のない支出の資産計上等、売上や利益を嵩上げする目的で、様々な手法による不適切な会計処理が広範に行われていることが発見されました。特に、エア・ウォーター防災株式会社においては、仕掛品の過大計上、売上の期間帰属の操作、原価付替による利益操作等の不適切な会計処理のほか、これらの不適切な会計処理を隠蔽するための証憑の偽造が行われていました。また、株式会社日本海水においては、工場設備の定期修繕費及び労務費の恣意的な固定資産計上、本来純額で表示すべき代理人取引における売上の総額表示、事業部間における原価付替等による不適切な会計処理が行われていました。 ③原因分析業績目標の達成を最優先する企業文化とトップダウンによる組織マネジメント、経理・管理機能の未整備と内部統制システムの実効性不足、会計リテラシーの低さと上場企業グループに必要な倫理感の欠如といった複数の要因※が重なり、結果として、長期間にわたり不適切な会計処理が看過されやすい環境が形成されていました。 ※不適切な会計処理が発生した複数の要因(1)業績目標の達成を最優先する企業風土の下、現場に過度な業績プレッシャーが生じ、意見や問題意識を率直に表明しにくい状況があったこと(2)成長戦略やM&Aの進展に対し、管理体制やルールの整備が十分に追いついていなかったこと(3)経営トップおよびマネジメント層による会計処理への関与のあり方や、内部統制の実効性に課題があったこと(4)不適切な処理が業務フロー上、是正されにくい構造となっていたこと(5)会計やコンプライアンスに関する知識・意識(会計リテラシー)や、上場企業グループとして求められる自覚・理解が十分に共有されていなかったこと(6)管理部門・内部監査部門によるモニタリング機能や、取締役会による監視・牽制機能、監査役会による監督機能が十分に機能していなかったこと(7)財務報告責任の認識・体制上の問題があったこと ④再発防止策上記の原因分析を踏まえ、「企業風土改革」「ガバナンス改革」「経営管理基盤、内部統制の再構築」「全社戦略の見直し(事業ポートフォリオの見直し)」の4項目を柱とする再発防止策を策定し取り組みを進めております。(1)企業風土改革当社は、コンプライアンスを最重視し、「健全で風通しがよく、正しい行動を促す」企業風土に向けた抜本的改革が必要であると考え、経営トップ(代表取締役)が企業風土改革に向けた覚悟を表明するとともに、経営理念やパーパスを再認識し、従業員との直接対話によるグループ全体への浸透を図っております。また、組織の役割、管掌とその責任を明確化し、報告プロセスを再構築しております。コンプライアンス最重視の経営体制の構築の観点からは、経営トップ・マネジメント層の意識の向上・強化を図り、グループ全社に向けた経営トップ・マネジメント層による継続的発信、グループ会社従業員との直接対話による意思の共有と従業員の意識向上に努めております。さらに、心理的安全性が確保された組織作りと、誰もが互いを尊重し合い、自由闊達に意見を言える風土の醸成に向けて、コミュニケーションの改善に取り組んでおります。その他、適切な業績目標の設定と過度な業績プレッシャーの排除、教育・研修(倫理・会計リテラシー)の抜本強化、内部通報制度の強化に取り組んでおります。(2)ガバナンス改革当社は、取締役会においてグループ全体の内部統制上の問題点を抽出・把握し、改善に向けたガバナンス体制を再構築するなど、取締役会の監督機能を強化するための取り組みを進めております。また、経営トップの重要意思決定に対する監督・牽制機能を強化するために、取締役会議長を独立社外取締役から選任するとともに、これを支える事務局体制を整備いたしました。さらに、監督機能強化を意図した取締役構成へ見直すべく、管理・監督機能強化を推進する取締役を選任するとともに、独立社外取締役の増員および独立社外取締役の比率を高めることとし、2026年6月29日開催の第26期定時株主総会において取締役選任議案が原案とおり承認されたことにより、取締役8名中5名が独立社外取締役となりました。監査役会の監査機能を強化するために、リスクベースに基づく監査計画の見直しや、監査補助者の配置、また必要に応じて外部の不正・会計専門家を活用していくなど、監査役会の体制・機能強化に取り組んでおります。さらに、常勤監査役の増員や財務・会計の専門家である公認会計士および危機管理・コンプライアンスに関する高度な見識と豊富な経験を有する人材の新たな招聘による監査役体制の強化を図ることを目的に監査役候補者を選任し、第26期定時株主総会において監査役選任議案が原案とおり承認されたことにより、監査役6名中3名が独立社外監査役、常勤監査役は3名となりました。指名・報酬委員会は、独立社外役員のみのメンバー構成に変更するとともに、その役割を強化し、取締役選任プロセスの明確化やCEOサクセッションプランの全体像の構築などに取り組んでおります。また、取締役の質の向上のため、外部機関が提供する研修プログラムに、社内外の現任取締役および新任取締役が継続的な受講を目的とした、研修・教育計画を策定し、実施しております。(3)経営管理基盤、内部統制の再構築当社は、事業部門に対する管理・牽制機能を強化するため経理・財務統括責任者を設置いたしました。また、会計および開示実務に関する十分な知識・経験を有する人材の配置・増員や、分掌・承認・牽制が整備された業務プロセスの再構築、経理部員に対する継続的な教育・研修の実施など、経理部を中心とした管理部門の機能強化に取り組んでおります。内部統制の強化に向けては、子会社における業務フローの整備や、上場企業の子会社として適切な会計業務を行うための十分な知識・経験を有する人材の配置・増員、在庫および売上管理等の不適切な会計処理がされうる領域の定期的な妥当性検証とモニタリングの実施など、グループ全体を俯瞰した内部統制の再構築を行っております。また、内部監査室に内部監査業務を適切に遂行できる十分な知識・経験を有する人材を配置・増員し、内部監査室メンバーに対して継続的な研修を実施するなど、内部監査機能の強化に取り組んでおります。(4)全社戦略の見直し(事業ポートフォリオの見直し)当社は産業ガスを祖業とし、関連する産業分野の裾野の広さを活かして多角化を進め、全天候型経営による安定を追求してまいりました。一方で、多角化の広がり・グループ会社数の増加に伴って、自社グループのコアコンピタンスが不明瞭になったことも事実であり、全社戦略を見直すうえで、今一度グループの強みを再定義する必要があると認識しております。当社のコアコンピタンスを見直す場として、全社事業戦略会議を開催し、経営トップ、事業責任者だけでなく、社外を含む取締役も参加し、当社のコア/ノンコアを再定義するとともに、全社事業戦略を定量的、定性的に議論し、決定いたします。また、コアコンピタンスを活かした「既存事業の深化」と「新規事業の進化」を念頭に、事業ポートフォリオ改革を推進してまいります。2026年2月よりポートフォリオ管理委員会を発足し、当社ポートフォリオの評価軸を定めるとともに、事業性・コアコンピタンス・ガバナンスなどの観点から各事業の取組み方針(成長/改善/統合等)および今後の全社戦略における各事業の位置づけについて協議しております。戦略的な投資配分について、事業領域毎の投資可能枠の設定や、ガバナンス強化、IT・技術開発投資など、当社の成長に欠かせない領域の投資枠についても、同管理委員会での議論を開始しております。さらに、事業性のみならずグループ全体のガバナンスの観点からもグループ会社の適正化・再構築を行います。グループ会社全社に対して上場企業基準のグループガバナンスの徹底を最重要視し、その方策の一つとして事業特性が同じ会社の統合を進めます。一方で当社のコアコンピタンスに合致せず、事業撤退の判断となった会社はベストオーナーに対し適切なプロセスを経て事業譲渡を推進し、2028年度中の完了を目標といたします。 当社は、上記の4項目を柱とする再発防止策の実行を、グループ一体となって推進し、経営の透明性と健全性を高め、社会的信頼の回復に全力を尽くしてまいります。 なお、各セグメントの取り組みは、次のとおりであります。 (デジタル&インダストリー)産業ガス分野では、鉄鋼・化学などの素材分野向けを中心に国内の産業ガス需要が減少基調にある中で、地域供給ニーズへの高い対応力・競争力を活かして、各種ガスの安定供給及び新規需要の獲得に努めております。また、中東情勢の影響による原油価格高騰に伴い、電力費や物流費の上昇が見込まれる中で、これらのコストアップ影響を反映した価格マネジメントに取り組んでおります。半導体・エレクトロニクス分野では、生成AI向けを中心とする先端半導体工場の増強・拡大に対応した大型プラント投資や新規取引先の開拓により、ガス需要の取り込みを進めております。あわせて、特殊ケミカル及び同供給装置、ガス精製装置、関連工事など、半導体製造プロセスを支えるグループ商材・サービスをトータルソリューションで提供できる強みを活かし、最先端ニーズから周辺分野まで幅広い需要に対応することで、事業拡大を図ってまいります。グローバル分野では、当社が国内で培ってきた強みや知見を活かし、新市場における成長拡大と高い収益性の実現を目指しております。一方で、各国の政策動向等に起因する地政学リスクを背景とした事業環境の変化や、国内とは異なる商慣習・市場特性・ボラティリティに適切に対応していく必要があります。インドの産業ガス分野は、政府による積極的なインフラ投資政策を背景に、鉄鋼をはじめとしたガス需要の拡大が見込まれることから、オンサイト供給案件の新規獲得や自社液化ガス工場の稼働によるローリー・シリンダー事業の拡充を進めてまいります。北米の産業ガス分野は、現地ディストリビューターとの連携やM&Aを通じて事業展開エリアを拡大するとともに、自社プラントの設置によりメーカーとしての事業基盤の確立を進めております。これにより、産業ガスの製造から販売まで一貫した事業インフラの構築を推進してまいります。高出力UPS(無停電電源装置)分野では、データセンターや半導体工場のBCPに不可欠なバックアップ電源ソリューションを提供しており、需要拡大を背景とした新規受注の獲得により成長を目指してまいります。 (エネルギーソリューション)産業ガス分野では、液化炭酸ガス・ドライアイスの原料となる排ガスCO2の調達先(製鉄所や化学プラント等)の統廃合が進み、業界全体において生産数量が減少傾向にある中で、国内外からのバックアップを含めた安定供給体制の構築・維持に努めております。また、こうした原料調達の難化により製造原価や横持ち物流費の上昇が進む中で、こうしたコストアップ影響を反映した適正な価格マネジメントを徹底するとともに、生産工場プロセスの省人化をはじめとする生産性向上にも引き続き取り組んでおります。低炭素・脱炭素分野では、社会のカーボンニュートラル実現に向けて、北海道において家畜ふん尿由来のクリーンエネルギーである液化バイオメタンの製造・販売を行っております。また、低濃度排ガスCO2から液化炭酸ガス・ドライアイスを製造する小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」や、垂直ソーラー発電システム「VERPA」など、脱炭素ソリューションの社会実装化に注力しております。エネルギー分野では、北海道を中心としたLPガス・灯油供給において、人口減少を背景に需要・消費が減少傾向にあるほか、地方販売店の人手不足や後継者不在による廃業も顕在化しつつあります。こうした中で、販売店の商権取得等による直販体制の強化と全体数量の維持・拡大に努めるとともに、IoT技術を活用した配送の効率化など、収益力の強化に取り組んでおります。 (ヘルス&セーフティー)医療分野では、病院をはじめとする医療機関において、物価・人件費・エネルギーコストの上昇を背景に消耗材の使用抑制等の動きが見られる中で、ガス・機器・材料の供給ならびに病院設備工事を含めたトータルソリューションの提供に努めております。医療機関向け製品供給においては、医療用ガスの供給基盤を活かして医療現場のニーズを把握し、最適な医療機器・医療材料まで総合的に提案・提供しております。中長期の成長に向けては、健康寿命の延伸や在宅医療体制の構築といった社会的ニーズを踏まえ、人々の健康増進、リハビリによる予後の改善、在宅患者のQOL(生活の質)向上につながる医療機器や介護用製品の開発体制の強化を進めてまいります。SPD(病院物品物流管理)や病院向け滅菌受託といった医療現場のサポートにおいては、低収益取引の見直しや効率化を進めてまいります。手術室の改修など病院設備工事においては、直接受注による収益力の強化に取り組んでまいります。防災分野では、データセンターや電力施設向けのガス消火設備工事の需要が高まる中で、新規案件の獲得による事業拡大を推進するとともに、旺盛な需要に即応できる工事人員体制の強化を図ってまいります。コンシューマーヘルス分野では、グループリソースの最大活用やサプライチェーンの拡充等により事業体制の強化を進めるとともに、衛生材料・注射針の販売拡大、化粧品・エアゾール受託増を通じて事業拡大及び収益力の強化に取り組んでまいります。 (アグリ&フーズ)農産分野では、天候影響等に伴う豊作・不作や市場価格変動が主要なリスク要因となる中、作物ごとの圃場(契約農場)の拡大を通じて全体調達量の安定確保を図ることで、ボラティリティの低減に取り組んでおります。また、当社のロジスティクス分野が有する全国ネットワークを活かし、原料野菜の調達や青果流通・加工・販売におけるサプライチェーンネットワークの構築を強化し、安定供給の維持と事業拡大を図ってまいります。食品分野では、食肉加工品の原料輸入において、為替変動リスクをヘッジするとともに、原材料費・労務費・物流費・エネルギーコスト等の上昇に対しては、適時適正な価格改定によりコストアップ影響の吸収に取り組んでおります。飲料分野では、消費者向け製品価格の上昇が消費マインドの低下につながることで、飲料の受託生産数量の減少に直結するリスクを内包しております。また、各種コストの上昇が進む中、適正な収益水準の確保に向け、契約価格の見直しに随時取り組んでおります。あわせて、飲料製造における充填ラインの増強による生産性向上等を通じ、収益力の強化を進めてまいります。 (その他の事業)ロジスティクス分野では、中東情勢の影響による原油価格高騰に伴い、軽油価格(トラック燃料費)の上昇が大きなリスク要因となる中、最適な軽油調達方法の判断や、荷主への価格転嫁の申し入れを含め、適切なタイミングを見極めながら対応を進めております。電力分野では、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)により売電価格が一定程度保証されている一方で、発電燃料となるPKS(パームヤシ殻)や木質ペレットは海外から輸入しており、PKS市況や海上輸送運賃の変動に伴う調達価格の変動が大きなリスク要因となっています。こうした中で、計画外停止の最小化による安定操業の維持や、荷揚港湾施設の運用改善、為替変動リスクのヘッジ、燃料調達先の多角化や燃料ミックスの見直し等を複合的に推進することにより、稼働率の向上、原価低減及びコスト変動リスクの低減を図ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度の売上収益は1兆667億9千5百万円(前期比5.3%増)、営業損失は371億5千7百万円(前期は625億3千8百万円の営業利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は639億4千9百万円(前期は399億2千9百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。なお、2025年10月9日付「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」で公表した当社における在庫等に関する不適切な会計処理につきましては、特別調査委員会による調査結果等を踏まえ、必要な対応を進めております。当該不適切会計に伴う影響については、特別調査委員会による調査結果に加え、自主点検対応(決算数値及び会計処理の再点検を含む)の結果を踏まえ、これらを併せた一時影響額を当期及び過年度の業績に反映しております。また、これらに係る調査関連費用として130億3千6百万円を計上しております。また、過去の投資案件について、事業環境及び将来収益性を踏まえて事業計画を見直し、回収可能性を検討した結果、海外事業を中心としたのれん及び固定資産等に係る減損損失として1,079億8千1百万円を計上しております。その他、新規連結に伴う段階取得差益として123億2千5百万円を認識しております。 売上収益営業利益又は営業損失(△)親会社の所有者に帰属する当期利益又は親会社の所有者に帰属する当期損失(△)2025年3月期(百万円)1,013,07062,53839,9292026年3月期(百万円)1,066,795△37,157△63,949前期比(%)105.3-- セグメントの業績及び概況につきましては、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は「5.事業セグメント」の「(2)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。 <デジタル&インダストリー>当セグメントの売上収益は3,299億3千8百万円(前期比4.2%減)、営業損失は408億8千8百万円(前年同期は301億1千3百万円の営業利益)となりました。インダストリアルガスユニットは、エアセパレートガスをはじめとする各種産業ガスの価格マネジメント効果が業績に寄与しました。ガスプロダクツユニットは、鉄鋼オンサイトにおいて、一部高炉の停止等により、ガスの供給量が減少しました。デジタルユニットは、生成AI向け半導体関連の旺盛な需要を背景に、先端半導体向けのガス供給に加え、半導体製造装置向け熱制御装置等の販売が増加しました。機能材料分野は、シール材や基礎化学品の販売回復に加え、価格マネジメントの進展により、順調に推移しました。グローバルエンジニアリングユニットは、インド事業では、鉄鋼向けオンサイトプラントや自社液化ガスプラントの新規立ち上げ等でガス供給体制を強化した一方で、顧客高炉のメンテナンス長期化等により、プラント稼働は期を通じて不安定に推移しました。北米事業では、産業ガスは地域販売を中心に底堅く推移しましたが、低温機器は米国政策の影響を受けた水素関連需要の減少等を踏まえ、一部事業の見直しを行いました。高出力UPSでは、DRUPS(ロータリー式無停電電源装置)は幅広い地域・業種で受注が進み堅調に推移しましたが、非常用発電機は中国勢との競争激化等により低調に推移しました。なお、当セグメントにおいては、グローバルエンジニアリングユニットにおけるのれん及び固定資産の減損損失を織り込んでおります。その他、低温機器の一部撤退費用を一時影響額として含んでおります。これらの結果、売上収益は前期を下回り、営業損失となりました。 <エネルギーソリューション>当セグメントの売上収益は985億2百万円(前期比6.3%増)、営業利益は63億9千4百万円(同21.4%減)となりました。エネルギーソリューションユニットは、LPガス・灯油ともに販売単価の改定や付帯サービス料金の見直し効果が寄与したほか、主力である家庭向けの販売数量が増加しました。グリーンイノベーションユニットは、炭酸ガスでは原料ガス不足の影響を受ける中で安定供給に努めたほか、価格マネジメント効果等も加わり、順調に推移しました。水素はデータセンター需要を背景とした電子産業向けを中心に販売数量が拡大しました。なお、当セグメントにおいては、グリーンイノベーションユニットにおける固定資産の減損損失による一時影響額を織り込んでおります。これらの結果、売上収益は前期を上回りましたが、営業利益は前期を下回りました。 <ヘルス&セーフティー>当セグメントの売上収益は2,684億7千1百万円(前期比21.8%増)、営業利益は103億9千5百万円(同13.0%減)となりました。メディカルプロダクツユニットは、医療用酸素の新規獲得など販売強化に努めたものの、全体としては供給減となりました。加えて、医療機器や消耗材も販売減となるなど、病院・医療市場における需要減の影響を受け、総じて厳しい状況で推移しました。防災ユニットは、電力関連施設やデータセンター向けのガス消火設備工事が好調に推移しました。また、病院設備工事においてもメンテナンスサービスの受注強化に努めるなど、全体を通して堅調に推移しました。在宅ヘルスケアユニットは、注射針の生産・販売増に加え、コンシューマ向け衛生用品の販売も順調に推移しました。デンタルユニットは、歯科業界の高度デジタル化を背景に、歯科材料ならびに口腔医療向けデジタル成形機器の取り扱いが増加しました。また、当第3四半期より、歯科材料・用品の通信販売事業を新規連結しております。なお、当セグメントにおいては、デンタルケアユニットを中心としたのれん等の減損損失による一時影響額を織り込んでおります。これらの結果、売上収益は前期を上回りましたが、営業利益は前期を下回りました。 <アグリ&フーズ>当セグメントの売上収益は1,529億8千8百万円(前期比2.2%増)、営業利益は36億6千4百万円(同26.5%減)となりました。アグリユニットは、青果小売では店舗運営の合理化を進めた一方で、青果流通では北海道産の馬鈴薯の販売が期後半に一転して大きく減少し、期全体としては横ばいで推移しました。フーズユニットは、大手量販店向けを中心にハム・デリカの販売強化を進めたほか、コンビニエンスストア向けスイーツの生産性改善が進展するなど、堅調に推移しました。飲料ユニットは、主要顧客向けの清涼飲料水の生産が伸長するなど、堅調に推移しました。なお、当セグメントにおいては、フーズユニットを中心としたのれん等の減損損失による一時影響額を織り込んでおります。これらの結果、売上収益は前期を上回りましたが、営業利益は前期を下回りました。 <その他の事業>当セグメントの売上収益は2,168億9千4百万円(前期比5.4%増)、営業利益は14億7千5百万円(同80.3%減)となりました。海水事業は、製塩では期後半から価格マネジメントによるコスト上昇分の吸収に取り組んだほか、水処理工事では受注案件の増加などにより、堅調に推移しました。電力事業は、小名浜バイオマス発電所の主要な発電燃料であるPKS(パーム椰子殻)調達価格が安価に推移したほか、計画外停止ゼロにより安定稼働しました。専門商社事業は、電子部品や先端半導体向けの受注増を中心に、堅調に推移しました。物流事業は、食品物流の主要顧客における受託料金の適正化が進展したほか、米穀物流の新規受託などにより、堅調に推移しました。一方、インフレ及び円安の進行等の経営環境の著しい悪化等により、エア・ウォーター小名浜バイオマス電力株式会社及び株式会社日本海水TTS苅田パワーでは、減損損失を計上しました。これらの結果、売上収益は前期を上回りましたが、営業利益は前期を下回りました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 ① 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)デジタル&インダストリー138,35495.5エネルギーソリューション18,786114.3ヘルス&セーフティー50,066100.8アグリ&フーズ108,795103.1その他54,48869.7合計370,49093.9 (注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 ② 受注状況製品のほとんどが見込生産であります。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)デジタル&インダストリー329,93895.8エネルギーソリューション98,502106.3ヘルス&セーフティー268,471121.8アグリ&フーズ152,988102.2その他216,894105.4合計1,066,795105.3 (注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。 (2) 財政状態(資産の部)総資産は、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べて61億7千7百万円増加し、1兆2,162億8千7百万円となりました。 (負債の部)負債は、社債及び借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べて534億3千万円増加し、8,053億1千6百万円となりました。 (資本の部)資本は、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上などにより前連結会計年度末に比べて472億5千3百万円減少し、4,109億7千万円となりました。以上の結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の1,929.76円から1,702.38円に減少しております。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の36.5%から32.1%となりました。なお、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度9.2%から△15.4%となっております。 (3)キャッシュ・フロー① 資本政策の基本的な考え方当社は、持続的な成長を通じた中長期的な企業価値向上のため、財務の健全性を維持しつつ、資本効率性及び収益性を重視した財務運営を行っております。ROE及びROICを重要な経営指標と位置付け、各資本政策の基本的な考え方に記載のとおり、事業の収益力及びキャッシュ・フロー創出力の向上、事業ポートフォリオの見直し、投資規律の徹底並びに運転資本の最適化を推進してまいります。 当連結会計年度においては、既存事業の収益性改善及び運転資本の最適化に取り組むとともに、投資有価証券及び有形固定資産の売却、債権流動化等を通じ、資産効率の向上及び財務基盤の強化を図りました。今後も、資本効率性及び収益性を重視し、キャッシュ・フロー創出力の向上に取り組んでまいります。資金配分につきましては、規律ある投資判断を前提に、成長投資を継続しつつ、財務の健全性及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、業績に見合った安定的な株主還元を行ってまいります。なお、当事業年度の配当金につきましては、当期損失を計上したものの、財務状況、キャッシュ・フロー及び株主還元の継続性等を総合的に勘案し、1株当たり年間配当額を75円といたしました。 次期配当予想につきましては、現在、新経営方針、事業戦略及び事業ポートフォリオ見直し等の内容を踏まえ、株主還元方針を含めて検討を進めていることから、現時点では未定としております。合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示する予定です。 ② キャッシュ・フローの状況(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益及び減価償却費等から法人所得税の支払等を差し引いた結果、前連結会計年度に比べ148億4千5百万円収入が増加し、1,075億8千3百万円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ283億3千5百万円支出額が増加し、886億1千1百万円の支出となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済等による支出が増加したものの短期借入金の純増により、前連結会計年度に比べて225億5千3百万円支出額が減少し、57億8百万円の支出となりました。 (現金及び現金同等物)当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ139億1千2百万円増加し、871億3千9百万円となりました。 ③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報中長期的に企業価値を高めていくために必要な成長投資の資金については、事業で創出されるキャッシュ・フローを充当し、不足する分は銀行借入或いは社債発行による負債調達を基本としております。手元資金については、資金効率を重視し事業継続に必要な適正水準を維持する方針としております。なお、資金の機動的かつ安定的な調達により、財務基盤の安定化を図ることを目的として、取引銀行3行との間に総額1,130億円のシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。成長投資については、経済活動の停滞が長期化した局面に備えて十分な財務の安全性を維持するため、今後のM&A投資及び設備投資は、事業環境の変化を慎重に見極めながら厳選してまいります。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。翌連結会計年度の事業環境については、インフレや大幅な為替変動に加え、米国関税政策の動向を中心に経済活動における不確実性が世界的に高まるなど、不透明な経済環境が当面の間継続することを仮定しております。その前提に基づき、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要性がある会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。 ① 非金融資産の減損当社グループは決算日において、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としており、資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、 当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ② 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。当社グループは、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用及び計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。

事業リスク

  • 海外事業展開に伴うリスク
    米国やアジア圏での海外事業展開は成長戦略の柱ですが、進出国の言語、法制、税制、関税政策の違いや、政治的・社会的な不安定さ、経済安全保障上のリスクにより事業が停滞する可能性があります。これにより、グループ全体の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 制度変更による影響
    日本では少子高齢化が進み、医療費抑制のための制度改革が継続的に行われています。メディカルプロダクツ事業では、将来的に診療報酬や薬価の大規模な改定があった場合、グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
  • 自然災害による事業影響
    地震、台風、豪雨などの自然災害の頻発化は、生産能力の低下や停止、供給・配送の遅延を引き起こす可能性があります。特にアグリ&フーズ事業では、野菜の収量変動が加工工場の操業に支障をきたし、売上減少や復旧費用発生により業績に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,344 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの事業展開上、事業の状況、経理の状況等に変動を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 当社のリスクマネジメント体制当社グループの事業活動において、事業を取り巻く様々なリスクを適切に把握・評価し、未然防止および影響の最小化を図るため、「リスクマネジメント・コンプライアンス部」がその統括部門として、当社及び子会社を横断的に管理する体制としております。情報セキュリティ、知的財産、海外事業展開および契約などに関わる個別リスクについては、それぞれの担当部門において、社内規程の制定、マニュアルの作成ならびに教育研修の実施などを行うとともに、事前審査や決裁制度を通じて当該リスクを管理する体制としております。また、リスクマネジメント・コンプライアンス部を事務局とするリスクマネジメント委員会を定期的に開催し、当グループにおける主要なリスクの把握とその対策状況についての検討などを行い、グループ全体におけるリスク管理体制の強化を推進しております。海外子会社については、当該会社を管理する事業ユニットと連携し、リスクマネジメント体制を構築しております。各海外子会社を対象に、年一回、リスクの特定、影響度合いと発生確率に応じたリスクの分析・評価、リスク対応策の検討という一連のプロセスでリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえてBCP(事業継続計画)を策定しております。リスクマネジメント・コンプライアンス部では、これらのリスクアセスメントおよびBCPに対して指導・助言を行うことにより、全社的なグローバルリスクを管理しております。また、事業活動への影響が大きいと想定されるリスクが発生した場合には、「危機管理規程」に基づき、直ちに危機管理委員会を社内に設置し、発生したリスクに対し迅速かつ適切に対処する体制を整えております。 (2) 事業等のリスク項目リスク内容当社グループの対策海外事業リスク当社グループは、成長戦略の一環としてM&Aによる海外事業展開を行い、米国やアジア圏を中心に海外進出を強化しております。しかしながら、事業を進めるうえで言語、法制、税制等の日本との相違や政治的、社会的および経済安全保障上のリスクにより事業が停滞することで、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。進出国ならびに域内の政治・経済・社会的状況、及び顧客・取引先その他のステークホルダーに関する情報を調査収集し、グループ内で共有を図っております。また、グローバルリスクマネジメント活動として、安全保障に関連する規程や基準を整備し、グループ内で輸出管理等の指導・助言を行っております。さらに、海外の取引先やエンドユーザーに関するチェック体制を強化する仕組みを導入し、安全保障貿易上のリスクや反社会的勢力との取引リスクの未然防止に努めております。加えて、グローバル事業展開で得たノウハウや知見を活かしながら、グループ横断的な、リスク管理体制を構築しております。制度変更リスク急速に少子高齢化が進む日本では、政府が健康寿命の延伸を目的とした「全世代型社会保障の構築」の方針を掲げ、高騰する医療費の抑制・適正化を図るための医療制度改革が継続して進められております。そのため、メディカルプロダクツ事業においては、将来、大規模な診療報酬や薬価の改定が行われた場合、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。メディカルプロダクツ事業においては、今後も医療費の適正化政策が継続することが予測される環境下で、医療機関や医療従事者における業務効率化・働き方改革への支援を目的とした製品・サービスの開発・拡充を推進し、変化する市場ニーズへの対応を図っております。自然災害リスク発生の予測が困難であり頻発化している自然災害(地震、津波、台風、豪雨、豪雪、強風、噴火など)の発生及び、それに伴う停電・断水などのライフラインの途絶や配送ルートの寸断が発生した場合には、生産能力の低下や停止、供給・配送の遅れや停止に伴う売上減少、対処費用や復旧費用、将来への予防対策費用など、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。アグリ&フーズ事業では、自然災害により主要原料である野菜の収量が大きく変動し、加工工場の操業に支障が発生する可能性があります。当社グループでは、自然災害への対応として、インダストリアルガス事業では、高効率小型液化酸素・窒素製造装置「VSU」と貯蔵・物流拠点の分散配置によって国内における産業・医療用ガスの安定供給インフラネットワークを整備しております。大規模自然災害を想定した防災訓練の定期的な実施や災害備蓄品の充実化を図り、リスクの最小化を図っております。エネルギー事業の主要事業エリアである北海道では、LPガス仕様の移動電源車を配備し、LPガス受入基地、LPガス充填工場、灯油基地において、停電時にも非常用電源が確保できる体制を整えております。アグリ&フーズ事業では、栽培・調達する野菜の産地分散化に取り組んでおります。品質リスク当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売などの事業のほか、多岐にわたる業種において製品やサービスを提供しており、これらの製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、法令やお客様の要求事項を満たすために品質管理を実施し、品質を保証しております。加えて、当社グループでは国際的な品質マネジメントシステムに準拠し、多岐にわたる業種に適用可能な管理体制の構築を進めております。 項目リスク内容当社グループの対策調達リスクインダストリアルガス事業の主力製品である酸素・窒素・アルゴンの製造には、大量の電力を使用しております。電力コストが大幅に上昇し、販売価格に転嫁できない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、希少な天然資源であるヘリウムガスなどは地政学的要因により、水素ガス、炭酸ガス及びドライアイスは石油精製会社等で副生・供給される原料ガスの稼働状況影響での減量により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。エネルギー事業の主力商品であるLPガス、灯油の仕入価格は、概ね原油価格に連動しております。原油価格が想定より大幅に下落した場合、高単価在庫を保有するリスクがありグループの業績に影響を与える可能性があります。アグリ&フーズ事業では、野菜や豚肉を主原料とした加工食品を製造・販売しており、これら原材料の価格は天候不順や市場における需給の変化、為替の変動により影響を受ける可能性があります。その他の事業では、日本のFIT制度において、海外バイオマス発電燃料のサプライヤーに対する安定供給や事業の持続可能性の確認が厳格化される動きがあり、基準を満たす燃料の需給が逼迫し、燃料価格が高騰するリスクがあります。また、バイオマス発電の燃料の大半は海外に依存しており、為替の影響や地政学的リスクにより、価格が上昇するリスクがあります。当社グループでは、顧客の理解を得ながら、適時適切に販売価格の改定を図り、収益確保に努めております。また、安定した原料調達及び製品供給のため、国内での貯蔵量増加、代替ソースの確保、代替燃料の投入準備、新規調達ルート開拓などの検討を進めております。事故リスク物流事業では、トラックやローリーといった大型車両を用い、一般貨物及び高圧ガスを始めとする危険物の輸送業務を行っております。そのため重大な事故が発生した場合には、損害賠償や車両の使用停止や事業所の営業停止などの行政処分を受け、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの物流事業では、運輸事業者として安全最優先の方針のもと、適切な安全管理体制の構築を図るために、安全管理規程、および交通安全管理規程を厳格に定め、運行管理の徹底、安全教育の実施など、日々安全対策活動に取り組んでおります。為替リスク当社グループは、海外事業を成長の柱として位置づけており、M&Aや会社設立を通して日本国外に多くの子会社を有しております。また、ヘリウムガスや半導体向け特殊ガスは、海外からの調達品であります。特に、外貨建てでの輸出入を行う国内子会社及びグローバル・エンジニアリング事業における高出力UPS事業を行う在外子会社では、原材料の仕入れや製品販売、ヘリウムなど海外調達品において、急激な為替レートの変動が起きた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、為替予約、仕入ルートの多様化複数化、在外子会社での取引通貨の一本化などにより為替リスクの最小化を図っております。 項目リスク内容当社グループの対策環境リスク当社グループは国内外の事業活動において、環境関連法規の規制を受けておりますが、環境関連法規の制定や改正によって規制強化が図られた場合、それに伴う事業活動の制限や対応にかかるコスト増加等が当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、製造工程で大量に電力を使用しているインダストリアルガス事業では、炭素税の賦課や排出権取引制度などの温室効果ガス排出規制が強化された場合、業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、中期経営計画や環境基本方針において、気候変動への対応を重要な経営課題として位置付け、重要評価指標(KPI)として温室効果ガス総排出量の削減目標を定めております。具体的な対応策は、『サステナビリティに関する考え方及び取組』の『(3)戦略・指標及び目標 1.気候変動に関する取り組み』に記載しております。情報セキュリティリスク当社グループは事業活動を行う中で、顧客の個人情報や他社等の機密情報を入手することがあります。また、当社グループ内で開発した技術情報を含む営業秘密を保持しております。これらの情報はサイバー攻撃などにより外部流出する可能性があります。また、生産設備、管理システムなどへ不正アクセスを受けた場合、情報の破壊や改竄、漏洩につながる可能性があります。これらの事象が発生した場合、顧客からの信用失墜や被害を受けた方への損害賠償、事業停止等が発生し、当社グループの業績に影響がでる可能性があります。当社グループでは「仕組みによる対策」と「体制・教育による対策」の両面から対策を講じております。「仕組みによる対策」では、情報端末、サーバー、ネットワーク等に対し、情報セキュリティシステムの強化を行い、外部からのアクセス制限・攻撃検知、マルウェアの侵入検知などの対策を行っております。「体制・教育による対策」では、世間動向を踏まえつつ、グループ規程の整備、eラーニングや標的型メール訓練などの教育研修による一人ひとりのセキュリティリテラシーの底上げ、グループ各社へのセキュリティ担当の設置による迅速なセキュリティ課題への対応などの対策を行っております。非金融資産の減損リスク当社グループは、有形固定資産、のれん及び無形資産など、多くの非金融資産を保有しております。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産又は資金生成単位(以下、「当該資産」という。)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しております。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無に関わらず、毎期減損テストを実施しております。減損損失が発生した場合には、当社グループの事業展開、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、定期的に実施するのれんや無形資産の減損テスト、減損の兆候がある場合に実施する有形固定資産の減損テストを通じて評価額を把握し、適切に処理しております。 項目リスク内容当社グループの対策 ガバナンスの機能不全に関するリスク(当該年度において顕在化した重要事項)2025年7月、当社の連結子会社において、在庫を巡る不適切な会計処理が確認されたことを契機に、同年10月、外部専門家からなる特別調査委員会を設置し、当社グループにおける不適切な会計処理の有無や実態について、独立した立場からの調査を行いました。その後、調査の進展に伴い、対象は当初想定を超えて拡大し、当社および相当数のグループ会社において、複数年度にわたる不適切な会計処理が行われていたことが明らかになりました(2026年3月31日及び2026年6月19日付で調査報告書を受領)。※株式会社東京証券取引所による措置に関するリスクは欄外に記載(再発防止に向けた取組み)当社は今回の事態を厳粛に受け止め、調査報告書において認定された事実関係ならびに外部の専門家による審議・提言も踏まえたうえで関係者の責任に応じた処分を行うとともに、調査報告書および提言を真摯に受け止め、検討・ 審議を重ねたうえで、「企業風土改革」「ガバナンス改革」「経営管理基盤、内部統制の再構築」「全社戦略の見直し(事業ポートフォリオの見直し)」の4項目を定めた再発防止策を策定し、経営の最優先課題として推進し、経営の透明性と健全性を高め、社会的信頼の回復に全力を尽くしております。 資金調達リスク当社グループの金融機関からの借入には、財務制限条項を含む借入人又は保証人の確約に係る条項が付されているものがあります。これらに抵触した場合、期限の利益を喪失するなど、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点までに受領した特別調査委員会による調査報告書において、当社グループで不適切な会計処理が行われていたことが判明したことにより、当社グループが主要取引金融機関と締結しているシンジケートローン契約等の一部の借入について借入人の確約に係る条項に抵触するおそれがあり、今後の金融機関との協議結果や金融機関による判断によっては、期限の利益を喪失するおそれがあります。また、借入人㈱日本海水TTS苅田パワー、保証人㈱日本海水のコミットメント付タームローンによる借入については、㈱日本海水TTS苅田パワー及び㈱日本海水において財務制限条項に抵触しており、貸付人の請求により期限の利益を喪失するおそれがあります。 当社グループでは、エージェントを含む主要取引金融機関と緊密な関係を維持し、建設的な協議を継続しております。借入人㈱日本海水TTS苅田パワー、保証人㈱日本海水のコミットメント付タームローンによる借入については、借入人である㈱日本海水TTS苅田パワー及び保証人である㈱日本海水に付された財務制限条項に抵触しておりますが、現時点では期限の利益喪失条項を適用する旨の通知は受けておりません。今後も主要取引金融機関に適切に情報開示を行い、十分なコミュニケーションを行っていくことで、継続的な支援が得られるものと考えております。 ※特別注意銘柄指定による上場廃止リスクへの対応2026年4月30日、株式会社東京証券取引所より、当社株式を2026年5月1日付で特別注意銘柄への指定、上場契約違約金の徴求を行う旨についての通知を受けました。特別注意銘柄指定期間は、2026年5月1日から原則1年間とし、1年後に当社から内部管理体制確認書を提出、株式会社東京証券取引所が内部管理体制等の審査を行い、内部管理体制に問題があると認められない場合には指定が解除になります。一方で、内部管理体制に問題があると認められる場合には、原則として上場廃止となります。ただし、指定から1年経過後の審査において、内部管理体制等が適切に整備されていると認められるものの、適切に運用されていると認められない場合(適切に運用される見込みがある場合に限ります。)には、特別注意銘柄の指定を継続し、当該指定の継続を決定した日の属する事業年度(当該指定の継続を決定した日から当該事業年度の末日までの期間が3か月に満たない場合は当該事業年度の翌事業年度)の末日以降の審査までに、内部管理体制等の運用状況の改善を求められ、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認める場合にはその指定が解除されます。一方で、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合には上場廃止となります。なお、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認めるものの、経過観察の対象銘柄に該当する場合には、最長3事業年度、指定が継続され、その間同審査が行われます。 当社としては、2026年4月3日付公表の通り、特別調査委員会の調査報告書で指摘された発生原因および提言を踏まえ、「企業風土改革」「ガバナンス改革」「経営管理基盤、内部統制の再構築」「全社戦略の見直し(事業ポートフォリオの見直し)」の4項目を柱とした再発防止策に取り組んでおります。このたび、特別注意銘柄に指定されたことから、上記再発防止策の各事項が十分であるかを再検討するとともに、企業風土改革、経営体制・ガバナンスの適正性、役員体制(取締役・監査役)及び選任プロセス、内部管理体制(内部監査・子会社管理を含む)の整備・運用等について、再発防止策で検討がなされていない項目も含めて、外部専門家の支援も受けながら改善計画を策定し、改善計画・状況報告書を提出予定です。当社は企業風土、ガバナンスおよび内部統制の抜本的な見直しと強化を経営の最優先課題として進めるとともに、今後も再発防止策の着実な実行と、その進捗状況の適切な開示を通じて、信頼回復に全力を尽くしてまいります。

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