事業の概要
- BPOサービス提供プレステージ・インターナショナルは、損害保険会社、自動車メーカー、不動産管理会社、クレジットカード会社などを主要顧客とし、カスタマーコンタクト、アシスタンス、アフターサービス、決済、損害調査、支払業務といった多岐にわたるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを企画・提供しています。これにより、企業が本来の業務に集中できるよう支援し、効率化とコスト削減に貢献しています。
- グローバルな事業展開同社グループは、日本国内だけでなく、米国、欧州、アジア・オセアニア地域に36の連結子会社と2社の持分法適用関連会社を展開し、グローバルにサービスを提供しています。特に海外旅行保険の被保険者向けサービスや、海外進出日系企業向けのヘルスケアプログラムなど、国際的なニーズに対応した事業が特徴です。
- 多様な事業セグメントオートモーティブ、プロパティ、グローバル、カスタマー、金融保証、IT、ソーシャルといった複数の事業セグメントを通じて収益を上げています。例えば、オートモーティブ事業ではロードアシスタンスや自動車延長保証、プロパティ事業では不動産管理会社向けアシスタンスサービスなどを提供し、幅広い分野で顧客企業の業務をサポートしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 日本事業日本国内での事業は、売上高591.5億円、営業利益85.4億円と、同社グループの収益の大部分を占める主要なセグメントです。オートモーティブ、プロパティ、カスタマー、金融保証、IT、ソーシャルといった多様な事業を展開し、国内の損害保険会社や自動車メーカー、不動産管理会社などを主要顧客としています。
- 米州・欧州事業米州および欧州地域での事業は、売上高30.6億円、営業利益5.8億円となっています。この地域では、海外旅行保険の被保険者向けサービスや、海外進出日系企業向けのヘルスケアプログラムなどを提供しており、グローバル事業の一翼を担っています。
- アジア・オセアニア事業アジアおよびオセアニア地域での事業は、売上高15.1億円、営業利益4.6億円です。この地域もグローバル事業の一部であり、海外旅行保険関連サービスや日系企業向けサポートなどを展開し、現地のニーズに合わせたサービスを提供することで、国際的な事業基盤を強化しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan | 地域 | 591 | 85 | 14.4% |
| AmericaAndEurope | 地域 | 31 | 6 | 18.9% |
| AsiaAndOceania | 地域 | 15 | 5 | 30.4% |
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3【事業の内容】当社グループは、当社、連結子会社36社、持分法適用関連会社2社により構成され、オートモーティブ事業、プロパティ事業、グローバル事業、カスタマー事業、金融保証事業、IT事業及びソーシャル事業を展開しております。セグメント別の区分は下記のとおりです。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 セグメント別区分会 社 名日本当社、株式会社プレステージ・コアソリューション、株式会社プレステージ・グローバルソリューション、株式会社プレステージ・ヒューマンソリューション、タイム・コマース株式会社、株式会社プレミアアシスト、株式会社プレミアアシスト・ネットワーク、株式会社プレミアライフ、株式会社イントラスト、株式会社プレミアIT&プロセスマネジメント、株式会社プレミア・クロスバリュー、株式会社プレミアロータス・ネットワーク、株式会社プレミア・エイド、株式会社プレミア・インシュアランスソリューションズ、株式会社PI・EISインシュアランステクノロジー、株式会社プレミア・ブライトコネクト、キャロルシステム株式会社、株式会社プライムアシスタンス、株式会社ファースト リビング アシスタンス米州・欧州PRESTIGE INTERNATIONAL USA INC.、PRESTIGE INTERNACIONAL DO BRASIL SERVICOS E CORRETORA DE SEGUROS LTDA.、Prestige International UK Ltd.、PRESTIGE INTERNACIONAL MÉXICO LTDAアジア・オセアニアPrestige International (S) Pte Ltd.、P.I. PHILIPPINES, INC.、JHD MED-AID INC.、JAPANESE HELP DESK INC.、PRESTIGE INTERNATIONAL CHINA CO., LTD.、PRESTIGE INTERNATIONAL (THAILAND) CO., LTD.、P.I.ASSISTANCE (THAILAND) CO., LTD.、Prestige International (HK) Co., Limited.、Prestige International (Taiwan) Co., Limited、PRESTIGE INTERNATIONAL AUSTRALIA PTY LTD、P.I.PRESTIGE INTERNATIONAL INDIA PRIVATE LIMITED、P.I. PRESTIGE INTERNATIONAL (CAMBODIA) CO., LTD.、P.I MYANMAR PTE LIMITED、PRESTIGE INTERNATIONAL (M) SDN. BHD.、PRESTIGE INTERNATIONAL VIETNAM Co.,Ltd、PI INSURANCE TECHNOLOGY SINGAPORE PTE. LTD. 当社グループの事業は、損害保険会社、自動車会社、不動産管理会社、クレジットカード会社等を主要なクライアント企業とし、カスタマーコンタクト業務、アシスタンス業務、アフターサービスに関する業務、決済及び請求業務、損害調査業務、支払業務等のサービスを企画・提供するものであり、コンタクトセンターや関係会社をグローバルに展開しております。 当社グループの事業区分ごとの事業内容及び主要な関係会社名は以下のとおりです。 事業区分事業内容主要な関係会社名オートモーティブ[概要]損害保険会社、自動車会社(メーカー、販売会社)等を主なクライアント企業とし、エンドユーザー(被保険自動車の保有者、自動車購入者)に対してロードアシスタンスサービスや自動車延長保証等の幅広いサービス提供を行う。 [例]24時間年中無休のカスタマーコンタクトサービス、ディーラーサポート、自動車延長保証等、ロードアシスタンスサービスにおける手配システムの企画・開発・運用・保守等㈱プレステージ・コアソリューション㈱プレミアアシスト㈱プレミアアシスト・ネットワーク㈱プレミアロータス・ネットワーク㈱プレミア・エイド㈱プレミア・インシュアランスソリューションズ㈱プレミア・ブライトコネクト㈱プライムアシスタンス(注)1. ロードアシスタンスサービスは、①故障現場において30分程度で対処可能な緊急修理(バッテリーあがりの際にケーブルをつないでスタートさせるジャンピング、パンクタイヤの交換、車内に鍵を忘れたままの旋錠の開放等)、②現場修理が不可能な故障の場合におけるレッカー移動の手配、③故障が車両保有者の自宅から離れた場所で発生した場合における帰宅・宿泊・レンタカーの案内や手配、もしくは修理済み車両の託送手配等クライアント企業がお客様(被保険自動車の保有者、自動車購入者)に提供しているサービスであります。 事業区分事業内容主要な関係会社名プロパティ[概要]不動産管理会社や駐車場運営会社等を主なクライアント企業とし、マンション等の入居者や駐車場の利用者からの緊急要請に対応した24時間年中無休のアシスタンスサービスを提供する。また、ペットに関連したBPOサービス全般の開発・提供を行う。 [例]不動産会社向けアシスタンスサービス(水漏れ、電気設備、付帯設備の不具合の解決等)、駐車場管理会社向けアシスタンスサービス、住宅設備延長保証、カスタマーコンタクトサービス、ペット関連のアシスタンスサービス(相談・往診・搬送等のトータルケア)、手配システムの企画・開発・運用・保守等㈱プレステージ・コアソリューション㈱プレミアアシスト㈱ファースト リビング アシスタンスグローバル[概要]損害保険会社を主なクライアント企業とし、海外旅行保険の被保険者に対して、24時間日本語受付サービスやクレームエージェントサービスを提供する。そのノウハウ及びネットワークを活かし、日本人駐在員が多い事業会社をクライアント企業として、日本人駐在員の海外での傷害・病気に対処するヘルスケアプログラム(HCP)や現地法人向けメディカルサポートプログラム(MSP)、プレミアヘルスクリニック(当社直営クリニック)の運営を展開する。また、海外金融機関及び日系航空会社と提携し、米国において、主に日本人駐在員向けに現地通貨で決済できるクレジットカードを発行する。 [例]海外旅行保険の被保険者向けサービス(24時間日本語受付サービス、キャッシュレス・メディカルサービス等)、HCP、MSP、PREMIO CARDの発行及び運営等㈱プレステージ・グローバルソリューション㈱プレミアIT&プロセスマネジメント海外子会社19社(注)2. 24時間日本語受付サービスは、保険に加入したお客様(被保険者)からの電話等による傷害・疾病・事故等の受付、現地の医師・医療機関の紹介及び手配、保険契約の内容や保険金請求に関する照会、付添人・通訳の手配、警察への盗難届・事故証明書取付け等のサポート業務であります。 (注)3. クレームエージェントサービスは、海外旅行保険に加入したお客様(被保険者)の傷害・疾病・事故等に関する原因調査並びに損害等の査定、海外医療機関との医療費の減額交渉や折衝、医療費等(保険金)の立替払い、保険金請求に必要な書類及び証明書の取付け等を行うサポート業務であります。 4. ヘルスケアプログラムは、海外進出日系企業と国内で契約を結び、その日本人駐在員に対しサービスを提供いたします。(注)3にて構築した全世界の医療機関ネットワークを通して、赴任先における医療機関の紹介や健康保険組合に対する申請書類の翻訳・作成等の医療費精算サポートを行います。健康保険利用や受診時通訳サポート利用など、オーダーメイドでのサービス構築が可能となっております。 5. メディカルサポートプログラムは、当社海外子会社が日系企業の海外現地法人や日本人駐在員個人と直接契約を結び、医療費精算サポート等を行います。現地の医療情報などを海外子会社より発信することで、タイムリーな情報提供を行います。 6. プレミアヘルスクリニックは、海外現地総合病院の混雑や長い待ち時間などの課題に対し、軽い症状でも気軽に受診でき、透明性のある医療費で医療サービスを邦人向けに提供する海外子会社の直営クリニックであります。 事業区分事業内容主要な関係会社名カスタマー[概要]クレジットカード会社や通信販売会社、ポータルサイト運営会社、通信会社等を主なクライアント企業とし、CRMサービスを提供。また、損害保険会社等に対し、(被保険者からの緊急要請に対応して24時間年中無休の事故受付を提供する)事故受付業務や製品保証ビジネス等を行う。各種給付金のサポートセンターやDX推進サポート等、自治体に関連したビジネスも展開する。 [例]CRMサービス、事故受付、製品保証ビジネス、自治体向けビジネス、少額短期保険の事務受託業務、販売促進システムの開発及び提供、人材派遣・人材紹介サービス等㈱プレステージ・コアソリューション㈱プレステージ・グローバルソリューション㈱プレステージ・ヒューマンソリューションタイム・コマース㈱㈱プレミア・クロスバリュー金融保証[概要]不動産管理会社等をクライアント企業とし、家主に対して家賃滞納リスクを一定期間一定限度保証する家賃保証プログラムを行う。同スキームを応用した様々な金融保証サービスを展開する。 [例]家賃債務保証、医療費用保証、介護費用保証、養育費保証等㈱プレミアライフ㈱イントラストキャロルシステム㈱IT[概要]電話応対業務の高度化システムの提供やサプライチェーマネジメント(SCM)システム等の開発、グループ会社向けの業務システムの開発を行う。 [例]各事業の基幹システム・自動手配システム・査定システム等の開発・運用、SCMサービス、ビジネスプロセスのコンサルティング・開発・構築運用保守等タイム・コマース㈱㈱PI・EISインシュアランステクノロジーPI INSURANCE TECHNOLOGY SINGAPORE PTE. LTD.ソーシャル[概要]女子スポーツチーム「アランマーレ」、保育事業「オランジェリー」、及び地方創生に関連した社会貢献事業を行う。㈱プレステージ・インターナショナル㈱プレステージ・コアソリューション 2026年3月31日現在の当社グループの事業の系統図を示すと、次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 クライアント企業との契約は一定期間ごとに改定する内容となっており、想定を超えた費用は事後補填される場合があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | ネットワーク 全国各地の自動車整備会社やレッカー業者、水道修理業者、電気工事業者や鍵業者など協力会社を含む全国ネットワーク |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 低い |
会社が挙げる主要リスク:BPO市場の成長鈍化 / 世界情勢等におけるリスク / 信用失墜や風評のリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
財務サマリに時系列データが収録されておらず、ブランド力や特許、規制ライセンスに関する具体的な情報が得られないため、無形資産による競争優位性は現時点では評価できない。
スイッチングコスト★★☆☆☆
自動車保険の事故受付・代行サービスや、自動車整備・修理に関するサービスを提供しており、一度利用した顧客が他社に乗り換える際の心理的・手続き的なハードルは一定程度存在する可能性がある。しかし、乗り換えによる具体的な損失額や、顧客の定着を強固にする仕組みに関する情報は不足している。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
提供サービスは主にBtoCまたはBtoBであり、ユーザー数の増加がサービス価値を直接的に高めるネットワーク効果は期待できない。顧客基盤の拡大は事業規模の拡大に繋がるが、ネットワーク効果とは異なる。
コスト優位★☆☆☆☆
サービス業であり、スケールメリットによるコスト削減の余地はあるものの、構造的に競合他社よりも大幅に低いコストでサービスを提供できる優位性を示す具体的な証拠は現時点では見当たらない。人件費や設備投資がコスト構造の主要因と考えられる。
規模の経済★★★☆☆
自動車保険の事故受付・代行サービスやロードサービス、自動車整備・修理サービスにおいて、国内で一定のシェアを有していると推測される。業界全体で多数の事業者が存在する中で、一定規模の事業展開により、効率的なオペレーションや仕入れ交渉力といった規模の経済性を享受している可能性がある。
- 多角的なBPOサービス同社は、ロードアシスタンス、住宅設備アシスタンス、海外旅行保険サポート、ヘルスケアプログラムなど、多岐にわたるBPOサービスを提供しています。これにより、特定の業界やサービスに依存せず、幅広い顧客ニーズに対応できるため、安定した収益基盤を築いています。
- グローバルな拠点ネットワーク日本国内に加え、米国、欧州、アジア・オセアニアに多数の海外拠点を持ち、24時間体制での日本語対応サービスや現地での医療機関ネットワークを構築しています。このグローバルな展開は、海外での緊急時対応や日系企業の海外事業支援において、他社にはない強みとなっています。
- 地方拠点の活用とIT投資東北地方(秋田、山形、岩手)や北陸地方(富山、新潟)にBPO拠点を設けることで、首都圏に比べて安定した人材確保を図り、業務拡大要請や有事の際の複数拠点化に対応しています。また、IT投資による効率化や独自のサービス開発にも注力し、競争力の維持・向上に努めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「エンドユーザー(消費者)のお困りごとを解決する」という1986年の創業以来のコンセプトのもと、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業における日本発世界標準企業となることを目標としております。具体的には、クライアント企業のお客様(エンドユーザー)の声を直接聞き、適切なニーズを見つけ出すことによりクライアント企業へのロイヤリティを高める、独創的なサービスを創出することに努めており、クライアント企業より高い評価を得てまいりました。近年、当社グループを取り巻く環境は国内外においてめまぐるしく変化しております。このような環境に対して、当社グループは、「人」でしか問題を解決できないBPO事業に特化することにより、様々な高付加価値サービスを創出・提案し新市場の開拓に努めております。 これからも創業時から培ってきたホスピタリティ、経験と実績、そしてクライアント企業の目線でのサービス向上を担い、エンドユーザー(消費者)の感動・感謝を追求した付加価値サービスの提供を通して、BPO事業の世界標準企業を目指し、ステークホルダーと共に繁栄できる企業を目指します。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、2024年5月10日付けで、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年の第8次中期経営計画「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」を開示いたしました。2026年10月に迎える創業40周年を当社グループの「過去と未来の結節点」と位置付け、自分たちの「原点」「強み」「将来のビジョン」などを見つめ直す機会とし、これまで継続的に企業として成長してきたことを次の50年に繋げてまいります。 <全体戦略> 本計画においては、以下の3つの全体戦略を掲げており、最終年度である2027年3月期においても、引き続きこれらを中心に取り組んでまいります。 成長余力の創出徹底した受託業務(プロジェクト)別収支管理と低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、AI等を活用したDX推進による工数削減と生産性向上により、一人あたりの利益額を3年後に20%増とすることを目指しております。これまでに業務の選択と集中や委託料改定を着実に進めるとともに、2025年10月に新設したDX推進本部を中核として、CTI(高性能電話システム)へのAI機能の実装等によるオペレーションの効率化を一段と加速させております。 サービスプラットフォーム利用型収益モデルの開発従来のストック型ビジネスモデルを維持・拡大しつつ、人的資本に頼らないフロー型ビジネスモデルの開発に取り組んでおります。各事業セグメントを横断した次世代共通プラットフォームの開発に着手しており、これまでに蓄積されたデータやエージェンティックAIを活用した新たな収益モデルの創出を目指してまいります。 機動的な拠点展開機動的な拠点展開:大規模BPOセンターの新設や既存拠点の拡充、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資を継続しつつ、機動的にサテライト拠点を設置し、受託能力の拡大を進めております。2025年4月に開設した青森BPO三沢ブランチの運営を本格化させるとともに、2026年夏季には800席の受託能力を有する秋田BPO潟上キャンパス(仮称)の稼働開始を予定しております。 <2027年3月期の経営指標と進捗状況> 中期経営計画において目標とする経営指標、直近の実績及び2027年3月期の業績予想は、次のとおりであります。経営指標中期経営計画目標(2027年3月期)2026年3月期実績2027年3月期業績予想(注)売上高75,000百万円70,911百万円76,000百万円営業利益10,000百万円8,869百万円9,600百万円親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円5,920百万円5,920百万円ROE15%12.5%-配当性向60%以上55.4%59.2%総還元性向70%以上80.0%-(注)2027年3月期の業績予想は、2026年5月13日公表の「2026年3月期決算短信」に記載の数値であります。 総還元性向は、自己株式取得の実施状況等により変動いたします。 なお、当該中期経営計画は、以下のURLからご覧いただけます。 (当社ウェブサイト)https://www.prestigein.com/IR/policy/plan.html (3)対処すべき課題(事業全般) 当社グループを取り巻く経営環境は、引き続き多くの不確実性を抱えて推移しております。国内では、少子高齢化に伴う労働人口の減少が採用難と賃金上昇を招き、物価高と相まって企業経営の重い負担となっております。世界経済においても、米国の通商政策に起因するサプライチェーンの分断リスクが継続する一方、中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー価格の高騰が物流コストを押し上げております。主要各国のインフレ圧力は根強く、円安の進行も加わり、輸入コストの増加が国内企業の収益を圧迫している状況です。国内経済においては「賃金と物価の好循環」の兆しが見られるものの、2026年春闘における高水準の賃上げや原材料費高騰に伴う物価上昇圧力は依然として解消されておりません。加えて、生成AIをはじめとする技術革新が急速に進展しており、BPO事業においてもその活用が競争力を左右する重要なテーマとなっております。当社グループの主要なクライアント業界の状況は、以下のとおりであります。 (自動車業界)米国の関税政策や世界的な需要変動により生産・販売台数が減少に転じているほか、円安による海外調達コストの上昇も重なり、収益環境は厳しさを増しております。各自動車メーカー及び関連事業者においては抜本的なコスト削減が喫緊の課題となる一方、EV化や自動運転技術の進展、車両の予兆診断・コネクテッド技術を活用した新たなアフターサービスへの需要も急速に拡大しており、アフターサービスやロードサービスを含む周辺業務のアウトソーシングニーズが高まっております。 (損害保険業界)自然災害の頻発・激甚化が続くなか、自動車保険の収益性改善に向けた取り組みも進められております。一方で、損害査定をはじめとする専門業務を担う人材の高齢化と人手不足が深刻化しており、DXによる業務効率化やBPO活用への機運が一段と高まっております。 (不動産業界)建築資材や人件費の高騰を背景に分譲マンションの販売価格は上昇を続けており、購入者の負担増加に伴い、購入後の物件管理やアフターサポートの品質に対する関心も高まっております。こうしたなか、デベロッパーにとってカスタマーサポート体制の充実は差別化要素としての重要性を増しており、当社グループへのアウトソーシング需要の拡大に繋がっております。また賃貸市場においても、物価上昇による生活コストの増加を背景に家賃滞納リスクが高まり、オーナー及び管理会社における家賃保証ニーズが拡大しております。これに伴い、入居者審査・督促業務・保証関連オペレーションへの需要も増加しております。 (海外事業を展開する企業)各国のインフレや為替変動リスクの拡大、保護主義的通商政策の広がり等により、海外事業環境の不確実性は増しております。とりわけ現地インフレの進行は、駐在員の生活コスト及び現地スタッフの人件費を押し上げ、海外拠点の運営コストを増大させております。加えて、日中関係をめぐる政治的緊張の高まりは、中国に拠点を置く企業にとって事業継続上のリスク要因となっており、拠点の分散やサプライチェーンの再構築を検討する動きが広がっております。これらを背景に、海外拠点における危機管理体制の整備や多言語オペレーション支援へのニーズが一層高まっております。 このような環境下において、各企業はサプライチェーンの見直しやコスト削減等の事業体制再構築を進めており、コア業務を含めワンストップでアウトソースする機運はこれまで以上に高まっております。したがって、当社グループに対する潜在的な需要は引き続き高水準で推移するものと見込んでおります。一方、物価高騰や賃金上昇に伴う価格転嫁の動きは広がりつつあるものの、急速な価格転嫁はクライアント企業からの理解を得にくいケースも多く、委託料の引上げや業務の効率化・省力化にとどまらない対応が求められております。具体的には、AIを含むDXを活用した新たなビジネスモデルの創出やサービスの付加価値向上が不可欠であり、当社グループとしても、品質のさらなる向上に加え、デジタル技術への投資と開発体制の強化を通じて、既存事業の高度化と新たな価値創造の双方に取り組んでまいります。 (人員の採用と離職防止) 国内では人手不足が慢性化し深刻な社会問題となっているほか、社会全体における賃金水準の引き上げを受け、労務コストの増加が続いております。当社グループは、主力のオペレーション業務を地方のBPO拠点において展開していることから、首都圏と比較して安定的な人員採用を実現しておりますが、旺盛な需要に対してこれまで以上の人員体制の確保が求められております。加えて、当社グループのビジネスモデルは一般的な認知度が低く、この点も採用活動上の課題となっております。離職防止についても採用と並ぶ重点課題であると認識しており、以下の取り組みを推進しております。 ①採用活動においては、地方自治体と連携した学校訪問・企業説明会やハローワーク経由の募集に加え、SNS・Web・各種メディアを通じてターゲット層に直接アプローチし、当社グループの魅力訴求を強化しております。また、リファラル採用やジョブリターン制度等のアルムナイ採用も積極的に活用しております。2027年3月期においても、各拠点の特性や地域の採用環境に応じた施策を展開し、人員体制の一層の強化を図ってまいります。②従業員へのエンゲージメント調査を継続的に実施し、従業員の声を反映した働きやすい環境づくりに取り組んでおります。当連結会計年度に実施した第5回調査では、エンゲージメント向上プロジェクト発足から3年目を迎え、各拠点の取り組みが活性化した結果、指標であるeNPSスコアが同業平均を上回る水準に達しております。今後も、調査結果に基づく拠点別の改善施策の推進や社内コミュニケーションの活性化を通じて、従業員が働きがいを実感できる職場環境の整備に努めてまいります。あわせて、画一的な働き方から柔軟かつ多様な働き方への転換を可能とする人事制度の整備にも取り組んでおります。③当連結会計年度においては、持続可能な組織成長に向けた人事制度の抜本的改定に着手いたしました。事業規模の拡大に伴い、従業員一人ひとりが自らの役割と成長の道筋を明確に描ける制度の必要性が高まっていたことを踏まえ、全従業員を対象とした職務・役割定義書の導入により会社が期待する役割を明確化し、これと連動する納得感の高い評価制度への刷新を進めております。あわせて、役割と成果に応じた報酬体系の見直しを進めており、特定のポストに就かずとも専門性を高めることが正当に評価される仕組みの構築を目指しております。これらの制度改定は2026年7月より順次施行し、優秀な人材が長く活躍できる環境と、次世代リーダーの計画的な育成・輩出を実現してまいります。④福利厚生面では、所定休日の追加によるワークライフバランスの向上、従業員持株会の奨励金引き上げ、カフェテリアの改善等、従業員の資産形成と企業成長の連動を目指した施策を2026年4月より順次実施しております。⑤当社グループの海外子会社ネットワークを活用し、オフショア拠点におけるBPO運用を本格的に開始いたしました。当連結会計年度においては、ベトナム子会社にて日本語対応可能なオペレーターによるチャット対応を複数クライアント企業で展開し、電話対応からチャットへのチャネルシフトを推進しております。その結果、国内拠点の電話応答率が大幅に改善したほか、チャット対応における顧客満足度も高い水準を維持しております。また、国内拠点における研修プログラムを通じた品質教育の徹底により、国内と遜色のない対応品質と生産性を実現しております。2027年3月期においては、対応クライアント企業数のさらなる拡大と人員体制の増強を計画しており、国内の人手不足を補完する重要な戦力としてオフショアBPOの拡充を推進してまいります。あわせて、AIによる同時通訳を活用し海外から日本国内向けオペレーションを提供する等、外国人労働者の活用も積極的に進めてまいります。 (DX推進)当社グループにおけるDXは、単なるIT化やデジタル技術の導入にとどまらず、業務プロセスや組織文化・風土の根本的変革を通じて新たな価値を創造し、競争優位を確立することを目的としております。こうした認識のもと、2025年10月にDX推進本部を新設いたしました。本部長にはCEOが就任してトップダウンで全社DX戦略を推進し、本部長代理にはCFOが就任して投資判断や予算面からDX推進を支える体制を整えております。また、社内のIT関連部署及び各事業部門に配置されているIT関連担当者を一つの総合組織に集約し、全社横断で迅速かつ実効性のある取り組みを進めてまいります。当社グループのDX推進は、業務効率化やコスト削減にとどまらず、顧客体験の向上及び新たなデジタルビジネスの創出を通じた企業価値の向上を目的としております。具体的には、以下の取り組みを進めております。 ①これまで部門ごとに個別最適で運用されてきた既存システムを全社共通基盤として再構築し、データ活用基盤の整備とデータガバナンスの確立を進めてまいります。②顧客対応業務においては、CTI(高性能電話システム)にAI機能を実装させ、通話内容のリアルタイム要約、最適なFAQの自動生成、顧客感情分析によるアラート等、AIを活用したオペレーター支援を高度化し、省人化や業務効率の向上と品質の均一化を図ってまいります。③社内業務においては、コーディング支援、仕様書・報告書の作成、議事録作成、社内問い合わせ対応等のバックオフィス業務にAIを活用し、全社的な効率化を推進してまいります。④DX人材の不足が深刻な課題であることから、人事部門とDX推進部門が共同で「デジタル人材開発」を制度化し、デジタル人材育成プログラムを体系的に提供してまいります。専門人材の育成に加え、全従業員のデジタルリテラシー向上及び開発者育成を通じて、現場からの改善提案を活発化させるとともに、DXを全従業員が自分事として捉える組織文化の醸成に取り組んでまいります。⑤当社グループはBPO事業者として多くのクライアント企業の機密情報や個人情報をお預かりしており、情報セキュリティの確保は事業継続の根幹であると認識しております。近年、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃が高度化・巧妙化し、国内外の企業において深刻な被害が相次いでおります。こうした脅威に対し、ネットワークの監視体制やエンドポイントセキュリティの強化、データバックアップ体制の多重化、従業員へのセキュリティ教育の徹底等、技術面・運用面の双方から対策を講じております。また、万が一のインシデント発生時に備え、初動対応手順の整備や被害の最小化と早期復旧を図る体制を構築しております。今後もセキュリティ対策への継続的な投資を行い、クライアント企業からの信頼に応えてまいります。 これらの取り組みを通じて、コンタクトセンターの枠組みを超えたオンリーワンの付加価値を実現するとともに、持続可能な事業成長を支える基盤を構築してまいります。 (サービス品質の向上)当社グループは、クライアント企業の課題を解決するとともに、サービスをご利用いただくエンドユーザーの不便やお困りごとを解消することをコンセプトとしてグループ経営理念を掲げております。その実現を支える強みは、コンタクトセンター、フィールド、IT・DXの三位一体によるサービス提供にあります。各BPO拠点においては、応答品質のモニタリング、評価分析、改善活動、報奨制度、品質管理担当者のスキル向上等を通じて、品質向上に向けた体制の充実を図っております。当連結会計年度においては、ITサポートサービスにおけるメンバーシップ団体であるHDIの国際基準に基づき、当社グループより29名が最高評価である「クオリティ格付け(個人評価)」三つ星を獲得し、その内9名が満点評価を受けました。これは日々の品質向上活動の成果であり、今後も外部評価の活用を通じて品質の客観的検証と継続的改善に取り組んでまいります。あわせて、主要クライアント企業を対象とした満足度調査を実施した結果、営業及びオペレーションに関する評価は総じて高水準を維持しており、特に地方拠点展開によるBCP(事業継続計画)構築については調査開始以来継続して高い評価をいただいております。また、AIやチャット対応の導入をはじめとするDXの取り組みについても、業務効率化やコストパフォーマンス向上への貢献として高く評価されております。一方、単なる業務委託を超えた付加価値提供への期待が一層高まっていることも明らかとなり、これらの結果を踏まえ、サービスの総合的な品質向上と新たな価値創出に引き続き取り組んでまいります。このほか、品質管理の社内表彰式の開催やスキル認定に加え、全従業員を対象としたITパスポート資格取得推進プロジェクトを開始し、DXの共通言語となるデジタルリテラシーの底上げにも取り組んでおります。また、「人材」「オペレーションプロセス」「IT・DX等のテクノロジー」といった観点における外部評価機関からの評価を社内に取り入れ、継続的な成長に繋げる取り組みを推進しております。 (新たなBPO拠点の開設)当社グループは、これまで東北・北陸地方を中心にBPO拠点を展開してまいりました。今後も旺盛な需要に応えていくため、長期的には新たな大規模拠点の展開を進め、受託能力の拡大を図る必要があると認識しております。この方針のもと、2024年6月に岩手県一関市において500席規模の「岩手BPOフォートレス」を開設したほか、秋田県潟上市では800席規模の大規模拠点「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」を建設中であり、2026年夏季の開設を予定しております。「富山BPOタウン」においても、隣接地における新たなサテライト拠点の設置を検討しております。一方、資材高騰による建築費の上昇等を踏まえると、大規模拠点の設置には引き続き慎重な判断が求められる状況であるため、中規模のサテライト拠点を機動的に展開することで、当社グループに対するアウトソーシング需要に柔軟に対応してまいります。 (人材活用)当社グループは2018年に女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、現在はダイバーシティ推進プロジェクトとして運営しております。2026年度までに女性管理職比率50%の達成を目標に、人事制度や人材育成方法の見直しを通じて柔軟かつ多様な働き方を推進しております。この結果、当連結会計年度における当社従業員の女性管理職比率は42.7%(前年度45.2%)となりました。また、上場企業等を対象に実施する「企業の女性活躍度調査」の2026年版「女性が活躍する会社BEST100」(株式会社日経BPより公開)において総合ランキング43位に選出され、特に「管理職登用度」のカテゴリーで高い評価をいただいております。各BPO拠点では、キャリアパスに応じたスキル教育に加え、管理職登用後の従業員を対象とした思考力・リスクマネジメント力・モラルを養う継続的な育成プログラムを構築しており、次世代の幹部候補の輩出に繋げてまいります。あわせて、リスキリングとして公的資格・業界資格の取得促進、ITリテラシー向上を目的としたIT部門による社内研修とスキル認定も進めてまいります。ダイバーシティ推進の一環として、子の看護等休暇の対象範囲拡大、積立有給休暇の導入、不妊治療や婦人科検診等に利用可能なウェルネス休暇の新設等、従業員のライフスタイルに応じた休暇制度の拡充を検討しております。多様な人材が安心して働き続けられる環境を整備することにより、人材の定着と組織力の強化を図ってまいります。健康経営の取り組みとしては、従業員の健康状態の改善が生産性向上及び人材の確保・定着に繋がるとの考えのもと、定期健康診断の受診率向上、ストレスチェックに基づく職場環境の見直しと業務量調整、ウォーキングやヨガ等の運動イベント開催、健康運動に関する情報提供等を実施しております。また、女性や若年層が多い職場であることを踏まえ、女性特有の健康課題に着目し、全従業員向けのeラーニング実施等、未病対策の取り組みを強化しております。こうした取り組みが評価され、2022年から5年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。 (地域貢献)国内における地方都市の人口減少や地域活性化は、重要な社会課題であると認識しております。当社グループは、地域社会への貢献を重要な基本戦略として位置付け、地域活性化と女性活躍をビジネスの根幹に据えて事業を発展させてまいりました。働きやすい職場環境の構築に向けては、人材育成に関する各種取り組み・制度・研修機会の提供に加え、カフェテリアや企業内保育園といった施設整備も行っております。特に、企業内保育園の設置及び受入体制の拡大は、女性の労働参加において出産・育児による離職を防ぐ効果的な施策であります。当社グループの従業員のみならず、他社に勤務する地域住民にも開放することで、地域全体への間接的な就業環境整備及び子育て支援に寄与しており、今後もその拡大を進めてまいります。また、各BPO拠点では地域との繋がりを目的とした各種イベントを通じ、従業員による地域貢献活動を推進しております。地域の一員として貢献する実感はモチベーション向上に資するとともに、本業とは異なる活動に取り組むことで新たな刺激を受け、自らの特性や能力を再発見する機会にも繋がるものと考えております。このほか、地域活性化と女性が活躍できる場の拡充を目的として、秋田・富山のBPO拠点にて女子スポーツチーム「アランマーレ」を運営しております。山形県で活動してきた女子バレーボールチームについては、リーグのライセンス基準への対応を目的として、2026-27シーズンより活動拠点を秋田県へ移転いたします。長年にわたりチームを支えていただいた山形県酒田市につきましては、引き続きマザータウンと位置付け、公式戦の開催やアランマーレジュニアクラブ運営等を通じて地域との絆を大切にしてまいります。スポーツを通じた企業内保育園との交流等、地域に根差した活動を継続し、地域住民の皆様に感動をお届けできるよう取り組んでまいります。今後も、若い世代が安心して地元に戻れる環境と、女性が一層活躍できる場の整備を進めてまいります。 (内部統制全般) 当社グループの従業員数は約6,000名規模に達しており、組織の隅々まで企業文化、法令順守、及び内部統制を浸透させることの重要性が一層高まっていると認識しております。また、中期経営計画のもとで「継続的・安定的な成長」を実現するため、責任と権限を明確化し、果断かつ迅速な意思決定と実行を徹底することが不可欠であると考えております。 こうした認識のもと、2025年4月に副社長をチーフガバナンスオフィサー(CGO)に任命し、グループ全体のガバナンス強化を統括する体制を整備いたしました。さらに、当連結会計年度においては「経営会議」を新設し、当社及びグループ各社の業務運営方針、リスクマネジメント、人材マネジメント、重要プロジェクトの進捗管理等を詳細に議論することで、経営上の意思決定を迅速かつ効果的に行う体制を構築しております。取締役会は、会社法に基づく重要な業務執行の決定及び取締役の監督に加え、時宜を得た経営課題についてより活発な議論を行う会議体と位置付け、経営会議との役割分担を通じてコーポレートガバナンス体制の一層の充実を図っております。また、経営会議の運営を通じて、構成員である役付執行役員(常務以上)が経営判断に直接関与する機会を増やすことで、次世代経営人材の育成にも繋げてまいります。 コロナ禍後、グローバル事業は回復・拡大基調にあり、これに伴い海外拠点の拡充を進めております。一方で、海外子会社は日本本社との地理的・心理的距離に起因しモニタリングが行き届きにくく、不正リスクが生じやすい傾向があると一般に指摘されております。そのため、国内で海外事業を管轄する子会社内に専任部署を設置してモニタリングを強化するとともに、本社を含めた定期的な会議の開催、情報共有、コミュニケーション機会の拡大、労務管理や現地法令・規制の把握等に努めております。さらに、2026年4月には海外ガバナンス担当の執行役員を配置し、海外子会社に対する統制体制を強化いたしました。加えて、内部監査体制を拡充して現地への往査頻度を高め、現地環境への理解と関係者との信頼関係を構築しながら、監査を通じて改善提案を行うことで、グループ全体のガバナンス強化に寄与してまいります。 当社グループは、2019年4月に持株会社体制へ移行し、経営責任と執行責任を明確化いたしました。2022年2月には、取締役会の諮問機関として「指名報酬委員会」を設置し、取締役及び監査役の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性の強化を図っております。指名報酬委員会においては、近い将来に見込まれる経営体制のサクセッションプランについて検討を進め、後継者育成の基本方針とスケジュールを策定しております。その一環として、当連結会計年度においても役付執行役員以上からのレポート提出と個別面談を実施し、後継候補者の評価・見極め・絞り込みを行ったほか、新たに幹部職に就任した人材についても面談を実施し、次世代の経営を担う人材の発掘と育成の裾野を広げております。今後もコーポレートガバナンス体制をより一層充実させ、継続的な成長を支える経営基盤を整えることにより、新たな価値創造への挑戦を推進してまいります。 以上の諸施策により経営資源を集中的に投下し、さらなる成長と株主価値の向上に努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「エンドユーザー(消費者)のお困りごとを解決する」という1986年の創業以来のコンセプトのもと、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業における日本発世界標準企業となることを目標としております。具体的には、クライアント企業のお客様(エンドユーザー)の声を直接聞き、適切なニーズを見つけ出すことによりクライアント企業へのロイヤリティを高める、独創的なサービスを創出することに努めており、クライアント企業より高い評価を得てまいりました。近年、当社グループを取り巻く環境は国内外においてめまぐるしく変化しております。このような環境に対して、当社グループは、「人」でしか問題を解決できないBPO事業に特化することにより、様々な高付加価値サービスを創出・提案し新市場の開拓に努めております。 これからも創業時から培ってきたホスピタリティ、経験と実績、そしてクライアント企業の目線でのサービス向上を担い、エンドユーザー(消費者)の感動・感謝を追求した付加価値サービスの提供を通して、BPO事業の世界標準企業を目指し、ステークホルダーと共に繁栄できる企業を目指します。 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、2024年5月10日付けで、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年の第8次中期経営計画「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」を開示いたしました。2026年10月に迎える創業40周年を当社グループの「過去と未来の結節点」と位置付け、自分たちの「原点」「強み」「将来のビジョン」などを見つめ直す機会とし、これまで継続的に企業として成長してきたことを次の50年に繋げてまいります。 <全体戦略> 本計画においては、以下の3つの全体戦略を掲げており、最終年度である2027年3月期においても、引き続きこれらを中心に取り組んでまいります。 成長余力の創出徹底した受託業務(プロジェクト)別収支管理と低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、AI等を活用したDX推進による工数削減と生産性向上により、一人あたりの利益額を3年後に20%増とすることを目指しております。これまでに業務の選択と集中や委託料改定を着実に進めるとともに、2025年10月に新設したDX推進本部を中核として、CTI(高性能電話システム)へのAI機能の実装等によるオペレーションの効率化を一段と加速させております。 サービスプラットフォーム利用型収益モデルの開発従来のストック型ビジネスモデルを維持・拡大しつつ、人的資本に頼らないフロー型ビジネスモデルの開発に取り組んでおります。各事業セグメントを横断した次世代共通プラットフォームの開発に着手しており、これまでに蓄積されたデータやエージェンティックAIを活用した新たな収益モデルの創出を目指してまいります。 機動的な拠点展開機動的な拠点展開:大規模BPOセンターの新設や既存拠点の拡充、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資を継続しつつ、機動的にサテライト拠点を設置し、受託能力の拡大を進めております。2025年4月に開設した青森BPO三沢ブランチの運営を本格化させるとともに、2026年夏季には800席の受託能力を有する秋田BPO潟上キャンパス(仮称)の稼働開始を予定しております。 <2027年3月期の経営指標と進捗状況> 中期経営計画において目標とする経営指標、直近の実績及び2027年3月期の業績予想は、次のとおりであります。経営指標中期経営計画目標(2027年3月期)2026年3月期実績2027年3月期業績予想(注)売上高75,000百万円70,911百万円76,000百万円営業利益10,000百万円8,869百万円9,600百万円親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円5,920百万円5,920百万円ROE15%12.5%-配当性向60%以上55.4%59.2%総還元性向70%以上80.0%-(注)2027年3月期の業績予想は、2026年5月13日公表の「2026年3月期決算短信」に記載の数値であります。 総還元性向は、自己株式取得の実施状況等により変動いたします。 なお、当該中期経営計画は、以下のURLからご覧いただけます。 (当社ウェブサイト)https://www.prestigein.com/IR/policy/plan.html (3)対処すべき課題(事業全般) 当社グループを取り巻く経営環境は、引き続き多くの不確実性を抱えて推移しております。国内では、少子高齢化に伴う労働人口の減少が採用難と賃金上昇を招き、物価高と相まって企業経営の重い負担となっております。世界経済においても、米国の通商政策に起因するサプライチェーンの分断リスクが継続する一方、中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー価格の高騰が物流コストを押し上げております。主要各国のインフレ圧力は根強く、円安の進行も加わり、輸入コストの増加が国内企業の収益を圧迫している状況です。国内経済においては「賃金と物価の好循環」の兆しが見られるものの、2026年春闘における高水準の賃上げや原材料費高騰に伴う物価上昇圧力は依然として解消されておりません。加えて、生成AIをはじめとする技術革新が急速に進展しており、BPO事業においてもその活用が競争力を左右する重要なテーマとなっております。当社グループの主要なクライアント業界の状況は、以下のとおりであります。 (自動車業界)米国の関税政策や世界的な需要変動により生産・販売台数が減少に転じているほか、円安による海外調達コストの上昇も重なり、収益環境は厳しさを増しております。各自動車メーカー及び関連事業者においては抜本的なコスト削減が喫緊の課題となる一方、EV化や自動運転技術の進展、車両の予兆診断・コネクテッド技術を活用した新たなアフターサービスへの需要も急速に拡大しており、アフターサービスやロードサービスを含む周辺業務のアウトソーシングニーズが高まっております。 (損害保険業界)自然災害の頻発・激甚化が続くなか、自動車保険の収益性改善に向けた取り組みも進められております。一方で、損害査定をはじめとする専門業務を担う人材の高齢化と人手不足が深刻化しており、DXによる業務効率化やBPO活用への機運が一段と高まっております。 (不動産業界)建築資材や人件費の高騰を背景に分譲マンションの販売価格は上昇を続けており、購入者の負担増加に伴い、購入後の物件管理やアフターサポートの品質に対する関心も高まっております。こうしたなか、デベロッパーにとってカスタマーサポート体制の充実は差別化要素としての重要性を増しており、当社グループへのアウトソーシング需要の拡大に繋がっております。また賃貸市場においても、物価上昇による生活コストの増加を背景に家賃滞納リスクが高まり、オーナー及び管理会社における家賃保証ニーズが拡大しております。これに伴い、入居者審査・督促業務・保証関連オペレーションへの需要も増加しております。 (海外事業を展開する企業)各国のインフレや為替変動リスクの拡大、保護主義的通商政策の広がり等により、海外事業環境の不確実性は増しております。とりわけ現地インフレの進行は、駐在員の生活コスト及び現地スタッフの人件費を押し上げ、海外拠点の運営コストを増大させております。加えて、日中関係をめぐる政治的緊張の高まりは、中国に拠点を置く企業にとって事業継続上のリスク要因となっており、拠点の分散やサプライチェーンの再構築を検討する動きが広がっております。これらを背景に、海外拠点における危機管理体制の整備や多言語オペレーション支援へのニーズが一層高まっております。 このような環境下において、各企業はサプライチェーンの見直しやコスト削減等の事業体制再構築を進めており、コア業務を含めワンストップでアウトソースする機運はこれまで以上に高まっております。したがって、当社グループに対する潜在的な需要は引き続き高水準で推移するものと見込んでおります。一方、物価高騰や賃金上昇に伴う価格転嫁の動きは広がりつつあるものの、急速な価格転嫁はクライアント企業からの理解を得にくいケースも多く、委託料の引上げや業務の効率化・省力化にとどまらない対応が求められております。具体的には、AIを含むDXを活用した新たなビジネスモデルの創出やサービスの付加価値向上が不可欠であり、当社グループとしても、品質のさらなる向上に加え、デジタル技術への投資と開発体制の強化を通じて、既存事業の高度化と新たな価値創造の双方に取り組んでまいります。 (人員の採用と離職防止) 国内では人手不足が慢性化し深刻な社会問題となっているほか、社会全体における賃金水準の引き上げを受け、労務コストの増加が続いております。当社グループは、主力のオペレーション業務を地方のBPO拠点において展開していることから、首都圏と比較して安定的な人員採用を実現しておりますが、旺盛な需要に対してこれまで以上の人員体制の確保が求められております。加えて、当社グループのビジネスモデルは一般的な認知度が低く、この点も採用活動上の課題となっております。離職防止についても採用と並ぶ重点課題であると認識しており、以下の取り組みを推進しております。 ①採用活動においては、地方自治体と連携した学校訪問・企業説明会やハローワーク経由の募集に加え、SNS・Web・各種メディアを通じてターゲット層に直接アプローチし、当社グループの魅力訴求を強化しております。また、リファラル採用やジョブリターン制度等のアルムナイ採用も積極的に活用しております。2027年3月期においても、各拠点の特性や地域の採用環境に応じた施策を展開し、人員体制の一層の強化を図ってまいります。②従業員へのエンゲージメント調査を継続的に実施し、従業員の声を反映した働きやすい環境づくりに取り組んでおります。当連結会計年度に実施した第5回調査では、エンゲージメント向上プロジェクト発足から3年目を迎え、各拠点の取り組みが活性化した結果、指標であるeNPSスコアが同業平均を上回る水準に達しております。今後も、調査結果に基づく拠点別の改善施策の推進や社内コミュニケーションの活性化を通じて、従業員が働きがいを実感できる職場環境の整備に努めてまいります。あわせて、画一的な働き方から柔軟かつ多様な働き方への転換を可能とする人事制度の整備にも取り組んでおります。③当連結会計年度においては、持続可能な組織成長に向けた人事制度の抜本的改定に着手いたしました。事業規模の拡大に伴い、従業員一人ひとりが自らの役割と成長の道筋を明確に描ける制度の必要性が高まっていたことを踏まえ、全従業員を対象とした職務・役割定義書の導入により会社が期待する役割を明確化し、これと連動する納得感の高い評価制度への刷新を進めております。あわせて、役割と成果に応じた報酬体系の見直しを進めており、特定のポストに就かずとも専門性を高めることが正当に評価される仕組みの構築を目指しております。これらの制度改定は2026年7月より順次施行し、優秀な人材が長く活躍できる環境と、次世代リーダーの計画的な育成・輩出を実現してまいります。④福利厚生面では、所定休日の追加によるワークライフバランスの向上、従業員持株会の奨励金引き上げ、カフェテリアの改善等、従業員の資産形成と企業成長の連動を目指した施策を2026年4月より順次実施しております。⑤当社グループの海外子会社ネットワークを活用し、オフショア拠点におけるBPO運用を本格的に開始いたしました。当連結会計年度においては、ベトナム子会社にて日本語対応可能なオペレーターによるチャット対応を複数クライアント企業で展開し、電話対応からチャットへのチャネルシフトを推進しております。その結果、国内拠点の電話応答率が大幅に改善したほか、チャット対応における顧客満足度も高い水準を維持しております。また、国内拠点における研修プログラムを通じた品質教育の徹底により、国内と遜色のない対応品質と生産性を実現しております。2027年3月期においては、対応クライアント企業数のさらなる拡大と人員体制の増強を計画しており、国内の人手不足を補完する重要な戦力としてオフショアBPOの拡充を推進してまいります。あわせて、AIによる同時通訳を活用し海外から日本国内向けオペレーションを提供する等、外国人労働者の活用も積極的に進めてまいります。 (DX推進)当社グループにおけるDXは、単なるIT化やデジタル技術の導入にとどまらず、業務プロセスや組織文化・風土の根本的変革を通じて新たな価値を創造し、競争優位を確立することを目的としております。こうした認識のもと、2025年10月にDX推進本部を新設いたしました。本部長にはCEOが就任してトップダウンで全社DX戦略を推進し、本部長代理にはCFOが就任して投資判断や予算面からDX推進を支える体制を整えております。また、社内のIT関連部署及び各事業部門に配置されているIT関連担当者を一つの総合組織に集約し、全社横断で迅速かつ実効性のある取り組みを進めてまいります。当社グループのDX推進は、業務効率化やコスト削減にとどまらず、顧客体験の向上及び新たなデジタルビジネスの創出を通じた企業価値の向上を目的としております。具体的には、以下の取り組みを進めております。 ①これまで部門ごとに個別最適で運用されてきた既存システムを全社共通基盤として再構築し、データ活用基盤の整備とデータガバナンスの確立を進めてまいります。②顧客対応業務においては、CTI(高性能電話システム)にAI機能を実装させ、通話内容のリアルタイム要約、最適なFAQの自動生成、顧客感情分析によるアラート等、AIを活用したオペレーター支援を高度化し、省人化や業務効率の向上と品質の均一化を図ってまいります。③社内業務においては、コーディング支援、仕様書・報告書の作成、議事録作成、社内問い合わせ対応等のバックオフィス業務にAIを活用し、全社的な効率化を推進してまいります。④DX人材の不足が深刻な課題であることから、人事部門とDX推進部門が共同で「デジタル人材開発」を制度化し、デジタル人材育成プログラムを体系的に提供してまいります。専門人材の育成に加え、全従業員のデジタルリテラシー向上及び開発者育成を通じて、現場からの改善提案を活発化させるとともに、DXを全従業員が自分事として捉える組織文化の醸成に取り組んでまいります。⑤当社グループはBPO事業者として多くのクライアント企業の機密情報や個人情報をお預かりしており、情報セキュリティの確保は事業継続の根幹であると認識しております。近年、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃が高度化・巧妙化し、国内外の企業において深刻な被害が相次いでおります。こうした脅威に対し、ネットワークの監視体制やエンドポイントセキュリティの強化、データバックアップ体制の多重化、従業員へのセキュリティ教育の徹底等、技術面・運用面の双方から対策を講じております。また、万が一のインシデント発生時に備え、初動対応手順の整備や被害の最小化と早期復旧を図る体制を構築しております。今後もセキュリティ対策への継続的な投資を行い、クライアント企業からの信頼に応えてまいります。 これらの取り組みを通じて、コンタクトセンターの枠組みを超えたオンリーワンの付加価値を実現するとともに、持続可能な事業成長を支える基盤を構築してまいります。 (サービス品質の向上)当社グループは、クライアント企業の課題を解決するとともに、サービスをご利用いただくエンドユーザーの不便やお困りごとを解消することをコンセプトとしてグループ経営理念を掲げております。その実現を支える強みは、コンタクトセンター、フィールド、IT・DXの三位一体によるサービス提供にあります。各BPO拠点においては、応答品質のモニタリング、評価分析、改善活動、報奨制度、品質管理担当者のスキル向上等を通じて、品質向上に向けた体制の充実を図っております。当連結会計年度においては、ITサポートサービスにおけるメンバーシップ団体であるHDIの国際基準に基づき、当社グループより29名が最高評価である「クオリティ格付け(個人評価)」三つ星を獲得し、その内9名が満点評価を受けました。これは日々の品質向上活動の成果であり、今後も外部評価の活用を通じて品質の客観的検証と継続的改善に取り組んでまいります。あわせて、主要クライアント企業を対象とした満足度調査を実施した結果、営業及びオペレーションに関する評価は総じて高水準を維持しており、特に地方拠点展開によるBCP(事業継続計画)構築については調査開始以来継続して高い評価をいただいております。また、AIやチャット対応の導入をはじめとするDXの取り組みについても、業務効率化やコストパフォーマンス向上への貢献として高く評価されております。一方、単なる業務委託を超えた付加価値提供への期待が一層高まっていることも明らかとなり、これらの結果を踏まえ、サービスの総合的な品質向上と新たな価値創出に引き続き取り組んでまいります。このほか、品質管理の社内表彰式の開催やスキル認定に加え、全従業員を対象としたITパスポート資格取得推進プロジェクトを開始し、DXの共通言語となるデジタルリテラシーの底上げにも取り組んでおります。また、「人材」「オペレーションプロセス」「IT・DX等のテクノロジー」といった観点における外部評価機関からの評価を社内に取り入れ、継続的な成長に繋げる取り組みを推進しております。 (新たなBPO拠点の開設)当社グループは、これまで東北・北陸地方を中心にBPO拠点を展開してまいりました。今後も旺盛な需要に応えていくため、長期的には新たな大規模拠点の展開を進め、受託能力の拡大を図る必要があると認識しております。この方針のもと、2024年6月に岩手県一関市において500席規模の「岩手BPOフォートレス」を開設したほか、秋田県潟上市では800席規模の大規模拠点「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」を建設中であり、2026年夏季の開設を予定しております。「富山BPOタウン」においても、隣接地における新たなサテライト拠点の設置を検討しております。一方、資材高騰による建築費の上昇等を踏まえると、大規模拠点の設置には引き続き慎重な判断が求められる状況であるため、中規模のサテライト拠点を機動的に展開することで、当社グループに対するアウトソーシング需要に柔軟に対応してまいります。 (人材活用)当社グループは2018年に女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、現在はダイバーシティ推進プロジェクトとして運営しております。2026年度までに女性管理職比率50%の達成を目標に、人事制度や人材育成方法の見直しを通じて柔軟かつ多様な働き方を推進しております。この結果、当連結会計年度における当社従業員の女性管理職比率は42.7%(前年度45.2%)となりました。また、上場企業等を対象に実施する「企業の女性活躍度調査」の2026年版「女性が活躍する会社BEST100」(株式会社日経BPより公開)において総合ランキング43位に選出され、特に「管理職登用度」のカテゴリーで高い評価をいただいております。各BPO拠点では、キャリアパスに応じたスキル教育に加え、管理職登用後の従業員を対象とした思考力・リスクマネジメント力・モラルを養う継続的な育成プログラムを構築しており、次世代の幹部候補の輩出に繋げてまいります。あわせて、リスキリングとして公的資格・業界資格の取得促進、ITリテラシー向上を目的としたIT部門による社内研修とスキル認定も進めてまいります。ダイバーシティ推進の一環として、子の看護等休暇の対象範囲拡大、積立有給休暇の導入、不妊治療や婦人科検診等に利用可能なウェルネス休暇の新設等、従業員のライフスタイルに応じた休暇制度の拡充を検討しております。多様な人材が安心して働き続けられる環境を整備することにより、人材の定着と組織力の強化を図ってまいります。健康経営の取り組みとしては、従業員の健康状態の改善が生産性向上及び人材の確保・定着に繋がるとの考えのもと、定期健康診断の受診率向上、ストレスチェックに基づく職場環境の見直しと業務量調整、ウォーキングやヨガ等の運動イベント開催、健康運動に関する情報提供等を実施しております。また、女性や若年層が多い職場であることを踏まえ、女性特有の健康課題に着目し、全従業員向けのeラーニング実施等、未病対策の取り組みを強化しております。こうした取り組みが評価され、2022年から5年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。 (地域貢献)国内における地方都市の人口減少や地域活性化は、重要な社会課題であると認識しております。当社グループは、地域社会への貢献を重要な基本戦略として位置付け、地域活性化と女性活躍をビジネスの根幹に据えて事業を発展させてまいりました。働きやすい職場環境の構築に向けては、人材育成に関する各種取り組み・制度・研修機会の提供に加え、カフェテリアや企業内保育園といった施設整備も行っております。特に、企業内保育園の設置及び受入体制の拡大は、女性の労働参加において出産・育児による離職を防ぐ効果的な施策であります。当社グループの従業員のみならず、他社に勤務する地域住民にも開放することで、地域全体への間接的な就業環境整備及び子育て支援に寄与しており、今後もその拡大を進めてまいります。また、各BPO拠点では地域との繋がりを目的とした各種イベントを通じ、従業員による地域貢献活動を推進しております。地域の一員として貢献する実感はモチベーション向上に資するとともに、本業とは異なる活動に取り組むことで新たな刺激を受け、自らの特性や能力を再発見する機会にも繋がるものと考えております。このほか、地域活性化と女性が活躍できる場の拡充を目的として、秋田・富山のBPO拠点にて女子スポーツチーム「アランマーレ」を運営しております。山形県で活動してきた女子バレーボールチームについては、リーグのライセンス基準への対応を目的として、2026-27シーズンより活動拠点を秋田県へ移転いたします。長年にわたりチームを支えていただいた山形県酒田市につきましては、引き続きマザータウンと位置付け、公式戦の開催やアランマーレジュニアクラブ運営等を通じて地域との絆を大切にしてまいります。スポーツを通じた企業内保育園との交流等、地域に根差した活動を継続し、地域住民の皆様に感動をお届けできるよう取り組んでまいります。今後も、若い世代が安心して地元に戻れる環境と、女性が一層活躍できる場の整備を進めてまいります。 (内部統制全般) 当社グループの従業員数は約6,000名規模に達しており、組織の隅々まで企業文化、法令順守、及び内部統制を浸透させることの重要性が一層高まっていると認識しております。また、中期経営計画のもとで「継続的・安定的な成長」を実現するため、責任と権限を明確化し、果断かつ迅速な意思決定と実行を徹底することが不可欠であると考えております。 こうした認識のもと、2025年4月に副社長をチーフガバナンスオフィサー(CGO)に任命し、グループ全体のガバナンス強化を統括する体制を整備いたしました。さらに、当連結会計年度においては「経営会議」を新設し、当社及びグループ各社の業務運営方針、リスクマネジメント、人材マネジメント、重要プロジェクトの進捗管理等を詳細に議論することで、経営上の意思決定を迅速かつ効果的に行う体制を構築しております。取締役会は、会社法に基づく重要な業務執行の決定及び取締役の監督に加え、時宜を得た経営課題についてより活発な議論を行う会議体と位置付け、経営会議との役割分担を通じてコーポレートガバナンス体制の一層の充実を図っております。また、経営会議の運営を通じて、構成員である役付執行役員(常務以上)が経営判断に直接関与する機会を増やすことで、次世代経営人材の育成にも繋げてまいります。 コロナ禍後、グローバル事業は回復・拡大基調にあり、これに伴い海外拠点の拡充を進めております。一方で、海外子会社は日本本社との地理的・心理的距離に起因しモニタリングが行き届きにくく、不正リスクが生じやすい傾向があると一般に指摘されております。そのため、国内で海外事業を管轄する子会社内に専任部署を設置してモニタリングを強化するとともに、本社を含めた定期的な会議の開催、情報共有、コミュニケーション機会の拡大、労務管理や現地法令・規制の把握等に努めております。さらに、2026年4月には海外ガバナンス担当の執行役員を配置し、海外子会社に対する統制体制を強化いたしました。加えて、内部監査体制を拡充して現地への往査頻度を高め、現地環境への理解と関係者との信頼関係を構築しながら、監査を通じて改善提案を行うことで、グループ全体のガバナンス強化に寄与してまいります。 当社グループは、2019年4月に持株会社体制へ移行し、経営責任と執行責任を明確化いたしました。2022年2月には、取締役会の諮問機関として「指名報酬委員会」を設置し、取締役及び監査役の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性の強化を図っております。指名報酬委員会においては、近い将来に見込まれる経営体制のサクセッションプランについて検討を進め、後継者育成の基本方針とスケジュールを策定しております。その一環として、当連結会計年度においても役付執行役員以上からのレポート提出と個別面談を実施し、後継候補者の評価・見極め・絞り込みを行ったほか、新たに幹部職に就任した人材についても面談を実施し、次世代の経営を担う人材の発掘と育成の裾野を広げております。今後もコーポレートガバナンス体制をより一層充実させ、継続的な成長を支える経営基盤を整えることにより、新たな価値創造への挑戦を推進してまいります。 以上の諸施策により経営資源を集中的に投下し、さらなる成長と株主価値の向上に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、賃上げの広がりを背景に実質賃金がプラス基調に転じ、個人消費は持ち直しの動きが続きました。設備投資につきましても、企業収益の改善や人手不足に対応したデジタル化・省人化投資の需要に支えられ、堅調に推移いたしました。一方、米国の通商政策の転換に伴う追加関税の影響は、自動車関連をはじめとする輸出企業の業績の重石となったほか、為替相場も振れの大きい展開となりました。さらに、中東情勢の緊迫化は、エネルギー供給の不安定化と原油価格の高騰を招き、国内の原材料価格や物流コストを一層押し上げる要因となり、日中関係は緊張が続くなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。 国内BPO市場におきましては、企業では自社の事業リソースで不足したノンコア業務を中心に業務効率化やリソースの最適配分を志向する動きが一段と加速しており、AIを活用したDX推進などの需要も含め引き続き旺盛に推移しております。また、顧客満足度を高めることを目的に特定の分野における専門性と高品質なサービス提供を求め外注化する機運が高まっており、カスタマイズ可能なサービスや迅速な対応、業務領域に特化した専門知識・技術・ノウハウの保有などが求められております。 「エンドユーザー(消費者)のお困りごとを解決する」という1986年の創業以来のコンセプトのもと、当期において節目である第40期事業年度を迎えた中、「人ならではの高度な問題解決能力」の追求がエンドユーザーのUX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験の総称)の向上に貢献し、クライアント企業からの高い評価に繋がっております。物価高騰に伴う委託料改定も一部で時間を要しておりましたが、下期にかけて順次妥結に至るなど、業績を押し上げる重要な要因となりました。デジタル技術の活用につきましては、2025年10月に新設した「DX推進本部」を中核に据え、AI等のデジタル技術を活用したオペレーションの効率化や技術活用を一段と加速させております。また、国内における深刻な採用難や人件費上昇の環境下においても、当社グループは質の高いサービス提供の源泉となる人材の確保・定着を最重要課題と位置づけ、従業員の処遇改善を通期にわたり継続的に実施いたしました。さらに、採用地域を拡大すべく、2025年4月に開設した「青森BPO三沢ブランチ」の運営を本格化させ、東北地方における拠点網を「点」から「面」へと拡充するとともに、2026年夏季に稼働開始予定の「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」の開設準備を着実に進めるなど、安定的な運営体制の構築に努めました。こうした取り組みに伴うコストの増加につきましては、デジタル技術の導入による業務効率化や、クライアント企業への適正な価格転嫁によって吸収し、収益性の維持・向上、人的資本への投資を図ってまいりました。 売上高については、主要な事業セグメントにおいて、既存業務の拡大や新規クライアント企業の獲得などがけん引、また委託料改定なども寄与し前期比11.3%増の70,911百万円となりました。営業利益については、従業員の処遇改善による賃金上昇やオートモーティブ事業における協力会社への支払単価上昇のコスト増加などを売上の増加などにより吸収し、前期比11.4%増の8,869百万円となりました。経常利益につきましては、営業利益が増加したことに加え、為替差益が353百万円発生、持分法による投資利益が194百万円であったことなどにより、前期比16.1%増加の9,772百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、人的資本への投資で賃上げ促進税制の適用を受けたことにより、前期比21.6%増加し5,920百万円となりました。この結果、当社グループの第40期事業年度という節目であった当期において、売上高、各段階利益ともに過去最高の業績となりました。 (2)生産、受注及び販売の実績 ①生産実績及び受注実績 当社グループの提供するサービスの受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。 ②販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)日本65,905111.4米州・欧州3,308107.9アジア・オセアニア1,697112.8合計70,911111.3(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容(a)重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日における資産、負債の報告金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益及び費用の報告金額に影響を与えるような見積り及び予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (b)当連結会計年度の経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容 ①財政状態 当連結会計年度末における総資産は、82,244百万円となり前連結会計年度末に比べ10,653百万円増加となりました。流動資産は、現金及び預金が4,665百万円増加したことにより、流動資産合計では前連結会計年度末に比べて4,405百万円増加し、46,629百万円となりました。固定資産は、建設仮勘定が3,602百万円増加、無形固定資産のその他が1,114百万円増加、投資有価証券が1,017百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べて6,248百万円増加し、35,614百万円となりました。 負債に関しましては、短期借入金が6,000百万円増加、流動負債のその他が851百万円増加、賞与引当金が309百万円増加いたしました。これらにより負債合計では前連結会計年度末に比べて7,809百万円増加し、29,757百万円となりました。 また、純資産については、自己株式の取得、自己株式の消却、譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に加え、配当金の支払いを実施しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が5,920百万円であったため、前連結会計年度末に比べて2,844百万円増加し、52,486百万円となりました。 ②経営成績 連結売上高につきましては、アシスタンスサービスの拡大によりプロパティ事業やグローバル事業は二桁成長となり、主力業務となるオートモーティブ事業とともに増収となりました。また金融保証事業も契約数の増加が増収を牽引し、連結売上高は70,911百万円(前期比11.3%増)となりました。営業利益につきましては、従業員の処遇改善による賃金上昇やオートモーティブ事業における協力会社への支払単価上昇のコスト増加があったものの、増収となったセグメントの収益によりこれを吸収し、8,869百万円(前期比11.4%増)となりました。経常利益につきましては、営業利益が増加したことに加え、為替差益が353百万円発生、持分法による投資利益が194百万円であったことなどにより9,772百万円(前期比16.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、人的資本への投資で賃上げ促進税制の適用を受けたことにより、5,920百万円(前期比21.6%増)となりました。 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減売上高(百万円)63,71970,9117,191営業利益(百万円)7,9618,869908経常利益(百万円)8,4169,7721,355親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)4,8705,9201,050(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。 セグメントの業績は以下のとおりです。 (1)日本 日本国内においては、主力業務であるアシスタンスサービスの拡大による各セグメントでの増収に加え、金融保証事業も契約数の増加が増収を牽引し、売上高は65,905百万円(前期比11.4%増)となりました。 営業利益につきましては、従業員の処遇改善による賃金上昇やオートモーティブ事業における協力会社への支払単価上昇があったものの、増収となったセグメントの収益によりこれを吸収し、9,086百万円(前期比6.4%増)となりました。 (2)米州・欧州 米国クレジットカードビジネスにおいて、新規加入及び旧カードから新カードへの切替数の増加、カード利用額の増加並びに円安が寄与し、売上高は3,308百万円(前期比7.9%増)となりました。営業利益につきましては、現地提携銀行への支払手数料の減少や円安が貢献し、628百万円(前期比8.7%増)となりました。欧州につきましては、海外旅行保険の付帯サービスが前期比116%増となり、赴任者向けのヘルスケアプログラムは新規企業の導入も寄与し、前期比176%増となりました。医療機関内での通訳・院内サポートサービスにおいては、ネットワークの整備と拡充が今後の重要な鍵となります。 (3)アジア・オセアニア 東南アジアにおける医療機関内での通訳・院内サポートサービスが、シンガポール、バンコク、ベトナムなど新たな拠点展開と利用者の間での認知度向上により取り扱い件数が増加し、売上高は1,697百万円(前期比12.8%増)、営業利益は507百万円(前期比10.9%増)となりました。 事業別の業績は次のとおりであります。 (1)オートモーティブ事業 主に損害保険会社や自動車メーカー向けロードサービス等を提供しているオートモーティブ事業は、一部のダイレクト系自動車保険の契約台数増加や、既存クライアント企業との委託料改定の進捗や新規クライアント企業獲得などにより、売上高は29,930百万円(前期比9.8%増)となりました。営業利益につきましては、物価上昇に伴い協力会社への外注費の上昇や従業員の待遇改善に伴う人件費の増加を、単価見直しなど委託料改定の効果や新規業務などで吸収し、前期とほぼ同じ水準の3,449百万円となりました。 (2)プロパティ事業 分譲・賃貸マンション・戸建ての修繕と、コインパーキングのメンテナンス等を提供するプロパティ事業は当期においては、コインパーキング向けのパークアシスト事業で品質の低下を改善するための人員増や、価格交渉が進まないなどの影響が出て、収益性が低下いたしましたが、ホームアシストでは昨年度下期より開始した賃貸物件向けの駆けつけサービスが一巡したものの、価格の見直しや効率化を進めることにより、プロパティ事業全体では増益となりました。この結果、売上高は9,860百万円(前期比14.0%増)、営業利益は806百万円(前期比10.4%増)となりました。 (3)グローバル事業 海外旅行保険のクレームエージェント、駐在員向けの医療サポート(ヘルスケアプログラム)業務等を行うグローバル事業は、主力のヘルスケアプログラムが引き続き堅調に拡大しており、新規クライアント企業の獲得やエリア拡大による会員数の増加に加え、大手損保からの流入による海外旅行保険の査定件数の増加が寄与しました。また、価格の見直しも進み収益に寄与した効果もあり、売上高は10,484百万円(前期比17.3%増)、営業利益につきましては1,263百万円(前期比10.9%増)となり、増収増益となりました。 (4)カスタマー事業 カスタマーサポートサービスを展開しているカスタマー事業は、クレジットカード関連業務を始めとする既存クライアント企業の業務拡大もありましたが、同事業においては規模拡大を追わず、受託している各プロジェクトの収益管理を徹底、取捨選択を進めるなど売上高による大きな成長は無かったものの、収益性改善を優先した取り組みの成果がでております。この結果、売上高が前年とほぼ同水準の6,655百万円、営業利益につきましては1,037百万円(前期比30.1%増)となりました。 (5)金融保証事業 家賃や医療費等、生活に関わる金融保証サービスを提供する金融保証事業は、グループ会社の株式会社イントラスト(証券コード:7191)が展開する家賃債務保証事業の契約件数が10%伸長しました。また、医療費用保証や介護費用保証などの新たな保証分野も広がりを見せており、前期に買収した事業用不動産の家賃債務保証事業の収益性も改善し、売上高は12,282百万円(前期比16.2%増)、営業利益は2,766百万円(前期比18.4%増)となりました。 (6)IT事業 ITソリューションを提供するIT事業は、サプライチェーンマネジメントシステム提供において先行売上が収れんし、プログラム開発者への先行投資を実施したことにより、減収減益となりました。 (7)ソーシャル事業 女子スポーツチーム「アランマーレ」の運営、保育事業及び地方創生事業を行うソーシャル事業は、女子スポーツチーム「アランマーレ」の認知度向上によるスポンサー収入の増加や、保育事業の計画通りの推移により増収となりました。営業利益につきましては、スポーツ事業における体制・戦力強化を目的とした人件費の増加があったものの、保育事業の収益回復もあり、収益が改善いたしました。 ③キャッシュ・フローの状況(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、10,466百万円の収入となりました。主なプラス要因としては、税金等調整前当期純利益が9,812百万円、減価償却費が2,526百万円、貸倒引当金の増加額が679百万円、主なマイナス要因としては、法人税等の支払額3,039百万円等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、6,912百万円の支出となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が6,361百万円、投資有価証券の取得による支出が1,993百万円、投資有価証券の償還による収入が1,751百万円等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、776百万円の収入となりました。主な要因は、短期借入金の純増額が6,000百万円、配当金の支払額が3,159百万円、自己株式の取得による支出が1,471百万円、非支配株主への配当金の支払額が296百万円、長期借入金の返済による支出が191百万円等によるものであります。 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて4,664百万円増加し、28,061百万円となりました。 ④経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(a)経営者の問題認識と今後の方針について 当社グループを取り巻く環境においては、少子高齢化による労働人口減少に伴う採用難や賃金の上昇、物価高が続いております。また、米国の通商政策に伴う追加関税の影響により自動車関連を中心に輸出企業の業績への影響が生じているほか、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰や円安の進行、生成AIをはじめとする技術革新の急速な進展など、世界経済を取り巻く環境は依然として多くの不確実性を抱えており、不透明な情勢が続くと思われます。このような環境下において、各企業はサプライチェーンの見直しやコスト削減策など抜本的な事業体制の見直しを進めており、コア業務を含めワンストップでアウトソースする機運がこれまで以上に高まっていることなどから、当社グループへの潜在的なニーズは引き続き高い水準で推移すると考えております。 一方、物価高騰や賃金上昇に伴う価格転嫁の動きは広がりつつあるものの、急速な価格転嫁はクライアント企業からの理解を得にくいケースも多く、委託料の引上げや業務の効率化・省力化にとどまらない対応が求められております。具体的には、AIを含むDXを活用した新たなビジネスモデルの創出やサービスの付加価値向上が不可欠であり、当社グループとしても、品質のさらなる向上に加え、2025年10月に新設した「DX推進本部」を中核に据えたデジタル技術への投資と開発体制の強化を通じて、既存事業の高度化と新たな価値創造の双方に取り組んでいく必要があると認識しております。 こうした背景のもと、主に国内向けに事業を展開する当社グループにおいては、第8次中期経営計画のスローガンである「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」に示されている「成長余力の創出」の全体戦略に基づき、付加価値が高くサービス優位性があるアシスタンスサービスにフォーカスするべく、業務の選択と集中を行っております。同時に、高い専門性を持った人材の育成や、人材定着のための職場環境の整備・待遇の改善などを行い、一人ひとりの生産性向上に取り組んでおります。また、サービス提供の中心であるBPO拠点を複数の地方都市に置くことで安定的に雇用を創出し、確実にサービスを提供し、BPO市場の旺盛な需要に対応しております。第8次中期経営計画にて掲げている「機動的な拠点展開」に関しては、2025年4月に開設した「青森BPO三沢ブランチ」の運営を本格化させるとともに、2026年夏季に稼働開始予定の「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」の建設を着実に進めるなど、受託能力の中長期的な向上を図っております。さらに、2025年10月に「DX推進本部」を新設し、AIを含むデジタル技術を活用したオペレーションの効率化や新たな価値創出を一段と加速させております。 また、当社グループにおける経営の根幹の一つは、「人」によるサービスと考えております。安定的なサービス提供の実現に向け、一定数の採用が見込まれる地域において継続的な採用活動を実施し、同時に、離職を抑制しながらもBPO拠点を展開してまいりました。特に、女性従業員比率が約70%と高く、結婚や出産・育児等、様々なライフスタイルの変化を迎えても働き続けることができる職場環境の創造に向けた取り組みを実施し、女性活躍推進企業として「えるぼし認定」を取得しているほか、子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得しております。また、従業員の健康への意識醸成を目的とした活動にも取り組んでおり、2022年以降5年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されております。当連結会計年度においては、職務・役割定義書の導入と評価・報酬体系の刷新を含む人事制度の抜本的改定にも着手いたしました。これらの取り組みは、離職防止と採用促進の助力になり、新たな事業の成長や拡大に繋がる重要な施策と捉え、今後も様々な取り組みを進めてまいります。 (b)中期経営計画に関して 当社グループは、2024年5月に発表した第8次中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)に基づき、低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、青森県三沢市・秋田県潟上市における拠点展開を含む受託能力の向上、AI技術の積極活用によるDX推進などに取り組んでまいりました。これらの取り組みの結果、中期経営計画の2年目である2026年3月期は、売上高70,911百万円(前期比11.3%増、5期連続の増収)、営業利益8,869百万円(同11.4%増、13期連続の増益)となり、売上高、各段階利益ともに過去最高の業績となりました。最終年度である2027年3月期の売上高につきましては、旺盛なアウトソーシング需要を背景とした既存業務の拡大、新規クライアント企業の獲得及び委託料改定の進展により、中期経営計画の目標値を上回る76,000百万円を見込んでおります。 一方、利益面につきましては、営業利益9,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,920百万円と、中期経営計画の目標値を下回る見込みであります。これは主に、計画策定時の想定を上回る採用難と社会全体の賃金上昇が続くなか、質の高いサービス提供の源泉となる人材の確保・定着を最重要課題と位置付け、従業員の処遇改善をはじめとする人的資本への投資を継続的に実施していること、物価上昇に伴い協力会社への支払単価が上昇していること、ならびに秋田BPO潟上キャンパス(仮称)の開設に伴う先行費用や次世代共通プラットフォームをはじめとするデジタル・IT投資を実行していることによるものであります。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2026年3月期に計上した為替差益や賃上げ促進税制の適用といった一過性の押し上げ要因が剥落することも、前期比横ばいにとどまる主な要因となっております。 当社グループを取り巻く経営環境は、引き続き多くの不確実性を抱えて推移しております。国内では、少子高齢化に伴う労働人口の減少が採用難と賃金上昇を招き、物価高と相まって企業経営の重い負担となっております。世界経済においても、米国の通商政策に起因するサプライチェーンの分断リスクが継続する一方、中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー価格の高騰が物流コストを押し上げております。主要各国のインフレ圧力は根強く、円安の進行も加わり、輸入コストの増加が国内企業の収益を圧迫している状況です。国内経済においては「賃金と物価の好循環」の兆しが見られるものの、2026年春闘における高水準の賃上げや原材料費高騰に伴う物価上昇圧力は依然として解消されておりません。これらは当社グループの事業活動において大きな影響を及ぼす可能性があり、今後の業績に対する不透明感が一層増しております。加えて、生成AIをはじめとするデジタル技術の革新が急速に進展しており、BPO事業においてもその活用が競争力を左右する重要なテーマとなっております。 このような環境の下、中期経営計画の最終年度として、引き続き「成長余力の創出」、「サービスプラットフォーム利用型の収益モデルの開発」、「機動的な拠点展開」の3つの施策を中心に取り組んでまいります。また、「応対の効率化」のみならず、当社グループに蓄積された膨大なデータを利活用した予測モデルによる適正リソースの配置や、ユーザーの要望を先回りした対応を通じ、NPSの向上をLTV(顧客生涯価値)の伸長に結びつけるなど、「CX・UX(顧客体験)の高度化」にシフトし、DXとホスピタリティが融合したオペレーションによる差別化を進め、グループ全体の持続的な成長を目指してまいります。 受託能力の増強としては、2026年夏季に開設を予定している秋田BPO潟上キャンパス(仮称)においては800席の受託能力を有することになり、事業拡大を加速させてまいります。また、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資も計画しており、今後も各拠点の拡大、投資を進めてまいります。加えて、DXなどのデジタル・IT投資においては、CTI(高性能電話システム)にAI機能を実装させ省人化や業務効率の向上などを推進するとともに、各事業セグメントを横断した次世代共通プラットフォームの開発にも着手、これまでオートモーティブ事業やプロパティ事業などで蓄積されたデータやエージェンティックAIを活用した次世代システムへ今後数年間にわたり投資を実行してまいります。 第8次中期経営計画経営指標中期経営計画目標(2027年3月期)2026年3月期実績2027年3月期業績予想(注)売上高75,000百万円70,911百万円76,000百万円営業利益10,000百万円8,869百万円9,600百万円親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円5,920百万円5,920百万円ROE15%12.5%-配当性向60%以上55.4%59.2%総還元性向70%以上80.0%-(注)2027年3月期の業績予想は、2026年5月13日公表の「2026年3月期決算短信」に記載の数値であります。 総還元性向は、自己株式取得の実施状況等により変動いたします。 第8次中期経営計画 全体 「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」において、以下の戦略を掲げております。引き続き、経営目標の達成に向け取り組んでまいります。(1)成長余力の創出徹底した受託業務(プロジェクト)別収支管理、低収益プロジェクトからの撤退を含む取捨選択、AI等を活用したDX推進による工数削減&生産性向上により、一人あたりの利益額を3年後20%増へ (2)サービスプラットフォーム利用型の収益モデルの開発従来のストック型ビジネスモデルを維持拡大しつつ、人的資本に頼らないフロー型ビジネスモデルの開発 (3)機動的な拠点展開当社グループのメインシナリオである大規模BPOセンター新設や既存拠点の拡充、ロードアシストやホームアシストの駆けつけサービスの出動拠点拡大などの投資を継続しつつ、機動的にサテライト拠点を設置、開設し、受託能力の拡大を急ぐ (オートモーティブ事業) 自動車産業は100年に一度の変革期と言われており、自動運転やコネクテッド、EV化などの技術の発達、MaaSやSaaSなどの車の利用方法の多様化が進んでおります。一方で、米国の関税政策や世界的な需要変動により生産・販売台数が減少に転じているほか、円安による海外調達コストの上昇も重なり、収益環境は厳しさを増しております。各自動車メーカー及び関連事業者においては抜本的なコスト削減が喫緊の課題となる一方、EV化や自動運転技術の進展、車両の予兆診断・コネクテッド技術を活用した新たなアフターサービスへの需要も急速に拡大しており、アフターサービスやロードサービスを含む周辺業務のアウトソーシングニーズが高まっております。加えて、損害保険業界においては、損害査定をはじめとする専門業務を担う人材の高齢化と人手不足が深刻化しており、損害サービス関連業務へのアウトソーシングニーズが一段と高まっております。当社グループは、従来受託している事故受付などのオペレーションに加え、損害査定・保険金支払いサポート等の業務拡大を進めるとともに、人的資本に頼らないフロー型のビジネスとしての収益化を目指しております。 こうした中、AI等の活用によるDX化を進めておりますが、自動応答などは顧客ロイヤルティに繋がりにくく、複雑で高度な判断を要する対応や感情的な寄り添いが必要な対応はAIではまだ難しい状況にあり、人によるオペレーションを希望されるクライアントと、省人化によるコスト低減を求めるクライアントとの二極化も進んでおります。こうした状況を踏まえ、今後に向けては、「AIを含むDXに何をさせ、人に何をさせるか」の境界線をデザインしながら品質向上と効率化の両立を進めるとともに、都内近郊を中心に進むロードサービス協力会社の減少(人手不足・事業承継等が背景)に対応するため、当社グループの駆けつけ専門子会社によるサービスセンターの新規出店、EV給電可能なレッカー車を含む車両投資、協力会社とのコミュニケーション強化を通じ、サービスネットワークの維持・拡充を図ってまいります。 (プロパティ事業) 主に水・電気などのトラブルで駆け付けるホームアシストにつきましては、これまで首都圏中心の分譲マンション向けサービスを中心に提供しておりました。昨今の建築資材や人件費の高騰を背景に分譲マンションの販売価格は上昇を続けており、新規分譲販売は減少し、対象戸数の増加による収益機会を得にくい環境にあるものの、既存物件を長く大切に使う市場ニーズの顕在化を受け、修繕やリペアなど物件価値の維持・向上に資するサービスの拡大に取り組んでまいります。また、これまで首都圏中心の分譲マンションを主要顧客としてサービスを展開してまいりましたが、全国規模で賃貸物件向けサービスが拡大していることから、オートモーティブ事業と同様、駆けつけ出動拠点の拡充を進めてサービスネットワークを強化してまいります。さらに、通信キャリア向けの暮らしのサービスなど会員制サービスの会員数増加や、高齢者・子どもの見守り需要の顕在化を踏まえ、ホームIoT機器・システムの開発、ペット向けサービス等、暮らしの安心と便利を支えるサービスを多角的に拡大してまいります。 (グローバル事業) 当社グループによる海外の駐在員向けに提供しているヘルスケアプログラムが、2026年3月期は8社で導入され、2027年3月期は6社超の導入を見込んでおります。主要クライアントは約100社にのぼり、サービス対象となる駐在員及びそのご家族は32,000人を超え、引き続き海外進出企業向けに提案を進めてまいります。加えて、従来は現地での医療サポートを中心にサービスを提供しておりましたが、駐在の前後に利用するトラベルクリニック、一時帰国時の健診など、サービスメニューを増やすことで、駐在員向けの医療サポートにおける収益機会を拡大しております。また、提携した病院内にヘルプデスク(アジアを中心に82カ所設置:2026年3月末時点)を設け、通訳や書類作成の案内をするサービスを展開し、日本人向けクリニックも開設しております。 2027年3月期においては86カ所まで拡大する計画をしております。また、クレジットカードビジネスにおいても、新たな特典を付加したクレジットカード商品投入を行いながら安定的な運用を継続しており、カードメンバー数が43,600人となっております(2026年3月末時点)。 (カスタマー事業) 当事業は当社グループの中でもAIによるDX化が最も進む領域であると認識しております。AI・ボイスボット・FAQ自動化等が普及することで「誰でも、安く、同等の品質」を提供しやすくなり、他社に対する優位性が失われやすく、クライアント側での内製化も進みやすい、いわゆるコモディティ化が進む領域であります。現時点ではAI関連のコストはまだ高水準にあるものの、今後は価格競争や低価格化が加速していくものと見ております。こうした認識のもと、当社グループでは規模拡大を追わず、受託している各プロジェクトの収益管理を徹底し、案件の取捨選択を進めるとともに、DXによる省力化・効率化により捻出した人員を、他の事業セグメントや、クレーム対応・解約阻止・アップセル/クロスセルといった高度で人の判断が必要なオペレーションへ再配置することで、グループ全体の付加価値向上を目指す方針を継続しております。 (金融保証事業) グループ会社の株式会社イントラスト(証券コード:7191)を中心にした保証関連事業は、賃貸不動産分野の保証サービスが堅調に推移していることに加え、医療・介護分野の保証サービスについても順調に拡大しております。賃貸不動産市場は成熟期に入りつつあり、保証利用の一般化と管理会社の多角化が進む一方、医療・介護・養育費等の保証分野はブルーオーシャンとして成長余地が大きいと認識しております。特に、医療費用保証については、従来の未収リスクに加え、インバウンドなどによる医療費用の未収も増加傾向にあり、潜在的なニーズも高いことから拡大を進めてまいります。また、介護費用保証についても、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)をはじめ、一定の契約不履行等もあるため拡大してまいります。あわせて、中古自動車購入の割賦販売保証(カーUP応援保証)やリース保証等、新商品の開発・拡大も進めてまいります。 家賃債務保証における新規・更新契約の成長を維持しつつ、既存取引先の回復と新規獲得を重視するとともに、利益率の安定化を継続的に図る方針です。あわせて、医療・介護分野等のブルーオーシャン分野での市場拡大、中古車マーケット向け保証やリース保証等の新商品開発を推進し、さらなる成長を目指してまいります。 (c)資本の財源及び資金の流動性 ①資金需要 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、BPO拠点の建設や設置、オートモーティブ事業やプロパティ事業における駆けつけサービスに使用する車両等の購入になります。2026年3月期においては、2026年夏季に開設予定の「秋田BPO潟上キャンパス(仮称)」の建設に伴い建設仮勘定が3,602百万円増加するなど、当連結会計年度末の有形固定資産は19,947百万円(前期比3,726百万円増)となりました。また、2025年4月に開設した「青森BPO三沢ブランチ」の運営本格化、業務効率化を目的としたシステム開発、EV給電可能なレッカー車を含む駆けつけサービス拡大のための車両等への投資、キャロルシステム株式会社の株式取得を含む金融保証事業のM&Aも実行いたしました。これらに伴うのれん等により無形固定資産は3,765百万円(前期比1,446百万円増)となっております。2027年3月期においても、旺盛な需要に対応すべく機動的なサテライト拠点の開設やAIを含むシステム開発などの投資を計画しております。 ②資本政策 2023年3月に東京証券取引所が発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等」において、今後の企業価値向上の実現に向け、各上場企業へ経営者の資本コストや株価に対する意識改革が促されており、これまでの事業損益を中心とした経営計画にバランスシートをベースにした資本の効率性などを加え、資本収益性を意識した経営の実践を求められております。当社グループにおいては、これまで資金需要に対しては原則として内部資金を充当することとしておりましたが、結果的に有利子負債が少ないこともあり、自己資本比率が高くなっておりました。これらを踏まえ、今後は、投資を継続しながら還元も同時に増やしていくことを前提に、適度に借入を増やし、自己資本を大きく増やさないような取り組みを行ってまいります。当連結会計年度においては、BPO拠点の建設費用等を主目的に有利子負債を6,000百万円増加させたことで、有利子負債残高は6,166百万円となり、また、当連結会計年度末の総資産は82,244百万円(前期比10,653百万円増)、自己資本比率は58.8%となっております。 ③株主還元、配当政策 当社グループは株主の皆様に対しての利益還元を経営の重要な課題の一つとして位置付けております。配当につきましては、今後の事業計画や事業規模の拡大に向けた資金の充実を勘案しつつ、連結ベースの利益水準及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、第8次中期経営計画における方針として、配当性向は中期経営計画の2年度目までに60%程度に引き上げ、最終年度までに総還元性向70%以上、自己株式の取得を含め3年間で総額約130億円の株主還元を行うこととしております。 第8次中期経営計画では、当社グループが成長し続けるためには、有形・無形の経営資源の将来価値を見極めた上で、より成長を見込める事業分野への資源再配分を迅速に行っていくことが必要と考え、営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、重点的に成長投資に充てる方針であります。一方で、資本の効率性を意識した経営の一環として、現在の自己資本及び自己資本比率の水準の見直しなどを行い、ROEを向上させていくことも企業価値向上に向けた長期的な課題、目標として捉えております。 以上の方針に基づき、2026年3月期につきましては、第8次中期経営計画の発表時にお示しした計画通り、1株当たり配当金を前期24円から2円増配し26円(中間13円・期末13円)といたしました。賃上げ促進税制の適用や為替差益等により親会社株主に帰属する当期純利益が当初計画を上回り、1株当たり当期純利益が38.28円から46.97円へ増加したことに伴い配当性向は55.4%となりましたが、自己株式の取得とあわせた総還元性向は80.0%となり、目標水準を超過する水準で着地しております。 2027年3月期につきましては、配当を2円増配し年間28円(中間14円・期末14円)を予定しており、自己株式の取得も含め3年間で約130億円の株主還元を着実に実行してまいります。あわせて、当社グループはクライアント企業の黒子として存在していることもあり、消費財のような商材を提供している企業と比べ知名度が広まりにくい面があり、これが株式市場における認知度にも影響していると認識していることから、個人投資家層への訴求と株式市場における取引活発化を目的に、2027年3月期より株主優待制度を再導入することを決定いたしました。投資対象として魅力ある企業であり続けるため、ROEや配当利回りなどを向上させ、収益はもとより株主還元策を拡大してまいります。
事業リスク
- BPO市場の成長鈍化リスクBPO市場は規制緩和によるアウトソーシング化の進展に大きく影響されるため、アウトソーシング化が進まない場合、同社グループの成長が鈍化する可能性があります。また、大企業が自社でBPO業務を行うケースや、業界再編・M&Aにより独立系BPO事業者の事業機会が減少するリスクも存在します。
- 世界情勢と海外事業リスク同社グループはグローバルに事業を展開しており、予期せぬ法律や規制の変更、不利な政治・経済要因、税制変更、テロや戦争などの社会的混乱が海外事業に影響を及ぼす可能性があります。これにより、クライアント企業の経営戦略や事業方針に影響が出て、同社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。
- 情報漏洩とシステム障害リスク顧客の機密情報や個人情報を大量に扱うため、不正アクセス、誤用、システム障害、天災などによる情報ネットワークやシステムの被害・停止は、データの破壊、改ざん、情報漏洩を引き起こす可能性があります。これにより、事業活動に重大な影響が生じるだけでなく、クライアント企業からの損害賠償請求に発展するリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 以下において、当社グループ(当社、連結子会社36社、持分法適用関連会社2社)の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から同様に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)BPO事業の市場並びに業界の状況に係るリスク BPO市場の成長は、規制緩和等を背景としたアウトソーシング化の進展に大きく影響されることから、アウトソーシング化が進展しない場合は、当社グループの成長が鈍化する可能性があります。 日本及び海外においては、損害保険会社、自動車メーカー、クレジットカード会社等の大企業が自社グループのインハウス事業としてBPO業務を行っているケースが多いため、市場拡大が制約又は限定される可能性があります。また、クライアント企業において業界や業種ごとに共同でアウトソーシング会社を設立する場合、業界再編成やM&Aが進展する場合などにも、当社グループのような独立系BPO事業者にとって事業機会を喪失する可能性が想定されます。 当社グループはこれらのリスクに対して、クライアント企業との協業など新たなビジネスモデルの創出やIT投資による効率化等、独自性が高く訴求力のあるサービスを提供し続けることにより、クライアント企業の拡大及び契約更新に努めてまいります。その一環として、東北地方(秋田県5カ所、山形県2カ所、岩手県1カ所、青森県1カ所)、北陸地方(富山県1カ所、新潟県1カ所)にBPO拠点を開設しております。これはクライアント企業からの業務拡大要請や有事に備えたオペレーションの複数拠点化を求める声が多いことを鑑み実施された施策でありますが、競争の激化などマーケット環境が変化した場合や、先行投資による設備投資が回収できない等の事案が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)世界情勢等におけるリスク 当社グループは、米国、英国、中国、シンガポール、タイ、豪州などに海外拠点を設置し、グローバルに事業活動を展開しております。 海外における事業展開には、以下のようないくつかのリスクが内在しております。万一、下記のような事象が発生しますと、クライアント企業の経営戦略や事業方針等に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ・予期しない法律又は規制の変更、強化 ・不利な政治又は経済要因 ・税制又は税率の変更 ・テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等 (3)信用失墜や風評のリスク 当社グループのクライアント企業は、損害保険会社、自動車メーカー、不動産管理会社など各業界における有力企業が多く、信用失墜や風評の影響を受けやすい傾向にあります。仮にクライアント企業に信用失墜や風評の問題が発生した場合、その影響は当社グループの業績に及ぶ可能性があります。また、当社グループのBPO業務に起因して重大なトラブルやクレームなどが発生した場合、クライアント企業との業務委託契約が解消される可能性があり、更に他のクライアント企業にまで契約解消の動きが波及する可能性もあります。 (4)為替リスク 当社グループの海外売上高は、グローバル事業を中心に2025年3月期3,337百万円(連結売上高に占める割合5.2%)、2026年3月期3,674百万円(同5.2%)となっております。海外売上高の大部分は外貨建てであることから、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (5)設備に係るリスク①情報ネットワークやシステムに係るリスク 当社グループは、経営活動において機密データ及び人事・会計データ等の電子情報の処理に、第三者が管理するものを含む様々な情報技術ネットワーク・システムを活用しており、これらに係るサイバーリスクを重要な経営課題と認識しております。こうした認識のもと、高度化・巧妙化するサイバー攻撃の脅威に対し、ネットワーク監視やエンドポイントセキュリティの強化、データバックアップの多重化等の技術的対策に加え、インシデント発生時の早期復旧体制の構築や従業員教育等の組織的対策にも取り組んでおります。しかしながら、これらの情報技術ネットワーク・システムは、予期せぬ高度なサイバー攻撃のほか、アクセス権限を持つ者による不正・誤用、関係取引先のサービス停止、インフラ障害や天災等に加え、クラウドサービス事業者における障害・仕様変更やデータの越境移転に伴うリスク等により、被害・妨害を受け、又は停止する可能性があります。 万が一、データの破壊・改ざん・情報漏洩やシステム停止が生じた場合、事業継続に重大な支障を来すとともに、クライアント企業からの信用失墜や損害賠償請求等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。②AI利用によるリスク 当社グループは、業務効率化及びサービス品質の向上を目的として、生成AIをはじめとするAI技術の業務利用を推進しております。一方で、AIの利用にあたっては、クライアント企業の機密情報・個人情報の適切な管理、AI出力の正確性・品質の確保、及びAIベンダーの利用規約変更やサービス終了等への対応を重要な課題と認識しております。こうした認識のもと、AI利用ガイドラインの策定・運用、社内教育の徹底、及びAI出力の品質検証プロセスの整備等を通じて、リスクの低減に努めております。 しかしながら、AIに起因するクライアント情報の意図せぬ漏洩やデータの削除、AI出力の誤りによる業務上の重大なエラー、又はAIベンダーのサービス停止等が生じた場合、業務遂行に支障が発生し、クライアント企業からの信用失墜や損害賠償請求等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③災害に係るリスク 台風・水害・大雪等の自然災害、火山噴火や疫病によるパンデミック等の不測の事態は、被害想定を超えた規模で発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、各BPO拠点や事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 (6)人材マネジメントに係るリスク①当社グループの各コンタクトセンターでは、オペレーターなど人材の確保及び育成、業務量に応じた人員配置及びシフト編成、適正な労務管理に努めております。BPO業務の多様化・高度化・グローバル化が進むなか、こうした人材マネジメントの重要性はますます高まる状況にあります。当社グループが適切な人材マネジメントを行うことができなかった場合、業務品質や業務効率が低下するうえ、クライアント企業との業務委託契約が解消される可能性があります。②現在、国内では人手不足が慢性化しており、深刻な社会問題となっております。当社グループにおいては、主力のオペレーション業務を地方に設置した各BPO拠点で行っており、首都圏に比べると比較的安定した採用数を得られておりますが、採用活動が進まず、採用数が計画を大きく下回る場合やインフレ等により著しく賃金が上昇するなどの場合については、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (7)顧客情報漏洩のリスク 当社グループは、クライアント企業との間で一定の秘密保持契約を取り交わし、膨大な量の顧客情報を扱っております。そのため、個人情報保護規程や情報セキュリティ管理規程を整備し、従業員に対する継続的なセキュリティ教育を徹底しております。ISOの認証を取得しているのは秋田BPOメインキャンパス等の主要拠点となりますが、認証未取得の比較的小規模なコンタクトセンターにおいても、それらの認証取得拠点と同等のセキュリティ基準に準じた運用を行っております。しかしながら、当社グループの従業員や関係者が顧客情報を何らかの方法により私的に流用、又は外部に漏洩した場合、クライアント企業との業務委託契約が解消される可能性や、クライアント企業又はエンドユーザーから損害賠償請求を受ける可能性があります。 (8)法規制等に係るリスク 現在、当社グループが関連する主要な業務において特定の許認可制度はないものの、今後、新たな自主規制が設けられたり、公的・準公的資格の取得が義務付けられたりする可能性があります。法規制等の動向については十分な注意を払っておりますが、当社グループの想定を超えた法的規制及び自主規制等が設けられた場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (9)訴訟・クレームに係るリスク 現在、当社グループが関連する主要な業務において訴訟・クレームは発生しておりません。今後、計画している事業展開において、当社グループの提供するサービスなどをめぐる訴訟やクレームなどが発生した場合、当社グループの事業活動及び財政状態並びに業績へ影響を及ぼす可能性があります。 (10)オートモーティブ事業におけるリスク①ロードサービスの収益構造 ロードサービスの業務受託料は、基本的に固定+変動の収支構造となっており、固定費部分の算出方法は主に以下の2つの方式に分類されます。なお、クライアント企業との契約は一定期間ごとに改定する内容となっております。(a)台数ワランティ方式 業務委託料を、クライアント企業の保険契約数(又は対象車両台数)×単価で決定する方式(b)単価ワランティ方式 業務委託料を、手配件数(想定手配件数)×単価で決定する方式 各種ロードサービスの提供件数すなわち当該費用は、行楽シーズンや年末年始など交通量が多くなる時期、大雨や降雪など天候が悪化する時期に増加する季節性があります。こうした季節的な要因に当部門の業績が左右されます。特に台風・大雪・地震など自然災害が例年以上に多く発生すると、故障や事故が大幅に増加し、一時的に業績が悪化する可能性があります。ただし、クライアント企業との契約内容により、想定を超えた当該費用については事後補填を行う付帯条項があり、業績の悪化を緩和できることがあります。 ②ロードサービスの品質 当社グループでは、各種ロードサービスを24時間年中無休で提供するため、関係会社(株式会社プレミアアシスト)をはじめ、全国各地の自動車整備会社やレッカー業者など、協力会社を含む全国ネットワークを整備しております。クライアント企業にとって、ロードサービスの品質はお客様満足度を左右する重要な要素であることから、当社グループでは協力会社と一体となって現場到着までの早さや接客態度などのレベルアップに取り組んでおります。しかし、こうした当社グループの取り組みが十分であるとは限らず、協力会社との良好な関係を維持できなくなるなど何らかの理由によりロードサービスの品質が悪化した場合、クライアント企業との業務委託契約が解消される可能性があります。③保証業務 オートモーティブ事業において、保証業務として自動車延長保証・メンテナンスプログラムを提供しております。保証業務は、利用者から一定の料金を徴収することにより、定められた期間の特定の故障を保証するものであります。 当社グループでは、過去の実績などから適正な料金を算出すること、また、想定されるコストについては再保証を行うことなどの対応を行っております。 しかしながら、想定以上の故障が発生した場合、再保証料が上昇するなどの影響により当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)プロパティ事業におけるリスク①不動産向けサービス(ホームアシスト)の収益構造 不動産向けサービス(ホームアシスト)の業務受託料は、基本的に固定+変動の収支構造となっており、固定費部分の算出方法は、クライアント企業の管理戸数(又は対象戸数)×単価となっております。なお、クライアント企業との契約は一定期間ごとに改定する内容となっております。 各種ホームアシストサービスの提供件数すなわち当該費用は、年末年始や夏季などに増加する季節性があります。こうした季節的な要因に当部門の業績が左右され、一時的に業績が悪化する可能性があります。ただし、クライアント企業との契約内容により、想定を超えた当該費用については事後補填を行う付帯条項があり、業績の悪化を緩和できることがあります。②不動産向けサービス(ホームアシスト)の品質 当社グループでは、各種ホームアシストサービスを24時間年中無休で提供するため、関係会社(株式会社プレミアアシスト)をはじめ、全国各地の水道修理業者、電気工事業者や鍵業者など、協力会社を含む全国ネットワークを整備しております。クライアント企業にとって、ホームアシストサービスの品質はお客様満足度を左右する重要な要素であることから、当社グループでは協力会社と一体となって現場到着までの早さや接客態度などのレベルアップに取り組んでおります。しかし、こうした当社グループの取り組みが十分であるとは限らず、協力会社との良好な関係を維持できなくなるなど何らかの理由によりホームアシストサービスの品質が悪化した場合、クライアント企業との業務委託契約が解消される可能性があります。③保証業務 プロパティ事業において、住宅設備機器延長保証サービスを提供しております。本サービスにおいて、想定以上の故障が発生した場合、再保証料が上昇するなどの影響により当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (12)グローバル事業におけるリスク①海外旅行保険のクレームエージェントサービスにおける有責無責の判断 海外旅行保険のクレームエージェントサービスでは、クライアント企業に代わって一定限度の医療費等(保険金)を保険約款に従って当社グループ独自のノウハウにより有責無責の判断を行っておりますが、その判断が必ずしも適正であるとは限りません。クライアント企業による調査の結果、何らかの無責事由に該当した場合、当社グループは立て替えた医療費等を被保険者に請求いたしますが、当該債権を回収できない可能性があります。②保険金の立替払い 海外旅行保険のクレームエージェントサービス及び日本人駐在員向けヘルスケアプログラムにおいて、当社グループは医療費等(保険金)を現地通貨で立替払いしますが、その後、クライアント企業から保険金を受け取るまでの間に為替相場が大きく変動した場合、為替差損益が発生いたします。 ③日本人駐在員向けクレジットカード発行業務 米国における日本人駐在員向けクレジットカード“プレミオカード”等の発行については、当社グループ、現地金融機関及び日系航空会社との3社提携、現地金融機関に対する金融当局の許認可などが前提となっております。そのため、何らかの理由により3社提携の解消や取引条件の変更あるいは金融当局の許認可などが取り消された場合には、当部門の業績に影響が及び、事業継続が困難となる可能性もあります。 また、同カードの発行時における本人確認、与信審査、与信限度額の設定などは、当社グループ独自の基準及びノウハウにより実施しております。発生した延滞債権については、当社グループが現地金融機関との契約に基づいて買い取るとともに所要の貸倒引当金を計上し、カード会員本人に支払い要請を行います。このため、延滞債権が多額に発生した場合、当部門の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、カード決済時においては、代金を現地金融機関から加盟店に先に支払い、その後会員から代金を回収する仕組みとなっております。支払いのための資金調達には金利が発生しており、現地金融機関と当社グループの負担となっていることから、米ドル金利の上昇により金利コストが増加するリスクがあります。④海外拠点における内部統制 グローバル事業が拡大傾向にあり、それに併せて海外拠点の拡充などを行っております。一方で、海外子会社は地理的にも心理的にも日本の本社から距離があり、モニタリングが十分に効かず、不正などが起こりやすい体質であるとも一般的には言われております。そのため、本社に海外担当の専任部署を設置し、モニタリングの強化を行い、本社との定期的な会議の開催、情報共有や政策の整合性などコミュニケーション機会の拡大、労務管理など現地の法律や規制についての把握などに努めております。また、内部監査体制を拡充し現地への往査頻度を高め、現地の環境への理解と関係者との信頼関係を構築しながら、監査を通じて改善提案を行うことで、企業全体のガバナンス体制を強化する役割を果たしてまいります。 (13)金融保証事業におけるリスク①保証業務 金融保証事業において、家賃債務保証プログラムといった保証に関連する業務を提供しております。当社グループが提供する家賃債務保証プログラムは、保証委託者の債務不履行が発生した場合に当社が代位弁済を行うものであり、その性質上、代位弁済した立替債権の一部が未回収となる可能性があります。また、著しい経済環境の悪化等により、立替債権が増加し、貸倒引当金及び保証履行引当金が想定を超えて計上された場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。②家賃債務保証プログラムの法令遵守 当社グループでは関係会社(株式会社イントラスト及び株式会社プレミアライフ)において家賃債務保証プログラムを提供しております。家賃保証業界に関しては、家賃滞納者に対して一部の業者が行き過ぎた転居対応を行う等の社会的な問題が生じており、業界における自主規制の制定や法的規制について検討が進められている状況であると認識しております。当社グループにおいては、法令遵守を徹底して事業を行う方針でありますが、法令違反等の社会的問題が生じた場合、事業の推進が困難となり、当部門の業績に影響を及ぼす可能性があります。