事業の概要
- 多岐にわたる化学品事業三洋化成工業グループは、洗剤やヘアケア製品の界面活性剤、自動車シートのポリウレタン原料、複写機トナーの材料など、非常に幅広い分野で化学製品を製造・販売しています。子会社や関連会社と連携し、国内外で製品供給や技術提供を行うことで、多様な産業のニーズに応えるビジネスモデルを構築しています。
- グローバルな製造・販売網日本国内だけでなく、タイ、韓国、米国など複数の国に生産・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。これにより、特定の地域に依存せず、世界中の市場で製品を提供できる体制を整え、収益源の多角化を図っています。
- 物流を含む総合サービス化学品の製造・販売だけでなく、関連する物流サービスも自社グループで行っています。三洋化成ロジスティクスや塩浜ケミカル倉庫が保管・出荷・運送を担うことで、製品の安定供給と効率的なサプライチェーンを構築し、顧客への総合的なサービス提供を実現しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- トイレタリー・ヘルスケア事業この事業は、洗剤やヘアケア製品に使われる界面活性剤、殺菌・抗菌剤などを製造・販売しており、売上高は306.8億円、営業利益は1.76億円です。生活に密着した製品が多く、安定した需要が見込まれる一方で、競争も激しい分野と考えられます。
- 石油・自動車関連事業自動車のシートに使われるポリウレタンフォーム原料や、変速機・エンジン用オイルの潤滑油添加剤などを製造・販売しており、売上高は492.32億円、営業利益は39.79億円と、最も高い利益を上げています。自動車産業の動向に大きく影響される事業です。
- プラスチック・繊維関連事業永久帯電防止剤、顔料分散剤、樹脂改質剤、繊維用薬剤などを製造・販売しており、売上高は268.39億円、営業利益は28.67億円です。プラスチックや繊維製品の機能性向上に貢献する製品を提供しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ToiletriesAndHealthCare | 事業 | 307 | 2 | 0.6% |
| PetroleumAndAutomotives | 事業 | 492 | 40 | 8.1% |
| PlasticsAndTextiles | 事業 | 268 | 29 | 10.7% |
| InformationAndElectricsElectronics | 事業 | 209 | 25 | 12.1% |
| EnvironmentalProtectionConstructionAndOthers | 事業 | 146 | 0 | 0.0% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループは、当社、子会社17社及び関連会社6社で構成され、生活・健康産業関連分野、石油・輸送機産業関連分野、プラスチック・繊維産業関連分野、情報・電気電子産業関連分野、環境・住設産業関連分野他の各産業関連製品の製造・販売、技術供与が主な事業内容であります。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。なお、次の5分野は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 [化学品事業]生活・健康産業関連分野洗剤やヘアケア製品用の界面活性剤および医薬品原料などを当社およびサンヨーカセイ(タイランド)リミテッドが製造・販売しているほか、ポリエチレングリコール等をサンケミカル㈱が製造し、当社が販売しております。また、紙パルプ用薬剤等をサンノプコ㈱が製造・販売しております。 石油・輸送機産業関連分野ポリウレタンフォーム用原料等を当社およびサンケミカル㈱が製造し、自動車等のシート用原料として当社が販売しております。自動車内装表皮材用ウレタンビーズを当社が製造・販売しているほか、サンヨーケミカル・テキサス・インダストリーズLLCが製造し、サンヨーケミカル・アメリカInc.が全量引き取り販売しております。変速機用やエンジン用オイルの潤滑油に添加する薬剤を、当社が製造・販売しております。また、韓国三洋化成製造㈱が製造し、当社および韓国三洋化成㈱が全量引き取り販売しております。 プラスチック・繊維産業関連分野永久帯電防止剤や顔料分散剤を当社およびサンヨーカセイ(タイランド)リミテッドが、樹脂改質剤等を当社が製造・販売しているほか、塗料用薬剤をサンノプコ㈱が製造・販売しております。また、繊維用薬剤等を当社が製造・販売しております。 情報・電気電子産業関連分野複写機やプリンター用トナーバインダー及び重合トナー用材料を当社が製造・販売しています。また、アルミ電解コンデンサ等の電解液を当社が製造・販売しているほか、半導体関連材料を当社およびサンアプロ㈱が製造・販売しております。 環境・住設産業関連分野他廃水処理用高分子凝集剤などを当社が販売しているほか、家具・断熱材用ポリウレタン原料を当社およびサンケミカル㈱が製造し、当社が販売しております。 なお、当社グループの注力領域を明確化することを目的に、翌連結会計年度から報告セグメントを「コアマテリアル」「ウェルネス」「ICT」の3つに変更することといたしました。詳細につきましては、2026年5月13日開示資料「中期経営計画2030 「変革の加速」~速さを磨き、価値を届ける~」(https://www.sanyo-chemical.co.jp/wp/wp-content/uploads/2026/05/plan2030.pdf)をご参照ください。 当社グループの主な会社の事業系統図は次のとおりであります。(注)1.前連結会計年度において非連結子会社であった台湾三洋化成股份有限公司は、重要性が増したため当連結会計年度より連結の範囲に含めております。2.当社は2025年4月1日付で連結子会社であったSDPグローバル㈱を吸収合併しております。3.当社は2025年11月1日付で連結子会社であった三洋化成ロジスティクス㈱を吸収合併しております。4.セグメント別には区分しておりません。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 特定の産業分野向けに多様な化学品を製造・販売する技術力と研究開発力。 |
|---|---|
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
会社が挙げる主要リスク:経済状況の悪化による需要縮小 / 為替レートの変動 / 原料価格(原油由来)の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
特定の高機能化学品分野における長年の研究開発実績とノウハウは存在するが、特許による独占的な保護や強力なブランド力は限定的。新規参入障壁は中程度。
スイッチングコスト★★☆☆☆
顧客は特定の用途向けにカスタマイズされた製品を求めており、仕様変更には一定のコストや時間を要する。しかし、代替材料の存在や顧客の調達戦略により、スイッチング・コストは限定的。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果は事業モデルにほとんど見られない。製品の価値は個々の性能に依存し、ユーザー数の増加が直接的な価値向上に繋がらない。
コスト優位★★☆☆☆
一部の製造プロセスにおいて効率化やスケールメリットによるコスト削減の努力は見られるが、原料価格の変動や競合他社との価格競争に晒されており、構造的なコスト優位性は確立されていない。
規模の経済★★☆☆☆
特定のニッチ市場では一定のシェアを持つが、グローバルな化学業界全体で見ると規模の経済性は限定的。業界再編やM&Aによる規模拡大の余地はある。
- 多様な産業への貢献同社グループは、生活・健康、石油・輸送機、プラスチック・繊維、情報・電気電子、環境・住設といった多岐にわたる産業分野に製品を提供しています。これにより、特定の産業の景気変動に左右されにくい安定した事業基盤を築いている可能性があります。
- グローバルな生産・販売体制日本、タイ、米国、韓国などに生産・販売拠点を持ち、中国や台湾にも販売拠点を展開しています。これにより、地域ごとの市場特性や需要に対応し、グローバルな供給網を構築することで、安定的な事業運営を可能にしていると考えられます。
- 研究開発と技術供与有価証券報告書には具体的な技術優位性の記載は少ないものの、多岐にわたる化学品を製造していることから、それぞれの分野で培われた独自の技術やノウハウを有していると推察されます。また、技術供与も事業内容に含まれており、技術力を活かしたビジネス展開も行っている可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日において当社グループが判断したものであります。 Ⅰ 中東情勢への対応中東情勢の緊迫化を背景に、各種原料の安定供給に対する懸念が生じております。また、原油価格の上昇や供給の不安定化に伴い、原料価格も上昇基調にあります。当社では、前中期経営計画期間中(2023~2025年度)に進めた海外サプライヤーを含む調達先の多様化を活かして原料の安定確保に努めるとともに、顧客への適切な価格転嫁を推進しております。現時点において、当社の生産活動に大きな制約が生じている状況にはありませんが、今後の情勢変化、サプライヤーの供給力、顧客の需要動向等を注視し、業績への影響を慎重に見極めてまいります。 Ⅱ 新たな成長に向けて当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、前中期経営計画において、不採算事業であった高吸水性樹脂(SAP)や中国での生産事業からの撤退を断行するとともに、サプライチェーン改革による基盤事業のコスト低減を進めてまいりました。しかしながら、中国での基礎化学品の増産による日本の化学業界への影響は不可逆的であり、製品の品質差別化が難しく価格競争に晒されることに加え、中東情勢の緊迫化等に伴う原油価格の高止まりや原材料の供給制約など、依然として厳しい事業環境が継続しています。こうした事業環境のもと、持続的な成長と収益力の向上を実現するため、当社グループは現在、主として以下の3つの対処すべき課題に直面しております。 (1) 事業ポートフォリオの高度化と注力領域の再定義不可逆的な外部環境の変化に対応するため、汎用品から当社独自の価値が提供できる高付加価値製品を中心としたポートフォリオへの転換を加速させ、SAP事業撤退後の当社の新たな注力領域を明確化することが急務となっています。 (2) 生産設備の老朽化に伴う保全投資・修繕費の高騰既存の生産設備の老朽化が進んでおり、安全稼働に向けた保全投資や修繕費の増加が課題となっており、抜本的な生産体制の見直しが求められています。 (3) 環境変化に耐えうる経営基盤の構築急速な事業環境の変化にいち早く対応するため、独自性のあるデジタル技術の活用や、経営基盤となる人的資本への投資を通じて、圧倒的なスピードで価値を創出できる強靭な組織を構築する必要があります。…………………………………………………………………………………………………………………………………今般、これらの課題に対処し、前中計で進めてきた構造改革による収益力強化をさらに加速するため、2030年度を最終年度とする5年間の「中期経営計画 2030」(以下、『中計2030』といいます)を新たに策定いたしました。当社の強みの源泉である界面制御技術と独自のDXプラットフォームを掛け合わせ、顧客課題を迅速に解決する企業を目指してまいります。また、当社は、事業に関するマテリアリティに基づき、貢献領域を「カーボンニュートラル」と「QOL(生活の質)の向上」に設定しています。これを踏まえ、今後の注力領域を「環境負荷低減」「食・医療/くらし」「スマート社会」の3つに整理しました。また、これらの注力領域に対応する形で、報告セグメントを「コアマテリアル」「ウェルネス」「ICT(情報通信技術)」の3つに再編いたします。ウェルネスやICTといった、ナフサ等の石化原料への依存度が相対的に低く、かつ当社ならではの価値を提供できる領域へのシフトを進め、外部環境変化の影響を受けにくい収益構造への転換を図ります。 中計2030では、2028年度に連結営業利益140億円、ROE6.5%以上を目指し、最終年度の2030年度には連結営業利益200億円、ROE8%以上の達成を目指してまいります。直面する課題を克服し、これらの目標を具現化していくための戦略として、以下の重点事項に取り組んでまいります。 (1) 長期的に目指す姿(新理念体系)中計2030の始動と注力領域の再定義に合わせ、当社のMISSION、VISION、VALUESをピラミッド型で体系化し、VISIONとVALUESをアップデートいたしました。● 社是(MISSION):企業を通じてよりよい社会を建設しよう● 長期的に目指す姿(VISION):界面でイノベーションを起こす“必要不可欠企業” へ● 大切にすること(VALUES):・界面制御技術と圧倒的なスピードで、顧客課題を解決する・化学のちからで化学の枠を越えたイノベーションを起こし、豊かな社会を共創する・多様な仲間とともに高い目標に挑み、持続的に価値と成長を創造する (2) 成長戦略(ポートフォリオ高度化の課題への対応)① ヘルスケア事業への積極投資(ウェルネス):ヘルスケア関連事業の米国新会社設立を検討するとともに、医療・医薬関連製品の展開を強化します。② 高付加価値製品群の展開・創出(コアマテリアル・ICT):基盤製品群の高付加価値化や、新成長分野での新規ビジネス創出等により、新たな高付加価値製品群を創出し、利益成長を牽引します。③ 新規事業の開拓・育成:コアマテリアル分野で培った化学技術を基盤に、顧客との共創や機動的なM&A等の投資により外部の知見を柔軟に取り込み、新成長分野での新規事業の開拓・育成に注力します。 (3) 構造改革(設備老朽化・修繕費高騰の課題への対応)① ものづくり大改革:前中計期間で推進したソフト面(生産プロセス等)の改革に加え、ハード面(生産設備)の改革を新たに推進します。独自のDXプラットフォームを活用して生産最適化を実行し、少量多品種を支える生産設備の集約化・合理化を進めます。 (4) 経営基盤強化(環境変化に耐えうる経営基盤構築の課題への対応)① デジタル活用戦略:業務フローやデータ基盤、知財、分析機器をデジタルでつなぐことで、研究開発からものづくり、顧客への価値提供までのスピードと再現性を向上させます。② 人財戦略:リソース配分の最適化などの人財ポートフォリオ変革と主体的な挑戦に報いる環境づくりにより、全員が戦略実行の当事者として必要不可欠な価値提供に挑戦し続けます。③ 研究開発戦略:デジタル活用による開発加速と新成長分野へのリソース重点配置等により研究開発基盤を強化し、新テーマの創出と界面制御技術の深化によりR&Dの価値創出サイクルを迅速化します。 (5) 資本戦略資産の入れ替えなど資本を活かす経営を徹底して企業価値と資本効率を高め、ROEを向上させます。① 投資計画:戦略的成長投資を中心に5箇年累計で約1,500億円の投資を見込んでおります。② 株主還元方針:連結総還元性向40%以上を目標に、原則として累進配当を実施するとともに、中計期間中において機動的な自己株式取得を実施いたします。③ B/S(貸借対照表)マネジメント:政策保有株の削減や財務レバレッジの強化を行います。 当社グループは、急速な外部環境の変化に先んじ、当社の提供価値を最大化することで、よりよい社会の建設に貢献し、持続的な成長を実現してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日において当社グループが判断したものであります。 Ⅰ 中東情勢への対応中東情勢の緊迫化を背景に、各種原料の安定供給に対する懸念が生じております。また、原油価格の上昇や供給の不安定化に伴い、原料価格も上昇基調にあります。当社では、前中期経営計画期間中(2023~2025年度)に進めた海外サプライヤーを含む調達先の多様化を活かして原料の安定確保に努めるとともに、顧客への適切な価格転嫁を推進しております。現時点において、当社の生産活動に大きな制約が生じている状況にはありませんが、今後の情勢変化、サプライヤーの供給力、顧客の需要動向等を注視し、業績への影響を慎重に見極めてまいります。 Ⅱ 新たな成長に向けて当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、前中期経営計画において、不採算事業であった高吸水性樹脂(SAP)や中国での生産事業からの撤退を断行するとともに、サプライチェーン改革による基盤事業のコスト低減を進めてまいりました。しかしながら、中国での基礎化学品の増産による日本の化学業界への影響は不可逆的であり、製品の品質差別化が難しく価格競争に晒されることに加え、中東情勢の緊迫化等に伴う原油価格の高止まりや原材料の供給制約など、依然として厳しい事業環境が継続しています。こうした事業環境のもと、持続的な成長と収益力の向上を実現するため、当社グループは現在、主として以下の3つの対処すべき課題に直面しております。 (1) 事業ポートフォリオの高度化と注力領域の再定義不可逆的な外部環境の変化に対応するため、汎用品から当社独自の価値が提供できる高付加価値製品を中心としたポートフォリオへの転換を加速させ、SAP事業撤退後の当社の新たな注力領域を明確化することが急務となっています。 (2) 生産設備の老朽化に伴う保全投資・修繕費の高騰既存の生産設備の老朽化が進んでおり、安全稼働に向けた保全投資や修繕費の増加が課題となっており、抜本的な生産体制の見直しが求められています。 (3) 環境変化に耐えうる経営基盤の構築急速な事業環境の変化にいち早く対応するため、独自性のあるデジタル技術の活用や、経営基盤となる人的資本への投資を通じて、圧倒的なスピードで価値を創出できる強靭な組織を構築する必要があります。…………………………………………………………………………………………………………………………………今般、これらの課題に対処し、前中計で進めてきた構造改革による収益力強化をさらに加速するため、2030年度を最終年度とする5年間の「中期経営計画 2030」(以下、『中計2030』といいます)を新たに策定いたしました。当社の強みの源泉である界面制御技術と独自のDXプラットフォームを掛け合わせ、顧客課題を迅速に解決する企業を目指してまいります。また、当社は、事業に関するマテリアリティに基づき、貢献領域を「カーボンニュートラル」と「QOL(生活の質)の向上」に設定しています。これを踏まえ、今後の注力領域を「環境負荷低減」「食・医療/くらし」「スマート社会」の3つに整理しました。また、これらの注力領域に対応する形で、報告セグメントを「コアマテリアル」「ウェルネス」「ICT(情報通信技術)」の3つに再編いたします。ウェルネスやICTといった、ナフサ等の石化原料への依存度が相対的に低く、かつ当社ならではの価値を提供できる領域へのシフトを進め、外部環境変化の影響を受けにくい収益構造への転換を図ります。 中計2030では、2028年度に連結営業利益140億円、ROE6.5%以上を目指し、最終年度の2030年度には連結営業利益200億円、ROE8%以上の達成を目指してまいります。直面する課題を克服し、これらの目標を具現化していくための戦略として、以下の重点事項に取り組んでまいります。 (1) 長期的に目指す姿(新理念体系)中計2030の始動と注力領域の再定義に合わせ、当社のMISSION、VISION、VALUESをピラミッド型で体系化し、VISIONとVALUESをアップデートいたしました。● 社是(MISSION):企業を通じてよりよい社会を建設しよう● 長期的に目指す姿(VISION):界面でイノベーションを起こす“必要不可欠企業” へ● 大切にすること(VALUES):・界面制御技術と圧倒的なスピードで、顧客課題を解決する・化学のちからで化学の枠を越えたイノベーションを起こし、豊かな社会を共創する・多様な仲間とともに高い目標に挑み、持続的に価値と成長を創造する (2) 成長戦略(ポートフォリオ高度化の課題への対応)① ヘルスケア事業への積極投資(ウェルネス):ヘルスケア関連事業の米国新会社設立を検討するとともに、医療・医薬関連製品の展開を強化します。② 高付加価値製品群の展開・創出(コアマテリアル・ICT):基盤製品群の高付加価値化や、新成長分野での新規ビジネス創出等により、新たな高付加価値製品群を創出し、利益成長を牽引します。③ 新規事業の開拓・育成:コアマテリアル分野で培った化学技術を基盤に、顧客との共創や機動的なM&A等の投資により外部の知見を柔軟に取り込み、新成長分野での新規事業の開拓・育成に注力します。 (3) 構造改革(設備老朽化・修繕費高騰の課題への対応)① ものづくり大改革:前中計期間で推進したソフト面(生産プロセス等)の改革に加え、ハード面(生産設備)の改革を新たに推進します。独自のDXプラットフォームを活用して生産最適化を実行し、少量多品種を支える生産設備の集約化・合理化を進めます。 (4) 経営基盤強化(環境変化に耐えうる経営基盤構築の課題への対応)① デジタル活用戦略:業務フローやデータ基盤、知財、分析機器をデジタルでつなぐことで、研究開発からものづくり、顧客への価値提供までのスピードと再現性を向上させます。② 人財戦略:リソース配分の最適化などの人財ポートフォリオ変革と主体的な挑戦に報いる環境づくりにより、全員が戦略実行の当事者として必要不可欠な価値提供に挑戦し続けます。③ 研究開発戦略:デジタル活用による開発加速と新成長分野へのリソース重点配置等により研究開発基盤を強化し、新テーマの創出と界面制御技術の深化によりR&Dの価値創出サイクルを迅速化します。 (5) 資本戦略資産の入れ替えなど資本を活かす経営を徹底して企業価値と資本効率を高め、ROEを向上させます。① 投資計画:戦略的成長投資を中心に5箇年累計で約1,500億円の投資を見込んでおります。② 株主還元方針:連結総還元性向40%以上を目標に、原則として累進配当を実施するとともに、中計期間中において機動的な自己株式取得を実施いたします。③ B/S(貸借対照表)マネジメント:政策保有株の削減や財務レバレッジの強化を行います。 当社グループは、急速な外部環境の変化に先んじ、当社の提供価値を最大化することで、よりよい社会の建設に貢献し、持続的な成長を実現してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得の改善を背景に緩やかな持ち直しが見られました。一方で、米国の関税政策の影響や日中関係の緊張の高まりに加え、中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格の急騰や海上輸送の混乱もあり、予断を許さない状況にあります。為替相場は、期初は米国の通商政策を巡る不透明感等から円高が進行しましたが、その後は日米金利差の動向に加え、中東情勢の影響等も受け、円安基調となりました。また、原油価格は、OPECプラスの生産方針や需要見通し等を背景に期中は弱含みで推移しましたが、年度末にかけて中東情勢を巡る供給懸念などを受けて急上昇し、その後も高水準で推移しました。世界経済は、米国の通商政策を背景とした景気減速や中国経済の停滞、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に加え、中東情勢の不安定化等により、先行きは極めて不透明な状況にあります。化学業界におきましては、中国の内需不振と供給過剰を背景に中国製品の日本およびアジアマーケットへの流入が続いており、国内の石油化学事業では競争力強化に向けた事業再編や連携が進展するなど、事業環境は不可逆的な変化に晒されております。加えて、中東情勢を背景とした原油・ナフサ等の原料市況の変動や海上輸送コストの上昇等により、サプライチェーンの不確実性が高まっております。こうした事業環境のもと、当社は『新中期経営計画2025』で掲げた高付加価値事業への転換を図る事業ポートフォリオ改革の実行を通じた基盤事業の収益力強化に取り組みました。加えて、サプライチェーン全体の効率化を目的とする「ものづくり大改革」の継続的な推進や、生産設備の統廃合・集約化に取り組む「生産設備改革」の推進等にも注力いたしました。このような環境下における当連結会計年度の売上高は、高吸水性樹脂事業からの撤退や安価な中国製品との競争激化の影響などにより1,278億5千9百万円(前期比10.1%減)となりました。利益面では、半導体分野の好調に加え、上記事業撤退による収益性改善やサプライチェーン全体の効率化などにより営業利益は100億7百万円(前期比18.6%増)、経常利益は122億5千6百万円(前期比26.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は当社の連結子会社であったSDPグローバル株式会社の吸収合併に伴い、同社より引き継いだ税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異等について、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、法人税等及び法人税等調整額を含む税金費用(益)を計上したことなどにより156億3千7百万円(前期比276.6%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 <生活・健康産業関連分野>生活産業関連及び健康産業関連分野は、高吸水性樹脂事業からの撤退に伴い、売上高は大幅に減少しました。以上の結果、当セグメントの売上高は175億6千1百万円(前期比42.8%減)、営業損失は1億6千7百万円(前期は1億7千6百万円の営業利益)となりました。 <石油・輸送機産業関連分野>石油産業関連分野は、潤滑油添加剤の需要は堅調に推移しているものの、前期に一時的な需要増があったことにより、売上高は横ばいとなりました。輸送機産業関連分野は、自動車シートなどに使用されるポリウレタンフォーム用原料が海外安価品の攻勢により事業環境の厳しさが増したことで、国内外向けともに低調となり、売上高は減少しました。以上の結果、当セグメントの売上高は483億2千8百万円(前期比1.8%減)、営業利益は56億2千8百万円(前期比41.4%増)となりました。 <プラスチック・繊維産業関連分野>プラスチック産業関連分野は、永久帯電防止剤の需要が回復し堅調に推移しましたが、塗料・コーティング用薬剤が低調に推移したことから、売上高は減少しました。繊維産業関連分野は、自動車内装向け合成皮革用・弾性繊維用ウレタン樹脂の需要は回復したものの、風力発電用風車向けの炭素繊維用薬剤が低調となり、売上高は横ばいとなりました。以上の結果、当セグメントの売上高は265億6百万円(前期比1.2%減)、営業利益は24億3千6百万円(前期比15.0%減)となりました。 <情報・電気電子産業関連分野>情報産業関連分野は、トナーバインダーの需要が回復傾向にあり、売上高は増加しました。電気電子産業関連分野は、アルミ電解コンデンサ用電解液がEV市場の回復遅れにより車載用途が低調であったものの、非車載用途の需要増に伴い好調に推移したことに加え、半導体市場が堅調に推移したことにより関連材料が売り上げを伸ばし、売上高は増加しました。以上の結果、当セグメントの売上高は225億1千7百万円(前期比7.7%増)、営業利益は35億9千5百万円(前期比42.0%増)となりました。 <環境・住設産業関連分野他>環境産業関連分野は、高分子凝集剤用のカチオンモノマーが好調に推移したものの、重金属固定化剤の需要低迷により、売上高は横ばいとなりました。住設産業関連分野は、家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料が海外安価品の攻勢により事業環境の厳しさが増したことで、売上高は大幅に減少しました。以上の結果、当セグメントの売上高は129億4千4百万円(前期比11.3%減)、営業損失は1億2千4百万円(前期は4百万円の営業利益)となりました。 ②財政状態の状況 当連結会計年度末における財政状態の状況については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②財政状態の分析」に含めて記載しております。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し103億6千8百万円増加し、343億7千8百万円となりました。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー13,92520,2066,280投資活動によるキャッシュ・フロー△5,079△5,682△602財務活動によるキャッシュ・フロー△11,895△5,1736,722現金及び現金同等物に係る換算差額△128648776現金及び現金同等物の増減額△3,1779,99813,176新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額-369369現金及び現金同等物の期末残高24,01034,37810,368 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動による資金の増加は、202億6百万円(前期は139億2千5百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益105億1千9百万円、減価償却費91億1千7百万円、売上債権の減少30億1千3百万円などによる資金の増加が、仕入債務の減少20億2千6百万円、事業構造改革に伴う支払額13億2千7百万円、法人税等の支払額15億7千6百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動による資金の減少は、56億8千2百万円(前期は50億7千9百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に62億4千8百万円を支出したことなどによるものです。 営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた「フリーキャッシュ・フロー」は、145億2千4百万円の増加(前期は88億4千6百万円の増加)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動による資金の減少は、51億7千3百万円(前期は118億9千5百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払い37億5千8百万円、長期借入金の返済7億9千1百万円による資金の減少などによるものです。 ④生産、受注及び販売の実績(a)生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前期比(%)金額(百万円)生活・健康産業関連分野17,849△42.2石油・輸送機産業関連分野43,571△2.9プラスチック・繊維産業関連分野27,630△1.4情報・電気電子産業関連分野22,5982.4環境・住設産業関連分野他12,857△11.8合計124,507△11.3(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。2.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。 (b)受注実績当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。 (c)販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前期比(%)金額(百万円)生活・健康産業関連分野17,561△42.8石油・輸送機産業関連分野48,328△1.8プラスチック・繊維産業関連分野26,506△1.2情報・電気電子産業関連分野22,5177.7環境・住設産業関連分野他12,944△11.3合計127,859△10.1(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上である販売先はありません。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 ①経営成績の分析(売上高) 当連結会計年度における売上高は、販売量の減少などにより、1,278億5千9百万円(前期比10.1%減)となりました。 (売上原価、販売費及び一般管理費) 売上原価は、前期比155億1千1百万円減少し、売上原価率は前連結会計年度の77.5%から74.1%へ3.4ポイント減少しました。 販売費及び一般管理費は、前期比4億5千6百万円減少し、対売上高比率は前連結会計年度の16.6%から18.1%へ1.5ポイント増加しました。 研究開発費は、前期比1億1千6百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の3.6%から4.1%へ0.5ポイント増加しました。 (営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益) 営業利益は、100億7百万円(前期比18.6%増)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の5.9%から7.8%へ1.9ポイント増加しました。 経常利益は、122億5千6百万円(前期比26.7%増)となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、156億3千7百万円(前期比276.6%増)となりました。 ②財政状態の分析(流動資産) 流動資産は、受取手形及び売掛金が25億1千3百万円、商品及び製品が10億1千4百万円減少しましたが、現金及び預金が99億9千2百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて64億5千2百万円増加し、913億9千5百万円となりました。 (固定資産) 固定資産は、有形固定資産が14億4千5百万円減少しましたが、投資有価証券が136億6千4百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて127億7百万円増加し、1,041億3千1百万円となりました。 (流動負債) 流動負債は、買掛金が14億5千万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて5億6千9百万円減少し、297億6千2百万円となりました。 (固定負債) 固定負債は、繰延税金負債が28億7百万円、事業構造改革引当金が11億9千7百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて45億2千3百万円減少し、32億7百万円となりました。 流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は616億3千2百万円、流動比率は307.1%となりました。 (純資産) 純資産は、利益剰余金が119億7千3百万円、その他有価証券評価差額金が97億4千8百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ242億5千3百万円増加し、1,625億5千6百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の76.8%から4.6ポイント増加し81.4%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,119.90円から7,198.31円と1,078.41円増加しました。 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループは、付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルズ(機能化学品)の製造・販売を通じて、安定的な営業キャッシュ・フローの創出に努めております。当連結会計年度においては、事業構造改革の進捗やサプライチェーン全体の効率化に加え、情報・電気電子分野を中心とした需要の堅調さ等を背景に収益性が改善し、営業活動によるキャッシュ・フローは202億6百万円の増加となりました。 資金調達については、営業活動によるキャッシュ・フローを基本としつつ、資金需要の発生状況や市場環境等を踏まえ、必要に応じて金融機関からの借入等を機動的に活用していく方針です。また、グループ会社の資金は当社が一元的に管理し、必要に応じて資金を融通することで、グループ全体の資金効率化と資金需要の平準化を図っています。 流動性リスクへの対応としては、原料価格・為替動向、地政学リスク等の事業環境の不確実性を踏まえ、手元流動性の確保に努めるとともに、金融機関との良好な取引関係の維持・強化等により、資金調達余力を確保しています。これらを通じて、財務健全性を維持しつつ、構造改革の着実な遂行および企業価値の向上に繋げていく所存です。 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは当連結会計年度の当初目標として連結売上高1,300億円、連結営業利益100億円、連結経常利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益80億円を掲げておりました。結果については以下のとおりです。 売上高は高吸水性樹脂事業からの撤退や安価な中国製品との競争激化の影響などにより1,278億5千9百万円(前期比10.1%減)となりました。利益面では、半導体分野の好調に加え、上記事業撤退による収益性改善やサプライチェーン全体の効率化などにより営業利益は100億7百万円(前期比18.6%増)、経常利益は122億5千6百万円(前期比26.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は当社の連結子会社であったSDPグローバル株式会社の吸収合併に伴い、同社より引き継いだ税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異等について、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、法人税等及び法人税等調整額を含む税金費用(益)を計上したことなどにより156億3千7百万円(前期比276.6%増)となり、ROEは10.6%(前期比7.6ポイント増)になりました。 今後の見通しにつきましては、わが国経済は内需主導で緩やかな回復基調が継続すると見込まれます。一方、世界的には米国の関税政策の動向やロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東地域を巡る地政学リスク等による先行き不透明な状況が続くと予想されます。また、事業環境としても上記状況の他、中国における汎用石油化学品の過剰生産による競争激化に加え、原料価格動向や為替動向など予断を許さない状況が続くと想定されます。 このような環境の中、翌連結会計年度の連結業績見通しにつきましては、中東情勢の緊迫化により原料調達や販売数量等への影響が発生する可能性がありますが、現段階では状況が流動的であり、合理的な影響を把握することは困難であるため、業績見通しには織り込んでいません。一方、売上高は、原材料価格上昇分の価格転嫁などを織り込むことで1,500億円(前期比17.3%増)となる見込みです。また、営業利益は、構造改革や高付加価値製品の拡販による増益効果が見込まれるものの、成長事業への先行投資に伴う費用増等もあり、前期並みの100億円(前期比0.1%減)を見込んでおります。経常利益は、為替差益の減少などにより115億円(前期比6.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用減少の影響がなくなることなどにより90億円(前期比42.4%減)を予想しております。 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますのでご参照ください。
事業リスク
- 経済状況による需要変動日本、北米、欧州、アジアなど主要市場の景気後退は、同社グループ製品の需要を縮小させる可能性があります。特に、自動車や電子機器など景気変動の影響を受けやすい産業向け製品が多い場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 為替レートの変動リスク海外に多くの事業展開をしているため、為替レートの変動は業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。円高に振れた場合、海外子会社の売上や利益を円換算した際に目減りするリスクが考えられます。
- 原材料価格の高騰同社グループが使用する主要な原料は原油に由来しており、中東情勢や需給バランス、為替などの要因で原油価格が変動します。原油価格の上昇に伴う原料価格の高騰は、製品の製造コストを押し上げ、利益率の低下を通じて業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 当社グループは、サステナビリティにおけるマテリアリティの一つとして、リスク管理を重要課題と位置付け、ガーディアン機能の強化によるリスクマネジメントの徹底に取り組んでおります。この認識のもと、事業環境の不確実性の高まりを踏まえ、2025年度にはリスクマネジメント委員会を新設し、全社的なリスクマネジメント体制の強化を図っております。今後も、経営戦略と一体となったリスクマネジメントを推進し、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 (1)リスクマネジメント体制 当社グループでは、全社横断的なリスクマネジメント活動の推進により、経営戦略に影響を与えうる社内外のリスクを包括的かつ網羅的に把握し、適切に対応することで、経営目標の達成を目指すことをリスクマネジメントの基本方針として掲げております。この基本方針に基づき、経営視点でリスクを集約・評価し、対応方針を決定するとともに、その実施状況を監督する会議体としてリスクマネジメント委員会を設置し、全社横断的なリスクマネジメント活動を推進しております。リスク対応に関しては、経営会議に紐づくリスクマネジメント委員会の指示・監督のもと、当該リスクの主管部署が適切に対応するとともに、監査室が第三者的な観点から監査を行う体制としております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④企業統治に関するその他の事項 c.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。 リスクマネジメントは、(1)リスクの特定・評価、(2)リスク対応策の策定・実施、(3)モニタリング・レビューのプロセスにより運用しております。リスクの評価にあたっては、想定されるリスク事象を抽出したうえで、発生確率と影響度により評価し、リスクマップ等を用いて重要度を判断しております。評価の客観性を確保するため、主管部署による評価を踏まえ、委員会において審議・確定しております。各リスクへの対応は、各主管部署を所管する役員(リスクオーナー)の監督のもと、主管部署が中心となって各リスク対応策を策定・実施しております。リスク対応の進捗及び結果は、委員会で定期的にレビューされ、重要な事項については取締役会に報告し、監督を受けております。また、重大なリスクが顕在化した場合に備え、危機発生時の初期対応及び復旧対応の強化にも取り組んでおります。 (2)全社重要リスク 当社グループでは、一度発生すると当社グループの事業継続に重大な影響を及ぼし得るリスクについて、全社重要リスクとして優先的に管理し、未然防止及び発生時の影響極小化に取り組んでおります。全社重要リスクは以下のとおりです。 ① 自然災害(地震・風水害等)[リスクの内容] 当社グループの国内外の事業拠点が、大規模地震、台風・豪雨等の自然災害により被災した場合、設備損壊、操業停止、ユーティリティ停止、物流寸断等が発生し、製品供給の停止・遅延、復旧費用の発生、顧客への影響拡大等を通じて、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社の主力工場である名古屋工場が位置する愛知県東海市及び衣浦工場が位置する愛知県半田市は、南海トラフ地震の地震防災対策強化地域となっております。[当社グループの対応] 事業継続計画(BCP)の整備・継続的な見直し、訓練の実施、重要設備の保全・耐災害対策、代替生産・供給体制の検討等により、早期復旧及び影響極小化に努めております。当連結会計年度においては、南海トラフ地震の発生を想定した全社横断のプロジェクトを立ち上げ、対策強化を進めています。 ② サイバー攻撃(情報セキュリティ・基幹システム障害を含む)[リスクの内容] 当社グループは、研究開発・生産・物流・販売・会計等の中核業務において情報システムを利用しており、外部からの不正アクセス、ランサムウェア等のサイバー攻撃、基幹システム障害等により、業務停止、データ毀損・漏えい、復旧費用や賠償等の発生、信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。[当社グループの対応] 技術的対策(アクセス制御、監視・検知、バックアップ等)及び運用面の対策(規程整備、教育・訓練、インシデント対応体制の整備、BCPの観点を踏まえた対策の強化等)により、リスクの低減に努めております。 ③ 火災・爆発等の重大事故[リスクの内容] 当社グループの生産活動において、設備故障や人為的ミス等を起因とする火災・爆発等の重大事故が発生した場合、人的・物的被害、操業停止、復旧費用や補償・賠償の発生、行政対応、信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。[当社グループの対応] 設備導入・更新、設備保全・点検、リスクアセスメント、訓練・教育、緊急時対応体制の整備、再発防止の水平展開等の保安防災活動を継続し、事故の未然防止及び被害極小化に努めております。当連結会計年度においては、当社グループの重要原料であり、火災・爆発の危険性の高いエチレンオキサイド(EO)の貯蔵設備について、重点的に安全対策を行いました。 ④ 製品・サービスの欠陥[リスクの内容] 当社グループの製品の一部は、欠陥や品質不良が発生した場合に社会的影響が大きく、顧客製品の生産停止、生命・健康への影響等につながる可能性があります。重大な品質問題が発生した場合、使用差し止め、回収・交換、賠償等の発生及び信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。[当社グループの対応] 品質マネジメント体制の整備・運用、変更管理の強化、品質変動の早期検知、重大事案における判断基準及び手順整備、訓練等を通じて、被害拡大の防止と迅速対応に努めております。 ⑤ 不正行為[リスクの内容] 当社グループにおいて、品質偽装・データ改ざん等の品質・製品に関する不正、会計・財務不正、贈収賄、競争法違反(カルテル等)等の競争・取引上の不正等が発生した場合、製品回収や取引停止、行政処分、訴訟・賠償等の発生に加え、社会的信用の失墜が長期化し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。[当社グループの対応] 企業倫理・コンプライアンスに関する教育・啓発、内部通報制度の整備・運用(海外を含む)、監督・モニタリングの強化等を通じて、不正の未然防止と早期把握に努めております。また、重大事案発生時の初動対応の強化にも取り組んでおります。 (3)その他の主要リスク① 経済状況 当社グループ製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退等に伴い需要が縮小する場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 為替レート 当社グループの海外における事業展開において、為替レートの変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 原料調達 当社グループが使用する原料の主要部分は原油に由来しており、原油・ナフサ等の市況、需給バランス、地政学情勢、為替等の要因により原料価格が変動します。また、原料価格の変動のほか、供給元の事故・操業停止、物流の混乱、法令・規制の変更等により原料の調達に支障が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ カントリーリスク 当社グループは、米国・タイ・韓国に生産・販売拠点を、中国・台湾に販売拠点を設置しており、進出国における①予期しない法律または規制の変更、②政治要因による社会的混乱等を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 環境・化学物質規制 当社グループは環境関連法令・規制の遵守及び環境負荷低減に取り組んでおりますが、環境規制の強化、化学物質規制の変更等により、対応コストの増加や事業活動の制約が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 研究開発・製品開発 当社グループは、顧客のニーズに迅速かつ的確に対応する研究開発を行っておりますが、研究開発には不確実性が伴い、開発の遅延や成果が得られない可能性があります。また、市場ニーズの変化や競合他社の技術革新等により、開発成果が事業化・収益化に結び付かない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 知的財産権 当社グループは知的財産の確保・管理に努めておりますが、第三者による当社グループの権利侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害していると判断された場合、訴訟・紛争等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人的資本 当社グループの持続的成長には、多様な人材の確保・育成が重要であり、人材獲得競争の激化、育成の遅れ、重要人材の流出等により、事業の継続・成長に支障が生じる可能性があります。また、DXの推進に必要な人材・スキルを十分に確保・育成できない場合、業務改革や競争力強化が遅れ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 訴訟・係争 当社グループの国内外の事業活動に関連して、取引先、第三者等との間で訴訟その他の法的手続が提起され、不利な結果が生じた場合、損害賠償、和解金、訴訟対応費用の発生や、社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。